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1957-02-19 第26回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十九日(火曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            石井  桂君            岩沢 忠恭君            西田 信一君            田中  一君    委員            稲浦 鹿藏君            小山邦太郎君            中野 文門君            武藤 常介君            内村 清次君            大河原一次君            坂本  昭君            重盛 壽治君            北 勝太郎君            村上 義一君   国務大臣    建 設 大 臣 南條 徳男君   政府委員    建設大臣官房長 柴田 達夫君    建設大臣官房会    計課長     關盛 吉雄君    建設省計画局長 町田  稔君    建設省河川局長 山本 三郎君    建設省道路局長 富樫 凱一君    建設省営繕局長 小島 新吾君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君  説明員    建設大臣官房首    席監察官住宅局    長事務取扱   鬼丸 勝之君   —————————————  本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに雄姿諸計画に関する  調査の件(昭和三十二年建設省関係  予算に関する件)   —————————————
  2. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ただいまから委員会を開会いたします。  最初にお断わりいたしておきますが、本日、中山委員長は御都合があって登院が少しおくれるそうでありますので、それまでかわって委員長の職務を行なってほしいとのことでございますので、何とぞよろしくお願いいたします。  それでは昭和三十二年度建設省関係予算に関する作を議題に供します。ただにいま政府から南條建設大臣、ほかに政府委員として柴山官房長町田計画局長山本河川局長小島営繕局長及び鬼丸勝之説明員が見えております。鬼丸君は、お断わりしておきますが、鎌田住宅局長が病気のために出られないので、昨日住宅局長事務取扱の辞令が出たので、本日御出席を願った次第であります。  それでは御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  3. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) いまの、住宅局長代理鬼丸君を御紹介しておきます。よろしくお願いいたします。
  4. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 鬼丸でございます。よろしく御指導御鞭撻をお願いいたします。
  5. 田中一

    田中一君 最初建設大臣にお伺いいたしますが、あなたがまだ就任されない前、昨年の八月に行政管理庁監察部は、海洋保全事業監察報告書というものを、おそらくこれは河野長官に出したのでしょうと思いますが、この報告書を出しております。また昨年の十二月十三日には、公共事業特別調査委員会河野行政管理庁長官あて報告書を出しております。そこで第一に海岸保全事業観察報告書、この報告書に対する海岸法は昨年前々国会において通過しておりますので、この際この報告書に盛り込んであるところの内容に対しまして、建設大臣としての所見をお伺いしたいと思います。
  6. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 今ちょっとその内容を私存じておりませんので、調べて御報告したいと思います。
  7. 田中一

    田中一君 少くともこれは三十一年八月に答申されたものであります。従って所管河川局長は少くとも、この点は建設大臣に向って詳細に報告しているはずだと思うのです。ことに同じ政府内におけるところの報告書は、何ら承知しておらぬということはあり得ないと思う。
  8. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 私はまだその報告を、まことに遺憾でありますが開いておりませんので、暫時時間をかしていただきたいと思います。
  9. 田中一

    田中一君 では十二月十三日に出た公共事業特別調査委員会答申書、これに対する所見をお聞かせ願いたい、
  10. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 民間から出ました行政査察委員会報告書は一応私も拝見いたしましたが、それに対する私の意見はどうかということでございますけれども、これは公共事業に対するいろいろ査察官意見がございまして、いろいろもっともだという点も多々あるように見受けられます。具体的内容についてはもうしばらく時間をかしていただきたいと思います。全体として私は見たのであります。
  11. 田中一

    田中一君 三十二年度予算編成に当りまして、行政管理庁から出ておりますところの、少くとも建設大臣専門所管のこうした報告書に基く予算編成に関する影響と申しますか、あるいは考え方と申しますか、そういう考慮が払われたかどうか。今言う通りあなたは何にも御存じない、御存じないというならば、この二つ答申案に対しましては、何ら考慮されないで予算編成をしたということにならざるを得ないのであります。従ってそういう点は………。
  12. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) その答申案に全然関係なしに予算編成されたかと、こういう御質問でありますが、事務当局は私ども決してそういうことではないと思うのでありまして、ただ詳細にこまかい点に一々私が応答が困ると申すのでありますが、大体のあの答申案によりますと、公共事業については重点施策をすべきであって、総花的なやり方の面も多々あるが、それはいけないというように私ども承知いたしております。その点については今回の予算編成につきましても、できるだけ公共事業に対しては重点的にこれを効果的にやろうという施策は盛ってあるつもりでございます。
  13. 田中一

    田中一君 そうしますと、この公共事業特別調査委員会答申案というもりの内容は詳細知っておらぬけれども、大体の問題は重点的な事業あり方を求めているということだから、そのように三十二年度予算編成した、こういう考え方なんですね。
  14. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) そうです。ただたとえば今度の多目的ダムなどにつきましては、今までそういう点がなかなか総花的のようで、効率的に行かなかったのを特にそういう点を勘案しまして、特別会計で今回は施策をするということで、多目的ダムにつきましては、相当重点的に、効率的に明年度予算については施策をすることになったのもそれらの一例だと思います。
  15. 田中一

    田中一君 では、これは大臣はおわかりになっておらないから、今そういう結論の御答弁がありますが、それが反対な方向に向っているということをだんだんに解明していきたいと思うのですが、山本河川局長から一応この公共事業費使用あり方について、当面あなたの持っておる事業上における調査所見と、あなたの考え方一つ解明していただきたいと思います。
  16. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 特別委員会で問題になりました各省事業間の調整、それから重要な事項が解決がおくれておるというような点が大きな問題だと思います。まず第一に調整の問題、一番大きな問題は、先ほどもお話しがございましいように海岸保全施設整備事業海岸法施行に伴いまして、建設省、運輸省、農林省でその所管をおのおの分担することになりました。そのために各省の行いまする事業計画の間にそごが生ずるというおそれがあるという心配がございます。その点につきましては、事業をやる場所の調整はその主導権を県が間に入りまして、各省所管別の区域をはっきりさしております。それからまた計画内容につきましても、たとえば将来全面的に海岸干拓事業ができるというような所の海岸堤防は、しばらく完全の強さにしないというような方法も講じておりますし、前に干拓事業計画はあっても、しばらくそういう計画ができ上らないというような所につきましては、その堤防の補強をするというふうな計画のもとに来年度の三十二年度予算編成はしております。  それからダムの問題につきまして、特に指摘がありました、たとえば北上川の湯田ダムの問題が、二十八年度著手以来相当年数もたっておるのに補償問題も解決しない、それから事業費も  ついていないというような点でございますが、そういう問題につきましても、来年度におきましては特別会計に編入いたしまして、相当量事業費をつけておるということにしております。またダム等の総合的の管理の問題が、作った上でその管理運営等が非常に心配だというふうな御指摘もございました。そういう点につきましても、重要な数府県にまたがるようなダムにつきましては、国が直接管理をいたしまして、厳重な操作規定を作りまして、ダムを維持管理していこうということにしておりまして、たとえば非常に重要な、あの指摘されました重要な事項につきましては、以上申し上げましたように、来年度予算において考慮しております次第であります。
  17. 田中一

    田中一君 この公共事業特別調査委員会答申というものは、少くとも今までの建設省所管であった事業に対しまして、相当大きな変革を誘発するような示唆を示しておるのです。これは官房長に伺いますけれども、過去においてこの答申案内容について十分省議か、あるいは何らかの機関で検討したことがございますか。
  18. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) ただいまお話がございました公共事業調査委員会報告につきましては、建設省におきましても、その報告書をもちろん調査いたしておりまして、省議にも報告をいたしております。のみならず、この全体の考え方としては、きわめて適切なる調査内容であるというふうに考えておりまして、その内容につきまして、さらに建設省としてどういうふうに具体的に仕事を進めていくべきかというようなことについての意見その他につきましては、省議に基きまして、さらに各局にこれはよく消化するように手配をいたしておるような次第であります。
  19. 田中一

    田中一君 もう一度くどく伺いますけれども、実際にこの問題について各部局について詳細な検討とそれから対策をお考えになっておったかどうかを伺っておるのです。それは何もしなかったらしなかったでいいんですよ、内閣が違っているのですから。嶋山内閣石橋内閣に移ったんですから、しないならしない、でいいんです。だから、うそを言わないで率直にこの問題についての検討がなされたかどうか、同心にまたさっき大臣に伺ったように、三十二年度予算編成に当って考慮されたかどうかという点です。これは何もしないものをなぜしなかったのかと言って責めるわけではないですから、率直にもう一ぺん官房長の御答弁を願いたいと思う。
  20. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 率直に申し上げている次第でございまして、この答申と申しますか、調査報告につきましては、建設省といたしましても十分これを消化すべく検討中でございます。検討中のやり方につきましては、各局関係者を集めまして、この答申と申しますか、調査の結果をよく説明いたしまして、これに対して各局としてよく検討するようにということを申し渡して、検討中であるというのが実情でございます。その結果まとまった要項のようなものができるというところには至っておりません。ありのままでございます。
  21. 田中一

