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1957-07-22 第26回国会 参議院 建設委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年七月二十二日(月曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————   委員の異動 本日委員山口重彦君及び内村清次君辞 任につき、その補欠として千葉信君及 び羽生三七君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     森田 義衞君    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            田中  一君    委員            小山邦太郎君            斎藤  昇君            増原 恵吉君            大河原一次君            坂本  昭君            千葉  信君            羽生 三七君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 根本龍太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設政務次官  堀内 一雄君    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省住宅局長 植田 俊雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に附する  調査の件  (昭和三十二年度建設関係予算執行  に関する件) ○参考人出席要求に関する件   —————————————
  2. 森田義衞

    委員長森田義衞君) ただいまより委員会を開催いたします。  建設大臣及び建設政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
  3. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 今回岸内閣改造に当りまして、不肖私がはからずも建設担当を命ぜられました。  御承知のように、まだ新任早々でしかもまた、従来この方面についてはなはだ経験、知識の乏しい者でございまするが、わが国の建設関係行政日本国民生活の安定、経済発展一つの基盤をなすものと考えまして、微力を尽しまして、皆さま方の御協力によりまして、職責を全うしたいと存じておる次第でございます。何とぞ経験の豊かな、そして御抱負のあられる皆さま方からいろいろと御教示をいただきまして、真剣に職責を全うしたいと思いまするので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。
  4. 堀内一雄

    説明員堀内一雄君) 私は、このたびはからずも建設政務次官を拝命したのでございますが、全くの未経験者でございまして、今後特例の御指導をお願いしたいと思う次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。   —————————————
  5. 森田義衞

    委員長森田義衞君) それでは昭和三十二年度建設関係予算執行に関する件を議題に供します。  ただいま大臣政務次官外官房長柴田君、計画局長の町田君、河川局長の山木君、道路局長富樫君、住宅局長植田君、営繕局長の櫻井君、会計課長の南部君、河川局次長の關盛君、道路公団監理官の鶴海君が出席されております。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 田中一

    田中一君 根本建設大臣就任後、新聞記者に発表して、公共事業費は三十二年度予算そのままを実施する、また実質的には多少翌年度に繰り越すようなこともあり得るかもしらんけれども、とりあえずは三十二年度予算は全部決定されたものを遂行するのだというふうな御発言がなされておるように見受けておりましたけれども、それに対する信念はいかがでございます。
  7. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 国会によって承認せられました予算実施するのが行政府のこれは義務であり、また当然なさなければならぬ仕事だと存じております。改造前の内閣におきまして、国際収支の悪化に伴う総合施策が決定されたのでありまするが、これは御承知のように総合的な対策でございまして、これに関連して公共事業費の問題がとりあげられているようでありますが、閣議におきまして、これは七月二日の閣議におきましても、この公共事業費等について非常に考慮を払われまして、従いまして、工事実施時期の調整については、研究するということに閣議決定していることを私は引き継いだものでございます。従いまして、私といたしましては、政府総合政策にもとより協力はいたしますけれども、事業性質上、これは公共事業費はできるだけ時期内に調整することはいたしましても、実行予算を作るとか、あるいはまた計画的に、意識的に繰り延べするということは考えておらないのでございます。従来の実績を調べてみますというと、相当一生懸命に事業を進めて参りましても、ほとんど不可抗力的に若干の実費的な繰り延べは今まで例年あったようでありまするが、そういう結果にはあるいはなるとは思いまするけれども、現在計画的に何パーセント繰り延べするという考えはいたしていないのであります。ただし、この総合施策関係上特に重視されているのは、一時に工事がたくさん発注されたためにインフレ的現象が触るじゃないかということが国際収支経済安定の施策の面から考えらるべきであろうと思われます。従いまして、その観点からいたしますれば、時期的な調整はこれは考えなきゃならぬと思いまするけれども、現在私は公共事業費繰り延べするということは考えておらない次第でございます。その旨を新聞記者団に発表したわけであります。こういう経緯でございます。
  8. 田中一

    田中一君 予算の面においては繰り延べをしないけれども、実質的に繰り越しされるという見込み額はどれくらいございます、前年度、前々年度からの実績から見て。
  9. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはにわかに今どの程度ということは困難かと思います。と申しまするのは、経済情勢変化あるいは天候等災害等が出て参りますというと、やはりその影響もあるとは思います。しかし従来の状況から見ますれば、一割程度あるいはそれ以上の繰り延べが実質的に結果されておったと聞いておりますが、公共事業費はすべてこれは国民経済生活、あるいは国土保全関係する相当重要な問題でありまするので、なるべくこの繰り延べを少くするというのが本来の目的であらねばならぬと考えております。本年も先ほど申しましたように、時期的な調整はいたしまするけれども、繰り延べはできるだけ少くして予算実施がなされることを期待しておりまするが、まあ例年の、今までの過去数年間の経験からいたしますれば、やはり例年ぐらいのことがあるいは起るのじゃないかと思っておりまするが、私としては、できるだけ従来の実績よりも繰り延べを少くいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 田中一

    田中一君 道路公団住宅公団住宅金融公庫等に対しても、大蔵省財政投融資繰り延べ要求して参っておるのは御承知通りでございますが、これに対しては前回の委員会におきまして、建設大臣並びに各団体総裁に来てもらいまして、十分に質疑を、調査をいたしたわけでございますが、その結果どういう形でこの三つ団体に対しますところの三十二年度にわれわれに報告をいたしましたところの事業計画というもの、これが改変されるものがどのくらいございますか。最後の決定的な線が出て参りますかどうか。
  11. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 今お示しの点は、まだはっきりした数字が結論として出ていないと私は聞いております。御承知のように先般の前大臣の当時、関係者並びに大臣からいろいろ申されたようでありますが、これも御承知のように大蔵省もこれは国際収支の改善と日本経済の安定を目途として、一応のこれは要求されたものとわれわれは解釈しているのであります。従いまして、経済施策の成果が上りまして、それほど緊縮しなくてもよろしいという工合になりますれば、従ってこれは緩和されてくると存じます。今まで大蔵省要求されておりまするのは、住宅公団について百三十億、それから住宅公庫については九十億、道路公団については六十億、その算出の根拠は一応三十一年度における住宅公団繰越額が九十六億でありまして、三十二年度の現在の計画の一割程度を加算いたしまして百三十億、こういうふうに概算して要求しておるようであります。同様に住宅公庫については、三十一年度繰り越しが五十九億、三十二年度計画額の一割として二十九億、計九十億、道路公団は三十一年度繰り越しが四十五億に対して、三十二年度計画の一割十三億を加えて六十億、こういうふうな要請であります。これに対しまして、公団公庫が諸般の事情を考慮して大体住宅公団については百十億程度、それから住宅公庫については、これは御承知のように公庫自身が自主的に決定的なあれがなされないのでありますけれども、金融でございまするので、民間の要望あるいはその他の状況に応じてこれは貸し出すものであり、この見通しは非常に困難だそうでありまして、一応四十億から七十億程度の幅をもって考えておるとの通告でございます。道路公団は、これは名古屋—神戸高速度道路については計画通り絶対にやりたいということであります。その他のものを勘案いたしまして大体四十五億程度、これだけの繰り延べがあるいは考えられるのじゃないかという報告でございます。  しかし、これも先ほど申しましたように、今後事業の遂行の結果に基いてこれは調整さるべく、大蔵省に対しても事業執行上非常に支障を来す場合には要請のなにはありまするけれども、事業性質上、これはさらに緩和してもらうというふうにやりたいと、かように思っておる次第であります。
  12. 田中一

