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1957-09-11 第26回国会 参議院 決算委員会 閉会後第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年九月十一日(水曜日)    午前十時五十六分開会   —————————————   委員の異動 本日委員具根登辞任につき、その 補欠として片岡文重君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            久保  等君            鈴木  一君    委員            石井  桂君            江藤  智君            後藤 義隆君            堀本 宜実君            松岡 平市君            相澤 重明君            大倉 精一君            片岡 文重君            島   清君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            杉山 昌作君            岩間 正男君   国務大臣    法 務 大 臣 唐澤 俊樹君    建 設 大 臣 根本龍太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    法務省刑事局長 竹内 壽平君    農林省農地局建    設部長     清野  保君    建設政務次官  堀内 一雄君    建設省河川局長 山本 三郎君    会計検査院事務    総局第三局長  石渡 達夫君    会計検査院事務    総局第四局長  中川  薫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出)  (太田川の河川改修工事に伴う補償  金に関する件)  (福島県関柴ダム工事に関する件)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十六回国会閉会中第十回決算委員会を開催いたします。  まず、委員の変更を御報告申し上げます。本日、阿具根登君の辞任に伴いまして、片岡文重君が補欠として選任されました。   —————————————
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書並びに国家財政経理及び国有財産の管理に関する調査  を議題といたします。  本日は、まず太田川の河川改修工事に伴う補償金に関する件を審議いたします。本件に関し御出席の方は、会計検査院石渡第三局長根本建設大臣山本河川局長關盛河川局次長川村治水課長の諸君であります。  建設省から、その後の状況について御説明を願います。
  4. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 初めに、この前の委員会で御要求のございました資料の御説明を申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか……。  お手元に差し上げてありまする昭和三十二年九月の太田放水路開削に伴う漁業補償に関する資料というのがございますが、これによりまして御説明申し上げたいと思います。  めくっていただきますと、資料の目次がございますが、資料に対しまして、極力いろいろと委員会連絡をいたしまして、資料提出に努力いたしたのでございますが、現在これだけの資料提出できるということで、先方資料を御提出申し上げた次第でございます。第一番目は、委員会経費のうちの、東京陳情費内訳、二番目が、委員手当金内訳、それから三番目といたしまして、事務手当金内訳、四番目は、実態調査費内訳と相なっております。  第一番目は、東京陳情費内訳でございまして、総額は百十九万六千八十二円ということでございますが、これはここに書いてありますように、二十八年の九月から三十二年の一月にわたりまして、委員会委員長、その他委員の者が東京陳情に参りました費用からなっておりまして、年月日及び摘要のところに、だれが参ったかというのと、それからそれに支出いたしました金額をあげております。いずれも東京に参りました費用でございます。  それから二番目は、委員手当金内訳でございまして、全体といたしましては八十五万二千八百円に相なっておりまして、ここに氏名並びに金額があがっておりますが、竹本四方委員長ほか委員に対しまして出しましたるところの日当等でございます。  次は、三番目でございますが、事務手当金内訳でございまして、これは事務員を雇っておりまして、川上雅之という事務員島田信治という事務員がおりますが、これに対しまして、おのおのそこにあげてありまする金額並びにその他の臨時雇に対しまして一万三千四百円支出しておりまして、それらの合計が四十五万五千四百円と相なっております。  次は、実態調査費内訳でございまして、そこに書いてありますように支出年月日が二十九年の七月から三十一年の十月にわたりまして、金額二十万円等々を支出いたしまして、大体におきまして各部会カキとかノリとか貝とか、漁撈等々の各部会実体調査費を支給いたしまして、実態調査をやったわけでありますが、それらが合計が百四十七万五千八百六十五円と相なっておるわけでございます。  その他につきましての資料の御要求がございましたそのうち、配分委員会費用並びに対策委員会の会費の問題でございますが、これらにつきましての関係書類及び領収書は、目下証拠書類といたしまして裁判所に提出してありますので、その内訳が出せないということでございます。  それからさらにもう一つ、二千万円の委員会経費総会承認を得ておるけれども、その内訳はどういうことかということでございましたが、これは補助金総額の一割の範囲内で支出するというワクだけをきめたわけでありまして、支出内訳はまだきまっていないということでございまして、その内訳が遺憾ながら提出できなかった次第でございます。  それから次に、その後の経過を簡単に申し上げますると、草津地区以外の組合等につきましては、配分額決定いたしまして、それらにつきましては全部支払いを完了しております。従いまして、草津地区だけの配分が残っておるわけでございますが、草津地区につきましては、配分委員会が各方面の要望を集めまして、極力配分作業を進めていたのでありますが、去る八月十二日に総会を開催いたしまして配分要綱承認を受けました。これに基きまして、八月の十三日から配分を始めておりまして、現在までの配分進行状況は、補償金が、利息を含めまして一億七千二百余万円になっておりますが、そのうち個人配分の、まだ個人に渡っていない分が五千三百万円余あります。そのおもなるものは、カキ損害補償金でございまして、その配分につきましては、ちょうど現在カキ生産の最も多忙の時期でありますので、配分作業がおくれておりますけれども、これも近く配分がきまりまして、各個人に金が渡し得るというふうに相なっております。  以上、簡単でございますが、その後の状況を御説明申し上げました。
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) では御質疑のある方から順次御発言を願います。
  6. 大倉精一

    大倉精一君 まず、この資料についてちょっとお尋ねしておきたいのですが、実態調査費というのがあるのですが、この実態調査費というのは、調査費用というのは、どういうところに費用がかかるのですか。この前、現地でわれわれが聞いたときには、そんなにこの実態調査には費用がかからないという答弁が当事者からあったのですが、相当多額の金がかかっておるようでございますが、どういうところにこの金が要るか、おわかりになったら説明を願いたいと思います。
  7. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その内容につきましては、私どもも詳細にはつまびらかにいたしておりませんのでございますが、実際の生産高であるとか、あるいは損害率等のいろいろの意見を聞いたり、あるいは現地調査をいたす等のために要する費用だというふうに考えております。
  8. 大倉精一

    大倉精一君 資料はその程度にしまして、今のその後の経過説明によりますと、八月十二日に総会を開いて、配分決定すというような説明がありましたが、私どもが聞き及ぶところによりますと、八月十二日の総会は、この配分決定をめぐって非常に混乱が起って、ついにこの決定を見るに至らなかったというようなことを聞いているわけであります。その決定されないままに十三日から配分がきまっていった。そういうような状況でありますから、現在においては、ますますこの事態が複雑になってきて、いわゆる対策委員会の中からも不満分子の何かグループができて、そうしてあの部落では大へんな混乱をしているというふうに聞いておりますが、そういう実態について、建設省の方では把握されておりますか。
  9. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまのお話でございますが、総会混乱したとか、あるいはその後、その総会決定につきまして非常に混乱が起きているというふうには私どもは聞き及んでおりません。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 これは今の建設省の方の報告は、われわれが現地について調査し、あるいは聞いているところとだいぶ違うと思います。これは相当大きな問題でありますから、建設省の方でおわかりにならなければ、次の機会か何かに、やはり現地からよく事情を聞かなければならぬと思うのです。  次に、お伺いしたいことは、今申された、この配分をしたというのですが、この配分にあずかる人——受取人ですね。受取人の中に、全然その資格のない人がいるということなどを聞いているのですが、そういう状況についてお調べになったことがありますか。
  11. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 配分委員会におきましては、漁業実態に応じまして今回の太田川の放水路によりまして、損害をその実態におきまして受けるというふうに考えられる人を委員会で選定いたしまして、実情に応じて配分をしているわけでございますので、全然関係ないという人は入っていないというふうに考えております。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 これも建設省の方でよくお調べになってはいないようでありますが、私の手元にある資料によりますと、相当たくさんの人が、いわゆる無資格と見られるような人が配分にあずかっている。たとえば運送屋さん、左官屋さん、あるいは隠居をしている人もいる。あるいは学校の職員なんかもいるなんということで、ほとんど漁業実態がないという人が相当たくさん配分にあずかっている資料が来ているのでございますが、こういう点については、全然あなたの方ではお調べにはなっておりませんか。
  13. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私どもの方といたしましては、この問題について実害を受ける人に対しまして、配分をしているというふうに聞いているわけでございまして、全然被害を受けないというような人には配分していないというふうに聞いております。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 ことごとに事実と違うように思いますが、こういう実態のないような人に配分をしておるという、こういうことが事実とするならば、これは建設省の方では、そういう問題について干渉されないのですか。これはやってしまったのだから、向うのやることは自由だからというようなことで、これに干渉されませんか。
  15. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この問題につきましては、配分要綱決定いたしまして、それによりまして総会にかけておるわけでございます。従いまして、先方におきまして、そういうふうに自治的にやっておる問題でございますので、建設省といたしまして、そういう問題につきまして、積極的に干渉することは、権限といたしましてできないと考えております。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 建設大臣にお伺いしたいんですが、この問題は、この前の大臣のときからの問題ですが、建設省の一貫した答弁としては、補償金をやってしまったのだから、それをどう分配されようが、どういう工合に使われようが、建設省としては、これはもう干渉すべきものじゃない。こういうことで、かりにその金が非常に不当な分配をされておる、あるいは不正な使用をされておる、こういった場合においても、建設省としてはこれは干渉できないのだ、こういうような答弁がずっと一貫しておりますが、それでいいものでしょうか。
  17. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) まず、ごあいさつ申し上げます。先般の改造で建設大臣になりました。今後いろいろとお世話になると思います。  ただいまの御質問でございますが、補償問題は、御承知のように、河川改修あるいは道路、ダム建設等、いろいろだくさんの経験がございまして、これに基きまして多数の方々が、これに関係のあるものでありますから、実際上の慣行と申しますか、事実上の行為といたしまして、それら利害関係者、個々の人々補償の契約をするということを避けまして、その権利者と申しますか、補償を受くべき方々一つ交渉相手を、向うの方でも事実上の団体と申しますか、代表が委任状を持って参っておるのであります。政府といたしましては、そうした委任状資格のある人を相手といたしまして、調査はもちろん、利害関係者の御意見も十分聞きますが、客観的な立場において合理性あるものと思われる一定の基準によって査定をいたすのでございます。査定の結果、現実補償の手配をするという場合になりますれば、これはやはり代理受領者と申しますか、それが向うから委任状を持って参りますから、それにお渡ししておる。従来はそれで、あとは権利者同士の協議によって自治的にやられておりますので、従来はこういう例はほとんど聞いていないのでございます。しかるに今回この問題だけが非常に紛争を起しておるということについては、われわれまことに遺憾でございます。これはある意味においては、こちらの監督というよりも、むしろ内部的な問題が相当あるのではないかというふうに考えておるのでございます。この内部における動きがどういう状況であるかは、私は詳細は存じておりませんが、ただいま河川局長から申されたように、政府当局に対する報告、これは皆一応の手続きあるいは書類等が整備して参っておりますので、これは政府としては、若干の問題はあるでしょうが、この問題については、政府として直接干渉すべき段階ではない。また事実、現実にこれは、もし組合員同士におけるいろいろの紛争ならば、これは総会なりそこらで問題になるでしょうし、それがもし刑事上の問題でありますれば、これは法律上の問題になってくるだろうと存じます。しかし、そういう建前だといって、しからば全然この問題をわれ関せずという態度ではもちろんないのでございまして、現地の県あるいは市、さらには地建等がよく現地において実情調査の上、公平にしかも適切に配分がなされるように、指導と申しますか、いろいろと御相談あるいは勧告をしておる。こういうふうに私聞いておる次第でありまして、私はその段階でいいではないかというふうに、今までの報告を聞いて私は考えております次第でございます。
  18. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと申し上げますが、ただいま唐澤法務大臣と、横川同じく法務省政務次官竹内刑事局長が御出席になっておりますから、御質問願います。
  19. 大倉精一

