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1957-04-02 第26回国会 参議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二日(火曜日)    午前十時四十六分開会     —————————————   委員異動 三月三十日委員佐野廣辞任につき、 その補欠として西田信一君を議長にお いて指名した。 三月三十一日委員西田信一辞任につ き、その補欠として塩見俊二君を議長 において指名した。 四月一日委員塩見俊二辞任につき、 その補欠として佐野廣君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     笹森 順造君    理事            佐野  廣君            鶴見 祐輔君            曾祢  益君            梶原 茂嘉君    委員            鹿島守之助君            黒川 武雄君            杉原 荒太君            津島 壽一君            永野  護君            野村吉三郎君            竹中 勝男君            森 元治郎君            吉田 法晴君            石黒 忠篤君   政府委員    外務政務次官  井上 清一君    外務参事官   服部 五郎君    外務省経済局次    長       佐藤 健輔君    外務省条約局長 高橋 通敏君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選日本国ノールウェーとの間の通商  航海条約批准について承認を求め  るの件(内閣提出) ○関税及び貿易に関する一般協定の改  正に関する諸議定書受諾について  承認を求めるの件(内閣提出) ○貿易協力機関に関する協定受諾に  ついて承認を求めるの件(内閣提  出) ○所得に対する租税に関する二重課税  の回避及び脱税防止のための日本  国とアメリカ合衆国との間の条約の  補足議定書締結について承認を求  めるの件(内閣提出) ○日本国チェッコスロヴァキア共和  国との間の国交回復に関する議定書  の批准について承認を求めるの件  (内閣送付予備審査) ○日本国ポーランド人民共和国との  間の国交回復に関する協定批准に  ついて承認を求めるの件(内閣送付、  予備審査)     —————————————
  2. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず委員異動について報告いたします。三月三十日に佐野廣君が辞任せられて西田信一君が補欠となりました。同月三十一日西田信一君が辞任されまして塩見俊二君が補欠となりました。昨一日塩見俊二君が辞任せられまして佐野廣君が補欠となりました。委員異動に伴ない当外務委員会ではただいま理事が一名欠けておりますので、理事補欠互選を行います。互選の方法は慣例によりましてその指名を委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 御異議ないと認めます。それでは私より佐野廣君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に、日本国ノールウェーとの間の通商航海条約批准について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定改正に関する諸議定書受諾について承認を求めるの件、貿易協力機関に関する協定受諾について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約補足議定書締結について承認を求めるの件、以上四件を一括して議題といたします。まず政府から提案理由の説明を聴取いたします。
  5. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいま議題となりました、日本国ノールウェーとの間の通商航海条約批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  わが国ノールウェーとの間の通商航海関係は、戦前におきましては、明治四十四年六月十六日に署名されました通商航海条約及び特別相互関税条約によって規律されておったのでありますが、ノールウェーは、昭和二十七年十月、サンフランシスコ平和条約第七条の規定によってこの条約を復活させる意向はなく、これにかわる新条約締結希望するといって参りました。従いまして、戦後における両国通商航海関係は、サンフランシスコ平和条約第十二条の規定によって規律されて参った次第であります。  しかしながら、平和条約第十二条の規定は、御承知のように、同条約効力発生後四年間となっておりますので、両国間で、昭和二十八年十二月から新しい通商航海条約案の検討を開始したわけでありますが、ようやく本年二月中旬に至り、わが国の主張を十分に採り入れた条約案の妥結をみましたので、条文、字句の整理を施した上、二月二十八日に本大臣ランゲ・ノールウェー外務大臣との間に署名調印を了した次第であります。  わが国ノールウェーとの間の通商航海関係は、この条約によりまして初めて安定した基礎の上に置かれることとなるわけでありまして、両国間の友好関係及び両国民の間の一そう緊密な経済交流に資するところが大きいと認められますのみならず、この条約締結が、現在なお交渉の途上にある他の諸国との通商航海条約締結交渉にも好影響を与えることとなると考えられますので、ここにこの条約批准について御承認を求める次第であります。  慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  次に、関税及び貿易に関する一般協定改正に関する諸議定書受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。ガットは、国際通商分野における代表的な国際協定として一九四八年に発足したのでありますが、その後の国際経済情勢の進展にかんがみ、これを全面的に再検討する必要が認められましたので、一九五四年末ジュネーヴにおいて開催された第九回ガット締約国団会議においてガット規約改正の討議が行われ、その結果、一九五五年三月十日に至り、ガット改正に関する諸議定書、すなわち、ガット第一部、第二十九条及び第三十条改正議定書ガット前文、第二部及び第三部改正議定書並びガットの機構上の改正に関する議定書が作成されたのであります。  これらの議定書は、国際収支上の理由に基く数量制限緩和輸出補助金撤廃等通商障壁の除去を目的とする改正を行うものであり、また、貿易協力機関成立に伴い必要とされるガット技術的修正を行うものであります。  わが国がこれらの改正議定書受諾すれば、通商障壁の軽減についての義務を負うことになり、いわゆる貿易自由化の方向に進むことが要請されるのでありますが、改正ガットの趣旨は、国内産業に急激な打撃を与えることなく、漸進的に通商上の保護措置の減少をはかることにあり、国内生産者保護の道は保障されております。他面、輸出貿易に依存するわが国としては、改正ガットに基く各国の通商障壁撤廃によって益するところ、はなはだ大であると認められますので、ガット改正議定書受諾することは、きわめて有益な措置であると考える次第であります。  よって政府は、これらの改正議定書受諾について御承認を求める次第であります。右の事情を了承せられ、御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  次に、貿易協力機関に関する協定受諾について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。ガットは、現在事実上設けられている総会会期間委員会及び事務局により運用されており、その運用に関して明確な規定を欠いております。一九五四年末ジュネーヴで開催されたガット第九回締約国団会議において、ガット規約改正が討議された際、あわせてこの問題がとり上げられ、その結果、一九五五年三月十日にこの貿易協力機関に関する協定が作成されたのであります。  この協定により設立される貿易協力機関は、ガット運用を主目的とする国際機関でありまして、その成立の際は、前記のガット締約国団会議会期間委員会及び事務局は、それぞれ機関総会執行委員会及び事務局に引き継がれるものであります。ガット締約国であるわが国としては、ガット運用に当り、かつ、国際通商分野における恒久機関として発足を予定されているこの機関に参加することは、きわめて有益な措置であると考える次第であります。  よって政府は、この協定受諾について御承認を求める次第であります。御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。  最後に、所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国アメリカ合衆国との間の条約補足議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  御承知のようにわが国アメリカ合衆国との間には、昭和二十九年四月にワシントンで署名された所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための条約、いわゆる日米所得税条約がございまして、両国間の経済活動及び人的交流円滑化をはかっているのでありますが、このたび日本輸出入銀行及びワシントン輸出入銀行が、それぞれ相手国内の源泉から取得する貸付金または投資利子に対しまして、その相手国における課税を免除することとするため、右の条約を補足する議定書締結することといたしたい次第であります。もちろん現状におきましては、日本輸出入銀行はアメリカに対して投資を行なっておらず、ワシントン輸出入銀行が主としてわが国電力会社に対して、火力発電用設備資金として借款を供与している状態でありますが、将来わが国輸出入銀行が取得する利子について免除されることとなる道を開くとともに、ワシントン輸出入銀行が取得する利子を免税することによって、わが国への投資促進、ひいては日米間の経済交流の一そうの緊密化をはからんとする次第であります。  よって、ここに本議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件についてすみやかに御承認あらんことを希望いたす次第であります。
  6. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 本件についての質疑は後日に譲りたいと思います。     —————————————
  7. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次に、日本国チェッコスロヴァキア共和国との間の国交回復に関する議定書批准について承認を求めるの件、日本国ポーランド人民共和国との間の国交回復に関する協定批准について承認を求めるの件、以上二件を一括して議題といたします。  前回に引き続き御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 この前の会議政府側が回答を留保した、ツィランケヴィッチ総理日本訪問申し入れの件について。
  9. 井上清一