    田中一君 主十二年度予算が成立してまだ日がございません。そこで経済総合政策というものを新しく立てなければならなくなったということは、結局岸内閣認識不足からくるところのものではないか、同町にまた、もし悪く言えば、国民にいたずらに景気をあおるようないわゆる誇大な政策示し希望を持たせるというような悪意があるものではなかったであろうかと思います。もし政府が真剣に今日の国内経済情勢というものを判断して総合的な施策をやるならば、ただ残った仕事は三十三年度に多少繰り越すのだ、それでもいいじゃないか、事業量はちっとも滅らぬではないかというような言葉では、もはやだまされない段階にきておる。もしもほんとう日本経済というものを救おうという総合的な政策を持つならば、この際今答弁になった三つ団体におけるところのものにいたしましても、公共事業費にいたしましても、全面的な改訂をしなければならないのです。イージー・ゴーイングな、ただいつごろどうなるのだという目安もなくて、今日こうして新聞を見ますと、大企業ですら人為的な金融梗塞のために困難をきたしておる。そうしてこれはどうなるかと申しますと、大企業そのものはただ自分企業のうちに断層が生ずるだけであって、しわ寄せというものは、全部下請なり末端の労働者なりに移ってくるのです。もうその徴候は見えているのです。もしもほんとうに総合的な経済政策を立てようというならば、この際はっきりと臨時国会を召集して、予算を補正して、国民の前に計画的な生活のめどを立てべきが正しい方法で、あろうと思うのです。あなたは今まで一側程度のものが繰り延べになっておるのが実情であった、それがそれ以上には伸びないように自分で努力するのだということですら、少くとも建設大臣事業執行する、公共事業費を使っているところの建設大臣としては言葉が過ぎるのではないかと思うのです。やはり三十年度には三十二年度予算というものが、三十二年度いわゆる三十三年三月三十一日までに完全に消化することがあなたの義務でございます。従って前提として従来あったように一割の繰り越しがあった、だから自分はそれよりも多少とも消化していきたいという考え方では、お若い、それで非常に英知に富んでいらっしゃるところの行動的な根本建設大臣からの第一声として伺うのはあまりに残念でございます。少くとも総合的な経済政策を立てるならば、三十二年度予算を全面的に改訂する準備がなくてはならぬのです。われわれの前に示された三十二年度予算というものも、今日の現状から見てまだまだ何らの事業にも着手しておらぬというような状態です。その点については、おそらくあなたは閣議で相当な強いわれわれ国民希望しているような発言をしておるだろうと思うのですが、そういう点についてはどういう態度をもって臨んでいらっしゃいますか。ただ大蔵省から言われている、あるいは全体の空気というもので支配されて今日までおるのか、その点はもう少し強い信念をもって御答弁願いたいと思います。
  13. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) ただいま田中委員から経済総合政策に対する政府考え方について言及され、それに関連して御質問なされたようであります。これは私から総合的に答弁するのは適当かどうかは存じませんが、一応これに関して所見を申し上げますというと、御承知のように国政はもとより国会できめられた予算執行任務に当っておるわけでございます。しかしこれは一年間を通じての、そのワク内における操作が、行政行為として政府にゆだねられておるわけでございます。現在政府考え方は、外貨の状況が一時的に悪化した、これに伴いまする施策一つとしての金融政策の波紋が相当各方面に深刻に出ておる、これを是正して総合的な国家繁栄の道を講ずる、しかしこれはこの年度内におけるその行政排煙によってなし得るとの信念のもとに、現在政府がいろいろと施策を講じておるわけでございます。従いまして、年度内における行政措置によって措置できるという観点からいたしますれば、今直ちに補正予算を組む、あるいはまたそれに伴うところの画期的なる実行予算を組むとか、そういう段階に至っていないという見地に立って措置をしておるのでございます。その観点からいたしまして、公共事業費等をも考えているのでございますが、先ほど冒頭に私がお答え申し上げたように、予算国会議決によってきめられておりまするから、これを実行するのが政府任務である。従って建設行政に関する部面においては私の責任でございます。従ってその責任を遂行すべく万全の努力をすると申しましたが、御質問の中に繰り延べの問題が、従来の問題と本年の問題はどうかとの、こういう見通しを御質問を受けましたので、私は本来の任務執行するために繰り延べ等のないようにいたしたいと思っておりまするけれども、従来の経験実績からいたしますれば、このような実績でありまするから、あるいは若干の繰り延べはあるかもしらぬ、しかもそれはできるだけ少くしたいと、かように申し上げた次第でございまして、決して私が意識的に今までこういうふうな繰り延べがあるからそれは当り荷なんだというような考えは毛頭持っていない次第でございます。この意味におきまして、所管の関係事務当局にも十分にその点はすでに私から意図を示しておる次第でございます。  なおまた、大蔵大臣から特にこの問題について私に対してどうこうということはございません。これは予算できめられたものを実行する場合においては、総合政策としていろいろの点が関われましても、これは一時的な行政措置の緩急がおのずからあるということは、これは許されていいことだと思います。もしこれが行政措置だけでできない、そういうふうになりますれば、初めてこれはあるいは実行予算編成、あるいは補正予算編成という事態になると思いまするが、政府は現在そこまで考えていないというふうに了解しておる次第でございます。
  14. 田中一

    田中一君 新聞を見ても、町では現在の政府がとっておるところの行政措置がどのくらい悪影響をもって国民生活というか、あるいは各企業を脅かしておるかということはあなた御承知通りでございます。従ってその意味の一時的な現象についえていくところの国民生活というものを考えますならば、無計画な、年内には何とかもとに戻るであろうという仮定のもとにそれらの人たちがついえていくということは黙過できない問題があるのです。従って、たとえば本年度中には正常に戻るであろうという見込みならば、見込みのように、やはり全面的な三十二年度のすべての政治というものはその線に乗って動かなければならぬと思うのです。今日の場合には計画は、神武景気のそのままの姿でもって組まれた予算の上に立って事を行うというのであって、もはや神武景気どころではございません。一番最初に倒れるのはやはり中小企業その他です。大企業の一方的な意思自分の権利を侵害されるという連中が初めなんです。その現象があなたとしてはいつまで続いて、そういう者が一人もなく救われていくという見込みに立って今の御答弁をしていらっしゃるのがどうか、私はその点については非常な疑問を持つわけです。従って本年度を通ずるところの計画をお示しにならなければ、行政上の権限だけでもってやっておるということでは国民は納得しないわけです。ほんとうにもしもそういうことをしなければならないならば、今言う通り公共事業費にいたしましても全面的に改訂をすべきであろう、何と言っても公共事業は一番金を食いますから、そういう考えを持つわけです。  それはさておいて、これは完全にやりましょうということでは国民は納得いたしません。そこであなたの担当する面でない質問が多いので御迷惑かもしれませんが、少くとももここで公共事業費は前年度に消化したもの以下には下らないのだ、絶対にこれを消化して見せる、今後あらゆる悪条件がそろうとも一遂行するのだということ。それから三つ公団公庫、これらもできるだけ——私が希望するところは、全部と言いたいのです。全部遂行しなくちゃいかぬ。三十二年度国民示したるこの額だけは消化しなければならないのだということを主張していただきたい。ところが、先般も道路公団岸総裁は、これは当然でございます、繰り延べするのは当然でございますという意見を言っておりました。それから、住宅公団の加納さんもそういうことを言っておりました。しかし、政府のとっておる今日の施策というものに対しては私は反対でございます、という意思表示をしておりました。同時に、住宅金融公庫の鈴木さんは、不本意ながら前年度は五十九億の繰り延べができた、初めて繰り延べをした、今年も何とかしてこれは使いたいと思うけれども、自分としては、できるだけ政府にもお願いをして、繰り延べをしないようにお願いしたいということを言っておりました。今建設大臣は、住宅金融公庫の場合にいたしましても、借主が不特定だからわからないのだということを言っておりますけれども、今までの政府がずっと続けておる住宅政策の一番大きな問題は、住宅金融公庫の融資を受ける希望者が何百倍にも上っておるということが唯一の言葉であったわけです。最近、あなたの方の建設省が出しました国土建設の現況という白書を見ましても、三十二年度当初における不足数は、二百三十万戸だと言っておるわけです。それにかかわらず、九十億の繰り延べをしようという考え方が、希望者がわからないからやむを得ないのだというように私は聞こえたのでございますけれども、この三つ団体に対しては、どの程度まであなたは大蔵省要求を入れようとするか、伺いたいと思います。
  15. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅金融公庫希望者がたくさんあるにもかかわらず、私が希望者が少いような意味の印象を与えるお答えをしたということのおしかりでございます。私が申し上げたのは、そういうつもりではなかったのでございます。この住宅金融公庫に対する希望者がたくさんあることは承知しておりまするが、貸出条件、そういうふうな条件の具備していないものも相当あるじゃないかという気持でございます。決して希望者が少いということではございません。  なおまた、これはお示し通り大蔵省要請があり、また公団のおのおのの責任者繰り延べ可能なり、あるいは繰り延べが必要だ、というふうに言われておりましても、政府といたしましては、計画実施するように鞭撻することに対しては方針は変っておりません。ただし、先ほど申しましたように、現実経済状勢経緯と申しますか、変化によってこれは決定いたすことではないかと存じます。先ほど田中さんからお示しになり、また私が冒頭に申しましたごとくに、政府国会議決によってきめられた予算執行する責任は、どこまでもこれはあると思います。ただし、万やむを得ずして例年繰り延べ等が行われることは、やむを得ざる事実としてもこれは遺憾なことでございます。極力皆さん方の御協力を得て実施したいと考えておる次第でございます。
  16. 田中一

