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1957-05-10 第26回国会 参議院 社会労働委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十日(金曜日)    午前十一時六分開会   —————————————   委員異動 五月九日委員谷口弥三郎辞任につ き、その補欠として野本品吉君を議長 において指名した。 本日委員久保等君及び小西英雄辞任 につき、その補欠として藤原道子君及 び紅露みつ君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     千葉  信君    理事            榊原  亨君            高野 一夫君            山本 經勝君            早川 愼一君    委員            勝俣  稔君            鈴木 万平君            寺本 広作君            西岡 ハル君            横山 フク君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            藤原 道子君            山下 義信君            奥 むめお君            竹中 恒夫君   政府委員    厚生政務次官  中垣 國男君    厚生大臣官房総    務課長     牛丸 義留君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君   参考人    東京食肉商業協    同組合理事長  長尾堅太郎君    日本生活協同組    合連合会専務理    事       中林 貞男君    八幡市議会議員 長野 義夫君    日本労働組合総    評議会福祉対策    部長      塩谷 信雄君    東京商工会議所    商工相談所長  高橋 重一君    主婦連合会副会    長       三巻 秋子君    川崎市青色申告    会会長     高橋八十七君    京都市議会議員 末本 徹夫君    産経時事論説委    員       和田  進君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○環境衛生関係営業運営適正化に  関する法律案衆議院提出)   —————————————
  2. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。五月九日付をもって、谷口弥三郎君が辞任され、その後任として、野本品吉君が選任されました。五月十日付をもって、久保等君、小西英雄君が辞任し、その補欠として、藤原道子君、紅露みつ君が選任されました。   —————————————
  3. 千葉信

    委員長千葉信君) 環境衛生関係営業運営適正化に関する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査上の参考に資するため、参考人各位の御出席を願いまして、各界の貴重なる御意見を拝聴いたすことになっております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には、お忙がしいところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。これからそれぞれのお立場から御意見を拝聴いたしたいと存ずるのでございますが、時間の関係もございますので、お一人二十分程度で御意見を御発表願いたいと存じます。短時間でございますので、十分意を尽していただくことが困難かと存じますが、よろしく御配意の上、御意見の御発表をお願いいたします。また、関連事項等につきまして御意見がございましたら、あわせて御発表をお願い申し上げます。  次に委員各位にお諮りいたします。議事の都合上、午前と午後に分けまして、午前中予定した参考人の御意見発表が済みましてから御質疑をお願いいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。それでは参考人の方から御意見発表をお願いいたします。  まず最初に、東京食肉商業協同組合理事長長尾堅太郎さんにお願いいたします。
  5. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) ただいま委員長さんの御指名を受けました東京食肉商業協同組合理事長長尾堅太郎であります。環境衛生関係営業運営適正化に関する法律案につきまして、業界を代表して、このおごそかな席上において意見発表する機会を与えられましたことを、心から感謝いたします。  私の考えといたしましては、今までも環境衛生法がありまして、その衛生法に基く食品衛生法、この二つの法律もと指導監督を受けて、全国数万の小売業者営業を営んで参っておるのでありますが、このたびの環境衛生関係営業運営適正化に関する法律案が上程されました。所管厚生省におかれては、戦後、食糧事情の悪化から、国民体位低下によるものを、国民体位向上に基くところの精神に基いて、この法律案所管の当局から出されたものと考えておるわけでございます。  そこで、この法案を昨日送付いたしていただきましたので、逐条目を通して参りましたが、何といたしましても、しろうとでありますので、十分のことが述べられないかもわかりませんが——私が食肉関係を持ちましたのは、大正十年からでありまして、大正十年から今日まで三十有余年間、特に小売部門に、その職域に奉仕し、消費者のために御奉公をして参ったのであります。この長い期間のうちに、同業組合法による組合を作ったり、あるいは戦時中は統制組合法による組合を作ったり、戦後、協同組合法による協同組合を作りましたりして、そうして役員となりまして、二十有余年間業界のために尽して参ったのでありますけれども、なかなか、そうしたりっぱな法律はありましても、幹部として、あるいはまた業者といたしまして、十分に消費者の方に、組合の力とでも申しますか、業者の団結の力の不足とでも申しますか、十分なサービスが行き届かなかった経験を持っておるのであります。  ところが、終戦後の昭和二十二年に、現行によります協同組合法ができて、それに移行いたしましてから、どう申してよろしいのかわかりませんが、まず食肉が激減して——昭和二十二年ごろでありますと、ほとんど国民の全世帯に五匁の配給をすれば、日本畜産はすべてなくなるというような貧困な状態であったのでありますけれども、御案内通り、当時価格統制法がしかれておりまして、そうしてまた、特に東京都というような、あるいはまた、六大都市というようなところの大きな消費都市に対しては、食肉の入荷がないために、あるいはその価格に押えられているために、非常な苦しい思いをして商売をして参ったのでありますが、その中には価格違反とか、統制違反ということで、非常に幹部といたしまする私どもも、組合員指導に、あるいはまた、消費者への供給に沿うように、商品店頭に並べ立てるということに困難をいたして参ったのであります。あるときには、この東京都下の七十人の支部長さんが、全部価格違反だと言って警視庁に呼び出しを受けたことさえ、にがい経験があるのであります。そうしてともかく消費者本位営業を今日まで続けて参ったことが、私としてはみずから業者努力によって今日まで成りきたったものである。当時、昭和二十一年ごろは、わずかに五十名そこそこしか一世帯に牛や馬を持って、配給、あるいは販売することができなかったのでありますが、それから今日に至りますれば、すでに年間二貫目以上の食肉が供給できるように相なって参ったのも、これひとえに——もちろん畜産に責任を持たれるところの、畜産行政農林省畜産局努力も認められるわけでありますけれども、いかなる取締りとか、いかなる苦労をしても、これだけこの食生活向上をはかるために、消費者にわれわれ数万の全国小売商人努力を重ねて参ったのでございます。そうして今日のように、この国民の、御承知のような食生活事情改善から、食肉必要性というものは、もう今日喋々する必要はないと思いますけれども、戦後道義の頽廃とか、あるいは道徳感が薄らいできたとかいうことで、なかなかそれも幹部といたしましても、業者の方からは適正な協定価格を作ってほしい、消費者の方からはもっと肉を安くしろというような、中へ入りまして、ともかく生産状況等、あるいは購買力ににらみ合した価格で、申し合せ価格というようなものを作りまして配付いたしましても、二年ほど前でありますけれども公正取引委員会に呼び出されまして、君の方の組合では、こういうような価格をどうして作ったのだということでこれが高くも売れないのに、あるいはまた、原価を割って販売するようなことがあれば、生産がせっかく徐々に上昇しつつあるこの生産者に対してもよくないということから、適正価格標準価格というものを作って、あるとき店頭にその看板を掲げたことがあるのであります。そうしたら、申し上げているように、これは戦後で、先ほど申しました公正取引委員会の方のおしかりを受けて、その後そういう申し合せ価格のようなものは、標準価格のようなものは、出すことさえできなくて困っておったのであります。  そこでもちろん、今まで私が、この法案が上程されて、また、内々新聞等で拝見いたしておりますと、このくらいある程度業者のために力を持った法律であるなれば、これは朗朗な販売もでき、あるいは明朗な商売もできるということで、非常に歓迎をいたしておるようなわけであります。  そこで、どうしてこの法案精神にのっとるように——これから法案が通過いたしますれば、われわれといたしましては、直ちにこれの受け入れ態勢の準備さえ整っておるわけであります。繰り返すようでありますけれどもこの法案の中にもございますが、共済事業もできるようになつた。現在私どもこの五十円の月掛けをしておりまして、一軒八万円から十万円の火災保険同業の力でやっておる。あるいはもし会員が死亡したような場合には、これまた八万円から十万円くらいの見舞金が差しあげられるような共助事業もやっておるようなわけでありまして、そういうようなことも、適正ないわゆる会費によって、適正な見舞金を差しあげることの事業ができるということも、ここの中に、法案精神に織り込まれておるということもその一つであります。  それから店舗の不整と申しましたか、あるいはこの配置の問題、あるいは価格の問題もこの中に含まれていると思うのでありますが、まず価格の問題を見てみますと、商人といたしましては、もう私も三十何年間、直接消費者の第一線に立って、奥さん方の機微な心理というものを把握しておりますので、これは現在の肉の価格は、それはもう一流の特選牛でありますと、百匁、ロースが五百円も、六百円もするものがあります。また、安いものは御案内のように、こま切れで現在百円から百二、三十円で売られておりますが、これをどうして消費者満足販売しようかということを深く考えてみますと、非常にこの牛の中には種別が多いのであります。種別も多い関係上、上肉とか、並肉並肉からロースまでいろいろな区別をして、消費者満足のいくように規格価格をきめておるのですが、日本のこの畜肉相場変動があまりにもむらが大き過ぎる。年間三回、五回でなく、激しいときには十回も十五回も激しい値段の上げ下げがあるために、たとえば百円でこま切れを売ろうといってウインドーの中にこま切れ百円と表示いたしましても、もとの方が百円で売れるときに作ったその標準価格が、いつまでも仕入れにおいて違わなければそれでよろしいのですが、わずかの間に、もとがたとえば骨のついたまま七十円でこれを仕入れたとしますれば、三日か五日でこれが七十五円なり八十円になるというようなわけで、一例にすぎませんけれども、すべて肉の相場の上下があまりにも変動が激しいということで、中に入って、原価の上ったときは小売価格をそのままにして損をして売っておる。下ったときはどうするかと申しますと、下ったときの期間は上ったときの期間しんぼうしておるから、下ったときの期間はそのままやはり値段をとめておく、こういうことは非常に消費者から誤解を受け、あるいはまた、農林省からそういうふうに小売業者は非常に肉が高いなんということを言われたこともありますけれども、これは大へんな農林省なりのそうおっしゃられることは見解の相違と、間違いであると私ども考えておるわけでありまして、この取引段階におきまして非常な関係業者もおりますので、数の多い関係業者もおる。相場変動が激しいということ、それからそれらの点をこれは大いに規制しなきゃならぬと思いますけれども不当乱売をする——時代がだんだんこれからまた不景気になって参りますれば、あるいは国策として物価の低下をはかろうとする場合は、消費者としては——いや商業者としては、なるべく他の商店よりもたとえ百匁について五円でも十円でも安く売りたいのは、これは人情であります。いわゆるそういう精神は全業者——小売企業の、小売業者の全体の業種を私から見てみますと、肉屋が一番マージンが少くて労働が一番よけいかかる商売なんであります。今日までこうした機会が私どもに与えられなかったことを非常にみずからかえりみて残念に思っておりますけれども、今回この法案が上程されることによって、初めてこのヒノキ舞台においてわれわれの実情を先生方の前に述べられるという機会に対しては、私はほんとう業界のためにも、消費者のためにもいい機会を得られたと信じておるわけであります。不当乱売をする、安く売らなくちゃならぬ、安く売りますと結局規格外品物を売る、あるいは衛生検査を受けないような肉を売る、特にはなはだしいのは、最近に、一昨年と昨年とことしにかけまして、三つの事件を私は取り上げておるのであります。ごく僅少なほんとうの〇・一にしかつかないような悪徳業者がおるために、信用ある大衆の業者、そうして善良な消費者に対して不安を与えておる。というのは、一昨年犬の肉と知らずに仕入れ販売したという事件三田警察で取り上げられて、新聞にも大きく取り上げられております。かようなことで、一人悪徳業者がおったために信用を害する。何でそういうことをしたかというと、その人のいわゆる良心によってきまったことであろうと思いますけれども、これらの点を規制し、あるいは法律で取り締るということは、現行法によりますと、私から申し上げるまでもなく、詐称とか、あるいは詐欺とか、あるいはそのいろいろな取り締りがあると思いますけれども、そうした問題が起きまして、今後そういうことのないようにするには、本法案が実施されるに当りますれば、これから新規に開業されるような業者は、少くともこれは牛肉である、馬肉ではない、あるいは豚肉と羊の肉の見分け方、こういったものが一定の基準を作りまして教育をして、そうしてこの人なれば新規開業してもよいというような人に組合なり、あるいは今度かりにこの組合がそれだけの権限が与えられますなれば、組合認可証をもって新規開店をするというような手も打てるのではないか。そうすればまた、羊頭狗肉の策を講じて、消費者規格外商品販売するというようなことのないようにできるのじゃないか。あるいはまた、死んだ牛を持ってきて、この乱売のために安く売るというような悪徳な業者はいなくなるのではないか。または、この店とこの店は正面に同じ店舗をかかげて、朝に夕に同業者であるものがにらみ合って商売をしなければならぬというような現状もございますが、そういったようなことも自然解消されていくのではなかろうか。この衛生法に基く店舗の改築の資金にいたしましても、何とか援助の道が得られるのではなかろうか。御案内と思いますけれども、特に終戦マッカーサー指令と申しますか、それによりまして当時こちらへ来ておられた人はニッコーさんという衛生部長さんだと心得ておりますけれども、私のところはその当時は、一番最初モデル店舗であったのであります。そうしてその方々にも見ていただきましたけれども、これならばまず初期における東京小売業者としての店舗衛生設備としてはよろしかろうということをスタンプを押されまして、全国の各地方から家の個人の店を見学していただいたわけでありますが、だんだん厚生省あるいは東京都の衛生局の方からまだ新しい法律に基く店舗を開始ができないので、資金がないということから莫大な金を融資を受けて、食品衛生法に基く諸施設を完備しなければ、魚屋さん、干物屋さん、いわゆる干物等を売っておる店でも同じようにやらなければならないのですが、特に肉は外国で御案内のように重要食品でありますので、この東京におきましても、全国において小売商環境衛生法にのっとって一番最初協力をした団体であり、業者であるのであります。このことは特に私は強調いたします。そうして今なお資金不足のために、不十分な施設店舗もないとは限らないのでありまして、のいう場合にこの法案ができ上りますれば、資金のあっせんを受けて、環境衛生にふさわしいところの店舗改善もできていくと、そうしてまた、仕入れ資金においてもよりよきものを安く仕入れて、安く販売ができるというように考えておるわけであります。現在どういうふうな取引状態を行なっておりますかというと、地方に行きましても、その生きた牛なら牛を取引する場合には、あらかじめ上質と中質と並質というものが価格表示をして、そうしてせりで取引されているところも、あるいは話し合いで取引されているところもありますけれども、生体から枝肉になるまでの段階はなかなかあと中間仲買い——博労さんと申しますか、そういう業者がおって持ってくるのでありますが、枝肉から小売店舗配給段階になりますと、価格の規制も品質の格差もつけずに、この長年の商習慣によるところの取引で間違いのない取引を行われておるのでありますけれども、それでも、中に同じ仕入れで、同じ価格販売しておったのでは商売にならないから、いい品物——悪い物を仕入れて、そうして販売するというようなごく少数の人たちを抑制することもできる、そうしてこういうここのほかに、店舗の距離とか、あるいは価格の問題でもありますけれども日本の今の畜肉事情からいきますと、とれ以上、現在以上安く売るということはできないのです。ですから、その農林省においてはこれはどんどんどんどん生畜を増畜して、そうして市場に流していただけば、この法案が通過すれば、完全に消費者の方もこれなら価格はよかろう、これを厚生省中心とした審議会にはかって、そうしてこれならば、この品物ならば適正な価格であり、適正な商品である、特に環境衛生食肉とは先ほど来申し上げておりますけれども、この小売店舗衛生監督に来られる方はみんな獣医さんであります。そうして獣医さんは食肉肉質も、鮮度の工合もよく御案内になっておられるので、そうしてこれを店舗で見て、これはかりに百五十円で売られておる、この肉質ならば適当だ、この肉質は少し高いのじゃないかというようなことも、月に三回、四回と各小売店舗を回っておりますので、こういう点においても非常に合理的によく運営ができていくのではないかと思うのであります。そこで、アメリカのように、生きた牛でも、枝肉になったものでも、全部、まだ行ってきたばかりでありますけれども買付がしてありまして、その買付によるものが全部小売にも仲買いにも回っておるのであります。そうしたこともできるのではなかろうかと考えておるのであります。この全国小売業者食肉業者は今いろいろ、中小企業団体等法律案というようなものは可決されたそうでありますけれども、その中小企業立場におる私どもでありますけれども、それ以上の、環境衛生適正化法律案は、食肉に関す限りはもう絶対、その中小企業団体伝よりも一番必要であり、このことが実施されなければ、ほんとうにわれわれ業者ばかりでなく、消費者の方もほんとうに困るのではないかということを考えておるわけであります。  私は先ほど委員長さんから、午前中の分で時間は二十分ということでございますので、もう時間が経過しつつあるようですが、他の参考人の人からいろいろと食肉に関するお話が出ました場合において、私はぜひ、その御意見に対して答えることも、また、間違った考えを持っておられれば、その間違いに対する意見も述べたいと存じております。従って、私の申し上げることはまだたくさんありますので、留保しておきまして、この時間の責めを私は終らしていただきます
  6. 千葉信

