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1957-03-30 第26回国会 参議院 建設委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月三十日(土曜日)    午前十時三十七分開会     ―――――――――――――   委員の異動 本日委員西田信一君、松野鶴平君、井 上清一君及び酒井利雄君辞任につき、 その補欠として佐野廣君、上原正吉君、 古池信三君及び後藤義隆君を議長にお いて指名した。     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            上原 正吉君            古池 信三君            後藤 義隆君            小山邦太郎君            斎藤  昇君            佐野  廣君            中野 文門君            武藤 常介君            内村 清次君            大河原一次君            重盛 壽治君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    法制局第二部長 野木 新一君    建設政務次官  小沢久太郎君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省河川局長 山本 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省河川局水    政課長     國宗 正義君    建設省河川局開    発課長     小林  泰君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○特定多目的ダム建設工事特別会計法  案(内閣提出衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ただいまから委員会開会いたします。  委員変更の件を御報告いたします。三月三十日西田信一君、松野鶴平君が辞任せられ、その補欠として佐野廣君、上原正吉君が指名せられました。またただいま、井上清一君及び酒井利雄君が辞任せられ、補欠として古池信三君及び後藤義隆君がそれぞれ指名せられました。     ―――――――――――――
  3. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) これより特定多目的ダム法案を議題に供します。御質疑のおありの方は順次御発言を願いますが、便宜上この法案逐条審議に入りたいと思うのでありますが、まず章ごと質疑をお願いしたいと思います。  それでは第一章について御質疑を願いたいと思います。政府側から第一章についての説明を願います。
  4. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 第一章総則につきまして逐条的に御説明申し上げます。  まず第一条は、本法案目的に関する規定でございまして、本法案河川法特例を定めまして、ダム使用権を創設することによりまして、多目的ダム建設促進及び管理合理化をはかりまして、その効用をすみやかに、かつ十分に発揮させることを目的とするものであることを明らかにいたしたのでございます。  次に第二条の定義につきまして御説明申し上げます。第二条は、本法案に用いられまする用語の定義に関する規定でございます。本法案におきまして、多目的ダムとは、建設大臣直轄施行するダムでございまして、発電水道、または工業用水の用に供せられるもの、及びそのダムと一体となって効用を全ういたしまする余水路、副ダムその他の施設、または工作物を総称するものであります。次にダム使用権とは、一定量流水貯留一定地域におきまして確保する権利をいうのでありますが、このダム使用権水利権一定量流水を排他独占的に継続して使用する権利であるのに対しまして、その水利権行使を全たからしめるため、必要な流水貯留を確保する権利でございます。すなわち特定用途に供するための水利権行使を全たからしめるためには、それに必要な流水貯留に多額の投資を必要といたしますので、その投資目的となりました流水貯留の状態を確保することを、権利として確立いたしたのでございます。また本条におきまして、灌漑用水の問題につきましても、当然多目的ダムでありますから、その目的といたしまして、入ってくるわけでございますが、多目的ダムの有する灌漑の効果につきましては、元来河川法によりまして、公利を増進する事業といたしまして、建設大臣の責任におきまして、工業用水補給のための流量調整を行い、貯水の灌漑効果を確保することになりますので、特に灌漑特定用途に入れまして、ダム使用権設定することをいたさなかったのでございます。しかし後ほど御説明申し上げますが、ダム建設に関する基本計画作成ダム操作規則制定に当りましては、関係行政機関の長、特に農林大臣が該当するわけでございますが、と協議いたしますし、また関係都道府知事等意見を十分尊重いたしまして、定めることといたしておるのでありまして、灌漑の立場は十分保障されるものと考えられるのであります。またそのほかに治水の問題がございますが、治水灌漑とは、河川公利を増進いたしまして、公害を除去する公共的の最も強いものでございますし、しかも治水につきましても、国の費用地方公共団体費用をもって全部支弁いたします。また灌漑につきましても、その大部分は、国の費用地方公共団体費用でございまして、特に利益を得る場合におきまして、そのわずかの一部を農民の方々に負担していただくということにいたしております。そういう点からみましても、公共性の一番強いものといたしまして、灌漑治水と相並んで、建設大臣が元来の任務として行うものであるので、特定用途といたさないで、当然多目的ダム目的として考えられるのでありまして、ここに特定用途という項目に入れなかったのでございます。  次に第三条でございますが、この規定多目的ダムによりまして貯留された流水特定用途に供する者は、水利権のほかダム使用権を有する者でなければならないものといたしまして、ダム使用権の実質的の価値を明らかにしたものであります。さらに灌漑用水につきましては、ダム使用権がなくても、単に水利権だけで水の使用はできるわけでございます。  以上簡単でございますが、第一章の総則につきましての御説明を終ります。
  5. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 引き続き第二章をやって下さい、関連があるから。
  6. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それでは第二章を続いて御説明申し上げます。  第二竜の第四条は、多目的ダム建設に関する基本計画に関する規定であります。もちろん従来の多目的ダム建設に際しましても、基本計画は事実上作られていたのでありますが、これを法定することによりまして、事業の適正かつ円滑なる実施をはかったものであります。なお、本計画におきましては、ダム使用権設定予定者費用分担等の重要な事項が定められまして、多目的ダム建設についての具体的構想が明らかにされるものであります。従いまして、その作成変更または廃止につきましては、関係行政機関の長に協議いたしますし、また都道府県知事及びダム使用権設定予定者意見を聞くことによりまして、他の行政との調整をはかりまして、多目的ダム建設発電水道または工業用水道事業実施が円滑に行われる措置をとったのでございます。  次は第五条でございますが、これはダム使用権設定予定者となるべき者の要作につきまして規定したものでございます。その要件ダム使用権設定申請をした者で、かつ、のちほど御説明いたしますダム使用権設定要件を備えておることを要するのであります。  続いて第六条を御説明申し上げます。これはダム使用権予定者地位は将来多目的ダム完成したのちにおきまして、ダム使用権設定が受けられるものであり、一種の期待権的な地位でありますので、相続、合併その他の事由によります一般承継を認めたものであります。  第七条について御説明申し上げます。第七条はダム使用権設定予定者費用負担に関する規定であります。多目的ダム建設に要する費用範囲負担金納付方法及び期限等負担金に関する詳細な事項政令で定めることといたしておりますが、ダム使用権設定予定者負担金額は、従来の共同事業の場合の費用割り振り方法に準拠して定められる予定でございます。  次に第八条につきまして御説明申し上げます。これは多目的ダム建設に要する費用についての河川法によりまして都道府県が負担すべき金額算定方法を定めたものでございます。この方法は、道路法及び海岸法に基きまする直轄工事についての地方公共団体分担方法と同一でございます。  次に第九条でございます、多目的ダム設置によりまして、著しく利益を受けるものがある場合におきまする受益者分担金に関する規定でございます。受益者分担金徴収は、徴収を受くべき者が流水政令で定める特定用途に供するものであるときは建設大臣、そのほかの者でありますときは都道府県知事が行うことといたしました。この建設大臣徴収するものは、発電ダムを作りました場合の、下流におきまする発電力の増強によるものでございます。  続いて第十条の御説明を申し上げます。第十条は、専用施設を設けまして、土地改良区等が多目的ダムによりまして貯留された流水灌漑の用に供する場合におきまして、その土地改良区等が負担すべき金額規定いたしたのでございます。これらの者はダム使用権設定を受けず、従って第七条の負担金納付しないのでありますが、多目的ダム建設によりまして受ける利益が特にその場合には顕著でありますので、一定額を負担いたしますことが、他の事業とも比較いたしまして、公平の理念に合致するとの趣旨でございます。なお、この場合におきまして、土地改良区等が負担すべき金額は、当該土地改良区等が、ダム使用権設定予定者であったと仮定した場合におきまする金額の十分の一以内の金額に、建設期間中の利息を加算した額でございます。  続いて、第十一条を御説明申し上げます。第十一条は、受益者負担金及び土地改良区等の負担金都道府県知事徴収するものは、都道府県に帰属することを規定したものであります。なおこれらの金額は、先ほど申し上げました第八条によりまして、後に国に納付することとなるのであります。  続いて、第十二条を御説明申し上げます。第十二条は、ダム使用権設定予定者多目的ダム建設に要する費用を負担し、すでにその全部または一部を納付した後におきまして、ダム使用権設定申請の却下または取り下げがあったときは、国はその納付した金額還付するものとしたのであります。なお、多目的ダム建設計画が廃止された場合を除きまして、他の者がダムに関して設定予定者となる場合が考えられますので、かかる場合におきましては、その者が定められるまで還付を停止し得るものといたしまして、還付事務のわずらわしさを除くことといたしたのでございます。  続いて第十三条を御説明申し上げます。第十三条は、ダム使用権工事完了後に設定されまして、従ってその後におきまして初めて流水特定用途に供し得るのが原則でございますが、完成前におきましても一部流水貯留し、発電等を行う必要がある場合がありますので、かかる場合におきましては、建設大臣許可を受けまして、水利権のみで流水を利用できることといたしたのでございます。  次に第十四条につきまして御説明申し上げます。第十四条は、多目的ダム工事の完了したときにおける手続に関する規定でございます。この場合には遅滞なく工事完了公示をいたしますとともに、付属物認定をすべきことといたしたのでございます。なお、多目的ダム付属物認定は、建設大臣が行うものといたしましたことは、河川法特例でございます。  第三章に入ります。十五条は、建設大臣ダム使用権設定に関する規定でございまして、ダム使用権設定要件を定めております。すなわち、ダム使用権設定を受ける者は、その者の事業河川総合開発上適当であることと……
  7. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 山本君ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  8. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 速記をつけて。  それでは暫時休憩いたします。    午前十時五十六分休憩      ―――――・―――――    午前十一時二十七分開会
  9. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは休憩前に続いて委員会開会いたします。  逐条説明の続行をお願いいたします。
  10. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それでは先ほどに引き続きまして、第三章から御説明申し上げます。  第十五条は、建設大臣ダム使用権設定に関する規定でございまして、ダム使用権設定要件を定めたものであります。すなわち、ダム使用権設定を受ける者は、その者の事業河川総合開発上適当であることと、他の法令による許認可等を受け、また受け得る見込みのある者であることを要するのであります。  次に第十六条は、ダム使用権設定申請があった場合において、却下すべき場合を規定したものであります。  第十七条は、ダム使用権設定の時期に関する規定でございまして、河川付属物認定があった後すみやかに設定すべきこととしておるのでございます。  第十八条は、ダム使用権設定の際、建設大臣が明らかにすべき事項について規定するものでございます。すなわち、ダム使用権内容を明確にいたしたものであり、かつ、その内容洪水調節公共利水発電等事業等多目的ダムの有する効用を十分発揮し得るように、その範囲を示すことが要求されるのであります。  第十九条は、ダム使用権により流水貯留が確保される一定地域の限界について規定したものでございます。  次に第二十条及び第二十一条は、ダム使用権性質に関する規定でございます。ダム使用権は前にも述べましたごとく、相当な投資をいたしまして、実現される流水貯留を確保する権利でございますので、これが保護措置は十分に講ずる必要があるものでございます。従いまして、本法案におきましては、これを物権とみなしまして、物上請求権により直接第三者の侵害に対抗し得る地位を付与し、抵当権等目的とすることによってその経済価値を認めんとしたものでございます。  第二十二条は、ダム使用権が公権であること及びその行使公益関連するところ大であることにかんがみまして、一般承継以外の移転分割併合またはその設定目的変更について建設大臣許可を要することといたしたのであります。  第二十三条は、抵当権者保護の見地より、ダム使用権に登録された抵当権があるときは、ダム使用権分割併合もしくは設定目的変更許可申請または放棄について抵当権者の同意を必要とすることといたしたのであります。  第二十四条及び第二十五条は、ダム使用権取り消し変更処分に関するものでありますが、ダム使用権取り消し変更はそれが物権である以上、その取り消し変更については厳密なる要件を課するとともに、水利権ダム使用権と相待って初めて多目的ダムにより貯留された流水使用ができることにかんがみまして、水利権取り消し変更ダム使用権移転牽連関係を持たせたものであります。  次に第二十六条は、ダム使用権及びこれを目的とする抵当権設定等に関し、ダム使用権登録簿に登録し、第三者に対する対抗要件を具備せしめたのでございます。  第二十七条は、多目的ダム完成後におきまして、ダム使用権設定予定者以外の者がダム使用権設定を受ける場合における一定納付金納付に関する規定でございます。  第二十八条は、ダム使用権取り消しまたは変更処分があった場合におきまして、すでに納付した負担金または納付金還付に関する規定でございます。なおこの際の還付金の額は、還付のときにおけるダム使用権効用に応じて定められることとなっております。本条第二項及び第三項は、ダム使用権が消滅した場合におきまして、その上に抵当権があるときは、抵当権者の承諾を受けた場合を除き、還付金を供託しなければならないものとし、抵当権者物上代位をなす方途を講じたものであります。  続いて第四章を御説明申し上げます。第二十九条は、完成後の多目的ダムにつきまして、建設大臣管理を行う場合を明らかにした規定でございます。すなわち、河川法によれば、完成後は都道府県知事において管理を行うのが原則でございますが、二以上の都府県の区域にわたる河川に存するもの及び政令で定めるものについては、建設大臣直轄管理することが公益の保全のために必要でありますので、特に法定いたした次第でございます。  第三十条は、多目的ダム操作について多目的ダムの有する効用を十分に発揮するよう、その基本原則規定いたしたのでございます。  第三十一条は、建設大臣または都道府県知事多目的ダム操作を行う場合において準拠すべき事項建設大臣操作規則として定むべきことを規定したものであります。なお操作規則は、公共利益を保全し、及びダム使用権者の行う事業実施につきまして重要なものでございますので、その制定に当りましては関係行政機関の長に協議し、ダム使用権者等意見を聞くことによりまして、適正な内容とする措置を講じているのであります。  第三十二条は、多目的ダム管理する建設大臣または都道府県知事は、多目的ダム操作によって生ずる危害を阻止する必要な措置を講ずべきこととし、洪水調節のための予備放流等の際にとるべき警報通知について規定いたしたものでございます。  次に第三十三条は、多目的ダムの維持、修繕その他の管理に要する費用は、多目的ダム管理する国または都道府県ダム使用権者が負担すべきこととし、河川法特例を定めたものであります。  続いて第五章の御説明を申し上げます。第三十四条は、多目的ダムによりまして貯留される流水に関する水利権等河川法処分は、基本計画公示後におきましては建設大臣が行うものとし、多目的ダム建設ダム使用権設定等処分河川法上の処分との調整が保たれるよう措置したことでございます。この場合におきまして、建設大臣処分をするに際しまして、関係行政機関の長に協議し、都道府県知事意見を聞くことにより、円滑な運用を期したのでございます。  次に第三十五条は、多目的ダム発電事業のためにダム使用権設定されるものにつきましては、本法案付則におきまして、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律改正いたしまして、多目的ダム管理する国または都道府県所定交付金市町村に交付することといたしたのでありますが、これは本来ダム使用権者固定資産税として納むべき性質のものでございますので、ダム使用権者等がその額を国または都道府県納付すべきことを規定したものでございます。  第三十六条は、本法案負担金または納付金納付しない者がある場合における強制徴収規定でございます。  第三十七条は、本法案に基く一定処分に関し訴願を許し、これによってこの処分の矯正の道を開いたものでございます。  第三十八条は、本法案実施のため必要な事項につき、政令で定める旨委任した規定でございます。  続いて付則について御説明申し上げます。付則第一項は、本法案施行期日でございますが、多目的ダム建設工事特別会計と密接な関連がございますので、四月一日といたしたわけでござ  います。  付則第二項は、従来共同事業といたしまして建設大臣事業者とが共同して設置したダムまたは建設中のダムは、事業者持ち分が国に帰属したときにおきまして本法案多目的ダムとなり、本法案適用を受けることとなる旨の規定でございます。  付則第三項は、土地改良区等の負担金につきましては、従来の経緯もありまして、現に建設中のダムであって、政令で定めるものについては適用しないこととしたのでございます。  付則第四項は、ダム使用権登録制度をとったため、登録税法改正をいたしまして、登録税納付することとしたのでございます。  付則第五項は、第三十四条の規定によりまして多目的ダムによって貯留される流水に関する水利権等処分につきまして、建設大臣関係行政機関の長に協議の措置をとることとしたことにかんがみまして、河川法による一般水利権に関する処分についても建設大臣処分し、または都道府県知事処分を認可する際に関係行政機関の長に協議する措置をとるため、河川法の一部を改正したものでございます。  付則第六項は、ダム使用権工場抵当法による工場財団組成物とし、多目的ダムによって貯留される流水特定用途に供する者について工場抵当制度が活用されるようにするため、工場抵当法につきまして所要の改正をしたものでございます。  付則第七項は、現在建設大臣事業者との共同事業にかかるものについては、事業者持ち分について固定資産税が課せられているのであります。本法案に基くダム使用権も、本来ならば同様に固定資産税を課すべきものでありますが、地方税法無形減価償却資産について非課税の体系をとっているため、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正いたしまして、多目的ダム発電目的ダム使用権設定されているものについては、国または都道府県が所有する同法第二条第一項第三号の固定資産とみなして同法を適用し、国または都道府県市町村所定交付金を交付し、その額をダム使用権者等が国または都道府県納付することといたしたのであります。  付則第八項は、付則第二項に該当するダムですでに固定資産税または市町村交付金を課せられているものが、この法律による多目的ダムとなり、前項の規定適用を受けるに至った場合の経過措置規定したものであります。  最後に付則第九項は、本法案制定にかんがみまして、建設省設置法の一部を改正いたしまして、本法案施行に関する事務を追加いたしたのでございます。  以上をもって逐条の御説明を終ります。
  11. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それではこれから質疑に入りたいと思います。まず第一章についての御質疑をお願いいたします。
  12. 田中一

