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1957-04-26 第26回国会 参議院 運輸委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十六日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 四月二十四日委員江藤智辞任につ き、その補欠として前田佳都男君を議 長において指名した。 四月二十五日委員三木與吉郎君、成田 一郎君及び前田佳都男君辞任につき、 その補欠として斎藤昇君、植竹春彦君 及び江藤智君を議長において指名し た。 本日委員井村徳二君、斎藤昇君及び植 竹春彦辞任につき、その補欠として 木島虎藏君、三木與吉郎君及び成田一 郎君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            木島 虎藏君            後藤 義隆君            相澤 重明君            柴谷  要君            市川 房枝君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選運輸事情等に関する調査の件  (仲裁裁定に関する件)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  委員の変更について報告いたします。四月二十四日江藤智辞任前田佳都男君補欠、四月二十五日二木與吉郎辞任斎藤昇補欠成田一郎辞任植竹春彦補欠前田佳都男君辞任江藤智補欠、四月二十六日植竹春彦辞任成田一郎補欠斎藤昇辞任三木與吉郎補欠井村徳二辞任木島虎藏君が補欠として選任せられました。   —————————————
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。江藤智君及び三木與吉郎君が委員辞任し、再び委員に復帰いたしましたので、この互選方法は、成規の手続を省略して、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。それでは私より江藤智君及び三木與吉郎君を理事に指名いたします。   —————————————
  5. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 運輸事情に関する調査中、仲裁裁定に関する件を議題といたします。  御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 今予算委員会に上程されております裁定をめぐっての補正予算関係について、少しく御質問をいたしたいと存じます。  仲裁裁定が示されましてから——政府は完全に実施をするということを、仲裁委員会からまだ裁定が出ないうちから言われておりましたようですが、いよいよ裁定が明らかになって参りますについて、完全という二字が抜けて、補正が組まれてきたようでありますけれども、今一番問題になっております点は、公労法上からいいましても、私ども確定給与というふうに考えているんですが、これが一部新聞に報道されておりますように、やみ給与というようなことが報道されて一おりますけれど、果して国鉄当局新聞が伝えておりますようにやみ給与考えているのかどうか、まず最初にこの一点を伺いたいと思います。  それからその次は、今回の確定給与の中には第一次、第二次とあります。第一次はさておきまして、第二次の問題が補正の中に大きな問題として出てきておりますけれども、第二次確定給与の扱いについて、政府は大体三分の二を認めるけれども、三分の一は認めない、こういうような内容になっているように承知をいたしておりますけれども、今日国鉄給与を見まするというと、この第二次給与内容は、大かた皆さんが御存じの通り仲裁ではなしに調停案として出されたものが労使の間で確認をせられ、協定となって今日実施されていると、私はかように承知をいたしております。この問題が、政府立場から言わせるというと、労使間においてきめたものであるけれども政府は知らぬ、だからやみだ、こういうようなことを今政府は言っているのじゃないか、かように考える。そこで、この取扱い国鉄当局としては、現行支給をしております給与の中から、政府が認めないから支給をしないという建前でいくのか、それとも、現行給与をしているものだから、政府が認めようと認めまいと、これはそのまま実行していくんだ、こういう考え方でいるか、この点を第二点目にお伺いをいたします。  それから千二百円という裁定が出たが、これは裁定主文の中にもありますように、いわゆる予算単価に千二百円の上積みをする、こういうようになっております。でありますから、第一次のいわゆる六百円をこれから差し引くということは考えられる。それから第二次の五百二十円相当額を引く、こういうふうに考えられるわけでありますが、そうしますというと、八十円しか、いわゆる千二百円の裁定は出されましたけれども国鉄職員賃金アップというものはあり得ない、こういうふうに解するわけであります。ところが、実質的にはそういう形ではなしに、まあ五百二十円の中を三分の二認める、こういうような形になりますから、多少金額は上回ってくると思うのでありますけれども、これが果して正しい裁定取扱いであるかどうか、この三点について、まず最初にお答えをいただきたいと思います。
