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1957-04-12 第26回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十二日(金曜日)    午前十時五十九分開会   —————————————   委員の異動 四月十一日委員平島敏夫君、木島虎藏 君及び大倉精一辞任につき、その補 欠として井村徳二君、西田隆男君及び 島清君を議長において指名した。 本日委員島清君、西田隆男君、井村徳 二君、中村正雄君及び松浦清一辞任 につき、その補欠として大倉精一君、 木島虎藏君、平島敏夫君、大河原一次 君及び占部秀男君を議長において指名 した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            木島 虎藏君    委員            植竹 春彦君            後藤 義隆君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            占部 秀男君            大河原一次君            柴谷  要君            市川 房枝君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      小倉 俊夫君   参考人    国鉄労働組合中    央執行委員長  小柳  勇君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選運輸事情等に関する調査の件  (国鉄裁定に関する件)   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開催いたします。  委員の変更について報告いたします。四月十一日木島虎藏辞任西田隆男補欠大倉精一辞任島清補欠平島敏夫辞任井村徳二補欠、四月十二日島清辞任大倉精一補欠西田隆男辞任木島虎藏補欠井村徳二辞任平島敏夫補欠中村正雄辞任大河原一次補欠松浦清一辞任占部秀男補欠選任せられました。
  3. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次に理事補欠互選についてお諮りいたします。木島委員運輸委員辞任し、再び委員に復帰しましたが、現在理事が一名欠員となっております。この互選方法は、正規の手続きを省略して、その指名委員長御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  4. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 御異議ないと認めます。それでは私より木島虎藏君を理事指名いたします。   —————————————
  5. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 運輸事情などに関する調査中、国鉄裁定に関する件を議題といたします。  本日は、参考人として国鉄労働組合中央執行委員長小柳勇君の出席を求めてございます。  それでは本件に関し御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 柴谷要

    柴谷要君 前回の委員会におきまして、本日議題になりました国鉄裁定の問題について、特に参考人として国鉄労組中央執行委員長小柳勇君を呼ぶということが決定になり、今大きな国民の注視の的になっておりまする仲裁規定をめぐっての問題を、国鉄当局並びに労組責任者出席を求めて、これから明らかにしてもらうべくおのおのの立場から明快にお答えをいただきたいと、まず冒頭に希望いたしておきます。  最初に、きょうは運輸大臣国鉄裁定取り扱いについてお尋ねをいたすつもりでおりましたが、大臣は閣議のため出席不可能ということで、残念ながら大臣に対する質問は後日に譲りまして、国鉄当局がお見えになっておりますので、以下数点についてお尋ねをいたしたいと存じます。  まず第一に、政府調停案が出た直後におきまして、裁定が出れば政府は完全にこれを実施する、こういうふうに新聞は連日伝えておりました。ところが、仲裁裁定が出てから相当日時がたっておりますけれども、いまだこれが明白になってきておりません。この点については国鉄当局は、今次示された裁定に対して、どのような考え方をしておるか、またそれが取り扱いのために必要な措置はどのような方法をとられておるか、まず最初にこの点からお尋ねをいたしたいと思います。
  7. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 仲裁によりまして裁定が下された以上、裁定に従うとうことにつきましては、前の考えと一向異なっておりません。ただ、あるいは御承知かと思いまするが、裁定につきまして多少の疑念がございましたので、これを質問いたし、さらにそれの原資の組み方その他につきまして折衝を重ねております。それにつきまして、裁定が出たすぐに、それが翌日実施に至るということではございませんが、目下誠意を尽してその実行の進行をいたしておる次第でございます。
  8. 柴谷要

    柴谷要君 仲裁裁定は示された、これを誠意をもって実施をする、こういうお答えで、お言葉通りに受け取って参りまするというと、裁定は完全に実施をされるというようにとれるのでありまするが、もはやただいまのような言葉段階ではないと私ども考えるわけであります。と申し上げますのは、仲裁裁定が示されてから相当日時がたっております。これに対する国鉄当局としての必要な措置をどうとられておるか。いわゆる国鉄独自の立場で示された仲裁裁定が完全に実施されるとは私ども考えておりません。そこで、必要な措置、いわゆる運輸省に対する国鉄からの要求なり、あるいは仲裁裁定実施に当たっての予算的措置というものが運輸省にとられているはずであります。これをどのようにやっておられるか、数字をもってなさったことを一つ明らかにしていただきたい。
  9. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) たびたび運輸省とも協議をいたし、また国鉄経理当局が大蔵省へも参って数字の検討をいたしております。ただ、それがどういう点で折衝をいたしておるかということにつきましては、現段階におきましては申し上げることは差し控えたいと思いまするが、先ほども申しました通りに、裁定につきましては、多少疑念の残っておる点がございますので、関係当局でそれを調整して数字を合せておるわけでございまして、再三合同いたして進捗をはかっております。
  10. 柴谷要

    柴谷要君 私の質問いたしたいところは、この段階では単刀直入的に申し上げるわけでありますが、政府仲裁裁定が示されれば完全実施をするということはすでに早いうちか約束済みであります。そういうことになれば、仲裁に示された内容実施するために、国鉄当局はしかるべく措置をしてこれを運輸省に申請をする、そうなりますれば、これは当然その予算というものは認めらるべく、すでに組合との間に団体交渉を開くべきものは当然開いてこれが実現のために努力をしなければならぬ、こういうふうに私どもは思っておるのですが、それが聞くところによりますと、内容に示されております団体交渉も、まだ当局の方から組合の方にも要請がないし、また組合もいつ当局から団体交渉に応じてもらえるかというような態勢にある。そこで、私どもが特に申し上げたいことは、その経理上の問題で大蔵省なり、あるいは運輸省予算折衝をしておると言うが、さき政府約束したことを実施するということに約束をされておるのですから、そう長く手数がかかる、長い時間がかかるものとは私どもは出行えておらぬ、それがどうも時間的に相当長くかかっておるということは、かつて仲裁裁定国鉄に示されておりましたけれども完全実施ということは一回も実施されておらぬということを聞いておる。そうすると、ますますそのような疑念がわいてくるわけです。そのような間違いが今回に限らないのか、それともかつて仲裁裁定完全実施しないでもって時日を変更してみたり、あるいは額を引き下げてみたり、あるいはまたいろいろな手を打った過去の仲裁実施という段階と同じような情勢にまたなりそうな気がしてならない。この点は一つ国鉄当局から明らかにしていたただきたい。  特に私どもが一番懸念しておりますのは、仲裁裁定が今日まで完全に実施をしておらない。それが積り積っていわゆる純真な組合員を刺激して、さきに起きたようないろいろな闘争が盛り上ったと私どもは記憶しておる。こういう情勢に再び国鉄当局なり、あるいは運輸省というものが誠意を示さない場合に、そういうような不祥の事態にますます追い込む可能性なしとしない。そこで、今回は政府さき約束しておることですから、完全に実施されるものと私ども考えておりますけれども、これらの見通しについて、国鉄当局はどのように考えられておるか、また早急に裁定完全実施ということに努力をするのか、その点を二つ明らかにお答えいただきたいと思います。
  11. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 過去の裁定につきましては私は存じませんが、今回の裁定実施については、政府としても、また国鉄といたしましても、重ねて仲裁裁定を尊重すると申しておりますから、これには絶対に御懸念は御無用だと存じます。ただ、鉄道給与関係というのは、御承知通りに、非常に複雑でございまして、その給与の出ておるのも、基本給、基準内賃金あるいは超過勤手当等から出ておりましたり、他の移流用等もございまするので、そういう点は非常に複雑になっておりまして、それをどういうふうに予算措置をするかということは、そこに立場々々におきまして意見の相違もございますし、それを調整するにはやはり若干の日時はどうしても必要で、それはぜひお認め願いたいと思います。そうしまして、私どもこそ、今回の裁定につきましては一番実現をどうしても確保しなければならぬという気持を持っておりまするので、その点は御信用下さいまして、ただ、団交も大体の予算上の措置のめどがつきましたら至急に開きたいと、かように考えておる次第でございます。
  12. 柴谷要

    柴谷要君 調整の日日時が若干かかるので、時間的に少しく待ってもらいたい、決して心配をさせるようなことをしないと、こういう明らかな御答弁でありますので、仲裁裁定をめぐっての、実施については一応副総裁の言を信用いたしまして、私はこれ以上仲裁裁定実施の日取り、その他についての追求はいたしたくありませんのでやめたいと思いますが、第二点についてお尋ねをしたいと思います。連日、新聞に報道されておりますように、春の賃上げ闘争に対しまして政府官房長官談話を発表し、多くの処分者を出すというようなことが連日、新聞に載っております。私は、なるほど政府労働組合に対して、春の戦いに対していろいろ注文をつけたり、あるいはこの行動に対して今日までいろいろな手を打ってきたようでありますけれども、今回少しく私どもが不審に思いますことは、国鉄労使の間というものは、日鉄法なり公労法というものがあり、しかも、労働運動が行きすぎであるならば、公労法処分ということも国鉄当局はできておったはすです。それからまた一般業務に反したという理由で日鉄法処分というとは、国鉄当局自体がやっておったはずです。ところが、何か今別の新聞を見て参りますというと、どうもどこに示されておるのか知りませんけれども国鉄当局には何ら自主性がない。日鉄法かあるいは公労法か知りませんけれども処分権は何か政府にあるような私ども最近錯覚を起しておるんですが、新聞で伝えておりますように、国鉄処分権を持っておらないのか、政府処分をする建前にいつ変られたのか、こういう点について、副総裁の心境なり、この取扱いについてどう考えられておるか、この点を一つお尋ねをいたしたいと思います。
  13. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 公労法につきましても、日鉄法につきましても、その国鉄に関する運用につきましては、総裁が全責任者でありまして、またそれの実施責任を持つものでございます。ただいろいろ、問題がきわめて大きく、また社会的な問題になりましたので、いろいろ多方面に御意見はあるだろうと存じまするが、やはり処分とというものは国鉄自身考え、また国鉄自身実施いたすべきものと考えております。ただ、この処分につきましては、とにかく身分にかかわるものでございまするからして、一々やはり実情をはっきり認識いたしまして、誤まりなきを期さなければならぬ、そういうために、ことに全国的の問題でございまするからして、慎重に慎重を重ねて今日まで至っているのでございまして、それなるがゆえに、国鉄処分権考えておらねとか、あるいは自己の責任を回避するというようなことは絶対にございませんで、これはやはり国鉄自主性に従い、国鉄調査により、国鉄責任においていたすという固い決意を持っておる次第でございます。
  14. 柴谷要

