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1957-05-11 第26回国会 参議院 商工委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十一日(土曜日)    午後零時四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            藤田  進君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    科学技術政務次    官       秋田 大助君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○技術士法案内閣提出、衆議院送  付) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  まず、輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑がおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 近藤信一

    近藤信一君 質疑に入る前にちょっと通産省当局お尋ねしたいことがございますが、本法律案につきましては、五月の七日に参考人を呼んで意見を聴取したわけでございます。ところが、聞くところによりますると、この参考人意見を聴取する前に、通産省当局課長並びに通商局長らが、参考人の方々にお会いしたいという申し入れをいたしたり、それからある人にはお会いして、いろいろと意見通産省の方から述べられたというふうに聞いております。そうして参考人の言おうとする点が曲げられたようにも私は聞いておるのであります。もし、こういうようなことがあるならば、参考人意見について政府当局が何らかの圧力を加えたというように私どもは聞き取るわけでございますが、こういう事実があったかどうか。この点について若干お尋ねしたいと思います。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はそのことを存じておりません。
  5. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 実は今回のこの改正法につきましては、やや表現のむずかしいような点もありまするし、われわれも十分に説明をしていなかった業界も実はありましたので、もちろん私自身はお会いをいたさなかったのでありまするが、課長なり事務官から十分その法案趣旨を御了解願意味におきまして、説明に伺ったのでありまして、決してこう願いたいとかいうふうなお願いをした事実はないのでありまして、法案趣旨誤解のないようにしていただくために、説明をいたしたいということを申し入れましたら、快く聞いてやろうということでございましたし、また、向うの方から、会議を開いているのだが、少しわからないので、来て説明してくれないかというような御要求もありましたので、担当官が参りまして詳細に説明を申し上げただけでございます。
  6. 近藤信一

    近藤信一君 趣旨説明に参ったのみだけだと、また向うからそういう説明をしてもらいたいというようなことがあったと言われるが、私が聞いておりますところによりますと、そうではなくて、あなたの方から向うの方に連絡をされて、そうしてぜひこういうふうに一つしてもらいたい、こういうような御要望をあなたの方が強くせられた。従って、最初は反対意見を持っておったが、それがだんだんと曲げられてきた、こういうふうにも聞いております。そうして、参考人がこちらに呼ばれると予定されておるのに、その前日、または前々日に、通産省の方からそういうようなことに行くということは、いろいろと私は誤解を生ずると思います。そういう点、どうも私どもは納得いかないのですが、そういうことが許されていいかどうか、通商局長はどうお考えになるのですか。
  7. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいま申し上げましたように、何らお願いに伺ったことはないわけであります。ただ、誤解に基くいろいろな意見があるやにも聞きましたので、誤解だけは解く必要があるということで説明に伺っただけであります。また、向うから毛説明に来てくれるようにという申し出があったところもありましたので、伺ったのでありまして、決してお願いなり、あるいは意見を変えてもらうために、あるいは役所都合のよいような発言をしていただくためには、ごうも行かなかったのでありまして、担当官説明に参りますときにも、私はくれぐれもそういう誤解を、先生が今おっしゃったような誤解を受けてもいけませんので、事務当局としての単純な法案説明をして、いやしくもお願いをするとか、あるいは違った意見を言われることは困るというようなことのないようにということは、くれぐれも注意をしておきましたし、また、実はここにも参っております課長なり、担当官が行ったのでございますが、決してそういうお願いをしたとは私は思っておりません。ただ、説明をいたしました結果、それは、自分らはえらく誤解々しておった、それでよくわかったと言われた方は、一、二あったというふうに聞いておりますけれども、決してそういうその意見を曲げたり、あるいはお願いに行ったとかいうことは絶対ないつもりであります。
  8. 近藤信一

    近藤信一君 誤解をしておられたから、その誤解を解きに行ったと、こう言われるが、まだ参考人意見も聞かないうちから、誤解しておるかどうかということは、私はわからないと思う。たとえ誤解をしておっても、それを解くということであれば、意見を聞いてからその誤解を解くべきじゃないか、こういうように私は考えるが、その点いかがですか。
  9. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今度の法案の制定につきましては、輸出入取引審議会、その他かなりの業界意見を十分聞いたのでありますが、その後若干反対をされる向きもあり、そういう文書もわれわれはいただいたわけであります。ところが、それを見ますると、非常に誤解に基くもの、十分法案を御理解願わずに意見を言われているような向きもありましたので、少くともわれわれは誤解だけは解く必要があるのじゃないかというような意味合いで、もし誤解に基いていろいろ御発言をしていただくということになるとこれも困りますので、そういう意味をもちまして、単なる説明に伺っただけでございます。
  10. 近藤信一

    近藤信一君 いつまで議論していても水かけ論になりますから、私はやめますけれども、少くとも参考人を当委員会に呼んで参考意見を聞こうとしておるそのやさきに、通産省からそういう参考人のところへ出向いて、そしていろいろと、それは誤解を解くためか何かは知りませんけれども意見を述べるということは、審議上の上においても、これはそれこそ誤解を招くし、いろいろと混乱を生ずると、私どもはそう考えますが、そういう点厳重に今後は一つ注意してもらいたいと私は意見を述べておきます。
  11. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 私もそういう話を聞きまして、もし私に話をしてくれた人の言葉の通りであれば、はなはだ残念だと思っております。今、通商局長は、ただ単純に法案説明に行っただけであるというお話しであれば私も安心します。前にも文教委員会か何かで証人を呼びますときに、あらかじめ文部省から連絡をして、こういうことを、言ってくれという発言について注文したというようなことを聞いて、非常に問題になったことがある。これはやはり参考人意見を聞くという押し詰ったときにやらないで、平素新しい法案を作成する以前に、過程のうちにおいて、あるいはまたはできてすぐ、十分各方面の了解を得るように啓蒙といいますか、PRをなすべき責任がやはり政府にあるのじゃないかとこう思います。一つ十分そういうことを気をつけていただきたいと思います。
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 了承しました。
  13. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣もお見えのようでありますが、大田に一、二お尋ねいたしたいのでありますが、本案の一番大きな問題は、要するに指定機関について、非常に業界がある点においては誤解もしており、またある点においては非常に正しい反対意見を述べられております。これは先般参考人からもいろいろこの点について陳述があったわけでありますが、要するに輸出入取引秩序確立、それから業界過当競争ダンピング防止、こういうことが本案のねらいなんでありますが、しかし、従来いろいろの状況から見まして、どうしてもメーカー、大商社強きもとに、占領下の公団的な色彩が出やすいのでありますが、こういう点につきまして、よほど慎重に厳重にやっていただかないと、過去にもしばしばこういう問題があったのでありますが、この点について大臣はいかにお考えになられておりますか、お伺いしたいのであります。
