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1957-03-20 第26回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十日(水曜日)    午後一時五十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            後藤 義隆君            成田 一郎君            平島 敏夫君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    運輸省鉄道監督   局国有鉄道部長  細田 吉藏君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道経    理局長     久保 亀夫君    日本国有鉄道営    業局長     磯崎  叡君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法  律案内閣送付予備審査)   —————————————
  2. 大倉精一

    理事大倉精一君) これより運輸委員会を開会いたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日御出席の方は国鉄総裁十河信二経理局長久保亀夫営業局長磯崎叡の諸氏であります。  御質疑のおありの方は順次御発言願います。
  3. 木島虎藏

    木島虎藏君 大臣がお見えになりましてからまた大臣にお聞きすることでございますけれども、今順序を変えまして、第一に、このごく最近の滞貨はどれくらいあるかお聞きしたいのですが。
  4. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) けさ現在で二百五十一万トンございます。
  5. 木島虎藏

    木島虎藏君 それは大体何日分になりますか。
  6. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在一日大体五十万トン輸送をやっておりますので、約五日分に該当いたします。
  7. 木島虎藏

    木島虎藏君 現在のその五日分というのは、大体国鉄では普通の状態の何倍くらいとお考えなんですか。
  8. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 昨年のちょうど今ごろが九十五万トンくらいでございますので、それに比較いたしますれば、二倍半でございます。昨年の最高時は二百十七万トン、これは十二月の中旬でございます。二百十七万トンに達しましたので、それに比較いたしまして若干上回っております。
  9. 木島虎藏

    木島虎藏君 この二百五十一万トンの中には、遠からず運賃が上げられるというので、多少その先送りの傾向を認めますかどうですか。
  10. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、必ずしも正確に実情が把握できませんでございますが、現在まで出て参ります物資につきましては、運賃値上げを見越しての輸送の要請がふえたというふうには見ておりません。と申しますことは、大体一月以降からの上昇のカーブが、何と申しますか、大体コンスタントにずっと上ってきておりますので、運賃値上げを見越しての急激な上昇というものはないというふうに考えられますが、ただ、個々の物資々々につきましてみますれば、必ずしも全然ないかというふうに申しますれば、全然ないとは申し上げられないと思います。
  11. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこで、今提案になっておりますところの運賃法改正に伴って、設備増強なり輸送力増強が企てられておりますが、この企て通り参りまして、三十二年度には一体どの程度輸送力がふえるのですか、現在に比べて。
  12. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在私どもで想定いたしておりますのは、本年度は一億七千二百万トンから三百万トンの間というふうに考えております。まだ三月が半月ばかりございますので正確な数字は出ておりませんが、大体一億七千二百万トンから三百万トンの間と考えますが、それに対しまして、大体現在予定をいたしております工事ができ、貨車新製ができますれば、昭和三十二年度におきましては約一億八千三十六万トン程度輸送が可能だというふうに考えております。
  13. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると、これは大体何%くらい増になりますか。
  14. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 約四%半でございます。
  15. 木島虎藏

    木島虎藏君 次に、旅客の方はどういうことになります。
  16. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 旅客につきましては、三十二年度の現在の見込み——人キロで申し上げてよろしゅうございますか。
  17. 木島虎藏

    木島虎藏君 ええ、けっこうです。
  18. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 人キロで申し上げますと、千十八億人キロでございます。これは対三十一年度予算に比較いたしまして百五億、五%の増加でございます。
  19. 木島虎藏

    木島虎藏君 そういたしますと、三十二年度では大体旅客貨物とも五%程度、それからこの五カ年計画が完了した暁には一体どういうふうになりますか。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 五カ年計画が完成いたしました暁には、三十一年度の当初の計画に対しましては、旅客輸送におきまして一三九%、貨物輸送におきましては一三四%に増加する見込みでございます。
  21. 木島虎藏

    木島虎藏君 今の割合、大体わかったのですが、通俗的に申しましてですね、減殺いろいろ荷物が送れないで、あるいは滞貨金融と申しますか、あるいは暮れなんかには、中小企業では賃金が払えぬというような問題が散見されておったように見られますが、そういう問題はこの案を実施すると解消するという見込みですか、どうですか。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在想定いたしております輸送力の伸びができ、また輸送量が伸びたといたしました暁には、貨車配給の面でこれを申し上げますと、現在の配給の率が大体六〇%でございますが、これが八〇%ないし九〇%に引き上げ得るものというふうに考えられます。
  23. 木島虎藏

    木島虎藏君 旅客の方はどうですか、混雑割合はどういうことになりますか。
  24. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 旅客につきましては、東京、大阪等の都市の電車区間では、現在の混雑度約二〇〇%をこしておりますが、それが二割ないし三割緩和されるいうふうに考えられます。また近距離列車につきましては、現在年末その他の多客のときには、相当立って旅行していただいておりますが、それが大体座席の確保ができることになるというような見込みでございます。
  25. 木島虎藏

    木島虎藏君 そういたしますと、大体遠距離旅客ではすわって旅行でき、それから近距離通勤では毎朝くたびれたり、痛い目にあったりすることがなくなる、こういうことですか。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 遠距離旅客につきましては、今先生の仰せの通りでございまして、また通勤電車につきましては、この程度ではまだすわって通勤できるという段階にはなりませんが、非常に卑近な例をたとえて申しますれば、電車の中で新聞を読める程度には緩和すると思います。
  27. 江藤智

    江藤智君 関連して。今五カ年計画が完成したあとの大体の輸送力緩和お話があったのですが、一般の方は、こういう運賃改正をいたしますというと、すぐ効果が現われるのじゃないか、実際問題は五カ年後に現われる面もこれは事実たくさんあるので、その途中やはりよくそういう点を理解してもらわないというと、国民がそれだけの犠牲を払っておきながらさっぱり効果がないじゃないかというような不満も起るのじゃないかということが懸念されるわけです。で、今、木島委員から三十二年度末の大体輸送力増の御質問があったのですが、その点でちょっと私はっきりもう少し伺っておきたいと思うのは、貨物において、三十二年度の末に大体四・五%くらい輸送量がふえるだろう、それはその通りでございますね。そうしますと、一方におきまして来年度貨物輸送トン数計画は七・八%増を見込んでおられる、そうしますというと、三十二年度の終りにおきましては、滞貨状態やなんかは運賃改正をやったにかかわらず、もっと今より激しくなる、こういうふうに考えていいのですか、ちょっとその点もう少しはっきり……。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまのお話の七・八%は三十一年度の当初の計画に対する数字でございます。先ほど私が申し上げましたのは三十一年度実績見込みに対する数字でございます。
  29. 江藤智

