運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-07-23 第26回国会 参議院 建設委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月二十三日(火曜日)    午前十時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森田 義衞君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            斎藤  昇君            増原 恵吉君            坂本  昭君            北 勝太郎君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    自治庁税務部長 奧野 誠亮君    建設大臣官房日    本住宅公団首席    監理官     村田 義男君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   参考人    日本住宅公団理    事       澁江 操一君    日本住宅公団理    事       吉田安三郎君    日本住宅公団入    居者家賃値上反    対全国協議会会    長       蓮田 勉二君            前田善四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設諸計画に関する  調査の件  (公団住宅家賃問題に関する件)   —————————————
  2. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ただいまより委員会を開会いたします。  先ほどの委員長及び理事打合会の結果を御報告申し上げます。  それは第一に、本日の委員会議事の順序を協議いたしました。  第二は、次回の委員会を九月九日及び十日の両日開会いたすことに決定いたしました。以上でございます。   —————————————
  3. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 公団住宅家賃問題に関する件を議題に供します。  本日、参考人として、日本住宅公団から、理事澁江操一君、同じく理事吉田安三郎君、居住者側から、日本住宅公団入居者家賃値反対全国協議会会長蓮田勉二君及び前田善四郎君の方々出席されております。また建設省から、住宅局長植田君が御出席になっております。  それでは、まず居住者の側から御意見を承わることにいたしますが、この発言時間は、お一人十分にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 田中一

    田中一君 私は、まず最初蓮田参考人から伺い、次に前田参考人から伺いたいと思います。  そこでこの要点は、大体において、個人として今回の固定資産税相当額というものが、家賃に加算されるという問題に対して、蓮田君の方は、それは家賃が高額に失するから不当であるというような御意見のように伺っております。また前田君の方は、契約書に基く当然な措置であって、自分は完納したというような方であろうかと存じております。従ってそのうち、最初個人としての立場で、現在までの心境、それから家賃が高額に失するという理由等をお述べ願いまして、次に蓮田参考人は、全国協議会を持ってこの値上げ反対しているという行動の範囲並びにその全国協議会内容等をお漏らし願いたい。同時に、最後に住宅公団と今日まで反対闘争をしながらの経緯、それから住宅公団との話し合いの今日までの実態というものを御報告願いたいと思うんです。
  6. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは、まず蓮田勉二君からお願いいたします。
  7. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) 私の場合は、三鷹市の牟礼の団地でありまして、昨年の九月の一日に入居いたしております。入居資格と申しますのは、税込みの二万五千円の収入ということになっておりまして、六号と四骨半とキッチンールームの三間、これで約十三坪でございますが、現在の家賃は三つに区分されております。いわゆる狭い意味家賃と申しますか、これが四千七百円でございます。そのほかに共益費が百八十円、それと六月から新たにかかって参りました公租公課相当額と称するものが三百八十円・合計いたしますと、五千二百六十円という数字になります。私はこの合計したものをいわゆる家賃考えておりますので、従いまして、今回の公租公課相当額は、家賃値上げであるというふうに考えるよりほかに考え方はないと思っております。実際問題といたしまして、五千二百六十円を払うことになりますと、それに付随しました、いわゆる家賃に、家に付随しました電気代とか、ガス代とか、こういったものが最低に見積りましても、現状では千五百円はどうしてもかかる。合せて六千七百六十円という数字になりますが、この六千七百六十円もの額が家についての絶対的な必要額ということになりますので、これは二万五千円の収入に当てはめますと、約二八%に当ります。かてて加えまして、私の団地——ほかもそうであると思いますが、非常に不便な所にございますので、従来住んでおった所に比べまして、交通費が非常にかかる、また道路が非常に悪いために、まあこまかく申しますと、靴や洋服もすり切れるというようなことで、現に私の団地の婦人などは、ハイヒールが一週間しか持たぬとこぼしております。こうしたことは、間接にはやはり生活費圧迫ということになりますので、あるいは三鷹市の場合は公衆電話がないとか、あるいはたまに近所にあっても、一通話について二十五円も取られるというような実情でありまして、主として東京都内との連絡に当ります際には、都内なら十円で済む電話代が、そうして二十五円もかかる、しかも電話が非常に不便なために、しばしば電報を利用するということのために、やはり通信費がそれだけふえるというようなこともありまして、普通ならばいわゆる通信連絡のために月に三百円もあれば足りるというものが、千円以上もかかるという実情でございまして、ましてや、不便なために当然に物が商いという場合もしばしばありますので、こうして鉄道運賃が上るとか、あるいは近々にバスも上るというふうにも聞いておりますが、こうした要素が直接間接生計費圧迫することになっております。  こういうことになりますと、現在の家賃ですらも、支払いをするのになかなか工夫をしなければ払えないという実情なんであります。現に夫婦の収入を合せまして二万五千円という条件で入った者が、子供が生れて奥さんが勤めをやめた、その結果、家賃が払えなくなったという例も幾つか聞いております。また生活様式が変ると申しますか、従来入っておった様式と変りますので、たとえばキッチン・ルームには、公団ではテーブルを備えつけてくれております。ただし、いすはございません。そうしたためにいすも買わなきゃならぬというようなことがあり、あるいは修理のごときは、幾ら頼んでもなかなかやってくれない。どうしてもやらなきゃならぬ簡易なものは、やはり自分の金でも使ってやらなきゃならぬというふうな実情にありますので、いわゆる予定しなかった思わぬ出費もかさんでくるというようなことで、また集団生活をしておりますと、どうしても近所隣りの手前、あるいは実際の自治会の会費だとか、また共同階段等電燈代とか、あるいはときには赤十字の募金がくるとかというようなことも、断わりかねるような実情にありますので、こうした集団生活に欠くことのできない出費も合せますと、現在の収入で現在の家賃というものを払っていくのには、決して公団考えておられるように、いわゆる高額の所得者であるから楽なはずだというような考え方ではないのであります。これは私一人の考えでなくて、現に私の団地家賃滞納率というふうなものも、普通の月で四百五世帯でありますけれども、約五%に上っておるというような実情であります。で、聞くところによりますと、最もひどいところは関西の方だと聞いておりますが、二〇%も滞納があるというようなことも聞いております。私たちは一たん入りました以上は、果すべき義務は必ず果すという考えのもとにやっておりますので、家賃支払いということについては、いかに苦心がありましょうとも、何とかしてこの義務は果さなきゃならぬと考えております。  そこで、この上三百八十円ものいわゆる固定資産税分の値上りを負担するということになりますと、払う自信がない。いわゆる払う自信がない。しかももし不払いがありますと、結果といたしまして、契約に基いて立ちのきを要求されなきゃならぬというふうな現状でありますので、半年前からこの公団はもとより、国会方面にもあるいは陳情し、あるいは請願もして、何とかこれ以上入居者負担にならぬようにとお願いしておったのでございますが、どうかわれわれ入居者実情をよく御調査いただきまして、これ以上庶民生活圧迫にならぬように、処置を講じていただきたいということをお願いする次第でございます。
  8. 田中一

    田中一君 この公団住宅入居者全国協議会、この団体はどういう形の動きをして——参考人がお述べになったような問題を全国に働きかけてやっていらっしゃると思いますけれども、どういう構想になって、どういう範囲まで御運動になるのです。
  9. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) 全国協議会と申しますのは、全国にあります公団住宅のうちで三十五の団地がこれに加わっております。九州で二団地、名古屋で一団地、その他近畿関東を合せまして三十二団地と、こういうことになっております。全戸数が、世帯数が約一万二千戸でございます。全公団住宅二万五千何がしのうちの一万二千戸がこの協議会というものに参加いたしております。これはことしの三月の二十七日に発足をいたしまして、九州地区中部地区近畿地区関東地区と、この四つの各下部組織からなっております。その四つ組織は、それぞれの地区団地を包含しておりまして、われわれはこの全国協議会というものを一つのまとまった協議会といたしまして、公団その他に対して家賃値反対という運動をやって参りました。去る第二十七国会におきましても、地方行政委員会を始めといたしまして、国会請願をいたしまして、四回にわたりまして、大蔵委員会建設委員会でお取り上げ下すったことは御承知の通りであります。最終的には、この運動の目標といたしましては、何とかして近い機会に法の改正による裏づけを求めまして、きっちりしたものでわれわれの目的を達したい、こう考えておるのでございますが、運動の本旨といたしましては、家賃値上げ反対というのでありますけれども、これをもう一つ裏を返して申しますと、家賃値下げ運動ということになるかもしれません。なぜかと申しますと、固定資産税相当額は形の変った家賃として、契約によってどうしても払わなければならぬというものでありますれば、その負担にたえないから、それだけの家賃分を下げていただいて、これ以上の負担がかからぬようにしてもらいたいという運動であります。決して家賃そのものを払わないとか、あるいは契約を曲げるとかいう考え方の上に立っているものでないのであります。ただ、現在家賃不払いとか、供託とかいう事実が起っておりますが、これは公団との家賃領収に際しまして、領収書様式等意見の食い違いがありましたので、家賃は払いたくても受け取ってもらえないという結果になりまして、やむを得ず供託あるいは不払いという形をとらざるを得ないような実情であります。私たちはこうした運動をやるために、ごくささやかな力ではありますけれども、あるいは五円とか十円とか、一戸あたりに資金カンパをいたしまして、いわゆる入居者の総意ということによって動いているつもりでございます。公団からはこれを一部の運動だというふうに非難されておりますが、私としては、まことにその点は残念に思っております。もっと公団といたしましても親心を持っていただいて、入居者立場に立って善処していただきたい。そうして一日も早くこういった問題を片づけて、公団はいわゆる明るい住みよい団地作りのために、入居者公団も一体になって、一致協力してその実現に努力をいたしたい、かように考えております、  現在全国地区加入団地の六月分の概略をちょっと申し上げますと、この反対運動に参加しております先ほど申しました一万二千戸のうちの約一〇%が公団関係の職員とかあるいは管理人、あるいは公団縁故関係入居者、その他警察関係の方ということになっております。従いまして、残りの九〇%につきまして調査をいたしましたところによりますと、大月分家賃は、供託または不払いをしておるという者が六六・四%に達しております。二〇%のものが家賃だけを払っている。六十数%の者は、家賃固定資産税共益費も皆供託または不払いをしておるというような状況であります。従いまして、残りのわずかに四%の者がいわゆる完納と申しますか、家賃固定資産税共益費も全部払っておる、こういうふうなことになっておると考えられます。
  10. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それから蓮田参考人に、先ほど田中委員から質問の、公団との折衝経過という点がありましたが、なおつけ加えたい点がございましたらお答え願いたいと思います。
  11. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) それでは御質問公団との経過をごく簡単に申し上げます。公団との交渉を各自治会とか、あるいは近畿地区中部地区というふうに、地区協議会で各支所と交渉しております交渉とは別に、全国地区協議会といたしましては、三月二十七日発足いたしましてから七月の九日までに前後三回にわたりまして、いわゆる公団との公式会見と申しますか、交渉をしております。三月の二十七日、六月十一日、七月九日、こういうふうに三回にわたって会見をしております。その間に総裁にもあるいは副総裁にも、あるいは理事方々にもお会いいたしまして、いろいろ折衝をして参りましたが、その結論をかいつまんで申し上げますと、これらの会見ではっきりしたことは、第一番目に、目下の起っている事態は政治問題でも社会問題でもない。従ってその面からの解決とか、あるいは責任というようなことについては何も考えていない。あくまで現在の賃貸契約の六条に従って支払ってもらう方針だ。こういうことなんであります。  二番目といたしましては、固定資産税は地方自治体からの委任書に基く額そのものではないけれども、十分な根拠に基く見込額であるということであります。従いまして、将来過不足が、令書がきて過不足があった場合には精算する建前になっている、しかしながら不足分はとらない、余分があればお返しする、こういう性質のものだ、こういうことがはっきりしたのであります。  第三番目には、六月からわれわれが払うということになっているんですが、しからば四月、五月はどうなったかということにつきましては、四月、五月分は公団責任において別途にまかなうから入居者から取らぬということなんでありまして、これもこの会見によってはっきりいたしました。  次に四番目といたしましては、現在の契約書の改廃ということを申し入れておったんでありますが、これについては、従来改廃する意思がないと断わり続けられておったのでありますけれども、去る九日の会見におきまして、具体的に申し入れがあれば、ととのうととなわぬは別問題といたしまして、協議に応ずるという言明を得たことであります。以上概略申し上げます。
  12. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 次に前田善四郎君にお願いいたします。
  13. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 私に対する質問は、先ほど田中先生がおっしゃられました反対、いわゆる家賃不払いがあるのに、公団側に完納した者としての意見を述べろ、私は契約のときに、家賃公租公課ということで問いただしました。係員がこれは固定資産税である、これが七、八百円かかるのだ、普通一般の民間の家主であれば、当てずっぽうに千円でも二千円でもかけてこれはきめることだけれども、公団という政府の機関であるところはそういうこともできない、大体七、八百円払うことを承知してもらいたいということであったんであります。それから私それを承知しまして、契約したということから、固定資産税がかかってきても、私はお払いしなければならないという責任を感じております。理由はただそれだけであります。
  14. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ありがとうございました。  それでは両参考人の御陳述に対しまして、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  15. 田中一