  7. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) まず第一点の、やみかどうかというお尋ねにお答えいたしますが、問題は二つございまして、一つは、二十九年の調停あっせん並びに三十年の調停に基きましたいわゆる五百二十円の問題でございますが、これは私どもももちろんやみとは思っておりません。政府の言明につきましても、やみではないと、こういう答弁があった次第であります。ただ、それがどうしてやみというような字がついたかと想像いたしてみますと、これは本来は基準内の給与基準内の予算から支出すべきのがまあ本筋でございましょうが、従来の関係から、これを超過勤務の方で支弁していた、だから、そういう意味本筋から離れているということで、やみという字を新聞関係あたりでおもしろく使ったのではないかと、こう考えておりまするが、従来の慣行で超過勤務の方から基準内賃金を回した例はございまするし、また、広くいってそれが給与総領の内でありまするからして、当否は別といたしまして、やみではない、こう考えております。で、もちろんこれは調停に基きまして団交によってきまったものでございまするから、確定して正規の給与だと、こう考えております。ただ、それが今回の予算単価の千二百円の——基準内の千二百円のアップにどう関係するかということは、これはまあ別の問題と考えるのでございます。それからもう一つのいわゆる第一号の確定分、これは国鉄におきましては、業績手当として出しておりまするので、このベースとは関係がないというふうに私ども考えております。  それで第二点のこの格差、ただいま五百二十円の分につきまして、これをいかに処理するかということが一番の問題でございますが、これが実は仲裁裁定で不明確であったのが今日の紛議をかもした原因ではないか、こう考えるのであります。あるいはこれは中労委に対して失礼な言葉かもしれませんが、事実はそういうふうに私ども思います。それで、私、国鉄といたしましても、政府といたしましても、あるいは公労協といたしましても、質問書仲裁委員会に提出したのでありまするが、その御返答がはっきり数字で示されれば、これは何人といえども答えが一つなのでありますが、やはりその回答が文書で確定数字が出て参りませんもんですから、解釈に相違が起ったのではないかと、こう考えておりまするが、私のまあ解釈——これは私の解釈というよりも、この問題は三公社現業に全部にまたがる問題でございまして、政府がこれを取り上げて補正予算を組むということでありますれば、政府見解が権威のあるもの、また私どもはそれに従うべきものと、こう考えるのでありまするが、その解釈は、実は裁定には五百二十円という一号確定分は、これは望ましくない、予算単価実行単価の間に大きな差があるということは望ましくないと、で、これは将来の問題として、こういうことはなくしていくべきものだということが一つ書いてございます。その場合に、将来これをなくすということが、どういう方法でいかに行われるべきかということは書いてございませんのが一つの疑問の点でございます。それで結局は、この五百二十円というのが千二百円の中に溶け込むべきものであるか、あるいは別に存続するものかというところに疑点を残したのでありまするが、さらに政府からの中労委に対する質問書回答に、相当額の実質的な給与改善措置が望ましいと、こういうふうに出ておりまして、それが数字的に現われておりませんものですから、相当程度ならばこれは裁定実施であるというふうにも解せられるのでございます。それで今回政府がとられた措置は、国鉄で申しますれば、五百二十円のうち百八十円は千二百円の中に溶け込まして、あとの三百四十円はそのままにおいて将来の問題にすると、こういうふうなことで補正予算が組まれておるのでございます。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 今お話がありましたように、裁定は千二百円出された。しかし、まあ第二次に確定しておりまする五百二十円の中で、百八十円だけは千二百円の中に含ませる、こういうことで今お話がございましたが、千二百円の中に百八十円を含ませることが当然のようにお考えになりますか、それとも、これは当然五百二十円というものは千二百円のワク外のものと考えられるか、どうも問題の中心はここにあろうかと思います。そこで、三分の二は認めたけれども、三分の一は認めないというところに完全裁定実施ということにならぬと思う。この考え方が、国鉄当局政府がやることだからやむを得ない、かようにお考えになっておられるか、それとも、これはあくまでも政府として処置をしてもらいたい、こういうお考えでおられるか、この点をお伺いいたします。
