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1957-06-10 第26回国会 参議院 社会労働委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月十日(月曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   委員異動 五月二十日委員西田信一君及び早川愼 一君辞任につき、その補欠として小西 英雄君及び高良とみ君を議長において 指名した。 五月二十一日委員斎藤昇君及び武藤常 介君辞任につき、その補欠として谷口 弥三郎君及び鈴木万平君を議長におい て指名した。 五月二十七日委員小西英雄辞任につ き、その補欠として草葉隆圓君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     阿具根 登君    理事            榊原  亨君            高野 一夫君            山本 經勝君    委員            草葉 隆圓君            鈴木 万平君            谷口弥三郎君            寺本 広作君            西岡 ハル君            片岡 文重君            木下 友敬君            藤田藤太郎君            山下 義信君            高良 とみ君   説明員    大蔵省理財局地    方資金課長   堀口 定義君    文部省初等中等   教育局保健課長  塚田 治作君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  尾村 偉久君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部水    道課長     田辺  弘君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部食    品衛生課長   小谷新太郎君    厚生省薬務局薬    事課長     菅野 周光君    国立予防衛生研    究所長     小島 三郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告社会保障制度に関する調査の件  (福岡市の水道に関する件)  (流行性感冒の対策に関する件)  (オーレオマイシン入り氷使用に  関する件)  (原水爆実験に伴う放射能禍に関す  る件)   —————————————
  2. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動報告いたします。五月の二十日付をもって、西田信一君及び早川愼一君辞任され、その補欠として、小西英雄君及び高良とみ君が選任されました。  五月二十一日付をもって、斎藤昇君及び武藤常介君が辞任され、その補欠として、谷口弥三郎君及び鈴木万平君が選任されました。  五月二十七日付をもって、小西英雄君が辞任され、その補欠として、草葉隆圓君が選任されました。
  3. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 派遣委員報告議題といたします。  去る五月の下旬、中共地区からの引揚者実情調査のため、委員派遣を行いましたが、その報告をお願いいたします。
  4. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今度の、第十六次中共地区引き揚げ事情調査に関しまして、小西英雄高良とみ君とともに舞鶴までお迎えに行って参りましたので、その概略を御報告いたしたいと思います。  引揚船興安丸であります。興安丸は五月九日舞鶴を出港いたしまして、十四日塘沽に入り、十九日同港を出発して、二十三日に舞鶴に帰る予定であったのでありますが、塘沽の到着後、華商家族乗船をめぐって、日本側中共側交渉が難航したため、出港の予定が一日おくれて、舞鶴入港も二十四日になったのであります。航海は非常に平穏であったようでありますが、途中麻疹が集団的に発生いたしまして、福岡海上保安部巡視船くさかきから医療品を受けて、それで済州島沖合いで興安丸にこれを渡したというような事態もこの引き揚げのときには起きたのであります。  今回の引き揚げ等乗船人員は千四百八十六名で、このほかに華商二名、面会渡航者七名、一時渡航者は二名が乗船して参りました。面会渡航者と申しますのは、中共における日本人戦犯面会するため興安丸渡航した者でありまして、また、一時渡航者というのは、戦犯以外の者に面会に行った人人であります。  この千四百八十六名の帰国者のうち、一般引揚者は百六名、五十四世帯でありまして、他は、戦前から中国におって中国人と結婚した日本婦人とその子供、すなわち一時帰国者と、戦後、華商と結婚して中国に渡った日本婦人とその子供、すなわち華人一時帰国者であります。一時帰国者の数は八百五十六名、三百五十三世帯華人一時帰国者は五百二十四名、二百十九世帯であります。最初引揚船からの連絡では、一般引揚者百二十九名、六十五世帯、一時帰国者八百七十一名、三百五十九世帯華人一時帰国者四古八十六名、二百二世帯となっていたのでありますが、その後、入国審査官決定により、華人一時帰国者に該当する者がふえて、以上申し上げたような数字になったのであります。  これによってもわかりますように、一般帰国者は全体の一割に満たず、大部分は、いわゆる里帰り組と称せられる方々であります。しかも子供が非常に多く、千四百八十六名中八百二十五名が子供でありまして、私ども興安丸に参り、船長とも懇談し、船内の状況を視察したのでありますが、上陸を前にして子供達は元気にはしゃぎ回り、非常ににぎやかでありまして、今までの帰国風景とは全く異なるものを感じたのであります。  帰国者引揚地方別にみると、引揚地点は約五十カ所で、中国全土にわたっておりますが、特にハルピン、大連、瀋陽、長春等からの帰国者が多く、また、舞鶴地方援護局長の話によれば、今まで引き揚げてこなかったので、どうしたのかと考えていた地区からも大部分引き揚げてきておるようだとのことでありました。また、一般帰国者のうち、六名は、中国において戦犯決定を受け、刑に服してこのたび釈放された者でありますが、懇談のときのこれらの人々の話では、未だ撫順の収容所には日本人戦犯として三十八名の者が抑留されているとのことでありました。  先ほど乗船人員数を申し上げたとき、華商が二人乗船してきた旨申し上げましたが、これは昨年マカオに渡航し、いろいろの事情により、日本政府から旅券取り消し措置のあった者でありまして、二人は舞鶴入港とともに、大阪入国管理事務所の取調べを受けるため警察に留置されたのであります。  なお、以上のほか、今回もまた、十七柱の遺骨が送還され、家族の出迎えを受けてさびしく母国の土を踏んだのであります。  以上、大体引き揚げ状況について御報告申し上げたのでありますが、今回の引き揚げが特に今までと異なる点について申し上げますと、まず、乗船人員の数がどのくらいになるのか、興安丸塘沽を出港するまぎわまできまらなかったことと、引揚船といっているが、本来の引揚者は、その数は割合としては非常に少く、大部分里帰り組であったことであろうと思います。特に第一の点についてはいろいろとむずかしい問題が最後まで残ったようであります。これは戦後華商と結婚して中国に渡った日本婦人と、その夫や子供乗船させるかどうかについて、昭和二十八年三月の北京協定及び昨年六月の天津コミュニケの解釈が、中国側日本政府と違ったため、両者の意見の調整がなかなかできなかったこと等によります。両国側交渉は非常に難航しましたが、結局これら渡航希望者のうち、日本婦人やその子供乗船は、船賃を払って乗船を希望する場合に認めるが、このような措置は今回だけに限るものとするということで妥結し、出航することができたのであります。しかし、この措置により約三百名ほどの者が渡航を見合わせる結果になり、また、その後の調べによりますと、船賃世帯当り二千円をめぐって最後までいろいろもめたようでありまして、舞鶴でこれを支払ったものは該当世帯二百数世帯中六十五世帯と聞いております。  また、このたびの引揚船が本来の引揚業務とともに、非常に多数のそれ以外の人々を乗せて帰ってきたので、引揚船としての影が薄いといわれていますが、これらの問題は、ともに日本中共との国際関係をどうするかという外交の基本的課題にもつながる問題でありまして、いろいろと考えさせられるものがあると思います。  以上報告を終ります。
  5. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 報告に対する御質疑がございましたらお願いいたします。——質疑がないようでございますが、派遣委員報告についてはこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 異議ないと認めます。   —————————————
  7. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記をとめて。    〔速記中止
  8. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  社会保障制度に関する調査の一環として、福岡市の水道に関する件を議題といたします。  なお、本件につきまして福岡市の助役が上京して、陳情したいという趣きでございますので、一応簡単に状況をお聞きしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  10. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して。  本件につきまして、厚生省当局から、衛生上の問題となっておる点、その他について説明を願います。
  11. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 私今回、環境衛生部長になりました尾村でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、公衆衛生局長が出張中でございますので、かわりまして、厚生当局として御説明申し上げます。  今福岡市の助役さんから説明がありました通り、三月末に、一月に新たに越してきたものが井戸を掘ったところが若干の症状が出た、この症状につきましては四エチル鉛の一般的に知られておる症状というのと若干相違する点がございますが、当時はそれを疑わずに、ほかのことで井水検査をやりましたところが、鉛の反応の疑いがありまして、この井戸から四エチル鉛含有されている率が非常に濃厚な疑いがあって、周辺についてずっと検査をしたところ、今話のありました地域に大体四エチル鉛最高百三十数ガンマーといいますと、普通の純粋の、鉛の、飲料水含有限度といいますと百でございますから、鉛といたしましても超過するような量が検出されたわけでございます。厚生省として知りましたのは、四月中旬に県の他の当局者からそういうような話がございまして、内容がよくわからないので、詳細なデータをそろえて至急いろいろと連絡するようにということで、今回六月上旬に今までのわかりました限りの詳しいデータをそろえて、助役さん以下から御連絡がありました次第でございます。今度のような四エチル鉛事件は、福岡県にも、県下に以前他の地域で二、三回出たことがございます。それから同様な例が福岡県以外にも、立川その他の米軍使用にまかしておりました付近で、同じような原因と推定されることで事件が起った例がございます。それから現在のところ、先般来けさまで水道課長現地に派遣いたしまして、詳細調査をいたした結果、今、市の当局から発表のありました通り応急処置をすでにいたしておりまして、この土地住民がこれ以上続いてこの含有のおそれのある井水を引き続き使わないような措置をいたしております。ただし、これはほんとうの臨時緊急の措置でございまして、国家消防庁所管消防自動車を借り出しまして、あるいは防衛庁の水車を借り出して、水槽を設けまして、その中に注入してこれを住民飲用に使うというようなことになっております。もっとも多量に使います雑用水につきましては、現地協議会決定に基きまして、雑用には若干あっても一向差しつかえないという限度をきめまして、それ以下のものは、これは普通の雑用には、飲用にさえ気をつければいいわけでございますので、これにはその水を使っておるわけでございます。  問題は飲用水でございます。これはいつまでも続きませんで、ただいまの説明の一部にありました通り、半恒久的なといいますか、数カ月は何としてもどんな大きな経過がありましてもやらなければいかぬ応急措置先ほど額につきましては、三千三百万円という御説明がありましたが、いずれにしてもその裏づけになる措置をいたしまして、当面の、住民にこれ以上いわゆる毒水が入らぬような措置をとりたい、これはぜひ必要かと思っております。それからそれさえそう長くは続きません。また、これは非常にむだなことでございますので、幸い福岡市内でございますので、従来の水道拡張計画を緊急急いでやる、すなわち、配水管のこの地区への増設を急ぐ、これをやはりやらなければいけない、かたがたやはりただいまのところ、原因になっております埋没の局所が正確にまだ探知されておりません。大体三カ所ぐらいであろうということでございますが、この探知されたところに埋められておるものも、大体航空ガソリンでありますと、千数百分の一ぐらいに容量としてまぜるのが普通であったそうでございます。この程度まざったものといたしますと、これだけの広範囲のいずれの井戸からも、この程度出るといたしますと、よほど多量のものが相当に埋設された、こう考えられますが、あるいはそうでなくて、ガソリンはあの当時でありますと貴重品で、すでにそれは処理されて、いわゆるガソリンにまぜるべき四エチル鉛の原液の、これは油状のものでございますが、これのドラムカンが始末に困って埋設されたとしますと、これは量は、それほど膨大な量でなくて、面積の方はかなり局所的にあって、ただし、それが水脈に入るとすると濃厚に入る、この両者が推定されるわけでありますが、これによりましていわゆる巣窟源処理方法もだいぶこれは模様が違ってくる、非常に、全般に掘り出しやすいか、掘り出しにくいかという問題もございましょうし、また、探知するにも濃厚な場合には、今度その捜索に当っての予防問題もだいぶ趣きが違ってくるわけでございますが、それらの早く原因を探知いたしまして、原因をできるだけいずれにしても除去する、たとえ水道が回りましても、やはりいろいろなことに水はどうしても使うということになるかと思いますので、それらの原因の探知、除去もこれは並行してやっていただく、こういうことに考えておるわけであります。  次に、国との関連でございますが、ただいままで聞いておるところでは、市が望んでおる恒久性配水計画起債を急ぐ、ただしその裏づけとして、できればこれに対して国庫で全額または一部のぜひ裏づけをしてほしいという点でありますし、もう一つの点は、今の緊急措置、これもやはり天災的なものであるから緊急措置はやはり市並びに住民責任そのものといってはこれは無理であるが、これもやはり広い意味の、国の中に起ったことで、国の方でこの緊急措置はやはり補助なりその他の国庫補償をしてもらいたい、この二つになるわけでございますが、いずれにいたしましても、まだ原因の地帯がどこであるか、推定しては終戦当時の部隊処理原因であろう、これ以外にはないわけでございますが、その部隊につきましても、三カ所のうち一つは、軍管理工場と推定されておりますので、これもいわゆる部隊そのもりでない部面が若干入っておる、それからその後の管理に当る土地所有者という者が、現在まで市から伺ったところでは、全部民有地になっておる、いわゆる国の所有地でない、こうなりますと、従来各地で起りました特別調達庁責任に帰する国有地であって外国の部隊が使っておるところに原因を発して出たということになりますと、また、国家賠償法の第二条の関係等が非常に密接になりますが、その後の管理が国でない、あるいは公共団体でさえないということになりますと、この点もだいぶ趣きが違ってきまして、従来の先例を応用することも非常に困難であるということで、新しいこれはケースになるかと思いますので、従いまして、できるだけ原因の方をよく探知した上で、国との補償関係はやる、しかし、現に生活しておる住民の危険度というものは、これはあくまで今後蓄積することを予防しなければなりませんので、さしあたりやるべき起債等の問題については極力ただいま折衝中でございまして、この方を極力急いで、やるべきことはやる、自後において国との補償等関係は、原因等と結びつけまして、できることはやる、できないことは、これはもう十分尽しますが、これはまた、そのときのこと、こういうふうにいたしたいと思います。極力早く、この後、被害が重なることを予防することに全力を注ぎたいと、こう考えております。  なお、被害者の問題でございますが、一月にその地区に越してきて井戸を掘った者が、三月に手のしびれ、ないしは痛みを中心として起した某家二名が症状を起したきり、その後、今に至るまで、今の一万二千名、二千五百世帯から、積極的にこれらしい症状をもって医師に届け出る、あるいはこれだけ騒動になっておりますが、当然非常に心配するわけでありますが、積極的に身体症状を起したということは、今まで公式にはわれわれの方もタッチしておりませんし、市の御当局に伺いましても、そういうような者は今のところないので、これは不幸中の非常に幸いである、かように考えておる次第でございます。
  12. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御質疑願います。
  13. 山本經勝

    山本經勝君 今の大体のお話はわかるのですが、先ほどの助役さんからの陳情の際にお話があったのは——助役さんが実はこの問題を持って政府当局陳情その他のために初旬に上京されておる。その後ちょうど私ども出る日に、市の方から発表した数字によりますというと、比較的に範囲拡大している。で、問題になる世帯数が五千五百二十八世帯人口にして二万五千八百五人というふうに、ほとんど倍にふえておるのが実情なんです。ところが、問題は、今、水道課長報告に基く部長の御説明であろうと考えるのですが、その汚染源になるところのものについては、すでに当時西部軍が駐留しておった当時に、ドラムカンをトラック三台、つまりエチル鉛の入ったドラムカンを三台運んだという自動車運転手も出てきておる。ただし、その埋没した地がわからない、こういうことなんですが、こうして考えますというと、これは一応市がこういうような事態を発生さしたのではない、人為でないとはっきり言えると思う。ところが、かつて戦時中ではありますが、国がやはり国策として西部軍を駐留させ、そうしてあそこに飛行場を設けて特攻隊をあそこから飛ばしておる。そこで、それらの燃料飛行場から一番近い位置に、山手に埋蔵する、こういう計画があったことも明らかである。ですから先ほどお話のような、国の中に起ったことであるが、その責任は、いわゆる直接国の管理でない関係から、関係がないような表現をなさったのであるが、これはこの燃料が当時オクタン価を高めるために飛行機用燃料として当時の海軍燃料廠が作って、そうして全国所要位置に配置したものである。こういう経路も非常にはっきりしておる。ですから、この点まず、国において責任があるということは、私はこの際明確に言えると思う。ただ、どれだけの量がどこに埋没されているかは、発掘をされなければ実証されない、こういう形になるのではないかと思うのですが、こういう点の基本的な見解についてもう一度はっきりしていただきたいと思う。
  14. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先ほど申し上げましたのは、この責任がないということでは全然ないのでございまして、いわゆる直ちに国家賠償法を適用できる前提に立ちますと、その後の国の管理でありますと、この第二条が直ちに発動できる、それに非常に結びつけにくいと申し上げたのでございまして、やはり戦時中の軍のいろいろなことに発したものは、これは国の責任には間違いないと思いますが、ただ、そうなりますと、当時の戦時中の一句の国の責任と、直ちに今厚生省の持っております権限の中で、国の責任という面から、賠償とか、直ちに結びつけにくい問題になりますので、従いまして、この点は先例なり、それから戦時中の軍等の行動に基いた国民の受けた被害ということに対するいろいろな施策とにらみ合わしてでありませんと、これはなかなか了解を得て予算措置等はできないのでございますので、この点を十分検討いたしまして、われわれの方としては、もしこれが当然戦時中の軍隊のやったことは、それぞれその被害の現われる場所が各省の所管事項に関連いたして、これは当然、新たに予算をとるということになりますれば、十分これはもう地元なり住民なりには迷惑な話でありまするから、さような線が出れば、これは極力その先例なり他とのこういう根本的な関係を至急連絡調整いたしまして結論を出したい、かように思っておる次第であります。
  15. 山本經勝

