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1957-03-12 第26回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十二日(火曜日)    午後一時四十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     戸叶  武君    理事            江藤  智君            木島 虎藏君            三木與吉郎君            大倉 精一君    委員            石原幹市郎君            植竹 春彦君            成田 一郎君            平島 敏夫君            堀木 鎌三君            相澤 重明君            柴谷  要君            中村 正雄君            松浦 清一君            高良 とみ君            市川 房枝君            岩間 正男君   国務大臣    運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君   政府委員    運輸政務次官  福永 一臣君    運輸省船員局長 森  嚴夫君    運輸省港湾局長 天埜 良吉君    運輸省鉄道監督    局長      權田 良彦君    捕獲審検審査   委員会事務局長  辻  章男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    捕獲審検審査    委員会事務局管    理官      富岡 延一君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査の件  (国鉄職員春季闘争に関する件)  (港湾行政に関する件) ○船舶職員法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○捕獲審検所の検定の再審査に関する  法律の一部を改正する法律案内閣  送付、予備審査) ○港湾法の一部を改正する法律案(内  閣送付、予備審査) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 戸叶武

    委員長戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。  運輸事情に関する調査を議題といたします。
  3. 柴谷要

    柴谷要君 運輸大臣春闘の問題に対しまする御質問をいたしたいと思います。九日の日に提示をされて参りました国鉄労使に対する調停案の取扱いについて、大臣見解を最初にお尋ねいたしたいと思います。
  4. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お答えいたします。国鉄春闘が今日のごとき事態になりましたことははなはだ遺憾でありまして、私ども関係当局として心を痛めておるわけでございます。九日の晩に調停案が出まして、その調停案につきましては、いつもの例の通り理由その他もついておらないし、他の公社その他とのつり合いもいろいろわからないところがありますので、国鉄当局におきまして、ただいま調停案内容検討しておるわけであります。その検討が終りましたら、国鉄としての意見をもちろん決定する運びになりますので、私どもといたしましては、この調停案の過程において、また出てから今日においても、この事態を何とか当局労組との間で円満な話し合いをつけてもらって、かくのごとき紛糾を避けたいと思っておったのでありますが、そこに至らないで、昨日、今日のいわゆる実力行使というようなことに立ち至りましたことを非常に残念に思います。政府といたしましては、国鉄を初め各公社それぞれの立場において一つ一応善処することを期待しているわけであります。この調停の間において、労使話し合いがつきますれば、その話し合いにより、あるいはまたこれが仲裁にでも持ち込まれるということになりますれば、その成り行きを見ますが、最終的には政府においても、その仲裁裁定に対しましては、誠意をもってこれを尊重して円満な処理をいたしたい、かように考えているわけであります。
  5. 柴谷要

    柴谷要君 ただいま大臣お話を聞いておりますと、三公社五現業がいわゆる自主的に解決することを望んでいる、仲裁によって裁定が出ないことには政府としては何もできないと言外にほのめかしているようでありますが、とにかく、調停案は九日の日に出され、相当この調停案の出てくるまでの経緯というものについては、労使おのおの十分検討されて結論が出たと思う。そこで、調停案の提示されたときに、すでに国鉄当局なり、国鉄労働組合なりというものの態度は明白に私はきまっておったと思う。と申し上げますのは、実は、私も不祥事態を避けたいために、九日、十日両日にわたりまして、国鉄当局並びに労組の中間で必死の努力を続けてみました。ところが、昨日並びに本日のような結果になったことは、一つには、これは当然労使紛争の解決の場というものが調停委員会に持ち込まれて、そこで調停案として出されたものでありますから、これはまあ国鉄当局としても尊重したい。また組合としても、数度にわたって調停案も示されておるけれども、これが予算化されておらない、かような不満な点から、従来のことはさておいて、出された調停案実施をするという熱意があるならば、実は昨日、本日は避けたいということで非常な努力をしたことは、私ども中に立って承知をいたしておるわけであります。ところが、国鉄当局もその線に沿って努力をしたのでありますが、遺憾ながら、与えられた予算、今日与えられようとしておりまする予算の中では、遺憾ながらどうにもならぬというのが実情じゃないかと思う。そこで、政府に対しまする態度等を明白にしてもらうべく努力をしたけれども政府の方が一向にこれに対する明快な処置がどられておらない。そこに私は九日に出た調停案をめぐって二日間もありながら、今日のような事態を起さした、かように思うのでありますが、政府はなぜ九日、十日という二日間あるにかかわらず、昨日、本日に及ぶような闘争をさせなければならなかったか、こういう点について、一段と努力が足りなかったように思うが、大臣はどのようにお考えになっておりますか、お尋ねをいたします。
  6. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) この事態になりますことは、私どもも、また皆さんにおかれても非常に御心配を下さって、その間にいろいろ御尽力をいただきましたことに対しては、まことに感謝にたえません。私どもとしてもむろん、ただこれを予算措置云々によって政府がどうこうするという考えではございません。これが結論を得て、その結論を得た結果、この予算内においてどうしても行えないということになれば、予算的措置をしなければならぬことに成り行くことは当然であります。決してそれをたてにして、この調停をどうこうというわけではありませんけれども調停内容につきましても、まだ幾多検討をしなければならないというように、国鉄当局者もそう考えておりますし、当局者からその内容を聞きましても、大体やはりそういうのはもっともである、国鉄考えることはもっともである、かように考えておりまして、国鉄のこの一両日の動きによって、私ども政府としては、その国鉄決定に基いて政府態度考えていかなければならない、こういう段階にあると思います。
  7. 柴谷要

    柴谷要君 非常に慎重に検討されることについては、決して私ども異論を、持つわけじゃなしに、大いに慎重に検討してもらいたいと思うのですが、問題は相手方のあることで、慎重にもやはり時間的に十分勘案して、慎重さを持って、もらいたいと、こう思うのです。特に三波と称する闘争はすでに打ち上げになりましたから正常業務に戻って、第四波というのが次に行われるわけであります。この間の努力によって幸い第四波の避けられるように、一つぜひ政府当局においても考えていただきたいということが一点。もう一つは、調停が示されて、組合は敢然とこれを受諾しております。多少条件つきのような形ではありますけれども、受諾しておるにもかかわらず、政府が慎重に検討というようなことで、三波を避けられなかったのでありますが、その間において、非常に政府がかつてない強力ないわゆる圧力を加えているように、われわれ第三者は見ておる。そのことが、より一そう闘争を激化さしたようにも思われるのでありますけれども大臣はその点どうお考えになっておられますか、その点をお尋ねをいたしたいと思います。
  8. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 政府としましては、圧力を加えるという意味は、おそらく労組に対して圧力を加えるという意味であろうかと思いますが、これはもう不法な行為はどこまでもとめていきたいというわけでありまして、それ以外に特に圧力を加えるというような考えはむしろく今日持っておりません。また、そんなことのできるものでもありません。また、あなたを初め社会党幹部の方も、ここ一両日来、その間にあって非常にごあっせんを下すっておるので、その点についても、その御意向をも尊重して善処していきたいという気持は十分持っております。ただ、国鉄当局責任の衝に当たっておる者のとにかく判断ということを第一にしなければなりませんので、それぞれ連絡をとってその決定を待っておる、こういうことで、ことに、第四波に至る間にこれを片づけなければならぬということは全く同感でありまして、その点に関して全力を尽して今やっておる次第であります。
  9. 柴谷要

