運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-19 第26回国会 参議院 商工委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十九日(金曜日)    午前十一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松澤 兼人君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿具根 登君            近藤 信一君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋  衞君            藤田  進君            豊田 雅孝君            大竹平八郎君   国務大臣    国 務 大 臣 宇田 耕一君   政府委員    科学技術政務次    官       秋田 大助君    科学技術庁長官    官房長     原田  久君    科学技術庁調査    普及局長    三輪 大作君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   国立国会図書館側    国立国会図書館    副館長     中根 秀雄君   説明員    大蔵省主計局主    計官      鳩山威一郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本科学技術情報センター法案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。  別に報告する事項もございませんので、これより直ちに本日の議事に入ります。  まず、前回に引き続き、日本科学技術情報センター法案を議題としてその質疑を継続いたします。ただいま科学技術庁当局のほか、中根国会図書館館長大蔵省から鳩山主計官が出席されておりますので、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 阿具根さんの質問が残っておるようですから、ちょうど大臣見えたので、私はしょって大蔵省に一、二ごく簡単にお尋ねいたしたいのですが、まず最初に、初年度政府出資が四千万と投資三千万と、こういうことになっておるのですが、この問題はいろいろ本委員会でもあらゆる角度から論議をせられまして、非常にあるいはわれわれが考えておる以上に、発足をするならば、非常にスムーズにいくのではないかというような点もありますし、また、非常な不安もあるというようなことを、先般来から各委員質問の中に出ておるのでありますが、それで私お尋ねいたしたいことは、その初年度のこの予算規模についてなんでありますが、いろいろ各庁から大蔵当局に折衝があったと思うのでありますが、三十二年度予算というものは、これで十分とお考えになってこの予算を計上したのかどうか、まずその点をお伺いしたいのであります。
  4. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) この法律科学技術情報センターにつきまして、当初の予算の要求は相当大きな金額に上ったのでありますが、その後科学技術庁の方でも御検討をなさいまして、当初特にいろんな建物類を新築するというような構想で要求なされておったのでありますが、これは新築を取りやめまして既存建物を借りて使うというようなことになりまして、そういった経費が要らないということになりました。また、その後いろいろまあ発足の時期等を考えて現実に合わして考えましたところ、七千万円程度で、民間からやはり同額程度集めてやるというような構想になりまして、本年度としてはこれで十分、なお相当金額を繰り越し得るような、センターとしてはそういう財政状態でいけるということになっておりまして、本年度としては科学技術庁当局も、私どもも、これで十分やっていけるというふうに考えております。
  5. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それから第二点は、この情報センター組織の問題なのでありますが、昨日も豊田委員から当局に対しましていろいろ質問が出たのでありますが、この公益性というものをどうお考えになっておられるかということと、それからまあこの法案を見るというと、多分私企業的経営方針と申しますか、そういうような点があるのでありますが、これについて予算措置の上から考えて、どう大蔵省としてはお考えになっておるかということ、それから政府出資に対して配当を受けることになっておるのでありますが、将来は政府としても、ほんとうに配当を受けるつもりなのか、これによって公益性とか、あるいは私企業的経営とかいう、その組織の根本的な問題にいろいろ影響が出てくるのであります。また、われわれはそういう意味において解釈もしなければならぬと思うのでありますが、この点をお聞きしたい。
  6. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 私どもといたしましても、このセンターは非常に公益性の強いものであるというように考えておりまして、さればこそ、この三十二条で補助金を出すというふうに規定してあるのでございますが、政府としては、公益性があるから補助金を出すのである、そういう趣旨をここでは考えております。なお「利益及び損失の処理」という規定がございまして、そういう出資に対しまして万一利益のあった場合には、それを総理大臣の認可を受けて分配するというような規定がございますが、これは観念的にそういったことが考えられるという意味で、その場合にはこうするのだというふうに書いてあるのでございまして、私どもといたしまして、このセンターに大いに利益を出せというようなことを考えておるわけではございません。むしろ、補助金を出してやっていくというふうなものでありまして、まあ、先ほど御質問趣旨としては非常に公益性の強い団体である。で、なおこの法案といたしましては、モデルを原子力研究所等にみならって作ってありますので、原子力研究所にいたしましても、研究所に大いにかせいでもらうという趣旨日ではございませんので、そういう趣旨で御了承願いたいと思います。
  7. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 最後に、いま一点お伺いいたしますが、そういう立場からお考えになりますというと、また来年度については、さらにこれは状況を見なければなりませんが、一そう大幅に予算を計上していくというようなお考えについてはいかがでありますか。
  8. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) もちろん、このセンターを作りました以上は、これがりっぱに機能を果すように念願しておるのでありまして、このセンターの性格上、この補助金相当額明年度も計上いたしませんとやっていけないというふうに考えておりまして、そういう意味では、明年度金額につきましては、直ちに申し上げるわけには参りませんけれども補助金を引き続いて所要額を計上して参るという考えのもとに、この法案を御審議をお願いしておるわけでございます。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣がお見えになりましたのでお尋ねいたしますが、長官ということよりも、国務大臣としての宇田さんにお尋ねいたしますが、こういう公共性のある情報センターというものは、これは国家的の見地から非常に大きな立場考えなければならないと私は思うのですが、そうした場合に、まあ科学技術庁としてはこういう情報センターをお作りになる。そうすれば防衛庁としては、防衛の立場からこういうことを考えるのではなかろうか、また、文部省においては学者立場からこういう情報本部みたいなものが必要になってくる。農林省農林省としてそういう問題が必要になってくる。こういうことに対しては、どういうようなお考えを持っておられるか。科学技術庁がすべての科学技術に対する情報センターはおやりになるつもりであるかどうか。そういう点について御説明願いたいと思います。
  10. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 科学技術に関する行政事務は、もちろん科学技術庁で行うことになっておりますから、それに付随する情報センターは、当然科学技術庁管理いたしまして、各省分散することによる複雑さ、あるいは能率の低下等は避ける、これが根本方針のように思っております。
  11. 阿具根登

    ○阿具根登君 それは防衛庁なんかとは十分打ち合せ済みでございますか。
  12. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 打ち合せ済みであります。
  13. 阿具根登

    ○阿具根登君 文部省学術情報部ですか、こういう点等はどういうふうにお考えになっておりますか。
  14. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 文部省とも十分打ち合せをいたしてあります。
  15. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、防衛庁にしても、文部省にいたしましても、現在何がしかのそういう機構を持っておるものと思います。それは解消してこれ一点でいくのでありますかどうか。
  16. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) ただ、お話しにございましたこの防衛庁関係中で、特別な機密情報というようなものがあります。そういうふうなその役所独特の特別な必要なものについては、その役所で管理をいたしまして、そしてこちらが連絡をとって情報として公開すべきもの、流すべきもの、等は、連絡をとってそのものによって、その場所で管理をする。こういう方法をとっております。
  17. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういたしますと、そのものによってということになれば、各省各省立場から、これは科学情報センターではこれは困る、おれのところはおれの特別の秘密があるのだと、こういうことでやっていけば、結局同じことだ、こういうことになると思うのです。それで大蔵省からお見えになっておりましたから、お尋ねいたしますが、大蔵省立場としては、どうです。各省に対してこういう予算が組まれておるかおらないか。それからもう一つ大蔵省お尋ねいたしますが、国会図書館においては、この五年間の間に、科学技術情報を集めるだけで、二億一千九百万円の金を使っている。そういうことになれば、この科学技術庁情報センターができれば、国会図書館のそういう予算は、こちらに回ってくるのであるかどうか。大蔵省立場としては、大きくこれは一本にまとめて、その中に幾つも部を設けるとか、あるいは課を設ける。そういうような構想があるかないか、お尋ねいたします。
  18. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) この科学技術情報センター構想といたしまして、既存の、各省あるいは各民間等機関がございまして、そういったもののいわばこの情報センターは、取りまとめの役目をいたすわけでございまして、何から何まで全部この情報センターでやるということには、この程度のものでは十分でありませんし、また、そこまでやると、かえって能率的にもよくないのじゃないか。おのおののあるいは国会図書館なり、各省研究所等で持っております蔵書その他の科学技術に関する資料につきましても、このセンターがいろいろ情報交換等をやりまして、いわばその埋もれておるような情報につきましても、それを有効に利用できるような仕組みを考えて参るというのが、一つのねらいになっておりますことでありまして、直ちにこれを作りましたら、各省におきますそういった既存の活動が全部こっちに引き移すというようなところまでは、かえってやると、弊害があるのじゃないかというふうに考えておりましてただいまの案のようにこのセンターはそういう中核的な機関としてやって参るというふうに考えております。なお、今後この業務と完全に重複するようなものがありまして、これはこちらの方にまとめた方がいいというようなものがありましたら、今後も検討いたしまして、そういった重複のないように、むだのないように実際の運用をやっていくというようにいたしたいと思います。
  19. 阿具根登