    田中一君 繰り延べの問題は、これはもはや戦後慣例になっているのです。毎年々々繰り延べ前提になって計画されておるのが今までの実情であったと思うのです。そこで、せっかくあなたが今度長期安定内閣建設大臣になったのですから、本年度繰り延べを一銭もしない、全部三月三十一日までに消化する、同時に、もし不時の災害等があったならば、それらの費用も十分に補正予算を組んで取って、それも完全にやるというような意気組みが私はほしかったわけなんです。まあ、まだ御勉強中でございましょうから、各局長はそういうような強い熱意を持っておることを見ておりますので、どうか一つそういう点については十分な配慮を願いたいと思うのです。  そこでもう一つ伺いたいのは、今年になりましてから起きた災害に対しまする態度は、どういう形の施策をとっておられるか。同時にまた、むろん国が直接にやりますところの直轄工事は、これは当然でございます。これはおそらく早急にやっておるでございましょうが、地方費負担補助工事というものも、これが地方的には生産その他の大きなウエイトを占めておるものが多いのであります。ことにせんだっての天龍川の洪水で、飯田から名古屋へ出る二級国道、これは数十カ所で寸断されていて、とうてい半年や一年では回復しないというような情報が入っておりますので、こういう点につきましても、それはむろん県のする仕事だから自分の方は従来までの補助率で、現在あるところの補助率で、それを金さえやればいいのだという考えでおるのか。そうした幹線道路につきましては、産業上の大きな支障を来たすから、場合によれば国が直接に起債その他の面をもって自分実施してやろうというようなことに考えられておるのか。また本年度はどうやら周期的に災害が多い年ではないかという工合に各専門家が見ておりますが、その際に、どういう対策をもって臨もうとするか、そういう点について一つ、細かい点は河川局長なり道路局長から伺いますが、建設大臣としての信念をお漏らし願いたいと思います。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 災害対策は、できるだけ早く、早期に復旧工事をするということが一番これは大事なことであり、またそれなくしては関係住民に対して相済まんことだと思います。そこで私が赴任してから、直ちに今年になって出ました災害に対する総合的な今までの経緯を聞きまして、初閣議と申しますか、実質上の初閣議においては、その情勢報告するとともに、予備金支出要求した場合には、すみやかにこれが出し得るようにということを閣議要請し、その了解を得て、大蔵大臣もこれを承知しているのでございます。具体的な施策といたしましては、災露地、特に最近ございました地区につきましては、三班に分けまして、現地調査並びに査定に派遣しております。従来ややもすれば、この災害復旧査定が、建設省あるいはまた大蔵省の財務局とがいろいろ時間的に慎重を期したといえば慎重を期したかもしれませんが、非常に機動的ではない。そのために場合においては四カ月も五一カ月もおくれて査定がなされ、地元においては、もう一日もだまっておれないからなけなしの金を出し、あるいは自力を持ってやっておる。そうすると、それだけ災害が少いじゃないか、というようなことでいろいろなこの問題を起しまするので、現実災害が起っておるなまなましいときに査定をやって、そうして緊急にまず本年度やるべきところの目標を立てまして、予備金支出はすみやかにやらし、そうして関係自治体におきましてもこれに協力していただいて、国でやるべきものは国で実施し、地方でやるべきものについてはやっていただきまするが、御指摘のように、災害に伴うところの資金の問題等も、できるだけ建設行政部面については、建設省関係方面に連絡して、早期に着工し、工事ができるようにいたしたいと思っております。この点については、私が就任してから、各地建の局長を召集して、局長会議においてこれを示すとともに、なお、御指摘のように、本年は天候の長期予想においては災害が相当多いではないかと言われておりまするので、前大臣においてすでに伝達をしておりましたけれども、あらためて私の時期になりましても、この災害予防についての対策を講ずるとともに、災害の起きた場合におけるところのすみやかなる措置を講じ得るように、示達をしておる次第でございます。災害の具体的な実施並びにそれに対する具体的な施策については、関係の事務当局をしてお答えを申し上げたいと思います。
  18. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) ただいま大臣から総体的の問題につきましてお答え申し上げましたが、多少補足いたしまして、現在までの状況を御説明申し上げますと、災害は別に資料として差し上げてございますが、この資料の概略を申し上げますと、この前御報告申し上げました、あるいは資料をお手元へ差し上げました当時よりも、今回発生いたしました災害が非常に山の中が多かったというような関係で、その後被害額の報告が増加して参っておりまして、現在までの報告額は、直轄、補助合せまして九十一億一千万円に達しております。そのうちで特にひどかったのは、最後の表にございますが、一番多い県はやはり長野県でございまして、この前十億余りのが十一億七十万円に相なっております。次が岐阜県でございまして、八億二千三百万円、新潟が五億三千五百万円、次は北海道、秋田、山形等がやはり四億ないし正億に相なっております。これらの直轄河川の災害につきましては、すでに緊急のものにつき、ましては査定を終ったものもございまして、そのうち、北海道の融雪災害及び内地の融雪災害及び六月梅雨、七月梅雨の緊急を要するものにつきましては、すでに大蔵省と打ち合せができまして、約一億八千万円余りの予備金が近いうちに出ることに相なっております。  それから府県の災害につきましては、すでに先ほど大臣から御報告がありましたように、三班に分けまして、災害のひどい現地を調査させました。その後、県の準備が整いましたところから緊急査定を始めておりますが、すでに長野県、北海道、新潟、富山の各県につきましては、災害査定官が現地に行っております。その他岩手県、秋田県、山形県、岐阜県、大阪府、兵庫県及び山口県等の被害の著しい県につきましても、間もなく査定官が現地に参る予定に相なっております。これらの査定は、早いものにつきましては、七月の下旬には査定が終了いたしますし、その他のものにつきましても、八月の上旬におきましては、緊急査定が終る予定でございますから、それらのまとまり次第、大蔵省要求いたしまして、予備金の支出を至急取り計うようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  19. 田中一

    田中一君 長野県飯田—名古屋間の二級国道はどういう手を打っておりますか。
  20. 富樫凱一

    説明員富樫凱一君) ただいまお尋ねの名古屋—塩尻線のうち、飯田から南の方が非常に被害が大きかったのでございますが、特に浪合村の被害が最も激甚であるとされておるのであります。先般実情調査いたしましたものの復命では、応急復旧をいたしますのに一カ月半かかるということでございましたのであります。八月一ぱいには応急的な復旧は可能であろうと考えております。名古屋—塩尻線は、飯田から名古屋へかけます重要な幹線でございますので、私どもといたしましても、この二級河川の復旧には全力を上げたいと考えておるのでございます。なお、現在災害査定官も行っておることでありますし、査定の結果、なお状況がはっきりいたすと思いますが、県においてはただいまも応急復旧いたしておるわけでございまして、特に、この線につきましては、私の方としても関心を持って復旧いたしたいと考えております。
  21. 田中一