    柴谷要君 私はただいまの副総裁の言われたようなことは当然だと思うのですが、ところが、日日新聞を見ますると、厳重に処分をする、こういってみたり、あるいは寛大な処置をする、こういうようなことが新聞に出ておる。それで、私ども国鉄当局質問するのはきょうが初めてでありますけれども、今日まで、しからば政府圧力なり政府の言われたことを、われわれの立場と異なっておるから、その政府の言い方には応じられないというきぜんとした態度国鉄がやられておるかどうか、これにはいささか私どもには疑問があると思います。そこで、なおさら副総裁が言明されたように、処分権国鉄にあるからきぜんとしてやる、こういう考えは当然のことであって、私は政府から圧力をかけられたからやる、やらぬ、こういうことじゃないと、こう考えております。ところが、私どもがいろいろ聞くところによると、どうも国鉄当局処分はしたくない、しかし、なかなか政府の方の強硬な意見ががあるからと、こういったような話も流れてきておるし、そうかと思えば、また国鉄当局は大量の処分をしよう、こう思っておるけれども政府の中にはなかなか慎重論があるので、これまたその考え方も織り込まなければならぬ、こういったように右にゆれ左にゆれ、こういうようなことをとっておるというような話が伝わってくるのでありまするけれども、ほんとうに今副総裁の言われたように、政府がどうあろうとも、国鉄当局としては考え通りに進む、こういうお考えであるのか、明らかに一つこの点をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 問題が非常に大きく社会的に、取り上げられておりますので、いろいろの角度からいろいろな揣摩憶測が飛んでおることは事実でございます。ただいま仰せられたお話のあるということ自身——いろいろな話、風説が飛んでおるということ自身が、すでにそれ自身が風評であるという証拠であろうと思います。で、先ほど申し上げましたように、私どもは慎重に事実を把握して、それに適当した、どこからも非難を受けないような処分をりっぱにしていきたいと考えております。それで私も昨年から職務を奉じましたが、やはり処分につきましては慎重にいたし、国鉄信念に沿うた処分をして参ったのでございまして、今回もそういうことで、国鉄信念に基いて処分をいたしたいと考えております。
  16. 柴谷要

    柴谷要君 そこでお尋ねをしておきたいと思うことは、実は私は官房長官——新聞に出ましたので明らかに申し上げたいと思うのですが、官房長官に会いました。ところが、官房長官から示されたことは、新聞に明らかになっておりますように、三項目が私どもに示されたわけです。社会党という立場で示されたと思うのでありますが、いわゆる三項目なるものを提示をされて、この三つの問題が解決すれば処分相当考えよう、こういう話があったのです。そこで、三つ条件なるものが、われわれ労働運動に携わり、かつまた政党に属して今日国会で働いております者として、政府の言わんとするところがわれわれには受け入れられないということで、労組立場から、われわれはこうしたことは言われても当然にできないことだという態度を明らかにしたわけです。ところが、その際に処分の問題に言及をして、これこれがのめるならば軽くしようということを明らかに言われたのです。そうなってくるというと、国鉄処分権などというものはいつの間にか吹っ飛んで政府に来てしまったような感じがするわけです。それですから私が重ねて質問をいたしたのです。国鉄当局がそれだけの処分権を確然と持っており、きぜんとしてやるとするならば、政府がわれわれに示した三条件国鉄当局から国鉄労働組合に示されたかどうか、この点について、これは小柳委員長は二日がかりの中央委員会で大へん御苦労なさっておられたので新聞をごらんにならなかったかと思いますが、三つ条件としてわれわれに示されたと同じようなことが国鉄当局から国鉄労働組合に示されたかどうか、参考人として御出席いただいております小柳委員長から伺いたいと思います。そのような三条件国鉄当局から組合に示されたかどうか、簡単でよろしゅうございますから……。
  17. 小柳勇

    参考人小柳勇君) ただいま柴谷委員質問の点は示されていません。
  18. 柴谷要

    柴谷要君 そうなって参りますと、どうも処分権というものがぐらついてきていることは明らかで、これは副総裁の言われたような、先ほど言明されたような内容ではないということが明らかになっておると私は思うのです。そこで、そのようなことをいつまでも追及していっても問題は解決するものではありませんから、次に問題を移したいと思いますけれども国鉄労働組合が組織されてから、仲裁裁定というものが出た、その回数が何回出てどのような状態——まあ、詳しいことはこれは資料その他が必要と思いまするから、詳しいお尋ねはいたしませんけれども、大体何回ぐらいの回数仲裁裁定が示され、それをどのくらい政府が完全に実施をしておるか、こういうことについて国鉄当局見解を先にお尋ねし、次に労組委員長の方からこの実施の状況について御説明を願いたい、かように考えます。
  19. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私、過去の調査をいたして参らなかったのでございまするが、聞きますと、大体十回前後の仲裁裁定が出ております。それで、それの実施につきましては、多少見方はございましょうが、ある部分については実行されましたが、ある部分多少時期のズレだとか、その他につきましては裁定通りに行われなかった例もあったように承知いたしました。
  20. 小柳勇

    参考人小柳勇君) ただいま柴谷委員質問された点について、その趣旨に沿う裁定で私どもが受けました裁定は大体七つであります。それに関連した調停案が一件出ておりますから、大体八件でありますが、その中で、たとえば休暇の問題だとか、その他直接賃金問題でない裁定もあります。労働協約改訂に関する事件などもありますから、それらを省略いたしまして、おもなる柴谷委員質問された点に関係する問題を一、二申し述べてみたいと思うのです。  たとえば昭和二十四年の十二月二日に仲裁裁定が出まして、これは賃金ベース改訂及び年末賞与金の支給その他に関する紛争に対する裁定であります。この場合に、国鉄公社既定予算内で十八億円の捻出は可能であるとの見解から流用承認方政府に申請いたしましたが、政府支出不可能として国会議決を求めたのであります、その場合に国会は、仲裁裁定のうち十五億五百万円の支出を除く残余は承認すべきでないと、こういう議決をいたしました。この国鉄当局案十八億円と政府認定の十五億円の差三億円を請求する組合の提訴になった次第であります。そうして東京地裁判決が四月十九日に出まして、組合員に対しそれぞれ一人金六百五円ずつの金額を支払わねばならぬという判決がありました。それからこれはまた控訴になりまして、東京高裁判決が出ました。これは国鉄当局から提訴されたのでありますが、その場合に、六百五円は支払わなければならないが、強制執行緊急性はない、こういう判決が出て、ただいま最高裁で係属中であります。  第二の同種の問題があります。昭和二十五年の四月以降賃金ベース改訂に関する紛争について裁定が出まして、昭和三十五年三月十五日裁定三項が出たのでありますが、国鉄当局裁定について政府に申請いたしましたが、第一一項、すなわちベースアップ六十七億については、不可能である、第三項、実質賃金の四十億については議会の議決を求めるとして国会に提出いたしまして、約九カ月の後、十二月六日に四十九億五千百八十二万円の承認を行なったような状態であります。  それから石炭手当その他については省略いたしますが、第三に昭和二十七年度の賃金改訂に関する紛争、これを仲裁委員会にかけまして、昭和二十七年の八月十九日に裁定が出ました。政府国会に提出いたしましたが、十七日に次のように議決いたしました。裁定第一項は、二十七年十一月以降実施するものとしてこれを承認する、こういうように時期的に半年もずれて承認するというような決定がなされたのであります。  それから昭和二十八年四月以降の賃金改訂に関する紛争がありました。これは昭和二十八年の十月十三日に裁定が出ましたが、政府国会議決を求め、組合側裁定実施を目標として闘争態勢に入りました。これは過去何回か裁定が出ても、政府がこれを完全に実施しないので、組合としてはやむを得ず裁定が出た後に裁定完全実施闘争を展開した次第であります。まことに常識では考えられませんが、労働運動としては当時やむを得なかったとわれわれは考えておるところでありますが、十二月八日に国会が月額一万五千三百七十円を三十九年一月以降実施することを承認いたしました。  次は、裁定ではありませんが、この裁定を求める前に調停案を受諾した件があります。これは非常に最近の話でありますが、昨年の春、新貸金に関する調停案が出ました、昭和三十一年の三月二十九日であります。組合では三月五日の日にこれを受諾いたしました。組合は三月十九日に回答をいたしたのでありまして、団体交渉に入りました。そのときの調停案内容によりますというと、ベースアップについては、合理化実現され、経営改善が順調になったとき、と解釈する。だから団体交渉によって第一項を確定しようという調停案が出たのであります。この調停案をめぐり、昨年の春、夏、秋、冬、四回私ども当局と強い団体交渉をいたしました。そして昨年の年末に、すでに公然と秘密になっておりますから、私はここで表明いたしますが、副総裁からの覚書を私はいただきました。それによりますと、経営改善を待って来年の春までにはこの調停案に沿うように努力する、そういうような話があったのであります。ところが、その問題もすでに実現——政府の助勢もありましたでしょう、ついに実現せずして今回の仲裁裁定に持ち込まれたところであります。そして今私どもは、この三十二年度の貸金に対する裁定を受けたのでありますが、その裁定は私どもは受諾いたしておりますが、なお今日政府並びに当局態度決定しませんで、団体交渉にも入れない情勢にあることをご報告いたします。
  21. 柴谷要

    柴谷要君 今の参考人お話によりますというと、かつて出されました仲裁裁定が一件も完全に実施されておらない、こういうお話で、九カ月延ばされたり、あるいは裁判で支払えという額すら日まだ履行されておらない、あるいは半年なり、相当期間ずらしたり、金額を減らしたり、こういう裁定というものはいずれの国を探してもなかろうと思う。労使紛争の解決の場を調停なり仲裁に持ち込ませるなら、そのためには、そういう機関を利用できるところには争議権を与えないのだ、こういうむちゃなことが、法治国家だ、法治国家だ、法律を犯せば処分するんだ、口を開けば大きなことを言っておきながら、法律の面で示されておるものを完全に実行しない、こういう無法な中において、私は正義のために立ち上がる一つの動きがあることは当然だと思う。ところが、これらの問題は、当然裁定が出されれば、今までの労使間の紛争というものは、裁定が出た瞬間からこれで平常に戻るということが世界各国労働事情だと思う。ところが、日本は遺憾ながら仲裁裁定が示されてから、これを実施させるための闘争が仕組まれるという、何かどうも法治国の実情を現していると思う。こういうところから、私は、労使の間にいかに正常な慣行を樹立しようとしても樹立されるものではない。そこで、私ども今日強く要望しておることは、国鉄当局もしかりでありますけれども政府が完全に実施をする、これを実施して初めて——これを実施する以上は、組合は少なくとも裁定を出せという闘争はできないはずです、完全実施する場合には。こういう慣行をみずから政府が作り上げないで、いわゆる過去におけるこのような実績の中で、盛り上がった力を押さえよう、これは権力を持って弾圧をするんだということでは、これは一方的で話は通らないと思う。これらの点は、運輸大臣はおりませんので、多くのことは申し上げませんけれども国鉄当局も十分一つ考えていただいて、当面の——政府がいろいろ新聞にも伝えておりますような処置をとろうとする場合にも、処分権は十分国鉄にあるのでありますから、慎重にこれから労使間というものの慣行を樹立するという意味に立って、権力の乱用をなさらないように、国鉄当局に切にこの点を要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  22. 岩間正男