    田中一君 私はその前に、今蓮田参考人が申しました公団との交渉経過においての結論的なもの、いわゆる一、二、三、四点の問題について公団がこれを承認するか、あるいはこれに間違いがあるかどうかという問題ですね。この点を最初に明らかにしていただきたいと思うのです。
  16. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 全国協議会の方から、ただいま公団との交渉経過について、四点例にしてお述べになりました。四点の問題は確かに論議の対象になった事柄であります。  第一点のこの問題は賃貸契約による問題であるから云々という事柄は、その通りでございます。  第二点の固定資産税相当額というものについては、相当しぼりにしぼってきた見込み額云々という御発言がありましたが、これはやはり契約にありまする公租公課相当額ということでありまして、相当額を出すのには自治庁の通牒なり、あるいはその他の根拠のある算定方式によって十分固定資産税そのものに近い適切なものにする、そういう意味合いで申し上げたのでありまして、言葉のあやと申しますか、そういう点がはっきりいたしませんが、われわれの申し上げたのは、やはり現在各団地ごと公租公課相当額として御通知申し上げておる額が令書きた額と合っていないということがありますので、やはり相当額、十分そういうかけられる見込みが確実だという意味から相当額、こういうように申し上げたのであります。  それから四月、五月につきましては、できるだけ公団側の方で処理する考えでございます。処理方法については目下検討をいたしております。  それから四番目に契約更改云々の問題がございましたが、当初から契約更改を全然せないというようには申し上げていなかったのでありまして、当初御発言のありました中の一つを記憶をたどってみますと、六条に公租公課相当額は別にいただくという項がございますが、条文がございますが、これを消せというようなお話がありましたが、そういう事柄はお断りをするということははっきり申し上げたのであります。その他契約更改についてはいろいろ申し出をされるような三条の条項等もございまするので、そういう意味合いから、個々の契約しておる方々からそういうようなお申し出があれば、具体的にその場合においてお話し合いを進めていこう、かように申し上げたわけであります。大体そういうようなことでございます。四点の問題はございました。ニュアンスの問題は多少短い言葉の間でございますから、違いがあるかと存じますが、つけ加えて申し上げます。
  17. 田中一

    田中一君 そういたしますと、蓮田参考人公団との交渉経過の結論的な今の段階の話し合いは、参考人が述べた四つの点は大体において、ニュアンスの問題はありますが、大体において公団としては了承しておるということでございますので、蓮田参考人にまず伺いますが、聞くところによりますと、衆議院においてもこの問題は建設委員会で取り上げて、最上委員から日本住宅公団賃貸借契約雷というもののこの書類に対して何か疑義があったように伺っておりますが、そういう質疑応答があったように議事録で拝見しておりますけれども、この契約書というものは事実においてもう不当なものではないというようにお考えになっておりますか。現存の心境として……。
  18. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) 私個人といたしましても、また全国協議会といたしましても、不当な契約であるというふうには考えておりません。ただ疑義がある。契約締結の過程において疑義がある。あるいは字句の解釈上明確を欠く点があるからという観点に立って、裁定方協議会へ申し入れておるわけであります。
  19. 田中一

    田中一君 その、今この契約書内容についてはっきりせぬものがあるという点はどこですか。それを一つお示し願いたいと思うのです。
  20. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) 賃貸借契約書の八条でございますが、共益費というところに、第一項に、「賃貸住宅室外電気及び水道使用料」こうございます。これは団地によりましては、共益費室外電気をまかなっておるというところもありますが、団地によりましては、各個人室外電気負担しているというふうな例もございますので、この点が明確を欠くと申し上げたわけです。  なお第五項に、「花壇、砂場及ビ芝生等ノ手入ニ必要ナ費用」と、こうありますが、手入れに必要な費用ばかりでなくて、いわゆる造成と申しますか、芝生なら芝生を作るのに必要な費用共益費でまかなっておるという例もあります。こういうところに字句上の不明確な点があるから改正してはっきりしようじゃないかという意向を持っております。  それから十条でありますが、家賃支払い日がブランクのところは二十五日なんでありまして、毎月二十五日までに家賃を支払え、こういうことになっておりますが、もし払えなかった場合の延滞利息について全国区々まちまちでありまして、統一的に行われていないという点がありますので、これもそういう点を明確にしてほしいという要望を持っております。  それから裏へいきまして、第十八条であります。これの第六項に、「共同生活秩序乱ス行為ガアッタトキ。」こういう項目がありますが、この場合は、あるいは催告によらないで契約を解除して立ちのきを要求するのだというふうにわれわれは解釈できるのでありますが、どうもそういうことでは困るので、だれが共同生活において秩序を乱す行為があったと認定をするのか、契約の形としてはあるいはこういう形が正しいのかとも思いますが、それらの点ももっと居住者が納得するような字句に改正してもらいたいと、こう考えております。
  21. 田中一

    田中一君 同じ契約書の問題で、前田参考人から伺いたいと思います。
  22. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 契約書の問題は、一応読みましたけれども、覚えておりません。覚えておりませんが、家主公団であるということで、実は信頼申し上げておるわけであります。追い出しをかけられたり——自分家賃を納入さえしておれば追い出しをされないという安心感から、一読しただけで暗記しておりません。疑義も持っておりません。ただ一方的であることだけは考えられますけれども、一方的な契約であっても、これは国民財産公団が預かっておる、政府財産を預っておるというお立場からはやむを得ないのじゃないかということなんで、私の方に迷惑がかからなければ、かえってこれは私たちの守っていくべき契約であると、政府公団を信頼しております。  それから一言つけ加えたいことは、私が入りましたのは一四・五%の率の抽せんで当ったのです。非常に光ケ丘は砂ぼこりもひどい、道も悪いということで不便やらそういう不平はちょっぴりありましたけれども、中の設備が非常によろしいということと、都合で騒がしい生活をしておったために非常に感激したわけです。よくこういうものを政府が作ってくれましたという感謝があります。それと、一般国民税金でこういうものが建てられた、おれ一人が納めた税金でこれが建ったのじゃないのだ、一般国民税金で建てられたもので、僕らは幸運にも抽せんで入れた、実際私の友人などは東京で六畳一間で五千五百円だと、それもガス水道共同であるという生活をしておるときに、つらつらと私は抽せんに当って入れたことを幸福に感じております。ところがまあ私たち気持は、入ってしまえば一円でも十円でも安くなってもらいたいというのはこれは人情なんです。ただ契約のときのことなどを想像しまして、私はこれを家賃不払いしていいものかどうか、私も十代、二十代でしたら、何も安くなればいいのだ、みんなにくっついて行けばという気持もありますが、当年四十才にもなりまして、そうそう家賃を納めない方の主張に簡単に耳を通して、そのまま付和したりあるいは宙同したりする気持は起き得なかったのであります。それよりも、今回はまあ七、八百円高くなるというところが三百六十円で済んだのですから、私ありがたいと思っておるのですが、この家賃を何とかみんな納めて、それから公団はそのかわり人間が入ったらもう知らぬということでなくて、たとえば柏市の管轄の道路ですね。これなども公団自分の管轄じゃないのだ、柏市なのだとそれを放っておかないで、あるいはわれわれの入居者の団体を作らせないで、公団が親切に柏市当局と折衝して道路を改善してもらって、そうしてあるいは駅なり駅庁舎の整備とか、そういうことを公団が進んでやってもらいたい、これではじめていい家主であり、私たち義務を遂行して、私たちも主張できるのじゃないかと思います。そのときに公団が顧みなかったときは、私たち義務を遂行しているのに、公団は人間は入れてやったと、もうあとは知らぬということだった場合に、はじめてそれで家賃不払いして、こんなことじゃ円タクでいつも帰るのだと、家賃を下げろという新しい運動もけっこうだと思いますが、現在の段階では私は払うべきであるという考え方を持っております。ただ一般の国民の方に今後こういう住宅が建てられなくなることをおそれます。非常に東京でもって困っておる人が幾らもおります。おりますが、どうかこの辺のところで、ここで委員長さん初め偉い方がいらっしゃることですから、この不払いの方の同盟の方と公団との仲直りを何とかしてやってほしいと思います。それで公団は静かにしてほしいということです。われわれがまあアジビラを公団からも、それから自治会というところからもアジビラみたいなのをもらいたくない、月に三百円ということは一日十円でございます。これでもって近所隣りはお宅は公団家賃を持っていった、お宅は自治会ですか、そういう会話の中においてもほんとうにうるさい。それよりも何か花の友の会とか、懇親会という名前なら——いわゆる家庭生活にあってまで私たちは不平を言っていただきたくございませんです。まあそれだけです。
  23. 田中一

