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1957-10-10 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月十日(木曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            青柳 秀夫君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            小沢久太郎君            大谷 贇雄君            小幡 治和君            木島 虎藏君            古池 信三君            小滝  彬君            高橋進太郎君            土田國太郎君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            河野 謙三君            梶原 茂嘉君   衆議院議員            小平 久雄君            春日 一幸君   国務大臣    通商産業大臣  前尾繁三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業政務次    官       小笠 公韶君    中小企業庁長官 川上 為治君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業団体法案内閣提出、衆議  院送付) ○中小企業団体法施行に伴う関係法  律の整理等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  昨日散会後委員長及び理事打合会を開きまして、今後の委員会の運営について御協議願いましたが、それにより十月二十二日から三日間委員会を開き、二十二日午後は岸総理出席を求め、これを内諾を得ておること、十月二十六日福岡で現地調査会を開き、名古屋の例に準じて委員五名を派遣すること、以上を申し合せましたが、そのように取り計らうことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議なければさようにいたします。  なお、派遣委員人選等は、慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないものと認め、さように取り計らいます。   —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それではこれより議事に入ります。前回に引き続き、中小企業団体法案中小企業団体法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を一括して、質疑を継続いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  6. 木島虎藏

    木島虎藏君 私は他の議員からすでに御発言がありましたが、この中小企業者の範囲でございますね、この第五条にございます。今までの御説明では、鉱業、工業運送業では、書いてあるように三百人、商業サービス業では三十人と書いてありますが、それからその他資本のことは何も書いてないのですが、大体一千万円、こういうお話がございましたが、今度は見方を変えて、取引ですね、月商、月の商売は、年の商売でもいいのですが、どれくらいの程度を見込まれて、これを中小企業考えておられるのか、その点ちょっとお聞きしたい。
  7. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 月の商い高取扱い高がどの程度であるかというふうなことは、実は頭に置かずにおるわけであります。中小企業と大企業との限界をどこで引くかということにつきましては、この間うちお話がありましたように、資本という観念従業員という観念が従来使われておりまして、そのうちで一応従業員という観念で実はいたしておるのであります。
  8. 木島虎藏

    木島虎藏君 一応その従業員観念で規定されるのも一つ見方でありましょうが、現在の資本主義経済社会では、やはりその資本力ということが、大企業との差別をする一つの目安ではないかと思うのであります。そこで、この資本力としては先ほど限界一千万円とおやりになりましたが、この資本力一つの反面から見たものが月の商いだと思います。そこで、そういう点から一つごらんになった方がいいんじゃないかと思いますが、あまり考えておらぬと、こうおつしゃいますが、あるいは従業員が何百人というのは裏を返せば、一体それが成り立っていってそれだけの人間を生活さしていくには、月商どれくらいなければいかぬということが当然考えられるのじゃないかと思うのです。そこで、それじゃ、もう一つ突っ込んで質問したいのは、この法案の表面には書いてありませんが、これと関連のありますこの資本力でございますね。この資本金の方で、たとえば中小企業金融公庫でございますか、ここから融資をする一つ融資対象と見たときの中小企業限界を一千万円、こう区切る。そこで、全般的にも何か関連があるので、それでは今度は考え方をかえて、一千万円とおぼろげ考えておられるその一千万円に対して、それでいいと考えておられるかどうか、ちょっとお聞きしたい。
  9. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 中小企業金融公庫法におきましては、一千万円または三百万円としまして、いずれかに該当すれは公庫を利用し得るということにいたしておるのであります。そこで、お尋ねの一千万円が適当かどうか、こういうことになりますと、一千万円では、現状におきましては私は少な過ぎるのじゃないか、こういうふうな感じを実は持っております。
  10. 木島虎藏

    木島虎藏君 私もそう考えておるのであります。そこで、今月商幾らかと聞いたのであります。その一千万円と申しますと、戦前の金にしまして、まあ四百倍としまして二万五千円です。二万五千円の資本金考えるということで考えますというと、中小企業でなくてこれは小企業で、中が消えてしまうのではないか。ですから、ほんとう中小企業と中に多少のアクセントをつけられるのであったら、一千万円でなくて、工業なんかならちょっと設備すれば一千万円になってしまいます。ですからこれは何ぼがいいか、これは検討を要しますが、少くとも昔の金の十万円程度、そうすると、三、四千万円程度まで引き上げてお考えになる方が適当じゃないかと考え質問したわけなんであります。  それから次にお尋ねしたいのは、この中小企業の問題で、今度の法案が出された根本の問題は、中小企業をいかに資本主義経済社会で弱いものが押し流されないで、何とかしてこれを立ち行くように保護してやろうということだろうと思うのであります。そうしますと、現在の日本中小企業で問題になりますのは、私の考えでは三点あると思うのです。第一の問題は資本力が足らない。中小企業資本力がそのために大企業なりに押されてしまう。それから第二点は、この資本力が足らぬので、これを何とかして他人の資本金融で格好をつけてやらなければいけない、この金融の問題。それから第三点は、やはり日本の当面するこの人口過剰の一つの現われでありまして、この中小企業同士過当競争する、これを適正にしてやろうと、この三つのねらいがあるのじゃないかと思います。  それで、今度の法案では大体あとの二つを主目的にしておられると思いますが、最初の資本力をふやすという意味におきまして、先ほどのような一千万円で金融対象考えるということになると、増資をして一千万円をこえると相手にしてもらえないから増資はできない。そうかといって利益のあったものを蓄積しようとしても、やたらに税金に取られる。現在の法人税、まあ今の中小企業と申しましても、大部分法人になっております。もちろん個人もございますが、これで非常に税金に取られる。だからこの今度の法案施行すると同時に、完全にそれをうまく中小企業のために考えてやろうとするならば、ここで税金の問題を考えてやらなければいけない。その税金の問題もいろいろございますが、内部資本が蓄積できるように考えてやらなければいけない。そこで、昨日海野さんでしたか、同僚議長から事業税の話が出ておりますが、事業税と同時に所得税の問題も、もう一ぺん考えなければいけない。それから所得税の問題を考えると同時に、企業内部留保した留保所得に対して課税を一時何とか考えてやるというようなことの一つ考えがあるかどうか。それからその中小企業の方々はどちらかというと、金は借りたくても担保がないのであります。ところが、金を貸す人は、これは自分の資金の安全を考えますから、どうしても物的担保ということを強要する。だからそこで事業の性質なり、あるいはほかの人的信用でこれをどういうふうにお考えになるか、これが第二点。それから過当競争の問題は、この法案にたくさんございますから、またあとでお尋ねするといたしまして、今の税金に対する考え方はどういうふうなお考えを持っておるか。それから第二点、信用力をどういうふうな方向でつけておやりになるか、この二点をお尋ねしたい。
  11. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 中小企業に対する税の問題につきましてはいろいろ御議論もあるのでありますが、私は個人的に率直に申しますと、均衡問題だけで考えられない。均衡よりもう少し一歩入らなければならない、こういう考え方個人的には実はいたしておるのであります。そこで事業税所得税につきましては、二十六国会で減税をいたしたことは御承知通りでありますが、事業税につきまして、特に物品税の問題もあると思うのでありますが、そういうものはさらにできる限り引き下げていくということが私は望ましいし、その努力をしなければならぬ。その場合に問題になりますのは、必ず大きな企業との税の均衡論が出てくるのでありますが、税の実際の徴収の面から見ますと、小さいものに対しては若干のフェーバーを与えた方がいいんじゃないか、こういうふうな考え方を実はいたしているのであります。それからもう一つは、中小企業の困難な問題の一つは、私は近代性というものが、できておらぬ。いわゆる生産性を上げていくという方向についての条件が整っておらないところに問題があると思うのであります。たとえば一つがたがた旋盤を何年でも一台で親子で動かしている、こういう状態からまだ脱却できないという状況にあるようでありまして、その意味におきまして、中小企業の設備に対する特別償却をぜひ考えていくということで、今大体成案ができて進めております。これは私は中小工業部門近代化という点からいうと、ぜひやって参らなきゃならぬと思っております。同時にこれが中小企業資本内部留保一つの道であろうと思うのであります。そういうような点からこれも一つの行き方でありますが、どうしても内部に若干の留保ができるという方向に税の上においては大きな方向としては考えていかなきゃいかぬ、その具体的方向としては今申し上げたようなもの、いわゆる特別償却制度一つでありましょう。さらにその他の点も考えて進めて参りたいと思うのであります。ここに私は中小企業生産性を上げる、あるいは近代性を上げていく、こういう問題を言いながらも、なかなかそういう条件がまだ整っておらないというのが、現実中小企業の姿であります。こういうふうに考えておるのであります。  それから次に第二点の中小企業金融問題でありますが、金融問題で問題になりますのは担保力の問題、いわゆる信用力の問題でございますが、中小企業金融で一番中心点として考えられるべきものは、中小企業経営する経営者に対する私は信任の問題だと思うのであります。中小企業経営規模が小さいだけに、長期のいわゆる経営見通しというものは立てにくいというのが、私は一般的には言い得ると思うのであります。この長期にわたって経営見通しが立てにくいという状況下にあるものに、できるだけ長期の金をつけていく、こういうことになりますと、経営者の私は信用の問題ということになり、経営者の人的な要素に重点を置いて考えていかなければならぬ、また従来そういう方向において動かされて参っておるようにも思うのであります。しかし、そればかりでは参りませんのでどういたしましても信用力を補完していくという方向にもって参らなければならぬと思いますが、現在行なっております信用保証協会保証中小企業信用保険法によります信用保険制度、この制度を活用していく、拡大していく、こういう方向によって信用力をふやしていく、こういうことをぜひやりたい。で、私どもが今考えておりますのは、御承知のように信用保険事業団というようなものを考えて、これに相当多額のいわゆる資金を投じて、それによって保険あるいは保証能力をふやしていく、特に保証協会等につきましては、現実の問題として出資金の七倍ないし十一倍の間において保証が行われておりますが、現金操作がつかないと実は効果がないのであります、保証協会に。そういう意味におきまして機能を活用するという意味におきましても、信用保険事業団というようなものをぜひ考えて、相当強力にやって参りたいと考えておるわけであります。
  12. 木島虎藏