    江藤智君 そうしますとですね、その当初とあと実績との関係はどうなっているのですか。ちょっと見ますと、来年度輸送量は今年よりも七・八%ふえ、それから一方においては輸送力は七・五%ふえるのだ、これは一つべースを同じようにしてそして言っていただいたらどんな割合になるものですか。
  30. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) その点、全くごもっともでございますので数字で御説明申し上げます。七・八と申しまするのは、三十一年度予算を編成いたします当時における予算の積算の基礎数量になった輸送量、これに対して三十二年度の、今回の予算の裏づけとなります輸送量が、鉄道だけで七・八ふえるわけでございます、貨物が。これに対しまして列車キロで申しますと、同じく三十一年度の当初の予算基礎になった列車キロに対して、今度の三十二年度予算列車計画は、貨物で一二一六ふえるわけでございます。従いまして、七・八輸送量がふえるところに列車キロは一二・六ふえますからして、この点、緩和になるわけでございます。先ほど国鉄営業局長が答えましたのは、そうではなくて、今度は三十一年度の、現在出ております実績でございますね、今日までの……、たとえば去年の秋時間改正しておりますから、そういったようなものを入れて比べますと、輸送量では、貨物では約四・五%、それから輸送力では約五%、こういうことに相なるわけでございます。
  31. 江藤智

    江藤智君 私が今お尋ねしましたのは、予算編成資料では七・八%の貨物輸送する、で、列車キロは一二・六%それでふえる、ところが、現在はすでにもう非常に無理な輸送をやっているので、これだけの列車キロが果して出せるかどうかという、ある程度われわれは危惧を持っておったのですが、そうすると、この五カ年計画の第一年度において、これだけの工事をやれば十分に——十分というとおかしいが、この列車キロというのは出せるのだという、これははっきりそういう見通しがつくわけなんですね。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) さようでございます。
  33. 江藤智

    江藤智君 じゃ、旅客についても同じように言えるのですか。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) さようでございます。現在計画いたしております客車、貨車新造計画ができますれば、予定通りできるという計算であります。
  35. 江藤智

    江藤智君 これは一つ国鉄当局にお願いしたいことはですね、われわれが考えますのは、みなあなた方の方からいただいた予算の、予算といいますか、資料をもとにしてやっているので、基礎がそういうふうにばらばらな資料で出されちゃ、やっぱり判断をするのに一々質問をしてやらなければはっきりしないので、やっぱりそういう資料は何か基準をきめてそして出していただきたい、そういうふうに一つお願いしたいと思うのです。
  36. 木島虎藏

    木島虎藏君 次にお尋ねしたいのは、どうもこの調書を見せていただいただけではよくわからぬのですが、二十九年対三十年、三十年対三十一年、それからこれは三十一年から三十二年の予算が出ておりますが、これの収入実績割合、それから列車キロ当り経費実績割合、こういうものがおわかりですか。
  37. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 経費は全部出ておりますから、すぐに計算をいたしまして御説明申し上げます。
  38. 木島虎藏

    木島虎藏君 それでは、先ほど江藤君から御注意がありましたが、この予算調書にですね、輸送人員輸送トン数と、こうありまして、輸送人員の方が一一%、輸送トン数の方が七・八%と、こうありますね。これをずっと過去に引き延ばして、今言った二十九年から三十年、三十年から三十一年度、これに対応する数字がどういうふうなことになっておるかと、こういう意味であります。なければこの次でもいいですが、どうですか。
  39. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 単価ではなく全体の数字でございますれば……。
  40. 木島虎藏

    木島虎藏君 私の質問したい要点は、それを見ればわかると思うんですが、そちらの数字あとでいただきますが、何かずっと見た感じでは、収入は非常に大目に見、それから経費は非常に切り詰めて見てあるように思うのでありますが、その程度が一体どういうふうになっておるかということが知りたいんです。あるいはそうでないか、そういうのは誤解なのか、あるいはその傾向はあるが、程度はどうかということを御説明願えればけっこうなのです。
  41. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) それでは、今の木島先生の御質問の趣旨に多分お答えできると思いますが、こういう数字がございます。ここで、二十九年度、これはもう決算がきまっております。それから三十年度決算、それから三十一年度はここに並べて書いております予算額、それから三十二年度予算額、それを二十八年度を一〇〇として計算をしてみました。そういたしますと、収入、これはまあ旅客貨物全部入れてでございますが、二十八年度を一〇〇といたしまして、二十九年度は一〇〇・四%、それから三十年度は一〇四・一%、それから三十一年度は一〇七・六%、それから三十二年度は二九・二%、これは三十一年度に対しますと約一〇%になります。こういう収入傾向になるわけでございます。これに対して支出の面でございますが、これも同じく二十八年度決算を一〇〇といたしまして、二十九年度決算額は一〇〇・九%、それから三十年度決算額は一〇四・六%、それから三十一年度が一〇六・一%、それから三十二年度は一〇九・〇%、と申しますと、先ほどの収入の方では、二十八年度決算に比べて一一九・二%とふえておりますのが、経費の方は一〇九・〇%ということで、この間約一〇%ぐらい経費を節減して参っておると、こういうことでございます。
  42. 木島虎藏

    木島虎藏君 この経費の方ですが、この経費列車キロ当りとか、何かそういうのでないと比較ができぬと思いますが、そういうものはありますか。これは総括でしょう。
  43. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) ただいまの御質問資料はさっそく作りまして提出いたします。
  44. 木島虎藏