    田中一君 この特定多目的ダムとこの法案の条文にたくさん入っておりますところの多目的ダムとはどう違うのですか。
  13. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この法案に書いてあります多目的ダムは、すべて特定多目的ダムでございます。
  14. 田中一

    田中一君 従来ともに多目的ダムというものは建設しているわけであります。従ってこの法律案ではこれが多目的ダムということはきめておらないわけですが、大体の考え方はどういうものを想像していますか。特別会計法には八つのダムが明示されておりますけれども、どういうものを考えておりますか。
  15. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 特定多目的ダム法で行わんとするダムは、今後建設いたしまする多目的ダム建設大臣直轄で行いまする多目的ダムを考えております。現在三十二年度におきまして施工いたしまするダムは九カ所の建設工事と、そのほかに三カ所の計画調査費が計上されているダムでございます。
  16. 田中一

    田中一君 それを明示して下さい。
  17. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 三十二年度で特定多目的ダム法適用の下に特別会計実施するダムは長野県の天龍川美和ダム、埼玉県の荒川二瀬ダム、愛媛県の肱川鹿野ダム、青森県の岩木川目屋ダム、次に岩手県の和賀川湯田ダム、次に京都府の由良川大野ダム、次に熊本県の球磨川市房ダム、これまでが今までの継続事業でございまして、新規のダムがあと二カ所工事に着手するものがございます。その一つは宮城県の名取川大倉ダム京都府の淀川天ケ瀬ダム、以上九カ所が三十二年度の工事地点でございまして、そのほかに実施計画調査実施いたすものといたしまして、秋田県の雄物川の皆瀬ダム、それから栃木県の鬼怒川の川俣ダム、次が岐阜県の揖斐川の横山ダム、以上でございます。
  18. 田中一

    田中一君 特定多目的ダム建設工事特別会計法には名取川が書いてありませんけれども、これはどうなんです、
  19. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 名取川淀川と同じく実施計画を昨年三十一年度に実施したのでございますが、三十一年度は補助工事で補助の事業といたしまして実施計画調査実施しておりましたので、淀川の分は、淀川天ケ瀬ダム直轄実施調査をしておりましたので、ここに名取川は入れなくて新規のものとして扱ったのでございます。
  20. 田中一

    田中一君 この予算書の事業計画表を見ると、名取川が入っているのです。しかしこの法文には入っておらないのですがね。
  21. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 特定多目的ダム建設工事特別会計法の附則第三項にあげておりますのは八つのダムだけでございまして、ただいま局長の説明申し上げました点は、十二のダム特別会計において行うように説明いたしましたが、現に特別会計法にはさようになっておらぬのはという点についての御質問かと思いますが、付則第三項のこの柱書きでありますが、この第三項の柱書きは、まず「第一条の規定にかかわらず、この会計において行う」、と申しますのは、特別会計法第一条におきましては、ここに書いてございますように、「特定多目的ダム法第二条第一項に規定する多目的ダム」はすべて行う。これから将来行うものはすべて行うという規定でございます。従いまして、先に特別会計であげてあるものは全部行うということをすでに第一条において書いてあるわけでございます。しからば第三項は何を書いてあるかと申し上げますと、第一条のダムにならないものにつきましても、なおかつこの特別会計において経理を行うというふうに書いてあるわけでございます。今建設中のダム淀川まででございますが、名取川は補助工事でございまして、建設大臣建設中の工事ではないわけでございますが、そういう建設中の工事、天龍川から淀川までの工事が第一条の規定に適応しなくても、なおかつこの会計において行うことを規定しているわけでございます。どのような場合に第一条になりますかと申しますと、これは多目的ダム法の附則第二項によりまして、国に持ち分が帰属したとき、つまり国が譲渡を受けたときに初めて第一条のダムになりまして、正当に金が支出できるのでございますが、その譲渡行為を、譲り受けない前でもなおかつ四月一日から金を出さなくちゃならないためにこの三項を規定したわけでございます。
  22. 田中一

    田中一君 そうすると、名取川大倉ダムはもう国に帰属したわけですか。あるいは四月一日から帰属することになっているのですか。
  23. 國宗正義

    説明員國宗正義君) まだその具体的の譲り受けの話を正式には、この法律も通っておりませんから、できておりませんが、四月一日なりあるいはそれに最も近い時において話し合いをして譲り受ける。そういう措置をいたしますれば、新規に着工できるわけでございまして、そういたしますと、付則適用によってこの法律適用を受けるのではなくて、さような場合には建設大臣がこれから着手する工事といたしまして、多目的ダム法の第二条の多目的ダムとして工事にかかるわけでありまして、従いまして、特別会計法一条によって特別会計において支出できる、こういうことになろうかと考えます。
  24. 田中一

