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1957-05-27 第26回国会 参議院 商工委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月二十七日(月曜日)    午後一時三十八分開会   —————————————   委員異動 五月二十日委員小西英雄辞任につ き、その補欠として西田信一君を議長 において指名した。 五月二十一日委員後藤義隆君、西田信 一君及び杉山昌作辞任につき、その 補欠として大谷贇雄君草葉隆圓君及 び廣瀬久忠君を議長において指名し た。 五月二十二日委員三浦義男辞任につ き、その補欠として小沢久太郎君を議 長において指名した。 本日委員草葉隆圓辞任につき、その 補欠として小西英雄君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     近藤 信一君    理事            古池 信三君            西川彌平治君            阿部 竹松君            相馬 助治君    委員            青柳 秀夫君            小幡 治和君            小西 英雄君            白井  勇君            高橋  衛君            海野 三朗君            島   清君            大竹平八郎君   国務大臣    通商産業大臣  水田三喜男君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業省通商    局次長     樋詰 誠明君    通商産業省公益    事業局長    岩武 照彦君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済の自立と発展に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)  (貿易政策に関する件)   —————————————
  2. 近藤信一

    委員長近藤信一君) これより委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る五月の二十日小西英雄君が委員辞任されましたが、本日付をもって小西君は再び委員に復帰されました。また五月の二十一日杉山昌作君、後藤義隆君、五月二十二日に三浦義男君が辞任され、その補欠として廣瀬久忠君、大谷贇雄君及び小津久太郎君がそれぞれ委員に選任されました。  以上、御報告いたします。   —————————————
  3. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 本日の議題は、公報でお知らせいたしました通り調査に関するもので、電気料金改訂に関する件、貿易政策に関する件、委員派遣に関する件であります。  まず、電気料金の件でありますが、御承知通り東北北陸の両電力会社から電気料金改訂に関する申請書が出まして、当委員会におきましても、問題の重要性にかんがみ、去る五月の六日、参考人として両電力会社代表者並びに需用者側出席を求め、調査を進めて参ったのでありますが、今回この問題の処理方針等について、通産大臣から発言を求められましたので、まずこれを伺うことにいたします。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、東北電力株式会社及び北陸電力株式会社の二社から、電気料金改訂の問題の認可申請が、この四月二十日に政府に提出されたのでございます。で、私どもとしましては、問題は非常に日本産業影響のある問題でございますし、国会商工委員会の御意見は十分にお聞きして対処したいと考えましたので、できれば国会中に間に合うようにと思いまして、仙台富山聴聞会国会中に開きまして、これを整理してから当委員会に御報告し、この政府対処策について御意見を伺いたいと存じておりましたが、とうとう国会中に間に合いませんでしたので、本日この問題について、いろいろ御報告して、それから御意見を伺いたいと存ずる次第でございます。  まず、申請内容について、それからこれに対して、先ほど申しましたように、仙台、冨山における聴聞会の場合の関連者からのいろいろな御意見と、それからこういう聴聞会のいろいろな御意見に基きまして、通産省としては、今までどういう作業をやってきたか、そして一応こういうことではどうかというような、もちろん確定案ではございませんが、もっぱら事務当局を中心にして、今までやってきた作業の結果というようなものを、先に当局から御報告並びに御説明をいたさせますので、そのあと一つ、いろいろ御質問あるいは御意見を伺いたいと存じます。
  5. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 両社申請の概要につきましては、先般の参考人から聴取の際に、私の方で取りまとめまして、資料としてお配りしておきましたので、あるいはごらん願ったかと思いますが、簡単に要約いたしますると、東北電力においては、開発に伴う資本費増高及び他社からの購入電力量増加等のために、原価がかなりかかりまして、これを内部の企業努力によって吸収するといたしましても、なおかつ全体としまして二割一分の料金改訂のやむなきに至り、その料金改訂内容につきましては、詳細は省略いたしまするが、概略していいますれば、電灯小口動力等値上げの幅を小さくして、大口電力等値上げの幅を大きくしているというふうな構成でございます。なお、東北地方産業開発のために、小口電力料金は、いわゆる一本料金で、現行の体系のままでいきたい、こういう内容でございます。  北陸電力の方は、これも原価増原因は大体同様でございますが、特に目立ちますのは、他社からの購入電力量支払いが急激にふえて参っておるということが原価面特徴でございます。その結果、全体で二割四分の原価増をどうしても見込まざるを得なくなり、これを料金改訂によって吸収したいというふうなのが内容でございます。その内容の詳細は省略いたしますが、やはり各種料金の中におきまして、電灯あるいは小口値上げ率を軽微にいたしまして、大口電力にしわを寄せてこざるを得ない。特に北陸電力の今回の料金制度上の特徴としましては、本年四月以降増加いたしました受電契約の対象の需用家につきまして、その増加分につきまして特別料金という制度を設けまして、一般料金の二倍程度料金計画している。これは、同地方の急激な工業化の結果、かなり電力需給関係も不安定になって参りますので、しばらくこの特別料金制度によって、何といいますか、急激な工業化を漸進的に持ってゆきたいというふうな気持が現われているようであります。  それから、なおこまかい点でございますが、両社とも従来から実施している負荷率割引制度を廃止するというのが、制度面特徴でございます。  この申請案につきまして、五月十日に仙台及び富山で、規則に基きます聴聞会を開催いたしました。両地とも四十名以上の公述者が参加いたしまして、いろいろと御意見の開陳を行いました。その詳細はお配りしております「聴聞会における主要意見の要約」という資料でございますが、概略して申し上げますと、  東北電力の方の聴聞会におきましては、全面的に賛成という公述者が三名でございます。その他は、できるだけ最小限にとどめてほしい、あるいは条件付だというふうな意味意見がかなりありました。絶対反対という意見の方がむしろ少なかったというふうな状況でございます。なお、反対理由には、いろいろ東北地方特殊性を強調いたしましたものがありますし、また企業の採算を悪化するというような意見もあったようであります。また各種需用産業実態等見地から、いろいろと意見の出た向きも多かったようであまりす。  それから北陸電力の方は、全面賛成が一名でございまして、あと条件付賛成といいますか、あるいは何といいますか、要するに、最小限にとどむべしというふうな意見相当ございます。で、これもやはり北陸地区立地条件特殊性から、電力が安いということが同地方発展の一原因であるから、今度の値上げによってその魅力がかなり少くなるというような点の意見もだいぶあったようであります。それから、なお原価面特徴といたしましては、隣りの電力会社からの融通料金をもう少し下げてもらいたいという意見が多数あったようであります。特別料金制度についての意見は、賛否半ばしているような状況でありました。これにつきましては、かなり条件付賛成者が多かったようです。  それから、なお両方の公聴会意見を通じまして、先ほど申しました負荷率割引については、反対論が圧倒的であったようであります。負荷率割引の廃止につきましては反対論があったというのが、特に申し上げておく事項かと思います。  それで、公聴会を終りまして、通産省としましては、いろいろと原価面の査定、あるいは料金制度面検討等を行いまして、一応お手元にありまするような腹案と申しまするか、意見を固めてきた次第でございまして、このお手元にありまする一枚刷りのものは、これはこの処理の具体的な問題でございまするが、これはむしろ料金面の問題でありまして、  第一番としましては、非常に反対の多かった負荷率割引制度存続する。ただし、現行割引程度はかなり累進に過ぎるようなところもございまするので、需給関係の安定という見地も考慮いたしまして、その割引程度現行のものよりも軽減する。そこにありまするように、業務用電力小口電力は一カ月三百時間超過分、また大口電力については四百五十時間超過分。この超過時間は現行と同様であります。ただ、割引の率を一律に一〇%引ということにしたらどうかということであります。  それから調整電力調整電力と申しまするのは、現在も両社にありまするが、一年間のある日数の供給を保証する電力、大体三月から十一月あるいは十二月までの期間の中のある時間を保証する電力であります。これについては力率割引制度がありませんから、これはむしろ力率割引をつけたらどうかという考えであります。  それから個々の料金料率でありますが、これは北陸電力の例の特別料金制度であります。これはまあ現在ほかの会社ではとっておらない制度でありますのと、一挙に一般料金の二倍ということでは、かなり影響があるかと思いますので、これを少し下げまして一・七倍程度でどうかという考え方であります。それから大口電力小口電力の常時電力が少し高いので、企業に対する影響がかなり現われまするので、これを東北では五銭、北陸では三銭程度引き下げたらどうかということであります。それから期間常時の方も——期間常時と申しますのは、豊水期一定月数を限って供給を保証する電力でありますが、これをキロワット・アワー当り三銭、それからなお北陸調整電力も、これも五銭ほど下げたらどうか。それから従量電灯キロワット・アワー当り料金でありますが、これを東北北陸ともに引き下げる方が望ましいようでありますので、これは東北も十銭、北陸も三十銭下げたらどうか、こう思っております。  大体こういう料率で参りますと、企業に対する影響も、申請に比して、相当緩和されるのではないかと思っております。ことに現在比較的影響が出てくるように思われますのが、大企業負荷率割引の問題でございますから、この制度存続いたしますれば、まあかなり影響が緩和されるかと思っておりますが、そういうことで、これに要します原価面の節約あるいは調整でございますが、これは両社原価のうちで、特に問題になっております他社からの購入電力料金ですが、これを少し引き下げたいと思っております。まだ最後的な成案を得ておりませんが、これを少し調整したいと考えております。  それから社内の、何といいますか、プロパー原価というと言葉が悪いですが、その他の原価のうちで、修繕費でありますとか、あるいはいろんな雑費、それからなお申請に伴います開発計画等がその後変更になっておりますので、それの変更による減価償却あるいは支払い金利減少等を見込みます、その他こまごましたものをいろいろ手を入れまして、これは結局会社側にそういうふうな企業努力を要請するということになるわけであります。そういう手を用いまして、大体今申しました料金調整に要する、いわば財源といったものを捻出する考えでございます。  それから、こういうふうな料率を適用した結果どういうふうなでき上りの形になるかというのが、お手許に配ってありまするこまかい数字の入った表でございますが、これは東北電力の方は、一番右の値上率の欄の一番下を御覧願いますと、一八・五三%の値上げ、ただし、これはずっとごらん願ったらわかりますが、供給電力の種別によりまして、それぞれの値上げの幅が異なっておるわけでございます。申請の二一・二と比べますと、それぞれの種類におきまして値下げを行なっておる、こういうことに相なるわけであります。  北陸電力でございますが、これは例の特別料金制度によりまする料金収入を一緒に突っ込んで計算しております。従って、たとえば大口電力等におきましては、事業の拡張を伴わない企業におきましては、これよりもかなり負担の幅が減るということに相なるわけであります。この方も平均値上率は一九・四となりまして、申請の三四%よりはかなり減るわけでございまして、各種類別にも、ここに比較してございまするが、相当の何といいますか、値下げが行われることになろうかと思います。なお特別料金を除きますれば、この平均値上率は、またこれよりも若干下るということは当然でございまして、大体こういうふうなことで本件の処理方向を見出したわけでございます。  なお、いろいろ御意見等も拝聴いたしまして、またわれわれの方も、これに要しまするいろいろな原価面調整の方も固めまして、認可をいたしたいと考えております。  一応御説明申し上げます。
  6. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは、これより質疑に入るわけでございますが、ただいま通産省当局からは水田通産大臣岩武公益事業局長のほか、今井公益事業局経理長井上業務課長、及び永野仙台通産局長出席されております。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  7. 小幡治和

    小幡治和君 大体今いろいろお伺いいたしまして、両電力会社申請よりも、政府としては相当いろいろ配慮をされた跡もうかがえるのでありますけれども、今日東北なりあるいは北陸なりの実際の状況から見ますると、とてもこれではやっていけないというふうな実情でありまして、何といっても、東北なり北陸なりは、産業の面においても、これはもう工業は申すに及ばず、農業においても水産においても、またあらゆる面においても、要するに、電力が安いということが産業立地条件の唯一なものになっておったのでありまして、今回のこの値上げによってその産業条件根本が、非常に大きなショックを受けておるような次第であります。そういう面で、実はこの前のこの委員会における、参考人を呼んでの質疑にも言われたわけでありますけれども、当商工委員会が、将来の電力料金値上げに対する警戒として、こういう問題は相当公益的な問題もあるし、また産業の大きな基本の問題でもあるので、料金値上げを押えるとともに、料金値上げに対するいろいろな原因の除去については、政府において相当これに対する利子の補給なり、あるいはいろいろ金融の低利のあっせんなりということに全力をあげて、これを処置すべきだということを強く要請しておったわけですが、今回のこの値上げ理由を見てみましても、結局はやはり新しい開発相当原価が、生産費がかかったという問題と、融通電力が高過ぎるという、この二つ原因赤字になるから、一つ値上げをしてくれということに帰着すると思うのです。そうなりますと、新規開発という面について、政府としては、前の商工委員会における付帯条件のごとく、いろいろ利子の補給なり、低金利融通なりということでこういう問題は処理すべきであるというふうに私は思いますし、また融通電力の問題にいたしましても、実際関東なりあるいは関西なりが非常に困ったときは、相当安く東北なり北陸なりから送っておったので、今回東北北陸が非常に苦しくなったといって相当、火力の発電の四円五十銭というか、相当高い値段でこれを買わされるということであっては、とても耐えられないという点もありまするので、この二つの面について政府一つ配慮をして、そしてこの値上げというものを、今パーセンテージで伺いますれば、大体平均して一八%、一九%ぐらいになると思いますが、もっともっとこれを押えていく余地がないのかどうかという点を、まず一つお伺いいたしたいと思います。大臣一つ……。
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 電力料金が、今のような行き方でいきましたら、他の電力会社がこの一、二年すぐに値上げ申請というようなことにはならないで済みそうだとは思いますが、しかし将来の趨勢としては、開発が進むに従ってこの資本費の圧迫というものは強くなりますので、将来この電力開発のために国としてどういう措置をとるべきかという問題は、私ども当然、これから考えて、できましたら今の電源開発法改正というようなものも考慮したいと考えておりますが、さしあたりの問題としては、なかなか今利子補給というようなものを、ここで国会が終ったあとでやるというわけには参りませんので、これは今後の問題として私どもも十分考えたいと思っておりますし、また政府部内でもこの問題の相談を至急私はいたしたいと思っておりますが、一応今度の処理案としましては、そういう点には触れずに、融通料金の問題、そのほかのいろいろな技術的な問題で、こういう方向最小限にとどめる措置をとったらどうかというのが、この処理案の骨子となっておるものでございますが、今のような、根本的に、東北北陸だけでなくて、日本電源開発の問題として政府は今後どうしたらいいかという問題は、これは根本的に考えたいと思っております。
  9. 小幡治和

    小幡治和君 今大臣からの御説明では、その通りだが、時期として早く解決しなければならぬのでというお話でありましたが、私といたしましては、とにかく両電力会社の今日の経営内容というものを見ましても、実際赤字で、それからもう配当もできない、あるいは赤字でとても動きがつかぬというところまで行っておらない。利益相当大きいし、配当もやっておるのだ。そういうような実情なんで、ただ将来の計算からいくと赤字になるというふうなことで、この際料金を上げようというふうなことのように見受けられるのですが、それならば、政府においてこういう開発、特に電力開発という問題は、今度の内閣においても、いわゆるこういう隘路産業に対して重点的にこれを打開するという大きな政策も持っておるわけでありまするので、その政策の実現というものを待って、そうしてそのときにどうしてもやれないというときに、初めて値上げという問題が取り上げられていいのではないか。今日まだ利益を上げ、配当もやっておるというような現状において、将来の計画の上において赤字が出るからといって、今すぐにこの値上げというものを断行するということは、早いのではないか。もっと慎重に、今大臣の言われた開発計画と勘案しながら、どうしてもだめだというときに、納得させて値上げというものを考慮していいのじゃないかというふうに思われるのですが、その点について、大臣、どうお考えになられますか。
  10. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 御承知のように、電力料金原価主義によって政府認可するという立場になっておりますので、申請が出された以上、政府としましては、その原価を検討して適切な料金認可するというほかには方法がございません。電力会社配当もできなくなって、ほとんどつぶれそうになったときに認可すればいいというわけには、政府としてはいきませんし、また、もし一円も配当ができないというようなことになってしまっては、今後開発する場合に自己資本を調達する方法というものは一切なくなりますので、適切な利潤というものはやはり認めるのがほんとうで、これを見た原価主義によって適切な料金をきめるというのが、私ども監督行政立場でございますので、とことんまでこれを追い詰めてしまって、そうして、もうやむを得ぬからこういう料金認可してやるという行政もできないので、今度の場合としましては、この申請に対して政府が適当な処理をするということが、これはまあ私ども当然のことだろうと考えます。
  11. 小幡治和