    木島虎藏君 第一点の問題に対する考え方につきまして、今の政務次官お話し全く満足する御答弁でございますが、なお推し進めまして、実際先ほど申されました税の均衡という形式的均衡でなくて、実質的均衡、多少中小企業傾斜をつけてやるということが必要ではないかと思う。と申しますのは、徴税の実際に当りまして、同じような率でも、中小企業の方は何と申しますか、すみずみまでわかる。それから大企業の方はなかなかこれは相当な専門家でないとわからぬ。だから同じ税率でよ、中小企業の方とそれから大企業の方と、そこらに実態的に違うところがある。だからこの点は相当の傾斜をおつけになっても、実質的の均衡がそこでとれると思うのです。ですからどうか政務次官個人的な意見などとおっしゃらず、政府の意見にですね、なさるように御努力を願いたいと思います。  それから第二点の問題では、今の信用保証協会に実力をつけて、これでやるということも一つの案で、ぜひ進めていただきたいと存じますが、つけ加えまして、今お話がありましたように、中小企業ではその企業主企業主個人的能力技術的能力というのが、これが非常に大きな問題だと思います。そこで、外国にはちょこちょこありますが、コンサルティングエンジニアという制度がございまして、これでもって絶えず相談をいたしまして、技術相談あるいは経営的の、まあそれは先ほどのはエンジニアの方でありますが、経営相談。だから経営相談とか、あるいは技術相談とか、そういうことが常時できるような、一定の料金を払って、常時できるような制度をお考えになって、そうして中小企業ほんとうに近代的の経営に、小さいながらも近代的の経営に持っていくようなお考えが、この法案施行されると同時におありであるかどうかという点を、お聞きしたいと思います。
  13. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 中小企業経営科学性といいますか、近代性といいますか、それをやるためには、金融あるいは税の面が大でありますが、同町に私率直に言って、中小企業の多くのものの経営が、やはり後進性を持っておる。そういうふうに考えるのであります。これを指導していくのは、何といってもいわゆる経営指導技術指導、こういうところにあるのではないかと思います。で、昭和二十四年ごろから中小企業企業診断という制度をしいてやっておるわけであります。この診断員制度というものを強化していくということが、必要ではないかと考えておるのであります。ただ、現実の問題といたしまして、診断員の数が少いということが、この制度を滲透させるに、なかなか困難な状況になっておるのであります。この診断員制度に、もう少し新しい構想を入れて、これを強く打ち出していくということが、私は今後の中小企業経営健全化に必要だと思うのであります。で、アメリカ等におきまするコンサルティングエンジニア、こういう制度、あるいは二十六国会通りました技術士法案、いわゆる技術士というふうな観点の制度というものは、私は中小企業実態から見ると、少し高級過ぎるじゃないか、率直に申し上げてそういうふうな感じを抱いておるのであります。中小企業経営指導というものは、技術経営と両方面にわたって指導のできる、いわゆる指導要員というものを養成していくということが必要ではないか、こういうふうに考えておるのであります。この点が非常にじみな仕事でありまして、あまり目立たないのでありますが、こういう制度を強く進めていくことによって、中小企業経営近代化というものができる。これに対する金融の裏打ちも非常に、容易になってくる。また、税の問題にいたしましても、いろいろ実態を把握することが困難な状況に対して、一つの手がかりを与えるというような趣旨考えて参りますと、診断員制度というものを強めていく、ぜひやって参りたいというふうな考え方を持っております。
  14. 木島虎藏

    木島虎藏君 次にお尋ねしたいのは、生産面の方で、先ほどの、今のお話しのような技術経営診断員制度をお作りになりまして、今度は製品の売りさばきの市場面の方でどういうふうな御対策があるか。あるいはこの法案に同じような品物を売れるからといって、どっと作り出して値を下げるとか、あるいは新しい市場の開拓をする、そういうふうなことを中小企業指導してやるような面がおありであるかないか、なければ将来どういうふうにお考えになるつもりかどうかという点をお聞きしたいのです。
  15. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 中小企業経営がうまくいくということは、結局売れた品物が順当に回っていく、要するに販売面確保にかかってくると思うのであります。そこで市場面の具体的な対策という問題につきましては、これは相当むずかしい問題でございます。官公需に対して優先をさせる、優先をさせるというよりも、少くとも優先して参加のチャンスを与えていくということが考えられます。これは衆議院継続審査になっております法案がございますのですが、こういうような趣旨をできるだけ広げていく、こういうことが一つの行き方だと思います。  それからもう一つの問題は、特に中小企業地方特産物、いわゆる都市における生産物になりますと比較的簡単でありますが、地方特産品というようなものにつきましては、国内市場における販路自体の発見がむずかしくて、ごく限られた地方にのみ多い、こういうものにつきましては商品展示等の方法を講じまして、国内市場自体を広げていく。こういう問題が地方特産品地方中小企業製品に私はあると思います。これは従来、たとえば一つ人形をとりましても、人形地方的に埋もれておったものが、日本的、全国的な一つ商品になり得たような例も多々ある。それからこういうような考え方をいたしますと同時に、基本的に私は日本中小企業というものを輸出産業輸出へ向けていく、こういう努力が強く行われなければならぬと思います。昨年度約二十五億ドルの輸出認証額においてあるのでありますが、重化学工業製品は大企業によって行われた過程からいたしましても、農水産物を除ますと、工業製品のおそらく半分というものは、中小企業製品自体であります。大企業の部品、あるいはその関連部分を入れますと、これが七割近くもなるというような状況に相なっておるのが、日本輸出商品の現在の構造であると思います。こういうような実態のうちで、私は日本中小企業製品というものを海外に向けるという努力をするならば、相当なお向け得る余地が多いと、実は考えておるのであります。ただ問題は、海外に出すだけのルートがなかなか見つからないというところに、一つ困難性がある。また、海外に応ずる意匠その他の関係が不十分である。こういうこともあるようでありますが、中小企業全体のいわゆる売れ行きを高めていくという方向は、基本的には私はやはり輸出方向にこれを指導していく、こういうことによって販路確保、増大をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 木島虎藏

    木島虎藏君 今の中小企業の将来の行き方として、輸出重点を置くという考えは、これは大へんけっこうなことですが、そのときに考えられることは、製品の規格と申しますか、検査の問題ですね。これを一体どういうふうにお考えになりますでしょうか。
  17. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 私は検査の問題が、昨年の秋の北京、上海におきまするあの事件というようなものと考えますと、検査は相当まとまった輸出商品につきましては、強い強制検査と申しますか、強い検査施行していくということが、私は必要だと考えておるわけであります。
  18. 島清

