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国務大臣(
根本龍太郎君) この問題は、私の着任前のことでありまするが、問題が重要でありますので、具体的な
内容は、詳細は聞いておりませんけれ
ども、大綱については
承知しております。
今御
質問になりましたが、今回の問題だけがなぜ紛議しておるかという問題についての問題が重点だろうと思うのです。従来三億か四億どころではございません。十数億、二十億というような大きな
補償も
政府でいたしております。しかも
関係者が非常にたくさんあっても解決しております。しかるに今度の問題がなぜこんなに紛糾しているかということについて、私は重大な
関心を持ちましてその経緯を若干聞いています。
御
承知のように、あすこの
漁業補償が、農地や山林、住宅と違いまして、
一定の面積に一応
放水路を作ることによって
漁業上の
損害を来たすであろうと思われるところの権利が非常に錯雑をしている。
漁業組合も十八もある。しかも同じ水域において貝がありノリがあり、そしてまた特定の権利があるということで、これは今までにない複雑な
内容を示しておる。しかもおのおのその
要求する側はいろいろの理由をもって多額の
要求をしてくる。そこでこれは個々のそういう
状況ではいけないからというので、
権利者が相集まりまして、そうして
委任状をもって交渉に参っておる。その
内容が整っておりまするから、それに応じて今度はいろいろのケースから最低基準を設けて、そうしてこれが一億数千万か二億何ぼかというようにこれが
決定になった。その間
権利者もその点については合意をしておる。従って
政府としては、正当な手続をもって、
委任状を持っておる人にこれを与えるということはこれは当然であります。そうして問題は、今度は受領した
組合員なり
権利者の間においてさらにこれを
配分する。これもいろいろ
紛争が起きたということも私聞いております。それは先ほど申し上げたように、たとえば土地であるならば、一坪なんぼに評価する、あるいはまた家屋ならどう評価する、こういうことができますが、同じ水面において貝とノリと、それから
漁業と、これがありまするために、なかなかそれがおのおの
意見が食い違っておる。しかし最後にこれらの諸君が一応了解され、あるいはまたいろいろの機関の手続を経て
決定しておる。こういうようないきさつであったと私は聞いております。従ってそこにいろいろの不満もあるいは出てきたものもありましょうし、またいろいろと
意見を異にする者も出てきたかもしれません。しかしながら、こういう場合においては
政府としては、やはり従来の例によってそういうふうな手続をとるのが、最も妥当にして実際なんだということでやった措置だと思います。そこで不当にもしこの
補償金が払わるべくして払われていないということであるならば、先ほど
河川局長が申されたように、
現実にその
資料というものを持って参りますれば、これは十分に
調査をして処理する、こう言っておるのであります。
さらにまた渡された金が
内部的にどう今度は
配分したか、これは先ほど言ったようないろいろな基準によって算定しておるけれ
ども、個々の問題についてはきめられないから、これは
権利者の、
組合と申しますか、そういう
人々の合意によってやるという前提で
向うも
委任してきておるから、それにまかして一向差しつかえない。そうして、もしそこに
刑事上の問題、民事上の問題がありますならば、これは先ほど御指摘されたように
刑事上の問題としてこれは取り上げられていい。
刑事上の問題にまで
建設省が関与すべき
権限ももちろんございませんし、あれはございません。しかしながら、非常に複雑な問題でありまするがゆえに、
地建並びに県あるいは
関係町村、これは直接に何ら
関係ございません。けれ
ども一応
実情がわかっておるということでいろいろと
指導というか、あるいは相談に応じてやっておるという
状況であります。従いまして、この問題の複雑性は
承知しておりますけれ
ども、
建設省は、何らかのある政治的な、あるいはまた特定の人間の利益のためにこういう
紛争が起ったことを無視しておるということは毛頭ない、全然ないと、私はさように
承知しております。