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1957-02-15 第26回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十五日(金曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            西岡 ハル君            久保  等君    委員            石井  桂君            上原 正吉君            大谷藤之介君            永野  護君            林屋亀次郎君            赤松 常子君            高田なほ子君            岸  良一君            杉山 昌作君            岩間 正男君   国務大臣    労 働 大 臣 松浦周太郎君   政府委員    大蔵省管財局長 正示啓次郎君    労働大臣官房会    計課長     松永 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    労働省労働基準   局労災補償部長  三治 重信君    労働省職業安定   局失業保険課長  阿部 泰治君    労働省職業安定   局失業対策部長  澁谷 直藏君    会計検査院事務    総局第一局長  大澤  實君    会計検査院事務    総局第三局長  石渡 達夫君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十九年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国税収納金整理資金  受払計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続) ○昭和二十九年度政府関係機関決算書  (内閣提出)(第二十五回国会継  続) ○昭和二十九年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出)(第二十  五回国会継続) ○昭和二十九年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出)(第二十五  回国会継続)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第八回決算委員会を開会いたします。  昭和二十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和二十九年度政府関係機関決算書議題といたします。  大蔵省管財局の部の質疑を続行いたします。検査報告批難事項は、第五十二号から七十七号まで、及び第七百五十九号から七百六十二号まででございます。  また、本件と一括して、昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書議題として審議を行います。  本日御出席の方は、大澤会計検査院第一局長、正示管財局長谷川管財局総務課長市川財務調査官市瀬国有財産第二課長上東野管財司計官の諸君でありまして、御質疑がある方は順次御発言を願います。
  3. 久保等

    久保等君 管財局長がお見えですからお尋ねしたいと思うのですが、昨年の二十四国会で当決算委員会で取り上げられた問題ですが、国有財産の、特に、もちろん不動産ですが、全国に散在する国有財産実態把握について格段の努力をしたいというお話があったのです。その件について、当時管財局長お話ですと、三カ年ぐらいは十分かかるんじゃないかというお話でありましたし、また、相当これに要する経費も必要じゃないかというお話だったのですが、昭和三十二年度の予算もすでに国会に今上程を見ておるのですが、どういう御方針でただいまの問題について方針をお立てになっておるのか、また三十二年度でどの程度のこれに要する予算を計上しておられるのか、御説明を願いたいと思います。
  4. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。ただいま久保委員から御指摘のように、先々国会でございますか、当委員会におきまして、全国にございますところの国有財産不動産、おもに土地建物等でございますが、これが実態不明のものが相当に上っていると、ついては大蔵省はこれに対してどういう態度であるかということにつきまして、大体、ただいま久保委員からお述べのようなお答えを申し上げたのであります。つきましては、これが実現の第一歩といたしまして、昭和三十二年度予算におきましては、この問題が大蔵省の中でも非常に重要な一つ案件として、省議その他において論議されたのでございます。その結果、国会方面における非常な御関心等も、私どもにとっては力強いバックになりまして、幸いにして予算上に相当額を認められております。結論的に申し上げますと、前年まではせいぜい数百万円くらいのもので細々と調査をして参ったのでございますが、今回三十二年度予算におきましては、約一億一千万円程度予算化が行われまして、目下国会において御審議中の予算に計上されてございます。  この内容でございますが、ただいま久保委員からも御指摘のように、全国に散在いたしております件数というものは非常にたくさんの件数に上っておりますが、私どもはまず予算の効率的な使用、重点的な計画ということに立脚をいたしまして、大体不動産の中でも、特に経済的価値の高い、ことにまた住宅対策等の見地から目下非常に緊急の必要がありと認められますところの土地のうちの宅地、これを主にいたしまして、この宅地あるいは宅地に準ずる、たとえば耕地というふうなところを対象にいたしまして、これが大体今お述べのように、三年計画程度においては十分把握ができますようにということを一つの目安にして、予算化努力をいたした次第でございます。その結果、三十二年度におきましては、大体東京、大阪、その他六大都市を中心にいたしまして、そのほかに御承知のように全国財務局というのがございますが、この財務局の所在いたしまする都市、大体場所的にはそういう範囲に一応ねらいを定めまして、この都市内に存在するただいま申し上げました宅地あるいは宅地に準ずる耕地、こういうものにつきまして、大体におきまして、三年と申さず、今年においては、今申し上げたような地域につきましては、全体の半分くらいは十分できる予算を計上いたしておるのでございます。しかしながら、問題は、むろん宅地等だけではございませんので、全般といたしましては、そのほかに森林とか原野とかいうふうなところまで結局いくのでございまするから、目下の腹づもりといたしましては、宅地あるいは宅地に準ずる耕地、これをまず調査をいたしまして、このうちから現実住宅用地に活用できますものは一日も早く一つ活用いたしたい、かように考えております。なお、さらに進みまして、これによって相当の経験と実績を積みました上におきましては、これを基礎にいたしまして、三十三年度以降におきましては、さらにこの計画を充実いたしまして、たとえば宅地のほかに耕地あるいは森林原野等に至るまで、やはり前回申し上げましたように、大体において三年間程度におきましては一応の調査を完了すべく、私どもとしてはこれに鋭意努力をいたすことに考えております。  大体のところをまずお答え申し上げたのでございますが、さらに細目にわたりましては御質問によりましてお答えを申し上げたいと思います。
  5. 久保等

    久保等君 総体の金額はお話があってわかったのですが、特にこの調査に要する人員等の面においては、いわば定員的な人員確保措置も考えておられるのか。それからまた、この前のお話でも、何か相当人員はアルバイトのようなものを使ってやることも考えておられるというお話だったのですが、そういった調査に要する人員の面についての計画を御説明願いたいと思います。
  6. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。本件財産実態調査に要しまする人員でございますが、これは先ほど申し上げましたような対象並びに地域に即応いたしまして、合理的な算定を行なったのでございます。その結果、一方におきましては、今日御承知のように政府職員の増加につきましては、全体として定員をふやすということについて、この内閣におきましても相当峻厳な態度で臨んでおられることは、予算編成方針においても明らかでございます。つきましては、私ども今日擁しておりますところの陣容を最も合理的にまず活用して参る、総力をあげてやっていくという態勢を整えることを主眼にいたしまして、大体実態調査に当りまする定員は約二百二十名でございます。全国に、先ほど申し上げた地域に重点的に配置をするという考え方をとっております。しかしながら、二百二十人の定員だけでは外部的な事務、すなわち現場に臨みましていろいろと測量その他に当る必要がございますので、これはとうていそれだけでは十分でございませんので、ただいま久保委員から御指摘のように定員外と申しますか、定員としては認められないのでございますが、いわゆる一種のアルバイト的な賃金支弁職員といたしまして、同じく二百二十名を認められている次第でございます。すなわち、これは今日までの全体の態勢から申しますとまさにネット・プラスの面でございまして、これらは臨時的な要員でございますが、しかしながら、これは先ほども申し上げましたように相当年次にわたりまして実態調査の仕事は続けるわけでございますから、これらの定員化はされませんが、臨時的な要員につきましても、これを十分現場において活用しますまでには、所要の指揮あるいは訓練を行うことによりまして、十分経費効率化並びに人力、労力の活用という面を大いにはからなければならぬと考えております。結論的に申し上げますると、つまり四百四十名くらいの態勢、これにむろん既定人員からさらに応援することも考えられるわけでございます。これを全国に分ちまして、しかも重点的に配置をいたしまして、大体私どもの今の希望といたしましては、各財務局に専管の課を一つ設けていただく。この課長陣頭指揮のもとで、ただいま申し上げた程度一種の機動的な力を重点的に活用いたしまして、大体今申し上げたような対象を処理していく、かように考えております。
  7. 久保等

    久保等君 わかりました。何といっても国有財産管理は、これは非常に重要な問題でありますし、特にすでに既存の国有財産自体にしましても、この前のお話を伺いましても、約二千億近い国有財産が現に現存するわけですが、それらの適正な管理はもちろん、さらに今言われておりまする、これからその実情を調査して、国有財産台帳記帳すべ事ものは記帳するというような、新たに加えられる国有財産自体相当なものに上るだろうと思うのですが、特に今言われておりまする実態調査の件につきましては、でき得る限りこれを完了していただいて、国有財産管理の遺漏のない措置十分努力をしていただきたいと、私その点は申し上げておきたいと思います。  それからもう一つ、話は全然別ですが、この前、当委員会での懸案事項になって、まだ十分に結末がついておらない宿舎関係なのですが、本日実は私、日銀の担当の方に御出席を願えばよかったと思うのですが、大蔵省では直接関係しておられない問題であるようですから、直接お伺いすることは差し控えたいと思うのですが、昨年出していただいた資料の中で検討してみますと、日銀関係宿舎調書が出ているのですが、他の各政府関係機関資料も出していただいたのですが、特に目立って日銀関係職員宿舎、特に高級職員だった方で、もうすでに現在はやめておられる方の宿舎相当長期にわたって居住されている調書が出ているのですが、ずいぶんひどいのは、昭和二十二年におやめになって、しかも昨年現在まだ居住しておられるという方もおいでのようです。これは筋違いで、大蔵当局に申し上げる問題ではないと思いますが、そういう点についても何かと、これは日銀大蔵省という問題については非常に深い関係にあると思うのです。日銀の場合は特に高級職員部長局長以上ということになりますと、これは役人とはまた違って、一段と給与その他の面においては非常に高位に位するところだと思うのですが、そういうところで、調書にあがっておりまするだけでも十二、三名の方々が、現に長いのは十年、短かいので二、三年前後というような程度で居住しておられるのです。こういう点については、これは非常にわれわれ決算委員会としても看過できない問題ではないかと思っております。これはいずれ機会を改めてお聞きしたいと思うのですが、当決算委員会としての毎回の継続している問題で、ただ宿舎のその問題については、たまたま私の目にとまった問題はこのことなのですが、この前も言われておりました大臣公邸の処理の問題等もあったと思うのですが、これは一例にすぎませんけれども、少くとも国有財産管理の問題については千差万別で、非常にむずかしい問題だとは思うのですが、その点について一つぜひもう少し、非常にでこぼこがひどいといった印象を受けるのですが、そういう点についても十分御研究も願って、早期にそういう問題の是正がなされますよう御努力を願いたいと思います。この問題については別に御答弁を願う必要はないと思います。いずれ委員長の方で機会を見て、私、三十年度決算の中で審議をいたして参りたいと思っておりますから、私は管財局に対する質問は以上で終りたいと思います。
  8. 赤松常子

    赤松常子君 関連してちょっとお尋ねしたいのでございますが、どなたにお尋ねしていいのでございましょうか、実は国有財産管理のことにつきまして、土地評価問題が非常にまちまちであるという……最近ちょっと法務省関係で、拘置所の移転問題がございまして、それで土地評価算定しておりますわけですけれども、その土地民間算定——あれは何というのでしょうか、評価をする人につけてもらった値段と、それから国が評価して出しました値段と非常に違いまして、国が評価した場合に非常に安いのです。で、今申します民間算定した数字と非常に違いますので、それで今ちょっと問題が起きているところがございます。これは国有財産管理なさいますときに、たとえば土地会社に払い下げるとかいうときのその土地評価方法ですね、どういうふうにしておいでになるのでございましょうか、ちょっとおわかりでございましたら……。
  9. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま赤松先生からの御質問でございますが、国有財産管理あるいは処分の非常に大きな問題点であります。率直に申し上げまして、私どもとしては、私どもの利用できるあらゆる方法を講じまして、最善を尽しておるということが実は結論でございますが、しかし、ただいまお述べの場合に二つの問題が実はあるわけでございます。一つ拘置所の場合の土地でございますが、これは大体におきまして、この拘置所なら拘置所の建設をやる方の場合、あるいは移転によって不要となる土地の場合、まあそういうふうなことになるわけでございますが、第一の問題は、これが評価責任機関の問題であります。で、お述べの場合は、大体法務省責任者でございまして、法務省の系統においてやるわけでございます。一般に、しかしながら国有財産の総轄ということは、これは大蔵大臣責任でございまするので、法務省がいろいろやることにつきまして大蔵大臣は協議を受けております。従って、私どもは今御指摘のように、各省庁の間のユニホーミティと申しますか、統一性を保持するようにあらゆる努力を払っておるのでございますが、なお十分でないというふうな御意見もあるわけでございます。どういう方法かという第二の点でございますが、これは大体御承知のように課税をいたしております。税金をかけておりますから、まず税金をかける場合の価格というものを第一に基準に置きまして、どのくらいの——たとえば固定資産税でございますとか、相続税でございますとか、税を見ております。大体国にいただく場合に、どの程度にその財産を見ておるかということを当然考えなきゃなりません。従ってこれは民間土地に税をかける場合に、国として評価しておることでございまするので、その隣に国有土地があるということでございますれば、その民間土地とのバランス、これが一番大事な点でございますから、まず課税標準価額と申しますか、こういうものではどの程度になるかということを見るわけでございます。それからいわゆる近傍類地価格、もう一度振りかえりまして、課税の面じゃなくて、売買実例等近傍類地土地はどのぐらいで売られているかということを調べるわけでございます。それから当該土地の所在するところの、たとえば市町村個々の見方が、どういうふうに見ておるかということを見るわけでございます。大体以上申し上げたことを要約いたしますと、官公庁の評価が大体どのくらいになっておるか、しかもそれが近傍類地土地との比較において、どのぐらいのものになるかということをいろいろチェックするわけでございます。それをなお一般売買実例で比較いたしまして、それが大体常識的に合うかということをチェックするわけでございます。それから最後に、今御指摘のように民間精通者、これは非常に大事な点だと思うのでございますが、従来とかく予算がないということで、民間精通者意見を聞くことは聞くのでございますけれども、非常にその聞き方が、何と申しましょうか、しっかりした、ほんとう責任のある御回答をいただくような聞き方をしていなかったという点が、私は一番大きな欠陥であったと認めております。法務省予算が足りない、各省予算が足りない、大蔵省でもそういう予算が十分でなかったという悩みが実はあったのでございます。こういう鑑定というようなことは案外金のかかることでございますが、しかしこの金を惜しみますと、いわゆる何と申しましょうか、一文惜しみの百失いということになるおそれがございますので、先ほど久保委員の御質問お答えいたしましたように、国有財産管理処分を適切にするためには、こういう金を惜しんではいけないということを、たびたび当委員会でも御指摘を受けておりましたので、今回三十二年度予算におきましては、相当程度にこれらの点を充実していただくことにいたしました。つきましては、私は今後、まず私どもの直接売り払いしたり管理したり貸付したりしております土地につきましては、最終的にはいつでも正式な、たとえば勧業銀行でございますとか、あるいは権威ある不動産会社でございますとか、そういうふうな方面鑑定書というものをはっきりと取りつけるということを考えております。それから第二といたしましては、役人だけの判断ではいけない。今、民間精通者の御意見を伺うのでございますが、しかしそれが一部の意見というふうなことになるおそれもございますので、どうしても公けの審議会に最終的にはかけたいと思っております。こういうところをこれぐらいに評価するのが果して妥当であるかどうかという点について、これはもとより責任は役所が最終的には負うわけでございますが、御意見は十分聞かなければならぬと思っております。その構想によりますものが、御承知国有財産審議会でございまして、これは中央と各財務局に置いておるわけであります。  要するに以上長々と申し上げましたが、われわれがアベィラブルなあらゆる資料を使いまして、まず自信のある案を作ります。しかし、もう一度森の中から外に出まして、これを客観的に見直すという配慮が今まで足りなかったと思いますので、これを皆様方の、まあほんとう権威のある方々の構成される委員会にかけまして、第三者としてのお立場からよくごらんいただくということによりまして、ただいま御指摘のようなアンバランスと申しますか、でこぼこと申しますか、そういうことが起らないように、よくユニホーミティを保っていきたいと、かように考えております。
  10. 赤松常子