    田中一君 特別会計の予算書には、三十二年度建設事業計画表として名取川大倉ダムは三億二百万の金の予算が計上されているわけです。そうすると国に帰属しないものを一応予算に計上したということになるのですか。
  25. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 先ほどの私の御説明でやや不明確な点がございますので、若干訂正いたしますが、名取川につきましては、今一覧表に書いてございますような電気がまだ入っておらないのでございまして、県が県の金をもちまして、そしてそれに向いまして国が六割の国庫補助をいたしまして、県の公共事業分の所有分があるわけでございます。その分についての話し合いでございますから、最もすみやかに話がつくと考えます。
  26. 田中一

    田中一君 話がつくと考えて計上してあるわけですね。国がどうしてもしなくちゃならないのを、県に押しつけるようなことはございませんか。
  27. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話がちょっとあれでございますが、今までは公共事業としてやりまして、特定用途事業の金は入っておらないのでございます。従いまして、その分は負担金などに該当する分でないものですから、補助事業でやった分をそのままこちらへ引き継げばよろしいということになっております。県とはその辺の話し合いはついております。
  28. 田中一

    田中一君 ついているならいいんですよ。話し合いがついて、四月一日になったらば、これがすぽっと生きてくるならいいわけなんです。  今、継続事業でやっているところの一から七までの、天龍川の美和、荒川の二瀬、肱川、目屋、和賀川、由良川、市房、この七つの現在やっているダムのうち、水利権ダム使用権予定者となっているものですね。それからその事業、これを明細に御説明を願います。ゆっくりして下さい、書くのですから。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 数字的なものになりますから、開発課長から御説明申し上げます。
  30. 小林泰

    説明員(小林泰君) それではこの八つのダムにつきまして、電気事業に関係いたしまして申し上げます。
  31. 田中一

    田中一君 電気事業ばかりじゃないんです。今のこれに規定しておりますところの上水、それから工業用水等があれば、上水道なら何市がどのくらいのものをどうしている、それから電力の場合にもその通り、工業用水の場合もその通りです。そういう工合にこまかく説明して下さい。
  32. 小林泰

    説明員(小林泰君) 天龍川の美和ダムにつきましては、従来長野県が県営事業といたしまして電気事業実施しております。この電気事業は三万五千八百キロの計画でございまして、二カ地点に分れております。それから荒川の二瀬地点につきましては、埼玉県が電気事業を営むものとしてすでに仕事をやっておりまして、五千百五十キロの出力を計画しております。鹿川の肱川につきましては、愛媛県が電気事業を主体として実施しておりまして、九千百キロの発電を行う計画を持っております。岩木川の目屋ダムにつきましては、青森県が事業主体として内定しておりまして、一万三千五百キロの計画を持っております。和賀川につきましては、岩手県がこれは出願しておりまして、全体の発電規模としては三万四千三百キロ。由良川につきましては京都府が事業主体と予定されておりまして、一万一千キロの出力が予定されております。球磨川の市房ダムにつきましては、事業主体についてはまだ内定もいたしておりませんが、一万六千九百キロの計画でございます。淀川の天ケ瀬につきましては、関西電力が内定しておりまして、四万キロの計画でございます。  以上が八カ地点でございますが、そのほかの名取川につきましては、発電計画はございませんで、今のところ、水道工業用水計画特定用途として予定されておりますが、水道につきましては仙台市が行う予定になっております。これは一日約十万トンの給水の計画でございます。工業用水はやはり十万トンの計画でございますが、宮城県営の予定となっております。実施計画地点の雄物川につきましては、電気事業者は未定でございますが、約五千キロの電力が予定されております。鬼怒川の川俣につきましては一万一千五百キロの出力が予定されておりますが、事業主体としては東京電力が実施するように申し入れがございます。揖斐川の横山につきましては、二万一千五百キロの出力が予定されておりますが、事業主体につきましては目下、県、中部電力の間で協議中でございます。
  33. 田中一

    田中一君 そのほかこの地点の工業用水並びに上水道計画も御説明願います。
  34. 小林泰

    説明員(小林泰君) 工業用水と上水道計画は、この基本計画の中に予定されておりますのは名取川だけでございまして、ほかにはその計画は現在のところございません。
  35. 田中一

    田中一君 名取川発電をする場合には何キロぐらい出るのですか。
  36. 小林泰

    説明員(小林泰君) 発電については、実は水道工業用水との競合の関係がございますので、両立することは困難であると存じます。
  37. 田中一

    田中一君 そこではっきりわかるのですが、結局これは美名のもとに隠れた特定の、ある一つの基本系列のダムだということなんです、これを見ますと。主として電力オンリーのものじゃないかと思うのです。むろんこれには防災という点は当然考えなければならぬと思うのです。それから水の調節という大きな点も考えなければならぬと思いますが、私ども考えておりますのにも常にそう思うのです。たとえば名取川の大倉のようなものにいたしましても、二十万トンもとってしまえば幾ら残るかといえば、発電はできなくなる。またもう一歩前進して考えれば、発電した後の水を上水または工業用水で使うことも可能だということも言えるのです。そういう考慮がなくして、ただ一つの事業にだけ作るのだということになりますと、多目的ダムとは言えないのですね。まあ防災と灌漑用水とそれから電気とか、あるいはその二つのほかにあるものは、あるいは上水とか工業用水とかいうことになるわけですね。もしそこで将来、今建設省が考えておるところのたとえば……むろん水の調節すなわち防災のダムであることは、この性格上わかります、高堰堤のものは。それからまあ灌漑用水というものが入っておるならば、これも認められます。そうすると、そのほかに発電をしたあとの水を上水または工業用水として使うというような考え方が現在持たれておるかどうか。また持とうとするならば、どの地点を考えておるのかという点を一つ御答弁願いたいと思うのです。
  38. 小林泰

    説明員(小林泰君) 名取川につきましてただいま申し上げましたが、名取川は仙台市の近くでございまして、その落差の関係から申しまして、ダムから直接取水する必要がある関係もございまして、発電との両立が困難であったわけでございますが、ほかの地点につきましては、一般の相当高い部分にございますので、発電ダムによってダムに直結した発電所を経て下流に用水を放流するという計画のもとにこの計画ができておるわけでございます。従いまして、発電したあとの水を下流の耕地に受けるという計画で、これらの計画にはほとんど大部分灌漑用水計画が盛り込まれてございます。従いまして、この特定用途としては申し上げませんでしたが、その点について広範な灌漑面積に対する用水補給がダム計画として同時に立てられておるわけでございます。
  39. 田中一

    田中一君 私今伺ったのは……それではもう少しその前に質問しておきますが、ダム使用権とは、初めに、第二条に定義してあるように、「一定量流水貯留一定地域において確保する権利」、こうなっている。これはそこに確保すれば、それによっての利益は何もないはずですね、直接に一つの目的のために持っていくことにのみ、ダム使用権というものが設定されるのか。あるいは一ぺん発電という一つの目的のために使用された水というものが、下流において放流されて、必要ないから放流しちゃいますよね。それを工業用水として使用した場合には、一定地域に確保されない水のはずなんです。従ってこういう場合には自由に使っていいのかということです。むろんこれには水利権というものをとらなければ水は使えませんけれども、これでは水利権を持ってない者は、物権としてのダム使用権を持つことができないということになっています、しかし今度は水利権は持っているけれども、一つの目的発電というものの目的を果して、そうして流した水を上水または工業用水として使った場合には、それは権利というよりも、その義務が割合に負わないで済みますね、負担の義務が。この解釈でいいのかということを伺っておるのです。
  40. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいま申し上げましたのは、たまたま発電工業用水というものがない場合でございますが、補助ダムにおきましては、現にやっております兵庫県の揖保川のダムにつきましては、発電に使いました水を下流の工業用水に使っている例もございます。そういう場合におきましては、やはり工業用水に対しましてもダム使用権を与えるということになるわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 そんなものはもらわないでもいいです。もらわないでもその水を使えたらいいですよ。まず一定量流水一定地域貯留して、これがダム使用権、いわゆる物権である。こういう見方と、それから一たび何かの意思によって放流された、放流されるのは、その流れておる区域というものは、河川法による一般流水にとどまるのです。たまった水が必ずダム使用権を伴っている水とは言い切れないものなんです。たとえば下流の地点から流れる場合もありましょうし、あるいは雨の水がそれに加わる場合もあるのです。天から降る水が加わる場合もあるのです。そういう場合にはこのダム一定地域貯留された水という定義はつけにくいと思うのですが、その場合には物権なんかほしくない。それより下流において自然に流れておる水の使用権というものを従来と同じようにもらえれば、何もダムの水に限ったことはないのですから、負担はないということなんです。工業用水にしても、上水にしても、水そのものがほしいので、何も権利が要るのじゃないのです。権利はもともと河川法によって権利を取ってあるのですから、ただダム使用権だけ取ればよいということになりますと、それはどういう工合に分けて考えているのですか。
  42. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ダム使用権という問題は、そのためた水を操作規則に従いまして放流するわけでございますから、下流でたとえば工業用水を取りたいという場合に水があるかどうか。ダムの水を要るときに放流してやらないと、先生のおっしゃるように、流れる水だけは取れますけれども、水がほしいときにダムの水を放流してやらないとそれが取れないわけでございます。ですからそういう点におきまして、ダムの放流は基本計画操作規則によりまして制限されるわけでございますから、使用権のない者につきましては、必要なときに水がこないということになるわけでございます。
  43. 田中一

    田中一君 必要のときに水がこないでも、それでもいいんだ。自分の工場敷地内にためられる、貯留するということになると、それはどういうことになりますか。自分の所有している敷地の中に貯留するという場合。
  44. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) それはまた自分でやる場合に費用がかかるわけでございますので、ダム使用権を設立するために費用を出すかわりにそういうふうな施設をやりまして、自然に流れてくる水を調節しまして、必要なときに利用することはできるわけでございますけれども、それに費用がかかりますので、別途の問題と相なるわけでございます。
  45. 田中一

    田中一君 これは建設大臣直轄河川付属物ですかを新築して、それが今の特定多目的ダムだと、そうしてダム使用権という物権がそこに生まれるのだということになっておりますが、まあ川は自分でせきとめてやる場合にはこれは自由ですね、許可さえもらえば。それも発電という一つの目的を果した――今見ますと、これおおむね発電です。その発電した水をここで飲んじゃうわけじゃないのですから、必ず吐き出すわけなんですから、それを下流において自己資金において、水がほしいからといって、あるいは工業用水ならば自分のところに流し込むということも考えられるわけです。ということは、その方が安全なんです。工業用水で自分だけ持っていればいいんで、操作規則を作って完全にやるでしょうけれども、そういう場合には、それはダムの水と言えないけれども、かまわないのですね。
  46. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 操作規則等においてそういう目的のために放流するとか、あるいはそのために貯流する権利を与えてない場合には、その目的のために操作をしたり、あるいはその目的のためにダムに貯流することはできないわけでございますので、自分の目的が必要に応じて果せない。あるいは果せる場合も多少あるかもしれぬけれども、非常に不安定なものでございまして、期待することができないわけでございますので、それを目途として自分が工場を拡張したりするようなことはおそらくできないわけでございまして、顕著な利益は生ずることは想定されないわけでございます。
  47. 田中一