    田中一君 補助率は何か別な最大な方法で十分に行けるような方法で考える道はございますか。
  22. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 補助率につきましては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の定むるところによりまして、公共事業のその年に起きました災害の復旧事業をその年の標準税収入と比較いたしまして、災害の非常に大きい場合につきましては、逓増的に負担率をふやすというような規定がございますので、それによって行うわけでございますが、この場合は国道でございますので、県の災害復旧事業費を標準税収入と比較いたしまして、標準税収入の二分の一に相当するまでは三分の二でございますが、それを超過する場合におきましては四分の三、あるいは四分の四、全額国庫負担までの制度がございますので、それによって計算するわけでございますが、この災害査定が終りませんと、あるいは、私どもの災害だけではなくて、農林省の林地の荒廃であるとか、運輸省の砂防設備等の全部の復旧費がわからないと、その負担率が出てこないわけでありますので、その辺の問題につきましては、町村災害等につきましては、多分高率の適用ができるのではないかというふうに考えております。   —————————————
  23. 森田義衞

    委員長森田義衞君) この際、委員変更の件を御報告申し上げます。  本日、山口重彦君、内村清次君が辞任され、補欠として、千葉信君、羽生三七君が指名されました。それから新らしく議員になられました増原君が建設委員として指名されましたので、御紹介を申し上げます。
  24. 増原恵吉

    ○増原恵吉君 どうぞよろしく。   —————————————
  25. 羽生三七

    羽生三七君 ちょっと、先ほどのことで一口申さしていただきたいと思います。先ほど田中委員から御質問があり、政府関係者が御答弁になった飯田—名古屋線の復旧の件でありますが、実は、私先日現地へ行って参って、昨日こちらへ戻ったのでありますが、私たちが直接目で見て、そう簡単に復旧できるような情勢ではないので、特に、災害当時は、二百数十名の自衛隊が出まして食糧の運搬をしてくれたわけです。現在も、とんでもない道を回ってわずかに連絡しておりますが、この道路が復活しなければ、交通はもとよりその他のことに非常に支障を来たすという事情であります。八月いっぱいで応急の処置ができそうとのお話でありましたが、私行って見て、実際にそういうことができるかどうかを非常に疑問に思うほど激甚な被害でありますので、どうか負担区分等はとにかくとして、とりあえずすみやかに復旧のできるように、県において私この間から知事から相談があって申しておきましたが、政府でもできるだけすみやかに対策を立てていただくように今日までお骨折りいただいておりますが、なお一そうお骨折りのほどを希望いたします。希望だけ申し上げておきます。
  26. 田中一

    田中一君 建設大臣に伺いますが、別の問題ですけれども、あなた就任されてから建設業者といろいろ会談をなすって、いろいろな業界に対する抱負をお示しになっているように伺っております。そこで今回の金融引き締めというもので相当大幅に業界がゆらいでおります。というのは、御承知のように一昨年の百貨店建設ブームから引き続く民間建築で相当な伸びを示しておりまして、もう本年度あたりは最後の目ではないかというふうな段階にきていると思いますが、そこで本年度は相当大きな建築が全国的に行なわれておりますけれども、これらの支払いの問題が今後に課せられた大きな問題だと思うのです。私は大体目の子勘定いたしまして、今やっているのは一千億近くあるのではないかと思うのです。相当な数字を示すのではないかと思うのです。そういう現在からみて、最近業界には政府もこれに関与しているらしく聞いておりますけれども、何か特別な金融機関を設けるというような案が考えられておるように聞いております。また現在の前払い保証金制度ですか、あの会社の問題もあって、これらの問題も改正等も考えられておるように聞いておりますが、そういう点について建設大臣はどういう考え方をもって臨んでおられるか、まず伺いたいと思うのです。
  27. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 数日前、日刊建設工業新聞でございますか、あすこの主催によりまして、業界の代表者の三、四名と対談したことがございます。そのときに当りまして、今お示しになりました建設関係の専門の特別なる金融機関を作ってほしい、こういう要望があったことは事実でございます。なおこの問題については昨年来問題があったそうでございます。前任者の建設大臣の方からもそういう問題があるということは承知いたしております。私まだ就任早々で、これについて本格的な検討はまだ進めておりませんが、先般業者関係のお話を聞いてみますというと、最近特に機械設備が相当程度充実されてくるとともに、それに対する資金が非常に膨大になってきている。ところが現在の金融機関におきましては、運転資金の方は一応の各会社の信用状況に応じてやられておるけれども、いわば設備資金ともいうべきところの機械の購入についてはなかなかこれを認めてくれない、そこに非常な隘路が出てきているので、何らかの方法をしてほしい、こういう要望でございます。  なおこれに関連して中小企業に類するところの土建関係におきましても、その点は特に切実に考えられておる。現在中小企業につきましては、中小企業金融公庫なり、あるいは相互銀行とか、あるいは地方銀行から融資を受けておるけれども、なかなかこれは困難である。しかしながら一面におきましては、これらの中小の企業体がなかなか信用を受ける体制まではできていないということも事実である。そこで中小企業の土建関係の組合が強化されて、相呼応してこの問題をはかりたいというような御要望でございました。現在この問題につきましては事務当局をして検討せしめております。なおまた皆さんからのいろいろの御支持並びに御意見を承わりまして、この問題は来年には一応何らかの形においてこの問題を取り上げたい、解決いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  28. 田中一

    田中一君 数々の考え方があると思いますけれども、この際中小企業を含める建設業に公共事業を行わせておるところの請負制度、こういうものに対して抜本的な考え方をしようというような意図はございませんか。ということは、現在のように危険負担を考えながらやりますと、相当な安全率を持ったところの金額で請け負わせざるを得なくなってくるのです。そこで私が常々考えておるのは、今日の会計法その他の法律がありまして、国としては安い金額でよい品物を作ることが望ましいでありましょうが、結局において品物の質に悪影響をもたらすことは、これはもうここにいらっしゃるところの方々全部御承知のはずです。そこで場合によれば損をしなければならぬ。損をしなければならぬからどうしても相当な危険負担を見込んで仕事をしてもらうということになりますので、損をさせない方法があるではないかというような考えを持ってもらえぬだろうかと考えられるのです。ということは、仕事をする以上、労働する以上、賃金をもらうのは当然です。従って余分な利潤はやらないでも、当然なる報酬は出すという仕組、これは実費精算でやる。これはむろんセメントをごまかしたり、鉄材をごまかしたりする余地はございません。全部国が関係すればよいのであります。当然施工者が自分で持っておりますところの機構による費用というものを負担するという形にすれば、今のような金融制度その他のものは要らなくなってくる。そうしませんと、何といっても今日大蔵省から出しておりますところの通牒というものは、そうした末端の中小の業者にまで及ばないような融資方法を示しておるわけです。そういう点について考えようという気持はございませんか。抜本的に今日の請負制度を合理化して損がない仕事をさせるというような考え方に持っていこうという考えはありませんか。
  29. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 非常に専門的なことになりまして、私もまだそういう経験もございませんのであれですが、まことに傾聴すべき私は御意見だと思います。十分御意見を承わりまして、事務当局をして検討せしめたいと思っております。従来御指摘のように日本の会計制度の結果、最低入札という結果になり、しかも現在業者の競争が激しいというところから、いろいろの実は政府が企図したこととは違った結果になり縛ることもあるようであります。また業者自体においても、そのために見込み違いとかあるいは不当の競争、無理な自転車運転をするというようなことをやっておったために破産しておるというような例も、われわれ他の方から仄聞しておるのでありまして、政府といたしましても、請負をさせる場合において、安いといっても業者が経営ができないことを目標としてこれは当然なすべきではない。やはり企業として成り立ち得るということを前提として設計並びに計画がなされ、予算化されているものと考えまするが故に、これが最も適切に国家目的を達成するとともに、業界においても安定した事業ができるような方策を講ずることは当然考えなきゃならぬと思いますので、今専門的なことをいろいろとお聞きしましたが、私まだそれを消化し縛る段階になっておりませんので、十分事務当局をしてこれは検討さしたいと存ずる次第であります。
  30. 田中一