    大倉精一君 今の大臣お話でありますというと一応の報告は聞いておる。あるいは形式も整っておるから、こういうお話でございましたが、これは、報告はどうでもできるものです。現に私の手元にも、たとえば八月十一日に分配がきまったその翌日でしたか、確かに四方一の方から私の方に電報が来ました。配分がきまったから御安心を請うという電文が来ました。私はその電報を聞いて、これはけっこうなことだと思いながら、現地へ問い合せてみると、どうも実情は全然違うという状況を知ったわけです。さらに、先般われわれが向うへ参りまして、県庁へ関係者を呼んでいろいろ聞いてみましたが、どうも腑に落ちないところがありましたので、その後、私はほかの用件で広島へ行ったので、個人的に部落にも入って事情調査して参りました。そこで私が申し上げたいのは、二億六千万円というような金は、ああいう小さな町では見たこともないような金です。この見たこともないような金をボスが握ってしまった。簡単に言うならば、自分でもらったような気になってしまった。分けてやるというような気になってしまった。ここで二億六千万円という金が、どうもその使い方に非常な疑覇が起されてきた。組合と申しますか、その実害を受けて補償を受けるべき漁民の中から、非常な不満分子も出てき、また分配をめぐって非常な混乱が起っておる。しかも国会でも取り上げられておる。こういう問、題のときに、建設省としてはだれか、やはり現地へ派遣をするなり何なりして実情調査される、そのくらいの誠意があって私はしかるべきだと思うのですが、だれか現地調査においでになりましたですか。
  20. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 建設省が本省から行ったこともあるらしいのですが、御承知のように、あの工事広島地建管下でありまして、しかも広島市の近くでございますから、随時この点は調べもし、かついろいろとあっせんと申しますか、指導をしておると聞いております。私、先般山口、広島管内に行ったときも、地建局長から報告を聞いたのが初めてでございまして、これは時間がありませんから、あまり詳しくはなかったけれども、前にはこの配分がおくれて、いろいろ騒ぎが起っておったのであるが、最近補償を受くべき人々の間においても、総会においてだいぶ話がついてきたようで、しかも近くほとんどその問題が解決するような傾向にある。それから県の方でもいろいろとあっせんをしておる。こういうふうに聞いて参りましたので、私はおそらくその問題も近く解決するであろうというような期待をもって帰って参った次第でございます。
  21. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、一つ別の角度からお伺いしたいのですが、この配分をめぐっていろいろ問題がある。ところで、この対策委員長に対して信任、あるいは委任状を渡していないという連中がたくさんいるわけです。公平組合というものを作って、その連中がこの対策委員会の方へ行ったところが、お前たち東京へ行ってもらってこい、そう言われたので、そこで、その連中建設省の方へ直接、損害補償をして下さいという要求をしておると聞いておるのです。これは、かりにそういうことになったならば、建設省としては、その人たちに対してどういうような補償をされることになるのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  22. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 公平組合からそういうふうなお申出がございまして、地建におきまして、県と相談いたしまして、それではその実情につきまして詳しく話してくれ、どういうふうな方々であるか、あるいはその実情にりきまして話していただきたい。そうすれば、対策委員会とも話し合いするし、また、県におきましても、それに対する対策を、苦情を処理するような考えがあるから、資料を出していただきたい、どういう方々であるか、人数あるいは氏名、あるいはその具体的な内容をお出し願いたいということでお話ししてあるそうでございますので、そういうものが出て参りますれば、それに応じまして処置したいというふうに考えております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。建設省の基本的な態度というものを私は統一、確立する必要がまずあると考える。その立場から伺いますがね。大倉委員が非常にごもっともな点質疑をされているわけですが、河川局長答弁から感じられる点は、補償金を渡した。従って、総会等によって決定されるものだから、この処置に対して、建設省事務当局としてとやかく言うことは適当じゃない、まかしてある、大体こういう印象を受けます。それから大臣は、非常に要領のいい答弁をされて、どこにピントを合せて答弁されているのかわからないように、煙に巻くような答弁をされておりましたけれども、最後の一言に、補償金配分を適正に行うために指導し、また是正するために勧告をしている、こういう言葉大臣から出てこられた。少くとも、山本局長言葉からすれば、そういう印象を受けないわけですが、この点は明確にしてもらいたい。この事件は、私は、政治色を伴う補償の問題の典型的な、最も遺憾な例だと、かようにこの事件の性格をつかんでいるわけです。会計検査院においても、年々会計検査の場合に、二十万、三十万程度のものをずいぶん峻烈な監査をして、そうして批難事項として指摘し、是正もされているわけですが、三億になんなんとする補償金が、長きにわたってこういう事態にあるということは、これは会計検査院としても意見があるはずだと思う。従ってまず伺いたい点は、建設大臣には、国からこれだけの補償金を出しているのですから、適正に配分されればともかくも、大倉委員が指摘されているように、被害を受けていない者にまで配分されているというわけですね。これは、直接被害があったか、間接被害があったか、いろいろあろうけれども、しかし、補償という場合には、直接被害においても、間接被害においても、常識というものがあると思う。建設省においてはスケールというものがあるはずです。それに沿わないような配分が行われているについては、強力なる私は指導と、直されぬ場合には是正をすべきだと思う。極端な場合は返還させてもしかるべきだと思う。そういう積極的な、基本的な態度というものが、この事件に私は非常に弱い点を不思議に思うと同時に、遺憾に思うわけですが、この点を建設省にお尋ねするのと、それから会計検査院にお伺いいたしたい点は、先ほどの建設省山本局長答弁、ああいう発言をお聞きになって、検査院当局はいかようにお感じになられるか。国民の立場に立って一つ明快にお答え願いたいと思います。まず建設省から。
  24. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私のお話し申し上げた点についての御質問でございますが、補償というものは、先ほど大臣からお話があったように、補償を受ける正当の権利者に対して、こちらから払うわけでございますが、今回の場合におきましては、正当なる委任を受けました相手方に対しまして、こちらはお払いしたわけでございますので、その点につきましては、十分措置しておるわけでございます。ただ、その先におきまして、どういうふうに配分されるかということにつきまして、建設省は全然関心を持たれなかったというお話でございますが、これにつきましては、実情に応じまして配分されるように望むわけでございまして、先ほどお話し申し上げました配分要綱等の問題につきましても、絶えず県及び市と連絡をいたしまして、配分が早く行われるように、また公平に行われるように側面的に指導いたしますし、また、いろいろと注文をつけておるわけでございます。全然無関心であるというようなことではないのでございますので、御了承いただきたいと思います。
  25. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 検査院としましては、前に申し上げておりますように、国の支出が適当なりやいなやというところまでの検査をしまして、すなわち、協定額の二億六千六百万円が適当なりやいなやという検査と、それから、それが補償額の全体総額になるのでありますが、総額が適当かどうかという検査と、それから、今まで支出しましたのが一億六千万円ばかりありますが、その一億六千万円の支出が適当なりやいなや、金額がいいかどうかということを検査したのでありまして、それから先の、支出した先の団体経理、これにつきましては、検査院法によりまして、権限がございませんので、その結果が、どういうように内部的に経理しているかということは、検査院として全然タッチすることができない範囲になっております。従って、検査院では、内部経理がどうなっているかということは全然タッチしておりません。ただしかし、前にも申し上げました、速記録にもありますが、実地検査に行きました場合に、どうなっておるかという関心は持っております。出先の地建に参りましたときに、地建担当官に、どういうふうになっておるかという様子は伺っております。どうも配分がおくれているということは十分承知しております。そのたびに、出先の検査担当官は、公平に早く分配できるように、県なり市なりと協力して一つ考えておいてもらいたいという一つの、何といいますか、紳士的なアドバイス、これはやって行こう、しかし、それを越えて、権限として、早く配分しろということを、この組合経理に対するアドバイスとして権限的に申し上げることはできないのであります。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も、先ほどの大倉委員質問に対する大臣答弁並びに事務当局の答弁に関連して二、三お聞きしたいと思う。それは、とにかく正当な資格者と認めて補償金を渡したのだから、その後についてはあまりあずかり知らないというのが、大体今まで何回か、数回にわたって当委員会で行われた質疑に対する当局の答弁だと思う。そうでしょう。その点はそうなっていると思う。しかし問題は、何も発生しなくて、円満にその問題が解決されて、補償金が実際下の方に渡って、そうして実際は補償の効果を上げた、こういう事態であったら、われわれも何も問題にしないわけです。当然だ。しかるに、この問題は、これに対する反対者が非常に多い。そうしてまた公平委員会というようなものも別に出て、これに対する実際の実害を受けている人たちの不満というものが非常に起っておる。そのような運動が起っておる。さらにまた、この問題に対しましては、これは刑事事件にまで発展しまして、現在これは裁判中なんです。このような問題に対して、建設当局は一応手続の上では、これはちゃんと法の形をとって、合理的になっているのだから、あまり関知する問題でないというようなことで済むのかどうか。私は、そういうような手続の上でどうだったか、それがどんなに数字が合っているかというようなことの問題よりも、実際政治的に、補償金というものはなぜ出されているのか、その補償金の目的を果しているかどうか、それに対する政治的責任はどうか、この問題がわれわれとしては重大な問題だと思うのです。そういうような点から考えますというと、この補償金を出すことによって現地混乱しておる。そうして補償金の目的は、これは果していないというのが実情であります。  従って第一に私はお聞きしたいのは、一体資格認定というものは、正統な権利者であるということで渡したのであります。実はそうでなかった。そうでなかったからこそ今日の紛争が起っている。従って、このような認定を与えて、これを正統だというので、実際の調査を十分にやらないで、第一にこのような資格認定のもとに補償金を出した、この責任はどうなるのか。  それから出したところの補償金についてこのような問題が起きた場合に、はっきりその行く末を見届けて、それに対する建設当局の意見というものを明確にする。そうして今後の建設行政における補償金行政の問題を適正にやっていくというような一体努力をしないのかどうか、しなくていいのかどうか。そうしてここに政治的な一体責任がないのかどうか。この点を私は明確にしてもらいたいのであります。そうでないというと、何か合理的なちゃんと形ができていたのだから、形式の整ったところにとにかく補償金を出した。その補償金もいろいろ経緯があって、ある会合の席上でこれは非常に増額されたものであります。これは詳細を明らかにしてもいい。実際問題としては、その背後にはいろいろな問題があることは、これは明確な事実だ。そういう形で出された。そうすると、今のところは、あくまでも行く末を見届けないという建設省態度そのものは、国民の疑惑の中に閉ざされておる。それで差しつかえないものかどうか。私はこの問題について、その点を政治的な立場から大臣が明確にされることを要求したい。どうぞこの二点について政治的責任があるかないか、この点明確にしていただきたい。
  27. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題は、私の着任前のことでありまするが、問題が重要でありますので、具体的な内容は、詳細は聞いておりませんけれども、大綱については承知しております。  今御質問になりましたが、今回の問題だけがなぜ紛議しておるかという問題についての問題が重点だろうと思うのです。従来三億か四億どころではございません。十数億、二十億というような大きな補償政府でいたしております。しかも関係者が非常にたくさんあっても解決しております。しかるに今度の問題がなぜこんなに紛糾しているかということについて、私は重大な関心を持ちましてその経緯を若干聞いています。  御承知のように、あすこの漁業補償が、農地や山林、住宅と違いまして、  一定の面積に一応放水路を作ることによって漁業上の損害を来たすであろうと思われるところの権利が非常に錯雑をしている。漁業組合も十八もある。しかも同じ水域において貝がありノリがあり、そしてまた特定の権利があるということで、これは今までにない複雑な内容を示しておる。しかもおのおのその要求する側はいろいろの理由をもって多額の要求をしてくる。そこでこれは個々のそういう状況ではいけないからというので、権利者が相集まりまして、そうして委任状をもって交渉に参っておる。その内容が整っておりまするから、それに応じて今度はいろいろのケースから最低基準を設けて、そうしてこれが一億数千万か二億何ぼかというようにこれが決定になった。その間権利者もその点については合意をしておる。従って政府としては、正当な手続をもって、委任状を持っておる人にこれを与えるということはこれは当然であります。そうして問題は、今度は受領した組合員なり権利者の間においてさらにこれを配分する。これもいろいろ紛争が起きたということも私聞いております。それは先ほど申し上げたように、たとえば土地であるならば、一坪なんぼに評価する、あるいはまた家屋ならどう評価する、こういうことができますが、同じ水面において貝とノリと、それから漁業と、これがありまするために、なかなかそれがおのおの意見が食い違っておる。しかし最後にこれらの諸君が一応了解され、あるいはまたいろいろの機関の手続を経て決定しておる。こういうようないきさつであったと私は聞いております。従ってそこにいろいろの不満もあるいは出てきたものもありましょうし、またいろいろと意見を異にする者も出てきたかもしれません。しかしながら、こういう場合においては政府としては、やはり従来の例によってそういうふうな手続をとるのが、最も妥当にして実際なんだということでやった措置だと思います。そこで不当にもしこの補償金が払わるべくして払われていないということであるならば、先ほど河川局長が申されたように、現実にその資料というものを持って参りますれば、これは十分に調査をして処理する、こう言っておるのであります。  さらにまた渡された金が内部的にどう今度は配分したか、これは先ほど言ったようないろいろな基準によって算定しておるけれども、個々の問題についてはきめられないから、これは権利者の、組合と申しますか、そういう人々の合意によってやるという前提で向う委任してきておるから、それにまかして一向差しつかえない。そうして、もしそこに刑事上の問題、民事上の問題がありますならば、これは先ほど御指摘されたように刑事上の問題としてこれは取り上げられていい。刑事上の問題にまで建設省が関与すべき権限ももちろんございませんし、あれはございません。しかしながら、非常に複雑な問題でありまするがゆえに、地建並びに県あるいは関係町村、これは直接に何ら関係ございません。けれども一応実情がわかっておるということでいろいろと指導というか、あるいは相談に応じてやっておるという状況であります。従いまして、この問題の複雑性は承知しておりますけれども建設省は、何らかのある政治的な、あるいはまた特定の人間の利益のためにこういう紛争が起ったことを無視しておるということは毛頭ない、全然ないと、私はさように承知しております。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお聞きしたのは二点なんです。  第一に、補償金を出すに当って、これを受ける方が正常な権利者だということで渡してしまったけれども、しかしそのあとで紛争が起って混乱した。従って正常な権利者でなかったのじゃないか、この問題について一体再考する必要がないのかどうか。再考しないで、あくまでもほおかぶりでいって、そうして建設省態度が正しいといえるかどうか、これが一点。  第二の問題は、一体、補償金というものを今のような形で渡してしまえば、あとどうなっても——紛争が起ろうが、目的以外に、目的を真に果すように使われないとしてもかまわないのかどうか、それでいいのかどうか。こういう点で、建設行政の立場から私はお聞きしておる。それは刑事問題とか何とかというのは、それは付帯した事項でありますが、私はこれはあくまでも行政府として、どういうふうにこういう問題を、補償金を扱う場合に一体これはやるべきなのか。今までの態度としましては、どこにも異存がなかったのだから金は渡したのだ。その問題を起したのは、起した方が悪いので、それは建設省の知ったことではないというので、ほとんどほおかぶりした態度で当委員会に臨んできたのが建設省態度だと思う。これは同僚諸君のだれでも認ておるところだと思う。やいのやいのと言われればこういうお粗末な資料も出てきます。こういう資料でわれわれは実際は満足できないのです、ほんとうは。実際はこんな資料で、もっと詳しいものを一体調べることができないものかどうか。行政官庁としての補償金を渡した立場から、そういうことができないのかどうか。できないということで、せいぜい子供だましみたいな資料を出されても、実際は、調査のしょうがない。もっと打ち込んで、ほんとうにこの問題を解決し——この問題だけじゃない、今後におけるところの建設行政を明朗なものにする。しかもどこに出しても国民が納得できるものにするというならば、今のようなほおかぶりの態度では、私は断じてこれは了承できないと思う。だれが考えてもこの問題はおかしい、こういう感情は動かすことができない。その点について私は先ほどの御答弁から関連してお聞きしておる。この点明確にしてもらいたい。
  29. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御承知のように漁業補償は、実態は個々の利害関係者でありまするが、水産庁でもはっきりと解釈を一定しておりまして、これは漁業権者の権利を補償するという形になっております。従いまして、この漁業権はだれが持っているかというと、組合が持っているのです。そこで組合が対象になっているわけなのです。漁業権者に対する補償でございます。そこで、その漁業権者が今度は内部においてどう配分するかという問題におけるこれは紛争だとわれわれは見ておるのでございます。従来とも、これは従来もいろいろの事例もございまするが、今回のように内部紛争の起ったというのは非常に珍しいこれはケースでございまして、これは建設行政上の問題ではなくして、補償を受ける内部の問題が非常に多いと思っております。われわれとしては、漁業権者が正当の手続をもって正当の代理者を立てて要求してきた場合、それを対象者として交渉することは当然であり、そうしてまた、その権利を補償するために必要なる客観的条件を備えてきた場合に、これに対応してやるということも、これは行政上の当然のことだと思うのです。従いまして、今お示しのように、今度の問題で建設行政上非常に疑惑を持つということは、おそらく私は今までだれからも聞いておりません。問題は、建設行政それ自体ではなくして、この組合というか、権利者同士における紛争の問題としてわれわれ承知しております。従いまして、これがさらに刑事上の問題になれば、先ほど言ったような状況に相なりますが、しかし、われわれとしては、先ほども繰り返し繰り返し申したように、これは当事者間の合意がまず第一であり、そしてまた、それがなかなか、こういう紛争をしてくるといろいろの派生的な問題も出るでありましょうから、そこで現地に最も詳しい県あるいは関係市の方からもいろいろと協力していただいて、問題を公平に、かつ、すみやかに解決するようにいたして参った次第でございます。今御要求になりました資料等も、これは内部的な、配分の過程における内部紛争状況がどうかということをまあ突っ込んで聞かれているようにも思われますが、その点までは手が届いていないと、こういう私は河川局長答弁のように聞いているのでございます。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 何か大臣は就任以来日が浅いし、事務当局だけを通してお話をお聞きになっていらっしゃいますから、やむを得ない点もあると思いますが、何か誤解をされているのじゃないか。これは正当な権利者というようなことを言っておられますけれども、非常にここに問題があるわけです。これを承認しないで、しかも実際の被害者の中で、何ら委任状を出していない、ことに草津地区あたりではそういうような人たちが非常に多いわけです。そういう人たちが今度の処置には賛成できない。この竹本四方一氏を委員長とする会というものは、いわばそういうものの受け入れ態勢のためにでっち上げられたものだ、こういう会合が必ずしもこれは被害者、住民の全体の意思を代表するものでないという点で、これはしばしば公平組合なるものが建設省にも私は数回陳情しておることを聞いておる。しかし建設省態度としては、それをなかなか受けつけない。すでにもうあの権利者は正当なものであったのだから、お前たちの話はあまり聞かぬというような態度だと思います。そういうことで実際は、私は、この資格者がほんとに正しい資格者であったか、権利者であったかどうかという点は、この最初の認定の仕方に疎漏があったのではないか。これは認めるべきではないかと思う。そうでないとこの問題は解決しないのでありまして、今のように全部の権利者を網羅してちゃんと少しも遺漏ないのだという基礎に立てば、なるほど大臣の御答弁は成り立ちます。しかしそうではない。そうではないから紛争が起っておる。最初の認定の仕方に非常に遺漏がある。そうしてそういうことが非常に便宜的に作られた。そこに根本があるのであります。だから、この事態はもう少し大臣も、これはやはり御検討を願いたいと思うのでありますが、そういう点から大体起っておるのでありますから、従って私は再検討すべき立場にあるのではないかというように思いますが、いかがでございましょう。
  31. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 御指摘の通り、実は私この内容を詳細に存じておりませんので、若干認識の不足の点があるかと思いますが、今聞きますと、公平組合の方が非常に御不満だということでありますが、これは広島漁業協同組合の構成員の一部だそうであります。ところで、漁業権は先ほど申した通り、これは組合が持っておるのでありまして、組合長が正当な委任状を持ってさましたら、そこで政府としては、正当なるこれは相手としてやっておるわけなんです。そこで、もしこの公平組合委員という方々が、自分たちはこれは正当な補償を受くべき権利者であるにかかわらず除外されておるという意味において、これは政府に対して要請してくるという事実があったようでありまするが、ただそういう点が明確にならずに、ただこれではいけないということでいろいろと反対、あるいはまた自分たちの権利を主張してきたようでありますが、これについては先ほど河川局長が申されましたように、そういう事実、どういう根拠において、どういう被害状況で、その氏名はどうであった、これを示してほしいと言っておるにもかかわらず、まだ出てきていない、こういう事態に来ておるのであります。従いまして、補償の問題はほとんど大部分がきまっておりまするが、この公平組合方々のこの問題だけは今大きく残っておるというように私は判断しておるのでございます。従ってその点について、これは私は具体的な実情はわかりませんから、その内容については河川局長から答弁いたさせます。
  32. 久保等

    ○久保等君 今、大臣の御答弁によりますと、何か漁業権に対する権利補償だという御説明なんですが、そういうお考えですか、この補償金の問題については。
  33. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 内容は個個の損害内容とする権利補償でございます。
  34. 久保等

    ○久保等君 ですからその点、実は権利補償かあるいは実害補償かということで、非常にこれは問題になった問題なんです、その結着するところ。しかしこれは、とにかく実害のあるものに対しては補償するのだという考え方で補償金の支払いを決定したという御説明を従来から伺っておるのですが……。
  35. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) その通りです。
  36. 久保等

    ○久保等君 従ってそういう点は非常に基本的な問題ですから、重要な問題だと思います。今の建設大臣お話では、権利補償だというような御説明をしておられるのですが、さらに今の説明では両方ひっかけたような御説明なんですが、その点はっきりしておいていただかないと、これは根本的にまた解釈が違ってくると思うのですが。
  37. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは皆さん御承知のように、権利補償ということは権利補償です。しかしその内容は、実害を受けた損害補償内容とする権利補償なんです。権利をどう評価するかという場合に実害が算定の基礎になる、こういうことです。
  38. 久保等