    ○岩間正男君 私も二、三の点、お伺いしたいのですが、国鉄国鉄独自の立場からこの度の処分をするのだ、こういうことを言われたのでありますが、まだこういう委員会におきましては、今度の春闘問題について、はっきり国鉄側が処分をするというような、そういう意向は伺っていないのでありますが、その点はどういうふうに考えておられますか。
  23. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 春闘を通じまして、国鉄管理者といたしましては、行き過ぎの点があると認めまして、この点につきましては処分をいたすつもりで参っております。
  24. 岩間正男

    ○岩間正男君 その処分ということを言っているのですが、この処分のそれなら根拠ですな、どういう点からこれを一体処分しようとあなたたちは考えているか、その点について、どのような事実認定に立って、そのようなことをはっきり考えておられるのか、その点を明らかにしてもらいたい。
  25. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 処分はいろいろ慎重にいたさなければなりませんし、またいろいろな言い方、聞き方がむずかしい点もございまするので、その点は御質問のとおりにお答えできないのでございまするが、とにかく国鉄は本来の業務として列車の運行に阻害を来たすようなことは、これは職員として相慎まなければならぬ。ところが、春闘を通じまして、相当旅客、貨物の列車の運行が阻害せられました実例に照らしましても、この点については違法あるいは業務命令違反があったことは事実だと考えます。
  26. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは柴谷君からも質問があったのですが、この点に関するこのたびの春闘の色々な問題点を起こした根本原因というものは、これは国鉄側にあるということははっきりしているし、いわゆる仲裁裁定が非常にこれは忠実に行われていない、そうしてその間にいろいろな摩擦が起こって、やむを得ず国鉄労働者があのような挙に出なければならない、そういう一切の原因というものは国鉄が作っているということは、ただいまの質問でも明らかだと思う。この点について、一体国鉄責任を感じているのですか、感じていないのですか、この点をまず伺いたい。
  27. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私が申し上げましたのは、いろいろその間の事情は、見方あるいは解釈によって異なりましょうが、とにかく国鉄としましては、列車は国家の経済の動脈、国民の足という大きな使命を持っております。で、そういう使命を、いかなる理由のもとにおきましても、昨日を麻痺させるということにつきましては、これは責任があると、こう考える次第であります。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは非常に一方的なおかしな言い方じゃないかと思うのです。自分の責任は棚上げにしておいて、それによってやむを得ず国鉄の労働者が自分の生活権を守るために、当然これは法によって、保護されている力を行使したということになっていると思う。それを、その結果だけについてとやかく言って、自分の責任について何らここで明らかにされないとしたら、われわれ公正な立場に立って、この国政を判断してゆく者の立場に立っては、とてもそれを了承することはできないのですね。いやしくもここは国会の審議の機関です。この中で国鉄当局は、一方的に、とにかくその結果についてこういうようなことが起こった、だから処分するのだと、こういうことを言ったとしても、これは了承することはできない。ましてや労働組合の諸君は、これを了承することはできないと思う。従って、当然国鉄当局としては、この問題の原因についてどれだけの責任を感じ、自分たちはどのようなことを考えて、そうしてその中で労組に対する処置の仕方も考えるというのだったら、まだ何とか道筋も立つと思うのでありますが、ただいまのような一方的な言い方というものは非常にこれは納得させることができないと思うのです。この点から言いまして、国鉄自身の、当局責任がはっきりしないで、そのような一方的な処分というものをここで決定し、そしてはっきりここで声明するというようなことは非常に私はおかしいと思うのでありますが、その点いかがでございますか。
  29. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私ども責任ということにつきましては、監督官庁もあり、政府もあるから、そういうところでご判断されるべきだと思います。従って、私がここでどうのこうのとは申し上げられません。ただ、私どもは管理者といたしまして、職員について法律違反あるいは業務命令違反ということがございましたら、その点で管理者の責任として処分はいたさなければならぬと、こう思っております。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは何ですか。監督官庁の判断を待たなければあなたたちは自分の問題を自主的に処理することができないと、こうおっしゃるのですか。これは非常にたよりがないです。いやしくも国鉄自主性ということを言われ、またあなたたちも自主性を確立させたいということは当委員会でもたびたび総裁も言っておる。それなのにこの問題については、監督官庁の意見を待たなければならないし、またその問題についてはそれにまかせる、全く都合のいいことを言っていると私は思うのでありまして、当局者として、当然この問題について、ただいまありましたような仲裁裁定の不履行、数々の問題があると思う。こういう問題と関連してこれを究明しなければならない。その結果が出た。しかし、その原因について、それを引き起こしたところの原因について問題を明らかにするということが、非常に私は重要だと思う。ところが、従来のやり方を見ますというと、その結果の問題について、それで国民の間からこれに対する一部の非難なんかが起りますと、その問題だけを大げさに取り上げて、ラジオや新聞でもって盛んに宣伝する、こういうことで実態をはぐらかしてきておる。そして国鉄当局自身責任はいつでもその中に、かすみの中に隠してしまうということをやってきたのではないか。そういうことは断じて国会の審議の中にも許すことができないと思うのです。従って、あなたは今どうしても処分をするのだという考えをお持ちのようでありますが、そうすれば、それと関連して、国鉄当局のこの事態を引き起した責任に対して、どうあなたたちは自主的に判断するかということは非常に重大問題でありまして、このことがはっきりしなければ、われわれはこのようなばかげた一方的な処分というものは非常に不当だと考えているのでありまして、これは当然の帰結だと思うのです。私はああいうことがいいか悪いかの問題じゃなくて、そういう帰結になると思う。いやしくもここは国会の審議の場でありますから、その点について当局者の責任ある立場として、どのようにこのような事態を引き起したことについての責任を同時に感じておられるか、この点明確にしていただきたいと思うのです。
  31. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) いろいろ御意見はあろうと思います。御意見は御意見として拝聴いたしておきまするが、重ねて繰り返すようでございまするが、国鉄の使命というものは重かつ大でございまして、列車の運行がとまれば経済も麻痺する、人間の交通もストップするという、非常に重大な機能を持っておりまするので、この機能を停止するということは、天下の公器に一大障害を与えるということでございまして、この面から見まして、今回の春闘のごときものは法律に触れ、あるいは命令に違反する現象であると思うのでございます。かつての、昨年の春闘につきまても、あるいは夏季闘争につきましても、処分者は出しましたが、今回が最も激しかった次第でございます。そういう点から申しまして、いろいろな御意見はございましょうが、管理者といたしましては、処分者を出さざるを得ないと、こう考えておる次第でございます。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連して。あなたは意見意見と言いますが、私としては別に意見を申しておるのではなくて、事実の認定に立って、当然の帰結として、この結論について私は言っておる。あなたの今のお話の中に、使命重大である、あくまでも国鉄の運行を正常にしなければならない、こうお考えになっているのなら、そこに陥らないようにいろいろな手を打って、当然の努力をして、それを自然に解決するところの大きな努力を私はしなければならなかったと思う。ところが、そういう問題についていろいろな怠りがあり、そこに食い違いがあってこの事態を起した。これを労働者の責任に一切を転嫁して、あなたたちは自分の責任はたな上げにしておいて済むと思うなら、これは重大な問題だと思う、私は、その中でも二十三日の問題について聞きたい。特に聞きたいと申しますのは、これは実は小倉国鉄総裁が当委員会におきまして、各委員からの質問に対して答えておられ、そうしてその答えておられる問題と必ずしも団体交渉なんかで行われた国鉄の当日の交渉内容というものは私は違うようにこれは聞いておる。必ずしも一致していない。そうしますというと、これは非常に事態が大へんなことになると私は思うのです。従いまして、当然これは国鉄労組の最高責任者小柳委員長がここに見えておるのでありますから、私は両者の意見について、この際もう少し明らかにしてもらわなければ、この責任の所在というものが明確にならぬと思うのであります。まず、私のお聞きしたいことは、この委員会の速記録によりますというと、二十三日におきまして業績手当——これは十六日の妥結に伴いまして、これは当然やる責任があったのでありまして、この責任の遂行について、この業績手当を二十三日中に必ず渡すのだということを、これは終始一貫して何ら変りなしにそういうことを依然として持ってこられたということを言った。それから宮澤運輸大臣もしばしば、これは何回も、十数回にわたって同じようなことを言っておる。二十三日中には必ず渡すのであって、決して渡さないと言った覚えはないのであるから、そういうことについて、それを待ち切れないでああいう行動に出たということは非常に不当だと、これはこういうことを言をきわめて言っておる。しかし、われわれはこの点で明らかにしていただきたいのでありますが、小柳委員長に私は一つお聞きしたいのでありますが、団体交渉——二十三日前後の団体交渉間におきまして、あくまでそのような、国鉄の意向としましては、業績手当は必ず渡すのだ、そうしてその一本やりで行われてきたのだという、この点につきまして真相を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  33. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 非常に私ども二十三日、春季闘争全体で責任者処分するというような発言が小倉総裁の方からありましたので、春闘全体についてお答えした方がいいと思いますが、岩間委員のただいまの御質問は二十三日について特に……。
  34. 岩間正男