    委員長千葉信君) どうも御苦労さんでした。   —————————————
  7. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、日本生活協同組合連合会専務理事中林貞男君にお願いいたします。
  8. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 私ただいま御紹介を受けました日本生活協同組合連合会中林です。私たち生活協同組合運動は、消費者、特に家庭の台所を守るという立場でずっと運動をやっておるわけであります。そういうような立場からこの法律案をいろいろと検討をさせていただいたわけでございます。私たちももちろん特にこれに出ておりますところの七業者というようなものについての衛生的な措置というようなことの必要なことは、これは十分わかるし、そういうような点については、国民生活確保という見地から、十分私たち政府において御配慮をいただきたいというふうに考えるわけです。  それからまた、この環境衛生関係の七業者が、概して中小企業だというような見地に立って、その中小企業の経営の確保ということの必要であるということも、私たち十分了承するわけでございます。私たちは、日本のようなところにおいて、何といっても中小企業育成振興ということは、私たちはやはりこれは国民だれ一人として反対するものではなく、そのことの必要なことも私たちは十分了承するわけでございます。しかしながら、そういうような前提に立ってその法律内容を少しく私たち検討してみますと、今度のこの法律立法の仕方、立て方、その内容というようなものを見ますと、これはやはり大きな資本を中心として、このような七業者にもカルテル化の傾向を促進していくということになるのじゃないか、そうしてその結果は、結局価格の引き上げということになって、家庭消費生活を非常にこれは圧迫してくるということになるのじゃないか。そういうような点に立って私たちは、こういうような、前段に申し上げたことは、十分考えなくてはならないが、このような法律の立て方、内容というものに対しては、私たちは反対せざるを得ないというわけでございます。  特にこの七業者扱い方については、中小企業安定法の法のときにも、適用問題が論議になりましたときに、なかなかむずかしい問題がたくさんあるということで、これは適用除外になったのじゃないかという工合に、私は当時の立法の経過を考えているわけでございます。  それから、参議院先生方に私特にお願いいたしたいと思いますのは、衆議院でこの立法がなされますときに、非常に短期間にこれが無理をしてやられた、そういうような過程において、消費者なり、多くの人の意見を聞く機会を全然お持ちいただけなかった。きょうのようなこういう公聴会のようなものをお開きいただきまして、あらゆる方面からのこの法律に対する意見というものを十分聞いていただきたかった。にもかかわらず、そういうことが全然なされなかった。特にこれが国民生活に重要な関係があるものであれば、なおさら国会においては、そういうような御配慮が私は衆議院において、立法過程において必要じゃなかったか。にもかかわらず、そのような配慮が全然なされなかった。そのような、非常に短期間でこの法律をお作りになったというような点から、内容を見ましても、いろいろの点についてたくさんな矛盾を持っておるというふうに私は考えまして、従って、そういうような点につきまして、参議院において、世間では参議院の良識という工合参議院における審議を非常に信頼しているわけでございます。参議院の諸先生方のそういうお立場に立っての私は、十分なる御検討をお願いしたいという工合考えるわけでございます。  特に先般、衆議院において中小企業団体の組織に関する法律というものが通過して、参議院の方に回って参っていると思うのでございますが、それとこの法律というものは非常に関連をたくさん持っている。特にこの環境衛生法内容を私説ましていただきまして、そうしてこれは衛生措置の必要ということが大きくうたわれているのではございますけれども法律内容を見ますと、経済立法であるというふうな色彩を非常にたくさん持っているのじゃないか。私、昨晩もこの公衆浴場法なり、あるいは旅館業法、食品衛生法というものもちょっと読んでみたのでございますが、衛生措置に関するいろいろのことは、これらの法律にいろいろと規定されているわけでございます。ところが、それでは不十分だということで、今度のこの法律が出たのだろうと思いますけれども、今度の法律内容は、むしろそういうことよりも、何と申しますか、過当競争防止のためのいろいろの措置をしていくというところに重点があるように私見受けます。そうしますと、今出ておりますところの中小企業団体組織法との関連はどうなるのかと、また、内容においても法律の立て方なり、この条文というものを比較してみますと、同じ国会において同じ過当競争防止の法律であるにかかわらず、いろんな違っている点がたくさんあります。矛盾している点もあるわけでございます。そういうような点について、私はいろいろともっと十分検討してみる必要があるんじゃないか。そうしてより基本的には現在の日本においてなぜ中小企業が成り立たないのか、なぜ過当競争が行われているのか、そういうような点について国会においてはもっとメスを入れていただいて、そのような過当競争の根本的な原因をどうしてなくするのか、そうして中小企業の安定をはかるのかというような見地から私は十分御検討願わなくちゃいけないのではないだろうか、そういうような立場から私はこの法律に反対せざるを得ないという工合でございます。  ここに具体的に少しく申し上げますならば、この国会の方からお尋ねになっていることも幾つかあるわけでございますが、ほとんどはそれに関連をして私申し上げたいと思うのでございますが、特に今度のこの立法は、その過当競争——なぜ中小企業が非常に苦しいかという根本的な原因に目をおおって、それに対する解決の努力をなさずして、ただ法律の力によっていろんなものを規制していこうとする。そこに非常に権力的な色彩が私は非常に強く出ているというふうに考えます。特にこの法律の六十一条に、厚生大臣がこの組合の役員を解任できるという規定があります。それからまた六十二条に、組合に対する解散命令を出すことができるようになっているのでございます。私は戦後のいろいろな立法において、役員の——こういう団体の役員の解任とか、解散とかというような問題については、いろんなクッションが私は入っていると思います。聴聞の機会を与えるだとか、あるいはこのなぜそうであるかという理由を述べる機会があるというようなことがいろいろの法律においてなっております。それが民主的な戦後の立法の特徴だろうと思います。にもかかわらず、この立法においては、そういうようなことが非常に簡単に取り扱われている。そうしてこういうような形で私はこの組合に対する解散命令、あるいは役員の解任ということが簡単になされるということであるならば、私はそこに非常に行政権——権力の介入があるということが非常に深く出てくる、そうして特に地方においては、知事の選挙というような、知事の公選というようなものとからんで、これが地方の権力なりいろんなものと結びついてこれがやられて、ボスのこれが支配下に置かれる危険性が私は非常に強いというふうに考えます。特に問題になると思いますのは、このそれぞれの業種について一都道府県に一組合ということになっております。そうして連合会は全国的に一つだ、それぞれの業種に一つだとなっております。そういう工合に、組合が単一であり、そうして連合会が全国で一つだというような形であって、しかもそれがこういうような形で作られるという点については私は絶対反対だということを申し上げたい。そういうような形は私は戦後のこういう——これは中小企業者の民主的な自主的な組織の育成だということの看板をかげながら、そういうような一つの権力的なものが残されていると、これはこの業界においてどういう立場に立たれようとも、こういうようなことに対しては皆さん御反対じゃないかというふうに私は考えるわけでございます。特に、私は一つの例を申し上げますが、この四、五年前に、ある県で、床屋さんでございます。これは生活協同組合、あるいは労働組合、あるいは婦人団体で、床屋さんとか、あるいはパーマをやっておりました。ところが、その一般の業界の床屋とか、パーマの値段が非常に高いというような点から、生活協同組合なりあるいは労働組合、婦人団体その他、この非営利の団体が自主的にそういうものをやっているわけでございますが、ところが、その組合に床屋さんの組合にどうして入れ、入らなければ衛生材料の配給をしてやらない、あるいはまた、その床屋さんとかパーマとかいうものについては技術の講習があるわけでございます。県の補助を得て技術の講習をやるときに、その講習会に出席させないだとか、あるいは技術をみがく機会を与えないというようなことで、労働組合なり、生活協同組合、婦人団体でやっているそういう人たち値段消費者のために安くするが、しかしながら、実際問題としてはやっていけないようにいろいろに圧迫を受けたわけでございます。私はそのときその県に行きまして、床屋さんたちのそういう集まりに私呼ばれて、どうしてわれわれはやっていったらいいのかという相談を受けて、私はちょうど県の——県労会議議長を県の職員組合委員長議長をしておいでになって、その方が衛生関係に非常に明るい方でございましたから、その方たちと相談をして、県の衛生部長に申し上げて、そういう非営利の床屋さんたちの一つの組合を別途に作って、そうして県の衛生部でこれを認めて、そうして衛生材料の配給なり、あるいは講習をやるときに参加させるというような形をぜひとったらどうかということをみんなで相談をしまして、そうして県では、そういうこともこういうときには必要だ、やはり複数にしてそういうことをやって、そうしてお互いにはげみ合うと、そうして値段をみだりに高くならないような、やはりそういう抑制の機会を与えることがどうしても国民生活上必要だから、県ではそういうふうなことを考えようということで、私たちもそれをぜひお願いをして立ったのですが、どうも組合の反対が強くてそれを正式に認めることができない、何か便宜的にいろいろ県が中に立って連絡することにしましょうということであったのですが、その後やはりその組合の圧迫のためにそれがうまくいかなかったという、私たちは苦い経験を持っておるわけでございます。従って、私たちはこういうものについての適正な価格ということは私は必要だし、そのことは十分私たちはわかるわけでございます。しかしながら、適正な価格をどうしてきめるかということについては、消費者、利用者の発言の機会を十分与えていかなくちゃならないにもかかわらず、これが業種ごとに  一都道府県に一組合だ、そうして連合会が全国一つだということで、非常に独占的な統制的な色彩の強い形でこれをやっていったならば、そういうような適正な価格の調整、コントロールも私は自主的にできなくなる。県なりで判断をしてそうしていろいろやるということでございますが、私は民主的なこういう運営の中においては、現在のようなこういう経済組織の中においては、それは複数にして、あまりたくさんできるということは、これはまた乱立とかいろいろな弊害ができると思いますが、私は複数にして、そうしてこの値段なり、価格なり、料金の自主的なコントロールの機会を私は与えるようにぜひ考える必要があるのではないだろうか。従って、こういうようなこの一都道府県一組合、そうして連合会が一つというような考え方に対しては、私たち消費者立場から絶対反対である。  それからこの法律の五十七条でアウトサイダーに対する規制命令の条項があります。しかしながら、これを読みますと、すべての当該業者に規制命令が及ぶことになっております。すべての当該業者ということはどういう意味か、これを十分お考えいただかなければ、農業協同組合なり、生活協同組合なり、そういういろいろの団体のこういうような事業活動に対しても、やはりこの規制命令が及ぶということに私はなってくるのじゃないか、この点は中小企業団体の組織に関する法律の中においては、そういう除外規定がちゃんと法律の中で明文化されております。そういうような団体の自由な、消費者の自主的な立場に立つところのそういう団体の自由な経済活動というもののあることによって価格の不当なつり上げ、あるいは独占というものに対しては消費者の生活を守るという自主的なコントロールがなされるわけでございます。にもかかわらず、この五十七条では、そういうすべての当該業者にこの規制命令が及ぶことになっております。その点は、中小企業団体の組織に関する法律検討いたしましても、非常な多くの矛盾を持っておりますし、より根本的には、国民生活確保と物価の安定というような点から考えましても、既存の農業協同組合法律で認められているそれらの団体、あるいは婦人団体労働組合の自由な活動というものを規制することに私はなって参るのじゃないだろうかという工合考えます。特に、具体的なことでそれを申し上げますと、私は生活協同組合関係でございますが、私たちの傘下の、あるこれはりっぱな生活協同組合です。せんだっても日本能率協会からわざわざ来て、いろいろ経営分析、経営指導をやっていただき、近く能率協会の研究会で、その生活協同組合の経営の内容を、一つ一般の企業の方も参加してこれをモデルにして検討しようという工合に、モデルになっている組合でございます。そこの組合では、実は食肉を扱っております。そして屠殺まで、これはすべて認可をとって、屠殺までやっているわけでございます。生活協同組合は、外国では生産工場まで持って、消費者の生活を守るということで、イギリスを初め西欧諸国では全部これはやっているわけでございます。そこの組合では、衛生施設とかそういう点は、私何回か行っているわけでございますが、いつも県から表彰されている生活協同組合です。そこにおいては、屠殺まで自分のところでやっているわけでございます。そうして、価格というものはどうなくちゃならないかということを、屠殺からずっと自分のところで小売までやって、そうして肉の価格はどうなくちゃならないかという適正なその間のマージンというものを出して、そうして肉の値段をきめて売っているわけでございます。従って、そこでそういうものをやってから、肉の値段とかいろいろなものの市価というものが非常に下って、そうして生活の安定、物価の確保ということに大きな寄与をしているわけでございます。にもかかわらず、もしもこの法律ができて、アウトサイダーの規制命令が出るということになりましたならば、そういうような、ほんとうにまじめにやっている消費者の経済活動というものが、五十七条によって規制されるということになっていくということは、私はこれは大きな問題である、これは全く時代逆行と私は言わざるを得ないというふうに考えます。また、せんだって私たちの仲間から聞きますと、兵庫県におきまして、この法律が近く出るということでやはり氷を作っている、これはやはり代表的な大きな生活協同組合です。それは製氷事業をやっている、そうして氷の配給までずっとこれはやっているわけでございますが、そこに対して、今度組合ができて、そうして小売のときには全部プール制にしてやるから、そこへ納めるようにしろ、そうしないと、いろいろ仕事がやりにくくなるということを言ってきているということでございます。そのことは、やはり戦争中の協定価格というようなものがそこで生まれようとしている、もうすでにその業界においては、そこの生活協同組合にはそういうことを言ってきている。そうなりますと、氷の値段というものが不当につり上げられてくる、そこの生活協同組合では、やはり生産費なりいろいろのコストをはじいて氷の値段を出しているわけでございます。その氷の値段をもっと上げろということで、業界から盛んに言われている。しかし、生活協同組合としては、そこの生活協同組合などは、全く市価でやっているわけでございます。安く売るとかそういうことでなしに、非常にまじめにやっている生活協同組合ですが、そこにそういうことで氷の値段を、これは戦争中においてはそういうことを強制されてプール制をやられて非常に困ったわけでございますが、戦後いろんなものが自由になってから、そこの生活協同組合では、非常に夏の、暑くなって氷の値段がどんどんつり上げられるときに、生活協同組合は、そういう投機的に氷の値段をつり上げないということで非常な信頼を受けているわけでございます。にもかかわらず、今度こういうような組合ができた場合においては、氷の値段は不当につり上げられていくということに必然的にならざるを得ないのではないかという工合考えます。  それからまた、せんだって私の方で全国の役員会をやりましたときに、この問題で非常に、福岡、北海道の炭鉱地帯の生活協同組合の諸君が出てきて、もうすでに、これができたらパーマとか床屋の値段は上げなくちゃならない、そうしたら、もしも値段を上げなかったら、おれたちの方からこういう工合に言うんだということで、いろいろのことをそこへ言って参ったわけでございます。従って、福岡、北海道の炭鉱地帯の生活協同組合の諸君は、この法律が出たらとんでもないことになるということで、絶対反対だということで、中央でがんばってもらいたいということを、みんなで非常に切実に訴えてきておる。そうして、もうすでに床屋とかパーマの業界では、いろんなそういう値段についての協定の値段をするための準備をしているということでございます。すでにそういうような、この法律が国会を通るだろうということを前提として、そういうようないろいろのものの値段がつり上げられようとしている。そうしてこの七業種は、すべて家庭生活、主婦なり多くの大衆の生活に密接な関係のある業種ばかりでございます。従って、そういうような点を私はいろいろ考えますと、参議院においても十分お考えをいただかなくちゃいけないのではないだろうか、そうして、特にこういうような形で一つの組合、いろんな形で統制されて参りました場合に、やはり消費者へのサービス、自由な競争というものがあることによって消費者へのサービスということも行われるわけでございます。そういうような点から言っても、こういう画一的な統制立法ということは、消費者立場から言って私たちは反対せざるを得ないという工合考えるわけでございます。そうして、この法律でこういうような規定をやる場合において、諮問委員会を設ける、あるいはまた、六十三条で利用者、消費者の声を聞くということになっております。しかし、ただ消費者や利用者の声を聞くということであって、ただ聞きおくということです。それではこの条文は何の効果も実際上はないのじゃないか。ただそういう消費者に対するカムフラージュをした条文に私はすぎない、そういう結果になるのじゃないかというふうに考えるのでございます。  環境衛生法に直接関連をいたしていることについて、まだいろいろと申し上げたいことはあるのでございますが、おもな点は大体以上のようなことでございますが、最後に、生活協同組合小売との関係、生活協同組合についての御質問が出ているわけでございます。きょうの参考人の中で、私は生活協同組合の代表でございますので、この問題について特に簡単に申し上げておかなくちゃいけないと思いますので、環境衛生法に関する私の意見は以上にしまして、最後の点について申し上げたいと思いますが、私たちは非常に世間では必要以上に誤解されている。私たち生活協同組合は、決して小売商人と対立するとか、あるいは小売商人がなくなってもいいとか、つぶれてもいいというようなことは毛頭考えておりません。私たちは、生活協同組合小売商業というものは、消費者のためにフェアな競争をする。これは商人同士でも激しい競争をしているわけでございます。私たち生活協同組合も、やはり商人同士の競争と同じく、商人人たちと生活協同組合はフェアな競争をしていく。そうして、結論的には消費者のためになるということでございます。ところが、その点について、この生活協同組合消費者が、生活協同組合小売のそういう競争ということは、私はこれはイギリスにしても、スエーデン、ノルウエー、どこにしたってみんな生活協同組合はあるわけでございまして、ヨーロッパにおいては、生活必需品、特に食糧品などについては、大体小売総額の二〇%から四四、五%は生活協同組合が取り扱っているわけでございます。日本においては、生活協同組合小売総額の〇・八%しかの取扱量を現在まだ持っていないのでございます。そうして、にもかかわらず、なぜ生活協同組合小売商人のことがいろいろ言われるか。これはむしろ現在の政府の商業政策の貧困から私はきておる。と申しますのは、過当競争で中小企業が成り立たないということがよく言われるのでございますが、東京においては、十五世帯に一軒ずつ商店があるわけです。山形においては、十世帯に一つずつ、問題によくなります米子においては、七世帯に一つずつ商店がある、そういうように、非常に商人が多いのでございます。なぜそういう商人が多いのか、この問題を解決せずして中小企業の問題は解決しない。そうして、にもかかわらず、政府は経済五カ年計画において、昭和三十五年までに、現在でもなお多いと言われている商人を二四%ふやすという計画を立てているわけでございます。そうして、昭和三十五年までに商業人口を七百九十八万にするというふうに言っているのでございます。そして、このことは、労働省が出しておりますところの労働白書というようなものを見ましても、失業者は、大企業と第一次産業部門というようなところには、ほとんど臨時工とか社外工とかいうような形で吸収されていて、ほんとうの就業としては、サービス業と商業部門にしかふえていっていないわけです。このことは、つまり、商業人口というものが失業者のプールに現在されているわけでございます。このことをやはり基本的に解決する必要がある。さらにもう一つは、現在の商業界というものは、やはり、大きな資本ないしは独占資本の圧迫で商人はきゅうきゅうとしている。いわゆるデパートの進出、あるいはまた、大きなメーカー、一流メーカーは全部、各府県、各都市に販売網を持っております。いわゆる独占メーカーのそういう販売組織、最近は交通機関とまた独占メーカーとがタイアップして、ターミナル・デパートというものを作っております。銀座の町を私たち歩いてみても、私たち学生時代はいろんな商店がたくさんありました。ところが、銀座の町を歩いてみますと、いわゆる大紡績会社のサービス店が軒並み並んでいるというのが現在の姿です。いわゆる商人は上からは大きな資本のそういう圧迫と、下においては失業者をどんどんと流し込まれる、ここに今日の中小商業問題の根本がある。この問題を解決せずして、ただ法律で規制していろんなことをやっていっても、決して中小商業の問題は解決しない。そうして、そういう問題に目をおおって、消費者——家庭の主婦なりあるいは勤労者が、自分たちの生活を守るためにやろうところの自主的な生活協同組合を規制しようということは、本末転倒であると私は考えるわけでございます。私たちは、この中小商業者も、やはり、現在のこのような矛盾した商業機構あるいは市場制度、非常に封建的なボスによって支配されているところの市場機構というものをどうして直すかという問題について、生活協同組合あるいは商人の人々、労働組合の人々と一緒になって、そういう問題の解決を私たちはやっていく。そういう中において、私たちは、商人も生活協同組合も一緒になって、日本国民経済をどうして高めていくかというふうに取り組んでいきたい。そのためには、やはりヨーロッパにおけると同じく、日本においてももっともっと生活協同組合を育成していかなければ、現在のこの矛盾した流通機構というものを私らは民主化することはできない。従って、生活協同組合が伸びるということは、この圧迫された矛盾の中に追い込まれている、谷間に追い込まれている商人を、むしろ救う道を私たちは見出していくことじゃないかという工合考えております。従って、私たちは、生活協同組合商人人たちとけんかしようなどとか、商人をなくしようなどとい考え方は毛頭持っておりません。生活協同組合の中でも、悪いインチキなものはつぶれていくでしょう。私は、またそれもやむを得ない、生活協同組合もまじめに消費者のためにやっていかなくちゃならないという工合考えております。従って、私たちとしては、やはり価格についてもあまり安売りはいけないという工合考えております。そうしてまた、員外利用というような問題についても、私たちは自主的に問題を解決していきたいという工合考えておりますが、最近困ることは、むしろ商人人たちが、この国の商業政策の矛盾から、商人人たちが生活協同組合の看板をかけていろいろなインチキをやるということがあちらこちらに出て参っておるのでございまして、そういうような点については生活協同組合としてはむしろ迷惑をしている。そういうような問題については、政府の商業政策の中において私はもっと本格的に、いろいろとお考えをいただきたい。そうして基本的には、私たちはやはりこの失業者のない完全雇用なりあるいは社会保障の問題とかあるいは労働組合の最賃制の問題とか、そういうような問題とほんとうに取り組んで、やはり国会において、日本の福祉国家をどうして作り上げるかという問題と、私はあわせてお考えをいただきたいという工合考えているわけでございます。  どうも失礼しました。
  9. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでした。   ————————————— 委員長千葉信君) それでは、次に、八幡市議会議員長野義夫君にお願いいたします。
  10. 長野義夫

