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1957-06-28 第26回国会 参議院 決算委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年六月二十八日(金曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     三浦 義男君    理事            大谷 贇雄君            中野 文門君            鈴木  一君            奥 むめお君    委員            後藤 義隆君            平島 敏夫君            堀本 宜実君            相澤 重明君            大倉 精一君            高田なほ子君            矢嶋 三義君            岸  良一君            常岡 一郎君            岩間 正男君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    国税庁次長   原  三郎君    会計検査院事務    総局第一局長  大澤  實君    日本国有鉄道常    務理事     石井 昭正君    日本国有鉄道施    設局長     今井 四郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  (内閣提出) ○昭和三十年度国税収納金整理資金受  払計算書内閣提出) ○昭和三十年度政府関係機関決算書  (内閣提出) ○昭和三十年度国有財産増減及び現在  額総計算書内閣提出) ○昭和三十年度国有財産無償貸付状況  総計算書内閣提出) ○国家財政の経理及び国有財産管理  に関する調査の件  (国鉄池袋民衆駅に関する件)   —————————————
  2. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ただいまから第二十六回国会閉会中第七回決算委員会を開会いたします。  先ほど理事会を開きまして御相談申し上げたのでありますが、第一の案件は、かねて御相談しておりました通り休会中に、今後どういう時期に委員会を開くか、また取り上げる案件はどういうものかということについて御相談申し上げたのでありますが、理事会では、大体の考え方としては九月の九日ごろから始めまして、五日間だけやろうと、で、案件は、ここで皆さんごらん通り案件をやろうと、こういうことにきまりましたが、御了承願いたいと思います。  それから視察旅行の件でありますが、これも北陸を一応選びまして、この閉会中に一応また一班が出るということにきまりましたのでございますが、その時期はいらっしゃる方々の御意向によってきまると思いますので御了承願いたいと思います。  で、先ほども申し上げました委員会休会中の日程でよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ではさよう決定いたしまして、どの日にどれをやるかというようなことは、委員長に御一任願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三浦義男

    委員長三浦義男君) じゃ、異議ないと認めまして、さように決定いたします。   —————————————
  5. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 昭和三十年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十年度政府関係機関決算書  及び、  昭和三十年度国有財産増減及び現在額総計算書  昭和三十年度国有財産無償貸付状況計算書  を議題といたします。  昨日に引き続き大蔵省の部を審議いたします。検査報告批難事項は、第五十八号から第七百一号までであります。昨日管財局関係質疑を一応終了いたしておりますので、本日は主として租税関係質疑を行うことにいたします。租税関係検査報告批難事項は、第五十八号から第七十七号まで及び第百号から第六百九十九号までであります。  本件に関して御出席の方は、会計検査院から大澤会計検査院第一局長原国税庁次長飯田国税庁徴収部長の諸君であります。なお、大臣はすぐおみえになると思いますから御了承願いたいと思います。  ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  6. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて。  では、質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 相澤重明

    相澤重明君 会計検査院お尋ねをしたいのですが、今年度のこの不納欠損額が百三十二億八千七百余万円で前年度よりも増加をしているということになっているわけでありますが、この不納欠損額の最も代表的ともいうべきものは、どういうところが一番額の多いところがあるのか、もしできるならば百万あるいは一千万円、こういうような、いわゆる不納欠損額の多いところを、一つわかったならば発表していただきたいと、こう思うのです。
  8. 大澤實

    説明員大澤實君) ただいまの御質問とちょっと的がはずれるかもしれませんですが、この不納欠損額が二十九年度から急にふえております。これは三十年度でありますが、これは二十六年度にいわゆる国税徴収法執行停止という制度ができまして、それまでは、まあいよいよとれないという見込みがあるやつは不納欠損に逐次やっておったのですが、二十六年度には一応とれないようなものでも執行停止として三年間は何とかとる方へ回しておこう、そして執行停止後三年たって入らぬやつは不納欠損にしようという制度をとりましたために、二十九年度が百億こえるという大きな数字になったわけであります。そういうわけであります。  それから今御質問の大きなところはどこか、これはちょっと調べればある程度資料があるのですが、ただいまちょっと資料持っておりませんのでお答えいたしかねて非常に恐縮であります。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 これはいずれあとで……、私は少くとも百万以上の単位のものを資料として提出をしていただきたいと思うのです。  そこで今度は大蔵省一つお尋ねしておきたいと思うのですが、おそらく、あとで百万以上の不納欠損額の個所がわかれば議論もまた出てくると思うのですが、特に大蔵省のこの取扱いの中で、中小企業の場合の育成については考慮を大へん払っておるように言われておるのでありますが、一体中小企業関係と大企業とのバランスはどういうふうになっておる、つまり大企業欠損額中小企業欠損額というものはどういうふうになっておるか、その事情を、わかったら一つ説明をいただきたいと思います。
  10. 原三郎

    説明員原三郎君) お答えいたします。計数ただいま持ち合せませんので、またそういう報告も実はとっておりませんのですけれども、実際の実情を申し上げますと、この欠損に、処理する納税者というものはほとんど全部が中小と申しますか、零細と申しますか、そういうところであると思います。まあ無資産になり、あるいは営業停止してしようがない、あるいは住居もわからなくなったというようなところでございますし、ほとんど大部分が零細な方々と、こういうふうにお考えになって大差ないと思っております。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 それではそれに関連して一つお尋ねをしておきたいのですが、特にこの租税取扱いについて非常に考慮をされておると思うのですが、今までの実情の中から、今後は税務職員教育訓練を一そう充実していくと、こういうふうに大蔵省は出しておるわけなんですが、一体その税務職員教育訓練を一そう充実するということはどういうふうに考えておるのか、御説明ただきたいと思います。
  12. 原三郎

    説明員原三郎君) 昨日も簡単にその問題について触れましたのですが、いい仕事をやっていくには何といっても基本は人でございますので、この人の教育というものが一番問題になるわけでございます。御承知と思いますけれども、たとえば毎年採用試験を通って入りました職員につきまして、一年間税務講習所に入れまして、これを全部寄宿舎に入れまして、基本的な法制的なものはもちろんでありますけれども、一般的な常識、教養の点につきましては特にここ一、二年その点を重視しまして良識のある税務職員を作り上げたい、こういうふうに努力いたしておるわけでございます。  その次に、なお、それを卒業して入りました職員につきましても、各職場におきまして常時仕事を通して、あるいは仕事を離れまして職場研修会あるいは講習会、こういうものをやっております。そのほかに税務講習所短期間でありますが、各税のそれぞれの部門から逐次養成すべき人を十日間とかあるいは一週間集めまして、短期講習を常時開いております。そのほかにさらに中堅職員を養成するために高等課程を踏むための税講というものもございます。絶えず職場教育、知能の教育のほかに教養的なものを絶えず注入する。そのほかに監督者としましても必要がございまするので、署長にしましてもあるいは総務課長にしましても、幹部について絶えず監督者研修というものを必要に応じて毎年やっております。そういうふうにしまして、あるいは個々の時期につきまして、指導監督する間において、ものの見方、考え方あるいは扱い方、そういうようなものについて具体的なケースを通してさらに指導する、こういうようないろいろの角度から現在そういう問題を取り上げてやっておるわけでございます。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、税務職員教育訓練ということを、随時なりあるいはまた新しい者については一年間、いわゆる合宿訓練までさせるということについては、大蔵省としては指導要綱、いわゆる教科書的なものを作って、そして教育を行なっておる、こういうことになるのですか。
  14. 原三郎

    説明員原三郎君) 事項によりまして、たとえば税講というものでございますると、教材はもちろん作りまして、それを中心にしまして、ものによりましては各大学の一流の先生方にお願いをしておる、それから短期職場のものをやるときには、そのつど必要なものを教材にする、あるいは毎日の仕事の中のものを教材にする、あるいは税講短期講習を開くときに、それぞれ便宜の講義を作りまして、それによって講習を行う、こういうふうに事項によりましていろいろ変っております。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣がお見えになっておりますので、あとのことはきわめて簡単にお尋ねしておきたいと思いますが、そういう教育を行なって税法の適正な執行を行う、こういうことだと思うのですが、どらも徴税に当って受ける印象というものが、まるで罪人扱いをされる、こういう非常に苦情が多く近ごろきておるのです。大蔵省が果して令言った指導要綱あるいは教科書的なそういう徴税に対する細心の注意を払っておるかということにつきまして、非常に私ども疑問を持つのです。しかも先ほどあなたのお話ですと、いわゆる二十九年度よりは三十年度の不納欠損額増加をしておる中に、大企業よりもむしろ中小企業の方が大多数であるということになると、これは中小企業に対して徹底的な徴税が行われておる、むしろ苛酷な徴税が行われておるから、その上になおそういうものが、取り上げることができないような事態にまで追い込まれておるのではないか、こういうふうに徴税に対する根本的な問題が私どもどうも考えられるという点を心配するわけです。そういう点について中小企業のもう税を納めることができないような状態にまでになっておるこういうものに対して、一体徴税に当る職員に対してどういうような指導をしておるのか、今の教科書だけではなくて、具体的にどういうふうな指導をしておるのか、もし例があげられるならば例をあげて御説明を願いたい。
  16. 原三郎