    山本經勝君 すでに六キロ平方にも及ぶ広い範囲であり、かつ人口にしまして先ほど申し上げたように、二万五千を突破する多数のものが、市民が非常に困った状態に追い込められておる。これはすでに御承知の通りなんです。ところが、さらにその範囲が限定されないために、非常な不安が大体福岡市の南部地区一帯に広がっている。それで自分のところの井戸は、隣の井戸はいいそうだけれども、一応調べてもらわなければという拡大した不安があるわけなんです。ところが、たとえば先ほど部長お話になったように、十一ガンマー以下の含有量であればいいというようなことも、たとえば明確な化学的な分析の上に立って大丈夫だという太鼓判を押して飲ませるという確信は厚生省にはないのだと思う。また、今福岡検査に当っている県の衛生試験所の方でもはっきり言えないということを明確に言っております。そうしますと、およそ井戸水を使っている農家その他を中心にしたこれらのいわゆる市内市内とはいいますが、非常にへんぴな地区人々は非常に大きな不安がつのるわけです。まず第一番に、その地方応急措置としては、給水によってそれらの井戸水を使わせないという手があって、一応は今やられておるのですが、こういう状態ですから、一日も早く検査を完了して、この地区については絶対、安全であるというはっきりした線が出ないというと、その不安は福岡市全体に及んでくる心配がある。そういう状況でありますから、まず第一番に、ここで問題になるのは水質検査である。ところが、私の聞いた範囲、あるいは調査した範囲によりますというと、先ほど申し上げましたように、大体五千五百二十八の世帯の中で、必ずしも一戸に一つ井戸を持っておるとも考えられませんが、大体五千そこいらの井戸の数はあるものと推定しなければなりません。ところが、現在の検査能力はわずか一日最大限十五件なんです。十五の井戸水質検査福岡県並びに市が持っておる検査能力なんです。ところが、この十五件の検質というものは私どもしろうとでよくわからなかったのですが、非常に時間を要し、技術を要し、特殊な器具等も必要なんです。ですから、そういうような器具やあるいは必要な技術やあるいは技師といったような人々が手少なであって非常に困難をしておる。従って、そのことが市内における不安の拡大になっておる。増大になっておる。ですから、厚生省が少くともこのことについては、直接所管事項として責任を持った検査を早く完了するような方法を講ずべきだと思うのですが、この点について、部長の方の詳細なお考え方、あるいはこうしたらいいのだというお考え方があるのかどうか。そういうものが用意されておるのかどうか。その点を明らかにしていただきたい。
  16. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 現地検査能力その他、けさ水道課長帰って参りましたので、もしお許しを願えれば、なお現地拡大状況とか、そういう点ごく最近のを持って帰りましたので、説明に当らせていただければけっこうと思います。  なお、今の検査のスピード・アップに対する問題でございますが、これは、われわれの方といたしましては、市及び県の要請があれば——われわれの方は必要と思いますが、——あればわれわれの方からこれは水を持っていけばいい問題でございまして、人間を連れていくという問題ではないのでありますから、これを周辺の一番短時間で運び得るところの近県の衛生試験所なりそういう能力のところへもあっせん方を強力にわれわれの方から依頼いたしますが、なお、この検査の内容が場合によっては遠方まで持ってきても狂わぬ、また、可能であるということになれば、さらに遠方、あるいは場合によっては大阪、東京という所もこれは動員が考えられると思いますが、今までのところ、実は県なり市なりへの私どもの方からのこの検査に関する御相談については大体やれるという御回答で、今まで強い厚生省から他へのあっせんの要望がなかったものでございますから、具体的に聞いておりませんので、気にはしておったのでありますが、今まではそういう状況でございます。というのは、たぶん今までのお話の内容で、県なり市のお考えは一定の円周を中心にしてやっていけば、その円周の要点を幾つかやれば、大体水脈の関係からその範囲は同円周の中は大体あるとして、同様の範囲にはあるとしてというお考えであろうかと思いまして、個々の一本々々の井戸をやらぬでも、どうせ水脈のことでございますから、地下水の関係でございますから、ことにこめ四エチル鉛が三カ所にある。大体推定ということになりますと、うちの庭等にあった上水をそのまま掘り出してくるという問題ではなくして、きっと流れてくる問題であろうと、技術者が推定をしておる。円周の要所々々をやっておった方が能率的であると、いいのじゃなかろうかと想像をしておったのでありますが、必要とあれば、これは県でどれだけやる、市でどれだけやる、しかして、それ以外のものはこういうことでお届けするから各地へあっせんしてくれと、こういうことになれば、積極的にこちらがその計画を立ててやることはやぶさかでございませんから、その点御了承を願いたいと思います。
  17. 山本經勝

    山本經勝君 実は先ほど部長お話で、この福岡県下にその他二、三の問題があったというお話があった。私も県の環境衛生課長の方から出していただいた資料を持って参っておるのですが、これによりますると、昭和二十九年の十一月の十二日に朝倉郡の夜須村東旭というところで七名のこの四エチル鉛の中毒患者が現われた。そのうち三名は死亡している。それからそのほか三カ所にわたっているわけなんですが、全体で言いますと、合計二十二名のこれらの患者が出ておる。そのうち七名が死亡しておる。しかも、私どもの聞くところによりますと、このエチル鉛の中毒症状というものは非常に深刻なものであって、蒸発したガスが触れればからだに侵入する。そこでまあこれは具体的な話で、今日記録等に載っておるわけではないが、かつて軍が軍隊を東南アジアに輸送中の船の中で、輸送船の中で、この四エチル鉛が船の船倉へこぼれた。そうしてそれが蒸発して乗っておった軍隊が乱闘を起して死亡したという、大量の死亡が起っておることもこれはすでに明確なんです。甲板におった人はどうもなかったが、船倉へこぼれたエチル鉛が蒸発して、その船室に入っておった兵士がそういう状態になった。すでにそういう事例がある。そうしてまた、ここに申し上げるような福岡県下における被害状況も現われておる。そうしてこうした情勢を厚生省は知りながら、そうしてこれに具体的な手を打たなかったというのはどういうわけですか。
  18. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 確かに四エチル鉛でありますと、これは従来も国内では製造工業の方で相当この事例はあったのでありまして、二十六年にすでに労働省の方から工場安全の意味で四エチルを扱うところについてのいろいろな取扱い、健康診断等の基準が全国に出ておりまして、まあ常時四エチルに触れるところについては、これは非常な安全の問題に関心が持たれておるわけです。ただこういうふうに偶然性に出る問題でございますと、これはまあ国内にある程度こういうものがどこかに埋没されておって、こういうことが起れば、もとからこれはやり直さなければいかぬのでございますが、この点は今のところ、もしそういうことがわかれば、どこにありそうだということがわかればこれは措置を講ずると、その近くの井戸水をできるだけ鉛の検出、四エチルの検出をも今までの非水検査の中に非常な関心をもって——ただこれは普通の鉛と違いまして、油には解けますが、水に解けないということでありますので、今までの鉛管等からくる、俗に言う鉛毒的なあれとまた違いまして、全然検出法が違う。どうしても油を溶かすクロロホルム等を使っての検出をやらないと不可能なんです。一般の水の従来のやり方では、これはひっかかってこない。従いまして、どうしても今後は、そういうような埋没が濃厚であり、しかも、水道が布設されておらなくて、いわゆる流水なり非水を使っておるという地区が判明してくれば、これはぜひその点の検査をやるように、これからこの点は、こういう事件にかんがみまして指導をいたしたい。これは常時、ことに夏に向いますと、いずれにいたしましても、各県の保健所で井戸水検査は定期的にできるだけやる問題でございますから、これが見のがされておったのは、やはりこうなって参りますと、いけませんので、容疑の濃厚と思われる府県につきましては、これは指導いたしたいと、かように思っております。
  19. 山本經勝

    山本經勝君 先ほど部長お話によりますると、まず、市当局もしくは福岡県、つまり地元から厚生省に対する協力方の要請がないからということをおっしゃった。ところが、これは、そもそもないからほうっておくという事態ではないと私は思う。申し上げるように、すでに福岡県下でも、あるいは立川にも事例があったと言われる。さらに、戦前にも、戦争中にも、化学工場における製造過程においてそういう事例が出ている。また、私が申し上げたように、軍隊の輸送途中にも大きな事故が起っている。そうしますと、それほどのものが、とにかくどこにあるかわからぬが、一応このあたりに出るだろうということになりますと、やはり、国としての強力な機能を発動して、国が国の責任処理するということをしないと、今の福岡市には、現在四エチル鉛を検出する施設もなければ、技術者もいなかった。幸いに、県の衛生研究所がすでに県下にあった事例に基いて研究をしておったということであって、それの能力と、あるいは九大の薬学部あるいは医学部の協力を求めて検査をされている能力の限界では、一日にわずか十五件しかできない。ところが、申し上げるように、五千五百件に上る井戸がかりにあるということであるなれば、これを検査して、よろしい、これは安全でありますぞという太鼓判を押してやるためには、どれくらい期間がかかるんです。この検査能力では、向う少くとも六カ月間は見なけりゃならない。そうすると、これを市が要請しないからというので見送っていいものであるかどうか。あるいは県が要求しないからというので、厚生省は見ておっていいのかどうか。政府当局としては、その点はどういうふうに考えているか。
  20. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この点は、十分連絡いたしまして、われわれの方もできるだけ善処いたしたいと、こう存じております。
  21. 山本經勝

    山本經勝君 先ほどお話しのように、たとえば、一升びんなりあるいはサイダーびんなり、ビールびんなり、適当な器に入れて、そうして東京なら東京へ送ることが可能であるならば送るということがお話にあった。たとえば、技師を派遣してやることも不可能ではない。あるいは器械器具を持って行ってやることもできるでしょう。あるいは今のような問題の水そのものを東京に送って、厚生省の手で検査されることも不可能ではない。とするならば、その検査をまず早くやって範囲を限定しないと、非常な不安が日々増大しつつある実情にかんがみて、そこら辺の手を具体的に打たるべきだと私は思うんです。水道起債の問題が陳情され、要請されたから、水道課長が見に行ったという程度のものではなくて、いやしくも厚生省所管である限り、医務局なりあるいは公衆衛生局から直接技術者を派遣して実情を見て、すみやかに手を打たなければならぬと私は思う。その点では、部長は、非常に協力をするとか、いろいろ言っておられるが、すでに問題は三月の——非常に大きく問題がなったのは三月の下旬なんです。それからにいたしましても、すでに三カ月になんなんとしている。しかも、増大するという、そういう状態に対して、私はもう少し親切なあるいは積極的な厚生省としての施策がありそうなものだと思うんですが、これはないんですか。
  22. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この点は、厚生省といたしましては、もう積極性は持っておるわけでございます。ただ、あくまでこういう現地の問題、やはり県民であり市民でありますので、県市当局の一番の問題だろうと思いますので、一番事情がわかっている——われわれの方も大いに積極的意思はありますが、これを差し越して、こちらの紙一本ではできませんので、今度水道課長をやりましたのも、決して起債の問題ではなくて、現地被害状況水道技術の専門的な見地から行ってもらったわけでございますが、さような意味でございまして、ただ、あくまでこれは県民であり市民であるから、まずそこが積極的ないろいろな計画を立てて、国の協力すべき問題は積極性はあるが、具体的な分担面をこれと打ち合して、国が出るべき問題はここ、それから県でやった方がいい部面はここ、こういうことをやはり詳細に計画してやりませんとこれはいけません問題ですから、今度現地でも打ち合して参っておりますので、ただいま、昨日までの一番最近の情報を打ち合してきた水道課長がおりますので、もしお差しつかえなければ、補足として、説明員として御説明させていただければけっこうと存じますが……。
  23. 山本經勝

    山本經勝君 その課長の話も伺うのですが、これは基本的な政治上の問題としてクローズ・アップしていると思うのです。ですから、これはやはり政府そのものがこれだけの事態を、市の要請がないから、あるいは県の要請がないから、というので見送っておく状態が私はいかんと思うのですよ。そこで、具体的ないわゆる措置を講ずれば、たとえばこの問の水道課長と同時に、何か話を聞くところによりますと、今月の二十七日かに公衆衛生局長か医務局長か現地の視察をするとか調査をするとかいうことが言われておる。ところが、そんなのんきな問題じゃない。私は、直接皆さんに見てもらいたい。あの現場の状況は、たとえば二百戸に余るところの住宅の集団になっている所がある。市営住宅、県営住宅がございます。これらは簡易水道で水を供給している。ところが、その簡易水道が地下水を利用しているものですから、全部汚染して使われない。そうすると、二百戸の世帯は山の中腹から山の高台にかけて点在しているから、そこの主婦が一カ所に朝から晩まで水くみに通って行かなければならぬ。あるいは勤め先から一升びんに勤め先の水道の水をもらって持って帰るというような実情である。一日に一人十五リットルしか配給されておらない。これでは、この夏場に当って福岡はすでに三十一度の高温になっておる。そういう中で水が足らないという悲鳴が上っておる。毎日市役所には三百人内外の陳情団が朝から晩まで詰めかけて、市役所は機能を喪失する、こういう事態になっておる。こういう事態にもかかわらず、今の要請がないからということじゃなくて、いやしくも私は、すみやかに環境衛生部なりあるいは医務局の当路の人々あるいは技術者が現地へ行って実情を見てこられるのが至当だと思う。私はそのことを追及と言えば追及ですが、それほど深刻な事態になっているということが事実であるのだから、少くともそういう実情を直接局長あたりあるいは部長さんたちが行って見られなければ、これはしょせん理解は困難だと思う。四エチル鉛含有量が少いということじゃなくて、今まで検出されたのは最低は四ガンマーでありましたが、最高は一三五ガンマーを検出されておる。そうして厚生園のごとき公共施設の井戸水からは五〇ガンマーという有毒な鉛が出てくる、こういう実情なんです。そうであればあるほど、私は積極的な施策が必要だと思うのですが、私はどうしても納得いかん。その要請があればとか、あるいは今後やると言われるけれども、じゃ今後やるとしたらどういうことをなさるのか。あるいは協力を積極的にやるんだと言われておるけれども、そこに一つの、いつどういう手を打つんだ、あるいはこういうふうにやりたいというお考え方が少くともあってよかりそうなものだ、こういうふうに考えるのですが、その点もう一度はっきりしていただきたい。
  24. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ちょっとつけ加えて私申し上げておきますが、福岡県の大学から全技術陣をあげて十五件くらいの水道の水の分析しかできない、こういうことを言われておるのですが、厚生省の方でこれを取り上げてやった場合にはどのくらいの能力があるか、直ちにこれが二千件なら二千件の分のやつが分析できるのであるかどうか、そういう点をつけ加えて一つ説明願います。
  25. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 検査能力となりますと、第一に考えられますのは、府県の衛生試験所でございます。それから第二は、大学のこの方の関係でございます。それ以外の保健所の程度では、この四エチル鉛の検出はなかなか不可能である、こう思いますので、従いまして、先ほどから申し上げますように、今の推定から全世帯を直ちにやるかやらぬかでこれはだいぶ件数が違ってくるわけであります。非常に類似性と言いますか、ここに出ればその他の条件がらここには必ずそう差がなく出る、こういう件を極力やることになりますと、件数がずっと減って参りますので、しかも進み方は早い、いわゆる円周を拡大していくにはかえってその方が早いということになりますので、そうなりますと、何分の一の件数を、要点を先に選ぶということになりますので、そのうち現地で幾ら、それからそれ以外でやるところが何件、ただこれは非常に注意を要しますのは、これが揮発性でありまして、ほっておけば揮発してしまう。そういたしますと、検査成績というものは、遠くへ行けば行くほど、現実に入っていたよりも安全という結果が誤まって出る可能性があります。従いまして、これは運び方、それから保存の条件等は、これは厳格にいたしませんと、苦労してやりましても、かえってあいまいなことになって、案外安全ということを東京あたりで出しました結果、それを今度は安心してしまいますから、飲み続けると、逆にそっちから将来被害が出るということでありますから、これは非常に詳細な、しかも微量分析の範囲に属する問題でありますので、ただいま何件だけが外へ出るということはちょっと自信がないのでございます。従いまして、今まで現地の今までやりました大学当局の実際の人手と機械の状況、これらで、それらの条件に合ったものを拾い出さなければならない。他の地区に依頼すると何日間かで終るが、これを具体的に打ち合せませんと、いい加減なことでは効果がございませんので、そういうような意味で、今度水道課長が帰ってきて、内容を今調査中であるということを、ここへ出る前、けさ自動車の中で聞いた状況でございますので、これから積極的に今のような内容で検査を早く進めるように、安心する方法をするように積極的にやっていきたい、こういうように思っております。
  26. 高野一夫

    ○高野一夫君 関連質問。私は部長に伺いたいのでありますが、あなたの御説明でどうしても納得できない点が二、三ある。そこで、先ほど山本委員からも盛んに御質問が出ているのだが、核心に触れた答弁が聞かれないように思うのだが、今年の三月末に事件が発見されて、そうして今日まで厚生省がほとんど手を打っておらない。これは聞き違いかもしれませんが、あなたの御答弁では、それは現地からのいろいろな連絡がなかったということ、県、市の問題であればまず県と市が責任をもってやるべきである、こういうような御答弁があった、これはどういうわけですか。私は一つ一つ伺いたい。昭和三十二年の三月末に発見されたこの事件を、厚生省のあなた方が御承知になったのはいつですか。
  27. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これは四月の中旬に、全然この報告ではなくて、市でありましたかの、全然別な方から、こういうことが起っているらしいということを出張のついでに聞いたので、もっと詳細なことを知りたいということで、いろいろなデータを至急出すようにということでありまして、そのままに連絡がなかった。まだ重大な四エチル鉛というものは厚生省では実は知らなかったのであります。最初うすうす知ったのは今の四月中旬で、正確に知りましたのが六月に入ってから、こういう内容でございます。
  28. 高野一夫

    ○高野一夫君 最初に御承知になったのは、これは生水の中に異常があるということでなくして、どういうわけで異常がある。たとえば四エチルの鉛が入っているらしいというようなことはわからなかったわけですか。これは生水に異常があったが、それは原因もわからない、内容もわからない、そういうような程度のものだったのですか。
  29. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 四月の中旬はさようでありまして、その後、五月の十日に市の環境衛生係長より四エチル鉛であろうということは今度連絡があったわけでございます。
  30. 高野一夫

    ○高野一夫君 私はなぜこういうことを時間を区切ってお尋ねするのかというと、とにかく水は朝晩飲まなければならない、水を使わなければならない。その水のことでありますから、非常に日時というものが大事だと思って伺ったのであります。五月の初めに四エチルの鉛であるらしいということがわかって、その後確答と言いますか、もっと明確なる報告が市なり県からこなかった。その間、厚生省の方では、ただその後こないこないということで漫然とお待ちになっていたということですか。
  31. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 結果から見ますと、さようなことでございます。
  32. 高野一夫

    ○高野一夫君 結果から見るとそういうことになるというのはどういうことですか。実際においてそういうのであったわけでしょう。
  33. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 結局、厚生省としては、非常に気にしておったわけでございますが、まだ確定した、それから、どの程度出るということが、どうしてもつかめないものでございますから、まあ、結局それ以上のことはしなかったわけでございます。
  34. 高野一夫