    参考人(長野義夫君) ただいま御紹介にあずかりました八幡市の小売商協同組合理事長をいたしておりまして、八幡市議会に議席を持っております長野でございます。  このたび環境衛生関係営業運営適正化に関しまする法律につきまして、少しく意見を申し述べたく存ずるのであります。  この法律の対象の業種として定められておりまする食肉、氷雪販売業などのことにつきまして、実は衆議院を先般通過いたしました中小企業団体法のこととも関連をいたしまして、私は重大な関心を持っておるものであります。で、環境衛生関係営業は、衛生基準を定めてまでも従来からその指導、監督、取締りの対象となっておりまするほど、国民の日常生活に身近い重要な営業でございまして、これらの不当な利己的な競争の激化は、不合理、不健全な事態を招来するおそれが多分にあるのであります。しかしながら、私が申し上げようと存じておりまする生活協同組合並びに購買会などで、食肉や氷雪の販売またはクリーニング業などを営んでおりまする例が大へん多いのでありますが、この場合に、先般の中小企業団体法におきましては、これら生協並びに購買会は団体交渉の相手から一応除外せられておりまするが、そういたしますと、このたびのこの環境衛生関係営業のこの法律は、生協や購買会などの食肉、氷雪販売あるいはクリーニングなどに対しまして、法の趣旨を生かして拘束せられようとするのか、またはこの法律からもまた、生協、購買会は除外されるのじゃないかという一つの懸念を私は持っておるのであります。もしそうにでもなりますると、中小企業団体法の中の団体交渉からも、また、この法律からも除外されるということになると、これは中小企業いな零細業者全体の問題となりまするので、私はここで生協並びに大工場、大会社の福利施設といわれております購買会の実態とわれわれ零細小売業者との関係について少し申し上げてみたい、かように存ずるのであります。  私は北九州に生まれまして、子供のときから生活をいたしておるのでありますが、主として北九州地区の生協並びに購買会のことを中心に申し上げます。  現在重工業の中心でありまする八幡市の生協並びに購買会は、八幡製鉄所の福利施設である購買会が市内に十三ヵ所、安川電機の購買部が四ヵ所、小野田セメント、黒崎窯業、三菱化成の牧山工場あるいは三菱化成の黒崎工場、三菱セメント、その他国鉄の物資部の配給、こういうものを合計いたしますと、二十六ヵ所の生協並びに購買会が八幡全地域にわたりまして、しかも鉄筋コンクリートのデパート然としたりっぱな様相を整えて販売業を営んでおるのであります。隣接の戸畑市におきましては、八幡製鉄所が三ヵ所その他日本水産、旭硝子、日立製作、鉄道配給所、明治製菓などのものが合計八ヵ所、その他小倉、門司、若松、その他を総合いたしますと、北九州の五大都市だけで数十ヵ所の生協並びに大工場、会社の福利施設である購買会が存立いたしておりまして、その取扱い品目を見ますると、衣料品におきましては、一々申し上げるのは煩雑でありますが、洋品、雑貨、袋物、洋服、呉服、服地、毛糸類から帽子類、靴は革製からゴム製、その他各種のげた、はきもの、せった、食糧品は米、みそ、しょうゆ、油、塩、砂糖、食肉、氷雪、アイスクリーム、ソフトクリーム、とうふから、乾物からすべての食料品、化粧品、薬品は申すに及ばず、特に薬品におきましては何の必要があるか知らぬけれども、ペニシリンとかクロロマイセチンなど抗生物質や、注射薬、工業薬品まで取り扱っておりまして、家庭用の金物もすべてのものを持っております。陶磁器、かさ、あるいは酒はもちろんでありますが、ウィスキーからシナの酒まで取り扱っておる。燃料またすべて、文房具、雑誌、書籍、時計からめがね、ラジオ、カメラ、すべてのものを扱っておりまして、むしろ生協、購買会が北九州で取り扱ってないものを探した方が早わかりであります。扱ってないものというと、機械の部分品ぐらいは扱ってないというふうに私たち考えるのであります。これらの生協、購買会がどういうふうに利用されておりますかと申しますと、市内を先般私は調査いたしたのでありますが、ある学校区内千九百三十八戸を対象にして、食糧台帳などによる無差別の抽出法によって調査いたしましたところ、その校区内で、購買会で物を買って利用しておる者の約四〇%がその会社の従業員であり、あとの六〇%は全くの従業員外の部外者である。なお最近、戸畑市の高等学校の社会科の生徒を使いまして、社会科教育の一端として戸畑市の状況を調査いたしますと、ある校区の中に住んでおる人の中の一一%が鉄道の購買会で物を買っておりますが、その一一%の中には、実際の鉄道従業員はわずか一・八%にすぎないという数字が事実現われておりまして、いかに部外者、いわゆる員外者がこれを利用しておるかということが、よくその数字でわかるのであります。すなわち、久留米市におきまする日本ゴムの生協を中心にした地域の生協、あるいは大牟田市の三井関係を主体とする生協、購買会、あるいは北九州の各地における生協並びに購買会は、員外者の利用が公々然と行われておるのであります。私たちは生活権の擁護のために、この生協に対しましては、生活協同組合法第十二条の三項に基きまする員外利用の禁止の条項、あるいはまた会社、工場の購買会に対しましては、部外者禁止の法的根拠はないと思いますけれども、従業員に対する実質賃金の向上、福利厚生施設としての趣旨に基いて部外者の利用禁止の実行されますように、再三再四陳情、話し合い、交渉等を繰り返して参ったのでありますけれども、八幡製鉄所に対しましては十数年間これで交渉いたしておりますが、その当座は入口に一応員外者を禁止するという札を掲げ、また、証明書の提出を求めることがございますけれども、これは二、三週間後からはまたまたもと通りになって、さらに大々的な宣伝をやり、マネキンを使う、アドバルーンを使う、ビラを張る、こういうふうにして員外者歓迎の姿が再び現われるのであります。私たちの力では、とうていこれら大会社、工場の力に対抗できないのでありまして、御参考に、北九州の生協並びに購買会で売っておる品物価格というものを申し上げたいのでありますが、時間がございませんので省略をいたします。大体市価、これは市価と申しましても競争価格でありますから、ある程度現存商業を営んでおりますものは二割ないし三割の正当利潤で営んでおるのでありますが、それの二割ないし三割引の価格販売される、しかもそれが員外者に十分利用されておるという状況でございます。これがために市内の業者の受けまする打撃は多大なものであります。むしろ深刻でありまして、このまま進みますと実におそるべき結果になる、かように私は存ずるのであります。  北九州におきまする昭和二十八年の調査によりますと、これはちょうど独占禁止法の改正当時でございましたが、北九州地方にあります化粧品店の数が三百九十一店であったのでございます。ところが、今日昭和三十二年四月の調査によりますと、その四五%、すなわち、現在百七十三店に激減いたして参っております。すなわち、昭和二十八年のときの五五%の二百十八店は気の毒な倒産、転業、廃業となって現われてきておるのであります。  なお、薬品販売の店におきましては、都市の全国平均一店当りの人口は、大体二千三百人という平均数字が出ております。つまり薬局においては二千三百人の人口があればそれは存立するという数字でありますが、この北九州地方各市、あるいは大牟田、筑豊地方を見ますと、はるかに高くて、若松市、八幡市や筑豊地方は一店当り四千七百人、四千五百人、三千八百人、そういう高い人口をかかえなければその店はやっていけないという数字が明らかに出ておるのであります。  生協並びに購買会の員外者利用によりまする最も打撃を受けます者は、化粧品であるとかあるいは医薬品の販売をいたしております業者であります。業者も極力サービスに努めまして、顧客に対しましては、最も親切に、生協、購買会では得られないほどの商品知識を十分に持って、最もよいしかも最も適切な治療方法を教え、最良の薬品を推薦するのでありますが、患者はその方法と説明は承わりますが、それを聞くだけで品物は生協、購買会に行って買うというのが今日の実情であります。  生協活動の盛んな米子市を調査いたしますと、ここ三年間に卸業者の倒産されたものがずいぶん多いのでありますが、小売業はその売り上げが約三分の一に激減いたしております。  私はここで妙な話を一、二申し上げたいのでありますが、たとえば私は先般あるところで申し上げました——われわれは教育を受けて、そうしてその教育を受けたことを実際の社会に実行するように教わった。しかしながら、国の法律は、その教育を受けたことを実行するなというふうに教えておるように思う。これを卑近な言葉で申しますと、教えの道にそむけよと国の規定は示すなり。かりに薬科大学なら薬科大学で教育を受けて薬学を十分におさめて、そうしてこういうものに対してはこういうものが適切であるといろそれに対する治療方法をよく調べまして、最も優秀なものを最も低廉な価格で患者に推薦するのが義務であります。しかしながら、生協、購買会を員外の人が利用されるということであれば、しかも同じ商品が同じに包装され、同じマークで同じ定価であるものが片方は百円で売られ、片方は七十五円で売られるならば、それを同じ商品としてどうしてわれわれは売れましょうか。たとえばここで一つの名前をあげてはおこがましいのですが、申し上げますと、薬品では三共、武田、塩野義という一流製品は、大学教授以上のりっぱな方が研究されたりっぱな商品だと考えております。われわれはこういうものを推奨して、そうしてこれを適切に与えるのが本旨だと思いますが、そういうものを売っていたのでは、生協、購売会でそれを安く売られたのではわれわれはやっていけないので、そういうものより劣る、また、それより少し利益があるものを推奨せざるを得ないというジレンマに陥らざるを得ないのが今日の実情であります。私たち考えますのに、生協並びに購買会は必ずしも全般にわたって優良品を廉価で販売しておるとは思っておりません。しかしながら、化粧品、薬品以外の品物は、一般の人々には商品の優劣は最近はなかなか判定しにくいのであります。一般市中の商人はそういうところをねらって辛うじて小売店を営んでおる状況だと思いますが、化粧品、薬品に限っては一定の包装とマークと定価とによって人々はそれを信用して購入しておる以上、生協、購買会はいわゆるおとり販売の役を果しておると考えざるを得ないのであります。  独禁法第二十四条の二の再販売価格維持契約に関する拘束規定からも生協は十一団体として除外され、また、中小企業団体法交渉の相手からも除外される、もしこの環境衛生関係営業に関する法律からも除外されるということがありとするならば、一体どうなるかということをわれわれは心配するのであります。私たちは、生活協同組合の意義と、あるいは大会社、工場の福利厚生の施設としましての購買会の意義は十分存じております。また、理解もいたしております、よく協力したいと考えております。しかし、もし日本における小売商業というものの存在が否定せられないならば、われわれ零細業者は正しい税金を払って妻子を養い、子供を教育していくためには正当な利益を得なければならないと考えるのでございます。国税庁は私たちの利益を大体二割三分、こういうように見ておるようでありますが、私たちは売り値に対して二割ないし三割の利益を得て販売するのでありますが、生協、購買会は約二割引きないし三割引きの値段販売する以上、どうしてもこれに追従するわけにはいかない。大資本の圧迫によりまして、中小企業がだんだん零細化していくということであれば、現在の零細業者は生協、購買会の繁栄によって倒産、消滅していくのみである、こう想像されるのであります。生協には法律に基く保護育成がありますし、大工場、会社もまた保護されている。それらの従業員は会社から保護されると同時に、また、労働法によっても十分保護育成されております。しかしながら、ひとり零細小売業者のみが何らの保護規定もなく、家族とともに朝早くから夜寝るまで働きながら消滅の一途をたどる状況であります。昭和三十一年に日本商工会議所から各地の商工会議所に対して、生協、購買会に関する意見書の提出を求められましたとき、八幡の商工会議所からこういう意見書が出ております。それは小売業者側の要望といたしまして、商業者の要望を要約すると、結局員外者の利用を禁止する、これが第一。取扱い商品を生活必需品に限定して、景品付大売出し、あるいはマネキンを使ったり、あるいはビラをまいたりする積極的な販売行為は禁止すべきである。特に薬品、化粧品の業者に対しては、その販売品の専門的な特殊性にかんがみて、家庭薬品を中心とした一般的なものに限定すべきである。また、八幡の場合、これは特別な場合でありますが、こういう大会社の工場施設が、八幡市全市民三十万の約六〇%は大会社、大工場に関係のある人たちであります。そういう特殊な地域の商業者の税は軽減すべきである。こういうような結論を八幡商工会議所から日本商工会議所に出しておる事実もございます。  私が最後に申し上げたいのは、生協、購買会が中小企業団体法の団体交渉から除外されるということは、どうしてもふに落ちない。二番は、生協、購買会には不必要と思われますいろいろな積極的な宣伝売り出し方法は私は禁止すべきである、こう考える。その他、取扱品目を生活必需品に限定せられていただきたい。特に、医薬品は家庭医薬品を中心として数十種類に限定すべきであること、員外者の利用をさらに強い法律でもってこれを具体的に禁止していただくこそ私は最も適切である、かように考えるのでありまして、今日のこの公述におきまして、関連の事項のことに関しまして私の意見を述べました。  はなはだ失礼いたしました。
  11. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでした。   —————————————
  12. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、日本労働組合総評議会福祉対策部長塩谷信雄君。
  13. 塩谷信雄

    参考人(塩谷信雄君) 総評は、この問題は、日常生活に非常に重大な関係を持っている物価と料金の値上げを招くだろう、こういう消費者と利用者という立場から、いま一つは、関係の七業種に働いております従業員諸君の利益を守らなければならぬという立場、いま一つは、この七業種の中に含まれるであろう零細な企業者にはこの法案は決してプラスになるものではないだろう、こう考え立場から、この法案に遺憾ながら反対をいたしたいと存じます。  私はこういう席上で中小企業者の皆さんと、その利害について相反するような公述をしなければならぬことを大へん遺憾に思うのであります。今日、中小企業者の問題については、総評もすでに三、四年来非常に力を入れてこの振興のために努力をいたしている最中であります。それにもかかわらず、この法案を通じて、ちょうど利害が相反し、争うがごとき印象を与えながら公述をせざるを得ないのははなはだ遺憾と思うのでありますが、これこそ今日の政府の施策が、このようにいわば大衆に属する諸君を相反目せしめつつ、一部の大きな企業者の利益を貫いていこうとする政策、この政策のよって来たる結果がこういう方向を導き出しているという点について、非常に私は残念に思います。  この法案は、第一条に大へんりっぱな趣旨が掲げてございます。私は中小企業の、特に七業種の関係で衛生措置の基準を守ってもらいたい、衛生施設改善向上をはかることもともに賛成でございます。また、これらの営業者の組織の自主的な活動を促進するということも必要でございますが、以下第一条に掲げられたこの法文全体をよく趣旨としてとらまえてみまするというと、結局「当該営業における過度の競争により適正な衛生措置を講ずることが阻害され、又は阻害されるおそれがある場合に、料金等の規制その他経営の安定をもたらすための措置を講ずることができるようにし、」これが実は主文のように思うのであります。いわば料金もしくは価格の引き上げをもって問題の解決をはからんとするねらいがこの法案全体を通じて貫かれているように考えるのであります。中小企業庁が設置をされましてからつい最近まで、中小企業者のためにほとんど私は見るべき法案はなかったように思うのであります。しかるに、今回中小企業団体法といい、あるいはこの環境衛生法といい、もしくは小売商業の特別措置法といい、一連の法案が出ております。この法案の実に骨子とするものは、本来大きな企業、独占企業に向ってその横暴をつかなければならないのを、そのほこ先を大衆に転嫁させて、問題を価格と料金によって解決をしていこうとするように考えるものであります。はなはだ私どもは当を得た措置ではないと考えるのであります。当然これらの業者が自主的に団結をされて、今日の商業機構の不公正な面については、これをぜひ自主的に排除するような方向を法律によって援助をしてやる、そういう基礎づけを与えてやるということが望ましいにもかかわらず、そういう方向はほとんど抹殺されてきている、そうして大衆に問題の解決を転嫁しているように思うのであります。  私は、大綱については、生活協同組合中林さんから、すでにほとんど私どもと一致する意見の表明がされてございますので、私はくどくどしく多くを申し上げる必要はないと思うのでありますが、若干の点について申し上げてみたいと思います。最も中心になる価格や料金の認可の問題については、これはすでに公述をされました方々から、今日この七業種に関係する諸君が一斉に価格の引上げの態勢を準備しつつある。こういう裏づけによってこの事態が証明をされておりますように、問題のポイントがここへきておる。しかもこれには諮問機関というようなものがあって、利用者やあるいは学識経験者その他の人々の意見を聞くことができるというふうになっているけれども、これははなはだ各種審議会の今日までの実績からして、とうていこれに希望を託することのできる筋合いのものではない。もしも消費者や利益関係の代表者の意見ほんとうに尊重するというのであるならば、さらに進んだ措置があってしかるべきであると思うのでありますが、残念ながら消費者関係の代表者はただ意見を申し上げるにすぎない、かように考えられますし、また、公正取引委員会の問題につきましても、協議ということだけでありまして、そこには何ら一方的な話し合いが交換されるにしかすぎない、こういうことによって問題は決して解決をされないと存じます。この法案は、従来製造業者に行われておりますいわゆる不況カルテルを関係サービス業におきましても強制的なやり方で行おうとするものでありますが、いわゆる中小企業の真の安定というものはこういう方向からは決して期待はできないということは、すでに過去のこれまた実績によってきわめて明瞭であります。それにもかかわらず、この不況カルテルをもって再び問題の解決を企図しようとするところの意図が私どもには了解できないのであります。おそらくこのカルテルの強行によって業者の全体が救われるというのではなくて、中にたくさんの零細企業を含んでおる諸君が、資本力の点において圧倒をされて、大きな資本力を持つもののみがあとに残ってくる、こういうことになるであろうことはこれまた実績が明瞭であり、むしろそれをねらった法案でさえあるように思うのであります。終戦以来いわゆる泡沫業者がたくさんに出たといい、これを整理するために幾つかのこの種のにおいを持った法案が今日まで国会を通過して整理をされてきたはずであります。これをもってして中小企業の育成強化の政策とは私どもは絶対に考えることはできません。私どもはむしろ積極的に今日の中小企業の自主的な組織を作らせて、いわゆる大企業、独占企業に対しては団体交渉等によって公正な利益をはかるべきであるし、また、産業の分野等につきましても適正なる画定をはかるべきであるし、他面においては、金融とかあるいは税金の面において、その他、原材料等の割当等を適正に行うこと等によって真の中小企業の安定の一面をまず達成すべきである。もちろん産業全体の条件について、一面においては最低賃金法の実施の問題も不可欠の問題でございます。社会保障の問題も同様の問題でございます。私はこれらの全体についてはすでに述べられてありまするので、そういう方向から問題の解決をはかるべきである、こういうふうに申し上げなければなりません。これらの業界事情を調べてみまするというと、零細な業者の中にはきわめて低い賃金で甘んじさせられておるたくさんの労働者のいることがわかります。今私の手元にも理容関係の従業員組合からの書類がここに参っております。これを一々申し上げまするというと時間がかかりますから、省略をいたしますけれども、この諸君もおそらく自分たちの生活を少しでもよくするために料金と価格を上げてもらいたい、この法案を通過さしてもらいたい、こういうふうな意向を一面においてもちながら、特に審議会のメンバーに入れてくれるようにということを主張いたしております。私はおそらく関係業者がこの従業員組合にあるいは勧誘し、あるいは圧迫を加えてこのような方向を出さしておるのであろうと思いますか、零細企業の諸君が、料金や価格を上げることによって、むしろみずから自殺行為に追い込まれる面の多々あることを考えてみまするというと、決してこれによってみずからを救うことができないばかりでなく、労働者の賃金やあるいは生活条件の維持向上をはかるということは不可能に近いのではないか。総評は今日まで、たとえば基準法も適用されない、失業保険も健康保険もない、休日は月一日しか、これもあるかないかである、賃金は小づかい程度の賃金しかもらっておらない、退職金なんというものは顔を見たこともない、こういうような劣悪な労働条件をもっておる諸君のために、あるいは労働基準法の適用、最低賃金法の制定、家内労働法の早急なる実施、五人未満の零細企業への、あるいは社会保険の適用等についていろいろ要求をし、運動を展開してきておるのであります。  業者の方々もこの法案が成立さえするならば、従業員の待遇改善も簡単にできるとお考え下さることは、あまりにも甘いのではないかと心配をいたすのであります。もちろん最低賃金法や、あるいはこれに関連する一連の法律を同時に実施するということでありまするならば、この希望も達成するととはできるでありましょうけれども、この法律のみによって問題の解決はできない。むしろ中小企業者の諸君は、このために振り落され、倒産、破産の運命に追い込まれるであろうことは火を見るよりも明らかであるとさえ言わなければならぬと思います。今日のすでに日銀は二割り公定歩合の引き上げをやっておる。そうして一方においては、運賃から電気、ガス、水道、今日この七業種の全部の料金、物価の値上げがどんどん行われておる。その解決はどこへもっていくか。結局は、金融はしない、料金、物価の値上げによってだれが最も被害をこうむるのか。大衆によってこの問題を解決しようとしておることはきわめて明瞭である。インフレを押えるという名目のもとに、このような方向によって解決されるということについては、まことに遺憾きわまりないと言わざるを得ないと思います。  この法案は、全体として貫いておる性格は、カルテル行為の、これに伴う官僚の組合支配の強化という点が、先ほどは戦時中の統制にもひとしいにおいがするという御指摘がございましたが、多分にそういう性格を持っておると存じます。この問題は、六十一条、六十二条及び六十六条等の各規定よりいたしまして十分に推測のできるところであります。こういう方向によって民主的に、自主的に問題の解決をはかるというようなことはとうてい期待できるものではない。法律さえ作れば問題の解決になるものじゃない。自主的になぜ、今日までたくさんある法律を運用して、中小企業者の人たちが、下から自分たちの創意工夫を発揚して解決する方向へ持っていかれないのであるか、この点を私どもは大へん疑問に存じます。私は特に昨年の自治法等の改正によりまして、府県知事がかつて持っておりました興行場、旅館、公衆浴場、食品衛生等の問題についての設立等の指導監督等の問題に対する認許可の権限を、かつて五大都市に委任したものを、再び府県知事に逆行させるような本法案というものは、法案の筋としても一貫性を持っていないのではないか。法案自体としてもはなはだ不手ぎわなものではないか、こういうことも指摘せざるを得ません。一つの団体の組織のもとに、官僚が一手にこれを掌握して問題を処理していこう、こういう方向が五大都市に多少なりとも、地方分権的に、民主的な方向へと一度は権限の委譲をはかったにもかかわらず、再びこういう方向を通じて非常な権限集中を行おうとしておる法案自体の建前からいたしましても、また、趣旨からいたしましても、納得のいかないものがあると存ずるのであります。  以上、私はきわめて簡単でございまするけれども、この法案については、残念ながら各方面より検討いたしまして、中小企業者の皆さんの今日置かれておるいろいろな条件、これを直すために労働組合としては、非常な同情と、多くの熱意と、施策は持っておるけれども、このような方法によって目的を達成するということについてはそれはむしろ逆であるという立場から反対せざるを得ないのであります。
  14. 千葉信