    政府委員井上清一君) 森委員からの本委員会において御質問のありました件につきまして、その後調査いたしましたところ、該当事実はございません。
  10. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ちょっと申し上げますが、政府側からただいま井上政務次官高橋条約局長佐藤経済局次長服部参事官が出席しております。
  11. 竹中勝男

    竹中勝男君 おくれて来ましてあれですが、御報告になったかと思いますが、この前私が要求しておりました原水爆実験禁止に関して、最近関係諸国に対して日本政府から発した通牒、申し入れ、あるいは文化宣伝局で発表された見解などを一まとめにして御報告願いたいという、それができておりまするか。
  12. 井上清一

    政府委員井上清一君) 竹中委員の御質問、ただいま準備はいたしております。しかしながら、まあ実はこの間ちょっと行き違いの点があるのであります。この点御了解願っておきたいと思いますのは、先般石黒委員から御質問がございました、その間の事情資料をもって出せというお話がございましたが、それよりも外務大臣が伺いまして、これに関する経緯を御説明申し上げた方がよかろうという委員長の御意見もございますし、外務大臣が四日に出ましてその間の経緯をお話し、またそれに関する質疑に対して所信を表明したい、かように考えておる次第でございます。その資料の方もあわせましてお届けを申し上げるようにいたしたい、かように思います。
  13. 竹中勝男

    竹中勝男君 できればその前に、実は私いろいろ質問したい点がありますので、はっきりしておきたいと思いまして要求したのですが、石黒先生のお考えもまたそういうととろにあったのじゃないかと思いますが。
  14. 石黒忠篤

    石黒忠篤君 その通りでございます。
  15. 井上清一

    政府委員井上清一君) できるだけ早い機会にお届けを申し上げることにいたしたいと思います。明日にでもお手元にお届けできるようにいたしたいと思います。
  16. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 条約局長が来られておりますから伺いますが、ポーランドの方の協定アコードになって、片方チェコプロトコール、訳し方も片方協定片方議定書と、これはどこに差があるのでございますか。それから条約文のオリジナルはポーランドフランス語になって片方は英文になっておる。ささいなことですが技術上の問題ですから、ちょっと条約局長から一つ伺いたい。
  17. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) わが方といたしまして、交渉開始に当りましては、議定書プロトコールという名称交渉を開始したわけでございます。チェコの方は議定書ということでいいからということで交渉を進めたわけでございます。ポーランドの方は、やはり議定書というよりも、もう少し正式の協定に近い名称を用いることを希望しましたので、向うの方からアコード協定という提案をしました関係上、わが方といたしましても特にそれに反対する理由もないかと思いまして、協定というふうに直したわけでございます。従いましてこれは協定と申しましても、議定書と申しましても、いわば感触として、形式上の問題でございまして、内容的にも効力その他においても全然変りはないと思っております。  それから交渉の言葉の方は交渉関係上、チェコ英語希望しましたので英語になりましたのでございますが、ポーランドはむしろフランス語で原文その他も交渉をし、向うフランス語の方を希望いたしましたのでフランス語を正文といたしました。そのような交渉経緯上こちらも強いて主張するようなこともないと思いましたので、大体このような形式になっております。
  18. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 そうするとプロトコールアコードも、国際法上の両国を拘束する上においては何ら差違はないということですね。
  19. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) そのように考えております。
  20. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 それからいつ日本ポーランドチェコ戦争状態に入ったのですか。われわれ知らないのですが、いつごろ戦争状態に入っておりますか。
  21. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) ポーランドの方は昭和十六年十二月十一日に、ロンドンにありますポーランド亡命政権が対日宣戦を行なった。それからチェコの方はやはり昭和十六年十二月、これも十六日でございますが、ロンドンにおきますチェコ亡命政権が対日宣戦を行なったというふうになっております。
  22. 鹿島守之助