    ○高野一夫君 公衆衛生そのほか厚生省のいろいろな衛生行政については、地方に本省からいろいろな指令を出される、いろいろな注文を出される、やかましく監督もされる、そういうようなふうにして地方の市の行政あるいは県の行政と非常に密接な結びつきを今までとっておられる。従って、地方の方からのいろいろな申告があり、お願いがくるというだけでなくして、何かそういう危険性があるような問題が起ったならば、厚生省の方から積極的に動いて、どういう事情だ、こういうふうにしてすぐ向うに出掛けて行って実情を確かめる、あるいは厚生省の方で何か協力する道はないか、こういうようなことは私はあってほしいと思いますが、そういうことはおやりにならなかったわけですか。  あなたは最近部長になられて、あなたに聞くのもお気の毒だけれども、局長がおられれば局長に聞くのだけれども、まあ、前任者から引き継ぎがあったことだろうと思いますから、あえて伺います。
  35. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 正確なことを申し上げますと、その後、五月十日に市の環境衛生係長からございまして、五月二十七日に市の水道局長、それから厚生課長が、県の衛生部長の方から五月二十五日付でこちらの方に出る井戸水汚染の報告と並行いたしまして初めて報告があったということでございますが、当省の方で積極的にこれ以外に具体的に人を派遣したとか、あるいは直接督促したということがないのはまことに遺憾でございます。今後はこういうふうな、ことに四エチル鉛に限りませんで、かかる住民に広範に、また被害の程度が将来おそるべきものがあるものというようなことにつきましては、厚生省でも積極的に、これは監督指導の十分責任のある者でございますから、御発言の通りに、十分そういうふうにこれからはいたしたい、かように存じております。
  36. 高野一夫

    ○高野一夫君 今までのやり方を伺っていても非常に怠慢だと思う。まあ、しかし、過ぎ去ったことだから、あえて追求いたしませんが、そこで今後国として取るべき対策について先ほど御説明がありましたが、厚生省だけではどうにもならぬ点も多々ある、それはもちろんのことでありましょう。それで、それだけですか、いろいろなことを考えなければならぬが、厚生省だけではどうにもならぬということでありますか。すでに内閣あるいは閣僚会議に持ち出されて、各省との関係のいろいろな話もされたのか、あるいは行政事務的に各省と関係のあるところで連絡措置の、いろいろな連絡の相談でもされたのであるか、そういうことはどうですか。ただ、今まで厚生省で考えておられるだけですか。
  37. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまのところまでは、行政的に各省と相談している段階でございます。ただし、その内訳といたしまして、一つは今の補償とか、あるいは起債の問題、いわゆる今後の対策についての経費の問題、これは各省と行政的に事務的に今折衝中のところでございます。それから、この検査の方面は、これは各省と言いましても、具体的に大学等にも御依頼するとなると、もちろん文部省なりその他とも関連が出て参るわけでございます。ただいまのところは、この方は事前には、まだ具体策になっておりませんので、それについての各省の交渉はいたしておりません。
  38. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一つ伺いたいと思いますが、先ほど部長お話で、今までこの生水を飲んで利用しておって、幸いにして何らの病変と言いますか、疾患と言いますか、そういうものにかかったような事実がない、こういうお話であった。ところが、われわれ常識で考えましても、こいう鉛類の中毒というものは突然出てくるものでなくして、長年の間に自然々々に中毒症状がが出てくるのが鉛の特徴です。そこで、現在まで終戦後飲み続けたのか知らぬが、終戦後出てきたのか、いつごろから出てきたのか知らぬけれども、あるいはまた、今後何年かたった後に症状が出てくるかも知らぬ。従って、現在までの間に症状が出なかった、まことに仕合せだという考え方厚生省の当事者自身がお持ちであるということは、きわめて危険である。それと同時に、雑用水に使うことは差しつかえない、こうおつしゃいますけれども、雑用水は手に触れる、あるいはからだに触れる、そういうことで差しつかえないのかどうか、こういう点についても、十分専門的の意見を私は伺いたいのであって、まあきょうでなくてもよろしいですが、そこで、そういう点も十分一つ研究しておかれないというと、ただ現在雑用水に使ったが何の症状もなかった、変化もなかった、飲んで何の変化もなかった、それは幸いだ、こういうようなことでは、私は厚生省当局者考え方としては、きわめて危険だと思う。これはどうか厚生省にも専門家がたくさんおられるはずだと思いますので、十分この点についてははっきりした見解を固めておいていただきたい。
  39. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今の部長説明によると、どうも今日までの厚生省の努力が、この人間の生命に関する問題でありながら取り組み方が足りなかった。これは高野委員からの御指摘、山本委員からの御指摘もあったが、私はやはり今どう処置をするかということが、今の問題として重要な問題だと思う。課長が帰られたから、課長の説明をお聞きすればよくわかると思いますけれども、先ほどから答弁の中に出てくる、地下水だからポイントを押えて検出すれば効果はあるのだというものの考え方から、少数の検出検査場所というものをきめてやった。ところが、それを地下水そのものについて追究していくなら、一万二千人の対象数が二万五千人になり、地下水がどう流れているかということによって、それが三万になり、五万になるという危険もある。地下水の流れというものはなかなかわかりにくいから、そういう問題が将来出てくると考えなければならぬと私は思うのです。そうなると、結局今の事態をどうするか、現実、会社や工場へ勤めている人が一升びんとかその他のものに水を入れて持って帰らなければ生活が不安があってできぬという現実の問題だから、消防車とか、防衛庁の助力を得て飲料水その他について給水作業をやっておられるという問題が今出てきていると私は思うのです。そうなると、現実に今どうするかという問題で、賠償云々という御意見がありましたけれども、これは生命に関する問題だから、今やはり何とか処置をしなければならぬ、衛生行政を担当される厚生省としては、今の処置を私はやはりここではっきり決意をお述べにならないと、これはやはり福岡市民、また、これが地下水の流れによって市をはずれた地域まで地下水が流れるということなら、不安はつのるばかりだと私は思うのです。だから福岡市の上水をここにやるとか、またはその建設ができなければ非常に問題でございますけれども、何とかして上水道を流すための、その期間の今のような処置というものは、根本的に私はやはり国の責任という問題の考え方から処理をするという工合に、厚生省はお考えにならなければいかぬと私は思うのです、先ほどからお話を聞いていると。だから、不安は増すばかりだから、そういう点について、もっと行政上の立場からはっきりとお答えを一つお願いしたい。
  40. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの一番大事なのは、安全な水をさしあたり給水するということであるわけでございますから、さしあたりの応急措置と、それから今計画いたしましても、半年以上かかるそうでございますから、この配水管の増設工事、この二つをやるべきことには異論がないのであります。厚生省が直接考えてもそれ以外には手がないと思います。これはもう県、市一緒にこれを早く実現するということで、いろいろな各省の折衝その他日六体的裏づけ、これにつきまして努力を至急していきたいと存じております。事後におきまして、今の費用の負担区分というようなものは、われわれ自身はできるだけこれは国も負担できるものはしたい、こういうことで努力はいたしますが、これはまだすぐには解決できませんが、急ぐのは実際の工事でございますから、その方は協力をして、また開始できるように協力をしたい、こう考えております。
  41. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっと重ねて。だから、工事には協力するが、金の負担の問題はあとの問題だと言われるけれども、金の裏づけがなければ工事にかかれないと私は思う。だから、工事も早急にやらなければならぬということは、厚生省も市も県も同じ結論だと私は思う。だから、その工事をやって、よい水を与えるということ、給水するということが、私はやはり国費で、このようなものは国でどういう工合にこの処置をするかというところに基本的な考え方が出てこなければ、工事や技術は手伝いましょう、あとはまあというような格好じゃ、私は具体的に市や県にしてもなかなか動きにくいと思うのです。そういう点は予算の面と、緊急施設の予算の面とあわせて早急に処置をとるように一つしてもらいたい、これを強く要望しておきます。
  42. 山本經勝

    山本經勝君 ただいまの藤田委員の質問なり、御意見もあった点ですが第一番に問題になってくるのは、順序から申しますというと、今度の問題、いわゆる水質検査をすみやかに完了して範囲を限定して不安を除くということが第一点。その次は、やはり恒久的な施設をする前に応急的な対策が必要である。その応急的な対策とは、市あるいは県が協力して現在やっております給水の方法、その次にその期間が非常に長く保ちがたいですから、しかも非常に限定された水量では、衛生上重大な故障が起り得るのであって、そういう状態に対処するために恒久的な水道の施設を必要とする、こういうことだと思う。そこで、問題になるのは、やはり金がなければ仕事にかかれない、こういう現実だと思う。そこですでに水道の施設については、大蔵省等にも起債その他の問題について陳情があったと聞いておる。そうしますと、少くとも水道施設に六千万円、それから当面の応急施設に三千二百万円、こういう金がなくてはならない。そこで厚生当初としては、一応すみやかに現地の実偏を把握した上で大蔵省に要請をしてもらわなければならぬ、こういうことに話し合ってもらわなければならぬ、こういうことになってくると思うのですが、その点についての心がまえと言いますか、あるいは腹ぎめといったようなものがあるのかないのか、この点を明らかにまずしていただかないと、大蔵省からも見えていただいておりますが、ここに話のしようもないということだと思う。その点どうなんですか。
  43. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) さしあたり、いずれにしても起債を急ぎますので、起債の問題は、水道課長が出る前にも自治庁、大蔵省にもこの点ぜひ優先的に至急できるようにという折衝をいたしておりまして、また、本日もけさ早く人を派遣いたしましてこの折衝を続けております。私の方としては、できるだけこれが、要するに早く工事ができるように、開始できるように起債のワクを早く認めてもらう、これはもう全力を尽したい、こう思っております。
  44. 山本經勝

    山本經勝君 大蔵省の地方資金課長お見えになっておりますか。
  45. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) おります。
  46. 山本經勝

    山本經勝君 それで伺いたいのですが、先だって、福岡市の厚生部長が一応の案を持って上ったと聞いておる。で、六千百万円と聞いておったんですが、そうした資金等に関する問題、それからさらに、今申し上げる応急施設の三千二百万円という金がなければ、これはどうにも動きがとれないと思う。実情は申し上げるまでもなく、自衛隊のタンクを利用して水を持っていく。あるいは一昨日は小倉市の消防車を借りている、こういうような実情であった。ですからこうしたものに検査等を含む、あるいは汚染源を発掘する必要を含む三千二百万円金がどうしてもなければならないということなんです。この点、大蔵省としては当然国が支出しなければならぬという結論にはなっていないまでも、今までの状況を判断しますと、国の責任においてこれは処理すべき問題だと考えておる。ですから、何らかの方法で資金的援助をしていただける用意があるのかどうか、大蔵省の見解を伺っておきたい。
  47. 堀口定義

    説明員(堀口定義君) 恒久の対策としまして、水道拡張の問題についてはお話も承わっておりますので、よく具体的な計画をお聞きした上で、各省と連絡しまして善処いたしたいと思いますが、それから応急措置に要る経費等の問題につきましては、いずれにしても福岡市全体の財政の問題でありますし、もし具体的に財政の資金繰り上金がないというようなことであれば、お貸しする措置もあるわけでありますから、よく事情を聞きまして、できるだけのことはいたしたいと思います。
  48. 山本經勝

    山本經勝君 続いて伺いたいのですが、そうすると、貸すということになりますと……。実は十七日市会を開いてこれらの問題を総括的に検討して最終的結論を出すはずです。そうして最小限度三千二百万円という金がなければ、応急措置が継続できぬということだと思う。それほど逼迫した実情のもとにあることは一応のきょうのお話でおわかり願えると思う。大蔵省として、ただ単に正式に国の責任において補償すべきものであるということがわからなければそういうことができないと、こういうことなのか、あるいはその他の、つまり資金的な面で他に方法はないのか、具体的に私は伺っておきたいと思う。
  49. 堀口定義

    説明員(堀口定義君) 要するに、福岡市といたしましては、相当大きな全体の歳入歳出でもっていろいろのそういう臨時的な支出なり、恒常的な支出をやっているわけでありまして、その法律的な性格が確定しなければ、はっきりした補助とか何とかということはわからないかもしれませんけれども、そのときにおいて必要な経費で資金繰り上どうしても必要だということであれば、先申しましたように、短期資金としても貸しつけることが可能でありますし、また、水道の布設につきましては具体的に聞いておりますので、先申しましたように起債として処置したいと思います。  なお、補助金等の問題につきましては、所管が主計局でありますので、私の方から申し述べるわけには参りません。御了承を願いたいと思います。
  50. 山本經勝

    山本經勝君 厚生省の薬事課長おみえになっておりますか……。それではちょっとお伺いしたいのですが、この種の問題は化学的な分析、あるいはエチル鉛の身体に及ぼす影響等については一応基礎的なデータもあることだと思う。そこで、厚生省において、公衆衛生局なり、あるいは環境衛生部といったような部局の所管の問題もあろうかと思うのですが、直接これらに対する検査等の技術がどの程度厚生省で整理できるのか、あるいはその能力があるのか、こういう点を一つお聞かせ願いたい。
  51. 菅野周光

    説明員(菅野周光君) お尋ねでございますが、私実は事務屋でございまして、非常に専門的なことについてはなかなか知識もございませんので、その点あらかじめ御了承願いたいと思います。  これの検査等につきましては、やはり汚毒防止、あるいは水質検査ということになりまして、ただいま先生のお話のように、直接の所管が公衆衛生行政、環境衛生行政の範疇に入って、それでやっております。それに対して、先ほど来お話もありましたように、現実の仕事としては、都道府県の衛生試験所においてやるだけの一応の能力は備えている。なお、国といたしましては、大阪あるいは東京の国立衛生試験所において必要とあればそれをやるということに、仕組みとしてはなっております。
  52. 山本經勝

    山本經勝君 この問題は、ここの非常に限られた時間ではしょせん意を尽しがたいという実情だと思うのです。それでこれは何しろ拡大をする実情のもとにある。しかも不安はそれに伴って日々増大しつつあるという実情ですから、この委員会から正式に現地調査をして、そうして厚生省とともにこの問題の解決策について御協力を願いたいと思うのですが、この点、委員長の方から一つお諮りをいただきたいと思います。
  53. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) お諮りいたします。ただいま山本委員の方から、本委員会が、現地において調査せよという御意見が述べられましたが、これについて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたしまして、本問題に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと思いますが……。
  55. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 関連してちょっとお伺いしますが、先刻来水質検査とか何とかという話がたびたび出ましたが、聞きますというと、ただいまは二名だけ出ているということですけれども、その他の方々について身体検査をされておりますでしょうか。あるいは血液のスペクトロンなどの検査ができておりますか。それがあれば大体わかりゃせぬかと思うのですが。
  56. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは、ただいまの谷口君の質問を先にお願いいたしまして、そのあとで水道課長がきのうお帰りになったそうでございますから、簡単に御報告を願いたいと、かように思います。
  57. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 確かに現在までは二名だけしか確認されておりませんが、今までの四エチル鉛の場合、一カ月ないし八カ月くらい使用してから出た例が多いようでございまして、先ほど高野委員からも御意見がございました通り、今、出ないから安心で、もう今後はほかの水を使ってれば出ないというわけじゃなくて、確かに一定の時間を経てから若干出るかもしれません。その点確かに憂慮にたえませんので、当然その関係者の健康診断が要るわけでございます。ただいま現地ですでに結成されました大学の医学部関係、県市等の協議会で一応その点を憂慮して決定しておりますが、その内容によりますと、中毒患者の発見方法並びにその診断方法に対する問題として、患者の発見並びに診断については、市または保健所において協議し、その他医療機関に相談されるようにされたいという程度の結論を決定しているようでございます。問題はただ鉛の問題でございますので、一般的に体重が減ったとか、あるいは貧血らしいという程度でありますと、一般的にできますが、赤血球の鉛の斑点ということになりますと、血球の顕微鏡検査が要るわけでございまして、これを全部やるかどうか、まだわれわれの方でも見当がついておりませんが、これも現地と相談いたしまして、もしそういうことが、現地の医学部の教授の方々の御意見がそういう点の判定であれば、これも協議してあっせんする等の対策も講じたいと思っております。
  58. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 実は戦争中に徳山の海軍病院に四塩化鉛の中毒があったわけでございますが、その場合に患者が出たが、それ以外の方に血液検査、ことに分極光器でスペクトロンを見てみると、容易にそのあるなしがわかるのですから、その方法をとってやってみたら、かなりの人に障害があるものですからして、それをもってみんなの予防対策をやったという話を聞いておるものですから、どのくらいおやりになったかということをお聞きしたいと思いました。おやりになっておるならけっこうです。
  59. 田辺弘

    説明員(田辺弘君) 私、昨日現地を視察いたして参ったのでありますが、諸先生から御指摘がございましたように、現地は非常な苦労、また、精神的な不安に満されております。何とか一日も早くこの不安を解消しなければならないと痛感いたした次第でございます。  それで問題は、早く汚染地域範囲を確定するということ、それからその汚染地域に対します応急給水を早く軌道に乗っけるということが第二の問題と存じました。それから第三は、恒久対策を早く完成する、こういう三つの問題になろうかと考えたのでございます。  それでこの汚染地域調査をすればするほど拡大していく、こういう現状でございまして、はなはだ心配を感じたわけでございますが、それで今後の水質検査をある程度広い範囲一つ手を広げるように指示いたして参ったのでございます。それで、シラミつぶしに井戸水調査すれば、これは万全ではございますが、やはり施設の関係もございまして、なかなかそういうわけにもむずかしいと思いまして、やはり地形、その他から考えまして、サンプリングをして、なお、この地下水のことでございますので、日々動くわけでありますので、現在汚染されていなくても、周囲が汚染されてきますれば、やがて汚染されることになりますので、概略を早く押えるということがまず必要だと存じました。なお、広く範囲を広げて調査するようにお願いをいたしてきたのでございます。  それから応急給水につきましては、各方面の非常な協力を得て、大体着々と順調に準備が進められ、また、現実に給水が進んでおりました。まず、目標の一人当り十五リットルを供給するようにはまず大体軌道にやがては乗る、こういうふうに拝見してきたのでございます。まあどちらにいたしましても、これから夏にも向いますし、また、わずか一日十五リットル程度の水で生活することは、これは短期間でございますれば、まああれでございますが、長期にわたりましては、とうていたえられないことでございますので、とにかく一日も早く水道施設を完成するということに最大の努力を私たちは払いたいと考えたわけでございます。それで、六千万円の起債につきましては、自治庁、大蔵省とよく折衝いたしまして、一般の都市の決定以前に内定をしていただきまして、すぐに着工するようにいたしたい。なお、工事も幸い水源地もすぐ近くにございますので、鉄管その他の材料が早く入手できれば、割合に早く完成することができる地帯でございますので、なお工事の促進をはかりますために、必要があれば、近辺の都市から応援を差し向けるようにいたしたい、こう考えております。なお、最近鉄管などの入手がなかなか容易に入りませんという実情でございますが、この点につきましては、メーカーによく指示をいたしまして、ほかの都市の予定のものをここへ回すように手を打って参りたいというふうな考えをただいま持っておるわけでございます。
  60. 木下友敬