    小幡治和君 今、結局、企業会社として、重要な電力という仕事を持って将来なお開発しなければならぬときに、まあこれが将来の企業努力を痛めつけるようなことはできないというふうなお話でありますが、実際内容的に見てみますると、電力会社実情はその通りでありますが、しかし、今度の値上げを受けるところの電力を使う各産業におきましては、それこそ、今度の値上げによってその産業の存立まで脅かされるというふうな実情になったのでは、これは大臣が今非常に企業というものを尊重される御意見からもどうかと思われるわけでありまして、きょういろいろ内容を伺ってみますると、大体公益的な面については相当配慮をされておられるようでありますが、しかし、そのために、そのしわ寄せというものがいわゆる大口電力の方にかかってくる。しかし、この大口電力というものも結局、企業というものは中小企業であるわけでありまして、そういう面から考えていきますと、そういう一律に何%値上げということでなくて、結局そういう中小企業というものにしわ寄せが強くなっていく。しかも、そのしわ寄せ料金値上げの率というものが、従来大体まあ一割程度だったと思うのですが、それが非常に飛び離れてこういう大きな値上げ率になるということになると、今までのその会社いろいろ経営なりの方針というものも根底からくずれますし、東北なりあるいは北陸なり工場誘致をして、新しい産業をどんどんやっていこうというようなときに、この間の国会におきましても、東北振興のいろいろな法律案も出ましたが、それなんかも要するに結局そういう意味なんで、私としては北陸にもやっぱり北陸開発というようなものが必要だと思っておりますが、まあそういうふうな面から考えると、やっぱりその根本である電力というもの、しかも、それが公益的な面のしわ寄せまで中小企業が受けるというふうなことであっては、中小企業としては成り立たないというようなことになると思いますので、そういう面について、公益的な部分というものは、これは政府が手を打つというふうなことで、何か考えられないか。結局平均として考えて、そうしてそれの公益部分にかぶさってくるものは政府が何らかの措置考える。そうして中小企業にそれがあるいは四割なり、五割なりというふうに大きくしわ寄せられないようにして、企業というものの発展を考慮してやっていくというふうなことが考えられないのかということなんでありますが、この点については、どうお考えでございましょうか。
  12. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 何か、政府が特別の措置を講ずべきではないかというお話でございます。政府が手を打つとしますれば、一番すぐ考えられますのは、たとえば税を軽減するとか、あるいは御指摘のありました利子補給ということは、一番手っ取り早い問題かと実は思っております。しかし、これは国の全般の財政規模等からおそらく検討いたしませんと、一例をあげますれば、三十一年度で支払っておりまする金利等につきましても、この前両社の分は資料で差し上げておりますが、たとえば東北は三十一年度四十五億、北陸は十九億でございますから、かりにこれを半分にするというふうにいたしましても、両社合せて七十億の半分三十五億程度の国の支出が出るのであります。そう講じましても、その程度では、両社料金の低下にはそれほどの効果がないわけであります。あるいは法人税等も、実は今度の租税改正におきましても、われわれ通産省としましては、今までありました増資免税制度存続あるいは重要物産免税存続等を強く主張したわけでありますが、これもいれられなかったのでありますが、そういうふうな点等から考えますると、やはり国が手を打ちますのには限度がありまするし、またその効果が必ずしも所期するほど大きく現われないのではなかろうかと思っております。  先ほど御説明を省略いたしましたが、今回の一応のこの腹案によりましても、なお北陸は全国料金の水準も一番安い地帯であることが失われておらないわけでありまして、それからまた各種料金におきましても、それぞれ、近隣の関西、中部電力と比較いたしましても、大体安いということでございまして、まあ安い程度はいろいろ各社の間で違いますが、やはり北陸地域の電力の安いという魅力は失われておらないのではないかと思っております。    〔委員長退席、理事相馬助治君着席〕  そういうことでございますので、われわれとしましては、できるだけ料金値上げの幅を小さくしつつ、かったびたび料金改訂したらこれは産業としてはたまりませんので、できるだけ永続し得るような程度の位置に置きたいという、いわば両方矛盾した要求ではございますが、それを織り込みまして、この程度なら何とかなりはせぬかと思っておるわけでございます。  なお、企業に対する影響でございますが、これはいろいろ使用の条件が一々異なりまするので、なかなか的確にはつかめませんが、北陸におきましては、特別料金を使用いたさないような企業におきましては、ほとんど企業の死命を制するというようなことはないと思っております。また新増設の方は、ある程度そういうふうな原価高になるということをまあ知りながら、なおあえて新設拡張に踏み出したというふうな事情も若干あるようでございますので、その辺は何と申しまするか、そう企業存立を危うくするということにはならぬかと思っております。また、特殊の使用状態の産業、あるいは需用組織でどうにもならないというふうなところも、あるいは一、二あるかとも存じまするが、そういうところにつきましては、あるいは特約料金制度、あるいはいろいろ供給条件の、何といいますか、調整によりまして、あまり急激にひどいことにならないような措置は講じたいと思っております。
  13. 小幡治和

    小幡治和君 今いろいろお話がありましたが、どうもわれわれはそれだけじゃちょっと満足できぬような気もしますが、その中で特別料金の問題、これはまあ、実際これだけ値段が上るということを知りつつ拡張したというふうなお話でありますけれども、どうもこれは現状を実際見てみると、知りつつじゃないので、大体少しぐらい上るというふうなことは、風聞には聞いておったかもしれませんが、こんなに上るとは全然思わなかったというふうなことなんで、ですから、そこに非常な企業の食い違いがあるというふうなことも生じますし、また、いろいろ北陸にしろ東北にしろ、どんどん工場誘致ということを、これは府県自体も一生懸命やっている最中でありまして、そういうようなときに、こういうような特別料金という、一つのおもしろい制度ではあるけれども、そういう面から考えると、非常にこれは考えられなくちゃいけない制度ではないかと思うので、それで、たとえばこれを作るにしたところで、もう少し特別料金というものを、今これを実施と同時にではなくて、期限付で特別料金というものを、たとえば二年なり三年なりというふうな期限、そのあとでなおそういう結果が出るならばそれから特別料金になる、今すぐこれと同時にというのでは困る、要するに二、三年あとから特別料金ということならば、ほんとうにそれを承知の上でということがいえると思う。そういう意味における期限をもっとあとに延ばしての特別料金ということを御考慮できるのかできないのか、そういう点、私は考慮していただきたいと思うのですが、その点どうでございますか。
  14. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 実は特別料金制度の問題につきましては、要するに、これは大口電力の中の負担の配分の問題であります。この制度がいい制度かどうかにつきましては、われわれ、もうずいぶん検討いたしました。いたしました結果、料金制度はできるだけ国としましては統一した方がいいと思っておりまするが、しかし、また各地それぞれ需用の構造が非常に違っておりまするので、画一的な制度が必ずしも産業なり国民生活の実態に合わないじゃないかという気もいたしまして、それで北陸としましては、御承知のように、同社の供給いたしまする電力量のうち、相当大きな部分他社からの購入であります。これは結局、この二、三年来急激に伸びて参りました同地の大口産業、特に電気化学工業の発達に基因しているわけであります。普通の電灯需用の増加、あるいは中小企業の増加程度でございますれば、それほど他社から多量の融通を受けなくてもやっていけるというのが実情でございます。そういたしますと、むしろ原価配分の上から、今まで操業いたしておりまするものと、今後新しい操業を始めるものとを同じに扱うということが、権衡上から見てどういうことかという問題が一つあるわけでございます。それから、もう一つは、これは若干私の私見も入りまするが、御承知のように、富山県は日本で有数の電気化学工業の発達している県でございます。おそらく六番目か七番目にあると思っております。急激に発達いたしましたのは、そこにある豊富な電源、低廉な電力のおかげだと思っておりまするが、これをさらにこれ以上急速に伸ばしていくということが、実はどんなものだろうか、少し漸進的に持っていった方が、かえって大きな目で見まして、日本経済の発達上もいいのじゃないかという気もいたしまして、特別料金制度を採用したらどうかという考え方でございます。  そこで、御指摘のように、ある期間実施を延ばしたらどうかというお話でございまするが、実はこの対象になっておりまする企業のうちで、本年操業を開始いたしまするものは、すでにわれわれの方では、ほとんど大部分は受電認可をおろしております。ということは、裏から申しますれば、それに必要とする電力供給他社からの融通ということで手当をしているという状況でございます。そういうわけで、原価の方がすでに発生しておりまする関係で、需用者の方がその原価の負担を延期するということになりますると、どうも収支の平仄も合わないじゃないかというような気もいたしますので、まあわれわれとしましては、この改訂料金規程実施後、企業の操業開始のときからこれが適用されることになりはせぬか、こう思っております。その辺はいろいろ特別料金の幅等について、あるいは企業側と会社側と意思の疎通を欠いておった面があるのではないかというお話でございますが、あるいはそういうことがあったかもしれませんが、ある程度新規開始する産業に対する電力原価が高くなるということは、これはひとり北陸電力に限らず、他社でもそういう傾向がございまするし、なお、北陸電力ではむしろ前びろにそういう事情を連絡して、企業の受電認可申請に対処するというふうな事情もございまするから、まあその辺は原価面の問題その他から考えまして、でき得ればこれは供給規程の実施後、企業側がこの該当事項を出したらいかがかというふうにいたしたいと思います。
  15. 小幡治和

    小幡治和君 ほかの委員からもいろいろ御質問もあると思いますから、私、もうあと一点だけで一つ質疑をとどめたいと思いますが、先ほど大臣が、今後の電力料金処理案についての財源として考えられるのが、融通電力料率の引き下げ、経営の合理化、いろいろそういうことでもって、大体このくらいのものを一つしぼり出そうというふうなお話でありましたが、大体こういう今の計算でいって、融通電力どれくらい引き下げられるおつもりですか、また経営合理化のいろいろな面において、どれくらいな金をしぼり出すおつもりでこの計算というものができたのか、それを一つ拝聴いたしたい。
  16. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 大体の原価引き下げの目安は、七億ないし六億と思っております。まだこれは実はわれわれの方も固めておりません。そういうふうな幅で申し上げたいと思います。そのうちで幾らを融通料金の方ではじき出し、幾らを他の原価ではじき出しますか、これは実はまだあまり固めておりません。いろいろ融通料金の引き下げには、かなり、ほかの供給会社が現在関係しておりまするのが四つございます。その辺との非常に複雑な計算ないし交渉も要りますので、詳細のところは御容赦を願いたいと思っております。
  17. 小幡治和

    小幡治和君 それでは、経営合理化の方の経費捻出の方のお話はありませんでしたが、要するに、最後に申し上げたいのは、今の電力料金処理案を拝見いたしまして、われわれといたしましては、どうも電力需用の面から見て、また特に東北北陸等の電力にたよって産業というものを立てておるそういう事情からして、これでは非常に不満だ、もっとこの点を政府の力で一つしぼっていただきたいという気持が一ぱいであります。今財源の面において、融通電力のことも七億か六億、しかしこれも未確定だと言われるのでありますし、また経営合理化の内容も御説明ありませんでしたが、私は、これらの財源についてもっと一つ強く政府において各社と話しをされて、そして電力というものがやはり全国的な見地から、北陸なり東北なりの特殊性産業特殊性というふうなものも頭に入れられまして、そして慎重に一つ、さらに今お示しがありましたような処理案以上の御処置をお願い申し上げたいということを申し上げまして、私の質問を終ります。    〔理事相馬助治君退席、委員長着席〕
  18. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 議事進行。本件は、明確に出てきたのは今回が初めてですけれども、われわれが、いかに国会法に基いて議決する問題ではなくても、ここで審議する重大案件の一つです。ですから、ここでお話を承わっておりますと、政府と与党である自民党さんの議員とばかりやりとりをなさっているわけであります。これは国会議員ですから自由でありましょうけれども、私がお願いすることは、こういう重大な問題は、やはり与党の皆様方も、政調会を通じて十分論議された結果だと私は思うのです。しかし、全然論議しないで、政府が独断で出されたということであれば、別問題ですけれども、もし論議され、政調会で結論を出されて、政府がこれでよいということで出したのであれば、われわれにも発言する機会を与えていただくことをお願いいたしまして、議事進行を願います。
  19. 小西英雄

    小西英雄君 今、阿部委員の提案でありますが、政党政治と申しますが、参議院議員としては、そういうふうな政党できめても、ここでこういう電力のような重要な値上げ問題については、われわれがいかに個人的には水田通商産業大臣と心やすくても、そういうことはいたさない考えを持っております。  関連いたしまして……。先ほど水田通商産業大臣は、原価計算に基いて業者が申請した場合に、これによって料金をきめるというふうな発言がございましたが、私は、水田通産大臣は、かねてわが自由民主党の政調会長として非常に敏腕をふるわれ、また今回岸内閣の経済閣僚として、岸内閣は経済外交を一枚看板にしておりますが、先般鉄道運賃を上げ、さらにまた今回電力値上げを容認しようといたしておりますが、私は、この運輸省の値上げよりも、むしろ電力というものは、さらにこの日本の経済の基本政策を動かすものである。九電力会社に分割する際に、豊富低廉な電気を多くの需用者に与えることをその使命とする九電力会社が発足いたしましたが、北陸電力、あるいは東北電力というこの地域には、電源の資源がきわめて多いということはだれしも異存ない事実でありますが、今回東北電力値上げをしなければいかぬ理由といたしましては、自分たちが他社から買っている料金が高くなったということが一つ原因、もう一つは、新規開発が非常に割高になったのでこういう措置をとらざるを得ぬという御答弁のようでございますが、私はさような原因ならば、この売っている会社、東京電力内容は多くの黒字を出しております。また関西電力にいたしましてもその通りでありまして、電力というのは戦前の物価指数より見れば、あるいはちょうど鉄道と同じような理由が言えるかと思いますが、わが日本としては経済再建には、ただ一つ、雨量が多いために電力のみが世界のレベルより高いといえるのじゃないかというふうな点を、われわれ内心喜んでおりましたが、また東北電力の一角、北陸電力の一角から、かような大幅な値上げを、通産省がこれを容認するならば、会社の真剣な努力がなくなり、もう一つは、電源開発におきましても、電気さえ作ればいいという、もし首脳部がそういう考えでいろいろな努力を怠った場合には、日本の貿易はどうなりましょう。そういう見地から水田通産大臣は、ただ役所に入るとまただれしもでありますが、政党にいるときには相当りっぱな抱負経綸を述べておりましても、役所へ行くと幾ばくもなく、いろいろ事務当局意見を聞かざるを得ないというふうなことになっているような傾向が多いのでありまして、この際私は、日本電力は、あらゆる点に努力いたしまして、私どもは決して利子補給とか、あるいはそれをも反対いたしませんが、電力産業の原素であり、唯一の日本産業の原料であるという意味合いから、私は、大小にかかわらず、政治的に電力会社、東京電力その他に対して、こういう点にはこう見てやれという政治的配慮がほしいのでございますが、ただ一社の原価計算を見せられて、これは赤字であるというふうな考え方から、もし電力値上げがここで許されることになれば、日本の経済外交も日本の貿易振興もはかない夢になりますので、その点について一つ水田通産大臣の御所見を承わりたいと思います。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはだれの責任かはそう簡単には言えないと思いますが、私の考えでは、電源の開発が少くとも三年ばかり日本はおくれたのじゃないかと思っております。昭和二十八年度前後から、もう今日を予測して開発を急いでおったら、こういう事態にはならなかったのじゃないかと考えておりますが、政党におりましたときは、この電源開発を急ぐべきだと当時私も主張いたしましたが、こう急速に日本の経済が拡張することをみな予想しておりませんし、そう急いでもなかなか日本電力需用というものは、そう簡単にふえないのだ。はなはだしいのは、北海道あたり、これ以上やったら余るからということを当時言ってきて、いろいろ問題になりまして、それじゃ当初の予想通りに金をかけなくても——緊縮政策をとった時代でございますから、若干控え目にしてもよかろうというようなことから、あのときに開発の速度を少しゆるめるということが行われたのが、今から考えて私は大きい失敗じゃなかったかと思っておりますが、御承知通り、去年からこういう状態になってきましたが、元来東北北陸も水力地帯でございますので、再編成のときその後の改訂のときでも、水力地帯は当然原価主義から見て電力料金は安くてもいいのですから、他の地帯よりも特に安い電力料金をきめてございましたので、この地域差がございましたために、以後、急速に電力を要する電気化学工業その他がこの地区に集中してくるということのために、急に電力が不足するという事態になりましたので、不足しっ放しで今まで通り電力量で、それで何とかやってくれというのでしたら電力料金値上げ問題は一切起りませんが、そうは参りませんで、業界から見ましたら、電力料金もさることながら、必要な電力量の確保をとにかくやってもらうことが一番必要だ、融通電力によってでもいいから量の確保がこの際日本産業拡大のために最も必要だ、重点がそこにございますので、政府としましても、その要望に応じて、まず量の確保ということをやりますというと、どうしても融通料金の問題とからんでここで若干の値上りは認めざるを得ないところに追い込まれているわけでございますが、さっき小幡さんからもお話がありましたが、この融通料金の問題については、まだ政府が今後努力できる余地はあると思いますので、これは私どもは最後案を作るまでには、真剣にこの問題は努力したいと思っております。
  21. 小西英雄

    小西英雄君 まだそういうふうな調整の事項が非常に残っておる際に、われわれがここで値上げの案を審議することはどうかと存じますが、一つ、特に融通電力についてもいろいろ政治折衝が残されておるのなら、その点を努力していただきたいと同時に、もう一つお願いしたいのは、とにかく電源開発においても、不当な埋没地帯の、常識で考えられぬような料金を平気で政府が容認しておる。今後電力がふえても、高い電力なら、何もばたばたと産業を拡大しても、貿易のコストが高くなるようなものは必要があるいはないじゃないかと思うのでありまして、私は、そういうふうに新規開発についても、政府は十分なる配慮をせねばならぬということと、もう一つは、業者が水田通産大臣のごとく少々高くとも融通電力がほしいというなら、大口需用者の方から電力値上げ反対の陳情がないはずでありますが、はからずも東北、両方ともに大口需用者の方からかような反対陳情が出ておるということには矛盾はしないか。もう一つは、その東北の地帯において、いろいろ経済が発展しないという意味合いから、非常に辺境の地であるからということで東北振興株式会社政府の資金を導入した。もう一つは、こちらの方で電力値上げをやるようなことになれば、そこで多少の矛盾が出てくるのじゃないかという私は心配をいたす次第でございます。もう一つ、公益事業局長のこれはえらい政治家的御回答であったと思うのでありますが、北陸東北にはいろいろ、それほどの値上りよりも、むしろ工場が多く伸びたらいかぬから、これぐらいの点で値上げを大幅にしたというような発言があったように承わったのでありますが、そういう通産省は簡単に局長程度のところで、この地域の産業調整をするために、一応値上げをするというふうな含みがあってしたのでは、われわれの議員の立場からこれはまともな返事と承われないので、こういう言葉がもしありましたら、もう少しそれは大臣から御返答になったらどうかと存じますので、もし私の意見が正しければ、ここに御忠告いたしておきます。そういうふうに価格の値上げについては、この地域は事業がふえ過ぎるから少し高くしたらそっちへ行かないだろうというふうなことは、これは大臣配慮じゃないかと思いますので、私この程度政府一つ私の意見を述べて、私の発言を一たん終ります。
  22. 海野三朗