    田中一君 一面、業法を改正して許可制に持っていこうというような動きもあるわけなんです。前国会で宅地建物取引業という例の町のブローカーと申しますか、こういう方々の業界においてももはや試験制度をしきまして、そして保証金も取って、国民に悪いしわ寄せの来ないようにというような法律も通過しております。従って、だからといって基本的な国民が持つところの職業選択の自由というものを奪うものじゃございません。ただ今月のように建設業者というものが、だれでも届出をすれば許可されるということになりますと、もちろんあなた方は希望するでございましょう、大きな業者、二十軒程度のものがますます繁栄をするのみでありまして、地方におきましても中小業、ことに建設大臣関係しております秋田県におきましても、弱小のものは全部中央の大業者の進出によって生活の基盤どころか、もう破産しなければならない状態に追いやられておることは御承知通りです。そこでそういうものも含めて抜本的な政策をとらなければ、国が出しますところの数千億の公共事業費というもの、これがむだに使用されるということにならざるを得ないわけなんです。この際一つ、せっかくあなたがそういうものに関心を持たれ、今後持たれると思いますから、十分に……。仕事をする以上損をしない、しかしながら余分なもうけやごまかしは認めませんという態度に出るような方策があるわけなんです。これは日本だけです、いまだにこうして請負という形式でもって目をつぶって、金額で押えてやっている仕事の仕組をやっているところは。どこでもやはりでき上るものの質というものを考えながら請負をさせるわけでありまして、何もこれは決して請負業者自身が悪いわけじゃございません。やはり国が持つところの制度というものがそこに追いやっている現状から見て、もうこの際新しい、損をさせないという立場から別な道を考えていただきたいということを要求するわけなんです。  こういう点については官房長が担当していると思いますが、今までの経緯はどうなっておりますか。われわれ業法関係の改正につきましては、いろいろ新聞等で散見しているにすぎませんので、政府がそれにいろいろ直接に話し合いをしていると思いますので、現在の段階はどういうことになっておるか、御説明願いたいと思います。
  31. 柴田達夫

    説明員柴田達夫君) ただいまいろいろ建設業につきましてお話がございました。金融機関等の設置の要望、これは大臣からも要望を聞いているというお話がございました。それからその次にお話がございました請負制と申しますか、一面から申しますれば入札制度の問題、あるいはまた会計法の問題、こういう点につきましても問題がございます。それからまた建設関係のただいま登録制等につきましてもお話しがございましたが、こういう制度についても、いろいろ業界の各層から御要望を承わっているわけでございます。  建設省といたしましては、こういう業界の要望等に基きまして、かねてからありますところの問題点につきましては検討いたしているわけでございますが、ことに最近におきまして、中小企業対策という問題が大きく取り上げられておる際でもございますので、問題の根本は、あるいは会計法の問題とか、いろいろ原則的な問題にも触れる点があろうかと思いますので、建設省限りで解決できない多くの問題を含んでおります。いろいろと大臣からお話がございましたように検討をしておるのでございます。しかし、従来からこの種の問題といたしまして建設業の審議会を設けております。各発注者側、あるいは業界、あるいは公正なる立場に立つ者等をして、審議会におきましてこういう問題を終局的には検討いたしまして、建設大臣に対しまして答申をしていただくというような方向で進むのが適当だろうと思っております。審議会におきまして、入札制度の合理化等につきまして従来いろいろとやって参っておるわけであります。ただいまの田中先生のお話は、さらにより根本的な問題にも触れるわけでございますので、大臣からのお答えもございましたように、そういうようないろいろの問題につきまして、今後十分検討いたしたいとかように考えております。
  32. 田中一

    田中一君 その審議会の構成が、一般の民間の注文する側の方も入っておるようでありますが、おそらく公共事業費の場合と民間企業の場合とは違うと思うのです。民間の場合には、これはもうお互いが話し合いでどういう契約をしてもいいと思いますけれども、少くとも公共事業費の場合には何といっても安いほどいいわけなんですから、そこに問題があるわけです。これは別個に考えられて、できるならばその面のものは国が審議会に諮らずして、全体のために考慮されていいんではないかと思うのです。今の御答弁のうち、それらのものも審議会に相談してきめるということは私はどうかと思うのですが、その点はどう考えておりますか。
  33. 柴田達夫

    説明員柴田達夫君) 審議会を離れまして、国独自の立場で検討しなければならない面もあるかと存じます。また審議会にかけます場合におきましても、審議会は諮問機関でございますから、ただその意見を政府といたしましては参考にするという限界があるのでございます。具体的などの案ということに問題がなっているわけではございません。全体につきまして申し上げたのでありまして、政府として検討——独自の立場にすべきものはもちろん政府として検討いたします。審議会の意見を聞くのに適当であるのは聞くようにいたしまして、広い立場で検討いたすべきものと考える次第であります。
  34. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 速記をとめて。   [速記中止〕
  35. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 速記をつけて。
  36. 田中一

    田中一君 実は先ほどわれわれ理事会を開きまして、明日住宅公団の方々並びに入居者の方々をお呼び願って、ここに来ていただいて、いろいろ現在やっておる固定資産税を七%かける、家賃に加算するという問題から、現在何といいますか、家賃を供託して公団に払わぬという層、それから公団にそのまま払っている方々、それから固定資産税に見合う分だけを保留して、従来契約をしている家賃だけを払っているというこの三つのケースが現在現われていて、抗争中であるのは御承知通りなんです。この問題について明日公団側に来ていただきまして十分検討して、伺ってみたいと思っておるんですが、建設省としてはどういう態度を持ってこれに向っておるか。むろんこれは固定資産税に見合う七%というものが税金だということを言っておるために問題があるのでありまして、当然これは政府としては、監理官を出しているところの、ことに建設省はこれに対する対策といいますか、この問題を解決するための努力を払わなければならぬ義務があると思うのです。そういう点については今日までどういう省議のまとめ方をしていらっしゃるか、伺いたいと思います。
  37. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 公団住宅の固定資産税の紛争のあることは承知いたしておりますが、まだ詳細どういう経緯かということを、まだ詳細については私必ずしもよく理解していない点があると思いますので、具体的には住宅局長から御答弁願いますが、政府といたしましては、御承知のように法で規定し、かつ契約上規定しているものはやはり守っていただく。ただし、その間おそらく今まで説明不十分、あるいはまた入る場合におけるところの事前によく納得工作ができないために、誤解から生じたところの紛争ではなかろうかとも思います。しかし現実に紛争が起っておることは事実とするならば、これについて了解工作なり、その他の万全の措置を講じなければならないと思いますが、具体的に今までの経緯、あるいは現在どういうふうな措置をとっておるかについては、住宅局長から答弁いたさせたいと思います。
  38. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 総括的な点につきましては、大臣からただいま申し上げた通りでございます。六月分の家賃から、固定資産税といたしまして住宅公団が市町村に払いますものを、入居者に負担していただくという方針をとりまして、住宅公団から入居者に通知し、その納入を期待しておった次第でございます。先ほど田中委員からお話のございましたように、固定資産の税率は本来百分の一・四でございますが、自治庁の通達によりまして、新築後三年間はこれを二分の一にまけるということになっておりますので、百分の〇・七の固定資産税が市町村から公団にかかることに相なるのでございます。それからこの評価の問題でございますが、この問題につきまして、公団と自治庁とが交渉いたしまして、耐火の建築につきましては一坪当り四万円に統一する。それからテラスにつきましては三万五千に統一する。こういうことに計算いたしまして、現在公団としてこの固定資産の対象になっております住宅の戸数は一万五千八百三十六戸でございます。団地といたしますと、四十六団地でございます。これに対しましてその通知をいたしまして、納入を期待しておったわけでございますが、ただいまのお話のような事情によりまして、現在までのところ四七%だけが家賃の全額、すなわち固定資産税の入居者負掛額まで含めた全額、もしくは固定資産の先ほど申しました平均で申しますと、三百六十円を含まないその他の、家賃を一部納入するという形で納められている状況でございます。それ以外の戸数につきましては、現在のところ納入になっておりません。この金額がどういう形で負担されているかということにつきましては、公団といたしましても正確な数字は把握するところまで参っていないわけでございますが、一部は代表者の方が集められて銀行等に預金されているという話もございます。また一部は事実上供託の手続をとっておられるのもございます。供託がこのうち何パーセント行われておるかということについては、まだ的確な数字を持つまでには至っていないわけでございます。
  39. 田中一