    ○木下友敬君 今水道課長の簡単の報告を聞きましたが、その簡単な報告だけでみましても、先ほどから部長さんのきわめて消極的なお話とはずいぶん違う。これは現地に行って実情を見ておられるから、非常にそういう気を強くされたのでしょうが、ことに検査をすればするほどだんだん範囲が広がるというようなことも、これは重大なことです。それから日々水質状況が変ってくる。こういうことも、部長さんの頭にかつて考えられなかったことでしょう。これは非常に重大なことでありまして、私ども何とか早く現地に行って調査をして、福岡市民の不安をとりたいと思いますが、課長さんが向うに行ってお調査になったことを、皆が出かける前に資料として、きちんと書いたもので出していただきたいと思います。
  61. 田辺弘

    説明員(田辺弘君) 承知いたしました。
  62. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) それでは、本問題に対する本日の調査はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  64. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、流行性感冒の対策に関する件を議題といたします。  本問題につきましては、厚生省から尾村環境衛生部長、高野防疫技官、それから文部省の塚田保健課長、予防衛生究所長小島三郎君が見えております。本問題について、現在までの状況及びこれが対策について、厚生省並びに文部省当局から御説明を願います。
  65. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 防疫課長を兼ねております公衆衛生局長所管なのでございますが、ただいま出張中でございますので、かわりまして私から御説明申し上げます。今回のインフルエンザの流行のわが国における初発として大体考えられておりますのは、今年の五月十一日に東京を中心に発生をいたしたのでございます。足立区の方面に発生し、逐次東京の方にふえまして、次いで五月十八日に京都市に発生したのを確認いたしました。これが東京、京都を中心にいたしまして国内に逐次広がりまして、現在のところ大体三十八都道府県に発生しているという報告がございます。その他は今までのところ報告がない。報告がないということは、今までに確実にインフルエンザが発生しておらないかということになりますと、それは疑問でございます。今まで、厚生省でこれによるものとしてキャッチしておらぬという県が若干ございます。その後の増加の傾向を見ますと、いわゆる七大都市を含む府県に最も多く、これは元来人口が多いせいももちろんございますが、ただいま七大都市のある府県の学校に非常に発生しているという状況を確認しております。いわゆる六大都市プラス福岡市、ここに一番数から見ましても集中いたしております。すなわち、人口め非常に糊密なところに非常に多く発生しているということは、これは明確に急激なインフルエンザの性格と合っていると言えるようでございます。  それから患者の多発した学校数から言いますと、今朝の六月十日現在で、いやしくもインフルエンザを原因といたしまして、学校関係として何らかの措置をしたものが千五百七十四校でございます。内訳を申し上げますと、休校したもの、すなわち、全学閉鎖ということでございますが、全学閉鎖は二百九十校、それから特定の何学年か、特定の学年全体を閉鎖したもの七十八校、それから特定のクラス、学級を閉鎖したものが七百七十三校、それからこの三つではありませんが、この三つに含まれないその他の措置をしたもの、すなわち、多発をしておるということで、たとえば特殊な校内の防疫措置とか、そういうようなことをやったということで、いわゆる学校は休むというに至らない、これが四百三十三校、こういう形になっております。もっともこれは全部今この千五百七十四校がこの状況にあるというのではなくて、発生以来こういう措置をとりまして、大体概数三分の二は現在原状に復帰しておるわけでございます。この約三分の一がきょう現在こういう状況にある、こういう形になるわけでございます。  それから推定の患者数はこれは非常につかみにくいのでございまして、これは後ほども申し上げますが、大体三日ぐらいで経過してしまって全く大部分がなおってしまうという形で、第一医師にかかる者が非常に少いらしいということで、一番確実につかめる医師の届け出での対象にならざるものが大部分である、かぜ薬で済ましてしまうというような形から非常につかみにくいのでございまして、全体の数はつかみがたい。そこで、今まで比較的つかめておりますのが学童と生徒、いわゆる学校中心でつかんだだけの数がけさほど現在で約十三万人を推定されます。これは決して学級閉鎖なり休校した全校生徒ではなくて、あくまでその中でそういう措置をしなければならなくなった患者ということを一応目標にしてつかんだ数でございます。ただし、これは今申し上げましたように、医師が直接一人々々を診断したのではありませんので、先生の判断と家庭並びに本人の自覚症状との申し立てによって判断したものが大部分でございますので、医学的な根拠はだいぶこれは疑いはございます。  それから症状と経過でございますが、比較的軽症でございまして、昨年末の冬の流行時のときよりも一そう軽症でございまして、最初熱だけは高熱を出す、大体一番多いのが三十九度、中には八度ないし高熱の四十度を出した者もございますが、要するに、比較的の高熱を出すことが最大の特徴、そのほかにいわゆる神経症状、頭痛、それから腰の痛み、全身倦怠というようないわゆる神経症状を併発するのが多く、その他粘膜であるのどの痛み、それから食欲不振並びにせきや鼻汁が若干出るという、いわゆる粘膜系統のカタル症状、この三つが大体多く、ごく一部の地区で鼻血、あるいはもう少し激しい下痢まで至る胃腸障害、いわゆる粘膜系統のもう少し重い下痢症状、こういうものが加わった地区がある、こういうことでございます。いずれの地区も経過は二日ないし三日で大体完全に快方に向うということでございます。  それから死亡者はこれは非常に重要な問題なんでありますが、今まで確認できましたのは全国で東京都の滝野川方面の小学生一名のみでございます。ただこれも非常に大事なことでございますので、ある程度報告を求めたところ、ふだんから非常に心臓の弱い子供で、一ぺんこのインフルエンザらしく二日ほど休みましてなおったというので出てきて、それから心臓の工合が悪くなった、こういうことであります。しかし、これは学校の閉鎖措置等には、死亡ということがこれまで出たことは非常に大事なことでございますので、この点も最近の東京都の学級閉鎖、休校等にはある程度参考になっておるかと思います。  それから今度の原因菌であるウイルスの形でございますが、大体今までのところ、幾つかの学校からこの原因菌が発見されまして、今までのA型、B型にない、A型のでも新しい新変異菌ということが確定になっておる。大体これは予研の小島所長がお見えになっておりますので、そちらにおまかせいたします。現在のところ、六校から分離した菌、しかもそれは東京、京都、川崎、横須賀という地区の違ったところから出たものがいずれも新A57というインフルエンザ菌ということになっております。  でこれに対しまして国際的な経過でございますが、これはわが国のほかに現在のところ、欧州あるいは北アメリカには出ておらないのでございまして、現在のところは、東南アジアに四月以来相当多発しておるという、わが国では五月中旬でございますが、多く出ておりまして、推定は非常にむずかしいのでございますが、同じような輸入菌ではないかということも言われております。そのつながりは現在ロンドンにあります世界のインフルエンザ・センターの方にこちらの分離した菌を送っておりまして、よそから行った菌とあわせて、同じものかどうかをまだ検討中でございます。まだ報告が参っておりません。  若干東南アジアの状況を申し上げますと、香港では四月中旬に発生いたしまして、全住民の約一割が罹患したそうでございます。そういうA型の新変異菌が出ておる。それからシンガポールにおきましては、四月下旬に八万人が罹患いたしまして、やはり何らかのA型新変異菌が分離された。台湾が四月下旬、これはちょうどシンガポールと同時期でございます。約十一万人が罹患をしております。菌の点は詳細不明でございます。それからフィリピンのマニラ、これはマニラ市に大体五月の中、下旬に約八百名ないし九百名の患者が同時に発生しており、そのうち十四名が死亡したということでございます。原因菌は現在分離中でまだ成功しておらぬらしい。その他五月中旬すなわち日本と同期からインド、それからボルネオ、ベトナム、インドネシアにも患者が発生を始めておるという報告がございます。  それからもう一つ国際関係で、わが国と関係のありますのが、五月の二十六日に、神戸に香港から入港いたして参ったオランダのチクルバール号という汽船、これは乗客と船員合せて百六十八名中、乗るときの検疫で十五人の罹患者を発見したというのでございます。これはわが国で罹患したのではなくして、明らかにわが国以前すなわち香港から入ってきたのであろうということが考えられる。同様に、同日に、全く同じ日に神戸に並行して入って参りましたプレジデント・クリーブランド号、これは乗組員と船客七百七十四名乗っていたのでありますが、そのうち十一名が同様香港から到着した検疫において発見されております。これも全く同じようなことが考えられます。それからその後の厚生省のとっております措置でございますが、五月二十九日にこの発生をキャッチいたしまして、予防対策は、昨年の十二月十五日に昨年度のインフルエンザ対策の詳細な通達を出しておりますので、やり方といたしましては、菌は除きまして、同じことを全部網羅しておりますので、これを緊急に今回もとるように通達をいたしました。それから疫学調査をすみやかに実施する。これは流行の形をはっきり見きわめるには疫学的な観念から調査いたしませんといけませんので、これを指示いたしました。それから菌を、検体を見つけたならばそれを予研へ送って全部菌の型を、権威ある決定をする。こういうことを五月二十九日に局長名をもって指示をいたしました。従いまして、もちろん昨年以来やっておりますように、医師にかかれば、医師は一応疑いがあれば、必ず保健所に届け出る等の措置と全部並行して行われておるわけでございます。ワクチンの問題でございますが、一応A型の新変異菌でこの効果の百発百中の問題は疑問でございますが、いずれにいたしましてもA型がもとになっておりますので、とりあえず保存をしております三十八リットルのA型ワクチンを十二都道府県に一番多い土地、どんどんと出つつある府県に配布をいたしました。  それから先ほども申し上げましたように、五月二十八日と六月五日に予研の中にある日本インフルエンザ・センター、これは国際的な分布になっておるわけでありますが、ここからロンドンの世界インフルエンザ・センター並びにマニラほか二カ所にあります同じようなセンター、これに流行状況報告と、それからA型の新型を分離したということを直ちに伝えまして、二十九日に分離したものの第一例、これは分離菌の第一例は東京の足立区から発見した、分離できた菌でございます。これをロンドンに送付いたしまして、相互比較の検査を今要請中でございます。  大体以上のようなところでございますが、潜伏期につきましては、現在まで集まりました調査の結果では、やはりインフルエンザの原則である——ないし三日を出たものはほとんどなく、大体が——ないし三日以内に全部発病する者は発病する、こういうことでございます。この点は従いまして、従来とも休校の措置が三日ないし四日ということでございましたが、これは厚生省の考えといたしましても、その間に前日感染を受けていれば、発病するであろう、発病すれば今度はまたその経過中は当然休むであろうということで、大体三日ないし四日以上の休校措置は適切であるというふうに現在考えております。  それからなお、日本は、主として学童を中心に、若い者を中心に出たのでございますが、その他の方はあまり申し出なり、集団的な発生もつかめませんのでありますが、現在まで若干わかっておるものがございます。それは防衛庁の方で、これは若い人の集団になっておりますが、隊員でございますが、茨城県の勝田の部隊で、これは部隊といたしましては二千三百名いるのでありますが、そのうちの一番若い養成部隊が、いわゆる陸曹と言って下士官の——昔の下士官でありますか、これの養成部隊の二百名の中で百名が六月一日に集団発病した、症状は二種類ございまして、これは学童とちょっと違うかもしれませんが、呼吸器系にきた者と、胃腸系にきた者と二種類ございますが、これが五〇%程度の発病になったのでありますが、これが一例でございます。それから隣の防衛庁の本庁、すぐ隣と言いますか、この向うにございますが、新しいところでございます。あそこに勤務員が四千三百角いるそうでありますが、その中で合計いたしまして約百四、五十名がまとまって、ごく若い者にやはり出ておるそうで、年寄りの方にはほとんど出ていない、伊丹の部隊で十五名、横浜の部隊で六百名中二十二名出ております。ここの部隊は呼吸器ではございますが、ここの部隊は鼻出血を出しております。こまかく分けますと、特定の部隊ごとに、要するに起居住をともにしている営内居住者に集団で出ております。なお、労働省関係の情報は、正規には監督署等にまとめて、作業労働に差しつかえるということで、これを原因とする届出は全然ないそうであります。ただうわさでは二、三の商事会社等で社員が休む者があるという程度に聞いておるわけであります。  以上の通りでありまして、比較的ごく若年者の方に多いということが特徴なことと、それから潜伏期、あるいは症状は、従来のインフルエンザの成書等に全部書いてあります範疇に全部合しておるということであります。症状は従来のものは、現在のところでは最も軽い、将来どうなるかわかりませんが、現在十三万名ほど推定されますが、いずれも二、三日でなおっている。ただ一つ従来から虚弱な子供が一名だけ死んだ、こういう状況でございます。  対策としては従いまして、現在のところは、従来の流感に対する処置を全面的に広範囲にやっていく。こういうことと、それからやはり今の症状等の性格から見まして学童中心になっておりますので、文部省関係で、やはりこれの一番いい対策である発病者を除く、発病者といつまでも集団的に一緒にしないと同時に、ほっておけば非常に軽く済むものでありますから、その他の原因で重症にかからないようにということで、休養が最も大事であります。からだの調子が悪いと、先ほどの死亡例の問題もございますので、工合が悪くなるといけませんので、そういうような処置を講ずるとか、万全の措置を講ずる。  なお、ワクチンの問題につきましては、まだ国際センターとの、外国との関連もございますが、ワクチンの方の問題については、これは予研の所長から専門的な説明をお聞き願いたいと思いますが、従来のものをどの程度使うかということ、あるいは新型のものを作る問題等はもう少し専門的な報告を分明して、至急対策を立てたい、こういうように思っている次第でございます。
  66. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に文部省の塚田保健課長。
  67. 塚田治作

    説明員(塚田治作君) 学校におきまする今回のインフルエンザの発生状況につきましては、ただいま厚生省から詳しく報告もありましたので省略いたします。なお、このうち、やはり東京と京都が比較的多いのでありまして、これの概要につきまして、土曜日の午後電話連絡がありましたので、簡単に報告いたします。  東京都内にあります千三百八十二校のうち、大体発生学校数が九百六校、そのうち全校休業やりましたのが百二校、それから学年の休業をやりました学校数が四十八校、学級数が八十二学級、学級休業は六百八十五校でありまして、その学級数が千四百四十一学級となっております。その内訳すなわち小学校、中学校、高等学校、自由学校につきましては省略いたします。なお、京都からも土曜日に連絡がありましたのですが、京都では全校休業やっておりますのが三校、それから学級休業をやっております学校が七十七校、その学級数が二百八十四学級となっております。文部省といたしまして、これに対しましてとりました措置につきまして、簡単に報告さしていただきたいと思います。  学校におけるインフルエンザの予防につきましては、昨年の暮れからことしの春にかけまして流行しました当初の、昭和三十一年十二月の十九日付をもちまして、文部省初等中等教育局長名をもちまして、各都道府県教育委員会並びに各都道府県知事あて、学校におけるインフルエンザの予防について、ということですでに通達をいたしまして十分注意をいたしております。なお、ことしの五月の十六日、各都道府県の教育委員会におきまする学校保健主管課長会議の際にも、学校伝染病につきましては十分注意をいたしておるのであります。今回の流行につきましては、一応厚生省防疫課と十分連絡をとりまして、その後の患者の推移等につきまして注意をしておったのでございます。その後、流行が激しくなりましたので、五月二十九日、文部省初等中等教育局長名をもちまして、各都道府県及び教育委員会あて、学校におけるインフルエンザの予防につきましての通達をいたしたのであります。なお、この二十九日には、厚生省からも各都道府県知事あて、本問題につきまして通達をされたのであります。なお、六月七日には短波放送「文部省便り」で重ねて各学校に対してこれが注意をいたしたのであります。東京都の教育委員会では六月七日、数で、今後各区の状況によりまして、全区の学校の休業を行なってもよいということを申し合せたということを報告して参りました。で、東京都品川区では六月八日に校長会を開きまして、十日、つまりきょうから十五日、土曜日まで品川区の学校、小学校三十七校、中学校十四校ありますが、これらの休業を決定したという報告を受けております。  なお、文部省におきましては、学校における伝染病の予防について各学校に注意を促すために、文部省と厚生省と共同監修によるパンフレットを作りまして、先月の上旬に日本学校保健会から各学校に配付をいたしたのであります。  以上が簡単でありますが、文部省の今回のインフルエンザに対してとった措置であります。
  68. 榊原亨

    ○榊原亨君 ただいま承わりますと、いろいろ対策をなさっておられるようでありますが、今回のA57に対する文部省並びに厚生省の、あるいは労働省との総合対策についてのお話し合いはいつなさいましたか。文部省から…。
  69. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 従来からこの協議会、互いの官庁間の協議会はできておるのでありますが、今まであまりひんぱんにやっておらなくて、せいぜい電話連絡の程度でございましたが、一昨日、全体を厚生省にお集まり願いまして、今度は公式に全部集まってやる会合を開きまして、内容を十分打ち貧しております。従来はそれぞれ電話連絡でございます。
  70. 榊原亨

    ○榊原亨君 実は私この問題につきまして、きょうここでいろいろ御質疑を申し上げたいと思いまして、厚生省並びに文部省の方に御連結いたしましたのは一昨々日であった。その後、土曜日にかかわらず、当局におかせられましては急遽対策委員会をお開きになったということでございまするが、この流行性感冒ができましたのはずっと前ではないかと思うのでありますが、たとえこれが軽症のものでありましても学童に及ぼす影響、ことにあとから小島先生にお承わりたいと思うのでありますが、今回は学童だと申しましても、人体を通過するごとにだんだん強力になって、おしまいにはおとなの方にも及ぶということも、私はしろうとでございますからわかりませんが、そんなことを考えてみますと、これはどうしてもこうたくさん十何万人というものが出てくる、罹患するというような状態になって参りますというと、これはどうしても厚生省とされましても、文部省とされましても、一応の対策委員会というものによって、あるいは一堂に集められまして対策を御協議なさるということが必要なんじゃないか。ことに新聞で拝見いたしますというと、もうこのピークは十日だ、この今度のピークは十五日だというようなことをたびたび御発表になっておるのでありますが、その日を経過しますごとにだんだん患者が多くなってくるというような状態を、私これは新聞報道でございまするから、必ずしもこれは正しい当局のお考えであったがどうかわかりませんが、そういうふうに考えられるのでありまするが、これはもう少し早くできなかったのでありましょうか。その点について、文部省の方にも一つ承わりたいと思います。
  71. 塚田治作