    島清君 関連して……。ただ、いまの木島さんの質問に対して、中小企業指導面からいたしまする経営指導技術指導、こういったようなものが必要はないかというような前提の上にお立ちになっての御質問であったようでありますが、しごくごもっともでございまして、そこで、ただいまは不十分ではございまするけれども、診断員制度というのが行政的指導としておやりのようでございますが、これを切望する声が、もっと強化してもらいたいという声が非常に強いのは、私が申し上げるまでもございません。今通産省がおやりになっておりまする診断員制度には、理想ばかり高く掲げられておりまして、予算化が伴いませんので、非常に不十分であります。そこで、たとえば診断員にいたしましても、もっと何か立法いたしまして、診断員資格を、法律的な根拠に基いて指導活動をやってもらうとかというようなことも、当然に必要ではなかろうかと思いますが、そういったような診断員法的根拠に基きまする診断員活動中小企業指導活動、こういうようなことを進められて立法化するお考えはないかどうか。さらに、今の予算ではとうていこれは不十分だと思いますが、こういったような面に力を注がれまして、もっと予算を拡大されましてさらに強化すると同時に、予算の裏づけを取って活発に中小企業経営技術の面から指導されるというお考えがあるかどうか、これを御説明いただきたいと思います。
  19. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 診断員制度で、私が先ほどお答え申し上げました中に、非常にいいのだが、じみでなかなか伸びない、率直に伸びにくいということを申し上げたのでありますが、私は診断員制度につきましては、まず、現在の診断員制度企業合理化促進法のある一条に診断員制を置くということが掲げてあるだけでありまして、診断員の身分、その資格がまだ法定されておらぬということは、その一つ権威を弱めておるのではないかと思うのであります。そこで、技術指導、違った意味においての中小企業経営技術というようなものを総体的に見る能力を持つ診断員の養成というものを作っていく、そのために必要な立法を考えたいと、こういうふうに私は考えておるのでありますが、ただこの資格、何々という、技術士とかあるいは経営士とかというふうなものがたくさんございまして、これらの限界をどこに置くかというふうな、いろいろ技術上の問題が若干ございますが、中小企業専門診断員制度権威をあらしめていくという方向にぜひ努めて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それからもう一つのいわゆる予算の問題でありまするが、予算の問題は御承知通りに比較的微弱であります。現状では、現在一億三千万円程度、逐年ふやして参ったのでありますが、現在一億三千万円程度、これをふやしていくという方向にぜひ努力をして、この制度の活用をはかっていくというふうにいたしたい、こう考えております。
  20. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 関連してちょっと……。今、木島委員が、商業面から、中小企業のあり方と申しますか、あるいは従って今度の法案のねらいというようなものを端的にお話しになったんですが、私も全く同感で、今度の法案に対して、ある人が、まあ端的な表現で、今度の中小企業は、金貸し制度、安い金と、税金をまあ安くしてもらう団体だ、こういうようなことで簡単に言い表わしたという話を聞いておりますが、私はまことにきわめて端的な表現であると思うんです。そういう意味合いで、今、木島委員が、中小企業というものが、資本力とか、あるいは規模とか、こういうような観点から、いろいろ政府当局との間にお話があったのですが、この際、もう少しこれをお聞きいたしたいのは、一口に中小企業と、こういいましても、先ほど政務次官の話しだと、将来中小企業に対して、たとえば輸出の面で非常に振興したいというような言葉もあるんです。しかしながら、中小企業と簡単に言い表わされております中に、私は大資本に対する、特にこの中に位する企業、言いかえるならば、資本力が小さい、こういう観点から、いろいろな企業をしている一つの群、あるいは商業資本でいえば、大資本に対して、まあ中なり、いわゆる小企業としてのそういうものもあると思うんです。ところが、これらの中小企業という中に、現在この法案でも予定されておりまするけれども、非常に、零細の、農業でいうならば、零細農にも値いする、言いかえるならば、そのこと自体が、もう自分の生きていく一つの生活である、企業というような言葉で表現されるのではなくて、そのこと自体が生活であるという面が非常に多いと思うんです。たとえばわれわれの町でも、軒を並べている商業自体は、もはや企業という言葉をあてにしないで、そのことでもう生きていくんだ、自分の生活のなりわいだという部面が非常に多いと思うんです。ところが、従来の政府と申しますか、従来の考え方では、この中小企業という、その「企」というところに主点を置いて、何か今、政務次官のおっしゃっておるように、この状態を主にして輸出を振興するのであるとか、あるいは企業診断でこれを何とかしていくというような、むしろ中の企業対象にせられたいろいろな施策なり考え方がそこに含められて、ともすればこの零細、まあ私から言えば、零細のものが生業であって、言いかえるならば、そのこと自体でもう生きていくんだ、こういう面が非常に取り残されておるんでないかと思うんです。従って私の考え方から言えば、今度の中小企業団体法でも、本来ならば、むしろそういう零細的なものと、もっと企業としてやるものとは、これは本質的な違いがあり、また、ある場面においては、商業というものと、それから事業もしくは工業、インダストリーというものでは、また非常な考え方なり法案なりでも、その取り扱いが非常に違うんじゃないか。きのう来から社会党の委員から、いろいろ今度の法案について、何と申しますか、消費者の物価を値上げするんじゃないかとか、いろいろな質問があったんですが、それにいろいろ修正せられた衆議院側のお方からお話しもあったのですが、要するに、きのうの御論議にもありました通り、この法案一つのねらい、あるいは従来中小企業と呼ばれている中には、ただいま申し上げた通り、非常に零細企業であり、零細生業であり、そのこと自体で生活していかなければならぬから、同時に、そういう生活体に一つの組織を与えて、そうして何と申しますか、まあ消費者も成り立つ、自分たちの生活も維持できる、こういうものに対して、ある一定の組織化をはかり、一定の法的な根拠を与えようというのが、今度の法案の私はねらいでなかろうかと思うので、従って私のお聞きしたいのは、政府におきましても、そういう中小企業と一口にいっても、そこに多くの零細的な、いわゆるこれによって生活をしていく部面があり、そうしてこういう面については、ただいま木島委員からお話しのあった通り税金の面であるとか、あるいは金融の面であるとか、そういうものに対して、ちょうどわれわれの生活に生活保護法があるように、ある意味からいえば、この中小企業法の裏打ちとなって、税金もしくは金融その他のことについて、もっと親心のある一つの裏打ちがあって、初めてこの法案が生きるのでなかろうかと思うのであります。従ってそういう零細あるいは中小企業の中に、それ自体が生業であり、生活しているようなこういう部面については、この法案が通ったというだけではあまり意味がないので、そういうものについて十分な裏打ちがなければ、この法案ほんとう意味が生かされないと思うので、この際、通産大臣に、そういうものに対する施策、これについてお伺いをいたしたいと思うのであります。
  21. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私を御指名でありますから、私からお答え申し上げます。ただいまお話しのように、中小企業と申しましても、その中にただいまお話しの、生業というべき零細企業者、それからやや大規模にやっておられる企業者、これはおのずから非常に違っておると思います。また、金融面から申しましても、いわゆる中小企業金融公庫を作りました意味もそこにある。従来の国民金融公庫というものが対象としておりますものと、中小企業金融公庫対象としておりますものと、だいぶ様子が違います。しかし、一つの法律の中で規制はいたしておりますが、またいろいろ御修正のありました小組合というような考え方も、そこに発しておるんだと思います。従ってただいま技術指導ということがありましたが、診断は、あるいはかなり規模の大きいものに対する考え方でいっておるものもありますが、生業を中心とした診断ということもやっていかなければなりません。輸出の問題につきましても、今後いろいろ繊維品あるいは雑貨品につきましても、高級品をまあアメリカに輸出するという場合には、おそらくかなり手の込んだ、いわゆる生業でやっていく製品があるのであります。おのずからいろいろ私は分野がありまするし、生業を対象とした指導あるいは金融、あらゆる問題について、これは二つに分けて考えていくべきものだと思いまするし、それぞれの分野についての徹底といいますか、対象考えながら、ただいま政務次官からお答えしました指導にしましても金融につきましても、あらゆる面でやっていきたい。ことに金融につきましては、むしろ国民金融公庫が先にできました。その方の徹底の方がむしろ早かったように思っております。ただいまのお話しのように、大規模なものを中心とするより、まあ手近かな零細企業者を指導していくということの方が、むしろ容易でありまするし、それを先に考えていくべきものだと私は考えておりますので、その点は御趣旨に従って十分考えながらやって参りたい、かように考えております。
  22. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 三、四点お尋ねをいたしたいと思います。中小企業安定法によります調整組合は、工業部門だけに限られておったのでありますが、今度のこの団体法案は、工業部門だけでなしに、広く商業部門、サービス部門、小売部門にも商工組合の結成をさせて、そうして調整事業を認めておりまするので、消費者の利益と非常な関係があるわけであります。もし商業部門にできました商工組合が、小売価格の協定でもするというようなことになりまするというと、直接消費者に影響をしてくるわけであります。きのうもふろ談議やら、とうふ談議まで出たというようなふうで、その点を消費者は非常に心配していると思うのであります。で、商業者の保護に急のあまりに、消費者の利益が不当に無視されるというような懸念があるのじゃないか、多分にあるように思われるわけであります。消費者の利益が不当に阻害されぬためには、商工組合の行います調整事業につきましてどのように考え、また商業の保護と、そうして消費者の利益との調整をどういうようにはかろうとしておいでになるか、その点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  23. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 一般消費者に対する利益を不当に害してはならぬということが根本精神で、あらゆる面にこの法案に出ておりますことは、御承知通りであります、また、一方、不況を打開し、中小企業者の安定をはからなければならぬという、要請の両方があるわけであります、ただ、いずれが、まあ両方相関的な関係にあるわけでありまするが、ただいまこの法案の全体の構想は、極力調整規程の発動、ことに価格に対しまするものにつきましては、もう最小限度ぎりぎり困るというところまでは発動しないという建前になっております。ことに中小企業者の半数以上が不安定でどうにもならぬという場合に発動されるわけでありますから、消費者の面から言いましても、これはやはり需要供給で、供給するものがなくなれば消費者自身も困るわけであります。おのずからそこに両方の限界があり、また正常な場合におきましては、どの程度であるかという、価格などにつきましても、いろいろ限界がありまするし、またそれに対しまして、コスト計算ということもできるわけでありますから、それらを勘案して、まあ消費者もこの点につきましてはしんぼうしていかなければならぬという限界線を、まあぎりぎりの線だと思いますが、作っていかなければならぬ、かように考えているわけであります
  24. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 それからこの法案では、商工組合の代表者が調整規程による調整事業に関しまして組合交渉をやる、組合協約を締結することができるということになっておりますが、従来の中小企業等協同組合法では、団体協約の締結ができることになっております。この組合協約と団体協約とは、性質がどのように違って、また締結の内容、及びその効果がどんなふうに相違するのかという点について御答弁をいただきたいと思います
  25. 川上為治

    説明員(川上為治君) 現在の協同組合法によります団体交渉、これは組合員の、委託によりまして、団体交渉ができる、そういう権能を持つというだけの規定でございまして、今回の団体組織法によります商工組合の組合協約は、相手方に対しましてある程度の義務を負わしておるのであります。ということは、この法案にもありますように、相手方はこれに対しまして誠意を持ってこれに応じなきゃならぬということになっておるわけでありまして、そういう規定は現在の協同組合法にはないわけであります。もしこれに対しまして応じない場合、また話がなかなかつかないというような場合におきましては、行政官庁から勧告がいく。大体この辺で話し合いをつけたらどうだ、またせっかく商工組合の方から話が出ておるのだから、それに応じたらいいじゃないかと、こういう勧告を出すことになっております。しかしながら、その勧告に対しまして、別に罰則とか、そういうものがあるわけではございません。従いまして現在の協同組合の組合交渉よりも、一歩これが強化されておるということになっておるわけであります。
  26. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで、その組合交渉ができると、そこで交渉を受けた相手方は、その交渉に応じなけりゃならぬという規定でありますが、とのことは大企業中小企業との間の対立関係を助長をして、経済界にまあ労働争議のような姿を持ち込むというようなおそれはないかどうか、その点承わっておきたいと思います。
  27. 川上為治