    木島虎藏君 そこでですね、この経費の方はあとでまあ見るといたしまして、収入の方ですが、三十一年度から三十二年度にひどく飛んでおるようでありますが、これは年度の全体を見ての話で、神武景気というのが三十一年度の中ごろから始まったように思うのでありますが、この最近の三十年度からの下半期、三十一年度下半期と、この三十二年度予算と比べて——比べてというのはちょっとむずかしいでしょうが、そういう考え一つ修正したらどういうことになりますか、わかりますか。
  45. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) ただいま御質問の点は、下半期だけということだと少しむずかしいかと思いますが、大体年間を通じまして三十一年度実績見込みに対しまして、三十二年度予算は約五%、旅客貨物とも約五%ございまして、三十一年度は上期もかなりよろしゅうございまして、やはり八%から一割近く、下期もやはり八%から一割近く、平均しまして八・五ないし九%の増になっておりますので、特に下期の強弱はあまり関係はないだろうかと思いますが、そこまでまだ正確にわかっておりません。
  46. 木島虎藏

    木島虎藏君 そうすると国鉄当局では、今の収入の飛んでおるやつに対して、ちょっと自信がおありですかどうか、その点をまず伺いたいと思います。
  47. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) その点につきましては、繰り返し申し上げますが、本年度見込みに対して約五%でございまして、設備の面におきましては、車両その他、あるいは輸送頂におきまして、できるだけ貨物輸送についても、年間ならし輸送をしていただくということで、もちろん努力を要しますが、需要は相当強いかとも思われますので、私どもとしては、目標として立て得るものと、また実行し得るものと、かように考えております。
  48. 江藤智

    江藤智君 これに関連いたしまして、要員問題についてちょっと御質問いたしたいのですけれども、この前、權田政府委員の御説明では、収入は、ただいまお話があったように、相当に見込むのだけれども人間の方は現在の四十四万七千ですか、その程度からふやさない、こういう御説明であったように記憶するのです。もちろん給与総額その他によって押えられるかもしれませんが、人間の面で押えるのだということは、これはなかなか大へんじゃないか、もちろんあらゆる経営合理化の面でお考えになると思いますが、しかし、先ほどもあったように、列車キロにおいても十何%もふえるのだ、こういうような場合に、人間をふやさないでとにかくやるのだということが、果して現状から、口では言えるかもしれませんが、実際問題としてできるかどうか、そういう面についてはどういうふうにお考えになっておるのか、国鉄当局あるいは運輸省の方から伺いたいと思います。
  49. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 要員の問題につきましては、かねがね申し上げておりますように、経営の合理化なり、それに伴う配置転換ということを徹底的に実施いたしまして、また、来年度以降相当多額工事経費が増加されまして、あるいは設備の更新あるいは近代化といったような面とあわせ相待って経費を生み出して、必要な輸送増に向けていきたいと思っておりますが、ただいま御指摘のありました、来年度列車キロ一二%ということでございますが、これも先ほど収入のところで申し上げましたように、本年度実績は大体七%くらいはふえておりますので、やはり収入で申し上げますと同様に、実績に対しては大体五%程度の増ということになります。これによって何とか第一線の要員を生み出すように努力いたしたいと考えております。
  50. 江藤智

    江藤智君 そういたしますと、この前も權田さんのお話では、私の勘違いと申しますか、そういう意味予算総額というものが努力してふえれば、あるいはその他いろいろ給与ベースの問題なんかも変るようなことがあるでしょうから、そういうようなことでやはりできるだけそういう人間の補充という面にも努力するのだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  51. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 前回御説明いたしましたごとくに、予算人員でございまして、定員法定員ではないのです。この予算人員単価を掛けまして、さらにいろいろな諸手当を入れまして、給与総額の総ワクがありまして、その総ワク内において、国鉄においていろいろ合理的な運用をしてもらう、こういう建前でございますから、一般公務員定員という意味とは全然異なります。
  52. 江藤智

    江藤智君 この運賃改正の法案を審議するに当りまして、根本的にやはり世の中の方々に釈然としていただくためには、日本交通政策というものが、やはりはっきり立っていませんというと非常にその点がすっきりしないのじゃないか、こういう気持が非常にはっきりするのです。この問題につきましては、いずれ運輸大臣がお見えになりましてからお尋ねすること三いたしまして、ちょうど総裁もお見えになっておりますので、総裁にお尋ねいたしたいのでございますが、国鉄公有企業体でありますからして、どうしても機動的にある程度総裁のお考えによって運営をやっていく、いわゆるこれを国鉄自主性といわれておるようでございますが、今後いよいよ国鉄の使命も重くなって参りますし、たくさんの工費もまかない、また要員の問題も起って参ります。そういう面でこういう程度自主性というものは国鉄当局としてぜひ持ちたいものだ、こういうことについて、国鉄あるいは総裁御自身の考え、あるいはそういうようなことについてのこれまで委員会のようなもので御研究なすったものでもあれば、そういう点について一つお尋ねいたしたいと思います。
  53. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいまお話のありましたように、国鉄にもう少し自主性を与えてもらいたい、もちろん国鉄公共機関でありますから、政府国会等からいろいろと監督を受け、指示を受けなければならぬということは、当然でありますが、もう少し自主性を与えてもらわないと、国鉄の合理的な運営といいますか、責任体制の確立といいますか、そういうようなことも十分にできないように思うのであります。それで私は初めからそのことを政府にもお願いいたしておるのであります。しかしながら、何と申しましても、近年国鉄世間から非常にきびしい批判を受けております。私としては、そういうことを強くお願いしたいとは思いながらも、まず、国鉄としてもう少し世間から信用される国鉄にしなければ強くお願いすることができないというふうに考えまして、今日まで私は国鉄信用回復ということに微力を尽して参ったのであります。微力、不徳にして皆さんの御期待に沿うような程度に参りませんで、次々と、かえっていろいろな事故を起したり、あるいは最近も新聞紙上で問題を起すようなことを起しまして、私としてはお願いしたいこともお願いできないでちゅうちょしておるような次第であります。
  54. 江藤智