    説明員(塚田治作君) 文部省におきましては、大体この病気が発生した当初から、厚生省防疫課と常に連絡をとりまして、今度の通牒を出すときにも一応文部省と厚生省とが五月二十九日付で同一に出したということで、ほとんど毎日のように連絡をとりまして、この推移を十分注意をしておりますので、ただいま榊原先生からのお話のように、常置の対策協議会というようなものは持たなかったのでありますが、土曜日には会議が開かれましたので、文部省といたしまして十分連絡したような次第でございます。
  72. 榊原亨

    ○榊原亨君 ことに私疑問に思いますのは、全校にわたりまして休学、休校あるいは学年を休んでおる、あるいはその他部分的に休むというようなことを、これはことに年少の学校でございまするから、文部省からの通達とか何とかということではないと思いまするが、それらの方々が休学、あるいは休校をしておられる、休む期間というものは区々まちまちだ、先ほどのお話によりますというと、この潜伏期が三日だから三日ないし四日休めばいいんだというようなお話でございますが、それでは文部省とされましては、厚生省当局お話し合いの上で今度のヴィールスA57というものに対する休学は三日ないし四日、この程度を最も適当とするというような具体的な御指示というものが文部省からあったのでございましょうか。その点については、なるほど前に流感に対する対策の方法としては、昨年十一月かに御通達になったと思うのですが、さて今度は形が違ったヴィールスでありますから、今度のヴィールスについては三日ないし四日だけ休学させればいいのだというようなことの具体的御指示が小学校その他について文部省としてされておりますか。あるいは厚生省としてされましたかどうかということを承わりたい。
  73. 塚田治作

    説明員(塚田治作君) 臨時休業あるいは学級の閉鎖につきましての日数につきまして具体的に指示をしておりません。休むにつきましては学校長が学校医、あるいはもよりの保健所と十分連絡をとって、学校長が適当と認めた日数でおのおのきめておるようであります。ただいま榊原先生からのお話のように、そういうような面につきましても今後十分専門家、あるいは厚生省とも協議をいたさなければならぬというふうに考えております。
  74. 榊原亨

    ○榊原亨君 末端の学校医、あるいはその他の保健所の先生方は初めてのヴィールスでありますから、今度のヴィールスが何日休んでいいか、潜伏期はどのくらいかということがわからぬ。そこで中央におきまして総合的に御研究になった権威ある情報を流して、大体このくらいの程度だということをやっていただきますれば、地方においてこんなにひどく広がらずに済んだのではないか。これはあとの祭でありますが、済んだのではないかと思うのでございますが、今後はそういうことがないように一つ十分の御注意をお願いしたいと思うのであります。小島先生が幸い来ていらっしゃるのでありますが、この程度のかぜにワクチンを注射するということは効果がありますのでございましょうか、いかがでしょうか。一つ専門的な……。
  75. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) この際私ワクチンの前に一度皆様に……。
  76. 榊原亨

    ○榊原亨君 私はワクチンのことを聞いているのであります。質問の範囲でお答え下さい。
  77. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) それではお答えいたします。ワクチンを使っていいか、使って悪いかという問題をお話するためには、どうしてもちょっとさかのぼらなければならぬのであります。どうでしょうか。
  78. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) どうぞ。
  79. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) 大きな流行、大正七年、八年のそのときには不幸にして相当広まったのです。そのときの実相を申し上げる必要はありませんけれども、たとえば三つに分けますと、大正七年八月から八年七月までの一ヵ年間、日本におきましては二千百万人の患者が出まして二十五万人が死んでおります。その次の時期、第二期を申しますと、患者は二百四十万人に減っておりますし、死亡者は十二万人あったのであります。第三期、これはもう一そう患者が減っております。二十二万人、そして死亡者は三千人です。数は減っていますけれども、致命率をとりますと第一期は一・二%、第二期は五・三%、第三期は一・六%、こういたしますと、ごく初期に、軽いうちにかかって早く安静を守って寝た方が免疫になる。後日やったときには肺炎を起すとか、中耳炎を起すとか、その他悪性になって死亡しなければならぬ人が出てくる。ごく初期に国民に免疫を与えた方が、罹病さして免疫を与えた方がいいのじゃないかということが一番の根拠じゃないかと思うのです。それから続きまして、最近の流行になりまして、四五年、太平洋のガム島に起ったやつ、そしてメキシコ、ハワイから日本にきたやつ、それから四八年地中海の沿岸のサルジニアから起って当時のイタリア、スペイン、フランス、スイス、欧州を一なめにしまして、いつのまにか日本にきた当時のイタリアかぜ、それから五〇年ごろの西ヨーロッパにあった流行、スカンジナビアから日本に入ってきまして、五四年の一月から六月にかけまして日本全国に流行しています。このときはスカンジナビア型とリバプール型とあって、ともにA型でありました。その残党と申しますか、落武者と申しますか、それが残りまして、夏を越して秋から方々に地域的にわれわれのいうくすぶり流行、叢状伝播の形になっております。さてこの冬もうすでに過ぎたのがこれはスカンジナビア型であります。A・B両方ありましたが、これも相当軽く済んだ。今回の流行は四月に東太平洋に起りましたが、あちらは四月、日本に来たのは五月、そしてわれわれの分離した菌はこれはA東京五十七番、五十七番と申しますのは、これは年代であります。これは国際契約で土地と年代を意味するというわけであります。決して日本で五十七番目に発見したというわけじゃないのであります。去年で言えば五十六、来年になれば五十八になります。それで先回の流行におきまして、先回大正八年、死んだ人間は抜きにしまして、かかった人の順位を見てみますと、二十一才から三十才、これが一番多かった。それから十一才から二十才、それから三十才以上それから六才—十才、順位が第四位なのです。それから老人層がかかっておる。死んだのはこれは別になっております。だいぶかかっていますよ。そうすると、今度の流行は子供が多い。子供が多いということは、もうすでに日本にはこの種の流行、これとは抗原構造の同じヴィールスがかつていつかの時代にあったものと想像してもあやまちないと思います。このヴィールスが出ましたのは三三年、昭和八年です。その前のは一体何だったかわからない。そういたしますと、今度流行の全く同じものか、少し違ったものはわれわれも過去において洗礼を受けている。それで老人や壮年者は少くて、子供が多かったのではないかと思います。そういたしますと、子供を軽い時期にできるだけかけて早くなおして、まずもって短期もしくは長期の免疫を与えなければいけない。ところが、老人層までだんだんかかってくる傾向があります。これはやむを得ません。ヴィールスの濃度がだんだん濃厚になります。火事にたとえて言いますれば、初めはわらぶきの家だけ燃える。しばらくして火が強くなって火の粉がかかればわらぶきの家のみならず、しまいには土蔵でも燃え出す。過去の免疫を打ち破るだけの濃厚な量と質のヴィールスになってきますれば、これは別なのです。そうしたくないためには、ともかく小学校に全力を尽してできるだけ爆発しないように、ただしできるならば穏やかにかけてやりたい。こういうことを言いますと、無責任なことを言うやっと言われるかもしれませんが、しかし、今日の技術的、科学的の根拠ではそうするより方法はない。お前は怠慢だと言われても私は甘んじて受けますが、ともかくこの程度の流行ならば子供は重くならないように三日か四日寝てなおしてしまう。そうしてある程度の免疫を与える訓練をする。免疫を与える。同時に重いことにならないようにするためには学校を休む。私は今までこの種の研究を始めましてから三十五年ですか、だいぶになります。ところで、いつも言っております、みんな学校を休んでしまえということをいつも言っております。今度はしばらく二、三日の休校、部分的の休校で、小学校を全国的に閉鎖してしまえという平素の持論は出さないで沈黙しておったのです。そうして東京都の計画、新聞で見たり、電話で承わりまして、これで十分だ。厚生省も十分やっておる。この程度の方法で国民は安んじて軽くかけることができるならばこれは何よりもいい。この方法でやっていただきたい。しかしながら、悪化した場合には策が違います。一体今度悪化するかどうかにつきましては、ただいままでにマニラで十四人死んでおります。それからシンガポール、香港では死者はありません。ところが、かかっておる連中を見ますと、香港は初め避難民が多くて、それから白人に移ったということになっております。インドは一体どうなっておるか。大正七、八年の流行におきましてはインドが一番ひどいと言われておる。総人口の何分の一かやられた。それからスペイン、黒人部隊。つまりかつてこの種のヴィールスの洗礼を受けなかった国民、交通の関係、文化の関係なんかで見のがしになった国民、免疫の少かった国民がひどくやられている。日本は幸いにして交通の関係その他におきまして免疫になっておりまして、それで軽く済んでおると考えるならばこの程度の流行。ただ言いますものは、当局はワクチンが不十分だと、ただ一つワクチンが効くことのみ。新聞記者の方にそういうことを申し上げますけれども、私の説は議論にならないです。のみならず、甲いわく、乙いわくでかみ合せられても困りますから私は沈黙しておったのです。小島いわく、ワクチンは使わなくてもいい、だれだれいわく、ワクチンを使うべきだとやられても困るから、私は沈黙しておったのです。こちらから出かけて行って、厚生省、文部省に行って、こうしてくれということを老人が出かけて行かなくてもいいようにあざやかにやってもらいたい。  それでこの種の流行はこれから冬になりますと、南半球に行ったときを心配して、今度こちらで分離した菌をWHOを通じてオーストラリアに送った。それから前にひどい目にあったインドに送った。それからアメリカに送っております。それからニュージーランドに送っております。これから冬になる地域、悪化するかもしれない地域、前もって準備したワクチンで先手を打って対応する、これが戦争後できましたWHOの世界インフルエンザ・センターの大きな任務の一つだと私は思う。  日本におきましても何とかしてワクチンを作ることが必要でしょう。そしてそれはあらゆる国民、八千万人みんなやることはできません。私をして言わしめれば、忌憚なく言わしていただく自由が許されるならば、金のある人、ひまのある人にはしないで、医者とか、看護婦とか、巡査とか、電話の交換手とか、金庫番とか、この男が休んだならば、この女が休んだならば困るという人を重点的にワクチンをするというような筆法でいくか、それとも、そんなに悪化しない今のうちに軽くかかっていただいた方がよくないかと思います。こんなことでいいですか。
  80. 榊原亨

    ○榊原亨君 ただいま小島先生の予研の代表としてのお話と、先ほど厚生省がワクチンA型でも多少効くからさっそく作ってやったというお話と少し違うのでありますが、厚生省当局は今の予研の小島さんのお話でいいのでありますか。
  81. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) 私もう一ぺん申します。
  82. 榊原亨

    ○榊原亨君 いや、私は厚生省に聞いているのです。
  83. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) A型と新型とは共通な分が多分にあります。それを私見ますのに、従来のものでも、幾分でも新型と抗原構造の共通な点があります。それをそのままお使いになるのは当座の処置として策を得たものであります。
  84. 榊原亨

    ○榊原亨君 ただいま承わりますと、この程度のかぜならばかからした方がいいのだ、そうした方が国民に免疫ができるのだ。私はワクチンの有効期間を一年と聞いておるのですが、今先生のお話だと、今の年寄りは前にかかったことがある。一ぺんかかったらもういつまでもかからぬというふうに聞いたのですが、違うかもしれない。ところが、先ほどの厚生省お話では、ワクチンを急ぐから、子供にワクチンをささなければならないから、まあA57のワクチンは間に合わないから、今までのABの混合ワクチンを送ったのだ。按配をして、それをずっと早くせよ、ワクチンで少くともかからぬようにせよというように厚生省は努力された、こう私は承わったのであります。そうしますと、今小島先生のお話を聞くと、予研の代表者としてのお話を聞くと、この程度のかぜならば三日くらいでなおるから、国民にワクチンをさすよりは、とにかくかからした方がいいのだ。電車の運転士とか、交換手とか、どうしても休んじゃ大へんな人にさすくらいでいいんだと、こういうお話ですが、この点の食い違いは、厚生省としてはどうお考えになっておりますか。
  85. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまのワクチンを配付いたしましたのは、今度の型が分離もはっきりしないうちに、これも必ず有効だという意味でなくて、非常に地元々々で、一時子供に流行がありまして非常に地元は心配をする。だからとにかく今のところ幾分でもきくと推定されるワクチンを手持ちがあれば早く配給してくれということで、われわれの方もこれはきかぬという根拠はありませんし、常識ではある程度きくだろう。それで使った方が精神的に安心が得られるならばということを考えまして、要請されたところに従来の手持ちのあったものを配給した、こういう意味でございます。積極的に作ったものではありません。
  86. 榊原亨

    ○榊原亨君 そうしますと、今の厚生省お話だと、やはり今の予研の小島先生のお考えと一緒のことで、今後この種のかぜは、ワクチンをやるよりは、国民に三日ほど休ませて、全部にかからせておけば今度は大丈夫だ、こういうお話のように承わったのですが、その通りとお考えですか、厚生省のお考えは。
  87. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただ行政措置として、どこまで学者の御意見を入れて、この学問を行政に移すかということになりますと、若干違うと思いますので、その点は御了解を願いたいと思います。
  88. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) 私が今まで沈黙しておったのは、学者の説が行政当局の説と食い違うということを心配して沈黙しておったのであって、今先生の意見を聞くと、先生もやはりことさらに食い違うようにとって、そうして何だか……それが困るから沈黙した。たとえば今のワクチンにはA型が入っております。今度の流行は新型と考えます。A型とこういうのは幾分か似ておるのです。それをとりあえず使おうということはちっとも差しつかえない。もし新型と全く別のものであれば、私はおとめしたかもしれない。  もう一つ申し上げたいのは、長期の免疫というのは申しておりません。短期のせいぜい一年、二年です。五年か六年たちましても免疫になっておる人もあるし、かかっても軽い。一生を通じて免疫になるのは——天然痘も一生を通じてではない、一生免疫になるのは、はしかぐらいなものです。そういうことを考えますと、やはり適当なときに、適当なかぜにはお互いにかかってもいいのではないかという結論はだれでも出るわけです。それを言っておるのです。これを言いますと、学者の怠慢とか、ことさらに言われることが心配で、新聞の社会欄でも一切扱っておりません。僕の話を聞きたかったら学芸欄にでも載せてくれと言っているのです。ここならばいいと思って、先生ならばいいと思って発表したのですが、誤解されますと非常に残念に思います。
  89. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はまず第一に、厚生省にお聞きしたいのですけれども、今のかぜの症状というのを御存じなんですか。どういう工合の症状で、このかぜにかかったときになるか。私は京都ですが、京都は残念ながらきょうから四日間全校休校をいたしております。中、小、新制高校まで全校休んでおります。症状は、私の家族に一人できたんだが、三十九度から四十度の熱が出る。今のお話ですと、かかった方がいいようなお話が出てきましたけれども、三十九度、四十度という熱が出るというと、ほかの余病を併発するというおそれが私は多分にあると思うのです。そういうものを何か学理的にいくと、今のようなお話では、私はなかなか納得がいかない、これが第一点です。  それから学級別、学年別に京都は休校をいたしております。文部省はどういう工合に御指示なさったのか知らないけれども、クラス五十人のうち十人とか十五人かぜをひいた者が出たら学級も閉鎖するというような、各学校別に違いがあるような話を私は子供から聞きました。こういうことで、相当な期間きて、私も一昨日こちらへ来たんですけれども、そういう経過を経て今日全校が休校せなければならぬという重大問題になっている。私はこれはよそのことじゃないと思うのです。京都市も百万くらいの都市ですが、百万の都市の高等、中等学校、小学校全校四日間も休校しなければならぬというのは重大な私は問題だと思う。そこらあたりの説明を総合して一つお話を願いたい、厚生省に。
  90. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 厚生省といたしましては、インフルエンザの今までわかっておりますあらゆる予防措置、これはまあ最初からやるように指導いたしておる。たとえばできるだけ患者に接しないような各種の措置、それからこの間予防問題もございますし、できるだけからだの条件を悪くしないような学童初め勤労者の措置、もちろん機械的に菌を少しでも防止できるという意味でうがいの励行等、こういうような措置はこれからもやはり、これは口腔等から入るこういうかぜという、広くいわれる伝染病に対しては必ずやるべき問題と考えておりましてこういうものはないがしろにするという考えは全然ございませんで、これは引き続きこういう方の励行は一そうやる、こういうことでございます。  なお、ワクチンの問題につきましては、学説にもあまり背馳はしないかと思いますが、やはり従来の、前の大流行のときにも犠牲者を出すとか、余病併発ということはそれぞれの体質によって違いまして、条件が悪ければ、大部分とまではいかなくても犠牲者が出るということでございますので、やはりこれはできるだけワクチン等が必要な部面、そういういろいろなことが予想されて、なるべく重症化しないというような、必要な部面にはやはりあらかじめこれは措置すべきものと、こう考えまして、極力この今のA型の措置は急ぐ、ただし、まあ先ほどの小島先生の御意見もございましたように、全国民に、選別なしに全部強制的にやるというような措置については、これはいろいろとむずかしい問題がございますので、今の藤田先生のお話に関連あると思いますが、やはりこの余病併発等が一番困るというような点については、できるだけ最初からこの際はワクチンの問題も並行していくべきだ、かように考えております。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 厚生省に続いてお尋ねしますが、そのような現実、これは地方で罹災者の少いところもありますから、まあ大体お話を聞くと、人口の稠密な所に多いとおっしゃいましたけれども、現実京都市という一つの市がそういう状態になっている。私はこれには五月の中旬から経過があったと思うのです。先ほどのお話を聞くと、学校医とかその他のお話が出ていましたけれども、私は厚生省と文部省との計画性というものが、罹災したら三十九度も四十度も熱が出て非常に困った状態が、簡単に二日か三日したらなおるとおっしゃいましたけれども、そのような非常に深刻な症状に、期間は短かいにいたしましてもなるわけでございます。こういうものが現実として五月の中旬からあるのに、私は措置が、総合的な対策というものがほんとうに足らなかったのじゃないか、で、今のような結果を生んでいるのじゃないかと非常に残念に思っているわけです。だから一昨日緊急に会議を開かれたということでございますけれども、ほんとうにこれは私は残念だと思っているのです。文部省の方にも私はお尋ねしたいのだが、あのような、京都のような状態で、学級閉鎖、学年閉鎖、個々の休校、今度は全市の休校というものが、十三日一ぱい全市が休校するのですけれども、これがどう発展するかということはまだ見通しがつかないわけです。そういう問題が全国の中の一つの、品川もそうでございますけれども、そういう状態が起きているのに、私は相当な時間的な期間があったのに対策も、ほんとうに子を持つ親という感情、これももう一つ重要な問題ですけれども、これはやはり若いこれからの日本を背負う高等学校、中学校、小学校のほんとうに勉強している者が、全校を閉鎖されて、その中で相当な流感で、非常に強い症状があって病魔に襲われるような者に対しては、総合的なものがなければいかぬということは厚生行政、学校の休校については、文部省はもっと計画的に厚生省連絡して、学年閉鎖、学級閉鎖、全休校にいたしましても、もっと計画性がなければいかぬのじゃないかということを私は痛感しておるのです。そこのところあたりの意見を文部省の方からまず聞きたいと思います。
  92. 塚田治作