    柴谷要君 決して圧力を加えたのでなくて、違法行為に対しては政府としてもきぜんたる態度を示すのだ、こういうことでありますから、それに対してとやかく申し上げようとは思いませんが、実は、私どもが九日の晩に第三波を避けさせるために徹夜をいたしましていろいろ努力をいたしました。この間には、いろいろ組合員の中にわれわれの立場を理解をして、最終的には調停案受諾、これによって円満に問題を収拾するようにと、こういう線を打ち出したことも、新聞等ですでに大臣はごらんになっておられると思うのです。その際に、官房長官談話として発表されましたこのことがいたく組合を刺激をいたしまして、私ども努力をし、かつ、組合員も冷静な立場に立っていろいろと自後の問題を検討しておるやさきに、官房長官談として非常に強硬なものが出てきた。それによって、がぜん様相が変転いたしまして、昨日のような、闘争に入ってしまった、こういうような事実があるわけであります。そこで私どもとしては、決して官房長官談話を発表したからということで、そこに責任を押しつけようとは考えておりませんけれども、微妙な労使の対立の中における責任ある発言というものは、非常に重大な影響を及ぼすものであるので、この点は大臣はどうお考えになっておるか、一つお伺いしておきたいと存じます。
  10. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 官房長官を通じて政府態度を表明したことは、平素から言っておることを重ねて申しただけでありまして、特別な新しい態度決定したというようなことはないはずでありまして、平素から言っておることをただ重ねて確認して、一つ政府の方針はこれである、当局者労組の間においては、一つあくまでも法規に従って、そうしておのおの立場から協調していってもらいたい、こういうような態度でありまして、それを特に激するような意図をもってやったというようなことはないはずであります。
  11. 柴谷要

    柴谷要君 まあ、そういう意図がなかったということになればけっこうなことだと思うのですが、しかし、かつて春闘なり、あるいは年末闘争経緯をたどってきておりますけれども、今回ほど新聞面政府の強い態度が打ち出されたことはかつて見なかったように思う。その中における闘争でありますので、政府事後における処置として、これらの闘争に参画したもの、あるいは責任者というものに対する、額面通り厳重な処分をしていくのかどうか、今のところ、運輸大臣はどうその点を扱われるように考えておるか、一言お尋ねしておきたいと思います。
  12. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) もとよりこれは当局者として、弾圧に至るような態度を特にとろうというようなことは、もちろん考えておりません。ただ、すべて労組の方においても順法闘争というような言葉を使う通り、法はどこまでも守っていかなければならぬ、これは民主主義の根底でありまして、私が申し上げるまでもなく、そういう線において、せっかく立ち直りつつあるわれわれの生活並びに経済の上に破壊を持ち来たさないというような点では、両者ともそういう心組みであると思いますので、その点において、法の建前はどこまでも法の建前でいく。しかしながら、実情に即しては、話し合いのできる線で話し合っていきたい、こう考えております。
  13. 柴谷要

    柴谷要君 できるだけ実情を話し合った上でという話で、まことに大臣のお気持ちを私ども察することができるような気がするわけでありますが、組合が昨日から本日にかけての大きな闘争をしている、この行為に対しては、政府としても強硬に処分者を出したいという気持があろうかと思うのですが、私の見解を少しく大臣にお伝えいたしたいと思いますことは、私も昭和二十八年の年末闘争を指導した責任を問われて、公労法違反ということで処置をされた人間です。しかし、私どもは再びこういう行為を起こさないように、できるだけ政府と円満なる話し合い国鉄当局と円満なる話し合いの上で、一つできるだけ労働者要求を通してもらえれば、もとより政府なり国鉄意向も十分くんで、いわゆる公共企業体としての成果を上げていこうじゃないかということで自来努力を続けてきたこの折であります。そこで当局としては、あるいは政府として考えられますことは、不法な処置をしたのだから断固首を切る、あるいは断固処置をする、こういうお考え方になるといつまでたっても私は労使間のほんとうにいい姿というものは出てこないのじゃないか。そこで今回のような、大きなことをやった、けしからぬとは思うけれども一つここで労使の間を平常に戻させる、こういうお考え大臣はお立ちになって事後の問題を処理されることが、私は将来にとって非常にプラスになるような感じがするわけです、私の経験から。もとより私ども不祥事件を起させないために、より一そうの努力を今後も続けていきたいと思いますが、大臣としては、かようなお気持で事を処理していこうというお考えであるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  14. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) たびたび同じようなことを申し上げますけれども政府としての態度は、もう法にはどこまでも従っていく、しかし事実上の話し合いはできるだけ穏やかにやっていって円満にに解決したいと、この線にほかならないのです。
  15. 柴谷要

    柴谷要君 これ以上大臣見解をただしても無理だと思いますので申し上げませんが、不祥事態が発生した場合には、新聞によりますと、お互い委員長なり総裁という立場談話を発表されておりますが、かりに、当局が重大な処分をしてくればゼネストでもってこれにこたえる、こういったような新聞も出ておるわけです。こういったような事態を発表いたしますことは、まことにわれわれとしても、とめなければならぬと思うけれども政府が、強硬な措置をとってくれば、とめてとまらず、勢いにまかせてそのような形態が生まれてくるのじゃないか、こういうことも心配するゆえに、ぜひとも大臣においては、今回の責任追及ということについては、十分話し合いをした上で、一つ再びそういうような不祥事態を起さないように、特にこれをきっかけにして労使間の何といいますか、調整といいまするか、労使間の調整をはかって正常に戻させるというふうに、大臣の一そうの努力を私としては希望いたすところであります。  重ねて申し上げたいこともたくさんございますが、時間の都合もございまして、以上の要望を大臣に申し上げて質問を打ち切りたいと思います。
  16. 相澤重明

    相澤重明君 関連質問。今柴谷委員から質問があって、大臣答弁があったのですが、私は一つ大臣お尋ねをしておきたいのは少くとも、先ほどのお話のように調停提案が示されるまでには、十分労使ともお互いに研究もし、苦労もされたと思う。調停案が出るというのを待っておったのは、むしろ労使双方考え方ではないか、こう思うのですが、運輸大臣としては、国鉄を少くとも監督する立場にあって、調停案が早く出ることを期待しておったのか、それとも期待しておらなかったのか、この点についてお尋ねをしたい。
  17. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 調停にかけたわけでありますから、もちろん調停が早く出ることを期待しておりました。
  18. 相澤重明

    相澤重明君 調停にかけておったから早く調停案が出ることを期待をしておった。それならば、調停案が出たなならばその調停案について、不詳の事態が起きないように、あるいはまた労使紛争調停案に基いて早く解決するように努力をされることが私は当然政府立場である、監督者立場であろう、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
  19. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今御承知通り調停そのものに、われわれが何も意見を申し述べることも、何も干渉することはできません。これはもう、調停が出ましても、実はもっと例年の通りいろいろな理由やその他がついて出るかと思っておったところが、全く決定だけで何もないというようなことは、きわめて予想外であったし、これはまあお話通り調停のいきさつは、国鉄当事者としては出ておるわけでありますから、いろいろ検当をしておったのですが、しかし、最後の段階に行けば、国鉄当事者としても以外だったというわけです。それでその真意その他について十分検討を加え、同時に、その及ぼす影響についてもあらためて考えなければならぬ、そういう意味において、ただいま国鉄がそれに対する態度決定すべく、今運んでおるわけです。その決定を待ちまして、私どもはまた私どもとしての政府の許す範囲の立場で、これに対処するよりほかない、かように考えております。
  20. 相澤重明

    相澤重明君 私は、今大臣答弁形式的のそういう答弁になるかと思うのですが、少くとも、自民党のいわゆる岸内閣として、そして日本産業拡大経済に向うような方向にあなた方は努力されておるわけでしょう。労働組合の方もそういう事態については協力をしておるわけですね。ところが、ささいな要求をしておるのにかかわらず、そのささいな要求金額について、当然政府が、この労働要求紛争を解決するためには、どうしなければならぬかという討議があったはずだと私は思う。特に経済閣僚立場なり、あるいはあなたが国鉄を持っておる担当の立場としては、閣議の中でもそういうことがあったと思うのですが、その点はどういうようになっておったか、御説明願いたい。
  21. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御承知通り、今のお話の今日の日本産業立場から労使双方の面において協力をして、この事態をさらに発展さしていかなければならぬことは申すまでもない。国鉄自体にいたしましても、国鉄職員が昨年来非常に輸送の増加しておるのに対して非常な協力をしてやってもらって、そのために収入も増加し、成績も上っておることは、国鉄当局はもちろん、私ども監督立場にある者といえども、その心持に対しては感謝するものであります。従って、これに報ゆるの道がなければならぬということは当然であります。しかし、それにはおのずからやはり、これだけ大きな組織ですから、順序というか、緩急がありまして、今とっさの間にということは、それに対して順次各方面を理解させて、そうしてこれに報ゆるの道を講じていくというのには、おのずから順序と時日があるわけです。そこの心持が同じでも、その間にも手続あるいはその他の時間の差においても、いろいろ考え方が違って、今日のような事態もその一部から起っておることもあるわけです。しかし、心持としては、国鉄当局者も私たちも、こういうことからただ安い低賃金によって人を酷使していくというようなことが長続きをするものでもなければ、また、そんな不合理なことが国民全体の生活を向上さしていくということが根本でありまして、その根本にも反対するわけでありますから、そういう点については、ただ両方の側から、おのおの立場でいろいろ言い分がありますけれども、その間に手続きとか、時間の問題に非常な困難がある。そういう全体として、この国鉄従業員の今日の要求というものを漸次満たしていかなければならないということは、私どもも同様に考える次第であります。
  22. 相澤重明