    江藤智君 総裁国鉄信用回復のために非常に御努力なすっておるということはよくわかるのでございます。また、それが十分でないから、むしろ遠慮して、言いたいこともまだ遠慮しておるのだという、非常に謙遜したお答えでございました。しかし、私はやはり国鉄総裁がある自主性をお持ちになって、そうして打てば響くというようなやはり態勢を整えられませんというと、そのためにまた国民の不信を買うというような事柄もあるのじゃないか、そういうような気持がするわけであります。従いまして、国会の方にもいろいろとそういうことを要望したいとおっしゃいますけれども、やはり国会において正式にディスカッスするところは、この運輸委員会であろうと思いますので、一つ御遠慮なく、まあこの運賃改正というような問題でも終りまして、いよいよここで新しく国鉄がスタート守るのだというときになりましたならば、一つそういう面も十分御研究になって、御遠慮なくこちらの方にもそういう案をお示し下さったならば、われわれもみんなでそれをよく検討して、できるだけ国鉄が仕事のやりやすいように持っていきたい、こういうふうに考えますので、御遠慮なくそういう点をお申し述べ願いたいと思います。
  55. 十河信二

    説明員十河信二君) ありがとうございました。
  56. 江藤智

    江藤智君 そこで、今度五カ年計画について、少し内容的にお伺いいたしたいと存じます。で、まずこの「修正国鉄5箇年計画」を拝見いたしまして、お願いをいたしたいといいますか、希望を申し述べたいことがあるのでございますが、それはまず、これだけの大計画であります、従って、地に足のついた実行案をしっかり一つ立てていただきたい、そして態勢を整えて、この工事を推進していくようにやっていただきたい、こういうことでございます。まず、この計画の、どういうことがまず地に足のついたことかと申しますというと、まあ運賃改正その他もございますから、非常にはなやかな行為という方が、どうしてもどんどんとまあ表に立って参りまして、そしてじみちな、ほんとうに国鉄の安全を保持し、あるいは資産を保全し、また輸送力をつけるというような工事あと回しになったのじゃ、これは非常に目的と変ることになる。で、もちろんこれに計画方針として、一、二、三というふうに大方針が載っておるのでございますが、私といたしましては、この二の「資産健全化と、輸送の安全を確保するため老朽施設車両を更新し、信号保安設備を強化する。」、それから第二の「現在の輸送力不足を解消するとともに、」云々ということがございますが、一つ、この二点につきまして、決してこれがおろそかにならぬようにやっていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、この点はよく一つ運輸当局あるいは国鉄当局として、間違いはないと思いますが、その点のお考え一つ聞かしていただきたいと思います。
  57. 十河信二

    説明員十河信二君) ただいま御指摘のありました通り、われわれはこの五カ年計画で、最も重きを置きましたことは、資産を保持し、そうして安全を確保するということであります。これにつきましては、かねてから長く委員会を設けまして、そうして現場の意見をも徴しまして万全を期してこの計画を立てたつもりでおります。また輸送力不足を解消すると、そして乗客、荷主に御迷惑をかけないように、日本経済の発展の隘路を打開するようにということにつきましても、部外の方々にもお願いいたしまして権威者を集めて、鉄道本来の使命である経済発展の推進力となり、文化の先駆たるべき使命を果すことのできるような地位にだんだん進んでいくようにということでこの計画を立てて参った次第でございます。なお、この計画が果してこの通り実行されておるかどうかということにつきましても、事前の調査研究と同様に力を入れて事後の監査を厳重にいたして計画計画倒れにならないようにということを努めておるような次第であります。
  58. 江藤智

    江藤智君 ただいま総裁の御方針はよくわかりました。そういたしますと、私、ちょっとこのパンフレットを拝見して大きい項目が抜けておるように私は思うのでございます。と申しますことは、軌道の強化と近代化という大きなテーマがまだ落ちておるのでございます。御承知のように非常な輸送量が増加いたしまして、戦前は——戦前の予想と申しますが、基準をはるかに上回った通過トン数をまことに貧弱な軌道構造を持った線路によって引き受けております。また複線区間、東海道線、山陽線はもとより、それ以上に北陸線あるいは東北線というような単線区間の場所におきましては、列車密度が非常に上りましたために、保守の間合いというものもほとんどない。以前は通過トン数が一千万トン以上になるというと五十キロのレールにしなければいかぬという基準があったのでございますが、現状は全然そういう基準は無視されて、とにかく送らなければいかぬということで、どんどん軌条の上を走っておる。そのために、私、ごく最近も山口県の方にも行ったのでありますけれども、広島付近の勾配区間で軌条が飛んで、非常に危ない目に会ったということを現場の人からも聞きましたけれどもそういうような危険な状態というものは、これは無視するわけにいかないのです。また保線の要員を節約すると申しますか、とにかく間合いが少くなって、そういう時間がないのでありますからして、これを補うためにはどうしても軌道構造を強くして保守の手を省くようにしていくよりしようがない、そういう意味におきまして、軌道の近代化、言うまでもなく長いレールを使い、またコンクリートの枕木等を使ってこれを強化するということがぜひ必要でありますし、また世界の一流の国というものは、鉄道近代化というものは車両、動力の近代化とともに、その二大柱の一方として軌道の近代化というものに非常に努力をしておるわけです。従いまして、安全の意味からいっても、また近代化意味からいきましても、軌道のそういう方面の仕事というものは非常に力を入れていかなければいけない問題じゃないか、またそういうふうに私も聞いておったのでありますが、ここにそういうテーマがないし、また説明も載っておりません。わずかに備考欄にちょっと載っておりますけれども、この内容も何らわからないのでございまして、そういう点をもう少しはっきりさしていただいたらいいだろうと存ずるのでございまするが、いかがでございましょうか。
  59. 十河信二

    説明員十河信二君) 今の御質問、ごもっともであります。ここに文字が少し足りなかったと思いますが、軌道を強化し近代化するということは、もちろんこの計画では非常に重きを置いて——実際は重きを置いているのです。表わし方がどうもちょっとまずいかと思います。鉄道で比較的おくれておりますのはこの軌道、それから通信、信号、これが相当おくれておるかと思います。この計画の中にはその方面のことは、輸送の安全を確保する点からいっても、また輸送力増強するという点から申しましても、ぜひともやらなければならぬ。それは十分にやるつもりでおります。この表わし方が不十分であったということは御容赦を願いたいと思うのであります。
  60. 江藤智

