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1957-07-09 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月九日(火曜日)    午後一時四十分開会   —————————————   委員異動 六月七日委員海野三朗辞任につき、 その補欠として加藤シヅエ君を議長に おいて指名した。 六月二十六日委員廣瀬久忠辞任につ き、その補欠として井野碩哉君議長 において指名した。 七月三日委員加藤シヅエ辞任につ き、その補欠として海野三朗君を議長 において指名した。 七月六日委員相馬助治辞任につき、 その補欠として伊藤顕道君を議長にお いて指名した。 七月八日委員伊藤顕道辞任につき、 その補欠として相馬助治君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            大谷 贇雄君            小幡 治和君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋進太郎君            高橋  衛君            海野 三朗君            岡  三郎君            島   清君            大竹平八郎君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済企画庁調整    部長      塚本 敏夫君    大蔵省財務調査    官       稻益  繁君    大蔵省理財局次    長       賀屋 正雄君    大蔵省銀行局長 酒井 俊彦君    通商産業省通商    局長      松尾泰一郎君    通商産業省公益    事業局長    小出 榮一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選経済の自立と発展に関する調査の件  (参考人に関する件)  (派遣委員報告)  (電気料金改訂に関する件)  (経済総合政策に関する件)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより商工委員会を開会いたします。  まず前会以後の委員異動について御報告いたします。去る六月七日海野三朗君が辞任され、加藤シヅエ君が選任されましたが、七月三日付にて海野三朗君は本委員会に復帰されました。六月二十六日廣瀬久忠君が委員辞任され、その後任として、井野碩哉君が選任されました。また七月六日付にて、相馬助治君が辞任され、伊藤顕道君が補欠として選任されましたが、七月八日付にて相馬君は再び本委員会に復帰されました。以上御報告いたします。
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ではこれより議事に入ります。  まず理事補欠選任の件についてお諮りいたします。ただいま御報告いたしました通り相馬君が、一時委員辞任されておりましたため、現在理事に欠員を生じているのでありますが、相馬君の委員復帰に伴いまして、この際同君を再び理事に選任いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします   —————————————
  5. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次にただいま委員長及び理事打合会を開き、その結果明日午後一時より中小企業金融議題にするに際し参考人を呼ぶことを決定しました。参考人については商工中金、中小企業金融公庫銀行協会地方銀行協会より呼ぶことにし、具体的選定委員長に御一任願うことにして差しつかえございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) じゃ、さよう決定いたします。   —————————————
  7. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に先般六月中に行われました委員派遣につきまして、各班の御報告を求めたいと存じますが、この報告の形式といたしましては、速記を中止して、各班ごとに要点その他特にお感じになった事項等について自由に御発言を願うことにいたしまして、報告文書はこれを会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは速記をとめて。    午後一時四十三分速記中止    ——————————    午後二時十分速記開始
  9. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて下さい。ただいま北海道班については阿部委員から、近畿班については相馬委員北陸班については岡委員及び小幡委員、また、東北班については白井委員からそれぞれ各班の重点的な視察報告がございましたが、なおその詳細につきましては、会議録掲載文書報告によって御承知願いたいと存じます。   —————————————
  10. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは次に電力料金の件を議題といたします。  本件に関しては、先般の委員会で政府の方針を聴取したのでありますが、その後つい最近になって東北北陸電力会社料金値上げ認可を行いましたので、その経緯について小出公益事業局長から御説明を願います。
  11. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 去る六月十五日公益事業局長を拝命しました小出であります。  東北電力北陸電力電気料金改訂経過につきましてまず御説明を申し上げまして、料金改訂内容につきまして、これに引き続きまして概略のことを御説明申し上げたいと思います。  まず、去る七月三日付をもちまして、東北電力及び北陸電力電気料金改訂申請に対しまして認可をいたしたのでございまするが、ここに至りまするまでの経過といたしましては、御承知のように、町電力会社から正式の供給規程改訂申請が出ましたのは本年の四月二十日でございました。この申請を受理いたしましてから後、法律に基く手続に従いましてそれぞれの現地におきまして聴聞会を開催いたしまして、関係方面の御意見を聴取し、また、もちろん国会方面その他関係需用団体等におきまして種々議論がかわされました。それらの関係方面の御意見を参酌し、電気料金算定基準に従いまして慎重に検討を加えました結果として、七月三日の認可を行なったのでございますが、その前に、国会終了後におきまして、いろいろ与党の中における電力問題に関する各方面の御意見等もございまして、それらとの調整等もいたしておったのでございまするが、最後に最終的に自民党の総務会の御決定といたしましては、三十二年度に関しまして東北電力及び北陸電力料金につきましては大体一四%台の値上げにとどめるというふうに措置をするとうら最終的な御決定があったわけであります。  なお、それに関連いたしまして、定額電灯は据え瞬く、値しあげをしない。それから電鉄でありますとか、あるいは硫安工業でありますとか、学校というふうなものにつきましては、できるだけ値上げ影響が緩和できるような特別の配慮を行うというような付帯的な御決定があったのであります。  で、これらと関連いたしまして、私どもといたしましては、行政官庁といたしましては、この電力料金算定は、御承知のように、原価主義に基きまして公共事業令に基く電気料金算定基準に従いましてそれぞれの原価計算し、そういたしまして、三十二年度における需給関係電気需給関係を勘案し、販売電力量従いまして収入計算し、それらによりまして収支相償う線におきまして料金認可をするという建前でございまするので、そういう法律に基く算定方法に従いまして計算をいたしまするというと、従来から問題になっておりまするような大体一八%前後の値上げ率認可をせざるを得ないような結果になったのでございまするけれども、党の御決定もありまするし、三十二年度に関する限りといたしまして、本来の認可は一八%前後のものでございまするけれども、特に三十二年度に限って、需用家負担の急激な影響を避けるという意味におきまして、特別な割引措置をとるというような解釈に従いまして、一四%、まあ一五%近いところでございまするが、の線において三十二年度に限っては値上げをできるだけ幅を小さくした、こういう措置をとったのでございます。従いまして現在の認可によりまして供給規程はすでに変更されまして、七月三日の認可でございまするので、十日間の公示期間をおきまして、七月十四日から実際に各需用家に対しまして新しい料金規定適用になるわけでございまするが、これはそのままで参りますれば、三十三年度以降におきましては、一八%前後の値上げが自動的に適用になる、こういう関係になるわけでございます。しかしながら、先ほど来者現地を御視察になりました各先生方の御報告の中にもございまするように、電気料金改訂ということは、需用家に対して非常に重大な影響がございまするので、できるだけ値上げをしないで済むことが理想でありまするし、また値上げをせざるを得ない場合においては、できるだけその幅を小さくするというのが理想でございまするが、また一方において、原価主義という面から申しますれば、そういった値上げにならざるを得ない。従いましてこの間の調整を、できるだけ電気料金の将来における高騰を抑制するための措置を今後至急に根本的に電力政策全般について考え直すということが同時に党議において御決定になりました。おそらく何らかのそういった特別の機関与党の中に置かれまして、設けられまして、電力政策全般に関する御審議をやっていただくことになっております。従いまして、できますれば通常国会までの間において、そういった電力料金全般に関する、あるいは電力政策全般に関する再検討の結果いかんによりましては、さらに三十二年度以降の電気料金についても再検討する場合はあり得るという前提のもとに、こういった認可をいたした次第でございます。  以上が大体七月三日までに認可を行いまするまでの経過でございまして、以下今回認可いたしました電気料金改訂概要について御報告を申し上げたいと思います。  お手元の資料、二種類ございまして、文章で横書きになっておりまする「東北北陸電力会社電気料金改訂概要」という資料と「収入単価値上げ率一覧表」という数字表になった資料と二つございます。別に最近出版いたしました電力白書も合せてお配りしてあると思います。文章の方につきまして大体読みながら御説明を申し上げたいと思います。  昭和三十二年四月二十日、東北北陸電力会社より電気料金値上げ申請があったが、その後あるいは国会等における意見を参酌し、慎重に検討を加えた結果、次のような概要により、七月三日認可を行い、同月十四日より実施することにいたしたのでございます。  第一に値上げ率でございますが、これは三十二年度につきましては、先ほど申しましたように、東北電力については、申請は二一・二%の申請でございましたのを、三十二年度については一四・七八%の線に押えました、また北陸電力につきましては、二四%の申請に対しまして、三十二年度においては一四・八二%という線にとどめたのでございます。  第二といたしまして先ほど申しましたように、三十三年度以降におきましては、値上げ率東北電力については一七・八%、北陸電力については一八・一四%、こういうことになるわけございます。  それから、それぞれの契約種別値上げ率でございまするが、定額電灯につきましは、先ほど申し上げましたように、据え置きとするということにいたしたのでございます。それから従量電灯、それから小口電力というものにつきましては、特に中小企業なり、あるいは低額所得者の家庭に対する影響を緩和するために値上げ率を極力圧縮するように措置をいたしました。なお、北陸電力大口料金につきましては、二段料金制度というのをとったのでございます。これは北陸電力に限っての問題でございまして、東北電力にはこういう内容申請はございませんでしたが、北陸電力につきましては、本年の四月一日以降の受電契約、新たに受電契約をいたしました増設の分、あるいは新設の分につきましては、特別の従来の既設のものよりはやや高い料金率を課するということにしたのでありまして、申請はそれを二倍というような案になっておったのでございまするが、これに対しまして一・七倍という線にとどめまして、新設あるいは増設——ごく最近のものにつきましてはどうしても建設の原価が高くなるし、あるいは融通料金の方、はね返ってくるというような問題もございまするので、これをある程度抑制するというような関係、あるいは既設のものに対する料金に相当の安定性を与えるというような意味におきてまして、こういう措置をいたしたのでございます。なお、こういうような措置をとるにつきましては、需用家に対して——設備の新増設計画いたしておりまする需用家に対して、突然やったのでは非常に迷惑がかかるわけでございまするので、これについては昨年、約一年ぐらい前から次の料金改訂の際にはこういう措置をとるという方針であることを、北陸電力としては絶えず管内需用家にはお示しをして参ったのでございます。  それから第四に、電気鉄道硫安工業学校等に対しては料金値上げを極力抑制するように別途特別の措置を講ずることとしたのであります。これはやはり先ほどの党の御決定にもございまするように、またこれは前回料金改訂、これは昭和二十九年の十月に行われました九電力会社の一斉の値上げの際にも、やはり同じような措置がとられておりまして、特に硫安工業は全部特約でございまするが、こういうものにつきましては、できるだけ硫安最高販売価格、いわばマル公がございまするので、また電鉄につきましてもそういうような認可料金がございまするので、そういったある意味における製品なり、あるいは料金マル公制度に近いものがありまするものにつきましては、電気料金の方においてもできるだけそこに波及しないような措置をとるということにいたしております。また学校とか、あるいは試験研究機関というような公共的なものにつきましては、あるいは理科系統学校等につきましては相当動力も使いまするので、これを一般の電灯並みに扱わないで、あるいはその契約種別を変更するとかというような操作によりまして、できるだけ影響を与えないような特別措置を講じていきたい、かように考えております。  それから次に——これが大体まあ内容の骨子でございまするが、そのほかに、さらに制度的に多少従来のものと変った制度をとった点がございました。それは第一は需用家に対するいわばサービス改善というようなところに主眼を置きまして、供給規程面においては、5に書いてございまするが、まず需用家のためにする工事でありまして、特に多額の費用を要するというような場合、そういう場合は一定額以上の工事費はその需用家負担させるということになっておりまするが、低圧の需用家に対しましては特別の場合を除きまして会社が全額負担するというような、できるだけ需用家負担をかけないというような措置をとったのが第一点。それから工事検査料、あるいは電気用品試験料というようなものは全部無料でやる——会社持ちにするというようなこと、それから定額制街路灯の電球、これは従来需用家所有のものを、需用家が自分で提供してやっておりましたのを、これを会社が支給するというようなことにいたしました。それから計量器箱あるいは変成器箱というようなものにつきましても、従来は需用家負担になっておりましたものを、会社負担にするというような改正、これは個々のこまかい点についての改正でございますが、そういうようなことによって需用家に対するサービス改善、強化することといたしたのでございます。  最後融通の問題でございますが、融通問題——今回の電気料金改訂一つの大きな、原因になっておりまするのは、この融通の問題でございました。従来の料金改訂の主たる原因は、電源開発の促進に伴いまする資本費高騰ということが……電源開発はどうしても促進しなければならないわけでございまするが、開発すればするほど資本費がかさんできて、従って電力原価高騰するというのが電気料金改訂の一番大きな原因でございましたが、今回はそのほかに東北及び北陸管内におきましては、需用が急激に増加いたしておりまして、前回改訂以後の需用伸び東北北陸いずれも五〇%を越しておりました。全国の平均を比べまするというと、非常な伸び示しております。もちろん一方において電源開発も非常に、特にこの東北北陸管内においては五〇%あるいは六〇%以上というふうに開発もほかの地区に比べまして非常に進んだ地区でございますけれども、他面において需用伸びがさらに大きくこれを上回っておるというようなことがございまして、どうしても東京あるいは関西、中部あるいは中国を通じて九州というような方面から、電力融通を受けなければ電力量確保ができないというような状況になっております。従いまして、そういう他の会社から融通電力購入しなければならない——買い入れなければならない。この購入料金というものが、他社からの購入電力料金がかなり多額に上ってきておるわけでございまして、そういうような点が今側の東北北陸に関しての料金改訂一つの大きな原因になっておるわけでございます。従いましてこの融通電力の問題につきましては、今回の供給規程改訂に並行いたしまして、関係会社の方において折衝をいたさしておりますが、近くこれも合せて正式に認可をすることになると思いますが、その方針といたしましては、あくまでも融通電力量というものは計画通りに、これは東北北陸もいずれも計画としては約九億キロワット・アワーでございますが、これだけはどうしても量的にも質的にも確保したい、従いまして反面におきましては、その融通単価と申しますか、融通を受けます融通単価につきましては、できるだけ融通をする方の会社、つまり東京電力なり関西電力なりの方面におきまして勉強をしてもらいまして、できるだけ安い単価融通をしてもらう。だたし、これにも限度がございまして、やはり東京電力関西電力管内にも一方において需用家が膨大な需用があるわけでございます。おのずから限度はございまするが、できる範囲においてそういった合理的な融通料金の引き下げをしながら、他面において融通量確保していきたい、それによって東北北陸管内電力需給確保という面についてはできるだけこれをくずさないようにしていきたい、こういうのが今回の料金改訂の趣旨でございます。  それから、これが大体の改訂概要でございますが、こういたしまして、それが実際において、それぞれの契約種別ごとに見ました場合に、収入なり、あるいは単価の面におきまして、その値上げ率がどういうふうな状態になっておるかということを一覧表にいたしましたものが、別にお配りしてありまする「収入単価値上げ率一覧表」というのでございまして、東北電力と、北陸電力と、それぞれ一枚ずつ表にしてございますが、一番左に電力の量、キロワット・アワーを出しておりまして、それからこれに伴いまする販売収入を現在の料金でやった場合、それから今回の改訂前の料金である三十二年度の収入、それをさらに単価といたしまして、改訂前と三十二年度、それから三十二年度の先ほどの割引をいたしました場合の単価、それから三十三年度以降はどういうふうな単価になるかということをそれぞれ出したのでございます。そういたしまして、その右にそれぞれの倍率をとりまして、値上げ率を比較したのでございます。これに対して一番右の欄には、申請の場合の値上げ率がございます。それに対してどこまで査定したかということを値上げ率でお示しをしたわけでございます。  なお、一番下の欄外の注に書いてございまするが、この三十二年度の収入額計算は、四月一日にかりに料金改訂が行われたものとして計算をした場合の収入でございまして、従いまして、七月十四日から実施されまするので、四月から七月までの間の数カ月間というものは、従来の料金によって収入されるわけでありますので、従ってこの収入金額よりは減少するという計算に一応なるわけでございます。  なお、この値上げ率は申すまでもないことでございますが、全体の加重平均というような格好になるのでございます。従って、個々需用家個々工場個々企業家にとりまして、具体的にどういうふうな支払い料金になるかということは、それぞれの需用家会社との契約内容、あるいはその使いまする電気の使い方によって、一人一人違うわけであることは申すまでもないのでございます。全体を平均して申し上げますれば、こういうようなことになるわけでございます。  大へん簡単でございますが、なお御質問によりまして、専門担当者もおりまするので、お答えをいたしたいと思います。
  12. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいまの説明について質問に入ります。
  13. 海野三朗