    ○久保等君 それから、私先ほど来の質問に対する関連の質問ですが、お伺いしたいのでございますが、それは正当な委任状を持ってきた、この場合ですと竹本対策委員長、これに対しての支払いが合法的になされておれば、それ以後の対策委員会内部における分配の問題については、これはどうにもあと問題を起しても仕方がないんだというようなふうな御説明に受け取れたんです。しかし私は、建設大臣のお考えは、それならば一体竹本四方一という対策委員長にこれを交付してしまえば、あと一体どういう形でこれに関心を示し、それからまた、それが適正に配付せられるように、一体建設省としては私は手続的にはどういう方法をもってやっておられるのか。渡してしまえばあとは建設省の手を離れてしまったんだ。従ってそれがいかようになろうとも、あるいは結果的には刑事事件になるかもしれませんし、うまくいけば何にもならないかもしれない。とにかく手続的には渡すところまでは渡して、あとの問題については、特別な手続なり方法なりは今までも考えておらないし、また今後もそういったことについて考える必要がないとお考えなんでしょうか。何かこの問題を私はヒントにして、やはり手続的にもう少し方法があるのじゃないかというふうなことをお考えなのかどうなのか。これはひとりこの問題のみに限らず、一般の補償問題についても私は非常に重要な問題だと思うのです。金額が多い少いは別として、建設省としてやっぱり私は問題は、各権利者に、これが適正に渡って、そうして明瞭にこの問題が解決することが必要だと思うのです。従って今のようなやり方では、むしろ問題は多かれ少なかれやっぱり起ってくる形勢が多いんじゃないか。この問題もやはり三年間受け取った本人そのものは全然分配しないで、実は暖めておったんです。従ってその過程において業務横領という刑事事件にまで発展しておる。だから本人だけが悪いというよりも、一体三年間暖めておったような経過建設省としては、とにかく竹本に渡してしまったんだから、あとどうなっておるかこうなっておるか、われわれは関知しないというやり方でおったところに、私は未然にむしろ防止できたようなことがむしろ防止できずに、こういう事態を起したのじゃないかというふうに考えられるのですが、その点についてはいかがでしょう。
  39. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは今申されたように、漁業関係は普通の土地とか何かでは、これは個人ですから、これは個人でやればやれるのです。ただ漁業権というまとまった権利を、しかもその算定は実害を基礎としている。しかもそれが同じ場所で対象とするものが違ってきているということでこういうふうになったので、いろいろの紛争が起きたと思うのです。たまたまその委任を受けた人が円滑に、せっかくの努力にもかかわらずできなかったというので、この問題が起ったのだと思いまするが、政府としては、決してただその代表者が来たから、しかもそれが書類上の形式だけ整っておったから、あとは渡してそれ切りだということではないのです。これはやはり向うでいろいろ代表の人々が集まりまして、ノリはどの程度補償する、あるいは貝はなんぼに評価をする、あるいはまたおのおのの組合配分も、十八もあるから、それをどういうふうに配分する。それからまた個々の人についてはどういうふうな基準でやるかという原案を作って参った際、これは農林省とも相談しつつ建設省で、十分にその配分基準というものもこれは指導して作っているのであります。それによって総会でそのあれが了解されて、そして現実配分になる、こういう状況でありまするから、政府としては一応そういうものを手配したと私は承わっておるのでございます。しかし、今後この問題のようなことがあってはなりませんから、十分にやはり書類上の要件が整備されておるというほかに、やはり現地において各権利者がその代表者をどういうふうに信頼し、またその後の運営についても十分見通しを立てるように、これは今後ぜひやらなければならない問題であると私は感じておる次第でございます。
  40. 久保等

    ○久保等君 私は少くとも三年間も配分されないままに放置されたということは、すなわち、対策委員会自体が配分基準だとか、そういったようなものについての一つの結論というものを持っておらない状態の対策委員会に、建設省が莫大な補償金を支払ったということに私はやっぱり落度があったと思うのですが、いかがでしょう。少くともこれが渡されれば、円滑に各種権利者にこれが渡るだろうという少くとも確信がない状態において、ただ委任状をもらった。しかし委任状をもらったからといって、金額が一人々々の権利者の間で明確化していなければトラブルが起るだろう。その権利者がすべてであるかどうかということについても、私は建設省としてもう少しほんとうの実態を把握した上に立って、それで渡さなければ、ただ代表者が委任状を持ってきたから渡したのだということは、これは私は明らかに軽卒じゃないかと思う。  それからもう一つは、配分してしまった後も、一体それがどういう形で処理されておるかということについて、建設省としては一体書類の報告を求めるような方針で、こういう問題に対しては対処しておられるのかどうなのか、代表者に金をさえ渡せば、まとめて一括して渡してしまえば、あとは全然、関心を持っておるのだといっても、法的に書類で報告を取るのでもなければ、人のうわさやら何やらで、関心を持っておるという程度にしかすぎぬと思うのですが、先ほどの大臣お話では、何か報告書といったようなものを取っておられるようなお話にも実は聞いたのですが、そういう方針で、こういう問題に対しては、たとえば、まあ毎月後とかあるいは三カ月後とか、半年後とか、知りませんが、渡した金額に対する処理状況についての報告を、文書その他による報告を受けておられるのか、おられないのか。
  41. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは河川局長から……。
  42. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 御指摘の通り、私どもの方から委任を受けた者に渡しまして、その金が非常に長い間手元にあったという点は、非常にまずい話でございまして、私どもといたしましても、これを今までの金を三カ年にわたって払ったわけでございますが、そのつど早く配分をきめるようにということはいつも督促をいたしておったわけでございます。ただ三年もたってようやくきまったということで、まことに都合の悪い話でございますが、先ほど大臣から御説明のありましたように、この区画の中には十九ぐらいの漁業権がございます。従いまして、その広島漁業協同組合というのは一番大きいのでございますが、そのほかに漁業権を持っておるものが十八あるわけでございます。まずそれらのほかの漁業権に対しましての話し合いをつけて、それから自分の中に入ってくるという段階になるわけでございまして、そのほかの組合に対する話し合いがなかなか進まなかったわけでございます。それが五月になりまして、こちらでも委員会の空気もございますし、いろいろ私の方でも申し上げました。それで五月になりまして、ほかの組合配分がきまって、残った大部分の金が、この草津地区でございますが、この残った分につきまして、今度は草津の中の配分をきめるわけでございますから、内部の問題は比較的期間がかからなかったわけでありますが、ほかの漁業組合との話し合いというものに時間がかかったわけでございまして、まことに時間がたちまして、その間にいろいろと疑惑のわくような問題をはらんでおるのでございまして、その点はまことに遺憾に思っておるわけでございますが、これはまた特殊な場合でございまして、ほかの漁業補償等の問題につきましては、こんなに時間がかかるのはないわけでございます。今申し上げましたような、ほかの漁業権等の問題が関連ございましたので、一そうその期間が長くかかったのでございまして、この点につきましては、私どもといたしましてもしばしば督促をいたしましたし、またいろいろと関与もいたしておったのでございますが、年限におきまして非常に長くかかったということは、まことに残念に思っておることでございます。また報告等につきましても、いろいろ総会にかかった場合の経理報告であるとかいうようなものにつきましては、そのつどこちらへ取りまして、それに対しまして意見を述べたりいたしておるわけでございまして、十分なる関心を示して、配分が順当に行くように努力はいたしておる次第でございます。
  43. 久保等

    ○久保等君 報告書は何ですか、取っておったのですか。それからまた、こういう場合には取るのですか。
  44. 山本三郎

    説明員山本三郎君) この前の委員会提出いたしました会計報告、それからこの前の総会にかかりました会計報告等の書類はこちらで取ってあります。
  45. 久保等

    ○久保等君 あれは何でしょう、この委員会で問題にしてからでしょう。それならば一つ地建の方は手配をして取り寄せるようにいたしましょうという話だったのですが、こういう問題が、要するに不始末が起る起らないにかかわらず、補償金を交付した場合には、補償そのものは各権利者に円滑に交付されておるかどうか、そういったようなことを建設省としてもこれは当然私は見守らなければならない義務があると思うのです。従ってそういう事故があるないにかかわらず、その問題の行方についての報告書をある程度定時的に、二月おきか三月おきかは別にして、とにかく定期的にある程度報告を、交付した金額に対しての処理模様についての報告を取るような方針でやっておるのかやっておらないのか。先般いただいた報告書は、むしろ当委員会において要求したから、それならば一つ手配をして取り寄せましょうということで取り寄せてこの委員会に出した報告書です。この前の河川局長説明では、別に報告らしい報告を取っておらないという説明だったのですが、その点どうなんですか。
  46. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 委員会で問題にされまして以後におきましては、報告書を取っておりますが、その前におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、ほかの組合との話し合いがつかなかったわけでございますので、配分が具体的に進んでいなかったのであります。従いまして、その間におきましては進展がなかったわけでございますので、それまでの報告書は正式のものとしては取っておりません。
  47. 久保等

    ○久保等君 だから問題なんですよ。だからそのことについて実際配分されておるかおらないかは、何らかの形で報告を受けなければわからないでしょう。だから私は一般的な、ただ単にこの点の問題に限らず、一般的な補償金の問題につきましては定例的に、あるいは定時的に報告を取るような方式を今後の問題としても確立しなければいかんじゃないか。実はそのことが問題なんですよ。しかも使った金だけの報告がきて、使わない金が一体どうなっておるかということが問題なんですよ。しかもそれならなおさら、三年間というものは全くこれは竹本四方一の名義において銀行か何かに預けておった。国民の血税が一億円以上も銀行に宙ぶらりんになって、その金が業務横領というような刑事事件にまで発展しておる。私はそれならば、まず第一回に配分してみたところが、これが各権利者に何ら渡っていないということで明らかになるならば、第二回からの交付は建設省においてストップすべきですよ。なぜ私はそういう措置をとらなかったか。従って結果的にはますます事故を大きくしたという結果になっている。建設大臣、その問題に対してどうですか。三年間そういった何も報告を取らないで、使わないで手元にはあるらしいという推測をしておったと建設省で考えておったならば、建設省としてこれは大きな落度だと思うのです。いかがでしょう。これはこまかい問題ではなくて大きな問題ですから……。
  48. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) この問題について先ほどお話ししたように、従来の経緯をごく最近聞いたばかりですから、十分承知しておりませんけれども、御指摘のように報告を取るのが私は至当だと思います。
  49. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  50. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。
  51. 久保等

    ○久保等君 もう一つ先ほど来私が質問を申し上げていることについて、実際補償金を交付した、ところが三年間これが分け得なかったということは、要するに権利者間の権利の金額そのものが話し合いがつかないままに、じんぜん日を送っておったということなんです。私はそうだとするならば、建設省としては、少くともそういうことに対する見通しどころではなくて、権利関係がはっきりしない状態のままに、その対策委員長なら対策委員長なる者に二億六千万円にも及ぶ膨大な金額を交付してやれば、当然内部において問題が起きるであろうということは、これは十分に予想されるところじゃないかと思うのです。従って、現実補償金等を交付する際には、そういう問題についても十分な資料、それからはっきりした確信が持てない状態の中においてでも、なおやはり補償金は片っ端から、三カ年計画なり四カ年計画ならば、初年度からどんどん予定によって払い出していくのか、交付していくのか、どうなのか。その点一つ、私は大臣の大きな一つの基本的な方針でもあろうと思うのですよ。たまたまこの場合にはそういう方式にはずれた方式をやったから結果的にそういうことになったのか、それとも一体そのことについてどういう方針なのか。これは建設省における補償金に対する支払いの基本的な問題だと思うのですが、どういうことなんですか。
  52. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 先ほど申し上げましたように、補償漁業権者に払うことになっておりまするので、従ってこれは全部まとめて払っているのではないそうです。従いまして、これは個々の漁業組合権利者に対して払っている、こういうことになっているそうです。
  53. 久保等

    ○久保等君 それが二口になっているか三口になっているか、別になっているとして、そのまた二口の中の二口なら二口、一口なら一口の中の内部権利者の権利関係というものが明確になっておらなくても、二口なら二口のものを支払っていくのか、交付していくのかどうか。私は少くとも権利者の個々の、人間個人の個々の権利関係というものが明確にならぬ限り、何とか漁業組合が二口なり三口なりという状態のものであっても、そういうものに交付をしてやれば、事後においてトラブルを起すであろうということは、これは想像にかたくないと思うのですよ。そうだとするならば、やはり個々の権利関係まで建設省としてははっきりした見通しが立たない限り、こういう補償金の支払いをその時期までやるべきではない、そう思うのですが、一体大臣はいかがですか。
  54. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 漁業権者が委任状をもって請求していきますれば、それが査定されて適当であるならば、これは払わなければなりません。それに基いて払っておる、こういう状況でございます。
  55. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃちょっとお伺いしますが、最初からこれは何ですか、河川局長は、この問題に関連されておりますか、どうですか。これを決定する……まあそうでしょうな。そうしてこれは、一切の書類はあるだろうと思いますが、具体的にお聞きしたいのですが、二十九年の五月に、補償決定に当って、最初一億一千万円の建設省の案が出された、そのときの資料はあるでしょうな。どういう資料に基いて一億一千万円になったか。それから、それに対して岩澤参議と森澤県議が仲介をして二億六千万円にこれは決定調印された。そうすると、これは二倍以上にふえた。そのときのはっきりした根拠がなければならない。その根拠を出してもらいたい、はっきりして言ってもらいたい。
  56. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 一億一千万円というお話でございますが、この前の委員会でも御答弁申し上げましたように、そういうふうなお話現地におきまして出たというようなことはちょっと聞いておりますけれども、それからの基礎がどうであったというようなものは、基礎はございません。それから二億六千万円の決定につきましては、建設省といたしましては、地元の広島県の水産課あるいは漁業関係の学者等の意見を聞きまして、正当な基礎に立ちましてきめたわけでございまして、決してその間に、今お話のようないろいろな問題があったわけではございません。
  57. 高田なほ子

    高田なほ子君 大臣にお尋ねいたします。岸内閣は三悪追放ということを目標にされておりますが、この問題は、公平の分配ということをめぐって、間接的に政治的な運動費、謝礼金が非常に多額にまかれておるという問題に対して、大臣としては相当これは御研究いただかなければならない問題です。これはこの前の委員会で問題になったので、資料提出を求めたわけですが、河川局長の御説明では、その貸料がつまびらかにならないというので、きょう出されておりませんが、某参議員には三百五十万円、某県会議員には百万円、某市会議員には百万円、その他総計二千万円の運動費、謝礼金が、総会の名において決定されてまかれておると聞いている。こういうようなことが、本委員会資料提出されませんが、私は、少くとも政治家、あるいはこれに関与した責任のある方まで、こういう多額な運動費がまかれて、しかもそれが手に入っておるということがかりにあったとすれば、これは公平分配の原則からはなはだしくはずれておる。汚職という、あるいは収賄という、そういう汚名を着せられることもやむを得ないのじゃないかと、こういう気がするのですが、総体的にこういう補償金配分に当って運動費等がまかれるということについて、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。この点を明確にしていただきたい。
  58. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私は、この問題のために、政治家が報酬を受け、あるいは収賄しておるという事実は聞いておりません。もしそういう事実がございまするならば、これは非常に重大なる問題たと思います。ので、そういう資料がございましたならばお示し願いまして、それに基いてこれは善処すべき問題たと思います。
  59. 大倉精一

    大倉精一君 どうも前からずっと御答弁を聞いておりますというと、私は非常に遺憾な感じがするんです。なぜかといえば、大臣に対して、実際現地のほんとうの状況報告しておるかどうかということは、私は疑わしいと思う。課長や局長がですね。たとえば、今、高田君の発言の中にもあったように、現に、現地においてはこれに関係した県会議員、市会議員が金を持って逃亡して行方不明になっておる。そういうことを知らぬはずがないと思うんです、局長や課長連中は。そういう報告大臣は聞いておると思うのですが……。
  60. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 聞いていません。
  61. 大倉精一

    大倉精一君 あるいはまた、今の公平組合連中は、漁業協同組合組合員だというふうに大臣はおっしゃったのですが、そうじゃない。組合員である者もおり、組合員でない者もおる。そうでしょう、報告が違う、大臣報告と。それで、少くとも現地において刑事事件になっておる、こんな大きな問題になっているのだが、これを建設省としてはその本源をついて、そうしてこの事態を解決するというそういう努力がなくて、むしろかばおうかばおうとしておる、隠そう隠そうとしておる。こういうことが答弁の中に明らかに見えるのです。ですから、そういう問題についてはあとで聞きますけれども、これは大臣がもう時間がないとおっしゃいますから、あとから追及いたしますが、ただここでお伺いしておきたいのは、あとの金を一体いつ幾ら、だれに払う考えであるか、それをお聞きしたいと思います。
  62. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは漁業権者に払うのが当然であります。
  63. 大倉精一