    田中一君 それで監理官としては、その問題についてはどういう態度をもって公団に臨んでいらっしゃるか。
  40. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 家賃の構成要素といたしまして、固定資産税は当然含まれるべきでございます。当初の契約書におきましても、固定資産税の額が見通しがつきませんでしたので、固定資産税を除きました家賃につきましては金額を明記いたしましたが、固定資産税がかかって参ります場合におきましては、その分を加えて家賃として払ってもらう、こういう趣旨のことを書き加えておったわけでございまして、契約書の上から申しますれば明白な事実でございます。しかしながら一部には、あるいはその点につきまして十分な理解がなかった向きもあろうかと思いますが、契約書に明記されておりました事実でございますので、この履行を公団といたしましては、ただいま要望いたしておるわけでございます。現在の段階におきましては、六月分の家賃——六月分の家賃は六月末から七月の初めにかけて取るわけでございますが、この六月分につきまして、ただいまのような予想しないような事態を招いた次第でございますが、これにつきましては、公団といたしまして、全組織をあげまして、入居者の方々の理解を求めることに努力いたしておるわけでございます。建設省といたしましても、現在公団側のとっております措置を全面的に支持いたしまして、この説得によりまして、この問題ができるだけ早く解決されることを期待いたしておるわけでございます。
  41. 田中一

    田中一君 契約に基いて、今度のがずっと続けておる場合には、政府はどういう立場をとることになりますか。
  42. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) まだ六月分の家賃につきまして、そういう現象が現れているだけでございまして、ただいまこれが何カ月あるいは一年も続くということを予想いたしまして対策を講ずるのには、まだそこまでの段階にはきていないと思っておりますので、ただいまのところ説得工作以外には何ら考えていないわけでございます。
  43. 田中一

    田中一君 固定資産税については、四月一日から徴収することになっておりますね。
  44. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 固定資産税の法文によりますと、一月一日現在の建物なり土地の所有者に対しまして、その一月一日の次の年度で申しますと、その年の四月一日でございます。従いまして四月一日からその土地、建物に対して課せられるということになります。従いまして一月一日に公団の所有になっております土地につきましては、土地に対する固定資産税だけがかかります。また、そのときに建物もございましたら、土地と建物に対する固定資産税が四月からかかるわけでございます。そこでこれも御承知のことでございますが、公団といたしましては、この固定資産税の額がきまりましたのは、だいぶおそくなりましたものでございますから、従いまして理論的に申しますれば、あるいは四月から一年分の固定資産税を六月から来年の三月までの十カ月間に分納してもらうことが筋になろうかと思いますが、その許可をしました時期が六月分の家賃を決定した時期でございましたので、四月五月までさかのぼって取るのもどうかというふうな非常に慎重に配慮をいたしまして、三十二年度分の十二分の一しか六月以降取らない、こういう措置を講じておるわけでございます。
  45. 田中一

    田中一君 そうすると、四月、五月の分は公団が負担をするというわけですか。
  46. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 四月、五月の分につきましても、公団は市町村に納めるわけでございます。その二カ月分のもとにつきましては、公団の負担ということになるわけでございます。
  47. 田中一

    田中一君 その四月、五月分を公団が負担して市町村に納めるということの根拠はどこにあるのです、法律上の根拠は。
  48. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 言葉としては十分ではございませんで、負担をすると申し上げましたが、これは課税主体であります市町村と交渉いたしまして、課税主体の方でその分だけまけてくれるということでございましたら、その分につきましては公団が支払わなくてもいいわけであります。その辺については未解決でございます。簡単に負担すると申し上げましたのは、その点ちょっと言葉としまして不十分でございました。訂正いたします。
  49. 田中一

    田中一君 市町村が全面的に公団の住宅はまけますと言ったら、全部かからないわけですね。
  50. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 市町村といたしましては、理論的に申しますれば、そういうことになるわけでございます。しかしながら、市町村は固定資産税を一つの財源といたしまして各種の事業をいたしておるわけでございます。法律上、市町村がそういう公団に対しても固定資産税を賦課するということになっております。またその点につきまして、自治庁から先ほど申しましたような、固定資産の評価額につきましての統一した指針を地方に示しておるわけでございますので、そういるという方針はとらないと考えられるわけでございます。
  51. 田中一

    田中一君 では四月、五月分はまけてくれるという根拠はどこにあります。
  52. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 四月、五月分につきましても、公団といたしましては、まけてくれることを期待し、その分が公団の経理に影響を及ぼさないことを期待しておるわけでございますが、この点につきましては、まだ公団としまして解決ついたという報告は、私ども聞いておるわけではございません。その分についてはまだまけてくれるとも、またまけてくれないとも見通しについてはついていないわけでございます。
  53. 田中一

    田中一君 まけてくれなかった場合には、四月、五月分は公団が引き受けるという法律的根拠はどこにありますか。
  54. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 固定資産税は、公団が市町村に対して払うべきものでございます。その固定資産税を入居者に第二次的に支払ってもらうわけでございます。そういった措置は、法制上禁じられておる規定はなかったかと存じておりますが、その辺のところまで十分の調査もいたしておりませんので、あるいは答弁といたしましては不十分かと存じますが、御了承願いたいと存じます。
  55. 田中一

    田中一君 それでは、もしもまけてくれという要請が立法的に可能であるならば、これは当然国が、建設大臣が少くとも全面的にまけてくれという要請ができるということになります。たとい一カ月分でも、それを承認するならば。そもそも公団住宅に対して固定資産税をかけ、それがそのまま居住者の負担になるということは、これはもう固定資産税がかかるんだということは家賃が上るということなんです。端的に言えば固定資産税云々の問題じゃないわけです。結局家賃が上るということなんです、この入居者といたしましては。この固定資産税分をかけるということは、今日まで低家賃政策と大みえ切ってうたっておったところの鳩山内閣以来の住宅政策に相反するものであって、これはどこまでも地方公共団体、市町村の財政的なプラスになる面を考慮されたところの方式なんですね。そこで問題は、あすはゆっくり両方の言い分を聞きますけれども、問題は建設大臣と自治庁長官ですか、との話し合いで、こういう悪い政治を是正することが望ましいわけなんです。公営住宅にいたしましても、当然これはかかるでございましょう。これは二年間延期しております。そこでそういう問題につきまして、建設大臣として相当な決意を持ってかからなければ、今の住宅局長答弁は支離滅裂なんです。あるがままの、波に流されておるのが現状なんです。そういうことでは、契約書がこうなっているから取るんだという意思表示じゃなくして、反対が強いからこの分だけはまけておこうと、これからこうしようというようなことにしか結論ずけられないわけですね。こういうことではこの闘争というものはまだまだ続くわけなんです。そこでこれは単なる居住者と住宅公団という家主の問題ではなくして、政治的な問題なんですね。建設大臣はこれに対してどういうお考えを——就任以来、もうこの問題は新聞にも書いてある問題ですから、関心をお持ちになって、局長からも聞いたと思いますけれども、どういう態度で臨もうとするか、お聞かせ願いたいと思います。
  56. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 住宅政策は、御承知のように絶対的に現在日本国民が要望する住宅が、このままにしておきますと、民間ではなかなか充足できない。そこで政府施策として、これを鳩山内閣以来取り上げて今日に至っているわけであります。現在起っているところの紛争事件は、その多数の住宅を希望しておって不足しているうちから、ある意味においては選ばれてその恩恵に浴している人の問題です。政府としての住宅政策からするならば、でき得るだけ多数の、自力をもってやり得ない人々のために住宅を提供するということが一つの大きな任務でございます。で、いろいろの住宅を建てるための政策も行われておりますが、現在民間の人々は、自分で建てますというと、当然固定資産税もその建物は取られているわけでございます。従ってそういう観点からするならば、公団が取るということもこれはやむを得ない当然のことじゃないかと思っております。その意味において、すでにこれは入居者が希望し、そうして入るときに明確にこれが規定されているわけでございますから、その点はやはり法並びにそうした契約は尊重していただきたい、かように思っている次第でございます。  で、今は何か固定資産税を公団住宅に負担せしめることそれ自体が不当なような印象を与えるような動きもあるようでありますが、それは必ずしも私は公正なものではないじゃないかと考えている次第でございます。これが一つの大きな社会問題としてみる場合においては、入っている人が政府の特別な恩恵を受けていながら、なおかつ当然普通の人が納めるべきものも納めないでいいということにはなかなかならないのじゃないか、世論の意味においてもそうならないのじゃないかと考えるわけであります。  ただ田中先生が言われている通りに、政府住宅政策として、しからば公団はなるべく安く多くのあれをやるという場合において、固定資産税分は公庫がこれは負担すべきだという政策をとるかどうかということについてのこれは御議論になるだろうと思います。現在のところ政府としては、入っている人に対してそうした恩恵を与えるよりも、まだ入りたいと思っているにもかかわらず、希望しているにもかかわらず入り得ない人々が多数まだありますから、そちらの方面にやはり、重点をおいていきたいという考えで、従って当然なる固定資産税分を、公庫の欠損をそのまま一般会計で補給するという考えにはまだ立ち至っていない次第であります。
  57. 田中一