    田中一君 私はどうもそうではないのじゃないかと思うのです。この三十二年度建設省予算全部を見まして、少くともこの答申案というものをもとにして、是は是、非は非、あるいは妥当であるか妥当でないかというような点を検討されたなら、今度のような三十二年度予算編成されないと思うのです。それはどういう点かと申しますと、全く重点的にやるということを建設大臣もおっしゃっている。しかしながら、重点的ではないのです。総花的な予算であるといえるのです。ただ単に道路の問題については、ガソリン税の値上げによっての財源でもあるから、これは当然縛られておるひもつき財源なんです。それで道路費の問題は増大されておりますけれども、ほかの問題は圧縮されておると見なければならない。それも経済的な効果をねらうのでなくて、総花的な予算の分布ではなかろうかと考えておるのです。そういう意味で伺っておるわけなんです。  そこで、今海岸法の問題に関連して説明があったので申しますけれども海岸法が制定されて以来もはや半歳以上になります。従って政府としてはこれに対する対策と申しますか、具体的な対策というものを各省ともども真剣に取っ組んでいるはずだと思うのです。ところが、本年度予算に計上されている海津保全に関する予算額というものはどうなっておるか、あまりにも——われわれが海岸法の制定を促進させるような態度をもって臨んでおったことは皆さん御存じ通りです。にもかかわらず、予算に計上されたものというのはあまりにも少額に過ぎる。同町にまた何らの熱意もみせておらないという点を指摘せざるを得ないのです海岸法一つを取り上げても、海岸工事に対する熱意の現れがどこにあったかという点を一つ大臣から詳細にお示しを願いたいのです。もっとも建設大臣はいろいろのことは、党内のいろんな問題があるから、なかなかお勉強ができないと思いますから、一応御答弁を願って、その補足は専門局長からやっていただきましょう。
  22. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 今海岸法の問題についてお話がありましたが、これは先ほど河川局長からもお話しのように運輸、建設農林各行にまたがっている問題でありますので、これらの各省間の調整をとりつつ、この問題を解決したいというので、それがために調整がおくれて、ただいま御質問のような問題が起っていると思うのでありますが、十分これらの三省間の調整をとりまして、海岸法趣旨を徹底いたしたいと思っております。詳細は局長から一つ
  23. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 海岸保全事業の促進につきましては、私どもも最後まで努力をしたのでございますが、それにいたしましても、一般の公共事業におきまして、昨年度が内地で三億五千四百五十万円というものが、四千百五十万円増加いたします。それから特別失対で二千万円を増加いたしまして、合計六千万円余の増加でございまして、ほかの事業に比べますると、比率一におきましては一番増加いたしているわけでございます。ただ私どもといたしましても、これで十分というわけではございません。ただこの中におきましては、昨年、一昨年と非常な災害を受けました海岸につきましては、特に有明海岸沿岸海岸等につきましては、特に二倍あるいは三倍近い余事業費を計上いたしまして、重点的に促進するようなことにしております。そういう点で私どもの最大の努力をいたしまして、他の事業に比べまするとパーセンテージにおきましては、非常なる増加を示しているようなわけでございます。しかも重点的に被害の多いようなところに予算を配分したい、こういうふうに考えております。
  24. 田中一

    田中一君 三十一年に発行した国土建設現況というのはどなたがお書きになって、どなたがまとめたのですか。その内容については、おそらく各部局が責任を持って調査したものを書かれたものだと思うんです。これは建設省の発行でしょう。
  25. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 国土建設現況という出版物は、建設省広報資料という意味で作成しているものでございまして、文書課が取り扱っております。
  26. 田中一

    田中一君 これに、今後緊急整備を要する海岸事業費というものを報告してありましたけれども、これはどのくらいであるか、どのくらい報告されたか、官房長御存じでしょうか。今後緊急に整備を要する海岸事業費というものを、どのくらい政府はこの国土建設現況という誌上において報告されたか、御記憶でございますか。
  27. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) はっきり記憶しておりませんが、約三百億ぐらいというふうに存じております。
  28. 田中一

    田中一君 その通りですね。二百八十億だと言ておりますが、それに対してもやはりいま言う新しい法律を作って、必要だから新しい法律を作ったわけなんです。これも長年の懸案の問題なんですね。それがたかだか三億の予算を計上したということにおいて、これで重点的な施策をしたとは考えられないんですね。それで伺いたいのは、この二百八十億の緊急を要する事業があるといって報告しておきながら、三億程度予算しか取れなかったという経緯はどこにあったかというと、河川局長はこういうものは初めてのことであって、まだ実態もよくわからぬから、うっちゃっておこうというつもりだったのか、あるいはこの報告書というものは確かなものであって、これはどうしてもやろうとするならば、おそらくもう少し三億以上のものを、一分程度じゃなくして、もっと相当のものが要求され、また決定されなければならぬと思うんです。
  29. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 海岸事業につきましては、もちろん昨年との対比におきましては、以上申し上げましたような関係でございますが、建設省所管海岸事業といたしましては、今申し上げました海岸保全施設以外に、災害関連のところで海岸災害復旧助成費というのがございます。その中には高潮対策及び海岸災害復旧助成というのがございまして、三十二年度におきましては十四億四千六百万円見ております。それから地盤変動対策事業費補助というのがございます。これは昨年度五億六千二百万円でございましたが、三十二年度におきましては五億七千三百万円で、千百万円の増額になっております。これらを含めますと、海岸関係建設省事業費は約二十三億ばかりになるわけであります。
  30. 田中一

    田中一君 前年度はいくらになっております、全部あなたの説明したような総額は。
  31. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) 前年度助成費などが、海岸災害復旧助成費が減額しておりますので、大体同額でございます。ただ地盤変動、それから新しく災害助成というのが個所ごとにきまっておりますから、仕事が終りますと、少くてすむ場今日もあるのでありまして、積極的施策といたしますと、地盤変動対策海岸保全施設でございまして、この二つを合せますると約七千万あまりの増額になっております。
  32. 田中一

    田中一君 私は今重点的に取り上げるという政策が、たとえば海岸保全の面においても現われておらぬということを指摘せざるを得ないのです。こんなものじゃないのです。四、五年間懸案海岸法というものを制定して、議事録を見ればおわかりの通り相当政府熱意を持ってこれに答えておるのです。  そこでその問題は、一つの例として申し上げたのですが、総体的にこれほど伸びておる公共事業費をどういう形で施行しようかと基本的な態度考えておるか、どういう形で実施していこうかという点でございます。直轄工事相当伸びておる、伸びておるが直轄工事というものは今まで比較的直営という形でもってやっておったのが多いのです。ところが本年度定員増が一名も認められない。また昨年の前馬場建設大臣、並びに今ここに来ておりませんが、事務次官も官房長も口をきわめて、どうしても建設省実態というものは定員増をはからなければ完全な事業の遂行ができないのだ、また実態というものは補助員とか準職員とかいう名目になって非常に不安定な身分であって、これも定員化しなければなならいのだと言っておる。そうして公共事業費相当伸びておる。伸びておるにかかわらず、一名の定員減という形でもって国会に要求されておる現状から見て、基本的な実施態度というものはどういう考え方を持っているかということをまず伺いたいと思うのです。これは大臣から御答弁願いたい。
  33. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの定員増加の問題でございますが、お説のように建設省定員はまことに窮屈でありますので、再々これにつきましては内閣とも折衝いたしておるのであります。先般も閣議において私ども提案いたしまして、ぜひこの定員法改正をしてもらわなければならぬ、増員をしてもらいたいということを申し出ております。内閣全体としまして定員法改正して、そして取捨選択をしたいという考えでおるのですから、部分的に増員を認めるということで各省でやるということは、しばらく待ってほしいと言うのだが、緊急にどうしても増員してもらわなければならぬ分もあるというので、実は次官会議までしてもらいまして、事務的な折衝をしてもらっておるわけであります。決して等閑に付しておるのではないのであります。
  34. 田中一

    田中一君 では、この伸びておるところの公共事業費実施に当っての基本的な態度を、どういう方法でやるかということを御説明願いたいと思います。
  35. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 公共事業費はこの直営のほかに請負事業増加する態勢をとっておることの御趣旨かと思いますが、それについてはできるだけそういう方向に進む政策をしておるわけであります。
  36. 田中一

    田中一君 その請負直営と両方やるという意味ですか、考え方は……。どのくらいな比率でどのくらいやりますか。
  37. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) 局長から答弁していただきます。
  38. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 従来、建設省直轄専業直営を主としてやって参りましたことは御承知通りであります。もちろん今後におきましても、直営にふさわしい事業直営でやってもらわなければならないという原則に変りはございませんけれども、先ほど来お話がございましたように、公共事業事業量はふえておるにかかわらず定員は一名もふえておらんじゃないか、しからばこの改正はどうやっていくかという問題につきましては、部門請負部門の両方に分けて考えて参らなければならないと思います。直営自体につきましても、機構、人員配置等につきまして、極力能率的な施行をするように改めるべきは改め、事務所等に対しまする人員配置、こういうものについては、事業のあるところへ転換をさせるというようなことも考えて参らなければならないと思いますが、しかし全体として直営の能力では不足する面が出てくることは当然だろうと思います。従いまして、大臣からお答えがございましたように、その面につきましては、請負にする方の額を相当増加して参るという方針をとって参りたいと、またそういうふうにしなければ、とうていこの工事を遂行できないというふうに考えております。今までは、直営が大体大ざっぱに申しまして七割、請負が三割ぐらいな率でございましたのを、請負の率をさらに増加いたしますので、この比率相当請負の方が多くなるように変って参るようになりますことは、必然の方向であると考えております。
  39. 田中一

    田中一君 従来ともに年間相当数退職者と申しますか、多いと思うのです。で、大体どのくらいずつ年間直営工事をやっている職員退職者がありましたか。現在までに平均して……
  40. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 退職者の今的確な数字の調査を持っておりませんので、数字的にお答えいたしかねる点まことに恐縮でございますが、全体として申しますならば、きわめて退職者の率は低くなっております。非常に退職者が少いということが現状でございますし
  41. 田中一

