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1957-02-14 第26回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月十四日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席分科員    主査 宇都宮徳馬君       江崎 真澄君    河野 金昇君       山本 猛夫君    井手 以誠君       片島  港君    森本  靖君    兼務       川崎 秀二君    田中 武夫君  出席政府委員         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      權田 良彦君         運輸事務官         (自動車局長) 山内 公猷君         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (監察局長)  久保 威夫君         郵政事務官         (郵務局長)  松井 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  加藤 桂一君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      成松  馨君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君  分科員外出席者         郵政事務官         (事務次官)  小野 吉郎君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  松田 英一君         日本国有鉄道参         与         (施設局長)  今井 四郎君         日本国有鉄道参         与         (電気局長)  関  四郎君         日本電信電話公         社副総裁    靱   勉君         日本電信電話公社         理事         (業務局長)  吉沢 武雄君         日本電信電話公社         理事         (施設局長)  米沢  滋君     ————————————— 二月十四日  分科員井手以誠君小松幹君及び森三樹二君辞  任につき、その補欠として河野密君、森本靖君  及び片島港君が委員長の指名で分科員選任さ  れた。 同日  第一分科員田中武夫君及び第二分科員川崎秀二  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管昭和三十二年度特別会計予算中  運輸省郵政省及び建設省所管昭和三十二年度  政府関係機関予算運輸省及び郵政省所管     —————————————
  2. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 ただいまより予算委員会第四分科会を開きます。  本日は昭和三十二年度一般会計特別会計、同政府関係機関予算中、郵政省所管について審査いたします。  本予算につきましては、去る十一日郵政大臣より説明を聴取いたしておりますので、本日は直ちに質疑に入ります。なお、本日出席を求めておりました平井郵政大臣病気のため出席できない旨の通知がございましたので、御了承願います。郵政大臣のかわりに伊東政務次官出席の予定であります。  それでは、質疑の通告がありますので、順次これを許します。片島港君。
  3. 片島港

    片島分科員 本日は私が郵政省関係、すなわち郵政事業電波管理行政、それから電電公社等についてお尋ねしたいのでありますが、政務次官が見えるまでに、ちょっと補足的な質問になるのでありますが、一言お尋ねしたいと思います。  郵政省国際電信電話株式会社に対しては具体的にどういう権限をお持ちでありましょうか。大臣所管事項説明にも幾らか触れておるようでありますが、その法的根拠と、また具体的にはどういう権限を持っておられるか。
  4. 松田英一

    松田説明員 お答え申し上げます。国際電信電話株式会社法によりまして、まず、会社の重役でございますが、取締役あるいは監査役選任についての認可権を持っております。それから、事業計画についての認可権を持っておりますが、これは大蔵大臣との協議によって認可するようになっております。それから、利益金の処分につきまして、やはり同様に認可権を持っております。それらが主要なものでございまして、そのほかやはり法律によりまして若干の権限を持っておるわけであります。
  5. 片島港

    片島分科員 国際電電は、御承知のように、純粋の民間が持っておる株というのは非常に少いのでありまして、公的な性格が非常に強いのでありますが、大臣説明によると、非常に収益がふえたということ、順調に社業が進んでおるという説明になっておりますが、こういう公共的な会社でありますから、たとえ株式会社でありましても、利益を上げることだけが順調に進むということではなくして、むしろ利益が上るようであるならばサービス改善をやるということが私は非常に重要なことであろうと思うのであります。ところで、二十一億一千五百万円の支出の増加が説明されておるのでありますが、設備を新たに更新したのでもなく、またこれは減価償却に振り当てたのでもないようでありますし、増員をされたのであるか、二十一億一千五百万円の支出の増というのはどういう方向に向けられておるのでありますか、御意見一つ伺いたいと思います。
  6. 松田英一

    松田説明員 ちょっと手元に詳しい数字を持ち合せておりませんので、具体的にその増がどう使われたか、あるいは御要求によりまして別にそういうものを作りたいと思いますが、大体は、もちろん会社といたしましてはいろいろと施設改善、それからサービス改善あるいは新規業務というふうなことをいろいろとやっておりますので、そういうものに伴って必要になった経費の増というものは当然その中にあるわけでございます。
  7. 片島港

    片島分科員 大臣説明数字が相当出ている場合には、やはり数字内訳などは御用意願いたいと思います。特に設備減価償却ということはどうなっているのでしょうか。減価償却費というものがこの中に含まれているかどうか。また、新規設備を実際やっているのかどうか。今まである既設設備でこれだけの収益を上げておられるのであるかどうか。
  8. 松田英一

    松田説明員 もちろん既設設備というものが基礎にはなっておりますけれども、その後技術の進歩に従いまして、その相当部分について取りかえ、あるいは新たな施設というものを作って参りまして、全体として会社の出発したころのものとは目を新たにするような事業内容改善ができております。それから、減価償却も当然その中に入っておりまして、会社減価償却定率法によってやっております。
  9. 片島港

    片島分科員 それでは、この二十一億一千五百万円の支出の増について内訳をあとでよろしゅうございますから御提出願いたいと思います。  さらに、大臣説明中にも、占領中の制約があって料金が不当であった——不当であったということは、私は制約があったから非常に低過ぎたのかと思ったところが、制約があったために実は料金が不当に高かったので、それで引き下げを考慮中であるというようなことを言っておられるが、こういうふうに制約があって高かったならば、当然それによって得た利益というものは、何らかの形でその会社性格上国庫の方に納付とか、あるいは税の名目ででも徴収すべきである。占領中の制約によって高過ぎた、もうけ過ぎたというものを、普通の株式会社みたような形で経理をせられるということはきわめて不当であると思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。
  10. 松田英一

    松田説明員 あるいは言葉の点でそういう言い回しが下手だったということもあるかと存じますが、直接料金をこうしろああしろというようなことを指定されたというふうな意味での制約ではございませんでして終戦後占領期間中にいろいろとアメリカ関係料金というふうなものもきまりましたし、またそういったものを基準にしてほかのいろいろな料金考えていきましたために、実際問題として料金が非常に不統一のような感を呈したり、あるいは高いところができているというふうな状況になっておりましたので、それを是正するために、なるべくバランスのとれた、あるいは安い料金に持っていきたいということで、去年の十一月から値下げを実施した、こういうことになっております。そういうわけでありますので、特に政府からの指示によって高くしておったというふうなものではないわけですから、これを政府に取り上げるということもちょっとどうかと思いますし、また、会社性格といたしましても、本質的にはただいまおっしゃいましたような性格をこの会社は持っておりますけれども、法律的には純然たる株式会社格好をとっておりますので、これを今のままでいきなり金を政府の方に納入させるとか取るとかいうことはできないシステムになっておるので、その点は無理かと思います。
  11. 片島港

    片島分科員 それでは、私は資料をお願いして質問を途中でやめますが、この二十一億一千五百万円増の内訳と定員、給与の状態電電公社と分離したのでありますから、電電公社従業員等も参考のために聞かしておいていただきたいと思います。
  12. 宇都宮徳馬

  13. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 伊東政務次官は就任せられてから日も短かいことでありますから、詳細にわたる質問などはいたしません。ただ、着任せられて、郵政関係の問題として政治的な要素を含んでおるものは、放送法改正するかどうかということに大体焦点がしぼられておるようであります。大臣が着任するとすぐ言明をするのが、放送法改正したい、——今まで放送法というものはどういうものであるか、あるいはそれが望ましいことであるかということについて御知識のない方も、御着任せられた翌日には、新聞記者団にそのことを話されるのがここ四年間の大体常識になって参ったのであります。しかし、そのたびごと放送法改正機運世論の非常に大きな抵抗を受けて、次第にあわのように消えていかんとするのが今日の現状でありますが、こういう情勢下にあっても郵政当局としては放送法改正したいという意思を持っておられるものかどうか、その点は与党とも十分懇談をしてやられるものかどうかということをまず最初に承わっておきたいと思います。
  14. 伊東岩男

    伊東政府委員 お答えする前にお断わりを申し上げますが、郵政大臣病気出席することができないのでございます。  ただいま川崎さんからお尋ねの問題は、非常に重大な問題でございます。電波事業郵政省の大きな事業として浮んだ今日においては、放送法にもいろいろと欠点があるように見ておりますので、適当の時期には改正すべきものと思うのでございますが、ただいま省内においても相当研究しておるのでございます。こういう大きな問題を解決し、こういう大きな法案提出に当っては、むろん与党調査会あるいは与党のみならず野党の考えもよく聞いた上で法案提出すべきものだ、時期等についてはさらに検討するつもりでございます。
  15. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 政務次官お答え、はなはだ、政治的に各方面情勢、環境を見定めた後考慮するということは非常にけっこうだと思うのであります。政治家の心がまえとして尊敬をいたします。そこで、問題は、この国会もすでに二月半ばに達せんとしております。衆議院の予算委員会劈頭においても、重要法案は二月中に出さなければいかぬ、これはおそらく与党内部でも三木幹事長あたりの方針にもなっていることと私は確たる信念を持っておるわけですが、放送法重要法案一つとして考えられるものであって、その意味でかようなデリケートな問題だけは会期半ばを越してから提出すべきではないと私は考えておる。かりに放送法改正郵政省信念とされておられるとしても、そう私は考えておりますが、そういう考え方に対して、政務次官は賛成でありますか、いかがでありますか。
  16. 伊東岩男

    伊東政府委員 お話のごとく非常に重要な法案でございますので、この提出をするとすれば、これは一刻も早く行うべきものであり、先ほども答弁申し上げたように、簡単にこれは処理すべきものではございませんので、慎重審議した上で、いよいよこれならばという成案ができたときにはなるべく早く出したいと思っております。
  17. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 以下の御答弁は他の方でけっこうであります。  ただいま政務次官との問答からわかりますように、放送法提出というものは、将来するにしても、今国会は慎重にかまえたいというのが大体の空気であろうというふうに私は感ずるのでありますが、何ゆえこの放送法改正に当って非常な抵抗を受けているかといえば、やはり放送番組に干渉する気配が政府部内にあるのではないか、あるいは放送法改正を機としてNHKに対する監督権をさらに強化して、復原的な、戦前に帰るような監督権を持とうとする意図郵政官僚にあるのではないかということが非常に大きな疑惑の種となって問題が起きていると私は思うのです。従って、これが、たとえば放送法の中にある放送協会役員に対する任命範囲についてもう少し余裕を持たす、GHQの占領治下に制定をされたものに対して日本的な考え方のもとにそれを直すという種類のものに限るならば、決してあのような大きな世論抵抗を受けるわけがなかったというふうに私は感じておるのであります。これはもちろん郵政官僚としてはぜひともやりたい点があると思う。また直すべき点もあると思うのです。しかし、昨年小選挙法案があのようなぶざまな格好になって、一内閣——実は保守党が多数を制しておったから危うく沈没を免れたものの、かなり参議院選挙影響したということと同じように、事の大小はそれほど大きな問題ではありませんが、放送法改正もまたこの言論分野にもってするならば相当大きなインフルエンスを持った問題だと思う。大体小選挙区法の小型と考えれば間違いない傾向を示しているわけであります。従って、松田郵政大臣は、私は鳩山内閣のときに同じ閣僚であったのですが、放送法改正にはよほど手をやきますよということを忠告申し上げておったが、なかなか御熱心であった。ついにそのときに実らず、村上郵政大臣時代も、地方の遊説先に行っては、放送法改正するんだという蚊の泣くような声で終始した。今度の平井さんも、出したい、しかし慎重にするのだという程度で徘回しているのである。非常に低空飛行をしなければならぬというような状態でありますから、放送法改正というものは、これはもうむしろ内面指導でやった方がよくはないか、改正しなくてもいいのではないか、改正するならば役員任命権範囲を拡大するというようなことでも考えたらどうかという程度にしか私自身の私見はないのであります。もう少し露骨に申せば、下手な考え休むに似たりということわざがありますが、放送法改正の場合にはそれにぴったり当っているような気がするのでありますけれども、一体、今改正をしようとする問題点というものはどういうところにあるのですか。
  18. 小野吉郎

    小野説明員 放送法改正問題につきましては、世上いろいろ私ども意図しておりません臆測が行われておるようでございます。まことに遺憾に存ずる次第でございます、郵政省といたしましては、ただいま御指摘の、番組に関与することによって言論統制をする、こういったような意図は毛頭持っておらないのでございます。しかも、かつていろいろ批判を受けましたので、放送を通じましての言論その他の統制といった点は毛頭考えておりません。郵政省として考えておりますことは、放送法の精神であります、自由なる、しかも公正なる言論機関といたしまして、そういった方面の公正なる運営につきましていろいろと問題点考えておるわけでございまして、具体的にNHKに対するいろいろな統制を強化しようといったような意味は毛頭ないわけでございます。ちょうど放送法が制定せられました当時は、放送界におきましても現状とは非常に違った状況にあったわけでございます。具体的に申しますと、当時民放といったようなものは存在をいたさなかったわけでございます。放送法が実施せられまして後にそういった民放飛躍的発展といったような新事態が生じておるわけでございます。そういう面から見まして、NHKのみならず民放も含めて、全般放送発展につきまして、民主的公正なる発展につきまして、現行法では非常に不備があるのではないか、こういう見地からながめておるわけでございます。そういった意味合いから、現在改正点として考えております事柄も、一つ一つを見ますと、決してこれは番組に関与するものでもございませんし、厳にこれは慎しむべきものであろうと思います。また何らの統制意図を持っておるものではないわけでございまして、あるいは経営委員会あり方とか、あるいは、これは放送民主的運営のために設けられた機関でございますが、果してこれがそういった線に沿っておるかどうかといったようなことだとか、あるいは会長の任命等につきまして統制といったような意味合いでなく、放送の健全なる、公正なる発展に役立つためにはどのようになったらいいだろうか、かような点を考えておるにすぎないのでございまして、世上いろいろ、いかにも戦前、戦争中にありましたような統制に復帰するのではないかというような懸念が行われておりますが、毛頭そういったことは意図しておりませんから、今後といえども放送法改正としてそのような面を考えることはないことをここでお答え申し上げます。
  19. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 放送法改正の問題についてはそれ以上詳しく追及したりいたしません。私は、一ぺん、国会閉会をしておる最中に放送法改正に対する問題点というようなものをもっと国民全般に知らして、それから国会でも閉会中の郵政委員会等において十分審議をしてもらって、公聴会を開き、かつ、ひとり常任委員だけでなしに、全議員がわかるように、もし改正をするならば事前工作が必要だ、そう思うのです。そういう上で出すならば、おそらくこれは言論統制とかあるいは番組とかいうものに及ばないで、そしていかにも公正だというものが出てくるならば、そのときこそ私は放送改正は成立するものと見ている。そうでない、いささかでも先ほど以来議論をしておるような要素が残っておると、放送法改正というものは成功しない、そのことは傷口がますます深くなっていくだけだということを申し上げておきたいと思うのです。  今日他に質問をいたしたい点は、テレビジョン放送教育的利用ということが第一点、第二は、隣接国中波放送が非常に強力なために、日本の中国あるいは北九州ゾーンにおいて非常な日本ラジオの受信困難が起っておる状態について御答弁をいただきたい点、さらに、国際放送の拡充の意図というような問題、まあ三つの問題についてお尋ねをいたしますから、十分お答えを願いたいと思います。  第一の、わが国のテレビジョン放送というものは、二十八年の初めに本放送を開始して以来、非常な大きな伸びをいたしました。わずか四年の間に、今日では全国的な放送網が整備されて、放送局の手前みそによると全国民の四割の世帯数が受信可能の域に及んだ。しかして現に受信者が三十五万を突破するという状況を示しておって、このテレビジョン影響甚大性については目を見張らざるを得ない状況に達してきておると思うのです。しかし、テレビジョンが発達をすることは、社会風教上にも、思想言論上にも、あるいは情報交換上にも非常な大きな影響であり、言葉をかえて言うならば、二十世紀の窓はテレビジョンだという言葉が言われるような驚異的な革命時代を作ったというふうにわれわれは見ておるわけです。ことに、日本テレビジョンが三十万の受信台数を持つに至ったということは、これは、諸外国でずっと統計をとっておる人の専門的な知識によると、三十万の大関門を割るということは、これが五十万、百万になるということは目に見えて可能だというような専門的な見解もあるほどであって、私は非常にこの傾向を喜んでおるのですが、されば、テレビジョンが毎日やっておる数時間の番組を思うと、これこそ寒心にたえない。ラジオの方は、むしろ教養放送もあり、また社会教育的な要素多分に含んでおるけれどもテレビでは、アメリカでもそうですが、子供に対する影響ということは非常に大きい半面、たとえば西部劇だとかあるいはギャング劇だというものが上映されて、子供が学校から帰ってむしろそれに吸いつくように目を光らせておる。こういう状況を見ると、何としても教育テレビというものをこの際日本では考えなければならぬじゃないか。これは、国会でも、委員会速記録を見てみると相当問題になりましたが、なお低調だと思う。そこで、この際特にその点について申し上げておるわけですが、近くテレビのチャンネルもふえそうだということも聞いております。教育テレビというようなものを将来許可する考え方があるのか、許可するとすればどういう性格を持つものに許可をしようとしておるのか、その点を伺います。
  20. 小野吉郎

    小野説明員 テレビ放送現状につきまして川崎先生からまだまだ改善すべき余地があると御指摘に相なりましたことにつきましては、全面的に私も賛成いたすわけでございます。教育的な要素を加味した放送に漸次変っていくことを期待することにつきましても、私ども川崎先生意見の相違はないように思います。また、そういった方面機運も非常に盛り上りつつあります。将来の電波割当に当りまして、これをどのように扱うかということはまだはっきりした点はきめておりませんが、テレビジョン放送あり方としての非常に好ましい方向、並びにそういった教育的な要素の加味された上品なテレビジョン放送がほしい、こういう非常な要望の強い点も十分に考慮いたしまして善処して参りたいと思います。
  21. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう一ぺん聞きますが、教育テレビというものを許可する意思があるのかどうか。それに対して許可するとすれば、どういう性格を持つものにまず許可するかという点です。
  22. 小野吉郎

    小野説明員 教育テレビといたしまして、はっきりどのような構想を持ち、どのような方式でいくものに許可するかどうかは、まだ具体的に固めておりません。ただ、そういった、いわゆる好ましいといわれ、かつ非常に要望されつつある教育効果多分に持っております放送助長をはかることは、私ども非常に好ましい傾向であると考えておりますので、そのような面を十分に考慮いたしました上で、具体的の割当考えて参りたいと考えております。
  23. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 それでは、私が設問をしますけれども、たとえば教育テレビというものを許可する、そういうことが世論となり、そういう要望のあるものには善処したいということですね。そうすれば、そういうものにどういう性格のものが望ましいかということになれば、私は、教育テレビというものはコマーシャルベースばかり考えたものであってはならぬと思う。コマーシャルベースに乗っておって教育もやれるんだということを出願しておる人もあるそうです。そういう考え方も成り立つけれども、やはりそういうコマーシャルベースに乗ってかつ十分に教養放送教育テレビも組めるということにはある偏向を持ちはしないかという危険がある。民放などでこういう計画をしておる人があります。長年教科書の編さんであるとかあるいは中学から大学へ行く試験の問題集など集めた特殊な出版会社がかりにやる。私はその人の熱意を非常に深く考えるのだけれども、やはり、そういうものに許可するよりは、不偏不党的な性格を持つニュートラルな考え方を持ったものが、まず教育テレビ許可が与えられるとすれば先ではないかという考え方を私は持っておる。そういう点でどうでしょうか、性格論の問題です。
  24. 小野吉郎