    説明員(川上為治君) 私どもの方としましては、この商工組合の組合交渉につきまして、いろいろな限定をしておるわけであります。たとえばこの交渉をする場合につきましては、調整事業に関する問題でなければならないとか、これはもちろんその相手方に対しまして応じなきゃならぬというような規定を適用します場合におきましては、調整事業に関するものでなければならないとか、あるいはまた、その商工組合の代表者が交渉する場合におきましては、政令の定むるところによりまして、あまりたくさんどやどやと行って交渉するというようなやり方ではなくて、なるべく紳士的に交渉してもらうというような、いわゆる代表者につきましても三人以下というような程度考えておりますし、また、代表者は必ず組合の理事者でなきゃいかんとかというような、そういうようなことを規定、規制いたしまして、そしていわゆるその大企業者である相手方と、中小企業団体との間に非常に対立的なことがないように、極力やってきてたいというふうに考えておるわけであります。
  28. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 昨年の前国会の中間で、関西の人々が多数来られまして、参議院の会館でいろいろこの団体法に関する意見の開陳があったわけですが、そのときに主として造船関係、それから機械、繊維工業というような関係の代表者であったのですが、それらの人が非常に反対をしたわけです。それはこれらの産業には、下請の中小企業をたくさん持っておる。そこでこういう関連の小中企業に依存しておるところの業者が非常に多いわけなんです。そこで、大企業でありまするところの機械メーカー、造船業者、繊維業者というようなものが、製品のよいものを作る、品質を向上をする、あるいはコストの引き下げをはかりまするために、その下請の協力工場に対しましてあるいは技術の面でも、あるいは資金の面でも、資材等の面につきましても非常に援助を行なっておる。従って下請小中企業の育成指導を行なって、そうして下請業者の設備の近代化また合理化を促進をしてきておる。また、下請小中企業も、これらの親企業とまあ専属的な関係を結んで、進んで大企業に協力関係にある例が非常に多いということであります。ところが、この法案によりまして、商工組合が結成をされるということになるというと、小中企業者の横の団結が申しました組合交渉と組合の介入によりまして、従来の縦の関係にあった、すなわちまあ系列化されておった大企業と、そうして中小企業との協力関係を遮断をするというようなことになりはしないかという点を、非常におそれておられたおけであります。このことはせっかく従来一つの慣行として行われてきました大企業と小中企業との間の円満な取引関係を阻害をするというようなことがないかどうか、この点一つ明らかにしておいていただきたい、かように存じます。
  29. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 下請業者の方々は、おのおの業種が違っておると思います。従ってこの団体法の考え方でいきますと、ある企業の下請業者が全部団結して団体交渉に当るという場合は考えられないのであります。同業の、全国にまたがります同業者が、そのうちで、その一部の何ヵ所かが縦の関係に系列化されているという場合におきましても、価格の制限、あるいはいろいろな数量の制限ということをやります場合は、ただいま申しましたように、非常にまあいろいろな点で半数以上も不況に陥っているという場合であります。そのためにその大企業者といろいろな問題について摩擦が起るということは、実は考えていないのでありますが、その点は従来の中小企業安定法の場合におきましても、全然そういう事態は起っておりません。その実例から考えましても、ただいまの御懸念の点は私はないと、まあかように考えております。
  30. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 それから次に、今度の協同組合法の改正によりまして、今回新たに火災共済協同組合も認めることになったわけでありますが、この組合の行いまする事業は、火災保険事業と何ら変りがないように思われるわけです。なぜ名称を火災共済協同組合とし、火災保険協同組合としないのかという点、また、共済と保険とはどういうふうに違うのかという点について、お示しをいただきたいと思います。
  31. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) ただいま御質問の点、すなわち火災共済協同組合を火災保険協同組合となぜしないのか、こういう問題でありますが、実はこの点も衆議院におきまして、わが党と社会党の諸君と話し合いをいたしましたときにも、いろいろ実は論議が出ました。出ましたが、結論的に申しますというと、今回新たに認めようといたしますこの火災共済協同組合、その行うところの専業はなるほど火災保険事業といえば言えないこともないような実態でありますが、しかし、あくまでもこれは協同組合の組織により、また組合員の共済という精神によって行われる事業であるからして、あえて保険というこの表現を用いないで、どこまでもやはり共済という精神によって行うという建前からいきまして、火災共済協同組合、こういう名称でよろしいのじゃないかという結論に達したわけであります。
  32. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 そこで、火災共済組合に対しましてですね。都道府県が支払いの保証を行うことになっている。これは火災が起って組合が支払い不能に陥るというような場合に資金の融通を確保する、こういうことの措置だと思いますが、その都道府県の支払い保証があるということによってですよ。組合の事業経営というものが非常に放漫になるというような心配はないかどうか、この点も一つ承わりたいと思います。
  33. 小平久雄