    田中一君 今日現在で定員職員欠員というものは何人くらいありますか。私は相当あると見ておりますが。
  42. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 全体としての退職者が少いと申しながら、やはり年間にある程度減耗と申しますか、自然減耗というものが行われますので、その自然減耗につきまして、年度末のときにおきましては若干の欠員が生じております。この欠員はやはり新年度の採用というような問題もございますので、その欠員は若干ございます。
  43. 田中一

    田中一君 直轄事業に比較して、河川改修費にしても道路改修費にしても、補助工事の方は伸びが少いわけですね、これはやはり地方公共団体財源等を考慮して直轄工事をふやしたというのか、さもなければどういう配慮からこういうような配分をしたのですか。
  44. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 三十二年度予算編成に当って、地方財政の点を考慮したかというお尋ねであると存じますが、もちろん地方負担の額を考慮しておるのでございます。それで地方負担額の状況は、調べたのがございますので申し上げますというと、総額にいたしまして四百九十億になっておりまして、前年度に比べまして七十五億の増というふうになっております。そのうち補助事業の分につきましては四百十一億でございまして、前年度に比しまして七十一億の増となっておりますが、その大部分は御承知のように道路整備が非常に増しておりますので、道路整備に関しまするところの負担の増でございます。これは補助事業だけといたしまして、道路整備関係補助事業地方負担額の増が今の七十一億のうち六十一億を占めておるのでございます。この地方負担ができるかという問題でございますが、地方道路税、これが約四十五億、軽油引取税が十八億、合計約六十二、三億というものが地方負担分についても増収に相なっておりますので、おおむねこの六十一億の負担増につきましては、地方財源が見られているということでございますので、一番おもな負担増であります道路整備に関しましては、地方負担財源が見られていることによりまして、地方負担の点も十分考慮して事業の遂行が可能である、かような見通しのもとに予算編成してある次第でございます。
  45. 田中一

    田中一君 そこで申し上げたいのは、この地方財政再建団体補助率差額というものが、この地方財政再建促進特別措置法に基いて本年度から計上されております。そこでこれは現在地方公共団体からの申請はどういう——四十六都道府県のうち何々県が申し出があったか、それからもしわかれば、これはあとで資料でかまいませんが、市町村なんかはどういうところから再建整備の申し出があったか、適用を受けようという申し出があったかという点を、一つここでお知らせ願いたいのです、都道府県の分は。
  46. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 再建団体で今お話しの、この特別の措置の実施されまする再建団体の府県は十七府県でございます。県名を申し上げますと、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、千葉県、新潟県、山梨県、長野県、京都府、兵庫県、山口県、徳島県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、以上の十七府県でございます。
  47. 田中一

    田中一君 もう一ぺん言って下さい。
  48. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 岩手、宮城、秋田、山形、徳島、千葉、新潟、山梨、長野、京都、兵庫、山口、徳島、佐賀、長崎、熊木、鹿児島、以上十七府県でございます。
  49. 田中一

    田中一君 これは全総額十六億程度のものが本年度において交付されるようになっておりますけれども、この場合、この補助率というものの資金的な——前年度に手業をやって、これは三十年度の場合ですが、三十年度事業をやった場合の資金関係というものは、何らかの方法でこの補助分の融資措置というものはとっておるのですか。
  50. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 二割高率補則をするということの、増加補助をいたしまする分だけを清算をいたしまして、翌年度で差額として出すというここにいたしておりまして、それが今お話のごとく建設省関係で十六億が三十一年度分でございますが、三十二年度追っかけて出すということになっております。その財源の措置を府県ではどういうふうにしているかというお尋ねであるかと思いますが、これは各府県の予算におきまして、歳出におきましては今の再建の特別措置に基きまして、これはやはり府県が最終的にはきめるわけでございますが、これだけのものが消化できるということできめてやっておるわけでございますから、予算に計上いたしております。そこで府県の予算の歳入の面におきまして、高率の翌年もらう補助の分を入れておらずにやっておるのが多いと思います。従いまして、その予算はそのまま執行できるわけでございますが、中におきましては、高率の補助の分にして歳入に組んでおる所がございます。そういう所につきましては、そこに三十一年度歳入欠陥を生ずるということになりますので、それにつきましては、そういうことで歳出の面が抑えられて執行できないということでは困りますので、自治庁の方といたしましては心配をいたしまして、そういう所につきましては、翌年度その起債を発行できるように処理をすることによって、その歳出全部が支出可能であるように措置することにいたしておる次第でございます。
  51. 田中一

    田中一君 そうすると、その年度末には必ず支払いは済んでおる、こういうわけですね。
  52. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) その通りでございます。
  53. 田中一

    田中一君 この十七府県に対してこの事業の査定の基準というものは同一でありますか。それとも各府県によってまちまちになっておりますか。たとえば二十七年ないし二十九年までの総額の三分の一と二十九年度総額との差というものはみられておるのですか。小さい方、低い方の七五%が基準になっておるのですが、これは各県とも同一でございますか。それともこれは特殊な差異がございますか。
  54. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 端的に申しますと、各府県同一ではございません。まちまちでございます。
  55. 田中一

    田中一君 資料として、そのまちまちな理由と、どういう形で基準が出ておるかという点を明らかにしていただきたい。もし今総括的な答弁ができるならば、専門河川局長からでも、三十一年度の実情に対して御説明願いたいと思うのです。
  56. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 込み入っておりますが、できるだけ簡単にいたしましてお答えを申し上げたいと思います。法律的な関係から申しますと、例の再建措置法がございまして、それに基いて政令が出ております。その政令の中に、再建団体のこの十七府県に当るものについては、昭和二十七年度から二十九年度までの平均もしくは二十九年度の一定の指定事業というのがございまして、それの指定事業の二十七年度から二十九年度までの平均または二十九年度の指定事業のいずれか低い方の七割五分に、事業を再建団体だから圧縮すれば、二割だけよけい補助をするという規定がございます。その通りもしかりに実施いたしますとすると、一律にみな七割五分に圧縮されるごとになりますが、そこにただし若きかございまして、しかし自治庁長官が特に指定をする額についてはこの限りないといったただしの規定がございますので、七割五分にみな圧縮されては困るので、と申しますのは、再建団体がそういう指定事業をやれない、全然七割五分に圧縮されてしまうということでは非常に因りますので、特例の措置を設けるようになっております。その特例の措置がやれるようになっている点に基きまして、実は三十一年度につきましても、関係省は、ことに建設省事業実施する立場から相談に入りまして、成るべく大事な公共事業につきましては、再建団体といえども、びっこにならないように実施ができるように努力いたしたわけでございます。大づかみに申しますと、一応今の各府県の基準事業額、すなわち七割五分に当る額が基本になりまして、二つの要素でこれはきめたわけでございます。一つは自治庁側が提出するところの財政能力、いわゆる再建団体についての定めましたところの財政能力というものを一つの要素にいたしまして、財政能力がある限りにおいてはこれはやらしてやるべきであるという要素でございます。一つは私どものような事業実施する側の方が要求する問題でございまして、大事な緊要事業、特殊な事業というようなものについては、これは再建団体でもできるだけ事業ができるようにしたい。予算といたしましてはあらかじめ内示額が各府県にきまっております。それをみんな返済さしてしまうというようなことは遺憾でございますので、なるべく消化してもらうようにする。そういう事業といたしましてダム工事でございますとか、こういう国土開発的な大事な継続中のダム工事でございますとか、それから道路事業の中の失業対策を含んでいるような臨時就労事業でございますとか、特別失事業でございますとか、あるいは緊急砂防、その年限りに起つた緊急砂防工事とか、そのほかいろいろございますが、そういうようなものは特別扱いにして今の七割五分に圧縮する対象からはずしてしまう、計算の際、ただし書きで。そういう措置をいたしました結果、各府県の基準事業額でいきますれば七割五分であるのが、財政能力が高いか低いかという要素と、特殊事業がたくさんあるかないかという要素によりまして、個々にきめまして、各府県ごとに自治庁長官が決定をいたします関係上、各府県が結果から見ますというと、この七割五分というのがいろいろまちまちにきまっているようでございます。建設省限りの表は持っておりませんが、自治庁の関係になりますが、結果としまして、実はこの七割五分が八割五分に十八府県を通じてなっております。その中で一番高いのは一一〇%をこえているものもございます。一番低いのは六三%にとどまるという、極端なところは六三形にとどまる、七割五分にさえ及ばない。高いところは一一〇%をこえているというところがございまして、平均して八五・五%というのが自治庁からもらっている資料でございます。これは建設省事業だけでなくて、農林省やほかの関係事業も含めて、各府県という立場から見た実情でございます。結局そういうようなわけでございまして、一口に申しますれば、特別に特殊な事業を余計持っておるかどうかという要素が一つと、財政能力があったかなかったかという要素が、個々の府県についてそのただし書きの範囲で運用されまして、関係者が相談いたしました結果、そういうようなでこぼこが起っておるというのが実情でございます。
  57. 田中一

    田中一君 そうすると、一応精算金ですから、精算金の分十六億というものを、むろん財政上困難を来たしている府県がなおさら困難をするという、これに対しては融資の措置をもって、あるいは起債の措置をもってカバーしてやるということですね。それが十六億円程度行っておるんですか、前年度、三十一年度に。
  58. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 十六億円は、予算といたしましてその補助率の差額を出すわけでございますが、その中で各府県がその差額分をすでに組んでしまっておるというところは穴があきますので、その分だけ一年限りの起債を認めて、翌年の十六億の補助によってその起債が償還できるようにいたしておる。従って結果としては各府県は執行できるようにいたしておるということでございます。
  59. 田中一