    小野説明員 教育的放送助長が非常に好ましいことは先ほど申した通りでございますが、一口に教育と申しましても、教育の真の効果を上げる上におきましていろいろあろうと思います。そういった面において、たとえば非常に狭義な教育、非常に固苦しい、そういう面で参りますと、これまた果して、放送としてはよろしゅうございましょうけれども教育の真の意図に沿い得るものかどうか。教育にはやはり教育という固苦しいかみしもを着ないでしかもそれが非常に国民の教養を高める、このような内容、形式を持ったものが好ましいのじゃないかと思っております。そういった意味で、いろいろ真に教育効果を上げ、教育的な目的を達し得るような構想において、あるいはそれは教育のみに限定することもいかがかと思われますけれども、それかといって、教育と他の何か要素をかみ合せなければならないということもいろいろ問題もあろうと思います。その辺の具体的な問題につきましては、事柄自体につきましては、私どももその必要を認めておるわけでございますが、具体的にどのような方式で、どのような構想のもとに割り当てるかということはまだ具体的には固めておりませんので、御答弁としてはまことに十分でないかと思いますが、その辺で……。
  25. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 私が聞いておるのは、放送テレビジョンというものは、ことに教育的なものは、常に中立性、普遍性を持たなければならないということを伺っておるのであって、あなたに教育というものは単にかみしもを着たものであってはならぬということを聞いておるわけじゃない。そういってヒョウタンナマズの御答弁をしている限り今日は安全であるから、そういうことを言うのだろうと思うのですが、私がここで一番力説するのは、諸外国、ことにイギリスのBBC放送テレビを通じて今日大きな影響国民に与えておる唯一の協会です。しかし、これらは常に教育放送ないし教育テレビというものに非常な力を注ぎ、しかも政府のコントロールではなしに、半官半民的な大きな力のもとに国民に対しいい影響を与えておると思うのです。その考え方は、民間放送NHKと二つある日本においてもその線はやはり貫いていかなければならぬと思うのです。アメリカのような商業本位の放送一つの柱になって立てられておる放送事業界でも、教育テレビになると、やはりそういうことを加味して放送されておるわけです。もし将来実施をされる場合にはそういう点に大きな考慮を払って郵政当局としては進むべきだということをこの際厳に申し上げておきたいと思うのであります。  次にお聞きしたいのは、中波の大電力放送についてであります。これは先ほどすでにきょうはこういうことをお尋ねすると言った際に申し上げたことでありますが、短波による国際放送に並んで中波による大電力放送は、アメリカその他においても国際放送として十分利用されておるのでありますが、最近ソ連邦あるいは中共、さらには北鮮ないし韓国までがこういう強力な中波放送を行なってきまして、わが国各地のラジオ放送に混信を与えておる。これはかなり重大な問題であると思うのです。ことに、山口県を中心とした朝鮮海峡接岸地域ないしは門司、小倉、福岡というような所は、最近夜間はほとんど日本放送が入らないというような状態が出てきて、これは非常に重大な傾向であると思うので、これの対処策はすでに練られておることと思いますけれども、目下どういう対策をもってこれに対処しようとしておるか、詳細に承わりたいと思うのであります。
  26. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま川崎委員の御意見、これは非常に重大な問題であります。そういう意味合いにおいて、私、一昨日福岡まで参って、ゆうべおそう帰って参ったのでございますが、この点については、現地においていろいろとお話を聞いたわけで、よほど考えていかなければならない重大事案だ、こう考えておるわけでございます。その具体的構想については、所管の局長から、構想もあると思っておりまするから、話させることにいたします。
  27. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の問題につきましては、当局もかねがね対策を練っております。とりあえず、その対策といたしまして、札幌、東京、大阪、福岡、四カ所のNHKの中波の放送を百キロに上げることを計画いたしまして、目下進行中であります。これは遠からず百キロ電波を発射することによりまして近接国の影響を防げるだろう、そう確信しております。
  28. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 対策としてはそれは非常にけっこうだと思うのです。ぜひともやっていただきたいと思います。これはどのくらい費用が要りますか。
  29. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 正確な数字は私今ここではっきり申し上げかねますけれども、一カ所二、三億円だろうと思います。四カ所で十億円程度で可能だろうと思います。正確な数字はまた後刻はっきり申し上げます。
  30. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 もう一点お伺いいたしたい点は、国際放送の強化ということであります。これは、戦争中は相当に各方面に出しておったものを、一ぺんやめて、また五、六年前から復活をしておるわけですが、わが国の国連加盟が実現するとともに、一そう対外放送の必要性というものは国内においても認識されるとともに、海外においても日本の正確な情報をとりたいというので受信も非常に盛んなのです。ことに、ハワイであるとか、あるいは南米であるとかいうような地域にある在外同胞は、この国際放送を聞いて日本の変転する事情をつまびらかにするという非常な大きな長所もあるわけであります。従って、今回国際連合に参加するとともに、NHK国際放送の回数をふやそうということで、対ソ連向けあるいはその他の地域に四方向か六方向か出したのであるけれども、それに対して今回の予算ではわずか二方向しか認められなかった。これはもっともっと拡充する必要があると思うのですが、郵政当局考え方はどうなのですか。具体的に来年以降どういうふうな観点でこれを進めていくかということを最後に承わって、三十分の質問でありますから、これをもって終ります。
  31. 小野吉郎

    小野説明員 戦前日本国際放送で、一番充実しておりましたときは、方向といたしまして十五でございます。十五方向で三十三時間の時間をこのために割り当てておりました。現在は漸次強化して参りまして、十三方向に対しまして十三時間の放送をいたしております。来年度予算におきましては、方向としては戦前最高レベルの十五方向にぜひ復帰いたしたいということで要求いたしまして、その方向は、川崎先生ただいま御指摘の通り、対ソ連向け並びに東ア向けに二方向がふえることになって参ったのであります。従いましで、方向としては戦前の最高レベルにやっと復帰できたわけでございます。時間の点で、まだ遺憾ながら二方向に二時間しかとれませんで、結局十五方向放送時間十五時間ということになっております。もちろんこの状況で満足するのではないのでありまして、三十三年度以降国際放送の重要性にかんがみまして漸次増強をはかって参りたいと考えます。
  32. 川崎秀二

    川崎(秀)分科員 けっこうです。
  33. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 片島港君。
  34. 片島港

    片島分科員 きょうは大臣がおいでにならないのでありますが、しかし、伊東政務次官は大物政務次官で、ほんとうは大臣と何ら変らないくらいの資格を持った方でありますので、この際私は御所見をまず第一に聞いておきたいのです。  大臣所管事項説明を見ますと、全逓の闘争などに非常に詳しく字数を費しておられるのに、郵政事業本来のものについてはきわめて粗雑な御説明しかしておられないのは、まことに私は遺憾に思うのです。歴代の郵政大臣はどうも閑職みたいなような立場でございまして、ややもすると、閣議などにおける発言は、郵政関係でなく、そのほかのことについての発言の方がむしろ多いといったようなことも、私は非常に遺憾に存じておったのであります。郵政事業の国家的なまた国民的なこの重要な使命について、大臣代理で出られる伊東政務次官はどういうふうにお考えになっておりますか。
  35. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまの御質問、ごもっともでございます。大臣説明には、お話のようにかなり全逓の闘争問題を詳しく説明しておられるようでございます。しかし、郵政事業の公共性にかんがみて、やはり闘争というものと業務の運営というものは不可分の関係があり、また重要なことでございますので、大臣もさような意味で触れたものと考えます。しかし、これは、ただそれのみでなく、郵政事業の公共性にかんがみて、十分すべての施設なりすべての方針なりを固めていかなければならぬと、かように考えておるのでございますので、今後この委員会に現われる御議論のごとき、よく尊重するばかりでなくて、国民の声もよく聞きまして、郵政行政の上に遺憾なきように推進したい、こう考えております。
  36. 片島港

    片島分科員 郵政事業の公共性を非常に重要視しておられるということは、まことに私も同感であります。ところで、この郵政事業は、御承知のように特別会計によって運用せられておるのでありますが、そのために、給与改善の問題、施設拡張の問題、サービス改善の問題等について、独立採算制をもってまかなわれておるこの郵政事業というものが、十分なる公共性を発揮しようという場合に非常に壁にぶつかることが多いのであります。事業の公共性、サービス、こういうことを特に強調するとすれば、独立採算制を破るような結果にならなければならぬ、独立採算制を非常に重要視すれば、公共性、国民多数の利益サービスをますます改善しようということがおろそかにならざるを得ないということになるのでありますが、伊東政務次官は、この公共性というものと郵政事業の独立採算制といったようなものについて、どちらを重要視し、またどういうようにして調整すべきであるというふうに考えておられるか、お伺いしたい。
  37. 伊東岩男

    伊東政府委員 お話のように、これを両立させことは非常に困難な点だと思いますけれども、郵政行政そのものが公共性でなければならない。相手は大衆のサービスでございますので、そこに両立ができるように考えて、一方は独立採算制を公社として考えてもらわなければならない。またさようにさせなければならぬと思います。しかし、重点はどこどこまでも公益第一でいきたい、こう考えておるわけであります。
  38. 片島港

    片島分科員 以下お尋ねをいたしますことは、私は国会においては郵政関係はくろうとでありますから、そう長く御説明をしていただかなくても、簡潔に一つ答弁を願いたいと思います。時間がむだになりますから。  市町村合併に伴いまして集配局の統合が行われておるのでありますが、市町村合併に伴う集配局の統合によって集配事務が廃止せられる局数、一町村一集配局という原則によってただいま作業を進められておる集配事務を廃止しようとする集配局数はどの程度になりますか。これは事務当局の方でけっこうです。
  39. 松井一郎

    ○松井政府委員 お答えいたします。現在行われております市町村合併に伴いまして、集配についていろいろと調整していかなければならないという問題が起きておりますが、これは現在のところも見込み数でございます。全般の見込み数として、集配事務の統合を必要とするのではないかと思われるものが、およそ七百五十個所くらいあります。それから、郵便区の組みかえというようなものをやっていかなければならぬというのが約五百九十程度、かように予想されております。それに対しまして、現在実施し、あるいはこれから実施しようとして相当具体案のでき上っておるものは、集配事務の統合関係につきましては大体約百五十件、郵便区の組みかえ関係につきましては二百六十二というものがあります。大体このような程度が現在の状況でございます。
  40. 片島港

    片島分科員 この集配事務を統合することによってどのくらいの経費の節約になりましょうか。
  41. 松井一郎

    ○松井政府委員 私どもがこれを行いまする場合に、ある場所においては定員の減っておる場所もありますし、ある場所においては定員を持ち出ししなければならぬというような場合もございまして、その間における定員のやりくりといたしましては、大体一カ所においてプラス・マイナス、ゼロといった場合の方がむしろ多いようでございます。そこで、現在、経費の持ち出しと申しましても、定員面から特に経費を持ち出ししなければならぬといった場合はさしあたり考えておりません。ただ、集配が伸びる関係上、そこにおける集配事務を若干機械化する、あるいは受け入れの局舎というものが非常に狭いといった関係でこれを改築するといったようなものがその中に多少ありますが、特にこのこと自身を目的として予算を持ち込まなければならぬという点は、さしあたって考えておりません。
  42. 片島港

    片島分科員 市町村合併に伴う場合も、また、そうでなくして、現在市町村内に二局以上の集配局があるのを、これを一局にしようというような考え方で集配事務を廃止いたしますならば、言うまでもなく現在の市内区が市外区になる、こういったようなことになりまして、当然サービスの低下を伴うと思います。経費は一銭も節減にならないでサービスの低下を伴うということは、これはやらぬ方がましじゃないか。やっても何ら意味がない。サービスの低下は来たさないようにするとおっしゃいましょうが、それは何ぼおっしゃってもだめです。ここに集配局がある場合に、これが無集配の窓口だけになって、集配局が遠いところに持っていかれたという場合には、どうしてもサービスの低下になる。ところが経費は節減を伴わないということになれば、一体どういうことのためにこういうことをもくろんでおられるのですか。
  43. 松井一郎

    ○松井政府委員 私どもは、実は、この調整自身はサービスの特にダウンとか合理化といったような意味合いを重点に置いておるのではございませんのでして、御承知のように、集配局が現在あるところに、いろいろと町村合併関係によって行政地域が異ってくる。そのために従業員のいろいろな区分上の作業というものがむずかしくなる、あるいはその結果として非常に多数の郵便物が毎日誤区分されていっておるというような状態を救うということが中心でございます。従って、かりに集配を統合いたしましても、従来二度配達であったところは二度配達いたしましょうし、速達取扱い地域であったところは速達取扱い地域としてそのままやっていきたい。基本的なサービス条件においては、もとより私どもはこれを低下しようというのでなくて、現在どうしても不可避的に起ってくるそうした郵便物区分、運送上の混乱というものを、少くともこれはある程度の合理化をやっていかない以上は救えないという情勢を中心点に置いて考えておるのであります。
  44. 片島港

    片島分科員 市町村合併の場合は、これはいろいろと政治的な問題もありましょう。ただ、現在長い間一町村内に二局以上あったものが、これが統合せられるという場合には、ちょっとまた様子が変ってくると思うのです。しかし、これはお答えは同じでありましょうから、私は、こういう場合にはやはりサービスの低下を来たすのではないか、よく検討されてから実行せられるようにお願いいたしておきます。  次に簡易郵便局の問題についてお尋ねいたしますが、現在簡易郵便局は何局ぐらい全国にあるのか、将来の方針をどうしようと考えているのか、簡易郵便局を市町村公共団体に委託して実施させるという方針をとりましたのは、御承知のように、特定局の設置が予算上困難であったために、無理をしてこの市町村等に簡易郵便局を請負わしてやらしておるのであります。ところが、今日、それが地方財政の窮迫とともに、非常に市町村の大きな負担となっている。当時簡易郵便局制度ができたときの情勢、そういう私が申し上げたような理由から見て、いずれは特定局の設置が予算がとれるような場合には順次取り上げてもらえるだろう、これを直轄にしてもらえるだろうという予想もあって、市町村では受託を申請したものが多いと思うのでありますが、これは私のことを申し上げてまことに申しわけないが、私も一つ簡易局の昇格を頼まれて、数年間郵政当局にもお願いしたけれども、なかなかその実現は困難でありました。そういうような状態で、この簡易郵便局制度というのが非常に財政に困っている町村等に重荷をかけて、それが今後もそのままに放置せられるということになれば、これはやはり重大な問題です。後はまたこれから先の新しい置局は置局でやっていくということになると非常に問題だ。この将来の方針について伺いたい。
  45. 伊東岩男

    伊東政府委員 お話のように、簡易郵便局はごく僻陬の土地にございます。主として今のところでは町村がその責任を負うているわけでございまして、これはどうしても何とかしなければならぬ。やはり農村方面の優遇という立場からも考えなければならぬというふうに思います。幸いにして今年も新設郵便局の予算もございますので、あるいは一部はそちらの方に切りかえるというような考え方もしていいのではないか。しかし、簡易郵便局は、もう方針としては一応考え直さなければならぬのではないかというふうに考えておりますが、これは、実情及び具体的な問題は郵務局長からでも御答弁させることにいたします。
  46. 松井一郎

    ○松井政府委員 お答えします。現在設置せられておる簡易郵便局は約千五百カ所くらいございます。このうちで、先ほど片島委員からお話のありましたように、非常に取扱い事務量の大きなものがあるようなものについては、毎年若干特定局にかえております。しかし、何さま、現在の簡易郵便局によるあり方というのと、特定局におけるあり方というものについては相当大きな落差がございまして、経費的にも定員的にも急速にこれを現在の特定局にするということについては実行問題として非常に困難な問題があるかと思います。しかし、先ほどおっしゃいましたように、現在のままのことが市町村相互の受託者に対していろいろと負担になっているというような御意見もありましたので、私たちもそういうことについては常に関心を持っております。現在の簡易郵便局のあり方並びにこれに支給しておる手数料というものがこれで完全に十分であるとまでは必ずしも言い切れないと思います。そこで、現在われわれの方でいろいろそういう簡易な郵便局のあり方について考えております。そういうことと考え合せて、簡易郵便局について将来どう持っていくかということは、御意見をも参考にして考えていきたいと思います。
  47. 片島港

    片島分科員 郵便局の窓口をふやすということは、郵政事業、郵便事業の公共性から見て、サービス改善から見て、非常に重要なこと一でありますが、新しい窓口を設けようという本年度の予算は五十局ということになっておるようであります。ところが、十一日の同僚委員の質問に答えて大臣は、申請数は千三百くらいあり、うち基準内のものは約五百くらいはあるが、予算は五十だけ組んでおる、こう言っております。そういたしますと、五十ということはまことに少い局数であるに違いないのでありますが、今までの実績を私調査いたしましたところが、実績は五十に及んでおりません。はるかに及んでおらない。それは昨年も一昨年もその前も五十に及ばないのであります。四十そこそこであります。それは間違いありません。そういたしますと、基準内が五百もあって、五十では足らないことがきまっておるのに、実績では非常に実施が少いということになりますと、これはどういうことになりますか。
  48. 松井一郎

    ○松井政府委員 私ども、ことし、去年、その前、少くともこの三年の間は、大体毎年五十局の割当を決定してございます。おそらく、片島委員がおっしゃった実績と申しますのは、その年内に開局になった分、かような数字じゃないかと思っております。私どもとしては、五十局分のものをちゃんと各郵政局あてに、よろしいからいつでもそれを準備して開局して下さい。かように申し上げるわけでありますが、御承知のように、それぞれの場所において特定郵便局を設置するためにはやはり市内のりっぱな通りといったようなものに適当な局舎を獲得しなければならぬ、あるいはまたその郵便局長さんになっていただく人を得なければならぬ、そういうようないろいろな問題がありまして、その年に割り当てたものが必ずしも全部その年に消化されるというふうにはなっておりませんので、若干の局数が次年度にずれておる、かような関係じゃないかと思っております。
  49. 片島港

    片島分科員 私はよくわかっておりますから深追いはいたしません。その年にできなくても前の年の繰り越しがある、——翌年五十の予算を取られると前の年の繰り越しがまたあるのであります。でありますから、その年内にかりに四十しかできなかったということになれば、前の年の五十と合せて四十しかできなかったということになる。だから、どうでもこうでも五十をこなせなかったということは、前の年の繰り越しをその年に背負い込んでおりますから。これは申請が多いということならば、これ以上私は深追いはいたしませんが、できるだけ多く、むしろ既定の予算をさいてでも窓口を拡張するということに御努力を願いたい。  次に、狭隘局舎、老朽局舎の新築についてお尋ねいたします。局舎新築八カ年計画というのを三十年度に立てられて、三十二年度は三年目になるのでありますが、その進捗状況はどうなっておりましょうか。
  50. 松井一郎