    ○岩間正男君 二十三日のことについて話していただいて、春闘全体についても一応事実の真相を話していただきたい。
  35. 小柳勇

    参考人小柳勇君) わかりました。では、初めに二十三日のいきさつを述べまして、あとで春闘全体について私どものとりましたいろいろの立場なり、考え方なりを表明いたしたいと思います。  二十三日あのようになりまして、結果的に国民の皆さんの足を奪ったことについては、私でも当事者として、労働者として、心から国民の皆さんにおわび申し上げておるところであります。一昨日の中央委員会でも満場一致声明書を発表いたしまして、理由のいかんにかかわらず、土曜の楽しい行楽の皆さんの足をとめてお騒がせしたことにつきましては、私どもとしては、その責任はまた別途追及する道はあると思いますが、結果につきまして、非常に心からおわび申し上げておる次第であります。この点は、この委員会を通じまして、国民の皆さんに謝意を表明したいと存ずる次第であります。  私は二十二日の十三時ごろ小倉総裁から電話を受けまして、実はあした支給する業績手当か支給できなくなったという電話を受けました。とりあえず給対部長を伴いまして副総裁に会いまして話を聞きましたところ、まあ政府にいろいろ交渉しているけれども、君たちが二十六日に最低賃金制確立のために実力行使をやるそうであるから、これを撤回しないと、政府が業績ら手当を二十三日に支払うなと言っておる、だから二十六日のやつを何とかこれは、撤回できないかというような話がありました。私は、二十六日のこの最低賃金制確立のための実力行使というものは、国鉄労働組合だけが指令を出しておるのではなくて、昨年の暮れに総評大会で、自分たちの周囲の労働者の生活を安定させるためには、どうしても総評が中心になって最低賃金制確立のために戦ってやらなければならぬから、三百四十万の組織をあげて一つやってやろうではないかということをきめた。私どもは傘下組合としてその決議に対しては義務があります。これが労働運動の大きな一つの根本的なな筋でありますが、それを確認して帰りまして、春にももう一回大会をやりまして、二十六日に一齊にできるだけの力を結集して最低賃金制度決定のために強力に国会にお願いしよう、こういう立場をきめた次第であります。だから三月の二十六日の問題は、国鉄独自ではいかんともしがたい労働運動本質の問題であるし、全日本の低賃金労働者全体の問題であるから、二十六日のそれと二十三日の業績手当の支給とすりかえるということは筋違いではないか。二十三日の業績手当というものは、十六日の日にあなたと労働協約を結んで、ちゃんと業績手当については、二十三日に支給いたします、という協約を結んでおるのであるから、この協約を無視して、二十六日の実力行使をやめさせるということとは別である、二十六日までにはまだ三日もあるから、この問題は、政府の方で考え、また国会の方で考えさえすれば自然に解決する問題であるから、あしたの問題については全然別個に考えてくれと言って、そうして直接に団体交渉を頼んで帰りました。それでもなお問題は解決しませんので、夕方、私外七名の中央闘争委員を連れて——まあ残留中闘委全部でありましたが、連れて、夕方から再度交渉に入りまして、おのおのの立場を述べてると私は副総裁に話しました。しかも、そのときに私の言ったことは、もうあしたが給料日であるから、給料袋の中に業績手当もすでに入っておる、だからこれをもしとめるというと、給料も支払われぬことになろう、一晩おいたら非常に事態が紛糾するから、今晩のうちに支払われるように努力してもらわぬと困るぞ、責任を負えないぞ、ということで、一たん休憩いたしまして、私はその夕方、国会議員——どもから出ております国会議員の諸君とお話しもしましたし、総評にも参りまして、副総裁からこういう話があったから、どうしたらよいだろうかということを相談いたしまして、この間、諸君は運輸大臣にも会い、その他関係筋にいろいろ折衝した模様であります。私は休憩時間中に参議院と衆議院に出ております二人の顧問といろいろ話しましたところが、運輸大臣と話したらあした支払われるように努力すると言っておられるから、大丈夫だと思うから、さらに副総裁団体交渉を続けるように、という話がありましたので、重ねて団体交渉いたしました。そうして何度も何度も二十六日の問題とは別個であるということを強調いたしまして、晩の十時半には、一応あした支払いができると私は予想いたしました。そういうようなことでなごやかに別れました。ところが、現場からどんどん電話が入って参りまして、六時ごろ電報が来ておる。現場には全部電報が入った。その電報は、ここに写しを持って参りましたが、年度末手当を、「三月十六日電報五百三十号による年度末特別手当等は指示するまで支払いを見合せられたい。なお銀行より受領する個所は銀行と連絡の上引き出しを見合せること。また派出払いにより現金を受領する個所は一たん支給出納員が受領し指示するまで厳重に保管されたい。」、こういう電報が現場に入った。これが現場に到達したのは、晩の六時から八時ごろまでの間に現場に到達しておるのでありますが、国鉄では全部一昼夜交代制でありますから、これを徹夜労働者が全部見ておるわけです。しかも、自分たちの給料は、晩の五時には日勤の庶務係が給料袋に入れて、金庫に保管して帰った。帰ったあとで支払い停止の命令が来たので、日勤の者が出ても、給料と業績手当が分けられるというので、晩のうちに現場は紛糾しているという報告をどんどん受けました。私は自宅に帰らないで、闘争委員全部と一緒に私どものいつも使う宿舎に泊って、その情勢を見て、現場とも連絡し、かつ国会の顧問団諸君、あるいは当局君とも電話でいろいろ折衝いたしました。私は翌日の九時には必ず支払える状態ができるものだと実は楽観しておりました。ところが、朝九時半に本部に参りましたところが、私の方の中闘委員の言うことには、どうも運輸省と大蔵省の折衝が間に合わないので、一時間待ってくれという話だ、そういう話を聞きました。それから一時間待ちまして十一時になりましたから、どうしてもきょうは、今運輸次官と大蔵次官と会っているようだけれども、話がつかないで、支払いはまだできない、そういう話である。現場では非常に紛糾しましてきょう給料がもらえないなら、おれたちは非番だけれども、まだ帰らないでいる——で、給料はもらえないでいる。工場には三千名からおりますから、給料と業績手当と二つに分けなければならないから、給料をもらえないということで、どんどん憤激した電話情報が入ってくるわけであります。私は十一時半まで待ちましたけれども、どうしても当局の方から支払い命令が出る模様がありませんので、中央闘争委員を招集いたしまして、この問題を一体どうするかということを協議いたしました。そのときに非常に過激な意見もありましたけれども、とにかく十四時まで待とうじゃないか、十四時までに支払い命令が出れば、まあ半ドンであるけれども、給料をもらって帰れるというので、十四時まで待って、どうしても十四時まで待っても支払い命令が出ない場合には、きょうは間に合わないから、現場の方としても紛糾している事態を収拾しなければならないので、中闘指令を出そうというのできめて、私は十二時に副総裁に会いました。副委員長と書記長を入れて三人で副総裁に中闘委員会決定した指令を持っていって、あと二時間あるので、とにかく一つ、あなた方当局責任において支払わなければ、おれたちはもう責任を持てない、ということをるると述べまして、十二時過ぎに別れました。そのときに副総裁が言われたことは、どうしても運輸省と大蔵省との話し合いがつかないので、二十五日まで待ってくれないか、こういう話であります。二十五日というのは月曜であります。その日は土曜でありますから——どもの職員は非常にひどい生活をしておりまして、実際給料日の前、五日間は百円の金も自由にならないのであります。一つの例を申し上げますと、子供が病気をしたから病院に入れたい、車を雇いましたが、その車代五百円がないので、奥さんが近所を五軒回ってやっと五百円の車代を作って子供を入院させたという例もありますから、今の大多数の勤労者というものは、給料日前四、五日は百円の金も大事であるというのが勤労者の生活じゃないかと思うのであります。ちょうど入学期を控えまして、土曜、日曜でありますから、業績手当が平均五千円ありますから、これと給料をもらって、入学用のいろいろな品物を買おうという職員の気持をいろいろ考えますと、まことに憤慨いたしまして、失礼でありますけれども、あなたは無能力者だと、副総裁を目の前でしかりました事実もあります。それほど、私はほんとうに、まあ平素あまり怒ったことはありませんが、怒りました。それは私が前の一時から、少くとも二十四時間団体交渉続けまして、誠意を尽して話したから、しかも、現場の組合員の苦しみを考えますというと、ほんとうに怒らざるを得なかったところであります。  それで、十二時に帰りました。私は、国会の方にも、どんどん顧問団にも連絡しておりましたので——しかし、まあ十四時までに支払い命令は出るものと実は楽観いたしました。これは、私の今振り返りますと失敗であったと思います。もっと積極的に、大蔵大臣なり、あるいは官房長官なり、総理大臣に自分で会って、私の事情を話した方がよかったと、今、後悔しておりますけれども、私どもには当事者は総裁であります。私ども労働運動は、公労法によって、総裁と話すことになっておりますから、私はそういう横道はいたしませんでした。しかし、私どもから出ております顧問団も九名いますし、あるいは社会党も共産党も一生懸命に院内で戦ってくれておりますので、私どもの意思は十分わかっていると思いまして、私は直接その関係大臣に会いませんでした。そのことが、今非常に後悔されてならぬのであります。で、私は、十五時に副総裁が単独私どもの本部に参りまして——そうして、十五時はもうすでに指令が実行されて一時間目であります。単独に参りまして、今まで関係方面回ってきたけれども予算半分しかまだ見当がつかぬ、とにかく五時まで待ってくれ——そのときに五時までという話がありました。しかし、私はそのときも怒りあげました。業績手当と給料と一緒に入っているから、給料すらもらってないところがあるが、あなた知っているかと言いました。ところが、いや、それは、給料までまだもらってないということはけしからぬから、今すぐ帰って関係者に出させようということで、副総裁は倉卒として帰られました。私はそのとき、まあ副総裁が単独本部にこられたその気持をはかりまして、努力しておられる、その努力に対して心から敬意を表しましたとともに、国鉄の幹部諸君が、副総裁一人にこの問題をまかせて放任しているのではないかという憤りを感じました。たった一人の者の努力ではいかんともしがたい問題である。そういう問題であるならば、幹部はたくさんいますから、理事も局長もいますから、みんなが打って一丸となって、るるとして事情を説明するならば、いかにわからぬ大蔵省でも、いかに頑迷な大臣でもわかってくれるはずだ、なぜそれができなかったかということで、怒りました。そうして、三時五十分に副総裁から直接電話がありまして、三時五十五分に支払い電報を出したからという話がありましたので、すぐ私は本社に行きまして、団体交渉をやりまして、支払い命令が出たということを確認して、きょうの一切の責任当局にあるので、責任者処分はしないということを確認して下さいということで詰め寄りました。一たん休憩の後に、当局は話し合いまして、出て参りまして、責任を追及しないということを約束いたしました。それで、私どもはすぐ中闘指令を解除いたしました。そのときに、私は、今まで十数年の労働運動で、心から怒って団体交渉したことはありませんが、心から怒りまして、総裁理事、局長全部集まれ、私は言うことがあると言いました。それは、きょうのこの事態に、私自身が二十四時間直接誠意を尽して団体交渉している。しかも、たった一人、副総裁がどういうように考えたかわかりません。顧問団も  一生懸命奔走して、夜を徹して折衝している。それがしかも、十六日に協約を結んで一週間である。その問題をここまで追い込んでくるとは一体どういうことかということであります。副総裁一人にまかして、ほかの者が知らぬ顔をして見ているのじゃないか、そういうことを考えまして、国鉄再建とか経営合理化とかいろいろ言うけれども、たった一人の力でそういうことができるか。みんなが一体となって、総裁、副総裁を中心にして理事諸君が一体にならぬことには、たとえ運賃値上げが通って原資ができても、五カ年計画とか何とかはナンセンスじゃないか、そういうことで強力にしかりあげました。それは私は、国鉄職員の国民の皆さんに与えた御迷惑をわびる心と、それに追い込まれた私どもの不明さ、追い込んだ政府並びに当局に対する憎しみであります。あのような事態を、私は今その責任組合側にだけ追及されるならば、断じて受けません。私は、ほかの問題で私の責任を追及されるならば、いろいろ考える余地はあると思います。しかし、二十三日の問題で国鉄労働組合責任を追及するならば、私は政府並びに当局と断固として戦う決意であります。それは、私どもは、国民に対しては申しわけないが、それは結果であります。時計がとまったから、動かぬからたたくのか、ネジをかければ動くのであります。ネジをかけた者の責任——ネジをかけ忘れた者の責任をなぜ追求しないか。時計のネジをかけ忘れた者の責任を追及しないで、時計が動かないから時計をたたく、そういう結果を招くならば、私は労働運動としては、民主主義の法治国家の国民として許せぬと思います。私は、二十三日の問題については、まだいろいろ申し上げたいのでありますが、あと春闘全体について申し上げてみたいと思います。  私どもが、その仲裁委員会にかけました——さっきちょっと触れましたように、昨年の二月に調停案が出た。第一項によりますというと、国鉄職員の賃金は、ほかの組合よりも低いから、経理状態がよくなり、あるいは何か操作できるならば、団体交渉によってベースアップをしようという調停案が出たのであります。だから、私どもはその当時の情勢としては、非常に不満でありましたけれども、まあしかし、調停案が出たのだから、これで団体交渉しようと思って、仲裁にかけませんでした。そうして、その春の闘争と夏の闘争それから秋の闘争、冬の闘争で、四回、あれだけかまえて団体交渉をいたしました。団体交渉の結果は、一回として話にならぬのであります。夏の闘争では、これももう公然の秘密でありますから言いますけれども、副総裁が、努力するとたった一言言われたその言葉を信じて、私ども闘争態勢を解きました。非常に現場の全組合員からふんまんを受けました。副総裁努力すると言ったってなぜ解いた、しかし、それも当時の情勢としては、経営状態が悪いし、運賃値上げをしなければ何ともならぬといって奔走している当局の苦しみを考えて、これもやむを得ぬと思いました。今度は年末闘争になりました。年末闘争でも、電通はすでにあのように十月から実施いたしました。だから私たちとしては、副総裁が覚書を出そうが出すまいが、できると思いました。ところが、副総裁は、あとで聞きますというと、個人という話でありますけれども経理情勢を待って、とにかく来年の春までには一号俸程度のベースアップ努力する、それは一月からさかのぼって払う、こういう覚書を私はもらいました。で、それを、非常にまあ批判はありましたけれども、それによって年末闘争は妥結いたしました。ところが、明けまして、ことしの二月になりました。ところが、ついにもうあの覚書は実施できなくなったという話を受けました。現場の職員も非常に怒りましたし、私ども自体非常に遺憾でありました。今回千二百円の調停案が今出ましたので、それをいろいろ考えました。ちょうどあの春闘の十日の日に私ども調停案が出たので、これを受諾いたしました。実際、中身を見ますというと、調停案千二百円というものの中身は、昨年の、その副総裁約束いたしました昨年度の調停案の第一項によるものが五百五十七円であります。千二百円から五百五十七円を引きまして、実際私どもが今回ベースアップに使う金は四百四十九円しかないのであります。きのうの中央委員会でもずいぶん私どもはたたかれまして、一体おれたちの闘争というものは、国鉄当局の借金を払ってやるようなものではないか、千二百円出たからと思って、やれやれと思っていたところが、実際ふたをあけてみたところが、折箱の底が底上げしてあって、四百四十九円しかないじゃないかといって、きのうずいぶんしかられました。しかし、それでも私どもは十日の日に受諾いたしました。四囲の情勢を見て、現在の国鉄経理状態なり、日本の経済情勢考えて二千円のベースアップ要求ではあるが、百円やむを得ないということで調停案を受諾いたしました。でき得べくんばその翌日の十一、十二の実力行使を避けたかったからであります。ところが、政府当局はこれをけりました。従って、われわれはついに十一、十二の実力行使に追い込まれました。従って、私は十一、十二についても、これは調停案を受諾した立場から言いますならば、実力行使の責任政府並びに当局にあると断言してよろしいと思います。そして十六日に、これはもう黙っておったらまたこれは仲裁にかかるかどうかわかりませんので、十九日に予定しておった実力行使を十六日に繰り上げて、政府仲裁裁定の早く出ることを求めました。幸いにして裁定にかかって、裁定完全実施するという約束を鈴木委員長と岸総理大臣がいたしましたので、十六日の実力行使は避けました。もし私どもがストライキ・マンであって、何でもかんでも一実力行使をやる腹ならば、そのような処置はとらなくてもよかったと考えています。しかし、汽車をとめるということは、国民のあのような憤激だけではなくて、やはり日本の経済を阻害いたしますので、でき得べくんばあのような事態はなるべく避けたいという、国鉄労働組合の結成以来の民主的労働組合としての念願からとった処置であります。非常に不満があります。現場には不満がありました。なぜあのような形でやめたか、不満がありました。しかし、それは中央指導部としては、やはり四囲の情勢考え、全体的な総評の足並みを考えて、国鉄労働組合だけがそしりを受けたくないために、あのような処置をとったところであります。ふたをあけてみましたところが、像かの国鉄以外の公労協の組合は取り残されておりました。また公務員の給与体系についても、私は強力に鈴木委員長から総理大臣に話してもらって一挙に解決したかったのでありますが、何せ時間も短かかったために、下交渉ができなくて、結果的には公務員も取り残されましたので、労働者としては、国鉄労働組合だけが早くやめてしまったという後悔が今非常に私の胸をかんでいます。もっと一緒に最後まで戦うべきであったという後悔をいたしておりますけれども、公器を扱っておる労働組合の指導者としては、やむを得なかったと、心でおわびしているところであります。  従って、春闘全体を通じまして、私は今世間で言われておるように、国鉄労働組合が自分の力を過信して国民の迷惑を顧みないで、自分たちの業績手当や、自分たちのベースアップだけに狂奔しているというそしりについては、この際一つ十分なる御理解をもって、釈然としてもらいたいと思うところであります。私ども足らざるところは改めますが、まだ未熟でありますので、非常に足りない点もありましょうが、私どもは全日本の労働者階級と一緒にその生活と権利を守るために戦い、かつ自分の力でものを考え、自分の手足で動いて、新しい日本労働運動を進め、日本の労働者の生活安定のために戦っているということは、ここでお誓いしてよろしいと思うところであります。
  36. 岩間正男