    相澤重明君 大臣お話を聞いていると、非常にみんな賛成しちまうようなことなのだが、われわれも、組合要求二千円というものが、それでは岸内閣が直ちに二千円出すか出さぬかということについては、やはり相当な期間が要るだろう、こういうことは思うのですが、少くとも内閣重要メンバーであるあなたが、国鉄関係貨上げが出たということについては、それはやはり上げなければならないということは、あなたの今のお話の中でも感ぜられるわけですが、そういう点はお考えになっておったと思うのですが、いかがですか。
  23. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) お話通り考えておりました。
  24. 相澤重明

    相澤重明君 そういたしますというと、これは世論とか、あるいはまた法の手続とか、慣行とか、いろいろの事情というものがあって、そういうものについて政府としては慎重な態度をとってきた、こういうのが先ほど柴谷委員お答えになったことだと思う。しかし、労働問題というものは、手続がどうの、あるいは慣行がどうのといって、それを長く放任をしておるものではないと思う。やはり起きておる現象というものを早く解決することが、労使お互い立場でなくてはならない、そういう意味から、あなたは先ほどの、この次の十九日までという一応の考え方を出されておったようでありますが、十九日までに政府としては考え方を出すのか、それとも今日より直ちにそういう問題について善処をするよりに努力されるのか、いずれであるか、お答え願いたい。
  25. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 十九、二十日の第四波というものはどうしても避けてもらいたい、こう考えております。今のお話の、国鉄当局としても、やはり背後をいえば運輸省もあれば、その他国会もあれば、いろいろな関係が広範にあるわけで、世間の空気というものもあります。それからまた労組においても、それぞれ背後立場もあれば、いろいろしますが、やはりこれはまあ両方とも互譲の行き方でいくよりほかないわけでありまして、片方だけのいうことの通りにはなかなかいかないのですから、それを私は、互譲立場をもっていけばこういうことは起らなんで済むはずであると思うのであります。そこには時間の差と立場の差から、こういうことが起るような残念なことに立ち至っておると思いますので、しかし、私どもとしては、十九日、二十日の四波はどうしても避けたい、こういう気持をもってやっております。
  26. 相澤重明

    相澤重明君 大臣考え方はよくわかりました。そこで私は、きのうきょうの新聞を見ておるというと、やはりこれまでいわゆる労働組合が立たなければならぬ、こういうところに追い込んだ政府責任というものが、やはり相当強く出ておる。いま一つは、今、大臣の言われたように、もしこのまま無為に過ごしてしまえば、この次にまたさらに問題が大きくなる。従って、それはどうしても避けなければならぬ。だから政府裁定に持ち込むようであるけれども、少くとも調停案が出た。労組が不満であっても調停案を受諾しようというのに、政府がそういう点をまだ形式上の問題で論議をしておるということに対する世論の批判というものは相当出ておるわけですね。ですから、大臣お話通り、これはもう全力をあげてそういう事態の次の事態を阻止するという立場で、私は、今日から努力をしていただきたいと思うわけです。このことは、大臣参議院運輸委員会お話しになったことを私どもも確信をいたして、一つそういう事態を避けられるように、そうしてできるだけ早くこの調停案内容が尊重されて、そうして実施に移される、こういうように期待をしたいと思います。ただ、それがいわゆる調停案裁定かというその議論の余地はありますが、これは政府が単なるいわゆる形式論議に終らないで、実質的にに国民期待にこたえるように、われわれ参議院運輸委員会としても、そういう不祥事態を避ける、こういうところにあなたの責任を私はぜひ実行に移していただきたい、こういうふうに思うわけです。その点、大臣お答えを願いたいと思います。
  27. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御趣旨に沿っていきたいと考えております。
  28. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣のただいまの御答弁の中で、十九、二十日の第四波は避けたい、このために努力したい、こういうお話でありました。われわれもそのことを切望しているわけです。そこで、これを避ける具体的な案としてどういう点をお考えになっているか。今のままで政府立場は、あるいは国鉄公社の鮮度ではなかなかこれは避けにくいというような事態になるのではないか。これに対する少くとも具体的な方策をとらなければならない、こういうふうに考えるわけですが、具体的な案についてお伺いしたい。
  29. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは今国鉄当局としては、やはり国鉄当局としても十九日、二十日の問題は避けていきたい、これは同様に考えております。従って、これを調停のまま検討して団交によって解決するか、仲裁に持っていくか、こういう問題がおそらく形としては残ることと思うのであります。この間に立って、こういう重大な問題ですから、私ども政府側、国鉄、それから党も、党といえ自由民主党だけでなく、社会党も一緒になって心配して下さっているのですから、そういうようなことにおいて、この数日間に何とか目鼻をつけていきたい、こういって時々刻々努力を重ねているわけでありますから、あしからず御了承願いたい。
  30. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は具体的に申しますと、これを避けるためには三つの点をはっきりさせなくてはならないのではないか。第一の問題は、調停案を尊重して、組合側が非常に不満なのだけれども、一応これはのんだわけです。これに対して、政府側はつとめて早期にこの問題を解決することが一つじゃないかと思います。その次の問題は、やはり今度の第三波の様子を見ていますというと、これは不当に警官を出されて、こういうような圧力のもとに介入されていると思うのです。これは非常にまずいのではないか。あくまでも公正な立場をとる場合に、警官の圧力によって、昨日もきょうもそうでありますけれども、数千人の警察予備隊が出動している。こういう圧力というものは、これは争議に対して不当な問題をはらませることになるわけです。これは使用者側ではそう感じないだろうけれども労働者側から見ますというと、このような圧力は非常に一方的な弾圧というようなことになるのでありまして、この結果かえって問題を挑発する。円満な解決に対しても決してこれは役に立ったということはほとんどない。警官さえ出なければうまくいきそうなのを、実はこういうような圧力によって一方的に問題を処理するというような形が出てくる、そういうふうに労働者側では受け取られる。従いまして、このような不当な弾圧の態勢をやめる。第三には、犠牲者を出さないということ、今度の問題でかりにも犠牲者を出すということでは、先ほど柴谷委員からお話がありましたように、こういうような不当な事態が起れば、これに対してはゼネストも避けないというような決意さえ労働組合としては持っておられる。これは当然連帯の立場から私は当りまえだと思うのでありまして、そうすると、少くとも今申しました三つの条項をここではっきり確認するという事態がなければ、第四波の問題は私は完全に円満に解決することはできないというふうに思うのですが、この三つの点について、あらためて運輸大臣の御決意を承わりたいと思います。
  31. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今の三つのお話も、やはりこれは事態解決の一つの方法が加わっておることと私どもは思うのであります。しかし、今の警察官の問題も、これもやはり一方的の立場でなくて考えて、警察の出動は、私が申し上げるまでもなく、不法な災害というか、それを未然に防ぐ、起ったらこれを匡救することにあるのでありますから、労組の側においても、その警察の出動を必要とするような実力行使という——実力行使もおのずから限界がありまして、その限界は守って、やはり話し合いによって事態を解決するということにいってもらわなければならないはずでありまして、これは両方ともそういう心持でいかなければならぬので、一方だけを強く抑えて、一方だけを進めるというようなわけにも参らないと思うのであります。今お話の三点だけでこの問題は——それは調停国鉄がのんでしまって、その通り労組の言うことをみんな聞いてしまうとすれば、一応は解決がつくかもしれませんが、それは、何人が局に当っておっても、全体の問題としてすぐそうはいかぬです。労組の言い分が徹頭徹尾不当なものであるということは考えておりません。事実の経過をもってすれば、私はいれていいことでだんだんあると思います。しかし、それが一ぺんにということとか、この段階においてということは困難でありますし、日本産業の発展していく道、また国鉄の五カ年計画が進んでいく道から見れば、そういうことは時日さえたてば、これはいれられるものだと思うのであります。そういう点において、これは両方とも考えていってもらうということでなければならないと思います。
  32. 岩間正男