    海野三朗君 ただいまの説明でありますが、申請値上げ率パーセント平均をとってありますが、パーセント平均をとるということは、これは妥当でないと私は思うのですが、この量に応じてのパーセントは、実際パーセントと、全体としては違うと私は思うのですが、その辺はいかようにお考えになっておるのですか。このパーセントだけの平均をとられたのではいけないと私は思うのですが、どうなんでしょう。数学的にいって、ここに出してきたパーセントだけの平均ではいけない。実質がこちらの方の値段の方ですね。たとえば大口電灯の何%というやつ、このパーセントは、種類によってパーセントと違うと私は思うのですが、どうなんです。
  14. 小出榮一

    説明員小出榮一君) ただいまの値上げ率のパーセンテージの問題でございますが、これはただいまも御説明申し上げましたように、同じ大口なら大口におきましても、その大口個々工場によりまして、もちろんここに大口の丙で書いてありまする平均値上げ率というものが、そのまま全工場に一律に適用になるというわけではないわけでございまして、結局それぞれの工場のキロワットなり、あるいはキロワット・アワーなり、そういうものによりまして一つ一つみな事情が変ってくるわけであります。それらをいわば加重平均いたしましたものが、こういう平均率になる、こういうことでございます。
  15. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、この平均一四%といいますけれども電力種類によって五割も六割も上るところがあるわけですね。
  16. 小出榮一

    説明員小出榮一君) これは、ただいま海野先生の御質問の点は、従来の料金改訂のときにもよく問題になった点でございまして、まあ二割値上げというようなことでも実際は四割なり五割値上げになるのではないかというふうなことを、需用家の方々からそれぞれ伺う場合が非常に多いのでございますが、先ほども申し上げましたように、実際問題としましては、工場によりましてはこの平均値上げ率よりは高いものもあれば低いものもあります。しかしただいま御指摘になりましたような四割、あるいは五割というふうな値上げ率になるものはないと、私どもの方ではさよう算定いたしております。
  17. 海野三朗

    海野三朗君 私は、公益事業局長からはっきりした御返事をここでとっておきたいと思いますることは、電気料金平均一四%といいましても、最高何ぼくらいまで上るのがあるとお考えになっていますか。私は実際問題をつかんでおるからお伺いするのです。二十九年十月の値上げの際においては、工業用電力につきましては一〇〇%上げているんですよ。これは資料を私は持っているのです。それから従量電灯にして六割五分上げているんですよ、この前二十九年十月のときには。そして平均が二割とか何とか言っていますが、ここに大きなトリックがある。この上げ方については私はこの前も官房長に申しましたように、よくわかっておやりになるのか、と言って、私は御質問申し上げましたが、ここなんですよ。ここにごまかしがある。これはあなた方がよく御研究になっていることなんですか、どうなんですか、一体。
  18. 小出榮一

