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1957-05-07 第26回国会 参議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月七日(火曜日)    午前十一時三十八分開会   —————————————   委員異動 本日委員小西英雄君辞任につき、その 補欠として紅露みつ君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            後藤 義隆君            白井  勇君            高橋進太郎君            三浦 義男君            阿部 竹松君            島   清君            相馬 助治君            加藤 正人君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君    衆議院議員            永井勝次郎君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君   政府委員    科学技術政務次    官       秋田 大助君    通商産業政務次    官       長谷川四郎君    通商産業大臣官    房長      松尾 金藏君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   参考人    神戸貿易協会理    事長日本雑貨輸   出組合理事長  安田 虎光君    日本中小企業国    際貿易協議会副    会長      上村甚四郎君    東産業株式会社    取締役社長   園原光太郎君    財団法人日本貿    易館理事長   菱沼  勇君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣送付予備  審査) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣送  付、予備審査) ○中小企業組織法案内閣送付予備  審査) ○中小企業産業分野確保に関する  法律案内閣送付予備審益) ○中小企業組織法施行に伴う関係法  律の整理に関する法律案内閣送  付、予備審査) ○商業調整法案内閣送付予備審  査) ○核原料物質核燃料物質及び原子炉  の規制に関する法律案内閣送付、  予備審査) ○合成ゴム製造事業特別措置法案(内  閣送付、予備審査) ○輸出入取引法の一部を改正する法律  案(内閣提出)   —————————————
  2. 近藤信一

    理事近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  本日委員長御所用のため、その委託によりまして私が委員長の職務を行います。  まず、委員異動について御報告いたします。本日付にて小西英雄君が委員を辞任され、補欠として紅露みつ君が選任されました。   —————————————
  3. 近藤信一

    理事近藤信一君) それではこれより本日の議事に入ります。  まず、中小企業関係法案、その他本日までに付託されました法律案のうち、いまだ提案理由説明を聴取していない法案について、順次その提案理由説明を聴取いたします。  まず、内閣提出にかかる中小企業団体法案及び中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について御説明を願います。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 中小企業団体法案についてその趣旨を御説明いたします。  政府といたしましては、中小企業問題の重要性にかんがみまして、かねてから各般施策を講じてその解決に努力いたして参ったのでありますが、特に中小企業組織化によって、その経営合理化競争力強化等をはかることを、その基本的対策の一として推進してきたのであります。御承知の通り中小企業組織に関する制度といたしましては、中小企業等協同組合法による協同組合中小企業安定法による調整組合との二つがあるのでありまして、それぞれ、前者は共同経済事業による経営合理化を、また後者は調整事業による経営の安定を目途として運用してきたのであります。この二つ制度は、中小企業経済的地位維持向上のために、きわめて大きな役割を果してきたのでありまして、その意義はすこぶる大なるものがあるのであります。  しかしながら今日なお、我国の中小企業の多くは、その資本力の弱少、業者相互間における過度競争等により、依然として経営の不振と不安定に悩んでいることに思いをいたしますと、この際、中小企業振興施策を思い切って強化する必要があると存ずる次第であります。昨年六月、内閣中小企業振興審議会を設置し、中小企業振興対策に関する広範な諮問を行なったのも、かかる見地から出たものであります。政府といたしましては、同審議会の答申を尊重するとともに、これに対する関係方面意見についても慎重に検討を重ねました結果、中小企業界現状にかんがみ、中小企業振興のための最も基本的な施策として中小企業組織の充実、団結強化をはかることが、まずもっての急務であり、そのため、中小企業組織に関する基本法として本法律を制定する必要があるとの結論に到達した次第であります。  本法律案概要について申し上げますと、  第一に、現行調整組合制度を廃止して、新たに調整事業共同経済事業をあわせ行うことのできる組合として、商工組合制度を設けることであります。共同経済事業をもあわせ行うことは、組合員たる小小企業者団結強化並びに経営の安定と合理化のために、きわめて適切な事柄であり、また、従来の中小企業等協同組合法による協同組合中小企業安走法による調整組合の二重設立による運営の煩を免れるためにも、最も実情に即したものと考えられます。  第二に、すべての業種について、一定要件を備える場合には、商工組合によって調整事業実施することができるようにすることであります。中小企業安定法によりますと、特定工業部門のみ調整事業を行うことができるようになっておりますが、現在中小企業業界は、おしなべて激しい過当競争に悩んでおりますので、工業以外の各分野におきましても、業界秩序維持のための調整事業実施することができるようにする必要があるからであります。  第三に、組合がその調整事業に関して組合外の者と交渉を行うときは、その相手方は、誠意をもってこれに応じなければならないこととし、特に必要がある場合には、その交渉が円満に妥結するよう、政府において特に設ける調停審議会意見を聞き、適切な勧告ができるようにすることであります。業界の安定のために行う組合調整事業につきましては、組合の外にいる者にもできるだけこれに協力してもらい、調整事業が一そう効果的に運営される必要がありますので、組合がこの趣旨によりまして、取引関係または競争関係にある組合員外のものと交渉をする場合には、その話し合いが円滑に行われるように、政府としても善処する必要があるからであります。  第四に、組合調整事業が、員外者事業活動のため効果を上げることができず、ために業界の安定に重大な悪影響があり、国民経済上もこれを放置することができない事態に立ち至りましたときは、政府は、その業界におけるすべての中小企業者組合に加入せしめ、または、組合員たる資格を有するすべての者の事業活動規制する命令を出すことができるようにすることであります。いわゆる員外者行為規制する必要がある場合、まず中小企業業界が完全に団結すれば、不況事態の克服が可能と思われるときは、中小企業のすべてを組合に加入させて自主的調整に参加させるようにし、その他の場合におきましては、現行中小企業安定法におけるがごとき員外者規制命令を発する必要があるからであります。  第五に、共同経済事業を通じて、中小企業者経営合理化をはかるための組織である協同組合制度につきましては、この制度実施以来相当の年月を経て、最近ますますその基礎をかため、制度運営効果もはなはだ大なるものがあるのでありまして、中小企業者組織化による経済的地位向上のためにはきわめて適切な制度でありますので、本法においてはこの制度をそのまま取り入れ、協同組合組織運営等につきましては、従来の中小企業等協同組合法の定めるところによることとした次第であります。もちろん、過去の実施経験にかんがみ、所要の改善はなるべく近い機会に行う所存であります。  本法は、以上述べました商工組合協同組合との二つ制度一つ法律のもとに規定することにより、従来の中小企業等協同組合法中小企業安定法との二本建の法律による組合設立管理等に関する煩を避けるとともに、中小企業者がその希望するところに従い、実態に応じていずれの制度をも選択し得るようにし、同時に、両制度相互の移行についても、でき得る限りこれを容易に行い得るように規定する等、中小企業者一つ法律制度のもとに、みずからの経営の安定と合理化のための事業を、最も合理的かつ効果的に遂行することができるよう措置しようとするものであります。  以上が中小企業団体法案趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同下さらむことをお願いいたします。  次に、中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案についてその趣旨を御説明申し上げます。  政府といたしましては、さきに中小企業団体法案国会提出いたしましたが、その施行に伴いまして、関係法律改正する必要がございますので、本法律案提出した次第であります。本法案のおもな内容は、第一に、商工組合中央金庫法並びに中小企業金融公庫法改正して、新たに、その融資の対象として、中小企業団体法案によって新しく設けられる商工組合及び商工組合連合会を加え、また、中小企業信用保険法改正して、商工組合及び商工組合連合会信用保険対象となりうることといたしました。第二に、税制関係におきまして、商工組合及び商工組合連合会を従来の中小企業等協同組合法による事業協同組合と同様に取扱うこととし、国税について、商工組合及び商工組合連合会法人税法上の特別法人扱いを認め、また地方税につきましても、商工組合及び商工組合連合会特定施設に対する固定資産税並びに不動産取得税を免除する等の措置を講ずることといたしました。  以上のほか、中小企業団体法施行に伴い、関係法律所要改正を行なっております。中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案のおもな内容はおおむね以上の通りであります。何とぞ慎重御審議の上御可決下さいますようお願いいたします。   —————————————
  5. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、水谷長三郎君外二十三名提出にかかる中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案商業調整法案中小企業組織法施行に伴う関係法律整理に関する法律案、以上四案につきまして、発議者衆議院議員永井勝次郎君から御説明を願います。
  6. 永井勝次郎

    衆議院議員永井勝次郎君) 私は日本社会党提出中小企業組織法案中小企業産業分野確保に関する法律案商業調整法案中小企業組織法施行に伴う関係法律整理に関する法律案、これらについて提案理由を御説明申し上げます。  今日中小企業の悩みは、過度競争原料商製品安金融難税金高施設不備技術後進性外資導入の圧迫等数え切れないほどあるが、要約すれば、政府の大企業超重点の施策中小企業へのしわ寄せが、その大きな原因であることは、もはや明々旨々たる事実となっているのであります。  経済企画庁の昭和三十一年六月現在で、資本金一千万円以上の大企業二千四百六十社、一千万円以下の中小企業法人十八万二千六百社を調査した結果によると、売上高は、前年に比べ大企業は一九・八%の伸び中小企業は二三%の伸び中小企業が大企業よりはるかに上回っているのであります。しかるにその営業利益は前年に比べ、大企業は五六・七%と飛躍的に増加しているにかかわらず、中小企業はわずかに三・三%に過ぎず、神武景気といわれながら、前年の利益率よりも下回るというみじめさとなっているのであります。さらに売上高に占める構成比を見ますると、大企業原料費が非常に減って人件費は若干増加しております。中小企業原料費相当にふえ、人件費は逆に下っております。中小企業生産を増加しながら原料高製品安となりいかに収益が減って奴隷的低賃金にしわ寄せられ、大企業に搾取されているかが如実に示されているのであります。このような実態の中で、ただ一片の組織法を制定するだけで、法的強制を伴う中小企業組織化をするならば、これは逆に独占資本による系列化目的に利用され、あるいは組合の内部におけるボス支配を許すこととなり、遂には零細業者強権によって整理される結果に陥ることは明らかに予見されるところであります。消費者利益が守られないことも、言を待ちません。そこで、わが党は、ここに提出しました三法案を三位一体の骨組みとし、続いて金融税制、その他産業経済関係立法十数件、行政措置四十数件を肉づけとして提案を準備しております。わが党の中小企業対策は、国の産業経済全体の中で考え、法律だけではなく、所要財政経済的裏づけを並行せしめ、その実効を期待せんとするものであることを御了承いただきたいと存ずる次第であります。以下各法案について御説明を申し上げます。  第一は中小企業組織法案についてその大要を御説明申し上げます。  本法案現行中小企業等協同組合法及び中小企業安定法発展的に統合吸収し、さらに新規協同組織を加え、それぞれ特異の機能を付与することといたしました。  本法案目的は、中小企業者がその経済的地位を高め、あるいは安定をはかり、もって、国民経済の健全な発展に資するに必要な協同化組織を促進強化せんとするにあります。そのためには特に国の義務として、中小企業税制金融はもとより経営技術等々に、各般振興助成策を積極的に行わねばならぬ旨を規定いたしてあります。  本法案では中小企業とは、常時使用する従業員の数が工業では三百人以下、商業またはサービス業では三十人以下で、かつ資本総額が一千万円以下のものと定義したのであります。  組合の種類は、従来の事業協同組合信用協同組合企業組合調整組合はそのままとし、ほかに新たに零細経営者のための、勤労事業協同組合火災共済協同組合事業調整協同組合の三つの組合を加えることといたしました。このうち調整行為を行う組織については、現行中小企業安定法に基いてすでに設立されている調整組合は、そのまま認め、これから新たに設立しようとするものは、すべて事業調整協同組合とすることといたしてあります。  次に、各組合について御説明を申し上げます。事業協同組合信用協同組合企業組合は、おおむね現行中小企業等協同組合法の規定に準ずることといたしておりますが、このうち、事業協同組合については、特に、団体交渉権、並びに団体協約権を付与することといたしました。  勤労事業協同組合は、特に零細事業者対象とするものであります。従来の中小企業政策の盲点として、その政策の死角にとり残されていた零細業者を特に育成するための新しい協同組織であります。生活のためにみずから働く階層でありますから、資本性事業ではなくて、勤労性事業というべく、企業というよりは生業として区別さるべきものと考えるのであります。従業員十人以下、商業またはサービス業にあっては、従業員二人以下の事業者をもって組織し、社会政策を加味した立場から、金融上、税制上特別の措置を講ずることといたしております。わが党の特に苦心を払っておるところのものであります。  火災共済協同組合について申し上げます。わが国損害保険事業は、共済漁船保険等の一部を除いては、少数営利会社に独占されており、その保険料率は、各社の協定によりはなはだしく高いため、損保普及率はわずかに二〇%内外という低さであり、一般中小企業者は容易に加入し得ない実情に置かれているのであります。よって中小企業者火災保険共済事業をこの組織によって行い、その足らざる点を補わんとするものであります。木組織は出資の総額百万円以上、組合員一千人以上の参加によって設立され、共済金給付契約額は三百万円を限度とし、その連合会には、再保険事業を行わしめんとしているものであります。料率はずっと低くなります。余剰資金組合員共同資産として蓄積されるわけであります。これが普及により中小企業者が不時の災害に対し、みずから保険態勢確立し得ることともなろうかと存ずるのであります。  事業調整協同組合経済事業調整事業とをあわせ行う協同組織で、これが本法案の中心となるべきものであります。従来の中小企業安定法に基く調整組合過度競争もしくは不況に対する事後的救済対策としての価格協定数量制限などの調整事業を行うことを建前としているのでありますが、木組織はそのような事態に陥る以前に、予防的に常時適正なる調整を行い、不公正かつ、過度競争を終息せしめ、企業適正利潤確保せしめんとするものであります。しかしながら、この調整機能のもたらす影響重要性にかんがみ、本組合設立に当りでは、特に消費者並びに、関係業者利益をも考慮することといたしております。  対象業種は、その生産実績が、中小企業に圧倒的に多い業種国民経済上重要な地位を占め、国民日常生活に密接な関係のある業種であって、しかも、それが過度競争により健全な運営が阻害されている場合に限っているのであります。また組合の中における反対意見少数者主張が十分に反映され、不当に抑圧されないように、加入脱退の自由の原則建前として、あくまで懇談と納得に基く、民主的な運営を期しているのであります。同時に大企業が参加する場合の要件として、大企業が加入しなければ調整機能が全うされない場合、しかも大企業が加入しても中小企業者自主性が阻害されない場合と厳格に制限し、組合自主的運営確立を期している次第であります。  さらに、正当な主張に基く、適正な調整活動に対し、もしその組合の決定に服しない不公正な業者があって、そのため、調整効果確保できない場合には、政府案のような強権によって、強制的に組合に加入せしめあるいは刑罰をもって臨むような、非民主的手段はとらず、学識経験者中小企業者消費者労働者等代表により民主的に構成された、調整委員会裁定に従わしめることといたしている次第であります。  次に、本法案のもう一つの重要な点は、事業協同組合勤労事業協同組合事業調整協同組合に対し、団体交渉権団体協約権を付与したことであります。これによって、中小企業者は、一体となり、親企業に対し、その間に、単価、支払条件に関し、団体協約を結ぶ等の交渉、また商品、原材料の仕入元との間に、取引条件についての団体協約を結ぶなどの交渉を行うことができるようにしているのであります。団体交渉が不調に終った場合には、先ほど申し述べました調整委員会に申請され、その公正な裁定に従わしめることといたしております。もとより、組合活動公共性消費者利益は、この団結権によっていささかも損傷されることがあってはならないのでありまして、そのために本法案は常に公正取引委員会の正当な関与を規定しておるのであります。  以上御説明申し上げましたように、本法案は、中小企業者の自主的な協同組織の促進を通じて中小企業経済的地位確保し、あわせて、一般消費者利益をも含めた国民経済の健全な発展を期待している次第であります。  次に、中小企業産業分野確保に関する法律案について申し上げます。  この法案目的は、中小企業に適正な産業分野を与え、その産業分野に対しては、大企業進出規制し、もって中小企業地位確保しようとするものであります。基準は、生産方式が特に中小企業に適正と思われる業種で、かつ従来、その生産実績が、中位規模以下の企業に圧倒的に多い業種原則としており、この法律指定することにしておるのであります。  しかしながら、現状では、統計も不備であり、複雑な諸要素を検討する必要がありますので、当面は中小企業安定法指定する業種機械工業振興臨時措置法指定する業種また当然適格要件を備えていると考えられます。手工業生産業種地方的特産業種、並びに環境衛生関係業種などを指定する事といたしております。将来は、適正な産業構造確立という観点から、中小企業協同化近代化を促進しつつ対象業種をふやしてゆく必要があろうかと考えるのであります。  こうして指定された業種については、大企業新規開業、既設の拡張を禁止いたしております。また資本的に、人的に支配している中小企業たる子会社や、代理店等を通じて活動しようとする脱法行為はもちろん許されないのであります。指定業種につき、現に行なっている大企業事業活動が、中小企業の存立に重大な悪影響を与えている場合には、主務大臣制限命令を出すことができるようにしてあります。しかしながら、中小企業の保護を重視するのあまり、わが国経済の近代的な発展を阻害したり、一般消費者大衆利益を無視したりする結果となってはならないのでありまして、主務大臣は、中小企業者、大企業者労働者学識経験者国会議員等国民階層代表によって組織された審議会に諮り、実施の公正を期するよう、細心の留意をいたしておる次第であります。  次に、商業調整法案について申上げます。  この法案目的は、卸売業と、小売業、及び小売業相互間の業務分野調整し、適正な流通秩序を維持し、一般小売業者を保護しようとするものであります。業務分野調整を必要とする事態が発生した場合、主務大臣は、その業種地域とを指定することとし、一定制限を設けております。  また小売業者団体に対しては、業務分野調整するため、前述しました指定の申請を、主務大臣に対して行い得ることとしております。こうして指定された地域業種については、製造業者及び、卸売業者に対し、その小売部門新規開業、あるいは拡張を禁止し、または、資本的に人的に支配する代理店等を通じて行う脱法行為を禁じておりますことは、前述の場合と同様であります。  次に、公設または私設の市場の設備拡張新設等当該行政庁許可事項とし、一般小売業者の圧迫とならぬよう留意を払っております。消費生活協同組合等特別の法律に基いて小売業を営んでおる組合一般小売業者との間に紛争が生じた場合は、その調整のため、行政庁中央または地方に設けられる商業調整審議会意見を聞いて、必要な勧告を行い得ることといたしております。  最近特に著しい百貨店進出に対しては、いずれ現行百貨店法不備を是正し所要改正を行う所存であります。  本法律一般消費者に及ぼす影響きわめて大なるものがありますので、その運営の公正を期するため、中央地方、に小売業者製造業者卸売業者消費者労働者学識経験者等代表者をもって商業調整審議会を設け、主務大臣または都道府県知事諮問機関とする旨を規定しておる次第であります。  最後に、中小企業組織法施行に伴う関係法律整理に関する法律案について申し上げます。本法案中小企業組織法施行に伴って不要となります関係法律整理しようとするものであります。  以上がわが党法案提出理由及び内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。   —————————————
  7. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関、する法律案について御説明を願います、
  8. 秋田大助

