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1957-04-20 第26回国会 参議院 社会労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十日(土曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   委員異動 四月十九日委員吉江勝保君及び山本經 勝君辞任につき、その補欠として小滝 彬君及び久保等君を議長において指名 した。 本日委員木下友敬君及び藤原道子辞任につき、その補欠として山本經勝 君及び坂本昭君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     千葉  信君    理事            高野 一夫君            榊原  亨君            山本 經勝君            早川 愼一君    委員            勝俣  稔君            鈴木 万平君            寺本 広作君            横山 フク君            片岡 文重君            久保  等君            坂本  昭君            藤田藤太郎君            山下 義信君            竹中 恒夫君   国務大臣    厚 生 大 臣 神田  博君    郵 政 大 臣 平井 太郎君   政府委員    大蔵政務次官  足立 篤郎君    厚生大臣官房総    務課長     牛丸 義留君    厚生大臣官房国    立公園部長   川嶋 三郎君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    通商産業省鉱山    局長      森  誓夫君    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸省観光局長 間島大治郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選連合審査会開会に関する件 ○自然公園法案内閣提出) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(全国電気通信労働組合関  係)(内閣提出予備審査) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(全逓信従業員組合関係)  (内閣送付予備審査) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(全国特定局従業員組合関  係)(内閣送付予備審査) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(国鉄労働組合関係)(内  閣送付、予備審査) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(日本国有鉄道機関車労働  組合関係)(内閣送付予備審査) ○公共企業体等労働関係法第十六条第  二項の規定に基き、国会議決を求  めるの件(全専売労働組合関係)  (内閣送付予備審査) ○旅館業法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 千葉信

    委員長千葉信君) それではこれから社会労働委員会開会いたします。  委員異動報告いたします。四月十九日付をもって吉江勝保君及び山本經勝君辞任され、その補欠として、小滝彬君及び久保等君が選任されました。次いで、四月二十日付をもって、木下友敬君、藤原道子君が辞任され、その補欠として、山本經勝君坂本昭君が選任されました。   —————————————
  3. 千葉信

    委員長千葉信君) 理事互選についてお諮りいたします。委員外転出のため、辞任せられました前理事山本經勝君補欠互選を行いたいと存じます。その方法は、成規の手続を省略して、便宜委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。それでは山本經勝君理事に指名いたします。   —————————————
  5. 千葉信

    委員長千葉信君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。本院規則第三十六条に基き、旅館業法の一部を改正する法律案について、法務委員会連合審査会開会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。よって委員長は、法務委員会連絡いたします。   —————————————
  7. 千葉信

    委員長千葉信君) 自然公園法案を議題といたします。御質疑を願います。
  8. 山下義信

    山下義信君 国立公園は現在十九カ所川ということでありますが、今後なお新たに増加するものがあるようでございましょうか。あるいは現在の十九カ所のこの程度で、もうあと新たに国立公園というものが指定せられることはないというお見込みでありましょうか、いかがでございましょうか。
  9. 神田博

    国務大臣神田博君) 現在指定になっている国立公園は十九カ所、これは御指摘通りでございまして、厚生省といたしましては、いま一カ所と申しましょうか、二十程度国立公園指定いたしたい、こういう方針であります。
  10. 山下義信

    山下義信君 新たに指定されるというようなお見通しで御審議、御検討中の個所はどこでございましょうか。
  11. 神田博

    国務大臣神田博君) 大体今考えて調査をいたしておりますのは、候補地といたしましては南アルプス、それから屋久島等を別途調査いたしております。屋久島、これは鹿児島県にあります。
  12. 山下義信

    山下義信君 国定公園は現在十四カ所でございますが、これも国立公園のただいまお尋ねしたのに準じまして、目下御検討中のものがありますれば承わっておきたいと思いまするし、将来また、国定公園はあるいはかなり新規に御指定の御方針ではないかとも考えられますが、大体のお見通しとしては将来国定公園を新たに指定しまするような個所と申しますか、全体的にどのくらいの国定公園がわが国におきましてはできるという御予定でございいましょうか。
  13. 神田博

    国務大臣神田博君) 国定公園がただいま十四ヵ所でございますることは御指摘通りでございます。今後どのくらい候補地を……、どういう方針かというお尋ねでございましたが、大体今の厚生省方針といたしましては、都市近郊国定公園審議をいたしておりまして、この具体的な内容を申し上げますと、たとえば南房総とか、あるいは水郷地方と申しますか、それから三河一帯地区、それから近畿地方金剛伊駒という所、それから北九州、こういうようなことを考えておりまして、今のところ、国定公園につきましてその程度一つ目標にいたしておりまして、要望はずいぶん強いようでございますが、方針といたしましてはその辺のところで一つ、対象といたしてあまり広げない、こういうような考えで調査を進めております。
  14. 山下義信

    山下義信君 私は実は先年から持論といたしましては、国立公園決定というものはでき得べくんば法律事項にいたしたい、別表第一号国立公園別表第二号国定公園というがごとく法律事項にいたして、国会の意思で決定をいたしたい。国立公園というものが国定公園を含んで、重大な一つの施策としてやるということならば、でき得べくんば法律事項というものがふさわしいように思うというのが、実は私の持論であったのです。厚生大臣権限に御委任申し上げまして別に異存があるわけではありませんが、しかし、従来われわれが耳にするところによりますると、国立公園指定あるいは国定公園指定等について、関係地方の人が熱意を持たれることはきわめて歓迎すべきでありますが、ときどきわれわれが聞くところによりますと、国立公園指定をしてもらうために、もう七年も八年も運動を続けておるというようなことをしょっちゅう聞くのです。私は国立公園とか国定公園とかというものは運動によってきまるのではないので、天下の絶勝はもう数千年の、神武以来あるのでありまして、ですからこの適当な地区指定するというならば、実のところは、一度にみなその何十カ所が決定できる、十年運動してやっと運動目的がかのうて国立公園になったとか、国定公園になったとかということは、これは大へん関係者熱意を持つことはよろしいのでありますが、一面におきましてはおもしろくない印象を受ける。関連いたしまして、あるいは語弊があるかしれませんが、その決定権がほとんど審議会というものにあって、権威がある人たち委員おいでになることでありましょうが、私も敬意を表しますが、その権威ある委員人たちにもう何回も現地に来てもらって、いろいろと運動をして、ようやくうなずいてもらったとかというようなことをよく道聴塗説で耳にする、私は国立公園国定公園等決定を実は法律事項にするのがいいのだというような持論でありますが、将来これは一つ、すでに指定を終ってしまいますれば必要のないことでございますが、この際は自説を私はここで主張はいたしません。しかし、この法律におきましても、実は国立公園国定公園といろものの指定をする基準というものが、法律にない、ばくとした形容詞は書いてあります、絶景であるとか何とかというようなことは書いてありますが、基準というものが法律事項にない、その指定基準なくして指定権限行政府にゆだねるというのは、法律建前としては実はおかしい。基準は別に、資料によりますと、いろいろ内部にお持ちのようでございますか、ほんとう言うたらば、基準法律の表に出すべきだ、その基準に従って指定権限行政府厚生大臣に委任するのが実は順序だ、しかし、私はあえてここでそれを議論いたそうとは思いませんが、お願いをしておきたいことは、一応現在の厚生大臣指定権限、この審議会に御諮問になっておることは私の自説とは反しますけれども、この段階におきましては一応お認め申し上げますが、私は将来国定公園等もいろいろ御調査、御検討になって、大臣として御指定になりまするような前には、もし適当な機会がありましたらば、関係委員会にあるいは事前に御所見をお漏らしになるようにしていただきますることは、その指定を重からしむる意味におきましてもいいのではないかと思いますので、将来そういうふうに運営していただけますでしょうか、どうでしょうか、この際、御意見を承わっておきたい。
  15. 神田博