    大倉精一君 どうですか河川局長、あとの金額ですね、どのくらいの金額をいつごろだれに払うと予定されておりますか。
  64. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 本年の予算におきましては、この前御説明申し上げましたように五千万円余り予算を計上しております。これにつきましては、目下いつ払うかということは検討中でございますが、正当な権利者に対しまして払うわけでございまして、それのたとえば委任状を持ってくる者があれば、やはり払わざるを得ないというふうに考えております。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 そういう形式的なことだけをおっしゃっているからもめるんですが、大体今月の末ごろに五千万円ぐらいを払う、そういう予定だということを聞いておるんですけれども、しかしこの際支払いの相手ですね、支払いの相手を再検討される意思はないか。現にこの資格がある、あるとおっしゃっているんですけれども資格があるといって渡した男が、目下裁判中なんです。不正をやって裁判中なんです。そういう事実があるにもかかわらず、なおかつその人にお渡しするんですか。
  66. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点につきましては、漁業組合とも話し合いはいたさなければならぬと思いますけれども、これが正当な代表者だと、委任をしたいと言って参る者につきましては、それをそれじゃ困るというふうなことは、ただいまのところ申せないと思います。
  67. 大倉精一

    大倉精一君 大臣にお伺いいたします。政党な委任状とか何とかいうんですけれども、これは文書書類はどうともできてくるんだ。そこで私は、あなたが現地事情をお調べになって現状を把握されたかどうかということが大きな問題だと思うんです。たとえば委任状を持ってくる、総会できまった委任状という形式を持ってきても、総会事情というものを全然知らぬでしょう。たとえば総会を開いて、あの利子はどうなったかと聞きますと、村八分同然になる。ほとんど総会で口もきけないという実態ですよ。私はちゃんと行って調べてきました。そしてまたそういう総会の書類を持ってきたとしても、目下犯罪の容疑のある者に対して、国家は金を払ってもかまわないのですか。
  68. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) お答え申し上げます。御承知のようにこれは権利者に対して払うことでありまして、この権利者の代表がたとえ係争中の人であっても、自分たち補償金を受領することをこの人に代理を頼むということになりますれば、その人が刑事被告人なるがゆえに、政府としては権利者が正当に委任した者を否定することはできません。
  69. 大倉精一

    大倉精一君 これは法的にそうかもしれませんけれども、しからば正当な権利者ということになれば、あそこにりっぱに広島漁業協同組合長がおるんです。大体私は不思議に思うことは、漁業協同組合長がおるにもかかわらず、何のために対策委員会などを作って、なぜその委員長に渡さなければならぬか。漁業協同組合長というものがおるんです。でありますから、この際、そういう問題が起っておるんでありますから、今度の支払いについては広島漁業協同組合長なり何なり、そういう人にお渡しするように、現地とよく相談なさって解決なさる方がいいんじゃないか。同時にたくさんの金を預かっておるというのは、いわゆる対策委員長四方一という人ですが、この対策委員会の性格というものがきわめてばく然としておる。果して責任の資格があるかどうかということは非常にばく然としておる。こういう者に莫大な金の保管をまかしておくということは適当かどうか。やはり政府としても、国民の税金を使うんですから、そういう者に対しては適当じゃない、不適当だと、こういう場合には、そういう金の保管なり金の支払いの相手方というものはやはり考えなければならぬ、こう思うのですが、いかがですか。
  70. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 広島漁業協同組合長が、今までの対策委員長に、自分の組合の権利を委任しない、自分は直接に請求するという場合には、その人に出さなければなりません。しかしその広島漁業協同組合長なり、その他十八の組合人々が、今までのいきさつがあるにもかかわらず、何がしという対策委員長委任状を渡して、ぜひあなたがやってくれと言った場合に、政府は、お前は適当でないと言って拒否できない、こういう状況です。
  71. 大倉精一

    大倉精一君 それは形の上だけではそうかもしれません、形式上はそうかもしれません。しかしながら、れっきとした現地においてこういう事実がはっきりしておる、事実があるのです。この金をめぐって、しかもその権利者といいますか、その代表者をめぐっての紛争が起っておる。しかもその代表者は今刑事事件にひっかかって、これはたとえばこの規則にもないような委員長代理とか、代行委員長というものを作ってやっておるという、そういう組合なんです。それでもまだ政府としては、これは拒否できないからそこに金をつぎ込むという腹があるのですか。
  72. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 政府はやはり権利者に出すのが建前でありますから、その権利者が、組合長が自身が来る場合にはやりますけれども、その組合長が、今申した何がしという人に委任して来た場合、その委任を不当なりといって拒否することはできない。政府はどこまでもこれはそうした形式上、形式上というけれども、これは形式が整い、しかもその裏づけとして、権利者委任した場合には、それは当然やらなければならないと思います。
  73. 大倉精一

    大倉精一君 私の言う趣旨は、形式はそうでありましょうが、かりに、広島漁業協同組合長が推薦をするという意思は持っておる、竹本四方一ですか、そういった場合に、建設省としては、それは適当じゃない、今これはこういうことが起っておる、刑事事件にもひっかかっておる、これは一考した方がいいじゃないかという、そういう意見は言えないのですか。政府はそういう意見すらも言えないのですか。
  74. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) これは権利者同士の話であって、行政的にそれはどうすべきだということは僕は言うべきじゃないと思います。ただ問題は、組合員がこういう紛争して、この代表者が、今までの代表者では、自分たちの権利を委任するわけにはいかないというように、非常に多くの人が不満があるならば、そうなるのが私は常識ではなかろうかと思うのです。
  75. 大倉精一

    大倉精一君 その不満があるのです。現地には不満があるのです。あるいはもし端的に現在の状況を聞いたところをお話し申し上げますと、対策委員会の方の中の方がこの金は受け取らない、いやだ、こういって対策委員会の中から今度は割れてきた。こういう状況なんです。しかもこの十二日に組合総会決定した以後、竹本四方一、あるいはその役員数名が行方がわからない、交渉しようと思っても。それで仕方がないものですから、公平組合に来て朝から晩まですわりこんでおる。あるいは役員の自宅へ来ておるという事態現地では出ておる。そういうところで、単に形式が整っておるからといって金をつぎこんで、そしてそういう事態に油をかけている、そういうことがわかっておるにもかかわらず、やはりお金はつぎ込んでいくのですか、形式さえ整っておれば……。
  76. 根本龍太郎

    国務大臣根本龍太郎君) 私が報告を受けておるところによると、公平組合という構成が非常に少くて、しかも具体的な数字についてもやっていないということを聞いております。つまり、十八、十九もある組合組合長が正式に委任をしてくるという場合には、これはこちらの方としては拒否できないのみならず、当然これは支払わなければならない立場になります。そこでもし内部的に問題があるならば、そうした四方一とか何かという人を、おそらく今の十九の組合長が委任しないような形になるのじゃないかと思うのです、それが悪いのならば。やはりそれが委任されている以上、委任されている人に政府が支払う必要があると思います。
  77. 久保等

    ○久保等君 大臣、きょうあまり十分に事情も御承知ない点もあると存じますので、十分に一つ経過をよくお聞き願って、それでこの問題に対して私は先ほどもちょっと御質問申し上げましたように、補償金の支払いに関しての、やはり建設省としては全般的の問題として、一つの方針を明確にしていただかなけれなばらぬ点があるのじゃないかという気がいたすのです。と同時にただいまのこの問題も、大倉委員の方から御質問がありましたが、要するに法律的に言えば建設大臣の言う通りだと思う。しかし、ただそれでは済まされない。刑事事件になっておる、本件に関しては、業務横領という問題で現に起訴されておる。従って従来のような代表者であったからといって委任状を持ってきたからということで、事務的に扱うのは非常に問題があるのじゃないか。従ってこの問題については適当に、一人一人の権利者がけっこうだ、起訴されておりましても、おれたちは絶対信用するのだということであるならば信頼しなければなるまい。私はそういった事情を十分に検討いただき、さらに慎重に取り扱っていただくことだけは必要だと思う次第でございます。ただ従来、代表者であったから、今度三回目の分、四回目の分を支払えばいいのだという形で軽挙にこれがなされると、さらに問題が大きくなっていくだけじゃないか。従ってその扱い方については慎重に扱っていただかなければならぬのじゃないかということを、私は特に建設大臣に直接要望申し上げて置きたいと思います。  それから、大臣が今日御都合が悪くて、これ以上御質問できないということになるとやむを得ないと思いますが、今日特に法務当局に来ていただいておるのは、刑事事件に関する起訴中のものになっておるものに関しての御説明を伺う予定になっておる。そしてそれに対するわれわれの質問をいたしたいと思っておるわけですが、本来なら建設大臣に十分とこで御同席を願って、刑事事件になっておる問題の全貌についても、これは十分に御了解置きを願いたいと思う。特におそらく内部の私は金銭的な経過というものは、むしろ法務当局の方がつまびらかにしておるのではないか。建設省はそういうものをまとめておるだけの的確の資料は持っておらない。特に業務横領とか何とかいった金額は、法務当局では計数的にも明瞭になってきておる。現実権利者に渡っておる金は幾らか、途中でどうもあやしいと思われる金額はどの程度ということは、建設省で本来ならばつかめていなければならないと思う。ところができた報告をストレートにこっちへレプリントしてこれを報告するしか手がない。従って、後日機会を改めて建設大臣にも十分に実情の御聴取を願った上で、当委員会に御答弁願いたい。また経過についての御説明なり、今後の対策についても建設大臣からぜひ御説明願いたいと思います。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 建設大臣の、少くともこの岸内閣が発足して、綱紀粛正を唱えて、三悪追放をスローガンに掲げて、ここに協力を求める云々と言っておる。従って建設大臣が新任された以上、やはり行政指導ということを十分しなければいかぬと思う。ところがさっきから話を聞いておると、何かもう言われたものはそのまま認めるというような、行政指導というものが実はできておらぬ。だからここで大臣は新しく大臣になられたのだから、今までのことはよく聞いて、やはり行政指導というものを的確にしなければ、幾ら内閣がかわったって国民の信頼を得ることはできませんよ。そういう面でやはり大臣が確固たる信念を持って、今までのあやまちはあやまちとして、こういうものを直していく、こういう考え方を私ははっきり出してもらいたい。そうしてその中で、先ほど久保委員から言われたようなことを次の委員会報告なり、あるいはまた所信の表明を私はしていただきたい。それができないようじゃ実際大臣になっても困るわけだ。せっかく大臣になっても困る。そこで、そういう点を私は特にここで強く要望して置きます。
  79. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  80. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて下さい。  法務大臣、ちょっとごあいさつを……。
  81. 唐澤俊樹

    国務大臣唐澤俊樹君) それではごあいさつを申し上げます。  私、このたび法務大臣を拝命いたしました唐澤俊樹でございます。どうぞ今後よろしく御指導のほどお願いいたします。(拍手)
  82. 三浦義男

    委員長三浦義男君) これで休憩をいたしまして、一時半から再開いたします。    午後零時三十一分休憩    —————・—————    午後二時十六分開会
  83. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 休憩前に引き続いて決算委員会を開会いたします。  ただいま太田川の河川改修工事に伴う補償金に関する件を審議いたしております。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  84. 久保等

    ○久保等君 特に法務当局の方に、この前の委員会でたしか局長にやはりおいでを願って御説明を伺ったのですが、何か途中で所用で御退席せられたようなままに終っているんじゃないかと思うのです。一応今日までの、私は捜査の結果、経過一つ報告をまず最初に願ったらどうかと思うのですが、御説明を願いたいと思います。
  85. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 本年五月六日に当委員会で、前任刑事局長から事実の概要について御説明をいたしておるのでございますが、ただいま御質問の御趣旨に沿いまして事実の概要を御説明いたしたいと思います。  本件は、補償金の使途につきまして惑疑があるということから、所轄警察におきまして、その内容等について内偵査察をいたしました結果、事件がわかってきたのでございます。その間に、被告人の方から、使い込みの金を銀行から借りてこれを返すといったような事態がありまして、この使い道や、その返す、銀行から借り入れるというような関係に、法律上の不正はないかというようなことが捜査の中心になったように承知しております。  調べました結果を申し上げますと、本件の被告は、竹本四方一、高木美之、この両名でございます。事件を検察庁が受理いたしましたのは、二回に分れて事件を受理いたしておりますが、最初に受理いたしましたのが昨年の十一月二日でありまして、これは竹本四方一、高木美之の両名についての犯罪の一部でございます。ついで十二月三日に竹本四方関係の部分の追送致がありました。これらの事件を捜査いたしました結果、まず前の送致を受けました事件につきましては、十一月二十一日に公判請求をいたしております。ついで後に来ました分につきましては、即日公判請求をいたして、事件広島地方裁判所に係属しておるのでございます。  公訴事実の概要を申しますと、竹本、高木両名の共謀の部分と竹本個人の部分と二つに分れておりますが、まず共謀の部分は、昭和三十年八月三十一日広島市内におきまして竹本四方一が、市農業協同組合に定期預金をして保管中の補償金の中で百五十万円を、勝手に被告人高木美之などの個人的債務の返済のために、借入金百五十万円の担保に使用しておった、そういうことによって横領しておったという事実であります。  それから第二の単独犯の方は、同年の九月三十日ごろから三十一年の十月二十五日ごろまでの間に、前後二十回にわたりまして、広島市内において補償金の中から五百五万五千円を、勝手に自分の会社の用途などに充てるために着服、横領したという事実でございます。この事実につきましてはすでに捜査を完了いたしまして、公判にかかっておるわけでございますが、昨年十二月十九日に第一回の公判がありまして、自来七回開廷されております。そうして証人も八名、これは検察官、弁護人申請各四名でございますが、その取調べを終了いたしまして、さらに弁護人から必要経費を漁業補償金から支出することを委員会で決議をしていたというような事実を立証するための証人として、委員四名の証人申請がなされているのでございます。本月十八日の第八回公判期日にその証人喚問が行われる予定でございます。それが済みますと、大体事件は、公判は結審されるというふうに見られるのでございます。  なお、被告人らは公判廷におきまして本件の業務上横領の公訴事実を認めております。そうしてただいま両名は保釈中であります。なお、本件の使い込みの金額につきましては全額弁償済みと、かような事実になっております。
  86. 久保等

    ○久保等君 そうすると、竹本四方一は犯罪容疑の金額はトータルで六百五十五万五千円ということになるのですか。
  87. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) その通りでございます。
  88. 久保等

    ○久保等君 高木被告人と言っては悪いけれども、高木被告の事実はもう少し何か金額の面の御説明をお願いしたいと思います。あまり触れなかったと思いますので。
  89. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 高木の分は六百五十五万五千円の中の一部でございますが、百五十万円に関しまして共謀して、竹本と共謀して横領した、こういうことになるわけであります。
  90. 久保等

    ○久保等君 まだ容疑者はほかにもあったら、捜査過程に出るのじゃないかと思いますが、もちろんすべてここで発表できない面もあるかと思いますが、まだほかの人があがっておったと思いますが、ほかにありませんでしたか。
  91. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 捜査の過程におきましては、警察等でこの使い道の捜査、これを明確にいたしますために、当然調べなければならぬ事柄でございますが、それに関連いたしまして派生的に出た事件がございます。これらは不起訴あるいは一部は起訴になっておりますが、そういう処置をしておるのでございまして、捜査としては継続して捜査中というのではなくして、一応捜査を完了いたしておる現状であります。
  92. 久保等

    ○久保等君 捜査完了したものについて、そうすると何ですか、不起訴処分ということになったのですか、一部起訴されたとかいうような今御説明があったように思うのですが、その事実はどういう事実なのですか。
  93. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 不起訴処分になったものもありますし、起訴になっております者は竹本四方一らほか四名の者がありますが、これは背任という容疑で取調べを受けたのでございますけれども、捜査の結果、これは起訴猶予処分になっております。それからもう一人、小橋勘太郎という土建関係の業者がありますが、これの業務横領、あるいは恐喝という容疑で取調べを受けまして、業務横領の点は嫌疑なしという処分になりましたが、恐喝につきましては公判請求を受けておるのであります。
  94. 久保等

    ○久保等君 そうすると、本件に関しての捜査というものは一段落してしまっておる状態なのですか。
  95. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) さようでございます。ただいま私ども承知しておりますところでは、もうすでに一段落をしておる。
  96. 久保等

    ○久保等君 いつごろ、現在の話でしょうか。
  97. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 大体本年の六月ごろを基準にして申しておるわけでございますが、その後これに関連した事件についての報告現地から受け取っておりませんので、さようにお答えいたしました。
  98. 大倉精一