    田中一君 そうしますと、今発電オンリーの地点というものは、永久に工業用水をとったり、あるいは上水をとったりすることができないのだということになるのではないのですか。それとも下流に副堰堤的なものを作って、そしてこれは発電という一つの目的を果した。第三の目的のために上水道という小さいダムを作る。そうしてあるいは工業用水ダムを作るとかということになれば、第二の目的に向って水の利用はできるわけです。しかしこの際ですと、大倉ダムの場合には十万トンずつの飲料水、工業用水に分けているわけです。われわれが考えますのに、一滴の水が何回にも回転することによってのみ国の富になるのではなかろうかと思うのです。今いうように電気というのは水を飲むのではないのですから、やはり水車を回したあとの水は流すのですから、この水を何回かに使うことによって、一面防災という見地からの役目を果しながら経済的な効果というものが上るのではないかと思うのですよ。秋葉ダムから下った所を見ますと、発電だけの水利用がずっと続いていますが、あれでも最後にきて、そこに今度作る愛知用水の何といいますか、大きなダムでも作れば、また下には灌漑用の水が作れれば、場合によれば別途操作規則を設けて、一定量工業用水というものを三重県に送ることもできるのです。しかし現在考えている八つの地点というものはことごとく電気だけのものなんです。そうしてこの法律発電という一つの目的のために作った堰堤、その堰堤の中の一地域の水だけに対する物件の設定であって、下流において放出してしまったところの一ぺん使ってしまった水、これを生かすという方途が全然生じておらないのですよ。その中で一番大きな問題は、洪水調節という防災の見地から、これはわれわれが常識的に考えておるところのものが残っている。こうして今の八つのものを拝見してみると、一つの目的を果したあとは全部捨てているわけです。いいかえれば、それでは多目的ダムにならないのですね。きのうも二人の参考人と私が質疑応答したのをお聞きになったと思いますけれども、それこそ一滴の水でも日本の場合には高度に利用しなければならないのだという見地から多目的という思想が生まれたと思うのです。だから伺ったのは、この八つの来年度の計画のうち、そういう意味の利用を考えておらないか、考えているならどこを考えるか、三十二年度でかなわないのならば三十三年度、三十四年度、将来全部おそらくこれに集中すると思いますから、この範疇に入れて、建設大臣河川行政というものよりも経済的な効率というものを上げようという努力をなさると思うのです。その場合にただこれだけのことではわれわれは納得できないのですよ、目的が。従って三十二年度から三十三年度、これは基本的な態度というものがあるはずなんです。ただ、今こういう法律を作って美辞麗句を並べて、たった一つの目的ということだけでは困るのです。ことに固定資産税その他の問題も多数含まれております。地元には相当金も落ちるのではないかという議論、きのうもたとえば野間君が言っているように、ただその地域だけに固定資産税が入るのではなかろうかということを言われておりますけれども、そういう点から考えても実際水の利用というものは、ただその一つの目的だけであってはならぬということは常識です。今の日本としてはそういう点についてどういう信念をもって……これは建設大臣が来たら建設大臣にも聞いてみたいが、河川局長は事務的に自分の仕事がやりよいようにすればよいと思うだろうが、水というものはそれだけでは困ると思うのです。
  48. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 今のお話は私どもといたしましても、今日本にありまする資源といたしまして、水が非常に重要なものであるということは考えておるわけでございます。そういたしまして、この多目的ダムを作りまして、今のところは先ほども御説明申し上げましたように洪水調節灌漑、それから大部分のものは電気と上水道工業用水に持っていくのは割合少いということでありますが、その地点で貯水池を作った場合に、現在の現況において最もよい利用の方法、あるいは経済ベースとか、あるいは周囲の開発状況とか、工業の発達状況等から見まして、さしあたり最も必要な事業にその水を供給しようという観点から計画しておるわけでありまして、先ほどのお話の貯水したダム発電所に使いまして、その後さらにその水を調節いたしまして、工業用水に使おうというような問題はもちろん考えなければならなぬ問題でございまして、今といたしましては、とりあえず最も急を要する、あるいはためた水を一番有効に利用し、しかも経済的に一番役立つようにというわけでございまして、決して余った水を捨てるというわけでもございませんし、またこのためた水を直下の発電所で利用する、そして水をためるということはダム使用権でありまして、すぐその水を使って発電するまでの水利権を大体考えておるわけでありますが、決してダム使用権を持っておるものが河口まで水をずっと支配するというわけではございませんので、その発電所に使った水を今度調節いたしましたり、あるいはそれを使える形に直して工業用水なり水道に使う、あるいはまた電気に使うというような問題は逐次考えていかなければならぬ問題でございまして、お説の点は私どもといたしましても、水の有効利用をできるだけ考え、しかもその事態に応じたような使い方にもっていかなければならぬということは常に考えておるところでございまして、別にこの法案にはそういう点が書いてないけれども、あるいは来年度計画しておる地点にそういうものがないから考えないというわけではございませんで、今後におきましても、そういう点を十分考えて処置していきたいというように考えておるわけであります。
  49. 田中一

    田中一君 一つの例として申し上げましょう。木曽水系の二子ダムが今度できます。これは政府がやっておるのじゃない。愛知用水公団が今度それをやろうとしておるのです。これははっきりと何カ所かで発電した水をあすこで締め切りまして、知多半島の農業用水に、開田に資しようと、こういうわけですね。ああいうものこそ、もしもやるならばこの法律案でやるべきものです、特定とか多目的とかいうならば。従ってあれも大体二子ダムからたしか三重県の方に工業用水とか飲用水を送るようになっておると考えますが、また岐阜県にはどんなものを送るか、まだもたもたしておりますけれども、計画はあるのだと思う。しかし三十二年度に考えられておるところをこの実施しようという面からみても、その考慮が払われておらないということですね。それで、そういうことは忘れておるのではございません、将来考えますというようなことではいけません。やはりこうして今までの不備を補って、また仕事のやりいいように法律を作ってやる以上、これはやはりせめて計画だけはですよ、長期計画なら長期計画、五カ年計画なら五カ年計画なりをもって立てなければならないのですよ。これでは、まあ天龍水域にしても、あすこでやるのは、佐久間ダム、次の秋葉ダムぐらいなものです。それは逆調整ダムです。この秋葉ダムというのはまた別の目的を持っていますね、これは……。これこそほんとうの多目的ダムの真意になるかもしれません。ところがそれをあすこでもって全部すっかり放出してしまって、あとは知らないのだということがあってはならないのですよ。そういう場合に、同じ天龍水系のうちの、たとえば秋葉ダムの下流に直轄工事でないダムを県が水の使用権をとってやるということになった場合ですよ、それはむろん物権はこれには与えられないと私は思うのです。なぜならば、もう一つのダムを作っても、発電オンリ一で考えられたら、上水も工業用水も分けてもらうことはできないのです。今の計画をみますと、大体これは美和ダムにしても三万五千八百キロというものは、これはもう水量の限界だと思うのです。私は、そういう点が考慮され、または計画されないところのこの法律案というものに対しては、はなはだきっ怪なものだということの印象を受けるのですが、建設大臣呼んできて下さい、建設大臣に聞きますから……。これは局長にそういうことを言っても困るでしょうから、大臣を呼んできて下さい。
  50. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどちょっと御説明の中にあったのですが、条文の中に、第二条ですね、「流水貯留を利用して流水発電水道又は工業用水道の用」というように、「特定用途」というふうになっておるのですが、この場合でもいわゆる農業用水を特定用途から省いたということについて、もう一度一つ御説明願いたいと思います。
  51. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほど条文の説明のときに多少申し上げましたが、さらに詳しく申し上げますと、建設大臣河川法第八条の第一項によりまして事業を行う場合におきましては、公利を増進いたしまして、公害を除去することを目的としてやるわけでございます。その公利を増進するということは、下流の灌漑用水の問題が主として考えられることでございまして、公害を除去するというのは洪水を調節するというのがおもなるものでございます。従いまして、建設大臣直轄ダムを作る場合には、本来の任務といたしまして、洪水を調節し渇水に補給してやるということが考えられるのでございますので、特に灌漑用水というのを「特定用途」としなくても、建設大臣の本来の責任、任務といたしましてやらなきゃならぬ問題であるというふうに考えまして、特に入れられなかった。重複するきらいもありますので入れられなかったと、こういうことでございます。しかも、それでは灌漑用水の問題が閑却されるおそれはないかという点がございますが、先ほども私申し上げましたように、ダム建設に関する基本計画作成であるとか、ダム操作規則に当りましては、農林大臣初め関係行政機関の長と協議いたしますし、また関係の都道府県知事等の意見を十分尊重いたしまして、貯水量の確保、操作規則制定につきまして十分考慮いたしまして、建設大臣が責任を持ってやろうということに相なっているわけでございます。また公利公害という点の裏づけといたしまして、洪水防御の費用負担につきましては、国と公共団体が全額持っているわけであります、それから灌漑用水につきましても、従来は国と公共団体が全部持っておったのでありますが、他種事業との調整もありますので、ほんのそこの部分だけ特に顕著な利益がある場合に、農業の土地改良区等に一部を持っていただくというふうにしたのでございますが、ほとんど大部分は国と公共団体が持つというふうな点から考えましても、結局公共性が非常に強いものであるという点はおわかりと思います。そういう意味におきまして、特に灌漑用水は、特定用途にしなかったわけでございまして、灌漑用水を蔑視し、軽んじているというようなことではなくて、洪水調節灌漑用水の補給と相並んで公共性の強いものといたしまして扱っていこう、こういう趣旨であります。
  52. 大河原一次

    大河原一次君 そこで今のダム建設に当って、建設大臣は当初において基本計画作成する、あるいはまたそれを変更したり廃止したりする場合に、あらかじめ関係行政機関の長に協議するということと、それから同時にまた関係都道府県知事あるいはまたダム使用権設定予定者等の意見を聞くというように考えておりますが、建設大臣は、この場合関係行政機関の長に協議するということにどちらかといえばウエートが強くかかっているように考えるのでありますが、やはりこの設定予定者意見を、あるいはまた関係都道府県の知事からの意見を聞くということにウエートがあるのか、あるいはまた関係行政機関の長に協議することにウエートがかけられているのか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  53. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点は、どちらにウエートがかかっているというわけでもございませんで、いずれもその意見を十分尊重いたしますし、それらの意見の一致が、協議が整わないと、基本計画作成もできませんし、また費用の負担等の問題におきましても十分円滑に参りません。またダム使用権設定申請によって行われるものでございますから、それに不服がございますと、申請もされないということでございまして、費用の負担も従いまして出ないということでございますので、使用権者の予定者の意見を聞くということも、関係行政機関の長に協議することも、いずれもウエートにおいては両方とも重要な事項と考えているわけでございます。
  54. 大河原一次