    国務大臣神田博君) ただいまいろいろ山下委員のお考え方をお聞きいたしまして、私も非常に同感の点が多いのでございまして、従来いろいろ批評があったことについても私はかつて耳にいたしたこともございますし、また、私も地元といたしまして公園指定知事から頼まれて、一つ運動してくれというので、どうも運動が非常に足らない、熱意が足らないからということを知事から聞いたこともございまして、国立公園国定公園運動のいかんによって入るべきものではない、これはお説の通りです。数千年来からの風景規模なりあるいはまたその原始性なり、いろいろなここに示しておるような環境によってきまるのです。それを運動によってきまるというようなことはないわけでございますが、そういう声を聞くことはまことに遺憾に思っております。そこで、法律によるかどうかということの問題につきましても慎重に検討を加えたわけでございますが、先ほどもお答え申し上げましたが、国立が現在十九ございまして、一つか二つふえると大体二十になることになっておりますものですから、まあ今日国定方針といたしましても抑制方針でいこうというような考え方でございまして、国定も十四ということでございますが、それで大体これらと見合った風景でなければ、規模からいきましてもあるいはその原始性、あるいはいろいろな関係から参りましてもこれと遜色ないというものでなければ、国立公園指定国定公園指定をしない、こういう腹をきめておるものでございますから、その類似性というものがはっきり出た以上はまあこの辺で一つ行政府におまかせ願ってもよろしいのではないか。有力な審議会審査一つしてもらう。さらにまた、今お説によりますと、その際においても議会との連絡を密にせよということでございまして、これは私どもは、こういう何といいますか、自然公園法運用等につきましては、何といってもこの公園利用といいましょうか、知ってもらうという意味からいいましても、さらにまた、土地関係あるいは資源関係等、権利に関連する問題も多いのでございますが、国会等にこれは十分一つ報告申し上げることが私は当然なことではないかとこういうふうに考えておりますが、今後この法の運用をいたして参ります指定等の場合におきましては、その前に調査が完了いたしました際に一つ報告申し上げよう。まあどういう形式で申し上げるか、これはあとでいろいろまた検討いたしてみたいと思いますが、そういう気持でこの法を運用して参りたい、こういうふうに実は考えておりますので、山下委員の今のお尋ねにつきましては、全く同感でございますので、そういうふうに考えて参りたいと、かように考えております。
  16. 山下義信

    山下義信君 私が伺いたいと思います項目は、ごく少しでございますが、この国立公園並びに国定公園保護管理に関します厚生大臣並びに都道府県知事関係部分をずっと拝見しますと、両者関係国立公園に関しましては一部ははっきりいたしておりますのでありますが、いろいろな場合におきまして、知事が関与しております部分が非常に多い。国立公園におきましても……、国定公園はなおさらであります。一々はあげません。法律条文を見ますとずっとございますので、一々はあげませんが、これはいつか派遣議員の人の報告書なんかを見ますというと、そのことが指摘してあります。どの県でありますか、指摘してありまして、この国立公園並びに国定公園、これを節で申しますと主として第四節にある、保護及び利用、それから項目で申しますと、特別地域内のいろいろの行為をいたしますところの許可国立公園については厚生大臣国定公園については都道府県知事がすることになっております。それならば、みなそのシステムでずっといくかというと、今度は特別地域内でありましても、すでに行為をやり始めている、若手中のものの届出国立でも国定でも知事限りでよいことになっている。国はもうすでにその行為をやりかけたものに対しては、厚生大臣まで報告がこなくてもよいことになっている。それから非常災害の場合にいたしました行為についてもやはり知事届出すればいい、その他、大竹植栽家畜放牧等もすでに知事限り、普通地域に関する限りは第二十条でありますか、国立公国でも国定公園でももう知事、そうかというと、第二十一条で原状回復命令をする場合は国立については厚生大臣国定公園については知事命令権を持つことになる。やはり二十二条で今度は諸般の報告を聴取し、立入検査をする場合は国立公園国定公園両者を通じて厚生大臣もできるが、知事もできることになっている。それからいろいろの規制をする、その利用についての規制をする場合は、国立公園国定公園を通じて厚生大臣もできるが、都道府県知事もできることになっている、両者を通じてできることになっている、こういう場合になりますと、一方はそれはいけないと、こういうかりに知事規制をしても、本省の係官はこれは大臣権限でする、下部と職員が、国の方ではいやいいのだと、こういうようなことが起きて参りますと、公園等保護管理につきましては、両者の、国と都道府県知事との間の権限といいますか、そういうものが共通の場合であり、ダブっている場合があり、区別されている場合があり、本案を通じまして私どうもはっきりいたさない部分が多いように思うが、そういう感じがこの法律を見ますとするのです。これは実は読み方が悪い、理解も悪い、なれないことでありますから、そういうふうな感じを受けるのだろうと思う。そういう点はちっとも混乱もなければ、不明確な点もないようでありますれば、ないとおっしゃっていただけばそれでよろしいのでございますから、その点承わります。  関連しまして、いろいろ地方都道府県の方へ出しておやりになります補助の率なんぞもちっともない。まあ補助も出すこともできるというようなゆるやかな規定であります。地方に出してやる補助をどれだけやるかということもない、この辺も非常に弱いと思うのです。公園行政が強化されることになりますと、将来の予算はもとよりのことでありますが、補助の出し方等についてもある一定の御方針がなければならない。地方補助をお出しになるのに、本年は三百万円やる、来年はやめた、また、運動が盛んになってくれば、また百万円やろうかということになりますと、公園等は金額は小さくても継続事業でなければ、来年もらえるか、もらえないか当てにならぬような補助の出し方では困るのです。大へんこまかいことを申すようでありますが、こういう点の要望が実は国立公園管理について、国と関係府県との間に非常に連絡がまずくて適当でない現象を私は実際に承知しておる。たとえば青森県、秋田県にありまする国立公園十和田湖に私は参りまして、一つ事件を承知しておる、ある種の事件を承知しております。当局に警告を発しておきました。そういう場合に、国の関係職員都道府県職員との監督の間にズレもあったりいたしまして、非常な不愉快な事件を私は承知いたしておる、そこでこの質問を申し上げたのでありますが、これらに関しまして、当局の御所見を聞いておきたいと思います。
  17. 神田博

    国務大臣神田博君) いろいろお尋ねでございましたので、法の解釈等につきましてはあるいは運用等の問題につきましては政府委員からお答えさせたいと思います。その中でこの補助の率を法律で触れていない、「一部」ということになっておるというふうなあれでございましたが、これは実は政令で二分の一といたしたい、政令ではっきり一つ書くことにしたい、こういうふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  18. 川嶋三郎

    政府委員川嶋三郎君) 前段に御質問の点は、法文上確かにごもっともなところがあるのでございます。これは広い地域の国及び府県の間の公園管理行政規定をしておるためにいろいろと複雑に見えるのでございますが、大略を御説明いたしますと、国立公園につきましては、指定公園計画決定事業は国がやる、こうなっております。ただ県も事業を行えるという建前をとられております。国定公園につきましては、指定厚生大臣がいたしまして、計画の大綱は同じく厚生大臣決定いたします。事業につきましては都道府県知事が行う、こういう建前をとっております。で実際、国立公園及び国定公園の現在の運用規定化しておるのでございまして、従来国定公園については、たとえば特別地域運用等のことについては、従来の国立公園法運用につきまして知事と少しも厚生大臣との間の齟齬は来たした事例はないのでございます。なお、法文上たとえば届出のことなども規定しておりますが、これは届出をした者に対する法的処置はないので、これを知事にまかしておるとかあるいは原状回復規定がございますが、これもそれを処分した主体、たとえば国立の場合には厚生大臣が、国定の場合には知事が処分いたしますが、その処分した主体原状回復命令を出す、こういったようなことも規定しております。従って、全体については条文上はかなり複雑のように見えますけれども、実際の運用においては、従来いささかの支障もなかったと思っております。
  19. 山下義信