  14. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この法案で御了解願いまするように、この輸出入取引秩序確立につきまして、まず第一の段階といたしまして、業界の適法な共同行為があり、また業界からの申し出がある。それをいろいろな角度から役所がそういう機関指定する必要があり、かつ適当と認めるという場合に指定をするわけでありまして、先般の要綱の説明のときにも、るる申し述べましたように、業界の機運がそういうふうに醸成をして参り、現行の輸出調整規定とか、あるいは規制命令というようなことでもってして、なおかつこの業界秩序が立たないという場合に、はじめて所要条件を満たす場合に、業界申し出に基いて指定をするということでありまして、役所側が一方的に独断的に指定をするという筋合いのものではないので断ります。この点は条文をごらん願えば御了解願えますように、どっちかというと、やや窮屈すぎるほどいろいろの条件なり、基準を掲げているような次第であります。そういうふうに非常な慎重な判断をし、いろいろな条件を満たす場合に、初めてこの指定機関というものができるわけでありますし、できました後につきましても、大企業だけの利益に走って中小企業利益を圧迫することのないように、十分監督を加えるような規定を設けているわけであります。輸出入取引審議会審議を経て所要の政令も制定することになっておりますし、今、先生が御指摘のような心配を、われわれもこの法案を書きます場合に同様に持ったわけであります。そういうことのないように、十分条文の上でも配慮したつもりであれます。今後これを運用する場合におきましても、もちろん、そういう精神でもって慎重に運用したいというふうに考えております。
  15. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 御承知通り、すでに既設の共販会社の中におきましても、鮭鱒罐詰会社というような四、五社の大メーカー中心にした販売会社等に対しましては、従来の例を見ましても、中小貿易業者というものは、なかなかこれを面接に買い取るということが非常にむずかしいのでありまして、どうしても窓口商社を介さなければ買い取ることができなかったというようなことが、従来でもしばしばあるわけでありますが、そういう点がさらに今度の指定機関によって法的な裏づけがあるということになりますというと、その問題というものが私は一そう深刻になるのじゃないか、これは私どものあるいは心配し過ぎかもしれませんけれどもそういう憂いがあるわけでありますが、この点に関しましては、十分一つ注意を願いまして、特にこの指定機関の設置についてなのでありますが、そういう意味で非常に慎重を期することは当然なのでありますが、これは特にこの輸出入取引審議会というだけでなく、この審議会総合部会というのがあるはずなのでありますが、これの賛成を得て、重点的にやっていただくということがわれわれ必要になるのじゃないかと思うのでありますが、この点について御意見いかがでありますか。
  16. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 従来は、この買取りまたは販売機関につきまして、何ら監督規定がなかったがために、今、先生が御指摘のような若干弊害の面もあったかと思うのでありますが、そういうふうな観点もありまして、われわれはこれを法律の網をかぶせることによって、公正に指導監督をしようというのが、今度の法のねらいでございまして、今度のこの改正法指定されました後におきましては、今御指摘のようなそういうへんぱな取扱いのないようには、もちろんなることと思いまするが、役所十分監督をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  17. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 輸出入取引法に舞いてすでにできておりまする日本輸出冷凍鮪販売株式会社あるいは日本自転車輸出振興株式会社、まだ幾つかあるのでありますが、まずこの二つを取り上げてお尋ねしたいのでありますが、実績について簡単でよろしいのですが、内容を御説明願いたい。同時にこの両者に対して、従来中小貿易業者から特別非難点等について当局が陳情を受けておるかどうか、この点を伺いたい。
  18. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 今正確な実は資料を、持ち合せておりませんので、正確にはちょっとお答えができないのが非常に残念なのでありますが、マログ・カン詰につきましては、過去におきましては、この共販機関がたしか窓口商社として五、六社を指定したわけであります。その結果いろいろ問題が起ったわけでありますが、昨年以来このマグロカン詰輸出組合の方で、組合員の間の協議がまとまりまして、一応大商社中小商社実績主義でいこうということになったわけであります。たしかその実績業者は四十数社というふうに記憶をいたしておりますが、ところが、その四十数社のうち、たしか半分以上程度の人は、ほんとうに過去においてそういう実績を持っておったというのでありまするが、その実績が非常に少い。それくらいの実績では、商売をやる実は価値もないというような人もあったのでありますが、従ってそういう人たちは、実績を譲ってよろしいというふうなことになりまして、大商社実績を譲られた方もありましょうし、また、その小さな実績なりにやっておられる方もあるし、それからまた、小さい実績者同士で譲り受けてかなりの単位になってやっておられる場合もある、大体三つの場合あるんじゃないかと思います。現在のところは、マグロカン詰につきましては、輸出業界におきましては、大企業も、中小商社の問いにおきましても、何ら摩擦なく円滑に動いておるというふうに了解しております。私自身何ら心情を受けたことはございません。それからただいま鮭鱒カン詰の方についてはちょっとはっきり記憶をいたしておりませんので、申しわけございません。
  19. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 本案関連をいたしまして大臣お尋ねいたしたいと思うのでありますが、参考人並びに各委員からの陳述、並びに質問等を聞いておりますと、官僚的統制にならないようにという声が非常に多いのでありますが、この点につきましては、十二分に御注意を願ってやっていただきたいと思うのでありますが、これに関連をいたしまして、かつてできましたこの特定物資輸入臨時措置法なのでありますが、これはこれくらいおそらく官僚的統制と申しましょうか、まあ、もう少しく卑近に申し上げまするならば、買取機関自体政府だというようなことになって、実に生殺与奪の権を通産省が握っておるのでありますが、この特定物資輸入臨時措置法という法は、あくまでもわれわれは臨時措置法というように考えておるのでありますが、これを廃案をするとか、あるいは改廃をするとかいうことは、お考えは現在においていかがになっておるのでありましょうか。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、特定物資の問題は、差益が非常に多いために、それを中心にしていろいろ問題が起っておりますので、やむを得ず行なっている措置でございまして、そういう情勢がなくなり次第、これはなくしたいと思っております。
  21. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 まあ、これは、たとえば一つの例をとりますと、昨年の国会あたりで非常に問題になったバナナの例などを一つあげてみますと、差益金が、二十八年の十月には一かご千七百八十三円であったというものが、昨年全芭連というようなものが突如として出て参りまして、これが入札制に変えられて、差益金が実に一かごバナナに対しまして四千百八十五円という、べらぼうな値段になったわけなのでありますが、これらは、たしか円換算いたしますとバナナは一かご三千三百円になるのでありますが、それ以上の差益金を取っておるということは、日本のようなもうこういう国際収支もきわめてよくいっておる政府やり方として、差益金制度自体というものが、われわれはとるべきではないとこう思うのです。ことにいわんや、その元値以上のものをこれをしぼり上げる、と言うと語弊がありますが、しぼり上げておるということは、大きな国としての立場からいって、決して私は感心すべきものじゃないと思うのであります。まあ幸いにして、同じ昨年の中において御反省をされたのでありましょうが、輸入業者のいわゆる実績制度に変って、値段もだいぶ下ったのであります。それでも二千八百六十二円というような差益金を取っておるのであります。これはまあ具体的な一つの例なのでありますが、こういう問題につきまして、できれば大臣の今後のお考えを伺いたいと思います。