    大河原一次君 先ほどの灌漑用水の問題を聞いたのは、ここに僕は中心を置いてお伺いしたわけなんでありますが、特に関係行政機関の長という場合には、やはり農林省も入っていると思いますが、この点は。
  55. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) もちろん農林省は入っております。
  56. 大河原一次

    大河原一次君 その場合、やはり農林大臣あるいはまた農林関係の担当者において、特に農民の方々のいろいろの問題が入ってくると思うのです。たとえばダム設定によっていろいろな代替地の問題であるとか、あるいはまた補償の問題、こうした問題が当然農林省を通じてこの建設大臣基本計画作成に対するいろいろな意見が出てくると思うのです。従ってその中ではいわゆるいろいろな利害問題をめぐって協議が整わないというような、そういう傾向もあると思いますが、そういった意味でここでは協議をするということになっているけれども、実際上そういった利害関係をめぐって各関係省との間に協議が整わないという場合においては、どういうふうにそれを調整するか、その点に関してお伺いしたいと思います。
  57. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 先ほども御説明申し上げましたように、ダムを作りますると、水利権の問題はもちろんのこと、補償問題等におきまして、特に農地のつぶれるというような問題につきまして非常にトラブルも想定されるわけでございます。従いまして、今回の基本計画作成等におきまして、そういう点も十分農林省等と協議をいたしまして協議を整えて、一致しないと将来あとの問題が円滑にいけないと考えるのでありまして、どこまでも協議を整えてやる所存でございます。
  58. 大河原一次

    大河原一次君 そういう意味で、むしろそれなら協議を整えるということになるならば、むしろいわゆる協議約款といいますか、協議約款という形でやった方がむしろ民主的な決定が出されるのではなかろうか、私はそういうように思うので、こうした点ではむしろ同意を得るというふうに考えられないのかどうか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  59. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 御意見もあるわけでございますが、建設大臣基本計画を作る責任者という建前にしておりますので、同意というふうにいたしますると、その主体性がはっきりしないという点も考えられますので、責任の所在をはっきりいたす意味からこういうふうに協議ということにいたしたのでございまして、しかしその精神は協議を整えてやるのだと、こういうことにいたしたのでございます。
  60. 大河原一次

    大河原一次君 そこで私はさらにこの建設費の負担の問題で、第七条の点についてお伺いしたいと思うのですが、いわゆる「ダム使用権設定予定者は、多目的ダム建設に要する費用のうち、」云々ということで、あとにいわゆる費用の負担の点について効用算定という問題が出ておったのですが、いわゆる推定の投資額であるとか、あるいはまた効用算定というものは一体だれがこれを算定し、あるいはまたこれを決定するのであるか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  61. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これにつきましては、従来その費用の負担の方法につきましては、従来電源開発促進法によりまして、建設費の負担の割合を決定する方法政令によって規定されております。それに準じまして今度の多目的ダム費用の負担も決定するつもりでございますが、それらの基礎になる数字は建設大臣が出します。この点こそ基本計画の一番重要な点でございますので、各省に協議をいたしまして、分担の比率なり、額なりを決定していきたいというふうに考えております。
  62. 大河原一次

    大河原一次君 建設負担金還付の問題ですが、第十二条、ダム使用権設定予定者使用権の設定に対して申請が却下された場合というのがあるのですが、この申請が却下される条件というのは、どういう条件の下ならばその申請が却下されるのであるか、その点を一つ。
  63. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 申請の却下の条件といたしましては、ダム使用権設定要件といたしまして、法律の第三章の第十五条にその要件規定いたしておるわけでございまして、それの第二項の各号に書いてございますように、その申請した人が、「多目的ダムによる流水貯留を利用して流水を当該特定用途に供することが、河川総合開発目的に適合すること」、それから第二号といたしましては、「申請人が、流水を当該特定用途に供することについて、及び流水を当該特定用途に供することによって営もうとする事業について必要な行政庁の許可、」たとえば電気事業による許可、あるいはその他の処分が必要であります場合にはそういう許可処分を受けている、あるいは受け得る見込みが十分である、こういう要件を備えることが必要でございまして、この要件を欠きます場合には却下の処分もあり得ると考えられるわけであります。
  64. 大河原一次

    大河原一次君 そこでさらに第一条に戻りまして、この「多目的ダム効用をすみやかに、かつ、十分に発揮させることを目的とする。」こういうことであるのですが、現在行われているいわゆる共同施行方式のダムに比べて、すみやかにかつ十分なる云々という根拠と、その程度ですね。それをお聞かせ願いたい。
  65. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) お答えいたします。現在のダムを作る場合には共同でダムを作るという方式を、特定用途者の金と国の金とを合せまして委託を受けまして施行するという方式をとっております。それでありますからダムの利用の計画であるとか、工事施行等はすべて大臣と事業者が協議して行わなければならない。また工事費の費用の負担やダム利用計画の細部につきまして協議を整えるために非常に時間を要する。それから事業者の持ちまする負担金も委託費という形で入って参りますために、事業者共同事業に参加する時期も非常にばらばらであるというような状態が想定されるのでございまして、資金計画を統一的に樹立することが非常にむずかしいというような点がございます。従いまして、今度の建設に当りましては国が自分の事業として全部行う。それで負担金特定利用者からとるということになりますので、資金計画も年度の当初からはっきりいたしまするし、資金の入ってくるのも計画的に入ってくるという点から、建設事業が促進されるということでございます。  それから管理がうまくいきまして、効用がすみやかにうまくできるということは、従来はきのうもお話がありましたように、でき上ったダムは共有物でありまして、従いましてその管理を一元的にする処置が講ぜられても、やはりいろいろな点におきまして不便があったのでございますが、今回の処置によりまして、でき上ったダムは全部国のものであるということで、国が責任をもってその操作もいたしますし、管理もいたしますということから考えまして、管理がスムースにもいきますし、しかも洪水調節灌漑用水、あるいは特定用途等との使用に関する調整が公平に行われると考えられるのでございまして、そういう点から効用をすみやかに、かつ、十分に発揮させるという目的が生じてくるわけでございます。
  66. 大河原一次

    大河原一次君 この法律適用範囲直轄施行多目的ダムに限定して、いわゆる都道府県知事または農林省の建設する多目的ダム適用しないのはどういうことであるか。
  67. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) なるほど府県等が行なっておりまするダムにおきましても、今のような、先ほど申し上げましたような、すみやかに建設し、しかも維持管理を一貫してやりまして、効果を十分に発揮させる必要は認められるわけでございますが、建設大臣直轄で築造いたしますダムは、その及ぼす範囲が非常に公利公害が大きいということでございまして、今回の処置につきましては、とりあえず影響の大きいというものを考えたわけでございまして、府県の行います事業等につきましても、今後におきまして、何らかの方法で改善の措置を考えていきたいというふうに考えております。また農林省が行いますダムは、土地改良法の規定に基きまして作っておられるものでございまして、建設省が河川法規定に基きまして、公共利益のために築造するダムとは、その性質が異なっておる。従いまして、一律に規制することが困難であると考えられますので、今回はそれらのものは含めなかった、こういうのが理由でございます。
  68. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 大河原君いいですか、もう時間も……。  それでは暫時休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ―――――・―――――    午後二時二十二分開会
  69. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 休憩前に引き続き、これから委員会を再開いたします。  特定多目的ダム法案についての質疑を続行いたします。順次御発言を願います。
  70. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、この法案が成立いたしますと、直ちにこの法案内容として実施される事業は、特別会計法付則第三項にあげておりますところの八つのダムと、宮城県名取川大倉ダムが含まれるという河川局長の答弁であります。なおそのほかに雄物川の皆瀬ダム、鬼怒川の川俣ダム、揖斐川の横山ダム、この三地点が調査する段階に入るそうでありますが、この三十二年度の事業計画内容を見ますと、継続事業はおおむね発電がただ一つの目的である。そのうち一つだけ、大倉ダムだけは発電がなくて上水道、仙台市の経営として一日十万トン、宮城県庁の経営として工業用水が一日十万トンの水源地となるように説明されております。調査する地点の三つのダムもことごとく電源開発を主とした事業であるように伺いましたが、本法案の第一の目的としては防災は無論当然でありまして、洪水調節目的を持っておることはその通りでございますが、そのほかに水道または工業用水道と規定されておるわけです。しかしながら現在もたれているものが、すべて一つの目的のみを持っているものであって、特定多目的ダムと称するにはあまりに乏しい内容を持っているものではなかろうかと思うのです。従って、水源の容積というものは現在おおむね発電量に見合うだけのものを保有するにすぎません。  そこで、大臣に伺うのは、このような形で今後とも特定多目的ダムの新築をしていくつもりなのかどうか。はっきりと国土総合開発の見地からすべてを判断して許可をしていこう、こういう考えになっているにかかわらず、法文になっているにかかわらず、あまりにプアなものではなかろうかと考える次第です。そこで将来政府としてはこの法文に示す定義通りに大幅に総合開発の実をあげるような計画を持とうとするのか、また三十三年度以降において、現在経済企画庁において経済五カ年計画の策定を発表しておりますが、この中にも真の多目的を持つところの計画があるかどうかの問題。まず最初にこの一点を御質問いたします。
  71. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) お答えいたしますが、このたび多目的ダムの対象になります内容につきましては、ただいま御指摘の通りでありますが、この中に工業用水や上水道等のものが案外含まれておらないということについての御不審かと思いますが、しかしこれは今までの国土総合開発特定地域におけるところの大体総合計画に見合いまして、この計画を立てているわけでございます。要するに現在の総合開発の状態から申しまして、これが適当であるという立場において計画を立てた。将来またその事情が変化した場合には、そのときにいろいろ勘案いたしまして、協議して別な必要性の認められたものを計画するということは可能であります。
  72. 田中一

    田中一君 ここにあげられておりますところの特定多目的ダムというものが、その一定地域に築造された堰堤の内部に保有する留水というものをただ一つの目的のみに使用して、あとの放水というものはそのままであるということならば、これは多目的ダムではないのです。せめても考えられるのは、放水する水が流域の灌漑用水として取り上げられる、これはむろん既得権であります。従ってこれは当然でありまして、だからこそこの法文にないと了解しておりますけれども、それだけであるなら、そのほかには洪水調節の点だけであるならば、あえてここに特定多目的ダムという名称を持つところの法案が用意されなくてもよいのです。ただ特別会計でやるということになればいいのです。私は現在多目的ダムという思想がここ四、五年来生まれまして、そういう事業は数々やっております。その上に特定という文字を入れたことが少くともここに定義ではっきりと明文化されているような上水道工業用水道等もあわせてダム使用権設定という物件になったという理由があるのではないかと考えております。ただ便宜的に大蔵省その他とのいろいろな話合いの上に便宜的に経済効果というもの、国力の増大というものを考慮されないで、役人が法をもてあそぶようなものを作るならば、このような定義を必要としないのです。従って従来あるところの多目的ダムとこの法案の示す特定多目的ダムというものの相違点はどこにございますか。
  73. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) ただいまの御質問でございますが、先ほど申し上げます通り、地方の国土総合開発の線に沿って、つまり地方の特殊事情等も勘案したその計画に沿うたものをここに取り上げたのでありまして、従いまして、地方の経済的事情その他のことから産業事情等も勘案して、たとえば宮城県の大倉の名取川のような場合においては、仙台市という大都会を控えて用水道、あるいは工業用水が必要であるから、この多目的ダムの中にそれを計画してほしいということで加えたようなものであり、その他の場所におきましては、地域的にまだ今日も必要が起らないというようなことから計画には載っておらぬということでありましょうから、将来その地域に対する必要性のある産業開発なり、経済的な情勢が発生した場合には、またそういうような要素に基いてこの計画を進めていくということが妥当ではないかと思うので、今まだその必要の起らぬのは不必要と申しますか、特別な費用をかけてそういう施設をするということは、ある意味においてはむだということではございませんけれども、資金の死蔵ということにもなりますから、そういう場合に作るという計画で、とりあえず灌漑あるいは発電というようなことを主として治水の面から考えてこの多目的ダムを作ったのでありまして、このことが工業用水や上水道を加えないから多目的ダム目的には沿えないというようなことは私は言えないのじゃないか、そういうことも将来含んで考えておるのでありまして、現在においてその地域がまだその必要を認められないからこの計画に載らぬというだけでありますから、将来その必要が起きた場合には当然その計画をすることには決して差しつかえないのじゃないか、こう思うのであります。
  74. 田中一