    田中一君 あなたは鳩山内閣時代から、ずっと一貫して住宅政策の問題もずいぶん吹聴されて参ったわけなんですが、ではあなたの議論からいうと、公団という住宅政策はない方がいいという結論に達するわけなんです。一方において公営住宅法という法律に基いて公営住宅というものが建っているのです。住宅公団にはやはり財政投融資もやっておりながら、なおかつ民間資金を導入するということを言って、それをもって公団が成り立っておるのです。本年度計画でも加納総裁財政投融資の面のうち長岡資金だけは借りないでやっていけばいいんだということを言っておるのです。従って公団住宅なんというものを作らないで、公営住宅に全部の資金を持っていけば、今言う通り二年も固定資産税をとらないという事実が、ここに行政措置で行われておるという事実をあなたは承知しなきゃならぬと思うのです。従って建設大臣公団住宅というものは高家賃である、同時にまた固定資産税に見合う家賃の値上りが必至であるんだという前提に立ってものを言っておられますけれども、公営住宅には二カ年も行政措置でとらない方針を政府示しておるんです。そうするとあなたが低家賃の住宅供給、国民に対する供給ということに熱意を持っておるならば、あなたの任期中にいさぎよく公団を解散して、全部その資金を公営住宅に投入なさい。それでこそ初めてあなたはりっぱな建設大臣になれる、こう考えておるのですが、その点どうでございますか。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 田中さんからはなはだ激しい御議論を聞きましたが、田中先生百も御承知通りでございまして、御承知のように現在国民の中で住宅が不足しておるのは、いわゆる非常に低額の所得者のみならず、いわゆる日本の中産階級という人も事実非常に困っておるのでございます。そこで公営住宅の対象になるずっと所得の少い方、まあ日本の現在の中間層とも言うべき人の問題と二つあると思います。そこで公営住宅は主として最も低額所得者を中心として、しかもこれは地方自治体なんかが中心となってやりまするので、そうした政策が確立されておる。それからまあ中間層とも申すべき所得者の方々については、やはりその所得の状況から見ましても差があってしかるべきではないか、かように考えております。そうして御承知のように現在建築をするということになりますと、相当のまとまった金が必要である、個人ではなかなか借りられない。また設計等もいろいろあれだし、それから請負にいたしてもなかなかそう適切なものが得られない、あるいは現在の日本の都市の状況から見れば、敷地の問題もなかなかむずかしい問題がある。そこで公団というものができまして、用地を整備し、あるいはできるだけ安く集団的に作り、そしてまた都市計画の一環ともしてこれを総合的に運営するという点から見ますれば、公団というものが現在日本住宅政策一つとして存在することは、これはすべて認めておることじゃないかと思いまするが、しかし田中先生が言われておる住宅政策のうち、やはり低額所得者をもっと優位に考えるべきだ、もっと重点をそこに行くべきだという、そういう主張をより強く表現するために今申されたことだとまあ私了解しておるのでありまするが、そういう意味においては十分これは考えなきゃならないと存じております。
  59. 田中一

    田中一君 今建設大臣は低額所得者という言葉を何べんも使っておりまするが、月末の憲法には高額所得者、低額所得者というものを分類して対策考えるということは悪法には一つもないんです。はっきりと二十五条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」平等なんです。従って低額所得君に対する対策とか、高額所得者に対する対策とか、その中間の国民に対する対策などというものは住宅政策の面においてはあるはずがないんです。あってはならないんです。あるのは悪い政治なんです。高額所得者に対するこの奉仕以外の何ものでもないのです。高額所得者は自分で建てたらよろしい、今日は自由でありますから、従って今の固定費産税の問題もそこにくるわけなんです。もしもあなたが……憲法第二十五条には全然ございません、そういう区別は。従って低額、高額なんという考えを持って住宅問題を考えている今の政治が悪い政治だ、あなたは若いし、これから長期安定内閣建設大臣としてわれわれと一緒に建設行政に対して今後は十分に話し合っていこうというお気持でしょうから、そういう点からも抜本的な政策をお立て下さい。これはもうあしたゆっくりとその問題はわれわれ調査することになっておりますけれども、当然あなたにも御出席願えればまことに幸いと思いますが、十分にそのような憲法に違反するようなことは言わないで、これは自民党の政策で言うならば別ですけれども、そういうことはあまり口に出さないで考えられる方が、あなたはかつての革新官僚としてわれわれそういう点を非常に期待しているのでございますから、十分お含み下さるようにお願いします。
  60. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 誤解があるといけませんから一応私も申し上げます。ここで憲法論議を戦わす気持は毛頭ございません。もちろん憲法の条章は私も承知しております。けれども現実の政治というものは、平等だと言っておっても、やはり税金においてもそれでは全部みんな同じにかけるということにはなりません。やはり所得によって異なっております。あるいは生活困窮者には特別補助をすると、こういう意味においても御了承していただきたいと思います。もとより政府施策する場合において、すべて国民は平等なる立場において法の保護を受け、かつその人権が尊重されることについては十分承知しておりますので、よく田中先生の御意見はわかっておりますが、これも要するに住宅政策に対する熱情の現われとしての御議論と拝聴いたします。
  61. 坂本昭