    田中一君 そうすると五年計画でしたね。五年で終るわけですね、この再建整備は。最長五年ですね。
  60. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 少くとも五カ年でございまして県によってはそれより長いのがございます。
  61. 田中一

    田中一君 そうすると、三十二年度事業に対しては、やはりあるいは伸びのあるものは一〇五%、あるいは平均して八五・五%というものが現実なわけなんですから、従って明年度、三十二年度もおそらく七五%に圧縮されたんじゃ困るということになると思います。これはむろん困窮している地方財政を救おうというのが主眼でありますから、金があるわけはないんです。そうすると七五%と締めておりますけれども、大体において今の除外例に基いて大きな伸びがあるものと思うのです。大体三十二年度はどういう見込みをとっておるか。
  62. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説の通りでございまして、三十二年度も同じように二十七——九年といったようなあの方式の七割五分では問題にならないわけでございます。ことに建設省事業等につきまして、前年度に比べて三十二年度相当の伸びがございます。補助事業だけで約三〇%の伸びがあるわけでございます。その伸びだけはその率を増さなければ、前年と同じ仕事ができないということに相なるのでございます。そこで三十二年度はどういう方式でやるかということを今自治庁、大蔵省及び事業省の方で相談を開始したところでございます。結論を得ておりませんが、最小限の話といたしましては、事業の伸びだけはふやしてもらわなければと、しかし事業の伸びをふやすだけではおかしいし、従って七割五分を九割何分にするとか十割にするというようにやってもらわなければならぬが、二十七ないし二十九年度を基準にいつまでもとっていくこと自体が適当かどうかという問題もございますので、政令に関するその辺を根本的に改訂してもらいたい。そうして再建団体といえども、もちろん再建に協力しなければならないが、緊要な事業についてはやはりこれができるようにしてもらいたいというのが私どもの主張でございまして、道路整備その他重要な事業につきましては特別な扱いをして、再建の高率の補助はいくけれども、業事は事業でやれというふうに主張いたしたいと考えております。
  63. 田中一

    田中一君 それからこの十八府県から戻った——返上された予算というものはどういう方面に配分されたか。
  64. 小山邦太郎

    小山邦太郎君 関連質問ですが、あわせて。今お聞きしまして、最高は百十、最低は六十五というこの最低の六十五というのはあまり極端ですが、どこですか。それもあとで、田中さんの御質問に答えられた後にお願いいたします。それから最高はどこであるか。今一つは、幸いにして建設関係は非常に予算が取れた、取れた割合で二十七年、八年の八五%ということにプラスして、いまの伸びた割合をやっぱり用いてもらわないと、貧弱県はますます貧弱になるというおそれがあるので、これに対して田中さんから御質問がありましたが、よく納得できない、それを一つお尋ねいたしたい。  今一つは、地方には軽油税がありますが、これは道路に対するひもつきであろうと思いますが、県によってはその軽油税さえもそういう再建整備にかかっておる県では他の施設もおくれておるものですから、その軽油税を他の方面にも使いたいという希望があるやに聞いておる。これはひもつきである以上使わせることは違法ではないか、こう考えるが、これも一つお答えを願いたい。それだけです。
  65. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 田中委員からのお尋ねに先にお答え申し上げます。三十一年度に返上された額を、どういうふうに回したかということでございます。直轄事業補助事業と両方ございますが、お尋ねは補助事業関係であると思いますので、補助事業につきましては、関係各省の十七府県の内示額が百九十七億ございましたので、その中で約十九億が今の措置の結果削減返上と申しますか、話し合いで削減をしなければならないことになりました。それで、それは各省を通じてでございます。そのうち建設省関係が約十二億ございまして、これは例の石炭合理化による特別措置、つまり失業者対策、この関係と、それから呉地区の国連軍の引き揚げ、これは広島県の呉でございますが、国連軍の引き揚げに伴うこれも失業対策、これに重点的に充てることといたしましたほかは、財政力に余裕があってぜひ引き受けるという県でございまして、かつその事業が、建設省から見ましても緊要であると考えられる府県に回して消化いたしまして、もちろん総額は変らないということでございます。かように措置をいたした次第でございます。  それから小山先生の御質問の中で、率が非常に低いところと高いところがあるが、どこだというお尋ねでございましたが、最低は徳島県でございまして、これが六三%くらいでございます。それから最高は長崎県でございまして、——一一七%ということに相なっております。  七割五分が事業の伸びで伸びた割合だけは伸びなければならないが、どうするかというお尋ねでございますが、先ほど田中先生にお答え申し上げましたときに申し上げましたように、建設省だけでも、三十一年度に比べて事業が指定事業の範囲で三〇%も伸びているのでございますので、この七割五分というものは、ほかの省がございますので、ちょっと突っ込んだ数字が出ませんけれども建設省だけから申しますと、九割七分ですか、それぐらいに変えてもらわなければ、計算をいたしましても、前年と同じ事業の遂行ができないということになるわけでございます。これはほかの省の関係がございますので、いろいろになるかと思いますが、そこで前のような、二十七年から二十九年というのを基準年度にいたす考えを変えませんならば、今の七割五分を九割何分なり、あるいは十割なり、必要なだけふやしてもらいたいという要望でございます。基準年度方法をさらに改訂して、もう少し合理的に、事業内容によって適切に率をきめてもらうような措置を講じていったらどうかというふうに現在は折衝いたしたいと思っております。自治庁、大蔵省の方も何か名案を考えるべき態度で、これは相談をいたしております。少くとも前年より減るというわけにはいかない。ことに道路費ども伸びているので、それらについては、前年以上に実施いたしたいというのが、私ども考えでございます。  それから軽油引取税でございますが、これは地方財源に盛られておりまして、道路に使うべきものでございますのが、実際上それ以外のものに流れておるということがあるということは、あるいは実情の中にあるかもしれませんが、それは本年の正しい経理ではないと私ども考えております。
  66. 田中一

    田中一君 それから次に伺いたいのは、維持補修的な事業相当減っておる。現状維持または減額されているという点を指摘したいのですが、たとえば三十一年度で直轄河川の維持費が前年度に同じ五億四千五百万、それかと直轄河川の補修費。これも前年度と同じ。それから河川の局部改良補助費が千九百万の減額になっておる。それから海岸局部改良補助、これがやはり二十五万の減少、砂防調査費も砂防事業費の補修等もおのおの減額されておる。こういうことになっておりまして、それからことに道路補修、特殊改良二種なども二千四百九十万の減額になっている。こういう実態は、先ほど重点的にやる、なるほど道路の改修、その他の改修とか、あるいは整備というものは派手な仕事でありませんけれども、こういう維持管理費というものが減少されるということは、これが一番大事なことなんです。いわゆる予防措置をとらなければ河川も荒れるわけです。こういう点について、全部なべて、しいていえば思想的にこういう維持費というものが減額されているという点については、どういう考えを持ってこのような措置をとられたか。
  67. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 個々の維持費につきましては、河川局、道路局からお答えいただくことにいたしまして、全体といたしまして、維持補修費等のものは前年度と同額という方針をとっております。ただ、中に北海道等におきましい維持補修費についての減額の著しいものがあるかと思いますが、これは例の積雪寒冷地の関係で、積雪寒冷地の特別地域の仕事が別に実施されまする点と、それから冷害対策費が前年度におきまして、予備費等によりまして支出されましたので、それが三十二年度にやるべき維持補修を繰り上げて早くやっているという考え方のもとに、特別な事情として減額の著しいものがあるかと思いますが、全体としては大体前年と同じ程度考えている次第でございます。
  68. 田中一

    田中一君 前年度と同じというものりよも、減っているものが多いのです。これは傾向として減っているものが多いのです。たとえば橋梁補修補助費も四十六万円減っております。北海道の道路維持費は一億二千二百四十万も減っている。機械の修理費等も千三百二十五万円減っているのです。減っている傾向というものはどういうところからきたのかということを伺っているのです。むろんこれは派手なものをおやりになる方が、建設大臣としては成果も上るのであって、こういうじみな維持補修などというものはやはりたくないでしょうけれども実態というものは、予防措置というものが一番大事なんです。こういう点で、予算編成の思想的な考え方を御説明を願いたいと思います。
  69. 山本三郎

    政府委員山本三郎君) ただいま御指摘のありました河川局に関係の維持補修の関係でございますが、直轄河川の維持費が前年同額である。それから河川改修費補助の局部改良費というものがございますが、これは維持的のものも多少はございますけれども、一部的の、局部的の改修というものが大部分でございます。御指摘通り、維持補修というものが非常に必要欠くべからざるものであるということは、私どもも十分考えているところでございますが、何せ来年度におきましては、河川といたしましては直轄河川にいたしましても、またダムにいたしましても、相当継続的の事業で促進しなければならぬものが多いという観点から、そういう方面に予算が重点的に計上されたということと、それから維持費というものは、御承知のように洪水が出まして、災害でとれないような、災害で該当しないようなものを事前に手直ししておこうというのが、維持費にいたしましても、補修費にいたしましても、河川としては内容になっております。従いまして、この三カ年間比較的水害がなかったものですから、全体といたしますると、補修なり維持しなければならぬ事業内容というものは、前に比べますと減っております。従いまして、前年同額の予算を計上いたしますれば、今年度施策は今までよりも手が少し届けるというふうに考えている次第でございます。
  70. 田中一