    衆議院議員(小平久雄君) その点はもっぱら保険金額の制限という点と関連をいたしているわけでありますが、従来も、御承知通り、全国の各都道府県の約半数くらいのところには火災共済をやっているわけでありまして、もちろんそれは事業協同組合の言わば付帯事業と申しますか、福利厚生事業として行っているわけでありますが、それらの組合の多くにつきましては、やはり各都道府県等におきまして、いわば中小企業の救済というか、助成と申しますか、そういう見地からそれぞれ支払いの保証等も現に行れているわけであります。そこで、そういった制度があるから事業が放漫になっているんじゃないか、こういう御趣旨のようでありますが、私もその一つ一つの組合の経営をつまびらかにほんとうに詳しくは存じませんが、そういったこの保証制度があるゆえに経営が放漫になっているという実例についても、まだ特にわれわれも耳にいたしておりませんので、今後も各都道府県等の中小企業対策の一環としてそういう制度が行れるならば、はなはだけっこうなことじゃないか。別段これは、御承知通り、それを強制いたしているわけでも何でもないのでありまして、そういうものがあった場合には、保険金額の算定の基礎に入れたら、入れよう、こういう案になっております。
  34. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 もう一点、これは通産大臣から一つ、そこで今の火災共済組合ですが、府県がまあ支払保証をすると、こういうことになりますると、組合の保険事業に公営的な色彩が非常に加わってくる。ひいては民間の保険事業というものを圧迫するような結果になりやしないかという点を思うわけでありますが、この点について一つはっきり御答弁をいただきたいと思います。
  35. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 私に御指名でありまするからお答えいたします。いずれにいたしましても、こういう制度を認めることにつきましては、多少民間の保険会社に影響があることはこれは事実だと思います。ただ、金額が百五十万円というような程度の場合でありますと、おそらく入っておらぬ人が大部分じゃないかというふうに考えるのであります。現在民営の保険会社が対象としておりますのは、かなり大きい、また工場とかそういうものが対象の中心となっておりますので、この点は大きな圧迫を与えるより、従来の制度があまりにどうも放漫でありまして、そのために片一方の相互共済事業としてやっております保険と民営の保険との間に非常な懸隔がある、それではどうも、もっと制度化されて、まあ率直にいえば同様な、われわれが規制を受けておるのと同様な規制をやってもらいたいというような要求を、従来民営の会社はしておったのであります。そういう点から言えば、むしろ逆にはっきりと規制されたものができるということが望ましいのじゃないか、それこれ勘案いたしますと、この点はまあ両立していけるものだ、かように考えております。
  36. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 団体法に関して大臣に一、二お伺いしたいと思いますが、団体法の内容を見ますると、結局安定法、共済組合の改正と申しますか、これが大体中心であって、私どもはさしたることがないように思われる。従って立法技術としてはむしろ安定法の改正で事が足りるのじゃないかとさえ思うのでありますが、それは別といたしましてお伺いしたい点は、九条の関係であります。安定法の場合と今回の場合と多少程度が変っておるように思われる。言いかえますると、過当競争によってある特定の業種をのける中小企業が非常に不安定になるという点は同じでありますが、若干今回の方が縛られておるように思うのであります。そこで大臣に伺いたいのは、わが国の中小企業が非常に不安定である、非常に不振であるということについての原因は、私は多々あると思う。特に業種によっては、必ずしも過当競争ではなくて国の政策なり、あるいはある特定の物資の需給の急激な変化ということによって、非常な不振に陥るということは少くない。何がゆえにこの商工組合を設けて、その業種における中小企業の安定をはかる場合に、過当競争ということに限定をするのか、なぜその過当競争ということに限定をしてその他の原因による場合はとらないということは、ちょっと理解ができないのであります。もちろん、その日本中小企業を通じての過当競争、これは本質的な問題であるということについては疑いがない。しかし、個々の業種についてはいろいろ原因があり得ると思う。そういう分析はおそらく安走法の実施の結果に徴して、種々分析されたことであろうと思う。その点についてのお考えを伺いたい。
  37. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 中小企業が不振に陥っております、原因は、これはもう確かにおっしゃる通り多々あると思います。また、先般も御質問がありましたように、大体領土の狭いところに日本人が人口が多いのでありまするから、企業が総体として多過ぎるという、この自然運命的な問題は、さらに大きな問題として横たわっていると思います。しかし一業種につきまして、あるいは一定地域内におきます中小企業が不安定になっておるという原因の重要な要素が、いわゆる過当競争であることについては、中小企業安定法が制定せられましたあの当時からの実情を見ましても、そこに一番大きな原因があるということには間違いなかったと思います。ところが、中小企業安定法が制定せられまして、それが必ずしもうまく運用されておらぬという点は、御承知のように一つは、アウトサイダーの問題だと思います。また一つは、あの安定法に適用されますまでに非常に大きな時間的な関係なり、ことにあれにつきましては、生産業者に限っておるというような面が、非常に不備な点であるということは従来からいわれております。それらの点を直していこうというのが、この団体法の考え方だと思います。ことに共同経済事業を行なっておりますものと、調整事業をやっておりますものは全然別個の組合であるというところにも、複雑であるばかりでなしに、調整事業そのものに対して何か別個の感じを与えておるというような点も私は不備だったと思います。ただいま御指摘の第九条というのは、中小企業安定法の要件から見ますと、実は実際には変っておりませんので、相当部分というようなものが不安定になるというようにはっきりさしていった。これはおそらく適用を、新大臣の認可だけで適用していくわけでありまするから、それらに対して今度はかなり限定して、はっきりさして法律で縛っていこうという気持が現われておるものだと思うのでありますが、いずれにしましても、従来の安定法では不備な点があり、もっと拡充強化すべきだということは、従来の実績に徴しまして要請がある、かように考えてこの法案ができたものであります。
  38. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 まあ、過当競争が本質的な問題であるという点については問題がありませんが、ただ、一業種についてその考え方でいけば、やはり根本的の解決はできないのであって、結局その業種がよくなれば、そのしわは他の中小企業に及ぶということは、これは免れ得ないと思います。しかし、これは意見になりますので控えますが、御承知のように、現在団体法をめぐって私は二つの見解があると思う。一つは、これは非常に多くの中小企業の方々だと思いますが、内容はとにもかくにも第二として、この法律が通れば、それによって中小企業というものは救われるのだ、従ってぜがひでも早く通さなくちゃいけない。大臣のいわれた世論というのもそういうことが反映しておるであろう。ところが一面において、他の見解としては、相当この内容を理解しておる向きだと思いまするが、これができても、なかなか動くものじゃない。ことに昨日の春日さんの言われましたように、七つの関所があって、なかなか簡単にこれが動くものじゃない。従って実際これから来るいろいろな影響なんというものは、心配することは、これはむしろ愚のことだという一つの見解が確かにあるのであります。この二つが私混迷しておるように思われる。もしこのまま実施されて、さてやろうと思ったところが、そう右から左にできるわけじゃない。何のことだという一つの批判が起ることは、覚悟しなくちゃならないという感じもするのであります。それで問題は、過当競争によって中小企業が相当部分やっていけないという判定をどうするかというところに一つの問題があると思う。で、これはその判定は大臣がされるのであって、その判定の基準については審議会ですか、そこで検討されることになるようであります。一体どういう大臣として判定の基準を持っておられるのか、これを伺いたい。昨日春日さんでしたか、大体病人が病気になって、それを治療するのだ、こういうお考え方、ごもっともと思うのであります。ところが、一方において病気は全部病人なんだ、慢性病であって、中小企業はもう全部が病人なんだという考え方も御承知のようにあるのであります。私はその点をはっきりすることが非常に大事な問題じゃないか。特に一般中小企業関係者の中に、先ほど申しましたように、確かに二つの大きな対立するところの見解があるんであります。その点を一つこの機会にはっきりさしていただきたい。
  39. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) ただいまお説の通りに現在再説があると思います。この安定法が通れば、非常に今までの不安が全部解決するんだというようなお考えもあるかと思います。また逆にこれが出ましても、おそらくもう適用されるのは非常に厳格になっておりまするから、ごくまれであって、ほとんど動かないんじゃないか、こういうお説は私ごもっともなことと思います。また私自身も、あるいはこれがあまりにもう乱用されることをおそれていた結果、非常に厳格になり過ぎておるという感じは持っておらぬわけではないのであります。しかし、従来の中小企業安定法を運用して参っております経験から申しますと、これが動かぬというわけではないのであります。ただ、あるいは今後のいろいろ状況考えまして、あるいは不適当な面が出てくるかもわかりません。しかし、とにかく踏み切ってやりませんと、いつまでたっても解決しない。また現在言われております不況の原因はお説の通りに多々あると思いまするし、また、慢性的なものもあるわけでありますが、しかし、現在御承知のように繊維品等におきましては、安定法を発動してそれによって救われておる面もある。結局この安定法を発動すべき状態の判定ということになるかと思います。問題はそこにあるかと思います。しかし、従来からの経験からいたしますと、価格の推移とか、あるいは在庫の状況、あるいは倒産の状況、そこでいろいろ原価計算をやってみるというような面からいいましても、また調整事業というのは、御承知のようにそのときの、一時的といいますとあれですが、一時的な現象を救っていこうというわけでありますので、かなり顕著にいろいろ理由が現われておるわけでありまするから、それらの理由によってこれを判定するのが適当であるかどうかということは、大勢は非常にむずかしいにしましても、そのときそのときの問題をつかまえますと、十分判定していける、かように考えておる次第であります。
  40. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 まあ、そのときそのときの情勢に応じて判定していく言われることも、わからないわけではありません。また、工業面においては中小企業といえども、小なりといえども相当の資本を投下して生産の設備も持っております。特に安定法の経験もあります。一応の判断もできないわけではないだろう、しかし、それにもいろいろ私は問題があると思いますけれども、この際にそういう点の基準をはっきりすることが非常に大事だと思います。特に私伺いたいのは、商業面、流通面であります。従来の安定法においては、日本中小企業の中で不安定な立場にあるのは流通面も生産面も同じである。ところが、安定法においては工業面を対象にして商業面といいますか、流通面というものは、これから除外してきた。それにはそれの私は理由があったであろうと思います。今度団体法案においては流通面を広くお入れになったのであります。一体この流通面を対象にした場合に、どういう判定をされるのか、私自身も実は見当がつかない。多くの人も見当がつかないであろう。一体どういう業種を当面想定されるであろうと考えましても、繊維関係の卸とかそういう面については、考え得ないわけではありませんけれども、特に小売面においてこの団体法に対して関心を持っておるのでありますが、果して一体どういう業種が当面想定されておるか、そういう場合に一体どういう判定の基準をお持ちであるのかという点がぜひ伺いたいと思うのであります。その点は非常に一面において不安であり、一面において何といいますか、非常な期待を団体法にかけておる現状から見て、はっきりされることが必要じゃないかと思う。
  41. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 流通面におきましては、ただいまお説の通りに非常に判定がむずかしいかと思います。そうしてまた、はっきりしております面は、繊維品等におきましてはそういうことだと思います。まあ結局は私は乱売ということが、まあ、これは乱売はそう永久的に続くものではありません。乱売というような事実がかなり継続的といいますか、行われておるかどうかというようなことが、一番根本になってくるのではないかというふうに考えております。
  42. 相馬助治