  22. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいま大臣からもお答えがありましたように、正常な貿易という点からいきますと、こういう輸入税類似差益を取るということは、どっちかというと、やや邪道であるということは、これはいなめないのであります。従いまして、事態が正常に復帰いたしますれば、できるだけ早くやめるべきものだと、われわれは確信をいたしております。ところが遺憾ながら、現在こういう不急不要物資につきまして輸入の制限をいたしております結果、やむを得ず輸入に伴う不当な差益が発生するということで、それを放置いたしておきますと、割当事務にいたしましても、あるいはその申請額の激増とかいうような面もありまして、いろいろな問題が発生いたしますので、現状からこれは判断いたしまするならば、ある程度の差益を国家に納める方が、かえってこういう取引秩序という点から見ると、健全なやり方ではないか、こういうことで、やむを得ざる次善策としてとられておるような次第でありまして、やり方につきましては、先生が今言われましたような入札制やり方もありますし、あるいは定額制というふうなやり方もあるわけでありますが、われわれといたしましては、事務的には入札制の方が非常に行政事務としては簡単なんでありますが、また、それには今先生の言われましたような弊害も伴う、まあ大部分のものにつきましては大体定額制を、定額差益徴収制度と申しますかというようなものをとっておるのであります。今後の運用につきましては、十分慎重に配慮していきたいとこう思っております。
  23. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 この問題はいずれかの機会に譲りまして、最後に一つお尋ねをいたしたいのでありますが、この特定物資輸入差益金が、大体御承知通り財政投融資に使われておる。これはまあ何十億になるかわかりませんけれども、私どもは、これがすぐに廃止をすることができなければ、せっかく差益金によって得た金額なんでありますが、財政投融資というよりか、むしろ、この通産省関係貿易振興というようなものに大いに使ってもらう方が、何といいますか、一般業者の意気込みといいますか、また考えといいますかということに、非常にマッチするんじゃないか、こういうふうに考えているのでありますが、この一点をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  24. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) かねてわれわれの申しておりますのと同じような点を御指摘願いまして、非常に心強く思うわけであります。われわれとしては、えらく努力をいたしまして差益を徴収いたしておりますので、できればこれを貿易振興費に回してもらいたいという気持は持っておるのでありますが、国全体の財政都合もありまして、今言われましたような財政投融資の方に回っておりますが、しかし、まあ率直に申し上げますならば、われわれもこういう努力をしているんだから、少しは一般会計からの貿易振興費もふやしてもらいたいというふうな要求もいたしまして、ことしの貿易振興の予算も、御存じのように若干ふやしてもらったような次第であります。まあ、それがすぐそのまま貿易振興費には回っておりませんが、若干そういうメリットも考慮されているのではないかと考えております。われわれとしては、先生の言われると全く同感でありまして、主計局との折衝におきまして、われわれはしょっちゅう、そういうことを申しておるのでありますが、まあ全体の財政関係からいいまして、あまり自分の畑だけに都合のいい議論もできかねまするので、遠慮しておりますが、精神といたしましては全然同感でございます。
  25. 加藤正人

    加藤正人君 一点だけ……。指定機関のことについては、ただいま御質問がありましたように、過日の公述人が、みなこれについていろいろな心配を持っておられることを陳述されたのでありますが、そのことに対する今の質問に対して御答弁があったのでありますが、どうもそういう疑いが持たれるのは、一応やむを得ぬのじゃないかと思われる節がまだあるのでありまして、これは今後に徴してみなければ、はっきりしませんが、われわれは依然まだそういう心配を持っておるわけであります。こういう特権的立場に置かれておりまするのが、つまりこの法律によってこういう特権的な立場を一度与えられてしまいますと、自然これが永久化されるというようなことが、必ずしもないとは考えられないのであります。ほかの立法において認められているアウトサイダーに対する規制命令のものですね、一時的とか、あるいは臨時的とか、その措置にすぎないように、この指定機関の問題も、この措置によって、一応業界も本法のねらうように安定し、あるいは輸出秩序も回復された、ほぼ成功したと確信されたときには、一応この指定を解除するというような、今後において配慮がなされるかどうか。これは永久化するというようなことから起るいろいろな弊害を未然に防ぐ意味においても必要である、こう思うのでありますが、この法律にはどこにも謳ってないようであるが、こういう点について今後政府はどういうふうに処置するか、あらかじめそれを伺いたい。
  26. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ごもっともなお尋ねでございまして、この法律をごらん願いますればおわかり願えることだと思いますが、今度の指定機関指定ということにつきましては、まず前提といたしまして、生産業者または輸出業者の適法な共同行為というものが前提になっておるのであります。従いまして先生の御指摘のような場合は、もうその共同行為が必要でなくなったという場合に該当するのでないかと思うのであります。もちろん、そういう場合におきましては、われわれといたしましてはその指定する必要性をもう認めないわけであります。従って、一たん指定をいたしておりました機関も、その指定の取り消しということは当然いたさなければならぬわけでありますし、またかりに共同行為がありましても、この条文で書いておりますような、「輸出貿易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去するため」に必要があるという、その必要性が薄らいだ場合におきましては、当然指定を取り消していくべきものであるというふうに考えております。
  27. 加藤正人

    加藤正人君 そういう場合は、指定を取り消すというようなことを、法文の上に明らかにしておく方がいいのじゃないかと思うのですが、そういう点は当然そういうふうにするというような御説明でありますが、そういうふうな意味表現が、ほかの法律にあるように思いますけれども、今度ないのはどういうわけですか。
  28. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この指定機関指定につきましては、政令でいたすことに実はなっております。従いまして今申し上げましたような事情が変って、その必要がなくなったという場合には、当然政令を改正するなり、政令を廃止するなりということになりまするので、ここに法律上はっきり書かなくても、当然やれるという解釈をしておるわけであります。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 輸入組合についてお尋ねしたいと思うのですが、まあ、今度の改正は輸入協定の条件を拡充することも、僕は一つのねらいであろうと思っております。なおまた、アウトサイダーの規制を輸入組合にも行わせるようになっておるが、輸入組合というものは一つもない。どういうわけで輸入組合ができないのか、先ほど大竹委員からバナナの問題も出ましたが、輸入業者というものは非常にもうかってしょうがない。だから輸入組合はできないのではないかという意見も出ておるようでありますが、輸入組合が一つもできない。輸出組合は三十四組合もできておって、輸入組合というものは現在まだ一つもない。それはどういう理由か、その点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  30. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先生の御指摘のように、輸入組合は現在一つも設立されていないのでありますが、それは現行法によりますと、輸入の協定の締結し得る事由が非常に制限をされておるのでありまして、従って今度も輸入協定が締結し得る場合の条件を緩和したいというのが、今度の改正の三つのうちの一つの事項に、実はなっておるのでありますが、現在この輸入業者がそういう締結し得る場合は、非常に限定されておりますところが一つと、それから輸出と違いまして、輸入の方は貿易の体制が為替管理制度下に行われておりまして、輸出ほど自由競争的な格好にはなっていないというふうなことから、実は輸入組合の設立が非常におくれておるのは、御承知通りなんであります。