    説明員小出榮一君) ただいまの点はもちろん値上げ申請がございましてから聴聞会に限らず、あらゆる場合におきまして、あらゆる方面の、各種類需用家の方々から会社申請を具体的に自分の工場適用してみて、あるいは従来の使っておりまする電気の量と同じくらいの量をかりに査定してみた場合には、このくらいになるという具体的なケースをもって、われわれの方にも特にかなりの大口と思われる方面の方々は直接にお見えになりましたし、また間接にもいろいろ伺っております。従いまして私どもの方といたしましては、できまする範囲の、知り得まする範囲の事柄につきましては、できるだけ具体的に需用家に対して実際どのくらいの影響になるだろうかということは、相当突っ込んで調査をいたしたつもりでございまして、従いまして前回料金改訂の場合におきましては、御承知のように根本的な制度改正というような点もございまして、従いまして単なる値上げ率だけでなくて、制度の変更からくるいろいろな影響もかなりあったかと思うのでございまするが、今回の場合におきましてはそういうふうな面は比較的少いわけでございまして、私どもの一応の推定によりますれば、大口工場等につきましては相当影響が大きいところでも三割前後くらいの値上げ率になるのではないか、かように考えております。
  19. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、まず最高三割以上は聞くならないというふうに心得てよろしいですか。ここを私ははっきり伺っておきたい。今日までの電気料金値上げには非常にごまかしがある〇一割四分なんといっておいて、実際ある人は八割も上げておる、ある人は六割も上げておる、ここが合っておらぬということです。それをこの前私が官房長に聞きましたら、それは需用量によって違うのだ、こういう逃げ口上を言われましたが、これは納得できない。これはその細目に入ってあなた方がつまりこの電力会社のこの料金値上げについてはこまかいところに入ってよくお調べになっておるかどうか。つまりプランの上において一割八分高いから一割四分にしろというような簡単な認可をしておられるのではないかというところに私は非常な疑問を持っておるのです。これは実質を私はつかんでおるのですから、それをこの前公益事業局長にこういう状況だといって提出しておるのでありますが、その後あなたではなかったけれども事業局長から何らの御説明がない、それで年がたってしまったのであります。私の細目調べたことについては、電力会社が表面に出せないのです。それでありますから平均一割四分などということでも、実費は二割五分になっておるかもしれないし、三割になっておるかもしれないし、そういうことについての御監督の見地について私はお伺いしたい。そういうことをよくお調べになってこういう認可をなさるのかどうかということなんです。それはいかがなものなのでございますか。
  20. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 先ほど来申し上げておりますように、実際に個々の、需用家が支払います料金というものは、その需用家の使います電気の使い方によりましても当然変ってくるのでございまするけれども、全体の平均値上げ率ともちろん違うわけでございまするけれども個々需用家につきましては、特に影響の大きいと思われるような方面につきましては、先ほど申しましたように、できるだけ私の方といたしましては、知り得る限りにおきましては、陳情も受けましたし、また、積極的に需用家方面の実情も調べまして、これは通産省の中にもそれぞれ需用家の産業を所管しております局もございまするが、それぞれの局とも御相談いたしまして、また、先ほども申しましたように、特約等において措置し得るものについてはできるだけ影響を緩和するような措置をとるということによって、大体先ほど申しましたように、よほど大きなところでも三割前後くらいの値上げ率にとどまるように措置できるものと考えております。従いまして、御指摘のような八割上るというようなものはないというふうに申し上げていいと思います。
  21. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、三割といたしますというと、全体として一四%上げたということはあなたの方ではっきり帳簿の上でお調べになったことがありますか。今日までの値上げについて、二十九年十月の値上げについて、あのときの申請がありますか。それで電力会社収入はどういうふうになっておる、電力に対してどれだけ上っているのかというその実質もあなたの方でおつかみになっておりますか。
  22. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 電気料金の最初の値上げ率算定いたします際には、最初に申しましたように、三十二年度の料金改訂という際におきましては、三十二年度におきまするそれぞれの電力会社販売電力量収入というものと、その電力会社についての電力需給計画というものをまず査定いたしまして、その需給計画に基いて、どれだけの販売電力量収入があるかということを計算し、一方において総括原価ということをそれぞれの人件費なり物件費なり、あるいは資本費等につきまして査定をいたしまして、それらの原価収入との見合いにおきまして値上げ率算定しておるわけでございます。従いまして、御指摘になりました二十九年度の場合において、二十九年度の位上げをいたしたのでございまするが、その際において、今日から振り返ってみますと、その後の二十九年度以降における各電力会社の収支がどうであったかということにつきましては、これは御承知通り、それぞれの各電力会社の収支計算というものは、これはガラス張りでございまして、全部明らかになっております。実際はどういうふうな状態だったかということは、これは御要求によりましては資料によって御提出してもいいかと思います。もちろんこれは水の状況等のいろいろの条件の変化もございまして、当初の予想とは違った結果になっておるわけでございますけれど、も、今回の料金算定におきましては、先ほども申しましたように、従来の料金算定方法と同じ方法によりまして、そういった収支の予想なり原価の査定の上に立ちまして算定をいたしたわけでありまして、従いましてこれが実際三十二年度を経過いたしまして具体的にどういうふうな姿に落ちつくかということは、これは率直に申しますれば三十二年度を経過してみなければわからない、こういうことになっております。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 それではこの前の実績を一つ一覧表にして私は拝見いたしたい。これを一つお願いしておきます。そうして年々の電灯料金が上っていくというのはこれは当然なことでありましょう。物価がだんだん上っていくのですから、それをがたがたとディスコンティニュアスに上げるからいけないように思うのでありますけれども、年々少しずつ高くなっていくのはこれは自然の成り行き上やむを得ないことでありますが、しわ寄せがありましたり、非常に不公平な上げ方も、この間に操作されるということを私は思うのです。ですから実績の電力料金のこの前上げたときと上げないときとの一つ比較表を私は拝見いたしたいと思います。それをお願いして私の質問を打ち切ります。
  24. 小幡治和

    小幡治和君 今のに少し関連しますけれども、大体これは上平均でもって、明年度からは一八二四、政府が一八・一四というふうに平均として認可する以上は、その実際の状況においても平均より上回ったら認可違反だと、こう思うのです。そういう意味における具体的監督方法というものはどういうふうにしてやるか。今のとも関係ありますけれども、その点一つまずお伺いしたい。
  25. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 値上げ率というのは先ほどから申しまするように、全体の加重平均でありまして、従いまして、実際に供給規程に基く改訂でありますと、供給規程に基きまして個々需用家が支払いました実支払い料金の実績を全部加重平均したものとは当然これは違うわけでございます。従いましてわれわれが認可いたしましたのは、具体的に申しますれば供給規程の変更の認可でございます。従いましてその供給規程の変更でありますと、供給規程個々需用家に当てはめまして、その需用家が使いました電気の使い方に応じてその供給規程適用した場合に、どういうふうな姿になるだろうかというのを想定したのがこの値上げ率でございます。従いまして、たとえば収入の面におきましても、水が豊水となるというようなこと、非常に豊水になったり、あるいは非常に渇水になったりしたことだけでも相当に計算が狂ってくるということもあり得るわけでございまして、従いまして御指摘になりました値上げ率と一%でも違えばこれは違反であるというような解釈には実はならないわけでございまして、認可されました供給規程内容にさえ違いがなければ、それを適用されました結果の収支計算なり何なりで、どうなるかということはこれまた別問題である、こういうふうに御解釈を願いたいと思います。従いまして、これは供給規程の実際の見本をごらんに入れますとわかるのでありますが、これはいわばわかりやすく言う意味で一応値上げ率というような表にいたしますけれども、実際はこれは非常に誤解を生じやすい表になるわけでございまして、そういう点をお含みおきを願いたいと思います。
  26. 小幡治和

    小幡治和君 それから、三十二年度は一四・何%、三十三年度が一八・何%と、こうなっておるのだが、三十二年度と三十三年度以降を分けた理由を一つお伺いしたい。
  27. 小出榮一

    説明員小出榮一君) この点につきましては、本来理論的に申しますれば、私どもの事務的に考えました理屈から申しますれば、三十二年度の収入なり、あるいは原価というものを見まして料金をきめるのが本筋でございます。従いまして、本来ならば、これは一本の料率であるべきものでございます。従いましてそういう原価主義計算から申しますれば、本来ならば私ども計算ではこの一八%前後の一本の認可でいくのが妥当ではないかというふうに考えたのでございまするけれども、一方におきまして需要家に対する影響が急激にショックを与えるというものが出てくるおそれがございますので、その影響を殺す意味におきまして、少しでも緩和するという意味におきまして、二段がまえの格好にしたのでございます。従いまして解釈から申しますれば、三十二年度につきましてはこういう料金率原価主義の上から申しまして妥当であるという意味における一四%何がしかの認可と申しまするよりは、本来ならば一八%前後の認可率であるべきところを三十二年度に関する限りは、特に需用家のために割引をする。しからばその割り引かれましたものはどこにしわが寄せられるかと申しますれば、それは結局電力会社の企業努力に待つほかはない。しからば電力会社の企業努力にそれだけの余地があるかどうかということになりますると、われわれは原価主義算定におきましては企業努力の余地がほとんどないぎりぎりの線まで査定をいたしたつもりでございますので、従いまして電力会社といたしましては今後これをどういうふうに経理をするかということは、むしろ三十二年度に関しましては今後に残された問題である。かように考えております。
  28. 小幡治和

    小幡治和君 それだと一つの政治的な率ということになるのだが、政治的な率については一四・八二とか、一四・七八とか、えらいこまかいですが、何か基準があるのですか。この〇・七八、〇・一二というこまかい数字が出ておるが、今あなたの説明だとばかに政治的な説明なんだが、そういうように三十二年度と三十二年度と、こういうふうに率なんかも非常にこまかく出ておるのだが、何かそこに合理的な基準というものがあってこういうふうにしたのかどうかということ……。
  29. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 非常にこまかい零点以下のパーセンテージをとりまして非常に技術的な操作をしたように見えるわけでございますが、これは総合的な算定の結果こうなったのでありまして、もとの割引の仕方はどういうふうにいたしたかと申しますれば、それぞれの契約種別に、つまり定額電灯で申しますれば定額電灯従量電灯で申しますれば七灯以下のところはどうするか、あるいは六日電灯をどうするか、それぞれの契約種別ごと認可されました本来のキロワット・アワー当りの契約単価というものから、たとえば従量電灯で申しますれば、まあ十円引くとか、あるいは業務用電灯であれば十銭割り引くとか、そういうふうなやり方でそれぞれ契約単価別に割引計算をいたしたのでございます。それをあとで集計してみますと、こういうパーセンテージになったのです。
  30. 小幡治和

    小幡治和君 一応このパーセンテージはそのままにしておいて、概要の一番最後融通電力の問題ですが、融通電力料金の合理的引き下げ、これを今度の率でいくと東北なり北陸なりはどういうふうに、一キロワット・アワー当りどういうふうにあなたの方は勘定してこの数字が出たのか、それを一つ説明願いたい。
  31. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 融通単価につきましては、まだ最終的に関係電力会社の間において折衝を終了いたしておりませんけれども、大体われわれのめどといたしましては、それぞれの単価につきまして大体五十銭引きというような線をめどにいたしております。たとえば東京電力から東北電力への送電の行きまする申請単価は三円九十五銭でございます。これをさらに五十銭ぐらい下げるというようなやり方で、大体全体を平均いたしまして東北電力に対する東京、中部、関西、九州等からの申請を大体平均しますと、申請は四円四十八銭でございます。これを大体四円そこそこぐらいのところまで下げたい。それから北陸電力につきましても申請が東京、中部、関西、九州の平均が四円五十二銭という単価でありますが、これをやはり四円四銭かそこらぐらいのところまで下げたい。従っていずれも大体五十銭ぐらいのところまで引き下げられるかどうかということでただいま折衝しております。
  32. 小幡治和

    小幡治和君 最後にちょっと聞きたいのは、今、電発の方で新しい電気がどんどんできてきて、それを各電力会社に売って、それがまた回り回って北陸なり、東北なりに来ておると思うのだけれども、今日、東北北陸だけが特にこうやって値上げしなければならぬ実情にあるということから考えて、現在電発が出しておるところの電気というものを特に値上げしなければならぬ東北なり、北陸なりに現在売っておるその価格で回すということはできないものですか、たとえば電発で今電力へ出しておるのは三円で売っておる。それを買ったところの中部なり、関西なりが、それを今度北陸に回すときには、今言った四円五十何銭の火力で回すということになっていると思うが、実際日本全体の電力を見たときに、やはり東北北陸地帯が特に値上げしなければならない窮状にあるから、だから電発の新しくできた電気というものをそこに三円なら三円でもって一体通るところはある程度通るかもしれぬけれども、そうした数量だけにしておいて、そうしてそれを渡すというようなことが一体政府として処置でき得ないものかどうか。これは一つ今、できる、できないじゃなくして、法理的にできないのか、その点でき得るのか、それを一つ……。
  33. 相馬助治