    大倉精一君 公判廷で百万円とか五十万円とか渡したとか渡さぬとかいう証言があったように聞いておるのです。その証言の部分についての追及はなされていないということを聞いておるのですが、そういう事実はあったのですか。
  99. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 公判調書を見ておりませんのですけれども、ただいま御指摘のようなことは伺っておりませんのでございます。
  100. 大倉精一

    大倉精一君 その調書はいただけますか、写しは……。公判廷における調書あるいは記録ですね。
  101. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) これは裁判所の問題でございますが、訴訟関係人は謄写をすることを訴訟法上許されておりますけれども、一般的に取り寄せてもらうというようなことは、これは裁判所の方で許可するかどうかということにかかわる問題だと思います。
  102. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと速記をとめて下さい。
  103. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  104. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。
  105. 大倉精一

    大倉精一君 今の訴訟の件は今御報告になったことですべてですか、もうほかにありませんか。
  106. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいま御説明した以外には、これの関連事件はないはずでございます。
  107. 大倉精一

    大倉精一君 小橋勘太郎の恐喝事件内容はどんなものですか。
  108. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 起訴状の写しがここにありませんが、冒頭陳述書の写しがございますので要約してお答えを申し上げたいと存じます。  昭和二十八年の十二月下旬ごろに、白石会社というのがありますが、その幹部とじっこんの武田厳に対しまして、白石に対して草津漁民に対する漁業損害補償金を出すように言え、補償金を出さぬと漁民が工事を妨害する、百二十万円ぐらい出せば漁民はおれが押えて、妨害等をさせぬようにしてやるというようなことを申し向けておどかした、そういうことがありまして、被告人はその後……今のは経過の中にそういうのがあるのでございますが、二十九年の四月上旬己斐一楽山荘に山根本田川改修工事事務所己斐出張所長を連れていきまして、工事を中止させると言って怒号し、さらに市村雅俊というものを呼び寄せて、もう七十万円の漁業補償金を出せ、出さぬと工事場に漁民をすわり込ませて工事ができないようにしてやるがよいか、と言って執拗に迫った。さらに山楽でも同様におどした、右市村を畏怖困惑させて本社から畠山の救援を求めた。畠山に対しても同様おどした。同人らを畏怖させたりした上に、四月十五日、現金七十万円を持ってこさせておとして取った。  こういうのが大体起訴事実でございます。今のは起訴状に書いてあります文言通りではございませんが、私が要約いたしましたも一のでございます。
  109. 大倉精一

    大倉精一君 その小橋勘太郎というものと、それから対策委員会のその関係ですね、これはおわかりになっておるのですか。何か公判廷の公判の過程で何か判明したものはありませんか。
  110. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) これは派生事件ということになっておりまして、どういう結びつきでこの事件が出てきたか、これがどうも明らかになっておりませんのです。
  111. 大倉精一

    大倉精一君 小橋勘太郎という人は、私は会ったことはありませんけれども、大体村一番の有力者らしいですね、この人は。そうしてかつては何かこの身内か何かによって殺人事件もあったということも聞いております、現地で。ですから小橋勘太郎というものに対しましては、現地の漁民というのは非常におそれておる。これがために先ほどから私が申し上げておりましたように、あそこの総会あるいはその他の集会、会合というものがほとんどボスに牛耳られて、物が言えない状態に置かれておるということを聞いておるのです。そういうようなことも公判の過程において出てきておると思うのですが、そういう記録はありませんか。
  112. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 承知しておりませんのでございますが、先ほど申しましたように、公判記録を見ますれば、あるいはそういう事実が出ているかもしれませんけれども、私どもの方で受け取っております報告では、そういうことは出ていないのでございます。  なお、申し添えますが、先ほども冒頭に申し上げますように、この事件補償金配分についていろいろ漏れておるというところから内偵がなされましたので、ある一本の補償金の横領事件を追及していくうちに、必然の過程において出てきた事件ではないのじゃないか。その内偵の間においていろいろな人からいろいろな話が聞き込まれてきて、それが事件となったというふうに思われるのでございまして、関連性はあるいはないのじゃないかとも思います。
  113. 大倉精一

    大倉精一君 先ほど御報告のあったこの四方一という人が五百五万五千円ですか、着服したというのですが、この使い道はわかりませんか、どこに幾らいっておるかというようなことは。
  114. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) これははっきりいたしております。これは起訴状の裏に犯罪表として添付されておるのでございますが、それによりますと、昭和二十九年十月二十五日に三十万円、これは佃煮組合、日通己斐支店、広島協同食品株式会社への支払いに充当したということであります。次いで十一月三十日二十万円、これは広島製罐株式会社ほか四カ所の支払いに充当した、次いで三十年の二月二十八日二十六万三千円、これは同年二月分の会社社員の給料に充当した、三十年三月二日二万円、これは柳屋酒店ほか一カ所の支払いに充当した、同じく三月十七日三万円、これは増村生産株式会社の支払いに充当した、三月十八日十万円、広島銀行への借入金の支払いに充当した、三月二十三日一万円、生ショウガ等の雑費に使った、三月二十五日五万七千円、江波製菓授産場の支払いに充当した、三月二十六日二万円、これは雑費に使った、同年七月四日五十万円、個人的な見舞金に使った、三十年十月六日三十万円、守田ほか二カ所の支払いに使った、三十年十一月一日十三万五千円、佃煮組合の支払いに使った、同じく十一月四日十四万円、竹本木工所ほか二カ所の支払いに使った、十一月二十四日十万円、これは江波製菓授産場の支払いに充当した、十一月二十六日五万円、これも同授産場ほか一カ所の支払いに使った、十一月三十日二十万円、これは日通の己斐支店ほか一カ所の支払いに使った、十二月五日五万円、松本水産株式会社の支払いに使った、次いで三十一年の一月三十日八万円、これは第一銀行の借入金返済に充当した、同じく三十一年二月一日百万円、これは山口銀行からの借入金返済に充当した、これが合計いたしますと、三百五十五万五千円でございますが、そのほか第二の起訴事実となっております百五十万円を担保に使った、こういうことになるわけでございます。  今のは二回目の個人の単独の犯行の部分ですが、先ほど一括して私申しましたので何ですが、第一回目の起訴の中に、竹本個人の分がもう一つございまして、百五十万円を担保に使ったのと、それから竹本個人がもう一つ百五十万円を会社の自分の用途に使ったという、もう一口の百五十万円がございます。そうして計算いたしますと、そうなります。
  115. 久保等

    ○久保等君 ですからその百五十万円、会社の用途といっても、せっかく今のあなたのただいま御説明のあったところは、まあ会社の用途と言いながら、会社のどういう用途に使ったかという問題の説明が少し不足だと思うのですが、おわかりになりますか。
  116. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ごもっともでございますが、この部分が実は私の方にわかっておらないのでございます。
  117. 大倉精一

    大倉精一君 今の説明、ちょっとわからないのですが、百五十万というのは二回ですか、二回あるのですか。
  118. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) まことにあいまいなふうな返事になりまして、申しわけありませんが、一つの百五十万円は被告両名の共謀の上で、高木の借入金の担保に提供したということ、もう一つの百五十万円は、竹本一人が草津食品工業株式会社で、自分が代表取締役をしておるのでありますが、その会社の経費の方に回して使った、こういうことになっております。それからあと、先ほどこまかく申しました三百五十万円、こういうふうに三口になるわけであります。
  119. 大倉精一

    大倉精一君 高木と共謀した百五十万円というお金の渡し先はどこですか。
  120. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) あいまいなお答えをするようでまことに恐縮なんでございますけれども、決してかくすとか何とかという意味で申し上げているのではなくて、起訴状だけしか私ども手に入れておりませんので、起訴状には文字通り読んでみますと、被告人高木美之等の個人債務返済のため借入金百五十万円の担保に供して横領し、こう書いてあるだけでありまして、借入金の担保ということはわかるのでございますが、返済のための借入金の担保という意味で、おそらく銀行か何かじゃないかと思いますが、あるいは個人であるかもしれません。
  121. 大倉精一

    大倉精一君 これは私が調査をしたところによりますと、非常に疑惑を持たれるような面があるのですが、それが百五十万円という額がぴったり一致をしておるので、非常に不思議に思うわけです。これはまたよけいなことを言うと叱られるかもしれませんけれども、そういう金額がどうもぴったり一致しておる、百五十万円、百五十万円ここらはどうもふに落ちないところがある、それでわかっておったら教えていただきたい。こういうことを申し上げたのです。どこへ渡っておるか。
  122. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) このどこから借りたのかというような点を調べまして、後の機会にお答えをさしていただくことにいたします。
  123. 大倉精一

    大倉精一君 それでまあこういう妙なことがなければけっこうなんでありますが、この百五十万なら百五十万円の行方を一つ調べ願って御報告願いたいと思います。
  124. 久保等

    ○久保等君 先ほどの御説明の、別紙犯罪表の中にある、五十万円で個人的見舞というのは、これはだれの見舞にやったのかわかりますか。
  125. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) この点も先ほども文字通り起訴状の添付書面を読んだわけでございまして、これも内容はわかっておりません。
  126. 久保等

    ○久保等君 しかしおそらくはこれは事実ははっきりわかっているんでしょうね。金額は五十万円というまとまった金額で、個人的な見舞ですから当然ああそうか、個人的な見舞かという程度で捜査当局はそれで終ったとは思っておらんのですがね。どこへやったのか。おそらく相手の方に、もらいましたというところまでも確言を得なければ、起訴事実としてあげるからにはおそらく捜査当局はこれは専門家なんだから、われわれしろうとが言わなくても、やった、もらったという関係は双方やっぱり確められておる。個人的な見舞だということになれば、見舞われた方でたしかにちょうだいしましたというようなことのやはり確証があっての——そこまでお調べになっておると思いますが、裁判所でどういう結論を出すかは別として、捜査当局としてはそこまでやっておられるこ思うから、従って事態は明確になっておるものと了解してよろしいのでございますか。そういう個人的な……。
  127. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 仰せまでもなく、立証段階で検事は明らかにしなければならぬ事柄でございますので、おそらく現地の検察当局は明らかにしておるものと私は思量いたします。
  128. 久保等

    ○久保等君 一番最後に説明せられた百五十万円、竹本四方一の個人として何か会社の用途に使ったとかいうのですが、これも区分けをしてもらって、一体どういう形で使ったのか。銀行への支払いにあてたのか、どうしたのか。そういうところの、何日くらいに分れておるのか知りませんけれども、百五十万円、もう少し明細みたいなものを犯罪表式に少くとも資料として一つお出しを願いたいと思うのです。それから今の個人の見舞という問題も、これは一つ具体的に、一体どういう個人なのか明らかにした資料をお出し願えますか。
  129. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 御期待にぴったりと合うような資料が作れますかどうですかわかりませんが、できるだけ調べて御回答申し上げたいと思います。
  130. 岩間正男

    ○岩間正男君 この公判の進行中に証人として網岡登という証人が呼び出されたことがありますか。
  131. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) 今御指摘の氏名は公判中に出ているかもしれませんが、公判調書を見ておりませんので、その点は、出ておりますかどうですか、私どもにはわかっておりません。
  132. 岩間正男

    ○岩間正男君 われわれの手にした資料によりますというと、第四回の公判には出ておる。そのほかにもこれは出ておるかどうかわかりませんけれども、そういう中で重要な発言をしているわけです。この点についてはこれは刑事局長さんの方では全然何もつかんでおられないのですか。実に重要な問題だとわれわれは考えますがね、この発言は。しかもこの網岡登というのは、対策委員会の代行委員長という資格で出ているんです。従ってこれは竹本氏の代行的な任務をやっておった相当中心的な人物というふうに考えるわけです。従ってこの公判廷における証人としての陳述は、非常に重大なものを私ははらんでおると思うのです。この要点だけわれわれ持っているんですけれども、要点だけではまずいと思うので、実は先ほど問題になった高田委員発言云々ということと明確に関係があるわけです。こういう点で私ども調べていただきたいと思うのですが、その要点はこういうことです。証人網岡登の陳述によりますと、竹本の代行者という者の証言によりますと、東京の料亭で岩澤参議院議員、建設省関係者陳情団で話し合いの際、岩澤から二億六千万円の案が出された。これでまとまり、竹本は岩澤の政治力の大きいのに驚き、謝礼を出すのは当然だと思った。その額に一割——これは岩澤、森澤前議長、市議、竹本らを含んで全体の補償額の一割という意味でありますが——を陳述したというふうに要点だけ言いますが、はっきりわれわれは手に入っておるわけです。従ってこのような詳細の問題は当委員会で今審議しておるこの案件の中では実は相当重要な問題であり、また個人の名誉に関する問題でありますから、われわれとしたら、このような証言がもし事実に相違するとするならば、これは同僚議員の名誉のために払拭しなければならないし、真偽を明らかにすることが非常に重要な問題だと考えておるわけです。この点について、この証言の事実ありやいなや、この点を明確にしていただきたいと思いますが、いかかでございますか。
  133. 竹内壽平

    説明員竹内壽平君) ただいまの点につきましては現地の検察庁に照会いたしまして、そういう証言があったかないか。あったとすれば、その事実につきまして調査をしておるのかあるいはすでに調査をしたものであるのか、そういう点も明らかにいたしたいと思います。
  134. 大倉精一

    大倉精一君 そこで建設省にちょっとお伺いするのですが、こういう事実がずっと前からあったということは、建設省全然御存じなかったのですか。
  135. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 起訴に相なりましたということは存じておりました。
  136. 大倉精一

    大倉精一君 まことに簡単な御答弁なんですけれども、大体五百万円と百五十万円、六百何十万円というものがこの起訴がなかったら、これはどうなるわけですか。それだけもう消えてなくなってしまうわけですか。建設省はそういうことについては全然御存じない。起訴はこういう刑事事件ができてから初めて気がついた。それまではほとんどこういうものは気がつかなかった、あるいはそういう何といいますか、内部を監督する手も打たなかった、それでも差しつかえない、こういう工合にお考えですか。
  137. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 事件の捜査が始められたとかあるいは起訴をされたというような事実は聞いておりましたけれども、五百万円とかいうような話はその当時におきましては私どもは直接は聞いておりませんでした。
  138. 大倉精一

    大倉精一君 これはまことに建設省のんびりしておると思うのです。起訴された事実を知っておったが、五百万円は知らなかった、こういうのですが、起訴された、なぜ起訴されたかぴんとくるわけでしょう。一体どのくらい税金によるところの補償額被害を受けたのかびんとくるはずだ。全然それを調べもしない、気がつかないというのはどういうわけですか。起訴された事実は知っておったのだ、五百万円、六百万円という事実は全然知らなかったのですか。
  139. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 起訴せられまして、その結果、こういうふうな金の問題が出てきて、その金額の点ははっきりわかったわけです。
  140. 大倉精一

    大倉精一君 そこでこういう事実がある、しかも竹本四方一尺はこの事実を認めておる。これがいわゆる政府が、あなたの方が補償金を支払った相手の責任者である。こういうことですね。その責任者がこういう事実を自分でも認めているのでありますが、事実があって、一つの犯罪にならんとしておる。これでもあなたの方は、そっちの方はさきの大臣答弁あるいはあなたの見解のように、今後も竹本にあてて補償金を支払っていかれるのですか。
  141. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 先ほど大臣から御説明申し上げましたことでございますが、私どもといたしましては、補償金権利者に払うわけでございまして、その権利者の表明、要求があれば、それに対しては払わなきゃならぬというふうに考えております。
  142. 大倉精一

    大倉精一君 これは同じことを繰り返しますから、これ以上言いませんが、これは私は承知はできません。これはあなたが、あるいは大臣がそういう形式的なことだけをおっしゃって、国家の大事な税金で払う補償金なんだ、これは。それを六百万円、五百万円も穴をあけておる。その事実はわかっておる。こういうものに対して形式上書類が整っておるから、あれが整っておるからといって、金を払っても差しつかえないのだ、こういうことを堂々と言っておられるところに、一体岸内閣の汚職の追放はどうなったのだと——そういうことが言えると思いますかどうですか、政務次官
  143. 堀内一雄

    説明員(堀内一雄君) 河川局長答弁の通りでございます。
  144. 大倉精一

    大倉精一君 ふまじめだと思う。実際それがあなたの方でお渡しになるのならばどういう理由だということをはっきり言って、国民が納得しなきゃならぬと思う。国民が払うのですからね、これは国民が。国民が払う金を、まあ極端な言葉でいえば泥棒に追い銭だ。こういうことを国家が知らん顔をして差しつかえないのだ、そういう答弁国会の中で発言されるということは僕はおだやかでないと思う。私はこれは法律上の問題じゃないと思う。政治責任です。これはどうでしょう。
  145. 堀内一雄

    説明員(堀内一雄君) 裁判の確定を待って考えることはありますが、現在のところでは、ただいまお答え申した通りであります。
  146. 大倉精一

    大倉精一君 これ以上言いませんが、本人が認めておる。この事実を認めておる。それで自分で弁済すると言っている。裁判以前のものです。これは、そういうことをおやりになる、まことに不思議な私は政府だと思うのだが、そうしてもう新聞には汚職の追放——当り前のことを言っておられる。その当り前のことができないような気がしますね。私はこれは一つこのままじゃ承服できないですが、もう繰り返しますから私はこの質問はやめます。
  147. 高田なほ子