    田中一君 ちょっと前田参考人に、はなはだ失礼ですが伺いたいのは、あなたの税込み収入は幾らになりましょうか。もしもいやならいやでけっこうですけれども、非常に参考になるので伺いたいと思います。
  24. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 私ここでは差し控えます。
  25. 田中一

    田中一君 これは大へん失礼な質問なんですが、御家族は何人ですか。
  26. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 三人です。
  27. 田中一

    田中一君 前田参考人は四千七百円の家賃と三百六十円の固定資産税相当額、それから共益費百五十円程度のものならば十分に払えるんだ、自分収入から見た場合には十分だ、非常に部屋数も二間で板の間つきである、これで非常に愉快な生活ができるんだという前提に立っておられるのですか。それともあるいは今までが非常に悪い環境の間数の少いところでもって、子供の教育その他でもって非常に困っておった、しかし今度はよくなったという比較から今いいんだというお考えなのですか。  もう一つ、あなたの御職業がわからぬものですから何とも質問できないのですが、あなたはどこか勤務されて、サラリーマンでいらっしゃるんですか、それとも何かお仕事を自営していらっしゃるんですか。
  28. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 二問にお答えしますが、それは非常に豊かであるということではございませんです。一番困った住の問題の解決で、たとえば米を麦にしても、あるいは節約してでもこれを納めなければならないという考え方ですね。それから私はサラリーマンです。それだけです。
  29. 田中一

    田中一君 これもはなはだぶしつけな質問で、あなたがもしいやなら御答弁にならないでけっこうです。今までに衆京都住宅協会の募集とか、あるいは公営住宅、都営住宅ですね、公営住宅の募集に対する申し込みをなすったことがありますか。なすったことがあればどこに何回ぐらい申し込みをなすってはずれておりますか。
  30. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 一度もありません。初めてです。
  31. 田中一

    田中一君 これも大へんぶしつけですが、御答弁できなければかまいません。今まで、この光ケ丘公団住宅に入る前にはどういう所に住んでおって、どういう環境におられて、その場合にはどういう間数で、家賃はどのくらいお払いになっておりますか。
  32. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 六畳一間で六千五百円でございます。
  33. 田中一

    田中一君 環境は。
  34. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) 環境は麹町、それから移りまして埼玉県の朝霞という所でございます。そこで六畳、三畳のバラックでもって五千円取られております。
  35. 田中一

    田中一君 今までがまことに不幸であって、今度は一ぺんで当選したから非常に、いわゆる国家に準ずる機関の施設に対していち早く幸福を享受したというような気持からそういうことが述べられたんであろうと思います。私はそう思います。そこで、これが固定資産税相当分というものが全然負担しないでいいというならば、先ほど御発言もあったように希望するところでございますね。同時にまた家賃がもう少し下ったならば、これもあなたにすれば幸いであろうというようなお考えでございましょうね。
  36. 前田善四郎

    参考人前田善四郎君) もちろんそうです。下ったら下ったでいい。ところが現在のような抗争ということを——私は金額から推して、約束からして、まあ当り前だと思っていますが、これは現在納めない方がどうか家主とかえって一緒になって、それで政府——偉い皆さん方に陳情して、固定資産税というものは住宅公団には課さないというふうに持っていってもらった方がいいと思いますが、それで失職したとか、あるいは働き手がかたわになったというときに、昔の大家さんの温情ですね、店子をいつくしむその気持を、いわゆる大家さんの合理化ですね、これをもってそのときには半年家賃がすぐ納まらぬでもすぐ追い出すというようなことがないように、いい大家さんになってもらいたいと思うのですがね。
  37. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) 先ほどの前田参考人発言の中に、光ケ丘の場合は……。
  38. 田中一

    田中一君 議事進行。参考人同士の言葉のやりとりは当委員会では困ると思いますから、委員長それとめて下さい。参考人同士の意見の食い違いのやりとりはここでは困ると思いますから。
  39. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) それでは、私の場合を申し上げますと、入居に際しまして、八百円ということではないのでありまして、私の場合には、九月三日に東京支所長名でこういうプリントをいただきまして、千代田公会堂で説明会がありました。そのときのプリントを私持って来ておりますが、これによりますと、公租公課相当額百五十円を家賃と同時に支払っていただきますと、こういうことが書いてある。これは私の場合でありますが、説明会の場合、この百五十円はひょっとしたら二百円くらいになるかもしらぬという説明があった程度で、決して三百六十円である、あるいは八百円であるというふうなことではないと思います。
  40. 田中一

    田中一君 蓮田前田両君の貴重な御意見を伺ったので、大体公団居住者方々の実態というもの、同時に考え方が非常にはっきりわかりましたので、これから公団並びに政府に対しての質疑をするにも非常に参考になりました。  ところで、蓮田参考人が申し述べておるような賃貸借契約書の問題につきましては、後に私の方から質疑をいたしますけれども、まず公団に伺いたいのは、ここに資料が出ておりますが、これは公団から出た資料でございますか何か存じませんが、現在一万五千八百三十六戸、このうち三十二年一月一日現在の入居された部分の賃貸借人の居住者、それも分譲じゃなくて居住です、これは何戸ございますか。
  41. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) ただいまの収納の対象になっております一万五千八百三十六戸に対しまして、十二月三十一日現在の管理戸数別の表で掲げてございますように、一万五千四百五十八戸ということに相なっております。こういう管理状況調べという別の一枚のガリ刷りを差し上げてありますが、それに十二月三十一日現在の管理戸数というのが、今御質問になりました一月一日現在までに……。
  42. 田中一

    田中一君 これは賃貸、分譲合計でございますね。
  43. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 管理状況の調べの方は、賃貸、分譲両方とも含めてでございます。それから片っ方の方の家賃収納状況の対象になっておる戸数は、これは賃貸戸数だけを掲げてあります。
  44. 田中一

    田中一君 それじゃ澁江君、この資料について説明して下さい。
  45. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 表を三つ差し上げてありますのでございますが、こういうプリント版の資料でございます。これは家賃等の収納状況を七月二十一日現在で押えた数字でございます。全部の家賃等の収納の対象になっておる戸数でございますから、もちろんただいま申し上げましたように賃貸戸数、賃貸住宅ということになっておりますですが、それの総計が一万五千八百三十六戸、合計といたしまして全部の対象戸数が一万五千八百三十六戸でございます。で、そのうちの受領戸数の内訳が二段に分れておりまして、前者の方が全部の受領、全部の受領と申しますのは、ただいまここでお話が出ております公租公課相当額を含めて、この狭義の家賃共益費と、それからただいま問題になっております公租公課相当額というものを全部含めまして、入居者から納めていただいた戸数が合計いたしまして五千四百七十二戸ということになります。それから次の一部受領でございますが、これは公租公課相当額を除きました、言いかえますと、従来の狭義の家賃とそれにプラス共益費と、この契約上のつまり家賃共益費公租公課という金額から申しますと、一部に相当します金額をいただいておる分、これを私の方で一部受領というふうに取り扱っておりますが、その戸数が合計いたしまして二千四百九十六戸、こういうことになって、合せまして七千九百六十八戸でございます。で、全体の一万五千八百三十六戸に対しまして、今の公団に全部ないし一部を納めていただいた戸数の比率が五〇・三%に当る、こういう表でございます。で、このほかに公団との金銭の受領関係、いわゆる契約上の契約金額の受領関係の全然ございません、いわゆる公団から申しますとまだ払ってない、不払いという取扱いに該当いたしますもののうちに一部を供託されたものがございます。それからそのほかに供託まで至りませんで、まだ不払いの形になったままというのがございます。その内訳はちょっと私の方ではっきりいたしませんので、一応受領戸数の関係だけを表にして差し上げたわけでございます。  それから次の住宅管理戸数状況調べというのでございますが、これはまあ固定資産税、いわゆる公租公課の対象になります関係からしまして注意しなければなりませんのは、昭和二十二年一月一日現在までに、この竣工ないしは完成と認定されましたものがいわゆる固定資産税公租公課の対象になって、その翌年度のつまり四月一日からの徴税令書を受けると、こういったような関係になって参りますので、その関係から十二月三十一日現在で押えました、いわゆる公租公課の対象として取り上げられるであろうものが幾らあるかということで出しました数字がまず第一に出て参っております。で、これで申しますと、総計欄でごらん願いますとおわかりになりますように、九千二百九十五戸、これが賃貸住宅の十二月三十一日現在の戸数でございます。そのほかに分譲分でございますが、これは今の家賃問題とは直接には関係ございませんが、譲受人のいわゆるその負担において公租公課、いわゆる固定資産税を譲受人の負担において納めなければならないという戸数がどのくらいあるかということを参考のために出しておるわけでございますが、これが普通分譲、あるいは特定分譲合せまして、六千百六十三戸という内訳になっております。このうちの普通分譲、特定分譲というのは、公団の事情に面接お詳しくない方にはあるいははっきり内容をおわかり願えませんかも一わかりませんが、普通分譲、特定分譲と申しますのは、普通分譲というのは、公団で譲受人を特定いたしませんで、建てました上で譲受人を一般に募集いたしまして、契約をきめていく種類のものでございます。それから特定分譲というのは、あらかじめ特定の会社、事業体が譲り受けたいという希望を申し込んで参りまして、それに基きまして建てましたものを、竣工後その特定の譲受人との契約によって譲り受け売買を確定していく、こういう種類のものでございます。いわゆるレディー・メード、オーダー・メードというようなことで考えられますが、そういう種類のものを分けておるわけでございます。  それから、その次の欄に移りまして、三十二年四月一日以降三十二年六月三十日までの戸数は、しからばどのくらいあるかと申しますと、これが通計いたしまして五千七百九十五戸ということに相なっております。で、この部分はいわゆる公租公課の対象から一応はずれておるというふうに考えていただいていいと思います。もっとも、この中に土地分については取得したときからかかって参るという関係から、家にはかかりませんで、土地そのものにはかかっておるという取扱いを受けておるものも入っておるわけでございますが、そういたしますと非常に複雑なあれになりますので、一応分けまして、四月一日以降は、この考え方ではいわゆるここで公租公課の相当部分を占めておる家に対するいわゆる課税対象にはまだなってきていないという戸数の意味で掲げておるわけでございます。  それから、三十二年七月一日以降の契約戸数の問題を参考に出したわけでございますが、先ほど来お話がございましたように、平均いたしまして三百九十円という公租公課相当額というものが自治庁折衝でおよそ確定いたしましたので、それが六月に大体きまりましたので、七月一日以降には、その三百九十円に相当いたします公租公課相当額は本来家賃で計算上入れるべき建前が本筋でございますので、その本筋に帰りまして、七月一日以降には公租公課も含めたものをいわゆる家賃といたしまして契約する運びにいたしました。従って、そういう取扱いにいたしました関係からいたしまして、七月一日以降の契約の分につきましては、公租公課を含めた家賃、そのほかに共益費、こういう二本建の契約上の金額をそれぞれ受け払いするという関係になってきておりますんですが、それに該当いたします戸数がどのくらいありますかと申しますと、二百五戸、こういうことに相なっております。  以上がこの管理状況調べの内容でございます。  それから最後に、三十、三十一、三十二事業年度住宅分資金構成の表がお手元に差し上げてあると思います。公団の住宅の建設資金の内訳は、すでに御承知と思いますけれども、政府ないしは公共団体の出資金と、それから政府の資金運用部資金ないしは簡易生命保険の資金、こういったような低利資金、それから、そのほかに主として生命保険会社の手持資金、それと住宅公団住宅公団債を発行いたしますが、その公団債で調達いたすべき資金と、こういう三木町で建設資金をまかなって調達いたしておりますが、その内訳を掲げてあるのでございます。数字的に申し上げますと、賃貸の分につきましては、三十年度は、政府ないしは公共団体の出資金を合せまして四十九億六千七百万円、低利資金が三十億九千万円、民間資金はございませんで、合計いたしまして、賃貸分については八十億五千七百万円という資金が充当されております。それから三十一年度は、出資金が、これは政府出資金等が主として減りまして十八億、低利資金分が逆にふえまして八十二億、合せまして百一億ということに相なっております。    〔委員長退席、理事岩沢忠恭君着席〕  それから三十二年度は、出資金が約九十五億、それに対しまして低利資金が八十億、民間資金は六十一億という予定をいたしております。全部合せまして二百三十七億ということに相なっております。以上が賃貸分に充当されます資金の資金別な内訳でございます。  これに対しまして、分譲の方に対しましては、三十年度が出資金十六億、低利資金七億一千、民間資金五十二億、合計が七十五億ということに相なっております。それから三十一年度は、出資金一億、低利資金二億、主として民間資金によりまして九十四億ということで、九十五億、それから三十二年度は、これも低利資金、民間資金によることに相なっておりまして、低利資金二十五億、民間資金八十二億、合せまして百七億ということに相なっております。以上を賃貸、分譲両方通計いたしましたものがその次の欄に掲げてあるようなわけであります。なお、注に書いてございますが、実は賃貸住宅の資金コストをできるだけ引き下げることによって家賃の額を引き下げることを三十一年度にはどうしても考慮しなければ、ここに書いてございますように、三十年度と比較しまして三十一年度の出資金、いわゆる利息のかからない金としての資金が注ぎ込まれたものが少なかった関係がございまして、公団としては何としても資金コストを低い線に維持するための一つの方法といたしまして、一たん分譲分に引き当てました政府の出資金をそれから引き抜きまして、さらに賃貸分に振りかえるという操作をいたします。かような結果といたしまして、三十年度、三十一年度は、資金構成を政府出資金、地方団体の出資金を全部プールいたしまして、四分一厘という資金コストをとることにいたしてあります。さような結果が、この表の上では三十一年度分譲分から一億程度マイナスになって現れているということが現れておりますが、さようなことで資金構成を考えるということでございます。以上が住宅分の資金構成に関する表の御説明でございます。
  46. 田中一