    山下義信君 予算は、昔から国立公園関係予算は非常に少いのでありまして、まあ本年は一億前後になっておるような模様でありますが、資料を拝見しますと、どこで立てました計画か知りませんが、観光五カ年計画という中を見ますと、国立公園の設備のために五、六十億、五カ年の間に投ずるというような計画もあるのですが、なかなかすばらしい計画でありますが、大いに私は国立公園礼賛者なんです、実は興味も持っておるのでありまして、大いに国立公園活用について国民リクリエーションの立場から厚生省も奮発していただいて、それの指定だとか、木を切るのを届けさせるという、そういうことだけでなしに、もっと一つ全般的に、観光事業は他の関係官庁もおやりでありましょうが、国立公園活用という面からいたしまして、厚生省も実は積極的に御施策願いたいと私は思う。それで、何も厚生省直営をおやりにならなくても、大いに民間資本でも動員していただいて、私の思いでは、政府も出資なさるか、何か公団的なものをお作りになって、公園利用施設、各種のリクリエーション事業、あるいは各地で問題を起しますようなケーブル・カーの施設でありますとか、こういうようなことも単なる営利事業会社等にまかせないで、大いに一つ公益性のある事業団でも厚生省で考えていただいて、そうしてあるいは国立公園の中にただ民間の一部の人が施設するというだけでなしに、国自体が力を入れられまして、科学博物館と言いますか、水族館というようなものも相当の規模一つお作りになって、温泉もありましょうし、国立温泉もよろしゅうありましょうし、国立運動場あるいはゴルフ揚国立もよろしゅうありましょうし、これは国立公園国定公園を通じまして、私は決して民間人利権本位に、収入本位に、先ほども仰せになりましたようないろいろな運動をくぐってあるいは国から許可を受け、あるいは関係都道府県知事から許可を受けて、大規模な人もあろうが、いろいろな人たちがさまざまにやっている、こういう状態も私は大いに検討すべきじゃないかと思うのです。無料で国民国立公園国定公園を開放する、これは当然原則でありますが、かりにですよ、かりに国立公園入場料を一人十円取るとかりにいたしますと、そうしますと、資料によりますと、四千五百万人一カ年に国立公園に行く者があって、約五億の金があがります。十円取るのは不都合のようであるが、国立公園に入りまする入場料を十円取るといたしましても、そのクーポンが……、中の個人がやっておられる植物園に入るのに三十円取られている、水族館の場合には五十円も取っている、なかなか大きな金もうけをしている関係事業者があります。そういうところに、その十円の入場料をパスとして通れるということになりますと、非常にその方が国民にとりましてはよい、これは一例でありますが、何か政府の方におかれましても、国立公園国定公園を通じまして、民間の一部の人の利権的な収益事業でなくして、公益性の非常に富んだそういうような筋の立った利用事業と言いますか、そういうものについての一つ検討を私は願いたいと思うのです。これは質問ではありますが、根本的に国立公園活用並びにその利用施設等につきまして、一つ厚生省でも研究してみていただきたいと思うのですが、いかがでありましょうか。
  20. 神田博

    国務大臣神田博君) 今の山下委員の御要望もっともでございまして、まあこの観光事業振興五カ年計画内容というのは、これは厚生省一つ希望と言いますか、こういうようなあり方にいたしたいという理想を一つ立てたわけでございまして、山下委員のお説まことにごもっともでございますので、今後十分一つ努力いたしまして、御趣旨に沿って参りたい、ますます観光方面も開発して参りたいと、かように考えております。
  21. 山下義信

    山下義信君 私が今申し上げた最中は大臣はお聞き願っていなかったようでありまして、不満なんです。実は国立公園厚生省が所管して、持っておいでになってあんまり興味もお持ちにならずに、これを重要視なさらぬようであったら、私の質疑中に横を向いておいでになるような程度なら、これは建設省へでも、運輸省へでもお譲りになったらどうでしょう。せっかく国立公園法を作って、ただその地域指定するじゃの、それから管理じゃのと、いろいろなことを制裁しておかれても、みんな国立公園へ登って行きますると、国立公園を愛して、その国立公園利用しようとする国民が行ってみますと、目抜きの場所や、適当な場所には皆入場料を取って営業としておるものが占拠している。私は本来ならば、いつ何者許可を取って、何者が経営して、その経営主体はだれであるか。いかなる利益を上げているかということを全部の国立公園国定公園を含めて、私は調査したいのです、実のところは。どこの国立公園へ行っても、たとえば水族館をちょっと作って、よいかげんのものを実に目抜きの場所に作ってそうして百円の入場料を取っておりますよ。小学生五十円皆取っておりますよ。それで一年たたぬ間にその建設費は戻っておる。私どもはそういうようなところを実際に見て承知もしているのです。国立公園法は規則ばっかしが大事じゃないのであって、その国立公園の運営が大事なんである。国立公園指定をしますというと、非常に評判が高くて、直ちにその利用者が激増するのです。その運動をするのは、関係の業者が非常な利益をこうむるから指定運動をしているのです。そういうことをそのままにしておいておきますることは、私は国立公園の真の対策じゃないと考えますので、一つ本格的にこの開発と言いますか、利用施設とかいうものを、これは民間の適当なものにどんどん許可して、茶店もよろしい、ケーブルもよろしい、水族館もよろしい、食堂もよろしい、旅館もよろしい、私は厚生省を愛するがゆえに申さない事例はたくさんある。しかし、関係局長には申しておきました。いかがわしい許可や、いかがわしい業者にやらしてはいけない。全部にわたって厚生省が本腰になって、外郭団体でもいいじゃありませんか。大きなものを作りませんか、施策を一つ考えていただきたいということを今希望を申し上げたのです。今度は聞いておられるようでありますから、御答弁を願いません。  最後に一つ、これもお願いでありますが、国立公園の中に、もう先年芦の湖でありましたか船がくつがえりましたですね。ここに麻布の中学生が参りまして多数の犠牲者を出したのです。近来国立公園利用者が多いにつれまして、その交通事故というものもこれも軽視できません。バスがひっくり返る、湖の船が返る、いろいろに非常に事故の発生も多いし被害者も多いです。犠牲者も多いです。この国立公園の中の交通関係は、これは運輸省だというようなことをいうて傍観していてもらっては困る。やはり国立公園利用に関する限りは、その範囲内に関する限りは十分に一つ干渉をなさってそうして関係官庁にも警告をなさつて、私はそういう事故の起きないように御留意を願いたい。一つ注意を運輸省なりそういう交通関係官省あるいは施設その他事業会社、団体等に危険のないように、事故の起きないようにあらかじめ、起きたあとやっておっちゃいけませんから、どうか一つシーズンにも向いまするし、大臣からその辺を十分用心深く注意を与えておいていただきたい。よそへ注意するのでありますかう、よそへ注意するくらいなら、自分の中も注意しておかねばいけませんから、その国立公園の中におきまするいろいろな公衆衛生関係に不都合のないように一つ、特にシーズンを控えまして御留意を願いたい。希望を申し上げておきますので、御所見を承わっておきたいと思います。
  22. 神田博

    国務大臣神田博君) 国立公園の整備の問題、また、いろいろ国立公園利用者の事故等の根絶の問題につきまして、非常にいい御注意をいただいたわけでございまして、これはもう厚生省といたしましては、当然これは十分徹底するようにやらなければならない仕事でありますので、せっかくの御要望もございましたので、なおそう一つ徹底するように、ことにシーズンも間近でございますので、さっそく手配いたしたいと、かように考えております。
  23. 高野一夫

    ○高野一夫君 この法律案は各省に非常に関係が深く、またがっているようでありますので、時間の関係もありますから、きわめて簡単に、各省関係の問題点について私は伺ってみたいと思います。  まず第十七条に特別地域指定がある。その地域においてはいろんな制約を受けることになっております。その制約はいろいろここに上げてありますが、まずそのうちの代表的なものとして鉱業権の問題がある。そこで地域内にすでに鉱業権を設定しておってそれを取り消される場合、あるいは採掘が許可にならない場合、こういう場合が出てくるわけであります。それは三十五条によって損失の補償をするということになっているのでありますが、この点は従来国立公園法でもたしかこうなっているように聞いているのでありますけれども、伺うところによると、従来もこの鉱業権に関する問題で、すでに五十か六十件にわたる損失補償の申請があったはずであるにもかかわらず、ほとんど一件もこれに補償が行われた例がない。それは申請が適正でなかったのかもしれませんが、例がない、こういうことでありまするが、この点について今後厚生省はどういうふうにお考えになるか。これは公園部長から伺います。  あと通産省の鉱山局長がお見えになっているならば、この法案が実施された以後におけるその問題についての御見解を伺っておきたいと思います。簡単に……。
  24. 川嶋三郎