    委員長千葉信君) どうも御苦労さんでした。  それでは、ただいままで御意見をお述べ願いました参考人の方々に対し、順次御質疑を願います。
  15. 高野一夫

    ○高野一夫君 参考人の方に、時間がございませんので、簡単に一、二の点について御意見を伺いたいのでありますが、要点だけ、簡単でけっこうでございますから、私がお尋ね申し上げた方は、きわめて簡単に一つ御答弁を願いたいと思います。  まず中林さんに伺ってみたいのでありますが、あなたの先ほどの御意見の中には、生協の員外者に対する施設利用、あるいは販売行為というものを、こういうことはやらぬように努力しておるつもりだというような御説明があったように思う。ところで、私もそのような米子、そのほか主要なるところの生協を見て参った。ところが、もう一般東京あたりの百貨店とごうも変らないようなやり方だ。そこで、いかにも員外者に対して利用はお断わりするというような札はかかっておるけれども、だれでも入って自由に買える。そうしてその買いたいと思う人に対して、あなた方は組合員であるか、あるいは組合員の家族かというようなことを問いただすことを私の見た限りにおいてはやっておらないのです。そこでこれは御承知の通りに、生活協同組合法には、ちゃんと員外者の利用は原則として禁止しておるということになっておって、除外例は許されておりますけれども、原則としては禁止することになっておる。あなたもそういう方法でいくのだ、こういうお考えだと思うのですが、そこであなたは、日本の生協全体、協同組合の連合会をおやりになっておるわけでありますが、このあなた方の立場から、地方のそれぞれの組合に対して何か員外利用はいけないのだから、それは慎しんでくれ、やめてくれ、こういうようなことの指示でもなさるのであるのか。もしもなさるとするならば、どういうような方法を取って員外利用をとめるんだと、こういうような何か具体的な例でも上げて御答弁を、一つその点を……。
  16. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 今、高野先生のお尋ねの問題ですが、私たち法律の第十二条の三項で員外利用の禁止規定があります。日本生活協同組合連合会としては、その法律の趣旨に従ってそのいろんな会合だとか、あるいは地方でもいろいろ研究会などをやるわけでございますが、そういうときにみんなにそのことを伝えております。そうして組合では入り口に員外利用お断わりだとか、あるいはまた、組合員証のようなものを作って、自主的にそういうのをやっているところもあります。それで、私たちも自主的にそういうような指導は今後も一そうやって参りたいというふうに考えております。ただ米子の問題がちょっと出ましたが、私は米子へも二、三回参り、今年の一月に商人の方たちが米子に集まって、生活協同組合の研究会、生活協同組合を対象にしての商人の方たちの研究会がありましたときに、私も商業者の方から呼ばれて行ったわけでありますが、米子では、あすこの生活協同組合では市民の七、八〇%をもうすでに組織しているわけです。従って、あすこにはどんどん入って参りますが、ほとんど全部が現在組合員であるという形にまで米子ではなって参っているわけであります。そうして米子では、ちょっと蛇足になりますが、商人の方たちの研究会のときに、米子では生活協同組合云々ということを非常にわれわれ聞いておったが、集まってみると、生活協同組合に問題があるよりも、むしろ米子の商人たちが今まで惰眠をむさぼっておったやり方、消費者への奉仕というものを十分考えていなかったところ、そういうところに米子の生活協同組合が伸びた原因があるんだということを、その研究会の結論として出ました。商工会議所の会頭の方もおいでになって、各部会に分れてやった研究会の結論としては、そういう結論が商人の方たちによって出たという工合考えております。そうしてわれわれの連合会としては、もちろん高野先生のおっしゃったような趣旨で、今後もできるだけ努力をして参りたいというふうに考えております。
  17. 高野一夫

    ○高野一夫君 そこでもう一つ伺いますが、何かこの員外利用者をとめるという名案をお持ちでありませんか。現在のごとくであれば……。それは私も米子を見ました。米子を見て、米子の市民の多くが組合員であるためにそういうふうなルーズな態度をとっているのかもしれぬけれども、北九州の先ほど長野さんからお話がありましたが、北九州等においてもとにかく利用者、ほかの市民、組合員でないもの、これは購買会の人たちも入っていると思いますが、そうでない人たちの六〇%は利用していると、こういうような状況である。そこでまあわれわれが承知している限りにおいては、平気で員外者または部外者が利用している。これをただ法律でいくらいかんと言ってみたところで、買いたい、あるいは売りたいと、こういうことならば、これは幾らでもできるわけなんで、そこで何か適当に、実際問題として員外者の利用をとめる、そうして組合員に限る、こういうような適切な方法について何か御研究になったことはありませんか。ただ札をかかげて員外者の利用をとめるとか、お断わりしますとかということでなくて、何かほかの方法がないかと思うのですが、そういう点について御研究があったらば聞かしていただきたいと思います。
  18. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 高野先生が御指摘になるその特効薬的なものということになりますと、これは私は現在の日本の経済組織のやはりいろいろな矛盾がやはり根本にあるので、その矛盾を解決しなくて特効薬というものは私はないのじゃないか、しかし、それよりも一番大事なことは、生協の教育活動によってやはり組合員、生協の従業員に員外利用というものはいけないということを十分私らは必要な努力によってそういうことをやって参りたい。従って、現在代表的な地方組合ではほとんど員外利用というものはやられていない。ただ先ほど八幡の長野さんのおっしゃいました北九州も私たち何回か行っておりますし、八幡の購買会へも行ってみたことがあるわけですが、北九州においては、やはり生活協同組合よりも購買会の問題が非常に深刻である。これは大企業が多いために購買会が非常に深刻である。その中で中小商業者の方が非常に困っておいでになって、北九州ではむしろ私たち商人の方たちが生協の看板を揚げてむしろインチキな生協を商人の方たちが作って、数日前にも新九州か何かの新聞にインチキな組合としてやられたのは、商人人たちが生協の看板を使ってやっていて、そしてあげられたという記事が出ておったわけですが、私たちはそういう点にはむしろいわゆる商業政策という面でもっと十分国は御配慮を願えないだろうか。そして農協では、農業協同組合法では二割の員外利用を認めて、ほかは絶対禁止だというような法律を作っているわけですが、私たち組合員が生協の組合員になりたい、生協というものはどういうものかということを一つ十分に知りたいという形で、二ヵ月なり三ヵ月、員外者のあることはこれは立法のときも国会でそういうことを御相談して、外国の例からもそういう一つの準備段階においてはやむを得ないだろう、しかし、それは生協の組合員に必らずなるという前提だということだったのですが、むしろはっきりとそうであれば、農業協同組合法の中に員外利用は二割以外は絶対にいけないというような形で、そのところを考え、直してみることもどうだろうかということを厚生省と御相談しているわけですが、私たちは、高野先生の御指摘になっております点については、一つ教育活動で、これは何といっても消費者に対するいろいろな生活の面の教育、そしてこういうことはいけないんだ、こういうやはり地味な非常な教育活動を通じて私たち努力していくしか、現在のいろいろなところに矛盾のたくさんある今日の日本の経済組織の下においては、特効薬的なものはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに考えております。
  19. 高野一夫

    ○高野一夫君 こういうことがよく言われているのですが、一般市中の小売店でやっていると同じような市価主義をとって、そして従って仕入れや何やらは生協の方が食料品にしてもあるいは薪炭についてもすべての物資について安く買われるのですから、マージンが多い。それでその市価主義で売ってその大きいマージンを別途に、組合員に対する別途な福利厚生施設に充当する、こういうことであるならば、小売業者との摩擦もだいぶ緩和されてくるし、しかもそれだけのマージンはやはり組合員の福利施設に戻ってくるのだ、こういう意見も出てくるのですが、そういうことが行われるかどうか。また、そういうことがあなた方の組合として好ましくできないのかどうか、簡単な御意見だけ……、ほかの御意見はもうけっこうですから。
  20. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 高野先生非常によく御存じで、私たちも高野先生のおっしゃるように、生活協同組合をやっていく上に指導しております。だんだんとそういう形になっております。それで、生協で先ほど長野さんのあれで、二割も三割も現在安売りしている生活協同組合というものは私らの傘下には絶対にないというふうに考えております。購買会は会社の援助がありますから非常に安く売っているところがありますが、生協は市価主義を私たちは原則にしてやっていこうという形で大体皆やっておりますし、高野先生のおっしゃるような形で私たち指導して参りたいというふうに考えております。
  21. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一つだけ、伺いたいことはたくさんありますが、私だけ伺ってもいかんから、もう一点だけ中林さんにお伺いしたいのでありますが、これは大きいまあ購買会と生協、結局共同の問題になりますが、一般市中の市民に対して、組合員でない者、あるいは従業者でない者に、市中の街頭に出て宣伝活動をやる。この事態を私は見て参った。そういうことは生協として私は不必要なことじゃないか。こう思うのでありますが、生協としてそういうことをやはりやられるのか、それは別な購買会だけがやっておって、生協もやったように見られているとお考えになるのか。もしやっているとすれば、やはりそういう必要があるのかどうか、私は全然あるまいと思うのですが、こういう点はどういうふうにお考えになりますか。
  22. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 私たちは、生活協同組合は、やはり組合員組合との直結ということで、各生活協同組合ではニュースとか機関紙のようなものを出して、生活協同組合価格とかあるいはどういうものが入ったかと、入荷したかというようなニュースは、月に一回なり二へんなり全部出しておりますが、今高野先生のおっしゃるような、何かマネキンでも使ってどんどんやるとか、そういうようなことは特別私たち生協では必要がない。北九州でそういうことがよく問題になるようですが、これはこの生協というものを理解してやっている人たちよりも、むしろ商人のような人たちで、売らんかな主義で生協の看板を使ってやっている人たちの中に、そういうものが北九州ではあるということを私たちは聞いているのですが、そういうようなものに対しては、私たちはやはりまじめな、あくまで組合員を教育して、そうして生協の利用を高めていくというところに重点を置いて指導をして参りたいというように考えております。
  23. 高野一夫

    ○高野一夫君 私はただいまあなたのお話と実態の違った現実を見ておりますので、いろいろまた伺いたいのでありますが、中林さんに対する質問はその程度にしまして、長野さんに一点だけ伺いたい。  これは本日東京の商工会議所の代表もお見えになっておりますので、あとでお伺いしたいと思っておったのですが、日本商工会議所におきましては、購買会あるいは生協等の活動について数年来十分御調査になっておる。数字をあげてそれにデータをあげてパンフレットもしばしばお出しになっておるわけですが、先ほど長野さんのお話では、八幡の商工会議所ですか、あるいはそのほかであったか聞き漏らしましたが、商工会議所で意見をまとめて日本商工会議所に進言をした。こういう話でありましたが、その内容を先ほど御陳述になったわけであるけれども、それに対して、日本商工会議所がどういう考え方であると、あるいはどういうふうにすべきであると、こういうような回答が来ておりますか。
  24. 長野義夫

    参考人(長野義夫君) 八幡の商工会議所から日本商工会議所に具申をいたしましたその返りの書面というものは、いまだ拝見をいたしたことはございません。
  25. 高野一夫

    ○高野一夫君 長尾さんに一つ。それで私の質問は終りにいたしますから、他の委員に移っていただいて……。  この食肉営業関係環境衛生同業組合の中に入れることについて、まあ御承知の通りにいろいろな問題が出ているわけです。ところで、われわれの考え方では多少違った考え方を持っているのでありまして、かりに牛馬豚等についての畜産奨励をやる。その畜産奨励をやる一環の線として食肉販売業までやはり支配すると言いますか、そこまで関与しなければほんとう畜産奨励、畜産行政はできない。こういう意見が出ておる。私はそういうような理論というものは全く子供だましの理論であって、そんな議論はきわめてこっけいな議論だと私は思っておる。もしもそうであるならば、これは米麦を使ってしょうゆを作り、酒を作ったというのもそうなら、澱粉を使ってほかの製品を作ったのもやはりそうなるのでありまして、食肉営業というものはやはり食品衛生、環境衛生立場から考えるべきものではないかと私は思っておる。そこであなたに伺いたいのは、そこで従来、農林省畜産行政関係から末端の食肉業者に対して何らかの対策と言いますか、施策と言いますか、こうあるべきだ、こういうふうにしてもらいたい。それはいかん、これはいかん、そういうような指示、指導、監督、そういうものが行われた事実があるかどうか、それを聞かしていただきたい。
  26. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 高野先生の御質問にお答えいたします。当初に私が意見を述べましたときに、三十四年有余の食肉小売を営んでおるその間に、農林省におきまして、たとえば私ども組合なら組合に対して、小売価格はこうあるべきだとか、こう小売価格を維持しなければいけないとか、小売に関する指令とか、命令とか、そういうようなことは全然一度も私の記憶するところ、また、業者の記憶するところ、農林省からそういうことはないのであります。よって私ども値段を安く、小売業者はもうけ過ぎているのじゃないかということを、直接伺ったのではないけれども、第三者の人から開いたのです。農林省では、小売業者がもうけ過ぎておるというようなことを言われた。何をおっしゃるのでしょうか、私どもは……。
  27. 高野一夫

    ○高野一夫君 それはそれでけっこうです。もう一つ伺いますが、終戦後非常な密殺が行われた。最近密殺が少くなったかと思って調べてみると、やはり相当密殺があるやにわれわれは承知している。そこで、終戦後の密殺は、私ども食ったことがありますけれども、非常に処理がまずいせいか、においが悪くてすぐわかる。けれども、最近の密殺は、ほとんどもうわからぬ。正規の屠場で屠殺した牛肉と密殺した牛肉と、ほとんど私はわからない。おそらくこれはあなた方末端の営業者は、密殺の牛肉であるか、あるいは正規の道順を経てきて、屠場からきた牛肉であるか、業者としてそういう鑑別はできるのであるかどうか。そうしてまた、その鑑別ができても、やはり平気で密殺の牛肉なり、馬肉なり、そういうものが売られているという事実が、相当現在まだあるとお考えになるかどうか。あるいはもうすでにないはずだとお考えになるかどうか、それを伺いたい。
  28. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 御指摘の密殺された肉の鑑別、それからそういうふうな小売が行われておるかどうかという御質問でありますが、先生のおっしゃる通り終戦直後は、もうものすごい密殺の牛肉が都内に流れ込んで参った。大へん落ち着いてからというものは、当時の数量ほどはもちろんないことは当然でありますけれども、最近の例によって、密殺肉を千葉県から東京に搬入して売ったという事実がございます。新聞を見てごらんの方は、先生方もあるいはごらんになっているかもしれません。そこで業者は、洗練された長年の経験業者でありますなれば、これは密殺の肉であるか、あるいは密殺でない肉、正当な、いわゆる屠場を経た肉であるかは、洗練された業者ならば、一見してわかるのであります。ところが、業者も多いし、全国という広い地域のその中で、なかなか幹部の目としても行き届かない。そうした行き届かないところの極少業者が、やはり多少密殺の肉を持ち込んで、やはり販売されておるんじゃないかというおそれ、あるいは危惧を持っておるものであります。だから私は先ほど申し上げたように、この法案が通過をすることによって、そういった面を根本的に駆逐される。そうして新しく、見分けのつかないような、密殺肉に限らず、ウサギと鳥肉の見分けのつかないような、あるいは馬肉と牛肉と見分けのつかないような人が、むやみと雨後のタケノコのように小売商をしろうとがやられたのでは困る。最近の傾向としては、力のある、資本のある大企業者が、むしろその小売店舗をねらいつつあるという事実が現われてきておるのであります。先ほど長野さんを除いたお二方の参考人におかれては、どうも私どもはここで聞いておると、私ども中小企業者を教育しているような、逆な法律案に邁進しておるように言われておるけれども、これは見解の相違でありますからやむを得ませんが、おそらく伺っておりましても、国の先生、国会議員には違いありませんけれども、それで私は先ほど手をあげた。一体この環境衛生法案に対する……。
  29. 千葉信