    鹿島守之助君 その亡命政権を今の政府は引き継いでいるのですか。現在のポーランド及びチェコ政府と、その亡命政府との関係はどういうふうになっているのですか。
  23. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 結局当時の事態としまして、われわれは亡命政権というふうに呼びなし、考えていたわけでございますが、この政権がその後そのままチェコなりポーランドに帰りまして、そのまま引き続いて現在の政権と申しますか、法律的には引き続いて担当しているということに考えております。
  24. 曾禰益

    曾祢益君 今の条約局長の御答弁は少し、法律論としてそうなるのかもしれませんけれども、これは外国の政府継承の問題だから、われわれとして最終的な発言権があるわけでもないのですけれども、ちょっと問題がありはしないですかね。私はあまりよく知らないけれども、たとえばポーランドの場合なんか、ロンドン亡命政権、あれはミコライチクの方であると思います。それが戦後のいろいろな関係で実際上ルブリン政権というか、ソ連が主になったものが事実上全く別の政府を作ったということ、それ自身が冷戦激化一つ理由ですらあったわけなのだけれども、果して、ミコライチク政権を今の政府継承してできているという見方は、これはちょっとどうかと思うのですが、そのいきさつは別としても、サンフランシスコ条約のときには、要するに交戦国と認めて、そういう関係に立った、そこをスタート・ポイントにすればいいのじゃないのですか。
  25. 高橋通敏

    政府委員高橋通敏君) 確かにお説の通りその継承ということになりますと、いろいろ問題が起るかと思いますが、御質問鹿島先生のあれ、いつから戦争があると考えるかということになりますと、やはりその亡命政権とわれわれが当時考えたそれが、昭和十六年の十二月に宣戦しましたので、そこから戦争状態があるのじゃないか、こういうふうに考えたのであります。継承ということになりますと、いろいろむずかしい法律問題その他が起るかと思いますが、幸いにしましてチェコともポーランドともその間のいろいろな問題が起りません。現実にいろいろ賠償の請求権とかその他の問題が全然ございませんので、現実問題としてはその点問題が起らないかと思っております。
  26. 曾禰益

    曾祢益君 これはほかの委員からの御質問があったかと思うので恐縮ですが、経済通商関係についてポーランドチェコとの貿易が事実上あまりないのではないかと思うのですが、その現状と今後の展望についてどういうふうに考えているか、概括的なことでけっこうです。
  27. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) ただいま御質問のありました点に関して、最初現状を申し上げ、それから将来のわれわれの見方について申し上げたいと思います。実はポーランド日本貿易と申しますのは非常に小さな額でありまして、はなはだ恐縮ですが数字を申し上げますと、一九五〇年はほとんどゼロにひとしかった。輸出はゼロにひとしかった。それが五一年には二千ドル、五二年には一万七千ドルとこういうふうな格好で、さらに五三年にはほとんどゼロ、ただ五四年になりまして約百十五万ドルに上り、五五年もやはり百十二万、こういうふうに、五四年、五五年に百万ドルを少し超過いたしましたが、これは主としてポーランド銅線が出た。こういう関係で、ただいま申し上げました五四年の百十五万ドルのうちのほとんど全部が銅線輸出であった。また、五五年も百十二万ドルのうち百九万ドルは銅線であったというような調子でございます。五六年の詳細な品目内訳はまだわかっておりませんが、総額は十万ドルしかなかった。さらに輸入におきましては五一年に四十万ドル、五三年に一万六千ドル、ほかの年はいずれも千ドル台の小さなものでございます。このうち五一年の四十万ドルを詳細に申し上げますと、四十万七千でございますが、その全部がカリ輸入した、こういう格好になっております。これをもちましてもおわかりになると思いますが、ほとんどポーランド日本との間には、少くとも現状におきましては、交易し得る物資がないのではないか。ただいま申し上げましたように、輸出におきましては五四年と五五年の両年におきまして、銅線がこの二年に限って出た。また輸入につきましては、五一年にわずかに塩化カリを四十万ドル入れられたということでございまして、将来われわれも両国間の貿易を大いに増大するという点につきましては、ポーランド同様熱意を持っておりますが、果してポーランドと相当な規模における貿易協定ができるかいなかにつきましては、ただいま申し上げましたような実情でございますので、早急にそういう協定ができるかどうか、今後相当研究してみないとわからない、こういうことでございます。ただポーランドといたしましては、最近日本から大型の船をほしいという申し込みもございますが、一つ日本造船所が相当腹一ぱい船を注文されております関係上、向うは納期を非常に急いでおるようでありますので、なかなか話はできない。またもしできるにいたしましても、向う現金で買ってくれればいざしらず、もし現金でないといたしますと、先方からどのようなものが買えるかという点もございまして、むずかしい問題になってくると思いますので、今後両国間の貿易を発展させたいという希望は大いにあるわけでございますが、果してその希望通り今後発展し得るかどうかということについては、なお多少検討してみなければわからない、こういう状況でございます。またチェッコにつきましては、ポーランドよりなお貿易の実際の状況現状においては少いわけでございまして、五〇年、五一年、五二年、五三年と日本からの輸出実績はゼロでございます。ただ五四年に至りまして約百三十五万ドル輸出がございましたが、これもポーランドと同様にほとんど大部分、と申し上げるよりむしろ一〇〇%が銅線であったわけでございます。また五五年はさらに飛躍いたしまして、四百五十二万ドル出ておりますが、その中の四百三十五万ドルはこれまた銅線という工合でございます。五六年に至りましては、銅線輸出ができなかったために、約二十万ドル弱に減少しておる状況でございます。また輸入につきましては五〇年には七十一万ドル、五一年には二十二万ドル、それ以後の年におきましてはいずれも二、三万ドルという程度でございまして、その内訳もほとんど雑品というくらいな状況でございます。これをもちましてもやはりポーランドと同様に、今後チェッコ日本に対して非常な貿易の拡大の希望は持っておるようでございますが、果してポーランドと同じような事情から、これを急速に増加し得るかどうか、品目関係とそのほかの状況から見まして、なかなかむずかしいのではないかと、こういうふうに考えております。
  28. 曾禰益