    相馬助治君 今の小幡委員質問に関連して私最終的に聞きたいと思うが、北陸東北だけが電気料金を特に値上げしなくちゃならない理由を聞いてみると、コスト計算からごもっとものような資料がある。ここのところまではわかるのですが、今、国の費用をもって電源開発をやっておる。そうして新しくできた電力をたとえば私どもがこの間視察した関西地区ですと、関西電力に相当量を供給するような計画だそうです。そうすると関西電力北陸電気を売って、東北に対しても東京関係電力がそういう関連を持っておると思う。そうしてこの融通電力の場合には全部火力電気計算しておる。コストの低い水力では計算してない。コストの高い火力で計算しておる。売る方の身になってみればこれも当然であろうと思うので、私が小幡委員質問に関連して聞きたいのは、この融通電力が高い、低いという問題もさることながら、今後電力の総合的な計画東北とかそれから北陸融通電力をそんなに高いものを買わなくてもよいような計画を国家権力をもって、また別な言葉でいえば国の財政の力によって適正配当をして、そうして融通電力に頼らなければならないというような、そういうことを救ってやるということができないはずはないと私は思う。小幡さんの質問はできるのかできないのかと聞いているけれども、私はできないはずがないと思うのですね、その点を一つ明瞭に承わりたいのです。
  34. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 先ほども質問に関連いたしましてお答え申し上げますが、電源開発会社開発いたしました——たとえば具体的に例をあげれば、佐久間の発電所を開発し、そこで発生いたしました電力を御売をするわけでございまするが、その卸売料金はもちろんこれは認可によりまして厳重な査定を加え、またそれらの料金をそれらの認可を受けました卸売料金に基いて受けました電力、それを受けました電力会社の方における融通電力につきましてもやはりその契約認可をいたしているわけでございまして、従いまして法規的にはそれぞれチェックをする方法はあるわけでございます。ただ実際問題といたしまして、佐久間の電力を直接に東北なり北陸なりの方に、まあ距離的な関係からいたしまして直結してこれを算定するということはできない。佐久間の場合におきましては、実際問題といたしまして三円九十銭ということになっておりますが、実際問題といたしましてはこの融通電力料金の今回の査定の線とは大した矛盾ないのではないかと思っております。  それから、ただいまの御質問に関連いたしまして、将来こういった全国的な融通調整——田口土なり単価調整をはかるために何か総合的な法的措置をやれるのではないか、またやるべきではないかというような御意見でございまするが、現在のところはこれは電源開発会社の性格の問題にも関連するわけでございまするが、さしあたりはただいま申し上げましたような個々の、電源開発会社開発をいたしました個々の発電地点の電力につきましてそれぞれの融通を、卸売をいたしまする九電力会社のそれぞれの電力会社との間の調整によって運営をして参りたい。ただし、将来の問題としてはさらに十分検討していきたい、こういうふうに考えております。
  35. 小幡治和

    小幡治和君 今まあ私の考え方としては、この先ほど相馬先生も言われましたように、要するにその電力会社が自分の自力によって、あるいは水力なりあるいは火力なりというものを作って、そいつを北陸なり何なりに売るというならば、おれのところの電力というものを減らしてこっちに売るのだから、そういう意味においては一番高いもので売るのは当然ではないか、この間関西電力に私たちが視察に行ったときも、関西電力の重役連中の言うのはそれなんです。自分のところで足りないから火力を作っているのだ。だからそれを北陸に売るならば、実際は水力を回しておっても、自分の供給すべきところに火力をやっているのだから、それだから結局火力の最高の値段で売るのは当然ではないか、こういう言い方をしているのです。そうすると、われわれとしてはこの開発会社開発して作った電気というものは国家の資本によってやったもので、個々電力会社がたまたまその地点が自分の管内にあるからといって、それを全部安く売るべき権利があるとは私は認めないわけだ。そうすると、国としての開発会社というものの開発というものを考える以上は、北陸なり東北なりというものは、特にこういうふうに電力が足りなくて電力価上げまでしなくちゃならない。ほかのところはしなくてもいいのにこれだけは電力値上げまでしなくちゃならないというときに、一体国で作ったそういうものを、開発会社電力というものをその値段で、原価計算したその値段で北陸に売れないはずはない。また売らせないということは不合理じゃないか。そうすると、あなたの御返事では、要するに直接そこにいく電線がないからと、こういうことなんです。それならばその電線を経由する一つの経由料というか、そういうものを合理的に計算して、そうしてこの電力というものは東北にやりなさい。この電力北陸にやりなさい。その経由料というものは幾ら幾らと計算して、これだけでやりなさいということを一体操作として、行政として政府はできなくちゃならぬと私は思うのですけれども、それが今日でき得ないということを言い切れるかどうか。もしやり得るならばそういうふうにやってもらいたいと、われわれとしては国会として一つ要求したいと、こう思うのです。その点を一つやり得るのか得ないのか。それを私は聞きたい。国会がそういうふうに要求してもそれはできないのかどうかということなんです。
  36. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 電源開発会社開発いたしました発電所の電気を受け入れまする、卸売を受けまする電力会社が、さらにその電力会社からさらに他の電力会社融通をする場合の融通料金算定の問題に関連してのお話だと思いますが、まあ具体的に佐久間の発生電力は三円九十銭で売られている。従ってそれにある程度の合理的な何がしかの経費を加算して、一つの合理的な基準によって東北電力にその分だけ融通したらどうかというようなお話であろうかと思いますが、これらにつきましては、先ほども申し上げましたように、電源開発会社の卸売料金算定、それから東京電力電力料金、つまり東京電力それ自体の収支の問題、さらには東京電力から東北方面融通する場合の融通の量なり料金なり質の問題非常にまあ複雑な関係がございますので、それらを調整してただいまそれぞれの卸売料金なり融通契約認可をいたしておるわけでございまするが、これらを法規的に何らかの形で直結さして、強制的と申しまするか、ある程度の法規的な基準によってやったらどうかというお話でございまするが、ただいまのところそういうふうにすることができるかどうか、またそうすることが合理的であるかどうかというような点につきましてはなお研究をさしていただきたいと思います。
  37. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  38. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をつけて下さい。
  39. 小西英雄

    ○小西英雄君 新任の小出局長はすでに公益事業次長をやられて電力に非常に詳しいので、私たちは一つ特にお願いいたしておきたいと思います。料金値上げの問題については、われわれは反対いたしましたが、結局原価計算による料金ということが今までの行き方であるそうでありますので、この際私は……、この九分割して以来日本の電力は豊富でもなければ低廉でもない、非常な日本の産業の隘路になって参りました。私たちが衆議院の通産委員当時に、九分割に非常に反対いたして参りましたが、時の大勢に押し切られて九分割いたしたのでありますが、この九分割をやったために、新しい施設をやれば補償費が高くなる。あるいはいろいろ工場設備等においても高くなってくる。それを加えれば、九分割した会社原価主義によって料金を上げるというふうな現在までの行き方であるならば、もう毎年こういうことが繰り返されるのではないか(「その通りだ」と呼ぶ者あり)ということになりますので、この際事務当局において、一つ恒久的な電力政策を立てられて、日本の国が、御承知のようにそれほど広くなっていない反曲に、こういうふうな電力を、時の勢いで分割した。この際再検討を要するのじゃないかと私は思うのであります。こういう点について、小出局長は何か事務当局として、ここで電源開発法の改正、あるいは九電力会社に対する何かの具体的な指導方針というか、行政処置で、もう少しこの際やろうという考えがあるかどうか、一つお尋ねしておきたいと思います。
  40. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 今御指摘のように、このままで進みますれば、豊富低廉な電力じゃなくて、低廉でない豊富な電力という格好にだんだんならざるを得ないという情勢でございますので、この際根本的に電力政策全般に再検討を加えて、あらゆる面から電気料金高騰を押えるような政策を至急考えるべきであるという御指示もりますので、われわれとしてはもちろん事務当局といたしましても、従来からそういう点は当然研究いたしておりますが、さらにこの際根本的にそういった面につきまして再検討を加えていきたいと思います。ただ、電気料金高騰を抑制するためには、いろいろな措置がございます。たとえば税の面におきましても、あるいは金融の面におきましても、政府としてなすべき、またなし得る措置——もちろん国会の御承認を得なければなりませんが、そういうような措置もございまして、いろいろな角度から検討さしていただきたいと思いますが、御指摘になりましたような九電力会社のいわゆる電力再編成の問題を、さらにこの際さかのぼって再検討するかどうか、あるいは電源開発促進法の根本的な再検討をするかどうかというような点につきましては、ただいまのところ別段の構想を持っておりません。しかしながら電力政策全般の問題とも関連いたしまして、今後十分に至急研究、勉強さしていただきたい、かように考えております。
  41. 小西英雄

    ○小西英雄君 時間がありませんので、次にいたしたいと存じますが、この際いろいろな面について再検討しなければ、一木の廃業は電気によってはばまれてしまうという状態になると思うので、昨年来いろいろ問題にいたしておりましたが、たとえば水利権の問題についても、中央で納得しても、地方長官が納得しなければならないと、いろいろなむずかしい問題もあります。われわれ四国の者でありますが、四国の場合におきましても、この前にいろいろないきさつから、四国のような一小さいところでも、二つに分れた形で、共同電力と、そうして四国電力があって、同じ火力を両方が設備して、一方が遊んでいるというような面に、調整がつかない点が非常に多いのでありますが、たとえばそういうような地帯についても、この際再検討をお願いしてこれをやはり全部の電力として産業の合理化の上にもそういう点をやるとか、これは四国だけのケースかと思いますが、そういう点等、あらゆる点に一つ小出局長は詳しくそれは知っておられるので、そういう点、また先ほど言っておった電発からじかに北陸電力、あるいは東北電力に私たちは送れないはずはないと思うのでありますが、実際に電線を伝わらなくても、それは全部一本の動力線、高圧線を通じておるので、それはただ計算上ご事務的にどうにもなる問題であるし、非常に現在売る方の立場になると勝手なことを言うておる。そういう点は法的にもう少し明らかに何か国家の処置としてできるようにすれば、そういう点についても不安がなくなる。今日のように電力料金の移動が激しければ、北陸とか東北電気が安いからと工場を誘致しても安心して腰を据えてやれない。こういう点から電力は当分この地帯には何年ぐらい後まで全然動かないという一つ基本的な政策を十分考慮して事務的に検討して、次の国会に何かの処置を一つ講じていただきたいということをお願いいたしまして、私は時間がありませんから簡単に質問を打ち切ります。
  42. 阿部竹松