    ○阿具根登君 図書館からお見えになっておりますか。
  20. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ええ。
  21. 阿具根登

    ○阿具根登君 図書館の方にお尋ねをいたしますが、この前のお話しでは二億一千九百万円の金を科学蔵書に使っておる。それから一般にはその三分の一だと。年間平均にすれば一年に三千万円の金を科学方面に使っておる。これがなくなったならば、あと一千六百万くらいの仕事しかできないのではないか。まるまるなくなるとは思われないと思うのですけれども、こういう科学蔵書に非常な重点を置いておられる。ところが、他の参考人の方では、図書館でやっては非常にまあ不都合なところがある。こういうことも言われておりますが、図書館としてどういうようにお考えになっておるか。図書館使命というものは、ただ古い蔵書を集めて置いておくのが使命じゃない。中には副館長衆議院で言っておられたように、図書館使命は、近代図書館というものは実用に供する最も斬新なものに主力を持っていくのだと、こういうことを言っておられたと思うのです。そうすればこうなってくれば、図書館というものは旧来図書館考え方通りに、古い書物を集めてそうして取っておくところと、こういうような結果になると思うのですが、その点どういうふうにお考えですか。
  22. 中根秀雄

    国立国会図書館館長中根秀雄君) ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。国立国会図書館におきましては、ただいまお話しございましたように、昭和二十七年度のこれは補正予算でございましたか、それ以来年々科学技術資料収集を中心といたしまして経費が計上されまして、その金額が先ほどもお尋ねにもございました通り、まさしく二億一千九百万余に上っております。そしてこの科学技術関係経費の計上された初めは、PBリポート購入費というところから始まりましたけれど、しかし、それから始まりました国立国会図書館におきまする科学技術関係資料収集、並びにそれに基きまする図書館奉仕提供は何と申しますか、近代的な意味での科学技術図書館としての運営を意図したものでございます。従って、もしただいまの御質問にございましたように、科学技術情報センターが設置せられますことによりまして、もし、これらの予算が将来われわれといたしましては、増大せらるべきものと考えておりまするのに、そのゆえにこれが減ずる、あるいは現状に膠着してしまうというようなことが起りまするならば、本来この科学技術につきまして各方面の御配慮、激励、御援助、そういうものによりましてせっかくこれから緒につけていくべき重大な機会を失うことになるのでありまして、われわれとしては、そういうことはないと存じますけれども、もしあるとすれば、まことに懸念にたえないと思います。先般加藤参考人からお述べの点いろいろございました。しかし、私どもとしては多少当らぬ点がございます。なるほど複写につきましては、一カ月というふうに加藤参考人は申しておりますけれども、一カ月なんてかかるものではありません。ものによりますと、非常に膨大なものをやるのには一カ月どころか半年にわたるものもございまするけれどもPBリポート等所要の個所を複写するがごときことは、それほど時間がかかるものではありませんし、特別の御要望があれば、午前中のものを午後にお手元に渡すということも可能であります。原則的に申しまして、大体二週間以内にはそういう複写は今はすべて完了いたしております、その点はかなり古き国会図書館の昔語りの時代のことであったと思うのです。それからまた、科学技術関係の係員のこといろいろお話しございましたが、これはもちろん国家財政とも関係があるわけでありまして、また、国立国会図書館の現在のスタッフは完全なものと思いません。しかし、その国家財政の許す範囲内におきまして、置かれている資料につきましてはみな努力をいたしまして、相当の業績を上げております。それらの点について、もし時間が申し上げることがよろしくんば申し上げたいと思います。用意もいたしております。必ずしも先般の御意見は私どもとしては抗弁はいたしませんでしたけれども、当っておらない点が多分にあったように思っております。  それからなお、ただいまのお尋ねにもございましたように、近代図書館使命は、旧来図書館使命というものは、資料保存ということにございまして、保存をするには使わせないのが一番いいのでありまして、これは完全な保存になるわけでありますが、近代図書館におきましては、これはむしろ資料利用せしめ、いろいろな意味において利用せしめる、情報提供もその一つでございます。しかし近代図書館資料利用というのは、情報提供だけではありません、もっとさらにいろいろの面を含むことは、先般御承知の通りでございますが、そういう意味におきまして、近代図書館利用重点がかかっている。従ってわれわれの国立国会図書館におきましても、近代図書館一つといたしまして、利用の面にかかっておる、利用を拡大しつつ、それらの資料保存を確保するという点を使命といたしておりますので、申し上げます。
  23. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、どなたでもけっこうなんですが、ただいま中根館長の御意見では、図書館の方でそういう近代的なものもやるべきであるし、そういう考え方も持っておる、こういうふうに言っておられるわけでございます。ところが、大臣の方ではこれを否定しておられるし、大蔵省の方でもこれを否定しておられる。そうすると図書館ではなぜやっていけないのか、こういう点が出てくると思うのです。図書館不備があるならば、図書館不備を直していくならば、すでに二億一千九百万円からの価格の蔵書ができており、学者の話を聞いてみますと、このくらいの科学情報センターができても、このPBリポートを整理するだけでもおそらくできないだろう、こういうことを言っておられるわけなんです。そういたしますと、今後の図書館というものは、実際の近代的な科学でなくて、もう時代おくれのしたやつを蔵書しておくのだ、こういう結果になってくると思うのです。もう一つ言いかえれば、科学情報センターにおいては、最新の新しい情報を取ってくる、新しい資料を手に入れる、そうしてそれのすんだやつは、国会図書館に寄付すればいいじゃないか、国会図書館はそれを蔵書としておけばいいじゃないか。こういうふうになってくれば、国会図書館年々歳々数千万円の金を組んでおく必要はないじゃないか、こういうことになってくるわけなんです。そうでなかったならば、今までのように国会図書館には毎年科学技術関係だけでも三千万円からの金を出しておられるとするならば、この国会図書館も古い本だけが能じゃないでしょうし、PBリポートが集まっているならば、新しい分野でこれまた情報を集めると思います。そうすると両方が競争して集めるような結果になってくる。そういうことをして、なけなしの金を分散していくよりも、一カ所に大きく、あるいは機構を改めて、あるいは人事を改めてやらなければ、国家的の立場から見てそうしなければならぬと私は思うのですが、これは大臣からお答え願った方が一番いいと思います。
  24. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 私はただいまの御意見は非常に重大な点だと思います。もちろん、乏しい財政をこまかく活用していくという点については、お説の通りと思います。ただ、情報センターの持っておりますところの特殊使命と申しますのは、たとえば国会図書館のように特別な立法事務についての敏速なサービスをするということでなくて、科学技術そのものの国際ないし国内環境に応ずるための必要な、特殊な情報を、特殊な方面にすみやかに流すという特別の任務がありますから、そういう任務に合せるため、この情報センターを持った方が環境に合う、こう考えております。従ってこの情報センターの持っている機能と、図書館機能とが、ただいま申せられるように、どこかでロスのあるような運営であっては、これはいけないと思っております。もちろん、国会立法事務に対しては、これは全面協力すべき、これは優先情報提供すべき義務は、運営上の義務は当然考え運営していかなければならない、そう思います。また、図書館にいたしましても、図書館科学技術以外のものもずいぶんありますから、そういう点につきましても、情報センターといたしましても、心ずしもそれを不要とは考えられない。それがなければ困ることもずいぶんあると考えております。従って両方が相補いながら協力して、そうしてそれぞれの特殊目的を生かしていくように、そうして国全部で考えてみました場合には、それは一体化のやはり運営をはからなければならないというふうに考えております。
  25. 阿具根登