    委員長千葉信君) 長尾さんに申し上げます。御意見は、質問の範囲にとどめていただきたい。
  30. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 質問に対するお答えを終りましたので、また質問にお答えいたします。
  31. 榊原亨

    ○榊原亨君 中林さんにちょっと簡単に承わるのでありますが、あなたの傘下の生活協同組合指導の御理念とされまして、生活物資に対しまして、その生産に直接結びつくということが理想と考えていらっしゃるのでございましょうか。先ほど牛肉の屠殺のところまでやる組合があるというお話でございますが、私の聞きましたところでは、生活協同組合と申しますものは、出産部門におきましては、その源泉にさかのぼる。たとえば農業をやっておられる方がバターの製造会社を作りますというようなことは当然のことでございまするが、生活必需物資に対しましても、その源泉のことまでもやるというのが生活協同組合の理想と考えていらっしゃるのでございましょうか。その点を一つ簡単でよろしゅうございますが、一言でけっこうです。
  32. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 外国では全部生産段階までやっております。日本ではまだ立ちおくれておりまして、そこまでいっておりませんが、そういう理想で私たちは持っていきたいと思います。
  33. 榊原亨

    ○榊原亨君 先ほどデパートに中小商工業者の方が非常に圧迫されるというようなお話があったのでありますが、先ほど長野さんのお話を聞きますと、デパートとひとしいようなことを八幡市では協同組合はやっていらっしゃる、それは類似の業者であって、あなたの傘下のことではないかもしれませんが、そういうことを承わりますと、やはり生活協同組合も、相当デパートと同じように、中小商工業者を圧迫するということになるんですが、さっき中林さんのお話では、デパートは商品をやるが、生活協同組合は、かえってそれを援助するような形だというようなふうにちょっと聞いたんですが、その点いかがですか。
  34. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 私、非常に簡単に申し上げたんですが、生活協同組合とデパートというものは、私たちは本質的に違う。生活協同組合は、やはり消費者の自主的な組織であって、消費者が管理しておるものでなくちゃならない、従って、生活協同組合も大きく発展していきますが、外国などでも非常にりっぱな店舗を持っておるものもたくさんありますし、私たちもやはりこれは消費者団体ですから、できるだけ消費者が好む形でやはり便宜をはかっていかなければならないというふうに考えておりますが、決して商人人たちを敵に回してやるというようなわけではなくて、むしろ零細な商人人たちと一緒に相談して話し合って、今日の矛盾した経済組織の解決の問題に私たちは取り組んでいきたいというふうに考えております。
  35. 榊原亨

    ○榊原亨君 全国平均いたしまして、あなたの傘下の生活協同組合の入会の手続は、入会金をどれくらい取ってやっていらっしゃいますか。
  36. 中林貞男

    参考人中林貞男君) これは非常に複雑な形で、組合員の数と、それから取扱いの分量によって……。
  37. 榊原亨

    ○榊原亨君 平均でよろしゅうございます。
  38. 中林貞男

    参考人中林貞男君) 平均といいますと、生活協同組合は、小さいのから大きいのからいろいろあって、平均二千円か三千円くらいじゃないかと思うんですが、いい組合は、私たちの方はたくさん入っておりますが、新しくできたインチキなものは、入っていないものがたくさん実はありまして、それに対する対策で私たちもいろいろ苦慮しておるわけです。
  39. 榊原亨

    ○榊原亨君 長尾さんにちょっと承わるのでありますが、先ほど営業施設の配置の問題についてお話があり、この法律できめられておりますように、衛生上障害がない程度の配置は、食肉業といたしまして、東京ではどれくらいの配置をお考えになっていらっしゃいますか。たとえば軒並みに二軒の牛肉屋さんがあっても、衛生上別に障害がないのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  40. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 先生の御指摘の通りで、軒並みに業者がありましても、法に定められたるところの衛生設備をすれば、衛生上一向差しつかえないように考えられまするし、おっしゃる通りであります。しかるに、その通り軒並みに同業者が開店をされて、そうして衛生設備も完備して、営業の許可を得られるとするなれば、食肉に関する限りは、立ち行かない、商店が立ち行かない。先ほども申し上げたように、同業である者が、朝に夕に不愉快な気持をしなければならない。人間本来、幸福な生活を営まなければならぬというのに、そういうような商売の、毎日の仕事にさえ——そういう距離とかその他のことにつきましては別でありますが、先生のおっしゃるように、衛生施設を行う上に、資金さえあれば、隣合っても差しつかえないということは言い得られると思います。
  41. 榊原亨

    ○榊原亨君 私の聞いているのは、東京におきまして、そういう不当競争のために施設ができないようなことになってはいかないのでありますから、その距離はどれくらいだということを承わっている。
  42. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) ああ、距離でございますか。まだよく私研究していないのですが、これもこの法案通過の暁は——昨日も約三百人の業者に寄っていただきまして、この法案に対する意向をただし、三百人が満場一致で賛成をいたしておりまして、各地区、全都の業者の代表に寄っていただきまして、そこで、地域はどうなるのかという業者の質問がありました。その点については、あるいはきょう御質問を受けるかもわかりませんが、まあ私の考えでは、地域は、なるべくお湯屋さんのような、今まであったような、三町とか、四町とかというようなことには別にまだ考えていない。いないけれども、しかし、人口密度と、それから消費購買力の点をにらみ合せれば、あるいは五間か、三間向う先でもやむを得ない個所も生じてきますし、あるいは十町なり、二十町なり離れているところに新規開業もやむを得ないだろうというように考えておりまして、特別に三町とか、十町とかという、距離の問題については、それほど深くみんなが相談もしておりませんし、考えてもおりません。
  43. 榊原亨

    ○榊原亨君 もう一つ……。あなた方食肉販売業者のお方が枝肉価格を左右することができますでしょうか。
  44. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 現在の段階におきましては、小売業者が結束をして、その枝肉価格を左右するということはできないのであります。
  45. 榊原亨

    ○榊原亨君 ありがとうございました。
  46. 奥むめお

    ○奥むめお君 肉屋さんの長尾さんにお伺いいたしますが、その枝肉価格は支配できないとおっしゃいましたが、肉を売りますときに、包み肉と言いますか、表にきれいに並べた肉を置きながら、ちょつと違った肉をはめますね、三分の一か、半分くらい。あれは、あなた方業界組合としては、あれは皆さんしていらっしゃると思いますが、知っておいででございますか。
  47. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 知っております。
  48. 奥むめお

    ○奥むめお君 それじゃ、続けて聞きますが、そうすると、肉の値段というものはどっちの値段になるのですか。それを平均して値段をつけていらっしゃいますか。それとも、われわれ買うときは、ロースと言えば、ロースが出ますね。すると、その中にまた違った肉が入りますね。それの肉の価格の決定と、それから御存じだとおっしゃるならば、それを何割入れることになっておりますか。
  49. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) そのところまで御質問に答えなきゃならないのですけれども、アメリカでは、生きているうちから、一級から六級までの牛がきまっております。枝肉においては、やはり一級から六級までとなっております。先ほど申し上げたように、日本においては生産価格からして、枝肉価格がきまります。枝肉価格によって小売業者はお客様に肉をそれぞれ切って上げるわけですが、今の、そのたとえばロースを百匁二百五十円で買ったとすると、ロースの以外のものを三切れなり、四切れなり入れたというのが、何%入れるようになっておるのだとか、どういうわけであれを入れるのを皆幹部は知っておるかということでありますが、これは長年の商習慣でもあるわけなんです。それで、ロース専門に売りますと、三百円に売らなきゃならないものが、たとえばそのロースばらというところがあるのです。ばら——ロースとくっついておるところです。そのわずかなところを、そのロースのばらを若干入れて、それで単価を二百五十円でお願いした方が、お客さんも、味の点においてはそう変りはない——全然変りはない、価格はそれだけ安くなるということで、そういう取扱い方をする場合が、習慣として昔から行われておった。それも疑義の点があっては困りますから、ここではっきりしておきたいのですが、そういう場合には、必ず一頭なら一頭の甲なら甲、上等なら上等の、牛の中の上等の個所、中等なら中等はその一頭の牛の中の中等の個所だけであるということになっておるわけですから、御承知おき願いたい、御了解願いたいのであります。
  50. 奥むめお

    ○奥むめお君 それから、その問題はまた別としまして、牛肉屋の中で——この法律環境衛生を主にしている法律なんです。すると環境衛生関係から、これじゃ困るという店は何%あるお見込みですか。
  51. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 全国を通じまして、一%くらいはあるいはあるかわからぬが、今までの各都道府県の表の集まりましたところ、小売組合の、東京考えます三千軒の業者のところでは——まずアウトサイダーはわずかでありますけれども、一%のアウトサイダーのところは反対——いや、あるいは一向わからないのかもわかりませんが、ほとんどが全面的に、食肉業界は、全国業者はもうこぞって賛成をしておるわけであります。
  52. 奥むめお

    ○奥むめお君 いや、業者の不衛生だと思われている——あなた方が、あれだけは何とか衛生上よくしなくちゃいけない、厚生省からもにらまれそうだというのが何%くらいあるかというのです。
  53. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) その点については、先ほどちょっと触れたのですが、自体、その根本的に家屋の改築からいたしていかなければ——ほんとう厚生省なり、衛生局から優良衛生店舗として表彰されておるのは、まだ都内におきましても三百軒余りなんです。一割くらいにしか満たないのですが、それはりっぱな店もありますが、この法律もとに適正な施設、理想的な設備を施すには、ほとんど半分以上の人が、融資を受けて、さらに新しい施設をしなけりゃならぬ、かように存じております。
  54. 奥むめお

    ○奥むめお君 半分、あれを新しく直さなきゃいけない、こういうわけですね。
  55. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) そうです。
  56. 奥むめお

    ○奥むめお君 それについて幾らくらい金がかかりますか、一軒について、設備について。家まで直すというのは大へんでしょうね。店で肉だけを売るのに差しつかえないという衛生的な設備をするというのには幾らくらいかかりますか。
  57. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 家までも直さないとすると、最小限度一百万円くらい……。
  58. 奥むめお

    ○奥むめお君 ありがとうございました。  それから、それはどういう内容ですか。
  59. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) その内容は……。
  60. 奥むめお

    ○奥むめお君 もし何でしたら、今度資料を出して下さい。一百万円かかるという資料を出して下さい。
  61. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 冷凍設備と、ウインド・ケースと、それから防銹、防廃の、これを防止するためのステンレスや、衛生的な施設をするために、店舗だけに必要な費用です。願えればそこにもっと優秀な手洗器を作り、あるいはこの店舗よりも御不浄をずっと何メートルか離すというふうにいたしていけば、古い家をそのまま改造しても百万円ではもう最低の限度であります。
  62. 奥むめお

    ○奥むめお君 氷を入れる冷蔵庫と電気冷蔵庫と使っている違った店がありますね。あなたの方はあれに対してどういうお考えですか。また、そういう施設がどのくらいありますか。
  63. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 氷を使っておりまする食肉小売店舗というものは区内にはほとんどゼロだと申し上げて過言でないと思います。全部電気冷蔵庫であります。その電気冷蔵が一馬力で、冷蔵庫とケースと、ウインド・ケースでありますが、それと機械を入れまして大体六十五万円かかる、それに防塵、防廃施設、それから家屋が、床板、腰板が板の場合はこれにタイル張りを周辺に張りめぐらしますから、最低でも申し上げましたような費用がかかるわけであります。
  64. 奥むめお

    ○奥むめお君 電気冷蔵庫でなくちゃいけないということになっておるのですか。
  65. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 電気冷蔵でなくちゃいけないという法律はありませんけれども、電気冷蔵でないと腐敗しやすいわけです。昔のように氷の場合ですとどうしても一週間のところは三日しかもたない。業者食肉の取り扱い上腐敗が早いと、無理して消費者に腐敗しかかったようなものを販売するおそれもないとはいえないので、電気冷蔵を使っているわけであります。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 長野さんにお尋ねしたいのですが、長野さんは先ほどの公述の中で、商人がマージンを二〇%か三〇%とって、これしか……生協や購買会、生協の問題については中林さんからいろいろお話を聞きましたが、それより二%安く売っていく、消費者立場になったら一般市価より二〇%も安ければ、たとえ一〇%安くても消費者立場になれば安いものを買って生活したい心理がこれはもう共通だと思うのです、だれの家庭でも。そこで長野さんは消費者に対するサービスや社会保障の問題も少しつけられたと思うのです。私の聞き違いならこれは別でございます。だからそういう具体的な商品販売について、消費者の生活についてどうしたらいいかということをお聞かせ願いたいと思います。
  67. 長野義夫

    参考人(長野義夫君) 具体的に、消費者の問題につきましてどうしたらいいかという考えは現在持っておりません。ただ私はきょう申し上げましたのは、一般小売営業を行なっておるものが生協並びに大会社、工場の密接なる購買会の影響を多分にこうむっておるので、その生協、購買会の意味は十分わかります。また、地域によっては生協と協力する話し合いを進めているのでありますが、しかし、現在員外禁止をされておる、また、購買会は今は禁止はなくて、もともとこういう法律はないのでありますから、法律で禁止されていないのですけれども、一応こういう施設がなく、そういうものをあまりにも無制限にやられますために、正当な営業を営んでおるものがこれではやっていけないということの話でございます。先ほどのマージンの問題は、簡単に申し上げますと、百円のものをわれわれが仕入れるのは大体七十円から七十五円、ところが、生協、購買会は、もちろん生協でも違いますが、百円のものを八十円かあるいは七十八円かで売っておる、こう申し上げたわけであります。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 中林さんにお聞きしたいのですが、炭鉱地方においては、理髪、パーマ、美容ですね、その価格の値上げを準備している、こういうことがあったと思うのですが、どういう工合にやっているか、実情を聞かしていただきたい。ただ環境衛生法が通るとという意味でそういうことを言っておられるのかどうか、そこらあたりは……。
  69. 中林貞男

    参考人中林貞男君) これは日炭高松の組合の人が出てきて、出てくる直前に、日炭高松の生活協同組合では、社宅地帯で床屋とかパーマをやっているわけです。そうしましたら、環境衛生法、この法律が今度の国会で通る、そうしたら値段をこういうふうにしなくてはいけないということになるのだということを組合関係者から言ってきて、もうお前たち値段をおれらと同じくしなければやれなくなるのだということを言ってきたということを二週間ばかり前、日炭高松の代表が来たときに、もうすでに業界からこういうことを言ってきている。できましたら、そういう公文書なども取り寄せて、こうだということを申し上げてもいいのですが、日炭高松の代表が私にそういうことを言っていました。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一つ、長尾さんに聞きたいと思います。  価格の適正云々というお話の中で、家庭の主婦の感情を業者はよく知っているからという話に続いて、食肉価格変動が激しいというお話があったのですが、だから主婦の感情をよく知っているということと、それから、そこのところのあとの話との関係をどういう工合に、要するに、消費者、需要者にサービスする、こういう点について少しお話を願いたいと思います。
  71. 長尾堅太郎

    参考人長尾堅太郎君) 小売を、申し上げておりますように長年やっておりまして、奥さん方に接近しておりますので、奥さん方のお気持を知っておるということを御指摘の通り申しました。そのことを、もちろん知っているということは、主婦の感情をよく知っていると申し上げたのですが、消費者はすべからくいいものを安く買いたいということが原則であります。そこで、どんなにいいものをお届けしても、屠殺したばかりの牛を持っていくと、肉屋さん、大へんいいものがあるというので注文したが、大へんかたかったじゃないか、新しいということはお客様は忘れてしまって、かたいことだけをおっしゃるわけなんですが、それで十分熟成さしてお客さんに、どうせ召し上るならいいものを勉強しておるのだから、熟成するまで肉を冷蔵庫に入れておいて販売したらいいじゃないかということになるわけですが、そこに、零細業者に、それだけの高価な品物を長く、熟成期間一週間以上、十日ないし二週間以上も熟成しなければならぬだけの在庫能力を持つだけの資金的力がない。それですから、こういう衛生法が通った場合には、そうした資金の援助を受けて、肉を十分熟成さして、やわらかく召し上っていただく、かようなこと。  それから同じ甲と乙の店舗が、一方の甲の店は非常に働く従業員が、毎日帽子をかぶったり、あるいは髪の手入れをしたり、白衣を着て衛生的な、一見、見るからに肉を食いたくなるという服装をしている。一方の乙の方の店舗では、いわゆる購買力も少かったり、それだけの費用が十分持てないために、平素洗たくも怠ったり、あるいは一枚か二枚の白着で、しかもそれを繰り返さなくちゃならぬというようなことで、奥様方はやはりきれいな方へどうしても寄ってくるわけなんです。そうしたら、こういう乙の方の人には何とかして組合としては援助してあげたいけれども、そうかといって個人的に資金を貸すわけにもいかぬというようなことで困っておるのであります。そして奥様方がよけいに一つの店舗に集中して物を買いに来ると、その店がよく売れるということは、結局良心的な販売と、良質なものを安く売っておるということになるわけであります。ところが、そういうふうになりますと、仕入れの方面に対しましても、力がある人はやはり一応力のままに安く仕入れて安く販売できる。ところが、多数はやっぱりそう抜け出た特殊な人はないわけで、大ぜいの人はともに今苦しんでいるような状態なんであります。
  72. 千葉信

    委員長千葉信君) 午前中の参考人に対する質疑はこの程度にしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  参考人の方々には、長時間にわたりましてきわめて貴重な御意見をお聞かせいただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  それでは二時三十分まで休憩いたします。    午後一時三十二分休憩    —————・—————    午後二時四十四分開会
  74. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人各位から御意見の拝聴を続行いたします。最初東京商工会議所商工相談所長高橋重一君にお願いいたします。
  75. 高橋重一