    ○岩間正男君 ただいまるるとして意のあるところを述べられたのでありますが、小倉総裁にお伺いしますが、この点はあなたの立場は違うかもしれませんが、事実問題は、これは副総裁はお認めになりますか。たとえば二十二日の夕方に、二十六日の実力行使を撤回しなければ業績手当は出さない、こういうことを意思表示された点、あるいはまた二十三日の夕方になって、今度の二十三日の問題については処分はしないというような意向を述べられた点、これは組合にははっきりそのように、今小柳委員長言葉を通じまして伝わっているのであります。従いまして、事実認定の立場に立ちまして、この点にそごがあると非常に工合が悪いのでありますから、この点、責任ある立場から、ただいまの事実問題についてのあなたの御意見を伺っておきたい。
  37. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今回の労働紛争は、非常に複雑でございまして、時間的にも長かったので、いろいろその進行の途上におきまして、一部分を見ますと、いろいろ食い違い、言い違い、聞き間違いというようなこともございますが、そういうことは大きく捨てて、ただいまの御質問お答えいたしますと、実は、私は十六日の妥結の際に、今期春闘はこれで打ち切りということで妥結をいたしたつもりでございます。で、そのとき、春闘の十項目の中に最低賃金法の実施の促進ということの申し入れも入っておりましたので、私はこれを含めての妥結と考えて、以後春闘は打ち切られたものと考えておりましたが、一両日でしたか、経過した後に、二十六日に最低賃金法実施促進ということでまた闘争が起るということを聞きましたときに、非常にがく然としまして、これは協定の違反ではないかと申し入れたのでございます。当時、政府筋におきましても、そういう解釈があったように新聞に出ておったのでございます。それで実はそういうことを私は考えておりまして、これで業績手当が吹っ飛んでも非常に困るということを衷心から心配しておりまして、二十六日の闘争は差し控えるように、それでないと御破算になるおそれもあるからということで、再三申し入れたことは事実でございます。しかしながら、私としては、給与給与で、これを全然まるにするなどという意図は持っておりませんので、二十二日に、先ほど小柳委員長からもお話がありました団交を持ちましたときに、実はこう申しました。われわれは協定違反だとは思うけれども、それをもって業績手当の支給その他を努力しないわけでは絶対にないのだ。ただ、そういうふうな問題が起ったために二、三日空費をしたから、そういう点については事務的におくれが生じたことをぜひ考えてほしいということは、団交のときに申したように記憶いたしております。それで、ただそういう点につきましては、労組の方と私の方と協定に違反したかしないかというふうなことで、今も委員長からの意見もありましたが、根本的には食い違っているので、とやかくは申しませんが、二十三日の日には、これはいろいろ——私の方だけでできる問題ではございません。業績手当は運輸省に申請をしまして、さらに大蔵省との協議が要る。それで妥結の条件といたしましても、二十三日に支給することとし、認可申請の手続をとる、たしか、こういうふうな文章で妥結したと思いまするが、前々から認可申請の手続はとっておりましたが、ただいま申し述べたようなこと、つまり二十六日に何かやるなりやらぬなりといったようなそういうようなこと、その他におきまして事務が思うように進捗いたさなかったのは事実でございます。それで二十三日におきましては、まだ折衝中でございましたので、私としては二十三日に出るか出ないか危惧の念を持っておりましたので、十二時過ぎには私が国労へ参りまして、このときは小柳委員長と多分行き違いになっておったと思いますが、国労の本部に参りまして三役の方に会って、実は大臣も朝から非常に奔走されておって、本日中には目鼻がつく、おそくともそう延びることはないのだから、それで給料は確実に払うのであるから、多少の余裕は持ってほしいということを申し入れましたら、労組の方では二時ときめた。まあ私どもからいえば、これは労組の方できめられたことだとしか思えませんが、二時までに支払わないと争議が起るということを話されましたので、その二時というのは困る、できるだけ、極力本日中に解決するから、もう少しかすに時間をもってしてほしいということは申し入れたのでございます。それで先ほどもありましたように、三時四十分には支払いを開始した、で、私の方では給料を押えるなんていう意思は毛頭ございませんで、袋ごと、給料袋と業績手当とは別に包んで、いかなる場合がありましても給料は支払うという態勢はとっておりました。ただ、業績手当を銀行に入れましたのは、こういうふうな事件のときには、いろいろな都合の悪いものが出てくるのが通常でございまして、折り悪しくそれが土曜日でございまして、十二時までにきまりませんと、数百万円の金を出納員が手元に持っているわけにはいきませんので、一応銀行に返さなければならぬ、そういうふうなことで十二時までにはっきりいたしませんので一応銀行に戻す、しかし、いつでも出せる態勢にしておく、こういうふうな次第であったのでございます。それでしかし、その指令があるいは徹底しない所もあって、一、二カ所かと記憶いたしますが、給料と業績手当とが一緒になっておりましたために、その仕分けに手間どったというふうな事実はあったようにあとで聞いております。それでそういうふうなことで二十三日には支払いはいたしましたが、まあいろいろそれまでの事務的に実際上そごがあったかということは、これは事実でございまするが、また私としましては、はっきり認可申請が出る前に法律を無視して支払えということは私としては言えなかったのは残念だと存じます。
  38. 木島虎藏