    江藤智君 いま一つ私の感じたことを申し上げますというと、何といっても輸送力をつけますためには、線路容量がなければいかぬ。線路容量をつけますためには、いろいろ方策もございますが、根本的な解決は線路増設、すなわち単線区間を複線化し、複線区間を四線区間にする、こういうことであります。わが国の鉄道がいかにそういう面においておくれておるかということは、諸外国——イギリスやドイツやフランスやアメリカの鉄道を一目ごらんになった方はよくおわかりなのでございまして、イギリスやフランスあたりはもう半分以上も複線化、全線路延長の半分あるいはそれ以上も複線になっておるのに対して、日本はまだ十何%ぐらいしか複線区間がない。これではそれらの国に比べて、それ以上の輸送量を、はるかに大きい輸送量を要請されておる日本鉄道としては非常におかしな格好になっておる、こういうふうな気持がするわけでございます。で、この五カ年と申しましても、これは日本鉄道をあるべき姿に踏み出す最初の五カ年でございますからして、そういうような面も十分に一つ考え下すって、真に輸送力増強するということを第一の建前において一つやっていただきたい、こういうふうに希望を申し上げます。  それから第二に、その態勢を整えてもらいたいということを申したのでありますが、その面で一番、私らが一目見て、これで態勢が整うかどうかと心配なのは、総経費がまことに少いものしか認められておらぬ。昨年五百何十億に対しまして約五十億程度の総経費である。ことしは倍の一千何十億というような工事量がふえておるにかかわらず、依然として五十二億、結局二億程度の総経費しか増加しておらぬ。言うまでもなく総経費というものは、ほとんどこれは人間に対する、すなわち設計要員あるいは監督要員に対する経費なのでございまして、倍にもなるような工事計画をしておきながら、それに対する人間というものがほとんど変っていないということは、まず非常におかしく感じられる。また、これをほかの公社の予算を見ましても、電電公社が来年は六百何十億かの建設費に対しまして、たしか五十六億かの、国鉄よりも多い総経費を同じたった一枚のページが違っただけで認められておる。内容的にいきまして、国鉄がそんなに電電の仕事よりも簡単な仕事とはわれわれはどうしても考えられない。かりに、パーセンテージで見ますと、国鉄におきましては、工事経費に対しまする総経費割合は、四%八であります。ところが、一ページあけまして電電の総経費割合を見ますというと、倍の八・八%になっておる。果してこういうことで国鉄が真に腹を据えて五カ年計画を遂行するというお気持であるのであろうかという点が、私はむしろその決心のほどが疑われるような気持がするのでございますが、その点におきまして一つ国鉄考えを聞かしていただきたいと思います。
  61. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄は今日までどちらかというと、皆さん御承知の通り、非常に仕事の量と金のつぎ込み方とを考えますと、非常に虐待せられておったのであります。従って、さっきお話のあったように、諸外国の軌道と日本国鉄の軌道を比較しても、また諸外国の車両あるいは通信施設等と日本車両や通信施設を比較しても、非常におくれておる。従って、われわれは何とかしてこのおくれを取り返したい、こう考えていろいろ政府にもお願いをいたしておったのであります。過去においてしばしば政府からもいろいろ国家資金を何とか工夫をしてやろうというふうなお話もあったようでありますが、それがなかなか実現いたしませんで、今日、こういう施設の窮状を見るに至った次第であります。そこで、われわれはどうしてもこれは早く輸送力を回復して、安全を確保し得るような施設に持ってこなきゃならぬということで、国民の皆さんには非常に御迷惑と存じましたが、運賃の値上げをお願いいたしたような次第であります。そこで、国民の皆さんに御迷惑をかけて運賃を値上げしてもらう以上は、われわれとしてはでき得る限り節約し、合理化をして、血のにじみ出るような苦難を耐え忍ばなきゃならぬということを考えまして、現場の方ではそれほど人を節約するということも困難であります。管理部門におきまして機構の改革をいたしまして、さっきお話のあったように工事をするにしても、設計部門の人手が非常に足りないだろうというお話がありましたが、その通りでございます。そういう部門の人を生み出すためには、どうしても機構を改革して簡素化して、それで必要な要員を生み出すように努力をいたしてきておるのであります。まあそれで何とか補いをつけていきたい、こういうつもりでこの予算を組み、計画を立てた次第であります。  それからさっきお話のありました軌道面の線路の容量等のことにつきましては、きわめて簡単でありますが、このパンフレットの六ページに少しは書いてあるのであります。非常に書き方が簡単でありますために、いろいろな御不審が起ったことと思いますが、そういう方面に十分に重きを置いておるということは御了承を願いたいと思います。
  62. 江藤智