    ○松井政府委員 御承知のように、三十年度から八カ年計画を立てて、約八カ年の間に二百億近い資金を投じて、当面緊急を要する、局舎の改築にかかっております。来年度で第三年目を迎えるのでありますが、幸いにしまして、このところ資金面からの建設もおおむね順調に参っております。このこまかな数字は資料にいたしましてお手元に差し上げたいと思いますが、大体この両年度において二三%程度の進捗状況を示している現状でございます。
  51. 片島港

    片島分科員 総体の局数で、八カ年計画では千百九十六局、増築十二局、計千二百八局を八カ年で完成しようという。三十年度における実績が七十九、三十一年度が百十三、三十二年度が百二十六、合計三百十八で、八カ年計画における三カ年の実績及び予定が約四分の一ということになるのでありますが、三十七年度の完成年度までにやるということになると、後年度において非常に多数の局舎を処理しなければならぬことになるのでありますが、その見通しはいかがでありますか。
  52. 松井一郎

    ○松井政府委員 私ども、現在のところにおいては大体予定の進捗をしているのじゃないかと思っております。と申しますのは、これは御承知のように、当初においてはいろいろ土地の買収といったようなものについて実行上なかなかむずかしい問題がございまして非常に進捗が困難であるわけでありますが、この二年間の経験にかんがみまして、できるだけ土地を早手回しに入手するというような形をとっておりますので、八カ年計画の進捗は、今のところ、私どもは、そう困難ではない、かように考えております。
  53. 片島港

    片島分科員 時間がございませんからスピードを上げますが、昭和三十二年度における郵便事業の増を何%程度に見積っておられますか。
  54. 松井一郎

    ○松井政府委員 これはいろいろの要素を見て勘案しなければならないと思っておりますが、大体、昨年の予算当時に比べますと、それに対して約八%くらいになるじゃないか、かように考えております。
  55. 片島港

    片島分科員 今年度の定員の増が上っているのでありますが、郵便事業増進に対してどの程度の定員増を見ておられるか。そして、郵便事業増進に伴う定員増の基準というものがきまっておるはずでありますが、その基準に照らしてその定員増は適正でありますか。
  56. 松井一郎

    ○松井政府委員 来年度の予算として一応定員という面で計上せられております数が六百九十六名でございます。郵便のやり方についての定員はどういうふうに見るかということでございますが、これはいろいろな見方があろうと思いますが、現在のところ私ども予算の上において取り扱っておる問題は、大体百八十六万通に対して一人くらいというような計算で一応いたしております。ただ、定員と賃金との問題があります。というのは、郵便物の増加に伴って毎年人を使うのでありますが、これは、その年にふえたからといって、あらかじめその人間を定員配置していくというのも、見方によれば必ずしも確定的なものではないというので、一応その年の増加部数を処理するためには、さしあたり賃金要員を配置しておいて、その固まったところを見て次年度においてそれを定員に振りかえていくというような形をとっておるわけであります。
  57. 片島港

    片島分科員 郵政事業ばかりでなく、大体、事業官庁におきましては、今おっしゃいましたような賃金要員が非常になくさんあるようでありますが、郵政事業におきましては賃金要員をどの程度現在配置せられておりましょうか。それと合せて、常勤的な非常勤要員の賃金、また純粋な非常勤も出ておりますが、さらに、行政整理の際であったかと思いますが、集配を、定員であった者を請負に切りかえたために、これも賃金として諸負契約によって支払われておるもの、さらにはまた、特定局において電報配達の費用として賃金で出されておるが、実際は朝の八時から晩の五時まで勤めておる、実際は毎日勤めながら定員の中に繰り入れられておらないという種々雑多な人々がおるのでありますが、それらの人数はおわかりになりませんか。
  58. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 郵政省三十二年度予算上におきます賃金総額といたしましては十二億六千九百万円ほど計上しております。このうち、お尋ねの通称常勤的非常勤と申しますか、長期雇用に当る者につきましての賃金額は二億四千万弱を計上してございます。従いまして、これ以外のもの、大体において季節的波動とか業務の実態上いわゆる常労的な配置をとらない者に対する賃金額が十億強ということになるのであります。この長期雇用の者については、二億四千万弱というものを、大体単価二百六十円から三百六十円くらいのもので計算いたしまして、三千五十名前後というものが常労的と申しますか長期雇用の者になっておるのでございます。その中には、お話のありました地方局において業務の実態上電報集配であるとかその他常労的な勤務に属する人たちが入っておるわけでありまして、あと十億三千万と概算いたしております長期雇用以外の者の中には、千名の郵政訓練所生徒を除くほかは、大体におきまして季節的波動、業務的波動による要員である、かように御承知願いたいと思います。請負に関しては郵務局長から説明してもらいます。
  59. 松井一郎

    ○松井政府委員 それでは、集配の請負の方を申し上げます。現在請負関係の集配の方は千四百二十四名で、この中で、季節を限りまして、冬季その他の場合にやっているのが百四人、終年請負人は千三百三十名、かように相なっております。
  60. 片島港

    片島分科員 今度幾らか増員になったのに、今こういうふうにして常労している者に組みかえてしまったら、元も子もなくなって、定員は実際にふえなかったということになりませんか。現在常労している賃金要員がいるわけですね。こういう人たちは前から入っているのですから、いつまでもこれでやっていくのではなく、本雇いに優先的に採用すべきでしょう。常労的な者はできることならみな定員の中に組み入れてしまうべきであります。ただ、定員がきまっているから、やむを得ずに賃金要員として賃金で雇っておりますから、定員がとれたならば定員の中に繰り入れるべきであります。幸い若干の定員の新規増がある場合には、これを組みかえることによってそういう人は救済されますが、事業における実人員には変りがないというような結果になるのではないかということです。
  61. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お尋ねのように、常労的の者の中には翌年度の増員に組みかえられて減る者があります。その限りにおいて、たとえば先ほどの三十二年度の常労的の者の三千名強は数として減ることになるわけであります。一方また、現在における需要増に対する定員増加の中に、当該年度の増加についてはその翌年度において本務者に組みかえることを予定して当該年度の賃金として計上するというやり方をとっておりますのでいその限りにおいて当該年度の実増に対応するいわば常勤的労務者はまたまた新たに出て参るわけであります。
  62. 片島港

    片島分科員 わかりました。そういたしますと、ずっと今までの悪循環を繰り返すような結果になりますね。またその次の年もそういう結果になることになりますので、常労的な者はできるだけ定員の中に織り込むように御努力を願いたいと思います。
  63. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 片島先生のおっしゃった問題は、過去の行政整理のときにおいても、それ以後においても、非常に大きな問題として、郵政事業として大蔵省、行政管理庁方面と折衝したことがあるのでありまして、そういうような常勤的労務者を本務化する、なるべくそういう者を少くしていくという方向には絶えず努力していきたいと存じております。
  64. 片島港

    片島分科員 それでは次に移ります。郵便貯金についてお尋ねしますが、三十一年度の目標額が九百九十億に対して、一月末に千百六十六億で、一八八%になっておりますが、三十二年度の目標は千百五十億ということになっておる。ところが、国民所得は、企画庁の発表によりますと、さらに七・五%の増を見積っておるような状態であります。いろいろと大臣説明を聞いておりますと、年度末には入学とかいろいろなことがあって貯蓄が減るというようなことでありますが、それは普通の場合にはカーブが下っていくでありましょうが、急カーブで国民所得が上っていったものが、そのカーブがゆるやかになるというだけで、やはり七・五%という上昇を示していくのであって、従来の扁平な場合において二月、三月に降りたという場合とは違って、こうやって今まで急にいっておったものが、ここでカーブがゆるやかになっても、上にいくのであって、貯蓄は、二月、三月が平均減るならば、少くとも平衡というか、平らなくらいには私はいくと思う。そうしますと、千百五十億を若干上回る程度にやはりいくのじゃないか。そういたしますと、三十二年度の貯蓄目標の千百五十億というのは、国民所得の上昇状況から見て、少し甘過ぎるのではないかという感じを受けたのでありますが、その点どうですか。
  65. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 ただいま三十二年度の貯金の目標額千百五十億は少し甘過ぎるのではないかという御質問があったのでございます。三十一年度は、御承知のように九百九十億の目標をあげて努力したのでございます。ところが、最近相当郵便貯金の伸びの工合が好調でございまして、ただいま御指摘の通りに、もっと新しい数字で申し上げますと、二月十三日現在では千二百億に達したわけでございます。従いまして、例年の例から言いますと、二月、三月は入学とかあるいは税金等の支払いその他相当出費を要する時節でございますので、例年の例から申しますと、大体四、五十億は二月、三月の間に減少するということが例になっておる次第であります。従いまして、三十一年度は九百九十億という目標を立てましたけれども、これが大体千八十億円くらいにとどまるということで一応策定したのでございますが、あるいは、ただいま御指摘のように、今後の伸びからいきますと、一千百億円くらいになるか、もしかいたしますと一千五百億円とんとんぐらいに本年度の実績がいくかと思います。しかしながら、一千百五十億を策定いたした根拠といたしましては、ただいまお示しの分配国民所得の三十二年度の増加割合は七・八%でございますが、しかし、これは法人所得その他のものを差し引きまして、いわゆる純粋の個人所得というもの、それが郵便貯金に入るものと考えておりますので、その点から申しますと国民所得の成長率は六・六%ということになっておりまして、そういうものを勘案し、かつまた、払い戻しの率その他を勘案いたしまして、一千百五十億という目標を立てたのでございます。大体この一千百五十億という目標は、私どもといたしまして一応一千六十億と予定いたしました額から比較いたしまして九十億の増加ということになっておりまして、決して甘い目標額とは考えておらないわけでございます。その理由といたしましては、二十九年度の分配国民所得が六兆一千二百三十五億円、三十年度が六兆七千九百四十八億円で、対前年比が一一一%で、一一%も増加しているのに、郵便貯金増加額は、二十九年度が九百九十一億、三十年度八百十八億で、対前年比は八三%で、国民所得に増加が見られる場合でも必ずしも郵便貯金が前年以上に増加を示すとは確言できないものがあることにあります。従って、来年度の目標額一千百五十億円は、非常な努力を要して大体この目標を達成できるすれすれの線であると考えている次第でございます。
  66. 片島港

    片島分科員 できるだけ簡単に御答弁願いたい。大体のことはもうわかっておって、今おっしゃったことの九割は聞かぬでいいことです。郵便貯金は非常な伸びを示しているのでありますが、簡易保険は目標に対して実績が非常に落ちております。同じ貯蓄というような関係から見て、どういう関係でありましょうか。
  67. 成松馨

    ○成松政府委員 簡易保険につきましては、毎年実行目標を立てまして、努力の結果その実行目標以上に実績が出ているのが実情でございますが、これが少し下り気味になっていることは事実でございます。この点、どういう事情であろうかということをいろいろ考えているのでありますが、一つには、募集をするために相手方の契約者の実情をいろいろ考えなければいけないといったような点から見まして、現在の募集の勤務態勢についてあるいは再検討を必要とする点があるのじゃなかろうか、また、現在保険の最高制限額が十五万円でございますが、その点がかなり問題になっているのではなかろうか、あるいはまた、従事員の能率その他について再検討を必要とする時期にきているのではなかろうか、こういうような点を大体の原因として考えているのでございます。
  68. 片島港

    片島分科員 そうしますと、毎年十七億の目標を設けて、毎年々々十四億ないし十五億しか募集ができないというなら、目標額を切り下げた方がいいじゃありませんか。わざわざ目標を達成できないようなものをいつまでも看板に掲げておっても、何だか簡易保険局長が非常に腕がないためにいつも目標から下っている、貯金局長はなかなか腕がいいからどんどん上昇するというのでは、格好も悪いのですから、むしろ目標額を下げた方がいいじゃないですか。
  69. 成松馨

    ○成松政府委員 この二、三年の実態から見まして、まことにお説のような御批判を受けるわけでございますが、私どもといたしましては、やはり保険事業というものはしり下りじゃなくて積極的に拡大していかなければならないと考えているわけでございます。本年も二、三年前と同じように第一回保険料月額合計十七億という努力目標を掲げておりますが、本年といたしましては、いろいろの手を打ち、また従事員諸君の努力をもお願いいたしまして、ぜひこの目的は達成していきたい、このように考えております。
  70. 片島港

    片島分科員 簡易保険についてもう一つお尋ねしたいのですが、この簡易保険金の運用の問題であります。地方公共団体貸付予定額三百九十億円に対して、自治庁が承認したのが二百九十七億、うち百二十億を前貸しをやっている、こういうことになっております。契約者の貸付は七十億という予定のうち三十四億、ほかにもいろいろありますが、運用総額六百三十四億のうち、二百九十億。事情はありましょうけれども、地方公共団体は赤字で非常に困っているので、自治庁の承認を取るということだけでもこれは大へんな苦労です。いろいろなことで陳情をやって承認をとっておるのだが、それすら十分に消化していない。予定額は三百九十億もある。総額として六百三十四億のうち、二百九十億しか実績を持たないというのは、これはどういうわけでありましょうか。  そうして、ついででありますから一ぺんに聞いておりますが、前年度はどういう実績であったか、三十二年度はどう考えておるか、あわせて御答弁願いたい。
  71. 成松馨

    ○成松政府委員 地方公共団体の貸付に対しましては、自治庁の方で融通の起債の承認許可をいたしますが、その前に大体この程度承認はいたしたいということをワクとして郵政省の方に通じて参りまして、それと同時に地方公共団体の方から貸付をしてもらいたいという申請が出てくるのでございます。その実際の承認許可が下りるまでは前貸しという形で出しておるのでございますが、現実の姿として、地方公共団体から出してきた場合には私どもの方では貸しておりますが、まだその金額として出てこないのでありまして、これから年度末に非常に殺到してくるのじゃなかろうか、これが実態だというふうに考えております。
  72. 片島港

    片島分科員 自治庁の承認は二百九十七億、前貸しは百二十億ですが、全体としての運用が非常に予定額より下回っておるというのはどういう理由であるか。それと、前年度はどういう実績であったか、三十二年度はどう考えておるかを一緒に答弁していただけばけっこうです。
  73. 成松馨

    ○成松政府委員 地方公共団体からの貸付申請が大体十二月から三月くらいまでに殺到してくるのが毎年の例でございまして、そういう関係でおくれておるのでありますが、これはおそらくほとんど出ると思います。三十年度につきましては、現在数字を持っておりませんが、ほとんど全部貸し付けておると思います。ただし、一部は三十年度内に事業が完成する見込みがないから三十一年度に貸してくれという過年度債に類似したものも出てくるかと思いますが、実態は、地方公共団体の方としていろいろ自分のところの金繰りによって仕事をやって、それが続かなくなった場合に金利のつく金を借りる、こういうふうな実態でありますので、どうしてもそれは年度の後半に殺到することになると思います。三十二年度についても、自治庁の方でいろいろ検討した結果が、地方公共団体全体としましては財政投融資のワクとしまして八百二十億になりますが、それは地方公共団体の方からいろいろ申請をした結果そういうワクにきまったものでありますので、三十二年度も、時期的には後半に固まる可能性はあるといたしましても、ほとんど全部貸し出すことになるだろう、このように考えております。
  74. 片島港

    片島分科員 最後にもう一つお尋ねしますが、御承知のように、一般職国家公務員についての給与体系の改定があるのです。改善でもないようですが、しかし、一時的には一応みんな昇給いたしますので、平均千何がしかの昇給になるわけでありますが、郵政省は特別の給与体系を持っておるので、また現業員が非常に多いのでありますから特別の給与体系を持つのはけっこうでありますが、しかし、ほかのところがぽっと上って、何か総体のワクとして七、八十億円のワクが一般会計においてはふくらむわけでありますが、郵政省の体系は別でありますが。ワクとしてはやはり広げるようなことをお考えにならなかったか。また、この問題は非常に重要な問題で、内閣委員会でも問題になると思いますが、郵政大臣は閣議でこの五現業、たとえば郵政省あたりはどうしてくれるんだということを発言されたかどうか、うっかりしておって、人のことだと思って発言せぬで済まされたかどうか。これは大臣がおらぬからしようがないが、伊東政務次官が来ておられますから、また事務当局はどういうふうに考えておられますか。
  75. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいまの御質問に対しては、大臣がおりませんので、わかりませんが、多分大臣としては大臣の立場から主張されたことと私は想像いたしております。詳しいことについては所管部長あるいは局長から説明させます。
  76. 小野吉郎

    小野説明員 一般公務員の給与体系の是正に関する人事院勧告の趣旨に沿って処置がとられ、三十二年度の予算に盛られておるわけでございます。これに対しまして、郵政職員に対しては従来数度にわたりましてそういった給与体系の是正を公労法適用のワク内においてはかって参ったわけであります。今回の公務員のそういった体系是正に伴って予算上どのような措置をとったか、閣議において大臣はどのような発言をされたかというお尋ねでございますが、御承知の通り、三公社、五現業職員の給与につきましては、公労法所定の手続に従ってきめられることに相なっておるわけでございます。従来そういった慣行に従って、仲裁裁定等があった場合におきまして初めてこれを予算化する、こういった措置をとって参ったわけでありまして、そういった仲裁裁定のまだない段階におきましては、これを予算化することはなかなか困難な事情があるわけで、問題は非常に大きいわけでございますが、従来そのような取扱いになっておりますので、御了承を願いたいと思います。  また、大臣がそのようなことに関係する発言を閣議においてなさったかどうか、その点は私もまだ大臣から直接聞いておりません。事務次官のおっしゃいましたごとく、大臣も郵政職員の給与に関しては重大な関心を持っておられますので、その点ではそごはなかったように聞いております。
  77. 片島港

    片島分科員 郵政省関係だけを私は午前中に終りたいと思うのです。  電波監理局に関する問題について若干お尋ねしたいと思いますが、電波監理職員が一般職に属しているために郵政従業員との間に給与の開きがあるのは当然でありますが、しかし、同じ省内において給与に不均衡があるということは、人事管理の面においていろいろ困難な面があると思うのですが、郵政当局としては電波従業員に対して公企労法適用についてどういうようなお考えでおりますか、また努力されておりますか。
  78. 小野吉郎

    小野説明員 郵政省部内におきまして、公労法適用の関係に立っております郵政大部分の職員と、電波関係の一般公務員の給与の体系で律せられておるものがあることは御承知の通りであります。電波関係の職員の方からもそういった面の不均衡を是正するために公企労法適用の職員と同様な給与体系に直してもらいたいという要望が強いわけでございます。私どももそういった気持があるわけでありますが、この問題は、郵政省のみでなく、農林省においても、大蔵省においても、同じ省内においてあるわけであります。いずれにいたしましても、そういった不均衡の状態が現実にはいろいろな面にあろうかと十分想像がつきますが、何分にも本質的に非常に困難な問題もありまして、電波職員を直ちに公企労法の規定によって律するということにすると、現在の郵政職員が公企労法の適用を受けておりますことは、一にその原因は、現業部門である、こういうことに相なっておるわけでありまして、いわゆる電波行政の本質的なそういった相違につきまして、本質論としてはなかなか困難だ。情におきましてはいろいろそういった御要望の御趣旨もわかりますから、今後公務員の給与改善等との関係、そういった面からの両者の不均衡の度合いといった面を見まして何とか考えてみたい、かように考えております。
  79. 片島港