    木島虎藏君 私は簡単に小柳さんに御質問したいと思います。今のに関連もあります。みんな関連です。第一にお聞きしたいということは、私が知らないで聞くと思いますけれども、総評と国鉄労組との関係はどういうことでございましょう。と申しますのは、先ほども柴谷さんからお話がありまして、国鉄当局処分するのに独立性がないじゃないか、自主性がないじゃないか、政府からとやかく言われて、おるじゃないかということがございまして、それと同じようなことが国民から見ますと、国鉄労組自主性がなくて何か総評の指令のもとにやっておるのじゃないかというような疑念がございますので、そこで一つその点を第一に明らかにしていただきたい。
  39. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 総評は各組合の、法的に単一体となり、あるいは連合体となった組合の寄り集まった評議会でありますから、その決議については道義的に責任があります。で、決定方法も、三分の二の多数決で決定いたしておりまして、道義的に責任がありますが、その運動については、総評は拘束はいたしません。従って、各組合が道義的に大会などで決議したものについて服するか服しないかについては、その組合の自主的な判断によってきめることになっております。
  40. 木島虎藏

    木島虎藏君 よくわかりました。次にもう一つ、次の点は先ほどのお話で去年の夏ごろは、副総裁がおれにまかせろと、こうおっしゃったので闘争をやめた。それからだんだんこういうふうになってきたというお話がございましたが、それは当局組合との信頼の度合いがだんだん、何といいますか、離れてきたというふうに理解してよろしいですか。
  41. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 信頼の度もありますし、私どもが要求を出しましたものが、周囲の情勢から、常に百パーセント要求解決して妥結したいのであります、それが一〇%の場合もあるし、五〇%の場合もあるし、八〇%の場合もあるし、そのときのわれわれの要求を、その情勢判断による妥結条件によって判断していきますから、その当時においてはそれが最上であるという判定をしたならば、たとえば覚書であろうと、口約束であろうと、あるいは協約であろうと、当時の情勢によって判断するというのが大体前提となりまして事態が——結果的に見ますというと信頼の度合いといいますか、当事者能力に対する信頼の度合い、そういうようにお答えした方がよろしいかと思います。
  42. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこで二十三日の問題でございますが、先ほど委員長お話ではえらい憤慨したというお話がいろいろございましたが、副総裁お話を聞いてみると、副総裁は副総裁誠意を尽しておられる。何かそこのところに意思の疎通がなかったように今聞いたところでは思われますが、その点はどうでございましょうか、意思の疎通が悪かったという点ですね。
  43. 小柳勇

    参考人小柳勇君) いや、私は副総裁努力された点については終始認めています。就任以来、労働組合の、要求を何とかして解決してやろう、で、自分の当事者能力の点とにらみ合せて、それ以上に努力してやろうと考えられた点についても、組合としてはひとしく認めておるところであります。ただ私が怒りましたのは、十六日に協約を結びまして、その協約の中に、業績手当は二十三日に支払うとある、そういたしますと、その間に一週間あります、一週間の日にちがあるのに、なおその決裁が済んでいない、そこが私は憤慨したところであります。
  44. 木島虎藏

    木島虎藏君 次に、先ほどから議論がございましたが、政府裁定が出てもたびたび実行しない、あるいは一部実行し、それからやらぬときもある、だから政府自体がいろいろ法律に沿っておらぬじゃないかという御意見がございましたね。
  45. 小柳勇

    参考人小柳勇君) ええ。
  46. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこで、これに関して公労法の十六条ですね、予算上、資金上の何とかという……、それについてはどういうふうにお考えになるのですか。
  47. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 私どもは根本的に公労法については改正しなければならぬという立場をとっています。で、団体交渉権と団結権を認めておって罷業権を取り下げた、そうして仲裁調停というものを作っておりますが、罷業権にかわるものとしてわれわれは調停並びに仲裁委員会を尊重しておるところであります。そういたしますと、調停案が出たならば、もし調停案を受諾することになれば、その調停案に沿うべく、もう最善の努力をいたすのが当然であり、裁定が出ましたならば組合はこれに服するのでありますから、私は十六条の問題については、非常にもう一方的な、いわゆる権力政治の中における労働法の非常に悪い点だと考えておるところでありまして、その十六条を故意に悪い方に実施いたしますというと、現在のような非常に悪い労働慣行が生まれる。それをもし、よく罷業権を取ったのだからそのかわりだというふうな、労働法本来の保護的な立場に立って考えるならば、私はその法律でもって、政府は出たならばもうこれは必ず実施する、解決もできると考えております。従って、そこに非常に問題があるのでありますから、私は、その点公労法改正にまで一言触れますならば、この際、私鉄のように罷業権を与えて、若干の冷却期間を置いて、そうして仲裁あるいは調停をもっと権威あらしめる方向に公労法を改正してもらいたいと思っておるのであります。
  48. 木島虎藏

    木島虎藏君 今のお話は、公労法に欠陥があると、こういう御意見ですね。しかし、欠陥がありましても、法治国家では法律があれば、やっぱり一応それに従うということでなければならぬと思うのです。そこで、先ほどの御意見は、政府法律を守らないというような御意見が、あちこちから先ほどの討論の間に出ましたが、私はそうでなくて、政府法律を守らないのじゃなくて、法律の運用が不適当だ、こういうふうに、まあいわばそういうふうに思うのですが、あなたの方ではやっぱりそれを守らない、こういうようにお考えになるのですか。
  49. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 私どもも適用とかということは、悪い方に使えば幾らでも法律というのは生きていますので使えるでしょう。それは不適当というよりも、故意に労働組合に対するときに政府がそういうふうに権力的に使う、いわゆる法を無視しておる、そういうふうに考えておるところであります。
  50. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、その問題は議論になりますからそれでやめますが、次に、二十三日のその労働組合の行為ですね、その行為に対する批判なり自己反省というのは、先ほど私は前に伺おうと思ったら、岩間さんの質問でもお答えになりましたから、それでよろしいのですが、そのおやりになった行為が公労法に照らして合法的であるかどうか、十七条に触れておるかどうか、触れないのか、その見解は、どうでございましょうか。
  51. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 私ども公労法に触れておるとは考えていません。故意に、その労働運動紛争でなくて、業務を阻害し、扇動し、そういうところであって、結果的にあのような奪う結果になりました。それはさっき申し上げましたような実情でありまして、協約を無視し、公労法を踏みにじったその行為に対するものと、せっぱ詰まった労働者の生きる権利を主張した現象であると考えるところであります。
  52. 木島虎藏

    木島虎藏君 あまり議論しちゃいけませんが、私としましては、もう少し話し合いの時間があったのじゃないかということを遺憾に思っておりますが、その点についてはいかがでございますか。
  53. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 私は、さっきるると申し上げましたように、ストの前の日の昼間からずっと話し合っておりまして、国鉄当局に対しては私はもう話す余地はなかったと理解しております。
  54. 木島虎藏

    木島虎藏君 最後に、やっぱりこれと関連するのですが、きょうの新聞を見ますと、処分があると何かどうこうするという中に、独占物資——独占資本向けの物資を抑制する、こう書いてありますが、ちょっとお伺いしたいのですが、独占資本向けの物資というものはどういうものでございますか。
  55. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 新聞がどのように取り上げておるかわかりませんが……。
  56. 木島虎藏