それともう一つの原因として考えられますのは、輸出組合と違いまして、輸入組合はこの施設事業というか、海外で調査をしたり、宣伝をしたりというような事務が、輸出組合ほど必要でない、輸出組合ならば、そういう統制事務はなくとも、いろいろな施設事業の必要がいろいろあるわけでありますが、輸入組合の方はどっちかというと、そういう施設事業を目的に、そういう組合を作るよりも、業者間のやはり統制をやるという場合の方が多いのであります。その統制をやり得る範囲が、先ほど申しましたように、現行法では非常に限定をされておりまして、まあ今の工業塩の例でもあげられましたが、かりに工業塩につきまして過当競争の結果、国内に非常な不利益を与えているということがはっきり認められない限りは、ここでかりに組合ができましても、組合員内部の調整規定ができない建前になっております。今回の改正におきましてはそういう過当競争の結果、国際取引に比べて不利な事態が起きている、あるいはおそれがあるという場合には、そういう協定ができることになっております。従いまして、組合がかりにあった場合には、その事態に該当する場合には、組合員同士を規制する組合の調整規定というようなものができるわけであります。従いまして今回の改正を願いました後におきましては、われわれは輸入組合がかなりできて参るだろう。輸入秩序確立のために、必要な商品については、やはり輸入組合の設立が望ましいのではないかというふうに考えておるような次第であります。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 輸出組合はこれは三十四もできておる、いわゆるダンピングその他も非常に警戒されておる。ところが、輸入組合は非常に競争はやっておるけれども、これは全部国民に対する負担になっておる。輸入業者で損をしておるものはおらない、そういう点から考えていくならば、これこそもう少し組合を強化すべきじゃないか、組合を作るようにしむけるべきではないか、逆に政府の方が輸入組合はできないのだ、形だけは輸出組合輸入組合、輸出入組合とはっきりこううたっておりながら、輸入組合は全然姿もないのである。そうしてやはり業者はどうかというと、もうけるために血の出るような競争をやっておる、そうしてそのしわ寄せは全部国民に来ておる。そういうことになるならば、政府の方がもっと積極的に輸入組合を作るように指導すべきじゃないかと私は思うのですが、そういう点はどうなんですか。
  32. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいまも申し上げましたように、現行法によりますと、輸入組合がかりにできましても、今、先生の御指摘のような事態をこれは矯正するための措置をとることが、非常にむづかしくなっておるのであります。それで、輸入組合も、せっかく皆さま作りましても、何も仕事ができぬ組合なら作らぬでよかろうということで、実はできていないのでありますが、今回のこの改正を願いましたあとにおきましては、輸入組合を作って、いろいろなそういう組合員同士の過当競争を防止するような十分な措置をとることになる。従いまして、私は改正後は組合もできて参ると思いますし、必要あるものならば、われわれも指導して参りたい、こういうふうに考えております。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 次に、輸出入組合についてお尋ねしたいと思います。これまた輸出入組合というのは、中国関係でたった一つしかない。しかも中国とは貿易は制限されておって、正常な貿易のルートに乗っておらないというときに、こういう法律によって輸出入組合まで規制しなければならない、包含しなければならないということは早過ぎるじゃないかという参考人の強い意見もあったと思いますが、これに対しては、どういうふうにお考えになりますか。
  34. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この現在の日中輸出入組合の仕事のやりぶりから言いますれば、これは先生の言われましたように、やや時期尚早ということも私は言えるかとも思うのでありますが、しかしながら、今後日中輸出入組合が、日中貿易が健全に発達することによって、この輸出面につきましても、輸入面につきましても、他の条項で規定しておりますような事態がかりに起りました場合に、日中組合だからといって、やっちゃいかぬと言う必要もないのじゃないか、われわれはこの輸出組合、あるいは輸入組合に関する規定をこの際改正願う際に、必要が起った場合には、この輸出入組合におきましても、そういうことのできる体制にしておく方がいいのじゃないかということで、確かに現在の日中輸出入組合につきましては、すぐ政府の事務を一部組合にやらせる事態ではございませんが、法の建前なり順序から申しまして、輸出組合輸入組合には政府の事務の一部をさせるが、輸出入組合にはさせないのだと言う必要もなかろうということで、この法律で存在しております輸出組合輸入組合、輸出入組合、いずれも政府の事務を一部処理させるということにいたしたわけであります。もちろん、この政府の事務を一部処理させると申しましても、やぶから樺にはやれないのでありまして、まず、組合の中で組合員同士がお互いに統制していこうという、いわゆる調整規定の設定ということが、まず必要になるわけであります。その調整規定の設定も、三分の二の多数の議決を要しまする、いわゆる総会の特別決議というもので、その組合の調整規定が設定されるわけであります。ところが、組合の多数意思によってできた調整規定も、アウトサイダーがあるためにうまく動かないということで、組合から申し出があったときに、初めてアウトサイダー規制の調整規制命令というものが出るわけであります。その規制命令を出しました場合に、現行法ならば通産大臣がみずからアウトサイダーに対して承認等の行為をいたすのでありますが、その関係の組合から申し出があった場合に、その事務の一部を組合にしていただくということでありまして、今後日中貿易が健全に進捗して参り、日中輸入組合もまた健全に成長していった場合に、組合員の多数意思をもちまして、そういう組合内部でそういう調整規定を作り、アウトサイダーの規制を一つしてくれというふうな事態が、かりに起きた場合に、お前の組合だけはやらさぬぞというのは、いささか片手落じゃないかということで、先ほど申しましたように輸出組合輸入組合、輸出入組合毛同様の方法になっております。しかしながら、今の日中輸出入組合の体制からいいまして、まだみずから調整規定を作り、アウトサイダーの規制命令を要請するというような切迫した事態にはなっていないわけであります。ここしばらくは、もちろんこの規定はすぐに動かないとは思いますが、かりに将来そういう事態が来た場合に、そういう必要も起ってくるのではないかということで、こういう規定を挿入したわけであります。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 輸出入組合の心配は、さきに述べた通りに、今まで大企業と中国との直接の貿易は非常に少い。非常に苦しい中を中小企業が今までやってきた。ところが、これによって大企業が大幅に入ってくるとすれば、これは大企業にすべてを取られてしまって、今まで苦労してきた輸出入組合というものは影をひそめてしまうのじゃないか。大企業にとってかわられるのじゃないかという心配が、非常にあるようでございますが、これについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  36. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 確かにその御心配も、もっともと思うのでありまするが、率直に申しますと、現在の日中貿易は、比較的中小企業で行われておるわけであります。大企業がかりに出て参るとしても、今後の問題じゃないかと思います。従って非常に平たく議論を申し上げますならば、今中小企業が、中小業者が大部分メンバーになっております日中輸出入組合で、早回しにそういう調整規定をやる、アウトサイダーの規制命令を発動すれば、かえって中小利益の保護になるのではないかという見方もあるわけであります。ところが、お互いの利害もありまして、いや、これからもう一つ新しい商品にも手出しをしたい。まだ、商品別に見ますると、そういう調整をするほどの段階に立ち至っていないと言われることも、私ごもっともと思います。従いまして組合で現在いろいろの意見が分れておりまするが、いろいろの各業者の思惑から行われておるわけでありまして、われわれとしては、先ほども申したように業界のそういう気運が醸成し、みずから総会の特別決議でもって、ということは、組合員の大多数がその必要を認めて、調整規定を作り、アウトサイダーも一つ何とかしてくれということになって、初めて先ほどの規定が動くことになるわけであります。業者がそういう必要を認められなければ、この規定は動かないわけであります。