    田中一君 そうしますと、こうは言っておるけれども、数々の目的のうちの一つ一つのダムは作るけれども、総合的な一つの築造されるダムの水を有効適切にあらゆるものに使うという意思はないということですね。私の申し上げるのは、水というものは一ぺん使ったら捨てるというものではないのです。何べんでも繰り返し使ってその効果があるものなんです。そういうような意思はないかどうかを伺っておるのです。
  75. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) そういう貯留した水を何回にも使う意思がないという意味じゃないのでありまして、ただこの地域においてはそれぞれの地域において経済効果、あるいは産業的な開発の面から、現在においては上水道なり工業用水をまだ使用するというような地域でないから、その必要を認めないからこの計画には入っておらぬというだけでありましょう。将来その必要があればもちろんそういうふうにこれを計画変更され、また新しく計画をするということは、その水系において、その水を利用することにおいて作るということはあり得ると、こう申しておるのであります。
  76. 田中一

    田中一君 この水系以外のところもおおむね今言うような灌漑用水の確保とか防災の点から見て、多目的ダムを築造していく計画はあると思うのです。現在あげられたところの九つの地点と調査地区三点、そのほかはどこを考えておりますか。
  77. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) それは政府委員から……。
  78. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 将来の計画を申し上げますと、三十二年度におきまして新規に採択されまして、先ほど御説明申し上げました淀川名取川工事着手を来年いたしたい。そのほかに先ほど御説明申し上げました雄物川、鬼怒川、揖斐川の三カ地点を計画調査いたしまして、できるだけ早く工事に着手したいというふうに考えております、そのほかにただいま総合開発の調査費用をもって調査しておりまして、近い将来に着手できると考えられるものに北上川の四十四田のダム、利根川の上流の薗原のダム、それから四国の吉野川の早明浦のダム、それから淀川の支流でございます木津川の上流の高山ダム、それから北海道の空知川の金山ダムの五カ地点が考えられるのでございますが、そのほかにおきましても、洪水調節の必要から調査をやっておるものもございまして、それらも早急に調査を進めまして、水の利用の観点からそれらの計画を万全なものにいたしまして着手をしたい、計画調査あるいは着手の段階に持っていきたいというふうに考えております。
  79. 田中一

    田中一君 今河川局長が言われた五つの地点はどういう目的を持って計画されておりますか。
  80. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点は開発課長からちょっと御説明申し上げます。
  81. 小林泰

    説明員(小林泰君) 今局長から申し上げました通り四十四田ほか四カ地点につきましては、主として治水目的をもって計画されておりますが、あわせて灌漑用水あるいは工業用水について考慮されておるものもございます。たとえば吉野川のダムにつきましては、徳島県下並びに香川県下における農業用水、工業用水等もあわせて目下調査を進めておる次第でございます。淀川の周山ダムについては、目下その利水については検討中てございます。その他の地点についても、利水についてはまだ十分な結論は得ておりませんので、三十二年度で調査をさらに進める方針でございます。
  82. 田中一

    田中一君 その水はたとえば灌漑用水工業用水となりますと、やはりその用水というものは、その用いる用途の分量というものに制限ができるわけですね。たとえば十万トンなら十万トンの水が必要ならば、むろん二十万トンというものの容積に限定されるわけですね、先ほどの大倉ダムと同じように。ただ私が言いたいのは、一ぺん発電で使った水をそのまま流さないで、むろん灌漑用水の必要な分はその分としてとりながら、なお工業用水あるいはたとえば水の要らぬ時期がある、農作物に灌漑用水が要らない時期があるわけです。その水を次の時期までとっておいて飲料水、工業用水に使っていくという考え方もある。そんなような一つのダムに入った水を二へん、三べんと次の目的に使うような計画はないかと伺っているのです。
  83. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その点について具体的に申し上げますと、来年度工事する地点のうち、たとえば天龍川の美和ダムにおきましては、貯水した水を発電用途のために使いまして、従いまして非常に電力の要る場合にはよけい水を放流するわけでございますが、その下流に逆調整池を作りまして、そこでそのピーク、非常に変動の多い流量を調節いたしまして、灌漑用水に支障のないようにするために逆調整池を作っております。そういう地点が天龍川、荒川、岩木川、和賀川、球磨川、それから実施計画の地点におきましては鬼怒川、揖斐川等が考えられておりまして、そういうふうな一ぺん出した水を下流においてもっと有効に使うような施設をあわせて考えている例がございます。従いまして、ほかの用途につきましてもそういうような施設を作って、必要があれば需要に応じたいということは考えられるわけでございます。
  84. 田中一

    田中一君 大体そういう傾向に向って行ってほしいと思うのです。水が必要ならば、水は必要なんです。ただ必要のときにないから困るんであって、また必要のときに使いたいからこそダムの築造をやるわけなんです。だから大臣の必要なら――そういう考えじゃなくて、もはやどの工業用水にしても水源がなければ工業は興きないのです。従って興そうという意欲があるならば工業は興るのです。その点を十分に考慮されながら、ほんとうの目的に向うようにしてほしいと思います。  昨日二人の参考人の方からいろいろ伺いました。この伺った数々の点につきまして、大臣が聞いてもらえば非常によかったのですが、大臣はよその委員会にでも行っていたのでしょう、おみえにならなかった、まことに残念でございました。河川局長からきのう野間さんと加藤さんの公述に対する感想をまず伺いたいと思います。どこに河川局長が感じ入ったか、その点を率直にお述べ願いたいと思います。
  85. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 私も全部覚えておりませんので、メモがございますので、お話し申し上げますと、野間先生はいろいろとお述べになりましたが、非常にこういう問題につきまして研究しておられる方でありまして、従来の共同で施設しておりましたダムにつきまして、非常に問題点があるということを、私どもも野間先生の書物等におきまして見ておったのでございますが、その点につきましては、ダム使用権というものを設定したことは一つの進歩であるというふうに伺ったのでございます。  それから多目的ダムは非常に関係する部面が多いので、ぜひ一つ関係する方面の十分意見を聞いてもらいたい。しかも水温であるとか、水質等の問題につきましては、非常に不明確な問題も多いので、そういう点につきましては十分権威者の意見を聞くなり、あるいは試験研究等を重ねまして、遺憾のないようにもっていってもらわなければ困るというふうにお伺いいたした次第でございまして、それらの点につきましても、私どもも常に考えなければならぬ問題であるというふうに考えておるわけでございまして、むしろ私どもといたしましては、今後の方針に非常に指針を得たというふうに考えております。  それから基本計画の問題につきまして、基本計画あるいは操作規程等の問題につきまして、十分意見を聞くようにと、関係者の意見を聞くように、要するならば意見が合わないような場合には審議機関を作れというようなことでございますが、私どもも各関係者に協議をいたしまして、それらの機関と、あるいは関係者と協議を整えてやることにおきましては、十分そのつもりでおるわけでございます。審議機関の設置の問題につきましても研究を要する問題でありますが、私どもといたしましては、河川審議会等にそういうふうな専門の方々も入っていただき、あるいは調整研究の資料を整えて、データーがないと何ともなりませんので、資料を整備いたしまして、その科学的根拠に立った上で学識経験者あるいは関係行政機関の協議等も行なっていかなきゃならぬというふうに考えておるわけでありまして、資料の整備等につきましては、さらに一段と努力しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。  それから農業者に対しまして、利益があるならば負担をかけるのは当然であるというふうなことを申されておりましたが、しかし農業はほかのものと違いまして、なかなか経営が成り立つ点におきましてほかの事業とは違うので、この率については問題があるというふうなことでございまして、これらの点につきましても、私どもといたしましても、他種の事業とかあるいは農業の経営上の問題につきましても、負担の方法であるとかいうような問題につきましても、今後におきましても研究しなければならぬ問題であるとは考えておる次第でございます。  その他大臣が責任を持って管理される点につきましても御賛成のようでございましたが、その他の点につきましては、大体まあこの法律に賛成のようなお話しでございましたが、以上野間先生の御意見に対しましては、そんなふうな感じがいたしたわけでございます。  それから加藤先生のおっしゃることでございますが、使用権の問題につきましては、野間先生と同じようなお考えのようでございました。それから例の各省間の協議、同意の問題は田中先生といろいろお話しがありましたが、これは私がどうも具体的に感想を述べるわけには参らぬと思いますので、その点はごかんべんいただきたいと思います。  それから水制度を一般的に見た場合の考え方を言っておるようでございますが、この点につきましては、私どもも水制度というものは最近の広範なる、あるいは複雑なる水行政の問題にかんがみまして、ぜひ河川法の問題も検討していかなきゃならぬと考えておる次第でございますが、これらの点につきましては、いろいろ意見が分れる点もございますので、さらに研究いたしまして、結論を得るように考えなきゃならぬというふうに考えたわけでございます。以上簡単でございますが……。
  86. 田中一