    江藤智君 ただいまの工事要員の問題につきまして、総裁も非常な御決心を持っておられるようであります。しかし、おのずから人間の働く力というものには、限度があるのでございまして、ここに出したような、まるで電電の半分でもいいというようなことはこれは言えないのでありまして、ことに、設計をよくするかどうかということは、これは実際問題として、いろいろ設計をするとしないとにおきましては、工事経費におきましても相当の開きも起ってくることでありますからして、わずかの人間を節約して緻密な設計がおろそかになるようなことのないように、あるいは外部におきましてもし設計をさせるということになりましたならば、外部の設計の能力なり、またそれに要する費用というようなものも十分に御検討になって、そうして一番一ついい方法をぜひ考えていただきたい。いずれこの問題につきましては、まだいろいろと質問もあると思いますけれども、こういう点はだれでも一目見て非常に、どうするだろうかという危惧の念を抱かざるを得ないということを申し添えておきます。  なお、これについていろいろ機構の簡素化もやるんだというお話でございました。申し上げるまでもなく、工事をいたしますのには設計要員が必要であり、金があり、すなわち資金が必要であり、技術力が必要である。もう一つの大きな要素は資材であります。これだけの仕事をできるだけ早くやるという面におきましては、資材の調達の方法につきましても、一つそのつもりでお考えを願いたい。現在の仕組みは、これは私いい悪いは申し上げません。しかし、占領当時極端な資材の購入の集中をいたしましたために、何十億という工事をやる責任者におきまして、建前からいきますというとくぎ一本買えない。結局中年か前に準備要求をやって、全部用意しなければいかぬ、これが建前なんであります。しかしながら、こういうふうな仕事を少数の人間でやらなければいかぬというようになって参りますと、やはり戦前の現場で使うような程度のものというものは、やはり工事をやるところで手配ができるというような方法も一応この際考えられませんというと、工事の進捗の上に支障が起ってくるのじゃないかというような気持もいたします。これについては、私今すぐどうこうということは申しませんが、資材の調達の方法について一つ十分に御検討願いたいと思うのでございますが、いかがお考えでございましょうか。
  63. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 私からお答え申し上げたいと存じます。その前に、先ほどちょっと数字にわたるお話がございましたが、ちょっと御説明いたします。工事の総経費五十二億というお話でありますが、建設費の中に五億が入っておりまして五十七億ということ。もう一つは、昨年度五十億でございますが、実は若干他の工事に流用しておる面もございましたので、実質的には相当ふえることになります。それからもう一つ、電電との関係でございますが、これはいろいろ比較の仕方がございますが、私どもいずれが多いとか少いとか、ここで申し上げることはございません。ただ、国鉄車両費というものが工事費千億の中で四百数十億入っておる、これは全部工事というものが伴いません。それが比較の場合に若干問題だと思いますので、ちょっと数字について説明を申し上げます。  それからただいま資材のお話でございますが、もちろんこの大量の工事を実行するにつきましては、設計能力のほかに資材の問題が非常に大きな問題でありますことは、私どもよく承知いたしております。大きなものにつきましては、鋭意関係のメーカーとすでに折衝いたしておるものはございますが、ただいまのお話の点につきましては、私どもといたしましては、もちろん工事あるいは資材の調達が能率的に行われて、工事に支障のないようにする、これは最大のねらいでありまして、こういった点につきまして、現実に支障があるかどうか、必ずしもその点につきましては、そうばかりも伺っていないのですが、これはよく実情を調べました上で、要するに能率よく資材を調達するという考え方で進んで参りたい、かように存じます。
  64. 江藤智

    江藤智君 もちろん資材調達は、今おっしゃった通りのことなのです。そういうことが実際に仕事をやる面の意見、これもわれわれが現場の方に行きましたときに、ほんとうに困ったと連中の言う声が入ってきているのであって、いよいよまとめてくるというと、すでに制度もそうなっておりますし、また、それになれてしまうというと、どの程度そういう声が出るかしりませんけれども、しかし、戦前われわれが仕事をしておったときのやり方に比べるというと、非常な前ぶれの時間と手間かかかっておることは事実でありまして、そういう点は一つ総裁においてよくお考えを願いたい。  また人間を節約する面におきましても、これも御研究願いたいのでありますが、たとえばガソリン、こういうようなものは現在はもうどこへ行っても大きいスタンドがありまして、非常に楽に買えるのです。ところが、これを国鉄が購入して、そうしてドラムカンに入れて検収する、そうしてまたそれを二度輸送して現場に持って行く、それがこのごろの現場におきましては、そういうようなガソリンを貯蔵する場所というものが法律によってきめられる。ですからしてその保管場所も作っておかなければならない、そういうような事柄を考えますというと、すべての結局経費を総合してみるというと、どっちが得かわからない。ある人の意見などでは、もう明らかに普通に買った方が安いのだと言う人もあるのでありますからして、そういう点も、これは一例でありますが、五カ年計画に入るに当って一つ十分に資材の購入という面もお考え願いたい、こう考えるのでございますが、どうでございますか。
  65. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) ただいまの、ちょっと申し忘れました資材につきましては、機構の改革とにらみ合せまして、相当大量に地方の資材部に、こまかいものについては、点数にいたしますと数千点の品物を地方で購入するように、これはただし地方資材部でございますが、購入いたすようにすでに実施いたしておりまして、かなり能率的に手に入るような制度には一応いたしたわけでございます。また、一時にあるいは工事の担当者が購入するといったこともあろうかと思いますが、こういった点については、よく実情に即して検討して参りたい、かように考えております。
  66. 江藤智

    江藤智君 その点は私もよく承知しておりますし、ただ事柄が、また画期的な仕事を、しかも、少数な人間でやるというその御決心でござい面すから、まあいろいろな面にわたって態勢を整えて一つやっていただきたい、こういうわけでございます。  そこで、もう一つお伺いいたしたいのでございますが、この五カ年計画をいたしまして、東海道線の輸送力と申しますか、輸送要請に対する輸送力の見通しというものはどういうふうに考えておられますか、お伺いをちょっとしたいと思います。
  67. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 東海道線につきましては、御承知の通り現在すでに複線であるものの完全に旅客貨物輸送が行き詰まり状態になっております。ですから、日本の線区の中でも非常に輸送の険路、輸送難の度の高い線区になっておりまして、これにつきましては、実は過般来から、この国鉄の中に東海道線の線路について、いかにこれを強化すべきかという意味委員会を作りまして、現在種々調査中でございます。まだ完全に結論を得ておりませんが、あるいは場合によりましては、画期的な線路の増強方策等も考えなければならないような事態が参らないとも限りませんし、また自動車の問題ということと関連いたしまして、今後いかに東海道線を増強するかということは、非常に国鉄にとりまして大きな問題でございますので、現在なお調査会におきまして調査を進行中であります。
  68. 江藤智

    江藤智君 この五カ年計画考えておられる東海道線の複々線化というのは、これは、東京付近と解釈していいのですか。
  69. 久保亀夫

    説明員久保亀夫君) 大体東京付近、名古屋付近の電車区間ということで、東海道線全体の輸送の流れがいつ行き詰まるかという問題とは一応直接には無関係ということになっております。
  70. 江藤智