    阿部竹松君 一、二点お伺いいたします。  さいぜん事業局長のお話ではあれですね。公共事業令で判定したとおっしゃったですね。そうしますと、これは三十九条の中にある三項目でやられたことになるのでしょう。そういうことになりますると、さいぜんの小幡委員の、質問にも関連してくるのですが、二ランク、ランクを設けるということが納得できない。筋が通らぬということになりませんですか。たとえば安い、高いはこれは別問題ですよ。やはり判定はあくまで一本でなければならぬ。現在の社会情勢がどうだとか、ショックを受けるとかいう常識論的な御答弁があったようですが、そういうことに、この法律を解釈して判定するというふうには私は成り立たないように考えるのですが、この点はどういうふうに解釈されたのですか。
  43. 小出榮一

    説明員小出榮一君) ただいま御指摘の公共事業令がその根拠法規でございますが、原価主義に基きまして算定いたしました供給規程認可が、先ほど申しましたように一八%前後の供給規程認可をいたしたわけでございます。ただし、三十二年度に関しましては、特に需用家のための影響の緩和の措置といたしましては特別の軽減措置をとったわけでございますが、その結果として原価主義がくずれたのではないかという御趣旨の御質問だと思うのでありますが、私どもといたしましてはこれをもって特に原価主義がくずれたと、原価主義をくずしてまでそういう措置をとったというわけではございませんで、従いまして結局においては会社側の企業努力を、まあ融通の操作ということもございますが、融通の操作ということは、融通いたします方の電力会社の事情もございまして、限度がございますので、結局は東北電力北陸電力自体の相当思い切ったと申しまするか、本来の、通常の場合に想定できないほどの企業努力を要請しなければならぬ結果になった、こういうことでございます。原価主義それ自体をくずしたということにはならないと思います。
  44. 阿部竹松

    阿部竹松君 そうしますと、話がますますおかしくなると思います。一四%七八で原価主義をくずしたのではない、当然これによってまかなっていけるのだという卑属も成り立つわけですね。そうしますと、あくまで通産当局としてはこれは衆参両院の自民党、社会党の一致した、あまり上げぬようにという強い要望があるわけです。従って一四%何がしで原価主義をくずさないでもいけるということであれば、今年はこれは原価主義でいけるのだからくずさないでやってみたい、しかしどうしても来年はだめだということになれば考慮しようということになる。そういうことになれば話が違いますが、昨年は一八・一四、一七・八これを出しておるのですから、どうも私は局長の答弁では納得いきません。次の数字を出しておらなければいいのです。従って次の数字を明確に出しておるということであればどちらが正しいか、どちらも原価計算をくずしませんという理屈にはなりません。インフレがずっと高進していってとにかく三%なら三%、二%なら二%のインフレが高進していって、実際のコストがこれだけ高くなるということなら別問題です。数字を二つあげて、いずこも原価計算をくずさぬというべらぼうな話はありません。これ以上論争をやってもどうにもなりませんから、もう少し事務当局は十分御検討願って御答弁願いたいと思います。  その次に五番目に書いてありまするように、「供給規程面においては」ということで、イ、ロ、ハ、ニという四項目を羅列してまことに美言麗句で内容はりっぱです。そうしますと、一四%ぐらい上げたのでは、これだけの完全な設備をするならば、ただ上げたことにならない。ただ電気料金を上げるために、大衆の目をごまかすためか、国会のわれわれの賛成を得るためこれを羅列したなら別問題です。しかしこれだけの設備をするには千万円や千五百万円ではできない。これはそういうことを計算したことがあられるやいなやということと、この問題は当該の東北電力北陸電力のみに該当するものか、あと七つの社に該当するものか、その点をまずお伺いをいたします。
  45. 小出榮一

    説明員小出榮一君) ただいまの御指摘の供給規程面においてサービス改善に関連する各種の改正点につきまして、これは実際従来需用家負担であったものを会社負担に振りかえますためにどの程度の負担増になるかというような点につきましても、一応の計算をいたしたものがございます。一例をあげまするというと、たとえば工事検査料とか、あるいは電気用品試験料の廃止とかいうようなことによって、東北電力につきましては約年間で二千四百六十万円くらい、北陸電力につきましては九百六十万円くらいのこれに伴う算定ができております。それから定額制街路灯電球の貸付というようなことを今回やることにつきまして、一応の予想といたしましては、東北電力につきましては千六百六十万円、北陸電力につきましては四百九十万円というような、それぞれの一応の算定はできておりまして、全体としてのトータルの金額としましては、いろいろその他の措置を合せまして、こういったサービス改善関係だけでもって、東北管内につきましては約五億八千万円、北陸管内につきましては二億七千万円程度にのぼる、こういうふうに一応試算いたしております。  それから他の、東北北陸以外の会社につきましては、こういった措置はまだ実現されておりません。次の供給規程改訂の機会がございますれば、その際にはできるだけこれにならってサービス改善に努めるようにさしたいと、かように考えております。
  46. 阿部竹松

    阿部竹松君 それは局長あれですね、たとえば東京にしても関西にしても北陸東北内容がいいのであるから、こちらの内容が悪いから、上げなければならぬというところで上げるわけでしょう。そうしたら、上げるところにこういう方針でやらして、ほかは上げぬところにもやらせるというようなべらぼうな御答弁はないですよ。  それはそれでいいとして、三番目にもう一つお伺いしたいのですが、六番目に、さいぜん若干説明があったようですが、東京電力関西電力購入する電気料金を引き下げる。こういうことについては話し合いが最終決定を見ておらぬけれども、現在その交渉中というお話でしたが、今より二、三カ月前に、電力会社の九つの集まりの、協力会議ですか、協議会ですか、そういう名称の集まりに事業局長がここにおいでになって、今年は総体的に九社をプールして八十億の赤字であるから、従って現在直ちにとは申し上げられないけれども、将来電気料金を上げてもらわなければならぬ、こういう御答弁をしておる。ですから、五十銭下げるとか五十何銭下げるとかおっしゃるけれども、結局はその赤字が、東北電力あるいは北陸電力に下がった分の五十何銭なるものが関西電力東京電力の赤字になって、今度はこちらの方の電力料金値上げということになるわけでしょう。だから結局たれかが値上げをされるかということで、内容は同じじゃないですか。
  47. 小出榮一

    説明員小出榮一君) 今回の融通電力単価の引き下げをそれぞれ送電側の会社に要請することによりまして、それが原因になって、東京なり関西なり等の料金値上げにはね返ってくると、こういうふうには考えておりません。また先般の事業者の団体の事務局からどういう話があったか私は承知していませんが、おそらくそれは会社によっては経理的に苦しいものが二、三のものが出てくるおそれがある、こういう趣旨で申し上げたのではないかと思うのでありまして、九電力会社が全部近い将来において一斉に値上げをしなければならぬ状態にあるというふうには私どもは見ておりません。
  48. 阿部竹松

    阿部竹松君 局長は、考えておりません、知りません、確かにそうでしょう。先月の十五日に局長になられたのですから。しかし局長一人で案を作ったのでなくして、この案を作るときには、多くの方々がおられたはずです。ですからそういう方々の御意見も参酌して局長が答弁なされておるその資料を作ったものと私は判断したのです。ですから、私局長のおっしゃるように、簡単に各社が上げません、ほかの社も大丈夫でしょうということになるのであれば私も心配ないのです。ただこの前の話を承わってみると、北海道電力から始まって関西、東北、四国、中国というふうに上げなければならない情勢だ、こういうような話を聞いたものですから、こういうことをして安い電力東北なり北陸なりに譲る、譲ればこっちもますます赤字になるから、上げなければならぬ。いたちごっこになるというように判断をしたのですが、あなたのおっしゃるように、そういう心配はございませんということであればけっこうです。
  49. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは電気料金改訂に関する件はこの程度にいたします。   —————————————
  50. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に経済総合政策に関する件を議題にいたします。  御承知通り政府は去る六月十九日に国際収支改善緊急対策を閣議決定をいたしましたが、この対策に入る前に、この対策を必要といたしました最近における経済動向の推移について経済企画庁から説明を承わりたいと存じます。
  51. 塚本敏夫