    木島虎藏君 新聞はときどき間違うことがありますからね。(笑声)
  57. 小柳勇

    参考人小柳勇君) そのような、たとえば長くいろいろと方針を書き、あるいは言うことを書いておりまするので、その中にそのような字句があったかもわかりませんが、特に私どもがそれだけをとらえて言うのではなくて、できればそのような事態が発生しないことを望んでおるということが第一であります。第二は、なるべくもうお客様に迷惑をかけたくない、お客様の足を奪うような事態については極力避けたい、そういう表現を新聞はかように書いておるものと理解いたします。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど小倉総裁お話の中に出たのでありますが、結局二十二日において、二十六日の実力行使を撤回しない限り業績手当は出さない、こういう意思表示がはっきりされたことは、したことははっきりしていると思うのであります。しかも、それが二十六日の最低賃金の問題とは関係があるのだということを言っておられますけれども、しかし、政府はその後において業績手当だけは切り離してやはり二十三日中に支給すると態度を変更した、そのことの中に、あなたたちの主張が何ら一貫していないことを私は明らかに物語っておると思う。従って、二十二日におきまして、そのような最低賃金制の問題に引っかけて業績手当を出さないということは、非常にこれは一つの私は圧力になったと思う。政治的圧力になった。そういう意図をもってなされた国鉄当局のこれは腹であったかどうかということは、私はまだその点伺っておりませんけれども、その背後には政府のそういう圧力があったのじゃないか、政府圧力が。ことに大蔵省あたりの圧力があって、そうしてはっきり実力行使を撤回しない限り出さない、こういうことをまあ明確にした。二十三日の問題というものは一切ここにあると思う。このような考え方、これは小柳委員長からはっきり先ほどおっしゃいましたように、業績手当の問題とそれから二十六日の問題とははっきりこれは違う。しかも、これは総評、全労働者の連帯観の上に立って、はっきり道義的な立場に立っている労働者の立場というものについては、何らこれは理解のない政府的な言い方だと思うのでありまして、この点について、このたびの二十三日を中心とした行動につきまして、盛んにラジオや新聞、そういうものでもって国民の一部的な世論を拡大し、何倍かに拡大してマス・コミを行なって、不利にこれを導いていくという形になって、その基礎の上に立って処分をやろう、こういうようなやり方は非常に私は不当である、けしからぬと思う。労働組合運動に対するところの全面的な圧力と、弾圧と私は考えざるを得ないのであります。こういうような点からしまして、先ほどお話はなかったのでありますけれども、二十三日の一応業績手当の問題が解決したあとに、小倉総裁がこの問題についての処分はしない、こういうふうにこれは漏らされたということは、私は当然だと思うのでありますが、その点は確認されますか。
  59. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 今私が二十二日に、業績手当は二十六日をやめなければ支払わないと言って、言い切って、それで押していったというふうに断定されたようでございまするが、私が申し上げた意味は、そうではなくて、あるいは前の答弁がまずかったのかもしれませんが、春闘が終ったとこちらで思っておったのに、また闘争が始まるようだと、協定違反ということになって業績手当にも当るといけないから、何とかやめてくれないかというふうなことは申しました。しかしながら、ただそれだけでずっと最後まで押したわけではありませんで、その二十二日には、すでに業績手当は支払いますよ、ただし、こういうような問題が出たために、多少事務的におくれが生ずるかもしれないが、これは待っててほしい、何とか考えてほしいと、こう申したと、先ほどもそういうつもりで御答弁申し上げたのでございまするが、決して二十六日にひっかけて業績手当は絶対に出さぬというつもりはございません。それから、それで、なお、私の方で業績手当も現場に支給すべく袋に入れたということも、これは客観的に業績手当は出すという意思であったということの例証になるかと、こう考えます。  それから二十三日の問題でございまするが、実は私の方の気分といたしましては、大臣が奔走せられておるということもるる説明しましたので、もう少し度量をもって待ってくれなかったかと、こういうことがまあ私ども立場としては遺憾でありましたが、それはそれとしまして、三時四十分に支払い命令を出しまして、四時から団交を持ちました。それで団交の席上、直ちに支払うから闘争指令も直ちに解いてほしいと、こう申し入れしまして、その点はよかったのでありまするが、先ほど委員長も触れられた通り、今回の処分はしないように、こういう申し入れがありました。それで私は、これほどの大問題で処分をしないということは言い切れない、だから慎重に考慮すると、こういうふうなことを申しましたが、これは不幸にして聞き入れられない。それで列車はもうどんどん、旅客列車も貨物列車もほとんど麻痺状態になってきておりまして、いろいろなそういう現地の非常に混乱した情報が私の耳に入ってきましたので、もう一度考えてみようと思いまして、私から提議して休憩をいたしました。休憩していろいろ考えましたら、私の立場となりますと、列車を押えておいて、それでもし処分をしない約束をしなければ、列車を動かさない、こういう言い分ははなはだもって遺憾しごくでございまするが、といって、私が決断しなければ列車は動かさない、そうすれば国民の皆様にどれほど多大の迷惑をかけるかわからぬということで、私は再開を要求し、その席上におきまして、今回の二十三日の問題に限って処分をすることはしないと、こう申したのでありまして、これは今回の春闘を通じてこれは処分が留保してございます。これは労組の方でも納得しておることと考えるのであります。
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ袋に入れたのは出す意思があったのだということの例証だと、こういうふうに言われるのですが、そうするとそれを言っておいて、実際には二十六日の問題を撤回しなければ出さない、こういうことを言われたのは、そうするとほかの圧力があったわけですか、政治的に。非常にその結果いろいろ混雑して、しかも、それが二十三日の朝まで持ち越されて、大蔵省との折衝がなかなかうまくいかなかった。そうして結局どんどんおくらしていったということになるのでありますが、そうすると、国鉄当局最初の一貫した意思と、それが変更されるに至ったその過程におきましては、はっきり背後のそのような大蔵省あたりを中心とした政治的圧力があるということは、これはもう一般知っているだろうと思うのです。そういうことについて、あなたははっきりそういう点言えますか。
  61. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 私は労働問題につきましては非常に経験が浅いのでございまするが、再三団交をやっておりますると、いろいろなかけ引きも申しますし、それからいろいろな点においていろいろなことを申します。私も労組からずいぶん荒い言葉をかぶせられたことだって幾らでもございます。それでそういう団交の席上であれやこれやと申したことは、これは取り上げれば際限のないことでございまするが、とにかく二十六日やめなければ、業績手当に響くおそれもある、こういうふうなことは、これは団交の席上でもちろん、もちろんじゃございませんが、言うこともあり得るわけでございます。しかしながら、それで一貫したわけでなく、先ほども申しましたように、業績手当は払うのだということの方針で進んでいたことは、これは労組承知しておられるでしょうし、私の方では運輸当局、大蔵当局に業績手当のことをずっと折衝いたしておりましたから、そういうことは、これによりまして、三十六日はやめなければまるにするというふうなことで、一貫したことはございません。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 とにかく団交というのは、私たちも組合に関係したことがあるのでわかっていますから、それはかけ引きもあるでしょう。しかし、国鉄総裁を代表する最高責任者として、そういう方がこういうような形でかりにも一つ労働組合に対して政治的圧力になるような言葉というものは私は非常に不当だと思う。その点が一つの私は大きな問題になっても、やむを得ないと思います。  その次に、処分の問題ですが、二十三日の問題については処分をしない、とにかく車が動かなければ困るから、動かすためには処分をしないと言ったのだ、こういう話でありますけれども、これは私たちは、やはりいやしくも処分をしないと言ったことは、これは非常に重要な問題だと思う。あとで情勢が変ったから、そのときはこうでない、こう説明しても話にならない。二十三日の問題について処分しないということを、政府の方でも言っているのであります、けれども、しかし、やはり一番問題になったのは二十三日の問題です。そのあとの問題につきましては、当委員会でもこれは柴谷委員あたりから、この処分はしないようにすべきである、またわれわれも、そんなばかげたような一方的な処分というものについてはけしからぬということで、宮澤運輸大臣にもほとんど確約程度に確約さしたと思うのです。そういういうことは含みとして、処分はしないという話し合いはしているのですから、二十三日の問題が発生しなければ、このような問題は起らなかったかもしれない。従って、今度は二十三日は、政府間の方にも、当局の方にも非常に手落ちがある。どうもこの問題は明らかにすると工合が悪い。現に、私は石田官房長官に党を代表して会ったときに、二十三日の問題はどうも工合が悪いのだ、こういうことを言っております。これでしないのだという、別に全般を通じてやるのだという形で問題をぼかしていると思いますが、私は二十三日の問題が一番焦点になっておると思うのであります。この焦点の問題については、小倉総裁も、とにかくその団交の席上において処分をしない、こういう意思表示をしているのであります。これはかりそめにも言える言葉ではないのでありまして、そのときもいわば労働者をだますために何とか、車を動かせばいいのだから、それで処分しないと言っておいて動かし、それであとに行って処分するということは、これは大義名分が立たないし、団体交渉の権威は完全に失墜する、こういうことはわれわれは了承することはできないのでありまして、私は、私だけしゃべっておることはできませんので最後に一つお伺いいたしたい。法的根拠はどういうことですか。今度処分考えられておるのは、今度の公労法日鉄法によって処分するのだという、この法的根拠は一体どういうものか、これを伺いたい。
  63. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) いろいろ私の言葉の取り方によって結論も違ってくるのでございますが、私が先ほど申しましたのは、私の気持としては、二十三日のみを取り上げてするということはないと申したということでございまして、御承知通りに第三波、第三・五波等も相当ひどかったということは御承知だろうと思います。それで春闘全体を見ますれば、これは法律違反、業務違反がずいぶんございます。そういう点につきましては、私どもはやはり考慮を加えていかなければならないと、これは先ほど申し上げたのでございます。それで法律的な根拠ということでございまするが、それは先ほど申しましたように、処分は慎重にいたさなければならないので、その全体の調査をいたしましてから、それに応じて、もし公労法違反に該当するならば公労法が適用法規になりまするし、もし業務命令違反でございましたら日鉄法が根拠法規になる、かようなことでございます。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つ公労法の十七条、十八条をさしておるのだと思うのでありますが、この前もそういうような不当な処分がなされて、これは提訴になっておると思うのです。これは非常に労働組合の実態というものに私は即さないのではないかと思うのです。御承知のように、労働組合は大会でもってこれは運動方針を決定し、闘争の方針を立て、そこで決議されたことをこれは行なっていくわけでありますね。そうしてやりますけれども、このたびの問題につきましては、これは公労法のどういうところを適用するということになるのですか。公労法のこれは具体的に私は条項をあなたの方であげて、こういう点に抵触するあれがあるのだということを指摘していただきたいと思うのです。
  65. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) たびたび申しましたように、処分は慎重にいたさなければなりませんし、ただいま一般に新聞に載ったり、その他いたしまする段階ではございませんので、目下慎重に取り調べて全体を見比べて決定したいと、かように考えているのでごいざます。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは労働組合としては処罰するのですか。第十七条によって、労働組合として、労働組合が不当行為をやった、これが抵触するというので、これは処罰するというようなことなんですか、どうなんですか。
  67. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) まだ処分をいたしておりませんので、しかし、処分をいたしますときには、はっきりした理由をつけることになりますので、それで御承知願いたいと思います。
  68. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 岩間君、なるたけ簡単に願います。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると処分するということは具体的にきまっていないのですな。これから研究してやるということなんですな。先ほどのお話とずいぶん違ってくる。具体的に事実を指摘してこれでこうで——そういう方針なしにただやるのだ、ばく然とそういうことでは、これは大変なことになると思うのです。具体的にこういうことがあったのだと、これが法規に照らしてどうだということで処分するということは、やるのだという方針は出ると思うのですよ。あなたの今のお話では、これから研究するので、該当する法律事項もよくわからないので、ここでは答弁できないというので、ただやるのだ、これは私は大へんなことになると思うのですが、法律の適用というのはそういうものじゃないと思うのです。そういう点から考えますというと、おそらくこれは公労法、それから国鉄法を使って処分するのだというようなことにしていると思うのですが、非常にこれはおかしいと思うのです。これは個人はやれるでしょう、個人を。しかし、労働組合の一委員長とか、それから役員とか、そういう人たちというのは、大会によって任命されているのですね。全体の意思によってこれは動いている。決して個人的に動いているわけのものではない。そういうことについて、公労法を適用して処分するのだというふうなことになりましても、公労法が適用されるということになりますと、私は非常にここに法律的な問題がある。その中で労働組合委員長、あるいはだれだれというので何人かをピックアップして、そうしてあなたたちの任意な方法でもってこれを処分するというならば、起つた場合に、これは全くおかしい。労働組合の弾圧というような形にはっきりなってくると思うのです。大会が最高の責任者です。従いまして、大会の決定によって行動しているところの労働組合委員かそれによって処分されるという事態が今後起るとするならば、これは不当労働行為であると考えざるを得ない。従いまして、公労法を今日適用して処分するなんていうことは、非常に私はこの法の適用から考えましてもおかしいことになると思う。この点はいかがでございますか。国鉄労働組合を全部処分しちゃって解散でも命ずるならば、これはまた違う。それは国鉄労働組合全部の問題なんです。ところが、その中のあなたたちの考えて都合のいいところだけやっていく、そうして、どうもあいつは工合が悪い、こいつは工合が悪いというので、あなたたちの立場からピックアップされる形になる、そういう形でやってくれば、明らかに不当労働行為を発生すると思うのでありまして、この点は非常に私は重大な問題になる。今までの適用の仕方が、法の解釈の問題は十分に法律的にたたかなければならない問題だと思う。この点は、どうですか。
  70. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほど処分者考えておると申しましたのは、結果的に見まして、かように大きな列車の障害を生みましたが、これは常識的に普通考えまして、処分者が出るのが当然であると、やむを得ない、しかしながら、その個人々々のこの処分につきましては、これは実情調査をしなければ、どういう法律で、どういう程度でということは申し上げかねるのでありまして、そういう点を目下調査中であると、こう申したのでありまして、その点について、私は矛盾はないと考えております。
  71. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記ちょっととめて。    〔速記中止〕
  72. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記つけて。
  73. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは先ほど小柳委員長もはっきり表現されましたように、これは公労法に基づく正当な職場大会をやっているのです。こういうものについて、これを不当だといった一方的解釈でもってこのような処罰が行われるということは、非常に、不当だということをはっきりわれわれの考えとしては申し上げておきたい。それからあなたたちの責任も明確にしないで、一方的にこういうことをやるなどということは、とても天下にはこれは通用しない。それから数々のやはり経過を見ますというと、これは当局責任というものは不手ぎわがあるのでありまして、むしろ、この根本原因をはっきりしてあなたたちはこの責任を負うべきである、こういうことを私は申し上げて、まあ一応私の質問を終ります。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 この際、小倉総裁国鉄労働組合小柳委員長お尋ねをしておきたいと思うのですが、二十三日の事態によって国民の皆さんから非常に批判をされたことは、先ほどからの答弁の中であると思うのですが、いわゆる当局組合も、今後そういう事態のないようにしたいという考え方があると思う。この点について再度御答弁を願いたい。
  75. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) もちろんかような不祥事は繰り返すべきでないと考えております。
  76. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 私どもは過去でもそうでありましたように、将来もみずから好んでこのような事態を引き起すようなことは考えたことはありません。かつてのこともみんな追い込まれて法を守るために、自分の生活権あるいは団体行動権を守るためにやったせっぱ詰まった行為であるということを証言いたします。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 いわゆる今までの両名の言い分を聞いておりますというと、やはりここに当局側にしろ、あるいは政府態度にいたしましても、若干のやり手落ちがあった。労働問題というものは両者の誠意をもって解決に当たらなければならぬ、こういうことは国民の皆さんがひとしく信頼をされる場合には一番大きく関心を持たれることだと思う。従って、今仲裁裁定実施をされる、仲裁裁定が完全に実施をされる、こういうことになれば、おそらく組合の方でも中央委員会決定ということで専用されて、それに従うという証言があったと思うのですが、小柳委員長は、その点は仲裁裁定が完全に実施をされた場合にはこれに従って、そして今後の運動についても御迷惑をかけることはない、こういう点については確認をしてよろしゅうございますか。
  78. 小柳勇

