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説明員(酒井俊彦君) それでは私から国際収支
改善緊急対策につきまして、金融
機関関係のことについて若干の御
説明を申し上げます。
この国際収支
改善緊急対策は、すでに御
承知のように、本年に入りましてから、国際収支が急激に悪化して参りましたので、これの均衡回復のために、特に従来とりつつありました金融引締め及び輸入抑制等、さらに強化いたしますとともに、新たに金融、財政、産業、貿易、各
方面における総合対策を実施したいということで、去る六月十九日に閣議の
決定になったのであります。まず財政面の施策でございますが、財政投融資につきましては、別途理財局の方から御
説明があると思いますが、現在の国際収支の悪化を来たした根本
原因につきまして、やはりそこに在庫投資を含めましての、国内の投資が、相当スピードが早かったというところに、大きな
原因があると思いますので、従って財政面、あるいは金融面を通じて、事業の繰延べを徹底的にやるということによって、内需を押えて、それに関連して、輸入を減少するとともに、内需を押えることによって輸出を増進させて、それによって国際収支の均衡を回復したいということで、総合施策が始まったわけであります。
財政面にちょっと触れておきますと、きょうは主計局の人が来ておりませんので、何でございますが、別途財政投融資及び民間投融資を繰り延べますに伴いまして、一般財政の血におきましても、これに類似する官庁営繕等につきましては、同じように繰延べ、あるいは削減をする必要があるのではないかということで、結局、一般庁舎につきましては、外務省の庁舎その他におきまして、この際繰延べ、あるいは削減をいたしますについて、最小限の必要な経費以外は、全部繰り延べるという
方針で、一般会計におきまして、全体が、一十九億の予算に対しまして、七億九千七百万、二〇%の節約、厚生保険特別会計におきまして、三億二千二百万の予算に対し、三億二百万、これは九三・八%ほどで、合計いたしまして、二五・六%繰延べをいたしました。それから公務員宿舎につきましての、鉄筋のものを中心にいたしまして、二〇%繰延べるということにいたしました。そのほかに造幣局、印刷局等にもやはりございますので、一般会計と合せまして、予算額十五億四千三百万のうち、一億七千九百余万円、これを繰り延べることにいたしたわけであります。
それから財政投融資につきましては、後ほど理財局の方から御説瞬いたすかと思います。金融面の施策でございますが、信用膨張の抑制のために、日銀貸出しの増加は極力圧縮する、この点につきましては、すでにこの春以来、日本銀行におきまして、金融調節をやってきておるのでございますが、今後はさらにこれを強化していきたい。それによって極力国内の需要を圧縮したいということでございますそういう
意味におきまして、昨年度実行いたしました資金運用部資金の短期間用としての買上げ保有の公社債、金融債、七百億、このオペレーションをやりました分は、金融引締めが今後相当長期わたって行われなければならぬというような趣旨をもちまして、国庫収支の揚超が減少し、あるいは散超になる時期、つまり秋口ぐらいからあと、この七百億の才ペレーションにつきましては、売戻しをしたいということになっております。
ただ、こういうふうに金融面を締めますと、やはりどうしても引締めのしわが中小企業へ現われてくるという懸念が非常に大きいのでございます。従ってまず
中小企業金融公庫及び国民金融公庫に対しまして、第四四半期に借入れを予定いたしております政府資金の繰上げをいたしまして、これは数字で申し上げますと、
中小企業金融公庫の方が大体六十億見当、それから国民金融公庫の方が大体七十億、広がることになります。一部はすでに六月の末から実行いたしております。それから同時に商工中金につきまして、これは商中債の資金運用部引受けの額が今年は二十億でございます。それを倍額、二十億さらに引受けるということによって、一応
中小企業金融についで、円滑な金融をはかっていくということにいたしております。
それからさらに、民間の金融
機関につきまして、中小企業向けの融資が各金融
機関で行われておりますが、その場合に信用保証
制度を活用して貸しておりますものにつきましては、当該貸付と申しますか、信用保証協会の保証で各金融
機関が貸し付けました場合に、それと見合う同額のものをその金融
機関が持っておる金融債を資金運用部で買い上げるということによって、中小企業向けの金融の疏通をはかるという
措置をとっております。この点は大体七月一日からそういうことで融資が始まりましたものについて
適用したい、大体総額といたしましては二百億くらいを予定いたしております。
次に、輸出金融につきましては、結局国際収支の
改善という面につきまして、一方で輸入を減らしますことはもちろん必要かもしれませんが、同時に、日本
経済がこれから堅実な基礎のもとに発展していくために、どうして毛輸出を伸ばす必要がある。そういう観点から輸出金融を特に優先的に取り扱いまして、たとえば各金融
機関の毎月の資金繰りの予定、資金
計画というようなものがございますが、それが輸出金融のために相当の金が出て、結局金が足らぬというような場合には、日銀としても別段それを抑えない、輸出金融はできるだけ優遇するという