  9. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 実は、その五百二十円と千二百円との関係は、これは中労委意見でなければきめられない問題でございますが、私は、ただどちらがいいかというのではなく、裁定及び質問書回答を通じましての解釈だけの権能しか持っておりませんので、解釈だけの範囲で申し上げるよりほかすべがないのでございまするが、その一つとして、こういうふうな考え方もいたしてみたことはございます。と申しますのは、その実行単価予算単価、これを一致させなければならないというところにウエートを置きますと、その五百二十円を消すためには、これは超過勤務から支払っておる五百二十円をやめて、これを全部千二百円の中に溶け込ますということが一つ考えられます。それで、そういたしますれば、現在の超過勤務から出て、おる五百二十円というのが全部消滅いたしますので、そういたしますと、実際のベースアップはきわめて少くなり、先ほど仰せの通りに、第一号の確定分を除きましては八十円にしかならぬ、それでは非常に今回の仲裁趣旨に合わないから、その点は相当程度実額ベースアップを確保してほしいとの仲裁意見であるので、その五百二十円全部溶け込むというのをやめまして、三分の二だけはさらに置いておいて、千二百円のベースアップのほかにそれを考えるのだということになりますと、そういうふうな解釈も立つと思いますので、三分の一を削るのはいいとか悪いとかいうことは別にいたしまして、解釈としては、裁定実施としては、そういう方法実施であると、こう考えられる次第であります。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 どうも内容を十分知っている方でないと、副総裁答弁は全然おわかりにならないと思う。そこで、まあ皆さん方におわかりになるように端的に申し上げたいと思うのですが、今国鉄労働者が平均ならして一万八千六百円ほどのベースになっておるわけです。ところが、これに千二百円を足して、そうして一万九千八百円ですか、このベースにするというのが仲裁案内容だと思っていた。ところが、一万八千六百円というのは、これは実行単価、今日職員支給をしておる単価です。ところが、政府の認めたところの予算単価というものは一万八千何十円ですか、そこらになっておる、この上に千二百円を足せと、こういうことになっておる。ですから、今これに千二百円を足しますと一万九千二、三百円になる、このうちから実行単価一万八千六百円、これはすでに支給しておりますから、差し引く、そうすると六百四十五円残る、この六百四十五円がすぐベースアップになっていけば問題はない。ところが、五百二十円という第二次のやつが問題になって、この三分の二しか認めないと、こういう形になってきますると、今度は千二百円のベースアップをするように世間ではみんな考えておるけれども、実質的にはそういう形になってこない、こういうのが実態なんです。そこで、まあ私の聞きたいのは、実はその五言二十円の第二次のいわゆる確定賃金をどうして三分の一引くのか、この問題は仲裁の中に問題として、将来こういうことについては解消していかなければならぬ、こういう字句があるわけです。その将来というのを利用して、今回これを差っ引いてしまおう、こういう考え方なんです。ここに私は間違いがあると思う。そこで、まあ衆議院の方では社会労働でも藤林委員長のおいでをいただいていろいろ聞いたところが、将来は今日この場ではない、将来ということはあくまで将来だ、こういう答弁をされておるわけだ。そうすると今回やった政府処置というのは、これは仲裁裁定に完全に一致した見解のもとにやっておられる行為ではないと思う。そこにやはり国鉄当局あたりは、組合団体交渉の上ではっきり出た内容ですから、それはもう政府——仲裁裁定の出された藤林先生が言われたことですから、強く要求されて、まあ三分の一も復活してもらう、こういうことにしないと、実は名目的な千二百円であって、実質的には幾らも上っておらない、こういうことになろうかと思う。そこをやはり国鉄当局としては十分一つ考えられて、運輸大臣に十分これは努力してもらうようにまあ働きかけてもらいたい、こういうふうに思うのです。そのことがかえって筋が通る仲裁裁定であり、藤林委員長が言明された内容に沿うものと思う。これが歪曲されて仲裁裁定が完全に実施されないということになりますと、またまた公労協一丸となったところのまあ問題が発生してくるような気がするのです。私どもは、仲裁裁定を完全に実施をしてそうして政府がいくならば、今日のような公労協中心にし、あるいは官公労中心にしたところの闘争というものも、相当私は質的に変化をしてくるのではないか。とにかく、政府が守らずしてここにごまかしの仲裁裁定実施するようなことがあるとするならば、これは今日を境にして、非常に公労協の状態なりあるいは官公労、ひいては全労働者階級に悪い影響を与える。