    ○海野三朗君 まず大臣にお伺いいたしますが、どれだけ値上げをやろうというお考えがあるのですか。まずそれを承わりたい、平均いたしまして。
  23. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 前に御報告申しましたように、東北平均して二割一分の値上げ申請北陸は二割四分の申請でございますが、これをできるだけ最低限にとどめたいと私ども考えましていろいろの今作業をやっていますが、これを最低限にするのには、やはり総括原価において不足分は最低限に食いとめるということが必要でございますので、企業自体でも企業努力によってできるだけ経費を切ってもらいたいというその希望の、役所の希望の額と、それから融通電力料金においても、これは他の会社についても十分協力してもらいたいというので協力を期待する金額と、そういうものを一応合せて、それだけを私どもは縮小しますというと、まだ確定はしておりませんが、両者において十億円以上の総括原価の縮小がわれわれの力でできるのじゃないかと思っております。そうすると、八十八億の原価増からそれ程度引きますというと七十七、八億、六、七億というところでそれを埋める料金制度考えなければならぬというので、いろいろ工夫した結果が、今ここに出てきましたような処理案と、一応こういう処理案がそこから割り出されて出てきたということになりますが、あとまだそういう点でいろいろ努力して、余地があるにしろ、なかろうにしろ、一応処理するためには一つの骨子が必要で、その処理案のこの骨子ではどうか、こういう方向でいくのがまあ大体妥当ではないかと、落ちついたとしましても、まだまだ総括原価をどう減らすかということについて、われわれのやり得る仕事はまだ若干あるのじゃないかと思っておりますので、きょうは一応今まで通産省部内において事務当局とわれわれが相談してできた処理案をお示しして御意見を聞いて、さらにわれわれは御意見に基いてまた作業をしたいと、こういう考えでおります。
  24. 海野三朗

    ○海野三朗君 二十八年以来、この料金値上げは何度になっておりますか、局長でもよろしい。何度上げておりますか。
  25. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 二十八年から二十九年にかけては、二十九年に一回各地で行われました。東北北陸方面ではこれが二度目でございます。
  26. 海野三朗

    ○海野三朗君 その際に、この料金値上げについては細目にわたって質問をいたしたのでありまするが、あなた方は局長として細目でもおわかりになっているのですか、(笑声)私はそれをお伺いいたしたい。どの程度まで研究なさっておるのかどうか、どの程度まで御勉強なさっておるのですか、この料金値上げについては。
  27. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 御質問がないとわかりませんが、まあある程度研究いたしておるつもりであります。(笑声)
  28. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前は平均何分でしたかね、何割でしたかな、今数字は覚えておりませんが、実際に実施した状況を見ますると、ある部門、つまり民間のこの電灯の方面につきましても約七割近い値上げをやっておる。それから鉱山のある種については十割以上の値上げをやっている。それでその実際を私が調べて、そしてあなたの前の事業局長に私はこれを示した。ところが、そういうことは一つも御存じない。ただあなたたちが役所でもって、申請してきたからまあよかろう、これは行政措置でやるのだから代議士が何と言うたってかまいやしないのだというようなところが見えすいている、私には。そういうと通産大臣の耳が痛いかもしれませんけれども、これは行政措置であるからといって、今私どもにしゃべらせておるのはただ御参考にするだけでしょう、そうしてぽかっと抜き打ち的にこの前は認可をしておる。愛知通産大臣のときにはそれ。そのときに私は政務次官をここに招致しました。ちょうど大臣が病気で出られなかった。その際に、私がるる細目にわたって述べたときに、遺憾の意を表明している。それは速記録をごらんになればわかる。それで料金値上げについては、電力会社がそれは多少の黒字はなければならないということは、先ほど大臣も言われた通り、それは多少もうけなければならない。しかし、それはおのずから限度というものがある、私はそういうように思うのですが、どうなんですか。局長、どの程度まであなたが御勉強なさって、何口は何割、何口は何割ということをよくお調べになったのかどうか、それをお伺いいたしたい。
  29. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) お答えいたしますが、電気料金制度改正がこの前に行われておりまして、今度も若干あります。それで同じ条件で同じ量を使えばというのが、われわれの通常言っておりまする値上げの率でございます。条件が違いますれば、これは自然と値上げの、少くとも支払う総額は非常にふえる、これはその通りであります。キロワットがふえましても、あるいはキロワット・アワーがふえましても、これは平均値上げよりはかなり上る、それはそういうふうな仕組みになっております。従って、特定の需用家の特定の使用の状態を基準にいたしませんと、なかなか抽象的に値上げの幅が幾らということが、すべての場合に通ずるようなお答えが実はできないのであります。お話のありましたのはどういう業種であるか、ちょっと聞き漏らしましたが、そういう企業におきましても、この前のときは相当料金制度自体を大きく動かしております。その前まではいろいろ、国が特別な政策的な考慮から電力の割当という制度を行なっておりましたから、あるいは特殊の企業におきましては、電力料金支払いがかなり少かった、それがこの前のときには割当制度をやめまして二段料金あるいは一本料金にしました結果、ベースの上昇とともに、かなり負担がふえたというところもあったのであります。そういうことで電気料金影響はその需用家の使用状態というものと密接に結びついておりまして、個々的に検討いたしてみませんと、なかなかむずかしい結論になるわけでございます。われわれとしましては、できるだけ平均的な場合を考えまして、大体この程度影響だというふうに考えております。個々の場合にはいろいろ違った影響も出てくると思います。逆に言いますれば、われわれが考えておった値上げ率よりもっと低い企業もある。そういうのはむしろ声を出さないで黙っておる。比較的急激に受けた方がわれわれの耳によけい入ってくる。全般としましてはいろいろな影響があるということを御了解願いたい。
  30. 海野三朗

    ○海野三朗君 この前は、一灯をつけておるところには値段を上げないという約束で、一軒のうちに一灯つけておるところは、これは値段を上げないということにしてある。そして全体として、たしか一割だったか二割だったか、私ちょっと記憶にありませんが、それをこういうような公益事業に対しては、ただ何割上げるということを許可されている。それで会社の方の実際の状態はどうなっているのですか。この前のつまり値上げをした結果、会社の経済状態はよく御承知なんですか。
  31. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 前回の料金改訂後、両社の収支は一応安定しました。これは水が平水よりもかなり上回ったということも相当原因になっております。だんだんといろいろな原価の上昇がありまして、その結果、この最近の決算期におきましては、両社ともいろいろ社内の積立金等あるいは渇水準備金等くずしまして、辛うじて定額による償却と一割二分の配当ができた、こういう状況でございます。
  32. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ私の伺いたいのは、これは公益事業であって、ほかの商売でやるということてもこんなことでいかない。ところが、これほどけっこうな商売はない。損するようになったならば上げてくれといえばこれは上げるのであって、ですから決して損はしないわけです。従ってそこに責任が私はあるのではないかと思う。ですから会社の経理状況、そういうことはよくあなたが局長としてお調べになっておるかどうかということを私は伺いたい。そして今度平均二割上げるというときに、大ざっぱなことはそうかもしれませんが、内部の状態ということになると、それはむちゃくちゃなんです。これは私はちゃんとデータを持っている。そしてある会計に対しては実に辛らつにいっていますよ。私はこの前このデータをつかんであなたの前の事務局長にデータを出した。出したけれども、その答弁がさらになくて、もうのど元過ぎれば熱さを忘れて、料金値上げのときだけわあわあ言ったが、その後何を言っても返事がない。私はどれだけあなたが調べて勉強しておられるかということを伺いたい。その会社の状態について、何ぼ上げてやらなければならないということで、そこから割り出してくるのでありましょうが、先ほど大臣も言われたように、各方面からしぼってきてやらなければならない。そして料金をなるべく上げないようにしなければならないわけですから、その点については、どれくらいあなたがお調べになって御勉強しておられるかを伺いたい。私は、通産省としてのあなたの御努力をお伺いしたい。料金を上げてくれというときに、ただ議会の代議士を呼んで意見を聞いた、地方公聴会を聞いた、そうしておいてぽかっと認可をしてしまう、まるで赤子の寝首をかくような行動をこの前通産大臣やったのです。そういうことでは私はいかぬのじゃないかと思う。もう少し細目について研究をし、この方面からこれだけ減らそう、あるいは金利をこういうふうにやっていこう、そして企業の合理化に対しては、この前から見てどれだけ経理状況は合理化されておりますか、まずその点を私はお伺いしたい。
  33. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 企業合理化の成果いかんという御質問かと思いますが、電気事業におきます企業合理化の一番の指標になりまするのは、販売電力料の一人当りの生産性だと思います。これは東北電力におきましては、三十年度つまり料金改訂後の事業年度は、一人当り三十五万七千キロワット・アワーであったものが、三十二年の想定におきましては四十六万七千キロワット・アワー、つまりこの間に人員の増加がほとんどなく、むしろ若干減少してもこの程度事業量はまかなえるというような結論になっておりまして、これは何もこれで全部の資料ではございませんが、そういうふうなことも一つの現われだと思います。  それからロスの問題、これも一応総合的な会社企業努力の指標になるわけであります。三十年度の実績は一九・七%、三十二年度は一六・七%で三ポイントの改善というふうなことです。北陸電力の方も大体同様の指標を示しております。なお、先ほど説明の際に申し上げましたが、会社原価についてどういうふうな調査をしているかということでありますが、これは先ほど一、二の項目のお話を省略いたしましたので申しますれば、修繕費等につきましては大体の基準的なものは見ておりますが、この三、四年来の新設の発電所については、修繕費の率を特に査定した、あるいは社内のいろいろな消耗品であるとか、あるいは諸雑費等がございますが、こういうものも相当出てきております申請におきましても削減している、あるいは人件費関係につきましても、いろいろ取扱いの不適当な個所を改めさすとか、あるいは人員の増加もある程度抑制したらどうかというふうな点等につきまして、いろいろ検討しております。なお、こまかい各種の、何と申しまするか、いろいろな経費がございますが、これなんかにつきましても、実績を検討して査定しております。そういうふうなものが大体今度の原価査定上、会社の経理面について行なったものであります。
  34. 海野三朗

    ○海野三朗君 それであなたは企業努力は十分だというお考えでいらっしゃるかどうか、その点ちょっと私はお伺いいたしたい。
  35. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) これだけで十分と思っておりません。ことに今後いろいろ原価増高要因もあると思いますが、今度の料金改訂がございますれば、しばらくはそれらの増高する原価を内部の企業努力、これはいろいろあると思いますが、そういうもので吸収してもらう、たびたび料金改訂は行いたくないというのがわれわれの考えであります。
  36. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの海野君の質問に対しまして、政府会社側の需給計画並びに総括原価等について、相当詳細な御調査をなすったということでありますので、その点についてもう少しお伺いいたしたいのであります。  まず第一に、先般お配りを願った「東北北陸電力料金改訂資料」というものについて見てみますと、需給計画において、これは最初の欄の水力発電の分でございますが、この点について聞くところによりますと、東北北陸も、ともに三十一年度は渇水であるという理由をもって、渇水準備金をほとんど取りくずしたというふうに聞いているのでありますが、つまりそれは何を意味するかと申しますと、三十一年度は非常に渇水であったということを意味するにほかならないと思いますが、それにもかかわらず、この表によってみますと、たとえば東北についてみますと、三十一年度が六十六億キロワットの実績に対して、三十二年度の申請によるところの基本になるものは六十六億五千万でありまして、ほとんど差がないのであります。それから北陸に至っては、渇水と思われるものの、三十一年度の実績の三十七億キロワットに対して、申請は三十六億四千万というふうに、むしろ下っておるというふうな数字が出ておるのであります。 それからその次の総括原価の表について見てみますと、たとえば修繕費について、当分は修繕が要らないだろうというふうな観点から、相当査定をなさったというお話ではございますが、これは東北北陸とについて非常に数字の出方が違っておるのであります。たとえば東北について申しますると、修繕費は三十一年度において二十四億円を要したのでありますが、これに対して申請の根拠になるものは、二十八億円、四億円の増加になっております。ところが、これに対して北陸電力の場合は、三十一年度の十六億、これに対して申請は十二億と四億円の減少に相なっておるのであります。一方三十二年度中に北陸電力においては三つの発電所が完成をして発電を開始するということに相なっておるようでございますが、設備がふえて修繕費がこの程度減るということについては、どうも私ども納得いかない点があるのであります。あるいは今までが非常にずさんな計算であったか、不必要な修繕費を支出したかということも考えられるのであります。  さらにその次の減価償却費の欄について見てみますと、東北については三十一年度の実績が三十二億円、ところが申請は三十八億円になって、六億円の増になっております。ところがこれについてもまた、北陸の実績は三十一年度が十八億円に対して、申請の基本になるものは十六億円と逆に二億数千万円の減少に相なっております。減価償却は申すまでもなく、固定資産が増加すれば当然にこれは一定の率によって増加すべきものであると考えるのでありますが、これらの点から考えまして、その他こまかいことを申し上げますれば相当ども疑問を生ずる点があるのでありますが、需給計画並びに総括原価全般を通じて私どもは、検討をなさってそれで十分だという御自信を政府が持っておられるならこれは別として、どうも私どももこれを全面的に信頼するというふうなことにはなかなかいたしかねるような気がするのであります。こういうふうな数字においては、たとえば東北については三十二年度五十三億円の赤字であり、北陸については三十億円の赤字である、従ってその赤字を解消するためにこれだけの値上げをするという趣旨の申請でありますが、まず第一に、その点についてどの程度の検討をされたか、これは先ほどの海野君の質問と相当重複するような感じがするのでありますが、私もこれについては非常な疑問を持っておりますので、まず第一に、その点についてお伺いしたい。  それからついでですからもう一点お伺いをいたしておきたいのでございますが、それは、この申請は、三十二年度の料金を据え置いたならば、五十三億円と三十億円の赤字を生ずる、これを解消するために料金改訂をしたいという趣旨の申請に相成っておるように思うのでありますが、そうすれば、この料金改訂申請は、三十二年度限りのものであるか、それともこの改訂をすれば政府としては、どの程度あと改訂をせずに済ますつもりであるか、その点どういう心組みでもってこの認可をなさるおつもりであるか、これは大臣から一つ御答弁をお願いしたいと思います。
  37. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 御不審はごもっともと思います。第一点について、需給計画上のキロワット・アワー、つまり販売電力量の問題でございますが、これはすでに御承知のごとく、三十一年度は上期は両社とも豊水でございます。今ちょっと数字を聞かしておりますが、後刻申し上げます。下期に至って渇水になりました。従って両社とも上期におきましては、電気事業の規則によりまして、それぞれ渇水準備金を積み立てまして、たしか東北電力は三億円になっております。北陸はちょっと忘れましたが、二億円程度の積み立てをいたしております。ところが下期に至りまして、これは平均して渇水になっておる、従って取りくずしたのであります。で、上期の方の豊水によりますキロワット・アワーの増加がかなり大きく、何と申しますか、下期の湯水による減を超過しておる。いわんや年間を通じまして平水で計画いたしましたものをオーバーしておる。ところが三十三年度のこの販売電力量の予想は、これは平水で計算いたしております。従って豊水を見ました昨年度の実績販売電力量に比較しましてあまりふえておらぬ。あるいは横ばいないしは若干減少しておるかもしれない。ということは、結局そういうふうな想定量の差異になるわけです。  今出水率がわかりましたが、東北は昨年の上期は一一〇・一%、北陸は一〇九・二%、これが下期になりまして東北は九三・八、北陸は九四・八と減少いたしております。御承知のようにこれは水力だけの会社でございまするから、従って上期のこの一割近い豊水が販売電力量に大きく響いておる。従って年間を通じまする実績と、それから三十一年度の平水による予想とを比較いたしますと、キロワット・アワー、つまり販売電力についてはあまり差異はない。この点はわれわれ需給計画といたしましては、ほかによりどころがございません、やはり過去十何年間でございますかの平均の出水率を基準とするということが、まあ確率的にも一番正確だろうと思っております。その需給計画を基準といたしまして販売電力量の予想を立てたわけでございます。  それから第二点の御質問でございますが、これは減価償却並びに修繕費両方にからんだ御質問でございますが、北陸電力は上期におきましては、以上のような豊水で若干業態もよかった結果、償却の方は定額一〇〇%をこえて、定率にしまして、上期は幾らでありましたか、ちょっと数字を忘れましたが、償却をいたしたわけであります。上期定額を一〇〇といたしますれば、一二九・七%の償却をいたしておりますが、われわれの減価予想量はそういうような定率償却を認めるわけには参りません。定額法で出ております。従って減価償却の実額におきましては減少、修繕費は、これを若干業績のいいときに修繕をしておくというのがある程度会社運営のコツでございましょう。修繕に力を入れてわれわれの原価査定におきましては、こういうふうなことを基準にするわけには参りませんので、これも減らしてもらいます。こういう次第でございます。  それからもう一つ、最後の御質問の両社料金値上げは、今後まあ持続するかどうか、維持できるかどうかというふうな御質問かと思います。この点につきましては、一応販売電力量の予想あるいは原価面の検討はあまり将来のはできかねますので、三十二年度一年間として計算しております。しかし先ほど海野委員の御質問にお答えしましたように、三十三年度あるいは四年度、いろいろ両社とも原価増高の要因が目立つ、特に東北電力におきましては、明年の一月以降火力発電が八戸でスタートいたしますが、そういうような原価増高の要因もありまするが、これをこの料率で吸収して参るというふうに考えております。従いまして、まあ何年度まで大丈夫というふうな的確なお答えはできかねますが、少くとも二、三年はこの料率でやっていけるという確信を持ちまして一応の案を見出したのであります。
  38. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの御答弁に関してもう一回お伺いいたしたいのでありますが、私がなぜ販売電力用の数量に関することについて実績と予定との差を申し上げたかと申しますと、先ほどの御答弁では、今後この料金値上げの問題について御検討の際に、会社企業努力をどの程度させるかという点と、融通電力量の問題と二つをお取り上げになったのでありますが、私は同時にまた、この平水率というものも過去相当長い間のものとしてこれによらざるを得ぬのだという御意見もあるいは根拠があるとは思うのでありますが、しかし昨年の渇水準備金を全部取りくずしたという下半期においても九三%、九四%という率を上半期の率と平均してみますと、一年間を通じてこれは大体さらに平水をオーバーするという状況であるわけであります。それ以前の二年間はずっと平水をオーバーしていたということは、これは実績が示すところでありますが、そういうふうな観点から、こういうふうに中小企業者の方々が料金値上げによって非常に苦労しておるというような際に、非常に古いところの統計を基礎にしてこれが平水だということで、それを基本にしてものをお考えになるというふうな考え方をこの際御修正になることが必要じゃないか、かように私は考えるから、この点の質問を申し上げたのであります。ことに、私はそういうふうな技術的なこまかい点はよくわからないのでありますが、各河川において、上の方にたとえば洪水調節用のダムを作る、または各地に水路式の発電所を作るということによって、同じ平水でもそれがだんだんに影響を受けて水量というものはおのずからまた、変ってきやしないかということを私ども同時に考えるのでありますが、そういうふうな観点から単に調整電力量の問題、また企業努力の問題のほかに今後料金の算定の基礎になるところの販売電力量、発電量というものについてもこの際検討していただきたい、かような趣旨をもって質問を申し上げたのでありますが、この点について一つ、これは相当基本的な方針の問題でありますから、できれば通産大臣からお答えをお願いしたいと思います。
  39. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 若干事務的な事項もございますので、私から……。実はこの水の見方という問題は、ひとり料金のみならず、実は毎年の需給計画でわれわれ事務当局としましては非常に議論するわけであります。で、この過去の出水率の実績を見ておりますと、いろいろ専門の気象台の方、あるいは研究所の方なんかにいろいろ聞いておりますが、週期があるという説もありまするし、あるいはこれは週期がないので、やはり平均的な見方しかできないのだというふうな意見もございます。それからほかの国の例も実は少し調べておりますので、やはり平水という概念で処理しておるようでございます。私自身もフランスを見てきましたが、やはり平水という考えでやっております。過去何カ年間とるかということになりますと、水文資料の整備しております諸外国の方がむしろ古いかと思っております。日本ではやはり日発の設立後初めて全国的な水文資料の整備ができたのであります。で、比較的短かい期間の傾向ということよりも長い期間平均という方が的確にいくのではないかと思っています。また長い期間平均では、最近のトレンドの平行線の中に入って参りますから、大体よるべき需給計画の基本的な数字あるいはそれを基礎にしました販売電力量の予想等も、一応この辺が的確に出るのじゃないかと思っております。なお、途中で新増設された発電所の出力を見るべきじゃないかというお話でありますが、これは実はそれを見て、つまりある意味では換算、逆算してやったのであります。つまりある川の出水の資料がありますれば、ある発電所が途中で入りましてもこれは昔にあったものとして平水計算ができますから、そういうことで整備しております。まあいろいろこの問題はもう少し検討しなければいかぬかと思いますが、どうもいい理論的な方法がないようであります。最近は若干平水をオーバーしておる例も多いようでございますが、やはり冬場においては渇水という事例もございますので、まあ現在用いている方法が比較的妥当な方法ではないか、こう思っておるわけであります。
  40. 高橋衛

