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政府委員(
長谷川四郎君)
輸出保険法の一部を改正する
法律案につきまして、提案の理由を御
説明いたします。
世界各国の貿易競争が激しくなるに従い、輸出市場の拡大並びに重要な輸入原材料の確保の
ためには、海外投資が必要であることは申すまでもありま
せん。政府はこの趨勢にかんがみ、海外投資を促進する
ため、昨年
輸出保険法の一部を改正いたしまして、海外投資保険制度を新設いたしたのでありますが、最近におきまして、中南米、東南アジア等に対して盛んになりつつある海外投資の
実情並びにこれら投資者の要望を検討いたしました結果、海外投資に伴う危険を担保する範囲を拡大し、更に、てん補率、保険料率に所要の改善を加えるとともに、あわせて投資者が海外
において上げた利益を、本邦に送金できないことによる損失をカバーする保険、すなわち、海外投資利益保険を新設することが必要であると認められましたので、この方針に従って現行の
輸出保険法に所要の改正を加えることとし、本改正
法律案を提案したのであります。
次に、改正
法律案の概要を御
説明いたします。
改正点の第一は、海外投資保険の改正であります。まず、現在の海外投資保険の名称を、海外投資元本保険と改めたのでありますが、これはさきにも御
説明いたしました
通り、このたび海外投資利益保険を創設いたしますので、これと区別いたします
ため、このように改めるわけであります。
次に、担保危険の範囲の改善及び拡大につきまして御
説明いたしますと、
一、現行法におきましては、被投資法人が戦争、革命、内乱のような非常
事態によって解散いたしました場合、投資者が株式を処分するか、または被投資法人の清算が結了いたしたときに初めて保険金を支払うようになっておりますが、これでは保険者、被保険者とも
どもに不利益をこうむることになりますので、被投資法人が解散したときに保険金の支払ができるように改正いたしました。
二、現行法におきましては、戦争、革命または内乱によって被投資法人が解散するか、事業休止した場合に、その損失に対して保険金を支払うことになっておりますが、今回の改正におきましては、戦争、革命、内乱のほか、暴動または騒乱のように、これに準ずる
事態をも加えるとともに、さらに設備や鉱業権、漁業権のように、事業遂行上重要な権利を侵害された場合を加えることといたしました。
次に、保険金の算定の
方法につきまして、被保険者の有利となるよう若干の改正、たとえて申しますと、収用補償金をもらった後、この補償金を凍結されるような場合、これを損失金に算入する等の改正を加えております。
また、てん補率は、現行
において六〇%であるところを、七五%に改めることといたしました。なお、保険料率は、政令で定められておりますが、現行の一年につき一・五%を一・二五%に引き下げる
予定であります。
改正点の第二は、海外投資利益保険の創設であります。この保険は、一、為替取引の制限又は禁止、二、為替取引の途絶、三、配当金の管理、四、配当金の送金保証の不履行、五、配当金の没収というような事由によりまして、投資者が株式等の配当金を一定
期間本邦に送金することができなかったことにより受ける損失をてん補する保険制度であります。この保険におきまして、てん補率は七五%、保険料率は一・二五%と定めております。
以上が今回の改正の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決されんことをお願い申し上げます。
次に、
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
特別鉱害復旧臨時措置法は、太平洋戦争中の強行出炭による特別鉱害を急速かつ計画的に復旧することによって、民生の安定、国土の有効利用をはかり、あわせて
石炭鉱業の健全な発達を期
せんとするものでありまして、
昭和二十五年に法律の施行以来、着々その成果を上げて参った次第であります。すなわち、
昭和三十一年度末までに百億円に上る復旧工事が完了することとなり、これをもちまして、河川、道路、鉄道、水道、学校等公共施設
関係の復旧工事は、すべて終了するわけであります。
しかしながら、復旧促進の
ため尽してきたあらゆる努力にもかかわらず、はなはだ遺憾なことではありますが、農地および家屋の一部につきましては、その復旧工事の一部について、法律の有効期限であります本年の五月十一日
において未完了のものが残る見通しであります。これは、家屋につきましては、その復旧費が炭鉱からの納付金のみによって賄われるとともに、その納付期日が法律の有効期限以後にならざるを得ないという理由によるものであり、農地