かりに、そんならそういう必要を組合が認めてきた場合に、大企業中小企業の利害はどうなるかということでありますが、御存じのように今の輸出入組合でも、輸入組合でも、輸出組合でもそうでありますが、加入も脱退も自由であります。それから議決権も戦前とは違いまして、大企業中小企業も議決権は同様に一個になっておるのであります。従いまして大体ああいう組合というものは、中小企業の方が数が多いわけであります。従いまして中小企業利益に反するということであるならば、もう組合では、その議がまとまらないのでありまして、従いましてわれわれとしては組合でそういう三分の二の議決ができるという場合には、これはもちろん若干のアウトサイダーも予想されますけれども、その関係貿易業者等の相当多数の意思が、そういうことを望んでおられると判断していいのじゃないかというふうに考えるわけでございます。今申しますように、昔ならば大企業が議決権を多く持っておったという場合もございますが、これは御存じのように、現在は組合の大部分が中小企業であるということでありますので、かりにその議決があるということならば、中小企業みずからがその必要を認めて、自己防衛のためにやろうということになってくる場合を予想しております。従いましてそういう場合は、アウトサイダーの規制命令の必要も起って参りましようし、また、その場合に組合から申し入れがあった場合に、国の事務の一部をやっていただくというのも、自然の行き方じゃないか。決してこの法律の意図するものは大企業中小企業の摩擦は起らないのではないか。どっちかというと一、二の大企業から見ると、中小企業に引きずられて、一緒に入っても何も利益がないという非難を比較的われわれは聞かされております。船頭が多くて動きが悪いという非難は聞かされておるのであります。中小企業の方面から、いろいろ心配はあるのでありますが、私はその点はまさしく誤解であり、今の組合の実態から見まして、そういうことのあり得ないような体制に、実情もそうでありますし、法の組み方もそういうふうになっておるわけであります。この調整事務の一部を組合にやらせる結果、大企業が専横をきわめるというようなことは、絶対起りもしませんし、私はそういう心配は単なる杞憂じゃないかというように考えております。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、三十二条の役員の解任の点について御質問申し上げますが、これによりますと、通産大臣は「役員たるに適しない非行をしたと認めるときは、これを解任することができる。」ということになっておるわけです。そうすると、これは非行という問題の解釈にもなるでありましょうけれども、通産大臣がこれはやめさせたいと思ったらば、自由にやめさせられる、こういう結果になるのではないか。きのうもちょっと申し上げたのですが、これとは全然性格は別であっても、今度問題になります東北興業株式会社等のごときも、莫大な金を投下しておりながら、何ら仕事をしておらない。東北の議員の人たちは、一生懸命になっておりますけれども、実際実にでたらめきわまる。そういうのを見ると政府の意思に反して仕事をしようとすれば、政府がちょんちょんと首を切っていって、一年のうちに二人も三人も使用者が、責任者が変っておる。やれったってやれないではないか、こういう不満が出てきているわけです。これとは性格が違うけれども、そういうふうに自分考えておらないようなことをする場合には、役員に適しない非行だというようなことを拡大解釈されて、次々に役員を首切られたのでは、これは統制と言われても、政府の意思通り動かすのだと言われても仕方がない、こういうふうに考えるのですが、この役員の解任の問題について、どういうようにお考えになっているか。
  38. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 解任ができるということにいたしましたのは、法のバランスという建前からでありまして、事いやしくも、国の行政事務を、関係の組合に処理していただく以上は、その役員の事務を不当に処理したり、また、役員たるに適しない非行をした場合に、解任することができるということでありまして、事務の処理の対象になる、いわば統制をされる側の利益ということも、法の建前としては十分に考えなければならぬということで、いやしくも国の事務を実施するものが、そういう悪いことをした場合に、それをやめさせるということによって、その統制をされる側の利益を保護をするという見解に実は立っているわけでありまして、決してこれをみだりに乱用して首を切るとかいうようなことは、私は現実問題としてはあり得ないのでありまして、御存じのように、今の輸出組合は任意設立でありまして、業界の意思でもってできておる組合であります。みんな業界から選出をされたりっぱな人が出ておられるのでありまして、普通の特殊機関の役員というものとは、性格が違うわけであります。従いまして、まあいわば伝家の宝刀的な意味合いから、こういう解任権を持とうということだけでありまして、もちろん、その場合におきましても、聴聞会を開いて十分議論を尽した後にやるとかいうような所要規定もあることは、御存じの通りでありまして、まあ、役員というものの生い立ちから見まして、今、先生の御指摘のような心配は率直に申しまして、杞憂じゃないかと思いますし、また、われわれがそういうことをやろうとしても、やれない。また、そういうことは、今の業界の実情からいいますと、考えられんことじゃないかと思うのであります。従ってまあ、業界役員はそういう事務を不当に処理されるとか、非行があるということも、ほとんどなかろうと思うのでありますが、まあ、先ほど申しますように、統制される側の身になっても考えなければならんという、法の均衡という、ただそういう法理の建前からこういう条項を入れたような次第であります。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、その逆説も成り立つわけなんですね。任意組合であって、その中から適当な人が選ばれて役員になる、それを解任するのは通産大臣である。そういう中からりっぱな人が選ばれたのであったならば、解任されるような非行のある人だったならば、その組合が当然解任すべきであって、この組合の自主性によってやるべきであって、それを大臣が解任する権限を持っておるということはどうもおかしい、そういうことにはなりませんか。ほかの組合でも、おそらく組合で選出をしたといった役員であるならば、その解任はその組合の総会なり、大会なりにあるべきものであって、たとえば政府が命令した役員であるならばこれは政府が解任する、そういうことも言えるではないか、かように思うのでありますが、その点はいかがですか。
  40. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この場合の役員の解任といいますのは、いわゆる役員の人事権に関するような解任ではないことは御存じの通りでありまして、いやしくも、国の行政事務の一部を担当願うわけでありますから、従って役所としては、その事務をしていただく以上は、その事務の対象になる業者立場考えたい。こういう趣旨でありまして、これは国の事務を委任をしておらなければ、これは当然その組合内部で自律的に規制があり、そういう工合の悪い役員は、当然次の改選期においては選任されないということにはなろうと思うのでありますが、繰り返して申し上げて恐縮でありますが、国の事務を一部新しくしていただく以上は、それの国の事務の統制を受ける側の立場から見て、そういう保護的な規定が必要ではないかという判断に基いておるのであります。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうするならば、国の事務の一部を委任するのであるから、だからそういう解任権を国が持っておるのであるならば、その前に、そういう国の事務の一部を委任する人であるならば、そういう役員にはこういう人がなってはなりませんという、そういうことがあってしかるべきだ。それはいずれの組合を見ても、役員たる資格は云々ということがあるわけです。特に国の重要な事務の一つでも委任するということならば、こういう人は役員になる資格がないということを一条うたっておけば、何も大臣が首を切る役をせんでもいいじゃないかと思いますが、そういうことはできないのですか。