    説明員(塚本敏夫君) 国際収支改善緊急対策、六月の十九日に閣議決定いたしましたそれまでに至りますところの最近の経済動向につきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず輸出関係でありますが、輸出は大体一月—五月平均の輸出額といたしまして二億二千、大体前年の同期に比べまして一六%程度の増加をいたしております。ただこれは、この増加率はある程度低下いたしておりまして、そういう面から、今後さらに輸出がどの程度伸びるかということは相当問題であろうと思います。  なお輸出と並びまして特需に関しましては、同様に一月—五月の平均で四千四百万ドル、前年同期に比べまして約四%の減少を示しておりますが、なお今後駐留軍向けの個人の消費、あるいはICA資金によりますところの買付、こういうものが考えられますので、大体年ベースで五億ドル程度の水準を維持していくものであろうというふうに考えられるわけであります。  なお一方内需の而でありますが、設備投資関係につきましては非常な活況を持続いたしておりまして、民需向けの機械の受注額を見ましても、一月—三月平均で前年同期の二・七倍というような非常な活況を呈しているような次第であります。  なおまた建築等につきましても、——三月平均におきまして、前年同期に比べまして住宅、非住宅、ビル等、こういったものは前年同期の約一二%の増加をいたしておりまして、その中でも特にビル等の建設の増加が著しいようであります。  次に消費の動向でありますが、一、二月平均では、前年同月に対しまして都市の消費水準は約四%高、農村は約一%高、両者を総合いたしまして約二%高、こういうような傾向を示しております。家計調査面に表われております限りにおきましては、消費の動向は経済規模の拡大の割にはきわめて控え目じゃないか、こういうような傾向であります。  次に鉱工業の生産の状況でありますが、鉱工業生産状況は、三十一年におきましては、予想いたしました水準といたしましては、年間大体二二七%程度を予想いたしておったのでありますが、実績を見ますると二三一%というように、相当の上昇を示しているわけであります。なお四月に至りまして二五〇%、五月二五八、こういうような非常な活況を示しているような次第であります。特に業種別に見ますと、設備投資の活況を反映いたしまして、機械、金属、こういった耐久材関係の増加が著しいようでありますしそれと同時に、また出荷面におきましても引き続き好調でありまして、そのほかなお上帝者の製品在庫指数も漸次増加をいたしております。なお原材料の在庫につきましても、——四月平均をとりましても、前年同期の四四%増というような非常な増加をいたしております、ただ生産の伸びがありますが、その伸び以上にこの在庫が多くなっておりまして、いわゆる在庫率指数というものも相当増加をいたしているような次第であります。  なお隘路部門といたしまして、いろいろ従来から問題になっております鉄鋼につきましてこれを見まするに、鉄鋼につきましては国内の増産によりまして、相当昨年度におきましては 迫を来たしたにもかかわらず、最近に至りましては、輸入鋼材等の入善量も次第にふえて参っておりまして、国内の増産と合せまして、最近に至りましては需給関係は相当に緩和せられているような状況であります。  なお隘路部門の関係でエネルギー部門につきましては、電力関係でありますが、この電力需用は相当昨年末以来の異常渇水、あるいはまた三月におきますところの炭労スト、こういった関係——三月におきましてもその需給はきわめて窮屈な状態にあったわけでありますが、最近に至りまして不需用期を迎えますし、また生産も相当伸びて参りまして、需給は最近に至りましては相当緩和されて参っております。  以上のような山鹿状況に比べまして、国際収支はどうかという点を見ますると、まず原材料等の輸入が非常にふえておりまして、これは特に隘路打開のための鉄鋼やエネルギー源の輸入の必要、そういった必要のために原材料関係の輸入がふえております。なおまた在庫の蓄積のために昨年末以来輸入は非常に急激に伸びておりまして、一月—五月の平均で見ましても、為替ベースをとりましても一億九千九百万ドル、昨年の同期に比べまして六七%の増、通関ベースで見ましても三億九千万ドル、昨年同期に比べまして六〇%の増、こういうような非常な輸入の増加を来たしておるような状況であります。  なおまた、輸出の面につきましては、先ほど申しましたように、増加が幾らか鈍化いたしております。そういうような関係におきまして、外国為替の収支は、本年の一月に赤字に転じておるような次第でありまして、その赤字は逐次増加をいたしておりまして、——五月合わせてすでに二億八千五百万ドル、そういうような赤字を示して参っておる次第であります。でそういうような赤字の結果、外貨の保有高も本年三月末におきましては、昨年の四月末に最高十四億五千万ドルに上っておりました外貨の保有量も、ことしの三月末には十二億ドル台を翻るというよな、そういうような状況に立ち至った次第であります。  そういうような状況に比べまして、そういう状況と同時に、また財政金融面におきましても、特に——二月におきましては税関係収入が大幅に増加いたしました。また、外国為替の収支の赤字を反映いたしまして、外為の特別会計が大幅な揚超になる、こういった関係で一—三月の財政資金の対民間収支は二千六百億程度の揚超、こういうように非常な揚超を来たしております。そういうような関係におきまして、金融面におきましては相当逼迫を来たしつつあるわけでありまして、以上申しましたような、生産が非常に予想以上に伸びた。なおまたそれに加えまして、そのために、輸入が非常に伸びたということのために、予定いたしておりました外貨の使用量も、最近に至りまして相当危険な状態になったということであります。これに対処いたしますために、政府といたしましては、さっき申しましたような、国際収支の改善のための緊急対策を六月の二十九口に決定いたしました。財政面の施策あるいはまた金融面の施策、産業面の施策、そういった面のいろいろの施策を講じますと同時に、貿易面の伸長施策を講じていこう、こういう決定をいたしたような次第であります。  以上簡単でありますが、最近の経済の動向につきまして御説明申し上げました。
  52. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、緊急対策については、すでに新聞等にも出ておりましたので、配付されている資料を中心にそれぞれの担当官から簡単に説明を伺ったらいかがでしょうか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  54. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を起して下さい。  御異議なければ簡単に、願うことにいたします。
  55. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) それでは、私どもの方で所掌しております外貨の保有高のお手元にお配りしてあると思いますが、最近までの推移でございます。これにつきまして若干私から補足説明をいたしておきたいと思います。  先ほど経審の方から説明がありましたように、外貨の保有高で長岡の保有を示しましたのが三十一年の四月でございます。十四億五千万ドルという保有高になっております。これが逐次減少いたしまして、特に本年に入りまして、最近の二、三カ月で、先ほどお話しのありました三月末が十一億九千二百万ドル、さらに五月末になりますると、千億ちょうどといったような保有高になって参っておるわけであります。で、これにつきまして、全体の、ここに掲げました保有高はドル、ボンド、その他若干の指定通貨があるのでありますが、そのほかにオープン・アカウントの債権があるわけであります。その総合計が十億ということでありまして、御注意願いたいと思います点は、この十億の外貨保有高と申します中に、インドネシア、韓国あるいはアルゼンチンといったような、オープン・アカウントで決済いたします勘定残の中で、実は焦げつき、ないし、たな上げになっておる不良債権があるわけであります。これが五月末で申し上げますると約二億五千八百万ドルほどございます。  次に、この保有外貨を考えます際に、どれだけ現実に使えるかということを考えます際に、考慮を要する点がいま一点あるわけでございます。これは短期の債務でありまして、たとえばユーザンスで決済を延ばしておるというような金額、あるいは綿花借款を受けておる短期の一年程度の借り入れをいたしておるわけであります。あるいはIMFから借り入れをしたというような短期の債務、これを控除いたしますると、実質直ちにまあ使えると申しますか、使用可能な外貨というものはかなり減少するわけであります。従いまして、総保有高の十億ドルというものは、そのまま完全に使えるという外貨ではないのでありまして、かようないろいろな不良債権なり、あるいは短期の債務を背負った保有高であるという点を補足説明いたしまして、一応提出いたしました保有外貨の推移の説明にかえたいと思います。
  56. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 ちょっとお尋ねしたい。今の何ですね、この使用可能な額は少いというお話だが、それはどのくらいになるのです。
  57. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) ただいま御説明いたしましたところの不良債権が、約二億五千八百万ドルというものを申し上げましたが、そのほかに短期債務として約四億七千四百万ドルほどございます。
  58. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、大蔵省酒井銀行局長からお伺いいたします。
  59. 酒井俊彦