    政府委員秋田大助君) ただいま議題となりました核原料物質核燃料物質及び原子炉規制に関する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  原子力の開発が将来におけるエネルギー資源確保し、学術の進歩と産業の振興をはかり、人類社会の福祉と国民生活の水準向上にきわめて重要な意義を有するものでありますことは、今さら論を待たないところでありまして、政府におきましてもその重要性にかんがみ、一昨年末原子力基本法が制定されまして以来、着々原子力研究開発態勢の整備に努めている次第であります。  わが国における最近の原子力開発の実施状況を見ますと、日本原子力研究所において第一号原子炉が近く運転に入るとともに、来年夏には第二号原子炉の建設を終る予定であり、国内ウラン鉱等の開発についても、地質調査所、原子燃料公社の全国的な探鉱と、これに基く民間の探鉱の進捗を見ており、またウラン鉱等の製錬については、原子燃料公社において本年度中に製錬所の建設に着手する計画であり、今後原子炉の建設が進むにつれまして、燃料の加工及び使用済み燃料の再処理が研究段階から実施段階に移ることも当然予想されるのでございます。  以上のように国内において原子力開発利用が現実に推歩して参る一方、国際的にも原子力の平和利用に関する協力体制の確立への努力が着々と進められ、昨年十月国際原子力機関憲章が採択され、わが国もその一員として参加することが決定いたし、原子力の開発利用に伴う安全保障が条約上も義務づけられることとなりましたので、核原料物質の製錬、核燃料物質の加工、再処理及び使用並びに原子炉の設置及び運転等に対し必要な規制を加えることによりまして、原子力の利用を平和の目的に限り、官民の機関が行う研究、開発等を計画的、効率的に推進し、あわせて原子力の開発利用に伴う災害を防止して公共の安全をはかることが必要であると考え、この法律案提出いたしました次第でございます。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  この法律案は、核原料物質の製錬、原子炉に使用する燃料要素の加工、原子炉の設置及び運転、原子炉内で使用された燃料の再処理並びに核燃料物質の使用を次のような方法によって規制しようとするものであります。  第一に、事業等の主体につきましては、原子燃料公社が製錬、加工の事業を行い、日本原子力研究所が原子炉の設置を当然行い得るほか、特に再処理の事業は原子燃料公社に集中的に行わしめ、その他の者は、製錬の事業については指定、加工の事業原子炉の設置及び核燃料物質の使用につきましては許可を受けなければできないことといたしております。また、特に製錬、加工及び原子炉の設置については、原子力委員会意見を聞いた上、原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認めるときでなければ、指定及び許可をしないものとして原子力の開発利用の計画的な遂行を確保することとしております。  第二に、平和的利用の確保については、特にその必要性のある原子炉の設置及び核燃料物質の使用について、平和の目的以外に利用されるおそれがないものでなければ許可をしてはならないこととしております。  第三に、災害の防止については個々の指定、許可を行う際に災害防止上十分な設備がある場合にのみ指定、許可を行うことができるものとし、設備の操作、運転等については保安規定を認可制とし、これを通じて保安を確保するとともに、原子炉、再処理等特に危険な場合については、国が検査を行いまたは事業者等に各種の措置を義務づけるほか、直接保安のため必要な命令をすることによって、保安を確保することとしております。  第四に、核燃料物質の流通については、これが国際的にも流通を制限されている物質でありますので、流通の範囲を指定、許可等を受けた者に限定してその利用の効率化をはかっております。  最後に、核原料物質核燃料物質及び原子炉は、さきに述べました通り、国際条約上も厳重に規制され、ほとんど通常の商業的な取引の対象となっていない現状であり、従ってわが国が外国または国際原子力機関から何らかの物またはサービス等を受け入れるためには、その条件を備えるだけの国内的な態勢を整えておくことが必要であることを考慮いたしまして、各事業者等について記録を保持させ、報告徴収、立入検査等を行うことができることにいたしております。  なお、この法律施行に伴い、科学技術庁設置法、核原料物質開発促進臨時措置法及び原子燃料公社法の一部についてそれぞれ所要改正を行うことといたしております。  以上が、この法律案提案理由並びにその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。   —————————————
  9. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、合成ゴム製造事業特別措置法案について御説明を願います。
  10. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 合成ゴム製造事業特別措置法案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  わが国のゴム工業は、原料ゴム消費量において米、英、独、仏に次いで世界第五位であり、将来もその発展が大いに期待されるのでありますが、その原料であるゴムはその全量を輸入に依しておるのであります。  ゴム製品の生産は、世界的に見ましても、年々増大する傾向にあるのでありますが、一方原料ゴムは、天然ゴムの生産の増加がほとんど期待できないため、その需要増加の大部分を合成ゴムの供給によって充足しなければならない情勢であります。わが国におきましても、今後増大する原料ゴムの需要の充足をはかりますためには、相当多量の合成ゴムを確保しなければならないのでありますが、どれを輸入によって確保することは、諸外国における合成ゴムの生産が、いまだその国の需要をすら満たすに至っていない状況にありますため、とうてい期待しがたいのであります。また、合成ゴムの国産化を行いますときは、原料ゴムの輸入に要する多額の外貨の節約に資するのみならず、ゴム製品の価格の安定をもたらすこととなり、現在相当の輸出実績を上げておりますゴム製品の輸出の伸長に寄与するところも大なるものがあるのであります。従って合成ゴムの国産化を行うととは、あらゆる角度から見まして、刻下の急務と存ずる次第であります。  しかして合成ゴムの国産化を行うに当りまして最も問題となりますのは、その販売価であります。と申しますのは、わが国におきましては、合成ゴムの使用がいまだ十分普及されていないため、その販売価格は天然ゴムよりも安価でなければならず、また、ゴム製品の輸出競争力を増強する見地から見ましても、その販売価格は、少くともその輸入価格並みでなければならないからであります。  このような事情を考えますと、特殊の用途に使用され、相当高価に販売し得る特殊ゴムは別といたしまして、天然ゴムに代替して最も広く、かつ、多量に使用される普通の合成ゴムにつきましては、その工業が典型的な装置工業であります関係上、その生産規模を大規模化することによって、その生産費の低下をはかるよりほかはないのであります。この場合における規模は年間生産能力四万五千トン程度でなければならないと考えられるのでありますが、このことは、現在計画中の諸外国においても見られるところであり、合成ゴムの原料の割高なわが国においては、特にその必要性が認められるのであります。  しかしながら、合成ゴムの国産化を右のような生産規模において行うといたしますと、これがため巨額の資金を必要といたします上に、操業開始の初期におきましては、合成ゴムの需要がその生産能力に見合わないため、相当多額の赤字を生ずるおそれがあるのであります。従いまして、合成ゴムの国産化は民間のみの力による場合はもとより、日本開発銀行による相当多額の低利融資によりましても、その急速な実現を期することはきわめて困難であると認められるのであります。  かような事情にかんがみまして、合成ゴムの製造事業に対しては、政府資金をもって出資することとし、本年度はとりあえず日本開発銀行から出資を行うとともに設備に要する資金については、政府がこれが確保に努めることの必要を認めますので、今回この法案提出いたした次第であります。  次に、この法案の要点を申し上げますと次の通りであります。  その第一は、合成ゴム製造事業を育成する措置一つとして、日本開発銀行が合成ゴムの製造事業を営むことを目的とする株式会社に対し、出資し得るとしたことであります。その出資し得る限度は、会社の発行済株式の総数の二分の一以内であり、その金額は十億円を限度としているのであります。  そして、どのような会社に日本開発銀行が出資し得るかは、法律的には特定していないのでありますが、出資を受けることのできる会社は、大蔵大臣及び通商産業大臣が承認するということにいたしているのであります。どのような会社を承認するかという、ことは、すでに申し上げましたような事情にかんがみまして、今後における合成ゴムを壁的にも確保でき、また、天然ゴムに対抗してその事業が健全な発達を遂げ得るような製造方法なり生産規模、生産費等の諸条件を具備したものを承認するものとし、その承認の基準は、政令で定めることといたしたのであります。  第二の要点は、さきに述べましたように、この事業は約百四十億という多額の資金を要しますので、設備資金の調達について特に規定し、政府がこれが確保に努めることにしたことであります。  第三の要点は、日本開発銀行による出資は、間接的には財政投資の性格を有しておりますと同時に、あとで申し上げますように政府の直接投資に切りかえることを予定しておりますので、出資を受けた会社に対する政府の監督に関する規定を設けたことであります。すなわち、役員の人事に関しましては、代表取締役の選定ないし解職、並びに監査役の選任ないし解任の決議については、通商産業大臣の認可を要するものとし、会社の定款の変更、利益金の処分、合併及び解散の決議につきましても、同様通商産業大臣の認可をその効力発生の要件といたしたのであります。また、会社の業務自体につきましては、会社は毎営業年度その事業計画及び資金計画について通商産業大臣の認可を受けなければならないものとして十分これを監督し得るようにするとともに、その認可を受けた事業計画及び資金計画の適正な実施確保いたしますために、通商産業大臣は必要に応じて監督上必要な命令を発することができることとし、監督上遺漏なきを期しているのであります。その他財産目録等の提出、報告の徴収等に関しても所要の規定を設け、本法目的達成上遺憾なきを期したことであります。  第四の要点は、日本開発銀行の出資による方式は、この法律施行の日から一年を経過したときは、別に法律で定めるところによって、遅滞なく、政府の出資による方式に切りかえられなければならない旨を付則に規定いたしております。一年後におきまして、日本開発銀行の出資による方式を政府の出資による方式に切りかえる場合におきましては、法律的には種々の方式が考えられると思いますが、最も実情に即した方法によるものとし、これにつきましては、別に法律で規定することとしたのであります。  以上本案の提出理由並びに要点を御説明申し上げました。何とぞ慎重御審議の上御賛同あらんことをお願いいたす次第であります。   —————————————
  11. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、先日提案理由説明を聴取いたしましたので、本日はまず本案の内容について御説明を願います。
  12. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) お手元に輸出入取引法改正要綱が配られておりますので、それをごらん願いたいと思います。この改正要綱を読みながら簡単に御説明を申し上げます。  第一は、輸入協定の締結事由の制限の緩和であります。「輸入業者は、次の各号の一に掲げる事由がある場合において、それぞれ各号の事由を除去するため必要あるときは、輸入に関する協定を締結することができることとすること。一、輸出国における輸出の競争制限、その輸出国からの他の外国の輸入の競争制限わが国の輸入過当競争等の原因により、国際的取引条件等に比して著しく不利な輸入取引条件が課せられ、またはそのおそれがあること。二、通商協定実施のため、貨物の輸入が必要である場合に、その貨物の価格が高いか品質が異なるため輸入が困難となり、またはそのおそれがあること。三、外国における資源開発促進のため、その開発によって生産される貨物の継続的な輸入を共同して保障する必要があること。」  この一、二、三のうち、二は現行通りでありまして、一号は現在も若干の規定がありますが、後ほど御説明申し上げますように、若干改正になりましたことと、三号が新しく今回つけ加えられたのであります。  まず、第一号を御説明を申し上げますが、現行法によりますと、相手国の輸出取引における競争が実質的に制限せられておるとか、または輸入取引における競争過度に行われることによりまして、不利な輸入取引条件を課せられる場合でありましても、それは国内の関係事業者または一般消費者利益を著しく害するようなときでなければ、この輸入協定の締結が認められないことになっておるのであります。しかしながら、最近におきます輸入取引の現状なり、あるいは政府による直接的な輸入管理が順次緩和されまして、いわゆる外貨資金割当制から自動承認制等への移行が進められる趨勢に伴いまして、輸入取引における自主的協調体制の確立が順次急務となって参りつつあるような情勢にかんがみまして、現行法のごとき厳重な輸入協定締結事由の制限は、やや事態に即応しませんのみならず、輸入取引秩序の確立、輸入貿易の健全な発展にも支障を生じておるのではないかと思うのであります。従いましてかような情勢に対処しまして、かつ、わが国内の関係事業者、または一般消費者への影響も考慮しながら、少くとも国際的取引条件に比して不利な輸入取引条件が課せられる場合は、これを改善するために輸入業者協定を締結し得るようにしたいというのが、第一号の趣旨であります。ここに、輸出国における輸出の競争制限、またはわが国の輸入過当競争というのは、もちろん現行法でも同様な表現になっておるのでありますが、  一に、原因の一つとして入れました「その輸出国からの他の外国の輸入の競争制限」と申しますと、若干わかりにくい点もあろうかと思いますので、説明を申し上げますと、たとえばアメリカからくず鉄を日本が輸入するその場合におきまして、イギリスが一元的に独占的の機関でもってアメリカからのくず鉄の買付をやっておる。こういうふうな場合は、いわゆる日本の競争国が独占的な、あるいは一元的な買付行動をやっておる。こういう場合を予想しておるのであります。また、たとえばエジプトの綿花を日本が輸入する場合におきまして、共産国諸国が一元的な綿の買付方をしている。こういう場合に、日本も対抗的に輸入業者協定を締結する必要があるという場合は、新しくその輸出国から他の外国の輸入の競争制限という表現を入れたのであります。  二号は、先ほど申しましたように現行通りでありますので、説明を省略します。  第三号でありますが、最近におきます外国の資源開発の進展にかんがみまして、資源開発に資するための協定を新しく認めんとするものでありまして、御存じのごとく資源の開発というきわめてリスクな事業を行おうとする場合、まずその貨物が継続的に需要されるかどうかという保障が必要とされるわけでありまして、わが国関係の輸入業者が長期にわたりまして、その貨物を輸入することを協定をしたい。さらに、その協定を補完するために、必要な限度におきましては、他の船積地からの輸入は、同種もしくは類似の貨物との調整を行う協定実施いたしまして、その資源の開発に協力する体制を整えるために輸入業者協定しようということを認めんとするのが、第三号の趣旨でございます。  次に移ります。「第二、アウトサイダー規制命令にかかわる事務の処理、通商産業大臣は、アウトサイダー規制命令の円滑な実施をはかるため必要があると認めるときは、その命令にかかわる事務の一部を輸出組合、輸入組合または輸出入組合に処理させることができることとすること。なお、との場合において、通商産業大臣は、その組合の役員が命令にかかわる事務を不当に処理した場合等には、これを解任することができることとすること。」  現行法におきましては、輸出組合調整事業を補完をいたしまするいわゆる規制命令を出します場合には、いわば政府が直接に輸出業者に対して、輸出の承認を与えるというごとく、いわゆる政府が直接管理をしておるのであります。現行法の二十八条の第二項におきましても、輸出業者通商産業大臣の輸出の承認を受くるべきものとされておるのでありまして、この承認に関する事務を処理するため、特に必要がある場合には、通商産業大臣指定する輸出組合を経由して承認申請に関する書類を提出すべきものとなっておるのであります。現在までに日本自転率輸出組合、あるいは、日本生糸輸出組合、日本繊維製品輸出組合、日本冷凍食品輸出組合、日本雑貨輸出組合の五組合が、それぞれ関係の貨物に関する承認申請に関しまして、いわゆる経由組合指定をされておるのであります。このような経由組合制度は、輸出取引秩序確立のためには、政府による直接管理のほか、業界における相互監視機能を活用することが望ましく、かつ効率的であるという考えに基くのでありまするが、最近における輸出組合機能強化と、各種の協定活動を活発に営むようになりました現状にかんがみますと、この経由組合制度を一歩進めまして、単なる書類の経由事務にとどまらず、アウトサイダー規制にかかる相当の事務を抽出組合に処理させることができるようにしたいというのが、この改正趣旨であります。輸出組合に処理させる事務の範囲は、具体的に政令で定められるのでありますが、たとえば書類の受付、交付、もしくは通知または確認事務のほか、通商産業大臣が承認の可否を形式的かつ最終的に決定する際の実質的な内容審査事務を合せて行うこととなるであろうと思うのであります。これらの事務を関係組合に処理させるというのは、他の中小企業団体法等でも同様な体系になっておるのであります。  なお、この組合のなした行為に対しまして不服のある者は、もちろん不服の申し立てができる規定も設けられております。なお、かようにしまして、組合に事務の一部を取り扱わせます関係上、組合の役員がもしこの事務を不当に処理したり、あるいは組合員たるにふさわしくないような非行があった場合には、解任することができるようにしたのであります。これはまた解任をせずに、この組合自体に対する事務処理の撤回を行うというようなことも考えられるかと思うのでありますが、一たんこの組合に事務の処理をやらすことになる以上、この事務処理の行政的な必要にかんがみまして、その撤回を行うよりも、当該役員を解任するという方が、より適切ではなかろうかということで、こういう規定にしたのであります。  次に、第三に移ります。「第三指定機関、輸出貨物の国内取引に係る適法な共同行為によりその貨物の一元的な講入又は販売の機関が設立されており、かつ、その機関が次の各号に該当する場合であって、しかも輸出取引の秩序の確立又は輸出貿易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去するため必要があり、かつ、適当であると認められるときに、政令でその機関を指定した場合、輸出業者はその指定を受けた機関(以下「指定機関」という。)から講入したものでなければ、その貨物を輸出してはならないこととすること。一、輸出業者がその購入又は販売の機関から購入して輸出している額がその貨物の総輸出額に対し相当の比率を占めていること。二、その購入又は販売の機関が十分な経済的基礎を有していること。三、その購入又は販売の機関が指定機関として指定されたい旨の申出をしたこと。」  「2 指定機関の業務の方法、事業計画等業務に関する重要な事項について通商産業大臣及び当該貨物についての主務大臣所要の監督を行うこととすること。3、独占禁止法の規定は、指定機関の行う正当な行為には、適用しないこととすること。」  まず第一項でございますが、これは輸出業者と生産業者、または販売業者との間に特別な必要のある場合は、一元的な購入または販売の機関の設定をいたしまして、そこから購入したものでなければ、特定の仕向地に、特定の種類の貨物を輸出してはならないという旨を定める規定であります。御存じのように現行法によりましても、いろいろ輸出組合等で調整規定を作りまして、この輸出価格の安定等につきましてはかなり活発な活動ができておるのでありますが、なお、最近の事例なり、現状から見ますると、依然としていわゆるリベート行為が裏面に行われておりまして、輸出価格の維持安定ということは、非常にむずかしいような場合が多いのであります。従いまして、この輸出業者と生産業者との中間にあります機関を認めよう、といいますのは、申し上げるまでもなく、この輸出業者の海外輸入業者に対しまする、いわゆるリベート行為を防止しまして、輸出取引の秩序を確立するということが目的でありますし、また、輸出業者のリベート等の源になりますところの生産業者等からの買いたたきによる輸出貨物の安値購入を防止しようというのが趣旨なのであります。なお、このような一元的な購入または販売機関は、輸出業者、生産業者、販売業者関係事業者の自主協調体制があって、かつその協調体制によって定められている  一定購入または販売機関から申出があった場合に、しかも輸出取引の秩序の確立または輸出貿易の健全な発展に対して生じている著しい支障を除去するため、必要かつ適当と認められるときにのみ、政令で貨物の種類ごとに指定機関たる法人を指定しようとするものであります。決して政府が一方的独断的に指定するものではないのであります。  そこで、まず輸出貨物の国内取引における適法な共同行為と申しますと、現在の輸出入取引法あるいは現在の中小企業安定法、あるいは輸出水産業の振興に関する法律、それぞれの規定によりまして、あるいは輸出業者相互間、あるいは輸出業者と生産業者との間、あるいは生産業者または販売業者相互の間の共同行為でありまして、今申しますような法律によりまして、認可を受けて認められた共同行為であるわけであります。従いまして言いかえてみますと、まず業界の共同行為がありましてそういう機関が存在しておる、それでその機関から申し出があった場合に、役所側でここに書いておりますようないろいろ判断のもとに、適当かつ必要と認めて指定をする、こういう体制であるわけであります。で、一号は別段御説明申し上げるまでもないと思いますが、要するにその機関から輸出業者相当の比率のものを買っていくということが、まず必要の条件と考えるのであります。言いかえてみますると、結果的には輸出業者にその機関から購入するということを強制することになるわけでありますが、そういうことを強制することになりましても、全輸出業者に対しまして、著しい不利益とならないほど業界の多数意思が反映されているという場合に限る趣旨をもちまして、相当の比率のものがこの指定機関から買われているというふうに規定をしているのであります。  第二号は、十分な経理的な基礎を有していること。こういうふうな独占的な事業を営みますので、もちろん商品の種類によりまして、経理的基礎というようなものにつきましても、かなり差はもちろんありましょうし、少くともそういう機関で多額の商品の売り買いをいたしまするので、十分な経理的基礎を有しておるということは一つ要件として必要と考えたのであります。  第三号は、先ほども申しましたように、指定機関の側から申し出があって、それを政府が受けて立つという体制であります。  その次の二項の監督規定でありますが、今も申しまするごとく、こうして指定される機関は、かなり独占的な機関にするわけです。生産業者の方に対しましても、輸出業者の方に対しましても、かなりの影響を持つものであります関係上、必要な監督をする必要があるということで業務の方法、あるいは事業計画その他たとえば役員の選任、解任あるいは定款の変更、利益金の処分等につきましても、認可制にして監督を十分にいたそう、こういうわけであります。  なお、これは、生産と貿易と両方にかかりますので、通商を所管する通商産業大臣、貨物を所管するいわゆる生産担当の大臣との共管という体制をとったのであります。もちろん、この業務方法書その他につきましては、認可に当りまして公正取引委員会に協議することは当然であります。なお、この指定機関の指定に関しまする政令の制定につきましては、輸出入取引審議会諮問することになっておるのであります。  第三項は、いわゆるこういう独占機関でありますので、独禁法の適用を除外をしておるのであります。もちろん、指定機関の行う正当な行為について、独禁法の除外をいたしておるのであります。  以上簡単でございますが、説明を終ります。
  13. 近藤信一