    ○阿具根登君 それはその専門々々で、狭い範囲で深く進んでいくならば、小さくなるほどいいと思う。そうすると業者出資してやるよりも、出資する業者はそれぞれのやはりつてももっているし、莫大な金も使っていると思う。そうすると、その業者は事業の専門参考資料、それだけが必要なんで、そうすればその人が今やっているやつの方が一番いいわけなんです。情報センターができても、おそらくこのくらいの予算で、これは中小企業にまんべんなく行きわたるような、みんなのかゆいところに手の届くような、ほしいものがちょうど手に入るような私は機構にはならないと思うのです。そういたしますと、もっと多く国の金をつぎ込んで、公共企業性を現わして、そうして国会図書館がただ立法府関係のものであるとするならば、これはこの法律をかえてもけっこうだと思う。そうしてその中に、こういう大きな情報センターなら情報センターを持って置いて、そしてそこに専門分野をきめていただくならば、金の分散もないし、そういう情報分散もないではないか、私はこう思うのです。そういうふうにならなければ、先ほど言ったように、防衛庁関係には機密事項に属するものがたくさんあるのです。そういう問題は、特に科学情報センターでなくて、防衛庁防衛庁で私はやると思います。また、先ほど言ったように、文部省にも学術情報関係がちゃんとあります。これはおそらくそれでやりましょう。農林省農林省で農林に関する科学的資料農林省が勝手に寄せたいと言うでしょうし、そうすると、各省がそれぞれわずかの金を奪い合いして、そうして完全な資料も寄らない、こういうような結果になると思うのですが、大蔵省の方では、どうですか、大蔵省がそういう点では、一番いつの場合でもおっしゃっておると思うのですが、各省がそんなにかゆい所に手の届くように情報関係資料が手に入るように今後お考えになっておるのであるか、それとも国会図書館だけではだめだ、だから科学情報センターを作って、そうしてすべてのものをここでやるのだ、こういうふうにお考えになっておるのかどうか。そうするならば、科学情報センターの将来の構想、見通し、こういうものも大蔵省にあってしかるべきであろう、かように思うわけです。そうでなかったならば、限られた予算の中であるから、今の国会図書館年々歳々三千万円からの金を組んでおる科学情報のこの金は、これは科学情報センターの方に回して、そうしてそれで用が足りた資料国会図書館の方に回せば、国会図書館はそういう金は要らない、そういう点をどういうふうにお考えになりますか。
  26. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) この情報センターは、先ほど申し上げましたように、既存の各機関蔵書その他の資料を十分活用して、そうしてそれを科学技術振興に役立たせるようにこれをやつて参るということでございまして、その点から、たとえば、かりに国会図書館との関係におきましても、PBリポートをあらためてまた買うというようなことはもちろんいたしませんし、十分国会図書館をこのセンター利用させていただいて、それで自分役目を果していくというふうに考えております。なお、各省情報収集に対しましては、まあ今後この科学センターでやれば、十分であるというようなものにつきましては、なるべくこのセンターをしてやらせるという考えを持っておりますが、なお、特殊なものにつきましては、おのおのやはり自分の特殊な目的のために、ある程度のものは各省としても責任上やらなければならないというふうに考えております。民間におきましても、やはりこれができれば、自分の方は、何らその科学技術情報につきましては、一文も使わないで済むというふうなところまでは、なかなかいき得ないし、また、おのおの民間のそういった熱意に対して、これを作ったから、そういった金は出すなというふうなことも、今の情勢としてはなかなか言い切れないんじゃないかと思います。おのおのやはり各分野におきまして、力を合せてお互いに科学技術振興に寄与するようにやりていくというのが、今の日本の情勢として、やむを得ないんじゃないかというふうに考えておるわけであります。御参考までに申し上げたわけであります。
  27. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣に御質問申し上げますが、まあこれは公共性を非常にうたっておられる。ところが、国家的に要請しなければならない資料がたくさんあると思うのです。そういう場合には、どういうようなお考えを持っておられるか。
  28. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 国家的に情報その他を獲得する場合もたくさんあります。その点につきましては、それの保存とか、あるいは機密保持とかいういろいろな事件も起ることがあると思います。しかし、これをどういうふうにして民間に流して、民間にも利用さすか、この目的に沿うように運営するかということにつきましては、やはりこの情報センターを中心として、それを活用するのがよろしいというふうに思っております。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうした場合、民間の要望も相当強いし、研究を要するのがたくさんあると思うのです。そうすると、まあ限られた予算の中で、限られた人員でやるのであるから、自然と順位がついてくる。国が命じた情報が一番早くこれに重点を置かれる。それからその次には、資本を投下した大資本の要請がその次になるでしょう。そうすると、中小企業等はあと回しになって、結局中小企業等は、早く情報を取りたいのが、これはもう取れなくなってしまって、この意義がなくなってくる、こういうことはありませんか。そうした場合に、どちらを優先して考えられるか。
  30. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) その点につきましては、われわれは今一番それを心配しておる点でございまして、要するにこれの運営の問題であります。運営の問題は、ただいま申されるように、大衆性のあるように、そうして大衆性がどこから生れ出てくるかということになりますと、やはり参与会とか、これの理事機構、あるいはそれに参画するところの諮問機構等をもちまして順位を考えたいと思います。従って国からの希望であるからとか、あるいは資本の出資の大小であるとか、そういうふうなことによって、これを運営委員が、この当初計画と違った方向に持っていくことのないように、一定の企画、計画を立てて、運営方針というものが、その都度に簡単に変更することのないような基本方針を持たすべきである、こういうふうに思っております。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、たとえば防衛に関する技術の情報、こういうようなのはどの程度考えになっておるか。付随して、原子力の問題も、これは御専門だから、詳しくお願いしたいと思います。
  32. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 防衛関係情報の中で、特にこれは機密を要するとか、あるいは敏速を要するかどうかということの判断は、ただいま申し上げましたような、一定の諮問機関あるいは計画のもとに、これをあらかじめ情報提供方法というもの、構想をきめておかなければならないと考えております。原子力のような、ただいまわが国の技術の非常におくれておるもの、特にアイソトープの利用等になりました場合には、官も使いたいし、あるいは防衛にも必要である、また民間、特に中小企業については、非常にこれは影響力の大きいものになるとわれわれは考えております。そういうものについての情報を、どういうふうに的確にして早く流すかということになりますとこれは非常に重要な問題でありますから、そういうことの運営に対してのそれぞれの専門分野に応じての運営組織、特に民間ないし御指摘になった中小企業等の団体に、研究組合ないし研究の団体をここにどうしても作るようにしなければならないでしょう。そうして業種別、地域別の特殊な環境に応ずるような一つ組織を持ちまして、その組織に対してわれわれが運営センターで、どう流していくかということを、少くとも何カ年間という、年次計画として年間計画を持って、そうして資金にいたしましても、とてもこの資金では、先ほど来御指摘のように、不十分な点が多いと思われますから、資金獲得の方法はまた別に考えなければならぬ点も起るだろうと思います。いずれにいたしましても、この運営につきましては、私は、あらかじめの企画を立てて、計画の大衆性をはずさないように、それから最もこういう情報を敏速に必要とするが、力がないという所には、特別にこれは運営委員で十分な配慮を払わなかったならば、この情報センター目的は達せられないと、こういうふうに考えております。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、ただいま大臣がおっしゃいましたように、敏速なる情報でなければならない。そうしますと、防衛庁関係とか、あるいは原子科学との関係のものが一番重点に置かれてきて、そうして、自然中小企業等の問題は、なおざりになる。これが長じていけば、おそらく統制ということまでは考えておられない、そのためにこういう機構にされたと思うけれども、そういうおそれがありはしないか。そういう点について、どういうふうにお考えですか。
  34. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) この科学技術情報の中で、防衛関係情報を特にこの中に含めて、それを重点的に運営提供していきたいというのが、この主たる目的ではないのでありまして、これは技術の平和利用の面を中心としていきたいと考えておるわけであります。しかし、実際問題として、防衛関係の産業というものと平和産業との区別はほとんどつきませんから、そういう場合に、これが防衛関係であるのか、あるいはその防衛外の産業であるかということは、これは私はこれはもうわからぬと思います。国の産業全部がやはり防衛に関係するというふうな広義の解釈をすれば、全産業が防衛産業であるとも申されると思われます。従って御質問のように、防衛関係であるからという意味で、情報に対してサービスのこの緊急度を変えるかどうかという問題になりますと、実際問題として、先ほど来申し上げますように、これは運営に関する理事以下の運営方針、年次計画の中で方針を確立していく以外にないのじゃないかと思うのであります。産業の内容は、実際はどれを見ても、広義に見ておれば防衛というふうに思われるようにも考えられますが、国民生活全部が防衛体制になるような内容になってきつつあるものでありますから、その点につきましては、どういうように情報をこう区別するかということについては、これは今後の企画ではっきりしていく方がいいのじゃないかと、こう考えます。それで運営についての基本方針は、まあ先ほど来申し上げましたようなことでありまして、まあ、抽象的などうも表現でありますから、御質問に対して的確に申し上げる……、御理解していただけるかと思いますが、少くとも運営の基本方針は民主的な運営をはかりたい、一言で申せば、そういうことであります。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 運営の問題は、まだこまかい問題で、先にまたお尋ねすると思うのですが、こういう新しいものができ上る場合にですね、これはどの大臣でも、おそらくですね、これは統制になりますよとか、あるいは監督を厳重にして自分たちの思うようになりますよとか、こういうことは全然ないので、できるときは何でも非常にいいようにこれは言われて、だから国会は了解をして、これはりっぱなものができるのだということでもって賛成をするわけなのです。ところが、できてきたあとで、この運営によってこれがどちらにされるかという心配があるから、私はまあ聞いておるわけなのです。今までの御答弁を聞いておりましても、これは科学技術庁の中に、ぜひとも持たねばいかないというやつは出てこないと思うのです。私は国立国会図書館というと、図書館だから、こういうことを言われるけれども、一体図書館不備なところを直すことは、これはいとも簡単にできるはずなんです。これが実際あるものであって、これを直すことは、簡単にできる、法律が悪ければ、法律を直したらいいでしよう。また人事が悪いというのならば、人事を変えればいいでしよう。そうなってくると、これだけ整備しつつある図書館を横に置いて、そうして別個なこういう情報センターを作るとするならば、最初言ったように、図書館の斬新性と、近代性というものはもうなくなってしまいはしないかと私は思うのです。で、もう一言、これは基本的な問題だから、くどく聞いておるのですけれども、この国会図書館のどこが悪いから、情報センターを置くことはできないのだ、たとえば図書館が、これは国会運営に支障のないようにやるのであって、まあここに持ってくれば、国会運営のどこに支障がくるのだというようなことをお話しになれば、それに対してまた考えざるを得ない。ところが、ただ言われるのは、国会図書館というものは、これは政治、経済一般をつかさどるものであって、立法府に属しておるものであって、なかなかその科学の先端にまでは手が届かないのだ、迅速的確にいかないのだ、こういうことを言っておられるから、じゃそれを是正すればそれでいいのですかと、こう言わざるを得ない。で、それを是正して、それではあなた方が思っておられるようになるならば、あれだけの図書館をもうそろえておられるし、今度りっぱな図書館もできるのであるし、今度はそういう中で、りっぱな、科学なら科学専門分野を作つていくならば、あなたがたの構想をその中に織り込むならば、ちっとも矛盾はないではないか、こういうような考えも出てくるわけなんです。で、私が先ほどから心配して御質問しておりましたのは、各庁々々がそれぞれ自分のところに、自分分野を持ってみたい、こういうことであったならば、いつまでたっても予算のぶんどりで、完全なる情報センターもできないではないか、完全なる仕事もできないではないか、それよりも、せっかくあるやつを、不備な点は直していって、そうしてそれを完全なものにするならば、それから全部が肥立ちをするならば一番いいのができはしないか、こういう心配で、私は再三にわたって質問しております。同じことばかりの質問で、まことにおそれ入りますけれども、私の心配しているのはその点ですから、その点をもう一つ、的確に一つお教え願いたいと思います。
  36. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 国会図書館は要するに国立の立法府直属の機関でありますから、それは私は特殊の使命を持ってこの運営をされるものと、こう理解いたしております。そして情報センターは、科学技術に関する情報の、この民間への——極端に言えば販売も行います。そういうふうな特別なサービス方法を持ちたいと考えております。従ってそのサービス方法は、この国会図書館の本来の使命とは合わない内容になってくるのじゃないか、こういうふうに考えます。そういうわけで、この出資金に対する、場合によったら反対給付もあり得るというふうな内容の機関にまで持っていくというのは、この情報センターそのものの持っている一つ機構上の特殊性格だと、こういうふうに思っております。で、そういう運営で、そういう性格を期待をした情報センターをここに作ると、こういうことでありますから、そこで性格的には国会図書館と違う性格、運営方法を考えたい、こう思っておるわけですから、そこに科学技術情報センターの特殊性格があるわけです。従ってこの科学技術情報センターが、今の図書館運営にどういうふうなサービスをしていくか、そうして国会図書館運営とこれと、どういうふうにうまく合していくかということにつきましては、これはもう、そつのないようにこれはいたさなきゃならぬと思っておりますが、ただいま申し上げましたような情報センター独特の、一つ運営と性格を伸ばしたいというところに、この法律の生れた基本の性格があると、こう思っております。
  37. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっとお尋ねしますのですが、法案の中には、この科学技術情報センターは、国会図書館、その他関係機関と協力しなきゃならないし、また逆に言ってそういう関係機関科学技術情報センターと協力しなきゃならない。まあ、相互協力の関係がそこにあるわけなんですね。で、国立国会図書館は各官庁の蔵書等に対しまして、これは国立国会図書館の支部図書館というような形を取っております。そこでまあ先ほど来の話、及びこれまでの話を聞いてみますというと、ただ各官庁、あるいはまたは研究所などにあります科学技術関係情報については、この中核であります日本科学情報センターというものが、ある程度まで、支配という言葉は使いませんけれども、まあ情報収集については協力を求めるのだ、こういうことをおっしゃっているわけなんです。そうすると末端のところへいきますと、国会図書館の支部図書館でもあるし、また科学技術情報センター一つの支部機構というような形になりはしないか。そういう末端までいくとその権限争いのようなものが出てきやしないかという心配もあるのですけれども、こういう点はいかがでございますか。科学技術情報センターの側から見てどういうことになるのか。
  38. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) ちょっと政府委員から……。
  39. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 支部図書館、あるいはその他の蔵書を持っておる機関とは緊密に連絡をとりますけれども、支配下に置く、あるいは統制するというような考えは、毛頭持っておりません。先ほどお話がありましたように、国立国会図書館の下部組織として非常にたくさんな図書館がございますが、そういうものが持っておりますいろいろな情報あるいは資料というものは、センターといたしましては、ぜひそれを貸してもらったり、あるいは利用さしてもらいたいということが二十四条にうたってございます。中枢的機関ということの意味は、支配するとか、あるいは統制するという意味でなしに、情報活動をするいわば中心的形のものであるということで、個々の、単独の、あるいは専門別の情報源としてセンターは、そういうものの援助を受け、また、センターとしてもいろいろ御協力申し上げる点も出てくるわけでございますが、お互いに一体となって日本の情報活動を盛んにしたいというのが、根本的な考え方でございまして、その間仕事がタブったり、あるいは非常に非能率になったりというようなことは厳に戒めまして、お互いに協力し合ってやっていくというふうに考えております。
  40. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) もう一つ、今はそうおっしゃっていらっしゃるけれども、現実今度は国立国会図書館という側からいえば、やはり末端において紛淆を来たすおそれが必ずしもないとはおっしやらないと思うのですね。もちろん、これは法案の中に業務遂行の状況等については総理大臣がその職員をして立ち入り検査をさせるという、そういう規定があるわけですね。これは国会図書館あるいは支部図書館などについて、そういう問題を規定しているものではないと思いますけれども、これは運用を誤まれば、やはり官僚的な統制と言えないこともない、運用を誤まれば。官僚的統制の弊害というものは出てこないということは言えないと思うのです。だがこういう特殊法人ですから、業務の検査に対して総理大臣の、職員が立ち入り検査をするというようなことはあり得ることでしよう。それも行政の常道から見て。しかし、これは誤まってもし運用せられるということになれば、そういう本来中立であるべき科学情報というようなものが、時の内閣なりあるいは内閣総理大臣の意思によっていかようにも曲げられるという危険が含まれているように思うし、それが末端の支部図書館というところまでいって、そこまで、その業務を管理するという権限がないことはよくわかりますけれども、誤まって運営されるとやはり正常なる国会図書館運営に対して多少の支障が生じてきやしないかという心配も感じられるわけです。そういう点、聞けば大丈夫だとおっしゃるでしょうけれども、こちらはそういう誤まった運営ということによって起ってくる弊害というものを心配するわけです。はっきりと、そういう点について言明を願いたいと思うのです。
  41. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) そういうことのないように運営は期したいと思って、それで特にこれは理事その他の任命その他につきましても、そういうふうに陥らないように、特に民間のものをここに起用する、そうしてこの第十五条に、役員についてのそういうおそれの少いようにと思って規定をいたしております。
  42. 阿具根登