    ○高橋衛君 次に、この総括原価の基本になるところの問題の一つとして大きく影響する問題が金利であると思います。それでこの案では会社はそれぞれ一割二分の配当をするということを基本にしてコストの計算をしておられるのでありますが、なるほどここきわめて最近数カ月の間は金融が逼迫して相当に増資も困難であり、自己資金の確保も困難であるというふうに一応は考えられると思うのでありますが、これは水田通産大臣が政調会長時代からの御持論であって、どうしても金利は大幅に下げなければならぬ、しかも重点産業に対しては安い金利の資金を法律の力によらずとも、とにかく供給をして、そしてコストの切り下げに努力すべきであるという御持論であったのでありますが、私どももこの現存の金融梗塞の状況はそう長く続くものじゃない、また続かしては政治の失敗であると、かように考えておるのでありますが、政府としては、やはりこの一割二分の配当率、またその基本となるところの一般金利の率とコストと、資金コストというものを会社申請通りにお考えになっておられるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  41. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは今私どもの間でも相当論議していまして、他社配当の状態から見まして、一割二分というのはこれは低目になっておりますので、この程度配当を保証するのでなかったら、自己資本の調達に差しつかえるだろうという考えでございますが、こういう事態になっておって、できるだけ電力料金を下げる、下げるためには一割ということでどうかというような問題も検討の一つの問題点になっておりますが、きょうここに来たいろいろな計算の根拠は、一応配当は一割二分という根拠で計算をしております。金利の問題につきましても、問題は一般の電力会社についての開発金利という問題なら、さっき申しましたように、将来の問題として、政府政策として私ども考えたいと思いますが、ここで九電力のうち、苦しいからといって二社だけの開発金利の問題を考えられるかどうかも今政府部内で論議しておりますが、ただいまのところは、方向がなかなか困難でございますので、これも一応現行通りという立場でこの計算をやったわけであります。
  42. 高橋衛

    ○高橋衛君 次に、新聞の報道によりますると、池田蔵相の談として、世界銀行から外資の導入が三億ドル程度見込まれる、しかもその重点は電力であり、鉄鋼であり、道路であるというふうに言われているのでありますが、御承知通り世界銀行からの資金というものは、コストが非常に安いところの資金になるわけでありますが、これはもちろんこの資金の計算の基本としては不確定な要素であり、また予定することは非常に困難があると思いますが、これはこれを前提にして計算はしておられないというふうに考えていいのですか。
  43. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) さようでございます。なお、御参考までに申し上げまするが、大体平均金利は八・七%程度開発銀行の低利の金が入っておりますので、一般産業よりはやや安い金を使っております。
  44. 高橋衛

    ○高橋衛君 次に、融通電力料金の問題についてお伺いいたしたいのであります。先ほど小幡君からもこの点について質問があったのでありますが、過去において非常に安い電力を他の電力会社供給しておったという事実は別としましても、この前の二十九年の申請の場合には、キロ当り二円三十一銭という計算に相なっているのであります。それが今度の申請によりますると四円五十二銭、これは北陸電力の場合でございます。というふうに、ちょうど倍に相なっているのであります。一方、政府が全面的に資金の世話をし、やっているところの電源開発会社が作ったところのたとえば佐久間の発電所、この電力を、聞くところによりますると、関東なり中部なりに供給する際の融通電力料は、たしか三円五十銭というふうに伺っているのであります。その電源開発会社は何も関東と中部だけのための電源開発会社ではないのであります。従って関東、中部に対してそういう安い電力を国の代行機関であるところの電源開発会社供給して、そうしてその関東なり中部なりから関西なり北陸なり東北なりがさらに高い電力を買わなければならないということは、私どもどう考えても納得がいかぬ点でありますが、その点について政府の御見解を伺っておきたいと思います。
  45. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 融通電力料金の計算につきましては、いろいろ各社それぞれの意見を持っておるわけでありますが、二十九年の値上げ当時と現在とはかなり需給関係も変っております。三十二年度におきましては、一応のわれわれの想定といたしましては、全国的に二十六億キロワット・アワーの不足で、送り出す方の東京電力は約七億キロワット・アワー近くの不足、中部電力も二億、あるいは関西電力も四億、中国電力も一億というふうに、いわば融通を——送り出した結果自社の供給力も不足しておるというような結果になってきておると思います。そういうことになりますると、勢い送り出す方としましては、何といいますか、自社ですら足りないのに、送り出すためには特別に、まあいわば予備火力というふうなコストの高い、日ごろあまり使わない火力発電までも動員する。たとえば東京電力で申しますれば、千住の火力、大阪で申しますれば琴の浦の火力というふうな供給力をもってこれに充てておる。まあこれは数字的な問題はございますが、そういうふうな事情もございまして、勢い料金原価的にも上って参るということは、これはまあわれわれとしましても認めているのです。ただこれが幾らになるかということにつきましては、現在関係会社間で一応話のついておりまするこの単価が妥当かどうかという点は、もう少し検討したいと思っております。その結果、ある程度これを、この両地域の値上げの幅ともにらみ合せ、かつ送り出す方の需給あるいは原価面とも調整をつけて処理したいと思っております。いろいろ問題があるところでございますので、そういうふうにしたいと思っております。  それから電源開発会社電力の問題でございますが、電源開発会社の販売電力料金を操作して、各会社原価調整する、まあいわば、極端な表現を使いますれば、昔、日本発送電が各配電会社に対してそういうふうな措置を行なってきたと同じように、そういうふうに電源開発会社の性格を持っていった方がいいかどうかという点は、実はわれわれもいろいろ検討の余地があると思っております。何せ、まだ本州中央部では佐久間一つしか持っておりません。もう少し只見水系でありますとか、あるいは御母衣の庄川水系でありますとかというふうなものができましてから、そういう問題もおのずから検討して参らなければならぬと思いますが、現在の段階では佐久間の電気は、これは本格的な貯水式でございませんので、そういうふうな料金調整用としても必ずしも適当でないような状況でございますので、この問題はもう少し電源開発会社の運営の進展に応じて検討したいと思っております。この考えは現在入れておりません。
  46. 高橋衛

    ○高橋衛君 ただいまの電源開発会社についてのお答えは、その点ももちろん質問の一点であったのでありますが、私の申し上げたいことは、あの佐久間の発電所の電力を関東並びに中部だけにあの恩典を与えるということは不公平じゃないか。関東並びに中部は北陸なり東北にまたさらに電力融通するのでありますから、それは佐久間の発電所がなければその融通はできないかもしれない。それを直接融通した場合とそれを通って融通することによって、その間に結局、それだけを考えれば、関東なり、中部なりで相当の差益を得るという格好になる。なるほどお話のように、非常に能率の悪い火力発電所、コストの高い火力発電所をそのために動かすという考え方もあるでありましょうが、もしも佐久間発電所がなければ、これはそれがより以上に大きくなければならぬ。そういう場合にそのコストを払えというならば、これはわかるのでありますが、国が開発したところの佐久間の発電所の電力を関東なり中部にやって、そうしてそれによって余剰能力ができた。それを東北なり北陸に渡した場合に、その料金がどうも政府の、政府と申しますよりも、電源開発会社が売る値段よりもはるかに高いというような感じじゃ、どうもなかなか納得しかねるような感じがするのであります。この点はなお政府においても今回の電力料金の算定の際に、融通電力料金というものを検討の大きな題目の一つにしておられるようでございますから、その点をよく一つ御検討を願って、今後特に東北なり、それから北陸なりの大幅な値上げは出てこないような措置をお考え願いたいと思うのであります。  それからもう一点最後にお伺いいたしたいのでありますが、それは北陸電力についての特別料金の問題であります。御承知のようにたとえば福井とか石川というようなところの織物業について例をとってみれば、これは電力の需用が決してここ数年間ふえておりません。にもかかわらず、電力のその需用が増したから新しい発電所が要る、しかもコストが高い発電所になる、そのためにその負担をわれわれが負担しなければいかぬということは、なかなか当人たちとしては納得しかねるのであります。電力料金というものは、これは税金じゃございません。どこまでも料金である。そういうふうな観点から、どうもわれわれの電力一つもふやさぬじゃないか、全体として。にもかかわらず、よそで新しい工場ができた。しかもその工場は皆もうかるのだ。おれたちのところはその需用が全然ふえてないのに、しかも今非常な窮境になって、また三割の操短をして、そして何とかしてこの窮境を切り抜けようとしている、涙の出るような努力をしている際である、そういう際によその非常に景気のいい新規の工場なり増設の工場、それに対して需用が増したから発電所が多くなった、しかもよそから電力を買わなければならぬ、その電力はコストが高いのだ、だからお前たち負担しろということは、私どもなかなかどう話をしても納得させることができぬ点でございますが、その点について、何か政府としてはどういうふうにして納得させるつもりか、一つお教えを願いたいのでございます。
  47. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) その点は二つの御説明をしたいと思っています。一つは、先ほど北陸電力処理案の御説明をいたしましたが、特別料金による収入を含めた値上げ率を示しておりまするが、このふえない、つまり一般の料金率でありますると、この幅がさらに減少して参るわけでございますので、これはまあ工場の業態等によって違いまするから、小口電力ではその適用ございませんが、大口電力の比較的小さい方になりますれば、込みで二五・九%上りますものが、普通料金だけでありますれば一八・九%というふうにかなり低位に置かれるわけであります。  それからもう一つは、織物業等で、ある程度二交代作業を行いますれば、負荷率割引の適用があるかと思っております。この処理案にありまするように、大体月間小口電力におきましては三百時間、つまり七百二十時間に対します三百時間でございますが、まあ二交代作業であれば、おそらく負荷率割引の適用がある、大口では四百五十時間、これは二交代では足らないと思っていまするが、小口の方は足ると思います。そういうことで調整して参りたいと考えております。
  48. 高橋衛

    ○高橋衛君 その点はむしろ逆になるのであります。従来は二交代が多く、または場合によると三交代に及ぶ場合もあり得たのでありますが、三割の操短ということになりますと、全然そういうふうなことがなくなっています。従って負荷率割引が逆に少くなることになるのじゃないかと思いますが、そうじゃございませんか。
  49. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 現行の規定よりは割引の度は少くなるのでございます。
  50. 高橋衛