    赤松常子君 もう一つ。先ほどおっしゃいました二百二十人という管理者というのですか、管理のために働いておいでになる方々が、そういうことまではなさる人ではなくて、単にそこの破損とかいうふうなことだけを見ておいでになる人なんですか。それでその審議会ですか、国有財産審議会というものは大蔵省で直轄しておるものか、そのつどこちらから奈良県なら奈良県、大阪なら大阪に御出張なさるようになっておるのか、あるいは大阪財務局にやらせておるのでございましょうか。
  11. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 二百二十人——先ほど久保先生お答え申し上げました二百二十人は、いわゆる実態不明の財産、これはたとえば台帳に出ておるけれども現場をまだ押えていないとか、あるいは台帳数字現実の広さ等が食い違うものがあるのじゃないかというふうな疑惑がございますので、これを調査していくその要員を申し上げたわけでございます。従いまして、そのほかにまだ評価等に当ります専門家を、私ども全国に約三千人くらいの職員を持っておりますので、そのうちから相当数評価等の専門的な訓練を受けた職員がおるわけであります。これが今申し上げましたような努力をいたしまして、今後さらに一そう評価権威を高めていくように心がけておる次第でございます。  次に審議会でございますが、審議会大蔵省一つ中央審議会というのがございます。これは最も重要な案件をやるわけでございます。それから各財務局、たとえば御指摘のような大阪なら近畿財務局がございますので、近畿財務局にまた審議会がございます。これはその近畿管内におきまする言論界あるいは経済界、あるいは地方公共団体、その他専門的な知識を持っておられるというふうな方々によって構成されております。そこでお話のように奈良県で一つの問題があります場合には、まず書面でこの審議会に諮るわけでございます。そうしますと審議会十分データがございまして、なるほどこれなら妥当であろうという結論が出る場合もございまするし、念のために現場をよく委員が見てこようじゃないかという場合もございます。あとのような場合におきましては、委員方々をわずらわしまして、現場に御出張願ってごらんをいただいております。それらの委員の御意見というものを十分参考にいたしまして、最終的な結論をつけておるわけでございます。
  12. 石井桂

    石井桂君 私は正示局長から御説明を願いたいと思うのですが、太平洋戦争が起りました当時、外国人土地建物を持っておったのですが、それが自分の国へ帰ってしまったあと、国がこれを収用しまして、そうして日本人に売り渡したか、貸し付けした場所がずいぶんあるんです。そのうちでそれを買った人が、今度平和になって外国人が帰ってきたので、もう一ぺん国から買い戻された。そのときに買ったときの値段と同じ値段買い戻された。その当時は非常に安かったのですが、地価が上ったり何かして非常に損害をこうむった。非常に困った事実があるというので陳情——これは横浜におられる方がずいぶん多いのですが、最近受けたことがあります。その当時損害を受けたことに対する補償の道がないかということの質問と、もう一つ、そういうものの御調査をなすって補償したのは一件当り五千円、その当時の金で五千円以上のものは、調査して補償はされたけれども、五千円に満たないものは、小さいものとして調査から漏れて補償がされてないのだ、そういうことを聞いたのですが、そういう事実はありますか、どうですか。
  13. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。ただいまの石井委員の御質問は、いわゆる連合国財産の返還に伴いまする国内補償の問題でございます。御承知のように太平洋戦争中に、連合国財産土地建物、あるいは株券等がございましたが、これらはすべて敵産として管理をいたしたのであります。敵産管理法という法律がございまして、これによって管理をいたした。そこで敵産管理に付せられました財産をお買いになった場合、これは御指摘のように五千円、あるいは五千円以下の安い価額の、今日から見ますと安いのでございますが、当時としては相当価額としてお買いになった方がおられるわけであります。これに対しまして、戦争がああいう事態になりましたので、連合国から占領軍が参りまして、いわゆるポツダム政令に基く返還政令というものを日本政府に作らせまして、そうして仮還政令がほとんど占領軍の指図のままに作ったのでございますが、その中には、とりあえず戦争中にお払いになっただけの金は返しなさいという規定がまずございまして、そういう御指摘のように五千円の方は五千円返す。なお五千円未満は返さないという規定は全然ありません。そういうことはございませんので、こんなお話がありますれば、誤解に基くものであります。幾らでも、五千円でも五千円未満でも、当時お払いになった金は返すというのが返還令の建前であります。しかしながら、戦争が終りまして、非常なインフレで、地価が騰貴し、株価等も非常に変動がありましたので、それだけのものを返されたのではまるで子供だましではないかというお感じが非常にありまして、これに対する補償問題要するに返還しましたときの時価で当然これを返すべきじゃないかというお考え方に基く要求は全国相当あるわけであります。大体私どもの心得ております件数で、七、八千件そういう件数があるわけでございます。これに対しましては、返還政令——政令というのは命令のような形でありますが、実は国会においてお認めをいただいた法律でございます。御承知のようにポツダム政令のあるものは法律の効力を持っておるのでありますが、その一つでございます。その返還政令の中に、本件の返還に伴う損失の処理については別に法律で定めるという条文がはっきりございまして、これがいわゆる国内補償の問題ということになっております。平和条約によりまして、いろいろのクレームを連合国側に提起することはすでに破棄されておるのでございますが、一種国内補償の問題は残っておるという一つのケースでございます。つきましては、そういう法律をいずれは出さなければならぬのでございますが、今日まで私どもといたしましては、戦争並びに敗戦に伴う万般の補償問題というものは、目下非常にやかましく論議されております在外財産補償問題とも関連をいたしまして、また賠償の問題とか農地の問題とか、いろいろの問題がございまして、これを具体的に日程に上するに至っておりません。今日の段階におきましてもなおこれら全体の補償問題等とも関連いたしまして、十分慎重に検討をしていずれは何らかの形におきましてこの解決をはからなければならぬ、かように考えております。
  14. 石井桂

    石井桂君 そういたしますと、そういう場合の補償は、補償の道があるんだけれども、今すぐそういうものを補償するための法律は、政府としては全体のバランスを考えてからでないと出し得られないと、そこでやるならば、ざっくばらんに言うと、議員立法か何かで出てくればしょうがないと、こういう調子ですか。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 決してさような責任のがれの考えは持っておりませんが、私どもは真摯にこの問題と取り組みまして、妥当なる結論をつけまして、国会にお諮りをしなければならぬ、こういうふうに考えておるのでありますが、しかし、これは端的に申しまして、非常にむずかしい問題がいろいろございまして、たとえば一例を申し上げますと、おそらく横浜等で土地をお買いになった場合、これは損失が生じたかどうかという問題につきまして、私ども一つの大きな問題点は、かりに自由な処分ができる余地があったにかかわらず国が命令をして幾ら幾らで売らしたということでございますと、まさに補償損失の起ったケースになるわけでございますが、敗戦という全くまあ予期しないといいますか、少くとも敵産管理に付せられた財産を買われた方は、敗戦ということを予想されずにお買いになったと思うのでございますが、さような方があとでその財産をこれこれの価額で、すなわち戦争中にお払いになった価額でお返しなさいという、こういう政令が、超憲法的な力で出たわけでございます。そのときに一体損失という観念はどういうふうにして起るのであるか、これらの問題は非常にむずかしい問題でございまして、ちょうど在外財産補償問題とやや似た問題も起って参るのではないか、それらの点につきまして、一波万波を呼ぶ問題でございますので、よく法律的にも研究をいたしまして、一つの問題を解決して、それが他の問題の解決にも役立つような合理的な線を見出すと考えておるのでございまして、むしろ個々別々に議員立法によって処理されることは、これは、私出過ぎた口かも知れませんが、なかなかむずかしい問題ではなかろうかとむしろ考える次第でございます。
  16. 石井桂

    石井桂君 その問題は私はもうそれで了解いたしますが、ちょっとこの機会にお伺いしたいのですが、最近、新聞に、今大蔵省のいろいろ国有財産調査や、そういうことに関する法律が何件か出そうだということが出ておるのです。それに対して建設省の営繕局あたりは、昔通りお宅の方へ建設省の営繕局の事務をとられるんじゃないか、こういう心配がずいぶん職員にあるらしいのです。私どもは議員立法で官庁営繕法というものを作って、ばらばらに国家がやっておるのを一つのところでやって、それで各庁の単価が、別々に好み好みに応じて単価を立てて予算をとっておるのを、国費を節約する意味から能率的に一カ所にまとめた方がいいという、こういうつもりで官庁営繕法を超党派的に通したわけですよ。そういうのに逆行した御計画がお宅の方にあるのですか、ないのですか。この際、聞くのは適当じゃないかと思いますが、ちょうどあなたがいらっしゃるから、あなたにお聞きしたらいいかと思ってお聞きするのですが、正直に一つ話していただけませんか。
  17. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問、新聞等で御承知のように、大体先ほども久保委員にもお答え申し上げたのでございますが、今日非常に大きな問題になっております住宅用地宅地、これはもう石井先生非常にお詳しい問題でございますが、住宅計画、まあ二十万戸計画、五十万戸計画、いろいろ計画がございますが、その大きなネックの一つ宅地の問題があろうかと思います。これに対しまして私どもは、もう先ほどお答え申し上げましたように、相当土地等を持っておるわけでございます。ぜひこの焦眉の急務である宅地にこれらの財産を活用したい、こういう念願を持っておるわけであります。しかしながら、これは大蔵大臣としては大蔵大臣に与えられた権限の範囲でなければもとよりできないことでございます。御指摘のような官公庁施設の建設等に関する法律、この法律の御趣旨は私どももよく承知いたしておるのでございまして、この法律をいやしくも侵犯するがごとき大それた考えを持っては全然おりません。大体建設省とは事務的に十分連絡をつけておりまして、建設当局におかれましても、私どもの意のあるところは十分御了解をいただいておるのです。ただ、とかく役人はなわ張り的な考えを持ちがちでございまして、風声鶴唳と申しますか、やや先回りをしますような点もございますが、これはいずれ建設省、その他各省庁と十分連絡いたしまして、調整のとれました法律案を提案することによりまして、私が正直にお答えいたしたことを立証いたしたいと思うのでございます。どうかさような御疑念は全然お持ち下さいませんように。いずれまた法律が固まりますれば、この国会中におきまして十分御説明申し上げる機会があろうかと思います。
  18. 石井桂

    石井桂君 今のお答えで満足でございますから、これで打ち切ります。
  19. 高田なほ子

    高田なほ子君 軍用財産の整理について、まず会計検査院の方から御説明をいただきたいと思うのですが、ここにも指摘してあります通りに、終戦後大蔵省は非常に膨大な数量のものを引き継いできた。しかし管理についてはまだ非常に不十分な点があるということが指摘されています。特に台帳漏れ、あるいは使用させたまま、長期にわたって全然未処置のものがたくさんあるということで、六十から六十六番までですか、おもなものについて指摘されておるわけでありますが、私がお伺いしたいことは、おもなものをも含めて、全体の膨大な量の何%くらいが今日なおもってそのまま未処理の状態にあるのか、大まかなところを数字的にお伺いしたいことが一つと、ただいま管財局からの方の御説明によると、二百二十名の要員によってそれらすべての問題が逐次処理されつつあるような御説明があったわけでありますが、なぜ長期にわたってこうした問題がすみやかに処理されないのか、そうしたことの原因等についても検査院の方からの御所見を承わりたい。
  20. 大澤實