  42. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先ほど申しましたように、輸出組合にしましても、今後できます輸入組合にいたしましても、業界の任意設立でありまして、業界からいろいろそういう議が起きてこういう組合を作ろうというので、彼ら同士の間で役員が選ばれていくわけであります。従って、それについては政府は何ら関与もしておりませんし、また、私はすべきではないと思っておる。ところが、その国の事務を取り扱わせるとたんに、役員としてこういう資格を要請すると、かくかくの資格でなければ組合の役員になれないとかいうようなことは、実際問題としてそれは非常にむずかしいことであり、かえって組合の自主的な、また自律的な秩序を乱すことになるんじゃないかということで、一応できたものを善なりと認めて、国の事務を委任すると、その結果万一こういう非行があった場合に解任するということでありまして、事前に組合の役員の資格をきめておくことは、私はかえって組合の自主性を阻害しはせぬかというふうに私は考えておるのであります。これは議論になる点かと思いまするが、現実問題として、自然発生的にできました組合を、行政事務を委任するに当って、特にそのとたんから役員の資格についてある一定の条件を課するというのは、これは実際問題としてむずかしいじゃないかというふうに考えております。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 国が関係してそういうものを作らせるというのは、それはそういうふうに言われる通りになるかもしれません。しかし、自主的な任意組合であるとするならば、その組合内部の規約なり規定なりで、おそらくそれはどこの組合でもできるであろうし、それは常識であろうと思うのです。そういうふうに役員に値しない非行をした人、その途中であったことを指摘されておるかもしれないけれども、そういう人を組合自体が置いておくということが考えられるかどうか、このことなんです。組合自体が大臣から首を切られるまでじっとして見ておるような、そういう組合であるかどうか。組合であればあるほど、もっと厳重に役員というものに対する考え方は持っておる、私はかように思うのです。こちらから言えば自主性を阻害するんだとおっしゃるし、また、今の答弁を聞いておると、自主性は信用しないのだ、任意組合といえども、国の事務を移管するならば、国がその解任の権限を持っておるんだと、矛盾した言葉になってきはしないかと思うのですが、それからまた、長くなりますから先に進みますが、その先に参りますと、そうした場合、苦情があった場合、これまた苦情の処理は首を切った通産大臣がやるようになっておる。聴聞会も、あるようになっておりますけれども、それにしてもいずれにしても、その権限を持っておるものは通産大臣である。通産大臣がこれは役員に適しない非行をやったんだとして首を切って、今度はこの人が、いや、そうではありません、再審議願いますと言ってきても、これを再審議するのは通産大臣であるとするならば、これはただ書いてあるだけであって、何にも役員に対する思いやりというか、それはない。国が思うように役員はかえられると、こういう結論になると思うのですが、そこまで御説明願います。
  44. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) かりに、組合の役員でそういう非行があった場合に、組合自体で組合内部のいわゆる制裁というかで、そういう人はやめることになるのではないか。従って、大臣の介入は必要ではないというような点が第一点であったかと思いますが、これは御存じのように、組合というものはやはり組合員の組合である。で、国の事務を扱わせるという方は、組合員に対する事務でもありまするが、また、組合員以外のアウトサイダーに対する事務をも、組合員にもちろんやらせるということになるわけであります。従いまして、組合員だけの立場から見ますと、そういう悪いことをした役員は、当然組合の総会でも問題になり、自己制裁といいますか、内部制裁というものが行われるとは思いますが、アウトサイダーとしては、それに正対して何らの発言権もなければ、関係はないわけであります。そういう点も考えますると、アウトサイダーの利益保護というふうな観点から見まして、やはり解任権というものは必要ではないかという論拠になると思います。  第二点の、そういう悪いことをした役員を解任させる場合に、聴聞にかけて、利害関係人の意見を十分に聞いていたすわけであります。そこで、なるほど役所の判断が誤まっておるということであるならば、そこで当然反省をされることに私はなろうかと思うのであります。しかし、その後におきまして、なお不服の申し立てがあった場合には、当然同じ大臣が処理するのだから同じじゃないか、効果がないじゃないかとおっしゃるわけでありますが、少くとも私は慎重に審議をされるのは世の常でありまして、再審査とか、レビューということはもちろんあるわけでありまして、同じ大臣がやるから全然価値がないとも言えないのではないか。しかし、大臣はその前の聴聞会によって利害関係人の声、特にその当該役員の意見を、もちろん十分に聞いてやるわけでありまするので、私は個人的な意見としては、あまり不服というような段階には行かないのではないかというふうにも考えております。なお、先ほど来申しておりますように、これは法理論上のバランスの規定でありまして、決してこれをむやみに発動するということは実際はあり得ないことで、今申しますようなバランスと、アウトサイダーの利益保護というような点から見た、まあ伝家の宝刀的なものであって、それがむやみやたらと発動されることは、実際問題として、われわれも予想しておりません。また、そういうことがあってもいけないと考えております。
  45. 近藤信一

    近藤信一君 大へん時間もおくれておりますので、ただ一点のみをお尋ねしておきたいと思いますが、本法律案改正によって、第二十八条の第五項で、今後輸出組合などにアウトサイダー規制の命令が出た場合の規制事務の一部を行わせることができるようになるわけでありますが、一体どんな事務を行わせるかということは、なかなか重大な問題でありますから、この政令を定めるについて、あらかじめ輸出入取引審議会に諮問して慎重を期する方がよいと思いますが、その点どのように考えておられますか。御所信をお伺いいたします。
  46. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この原案を作りました場合におきましては、申し上げるまでもなく規制命令を出します場合には、当然この輸出審議会に諮問をして、慎重を期することになっておるわけであります。規制命令というのは、いわゆる政府業者との間を規制する規制命令であります。その場合には、当然その輸出審議会にかけて、慎重を期するということになっております関係上、そういう慎重な手続を経た規制命令の事務を今度組合当局にやらせるということでありまして、それは言いかえてみますと、役所と組合との間の行為になるわけであります。従いまして、それは事前の行為について輸出入取引審議会の議を経てやっているのだから、それほどの必要はないじゃないか。通産大臣がみずからやるか、組合をしてやらせるかというだけの差だから、まあそこまでの必要はなかろうという建前でできておるわけであります。もちろん、その場合は組合の申し出によってやるわけでもありまするが、その必要はなかろうということでありますが、もし、なお慎重の上にも慎重を期せということでありますれば、取引審議会にわれわれとしては事実しかけてもよかろうかと思っております。また、当然、規制命令を出す場合には、これは関係の組合はどこだ。それは関係組合に事務をやってもらうのかやってもらわないのかというふうな実際問題として、そういう相談事も一緒にできるというふうな便宜もありまして、法体系としては、われわれとしては、まあ必要なかろう、こういうふうに考えております。
  47. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  48. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。  ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議がないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、委員長の手元に、近藤信一君、古池信三君、豊田雅孝君及び大竹平八郎君の連名をもちまして、各派共同提案の形で、修正案及び付帯決議案が提出されております。本修正意見または付帯決議の御意見は、討論中にお述べを願います。
  50. 近藤信一