それのみか、それがひいては激しい労働運動となって現われてくるような気がしてなりません。そこで、まあ国鉄当局としても、とにかく調停案趣旨を了として、しかも、団体交渉結論を出したものをこの際認めていかぬというような形ではなしに、完全に認めていく、こういう態度を明らかにして一つやっていただきたい、こう思うわけです。それから実行単価予算単価、これを近づけていく、こういう努力は今後大いにやっていただかなければならぬと思うのですけれども、果して、政府が今日のような実態の中で、これはもう予算単価実行単価を合していく、ほんとうにぴったり合していくということは、私はまあ運用の上からいっても至難な問題ではないかと思う。こういう問題を一つまあ十分お考え願って、裁定の問題についてはやっていただきたい。  それから今回補正予算の中に組まれております内容を見ますと、いわゆる国鉄自体がですよ、基準内と基準外を合せて、まあ何といいますか、流用、あるいはこの中で操作をやっておったことが、今度は基準内は基準内、基準外基準外と明確に分けられて、国鉄自由裁量を全然施す余地がないようにあの補正予算内容を見ますると思われるのですが、この点のお考え方はどういうふうにお考えになっておられるか、この見解をちょっとお尋ねいたしたい。
  11. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 前段のベースアップの問題でございますが、これはおっしゃる通りに非常に複雑難解でありまして、私どもずいぶん説明を聞きましてもなおわからない点がたくさんあるのでありまして、これは各公社とも難渋いたしたのでありまするが、それで私も簡単にできるだけ集約して申し上げますと、千二百円のうち百八十円は引かれる——三分の一の百八十円は引かれる、でありますから、ベースアップは第一段階としては千二十円上る、こう考えております。ただし、これもこまかくなりますが、ベースアップのために昇給の資金もふえて参りますから、それを支弁しなければならぬということで、多少の差引はございまするが、ごく大筋から申しますと、千二十円というのがベースアップだと一つ考えられます。ただし、ここに一つ問題がありますのは、一号確定分の六百円の問題でありますが、これは先ほども申しましたように業績手当で、国鉄としましては業績手当で出したので、これはベースになっておりませんが、もし、これをベースなりとして差し引くという勘定をいたしますれば、千二十円からまた六百円を引きまして、四百二十円のアップということになりまして、そのいずれかをとるわけでございますが、私どもはその六百円の方は業績手当であったという筋合いからいたしまして、今回は約千円のベースアップだと、こういうふうに考えております。  それから実行単価予算単価とを将来どうしていくかということでございまするが、これは将来に残された問題でありまして、いろいろまあ、そこで予算の組み方によりまして変ってくると思うので、これはまた政府当局で十分考えることがあろうと、かように考えます。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 まあ副総裁といつまでやっておっても、大がい知っている仲ですから、これ以上どうも質問しても仕方がないのですが、最後に一つだけ、まあ運輸大臣が、実はきょうの運輸委員会運輸大臣十分認識をしてもらうために大いに質問したいと思ったのですが、衆議院予算委員会でこの問題を同じく取り上げて同僚議員からやっていただいておりますので、まあ副総裁とのやりとりになったのですが、この間団体交渉国鉄が示された内容もまあ多少違っておりますけれども、どうも百八十円というこの三分の一が問題で、これを政府に認めてもらえば、私は、国鉄労働組合は了解して、今回も千二百円のベースアップで満足とはいきませんけれども、一応終了ということで問題は一応なくなると思う。ところが、この百八十円を認めないために、差っ引きという形になりますから、どうしてもこれは問題が残る。これをやはり政府が認めないからということで、国鉄自体で今まで基準内、基準外で流用しておったこの大きな問題ができておったのですから、政府のある程度内々の了解を得るならば、この百八十円の問題は国鉄自体としてやっていく考え方があるか、それとも百八十円を差っ引いて処理する考えであるか、この点だけ一つ、副総裁お尋ねをしておきたいと思います。