    ○相馬助治君 関連して……。今の梶原委員質問関連してお尋ねしたいと思うのですが、問題になっている団体組織法案につきましては、世上非常なる期待を持っておる面と、また逆にこの法律案が成立することによって、非常なる悪影響が出てくると、杞憂に過ぎるのではないかという程度にまでおそれをなしている面と、二種類の行き方が見られると思うのです。先ほど自民党の高橋さんが触れたように、この団体組織法案というのは中小企業者が簡単に金が借りられて、税金が安くなる法律なんだと、こういう説明をした人があるという話が披露されたのですが、事実そういう宣伝めいたことも言われております。と同時に、この法律案ができるというと、物価はもうとんでもなく高くなって、どうしようもないのだという、こういう話も伝えられておるのです。そこでですね、私はたびたび大臣にも申し上げたように、日本の現在の中小企業の運命を打開するために、どうしても立法措置を必要として、今般政府が提案したその気持は、私は心から敬意を表すと申しておるのです。で問題はこの法律案をよりよきものにして、同時にこれを通すということが私どもの立場でありまするが、一方政府はこの法律案を、ぜひとも一日もすみやかに審議を了して成立をせしめたいと念願をするならば、それ相当の決意と、同時にこれをめぐるところの諸準備と、並びに将来の見通しについての具体的なる説明がなされなければならないと、私は指摘して参ったのです。ただいまの梶原委員質疑に対しましても、大臣の答弁は完全に梶原委員を了解せしめていないようでありますが、私どももそれだけの説明では、何か力強いものを感ずるわけにいかない。別な言葉で言えば、不安を感ずることがしきりです。私は、政府がどうしても本法案を成立せしめんとするのであるならば、中小企業関係法案を社会党は並立して同時に成立せしめよと主張しておりますから、そのようにしてほしいし、かりに、もしそれが不可能であるとしても、関係法案については社会党が主張するがごとく、並立し同時に成立は困難であるけれども、この法案については作業をここまで進め、そうしてこの法案については将来このように考えている、ないしはせっかくの社会党の主張であるが、その法案並びにその考え方には、全く賛成することができないというように、法案関係についても明瞭に見解を披瀝した方がよいと思いまするし、ただいま問題となっておりまする基準の明確化の問題についても、ある程度の予想は可能なはずでありまするから、これはもう少し明確にする必要がどうしても私はあると思います。一口に中小企業と申しましても、商業部門あり、工業部門あり、サービース関係あり、特に流通面におきましては多くの問題が予想される。予想はされるけれども、政府が現在の機能をもってもっと真剣に調査をし統計を集めるならば、ある予測は立ち得る、かように考えまするし、本法において政令にゆだねている面が多いから、その政令の内容等についても、私どもはどこまでも拘束するのではないから、大体のものでも委員会に示して、しこうして本案の成立を急ぐという態度が私はあくまで必要だと、かように思うのです。私が聞いておりますることは、この問題をどうしろ、断の問題をどうしろと言うているものではないのでありまするが、前尾通産大臣のこの問題に対する総合的な見解をあらためて伺っておきたいし、もう一点は、やはり本法成立によって諸物価が上るであろうと、こういうふうに言われておるのです。これに対して政府は何ら有効にして、しかも大方を納得せしめるような説明を積極的にしていない。われわれの質問に対して、環境衛生法によって事実上ったじゃないかと、こう言うても、政府の担当の係官は、さようなるととはわれわれの手元に統計として来ておりませんからわかりませんと、かようなることを言っておる。統計論ではなくて、現実にあの環境衛生法によってある種の物価の上ったことは事実なんです。事実は事実として率直に認めて、そうしてこの本法によって消費物価が上るであろうとする予見に対しては、政府は政府なりの、いわゆる提案者は提案者なりの合理的な、そうして大方を納得せしめんとする熱意に燃えた説明がなされなければならぬと思うのです。これらの点について政府の御見解を、私はこの際梶原委員質問関連して、とくと再度承わっておきたいと思います。
  43. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 梶原委員お話し通りに二税があるということを申し上げたのであります。しかし、一般においては、とにかくこの団体法を一口も早く通過成立せしむべきだというのが、一般の声だと思います。また、御承知のように中小企業安定法の非常な不備が言われておるのでありまして、そうしてその不備を補うものが今川の団体法であり、それについて一般の世論は、二説はありますが、世論としてはとにかく早くこれを通す、またわれわれにいたしましても、とにかくこの問題に一歩踏み込んでいくということでなければ、いつまでたっても解決しないのでありまするし、また、いずれにいたしましても、安定法そのものを少くとも改正しなければならぬ時期に到達しておると思うのでありまして、それがすなわち今回の団体法ということに相なると思うのであります。ただ判定の基準につきまして、具体的に数字的に、こういろいろ御説明するというわけには参りません。ただいま申し上げましたような価格の推移とか、あるいは在庫の状況、倒産の状況、あるいは原価計算というようなものを総合的に判定していくより、これは仕方がない問題でありますので、まあそういう基準につきましては明確にはいたしますが、これによって数学的にどういうふうになったらと、こういう御説明はこれはまあできないと思うのであります。また、環境衛生の場合とこれは非常に違うのでありまして、このために物価が上るというようなことは、われわれは全然考えてもおりませんし、想像もいたしておりません。もちろん、安定させるのでありまするから、部分的に非常に下っておりますものが、適当な価格まで引き戻すということは、これはもう当然あり得るのでありまするが、そのために一般的に物価がどうこうというようなことは、あり得ないと思うのであります。また、そういうところまでやるべきではないのであります。ただ、まあ繊維品等におきましては、御承知のようにあまりにも暴落をいたしまして、かえってそれが輸出について阻害されておりまする状況から、御承知のように生産制限をいたしております。そうして適当な価格にまで引き戻しつつありますことは、皆さん御承知通りでありますが、結局そういう意味におきましての価格の引き戻しということは、もちろんこれはねらいでありまするから、あり得る、またなければならぬわけであります。しかし、それがために不当に消費者に不利益を与える、あるいは不当に価格をつり上げるということは、この全体の構想、また非常にそのために厳格な規定を設けておるのでありまするから、全然われわれはそういうことはこの法律では予想してないのであります。また、この団体法だけで中小企業が救える、これが全部であって、ほかにはないのだというふうには、もちろん考えておりません。しかし、これが基礎になりますことは事実でありまして、この基礎のもとにいろいろ従来からいわれております、またこの団体法と関連のあります法案につきましては、できるだけ早い機会に検討いたしまして、また皆さんの御意見も伺って、そうして考究をしていくという考えでございます。
  44. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 世論は一口も早くこの法案の成立を要請しておるとおっしゃるわけでありますが、それだけに私はこの法律が運用される基礎と申しますか、これをはっきりしてかかることが必要であろうと思うのであります。  それから大臣に一つはっきりお願いしたい点は、工業面といいますか、生産面と流通面では実態が非常に違うと思うのであります。実態が非常に違う。従って先ほどお話しのありましたあるいは原価計算であるとか、その他の事柄は、これは私は生産面においては相当はっきりするであろうと思います。ところが、流通面になりますと、なかなかそうはいかない。大臣は流通面、特に工業部門においては乱売等があれば……、こうおっしゃいますけれども、乱売というふうな抽象的なことで、一体こういう相当強い統制権能を持つところの組合ができる、できないのその基準になろうとは、ちょっと私考えられないのであります。もう少しく流通面におけるこの基準ですね、これをはっきりさせることが必要じゃ、ないかと、どうしても思うのであります。
  45. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 結局、乱売ということを申し上げたのですが、これは原価計算その他によってわかることでありますが、また倒産の状況、あるいは値段の推移というものを考えて勘案すれば、少くもこの団体法を発動すべき状態であるかどうかというくらいの判定は十分できると思います。
  46. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 それは現在のところ、これまでのところ、通産省において業界の実態を検討されておると思いますけれども、この法案が実施されれば、当面これが適用される流通面における業種はどういう業種でありますか。特に小売面であります。何か二、三例を一つをお示しを願いたい。
  47. 川上為治

    説明員(川上為治君) これは業界の方からもいろいろ要望もあるわけなんですが、私の方としましては、やはりその繊維関係等が今一番問題ではないだろうか。ですから、おそらくまあ繊維関係等が一番先にできてくるのじゃないだろうかというふうに考えております。
  48. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 繊維関係の、私の質問しておるのは、小売面であります。繊維関係の小売面というとどういうあれですか、いわゆる洋品店とか呉服店さんとか、そういうものですか。
  49. 川上為治

    説明員(川上為治君) これは布帛製品とか、あるいは呉服とか、そういうものであります。
  50. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 そういう業界が、現在九条の判定によって、過当競争でその多くが経営が非常に困難である、こういう状況にあるわけでありますが……。
  51. 川上為治

    説明員(川上為治君) これはもちろん、業界の方で組合を作りたいということで申請がありまして、私どもの方としましては、この法律によりまして、その申請がありましたときに、果してこれがそれに該当するかしないかというのを検討し、果してその基準に合うかどうかということを検討しまして許可をすることになるわけなんですが、私どもは特に最近の状況からいいましても、繊維関係とかそうした方面におきましては、相当不況に陥っておるのじゃないかというふうに考えています。もちろん、これは先ほども申し上げましたように、業界の方から出してきましたものを、十分その基準に従って検討した上でこれを許可する、せぬというのをきめるわけでございますから、これは具体的に出てきたことによって結局措置をされることになるわけでございます。
  52. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 議論をする気持はありませんけれども、まあ布亀裂品等が当局において当面対象になるであろう、しかし、業界からの申し入れが先決だと、これは法律がそうなっておるわけであります。ただ、もしそうだとすれば、一体その繊維関係の小売の商工組合は何をやるかとなれば、私、価格協定以外にないだろうと思う。ほかにちょっと想像ができないのであります。特に商工組合の地区というものは、相当広範囲に分れておるが、広範囲を予想されるが、東京都内であるとか、何々県とか、何々市とかということになる。従って、きわめて多数の業者が組合員として参加するわけであります。考え得ることは価格協定がまあ主であろう。ほかにあるかもわかりませんけれども、まずそれが第一だろうと思います。また、そういう面で非常にこの法案に対する要求があるとすれば、やはりそこにあるだろうと思う。そうすれば、やはり消費者との関係が相当私は重大な問題になるであろうと思うのであります。そういう点はどうですか。
  53. 川上為治

    説明員(川上為治君) 私どもは、むしろその小売について価格協定するということは、逆に非常にむずかしいのではないか、業界自体が価格協定をすること自体が非常にむずかしいのじゃないか、むしろ、いろいろ私の方は業界の意向も聞いておるのですが、やはり先ほど大臣からお話がありましたように、乱売するということが一番問題でありますので、たとえば景品つきの販売をするとか、あるいはまたおとり販売をするとか、そうした販売方法についての制限、あるいはまた正札販売を励行させるとか、あるいは量目の正しいものを販売をするとか、そういうようないわゆる販売のやり方についてのいろんな制限行為をする、そういうことをまた業界の方でも強く、要望しておるようであります。
  54. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 私は、乱売ということは、景品をつけるとか、いろいろありましょうけれども、結局安く売るということが乱売であろうと思うんです。従って、そういうことをやらないということは、やはりこれは実質的には価格協定になるであろう。それ自体が悪いというわけじゃありません。もし、そういうことであれば、これはおそらく、ほとんどすべての、といいますか、大部分の業種について考え得ることであって、九条にいうところの、判定によって区別していくことが非常にむずかしいであろうと思うのであります。非常にむずかしいであろうと思う。そういう点が、私、工業面と非常に違うところであろうと思うのであります。この法律の実施の上で、一つの紛淆といいますか、混乱が起ることを、実は概念をするのであります。また、そういうことが、安定法において、事実、実際問題として、流通面というものをしばらく別にしてきたゆえんであろうと思う。そういうことを直ちに組合の一つの統制権能で処理することが適当かどうか、非常に疑問だと思います。  なお、それに関連して一つ伺いたい。これは大臣に伺いたい。この法案に突如、新しい一つの組合が現われておるのであります。まあ、二つできましたけれども、あと事業協同組合の小組合の点は別の機会にお伺いしたい。商店街の組合であります。商店街の組合というものは、現在どの都市においても至る所にあるわけであります。それぞれ自主的な組合として活動を、御承知のように、しておるわけであります。これが、今度、この法律に基くところの商工組合になるわけであります。調整規程を作って統制権能を持つわけであります。一体、その商店街の組合というものは、多極の業種があるわけであります。各種の業種がある。その間に別にお互いに不当の競争もあるわけではないと思う。そういう各種の業種が入っておる。そういう商店街の組合をここに入れて調整事業をやらすというわけでありますけれども、一体そういう必要が事実あるのか、そういうことが現実に行われるのかどうか、その必要性と、その団体の統制として、そういうことが適当なのかどうか、お伺いしたい。ことに、先ほどお話しのように、布帛製品といいますか、そういうものについて必要であろうと言われたんです。そうすると、至る所の商店街にはそういう店もあるんです。結局、そういう業者にとっては、商店街の商工組合と、それから、県単位の商工組合と、両方に加入をせざるを得ないということにも相なるわけであります。それは両方にダブるんであります。そういう点はどうなんでしょう。
  55. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 商店街の組合を特に特記いたしておりますのは、ただいまお話し通りに、その他の商工組合とダブる場合が起るためで、重複するのは差しつかえないという意味で特別に入れておるものでありますが、また、現実問題として、先ほど長官から申しましたような景品つきの販売とか、あるいはおとり販売とか、いろいろ販売方法の制限に関しましては、商店街の組合も商工組合を作る場合が多いかと思います。また、現に、以前におきましては、やはり商工組合を作っておった例も多いのでありまして、従って、商店街組合というものも商工組合として作り得るようにしておきませんと、むしろ、この場合が必要な点におきましては、この場合よりもまさっておるというような場合があると私思います。この点は御了承願います。
  56. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 以前にも、もちろん、商店街には商工組合とか、現在も商業組合とか、いろいろあると思います。それは、やはり自主的な組合はあったんであります。地域的の、一つの環境によってやってきておるのであります。大臣は、大きな区域の商工組合とダブることがいいと、差しつかえないと言われますけれども、ある業種については、両方に入るわけであります。両方に入って両方の調整の統制を受けるわけであります。こういうことは、私必ずしもよくないと思う。どっちか一つ入りゃいい。必要な措置は、おのずからそういう前田街の特殊性に照らして私はできるであろうと思う。それを一々何といいますか、政府に持って行って判定をしてもらってやるというふうなことは、どうしてもおやりになると言えはいいですけれども、少くとも、両方の商工組合に入るということは、私は制度論としても正しくないと思う。両方の統制を受けることになる。いかがでしょうか。
  57. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 商工組合も、御承知通りに、全部自主的にやるのでありまして、商店街の組合等におきましては、おそらく自主的のものがそのままで行ける場合が多いのじゃないかと思います。そうして、重複いたしましても、おそらく調整する対象は、非常に違ったものであります。従って、両方の組合の規制を受けなければならんという場合は、相当予想せられることでありまするし、やむを得ないことだと、かように考えております。
  58. 海野三朗