措置をとっております。このほか、輸出前貸手形の金利を一厘引き下げました。これは後ほど申し上げますように、一般的に若干金利を引き上げたわけでありますが、輸出につきましては逆に二厘程度引き下げたということと、同時に輸出金融の手続につきまして、これはまあ形式あるいは添付書類の問題でございますが、多少その辺の手続を簡素化いたしまして、楽にして、それから同時に、外国為替引当貸付
制度を一部拡充を行う、これはいわゆる着地払いの輸出につきまして、これが現在南米だけに
適用されておったのでありますが、南米以外の土地にも
適用いたしまして、輸出金融の順便をはかるという
措置をとったわけであります。
それから次に、国民貯蓄を増強するために、定期性預貯金の金利の引き上げでございます。これは先般定期預金につきまして、まあ一年ものは据え置きにいたしましたが、六カ月ものにつきましては現在五分というのを五分五厘に上げる、それから三カ月ものにつきましては現在四分でありますが、これを四分三厘に引き上げるという
措置をとりました。これはまあ御存じのように最近まで定期預金は免税であったのでございますが、六カ月もの、三カ月ものについては最近税がかかることになりましたので、それらの不均衡も
考えながら、一方貯蓄増強という観点から、そういう引き上げ
措置をとったわけであります。ただ、定期積金その他の中小金融
機関関係の金利でございますが、これは中小金融
機関のそういう預金金利を引き上げますと、相当に経理が苦しくなる。さればといって、貸付金利を中小企業向けについては上げるということも適当でございません。一応これは今回は見送ってございます。
それから社債その他の条件の改定でございますが、これは後ほど理財局から御
説明した方がいいかと思います。
それからその次に産業面の施策といたしまして、第一に先ほど申し上げましたように、財政におきましても投資
計画の一部繰り延べを行う。大体財政投融資におきましては、さっきの
中小企業金融関係の資金を百五十億ふやしますから、その分を差し引いてみますというと、一九・何%かの削減にたっております。同時にその百五十億を差し引いたもので見ますと、約一五%の削減、繰り延べだということになっております。それにあわせまして、民間投資の繰り延べをしていただく必要があるということで、先般来二、三度金融
機関資金解議会を開きまして、そこでの結論といたしましては、大体において民間投資も一五%見当を繰り延べる必要があるのじゃないか。もちろんこれは中身によることでありまして、たとえば
電力その他の隘路部門に対する繰り延べの要請、それからまた一方において一般産業の繰り延べ、こういうことでは、やはり質的に多少変りますので、まあ
平均して一五%でございますが、一〇%のものもあり、それからまたあるいは二四、五%のものも出てくる。こういうような格好になるかと思いますが、各室年別にどの程度
計画を一繰り延べていくかということは、資金審議会におきましてさらに小
委員会を設けて
検討しようじゃないかということがきまりました。目下その小
委員会におきましてどういうふうにするかということを、これから
研究する段階でございます。
それからその次にビル建築その他不用不急事業については、さっき申し上げましたように、国の庁舎、官庁営繕等の繰り延べをいたしますと同じような趣旨におきまして、なるべくこれを繰り延べる、あるいは新規のものはしばらく見送っていただくというふうなことをお話し合いで、できるだけしていきたいということも
考えております。それからこれの実行につきましては、もし金融
機関が融資をしているというような場合がありますとすれば、それは金融
機関自身の融資自主規制
委員会というのが現在ありますが、これと連絡をとりまして、できるだけそういう建築部面への融資は差し控えていただくという
措置をとって、こういう事業に対する事業
計画を繰り延べていきたい、かように
考えております。
それから第四番の問題につきましては、貿易面の施策でございますが、これらの点につきましてはそれぞれ所管の方がおいでになりますので、私からの御
説明を省略さしていただきます。
それから第五番目に、やはり貯蓄の増強でございます。これはまあ日本
経済が堅実な姿で今後
伸びて、参ります場合に、やはりその条件といたしまして、
一つは国際収支の均衡ということが第一の前提条件になります、もう
一つやはり貯蓄と投資のバランス、それの均衡を
考える必要がありますので、今後の日本
経済の強化ということを
考えます場合に、どうしても貯蓄奨励ということにさらに一段と力を入れる必要がある、そこでまあ先ほど申し上げましたように、定期性預金の金利を引き上げるとかいろいろの施策を講ずると思いますが、一般的には国民消費の節約でございますとか、国産品の愛川でございますとか、そういう国民運動を展開いたしまして、ぜひとも貯蓄を大いに増強して、それによってそれに見合う投資を拡大していくというふうにしていきてたいと、かような
考えであります。
なお、付記の地方公共団体に対しましても、各種対策の趣旨に沿い自主的に協力することを要請するもので、これは国の財政につきましては、そういうふうな相当思い切った
措置をとったのでございます。一方地方団体におきましてもやはり同じような趣旨から、できるだけ自主的にそういうふうに御協力下さるようにお願い申し上げるということで目下お願いはいたしておると思います。
簡単でございますが、大体の御
説明でございます。