    高田なほ子君 念のために資料についてお伺いしたいのです。これは建設省からわれわれに下さった資料でありますが、建設省にはずいぶん陳情がたくさん参ることも伺っております。ずいぶん陳情にお金がかかるものだとあらためてびっくりしたわけです。たとえば竹本委員長ほか一名が上京すると五十万円かかっている、あるいは竹本委員長ほか六名が上京すると三十万円かかっておる。竹本委員長ほか一名が上京すると十万円かかっている。こういうような莫大な陳情費というものは全部この公平に配分しなければならない補償費の中からこういうものが出ている。私どもは国民の血税がこういう莫大な陳情に使われているということに、非常に疑問を持ち、また憤りを感ずるわけですが、建設省の方では、先ほどからの答弁を総合してみると、こういうことはきわめて当り前のことであるかのような印象を受けるわけでありますが、これが建設省の考えている常識でありましょうか、またこういうことは妥当なことであるというふうにお認めになった上での公平な分配であり、建設省の処置はきわめて妥当であるというような結論を出されているものでしょうか、はなはだ疑問にたえませんから、この問説明していただきたい。
  148. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 配分問題とも関連いたしますが、陳情費、たとえば先ほど御指摘のありました四月の二十八日から五月八日までに十名が上京されて五十万円ということに相なっておりますが、結局これで計算いたしますると、約十日間で十名でございますから、延べにいたしますると、百名でございまして、一日交通費も含めて五千円、一人、ですからそう高いものであるとは、私どもの考えといたしましては、高いものであるとは考えられないと思うのです。
  149. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは御主観の問題であると思いますが、われわれ国会議員の公務出張の額などと比べてみても、だいぶ開きがあるように思うのですが、民間の陳情運動に一日五千円も使われておるということは、必ずしも高くないという考え方については、私は非常なる疑問を持つのです。一日五千円使うというのは大へんな使い方じゃないかと思うのですがね、こういうことが建設省で当りまえのことだというふうに御認識になっていることだとすると、これは相当私は問題じゃないかと思う。しかしこれは主観でありますから、水かけ論をいたしたくありませんが、はなはだこれは私は不満です。  それからもう一つ、これについてたびたび上京して陳情しているのですが、これは全部建設省陳情に参ったのですか。十名も陳情に来る必要があると建設省は認めておるのですか。
  150. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 上京陳情費の対策委員会資料でございますので、私ども的確にこの日にこれだけの人数が建設省陳情に来たというような点につきましては、はっきりお答えするわけには参りません。従いまして、ただいまの御質問に対しましてお答えするはっきりしたお答えは申し上げられませんが、その当時といたしましては、やはり地元といたしましては、非常に重要な問題でございましたので、相当程度陳情には参られたということは聞いております。
  151. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっとお伺いしますが、この資料を見ると、建設省となっていますね。そしてこれはどういうふうな形で調べられたのか、この調べたものを建設省資料としてお出しになっておられる。そうすると、これは承認したという形式になるわけです、形式では。こういうことは、この中に何日どこでこういうふうな向うから書類が来たので、これについてとりあえず該当するとか何とかいうただし書きでもついているならば、建設省承認したという形にならぬと思うのですが、これは資料の出し方としては非常に私は重要な問題だと思う。責任のあるものです。これは全然そういうことはないですから……。私ども触れていってですよ、そうして今の相当多くの金額についての内容も何もない。そうすると、これはなんですか、向う報告をしてきたものをそのままうのみにして、さっき久保委員が指摘したようにプリントして出したものにすぎないのですか、これはどういうものですか。
  152. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これは向うの帳簿に載っておる分でございまして、向うがつけておるそのままのものを提出したものでございます。
  153. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、建設省は、今の局長さんのお話によると、大体承認しておるということなんですな、決して高いものじゃないと、単に一人一日五千円の費用というのは、これは高いものじゃないという見解なんですか。
  154. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私は、その点について証明しろというお話にお答えしたわけではございませんで、お前らが考えてどんなものかという点につきましてお答えいたしたわけでございまして、その点は、一つお間違えないようにお願いしたいと思います。
  155. 久保等

    ○久保等君 先ほど法務省の方から、いろいろと具体的な御説明があったのですが、この出された資料の中で、六百五十五万円だなんという金額はあまり小さな金額じゃないのですが、どの費目に、実はごまかしてこの報告書の中に盛り込まれてあるのか、金額を検討されてどの項目にどれだけの金額をばらまいてここに計上してあるのか、建設省ではおわかりになっていますか。たとえば委員会経費内訳書というのがありますね。これはトータルで七百五十七万八千円余りの金額が出ているわけです。おそらくこの中にも、着服したり横領したりした金額も含まれていると思うのですが、どういう関係になっていますか。
  156. 山本三郎

    説明員山本三郎君) これはこの御提出申し上げました資料のうちに、委員会経費内訳書というのがございまして、その総額が七百五十七万八千円ということになっておりまして、そのうちの大きな費目につきまして内訳を出せと、こういうお話がございまして、その分についてお出ししたわけでございます。
  157. 久保等

    ○久保等君 だからきょう出された資料は、今のこの委員会経費内訳の中で、特に大きな金額の項目の内訳をきょう出されたわけなんです。私の質問しているのは、一体六百五十五万円というような大金をごまかしておったのですが、その金額はどこへどう使ったというふうに、あなたの方へ出してきた報告書の中には、どういうふうに金額を織り込んで計上してきているのですか、おわかりになりませんか。
  158. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 私の方に出してきたものは、支払いいたしました金額に利子がどういうふうにつきまして、どういうふうなものに使ったと、残りはこうでありますと、こういう資料報告になっております。
  159. 久保等

    ○久保等君 だからこまかい金額は別として、大まかにでも、六百五十万円程度金額がどういう名目でもって表面上は報告書の中に出されていると建設省では判断されているのですか。私の質問がわかりませんか。要するにどういう名目で金を落しているかということです、報告書の上から見たら。
  160. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点は収入支出が計上してありまして、現金はこういうふうに銀行その他信用組合等に預けているというふうになっておりまして、現在高と預け高とが一致しております。
  161. 久保等

    ○久保等君 現在高と預け高はそれは一致するでしょう。問題は支出した金額はどういうことになっているのですか。この委員会経費の以外に支出したといえば、各権利者に当然払うべきものは払ったという金額、それ以外に委員会経費という形で、ここへ調書も出てきているのですが、支払われているのでしょう。そうすると、着服したりなんかした金額は、どういう名目で建設省としては報告書として受け取っているか、どこへ出ているか、それをお尋ねしているのです。
  162. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点はっきりしませんでしたが、今はっきりいたしましたところは、報告書に載りました分のときには返済しているそうです。先ほどの分は、六百五十五万円は返済しております。
  163. 久保等

    ○久保等君 だからそういう刑事犯になるようなことをやっておって、あとでもう穴埋めをやったというふうな程度状況で、これはともかく正当に支払いもされているし、円滑に支払いをされているのだと建設省が思っているのは、これはきわめてのんびりしすぎている、というより建設省の怠慢だと思うのですよ。中間で着服して使った、ところがそれが刑事事件になった、あわててとにかく穴埋めした、帳面の上を合せて、正当に保管し、何らそこに不正がなかったような報告書を出して、何らこれは間違いないのです、建設省においても間違いないのですというという答弁を、国会においてされている。私はだからこの前の委員会から言っていることは、これだけの大金、大金であろうとなかろうと、国民に対して、補償金なら補償金として支払ったのかどうなのか、金を渡した日がわかっているのですから、渡した以後の金の保管の状態、支払いの状態、そういうものを定期的にでも報告書をとって、委員会で出している数字を私は当然見ているのが、建設省として責任のある処置と思う。ところがやってしまったらあとは野となれ山となれ、どう使われていようが、建設省としては、竹本四方委員長にやったのだから、あとは何とでもなれということで見過しているということは、もってのほかだと思う。しかもおそらくこの問題だけに限らず、全般の補償金問題については、これと同じような管理をしているとすると、むしろ事故が起きないのが不思議で、ちょっと変ったやつがおれば、幾らでも悪いことをやる隙間があると思う。きょうもそのことは建設大臣に申し上げたのだけれども、これは建設省の大きな怠慢だと思う。河川局長、どう思います。
  164. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点しばしばお話し申し上げておりますが、いろいろの事情がございまして、配分がおくれたわけでございますが、役所といたしましても、いろいろと口頭あるいは現実的にはいろいろと状況を聞いておったのでございますが、正式の報告等は、この前お出しいたしましたまでは、とらなかったのでございまして、そういう点につきましては今後できるだけ処置をしていきたいというふうに考えております。
  165. 久保等

    ○久保等君 会計検査院にちょっとお尋ねしたいと思うのですが、こういう処理をやっておって、会計検査院としては適当な建設省としての補償金の支払い措置だとお考えになっておりますか。要するに数回にわたってすでに年度別に予算に計上せられた補償金を権利代表者に支払っておった。しかもその後の状況について全然報告書もとっておらない、たまたまこれが表面化して、五年もたったあげくの果に国会で問題になった、それで一体どういうふうになっているのだというので、初めて報告書を取り寄せた。そういうようなずさんな処理状況をしておって、会計検査院立場から見れば、これは建設省として権利代表者に支払ったのだから、あとそれがもし問題が起るとすれば、これは権利者関係の間の問題であって、国家として、政府としてそういう問題に容喙することはむしろどうかしているので、容喙しないのが当りまえだ、報告書さえとっておらない処理の仕方について会計検査院としてはどうお考えですか。
  166. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 会計検査としましては、国の支出が適法かどうか、金額がいいかどうかということを主として見ているのでありますが、本件に関しまして、竹本四方一に対する支払いは適法かどうかということも、実地検査の際に検査しまして、まあ一応適法と言える。それから各期の支払いについて、初めに二十九年五月に支払いまして、逐次四回払っておりますが、建設省におかれましても、その配分状況をよく監督されて、うまく配分されるように現地とよく協力する、これは何といっても、法律的にはどうかしりませんけれども一つの政治的な問題としまして必要な措置と思うのであります。それで二回目以降の支払いをしますときに、初めに払った金額がうまく配分されておるかどうかという状況を見ながら支払う、これが国の経費の支払いとしては最も適当な支払いだとわれわれは考えます。それで二回目以降の支払いを見まするというと、配分がうまくいきませんために、二回目におきましては、一回目に払った金額五千百万円のうちの四千百万円が残っていた。三回目の支払いのときは八千万円、四回目の支払いのときは八千二百万円がなお残っているというふうな工合になりまして、支払いについて正当債権者とか、あるいは金額とかいう形式の問題についてはちょっと批難するのはむずかしいと思うのでありますが、予算の効率的使用という見地から見て、よく予算使用の目的を十分に勘案して、最も予算を効率的に使ったということは言えないのじゃないか、こういうふうに考えられます。ただその場合に検査院としまして、二十九年の五月に協定を結びまして、この協定で二十九年度以降おおむね五カ年間に支払うという約束をしまして、その約束によって毎年払っていく。それからその払うときの予算を見ましても、正規の補償費という予算が組んである、形式的には批難すべきところはどうもない。ただ実質的に予算の効率的使用、こういう点において多少欠けた点があるのじゃないかというふうに思われます。ただそういう場合に検査報告として批難するかどうかということは、なかなかこれはむずかしい問題でありまして、一応形式的に当てはまって払っておる。それではその後の配分の問題について行政上の措置が十分じゃなかった、そのために予算の効率的使用に欠ける点があったという点はありますけれども、それを取り上げて検査報告として批難するというところまでは至らなかったわけでございます。
  167. 久保等

    ○久保等君 だから私は、会計検査院としては、そういうただ単に表面だけから見た場合には適法な支出であるという認定に立つというのですが、しかし適法な支出といっても、これも厳格に考えてみると、権利者そのものに究極的に渡らなければ——中間的な代表者に渡したという限りにおいて正当であることは間違いないでしょうが、究極的にはやはり直接の権利者にまで渡るところまで、やはり少くとも行政官庁は見ていかなければ、中間でもって——とにかくそれは確かに会計検査院のいわれる不当な支出ということにはならないかもしれないが、しかし少くとも権利者そのものに直接的に手に渡るところまでは行政措置として何としてもやっていかなければならん責任が私はあると思う。だからそれについて、しかも建設省として具体的にやるべき手続をあらゆる手を尽しておった、たとえば毎月報告書を取っておったとか、あるいは三月ごとに報告書を取ったとか、何べんか報告書を取っておったけれども、しかしその報告書が実はでたらめな報告書で、結果的にはそれは公文書偽造になるか私文書偽造になるかしらんが、そういう事実があったというならやむを得ない。ところが全然そういうことはやっておらないのです。だから私は少くとも会計検査院としては建設省のやっている行政措置というか、行政指導というか、そういう面に明らかに手落ちがあったと思う。こいういう程度であったならば、十分私は今後においてもこういう同じようなケースの問題が起り得る可能性があると思う。少くとも何百人何千人の人たち補償金をまとめてだれか代表者が受領した。そうしてその後における処理については、あとは全然報告書も取らなければ、全然建設省はタッチしない。しかもあと五年間年賦みたいな形で支払ってゆくという場合に、予算に計上したからただ支払ったという場合に、会計検査院立場から見れば不当じゃないといわれるけれども、一回、二回、三回の支払ったものが現実権利者の間に渡っておらない。これは建設省として当然私は疑問を持つべきだと思う。従ってそういう中間の代表者あたりが着服した金ならば、予算が足りなくても、計上してあるから支払わなければならんということはないので、あなたの方の受け入れ態勢が十分ととのって、責任をもって配分できるという態勢ができたら約束通りに支払いいたしましょう。しかしあなた方今のような状態で責任をもってこれを配分できる状態にならない限りは、建設省として支払はできないといって支払を停止したからといって、五カ年にわたって支払いましょうという契約に真正面から違反するとは考えられない。途中でストップしたら契約違反になるとか何とかいうことに形式的にいえばなるかもしらんけれども、しかし問題は終局的にやはり権利者にまで渡らなければならない責任があると思う。法律的な責任があるかどうかは別として、政治的な責任だけは少くとも建設省としてあると思う。従って私は報告書等の事後処理の問題について十分に今後の問題、それからまた他の一般的な問題として考えるべき問題だと思うのですが、会計検査院の方はどうですか。これは研究課題として会計検査院の方でも研究してもらわなければならんと思う。
  168. 石渡達夫

    説明員石渡達夫君) 個々の問題としまして、われわれがこの組合の会計経理を見まして、組合に対するアドヴァイスはわれわれとしてはできませんが、建設省の行政的な措置として、せっかく支出した予算が最も効率的に使用される、こうしたことはわれわれとしましても、予算の効率的使用、こういうことを注意して見るべきだ。もしそうした事態があれば、今後において建設省にアドヴァイスすべきであるというふうに考えております。
  169. 久保等

    ○久保等君 河川局長どうですか。
  170. 山本三郎

    説明員山本三郎君) ただいまの点につきましては、先ほども大臣からお答えいたしましたように、今までとりました行政処置が建設省といたしまして万全であったとは考えておりませんので、その点につきましては十分今後気をつけて参りたいと思っております。
  171. 久保等

    ○久保等君 それで先ほど、きょうの委員会の劈頭、現地における状況の把握についても、われわれは聞き及んでいる限りにおいて非常に大きな食い違いがある。八月十二日前後項に総会を開いて、そこでとにかくかけた、それで配分の問題についての措置はきまったのだ、きまった結果に基いてその翌日あたりから支払いをどんどんやっているのだ、従って非常に今日問題がスムースに進行しているのだというような御説明なんですね。しかしわれわれは少くともそういうふうには把握しておらないのですが、願わくは河川局長の言われるようにそういう事態であってもらいたいことを希望するのですが、しかし少くともここでそういう問題について押し問答しておっても水かけ論ですが、私は現地状況把握が今日の状況においても欠けるところがあると思う。一体この決算委員会でこの問題を取り上げていこう。建設本省はどなたが何日間くらい何回現地の方に行かれたのですか。もしここで御答弁願えなければ、これはあとで資料でも出してもらいたいのですが、この問題について建設省のとった具体的な方法についてお答えをお願いしたい。それから地建局長さんですかが打合せのために上京せられた、そういう事情等についてもお伺いしたい。どうも河川局長の御答弁の中から伺われることは、何かどうももたもたしているような印象しか受けない。これだけの問題が事前の報告書をとらなかったとか何とかいう問題は、先ほど一応私は切り離して、事後における当委員会において問題になった以後の建設省として一体どれほどこの問題について熱意をもって積極的に事態の究明に当り、そしてこの事態の円満な解決のために努力せられたか。ここで御答弁願えれば御答弁願いたいし、もし御答弁願えないほど非常に大ぜいの人が現地に行かれたということなら、別途資料でどなたがいつ行かれて何日間くらいいたか。それから向う現地からこっちにどなたが何回くらいこられたという状況について御報告を願いたいと思います。
  172. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点につきましては的確な御報告は今申し上げられませんが、総会等におきましても、地建並びに県及び市はそれに係官が立ち合っております。それからこれは今後の支払いにつきましては、今までは地建で契約いたしまして支払いをいたしておりましたけれども、本省と打合せの上支払いするようにという通牒も出しております。従いまして従来におきましては地建が相談はいたしましたけれども、自分だけで払われるような形になっておりましたけれども、支払いの際は本省に打合せて払うというような措置もとっておりますし、それから地建の方におきましても、たえず対策委員会連絡し、また県市とも連絡いたしまして、この配分の促進等につきましてはたえず努力はいたしております。東京に参りましてもいろいろと具体的の問題も打ち合せておりまして、促進には相当努力はいたしておるわけでございまして、回数等につきましてはただいまははっきり申し上げられませんけれども、具体的の問題につきましては調書を差し出します。
  173. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  174. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を起して。
  175. 大倉精一