    田中一君 最初家賃等収納状況のうち、不払いの分が七千八百六十八戸になっておりますが、供託したのはむろん供託局からあなたの方に通報があるはずですから、その集計が出るはずですが、どうなっております。
  47. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 昨日あたりの状況はちょっとわかりませんで、先週の土曜日の現在を申し上げますと、概数で四百五十戸、それは供託したという供託通知を私の方で受け取った数字でございます。
  48. 田中一

    田中一君 もしもこの供託が非常に少くて、四百五十戸程度のものでありますと、大体七千五百戸というものは不払いだというのが現状であろうかと思うのですが、そこでこれに対しまして、六月からの分のものでありますから将来のことはわかりませんが、このままで昨日の委員会でも住宅局長に聞いてみますと、各入居者を説得して契約書に基く義務の履行を話し合うのだと、こういうような考えのように伺っておるのですが、その点は現在公団としては全国的にどういう動きをしておるのですか。
  49. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 公団といたしましては、先ほども吉田参考人から申し上げましたように、このこと自体は契約上の問題としての処理をしていきたいというふうに考えておりますし、本質的にさようなものであろうというふうに判断をいたしておるわけでございまして、さような趣旨から入居者の方に対しては契約内容を十分御理解願っておりまして、ぜひ六月に見当がつきました確実な数字として出しました金額、すなわち全国平均いたしまして三百九十円という公租公課を含めた額でお支払いを願いたい、こういうことを入居者の各戸につきましてお願いをいたしておるようなわけでございます。事の性質上、これは法律上の争いとか、あるいはこれを裁判に訴えるとか、ひいては契約の解除、そういったような手段が考えられないことはないのでありますが、先ほど入居者の方の側の参考人からもお話がございましたように、俗にいう家主とたな子との関係でございまして、できるだけこういう変則な関係が、あるいは対立的な関係が残らないように私どもとしては努力するのが、また公団として心しなければならない点ではないかというふうに考えております。そういう点からいわゆるこれを法律上の争いに持ち込むというようなことは万止むを得ない場合は別といたしまして、できるだけ入居者の方に理解していただいて、契約上の義務を果していただく、こういう線でお願いいたしておるようなわけでございます。
  50. 田中一

    田中一君 この家賃収納状況は六月分からの分でありますね。
  51. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) その通りであります。
  52. 田中一

    田中一君 今澁江参考人は退去と申しますか、立ちのきと申しますか、そういうようなことも考えないではないということを言っておりますけれども、この契約書に基きます六月分の一カ月分を滞納したからといって、そういうような意思を公団が持っておるからこのように問題がこじれるのです。この契約書にははっきりと家賃滞納は三カ月以上ということになっておるのです。まだ三カ月以上たっておりません。そこで理事者であるところの澁江君がそういうような意図を持つから、もうあなた自身で感情的になっておることは明らかになっておるのです。従ってあなたがそういうことを言っている以上、退去を命じようとか、あるいは出てもらうということは、この契約書のうちの第十八条のうちの一から七までのどれに該当してそういう意思を持つのか、まず最初に伺いたい。
  53. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 私の言葉が足りなかった関係で……、そういうことが考えられると申し上げましたのは、それは契約上の条件なり何なりが満たされた上での法律上の議論として、そういうものがあれするということを申し上げただけでございまして、それを実際の手段に移すということを毫も考えておりません。そういう意味最初私が申し上げました別の要素をよくお汲み取り願いたいのでございますが、家主とたな子の関係をそういう不正常な状態に置くことは、できるだけわれわれ避けたいという立場に立って、との問題の処理に根本的に当っていきたいという考え方であるという点をごしんしゃく願いたいのであります。そういう係争としての処理をできるだけ避けるという方法において解決したい。それが私どもの公団立場でございますので、そういう趣意を御理解願いたい、かように存じます。
  54. 田中一

    田中一君 先ほど前田参考人から蓮田さんの方の協議会公団側がアジビラをまいたりなんかしておるという事実を率直に御披瀝になったのです。そこでまず第一に私は、そういう公団の態度というものがやはり相当な行き過ぎがあるというような前田さんの御意見でもって、そういうような認識を持ったのでありますが、そこで今の澁江君の発言を聞くと、三カ月滞納した場合にはこの十八条によって退去を求めるということになりますけれども、まだその段階ではございませんからという前提ならいいけれども、やはりこの全国協議会立ち向って、国鉄職員と国鉄のようにやはり非常に感情的に先鋭化しておるかのようにうかがえたのですが、そういうようなことはありませんね。今の御答弁から見ると……。
  55. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 重ねて申し上げたいと思いますけれども、そういう考え方でこの問題を処理しようとは考えておりません。あるいは新聞の面で、あるいは他からそういうような形でしいて見ようという立場をとられることもありますけれども、私たちといたしましては、そういうことでなしに、この問題の処理を考えていくのがとるへき手段ではないかというふうに考えております。どうぞこの点については、そういうことでない立場をとって公団が処理していきたいという考え方を十分お含み置きを願いたいのであります。あらゆる問題、お互いの信頼関係に立ってこういう問題の処理ははからなければいかぬものだろうと思います。そういう信頼関係を抜きにしたようなことでこの問題を進めていくというようなことは私どもはしたくない、かように考えております。
  56. 田中一

    田中一君 蓮田参考人の述べた四つ交渉の問題点、このうち昨日も住宅局長に伺ったわけなんですが、四月、五月分の固定資産税に相当する額というものは、公団負担するということを全国協議会の方にも答弁をし、かつ今ここでそれに対して裏づけをして承認をしておるわけです、その通りだということを。そこで四月、五月分を公団負担するという論拠は公団法のどこにあって、そうしてだれがそういう措置をきめられるかという点が、われわれ国会としては非常に不安に思うのです。そこで四月、五月分を負担するということは、法律なり政令なり、あるいは規則なりのどこに該当してそういう措置をとろうとするのか、その点を伺いたいと思います。
  57. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 先ほど四点についてはニュアンスの問題が残っているが、議事の簡潔な意味から私はあっさりとそう申し上げたのでありまして、公団といたしましては、四月、五月分については居住者の方には迷惑をかけないようにするというふうに申し上げております。従いまして、来られました方がそれだけは取らないのかとおっしゃいましたが、そういう解釈は来られた方のとられるのにおまかせしたわけであります。要するに四月、五月分をなぜ取らないかということにつきましては、当初は四月から取るようなことで進んで参ったのでありますが、当時全国協議会の方からもできるだけ固定資産税の低額になるような御要望があり、かたがた国会方面でもそういう事柄請願なさっておるようなことであったのであります。しかしながら、私の方といたしまして、公団の方といたしましては、当時まだ各関係市町村との話し合いもめどがついておりませんし、そういう関係上、その当時はきまらなかったのであります。本ぎまりになりましたのは、四月の六日に自治庁の方から各都道府県に流していただきました公団住宅固定資産税に関係いたしました通牒によりまして、先ほど来るる話がありましたように、一応基準といたしましては三百九十円というような線が出たのであります。その直後に、六月十一日にやはり蓮田氏以下十数名の方が公団にお見えになりまして、いろいろそういうことについて、どうなったかというようなお話しがあったのであります。そのとき私お話しを承わったのでありまして、四月、五月分は取る取らぬという問題でなくて、ただ六月分から私の方はいただきましょうということでお話し合いを進めたわけであります。それが一つ。  第二点といたしましては、しからば六月分から取る場合にはどうすべきかと、一カ月平均といいますが、基準が三百九十円になったわけでありますから、いわゆるそれの出しましたもとと申しますのは、一年分の税額からきておるわけであります。そこで一年分の税額の残りの四月、五月を取らないものですから、十分の一ずつ取るかどうか、いろいろ論議をしたのであります。しかしながら先ほど来公団の関係を、両方の信頼感に基く正常な状態でやっていきたいという考えからいたしまして、かつまた全国協議会方々からの御要望もあり、できるだけ皆様方の負担を軽くする意味合いからいいまして、また家賃そのものの性格からいいまして、やはり月々きまった額でする方がいいだろうと、十二分の一ずつ六月から徴収といいますか、六条によっていただくことに決定をいたしたのでありまして、四月、五月分につきましては、これを徴収せないとかするとか、そういうような言明のことはいたしておらないのであります。  しからば第三点として、公団はこれをどういうふうに補てんするかという御質問になりますが、これにつきましては、なおさらに初年度の固定資産税の額の基準をきめる経過にかんがみまして、また四月当初にそういうことがきまらなかった経過にかんがみまして、できるだけ当該市町村の方の方にも十分そういうことを申し上げまして、公団の方にできるだけ赤字にならないように十分関係市町村の方にも実情を申し上げまして、できるだけそういう範囲内で解決する、こうに計らいたい、かように考えておるのでございます。以上三点を申し上げます。
  58. 田中一