    参考人高橋重一君) 私今御紹介にあずかりました東京商工会議所高橋でございます。きょうこの環境衛生関係営業運営適正化に関する法律案、これにつきまして、二項目について何か聴取したいというようなことにつきまして、大体大ざっぱに一応私順序を追わないでまとめて意見を述べたいと思います。  この内容によりますと、従来のこういった営業につきましては、食品衛生法とか、いろいろな関係法律がございまして、それによって衛生環境というものについての維持、育成と言いますか、そういうようなことが行われていたようでございすが、これだけではなかなか円滑な運営ができないのではないかということは、現在のこういうような業種を行なっている業者の規模というものが、非常に零細化しておるという点から考えられたわけでございます。で、国勢調査の、大正九年という古い人口調査のときのものがございますが、これによりますと、当時の人口が五千五百四十万であった、そのうち二千七百二十六万が就業しておって、この内訳は農業が五二・四%で千四百二十九万人、工業が一八・九%の五百十四万人でございます。商業が一三・四%の三百六十六万人であったということが、国勢調査で表われております。ところが、昭和二十九年の調べたものによりますと、人口が約六割ふえております。そうして就業者も全体の約五割がふえておるようなわけであります。この内容について見ますと、農業の就業者は約二百四十万、工業は百八十万、商業は二百六十万と、これだけがふえておるわけでございます。つまり増加率は農業が二割程度でございますが、工業は三割四分、商業は七割強もふえておるというような実情でございます。この商業の中には、今度の法律の対象にならない業種もあるわけでございますが、しかし、今後こういう業種も何と言いますか、新規開業という面も終戦後は相当あったわけでございまして、相当大きな数字が、この増加した分に含まれておるのではないかと思われるわけでございます。こういった業者のほとんどは、いわゆる従業員が五人以下のところが大部分だというようなことが、いろいろの統計によって出ております。特にサービス業につきましては、一部業者を除きまして、ほとんどがいわゆる二男、三男といったような家族労務によって行われておる。そういうような実情であったようでございます。こういうような実情ですから、どうしても業者の何と言いますか、規模が小さい規模が小さいということは、それだけ業者新規開業がしやすかった、あるいは規模が小さいからこういう商売が始められたということが考えられるわけであります。こういうふうに大きくなると、当然競争という形によっていろいろな生活権を確保しようということになってくるわけであります。競争をする業者の少いうちは、サービスの向上とか、あるいは設備改善ということが行われますが、ここまでふえてくると、競争もどうしても過当な競争になってくる、過当な競争になったらどうなってしまうかというと、いろいろな弊害が出てくるわけでございます。つまり経営に無理が出てくるわけでございます。たとえば営業方法にしましても、サービスにしましても、どうしてもいかがわしいというと語弊がございますかわかりませんが、さっき肉屋さんが言ったように犬の肉を入れるとか、いろいろな弊害が出てくる、洗たく屋さんの話によりますと、何と言いますか、洗剤をソーダを入れて生地をいためてしまう、生地をいためるということは、それだけ日本の資源をなくすことになりますが、それは別にします。あるいは規模の大きい業者につきましては、特殊な深夜の喫茶店とか、あるいは深夜の旅館とかというような形になってくる、また、浴場にしましても、特殊な温泉というようなことになって参るわけでございます。ところが、そういうようなことのできないごく零細の業者につきましては、どうしても営業時間を延長することによって、それをカバーしていこう、競争に打ち勝っていこうというような結果が出ているわけでございます。私いつも相談所で、毎日零細業者の相談相手になっておりますが、来るほとんどの業者は、そういうような営業時間の延長、隣りの家が十時までやれば、私の家はどうしても、生活のために十一時までやる、どうしても営業時間を延ばしていく、このように営業時間を延ばしていくということはどうなるかというと、結局は正しい者につきましてはからだに無理がいくわけでございます。からだに無理がいくと結局からだを張って商売するということになります。普通たしか七時間くらい働くところを、そういうようなまじめな零細業者は食べるために最低十二時間あるいは十四時間働いてそれをカバーしているというような状態ですから、設備の改善あるいは設備を管理することすらできないではないかと考えられるわけでございます。それから従業員の問題につきましてもやはり無理がそこにしわ寄せになりますから、地位が向上しない。また、技術の伴う商売におきましては技術の向上という研究すらできないわけでございます。あるいはこの法律にもあるように、技能者の養成というようなこともなかなか国難になってくるわけでございます。このように技術の向上もはかれない。あるいは技能者養成の点につきましても思わしくない。それだけむだがある。いわゆる経営に能率が上らないわけでございます。まあこれは問題はいろいろな形で出てくると思いますが、この事業でうたってある価格の点に問題がくると思うのでございます。やはり適正な利潤という面から、やはり適正な価格をきめていく、こういうことがこれから予想される競争に対処する方法ではないかと思われるわけでございます。ところが、一般の消費者あるいは一部業者においては、これは値段をつり上げることになるのではないかと非常に心配される方もあると思いますが、私は大規模業者につきましては、特殊な経営方法によりましてあまり価格には問題がないと思うわけでございます。たとえば映画にしましても、帝劇などはシネラマといってずいぶん高い料金を取ってもお客様は参ります。しかし、場末の二流、三流の館になりますとなかなかお客が集まりません。そのために上映時間を延ばして健全な娯楽が不健全な娯楽に入ってしまう。そういうようなことも新聞によく出ていることでございます。また、浴場にいたしましても、特殊な温泉というような形によりまして、百円とかあるいは二百円を取って特殊な階級を相手にしてくる。ところが、零細な業者はそれができないわけでございます。さっきも言ったように、朝早くから起きておそくまで働いている。いわゆる労務によって経営を維持していくというようなことが、いわゆる環境衛生という面から現在ある法律はなかなかそれができないんではないかというようなことが考えられるわけでございます。従いまして、こういうような法律によりまして、業者の自主的な組織によってこれをある程度解決していこうというようなことは時宜を得たものだと私は思うものでございます。で、まあかりに美容院を見ましても、美容学校へ一年行ってあとインターン一年しまして開業する。ところが、零細でございますからどうしても値段の点では負けてしまうわけでございます。こういうような自分から生活していこうと立ち上る未亡人というような方々もこういう業者に多いわけでございますから、そういうような面からも、こういうようなある程度の価格を強制しまして、それを守っていくというようなことが望ましいと思うわけでございます。で、この法律によりまして、従来の法律環境衛生だけの指導管理でありましたが、これによりまして、業者が自主的にいろいろな経済事業を行うとか、そして不足する資金はある程度政府においてもめんどうをみるようにする、そういうふうにすれば、現在より以上によい環境ができていくのではないかと考えるわけでございます。それで、この二番の加入及び脱退等は営業者の自由、これは非常にいいことだと思いまして、特に今までのこういう団体法としての新しい形を示すものとして私は非常にいいと思います。  次の営業の合理化カルテルでは、適正化規模の問題、これもそういうような面からお取り上げになったら非常にいいのではないかと思うわけでございます。  その次にこの適正化規模をきめる場合でございますが、これは厚生大臣の認可を必要とし、厚生大臣は公正取引委員会と協議をしなければならぬと、これも現在の段階としてはこれ以外に私は方法はないと思います。まあ官僚統制というような考え方も若干ありますが、現在零細業者、特にまとまっていない業者に対しては、こういうような方法によって適正化規模をきめていくのは時宜を得たものだと思うわけでございます。  次に員外、組合員外に対する規制でございますが、これはやはり当然行うべきものだと思うわけでございます。ただその次に出てくる組合員適正化規程に違反した場合には、組合員に対して過怠金を課す、または除名する、この点にちょっと私は問題があると思いまするが、組合員に入っていなければ罰金だけで済むわけでございます。ところが、組合員に入っておるために過怠金と罰金を取られる。二重の負担になるのではないかと、私はこの法律から受け取ったわけでございます。この点も組合員に対してはある程度優遇されてほしい。特に団体によって自主的経済活動を活発にする場合、あるいは合理化カルテルを活発にする場合、ある程度組合員に対する優遇策があってもいいのじゃないかと思うわけでございます。こういうような組合を作らす一方では、罰金刑につきまして組合員は二重になっておる。ところが、員外は一重でいい。これではみんな組合に入らない。この法の精神に逆行するような感じを受けたわけでございます。  次のこの厚生大臣の役員の解任あるいは解散命令、これもけっこうだと思います。  次のこの重要事項の諮問についての建議は、厚生省、利用者代表、学識経験者、業界代表者というようなことがうたってありますが、これもけっこうだと思います。ただ問題が起りますので、利用者代表ということを広範囲にこの委員会に入れてほしいと思うわけでございます。  次はこれも大体現在と同じですな。ただここで私のちょっと感じたことは、さっきもだれかが触れたと思うのですが、この指定都市というものが、この地方自治法によって指定都市になったところは、昨年のたしか十一月にこの法律の適用を受ける環境衛生につきましては、業務がこの五大都市においてまあできるようになっております。ところが、今度の場合には府県一本になるということはですね、この第六十条の検査の問題で二重検査になるのではないかと考えられるわけでございます。つまり役所の人はこの環境衛生法によって検査をする。ところが、その今の五大都市につきましては従来の法律によって検査をする。これは経費のむだであり、同時にまた、業者も迷惑することだと思いますので、この点につきましては、やはり権限をこの法律の認めたととろにつきましては、委任した方が業者の声も、消費者の声も聞くことができて運営が円滑にできるのではないかと思うのでございます。ただこの場合に、組合員が二本建になるのではないかという心配も若干出てきますが、大体五大都市におきましては、業者がほとんど大都市に集まっております。大体まあ周辺にはあまりないのではないか。また、こういうような都市に問題がたくさんあるんで、消費者の利益を考えた場合には、やはり二本建でも問題はないと私は思うわけでございます。ですからとの場合、こういう都市につきましては、場合によっては組合が二本できるということも考えられますが、これはやはり消費者の利益を考え、あるいは業者意見、あるいは運営の面から見ましても、これはこのようにした方が、今後の運営もしやすいのではないかと思うわけでございます。  次は関連事項につきまして、生活協同組合小売店の問題、それから消費生活協同組合のあり方、この二つをまとめて申し上げますが、八幡あるいは中林さんからさっきいろいろな御意見があったと思いますが、消費生活協同組合というのは、あくまで販売ではございません。これはいわゆる供給という言葉を使いまして、取り次ぎでございます。従いまして、八幡のように、ラジオをやり、あるいは宣伝広告をするとか、あるいはチンドン屋を使うとか、マネキンを使うということは、これはいわゆる供給の行為ではございません。あくまで商行為だと私は思いまして、こういうような協同組合につきましては、普通の商店と同じような扱いをしていくというようなことが望ましいわけでございます。それからまあ生活協同組合でお客さんをたくさんとるために、どうしても価格によって競争する、あるいは値段によってお客さんを引きつけるようでございますから、特にこれからは生活協同組合にしましても、一般小売店と同じような、市価と同じような値段でもって販売する。そうして利益の上った分につきましては、毎月あるいは半期に一度ぐらい、利用度の多い組合員に、その利益に応じて配分すれば、そういうような問題は起らないのだと思います。結局問題は、その値段の点に私はあると思います。ただし、職域とかあるいはオープンではない協同組合につきましては、これは厚生事業としてある程度の割引もやむを得ないと思うわけでございます。繁華街にある生活協同組合の売場とか、あるいは商店街にある売場、こういうものは、やはりそれぞれ供給行為でなければ、これを商行為と認めて、一般商業者と同じように、税金なりあるいは扱いをすれば、まあこういうような問題も減ってくるんではないかと思うわけでございます。それからさっきも言ったように、もし現金で返すのがまずければ、これをいろいろな厚生施設にするとか、そういうような資金に使われれば、問題もぐんと減ってくると思うわけでございます。その他、員外利用という問題もございますが、根本的な問題は、いわゆる販売価格に私はあると思いまして、その販売価格が解決してくれば、員外利用の点もだんだん変ってくるのではないかと思います。まあ大体私の意見はこのぐらいでございますが、今後この法令が、かりにできたといたしました場合には、やはり業者にしましても、ある程度安定した、しかし、その安定をするために不当な、消費者を欺瞞したような価格にしないように、やはり業者もあまり強い意見を出さないで、やはりみんなが楽しい買いものができるような協定を結んでいく、適正化規程を適用していくというようにして、みんなが楽しい買いもののできる、いわゆる生活に潤いを持つというような方向にこの法律を育てていけば、私は非常にいいものと思います。  大体私の話はこれで終ります。失礼いたしました。
  76. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでした。   —————————————
  77. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、主婦連合会副会長三巻秋子君にお願いをいたします。
  78. 三巻秋子

    参考人(三巻秋子君) 主婦連合会の三巻でございます。本法案は、私たちの日常生活に密接な関係のあるサービス業の衛生措置の確立と、施設改善向上をはかるのが役目だと思いますが、実は独禁法を排除して、価格の協定のカルテル行為を目的とするもので、これによって経営の合理化がなくなり、値上げに通ずる消費者泣かせの法案でありまして、既存業者保護に尽きる法案であると思っております。この法律が成立する前に、すでにおふろ屋さんは猛烈な値上げ運動を起し、パーマネント屋さんは、全国的に一斉に値上げの指令を出しましたし、十円とうふや百円床屋は、組合の圧迫を受けまして、町から姿を消しておるような状態でございます。いくら政府価格協定などをしないとおっしゃいましても、価格協定などをして消費者には悪影響を及ぼさないとおっしゃいますけれども消費者は信用することはできません。私たちは、みだりに過当競争をしたり、安い料金や安い価格で売られることばかりを喜ぶものではございませんが、衛生を改善されるという保証がなくて、各業体の不平等を、一片の法律によって平等化しようというその矛盾、そのしわ寄せを消費者へかけられて家計を脅やかされるということは、この法案に対して全面的に反対する理由でございます。  法案内容に少し触れてみますと、第一条の目的の言葉の定義につきまして、そもそも環境衛生の環境は、具体的に何を対象にしておるか。室内外とか、建物内外とか、地区の内外等におきまして、環境の様相は種々雑多でございます。この雑多な内容であれば、ほぼ業体にはいろいろと違った対策が要るわけでございますが、具体的に第二条に出ております環境の内容の違う営業を一括して、このような統一した理論的根拠のない組み合せでもって統制するということは不合理でございます。ですから、環境衛生というような不明確な言葉によらずに、端的に衛生施設に対する取締りという事柄をはっきりさせることがいいと思います。つまりこんな法がなくても、各業界は単独の取締法の趣旨の徹底をすれば、その趣旨が徹底できるわけでございまして、次に過度の競争によって適正な衛生措置を講ずることが阻害されると書いてありますが、競争は企業と企業との間において、営業の全部をもって競争するものでありまして、衛生部面の競争はその一部分でありまして、過度の競争は、必ず衛生措置を阻害する面にばかり出てくるとは限りません。それを衛生面が阻害されるからといって、企業の全体に影響するような競争を制限する立法、たとえば料金規制とか、経営の安定をはかるといって業者の規制をするとか、販売価格の制限をするというようなことをするのは不当であると思います。  次に第二に、適正業種について考えてみますときに、全部単独法によって取り締られておるという業体でございまして、飲食店並びに喫茶店は、食品衛生法を強化すれば事足りますし、深夜喫茶は都条例によって営業時間の取締り強化をすればできます。二番目の食肉販売業は食品衛生法で、あるいは都条例の強化でこれが防げますし、氷雪販売もともにこれを加えるならば、他の全部の食品販売業にこれを適用しなければなりません。ことに全生産、加工並びに販売場までこれを加えなければなりません。理容業、美容業は、一番環境衛生に近い業種ではございますが、これまた理容師法、美容師法という法律がございます。映画とか演劇とか興行場、これは興行場法をもって足りますし、何本立かで換気のまずさは、建築法で最初にこれを規制することができます。旅館業は旅館業法があり、現に改正の運びになっておりますし、特殊旅館は単独の都条例でまかなえると思います。浴場には浴場法があり、クリーニングにはクリーニング業法があるわけでございまして、この法の強化をすれば十分保てるわけでございまして、クリーニングのどこが環境衛生に適合するのか、以上をいろいろ調べてみましたときに、七業種の組合せで共通した理論的根拠が乏しいように思います。  次に、第八条の組合事業でございますが、第一条、第二条の見解からしまするならば、一、二、三の事業を行う必要はないと思います。四から九は衛生的規制により必要でございます。要するに、本法案は七業種おのおのに単独法がございまして、その強化によって本法の趣旨は達成できますから、特別にこの法律を成立させる必要はございません。むしろその悪弊が消費者を脅かします。ことに本法が成立すると、本年度に千七百万円の予算を要すると、この法律の末端に書いてございますが、この法の成立によって、消費者は物価の値上りとともに、その負担をするとともに、この一千七百万円の支出を税金で負担するような二重の負担をこうむるわけで、大へんむだなことだと思います。  以上基本問題に触れましたが、主婦連合会は、二十三年以来、経済安定のためにいろいろと組合と常に話し合いをして参りましたが、各業界の実態は協同組合法もとにすでに協定価格を作っておりまして、組合組織を固め、その政治力は実に大きく、値上げに政治の力を注がれることは大へん上手でございまして、決して条件が下っても値下げした床屋はございません。今度のように、法が成立すれば幹部のリコールもできることになっているそうでございますが、組合幹部のボス化はますます強力なものになるでございましょう。また、適正化規程とか料金規程等の設定に審議会並びに公正取引委員会と協議の上とありますが、団体法の方は同意を得る、たとえば許可が要ることになりますが、こちらの方の協議は相談すればいいのであって、何の権限もございません。ましてや消費者意見などはいつも無視されがちでございます。現にふろ屋の値上げ申請に対する当局の一方的な発表に不満を持っております私たちは、原価計算の基準になります一日の入浴使用者数とか、石炭を持ち寄り、品質等実態を調査をいたしましたところ、都の条例では距離制限があります上に、衛生基準から割り出しまして、利用者は約五百から六百人を規定していられるように察しますが、私どもの調査では、最低八百から千五百もいるのでございます。石炭の値上りも理由の一つにしておりますが、これは粉炭で、それもろくろく使用していないような状態でございます。また、最低生活ができないということで申請しておりますが、業界は一人で一、二軒の営業はざらだそうでございます。今厚生省に私たちは、原価計算に必要な要件をいろいろと質問の形で要求しておりますが、質問書到着の上、あらためて抗議するつもりでございます。  なお、価格の決定は、いつも最高価格をきめるものでございますが、十五円のふろ賃ならば、それはそれ以下の十円があっても当然でございますのに、組合の圧力はそれを最低価格とするのが常識でございまして、このように協定の上にあぐらをかき、サービスの減退はおびただしく、当然守られるべき湯の清潔度なんかは保健所の監視の届くものではございません。どて金を積んで建築の権利金をせしめる人もいるというような今日、どうして自主的な効果の期待が持てるでありましょう。百円床屋をダンピングだと公正取引委員会に申請した。理容業会は原料費を十五円、人件費を三十円から五十円、平均四十一円、それに雑費十五円を計算いたしますと七十一円あればいいのでございまして、この線を割らない以上はダンピングとは認められません。クリーニング代もオーバー一着二百五十円のところもございますし、四百円から四百五十円でやっているところもございますが、むしろ二百五十円の方が上りがいいということを聞いております。こう見てきますときに、低料金は不衛生であるとか、過当競争が即衛生設備が悪いということの断言はできないはずでございまして、低料金がなぜ可能かという理由に、よその店が高いということと、交通の便利がよくて人が集まるということと、雇い人を歩合制にしている、その歩合制で職人が幾らでもなり手があるというので交替制にしておりますが、こういうことを考えてきましたときに、いろいろ条件によりまして同じ価格は不必要だということで、この問題は社会問題と労働問題でございまして、決して環境法の問題でないということは事実のようでございます。パーマの原価計算あたりは、その原料の占めるところはわずかのものでございまして、この業界が常に業者が多いということを言いながら、学校でもってどんどんと子弟を教育していっている実情は御承知の通りでございまして、地元の役員とか、大きな業者はその資本に物を言わせて、文化会館に入り込むとか、いろいろな手でもってかけ込みでございますが、着々とこの法案を見越して自分たちの店を張っている状態でございます。食肉におきましては、全くこれは業種の中へどうして加えられたのかと思うほどでございまして、肉の生産高は戦前の二倍になっております。これだけ消費しているからこそ業者もふえれば消費もふえて、決して不況とは思われません。消費者食生活改善とともに、安くていい牛肉を欲しているのでございますが、私たちの手元にきますまでに流通機構がいかにも不明朗でございまして、その取引は安くならず、この法律の制定によりまして、ますます封建的取引の方法を温存せしめまして、カルテルによって値段は上り、国の食糧政策に相反するものでございます。適正化規程ができても、一等肉幾らという保証はたれがつけてくれるのでございましょう。百匁の肉を買いますときに、業者はあぶら身をあちらこちらにまぜて売っておりますが、先ほどもこれを御承認なさいましたが、それが私たちの見たところの通例でございます。ひき肉等は牛肉と書かずに、肉と書けば何をまぜてもいいというような、文句の言えない条例でございます。品質鑑別もわからない消費者は、条例の改正もしない不親切なお役所を見ても、どうしても消費者保護だとは思いません。私たちは、自由な店で、この店は目方がいい、品質がいいとかいうことを見きわめて買物をしているつもりでございます。商人のあり方というものは、お客にいいものを上手に買ってきて安く売るというのが通常の原則でございまして、法律によって価格協定をして、業者にも、消費者にもこれをしいることはいき過ぎでございます。人間の消費を型に入れることがむずかしければ、小売業を型に入れることもできないということをある学者は言っていらっしゃいますが、こんなことになれば、消費者はおそらく消費者の権利である消費組合をどんどんこしらえ、衛生度のいい、きれいなところへ集中していくのが人情でございます。商人はこんな法律を作るたびにたんつぼを買わされてはうるさくて仕方がないと言われておりますが、法の作成に血眼になっているところを見ますと、どこかにいいことがあるのでございましょう。大へん失礼な言い分で申しわけございませんが、経済の原則を大きく改革するような重大な問題を議員提案で、提案者すらお目にかかりまして、これを陳情いたしましたときにろくろく内容も御存じないことにたびたび……、団体法と環境衛生法と、私たちはその場に出合わせたのでございますが、ある一部の方の指示で国会のどっかでやりとりされて、これが消費者におしつけられるというのでは、これはたまったものではございません。本委員会こそ真剣に御検討下さることを希望いたしまして、私の発言を終らせていただきます。
  79. 千葉信