    大倉精一君 先ほど大臣のおいでになったときに、大臣答弁の中から私は意外な点を伺ったのです。というのは、ちょっと大臣にも申し上げたのですが、公平分配委員会のメンバーが、これが全部漁業協同組合員であるというふうに大臣は認識しておられるのですが、そういう工合に御報告なすったのですか。
  176. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 公平分配組合方々が全部組合員であるというようなことは報告いたしておりません。
  177. 大倉精一

    大倉精一君 そこで事実は、この漁業協同組合に入っていない人が百三十名おるわけです。この人々が中心になって公平分配組合ですか、そういうものを作っておるように私は聞いておるんですが、そこで問題になるのは、実害補償と権利補償の問題をもう一ぺんお伺いしたいと思う。現地の県知事さん、あるいは県会あたりも実害によって補償するんだ、こういうことは明らかになっておりますね、きょう何かもやもやした答弁をしておられたんですが、漁業権を持っている者に補償するんだ、漁業権を持っているものはだれかというと組合組合員であるというような答弁があったように思うんです。あとから何か漁業権であるけれども実害によって補償するということで、一体どっちがほんとうかわからぬような答弁があったんですが、組合員あるいは組合員でないにかかわらず、現にあの地域で漁業を営んでいる、こういうものの実害に対して補償するということは間違いないですね。
  178. 山本三郎

    説明員山本三郎君) あすこに漁業の実績がありまして、実害のあるものに対しては補償する、こういう方式で進んでおります。
  179. 大倉精一

    大倉精一君 だとするならば、組合員であろうがなかろうが、分配は公平でなければならぬと私は思う。ところがどうも現地実情は必ずしも公平にいってないように聞いております。たとえばお前は四千円だということでもって、この四千円でもって漁業権はなくなってしまうんだぞといわれて四千円もらった人もある、あるいはこれを返した人もある、これは十年間の補償をもらってこれで打ち切りだというふうに言われた人もあるように聞いております。こういう点について八月十二日にきまったという分配決定は公平に行われているというふうにお考えになっているかどうか、建設省の方ですね。
  180. 山本三郎

    説明員山本三郎君) 分配の基準を総会にかけたわけでございまして、私どもの聞いておるところによりますると、異議を申す方がおられなかったということでございまして、その点につきましては総会承認を得たものでございますので、総意に基いてやっておる。ただ先ほど申し上げましたように、それに呼ばれていなかったというような方々があるものですから、そういう方々につきましては実証に基いて何とか措置するようにというふうに分配組合方々にも申し上げておるということでございます。
  181. 大倉精一

    大倉精一君 これはこれ以上お伺いしても、どうもあなたの方も現地実情について幾らか認識が足らないところがあるように思うわけです。それでこれは非常に重要な問題だと思いますので、果してこの補償金現地の漁民に公平に分配されておるか、あるいは現地実情はどうであるか、こういうことについて決算委員会としてやはり確認をする必要があると思うので、次回には委員長必要な参考人を呼んでもらいたいと思う。必要な参考人を……。
  182. 三浦義男

    委員長三浦義男君) それは理事会で御相談いたしましょう、あとで……。
  183. 大倉精一

    大倉精一君 それでこの問題はあまり長く引っぱっておいてもいけませんので、要するに今問題点になっているのは、建設省あるいは監督官庁あたりとわれわれの調査したのと食い違っている証言というか、答弁が食い違っている、これはやはり明らかにする必要があると思いますので、ぜひその意味において参考人を呼んでいただいて、それをこの委員会承認願って、だれを呼ぶか、これは理事会の方で御相談願って、そのように運んでいただきたい。
  184. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 私も呼ぶ呼ばないの問題を、これも理事会に諮って相談したいと思いますから、それは理事会にまかしていただきたい。  ちょっと速記をとめて下さい。    午後三時二十八分速記中止    —————・—————    午後三時四十六分速記開始
  185. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。
  186. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 さっきこういうことをあなた言われたんですが、組合員以外の者でも実損害を受けた者には補償するんだということを言われたが、それは補償することの計算の基準にはなっているが、政府が直接それに補償するのかどうか。そこをはっきりする必要があると思う。
  187. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その点は、国が損害総額を出すときは、実害に応じて出しまして、国が払うのは漁業権者である組合長に払う。そうしてその中から分けてもらう。こちらは実害で算定しておりますから、それ以外には害を受けている者はないというふうに考えております。
  188. 後藤義隆

    ○後藤義隆君 従って国は直接その人には支払いの義務は負担しないわけですね、別個には。
  189. 山本三郎

    説明員山本三郎君) その通りでございます。
  190. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  191. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  資料提出も相当求めておりますし、資料が整わないと質疑の続行も困難になりましたので、この問題についての質疑はきょうは打ち切りたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  192. 三浦義男

    委員長三浦義男君) では、さよう決定いたします。  速記をとめて。    午後三時五十一分速記中止    —————・—————    午後四時二十九分速記開始
  193. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を始めて。  次に、福島県関柴ダム工事に関する件を審議いたします。  本件に関し御出席の方は、会計検査院中川第四局長、農林省清野建設部長、農林省丸山経理厚生課長の諸君であります。  まず、本件に関するその後の経過について説明を求めます。
  194. 清野保

    説明員(清野保君) 当委員会から御要求のありました資料提出につきましては、四月の二十五日農地局長名をもって当委員会提出いたしました。その内容は溜池の規模、事業の目的、事業の経過、貯水開始より伏樋隧道破損に至るまでの経過、姥堂川沿岸に及ぼした被害状況、破損の状況でありますが、これにつきまして当委員会の事務局と相談の結果、さらに追加資料といたしまして、福島県関係関柴ダム工事設計資料、その内容といたしましては、昭和十六年度伏樋隧道工事明細書、工事仕様書、昭和二十九年度伏樋隧道、土砂吐樋門補強工事明細書、工事請負人調書を提出いたしました。  なお、本件に関しましての復旧事業につきましては、伏樋隧道の破壊に伴いまして、直ちに現地調査員を派遣いたしまして、県並びに農地事務局の建設部の関係者と共同で協議をいたしまして、貯水池の残りました水を直ちに排水する、そういうような工事を直ちに着工いたしました。  なお、本事業の復旧計画につきましては、東北大学の小貫博士並びに土木地質学の権威である高田昭氏等と慎重に協議を加えまして、七月三十日をもって本決壊個所の復旧設計を終りました。これに要する経費は一千二百万円でありまして、本年度分の工事としまして一千万円を予定いたしました。なお、この工事は現在ほとんど究了いたしまして、近く貯水をいたしたいと、こう考えております。ただしこの工事の安全を期する上で、来年度の満水貯水を避けまして、十分安定を見た上でもって貯水をいたしたい、こういうふうに考えまして、さらに昭和三十三年度に二百万円の復旧工事費を残しております。さらに本溜池の破壊に伴いまして下流に与えましたる被害につきましては、農地並びに農地施設の災害復旧費八百万円、河川等の治水事業に及ぼしました復旧費が三千七百万円、合計四千五百万円ございますが、これに関しては全額純県費をもって一応復旧するように処理いたさせまして、現在農地につきましてはほとんど終っております。  土木、治水関係の復旧につきましては、主要な道路、橋梁その他の再災害を受けやすい護岸等につきましての復旧を終りまして、さらにこの経費の、災害復旧といたしましての要求を大蔵省の方にいたしております。現在までのところ、大蔵省との協議の結果は、まだ結論が出ておりませんが、大蔵省といたしましては、本災害が天然現象と見ることは困難である。従って、災害復旧費の支出については若干問題があるというふうなことを申しております。従いまして、もし災害復旧がそういうような面で支出が困難の場合の措置といたしましては、建設省と協議をいたしまして、治水関係の復旧費につきましては、これを補助をいたすことを建設省と協議をいたしまして、おおむねそういう線に進むように考えております。幸い今年度は本貯水池の受益地域は水に恵まれまして、豊作でありまして、特に貯水池は利用ができませんでしたが、特別な問題はなかったことを不幸中の幸いと考えております。  以上、簡単でありますが、経過報告にかえます。
  195. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明を終りましたが、質疑のある方は順次御発言を願います。
  196. 片岡文重

    片岡文重君 御説明を今伺いますと大蔵省でも天然現象による決壊とは認めがたいというお考えだということでありますが、会計検査院も御出席のようでありまするので、会計検査院がその後どういうふうに御調査になられたか、また御所見についてお聞かせいただきたいと思います。
  197. 中川薫

    説明員(中川薫君) 会計検査院では、本年の四月に本地区を含めた会計検査を実施いたしました。会計検査院といたしましては、それぞれの手続を経て院の意思が決定するのでございますが、まだ最終段階には達しておりませんで、主任局課において検討中でございます。従って私がここに申し上げますのは、そういう段階における一応の所見であるということをお含みおき願いたいと思いますが、本件の事項の原因、それぞれ過失に基くものであるかどうか。過失があるとして、重大な過失であるかどうかという点につきまして二つの段階に分けてお話し申し上げた方がよろしいかと思います。  その第一点は、昭和十六年度に、現在伏樋隧道にいたしておりますものを仮排水隆道として施設したのでございますが、その場合にこの地質の認定を硬岩であると見たわけでございます。それはその通りであると思いますが、たまたま本件の地帯が石英粗面岩と推定されるのでありまして、外気あるいは水等の侵食のない場合は非常に堅硬なものでありますが、これが一たび手を加えて外気等に触れます場合は、非常に風化の早いもののようでございまして、たとえば仮排水隧道の貯水池側は、当初地山の岩盤に接着していたものでありますが、現在で見ますと、相当露出しておるという点から見ましても、取りつけ個所は相当風化したんではないかということが考えられます。そこで、昭和十六年度当時にコンクリートの巻き立てが、無筋の二十センチ程度でよかったかどうかということになりますと、山の深部といいますか、地山に属する部分は直ちに巻き立てればそれでよかったと思いますが、取りつけ部分は外界からの侵食がありますので、その部分におきましてはあるいは鉄筋を加えるとか、巻厚をふやすとかいう処置がなされた方がよかったかと考えますが、この点についてわれわれが考えますに、そこまで配慮しなければならなかったということについては、われわれ技術に大きな自信のない者には判定が困難であります。ところが本件を昭和二十九年度に伏樋隧道に転用することとし、これはもちろん前からそういう計画であったそうでありますが、伏樋隧道に転用することといたしまして、斜樋管をおろし、それから貯水池の内側に土砂ばけの施設をしまして、これに門扉を付したのでありますが、この場合にこの伏樋隧道の取りつけ場所の補強工事の様子を見ますと、側壁と上部においては、これは二十センチ巻きで露出したような格好になっておりますので、相当コンクリートによる増強をやっております。ところが、この隧道の底張り、すなわちインバートの部分においては、岩盤に接着しておるものとして、一部斜樋管から水が落ちてくるその衝撃部分に補強を加えた点はございますけれども、その他の部分については補強を加えておりません。この点が、その付近の岩山の風化状況などから考えて、昭和十六年当時はなるほど岩盤に接着していたであろうけれども、その周囲から侵食されて、水なども浸透していたのではないかと考えるのでございまして、この点についての配慮が十分でなかったのではないかと考えます。当局者にいろいろと質問いたしました結果は、一応の回答を受領しておりますが、最後のこの問題の決壊個所付近の強度などについて調査をせずに、従来の仮排水隧道をそのまま伏樋隧道に転用した点は遺憾であるということを申しております。事は非常に微妙でございまして、設計者として重大な過失といえるかどうかということについては、なお検討いたしまして結論を出さねばならぬと、かように考えております。一応経過的にお話し申し上げます。
  198. 片岡文重

    片岡文重君 大体問題点については、今、会計検査院から御指摘になられたところにあると私も思うのですが、今の会計検査院の御報告は、非常に内輪をとってのお話でありまするので、農林省としても、十分その点については技術的な面から御検討になっており、会計検査院で今言われたよりも、むしろ言外に述べられた点については十分御了解を私得られるものと思うのですが、なお、こまかい点について私二、三お尋ねをしておきたいと思うのです。  それは、先般出されました農地局からの御報告について拝見をしたのですけれども、この御報告を拝見してみると、結局は何ら施行にも工法にも遺憾な点はないのだ。ただ予期しなかった急激な融水によって——融雪水というのですか、融水によって事故が起きたのだ、こういうことで、全然こういう工事についての反省をしておられないように私には思われるのです。  まずその第一点として、これは十分な貯水試験も行なっているということを四ページで述べておられます。述べておられますが、たとえば三十年十二月十六日から十二月二十一日まで六日間にわたる試験貯水を行なった。その試験貯水というのは、貯水深が八・四メートル、貯水量が十万六千立米、次に三十一年十月二十日から十一月五日までの十七日間に再び貯水試験を行なっている。その貯水深は九メートル半、貯水量二十万立米、この両度の貯水試験によって異常を認めなかったということを、まず抗弁の第一にあげておられますけれども、最初に行なった貯水試験は最大貯水量二十六メートル半、この計画に対しては、これはわずかに三二%にすぎません。それから第二回に行なった貯水試験は、この最大貯水深二十六・五メートルに対しては三六%にすぎないわけです。これが十六年から今日まで行われた、長い間かかって次々にわずかずつ行なってきた工事に対して、十分なる自信を持てるほどの貯水試験といえるのかどうか、これについて農林省はどうお考えになりますか。
  199. 清野保

    説明員(清野保君) 御指摘になりました点が二点あります。  第一点は、農地局だけから提出しました報告書の中で、この工事の設計、施行または管理面につきまして何ら手抜きもない、そういうふうに抗弁をしている。第二点は、貯水試験の点であります。  先ほど中川局長から御報告がありましたが、農林省といたしましても、この岩盤がそう急速に風化し、そのために、貯水の際に揚圧力を受けて、その部分が破壊したということは、これは予想をしておらなかったのであります。隧道を掘りましたり、あるいは斜樋を据えつけます接合部の掘さくの際は、白色凝灰岩が非常にかたくて、非常に掘さくに困難をしたというような内容でありましたので、この岩盤ならば二十センチの管厚で十分であろうというふうに最初は考え、その後ここへ斜樋を設置する場合には、その個所が当時十六年に施行しましたよりも相当程度風化が進行しておったので、それに対する対策といたしましては、さらに阻水壁を入れてグラウトをし、そうして十分その岩盤でたえ得る、こういうふうに設計者も考え、またそれを十分考慮して施行いたしたのでございます。しかるにこの設計が、われわれが想像した以上に風化が進行しており、予想外な結果になりましたことは、あるいは設計の誤まりであるというような御解釈もあると思いますが、当時設計いたしました者の考え方といたしましては、十分これでたえ得る、こう考えたのであります。  なお、試験貯水の問題でありますが、これは正直に申し上げまして、貯水を始めるときには必ずかくのごとき試験をいたして、漏水等を調べた上で漸次水位を上げていくのが、われわれの方の常識であります。従いまして、この貯水池におきましても同様な方法によりまして試験貯水を行なったのでありまして、私たちとしましては、当然なことを行なった。ただここで少しく試験貯水をして安全を期した、こういうふうにありますが、それは当然の事柄をわれわれといたしましてはしたまでであります。なお試験貯水をしたから十分安全だった、こういうふうに考えましたのは、貯水された範囲においての話でありまして、その以上の場合にはさらに貯水試験を、もしこういうような融雪水がなければ、第三回の貯水試験としましては、さらに水位を上げまして試験をいたしまして、その結果によって適宜な措置がとれていたものでありますが、試験貯水をする前にこういうふうに融雪水がありまして、非常に水位が上ったということを非常に遺憾に思っております。
  200. 片岡文重