    参考人小柳勇君) 中央委員会決定については、新聞ですでに出ていると思うのですが、私どもが一番論究いたしましたのは、仲裁裁定についてはもう実施されるものと考えております。これは当局との間にもう裁定実施するという協約をすでに結んでおりますから、そのことではなくて、昨日みながほんとうに心配してあのようにきめましたのは、不当処分が出るというような話、また一方的に労働組合を追及する、責任を追及するという談話その他が再々出ますので、もしそのようなことがあったら、これは労働運動に対する不当な圧迫であるので、われわれはやらざるを得ない、こういうことをきめておるところでございます。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 小倉総裁お尋ねをしたいと思うのですが、少くとも四月六日に仲裁裁定は提示をされている。そして国会には十日以内にこの取扱い方について指示を仰がなければならぬ。しかも、本日はもう十二日です。仲裁裁定について、国鉄当局運輸省なりあるいはまた政府内の中でどのようにあなた方はこの仲裁裁定を守るために努力をしてきたのか、またこの十六日の期間内にあなた方は必ず仲裁裁定というものは守れるという考え方に立っているのか、この点の御答弁を願いたい。
  80. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 先ほども申しましたが、極力努力をいたしまして仲裁実施に邁進しておるのでございます。具体的に申しますれば、仲裁裁定案を受けまして直ちに研究を開始し、質問書を作成して仲裁委員会に提出し、その回答を受けまして直ちに運輸省並びに大蔵当局折衝いたしております。ただ、先ほど申しましたように、会計が非常に複雑でございまして、その計数整理がそう簡単に参らないので、今意見の調整をしつつある段階でございます。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 当局の今の答弁ではやはり非常に問題が残ると思うのです。少くとも組合は、小柳参考人の答弁では、調停案を受諾をする、すでにそのときから調停案を受諾した場合のあなた方の立場というものも考えておらなければならなかったはずです。しかも、それを調停案を受諾をしないで仲裁裁定に持ち込んだ。仲裁裁定が提示をされたならば、直ちに仲裁裁定に従うという考えがなければならぬ。それを今になって研究をするというのは一体何事か。これはあくまでも何らかの理屈をつけて、そして仲裁裁定というものが実は労働組合の行動によって守れないのだ、こういうような責任転嫁をあなた方は考えているのじゃないか。調停案を不満ながら守る、いわゆる調停案を受諾をした。しかも、一方的に政府当局から仲裁裁定に移行された。仲裁裁定が出された。しかも、出されて今日六日以降たっているのに、いまだ研究をしておるということは一体どういうことなんだ。これはやはり私は誠意ある当局態度ではない、こういうふうに考えられるのでありますが、この点については、むしろあなたの立場よりは運輸大臣なり、あるいは総理大臣立場を私どもは聞かなければならぬわけです。本日は、この点については私はむしろ政府の答弁というものを保留しておきます。  次にお尋ねをしておきたいのは、先ほどもお話のあった、関係の委員から質問のありました処分の問題でありますが、単に特定の人の首を切ればそれでこのいわゆる労働問題というものが解決をするとあなた方はお考えになっておられるのか、この点いかがでしょうか。
  82. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) いろいろ複雑な問題がありますので、そう簡単にはお答えできないと思います。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 少くとも労働問題を誠意をもって解決するというのは、首切りをしたから解決ができるというものではないと思うのでありますが、その点はあなたはそう思いませんか。
  84. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 重ねて御答弁申し上げますが、いろいろな労働問題の起る根源をいろいろ探究して是正すべきものは是正していかなければならない、それでなければいかぬと、こう考えております。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 今の副総裁の答弁ではもうこれはこの委員会では結論は私は出ないと思う。今までの各委員から質疑されたように、やはりなまくら問答に終ってしまう。私どもは国民の皆さんから愛される国鉄を作ってもらいたい。国民の皆さんの期待にこたえるようにしてもらいたい。本委員会においても輸送の増強に対する国民の期待に沿うように、あらゆる問題を処置をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。そこでそうしたことを考えるならば、当然労使紛争というものは労使の自主的な解決がなくてはできない、単に首切りを行うということで決してこの問題が解決するものではない、こういうことをあなた方はやはり肝に銘じてそうして少くとも処分というものはそういう形で行われない、若干のやはり手違いなり、あるいはその間のいきさつに誤まりがあるならば是正をして、国民の皆さんに自分たちの足りない点はおわびをする、そして、今後そういう紛争を起さないという、私は誠心誠意披瀝があってしかるべきだと思う。こういう点について、あなたの御答弁が先ほどの御答弁のようならば、これはもうお答えをいただく必要はありません。私どもはあらためて運輸大臣なり、あるいは政府責任者出席をしていただいて、そして、そういう中で労使紛争というものを正常な形に直していく、労使の慣行というものを樹立をしていくように、私どもは本委員会の中で明らかにしていきたいと思う。こういう点について、もしあなたが誠意を持って答弁をされるならば、答弁をしていただきたい。もし答弁ができなければ、お答えをする必要はありません。
  86. 小倉俊夫

    説明員小倉俊夫君) 誠意を持ってお答え申し上げますが、労働問題につきましては、私はまだ経験が浅いのでありまするが、いろいろなことを考えさせられるのであります。たとえば仲裁裁定というものは、これを双方とも尊重しなければいけない問題だということで、過去において、もしこれが尊重せられなかったとすれば、やはり労働争議もそういう点に一つの陰を持っていたのじゃないか、しかしながら、また一方考えますると、仲裁に上っておる間に、この紛争めいた実力行使は、これはやはり、やめるべきではないか、仲裁に上げておいて、さらにそれに圧力をかけるということは、これはまたいけないことではないかというふうに私、考えます。また調停につきましても、先ほど来、調停仲裁とが一緒になっておりましたが、調停というのは仲裁の前提となるものでございまして、これが必ずしも両名で守られなくてもいい、片方が調停に不満であれば仲裁に上げるということになっておりまするが、こういうふうな格好がいいものであろうかどうであろうか、こういう点につきましても、私は私なりに研究して参りたい。いろいろな点につきまして、労働問題というものは、今回を機縁にいたしまして、いろいろな角度から慎重に考慮されるべきものだ、かように考えて、私は私なりにまとめていきたいと考えております。
  87. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  88. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後一時十四分散会