    曾祢益君 チェッコスロバキアはむしろ共産圏の中では最も工業化した国で、ややもすれば日本とは、たとえば東南アジアあるいは中国等においても、競争的な関係を生ずると思います。従来の戦争前の歴史は知りませんが、輸出入ともそう非常に大きな期待は困難じゃないか。ポーランドの方もこれは戦前はどういう貿易関係にあったか知りませんが、相当な工業国には違いありませんし、たとえばソ連ミグ戦闘機なんかも十数台は年産で作っておる、工業力は持っておる。しかし何といっても相当な原料がある。特に粘結炭のごときは非常にいいものがある。これはまあスターリン時代ソ連から非常な格安で搾取されておることは御承知通りです。それで新しいゴムルカ政権国内政治に非常に緩和政策をやろうとしている。国内のインフレーションなんか大へんなものがある。物資を求めることは今までと相当違って、もちろん向う原料はほしいわけです。消費物資というようなものに対して相当な重点政策をとっておる。一方においてはこれはどう変ってくるかしれないのです。実際ポーランドから強粘結炭を買うなんて僕は実際的かどうか知りませんが、強粘結炭の問題にしてもホップの問題にしても、いろいろ日本としてはやはり新たな見地から、向うソ連に搾取されておった物資を他の自由諸国との貿易に使っていこうという気がまえを持つ、そういう際に、これは言うまでもないことで、今あなたの話されたことは抽象的には今後大いにやろうという希望を持っておられる。同時に最近の戦後の実績を見ればこれはほとんど問題にならない。しかしさらに掘り下げてみれば、戦前のことも考え、新しい政権の行き方、ソ連ポーランド関係とを考えれば、これはやはりもう少し積極的かつ真剣に貿易促進の手があるような気がする。それらの点については十分に研究を願いたい。これは希望として申し上げるのであります。  ついでに政務次官に申し上げたいことは、これも他の委員の御質問あるいは御意見の披瀝にあったと思いますが、とにかくゴムルカ政権の行き方というものは、これは民族共産主義というかどうかは別として、非常に世界の、何と申しますか、国際情勢一つの大きな影響を与える。これがどう行くかということによってやはり世界歴史に大きな影響を与える一つの実験である。これがいわゆる自主独立の立場から、しかし同時にソ連との間の外交関係を保ちながら、いわゆるマルクス・レーニン主義という建前をとりながら、この今やっているゴムルカの行き方というものは非常におもしろい。おもしろいというよりも、この実験が成功していくことが共産圏内におけるところの一つの自由化の非常に危ない橋渡りである。これが成功することがむしろ世界の平和のためになると僕は考えているのです。そういう意味から、やはり政治的に今日本が直接これに何も積極的に政治的にどうのということはおかしな話かもしれない、あまり縁遠い話かもしれないが、ただ心がまえとしては、このゴムルカ政権の実験の成功ということにわれわれ国民的なやはり期待を持ち、一つの支援的な気持を持っていくことが必要じゃないかと私は考える。あるいは森委員からお話があったことをさきの質疑で察したのですが、たとえば積極的にこのツィランケヴィッチがインドまで来るというときに、日本まで足を伸ばすということは今の場合には無理でしょうが、そういうような積極性をもって日本ポーランド関係を見ていく、そういうようなお考えが必要かと思うのですが、外務省のお考えをお伺いしたい。
  29. 井上清一

    政府委員井上清一君) 曾祢委員から非常に御造詣の深い御意見を承わったわけでございますが、現在のポーランド政権の行き方と申しますか、現政権のあり方、また今後のとらんとしておるいろんな政策というものについては、これは十分に検討し、われわれとして注意深く見守っていかなければならないと、かように考えておるのであります。私は曾祢委員の御意見と同様でございます。で、ポーランドとの今度の国交回復、もちろんこれはわが国といたしましては、できるだけ多くの国との親善関係を保持していきたいということの念願の一つの現われであるわけでございますが、特に東欧諸国との国交回復にはいろいろな大きな私は意味があると思うのでございます。それは従来どうも東欧諸国の各国の実情というものは、われわれははっきりわかっていなかった。昨年ソ連との国交回復ができまして、今度東欧諸国ポーランドチェッコ両国との国交回復ができるわけでございますが、こうした諸国、これは先般衛星国家という言葉を使っておる、これはけしからぬということを言われたわけですが、ソ連と非常に密接な関係にある国との国交回復、そうしてそういうことによって、東欧諸国家の動向というものが非常にわが国としてはっきりつかみ得るのではないか。そうしてまたそれによって、今後のいろいろな世界の趨勢、動向というものに対するわれわれはいろいろな手がかりを得ることができるのじゃないかと、こういうふうに思っておるわけでございます。そうした意味からも、今度の両国との国交回復というものに対して、われわれ大いに期待をしておるような次第であります。
  30. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 アメリカのポーランドに対する経済援助といいますか援助計画を、ポーランドは現在置かれておる立場なりから、相当強く期待をしておるように新聞等では報道されておる、あのアメリカのポーランドに対する援助の大体の内容と、これはどういうふうに進展するであろうかの見通しといいますか、それをお聞かせ願いたい。
  31. 服部五郎