    片岡文重君 徐々に水深を深めていく試験であって、第二次の次に三次、四次と試験を続けていく御計画であったという御答弁のようですが、しかしそれは完成をした工事の、何といいましょうか、度合いを確かめることであって、その試験というものは当然異状ないことが本来でなければならぬわけであります。ところがこれは急激な融雪水であったとはいいながら、十七メートルの水深で決壊をしてしまっておるということは、わずかに六四%にこれはすぎぬわけです、計画量に対して。従ってかりに試験をもしていったとしても、この時期にはこれだけの水には耐えられない状態にあったわけです。そういう点からいえば、二回行なった試験というものは、少しも完成度に対する裏書きにもならないし、この工事の工法に誤まりがなかったという根拠にも私はならないと思う。しかしこの御報告によると、これだけのことはしてあったのだから間違いなかったのだ、こういうふうに解釈をされるのですが、その点はなはだ私は遺憾だと思っておったのです。今あなたの御答弁では、ただ当然すべき試験を行なつたのだということだけであって、それ以上のつまり自信といいますか、抗弁の根拠ではない、こういうふうにお聞きしたのですが、そう解釈してよろしいのですか。
  201. 清野保

    説明員(清野保君) その通りであります。
  202. 片岡文重

    片岡文重君 そういうことでありますならば、またこれ見方も考えなければならぬのですが、被害状況も、これにも報告されておりますけれども、この被害状況は、結局決壊をして流出した水量等を考えてみれば、このくらいの被害の出ることは私は当然だと思うし、むしろ少いくらいではなかったかとさえ思われるわけですから、この報告書の中にある被害程度については、私もまあ大体この程度であったろうと思います。ただ問題は、あくまでもこの決壊が、今のこの報告書を見ただけでは、大蔵省でも指摘されたそうですし、今の会計検査院の中川局長のきわめて内輪をとられた御説明を伺っても、不可抗力とか、やむを得ないものであったというふうには考えられないのですが、東北大学なり、その他の機関に調査を依頼された結果というものは、もちろん十六年当時の、この工事を計画をされた当時の土木工学といいますか、科学的な知識をもって計画を立てれば、この程度のことしかできなかったであろう、こういうような観点に立っての調査ではなくて、現に起った事態の結果を、地質学的にあるいは土木工学的に判断をされてやむを得なかった、こういうふうに判断をされたのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  203. 清野保

    説明員(清野保君) この隧道の決壊の原因が地質の問題にありまして、地質の判定ということが非常な大きなポイントになりますので、私どもとしましては、東北大学の小貫博士にその岩盤の調査報告をしてもらったわけです。小貫博士の報告も、先ほど片岡委員からお話しの通り、確かに昭和十六年ごろの当時の土木技術のレベルから見ての話と、終戦後この排水隧道を伏樋隧道に利用する、そういう事態との間に相当な技術の進歩もありまして、お説の通り確かにそれはあると考えます。ただ小貫博士は、この地質については次のように言われております。関柴ダムの隧道掘さく当時の状態はおそらく厚く表土におおわれており、掘さく当時は「風化も浅く隧道及びゲートの基礎としては強固なものであったものと推定される。」、なお、「隧道欠壊の原因並びに注意事項」といたしましては、「前述のように隧道は昭和十六十七年に構築されたもので、当時は表土がはがれ新鮮な岩盤が掘さくされたに相違ないが、その後十五カ年を経過した現在においては、前記のように風化が深部にまで及んだものである。このところに貯水した場合、風化並びに亀裂中に水が滲透し水圧が加わった場合に隧道の一部を欠壊したものと考えられる。」、こういうふうなことを言っておりまして、掘さく当時には、昭和十六年当時には新しい新鮮なかたい岩盤であったが、その後風化が進んでこうなったのだ。この風化が進んだ——この認定につきましては、その判断がはなはだ困難でありまして、果してこの認定が、こういう風化された岩質のものが、土木工学的に見て果して安全であったかどうかという点についての判定につきましては、すこぶる困難なものが私もあると考えますが、農林省といたしましては、であるがゆえに、さらにその個所の補強に十分注意はいたしたのであります。しかしながら、その注意もむなしく、かかる事態になったことは、はなはだ遺憾に存じております。
  204. 片岡文重

    片岡文重君 私のようなしろうとがあまり専門的なことで御質問するのはどうかと思うし、大学の小貫博士ですか、証明されたということですが、あえてそれについて議論するわけではありませんが、今もその博士の御報告の中にもありましたように、この十数年の間経過した岩盤の上に工事を進めていくという場合には、果してその基盤が当初の設計通りであったかどうかということについて、いわゆるボーリングなり何なり、技術者としては当然とるべき確認の措置がなされなければならぬと思うのですけれども、そういう措置はしておらなかったのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  205. 清野保

    説明員(清野保君) その施工個所はすでに露出いたしておりまして、目で十分判断のできる場所であります。普通ボーリングいたしますのは、地下深くの地質を探査する場合に、地上では地質構造がわかりませんので、ボーリングをいたすのでありますが、この場合には目で十分わかりますし、つるはしなり、あるいは適当なる機具で岩盤の割削等も、十分判定できる状態でありますので、そういうような地質調査は特に行いませんでした。これは十分目で見て、かたいかやわらかいかということがわかるのでありますから、さような方法によりまして認定をいたした次第でございます。
  206. 片岡文重

    片岡文重君 表面に露出しておったところはかたい岩であったけれども現実に決壊の原因をなした部分はこれは腐食されておって、それが原因となって決壊をしたわけなんでしょう。従って、表面から見てわかるところにもちろんボーリングをする必要はないでしょうけれども、その表面で見えない下の部分は、これは現地は大体花崗岩のようですから、幾層にもなっていたわけですね。しかもその層がきわめて薄いということが言えたわけでしょう。従ってこの複雑な層に対しての工学的な検査といいますか、試験というものはやはりしておかなければならなかったのじゃないか。表から見ただけでこれはよろしいということで工事を進められたですが、上から見ただけでよろしかったならば、こういう事故は起らなかったわけでしょう。だから私は決壊した場所が、目に見えないところに起ったのだから、当然そういうボーリング等の措置によらなければできなかったと思うのですけれども
  207. 清野保

    説明員(清野保君) 底樋隧道に接続します個所につきましては、今私が御説明いたしましたように、十分安全を期して、一応できておりました底樋隧道の延長されておる暗渠の部分にあります——そこにはすでにもう工事が終っておりまして、そこにずっと山がかぶっておったわけであります。そのかぶっておりました山が漸次風化が進行して、それを底樋隧道として利用しようとする、二十九年ですか、そのころには相当山の方が風化が進行して、そうして従来硬岩であった、従来かたかった部分が、相当風化が進行した。それでこれでは伏樋としてはその利用が困難であるからというので、現地でもって風化した部分を十分調べて、安全を期する意味でもってその伏樋の横の方にさらに補強をいたしまして、なお、さらにそれから下の方に約二メートルほど岩盤の中に阻水壁を入れまして、そして風化の進行をそれ以上進まないようにというような配慮を払ったのであります。先ほど目で見てやりますと申し上げたのは、若干言葉のいき違いがありますので訂正申し上げますが、底樋隧道から斜樋へ参りますその問、約五・三〇メーターありますが、その五・三〇メーターの区間は、昭和十七年に一応施行が済んでおるのであります。昭和十七年から昭和二十九年にその間を今度は利用する。要するに昭和十七年に工事が終っておって、二十九年にさらに再施行をするかでの十二年間の間に、その部分の上にかぶさっておりました山がずっと風化して参りまして、それがすっかり腐ったものですから、これは安全が期せられないというので、今から思いますというと中を巻けばよかったのですが、中を巻くという配慮に欠けまして、上をずっとかぶせたのであります。上をずっとかぶせまして、山の出口といいますか、足というのですが、山のこうなっています山のこっち側ですが、こっち側にはずっと深く阻水壁を入れまして、山の風化を防ごうとしたのであります。さらにそこでグラウトをいたして岩盤の補強をいたしたつもりでありますが、問題は二十センチの巻厚に対して外部から補強をしたりしますというと、補強の全部できる部分とできない部分がございます。できない部分が今度の決壊の圧力を受けてこわれたので、今考えますというと、その部分が全部中から巻いておけば全部が強くなっていたのですが、部分的に強くなって、他の部分が弱かったという結果が今考えるとありますのですが、その当時といたしましては、そういう風化に対する心配は一応今申し上げたような工法でして参ったのでございます。
  208. 片岡文重

    片岡文重君 やっぱり表から見て措置のできる程度のことだけであって、部長自身がおっしゃられるように、やはり施行の面において、施行といいますか、計画といいますかね、当然それは結果論かもしれません、私のいうことも。会計検査院立場から言われても、不必要な補強をする必要はないということは当然言われるでしょうから、結果論にはなるかもしれませんけれども現実にこういう事故が起っておるのですから、しかも長い間かかって、いわば工事の再開のような状態でこの工事は引き継がれておるのですから、その再開の時期に当然とるべき措置を私は少くとも、しなかったと言っては行き過ぎになるかもしれませんが、万全の注意が少し欠けておった、少くともこのぐらいのことは言えるのではないかと思う。特に、釈迦に説法になりますけれども、火成岩でできておるこの基盤が非常に複雑であるし、風化しやすい状態のものもあって、技術者としては当然これはもう慎重な態度で臨まなければならなかったと思うのですけれども、そういう点がなされておらない。で、やむを得なかったということで片づけられておるようですけれども、これは明らかに天然の現象によって起ったものではなくて、工事に対する注意の欠除ということがやはり最大の私は原因になっていると思う。ただ、しかし、政府としてあるいは農林省として、建設部長さんの立場からいって、はいそうですとそれを肯定したのでは、しからばその責任者はどうするのだ、こういうことの心配がおありになるかもしれませんが、私はここであえてその責任を追及しようとしているわけではないのです。こういう少くとも、この工事は三億二千万円でしたか、とにかくこういう膨大な工事をやってもらったのはいいけれども、わずか完成して二月か三月のうちに流出し、しかもそれで一千二百万円ですかの復旧費を出さなければならない。こういうことがしばしばあるようなことでは、はなはだ私は遺憾なことなので、こういう事態はやはり防止しなければならない。もちろんこの間に悪意による過失であるとか、あるいは悪意の何らかの、汚職とか不正事件があったとかいうようなことを私は言っているのではなくて、たとえ善意の諸君同士によって事はなされたとしても、この間に、やはり結果論ではあるかもしれないが、大きな注意の欠除があってこういうことになったのじゃないか。で、もう今日となってはこういう引き継ぎの工事というものはそうたくさんないかもしれませんけれども、しかし、まだ大きな工事には農林省、建設省関係には相当あるはずです、何億という工事が……。そういう工事が、こういうふうに担当者のわずかな注意の不足から、非常に大きな損害を与えるようなことになってはいけない、こう思うので、その点の責任の所在を明らかにして、再びこういうことの起らないように、私は責任者としての反省を促したいと思う。けれども、いや、これはそうじゃないのだ、これは天然自然でやむを得ないのだ、こういうことで片づけられれば、その責任者の反省を求めることもできなければ、再発するであろうこういう危険なことも防止しにくくなってくるということで私はお尋ねしておって、あえてこのことについて、さらに技術的に論争を重ねていこうとか、不正や不当のことがあったろう、こういうことを追及しておるのではないのですから、私の質問する考えを一つ御了解いただいて、はっきりといいますか、率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
  209. 清野保

    説明員(清野保君) 片岡委員からの御意見に対しましては、われわれも十分反省をいたしております。特にダムあるいは干拓というような工事で、もし災害を受けました場合には、その被害が下流あるいは沿岸に非常に大きく及ぼします工事につきましては、十分技術的にも反省し、今後かかることのないように決心をいたしております。農林省ではただいま、この関柴ダムの決壊問題とは直接関係はございませんが、昨年度以来、農業土木の技術研修をいたしております。初級技術者、中級技術者、専門技術者というのを昨年以来、本年はもちろん、明年以降もかかりますが、毎年二百四、五十名程度のものを、各県の技術者、事務局の技術者を集めまして、その訓練をいたしております。特にその訓練のうちでもって、専門技術者の訓練に対しましては、土堰堤とかコンクリート・ダムとか、そういうものにつきましては、十分技術的な、その利用、設計、施工等につきまして十分訓練いたしまして、関柴ダムのような決壊事件が今後起らないということに十分注意もし、また技術者にそういう事例を説明いたしまして、今後の絶無を期したいと思います。
  210. 片岡文重

    片岡文重君 中川局長にお尋ねしますが、この検査をされました結果に対する院の決定というのは、いつごろになる御予定ですか。
  211. 中川薫

    説明員(中川薫君) これは内部で審議の結果は、昭和三十一年度決算検査報告に掲記する事項であるかどうかということの決定をなすわけでございまして、他の案件と同じく措置いたしますので、最終決定は早くて十一月にかかるものと思います。
  212. 片岡文重

    片岡文重君 それではなお技術的な面で若干お伺いしたいと思うのですけれども、時間もありませんから、検査院における御決定等も見ました上で、さらに必要があればお尋ねをしたいと思います。きょうは一応これでとどめておきます。
  213. 江藤智

    ○江藤智君 もう時間も迫っておりますから、きわめて簡単にお尋ねしますけれども、こういう問題は技術的に見ていろいろ問題もありますでしょうし、片岡委員と同じように、今責任者どうこうということには触れません。けれども、ただいまの御説明を聞いておりますというと、大きい意味におきまして、やはりこの原因というものは技術力の不足にあるのじゃないかと私は考える。と申しますことは、まず十七年ごろにできた伏樋というものに対して相当の水圧がかかるようなことになる。十七年のコンクリートというのは、御承知のように非常に質が落ちている、戦時中。ですから当然これは何らかの処置をしなければいかぬということは、ある程度技術力のある人だったらばこれは考えられることじゃないかというふうに考えられます。また、ここの石英粗面岩の風化の問題になりましても、これはそういう悪いコンクリートのところで、一般の空気に触れれば風化をする岩質なんでありまして、上から見たからわからないといいますけれども、これはダムの技術者としては、もう地盤の岩質の風化ということは一番気をつけなければいけない問題である、そういうようなことを考えてみますと、やはり農林省でたくさんのダムをやって、干拓もなさるのでありますけれども、そういう土堰堤のエキスパートという者の知識が、十分にそういうものに浸透していないのじゃないかという感じがするのでございますが、その点はいかがでございますか。
  214. 清野保

    説明員(清野保君) 農林省では土堰堤につきましては非常に長い経験を持っておりまして、今もって土堰堤に関する試験研究を加えてきております。しかしながら、問題は技術的な理論や設計ではなしに、施工の際にその良否を判断するということが一番重要であります。その意味におきまして、農林省では従来ごく少い、極端なことを申し上げますというと、戦前には一名か二名しかおらなかった地質屋を、今本省で四名、各事務局で一ないし二名いずれも配属いたしまして、土堰堤の調査施工あるいは工語中の検査、コンクリートを打ちますとか、あるいは土を入れます検査には必ず立ち会わしております。これは戦前から見ますと、非常な、われわれといたしましては、技術に対する反省もし、また十分注意いたしておるつもりでございまして、今後はかかることがぜひなしにいたしたい、こういうふうに考えて、技術者に対して十分なる注意と十分なる指導をするようにいたしております。
  215. 江藤智

    ○江藤智君 そこでこのダムの施工は、これは農地事務局でございますか、県でなさったのですか。
  216. 清野保

    説明員(清野保君) これは福島県営でございます。
  217. 江藤智

    ○江藤智君 今のお答えで私も十分だとは思いますが、こういう土堰堤の設計、施工ですね、いわゆるダム・エンジニアというのは、これは非常な特殊技術が要るのです。しかも一たんこわれたら大へんな事故を起すのですから、非常に地質の面においても、工事の施工の面においても高度の技術が要るわけです。ですからして、県にそうたくさんいるとも思えない。ですから、どうしてもそういう専門家を養成されて、大きいダムであるときには、県からも必ず相談して現場を調べて、とにかく二重にも三重にも設計、施工というものを検討されて、慎重に施工をされるというような態勢をぜひ作っていただかないと、先ほどの研修程度で各府県にばらまくような技術者じゃ、こういう事故を未然に防止するということはなかなかむずかしいのじゃないか。そういう意味で、一つ本省あるいは直轄の事務所というようなところで、こういう高度のダムのエンジニアというようなものを養成されるように、今後考えていただくように一つ要請いたしまして、私の質問を終ります。
  218. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  219. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  ほかに別に御質疑はございませんか。——では御質疑がないようでありますから、以上をもって本日のこの問題についての審議を終了いたしました。  次回は明十二日、木曜日、午前十時から、都道府県の会計経理に関する件、日本銀行の経理状況に関する件、宿舎問題及び三十年度決算中運輸省の部を審議いたします。  では、これをもって委員会を散会いたします。    午後五時十九分散会