    説明員大澤實君) 旧軍用財産は大きく分けますと、土地建物と、それから機械工具、器具類、こうなるわけでございます。それで土地建物の方は、御承知の大きな四日市の燃料廠とか、その他大きなところの処理の問題が相当残っておりましたのですが、小さなものに対する処分相当進みまして、今ちょっと、計数的に調べなければわかりませんが、ちょっと今資料を持っておりませんが、相当処理は進んでおります。処分したり、あるいは片づけたりいたしまして、未利用というのは相当滅ってきております。それから機械器具でありますが、これがなかなか膨大な数量でありますので、なかなか把握はできていない。そこでここに掲げましたおもなものと申しますのは、大体金額を五十万円以上くらいのものをここに拾って掲げてあるわけでございまして、こうした調べてみました結果、台帳にないとか、あるいは台帳には登載してあるが物がないというようなものの比率は、一保管個所で見ますると、比率としてはわずかなものであります。これもちょっと今すぐ計数出ませんですが、大ざっぱに言いまして、何割とは言わず、何%という程度のものであります。しかしながら、この方がなかなかまだ保管されたままで、利用されていないのが相当あります。これはいろいろな管財局の方でも御方針を立てられまして、中小企業に対して交換するとか、あるいはスクラップ・ダウンにして売り払うとか、いろいろ計画されているのでありますが、なおかつ相当なものが保管されている。これはまあ保管費も相当かさみますし、できるならば早急に処分した方がよかろうと、われわれも考えておるものが相当残っております。お尋ねの数量、比率の点、ただいま数量を調べまして、すぐ出ましたらお答えいたしますが、ちょっとお待ち願いたいと思います。
  21. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つ質問したはずですが……なぜそういうものがなかなか未処理の状態になっているのかですね。二百二十名の要員がこれらの処理に鋭意当っているのだというふうに財務当局の方は説明されているのですが、なぜ早急にこうした問題が片づかないのか、主たる原因というものがどこにあるのか、これについて御所見を承わりたい。
  22. 大澤實

    説明員大澤實君) 御答弁漏らしまして恐縮でございました。ただいまのうちの土地建物は、ただいまも管財局長から御説明がありましたように、まだその実態調査ができていない部分が、残っている部分があると、まあ大きなものは、ものはわかっておっても処分できない、先ほど申しましたように大きなものはありますが、その他のものはそうしたものがある。従って今度二百二十名のそうした調査要員によられて実態把握せられれば、この処分というものが早急に実現してくるのじゃないかと思っております。  それから機械器具、この方は実態調査がおくれておるために処分ができないという問題とはちょっと別に、まあ簡単に言うと買い手がないということになりますか、そうした機械は相当あるわけであります。これはもうきれいに保管個所に油を引いてしまってあるのでありますが、買い手がないために、そのまま死蔵されておる、こういう状態が非常に多いように、地方を見ましたところ察知されるわけであります。まあこれも結局工具などのこまかなものになりますと、まだ数量などの調査も行われていないものもありますので、その分は調査が行われないために処分がおくれておるということもありましょうが、全般的な感じとしては、機械器具の方は買い手がないということがおもな原因ではないかと、こういうふうに考えております。
  23. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういたしますと要約すると、まあ二百二十名の要員等によって逐次緩慢な処理が行われつつあると、また行われるであろうということを検査院は期待をしておられるような御答弁であります。そこで、その御答弁をもとにして、ここに掲げてある「電力線路について」、ナンバー六十、この問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、関東財務局で、終戦後から引き続いて六十七カ所の電力線路の使用を関東配電に正規の手続もなく使用させていた。ところがその後、ここに掲げてあるように、昭和三十年九月から千四百十八万九千九百六十円で同会社に売り渡したのですが、売り渡すときまでの使用料の五百万円が九月現在まだ徴収決定されていない、こういうような指摘があるわけであります。まことにこの六十の問題一つ取り上げてみましても、二百二十人の要員が本問題の解決のためにこれは血道を上げても、この問題は私は解決できないと思う。こういう問題は要員の問題ではない、ほかにもっと徴収決定されないという原因があるはずであります。で、これは管財当局の方にお尋ねをしたいのですが、今の会計検査院の御指摘を、二百二十名の要員では解決できないと私は考えておりますが、当局の御見解と、本問題が現在どういう状態になっているのか、これについてお答えを願いたいと思います。
  24. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。本件は先にも御説明申し上げましたように、まことに遺憾でございます。ただいまの高田先生の御質問に対しまして、私からも一言、まず全体の面につきましてお答えをいたしたいと思いますのは、何がゆえに今まで実態不明のままに相当財産が放置されてきたかという御疑問は、まことにごもっともでございます。これは、前回にも申し上げたと思いますが、終戦後、御承知のように賠償の指定あるいは提供財産というふうな、占領に伴いますいろいろの仕事が一時に殺到いたしました。それからお話のように、軍の財産というものは、まことにこれは世界にも類例のない事案でございますが、多年にわたりまして陸海軍が蓄積をして参りました財産を、ほとんど受け入れ態勢ができておりませんままに引き継いだというふうなこと、そこへ持ってきまして、今申し上げたような仕事が出ました。それから御承知のようにインフレ対策ということから、一方では徴税を非常に強化いたしますとともに、国有財産処分せよという要望が非常に強うございまして、とにかく処分できるものから処分せよということで、毎年々々相当額を財政収入に計上して参ったのであります。さようなことで、つとにやるべきでございましたところのこれらの実態把握ということが、実は先ほども久保委員にもお答え申し上げましたように、年々せいぜい数百万円の予算しか認められないというふうな事態のままに参ったのであります。しかし、これは非常に遺憾なことでございました。ところが幸か不幸か、先年来当委員会等におきまして、もう少し早く実態調査をやるべきだという御意見が非常に高まりまして、幸い三十二年度予算におきまして、先ほどお答えいたしましたように一億一千万円、従来から見ますると相当けたはずれの金額が認められまして、それで定員二百二十人、アルバイト二百二十人、合せて四百四十人の一種の機動的な要員というものが計上されることになった。これが今後この実態把握に専念をしていく、もっぱらそれに当っていくという態勢になったということを先ほど申し上げたのであります。今までやりませんでした点につきましては、重々これはわれわれとしても遺憾に思いますが、今後は緩慢にこれをやっていくという考え方ではございませんで、先ほども久保委員にもこれを申し上げたのでありますが、早急に一つやる態勢でいきたい。四百四十人の職員は、他を顧みず、この実態把握の面に専念していく、こういう態勢に考えておるのであります。  六十号の問題でございますが、これはこの前も申し上げたようないろいろの事情がありまして、非常に手続が遅延いたしておったのでございまするが、その後、昨年の六月九日に至りまして、全額徴収決定をいたしました。なお六月の二十二日全額収納済みになっておるのであります。かようなことは今後十分注意をいたしたいと思いますが、鋭意努力をいたしております。
  25. 高田なほ子

    高田なほ子君 六十号についてはすでに全額収納済みということでピリオドが打たれて、まことにけっこうなことであったと思うのですが、その決定済みまでに十年という長い年月を考えると、使用料の約五百万円には相当価格の開きもできているでしょうし、普通に考えてみれば、これに対する利子等についても、もちろん加算されているだろうと思いますから、長い時間ようやく解決されたということについても、はなはだ遺憾の意を表したいと思うのです。念のためにここで伺っておきたいことでありますが、「正規の手続もなく使用させていたので」と、こうありますが、この場合、だれが正規の手続もなく使用させたのでありますか、この場合だれが……私の言うのは、こういう場合にその責任者はだれかというのです。
  26. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの重ねての御質問、まことに重要な点でございまして、責任の所在を明確にするということが、これらの事案を一掃する私は根本的な要件であるというふうに考えております。ただいま調査をいたしますが、調査と申しますか、資料を取り寄せますが、これには責任者をはっきりと処分いたしております。だれを処分したか、はっきりとお答えを申し上げます。今ちょっと手元に資料がございませんが……ただいま資料が到着いたしましたからお答えを申し上げます。  これはここに会計検査院から御指摘もございますように、関東財務局の管財部というところが責任の部局でございます。これの管財部長、当時は中村晴男君でございますが、これに対しまして厳重に注意をするという処分が行われております。その結果、今申し上げたように相当の時間的な遷延がございましたが、延滞利息は十分規定によりまして取りまして、先ほど申し上げたように全額収納済みにした、なお責任者をただいま申し上げたような処分に付したわけであります。
  27. 高田なほ子

    高田なほ子君 責任の所在も明確になって処分済みのようでありますが、念のため伺わしてもらいたいのでありますが、財務局の管財部長が厳重注意をされたということでありますが、現在その管財部長はどういう席におられますか。
  28. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) すでに官界を去っております。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 去られて、どこにおられますか。
  30. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ちょっとこれは調査をいたしまして、正確にお答をしたいと思います。
  31. 高田なほ子

    高田なほ子君 大へん個人的に立ち入ったことを伺って失礼なようでありますが、なぜ私がこういうことを伺うかというと、対象が関東配電だから。これはもう御承知のように関東配電の株主は、相当財界にも政界にもおられる。そういうものがこういう問題に登場した場合に、ややともすると、たとえば表面の責任者が厳重注意で処罰されようとも、その後相当に抜擢されたり、あるポジションを得ることがあり得る、今までもそういうことがあり得た。こういうようなことで、大へん聞きにくいことではありますけれども、こういう問題を根本からきわめなければ、それらは会計検査院がさか立ちになっても、あるいは管財当局の責任者がいかにここで責任を痛感されても、こういう問題は根本的に取り去ることができない。つまり私の言うのは、この財界と政界と官僚とが三つに結んでこういう問題が起ってきたことは、今までの日本の歴史が示している。そうしてここに書かれている六十、また六十一、あるいは六十二というケースは、ほぼこれに類似したケースである。私はこういったような大きな……六十一号もそうですが、九州電力株式会社等においても、六十一号にははっきり名前まで掲げられて、相当の仕事といいますか、やりくちをしておられる。もし、これが会計検査院という機関がなかった、ならば、これはきっとそのまま葬り去られておったでありましょうが、幸か不幸か、問題が明るみに出てきたのでありまして、官僚だけの責任を責めるわけじゃありませんが、どうか一つこういう問題が追及されるに当って、財界と政界と官僚とがぐるになって、そうして貧困な日本の民衆から搾取するというような態勢を根本から切っていかなければならない、こういうことを憂えて以上のことを質問したわけであります。場合によっては非公式に私に知らせてくれてもけっこうであります。  それからちょっとこの際、会計検査院の方にお尋ねをしておきたいのでありますが、これは直接この六十号には関係ないのでありますが、予算執行職員等の責任に関する法律第四条との関連であります。この第四条に弁償の責任と、それから弁償命令及び通知義務ということで、会計検査院は、予算執行職員が、故意、または重大な過失により、この規定に違反して不当な支出行為をした場合には、またそれによって損害を与えたと認めるものには弁償の責任、それから弁償額を検定する、こういうように会計検査院は一つの権限を認められておるわけでありますが、その事実の発生した日から三年を経過したときはこの限りではない。つまり会計検査院の弁償に対する何と申しましょうか、請求させる権能ですか、その権能を三年という時間を設けてこれを制限していると私は見るわけであります。でありますから、政界と、それから財界と官僚と三者一体がぐるになった場合には、三年くらいの時間は、これはもう朝飯前に経過させ得ることは可能である。こういうようなことがはっきりわかった場合でも、この第四条は、会計検査院の権能を制限し得るかどうかという問題です。これについてお尋ねしたいと思います。
  32. 大澤實

    説明員大澤實君) ただいまの予算執行職員等の責任に関する法律の第四条は、三年というのは時効ではありませんで、一つのまあ懲戒処分なり弁償を請求し得るいわゆる除斥期間というように法律上解釈されますので、ただいまお尋ねのような、その間何か糊塗されて発見し得なかったという場合には、これに対して弁償責任を追及することは、法律上そういう権限はないと、こういうふうに考えております。
  33. 高田なほ子

    高田なほ子君 結論として、やはり三年間という時日は、時効ではないけれども、実際問題としてこれは効力を失うということになっておるわけであります。ますますもって政界並びに財界、官僚の三位一体のこうした問題に対しては、われわれ決算委員としては相当に慎重な態度をもって臨まなければならないというふうに、いよいよこれを痛感するわけであります。  それでもう一つこの際伺っておきたいことでありますが、このナンバー六十六の問題です。これは「旧軍用財産に関し求償の処置がとられていないもの、」そうした一例があげられておるわけであります。この六十六号の中で非常に私は疑問に思うことは、当時のこの評価額二百三十五万ですか、二百三十五万八千二百円、こういう膨大なものが一工事請負人岡本某外二名によってほしいままに領得されていた、こういう問題が六十六の焦点になるようですが、これは会計検査院の方に先にお伺いしたいのですが、この工事請負人がほしいままにできるような状況というのは、一体どういう状況なのか。こういう旧軍用財産の処理に関して、この工事請負人が勝手にこの二百三十五万八千二百円というような大したしろものが勝手に処理できたということについて、非常に私はこの間の機構の運営に疑問を持つのでありますが、まずこの疑問に対して、検査院の方からこの状態というものを説明していただきたいと思うのです。
  34. 大澤實

    説明員大澤實君) 本件は沈んでおった船を財務局の方で呉市に引き揚げさせて、呉市に保管させておる。そうしておいて、それをまあ将来旧軍港市転換法によって譲与しよう、こういうことであったのでありますが、沈んでおった軍艦が、当時旧海軍工廠に勤めておった人たちの話によって、あの船はたしか非鉄金属部分は全部はずしたはずだから、あと残っておるのは鉄部分だけであるというので、そういうものはないだろうと思って引き揚げて呉市に保管させておったわけです。ところが実際まだ中には非鉄金属部分が、ここに書いてありますように相当なものが船の中にあった。ですから引き揚げたときに、中国財務局で引き揚げたものを実際に検収といいますか、検収というと、言葉は悪いかもしれませんが、現場を監督されれば当然わかったであろう。それを引き揚げさして、そのまま保管をさせておいたという状態でありまして、そのためにこうした不祥事件が発生したのではないか。それから工事請負人といいますのは、呉市が今度はこれを桟橋にしようというので工事を請け負わした。それを呉市がおそらくはよく見ていなかったのではないかと思われるのでありますが、工事請負人がやったときに、非鉄金属が相当にあった。それを黙って持ち出したという状態であります。原因は、どうしてあったかといいますと、引き揚げたときに財務局が十分にこれを監督すれば、こういう事故は発生しなかった、こういうふうに考えます。
  35. 高田なほ子