  13. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今度の問題は、先ほども申し上げましたが、三公社現業全部につながる問題でして、ことに補正予算という予算上の問題がございますので、これは大きく政府の問題になっております。従いまして、私どもはその政府見解に従い、またその予算上のきまった額の範囲内でまかなっていかなければなりませんので、百八十円は差し引くつもりをいたしております。で、つまり、この補正予算の成立いたしました通りにいたしていきたい、こう考えております。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 ここで大事な答弁が今副総裁からなされたおけですが、そうしますと、調停案で示されたものが団体交渉結論が出て、協約まで結んだ問題を、政府予算化しないからといって、ここで差っ引いていくという考え方は、やはり公労法精神をじゅうりんするものであると私は思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)これをもし政府が押しつけていくとするならば、公労法精神政府みずからが破り、国鉄はそれに対して何ら抗弁することなくそのままやっていこうという考え方で、これは公労法精神に違反するものだと思う。そこで、三公社と一現業、この四カ所にどれほどの金が要るかというと、わずか二十二億しか要らない。三分の一を差っ引いた金額はこれを復活しても二十二億であり、しかも、その二十二億は補正に組まなくてもいい、各省の持っている予備費の中から出す気なら出せる。少し問題があるというのは、電電公社だけである。その電電公社といっても、これは問題はなかろうと私は今日思っておるので、本年は政府は正式には認められないけれども灘用の上でやっていけ、こう一声かければできる問題だと私は思う。それによって仲裁裁定が完全に実施される、こういうことになれば、法の精神をゆがめることなく完全に実施され、しかも、内容の上において低い金額であっても、労組も了解する、こういう形が出てくるので、これは三万がまるくいくと思う。これは三分の一ぐらいのわずか今問題になっている三公社現業、この四つだけで二十二億という金額である、このくらいの金額は文殊の知恵を働かせれば、幾らでも私は出てくると思うので、こういうわずかな金額で世の中を騒々しくさせるようなことのないように、まあ国鉄当局としては、今のような紋切型の答弁ではなく、しっかり腰を据えてこれはやっていただきたいと、こう思うのです。きょうあたり衆議院予算委員会ではこの点に議論が集中されてかなり激しい問題になろうかと思いますが、私はこの問題が今回の問題を一切処理するポイントだと思う。これにやはり重点を置いていただきませんというと、先に岸総理も言われたように、裁定は完全に実施します、と、こう言った政府考えにつながらないと私は思うので、国鉄当局として毛、十分に一つやっていただきたいと思います。特に岩間委員の方からも御質問があるようですから、私はこれで質問を打ち切りたいと思いますが、ほんとうに問題の争点はもうしぼられて、三分の一が復活するかしないか、この一点にかかっているというところにあります。ですから、わずかの金額で問題があとに残ることのないように、ほんとう国鉄当局も腹を据えて、政府にも十分にこの真意を伝えて、国鉄当局としては、完全に実施するように努力を希望して、私の質問を終ります。
  15. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) ただいま私の答弁の中に、差し引くと申し上げましたのは、これは非常に不穏当でございますから取り消さしていただきます。ただ、私の申し上げました意味は、百八十円は千二百円の中に包含されて、そのうちの三百四十円だけは残る、こういう意味合いで申し上げたつもりでしたが、差し引くということは不穏当でございますので、この際取り消しさせていただきます。
  16. 岩間正男

    岩間正男君 今の御説明では、いかに説明するか、そういう立場にしかないのだからというようなことと関連して説明を妙にうまくやられたというだけのことで、実質上の問題にはならないと思います。今度の春季闘争の中で、国鉄の諸君が戦われたのは、やはり生活が成り立たないからやっているのです。従って、この問題を、千二百円でもって一応これは仲裁歳差を完全実施してもらうということで話し合いがついた。従って、仲裁裁定ほんとう実施するかどうかという点が一番重要な問題になっているわけですが、私はまずこれは非常に——今、柴谷さんの質問である意味では尽きていると思いますが、あらためてお聞きしたいのは、一体仲裁裁定ほんとうに忠実に実施される考え国鉄当局にあるのかどうか、こういうことを、非常に素朴な質問でありますが、その点からお伺いをいたしたいと思います。
  17. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろん裁定は最終の決定でございまして、双方の当事者を制約するものでありますから、これは忠実に実行いたすつもりでございます。
  18. 岩間正男

    岩間正男君 その中で、第二次になりますけれども、五百二十円の三分の一の問題ですけれども、これについては、政府のやり方と、それから仲裁裁定委員会の藤林委員長見解とが非常に違う。委員長最初考えておることははっきりしておると思います。これは二回にもわたって証書され、現にただいま衆議院予算委員会でもこの問題が追及されているわけです。そうすると、この問題を今度の予算でいくということでなくて、来年度から何とかこの問題についてはやっていきたいのだ、こういう形ですが、ところが、政府の方では、今度の予算措置はこれでやっておる。そうすると、仲裁裁定精神実施されていないだろうと思います。国鉄としては、当然今、柴谷委員が言われましたように、この点はほんとう裁定精神を尊重して、あくまでもそれの完全実施を望むというような形になりましたが、当然これは異議申し立てをすべきだと思いますが、いかがですか。