    理事近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  14. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記を起して。  それでは本案に関しては、引き続き午後の委員会において審議することとし、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩    —————・—————    午後一時五十九分開会
  15. 近藤信一

    理事近藤信一君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題といたします。  午後は参考人の御意見を伺うことになっておりますが、前回の委員会において参考人の人選については委員長に一任され、委員長においては公報記載の通り参考人をお願いし、本日御出席を願っておりますので、御了承のほどお願い申します。  参考人の方々には御多忙のところ、当委員会のため御出席を賜わりましてありがとうございます。  それではさっそくですが、輸出入取引法の一部を改正する法律案について、それぞれの御経験から御意見を拝聴いたしたいと存じます。時間は大体御一人十分ないし十五分程度でお話し願い、後ほど委員からの質問にもお答え下さるようお願いします。順席として神戸貿易協会理事長で、日本雑貨輸出組合理事長でもあられる安田虎光君にまずお願いいたします。
  16. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) 御指名いただきました安田でございますが、今回の輸出入取引法改正案につきましては、一応その要旨は輸出入取引の秩序の確立過当競争の防止、ダンピング防止というような点が主要な要素になっておるわけでございますが、その第一の輸入協定の締結事由の制限緩和につきましては、現行法でもやり得るのではないか、かように考えるわけであります。趣旨はけっこうでありますが、ただ私ども心配いたしておりますのは、過当競争の防止を理由にして、一部の大商社と申しますか、そういった大企業によって左右されるということが、非常に不安の原因になっておりますので、これが運用に当りましては、十分慎重な態度でやっていただきたい、事、輸入に関する限りAA制によりますものが全体の輸入のワクの二割見当でありますが、その他のものはやはり役所の方で統制権を持っておられるわけでありますから、ことさらにこれを付加する必要はないのではないかと考えるのでありますけれども、他面また、いろいろ相手国の実情等から原材料の輸入に支障を来たし、また輸入業者があまり競争して買いあおる結果、原材料の価格が暴騰するという実例も今日までずいぶんありましたので、この改正案には賛成いたしますけれども、運用に当りまして、中小の貿易業者もとれに参加でき得るように、十分の御配慮を願いたいと存ずるわけであります。  第二点の組合に対して調整事務の一部を委任するという問題でありますが、主として輸出組合、輸入組合、または輸出入組合関係であります。これは第二点のアウトサイダー規制命令にかかる事務の処理ということでありますが、これが現行輸出入取引法に基きまして三十四の輸出組合ができております。がしかし、今日までこれらの法的根拠を持つ輸出入組合、輸出組合等の維持育成につきましては、役所側においてやや等閑に付せられたのではないかと考えております。単に、この事務の一部を、輸出組合その他の組合に委任して処理させることができるというようなことは、きわめてこれは微温的なものでありまして、むしろ、現在通産省が輸出関係において行なっておりますところの輸出認証の事務全部、窓口業務は一切をあげてこれらの輸出組合に委譲すべきではないか、かように考えております。従ってこの法案はむしろやさし過ぎるのでありまして、輸出組合等の強化策、すなわち民主的な強化策をお考え願いたいのでありまして、私はさように考えております。  次に、第三点の指定機関につきましては、これは趣旨としては一応賛成せざるを符ないのでございますけれども、これが運用につきましては、きわめて慎重に取り扱っていただかないと、私ども中小貿易業者の面におきまして心配されることは、戦後できましたような公団、貿易公団でありますが、無数の小さな小型公団続出のおそれあり、こういうふうに感ぜられるのでありまして、現に一手買い取りないし販売会社が、すでにこの運用状況の中に出ておりますように十二の買い取り、販売会社が、既設のものがあるわけであります。現在その中のある会社のごときは、窓口商社を数軒指定して、一般のわれわれ中小業者が輸出に必要とするところの品物を買いに参りましても、その販売会社が指定した窓口商社を通じて買わなければならないというようにきわめて特権を認めておる。これは御所管が違うかもしれませんけれども、従ってこういった指定機関に独占的な特権を与えるというようなことは、まことに私どもとしては困る問題であり、しかも、指定機関というこの案に出ておりますような機関がそれぞれの商品でできて参りますことは、これは輸出貿易の生殺与奪権を握る機関であります。従っていわゆる国際貿易のビジネスの妙味というものが欠けて参るわけであります。なお、私どもさらに心配いたしておりますことは、メーカー側によってこういうものが多く作られてくる。従って輸出関係業者は、つんぼさじきに置かれるおそれが多分にあるわけであります。そういうことのないように、私どもは本法をもし実施されます場合には、この指定機関の認可につきましては、当該商品の輸出組合の同意、さらに輸出入取引審議会総合部会の賛成を得るにあらざれば、これを認可しないというふうな工合に、ぜひとも運用の面に当って持っていっていただきたいのであります。  以上が私の今回のこの法案に対する見解でございますが、結論的には、この第三の案にもやむを得ず賛成をするということであります。ただ、運用に当りましては極力慎重に、そうしてこういった指定機関、前段申し述べましたようなきわめて高度の特権を与えるような機関は避けていただきたいのであります。  そこで、さらに進んで、これは余談かもしれませんが、こういった法律改正なさるという前に、貿易関係におきまして、でき得れば貿易業者の登録制度実施する法律を作っていただきたいのであります。と申しますことは、今回のねらいも劈頭に申し上げましたように、輸出入取引の秩序の確立過当競争の防止、ダンピング防止というようなものがねらいであるならば、すべて貿易取引の基本をなすところの貿易業法なり、あるいは貿易業者の登録法なりをぜひ制定されるべきではないか、かように心得る次第でありまして、従ってなおつけ加えさしていただきますならば、第三点の指定機関の問題につきましては、ややもすればメーカーが一方的にこういった機関を作られるのを、先刻申し上げましたように貿易業者をつんぼさじきに置かないで、輸出組合なり、また輸出入取引審議会の総合部会の同意を得るように願いたい、かように心得るわけでございます。  ごく簡単でございますが、私見を申し上げさしていただいたわけでございます。
  17. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次は、日本中小企業国貿易協議会副会長上村甚四郎君に願います。
  18. 上村甚四郎