    高田なほ子君 財務局がやはり相当に監督すればこうした問題が起らないということにまあ説明されたのですが、これに対して財務当局の見解はどうでありますか。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま検査院当局がお述べの通りでありまして、とかくこれら批難事項の中に、公共団体を相手のケースがままございます。相手が市の当局でございますというふうなことになりますと、大体の観念といたしまして、公共団体でございまするので、その責任相当重く見まして、こちらの役所側といたしましても信用をいたして臨んでおります。本件は、先般たしか参議院の当委員会委員の方も現場おいでをいただきまして、詳しく事情を申し上げたのでございます。一切は呉市当局を信頼をいたしまして、また、ただいま検査院からお話しのありましたように、旧海軍の関係者、その他の証言等を信用いたしまして、非鉄金属というものはないという一応の前提からスタートしたことが間違いでございます。これはやはり先ほど申し上げましたように、実態につきまして現場確認と申しますか、これをまずやるべきであったということを私は痛切に感じます。それらの点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、このいろいろの事情、予算、手不足、処分を急がれたというふうないろいろの事情によりまして、また相手が公共団体であったというふうな点から、多少あとになりますと、もう少しだめを押すべきであったという点を痛感するのでございますが、これらは私どもといたしましては非常に貴重な教訓でございまするので、今後におきましては一そうさような最後のだめ押しをやるように配意いたしたい、かように考えております。
  37. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは財務局の確かに責任であると思うのですが、実際問題としては公共団体が取り扱うので、この出先機関に対する監督といいますかね、現地把握を厳重にするという場合には、相当のやはり機構的な問題とか、運営上の問題が考えられなければならないように思うのですが、大へんに意地の悪いことを申し上げるようでありますが、わざわざ知っていても知らないふりをして、悪いことをするという場合がなきにしもあらず、こういうようなことを考えた場合に、この現場の把握ということについては、相当研究されての御答弁ではないかと思いますが、どういうふうに現在なっておるのでありましょうか。
  38. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御指摘の点、先ほどお答えをすべきであったと思いますが、漫然とただ注意するということでは一向改善されないのでございまして、今日におきましては、実は昨年以来、この監査官制度、部内の監査を強化するという態勢をとりまして、全国に百人余り監査官、これは処分は全然いたしません、部内のいわゆるお目付役でございます。こういうものを配置いたしまして、処分に当りましていつでも、いわゆるダブル・チェック的に、処分責任者を横の方から見ていくという制度を作ったことが第一でございます。  それから第二といたしましては、先ほど赤松先生にもお答えを申し上げたのでございますが、審議会を作りまして、審議会におきましてこれらの問題を検討していただくことにしております。と申しますことはどういうことかと申しますと、御承知のように事案の重要性その他から、係官のレベルにおいて処理されていくようなことになるのでございますが、いやしくも審議会に出します限り、最高責任者説明に当るわけでございます。資料が一々最高責任者のところを全部通るわけでございまして、しかもそれが民間の有識者の方々の前において論議されます。そうしますと、おのずからそこで説明をいたしますためには、ほんとう現場について確認をいたしまして、自信のある御説明をいたさぬ限り、とうてい御容認を願えないのでございますので、さような態勢、部内の態勢、それから外部からの牽制態勢と申しますか、こういうダブル・チェックの形を整えまして、一々の処分について誤まりなきを期しておる次第でございます。
  39. 赤松常子

    赤松常子君 ちょっと関連して。私、四日市のあの膨大な燃料廠の跡の処分問題、それから山口県の徳山の海軍の燃料廠のあの膨大な処分問題、これをめぐりましていつでもうわさが立ちますことは、何か伏魔殿的な不明朗な空気がもやもやと立ち上るわけでございますね。これが私、ほんとうに今、高田委員指摘されますように、何かそこに機構の欠陥があるのだからということを、不幸なことでございますけれども思わせられるわけでございます。それで、私、徳山の生まれでございますので、海軍の燃料廠の、あの終戦後の六十万坪に余る膨大な土地が草ほうぼうとして放置されていることを非常に遺憾に思って、やっとあれが出光興産でございますか、二、三の工場に売り渡されることを聞いてほっといたしましたのですが、また、そこに不明朗な汚職と申しますのでしょうか、疑獄と申すのでございましょうか、事件が起って、昨年は衆議院の決算委員会がわざわざそこへ行って調査したと聞いております。市民に聞いておりましても、あそこは何という伏魔殿だという印象を皆持っておりまして、何か政府のすること、何か雲の上で勝手に処分されている、それがちっともそこの土地の人々の幸福にならない、生産の助けにならないということを何かあきらめているのでございますね。こういうことは私ほんとうにあってはならないと思うのですが、また、その徳山の燃料廠は土地相当残っておりますし、この土地の有効な利用、またその地区の生産に寄与するという方向にどうか生かしていただきたいと思うのでありますが、私もその機構の不備というようなものが必ずあるのじゃないかと思います。まあその辺のことをもう一度ちょっと御説明願い、それからもう一つ、私は会計検査院の方に、こういうことをいつ検査においでになるのですか。問題が起きてしまってから、のこのこおいでになっても、これはおそいので、そういうことの起きている最中に検査官が行って厳重にお調べになるという機構になっているのかどうか、それをあとから会計検査院の方にお答え願いたいと思います。
  40. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 御質問まことにごもっともでありまして、国有財産審議会と申しまする……まあこれにつきましても、なお民意を反映する形において改善の余地があるのじゃないかという御意見はあり得ると思いますが、この審議会を作りましたのは昨年の四月で、それまでは審議会という制度はございません。昨年の四月にやっと国有財産審議会というものを先ほど申し上げましたように各財務局にも置きまして、ここにおきまして各事案をガラス張りの中で審議しておる、こういう態勢を実はお願いしておる次第で、この審議会は、この国会におきまして、国有財産の改正法の一つの条項としてお願いをする予定になっておりまして、その節またいろいろ御議論を願いたい。そういうふうな機構が従来なかったのであります。で、どういうことでございましたかと申しますと、各省庁とは十分連絡をとりましたが、役所が方針をきめまして、それを当該財産の所在する市町村、そういうところにはむろんよく連絡をとっておるのでございますが、今申し上げたような関係の向き向きに、こういうふうな重要な問題を御審議願うというような態勢が従来なかったということを、私は非常に遺憾に思いまして、昨年の四月からこういう態勢を新しく作っていただいた、これが第一でございます。  それから第二の問題で、先ほども高田先生にもお答え申し上げました監査官制度、これまた昨年以来非常に活躍を始めたのでございます。これも従来はなかった。先ほど申し上げました実態調査に専念するということも必要でございますが、これを横から眺めておりまして、公正な処分、その仕事に熱中するあまりに、またその仕事を急がせられているあまりに見落しはないかというふうなこと、これは私はあらゆる仕事の場合におきまして十分注意して参らなければならぬ点かと思うのであります。そういういわば第三者的な立場において全体の姿を見て、でこぼこがないか、片寄りていないかというふうな批判をする部内の監査体制、これを作ったのが第二であります。  それから、今御指摘がありましたが、徳山の場合を具体的におあげになったのでありますが、御承知のようにあれは数年前に、いわゆる昭和石油に川の東側を売却いたしたのでございます。ところが不幸にしてこれがまだ企業化を見ておりません。これが地元の方々に私は非常に不幸な結果になっていると思います。しかしながら、昨年処分をいたしました西側地区、これは出光が、幸いにして今日までのところ工事も順調でございますようであります。従いまして、近く相当数のやはり地元の雇用その他の面において、私は現実に効果を上げるものというふうに期待をいたしております。これらの処分につきましては、新しく設けられました審議会なり監査官の仕組を十分活用いたしまして、また、地元の方々にも十分意見を出していただいてやっておりまするので、まだ十分とは参らぬとは思いますが、私は、私どものねらいをさようなところに向けまして、漸次国有財産処分というものに、ほんとうに地元の意見、あるいは一般世論の、健全な世論というものが反映していく仕組に考えたい、その一つ審議会制度でありますが、私はさらに進みまして、国有財産の白書というものを従来出しておりません、これを近く出すつもりであります。全国にわたりまして、こういう土地はまだ未利用であります、こういう施設が軍から引き継いだまままだ利用されておりませんということを、全国民の前に明らかにする白書を作りたいと思っております。もう大体この原稿もできておりますが、近くその白書等に……、要するに国民全体が国有財産につきまして関心を持っていただくということ、そうしてほんとうに皆さんが、これが一番よい管理法であり、これが一番よい活用法であるということをお認めになるような態勢に持っていくことが必要であるかと思うのでありますが、不幸にして、先ほど高田先生が御指摘になりました戦後十年の間、さような努力がやや私は欠けておったように思いますので、率直に反省いたしまして、今申し上げたような線であらゆる努力をして参りたい。かように考えております。
  41. 赤松常子

    赤松常子君 昨年やっと審議会ができたということは、ほんとうに不幸なことで、おそすぎたと思うのであります。その審議会の構成はどういうふうにできるのでございますでしょうか。それは絶対信頼してよろしい構成でございますか、その審議会の構成は……。
  42. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 審議会は、先ほど申し上げましたように、昨年の四月に閣議決定で一応できております。そうしまして委員は、大蔵大臣または地方の財務局長が委嘱することになっております。しかし、委嘱の基準といいますか、たとえば言論界の方あるいは経済界の方、あるいは地方公共団体の方、その他大学の先生であるとかいう学識経験者という、各基準を設けまして、それぞれ大蔵省におきましては大蔵大臣が直接お願いをいたしておりますし、地方の財務局財務局長が推薦をいたしまして、大体大蔵大臣がこれが妥当であるという線においてお願いをいたしております。しかし今のところは、それは閣議決定でございますので、今回その審議会につきまして国有財産法、法律の中にはっきり規定をしていただくことを考えております。これを本国会に近く法律案としてお願いをいたしまして、国会でも御議論をいただきまして、それはこういう範囲から委員を選ぶべきである、ちょうど私どもの方で今やっております中に、軍港都市の転換法という法律がございますが、これは議員立法でお出しになった法律でありますが、その中に一つ審議会がございます。これが一つの前例かと思います。これまた卓識経験者と、それから関係地方公共団体の長というふうな構成でできております。関係官庁の職員も入っておりますが、こういうふうなことを前例といたしまして、参考にいたしつつ今法律案を練っております。大体今の任命も、軍港都市審議会と同じような基準でお願いをいたしておるのでありますが、いずれ法律によってその点をはっきりおきめいただくべく目下法律案を準備いたしておる次第であります。
  43. 赤松常子

    赤松常子君 まだ発足しておりませんのですね。
  44. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 法律上の委員会としてはこれからでございますが、目下昨年の四月以来、閣議決定による行政上の委員会はすでに活動しておるわけであります。
  45. 赤松常子

    赤松常子君 活動しておる、わかりました。
  46. 大澤實

    説明員大澤實君) 赤松委員の御質問お答えいたします。赤松委員の御質問は、何かもやもやしたときはすぐ乗り込んでいりたらいいじゃないか、あとになっていっても仕方がないじゃないかという趣旨の御質問かと思いますが、検査院としましては、やはり一つの経理行為の当否を判断するのでありますから、経理が売却なら売却という処分がなされない先に、その内容を云々するということは、むしろ差し控えるべきではないかという意味で、それが終ったら、あとでどうかということを検討しております。しかしそれが途中でいろいろな問題で、それぞれ当局のほうから、こうした処分をやりたいというような話がありますれば、こちらとして意見を申し上げますが、原則としては、そういう方法をとっております。また御指摘になりました徳山、岩国あるいは四日市の燃料廠等の処分につきましては、三十年の八月ですかの閣議の了解事項といたしまして、これこれの会社に一部分を貸し付けるあるいは売り渡すという事項がございます。その点は会計検査院といたしましても、政府が国の産業経済全般を見て、これこれの会社にこれをやるという方針をとられるとすれば、それをあえて云々することはないではないか、ただしかし、その価格の問題になりますと、これは当然独自に検討しなければならないというので、これは三十一年になりまして売却が行われておりまして、現在証拠書類上は出てきております。しかし証拠書類で見るだけでは当否が判定困難でありますから、今年の検査におきまして、これは価格の当否ということを十分に検討したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  47. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは二点ばかり伺わせていただきます。  先ほどの軍用財産の点について、その処理がなかなか緩慢なことについての原因として、あるいは機械類は買手がない。買手がない場合に処理に困り、非常に困難をきわめておるのだということがあげられております。私もこの説明はなるほどあり得ることだと思いますし、現在もそういうことがたくさんあるのではないかと考えますが、買手のない機械は百年待っていても結局買手がないわけですが、買手がないといっていつまでもそのままにしておいたのでは、なおさらこれは国の損失になるわけですが、こういう場合の処理というのは、どういうふうに今日までとってきておるのでしょうか。
  48. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは先ほど検査院からのお答えに対しまして、そういう場合もあるという御趣旨でありましたが、実は私、管財局に参りまして以来、一年になるのでありますが、たった一つ自分としてまあ仕事が進んだと思うのは、機械の処理でございます。それはどういうわけであるかと申しますと、御承知のように、国有財産特別措置法を改正いたしまして、中小企業との交換、これは社会党の方にお力になってもらったのであります。特に衆議院では横山委員は非常に御熱心であります。この交換は非常に進捗をみたのであります。それからもう一つはやはりスクラップ・ダウン……中小企業の交換でも、中小企業の合理化、近代化に国有財産を提供いたしまして、非常に寄与したと思っておりますが、もう一つ使い道のないもの、機械としての効用のないものをどんどんスクラップ・ダウンいたしまして、これによって鉄鋼飢饉に十万トンあまりのスクラップを供給したのであります。その結果、一時二十何万台といわれておりました機械が、今日もはや三、四万台に実は減っております。どんどん処分をいたしたのであります。で、この方針は私は三十二年度におきましても、どんどんやるつもりであります。今日の鉄鋼飢饉に寄与し、中小企業の近代化に少しでもお役に立つならば、非常にけっこうであるという考えを持っております。そこで、なおしかしながら、最後に残る機械があるではないか、売れない機械、そういうものをむだにかかえておるのは、すなわち人手を食い、経費を食うことになるのでありますから、こういうものに対する処置はどうかというお尋ねかと存じますが、私はこれらは、たとえば学校で教育の用に使えるものは、進んで学校に保管転換をしたいと思っております。要するに一種の博物館的な存在になるわけでありますが、しかし、それは学校教育に役に立つものでございますれば、どうか一つ学校で利用していただきたいと思っております。これは無償で学校に保管転換をするわけでございます。それからなお、そういうことでも、もうとてもこれは役に立たないというものは、一つさらに、これは検査院とも御相談をしなければならぬのでございますが、もう一度スクラップ・ダウンの程度を高めていこうかと思って考えております。今日のスクラップ・ダウンの一つ基準は、機械としてとうてい役に立たぬということで判断をしておるのでありますが、機械として役に立つかもしれないけれども、お言葉にもございましたように、いつまで待っても売れないもの、これは、観念的には効用はあっても、現実の効用はないものでございますから、さようなものは一つ思い切ってスクラップ・ダウンできるようなことに、しかし、これはうっかりやりますと、検査院から国損を招いたというおしかりを受けますので、十分に一つ検査院とも連絡をとりまして、こういうものはスクラップ・ダウンするほうがよかろうというふうに結論がつきますれば、進んでやって参りたい。そういうことによりまして、相当人手を省き、また経費を節約いたしまして、先ほど申し上げたような実態調査方面等に重点的に回していきたい。かように考えておる次第であります。
  49. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁で大へん了解したわけですが、しかしこれは国有財産の処理ということになると、やはり会計検査院の側の立場からすると、相当辛らつに査定されるようでありますが、問題はやはりそういうようなところの意見の統一と申しましょうか、連絡の統一と申しましょうか、そういうところに処置の緩慢な問題が出てくるのではないかというふうに考えられますが、こういう間の意思の疎通とか、これはいらないものだ、いるものだというような決定基準というものが、そごしてくると処理ができなくなるわけですが、こういう場合どんなふうにされますか。会計検査院の方にお尋ねして、あと管財局長の方からお答えをしていただきたい。
  50. 大澤實