    田中一君 どうもいろいろ言葉を、それこそニュアンスをあっちへ持っていったりこっちへ持ってきたりして、われわれにわからぬように説明しておるように聞こえるのですが、端的に申し上げますと、四月、五月分については居住者には負担させないという態度をとっておるわけですね、現在は。
  59. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) さようでございます。
  60. 田中一

    田中一君 最初植田住宅局長に伺いますが、公団が三十二年度の固定資産税四月、五月分を居住者から取らぬということは、いろいろ今吉田理事からのお話を聞きますと、はっきりと根拠がつかみにくいと思うのです。そこで監理官としてはこれを負担させないようにする、取らないと言わないわけですね。負担させないようにするということは、どういう工合に監理官としては理解して承認を与えたものですか。
  61. 村田義男

    説明員(村田義男君) やはり建前といたしましては、四、五月分の公租相当額についても取るのが筋だと考えております。ただ実態論といたしまして、公団側からただいま御答弁——以前にもありましたように、やはり課税の具体的な基準というものがはっきりしないうちから、いわゆる見込みとして取るというのも、実態問題として適当ではないという一つの実態的な考え方、こういうふうな前提に立ちましたことと、それからもう一つは、やはり四—六の間におきましても入退居の問題がありまして、やはり退去した人たちも、入居者の中にはありますので、そういう入退居の関係、それから今申し上げました実態的な関係、こういうふうな線を考慮いたしまして、公団といたしましては、それともう一つ問題として極力入居者負担も少くしようと、こういう親心といいますか、言葉は過ぎるかもしれませんが、そういうふうな観点で措置いたした次第でありまして、この措置につきましては、まあ当時の事情といたしましてはやむを得ないと、こういうふうに考えている次第でございます。
  62. 田中一

    田中一君 住宅局長に伺いますが、そうすると、きのうあなたはいろいろだいぶお困りになった御答弁をしているように見受けたのですが、四月、五月分は公団の欠損処分として全部取らないのだということを省議で決定したのですか。
  63. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 昨日申し上げましたし、ただいま村田監理官から申し上げましたように、四月、五月分については入居者負担させない、こういう方針を公団がとりまして、それを住宅局といたしましても、監理官といたしましても承知いたしております。これを省議決定したかどうかという問題でございますが、省議にもこの点について、この分だけを引き抜きまして省議決定という形をとっておりませんけれども、この問題を含めまして省議でも、ただいま渡米いたしております石破次官を含めまして、この問題を論議はいたしておりますから、そういう意味におきましては、省としてもその点に対して同意していると、こういうふうに御了承いただきまして差しつかえないかと存じます。
  64. 田中一

    田中一君 まあまだ本ぎまりはしていないけれども、これはこう追い詰められれば了承せざるを得ないから、建設省としてはそれを認めようという態度にきょうはなったものだと思うけれども、そこでそういたしますと、その分はどこまでも公団としては欠損処分としてみるわけなんですか。公団の経理上処分の仕方はいろいろあると思うのです。たとえば六月分から取ったものを四月分から取ったものとして先に延ばして、やれば同じことになるのです。税金というのは毎月取るのじゃない、一缶に何回かきまって、それも建築物全部に課税がくるわけですから、それを四月分、五月分というのを六月分から、経理処理としては四月分を六月分としてやっていけば、先に行って二カ月分というものは、これは鉄筋コンクリートは何年持つか、百年か、百二十年か知りませんが、その分だけ最後にしわ寄せがくるわけなんです。こういう経理をするのではないかという疑いを持っておりますけれども、そういう方法はあるわけなんです。それからあるいははっきりと三十二年度の決算時において、この固定資産税分を今の住宅公団監理官が認めたような形で欠損処分にするという方法があるわけなんです。その二つのうちのどれをとるということがきまっておるのですか。私は石破君が帰って来たらこの問題について飛行場まで行ってすぐ聞きます。根本君にも南條君にも聞きます。あなた方がうそをつくのは非常に不愉快だと思います。うそをついてはいけません。率直にお話下さい。
  65. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 先ほど吉田参考人からも申しましたように、四月、五月分を公団の完全負担とすることになるか、あるいは市町村にその点を懇請いたしまして、そうしてまけてもらうかと、こういう方針にまだ決定いたしておりませんので、それがきまりました後におきまして、ただいま田中先生のお話にありましたように、四月、五月まで充当していきますと、経理上は最後の来年の二月、三月を前払い家賃という格好で整理することになるかと思います。そういう方針についてはただいまのところまだ決定するまでに至っておりません。
  66. 田中一

    田中一君 奥野君に伺いますが、今建設省公団も歩調を合せまして、まあ光ケ丘団地住宅ならば、柏市の市当局に対してこれを減税してくれというようなことを言っておりますが、公団に対する課税、いわゆる千分の七というものの課税が、地方の市町村におきましては、個々に取ってもいい、取らぬでもいい、減免してもいいというこの権限は市町村にあると思うのです。そういうことがあるということは予想されておりましたか。同時にまた当然取るべき税金というものを今まで取らないでおったと、あるいは軽減しておったというような事例は今まであなたの方に報告されておるうちにございましたか。
  67. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 公団住宅に対しまする固定資産税の税率につきましても、市町村は決定権を持っておるわけでございますから、ある程度の弾力性があるということは当然予想されておったわけでございます。  第二問の市町村が特殊な措置をとるということにつきましては、私詳しい報告を聞いておりませんので、存じておらないわけでございます。
  68. 田中一

    田中一君 柏市が光ケ丘公団住宅の全部を固定資産税は取らないというような措置をとることは、この固定資産税、地方税を制定された精神と、同時にまた地方交付税との関連等がどういう工合に措置されるか、かりに非課税か、公団住宅を全免するという措置を柏市がとった場合には、あなたの方の地方税改正の考え方と、同時にまた地方交付金等の考え方をあなた方はどういう態度をもって臨むかということを伺っておきたいのです。
  69. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 仮定の問題でございますが、かりにある都市が公団の住宅に対しまして固定資産税を課さないといたしましても、地方交付税の交付額を決定いたします際には、課税すれば幾ら固定資産税収入が入ったであろうかという計算をいたしまして、入ったものとして交付すべき地方交付税の額を決定するわけでございます。なお、公団の住宅に対しまして固定資産税を全免することが適当であるかどうかという問題になって参りますと、何ら政府から援助を与えておりません大部分の民間自力建設の住宅との関係におきまして、非常な不均衡を生ずるのじゃないか、固定資産税そのものに対しまして、住民の不信の念が増大するのではなかろうかというふうに私たち考えております。    〔理事岩沢忠恭君退席、委員長着席〕
  70. 田中一

    田中一君 建設省としてはとにかくその方法は、地元の市町村が減額をしてくれるかどうか折衝する、しかし折衝がきかれない場合には当然公団が支払う義務がございますから、その分は居住者にはかけないで、自分の方で負担するという結論でよろしゅうございますね。
  71. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) そういう結論になろうかと思います。
  72. 田中一

    田中一君 そこで住宅公団法の制定の精神、それから住宅公団法の政令、それから規則等、そういう場合の扱いに対しては、そのような措置をとってよろしいというところはどの条文にございますか、御説明願います。
  73. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 昨日それと同様の御趣旨の御質問がございまして、私その際研究不十分でございましたので、そういうことを禁止する規定はないと申しました。私もその後まだ十分に研究いたしておりませんが、公団の経理の中におきまして、四月、五月の固定資産税負担した場合に、それをいけないという規定は現在の法令の中にはないものと心得ております。
  74. 田中一

    田中一君 当然一つの企業でありますから、損をするものもあるし、あるいは大破してその財産の価値がなくなる場合もあると思うのです。そういたしますと、今の全国協議会方々が、不当であるといって向う側から軽減の提訴をして法廷で争うこともあり得ると思うのです。約束が違うという、初めには百五十円と提示したけれども今は違うんだという問題でもってですね。そういうことはむろん監督官庁として好ましくない、同時にまた公団としても運営上、また将来の問題を考えましても、それは好ましくないということはもう明らかだと思うのです。そこで私ども不思議に思いますのは、四月、五月に、建設費によるところの標準家賃公租公課を加算するのが家賃であるということが契約にあるにかかわらず、一歩後退して、また複雑な、繁雑な、出た者がある、入った者があるということによってそれを二カ月分の家賃というものを減ずるということになりますと、これはもう出入りはしょっ中あるはずなんです。そうすると出入りの場合にはどういう形でそれを処置しようと思うのですか。これは将来三日おって出る者もあれば、二十五日の支払いになっておりますものを、その月の三日、あるいは十日、あるいは二十八日等の場合にはどういう措置をとろうということが内規になっておりますか。
  75. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 今後の問題につきましては、一応公租公課相当額がきまりましたので、今後はそれを全部ひっくるめましたものが広義の家賃と申しますか、それ一木で参ります。出入りはありましょうが、日割り計算で敷金から差し引いて精算する、こういうことになります。今までは幾らになるかはっきりしためどがつかなかったものですから、実態上取り得なかった。今後のやつは日割り計算で公租公課相当額を入れたものを広義の家賃として取ります。
  76. 田中一

    田中一君 そうすると、四月、五月分もこうして額がきまったわけなんですから、日割り計算でやるのが可能だと思うのです。将来もそういう問題がある、現在までもそういう問題がある。また解決する方法もあるというなら日割り計算になすったらどうですか。それをなぜそういう措置をとらないのですか。
  77. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 先ほど申しましたように、きまらなかったものまで遡及して幾ら幾らといって追徴いたしますことは、これはもうざっくばらんに申し上げて、家賃というものは月々大体正常状態ならきまっていくべきだと思っております。従っていろいろな関係上いわゆる課税される市町村の方とわれわれの方との話し合いが、幸か不幸か事実の問題として額が決定されなかった。従ってそういうものを遡及してまですることはどうかと思いまして、そういう意味合いと、できるだけ居住者方々負担の軽減をしようということが主な理由でありまして、事務的には、また第三としては出入りのあったことでもございますし、そういう方々にトレースをしていきまして、転出された方々を全部調べあげていくということは事務的にいかがかと思いまして、とりあえずこういう結論に到達したというのが真相でございます。
  78. 田中一