    ○阿具根登君 これは先日の豊田委員の御質問に関連しておるのでございますが、豊田委員からも御指摘になりましたように、業界の方は利潤の分配等は全然考えておらないということを言われておったのですが、この法案を見てみますと、三十条には利潤をはっきりと書いてございますが、公共性を第一と考えるならば、そういう利潤の分配等のことは考えない方がいいのではないか、こういうことがあれば、やはり今はだれでもきれいなことを言います。しかし数千万円の金を出資していくようになれば、自分の方に特殊な利害がない限りは、これは私は空文になってくる。空文というよりも今の悪い方が生かされてくる、こういうふうになると思うのですが、その点どういうふうにお考えですか。
  43. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) その問題は、昨日の委員会においてだいぶ論ぜられましたが、それに私がお答えいたしておりました関係がございますので、便宜私から答えることをお許し願いたいと思います。これからやや話が、いろいろ申し上げますと、長くはなりますが、この情報センターには、やはり民間のサービス機関でもありますので、営利性を排しますけれども民間の持っております能率性、むだを排除して、能率的な運営を行うというような要素を導入したいという点並びに今日の国家財政の現状から申しまして、民間の浄財もそこに導入したい、こういうような要求から民間出資をお願いするということになりますと、どうしてもこれは出資証券というものを規定しておかなければ、全部寄付金となりますれば、会社においてこれを全部損金にいたさなければならない、一時多額のものが損金に出ましては、経理上はなはだ不便であるという点もございます。従ってこの情報センター出資の分は、決して配当を生むところの財産的価値のあるもの、資産的価値のあるものとは実質、民間人も考えておられませんけれども、しかし、これは経理上資産的なものと考えられまして経理されることが非常に便宜でもありますし、これが日本の科学技術振興に大いに役立つ作用をなすわけでございますので、これを出資証券とすべきことの妥当性も、ここいらから生まれてくると思います。出資証券といたしますれば、一律に少くともそれを損金に掲げなくてもいいという資産に評価しており、そこで出資証券というものの規定をおくのであります。そうしますと、法制上の形式から、何も配当を主張しているのではないけれども、損金を埋める一定の金額を積み立てをいたしましたあとに、ただいまのはできればこれは配当するということも自然的な帰結になるのでございます。法制局もまたその見解でございます。しかしながら、その前に総理大臣の認可という一つのチェックもございますから、そこで理論的に法制的にも、必ずしも配当に全部回さなくてもいいのだという措置がここに講ぜられておる。従ってこの情報センター使命、これを達するには民間の技能を入れたい。そこで税制上のあるいは会社経理上の要求等から、出資証券という制度を取り入れる必要がある、そこから自然的にこういう措置を考えた、そういうふうに一つ御了解願いたいのであります。  そうして、やや御質問から逸脱いたしますが、しからばこの点を改めて何らそういうものを書かないでおいたらどうかということも考慮して、法制局とも相談いたしたのでございますが、現在の法制上あるいは法律的な関連から、はなはだこれはおかしい、どうしても書かざるを得ない。しからばこれを公共性に徹せよという面から、これを取り除いた法制を考えたらどうだろうかということも考慮しまして、この辺も御質問より少し逸脱いたしますが、非常に関連性が深いと思いますので、昨日の御説明……。
  44. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 簡単に願います。大臣が出席を求められておりますので……。
  45. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) 補足をいたしまして、簡単に申し上げますが、公共性に徹して民法上の公益法人にすると、やはり現在の財政上から、あるいは予算関係から、補助金の額が比較的少額にならざるを得ないのではないか、これを純然たる国家機関にいたしますならば、かえって民間の、先ほどからしばしば申し上げました、いろいろの有利な点を導入するにその道が講ぜられる、こういう観点からやむを得ずこういうことになったのでございます。この点を一つよく実情ということを中心にお考えを願いたいと存ずるのでございます。
  46. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を起して下さい。
  48. 近藤信一