    片島分科員 郵政関係におきましても、本省非現業部門のごとく現業でないところもあります。本省あたりの大臣官房とかその他のように特に非現業部門職員がおる。電波関係部門におきましても、地方部局におきましては現業部門と何ら変らないところもあるのでありますから、この待遇の不均衡というものを是正するために今後とも一つ御努力をお願いしたい。  次に電波関係の研究所の問題についてでありますが、たとえば郵政省電波研究所を初めとして、国際電電も持っており、電電公社も持っておる、またNHKも持っておる、こういうふうに電波関係の研究所が方々に分れておるのでありますが、これは国の経済から見ても非常にむだも多い。こういう電波関係の研究所を統合して国の方でもこれを助成してその効果をさらに上げるようなお考えはないかどうか。
  80. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の研究所の統合問題でございますが、各研究所はそれぞれ使命を異にいたしております。たとえば、NHKの研究所は放送に関する技術をもっぱら任務とする、郵政省電波研究所は、電波全般であるとか、あるいはその電波割当を免許する基準の基礎になるような研究でありますとか、かようなものをおもに研究する使命を持っております。これを一がいに一緒にしてしまうということにつきましては問題が多々あろうと思います。しかしながら、多くの同じ方向電波あるいはエレクトロニクス関係の研究所が相互に役立つ関連を持って有効に運用していくということは非常に重要な問題でありますので、何らかの方式を考えまして連絡協調をはかって参りたいと思うのでありますけれども、今日のところ、それを直ちに統合して一大研究所にするということは、私ども考えておりません。一方におきまして、日本の今日最も大事なことは、エレクトロニクスの研究は画期的な進歩である。各研究所の基礎になるような共通の部門について一そうこれを掘り下げて研究するような一大研究所を置く必要はあろう、そういう別  の考えはあります。
  81. 片島港

    片島分科員 電波関係についての学校が非常にたくさん設置せられておるようでございます。もちろん私立でありますし、どうも現在の法規からいえばこれをどうこうするということはできないのでありますけれども、おのずから電波関係に必要なる要員の需給というものはきまっておるのでありまして、ただ、電波というものが時代の非常な脚光を浴びたために学校経営上も有利であるというような立場から、私立の電波関係の学校が多く設立せられておるのであるが、要員の需給というような関係から見ても、また技術者の技術の向上といったような面から見ても、何らかの調整あるいは法的な指導をするということが必要ではないかと思うのでありますか、いかがでありましょう。
  82. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の問題につきましては、その必要性を痛感いたしております。今日のところ、各私立の学校あるいは公立学校がありますけれども、それらの横の連絡というものがほとんどとれておりません。また縦の連絡もないのであります。これを縦横連絡をとって、そして能率的な技術者の養成をやるということは必要であると思うのであります。その方法につきまして、私ども目下検討中でございます。
  83. 片島港

    片島分科員 電波行政というのが時代の脚光を浴び、特に、従来NHK一本であったものが、民間放送が非常に発展をしてきた。さらにテレビ発展をしてきた。電波行政というものはまことに重要な役割を演ずることになったわけであります。ところで、私は、そういう脚光を浴びれば浴びるほど、いわゆる電波行政に携わる者の立場と使命というものはますます重大になってくると思うのであります。ところが、こういう多くの脚光を浴びると、ややもすると、内部の機構が幾らか乱れる、綱紀が乱れるというようなことがなきにしもあらずで、私も若干そういう資料を持っております。これは何もここでそういうことを論ずるのじゃありませんが、一時大野伴睦氏が経営しておる中野の無線学校に、勤務中電波の職員が教員、講師としてそこに勤務をして給料をもらっておったという事実が問題になったのであります。さらにまた、今日多数の電波学校なども設立せられておりますが、私は、これらの多数の電波学校が教授、教員を求めるということは非常に困難な情勢じゃないかと思います。大学がたくさんできたときに、大学の助手がすぐ大学教授になっていったという例さえあったのであります。そうすると、電波監理局としては、有能なる職員がおりますので、こういうところに内々お手伝いにいくというようなことがなきにしもあらずと思うのでありますが、中野無線学校以来絶対ないのか、あるいは今もよく調べてみれば何人かそういう者が出てくるのじゃないか。私は、NHKとの関係あるいはテレビ、民間放送との関係、そういうような問題についてすらいろいろ検討いたしておりますが、そういう学校に対するような関係について、中野無線以来ないかどうか、御答弁願いたい。
  84. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 御指摘の中野無線学校につきましては、電波監理局から数名の者が授業に行っておることは事実でございます。おっしゃいますように、電波法だとかあるいは電波技術についての非常に有能な教授が行われるような職員が大勢いるわけでございまして、これが、中野無線ばかりでなくて、地方の学校にも教えに来てもらいたいという希望があるのでございます。これにつきましては、厳重に規制をする、絶対に断わるということもないのでありまして、勤務をおろそかにしない限り、夜だとかあるいは勤務時間外でございますならば、適当に出張して授業をやることは差しつかえない、そういう建前で公式にこれを許可しております。そういうわけでございまして、綱紀粛正上遺憾な点はないと確信いたしております。
  85. 片島港

    片島分科員 さらに私は別の機会において、これらの問題は、公開でなくてもけっこうですから、いろいろとお尋ねをしたいと思うのであります。  これはここでお尋ねするのもどうかと思いますけれども、私は決算委員をいたしておりまして、決算委員会で大蔵省関係その他数省において、財団法人の形で、しかし実際は相当の事業をやって収益を上げているような財団法人に、現職の公務員がその役員を兼ねているというような事実がありまして、現実に私はいろいろな方面からこの調査を進めて、決算委員会質疑するつもりでございますが、たまたま電波監理局においても電波振興会というのがあって、これにも現職の職員が役員をしておられるようでありますが、相当な収益を上げるような事業に現職の公務員が役員を兼ねるというようなことは、ここに事業をやらせるとかやらせぬとかいう場合においても、これはいろいろな問題が出てくると思うのでありますが、電波振興会の内情について一言承わりまして、またほかの機会に詳しく承わりたいと思います。
  86. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 電波振興会と申しますのは、郵政省内に事務所がありまして、電波一般の発展振興をはかるという趣旨を持った公益法人であります。電波監理局電波行政が円満に行われるように、また電波技術、企業が発展するように努めるという使命を持っている法人であります。普通の利益追求の会社というわけではございません。またそうした財団法人でないのであります。御質問は、電波監理局の者が役員に入っているかというような御質問かと承わりましたが、私、明確に覚えておりませんが、たしか一人理事をやっている者があると思います。それは、電波監理局の仕事を相当振興会に下請みたいにやってもらっております。たとえば電波時報という雑誌を毎月出しておりますが、その電波時報の編集発行等を振興会の事業としてやってもらっておるのでありまして、その仕事を円滑に行うために、一人が理事に入っているだろうと思います。そういうわけで、全く外郭団体みたいなものでありまして、その間に何ら不正、不適当なことはあるまいと私は信じております。
  87. 片島港

    片島分科員 私は郵政省関係についてはこの程度で一応打ち切りまして、午後に電信電話公社関係についてお尋ねしたいと思います。
  88. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議
  89. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和三十二年度一般会計、同特別会計、同政府関係各予算中、運輸省郵政省及び建設省所管を一括して議題といたします。  まず、運輸省所管については昨日一応質疑を終了いたしておりますが、田中武夫君より質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  90. 田中武夫

    田中(武)分科員 時間がないそうですから簡単にお伺いいたします。国鉄の三十二年度電化計画はどのようになっておりますか。
  91. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。  三十二年度の国鉄の電化計画についてまず御説明いたします。三十二年度の電化工事費は、目下御審議を願っておりまする予算が御承認を得れば、在来の電化工事費に比べて著しく増額されることと相なります。すなわち、予算額を概数で申し上げますると、三十一年度は幹線電化費が八十三億でございましたが、三十二年度は大体百二十三億くらい、約四十億の増加をいたしたいと考えております。この結果、三十二年度におきましては、上野−宇都宮間、米原−敦賀間、並びに大阪−姫路間が、工事もでき車両も入って運転を開始できる見込みであります。なお、さらに山陽線につきましては、姫路から岡山の方へ向っての工事にも一部入らせたい、さらに、東北線につきましても、宇都宮から福島の方面へ向っての工事に入らせたいと考えておりますので、電化は著しく進捗いたすと思っております。  御案内の通り、国鉄の電化は、輸送力の増強、サービス改善、並びに動力の近代化に伴う経営の合理化に資するのであります。今回の若干の運賃値上げができますれば、工事資金も増大いたしますので、これによって、いわゆる幹線電化十カ年計画三千三百キロのうち第一次五カ年計画の千六百六十五キロに入り得るのであります。これが完成いたしますと、続いての五カ年間に残りのキロにも入る。なお、私どもは工事のいろいろなやり方あるいは工事単価の問題にもせっかく努力をいたしまして、でき得る限り計画以上に作り上げたいと思っております。  以上、簡単でございますが御説明申し上げます。
  92. 田中武夫

    田中(武)分科員 三十二年度の幹線電化予算は百二十三億、なお、運賃値上げが可能ならば変更があるというような御答弁であったと思いますが、この百二十三億という予算並びに今述べられました計画は運賃値上げとは関係なく計画しておりますか。
  93. 權田良彦

    ○權田政府委員 その点ちょっと説明が不足いたしましたので補足して御説明申し上げます。三十二年度の百二十三億の電化工事費の計画は、ただいま三十二年度の予算を御審議願っておりますが、その中に運賃値上げによる増収額を織り込みまして、その上に出て参ります資金のうちから百二十三億を充当する、こういうことであります。
  94. 田中武夫

    田中(武)分科員 運賃値上げによる増収額を織り込んで、こういうことでありますならば、運賃値上げが不可能になった場合、予定の工事はできない、こういうことでありますか。
  95. 權田良彦

    ○權田政府委員 三十二年度の予算におきましては一三%程度の増収に見合う約三百六十六億を計上いたしておりまして、その結果、外部資金を合せて工事費が千六十九億出て参ります。その中から、ただいま申し上げたような関係の工事費が九百九十九億出て参りますので、かりに値上げによる増収額をゼロといたしますと、工事計画は大きく狂って参らざるを得ない仕儀になりますために、私どもは運賃値上げによる増収額を織り込んでこの工事をやっていきたいと考えておる次第でございます。
  96. 田中武夫

    田中(武)分科員 運賃値上げができなければ電化計画は進行しない、こういうお答えのようにも聞くわけなんです。昨年でしたか、国鉄が出された国鉄白書は、新聞等によりますれば「白」が脅迫の「迫」になって、国鉄のおどかしの書だ、こういうふうなことも言われておるわけなんです。一方、各電化の予定になっておるところの付近の住民は、やはり電化の促進をこいねがっておる。ところが、運賃の値上げは今大へんな世論を呼んでおりますが、一方においては早く電化はしてもらいたい。しかし、運賃値上げは困るというような状況であるわけです。そのときに、国鉄の計画が、運賃値上げがなければだめであるというような言い方をせられることは、昨年のいわゆる脅迫の白書と同じように、運賃値上げを許可しなければ、お前さんたちの方の交通は便利にならないぞ、こういうだんびらを振りかざしてのお話のように承われますが、いかがでしょう。
  97. 權田良彦

    ○權田政府委員 お答え申し上げます。さような意味で申し上げておるわけではございませんので、国鉄の電化は、先ほども申しましたように、輸送力の増強あるいはサービス改善、動力の近代化による経営の合理化に資するところ多大でありますので、私どもといたしましては、国鉄幹線の電化ということには重点を置いておるわけであります。ただ、工事費の財源から申しますと、運賃値上げによる増収額を見込まないと三百六十六億ばかりの工事費が減らざるを得ない。これは資金的にやむを得ないのでありまして、工事費が減ることは改良費がそれだけ圧縮を食いますので、やりたいことと金の額で、どうしても資金量からある程度工事量への圧迫が参る。こういう資金的な御説明を申し上げたわけでありまして、国鉄電化を推進する基本方針においては変りはないのであります。ただ、工事費の資金ワクが減ることも、これもまた財政上やむを得ないことになるので、さようなことのないようにぜひお願いいたしたいと申し上げたのであります。
  98. 田中武夫

    田中(武)分科員 どうも一般の受ける感じは、運賃を上げなければ電化もできないような、あるいは安全な輸送も確保できないといったようなおどかしを受けておるというような感じが強いのであります。そういうような感じを受けないように注意していただきたいと思います。  それでは自動車局長の方へ質問をかえたいと思います。施設局長が見えないので、どうも質問が飛び飛びになりますが、先ほども電化のことについての御説明を承わったわけなんですが、今日、経済の発展のために輸送が大きな隘路になっておる、経済五カ年計画の実現も一番隘路は輸送の問題である、しかも滞貨の山で大わらわになってもこれが解決しないという状況、これは御承知の通りであります。そこで、運輸省は、昨年秋、これの対策の一つとして、近距離の貨物輸送はできるだけ陸上輸送あるいは海上輸送に切りかえていくということでした。すなわち、陸上輸送であるならばトラック輸送ということになるわけなんですが、一面、トラック運送の許可につきましては、いつかも局長に商工委員会へ来てもらってそんな話も出たと思いますが、申請をしてもなかなか許可をしない。しかも、それが法規による条件を備えていないならばともかく、条件を備えておるにかかわらず、その許可に当っての審議会か何かがありまして、これらの人が大体業界の代表も多いというようなところから、新たな業者の進出を拒むというような面もあって、なかなか許可がもらえない、こういうことも言われておるのでありますが、一面、この輸送の隘路の解決のためには、条件さえ備えておるならばどんどん許可をして、近距離輸送は——また今日のトラックの状況から言えばある程度の長距離輸送も可能でありますので、そういう面からの輸送の解決についてはどのようにお考えでありましょうか。
  99. 山内公猷

    ○山内政府委員 ただいま御指摘のありましたように、最近国鉄の輸送力が非常に詰まって参りました。国鉄の輸送力を増強するとともに、自動車あるいは海運に向けらるべき貨物については向けようという緊急輸送の態勢をとりまして、十二月の実績においても四十七万トンくらいは鉄道で輸送すべき荷物を自動車に移したということになっております。それで、免許の問題につきましては、道路運送法の第六条に免許の基準が書いてあるわけであります。その基準は一応概括的に書いてありまして、最も大きい問題は、輸送事業をやりたいというその事業が適切であるかどうか、また供給輸送力と輸送需要量が均衡をとっておるかどうかという問題であります。それで、具体的な判断といたしましては、そのときの輸送情勢というものが非常に大きな問題になるわけでございます。現在までトラック業というものは非常に日の目を見ない産業で、と申しますのは、現在全国で一万くらいの業者がございますが、そのうち大半は十両以下の車を持っている業者で、いわゆる中小企業というものに属する業者でありますために、経営が非常にうまくなかったわけでございます。最近ある程度輸送量がふえて参りましたためによくなってきつつありますが、この第六条の第三項には、その点特に運輸大臣が免許の申請を審査させる場合にいろいろ条件が掲げてあります。条件を適用するに当っては「形式的画一的に流れることなく、当該自動車運送事業の種類及び路線又は事業区域に応じ、実情に沿うように努めなければならない。」と書いてございまして、具体的に適用する場合にはそういう輸送事情もともに判断の材料にしなければなりませんので、おととしだめでも、たとえばことし供給輸送力が不足しているという場合には、左の条件が満たされれば免許されるということになりまして、この点は具体的な経済事情で下部の方も指導しております。大体区域トラックの問題で、陸運局所管の問題でありまして、そういう点については行政運営上誤まりのないように審査いたしておるわけであります。
  100. 田中武夫

    田中(武)分科員 昨年緊急輸送対策を立てられて以後、このトラック運送に関する認可ですか許可ですか、これについての方針は若干変えられたということですか。
  101. 山内公猷

    ○山内政府委員 方針は変っておりませんで、たとえば、従前、トラック業者から荷物がなかった際に申請がありましても、供給輸送力の方が多いという判定でそれが却下になった場合があるかもわかりませんが、荷物が余って参りますと、やはり同じ条件でもこの条項によりまして許可になり得るということでございまして、法律の判定といたしましては方針が変ったわけではございませんで、経済情勢が変ればわれわれの免許方針もそれによって変えなければなりません。われわれは法律通り適用しているわけでありまする
  102. 田中武夫

    田中(武)分科員 いわゆる経済状況が変れば、特に緊急輸送によって貨車輸送をトラックの方へ回す、こういうことで需要が多くなるわけなんですが、そうしますと条件さえ備えておれば大体許可になると解釈していいのですか。
  103. 山内公猷

    ○山内政府委員 第六条の条件が備えられれば許可になるのが当然法律上の解釈であります。またそうすべきが行政の常道である、こういうふうに思っております。
  104. 田中武夫

    田中(武)分科員 次に、自家用車の使用許可といいますか認可についてお伺いしたいと思います。自家用車は自分のあるいは会社の営業に必要なものとして許可せられておると思うのですが、この自家用車の使用許可と、一般の営業車の使用許可とには条件において多くの違いがあるのでしょうか。
  105. 山内公猷

    ○山内政府委員 営業につきましては事業そのものが免許になっておりまして、これが非常に大きな違いでございますが、自家用車につきましてのただいまの御質問はトラックに関するものであると思いますので、(田中分科員「いや、乗用車も含めてだ」と呼ぶ)まずトラックにつきましては、使用の届出というのをやりまして、届出制度にいたしております。これで届出だけで済むわけでございますが、一般の乗用車につきましてはそう押えておらないわけであります。自家用トラックにつきましては、やはり一応届出の内容とするものを規制をいたしております中には、「経営する事業の種類、規模その他の概要」とか、あるいは「自動車の数、種別、車名、年式及び最大積載量」あるいは「運送する主要貨物の種類及びその年間予定数量」、「自動車の車庫又は常置場所の位置」、「自動車の使用を必要とする理由」というような届出の事項をきめておりますが、一般乗用車につきましては、届出の内容もこれほど詳細な規定は置いておりません。
  106. 田中武夫

    田中(武)分科員 そうしますと、乗用車、トラックともに、自家用車の場合は、大体届出によって許可さえあればいい、こういうことになるわけですか。
  107. 山内公猷

    ○山内政府委員 乗用車の場合には、一般の車の場合には車両登録をやればよろしいので、もしそうなると車両検査で十分お使え願えるわけであります。そのほか何ら運輸省といたしましては規制をいたしておりません。トラックの場合だけ届出でございまして、届出する様式がきまっておれば、許可とか、そういう問題がないわけでございます。
  108. 田中武夫

    田中(武)分科員 そうしますと、ガレージを持っておるかどうかということは許可の条件にならないわけなんですね。乗用車の場合であれば検査証をつけて車両番号を届け出ればいい、一方届出申請ということならばガレージかあってもなくても届出をすれば許可になる、こういうことなのですか。
  109. 山内公猷