    ○岩間正男君 警官の出動の問題については、やはり公平な立場から考えて、これは労働組合側の考え方と使用者側の考え方というのは受け方が違うのです。私たちもそういう経験がありますけれども、これはやはり公平な立場を守り、政府がそれほど中立の立場を堅持するというならば、こういうような、かえって不当な力の圧力になる、かえって、事の円満な解決というものをむしろ妨害するというふうに作用されておる、それをしもなおかつ、こういうものを出して事に処するということになりますと、これはやはり非常に一方的な運営というふうにならざるを得ないと思います。ですから、事態を円満に解決するということなら、労働者側を信頼して、こういうような立場で私は警官を出勤さすべきじゃない、これは非常に有害だというふうに考えるわけです。第三の犠牲者を出さないという問題について、これは御意見を承わらなかったのでありますが、この点はどういうふうにお考えになりますか。私は、そういう不測の事態を避けるためには、これは当然そうあるべきじゃないか、こう考えるのでありますが。
  33. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) これは、さっき柴谷さんにもお答えした通りでありまして、私どもは、法の命ずるところはこれを破るわけにはいかない、たとえば、国鉄労組だけの問題一つを取り上げれば、いろいろな意見も立ちましょうが、日本全体の法の秩序を守っていく、一般の安寧を維持していくという立場は、政府としても強く守っていかなければならないことであります。それとこれとを調和さしていくというようなところにあるわけでありまして、これらは、政府としては無理をしよう、弾圧をしようとかいう気持は持っておりません。良識をもってすべて善処していきたい、少くとも私はさように考えております。
  34. 中村正雄

    ○中村正雄君 今まで柴谷君初めいろいろの質問に対する大臣答弁を聞いておりますと、大体今朝の新聞記事の範囲を出ていないと思うのです。従って、私は突っ込んだ点について二、三聞いておきたいと思いますが、大体、当院の予算委員会なり社会労働委員会で今までいろいろ論議されました点を総合しますと、また、昨日までの私たちと政府との交渉を総合しますと、現在の段階において、運輸大臣なり政府は、調停案はのめないけれども仲裁委員会裁定が出たらこれはのもう——尊重する、こういう言葉を便っておりますが、のもう、こういう考えが現在までの大体の要約した政府意見だろうと思うのです。その点について私はお尋ねしたいのは、調停であれば尊重はしないが、裁定であれば尊重するという考え方は、どういうところが根拠なのか、運輸大臣の所見を伺いたいと思います。
  35. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 今調停段階で、これは十分にその調停案内容もわかっておらないから、これを十分検討して、そうして先ほど申し上げたように、これをどうしてもやれないというものなら仲裁に移すか、やれるものなら団交でいくか、こういうところにあると思うのでありまして、仲裁にいったらば仲裁裁定は、政府としても、これは調停とは違って、さらに尊重しなければならぬという、これは大体の方針であります。また、物事を運んでいく上にでもそれは当然のことであろう、こう考えている次第であります。
  36. 中村正雄

    ○中村正雄君 私はその点が納得できないわけなんですが、改正前の公労法でありますと、仲裁委員会裁定と、調停委員会調停とは、おのずから機構も違っておりますし、価値その他についても違った点もあると思う。現在の公労法によりますと、調停を出す人も、裁定を出す人も同じ人が出すようになっております。また、裁定は、法律的な効果からいえば、政府を拘束するのでありますが、調停は拘束しない、こうなっております。これは、形式的な論拠であって、調停内容も、おそらく大臣も御承知のように、次に出されます裁定内容も、おそらく大した変りはないと思います。おそらく裁定が出るといたしましても、今の調停案が基準になりまして、これに似たり寄ったりのものが出るだろうということは、大体これに関心を持っておる人間ならば、すべての人間の一致した予見であります。少くとも、労働問題の解決は、法の拘束を受ける裁定によって解決するということよりも、調停案によって自主的に解決するということが、私は争議、紛争解決の一番妥当な方法だと信じております。おそらく政府もそういう考えじゃないかと思いますが、今回に限って、調停は尊重しがたい、もう一歩進めていえば、調停案検討していると、こういう表現をされておりますが、おそらく政府の腹は、三公社五現業ともに仲裁裁定調停案と同じ線が出るだろうと思います。同じ内容が出ると予見されておるのに、裁定であれば尊重するが、調停ならば尊重しないという意味がわからない。おそらく、その真意は、現在参議院で審議いたしております三十二年度予算案、こういうものの審議の影響をおそれているのだと推測するわけでありますが、私は、同じ内容のものを、今後実施するというほんとうの腹があるのであれば、裁定であろうと調停であろうと、僕はいいと思う。もう一歩進めていえば、調停で事を処理する方が裁定でするよりももっと私は労使の解決については妥当な策だと、こう考えておる。これについて運輸大臣の所見を伺いたいと思います。
  37. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 私も、大体の筋はあなたのおっしゃる通りであろうと思うのであります。また、そう運ばれればけっこうであると思うのであります。しかし、今日の段階は、政府の——国鉄自体もでしょうし、政府としては直接にはこれに当っておりませんけれども、全体を見ておりますので、お話通りでありますが、一つだけでなく、全体の方を、見てそれぞれいかなければなりませんので、これらに対しても考慮を加えているわけでありますから、御趣旨はわかるのでありますが、今のところでは、国鉄のはっきりした態度を見て、運輸省だけとしては態度を見て、それから一つ考えていかなければならぬ、ただ、その点が十九日、二十日という第四波だけはどうしても避けていきたいというところへ集中して今考えております。
  38. 中村正雄

    ○中村正雄君 その点、先ほど柴谷君あたりからもだいぶ質問されて答弁されておりましたが、調停案が出るまでに国鉄当局自体の調停案に対する予想なり、調停案が出た場合の大体イエスかノーの対策は全部済んでおると思うんです。私ずばりと一言でいえば、政府さえ腹をきめればこの問題は解決できると、言いかえれば、予算措置でいくか、あるいは予算措置は次の臨時国会まで延ばして、当面内部操作によってやるか、この二つに一つ政府の断だけできまっておると思うんです。私は従って、今国鉄調停案検討いたしておると、こういう御意見は、これはこの場のがれの言いのがれであって、結局検討した結果、じゃ、のみましょうということにならずして、おそらく仲裁裁定を求めると、こういうことに行くのは既定の方針だろうと思うんです。仲裁裁定を求めても、出るものは変らぬとすれば、結局、その間五日なり一週間なりの時間をかせぐというだけであって、何ら解決のいい方法じゃないと思うわけなんです。従って、この問題については、私は運輸大臣の権限において、内閣の権限において、裁定であればのもうという今腹があるんであれば、調停をのむべしという断定を下す僕は段階に来てるんじゃないかと思うんです。この点について、もう一度運輸大臣の所見を伺いたいと思います。
  39. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) まあ御意見一つ伺っておいて、私自体としては、ただいままで申し上げたようなことで運ぶより今の段階はできないということを一つ御了承願いたい。
  40. 中村正雄

    ○中村正雄君 最後に、技術的な問題ですが、おそらく予定されるコースは、仲裁裁定が出ると思いますが、仲裁裁定が出ました場合に、技術的な問題ですが、出されます裁定は、何といったって現在審議いたしておりまする予算ではこれは実施できない裁定だろうと思います。たとえ百円上げるというものであっても、現在の予算では実行できません、審議いたしている予算では。従って、三十二年度の予算を審議中に裁定が出ました場合に、技術的にこの裁定運輸大臣はどういうふうに処置できるか、技術的な方法を僕はお知らせ願いたい。
  41. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) それは、その出た時にこれは考えるというふうに申し上げるよりほか、私は今ここでどういう処置をするということは申し上げられない。出た上でこれは申し上げる。
  42. 中村正雄