  19. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほども申し上げましたが、裁定はいろいろ解釈せられるので、その点で各方面で疑義が生じたのでございますが、これもやはり明確にするのは中労委でありますし、またこの予算審議の間に明確にせられるべきものと考えます。聞くところによりますれば、午後にまた藤林先生予算委員会に出席を求められておるそうでございまして、そういうことによりまして、はっきりいたしてくるのではないかと思いますので、私がこれを明確にする立場ではないと思います。
  20. 岩間正男

    岩間正男君 しかし、すでに昨日から、参議院におきましてその意見が聴取され、明確にされたわけです。ですから、こういうことではっきりしておると思うのでありますが、その問題は、あくまで仲裁裁定委員長の意思によって明らかになる問題だと思いますが、ここでお聞きしたいのは、その点が明らかになりません。これは引かないという処置国鉄ははっきりおとりになるのでしょうね。私は、むしろ進んであなたの方からはっきりされていい問題だと思いますけれども、その問題が決定した場合には、むろんあなたの方としては、当然政府に対して、そのことを実施するようにむしろ要求すべきじゃないかと思いますが、どうですか。そうでないというと約束違反になると思いますから、従って、当然裁定が不完全実施で、この前の一つの争議の妥結の条件が充たされないのでありますから、組合側として責任が持てないという事態を、ただいま柴谷委員から発言されましたように、発生しないとも限らない。その責任は、政府並びに国鉄当局のそういう不完全な意思の中にある。この点明らかにしておかないと、先との関連の問題があります。いかがですか。
  21. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 政府は、私政府委員ではございませんが、従来のしばしばの言明で、仲裁裁定はこれを実施する、こう言っておるのでございます。そうしてそれの一つ措置として補正予算が提出せられておると思うのでございまするが、これが国会の御審議により決定いたしまして、それに沿うて各公社が実行措置をとるべきものと思います。従いまして、将来の問題は、いかにこれが決定いたしますかによって、政府の指示によって善処していきたい、こう考えております。
  22. 岩間正男

    岩間正男君 国鉄政府に盲従すべきではないのですよ、国鉄は自主性を持っているわけですから。その点いかがですか。
  23. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 自主性がないと言われますけれども、今回の問題は……。
  24. 岩間正男

    岩間正男君 ないなんて言っていない。当然自主性をお持ちになっているのでしょう。
  25. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今回の問題は、三公社現業にわたるものでございますし、ことに予算措置というものを伴っておりますので、国鉄だけでどうのこうのということはできないことの立場になっております。
  26. 岩間正男

    岩間正男君 それは三公社現業の問題ですけれども、その中の一つの構成要素で、しかも、自主的に国鉄公社はこの問題をはっきり、係争点になりました争議、春闘の問題に終止符を打つという立場から努力されることが必要なんです。政府に盲従しておったのでは、この問題を真に解決することはできない。今申し上げましたように、不完全な形で解決すれば、やはり争議態勢というものが、これははらんでおるという事態が起る、そのあとでそういう事態が起ったとしても、それは不完全裁定実施につきまして労働者が不満を感じてそういう事態が起るのですから、そこに原因があるということをはっきりしておかないと、先の問題と関連して重要だと思うから、お聞きしておる。政府予算措置というのは、裁定委員会の意思とは違っておるということが今日明らかになった。当委員会でここに藤林委員長が見えてここで言わないから確実でないというだけのことで、実際は国会の論議を通じて二回も明確にされた。おそらく、今日衆議院委員会でこの点は明確になると思う。従いまして、そういう事態が起った場合に——ところが、政府側ではどうかというと、既定方針でいく、こういうことを言っているから、私は、ここで国鉄側の当局の御意見をはっきりお聞きしておきたい。そういう事態が起った場合どうするか、裁定ははっきり百八一円の分は、これは来年からやるのだというような意思ではっきり藤林委員長の一—これは最高責任者の言明によって明らかにされている。政府はそれを含んだところの予算を組んでいる。それで既定方針でいく、こういうことを当日も、今まだ言明している。これはむろん仲裁裁定政府が尊重してその点で予算措置を組みかえた、こういうことになるのなら、これは国鉄も問題ないだろうと思うのです。しかし、そういう対立が起った場合に国鉄としては一体どうするか。自主的な立場からこの問題をいかに処置するかということをここで私は聞いておくことが、これは先との関連におきまして重要だからお聞きしておる、この点どうですか。