    説明員(塚田治作君) 学校の休むことにつきましては、もっと計画性がなくちゃいかぬというような御発言だと思うのでありますが、先般の通牒によりまして、学校の臨時休校というものの取扱いというものも、一応は通達しておるのであります。しかし、個々の学校につきましては、あくまでも学校長が、やはり学校医の方、あるいはもよりの保健所と十分連絡をとってそうして適当な措置をとるというのが今までの建前でありましたので、これにつきましても、もっと厚生省と文部省と連絡をして対策を立てろというような御趣旨、ごもっともだと思うのでありますが、われわれの方といたしましては、十分厚生省連絡をとりまして、その推移を注意しておったのでありまして、今後もなお十分研究、努力いたしまして、善処いたしたいと考えております。御了承願いたいと思います。
  93. 榊原亨

    ○榊原亨君 最後一つだけ私は承わりたいのでございますが、先ほど厚生官のお考え方を承わりますと、学者のお立場はどうあっても、とにかく厚生省としては、この程度のかぜにもワクチンを作るべきだ。国民全般にやる必要はないが、まあできるだけやった方がいいだろう、こういう考えのように承わったのであります。そういたしますと、このヴィールスA57型につきまして、すでにワクチンの製造におとりかかりになっていらっしゃいますか、あるいはそれがいつできることでありますか。その点について厚生省の方から……。
  94. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先ほど申し上げましたように、一応A57についてのワクチンは用意をするつもりでございまして、ただまあ先ほど小島所長から市がありましたように、この流感の重点が、粘膜が侵される冬期、いわゆるその時期の冬期が、南半球がちょうど今冬になるわけでありますが、今世界的に学者連中が一番心配しておるように、わが国では幸い夏でありますが、むろん今夏も起っておりますが、重症化する、もしこれが続いて重症化する、あるいは条件が悪くなるというのはことしの秋以降わが国でどうなるか。人体を経過したための重症化、それから環境がこれに非常に重症化するおそれの条件がそろう、こういうことでございますので、結果から見ますと、何と申しますか、ちょうどそれと結びついていいわけみたいになりますが、今度分離いたしましたので、これからこれを用意いたさなければなりませんので、普通にいきますれば、早くて約三カ月、これができますまで。さらにこれは人体に初めてのものをやるわけでございますから、検定を十分、動物検定からやる以外にないと思いますが、それに四カ月かかりますから、これは念を入れてやらなければならないと思います。合せて七カ月くらいかかるのじゃないかと存じます。ちょうど今から始めて秋の終り、冬にかかる前ぐらいに順当にいけば、順当という意味は、念を入れた正規のあれをやるわけであります。緊急ならばもう少しこれは早くできるかと、かように思います。
  95. 榊原亨

    ○榊原亨君 そういたしますと、厚生省当局としては、これに対するワクチンを作るという御決心がありますかどうか。それを簡単に承わりたい。
  96. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この点は作る意思でございます。
  97. 榊原亨

    ○榊原亨君 そういたしますと、そのワクチンはどこでお作りになるつもりですか、作る場所は、それを一つ
  98. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これは日本で作るつもりでございます。
  99. 榊原亨

    ○榊原亨君 それはわかっている。人をばかにするようなことを言いなさんな、どういう機関で作るかということを聞いている。
  100. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 従来のA・B型をやっておったと同じ筋でやりたいと考えております。なお、詳細のことは存じませんので、二、の点薬務局の方で製造を決定いたしますので、詳細のことは私の方は知らないのでございます。
  101. 榊原亨

    ○榊原亨君 もしもこれが予研で作るというようなことになったときに、小島先生のお話しと御意見が違う。そこで、厚生省からこれを作れと言われても、予研の方で作ってやらぬということになるのか、この点はっきりしていただきたい。いかがです。厚生省の御意見を聞きますというと、予研の小島先生のお考えと厚生省の考えと食い違っている。従って、この場合に、厚生省としてはワクチンを作るだけ作らなければならぬという御意見、私賛成だ。それじゃそれはどこで、作る場所は薬務局に聞かなければわからぬということですけれども、しからばその場合に少くとも予研でこれを作れということを厚生省がお命じになったときに、予研でこれをお作りになることはできるかどうか。予研の所長が反対意見を持っておって、こんなものは作らぬと言ったときにどうか。少くとも予研については、国のある一定の予算が出してあるはずだと思うのでありますが、その場合に、厚生省がとにかく作れと命じられたら予研ではいかなる学者的お立場でも作らなければならぬと思いますが、厚生省の御意見はいかがですか。
  102. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 従来インフルエンザ・ワクチンは、メーカーから言いますと、五社、五カ所でやっております。これはやはり同じようなインフルエンザ・ワクチンでございますから、種が違うだけで同じことでいくつもりでございます。なお、従来予研では別に作っておりませんので、むしろ検定問題でございます。
  103. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) 榊原先生、ワクチンは、私は今の軽いのには使わぬでもいいと申し上げましたのでありまして、悪化する兆候がある場合には、これは違うんです。十分誤解のないように、私の言葉が不足だったと思います。今のような軽いやつならば、ワクチンを注射して反応を起したり、痛い日にあったりして手数をかけるよりも、むしろ罹患して安静臥床、手ぎわよくなおして、軽い免疫を与える方がいいと申し上げましたので、悪化した場合に大正七——八年のころのように、そういうふうな兆候があれば、これは全然別です。そういう兆候があるかどうか、これから精細に十分観察して世界的に情報を入れて、時々刻々つかまえなくちゃいけない。従って、悪化するかどうかわからないということで、国家がある分量だけは確保してメーカーに作らしております。むろん私たちの方で厳密なテストをしまして有効な、無害適切なものを出しております。それから先ほどお伺いいたしましたが、臨床症状の肺炎もその他の病気も起しておりません。起さないのは、おそらく抗生物質や、化学療法をお医者さんが適当に使っていられる場合があるからでしょう。いずれにしても、安静が非常に大事ですから、学校を休むこと、これは非常にいいと思います。いわゆる昭和十九年の長野県の上田に流行しましたときには、ある学校は閉鎖した、ある学校はそのまま授業した、そのまま授業した学校に爆発して、閉鎖した方は爆発しないで、隣りから隣りへとおだやかにいきまして、医者も、看護婦も、家族も適当に看護し、なおったらまた看護するように、つまり同時爆発が逐次続発の形に変る、そうしておだやかになります。ことに幾ら乱暴してもかからないし、これは私どもは、かつて免疫があったものと考えるが、あるいは不顕性感染、つまり無症状感染——ヴィールスが入りましても、医者にかかるほど本人に自覚する症状がなくて、しかも免疫になる、これが一番いい扱い方ですね。そういう人もあるでしょう。ですから、国民八千万みんなかかるとは予期しておりません。不幸な人だけかかりまして、あとは不顕性感染でやはり相当強固な免疫が得られるのでありますから、でありますから、この状態でいくならば、ことに夏に向う五月に日本に来たということは天与の幸福でございまして、それを十分お考えいただき、むしろかかることは喜んでかかるということを私は申しましたが、その点誤解しないように……。学校を閉鎖して、爆発流行を続発流行に形を変える、これは適切なことでありまして、都も、文部省も、厚生省のやっていることも、まことにごもっともで、何ら私は意見が違っておりません。  ワクチンになりますと、今言ったように、重症化するならばいけないから、前もって準備をする、そういう意味で、すでにメーカ1に指示しまして、よりより打ち合せております。ただわれわれの分離したのは、卵でやる、それをマウスに注射しますと肺炎こ起す、そうしてその症状に最もアダプトしたりっぱなワクチンを作る、その間にどうしても少しばかりの時間が要ります。  この機会に、私は一つお願いがあるのです。私どもは、この種の実験に使って完全に運用できる動物飼育設備を持ち、この種のワクチンを自分自身の手で試験的に製造したいという願望を長年持っておったのであります。二、三年前から、毎年実験動物の飼育室の設備と、それから生物学的製剤、抗生物質、血液製剤を自分の手で作る、かような中間工場を希望しておったのでありますが、予算で認められないために、今日までわれわれ持っておりません。国家の委託に応じて十分公衆衛生の御奉公をしなければならないわれわれが、予算のため、人間のため、設備のためにできなくなって、やむを得ずメーカーを指示しながらやつております。これは先生にたびたび御迷惑をかけて、十分御存じだと思います。予研自身が中間工場を持っていないのです。  それから今度のマウスも、今、日本ありますマウスをそのまま使いますと、肺炎を起しますけれども、それはこの五七で起さないで、HVJで、日本にあるそれと混同いたしまして、非常に分離が困難になります。でありますから、この特殊な感染にすぐ使えるマウスをふだんから飼育をして、かかる事態が起きたときにすぐ役立てたい、こういう考えでもって今日まできましたが、今のところ、まだ設備が許されておりません。これは皆さんのお力で、そういう設備をわれわれ予研に作っていただけるならば、われわれはヨーロッパの文明国と同じように、必要に応じて短時間にワクチンを作ってこれをメーカーに分けるだけの能力があるのです。今のところは、逆にメーカーに私から頼んで作ってもらっているという状態で、非常に私としてはこういう点残念で、日夜苦慮しております。
  104. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は小島先生にお聞きしたいのです。  それは、先ほど私が申し上げましたように、このかぜにかかると、三十九度から四十度の熱が出て、非常に苦しむ。それは三日くらいだと言われましたけれども、非常に苦しんで、もう見ていられないほど非常に苦しむのです。そういう症状が起きるような問題、こういう問題はかかった方がまあおっしゃらなかったけれども、大した心配はない、結果的に。余病を併発してない問題だから云々ということでまあお話になった。そこで私は、これは、このようなかぜは、余病を併発しないという判断にお立ちになるのかどうかということを小島先生にお聞きをしたい。  それからもう一つ厚生省には、このワクチンの不足から、東京都なんかでは、たとえば新聞の見出しを見ると、「予防はPR活動だけ」というような見出しで、処置ないというような格好で八日の朝日に出ておるわけです。しかし、もう厚生課長の緊急会議を開いて、何とか予防をしようということについては、東京都も努力をされて私はおると思うのです。そこで、そういうワクチンの製造に七カ月かかるといたしましても、私は厚生行政の立場から病気をなくするというお考えがあるのだと思うのです。そうなってくると、そこにだいぶ食い違いが出てくるわけですけれども、至急に文部省と——今出ておるのは休校の問題が主ですから、文部省とも打ち合せの上で、総合的な緊急対策を行政の面からお立てになるおつもりがあるかどうか、ここのところをお聞きしたい。
  105. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ワクチンの問題は、新種によるワクチンの製造は、極力急ぐつもりでございます。それから今のワクチンを除いた根本的な一般の予防態勢、ことに学童中心の問題で地方に一定の基準なり、指導方針、これを示した方が、休校問題も確かに三日以上いたしますと——三日がいいか五日がいいかという問題はまちまちでございましょうから、これは先日から始めました協議会で、療法の研究内容、あるいは臨床の状況等も持ち合いまして、至急中央としてお互いの案をできるだけきめるように、早く打ち立てるように促進をし、また継続していきたいと思います。  なお、これはそれと関連がございますが、やはり東京都の担当者を呼びまして、一昨日の協議会で十分聞いたところによると、これは京都は遠いものでありますから、品川区を出した東京都のが一番類似かと思って、担当者を呼びまして聞いたところが、東京都におきましては、学級のクラスのうち五%、すなわち百人について五人、五人だけでも——従来常時休んでおるときは、普通二人か三人休んでおるクラスがあるわけでありますが、それが五%まで、そういうものも含めてあるようでございます。要するに、百人で五人以上欠席者が出たら原則として閉鎖してもよろしい、こういうむしろ大々的の予防措置をこれによって講じておる。そのためにクラスが閉鎖になったというと、いかにも全員がかかったと誤解されるような、あるいは大部分がかかったと誤解されるような感じを与えておる。これは前にそういうような類似のときには、三分の一体んだ場合にというのが従来の例だったそうでございます。今度はそれを何分の一かに、五%に下げたものでありますから、同じ休校という届けが出たり、発表がありますと、従来と比べて、あれにいったのじゃないかというのが一般的な都当局者の基準になっておりますので、基準がそれだけ下ったことが非常にセンセイションをやはり前よりも巻き起しておる。しかし、これだけはむしろ積極的な予防措置を講じたつもりである、こういうような連絡でございまして、そういう意味でも重症化さないというためには、少しでも出れば、早く今のように休まして、少くとも潜伏期以上——三日でなおるから三日というつもりではありませんので、むしろ最低それ以上これが必要であろう。ですから、その日数等については、これからできるだけ密接に文教当局連絡をして、わかったことはどんどん指示を出す、こういうふうにいたしたいと思います。
  106. 小島三郎

    説明員(小島三郎君) 悪化するか悪化しないかにつきまして、先年戦争中ですが、瀬戸内海の阿多田島、種ケ島、そういう離島が一体過去においてどのくらい今のような免疫体を持っておるかということを調べました。あるいは本所、深川。そうしますと、阿多田島とか種ケ島とか、比較的交通の不便な所は、細菌の免疫抗体が少い。今度の流行がそういう所へ入りますと、おそらく相当悪化するだろうと思う。ですからして、それを警戒しながら、今のところ大都会——交通不便な所はいいですよ。先回も房州とか、飛弾の中に行きますと、相当悪化しております。それが今度も交通不便な比較的生活程度の低いと申しますか、交通の不便な所、そういう所へ行きますと、案外五七型も暴威をふるうかもしれない。そういうところは警戒しながら、もしワクチンがあるならば、そういう方へ準備すべきでありまして、大都会の、もう二、三年目に必ず一度ずつやってくるところは、過去における抗体水準が高いのです。東京都民の水準は私どもの調査によりますと、ニューヨーク市民と同じ程度の免疫体が上っております。これも戦争前の実験ですが……。こういうところよりも主力を尽すのは、今流行していない地方がどんな状態で今度のかぜを受け入れるかどうか、これにこそ頭を悩ましておるのですが、これが悪化するならば国をあげて皆さんを助けて、できるならばあるいは交通遮断、集会の禁止、学校の休業を長期にわたってしなければならぬかもしれません。今のところ、国のやっている方法は、私全く非難なく御同意申し上げておきたいのです。
  107. 高良とみ

    高良とみ君 厚生省に伺いたいのですが、環境衛生部長としても非常に仕事が多いと思うのですが、私どもはぜひ今度の水道問題にしても、地下からきたり、災いは船からもくるし、空からもくるのですが、一体港へ入る船、あるいは防疫の方面、何かPRは十分とってあるのですか。昔はよく発しんチフス、コレラ、ペストになれば厳密なもので、入れないとか……。世界各国にあるインフルエンザ・センターを作っても、それは要するに、情報を交換してニュージーランドなんかのことを心配するよりは、日本や香港、台湾やシンガポールから入れないということを十分考えておられるかどうかという点を伺っておきたいのです。そうして入ってから何十万人が病気にかかっても、これはあとの事後対策ですが、私ども最近の経験では、日本の港及び究港における防疫状態が果して戦前ほど厳密であるかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。京都が遠いの、福岡が遠いのというようなことをおっしゃっても、香港、シンガポールからそういう罹患者が上っても、皆さんの手が及ばないのじゃないかということを、少し老婆心をもって心配して打聞きするわけです。いかがなんですか。
  108. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 一般的なインフルエンザだけでなくて、検疫的な検疫業務そのものの問題かと思いますが、これは戦前と同様に、検疫法を施行しておりまして、厳重に海外からの検疫伝染病、それから一定の危険のあるものを予防するようになっております。これは厳重に、前よりも、むしろ戦前よりは強化された内容になって準備をいたしております。なお、このインフルエンザそのものでありますと、これは検疫伝染病の対象でなくて、先ほどありましたように、オランダの船が香港からきた、半月たってきた船で、これからではないのでありまして、その点につきまして、六月六日に検疫所長関係に厳重な通達をした。われわれの方からインフルエンザに限って今までの検疫法でできないものでございますので、さらにつけ加えまして、行政法並びに命令を出しております。
  109. 高良とみ

    高良とみ君 ところが、それは法定伝染病でないものですから、あなたの方でいかに検疫関係におっしゃっても、感染者の方が私どもは法定伝染病については指摘しても、何もインフルエンザに関して日本の港に着いて検査され、究港で検査されるあれはないということを、拒否する可能性もあるわけです。どういう法律的な根拠をお持ちになるか。また、実際にそういう人たちの究港における何かの措置がとられ得るものか、あるいはWHOに対して……、片方では東南アジアなり何なりに非常にしょうけつを極めているこういうときには、臨時にでも何らか方法を、うがいをさせるとか、熱をはからせるとか、罹病者は入れないというような方法をとり得るものかどうか、その点を伺います。
  110. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまの、法に基く上陸拒否とか等は、これはできませんですが、もうすでに検疫所長の方から各船に連絡をいたしまして、船内において発生したら、あらかじめこちらに連絡する、それからそういう発生があったら、従来のこの病気の状況につきまして、船内でなるべく拡大を防止するとか、あるいは今のお話通り、うがい等の励行をするように、それからできれば無用の上陸を、これは指導でいくわけでございますが、できるだけしないように勧告する、これは勧告の程度でございます。それ以上拒否はできません。これを船側と検疫所側と、いわゆる港側と協力してやっていく、こういうことを指導するということをいたしております。
  111. 高良とみ