    参考人上村甚四郎君) 御指名にあずかりました上村甚四郎でございます。ただいま安田虎光さんが詳細にお述べになりました御意見と、私はほぼ同一なる意見を持っておりまするので、私は自分で意見を述べますと、ほとんど二人の意見が重複するという憂いがありますから、この貴重な時間でそれを繰り返すことは避けます。私はこの案に対しましていろいろ、われわれなりの角度から検討いたしました。特に私たちは中小企業者をもって組織しておりまする協議会でございまするので、どこまでも中小企業者利益、これはむろん国全体の利益は考えておりまするが、われわれの立場から申しまして、中小企業者利益ということを念頭に置いていろいろ検討してみました結果が、ただいま申しました通り安田さんとほぼ同じ結論に達しまして、本案に対して賛成をする次第であります。  ただ、ここに申し上げたいのは、私が政府当局からこの案を伺いまする前にこの草稿、この案を読みましたときに、どうも納得がいかなかった、つまりよくわからない、趣意がわからないということなんであります。この趣意がわからないために、この案に不満を持ちまして、戦争時代の統制経済、あの悪夢を思い出して、またああいう工合になるのじゃないかという不安をもって、これに反対する向きも相当あるやに聞き及んでおります。たとえば日中貿易の問題であります。アメリカや英国方面で大手筋に締め出しを食いまして、中小企業の貿易業者が、自分たちが何とかして生きる道を探そうとして、たまたま日中貿易というところに目を向けまして、御承知のように日中貿易は最近こそやや活発になりましたが、四、五年前まではなかなかむずかしくて、それこそイバラの道を切り開いて、身を挺して今日の販路を築いたのは、主として中小企業者であります。その中小企業者が自分たちが身をもって築いたこの販路を守り、かつこれを発展させたいという念願に燃えている矢先に、今度の改正法案によりまして自分たちの道がふさがれて、大企業者がこれにとってかわるということになったら、これはもう自分たちの一身上の大問題であるから、これには絶対に真向から反対する、こういう説を私たちはしばしば伺っており、私もまた、そういう反対を抱いた一人でありますが、これを当局の御説明によりまして、そんなことは毛頭考えてない、それはあなたたちの杞憂であって、自分たちは今のところでは、英米、それから東南アジア方面なんであって、中国ということは、現実にそういう問題は起っていないのだから、これは取り上げる意思はないのだということを聞きましたし、それからもう一つついでに、今回の改正案は、どこまでもこれは業者から出る要望を土台にしているのだ、決して政府がそれを進んで指導するとか、また政府が行政処置をもってやっていくというようなものでなしに、どこまでも業者の要望にこたえてやる、要望にこたえて業者の弊害を除去するためには、やはり法律をもってしなければ政府は動きがとれない。それが趣意であって、決して業者を圧迫する、ないしは大企業者利益を与えて中小企業者を苦しめるとか、そういうなにはむろん毛頭ないし、それからそういう法律運営によって陣容の起るようなことは極力避けるつもりである、そういう趣旨を伺いまして、私どもの今まで考えていたことは杞憂であった、また、杞憂にぜひ終らせたいという希望をもちまして、安田さんと同様に、この運営に万全の御注意を政府が払って下さることを条件に、私も賛成いたします。
  19. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次は、束産業株式会社取締役社長園原光太郎君。
  20. 園原光太郎

    参考人園原光太郎君) 私園原でございます。私はただいま御意見を述べられました上村健四郎さんと同じ団体理事をやっておりますものでございますが、その他の団体理事もやっております。  私が経営いたします会社は、主として中国貿易を専業といたします貿易商社でございまして、御存じの、日中輸出入組合に加入しております。また、経営の規模から申しますと、いわゆる中小企業の部数に属しまして、日中輸出入組合で申しますれば、私のような中小企業は、三百余組合員の九九%を占めております。従いまして、私の意見は日中貿易の拡大と、その発展を熱望する大多数組合意見を、多かれ少なかれ代表しておるものと私は考えるのでございます。なお、私が役員をしております全国中小企業貿易会の決議にも基きまして、そこで検討され、論議されました内容を申し上げてみたいと思います。  時間が制限されておりますので、私は実は本日大いに御意見を申し上げようと思ったのでございますが、なるべく主要点だけに触れたいと思っております。  その前に、まず最初に申し上げたいと思う点は、この改正の論拠がきわめて薄弱ではないかという印象を強く受けるのであります。去る五月二日の中小企業団体によって構成されております日本中小企業国貿易協議会理事会における通産御当局の御説明によりますと、この改正の論拠とする例証がきわめてわずかで、たとえばミカンとか双眼鏡、その他のカン詰類にだけしか引用されない。しかも、その過当競争の事実は対アメリカ、中南米、イギリス等三国のみにこの例があって、その他の例がないようでありまして、双眼鏡やミカンのカン詰の法律であるならばとにかくとして、わずかしかないこの例証から出発して、その全体を推しはかり、必要に応じて全商品、全地域に適用できるような内容を持つ改正案でありますから、こうしたやり方は少し行き過ぎではないかという印象をまず最初に受けるのでございます。それを換言いたしますならば、政策上何か将来の目的があってこれを法制化するために、わずかの例証を、より誇大に取り上げておるような傾向がうかがわれるのでございます。たとえば悪質バイヤーの跳梁しておる米州地域の例証によって、そのような例のない他の地域、明確に申し上げますならば、中国貿易にまで押し広げる理由について、いささか疑問を持つような次第でございます。  私は一昨年中国を三たび訪問いたしました。中国側が主張いたします平等、互恵の貿易とは、一体どんな内容を持っているのかということ、その立場、その観点、その方法につきまして深く検討せねばならない内容があると考えて参りました。私が現地での折衝過程で、また具体的取引の実施の中で得ました経験内容をここで申し上げる時間を持ちませんが、確かに他地域に比較しまして相違した内容と将来性を持っており、確かに特殊性があると考えておるのでございます。日本の業界は、今初めてその経験の第一歩を踏み出したばかりであるにかかわらず、過去の貿易一般から類推しようとすることは、非常に大きな不安と実は危険を感ずるような次第でございます。  さて、それでは次に改正点の本論に入りまして、私の見解を僭越ではございますが述べさしていただきます。  この改正法案は、改正条項及び新設条項を入れまして二、三条項が改正されております。改正の要点は、国会上程の際、政府側から御説明がありました提案理由及びその要綱に分類されている通りでありまして、第一点は、輸入協定の締結事由の制限の緩和、第二点は、アウトサイダー規制命令にかかわる事務の処理、第三点は、指定機関等、以上三点でございます。私の申し上げようとする問題点とは、すなわちこの三点の内容に実に重大なる要素をはらんでいるのではないかと考える次第でございます。  それでは何が重大であるかという点について順を追って御説明申し上げたいと思います。まず第一に、第七条の二の一号の改正についてでございます。その内容を深く検討いたしますならば、政府側の御説明に示されておる輸入協定の締結事由の制限と緩和とは、明らかに独占禁止法による制限を大幅に緩和するということを意味しております。われわれ中小企業の持つ本能からいたしまして、この改正案のほんの一部からすらも、輸入取引の将来のあり方に非常なる不安を抱かざるを得ないのでございます。なぜならば、この改正によって輸入協定が容易に結べることにはなりましたが、必ず大企業の優位を法的に保護する方向に運用されるのではないかという不安を感ずるのでございます。そのことは今日までの経済政策のあり方から、われわれ中小企業が歴史的に経験しており、関西の中小企業の皆さんがまさしく指摘しております通り、需要者と大商社との系列化確立をし、買切における大義名分である機会均等を否定する結果を招来する危険を内包していると考えるのでございます。また、こうしたことは必然的に独占価格を形成する素地を作る結果になり、国民生活にも重大なる影響を与えるおそれがある、そうした要素を含んでいるのではないかと考えるのであります。さらに掘り下げて申しますならば、輸入取引における競争が実質的に制限されている相手を、たとえば中国というようにきめてかかっておられるのでありますが、われわれ中国貿易を目ざす商社として、こういう御規定の仕方にこそ、非常に問題があると考えておるのであります。なぜならば、中国並びにソ連の貿易のあり方が、われわれ資本主義国のカルテル化とは本質的に相違するものであると考えるのであります。われわれはその相違について、そのあり方が実際どのようなものであるか、ほんの経験が開始されたばかりであり、中国が主張する先ほど申し上げました平等互恵とは個々の取引にわたってまでどのように具現されなければならないか、われわれまだ十分につかんでおらないにかかわらず、わずかの現象や短かい経験に基いて、たとえば相手が窓口が一本であるから、日本側も一本にせねばならぬというような、頭から単純な規定の仕方こそ、かえって健全に発展しようとする新たなる市場に対する買切を、むしろ私は阻害する危険が内包していると考えるのであります。  政府御当局がもし国民生活全体の利益という御観点から輸入、原料の確保と、適正な価格を維持することを目的とするならば、問題はこのような改正によるよりも、もう一歩以前の問題、たとえば商社の海外活動をもっと促進させるとか、原料輸入市場を日本独自の経済的観点に立って大きな転換をするとか、政府協定のできていない国々、特に中国との当面の一大課題であります第四次日中貿易協定に、公然かつ積極的に乗り出す等々の努力が積み重ねらるべきであって、一取引法の改正によって目的を達成しようということは、弊害のおそれこそ多くして、効果は期待できないと断定するものであります。  次に申し上げたい点は、第二十八条第五項並びに第六項及び第三十二条第二項でございます。現行法におきましては、組合に移譲し得る権限の限度を明らかにしておりますが、このたびの改正案では、組合の申し出があった場合、省令にかかる事務の一部を組合に移譲することになっております。一見非常に好ましい印象を受けるのでございますが、次の項を見ますと、業者の自主的統制が業界あげての要望であるにかかわらず、第三十二条第二項に示されているように、役員の解任権まで政府が握るということになれば、事態内容は質的に変化してくると考えるのであります。組合運営に関しまするわれわれ業者の理想は、一部業者の行き過ぎが発見されました場合、組合の民主的運営によって、組合が全体の利益に奉仕するという立場からこれを是正するということ、調整機関たる役割を果すということ、大資本による貿易の独占化を阻止し、中小企業の立場も守るということ、こうしてのみ貿易の拡大と健全なる発展があると確信するものであります。しかるに、このたびの改正案は、貿易の民主化の方向でなく、むしろその逆の方向を指示しているように考えられるのであります。  かつてわれわれが、先ほど上村さんも申し上げましたように戦時統制下にあったころ、政府の権限が大幅に移譲されました各種公団の流した害毒は、私がここであらためて申し上げるまでもないと思うのであります。業者自主性と創意性は失われ、ある種の政治目標に従属化された機関と化し、業者の意欲を阻害する結果となるでしょう。そういう点を私は非常に心配しているのでございます。私の知るところでは、こうした行き方に対して日本貿易会の某有力幹部、財閥系の某大会社の某役員すら反対しているのでございます。われわれ業者業者なりに、歴史的に経験しております過去の苦々しい経験から、これは単なる杞憂ではなくて、最近のわが国の政治動向からしてはなはだ不安にたえざる次第でございます。  最後に、第三点の第三十二条の三から十三までについてでございます。すなわち指定機関の規定についてでございます。これは輸出する物資の一手買取機関であって、条文を一読いたしましただけでも、その官僚的支配と、一部業者への独占が想像されるのであります。さらに付言いたしますならば、輸出の過当競争に伴うダンピングを防止するという理由のもとに、その価格、品質、数量の統制を行う品目別一元的買い取り、または販売機関である指定機関を設けて、この監督権を政府が握り、その輸出入取引をこの面で統制することになっているのであります。私はこういう内容を見まして、いよいよ重大ではないかということを痛感しているのでございます。しかも、その指定仕向け地は中国やソ連に主眼目を置くと解釈される向きもありますが、これらの地域の貿易は先ほども申し上げましたように、今始まったばかりで、その一歩手前の不正常な貿易であります。しかも、こうした段階における実績をもし一つの基準として指定機関を組織するならば、その影響するところは、甚大だと言わなければならないのでございます。また、指定機関の性格からくる、よってきたるべき問題を考えてみましても、輸出拡大のための創意工夫と積極性を沈滞させ、参加者は独占の上に偸安をむさぼることになり、他の側面といたしましては、それから漏れた業者は、勢い他地域に対して過当競争を余儀なくされるという矛盾した内容を持っているのであります。その上、自由主義経済体制の一角に、このこのような統制経済的機構を作るということは、他のものとの矛盾、摩擦を一そう大きくするのではないかという点を非常に心配しておるのでございます。従って統制機関については、業者組織のあり方とか、その仕事の内容とか、自主性をどういうように尊重するとか、まだまだ研究する余地が多分にあると考えるのでございます。なお、中ソに対しましては、時期尚早でございます。研究の段階であると申し上げておきたいのであります。  以上をもちまして改正案の主要なる三点について私の考えを申し上げたのでございますが、総合いたしまして、次の結論を得たいのでございます。中ソ貿易拡大必至の情勢下で、官僚統制支配の確立を強く企図し、法の保護のもとに、大企業優先ないし独占を目的とし、漸次統制経済へ移行していく一つの拠点として、この改正案が取り上げられたのではないかという印象が強く受けられるのでございます。なお、この法案は、国際的競争とともに、その向うところ、むしろ国内競争に非常なる影響を及ぼすでありましょう。すなわち、輸出入商品の品質、数量、仕向地、輸入地に対する統制上の問題は、国際的と申しますより、その影響するところは、国内の業者競争を押え、別な言葉で申し上げまするならば、特定業者利益に奉仕する役割を果し、大企業中小企業の場合、大企業利益となる独占集中を有利ならしむるような結果を生んで、中小企業系列化と、その没落を一そう促進させる何ものでもないと考えるのでございます。  終りに臨みまして強く私が希望申し上げたい点は、この改正案には、日中輸出入組合の大企業役員の中にも反対意見があるのでございます。もっと広く業界意見を聞くため、審議を御慎重にしていただきたく御願い申し上げるのでございますが、なかんずく、対中共貿易に関する限り、この法案の除外例を設けていただきたいと考えるのでございます。そういう意味におきまして、私は反対いたします。御清聴のほど、ありがたく感謝いたします。
  21. 近藤信一