    委員長千葉信君) どうもありがとうございました。   —————————————
  80. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、川崎市青色申告会会長高橋八十七君にお願いいたします。
  81. 高橋八十七

    参考人高橋八十七君) ただいま御紹介いただきました川崎市青色申告会の高橋でございます。  実は一昨日この通知をいただきましたので、資料を持ち合わせておりませんので、一応私の感じたことを御説明申し上げたいと、こう存じております。本日の、環境衛生に関する法律案につきまして、私はこの案に対しまして一応賛成を申し上げたいと思っております。第一章の第一条「目的」でございますが、この一条にうたってありますごとく、すべて現在の社会は、いたずらな過度の競争に走っております関係で、私のただ感じたことを一つ申し上げますというと、一番私ども考えるべきものは、理容業者であると思っております。現在私川崎でありますので、川崎の例をとって申し上げますが、川崎の理容業者には第三国人が非常に多く、これを営業しております関係で、私どもしろうとでありましても、まるで採算のとれないような営業をしております。これはともに他の業種を営んでおります関係で、いわゆるパチンコ屋とか、ああいうものを営んでおります関係で、その赤字を他の営業によって補てんしております関係で、そういうことをしているのだと私ども思っております。従って、安かろう、悪かろう、いわゆる通称この床屋のことをちまたではいた床と申しております。かみそりも三回とがなくてはいけないものを一回で、そうして顔をむしるごとくにしてやっておるような状態であります。そういったような関係で、すべてのものが過度の競争をいたしますというと、いわゆるマージンがせばまり、そしていわゆる店の改装すらできないと、こういうふうに私存じております。  私いわゆる青色申告会の立場でございますので、零細業者の一つの納税の会でございますので、私それについて、一応関連性がございますからお話し申し上げたいと思っておりますが、いわゆるその業種々々によりまして、国税局はその利益を荒利益というものをきめております。その荒利益が、果してその荒利益によってわれわれが営業をして行かれれば何ら納税については苦労がないのであります。しかしながら、その競争によりましてその荒利益が大幅に削減され、しかる後青色申告いたしましても、後によってその所得を、荒利益を、いわゆる標準率によって荒利益を逆算されますというと、いわゆる修正申告ということになりまして、その修正申告によりまして、われわれ弱小企業者はいつもその税金によって悩んでおるのでございます。さような状態におかれまして、本法案が通過いたしますれば、われわれの荒利益によって営業もでき、また、税金の面におきましてもスムースに完納ができるのじゃないか、こういうふうに私考えております。  また、生活協同組合に移りますが、川崎市はごらんの通りの工業地帯でございますので、各所に購買会並びに生活協同組合というものがございます。その最近によりますというと、生活協同組合は先に川崎市の税務署によりまして、国税局の指令を見まして、個人利益の生活協同組合でございますので、課税の対象を受けましてこれが一応整理されました。最近では非常にその会員の数も営業数も減りまして、今のところでは、川崎市については生活協同組合の被害というものは中小企業者にはないように感じておりますが、半面工場に組織されております購買会でございます。その購買会の運営がいわゆる市価のネット価格の一割ないし二割ぐらい安く売っておるのでございます。たとえてみますというと、薬品なども原価七十五円ぐらいするものを五十円ぐらいでもって販売しております。これはこの調査をいたしましたところが、その大会社の健康保険組合の基本金をそれに導入いたしまして、そして一般会社の従業員に販売しておるのでございますが、会社の従業員だけならばさして影響もないのでございますが、これを員外者、会社の従業員以外の者にこれを販売しております。それがために非常に川崎の小売商人は困っておるような状態でございまして、何らかこの法律の処置をきめていただきたい、こう存じております。  まことに私のこの本席に対します御説明が雑駁でございましてまことに申しわけないのでございますが、この程度をもちまして御容赦願いたいと思っております。
  82. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでした。   —————————————
  83. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、京都市市会議員末本徹夫君にお願いします。
  84. 末本徹夫

    参考人(末本徹夫君) ただいま御紹介を得ました京都市会の末本でございます。私どもがこの席上におきまして参考人といたしまして意見を徴せられておりますこの法案は、すでに去る四月二十七日の衆議院を経まして、目下参議院におきまして審議中でございます法案でございますので、私ども五大市側といたしましては、個々のいろいろな意見はございましても、一応地方自治体といたしまして、このような事実の上に立ちまして、参議院におきましてもこの法案が可決いたされるのでございますならば、さきに地方自治法の一部改正におきまして決定実施を見ましたところの大都市に関する特例、すなわち、大都市制度確立という点から御慎重に一つ御配慮をお願い申し上げたい、かように思うわけでございます。  結論を先に申し上げますと、この法案におきましては、組合監督などに関する厚生大臣の権限を知事に委任し得るというふうに規定されておりますけれども、これを地方自治法の特定都市、いわゆる五大都市につきましては、指定都市を単位に、指定都市の市長にも権限を委任し得ることに御修正をお願い申し上げたいというふうに私ども考えておるわけでございます。  このように大都市を含みますところの府県におきまして、組合を複数にいたしますことによりまして、午前中にいろいろと問題になっておりました反対意見の中にもございましたそういったいろいろな問題点も、かなり解消されるのではないかというふうに私どもは確信を持っておるわけでございます。  以下、私どもが主張いたします点につきまして、要点について簡潔に説明申し上げたいと存ずるわけでございます。  この法案に盛られておりますところの立案趣旨というものにつきましては、提案理由の中に詳しい御説明がございますので、私どもといたしましてはそれを繰り返す必要はないと思います。問題になります点は、この法案の適用を受ける業種の衛生的取締りに関しましては、母法がございまして、食品衛生法あるいは興行場法あるいは旅館業法というものがございまして、こういった三法に関する認可というものは、地方自治法の大都市に関する特例によりまして、すべて知事から指定都市、いわゆる五大都市の市長の権限に移され、また、この中にございますところの届出営業である他の種業の届出につきましても、これが市長の機関になされることになっておりまして、従いまして、衛生上の取締りや指導につきましては、いずれもこれは市が行うということになっているわけでございます。従いまして、本法によりますところの組合が行う日常活動は、すべて市の衛生行政と密接不可分の関係にございまして、知事は従いまして、市内に関する限り何らの権限がないというのが現状でございまして、この法案は右の地方自治法の大都市の特例の制定以前に、前通常国会におきまして立案いたされ、今国会まで継続審議せられたものでございますから、立案当時におきまして組合を府県単位とし、府県知事の権限のもとに置かれましたことは、当時の事情といたしまして一応首肯はできるのでございますけれども、すでに今申しました大都市特例が昨年の十一月から実施に移され、本法の対象となっている営業の具体的な衛生措置につきましては、すべて五大市の市長の権限によって行われております以上、当然に私どもは、国会審議過程におきまして、指定都市単位に市長を行政職とするように修正がなされるものと確信を持っていたのでございます。ところが、衆議院におきまして、本法審議のため社会労働委員会において小委員会を設けられ、各般の点につきまして、自社両党において協議をいたされました結果、五大市の立場についても了とされるところがあったのでございますが、結局は、法律の規定上は何らそれが認められることがございませず、政令をもって、知事に委任する場合に、重要事項についての知事の処分に当りまして、指定都市の市長の意見を聞くということや、知事が市長と意見を異にする場合は、厚生大臣の判定を求めることなどの点を政令に規定することを委員会として要望するということにとどまったわけでございます。先ほども申しましたように、これら営業に関する衛生行政の実際は、すべて五大市においては市長の権限になっておるのでございます。なるほど、三営業法規において各地方単位の基準の設定につきましては、府県条例または規則によりまして定められるわけでございますが、組合活動はこの基準自体に関するものではございませず、この基準のもとに行われる実際の営業活動を実質的に規制しようとするのでございまして、同じく基準の名を用いてございましても、組合の場合におきましては、府県の一般基準のもとにおける実施上の標準たるにすぎないわけでございます。一般基準のもとにおける認許可、指導、取締りなどの行政は、市長の権限でございますから、組合活動は全く市長の日常行政の分野と一致するわけでございます。従いまして、行政権のあるところに組合行政の権限を与えるというのは当然であるとわれわれは考えるわけでございます。衆議院におきまして、この挙に出でず、単に、きわめて特別の場合に、しかも組合直接にではなく、知事に対して市長が意見を述べ得るとのみ規定いたしましたことは、この日常的な組合活動と日常的な市行政との間に接触がないこととなり、その間に摩擦や矛盾を生じ、組合運営を困難ならしめるおそれが多分にあると私は考えるわけでございます。それだけではございません、市は条例あるいは規則をもちまして、府県の定めました一般的基準に、市の特殊事情により生ずる基準、条件を付加する権限が与えられているわけでございますが、これによりまして、大都市の付加的基準条例または規則が制定いたされました場合においては、その混乱は一そう激しいものと言わざるを得ないと思うのでございます。すなわち、市側は衛生関係法規に基いて保健所を通じ、府県側は本法案に基いて各同業組合を通じ、それぞれ同じ対象に対しまして指導、取締りに当ります結果、これが競合いたしまして、またまた、ここに二重監督、二重行政が再現いたしますとともに、業界にも非常に混乱を起すことになり、ひいては責任の所在が明確を欠くことになり、行政の円滑を欠くことにもなると私ども考えるわけでございます。また、この法案の規制を受けます業種は、いずれもきわめて局地的性格を有するサービス業務でございまして、府県のように、各種の社会を包含する地域を通じて、統一的に規制すべき必要性に乏しいものであると考えられるものでございます。むしろ大都市におきましては、大都市特有の事情に応ずる組合活動が必要でございまして、組合活動を集中する意味からも、私どもはわれわれの主張が正しいのではないかと考えるわけでございます。事実、現在存しますこの種組合におきましても、大都市の比重はきわめて高く、また、大都市、市部の活動が特に緊密でかつ活発であるということによりましても、この間の事情ははっきりと証明されるかと思うのでございます。従いまして、組合活動の合理化という点から考えましても、事情を異にし、かつ事実上独立的に活動しております大都市組合に対しましては、法によりまして、その独立の地位を与える必要があるというふうに確信を持っているわけでございます。さらに、利用者、消費者の利益を擁護するという点から見ましても、適正な料金または価格の判定につきまして、組合から適正化規程の申請があって、知事がこれを認可するに当り、審査の基準となります第九条第二項各号の判定、ことに営業者が適正な衛生措置を講ずることが阻害されない最小限度の範囲の容量または販売価格の算定は、適正な衛生措置を講ずるよう常に直接営業者指導を与えている市側が行なってこそ、初めて適正な判定ができるのでございまして、直接これに当っておりません府県側が行うことは、現実に当面した場合きわめて困難であることが予想いたされ、終局には、利用者、消費者の利益が阻害されるおそれがあるというふうに、現実の問題から私たち考えるわけでございます。私ども五大市は、現行府県制度のもとにおける最も実行的な大都市制度といたしまして、特別市制の実現を多年主張し連動して参ったわけでございますが、昨年の地方自治法一部改正によりますところの十六項目についての大都市特例の制定の際に、他日府県制度及び大都市制度の根本的な再検討がすみやかに行われるとのことで、特別市制度の廃止を見たのでございます。従いまして、その現実的な裏づけは、ただ十六項目の名実ともの完全移譲、大都市特例の完全なる実施にあるというふうに言わざるを得ないのでございます。しかるに、今回の法案は、表から行政権は移譲するが、裏面においては組合の統制を通じて、市に与えた行政権を実質上は無効にしようという結果になるわけでございますので、これはわれわれのとうてい容認できないところでございます。私ども五大市は、参議院の皆様方の審議におきまして、この点に関し正しい行政のあり方に返していただきますために、正当なわれわれの主張を入れていただき、指定市には、五大市には独立に組合を設け、行政権のある指定都市に、組合に関する行政の権限を直接お与えいただけますよう御修正下さることを強く要望いたすものでございます。このための修正点は、大体次の三点に尽きるかと存ずるわけでございます。  第一点は、第六条の組合の単位及び区域を都道府県及び指定都市とするということ、第二点は、第五十八条の環境衛生適正化審議会を都道府県のみならず、指定都市、五大市にも設けるということ、第三点は、第六十四条の厚生大臣の権限の委任を都道府県のみならず、指定都市、五大市の市長にも委任し得るというふうにすること、この三つの点に尽きるかと思うわけでございます。大都市制度を確立いたして参りますことは、現実的、具体的には、今日の日本の政治情勢あるいは歴史的現実から見まして、まさしく地方自治を内容的にも、制度の上からも確立していくただ一つの方法であろうかと私たちは確信を持っているわけでございます。そしてこの日本地方自治の内容の確立、制度の上からの確立こそ、わが国の民主化のかなめであるというふうに確信を持っているわけでございます。われわれがそういう問題意識に立ちまして、このたびの法案考えまするときに、どうか参議院におきましては、このような立場から、私どもが主張しておりますような御修正をこの国会においていたされまするように、私ども五大市側としては強く要望いたすわけでございます。  簡単でございますけれども、五大市側の一致した意見を申し述べまして、私の参考人としての意見を終らしていただきたいと思います。
  85. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでございました。   —————————————
  86. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、次に、産経時事論説委員和田進君にお願いいたします。
  87. 和田進