    ○近藤信一君 大臣お急ぎのようでございまするから二、三の点について御質問を申し上げます。私は日本科学技術情報センター、非常にいい構想だと思っております。それからやはり日本科学技術情報センターという大きな構想のもとに発足されるに当って当初予算が、先ほども大竹委員が言っておられましたように、政府が四千万円、それから補助金が三千万円、これと同じ額が民間から出されて最初の予算が組まれておるわけなんです。これぐらいの予算で将来りっぱなものをお作りになるという構想なんでございまするが、こんなもので、りっぱなものができると大臣はお考えになっておられますか。その点を一つ
  49. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) この程度では、当然希望を満たすものには足りないと、こういうふうに思っております。将来やっぱり先ほど大蔵当局からも話がありましたように、政府及び民間でこれを育成していくということにいたしたいと、政府の方もただいま大蔵省から申されたような方針でおります。また、民間の方からもなお出資をして差しつかえないということは申し出があっております。
  50. 近藤信一

    ○近藤信一君 今大臣も言われましたように、最初は少い予算であるがというようなことでございますが、私ほんとうに政府は腰を入れてやるというのであれば、もっと本腰を入れてやるべきが当然だと私は思うのです。往々にしてこういうような問題は、最初はまあ小規模からだんだんと大規模へと、こういうまあ構想のもとに、政府はこういうような問題はいつも出発されるのです。ところがやっていくうちに、だんだんとそれが大きくなっていくならばよろしいが、だんだんとこれがまずくなっていくというような結果が、今まで往々にあるわけなんです。たとえば東北興業の問題でもそうでございます。そういうように非常に大きく発展していけば、これは最初の構想通りいきますけれども、金をつぎ込んでもつぎ込んでも、これが一向にうだつが上らない、こういうことになりますと、やはりこれはどら息子をかかえたようなものでございまして、この毎年毎年予算をつぎ込むだけで一向に芽が出てこない、こういうようなことがあるわけなんです、往々にして。そうするとこれが出発は大きな構想のもとに出発されましたが、だんだんとこれが先細りになってしまって、そしてにっちもさっちもできなくなってしまう、こういうような危険性が私はあるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。その点どうお考えになっておられますか。
  51. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) 科学技術の後進性を日本としてはとり戻すことは、非常な最近の事業ないし研究の旺盛な面から見ても、この情報センターの生まれた根本の世相じゃないかと思っておるのです。特に中小企業が技術的にレベル・アップしなければならぬという要請が非常に強くなってきておるのです。従ってそういうふうな社会問題として、国際的情報をいかに的確に迅速に流すかということ等を考えております。従って社会的環境がそういうことを要請するこの力というものは、この科学情報センターを必ず育成していくものであろうと思っております。これが一部の資本家によって金を出して一部の者に利用されるという程度で終るようなものでしたら、おそらくこれはおそれられるようなことになるおそれがあるとこう思われます。そういかないようにするためには われわれとしては立法後におけるこの情報センターの本来の精神を生かすために、十分な監視あるいは援助を与えていくということを、皆さんと一緒にこれは考えはかっていきたいものだと思います。
  52. 近藤信一

    ○近藤信一君 この事業計画を見ましても、いろいろと外国からの情報を集めて、それから出版物によってこれを売りつけて、そうして広くこの情報を流したいとか、こういう構想があるわけなんです。今大臣も言われましたように、問題は大企業は相当なスタッフもそろえて、相当な規模で情報も集め研究もしておるわけです。ところが、中小企業、特に中小企業といわれる中でも小企業、こういうところはそういうあれがない。そこでこういう通信物、雑誌等によって情報を流されても、これを十分に研究する、また、これを読んで翫味して、これとすぐ自分の工場に当てはめるというようなことも、なかなか私は困難だと思うのです。そういうような点は、どういうような方法で中小企業に対する科学技術の指導ということをなされるか、ただこの流す出版物だけで、それで政府の方は事足れりというふうに考えておられるかどうか、その点を一つ伺っておきます。
  53. 宇田耕一

    国務大臣宇田耕一君) それにつきましては、中小企業に対しましては金融は中小企業金融公庫とかいろいろ従来講ぜられております。それで最近は金融とか、信用供与とか以外に、技術をどういうふうにして、これに組織的に導入していくかということになりますか、また、たとえて申し上げますと、中小企業の中にどうしても研究組合、研究団体を組織化していかなければならない、そうして零細なものに対する技術の導入の機会を与える。それともう一つ技術士法を今出してあります。要するに技術に関する弁護士といいますか、計理士といいますか、それに似たようなものがここに生れて参ります。そういうコンサルタント・エンジニアリングがここに生れるということは、この技術情報を的確に流す、それがために中小企業組織をしていただき、その組織に対して今度はコンサルタント・エンジニアリングがおって、それがそれと一緒にそつのないように運営の技術的責任を持って活動してもらう、そういうふうなことを一連に考えておって、そうして中小企業ないし零細な御指摘のあった点に、できるだけのサービスのできるように、そうしてこの大企業のしわ寄せの来ないような事前の対策を講じたい、こういうふうに思っております。
  54. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  55. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。一時半に再開することにして休憩いたします。    午後零時四十分休憩    —————・—————    午後二時二十四分開会
  56. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) それでは委員会を再開いたします。  午前に引き続き、日本科学技術情報センター法案を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  57. 阿具根登