    ○高橋衛君 これは質問を通じましていろいろ政府の御見解もだんだんわかって参ったのでありますが、政府のただいま御提示になりました案を最終的な案と考えておらぬということでございますので、ぜひ一つさらに、東北なり北陸なりにおけるところのいろいろな業態によっては非常に困難な業態がある。わずかな料金値上げもその産業の死命を制するというような場合もあり得るということをよく御検討願って、そして具体的にそういうふうな個々の産業についての影響をもう少しお調べ願って、そうしてどうしたらいいかということについてぜひ善処をしていただきたいと思います。  それからいま一つ、一八%、一九%という案を一応御提示になったのでありますが、その際の御説明によりますると、会社企業努力融通電力量の問題、その点について検討するというお話しでございましたが、さらにそのほかにも、今後の金利の見通し等の問題、配当率もこれに含めまして金利の見通し等の問題、並びに平水量の計算の問題等につきましても、なお御検討願って、そうして何とかしてこれらの地域におけるところの産業にそう大きな衝撃を与えないようにぜひお願いいたしたいと存じます。これをもって私の質問を終ります。
  51. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 本日はどうも珍しく与党の各委員の一斉質問で、従いましてこの問題がいかに重大であるかということを裏づけたわけであります。そういう意味におきまして、私もいろいろ質問を申し上げたいのでありますが、時間もございませんし、さらにあとに貿易の問題が残っておるようでございますので、ごく一、二点を簡単に特に大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。もし、大臣がお答えできなければ、局長から一応資料をいただいて、大臣の口からお答え願いたいと思うのであります。  まず第一は、大臣の御説明の中にございました通り、本件につきましては、四月の二十日の日に料金値上げの問題が提案をせられて以後、一カ月有余にわたって非常に作業に苦心をせられた、こういうお言葉でございました。御苦心の点はよくわかるのであります。その作業の点は、私どもから言いますなら、おそらく三つであろうと思います。先ほど大臣もどなたかの答弁の中に申されました、まず両会社の経費を節約をするというような問題、それから勢い一般の大口、小口にかかわらず消費に対しましての値上げの問題、それからさらに供給電力会社に対しまする値下げの問題、こういうような三つに私は起点があるのではないかと思うのでありますが、この点はそう考えてよろしゅうございますか。
  52. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そう考えていただいて、けっこうだと思います。
  53. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 それでお尋ねをいたしたいのでありますが、この三つのうちの一つでございまする、関西電力、それから東京、中部、九州、この四つが足らない東北北陸に対して供給をしておるということは、これははっきりいたしておるのでありますが、御承知通り両社とそれから他の会社は、料金を見まするというと、非常に相違があるわけであります。元来北陸並びに東北は水力を中心にしてやっていた。それからいろいろ資金その他の関係からいたしまして、火力発電が比較的少かった。そういうことで、元来天然の水力を利用していたということが、他の会社に比較いたしまして、料金は非常に安くなっております。これは非常にけっこうなことだと思うのでありますが、それと同時に、その安いことを中心にいたしまして、大口需用者の誘致というものをやられた。今度はたちまち電力が少くなった、こういうような結果になったわけであります。それで、まあどのくらい関西電力を初めとして東京電力その他が供給しておりますかわかりませんが、相当私は莫大なものがいっているのではないかと思うのであります。  それで問題は、この供給電力会社に対しまする値下げの問題、一説によりまするというと、東北北陸両社とも、この供給電力が非常に高いというようなことが一つの何か理由にもなっておるように考えておるのであります。御承知通り、ほかの産業と違いまして、この電力原価計算というものは非常に出やすいのだと思います。また、役所といたしましても非常にキャッチをしやすいのだと、かように考える。それで、私の調査したところによりまするというと、送電をいたしておる主として関西電力その他大口の供給者は、大体古い設備の火力発電のものを送っておるように考えるのであります。そういたしまするというと、新設のものよりも古いものは大体おそらく三五、六%私は高いのではないかと思う。そうすると、勢い原価というものが高くなっていくのであります。これはまあ原価計算は役所でやられれば、すぐわかることなのでありますが、私どものおそれることは、この供給電力会社に対しまして、そのコストを無視したような下げ方をやった場合に、今度は逆にその他の諸会社値下げの問題を申請してきたらどうなるか、こういう問題なのでありますが、先ほどたしか岩武局長の話しの中に、その引き下げの料金については、これはまことにばく然とした計算のようでありますが、七億ないし六億ということを言われておるのでありますが、こういうような重大な問題を本委員会で御報告をせられ、お話し合うということについては、もう少しその供給電力会社等に対しましてあらかじめ折衝をせられ、また、諸般の事情というものを勘案をせられまして、ある水準のパーセンテージというものを出すのが私は至当ではないかと思うのでありますが、ただばく然と七億だ、六億だと言っても、これは何かいかにもずさんなような気がいたすのでありますが、そういう一連の問題につきまして、大臣から一つお答えを願いたいと思います。
  54. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 融通電力の問題でありますが、実は私どものところに来る陳情の中には、こういう意見がございます。もともと北陸地帯で起した水力を、再編成のときに関西電力に持っていかれたのだと、あれを持っていかれなかったら、北陸地方は依然として水力が余っておる地帯になっておるのを、そうされたのだから、そんな高い電力を買わなくても、もと持っていったものをそのままこっちへ回してくれれば、もっと安くなるのではないかと、こういう地元から見たらもっともな感情に基いたいろいろな御要求がございますが、これは再編成がよかったか悪かったかは別としまして、再編成してしまって、それぞれの会社が責任自立体制をとっておるという現在では、この要望に簡単に沿うわけには私ども参らないと思っております。と同時に、反対に、自分たちも足らないので、融通するために特別高い原価の発電をしておるのだから、そっくりそのままの料金をくれということも、これは一面考えものであって、みな各社がお互いにこういう事態に融通し合って、最低値で融通し合うということが当然必要なときでございますので、それはその通りに高い融通電力料金ではなくて、もう少しこれは当然値下げしてやってよいという問題がございますので、それをどの点で調節するかと申しますと、結局無理をして融通してやって、融通された地帯の電力料金融通するところよりも著しくまだ低いという限りでは、この供給会社に対して私ども相当いろいろな要望を出すということが、なかなかむずかしいというふうに考えますので、やはりこの限度は、一応東北北陸地方を助けるが、助けても各地域との格差がそうなくなって、かなり同じような程度料金だというところを越えた場合には、融通電力料金の査定の問題で、私どもとしてはまたやる方法があると思いますが、一応よそ並みの料金で済むという限りにおいては、そこで両社の話し合いのできる適当なそこに限界が出てくるのだろう、こういう考えでいろいろ政府としまして折衝しており、大体いき得るという見込みの金額程度を、さっき局長が述べたのだろうと私は思っておりますが、これについては高橋さんからも御要望がありました通り、さらに政府としてはこの問題を考えて、できるだけ料金を上げないで済むような方法考えたいと思います。
  55. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 いま一点お尋ねいたしますが、今、大臣お話しの、たとえば北陸にはああいうたくさんの水源地がある。それはよその電力会社に貸してあるものだ、こういうような地元の意見、これはあくまでも大所高所から見た日本産業の基本計画などというものに対して、およそ関心のないと言っては語弊ですが、いわゆる今抬頭いたしておりまするかつての復元論、これに私は匹敵するものではないかと思うのであります。これは議論でありまするから、まあその程度にしておきまして、そこで、私はお尋ねをいたしたいことは、これはこの前の会合にも大臣の御所信を求めたのでありますが、こういう問題が今後も私は繰り返して起るだろうと思うのであります。政府といたしましては、この電力問題は融投資から関連をいたしましても、常に優先的な立場をとられておる。一切の廃業の基本であり、非常に重大なものであることは、これは論を進める余地はないのであります。そういう意味からおきまして、片方におきましては非常に資金も豊富であり、また土地も恵まれておるというような関係で、非常に配当もよろしいし、そうして一切の成績が非常に順調だ。片方におきましては地域の関係その他諸条件によって、そういう優勢な会社に匹敵することができないというようなことなんでありますが、この電力自体というものは、いうまでもなく非常な公共性を持ったことなんでありまするので、この九電力の編成という問題は、これは相当大きな政治問題である。いろいろ論議をせられてこの結果にはなったと思うのでありますが、私どもといたしますれば、この内閣でかりにできなくても、私どもはさらにこの電力会社の再編成、まあこれは幾つにしろというようなことを言うのではございませんが、再編成の必要があるのではないか。もう少しプールにやり得る方法があるのではないか。実はこう考えておるので、いつぞやもお尋ねしたとは思うのでありますが、こういう問題が出ましたので、この点について、何も早急にこれをやれということを言うのじゃございませんが、大臣一つ重ねて御所信をお伺いいたしたいと思うのであります。
  56. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この前もお答えいたしましたように、今需給の問題がこうなっておるときに、再編成の問題を持ち出したら、非常に電力政策の混乱を来たすと思いますので、しばらくこの体制で、そうしてそれぞれが責任自立体制でやっていけるような方途を講じさせるということで参りたいと思いますが、今政府では長期のエネルギー対策もやっておりまして、それらのあと十年、十五年という先を見通しますというと、どうしてもその過程において、この問題も考慮せざるを得ないいろいろな問題を含んでおる、そう思いますので、将来の問題としては、私どもは十分今の編成のあり方について検討を加えたいと思っております。
  57. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 通産大臣に二、三点お尋ねいたしますが時間がございませんので端的にお伺いをします。さいぜんも議事進行で申し上げましたが、これは通産大臣行政措置の一環としてできるわけですから、ことに諮問という形で出てきておるわけです。しかし、さいぜんから御論議を承わっておりますると、通産大臣の所管しておる内閣の与党の皆さんすら、疑問と、非常に他産業に与える影響を御心配になっておる。疑問の点は、大臣と局長さんの御解明で了解したかもしれませんが、通産大臣と十分御相談なさってやられたと思われる与党の皆さんも心配しておるように、われわれも心配しておるわけです。  そこで、今までの論議を承わっておりますると、賛成だという前提で御論議をなすっている方は一人もおらない。明日十時から衆議院の方であるそうで、この問題が論議されるそうですけれども、衆議院はどういう結論が出るかわかりませんけれども、たとえば参議院のように、これは他産業に及ぼす影響が甚大であるというようなことで、何とか通産大臣もう少し圧縮してくれないかという強い要請が出た場合、通産大臣としては考慮する余地があるかどうか、こういう点を、まずお伺いしたいわけです。なるほど北陸電力にいたしましても、あるいは東北電力にいたしましても、要望したパーセンテージを、若干当局では締めておられるようです。しかし、私は局長の御答弁のように、相当締めたといいましても、これは二四%のものが一九%、あるいは二一%のものが一八・八%ですか、そういうことで、ほとんど九〇%は要望した会社の要求が通っているというような状態でありますから、これは大臣のあげ足を取るとか何とかということでなく、もう少し切り下げるというわれわれの意見を取り入れてくれるかどうか、そこをお伺いしなければ、幾らここで通産大臣と議論をやっても、御意見も十分承わりましたけれども実情はこういうことでありましたからということで、次期報告を受けても、くだらないと思いますので、そこらあたり端的に御解明願いたいと思います。
  58. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 端的に申し上げますと、衆議院の委員会で私がお話ししましたのですが、今政府がいろいろな行政をやるやり方として、責任のがれというわけではありませんが、いろいろの審議会を作り、委員会を作って、そこに諮問して学識経験者、関連者意見を聞く、そこの意見が大体こうだったから、それに基いてこういうふうにしたのだということで、国会の御審議を願うというようなのが、今までの行き方でしたが、これは私はやはり国会議員の権威というものを落す一つの傾向ではなかろうかと、かねがね考えておりまして、国会議員自身がいろいろな各個人々々が関連者意見を聞いたり、有識者の意見を聞いて、自分のものとして意見を持ってこられて、国会委員会を中心に重要問題は発言して、それに政府が従うという行き方が、ほんとうに委員会の使命を生かす行き方ではないかと私はかねがねそう考えておりましたので、国会委員会は、ただ政府の法案を審議していただく場所ではない。通産省で申しましたら、通産行政の重要な問題が起ったというときには、この問題をどう扱ったらいいかという問題は、やはり国会委員会に相談して、そのいろいろな御意見を聞いてから、その要望に従って政府が最後の行政措置をするという行き方がいいのではないかと考えておりましたので、今後委員会については、これは非常に反対なものがあっても、御迷惑でしょうが重大な問題は私は相談するからよろしくということを申しましたのですが、今度の電力料金問題も、まさに重要でございますので、一応委員会の御意見を聞いてから、ここはこれでは困るから、もっとこういう点を考えろというような御意見が、すでにもうここで私のお聞きした範囲では五つの項目にわたって出されておりますので、皆さんの御意見を聞いたら、これに基いて政府はその要望に沿うように最後に考えたい。こういう気持でお話ししているのでございますから、これは最後案で、皆さんのはいいかげんに聞いておいて、せっかく聞いたが、やりようがないから、これだと、かぶせてやってしまうという意思はございませんので、その点は御了解願いたいと思います。
  59. 阿部竹松

    ○阿部竹松君 今通産大臣から、自信に満ちた御答弁をいただいてけっこうです。ただパーセントがヤマをかけてなかったのかどうかという点だけ心配するわけですが、しかるべく一つお願いしたいと思います。それで小さいところに触れませんけれども、ことしの今度の二十六回国会の始まると同時に、まあ、池田大蔵大臣の本年度の日本の経済状態、あるいは日本の置かれておる立場、こういう話を承わったわけです。そこで、どうも池田大蔵大臣の話と、現在の日本の経済状態がだんだん変ってくるというよりも、池田さんの見通しと逆の方にいってしまうような気がするわけです。これは別に通産大臣を責めるわけでもないんですが、通産大臣も経済閣僚のお一人ですから、もしできれば若干御答弁を願いたいと思うのですが、具体的例をあげても、汽車賃が上り、バスの値段が上る、今度は電気料が上り、電気料だけならこれは賛成するのですが、電気料が上ることによって、セメントも上れば石炭も上る、今度鉄鋼も上るので鉄鋼法を作れ、あらゆるもの一切の物資が上ってくるということになると、これは大問題になってしまうわけです。宇田国務大臣がおれば宇田国務大臣にもお伺いしたいのですが、現在の電気の使用料が五年置きに大きくステップして、倍、二倍とこうなるわけです。そういうような状態になって、こういうことで電気料金をまだ北陸東北だけだからけっこうだかもしらぬけれども、もう一カ月前に、電力協議会の事務局長さんという方でしたか、ここへ来て、何か参考人として、私名前はよく記憶しておりませんけれども、一カ月前にここで公述された場合に、とにかく九電力会社のうちで、どことどこということは申し上げませんけれども、八十億の赤字で、当然各電力会社北陸東北以外に上げなきゃならぬ、こういうような参考人意見の開陳を僕たちは聞いたわけですから、北陸東北だけであるうちはけっこうであるかもしらぬけれども、これがとにかく関配に移り関西に移り、中国に移り九州に行って、北海道に行って、四国……こういうようになっては、日本の経済界はめちゃめちゃになってしまって、銀行の金利の引き上げぐらいでは、どうもこうもならぬということになりますので、その間一体将来どうなるか、こういう状態を、こう横ばいだ、横ばいだと言っているけれども、自分の知らぬうちにだんだん上ってしまう。その上る主たる要素が近代産業の一番大きいウエイトを占めている電力ですから、この電力料金値上げというものは、あらゆる産業影響していく。とにかく幾ら政府が押えようとしても、押えられない状態に来やせぬかということを私は非常に心配しておるわけです。ですから、それに対する通産大臣の御見解を承わって、私の質問を打ち切ります。
  60. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 物価をいかにして上げないかというのが、今の政府の関心の一番大きい問題でございますので、運賃にしましても、こういう問題にしましても、私どもは非常に真剣な考慮をいたしておりますが、問題は日本の物価が外国の物価に比べて、上り高が大きいというような事態を起したら、これは大へんでございますので、そういうことにさせないというのが、私ども考えであります。国際物価水準が若干上る、それにつり合った上り方ということでしたら、これは日本経済にとって貿易上の問題から見ても、そう心配なことはないというので、物価のめどは、やはり私どもはそこに置いているのでございますが、先般も国会説明いたしましたように、運賃のあの程度の値上りが、日本の全体の物価にどれくらい響くかという指数から見ましても、それほど心配なものではなかろう、それからこの電力料金日本の各地域一斉にこれが上るということでしたら、産業界に相当影響を持つのでございますが、まあ今まで割合に低かったという地帯が一般並みになるか、まだそれよりも少し低い程度にとどまるかというのが、今度の問題でございまして、両地域にある各企業の収益状態が若干悪くなるということは、これはもうはっきりしておりまして、私どもも認めるし問題はございますが、かりにこれをある程度やむを得ないものとしてがまんしてもらうということにしましても、これが日本の物価体系に大きく響くというほどの影響は、今のところまずないだろう、そういうふうに考えております。
  61. 島清

    ○島清君 大体私たちが疑問に思っておりましたことは、お答えになったようでございますが、しかし、私は両電力会社の方からの値上げ申請がありまして、それに基いて政府の方が作業をされた、その結果に基いてわれわれの方に御相談を下さったということについては、あえてずさんであったということを申し上げるわけではございませんが、かなり作業をされる時間的あるいは労力的に省略をされた面があったのではないかと、こういう工合に思わざるを得ないのであります。今、阿部議員が申されたように、与党の議員においてすらかなりの条件をあげて、むしろ質問というよりも詰問に近いような発言をしておられることによって、これは証明されておると思います。従いまして私もけさ各大臣の今期国会における答弁の点数をつけてくれ、採点してくれとある新聞社から意見を聞かれたときに、まずまつ先に岸総理と池田大蔵大臣に私は八十点だと言ったのです。それから私はその次に水田通産大臣に八十六点だと言っておいたのです。それはその率直さを私は言ったのです。そのけさ私が聞かれたことの、率直さを私自身が新聞社に答えたことを通産大臣が証明をしていただいたので、非常に私は頼もしい経済閣僚だと、こう思うわけですが、そこで今阿部君が心配されたように、他産業に及ぼしまする影響は、これは国の基幹産業でありますから、これはみんな心配しておるわけです。そこで、私たちの方にもこういう工合に値上げ反対の陳情が来ておられるわけです。ここらに対する配慮が少し足りなかったのじゃないかという感を深くいたします。そこで、水田通産大臣にお伺いをいたしたいことは、もう少し作業していただいて、そうしてその作業の結果を認可をされる前に、私もその仕上げの結論をお聞きしたいが、仕上げの認可をされる前に、もう一回私たちにその作業の結果をお示しになりまして御相談を下さる御意思があるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  62. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 委員会がそうしてくれということでしたら、私の方は一向差しつかえございません。一応御意見を承わっておいたら、その線に沿って、一応責任の持てる案をこれから私どもはやろうと考えておりますので、それはちっとも差しつかえございません。
  63. 島清

    ○島清君 私は司法、立法、行政の三権の分立をしておりますその今日において、必ずしも行政権を立法側の方から侵害してまで、こういうことの意見を求めるわけではございませんけれども、きょうは私もたくさん聞きたい点もございましたけれども、幸いにいたしまして、大臣が、お前たちの意見を率直に聞いて、そうしてそれを料金の中に反映させたいのだ、こういうような謙虚な御答弁でございましたので、きょうは時間の関係で省略をさしていただいて、同僚議員の諸君から御指摘がございましたことを、どの程度料金の中に、認可されようとする料金の中に織り込んでいただいておるかということを私は拝見をした上で、そしてその手直しをされた後に、私自身の質問をするなり意見を申し上げるなりしたいと思いまするので、行政権を侵害しない程度において、もし私のこの希望にお答えいただけまするならば、大へんに仕合せだと思いまして、そういうようなお取り計らいをしていただけるだろうということで、私はきょう質問をしないことにいたします。
  64. 小西英雄

    小西英雄君 一言お尋ねしておきたいことは、東北電力北陸電力以外の地帯については、ここ当分の間というのですが、どれくらい、二、三年の間値上げの必要がない、それはどうですか。二、三年か四、五年の間に料金申請がない……。
  65. 岩武照彦

    説明員岩武照彦君) 先ほど高橋委員の御質問にお答えしました通り、今われわれがここでお示しをしましたような値上げの率であれば、まあ大体三十四年度あたりまでは、値上げをしないで済むじゃないかと思っております。その間に異常な事態の変更があればこれは別であります。現在の情勢であればいいだろう。これをさらに値上げの率を下げますれば、これは必ず近いうちにまた値上げをせざるを得ないだろうこう思っております。
  66. 近藤信一