    田中一君 その問題は、そういう欠損処分ができるならば、これはまあ全部しょってくれてもいいじゃないかという議論も出ようかと思うのです。また他の、先ほど奥野さんも言っておられるように、ほかの公団東京都住宅協会の居住者とか、あるいは他の民間の借家人の方々もそういう気持を持つと思うのですが、これは過渡的にそういう取扱いをするということもあり得ると思います。思いますが、今後ともそういう方針はあっちゃならぬと思うのです。たとえば公租公課というものは移動するものなんです。変動するものなんです。固定しているものではありません。そういう場合はどういうように扱うか、今まで通りこまかい計算をして銘々に家賃の更改をして値上げになるか、値下げになるか、どっちかの問題です。減税されれば値下げになるし、増税されれば値上げになるのです。そういう点も、吉田理事が言っている通り、詳しく日割と率の計算をしてちゃんととるということになるのか。
  79. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 将来の問題といたしましては、一応現在の法制度のもとにおきまして、建てました建物の規模に応じて基準的に建物の固定資産税、都市計画税はいかほど、土地につきましてもいかほどというめどが十分ついておりますので、今後の新らしい契約によりましては、従来の契約書におきまする四条の家賃、いわゆる狭い意味家賃、それから六条に書いてあります公租公課相当額、両方合せましたものを家賃ということにいたしまして、契約をいたしていきたい、かように考えておるわけであります。従いまして、日割計算その他の問題も解明するかと存じます。
  80. 田中一

    田中一君 自治庁の通牒では一応公団住宅は一坪四万円、建設資金が四万円というように税の対象として押えてある。そこで現在の家賃の計算の基礎というものを一つ一つのケースでいいですから説明して下さい。
  81. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 概略申し上げましてよろしゅうございますか。詳しい数字、筋道を……。
  82. 田中一

    田中一君 数字よりもその構成の要素ですよ。
  83. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 家賃の基準といたしましては、まず第一番目は償却費でございます。償却費と申しますのは、建設に要しまする費用のうち、用地費を控除いたしているものでございます。そういたしまして、耐用期限を七十年と考えております。もちろん公団の取り扱っておりますなかで、特殊なテラスと申しますか、簡易耐火構造につきましては四十五年でございます。それを年率四分一厘で、毎年元利均等半年賦の計算をいたしましたものの二倍を年額として償却費に計上いたします。次は地代相当額でございます。地代相当額と申しますのは、用地費に百分の四・一を乗じて得ました額、これを一年間の地代相当額といたしております。その次は修繕費でございまして、修繕費は工事費に百分の一・二を乗じて得ましたのが年間の修繕費と考えております。簡易耐火構造の場合には百分の一・五と相なっております。管理事務費といたしましては、工事費に百分の〇・四五を乗じた額でございます。その他損害保険料、あるいは引当金というようなものがございます。それの総計の十二分の一を月額の家賃、いわゆる第四条の家賃ときめているわけでございます。一般的な通念としては、これに公租公課相当額を合せたものが広い意味家賃で、公団の場合の第四条の家賃は以上申し上げましたものの総計の十二分の一を月額、第四条の家賃といたしている次第でございます。
  84. 田中一

    田中一君 たとえば愛知県は三十年度に幾ら出資……。もう一ぺん申し上げますが、三十年度には百七十億のうち、百億を余して七十億だけを消化したとなっておりますね。この予算上の計算金額は。そうしてこの百七十億という最初の計画の資金から見て余したという、繰り越したというのは百億だというように、これは公団総裁が説明しておったわけなんです。そこでこの中には、むろん今の家賃の積算の中には、民間資金の金利というものが一番高いものですから、これはもう含めていると思うのです。三十年度においては百七十億の計画のうち、百億残したというこの資金の構成はどうなっているか。
  85. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 先ほど澁江参考人から申し上げましたように三十年度、三十一年度、ただいま問題になっておりまする公租公課問題の建物は、三十年度、三十一年度の竣工分でございますが、これにつきましては、先ほど三十、三十一、三十二事業年度住宅分資金構成という参考資料をお手元に差し上げましたのでございますが、その中には、出資金と六分五厘の低利資金とでございまして、三十年、三十一年をプールいたしまして、四分一厘というわけでやっておりますので、お説のようなものは、今回問題になっておりますものには入っていないかと存ずる次第でございます。
  86. 田中一

    田中一君 そうすると、低利資金は金利幾らになっていますか。
  87. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 政府出資、両方とも六分五厘でございます。低利資金六分五厘、簡保と政府両方であります。
  88. 田中一

    田中一君 地方公共団体の出資は何ぼですか。
  89. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) これは政府出資と同じで無利子でございます。先ほどお尋ねがありました愛知県の方は、初年度の出資要請額は県市とも折半でおのおの八千万円と言われております。
  90. 田中一

    田中一君 地方公共団体の出資している県に対しては、やはり家賃の軽減は考慮されておるのですか。
  91. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 特に軽減ということはございませんで、政府の分を合せまして出資になっております。筋道は、出資されました出資額にできるだけ応じまして、当該地方の方で賃貸住宅建設する大筋になっておるだけであります。ひっくるめて出資金としてまかなって、総平均四分一厘でございます。
  92. 田中一

    田中一君 三十二年度は六十一億八千四百万円の出資が計画されておるのですが、これは金利は幾らになっておりますか。民間の資金ですが。
  93. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 三十二年は日歩二銭二厘か、二銭一厘ですか……。
  94. 田中一

    田中一君 年利にして計算して下さい。
  95. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) これは間違えるといけませんから、あとで調べまして、お手元へ資料を出しては悪いのでございましょうか。
  96. 田中一

    田中一君 それでよろしゅうございます。  それで三十二年度は六十一億八千四百万円という金を借りて、これは少くとも四分一厘よりも高いことは事実ですね。
  97. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) その通りでございます。
  98. 田中一

    田中一君 そうしますと、三十二年度の計画されておる賃貸住宅家賃というものは、この高い金利分だけは高くなるということは想定してよろしゅうございますか。
  99. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) ほかの条件が変らなければ、そういう結論になるかと存じます。
  100. 田中一

    田中一君 ほかの条件で変るだろうと予想されているものは何ですか。
  101. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 用地費、あるいは建築コスト、その他もろもろのものがあるかと存じます。
  102. 田中一

    田中一君 公営住宅の積算も建設費による計算からきておるのですが、やはり公団として、その年度ごとの建設費による積算によって償却というものを一応同率で抑えておる関係ですと、家賃が高くなったり、安くなったりするということはあり得るわけですね。
  103. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そういうことになると存じます。
  104. 斎藤昇

    ○斎藤昇君 議事進行ですが、もう十二時にもなりましたし、せっかく蓮田さん、前田さんがお見えになっておられるわけですから、ほかの委員の方からも、家賃値上げ反対運動ですか、それについて御質問もあるかと思いますので、公団政府の方に対する御質問は午後にでもまたやっていただくことにして、まず民間のお二人の参考人の方に御質問をするように、もし田中さんの御質問が長引くようでしたら、そのように議事を進行していただきたいと思います。
  105. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ちょっと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  106. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 速記を始めて下さい。
  107. 田中一

    田中一君 昭和三十一年五月二日に自治庁次長の通牒で、各都道府県知事に向けて、「公営住宅に係る市町村交付金の交付に伴う措置について」という通牒を出しております。これは公営住宅にかけられるところの固定資産税を三十一年度は見送るということなのです。そこでこの趣旨は、私が理解しているところでは、現在公営住宅の家賃というものは、やはり建設費による算定基準によって家賃がきまっているのですから、非常に安いのも高いのもある。たとえば昭和二十五年ごろに建った鉄筋コンクリートの家は千円未満の家賃である。しかし現在のような時代に建ったものは三千円をこえるものもある。しかしながら鉄筋コンクリートの課税対象の認定金額というものは、やはり四万円なら四万円で押えているならば、そこに家賃の低いものが四万円で押えると高額の課税をされる。またそれを実際の建設費、価値によって、価値を対象とするならば、むろん物価の指数からくるところのスライドも考えなければならぬし、非常に複雑になる。この家賃が一応不公平のないような形に是正された暁にとるべきであろうというような考え方から、公営住宅に対しては一年間の行政措置としての延期をした。従ってそれが三十二年度においてもまだ家賃のでこぼこがあって正しい家賃ではない。従って三十二年度もこれを見送ってもう一年間延期したというように私は理解しておるのですが、その点は私の申し上げたことが間違いないか、あるいは間違っているならば、自治庁はどういう意図のもとに公営住宅に対する課税をかえたかということを御説明願いたいと思います。
  108. 奧野誠亮

    説明員(奧野誠亮君) 田中さんのおっしゃいます通りであります。
  109. 田中一

    田中一君 公団の住宅は本年度は民間資金を約六十一億導入してやりますと、今吉田理事が言われているように当然同じ建物であり、その同じ建物の中にそのような家賃の不均衡が生まれるということが想定されることは、住宅公団としてもそれを確認をされておる。そうすると、安くなる場合にはまだよいとしても高くなる場合もあり縛るのです。前田参考人が、自分は今までよりも非常によかったからこれは満足しているのだが、しかし家賃が下ることは望ましいのだということを率直に言っておりますが、あれは住宅困窮者のほんとうの心境だと思うのです。そこで今公営住宅に対しても自治庁は今のように家賃が不均衡であるという点から、固定資産税相当額の徴収を見送っているという行政措置をとっているわけです。公団が今後どういう形に民間資金の導入をするかわかりませんが、家賃の不均衡を生むようなことはやはり住宅政策の面からいっても好ましくないというように考えられるのですが、それは家賃をきめる場合の一般的なきめ方をするような意図がないかどうかということを伺っているのですが。
  110. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 現在までの家賃の立て方については、先ほど吉田参考人から申し上げた通りであります。今後の家賃のきめ方をどう公団としては考えていくかという問題でありますが、私どもとしては基本的にはやはり三十年度、三十一年度で少くとも考えておりました七十年間、四分一厘という線、これを上回るようなものにはしたくないという考え方考えております。その意味でその七十年間償却、四分一厘という基本線を少くとも維持するということによって、三十年度、三十一年度の賃貸住宅家賃とのバランスというものは確保していく、まあこういう考え方でいきたいというふうに考えております。先ほど吉田参考人から申し上げましたように、資金コストと償却コストと、ほかに一切の建設コストそのものが上るという場合は考えられます。たとえて申しますれば住宅の規模が大きくなった、あるいはそれに使用する資材が値上りする、土地が高くなる、こういったような要素はございますが、それを刑といたしまして今の償却方式、資金コストの基準、これは従来の線を少くとも維持していく、こういうことによって従来の賃貸住宅とのバランスというものは確保していく、こういう考え方でいきたいと思っております。
  111. 田中一