    説明員原三郎君) 課税の問題だと了解いたしましたのですが、これはもちろん徴税にも関連いたしますが、現在国税庁の方針として各税務署でやっておりますのは、調査重点をどういう所に置くか、御承知のように税務職員の一人当りの担当事務量が非常に多うございますので、全部網羅して十分調査を行き届かせるということは実際問題として不可能でございますので、たとえば好況種目あるいは景気変動の大きいもの、あるいは納税観念が比較的薄いと申しますか、信頼度の比較的薄いと申しますか、そういうようなところ、あるいは従来問題のあったようなところで特に念査をしておるところ、両方の、納税者役所側において必要なところ、それから金額の大きい納税者、こういうところは総体として重点になっております。従いまして零細な一般納税者あるいは金額の多い、所得の多い納税者でありましても信用度の高いお方、あるいは景気変動等が比較的安定しておりまして特に調査を綿密にやらなくても間違いの比較的少いところ、こういうところは相当思い切って手を省いております。一般の、たとえば申告所得税あたりにしましても、二十万、三十万あたり所得者、この辺は相当大幅に手を抜いております。従いまして結果としては決して軽くならない、むしろ逆の方向に現在あるのじゃなかろうか、かように私たち考えております。またそういうふうに事務計画を立てまして、具体的に処理をやっております。従いまして、従いましてというと語弊がありますが、たとえば今年の実際の執行面を見ておりまして、たとえば私この間まで大阪国税局長をやっておりまして、大阪の市内の真中の東税務署あたりは、神武景気と申しましても営業が十分でないというために、昨年まで納税しておって、今年納税資格者でなくなった、つまり納税をしなくてもよろしいという方が相当大勢今年度でもあったわけです。それから納税はしておりまするけれども、昨年よりも納税額が減った、こういう方も相当おります。個々実情に応じてやっておりますので、一律にやっておりませんが、まあ気の毒な方は気の毒なように当然課税すべきものでありますので、その辺はそう零細な方に苛酷に、弱い者いじめになっておると必ずしも私たち考えておらないわけです。
  17. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  18. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日に引き続いて、大臣国有財産管理並びに効率的活用という立場から一、二点お伺いいたしたいと思います。  毎年のことでございますが、ことに本年のこの報告書を見まして、また昨日の皆様方説明並びに議員の質問に対する答弁を承わって、国有財産管理というものが非常にずざんであるという点については、あらためて意外の感を持ったわけでございますが、私はまず大蔵大臣に伺いたい点は、まあ池田大臣自他ともに許す大蔵省あるじだと思うのですが、吉田内閣時代、ずいぶん長い間大蔵大臣の職にあられたわけでございますが、どういうわけで今までこんなに放置されておったか、これは池田さん個人の財産であったら、台帳もできていない、登記もしないというような、かようなふしだらな格好ではなかったと思う。それを今後三カ年間に予算を取って台帳整備されるということは、私は非常に心外に思うのですが、どういうわけで今まで放置されておられたのか、念のため承わりたいと思います。
  20. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 国の大事な財産につきましてこれをうっちゃらかしておったといろわけではないのであります。従来からの大蔵省所管国有財産並びに雑種財産につきましては台帳を備えてやっておったのであります。そうしてまた、終戦後引き継ぎました旧軍用財産につきましても、引き継いだ台帳も持ちますし、財産も相当はっきりしておるのであります。ただ数多い中でございまして、昨日の事例がありましたように、所管官庁間の入り組みもありますし、また地方団体とのやりとりもございまして、その間に整備が十分でなかった点も、これは数多い中であると思います。ことに旧軍用財産につきましては、終戦後一括して引き継いだのでございます。もちろん大部分というものは相当の正確さは持っておるのでございますが、中に、敗戦当時のあのどさくさで、整備はずっと続けておったのでございまするが、今回のように画期的に徹底的にやろうということは、手不足やいろいろな点でできなかったのでございます。一応落ちついて参りましたので、正確を期する上において今回特別計画を立てた次第でございまして、国有財産が全体としてやりっぱなしに、放置したままというわけのものではないのでございます。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 放置されたままであったとは思いませんが、少くとも私は重大な関心を持ち、責任ある管理がなされるにはやはり足らざる点があったという点を私は主張せざるを得ないと思うのです。それは水かけ論になりますからさておいて、私はそこで大臣にお伺いするのですが、大臣大蔵省に育たれて、そうして政界に身を置かれ、今、さらに過去においても大蔵大臣としての栄職におられるわけですが、大蔵省だけでけっこうですけれども、大蔵省局長あるいは課長というような、こういうポストですね、これは最も行政能率を上げていくには、一つポストに何年程度在職するのが最も能率的だというお考えを持っていらっしゃるか、私は承わりたいと思うのです。日本公務員人事行政を見てみますると、おおむねハイクラスのところはしょっちゅうかわり、係長から、係長に次ぐ程度のところは三十年も、ひどい場合は四十年もかわらないという極端な場合があります。よく汚職事件というものが起りますが、そういう場合には、ハイクラスの人が、課長級の人がちょいちょいかわるので実情にうとい。そこで若いときからたたき上げてきた、三十年くらいもおられるところの人が、もう全くそこのあるじのようになっておられる。場合によると課長以上の力を持っておって、そうしてこの事務を処理していくところに、人の弱さからあやまちを犯すというようなケースが私は非常に多いと思う。そういうあやまちを犯すケースはともかくとして、国家国民サーバントとして、サービス官として最も能率を上げるには、どの程度在職期間が適当だというふうにお考えになっていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  22. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなかむずかしい質問でございますが、私のことを申し上げては、はなはだ恐縮でございますが、私は大蔵省に入りますときには、銀行局に二年ほどおりまして、それから税務署長に出まして、大蔵次官になるまでどこにも行かずに、税のことばかりやっておりました。人によって違いまするが、今回の異動次官になりました前の主計局長は、四年間主計局におったと思います。それから前の大蔵次官平田君は主税局長を多分四年余りやったと思います。各局によって違いまするが、おおむねずっと昔から古い局の方は割に長うございます。それから新しい局の方は、順序のやりくり上割に短かいということになっておりまするが、大体におきまして大蔵省人事の内訳を見ますと、大体主計局育ち、主税局育ち、あるいは銀行、理財と系統がきまり、あるいは最近では入りくりはいたしますが、大体ほかの省に比べまして、割に私は本省の局長は長いと思っております。ただ新しい局と申しまするか、営繕管財局大蔵省でも割に異動の多いところだと思いまするが、それにいたしましても二年くらいのときもあると思います。一がいに、人事のあれでございますので、平均どのくらいということは申し上げかねまするが、大蔵省の全体の人事といたしましては、相当各局で、あるいは事務官課長課長局長、こういうように順々送りにいっておるのが、大蔵省人事はその例に相なっております。まあ長いほどいいとは申しまするが、やはり二、三年というところがいいところじゃないかと思います。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この問題を応答しておると大へん時間が経過しますので、私は多く時間をさきませんが、率直に申しまして、日本の役人は私は更迭し過ぎる。特に大学を出て、将来官界に雄飛する素質を持っておるような方は、いろいろなポストを経験させる必要があるという立場からか知れませんが、いわゆる栄進主義というので、むやみやたらに動かし過ぎると思うのです。私は一昨年フランスに参ったときに、フランス小党分立で、しょっちゆう内閣がかわる。一体これでうまく行政をやれるのか、政治がやれるのかということを伺ったところが、その答えには、フランスには優秀なる、それから国民に対して忠実なる公務員がいる。従って小党分立で、内閣はああいうふうにしょっちゆうかわっても何ら差しつかえないのだ、こういうお答えをいただいたのです。そうして承わってみますと、相当同じポストに長くおられるのですね。これは英米についても同様です。  それで、先ほど主計局長が、あるいは平田局長が四年間云々と、まあいい場合だけ大臣は申されましたのですが、きのう伺いますと、終戦管財局長は今で八代目だそうですよ。十年間に八代目だそうです。それから国有財産課長は大体八人から九人かわっているというのですね。これでは私は管理が十分できぬのは当然だと思うのですよ。やはりこういう一つの画期的な計画をするときには、あの人物があれに手をつけて、あの人物がこの台帳をきれいにこしらえ上げたのだと、自他ともに認めるようなそういう存在を打ち立てなければ、私は責任ある管理はできないと思うのです。  そこで私は具体的に伺いますが、このたび予算をとって、三カ年計画国有財産台帳を整理される、こういう計画があられるならば、私は特別な事情がなければ、適材者をここに任命しておいて、これが完成するまでポストを動かさないで、原則としてポストを動かさないで、その人に一つの抱負と希望と責任を持って仕事をしていただく。かような私は人事行政をやる必要があるのじゃないか。さらに、まあこれと直接関係はないのですけれども、官庁人事異動を見ているというと、必ず主計局長にならなければ大蔵次官になられないのだ、ああいうたらい回し人事行政というものは、今後私は改むべきではないか。たとえそれが銀行局長であろうがあるいは管財局長であろうが、そこに優秀な人間が多年にわたってそこで仕事をされて、りっぱな業績を上げられ、りっはな公務員素質を持たれたならば、たとえ主計局長ポストでなくても、直ちに事務次官に昇進できるというような実質的な人事行政でなければ、今のような形式的なたらい回しのような公務員行政みたいな、ああいう状況で、課長以上のハイクラス人物を動かすというようなことでは、私はほんとうの日本行政というものは責任あるものが行われないし、また能率が上らない。これが、私は国有財産が戦後十年もかかってこういう状態にある一番大きな原因だと、私はこう考える。そう申し上げるわけは、九十一号の批難事項を見ましても、土地について検査院調査された六割が不当なんですね。六割が不当なんです。これは学校だったら落第ですよ。それから建物については八割ですよ。建物については、調べた八割が不当だと会計検査院は指摘されている。これは立法府に席を置いているわれわれとしても、国民に素顔では話ができない。それからまた土地建物について指摘されたのを見ると、十年、二十年にわたってこれは遺憾なままきているわけです。機械器具等についても、先ほど検査院説明によると、五十万円以上をとったので、五十万円以下はたくさんあるという、こういうような御説明で、この中の八十六あたりをとっても、七年間にわたって遺憾な状態が続いているわけなのでありまして、大事な国有財産がこういう形で処理されているということは、税を納めているところの私は国民にとってはきわめて重大であり、納税意欲にも私は関連して参る問題である、かように考えるがゆえに、人事行政なんかお尋ねするのは、ここでやや派生的な質問になるわけでございますけれども、私は淵源は、根本はそこにあると考えますので、あえてお伺いを申し上げる次第であります。
  24. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なるべくその地位に長くおりまして、その仕事になれるということも必要でございますので、先ほど来申しましたごとく、大蔵省人事につきましては、自分のことで恐縮でございますが、私は税のことばかりやっておった。それから主計局ばかりやっておる人もあるようになるのでありますが、営繕管財局は、各局に非常に関係のあるものでございまして、しかもまた大蔵省といたしましては、常に課長会議あるいは局長会議等でいろいろやっておりますので、大体仕事については習熟してきておると思います。ことに本省に入りますまでには税務署あるいは財務局等におりまして、全般的な仕事をずっと見させております関係上、そういうふうになってきておるのでございます。主税、主計、銀行、理財というふうには参りませんが、大体お話のような点は人事につきましても心得ておるのであります。しかもお話の、次官になるのは主計局長から、こういうふうなお話でございますが、決してそうじゃありません。今の次官主計局長でございました。その前は主税局長がなっております。その前が主計局長で、その前は銀行局長、その前は営繕管財局長から次官に相なっておる。その前は主税局長であり、大阪の財務、国税局長から次官になるという例も終戦後ございました。決して主計局長次官になるとはきまっておりません。今現在から五、六人を振り返ってみまして、大阪財務局長主税局長、それから営繕管財局長、銀行局長、そうして主計局長主税局長主計局長、こうなっておりまして、銀行あるいは営繕管財あるいは大阪国税局長から次官になる、こういうふうになっております。決してくぎづけされたものではないことを御了承願いたいと思います。  なお取り調べた件数のうちで八割、こういう表になっておるようでございまするが、どれだけお調べになったか、私つまびらかにしておりません。しかし全体の取扱い件数のうち八割が皆引っかかっているというのではなくて、なかなか会計検査院なんかの監査もお上手でありまして、いろいろな点をずっと見透かしておやりになっておると思います。貸付全体の八割が不当、違法というふうにはならぬと思いますが、しかしいずれにいたしましても、こういうことがあるということは申しわけない事態でございまして、できるだけこういうことの少いように今後十分注意をしていきたいと考えます。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日検査院の方に、旧軍用財産管理処分に関して処置が不当であったものを件数と金額だけ大ざっぱに資料を出していただきたいということを要望しましたところ、本日いただいたのですが、これを見ますと、昭和二十一年から昭和三十年まで三百三十七件、金額にして十六億四千五百余万円、こういう数字が出ております。この内容を数字の上から分析してみますと、昭和二十六年において件数はトップになっておる、頂上を示しております。六十七件、しかし金額は下っているのです。これを見ますと、昭和二十二年は七件で、金額にして約三億八千万円、二十三年は四十七件とふえて、そして金額は約三億円、これだだんと年次を追って会計検査院機構が整備されたことを物語っております。二十六年になって六十七件という最高を示しているのですが、金額は一億二千万円、金額はむしろ四分の一くらい滅っているのです。この表から容易に推察されることは、昭和二十一年、二年、三年、会計検査院の機構も十分でなかった戦後の混乱時、このごろはずいぶん旧軍用財産は、言葉は適当でないかもしらぬですが、めちゃめちゃに近いくらいに取り扱われたということは、この数字から明確なことだと思うのです。そして本日に至るまで、これは十分整備されてないということは全く遺憾なことで、急を要すると思いますので、昨日から本日にわたって大臣が述べられました線に沿って一つ御尽力いただきたいと思うのでございますが、それに関連して伺いたい点は、昨日ちょっとお伺いしたのですが、土地並びに建物で旧軍用施設で相当に遊休施設、設備がありますね。それからわれわれが旅行して、この建物はずいぶんひどいな、こんなところによく人が住んでいるなと思う建物があったら、これは国有財産だろうといって質問したら大がい当るのですが、そういう格好なんですが、これらを大臣として、積極的に払い下げて、そして住宅その他、公共の用に供されるよう一つの政策として強力に推し進められるお考え大臣にないか、この点伺いたいのです。  具体的に一つ伺いますが、たとえば、非常に具体的になっておそれ入るのですけれども、もと熊本市に第六師団というのがありまして、そこに師団長公舎というのがあって、ずっとあいているのですよ。そしてこれは町の中心部に近くて、公けの地方公共団体かあるいは財団法人あたりに払い下げると、非常に位置から効率的活用ができる。こう思うわけで、私も数年前から南九州財務局に払い下げの意思はないかということを伺ってみたことがあるのですが、ところがこれは財務局の方で要るのだということです。ところが実際見ますと、一ヵ月に一ぺんくらいちょっと会議してみたり、あるいは職員の独身者の寮に使っているというよろな格好で、国有財産の活用という立場から考えるときわめて不経済な使い方であると思うのです。それ以上私は深入りしたことはお伺いしませんが、やはり国有財産の効率的な活用という立場から、払い下げるべきものは払い下げるという方針で進まれた方がいいのじゃないか、こう考えるのですが、そういう点について基本的に大蔵大臣はどういうふうにお考えになっておられるか、承わりたいと思います。
  26. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 矢嶋さんのお話全く同感でございまして、私は終戦後ずっとそういう考えで、財務局長等の会議におきましては常にそれを言っている。君ら財産をかかえ込んでおって、整理すると仕事がなくなるからというのでかかえ込んでいるのじゃないかというふうな極論までしたこともあるのでございます。早急に財産を売、渡すなりあるいは廃棄処分するなり、いろいろ手を尽したいと考えております。ことにさきの国会で議決を得ました国有土地その他を整理いたしまして、そうして民間に払い下げて活用するたとえば東京の大手町の辺に二階建の庁舎がございますが、これを整理して高層建築にすれば、その土地代だけで十分家が建てられる。こういうふうな格好になっております。そうして能率も上るというので、今回法律、あるいは特別会計を作って、お話のような点で進んでいきたいと考えているのであります。これは東京ばかりではございません。ほかの土地につきましても、住宅公団等の建設に当りましては、なるべく国有財産土地を利用してもらう、こういうふうな方向で住宅問題も解決していきたいという気持でおります。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 管財局長に対する質疑は取りやめます。大蔵大臣に最後に一言伺いますが、それはただいま国税庁関係質疑相澤委員からされているところでありますので、私一言だけ伺っておきたいのですが、私いただいた資料に、渡邊喜久造国税庁長官が運営方針についてというパンフレットを出されている。これは非常に私はけっこうなパンフレットだと敬意を表して拝読したわけですが、ころいう心がけで税務官吏がやられれば非常にうまくいくと思うのですが、しかし私ども国民と直接接して、いろいろ聞くことは、やはり不心得な人がいるようです。時間がないから私は一言だけ大臣の耳に入れておきたいのですが、それは国民は税金を納めることをいやがるのじゃないのです。できるだけ安くなりたいという願望はありましょう。それと同時に公正にやってもらいたいという願望は非常に強いのです。ところがちょっとした中小企業あたりに聞いてみましても、日本全国どこの地域に行っても聞くことは、税務署の若い職員を一人くらいどこか家を世話しておくとか、あるいは下宿をしていただく。少し低俗な話になりますが、それが何より、自分の営業方針より大事だというようなことをよく聞くのです。実際そういうことをやっているような人もあるようです。これはデマもありましょうけれども、そういう声が民の間にあるということは、私はきわめて重大だと思っている。だから公務員住宅等も相当建設しているわけなんですから、私は極端にいえば、税務官吏なんか優先的に国営住宅に入れるという一つの方法も考えられると思うのです。そういう点も若干私は国税庁長官の耳に入られて、そういうことも含めてこういうパンフレットをお書きになったんじゃないかと思うのですけれども、そういう点はあえて私は答弁を求めませんが、大臣としては耳にはさんでおいていただきたい。そして国民が不満がなく、安んじて気持よく苦しいふところの中からでも税金が納められるというような空気が生まれてくるように努力いただきたいということを要望申し上げておきます。
  28. 相澤重明