    ○坂本昭君 関連質問。ただいま新大臣から住宅政策についての所感を承わりましたが、実は前の大臣も特に低所得層の人々に対する住宅、この問題については厚生省で簡易住宅の問題が取り上げられて、昭和三十二年度は十四億の予算請求がありました、ところがこれは全部削られてしまった。今の新大臣の御意見ならば、もちろん国民平等に住宅政策を推進していかれる決意であると私は信じます。つきましては昭和三十三年度予算もこの七月八月で作られて、そろそろ協議に入っていく時期ではないかと思います。特にこの簡易住宅について昭和三十二年度においては大蔵省建設省、厚生省、これが十分な協議を済ますことができなかったために、十四億の簡易住宅というものは全部流されてしまった現状でございますので、来年度については、一つ大臣において責任を持ってこの問題を建設省大蔵省と厚生省で十分検討の上、必ずこの低所得層の人たちに対する住宅問題を一つ解決していただきたい、このことを特にお願いしますと同時に、それについての御意見を一つ承わっておきたいと思います。
  62. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題は事務引き継ぎに続いて、省の幹部からもいろいろ経緯を聞いております。この問題は若干所管の問題と、それから同時に予算の項目をどういうふうに処理すべきかという二つの問題になると思います。厚生省がそうした——田中先生から怒られるけれども、非常に低額所得者を保護するために特別なる措置を講ずべしと、それを今まで生活保護法等の関係から住宅それ自身をも厚生省が要求されたようでありますが、これは低額所得者に対する一つの社会保障制度としての考え方は、厚生省で考えてしかるべきだと思います。しかし現在各省設置法において住宅に関する所管事項は建設省でありまするので、これは決して所管争いをすべき性質のものでなく、明確になっているのじゃないかと私は思っています。ただ問題はそうした低額所得者に対する考慮が足らないからその方面を十分留意してやるべしという、これは厚生省の鞭撻的支援となって現われるのがしかるべきだと思います。そこで御指摘のように、三十三年度予算編成に当りましては、十分その間厚生省とも意思疎通をし、大蔵省にもやはりその点を理解していただいて、この問題はぜひ解決したいと私も考えておる次第でございます。
  63. 田中一

    田中一君 私は当委員会にずっと七年間議席を持っていますが、どの大臣も必ず就任早々そういうことを言っておるのですが、いまだに解決されないのです。今の御発言非常にうれしいと思いますので、岸長期安定内閣におきましては、必ず根本建設大臣によって三十三年度において解決されるというように一つお約束願ったので、非常に幸いと思っております。
  64. 石井桂

    ○石井桂君 私聞き漏らしたものですから、ちょっと大臣でなくしてけっこうですから、住宅局長に。  公団住宅の家賃の不払いの問題が起きていますが、金融公庫住宅にも同じ性質のものがあるように僕は思うのですが、それはありませんか。
  65. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 政府計画住宅全般につきまして、公租公課あるいはそれにかわるものとして国会でおきめになりました交付金、これを全般につきまして、ただいままでのところ論理的にきっちりと割り切っているところまではきていないと思います。この点いずれは関係各省と相談いたしまして割り切らなければならぬ問題ではございますけれども、これは果して割り切っていきますのがいいかどうかということにつきましては、私もただいまのところ疑問を持っておりますので、公庫の融資におきます住宅におきましても、論理を発展して参りますれば、同じようなことになるものもあろうかと思いますが、これは衆参両院ともこの住宅の固定資産の問題につきましては各種の御意見もございますので、むしろ私どもが早まって結論をつけて参りますよりも、むしろ衆参両院の皆様のこの問題に対する御意見等を参酌しながら、まだ詰めていない問題については詰めて参りたい。従って言葉は率直に申しますれば、詰めなきゃならぬ問題はございますけれども、果して早く詰めていいかどうか、むしろ当分は詰めないで帰趨を待った方がいいのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。
  66. 石井桂

    ○石井桂君 私がお聞きしているのは、そういう不払い運動があるかという事実だけで、方針を聞いていたわけじゃなかったのです。実際知らないからありますかと聞いているのです。
  67. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) 具体的に入居者とそれから家屋の経営主体と申しますか、企業主体との間の紛争にまでなっているのはございません。税金そのものの扱い方については若干問題はあるようでございますが、あまり表ざたになっておりませんので、それは先ほど申しましたような趣旨で、しばらく推移を見たいと考えておるわけでございます。
  68. 石井桂

    ○石井桂君 もう一つ。それからさっき公団住宅の固定資産税算定に、評価価額を公団と自治庁と相談して鉄筋コンクリート四万円ぐらい、実際は五万六、七千円かかっておるのですから、それだけ譲歩したことはけっこうだと思うのです、まけるまけないは別として。これはやはり建設省としては公庫住宅にも、あらゆる住宅にもそういう態度を自治庁がとれるかどうかというようなことは、中へ入ってごあっせんになったのですか、その点。
  69. 植田俊雄

    説明員植田俊雄君) ただいまの四万円、三万五千円の評価の話し合いにつきましては、私の承知しておる範囲におきましては、公団が非常に熱心に自治庁に交渉してくれたことと承知いたしております。固定資産税、交付税の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題でございますし、地方財政の立場の方と住宅政策の立場の方とでは若干考え方もお違いかと思いますし、また事務当局といたしましても、自治庁の考え方と私どもの方の考え方とは、これも相当食い違いがあると予想されるわけであります。しかし食い違いいたしたままで推移することは適当でございませんので、最近はわれわれ自治庁に働きかけまして、まず住宅政策がどう行われておるか、また現在の住宅をどういうふうに入居され、また管理されておるか、こういうことの理解を深めることがまず先決だと思いまして、来月早々にも、自治庁の関係の幹部に全部一つ東京都の政府計画住宅を一日がかりで見てもらうというような申し入れをいたしまして、向うも同意しておるような状況でございます。  またこれは石井先生の御質問ではございませんが、坂本先生の御質問にも関連いたしますが、厚生省とも今まであまり話し合っていなかったのでありますが、厚生省の社会局長にも話しかけまして、近くそういうふうな話し合いの会合を厚生省との間に持つことに予定いたしておるわけでございます。
  70. 石井桂

    ○石井桂君 最後に新大臣一つお伺いいたしたいと思うのですが、三十一年度でしたかに、たしか国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律というのが出まして、電電公社とか国鉄あるいは専売公社の、市町村にある財産に固定資産税を賦課する問題ができたわけですが、そのときに、建設省はあまりお気づきにならぬうちに公営住宅も入ってしまったと思うのです、あれは。そこでわれわれも与党でありましたけれども、三十一年度、三十二年度にも公営住宅には固定資産税分だけ家賃が上らないようにお願いするということで、ようやく三十一年度、三十二年度はあの行政措置で固定資産税分だけ家賃が上らないように措置していただいたわけであります。そこで三十二年度、今年度あたり見ますと、与党の中でも大ぜいの人が固定資産税を賦課せられるような原因になっておる国有資産等所在市町村のあの法律の中で、公営住宅という分を除こう、議員提案で出そうという運動が起っておるのは私も承知しております。そこでそういう線に新大臣は御協力いただけるかどうかということなんです。
  71. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これはまだ私は十分に検討しておりませんし、もう少し勉強さしていただきたいと思っております。これは今事務当局においてもまだ私それについての意見も聞いておりませんので、十分検討の上善処したいと思っております。
  72. 石井桂

    ○石井桂君 最後に、政府は先ほど田中委員の御質問にもありましたように、非常に低額な家賃の住宅をどっさり供給するという方針で鳩山内閣からずっときていられるわけですね。ところが公営住宅のようなものに固定資産税分だけ家賃がとるようなものを法律でもって規定するということは、自分政策が破綻を示しているのじゃないかとまでわれわれは考えているわけです。そこで前大臣にも同じ反問を試みてみたのですが、極力一つそういうようなことがないように骨を折るという御答弁はいただいておる。しかしまああまり短かったからその目的を達成されなかったのですが、どうぞ一つ安い家賃の住宅をうんと作るという方針をおとりになる以上は、片方でうんと家賃を下げておいて固定資産税分だけまた取るでは、非常に大きな問題でありますから、家賃としては三割とか四割よけいになりますから、その点は十分御研究下さるそうでありますから、御研究下すって、一つ低家賃住宅がうんとできるようにお骨折りを願いたいと思います。
  73. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御趣旨は十分尊重いたしまして、検討いたしたいと思います。
  74. 森田義衞

    委員長森田義衞君) お諮りいたします。  公団住宅家賃問題に関する件を調査のために、明日の委員会参考人として、公団側から日本住宅公団理事澁江操一君、同じく同公団理事吉田安三郎君、また居住者の側から家賃を供託しているものとしからざるものと、おのおの一名の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  居住者側の参考人の選定につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  なおこの出席要求の手続等につきましては、委員長に御一任願いたく存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 森田義衞

    委員長森田義衞君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  それでは、本日はこれをもって散会いたします。    午後零時十二分散会