    ○中村正雄君 私の心配いたしておりますのは、技術的に、裁定になれば解決が困難だという見通しを持っておりますから、調停の間であれば話し合いによって何らかできるけれども裁定が出ました場合は、予算を補正しない限りにおいては、私は実施できないと思うんです。しかも補正せずに実施しようとすれば、この裁定を国会に承認を求めるためには、予算上不可能とか可能とか言えないと思うんです、予算を審議中だから。従って、私は裁定にもっていかれるんであれば、しかも十九日、二十日の第四波を回避しようというんであれば、それまでに裁定を出して解決するか、あるいは裁定が出ずして解決して裁定を取り下げるか、いずれかの方法しかないものと思う。そういう技術的な面も答弁できなければ、十分御検討おき願いたいということをお願いいたしておきます。
  43. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は、一言だけお伺いしたいんですが、運輸委員として——労働委員じゃありませんから、運輸委員としてお伺いしたいんですが、今度の争議によって、たださえ滞貨があるところを、三百万トンか四百万トンに上っておる、大変な問題です。ところが、きのうも私は「あさかぜ」に岸総理大臣と一緒に乗っておりましたが、大変な混乱です。ところが国民世論というものがですね、今政府は一体何をやっておるか、こういうことになってきておる。それは中村君も言われたように、調停案というものが出ておる。労働組合はこれは早々に受諾しようとしているんです。当局は千二百円以上は承知しない。当局は、あんたたちは隠しておるけれども当局はそこでもって今度は仲裁裁定にもっていく、これはゼスチュアです。政府仲裁裁定へもっていって、同じものでこれはのめぬけれども仕方がない、法に従って、というようなことを言って、そして運賃値上げの一こまにしよう。これは政府のゼスチュアによって、国鉄輸送を混乱し、麻痺さしておる。ところが今、日本の国ではストライキや争議をやれば、まだ一般の国民というものはそういうものになれて民主化されていないから、やった方が悪いことになっている。なっているけれども実際の姿というものは、政府のゼスチュアによって労働組合がああいう争議をやらざるを得ないというような事態に追い込んで警官を出して威圧する。従って、ゼスチュアによってこういうような問題を起しておる。政府の重大責任だと思う。ですから、私は運輸委員として政府を追及したいことは、国鉄当局さえちゃんと一千二百円というものを承知しておるにもかかわらず、政府のゼスチュアによっていたずらにそういう事態に追い込んで、そうして警官を出して威圧する、世間にアッピールする。そうして仲裁裁定が出て、のめないけれども、仕方がなく政府は涙をのんで——てなことになって、運賃値上げの一こまとする、こういう見え透いたことを輸送の逼迫した今日なぜやるか、これはどうなんですか。
  44. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) あなたのおっしゃるような方法だけでいくと、政府の方ばかり無理になりますし、(「その通り」「全く」と呼ぶ者あり)その国民世論政府ばかり悪いというようにいくかもしれません。しかし、また世間の見方によれば、まあ国鉄の方もそれだけのことをやらぬでも話し合いによって、滞貨もさせなんで、われわれに困難もさせなんで、ということも一つの見方であります。従って、これはおのおののなにがありますが、しかし、そういうことをおっしゃるにしても、こういう事態を解決していかなければならぬことは当然です。それからあなたの今おっしゃる通り、すでに昨年の暮れからある滞貨の上にこれを重ねていくということは非常な混乱でありますから、これはどうしても、両方やはり民主国家ですから、政府だけでなく、やはり労組政府一つ責任を分担するというくらいの立場で物事を考えなければならぬ。警察官の問題にしたところが、政府の方ばかり出したいようなわけでなく、やはり労組実力行使もそれを呼び出すような意図になってもおるわけですが、両方ありますから、これは両方のことを考えてうまくやっていきたい。それには国会が何といっても政治の中心ですから、ことに、この国鉄の問題に対しては運輸委員の皆さんのさらに一そうの、今大倉さんのお話のように、一つ委員としてもこれを公平に御協力を願いたい。党の立場は違っておりましても、社会党の皆さん方も一昨日、昨日も非常に努力して心配されておるようでありますが、同じような立場においてこれを解決していきたい、どうかさように御了承願います。
  45. 大倉精一

    ○大倉精一君 今双方の立場、双方の協力と言われましたが、けんか両成敗と言われておりますが、けんか両成敗ならば、政府も悪い一端をになっておることを証明しておるわけです。今ここで私がずばりと申し上げたのですが、国鉄は了承しておる。政府だけがゼスチュアをやってもったい。ぶっている。ここに混乱があるんだから、国民世論がどうだああだという前に、政府責任を持って事態を解決する。簡単なことなんだ。調停案が出たんだ、調停委員が長い間苦労していろいろなことから検討して調停案を出した。今ここで政府がよろしい、やむを得ない、これによって承知しよう、あるいは何しようというところまでくるわけです。それを何とかして回避したい、回避したいと言っても相手のあることですから、あなたの方がやることをやらずに回避したい、回避したいと言っても、警官の力では回避できませんよ。そういうことを一つ
  46. 宮澤胤勇

    国務大臣宮澤胤勇君) 御趣旨を体しまして……、一つお願いします。   —————————————
  47. 戸叶武

    委員長戸叶武君) まず、船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府より提案理由の説明を願います。
  48. 福永一臣

    政府委員(福永一臣君) ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。  現行船舶職員法は、昭和二十六年第十国会において、明治二十九年の法律にかわる新法として制定されたもので、船舶職員制度史上画期的なものでありますが、当時わが国は、戦争による被害を免れたわずかの船舶を保有したにすぎなかったのでありますが、反面、船員は、戦争中の速成教育によってはなはだしく過剰の状態にあったのであります。加うるに、当時わが国商船は、全く占領軍の商船管理委員会の支配下にあり、また、わが国漁船の操業はいわゆるマッカーサーラインによる制限を受け、わが国海事産業の前途は、何人も予測できない状態にあったのであります。しかるに、その後平和条約が締結され、わが国経済は次第に復興発展いたしまして、現に、未曾有の繁栄に向いつつあるのでありますが、商船界、漁業界も、これと軌を一にいたしまして、現行法立法当時に比べますと、予想外の情勢の変化を来たしておるのであります。そのため、船舶職員に関する制度も、幾多の点におきまして実情に適しなくなったのであります。従って政府といたしましては、海上航行の安全をより一そう確保すると同時に、本法を実情に適応させるため、種々検討するとともに、本法の改正につきまして、海上航行安全審議会に諮問して参ったのでありますが、今回おおむね、次の諸点について改正する必要があると認めるに至ったのであります。  すなわち第一には、船舶職員の資格定員表を実情に即応させることであります。現行法は、船舶職員の資格及び員数を旧法よりも相当に引き上げましたため、急激な新法への移行は業界その他にはなはだしい影響を与えるおそれがあることにかんがみまして、経過的に、戦時中の特例と同じ基準によらせることにするとともに、遠洋カツオ・マグロ漁業の用に供する船舶につきましては、さらに臨時特例法を設けまして、できる限り円滑な新法への移行を意図して参ったのでありますが、客観情勢の変化は、もはや、現行法に定めました資格定員表の適用が不可能であると認められる程度に達しましたので、今回航行区域、船舶のトン数区分、船舶職員の資格及びその員数等につきまして全面的に改正を加えることといたしたのであります。  第二には、免許制度を改正することであります。現行法は免許について五年ごとの更新制をとっておりますが、実際上、海技従事者につきましては、その技能が年月の経過とともに低下することは、ほとんど見られないことでありますので、この際、更新制を廃止するようにいたしたのであります。  第三には、法の適用に強力性を持たせることであります。現行法におきましては、法律の適用、あるいは資格定員表の適用につきましては、わずかの例外規定しか設けていないのでありますが、現に大小様々、各種各様のわが国商船は、わが国の全海域はもちろんのこと、世界至るところの海洋を航行しております。また漁業界におきましては、その業種の多様性、航行区域の広さは、全く世界に類を見ない程度に発展して参ったのでありますが、現行法は、各種の船舶について、その航行区域と総トン数のみを基準として、その乗り組ますべき船舶職員の資格と員数とを定めているのでありますが、船舶の構造の多様性、航行の態様の複雑は、ある場合には船舶所有者に不当の負担を課し、またある場合には逆に航行の安全を害する等の事態を生ずるおそれがありますので、かかる事態の発生を防止するため各種の事態に対処し得るよう法律に弾力を持たせるように改めたのであります。  なお、この法律は、船舶の航行の安全に直接関係する事柄でありますので、海上における人命又は財産の損失を防ぐ必要から法の励行をはかるため新たに運輸大臣の監督規定を設けることといたしました。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  49. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 本案の質疑は、次回に譲ります。  速記をとめて。   速記中止〕
  50. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記を始めて。
  51. 松浦清一