    相澤重明君 先ほど私御質問申し上げて、今矢嶋委員もちょっと触れたんですが、非常に不納欠損額が大きい、しかしそういう中で税務職員の税徴収についての態度、こういうもので中小企業と大企業との差がどういうふうになっているかといったところが、大企業よりか中小企業の方が税を納められないのが多いというお話があったのですが、一番問題になるのは、大企業の下請をしている中小企業が税によってどんなにか苦労をされておるかということを大蔵省としても十分御承知だと思うのです。ところが、ちょっと先ほど申し上げたように、まるで税の問題で相談にいくと罪人扱いをしてやられるというようなことが——私の横浜なんかでは、横浜南税務署の方で頻繁として私の方へ苦情が出てきておる。こういうようなことが各税務署であったということは、中小企業はどうでもいいのだというようなやはり考え方があったからこそそういう態度に出てくるのじゃないかということが考えられるわけです。  そこで大臣お尋ねをしたいのは、一体税の、たとえば前年の税納の力を持っておる考え方で本年度になっても、いろいろ申告をされるあるいは相談をされる場合に、何でもかまわぬ、前年度だけという考え方でいくのか。こういうことは生業に非常に大きな影響を持つと思うのですが、先ほどちょっと実情に沿ってお話をするといっておったが、どうもその点まだはっきりしない。大臣はどういうふうな指導をせられるか、その点を一つお答えを願いたい。
  29. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 経済界の状況によりまして前年よりいい場合もありますし、悪い場合もあります。同じ業種におきましても、人によりましていいのも悪いのもございます。一がいにはいけないのです。ただ個々の業者を一々四六時中、一年中見ておるわけではありません。帳簿の状況を審査いたしまして決定するのでございまするが、大体経済界の実態はこうであって、業種はこうだということは、一応調査する人の頭に入れまして、そういう頭で個々の人についてどういう動きをしているかというのも見ていくやり方でいっておるのでございます。決して前年にとらわれることなく、実態を把握することに力を注いでおると考えております。  なお、税務官吏の納税者に対しての態度が罪人扱いするというようなこと、これはもってのほかのことで、いいお得意さんでございますから、われわれはそういうことのないように常に指導いたしておるのであります。行政のうちで一番むずかしい行政はやっぱり税務行政だと思います。それだけわれわれとしては職員指導訓育に当りまして過誤のないようにいたしておるのでございまするが、何分にもわれわれが税務行政をしておりました戦争中くらいは、全国の税務官吏は、官吏で六、七千人、雇を入れて一万入程度であったのが、今は六万人に非常にふえております。急激にふえた関係上、能力者も数の割合からいって少くなります。また未熟の連中も、数多い中でございますのであると思いまするが、努めて納税者に御迷惑のかからぬように、できるだけのことはやっていっておるつもりでございまして、累年にわたりまする減税の結果、終戦直後のようなあのひどいことは非常に少くなって、大体年とともに円滑の度を増しておると、私は喜んでおる次第でございまするが、数多い中でございまするから、お話のような点がないこともないと、十分今後気をつけたいと思います。
  30. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵省のこの方針の中にも、いわゆる納税貯蓄組合の普及育成ということに努力をされておる。で、今おそらく各業者あるいは商店にしても、やはり納税をするために、非常に納税組合のために努力しているわけですね。そういう中にあれば、今、私が先ほど申し上げたようなことは実は起らぬはずなんです。ところがどうも国民立場では一生懸命に、税をとにかくできるだけ自分も納めようという気魂を持って、納税組合を作って、そうしてみずからの事業というものについても十分認識をしてもらおうと思っているのに、先ほど申し上げたような事態が起るということは、やはり指導上の欠陥があるのじゃないか。普通の税務職員の場合に、何も無理に会社がつぶれる、商店がつぶれるというところまで強行しなければならぬということは私はなかろうと思う。そこにはやはり首脳部のそうした、無理に何でも税をとってこいというようなこうした考え方なり、あるいは実情なりというものを十分に把握しないところに私は問題が起きるのじゃないか、こういうことで、指導方針というものを実はお尋ねしたわけです。今の大臣の答弁で、そういう無理のないように十分税務職員立場で協力されるということを聞きましたので、私はそれで喜んでおりますが、とにかくそういう点は今後十分気をつけて指導というものに誤まりのないように私は行なってもらいたい。  そこで、そういう立場がなぜ強く出てきたかと申しますというと、実はこれは特に大臣もおそらく閣議の中でも十分今御相談をされておると思うのでありまするが、今年は特に神武景気といわれておった経済状況がだいぶ曲りかどに来たようにいわれておるわけであります。そこで私も運輸委員会の際にも実は大臣に御質問いたしたのでありますが、たとえば国鉄運賃一三%の値上げをする場合にも、これを値上げをして他の物価に影響ないか、あるいは経済界に大きな影響を与えるようなことはないかという御質問をしたのでありますが、そのときには、そういうことはないだろうという御答弁だったと思うのですが、今、実際にはどうなっておるのでしょうね、経済の状態というものは。これをちょっと一つお聞かせをいただきたいと思うのです。
  31. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) ただいま御質問日本経済の基調といたしましては、私は先の国会で答弁申し上げました動きをしておると思います。生産は毎月片々増加いたしております。そうして物価の動きも、卸売物価は横ばいあるいは低落の方向でございます。小売物価はえてして卸売物価より五、六ヵ月あるいは七、八ヵ月おくれるのが普通でございますが、卸売物価が下っておるにかかわらず、小売物価はいろいろ天候その他の事情によりまして、全体としては横ばいからちょっと上り工合じゃないか。しかし物価全体の動きは、私が想像しておりましたように横ばいでいっております。国内の状態がそうでございまするから、輸出も二十八億ドルにつきましていろいろ議論がございましたが、輸出も二十八億ドルは私はこえると見ておるのであります。ただ問題は、当時も心配しておりましたごとく、輸入が非常にふえて参りました。これがとまりません。国内の状況がそうであるのに、民間の方におきましては、政府が相当積極政策をやるから神武景気になるだろうというので、相当輸入の思惑その他があるのではないかという気がいたしております。そしてまた昨年の十一月のスエズ問題から、相当思い切って輸入しておこうという考え方が、スエズ運河問題がありましてから後にも相当動きがありまして、その影響の輸入が四月、五月にもやはり現われてきておるのであります。スエズ運河の問題で一番影響のあった石油、鉄鋼というものが、いまだに五月、六月までに相当きております。こういう関係で国内の基調は予想通りにいき、あるいはそれを上回っている程度でありまするが、特に輸入が多うございますので、国際収支に、何と申しまするか、外貨が非常に減って参りまするから、これが対策といたしまして、あまり行き過ぎることのないように、適度に漸進をしてもらうために、まず政府みずから財政投融資を少しスロー・ダウんしまして——予算を切るわけじゃございませんが、施行を少し延ばしていく。そうして民間の協力を得るように今施策をいたしておるのであります。金利の引き上げ、あるいは輸入の場合におきまする保証金の現金積立、あるいは外貨予算の割当の手心等々と合せまして、財政方面におきましても財政投融資の大体一割五分スロー・ダウン——これは切るわけではございません。スロー・ダウンしまして、国内の今続けております健全な発展基調をゆるぎのないものにしよう、行き過ぎた輸入を押えようと、こういたしておる次第でございます。従いまして、鉄道運賃の引き上げがございますが、卸売物価につきましては、四月、五月、六月と、だんだんスロー・ダウン的の状況で、横ばいから下押し程度にいっております。ただ問題は、各品目でございまするが、繊維関係の方は、前も非常に下っておりましたが、だんだん下ってきております。鉄鋼関係の方は、御承知通り一時九万五千円ぐらいのものが、今では建値の五万一千円を割ろうかというところまでいっております。その他の物資につきましても、セメントがちょっと上り過ぎる、石炭が相当上った、こういうセメントと石炭の方が上っておりまするが、これは財政投融資の関係、その他民間の不要不急の部分を押えることによりまして、石炭は五十円ばかり下るようでございますが、セメントの上り方がだんだん落ちついてくるんじゃないかという見通しをいたしております。
  32. 相澤重明