    ○阿具根登君 御質問を続けますが、この科学技術に限らず、すべて学者の待遇というのが、日本では一番悪いのでございまして、最高学府である大学の先生等も、すべて他の内職をしなければ生活できない、こういうようなことが現在行われておる。いやしくも科学情報センターという名称のもとに、世界の科学技術を取り入れようとするならば、相当な権威者を選ばなければならない、かように思うものでございます。そうすれば、それに対する待遇ということも相当考えなければ、集まってくる人がどういう人がくるかわからない、それに対してどういうようにお考えになっておるか、その点を一つお尋ねをいたします。
  58. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) しばしば申し上げております通り科学情報センター機能の十分な発揮のためには、人のよろしきを得なければなりませんし、それがためには理事長以下理事、監事その他職員にその人を得なければなりません。しこうして、その人を得るためには、何と申しましても相当の待遇をしなければならない。従いまして、一般公務員の職員給与に制約をされるような形であっては、十分なこの機関機能の発揮にはならない。従って、一般公務員給与よりは理事者、理事長等においては、それに制約されない優遇の措置を講じたい、こう考えております。なお、具体的にどの程度考えておるかというような点につきまして御返事をすべき必要がありましたならば、事務当局から答弁さしたいと思います。
  59. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 役員の理事長、常務理事につきましては、現在私ども大蔵当局に折衝中でございますが、大体理事長は十五万円程度、常務理事は十三万、理事が十万という線で折衝を重ねております。大蔵当局はその人の今までの社会的の地位によって、具体的に人がきまれば、そこで給与の点は話し合おうということになっております。一般職員につきましては、改訂の公務員給与の一五%増しというふうに、大蔵当局と交渉中でございます。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、この役員だけが、私はいつも考えるのですが、国会で何かをきめる場合でも、役員なんか、あるいは審議委員、こういう人たちはほとんどの人が十万円以上の給料をもらっておる。ところが、この人たちは三つも四つも兼職を持っておってほんとうの仕事ができない。そういう人たちに、何というのか、有名というのか、有名人に限ってはたくさんの金を出しているけれども、実際その下で仕事をする、ほんとうのその仕事をやっている人には、非常に給料が少い、こういうことでは私はいけないと思う。役員といえばたった四名です。四名の方で何しようたって、これはほとんど実際自分が携わってするようなことはないと思うのです。実際外国の書類を取り寄せて、それを翻訳するとか、あるいはどうするとかいう問題になってきますと、相当学者が要るのじゃないかと私は思うのです。役員の候補なんかは考えていないと、実際仕事をやる人は、今聞いてみれば、一般公務員の一五%増し、そういうことになれば、頭でっかちで、足がひょろひょろで、ほんとうの発足はできないと思う。だから聞いたわけなんですが、それはどうですか。
  61. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) お説の通りでございまして、実際仕事をやる人間は、情報活動をやります中心になります人たちは、むしろそれは中堅どころにあるわけでございます。従いまして、今一五%と申しましたのは給与だけで、そのほか残業とかその他の手当がつきますから、一五%以上には上ると、これもできるだけお説のように優遇をいたしてあるのでございますが、やはり特殊法人の形でありますと、その会社並みに引き上げるというわけにも参りませんので、いい人材を集めるためには、給料をできる範囲でいろいろの面で考えていかなければいかぬ、かように考えております。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長も加藤先生のお話をお聞きになりましたように、国会図書館を指して、科学のわかる人は一人もない、こういうことを言っておられるのですよ。相当な高級の人が国会図書館にはおられるはずなんです。それに対しても、そういう批判が当の学者からされるわけなんです。ところが、この役員というのは、事務を携わるとか、そういうことじゃなくて、ほとんど総括的な立場におられると私は思うのです。そうすれば、事務を携わる、ほんとうの仕事をされる、外国に行かれる、書類を取り寄せるということは、その人たちがやると思うのです。いわゆる大学の先生のできるような方々がやられると私は思うのです。そうしますと、今の考え方でいくならば、ただ役員を作るだけであって、お役所仕事であって、ほんとうにこの科学技術の先端をいく技術情報センターというのにはふさわしくない、私はそう思うのです。で質問いたしますと、それじゃどういう人材を集めようとされているのか、その点についてお尋ねいたします。資格をどのくらい考えておられるか。
  63. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 現在、日本で情報活動をやっております人々のリストを調査をいたしております。これは民間といわず、大学あるいは協会といわず、こういう活動をやっておる人々の、一つの団体ではございませんが、関係の集まりがございます。そういう中からも来ていただくことを考えておりますし、また研究所におりまして、非常にこういう才能がありましても、研究所においてはやはり研究がしたいということから非常に冷遇をされておる。まあ、九級とか十級というような低い給料をもらっておる人がままございます。そういうふうに、現在文献活動をやっておる人は、総じて申しますと、非常に待遇が悪いわけでございます。これに甘んじてやっておるわけでありまして、そういう方々のうちで、情報センターからぜひ来てもらいたいという人と、また向うから、こういうものができるので来たいというので、申し込みも現在ございます。従いまして、人材を採る対象といたしましては、学界、協会、団体あるいは民間の活動をやっておる、そういう広い分野から適任者を採用規格を作りまして、その規格に合った人を採用いたしたい、こういうふうに考えております。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 規格をお作りになって採用されるのは、それは当然でございますが、こういうものになったら、おそらく最高水準の方々だと思うのです。最高水準の方々をお集めになると私は思う。規格だけ強くしても、それに対する報酬が悪かった場合に、あなた方が期待しておるような人が集まるかどうか。あなた方は、集まった方は最良の人だと言って御紹介されます、必ず。ところが、往々にしてそうでないことが今までずっと続いておる。また、相当な見識を持っておる方方が、これはその事業だけに打ち込んでおられて、生活なんかちっとも考えておらないという方もたまにはおありでしょう。しかし、学者は飯を食わないでもいいということはできない。そうしてくれば、せっかくこれだけのやつを作って、そうして先ほど言いましたように、図書館もその他のものもあっても大して役に立たないようになるおそれまであるものを作っても、それに応じた人材が集まらなかった場合どうなるんですこれは。今失業者が多いから集まるには集まります。何ぼでも集まります。集まって来る人の問題です。ほんとうにほしい人が、ほんとうに科学の、この人ならどういう大企業に行っても、あるいは政府のどういう機関の方々にでも十分に対等に、それ以上に科学の詳しい人だというようになってくれば、あなた方が考えておるような待遇で集まって来るかどうか。せっかく来ても、先ほど言ったように、大学の先生でさえも何かほかの仕事をしなければならないようなことであるから、この人たちもまたそういったことをしようと言ったならば、決して考えられるようなことにはならないと私思うのですが、その点どうですか。
  65. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 給与において一五%、その他に諸手当を加えますればもっと多くなるわけでございまして、大学あるいは今申しましたような研究所にいる方々が、その待遇で来るかどうかというお話しですが、私どもの見通しといたしましては、今までいろいろ折衝した関係から考えましても、私は百パーセント来るということは期待できないにいたしましても、私どもの仕事を遂行する上において、支障のない人材は集め得ると思います。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が考えておるのは東大の加藤助教授が言ったように、人間を幾ら集めても、あるいは機能を幾ら整備しても、その衝にほんとうに耐え得る人、ほんとうにその衝に当っておる人、こういう人でなければ何にもならない。二億一千九百万円のPBリポートを出すといっても、ほんとうにそれを選択する人もおらない、こういうことを言っておられるじゃございませんか。おそらく大学のこういう研究の関係の方々は、相当深い知識を持っておられることは、これは御承知の通りなんです。ところが、そういう学問の中に入っておるから、今のままでおられるけれども、これが民間と一緒になる、あるいは政府の監督を受けていくならば、相当この人たちも考え方が変ってくると私は思うのですよ。そうしますと、集まって来た人は実際学界が望んでおるような人でなくて、学界から見れば、何だ、またあのくらいのものかと言われるような人であったならば、私はほんとうの機能が発揮できないとするなら、こういうことを、これは国会図書館以上のやつである、ほかの民間情報センター以上のやつである、大学の情報部門以上のものであるということを言われるなら、それ以上の人材を集めるためには、相当莫大な金をこれにかけなければできないと思う。もしもこれがそうでなかったならば、民間も学界も、よそを向きますよ。民間も学界も、自分たちの方が能力がうんとあるということになってくれば、こういう所にたよらないようになります。大体六十人のうち、どのくらいこういう専門家を持ってこられようとするのですか。
  67. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 六十名は本年度の予定でございまして、そのうち管理部門と、情報部門と分れるわけでありますが、最初六十名の場合は、情報部門としては約三十名、それから調査関係で三名、それから収集整理の分野で二十名、あとが管理関係になるわけであります。
  68. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、これに要する今度の費用はどのくらい見ておられるのですか。
  69. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 人件費でございますね、人件費は三十二年度の今の六十名で二千三百三十六万八千円を予定しておりますこれは七月一日から採用と、十月に採用いたすのと、分れておりますので、御了承いただきます。
  70. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、六十人をおしなべて考えてみても、二千三百万円とすれば、一人四万何がしですね、そういうことですか。
  71. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 七月と十月に採用いたします関係上、ちょっと計算がやりにくいから、三十三年度を申し上げますと、これはずっと十二カ月になりますので、五千六百五十八万五千円が百十名ということになりますから、約一人平均五万円以上にはなる予定であります。
  72. 阿具根登