    ○松浦清一君 御配付いただいた「運輸と国民生活」という非常によく御調査になった資料をいただいておりますが、この百三ページから百四ページにかけて「海上交通と海難」というのがあって、海難がどうして起るかといういろいろな事情がここに書かれておりますが、船舶職員法の法案審議に際して、海難という問題はきわめて密接な関連があるわけであります。ここには何%何%という種類別の海難の原因が書かれておりますが、船舶の隻数で、海上保安庁とも連絡をおとりいただいて、昭和十年前後三年くらい、それから戦争後の漁船と商船に分けて、事故の種類別と隻数を書いた表を御提供願いたい。  それからもう一つわかりますれば、アメリカとイギリスとノルウエーの海難事故の統計がございましたら、抜粋をして同様昭和十年前後三年くらいと戦争後のものを御提出を願いたい。   —————————————
  52. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次は、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は質疑を願います。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 提案の理由からいくと、なお一年存続をしたいという提案ですね、これは。なぜなお一年延長しなければならぬかという、いま少し詳しい説明を一つお伺いしたいのです。捕獲審検所昭和三十二年四月二十七日限り失効することになっておるのに、なお一年延長したい、こういう説明ですね、なぜなお一年延長しなければならぬかということを説明して下さい。
  54. 辻章男

    政府委員(辻章男君) お答えいたします。この捕獲審検所の検定の再審査に関しまする法律は、平和条約の条項に基きまして、戦争中に日本捕獲審検所で審検を受けましたものが、それに不服のある場合におきまして、この捕獲審検審査委員会に申し出をされた場合には、それに対しまして再審査をいたしまして、その戦時中の審検所の決定が正当であると確認されますれば、そのままになりますし、あるいはそれがもし国際法上に照らしまして不当でありますれば、新たに裁決をいたしまして、所要の処置を講ずるという趣旨のものでございます。従いまして、あの平和条約に加盟した国は、もとよりそういう権利を持つわけでございますが、昨年はフィリピンが平和条約の批准をいたしましてまだ日が浅そうございます。それでフィリピンの状況につきましては、相当数の船が捕獲審検所によりまして日本政府に捕獲されておるのでありまして、そういうところからの訴えの可能性もございますし、またインドネシアにつきましても、近く批准がされる期待を持ち得るというふうな情勢でございますので、なお一年間延長いたしたいという趣旨でございます。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今の答弁だというと、平和条約が締結されたあとにフィリピンが締結され、あるいはまた今度新しく締結された国々の関係もあるから、一応連合国のそういう事情一つ見ておこうと、こういうことで、すぐどうしてもなくてはならぬというものではないけれども、ないと困る場合も予想されると、こういうことで一年の延長をしたいという考えなんですか。いわゆる今までにおける審査の結果についての件数があげられておりますが、ごく少数だと思うのですが、これからもやはりそういう、たとい一件でも二件でも、やはり該当することになるわけですから、そういう意味でなお一年間というものは、この連合国の事情を見るために延長しておきたい、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  56. 辻章男

    政府委員(辻章男君) お答えいたします。平和条約を締結し、発効いたしましてあとに相当数あるかもしれないということもございますが、これはまあ外交的な考え方になるかと思いますが、今まで諸種の平和条約締結国に対しましてはそういう制度を開いておりまして、ある特定の国が平和条約の締結になりました際に、そういう組織をなくするということが非常に外交的にもまずいんじゃないかという両様の理由でございます。
  57. 柴谷要

    柴谷要君 ただいまの御説明で大体要を得たような感じがするのですが、本法成立当時は、三年という期間で法律案が通っておりますね。それを四年に延長し、昭和三十一年三月に一年の延長をし、またここで一年延長をする、こういうことですね。平和条約発効あるいは批准その他でいろいろの問題があることもわれわれ承知をしておるので、この法律案の制定について反対はいたしません。ただ、一年々々小刻みにしていくのが日本にとって有利か、それとも、ある程度の見通しをつけて、二年ぐらい延長しておくのだというお考えですか。こういうような点で、これは一年々々延長していくということの方が、わが国にとっては、諸外国に促進をさせる意味においていいという考えで一年か、それとも将来を見越して、相当あると思いますが、一年々々でいった方が有利だという、こういうような考えに従ってやっておられるか、その点を御説明願いたい。
  58. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 今御意見のございましたような考え方もあるのでございますが、こういう仕事は、日本の国といたしましては、できるだけ早くやめるような事態になればやめることが望ましいと思っておるのでございまして、そういう意味で二年なり三年なり延長いたしまして、途中でやめるというのも、また外交的にもまずい点もあるのじゃないか、黙っておれば失効するのだというような形にして、そのときの情勢を見て、延ばす必要があると認めた場合には延ばすという方が賢明ではないかというだけの理由でございます。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 関連して。今審査中のものが三件あるということですが、これは期間としてはどのくらいあったならば、大体この問題の処理ができるのか、また三件というのはどういう内容のものか、御説明願っておきたい。
  60. 辻章男

    政府委員(辻章男君) お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、三件審査中でございますが、これは手続はちょうど裁判所の訴訟と同じようなことで、証拠を要求し、いろいろな手続を、特に外交的な要素も含みますので、往復いたしておりますので、今のところ、いつまでに片がつくだろうかということは、ちょっと見通しかねるような状態でございます。
  61. 相澤重明