    理事近藤信一君) 次に、財団法人日本貿易館理事長菱沼勇君にお願いいたします。
  22. 菱沼勇

    参考人(菱沼勇君) 菱沼であります。戦争が終りまして十年余りたっておりますが、現在甘木の商品の品質は、これは原則的に申しますと、非常に改善をされております。これはもちろん例外もございますが、大部分の日本の輸出品は品費がよくなっております。これは外国の輸入商その他がほとんど認めておるところであります。また、日本の輸出商品の生産コストの点から申しますと、少くとも消費財、すなわち、繊維品であるとか、雑貨等に関する限りにおきましては、コストが、少くとも欧米品に比較すれば安い。従って対外競争力があるということが言えるのであります。  ところが、日本の輸出貿易の上で、最大の欠陥が何であるかと申しますと、取引のやり方であると私は考えております。その中でも、いわゆる過当競争ということが最大の欠陥であると考えます。すなわち、わが国の輸出業者同士の間の、これはもちろん海外における輸入業者も、また同時に競争でもあるんですが、日本の輸出業者同士の激しい競争のために、価格がずるずると下落をする、そのために外国の輸入商その他の中間商人が損失をこうむりましたりいたしまして、しりごみをする。その一面におきましては、外国の国内生産業者を刺激いたしまして、その結果、関税引き上げの問題、あるいは輸入制限の問題を起しますることは、近く米国等において多くの例を見ておる次第でございます。たとえば、一昨年ごろから問題を起しましたダラー・ブラウス、主としてアメリカへ殺到的に輸出されましたダラー・ブラウスでございますが、当時アメリカで五ドルくらいで売れておりましたもの、従って日本から輸出する場合でも、まあ少くとも三ドルか四ドルで売れるものを、一ドルで売った。それがさらに五十セントぐらいまで下ったというために、日本の業者利益を失い、またアメリカでは輸入制限問題を起すということが起りましたことは、皆さんも御承知の通りでございます。それから、たとえば木製サラダ・ボールでございますが、三年前には六インチのものがニューヨークで一個二十九セントで売れておりましたのが、二年前には三十三セントになり、昨年は一個が二十九セントで売られておりまして、米国産または外国産のもので、一番安いものが一個一ドル五十セントでございまして、日本品は、その商品の価値から申しますと、一ドル五十セントあるいは一ドル程度で十分売れるものでありますが、それがわずかに一個二十九セントに売られておるというのは、これは過当競争の結果であります。また、ビタミンBは、日本製のものは品質がすぐれておりまして、世界の一流品ということが認められておりまして、四年前には、一キログラム二百ドルでありましたものが、米国産のものが当時百ドルで、日本のものは倍に売れておったのです。それが相変らず過当競争が行なわれました結果、昨年はわずか五十ドル以下に低落をいたしておるような次第でございます。また最近の例といたしましては、米国に輸出されておりまするナイフとフォーク、これは主として燕の製品が多いのでございますが、これは従来専門のアメリカの業者がまじめに輸入をいたしておりまして、順調なる売れ行きを示しておったのでありますが、昨年あたりから日本の業者が、アメリカのしろうとの業者に、むやみやたらに販売するということをやりましたために、価格が低落をいたしまして、アメリカ市場において、相当の今混乱を起しておるという実情でございます。かように、この輸出貿易上の過当競争の弊を是正するということが、現下における日本の輸出を伸ばすという上において、輸出を健全ならしめる上におきまして、最も必要なことであろうと考えるのでございます。  ところが、この過当競争の弊を除くということは、これは官の力によるべきではございませんで、できるだけ輸出業者が自主的に行うのが適当であると考えるのであります。今日では輸出組合が健全なる発達を遂げて参っておりまするので、このような弊害を除くような仕事は、輸出組合をしてやらしめることが適当であろうと思うのでございます。幸い現在輸出組合も三十以上ございまして、もちろん、中には睡眠状態のようなものもありまするが、大体において健全なる発達をいたしております。中には、今上に申し上げましたような規制事務、調整事務を営んでおりまする組合もございます。ところが、こういう組合規制事務、規制業務が効果を上げて参りますると、ほとんど必ずといってもいいくらいに組合外のいわゆるアウトサイダーというものが現われまして、そうしてこの統制を乱す、こういう結果になってくると思うのであります。すなわち数量を制限し、あるいは価格を一定に保ちまするから、その内部に入っていないものが現われて輸出をしまする場合には、そこに利益があるわけでありまして、そこでアウトサイダーがこういう場合に出てくるということは、規制の上で非常に困るわけでございますが、従来このアウトサイダーの規制は通産大臣が原則的には行なってきております。すなわち、官治統制であったのでございますが、今回の改正によってアウトサイダーの規制は従来通り官でやるけれども、その事務の一部を、規制命令の一部を組合に委任するという形になっております。この点は従来よりも一歩前進するものでありまして、この際としては適当の措置と思います。しかし、輸出組合が将来ますます健全なる発達を遂げるようになりますれば、すみやかに全面的にアウトサイダー規制の仕事も組合にまかせる方が適当であろうと考えます。  次に、指定機関の問題について一言申したいと思います。先ほど申し上げました輸出における過当競争の弊を除去しまするための輸出規制は、輸出組合をして行わしめるのが適当だと申しましたけれども、場合によってはこの輸出取引の面だけでは効果が上げにくい場合が少くないのであります。と申しますることは、ことにこの価格協定においてそうでございまするが、この輸出の業者の中には海外のインポーターと話し合いをしてリベートをするとか、あるいは抱き合せをするというような形で、事実上の協定価格を破って、そうして他方において国内取引の面において、すなわち生産業者に対してこれをしわ寄せをする、すなわちその製品の価格を買いたたくというような弊害が間々行われるのであります。ことに国内において生産業者が大体において弱小の中小メーカーでありまする場合に、こういう弊害が行われやすいのであります。そこで、これを防止するために生産業者の間で話し合いをして、そうして国内にその買取機関を設けて、生産業者は一応この買取機関に売って、それから輸出業者に買取機関が売るという形をとっておるものがだんだんにできてきておるのでございまして、その例は通産省から提出されたものにも書いてございましたが、マグロのカン詰、あるいはカニのカン詰、ミカンのカン詰、自転車及び部分品、塗料、双眼鏡等にそういうものができておるのでございます。しかし、こういう制度も、買取機関の制度がうまく運用されて参りますると、やはりアウトサイダーが現われまして、そうしてその裏をかくと申しますか、そのせっかくうまくいっておったところの調整が乱れるということに相なります。一つにこの双眼鏡の例をとって申しますと、この日本の双眼鏡の輸出は約一千万ドルもございまして、アメリカがやはり一番大きな得意先でございますが、ほとんどが中小メーカーの製品であります。これが御多聞に漏れず過当競争が起りまして、中小のメーカーたちがこれではたまらないというので、昨年の九月にこの協同組合が相談をしまして、それにおもなる輸出業者も加わって、日本双眼鏡輸出会社というものを設立したのであります。生産者は原則としてこの会社に製品を売り渡し、輸出業者はこの会社から買うということになったのでございます。その結果、この会社ができましてから、相当値下りのしておった双眼鏡の国内価格が、約一割方高くなったのであります。そうするとたちまちアウトサイダーが続々と現われまして、約四十の業者がアウトサイダーとして新たに双眼鏡を、輸出する目的をもって双眼鏡を作るようになりまして、昨年の一月ごろはアウトサイダーの出荷数量は全体の四%程度でありましたものが、昨年の十二月には一割以上となっておるのであります。今日ではやはり双眼鏡の今の買取会社の運営が、このために非常に円滑を欠くようになっているように聞いておるのでございます。このような弊害は、やはりこのアウトサイダーの規制をするほかないのでありまして、本改正案におきまして、三十二条の主ないし十二において、この指定機関に関する規定を設けられましたことは、私は適当であると考えます。  ただ、先ほど安田さんも言われましたように、その運用においては相当慎重にやっていただく必要があろうと思います。指定機関を、いわゆる買取会社を指定して、輸出業者は一切この会社以外から買えないということになりますと、買取会社としては相当の権限を持つわけでございまするから、この買取会社が極力公正に、また、健全に事業を営むように、政府としてもこれを十分に監督せられる必要があろうと考えるのであります。  なお、最後に、この輸入の問題につきましては、輸入協定の締結事務の制限を緩和するという規定が入っておりまするが、この点はすでに日本におきましても、小麦、米等の、海外で買いつける場合において、ややもすると過当競争が行われて、高いものを買わされるという弊害がございます。また、この資源開発のために、たとえば鉄鉱石を、新たに外国の一定の地区を限って開発をするというような場合におきましては、こういう輸入協定を認めることも必要であろうかと思いまするので、この規定も適当であろうと考えます。  これを要するに結論として申せば、私としては、本改正案には賛成でございます。ただ、その運用面において、ことに指定機関に関する規定の運用においては、特に慎重にやっていただきたいということを希望する次第であります。
  23. 近藤信一

    理事近藤信一君) これにて参考人の方々の御意見を終りまして、質疑に入りたいと思いますが、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  24. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 議事進行について。今日はそうすると大体参考人を中心にやって、そして全般的なやつは、またあすでもやりますか。
  25. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  26. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記をつけて。
  27. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 最初安田さんにお尋ねをしたいと思うのですが、安田さんは、指定機関の運用よろしきを得ない場合には、公団化するおそれがあるということを、相当強調せられたのでありますが、アウトサイダー規制命令にかかる事務の処理を委任をした場合に、これまた運用よろしきを得ない場合には、公団化していくおそれが漸次出てきはしないかどうか、その点は、指定機関の方については公団化するおそれを強調せられたのでありますが、アウトサイダー規制命令の事務処理委任については、その点を言われなかったように思ったのでありますが、両者区別して考えておられるのか、あるいはともに運用よろしきを得なかった場合には、公団化するおそれがあるというふうに考えられておるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  28. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) 別個に考えたわけなんであります。と申しますのは、現行取引法では、輸出組合の方は意思と能力のある者はだれでもメンバーになれるというようなことになっておるわけなんでありますが、この問題は、やがては大きく改正さるべき法律ではないかと、かように考えております。ごく最近中小企業団体法のごときも強制加入云々の問題がございますし、従って今の法律のもとでは、これは、アウトサイダー規制というのは、やはりそれを扱っておる業者が二分の一以上賛成し、また実績において三分の二以上、それでなければなかなかアウトサイダー規制ができないというようなことを伺っておるわけなんであります。従いまして、このアウトサイダー規制につきましては、私は別個の解釈を下して申し上げたわけなんであります。
  29. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 第二にお尋ねしたいと思いますのは、これは全体の参考人の御意見を伺いたいと思うのでありますが、大体においてこの本案には賛成の方が多かったようでありますが、いずれもこの運用についてはよほど慎重な態度をとらなければいかぬ、ことに中小企業者利益を守ることについては、十分特別の配慮をしなければいかぬというような趣旨意見の開陳があったように思うのであります。それにつきまして、私も全く同一の懸念を持っておるものでありますが、業界の方々から見られて、いかにしたならば中小企業利益を守り得るのかということを、具体的に……、抽象的にはそういうことをだれしも考え、また要望するのでありますが、せっかく業界からそれぞれ参考人もお見えになっておるのでありますから、特に指定機関の運用に当って、中小企業利益を守るのには、かく具体的な措置が必要だということを、御意見があれば伺いたいと思うのであります。
  30. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) 私劈頭に発言をお許し願いたいと思います。従来、この指定機関を作る場合でも、また、たとえば、輸出の、対米輸出の規制を行う場合でも、あるいはまた輸入の場合におきましても、実績第一主義をとられておるわけなんであります。で、はなはだしくは、輸入関係におきましては百%輸入外貨の割当を実績保有者に与えておるわけなんであります。これはしばしば新しい業者進出をはばむとともに、こまかいものはいつまでたってもこまかい、伸びられないところに悩みがあるのでございますから、どうか実績を半額ぐらいに見て、あと半額はやはり中小のために門を開くというふうに願いたい、かように心得ておるわけなんであります。
  31. 上村甚四郎

    参考人上村甚四郎君) 御指名を得まして、私からも意見を述べたいと思います。これまた、安田さんと私は同じ意見を持っておりまして、中小企業者が新たに輸出の面に働こうと思いましても、従来の実績に災いされまして、中小企業者も、たとえば八百屋が扇風機を売りたいという、そういう場違いでありませんで、実際に従来長く国内で取り扱っておったが、輸出では今までやっておらなかった、そういうものがまた輸出業者になろうとしましても、またなるりっぱな資格を持っておりましても、実績がないために、どうしてもそれはやれなかった、これが大きく災いしておりまして、これは私もまた自分でも経験し、いろいろまた私の同業のものが嘆いている事実を知っておりますから、ぜひともこれは、安田さんのおっしゃるような、まず漸進的に、従来の実績を秩序を一ぺんに変えるというわけにもいきますまいから、認め、それからあとは中小企業者にとにかく残す、そういう内容は、私も強く痛感しておりますだけに、賛成いたしたいと思いますが、当面の問題としては、まずそれでいき、それを実施した上で、うまくいかなかった場合にはまた考えるという考えで、安田さんのお説に賛成でございます。
  32. 園原光太郎

    参考人園原光太郎君) それでは私の意見を述べさしていただきます。ただいま豊田先生からの指定機関の問題でございますが、私は日中貿易の専門の商社でありますので、その面からだけしかの経験を持っておりませんので、一応、片寄るかと思うのでございますが、先ほども私の公述の中で幾たびか申し上げましたように、中共貿易というものは今始まったばかりである、こういう点について、今日までの短かい実績の中からでございますね、その実績に基いて指定機関を作るということは、やはり妥当な行き方ではないと、こう考えておる次第であります。中共貿易の場合は、これは一般論でございますが、ともかく正常貿易でない、今始まったばかりだという点で、経験を積み重ねておらないわけなんでございます。それから他の地域の貿易と比較しまして、私はやはり中共貿易というものは、相手の国が国柄であるだけに、どこかやはり向うのやるやり方にも相違があるという点を、最近しみじみ私は中国へ三回行って参りました結果感じておるわけなんでございます。特に買いたたきというような、こういう一時的な現象が見られる面もありますが、実際に突っ込んでいきますと、向うがこっちの事情を知らないという点に、やはり基因しておるようでございます。そこでやはり一例を申し上げますと、日本側の商社の意見が総合して合理的である場合には、値段を上げさしておる実例があったのでございます。そういう点、非常に私はやはり特殊な内容を持ったものだという点を、しみじみ痛感しておるわけでございます。そこで、先ほども結論として申し上げましたように、私は今度の輸出入取引法一部改正法案については、中国貿易の場合の除外例を設けていただきたい、もっと、やはり少くとも二年か三年もたってから、十分にやはり経験を積み重ねた中で今後の方向を御当局からきめていただきたい、こういうように実は考えておるような次第でございます。大へん先生の御質問の内容に突っ込んでおらないので、はなはだ一般論で申しわけないのですが、私の申し上げたい点は、そういう点でございます。
  33. 菱沼勇

    参考人(菱沼勇君) 中小企業者利益を擁護するということもございますが、それ以外にもいろいろ慎重にやる必要があると思いますから、私は指定機関、いわゆる指定機関を政府指定されるときには事前に、たとえば輸出入取引審議会というものがありますからその議を経るとか、それに諮問した上で指定するというような慎重を期する手段をとられたらどうかと考えております。
  34. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 もう一点お尋ねをしておきたいと思いますが、それは大体今買取機関は会社になっておるのでありますが、中小企業の立場を尊重するとか、あるいは要するに公益的な立場を尊重していく運用をするということになると、会社でなく公益的な性格のものが買取機関としては望ましいというように考えるのか、あるいはやはり会社の方が、運営上妙を発揮し得るというように考えられるのか、あるいは対外的な関係から、やはり会社の方がいいという考え方をせられるのか、要するに公共性を持たせる上から考えて、指定機関というものの性格が会社であっていいかどうか、その他の行き方が必要であるかどうか、この性格論を一通り皆さんから伺っておきたいと思うのであります。
  35. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) ただいまの御質問はきわめてむずかしい問題でありますが、それは私どもから言わしめますと、現在十二あるわけなんでございますが、いずれも会社でありそのままでいいんじゃないか、会社たるとあるいは公益法人たるとを問わず、私はどちらでもいいのですが、現在の買取販売会社以上にふやしてもらいたくないというのが、真意でございます。
  36. 上村甚四郎

    参考人上村甚四郎君) ただいまの質問に対して、私はやはり会社でいった方がいいと思いますことは、これが公益法人なんかでいきますと、ビジネス、特に相手が海外の商社でございますので、ないしは海外の貿易機関でありますから敏速を要する、敏速を要する場合は、やはり会社組織が最も適当じゃないかと、こう存じますが、しかし性格が性格でございますから、会社組織にいたしましても、一般営利会社と趣きを幾らか変えまして、どこまでも政府は、さっき申しました中小企業のことも十分考慮に入れるとなりますと、相当この会社に対して政府が監督権を持つことは必要である。政府の監督権を持つことの趣意も、くどくど申すようでありますが、どこまでも公正な気持の上に、つまり中小企業という、大資本に比して弱い、そのものに対し公正な動きのできるようなそういう援助をしてもらいたいためのこれは監督であります。どこまでも、その趣意のもとに政府が監督した株式会社が適当だと存じます。
  37. 園原光太郎