    江藤智君 いずれにしましても、現在の輸送を見ておりますと、下の方から上ってきましても、結局東海道線のうちでも、かつては思いも設けなかった中間部分において、すっかりたまってしまうというような情勢になっているのでありますからして、この五カ年計画をやれば、大体先ほどのお話のように非常に輸送力がつくのだと言われますけれども、私は一番大事な東海道線の全般的な行き詰まりという面において、先ほどお話しになったこれは平均の増加でございましょうけれども、動脈結滞が起りゃしないかという心配をするものでございますから、その点は一つこれと並行して十分に御研究になり、また、その対策を一つできるだけ早く立てていただきたいということを希望いたしまして、一応私の質問は終ります。  それから運賃改正説明は一応承わったことになっておりますけれども、提案理由にいたしましてもあるいはほかの資料にいたしましても、どうもみんな基礎がばらばらというとおかしいのですが、いろいろな数字が出てきているわけです。また御承知のように一割八分案から一割三分にまでずっと変ってきておりますからして、一つ数字を整理して、そうしてまたこういふうに変ってきたというようなことを、一つ簡単にわかるような資料として出していただきたいと思いますが……。
  71. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  72. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記をつけて。  それでは江藤君の今要望の資料、御提出願います。  なお、ただいま宮澤運輸大臣出席になりましたので、御質問の方は、引き続き御発言願います。
  73. 木島虎藏

    木島虎藏君 運輸大臣見えましたから、運輸大臣に御質問申し上げます。今回の国鉄運賃法の一部改正の背景になっておりますところの国鉄五カ年計画ですね、この五カ年計画運輸省としてお考えになった場合に、船舶、それから自動車、航空、それから私鉄ですね、私鉄は自動車、こういう国鉄以外の輸送機関ですね、この全体をお考えになって策定されたと思いますが、そのお考になる場合にどういうふうな考え方で日本の国内輸送、これを国鉄にどういう程度に分担させようか、こういうものは船にやれ、こういうものは自動車にやろう、こういうものは航空でというお考えはあったと思いますが、その基本観念を一つお伺いしたいと思います。
  74. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 一昨年、まあ昨年から来たいわゆる日本の経済拡大が、一般に予想していたよりも非常にテンポが早かったというような点がありますが、ただいまのうち、船舶も外航につきましては、これは今日本の船の足りないところを外国船でやっております。これはもうなるべく日本船によって国際間の競争に耐えていくという点であります。足りないところは外国船でやっておりますが、国内の、内航につきましては、まだ十分に回復しておらないのみならず、その輸送の実態が戦前のような調子に行っておりませんために、おもに国鉄依存というような形で輸送がやられております。これを急激に今戦前のような状態に挽回するということは、現在の状態において相当の国家が補助的な政策を行わなければ、なかなか急激にはいかないと思うのであります。しかし、これは国鉄一本に依存するわけにいきませんので、今日の五カ年計画はこれらの点をむろん考慮されておりますけれども、現在の国鉄の持つ輸送力を、いわゆる経済企画庁の、わが国経済の拡大していく割合によって、今の持っておる国鉄輸送力をそのまま少くとも五年間増強していこう、しかしながら今の国鉄の持っておるのも、石炭、木材その他の重要資材を国鉄で運ぶということは、これは戦前にはなかった状態でありますが、それを今後さらに内航船の方の整備に期待して、国鉄の負担を軽くしていこうということは見合っておりますが、現在の五カ年計画は、今日国鉄の持っておるウェートそのままを五カ年間で大体、やっていこうということになっております。
  75. 木島虎藏

    木島虎藏君 そういたしますと、大体のところは、現在の輸送分野を数字的に伸ばしていこう、こういうことに了解してけっこうですか。
  76. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今大臣がお答えいたしました通り方針で策定いたしましたが、この輸送量の配分を少し数字的に御説明いたしたいと思いますので、私御説明申し上げますが、大体貨物の見通しでございますが、こればトンキロで大体立てておりますが、昭和三十年度をべースに経済企画庁と相談して立てておりますので、三十年度の配分が、全体を一〇〇といたしますと、国鉄の受け持ち分が五五・三、それから自動車の——これはトラックでございますが、受け持ち分が九・七、それから内航海運の受け持ち分が三四・一、私鉄、これは小そうございまして〇・九、これを大体今言ったような政策を加味しまして、三十五年度では、今私ども考えております配分数字は、国鉄が五二・六、それから自動車が一二、内航海運が三四・六、私鉄が〇・八、大体自動車が相当大きく伸展しておる。これは道路の改善等ともにらみ合せて、内航海運も一挙に回復ができませんので、いろいろな施策を講じますが、この程度回復してくるだろう、こういう考え方であります。  次に旅客でございます。同じく三十年度でこれは人キロでやっておりますが、国鉄の受け持ち分が五七・三、それから私鉄——これは地方鉄道が一六・四、それから市内電車みたいな軌道、軌道が二・四、バスが一二・二、それから乗用車——これはタクシー、ハイヤーなんかの乗用車二・七、これを今考えております。三十五年度の配分は、国鉄、か五四・八、私鉄が一六・一、軌道が九・六、バスが一五・三、乗用車が四・二、これもまた自動車の道路等の発達に見合う著しい伸展を予想してこうしております。しかし、おおむねやはり国鉄の受け持つ度合いが一番多い。輸送の根幹であるという数字は今大臣がおっしゃったような通りでございます。
  77. 江藤智

    江藤智君 ちょっと関連して。今の数字なんですが、貨物輸送量の方は大体今と同じですね。それから旅客輸送面でだいぶ今よりも自動車の方に移っておりますが、これはどういう根拠でその方に移られたのですか。
  78. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 貨物でも、自動車が九・七が一二で飛躍的に大きく、それからバスの方が一二・二が一五・三でございますので、これはいずれもやはり自動車の今までの伸びの状況、それからさらにいろいろな道路の発達の状況を加味いたしまして、たとえば増加年率で申しますと、国鉄の増加年率は、先ほど申し上げました程度ですが、自動車については、大体トラックについては一割程度の年率、それからバスについても一〇・四%くらいの年率に考えておりますので、やはり自動車の発達を見越してこういうことを策定いたしたわけであります。
  79. 江藤智

    江藤智君 そうしますと、今のままの姿の増加数量というものを伸ばしていったんだ、こういうふうに解釈していいわけですね。
  80. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 大体さようでございますが、自動車は多少うわめに実績より見ております、先の伸びを。
  81. 江藤智