    田中一君 道路とそれから……。
  71. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路関係におきましては、先ほどお話しの地方道の橋梁補修費で四十六万円減っておりますが、これは改良するということで補修の方を減らしたわけでございます。それから地方道の特殊改良の第二種で二千四百九十万円減ってなりますが、これは積雪寒冷対策のために、特に三十二年度から予算がつきましたために、その方でやった方が適当なものはその方へ移したために減っております。それから北海道の直轄道路改修費の中の維持補修のうちの維持、これが一億二千二百万円減っておりますが、これも先ほど申し上げましたのと同様な理由で、これは除雪て防雪等の仕事だ積雪地対策事業として行うわけでございまするので、その関係で減っております、それらを加えますと、昨年よりも増額いたしております。
  72. 田中一

    田中一君 こういう傾向の中に機械の購入費というものは、今度は非常にふえておる。四億八千四百二十四万円の増加になっております。モータープール機械工場の整備費というものが同じく据え置きになっておりますが、こういう点は、今度買う機械というもりはどこに置くのですか、現在あるところのモータープールの機械工場に置くのですか、置かないのですか。また御承知のように機械というやつは常に手入れをし、整備をしていけば、寿命は長く、打つちゃっておけば寿命が短いのは当然なんです。こういう一年間で何ぼの維持管理——修理もしないでよろしいという前提のもとに考えておるのですか。これは四億の機械を買うというのは相当なものです。従ってモータープール工場の機械整備費というものが前年度と同様に据え置きになっておるという考え方はどうなんですか。
  73. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 建設機械整備費で買う建設機械でございますが、これは購入費の方が前年に比べまして四億八千万ばかしふえております。修理費の方は全体を通じまして一千三百万円減になっております。そこで今お尋ねのようなお話が出るわけでございますが、修理費としても購入費としても、機械の関係でこれで十分とは申せませんけれども、その相対的な関係におきましては、新らしく機械を買うものの大部分は更新、減耗補助と申しますか、更新に当るものでございまして、古くなっておるものが、期限が来たから新しいものを買い直して補修していくというのが多いのでございます。従いまして、四億八千万のうち相当量が更新に用いられますので、更新をいたします結果、廃棄する機械ができるわけでございますので、修理費の方はそれだけ老朽した機械が廃棄をすることができますれば、それだけしなくていいということになりますので、購入費がふえるだけ修理費がふえなければならないという理屈はないのでございます。もちろん十分と申すわけでは決してございませんけれども、一応修理費の方は前年度より若干減ということで、両方の購入費との関係においては一応の筋が立っておるのでございます、
  74. 田中一

    田中一君 あなたは実際にモータープールへ行ったことがございますか。今あなたはそういうことをおっしやるけれども、じゃ年々にどのくらい機械を何といいますか、三十一年度にどのくらいの機械を原簿で落しておりますか、これはおわかりとになると思うので、ちょっと説明を願いたいと思います。
  75. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 数字を持っておりませんので的確に申し上げられませんが、きわめて少いのでございます。
  76. 田中一

    田中一君 私ども国会において、機械化の点について非常に関心を持ち、政府相当大幅に購入費を持つことに対しては賛成しておるのです。ところが今言う通り、そういうようなつじつまが合っておる、修理費は減っておると、しかしながら古い機械はもう捨てるのだ、更新されるのだから修理費が少いのだという考え方は、あなたはモータープールへ行ってごらんになると、そうじゃないことがわかります。やはり機械を使っておりますところの補助員とか、準職員とか、職工さんは全く機械をかわいがっております。いろいろな修繕面におきましても、工夫をしながら修理をしておるのです。そんなあなたが言うように簡単に、更新するのだからそれは修理の対象になるということは言えないし、最後まで使っております。従ってもしいうなれば、今言う通り年々どのくらいの機械を原簿で落しまして、払い下げしておるか、その報告を願いたいと思うのです。この所管は、どこが所管しているのでございますか。
  77. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 官房でございます。三十一年度はどれくらい廃棄処分をしているのかということを調べまして、資料として御提出申し上げます。お話しのようなお説の点も確かにあるのでございまして、従いまして、修理費について十分であるという考えは持っておりません。ただ購入費との関係におきまして、購入費をこれだけ増額したから、これはむしろ予算の査定の際の考え方でございますが、購入費をこれだけ増額してれば、廃棄すべきものは惜しまずに廃棄して、そうしてやれば修理費は少くて済むはずだというのが、大蔵省の査定方針になって、それが筋が合っているというのは少し言い過ぎだったかもしれませんが、修理費の方は比較の割合として減らしておったっていいはずだという、こういう査定方針に基いて査定を受けているはずでございますが、実情から申せば、確かにお話し通り更新もいたしたいのでございますが、修理にもっと金をかけてやっていきたいというのが、お説の通り実情であろうと思います。
  78. 田中一

    田中一君 そういう説明ならば了解します。  そこでもう一つ言いたいのは、この修理費が足りない場合に、修理をほっぽっていないのです。私はモータープールをしょっちゅう視察していますけれども相当やはり何か工面をして修理をして使っているのですね。そうすると、こういう形ですと、その財源をどこから求めていると想定されますか、そういう修理費というものはどこから引っぱり出しているか。
  79. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 修理費というものは、予算からのみ出しているものと思っております。
  80. 田中一

    田中一君 官房長としてはそれでいいでしょうけれども実態は機械を扱っている者たちは、あらゆる工夫をしがら修理に一生懸命かかっているのです。ですから、かえって末端におけるところの所長さんとか、あるいはそのほかの会計課長、事務所の会計課長なんかに責任を負わせないように、会計検査院が行った場合に、何だこれは事業費から出るのじゃないかと言われますと、困るのは、批難されるのは末端におけるところの所長とか、金銭を扱う人間なんです。これは官房長はその責任者なんですから、もっと大幅に修繕費というものを、国の財政を愛するがゆえに修繕費をくれというふうに、新しい機械を買うことはたれでもできるのです。修理というものに万全を期するということは当然あなたのお説のように、予算に計上された部費から出しているのは間違いないと思いますけれども、それだけで足りないということはおわかりなんですから、この点はもう少し努力してもらわなければいかぬ。そうして会計検査院で批難される場合には、末端のうんと低い職員が批難されるのです。この点は十分建設大臣も考慮していただきたい。この点については一番の弱い職員がやられるのですから、この点は一つ率直に御見解を御披瀝を願いたいと思います。
  81. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) まことにごもっともだと思いますので、十分将来の予算の折衝の場合に、この点をとくと考慮いたしまして……。
  82. 田中一

    田中一君 私もう一つだけ。ところで、二百四十億の大幅な事業費がふえておりますが、これに対する資材の点ですね。これがどういうことになっているか、昨年は御承知のようにえらいことになりまして、今いう住宅面においても、マル公なんかがなくて非常な困難を来たしておったのはおわかりの通りなんです。そこできょうの新聞を見ますと、冨士製鉄の永野さんですか、アメリカヘスクラップを買いに行っているけれども、なかなか売ってくれない。何かアメリカの政府では、いろいろスクラップの輸出を禁止するというような措置をとっているそうです。もしこういうことが、きょうの新聞に出たようなことになりますと、公共事業費事業施行ということは非常に困難を来たすのじゃなかろうか。従って、前年度の生産等からみて、私はあまりに伸びがないのではないかと思うのです。アメリカだけに依存するところのスクラップを考えますとですよ。生産部門は期待できないのではないかと思うのです。今手元のこれを見てみますと、大体二十八年から三十一年までのずっと需要を見てみますと、建設面に要するところのものは非常に少いのですが、しかし、本年度のように大体橋梁の生産がふえ、四五%上っております、事業量が。これは橋梁で何も大したもんじゃない、全体の鋼材の需給からみれば大したもんじゃないといわれるかもしれませんけれども、一応いろんな意味において鋼材の公共事業に使用する量はふえております。従って、これから先の総括的な対策というものをどう建設省考えているのか。
  83. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) お説のように、ことに建設資材中、鋼材が値上りもいたしましたし、その生産量、輸入量等の先行きが心配されている実情でございまして、三十二年度予算編成に当りましては、この点は大蔵省との間にも特にめんどうをみてもらって折衝いたしました点でございます。三十一年度は鋼材の不足につきまして関係省と相談いたしまして、販売あっせん機関のようなものも作ってもらいまして、若干の不足につきましての補いをしつつやって参ったわけでございますが、三十二年度予算編成に当りましては、まず資材の確保と同時に価格面においても是正してもらわなければ、前年の単価ではやって参れませんので、若干の増額をいたしておるのでございます。建設省関係の三十二年度の鋼材の総使用料は大体私どもの方の計算によりますと、三十三万七千トンというふうに踏んでおりまして、その内訳は公営、公庫、公団等の住宅の関係が約十九万トン、官庁営繕が約七千トン、それから公共事業が約十四万トンというふうに考えております。セメントにおきましては、総需要量が三百十万トンと推定をいたしておりまして、その内訳といたしましては、住宅関係が約九十七万トン、官庁営繕が約二万トン、公共事業が約二百十万トンというふうに推定をいたしておるのでございます、それで鋼材は最近の値上りを考慮いたしまして、もっともこの値上りも一時非常に高くなっておりましたが、その後相当落ちつきをみせて、現在は六万円台に市場価格がなっているというふうに承知いたしておりますが、前年度予算の単価はマル公にいたしまして四万五千円という単価でございましたので、三十二年度に二年度におきましても約四割を増加いたしてもらいまして、五万六千円ということにいたしております。それからセメントでございますが、これは市場価格が前年度より約二割近く下落をいたしております。これも一時下ってからまた少し上り出したというような傾向がありやに聞いておりますけれども、やはり二割程度は下るという見通しでありまして、単価を前年の七千五百円を六千百円に約二割見当引きまして、三十二年度予算単価にいたしておる次第でございます。これらの鋼材やセメントを使います住宅や官庁営繕の単価も若干是正してもらっております。増額をいたしてもらっております。それで公共事業全体といたしましては、鋼材の占める割合というものは今お話がございましたように、橋梁等におきましては相当のものがございますが、全体といたしましては比較的少いので、一方セメントの値下りを考慮いたしますと、まあこの程度で、先行きについての懸念はもちろんございますけれども、やって参れるのじゃないかというふうに推定をいたしておる次第でございます。住宅関係につきましては鋼材を非常に使いますので、今の鋼材の成り行きというものが非常に関係をいたす次第でございますが、一応通産省や経済企画庁等が申しております生産計画というものが順調に推移するものといたしまして、それに基いて出しました単価で予算単価を出しまして、それが確保できるというふうに考えておる次第でございます。
  84. 田中一