    相澤重明君 今の大臣の御答弁ですと、当初の計画はそのまま実際的に非常に効果が上っておって、むしろ心配はないような御答弁だと思うのですが、いわゆる小売り等の問題、あるいは繊維関係等の問題で値段が下っておる。その他の物価も横ばい状態である。こういうのですが、どうもそれだけ聞いておると、いかにもあなたのおっしゃることが、こう思うのですが、現実にいわゆる商人の人たちは、今のうちに整理するものは整理をする、あるいはむしろ今のうちに金の入るものは金を取ってしまう。こういうような、むしろ投げ売り的な、商売に対する先き行き不安定な考え方というものがあるのじゃないかという点を、私ども心配をするわけなんです。そういうことがよくまた新聞の中にも出てくるわけですが、こういう点をお含みの上で今の御答弁が私はあったと思うが、むしろ政府がそういう、実際にもも心配はないのだ、こういうことになれば、やはり今の新聞とか、いわゆる報道関係というものは、特に国民生活に大きな影響を与えるわけですから、そういうところに力を入れないと、私はなかなか大臣がおっしゃっても、これはむずかしい問題じゃないだろうか。そういう点について大蔵大臣としてはどういうふうに国民に理解をさせようとするのか、そのお考え一つお尋ねをしておきたいと思います。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) なかなかむずかしい問題でございまして、ただいま日本の経済は健康体であると、こう申しましても、安心して食い過ぎその他をやってもいかぬ。あるいは下痢をしたり、かぜを引くことがある。こういうことは常にお互い国民全体としてお考え願わなければならぬ問題だと思います。で、ただいま申し上げましたように、繊維関係が非常に悪いということは、これは御承知通り終戦直後は四百万錘ぐらいございましたが、そうして通産省その他で増設につきましてできるだけ押えていきましたが、今は九百万錘になる。これではいわゆる設備過剰、生産過剰ということになる。で、化繊関係におきましても非常な増設をいたしまして、これがいわゆる値下りに影響しておるのであります。で、私は、日本の経済の健全な発展ということを考えます場合におきましては、行き過ぎは困る。世界の景気も——私は予算委員会等でも述べましたごとく、今年は横ばいで、来年はよくなるだろうと言っておりますが、大体そういうふうにいっております。ただ昭和二十九年の地固めから三十年の輸出景気、三十一年の投資景気、これがずっと続いて参りまして、三十二年におきましても、なお投資、輸出景気をもって手を広げられるといかぬと思って、私は予算におきましては何ら、一般会計におきましても、租税収入におきましては予想以上の今年も自然増収もあるようでございます。生産も伸びておる。心配はないと思いますが、一時的な現象として、輸入増加による心配が起って参りますので、政府はこの際しばらくやり方をスロー・ダウンして行こう。そうして民間にもこれにならってもらって、健全な運営をしていこうとしておるのであります。従って、中には金融を引き締めると、いかにも要る金を押えて出さぬようにしているという非難を受けておりまするが、御承知通り、昨年の今ごろは三百億円しか日銀の貸し出しはなかった。しかし今日、一年たった今、四千二百億円も金を出しておる。四千億円も日銀は金をたくさん出しておる。それにもかかわらず金融引き締め金融引き締めで、大蔵大臣や日銀総裁がいかにもひどい手を打っておるように聞えますが、去年よりも四千億円も金を出しておる。これをどんどんやっていきますと、全部がむちゃくちゃになるということもないとも言えませんから、ここでわれわれは行き過ぎを待って下さいという態度をとっておるのであります。で、私は、日本経済が過去十ヵ年間歩んできた道をずっと振り返ってみまして、徐々に伸びていこう、行き過ぎはよそう、こういうことでやっておるのであります。今までずっと高速度で伸びてきておるものを押えるのでございますから、それは中小企業その他においてしわが出てくることは私も経験済みであります。従って、財政投融資の一般の投資は減りまするが、中小企業に対しましては、私は三百五十億ぐらいは少くとも年内に考えていく。要すればもっと出してもよい。しわの寄ることを押えながら、全体として行き過ぎのないようにしていこうとしておるのであります。何と申しましても、自分の経済だけをお考えになってやられるのが、集約いたしますると、全体として今の繊維関係のようになって参りまするから、自分の経済をお考えになると同時に国の経済を、世界の経済を見ながら国の経済も一つわれわれも見ていこうというお気持になっていただかないと、いい全体の発展が招来しないと、こう考えますので、いろいろ急激な変化の起らないように、徐々にいい道を歩くように指導していきたいし、また国民の御協力を得たいと思っておるのであります。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣、私は、ほんとうに国民の協力を得ようと思えば、もう少し私は率直に警戒信号を高く遠く上げる必要があるのじゃないかと思うのですがね。本日なおこの席上で、大臣は相当強気の発言をされておりますが、あの予算審議以来ずっと経過を知っている国民は、だんだんと現実の姿が大臣の申されたことと違ってきて、最近の応急対策についても、大蔵大臣の主張はじりじり退却をしている。だから一部には非常に心配し悲観している面もあるかと思うと、大臣がああいう強気の発言をするからというので、やはり国民に引き締る気持が出てこない。それは私は、地方公共団体の事業をやっているそういうところにも出ていると思うのですよ。ああいう何があるから今のうちに早く事業をやってしまえというので、ますます今でも高値を呼んでいるセメントなどを要する事業を早くやってしまおうというようなこと、それからまた町へ行ってみても、デパートあたりへ行ても、その消費景気というものはものすごいものです。これは私は、じりじりと政策面で大蔵大臣は退却しておりながらも、なおかつ非常に強気を述べられて、警戒心を高く強く出されないところに私は一つの責任がありやしないかと思う。一部の国民はこういうふうに信じている人が相当多いのですよ。あなたの耳に入っておると思いますが、石橋内閣ができると同時に、解散を見越して、そして石橋態勢を確立するために一千億減税、一千億施策の大きなアドバルーンを掲げ、そして解散態勢を確立していこうと思っておった。その当時から、そのままいったら将来懸念される面があるということは大蔵大臣自身予感されておった。しかしああいう経過で石橋から岸政権を作って、そのまま踏襲している。三月ごろ金利の一厘引き上げのときにはっきりした警戒信号でも上げておけば若干締ったのでありますけれども、その当時にわれわれに対して警戒信号を上げられなかった。そのうちに二厘の引き上げ、財政投融資、公共事業の繰り延べもしない、長期金利については手をつけない、こういうことを公けの席上で言明されながらも、間もなく政策面でじりじりと退却されて、その意味で無責任ではないかという声も出てきております。私は、やはり国家国民のことを十分にお考えになられて、そしてもう少し私は国民全部がほんとうに締らなくちゃならぬという情勢ならば、引き締めなければならぬという気持が起るような発言を私は大臣がされる必要があるのじゃないかということをつくづく感じている一人なんですが、御所見いかがでございましょうか。
  35. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) いろいろな施策は、これは実態の現象をどう見るかによって変って参ります。これはたとえば下痢しているのだから、その原因が非常にむずかしい病気で下痢しているのか、あるいは一時的の食い過ぎであるのか、いろいろな点を見て処方箋をもらわなければいけません。私は先ほどもお話のありましたように、千億減税、千億施策ということは、国民の経済力が非常に伸びてきたのでございます。これはある程度国民にお返ししよう、そしてある程度は隘路産業を助けていく、そして数年間、地方財政におきましても非常に緊縮しておられるのを、少しもとへ戻して、普通の状態に返していこうとして言ったのであります。三月の初めに金利を上げましたゆえんのものも、私は大体輸入が三月ぐらいでとまってくるのならばいけるという見通しでいったのであります。従いまして、あのときには、将来の弾力的金融政策をやる元手を、素地をこしらえていく、こういうことで説明しておりましたが、その素地をこしらえましたから、五月の八日の日には、これはもうこのままでは輸入がふえる一方だからというので措置をしたわけであります。あのときも私は、一時間も早くやった方がいいというので、予算委員会中で、もうしばらくお待ち下さいと言って、そのときに返事をしたわけで、いろいろな現象を見ながらやってきている。そして五月におきましてあの二厘引き上げをやりました関係上、五月の上旬、中旬は輸入が非常に減って、二十日間で一億七千万ドル、しかしながら、五月の下旬になって、今度は十日間で一億五千万ドルも輸入する、こういうことになっておりますから、六月の初めにまた次の手を打つと同時に、これは個々の手ではいかぬということで、総合金融対策をしてやっているのであります。初めからひどい手を打つかどうかという問題につきますと、これはやはりその人の考え方でございまするが、私は徐々にやっていくのがいいのじゃないか、こういう気持で、様子を見ながらいろいろ手を打っているのであります。しからば大蔵大臣が、今、日本状態は非常に警戒すべき状態であるかと申しますと、私はそうは考えておりません。行き過ぎをがまんして下さるならば、これは健全な状況でいく。こういうことを申し上げてはどらかと思いまするが、アメリカにおきましても、各国におきましても、大体日本の経済力というものは相当高く評価しております。従いまして一時的に外貨の不足があるのならば、これは日本の、長い日で見ていったならば心配する必要はないというので、本日もIMFから一億二千五百万ドルの借り入れがきょう向うで満場一致決議された。そしてまた他の輸出入銀行に当ってみますると、必要ならば相当程度の融資はしてもいい、こういうふうな状態であります。私はいたずらに鬼面人を驚かすようなことが、経済全体の上からいっていいか悪いかということは、よほど考えなければならぬ問題だと思います。だから、こういうふうに輸入がふえてはいけませんので、いろいろな総合対策をいたします。しかしてまた、政府みずからもそれじゃ少し、険路産業の拡充強化は必要だろうが、しばらく待ってはどうかという意見もありますので、それじゃわれわれもしばらく待って落ちつきを待ちましょう、こう言ってやっております。そうならば実行予算を組んでやったらどうか、私はそこまでの必要はない、輸入がだんだん落ちて、輸出は幸いに伸びていっておりますので、この程度の措置でまかないがつくのじゃないか。私は今から四年前に、昭和二十八年のあの輸入超過の状況を見まして、一兆円予算を実は私が言い出した。私はいろいろな点を考えまして、行き過ぎを押えて、健全な発展の基調を阻害せずにいくのが、今の場合としていいのではないか、こういう考え方、あくまで消費を節約し、ことに国産品を使ってもらって、輸入品をできるだけ押えるということは、機会あるごとに言っているのであります。だから財政演説におきましても政府は均衡予算と言っております。民間の方におきましても、蓄積の範囲内で設備の拡張をやっていただきたい。金をどんどん借りて、日銀から借りていって仕事をふやす、仕事をすればもらかるのだということはよくない。民間におきましても健全金融で、蓄積の範囲内で仕入れをしてもらい、設備を拡張してもらいたいということを私はあのときから言っておるのでありますが、いかんせん、先ほど申し上げましたように、昨年に比べて四千億円も貸し出し増加ということが起ってきましたので、この一時的な行き過ぎの現象を押えれば、経済全体としては、私は国民が地道に伸ばしていくのだという気持になっていただければ乗り切れると私はしているのであります。決して楽観ではありません。常に一番心配していろいろな手を考えているのであります。一がいに大蔵大臣はすぐ楽観だと、こう言われますが、決して楽観してはいない、努力してこれを切り開いていこう、この決心を言っているのであります。
  36. 三浦義男