    説明員大澤實君) お答えする前に、私が売れないということを申しましたのは、ちょっと古い統計のころのことを申しまして恐縮であったのでありますが……、
  51. 高田なほ子

    高田なほ子君 了解しました、
  52. 大澤實

    説明員大澤實君) 相当進んでおるのは今お話の通りですが、まだ残っておるのも相当あります。そこで今のお話ですが、なかなか個人の考えというのもむずかしいととになるのでありますが、私としましては、地方へときどき回ってみますると、もう使えないようなといしとか、ああした器具類、それが相当倉庫に山積されている。どうして処分できないかというと、スクラップの値段、くず値なら引き取るけれども、器具としての値段では引き取れない。安い値段で売るのは会計検査院がしかるから売れない、こういう話をちょいちょい聞くのであります。ですから、私としましては、売れないものをいつまで持っておって高く売れということは決して申し上げてない、ほんとうにこれは安くしなければ売れないということが、ある客観的な標準によって判断できれば、これは処分するのはやむを得ないのじゃないか、こういうような趣旨でお話をしております。また管財局の御相談がありますれば、もちろんその趣旨でいろいろ御協議に応ずるつもりでございます。でありますから、決していつまでも、これは簿価はこれだけだから、いくらで売らなければいけないということは、もちろん考えておりません。しかしそうかといって、いくらで売っていいかということになりますと、そこに恣意が入ります。そうするとまた値段が乱れるもとになります。でありますから、やはりこれはその道のメーカーなり、その他が見て、これはこういうわけで、今の時代ではこの値段でしか売れないものだというような、客観的な何か評価の根拠がありますれば、下げて売るのはやむを得なかろう、かように考えております。
  53. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま大体お答えの通りでございまして、私どもも、大体検査院とか大蔵省というのは非常にコンサバティブでありまして、進歩的な政策はあまりやらないということでおしかりを受けるのでありますが、この機械のスクラップと中小企業との交換だけは大変おほめをいただいて、検査院も非常に御協力を願っております。その点が一つ。しかし中古エンジン問題を起しちゃいけませんので、私どもはスクラップ・ダウンをするときは、みずから機械を破砕しております。機械として使えないように確認をいたしまして払っております。その確認をする前に、これを破砕してよろしいかどうかということで、基準を検査院に御相談をするわけであります。そうしますと、今のようなお話で、検査院としても大体いいと思うけれども、それじゃ当該機械について専門家意見を徴してくれというような御注文があるわけでございます。さような場合には国有財産審議会、あるいは審議会の中に特に小委員会を設けまして、専門の方を委嘱いたしまして、そこに諮るというようなことによりまして、一々検討した上でやっており、今後もその方向を強化したいと思っております。
  54. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁によりますと、実際問題として出先機関で腐ったようなものでも置いている。私も冗談に聞いているが、何で腐ったようなものを置くか、これは国有財産だからめったに処分したら大へんなことになるからと言って、それで物置の中に腐ったようなものを、机みたいなものでさえも突っ込んでおくんです、これは非常に極端な一例ですけれども、こういうことはやはり丁寧な通達のようなものを出して、各出先吏員にそれが徹底するようにしてほしいと思うんです。そうして官庁の綱紀粛正なんというのはそういう面から清新の気を吹き入れていかなければ、腐ったような国有財産を百年も持ってもしようがないんですから、もう少し場所が有効適切に、しかも清潔に、能率的に使えるようにするためには、こうしたものの処分というものについての適切な、しかも親切な処置というものを強く期待いたします。あなたの先ほどからの御答弁を承わっておりまして、これに対して別に私は御答弁を要求しません。御誠意に期待します。  それから最後に質問したいことですが、これはいつの場合でも問題になることですが、「職員の不正行為により国に損害を与えたもの」七十七から八十一号の問題です。これを一べついたしますと、かなり長期にわたってわからなかったものがあるようです。二十七年から二十九年、あるいは二十五年から二十九年、で、かなり長期にわたって不正が行われておったのはどういう原因によるものであるかということが一つ。  それから現在ここに、もうこれは二十九年のことですから、こういう人がどうなっているかということを聞くのもせつないんですけれども、これは刑法上の責任を負っておるのでしょうか、行政処分にされておるのでしょうか、そういう点を。
  55. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 職員の不正竹為によります案件としまして、私の方の国有財産関係は九十三ページです。ここにございます財務部の関係でございます。この関係は、要するに御質問の御趣旨は、非常に長い間にわたっておったということは、どういうわけかという御趣旨でありまするが、ここにございますように、これは結局いろいろ申し上げる理由はあると思いますが、非常に係長というふうな地位を利用いたしまして、巧妙なやり方でやっておりました。私は端的に申し上げて、こういうことはやはり職員の異動をある程度早期にやらないといけないということを痛切に感ずるのです。もしこれがもう少し早く異動をやりまして、別の者が担当して、たとえば督促状を出してみるということになりますと、もっと早く発見できたのではないかというような感じを持っております。高田先生御承知のように、住宅難その他からなかなか役人の異動が思うようにまかせないのでございますが、やはり税金関係でございますとか、国有財産関係でございますとかいうふうに、金銭を扱う仕事につきましては、定期に異動をやりまして、先ほどもお話がございましたように新しい目で見ていって、また新しい空気を入れていくというふうなことが、早期発見の非常に大きな方法ではないか、有効な方法ではないかということを第一に感じております。  それから第二といたしましては、先ほど申し上げましたように監査官の部内監査、これはやはり大事に考えております。それで監査官にはぜひとも有能な眼光紙背に徹すると申しますか、それぞれその道の専門家であって、どうもこういうところは怪しいというふうなことのすぐわかるような方を監査官に任命をいたしまして、ときどき巡視をさせる、こういうことが必要かと考えております。結局さようなことが行われなかったために、長期にわたっておるということはまことに遺憾でございます。ここにも書いておりますように、結局これは刑事上の責任を問いましたのみならず、国家公務員法によりまして懲戒職免にいたしました。なお、この監督者に対しましても、当時の管財第一課長、これまた国家公務員法によりまして懲戒減給をいたしました。その上の総括的な責任者である財務部長に対しましても、局長訓戒規則によりまして訓戒をいたしました。昇給を一時停止をいたすようなことによりまして、監督者としての責任をも尋ねた次第でございます。
  56. 高田なほ子

    高田なほ子君 この職員の不正行為の項を見るたびに、実に私は非常に胸が痛むのです。窓口で直接事務を担当している者は、金銭の誘惑から、こういう犯罪を起したということで、刑法上の責任を負っておる。しかもその家族は——昨晩も郵政関係のものを実は調べておったんですが、どうも五十万円のまだ未決済の分があるために、妻が非常に苦しい生活をしながら、これの決済に当てているという報告を見て、これは大蔵省関係ではありませんが、妻までもこうしたことに対して、子供までもこうしたことに対して責任を負わなければならない。五十万円、これを返すために妻は一生このことのために子供とともに苦しまなければならぬ、こういうことを考えたときに、今のこの局長の御発言は非常に重大だと思うのです。私はこの内部監査を強化するということも必要ですけれども、それにもまして、こういう問題が起ったときに、やっぱり上に立つ者は共犯者だと、そうしてこういうことをなくするために、特に局長あたりの重い責任にある方は、こういう問題が起ったときに、自分も不作為の共犯者であるというくらいの責任を痛感されなければ、私はこういう窓口の薄給官吏の何といいましょうか、不作為による詐欺横領というものを防ぐことはできないというような非常な暗い気持を持っているんです。どうか一つこの問題は昨年からも監査官制度が強化されたように伺っておりますが、単にその窓口の薄給官吏の職場の転換のみ、それだけで処理するのではなくて、どうか上に立つ方々がもっとこういう問題を起したときに、妻や子供たちが生涯五十万円あるいは六十万円のこの決済のために悩まなければならないのだということをよく承知されて、十分監査と、それから現場にある方についての精神的な督励、愛情を持って導いてもらいたい。これを私は強く要望するわけです。特にこの点については管財局長の特段の御意見をここで承わっておきたい。
  57. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま高田委員からの御意見はまことにごもっともでございまして、私どもといたしましては、一方この非常に大切な国有財産をお預りいたしておるわけであります。従いまして、この管理処分につきましては、全員非常な責任を痛感して、これに当らなければならないということをまず感じます。しかし一方、現場のそれぞれの職員には、また個人的にいろいろと苦しい事情もあるわけでございます。そこで、全責任の衝に当る私といたしましては、それらの両方の事情を十分考慮いたしまして、肝に銘じまして、固くいましめるべきところはいましめ、また他方、職員の生活等につきまして、でき得る限りの配慮をして参らなければならぬというふうに心得えます。これは昭和三十二年度の予算におきまして、先ほど申し上げましたように、必要な方面に必要な経費を重点的に計上していただいておるのであります。なお、たとえば公務員宿舎等につきましても、私は非常にこれは無理を実は予算当局にお願いいたしまして、昨年まで大体年額十億円の公務員宿舎の建設費を計上されておりましたのを、本年は一躍十五億円に増額をしていただきまして、ぜひともこの下級公務員を中心に必要な宿舎等の施設は鋭意これを整備することに努めまして、いわゆる国民から重大な負託を受けておるわけでございますが、われわれ全員一致、その責任の重大なることを自覚いたしながら、また一方、あたたかい気持で、お互いによく第一線と中央とが気持を合せて、このむずかしい問題の処理に遺憾なく当って参りたい、かように考えております。
  58. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか。——質疑ないと認めます。  では、昭和二十九年度決算中、大蔵省管財局の部、検査報告批難事項第五十二号から第七十七号まで、及び第七百五十九号から第七百六十二号までの質疑、並びに昭和二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十九年度国有財産無償貸付状況計算書質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。   —————————————
  60. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 次に労働省の部を審議いたします。  検査報告批難事項は第二千五十五号から第二千八十三号までであります。  本件に関し御出席の方は、松浦労働大臣、会計検査院石渡第三局長、三治労働省労災補償部長、松永労働省会計課長、澁谷労働省失業対策部長の諸君であります。  まず、会計検査院から御説明を願います。
  61. 石渡達夫