    近藤信一君 私は、日本社会党を代表して、本法案の一部を修正し、かつ付帯決議を付することを条件として、賛成するものであります。  まず、修正案でありますが、これは各派共同提案でありまして、修正全文はお手元に配付してあるので、朗読は省略して、そのまま速記録に御掲載願いたいのであります。  この修正の趣旨を御説明申し上げますと、第一点は、原案、すなわち政府案第三十二条の二に関するものでありまして、原案では輸出組合等にアウトサイダー規制の事務処理の一部を取り扱わせる場合に、その組合の役員が事務を不当に処理した場合等のことがあれば、この役員を解任することができる規定になっているのでありますが、その理由の中に、「役員たるに適しない非行」というような、明確を欠くものがあり、この解任権が乱用されて、官僚統制の色彩を濃くする心配があるのであります。そこでこの点を若干修正して、政府の行い得ることは、解任の勧告程度にとどめ、実際の解任は、これを組合の総会によってとし、民主的に実施させることとし、そうして正当なる理由のない限り、組合は解任しなければならないということにしたいのであります。これに伴い、第三十八条第一項にも所要の修正を加えることにいたしました。  第二点は、同じくこの第三十二条の二に関するものでありますが、修正条文としては第三十七条になります。この第三十七条は、通産大臣輸出入取引審議会に対し諮問しなければならない事項を列挙してある条文でありますが、この中に、第三十二条の二を加えることとし、前に申し上げたアウトサイダー規制命令に関する事務の一部を組合に処理させる場合に関する政令についても、他の多くの政令、省令と同様に、輸出入取引審議会に諮問して、広く各方面の意見を聞いた上で、一にこの政令を制定させようとするものであります。  以上が修正案の要旨でありますが、このように修正しても、なお本法の運用が、中小商社中小企業者等に悪影響を及ぼす危険なしとしないので、やはり共同提案として、附帯決議を付することといたしたいのであります。  その案文を朗読いたします。     輸出入取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  政府は本法の施行に当っては、特に次の諸点を注意すべきである。  一、指定機関の濫立を防止するとともに、該機関並びに規制事務の処理を行う組合の運営については大企業に偏することなく、中小企業利益を充分尊重するよう配慮すること。  二、本法を、政府によって貿易が統制される相手国との貿易等に適用することは真に必要やむを得ざる場合に限ることとし、その運用に慎重を期すること。   附帯決議案については、別に御説明申し上げる要もないと存じますので、省略しますが、右共同修正案とともに御賛成願いたいのであります。  わが党といたしましては、本法案が、官僚統制強化、組合の公団化、大商社利益壟断とならないかという心配はなかなか消えないのでありますが、さりとて、貿易において過当競争が行われることによって起る弊害もまたすこぶる多いので、これを除去することがやむを符ざる措置として必要であることは、これまた認めざるを得ないのでありますから、従いまして、ただいま申し上げました修正を行い、附帯決議を付することを条件として、本案に賛成することになった次第であります。
  51. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今回の改正によりまして、輸出入取引の規制が一段と強化せられるのであります。ことに、指定機関によりまする一手買取販売は、運用よろしきを得なかったならば、規制強化の実が上ります半面におきまして、従来実績の少いもの、換言いたしまするならば、中小の生産者、ないし中小商社利益を脅やかすに至るおそれがあると考えるのであります。従って、この点に政府は十分に、しかも、絶えず留意せられまして、遺憾なきを期するように強く要望いたしますとともに、ただいまの近藤委員提案の修正案並びに附帯決議案に賛成をいたしまして、本案に賛成するものであります。
  52. 古池信三

    ○古池信三君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法案に修正を付して議決することに賛成いたします。なお、附帯決議案についても同様賛成いたします。
  53. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私も、自由民主党並びに緑風会、それから提案者の社会党案に賛成をいたします。
  54. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  まず、近藤君外三名提出の修正案全部を問題といたします。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって近藤君外三名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  57. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決されました。  次に、討論中に述べられました近藤君外三名提出の附帯決議案を議題といたします。本附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  58. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、近藤君外五名提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、ただいまの決議につきまして、この際政府の所信を伺いたいと存じます。
  59. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただいまの法律案に対して行われました御決議の趣旨を十分尊重して、政府としましては、今後の運営の万全を期したいと存じております。
  60. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。  それから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     阿具根 登  近藤 信一     藤田  進  大竹平八郎     小西 英雄  青柳 秀夫     後藤 義隆  高橋  衛     小幡 治和  加藤 正人     白井  勇  高橋進太郎     豊田 雅孝  古池 信三     西川彌平治
  62. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、討論中において朗読を省略いたしました修正案につきましては、近藤君の要求通り、これを会議録に掲載することにいたします。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  63. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をつけて。  次に、技術士法案を議題といたします。昨日に引き続いて質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がありませんから、一、二点質問を申し上げます。本法案によりますと、大学卒業程度の基礎的な学力を持ち、いわゆる大学を卒業して七年間実地をやってきた人であって初めて受験資格ができる、こういう非常に高度なものでございます。諸外国に対し、また国内に対して、技術士という名称を独占的につけて出すということになれば、それもまた当然なことかと思いますが、これに対してただ名称だけを独占的に与えたというだけで、何の裏づけもないが、そういうことで実質的にやっていけるかどうか。そういう点について御説明を願います。
  65. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) 名称独占のみで、果してこの法律の企図する効果を上げ得るやいなや、言いかえれば、業務独占にするべきではなかろうかというお考えが、その背後にあるのではなかろうかと愚考いたすのでございますが、今日、技術士会の任意団体に四百数十名の方が所属されております。ただ、業務独占をすることによりまして、そういう技術士の仕事のでき得る人の数が実際上制限されることが、果して実情に合うやいなやという点を、われわれは考慮しておるのでございます。また、相当の信用のおける人、技術の知識のある方、ことに経験のある方に対しまして、相当の資格を付与し、資格を条件といたしまして技術士という名称を使っていただくのですが、これを業務独占にしてしまうということが果してどうであろうか。数の問題にも関連し、同時にそういうふうな、ある意味においては、ほとんど統制的色彩が強く現われるのでございます。やれなくしてしまうということが、この際どうであろうかという点を考慮いたしまして、現在の段階では、名称の独占の段階にとどめまして、この制度の健全な発達、円滑な運用をはかって、しばらく事の推移を見てもおそくない。むしろ、それが実際的ではなかろうかというようなことを考慮に入れて名称独占をいたしました。そうして、この法律の施行をみまするならば、昨日も申し上げました通り、科学技術庁のPR運動と相持つならば、十分効果を上げ得るもの、こういう確信をもって提案をいたしておる次第でございます。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 私も、わが国の今までの状態を見ましても、学者・科学者、技術者等に対する非常なる冷遇があった。こういう二面から考えてみましても、この技術士法案なるものには、非常なる賛意を持っておるものでございますが、しかし、ただ、名称だけでなくして、これを出された一つ考え方の中に、が考えていることを考えておられるかどうかという問題は、おそらく官庁の中にもこの国家試験に通過される方が多数おありかと思います。そうした場合に、その人たちに対して、特別なる優遇案を考えておられるかどうか。これは国家が試験をして、しかもこういう称号を与える。PRけっこうですけれども、まず自分の所管内にある、こういう技術者に対して、しかもこういう国家試験を受けてとれに通らない人は、今まで技術者といっていても、その人たちとも大きな開きがこれに出てきたということになれば、国家が使っておるそういう人たちに対しては、何らかの優遇策を考えておられるかどうか、その点をお聞きいたします。