    委員長近藤信一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  67. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 速記を始めて。まだ本件については御質問もあることと存じますが、時間の関係もありますので、本件はこの程度にとどめ、この際委員長から政府当局に要望しておきたいのであります。  電力料金の引上げは、波及するところまことに広範でありまするから、引上げ率はできるだけ圧縮してもらいたい。本日御提出の資料程度では、まだ高過ぎるように感ぜられるので、本日の委員会における質疑応答にかんがみて、さらに検討を加え、認可を慎重にしてほしいのであります。電力会社企業努力融通電力料金について配慮するなど、できるだけの処置を講じ、地元産業の不安を減ずるよう、御検討願います。これについての大臣の御所信を重ねて明確に承わりたいと存じます。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ただいまの委員長の御要望は十分了承いたしました。さっきヤマをかけてありはしないかというような御質問がございましたが、そういうことはございません。私ももう少し方法がないかというので、何回も事務当局といろいろ相談しましたのですが、事務的にはいろいろ計算し、考えて、ぎりぎりに実は来ておりますので、その点についてもいろいろ御相談しましたが、政府案としては実際相当ぎりぎりなところへ来ておりますので、そこで一応まだあんまりあやふやなもので御意見を伺うというのは非常に失礼なので、けっこうぎりぎりの線へ来たからというのが、この案なんでございますが、さっきお話しましたように、東北北陸自体で解決できない他社関係とか、そういう点については、まだ政府が十分につめてない要素も多く含んでおりますので、先ほど委員長から御要望になりました点は十分検討して、御趣旨に沿うようにしたいと思います。   —————————————
  69. 近藤信一

    委員長近藤信一君) 次に、貿易政策に関する件を議題として調査を行います。  本件につきましては、かねて相馬委員その他から緊急にただしたい旨お申し出のあった問題でございますので、この際まず相馬委員から御質疑を願います。なお、通商局長は目下海外旅行中でございますので、本日は樋詰通商局次長及び本田輸入第二課長が出席されております。
  70. 相馬助治

    ○相馬助治君 貿易問題については、当商工委員会において問擬しなければならない重大案件だと私は存じます。第二十六国会には貿易関係法案として、検査法、保険法、輸出入取引法等の改正案が出たのでございますけれども、団体組織法その他重要案件がすこぶる多かったために、これに関連して、貿易全般の問題に深く言及することができずに、きわめて私は遺憾だと存じておるのであります。この間貿易は輸出好調から漸次輸入増加となって、最近におきましては、為替状況は著しく悪化して参り、またスエズ問題が開通し、欧州共同市場問題が進展する、外貨予算が決定する、なかなか現在は問題が多いのでありますが、これをただす機会がなくて今日に至りました。私はこの際、最近の貿易事情についてただして、大臣の率直な見解を承わりたいと、かように存じております。  最近外貨状況が非常に悪化しておりまして、この際政府は特に通産省は大蔵省とはかられて、輸入金利の引上げ、あるいはポンド・ユーザンスによるところの支払い猶予期間の短縮等の努力をされているようでありまするけれども、この結果、一体輸入輸出関係に、どのような非常に顕著な状態が現われているかということを私はたださなければなりませんし、同時に、この際私が特に通産省に望みたいことは、輸入を押えるということは消極的でありまするし、国内物価の上昇も必然的に起きて参りますので、根本的な解決の方針としては、輸出増進をどのようにし、どのような具体策をとるかということが、より肝要だと、かように存じます。よってこの基本的な問題につきまして、この際水田大臣の御所見を承わっておきたいと存じます。
  71. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは非常に大きい問題でございますが、私ども考えを率直に申しますと、経済の拡大政策を私どもがとって、その拡大のための経済計画というものを持っている以上は、この線に沿ってあくまで計画を実行したいと私ども考えております。今進んでいる経済の動向がその線から見てそれておるかと申しますと、私はあまり経済情勢は当初の私ども計画の線からそれていないと思っています。と申しますのは、まず輸出は比較的順調で、一月から四月までの状態を見ましても、二十八億ドル大体いくだろうという線をたどっておりますので、この点はやはり最初の計画通りいくのじゃないか。そうしますというと、それに対応した産業施設の投資需要というようなものもそう過大のはずはないんで、当初の計画程度のものがあってもいいのじゃないかと、そうすればその産業投資計画に従った輸入需要というものがある程度多くて輸入が相当ふえていくという方向もこれは最初から予期しておった方向であるということが言えようと思います。ところが、最近金融事情のいろいろな変化から、何か産業設備投資の需要が過大であり、この計画が何か放漫で過剰投資の問題がたくさんあるような印象を与えておって、少しここでいろいろ締める必要があるのだというような声が、各所から出てきましたために、そうしますというと、かえって設備需要というものは、よその会社がやめるのなら、その間に自分の方は設備の更新をやるのだというふうに競争的な意識も手伝いまして、そういう方向が何か過剰でありそうで締めるのだというような声が非常に強くなると、かえってその投資需要というものはふえる。それから、何か輸入が過大過ぎるような宣伝が行われて、これは将来輸入を締めなければならぬというような方向へ行くだろうという声が出てくるというと、かえってこの際急いで必要なものは輸入しておけというような傾向を起しやすいものでして、今回の問題にも、そういう傾向がやはり相当強く現われたんじゃないかと私ども考えております。  そこで、その実態がどうなっているかを私どもはあらためて検討してみますというと、産業設備投資の問題も、前に御報告しましたように、各業界の一定企業というものをとって調査しますというと、本年度の需要は八千五百億円ということでございますが、八千五百億円の内容をさらに検討してみますというと、その八割というものはもうすでに今まで計画を立てて実行してきたこの継続費というものでございまして、今あらためて出てきた需要じゃなくて、前から予定された需要というのが八割を占めております。で、新規の需要は二割でございますが、この二割の中を検討しますというと、新規の二割分のうちの六割というのは隘路産業の設備投資部門でございまして、そのほかは……二割のうちの四割という数字でございますので、そういう点から見ますというと、産業設備投資という点から見ると、今のところはっきりこれは要らない設備だ、過剰な設備だというようなものは出て参りません。従って私は、今まで政府が立てた計画を遂行していくためには、このくらいの投資需要があっても不健全でないと考えていますが、それでもなお金融が詰まっておるというのは、どこに原因があるかと申しますというと、産業設備投資でない部門に相当の需要があって、そこについての貸し付けにおいて、今まで金融機関側に相当放漫な点がなかったかということを今私ども考えていますが、そういう点は相当にあったと思います。現に昨年あたり金融が緩んできたときには貸し出し競争をやっている。貸し出し競争をやっている過程において、果して産業設備投資だけ必要な、政府計画産業の設備投資だけ金が流れているか、よそへいっているかということは相当疑問でございまして、そういう形で金融梗塞が起ったというときに、何か産業投資計画だけが一つずさんであって、これを締めることが当面必要だというような形で金融政策が現われてくることは、われわれとしては迷惑だという考えで、私どもはいろいろこの問題に対処してきましたが、すでにそういう現象を起してしまって、同じ設備投資でも、一年ならして一定の所要額が要るようならいいのですが、この上半期に皆集中してくるという傾向は、これはやはり是正しなければ、金融政策としても困る問題が当面の問題として出ておりますので、銀行がむしろ時期的に選別融資をやるというようなことは必要であると思いまして、今度の日銀の政策については、これはやむを得ないと私ども賛成はしましたが、これは過渡的な、一時的な処置だというふうに私は了解して賛成しておりますので、金融状態がまた違って、少し直ってきましたときには、これは臨時措置として弾力性のある政策を金融当局に私はとってもらいたいと、こういうふうに思っております。で、輸入はそういう工合で、引き締めの影響で、この少し多く刺戟されたということと、昨年下半期にあれだけのものを買っているのですから、その支払いが今立ってきた、たくさん出てきたという問題と、それから過去五年の統計を見ましても、三、四、五というような月は、毎月の輸入影響を一〇〇と見ますというと一二〇というぐらいの数字を示すときで、八月から少しずつ下って、九、十、十一というふうになると、九月あたりになると、もう八〇という台の指数になっておるのが、過去五年の統計上から見た傾向でございますので、この期間に輸入が相当支払いが多くなってきているというようなことは、これはある程度やむを得ないことであって、私はそう心配しなくてもいいんじゃないかと思っております。で、現にもう今月の末になって少し輸入のふえる傾向というようなものは変ってきまして、減る傾向が見えてきたんですが、これは私は今度の金融政策の結果の現われとはあまり思っておりません。あの金利を二円上げるとかというような金利政策影響というのは、過去の経験から見ましても、半年くらいたってからほんとうに現われてくるというのが実情でございますので、一時的な処置としてああいうものはとりましたが、輸出が伸びて輸入が下半期へいってずっと抑制されて、最後にいくと外貨の均衡というものはそう心配しないところに落ちつくのじゃないか。よし若干外貨が減ったにしても、それだけの原材料をわれわれが使わないで国内に手持ちされるというのでしたら、これは物で持っているか金で持っているかという問題で、その点もあまり神経質にならなくてもいいんじゃないかという感じでおりますので、今一時的な処置としてああいう措置をとったんですが、しかしこれは早晩元へ戻させる措置であると、同時に日本の経済の基調というものは、宣伝されるようにあまり変っていない。現に物価の問題にしましても、輸出の問題にしましても、世間がいろいろ、悲観論者が警戒信号を出しておるのですが、日本経済の実態というのは、私はそう悪い方には今いっていないので、やはり私どもが当初考えておった線に乗って順調に伸びておるのだ、こういう私どもは見解を持っております。
  72. 相馬助治

    ○相馬助治君 私のお尋ねしたことについて、基本的な問題を、特に産業設備の投融資の問題を中心にして、大蔵省の最近とった金融政策に言及してお述べになりましたが、私はおおむねその点については納得をいたしております。で、大臣あるいは通商当局かしばしば新聞記者等の尋ねに答えて、上半期には赤字が増してきているが、長い目で見れば、すなわち一年を通覧してみれば、さして心配がないという自信に満ちた答弁をしていることも、私は現在の日本の置かれている経済情勢からして理論的にはかなり問題はあるのであろうとは思うけれども、政治的に見てはこの発言を私は納得いたしておるのです。ただ問題なのは、大蔵省が輸入金利の引き上げ等をやったり、あるいはポンド・ユーザンス等による支払い猶予期間の短縮等をやるということが、最もこの輸入面で制限しなければならない消費財には響いてこないで、原材料等に響いてきて、それが次の日にははね返って輸出事情を悪化しはしないかということを私はおそれているのですが、その点については今の大臣の答弁で、自信に満ちた、確信に満ちた御見解を、私はこの際一応信頼して現実を見ていきたいと、こういうふうに考えておるんです。  右に関連して、輸入問題について二、三承わりたいことは、石油の輸入のための外貨割当を従来の六カ月割当から三カ月くらいの割当に変更しようというようなうわさも聞いておりまするけれども、こういう先ほど問題となった電力等とともに、日本産業の重要な問題であるところのこの動力関係については、よほどこれを慎重にしなければならないのであって、むしろ、この三カ月割当ということが、何かただいまの大臣の御答弁等から推してきて、逆行するきらいがあるように思うのですが、この点については具体的にどのような御見解をお持ちでございましょう。
  73. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 石油につきましては需給を逼迫させるようなことはしない。必要量だけ入れるということは、もう政府方針はきまっておりまして、それを下と上に一応分けてございますが、上期に振り当てた割当は、比較的多目に割当てている。ということは、できるだけ多く割当てるということによって、国内の値段を上げなくて済むといういろいろな問題がございますので、多く割当をしておるわけですが、ここにいろいろ問題がありまして、今の割当通り各社がみんな入れてしまうというと、上半期においてまた今まで見られたようなある程度の乱売競争が行われやせんか。毎年夏に下って、そうして今度は冬にいくというと、ほんとうの油の需要量が多く増すときにきて、今度は反対に反動でいつも上っていくと、こういう形を繰り返しておりますので、これを一年通じてなるたけ値上りのない、価格の変動のないように、うまくならす方法はないかということを私どもは実際には考えております。  ところで、その方法一つとしましては、まず、割当はするが、上期にそれを一定割合だけ輸入せずにおけ、そうしてその量だけ下半期に割当ててやるから、割当は切らないから、それを需要の多い下半期に加えて入れていけば、業界が値段の安定ができないかという問題が一つと、そうでなくて、割当を残させるということにすると、これは下へいって切られるだろう。外貨を政府が切り出したという印象を与えて、逆な効果が出てこないとも限りませんので、割当は残させないで、割当はするが、保有量を一定量持てという形の指導をしても、効果は同じじゃないか。それから、そういうことをしなくても、量は一切減らさない。割当は切らないということは、政府の鉄則でございますから、それを調節するために、同じ上半期でも二回ずつに分けるというふうに、一年を四回に切っていくという運営をやったら、そういう点もうまくいきはしないかということを、幾つかやり方を今役所の中で研究しておるという、その一つの案としてそういうものが世間へ出たと思うのですが、まだそうするときまったわけではございません。
  74. 相馬助治

    ○相馬助治君 御所見を承わりまして、なるほど理屈ではまさにその通りだと思います。ただ、官庁のデスクプランが現実と、ときおりそぐわないものがあることを、私たちは教訓的に知っておるわけで、こういうものを問題にしておるのですが、輸入を円滑にして、かつ低価格による買つけが可能であるような、そういう建前から一つこの問題については、特に電力、石炭、石油、重要産業の原動力として重大ですから、慎重にかつ最もタイミングに御処置願いたいと思います。  次に、重要な物資として主食に類するものの輸入についてお尋ねしたいと思うのですか、私はさきの委員会において、雑豆のビルマより輸入する問題について、大臣に見解を承わりました。その折大臣の御答弁は適宜輸入をし、かつまた数量問題については、北海道の生産農民を苦しめないようにし、かつ需要者値段というものも考慮し、しかも最終的には輸入に関して国際条約等の違反事項のないように考慮しながら、期待に沿うように一口も早く善処する旨の御答弁があったわけでございます。しかるところ、いかなる事情か知りませんが、いまだこの措置はございません。しかも、この問題は伝えられるところによれば、農林省における例の調整金の問題、原局としての農林省の見解と、通商上の直接の責任者であるところの通産省との意見の食い違い等も、世間で取り沙汰されておるわけなんでございますが、私がお尋ねしたいことは、この輸入がビルマの雨期を控えておる今日、今日かくのごとく引延しておるのには、やはり重大な理由があろうと存ずるのであります。その理由並びに今後の見通しについて、原則的にどういうような御判断をされておるか、この際明瞭に大臣の見解を承わっておきたいと思います。
  75. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この問題は、私の方の当局と農林、大蔵三省当局がどういうふうにやったらいいかということを、ずっと今まで相談してきまして、大体考え方は、これかあれというようなところへ今落ちついておるというふうになっておりますので、そのいきさつについては、当局から説明していただきます。
  76. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) ただいま御指摘の雑豆につきましては、御承知のように昨年の下期までは、いわゆる特別外貨、マル特という制度を活用いたしまして、特別外貨の切符を持ってきた方に、その持ってきた数量に応じて割り当てるということを、やってきたわけであります。特別外貨はこれも申し上げるまでもございませんが、輸出金額に対して三%だけものを輸入できる、あるいはインビジブルの経費に当て得るということを証明するカードでございますが、たまたま国内に輸入すれば、相当に差益が出るといったようなものを入れるというときに、そのまぎわに非常にカードが暴騰するというようなことから、この前の国会でも、相馬先生からも、何かもうかるような物資を入れるときにカードが暴騰するのは不適当だ、あまりおもしろくないという御指摘で、われわれもまことに御趣旨の通りで好ましくないのでございますが、ほかに適当な手段もないから、やむを得ずというわけでこうやってきたわけでございます。その後、いろいろ検討してきたのでございますが、たまたま、昨年特定物資輸入臨時措置法を本委員会において御審議御決定いただきました際にも、いろいろ御審議の末、これから申し上げるような付帯決議をおつけになった上で法を通していただいたわけでございますが、その付帯決議の中には、何らかの理由で輸入を制限されることによって、輸入差益金が生ずるといったようなものは、できるだけ特定物資に指定せよ、もし、通商協定等の理由があって、特定物資に堂々とするということが望ましくないと思われるような物資については、特定物資自体にはしないけれども、一部の者に不当な利益を与えないように、適宜な措置をとれというような付帯決議も出されておるような次第でございますので、これらの点をも勘案いたしまして、関係各省の間で相談いたして参ったのでございますが、今のところ、大体各省の間で意見が原則的にほぼ一致した、と申しますのは、まず雑豆を入れるという際に、どの程度の価格で一般市場を定安させるべきかということ、これが一番先でございますが、大体安定帯価格を目ざしまして、そしてその安定帯価格の範囲内であるならば、これはできるだけたくさん入れるということが消費者の立場からしても非常に望ましい。安定帯価格を適当な値段にするということであれば、その間に生ずる輸入に伴う不当な反射的利益というようなこともございませんし、また、安定帯価格で一定の価格以下に下り得ないという措置が講じてあれば、相当数量が入ってきても、その値段以下になることがないということで、格差も保護されるということから、たとえばジェトロといったようなところに、一定の寄付でもされるというような方に、制限なしで雑豆を割り当てる、ただし、現在約四千万ドルばかりのカードがございまして、そのうち一千万ドル程度はインビジブル関係で使われる見込みでございますが、残りの三千万ドル程度のもの、これらのものについても、せっかくカードは発生したが、さっぱり買うものがないというのでは、特別外貨を作りました趣旨にも相反するというようなことから、一定金額を、俗な言葉で言えば、自発的に適当な機関に寄付をすると同時に、その特別外貨を持ってこられた方に、その特別外貨を持ってきた数量に応じて割り当てるということをすれば、輸入に伴う特定利益というものが特定の個人に入るというようなこともないし、また消費者も必ず一定の価格で豆を入手できるということになれば、また輸入者も、そういうカードを持ってこなければ、雑豆の輸入が認められないということであれば、そこでカードの処分ができるということで、一応関係方面全部うまくおさまるのじゃないかというようなことから、大体そういう線で行ったらどうだろうかということで、現在大体関係各省の間で、意見がほぼ一致したという段階になっておりますが、さらにもう少し事務的につめてみたい、こういうふうに考えております。
  77. 相馬助治