    参考人園原光太郎君) それでは私の意見を述べさしていただきます。大体指定機関に参加しておるものと参加していないもの、参加させられなかったもの、この二つにやはり分けて考えてみる必要がある。参加させられた人たちは公団という性格の中で創意工夫というものがやはりなくなっていく、稀薄になっていくんじゃないかと、こういう心配が一部にあるのであります。他の側面におきましては結局参加できなかったところの他の会社は、やはり他の地域に対しての過当競争の渦中に巻き込まれる危険性がある、そういう矛盾をやはり全体から見たら持っているのじゃないか、こう考えます。それと今日のような自由主義経済体制の中で、こういう官僚統制的な形に対しては、私はやはり反対の意見を持っている。大体以上であります。
  38. 菱沼勇

    参考人(菱沼勇君) 私は先ほどお話がありましたように、会社の方が運用が敏活にいくという点において適当だと考えます。ただこれには普通の会社と違って監督を特に必要といたしますから、その意味で今度の改正案において三十二条の四ないし十二において、相当厳重な監督規定がありまするから、まずそれで目的は達せられると思います。なお、この三十二条の三によって、指定されないいわゆる指定機関というのもおかしいですが、機関が相当あるわけです。それはまあ先ほど私もちょっと申し上げましたように、大体においてこの日本の同じ物を作っているメーカーたちが寄ってまず買取会社をこしらえて、そうしてその中から適当なもの、また必要なものを政府において指定されるのでありまするから、初めは会社の格好で相当多数のものができても、その中から指定機関として取り上げるのは少数のものだということが普通じゃないかと考えます。その意味からいいましても、会社という方がいいのではないかと考えております。
  39. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 私途中から出て、あるいは陳述せられたと思うのでありますが、参考人の園原さんにお伺いしたいのですが、今お話しの中に、中国貿易だけについて特に除外例を設けるお話があったのでありますが、これについて一つ具体的にお話を願いたいと思います。
  40. 園原光太郎

    参考人園原光太郎君) それでは、なぜ中国貿易に対して除外例を設けるかと申しますと、この第五章に輸出入組合という章がございますが、現在日本におきましてあります輸出入組合は、日中輸出入組合だけしかないのでございます。そういう点につきまして先ほども私がここでいささか長々と公述いたしたのでございますが、幾たび繰り返し、ましても同じでございますが、中国貿易は今始ったばかりの段階でございすよ。この点が一つでございます。  それから次の点は、中国貿易はやはり特殊な内容を持っているという点が、一番私の主張の大きな論拠でございます。大体相手が社会主義国である、こちらは資本主義国であるというこの関係だけから見ましても、非常に特殊な内容を持っております。中国の計画経済の行き方というものを見ましても、当然やはりそういう中から中国の貿易政策というものが生まれてきております。この貿易政策に従って貿易のやり方というものがやはり必然的に生まれてきている、そういう面に対しましてわれわれは今経験を開始したばかりでございます。ですから米州地域におきますような悪質のバイヤーがはびこっております中で、われわれも実際買たたかれを幾たびか味わっております、そういうものと比較してみましたときに、やはり違うという感じを最近非常に抱いております。特に中国貿易が現在正常でないという面から見ましても、しばらくわれわれ業者自身が、また日本の国全体がそういう貿易の中でいろいろな経験を積み重ねて、しかる後にいろいろな現象がやはり現実的に、他地域の貿易のような形で現実的に起きてきてから、その上に立って検討していただきたいという考えのもとに、しばらく中国貿易の場合には除外例を設けていただきたい。こういうふうに私は考えるのです。大体以上でございます。
  41. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 神戸貿易協会の安田さんにお伺いしたいのですが、今特に中国貿易について特殊的な立場にあるということを主張されて、その意味の除外例の問題が出たのでありますが、あなたはまあ世界全般の貿易を指導せられておるのでありますが、今のお話に関連しまして、地域としてなお今のような問題を取り上げたいというような意向はございませんですか。
  42. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) 今園原さんからお話のあったような点、中国の場合は、これはごもっともだと私も考えておるわけなんです。始まったばかりであり、また、実績主義ですべてを律せられますと、中小貿易業者がなかなか入っていけない、過去においてかの地で相当営業をやっておりましたものも、今の状態では商売ができない。従って実績がないわけでありますから、中国に関する限りは、これは一応別個のものとしてお考え願いたい。かように考えております。ところが、その他の地区では、今のところではそういう地区は各国ともいろいろ事情がございますけれども、除外例まで設けて云々ということは、私は考えていないわけなんです。
  43. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 なお安田さんに一、二点お尋ねしたいのでありますが、われわれ一般、ことに中小貿易業者の声として私どもに集っておりますることは、指定機関の問題に集中せられておるのでありますが、これも四人の方々からそれぞれ意見があったと思うのでありますが、そういう点でこれは戦時中のことは、必ずしも例にはならないのでありますが、戦時中に全く規制、統制をせられた時代があるのであります。そうかといって、何も戦争中といえども貿易が全部空白になったわけじゃないので、東南アジア並びに満州、あるいは中国本土に対しても相当な貿易をやったのでありますが、その時分の統制時代の実態と申しましょうか、そういう点についてあなたもいろいろ御苦労せられたと思うのでありますが、その点が今度のこの指定機関のいわゆる買取機関ができることによって、それの対象というと、ちょっとおかしいのでありますが、それについて一つ意見をお伺いしたい。
  44. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) 今大竹先生の御質問でございますが、御承知のように戦前、戦時中の統制といいましても最近ほど、例の貿易管理法、それから外国為替管理法下にそれですべてを律せられておりますから、現在ほど厳しいものはないと思っておるわけなんです。いわんや、国際貿易場裡に立つ貿易業とししましては、私ども端的に申し上げますと、現在の法律では手かせ足かぜをかけられて、そうして他の諸国の競争相手と競争せなければならぬ、非常に不自由であり、管理法に基くすべての権限というものは、中央に集中されております。たとえば輸入関係等におきましては、御承知のように輸入谷外貨の割当というものについては、A・Aを除きましては、すべて本省が握っておるわけです。従って遠隔な地の業者としましては、東京に支店を設けるか、だれかが来ておらなければ、商売ができないというのが現状でございます。その面からお役所にお願いして地方人権限を移譲をしていただくように懇請いたしておるわけなんでございますが、かりにこの指定機関の場合に、指定機関がこの法律が制定されまして合法的に申請があり、認可がされ、次から次へできて参りますと、これは国際場裡に立って一刻を争うビジネスに非常に支障を来たすのではないか、われわれの最もおそれておるのは、先刻冒頭に申し上げたわけなんでありますが、こういった小型公団的なものができて参りますと、こういった買取販売会社と申しますものは、おおむね大企業中心に計画せられて実施されるわけであり、いわばメーカーと一部の強力な業者で作られるわけです。従って中小の貿易業者というものは、すべてつんぼさじきに置かれて、またこの商品もこういうふうに取り上げられたというようなことになるおそれが多分にございますので、これが実施に当っては、よほど慎重にやっていただきまして、少くとも当該商品の輸出入組合の同意、あるいは先刻お話しのありましたように輸出入取引審議会総合部会の意見を徴してから認可する。そう簡単に認可していただくと、非常に私どもの貿易に支障を来たすわけでございます。これは私が申し上げるまでもなく、諸先生が十分御了承の通りでありまして、ことに現在あります販売会社の中で、窓口商社を二、三軒にしぼって、そしてその窓口商社を通じなければ、われわれは買えないのであります。窓口商社というのは、いずれも大商社であります。しかも売り出し値段は一定のものでありますけれども、大てい窓口商社に販売機関から割り戻しを行い、また窓口商社は中小の販売業者に売る場合は、さらにその上に口銭をかけて売り渡す。従って幾ら中小の輸出業者があがいても、競争に敗けて順次商売に振り落されていくというのが、現在ある販売会社のやり方なのです。従いまして現在ある既設のそういった買取販売会社につきましても、もしこの法が実施されれば、十分に役所の方で御検討願いたいと同時に、官僚統制に陥らないように、ぜひとも御配慮願いたいと、かように心得えておるわけであります。
  45. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 今安田さんのお話を伺って、たとえば従来ございました共販会社というものがあって、一定の商社を経なければ、一般の輸出業者の手に入らないということが、すでに今までにあるとすれば、これはうっかりしておりますと、それに法的の根拠がついていくというようなことになりますと、ますますこの中小貿易業者というものが、非常に悩まされておる面が多くなっていくというふうに、私どもは考えられるのでありますが、それは何ですか。たとえば私の直観でありますが、あるいは北洋水産業を中心とするカン詰、あるいはその他、具体的にいって三、四件取り上げていただきたいのでありますが、こういうものでありますか、現状においてお困りになっておる問題、ただいま御指摘のような問題は。
  46. 安田虎光

    参考人(安田虎光君) これは鮭鱒罐詰会社の例であります。その他は名前をあげることはどうかと思われるのでありますが、全部を私が直接買いに行ったわけではありませんから、ここで申し上げられませんが、他の販売機関においても、そういうような制限があるのではないか。しかしながら現在におきましては、役所の監督というものはないようであります。従ってこの法律が制定されました場合は、通産省において十分民主的に、しかも公平に販売するというふうに願いたいわけでありまして、独占的な特権を与えないように願いたいと思います。
  47. 近藤信一

    理事近藤信一君) ほかに御質疑ありませんか。
  48. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいまの参考人からいろいろ、るる御説明になりました点につきまして、役所側として若干説明をさしていただきたいと思うのでありますが、若干皆さん方が誤解をされておる向きもあるのではないかと思いますので、ちょっとつけ加えさしていただきたいと思うのであります。まず、輸入協定の締結事由の制限を緩和する結果、中小企業を圧迫することにならないかどうか、この問題でありまするが、法律をよくごらん願いますればわかることなんでありますが、この輸入業者協定を認可する条件というものが、非常にこまかく規定をされておるのでありまして、たとえばその協定内容が不当に差別的ではないこと、あるいは消費者、あるいは需要者その他のいわゆる利益を不当に害するおそれがないこと、その他いろいろの認可の条件が法律で制定をされておるのでありまして、従いまして、われわれとしては、もし今いろいろ御指摘のような場合があれば、できないことになるわけであります。たとえば必要があって規定しておりますような事由に該当するということで、業者間の協定ができましても、役所の方では認可ができないということになりますわけであります。われわれとしては、もちろん認可する場合には、それらの一部の業者の独占にならないように、全体の公正な利益に合致するように、当然十分な審査をするわけでありまするので、その点は御心配は私はないのではないかと思うのであります。  それから第二点のアウトサイダー規制命令にかかる事務を関係組合に一部処理させることの可否についてでありますが、いやしくも、かかる規制命令を出す場合におきましては、当然その当該組合におきまして、組合員の順守すべき事項が定められるわけであります。ところが組合員だけのいわゆる調整規定をもってしては、十分な効果が上らない、アウトサイダーがあるときに、なかなかうまくいかないというときに、組合の申請によりまして、アウトサイダー規制命令を出すか出さないかを慎重に審議をするわけであります。いろいろ研究の結果、その必要ありと判断して規制命令を出します場合におきまする事務の一部を、組合に処理させるということでありまして、先ほど菱沼参考人からも御説明がありましたように、役所が今現存する輸出組合に、役所の事務をやらせるということではなくて、そういうアウトサイダー規制命令を必要があって出した場合に、その事務を一部やっていただくわけでありまして、また、そのやっていただく組合も、現在の組合の大勢からいいますと、全部の組合にはならぬかと思うのであります。少くとも資格あるものの半数以上が、その組合員であるとか、あるいはその組合員の実績が当該貨物の輸出額の三分の二程度を占めておらなければならぬとかというような、いろいろの規定がありまするので、一部の小さな組合に、そういう特別な権限を与えるのでは決してないわけで、業界の方でその必要を認められ、アウトサイダーの規制をしてくれと言われ、そうして役所がやむを得ずアウトサイダーの規制命令を出したときに、一部の組合につきまして、事務の一部をお手伝い願う、こういうことであります。これも組合からの申出によってやるように、法律で明定をしておりますので、決して官僚統制にはならぬと思うのであります。  それから現在の輸出入組合は、確かに日中輸出入組合一つではございますが、今後の情勢によりましては、あるいはソ連なりあるいはその他の地域についての必要もあるわけであります。その場合に、一つ一つこういう改正をいたすことも手間もかかりまするので、合せて輸出組合、輸入組合、輸出入組合と、こう書いただけでありまして、今の日中輸出入組合現状から判断をいたしますと、まずこういうことよりも、輸出入組合の体制を整えられるということが先決問題であって、その前にわれわれの方で今の日中輸出入組合に、事務の一部をしていただくということは、あり得ないことなんであります。日中輸出入組合が、漸次発展をせられ、組合員内部の一つ統制もやろう、その統制をやられたときに、アウトサイダーの問題で、なかなかうまく事務ができない、そこでアウトサイダー規制命令を出してくれないかというようなお話しになり、アウトサイダー規制命令を役所の方で出した場合に、初めて組合に事務の一部をお願いするということでありまして、今の輸出入組合現状において、一方的に事務の一部をお願いするということでは決してないわけなんであります。  なお、役員の解任権につきましても、官僚統制ではないかという御指摘でございますが、いやしくも役所の事務を、今申しますような場合に組合にやっていただいて、その場合にその組合の常務役員が、命令にかかわる事務を不当に処理したり、あるいは組合員、役員たるに適しないような非行があった場合に、解任するということでありまして、事務の一部をしていただいたとたんに、人事権までも持つというのでは、決してないのでありまして、いわば組合規制を受けるアウトサイダーの利益擁護の観点から、いわば伝家の宝刀的な規定といたしまして、解任権というものを規定したのであります。いわば法律上の均衡論からの規定なのであります。  それから次の指定機関についての、いろいろの御指摘でございますが、この条項をしさいにお読み願えばわかりますように、決して役所が一方的に独断的に押しつけるものではないのでありまして、業界がお作りになるわけであります。ところが、業界がお作りになる場合、非常にやかましくこの輸出貨物の取引のところで見られるように、適法行為によりとか、あるいはその他いろいろな条件を設けた、こういう場合に政府指定をしよう、こういうことで、簡単に一部代理業者の作られた機関を指定できないというふうになっておることは、これを詳細に御検討願えればおわかりかと思うのであります。現在あるいわゆる共販機関は、おおむねメーカー・サイドから作られておるのであります。これは何らの監督の規定がないのであります。ところが、やはりかなりの大きな事業をされる結果、輸出業者の面にも、かなり不都合の面を生じていることを、われわれも承知しておるのでありますが、今回のこの改正を願って、そこでわれわれとしては監督権を持とう、こういう趣旨でありまして、現状を認めるというよりは、現状何も規定がないためにいろいろな弊害の起りますのを、この制度をかぶせることによりまして、監督を強化しようというわけであります。あるいは監督を受けられる側から見れば、やややかまし過ぎやせんかというような非難をおそれることこそ、われわれの方ではおそれておるのでありまして、指定機関の、たとえば業務方法書なり、事業計画なり、役員の選任、解任あるいは定款の変更も、利益金の処分も、業務の休廃止等につきましては認可もいたしますし、また認可をしたあとにおきましても、いろいろな命令も出せるというふうな、非常ないわば厳重な監督をする。そうして公正な業務をやっていただくようになっておるわけであります。法律におきましても、誠実に、かつ、公正に業務を行なわねばならぬというふうな規定もされておるのであります。  なお、もちろん指定機関を指定する政令の制定につきましては、先ほども二、三参考意見の中にありましたが、輸出入取引審議会にも諮問をしてやることにはなっておるのであります。われわれといたしましては、この現在の輸出入の取引体制が、いわゆる自由企業を基盤にしてできておる。その自由企業を中心としてできておる弊害を、いろいろカルテルなり、あるいはその他の面で防止をしようという運動が起ってくるのを、必要なる限度において独禁法を緩和して、そういう自由競争から起って参る弊害を除去しよう、独禁法に、その限りにおいて穴をあけていこうというわけでありまして、何も官僚統制を強化して、上から押しつけていこうという趣旨では毫もないのでありまして、色めがねでごらんになると、あるいはそういうふうな解釈ができるかと思うのでありますが、条文をしさいに御検討願いますれば、そういう誤解はなくなるのではないかというふうに考えるものであります。
  49. 近藤信一