    田中一君 私は五万四千円とみたとおっしゃっていますが、これは非常に甘いと思います。
  85. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 五万六千円です。
  86. 田中一

    田中一君 五万六千円でも甘いと思うのですよ。みんなこの予算が通るころになりますと、自然に値上りになる。この値上りになる悪材料になることがあるわけですね。きょう新聞を見ても、アメリカではくず鉄の輸出をとめるということがアメリカからの通信で出ております。こうなりますと、大手三社はまだいいんですよ。三社以外の中小製鋼業者がこれに供給しているわけなんですから、これがもう人為的に値上げをする。それからたくさんキップをとっておりますところの問屋などがやはり同じように政府の出方を見ながら、大量需要の様子を見ながら、民需はなかなかわかりませんけれども、造船と公共事業というものははっきりしているわけですから、値上りになってくる、昨年の通りな現象がくるのじゃないかと思います。そこで昨年はああしてあふりを食ってずいぶん困ったでしょうけれども、あとどういう対策をもってこれを迎えたか、昨年度の鋼材に対する対策はどういう形でやったか、御説明を願いたいんです。これはむろん公共事業費の面においても、公団その他の住宅面においても共通な面と思うんで、御説明願いたいと思います。
  87. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 三十一年度におきましての対策はどうであったかということを御説明申し上げますが、三十一年度におきましては、建設省所管の諸事業に要する鋼材が総量約二十四万トンというふうに踏んでおりまして、このうち約十万トンは比較的早期に入手をいたしましたので、値上りの影響はほとんど受けておりませんので、残りの十四万トンをいかに確保するかという点について対策を講じて参ったのでございます。まず河川関係事業におきましては、これは諸事業費のうちで鋼材費の占める割合が比較的少い上に、一方セメントの値下りがございましたので、両方比較いたしまするというと、当初計画にまず支障はないということでやって参りました。それから道路事業につきましては、先ほど来のお話しのように、橋梁等が特に問題でございますが、これにつきましては、公共用として計画していたものは支障のない限り鉄筋コンクリート橋、またはPSコンクリート橋に計画を変更するというような措置を講じまして、鋼材の使用量を極力節減いたしまして、所期の使用効果をおさめるように、どうにかこれもやって参ったわけでございます。  最後のこの住宅並びに営繕関係でございますが、ことに住宅関係につきまして申し上げますというと、公営、公庫、公団住宅について約九万四千トン必要でありますが、三十一年度中で必要でございましたが、そのうち先ほどの手当を要すると認められるものは約四万九千トンでございまして、なかなかこれが公営、公庫、公団住宅の工事の入札の際に、既定計画に基く単価では落札できない、これでは既定建設計画の遂行に非常に影響があるということになりましたので、先ほどちょっと申し上げましたように、昨年の秋以降経済企画庁、通産省等関係機関と折衝いたしまして、できるだけ低廉に入手することができますように、各事業主体において、いわゆる大手三社を初めといたしまして、鋼材生産販売機関というものを作ってもらいまして、それに基きまして、輸入等をプールいたしましたものについてあっせんをしてもらう、こういう計画をいたしまして、若干の補いをやって参ったわけでございます。このあっせん機関が十月三十日に設けられまして、あっせん機関を通じまして、十二月までに入手いたしましたものが一万四千トンでございます。現在の状況の一月末現在におきまして、住宅について手当を要するものは約三万三千トン程度というものがまだ処理されないものとして残っております。この三万三千トンの入手につきましては、今申しました鋼材のあっせん機関、大手三社、こういうものと緊密な連絡によりまして、できるだけ購入に努めまして、当初の計画にできるだけ支障がないように努めたい、こういうように考えておるのでございまして、これは最後に参りませんというと、その結末はまだわからないという状況でございます。  営繕関係について申しますというと、二万二百トンが三十一年度で必要であったのでありますけれども、手当を要する鋼材は約一万トンでございます。今住宅について申し上げましたと同様の方法によりまして、一月末までに、まだはっきりわかっておりませんが、八千六百八十トンということになっておりますが、これを入手いたしております。残りが千三百二十トン、これは何とか引続き同様の方法によって何とか入手できるものと思われますので、営繕関係については、既定計画の遂行については支障がないと、かように考えておる次第であります。
  88. 田中一

    田中一君 三十二年度対策についてはどう考えておりますか。ただいまの予算の上でもって妥当なる予算増額をしたから、これで楽に入手できるのだという考え方では甘いと思うのです。従ってどういう方法をとるか。たとえば請負に委せないで、そういうものは全部国が調達して、そして現物支給するという形の考え方もあるわけです。従ってどういう対策をもってこれに対処するかという点を御説明願いたいと思います。
  89. 柴田達夫

    政府委員柴田達夫君) 三十二年度対策といたしましては、やはり今のような政府関係機関、ことに通産省、経済企画庁の方で、前年に比べて百四十万トンないし百五十万トンの増産計画を持っている、そしてこれを必ずやっていくようにするからということを申しております。そこで私どもの方といたしましては、一応現段階におきましては、通産省や経済企画庁にあずけまして、この増産計画なり輸入計画というものが計画通り遂行されることを期待しておりますけれども、鋼材の中には、やはり先ほどからお話しのように、品種の問題もございまして、建設関係の資材に適当した品種がそれだけ確保できなければ遂行できないということになりますので、品種別の計画の際に丸棒、棒鋼と申しますか、この建設関係に使います鋼材につきましても、応分の計画を立ててもらうように申し入れをいたしておるのでございます。今のところでは、通産省では品種別の計画はまだ最終的にきめておらない。しかしこれはやるということを申しておりますので、一応これを信頼いたしまして、一応なおこの計画は推進するものといたしまして、重大なる関心を持ちつつ推移して参りたいと思いますが、もしこれについて途中で非常に行き詰るということが起りました際には、先ほどお話しいたしました措置までは一挙に参らないかと思いますけれども、少くともこういう必要なものに対する資材の確保をするような、強力な措置を政府としても講じてもらうように申し入れを行いたいと、かように考えておる次第でございます。
  90. 田中一

    田中一君 これは建設大臣に伺いますが、今こうして永野さんらがアメリカへ行って、くず鉄の輸入折衝をやっているわけなんですが、きょう新聞を見ると、アメリカは全面的にくず鉄の輸出はしないということを声明しているようです。そこでそうなりますと、見込みの問題でまた鉱材がぴんとはね上るのです。これは御承知のように、すぐ来るものではなくて、過去にも原材料を手に入れてから、相当短かい期問で四ヵ月、長いと十ヵ月、一年ぐらいかかるものもあったわけです。というのは型の種類によって作る場合、作らない場合と、いま官房長が雷っているようなことになりますから、アメリカだけにくず鉄を依存したのでは、非常に日本の経済上から見ても危険だということを言わなければならない。むろん、われわれ一昨年も中共に行ってみますと、中共でもバーターが考えられているのです。また政府としてはアメリカだけでよいと考えておるのか、また建設大臣としても自分の所管事項が遂行されない危険のある場合には、もう少し幅を広げまして、中共貿易もしなければならないのだし、現にやっておるのですから、これは一つ建設大臣所見を付いたいと思います。
  91. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいま資材の入手についての見通しはなかなか困雑な問題であることはよく承知いたしておるので、特に鋼材につきましては、世界的市場がこういうような先き行きのような状態になりますと、思惑のような問題も起るのでありますが、これは内閣全体といたしまして、ひとり建設省の需要ばかりでございません、他の各省とも資材の面に関係するのですから、企画庁並びに通産省等が、これらに対する全体の輸入計画というものを立てまして、万遺漏なきような施策をしておるものと考えるのでありますが、これらにつきましては特にそういうような、今のところは過般の大蔵大臣説明のように、明年の予算におきましては、これらの需給関係につきましては、差しあたって支障がないという考えで、明年度予算を計上いたしておるわけであります。私どもそれを確信して建設省としてはこのような計画を立てておるような次第であります。今後の見通しでありますので、十分それらを勘案いたしまして、内閣といたしましても万遺漏ないように、私ども計画して参りたいと思います。
  92. 田中一