    政府委員川嶋三郎君) 自然公園の中の財産権で鉱業権は大きなものでございますので、御質問の点について若干広く御説明いたしたいと思います。従来ありました財産権の尊重のために、公園指定の際に、できるだけそういう採掘が始まるような場所については、はずすということをしておりますが、しかしながら、実際には、そこに鉱業権があり、また、それを掘りたいという希望が出てくる場合があるのでございます。それにつきまして、御指摘のように、十七条によって措置をしていくわけでございますが、ただいま御指摘の案件につきましては、従来小許可にした事例はなかったのでございます。それは、できるだけその権利を尊重するという建前から、その掘り方、あるいは運搬のし方、その他の施設につきまして条件をつけまして、風致を損傷しないように条件をつけまして許可をいたしておるので、不許可にした事例はなかったのでございます。ただ最近一件その事例が出ておるのでございます。これにつきましては、この法律の三十五条によって、通常生ずべき損失を補償するという建前で考えておるわけでございます。
  25. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 従来も、国立公園法のございました時代から、国立公園指定とか、あるいは管理等の行為が、鉱業権の設定、行使と非常な深い関係がございまして、両省間でいろいろ協議をして参ったことは多いのでございますが、今回の自然公園法の場合も、大体同じようなものが考えられるわけであります。そこで、この自然公園法厚生省において立案をせられるに当りましては、われわれも協議を受けまして、われわれの希望する条項は、あるいは法文に盛り込んでいただき、また、法文に盛り込むことが適当でない軽微な、あるいはまた運用上の事項につきましては、両省の覚え書をかわすということになっておりますが、それらを通じて申し上げますると、たとえば特別地域におきまする要許可行為の処分をする場合等は、両省が一括した歩調の合った措置を取る。また、それについては当然十分な協議をして、われわれの同意を得ていただくということになっております。そのほか、国立公園内における行為の禁止、制限、あるいは必要な措置を命ずるというような場合にも、協議をしていただきまして、われわれの同意を得ていただくということになっているのでございます。この国立公園事業と、鉱業の運営、鉱物の資源の開発と申しますか、この両者の調整につきましては、鉱業法に同様な規定がございまして、公園事業に著しい支障を及ぼさないように留意した規定がございまするが、実際の運用に当りましては、両者公益性を比較しまして、できるだけ両者が両立するような方法を考えていくということでやるのでありますが、どうしても両立しない場合に、どちらが譲歩するかということになりますると、両者公益性程度を比較してきめていくということになってくると思います。過去におきましても、特別地域内に硫黄鉱山の開発を認めてやってきた事例もございますが、そういう場合にも、これはむしろその硫黄資源が国家的に見て非常に埋蔵量も多いし、重要なものでありますので、両立させるように工夫をして、事実そのようにして運営をやって参っております。また、今後の運用におきましては、できるだけ先ほど申しましたように、両立をさせるということで、ほかにどうしても方法がないという場合でない限りは、できるだけ厚生省の方も鉱業開発に対して許可を与えていくというような覚え書も実は従来からできておるわけであります。そういうわけで、今後とも両省がよく協議をしてやっていきまするならば、公園事業の振興と鉱業開発とが両立してうまくいくのではあるまいかというふうにわれわれは考えておる次第であります。
  26. 高野一夫

    ○高野一夫君 私はこの損失補償の点について限局して伺っておるのでありまして、そのほかの点は御答弁の必要がありませんから、時間の都合もあるので簡単に御答弁を願いたいのでありまするが、三十五条の三によりますと、補償すべき金額はすべて厚生大臣決定することになっておる。それで、そういうような鉱業権に関するような場合は、この法律に関する限りは厚生大臣決定することになっておるけれども、通産省の方で、特に鉱山局あたりでの裁定といいますか、その御意見が強力に働いて、それによって私は実際の金額というものはきまるものだと思うのでありますが、こういう金額をきめるに当っては、何か適当な基準と申しますか、あるいはまた、きめる機関、そういうものがあるのでありますか、通産省の方に伺いたい。
  27. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 鉱業の運営がほかの公益のために支障を生じた場合に、それに対して損失を補償するという場合は、この自然公園、これとの関係以外にも、たとえば電源開発のために鉱業開発地帯が水没するというような事件がありまして、いろいろあるわけでございますが、その場合の損失補償の基準としましては、これは昔からいろいろ欧米の学者の研究によりまして、いろいろな説がありますが、大体われわれとしてはホスコルドの方式というものを従来採用いたしております。これは埋蔵鉱量を基礎にしまして、通常のその採掘による一トン当りの利益というようなものを次に考えまして、それらから損失補償額を算出するやり方でございますが、このことは、電源開発を原因とする水没によって鉱業の運営ができなくなった場合について、これは明文をもって一つ規定ができておるわけでございます。そういうものが非常な参考になろうかと考えております。
  28. 高野一夫

    ○高野一夫君 その方法はそれでよいとして、それを決定するのは、従来公園法以外に関するものは、それは通産省だけで御決定になるのでありますか、何か審議会とか委員会のようなものでもあって、それに諮問されておきめになるのであるか、それを伺っておきます。
  29. 山本經勝

    山本經勝君 ただいまの質問に関連して二点お伺いしておきたいのですが、先ほどの御答弁を承わっておりますと、鉱業権が設定されて、それがあるいは国立公園等の指定地域に該当すると、こういうことになっておる。そこで、調整して両立をはかると言われますが、その場合に損害の補償が問題になってくるのでしょうが、たとえば鉱山の採掘によって土地の陥没等が起る。その場合には、両立しておるときにはどちらがその損害の補償をすることになるのでしょうか。採掘をしておる鉱業権者というものが補償をするのか、その点がはっきりせぬと困ると思うのですが、どうなんですか。
  30. 森誓夫

    政府委員(森誓夫君) 補償額をきめるのに何か審議機関があるかということでございますが、これはそういう審議機関は、従来われわれが事柄を処理した場合にはないというふうに考えております。そして実際のやり方としましては、自然公園法関係ではございませんが、土地調整委員会の勧告によって鉱業権の取り消しをする場合でございますが、この場合には、通産省で一応の補償額の予想を立てまして、これを大蔵省に要求をする、そして大蔵省と通産省と協議して金額を決定するという仕事のやり方になっておる次第であります。  それから先ほどの、陥没をした場合には、どちらが補償するかという問題でございまするが、これは非常に複雑な問題でございます。しかし、大体そういう陥没によって自然公園に損害をかけるようなところには掘採は大ていやらさないということで、そういう事態はあまり起らないということで現実は過ぎてきておるわけであります。
  31. 山本經勝

    山本經勝君 先ほど大臣の御説明の中にあった、北九州国定公園に関する候補地があるんですが、この国定候補地というものはどこをおさしになっているのか、ちょっと承わっておきたいと思います。
  32. 川嶋三郎

    政府委員川嶋三郎君) 御質問は、場所でございますね。北九州の小倉、門司、八幡、この南側の——裏側にございます現在筑豊県立公園——福岡県立公園になっております。
  33. 山本經勝

    山本經勝君 これは私も若干話が出たことがあるのですが、地元で非常に議論のあることで、御承知の通り、前から申請されて決定を見ずにおると思うのですが、特に北九州は工業地帯として御承知の通りの状況にある、きわめて重要な日本における国内産業の中枢をなしている。従来ありました法律にも載っておることなんですが、十七条を見ますというと、竹や木等を伐採するとか、あるいは鉱山の採掘あるいは土石の採取、こういうような問題に関連をもってくると思うのですが、たとえば工場地帯は煤煙が非常に強い、そうしますと、煤煙による竹木等の被害もあるのだろうと思うのであります。こういうような状態、あるいは土石の採取のためにここでは相当問題になってきておると思うのですが、むろんこれは審議会に諮られて最終的には大臣が御決定になる、こういうことなんですが、そこでここらが非常に問題になろうと思う。そこで大臣の方に伺っておきたいのは、今の公益的重要性を尊重するという立場をとられることは当然でありましょうが、特にこうした鉱工業地帯における重要な、いわゆる産業の中枢をになっております地帯——公園というものの重要性もむろんあるのですが、それであればあるだけに必要性はあるのですが、しかし、そこら辺の重要度をどういうように御判定になるのか、そこら辺の基本的な考え方一つ伺っておきたいと思います。
  34. 神田博