関係につきましては、主として現地の工事能力から来る制約に基いているものであります。農地の復旧には、大量の土が必要となりますが、河川の浚渫による土量を計画
通りに
使用できなかったり、あるいは土取場が次第に遠隔となり、工事能力の低下を来した等の
事情によって、いかにしても法律の有効期限以後に残らざるを得ないことになったわけであります。
ここに提案いたしました改正案は、以上に御
説明申し上げた
状況にかんがみ、残工事の適正な施行を確保する
ため、法律の有効期限を
昭和三十三年三月末日まで延長することを内容とするものであります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、
臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する
法律案の提案の理由を御
説明申し上げます。
臨時石炭鉱害復旧法は、鉱害復旧事業団を中心として鉱害を計画的に復旧することにより、国土の有効利用及び民生の安定をはかり、あわせて
石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達を期
せんとするものでありまして、
昭和二十七年に法律の施行以来、着々その成果を上げてきたところであります。すなわち、
昭和三十一年度末までに、農地
関係十三億、河川、道路、水道等の公共施設
関係十四億、
合計二十七億に上る復旧工事が完了することとなり、特別鉱害の復旧と相待ちまして、鉱害地の
状況は、大幅に改善されつつある次第であります。
本改正案は、家屋を本法により復旧することができるようにして、その復旧を促進し、民生の安定をはかるとともに、農地及び公共施設
関係の復旧工事とあわせて、総合復旧の実を上げんとするものでありまして、次に、各改正事項につき、その概略を御
説明申し上げますと、
改正の第一点は、家屋等、すなわち、住宅、店舗、倉庫等の建物及びこれらの建物の用に供される土地等を復旧基本計画の対象に加え、その復旧工事費のうち、地盤の復旧費及びこれに起因する家屋等の補修費の半額に相当する額の補助金を国及び都道府県から交付することといたしたことであります。この
ため、国庫からの補助金として七千万円を三十二年度予算に計上し、差しあたり約一千戸の家屋復旧を計画しておりますが、民生の安定及び鉱害の総合的な復旧に資することきわめて大なるものがあると、確信いたしておる次第でございます。
改正の第二点は、家屋等の復旧に際しまして、その復旧に際しまして、その復旧費のうち、賠償義務者たる炭鉱が負担すべき
部分を負担する資力を有せず、またはその所在がわからない場合には、国、都道府県および鉱害復旧事業団の三者が、当該炭鉱が負担すべき
部分を負担して復旧することといたしたことであります。
改正の第三点は、家屋等を復旧することができるように改めることに伴いまして、家屋等の復旧工事に関する協議及び裁定に関する規定を削除したことであります。
すなわち、現行法におきましては、家屋等が復旧工事の対象から除外されておりまする
ために、その復旧促進の一助と致しまして、家屋等の復旧につき、通商産業
局長が当事者間の協議のあっ
せんを行い、または裁定をすることができる制度を設けておりますが、家屋等を復旧することができるように改めることにかんがみまして、本制度を廃止することとし、今後は、このような問題につきましては家屋のみならず、農地その他の
関係をも含めまして、広く、鉱業法による和解の仲介制度を活用してゆく所存であります。
以上はなはだ簡単でありますが、改正案につきまして概略御
説明申し上げた次第であります。本改正案は、現地における
被害者の方々をはじめ、
関係者各位の熱心な御協力によりまして、初めて国会に提案できる運びに至ったわけでありまして、この法案が制定されることになった次第でございます。法律の円滑な実施に努め、鉱害復旧の促進に一そう努力する所存であります。
何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次は、
商工組合中央金庫法の一部を改正する
法律案の提案の理由およびその概要を御
説明申し上げます。
まず提案の理由について御
説明申し上げます。商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合の系統金融機関でありますが、最近の情勢にかんがみますとき、同金庫の果す役割はいよいよ重要となってきておりますので、この際、
商工組合中央金庫法の一部を改正して、その機能の強化、充実をはかり、もって中小企業の組織化の推進、その一そうの振興に資することといたしたいと考える次第であります。これが本
法律案を提案する理由であります。
次に、本
法律案の概要を御
説明申し上げます。