    理事近藤信一君) ただいまの通産局長の説明に対して、何か関連して御質疑ありませんか。
  50. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 速記をとめて下さい。
  51. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  52. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記を始めて下さい。  参考人に対しては、まだ伺いたいことがなお残っておると思いますが、時間もだいぶ経過しておりますので、参考人に対する質疑はこのくらいにとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 近藤信一

    理事近藤信一君) それではさようにいたします。  参考人の方々に申し上げますが、本日はまことにありがとうございました。委員一同にかわり、厚く御礼申し上げます。  委員の諸君には、なおしばらくお残りを願って、引き続き輸出入取引法の一部を改正する法律案の質疑を行いたいと存じます。政府当局に対し、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  54. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほど通産局長から、特に参考人意見陳述後に、詳細いろいろな説明があったのでありまして、それによって大体了承せられるところは了承したつもりなんでありますが、その上に立ちまして、なお質問をいたしておきたいと思いますのは、この買取機関が会社形態をとっておる。この会社形態をとるということになりますと、いろいろ監督規定も設けられておりまするけれども、会社である以上は、出資者の意見というものによって動かされていくというのが、これは会社の性格からいって当然なことであります。ことに大口出資者の意向というものが、その業務運営の上に力強く反映していく、一方監督官庁の監督はもちろんありまするけれども、絶えず響いてくるのは、大口出資者の意見であるということ、これは株式会社組織の欠点であると同時に、むしろ長所だとも言われる点でありまして、ここに本質的な問題が出てくると思うのであります。要するに大口出資をするのは、大企業であります。従って大企業の意向というものが買取会社の運営について絶えず働いてくるおそれがあるわけでありまして、監督はするが、しかし、それは自後の措置になるという傾向が強く出てくるのではないかというふうに考えられるものでありまして、従ってこの買取会社が貨物を買い取る場合におきましても、中小企業のメーカーというものは、比較的不利な立場に立たされていく、また同時に、買取会社が輸出商社に販売する場合におきましても、中小の商社というものは、いつも不利になる立場にさらされるということが、必然的な結果として出てくると考えるのであります。従って、これに対して政府側は監督規定に基いてそれぞれ運用の万全を期せられるということであります。しかし、それが常にうまくいくならば、世の中というものはもうことごとくすべてうまくいくのでありまして、何らそこに不幸というものは出てこない。ところが、制度というものと実際というものは違ってくるというのが、この世の中の現状であります。そこで、どういうふうにこれを運営して、大口出資者等の意向を押えてまで適正なる、公正な運営をするというか、そのきめ手を端的率直に、ただ抽象的なことでなく、われわれになるほどと納得させるような答弁を、貿易行政のベテランで松尾通商局長はあるのですから、上滑りなことでなく、なるほどと僕らが納得して、安心するような答弁を一つしてもらいたい。
  55. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この指定機関は、一応法人とまあ法律の中では規定されておりまして、会社でありましても、あるいは公益法人でありましても、どちらでもいいという建前になっておったわけでありますが、実際問題といたしましては、先ほどの参考人の御意見もありましたように、株式会社になる場合が多かろうと思っているわけであります。従いまして、今先生が御指摘になりましたようなおそれも全然ないとは言い切れないかと思うのでありまするが、もともとこの指定機関につきましては、輸出業者あるいはメーカーのそれぞれの方から、現状をもってしては、あるいは現在のいろいろの規定下におきまする調整では非常にむずかしいということで、そういう機関が設立をされてくるのでありまして、従いまして、願わくは、その輸出業者とメーカーの共同出資になる場合をわれわれは望んでおるわけでありますが、あるいは現実の問題といたしましては、輸出業者だけでやられる場合、あるいは一部のメーカーもお入り願うような場合、またメーカーだけの場合、あるいはメーカーと一部の輸出業者で作られる場合もあろうかと思うのでありまするが、この会社の株式の取得そのものについては、そこまでいろいろ制限をすることもいかがかということで、規定はいたしておりませんが、そもそもこういう機関のできてくるいろいろな原因から申しますと、また、いろいろなこの監督規定からも見まして、もうかる会社ではないわけでありまするので、そういう一、二の人が大口の出資をして、その会社を牛耳るというふうなこともないんじゃないか。どちらかというと、中小メーカーが自己秘術というふうな立場から、皆さんが共同に出資をされるという場合が多いんではないかというふうに、実際は考えているのであります。しかし、先生の言われたように、理論的に大株主が現われないという保証もないわけなんでありますが、実際にこの場合は、そういう一、二の大株主が現われるということは、ほとんどないのではないかというふうに一つ考えておりますことと、それからもう一つは、先ほども申しましたように、いろいろの監督規定を設けているわけでありまして、一番重要なのは、業務の方法あるいは事業計画についての認可の制度でございます。指定機関はそれらにつきまして当然認可を受けるわけでありますし、また、認可後もそれが事情適しないという場合には、主務大臣所要の変更の命令等も出せるような体制になっておりまするので、そういう大株主が実際存在する場合は、まあないと思いますが、かりにあったといたしましても、この監督の方法をもっていたしますならば、まず十分公正、誠実な運営が期待できるのではないかというふうに考えておるのであります。理論的に、これの明確にきめ手になるような答弁は非常にむずかしいのでございますが、今申しましたようなことで御了承を得たいと思います。
  56. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私もこの一、二の大株主が出てきて、それが専横をきわめるというようなことは、おそらくないと思うのであります。しかし、五人、十人の相当な比率の株を持っている連中が、その当該会社の役員を精神的に拘束するとか、あるいはその中の大株主の一人が役員になるということになってきた場合に、小株主、ことに全然出資もしておらぬような中小業者に対して買うとき、売るときでもへんぱな措置が知らず知らずのうちに出てくる、これが大きな欠陥じゃないか、これを是正するだけのきめ手がないと、この会社に買い取り、販売を一手にやらせるということは非常に不安になるという点なんであります。これはもう一人、二人の大株主が出てくることは、それは政府の方の行政指導ででも防ぎ得るかと思うのでありますが、要するに、相当多数の大株主が出てくる、これとこの出資もしておらぬ、あるいはしても、ごく少数の出資しかしておらぬというものとの利害の対立、これについてどういうようなお考えを持たれ、現実に手を打っていかれるか、これが一番気がかりなんでありまして、その点、一、二の大株主をつかまえて云々という問題ではないんですから、あらためて御意見を伺いたいと思います。
  57. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この指定機関が設立されまする経緯を少し申し上げてみますと、先ほどもいろいろ議論がありましたように、現在でも自然発生的にできているものはあるわけであります。それが若干の弊害を生んでいることも事実であります。それを今度の改正法で規定をしていこう、公正な規制をしていこうというわけでありますが、その指定機関の業務があるいは一部の人に有利になり、あるいは不利になるという場合を一応想定をしてみますと、その機関がメーカーから買い上げる場合に、どのメーカーからどの量、どの価格で買うかといろ問題、それからその指定機関が今度輸出業者に貨物を販売いたします場合に、どの輸出港者にどの価格で売るかというのが、一番生産、輸出、両方に影響を持つ点だと思うのであります。ところが、この指定機関は勝手に自分の好きなメーカーから買って、そうでないメーカーからは買わないとか、あるいは価格も差をつけるとか、あるいは輸出業者に対してもそういう差別というか、差別待遇ができるかできないかという問題に、結局帰着するのではないかと私は思うのでありますが、それはもちろんこの業務方法書でも縛れるわけでありますがまずそういう機関のできる環境を考えてみますると、そういう中小のメーカーが今のままではやっていけない、だから一つこういうものを作ろうじゃないかということからスタートざれる場合が多いのであります。従いまして、お互いに、こういう作り方をしてこの価格であの会社に売ろうという、いわゆる生産者の組合の中で適法な共同行為ができて、その一部としてあの機関に一つ一手に販売しようじゃないかというようなふうになってくるのが、手順ではなかろうかと思うのであります。他方輸出業者の方におきましても、輸出組合が今の組合だけのいろいろの調整規定、アウトサイダーの規制命令だけではなかなかうまくいかないからということで、おのずからそういう会社を作る、あるいはまた、メーカーが作られた会社から一つ買おうじゃないかということで、皆さんの意思が合致をしてきて、こういう形態ができ上るのでありますので、当然輸出組合側におきましても、その会社から買う数量なり、価格というようなものについて、相談が持てると思うのであります。当然そういうことが前提条件になるのではないかと思うのであります。従って、生産者の団体、または輸出業者団体におきまして、それぞれそういう生産なり価格なりの話し合いができ、また輸出業者の段階においても同様の話ができて、そしてまん中にそういう会社が指定ざれるということになりますと思いまするので、決して、一部のメーカー、あるいは一部の輸出業者の意のままに動くというふうな場合には、おそらくこういう会社を作ってそれを指定機関にしろという申し出も出ないのではないか、そういう要求が出てくる場合は、業界現状をもってしては、生産段階においても、輸出業者の段階におきましても、現状をもってしてはどうにもならぬという場合に、初めて両業界の意思が合致してそういう機関が作られるのじゃないかというふうに想定をいたしておるわけであります。われわれもそういうふうに運用をするつもりでありますので、理論的には、先生の御指摘のような心配は全然ないとは断言はでき得ないのでありますが、実際問題としてそういうことはあり得ないのではないかというふうに考えております。
  58. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 これは理論の問題とか、あるいは筋の問題とかいうよりも、むしろ今後の運用をどういうふうにやっていくかという政治的な問題にもなってくると思いますので政務次官にお尋ねをしたいと思うのでありますが、ただいま通商局長のるる述べられたところによりまして、会社を設立するときの手順などは、おそらく中小側の方からもこれではいかぬというので、買取機関を作ったらということで話がまとまるという場合が相当多いだろうと思います。しかし、一たびできてみると、メーカーでも、大口のメーカーから大口の貨物を買い取った方が手間がかからぬ、また一手販売の場合でも、こまかい商社にわずかずつ売るよりも、大口商社にまとめたものを売る方が、会社経営の上からもいいというふうにだんだんなってくるのが、これは当然な結論だと思うのであります。いわんや、その会社の株主というものは、大体大口の出資者が五人、十人おるということになると、自然そういうような運用になる。これは好きであるとかきらいであるとか、相手の好ききらいによることでなく、株式会社から見て、会社運営の必然的な結果から、大口に片寄って、小口はついついネグレクトせられるというのが、私は通弊だと思うのであります。それを今後厳に戒めていかなければいかぬのじゃないかというところに問題があると思うのでありまして、この点については、政務次官はどういうふうにお考えになっておられるでありましょうか。それを伺っておきたいと思います。
  59. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) まことに私もごもっともだと思いまして、会社とは何ぞや、営利を目的にするものだと、はっきりとうたってあるわけでしょう、商法にあるわけでございまして、その会社が設立されるのでありまするから、そういう面が私は起らないとは、言い切れないと考えます。従って、大口、小口というものとのその関連に立ったとき、そこに摩擦も相当ありゃしないかというようにも考えられるのは、これはまた必然的なものだと考えます。ただ、監督の面だけでというわけにはなかなか参らないので、出資の場合の、新たに設立される場合、出資の面等においては十分注意をして設立さしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、その面とさらに監督において、両面からこれらの安定を期していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 ただいまの政務次官の御答弁に関連いたしまして、特にこの際伺っておきたいと思いますることは、買取機関を新設する場合について、特に伺っておきたいと思うのでありますが、その設立に当って、出資については広く業界に呼びかけて集めるのかどうか。要するに出資について門戸開放、機会均等ということをやるのかどうか、また、そうあらねばならぬと思うのでありますが、新設の場合には、おそらくそういかれるのでありましょうか。すでに既存の買取会社はさようなふうにまでなっておらぬのじゃないか、そこに私が今までいろいろ質問をするような懸念が潜在しておるということになるのじゃないかと思うのでありますが、それらの点いかがでありましょうか。
  61. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在できておりまする会社、実はしさいに株式の所有数までもつまびらかにしていないのでありますが、たとえば、一番現在活発に活動をいたしておりまする東京鮪罐詰会社、これはマグロカン詰の一手購入をいたしておるのであります。これもマグロカン詰業者組合が母体になりまして、その会社が設立されたのであります。その後大企業があとで参加されたというふうに聞いております。従いまして、株主は大部分中小のカン詰業者になっておるかと思うのであります。あるいは他の共販機関におきまして、一、二そういう大株主もあるのかもしれませんが、率直に申しまして、まだ実態をよく究明いたしておりませんが、設立の経緯から申しますならば、どっちかというと、大企業はこういう会社を作ることにはおおむね反対なのでありまして、自分は勝手にやりたいという考え方の方が強いのであります。中小企業の方はそれでは困るということで先頭を切って作られる、できたという経緯から見まして、私は決して一、二の大企業、あるいは少数の大企業が大株主になっておられないのじゃないかというふうに判断をいたしますが、今後のこの指定機関の設立につきましても、この法律の善き方でもごらん願いますように、適法な共同行為を基礎にしてできます関係上、一、二の大メーカー、あるいは大輸出業者が牛耳るというような体制には私はならないと思っております。もちろん、今後の新設されるものにつきましては、われわれもそういうことのないように十分指導していきたい、こういうように考えます。
  62. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この際、今まで私が質問いたしましたような、将来この懸念が具体的な問題として出ないように運用せられる、それから監督については、事後のみならず事前についても十分に遺憾なき措置を講じてもらいたいということをこの際要望いたしまして次の質問をいたします。  この指定機関の指定をする場合の基準が、どんなふうに用意せられておるのか、その点。それからあわせて指定貨物としてはどういうものをまず考えられておるのか、それから同時に、仕向地指定については大体どういう程度のことをお考えになっておるか、それを伺っておきたいと思います。
  63. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この指定の基準につきましては、三十二条の三の第2項に掲げておりますように、まず第一の段階といたしまして、特定の仕向地に輸出すべき特定の種類の貨物の国内取引にかかわる適法な共同行為がありまして、その共同行為によって輸出業者または製造業者もしくは販売業者がそういう一手機関に売ろう、または買おうというようなきめをいたしておる場合に、かつ次の法律に規定しておりますような三つの各号に該当する場合で、で、なおかつこの輸出取引の秩序の確立または輸出貿易の健全な発達に対して生じている著しい支障を除去するため特に必要があり、かつ適出であると認められるときに、その当該特定の種類の貨物、当該法人及び当該特定の仕向地について定めるものとすというように非常にいろいろの基準を設けておるわけでありまして、従いましてただ漫然とそういう意図をもって会社ができたということではいけないのであります。必要であり、かつ適当と役所が判断をするもの、この判断の基準といたしましては、現行法によりまするこの輸出価格に関します規制命令をもってしても、輸出価格の維持安定をはかることは非常にむずかしいとか、あるいはこの輸出価格維持安定のための他の方法による規制、たとえば数量制限というような方法も、必ずしもこの市場維持開拓の上から妥当な措置であるとは言い得ないような場合、どうしても中間にそういう機関が必要であるという場合は、一、二、三の各号に該当しているかどうかというふうな場合にその指定をする、こういうことでありまして、まあ、二段、三段の基準で指定機関の指定につきましては、非常に慎重を期しているような次第であります。  それから第二点のどういう商品、どういう地域について今予想しているかというお話しでありますが、一応現在のところ十一ばかりの購入または販売の機関ができておりますので、それを一応対象にして、それぞれ今申しましたような基準から判断をして、合致するかどうかを検討していくのが、まず第一の指定の順序と考えているわけであります。今新しくどういう商品について、どういう地域についてやるという考え方は、まだ全然予定はしていないわけであります。先ほど来申しておりますように、業界からそういう申し入れというか、そういう空気ができて参ってやむを得ない場合、必要であり、かつ適当である場合にこれを認めるということでありまして、われわれの方で計画的に、この商品、こういう地域にというふうな今のところ計画を持っていないような次第であります。
  64. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 業界からすでに要望が出ているからこういう法案を作ろうというふうになられたのだと思いますが、現に要望もあり、また、大体少くともこの程度はやっていかなければならぬだろうというその買取会社としては、どういうものを考えておられるのですか、具体的に。
  65. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ただいまも申し上げましたように、現在ありまする十一の購入または販売機関が法的な根拠もなく監督もできないというようなことで、いろいろ支障も起っておりまするので、まずそれを対象にして考えたのでありまして、先ほど来申し上げますように、これは業界でお作りになるものであります。役所から、こういう業種、こういう地域という考え方は全然していないわけであります。また今その十一の機関以外に、新しくこういう商品、こういう地域にそういう機関を作りたいというふうな、はっきりした申し出はまだ受けていないわけであります。
  66. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、十一は認めようというわけですか。
  67. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 十一につきまして全部申し入れがありますかどうか、今のところまだわからないのでありますが、ものによりますれば、そういう役所の厳重な監督は受けたくないというふうな会社もあるのではないかと思うのであります。今のところはっきりぜひこの改正法に基きまして指定機関として指定されたい旨を申し入れようとされておりまするのは、双眼鏡の会社、ミカンカン詰の会社、自転車の会社、三つでございます。あとの八つの組合につきましても、われわれとしてはまあ申し出を待ちまして十分判断をしたいというふうに考えております。
  68. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 指定地域としては、先ほど参考人の中から中国は除外してもらいたい、要するに中共貿易は始まったばかりで実績もないのだから、今直ちに買取機関でやっていくことは、実情に合わぬと思うという意味から、除外の希望があったのでありますが、これに対してはどういうふうに考えておりますか。
  69. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 確かに先ほど来参考人の言われましたように、中共地区につきましては、まだ本格的な貿易は始っておらぬと申してもいいのかもしれませんし、また、ああいう特殊の地域であります関係上、今あげましたような十一の商品に該当するものは比較的出ていないような次第でございます。そこで、この法律建前といたしましては、中共に対しましても、そういう申し出があれば、われわれの方で指定はできる建前ではございますが、実際問題としてそういう必要がなければ、業界からもそういう申し出もなかろうかと思いまするので、法律の体系といたしましては、われわれといたしましては、中共を除くということよりも、もし必要が起った場合には、業界からそれをやりたいというふうな要望のあった場合には、われわれはそれを受けて立つという体制にしておく方がいいんじゃないかと思うのであります。確かに現在中共に出ております輸出品につきましては、比較的指定機関の必要は少いのではないかと思います。現状から判断いたしますれば、比較的少いのじゃないかと思っております。われわれもこれを立案いたしましたときには、中国はもちろん共産地区であり、一手購入の機関が先方にあるわけではございますが、あまりソ連圏を対象にして実は考えていなかったわけであります。アメリカその他の主として自由諸国を対象にしまして、現在の過当競争をいかにして防止するかという観点から考えたのでございまして、今後はあるいはそういう必要も起きて、中共、ソ連に対して必要が起る場も予想はいたしまするが、今のところは、その必要はないのではないかというように考えております。
  70. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 最後に一つお尋ねしておきたいと思いますのは、買取機関と検査機関との関係でございますが、買取会社が買い取る場合には、輸出検査完了後の商品を買い取るのかどうか、その点から承わりたい。
  71. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) まあ、検査をしてから買い取るという場合が、大部分の場合になるのではないかと私は思うわけでございます。輸出注文を受けずに、メーカーがいわゆる見越し生産といいますか、そういう生産をやる場合も若干あろうかと思います。それをかりに指定機関が買いました場合には、今度指定機関から出る場合に検査をするという場合も起ろうかと思いますが、大部分は海外からの注文を輸出業者が受けて、そうしてメーカーに注文にいく、その段階において指定機関を通すということを頭に瞬いて、指定機関を通して注文をするというふうなことになる場合が差しあたりは多いのではないか。指定機関としましても、あまり見越し生産をしたものを多くかかえまして、これが売れないということになりますと、金融その他にも非常に困るというような場合が多くありましょうと思いますので、大部分は注文を受けてから、輸出が確定してから作るというふうな場合が多いんじゃないか。そういたしますれば、生産者がその輸出品を作ったその場で検査を受けて、この機関に手渡して行くということが、実際は多いんじゃないかというように考えております。しかし、必ずしもそういう場合だけとは言い切れないのでありますが……。
  72. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 検査品を買ったという場合には、また買うという場合には、会社としてはさらに普通の納入品のごとく、国内商品でも取引所があるわけですが、いわゆる検査収納というのをあらためてやるわけですか。
  73. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) ちょっと今の御質問が……。
  74. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 輸出検査がすんでいる品物であるけれども、一手買取会社が買うという場合には、会社としてさらに検査をするかという質問です。
  75. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 会社といたしましては、業務の安全から考えますれば、検査を受けないものを買うということは非常に危険を伴うわけでありまするので、先ほども申しますように、検査を受けたものを会社が買う。会社としてはその検査を受けているか、いないかわからなくても会社としてはいわゆる検品といいますもの、これは当然いたすものと思うのでございます。また、その検査を受けないものを買うというのは、当然その検査に合格するという条件で引き取るというのが安全な行き方ではないか。従いまして会社が一たん引き取ったものでも、実は不合格であったというような場合には、メーカーに返えすというようなことになるのではないかと思いますが、大部分の場合は、先ほど申しますよ方に安全を期しますれば、会社が引き取ります前に輸出品検査法による検査を受けてもらいたいと申しましょうし、その検査を受けているか、いないかという点を、検品によってチェックするというのが普通の行き方ではないかというふうに考えます。
  76. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると検査合格品に対してさらに検品をやるから、これはもう二重検査になるわけですね。
  77. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) その会社が独自の判断をもちまして厳重な検品をするということになりますれば、これは二重検査ということになろうかとは思うのでございまするが、そういうことはないんではないかと思いまするし、また、もしそういうことがあって、非常に問題が起るということであるならば、業界が作った会社でありまするから、とてもそういうことは、それはできないんじゃないかと、検査を受けたものを、また会社が検査をするということは実際は起り得ないのではないかと……、これは実はまだそこまでしさいに研究いたしていないのでありますが、業務方法書の中でどういうふうな規定をいたすか研究してみたいと、こういうふうに思います。
  78. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今、買取会社があるらしいんですが、現在はどういうふうにやっているのですか。
  79. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 現在は検査品目になっておりまするものは、事前の検査を受けたものを会社が引き取っているというのが大部分であります。
  80. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 そうすると、会社がさらに検品をし、要するに僕の言う二重検査になっていると、こういうわけですね。
  81. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) そうじゃなしに、輸出検査法に基く検査を受けたものを、会社がどっちかと申しますと無条件に引き取っている。だからこの指定機関としては、……まだ指定機関じゃございませんが、今の共販機関はほとんどノー文句で引き取っているということです。
  82. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 だんだん指定機関制度法律できめられていくというと、なるべく少くせよということの希望も参考人からあったわけですが、順次ふえてもいくのでしょうが、しかも一面においては、日本の商品というのは常にオーバー・プロダクションになる傾向があるのですから、検査合格品が相当これは潤沢に出回わると、それを買取会社は買い取る際に、いわゆる検品と称して、そこで検査し、収納していくということになると、二重の検査になることになるので、今のところ二重検査になっておらぬというのは、実に買取会社はのんびりしているという感じが僕らはするのですが、少くとも二重検査になっていく可能性があるのじゃないか、そういうことになると、この検査機関はこの前の輸出検査法によると、いわゆる民間機関を指定したりしているのですから、両方とも民間機関です。場合によれば、買取機関と検査機関を一つにしていった方が、能率が上るのじゃないか、また経費の節約になるのじゃないか、輸出コストの引き下げにその方がたるのじゃないかというような問題になるという点があろうかと思うのですが、その点はどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  83. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) 先般御審議を願いました輸出品検査法による検査機関は公益法人でありまして、何と申しますか第三者的な機関、こういうわけでございます。その公正な検査をやるという建前で御審議願った。今度の株式会社は、輸出業者とメーカーとの間にそれぞれが出資をしてできるあれである。いわばメーカーの代弁者であり、場合によれば輸出業者の代弁者である。株主は輸出業者か、メーカーか、あるいは両方であるかという場合でありますので、検査機関とは性格がおのずから違うわけでありまして、従いましてこの買取機関としては、もちろんある程度の検品という必要もあろうかと思いまするが、検査機関による検査の方が、より公正に第三者的に行われるべきものだというふうに判断をしておるわけです。先般の法律もそういう趣旨にできておる。従いまして二重検査の起らないように、それによって非常に取引が阻害されないようには十分いたさなければならぬかと思いますが、この指定機関に輸出品検査法による検査までもさせるのは、あの輸出品検査法の趣旨に反する。やはり何と申しますか、もちはもち屋で、検査機関は民間の第三者的な公正な公益法人である。これはそれぞれの業界の検査機関だというふうに御了解を願ったらいいんじゃないかと思います。
  84. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 この買取会社は先ほど来会社組織でいくというけれども、実際は公共性を持たせるように運営もしていく、監督もしようということになっておるわけでありまして、それなりに法律もできるだけはやっていくような仕組みになっているわけですね。そうなってくると、一方民間の指定機関で検査をしたものを、さらにこの会社の方では検査をやる、それでそこで不合格品が出たりすると、その指定の検査機関の検査を受けておるものがペケになるというようなことで、逆に検査機関の威厳に関するというようなことが現実の問題としては出てきはせぬか、そうしてこれは将来の問題ですけれども、一手買い取りの、しかも輸出品の買い取りということになると、これは検査について一つの機関でやるようにした方がいいじゃないかという考え方が、私は相当実際問題として出てくるのじゃないか、それでないと、はっきり区別は一応はせられておるけれども、実際問題としては二重検査になったりして、妙な結果になる、しかも経費の乱費がそこに出てくるということになる。輸出コストにもこれが響いていくというようなことになるのじゃないかと思うのでありまして、この点は私は慎重に研究をしてもらいたいと思うのでありまして、政務次官いかがにお考えになりますか。
  85. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) この会社ができても、二重検査というものは、私はないというふうに考えておるのですが。なぜならば検査から梱包から発着地までで、全部発着地で品物が引き渡されるということになるわけであります。一手買入機関があって、途中で買入機関の倉庫に入れて、さらにこれを発送するということは、おそらくないと思います。必ずや申し上げましたような検査をし、梱包をし、さらに梱包の検査を受けて、さらにそれが発着地の、たとえば横浜なら横浜の港に着いて、そこが一手買い入れになる。こういうふうに私は解釈しております。でありますから、二重検査というようなことはおそらくない、こういうふうに私は考えております。
  86. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 その点は輸出検査後のものを買取会社で買い取るのですから、やはり会社として不合格品を将来輸出した場合は、クレームでも出てくるようなときは、やはり買取会社まで影響してくるでしょう。そういう際に、やはり買取会社が自己防衛というか、会社経営の立場から、やはり自分も検査をやらなければいかぬ場合が実際出てきやしないか。しかしそうでなく、もう建前上、買取会社が一手買い取り後において、全部自分が検査を行うのだということになれば、それはまたはっきりする。そうでなく輸出検査後のものを買い取るということになると、これは今私の申しますような二重検査になってくる。検査の性格は違うかもしれないですけれども、実質的には二重検査になってくる問題が出てくるのではないかというふうに思うのですが、その点どうですか。
  87. 長谷川四郎