    海野三朗君 私は、昨日、一昨日から大臣に税のことについて、また、物価の値上りがないかということについて質問をいたしておるのでありますが、これに明快なるお答えがない。品物は上らないんだというようなことを、また、春日委員もそれを言われる。上らないんだじゃいけないので、そこにも、そういうふうな傾向が見えたらこういう手を打つというところのはっきりしたお答えをいただきたい。税の問題にいたしましても、中小商工業者、ことに、零細企業においては、実にかわいそうなんです。私はその現状をよく知っておる。国民金融公庫から五万円口の金を借りて、次から次へと、つまり、彼らは、フロム・ハンド・ツー・マウスの生活をやっておる。それは何であるかというと、この団体法を制定して救うんだと言われるけれども、その裏づけとして半面においては税金の問題がある。この税金には、所得税とか、あるいは物品税とか、事業税とか、この税でもってあえいでおるのが中小商工業者の零細企業者のあわれむべき気の毒な姿である。ところが、一方においてはどうか。石油の関税に対してはああいうふうなことをやっておるじゃないか。ところが、大臣の答弁におきましては、あの関税は政府に入るんだ、事業税は県に入るんだ、そこが違うというようなことで、そんな答弁を私は伺っているのじゃない。税は、本来の性質から考えてみたならば、県に入ろうが、国に入ろうが、同じである。そういうふうな片手落ちをやって、それでこの法案だけを通して行こうとされるのは、私は納得いかない。それでありますから、この団体法案を通過せしむると同時に、事業税なり、所得税なり、あるいは物品税なりについて何としてもこれを下げようとするところの御決意があるか。あるいはこれを大蔵関係であるから私一存ではいけない、こう逃げられるのでありましょうけれども、あなたが閣僚の一人として、通産大臣としては、中小商工業を救うためであるならば、その税の問題、これはただおざなりの御答弁では私は満足できません。これは問題がむずかしいのでありますから、今直ちに御答弁を私は要求いたしません。次の委員会において納得のいく御答弁を私は伺いたい。ただいまのに対しては、すぐ御答弁を要求いたしません。よくお考えなさって納得のいく御返事をしていただきたい。いつもほかのことでもってごまかしておる御答弁である。昨日の御答弁もそうである。一昨日の御答弁もそうであった。物価は上りませんか、そういうことはない。ないでそれは済まされないのです。私は重ねて今大臣に要求しまして、その御返事は来たるべき委員会において、私の納得のいくような御説明をお願いして、私の質問をこれで打ち切ります。
  59. 河野謙三

    ○河野謙三君 この機会に簡単に一つ伺いたいのですが、この法案に大部分の全国の中小企業者は期待しておることはもちろんでありますが、同時に、この中小企業者以外の消費大衆が非常にこの法案通過以後におきますところの不安を抱いておることは、事実で断ります。そこで、私は伺いたいのでありますが、現在非常に混乱しておる、非常にむだの多いこの日本経済の中の流通機構、この流通機構が、この法案通過後におきましてどういう点とどういう点が合理化されて、そうして消費者にはどれだけ利便がもたらされるかという、何か具体的なものをお持ちでございましょうか。ただこの法案が通って中小企業者が安定し、そのしわ寄せが消費者にいくというような、消費者が不安を持っておるような点が、この法案審議の経過におきましてはっきりしないのではいけない。現在におきまして流通機構が非常に複雑化し、非常にむだが多い、それがために消費者に非常に転嫁されておるというのは事実です。また、これは大きな政治の課題でございます。この法案とともに流通機構の合理化ということも並行してやらなければならない私は大臣に責任があると思う。これについて当然お考えになっておると思いますが、具体的に流通機構が合理化されてどういう点のむだが排除されるか、私はこれを伺いたい。
  60. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) この法案におきましては合理化とか、そういう面は実は出ておりません。また、先ほど来から物資の価格が上るのじゃないか、こういう御意見でありますが、私どもは価格が上るというよりも、不当に下っておるものが元に戻る、もちろんそれより以上に上りますならば、これは調整をやらなければなりません。従って不当に下っておりますものを元に促すという考えだけであります。従って先ほど来申し上げておりますように、価格なり物価が上るということは、全然予想いたしておりません。また仰せのように合理化の問題は、この団体法とは別にとっくり考えていかなければならない問題だと思います。ただ、法律的に合理化をどうするかということではありません。今後におきまして、これはあらゆる面において合理化を促進するという方策はとっていかなければならぬと思っておりますが、具体的にただいまどうこうという、あるいは数字的なもの、そういうようなものは私は持ち合わせておりません。その点は御了承を願いたいと思います。
  61. 河野謙三