    相澤重明君 事件の概略を、三件の内容をちょっと説明してもらいたい。
  62. 富岡延一

    説明員(富岡延一君) ただいま辻事務局長から御説明がありました点をさらに補足いたしまして、現在再審査中の三件の事件につきましての内容の概略を御説明申し上げます。  まず、フランス国の要請にかかわりますサンタフェイ号という船舶でございますが、これはインドシナのサイゴンに本店を有するインドシナ傭船会社のもともと所有船舶でございましたが、当時パナマ国籍を有するかどをもって日本海軍に拿捕されまして、捕獲審検所の検定の結果、没収の検定を受けた事件でございます。この事件の再審査の要請が出ましたのは、去る昭和二十八年の十月の末でございましたんですが、自来仏国側と、ないしは当事件の弁護人でありますザバドー氏との往復何回かにわたります論議の結果、ただいまこの事件に関連いたしまして、これにつきまして、なおそれ以外に、仏国の海事商法の学者でありますリぺール教授ないしはパナマ国の国際法学者であるアルファロ博士がこれについての意見書と申しますか、鑑定書と申しますか、いろいろ当時の国際法の立論において、当時の検定者のとっておりました意見書と相当違った両学者の鑑定書をつけて、ザバド一氏から送ってきているわけであります。その述べております前提となる事実関係につきましても、若干の食い違った点がございます。また、従いまして、当時の拿捕臨検調書に記載されております事実関係と相当食い違った証拠の提出も可能だということで、相手国からかような申し出もございますので、ただいま申し上げましたような経緯にかんがみまして目下その証拠の提出と、それからそれに関連いたしましていろいろこちらから質問している事項もございますが、その返事を待っているような次第でございます。従いまして、この返事が参りますれば、比較的早期に解決はつくんではないかと思いますけれども、それではいつということは、やはり相手側の主張もございます。で、何分外交機関を通じて往復——そういう質問をいたしたり、また回答を求めたりいたしておりますので、なかなか国内での調査なり、捜査のように簡単に参りませんので、時間の点につきましては、はっきり申し上げかねる次第でございます。  それから次にギリシャ政府からの要請にかかりまするエラト号と、それからバレンタイン号の二つの事件がございまするが、これはもともとギリシャの要請にはかかりまするが、本来中国人が所有していた船舶で、戦時中にギリシャ人のジョンシー・スカラディリスという人に所有権の移転を行いまして、それでギリシャは当時戦争関係にあるということで、もちろんこの当時ギリシャの戦争関係にあったかどうかということは、また、国際法上の問題になろうかと思います。再審査中におきましても問題の点でございまするが、一応戦争関係を前提としてギリシャ船籍の船を拿捕したわけでございます。ところが、当時は訴願いたしました人は中華民国人でありまして、ギリシャ人の所有は、これは虚偽仮想の所有権移転であるから、その所有権の移転は無効だということで、自分のものだから取り消してくれという訴願をしていたわけでございます。しかしながら原検定におきましては、ギリシャ人の所有、ギリシャ船籍を有するということで、没収はいたしておりません。で、これらの点につきまして、目下ギリシャ政府の方へ、訴願人の訴願の理由と異なる根拠に立つものかどうかということについて問いただしております。で、ごく最近でございますが、ギリシャ政府との間に外交機関を通じて数次往復照会、回答等を求めておりましたのですが、一向はかどりませんので、いろいろ督促いたしまして、ごく最近、昨年の暮れになりまして、これに対して弁護人を相手国はつけまして、最近その弁護士から、それに対する回答が出てくる段階となっておりまするが、つい先日の模様では、近日中に回答書を出したいと申しておりまするので、これもその回答が出て参りました上で、しさいにそれを検討いたしまして、あるいはさらにその事実関係調査を必要とするかいなかという点につきまして、従って、これも時間の点につきましては、それは一カ月なり、あるいは二カ月で片づくかということはちょっと申し上げかねますので、まことに不十分な回答でございますが、何分、これも訴訟と同じような事件で、相手から新しい証拠でも出されますれば、これを全然討議しないわけにも参りませんので、ただいまのところは、以上申し上げたような次第でございます。
  63. 松浦清一

    ○松浦清一君 この法律案は、二十四国会でも二年の延長の案が出されて、いろいろ質疑応答が行われておりますが、問題は、早くこういう法律がなくてもいいような状態を、国際関係の中において作り上げるということが必要なので、私は賛否の意見を述べるべき段階ではございませんが、大してそうなにするということもない法律案でありまするから、入念に審査をしなければならぬ案件に時間をかけて、この辺のところで打ち切られることを要請をいたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)こういうことで、われわれも忙しいし、行政庁のお忙しい方々をくぎづけにすることも恐縮だと存じますので、この辺で打ち切って、本審査に回ってきてから賛否の意見を述べることがいいと思いますので、こういうふうに提案いたします。
  64. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ただいまの松浦君の提案について、質疑打ち切りをしたらどうかという御意見でございましたが、いかがでしょう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 戸叶武

    委員長戸叶武君) それでは質疑をこの程度に打ち切ることにいたします。   —————————————
  66. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 次に、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言を願います。
  67. 大倉精一

    ○大倉精一君 トン税の問題についてお伺いをしておきたいのですが、このトン税というものは、大体当初は船舶出入手数料というものから発展しておるものだと思うのですが、現在港湾管理者が港湾の管理について、相当費用も予算も要るのだが、この予算が必ずしも十分じゃない、こういうことから、管理者の方ではトン税をやめて、そうして出入手数料を徴収するようにしたいというような意見を持っておるのです。これに関しての当局見解についてお伺いしたいと思います。
  68. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お話の点は、港湾管理者の方では港湾管理に要する費用が、現在の港湾経営の面では十分でないが、トン税というものが港湾管理者の方へもらえるならば、港湾管理の上から非常に望ましいということで、しばしばそういうふうにいけないものかというような話を持ち込まれております。この点はいろいろ研究はいたしておりますが、今、直ちにとん税を管理者の方に回すというような点にも、なかなかむずかしい点もありますので、ただいま研究をいたしておる段階でございます。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 そうしますと、とん税の問題については、将来は考慮する余地がある、あるいは考慮したい、こういうようなお考えのように聞えるのですが、大体とん税は、聞くところによりますと、二億数千万円の財源より出ないということを聞いておるわけです。従って、国としては大したことはないわけですが、港湾関係者にとっては、船の出入手数料は相当大きな財源になっておるということから、港湾管理の健全化ということからも、こういうような財源は港湾管理者の方に回してやる、外国船の出入手数料によって港湾管理者の財源をふやしてやる、こういうようなことがいいと思うわけですが、将来はそういうことも研究をする、これも一つ考える、こういうことなのですか。
  70. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) お話の点、とん税は非常に管理者については望ましい収入にしたいということもございますし、われわれとしても、港湾管理上はそういう点を十分考えなくてはならぬのじゃないかというふうにも思っております。将来については十分研究をしたいというふうに考えております。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 この問題については、近い将来善処をする、こういうことを要望しておいて質問を終ります。
  72. 松浦清一

    ○松浦清一君 今、とん税の話が出たから、港湾局長に伺いたいのですが、今度の予算案で、特別とん税ですか、五億円出ておりますね。それにかわって固定資産税が倍加されるわけですね。そうすると外国船舶の出入する開港はいい、ところが、そうでない所は固定資産税だけはずされて、とん税は取れないから、地方財政に相当の影響を及ぼしてくるわけだ。これはあなたの関係じゃないけれども、とん税の話が出たので伺いたいのですがどうですか。
  73. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今度の、固定資産税を幾分免除して、その分とん税を上げるということが出ております。これは港湾管理の面から申しますと、港湾管理者である地方公共団体に回してもらいたいということが港湾管理者の方から望ましいことでありまして、この点については自治省の方とも相談をいたしたのでありますが、今度は固定資産税を免除するということになっておるから、今回はこの点は考えまい、まあその点がございます。それから今の、開港はいいが、開港でない場合は入らないのじゃないかという点も非常に大きな問題でございますので、この点もまだ具体的には話は進んでおりませんが、自治庁としても、そういう点は何とかよく考えて対処するようにしたいのだということは言っておるわけでありますが、この点ちょっと抜け穴があったわけなのでございます。
  74. 松浦清一

    ○松浦清一君 それで、やはりあなたの方から、地方自治庁と話をするのが本筋かどうか存じませんが、やはり固定資産税だけはずされる所は、それだけ何十万円になるか何百万円になるかしらぬけれども、町は小さいが、港は比較的開港ではないけれども大きいという所があるのです。相当固定資産税にたよっておったところがある。それだけはずされるとそれだけマイナスになる。地方財政は御承知通り非常に窮迫している現状でありますから、その辺のところは何とかそれにかわるべきものを港の方から生み出していくということをお考えになって、自治省の方とお話しになる機会があればやってもらえばけっこうだと思います。もう一つは、港湾埋め立ての問題、これは委員会お尋ねをするほどのことではございませんか、川崎の港湾埋め立ての問題について、賛否両論に分れているしというお話、反対をしている者と賛成をしている者とあるというお話、あなたの方の手に、計画か許可申請かが出ているはずですが、この機会でなくてもけっこうでございますが、あとで、お調べ願い。どういう経過になって、どういう事情であるか……。
  75. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) ただいまの点は、賛否両論に分れているということは私よく存じませんが、よく調べて御報告いたします。
  76. 高良とみ

    高良とみ君 ただいまの局長お話ですと、そういう口ぶりもあったし、またこの第六の説明には、そういう地方の港湾の自治の制度ができると、国は港湾の管理経営の第一線から退くということが書いてありますが、そういう御趣旨になるのですか。国は——といってもどの程度に退くというお考えたのでしょうか。
  77. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 港湾の管理というものが、港湾法の制定までは管理者というものははっきりしておりませんでした。それで港湾法によりまして、港湾管理者というものをはっきり。きめたわけでございます。そのときに、国は港湾の管理者にならない、公共団体である県、あるいは市とか、そういうものがなる、こういう意味でございます。
  78. 高良とみ