    政府委員長谷川四郎君) 先日御審議になった検査法あれによって検査を受けていく、ですから申し上げましたように、最終地点までいって、その一手買取機関が抜き取り検査をするということもあるでしょう。百個のうち何個かを抜き取り検査をする。こういうようなことはあってしかるべきものだと思うが、全部を二重検査するというようなことは、やるだけの余裕もなければ、それだけ行うということになっていくと、この機関というものの性格からいき、また費用からいって、果してそれが行い得るかどうかという点になるのでありまして、そこまでやることになると、先ほど冒頭に豊田先生が御心配になった面までも付随して出てきやしないか、費用がたくさんかかっていくということになってくると、そういうことにもなりやしないかというふうにも考えられるのであって、この会社の性格からいくと、二重検査までしなくてもいいのではないか。もし何でしたら、抜き取り検査をやるというぐらいのことは、当然責任上しなければならないのではないかというふうに私は考えております。
  88. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 今の抜き取り検査の問題なのですが、御承知のように日本の輸出検査は毎品検査のほかに、抜き取り検査を自身でやっておる輸出検査が相当多いのです。従って買収会社の方では、抜き取り検査しかやっておらぬので、不安を感ずるだろうと思う。それの合格品だというわけで、勢い忙しいときはやらないけれども、ちょっとひまなときには、事前に会社の自己の立場から抜き取り検査もやるかもしれないが、場合によれば毎品検査だってやるかもしれないという問題が出てくると思う。そういうことになってくると、双方とも政府の強い監督を受ける機関相互間に、検査をめぐっていろいろの問題が出てくるのであって、これはどういうふうにするかという点については、私はこの程度まあ質問いたしておきまして、御研究を願っておけばいいと思います。  それともう一点、最後にこの点だけ伺っておきたいのでありますが、日中貿易が近く第三次貿易協定の期限満了になるわけでありまして、五月三日に満了するというわけでありますが、これについては向うへ行ってやるのか、こっちに呼んでやるのか、それに関連して問題の指紋の問題がひっかかっておるわけでありますが、これがどの程度今法務脚との間などで話がついてきておるのか、こういう見通しについて、率直にこの際伺っておきたいと思います。
  89. 松尾泰一郎

    政府委員松尾泰一郎君) この第四次の通商協定を、東京でやりますか、現地でやりますかの問題につきましては、関係のいわゆる三団体の間で協議を願う問題であって、われわれの方からとやこう言うべき筋合いのものではなかろうかと思っております。が、一応われわれの伺っておるところによりますと、基本的な問題は現地で交渉をされ、あとのトレード・プラン等につきましては、それに続いて東京で交渉をされる方が、都合がいいのではないかというふうに考えられているように承知をしているわけであります。われわれといたしましては、できるだけ早く実情と申しますか、貿易の実体に即したような方向に、いい協定を早く作っていただきたいというふうにお願い申し上げているのであります。  指紋の点につきましては、法務省、外務省の方で種々検討されておるようでありますが、まだ最終的には、はっきりきまっていないというふうに伺っておるのであります。われわれといたしましては、できるだけ早くその問題もおきめを願うように、両省にはお願いはいたしておるのであります。若干その方はおくれているようであります。われわれとしては、非常に遺憾に思っておるのでありますが、実情はその問題はあまり進捗していないように伺っております。
  90. 近藤信一

    理事近藤信一君) ちょっと速記をとめて……。    〔速記中止〕
  91. 近藤信一

    理事近藤信一君) 速記を始めて下さい。  それでは本案につきましては、本日はこの程度にとどめまして、次回さらに質疑を継続することにいたします。  別に、御発言もなければ、次回は明五月八日午前十時から開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会