    国務大臣神田博君) 今、山本委員お尋ねになりましたことは、非常に私ども十分留意しておるところでございまして、国立公園あるいは国定公園地域等を指定することによって、当該地方にあります産業に及ぼす影響、これは現に稼働しておる産業はもとよりでございまするし、同時にまた、資源として埋蔵されているとか、あるいは未利用に残っているというようなものは当然十分考えまして、できるだけ一つその地区を除外して参りたい。被害の起らないような措置をとって参りたい。こういうような根本的な方針をもって処理していきたい。そういうように考えております。
  35. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は、もう時間も切迫しておりますから、運輸、農林、建設関係の問題で一括して、同じような種類の問題でありますから、厚生省との調整問題について伺っておきたいのであります。運輸関係といたしましては、この十七条に関連いたしまして、そういう地域に鉄道を敷設する、あるいは国営バスを通す。あるいは港湾施設をする。こういうような場合、建設関係では国道を開設する、あるいは農林関係では開墾、干拓等の問題がある。そういうような場合には、この公園指定地域に関する限りは、すベて厚生大臣許可ですか、がなければならぬことになっているわけであります。そこで鉄道にしましても、バスにしても、港湾にしても道路にいたしましても、そのほか農林関係の開墾、干拓にいたしましても、多く、地方の方からいたしますれば地方民の利便とか、あるいはいろいろなそのほかの利害関係から、鉄道敷設をしてもらいたい、国道を作ってもらいたい、バスを通してもらいたい、港湾の敷設をしてもらいたい、こういうようなことの考えで陳情もあるだろうし、また、運輸、建設、農林関係はそれぞれの立場からそういうようなことをお考えになると思う。そこで厚生関係としては、たとえばこれは風致を害するから、ここは困る、あそこは困る、こういうことにもなってこようかと思うので、この間の調整ということは、今後私はこの指定地域が広大になればなるほど非常な複雑な問題が起ってきはしないかと思うのでありますが、運輸、農林、建設の各省お見えになっておるかどうか知りませんが、もしお見えになっておらならば、この点については、厚生省と円滑に話し合いを進められるものとお考えになるかどうか。また、厚生省の方でもこの点について各省との協調は円滑に話し合いをつけていけると、こういうような確信をお持ちであるかどうか、それを運輸、農林、建設並びに厚生関係から伺いたいと思います。
  36. 神田博

    国務大臣神田博君) この公園地区指定に際しまして、関係各省との連絡がうまくつくか、いろいろ問題をはらんでおるからその点についての見通しはどうかというお尋ねのように承わったのでございます。厚生省といたしましては、関係各省のそれぞれの立場を十分了承いたしておりますので、話し合いをつけて、そうしてこの法案を運用していく、こういうような考えでございまして、話し合いがつかなければそれはやらない、こういう考えでございます。よく一つ御理解願って御協力願う、こういう考えでやっておりますので、御了承願います。
  37. 高野一夫

    ○高野一夫君 運輸関係の方から……。
  38. 間島大治郎

    政府委員(間島大治郎君) 運輸省関係事業この国立公園並びに国定公園都道府県公園内部にもたくさんあるわけでございますが、これにつきましては、国の行う事業、たとえば国鉄につきましては十七条、十八条の適用を受けないで、その場合にはこの機関の長から厚生大臣の方に逆に協議する、こういう建前になっております。それから民営の場合につきましては、この適用を受けるわけでございますが、まず特別地域指定というふうなことにつきましては、この法律の第三十九条によりまして指定地域をきめます場合、あるいは拡張するような場合、または公園計画決定というふうなものは運輸大臣が協議を受けることになっておるわけでございますが、一たんきまりましてから、その後にまた鉄道の敷設あるいはバス路線の新設というような問題も起るわけでございますが、そういった場合は、あるいは指定の区域から除くというふうなことにもなります。あるいはまた、特に許可を得て、この敷設を認めてもらうというようなことにもなるわけでございますが、こういった点は、結局両者の協議によって円滑に運営をやっていくより仕方がないと考えております。まあ私どもとしましては、厚生省当局の方もそういった点につきましては単に……もちろん風致の保存は大切でございますが、公園という以上は利用という面も考えなければ意味がないわけでございますので、こういった点は十分御配慮が願えるということで、今後両者の十分な協議、連絡によりまして、そういった問題を解決していきたい、また、そういった点につきまして、ある程度今後両者の間におきまして覚え書等も交換いたしまして、運用にそごのないようにいたしたい、かように考えております。
  39. 千葉信

    委員長千葉信君) 高野君に申し上げます。建設、農林両省は呼んでおりません。
  40. 高野一夫

    ○高野一夫君 運輸大臣が私は一番大事だと思いますが、これは運輸関係にも厚生省関係にもお願い申しておきたいことは、風致を害するということはもちろん避けなければならない大事なことでありますけれども、地方の便宜あるいは産業開発、こういうような面からいきまして、この交通、道路、港湾施設というものは、特にその面に重点を置いて考えてもらわなければならぬ場合が多々あると思いますので、この点は私は厚生大臣にお願いしておきたいのは、十分その点を汲んでいただいて、こり公園法一点張りで裁定をなさらないようにお願いしておきたい。  それから川嶋公園部長に一つ伺いたいのは、この公園法と温泉法で何かそごするような点はありませんか。
  41. 川嶋三郎

    政府委員川嶋三郎君) 現在の温泉法は温泉の掘さく、地下資源である温泉保護という点を重点に置いた規定でございます。その面においては、これとこの法案の運用と抵触することはございません。ただ温泉法の十四条に、温泉地区の環境を整備するという規定がございます。その温泉国立公園国定公園等の自然公園の中にある場合において同じ地域に両方が、もちろん目的は違いますけれども働くことがございます。しかしながら、これは国立公園あるいは自然公園におきましても、温泉地の環境を整備するということは、その趣旨に沿うものでございますので、従来両方の運用においてはさほどの支障はなかったのであります。
  42. 千葉信

    委員長千葉信君) 以上で質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見おありの方は討論中にお述べを願います。  別に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  それではこれより自然公園法案について採決いたします。  本案を原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。    〔賛成者挙手]
  45. 千葉信

    委員長千葉信君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって原案の通り可決すべきものと議決いたしました。  なお、本会議における口頭報告内容議長に提出する報告書の作成その他の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  それから、報告書には多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     高野 一夫  榊原  亨     勝俣  稔  鈴木 万平     寺本 広作  竹中 恒夫     早川 愼一  横山 フク     久保  等  片岡 文重     坂本  昭  山本 經勝     山下 義信
  47. 千葉信

    委員長千葉信君) 二、三分休憩いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————    午後零時十八分開会
  48. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは休憩前に引き続いて再開いたします。  公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(全国電気通信労働組合関係)、(全逓信従業員組合関係)、(全国特定局従業員組合関係)を議題といたします。  提案理由の説明を願います。
  49. 平井太郎