    高良とみ君 しかし、国の関与する権限は、国全体の立場から必要な事項に限定してあるということをうたってありますが、やはり国としても関与すべき部門が相当残るのではないかと思うのです。その限度というようなものを一つ御説明願いたい。これはあなたの方の港湾法の説明書きを読んでいると——それでは具体的な面から伺いたいのですが、たとえば税関の——これは前から申し上げている問題ですが、税関の行政と出入国管理と、それから港湾局の船舶の支配と、それから倉庫業者の活躍と、そういうものがばらばらに行われているわけなのです。それが今度の改正法によって、よほどでこぼこが調整されるお考えなのでしょうか。
  79. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) 今度の港湾法の一部を改正する法律案は、その管理の面ではないのでございまして、この面は地方におきまして、港湾法の四十二条の一項でございますが、これは企業が、例を申し上げますと石油の施設、石油業など非常に躍進を遂げております。そうして船腹が非常に大型化をして参りましたので、現在の状態ではスーパー・タンカーが入らないような状態でございまして、それを急速に入れるためには、公共事業として国が在来やっております方法ではどうしても追っつきませんので、非常に困ったことになっておりましたが、これを石油業者の方が、相当——この案では五割でありますが、五割を出しますからやってもらいたいという申請があった場合には、これに対して国も——今まで、港湾法で参りますと、そういう公共事業に対しては国が半分、それから地方公共団体が半分ということにぴったりきまっております。それを、そうでなしに、五割も——半分ももっているような場合には、国は二割五分まで減らすという法律案でございますので、ただいまの管理の面で、税関管理あるいは税関が関税行政について行なっておる、それから地方の海運局で、倉庫業あるいは港湾運送事業を監督しておるという面とは多少違っております。
  80. 高良とみ

    高良とみ君 それは、この前の港湾法一部改正の御提案のときに詳しく承わりまして、小さくなった港をタンカーその他のために拡張しなければならない、その他のいろいろの必要の出ていることは私はよく承わったのです。ですから、今度の一部改正については、そういう御趣旨がおもだと思うのでありますが、私ども、まだ港湾の現状については、地方自治体が、これから、今までもですが、港湾の管理委員会等のやり方が必ずしも満足のいってないものがずいぶんあるということは御承知通りだろうと思います。今後も、その面において、一応も二応も理解をしておいて、これを地方に移管するなら、地方がもっと責任を持って、それらの国の諸機関が顔を出しているものに対して、それと地方自治体との関係がうまくいくかどうかということを疑問にしているわけなのです。しかし、これについては、もう少しあとで法案に従って御質問することにいたしましょう。税関の現状などについても、種々な業者から、やはり日本の港についてはかなりなやり方についての不満を聞いているわけですが、その辺、どうも私の一番今疑問にしておりますことは、管理上の問題ですからこの次まとめて御質問申し上げましょう。   —————————————
  81. 戸叶武

    委員長戸叶武君) この際、横浜港における軍貨の作業経過及び労務者の直用の問題に関しまして、最近の経過について港湾局長より御報告を願います。
  82. 天埜良吉

    政府委員天埜良吉君) アメリカ軍が横浜において港湾荷役をいたしますために、自分で労務者を雇ってやりたいということで進んでおりまして、その全体の要求人員が三百八十六名でございましたところ、五十一名はもう要らない、三百三十五名でよろしいというふうに言ってきたところまで、この前御報告をいたしたのでありますが、その後、十七人要求をしておりましたのが、二月の二十五日までに充足されております。これはこんなような内訳になっております。アドバイザーと申しておりますが、これは安全監督とか海務監督とかいうもので、これをA、Bというふうに分けておりまして、要求してきたのは、Aが三名、Bが四名であります。そのうち、充足されたのが一名、それから通訳の方は四名要求してきておりまして、そのうち充足されたのが二名でございます。それからクラークとしてタイムキーパーを要求して参りましたのが三名で、そのうち充足されたのが二名でございます。クラークの中のタイピストとして要求して参りましたのが三名、そのうち充足されたものが二名、結局二月二十五日までに、要求は十七名のうち七名が充足されておるという状態でございます。その後三月八日にまた要求が充足されておりまして、それは、フォアマンが四名要求しておりまして、これは四名充足されております。ウィンチマンが十二名の要求のところ十二名充足されております。シグナルマンが六名中六名充足されまして、その他の一般労務者というのは六十一名の要求で六十一名充足されております。それで、三月八日には八十三名の要求のところ八十三名充足されております。これを合計いたしますと、現在のところ、百名の要求がありまして九十名充足されております。という状況でございます。その後はまだ要求をしてきておりません。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 今のこれは中間報告になりますから、調達庁長官や外務大臣も一度本委員会へ呼んで聞かないといかぬと思う。やはりこの問題は、具体的に作業はどんどん進められておって、われわれの考えておる問題については触れることができないような現状なんですから、きょうは中間報告を受けたということだけで、後日調達庁長官や外務大臣を呼んで、それで真相を、究明していく、こういうふうにしたいと思います。それで委員長いかがですか。
  84. 戸叶武

    委員長戸叶武君) そのようにいたしたいと考えております。きょうは運輸大臣が長く出られないというものですから、やはり運輸大臣に出てもらっておる席で調達庁の長官なり、当局に出てもらって、そうして責任ある答弁を願いたいと思っていたんですが、この次にそういうふうに取り扱いたいと思います。
  85. 岩間正男

    ○岩間正男君 なお、今のことを、僕からもお願いしたいと思うのですが、政府の説明ができるような状態になってからということでは、非常に時期おくれになると思う。この前から問題になったのは、政府態度が、統一されて、またあくまで国内法を守る、そういう点ではっきりした態度をとるような方向に当運輸委員会は進まなくちゃならぬと思う。ですから、なるたけ早い時期に、できるだけ関係者を全部ここに集めていただいて、ことに、法案審議もたくさん控えておりますから、その事前に一応のめどをつけたいと考えますから、よろしく御配慮願いたいと思います。
  86. 戸叶武

    委員長戸叶武君) この委員会の終了後、委員長理事打合会を開きまして、なるたけ早急にそう取り計らいたいと考えております。   —————————————
  87. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一つお願いがあるんですが、この運輸委員会の開催の大体の予定ですね。これはむろん予定ですから、絶えず変更にはなると思いますが、一応の見通しを何か予定表のようなものを作って渡していただきますと非常に助かるんじゃないかと思います。と言いますのは、きょうなんかのは何やるかわからないでしまっているということがありますから、一応のめどをやはり理事会なり何なりで立てていただきまして示していただきたいと思いますが、お願いします。
  88. 戸叶武

    委員長戸叶武君) きょうの理事会でそれをきめたいと思います。今まで衆議院の関係やなんかで、法案なんか回ってくるのが見通しがつかなかったものですから……。若干の見通しもついてきたようですから、きょうそのように取り計らいたいと思います。
  89. 江藤智

    ○江藤智君 実は運輸委員会の方々で決算委員会委員を兼務しておられる方が非常に多いんです。ところが、決算委員会運輸委員会とがいつも午後一時から大体同じなんです、ですから日にちを変えますか、あるいはどちらかといいますか、こちらは午前にでもすれば、そういう点はかち合わなくて済むんですから、大体の御都合をこの機会に聞いておいていただいた方が、あとの理事会でもきめやすいと思うんですけれども
  90. 柴谷要

    柴谷要君 決算委員会は相当先に見通しを立てて予定表を立てられております。これをはずして運輸委員会はできるだけスケジュールを立てるということで理事会に一任したいと思います。
  91. 戸叶武

    委員長戸叶武君) ちょっと速記をとめて。    〔速記中止〕
  92. 戸叶武

    委員長戸叶武君) 速記をつけて。  本日は、これをもって散会いたします。    午後三時三十一分散会