    参考人(和田進君) 私産経時事の和田でございます。ただいままで参考人の方がお述べになりましたお話は、非常に具体的な問題を含んでおりましたが、私が申し上げることは、いささか抽象論に走って、その点まことに申しわけないと存じますが、この法案を拝見いたしまして感じたところをお話し申し上げて、もし御参考になれば幸いと存ずる次第でございます。  まず最初に、との法案を拝見いたしまして私が感じましたことは、この法案が、この法案の題名であるところの環境衛生関係営業運営適正化に関する法律案という名前を持ち、そしてそれが社会労働委員会にかかっているということ、それが私には何かしっくりこないのであります。と申しますのは、どうも全文を拝見したところ、その立法の趣旨が果してどこにおありになるのかということが、一がいに言えないように思うのであります。言葉をかえて申しますならば、これが果して公衆衛生立法なのか、あるいは経済立法なのかという点がはなはだあいまいであると思うのであります。この点は衆議院審議過程でも二、三の方から御質問がありまして、提案者からお答えがありました。そのお答えというものは、結局これは公衆衛生立法であり、それが中心であるが、経済立法を加味するものだということでありました。私はその御説明だけではわからないのであります。むしろこの法案を拝見した実感から申しますと、反対なのであります。経済立法的な意味が非常に強くて、公衆衛生立法はつけたしのような感じがいたします。もしそうだといたしますならば、このほど衆議院を通過いたしました中小企業団体法との関係は一体どうなるのか。ところが、提案者の衆議院における御説明によると、中小企業団体法は経済立法であり、これは公衆衛生立法だから違う、こういうことであります。要するに、非常に形式的な管轄的区別であるにすぎないのであります。それではどうも納得できないのであります。その点をまずこの法案を拝見したときに感じた次第でございます。  そこで、その点をもう一つ別の点から申し上げますと、たとえば第一章の目的、第一条を読みましても、また、提案理由説明を拝見いたしましても、非常に公衆衛生上これが必要なんだというところへ行くまでの持って参り方が非常に回りくどい、最後になるほどこれは公衆衛生立法なのかというふうに思わせるような説明で、言葉を強めて言いますならば、索強付会的なところが非常に強いように私は感ずるのであります。と同時に、実際にこの提案理由説明を拝見いたしましても、これらの業種は大体脆弱な業態である、従って、ここで過当競争というものが始まると、どうしても衛生上から見て好ましくない結果を生ずる、それを防止するためにこういう措置が必要なんだという御説明であります。ということは、そういう脆弱な業態をいかにして強化するかということがやはりおもな目的になるのじゃないか、こういうふうに私は感ずるのでございます。そこで、もしそういうふうに考えました場合に、ここで環境衛生同業組合というものを業界の方々が自主的にお作りになった場合に、名前は自主的で業界の方々が任意加入でお入りになるのでありますから、民主的に運営はされるわけでありましょうが、弱体な業者を整理するということは、結局この法案の結果として現実的に出てくる問題じゃないか、こういうことも考えられないわけではございません。ということは、半面から申しますと、この法案に反対する方がよく言われます既得権を擁護する結果を生じはせぬかという心配も成り立たないわけではないような気がいたします。もっともこういう問題につきましては、適正化審議会でございますか、があって、公平な審議をするからそのような心配はないという提案者側の御答弁もわからないではございませんが、その場合はあとで申し上げますように、審議会の力、実際的な役割がどこまで果されるかということにつながってくる問題であろうかと存じます。  それからこの提案理由の中で、こうした数々の問題は、行政上の指導監督によって改むべきではありましょうが、従来の実績から見ても手不足関係どもあって、行政力のみによって万全を期すことはきわめて困難である、従って、業界の自主的組織を通じて過度の競争による弊害を除くんだということがここに出ておりますが、私も考えますのに、先ほど主婦連の方からもお話がございましたように、これは本来すでに衛生諸法規がございまして、その諸法規が満足に履行されておるならば問題は起らないはずのものだと存じます。それが徹底しないということは、一面から言うならば、これは現在の政治力の貧困と申しますか、この環境衛生、公衆衛生という点はいつでも政治の上で問題になりますが、非常に日の当らない場所に置かれておるわけであります。これは中央も地方も同じことでありまして、たとえば蚊とハエを追放する運動ども、非常に表面に現われたところは派手でございますが、実際はそれほどの効果は上っておらない。その他公衆衛生に関して何か私どもが実際に自分の身辺においてこうしたい、ああしたいということを感じながらも、それが実行できないということの半面には、その中央なり、地方なり、地域社会の政治力が弱い、つまり公衆衛生、環境衛生関係の予算は非常に少い、結局思ったこともできないのだというような目にしばしばあうのであります。たとえば、この同行政監察報告でもございましたが、保健所が非常に貧弱だということが問題になりましたが、地域社会の保健のセンターになるところの保健所ですら、とにかく必要な人間、専門家の定員すら埋まらないという今日の実情からいたしまして、とにかくこの環境衛生というものが非常に状態が劣悪だということは、必ずしもこの衛生、ここにあげられた業種ばかりではなく、国全体の問題として、つまりもっと大きく申しますならば、国民全体の公衆衛生に対する関心というものが、それほど低いのだということにもなるかと思うのであります。といたしますならば、たとえば、ここでもしこの法文が公衆衛生立法であるならば、公衆衛生立法として、この環境衛生同業組合に、それだけの効果を期待しておいでになるといたしましても、これは同業業者の方には失礼な言い分かもわかりませんが、そういう衛生関係の仕事をしておいでになる方が必ずしも衛生知識が高いとは申されないと思うのであります。結局、そういう一般的国民的なレベルでしかないといたしますならば、そういう組合が作られ、公衆衛生を守るという立場から何かなさろうとしても、あまり大きな期待はかけられないのではないか。それよりもむしろ実は提案者が加味をすると言われた方の経済的な効果の方が大きく出てくるのでないかということが考えられるわけであります。と申しますと、その立法者の御趣意がどこにありますかは別といたしまして、結果的に見て、どうも悪い面が強く押し出てくるのじゃないかという懸念がいたさないでもないのであります。  それで、もう一つこの組合のことで申し上げますと、これはこの環境衛生同業組合だけについて申し得ることではございませんが、日本におけるこれは民主主義一般の問題でございましょうが、一つの組織の民主的運営というものは、まだわが国におきましては、残念ながら、それほど熟しておりません。従って、こういう組合が作られた場合に、やはり何か実力者と申しますか、実権者と申しますか、そういう方がこの組合を牛耳るというようなことになりやすいということが言えるのであります。もし、業者の自主的な自粛的方法によって過度の競争を防止するという、その御趣旨はけっこうでありますが、それがその自主的、自粛的という言葉の実際の持つ意味が、結局、まあ、わかりやすい言葉で申しますならば、いわゆる業界のボスの牛耳るところになるということになっては、これははなはだ好ましくない影響が生まれるのではないか、こういう感じがいたすわけであります。もっとも、これにつきましては、この条文のどこかに役員のリコール制とかということが規定してございますので、切り捨てごめんということはもちろんございませんが、しかし、こういう規定は、いかなる組織の場合にもありながら、実際にはそれほど有効に使われていないというわが国の現状からいたしまして、この組合がどこまで自主的に、民主的に運営されるだろうかということについて、いささか懸念なしといたしません。ことに、その組合が、ここの条文では、任意加入であると同時に、一方では、たとえば、アウトサイダーに対しても料金、営業方法等の制限を命令し得るという強い力を持っておりまするから、そういう場合に、ことにこの問題は慎重にお考えになってしかるべきことじゃないかと存じます。結局、こういう同業組合というようなものができました場合の通弊でございますが、現状が、業者が続出いたしまして、過当競争によって非常に好ましくない状態が生まれているということは、これを反面裏返して申しますと、結局、組合ができて統制的なものになる、その陰に安住をして、そうして今度は個人の創意なり、あるいはサービスというものを生かす努力を失うのでないかということが憂えられるわけであります。この点は、従来のいろいろな例から申しましても大いに問題のあるところではないかと存じます。  それから次に、利用者あるいは消費者という立場から申しますと、やはり問題は料金、先ほどやはり主婦連の方から申されましたように、料金が上るのじゃないかという心配がこれは非常に大きいわけであります。まあ、その料金につきましても、適正化審議会の方でもちろん御審議になるから、そうたとえば業者なら業者が勝手にきめるわけじゃないということはわかりますけれども、まあ、いずれにいたしましても、今の過当競争によって、その衛生施設や何かが劣悪になるということは、結局、反面料金をそれほど安くせずに、その余力を衛生施設の完備の方へ持っていくということを意味すると思いますが、そういう点からいって、料金が安くなってくるようなことは考えられません。結局、高くなることかと思いますが、今もおふろ屋の湯銭の値上げが問題になりましたけれども、まあ、私も仕事の関係で投書などもしばしば見ておりますが、最近の湯銭の値上げということに対する一般の関心というものは想像以上に強いものがあります。たとえば一日にたくさん来る投書の中で、十通ぐらいは、そのふろ銭を上げるなという御意見があるわけであります。その中にときたま一通、とにかくふろ屋でも石炭が上れば上げなければならないのだ、石炭が上るときに文句を言わないで、ふろ屋の値上げばかり文句を言うのはおかしいじゃないか。大体、主婦たちは自分の亭主たちが月給が上るときに一々文句をつけるのかということを言ってこられた方があります。こういう方は、私の見ている限りでは、むしろ生活にゆとりのある方で、ほんとうの裸の民衆の気持というものは、今日少しでも生活費を安くしたいということにあるのでございます。そういう点から申しましても、この法案がもしそういう方向に進むならば非常に大きな脅威になる、こういうふうに感じます。  まあ、それに、たとえば、この料金につきまして、衆議院で、これも提案者が御説明になった中に、とにかく料金が、あるいは商品値段が、安いということは、必ずしも受益者の利益になるとは限らないということを申しておられます。要するに、安かろう悪かろうということをおっしゃったのだろうと思いますが、その反面安くてもいいものがないわけじゃないのであります。たとえば、卑近な例で申し上げますならば、私どもしがないサラリーマンは、散髪屋へ行くにいたしましても、百円の看板が出ていれば安心して行くわけであります。まあ、私はそういうところをよって行くわけでありますが、百円のところで、これは百円並みだと思って出てきたことはないのであります。たとえば施設もよくできておりますし、それから清潔感も非常にある、そういうような事実もあるのでございます。それをもしたとえば百五十円並みにするというようなことになりますと、非常に大衆の負担というものが多くなる、そういう点も一がいに私はすべてが過当競争によってそういう方で無理をきかせておるから悪いということでは割り切ることはできない、こういうふうに思うのであります。まあ、極端な例を申し上げますならば、二、三年前に読んだものでありますが、アメリカのある床屋さんが、一生涯初めの料金と同じ料金でやっている非常に変り者があるというような記事が出ていて、私はおもしろく読んだことがありますが、そういう一つの商人道と申しますか、そういうものはやはりあっていいのじゃないか、これは自由経済のむしろ特徴と申しますか、そういうものがあっていいじゃないかというふうに感ずるわけであります。これは極端な例で例にはならないかもわかりませんが、そういうものではないかと存じます。  それから最後に、先ほどの生活協同組合のお話でございますが、これはやはりケース・バイ・ケースで、一がいに言えないのじゃないか。先ほどからお話がございましたが、まあ極端な、たとえば宣伝で一般の商行為をやっておるということは確かに問題はありましょう。しかし、実際にその職域における職員の厚生福利施設として行われておるような場合に、これすらも小売商の妨害になるというので問題にするということは、いささか行き過ぎじゃないかということを感じます。まあそういう職域で、多少でもそういう福利施設を利用できるということは、勤めている人間からみますと、これが一種の付加給付的な意味を持ってくるわけであります。でありまするから、これは多少の違いがあるにいたしましても、しがないサラリーマンにとりましては非常に大きな違いがあるわけでございまして、たとえば、化粧品が一割、二割安く買えるということでも、奥さんに頼まれてきて、それだけは忘れないで帰るということは、それほど切実に施設のありがたみを知っていることになろうかと思います。そういうような意味で、これはやはり個々の事実についてよほどよくお調べになって、そうしてその影響によって実際にどういう手を打つかということをお考えになったらどらかというふうに感ずるわけでございます。  そこで、結論を申し上げますと、冒頭に申し上げましたように、この法案が果して公衆衛生か、あるいは経済か、そのいずれにその主眼を置かれているのか。それによってこの中にお取りきめになる個々の条文についても幾分検討をされなければならないことがあるんじゃないかというふうに私は感ずるのであります。そこで、参議院ではこれから御審議になりますので、もう一度提案者の方をまじえてその点を深く突っ込んで、せっかくお作りになる法律案でしたならば、一つりっぱなものを作っていただきたいと、こういうふうに感ずるわけであります。はなはだ簡単でございますが、私の話を終ります。
  88. 千葉信

    委員長千葉信君) 御苦労さんでございます。  引き続いて、参考人の方々に対して御質疑を願うことになっておりますが、その前に御報告申し上げて御了承を得たい事項がございます。三巻参考人は先ほど御意見をお述べになったあと退席されましたが、これは先ほど急にお家の方から厳父がなくなられたというお知らせに接せられまして退席された次第でございますので、この点御了承願いたいと存じます。三巻さんには大へんお気の毒なことをいたしたと思います。  それでは御質疑を願います。
  89. 高野一夫

    ○高野一夫君 商工会議所の高橋さんに一、二簡単に伺いたいと思うのでありますが、この法案に関連していろいろな問題について御意見をお述べになった中に、先ほど午前中の参考人の方々の意見とも関連している点が多々あったわけです。そこでまず、私は、実はこの生協と小売業者の問題につきましては、現在参議院にかかっておりまする中小企業団体組織法案の中に、商工組が団体協約をやるその相手方に生協がなり縛るならば、ここで非常に円滑なるあり方の相談ができるのじゃないか、こういうふうに考えてあの法案に非常な期待をかけておったわけであります。御承知の通り衆議院における共同修正によりまして、団体協約、団体交渉の相手方から農協とともに生協を除くことになってしまって、非常に私はその意味において、あの法案に対して失望しておったわけです。ところで、この法案によりますれば、生協が食肉販売をやり、あるいはクリーニング、美容業、理容業等をやるという限りにおきましては、この環境衛生法に入るべき立場にある。そこで、せめてこの法案環境衛生同業組合の中に、この関係の業務を生協が営んでいる場合には、生協がこの組合に入って、ここで一般個々の業者との間の協定と言いますか、生協は生協としてのあり方、小売業は小売業のあり方についてのいろんな円満なる協定ができるんじゃないか、こういうことを私は多少なりとも期待しておるわけであります。これらの点について、商工会議所ではどういうふうにお考えになるか。今も和田さんのお話がございましたが、われわれも適正なあり方の生協についてはむしろ保護こそすれ、これを否定するものではごうもないのであって、しかし適正でない生協、購買会をも含めてそういうことがあるから、そこでこれを防がなければならないと、こう思っているわけであります。そこで、生協はこの環境衛生同業組合の中に入る。これは従ってこれに関する営業をやっている限りにおいて生協が入るのである。こういうことによって、多少なりとも両者の緩和策ができるものであるかどうか、この辺について何か御研究になったことはないでありましょうか、いかがでしょうか。
  90. 高橋重一

    参考人高橋重一君) 今、何か研究になったことがあるかどうかというような御質問でございます。私の方としましては、さっきも八幡から日商の方へ意見を出して、その後通知がなかったと言われた点についてちょっと触れてみたいのでありますが、これは一昨年でありましたか、昭和三十年の十一月に全国意見を取りまとめまして、厚生省並びに関係官庁へ意見書を具申しております。ですから、あの方は会議所へ行ってその具申書を見なかったのだろうと思います。それにつきましては、それぞれ会議所から出ていろいろんな雑誌、あるいは新聞でそのようなことを報道しております。  それから今の、一般商店と生活協同組合の問題について研究したことがあるかどうかということにつきましては、さっき私が申したように、生活協同組合、あるいは購買会というのはあくまでも供給であり、取り次ぎであって、販売ではないんだという考え方を持っております。従いまして、販売行為に近い場合には、それぞれ商店並みの税金なり、あるいは扱いをするようにというような意見でございます。
  91. 高野一夫

    ○高野一夫君 日本商工会議所は、あなたもそのメンバーであるわけですが、商工会議所が二、三年来、全国の生協等の問題について深くいろいろ調査を進めておられる。その内容が適切なる材料であるかどうか、これはわかりませんけれども、とにかく詳細な数字をあげて、あらゆる角度から批判をし、これにいろんな事例をあげておられるわけです。そこで、この日本商工会議所から出ている説明書、パンフレットを見ましても、やはり適正なるあり方でない生協が少からずあるということはこの中に盛られておる。そこで先ほどもお話がありましたが、適正なる生協ははもちろんわれわれはこれを問題にするわけじゃないんだが、適正なる生協のあり方は、あなたのおっしゃる供給であって販売でないという、これはもう当然のことだろうと思うのですが、しかも宣伝を大いにやる、そういうものもなきにしもあらず。そういうようなものをどういうようなふうにしてこれを防ぐかというようなことを、生協当事者と、小売業者当事者との間の折衝と言いますか、これは悪く言えば、今後はけんか腰になるだろう。そういうことにまかせておかないで、各地の商工会議所、あるいは日本全体としての日本商工会議所、こういうものが中心になって、何らか適当なる緩和策か、打開策か、両者ともに生きていけるような方法についていろんな対策をお練りになってしかるべき時期じゃないかと私は思うわけでありますが、そういうような努力はなさったのであるかどうか。そこで念のために、午前中の八幡の長野参考人のお話を伺って、八幡の商工会議所から日本商工会議所に陳情したけれども一片の返事もなかった、こういうような事態がある。そこで、その点についてもふっかけて伺うわけでありますが、さようなことであっては、いつまでたったって生協と小売業者が現在のごとく水と油の状態にあったのでは、なかなかこれは話がつかない、そういう点について何か少しもっと具体的に誠意をもって商工会議所あたりがその調停と言いますか、何か対策を練るあっせん役をお勤めになるお気持はないのか、また、そういうことはやったけれども、やはり効果を伴わなかった、こういうふうな事実でもあるのかどうか伺っておきたいと思います。
  92. 高橋重一

    参考人高橋重一君) その点につきまして、私戻りましてよく上の者に言っておきます。  それから最近ここ三年ぐらいにわたりまして、各地の小売店と生協の摩擦の激しい地区については調査しております。そしてそれによって一応具申書を作って出したわけでございます。さっきの八幡にも送ってあります。ただあの方が見なかったのではないかと思います。
  93. 高野一夫

    ○高野一夫君 八幡の問題は取り消しますが、そこでさらにこの法案にもやはり重要な影響が最後には来ると思うわけでありまするけれども、午前中もお話が出た、午後も出た、本日の参考人のお話を伺うと、ほとんど半分以上の内容がこの生協と小売店に関係したお話に触れたり戻ったりしている。そこで、午前中のお話も出ました通り、私もまた実見しておりまするが、もうあらゆる品物を事実売っているわけです。もう供給でなくして、供給という考え方で見られる状態でなくして、外貌もやり方も百貨店然とした生協の購買として、生協の購買というのはおかしいが、販売機構、そこで一般の組合員外にも自由自在に売っている。売っていないのは機械ぐらいだろうと思うのです。自転車とかそういうものまであらゆるもの、ラジオから何から何まで売っている。そういうようなことにつきまして生協で扱う、これは厚生省関係にもなるわけでありましょうが、商工会議所として、いろいろな市中の商工業者の繁栄性ということもお考えになるべき商工会議所としてお考えになるときに、生協で扱う品目について再検討する必要がある、こういうようなことをお考えになったことがあるかどうか、あるいはそういう実情はないんだということであるかどうかと同時に、それに関連しまして員外利用をどういうふうにして防止することができるか、こういう点について具体的の御意見があるならば、それを聞かせていただきたい。
  94. 高橋重一

    参考人高橋重一君) では昭和三十年に出した日本商工会議所の建議の内容にだいぶ触れておりますからそれを申し上げます。  まず員外利用につきましては、まず身分証明書あるいは組合員証明書を提示して購入伝票制にしろ、これを採用しろと、そして月給からさっ引くようにというようなことを言いました。それから購入金額について制限をしよう、これもやっております。それから扱い品につきましては、そのときの意見書には触れておりません。それから店舗につきましては、生活協同組合、購買会の店舗は工場、事業場などの構内及び従業員専従住宅地に限定し、市街地にある既存の店舗は将来できるだけ整理するようにすることと、そういうふうに書いてあります。
  95. 高野一夫

    ○高野一夫君 生協は一般市民が組合員になる場合があるから、その中に生協の販売の機関ができてもやむを得ないかもしれないが、生協でない大会社の購買部ですね、これについてもやはり同じようなことが言えるわけなんですが、これも商工会議所で十分御研究置きだと思うのでありますけれども、この大工場の購買部がこの工場と関係のない町のまん中にやはり百貨店然としてかまえている、こういう点については、商工会議所としては何かやはり警告でも出すとか、これは少しひどいじゃないかとか、もっと何とかやる方法があるんじゃないかというようなことでも、そういうようなことを折衝されたか、あるいは持たれたか、何か方法を尽されたことがありましょうか、こういうことについて。
  96. 高橋重一

    参考人高橋重一君) それにつきまして、その地区に行きまして向うの生活協同組合の代表者とこちらで相談をいたしておりまして、解決策の糸口を見つけようと努力しております。
  97. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 商業会議所の高橋さんにお尋ねしたい。この農業者、商業者、工業者の増加率を、増加してゆく推移をお話になりましたが、これが特に商業、要するに商人がふえて急激なる増加をしたために過当競争、要するに長時間営業によって無理してからだをいためておる。こういう状態の中で設備の改善、技術の研究というものができない。むしろそこに働いている人には労働強化の問題にまで発展している状態である。これが一般的な傾向であるということを言われた。問題は、私のお聞きしたいことは、こういう工合にして商人がたくさんふえてゆくということ、こういう状態に対して、これはこれでいいというお考えであるか、これをどういう工合にして解決するか、その解決方法について論議されたことがあるか。あなた自身はどういう工合に、こういう急激に商人だけがふえていっている状態についてどういう工合にお考えになっておるか。
  98. 高橋重一

    参考人高橋重一君) 非常にむずかしい問題なんですが、私の方の相談所としましては、やはり弱い業者団体を組織してボランタリ・チェーンの形か、あるいは経済事業を活発にする、つまり資金を出し合ってそういった団体専門の金融機関に預け入れ、融資を受ける、そういうようなことをやっております。そういう面でただこの業界はサービス業関係は、ちょっと別の業界なんですが、こういった法律によって団体を強化させてゆく、一方環境衛生を完備してゆくというようなことがいいのではないかと思うわけです。
  99. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 問題は、長時間労働をやるために、設備技術の研究向上というものはできない。これはやはり需要と供給との関係になるのだが、多過ぎると見ておられるかどうか、業者は。
  100. 高橋重一

    参考人高橋重一君) これはやはり業者が多いと思います。もう一つは、いわゆる生産関係に出さなければならない資金を商業面に投資しているのではないかということが考えられます。ですから、この前の小売業者振興法ですか……、これによってある程度営業時間を規制しようというようなことが起っておる。それ以外に方法はないのじゃないですか。
  101. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから私もそう思うのですが、結局数がふえ過ぎてそして簡単に商売に取りつき易いので取りつくのだ、人の数が多過ぎて全体が困っておるということは、今あなたもおっしゃる通りです。でこれに対して、商工会議所としては、どういう解決方法を、たとえば業者を減らすとか、共同で一つの生活の問題を考える、そういう問題についてはお考えになったことはないのですか。
  102. 高橋重一

    参考人高橋重一君) これは業者の範囲も相当あると思うのです。たとえばおやじさんが勤めていて奥さんがちょっと店を開くというような内職的な形、あるいは停年退職になって老後の慰安だという意味ですかどうかわかりませんが、そうしておかず代ぐらいをかせぐとか、そういうようないわゆる国税を払っていない業者もたくさんあるわけなんです。やはりそれによって生計を立てている業者を一応振興するといいますか、そういう考え方でございます。
  103. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは、参考人に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  参考人の方々には、長い時間きわめて貴重な御意見をお聞かせいただきましたことを厚く御礼を申し上げます。御苦労さんでございました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十一分散会