    政府委員服部五郎君) 過日ポーランドから、いわゆるアメリカからの援助をもらうために代表団をやって、現在もやっております。ポーランド側が米国に要求した金額は三億ドルということを言われております。その内訳は、二億ドルがいわゆる余剰農産物の受け入れ、他の一億ドルがアメリカから機械類を買いつけるファンドにしたいということが、ポーランド側の要求の内容になっておるようでございます。ただしアメリカ側はこれに対して、すでに余剰農産物の余裕も非常に少いので、二億ドルというポーランド側の要求は満足させることは非常に困難である、というようなことを言っておるように伝えられております。それから一億ドルのアメリカの機械類の輸入に対する援助は、いわゆるバトル法との関係で、そういう趣旨で一億ドルポーランドに貸し付けるということは、非常にむずかしいということのようでございます。そこでその一億ドルについては対外援助法、そのエマージェンシー・ファンドというのがあるのでございますが、それを使用することもあるいは考えられるのではないかということでございます。ただしこれも相当ファンドを使っておりますので、ポーランドに供与し得る額が非常に制限されております。従ってポーランドの要求する三億ドルというのは現在の状況では非常にむずかしいようです。あるいはせいぜい一億ドル程度になるのじゃないかというふうに伝えられております。それで非常な少額ならば、ポーランド側としては多少政治的にリスクもございますので、むしろお断わりしたいというようなことを言っておると伝えられております。
  32. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 昨年日ソ共同宣言が批准をされますときに、外務大臣に、次の共産主義諸国との間に国交回復をはかろうという国々はどういう所があるか、その当時多少ちらほらポーランドだとかあるいはチェコとか言われて、想像をされておるのですが、その当時はまだはっきり見通しがついていなかった。その後ポーランドチェコについては国交回復に関する協定ができたわけでありますが、今後の見通しと申しますか、あるいは可能性のある所、あるいは国交回復をはかりたいという所がございますならばお見込みを御披瀝願いたいと思います。
  33. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいま御質問ポーランドチェコ以外の東欧諸国との国交回復をどういうふうに考えておるかという、こういうような御質問と拝聴いたします。ルーマニア、ブルガリアはそれぞれ一九四四年の十月三十一日、十一月七日にわが国との外交関係を断絶しておるわけでございますが、その後ブルガリアはわが国に対して何の措置もとらないままで外交関係が断絶をしておるわけなのであります。またアルバニアは一九三九年にイタリアに併合されました際に消滅したままに相なっておるわけであります。で、ハンガリーは昨年の五月に在ユーゴ公使を通じまして復交を申し入れて参ってきておるのでございますが、その後ハンガリーも動乱のために実はそのままに相なっておるという実情でございます。で、その他東欧諸国からの外交関係回復の申し入れにつきましては、現在のところハンガリー以外にはないのでございますけれども、もし将来復交の申し入れがございますならば、逐次一つ考えて参りたいとかような方針でございます。
  34. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうするとハンガリーはユーゴ公使を通じて申し入れられている、こういうまあ御説明でしたが、それについて申し入れがある、こちらからも多少の折衝と申しますか、協議がなされておるのでしょうか。もう少し詳細に伺いたいと思います。
  35. 井上清一

    政府委員井上清一君) 在ユーゴの公使を通じましてハンガリーが復交の申し入れをしてきたわけでございますけれども、その当時はわが国といたしましては復交すべきかどうかという、いろいろと各方面から検討を加えておった際に、動乱が起きたというので実はそのままに相なっておるのが実情でございます。
  36. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと動乱もある程度にまあ治まったと見るか、それは問題は多少残っておるという工合に見るか、それは見方によって多少違うと思いますけれども、一応動乱というものは終ったわけですね。で、申し入れがあった、検討中であったが中絶をしておる、そういうことですが、動乱が治まったら検討を進め、復交をする方針であるのかどうか。こちらのとにかく腹づもりを伺いたい。
  37. 井上清一

    政府委員井上清一君) ハンガリーの動乱は一応治まりましたとはいうものの、まだまだやはり国内的にいろんなまあ問題があるようでございます。で、それらの事態を冷静に一つながめ、またそれらの推移も考えまして、適当と思いますればまた復交の申し入れがあるいはあるかもしれませんし、まあそうした場合には十分諸般の事情を考慮した上で考えたい、こう思っております。
  38. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 諸般の事情を考慮してということですが、ポーランド、それからチェコについてはまあ復交をした。で、ソ連から始まって共産主義諸国の中でも東欧については逐次国交回復をしていくという御方針なのか。それともまあ動乱というあれはありますけれども、何か多少ポーランドのような、あるいはルーマニアのようなというか、民族主義的な共産主義の国については、多少まあ積極的な気持があるけれども、そうでない所については何かちゅうちょがあるような感じがするのですが、そういうことはないわけですか。これはまあ国交回復、それから日本が国際的な地位において幾らかでも前進をするという点からいうと、相手の国がどういう政治体制というか、あるいは思想が支配的であるかということとは関係がないことと思うのですが。
  39. 井上清一

    政府委員井上清一君) お答えをいたします。ただいまお説のように、国交回復するに当っては、相手国の政情とかあるいはその国の考え方とかいうものが、何も国交回復の要件でないことはもとより当然の事柄でございます。で、まあ東欧諸国につきましては、私どもとしましては逐次国交回復をしていくというのが基本的の方針でございます。
  40. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 わかりました。それでは基本的には逐次国交回復をしていく方針だ。ただハンガリーについては申し入れがあったけれども、内部の紛乱で中絶をしておる。ただその後の再申し入れがないから今じっとこっちで待っておるということですが、どうもその他の点についても大した貿易関係もないという点もあるかもしれませんけれども、どうも消極的であるように受け取れましたから、そこで重ねて承わったわけでありますが、逐次回復していく、それについては向うからの申し入れをじっと待っておるというだけでなしに、その他の国についてもこちらからもまあ打診と申しますか、そういうことはやりながら回復していく、こういうように理解してよろしうございますか。
  41. 井上清一