  27. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 政府裁定を実行するということを言明しまして、その線で措置をせられておるのでありまして、昨日の予算委員会に出ましたが、政府見解は正しいということを責任者が答弁せられておるのであります。政府は何でもかんでもきまった通りにやるというのではなくて、その前提には、これが裁定実施であるという前提のもとに、この万般の措置が講ぜられておるのであります。それで私ども立場は、これはほとんど裁定は各公社——公社現業に大体同じように出ております。従いまして、それが各公社に、あるいは五現業におきましてまちまちな解釈がとられましたら、これは非常な紛乱に陥るのであります。そこで、これを統一した有権的な解釈をするということは、これはまあ政府がせられることでありまして、それに従うということで自主性がないということにも相ならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  28. 岩間正男

    岩間正男君 それは、実施はしていますけれども、私は、完全に実施していないというのはこれは明らかだと思うのです。だから、完全実施するということが、当然これはあのときの妥結の条件でありましたから、これをやはり守らないという事態が起れば、それはなるほど三公社現業に連帯して関連した問題でありますが、国鉄の側から三公社現業に話し合って政府に申し入れることだってこれはできるわけでしょう。政府のやり方が、再びまたそういう争議態勢をはらむというようなところに追い込まれる危険性を持っている。私たちから見ましても、これは完全にこの問題を解決して、そうして少くとも当面した問題をここで切開手術をして、この原因を、病気の原因を除去した、こういうふうには見られない。あとに禍根を残す、こういうふうに考えるのですね。だからこそ、私たちは政府の完全実施を要求し、また関係公社において、こういう問題をやはりやっていくべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、なかなかしかしその点あなたの立場からはっきり言われないようですから、その点はわれわれとしては、そういうやはり御答弁じゃ不満だと思うのです。  もう一点お聞きしたい。それは先ほど業績手当の第一次の問題が出たのですが、六百円の問題でありますが、この六百円はむろんこれは既得権でございましょうね。団体交渉によってはっきりきまったのですから、既得権でございますね。この既得権の分を今度はべース・アップの中に入れると、そいつを含ませる、こういうことを別に考えて、それで明らかに今度引かれるのは百八十円だけだ。だから国鉄当局見解では、実質的には今度のベースアップは千二十円だ、こういうふうにお考えになると、こういうことになるわけですね。そうすると、この業績手当の問題というものは、今後やはりお出しになるということを前提にしなければ私は意味をなさないのじゃないか。業績手当は今後もやはり別に、今までの既得権として、今のベースアップとは別にこれはなるのでございましょうね。そうでないと、先ほどの千二十円をベースアップしたのだというようなことは成り立たないと私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  29. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 業績手当はこれはベースでございませんで、これはベースの観念から考えますると除外されるべきものだと考えます。これがことしは業績手当で出ましたのですが、それが三十二年度からは、今回の予算措置として、ベースの格好で組み上げられるので、そういう意味から申しましてベースアップには千二百円出した、千二百円になるのだと、しかし、もしこの六百円を差し引くという観点から、六百円というものを加えて考えますると、これが溶け込むということを考えまして差し引くと四百二十円になると、こう申し上げたのであります。非常にくどくど申し上げましたが、ベースとしてはこれは業績手当関係ないと、こう考えております。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これはやはり四百二十円なんですね、そうでしょう。