第一は、政府の商工組合中央金庫に対する出資金を増加することであります。商工組合中央金庫は、
戦前、政府、
民間それぞれ同額の出資をもって発足したのでありますが、その後数々の経緯を経て、現在では政府出資十二億四千二百十万円、組合出資十五億九千七百九十万円、
合計二十八億九千七百九十万円、
合計二十八億四千万円の資本金となっているのであります。
御承知のとおり、商工組合中央金庫の貸出金利は、最近における数次の引き下げにもかかわらずなお割高であり、一そうの引下げをはかることが、当面重要な問題の
一つとなっております。その
ためには、もとより同金庫自身の経営の合理化、並びに所属組合の協力に期待することが大きいのでありますが、政府といたしましても、極力これを援助する
ため、
昭和三十二年度
において十五億円を出資し、その貸出金利の引き下げに資せしめようとするものであります。
第二は、内国為替業務に関する制限を撤廃することであります。現在、商工組合中央金庫が行うことのできる内国為替業務の範囲は、所属組合またはその構成員の
ために行うものだけに制限されておりますが、同金庫が他の金融機関と為替取引契約を締結した場合、その金融機関としては、個々の為替取引が所属組合またはその構成員の
ためにするものであるかどうかを確認することが困難である
ため、事実上かような為替取引契約を締結することができない
実情となっておりますので、この制限を除くことによって、このような実務上の支障を解消し、もって為替業務の円滑化をはかろうとするものであります。
第三は、商工組合中央金庫が金融機関の貸付業務を代理したときは、員外者の
ためにも債務の保証をすることができることとすることであります。これは同金庫が中小企業金融公庫の貸付業務を代理した場合、必要に応じ員外者にも貸付を行うことができる道をひらいたものでありまして、商工組合中央金庫の機能を十分活用しようとする趣旨によるものであります。
第四は、商工組合中央金庫がその余裕金を運用できる範囲を拡張することであります。同金庫の余裕金の運用の範囲につきましては、国債等の証券の買入れ、銀行への預金または郵便貯金、銀行その他の金融機関に対する短期貸付のほか、中小企業等協同組合に対する短期貸付に限られておりますが、新たに中小企業等協同組合またはその構成員の事業の発達をはかる
ため必要な施設を行う法人に対し短期貸付をすることができることといたしまして、余裕金の効率的な運用をはかろうとするものであります。
以上が本
法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、可決下さらんことをお願い申し上げます。
信用保証協会法の一部を改正する
法律案につきまして御
説明を申し上げます。
信用保証協会は、中小企業の信用力を補完する機関でありまして、
昭和十二年東京
において公益法人として設立されて以来、おおむね都道府県を区域として相次いで設立され、現在
全国でその数は五十二となっておりますが、
昭和二十八年における
信用保証協会法の施行以来、同法による特殊法人として、債務保証を通じて中小企業に対する金融円滑化の
ために重大な役割を果して参ったのであります。すなわち創立以来の債務保証承諾額の累計は、
昭和三十一年十二月末現在
において、約三千五百億円に上っているのでありますが、その経営の基礎は、おおむね地方公共団体の財政援助に依存して参ったのであります。
しかるに中小企業物に零細企業に対する金融を疎通せしめ、もってその経営基盤の強化をはかる
ため、同協会の保証機能をますます拡充強化しなければならないのでありますが、同協会に対する資金的援助を、今後なお地方公共団体のみに委ねて参りますことは、最近の地方財政の実状から見ますと困難と思われますので、ここに同協会に対して低利資金の融通による国の財政援助を行う必要を生じたのであります。
この
ため、政府といたしましては、
昭和三十二年度におきまして、中小企業信用保険特別会計を通じて十億円を同協会に融資することにより、信用補完機能の拡充強化に資するとともに、これが健全な発展を期待することとした次第でありまして、これが本
法律案を提案する理由であります。
次に本
法律案の概要を御
説明申し上げます。
第一は、政府は、信用保証協会に対して、保証能力の拡充の
ために必要な資金を融通できることとすることであります。
第二は、この貸付金の利率を年三分五厘以内とすることであります。
第三は、この貸付を行うに当りまして、主務大臣は、この融資制度の
目的を達成する
ために必要があるときは、条件を付するものとすることであります。
第四は、融資業務は、
通商産業大臣が大蔵大臣と協議して実行することであります。
何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
以上でございます。