    ○阿具根登君 三十三年度は二億五百八十万円ですか、そのうちの五千六百万でしょうね。そうすると、雑誌類を相当部数出すということをこの前御説明になっておりましたが、先ほど見せてもらったところでは、図書館の方でも相当な雑誌類を出しておられる。こういうのはどうなりますか。非常に重複してくると思うのですが、科学センターで出すような雑誌で現在図書館が出しておるのはやめさせられるのかどうか、あるいは重複して出すのかどうか。それからもう一つは、参考人も言っておられたように、現在出ておるものでも、ほとんど自分に必要のないものがたくさん出回っておって、自分が知りたいのは、その一部であったり、あるいはそれになかったり、そういうのが非常に多くて、そういう雑誌を膨大な部数刷って回すというようなことをするよりも、必要なものが要るときに手に入るようにしていただきたい、こういうことを言っておられたと思うのですが、そういうことに対して、どういうふうにお考えになりますか。
  73. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 雑誌の関係は、センターの一番大事な情報源でございますので、これは早いというのが一つのねらいでもありますし、その関係から雑誌のままで航空郵便で送ると輸送費が相当かかりますので、マイクロフィルムにとりましたものを、航空郵便で送ってもらうというような種類のものを、一応二千種類ぐらい考えております。それから国会図書館にあるもので間に合うような雑誌は、これは重複して買うことはもちろんいたしませんで、それを貸してもらう。しかし、しょっちゅう使うような、手元において相当頻度に使われるものは、これはやはり船便で取る場合も起り得ると思いますが、そういう点につきましては国会図書館と今後十分連絡をとりまして、国費を節約するという面、また、センター自身もなるべくそういう余分な金を使わないで、そういうものはほかの面にもっと活用したいという考えから、図書館とは緊密に連絡をとりまして、また、図書館の御援助を得まして、むだな経費は避けたいと考えております。
  74. 阿具根登

    ○阿具根登君 図書館の方見えておられますか……。図書館でこういうパンフレットをお出しになる場合には、これはどういうような形式で出しておられるのですか。この手数料その他はどういうふうになっているのですか。費用など、どうしますか。
  75. 中根秀雄

    国立国会図書館館長中根秀雄君) 図書館で出しておりますいろいろの目録類がございますが、おおむねは図書館予算の上におきまして、印刷製本費という費目で持っている経費を印刷費にあてまして、おおむねはそれらの目録等の印刷物を十分利用しまするような機関には、なるべく無償で配布をいたしております。なお、必ずしも製本印刷費がありませんでも、もし、その印刷を引き受けるような団体等がありました場合に、それに負担せしめまして印刷費を支弁させる場合もございます。
  76. 阿具根登

    ○阿具根登君 それによって収支はどういうふうになっておりますか。本の収支……。
  77. 中根秀雄

    国立国会図書館館長中根秀雄君) 図書館の印刷製本費で印刷しました分につきましては、むろん歳出の支出でございますから、出来上りました印刷物の資料につきましては、それぞれの機関等に配布いたしておりまして別段の収入もございません。それから団体その他に委託しましたものにつきましては、図書館としては別段著作権その他の料金を取らずにそれらの団体が自由に、われわれの希望等をいれまして、頒布に当っている場合もありますし、あるいは適正な価格をつけて団体自身の収入として頒布をしている場合もあります。
  78. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、こういう目録なり、必要に応じては総合雑誌等もお出しになる場合ですね、もちろん政府関係筋はこれは無料で配布されておるかもわかりませんが、一般民間等でやられる場合には、原価だけ取っておられるのか、それとも利潤を含めて取っておられるのですか。
  79. 中根秀雄

    国立国会図書館館長中根秀雄君)  図書館法律規定によりますと、二十一条の三号でございますが、これによりますと、国立国会図書館で印刷した目録票その他の出版物を他の図書館及び個人が購入しようとする際には館長の定める価格でこれを売り渡すとございまして、それらの目録類につきましては、それぞれ価格が決定されましてその価格によって販売されております。
  80. 阿具根登

    ○阿具根登君 三十二年度は途中になりますから、三十三年度で人件費五千六百万円ということだったから、三十二年度で御質問いたしますが、事業収入が一億一百万円、出版物収入が七千四百万円、情報提供費が二千七百万円、これだけ組んでおられるんですが、今、国会図書館のお話とどういうふうになりますか。
  81. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) 収入見込みといたしまして速報とそれからダイジェスト並びに調査資料情報提供費などを考えておりますが、まあ速報の方はこれはもう早きを尊ぶという意味で、一冊三十三年度におきましては百二十円を予定しておりまして、それをまあ月に二回出しております。これが十部門に分れておりますから、それの十倍になりますから、十二カ月になりますので一部門で二千八百円、それの一部門千六百部まあ売れると考えまして、それの十倍になりますから、約四千四百八十万円を見込んでおります。それからダイジェストの方は、同様に十部門に分れておりますので、一冊まあ二百円、一部門千六百部といたしまして、これは九カ月というのはまだ準備が整いませんので、七月から発足いたしまして九カ月ということで、これが二千八百八十万円。それから調査資料の方は百円で年四回出して二千五百部一回に売るということから、これが約一百万円。そのほか情報提供による収入といたしましては、これは二千七百万円を見込んでおります。で、その内訳といたしましては、大きなテーマにつきまして一週間ぐらいかかるような問題については、一件まあ五千円程度を見込んでおります。そういうものが月に十件ぐらい、十部門各部門について十件ぐらい考えて、十二をかけますと、これが六百万円。それから平易なもの、二、三時間で回答ができるようなものについては、五百円程度を見込んでおります。これが月に五十件、十二カ月十部門で三百万円。それからセンター保存する記録類及びセンター以外の協力機関の所有しておる資料等についても、マイクロフィルムの複写をやりまして、その提供によってこれはマイクロフィルムを一コマ十円と考えまして、六万の十二カ月ということで七百二十万を見込んでおります。それから一般の複写といたしましては一コマ三十円で二万枚、十二カ月、やはり七百二十万円。そのほか翻訳が、これは外国雑誌、ページを考えておりますが、約千円といたしまして月三百ページを予想いたしまして、十二カ月で三百六十万円以上が三十三年度の収入見込みでございます。
  82. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はしろうとでよくわかりませんが、先ほど人事問題に触れましたが、実際御答弁を聞き、資料をいただいてみますと、ほんとうにこの仕事をやる人は半分の約三十名、あとの半分の方は庶務、会計、複写、そういう事務的な仕事です。これは一般の事務員でもできるような仕事であると思うのです。そうすると、三十名の方が仕事されて年間一億の売り上げがある。こういうことになってくれば、大へんなものじゃないかと私は思うのですが、私は自分で事業をやったことも何もないからわかりませんけれども、そうであったならば、これは非常にいい事業になって投資が多くなりやしないですか、それはいかがですか。
  83. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) ただいま三十名というお話しですが、それは三十二年度でございまして、三十三年度情報部が五十名、それから依頼によっていろいろ資料提供して報酬をもらう、調査部といっておりますが、その方が二十一名あげております。従いまして七十一名になりますが、そのほか収集とか、複写、整理とかという方に約三十名ございます。約百名というものが中心に速報あるいは依頼による回答、調査という面に働く、これが中堅でございます。そのほかに外部に依頼をいたすことになっておりまして、先般も申しましたように、少くとも千名ぐらいは、日本のそれぞれの専門家に依頼をして、情報なり、あるいは翻訳なりをしていただく費用も見込んでおります。あるいは概設の機関にお願いしてやってもらうという委託経費も見込んでございます。そういうもので、直接センター直属の職員は、お説のように非常に少いのでございますが、それだけでなしに外部に委託するとか、あるいは協力してもらう方々を全部活用いたしますれば、私どもこれだけの仕事はやっていけるというふうに考えております。要はこの機関に対する関係者の協力ということが非常に今後大事になってくるだろう、こういう意味で、当初から学界並びに関係業界、あるいはこういう活動しているというところと十分緊密な連絡をとって計画を進めてきたわけでございます。
  84. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に一つ質問しておきますが、人事にまたさかのぼりますけれども、すべて政府がやるこういう問題については、官庁あがりの人がほとんどそこへ行っておられる。また、日本の一番悪いことは、国鉄一家といわれるように、国鉄出身の人はやめると国鉄関係の仕事にみなついておられる。銀行の関係の人は、これは商売ですから、餅屋は餅屋で、しょうがないかもしれませんが、ほとんど相互銀行などに行っておるから、汚職ばかりやってろくなことをしていない。今度またこういうものができれば、官庁関係からずらっと行くようなことになりはせぬかということを私は心配するのですが、そういう点は断然ないですか。官庁関係の方はほとんど採らない、こういう考え方であるかどうか。
  85. 三輪大作