    田中一君 しかし三十一年度は六十一億の民間資金、いわゆる高い年七、八分の金を使いまして高くなることは事実ですね。その場合には四分一厘よりも高まることは事実ですね。
  112. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 民間資金の金利の変動というものは、これはもちろん一つの重要な要素でございますが、民間資金は賃貸住宅には先ほども私が表で御説明申し上げましたように、との表でごらんになりますように、三十年度、三十一年度とも賃貸住宅には民間資金を入れておりません。従って民間金利の変動による影響は受けないという建前で資金コストの基準を考えております。
  113. 田中一

    田中一君 三十二年は。
  114. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 三十二年度につきましては、この民間資金六十一億というのは、これはその点は三十二年度分としては吉田理事から付け加えてお答え申し上げます。
  115. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 今の分をちょっと補足いたしておきますが、三十二年度の資金構成は民間資金が一部入ってきておりますが、それを平均して従来の四分一厘を保持するように出資金の方を相当ふやしておりますので、借り入れ条件がそのままで、二銭一厘でしたか、これはあとではっきりした資料を差し上げますが。それを平均いたしますと、三十二年度のやつも四分一厘の金利でいけると、ただ公団債なり、民間資金がまだ借り入れをしておりませんので、今後借り入れる場合に、計画の条件で借り入れられなくなると、今田中先生のおっしゃったところの四分一厘は維持しにくくなるわけでございます。
  116. 田中一

    田中一君 住宅公団は本年度大蔵省の要求で、百三十億の投資を延ばせということを大蔵省が要求しております。この内容はやはり六十一億という高い金利のものをまず最初に民間から借りないでゆくことになろうかと思う。そこで、加納総裁は当委員会で九十億は繰り延べてもいいというようなことを漏らしております。そうすると、これは全部民間資金は借りないで済むということになるのですか。そうしますと、四分一厘より下回るということになりますが、その際には三十二年度の家賃は現在の家賃よりも安くなるということが考えられますね。その場合にもまだ四分一厘に持っていって同じ額を取ろうということになるのですか。
  117. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 繰り越しの関係と資金コストの関連の関係をお尋ねだと思うのですが、繰り越しは資金だけが単独に繰り越しされるという考え方にもちろん立っておるのではございません。それに伴う賃貸の建設計画そのものも繰り越して、あわせて資金もそれに伴って繰り越しされる。こういう関係になって参りますが、そこで先ほど申し上げましたように、七十年間四分一厘の方式というのは、年度を通じました全体の資金をプールいたしまして、そういう計算をはじき出しておるわけでございます。で、かりに資金繰りの必要からいたしまして、民間資金を翌年度に繰り越したといたしましても、あとにでき上る住宅についてはやはりその資金量だけは注ぎ込まなければならないという事情はこれは当然出てくるわけでございます。そういうことになりますと、当初政府出資分だけで建てた、あるいは政府出資分と低利資金分だけで建てた賃貸住宅家賃は安くて、事後に繰り越しされて民間資金だけで建てた賃貸住宅家賃が高くなるので、こういったような不均衡な現象は、これは計画としてはまことに拙劣な格好になりますが、さようなことでなしに、当初からこれだけのものをプールいたしましたものを、つまり四分一厘の資金コストで全部はじき出しまして、繰り越しの影響によるもの、これが家賃に響くというような関係なしに建てていく建前で計算しております。従いまして、今御指摘になりましたような民間資金が繰り越された影響といたしまして、当初の分を家賃に含めてもいい、こういうような結論にはならない、こういうふうに考えております。
  118. 田中一

    田中一君 そうしますと、四分一厘の金利というものを押えようというならば、大体において用地費の変化の問題と、それから建設費の変化の問題によって左右されるけれども、金利自体は左右されないというように考えていいのですか。
  119. 澁江操一

    参考人(澁江操一君) 民間資金の金利を現在想定いたしております線を変更しない限りということを一応前提にいたしまして、そういうふうに考えて差しつかえないと、こういうふうに考えております。
  120. 田中一

    田中一君 住宅局長に伺いますが、公営住宅の耐用年数は何年になっておりますか。
  121. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 耐火構造の住宅につきましては、公団と同様七十年でございます。
  122. 田中一

    田中一君 吉田君に伺いますが、公団住宅の鉄筋コンクリート建物の住宅は、大体あなたが技術家として何年ぐらい持つものだとお考えになりますか。
  123. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 七十年くらい持つものだと考えます。
  124. 田中一

    田中一君 日本のコンクリートというものが発明されて、吉田君、何年になるでしょうか。
  125. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) フランスで始って、ドイツのメルシュがコンクリートをやってからでありますから、千九百何年でしたか、ちょっと忘れましたが、われわれの年ぐらいたっておる、五十年くらいたっておると思います。これはもちろん一とう最初に植木鉢とか、そういうようなものがコンクリートからできておりますが、こういう点、また間違うといけませんから言っておきます。
  126. 田中一

    田中一君 耐用年限を十年延ばしますと、この家賃はどれくらいになります。
  127. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 十年きざみの計算はいたしたことはございませんが、百年にしまして、三十円くらいだったと記憶するのですが、こういう点用意してきておりませんので、はなはだ申しわけございませんが、別の機会にそういう趣旨のものもそろえてお知らせいたしたいと思います。余り変らないというのが、期限を延ばしましても、金利の方が変らぬ限りは余り響きはせん、減るのは減りますが、余り変らないというのが、今までの私の頭に残っておる印象でございます。
  128. 田中一

    田中一君 国の建築物に対する償却方法というものは、これは植田君に聞くのはちょっと畑違いになるかも知れませんが、あなたは、建設省の営繕ではどういうふうに考えておるのですか。
  129. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 私営繕の方の経験がございませんが、やはり鉄筋コンクリートの建物にいたしましても、これは相当長い年数がたちますれば、老朽化するわけでございます。従いまして、これに対しまして七十年程度の償却年限をきめて、それに見合うところの償却をすることが、国のこういった住宅政策上からも必要であり、当然のことであろうかと存じております。
  130. 田中一

    田中一君 村田君知っておりますか。
  131. 村田義男

    説明員(村田義男君) 私も詳しいことは存じておりませんが、ただ技術者の話を聞きますと、維持管理というものをほんとうにしっかりやらないと、ずいぶん耐用年数に非常に影響を持つというのは聞いておりますが、国の住宅につきましては、そういうふうな方面の基準とか何とかは余りよく聞いておりません。
  132. 田中一

    田中一君 私はこう考えるのです。少くとも住宅公団家賃を下げようという意欲と努力はしているかと思うのです。そこで現在住宅公団も、発足してまだ三年になりませんが、コストを下げるというような考え方をもって、どのような研究をしているか、一つお話願いたいと思います。
  133. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 資金の低下、そういうことは抜きにいたしまして、一応建物といいますか、建築物の方面からのやつを申し上げたいと思います。これは資金の低下の方の事柄が伴いますというと、うんと下がるのでございますが、これは割愛いたします。  第一に設計自体につきましても、できるだけ何と申しますか、従来の経験を生かしまして、一応質実剛健なものを考え、むだな費用のかさまないように、設計図自体についても顧慮いたしたいと思って進めているのであります。見かけや形がよくて持ちの悪いもの、あるいは施工の方が見かけに比例してむずかしいというような設計は、続々廃止していきたいと考えております。  第二点は、できるだけ窓でありますとか、あるいは規格化、標準化できるようなものについては、従来の存続している規格その他とも十分勘案いたしまして、大量生産による低下と申しますか、そういうものをはかっていきたいと考えております。  第三点は、今までやっておりまする主として官庁方式に似たような契約、約款、入札、工事管理、その他をやっているわけでありますが、できるだけそうでないような方向にいきたい、一例をくだいて申し上げますと、支払い方法にいたしましても、従来のような出来高検査をがんじがらめに各資材とかその他の明細をあらかじめ提出さしておいて、それによる出来高払いということでなしに、公団としましては、同じようなものを並べてやるのが多いのでございまして、そういうような過去二年の実情にも照らし合せまして、標準方式による、いわゆる標準に速しましたそれぞれの方式による支払い方式に改めたい。こういたしますと、現場要員のそういうような労苦も省かれます。従って事務費の方の節約にもなろうと存じまして、そういう点も考えているわけであります。  なお先ほども御同情あるお言葉がありましたように、まだ発足二年でございまするので、今までのそういうような精神にのっとりまして、できるだけ新しい工法によるものがどれたけ持つか、またどういうような工費でいけるか、工期の点も工事期間中の金利等にも大いに関係いたしますので、早い工期でやる方法はどうかというので、いろいろな形のものを試験的に取り扱っているような状況であります。これらの状況が判明いたしまして、実際に取り入れられるような時期がくれば、どんどんそういうものを取り入れて、できるだけコストを安くしたい、かように考えているわけであります。
  134. 田中一

    田中一君 どっちみちその易その場の請負人に請け負わして、その時期その時期の相場のものを買っているというようなことですと、これはもう質も悪くなり、それから資材もその場その場で買ってしまう。請負人にまかせばその金額で押えられるのだという考え方は、もはや今日の段階ではあってはならないと思うのです。当然その場合には質は落ちるわけです。そこでかりに今そのような研究をなすって、安くていい住宅を供給しようという意図があって、そして家賃がそのために下るというようなことになった場合には、ある時期には全部でき上ったものを平均して同じ家賃にするというような方法は考えておりませんか。いわゆるこの公営住宅において建設費の積算による家賃の算定をやっておるために、安いものも高いものもあるということになっておりまして、課税すらできなくなる。不公平になるから課税も一応待つのだというような現況なんです。そこでそういう場合、公団としては家賃のでこぼこをなくすような方途に将来とも行こうというような考え方は持っておりませんか。そして今吉田君が言っておるように、相当勉強して三十二年度から非常に安い家賃でいける段階になった場合には、高い家賃をも減らすというようなことは考えられませんか。
  135. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 今直ちにどちらの方法をとるかということは、公営住宅その他の方でいろいろの御研究の結果の結論が出るかと思いますので、そういうことを十分勘案した上で決定いたしたいと思います。私としては。というのは、将来大いに下りまして、下ったからというので下ったものの方に少し割りかけて従前の高いのを下げるというのは、これは実行もできるかとも存じますが、今こういうような状況では上ったからといって前のものまで、今後のものも上った場合には、逆の場合に、これは実際問題としてはどうかと思いますので、そういう点はまだ三カ年間の浅い経験でございますから、十分公団としていろんな方面のそういう、家賃の平均化と申しますか、不均衡の是正をされた結果を十分見てみたいと存じております。
  136. 田中一