    説明員(石渡達夫君) 御説明を申し上げます。  失業対策事業補助金の精算に当り処置当を得ないもの、これについて御説明申し上げます。失業対策事業に対する補助金は、緊急失業対策法に基きまして、地方公共団体に交付されるのでありますが、二十九年度中に交付されました額が百十九億ばかりになっております。労働省の補助金のうちで非常に大きなウエイトを占めておりますので、会計検査院におきましても、これに重点を置いて検査を施行したのであります。全国で失業保険事業を施行しております地方公共団体が一千三十八ありますが、その中で約九%に相当する九十七事業主体について検査を施行いたしました。その結果、労力費におきまして就労適格でないものに賃金を支払っている、あるいは賃金以外に払ってはならない手当を補助の基本額の中に加えてあるというようなケースもありますし、それからまた資材費におきまして、失業対策事業に使用しなかった資材の経費等を補助基本額に算入している、そのために補助が余計いき過ぎているというものが山形県ほか十二府県におきまして、七百六十五万七千円ばかりございます。そのうち一事業主体につきまして二十万以上のものをあげますと、ここに番号を打ってありますように、二千五十五号から二千六十五号までの不当事項となって参るのでございます。この内容につきましては、事業に使用しなかった資材をこの事業に加えてありましたり、あるいは労働省が認可しました事業と違った種目の事業を労働省の承認なしに施行したというようなケースでございます。個々の案件につきましては、御質問によりましてお答えするようにいたしたいと思います。このような事態が生じましたのは、都道府県の主務課におきまして、事業主体に対する監督が十分でなかった、かつ労働省における本事業の認証及び精算の審査に当りまして、注意が十分に行き届かなかったためと思われます。今後なお一そうの御注意、御努力をお願いしたいと存じます。  なお、本件に関連しまして、国庫補助金の中に事業主体の事務費の補助がいっておるのでありますが、その事務費と申しますのは、事業主体が失業保険事業を施行しますにつきまして、支弁する旅費とか文具費とか、臨時職員の人件費等でありますが、この事務費が、寄付金等を加えまして、この事務費の目的とは違った事務所を作っているというようなものが二、三件ございまして、そうしたものの合計が百三十四万円ばかりになっております。これは、この補助金の目的を逸脱しておりますし、また結果的に法律によらないで、民間から寄付を強制するというような結果にもなりますので、こうした経理はおもしろくない。もし庁舎が必要ならば、正規の予算をとって実施すべきであるというふうに思います。  次に三百八ページの労働者災害補償保険特別会計について御説明申し上げます。労災保険につきまして、損益の状況をみますと、利益の部が、保険料収入等で二百五十一億ばかり、損失の部が、保険金等で二百六十八億、差引十六億円の損失となっております。二十八年度が五億ばかりの損失であったのに比べまして、保険の経済が悪化の傾向にございます。このように損失を来たしましたおもな原因は、災害の件数が二十八年度に比べまして、だいぶふえております。それに伴いまして、保険金の支払高が約一六%二十八度よりもふえておる、それに対して二十九年度は石炭鉱業の不況等もございまして、保険料の収入が思うように上らなかった、収入面の増加が約三%にとどまっているというようなことから、こうした結果になったものであります。  で、労働省におきましては、こうした経理状況にかんがみて、従来の保険料率を全面的に検討を加えまして、特に災害発生の危険率の多い堰堤事業とかあるいは水力発電の事業につきまして、大幅な料金の値上げを三十年度から実施されまして、本特別会計の収支の改善をはかっておられます。そうしたことが結果しまして、三十年度におきましては、木会計の損益は、約三億九千万円の利益となっております。  なお、本特別会計で注意を要する点を申し上げますと、二十九年度の保険料等の収納未済額が六億五千四百余万円になっておりまして、既往年度分を合せて約十三億に上っております。この二十九年度分の収納率は、調停額に対する割合ですが、九六・四%、二十八年度が九六・七%というふうになっておりまして、ほかの保険の会計に比べまして、必ずしも収納率が悪いということは申せませんが、こうした大きな数字が上っておりますから、保険の収納につきましてもなお努力をお願いしたい。それからこの保険料の徴収の決定がもれているものが相当にございます。その次の三百九ページに、保険料の徴収もれを是正させた事項が上っておりますが、この徴収もれは(ア)と(イ)の二つの項目に分けて上げてありますが、(ア)の方は土木建築請負とか、有期的な事業の保険料であります。これは有期事業で、ある期間が済むと終ってしまいますので、事業場の方が、事故の発生がなければ保険料を納めないままで済ましてしまおうというような傾向がありまして、この事業の実況を十分に把握してないというと、こうしたもれが生ずるおそれがございます。これが百七十六事業場につきまして二百十一万二千円、これだけの徴収もれを発見しまして、労働省において徴収をしてもらっております。  それから(イ)の方は、この事業場の給料の計算の方も、保険料の基礎になる賃金の範囲が明確じゃない。これは解釈ははっきりしてるんですが、保険料を納める会社にこれが徹底してない。保険料の基礎になる賃金の範囲を、会社が誤解して申請する。それに対して調査が十分でないというような点から、こうした徴収もれが生じております。この分が九十九事業場で百六十六万九千円になっております。このような徴収決定をしたものにつきましては、なお格段の御注意をお願いしたい次第であります。  それから納付を怠った保険料につきましては、延滞金の徴収決定をすることになっておりますが、この延滞金の徴収決定がだいぶもれているのがありまして、全部で二万八百八十四事項、二千五百万円ばかりが延滞金の徴収がもれております。これも検査院で御注意して、徴収してもらうようにした次第であります。  次に、失業保険特別会計について申し上げます。失業保険特別会計の損益の状況は、利益の部が保険料収入等三百八十三億ばかり、損失の部が三百七十七億ばかり、差引き五億四千万ばかりの利益となっております。しかし本年度中に保険金の財源に不足をしまして、積立金から十三億五千万円ばかりを受け入れておりますので、こうした点を考慮しますと、実質上は八億円ばかりの欠損になっております。このような欠損を生じましたおもな原因は、二十九年度の失業保険金を受ける失業者の数が非常にふえた。二十八年度は月平均しまして失業保険の保険金の受給者数が大体四十四万人くらいでありましたが、本年度は非常にふえまして六十万人になったということがおもな原因のように思われます。それで本会計につきまして注意を要する点を申し上げますと、保険給付につきまして給付の適正を欠いている事例が相当にございます。給付の適正を欠いた事例につきましては、三百十二ページに二千六十九号から二千七十七号にわたって掲記してございます。この失業保険金の不正事項につきましては、二十九年度から初めて検査を施行したのでございますが、何分非常に全体の数が多いものでありまして、全国の職業定安所の数が六百六十カ所、そのうち検査を受けましたのが九十二カ所、この九十二カ所につきまして、主として一度失業保険を受けて再就職した、そういう者の中で、自動車の運転手とか、そういうようなものを特に選びまして、非常に移動性が多いものを選んで検査をしたのでありますが、その結果四千百四十八名について検査しました結果、六百二十九人、このパーセンテージが大体一五%になりますが、大体一五%が不正に失業保険を受けているということが発見されたのであります。その事項別に分けますと、一度失業保険を受ける資格ができましたけれども、途中で就職して資格を失った、それだのに届出をしないで相変らず失業保険を受けている、こういうケースが一番多うございまして、これが大部分を占めております。このような事態を生じましたのは、主として公共職業安定所等で失業保険の保険金の支給に際しまして、離職後保険金受給中に再就職したため受給する資格を喪失した、あるいは引き続き他の事業所に就職したため当初から受給する資格がなかった、あるいは事業主が保険金の算定の基礎になる賃金の水増しをした、こういうような次第でありまして、これに対して十分な調査が行き届かなかったということがこの原因のように思われます。労働省におきましてはこうした点を十分に是正するように努力しておられまして、三十年九月から失業保険法の一部を改正しまして、従来失業者が再就職した場合に、その会社はその旨を届け出る義務がなかったのでありますが、この法律改正によって会社に届出の義務を負わす、また安定所が被保険者台帳を整備して、その台帳の活用によって、こうした不正事項を防止するように努めております。そうした結果、三十年度は金額はなお相当ありますけれども、さっき申しました調査人員に対する不正人員のパーセンテージは、二十九年度が一五%といたしまして、三十年度は五%というふうにパーセンテージは減っております。  それから失業保険についてその次に注意を要する点は、保険料等の既往年度分の収納未済が非常に多く十二億五千二百余万円の多数に上っておる、この既往年度分のものにつきましては、とれない分も相当にありましょうし、中には努力すればとれるものもある、これをすみやかに整備するととが望ましいのでございます。  次に、保険料等の徴収決定さえしてないもの、これは先ほど労災保険について申し上げましたが、同じような事態が失業保険にもありまして、それにつきまして検査院が検査の結果、発見をして労働省に注意をして、労働省が是正した事項が三百十四ページの二千七十八号から二千八十三号までに掲記されております。  なお、失業保険に関係しまして、二千六十八号に職員の不正行為が一件上っております。これは東京の上野の公共職業安定所で、この安定所の庶務課の経理係長と同課の雇いの某が共謀しまして、小切手の金額を水増ししたりあるいは改ざんして、正規の金額よりもよけいに銀行から金を現金化しまして、それを着腹したのであります。これは投書によりまして、こういう事態があることを検査院が知りまして、検査の結果、発見したのであります。これに対しましては、労働省におきましてそれぞれ懲戒処分を済ましておられます。以上。
  62. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 労働省から御説明を願います。
  63. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) この機会にただいまいろいろ御批評を受けました問題に対しまして釈明を申し上げますとともに、今後のお誓いを申し上げたいと思います。  昭和二十九年度労働省所管の決算につきましては、批難されました事項は、一般会計におきまして失業対策事業費補助金の経理に当り、労働力並びに資材費等の精算が適正を欠いておる点でありますが、これらはいずれも会計検査院の御指摘の通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。補助金の効果的使用と、精算の適正なる処理につきましては、先に補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が公布施行せられ、この法律に基きまして従来の失業対策事業費補助金の交付手続等を改訂いたしましたので、今後は本事業の実施に遺憾なきを期するとともに、一層の指導監督に努めたいと思っております。  労働者災害補償保険特別会計並びに失業保険特別会計の未収金の原因につきましては、石炭鉱業等の事業経営の不振によるものがあげられますが、収納未済額の徴収につきましては、事務機構を一段と整備し、また完全納付強調期間等を設定し、事業主の啓発に努める等、鋭意収納に努力いたしたいと思っております。  また職員の不正行為により御指摘を受けました事項につきましては、実行者は懲戒免職として、監督者につきましても相当処分を行いました。今後はこの種の事項の根絶に努力するとともに、不正行為者については、常に厳罰をもって臨む方針であります。  その他給付の適正を欠いたものにつきましては、御要望の趣旨にかんがみ、被保険者資格の適格制度の適正な実施をはかり、不正受給調査並びに適用事業所の監督を強化して、不正受給の防止と早期発見に努め、保険給付の適正を期する所存でございます。  以上弁明いたします。
  64. 三浦義男

    委員長三浦義男君) なお、補足説明がございましたらお願いします。
  65. 松永正男

    政府委員(松永正男君) 昭和二十九年度労働省所管の一般会計並びに特別会計につきまして、ここに指摘されました事項について、その後どのような処置をとり、どのような経過になっておりますかにつきまして、御説明を申し上げます。  失業対策事業費の補助金につきまして、その精算の際に処置当を得ない事項が、二千五十五号から二千六十五号まで御指摘を受けておりますが、これらの中身につきましては、先ほど御説明がございました通りでございます。労力費、資材費、事務費等につきまして、不当な精算をしておったわけでございますが、特に資材費につきましては、年度末におきまして補助金によりまして購入しました資材が残存いたしました場合に、従来はそれを時価に換算をいたしまして、それを国に返納をさせるという手続をとっておったわけでございますが、三十年度からこれを改めまして、年度末におきまして資材の残存量がありました場合に、特にやむを得ないものにつきましては労働大臣の承認を受けまして、翌年度の失業対策事業にこれを使用せしむることといたしまして、翌年度の予算補助費からこれを差し引くという制度に改めたわけでございます。従いまして、ここに掲げてございます二千五十五号から二千六十五号の事項につきましても、二千五十六号の東京都の関係と、それから二千六十号の兵庫県の関係につきましては、三十年度におきまして三十年度の補助費からこの分を減額をいたして処置をいたしました。その他の件につきましては、二千六十五号の北宇和郡来村の関係を除きまして、全部につきまして、国庫に対しまして返納を要するものは全部返納をさせまして、また減額を要するものは三十年度予算を減額をいたしまして解決いたしたわけでございます。二千六十五号の北宇和郡の来村の件につきましては、現在この村が宇和島市と合併をするということで、この返納の事務がややおくれておるようでございますが、これも目下督促中でございまして、回収に努力をいたしておるわけでございます。  次に、労働者災害補償保険特別会計につきまして御説明を申し上げます。労災保険の二十九年におきます収支の状況は、ここで御指摘を受けました通りでございまして、石炭鉱業等の不況の結果、相当の赤字が出たわけでございますが、その後保険経済の内容は逐次改善を見ておるような次第でございます。御指摘を受けました保険料の収納未済につきましては、三百八ページに六億五千四百余万円二十九年度分といたしまして未済があったわけでございますが、これにつきましても鋭意収納に努力をいたしておるところでございます。三十一年十二月末におきまして六億五千四百万円のうち二億三千八百万円がまだ収納未済でございますが、約四億二千万円ほどの収納をいたしまして残りの二億三千八百万円につきましても収納に努力をいたしておるところでございます。  それから三百九ページで徴収不足の御指摘を受けておるわけでございますが、これらにつきましては、その後直ちに徴収決定をいたし、あるいは収納の督促をいたしまして、三百十ページの大口の分として掲げてございます二千六十六号、二千六十七号、三事業場にかかる二件につきましては全額収納済みでございます。その他の小口のものにつきましても鋭意努力をいたしました結果、大部分のものを収納をいたしておるような状況でございます。  それから失業保険特別会計につきましては、ここに御指摘を受けましたように、収納未済につきまして、過年度分が十二億五千二百余万円あったわけでございますが、二十九年度の収納未済額につきましても、その後徴収に努力をいたしまして、二十九年度分約九億円のうち四億六千万円の徴収をいたしました。  その他につきまして目下収納に努力をいたしておる状況でございます。  それから職員の不正行為につきましては、上野の公共職業安定所で不正事件が起きたわけでございますが、横領いたしました三十八万円の金のうち、三十一年一月末現在におきまして十七万四千円の回収をいたしてございます。残りにつきましても、回収の計画に基きまして今後収納に努力をいたす所存でございます。なお、これらの不正を行いました職員につきましては、現在東京地方裁判所におきまして裁判が係属中でございます。これらの者の監督者につきましては、減給あるいは戒告等の懲戒処分をいたしますと同時に、その他の一般職員に対しましても、安定所長の責任体制を十分に確立する、監察官による監査を強化する、あるいは会計事務につきまして講習、研修等を行いまして、正確な会計事務が遂行できますように努力をいたしておりまして、今後この種の不正行為を絶滅いたしたいというふうに考えております。  次に、失業保険の保険給付の適正を欠いたものでございますが、御指摘のありましたように、二千六十九号から二千七十七号にわたりまして九件の御指摘を受けたわけでございますが、これらにつきましても、その後回収に努力をいたしまして、総額一千万円のうち三十一年度末におきまして約二百十九万六千円程度の回収をいたしてございます。残りの分につきましても回収に努力をしておるところでございます。なお不正受給の防止対策といたしましては、先ほど会計検査院の御報告でも御指摘がございましたように、昭和三十年の九月に失業保険法を改正をいたしまして、被保険者の資格の取得及び喪失についての確認制度を新たに設けたわけでございます。これを厳正的確に実施をいたしますとともに、昨年の七月から失業保険の給付調査官の制度を新たに作りまして、現在各安定所に給付調査官を配置してございます。これらの給付調査官を活用いたしまして、不正受給の防止と早期発見をいたしたいということで仕事を進めてございます。さらに各安定所に失業保険金の受給資格者名簿を備えつけまして、新しく被保険者資格を取得した者との照合を行いまして、給付について適正化をはかっておるわけでございます。今後におきましては、これらの措置をさらに一そう積極的に行うことによりまして保険給付の適正を期するように努力する所存でございます。  それから失業保険料等の徴収不足でございますが、これにつきましては二千七十八号から二千八十三号までに御指摘を受けておるのでございますが、これについては現在におきまして全額収納済みでございます。その他の徴収不足につきましても努力をいたしまして、大部分のものが徴収収納済みに相なっておるわけでございます。保険料徴収につきましては、人員不足等の事態もございますが、現有の予算人員を最大限度に活用をいたしまして、事業場の実態の調査をいたし、実態を把握いたしますとともに、関係機関との連絡を密にいたしまして、徴収の完璧を期したいと考えておる次第でございます。  以上簡単でございますが、労働省所管の二十九年度決算につきまして補足説明を申し上げました。
  66. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 以上をもって説明は終りました。大臣も出席せられておりますので、大臣に対する御質疑をさきにお願い申し上げたいと思います。御質疑のある方は順次御発言を願います。
  67. 高田なほ子