    政府委員(三輪大作君) お説の通りで、この機関がうまくいくかいかないかは、人材をいかに集めるかということにかかると、私どもは確信をしておるわけでございまして、官庁から一人も採らぬかという御質問については、官庁の中にも、たとえば満州から引き揚げてきて途中から入っただめ、非常に不遇な人がおって、それがはからずも非常に語学ができてこの仕事に向く人がかりにおったといたしますれば、そういう人は先ほど一定の資格試験を経て採ると申し上げましたが、この仕事にほんとうに適切な人であるということがはっきりわかりますれば、これは官庁から一人も採らぬということは、私は言えないので、要するにこの仕事にほんとうに適した人を集めますれば、今の阿具根先生の御心配になることがないように運営ができるだろうと考えております。
  86. 古池信三

    ○古池信三君 それでは私から二、三質問をしたいと思いますが、まず第一に、この科学技術情報センターの性格という問題になってくると思うのです。これが公益性の非常に高い法人であるということは申すまでもないのでありまするが、また、これについて再々今までの委員会においても質疑応答がかわされたことはよく知っております。しかし、あえて重ねてこの問題についてお尋ねいたしたいと思うのは、これが将来この科学技術情報センターのほんとうの根本に触れる問題であると思いますから、あえて発言をするのですが、この内容を見ますると、出資者あり寄付金をもらい、また、政府からの出資もあるという非常に複雑な機構になっておるわけでありまするけれども、あくまでも出資に対しては必ずしもその利益を分配するというようなことは、これは第二、第三の問題であって、そのセンターとしてはそういうことは重きを置かない、今までそういうふうな御答弁もあったようでありまするけれども、ここにさらに確認をしておきたいと思うのです。便宜上こういう制度がとられたにしましても、あくまでこれは利益というようなことは問題にしないで、公益的なサービスの機関としてあくまでその主体性を続けていってもらいたい、こういう希望を私は持っておるのですが、これに対して政府の御見解はどうか。もう一度はっきりしたところをお示しをいただきたいと思います。
  87. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) 古池先生のお考え通り政府当局考えておる次第でございます。
  88. 古池信三

    ○古池信三君 それから今のことにも関連をいたすわけでございまするが、出資者といえば自然大企業になってくると思うのです。ところが、このセンターは仕事の内容からいいましても、あらゆる方面に公平に利用してもらわなければならぬ機関であるわけです。そういう際に出資をしたからとか、あるいは大企業であるからというようなわけで、その方面に優先的に利便を与えるというようなことがあっては、この情報センターを作った趣旨に合致しないと思うのです。むしろ、今一番日本で技術面におくれているのは中小企業でありまするから、中小企業に対しては積極的に利用をさせる、その便益をはかるということが、特に重要であろうと思うのですが、この点について政府はどう考えておられるか、はっきり御答弁をいただきたい。
  89. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) その点もまた、古池先生お考え通り政府も全く同感でございまして、この点につきましては、先ほど大臣からも質疑応答の中で御意見が示されておったと思いますが、出資の額あるいは出資者の人によりまして、あるいは特に国家的目的であるからとかというようないろいろ出資の額、人の種類によりまして提供いたしますサービスに厚薄があってはならないのでありまして、その点は、深く考えをいたしておりまして、大臣先ほど御答弁の通り、十五条に役員となるべからざる人をきめたり、あるいはこの機関の業務の方法につき内閣総理大臣に認可を受けなければならないと、変更の場合もまた同様、あるいは貸金計画、事業計画の作成等につきましても、内閣総理大臣の認可を受けなければならないというような規定を置きました点は、まさに古池先生御心配の点も考慮したがためにほかならないのでありまして、特に時代の要求であり、長く日本の産業界における宿題であり、問題でありまする中小企業振興のためにこれが大いに役立たせたいという趣旨もございますので、特に中小企業等のためになる点は、運用に当りまして格別の配慮しなければならないという点であると考え、運用のよろしきを期しておる次第でございます。
  90. 古池信三

    ○古池信三君 次に、運営に当る人の問題ですが、先ほども同僚委員から質問があったようでありますが、大体今まで役人をしておった人は、あまり採用しないという御意見でありましたようですが、こういうふうな国家を背景にした法人というような団体におきましては、とかく官僚の経験のない人が入ったとしましても、入ってしまうと、非常に官僚的な考え方になる、あるいはそのやり方も非常に悪い意味の官僚主義的になるということが、間々今まであったと思うのです。で、この情報センターは最も民主的でなければならないし、また、たれしも好んでここへ情報提供を求めに集まってくるというような好ましい機関とならなければいかんと思うのです、従ってそういう意味からいいまして、将来こういう官僚的な運営の方法に陥らないように、万全の措置を講じてもらわなければいけないとかように私は考えるのですが、この点については、特別に配慮される意思があるかどうか、お尋ねをいたします。
  91. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) その点も、これまた古池先生おっしゃる通りでございまして、科学技術庁が主となりまして、この法案を提案し、かかる機関を御審議願って作りたいというためには、新しい新機軸を出したいと、旧来のこういう機関が間々陥るような弊害と状態にならないように、民間の人材をここに入れまして、新風と新しい息吹きを盛り上げていきたいという考えでこの法案を作り、また、その運用に当り、監督に当りましては特にその点は注意をしなければならないと考えております。人材の登用を誤らないようにすると同時に、その登用された人材が、また陥りがちな官僚の弊風に堕さないように、常に新しい考えを持って運用に当らなければならない。従いまして総理大臣の監督に当りましては、実際の運用においてその点を十分考慮していかなければならないと、特にその点は心していかなければならないと考えております。
  92. 古池信三

    ○古池信三君 もう一点最後にお尋ねしたいのですが、とかくこういう法人になりますと、政府機関というようなことで能率が低い、こういう評判が立てられておる。この間の参考人の陳述の中にも、どうも役所の仕事より純民間の仕事の方が、非常に能率が高いというお話がありましたが、私は必ずしもあの参考人意見そのものが果して正しいかどうかということにつきましては、その通り考えるものではありませんけれども、しかし、とかくさような評判があるということは、これは事実であるわけであります。従ってこの情報センターは、今後の仕事のやりぶりについては、十分に積極性を持たして、おざなりにならないように、あくまでも日本の科学技術情報センターであるという点をあくまで念頭において、積極的に、また親切にその役割を果してもらいたい。これがもしも、おざなりになってしまえば、むしろ、あってもなくてもいいというようなことになって、多額の費用を投じても、何らその効果を現わさぬということになっては、非常に遺憾なことでありまするから、そういう点は十分政府も監督上注意をされることと思いますが、これに対する信念を一応お聞きしておきたいと思います。
  93. 秋田大助

    政府委員(秋田大助君) この法案で、いろいろ性格について一番質問が集中をされ、また質問重点が置かれたのでございまして、そこに理論的に形式上やや妙なものを感ぜしめます点がございますが、その裏には、まさにこの法案のねらいました特異な点があるのでございまして、あくまでも民間の創意工夫を常に新しくして進むところの機構なり、そういうブレーンを導入したいがために、実際上の面において導入したいがために、形の面においては、多少どうかと思われるような法文の形式になったわけなんでございます。従いまして、それだけにただいま古池先生御指摘の点については十分考えているということが、この法文全体の行間の中に流れている私は精神であろうと思っております。政府もまた監督に当りましては、この法の運用実施に当りましては、古池先生の御希望、また御注意を特に心に銘じまして、その運用を誤まらないことを期して参りたいと思います。従いまして、幸いにこれが皆様の御協賛によりまして、通りまして実施の暁には、また皆様方の御協力と、絶えざる御指導とを、この際またお願いを申し上げるものでございます。
  94. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記ちょっととめて下さい。    午後三時十四分速記中止    —————・—————    午後三時四十二分速記開始
  95. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 速記を始めて下さい。  日本科学技術情報センター法案につきましては、その取扱いについて、ただいま種々御協議があったのでありますが、その御協議に基いて、本案に対する質疑は、これにて終局することに決して御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 松澤兼人

    委員長松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なお、本案に対する討論、採決は、次回に譲ることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散