    ○山内政府委員 許可という問題はないわけでございまして、届出さえあればいいわけでございますが、ただいま御説明いたしました私どもの方の道路運送法施行規則というのがございますか、この五十九条の第五号に、「自動車の車庫又は常置場所の位置」とありまして車庫がありますればもちろんよろしいのでありますが、その車を常時どこへ置いておくかという場所を示せばいいことになるわけであります。必ずしも屋根のある車庫を持たなければならないというまで縛っておりません。
  110. 田中武夫

    田中(武)分科員 ところが、近年中古の乗用車が安いせいかどうか知りませんが、盛んに自家用車を乗り回しておるのが、ガレージを持たずに使用しているとも思われる向きが多いわけなんです。そして、ガレージに納めずに道路等に置いておく。こういうような状況運輸省としても御承知であろうと思うのですが、これが大きな交通上の障害になっており、いろいろな事故のもとにもなっておるのではないか、こう思うのでありますが、これについて最近運輸省としては何か法律を改正してそういうことのないようにする方法をお考えになっておるでしょうか、どうでしょうか。
  111. 山内公猷

    ○山内政府委員 ただいま御提案されました点は、道路に関する非常に重要な問題でございましてさらに、さかのぼりますと、現在道路上に無料駐車を相当やっておりますが、そういう一般の公道上における駐車の問題にも関連するわけでございます。しかし、現在におきましては法的規制が全然なされていないわけでございます。また、一方、自動車のふえるのに従いまして、そういう公道上に自動車を将来にわたって無制限に置いていいかどうかという問題もあるわけでございますから、この点につきましては、われわれといたしましても、建設省の道路関係の方々と、道路を十分に使えるように将来どういうふうにしようかということを今研究中でございまして、至急にこれを法規制する段階にはまだなっておらないわけでございます。
  112. 田中武夫

    田中(武)分科員 今のところ法制化しようという段階になっていない、こういうことでありますが、それでは、何か取締りの方法をやらなければ、今のような状態じゃ、どうも交通事故のもとになったり交通の妨害になると思うのですが、取締りについて何か具体的な方針でもありましょうか。
  113. 山内公猷

    ○山内政府委員 大体、それにつきましては、道路交通取締法、これは現在警察庁の所管になっておりますが、東京都内におきましても近時駐車禁止区域が相当ふえております。現在はこういうものの取締り官庁は警察庁がやることになっておるわけであります。ただ、それだからといってわれわれは傍観していいというわけのものではございません。やはり交通政策あるいは道路政策上、将来これをどういうふうに取り扱ったらいいかということで、全然研究していないわけではないのでございまして、たとえば、私の方といたしましては、まだ御提案申し上げておらないわけでございますが、ターミナル及びパーキングに関する法律を将来制定しなければならないのではないか、あるいは警察庁におきまして公道上のパーキングについて制限の規定を置かなければならないということも研究はいたしておるのでございます。あるいは今国会に御提出できますかどうか、そういう点につきましては十分検討はしつつあるわけでございまして、そういうものとの関連におきまして、将来こういうものも考えていかなければならない。現在急にそういう法規の規制をいたしましても、現在百七十万両くらいあります中で、三輪トラックが百万両ございまして、そういうものは大体中小企業の商売をやっておられる方々が持っておられる車でございますが、これをあしたからすぐ車庫に入れろと申しましても、法律上無理な点もございますので、そういう実際等も十分研究いたしまして検討を進めていかなければなりませんが、われわれといたしましても、道路交通の現状から考え、自動車のふえていく現状から考えて、こういうものを従来通り勝手にどこにでも置いていいというところまではなかなかむずかしい。そういうむずかしさがありますので、そういう点、実際上の問題、法律上の問題について十分検討を加えておるということで御了承願いたいと思います。
  114. 田中武夫

    田中(武)分科員 実情は御承知の通りでありますので、速急に対策を立てていただきたいと思います。  時間がないようですが、簡単に施設局長にちょっとお伺いいたします。先ほど幹線電化のことについてお伺いしたのですが、幹線電化に伴いまして、駅を新たに作らねばならないというような状況も出てくるのじゃないかと思うのであります。そのことについて、国鉄として三十二年度に予算を計上しておられるのですか。
  115. 今井四郎

    ○今井説明員 三十二年度の予算につきましては、まだ実行予算というものはきまっておりません。先ほど電化の御説明があったのでありますが、電化は、いわゆる旅客列車、貨物列車の電化と、電車化とございます。一般的に申しまして、電車化が伴います場合には、特に停車駅の検討がその地方の旅客輸送サービス上重要な問題になって参りまして、ある程度違った角度からいわゆる電車駅の設置ということも考えられますので、必要があればもちろんいろいろな付近の交通情勢を勘案いたしまして設置するわけでございます。先ほど申し上げました通り、まだ実行予算も確定しておりませんので、電化の中にどういう電車化があり、またその電車化の中にどういう設置があるということまでは具体的にきまっておりませんので、設置に伴う予算というものを的確に計上しておるとは申し上げかねる段階でございます。
  116. 田中武夫

    田中(武)分科員 電車化という方に入ると思うのですが、電車化になりますと、地元としては、便利になったということで、——今までいなかの方へ行きますと二里くらい歩かなければ、そばを汽車が通っておっても乗れなかった。これが電車がつくならば近くに停車してもらえるだろうという希望を当然持つ。従って、電車化に伴いまして、その地先からはいろいろと駅舎の設置について陳情なり請願の運動が起る。そういたしますと、国鉄は必要上ここに置かねばならないというようなことを一応お考えになっておったとしても、そういう運動が起れば、これは幸いということで、すべてを——俗に請願駅と言っておりますが、その地元がすべてを負担しなければ駅をつけてやらない、中には、引込線の敷地から、そういうことまで用意せよ、こういうようなことを言われておるようですが、請願駅という問題については一体どのようにお考えになっておるのか。あるいはまた、電車化に伴って必要とするような場所であっても、たまたま地方からそういう要望があったので、それに便乗して請願駅として許可をする、それでなければしないというようなことによって、国鉄としてはそういったような経費を省こうとするといったような考えがおありのようにも見受けられるのですが、そういうような点についてはどのようなお考えなり方針を持っておられますか。
  117. 今井四郎

    ○今井説明員 ただいまの御質問は国有鉄道の基本的な方針に関係のあることでございますし、また、駅設置そのものが所管といたしましては営業局の所管でございまして、一施設局長が御満足のいく御答弁は申し上げかねるのでございますが、私といたしましての持っておりまする方針といいますか、考えを申し上げてみたいと思います。  お話のごとく、従来いわゆる請願駅というのがございまして、特に、気動車の運行いたしまする線区におきまして気動車線の駅を作ります場合に、全額地元負担ということをやっております。これは、従来鉄道が非常に財政上困りまして、地元と話し合いまして、そういうふうにできれば、地元の意向ももっともであるから作ろうというふうな言い方をいたしたのでありまするが、これが電車駅、旅客駅になりますと、そう簡単にいかないのであります。設備も非常に大きくなりますし、従って所要の工事費も大きくなりますので、全額地元負担でなくては作らないという方針は必ずしも持っておりません。三十二年度以降は運賃値上げの結果相当な財源ができますし、また運賃値上げの御趣旨というものは、これによって今までのそういういろいろの無理を排除して、積極的に輸送力を増強し、旅客輸送にしましても、貨物輸送にいたしましても、御希望に沿うように自分の予算でもってやらなければならぬというふうになっていくのが当然でございまして、従来のように地元負担でいわゆる請願駅をどんどん作るという方針は漸次改善していく必要がある、かように私は考えております。
  118. 田中武夫

    田中(武)分科員 そうしますと、国鉄の側から見て諸般の情勢から検討いたした結果が、電車化に伴ってここには必要であろうというときには、必ずしも地元全額負担という請願駅のようなことは考えていないということなのですね。
  119. 今井四郎

    ○今井説明員 これはまだ今後の国鉄の方針の問題でございまして、先ほどお断わり申し上げましたように、私から断定的には申し上げかねますが、やはりその地元のいろいろな情勢と鉄道の部内の事情、仕事の扱い方というものとを双方にらみ合せまして、ある程度御負担願ってやろうという場合も起きますし、また全額鉄道が持ってやるという場合も起ると私は思います。
  120. 田中武夫

    田中(武)分科員 最後に一点だけお伺いいたします。今度は逆に、駅と駅との間を一・六キロとか三キロという、その程度の間隔が最小限度の条件となっておりますね。それの条件を満たし、その他若干のいろいろな条件もあろうと思いますが、それが完備するならば、今度は請願駅として地元が負担するということであるならば大体つけてもらえるものであるかどうか。
  121. 今井四郎

    ○今井説明員 駅間大体二つに分けましたおのおのが四キロというのが私ども部内の者の考え方でございますが、これも簡単にはちょっとそれだけの表現で言い尽せない、いろいろな技術的な問題がございます。ということは、その駅に待避線というような設備をいたしまして本格的な駅にいたしますと、その駅の設置によりまして両方の列車の通り得る能力がかえってふえます。また、逆に、駅は作ったけれども、何らポイントもなければ、別な線路もないというような駅でございますと、それを中心にする両方の駅を双方通り得る列車回数の要するに限度というものが、そこで列車が停車するために抑制されるのであります。そういういろいろな技術的な事情を勘案いたしましてきめるのでございまして、ただいま御発言のありましたような、逆に言うならばそういう距離ならば請願があれば作るかということは、簡単には申し上げかねると思います。
  122. 田中武夫

    田中(武)分科員 これは答弁はよろしいですから、希望だけ申し述べておきます。先ほども申し上げましたのですが、幹線電化の問題に関連して、地元は、早くつけてもらいたい、こういう要望を持っておる。すると、一面運賃を上げなければだめだといったような印象を与える。また、電車化等に伴って便利になるからということで、駅舎の設置の請願陳情があれば、請願駅でなければならないぞ、こういうように、それに国鉄が便乗せられるような印象も強いようでありますので、そういうことのないように要望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  123. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 次に、午前中に引き続き郵政省所管質疑を行います。森本靖君。
  124. 森本靖

    森本分科員 大臣病気で来られないのだが、政務次官はどうしたのですか。
  125. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 政務次官は決算委員会の方に行っておりまして、事務次官がおります。
  126. 森本靖

    森本分科員 事務次官では、政治的に答えにくい場合もあろうと思いますが、しかし、まず私は質問の最初に郵政省の事務次官や事務当局の方に申し上げておきたいことは、昨年の予算委員会分科会においてもまる一日を費やして質疑応答を行なったのでありますが、その場合に、善処する、あるいは来年度は十分考えます、こういうような答弁大臣政務次官からいたしておきながらも、本年度もこれが一つも実現を見ておらない、かようなこともあるわけであります。本日これからの質疑応答における、今後善処する、あるいは来年度の予算については考慮する、こういう回答をしたものについては、十分責任のある態度を来年度の予算委員会にはおとりになるように、一つこの点についてはあらかじめ質問の最初に御忠告申し上げておきたいと思う次第であります。   〔宇都宮主査退席、河野(金)主査代理着席〕  そこで、まず最初に、昨年度の予算委員会でも私ども質問いたしましたが、まず、順序として郵政省一般会計から入っていきたいと思いますが、昨年私の方から、放送法第三十四条と第三十五条に基く放送技術の研究費については、放送法の建前からいたしますならば、これは当然NHKに交付金をしなければならぬ、こういうことになっておりながら、今日、FM放送あるいはまたテレビジョン計画、カラー・テレビというように、研究を要するものが多々あるわけでありますが、そういうものに対して、昨年も善処する、来年度は十分考えてやりたい、——ここにおられる河野さんがちょうど分科会主査でありまして、よく御記憶であろうと思いますが、そういう回答をしておるにもかかわりませず、本年これが予算の面においては一銭も計上されておらぬ、こういうことでありますが、どういう予算の折衝の過程においてこれが全部削減を見たか、あるいはまた、郵政省としてはこれをどのくらい要求しておったか、この点についてまず最初に御質問申し上げます。
  127. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 概算要求の経過その他につきましては後刻申し上げるといたしまして、電波関係における新技術の開発または試験研究につきましては、きわめて不十分でありますけれども、それぞれ若干ずつ、電波研究所としての試験研究の費用、あるいは新技術開発としての施設費として本年度成立しているわけでございます。ただ、お尋ねの一般的な意味においての試験研究費ということにつきましては、昨年度の御質問の趣旨は、テレビその他いろいろ新しい電波界の発展があるのに対して郵政省としてはどういうふうに考えているかというような包括的な意味で私は拝聴しておったのでありますけれども、本年度一般会計電波監理局試験研究関係の費用としては、ただいまから申し上げまする数字が大体成立した次第でございます。
  128. 森本靖

    森本分科員 その数字は私の方では予算書の内容からすぐわかるわけです。私はそのことを言っておるわけではない。電波研究実験費は四千百四十万円に増加しておりますので、大体九百七十何万円というものが増加になっているわけです。私はそのことを言っておるのではなしに、昨年の予算委員会分科会における速記録をここに持ってきておりますが、そのことを言っておるわけではない。放送法第三十四条、第三十五条に基いて、いわゆる郵政大臣放送の進歩発達をはかるために放送技術の研究を命ずることができる、すでに放送技術の研究ということについては、これはNHK放送技術研究所等においてもやっておる、その経費等も相当NHK等においては組んでおる、ことに、国際放送については今年度は若干増額されておる、ところが、こういう放送法の条文がありながら、いまだかつて一回もNHKに対して郵政省が交付した経験がない、だから、それについてはどう考えておるかということを質問した際に、あなたの方では、来年度はとくと善処いたします、そのかわり本年はやむを得ません、こういう答弁であった。これは速記録にはっきり載っておる。だから、その放送法第三十四条と第三十五条に基いた放送技術の研究費というものが一銭も載っておらぬが、これはどういうわけか、こういうことです。
  129. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 NHKに対します予算関係といたしましては、当初、御趣旨のようなことにつきましてもいろいろ考えたのでございますけれども、一般の予算の査定の経過におきまして、最後には国際放送においての補助金に重点を置くというところにしぼられまして、御存じのように国際放送に対する補助金が増額になったわけでございます。
  130. 森本靖

    森本分科員 だから、私は今年もこの予算を組む予算編成の前に逓信委員会においてもこの問題を論じて、そうして、政府当局としても十分に努力をする、将来の監視をつける意味においても若干でもこれをやりたい、こういう懇切な答弁もあったわけです。ところが、いざふたをあけてみると、これは全然ない。こういうことになると、放送法の三十四条、三十五条というものは空文にひとしい。そんなに要らぬ条文ならば政府改正をしたらどうですか。大臣政務次官もおらぬから、ちっとも回答にならぬと思いますが、そんな要らぬ条文をわざわざ置いておいて毎年予算分科会で責められるよりも、そんなに金を出さぬのだったら初めから除いたらどうか。これは経理局長ではなしに、事務次官か政務次官が代理でお答えになりますか知りませんが、どうですか。
  131. 小野吉郎

    小野説明員 放送法三十四条、三十五条の関係につきましては、後ほど電波監理局長が参りましてから、その当時森本委員御指摘の面につきましては明確にいたしたいと思いますが、私、その面には直接タッチしないわけでございます。その条文を根拠にいたしまして、国際放送につきましては年々増強をはかって参っておるわけでありまして、三十二年度におきましても、方向並びに時間を増しまして、金額として九百万円の増を見ておるようなわけであります。また、一般の放送技術の開発研究といったような問題につきましては、これはNHKに対してこれを命じてやらせるということもありましょうし、また郵政省におきましてそういった新技術の研究をいたすこともできるわけでございます。その辺のところにつきまして、郵政省関係として直接新技術の研究を進めたいといったものにつきましては、予算の要求もいたし、これもある程度とれておるわけでありますが、これをNHKに命じてやらせるがいいかどうか、その辺のところは、この速記録に残っておりますその当時の事情は私もよく知りませんので、後刻電波監理局長が参ります際までお答えを保留させていただきたいと思います。
  132. 森本靖

    森本分科員 私が聞いておるのとだいぶ次官は感違いしていると思いますが、国際放送の分については、これは第三十三条、第三十五条で明確になっておるわけです。私が言っておるのは、第三十四条によって、「放送の進歩発達を図るため必要と認めるときは、協会に対し、」郵政大臣が命ずることができる、第三十五条には、「前二条の規定により協会の行う業務に要する費用は、国の負担とする。」、だから、そういうことを国が命じて費用も出さない、こういうことなら、そういう条項は削ったらどうか、そんなものは要らぬじゃないか、こういうことを端的に聞いているわけです。こういう点は監理局長が来ないと答弁ができないというのなら、これはあとに譲ってもけっこうですが、その趣旨は簡単ですから……。
  133. 小野吉郎

    小野説明員 今の関係条文の活用によりまして、そういった必要なる技術の研究を進めますことは、もちろん、そういった根拠の規定があるのでありますから、NHKの財政状況ともにらみ合せまして考慮しなければならぬと思います。大体のところ、現在におきましては、NHKにおきましても財政上そういった研究を進めていく余裕を持っておるようであります。そういった状況で、NHKも非常に財政的にも苦しくなっておる、郵政省としてこれは交付金を出してやらせなければ新事態に即応できない、こういうような事態になれば、これは大いにその条文を活用すべきであろうと思うのでありますが、幸いのところ、現在におきましては、NHK自体として、あるいは新しいカラー・テレビジョンにいたしましても、その他の放送技術にいたしましても、進んでNHK予算内においてそれを進める余力を持っておるのであります。そういった面で、昭和三十二年度におきましては、政府が交付金を出して技術の研究を命ずるというようなことには相なっておらないわけであります。
  134. 森本靖

    森本分科員 ここでNHK予算を論ずるわけには参りませんが、NHK予算というものは当然今国会に提案されまして、私もその内容を見ておりますが、次官が言うようにそう裕福な予算ではありません。NHK予算を見ると、少くとも日本国民大衆にあまねく放送を普及するという立場からするならば、早急に今の難聴地域を解消し、さらにまたテレビジョンの普及等についても今少しくこの機構を整備するというようなことの経費は、あの予算の内容から見ると足らぬくらいです。それは、そういうところを若干縮小し、また手心を加えるから、そういうことが言えるわけです。あの予算を見ても、まだこれは満足な予算だということは当然考えられない。だから、こういう条項があるならば、この条項を生かして行うのが当然ではないか、こういうことを生かさぬような条文ならやめたらどうか、こういうことです。これは事務次官に何ぼ聞いても、これ以上は大臣政務次官でなければお答えができないと思います。またあとから電波監理局長が来たときにその意見を聞きたいと思います。  その次に移りますが、今年度の一般会計電波監理の要員が全然一名も増員になっておりませんが、昨年の予算分科会においても、四百六十何名を要求して、たしか五十名か六十名に減らされた、これではとても仕事ができません、しかしこの増員において一生懸命やります、こういう答弁があった。今年は全然増員になっておらないのでありますが、あれからこっち、無線の検定にいたしましても、あるいは監理業務にいたしましても、これは相当ふえていると思いますが、この一般会計において電波監理要員というものが全然増員になっておらぬ。こういうことはどういうわけですか。
  135. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 本年度電波関係の定員は一名も増員になっておりません。しかしながら、これはこういう経緯で増員になっておらない次第であります。お話のように、電波法施行のための監理、監督、検定等についてそれぞれ業務が相当増加していることは疑いない事実であります。これに対して、昨年度においても、今森本委員のおっしゃったような数百名の人員の要求をした。また本年度でも当然そういう業務量に対応するだけの、無線局の増加に対応するだけの増員を要求すべきである、私たちも実は一応したのであります。しかしながら、その間に一般会計全般政府委員に対する方針というものが、御承知の通り予算編成方針におきまして決定され、その趣旨においては、極力この要員の増加というものを押えて、そのかわり種々現在の要員の能率向上によって増加する業務を処理しようではないか、かような予算編成方針が確定されたのでございます。定員問題につきまして予算編成方針の上にうたっているのは、私の記憶しているのでは初めてであります。これは、言いかえれば、政府の要員の増加ということに対しては、本年度は政府としては非常に意を用いたという一つの証左だろうと思うのでありますが、その際、これらの方針と、また私たちの電波監理行政上の必要とにらみ合せまして、本年度においては人手においての増加ははからないけれども、その人手によって使われる機器の能率化、改良改善をはかろうではないかというふうに大蔵財政当局との意見の一致を見まして、たとえば、非常に古い機械でもって、十人の人間がやっているような、あるいは検定、検査というものであっても、非常に能率の高い新しい機械でやれば、これは五人で済むかもしれないというようなこともいろいろあるわけでありまして、その点で、本年度におきましては人数の増加ははからない、そのかわり今御指摘電波関係の監督事務を遂行するのに必要な機器の近代化をはかることに重点を置く、かようなことになりまして、結局、要員においてはふやさず、そのかわり機器において相当予算をつぎ込む、かような次第になったわけであります。
  136. 森本靖