    高田なほ子君 この際、私は労働大臣に敬意を表したいと思うのです。敬意を表する理由は多々ありますが、当決算委員会にはなかなか大臣の御出席がない。私をして言わしむるならば、大臣に就任されたその一番先に足を突込んでいただかねばならないのは決算委員会だと思っている。これは申し上げるまでもありませんが、昭和二十九年のこういう決算のことについて興味を新大臣が持つということはあり得ないかもしれませんが、少くとも国政をあずかるものが、過去の年度にどういうようなことが起り、この起ったものの欠陥が、どういうところに原因が存在するか、そういうところから政治が出発するのでなくては、ほんとうの私は血の通った政治ができないと思う。この意味において特に本日大臣が御出席になったということについて、私は政治家としての良識を非常にここに発見する意味において敬意を表する。先般、これは余分なことになりますが、前船田防衛庁長官は、この席に参りまして、不当不正等の事項があったならば、いつだってあやまるというように、不正不当な事項があげられているにもかかわらず、大臣自体がそういうことを知らないで大きなことを言ってここであやまられたケースがある。これでは政治に血も涙もまた進歩もない。私がもしやはり大臣に、かりにこれから何十年かのあとに就任することがあったなら、私はやはり決算委員会に出て参りまして、謙虚に過去の実績と、それから、よって来たるところの原因の究明に、委員とともに私は考えていかねばならないというふうにすら考えておる。こういう意味において非常に敬意を表するわけであります。  そこで若干これは私の私見も加えて大臣に御相談申し上げたいと思っておるわけですが、まず「失業対策事業費補助金の精算にあたり当を得ないもの」ということで、会計検査院が指摘されておる。この指摘については、ただいま大臣もまことに御指摘の通りであると肯定されました。けれども私は、この失業対策については、会計検査院の指摘されたことと、現実の失業対策の事業というものと、ほんとう意見が一致しない場合に問題が起り得ることもあり得るという想定のもとに、質問をするわけです。たとえばここで会計検査院が指摘したのは、就労適格者でない者に賃金を払ったり、基本賃金以外の手当を払っている、それから資材の経費を補助事業以外のものに流用したと、三つの点を指摘しているわけですが、この三つの点のうち第一項と第二項については、これは相当私は考慮しなければならないと思う。なぜならば、就労適格者でない者については、年々によって、就労適格者で今まであった者か、その次の年には就労適格者でなくなっている場合があるわけです。これは労働大臣も御存じかと思いますが、この基準が変るのですね。ときどきに……。そうしてだんだんに婦人が就労適格者でないとか、五十才以上になった者は就労適格者でないとかいうふうに基準が変って来た場合に、実際失対を取り扱っている窓口の出先機関としては、ああ、こういう人たちにも就労させねばならないというところで就労させる場合もあり得るのです。また基本賃金以外の手当を渡すことは、確かにこれは法的に悪いけれども、失対の事業は、たとえばAの所にこの失業対策者が住んでおって、Cの所に、速い所に働きに行く場合に、何らかの方法で旅費とか手当というものを若干加味してやれば、あすの食事に事欠くような者に対して非常にあたたかい思いやりのある方法ができるという場合もあり得るのです。従いまして、法は法としても、失対問題の基本的な態度というものを腹に入れながら実際に運営する面において、そうした血も涙もあるような行政措置というものが講ぜられるような場合もあり得るのです。会計検査院は、こうした行政上の、まあ運用といえば運用、流用といえば流用という問題に対して、それは峻烈な決断を下すことはけっこうだと思いますけれども、この点、相当やはり労働省と会計検査院との思想の統一といいますか、意思の統一というものをはかられて、どうか一つ、あすの食事に事欠くような者に対しての思いやりのある行政が講ぜられることを私は念願してやまない。従って、第一項及び第二項に対する労働大臣の会計検査院の指摘に対しての御意見を承わっておきたい。それが一つです。
  68. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 大へんおほめにあずかりまして、汗顔の至りにたえません。当然なすべきことでありますから、出席をしたのであります。  ただいま御指摘になりました点について、労働省にやって参りまして、さらに今御指摘になった問題を、もっと拡大して考えると、この失業対策というものが、一つの適格者があって、一戸から一人しか出られないという制度になっております。それを、もうずいぶん方々で陳情を受けましたが、実際仕事がないのだし、うちには手がよけいあるのだけれども、一人しか就労できない。これを、せめてできるものがみんな出れるようにしてもらえないかという要求を各所で受けております。しかし、今の制度はそうはなっておりません。今御指摘になりましたような点に対しましても、それは法の考え方、運用の妙と申しますか、そういう点をよくやりたいのでありますが、やれば、今会計検査院で御指摘になりましたようなことになりまして、痛しかゆしの現状でありますが、御指摘になりましたように、あすの食事に事欠くというような同胞のあることは事実ですから、これに涙のある行政を行なっていきたいということが、私の信念であります。  それからもう一点、私が申し上げたいことは、きょう私はおわびに参りましたのですが、昨年の予算委員会には、私は党を代表して鳩山内閣に向って、七十三億の不正支出がある、だから綱紀の粛正をしなければならぬといって、非常に強く鳩山総理大臣並びに牧野法相に食ってかかったのです。ところが、きょうはおわびしなければならない現状に置かれております。私は昨年、綱紀粛正を標榜いたしまして立ち上った以上、自分はやっぱりその責任を感じますから、今後私のやる行政に対しましては、目の届かぬところはやむを得ませんけれども、できるだけ一つ不正行為の起らないような方向にいきたいと思うのです。国民、納税者のために忠実に働きたいと、かように思っております。
  69. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一点続いてお尋ねしたいのですが、これは失業対策費の事業費の流用の問題についてでありますが、指摘されているものの中で、事務費に寄付金を加えて、百三十四万で失対事業のための出張所の庁舎を建設した。これは明らかにこの事務費の流用としてよろしくない。これは大臣もお認めになり、私は会計検査院の御指摘は妥当な御指摘だと思うのです。けれども、実際問題として、今日のような失業者の多い時代に、この庁舎がない、出張所がないという問題は、適切な、かつ緊急な問題であるにかかわらず、このまま放任されていたところに、こういう問題も起ってきたのではないかということが考えられるのです。これは後刻、会計検査院の方にもお尋ねをしたいのですが、なぜこういうような流用が起っているのか。その原因をどういうふうに会計検査院は把握しているのか。もし庁舎が足りない、出張所が足りないということで、こういう流用がやむを得ずして行われたという場合には、これは明らかに私はその責任の所在は政府ではないかという考え方を持っている。はなはだ大臣に対しては言葉の過ぎた言い方でありますが、この責任は、あげて政府責任であるという考え方を持っているのですが、との点について、大臣、それから会計検査院、御両所から御意見を承わっておきたい。
  70. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 施設その他が不十分であるということは、十分認めております。しかしながら、予算上に規定してないものに支出したという責任は、やはり会計検査院の指摘せられるような、われわれの責任であると思います。が今後そういう場所がたくさんありますならば、予算編成時に十分予算を取って、取扱いの責任者あるいは役人に迷惑のかからぬようにしたいと、今後努力いたします。
  71. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと、会計検査院のお答えの前に、これは事務的なことですから、大臣でなくてもいいのですが、この問題のためにどのくらいの予算が今度ふえておりますか。
  72. 澁谷直藏

    説明員(澁谷直藏君) ただいまの点につきまして、補足的に御説明を申し上げたいと思います。  ただいま高田先生からも御指摘のありましたように、昭和二十九年度は、御承知のように、デフレ政策が浸透してきた年でございまして、そのために、急激に失業者が増加した年でございます。そのために、従来やっておりました庁舎あるいは分庁舎が非常に狭隘になりまして、ためにこういったような、やむを得ず適正な就労配置を行うために、事務費を流用して増築その他を行なったというのが実情でございます。  それから民間の寄付云々というのがございますが、兵庫県の場合は、これは労働出張所の借り上げておったところに大橋中学校というものが新設されることになりまして、そういった教育上の理由によって神戸市の教育委員会から移築を要請されまして、その結果、急速に移築の必要に迫られまして、やむを得ず、関係機関と協議の上、道路敷地に仮建築物として移築することとしたのでございます。それで、神戸市の教育委員会から兵庫県に対しまして七十五万円の寄付金をいただきまして、それと合せてこの仮建築物を建築したというのが、兵庫県の場合でございます。  それから静岡県の場合も同様に、静岡市から二十万円の寄付金をいただきまして、それを事務費と合せて、この本所に付帯的に施設を新設した、こういうことになっているのでございます。
  73. 高田なほ子

    高田なほ子君 本年度どのくらいの予算をこれに組まれましたか、予算の伸びだけでいいのです。
  74. 松永正男

    政府委員(松永正男君) ただいまここに正確な資料を持っておらないのでございますが、職業安定所関係の建築費といたしまして、約三千万円程度を計上いたしていると記憶いたしております。
  75. 高田なほ子

    高田なほ子君 これは三千万円ですが、それでは予算の伸びではないでしょう。
  76. 松永正男

    政府委員(松永正男君) 昭和三十一年度におきまして約二千七、八百万円であったと記憶いたしておりますが、三十二年度におきまして、若干増加いたしまして、約三千万円程度を予定いたしております。
  77. 高田なほ子

    高田なほ子君 それはやはり失業人口の増加に伴う予算増で、実質的の増ではないというふうに私ども考えているのです。これは予算委員会ではありませんから、それを論議しませんけれども一つ大臣、この点、意中にとめられまして、よろしく一つお願いしたい。ここで論争いたしません。  会計検査院から……。
  78. 石渡達夫

    説明員(石渡達夫君) ここにあがっておりますのは、この建物が必要なかったということを言っているのではないのでありまして、今もお話がありましたように、十分に必要性のある事務所、庁舎であろうと思われます。しかし、予算の目的が目的でありますから、目的を逸脱して使ったことが、形式上よくないということを申しているのであります。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 最後に、これは大臣に対する私の要望ですが、ただいま職員の不正行為に対しては、不正行為者には厳罰をもって臨む。もちろんこれは綱紀粛正の上から、大臣としては、かくなければならないというふうにお考えになるのは当然です。私もまたそういう御意見には決して反対の意見を持つものではありません。ただ職員の不正行為、これは単に労働省だけではなく、各省にあることでございますが、窓口の官吏の、いわゆる薄給な官吏の不正行為というものは、相当やはり考えなければならない点がある。厳罰だけではいけないので、大臣もおっしゃるごとくに、その他の機構を強化しながらこれを是正していくということをおっしゃっておりますが、先ほども申し上げたわけですが、窓口の零細な職員が金の魅力にかられて、つい悪いことをしてしまった。それが刑法上の責任を問われた。妻はこうした周囲の中に自分の夫を送りながら、なおかつ、これの生活に苦しみながら、その罪悪をそそぐための一半の責任を負っていかなければならない。ここにあげられたのは三十八万ぐらいですから、いいですけれども——いいですけれどもというのじゃないのですが、額が少いからですけれども、その他の問題になると、相当の多額な不正行為があって、このために妻子が一生、本人も一生この不正行為の贖罪のために当らなければならないという、非常に人生の不幸の姿をこの中に私は発見するのです。従いまして、やはり職員の不正行為だけに対する厳罰主義ではなくて、いかにしたならば職員にこうしたことをさせないですむか。問題が起ったときには、もうその責任にある者が、自分も不作意の共犯者であるというくらいの固い考え方をもって、こういうことを未然に防ぐようなお考えを持っていただきたい。厳罰主義ということもけっこうでありますけれども、どうぞ一つ、それだけではなく、特に上司の本問題に対する責任感というものを一そう一つ督励していただきたい。大臣には、私も承知しておりますが、綱紀粛正のために勇敢に戦われた良識の士でありますから、あえてこういうことを申し上げる必要はないかと存じますが、一言期待として申し上げて、私は質問を終ります。
  80. 松浦周太郎