    江藤智君 私がぜひ運輸当局に一つしっかりした計画を立てていただきたいということは、現在の伸び、あるいはそれにある見当をつけて輸送されるということは、これはそれぞれの特徴を生かして、日本の国全体の交通体系というものは、こういう姿でいくのが一番効果的である、こういう政策を打ち立ててもらいたいと思う。また、木島委員もそういうお気持だと思うのですが、これは実際問題として、これまではむしろ戦後の回復ということに力を入れておったので、まだしっかりしたものができておらないと思うのですが、こういう計画一つ至急立てていただく必要があるのじゃないかと思うのでございますが、運輸当局はどういう御準備といいますか、お考えでおられますか。
  82. 宮澤胤勇

    ○国務大臣(宮澤胤勇君) 大体ただいま申し上げたのですが、今後の輸送全体の総合的な計画は、もう少しいろいろ各方面の御意見を伺って立てていきたいと思います。
  83. 江藤智

    江藤智君 実はその問題を至急立てていただきたい、ということは、この運賃改正につきましても、やはり国民の皆さんはそういうような方向がはっきり立っておったならば、もっとすっきり納得するのじゃないかという気持もするのでございます。ということは、現在国鉄の立場から考えてみますというと、たとえば自動車を考えてみるというと、とにかく自動車は何といいますか、国鉄のいいところをさらっていっておるのじゃないか、あるいはもっと船に行くべき貨物を船に持っていってもらうならば、これほど国鉄が行き詰まらなくていいのじゃないか、やはりそこに総合的に考えるというと、日本交通政策全体にあるロスがあるのだからして、うまくやってもらうならば、運賃改正ももっと少くて済むのじゃないかという気持が心の中にはあるのじゃないか、実際問題は遺憾ながらそうはっきりしたものが今まで立っていなかったのでございますが、今後五カ年計画を立てて、国鉄がほんとうに一つ立て直しをやろうということになりますと、これはぜひそういう船と自動車、また自動車は今度は高速自動車道路法案というものが出ますというと、非常に国鉄の改良工事、あるいは建設線とも関連が出て参ります。また、早い話が北海道との船の輸送ということを考えませんと、五カ年計画をやりましても、私は室蘭本線、あるいは青函、あるいは東北本線ということが、必ずまた第二の隘路がやってくる。従って、この機会にぜひ本腰を入れて、特に海陸と鉄道との調整という問題を一つ考えていただきたいということを御要望しているわけです。
  84. 木島虎藏

    木島虎藏君 次に、一つお伺いしたいのは、今の話は五カ年計画でございますから、輸送力拡充の観点で今おっしゃったような配分に考えた。その配分になるように多少今度の運賃改正にも、運賃をどうこう、自動車の運賃とかあるいは船の運賃とか、そういうものと見合って考えることによって、この配分が実現する、あるいは影響をこうむるということがあると思いますが、こういう観点を頭におきながら、多少でもお考えになっておりますか、どうですか。
  85. 權田良彦

    政府委員權田良彦君) 今御指摘のような趣旨で、運賃体系においても、運賃上からする調整の見地を織り込んで今回の体系を立てております。
  86. 木島虎藏

    木島虎藏君 それでは、その詳細についてはまた後ほどお伺いすることにいたしまして、きょうは総括的なことはこの程度で私は終っておきたいと思います。
  87. 柴谷要

    ○柴谷要君 いよいよ本国会の重要議案である国鉄運賃法の一部改正法が参議院にかかって、そこでわれわれもこれを国民の前に十分明らかにするために、国会議員として十分その使命を果そうと思う。それについては、私どもはいろいろ準備をしておったのですが、きょうは国鉄から御出席のメンバーを見ますと、総裁一人と、あとは職員である局長さんがお二人、こういう状態です。そこでわれわれが聞きたいのは、まず国鉄の五カ年計画一つ、もう一つは、要員に対して、この二つの柱で徹底的に掘り下げていきたいと、こう考えておる。ところが、総裁がすべてを掌握され、いろいろ御苦労なさっておりますが、われわれが掘り下げていく問題に対しての御回答は、遺憾ながら総裁に望むことは私は無理だと思う。そこで次の段階として、それではだれに望むかというと、われわれは、いわゆる国鉄の機構というものは全く変って、常務理事という制度ができて、おのおの担当されておる常務理事から徹底的に聞きたい、こういうことから本日のメンバーでは遺憾ながら質問を続行することはできませんので、一つやめてもらいたい。特に私が要望しておきますけれども、次回に突いていきたいことがある。それに明確な回答のできる常務理事出席を私はぜひ要望いたしておきます。工事問題に最も責任のあるいわゆる常務理事、それからガード下問題を十分に事情を把握している常務理事、それから国鉄要員問題について、じっくり取り組んでおられる常務理事、これらの人の出席を願って十分にわれわれは本委員会を意義あらしめたい、こう考えますので、きょうは私ども質問をすることができませんので、運輸委員会はこれで終るようにしてもらいたい、かように提案申し上げます。
  88. 相澤重明

    ○相澤重明君 それからやはり国鉄運賃値上げの問題については、運輸当局ばかりでなくして、大蔵省にも非常に関係があるので、大蔵省の関係者を呼んで意見を聴取しなければならぬ。特に主計局長あたりは呼んで、各角度から一つ検討を進めたいと思います。従って、次回あたりには大蔵省の関係者も出席のできるように取り計らっていただきたい。
  89. 岩間正男

    ○岩間正男君 やはり同じように出席要求したいのは経済企画庁長官、これは五カ年計画とどういう関係があるか聞きたいので呼んでもらいたい。もう一つ資料要求したいと思いますのは、五カ年計画の、要するに先ほど江藤委員から質問のありました鉄鋼とか、セメント、木材などの物資の需給計画、そういう五カ年計画と、それから三十二年度の当面するもの、そういうものが出ておると思いますが、そういう資料一つ至急に出してもらいたいのです。
  90. 大倉精一

    理事大倉精一君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  91. 大倉精一

    理事大倉精一君) 速記を始めて。それではこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会