    ○相馬助治君 通産省の中でも、樋詰次長は特に明敏な頭をもって聞えておるので、その樋詰さんの説明であって、まことに理路整然としておりますが、実態を詳細に知る者にしては、いささか実態にそぐわない、そうしてまた日本の将来の貿易問題を考えたときには、実に危惧すべき多くの問題を含んでいると思うのです。以下順次述べたいと思うのですが、第一、私がこの前の委員会発言をしたときは、全く今と状況が違っていて、それは個人の名前をあげてはどうかと思いますけれども、ルーベンとかいう会社が農林官僚の一部と結んで国内に発生している特割の半分以上を買い占め、そうしてこの者の意のままにカードをつり上げ、つり上げた頂点において雑豆の輸入の方式が発表されるというような状態を聞いたので、私はそれは通産当局として望むところでないであろうし、日本の通産行政の確立の上からも問題があるし、かつまた、われわれの民族的の立場からも、この種の問題については問題があるというので、そういう現実論に立って、私は、官僚と業者と、そこに介在する政治家とのくされ縁というものを明確に知るがゆえにこそ、質問をしたのでございます。当時、樋詰次長も、私の質問を首肯されて、大いにその後苦悶され、これを善処されたのであって、私はその措置に対しては敬意を今日も払っておりまするが、今と全くカードの分布その他特殊な経済情勢というものは違っているということを、私はまず第一段に指摘しなければならないと、こう思っております。それから特定物資法ができて、そうして本院の付帯決議が、特定物資として指定することが望ましくないようなものについては、この特定物資法の精神をくんでやれということであるそうでありますが、当時私は商工委員ではありませんが、その趣旨は十分生かさなくちゃならないと思いまするが、雑豆は、御承知のようにガット品目の中にあるものであり、人間として欠くことのできない必需品であって、バナナやレモンと軌を一にして論ずべきものでないことも、次長はすでに御了解の通りだと思うのです。そこで、安定帯価格なるものを設けて、その差益金を徴収して、そうしてこの輸入をするという場合においては、私は二つの問題が出てくると思うのです。まず、一つの問題は、通産省当局の担当官が書いた外貨資金特別割当制度についての解説書を見ると、特別外貨というのは、為替割当手段の簡易化をおもな目的とすると明瞭にうたっておる。あわせて輸出業者の自由な活動を促進することにより輸出振興をはかるための制度である、こういうことになれば、通産当局は、一カードブローカーが国内の大半以上のものを集めたという特殊の状況の場合には、私が質問したような問題が起るが、その他の場合においては、この特外制度というものを守るべき責任を通産省は持っていると私は思うのです。第二の問題は、差益金を徴収してこれを輸入するというけれども、この前の委員会で私は強くたたいたのは、農林省が調整金を取って雑豆振興会なるものにプールして、その一部を北海道の生産農民に還元する、こういうシステムが、得てして政治献金の温床となり、そうして自民党自身も痛くない腹を探られる、かように考えるがゆえに、私は農林省のそういう暴論は許せないと指摘をいたし、水田大臣も、その点については同感であるから、あくまで国の通産行政を守りたいと答弁され、その後、聞くところによれば、その点については大臣並びに通産当局は農林省と激しく戦ったということを聞いて、私は敬意を表しております。そこで、問題であるところの幾らかの差益金を取って安定帯価格をきめていくという、幾らかの差益金を取るという制度は、これは考え方によるというと、農林省がやったことを通産省がやると、こういうことのそしりを免れないと思うのです。で、そういうふうな角度から、まず第一点の特外制度について、通産当局説明されておる、今私が読み上げたことに対する御見解を承わることはあとに触れますが、いわゆる差益金を取るということは、どこまでも国際関係に何ら疑点のないことを前提とするのだということ、かように思いまするが、次長いかがですか。
  78. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 国際関係に問題を起させないように運用するということは、これはもう先生の御指摘の通りでございまして、われわれも国会から、これはガット違反であるといったようなことを言われないようにやっていきたい、そういうふうに考えております。
  79. 相馬助治

    ○相馬助治君 当然な御答弁だと思います。そこで、大臣にお聞きしたいのですが、あれかこれかという段階になっているという大臣は答弁をされたが、私も大体そんなふうに承知しております。で、あれかこれかのうちの一つに、ジェトロに差益金を吸い上げて、そうしてマル特はつけるとかつけないとかいう問題があるそうですが、とにかく差益金を吸い上げるという案があるそうですが、ジェトロがそういう膨大な事務量を私は取り扱うのは不適当であると、この前の委員会で指摘しましたが、そういう問題はしばらく離れても、千円ずつの差益金を取ると、私の計算では約四億に近い、年間八億からの国費をもってやっておるジェトロに四億近い金を取り扱わせるようなことをやって、一体問題が起きないのかということがその一つです。そういう意味合いから、この問題は、私は一つ指摘したいのは、一体このジェトロが吸い上げるというところまではわかるけれども、ガット品目として明瞭なものをジェトロに吸い上げるということ、これはもうやがて政治問題になった場合に、通産事務当局として次長はどのような自身を持っておられるか。私はこの問題はきわめて重大だと思うのです。大臣にお尋ねする前に、事務当局の御見解を承わって、これに対する大臣の見解を承わりたいと、こう思うのですが、しかし、大臣に率直にお答えいただければなおけっこうでございます。
  80. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) ジェトロで取るというと、非常にまた、かつてわれれ通産省が、雑豆振興会に差益を取らせるというのに反対したというのと同工異曲ではないかという御指摘でございますが、われわれの方といたしましては、一応ジェトロ、御承知のように、ただいまお話しのありました八億からの国庫補助金をもらい、毎年厳正な会計検査院の検査を経てやっているということでございますので、このジェトロが、かりにジェトロに差益を取らせるということに落ちつきました場合に、この取った何億になりますか、四億になりますか五億になりますか、それだけの金をどこにどう使うかということにつきましては、まだ今のところ、われわれとして何ら決定しておらないところでありまして、もし、われわれといたしましては、これは貿易振興というものに、もう少し金を国家の予算から出していただきたいと思っておりましたが、全体でわずか十二億しかないといったようなことで、もし使わしていただけるものならば、これは使わしていただくにこしたことはない。こうは思っておりますが、いずれにいたしましても、一応ジェトロが取って、これを本来の貿易振興に使うか、あるいは別途ほかの処分にするかということにつきましては、不明朗な問題の起らぬように、十分政府としての監督をするということを建前とする限り、とりあえず割当自体は何らこれはガットに違反しない。また、もしそれがガットに違反するということでありますならば、これは昨年つけていただきました付帯決議、これは通商協定であって、正式にできないというやつも野放しにはいかぬぞというふうにわれわれとして解釈したわけでございまして、むしろ、こういう際に、あくまでも対外的にはこれは国が関税その他に類する過超金を取ったのではないという格好をしながら、実際には、最も公的な方面にその金を預かった方が使うというふうに運用されるのが、特定物資臨時措置法を作っていただいたときの精神であろう。こう思いまして、いわゆる行政運用という面で、これは当然外割を委託されております通産大臣の責任と権限においてやり得るというふうに判断しておるわけでございます。
  81. 相馬助治

    ○相馬助治君 通産大臣の責任と権限においてやり得るからこそ、私は事務当局通産大臣を助けなければならない、事務当局の明確なる御見解を承わっているのです。もうちょっと詳しく聞きますが、御承知のようにバナナやレモンが非常にもうかる、差益金を取らなければならない。そこでこれをジェトロに預けた、ところが、そこで非常に問題になった。そこで特定物資法案というものを作って、これに逃げ込ませた。ところが、雑豆は特定物資としてやるわけにはいかない。だからしてこれはジェトロにやらせるんだ。この考えがもう大体さか立ちをしておる。ジェトロでやることが問題ならば、ほんとうならば、特定物資の精神精神ということを言うが、樋詰さんの理屈をもってすれば、これは特定物資に雑豆を持っていかなければならない。ところが、雑豆は特定物資に入らない。それならばまた戻ってジェトロにやらせるという理屈は全く成り立たない。別途の方法をとる方が、これは政治的に明確な問題であろうと私は思うのです。そういうふうな格好で、この問題は、今、特定物資の方の精神云々ということは私は納得しかねますが、今あなたのおっしゃった、これが大事なんです、どこでだれがどう使うかはまだきまっていない。これが国会では大臣を相手にしてわれわれが議論をするときに非常に大きな問題になる。四億からの金が、どこでだれが使うのかわからないようなものを、われわれはここでそれをよしとできない。おそらく行政にまで立ち至って立法府があまり文句をつけるなという、これは官僚特有の考えがあるかもしれないが、それは水田大臣が明瞭に指摘しているように、やがて国際条約上の問題が起ると懸念されるような、また国内においても政党政治が不信を巻き起すと思われるような懸念があるような、そういう問題については、これはわれわれはあくまでも明瞭にしていかなければならない。そういうことになるというと、一体この金をどこでどう使うのだということはわからんと言うが、これはおそらく使う場合には、どこでどう使うのかわからないのじゃなくて、三つぐらいの道しかない。一つは過超金でないという格好をしてジェトロに取り上げておいて、あと政府が取り上げて使うという格好をして、この格好をしている途中に、この問題が国際間にばれたならば、これは水田大臣が答弁ができないようなやはり私は問題になると思うのです。それから今度は、明瞭にして、四億からあるいは五億かもしれないと樋詰さんが言っているその金を、一体ジェトロに使わせる、逆に言えばちょっちょっと事務をやることによって、五億もぽかんともうかるような、そういう仕事をジェトロにやらせるというようなことが、一体国の通産行政の上から適当なのかどうかという問題が出てくると思うのです。それから第三の問題は、それだから、めんどうだから、ともかくジェトロにプールしておいて、そうして国会の者も忘れたころ、代議士や参議院議員なんというのは忘れっぽいものであるから、委員会で激しいことを言うが、やがて六カ月もすると忘れるだろうからと、それを適当にやるというと、それが私は汚職疑獄のもとになると、こういうふうに指摘しておるのです。ですから、この四億だか五億の金がどこにいくかどう使うかわからないと言うが、それがかいもくわからないというのじゃなくて、大体予想される使い方はあるけれども、それがどれに落ちつくかわからないという問題になろうと思うのです。  そこで通産大臣にお伺いしますが、雑豆は明瞭にガット品目の一〇%以上の課税をやっちゃならぬということになっております。ジェトロに、伝えられる通り千円差益金を取らせるといえば、これは三〇%でしょう、輸入値段から推して。すると、四〇%の関税及び関税らしきものを国が取るということになると思うのですが、これでも大臣は絶対にガット違反ではないと、かようにお考えですか。それともどのようにお考えでしょうか。大臣に承わりたい。
  82. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政府自体が直接取らなければ、これはすぐにそのままガット違反という問題にはならぬだろうと私ども考えています。しかし、そういう形でやって国内の価格を一応安定させるし、それから制限はしないということによって、特定業者をもうけさせないという措置をとったらいいのか、それとも従来のような形でやって特定者に特に特殊な物資の輸入でもうけさせるということの非難と比べて、どちらがいいかというのが私ども考え方ですが、今までのやり方があまりに問題が多くて、国会から非難されていますので、私どもとしてはここで何らかの工夫をしたい。そういう考えで各省間でこうしたらいいのじゃないか、ああしたらいいのじゃないかというような案を持ち寄ってやってきた結果、今のような案も一案である。そうでなければやはり数量は制限する。無制限では問題がありますので、数量を制限する。そうして優先外貨を持ってきたら、そこで割り当てるが、制限がありますので、当然按分して分けるとかいろいろなことになると思いますが、その際、今まで割当を受けただけの外貨は、生きて、残った優先外貨のカードは、また業界はよそから借りてきてそれを返すというようなことが行なわれていましたので、今度は持ってきたらそのカードは全部もう政府が取ってしまって、一応政府に出してしまったら、あとは一切無効になるというような措置をとれば、その点で相当今までの問題が矯正されやせぬかという案でございまして、そのどちらかよりほかには、ちょっとわれわれとして考えられぬという問題を関係省に出してありますが、数量の制限というのは、実際において消費者の利益にならぬという反対も非常に多うございますし、この問題でまた、一応さっき次長が話しましたように、第一案のような方向一ついったらというふうに、関係省の間ではやや意見が一致しますが、その場合でも、それではどの外貨を割り当てるかというような問題で、農林省と通産省が一部意見の一致しない点があるというのが、今の現状でございますので、私どもといたしましては、これは一長一短があって理屈をいったらみな完全なものはないのですが、比較的今まで非難された点を是正できる方法で、一つ三省は折り合いつけてくれ、できたらこれは局長間できまらないというときには、三省の次官ベースで一つきめてくれ、自分としてはどっちへきめられても、要するに関係省が一致しない意見ではやりませんので、至急意見の一致をみるように調整してもらいたいということを、今事務当局に要望している。こういう段階でございます。
  83. 小西英雄

    小西英雄君 ジェトロの問題についていろいろうわさされておるので、私の方からこの前参議院の商工委員会にもお願いしたのですが、ジェトロの性格をわれわれよく勉強してないので数年間ジェトロがどういうところの特にどういうような経費を使ったかということの資料をお出し願うと、私たちもいろいろこの次に質問する場合が出るので、資料を通産当局の方からお出しいただきたい。
  84. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の大臣のお答えは、国会等で問題になっていた問題を少くするために方法をとるというならば、その方法が今度は国際的に問題を起して日本の将来の貿易に悪影響を持つような手段をとってならぬことは明瞭だと思うのです。今の大臣の答えでも仮定の前提に立っておられますが、ジェトロで取り上げたものを政府がすぐ取り上げなければ、ガット違反にならん。それはそうです。ジェトロで寄付金のような形でプールしておいて貿易振興に使えば、なるほどガット違反の疑いはあるけれども、ならないかもしれませんが、そうなると私は汚職疑獄というようなことで四億、五億の金をそんなところへ置いてどうするのだということを心配をしているのです。どっちからいっても、ジェトロでこれを取るということは非常に私は問題だとかように指摘しておるわけなんです。政府が直接取り上げなければ、関税のようにならないから、云々と、こういう場合には私は政府が直接取り上げた場合には、国際間の問題になるし、政府が取り上げないでプールしておいたときには、国内的に大きな問題になるぞということを指摘し、むしろあとの場合が悪いぞ、こういうことを指摘しておるわけです。  それで時間もあまりないし、他の方にも迷惑がかかるし、あと聞かなければならないことが五点ありますから、この論を急いで参りたいと思いますけれども、前にいろいろな非難があるというけれども、それはもう国内問題である。そうして特別な経済的な事情のもとにおいて私は非難をした。今度の場合には状況が違っておるということを私は先ほど述べた。そうしますと通産省がやっておるこの政府の書いたものの中にある、第一に為替割当手段の簡易化を目的とした、これはもうこれでやれば一番簡易だということ、それから次に、輸出業者の振興をはかる、こういう制度を生かせない理由は何ですか。なぜ、この方策がとれないのですか。他省に対して各省協議しなければならないとおっしゃっておるけれども、それは大蔵省と農林省と合意の意思が一致することが望ましい。それをわれわれも期待する。しかし、どうしても一致しないときにはこの収入の問題は水田大臣、あなた自身の責任と独断によって、これはやり得る性格のものだと私は思う。一体こういうことを考えると、従来のこの制度がやり得ない理由はないはずだ。
  85. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) マル特の制度が割当の簡易化であるということで、これは御指摘の通りにわれわれもマル特の制度を先ほども申し上げておりますが、これは第一に簡易なる割当方法であり、それから副次的に輸出振興の一翼をになっておる、こういうことでありますが、それと同時にこういう制度を運用して参ります際に、われわれといたしましては、できるだけ消費者の利益ということも考えて運用するというのが、外貨の最も効率的な運用じゃないか、そういうように考えておるわけでございます。従いまして特別外貨を持ってくるという場合にも、そこに非常に大きなプレミアムというものを動かすに足らないという程度のものといって、適当にほかに割当の基準も立ちがたいというものにつきましては、今後そういう品物の割当制度が続く限り、またマル特制度がある限り、われわれはそれによってやっていきたいと思っておりますが、御承知通りに雑豆というのは、マル特の買付けを発表するたびに、非常にプレミアムを大きく左右するというのが従来からの例でございまして、現に最近でもいろいろマル特でいくといい、あるいはマル特はやめたといい、いろいろなデマが飛ぶたびに一騰一落しておるということを、われわれ聞かされておるのでありますが、われわれといたしましては簡易的なる割当手段であるということ自体、これは決して否定はいたしませんが、従ってそれがゆえにこそ、先ほども申し上げたようにある程度差益を取るという場合にも、まるまる全部入札で取るというのではなく、これくらいの値段で落ちつけたいという安定帯価格との差の大ざっぱのところをとって、さらにその価格では、輸入に伴って若干の利益が出るかもしらぬ。その場合にはマル特の切符を持っている方がおやりなさいということで、この制度を生かしながら、しかも数量を制限しないで入れるということによって、消費者の方には大体政府の方で望んでいる価格で渡すことができると。これがこの制度を使っちゃいかぬというのでなくて、この制度を使いながら、同時に消費者の利益考えるということであれば、これは何らかの格好で調整金的なものを取るということが、決して頭から否定するには当らないのじゃないかと、そういうふうに考えております。
  86. 相馬助治