    田中一君 最後にもう一つだけ伺いたいのですが、それは公団の資金計画のうち、先ほど三十一年度の民間資金の導入と言いますか、これはどこからどのくらい行くということを御説明願いたいというのが一つと、それから本年度計画がどういう考え方か、というよりももう手を打ってあるか、具体的な手を打ってあるか、これを一つ説明願いたいと思います。もうとうに手を打っておるはずなんです。
  93. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 日本住宅公団の民間資金の導入につきまして、三十一年度計画並びに見通しを申し上げますと、三十一年度におきまして民間資金の予定は百億円といたしておりましたが、このうち七割は公団債券で、三割を借り受けで賄う計画にいたしておったのであります。しかしながらその後公団の事業の進捗状況や、あるいはできるだけ金利負担を軽減する趣旨から、政府の低利資金の借入れを優先するということにいたしまして、まだ民間の資金の借り入れを行なっておらない状況であります。なお三十二年度計画といたしましては、百五十億円になっておりまするが、このうち生命保険関係の会社の資金を百億円と予定いたしております、その他の五十億円は公団債で、債券による導入を考えておる次第であります。
  94. 田中一

    田中一君 最近の金融界は金融梗塞と申しますか、金がないという現状は御承知だと思うのです。昨年神武以来の好景気などといってあおるものですから、会日の金融界には資金がない。いわゆる市中銀行には借りが殺倒しているというのは新聞を見ればおわかりの通りです。従って道路債も出そう、それから住宅債も出そうということになりますと、これが消化されるかどうかという見通しはどう考えておりますか。昨年は道路債を出さなかったんですね。
  95. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路債券について申し上げますが、三十一年度は五十億を発行する予定だったのでございますが、二月の末日までで二十五億を発行する予定でございます。この引き受けにつきましては、五大証券会社が引き受けておりますのと、その引き受けが可能でない場合には、十大銀行ほか主要銀行が引き受けの約束をいたしておりまして、三十一年度分につきましては、この債券の発行が可能の見込みでございます。三十二年度につきましてもそういう態勢ができておりますので、ただいまのところはこの三十二年度は六十億を発行する予定でございますが、この発行は可能であるという予想をいたしておるわけでございます。
  96. 田中一

    田中一君 じゃ鬼丸君に伺いますが、住宅の分は……。
  97. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 公団債の消化につきましては、大蔵当局と十分連絡をいたしておりまして、十分可能である、こういうふうに考えております。
  98. 田中一

    田中一君 三十一年度は……。
  99. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) ただいま申し上げましたのは、失礼ですが、三十一年度事業年度の分でございまして、これは現実にはまだ導入いたしておりませんが、大蔵当局とのいろいろ折衝いたしましたところでは十分見込みがある、こういうふうに確信いたしております。
  100. 田中一

    田中一君 三十二年度は……。
  101. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 三十二年度は今後の問題でございまするが、生命保険関係の百億も十分可能だと考えられます。あと五十億の債券発行でございますが、これも大蔵当局との話し合いの結果では見通しはあるというふうに考えております。
  102. 田中一

    田中一君 この利率、期間、条件ですね、発行条件というのをちょっと教えていただきたいのです、両方とも。
  103. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路債券については申し上げますが、七分の利率でございます、百円券が。この額面通りの発行でございまして、利率は七分でございます。
  104. 田中一

    田中一君 期間は、償還年限は……。
  105. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 償還年限は七年でございます。
  106. 田中一

    田中一君 これは初年度から……どうなっているんですか、初年度から……据置はないんですか。
  107. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 一年据置でございます。
  108. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 住宅公団債券につきまして申し上げますと、発行価額は百円で、利率は七分、期間は七年、そのうち一年据置でございます。それから生命保険関係、損害保険関係の会社の資金につきましては、利率は日歩二銭五厘、これは借入期間は七年ということになっておりまして、半年が据置でございます。生命保険会社の方は、これは時期によって多少違いはございますが、一部は利率が二銭三厘になっております。借入期間は同様でございますが、借入の時期によって違っております点を御了承願いたいと思います。
  109. 田中一

    田中一君 そうすると、損害保険会社の借りている利率が一番高いということになるのですね。そうして公団関係は年七分ですね、これは証券会社が引き受けるのですか、どういう証券会相が引き受けていますか、両方とも。
  110. 富樫凱一

    政府委員(富樫凱一君) 道路債券の引き受け証券会社、これは募集の事務をやるわけでございますが、大和、山一、野村等の証券会社でございます。
  111. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) 住宅公団の債券の引き受け先も、ただいまの道路公団の場合と大体同様だと思います。
  112. 田中一

    田中一君 これは建設大臣に伺いますけれども、最近の金融界の傾向というものはあまりどうも石橋内閣のほらがきき過ぎまして、金融梗塞を来たしておるというような傾向が見えるのです。ということは、好景気より以上にこの波に乗り上げて、もっと生産拡充に乗り出しておるのが今の政策なんです。従ってそれにこたえようとする私企業というものは大幅に設備資金を投入してきています。ことに前年度までの租税の措置によって蓄積したところの資本を増資にかえって、資本というか、保有金を増資にかえって設備資金に充てる。これを運転する運転資金が相当に困難になったのが現状なんです。従ってこの見通しというものは相当私は困難じゃないかと思うのです。この際建設大臣に伺いたいのは、こうした面から見て、この金がなければ仕事ができないのだから、二百十四億も増大したとろの公共事業というものは、これが完成されるという見込みのもとに、金も何もすっかり準備できて完成されるという見込みに立っての予算の提出だと思いますけれども、あなた自身で、あなたもずいぶん長い間産業界におられたのですから、見通しはわれわれと違って非常に鋭みがあると思うのです。三十一年度公共事業すら私は、ことに住宅においては五月末までには完成されないと見るわけですけれども、従ってこれだけ延びたところの道路事業にいたしましても、住宅の面にいたしましても、私は不可能じゃないかという気持が起きておるわけです。そうして客観的に金融界の情勢からいって、鋼材が上った、何が上った、インフレの傾向は必至にそうして事業はできないのじゃないかと見通しを私は持っておるのですが、大臣はむろんわれわれの前に予算を出した以上は、これは完成させるのだという御答弁に当然なりましょうが、率直に言って、これを完成させるという見込みがあるかどうかの問題、諸般の条件から見て、三十一年度の実績から見ても、一つそれをここではっきりと所見をお述べ願いたいと思うわけです。
  113. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまの問題につきましては、私どももせっかく昨年度に比べて非常に建設関係予算増額いたしたので、喜ぶ反面、不用額になりはせぬかという懸念もありましたが、この点については十分検討しておるのであります。この道路費については、大体予算の消化は十分できるという確信を持っておるのでありますが、ただ、資材の面等、先ほど来の懸念はございますが、これは十分通産省や企画庁とも調整しまして手当をしたい、できると確信いたしております。  住宅の問題についての件でありますが、これは十分住宅公団の幹部にもそのことを話しまして、十分それらの資材の点、資金の点の計画を立ててもらったのであります。先般公団の加納総裁も私のところへ参りまして、この点を指摘したところが、御心配の点は十分われわれも懸念をして計画を立てました、しかるところ、資材の点についても、たとえば丸棒などについては、大手三社に六万五千トンからのものをすでに十分引き受けてもらって、この点は心配がなくなっておる、資金の点については、あの総裁は特にその方のエキスパートでありますので、その点は御懸念いりません。従って機構の改革についても、あるいは従業員の増員等もして、来年度は御懸念の点のないように今手配をしておりますから、御心配下さるなという報告を実は聞いておるのでありまして、御質問の点、十分私ども心配をして、皆さんから御非難のないような方法を講じたい、こういうふうに考えております。
  114. 石井桂