  67. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) 技術官丈がこういう試験を受けられることは当然でございますが、官吏の職を奉ぜられておられる以上は、登録まで済んでなければ、この技術士の業務に従事できないことは当然でございます。しかしながら、試験に合格をしているという合格証だけは差し上げることができるような建前になっておりますので、これの試験を受けられて、通過したことによりまして、特別に優遇措置をこれによって講ぜられるかと申しますと、直接は講ぜられないと思います。また、それが趣旨ではないのでございます。技術士制度の名称独占でございますが、この制度の確立によりまして、また、健全な実施に、よりまして、わが国の科学技術一般の水準を上げ、産業の能率を増進することによりまして、国民経済の発展興隆に寄与したいという点に重点があろうかと思われます。技術者一般の優遇あるいは国家公務員であられる技術関係の方、研究員であられる方に対する待遇の改善、優遇の措置につきましては、先般の公務員の給与改訂の際にも、ある程度の改善をいたしたと同時に、ことに規定の実施運用について、従来政府としては非常に注意々して、運用を誤まりなくしたい、こう考えておる次第でありまして、今日でもまた技術庁におきましては、研究職員等の待遇改善について、いろいろと打ち合せ等もいたしておるような次第でございます。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、技術士その人に対しては何の恩恵もなくて、ただこういう名称を冠せられただけであって、そうしてこういう名称を冠して、諸外国に対する技術の提携あるいは日本の国内における大は原子力から、小は機械工場までなんでしょうが、そういうものの指導をさせるんだ、これだけですか。
  69. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) ただそれだけとは言いきれないと思います。こういう制度が確立をされますならば、おそらくだんだんと技術士を利用される方がふえて参り、またふやしてくることが、この法の企図するところでございます。従いまして、そういう技術者が御商売がそれだけ繁盛してくるわけでございます。それはやはり技術者一般に対する刺激ともなりましょう。また、東南アジア等へのプラント輸出の進出等につきまして、やはり公認の技術士というもののお名前が使えることが、非常にプラント輸出貿易の振興に相当関係があるということを、現在技術士会に属しておられてそういう方面のお仕事に従事されておられる方から言われておりますので、この法案が通過実施されますならば、技術士の方には実質的にいろいろな利益にもなりましょうし、同時に貿易の進展にも資し得る、こう考えておる次第でございます。
  70. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  71. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて。ほかに御発言もなければ、質疑はつきたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの力は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。  なお、委員長の手元に白井勇君、近藤信一君、豊田雅孝君及び大竹平八郎君の連名をもちまして、各派共同提案の修正案が提出されております。本修正意見は討論中にお述べを願います。
  73. 白井勇

    ○白井勇君 私は技術士法案に賛成をするものであります。  ただ、この法案の提案理由にありまするような趣旨からいたしまするというと、本案の内容というものは非常に無力でありまして、今後順次その改正整備をはかっていかなければならぬと思うのでありますが、さしあたりまして、特に一点だけ各派共同修正の形で修正を加えておく必要があると思うのであります。それは日本技術士会に関しまする一つの条項を入れるということでありまして、内容につきましてはお手元に差し上げてありまするプリントの通りでありまして、これをそのまま速記録に載せまするようにお取り計らいを願いたいと思うのでありまするが、要しまするに試験を通りました者が、全国一本にまとまりましてそしてお互い同士に連絡をとって振興改善をはかっていくというふうに内部でまとまりまするとともに、技術を特に利用いたしておりまする人たちに対しましても、窓口を一本といたしまして十分連絡をとって、この技術士というものが活躍できるようなよりどころを作っておく必要があろうと考えるのであります。これは自治的に一任をしておけばいいということも考えられまするけれども、しかしながら、歴史を持っておりまする建築士法におきましても、やはり今回の国会におきまして同様の修正が要求をされておりまするし、美容師法におきましても同様の条項が入っておる。それらの点から見ましても、やはりそういう一つの団体を作れまするよりどころを、法におきまして制定をしておくという必要があるということは、はっきり立証されておるとこう思いまするので、この点だけ修正いたしまして、賛成いたしたいと思います。
  74. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 技術士の制度を新たに設けますことにつきましては、産業技術の向上のために心より賛成をするものであります。  しかしながら、この程度の内容で、果して技術士制度の効果を上げ得るかどうかということにつきましては、相当疑問を抱かざるを得ないのであります。従って将来は特典の付与でありまするとか、その他本制度の強化をはかるように、十分政府において努力せられんことを要望いたしますとともに、ただいまの白井委員の提案の修正案に賛成いたしまして、本案に賛成するものであります。
  75. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案並びに修正案に賛成いたすものでございます。質問の中にも述べましたように、名称のみで技術士の優遇をなおざりにするということになれば、それこそ名称だけになってくるものと思います。わが国の科学者、技術者、学者等の現状を見ましても、きわめて憂慮さるべき現状にあることを私どもは聞いております。そういう点にも十分留意されますように希望をしまして、賛成を表明するものでございます。
  76. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私も本法案に賛成をいた一、同町に白井委員の修正案に賛成をするものであります。
  77. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり、〕
  78. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。  まず由井君外三名提出の修正案全部を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  79. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって白井君外三名提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  80. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 全会一致と認めます。  よって、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決されました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例に上りこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。  それから本案を可とされた方は、順次御署名を願います。   多数意見者署名     近藤 信一  藤田  進     阿具根 登  大竹平八郎     小西 英雄  青柳 秀夫     後藤 義隆  高橋  衛     高橋進太郎  豊田 雅孝     小幡 治和  加藤 正人     白井  勇  古池 信三     西川弥宇治
  82. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) なお、討論中において朗読を省略されました修正案につきましては、白井君の御意見通りこれを会議録に掲載することにいたします。   —————————————