    説明員(酒井俊彦君) それでは私から国際収支改善緊急対策につきまして、金融機関関係のことについて若干の御説明を申し上げます。  この国際収支改善緊急対策は、すでに御承知のように、本年に入りましてから、国際収支が急激に悪化して参りましたので、これの均衡回復のために、特に従来とりつつありました金融引締め及び輸入抑制等、さらに強化いたしますとともに、新たに金融、財政、産業、貿易、各方面における総合対策を実施したいということで、去る六月十九日に閣議の決定になったのであります。まず財政面の施策でございますが、財政投融資につきましては、別途理財局の方から御説明があると思いますが、現在の国際収支の悪化を来たした根本原因につきまして、やはりそこに在庫投資を含めましての、国内の投資が、相当スピードが早かったというところに、大きな原因があると思いますので、従って財政面、あるいは金融面を通じて、事業の繰延べを徹底的にやるということによって、内需を押えて、それに関連して、輸入を減少するとともに、内需を押えることによって輸出を増進させて、それによって国際収支の均衡を回復したいということで、総合施策が始まったわけであります。  財政面にちょっと触れておきますと、きょうは主計局の人が来ておりませんので、何でございますが、別途財政投融資及び民間投融資を繰り延べますに伴いまして、一般財政の血におきましても、これに類似する官庁営繕等につきましては、同じように繰延べ、あるいは削減をする必要があるのではないかということで、結局、一般庁舎につきましては、外務省の庁舎その他におきまして、この際繰延べ、あるいは削減をいたしますについて、最小限の必要な経費以外は、全部繰り延べるという方針で、一般会計におきまして、全体が、一十九億の予算に対しまして、七億九千七百万、二〇%の節約、厚生保険特別会計におきまして、三億二千二百万の予算に対し、三億二百万、これは九三・八%ほどで、合計いたしまして、二五・六%繰延べをいたしました。それから公務員宿舎につきましての、鉄筋のものを中心にいたしまして、二〇%繰延べるということにいたしました。そのほかに造幣局、印刷局等にもやはりございますので、一般会計と合せまして、予算額十五億四千三百万のうち、一億七千九百余万円、これを繰り延べることにいたしたわけであります。  それから財政投融資につきましては、後ほど理財局の方から御説瞬いたすかと思います。金融面の施策でございますが、信用膨張の抑制のために、日銀貸出しの増加は極力圧縮する、この点につきましては、すでにこの春以来、日本銀行におきまして、金融調節をやってきておるのでございますが、今後はさらにこれを強化していきたい。それによって極力国内の需要を圧縮したいということでございますそういう意味におきまして、昨年度実行いたしました資金運用部資金の短期間用としての買上げ保有の公社債、金融債、七百億、このオペレーションをやりました分は、金融引締めが今後相当長期わたって行われなければならぬというような趣旨をもちまして、国庫収支の揚超が減少し、あるいは散超になる時期、つまり秋口ぐらいからあと、この七百億の才ペレーションにつきましては、売戻しをしたいということになっております。  ただ、こういうふうに金融面を締めますと、やはりどうしても引締めのしわが中小企業へ現われてくるという懸念が非常に大きいのでございます。従ってまず中小企業金融公庫及び国民金融公庫に対しまして、第四四半期に借入れを予定いたしております政府資金の繰上げをいたしまして、これは数字で申し上げますと、中小企業金融公庫の方が大体六十億見当、それから国民金融公庫の方が大体七十億、広がることになります。一部はすでに六月の末から実行いたしております。それから同時に商工中金につきまして、これは商中債の資金運用部引受けの額が今年は二十億でございます。それを倍額、二十億さらに引受けるということによって、一応中小企業金融についで、円滑な金融をはかっていくということにいたしております。  それからさらに、民間の金融機関につきまして、中小企業向けの融資が各金融機関で行われておりますが、その場合に信用保証制度を活用して貸しておりますものにつきましては、当該貸付と申しますか、信用保証協会の保証で各金融機関が貸し付けました場合に、それと見合う同額のものをその金融機関が持っておる金融債を資金運用部で買い上げるということによって、中小企業向けの金融の疏通をはかるという措置をとっております。この点は大体七月一日からそういうことで融資が始まりましたものについて適用したい、大体総額といたしましては二百億くらいを予定いたしております。  次に、輸出金融につきましては、結局国際収支の改善という面につきまして、一方で輸入を減らしますことはもちろん必要かもしれませんが、同時に、日本経済がこれから堅実な基礎のもとに発展していくために、どうして毛輸出を伸ばす必要がある。そういう観点から輸出金融を特に優先的に取り扱いまして、たとえば各金融機関の毎月の資金繰りの予定、資金計画というようなものがございますが、それが輸出金融のために相当の金が出て、結局金が足らぬというような場合には、日銀としても別段それを抑えない、輸出金融はできるだけ優遇するという措置をとっております。このほか、輸出前貸手形の金利を一厘引き下げました。これは後ほど申し上げますように、一般的に若干金利を引き上げたわけでありますが、輸出につきましては逆に二厘程度引き下げたということと、同時に輸出金融の手続につきまして、これはまあ形式あるいは添付書類の問題でございますが、多少その辺の手続を簡素化いたしまして、楽にして、それから同時に、外国為替引当貸付制度を一部拡充を行う、これはいわゆる着地払いの輸出につきまして、これが現在南米だけに適用されておったのでありますが、南米以外の土地にも適用いたしまして、輸出金融の順便をはかるという措置をとったわけであります。  それから次に、国民貯蓄を増強するために、定期性預貯金の金利の引き上げでございます。これは先般定期預金につきまして、まあ一年ものは据え置きにいたしましたが、六カ月ものにつきましては現在五分というのを五分五厘に上げる、それから三カ月ものにつきましては現在四分でありますが、これを四分三厘に引き上げるという措置をとりました。これはまあ御存じのように最近まで定期預金は免税であったのでございますが、六カ月もの、三カ月ものについては最近税がかかることになりましたので、それらの不均衡も考えながら、一方貯蓄増強という観点から、そういう引き上げ措置をとったわけであります。ただ、定期積金その他の中小金融機関関係の金利でございますが、これは中小金融機関のそういう預金金利を引き上げますと、相当に経理が苦しくなる。さればといって、貸付金利を中小企業向けについては上げるということも適当でございません。一応これは今回は見送ってございます。  それから社債その他の条件の改定でございますが、これは後ほど理財局から御説明した方がいいかと思います。  それからその次に産業面の施策といたしまして、第一に先ほど申し上げましたように、財政におきましても投資計画の一部繰り延べを行う。大体財政投融資におきましては、さっきの中小企業金融関係の資金を百五十億ふやしますから、その分を差し引いてみますというと、一九・何%かの削減にたっております。同時にその百五十億を差し引いたもので見ますと、約一五%の削減、繰り延べだということになっております。それにあわせまして、民間投資の繰り延べをしていただく必要があるということで、先般来二、三度金融機関資金解議会を開きまして、そこでの結論といたしましては、大体において民間投資も一五%見当を繰り延べる必要があるのじゃないか。もちろんこれは中身によることでありまして、たとえば電力その他の隘路部門に対する繰り延べの要請、それからまた一方において一般産業の繰り延べ、こういうことでは、やはり質的に多少変りますので、まあ平均して一五%でございますが、一〇%のものもあり、それからまたあるいは二四、五%のものも出てくる。こういうような格好になるかと思いますが、各室年別にどの程度計画を一繰り延べていくかということは、資金審議会におきましてさらに小委員会を設けて検討しようじゃないかということがきまりました。目下その小委員会におきましてどういうふうにするかということを、これから研究する段階でございます。  それからその次にビル建築その他不用不急事業については、さっき申し上げましたように、国の庁舎、官庁営繕等の繰り延べをいたしますと同じような趣旨におきまして、なるべくこれを繰り延べる、あるいは新規のものはしばらく見送っていただくというふうなことをお話し合いで、できるだけしていきたいということも考えております。それからこれの実行につきましては、もし金融機関が融資をしているというような場合がありますとすれば、それは金融機関自身の融資自主規制委員会というのが現在ありますが、これと連絡をとりまして、できるだけそういう建築部面への融資は差し控えていただくという措置をとって、こういう事業に対する事業計画を繰り延べていきたい、かように考えております。  それから第四番の問題につきましては、貿易面の施策でございますが、これらの点につきましてはそれぞれ所管の方がおいでになりますので、私からの御説明を省略さしていただきます。  それから第五番目に、やはり貯蓄の増強でございます。これはまあ日本経済が堅実な姿で今後伸びて、参ります場合に、やはりその条件といたしまして、一つは国際収支の均衡ということが第一の前提条件になります、もう一つやはり貯蓄と投資のバランス、それの均衡を考える必要がありますので、今後の日本経済の強化ということを考えます場合に、どうしても貯蓄奨励ということにさらに一段と力を入れる必要がある、そこでまあ先ほど申し上げましたように、定期性預金の金利を引き上げるとかいろいろの施策を講ずると思いますが、一般的には国民消費の節約でございますとか、国産品の愛川でございますとか、そういう国民運動を展開いたしまして、ぜひとも貯蓄を大いに増強して、それによってそれに見合う投資を拡大していくというふうにしていきてたいと、かような考えであります。  なお、付記の地方公共団体に対しましても、各種対策の趣旨に沿い自主的に協力することを要請するもので、これは国の財政につきましては、そういうふうな相当思い切った措置をとったのでございます。一方地方団体におきましてもやはり同じような趣旨から、できるだけ自主的にそういうふうに御協力下さるようにお願い申し上げるということで目下お願いはいたしておると思います。  簡単でございますが、大体の御説明でございます。
  60. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、大蔵省の賀屋理財局次長に御説明願います。
  61. 賀屋正雄

    説明員賀屋正雄君) それでは私どもの方で所掌いたしております財政投融資の関係の対策につきまして、ごく簡単に御説明を申し上げたいと存じます。  先ほど銀行局長から御説明がございましたように、今日の国際収支の悪化を来たしました非常に大きな原因をなしておりますものは、国内の投資活動の行き過ぎがあるということを申さなければならないと思います。従いましてこの際はどうしても政府のみならず国民全体を通じまして国内の投資をある程度スロー・ダウンさせる必要があるということは、申すまで毛ないのでございまして、そこで、この財政投融資が相当今日の経済活動におきまして大きな役割をいたしております現状にかんがみまして、この点につきましても当初の予定から相当額繰り延べていただく必要があると思われるのでございまして、この点につきまして過般決定いたしました国際収支改善緊急対策にございますように、大体一五%を目標といたしましてこの繰り延べをやっていただくということにいたした次第でございます。で、これは繰り延べでございますので、いろいろな政府機関でありますとか、特別会計等がございますが、その計画自体をそれだけ、繰延額だけ削減いたしまして、計画の変更をしていただくという趣旨ではございませんで、時期的に計画の実施を調整をしていただくという考え方でございます。従いまして予算の変更等は毛もちろんこれによって必要はないと考えておるのでございます。  で、この一五%の繰り延べをいたします際に、どのような考え方に基いて実施をしていただくかということにつきましては、緊急対策の中にも書いてございますが、まず、経済効果の現われ方のおそいものから繰り延べていただくように配慮していただく。なお、この所要資材が輸出と競合いたしますもの、あるいは輸入に依存する度合の強いもの、そういったものから順次繰り延べていただくという、まあ抽象的な基準考えておるような次第でございます。  なお、この繰り延べの対象といたしましては、この際でございますので、従来いわれております電気、鉄鋼、造船等の隘路部門につきましても、おつき合いをしていただく必要があろうと  思われます。こういった部門につきましてもその当初の計画をそのまま実施するという考え方ではなくして、ある程度やはり繰延を実施していただく、かような考え方に基いておるのでございます。  そこでお手元にお配りいたしました昭和三十二年度の投融資繰延要請額という、各機関別の繰延額を算定いたしたのでございますが、大体全体といたしまして一五%をめどとするという点でございますが、必ずしもこれは投資を何パーセント減らせば輸入がどれだけ減り、従って国際収支がどれだけ改善されるといったような理論的な計算から出てきたものではないのでございますが、大体この各機関、各会計の事業の施行状況でありますとか、あるいは金融市場の公募債の消化の状況等から勘案いたしまして、この程度はまあ無理がなかろうという数字ではじき出したのでございますが、それが全体といたしまして六百四十九億五千万、この繰延額の一番下の合計のところに出ております数字になるのでございます。しかしながら、この各機関別の金額の算定に当りましては、なるべく各機関による相互の不均衡というものがないように留意をいたしまして、大体の考え方といたしましては、それぞれの事業につきまして昭和三十一年度から三十二年度に若干の繰越があるのでございます。もちろん繰越のないものもございますし、大きいもの、少いもの、程度の差はございますが、そうした三十一年度から二年・度への繰越額につきましては、大体その額まるまるさらに先に繰り延べていただく、それにプラスいたしまして、この冬機関の本年度に行おうとしておりました事業計画の約一割をプラスいたしまして、この右の欄に出ております繰延額をはじき出したのでございます。それが大原則でございまして、若干の例外はございます。それからこの表には載っておりませんもの、すなわちこの繰延の対象とならなかったものといたしましては、輸出入銀行に対する投融資、それからすでに出資を完了いたしました不動産銀行に対する投融資、その他特定の土地改良、特定多目的ダムの二つの特別会計の投融資、これは繰延の対象から除外いたしたのでございます。そのようにいたしましてこの合計六百四十九億五千万となっておりますものが、大体本年度の財政投融資の計画の総額であります四千九十一億と対比いたしまして、一五・九%という数字に相なるのでございます。  ただ、その点で若干つけ加えて御説明申し上げますれば、この表にもございますように、先ほど銀行局長が御説明いたしましたように、最後のところ、合計の上のところに中小企業金融対策といたしまして、△印をつけまして百五十億という数字が出ておりますが、これは国民金融公庫、中小企業金融公庫、それから商工中央金庫に対する投融資でございますが、これを第四・四半期の分を百五十億円だけ繰り上げます関係上、それを含んだ数字が六百四十九億五千万と相なっておりますので、これを除いて考えますと、これをこの中小企業金融機関以外の機関につきまして、繰延を要請される額は、この百五十億を足しました七百九十九億五千万という数字に相なるのでございまして、従いましてこの中小企業金融機関を全然別に考えまして、繰延の対象となりました機関だけについてこのパーセンテージをはじきますと、ただいま申し上げました七百九十九億五千万に対しまして、繰延対象機関だけの計画額が、本年度三千四百八十五億ございますので、それでもって割りますと、約二二%という数字に相なるのでございます。  大体以上のような数字でございますが、財政投融資の繰延をこのように行いました結果、前年度の比較がどのようになるかということをつけ加えて申しますれば、三十一年度の計画と、先ほど申しました繰延を行いましたあとの、三十三年度の計画を比較いたしますと、大体前年と横ばい、パーセンテージをとりますと、九九・一%という程度の数字に相なるのでございます。ただ、三十一年度の先ほど申しましたズレが含まれまして、それを本年度の計画額に加えまして、さらにこの繰り延べ額を差し引いた数字に比較いたしますと、今申し上げました繰延をいたしましても、若干一割程度は昨年度から比較いたしまして、財政投融資の実行がふえるという計画に相なっているのでございまして、この数字によっても見えますように、先ほど高い数字といたしまして二二%というような数字を申し上げましたが、実際のこの繰延の、このような数字の繰延をいたしましても、昨年度の比較におきましては、若干この事業が本年は昨年よりもよけいに行われる、こういう数字に相なっているのでございます。  個々機関別の繰り延べ額の算定につきましては、ただいま申し上げましたような基準に基いたものでございまして、ただ、このこまかい説明は省略いたしますが、この中でその機関がしからば自分のところの、どの事業を繰り延べるかという計画につきましては、私ども大蔵省といたしましては、ことこまかにくちばしを入れる考えは毛頭ないのでございまして、先ほど冒頭に申し上げましたような抽象的な基準によって各機関によって御検討をいただきまして、繰延額をどの事業を繰り延べるかという数字をはじき出していただけるようにお願いをいたしておる次第でございます。  以上簡単でございますが、財政投融資関係の御説明を終りまして、先ほど銀行局長から公社債その他長期金利の引き上げの点に触れたのでございますが、これはもう新聞等にも出まして御承知のものと思うのでございますが、若干数字を、幾らを幾らに変えたかということを申し上げますと、公社債につきましては、従来七分六毛、日歩にいたしまして一銭九厘三毛でございましたものを、このたび年利七分在庫一毛、日歩二銭四糸、それから利付金融債につきましては年七分二厘、日歩一銭九厘七毛でありましたものを年七分六厘一毛、日歩二銭八毛八糸、それから一流事業債でございますが、これは従来表面金利が七分三厘でございましたが、若干表面金利も上げるということにいたしまして、七分五厘に表面金利をし上げまして、発行価額を九十八円五十銭といたしまして、従来、年七分三厘五毛でありましたものを七分八厘三毛、日歩にいたしまして二銭一毛でありましたものを二銭一厘四毛五糸、この程度に引き上げることにいたしたのでございます。まだこのほか割引金融債につきましては、大体日歩割引率一厘程度の引き上げを考えております。  以上で財政投融資並びに長期金利の引き上げにつきましての御説明を終ります。
  62. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次は、松尾通商局長から御説明を願います。
  63. 松尾泰一郎