    ○石井桂君 ちょっとこの際希望しておきますが、首都圏整備予算についての御説明を承わりたいのですが、この次でもよろしいのですが、きょうは時間がないようですから。
  115. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) ほかに何か……。
  116. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ちょうどいい機会ですから、一言大臣にお伺いいたしますが、三十一年度に比して二百億の増が見込まれたということは、建設省としては最近の非常なる私は好条件だと、このように考えるのですが、そこで、建設事業の重要性はいまさら私が申し上げる必要もないのだが、そういう面から考えられて、一応総花的のといいましょうか、数字的な割り振りもついたようですが、これらの上に立って、大臣が、これから建設省として、新しい面からこうして行こうというお考えが含まれているかどうかという点、そういう点を一つお聞きしておきたいのです。具体的に例を上げましょうか、そうすればおわかりになると思います。御承知のように、日本の建設というのは終戦以来非常に重要な問題である。しかし、これが非常におくれておったということは、ただ建設省の責任ということよりは、むしろ私は与党とか野党ということよりは、政治に携わる者の全般的な責任であったであろうと考える。けれども特にその衝に当った従来の政府が、国土の総合的な開発、すべての建設、これらに重点が置かれずに、与野党の政争に忙しく、あるいはまた対外的な問題に忙しく、占領下に置かれたといういろいろな事情等もあったでありましょう。先に戦後やらなければならない仕事が一番おくれておった、そのおくれておった仕事建設省関係である、そういうことが言えると思う。そういうこと等から考えて、せっかく予算も若干増加せられたので、明年度あたり、何かそういう面に関連して新しい計画をお立てになられたかどうか、という点をお伺いしたいのであります。
  117. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ただいまお問いに対してお答えいたしますが、予算が全体として昨年度よりも道路関係において二百億も増額いたし、また住宅関係においても、資金計画相当大幅に伸びておりますことは、何か道路にも、あるいは住宅の政策についても、国民の期待しておる面を重点的に施策したいということからなのでありまして、政府もこの点を重視しまして、政府の重要施策としてこれを掲げておることは御承知通りだと思います。ことに道路の問題につきましては、最近における産業基盤の拡充ということから申しますと、どうしても輸送の隘路ということを打開しなければならない現実になっておますので、そこで、今までの五カ年計画というようなものを大幅に改訂しまして、そうして、その面から今年はとりあえず、二百億からの道路予算増額計上いたしておるようなわけであります。また、一面今まで国土開発の面から申しまして、そういう観点に立った道路整備ということが大半だということは、多年本院等においても継続審査になっておる問題もありますので、これも今回の国会において解決したいと考えまして、国土開発縦貫道路の面について自動車国道法案を提案いたしたいと考えておるのでございます。この法案の内容は、今までの国土縦貫道路の継続審議中のものとの折衷案といたし厳して、そうしてこの面についての施策をいたしたいという大きな構想のもとに予算を計上いたしておるのでありまして、その一環として道路公団をして名古屋—神戸間のバイパス路約三十億の予算明年度思い切って計上いたしたのであります。  このような点と、さらに住宅につきましては、今まで民間自力建築を合せまして、約四十四、五万戸でありましたのを、今年度は五十万戸に増額しよう、政府関係だけでも、今まで十九万工、三千戸のものを二十万戸に増額しようというような計画をいたしまして、そうして二百四十万戸からの不足している住宅難をできるだけ早期にこれを解決したいという計画もここに現われておるわけでありますから、かような点において、三十二年度予算相当重要な計画のもとに計上いたしたものと考えておるのであります。
  118. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そこで、いいお話が出て、私も道路については、国の産業の横軸となるところのものは道路の補修であり改修である、これは一番先に賛成するのでありますが、御承知のように、日本の道路が、自動車をほんとうに走らすために、しかも今度新しく道路建設するために、受益者というふうな名目のもとにガソリン税を引き上げられる中から道路の補修をしていこうということが考えられているやさきに、作られていく道路が従来のような道路であるとするならば、これは意味がない。道路局長もおられるが、私はやっぱり量より質でなければならぬと思う。遺憾ながら、駐留軍が作った軍事道路、と称するものは破損しないが、日本の請負師が作り、建設省が監督して作った道路は、五年か三年のうちにぼこぼこ穴があいてくるというようなふうであって、場合によっては、コンクリート道路にしてもらわなかった昔の方がよかったというような実態が現われておることは、すでに御承知通りであります。私は、そこで今度の予算をおきめになる前に、一応の割り振りはついたようでありますが、その割り振りが、若干道路の補修キロが短縮されても、実際にこれからは相当重要な自動車が走行できるような道路を作らなければならぬと思う、もちろんそういう点に重点を置かれておると思うが、建設省が重点を置き、大臣考えられても、さて道路工事請負人に渡して、それを作り上げられたときには、企画の面で、あるいは監督の面で、結果において私の申し上げるような、すぐぼこぼこしてしまうというような現状が日本の道路の作り方である、従来の。そこで、今後はここに私は企画を立ててもらいたい、そうして百キロのところは五十キロでもいいから完全なものを作り上げるという、何といいますか、基本的な考え方を立て直さなければならぬ段階にきておると思うのであります。こしらえ方も悪い、こしらえ方も悪いが、交通量がひんぱんになってきておることと、非常な重量のものが通過してきておるというような状況になってきておる、こういうような点が考えられてはおるが、実際は行われてないということが実態である。ここに一つ重点を置いていただかなければならぬことが一つ。  もう一点は、ついでだから申し上げておきますが、建設省仕事ばかりではございませんが、すべての面に関係を持つが、特に建設省のような仕事にはいわゆる総花的というか、あすこも少しやる、こちらのダムも少しやる、これでは、私はほんとうの建設は進まないのじゃないか。これも重点的に、一方では極端なことをいえば、たとえば千曲川の方からは一つえらい不平が出ても、それは来年に引き延ばすということで、しかし今度は大利根川の方はことしは一つ完成しようじゃないかと、こういうような重点的なことで解決をつけていかなければ、建設仕事は一向進まない。従って総花的な仕事というのでなく、大臣がせっかくおいでになっておるのであるから、ことしからは一つ重点的な仕事をしてもらいたい、どこが一番荒れて、どこが一番緊急を要するとかいうことに重点を置いて、多目的ダムの早期の建設をはかっていかなければならないこれは失業対策とかいろいろな政策も含まれて、しかも義理等であちらにもこちらにも義理を以てていると、だんだん作っていくうちに、少し前に作ったところのものの中には水が漏れていると、こういうものを作っておるのが日本の工事実態じゃないかと私は思う。こういうふうに私は考えている。二、三拝兄して参りました現地の視察の結果等から考えても、このように考えられるわけで、こういう点には一つ重点を置いてやっていただきたいと考える次第で、そういう点で、一ついわゆる総花式をやめていただきたい、道路はしっかり作ってもらいたい、こういうことが私の考え方なんですが、これに  ついて大臣一つ見解を伺いたい。
  119. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) ごもっともなことでございまして、道路についての建設省にも研究所がございまして、十分近代的な技術にのっとった今後は道路整備をいたしたい、こういう構想で完全舗装をしようというこのたびの計画は、完全舗装をする以上は、やはり駐留軍がした道路がりっぱで、今までの日本のやった道路がまことに破損が早いということではいかんのでありますから、今後はお説のように、量よりも質という方向に向いながら、予算があれば事業量もふやすというようなことで、できるだけ一級国道あるいは二級国道というようなものについては、幹線国道は早期に完全舗装をするという方向へ持っていきたいというのが、ただいまの建設省考え方であります。   この河川等の改修について重点的にしたらどうかというお説は、まことにごもっともであります。しかし御承知通り、日本の大小河川というのは非常に多く、また日本ぐらい災害の多い旧はないといわれるくらい災害の多いところでありますために、公共事業というのは、御承知通り全国的にこれは考えて配分しなければならないほどでありましたために、特にまた大小河川が地方にたくさん分布されております関係から、一方の利根川なら利根川だけ重点的にやる、北上川なら北上川を入るということになりますと、一つの河川だけでも何百億もかかるような計画でありますから、そうなると、ほかの木曾川でも、または天龍川でも、その他のものが放置れますと、一度水害があった場合にはその方が非常にはんらんいたしまして、地方が迷惑するという場合があるわけであります。同じ重点的と申しましても、それらの総合的な面を考えながら、重点的な施策をしなければなりません。思い切った予算が国の財政上許されるならば、全部重点的にやりますけれども予算等の関係がありますために、とかくかようなことになっているのでありますが、予算の範囲内においては、できるだけ重点的に皆さんの世論等も聞きながら施策をやっているのが現状でありまして、できるだけ河川の問題につきましては、もっと財政的に許されることを私どもは希望いたしているわけであります。  ダムにつきましては、今年は先ほども申し上げた通り、これらも国土開発の面から、今年は特に私どもは重点的に施策をしなければならぬということで、最後に大蔵省にこの特別会計の設定を要求いたしたのでありますなかなか困難な事情でありましたが、最後に大蔵省もわれわれの要望を認めまして、このたび計上いたしましたようなダム特別会計計画になったのであります。これがためにこの多目的ダムにつきましては、非常に私どもの想像以上に重点的に、そうしてたくさん量的にも質的にもりっぱなものができるという計画になりましたから、今後におきましては、皆さんの御期待に沿うような方向へゆくかと確信いたしているようなわけであります。
  120. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 言葉じりを取るわけじゃありませんが、お説の通りに、一方の川だけを直して、一方の川は直さないというようなことでは、日本の国土の現状から言って困難だ、これはわかり切っております。それですから、私はそれだけに重点的に、もっと率直に言うならば、二百十四億ぐらいの金が少しぐらい余計にもらえたからといって、あなたの立場だけでどうこう言える問題じゃない、国の政治全体として、いわゆる大方針を樹立しなければならぬ段階にきているのじゃないか、それは大蔵大臣の責任であり、ひいては首相の責任であるかもしれませんけれども、国土の総合開発計画というものにもっと重点を置いて、ほんとうにあなたの言うような思い切った、ここで外債などをつのって国土の開発、一つ河川の修築をやろう、ダムの作り上げをやっていこうという段階に私は来ているのじゃないか、こういうことを私は申し上げている。今限られたこの予算の中で重点的にやる、しかもこの中でも基本的に今年はやって、そうして重点的なやり方で幾らかでもやっていかなければならぬということに焦点を置いて、今私は即座にできることじゃないと思いますが、大臣もう一ぺん一つ努力を願いたいということと、それから道路の問題でありますが、橋には永久橋があるが、道路には遺憾ながら永久道路がない、これは一つ永久道路になるような、ほんとうに建設省考え方とあなたの考え方がそういうようであっても、先ほど私が言ったように下部へ行って、実際工事に付され、その工事請負人に渡されて、それの監督者との間で不正が起るということを、私は言いたくはないが、そういうようなことが、あるいは監督の技術者の未熟等、いろいろなことから問題が起ろうと考えられる、上で考えているような道路ができてないのが実態でありますから、そういう点をどうぞ一つおつかみになって、建設事業というものがいかに重大なものであるかということを、閣内でもう少しどんどん強調していただきたい、こういうことが私のお願いです。御答弁が別になくてもよろしいのです。
  121. 石井桂

    ○石井桂君 先ほどの首都圏の予算は、建設省所管じゃないですね。それですから、この次の機会でもいいですから……。
  122. 南條徳男

    国務大臣南條徳男君) これは建設省でないが、建設大臣が首都圏の整備委員長をしておりますから、そこでこ  の次のときに、準備いたしまして御答弁いたします。よろしゅうございます。
  123. 岩沢忠恭

    理事岩沢忠恭君) お諮りいたします。まだ大臣に対する総括質問の御希望の方が多々あるのでありますが、本日は時間もだいぶ過ぎましたから、木曜日に引き続いてお願いをしたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十八分散会