    森本分科員 その十人のところが五人になるという機械はどういう機械ですか。
  137. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 御承知のように、定期的にいろいろと無線局の施設の検査をしに参ります。あるいは検定などいたします。その場合の機械でございます。私は技術官でございませんので機械の名前はよく存じませんが、それは後ほどそういう機器のカタログなどをお手元に差し上げます。
  138. 森本靖

    森本分科員 まあカタログもあれですけれども、私は一応技術者でありますので、そういう点は経理局長より私の方が詳しいと思います。もしそういうふうな機械があるならば、具体的に経理局長からお答えを願いたいと考えているのです。そういうことはわからぬと言うが、だけれども、そういうことで人はふえない、——なかなか頭がいいのでそのくらいには回ると思いますけれども答弁としては納得がいきかねるわけであります。   〔河野(金)主査代理退席、主査着席〕 しかし、時間がありませんので、あとから電波監理局長が来たときに伺いたいと思います。  一般会計についてはほとんど電波監理局長に対する質問が多いわけでありますので、次に特別会計に移りたいと思います。  最初に、先ほど同僚片島分科員質問しておりましたが、本年の定員の問題であります。私が聞くところによりますと、郵政省が当初増員を行なった大蔵省に対する要求というものは、六千十三名であった、それが査定において千九百六十一名になった、こういうことでありますが、これは事実でありますか。
  139. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大体そのようでございます。
  140. 森本靖

    森本分科員 その場合に、六千十三名という定員を要求するとき、郵政省としてのこの予算を積算する場合において、どういう予算の組み方をしておったわけでありますか。たとえば、六千十三名ふえることによって、この一千九百六十一名、約二千名でありますが、四千名ふえることによって、一般会計なら一般会計から繰り入れなければならぬというふうなおそらく組み方ではなかろうと思いますが、これは特別会計の中において全部処理ができるような組み方ではないかと思いますが、その点はどうですか。
  141. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 やはり、郵政特別会計所属の人員の中にも、御承知のように貯金、保険、電電、いろいろな要員があるわけでございます。従いまして、たとえば電信電話業務関係の要員なら、これは電電公社から繰り入れてもらわなければならぬ。もしも貯金会計の要員においてふえたという場合におきましては、当然貯金特別会計から繰り入れてもらわなければならぬ。貯金会計については運用部資金の残額を大蔵省を経由して郵政事業特別会計に繰り入れてもらわなければならぬということでありますから、やはり他会計に影響あるわけであります。
  142. 森本靖

    森本分科員 他会計からの繰り入れでありますけれども、他会計からの繰り入れということも、郵政省特別会計事業のワクという形においては当然許されるものであって、その場合に六千十三名増員をしても別に一般の方にそれほど大して迷惑をかけることにならぬと私は考えておりますが、その点はどうですか。  それから、さらに、電電公社の委託業務云々という話がありましたが、これは委託業務の当然の経費を向うからもらうわけでありますので、その点も何ら差しつかえないと思いますが……。
  143. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 私が申し上げましたのは、おっしゃる通り、迷惑をかける云々ということではないのでありまして、要るものは要る、また他の会計の負担にさせるべきものは他の会計において負担していただく、こういう筋合いだろうと思っておるのでございまして、お話のように、電電関係は電電関係といたしまして、電電公社からもらいます。また本年度は成立しておりませんが、貯金会計で要員が増員いたします場合には、これはもちろん貯金特別会計からもらわなくちゃならぬ問題であります。
  144. 森本靖

    森本分科員 だから、実際問題としての郵政特別会計における定員の増員については、電波監理局のような一般会計予算とはだいぶ趣きが異なっておるのではないか。要するに、現業官庁の特別会計としては、それほど電波監理関係の予算のように一般の会計には決して迷惑をかける問題じゃありません。だから、これは、郵政省においてはこれだけの人間が要ってこれだけの収入が出てくるんだ、だからこれだけ働けばこれだけの人間が要るんだということであって、ちっともその他の問題とは関係がないのである。ただ、その予算規模云々という問題については問題があろうと思います。また、各省との人員の割り振りということについては問題があろうと考えますが、財政そのものについては関係がないということが言えるだろう。こういうことを言っておるわけです。
  145. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 たまたま三十二年度だけについてとかいうことに限定いたしますと、非常に問題がはっきりしてくるのであります。やはり他の一般会計に負担させる場合もあると私は思います。しかし、三十二年度において現実にどうであったかということは、私の承知しておる限りにおいては、三十二年度においては一般会計に負担させるようなものはございませんでした。他の一般会計に負担させるものは何であるかというと、お手元の資料にあると思いますが、郵政特別会計の損益計算書その他において繰り越し欠損金というものが現在において数十億円ございますが、そのもととなった百二十三億の一般会計からの繰入金というものは、従業員のベース・アップのいわばつなぎ資金であったのであります。それはベース・アップの資金でありますが、定員関係において、もしも郵政収入だけでもってできないという場合においての増員をどうしても必要とする増合には、それは今のベース・アップの例のごとく、一般会計租税の負担においてあり得る、こういうふうに考えるのでございますが、三十二年度だけについてはございませんでした。
  146. 森本靖

    森本分科員 その欠損金の問題については、これは毎年度の問題であって、これは何も定員の問題については関係ないわけなんです。  そこで、私が特に事務当局の意見をお聞きしたいのは、そういうふうなことであるならば、この郵政の特別会計一般会計にはほとんど迷惑をかけないというこの特別会計において、実際問題として、他の一般会計の租税収入によって行うようなところの官庁のように定員法のワクにおいて縛られて、それによって仕事をしなければならぬということは、この特別会計というものを持つ現業官庁としては最も不合理ではないか、こういうことを私は言いたいのであります。おそらく事務当局といえどもこの意見については不賛成ではなかろう、こう考えておるわけですが、どうですか。これは純粋に事務的な立場からであります。
  147. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 事務的な立場から申し上げますならば、私たちも過去においてその問題に真剣に取り組んだことがございます。果して定員法というものが郵政事業特別会計の人員政策上プラスかマイナスか、国鉄、電電のごとくいわゆる定員法のワクからはずした方がいいのじゃないかということについていろいろ真剣に取り組んだのでございます。その利害得失についてはいまだ結論に達しておりません。従いまして、現在においては、決して租税の負担にかかわるから定員法を設けるという考えではなしに、やはり国家公務員であるがゆえにというところから定員法の規制を受ける現状にあるわけでございますが、この問題は、今後においても、その現状がいいのか、それとも電電、国鉄の例にならって定員法のワクからはずすのがいいのか、これは単に人数だけの問題でなしに、身分関係にもあるいは及ぼしてくる問題になるかと思いますので、いろいろ複雑な問題があるかと思います。
  148. 森本靖

    森本分科員 いろいろ複雑な関係があっても、あなたも相当長年郵政省に勤めておられる官僚の一人でありますが、そういう人が長年検討しておっても、まだ利害得失どっちもわからぬというようなことは、ちょっとおかしいと思うのです。私も過去二十何年おったわけですが、われわれが現業の面から見ると、こういう現業の特別会計をこの定員法によって一般の公務員と同じように縛るということは、これは事業面から見ても非常に不合理である。財政的な面で見るならば、今私が申し上げましたように、一般会計にそう関係はない問題である。そうなってくると、一つ特別会計事業のワク内においてやって、私はやれぬことはないと思う。そうすると、定員法のワクというものははずしていくのが当然ではないか、こういうことを聞いておるわけです。あなたも長年の経歴者であり、その辺のことは大体意見がわかるのじゃないか、こう考えるのですが……。
  149. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 まことにどうも明快なる結論を申し上げることができなくて申しわけない次第でございますが、ただ、私は、電電、国鉄におきましては、定員法の制約のない方が、それではいかないようにでも増員政策を行い得ているかどうかということについては、他の会計、他の事業のことでございますから、推測にすぎないのでございますが、これは必ずしもそういうふうなフリー・ハンドではないと思っております。と申しますのは、やはり電電、国鉄は、予算政府を通じて国会の御審議をいただいております。従って、そこのところにおいては、予算上において必ずや給与総額が取り上げられたり、あるいは職員の基本給が取り上げられたりしまして、そこは、定員法の法律の数字としては出なくても、予算上においてもやはり定員というものがそこへ出てくるのではなかろうか。そうすれば、郵政省におきましても、かりに定員法を除きましても、必ずやそういうふうな制約はあり得る、またなくてはならぬだろうと思います。そういたしますと、それ以外においてマイナスの点で何か、これは非常におしかりを受けるかもしれませんが、率直に申し上げますれば、たとえば行政整理とかいろいろな問題があったとします。その場合に、やはり現在の定員を減らすということは重大な法律改正事項として国会で慎重な御審議を受けることになる。それが、定員法がない場合においては、予算の審議の面だけでもってその問題が解決されてしまうこともあり得るのじゃないか。そうすると、私どもは過去におきまして事業の定員についていろいろ行政整理に際会するごとにみずからの微力に嘆いたのでありますが、みずからの微力を顧みる場合において、あるいは今後の政府の要員政策その他を予想する場合におきまして、やはりこの際一ぺんにそれを脱ぎ捨てていいかどうかということに踏み切りがつかない、それを率直に申し上げる次第でございます。
  150. 森本靖

    森本分科員 その問題については事務当局としてもなかなかはっきりしたお答えはできないと思いますので、私はこれから数字について若干お聞きしたいと思います。  この郵政事業特別会計における本年度の郵便の輸送料の問題でありますが、この輸送料の内容については、昨年私はただしまして、本年度の内容についても若干知っておりますが、ここで特にお聞きしておきたいことは、国鉄の輸送車両の問題でありますが、この単価は昨年と同じように見ておるわけでありますか。それを一つお尋ねいたしたいと思います。
  151. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 国鉄支払いにおきます集配輸送費、郵便車その他の費用は値上りを見ておらない数字になっております。
  152. 森本靖

    森本分科員 値上りを全然見ておりませんか。
  153. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようであります。
  154. 森本靖

    森本分科員 そうすると、この予算では、値上りは認めるわけには参らぬ、こういうことですね。
  155. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 これは、その具体的な事務の進行その他につきましては後刻郵務局長からお話し願いたいと思うのでありますが、今日におきまして、国鉄がどの程度どういうふうな値上げをするだろうかということについては、必ずしも確定的なものは出ていない。そうすると、われわれ郵政事業といたしますと、郵便車を借りるなり、あるいは閉嚢便を送るなり、いろいろなことにつきまして、一体どれくらいの増額になるだろうかどうだろうかということについて確定的なものがまだ出ていない。従って、今後国鉄の運賃関係が確定するに従って、その年度の途中において私どもはそれを確定していく、必要ならば必要としてその運賃の改訂、集配運送費の増額等について配慮したい、こういうつもりでおったわけでございます。
  156. 森本靖

    森本分科員 そうすると、予算としては全然その値上りは見ておらぬ、こういうことですね。簡単でいいですが……。
  157. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 さようでございます。
  158. 森本靖

    森本分科員 そうすると、それでは、実際上改訂しなければならぬということになってきた場合にはどうなるのですか。
  159. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 その場合におきましては、成立予算範囲内において、これを移流用をやるなり、あるいは、もしもその移流用の範囲を越えるものでありまするならば、それぞれ予算補正の手続を必要とするかもしれません。
  160. 森本靖

    森本分科員 先ほど運輸省の方でも問題になったように、国鉄の本年度における予算案においては、運賃が値上りになって、総額三百六十六億円の運賃の値上りを見込んでおるわけです。そこで、当然、この郵便車両の問題については、これはおそらく郵政省は十六億か十五億程度ではなかったかと記憶しますが、数字は私はっきりは忘れましたが、もしそういうことになりましたならば、向うが出しておるところの一割三分程度のものは一応予算として見なければ政府として統一ある予算にはならないのじゃないかと思うのですが、国鉄は当然それを全部値上りをするという予算を組んでおる、郵政省としては全然値上りしておらないという予算を組んでおるならば、それは値上りせぬならけっこうであります、上らぬなら一番いいのでありますが、政府の統一ある予算の組み方としてはおかしいのじゃないですか。
  161. 小野吉郎

    小野説明員 筋から申しますと、政府機関をわれわれの方も利用いたしております。その政府機関料金が上るということになりますと、当然それは予算に組むべきであろうと思うのであります。が、従来におきましても、そういう面につきましては、値上げの程度、そういうものがはっきりいたしましてお互いに話し合いをいたしております。従って、国鉄の方の案が明確になりましても、同時にこれを引き上げたという例はないのでありまして、予算上できればそういったこともありますが、予算範囲内におきまして、そういう可能な限度におきましてお互いに話し合いをいたしまして、そういう話し合いの結果、鉄道運賃の値上げと同時に逓送料の値上げをするという面は必ずしも従来時期的には一致しておりません。従いまして、現在の予算範囲内におきまして両者話し合いを進めつつ、可能な限度において値上げに持っていくということになろうかと思います。
  162. 森本靖

    森本分科員 時間もありませんから、あまり深追いはいたしませんけれども、これは予算の組み方としては非常におかしいのですよ。国鉄当局は、私の質問に対して、はっきりと、これは郵政省に値上げを交渉しますということを言っておる。そこで、郵政省の方としてはこれは全然組んでおらぬ、それをお前値上げ交渉したところでどうなるか、こういうことで私も言っているわけであります。しかし、予算の組み方としては、前の交付金の問題のときにもおかしかったわけでありますが、国鉄がそういう予算の組み方をしておるならば、郵政省においてもそのくらいのことは考えていかなければならぬと思うわけです。  そこで、具体的な数字として、年間の汽車による輸送料は予算が何ぼになっていますか。
  163. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 お答え申し上げます。郵便車使用料が約十九億円でございます。
  164. 森本靖

    森本分科員 千四百億の中の予算ですから、二億か三億くらいは流用、移用ということが出てくるかもわかりませんけれども、少くとも十九億という金ならば、一割三分ということであっても二億ちょっとになるわけであります。そういう組み方についてははなはだふに落ちぬ点がありますが、これより深追いすることは避けまして、時間がありませんので次に移りたいと思います。  これは去年の分科会でも私が質問をして、あなたの方では調査をして善処するということでありましたが、全国の郵便局の中で水道と井戸のない局は、その後一年間の調査によって何局になったわけでありますか。
  165. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 当時御指摘を受けまして、私ども承知しておらなかったので、大へん申しわけなかった次第であります。特定郵便局で給水設備の全然ないところは、全国で約四百五十七局という数字が上ったのであります。その際、あなたの方から、これらのものについての給水施設は小新営費その他の費用で見ろということだったので、私どもの方でもその旨を地方に手配いたしたのでありますが、まだ報告の来ないところが四地方もございます。ただいま手元に入りましたのでは、改善したもの八十一局。想像で申し上げては大へん申しわけないのでございますが、四百五十七局の中でも、局として給水設備がない、しかしそれはその局の所在地の社会的、地理的事情によって非常に水が不自由なところであり、一つの建物専用の給水設備を持たないで、幾つかの建物や民家が集まって共用するというようなものも入っているのではないかと思います。
  166. 森本靖

    森本分科員 昨年は、ほとんどないと思うという答弁でありましたが、調査をいたしますと約五百局、これは相当な数字になると思いますので、事務当局はこの点についてよく調査しておいてもらいたいと思います。  それから、次にお聞きしたいことは、この予算書のどこを見てもわからぬのでございますが、過般非常に紛糾をいたしました特定郵便局長業務推進連絡会議というのが、昨年公達が出されてでき上ったわけであります。この会議の経費と定員は、昨年度は出さないということになっておったわけでありますが、本予算案においてはその内容はどうなっておりますか。
  167. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 定員は考えてございません。予算につきましては、これは私と担当の直接の部局とあるいは表現の仕方が違うかもしれませんが、私どもは推進連絡会議の費用は見ないのでありまして、これは渡し切り費のうちの一つに属する費用でございます。渡し切り費のうちの通信費や消耗品費などから出るわけであります。また、会場などを借りるとすれば、そういう場合の施設費は一般に既定庁費の中でまかなっている。たまたま特定郵便局長業務推進連絡会議というものが拡充強化されたために、局として業務が多くなった、局として通信の回数が多くなったり、行ったり来たりの度数が多くなれば、その郵便局としての渡し切り費がそれぞれの費目において積算される、かように考えます。
  168. 森本靖

    森本分科員 これから先の答弁は明確にしておいていただきたいと思いますが、そういうことになると非常にややこしくなりまして、下部において紛争の種になるのであります。おそらくその経費は、当該局に対して、通信費が何ぼ、鉛筆が何ぼ、何が何ぼと、雑費に合せて渡し切り費を出すと思います。もしその中に含まれているとするならば、そのうちの特推連の経費は何ぼ、一般特定局における経費は何ぼということが明確にならぬと非常な紛糾を来たす。昔の特定局長会議の経費は全然別個に出ておった。こういう経費が出なくても郵政省の仕事がとまるわけではない。昨年は出さないと大臣も言明しておりますので、出さないのが当然であると考えておりますが、その点はどうですか。
  169. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 大へんけっこうな御意見をちょうだいいたしました。今年度の計画を実施する上におきましては、そういう経費の令達について紛淆を来たさないように配意いたしたいと思います。ただ、つけ加えておきますが、このたびの推進会議費は在来のものの拡充でありまして、在来は特推連絡会費という名前であったかと思いますが、そういう名前で相当の額を出しておった。今お話もありましたので、紛淆を来さないよう、そういう形式をとりまして、三十二年度の実行計画においては明確にしていきたいと思います。
  170. 森本靖