    政府委員井上清一君) 復交の申し入れがございましたら、まあ私どもとしては基本的には外交関係の回復をしていくということが根本的な考え方でございますけれども、まあ具体的には十分考慮してやっていきたいと思います。  それからまた復交の申し入れをするかどうかということにつきましては、よほど相手方の政情その他については、十分な検討を加えてやらなければならぬじゃないか、こう思っております。が、しかし先ほども申し上げました通り、逐次国交を回復していくという基本的な考え方においては、もとより当然なことでございます。
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 これはどれだけ現在利害関係があるかということは別問題にして、ソ連との国交回復というものはソ連関係においてよくなるだけでなしに、それはその他の国においても、あるいは国交回復というのはあなたたちはまだ時期ではないと言われるけれども、中国貿易関係等についても前進する要素がやはり出てきている。言いかえるならば日本の国際的な地位、貿易等についても、これは一つ一つをとってみれば従来の貿易関係というものは小さいかもしれないけれども、全体としてはやはり大きな前進があるという点を考えると、消極的にただ国是を守るというだけでなくて、こちらからも積極的に国交回復をやることについて、やはり努力するということでなければならないと私は思う。どうもそういう点でまあほかのあれについてもそうでありますが、消極的であるように思いますから、この点はまあ希望を申し上げておきます。  それからもう一つ先ほどから伺っておりますと、ポーランドチェコのことはこうこうこういう実情だということで、貿易についても成り行きまかせといいますか、あるいは消極的、少くとも経済外交を多く推進するという看板からは、これは額も小さい、あるいは遠くもあり、あるいはチェコのごときはむしろ世界的に見れば、共産陣営の立場に立つということかもしれませんけれども、やはり経済外交なら経済外交という点については消極的、そしてその消極的な理由が、私は共産主義諸国なり、あるいはこういう経済計画を持っておる所に対しては、こちらが何もないから、まあ五カ年計画というものはあってもこれも成り行きまかせというか、外国の要素が大きいという点に私はあるのだろうと思うのですが。もう一つ対外関係についていえば、たとえばソ連の五カ年計画がどうなっておるのか、あるいはチェコについてもポーランドについても、その他の国々についてもどういう工合に進んでいるかということについて、ほとんど日本にそのまとまった資料というかあるいは情報というか、そういうものがないのじゃないか、少くとも足らぬということであります。決定的に足らぬということは言えると思う。そういう点について外国のそういう経済計画を中心にした実情を、もっと勉強をするというか、資料も整え、そして経済外交もですが、あるいは国交回復を含む外交に資していくというこういう決意はないかどうか、その点を一つ
  43. 井上清一

    政府委員井上清一君) ただいま吉田委員から御指摘になりましたように、東欧諸国家の経済事情というものは、わが国ではよくわかっていないのではないかというただいまの御指摘、これはまことにごもっともな御指摘で、実は私どもとしてはそういう点についてはまことに遺憾に存じておったわけであります。これは申し上げるまでもなく東欧諸国は厳格に計画経済を実施しております。それの内容につきましてなかなかその国自体も発表しておりませんし、また国交が未回復でございました関係から、いろいろな資料、材料また経済状態を調査するためのいろいろな手がかりというものも非常に少なかったわけであります。諸外国の資料なり材料なりというものをわれわれはまた聞きをしておったというようなことで、まことに隔靴掻痒の感があったことは事実でございます。実は先般も私外務省に参りまして、実はポーランドのいろいろな物価の事情などを調査をしたことがあるかどうかということを聞いたときに、そうしたものは全然わかっていないというわけです。そういうものを判断する材料というものはこれまで入手されていなかった。また少くともありましてもきわめて不正確であったことは、実際の事実であったわけであります。今度ソ連の大使館も先般開設されまして、また今度チェコポーランドとの間の国交回復ができますということになりますと、少くともそうした点において、われわれは相当の向うの経済状態、あるいはまた経済政策の成果というものが、どういうふうになっているかということが、つかみ得るのではないかというふうに思います。そうした上においていろいろな通商貿易関係が、次に問題になって出て来るのじゃないか。現在のところ御承知のように共産諸国との貿易関係というものは、まことにどうもむずかしいのでありまして、あるいは向うが要るだろうとこちらが考えておりますると翌年は全然要らないというようなことで、せっかく開きかけておった道が閉じてしまうというようなことも、従来しばしばあったようなことで、どうも共産諸国家との貿易というものは、きわめて何というかやりにくいというのが御承知のように実情でございます。で、まあ今後はこの貿易の問題というものが、先ほどどれだけ期待できるかというふうな御意見もございましたけれども、まあできるだけ一つそうしたいろいろな障害を越えまして、せっかく国交回復をいたしますわけでございますから、一つできるだけ経済外交の触手を伸しまして、何らかの両国間における国交回復とともに、経済的な交易の成果をあげるように努めて行くべきじゃないか、こう思います。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まだ問題の核心がつかめていないような気がするのですが、共産主義諸国との貿易はやりにくい。今年船について申し入れ、需要があったかと思うと来年はなくなる。そういう向うのとにかくオファーを待ってそれでみな対処していく。ところが私が申し上げることは、向うの国がどういう経済建設計画を持っているか、そして発展について外部に対してどういう需要があるかを調べて、その経済計画に協力をする、こういうことでなければこれは貿易外交だって伸展をしやしない。ところがその相手国がどういう計画を持っているのか、それから年々どういう需要を持っているのか、これは計画的ですから、本年度どれだけのとにかく鉄鋼なら鉄鋼、それからその他について需要を持ち、足りない部分を外国からこれだけ買い入れたいという希望は調べればあるはずなんです。そういうものを考えないで、ただ向うから言うて来るオファーを待って、国交回復についても向うから言うて来たというお話だけれども、貿易についてもとにかく言うて来るのを待ってそれに応待する。こういうことではほんとうの今後の貿易というものは進まない。あるいは外交関係についても私はそうだと思う。お話を聞いていてたまたま思い起すのですけれども、昨晩国際文化自由会議ですかで来ておられますインドネシアの、前に大蔵大臣を三度やったという人にもお目にかかりましたが、賠償問題等の解決について、向うの経済計画に伴ってどの程度どういう物がどういう工合に必要だか、ということも全然日本において検討をされておらぬ。こういうことを承わったのですが、それはひとり共産主義国の一つの国についてだけでなしに、インドネシアについてもそうです、それから中国についてもそうです、あるいはソ連についてもそうです。あるいは十億ドルの貿易が実現するかどうかはとにかくとして、どういう実情にあるかということについて、どういう計画を持っておるかどうかということについて全然ノータッチで、多少のこれは情報を得ようという努力はしておられると思いますけれども、その計画を検討し、そうしてそれについて日本としてはどういう工合に協力できるか、あるいは日本から売れる物、日本に対する需要がどうあるか、こういう各国の経済計画への協力ということでなければ、貿易の発展というものもないし、あるいは互恵平等の外交関係は進まぬと思う。ところがそういう調査あるいは調査をする機関というものは、ほとんどないのじゃないか。その点について思い切って相手国事情を知り、そうしてこれに協力して行くという方向に外交方針は進められるべきだし、それからそういう機関を充実するつもりはないか、こういうお尋ねをしたわけです。
  45. 井上清一