    委員長三浦義男君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  37. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。
  38. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣も大へん努力をしておるというお話ですが、やはりこういう段階になるとはっきりしておかなければいけないと思うのですが、たとえば国鉄の問題を先ほど私申し上げましたが、一割三分の値上げをして、そうして輸送力の増強をはかる、こう言ったけれども、今度大蔵省関係者が集まっていろいろ相談をしたところが、今の積極政策をスロー・ダウンをするということで、一割五分程度のスロー・ダウンをするということになると一割三分値上げをして輸送力の増強をはかったのだけれども、相対的に一割五分をスロー・ダウンするということになると、これはどういうことになるのか、結局かえってマイナスの方が多くなる。だから今までの計画というものは全部御破算にして、むしろそういう先ほどちょっとお話になった実行予算も組まなければならない段階がきておるのじゃないだろうか、こういうふうに私どもは印象を受けるわけです。だからそういう点はどういうふうにお考えになっておられるか。それからいま一つは、中小企業の問題について、三百五十億程度重点的に施策を考えておるということは、まことにけっこうなことだと私は思う。いつでもしわ寄せになるのは、大企業のしわ寄せが中小企業にあることは大臣も御承知通りであります。そこでこれはよほど信念を持って中小企業に対する施策を講じない限りにおいては、これはもうあなたが先ほど、今年度も自然増収がかなり見込まれるということを言われておりましたが、私は逆なことになるのじゃないかと思う。増収を考えて、そうして一千億の減税ということを考えておったけれども、実はむしろ国民の生活というものは非常に窮乏に追い込まれており、倒産の憂き目にあう者も多くなってくる。どういうことになってくると、事実税収が見込まれるどころではなくなってくる。税金を納められない人が出てくるのじゃないか、こういうことを私どもは心配をするわけです。そこで経済界に対する大臣はどういう手を、たとえば金融界に対する手を打ったのか、そういうことはまた、閣議としてはどういうふうにして取り扱ってきたのか。こういう点も、実は池田大蔵大臣考え方がおそらく閣議の中では了承されてその通り進むことだと思うのですが、そういうことを閣議がいつ正式に取り上げて、そういう方針というものを出したのか、また今後はそういうものをどういうふうに具体的にお進めになるのか、こういう点についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  それから最後にいま一つは、最後ということよりも、時間がありませんから、地方自治団体がいわゆる大蔵省の金融引き締めによってやはり影響されることは、これは当然だと私は思うのです。だから地方自治団体に対するところの企業投融資、そういうようなものについて、政府はここでもってはっきりといわゆる影響を与えないというのか、それとも今までの計画が自分としては聞違いがないのだけれども、さっき言った行き過ぎを少し押えなければいけないから、この際、地方の自治団体に対するところの投融資というものについてはここで押えなければならぬ、今までの方針は変えなければならぬ、こういうふうにあなたはお考えになるのか、この点もあわせて一つお答えをいただきたい。
  39. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 今回の総合金融対策につきましては、そのつど閣議の了解を得てやっております。五月の八日に二厘引き上げの問題は、これは日銀できめることでございまして、大蔵大臣報告を受けるだけでございまするが、閣議へ報告いたしております。その後、不要不急物資と申しまするか、割にぜいだく品のようなものに対しましての輸入の場合のキャッシュの積み立て、二割五分のキャッシュの積み立ては通産大臣の所管で、通産大臣から閣議の了解を得てやっておられるのであります。それから総合施策につきましては、全部閣議に出しまして了解を受けておるのであります。で、今お話の国鉄関係で一割五分を減らす、どういうふうに減らすか、こういう問題でございますが、御承知通り今年の財政投融資の全体のワクは四千九十一億でございます。昨年は三千五百何ぼでございました。で、六百二十五億円減らしましても、大体昨年よりもちょっと上回る程度の投資になるのであります。で、国鉄につきましては、ただいま公募債その他で百億円ぐらいをスロー・ダウンしてもらおうかと思っております。御承知通り、国鉄は昭和三十一年度におきまする修繕その他の投資は五百五十億でございます。ことしは千五十億でございます。ちょっと倍近く、五百億円ふえておるのであります。そこで百億円程度のものはしばらくスロー・ダウンして、様子を見てもらおう、こういう考えでおるのであります。各般にわたってやっておりまするが、大体の考え方といたしましては、事業計画を一割程度スロー・ダウンしてもらいたい、そうして昨年からの繰り越し程度を翌年へ繰り越す、こういう方針でやって参りますと、全体で一五%、事業計画でいきますと、個々のものによって違いまするが、開発銀行あるいは電源開発会社につきましても、大体事業計画の一割程度、それから輸出入銀行は、これは輸出増強のためでございまするから、これは手をつけておりません。で、東北会社とかあるいは愛知用水とか、あるいは森林公団等におきましては、これは別に手をつけなくても、大体事業計画からいって、このくらいは翌年度へ繰り越すだろうというのが見込れる分につきましては、事業計画をこれこれスロー・ダウンすることはいたしておりませんが、今お話の国鉄につきましては、本年の設備その他の投資が千五十億、昨年が五百五十億、こういうときにおきましては百億ばかりのスロー・ダウンをしていただこうと、こういうことで話を今進めております。  経済界の動き、また租税収入の点におきましてはいろいろお話がございましたが、私は先ほど申し上げましたごとく、全体としての動きが順調にいっております。従って、行き過ぎの点を押えていくならば、私は税収入その他につきましてもお話のような点は起らない。やっぱり相当の自然増が出ることと思います。また地方公共団体についてはどうするか、御承知通り地方公共団体は各事業別に起債の割り当て等を相当おやりになっているようでございます。しかし、実際問題といたしまして、昨年の実績を見ましても、地方債の発行八百五十億のうちで三百五十億は繰り越しになっている。こういうふうな状況でございますので、私は千億円の地方債のうち、五十八億円を繰り延べするようにお考え願いたいと、こういっておるのであります。昨年はどうかというと、八百五十億円の分で三百五十億繰り延べされているような状況でございまして、私は地方公共団体におきましても、すでに割り当てられた分につきましてまあ少しかげんしてくれというようなところまでは言えるのじゃないか、またそう急を要しないというふうなものにつきましては、予算のワクを削ってしまうというのじゃございません。スロー・ダウンということでございますので、これが経済界に好影響を与えまして、行き過ぎが押えられる。従って不当なセメントの値上り等もなしで済むのじゃないかという気持ちでおるのであります。
  40. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記とめて。    〔速記中止
  41. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記つけて。
  42. 相澤重明