    説明員松尾泰一郎君) それでは国際収支改善緊急対策の中の4の貿易面の施策について簡単に御説明を申し上げます。  実は貿易面の施策につきましては、非常に簡単に表現をせられておりまするので、実はこれの具体的細目を通産省で作りまして、要するに輸出振興策として具体策を作りまして、関係各省と交渉をいたしておりまするので、それを中心に御説明申し上げます。実は4のところにおきまして、「輸出振興については、前述の金融措置のほか、」とありますが、前述の金融措置といたしまして、先ほど銀行局長からも御説明がありましたように、まず輸出金融について日銀、市中銀行の貸し出しに関する量的規制に当りまして特別に考慮をして最優先的に確保するということがまず第一、それから二が輸出前貸手形に対します日銀、市中銀行の貸出金利を一厘程度引き下げる、それから次に輸出前貸手形の適格審査を一そう順便にするとともに、貸し出しの際の手続の簡素化をはかるということ、それからその次は必要に応じまして、輸出前貸し制度による融資額を引き上げ、また融資期間を延長するということ。それからその次は、DP、DA手形に対します外国為替の引当貸付制の適用範囲の拡大をする。これにつきましてはおおむね大蔵省その他と話し合いがつきまして、もうすでに大部分実施済みになっておるかと思うのでございます。一部まだ話し合い中のものもあるのであります。大体この輸出金融につきましては、大体実施済みかと思うのであります。  それからその金融措置のほか、行政措置等によりまして輸出増加のために各般の措置を講ずるとともに、税制、保険、貿易為替管理等の制度上の改善措置をも検討する、この点につきましては、申し上げるまでもなく、行政措置等による云々という点は、従来から強力に実施を進めておりまする、たとえば経済外交の問題であるとか、あるいは取引体制の整備確立等を、かかる抽象的な表現で表わしておるのでありますが、以下税制あるいは保険、貿易為替管理等の制度上の問題について若干御説明を申し上げますと、まず輸出に対する税制上の優遇措置であります。現在の輸出所得の控除制が実施をせられておるのであります。この控除率は、現在のところは輸出業者につきましては、現行の輸出取引高の一%または輸出所得の百分の八十のいずれか低い額を控除するということに現行法はなっておるのであります。これを、できれば輸出所得の全額を控除するように改めたいということで交渉しておるのであります。また次に、製造業者及び加工業者につきましては、現行制度におきましては、これも普通取引高の三%、プラントの場合は五%またはその取引による所得の百分の八十のいずれか低い額を控除するということになっておるのであります。これまた輸出業者の場合と同様、取引による所得の全額を控除するように改めたい、こういうふうに考えておるのであります。その他要すればこの現行の輸出所得控除制は三十四年の十二月末を一もって終了ということになっておるのでありますが、恒久的な制度改善することもあわせて考えておるのであります。次に輸出損失準備金制度であります。これは現行制度によりましては、個人の場合は三十二年十二月三十一日まで、それから法人の場合は三十三年の八月一日を含む事業年度の直前の事業年度までと、こうなっておるわけであります。これを恒久制度化したい。それから次に、新しく海外市場維持開拓準備金制度を設けたいと考えておるのであります。それは輸出入の組合、輸出業者、製造業者等の海外市場維持開拓のために活動を活発化するために、こういう準備金制度を設けたいというわけであります。この制度内容について詳しく申し上げますと、時間もかかりますので、また明日の会議にでも申し上げたいと思いますが、要するにこういう新しい市場維持開拓制度準備金を一つ新設をいたしたいというふうに考えておるのでございます。  それから次に保険の問題でございますが、保険につきましては、先般の国会におきましても御審議を願いまして、かなりの改正をみたのでありますが、今回この保険制度改正といたしまして、まず輸出代金保険の保険料率を引き下げるというのであります。それから普通輸出保険につきまして填補事由の拡大等の改善をはかるということ、それから新しく、できれば長期貸付保険の創設をしたいというふうに考えておるのであります。  それから貿易為替管理制度上の改善措置といたしましては、現在輸出承認制度を全地域に適用するという建前になっておるのでありますが、たとえば戦略物資等につきましては、そういう共産圏なら共産圏というふうにいたしまして、その他の地域はこれを除くというふうに、いわゆる仕向地の概念を導入しまして、必要最小限度の規制にとどめたいということで目下鋭意準備をいたしておるような次第であります。その次には、標準決済規則の徹底的な単純化をはかりまして、ひいては現行の輸出認証制度も廃止の方向に持っていきたいというふうに考えておるのてあります。それから、その他輸出クレジット対策の推進といたしまして、最近のこの世界的な輸出クレジット競争の激化に対しまして、まず現在の輸出入銀行の運用を積極化して、あるいは延払い条件、あるいは担保条件の緩和をはかる等をしたい。また、東南アジア諸国等に対しまする資本財の輸出促進のためには、新しい一つクレジット方式を研究してはいかがかというふうに考えておるのであります。  また、輸出振興予算といたしまして、現在は、先般の国会で御承認をいただきましたのは総額十二億円ということになっておるのでありますが、どうも各国の例に比べましてかなり少いのでありまして、こういう輸出振興の大切な時期に際しまして、できればこの振興予算を大幅に増額をしていただきたいというふうに考えておるのであります。これらは予算あるいは法律改正を要しますることは、実は今すぐにというわけにはいきませんので、次の国会を待つほかないのであります。鋭意われわれはそれまでに研究を積みまして、いずれ国会で御審議を願いたいというふうに考えておるのであります。  次に輸入につきましては、各般の総合施策によりましてその抑制を徹底するというふうに書いてありますが、もともと、国際収支の改善措置といたしまして、常識的に言えば輸入を抑制する、直接的な抑制ということが非常に手っとり早いのではないかというような意見もあろうかと思うのでありますが、まずわれわれといたしましては、国内の有効需要削減のために有効な手がとられないで、先に輸入面において輸入抑制措置をとるということは、かえって思惑輸入を助長し、物価の騰貴を来たすということでありまして、いわゆる財政面あるいは金融面あるいは産業面の施策を通じまして有効需要が減少して、よってもってこの輸入が自然に減少するという方向にいかざるを得ないかと思うのであります。まあともかく各般の総合施策によりできるだけ押えると、こういうことであります。そのためには先般五月、六月と二回にわたりまして輸入担保率の引き上げを行なったのでありますが、ここにも表現されておりますように、従来保証状等の差入れをもって足れりとされておりました品目について、日銀に対する五%の現金積立を行わしめる、これは大部分重要物資についての原則でありますが、中にはやや利用度の低いものにつきましては三割五分、二割五分の現金積立をされておるものもあるわけでありますが、そういう担保率の引き上げということによって金融の引き締めと合せて輸入の抑制に資したいという趣旨であります。  なお、この外貨予算そのものにつきましては、実情を無視しまして削減いたしますることは、先ほども申しましたように物価の高騰なり思惑の発生を招くということはいかがでありまするから、物資の需給及び外貨資金繰りの実情を考慮しながら、慎重に弾力的に運用を行なっておるような次第でありまして、すでに繊維等の消費財につきましては供給の過剰傾向が表面化しておりましたが、今回の総合対策の結果、投資財につきましても最近は需給緩和の傾向が見えてきたような状況でありまして、上期の当初予算二十億八千万ドルでございますが、つきましても若干の留保ないし繰越が可能ではないかというふうに見ておるのであります。外貨予算のいわゆる。ドラスティックな削減はできるだけ避けたいという精神であります。  以上簡単でございますが説明を終ります。
  64. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ただいま説明の諸君のほかに、政府側からは通産省の齋藤官房長並びに松尾企業局長が出席しておりますが、各委員の方には御質問があろうかと思いますが、時間も大へんおそくなりましたので、本日はこの程度にいたします。  なお、先刻委員長に御一任になりました明日の中小企業金融に関する件の参考人の人選につきましては、その後交渉いたしました結果、全国銀行協会連合会専務理事水田直昌君、全国地方銀行協会専務理事吉橋鐸美君、商工組合中央金庫理事加藤八郎君、中小企業金融公庫理事江崎千準君、以上四君にお願いすることに決定いたしましたので、さよう御了承を願いいたします。  なお明日は、公報には掲載いたしませんが、午前十時からこの五号委員室におきまして貿易政策の問題について非公式懇議会を開くことになっておりますので御出席をお願いいたします。  それでは次回の委員会は、右の懇談会終了後、明日午後一時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会