    ○国務大臣(松浦周太郎君) 大へんごりっぱな御意見でありまして、心から共鳴いたします。私は、景況の官吏道と申しますか、私は昭和十二年に最初に当選したのですが、その時分と比べますというと、どうも倫理道徳観念が低下いたしておると思います。それはひとり官吏のみを責めるべきでないと思う。やはり政治は、最高の指導者である者が、倫理道徳の高いレベルにおいて政治を行うところに、官吏道すべてが改まっていくと思うのです。それが、私は保守党におってそういうことを申し上げることは恐縮ですけれども、戦後の経営はあまりりっぱでなかったと思うのです。そこで今度石橋内閣ができましたときに、石橋さんは日比谷の公会堂で五つの誓いを述べられた。その五つの誓いの第二番目は、官紀、綱紀の粛正であり、官界、政界の粛正を標榜いたしておられます。私はこれに全く共鳴しておるのです。それで、身をもって国の前途を憂え、そして政治を行なっていくならば、あえていろいろなことをしなくても自然にそうなっていくと思うのです。ところが、自分のやることはどうでもいいから、人のやることが悪いという行き方では、これは、いつまでたっても直らんと思うのです。これは国会及び政府一丸になって、やはり儀表といいますか、師表といいますかに立っている者が、身をもって範を示すということが、ほんとうに日本の倫理道徳を高めるゆえんであると思うのです。もう一点御指摘になりました点でありますが、小指の爪の先が痛んでも全身が痛むのです。でありますから、一人の自分の使っている者が過ちを犯したということは、やはり全身が痛む思いをいたしまして、これの更生の道を考えてやるべきでして、更生の道を考えてやらなければ、厳罰だけでは、これはかえって悪人を作り上げるような結果になりますから、やはり小指の先が痛んでも全身が痛んでいるという考えで、愛をもって更生の道を考えるべきである、そういうふうに考えております。
  81. 久保等

    久保等君 昭和三十年度から労災保険の保険料の引き上げが実施せられて、二十九年度の実情は、会計検査院の報告にも言われているように赤字であったのが、三十年度からは相当好転してきていると思うのです。ところが保険料の引き上げも、二十九年度までの約倍額に保険料の引き上げがなされておるわけなんですが、保険料の値上げされた後における——これは大臣に、私、直接お伺いしなくてもけっこうなんですが、その保険の運営の見通し、そういったようなものについて、どういうふうな影響が出て参っておるか、お伺いしたいと思うのです。それから保険料そのものが相当引き上げの点からいっても大幅に引き上げられたと思うのです。従ってそういったことについて、この推移いかんによって、やはり多少引き上げ過ぎたのじゃないかというふうな印象を持っておられるのか、まずこの程度は妥当な——赤字、黒字ということは抜きにしても、保険料としてはまあ妥当な料率じゃないかという考えを持っておられるのかどうか、その点ちょっとお伺いしたいのです。
  82. 三治重信

    説明員(三治重信君) お答え申し上げますが、料率の引き上げにつきましては、労災保険審議会という法制上の組織がございます。ここの中で料率委員会という小委員会を作りまして、さらにそれぞれ——ことに石炭と土建業が私の方の大どころでございますので、委員会を作って、労使も入りまして、そこで過去の赤字、黒字を比較して、そこで収支が均衡するような料率のきめ方を従来とっていたわけでございます。ことに二十九年に大きな赤字を出しました石炭の関係につきましては、やはり非常に大きな料率の引き上げになったわけでございますが、それは、その前、下げるときに非常に使用者側の意向を特に尊重して下げて、赤字になったならば必ずそれを補うようにするからということで、結局使用者側の見通しが間違ったために大きな赤字を出したという結論があって、また急激に引き上げになったが、その前に急激に下ったことがあります。土建業関係につきましては、水力発電が今まで別になっていなかったのが、非常に災害の多いそういう土建業の部門をさらに分けまして、その間に適正の料率をきめてきたわけでございます。それで土建関係につきましては、なかなか従来その事項の関係がよくわからなくて、業者自身負担の点につきまして十分な推算がなかったのを、それがほかの産業におきまして、ことに石炭関係、金属鉱山なんかでメリット制を行うようになって、非常に業種が収支を考えるようになりまして、その結果この点につきましても土建業にメリット制を入れるという条件で料率もうんと上げたというような事情もございます。しかしこれはいずれも役所側だけで料率はきめておりませんで、常に使用者側の方も中に入って計算しております。なお法制上のことを申し上げますというと、過去五年間の収支を見て、その間に各五年間の収支率を見て料率をきめる、こういうふうに変更する、こういうふうになっております。以上であります。
  83. 久保等

    久保等君 それから保険料の未収額が相当あるわけなんですが、この滞納しておりますることに対して、滞納整理と申しますか、そういう努力をやっておられると思いますが、この滞納処分費といいますか、その予算が、二十九年度の場合に、歳出予算、それからまた組んでおった歳出上の予算と実際支出をされた金額、それはどういった関係になっておりますか。
  84. 三治重信

    説明員(三治重信君) 滞納処分決算予算の比較は、いずれも大体、予算は、決算上においては予算額よりか決算額が少くなっております。正確にどれだけ余したかということにつきまして、収支状況、旅費につきましては約三百六十二万四千円ほど余しております。この滞納処分の問題につきましては、私の方といたしまして、現年度の分をなるべくその年でとらないと、過去になってしまいますというと事業場がなくなる有期事業が相当あるものですから、その現年度の方に力を入れる傾向が従来ありまして、現在残っておりまして、滞納の整理分といたしましては過去の固定した部面が相当ございます。約十二億のうち約半数の六億くらいが前年度分でありますが、これは概算保険料で私の方はとって、それを分割納入しておりますので、この未収金額のうちの十二億のうちに約五、六億が、実際に、前年度でわずかの……これは必ず翌年度の初めに入る未収金が多くございます。三、四億が固定した部面で、その分につきましてはできるだけ現年度の滞納の徴収を主としてやりまして、余力のある限り前の年度にさかのぼって今徴収して、せっかく努力しているというのが実情でございます。
  85. 久保等

    久保等君 滞納処分費は、二十九年度の場合に、予算に組まれた歳出額というのは七百三十万円あまり、それから実際使われた歳出額は百十万かその程度ではありませんか。金額に多少誤りがあるかしらぬですが、おおよその額はそういったことじゃないですか。
  86. 三治重信

    説明員(三治重信君) 滞納処分費で歳出予算額が七百三十五万四千円ございますうちで、支出済みが百十五万一千九百円でございます。御指摘の通りでございます。
  87. 久保等

    久保等君 まあそうなってくると、非常にこの予算の使用が、当初予算よりも実際の実行面においては相当滞納処分費としては不用になった額、あるいはまあ、ほかにそれを流用したかどうか知りませんが、非常にその見積りに、何といいますか、差が大きくなっているのですが、それは一体どういう見込み違いだったのですか。
  88. 三治重信

    説明員(三治重信君) この滞納処分費は、現実に差し押えをやる経費、それから競売処分をやる経費がこれでございまして、督促関係、それから現実にその当該事業主に納めてくれといって勧告し、または金をとりにいくのは、ほかの経費でございます。それで、この徴収、この滞納処分関係につきましては、従ってここに経費がたくさん出ておりますが、そういうふうな督促関係の方に回して使って、現実に差し押えとか競売をやる強硬手段をできるだけ避けてやっていたために、こういうふうに金が十分使われなかった。で、ほかの方のそういう督促徴収に出かけて話合いでなるべく保険料を納めてもらうような、そういう方の部面に使ったわけでございます。
  89. 久保等

    久保等君 そうすると、結論的に、それならばそれで、やはり滞納処分に必要なというか、滞納処分関係した、厳密な滞納処分じゃないのですが、それに関係した方面の旅費といった面で、そういった経費を必要程度はっきりと組む、それから滞納処分費というところでは、やはりその費目で許される範囲内のやはり予算を計上していくというのが正しいのじゃないかと思うのですがね。だから彼我対照してみて、実情なり内容というものは、かりに妥当であったとしても、片方においては滞納処分費として七百万円あまりの予算を組んでおいて、しかも実際にその面での厳密な滞納処分費として使った支出というのは百万円あまりだ。しかし実際その滞納処分関係して、いろいろ事前の督促であるとか、あるいはまた今言った滞納処分の準備行為的な方面の旅費等で相当多額の金を使っている。またその方面では予算がなかったから予備費を流用して使ったというような予算の使用方法は、非常にまずいのじゃないかと思うのですがね。ですから、その点について、やはり予算の執行せられました面からいくと、そういう予算の使い方というものは、やはりずさんというか、あり方として正しくないということになると思うのですがね。だからその点についてはどうなんですか、やはりそういうやり方は、これは許されておるやり方であって、別にとやかく言うべき性格のものでないというふうに御判断なのか。片方において予算が余っておって、片方においては予算が足りないということは、やはり予算の組み方そのものがまずいということになるのじゃないですか。
  90. 三治重信

    説明員(三治重信君) 御指摘の通りでございます。
  91. 久保等

    久保等君 そのことは、やはり失業保険の場合についても大同小異の、金額の点では相違はありますが、やはり同じようなことがなされておると思いますが、どうですか。
  92. 阿部泰治

    説明員(阿部泰治君) 失業保険関係の滞納処分経費につきまして申しますと、二十九年度の滞納処分の旅費は、予算額におきまして千二百五十一万二千円で、使用額は千八百四十万九千六百八十七万円でございます。で、この分は約六百万円流用いたして使っておるわけであります。それから現実に滞納処分に用いました滞納処分費は、予算額といたしまして五百二十九万九千円でございましたが、実際に滞納処分に用いました額は三十三万七千五百円程度でございます。
  93. 久保等

    久保等君 失業保険の場合にも、これは比率からいけば、むしろ先ほどの労災保険関係以上に、やはり滞納処分費の予算というものは、五百二十九万円組まれておったが、これが実際使われたのは三十三万円余りで、十分の一か二十分の一程度しか予算執行では現実に支出されておらない。これは先ほども言われたような滞納処分関係——広い意味での滞納処分関係の旅費が、大幅にむしろ予算以上に使われて、予備費からこれを流用して支出しておるということになってくると、これはまあ予算は全く描かれたもちであって、実際の実行面では苦肉の策をとってやっておるという結果になっておるのですが、しかもその開きが、ままある程度の誤差というよりも、ほとんど倍——何十倍といった形で違っておるというような点は、これは非常に予算の立て方として、あまりにもちょっと、まあ、ずさんというか、そういう印象を受けるのですがね。それで、こういったことに対して、三十年度あるいはそれ以降において、この点についてはどういうふうに扱ってきておられるものか。あまりにもその差が大きい点が目につきますので、扱い方をどういうふうにやっておられるのか、お聞きしたいと思います。
  94. 三治重信

    説明員(三治重信君) 三十年、三十一年、との二十九年と大体大同小異の結果と思っております。  三十二年度の予算につきましては、やはりわれわれの方も、だいぶ景気がよくなってきているから、滞納処分旅費は減らしても、調定それから収納の方面調査旅費の方へ回してほしいということで、減額は約二百四十万円ほど、調査費の方と合わせまして三百万円近く三十二年度においては減額して、そちらの方を調査費の方へ回わしているような予算を組んでおります。
  95. 久保等

    久保等君 なお、ついでですから、さらに労災関係のことをお尋ねしたいのですが、そうすると、何ですか。三十年度以降はこういうような結果にはならないのですか。やはり同じような似通ったような結果になるのですか。その点はっきり。
  96. 三治重信

    説明員(三治重信君) 三十年度は、決算はこの二十九年度と流用関係は大体同じような格好になっております。三十一年度も大体そういう格好になります。三十二年度は若干先ほど申し上げましたように減らしておりますけれども、景気がよくて徴収状況が繁忙を来たすというと、あるいはそういうふうなことになるかもわかりませんけれども、できるだけそういうことのないように、予算の費目に従って予算を使用するようにしたいと思います。
  97. 久保等

    久保等君 この旅費関係予算が足りなくなって予備費の方から流用するということは、これは必要最少限度において許されると思うのですが、もう少し焦点をしぼって質問をいたしますと、滞納処分費の方は、少くとも二十九年度の実績というものは、いわば非常に水増しというか、実際の使用額よりもべらぼうに、倍数どころじゃなくて、十倍あるいは失業保険の場合のごときは二十倍近くというような形の実績になっているのですが、そうなると、予算が、非常に必要以上に多額の予算が組まれておるということになっておるのですが、そういったようなことは予算編成上正しいという御判断なのか。それとも、それはやはり、失業保険の方ですか、三十三万ぐらいしかかからぬのは、三十三万かやはりその前後の予算を組むべきであって、五百万だとかあるいは五百万以上にもなるような予算を組むというようなことは、これは予算の組み方として非常にまずいと思うのです。だからそういった点に対して是正することが当然だとお考えなのかどうか、これは労災保険も失業保険も両方にわたる問題ですが、その点についてお答えを願いたいと思います。
  98. 松永正男

    政府委員(松永正男君) ただいま御指摘の点につきましては、過去におきまする実績が確かに予算の中味と実行が違っておりまして、不適当であると考えるわけでございます。従いまして、三十二年度の予算におきましては、労災保険におきましても、失業保険におきましても、滞納処分旅費の増額を行いまして、滞納処分費につきましては従来の実績をもとにいたしまして計算をいたしまして、独立の費目を立てることなく、庁費の中に入れて計上をしてございます。で、大体三十二年度におきましては過去の実績を基調にいたしてございますので、予算と実際の実行上の実績と大体合うのではないかというふうに考えております。
  99. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ほかに御質疑はございませんか……。御質疑はないと認めます。では労働省の部、検査報告批難事項第二千五十五号から第二千八十三号までの質疑は一応終了したものとすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認めましてさよう決定いたします。速記をとめて。    〔速記中止〕
  101. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  次回は二月の十八日、月曜日午後一時から、建設省の部、厚生省の部の審議を行う予定であります。  これをもって委員会を散会いたします。    午後五時一分散会