    田中一君 私はこれに対して意見が言えないと言った同意の問題、同意と協議の違いの問題ですけれども、これこそあなたの口から大臣に聞かしたかったのです。と言うのは、不幸にしてきのう大臣見えなかったので、あの権威者であるところの二人の学者からその意見が大臣の耳に直接入らないものですから、山本さんを通じて大臣の耳に入れたいわけです。基本計画設定の場合に、やはり同意がいいのじゃないかというような意見も漏らされておりました。従って問題は運用のいかんというものが今後相当大きな問題点となってくるのじゃないかと思います。でほかの同種の法律などにも大体責任を持っている、権限を持っている建設大臣が、各関係行政機関の長には同意を求めるということは少い、比較的協議ということが多いのだというような意見も言っておりましたけれども、実際にはこれは協議だけして、協議が整わぬ場合には建設大臣は自分の権限を行使して、相手が反対しておっても実力行使をするという考えでいるのか、そこのところは明確に速記録に残しておいていただきたいと思います。
  87. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) ただいまお問いのことは、まことに大事なことでありまして、この点は衆議院の委員会におきましても、また参議院における農林水産委員会においても相当論議のあった点であります。そこでその際にも私どもからはっきり申しておいたのでありますが、これは当時この法案作成いたしますときに、農林省との間でやはりだいぶ混乱いたしまして、そこで農林省との間には、協議とは書くけれども、各法律がみな協議となっているので書くけれども、その内容は協議が整った上で、いわゆる同意とひとしいという意味合いのものであるから、そこで一応両省間にも覚書をしておこうというので、この点についての覚書をいたしまして、農林省も納得している点であります。しからば同意と同じ意味なら同意と書いたらどうだというような、農林水産委員会においてもいろいろ御質問がありましたが、私はそのときにも申したのでありますが、この法律建設省が直轄主管して管理するのでありまして、その場合に各省のいろいろ分野がありまして、どの省が、たとえば土地改良のための多目的ダムは農林省がやる、治水に関することについては建設省がやる、というふうにいろいろ分野があり、その場合に責任の所在を明らかにして、いわゆる主体性をはっきりするということが私はこの政治の運用の上においての妙味じゃないかと思います。そういう場合に何でも各省、ほかの方の同意を得なければならぬということになりますと、その主体性が非常にぼやけまして、責任の所在がはっきりしないというおそれがありますから、そこで責任を持って建設省がやるのだ、そこでその場合に建設省は、責任者はこれに関係する事柄については、しかしながら各省との連絡をとり、十分緊密な連絡の上に協議を整えた上でこれをやるのだ、こういう気持でやることが最もふさわしいことと、こう考えまして、さような御説明はしてあるわけであります。十分ただいまの御質問については、かような趣旨において、決して権限が建設省にあるから協議が整わないから独断専行するのだ、非民主的な方法でいくのだ、こういうようなことは毛頭考えておりませんことを申し上げておきます。
  88. 田中一

    田中一君 では付則第五の河川法の一部改正に、河川法の第十七条ないし二十一条の処分は、処分権ですね。認可をするという権限を建設大臣が持っておった。それを今度改めて関係行政機関の長に協議することになっております。河川法ではこれはむろん建設大臣がそれを持っているにもかかわらず、今度は関係行政機関の長に協議をしろということは、主体性を明らかに守っておりながら、今大臣のお言葉のように民主的な方向を示すために一歩後退したということなんでございましょうか。
  89. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 全くさような趣旨でありまして、先ほど申したような事情から、今までは河川法の建前からいえば、建設省の権限において決定といっては語弊がありますが、最終的には協議をしなくてもできるわけでありましたけれども、この場合において特に河川法の一部改正をしてまでも協議をするということをいたしまして、その誠意の一端を披瀝したような次第であります。
  90. 田中一

    田中一君 同じく建設大臣がむろん関係行政機関の長に協議をして操作規則を作るわけであります。この操作規則がまとまらぬというときには、この間野間海造氏が言っているように、特殊な審判制などの機関を持つ必要があるのじゃないかと、こう申しておりましたが、こういう点については、将来そういう紛争が起きた場合の用意といいますか、またそういう紛争が起きた場合には、やはり建設大臣が独断で裁定をする、さもなければ適当な機関を設けて判断をするか、どちらかの方向に向って進むつもりでおりますか。
  91. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) この操作規程につきましては、ただいまのお問いのような問題がいろいろ将来起ると思われるのでありまして、そういう場合において適当な審議会のようなものを置いて、そうして十分相手方の意見も尊重しながら調整するという必要はあると考えます。ことに損害の賠償であるとか、いろいろな途中で変更をするというような場合においては、最初の基本計画の策定のときにはそれほど問題が起らぬと思いますが、途中でいろいろな理由からこれが変更をするような場合においては、なかなか両者間の協議が整わないというようなことも想定されますので、将来は民主的な運営からいえば、さようなことの機関を設けるというようなことは考えられるのじゃないかと思いますが、十分これは研究して将来に処したいと思います。
  92. 田中一

    田中一君 先ほども質問があったのですが、農業用の灌漑用水を明記しては悪いのだという根拠はどこにありますか。明記しないでもいいのだという根拠は。明記した方がいいように考えるのですが、その点はどうですか。
  93. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 河川法の第八条の一項によってこの第四条の多目的ダム建設大臣直轄ダムとして作るわけでありますので、この河川法第八条の一項には、当然灌漑用水のことが含まれておるわけでありますから、これをさらにそのことを取り上げるということは、法文の体裁から重複すると考えまして、これを除いたわけでございます。内容的には全く灌漑用水は当然含まれておるというふうなことは、私どもたびたび申し上げておることであります。
  94. 田中一

    田中一君 昨日野間海造氏は、どうもそこにはっきりと書いた方がいいのじゃないかという意見もあったのですが、これは山本河川局長はどういうふうに考えましたか。
  95. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 野間先生は初めそういうふうな御意見を持っておられましたが、あとになった場合におきましては、基本計画であるとかあるいは操作規則におきまして、十分そういうふうなことは考えられるのだ、しかも関係方面の意見を聞いておられるのだから、実際問題としても支障ないようだというようなことで御訂正をいただいたというふうに私は考えております。
  96. 田中一

    田中一君 これは、個人的なときの話ですから、どうもここで持ち出すのはどうかと思いますけれども、河川局長は、むろんこれは公利を増進し、公害を除却するというところに障害があるのだ、従って農業というものは非常に採算の合わない仕事であって、少くとも非営利事業だ、だから国が農業に対してあらゆる助成をし、育成をしているのだ、こういうような発言があった、この委員会でも発言があったように思うのです。そこで営利か非営利かという問題につきましては、むろん工業用水にしても、上水にしても、あるいは電気発電にいたしましても、ことごとく国民から料金を吸い上げてその経営をするということになっておりますが、大体において公利に準ずるものであろうと思います。これと同じような考え方のものは、農業にいたしましても、現在日本では食糧の絶対量が足りないから、これが非営利だということにはならないと思うのです。やはりそこからは、むろん乏しいものでございましょうが、利潤というものは生まれてくるんじゃないかと思うのです。それが発電とか、工業用水等で受ける利益よりも比較にならぬほど小さなものだと思うのです。あるいは利益といわれることができないかもわかりません。しかし将来日本の農業というものが非常な繁栄を来たしまして十分に採算がとれる、そうしてアメリカにおける余剰小麦のように、余って困るのだというような場合、余って困るよりも、どこへも売れるのだ、海外にどんどん売れていくんだというような状態になった場合、これはやはりこの水の使用ということは非常に重大な意義を持ってくるんです。従ってそのような時代が近くくるかどうか予想されませんけれども、その場合にはやはりダム使用権というものを確保したいという考えになるんではなかろうかと思うのです。ことに自分が相当の資金を入れて、むろん国からも助成を受けながら開田をしたような場合、やはり物権としての自分の権利を持ちたいという考え方が生まれてくるんじゃないかということも考えられるわけなんです。その際にやはり公利であるという意味において、そうした意味の物権設定ということは考えられませんか。
  97. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) この点は、現在の制度におきましては、農林省で行います事業にいたしましても国が相当程度助成をいたしますし、地方公共団体一般の税金によりまして改良工事なりをやっておるわけでございまして、現在の状況におきましては、農民から先に負担させるとかいうことはもちろんむずかしいし、利益の割り振りの全額を農民の方に持っていただくというようなことは非常にむずかしい問題だと思います。私の方で考えました受益者負担の問題にいたしましても、土地改良区で行いました現在の状況に応じた受益者負担をお願いしているわけでございまして、将来におきまして、今申されたような事態が発生することがもし予想されるならば、今のようなお考えも出てくるかと思いますが、現在の状況におきましては、そういうことは考えられないのではないかというふうに思っております。
  98. 田中一

    田中一君 アロケーションの基準は新しく作るんですか、それとも現在やっているような算定方式できめていくつもりですか。政令内容はどういうものですか。
  99. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 現在、電源開発促進法の規定によりまして政令が出ておりますが、それと同じ趣旨で新しく政令を作ります。精神は同じものでございます。
  100. 田中一

    田中一君 建設期間中の利息というのは大体どういう算定で割り出して参りますか。
  101. 國宗正義

    説明員國宗正義君) 第十条についての建設期間中の利息というふうな意味と考えまするが、それにつきましては、先にも政府委員から申し上げましたように、専用施設を設けてする農業効果を算定いたしまして、それの十分の一、それが負担額になるわけでございますが、その当該十分の一に対応いたします建設期間中の利子でございます。従いましてこの十分の一が三年間にわたって出されるとすれば、当初の年におきましては六カ月、その次においては一年、その次にも一年、その二年目に出されます金につきましても当初の建設の年におきましては七カ月、そしてその次は一年、それから最終の年に出されます分につきましては、やはりその出されました分についての相応する利子でございます。利子歩合につきましては、六分五厘というふうに考えているわけでございます。
  102. 田中一

    田中一君 この第十三条の規定というのは、これはどういうことを想定してこういう条文が入ったんですか。ダム使用権設定前の多目的ダムの利用、これはどういう場合を想定しておるわけですか。
  103. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 多目的ダムが全部完成いたしますれば問題はないわけでありますが、その前に一部水を貯められるというような状況に相なりました場合に、ダム使用権設定予定者がそのダムによりまして貯留された水を自分の特定用途に供することができる道を講じたわけでございまして、完成しない前にも差しつかえない範囲におきましては、水を極力利用さしてやりたいという趣旨からこの規定を設けたわけでございます。
  104. 田中一

    田中一君 この際にはむろん用水の既得権を持っているものはむろんのこと、初めてここに設定予定者というものがこれをつかんでいるということになりますけれども、どういう場合を想定していますか。今の御説明でわかるんですが、どういう場合を想定しているか。
  105. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) たとえばダム工事中でございますが、下流の発電所はもうできてしまった、それでいつでも水がくれば運転できる。あるいは工業用水の場合でも同じでございますが、大洪水も考えられないというような時期に、ゲートを締めまして水を一部ためるわけでございます。そういたしますと、下流にできました発電所が、完全の利用ではございませんけれども、落差は小さくても発電ができるというふうな場合が考えられるわけであります。
  106. 田中一

    田中一君 この操作の規程は何か案を持っていらっしゃるのですか、操作政令は。
  107. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 政令が、案がございますので差し上げます。
  108. 大河原一次

    大河原一次君 三十二年度施行多目的ダム建設に当って、いわゆる使用設定予定者ですか、使用設定予定者をどのようなものを考えておられるか。
  109. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 使用設定予定者と申しますか、もうすでにきまっておる分もございますが、決定しております分は、天龍川の美和ダムにつきましては長野県でございます。
  110. 田中一

    田中一君 この三十四条の、都道府県知事に委任しておるところの水利権処分権能というものは、今度は建設大臣が吸い上げたわけなんです。取り上げたのです。こういう点は地方自治の精神にもとりはせんかというような気がするのですが、その点はどういう工合に考えておるか。ことにこれについては知事会あたりとも相談したのかどうか。これはまた納得ずくでのことなのか。その経緯を一つ御説明願いたいと思います。
  111. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) これは多目的ダム関連いたしまする水利権だけを建設大臣がやろうというわけでございまして、そのダム建設建設大臣がやりますし、ダム使用権設定建設大臣がやることにしておりますので、この水利権処分建設大臣がやった方が軌を一にしてできるわけでございまして、混乱を招くようなおそれがありますものですから、こういう処置をとったわけでございます。関係の府県につきましては、法案を提出する前に説明いたしまして、了解を得ております。
  112. 田中一