    政府委員井上清一君) 吉田さんの御意見まことにごもっともなのです。ですが、これは非常に私は議論をするようで恐縮ですが、吉田さんはやっぱりこれは理想的な議論だと思うのです、理想論だと私は思う。まあ相手の立場に立って、相手の経済計画なりなんなりをよく調査した上で非常に協力的な態勢、その相手国の経済計画というものを推進し、伸ばすというようなことのために日本はやるべきだということは、これはもちろん当然だと思いますけれども、これは具体的な場合にはいろいろ違うと思います。日本が非常に国力があって、日本の経済力が高いというような場合には、まあ東欧の諸国にまでもそうした考慮を及ぼすことはわれわれは必要だとも思いますけれども、やはり現在の日本状態においては、とりあえず東アの近い国々に対してそうした考えでいかなきゃならない。しかも密接な関係のある自由諸国家との間にそういう観念に基いて経済関係を推進し、経済協力の実を上げて行かなければならぬというのが、日本の外交としてとるべき当然の道ではないかと思うのです。東アの諸国間の、たとえば賠償にいたしましても、経済協力にいたしましても、また貿易にいたしましても、これは御承知のように各国のいろいろな事情というものを十分考慮に入れた上で、そうしてその国の経済建設というものに協力して行くという立場、そうした考え方においてでなければ経済外交というものは推進しないという点は、もちろんこれは吉田さんのお説の通りでございます。今後とももちろんそうした観点から日本の経済外交というものを推進して行かなきゃならぬということは、私どもも十分了解し、その方針に従って出先も督励をいたしておるような次第でございます。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 議論をしようというのではないのですが、それは国によって関係が密接、それからあるいは密接の度合についてもこれは厚薄があります。それから地理的な関係ももちろんあります。ただ聞いておると、これは問題がチェコとそれからポーランドから始まりましたから、それをさき言うて、あなたはまあ少し反発されたような気持なんだけれども、しかしそれはポーランドならポーランド輸出関係を聞いても、結局向うから言うてくるから、そこでそれだけのとにかく船なら船について取引をやったのであって、その後まあ四百五十二万ドルもあったものが二十万ドルに減ってしまった、言うてくればとにかく向けるけれども、言うて来なければ何もなくなって実は困った、こう言われるから、そこにとにかく計画性もなければ、向う事情もわかっていないで外交も何もないじゃないか、こういうことを申し上げた。従ってその相手国事情を知り、そして貿易というものについて、あるいは協力というものについて計画的でなければならない、そういう機関は少くとも従来にはなかった、それが大きな日本の欠陥ではないかということをまあ申し上げた。そして大使館を通じて幾らか情報が入ってくるだろう云々と言われますけれども、問題はその人からの申し入れ、あるいは人にたよるのじゃなくて、あるいはその点からいうて、ポーランドチェコだけじゃなくて、あるいはソ連についても、あるいは中国についても、これはアメリカ、イギリス、西欧諸国については若干のあれはあったかもしれません。これは外務省は従来いわゆる欧米諸国に対しては、最大の関心を払っておられたから多少情報を持っておられたかもしれな、しかしその他の国についてこそ、アジアの諸国についてもそうですけれども、もっととにかく調査機関というものを持って経済計画の実態、そしてそれに応ずるこちらのとにかく貿易なり外交なりというものの基礎にせられなければならぬだろうと思います。そこに大きな弱点がある。これは私が言わなくても御存じだろうと思いますけれども、北京なら北京大学では日本語の授業をしておる、授業を受けておる学生が百人ぐらいいるのですよ。ソ連にしたってそうだと思う。あるいはこの間の新聞で見ると、ポーランドやあるいはチェコスロバキアにしても、日本語をしゃべり日本の主な文化史について勉強している人がある。日本にそれだけのものがあるかというと、ないですよ。そういうものが私はたとえば経済外交についても、あるいは今後の国交調整問題についてもいろいろな関係において、これは外国にやはりおくれをとっていくゆえんじゃないかと思う。従ってその欠陥を補うように今後していかれるべきではないかということを申し上げておるのです。
  47. 井上清一