    相澤重明君 私はあなたのおっしゃった、総体的に一割程度の事業計画の変更、いわゆる積極政策の中で一・五のスロー・ダウンを考えているということは、かなり大きな政策の私は修正ではないかと思うのですよ。むしろこういう段階にくれば、私は実は政府としてはそれだけの政策の修正をされるというなら、臨時国会でも開いて、そうして国民の前にこれを明らかにすべきだと私は思うのですよ。これはもう非常に大きな問題で、私は銀行が金を貸すのを大蔵大臣の希望されるように押えることは、これはできるかもしれぬ。しかし、すでに事業計画を立って着手をしておる仕事を、ここでやめるということになったらどうなりますか。私は非常な混乱が起るのではないか。これは日本の政策自体が、この三十二年度の予算を作るときの私は根本になる問題だったと思うのです。それがわずかニヵ月か三ヵ月のうちにこういうことになるということは、これはもう何としても私は、大臣が熱心にお話しになっているけれども、これは私はやはり国民にはなかなか納得できない。もしこれを推し進めるとするならば、やはり国民の前に明らかにするには、臨時国会を開いて、この政策というものを明らかにしていかなくちゃならぬ、こういうところの決意を私は表明してほしいと思うのですよ。それで、いわゆる地方自治団体等についても、昨年は繰り延べが多いからということを言われておりますが、むしろ私は短期による、御承知のように地方債に対しては短期の融資ですから、そういうようなものは長期的に計画性を持ったものに変えていく。ニヵ月や三ヵ月でどんどんネコの目が変るような政策の転換ということは、私は許すべきことではないだろうというふうに考えるのですが、この点についても臨時国会でも開いて、ほんとうにあなたが大丈夫なんだ、修正ではなくて、これはほんとうに一部の問題だけだと、こういうような考えであなたがおるのかどうか、私はちょっとその点疑問に思うので、最後に一つお尋ねしておきたいと思うのです。
  43. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほど来お話し申し上げておるところでおわかりいただけると思うのでございまするが、ただいまの状態は、実行予算を組むほどの状態ではないと思います。もう少し様子を見る必要がございます。予算を変えてどうこうする程度には至っておりません。お話しのようにもう仕事を始めていいじゃないか、こういうようなお話でございまするが、まだ三十二年度におきまして仕事を始めて大きく計画を変更しなくちゃならぬような事態にいっておりません。支払い予算もまだ全部つけておるわけじゃございません。従いまして、計画を少し、一割程度スロー・ダウンすることで運んでいただければ、私はこの状態が突破できると考えておるのであります。で、御審議をいただいたあの大切な予算、あるいは財政投融資をそう今の一時的な現象を見まして変えるというふうなことは、先ほど来私が申し上げましたごとく、今年の見通しにつきまして変える必要は私はないと、こう考えておるのでございます。
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 さっきの御説明では、自然増収、これは少しも影響はないだろうというふうな、だいぶ強気な発言だったのですが、どういう根拠になるか。政府の最初組んだ二千億の自然増収というやつは非常に辛いという、そういう点に立っていると思うのです。何かそういう基礎がはっきりしないと思うのですよ、今聞いただけでも。これは金融引き締めの問題が、どうしたってこれは中小企業にしわが寄ってくる、こらいろ点からの影響はばかにできないと思うのです。もっとも三百五十億のこれは金融面は確保するという話ですが、これは当初の計画で、新たに別に三百五十億の金融をここでつけるというのじゃないと思うのです。それから事業計画、財政投融資の引き延ばし、こういうことからくる影響というものは、非常にやはり国民所得に影響を及ぼしてくるだろうと思う。当然そうすると二千億の自然増収というものは手放し楽観は許されない。私はこういうことをお聞きするのは、実は今から徴税の問題について質問するわけでありますが、それと関連して、徴税の方針がとういうような予想の上に立つということになると、現実を無視して、方針だけが苛烈に頭から押しかぶさってくるという事態が起る。過酷な徴税というものは、国民生活に大きな影響を与えるわけでありますから、この点についての基礎、もっと科学的な基礎を明らかにしてもらいたい。単に見積りや思惑じゃ因る。こういうことをここで説明されたのじゃ困る。科学的な基礎で二千億の自然増収の場合の条件と、すでに条件変更が起っても、そういう基礎の上に立ってなお強気にそういう影響はないというような立論の根拠はどこにあるか、この点を明確にお答え願いたい。
  45. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 二千億の自然増収は昨年の暮に一応計算を立っておりまして、予算におきまして、所得税におきまして千億の減税、租税措置によりまして二百五十億の増税等で、大体租税収入は九千五百億円とわれわれは昭和三十二年度を見込んでおるのであります。正確に申しますと、九千四百数十億、去年の実績は九千五百億円、千億円減税で去年と大体同じ程度に見ておりますが、今年の四月、五月の収入状況を見まするというと、三十二年度の九千五百億近い見積りにつきまして、今の四、五では相当の予算よりも上回る状況でございます。昨年の実績によりまするというと、四月、五月を通じまして、予算に対して一四%ぐらいが入っておったのであります、昨年……。今年は四月、五月で予算に対して一八%をこえる収入歩合になっておりますので、この状況が続きますならば、相当の自然増収があるのじゃないかと思います。ただ問題は、それを、財政投融資その他を一割なり一割五分切った場合において日本の景気がどうなるかという問題でございますが、私は今の物価の状況並びに生産のふえること、そうしてまた輸出もふえてきておる状況を見まするというと、そう租税収入が非常に赤字が出るというような状態は来たさない、こういう確信を私は持っております。  租税収入、昭和三十二年度年の九千四百数十億円は十分入り得るものと思う。あるいは今の情勢ではそれを上回るのではないか。従いまして、昨年の暮に二千億の自然増収、正確に申しますと、千九百二十億の自然増収は、これは相当低目であった、日本の経済はそれだけわれわれの予想以上に伸びておるとわれわれは見ておるのであります。
  46. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  47. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  大蔵大臣退席されましたが、ほかの事項についての御質問がありましたら、どうぞ説明員の方に……。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二、三点伺います。会計検査院の方に伺いますが、租税是正事項内訳を見ますと、徴収過不足の件ですが、こういう徴収過不足を生ずるというのは、私は公務員の資質と関係があるのではないか。そうだとすると、不足の場合と、過の場合は同じカーブを描かなければならぬと思うのに、これを見ますと、二十八年、二十九年、三十年と数字を見ると、不足の場合は三億六千万からずっと四億四千万までふえて、反対にこの過の方は四千万から一千万と少くなっているのですね。これはどう解釈をしたらいいでしょうかね。
  49. 大澤實

    説明員大澤實君) 徴収の検査をいたしますときに、いろいろな種類があるのですが、税法の適用を誤った、この分は徴収過も出ますし、不足も出てくるわけです。ですが、そのほかのいわゆる個人との取引の調査が不十分であった、もら少し調査すれば、こういう取引があったためにこういう所得があった、あるいはこういう譲渡があったら譲渡所得がこれだけある。これは微収過というのはほとんど徴税上出てこないのです。そういう関係がありますので、全体を通じますと、やはり徴収不足というのがどうしても多くなります。徴収過というのは、ほとんど税法の適用の誤りというので出てくるので、比較的件数も金額も少くなってくる、こういうことになっております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だんだんとその徴収不足の方が多くなったと、これは相当手かげんしているんじゃないかと思うのだが、この徴収不足に該当する納税者の階層はどういう階層が多いのですか。
  51. 大澤實

    説明員大澤實君) 階層というのは、結局納税者中小企業であるとか、こういうものであるとか……。それはやはり内容によりましていろいろありまして、たとえば源泉徴収の所得税を取っていない、こういうものは、むしろ大ぜいの従業員を使っているところの、まあ大企業といいますか、相当手広くやっているところにそうした例が相当ある。それから、ことしの検査で一番大きく出ておりますのは、いわゆる国鉄共済組合物資部、これが収益事業を営んでいるのに法人税を取っていない。これが一億数千万、こういうのが大企業の例であります。そのほかに個人の譲渡の所得だとか、あるいはそうした面でいわゆる小さな金額なのは、簡単にいいますれば、やっぱり中小企業あるいは個人ということに大体なるのではないかと思っております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大蔵省に伺いますが、この四億四千万の徴収不足に対しての徴収についてはどういう目標を掲げ、どういう見通しを持っておられますか。
  53. 原三郎

    説明員原三郎君) 昨日も簡単に触れましたけれども、三十年度、三十一年度分としまして、更正決定なり誤謬訂正なりという形でもってそれぞれ調定をやりまして、一部収納、一部滞納になって今後引き続いて徴収と、そういうふうな過程になっております。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的に本年度中にどのくらい徴収できますか。大体の目標と見通しを持っておられますか、大まかな答弁でけっこうです。
  55. 原三郎

    説明員原三郎君) 課税はほとんど全部済んでおりますのですが、収入の見込みにつきましては、実は手元に資料がございませんのですが、まあ大半と申しますか、大部分は徴収できるのじゃなかろうかと、かように考えております。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一、二点伺いますが、会計検査院の方に伺いますが、五十九から七十六の「滞納処分に関し処置当を得ないもの」という、七十ページですが、十八税務署において左の通り十八件あったと書いてあるのですが、この資料で見ると、一税務署に一件になっているのですが、そういう割合に全国的にこれはあるものでしょうか、どういう見通しを持っておるのですか。
  57. 大澤實

    説明員大澤實君) これはまあ一税務署一件というわけじゃありませんので、ある税務署は二件、三件とあるわけですが、われわれの検査しますのは、大体全国五百余の税務署のうち、東京都内とかその他は全部にわたって行っておりますが、地方は遠隔の部分を除きますと、約四〇%、二百余カ所の税務署を見ておるわけです。そのうち特に検査した結果出たのがここに出ておるわけでありまして、各税務署にあるというわけでもありませんし、平均にあるわけでもないと思います。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これを見ますと、理解に苦しむのですが、差し押えるべき財産があるのにすみやかに差し押えをしなかったりして、若干徴収する人と、納税者との間でつうつうでやっておるのじゃないかとさえ考えられると思うのですが、たとえば七十六の点なんかそらでしょう。三十年十月不納欠損処分にした、滞納処分の執行を停止したのが二十七年二月、滞納金額は約百万ですか、ところが二十五年九月以降所有していた宅地を二十九年十一月に百二十八万で売却しているのですね、こういうことはわからぬはずはないと思うのだな。これはよほど公務員が怠慢か、むしろ怠慢というよりは、私は意識的につうつうで逃がしているのじゃないかとさえ考えられると思うのだが、こういう事件の該当者というものは、僕は相当手きびしく戒めていいのじゃないかと思うのですが、だから会計検査院はどういうふうにお考えになっておられるか、私は伺いたいと思うのです。この不正行為の問題もありますが、その不正行為の処分の事後処置、それを見ても、当事者だけであって、上司に及んでいないですね。これほ私は、こういうささいな問題から大きな国民の世論を起す汚職の問題に至るまで、場合によるとお気の毒であり、また若干実情に沿わない面が出てくる場合もあるかと考えますが、しかし今のわが国の現状を打破するためには、当事者のみに限らず、処分というものは上司にある程度及ぶようにやらなければ、僕は百年河清を待つたぐいになると、こういうふうに私は考えるものですが、会計検査院の方から、ただいまの「滞納処分に関し処置当を得ないもの」、ここに十数件掲げられているわけですが、それに対する私の意見を交えての質問の答弁と、それから不正行為に対する事後の処分の問題についての御見解を私は承わりたい。
  59. 大澤實