    田中一君 電源開発会社、その他地方電力会社とも話し合いは十分済んでおりますか。
  113. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 電気事業連合会、それから県の電気をやっておりまする公営電気事業者連合会等にも意見を求めまして、御賛成をいただいております。
  114. 田中一

    田中一君 最後に伺いたいのですが、補償の問題です。こうして相当はっきりしたダム建設法というものができたわけでございますので、補償の問題に対してこの中に何かはっきりした明文をするような考え方は、この立法作業中に省内並びに各省の間に出なかったかどうかです。何らかの形で、常に事業の遂行には補償問題がネックになるわけです。これを解消するためにも一応の大まかな線を出すことが必要じゃないかと思うのです。その点について……。
  115. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) このダム法案を出す場合におきましても、補償の問題は議論せられたのでございますが、補償の問題につきましては、ほかのダムもございますし、その他道路におきましても、河川におきましても、補償問題が大きな問題でございますので、ただいまの状況におきましては、建設省の内部規程がございまして、一応基準がございますが、それを今度はもっと現在の状況に適するように、もっとだれが見ても簡単に適応できるような方向に考えようということで、先日の省議でもそういうような方針に決定されたわけでございます。
  116. 佐野廣

    佐野廣君 直接これに関係があるようでないのですが、近時ですね。まあ少し前からですけれども、この県営発電というものが盛んに考られる面がありますのですが、これは建設省としてどういうふうにお考えになっておりますか。
  117. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 公営の発電につきましては、例の電源開発調整審議会におきましても、しばしば公営の限界はどういうところにするかというような問題も検討されておるわけでございまして、大体それらの意見も、多目的ダムに伴うもので、県が非常に要望するものは公営でいくべきではないかというようなことでございまして、建設省といたしましても、大体そういうふうな考えで河川局としてはおるわけでございます。
  118. 佐野廣

    佐野廣君 それで、電気事業者とそれから今の公営企業体とが同じ一つの河川に、一方は発電を主とする、あるいは一方は灌漑用水その他の目的を主として考える、こういう相違はありますが、ほぼこれが効果においては同じというふうな場合に、どちらの方にさせたいという意向が建設省の方であるでしょうか。現にそういう例がかなりあるのです。同じ川で県もダムを作って発電を考える、それから電気事業者ダムを作って発電を考えるというふうな場合、その場合にはやはりこの灌漑用水の問題、そういうふうなものは目的が同じような格好になるのですがね。そういうふうなときにはどちらを先にとられますか。
  119. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) その川の状況によっても非常に違うものでございますが、電気の問題におきましても、最近のような大きなダムを作りまして、一連のずっとたくさんの発電所があるというような場合が考えられます。そういう場合にはどうしても一貫運営というものが必要ではないかというふうに考えるのでございまして、そういうところに、途中にほかの形態のものが、あるいは業者のものが入っているということは非常にまずいわけでございまして、そういうような際にはできるだけ一貫の運営ができるように考えなければいかぬというふうに考えております。ただ、まあ灌漑用水にいたしましても、洪水調節にいたしましても、川によっては非常にそれが重要なものがございます。たとえば河川治水計画にいたしましても、洪水を治めるために下流のたんぼをうんとつぶさなければならぬというような状況があります。そういうときには上流でどうしてもダムを作って洪水を調節しなければならぬというような場合がありますので、そういうものはどうしてもやむを得ず大部分公共事業費をもってやるわけでございまして、そういうときに発生するような電気事業についてはまた特に考えなければならぬというように考えております。
  120. 佐野廣

    佐野廣君 発電オンリーの場合に、県営と電気事業者とが同じ考えを持ったらどっちを先にとられますか。
  121. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 発電オンリーの場合につきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようにできるだけ一貫運営の方が、水の利用上からいいましても、あるいは将来の紛争などが生じないような観点からいいましても、一つの形態が望ましいというふうに考えております。
  122. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは質疑を終局することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  なお、皆様に御報告申し上げたいことがあるのでありますが、特定多目的ダム法案に関しまして、三月二十九日付をもちまして、本院農林水産委員長堀末治君から当委員会あてに申し入れがございましたので、それを武井専門員から朗読していただきます。
  124. 武井篤

    ○専門員(武井篤君) 朗読いたします。  以上であります。
  125. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) この申し入れにつきまして、どういうように取り計らいをいたしましょうか。実はけさほど堀委員長から私にお話がありまして、建設委員会におきまして、この申し入れの各項目について政府から再びこの確言を得て、これを速記録にとどめておいてほしい、こういうことの申し入れがあったのですが、いかがいたしましょうか。堀委員長の申し入れ通りに、もう一度私からこの農林水産委員会において建設大臣初め政府当局が御答弁なさったことを確認するということに……、この問題について御意見あれば……。
  126. 田中一

    田中一君 農林水産委員長から建設委員長に対する申し入れですから、政府に向ってこれを伝達する云々の問題じゃなくて、この扱い方はともかく、この賛否の結論を出す前に各委員と一緒に御相談をして、農林水産委員会の意思じゃなくて、建設委員会の意思を決定するときにこれを織り込むことの問題を検討すればいいんであって、一応これは建設委員長が取り上げて委員会に諮っていただきたいと思うのです。委員長は、今質疑を終了したということになっておるんですから、大臣並びに政府委員の退出を求めて、そして委員会は、あるいは速記をとめるなり何なりいたしまして協議をしようということにしたら……。
  127. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 今の田中委員の動議のようにいたして差しつかえございませんか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  128. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは一時政府側に御退席を願い、速記をとめて、この問題及びまた本案に対するところの取扱いについて懇談をいたしたいと思います。    午後三時二十七分懇談会に移る      ―――――・―――――    午後三時五十六分懇談会を終る
  129. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後三時五十七分休憩      ―――――・―――――    午後四時十三分開会
  130. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それではこれより開会いたします。  これより直ちに討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお付帯決議案を御提出なさる方があれば、討論中にお願いをいたします。
  131. 田中一

    田中一君 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に付帯決議案を付しまして、賛成するものでございます。  本法案は新しく水を物権として制定しようというのが、この法律案の主要なる理由でありまして、国土総合開発目的に沿うよう、高度の利用をはかろうという点につきましては、まことに、日本の経済的な面から考えても緊要のものであろうと考えます。しかし、この法律案制定されますると、既得権を持っておりますいわゆる慣行水利権というものが、この法律内容には含まれておるという説明ではありますが、他の発電水道または工業用水道等の事業と比べまして、明確を欠いておる点が見受けられるのでございます。この点については、農業用灌漑用水を指しておるのでありますが、同じようにこのダムの建築によって、一方においてはその建設費の負担をするようなことになっておるにかかわらず、ダム使用権設定は見られないのでありまして、いろいろな点から不満を感ずるものがあるのでございます。そこで全体としては、この法律案の運用によって所期の目的は達せられるものと考えておりますが、その点については審議の過程において政府委員から、しばしばその熱意を表明しておりますので、一応その点は認められるものと思われますが、ここに付帯決議案をお示しして、皆さん方の御同調を得られるならば、委員会決議としてお取り上げ願うことをお願い申し上げます。付帯決議案を読み上げます。  一、多目的ダム建設及び管理に当っては、常に基本的に農業生産及び農業者の利害の存在することは自明であるから、建設大臣は、その基本計画操作規則、水利関係等の決定、策定に際して、農林大臣との協議を緊密に行い、いささかも農業生産及び農業者の利益を侵害することのないよう措置すること。  一、多目的ダム建設費のうち農業用負担部分については、その負担額を極力軽減すると共に、将来、これにダム使用権設定に関し検討すること。  一、多目的ダム建設及び管理に当って生ずる農林漁業者への被害については、国において完全に補償すべきこと。  以上の付帯決議案を付します。  私はここで、もう一度この法律案に対して振り返って見ますと、このように無主物として国に帰属するという慣行で存在してあったところの水、いわゆる河川を流れる流水というものが、初めて一定の土地、地域に確保することによって物権を生じたという点につきましては、水の新しい価値物権として制定せられたことでありまして、たとえば地下水にいたしましても、湖水の水にいたしましても、また一つの水域による河川の部分的な流水にいたしましても、将来続々この種の立法がなされ、人類並びに生物の生存上不可欠の重要なる水、並びに日本の地球に置かれておりますところの位置からいたしまして、常に豊富な水資源というものがもたらされ、この価値というものがあまりに普遍的なためにむだな使用方法を持たれておったという点につきましても、新しい問題が将来に起るのではなかろうかと考えます。しかしながら、画期的な立法として国が熱意を持って国民経済の繁栄のためにここに本法案制定を見たことは、前段に申し上げました付帯決議案並びに運営の円滑を期待いたしまして、賛成の意を表するものであります。
  132. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 私は自由民主党を代表しまして、この特定多目的ダム法案について賛意を表するものでございます。  本法案は、従来多目的ダム建設管理あるいは利用等について、存在しておりましたいろいろな問題を解決をするのに大いに寄与するものと存じます。ただこの法案施行に当りましては、さらにより一そう水利の効率使用という点をお考えいただき、また建設大臣からも言明がございましたように、農林省を初め他の行政庁等々と円滑に協議を整えていかれることを期待をいたしまして、この法案目的がほんとうに達成されんことを希望して、賛意を表する次第でございます。  田中委員から提出されました付帯決議案は、これまたわれわれの希望するところと合致をするものであり、当然のことでございますので、この決議に賛意を表する次第であります。
  133. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は緑風会を代表しまして、本案に賛成いたします。
  134. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ほかに御発言もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。  それでは本案の採決を行います。特定多目的ダム法案を問題に供します。本案に賛成の諸君の挙手をお願いいたします。   〔賛成者挙手〕
  136. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 全会一致でございます。  よって、本案は全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられた田中君提出の付帯決議案を議題といたします。田中君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手をお願いします。   〔賛成者挙手〕
  137. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 全会一致と認めます。  よって田中君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本議会における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) 御異議ないと認めます。それではさよう決定いたしました。  それから多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     石井  桂  田中  一     稲浦 鹿藏  小山邦太郎     斎藤  昇  後藤 義隆     佐野  廣  上原 正吉     古池 信三  中野 文門     武藤 常介  内村 清次     大河原一次  北 勝太郎
  139. 南條徳男

    ○国務大臣(南條徳男君) 長い間、まことに懇切丁寧なる御審議をいただきまして、本法案が満場一致可決いたされたことを心からお礼を申し上げます。  この付帯決議にもあります通り、当委員会審議の過程におきましても、しばしば問題になった重要な点でありますから、政府におきましても、十分この意を体しまして、その措置につきましては、万遺漏なきを期したいと存ずる次第であります。まことにありがとうございました。
  140. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後四時二十八分散会      ―――――・―――――