    ○河野謙三君 政府当局が、はなはだ失礼な言い分でありますけれども、そういう消極的な態度であるから、私は消費者に非常な不安を与えておると思うのです。現に流通機構に非常にむだが多いということは、大臣も政務次官もお認めになっておるはずです。たとえばこの間私、触れましたが、現在問屋業というのがありますが、現在の問屋業は流通過程においてどれだけの使命を果しておるか、特に今度この法案通りまして、団体が経済行為を行うということになりますと、ますますもって私は全部とは申しませんけれども、大多数の問屋業というものは理論的に存在の価値はなくなると思うのです。金融の裏づけをするわけではない、相場のリスクを負うわけではない。ただ昔からの因縁で、どこどこの会社と、どこどこのメーカーと取引があるから、それでおれは問屋だと言っているだけなんです。現在非常に私は問屋の存在価値というものはないと思う。そこへもってきて、今度は団体が経済行為を行うということになれば、これはほとんど問屋業と同じことをやるわけです。これ一つをとりましても、この中小企業団体法が通過と同時に並行して流通過程の整理統合といいますか、整頓を私は考えてもらわなければいかぬ。何も具体的に示さないで、消費者は心配ない、値段は上らないのだといってみたところで、これは信用しませんよ。何か具体的に、全部とは申しませんが、一つでも、二つでも、この法案通過後においては、流通機構においてこういう整理が行われるのだ、こういうふうな措置がとられるのだ、それでむだが排除されるのだ、こういうものをお示しを願わなければ私はいかぬと思うのですが、これは大臣でなくてけっこうです。その方に非常にお詳しい政務次官でもけっこうです。局長でもけっこうです。何かあなた方お考えになっていることがあれば、お示し願いたい。これは私が聞きたいことじゃない。消費者が聞きたいことなんです。それがなくて消費者に不安はないのだといって押しつけても、承知しませんよ。特に問屋業については、この間私質問しましたが、問屋業と団体の経済行為は抵触しますよ。抵触しても問屋業は相変らずこの法案において保護温存していくのですか。その点を一つ明快に御答弁願いたい。
  62. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 非常にむずかしい問題であります。私は、基本的に中小企業対策というものがどういうところをねらっていくか、現在ある中小企業者のある姿のままで安定をはかっていくという考え方をとるか、そうでなしに、中小企業界の中に一つの合理的な何といいますか、流通過程というものを想定してやっていくかということによって、だいぶやり方は変ってくると思うのであります。で、本団体法におきましては、現在の中小企業のある姿を一応是認して、それらの不況克服対策として団体組織を認めていこう、こういう考え方がその基本になっていることは否まれません。私はそういう点から考えまして、日本の現在の流通機構というものが合理的な段階に動いているとは実は考えておりません。しかし一面から申しますと、日本の与えられた現状というものは、この多数の人々のいわゆる家業といいますか、営業というものをできるだけ維持していくという考え方に立たざるを得ないのであります。ただ、特定の商品等につきましては、他の要求によって私は合理的ないわゆる配分と申しますか、流通過程をとらざるを得ない場合が多々あると思います。従来でも一、二基礎資材にやってきたことは、御承知通りでございます。私はそういう点から考えまして、御指摘のいわゆる流通機構全体をもう少し合理化していくという考え方は、別の立場から、もう一つ日本の国の現在の経済力の充実というふうな問題と見合いながら考えて参りたい、こういうふうな考え方をいたしているのであります。御指摘のように、たとえばこの法律所定の諸事業を行うことによって、たとえば商工組合に新しく調整事業を行うことを認める、従来の中小企業等協同組合法においては経済事業を主力に行なっておったのに、これを並行的に認めることになったということが、今度の法案一つの新しいところでございますが、これは私はいわゆる調整事業と経済事業をあわせ行うことによって、より調整事業なり、あるいはまた経済行為が有利になり、より円滑に行い得る場合が多く考えられて、もしも調整事業との関連なしに行われるならば、私は中小企業等協同組合、いわゆる事業協同組合でいいのではないかと思うのであります。事業協同組合を考えます場合に、事業協同組合が御指摘の通りに共同購入をやり、あるいは共同販売をやる、こういうような行為をしたときに、その相手方になりますところの、いわゆる問屋、あるいはまた下部機構の、いわゆる既存組織との抵触問題が起る、御指摘の通りであります。私は、ここが自然の形において、この立場々々の経営合理化の線で持っていくということが、この際いわゆる経済行為によって、その結果として起ってくるいろいろな合理化なり再編成の問題が起ってくる。こういうことはやむを得ないのでありまして、意図してこう合理化するのだ、あるいは再編成するのだ、こういうような考え方をとらないと思うのであります。河野先生よく御承知通りに、協同組合が施行されて何十年になる。その間において、いわゆる経済共同事業を認めてきておることは御承知通りです。その間に徐々に一つの流通過程における何といいますか、変化が起ってくる。こういう過程を今のところとっていくことがやむを得ないのではないか、こういうふうな考え方を実はいたしております。
  63. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して……。私はきのうもおとといもやはり大臣の答弁を聞いて、この団体法によって物価が上らないと言われるが、非常に業者の中で悪くなったものを救うのだから、その面ではそういうふうな御答弁が確かに言えると思うのですが、しかし一般の国民大衆は、それならば下ったものをある程度までもとへ戻していくというならば、上ったものももとへ戻してくれなかったら、上ったものだけ放っておいて下ったものだけ上げるので、総体的に上るということは、子供だってわかるでしょう。まして、米価とか、運賃とかいう独占価格を一方において強大なるものを上げて、そうして物価が上らないなんていうことは、私はおよそこれは経済というものを考えるものから言えば、大臣の言っていることは、ごくその面において上げないのだ、下ったものを上げるのだ、あとをほったらかして、国民の方から見れば、上り放しものは上げておいて、下へ下ったものを上げてくれば、生活している人から見れば、今の物価指数は、そういうふうに下ったものと上ったものを足して何とかかつかつで、また最近は少しずつ指数が上っているということをいっているわけです。だからそういう中で独占価格やいろいろな価格が上っていって、今いったような下ったものをまたもとへ戻す、こういうようなことをするだけだと言ったら、助かるところは大衆にはないじゃないですか。上の方をおろしてくれなければ、調整がとれないでしょう。これこそ国民に対する調整をどうしてくれるか。私はだからそういう点で大臣はあまりごまかさないで、何だかこれによって上るのだという答弁は私は聞いてなくて、国民に総体的に影響を与えて、必然的な結果として物価が上ってくることになるのではないか。そういうことを私は正直に言ってもらいたいと思う。
  64. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 物価全体の問題は、これは物価全体の問題として全体的な政策で考えていくべきものだと思う。ここのねらっておりますのは、何も物価とかそういう問題に関係なしに、ある面で過当競争のために不当に下っておる、それでは倒産者がどんどん出てくる、中小企業者が倒れてくるのだというのを引き促そうということでありまして、そのために物価全体が上っていくということは、私は先ほど来から申しておりますように、ないのであります。
  65. 岡三郎

    ○岡三郎君 いやその点はわかるんだよ。
  66. 前尾繁三郎

    ○国務大臣(前尾繁三郎君) 上り過ぎた物価、またもうけ過ぎたものに対しては、税金でどうするとか、あるいは金融全体でどうするとかいうようなことで、政策として考えていくべき問題です。私はこれは別に物価とかそういう問題でなしに、不況で倒れていく事業者、中小企業者を助けようという目的なんであり、また、その規模におきましてもそういうことなんでありまするから、それとこれとは別にお考え願わぬとどうも……。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 政務次官に重ねてお尋ねいたしますが、私は今度の法案が通ることによって、中小企業者の自主性というものは非常に増してくると思います。そこに中小企業者の期待があると思います。今まで自主性がなかったところに弱さがあった。しかし、安定ということは、結局、利益をもっと与えるということなんです。利益を与えるということは、今岡さんが心配のように、それが物価にはれ上りはしないかと心配するのが当然です。ところが、利益を求める場合に、消費者に向って利益を求めるのじゃなくて、流通機構の合理化によって、そこから合理的に利益を生み出す。幸い団体法のもし通った場合には、自主性が非常に増すから、中小企業者の自主性の中から利益を求める。具体的な例を一つ言うと、毎日、自分のまなこに触れて、こういうことが何とかならんかと思っていることがある。申し上げますが、この法案が通った場合に、こうしたらいいと思います。たとえば牛乳の場合、牛乳が非常に農家は安く売っているけれども、消費者には高い、高いわけです。あの乳を運ぶ場合に、森永の特約店、明治の特約店、協同乳業の特約店、……、すぐ地元に森永の工場があるにかかわらず、明治の特約店は十里も二十里も遠くから運んでいる、協同乳業の特約店は六里も七里も遠くから運んでいる、森永の工場はすぐ地元にある。こういう形になっておりますね。それが要するに、この牛乳の場合言うならば、牛乳が高くなっている一番大きな原因です。それを牛乳なら牛乳の同業者の組合ができた場合には、かりに森永なら森永の工場が地元にあるならば、運賃の合理化の面からいって、この地区の森永の工場の周辺の牛乳屋は、この森永の工場から取るようにしましょう、明治の工場の近くの牛乳屋はそこから取るようにしましょう、こういうふうに自主性を私は持たせるようにすれば、また持てるようになるのですから、今まで、どうしてそういう不合理なことをやって商い運賃をかけて、あの牛乳を運んでいたかというと、金融の面、あるいはその他従来の取引因縁からいって、弱い中小企業者が自主性がないところに引きずり回されている。この法案が通ることによって自主性を増すことによって、そういうふうに自主性をもっと強力に発揮できるように、側面から、この法案のどこかにそういうことを盛り込んでやることによって、牛乳だって私はもっと安くいけると思います。安くいって、十円のものが八円で売れるようになれば、一円は牛乳屋が取って一円は消費者に還元する、こういうふうにしたらいいと思います。これは一つの例なんです。そういうことをこの法案通過の前提において、この審議の過程において、はっきりと何かわかるようにしていただけないか、こういうことなんです。そうでなくて、ただ今の商工業者のある姿のままを前提としてやるのだ、追って流通過程のことは後段において、またとくと考えましょう、こういうことでは、今にやります、やります。今にやるやると死んじまった人がある。死なないうちにやったらどうか、そういうことはお考えになっていないか。私は考える余地があると思うのですよ。そういうことでなければ、自主性を持った意味はない。自主性を持ったのなら、その力を全部消費者に転嫁するおそれがあるから、この問題が起っている。うちに利益を求めるということについて、何か具体的にお考えになって指導されたらどうか。
  68. 小笠公韶

    説明員小笠公韶君) 私の、ある姿のままというのは、経営体としての組織を前提とする、こういう趣旨であります。問題は事業経営のやり方という問題につきましては、私は大いに勘案をするように指導する、いわゆる交錯輸送のごときは、私は適例だと思うのであります。それをするにいたしましても、日本の現在の中小企業の、特に商業部門におきましては、自由競争が激し過ぎる、共同動作をとる点が非常に少いというようなことが、そういうような、いわゆる無用ななにをやっている、こういうふうな感じがするのであります。そこで、この法律案につきましては、いろいろ御議論がありましょうが、今、河野委員の御指摘の通り、この法案の一番私は中心的なものは、この中小企業者に対して自主性というか、いわゆる大企業その他各般のものと対等の立場に立ち得るという一つの組織化することによって、ここに経済的、社会的に一つの立場が立ち得るという基盤を与えるということ、これと今申し上げましたような兵同化に一つの欠点のある点に対しての一つのささえを、政府でこの法律によってやっていこう、こういうところに私はこの法律案の中心がある、事業協同組合と違う点だと、実は私は理解いたしておるのであります。従いましてこの法律の施行によりまして、今河野委員のおっしゃるように、そういう立場に立って業界として特定地域、あるいは特定業界にとってどういうところが共同動作によってむだが排除できるか、こういう問題にお説のようにぜひ私は持っていきたい。特にそういう問題もありましょうし、現在の商品の流れからいうと、いわゆるメーカー、卸、小売という段階において、問屋あるいは小売というものがメーカーとの関連においてどういう形によって値段がきまってきておるか、独禁法でいう再販売価格の決定のような形が果して守られておるかどうか、こういう事態は考えますときに、私はその方向にも大いに働く余地があるのじゃないか、こういうような考え方を実はいたしております。御指摘の点につきましては十分頭に入れて、少しでもむだを省いていくというか、合理化の方向にもって参りたい、こう考えます。
  69. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  70. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。  それでは明日、名古屋における現地調査会開催の御都合もございますので、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認めます。それでは次回は、十月二十二日午前十時から開会することにいたしまして、本日はこの程度にて散会いたします。    午後一時三分散会