    国務大臣(平井太郎君) ただいま議題となりました公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求める件、三件について、その提案理由を御説明申し上げます。  まず、全逓信従業員組合の裁定について申し上げます。  本年二月五日全逓信従業員組合は、昭和三十二年一月以降の新賃金に関する要求書を郵政省に対し提出いたしまして、両当事者間で数次の団体交渉が行われましたが、郵政省はこれを拒否いたしましたので、調停段階に入り、三月九日公共企業体等労働委員会は調停案第四号を提示いたしました。これに対し、全逓信従業員組合は調停案の実施を条件に受諾いたしましたが、郵政省は受諾しがたい旨を回答し、三月十五日郵政省の申請により公共企業体等労働委員会の仲裁手続に移行し、同委員会は、四月六日仲裁裁定第六号を下したのであります。  右裁定第一項を実施いたしますことは、現況においては予算上不可能であり、本裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、本件を国会に提出し、御審議を願う次第であります。  なお、政府といたしましては、本裁定を実施する建前のもとに近く補正予算国会に提出する予定であります。何とぞ慎重に御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。  次に、全国特定局従業員組合の裁定について申し上げます。  本年二月四日全国特定局従業員組合は、特定郵便局職員の給与ベース改訂に関する要求書を郵政省に対し提出いたしまして、両当事者間で数次の団体交渉が行われましたが、郵政省はこれを拒否いたしましたので、全国特定局従業員組合は三月十一日公共企業体等労働委員会に対し調停申請を行い、三月十九日同委員会の決議により仲裁手続に移行し、同委員会は、四月六日仲裁裁定第七号を下したのであります。  右裁定第一項を実施いたしますことは、現況においては予算上不可能であり、本裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、本件を国会に提出し、御審議を願う次第であります。  なお、政府といたしましては、本裁定を実施する建前のもとに近く、補正予算国会に提出する予定であります。  何とぞ慎重に御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。  次に、全国電気通信労働組合の裁定について申し上げます。  昭和三十一年十二月二十一日全国電気通信労働組合は、昭和三十二年一月以降の新賃金に関する要求書を日本電信電話公社に提出いたしまして、両当事者間で数次の団体交渉が重ねられましたが、日本電信電話公社はこれを拒否いたしましたので、調停段階に入り、三月九日公共企業体等労働委員会は調停案第三号を提示いたしました。これに対し、全国電気通信労働組合は直ちには受諾しがたい旨の回答を行い、また、日本電信電話公社は、受諾しがたい旨の回答を行うと同時に、公共企業体等労働委員会に仲裁申請書を提出いたし、同委員会は、四月六日仲裁裁定第五号を下したのであります。  右裁定第一項を実施いたしますことは、現況においては、予算上不可能であり、本裁定は、公共企業体筆労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、本件を国会に提出し、御審議を願う次第であります。  なお、政府といたしましては、本裁定を実施する建前のもとに、近く補正予算国会に提出する予定であります。  何とぞ慎重に御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。
  50. 千葉信

    委員長千葉信君) 本件に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  52. 千葉信

    委員長千葉信君) 次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(国鉄労働組合関係)(日本国有鉄道機関車労働組合関係)を議題といたします。  提案理由の説明を願います。
  53. 福永一臣

    政府委員(福永一臣君) ただいまから、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件のうち、国鉄労働組合関係及び日本国有鉄道機関車労働組合関係につきまして、提案理由を御説明いたします。  昭和三十一年十二月五日国鉄労働組合は、昭和三十一年十一月以降の賃金改定に関する要求書を日本国有鉄道に対して提出し、団体交渉を重ねましたが、日本国有鉄道が、これを拒否いたしましたので、調停段階に入り、昭和三十二年三月九日公共企業体等労働委員会は、調停案(第二号)を提示いたしました。これに対し、国鉄労働組合は、調停案の実施を条件に受諾いたしましたが、日本国有鉄道は、受諾しがたい旨を回答し、三月十五日、日本国有鉄道の申請によりまして、公共企業体等労働委員会の仲裁手続に移行し、同委員会は、これが審議を重ねました結果、四月六日に仲裁裁定(第三号)を行なった次第でございます。  次に、日本国有鉄道機関車労働組合関係について申し上げます。  昭和三十二年二月二十六日に同組合は、昭和三十二年一月以降の新賃金改定に関する要求書を日本国有鉄道に対して提出いたし、団体交渉を重ねましたが、解決がつかなかったので、日本国有鉄道は、公共企業体等労働関係法第三十三条第二号によりまして、三月十五日公共企業体等労働委員会に仲裁申請を行い、仲裁手続に移行し、同委員会は、四月六日仲裁裁定(第四号)を行なった次第でございます。  仲裁裁定の内容につきましては、国鉄労働組合関係日本国有鉄道機関車労働組合関係とは、全く同一のものであります。この裁定の第一項をそのまま実施いたしますことは、現況におきましては、予算上不可能であると認められ、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当するものと認められますので、同条所定の手続をもちまして、裁定を国会に上提いたし、御審議を願う次第でございます。  なお、政府といたしましては、本仲裁裁定を実施する建前のもとに近く補正予算案を国会に提出する予定であります。  何とぞ槙重御審議の上、国会の御意思の表明を願いたいと存ずる次第でございます。
  54. 千葉信

    委員長千葉信君) 本件に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  56. 千葉信

    委員長千葉信君) 次に、公共企業体等労働関係法第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(全専売労働組合関係)を議題といたします。提案理由の説明を願います。
  57. 足立篤郎

    政府委員(足立篤郎君) ただいま議題なりました公共企業体等労働関係方第十六条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件(全専売労働組合関係)について、その提案の理由を御説明申し上げます。  昭和三十一年十二月二十日全専売労働組合は、昭和三十一年新賃金に関する要求を日本専売公社に対し提出し、また、同日日本専売公社は、全専売労働組合に給与制度の改正案を提出し、それぞれについて団体交渉を重ねました。このほか、公共企業体等中央調停員会の昭和三十一年三月三日付日本専売公社職員に対する昭和三十年十月以降の賃金改訂に関する調停案に基き、給与の不合理の是正について両当事者の間で団体交渉が重ねられました。しかしながら、これらの事案についてはいずれも当事者双方の意見の合致が得られず、調停段階に入り、本年三月九日、公共企業体等労働委員会は、調停案を提示いたしました。これに対しては、全専売労働組合は、調停案の実施を条件に受諾いたしましたが、日本専売公社は、受諾しがたい旨を回答し、三月十五日日本専売公社の申請により、公共企業体等労働委員会の仲裁手続に移行し、同委員会は、四月六日裁定を行なったのであります。  右裁定の第一項を実施することは、現況においては、予算上不可能であると認められ、従ってこの裁定は、公共企業体等労働関係法第十六条第一項に該当すると思われますので、同条第二項の規定により本件を国会に提出し、御審議を願う次第であります。  なお、政府といたしましては、裁定を実施する建前のもとに近く補正予算案を国会に提出する予定であります。  以上、本件の提案の理由を御説明申し上げましたが、何とぞ御審議の上、国会の御意思を表明願いたいと存ずる次第でございます。
  58. 千葉信

    委員長千葉信君) 本件に対する質疑は、次回以降にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後零時三十七分開会
  60. 千葉信

    委員長千葉信君) それでは再開いたします。  旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑を願います。  最初山口衛生局長より発言を求められております。
  61. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 前回の当委員会におきまして、榊原先生、山下先生の御質問にお答えいたしまして、下宿の取扱いというものについてお答え申し上げたのでございますが、そのとき両先生から御注意を受けましたので、省へ帰りまして、重ねていろいろ検討いたしました結果、前回私がお答え申し上げましたような答弁の内容を、本日訂正さしていただきたいと存じますので、委員長に特にお許しを得て発言をお許しいただいたわけであります。  前回、「下宿営業とは、施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業をいう。」そうして「宿泊させるとは、寝具を提供して前各項の施設利用させることをいう。」ということになっておりますので、寝具を提供しない下宿はこの本法を適用しないというようにお答え申し上げたわけでございますが、しかしながら、大部分の現在の下宿が、寝具を持ち込んで施設利用するという状態でございますので、そういうことに強く割り切りますと、従来の下宿業に対する公衆衛生上の取締りという点から考えまして、非常に行き過ぎたと申しますか、そういうふうな感じがございますので、その点、先般御注意を受けたのでございます。従いまして、寝具を持ち込みます場合でも、従来社会通念上下宿業として取り扱っておりましたものは、今回も、この本法における下宿業として取り扱う、そういうふうに解釈してもらいたいというふうに私どもも存じますので、前回の答弁をこの際訂正さしていただきたいと存じます。御了承願います。
  62. 高野一夫

    ○高野一夫君 そうすると、第二条第六項の宿泊の定義はどうなりますか、ここに明確に「寝具を提供して」と書いてあるけれども、下宿業に関する限りはそうでないという除外例でも置くということになるわけですか。
  63. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 私ども、現在は、とにかく従来の下宿業もこの法の対象にしていきたいという方針で参りたいというふうに訂正さしていただきたいと存じます。ただいま高野先生から御指摘法文の問題になりますと、私どもは解釈上そういうふうにして参りたいと考えているわけでございます。
  64. 高野一夫

    ○高野一夫君 しかし、ここに明瞭に、「寝具を提供して前各項の施設利用させる」ということになっているから、寝具を提供させるかさせないかがこの間一日の論議のまとになったくらい、この文句は、みなが非常にこだわっているわけです。寝具を提供しない場合に、そういうふうに解釈するというならば、何かここに置かなければおかしかないですか。
  65. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 私どもは、この寝具を提供するという解釈を厳密に申しますと、こちらから持っているものを貸さなければならぬということになるのでございますが、提供という解釈をもう少し幅広く解釈して、下宿業もその対象にできないか、そういうふうに考えたわけでございます。
  66. 高野一夫