    ○相馬助治君 急ぎますが、せっかくの答弁ですが、大臣に申しておきたいことは、差益金といい、調整金といい、この種ガット品目に対して国の権力をもって取るということはジェトロが取るにしても同じです。国の権力をもって、一つ行政措置をもって取るということは、これはガット違反です。で、特別外貨制度というものの精神を生かすと事務当局説明しておりますが、特別外貨制度の妙味というのは、簡易化と同時に、輸出の振興のために中小企業者を助けるということです。カードが一喜一憂によって上り下りしていると言いますが、最近はカードのプレミアムも全く一定しているようですし、特に中小企業者が持つ特別外貨のカードというものは、一口五十円ずつの手数料を取られて、そして現在のようなプレミアムでは何ら意味をなさないというのであって、いわんやこのジェトロ方式でマル特をつけるなどというのは、マル特という精神を生かしておりますぞという形式的なやり方であって、経済的には何らこの制度が生かされていない悪方策中の悪方策であると、結果的には。理論的にはいいが、政治的に見ればこの方策は断じてとるべきでないと。しかも国際条約違反をしてまで、そうしてそのような方策は、おそらく水田大臣はとらぬと思いまするけれども、要するにこの雑豆の輸入については、すでにもうビルマは雨期に入ろうとしており、適期をはずすならば国内の需要が盆を目がけて上るので、もう豆は底知らずに上ると、かように考えられる。特に国会等においてこういう議論がされることが、実はカード・プレミアムに微妙な影響を与えるということを私は知っております。知っておりますけれども、あえて尋ねなければならないということは、この問題について相変らず通産省が農林省その他から引きずられているという事態について、私はがまんならぬものを感ずるからなのであって、ぜひ、この際水田通産大臣においては、適期をはずさず、国際条約違反にならず、国内農産物価に対する影響を与え、需要者値段を考え、そしてこのことが輸出にプラスするような方策があるのであるから、それに対して善処を特段私は期待しておきたいと思うのです。見解を承わりたい。
  87. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いずれにしろ、時期をはずさないように、今月中にこれは解決したいと考えます。
  88. 相馬助治

    ○相馬助治君 あと一点だけ私承わりたいと思います。バナナの問題ですが、このババナの問題というのは、特別一部階級の者だけが食べている問題で、いわば貧しい人々にとっては縁のないものであるというふうな形から、この日の当る場所で多く論ぜられたことがないのですけれども、私は最近の通産行政のやってきた跡を歴史的に調査して参りまするというと、バナナの問題ほど複雑怪奇にして、しかも今の日本の通産行政の自信のなさを露呈している問題はないと思うんです。全く一朝一夕に方策が変り、あるときはジェトロにこれをゆだね、強制入札をし、あるときは差益金を取る。そしてつい昨年度は四千円かの差益金を取って大問題になろうとしたところが、天佑かどうか、台湾がバナナの大飢餓で、それで入れてもどうやらもうかってつじつまが合ったと、こういうようなことを聞かせられておるんです。そしてまた、最近バナナの業者から私どもはしきりに陳情を受けておるんですが、私は業者のたいこ持ちをしたくないんですけれども、特に望みたいことは、この種の問題については、確たる自信を持って方策を立てられることを期待したいんですが、樋詰次長、これに対する御見解はいかがですか。
  89. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) われわれといたしましては、これは微力ながら精一ぱいやっているつもりでございます。別に、農林省に引きずられているとは考えておりませんが、今お話しにございましたように、かつてジェトロにこれを取り扱わしめ、その差益を全部国庫に納めさしたということは、これはございました。しかし、これはいまだ特定物資の法律ができておらなかったという段階に、そういう輸入に伴う反射的利益を、たまたま割当を受けたから私するというのは不適当であると、そう考えられましたので、これを法律を作るまでのつなぎとして、とりあえず臨時の緊急避難的な措置としてこういうことをやったわけでございます。その後、しかも法律を作りました際には、こういうバナナは豆なんかと違いまして、これはむしろ純粋のぜいたく品と称しても差しつかえないとこう思われます。たまたま、台湾との経済協定でやむを得ず毎年一定額入れなければならないということになっておりますので入れることだけは入れますが、とうていその数というものは全国民を潤すに足らない。従ってどうしても入れると、反射的利益が出るから、こういうぜいたく品的性格を持っているものについては、むしろ入札によってできるだけ国庫にたくさん寄付をする人に割り当てるということが、一番筋が通っているのではないかということで、この法律を作る直前に入札制を採用したことがあるわけでございます。ところが、実際やってみますると、それまでほとんどバナナを扱われたことのない方々が九割を占めて、それまで数年間バナナを扱っていた方は一割にも満たないという結果が出てきたわけでございます。これは沿革的に申しますと、バナナの割当は、かつて台湾に対する輸出農水産物あるいは雑貨というものとリンクしたような時代もございまして、そういう農水産物あるいは雑貨というものを輸出して、その見返りにこのバナナを入れたといったような方々、その方々の中にはこのバナナ貿易をやるということで、現在企業を営んでおられるといったような方もあるわけでございますので、それらの方々が一挙にして全然割当がなくなったということになりますと、これはいわゆる取引界の秩序がすっかり狂ってしまうということになりますために、われわれといたしましては、その入札の直前に非常に高い金で入札して入札を全部取って、そうしてむしろ今後の輸入実績というものを自分のふところに入れたいという動きがあるんだというようなことも、情報として伝わりましたために、その入札の結果は実績にしない、がしかし、実績者だけをいつまでも輸入を認めまして、いわゆる権利の上にあぐらをかかせるということも、これは適当でないということから、七五%程度は過去の実績のある方々に実績に応じて割り当て、二五%はそれは今まではバナナを扱っておられないが、新規にこれからバナナを扱いたいという方に対して割り当てるという方策をとったわけでございまして、現在のわれわれがとっておりますバナナに対する方策というものは三転、四転、御指摘の通り変って参りましたが、そのたびごとに逐次改善されて、今われわれといたしましては、考え得る一番最善の道をバナナに対してとっている、そういうふうに考えております。
  90. 相馬助治

    ○相馬助治君 御説はよくわかりましたが、結局外貨資金割当はきわめて公平で、適切でなければならないと思うのです。それで、この業者に割り当てる率を二五%と七五%で云々というようなことを聞きますと、そういうことも一つ意味があると思いまするが、ある業者からの陳情書等を見ると、この際人口割合等も一つ含めて割り当てをしていただきたいというような要求もあるようです。で、これが果していいか悪いか、私はにわかに即断して、通産当局に迫る自信を今日は持っておりません。ただ、どうか、今樋詰さんが言われたような角度で、この外貨資金割当については、バナナが三転し四転していろいろな議論をかもしておるという実態に応じて、一つ十全に善処されることを、私は特段に希望しておきたいと思うのです。大竹委員から関連質問があるようですからこれに譲りまして、なお私は、輸出問題で若干お尋ねしたかったのでございますけれども、広範にこの問題について尋ねて私だけが参りますると、他の委員発言に支障も来たすと思いますので、私は善処方を要請して、関連質問の大竹さんに質問を譲りたいと思うのです。
  91. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 一言、今後バナナをどうやるかということにつきましては、まだ昨年割り当てましたものが、やっと三割程度しか入っておりませんために、われわれといたしましても、次の割当までにかなり時間もございます。今御指摘のような陳情書というようなものは、われわれも各方面からいただいておりますので、慎重に検討しております。
  92. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 バナナの問題は、御承知通り、衆議院でも昨年非常に問題になり、また当委員会でも、私から先般も質問申し上げたようなわけなんでありまして、今樋詰次長のお話しの通り、非常にこれはぜいたく品である、もうかるというような点から、そういうところからできるだけ最近はとってもいいじゃないかと、こういう御見解のようでございましたが、バナナが入って参りまする台湾は、御承知通り日本とオープン・アカウントの貿易をやっておるわけなんでありまして、従っておっしゃる通り、四百五十万ドルのバナナが入るということは、今でもその当時のリンク制と大して違わない。雑貨工業をできるだけそれに見合してやるというのが、大体この両国の貿易協定の習慣なんであります。そういう意味において、やり方が上手にやられまするならば、何もぜいたくなものでない、相当単価も低く、そうして大衆の口にも入るわけなんです。こういうことに大きく指導をしていくというのが、これが行政当局の大きな役目なんじゃないかと思うのであります。昨年は御承知通り、問題になりました全バ連というような、実際今まで輸入に直接関係のない業者が、突如として非常な政治力を発揮して出て参ったと、従って入札をやった結果が、差益金実に四千百八十五円というような大きなものを、入札をいたして、大部分を取ってしまった。バナナの値段は御承知通り、円にいたしまして、大体三千三百円、その原価以上の入札の値段をもってほとんど取ってしまったと、私どもは、こういうものを根本的に考えると、何かお互いお互いの職域というものを侵しておるから、こういう問題が起きていくのじゃないかと、たとえば輸入業者があり、卸業者があり、しこうして加工業者があって、そうして加工業者から小売業にいくというのが、これが順調なんです。しかるにもかかわらず、その加工業者が加工でももうけ、さらにその輸入でももうけようというように、この職域を侵害してくるというところに、非常に大きな問題があったわけです。過去の例を見ましても、二十八年の差益金は千七百余円で済んでおります。それから二十九年は千八百九十円、それから二十九年の第二回は千六百円、それから三十年は千七百円で済んでいたものが、三十一年に四千百八十五円と、今のような制度をとったからこういうものができた。従って高いバナナをわれわれが食べなければならぬ。また、これが特権階級でなければ食べられないような値段になったわけです。こういうことを考えていきまするというと、どうしても制度の問題だということがあるのであります。昨年のそういうような膨大な差益金があった関係からいたしまして、昨年の八月の二百二十五万ドルの外貨割当のときには、非常にその差益金も上りまして、二千八百六十二円というような差益金が出たわけなんです。これは入札ではございませんので、要するに前年のそういうような入札の莫大な金が出たものでありますから、勘案してこういうようなものになったと思うのであります。こういう点において、私どもはどうしてもこの職域を守る、仲買人は仲買人、加工業者は加工業者というようなところでやっていただくならば、巷のバナナというものの値段が、そんな莫大なものにはならない。かように考えているものでありますが、いろいろ今御説明があったようでありますが、一体今後政府といたしましては、あくまでも実績本位でやっていただくのか、それから同時に、この全バ連の加盟というものは、これは実績主義にならぬということは、今あなたもお話しになった通りであります。従いましてあくまでも今後の割当を決定する上におきましては、そういう最初の方針というものを曲げずに、あくまでも進んでいかれるお考えであるか、その点を伺いたい。
  93. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) いわゆる入札のときの実績というものを実績にみないということは、そういう約束であの入札をいたしておりますし、また国会におきましても、しばしば大胆からも言明されているところでございますので、われわれといたしましては、あくまでもあの入札の際の結果というものは、これは実績にあらずということで処理していきたいと、そういうふうに考えております。
  94. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 バナナの問題はその程度にいたしまして、時間もございませんから、ごく簡単に貿易問題について一、二点お尋ねいたしたいのでありますが、六月のたしか十日だと思いますが、ジュネーブにおきましてガットの会があるのでありますが、この協議会は、その主たる目的が輸入制限の問題を中心にしているように考えているのでありますが、この輸入制限の問題というものは、おそらく私の記憶に誤まりがなければ、ガットの成立以来最初の問題ではないかと考えるのでありますが、これはむろん制限の緩和や廃止というようなことが叫ばれ、その指導国になりますものが、大体米国であります。それで米国に対する日本の貿易は、御承知通り綿製品、マグロ、あるいは洋食器、こういうものが非常に常に問題になっているわけなんであります。日本にとりましては、この問題にずいぶん悩まされて当局は今日まできたと思うのでありますが、しかし、この問題について米国側は輸入制限というよりも、あくまでも日本の自主的制限だと言っているのでありますが、実際から言うならば、やむを得ず形の上でそうせざるを得なかったのだろうと、私どもはこう考えているのでありますが、このガットの輸入制限の問題並びにこれに関連して、対米国のその制限問題につきまして、当局の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  95. 樋詰誠明

    説明員(樋詰誠明君) 来月から開かれますいわゆるガットのコンサルテーションというので、ガットの輸入制限を全部一応爼土に取り上げる。そうして各国でお互いに批判し合って、もしガットの精神に反するならばやめる、こういうことが行われるのは、これは事実であります。で、日本といたしましても、現在日本がとっているいろいろな輸入の方策というものが、ガットの精神に反するかどうかということは、これは論議されるだろう、こう思われますが、同時に日本側からも、ほかの国に対して、お前の国がやっていることはけしからんということは、これは当然そこで言い得るわけでありまして、今の対米繊維問題というものは、これはむしろ非常に政治的な含み等もありまして、私あたりから申し上げるのは、適当でないかと思いますが、当然日本としてはいろいろの問題、今まで日本が実質上制限されてきたというものについては、それを相手方に堂々と主張して、相手方の反省を求める場にしたいと、そういうふうに考えております。
  96. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 大臣にお尋ねいたしますが、今の対米国との問題でありますが、当然岸総理があちらに行くに当りまして、経済閣僚であり、ことに貿易担当のあなたにいろいろ御相談があったと思うのでありますが、この問題はいかがでありましたか。それをちょっとお尋ねいたしたいと思います。また、一つあなたの御見解をお尋ねいたしたいと思います。
  97. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この問題は、御承知のように新大使が赴任されますときに、通産省の関係者全体といろいろ打ち合せをして新大使が向うへ行っておりますので、総理が向うへ行かれたときには、相談で善処することになっておりますが、内容についてはちょっと御遠慮したいと思います。
  98. 大竹平八郎

    大竹平八郎君 もう五時半でありますから、いま一点だけ一つお尋ねしまして、あと実は共産圏の貿易等についてお尋ねしたいんですが、またの機会に一つ譲るといたしまして、一点お尋ねいたしたいことは、まあ、先ほど相馬委員からお尋ねいたしました国際収支の問題で、非常に悪化をせられておる。しかし、いろいろものを、私どもが拝見をいたしたり、また政府の御見解等を承わりまするというと、このちまたの見解とはだいぶ相違があるようでありまして、非常に一つの確信にあふれているというようなことは、大蔵大臣の言明でもそうでありますし、先ほど来の大臣お話しもそうなんであります。まあ、そういう点で私どもは非常に安堵をいたしておるのであります。何も私は大臣の言葉をわれわれはとらえようというわけじゃございませんで、貿易でございますから、必ず一年に一度くらいは、今までの例を見ましてもいろいろ突発事件があるのであります。昨年のごときはポーランド、ハンガリーの問題があり、そうしてスエズの問題がある。これが直ちにまあ大きな貿易に影響をしているんでありますから、私どもはそれは先のことを必ずこうだということを、私はその答弁を求めておるわけじゃないのでありますが、先般来いろいろな機会におきまして、通産当局の言明が、この国際収支が非常に、何と申しますか、ぐらついて参ったときに見解を発せられた、その中に、輸出の問題でございますが、いろいろあっても大体において二十八億ドル見当の輸出は大体見通しをつけておるというようなことが言明をせられておるのでありますが、この点に対しまして御所見を伺いたいと思います。同時に、いま一つ、これに対する輸入の問題でありますが、御承知通り、まあ四月、五月というものが非常に悪い。これは四月、五月は悪いということは、これは需要期だからなんでありまして、何も四月、五月の問題だけをとらえて貿易全体、また、その本年度の貿易全体が悪いという結論には私はならぬと思うのです。これはそういう意味におきして、最近のいろいろ公定歩合の問題とか、あるいは諸般の政府政策から見まして、各商社の先物の輸入の契約等がかなり減りつつあるようにも考えておるのであります。従いまして七月あたりから政府といたしましては、輸入テンポというものは鈍るであろう、こういうような見解を示されておるようなのでありますが、この点につきまして、大臣から輸出の問題並びに輸入の問題、この二点をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  99. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 輸出は国際市況の問題がございますので、そう自信を持ったことは、言えませんが、今の程度の国際市況が持続するならば、二十八億ドルの輸出は達成するだろう。と申しますのは、まず一月からきょうまでのあれを見ますというと、平均二億一千万ドル程度の信用状から見たものがそうなっておりますが、信用状なくて輸出できるのが一割五分もあるというのが過去の実績だそうでございますので、そういうものを入れて考えますと、二億三千万ドルのべースをずっときょうまで一月から維持してきておる。これがそのまま続くといえば、無条件に二十八億ドルということになるわけでございますが、じゃそのまま続くか続かぬかという見通しになりますというと、今私どもが心配しているのは、インドネシアとの問題でございます。そのほかの国を一国別に見ましても、御承知のように豪州との間にはああいう話し合いができかかっておりますし、これができましたら、豪州との貿易もこれは最初の予想よりは進むだろう。これはプラスの地域になっておりますし、フィリピンも同様で、これはまだことし貿易を伸ばせるのではないか、あるいは中共も第四次協定のやり方いかんによっては、昨年度よりもこれは当然伸ばし得る地域ということですし、共産圏諸国は今までがゼロでございますから、これ以上悪くなるということはございませんで、私どもの努力いかんによっては、ソビエトを中心とする貿易も、今よりは伸ばし得るというふうに、さらに欧州、アメリカの市況を見ましても、私はこれが特に心配だという所はなくて、この程度でいくなら、二十八億ドルの輸出は間違いなかろうと、通産当局は今大体確信を持っておる現状でございます。
  100. 近藤信一

    委員長近藤信一君) それでは本件につきましては、一応この程度にとどめ、時間も相当経過いたしましたが、委員会散会後今後の委員会の運営、委員派遣等について御相談願うことにいたしまして、委員会はこれにて散会いたします。    午後五時三十八分散会