    森本分科員 従来業務推進連絡会議費としては出ていないわけです。それは貯金の奨励費あるいは保険の奨励費という形で出ておっただけである。もしそれが出ているということならばおかしい。出さないということになっておったはずなんだから。
  171. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 会議費といいましても、よく組合との交渉の席上で出ましたつかみ金とかあるいは会議の行動費とか、そういう意味のものは毛頭出しておりません。私の言いましたのは、私の見た限りの記憶でありまして、間違っておったならば後日訂正さしていただきますが、郵政省から渡す金は、何も科目節のようなきびしい意味の看板ではなしに、あなたのおっしゃった紛淆を来たさないような注意、あるいはそんなような看板が使ってあった、こう申し上げているのであります。
  172. 森本靖

    森本分科員 それでは、これから先もそういう形で出すということはないわけですね。
  173. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 最初に申し上げた説明の通り、私ども予算を担当する者といたしましては、その費目の内容は通信とか連絡とか会場費というものであろう、そしてそれは一般既定的な庁費の中においてこれを見ていくような方針でおる、こういうことであります。
  174. 森本靖

    森本分科員 だから、はっきりしてもらいたいのですが、業務推進連絡会議というものの会議費はない、こういうことですね。
  175. 小野吉郎

    小野説明員 森本先生いささか誤解を抱いているではないかと思いますが、定員につきましては、こういった推進連絡会にはっきり固定した定員を必要としているとも私ども思わないのでありまして、一日のうちの一部の時間をそういう方面にさく、いわゆる賃金のそういう面につきましては、われわれは当初配算いたしたいと思っておったのでありますが、いろいろ組合交渉との段階におきまして、三十一年度はこれをやらない。三十二年度において新たにこれを考慮して組合と話し合おうということになっておるわけでありますが、経費をこのために全然使わないということは毛頭ないわけでありまして、ただいま経理局長から申し上げましたような、推進連絡会が活動するのに事務上必要なる通信経費、会場の経費、あるいは会議をすると旅費等も要りますが、そういうものは従来とも出しております。組合としては、当初そういったものは出さない約束だったのだ、従ってこれは約束違反だというようなことも言っておったのでありますが、最後の段階におきましては、そういう経費が要ることはよくわかる、ただ、自分たちとしては、約束違反とは思うけれども、それを撤回することを表面は言わないけれども、現在程度の、金がそんなにひどく会の組織強化のために拡大しないものなら、この面についてはとやかく言わないといういきさつになっておりまして、そういった会を設ければ、貯蓄奨励のための関係経費のほかに、会の相互連絡をとり、会の連絡を通して郵政事業発展に寄与し得るような、そういった意味の通信関係の経費とか、あるいは会議のための会場設営の経費、こういったもの、また何がしかの物品料等につきましては使用することは当然であろうと思います。また、そういった面は、会計法上も、それでいけば、はっきりとこれはこの方面の会だと、こう色分けはしておりませんが、渡し切り費の庁費の中にそういったものは使い得る規定になっておるわけであります。
  176. 森本靖

    森本分科員 どうも要領を得ぬ、納得のいかぬ答弁でありますが、分科会でありますので、この問題は他日に譲って、次に移りたいと思います。  次にお聞きしたいのは予算上の問題でありますが、現在の特定郵便局の借り上げ備品の借上料は一体幾らになっておるか、それから、その借り上げ備品の総評価額は幾らになっておるか、お答え願いたい。
  177. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 数字で申し上げます。三十一年度は四千百五十七万二千円、備品使用料として考えております。それを具体的に考えていきまして、現在それではどれだけ借り上げている局があるか、物があるかという概数でありますが、同じく三十一年度の数で、借り上げている郵便局の数が七千五百六十二ということになっております。大体三十万点備品がございます。すなわち三十万点を七千五百局の郵便局で借りている。これを帳簿価額と申しますか評価額と申しますか、大体において四億円前後、こういうふうなものを対象といたしまして、私どもは今申し上げました四千万円ほどの借料を払って借りているわけでございます。これについては、かねがねの御説でございますが、使用料を払っておって、所有権がいつまでもこちらに入ってこない、非常に不経済だろうから、これは一つ買い上げるなり処置せいという逓信委員会でのお話もございましたが、私どもとしましても、その御趣旨にのっとりまして、昭和三十年度からこれを五カ年間くらいの間で買い上げたいものであるというふうな計画をただいま持っておりまして、三十年度において七千万円、本年度においても七千万円ほど買い上げまして、この五年間に三億五千万円くらいで大部分は借り入れ物品を買い上げることができるのではなかろうかと考えている次第であります。ただ、何と申しましても、昭和二十三年当時の逓信大臣と全国特定郵便局長会との間の団体交渉と申しますか集合契約により、特定局では備品は借り上げることを本則とするというような条文が生きておりまして、強制的に買い上げるわけにいきませんので、特定局長さんといろいろ話し合いの上これをやっておる次第でございます。
  178. 森本靖

    森本分科員 少くとも公共的な郵便局の、机から、いすから、バケツから、ろうそく代に至るまで個人の所有物である。ところが、隣局では官品が交付されておる。これは非常に不合理な話である。今異なことを聞きましたが、昭和二十二年の大臣と局長会との協約がまだ生きておるということでありますが、私は生きておるというふうには解釈しておりません。今ごろになってあの古証文が生きておるということは、幽霊におびえておると同様だと思う。あのときの組織は全然ないはずである。今日の全国の会というものは全然別個なものである。しかも今回できた業務連絡推進会議は公達による各郵政局段階の局長会である。従って、いわゆるあの協約にのっとって強制的に買い上げるわけにはいかないという発言は、非常におかしいと思う。これは、郵政事業本来の立場から言うならば、少くとも、机から、いす、ろうそく代、ちり取りに至るまで借り上げになっておるが、そういうものをすべて早急に買い上げて、官品を交付するのが当然である。だから、五カ年計画を立てるならば、その五カ年計画の間に極力済ましてしまいたいとわれわれは考えておるわけでありますし、また、せっかく郵政当局としてもそういう方針で進んでおるようでありますが、あの例の昭和二十三年の協約にはとらわれぬようにお願いしたいと思う。  それから、その際に話し合いになるということでありますが、実はこの評価額というものがでたらめでありまして、その後再三の監察行政によってこの評価額が適正になったわけであります。しかし、そうは申しますものの、われわれも特定局長側に立って考えてみると、同情すべき点も多々あるわけであります。これは、何十年間というもの、一応机なり備品というものを提供して、それだけ郵政事業のお役に立った、昔の言葉で言うならば、お上のお役に立ったという考え方を特定郵便局長としても持つわけであります。だから、これはある減価償却考えたところの費用でそのまま強制的に買い上げるということも、若干気の毒なところも確かにあるわけであります。そういう点を十分加味して、適正価格で買い上げていって、いわゆる官品交付するならば、これに対して文句を言う特定郵便局長はおそらく一人もないと思う。だから、運用の妙を得ていくならば、五カ年計画を完全に行うことは当然できる。その点の考え方について経理局長なり資材部長からはっきりした言明を得ておきたい、こう考えるわけです。
  179. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 主管は資材部長でございますが、ただいま決算委員会の方に出席しておりますし、資材部長と私どもの間で一致しておる意見でありますから、私から申し上げます。ただいまの森本委員の御趣旨及び方法、態度、そのまま私たちは極力努力して参りたい、かように考えます。
  180. 森本靖

    森本分科員 それではこの問題を終りまして、次に移りたいと思います。  次の問題として、郵政事業というものは、御承知のように、他の現業官庁と違って、備品というものがほとんどない官庁であります。ほとんどが人力によって行う現業官庁であります。ところが、今日他の現業官庁その他の事業においても着々としていわゆるオートメーション化が行われておりますが、郵政事業としてもそれに劣らないようにバイクモーターなりオートバイをつけて輸送の敏速化を考えていかなければならぬと思います。近年郵政当局としてもだんだんそういう方向に向いつつありますが、今年度予算案の内容においてどういう計画を持っておるか、若干数字をあげてもらいたいと思います。
  181. 松井一郎

    ○松井政府委員 おっしゃる通り、集配の能率化、合理化のためにできるだけ機械化していくことは、私どももそういうことを念願しておるわけであります。ただ、実際の使用計画というものはこまかく策定する段階になっておりませんので、三十二年度分でどのくらい買うかという計画はまだ今のところ持っておりません。しかし、一応要望に沿うようにできるだけそういう方面へ量をさいていきたい、かように考えております。
  182. 森本靖

    森本分科員 これは予算委員会分科会でありますので、そういう問題についてもこまかく数字をあげて論争すれば、これは国民の前に明らかになって非常にいいと思いますが、あなたの方でそういう御回答であれば、日をあらためて別の委員会において行うことにいたしたいと思います。  時間がありませんので次に進みますが、郵便貯金の——簡易保険についてはすでに小額保険が整理統合されまして、今日大体理想的な形になりつつありますが、郵便貯金の睡眠口座の口数と金額が今日どのくらいになっておるか、それをちょっとお教え願いたいと思います。
  183. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 ただいま睡眠貯金の口座は大体四千万口座くらいございまして、その金額は、一冊当りの平均の単価が大体二十円くらいかと思います。
  184. 森本靖

    森本分科員 大体ということでなしに、こういうものは統計がすぐ出ると思う。貯金関係であるならば、睡眠口座が何ぼであって、その金額が何ぼであるということは調査すればわかると思うのです。だから、睡眠口座が四千万ということであるならば、その睡眠しておるところの金額は大体どのくらいであるかという数字は出るのじゃないかと思うのです。その数字一つ示してもらいたいと思います。
  185. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 ただいま森本委員のお言葉をいただきまして恐縮したような次第でありますが、詳しい数字はあとで御提出いたしたいと思います。詳しい数字を持って参りませんでしたので、はなはだ失礼でございますか……。
  186. 森本靖

    森本分科員 それでは、三十一年にこういう睡眠口座で国庫の収入になったという金額が年額どのくらいありますか。
  187. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 大体十年間たちますといわゆる没入金として国庫に帰属する。これを雑収入としてとっておりますが、大体三十二年度におきましては約一億ということであります。
  188. 森本靖

    森本分科員 一億円という金が年々そのまま国庫に没収されるという格好になっておるわけでありますが、これに対して大体どういう手を打ってこの睡眠口座というものを将来なくしていこうということを考えておるわけですか。
  189. 加藤桂一

    ○加藤(桂)政府委員 この点につきましては、会計検査院の方からもいろいろ御指摘を受けておりまして、催告を発するということを年々やってはおりまするが、御承知のように、終戦直後非常に定員不足その他手数を省くという関係から、第一次睡眠貯金、第二次睡眠貯金というものを設けまして、一応その原簿につきましては別の倉庫に格納いたしまして手をつけない、すなわち現在高通算を行わないことで今まで来ておる次第でございますが、それにつきまして検査院からも御指摘がございましたので、私どもの方といたしましては、三十二年度からは、これにつきまして催告を、平常のもの以外に、いわゆる第一次睡眠、第二次睡眠として現在格納しておりますものにつきまして、早急に五ヵ年計画を立てまして催告を発してやっていきたいと思う次第でございますが、何分にも先ほど申しましたような一冊当りの現在高と通信費用というようなものを見込みまして、相当経費その他では問題があると思いますが、貯金局といたしましてはそういった方向に進めていきたいと考えておる次第でございます。
  190. 森本靖

    森本分科員 こういう問題は、会計検査院から指摘されるまでもなく、郵政当局としてこれをやるべきであって、はっきり申し上げれば、ゆえなくして国民の金を没収することになるわけですよ。いかにその金額が少額といえども、結果的にはそうなるわけです。だから、これは、先ほども、六千何ぼか定員を要請したが、それを減らされた、こういう回答でありましたが、これは手紙の通知だけではだめなんです。これは相当住所も変っておりますし、戦後十何年もたっておりますので、手紙の一回や何か出したって、五十円や百円の問題ではそうそう簡単に言ってくるものではない。郵政省は貯金の集金人なり保険の集金人は津々浦々にまでいるわけです。こういう人を活用してやるならば、五ヵ年計画を経ずして直ちにできるはずです。それを要求の定員を減らされたということでこまぬいていては、われわれは非常に因るわけです。これは金額の問題ではない。国民の大事な金をゆえなく没収するということになるのです。これは予算折衝のときに十分計画を織り込んでやっていただきたい。これは、検査院から忠告せられてやるまでもなく、今後郵政当局としては十分努力することが国民に対する義務であると思いますので、十分考えてやってもらいたいと思います。  それから、次の問題で私の質問を終りたいと思いますが、昭和三十二年度の簡易生命保険及び郵便年金積立金の運用計画において、これは今年度八百二十億円でありますが、今年度の郵政特別会計に繰り入れがたしか二十三億ということになっておった。といたしますと、前に逓信委員会で、これは与野党満場一致で決議いたしまして、時の大臣は、これは確実に守ってやっていきたいと考えております、こういう答弁もした経験があるわけでありまして、せっかく簡易保険の積立金の百分の三という金額は毎年悪い郵便局舎の建築に充てる、こういうことになっておりますが、私の記憶いたしますところでは、この八百二十億総額の百分の三というようにわれわれ与野党は考えて、そういう決議をいたしたわけであります。ところが、今回の予算案を見てみますと、八百二十億の総額の中から、簡易生命保険及び郵便年金契約者に対する貸付の八十億円というものを除いて、あとの百分の三という考え方を立てておりますが、こんな考え方を事務当局で勝手にやられたのでは、われわれとしては困るので、この点についてはどうお考えかということをお聞きしたいと思います。
  191. 八藤東禧

    ○八藤政府委員 決議の御趣旨、あるいはそのおかげをもちまして局舎緊急改善計画が順調に進行しておりますのは、まことに感謝にたえない次第でございますが、ただいまのお話の八百二十億でありましたか、これは契約者貸付を含んだ金額であります。私どもといたしましては、七百四十億は、御承知のように閣議決定でもって決定されております政府の財政投融資計画の運用部、簡保その他と分けてあるところの簡保の運用部資金として七百四十億と出ておりますので、その三%と考えたわけであります。これは本年度ではなしに、御承知のようにあの決議のおかげをもってスタートいたしました昨年度におきましても、実は五百六十四億プラス契約者貸付七十億で、本来ならば六百七十億であったのであります。そういたしますと、昨年の十八億は今年と同じように勘定あって銭足らずということでありますが、これも契約者貸付をとっておると思います。これは事務的の考え方とおしかりを受けるかもしれませんが、長い間GHQの強圧によってなかなか運用を再開できなかったのが、国会の力で再開できたというときに、再開しないときにも契約者貸付は運用外という扱いで当時もやっておったので、そういうような考え方から、私どもは、契約者貸付を除いた一般公共の貸付に運用できる原資の三%、こういたしましたが、私たちは、その最低限度よりは若干ながら上回ることができた、しかし多額に上回ることができなかったことははなはだ微力で申しわけなかった、こういうふうに思っております。
  192. 森本靖

    森本分科員 昨年の問題を持ち出しましたが、あの決議の内容というものを、よく速記録を見てもらったらわかりますが、投融資の全額というふうに決議になっていない。いわゆるあの決議というものは積立金の百分の三、こういうことになっておった。積立金の百分の三ということになりますと、当然契約者貸付も含まれた八百二十億ということになります。この問題はここであなたと論争しても何もなりませんが、決議をしたわれわれはそういう解釈をしておりますので、解釈を一つ誤まらぬようにお願いをしたいと思います。  ちょうど政務次官電波監理局長が来られましたので、最後に放送法第三十四条の問題に戻りたいと思います。  新しい政務次官はこういう質問をするとまごつくかもわからないが、この三十四条の問題は去年から論争になっております。そこで、三十四条に基くNHKに対する放送技術の援助費というものは、昨年度は全然組んでおらないけれども、来年度は一つ大いに努力いたしましょうという答弁を昨年大臣政務次官も行なったわけであります。電波監理局長もそのとき行なったわけであります。ところが、そういうものが今年一銭も計上されておらぬ。そういうことが放送法の条文にありながら、この放送法ができて以来まだ一ぺんもこの条項が活用せられておらぬ。そんな活用する必要のない条項ならのけてしまったらどうか、こういうことを私は逆に聞きたくなる。こういう意味であります。
  193. 伊東岩男

    伊東政府委員 前からの御意見は承わっておりませんけれども、お話の点、ごもっともだと思います。しかし、お話のように、ことしも予算に現われておらぬようであって、まことに申しわけないことでございますけれども、省としてもNHKに対してはやはり相当検討を加えておる点があると考えておるわけであります。そういうことをひっくるめてやはり放送法という問題が問題点となっておるように思います。御意見の趣旨をよく拝聴いたしまして、今後も、来年もやるというお約束はできませんけれども、十分検討したいと思います。
  194. 森本靖

    森本分科員 この問題は放送法改正とは関係がありませんので、政務次官一つ誤解のないように。  そういう御答弁でありますので、私はこれ以上深追いをいたしませんが、もう一点だけちょっと気にかかる点がありますので、最後にお聞きしておきますが、予算委員会のこの第四分科会の最初の日の郵政省に対する質疑応答の際に、ある委員から質問をされておりまして、公務員の住宅が坪当り百円ということについては、特に郵政の坪当り百円の住宅は安いじゃないかという質問がありまして、これに対して大臣がわかったかわからぬような回答をいたしまして、ともかく検討、善処いたしますというような回答を速記録を見るといたしております。この大臣答弁はちょっと的はずれではないかというような気もするわけであります。これは単に郵政省の問題だけではなくして国家公務員全体の問題でありまして、一つの法律体系によって、これは金額も、すべて公務員住宅の制度できまっておるわけでありますので、これは公務員全般として検討するなら検討すべきである。しかし、われわれは、この坪当り何ぼというものは、いわゆる住宅手当というようなことから考えていくと、そう安いものではない。これは、大体普通ではないかというような考え方を持っておりますが、もう一ぺん、この点については、この質問の趣旨によって検討するということでなしに、そういうことも一切含めて検討するなら検討するということにしておいてもらわぬと、これは速記録にも残っておりますので、われわれは非常に心配になるわけでありますが、その点いかがですか。
  195. 伊東岩男

    伊東政府委員 お話のように、すべての関連がありますので、一部分でなくて全般的にこれは再検討すべきであると解釈いたしております。
  196. 森本靖

    森本分科員 ほかにいろいろありますけれども郵政関係質問は、時間の関係上これで終ります。
  197. 宇都宮徳馬

  198. 田中武夫

    田中(武)分科員 ごく簡単に一、二お伺いいたします。  電話料の支払いがおくれた場合に通話停止になりますね。あれはどういうような方法によってやられておるのですか。
  199. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 お考え申し上げます。電話料は、大体、普通の基本料は当月、市外通話料と度数料はそのあとにちょうだいする。こういうことでありまして、計算は場所によって違いますが、大体二十日ごろの締め切りが多いのでございます。締め切りまして、それの支払い請求書を加入者の方にいついつまでにお納め下さいという連絡をするわけでございます。支払い期日は一応そういうふうに指定してございますが、それから十一日までは督促をいたしまして十一日までに支払いにならない場合に初めて通話停止という措置に出るわけでございます。これは原則でございますが、その場合におきましても、ほんとうに忘れておる、あるいは万やむを得ないというような事情でございますれば、十一日を過ぎましても通話停止をしないような措置もやっておるわけでございます。また、通話停止は勝手にやるというのではありませんで、なるべく加入者の方に、まだお払いがないからぜひいつまでにお払いを願いたいということを懇切丁寧に電話で督促するように指示をいたしております。
  200. 田中武夫