    ○高野一夫君 それは、「提供」とある限りは、営業者が提供するのであって、自分のものを郷里から持ってきて、持ち込んで使うのは、どんな拡大解釈をしようとも、寝具提供の拡大解釈になるまいと思います。従って、下宿をそこまで認めるということは、われわれもいいと思うのだけれども、当然そうしなければいろんな不合理が出てくると思いますが、第二条の第六項の宿泊の定義については、多少やはりこれはまだ修正するか何か考えなければ、このままでは私は拡大解釈には持っていけないと思うのです。  もう一つ、ついでに伺いたいのでありますが、その下宿の問題に関連して私が伺った。あなたは宿泊でないとおっしゃった。私どもが、駅の前の旅館に朝着いて、そこへ行って、いわゆる常識では宿泊というが、飯を食って、一日そこで休養しようと、あるいは用足しに行こうと、勉強しようと、どうしようとにかかわらず、その晩はそこを出てしまって、料金は払う、これは宿泊でない。寝具を提供しない限り宿泊でない。これはどういうふうになりますか。今の下宿とやはり同じように宿泊と拡大解釈されるつもりですか。
  67. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 私、先般高野先生の御質問にお答え申し上げましたが、気持ちは、もしも駅の近所に、そういう朝来て夕方までおる、しかも、その際に全然寝具を提供しないという、そういうことばかりを業としておる施設があります場合には、それは旅館業は行わないという意味で申し上げたわけでございます。そのほか、やはり寝具を提供して宿泊させております旅館業の施設におきまして、そういう先ほどから御指摘のようなことが行われます場合には、それを宿泊とみなすかみなさないかということは、これは別の問題でございますが、私がこの前お答え申し上げましたのは、そういうことだけをやっている施設、たとえば、駅の待合室とかいうような、これはあまりにも極端な申し上げ方かもしれませんが、そういうことで、旅館業は行わないという意味のことを申し上げたわけでございます。
  68. 高野一夫

    ○高野一夫君 私の言うのは、旅館営業者で、そうしてその旅館に私が朝行って、そうして一日休養するとか、あるいは用足しに行くにしても、夕方までかかって、そうして寝具は提供は受けない、そうしていわゆるこの法律にいう宿泊をしないで、夜帰って、料金は払っていく、その場合には、その旅館営業の中に入る、宿泊させるということになるのかどうかという意味なんです。一つ行為を私は言っているのですよ。これは、御返事いかんによっては、私は別な立場からどうしても聞かなければならぬ。
  69. 神田博

    国務大臣神田博君) 私からお答え申し上げたいと思います。今のような場合は、これはいわゆる宿泊であるかどうかという、寝具を貸したか貸さぬかということにこだわりますると、宿泊でないようなことになるわけでありまするが、この法の解釈は広くしていきたい。朝着いて夕方お帰りになろうと、あるいはまた、夕方お着きになって夜泊らぬで朝またおいでになったという場合もあろうかと思います。いずれにしましても、旅館業として一定の設備をお持ちになって、そうしてそちらに宿泊する、あるいは何といいますか、朝着いて夕方帰るのだという場合においても、従来からこういう場合は半泊といいますか、寝具を使わない場合に半泊というような制度になっておるようでありまするから、そういう慣行を重んじて今の行われていることをそのまま尊重して参りたい。要するに寝具の設備を持っておる、旅館である限りはこれに寝具等の設備をするのは当然でありまするから、それはやるのでございまするが、たまたま今日の交通の発達に伴って、そういうようなことがありましても、それは旅館営業のやはり一つの形態だ、こういうふうに解釈していきたい、こういう考えでございます。
  70. 高野一夫

    ○高野一夫君 これをもしも宿泊と解釈しなければ、私は税金の問題で伺いたかったのであります。そうすると、その行為は、旅館営業者が営業としてやった行為でないので、その半泊の場合の収益というものは、地方税の対象になるはずはない、営業税の対象になるはずはない、こういうので私は国税庁長官を呼んで確かめたいと思って、この間のあなたの答弁は私は非常に重要に考えておった。そこで、今大臣のお話のように、それはやはり宿泊させる旅館営業と考える、こういうことになるならば、旅館営業とは宿泊料を受けて宿泊させる、その宿泊とは、第二条の第六項によって、寝具を提供して施設利用させる行為だ。寝具を提供して利用させる行為なんですから、提供を受けて客が利用する行為でなければならぬ、こういうふうにわれわれは第六項を解釈せざるを得ないのであって、寝具を提供する場合もあれば、提供しない場合もある、すべてを含めて宿泊と、こういうことであるならばわかるのですけれども、その行為が、宿泊させる、宿泊する、提供して泊めさせる、利用させる、提供を受けてそこを利用する、こういう行為を言っているのであるから、提供を受ける、受ける場合もあれば、受けない場合もある、旅館営業者である場合には、すべてが旅館営業に持っていくんだ、こう解釈をするならば、この第六項は相当変ってこなければならぬ。こういうふうに六項か第三項かは相当変ってこなければならぬじゃないか、こういう疑問を持ったわけです。どうでしょうか、これは。
  71. 榊原亨

    ○榊原亨君 この問題に関連いたしまして、一応私質問いたしたいと思うのでありますが、宿泊とは寝具を用いて前項の施設利用するものをいうのだ、ただし、利用者自身が寝具を用いない場合で、食事を供しないものはこの限りでない、これらの宿泊の設備のある場合で、その設備を利用するものは旅館営業であると認める、こういうふうな考え方はお認めになりますか、お認めになりませんか、それを一つ関連して承わっておきたい。
  72. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほど高野先生から御指摘がございましたし、ただいま榊原先生から御指摘がございましたこの第三条第六項の定義の問題でございますが、これは先ほどからしばしば御指摘いただきましたような、正確に申しますと、御指摘のような疑義があるわけでありますが、私どもの気持といたしましては、先ほど訂正さしていただきましたように、原則として、あるいは主として寝具を提供して前各項の施設利用させるものを旅館といい、あるいは宿泊施設というということで、それに付帯しての、そういう営業に付随して、先ほど指摘のような寝具を提供しない場合においても、やはりその営業の一部というふうに見るべきでないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  73. 千葉信

    委員長千葉信君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  74. 千葉信

    委員長千葉信君) 速記を初めて。御質疑を願います。
  75. 山下義信

    山下義信君 私は法務委員会との連合審査をおやりになるということで承りますから、法務委員会質問が出て、当委員会では出なかったということでもいかぬと思いますので、一、二のことだけ問題だけ出しておく方がいいのではないかと思いますので伺います。許可を受けた正常なこれらの旅館業者すなわち種類は、ここに数種あるわけであります。ひっくるめて許可を受けた正常な旅館業者であるということはどうして利用者が知ることができますか。それを一つお示し願いたい。たとえば、みどり荘とかあるいはハイカラな名をつけまして、オリエン夕ルとか——外国名を使いますか、あるいはたわら屋とかひいらぎ屋とか何とか荘とか、こういう名称をつけておる。これは成規許可を受けた正しい旅館業であるとか、ホテルであるとか、ホテルという名称は盛んにございます。とにかくそういう、ここに規定されてありまするホテルとか旅館とか宿泊所とか言わないで、何々屋とか、みどり屋とか、こういうふうな名称を付しております。これらの業態が、これが正常な許可を受けた旅館業者であるということをどういうふうにして知ることができましょううか。
  76. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 営業の許可をいたしました場合には、現在各県の規則に、旅館業法の施行細則によりまして、様式のきまりました営業許可証を交付する、そういうふうになっておるわけでございます。それに基いて旅館施設がそういう表示をすることになるわけでございます。  それから、ただいま御指摘の名称問題でございますが、私ども現在考えておりますのは、この法律で、ホテル何々、ホテルというのを先に出しまして何々、あるいは旅館何々、非常にまぎらわしいことになる、こういう場合も起り得るかと思いますけれども、この法律で定めますホテルに該当しません場合には、旅館何々ホテル、これは、名称は自由でございますから、そういうことも起り得るのではないかというふうに考えるわけでございます。
  77. 山下義信