    説明員大澤實君) 最初に滞納処分の執行停止関係であります。ただいまお話になりました七十六号、これはこの財産が博多税務署管内じゃなくて隣の福岡税務署管内——同じ福岡市内です、そこにありましたために、しかも登記が中間省略になっておりましたために、税務署の方ではわからなかったというのでありますが、個人についてよく調べれば私はわかったのじゃないかと思われますので、これは不当事項としてここに掲げてあるわけであります。そのほかの案件につきましても、大体似たりよったりなんですが、今の署員と何かつうつうになっているのではないかという御懸念に対しては、われわれの検査の面で、そういうことではっきりしておることはありません。過去のことはもちろんわかりませんが、われわれの検査の面で出てきたのは一つもありませんということを申し上げておきます。  それから不正行為の処分の問題ですが、これは御承知通り会計検査院が懲戒処分の要求をするという場合には、会計事務を処理する職員の行為、その職員に対する懲戒処分を要求する。当該の場合ならば、この実際領得した人間、これに対する懲戒処分の要求は当然やれるわけです。しかし、これはもう大体各省においてそれぞれ懲戒処分が行われておる。監督に対する懲戒処分という問題は、これはいわゆる一般行政の問題でありまして、会計検査院から懲戒に対して云々するということはない。ただ個人的に考えますれば、一般に懲戒の処分というのは、この会計の非行為に対するいわゆる監督者の懲戒の処分というのは、全般的に国税庁とかその他を問わず、少し低いのではないかという感じは、これは個人的に私は持っております。
  60. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    〔速記中止
  61. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。  ほかに御質疑はございませんか——御質疑はないと認めます。  では、租税関係質疑は、これで一応終了したものとして御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  これをもって大蔵省検査報告批難事項第五十八号から第七百一号までの質疑は一応終了いたしました。  速記をとめて。    〔速記中止
  63. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記を入れて。国家財政の経理及び国有財産管理に関する調査を議題といたします。  本日は、日本国有鉄道の経理及び財産管理状況に関する件のうち、池袋民衆駅について審議を行います。本件に関し御出席の方は日本国有鉄道石井常務理事、今井施設局長の諸君であります。  御質問がある方は、順次御発言を願います。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 かねて当委員会において審議継続中の池袋のデパートの問題について、この際、その後の経過並びに今後における国鉄の当局の考え方について、具体的に一つ説明を願っておきたいと思います。
  65. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 池袋の民衆駅の問題につきましては、国会開会中当委員会におかれましてもいろいろ御審議に相なりました。その際にるる御説明申し上げたと存じておりますが、その後今日までの経過をごく簡単に概略申し上げますと、工事関係につきましては、後ほど施設局長から申し上げます。御承知のように、百貨店法によります認可を五階までの一万平米若干を許可されましたので、あるいはそれ以上にいろいろ百貨店の面積をふやすのじゃないかという御懸念があったようであります。この点につきましては、はっきりした態度を表明いたしまして、業者側もこれに納得いたしまして、その計画を進めておりますが、今日のところでは五階以上を何に使うかということについては目下鋭意検討をいたしておるようでございます。私どもといたしましても、駅の品位あるいは公衆の利便という観点から、単に勝手に業種を選定してこれでやるんだというのでは困るのでありまして、きまりましたらあらかじめよく打ち合せをして、こちらの承認を得てからその状態をきめるという態度もはっきり向うに申し伝えておるわけでございます。  大体経過はそういうふうなことになっておりますが、工事の進捗状況につきましては施設局長から御説明さしていただきます。
  66. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) それでは私から池袋の民衆施設の工事の進捗状況を御説明いたしたいと思います。前の国会でそれまでのいろいろの問題につきましては相当しばしば御説明申し上げました通りでございまするが、大体、百貨店法の規制を受けまして、一万一千平米のフロア面積に限り百貨店営業ができるというふうになりました関係上、昨年の大体三月ごろから工事に着工しておったんでありまするが、その工程が昨年末から本年の初めにかけまして約ニヵ月半程度の停滞をいたしました。この停滞は、やはりそういう規制を受けました関係上、建物の細部、たとえば配管でございますとか、非常に複雑なガス、水道、電力、通信、その他営業に必要なものを決定しませんと、付帯が施工できないのでありまして、そういうものをやはり規制の関係で根本的に変更が考慮されますので、そういうふうな二ヵ月半程度の遅滞があったというふうに承知いたしております。しかしながら、それも本年の一月末ごろから大体目途をつけまして、下の方から逐次普通の順序で、ビルディングの施工の順序で施工いたしておりまして、現在は大体二階のフロアーを一応終って、柱などをやっておるというふうな段階でございまして、現在相手方と打ち合しております工程の見通しといたしましては、五階まで、すなわち百貨店法の規制を受けました、その百貨店に関係のあるのが五階まででありまして、これを当初の計画よりもおくれまして、十二月一日開業する。六階以上につきましては、ただいま御説明のありました通り、百貨店に該当するような営業はできないのでありまして、いろいろそれに入居する、まあ貸室といいますか、そういう話があるようでありますが、収支のバランス上非常にそれは重大なものですから、鋭意その選定をいたしておるという段階でございまして、その六階以上の部分につきましては、何らかの選定を終りまして、三月ごろ使用開始をするというふうに予定されております。なお民衆駅でございますので、旅客、公衆に従来非常に工事で御迷惑をかけておりますことを早く解消するという重大な考え方がございます。そういう考う方によりまして、一刻も早く一階ないし地階の乗降に関する駅の機能の使用開始ということを厳重に相手方にも通告いたしまして、今のところおそくとも一ヵ月内には使える。で、もっともっとそれを早く活用する交渉を継続中でございます。これにつきましては、私どもの方の施工担当の東京工事局によく厳重にその趣旨を話しまして、目下細部を練っておるという段階でございます。  大体その後の経過は以上でございます。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでこの際、大体現状と将来の問題について若干お伺いしておきたいのですが、相手方と百貨店の使用面積等についての契約の変更はもうできているのじゃないですか。
  68. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) これは先般国会開会中に、たしか久保委員からも御注意がございました。さっそく覚書という形で百貨店の面積を限定いたしました協定を、たしか三月の半ばごろいたしたと記憶いたしております。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは覚書をかわしたということなんですね。それから六階以上のことについてはまだ決定しかねておるというようなお話なんですが、これは決定するとして、だれが経営することになるのですか。やはり丸物が経営することになるのか、あるいはほかの者が経営することになるのですか。
  70. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) これは管財の分野の事柄でございますが、私も参画いたしておりますので、私から御説明いたしたいと思います。先ほども申し上げましたように、これでは百貨店としての経営はできないのでありまして、丸物がやるにいたしましても、直接百貨店法に該当しない貸し店舗、もしくは委託経営あるいは直営というふうな方法をとる、そんなふうに聞いております。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体丸物が経営するというような方向にいくという公算が多いのでありますか。
  72. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 業種がきまりませんので、丸物としてはいろいろ検討いたしておると思いまするが、私は必ずしも丸物の直営になると考えてもおりません。まあたとえば、かりにホテルといろものになるといたしますれば、おそらくこれは直営でやるか、あるいはホテル経営の非常に経験のある者に委託するとか、あるいは貸すとか、いろいろのやり方があると思うのであります。そこまで実はまだきまってもおらないし、私ども相談を受けておりません。丸物の直営でなければいかぬというふうにも考えてもおりません。私どもといたしましては、池ビルの会社と第一段の契約をいたしますが、使用するのは池ビルの会社とは限らない。実際に営業いたす場合にはさらに別のものが、あるいは業務委託の、あるいは賃貸借の格好というようになるのじゃないかと思っております。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 この前あそこを拝見したときに、一階の広場ですね、あそこの設計が少し食い違っておるようだったのですが、あそこはどうなったのですか、結局売店とか百貨店とか作らないというような設計に直ったのですか。
  74. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) この前御視察のときに図面でいろいろ御説明申し上げたと思いますが、そのときに図面がちょっと間違ったのがございまして、そこで訂正したと思いますが、一階の広場は階段、エレベーターというものはございまするが、大体において一階に丸物の経営する売店はございません。ただ正面に向いまして右側に案内所ができる予定でございます。コンコースの中に案内所が、その奥行きが要らぬものですから、その裏側にごく厚さの薄い何か売店みたいなものが若干できる、その程度でございまして、さように承知しております。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはお伺いしてもおわかりなるかどうかと思うのですが、そういう計画でありますというと、丸物としてはどらも採算がとれないのじゃないかというような懸念があり、ひいては国鉄にいろいろと迷惑をかけるという公算もあるのじゃないかと思いますが、そういう懸念はありませんか。
  76. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) なるほど売場面積が予想していたよりも縮小されました結果、百貨店自体としての経営は当初予想していたよりは非常に困難性を加えておることは確かだと思うのであります。しかし、それをもって採算がとれないからやめるというような意思は毛頭持っておらないようでありまして、さらに六階以上をもっと有効に他の業種に利用するということによって当初の目的を達するという、まあ収支のバランスをとるということに目下真剣に検討しておるようであります。全然収支のバランスが立ちにくいから、これでまあ俗に申せばお手あげだというような感じは持っておらないようでございまして、私どもも同じ考えでございまして、なるほど立ちにくいことは前よりは多少条件が悪いとは思いまするが、努力によりまして相当の成績をあげることができると、かように考えておる次第でございます。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ将来の問題について二、三お伺いしたいと思うのですが、あそこへ乗り入れすることになったところの上信越線、これは立ち消えになったのですか、やはり計画がおありなのですか。
  78. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 上信越の乗り入れにつきましては、これはもう御承知のように現在の上野駅が非常に飽和状態に達しておりますので、将来信越線あるいは東北本線の輸送力の増加という、幹線の増強ができましたときには、当然私は池袋というものは考えていかなければいけない。それで現在、じゃどういう具体的計画があるかということになりますと、まだお見せするほどのものはありませんが、上信越のためにあすこを使わなければならぬ時期が近い将来に必ずくるという頭で私どもは仕事をいたしておるわけでございます。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 次に、何か聞くところによるというと、駅前の地下商店街ですね、これが許可になるとかならぬとかいう話があるそうですが、この駅前の地下をこのままパーキングにするというような、そういうお考えはないですか、車の。パーキング。
  80. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 駅前広場の地下の使用につきましては、特に東京のような大都市はいろいろ出願がございますが、地上は都市計画できめました広場でございまして、最近のような状態では、地下の通路あるいはパーキングのごときは、地上と一体になって非常に重要な公共的な役割をしなければならないというような観点から、昨年の秋と思いましたが、国鉄、建設省、東京都というような関係のところで、駅前地下施設のやり方につきまして覚書をかわした次第でございまして、これはもちろん、重要な都市計画による駅前広場の地下に限って適用する覚書でございますが、大体その覚書の趣旨を申し上げますと、従来は御承知通り、広場というものは、大体中ほどに用地の境界線がございまして、駅側は鉄道がその用地を持つ、反対側は道路管理者といいますか、行政関係の方が持つということになっておるのでございますが、そのいかんにかかわらず、それが多少線がどこにあろうとも、機能として一体でございますので、都市計画によって地下のあり方を決定するというふうに覚書をかわした次第でありまして、従いまして、関係の三者があらかじめ具体的な計画、地下通路をどうする、それで店舗をどの程度張りつける、ことに地下はどういうふうにガレージにする、あるいはする必要がないというようなことにつきまして、十分具体設計、具体計画を打ち合せまして、それを都市計画の手続によりまして処理する。すなわち都市計画審議会にもかけるというような方法によりまして決定することになっておりまして、当然池袋の駅前広場の下もそれによって処理することになるのでありまして、現在までのところ、まだ具体的に東京都からどうしよう、あるいは国鉄の方からどうしょうという交渉はいたしておりません。大体そういう段階でございます。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、あすこの地下は、国鉄としてもあれをパーキングにするという計画は今のところお持ちになっておらぬわけですか。
  82. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 鉄道自体といたしましては、パーキングのことも概括的にはもちろん考えておりますが、パーキングと申しましても、大体まあ大きく分けて、駅の乗降のための待ち合せという程度のパーキングと、それから半日なり一日なり、一昼夜なり、駐車料金を取って預かってやるというふうなパーキングとございまして、そのあとの方のパーキングは、ことさらそういう広場の下に設ける必要はない。で、地上の実態をよく検討いたしまして、必要があれば、その乗降のパーキングというものはもう地下に確保するよりか手がないので、それは検討いたしております。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 あれは建坪は何坪あったかね、デパートを建てる。
  84. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 今、的確ないわゆる敷地面積の資料をちょっと持ち合せがないのでございますが、大体建坪的な面積としては一千平米、延べ坪平米は三万一千平米で、一階分、すなわち建坪としては約一千平米でございます。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 これは二十六国会で駐車場法が通った後における百貨店あるいは銀行、あるいはまた国鉄等の大きな建物の際には、駐車場を作らなければならない、少くとも三千平米以上のものについてはその法を適用させる。たとえば一つの例が、東京駅の前の丸ビルであっても、新たに新築をする場合は当然そういうことも考える、古いものでも大きいものはそういうものを適用される。こういうような駐車場法の審議の際に建設大臣なり、あるいはまた関連して運輸大臣が答弁をされておるわけですが、今の国鉄の場合には池袋の駅前の広場、あるいは池袋の民衆駅を作る場合の構想の中には、そういうものは全然織り込んでないのかどうか、大倉委員質問とも関連をするわけですが、これはどうなっておりますか。
  86. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 駐車場法との関係につきましては、あの八階の民衆駅を作ります当時は、計画を策定いたします当時はまだありませんものでしたから、その建物の下に考えるということはいたさなかったのでありまして、駐車場法ができましたので、十分それを考えまして、今後できます方法でその法律の趣旨を体していきたい、こういうふうに今検討しておる次第でございます。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますと、先ほど大倉委員の御質問で、たとえば駅前の地下についてのそういう考え方がまだはっきりしておらなかったようですが、そういう点についても十分、駐車場法の通った今日においては、国鉄としては今後具体的に検討をされる、こういうふうに理解をしてよろしうございますか。
  88. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 仰せの通りだと存じます。十分検討していきたいと思います。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと、今のは私の質問したいことをされたのですが、その場合、その駐車場を作るということは、国鉄自体でおやりになるのか、あるいはステーション・ビルですか……株式会社、ここでおやりになるのか。
  90. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 現在までの考え方といたしましては、ステーション・ビルと、ただいまの御議論の広場の問題とは別個でありまして、ただただいま相澤先生からお話のありましたビルディングに出入りするものの受け持つべき車の駐車をどうするかという関連があるだけだと存じます。  それからその事業をどこでやるかということにつきましては、先ほど申し上げました通り、都市計画法によりましてやるのでございまして、これは国の事業としてやることになります。しかしながら、特別な場合には、それを特定の人にさせることができるというふうに、大体骨格がなっておりますので、そういうこともできるわけであります。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 次に移りますが、区画整理の精算に当って、東口の方から、駅舎の用地の増換地の五百九十坪ですか、これについて坪当り二百万円、合計十二億円ぐらいの要求があるというのですが、こういう事実がありますか。
  92. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 用地の取得は増換地じゃなしに換地だと思います。それからただいま詳細にお伺いそこなったのですが、三百万円云々という問題はもう一度一つ……。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 五百九十坪に対して坪当り二百万円、合計十二億円ぐらいの要求をしておる、東口の方から。そういうことを聞いておるのですが、そういう事実はあるのですか。
  94. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) そういうことを聞いたことはございません。
  95. 大倉精一