    高良とみ君 大体御趣旨はわかりましたが、どうぞ一つこれから、いろいろな病気はどこをぐるぐる回ってくるかわからない、放射能のほかにまだくると思うのです。そうして今のような楽観説を流布なさらずに、流感はある程度防止してもかかるのでありますから、防止してもかかるという点をよく御指導願いまして、そうしてこのかかった者に対する十分の措置をするということであって、国民の病気との戦いを、環境衛生部長さんとしても、もうちょっと徹底的に、時おくれにならないようにやっていただくことを希望しまして、私はいま一応この防疫関係は調べてみたいと思っております。  ありがとうございました。
  112. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  114. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、オーレオマイシン入り氷使用に関する件を議題といたします。  鮮魚保存用としてのオーレオマイシン入りの氷の使用について、厚生省当局の見解を御説明願います。なお、本問題につきましては、尾村環境衛生部長、小谷食品衛生課長が出ておりますので、お知らせをしておきます。
  115. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 鮮魚の防腐用といたしまして、オーレオマイシンを使用したいという希望が現在出ております。昨年ぺニシリンのショック問題等に際しまして、省令をもちまして、抗生物質を食品に使うことは禁止になっております。それの一部解除という形になるわけでございますが、これにつきましては非常に影響するところが大きいのでございまして、今のところペニシリンでは、ああいうショック問題が一昨年、それから昨年起りまして、それまではお互いに世界的にもそれほどああいうものが起るということはなくて、むしろぺニシリンは副作用のない薬品というので、もう非常に使われておったわけでありますが、逐次いろいろなアレルギー抗体でありますがどうか、要するに反応体質がたくさん出て参ったとみえまして、医薬品使用によって非常な障害が起ったという例がだんだんとふえて、それにかんがかまして、同様に抗生物質であるもの川国民の健康体に相当量入るのではないかという心配のあるものについては、これはやはり非常に影響するところが大きいのであります。ただ何分にも現在までのところ、そういう具体例が積極的に出ておらぬわけでございます。要するに、オーレオマイシンなり、あるいはその他の同様な内服を主とするこういう抗生物質によりまして、しョックによって死亡したとか、あるいはひどい反応を起してどうというのが今まであまりキャッチできておらないというわけでございますので、この判断に困るわけです。しかしながら、急性の中毒を起すような物質でございますと、そのときの一回量がどのくらい入るか、あるいは少くとも何回か使うのが常識だと、そのあとの蓄積量が急性中毒を起すものかどうか、ある程度判断ができるわけでございますが、こういう問題でありますと、将来にわたってからだの体質がどう反応型に変化するかということになりますものでありますから、非常にこれは判断がむずかしいわけでございます。  そこでただいまのところ、食品衛生調査会というのが、これが正規にこういう食品の衛生問題について置かれておりますので、これに諮問を今いたしております。近くまた、この問題に対する第二回の会議が招集して開催されると思います。これ以降に待とう、単なるこれは今までの行政的な考えだけでやるには非常にむずかしい問題である、まずその意見を十分間いてみよう、それで至急に措置をいたします、こういうふうな状況にただいまなっております。ただ今までのところ、願い出の方では、非常に限定した場合に使いたいという相当なる限定案で直接の願いが出ておるわけであります。従いまして、このオーレオマイシンのごときものの危険度もこれは幾つかに分析されるわけでございまして、たとえば現実にこの抗生物質の危険を分析いたしますと、一つにはもちろん一番根本的なのは、将来にわたりショックないしは反応型の体質を作ることが一番大きい一つでありますが、そのほかにもこれを常時使いますと、いわゆる身体の中で拮抗作用を持っておる特定の菌を死滅させて、逆に相手方の有害な拮抗菌が発育してくる、いわゆるペニシリンによるカンジダ症、真菌症のごときものが最近ふえてきたというあの問題も一つはございますし、こういう問題でありますと、ある程度菌に対する活動力を抑止してしまえば身体の中に入ってしまってもいいじゃないか、たとえば加熱等でこれが菌に対する活動力が失われるならば、ちょうど口に入る前までは有効にしておいて、入る前に加熱等によって破壊すれば、残る点は体質反応が残る、アレルギー性を作るものとしての問題が残る、その他幾つかございまして、危険度の内容につきましてこれを消却していきます手段方法も違う、従ってこれを使用する方法あるいは限定と、それから今の危険度のそれぞれとどう結びつくかというのは、ある程度これは学者方の意見で、そこまで立ち至ってやれば、かなり分明してくるのではないか、実験例はなくても、かなり確実な推定判断が出るのではないか、かように思いまして、今度はそういうような意見を聞く予定にいたしておる次第でございます。
  116. 高野一夫

    ○高野一夫君 私は部長に伺いたいのでありますが、今の御説明を聞いて、きょうは当委員会はおそらく厚生省の非常な鬼門に当るのではないかと思います。福岡の水の問題を追及され、次には流感を追及され、これからこの製氷問題で、私は別に追及したいとは思わないけれども、厚生省が先週当院の農林委員会においても出られてこの問題について御説明があった、それもうすうす聞いております。この水産関係といろんな問題が出ておる食品衛生等の関係もある、オーレオマイシン入りの冷凍用の氷の問題について、私はまことに厚生省のやり方について不満を感じておる次第であります。それは、現部長は御承知なかったかもしれないが、この問題が起ったのは、当委員会で問題を起したのであります。昨年当委員会が、食品衛生法の改正案について審議をいたしておりますときに、たまたまこれは私が持ち出したのでありますが、ペニシリン、オーレオマイシンを食肉あるいは鮮魚等の防腐剤に使っているということであるが、そういう事実があるかどうか、こういうことを聞いたわけです。ところが、当時厚生省においては、何らそれについて御承知なかった。そこで、御承知ないから、しからば一つ調べてもらいたい、調べると同時に、外国の例も調べてそういうことに使うことが果して適当であろうかどうか、こういう点を調査してもらいたい、こういうことを私は依頼した、ところが、そうしますと、こういうわけであった。間もなく調査ができたのかできないのか知らぬけれども、昨年の六月か七月ですかにはペニシリン、オーレオマイシンのごとき抗生物質を食肉あるいは冷凍用の氷、水産方面に使うことは一切まかりならぬ、こういう省令をお出しになった。そこで、この冬の通常国会の食品衛生最後の審議をいたしておりますときに、私は前部長、局長に聞いたわけです。昨年夏禁止の措置をとられたについては、禁止しなければならぬというはっきりした試験の結果の学問的データが出て、そういう結果、禁止されたものであるか、こういうことを私はお尋ねをした、ところが、いや、まだ調査中でありまして、それで結論は出ない、こう言う。調査中であって結論が出ない。有害であるか有害でないかわからぬものを、なぜ禁止するような措置をとったんだ、有害ならば禁止しなさい、有害でなければ禁止する必要はない。しかも、日本の遠洋漁業の状態から考えて、これはきわめて重大な問題、そういうことからも考え、また、われわれの人間の体質、そのほか薬の中毒、いろいろなことから考えても、また、非常に大事な問題、そこで、それを追及して聞いたところが、目下調査中だ、こういうわけである。しかも何らの学問的の検査もなく、調査もなく、そうして結論がなくして、直ちにあわてて昨年の夏禁止をしておるが、この措置は一体どういうわけか、これをまず第一に伺いたい。  それからこの冬の通常国会で私は伺った。しからばそれは過去のことだから、あえて問わぬといたしまして、それで現在調査中ならば、いつまでに結論が出るか、いいとか悪いとかいう結論はいつまでに出すか、ことに夏を控えて急がなければならぬのじゃないか、こういうことを申し上げたところが、六月一ぱいには結論を出すべく調査を進める、こういう前部長お話であった。これはあなた個人とは言わない、しかし、厚生省全体としては責任を持たれなければならぬ。ところで、その後、農林委員会における審議の実情、また、ただいまの御説明を聞いて察するところによっても、今食品衛住調査会ですか、それに諮問しているというようなことである。そこで、私は伺いたいのでありますが、これを解除されるのか解除されぬのか、結論は別——伺いたいのであるが、昨年の冬にわれわれが当委員会にこの問題を提起いたしましてから、どういうような試験の方法をおとりになったか、どういう調査の手続をおとりになったか、それをまず伺いたい。
  117. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまのところ、調査といたしまして、厚生省のとりました措置は、アメリカ、カナダ、これはいずれもそれぞれ鳥肉あるいは魚肉に許しておる国ということがわかっておりましたので、その基礎になりましたことを文献等をこちらに集めまして調査をした。それからあとは実験依頼は積極的にはやっておりませんが、厚生省の予防衛生研究所の抗告物質の一番のエキスパートである梅沢先生のところで、この関係を扱っておりますので、ここのデータを逐次こちらで調べておる、こういうことでございまして、その他には、ただいままでのところ、あと国内でこの抗生物質関係で発表されました少くとも関係のありそうな文献はこれは収集中でございますが、以上のことがこちらのとりました措置でございます。
  118. 高野一夫

    ○高野一夫君 外国の文献を調べたり、あるいはだれか外遊されたときの機会に調査すれば、これは短時日でできるわけで、そこで国内において厚生省のごとき、そういうような一つの学問的基盤に立って仕事をされる厚生省が、しかも国立衛生試験所を持っておられる、予防研究所も持っておられる、あるいはまた、大学に依頼する機会もありましょう、そういうような機会があるにもかかわらず、ただ研究所の一技官か何か知らぬけれども、その範囲においてこれだけの大きい問題について、ただそれだけしか実験をさせないということは、私はこの厚生省のやり方として、とても私は怠慢のさわぎじゃないと思う。それもわれわれは、これは禁止するか禁止しないかということについてはっきりと結論を出したい、そう思って、その調査を依頼し、厚生省はわれわれの依頼はないまでも、おやりにならなければならぬその結論も出さずして、すでに禁止された。今度はまた、解除されるのかどうか知らぬけれども、まあそれはそれとして、これはどういうわけなんですか。先ほどの福岡の問題にいたしましても、この流感の問題にいたしましても、この問題にいたしましても、経過は一連、同じ私は考え方をたどっておると思う。われわれが要望していることは、当然厚生省としてしなければならない、しかも製氷、冷凍、水産業関係の問題は昨年の一月以来の問題、それが今日なお一年半たって、しっかりした学術的あるいは大学の研究所に依頼するとか、そういうような方法もおとりにならなかったということは、これはこの委員会に対しても、まことにそれは何としもてあなたの方は答弁のしようもないだろうと思うんだが、われわれは、こういうような厚生省であったらば、とうてい協力することはできないと思う。そこで、まあ過去は過去だが、どういうふうにされるんですか。今食品衛生調査会に調査を依頼しているということであるが、その食品衛生調査会なるものは一種の会議機関であって、これは実験機関も何も持っておらない。そこで、そういうような専門家が集まった会議機関にすぎない調査会に諮問をされて、そうしてその調査会がどういう一体学問的の実験結果の、身体についてあるいは鮮魚についてあるいは食肉について、どういうような結論的の答申ができるとお答えになるか、あるいは食品衛生調査会が何かはかの方法を考えて、ほかの機関にこれから依頼するのであるかどうか。その辺のことを伺いたい。
  119. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいままで相当期間に具体的なたとえば実験的な措置をとらなかったのはまことに申しわけないと思います。なお今後は、たないまの食品衛生調査会に聞きますのは、これでもう会議体だけで全部結論が出ればけっこうでございますが、それぞれの知識経験に基いて、それと同時に、ここでこれをもっと具体的な実験の裏づけをするには、たとえば魚体をここでどういうふうに実験すればいいかということも、必要となればその意見を聞いて、私個人の考えでございますが、まだその後の従来の経過一切の速記録等を読み尽しておりませんので、恐縮でございますが、個々一定数の魚体をこの溶液に浸すなりの実験は早急にやった方がいいのではないか、それが一番。それで、試験的効果が出るかどうか結局わからないということも、これも一つの大事なことでございます。一ぺんやってみたらどうかというので、その可能性をここでもし必要なら伺って、この調査会で伺って、それで具体的に移せるものは移したい、かような意思を持っております。
  120. 高野一夫

    ○高野一夫君 すでにこの問題が提起されましてから、くどくど申し上げませんが、一年半かかっておる。こういうような種類の問題は、実験に相当の時間、時日がかかることは最初からわかり切っておるわけです。それを一年半ぼんやりしておる、ほとんどほったらかし同様にしておいて、そして今日また農林委員会でいろいろな問題が出てくる。われわれも問題にして、それでこれから魚肉なら魚肉、あるいは食肉、そういうものについて具体的の検査をする。それもまた魚肉について検査をする。それを食べて、動物に食べさして長い間、体内においてどういう変化があるか、あるいはどういう害があるかないかということの結論を出すためには相当の時日がかかるわけであります。そうすると、今みたいな状態で何年後に結論が出るか、ほとんど様子がわからないじゃありませんか。今みたいな状態で、これから食品衛生調査会の答申を作るために必要があるとするならば、現物について試験をするのだ、こういうようなことであるならば、半年、一年で結論が出っこありゃしません。これはあなた今おわかりにならなければ、専門のどなたでもいいから説明をさして、一体何年後に厚生省として結論が出る見込みがあるのかどうか、はっきりこの点御答弁を願いたい。
  121. 小谷新太郎

    説明員小谷新太郎君) 先ほどの部長説明に補足さしてお答えいたしたいと存じますが、この問題は、食品衛生調査会に諮問いたしておりますが、それは昨年の六月か七月ごろでございます。その後、調査会はいろんな関係で開かれませんでしたが、二月の初めに開いたのであります。そのときの大体の会議の空気としましては、これは非常に新しい問題であるのでなかなかむずかしい問題が多い、それで慎重に検討するようにというような意見が非常に強かったように記憶いたしております。なお、その際に、いろいろ、まあ学問的のデータを要求されたのでありますが、何分にも新しいことでございますので、急にそのデータをそろえることも困難でございまして、それで外国の文献もとれというような要求もございましたので、そういうような方面のいろんな手続もとっておったのでありますが、先ほど部長が申し上げましたように、カナダとそれからアメリカの方面からの文献はようやく集まりました。これは非常に長時日を要したのでありますけれど、何分にも外務省を通じたり、その他の手続がございましたので、相当時間かかりましたことは申しわけないと存じております。それで、会議を開くとしますというと、やはりある程度の資料が集まりませんと、今度は調査会の先生方に大へんおしかりを受けるというようなことでございます。そういうことで今日まで大へんおそくなっております。  それで、どの程度までたてば結論が出るかという問題でございますが、これは調査会の先生方に諮問しております関係上、先生方の意見がまとまるときになると思いますので、私たち事務当局の者が直ちにお答えできないと存ずるのであります。  それでアメリカあたりの様子を見ましても、たとえばアメリカでは鳥の肉に七PPMまでのオーレオマイシンの付着することを許しておりますが、これは文献を調べてみますというと、鳥の肉というのは必ず煮て食べるということになりますので、その熱を加えることによってオーレオマイシンはまあ破壊されると、従って、人間が鳥の肉とともにオーレオマイシンを食べることはないというようなことがわかったので許可したというふうに言っております。  それからカナダでも……。
  122. 高野一夫

    ○高野一夫君 いや、そういう事例は要らぬから経過を一つ厚生省としておとりになった経過並びに今後の見通し、そういう想像説はいいです。
  123. 小谷新太郎

    説明員小谷新太郎君) まあそういうようなことで、今まで文献を集めるのに非常に時間がかかっておりましたので長引いておりまして、それから今後の見通しは先ほど申し上げました通りのところでございまして、私この場で直ちに申し上げかねるのでございます。
  124. 高野一夫

    ○高野一夫君 ますます奇怪千万な事態だと私は考えるのですが、食品衛生調査会というのは厚生省の官制による、法律で定めた諮問機関である。これに諮問される場合はこうこういう問題について諮問するということであって、そこで外国の文献が、外国の事情がわからなければ諮問ができないなんというばかな話はない。その調査会において、諸外国の事情、制度、実験の結果を集めることが必要であるというならば、それからの話である。そこでその点については諮問しっぱなしじゃいかぬから、それはもちろん協力しなければいかぬ、厚生省が。これは厚生省に限らず、所管省が諮問機関に諮問する場合に、大体どれくらいの間に結論を出してくれということをおっしゃるはずです。そこで、その結論が出せるのに非常に年月がかかるというような場合は別でありましょうけれども、諮問されるまでの間に、ある程度の学者的研究をなさった上で諮問されるものだと私は考える。厚生省の中にも、外郭の機関にも、そのほかその中に専門家もおいでにならなければ、大学教授もたくさんおいでになられる。そういうところの意見を聞いて、こういうことを諮問するのだが、どれくらいの期間をおいてわかるものだろうかということぐらいは、厚生省として見当がつけられないはずはないじやありませんか。そういうこともしないで、ただ漫然と調査会に諮問する、いつでき上るかわからぬ、こういうようなことでは、これはとうていわれわれは安心していろいろな問題をお頼みすることはできない。そこで、これからまあゆるゆる一つ調査会にかけてまあかかっているそうでありますが、調査会が実験の必要があるというならば実験するだろうという、これも無責任きわまる厚生省お話し方であると思う。そこで、実験しなければならないことは最初からわかり切っておる。最初からわかっておる。オーレオマイシンを入れた氷で冷凍しているその魚、マグロでもカツオでも、その皮膚から、あるいは臓器の中から入るか入らぬかということは、想像でわかるはずはない。そういうのは実験しなければわからない。そうすると、何も学問的根拠がなく、去年はぱたっと禁止した。無定見きわまるやり方だ。また、何のその後の調査もはかどらず、そうして今度はいつ解除されるのか禁止されるのかわからぬけれども、これを一体どうするのか。今の日本の水産業は非常に困っている。困っているのだから、この結論があるいは外国は何もないというなら一日も早く解除して、日本の遠洋漁業に利用させなければならぬ。しかも外国がどうしてもやるというなら、それはまたやむを得ない。これを禁止を続けなければならぬだろうと思う。それを何もわからないまま、ただ想像でもって、外国は煮て食うのだから差しつかえなかったのだろう、日本はなまの魚を食うからいけないのだろう、こういうような考え方でもって、禁止したり、解除したり、また、禁止をするというようなことであっては、とうていこれは困るのでありまして、私どもとしては、この問題については事きわめて重要な問題と考える。日本の食品衛生——朝晩われわれは魚を食べる、肉を食べる、そういう意味から非常に重大であると同時に、日本の重大産業である水産業の立場から、私は農林水産委員じゃないけれども、その立場からこの問題は非常に私は大事に考える。従って、一日も早く結論を出して、害があるなら害があるで禁止しなさい。害がないなら早く解除しなさい。そうしなけりゃならぬはずだ。それだけの責任を産業面に対しても、衛生面に対しても、厚生省がお持ちになっているはずなんです。それを、今まで過去一カ年半にわたってほとんど何にも手をつけていない。これから調査会がゆるゆるおやりになるだろう、結論はいつ出るかわからぬ、こういうことであっては、とうていわれわれは晏如としてそういう問題を皆さんにおまかせする気持になれない。これは、私だけじゃないと思う。どうなんですか。まあこれ以上文句言ったって始まらぬが、実際問題として、今後どうされようとするわけですか。食品衛生調査会の会議に——会議ですから、会議に現在諮問しいている。そこで、その会議が結論を出すためには、当然実験しなけりゃ結論出ませんから、その実験をして、どういう所で実験をされるかは別といたしまして、一体どれくらい実験をしたら大よその見当がつくだろう、どうしたらいいだろうというぐらいの想定ぐらいはっきそうなものだと思うけれども、それすらも見当つきませんか。
  125. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 今の食品衛生調査会で、大体六月の二十日に開催がきまっておりますが、ここで今までの学者諸公の従来の経験と知識で何らかの結論が出れば、これに越したことはないと思います。しかし、今の御説のごとく、何としてもそれは実験の裏づけがなければとても意見はまとめられぬということでありましたら、実験をさっそく開始しなきゃいかぬわけでございますが、もう一週間ほどでございますが、この実験をどの程度にすれば安全かということになりますと、これはちょつと見当がつきかねるので、やはりこれは、今までこういう抗生物質を扱って食品衛生のある程度のデータを出すという経験のある方に、こういう問題の裏づけにはどの経度のやり方をするのかというのをこの場で聞きまして、必要ならば直ちにそれを実行に移すと、こういう気持でおります。
  126. 榊原亨