    政府委員井上清一君) どうも問題の焦点が少しわきへ行ったようでございまして、そしてそのお答えをしたのははなはだあれですが、今の吉田委員の御意見につきましては私も同感でございます。そうした調査機関を確立する、あるいはまたそうした調査にもっと外交官が関心を向ける、また国内においても諸外国の実情を調査するためのいろいろな文化的な活動、あるいはまたそうした調査機関の活動というようなものが非常に必要だという御意見についても、また私も同感でございます。今後私も外務省の予算の中でやりくりをいたしまして、そうした面にも今後力を入れ、あるいは経済局、あるいは担当政務局にもよく一つそうしたことについて力を入れるように努力をいたして参りたいと考えます。
  48. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 あのポーランドそれからチェコ自由諸国と言いますか、との最近の貿易の総額、総額でけっこうですけれども、それはどの程度になっておりますか。
  49. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) お答え申し上げます。実はポーランドチェコスロバキア、ともに自国の貿易統計を発表しておりませんので、自由諸国側から見ました統計以外にないのでございますが、自由諸国ポーランドから輸入しました額が、一九四八年には三億六千万ドル、五〇年には約三億ドル、五二年には二億八千六百万ドル、五三年には二億六千三百万ドル、こうなっております。要するに、三億前後と御了解いただいたらいいのではないかと思います。また、自由諸国ポーランドに対しまして輸出いたした額が、四八年には三億三千万ドル、五〇年、五二年でございますが、この両年がいずれも二億四千万ドル前後、五三年には二億ドル、こういうふうになっております。  また、チェッコスロバキヤでございますが、自由諸国チェッコから輸入いたしました額が四八年には四億六千万ドル、五〇年には三億四千万ドル、五二年には二億三千万ドル、五三年には約二億ドル、こういうふうに逐年減少の傾向にございます。また、チェッコ自由諸国から輸入いたしました額が、四八年には三億九千万ドル、五〇年には二億五千万ドル、五二年には一億七千万ドル、五三年には一億三千万ドルと、いずれも毎年減少の傾向にございます。  以上でございます。
  50. 梶原茂嘉

    ○梶原茂嘉君 ポーランドも、チェッコも、輸入輸出ともこのところずっと漸減の道をたどっているわけですね。その原因は、やはり半面においてソビエトとの物資交流関係がふえてきていると、こういう観測ができるのでしょうか。そうでなくてやはりポーランドチェッコ自体、それ自体から減ってきておるのでしょうか、その原因等については何か観測がありましょうか。
  51. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) これは、先ほど申し上げましたように、自国の貿易統計を発表しておりませんので、詳細なことはわかりませんが、感じとして申し上げますと、ポーランドは従来農産品を非常に出しておった。これが御承知の工業化計画によりまして、農産物の生産よりも工業、それから工業原料の生産に力をいたした、その大きな部分がソ連の方に輸出されたと、こういう関係からして農産品の生産が少くなった。ことにポーランドの大きな輸出といたしましては、私の記憶しております限りにおきましては、西欧諸国に従来石炭を相当大量に出しておりましたが、これの輸出経路が共産圏内に変ったということが大きな原因ではないかと、こう考えております。  また、チェッコ貿易自由諸国に対して減ったのは、これも想像にすぎないわけでございますが、御承知通りチェッコは相当発達した工業力を持っておりまして、機械等の生産が相当すぐれておる。この機械なども、ソ連の方に相当大きな部分が移っていったのではないかと、こういうふうに考えております。
  52. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 チェッコの機械、あるいはポーランドの製品も来ているかどうか知りませんが、少くともチェッコの製品が中国初めアジアに相当来ていると思うのでありまするが、どの程度に来ているという工合に、これはまあ今のお話のように推定になるかと思うのでありまするが、推定せられておりますが、承わりたいと思います。
  53. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) その詳細につきましては、貿易統計も発表されてない関係でわかりませんが、かなりな程度は来ているのではないか。現に昨年でございましたか、ある国からチェッコの機械を日本輸出し、そのかわりに日本から雑貨類を向うに持っていきたいがどうだろうかという話がございましたが、実はその機械は大部分日本でもできるということが判明いたしましたので、結局はその実現ができなかった。従いまして、日本にまで持ってこようという意向がございますので、中共、ソ連には相当チェッコから機械が出ているものと、こう感ぜられますが、詳細な内容に至りましては、ただいまのところ判明しておりません。
  54. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 大よその額等もわからぬのですか。
  55. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) その統計をああいう国は一切発表しておりませんので、ここで具体的に数字を申し上げることができないので、そのように御了承願いたいと存じます。
  56. 杉原荒太

    ○杉原荒太君 ちょっと関連して、お尋ねというよりも、希望しておきますが、今、佐藤君から一九四八年から五二、三年くらいまでのところ御説明があったが、これはその当時のものはそうであったと思うが、五四年ごろからずいぶん趨勢は変ってきておると思うので、ただそれだけを言うと、趨勢観察としてはちょっと見過ぎると思うのです。そこで、これはきょうでなくてもいいが、他日適当な機会にこの委員会で、東西経済交流の実際の趨勢というものをもう少し調べたものを御説明願いたいと思う。それを希望しておきます。
  57. 笹森順造

    委員長笹森順造君) ただいまのその後の趨勢、できれば現在に至るまでの経済交流の趨勢に関する資料をできるだけ取りそろえてもらいたいと、そういう御希望でございますから、どうぞそういう工合に。
  58. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) できるだけそういうふうに努力いたしますが、今申し上げました数字は、全部各西欧諸国の数字を集めまして作ったものでございますので、果して御要望のようにはっきりした数字が出ますかどうかは、役所に帰りまして検討してみたいと、こう思っております。できるだけ御要望に沿うように努力いたします。
  59. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどからの答弁に関連をいたしますが、チェッコの機械と雑貨というお話ですが、このチェッコ日本、それから中国という三角貿易についてのお話もあったように記憶するのですが、今の話はチェッコ日本との機械、雑貨の交流ですか。
  60. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) さようでございます。それから、今御指摘の中国と申しますか、むしろ北ヴェトナムと申しますか、北ヴェトナムの石炭をチェコとの関係において三角貿易で入れたことはございます。
  61. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 中国に、今どの程度、チェコと東欧諸国から、機械その他が参っておるかわからんというのですから、さらに御質問申し上げても明らかにならぬかと思いますが、中国の将来の機械の輸入の見通し、それからシベリアの開発を含めます第二次五カ年計画への、チェコその他東欧諸国からの機械の需要と申しますか、そういうもの等についてもこれは全然わかりませんか。
  62. 佐藤健輔

    政府委員佐藤健輔君) はなはだ遺憾なことでございますが、詳細は不明でございます。
  63. 笹森順造

    委員長笹森順造君) 次回は来たる四日、午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会      —————・—————