    ○大倉精一君 それでは参考のためにもう二点ばかりお伺いしておくのですが、何かこれが、私の耳にしたところによると、西口の方の鉄道教習所、あそこの一部をどこかへ払い下げるといううわさがあるのですが、そういう御意向はあるのですか。
  96. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) 西口に残っております教習所の敷地は、どこにも払い下げる今計画はございませんで、東京付近の鉄道のいろいろ現場機関、地方機関の敷地に困っておりますので、教習所として国分寺の方へ主力が移っておりまするが、将来あそこに残っておりますものを移しても、払い下げいたしません。
  97. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後にもう一つ、念のためにお伺いするのですが、西口の方にたとえば東武会館というような民衆駅というものをお作りになるという、ちょっとそういううわさがあるように聞いておるのですが、そういう計画はおありになるのですか。
  98. 今井四郎

    説明員(今井四郎君) ただいま池袋で相当重要な問題は、地下鉄——高速度交通営団のあの地下路線を外側へ抜く問題でございまして、これは非常に複雑な設計、協議がからんでおるのでございます。対西武、それから東武、国鉄というふうにからんでおるのでございますが、早くそれを抜きまして、その上に自由に東から西に通れる自由通路をその上に設ける。それが非常に国鉄としても、旅客公衆にお報いする方法としまして急いでおるのでございますが、最近その設計が、ほぼ相談がまとまったという段階でございまして、その問題にからみまして、鉄道用地ではございません、東武の東上線のターミナルの、東武さんの敷地の上にビルディングを作るというお話は聞いております。それは用地も東武の用地でございまして、私どもは直接関係のない問題でございます。
  99. 相澤重明

    相澤重明君 ちょっと関連してお尋ねしておきたいのですが、池袋の民衆駅の問題が非常に長引いたということについては、やはり非常に問題があろう。国会で審議をされた、あるいは議論になった場合には、国鉄当局としても、早急にその趣旨に沿って、そして早くやはり利用者のためになるような方針でこれを作ってやるということにしなければいけないじゃないか。手続や、あるいはまた、そうした国会の意思というものを尊重するのが、おくれるということは非常に、かえってやはり利用者のためにマイナスになる。こういうことであると思うのですが、それに関連して、他にも民衆駅がたくさん国鉄に出願があるということを聞いておるのですが、民衆駅をやはりこれからも作っていく考えでおるのか、それとも、もうめんどうだからやめるという、こういう考えでおるのか、その点をお伺いしておきたいと思うのです。
  100. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 目下、民衆駅の出願も相当出ておりますが、私どもといたしましては、御承知のように民衆駅等運営委員会という、部外の方々のお知恵を拝借する機関がございますので、出願のありますものは、それの御審議を願って善処いたしておるのでございます。国会でいぢめられるから、めんどうくさいからやめちゃったらいいという考え方もございませんし、また、やたらに民衆駅大歓迎というようなことで、どんどん作るつもりもございません。結局、いろいろな観点からいたしまして、国鉄も利益になり、また地元の方々にも喜んでいただく上に、旅客公衆の利便を増す、そうしてまた私どもの方のいろいろな設備の改善とか、われわれの資金によらずして適当な他の御援助をもって完成していく、いろいろな要素、観点で公正なる、しかも非難を受けないような方法でやれるものはこれをやって参りたい、かように考えておる次第であります。
  101. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと結論的には、その土地の人たちの意見というものを十分組み入れて、そうして国鉄としても国鉄の運送にできるだけ協力をしてもらう、こういうようにこの条件というものはいろいろ検討をして作っていくこともある、まあ国会でしかられたから作らぬ、こういうことではない、こういう意味ですか。
  102. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) いや、国会云々はまことに……ちょっとはなはだ国会の席上で申し上げて恐縮でございましたが。単なる一つの用語の悪かった点でお許しを願いたいと思いますが、ただ、いろいろ御非難もありましたので、そういう御非難のないような方法で、しかも国民の皆様に喜んでいただけるものはやりたい、かように考えておる次第であります。
  103. 相澤重明

    相澤重明君 いま一つだけお尋ねをしておきたいのですが、国鉄の駅舎の、大体前には国有地と、いわゆる国鉄の土地と民有地というものがどこでも交錯しておる、こういうことが多いと思う。ところが中には国鉄の用地を民間に貸しておる。ところがこの民間に貸した人が、さらに第三者に貸すというようなことで、なかなか実際の国鉄の収益を上げる場合に貸借関係がはっきりしない、なかなか金が入らない、こういうような問題、あるいは事業を起す場合に紛争の種になる、こういうようなことがまま聞かれるのでありますが、国鉄当局としては、今後はいわゆる貸借関係というものは、直接のものに直していくのか、それともそういうふうに、何もその貸借が変っても、それは直接はかまわぬ、こういうことで、最初に結んだ人に対していわゆる責任を持ってもらうという考えでいくのか、こういう点を一つ明らかにしてもらいたいと思うのです。
  104. 石井昭正

    説明員(石井昭正君) 実は相澤委員の御指摘になりました点が、高架下等の貸付につきましては非常に錯綜しておりまして、そのためにいろいろ問題となりまして、お小言もちょうだいいたしておるようなわけでございます。私どもといたしましては、やはり今後はそういう関係を明確にいたしまして、いわゆる又貸し、不当な又貸しというものはないようにやって参りたい。すなわち、直接使用者を対象としてやって参りたい、ただ誤解を招かないために一言申し添えさせていただきますならば、いわゆるその貸付の目的が、当然第三者に利用させることを内容としているもの、たとえば貸室営業とかというようなものでございますれば、これは当然第三者に貸すことを前提とした営業を認めているわけでございまして、そういう場合は、その入居者等についてはある程度の発言権を保留いたしまして、そうしてこれを認めていくということに相なるかと思います。  なお、しかしながら、経営者その他が経営困難等に陥って他に譲渡したいというような場合もあるかと思います。そういうときは、そういう場合、ケースをよく見まして、そうして正式に手続をとって又貸しを承認する、譲渡を承認するという格好で処理していった方がいいのではないか、かように考えておる次第であります。
  105. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をとめて。    [速記中止
  106. 三浦義男

    委員長三浦義男君) 速記をつけて下さい。  では本日のこの問題についての審議はこの程度にとどめます。  これで本日の審議を終りますが、次回は理事会で打ち合せました通りに九月九日に開会いたすことにいたします。日程及びその取り扱います組み合せにつきましては、追って書面をもって御通知申し上げますから御了承願いたいと思います。  ではこれをもって委員会を散会いたします。    午後四時三十二分散会