    田中一君 もう時間もありませんが、ここで結論的に申しますと、今のお話のうち、七月から入居させようという方々に対しては、この賃貸借契約書を更改して、すっきりした姿のものにして行おうとしているのだということを、先ほど澁江君からも吉田君も申しておりましたが、そうなりますと、前段の蓮田君が希望しておりましたところの改正点もあわせて考慮して折衝するかどうかの問題もここではっきりしておいていただきたいと思います。
  137. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 現在御契約を願っておる方々の、今言われました趣旨のことにつきましては、個々の方々と十分お話し合いをいたして、その上で妥当なものは更改してもいい、かように考えております。言葉が足らないかもしれませんが、われわれの方といたしましては、こういう二本建のものは厄介だというお説があるならば、六条と四条とを一括して一本にするという事柄であればかまわない。今おられる方にもかまわない。家賃が四千七百円、公租公課が三百六十円というのはめんどうだから、二つ合せたもので一本の契約に直せと言われるような事柄は十分考える価値がある、かように考えております。従来の交渉経過では、六条はいけないから削除するとか、いろんなそういうような、長くなりますからなんですが、われわれとしては了承できないようなお話がありましたので、そういうのは更改は困りますというように申し上げて参ったような次第であります。
  138. 田中一

    田中一君 そうすると、この賃貸借の契約書の問題については、もう折衝に入っておるのでしょう、困るとか困らぬとかいうことになりますと。
  139. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 具体的にどこをどうというようなものをお知らせ願って、その上で交渉をしようと、こういう態度でおるわけでございます。
  140. 田中一

    田中一君 ではこの賃貸借契約番については、七月一日からは家賃というものを一木にして、公租公課相当額というものを加算するのだということはなしにして、契約しようとしているように先ほど伺ったものですから、当然更改されるものと私は考えておるのです、この契約書そのものは。その際に、先ほど蓮田参考人が言われたところの数々の疑点というものを解明するようなことの折衝に入るという用意はあるわけでございますね。あれはいかぬ、これはいかぬという前提でもって折衝なさるのじゃなくて、全部をのんでそれをどうするかという折衝をする用意があるということじゃないのですか。
  141. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 全般的にどういう条項であろうが、お申し出があれば十分それに対して研究をし、協議を進めていこうという考え方であります。ただ先ほどいろいろお話がありましたが、いろいろこういう席でなしに今まで協議会とも折衝を重ねてきておりますので、何といたしましても十分意を尽したやつがお互いに通じ合わないというようなきらいがあったのじゃないかと思っております。具体的に個々の方がこの契約約款が疑問だからこうだと言われれば、十分御説明を申し上げ、こういうように直したらどうかという御意見があれば、それを十分検討をし、客観的に十分妥当な、両方とも信頼し合った間柄に立って、なるほどこれはそうした方がいいという両方で意がととのえば、約款といえども改正するにやぶさかでないということは、るる申し上げておるような次第でございます。
  142. 田中一

    田中一君 この十一条の日歩五銭というのは一方的にあなたがおきめになったのですか。先方とも、居住者とも相談の上きめたのですか。それと日歩五銭にした根拠はどういうのです。
  143. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) 日歩五銭というのは、むずかしい根拠というよりも、いろいろ滞納処分なり、その他いろいろなそういう滞納のときのやつがあります。十銭というような約款でやっておられるところもあれば、いろいろありますので、まあまあ五銭というのが適当であろうという判断でやったのでありまして、理論的に五銭でなければならないというようなむずかしいものはないのでございます。こういうのはいただくようなことにはならない。もしあった場合にはこうですよ、だから早く納めた方が損がなくていいというようなおおらかな気持できめたので、算出根拠とか、そういうむずかしいものはありません。社会通念、そういうものからきまったように私は承知いたしております。
  144. 田中一

    田中一君 税務署でもたしか四銭だったと思いますがね、延滞利子は。そうして年四分一厘の金を使っていながら五銭とるのもどうかと思うのですがね。
  145. 吉田安三郎

    参考人吉田安三郎君) そこは運用でございまして、われわれの方はこういうことの条項を使うようなことはあまり考えなかったわけであります。なお先ほど各支所によって延滞料の徴収についての不均衡があると言われておりますが、ほんとうならば一日おくれても延滞金はいただくのが契約上は筋かとも存じます。これはやはり実情に合わない。月給日に月給をもらってきても帰りはわれわれもおそくなることがあります。一日、二日おくれることもあります。そういう点も考えまして、一週間とか十日とか、そういう前後のものは延納がありましても延滞金をいただかない。十日くらいを標準にしてわれわれは考えているわけであります。これがやはりいつの間にか皆さんの方に十日おくれてもいいんだというようなことになっておりますが、筋としては一日おくれても延滞料はいただくような建前にはなっておりますが、諸般の情勢から十日くらい、月を越してお払いになっても、十日までなら延滞金は取らない、そういう趣旨でやっております。はなはだくどいようでございますが、一々条項をとりつかまえてなぜこうしたか、四銭でも三銭でもいいじゃないかとなりますと、これは一々入る方がどなたかわからないのに、家のできる前に作るのですから、十分いろいろな方面の御意見も聞き、この程度ならば妥当であろうというのできめましたので、その点御了承願いたいと存じます。
  146. 田中一

    田中一君 植田君に伺いますが、政府としてこうして公団居住者協議会が対立をして今いろいろ両参考人から供述があり、それから私からもいろいろ質問をしているわけなのですが、もはや村田監理官もおることですから、一応お互いにアジビラをまいて扇動したりというようなことのないように、政府としてこの際この問題解決に当るという決意はございますか。
  147. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) その点は昨日の御質問にもおそらくそういう問題に関連したことかと存じますけれども、こういうふうな事態ができましたことは、政府といたしましても当初から予定したことでもございませんので、まことに遺憾には存じております。しかしながら、この不払いの問題は六月分の、一カ月分だけの問題でございますので、これはここしばらくの間は公団入居者間のお話し合いにまかせていい問題ではないかと存じております。
  148. 田中一

    田中一君 そうすると、まだ事態が三月たたぬと、三月滞納しないと問題にならぬ。だからそれまでは、三月間くらいは待ってみようということなのですか。
  149. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 先ほどそういうふうな御質問がございまして、三月たてば法的手段が行われるという前提の御質問でありましては、お答えが非常にしにくいわけでございまして、そういう意味ではございません。ただ一カ月だけの問題でございますので、七月分がどういうことになりますか、その様子も見て判断いたしたいと存じます。あるいはその段階になりましても、政府としてはもうしばらく公団にまかせようということでございますれば、あるいは九月分を様子を見ようということになろうかと存じます。それで九月分になりますと、三月になりますから、十月になればすぐに政府が取り込む、こういう性格のものでもございません。政府といたしましては、できるだけ両者の話し合いが円満につくことを期待いたしまして、その効果の上りますことを期待しておるわけでございます。
  150. 田中一

    田中一君 蓮田参考人に伺いますけれども、今私とやりとりをしておるのをお聞きだと思います。そこで住宅公団が提出しております資料のうち、七千九百六十八戸というものが家賃を払っておらない。そのうち四百五十戸だけは供託するように土曜日の統計では出ておるが、あとの方々協議会として家賃を払うなというような指令を出しておられるのですか、それとも各自由な立場でもって自分の意思にまかしておるのですか。
  151. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) これは協議会といたしましては、戦術と申しますと、はなはだ語弊がありますけれども、供託という線を全国一本できめておりますので、先ほどのお話でも四百何名ということがありましたけれども、われわれの調査によりますと、近くきのうきょう、あすという日に供託を完了いたしますものは三千数百人というふうに調査がしてございます。従いまして、おそらくはぼ数日のうちには、何しろ供託というものが最初のケースであったものですから大へんおくれましたのですが、ここ数日中には三千戸ないしは四千戸という数字が出るものと確信しております。
  152. 田中一

    田中一君 植田君にもう一ぺん伺いますが、このようにですね、今蓮田さんの方では七千九百六十八名全部が供託するように協議会では勧誘しておる。その際にはおそらく契約書に基く固定資産税相当額というものが家賃に入るのだということになっておりますから、前段のこの契約書家賃と書いてある四千七百円か四千八百円というもののほかに、固定資産税分の幾らかは出すんだろうと思うのです。今日では家賃が高いという闘争をしているらしいんで、従って固定資産税というもの相当額というものは、これは払わないのだというのではなくて、高額に失するという闘争らしいので、あるいは十円か五円か相当分をおそらく加算して払っているだろうと思うのです。こういう事態になりますと、もう三月も待たないでも同じことだと思うのです。  そこでこれは建設大臣がおれば建設大臣に伺いたいのですが、あなたさっきから言っておる通り自分から責任ある答弁はできないというから、やむを得ませんけれども、これは大臣に伝えてもらいたいのです。この事態になって、そうして協議会としては全国的に供託をさせようというような動きを示しておるこの段階においてですね、政府としては監理官もおりながら放任しておるということは、これはいたずらに将来の住宅政策の問題においても、また今後入居するところの方々に対しましても、やはり問題であろうかと思うのです。私はこの際政府は当然中に入って、監理官をして解決の労に当らしめることを強く要望しておきます。  そうして委員会は、当然これは八月は持たんことに先ほどもきめましたから、八月は持ちませんけれども、九月初旬に持つことになっておりますので、個人的でもいいから、根本建設大臣の意図をはっきりとお示しいただきたいと思う。それによってまた蓮田君並びにその他の協議会方々にも個人的にお話し合いもするし、またお伝えもしたいと思うので、十分にきょうの模様をお話しの上で、個人的でけっこうですから、御答弁を願いたいと思うのです。  そこで、問題はですね、家賃が高いという問題なんでありますから、その点も政府としては公団家賃の積算、それから施工方法等改正する、低家賃に持って行こうという線があろうかと思うのです。この点についても十分に今日の住宅公団のあり方を検討なすって、私は何も吉田君や澁江君の月給を下げろとは言いません。これは標準でけっこうだと思いますが、あらゆる面の節約と、あまり高額な民間資金を入れないで、国民に奉仕するというこの住宅公団の性格というものをはっきりと打ち出していただきたい。こういうことを強く要望しておきます。  なお蓮田さんに、こうして来ていただきまして、おそらく不本意な結論かと思うのです。ただこの問題はあなた自身が今住宅局長に言っておるように、建設大臣がどういう態度に出るかということを見まして、皆さん方も善処していただきたい。同時にまたこの折衝公団としては受けるというような態度を示しておりますから、早急にそれこそ行きがかりを一応捨てて、新しい形でもって折衝に入っていただきたいということをお願い申し上げておきます。
  153. 蓮田勉二

    参考人蓮田勉二君) ただいまの御意思はよくわかりましたから、そのようにいたしたいと思います。
  154. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 本日は参考人方々に長時間にわたりまして、御熱心に御意見の開陳を願いまして、厚く感謝いたします。  それでは本日はこれをもって散会いたします。    午後一時九分散会