    山下義信君 わかりました。結局、本法に規定する営業の種類を表示するということが、何か条例、規則、その他において規制することになっているのですね。
  78. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 現在は各地方庁が施行細則に基いてやっておるわけでございます。
  79. 山下義信

    山下義信君 そういうことは実は大事なことなんであって、各県の条例にまかしておいたのでは、私は、正当な業者であるかあるいは許可を受けてない業者であるかということの識別が不徹底じゃないかと思うので、おそらく何か関係の、利用させるについての政令でありますか、何か本法に準拠いたしまして出される法令の中で規定されておかれるべきじゃないか、それが私は本格的じゃないかと思います。
  80. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 先ほどからの御指摘、ごもっともでございまして、現在は地方の施行細則でやっているわけでございますが、本法に伴います省令制定の際には、一カ条の規定をこの省令の中に設けたい、そういうふうに考えておるわけであります。
  81. 山下義信

    山下義信君 この法律によりますと、ホテル業の許可を受けたものが旅館と称し、旅館業の許可を受けたものがホテルと称し、許可を受けた業種でない名称を付した場合には制裁があると思うのです。つまり言いかえるというと、ホテル業、旅館業というようなりゃならぬのであって、営業の内容は何であろうと、旅館という一括した名目で申請するのじゃないので、本法に従ってやはり業種の許可の申請をせにゃならぬのであって、名称の乱用は許されないことになっているのでありますから、やはり成規許可を受けたホテルとか、旅館とか、下宿とかいうことの表示が、当然この法律に準拠する法令によって規制しておかれなければならぬはずだと思うのです。そうですね。
  82. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御指摘通り、本法によって許可を受けたホテルであり、旅館であるということは、はっきり表示させるように省令で定めたいと存じております。
  83. 山下義信

    山下義信君 次に伺いたいのは、風俗営業との関係でありますが、いわゆる料理等の風俗営業との兼業を許しているのですね、許しておるというか、そういうことになっておる。聞くところによりますと、そういう業態のものが全旅館業の大体三割を占めておるということですね。これらは一体どういう御方針でございましょうか。この旅館業法の上におきまして、実は善良な風俗を害するおそれのある行為は、主として料理、旅館の兼業の業種の中に多いと私は思うのです。私はまじめにそう思うのです。それで、本法がいわゆる赤線業者のそういう目的で潜入することを防止する御趣旨もありましょう。また、正常な旅館の許可を受けながらそういう営業に陥ることはお取締りになるでしょう。その御趣旨からいいますと、今日の風俗営業をも兼業をいたしておりまする旅館業というもののあり方というのは、これは実に私は問題であると思うのです。それらが比較的高級な設備をしあるいはそういう風俗営業地区に主として多く存在し種類が割合に上層階級であるとかいうような状況によって私は見のがすべきではないと思うのです。旅館業法が今回改正せられる非常に大きな問題は、いわゆる善良な風俗を害するおそれのあるものに向って取締りをしていこうという、それを規制していこうということが主眼点でありまして、今日の兼業しておる、俗にいう料理兼業旅館といいますか、あるいは通俗的には待合旅館などと称しておるそういう業態のものに対しては、この法律はどこが影響をもってそうしてそれらの業態に向っての一つの眼を光らしていくといいますか、正しいあり方を要請するということはこの本法におきましてはございませんか。すべてそれは兼業しておる一方の風俗営業取締法にゆだねるのでしょうか。どういう基本的な御方針があるのでしょうか。その点を承わりたいと思います。
  84. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御指摘の問題は、種々各方面から御意見が出ておりますことは私どもも承知いたしておるわけでございますが、旅館業法と風俗営業との兼業ということにつきましては、これは現在長い間の商業慣習になっておりますので、今直ちに兼業禁止をやりますということは、いろいろ無理があるのではないかというふうに私どもは考えるわけでございますので、今回の改正ではそういう問題を取り上げていないわけでございます。ただ山下先生も御指摘の、今回、法の改正の目的の中に善良な風俗を維持するということが入っておりますので、そういう点につきましては、先般来お答え申し上げましたように、施設の面においてあるいは利用方法等につきまして、善良な風俗を害しないような配慮を十分行うように政令その他において見て参りたいと存じておりますし、また、これは風俗営業法の関係の法にまかせるといえばまかせることになりますが、本法の八条に、風俗営業取締法に規定する罪を犯したものは旅館業の許可を取り消すあるいは営業停止を命ずるというような措置を講じ得るようにさしていただきまして、旅館内における善良な風俗が維持されるように善処して参りたいと、そういう考えでございます。
  85. 山下義信

    山下義信君 この問題は、私は当委員会ではぜひ論及しておかなければならぬと思います。旅館業の方だけ取締りが相当厳格になって参りまして、従来社会的にも相当に問題のありまするそういう料理兼業あるいは待合方式の旅館は少しも規制が及ばぬということは遺憾でありますから、法律内容がそれにどの程度及んでおるかは別といたしまして、これは論及しておかなければならぬ。少くとも政策としては一応論及していかなければならぬと思いますが、問題も多くございますし、いろいろ論点もあろうかと思いますから次回に譲ります。ただ私が思いますのは、風俗営業に反したものは旅館業が営めない。これは非常に不完全である。もし完全ならば旅館業に反したものはその兼業の一方もやめさせなきやなりません。それをやれば画龍点睛です。規制が生きます。彼は旅館業の許可を受けておる、料理業の許可も受けておる、風俗営業におけるところの待合の許可も受けておる。その待合料理業、ダンス・ホール、バーその他兼業されてあるものが旅館業を営んでおって、片一方の方に風俗営業関係に違反したらば旅館業もできないことに、今御指摘の条項でなっておるが、それは盾の半面を完全に、それらの点に規制を及ぼそうとするならば、旅館業に違反したものは兼業しておる一方の風俗営業にも響いてこなければ私はいかんと思うのです。ですからそういう点につきまして、一応は問題にしておく方がいいのじゃないかと私は思うのです。次回に質疑さしていただくことにいたします。
  86. 竹中恒夫

    ○竹中恒夫君 一点だけお聞きしたいが、第五条で宿泊を拒む場合の、「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき。」となっているのですが、これは伝染性の疾病になっておるのですか、伝染病ですね、伝染病じゃないのですか。法定伝染病にいろいろございますね。そういうようなことを含んだ場合を意味するのでしょうか。  それからなおもう一つお聞きしたいことは、団体で学校の児童生徒が旅行する場合に、途中で伝染性の疾病になる場合があるわけです。そういう場合に、宿泊を拒否をしなければ五千円以下の罰金を、十何条かにとることになっておりますが、そうした場合のことはどういうお考えなんですか。
  87. 山口正義

    政府委員(山口正義君) 御質問の第一点の伝染性の疾病と申しますのは、これは当然伝染病予防法の伝染病も含むわけでございますが、ただ伝染病予防法に規定いたします疾病につきましても、ただ外見から見てすぐわかるかどうかという疾病もいろいろございますので、ここで規定しております伝染性の疾患と申しますのは、外見上明らかに伝染性であるというふうに認められる疾病でございまして、先般の委員会でも高野先生が例をおあげになりましたようなライとか、あるいは非常にひどい皮膚疾患とか、そういうようなものが外見上すぐわかるものでございますから、そういうもの以外のものは拒んではならないということでございます。さらに内科的な、診断をしなければ伝染性であるかどうかわからないというふうなものにつきましては、現実の問題としてこの条文を適用することはなかなかむずかしいと思うのでございます。  それから第二点の御質問でございますが、これは、第五条は拒んではならないということでございますので、それは、こういうもの以外のものを拒んだときに罰則がかかるのでございまして、伝染性の疾患の者を泊めたからといって罰則がかかるということではございません。従いまして、先ほど指摘のような宿泊者のうちに急性伝染病が出たという場合には、これは社会常識上どうしてもそこに一応寝かせて、そうして医師の診断を受けてしかるべき指示を受けなければならない。そういうふうに考えるわけでございます。
  88. 千葉信

    委員長千葉信君) 本案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 千葉信

    委員長千葉信君) 御異議ないと認めます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時十分散会