ところが、あなたのお話の中では、ベースは千二十円も上げるというふうに解釈できるというような形で、どうも千二十円上ったというふうに宣伝されがちなんです。実質は、六百円というやつは、そうすると今までの業績手当という、まあ実際は確定したものでありまするけれども、これは不明瞭な形で出しておる、しかし、これはベースとしてははっきり基本的な基本給の中に溶け込むのだ、こういう形である。しかし、千二百円の裁定案があったから、そこに溶け込んで、その分だけ差し引くのだから、実質的には四百二十円だ。この点が明確にさるべきだと思う。私たちはこれにも異議はあるのです。基本的にいいますと、一体既得権なんです。労働者団体交渉をやって、そうしてはっきり確立した、そういうものが今度の仲裁裁定の中に溶け込まれるという形で、実際は今まで何のためにそんなら国鉄労働者努力をし、長年非常に苦しい戦いをして、生活を守るために努力を続けてきたかということがわからなくなる、こういうところへ懐柔されて、何か暗箱の中みたいなものに入れられて、過去のやつを吸収するのだというので、実質的には四百二十円、しかし、宣伝では千二百円、こういう格好で国民の前には千二十円だと言って、ここがなかなかわかりにくい。千二百円上ったと、こう思う。それで一体また何をやっているんだ、またどうも職場大会をきのうきょう始めておる、どうも納得がいかぬ、こういうふうに国民は考える。しかし、これはごまかしである。全くごまかしであるということを私たちはここで明らかにしたい。そうでしょう。実際は四百二十円しか上らない、実質的には。しかし、宣伝では千二百円上げたということになる。そうすると、今まで労働組合がやってきた努力というものはこれはほんとうに認めない、こういうことになって、政府が、仲裁裁定でそういう不明瞭なものが出てきて——一応労働者はこれは涙をのんで一応事件解決のためにのんだ。ところが、それに対して完全実施ができない。そうして実際は、また言いがかりをつけて、今度は第二次だ、第三次だ、わけのわからないものから、さらになしくずしにやっていく。今年度はこれはやらないのだと、仲裁委員長のそういう言明さえ踏みにじって、今度は百八十円も引いてしまった、そういう予算措置をしておる。こういう形での一体裁定実施というものは、これは果して労使間の対立の問題、それから国鉄労働者の今の非常に苦しい生活の状態、しかも、非常に危険が多い、こういうような職場の特質的な事情、さらに一方における国鉄の輸送計画、輸送増強計画、そういう中で四十四万の人員を一人も減らさない、こういうような重大な問題に当面しておる。こういう労働者に対するところの実際的な措置である、こういう点については、深甚に、国鉄当局ほんとうに今後の輸送行政を円滑にする面から考えなきゃならぬのじゃないか、これが私の論点です。どうもそういう点では非常に自主性がやはりない。熱意と努力が足りない。問題の解決に対して、ほんとうに誠心誠意、全力をあげて当っておるというふうには考えられないのですが、どうですか。私は、もしも、そういう国鉄ほんとうに誠意をもって当られるなら、こういうようなごまかしの裁定のやり方、これをさらに悪用したようなやり方で、今度の政府のごまかし解決、こういうものに国鉄はむしろ警告を発して、当然やはり労使間の問題を正常化する、そうして国民の前にもこの態度を明らかにして、そうして国民の支持を受ける、これがほんとう労使間の対立を解決する根本の私は基本的な態度でなければならぬ、こういうふうに考えますが、いかがでございましょうか。
  31. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほどの六百円の問題につきましては、裁定の中にもはっきりこれは千二百円の中に包含するものであるということに相なっております。それから自主性がない、あるいは努力が足りぬ、国鉄にはいろいろなむずかしい問題があるのについて、さらに努力をせよ、こういうふうな仰せでございまして、私どもは従来も努力して参ったつもりでありますが、もちろん十分とは考えておりませんで、今後もできるだけ実質的に、かつ努力して参りたい、こう考えております。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく国民は千二百円上げると考えておりますね。国鉄労働者の中でも、末端の方に行くと、この問題はなかなかわかっていないという実態を、私たちは職場の人なんかと話し合って聞いているのですから。そうすると、こういう形で出されてくると、一体これを、労使間の円満な解決というふうにいくかどうかということは非常に疑問に考えておるのです。そういう点からも、やっぱりこれは誠心誠意解決してもらいたいということを私の希望として申し上げて、私の質問を終ります。
  33. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  34. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会