    ○榊原亨君 関連して。食品衛生調査会の委員の方のお名前はどなたですか。その構成を一つおっしゃって下さい。
  127. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) これもはっきりわかておりまして、招集したくらいでありますが、今手元にメンバーの名簿を持ってきておりませんので、さっそくこれは連絡いたしまして……。
  128. 榊原亨

    ○榊原亨君 それでは、その構成のメンバーの要素はどうなんですか。学識経験者とか、学者とか、医学者とか、どういう方々で構成されておるのか。部長でおわかりにならなきゃ、専門家でけっこうです。
  129. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) ただいまこれを諮問しておりますのは、食品衛生調査会の中の抗生物質の特別委員会というのに諮問しているわけでありまして、部長委員長が兼ねております。中の当時の決定したいきさつは、食品衛生課長から御説明いたします。
  130. 小谷新太郎

    説明員小谷新太郎君) 食品衛生調査会の中に、抗生物質を審議していただくために、特別部会を設けまして、委員の数は二十三名でございます。で、その方々は、大体が本年食品衛生調査会のメンバーである方もありますし、それから抗生物質という特別な問題でございますので、その道の専門家を臨時の委員としてお願いをしてございます。部会長は、調査会の委員長の阿部先生でございます。構成を申し上げますというと、大体抗生物質の専門家と、それからとりあえずの問題となっておりますのは魚の鮮度保持の問題でございますので、水産関係の先生方、それからまた薬の作用も関係でございますので、薬理の専門家、それからまたこれを実際に使った場合に行政的にどういう問題が起ってくるか、そういうこともありますので、行政面の方も入っているというような状況でございます。
  131. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう時間もたちましたから、簡単に申し上げますが、そうすると、近く開かれる食品衛生調査会がどういうような結論を出すようなふうに操作を進めていくか、それを見てみなけりゃわからぬと、こういうお話である。そこで、オーレオマイシンのごときものを氷の中に入れて、冷凍用に使いたいという漁業関係は、これはもう一日も待てずあっちこっちで作業をしているわけである。そこで、その間をどういうふうに調整されるつもりであるか。私はこれは聞き違ったのかもしらぬけれども、農林委員会における厚生省の見解では、近くこれは解除の方向に向って操作を進めるようなふうに御答弁になったかというふうに聞いているのですが、これは人すてだから、速記録を見ておりませんから、何ともわからないので、その辺の見解をはっきりお確かめしておきたいということと……まあそれだけちょっとお確かめしておきます。
  132. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先ほどもお話ありました五月中に、六月末までには結論を出すということで、前に表明を農林水産委員会でされておったこと、これが一つの事実。それから先週開かれました委員会で、私が出席いたしまして、要するに、この食品衛生調査会を中心として厚生省が意見をまとめ上げるのは、いつ開くのかというのが第一の問題、これは、ですからちょうどこの週、この週もしくはそれに近い週の間に必ずお開きするということになりまして、一昨日参議院の農林水産委員長さんの方に御返事申し上げました。二十日にきまりましたということを申し上げて、そのときに結論を出すか出さぬかという御質問がありまして、これに対しては、これはまあ委員会のことでありますので、どうなるかわからぬのでありますが、われわれの方としては、いずれにいたしましても、非常に長いことであるので、農林水産委員会から必ず結論を出すようにという強い御要望をありのまま積極的に最初から委員長の方に伝えまして、委員会の議事をするについて十分参考にしていただくように努力いたします、そういうことを申し上げたのでございまして、それからなお、その場合に結論が出なかったらどうなるかということでございましたので、もし結論が出ないということに万一なった場合でありますと、現在省令が出ておりますので、一応厚生省としてはこの食品衛生調査会の意見を専門的な意見であれば十分尊重するということになっておるので、そのままこれが結論になる形になる、という御説明は申し上げておきました。
  133. 高野一夫

    ○高野一夫君 あなたは、今月中に一回か二回の調査会を開いて結論を出し得る場合もあるとお考えになりますか、あるいは出ないかもしらぬ、出る場合もあるかもしらぬ、こういうふうにお考えになりますか。
  134. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 私の考えでは、前回開かれました調査会のときには、一般的な議論が出ておりました。今度は、今言いましたように、わかる範囲のこまかい点につきましてそれぞれの条件で議論をしていただく。それから要望として出てきておりますのが非常に限定付でございまして、一切の抗生物質を一切の水産業の方に使う、こういうようなことでなくて出ておりますので、これとできるだけ結び合わして考えてもらうということになりますと、これは全然私どもこういう学者の実験データのやり方というものは存じません、詳しくはよく知識がないのでありますが、今のようなやり方でやるならば、従来の知識で、場合によっては相当数の意見が非常な条件付の場合では、あるいは結論が出るのではないかということも、実は私は考えておるわけでございます。
  135. 高野一夫

    ○高野一夫君 その学者的見解からの意見でないから、まあ何ともわからない。それは部長部長として、そういう考えをお持ちであるということだけしか聞きません。  そこでこの問題は、日本の水産業そのほかにも、あるいは環境衛生関係の食肉営業、製氷営業、そういうのに関係している営業、それは一に当社会労働委員会が関与している問題でありますから、厚生省でその調査会の答申がもし万一出て、それに従って厚生省が行政措置をなさる場合には、事前に必ず当委員会に報告をしてもらいたい、厚生省の見解をここで発表してもらって、そうしてわれわれがあらためてそれに対する審議をした上で厚生省の行政措置をおきめになる、こういうことをはっきり私はここで要望しておきたいと思います。委員長からだめを押していただきたい。
  136. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいまの点について、尾村環境衛生部長の御意見を伺いたいと思います。
  137. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) その通りに、この調査会で一定の結論が出たら、行政措置に移す前に、必ず当委員会に御報告申し上げ、そちらの方のお示しに従って、また行動いたすことにいたしたいと思います。
  138. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 本問題に対する本日の調査は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  140. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 次に、原水爆実験に伴う放射能禍に関する件を議題といたします。御質問を願います。
  141. 榊原亨

    ○榊原亨君 原水爆を直接受けましたわが国の国民といたしましては、この原水爆を兵器に使うことについては絶対反対、これは申すまでもないことでございます。ところが、最近におきましては、日本におきましても、平和的利用といたしまして原子炉ができて参りまするし、また、医学的方面におきましても、放射能を有しますところのいろいろな物質を体内に注射をいたしまして、試験をするというようなことが行われてきておる。そこで、また一方におきましては、ソ連並びにアメリカ、イギリス等におきまして、水爆実験をやって、その汚染されたものが日本の国にもきておるというような現段階におきまして、いろいろ国民としましては心配いたしまして、ある者はこの問題について強くいろいろ論拠を求めておりまするし、一方においては、また反対の意見を言うておる者も現にアメリカにおいても甲論乙駁というような状態でありますが、この状態におきまして、現段階におきまして、厚生省の環境衛生に関する行政をつかさどっておられるお方とされましては、現段階においては、その汚染度がどうであるか、その汚染度においてはどういう人体に障害が起る、あるいは将来どうなるということを、わからないものは、この点はまだわからない、この点は申すまでもなく実験をしてみなければわからない、あるいはこの点ははっきりこう言えるというようなことを御発表になっていただかなければ、私どもといたしましても非常に不安であります。たとえば、死の灰を受けますならば、直ちにすぐ骨にでき物ができましたり、あるいは奇形ができてくる。その奇形も放射能の灰の濃度によるのじゃなしに、ごくわずかでも奇形が起ってくる、できてくるというようなことを聞く部面もありますし、また、その灰をこうむった野菜を食べれば、もうすぐにそれが人体に障害を及ぼすというようなことになってきますし、そういうことでございますならば、また、今現在放射能を有する物質を医学に使いまして、体内の検査に使っておるのでありますが、そういう面においては、これを禁止しなければならぬ、それらの点につきまして、現在環境衛生の立場からどんなふうな御研究があり、また、どんなふうなお調べがあるかということを承わりたいと思うわけであります。
  142. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) この放射能問題につきましては、環境衛生関係といたしまして二つに方策が分かれるわけでございます。さしあたりは、現在国全体として実験反対に動いている、それが、逐次行われている、それのわが国に対する影響に対する問題、それからいま一つは、平和利用として国内でいろいろな医学を初め放射物質が使用されておる、これが国内において国民に影響をする問題、この二つが、大まかに言いますと、あるわけでございます。前者の方につきましては、これは厚生省だけではなかなか影響を調査できない問題がありまして、これはもうこの前のビキニ以来対策委員会が各省通じてございまして、これでそれぞれ分担いたしまして、気象庁なり、厚生省関係も、地方衛生試験場等を利用いたしまして、それぞれの分担に従って空気、水、それから水はこれは雨から降ってくるものと、その結末として利用する水道水その他の検査、こういうふうなこと、いわゆる環境衛生的な検査は協力して、これは常時続けているわけでございます。なお、この問題につきましては、先般来ああいうふうに方々でありましたので、一そうこれは強化をする、調査頻度をふやす、あるいは調査の対象をできるだけ方々でやるということは、これは逐次強化をいたしておるわけでございます。それから、その調査結果が若干最近までの結果は出ておりますが、これはただ集まり方がごく最近までは集まっておりませんので、概して四月末までのデータでございます。各地のこれは水で調べましたり、あるいは雨水を集水して調べた結果等が出ております。四月末までのことで言えます点は、ちょうど三月の半ばに各地とも一ぺん高くなった所が相当あるのと、それから四月の半ばに相当量カウントが出た。ただし、いずれもいわゆる今まできまっております許容量に達したものは一つもございませんが、各地でカウント数がそれぞれ出ております。また、直ちに二、三日の間ずっと出ております。これは気象庁のデータと逐次合せますと、あるいは爆発の関係が明瞭になる、あるいはすでに調べた爆発以外の問題が因子になっているかもしれぬ、これは西北の方面等がある。  それから国内の応用の平和利用、各種の応用の問題に伴ういろいろな障害の問題でございます。これはもう先般来、例の放射線をも含めまして放射能物質の取締り法案というものが問題になった通りでございまして、放射能物質については強く取扱いについては法律的措置によってこれをやるということになっておりまして、ただ医学的な常時使っております応用問題になりますと、これは一般的な放射能の障害と治療目的に使う場合の、その場その場の取扱いのための副障害と、この二つがあるわけでございまして、この点は今のところ、平和利用の方は別な形でやる、それから一般の原水爆に基く被害問題、従来ありますのは別にいたしましても、結果的には同じものでありますので、これも合せまして、従来医学部会というものがその中にありまして、それぞれ権威者を網羅し、関連者が集まってデータを出し合っております。これにおきましても、従来集まりました文献は昭和三十年度までは冊子にいたしまして諸方面に配り、それからこの医学部会できめました健康診断の基準その他も、これは公開をいたしまして発表いたしております。こういうやり方をさしあたりは続けていく。この十四日にまたこれらの問題をめぐりましての合同委員会、これは環境衛生部会、医学部会の合同委員会を十四四日に招集いたしまして、これでまた議することになっております。
  143. 榊原亨

    ○榊原亨君 私が今お聞きしておりますのは、今日の段階において厚生省とされましては、これらの放射能の物質につきましてどういうふうな御見解を持っておられるかということであります。たとえば今各地で起っておりますところの雨の中のいろいろな放射能の灰が、たとえばこのままでいったら何年たてば障害を起すだろう、今の段階においてはこれは別に心配する必要もない、あるいは遺伝の問題につきましても、ごく少量でも遺伝の障害を起すという説があるけれども、今われわれはこうは考えていないとか、あるいはまた、それはおそろしいとかいうようなことが、今の段階とされまして、学者の意見を聞かれまして、そして御見解がなければならぬ。と申しますのは、放射能、放射能とおっしゃられましても、ストロンチウム90の体内の蓄積の問題はまた別でございますし、また、東海村におきまして現に原子炉が動きますと、それに従事しております方の身体の障害に対する保障という問題も、現実の問題として考えていかなければならぬ問題でありますので、将来のことはともかくとして、現在としてはこの程度であるという厚生省のお考えがなければならぬ、そのお考えがなければ、原子炉で働いている人がもしそういうことになったらどうするという保障もできないじゃないかと私は思うのであります。また、遺伝の問題につきましても、現在はこうだというような一つのまとまったお考えがなければ、この点はまだわからないから、これは当分研究にまかせるべきものであるとか何とかいうような、この問題に対する環境衛生方面の当局としての白書がなければならぬと思うのでありますが、そういうことについての何らのお考えもなしに、まだ話を聞いておるのだという話でございますならば、これは御承知の通り、わが国も原水爆には反対でございますから、その科学的根拠につきましても、相当突っ込んだ話を外国にしなければならぬと思うのでありますが、そういう程度について私いろいろ各方面で調べて見ますというと、たとえば奇形の問題につきましても、あるいは骨にできます障害につきましても、日本では何一つ研究はない現状じゃないかということも、私の調べる範囲内では聞いておるのでありますが、そういう点につきましても、厚生省は一体どうだ、もしそれがわからないならば、研究家にまかして早く研究させなければならぬ、あるいは学者に対してこういうことをしなければならぬじゃないかというような一つの見解がなければ、ただ出たとこ勝負ということでは、先ほどからいろいろ厚生省に関する、環境衛生に関する問題がけさからずっと出ておるのでありますが、これらの問題につきましても、一向厚生省のお考えというものは定まっておらない。これは原水爆の問題について、死の灰の問題についても、また、平和利用の原子炉の処理について起ってくる人体に対する障害につきましても、それらの点について一つもお考えがまとまっておらぬと思うのでありますが、その点がどうもはっきりしない。私のようなしろうとさえがいろいろ文献を調べてみますと、どうも日本の学者の言われることも、はっきり根拠がないように私は思っておる。これらの点につきましては、今時間もございませんから、どうか一つ次回までに、たとえば許容量の問題にいたしましても、その許容量は文献のだれだれの研究が何の動物について研究したことを応用して、こういう許容量になった。あるいは遺伝の問題につきましても、だれだれの研究に基いてこういうことが言われておるが、これはまだこうだとかいうような厚生省のお調べがなければならぬと思うのでありますが、次回までにそれらの資料を整えられて、もう一ぺん説明なされるように、委員長から一つお願いしていただきたいと思います。
  144. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 一つ私も意見を申し上げたいと思う。今の環境衛生部長の発言を聞いておると、榊原委員から言われた問題について、一つも的確なお答えができていない。私はこの会期末の水道法の、原子放射能物質の汚染の問題をめぐって、その予防処置、今のはいろいろ研究ですけれども、予防処置をどうするかということに対して、大臣は、次の国会には一般的な汚染に対する問題の予防処置の法案を出して明確にしたい。もう一つは、今実験その他の行われている、たとえば下水に流れている処理が、蒸発せずに下水に流れておるような問題については即日処置を講じたい、こういう発言があった。それから今日まで考えますと、もう一月近くなっておる。それはどこが担当されるか知りませんけれども、環境衛生部というのが私はやはり何といっても中心になされるところだと思うのだが、それは適当に答弁をしてもらっては困る。適当に。その大臣が言われたことが部長はお知りにならないのか知りませんけれども、そういう、やはり厚生省水道の問題をめぐってそういう発言をされておるのに、今部長の発言を聞いておるとさつぱり雲をつかむような、これで実際の今の原子力利用の処置というものはできているんですか。全体の予防処置というものは次の国会で何とか明確にしたいということはすべてあとで言われただけで、実際の研究は何にもしてないじゃないかという意見です。だから榊原委員の発言と関連して非常に重要な問題です。こういうことで漫然として次の国会に臨まれ、そのときに、まだできませんでしたということだけじゃ私は、多くの法案を作る——たとえば水道法案の問題から考えましても重要な問題だと思う。そういう点、私は明確にここで返事ができなければ、大臣が約束した通りにやるならやる、今のような部長の答弁では、私はどうも納得しません。そこのところは、明確に一つしておいてもらいたい。これは関連して。
  145. 尾村偉久

    説明員(尾村偉久君) 先ほど私の答弁は、ちょっと見当違いに受け取りまして申しわけありません。一番大事な点は許容量の問題かと思います。許容量の問題につきましては、国際できまっております許容量について、さらに一昨年でありますか、十分の一に部分的に許容量を下げまして危険度を勘案して、これが公表されておりますので、厚生省といたしましては、今きまっておるこの許容量をさしあたり限度と考えまして、これにオーバーするようなことは一切ないような、先ほどからお話通り、諸法案には入れるべきものはこれを基準にいたして入れる。将来さらに研究、これは国内外の研究が進みまして、許容量をさらに著しく低めなきゃ不安であるということになって、そういうことがきまればもちろんこれに従うというつもりでおります。ただ、遺伝の問題等はまだ厚生省といたしましては確たるものはなく、ただあの許容量をきめるため、国際的あるいは国内学者からあの許容量に、発表されたものに含まれておる遺伝についての考え方を踏襲しておる、こういうことでございます。
  146. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) ただいま榊原委員、藤田委員から御質問、御要望がありましたように、本問題はきわめて重大な問題であるかと思います。特に最近権威ある学者等の発表を見てみましても、きわめて憂慮すべき問題が出されておるのにかかわらず、環境衛生の衝にある方々の責任ある発表もあっておりませんので、ただいま御要望の通り、次の委員会までに、現在の状態を十分に御報告できるように御調査をお願いしておきます。  本問題に関する問題はさようなことで、本日の調査は打ち切りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  148. 阿具根登

    委員長(阿具根登君) 速記を起して下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十九分散会