    田中(武)分科員 そういう指導は全国一律な方法でやっておられるのですか。なお、ここでお伺いしたいのは、通話停止を受けた場合に、自動式と共電式の場合で扱いが違うということがあると思います。と申しますのは、通話停止を受けた場合に、自動式の場合は、相手からかかってくるのは幾らでもかかってきて、こちらからはかけられない。ところが、手動式の場合には、相手からのものも交換手が取り継がない、こういうことでありますので、同じように停止処分を受けておって、共電式と自動式のところでは扱いが違うという結果になるのですが、そういう点も予想して何らかこの間に通話停止の処分に対して違った措置をとっておられますか、いかがですか。
  201. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 お示しのように、局によりましては違った措置をとる余地があるのでございます。たとえば、今のように、自動式の局あるいは共電式の局というのでは、設備の上から見まして、やはり機械が違っております。それをなるべく加入者の方に御不便を与えないでいきたいという趣旨から、たとえば自動式の局でございますと、着信だけは自由にする、発信だけができない、こういうような措置もとり得ることになっております。そのようなわけで、一般的に基本的な指示をいたしております趣旨、なるべく加入者の方の御迷惑を少くいたしたい、こういうことから、ある程度現場の局長に自由裁量の余地も与えておる向きがございますが、原則的には以上のような方法を指示しておるわけでございます。
  202. 田中武夫

    田中(武)分科員 そういう措置は、公衆電気通信法第四十二条、七十九条、八十条、それから規則の第二百三十四条ですか、二百三十七条の二項、二百四十一条の二項等によってなされておると思うのですが、この法規のいわゆる通話という定義、これをどのようにお考えになっておるのでしょうか。
  203. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 通話の定義につきましては、法的な解釈は大体一定しておるのでございますが、やはり、発信する場合、着信する場合と、両方が一般的通話の定義になっております。従いまして、通話停止ということになりますれば、たとえ電話を持っておりましても、着信もできなければ発信もできない、こういう状態がほんとうの通話停止の解釈になっております。そこで、先ほど申しましたように、本来ならばそこまで私の方でもしてもいいわけでございますが、加入者が御商売をやっておられるような場合、あるいは非常に痛手をこうむるとか、あるいは信頼の意味からいたしまして、電話かけても全然通じないじゃないか、あるいは逆に故障じゃなかろうかということで公社に聞いてくるような場合もございまして、そのような経験にちなみまして、なるべく不便をおかけしないという趣旨から、今のようなある程度の便宜な軽減の措置をとっておるわけであります。
  204. 田中武夫

    田中(武)分科員 今言われたように、通話とは、申し込みを受けて、そして電話の加入者へ接続する、こういう行為であると思うのです。そうしますと、手動式の場合は、こちらがかける場合、向うからかける場合、これはともに停止になる。ところが、共電式の場合は、こちらからかけるのだけが停止で、向うからはかかってくる。ここで私は共電式の方を手動式の方にというのじゃなしに、手動式の場合にはこの共電式に比べて不利な待遇といいますか、機械の関係ではありますが、実際的にそういうことになっておる。ところが、基本料金ですか、これは一局の加入数によって定まっておると思いますが、そうしましたら、かりにその加入者のうちの半数が通話停止になれば、通話停止になっていないところからいえば通話の範囲が半分に狭まるわけです。こういうところに相当不合理があると思うので、手動式の場合でも、かかってくるときは受けられるような、共電式と同じような扱いがなされないものかどうかということなんです。最近中小企業等においては、相当、金融難といいますか、金のめぐりが悪いために、期日までに納められないで停止を受ける。しかも、地方におきましては共電式でなく手動式が多いわけなんで、そのために、滞納しておって停止を受けているところだけでなく、それを相手方としているところの人たちも商売上、営業上大いなる支障を起しておるという実情があるのですが、こういう点について、何らか共電式と手動式と同じような程度にまで考える余地はないものでしょうか。
  205. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 おっしゃる点はわれわれもよくわかるところでございます。実は手動式には共電式と磁石式とがあり、あと自動式と、二通りあるわけでございます。先ほど御説明いたしました通り、自動式では着信だけは自由であるが発信はとめている、こういうのが実は今までのやり方であります。もちろん手動式の方もそういうふうにやってもよろしいわけでありますが、ここでは、ただその人の不便でなく、相手方がかけるときから見て非常に不便じゃなかろうか、こういう点で、従来とも自動式におきましては着信はとめずに発信だけとめておった例が多いのです。ところが、最近になりまして、それではどうも通話を停止した効果がなかなか現われない、依然として料金滞納がだんだんふえていくような傾向がままありましたために、その間のやり方及び措置につきましては、現場の局長に、あまりひどい人には発信と着信をとめたらどうか、そうでない方にはやはり着信は自由にしておいたらどうかということで、実情に合うだけの措置を今とらしております。なお、最近における中小企業の状況ということもできるだけよく考えまして、実情に沿うようにいたしたい、こう考えております。
  206. 田中武夫

    田中(武)分科員 電話を引く場合は公債まで買わして引かしているわけです。悪気でなく、金融の関係したまたまおくれたというだけで、しかもそれがいろいろ電話の機械の相違によって違った待遇を受ける、こういうことのないように少し考えていただきたい。しかも、今の御答弁によりますと、そこの管轄の局長さんにある程度権限がある、こういうようなお話のようですが、それでは、局長さんに交渉すれば、便宜いわゆる着信の方はしてもらうようにはなるわけですね。
  207. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 最近の電話の負担金、社債負担金につきましては考えるべき点が多々あろうかと存じます。そのような負担をしておられ、しかも一回不本意に料金を納めなかったらすぐ通話停止をするということは、まことに冷やかで、いろいろ非難のある点であります。そのようなことのないように、私どもは従来とも現場を指導しております。まだ十分に趣旨が徹底しなくて、御迷惑あるいは疑惑を起している点がございますが、よく指導いたしたいと存じます。  なお、現場の局長に対してある程度の自由裁量を与えることが一番実情に沿うもの、こういうふうに考えまして、間違いのないような自由裁量を与えるように今後とも十分注意いたしたいと思います。
  208. 田中武夫

    田中(武)分科員 最後にもう一つお伺いしたいのですが、電話の加入権、これは一応無体財産権とも考えられて、初め中小企業におきましては相当な一つの金融の担保力として活用せられておったと思うのです。ところが、公衆電気通信法ですか、これの第三十八条かによって、これを担保にして金融することを禁止せられている。ところが、現在では相当それがやみ金融に使われていることは御承知の通りであります。そこで、当局では、何らかこれを改めて、三十八条の二によってこれに金融の担保力を持たす、こういうことを考えられているとも聞いているのですが、この点につきましてはどういうふうに考えておられますか。   〔「それはもう前にやったよ」と呼ぶ者あり〕
  209. 松田英一

    松田説明員 御質問の点につきましては、前国会のときに請願が出ました趣旨もございますし、私どもいろいろと検討しておったところでございますが、この電話加入権に質権を認めるかどうかということについては、理論的にも相当問題もございますし、また公社の取扱い上の手数もあるわけでございますが、しかし、一方中小企業者の方の御要望は確かに私どももっともだと思う点もございますので、その点は結局中小企業者に対する金融の方法というところにも非常に関連いたしますので、通産省の企業庁あたりと連絡をとりまして、また大蔵省あたりとも連絡をとりまして、目下検討中でございます。
  210. 田中武夫

    田中(武)分科員 この問題は、私はここの分科員でなかったので知らなかったのですが、前に済んだそうでございますのでやめますが、そういうふうに考えておられるとして、それでは、相手方の金融機関はどういうように考えておられますか。
  211. 松田英一

    松田説明員 その点は、実は、直接郵政省と申しますよりも、あるいは大蔵省あるいは通産省の関係でございますので、ちょっと御答弁できかねますが、私どもといたしましては、なるべく特定されたきちんとした低利の金を融通していただけるところが望ましいというふうには考えております。
  212. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 片島港君。
  213. 片島港

    片島分科員 電信電話の建設工事の進捗状況についてまず伺いたいと思うのであります。五カ年計画が三十二年度に終りますので、三十一年度で四カ年の終了となるのでありますが、この四カ年間における進捗の累計がどういうふうになっておるのでありまするか。ただ順調にいっておるというだけでなく、三十一年度はうまくいったが、三十年度、その前という工合に、この五カ年計画における今日までの総計といいますか、累計はどういうふうになっておりますか。
  214. 靱勉

    ○靱説明員 具体的に申し上げますと、加入電話につきましては、当初五カ年計画の予定におきましては、三十一年度までに五十六万開通をいたす予定でございましたが、これはすでにこまかくいろいろ申し上げておるので長くは御説明申し上げませんが、どうしても回線等も増さなければならぬということで、まだ三十一年度は終っておりませんが、私ども計画予定としましては、五十六万に対して八十一万の開通を見る見込みであります。それから、市外回線の新増設でございますが、これは三十一年度までに九十九万キロという予定でございましたが、本年度中に百四十八万キロというものが開通される見込みでございます。公衆電話は、一万二千二百余りということでございましたが、三万七百という数を得られる予定でございます。それから、電話局の建設でございますが、計画としましては新電話局の建設は全部で百八局の予定でございましたが、基礎工程におきまして若干予定を下回りまして、大体予定としましては百二局ということになっております。しかし、これは主として、電話局自体としましては大体予定をこえておるのでございますが、市外局の建設がおくれておるということに数の減少が示されておるわけでございます。その他長距離ケーブル区間あるいはマイクロ・ウエーブの区間等はいずれも予定より上回った成績を上げております。
  215. 片島港

    片島分科員 電話の加入者数がふえたというような場合でも、単に数がふえたというだけでは、私は順調に伸びたということにはならぬと思うのであります。数をふやそうと思えば、大都市で非常に低廉でしかも利益の上るようなところに重点的に持っていけば、非常に加入者数はふえる。しかし、一方において、利益は上らないが、不便な地域の方はなるたけ遠慮をするということになれば、加入者数はふえたけれども、全体として決していい成績をおさめたことにならぬ。  そこで、五カ年計画遂行上においていろいろな項目があるわけでありますが、各項目別に、また、おそらく電話の加入者をふやそうという計画にも、地域的な予定計画というものがあるでありましょうが、そういう事項別、地域別、そういう各個別に見た場合に進捗状況にでこぼこがありはしないかと考えるのでありますが、その点いかがでありますか。
  216. 靱勉

    ○靱説明員 お答え申し上げます。大体電話の架設と申しますか、それだけを検討いたしますと、私ども計画におきまして、当初五カ年間で七十万ということでございましたが、これを大都市、中都市、小都市その他に割り当てまして計画を進めたわけでございます。五カ年計画は来年度をもって完成しますが、先ほど申しました数がさらに増しまして、大体百万単位の開設ができる、こういう見込みであります。当初、大都市のうち六大都市につきましては、申し込みに対して充足いたしますのを二一・九%ということに予定しましたが、ただいまの計画におきましては三五・七%になる見込みでございます。それから、中都市におきましては、計画は一八・四%でございましたが、これが三〇・八%、小都市におきましては、一一・九%を計画しましたのが三四・五%、その他農村方面でございますが、ここにおきましては、一四・四%の計画に対しまして二七・四%、結局平均いたしますと、計画におきましては一八・四%であったものが三三・一%ということで、もちろんこの数字は非常に少い。要するに一〇〇に対しまして三三でございますから、大体三分の一程度を充足し得た。また、計画自体が小さいと言われる点はあるのでございますが、こういうふうに見てみますと、もちろん大都市は、三三%に対して三五%ということで、その率が平均より上回っておりますが、農村等におきましては三三%に対して二七%、こういう形になっておる次第でございますが、私ども必ずしも非常なでこぼこがあったとは考えていない。しかしながら、さらに本年度並びに次の第二次五カ年計画におきまして、できるだけ均衡をとった拡張整備をいたしたい、こういうことで目下計画を立てておるような次第でございます。
  217. 片島港

    片島分科員 そこで、農村あるいは非常に僻陬の地において電話の拡張、加入者をふやすことが非常に困難になる一つの原因が生まれてきておるのであります。すなわち、市町村合併によりまして電話局の統合が行われた。この統合は、すでに市町村内に二つ以上の電話局のある局数が六千六百余局で、そのうち六キロ以内のものは全部統合する、こういうようなことになっておりますが、ここに市町村合併によって、六キロ以内の地域にあった電話局、すなわち加入者をかかえておる局が、これはおそらく委託局も含んでおるのでありましょうが、どのくらい現在まで統合されておりましょうか。市町村合併も大体計画の実施を終っておるのでありますから、数字が出て参っておると思うのであります。
  218. 靱勉

    ○靱説明員 お答えを申し上げます。  ただいまおっしゃられましたように、六キロ以内は統合する、それ以上のものは市外通話のサービスをよくする、すなわち市内と同じような充足度にいたしたい、こういう計画になっておるわけでございますが、私どもの総計画といたしましては、電話局を合併しなければならぬ局数は三千三百六十一局予定されております。そこで、実は来年度は在来に比べますとかなり資金も認められましたので、来年度完成を合せて申し上げますと、ただいま申しました三千三百六十一のうち、現在の方式のまま——磁石式なら磁石式のままで統合できるものと、どうしても新たに局舎を建て増して、その際に方式も変えなければならぬという二つに分れるのでございますが、現在の方式のまま合併できるものは割合に経費が少くてもできるわけです。それに該当する局が二千六百七十局ございます。これが三十二年度までにおよそ全部で六百八十八局やれる予定になっておりますので、これで見ますと、大体四分の一強程度整理がつくということになります。ところが、方式の変更を要するものは六百九十一局ありますが、これは新たに局を建て、ことにこのごろの非常な電話需要から見ますと、磁石式よりもむしろ自動式に変更した方がいいというのがほとんどでございますので、これには非常に経費を要します。六百億くらいかかるであろうということで、これは要するに、町村合併に伴う電話サービスの整備計画として別ワクでやっておりますのでは、これはまだ実施しておりません。ただ、私ども、五カ年計画の電話局の新設の際、たとえば具体的に申しますれば、和歌山の局が自動局になる、その際そのそばにある紀三井寺等を一緒に合併していく、こういうのは一別の計画になっておりますので、それらでやっておるのはございますが、町村合併に伴う電話のサービス計画、これは十カ年で三百億というので私ども計画いたしておりますが、まだこれにはできておりません。  市外通話のサービスをよくする、これにつきましては、この該当局は三千二百五十二局ありまして、すでに二千七百四十八局を三十二年度までに改善できる見込みでございまして、これの市外回線の総キロ程は三万キロ余りになっております。この方は、ともかく電話局が分立いたしておりましても市内電話と同じような迅速なサービスをなるべく早く提供いたしたい、こういうことで、ほとんど大部分やっておりますので、三十三年度以降にやろうという計画になっておるものは五千キロ余りというようなことになっております。
  219. 片島港

    片島分科員 それとともに、市町村合併によらないで、今まで十一級局でありましたか十二級局でありますか、交換機で転換機を使用しておったものを取りはずして隣接の局に加入を統合した局数はどのくらいございますか。
  220. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 実は、この十一級局、十二級局——十二級局は、今お示しのような、転換機で役場とか学校に一つある、そういう転換機でやっているという加入数が二つの場合が十二級局になります。それの上が十一級になるのですが、これらにつきましては、実は将来付近の大きな局に統合しまして、そうして市外通話をやっているのが市内通話で間に合う方がいいじゃないか、かたがた希望もそういうところにあるものですから、そういうものを積極的に統合しようという方針は、実は二、三年前から立っておるわけであります。これにつきましてやった結果でございますが、数は、ただいまここに表がございませんが、そう多くございません。と申しますのは、あまり無理をしましてもいきませんから、自発的な希望を大体参酌しまして、やった結果におきましても、付加使用料が従来より高くならない、こういうような特典まで考えまして、やる場合はいたしております。数については、いずれ数字を調べましてお答え申し上げます。
  221. 片島港

    片島分科員 転換機でやっておる場合でも、十一級局あたりでは今まででも非常に加入の希望があったにかかわらず——ここに新規加入者をその要求によって加入を認めてやるということになれば、三十なり四十なりという、交換機さえ据えればそこに実は申し込みがあったわけなんです。それをそのままにしておいて、今度は近隣の局にこれを統合してしまった。この結果は、ちょうど市町村合併において約三分の二くらい減らして三分の一くらいに統合をするというのも、やはり結果は同じでありましょうが、これによって利益を受ける者は、現在加入しておる人たちはそれはいいでありましょう、隣の局まで市内になるわけでありますから。しかし、これも一がいには言えませんので、実は表通りの方に統合してもらわないで奥の方の局に統合してもらうというので、かえって今までより不便になった加入者さえあるのでありますが、それはともかくとして、新たにこれから加入をしようと考えておった人たちが、従来のままで加入を認めるということになれば、普通加入区域でありますから、加入料金設備負担金が安く上ったわけであります。ところが、非常に遠い距離にある局に統合せられます結果、今度は新たに加入をしようと思う人たちが非常に高額なる設備負担金を支払わなければ加入することができない。これは三千六百六十一のうち六百八十八、すなわち三分の一に統合せられ、さらに今十一級局、十二級局というのがだんだんと整理をせられるということになりますれば、非常に不便なところにあった人たちがせっかくこれから電話の恩恵に浴しようと考えておったのが、逆転して、これからはなかなか電話がつけにくくなるというような状態をここに見るようになったのでありますが、これに対して、ただ今までの加入者が都合がよくなるというようなことでなく、新たに加入したいという人の方が数は多いのでありますから、電話を全国くまなく普及させようという場合には、むしろそういう新たに加入する人の便益を考えるような方法を、こういうような統合をやったりあるいは廃局したりするような場合には何かそれにかわるべき方法を考えなければならぬと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  222. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 御指摘の点は二点あるだろうと思います。第一点は、十一級局、十二級局の統合の問題と、先ほど来基本的な問題としての町村合併に伴う問題、こういう二つにおいて新加入者の不利益を招かないようにすべきじゃないか、こういう御主張のように拝聴したのであります。  そこで、十一級局、十二級局の統合でございまするが、実は統合をするだけの目的で統合するのではございません。従来とも、電話の普及ということにつきまして、なるべく交換事務開始のできるところは交換事務開始をしたい、こういうことを考えまして、それにしましても、交換事務を開始するだけの加入数があるかどうか、あるいはその付近に大きな局がありまして、その方に加入区域を合併した方が将来のためによりいいであろう、これは加入者の利益にもなる、こういうことを彼此勘考いたしました結果、どうしてもこれは統合した方がいいというような場合の例として十一、十二級局の統合が行われた例があるのでございまして、その場合におきましても、普通加入区域としてやるか、あるいは特別加入区域として今度統合された親局に当るその局の方にするかということは、なるべく有利に考えまして措置をいたしておるつもりでございます。従って、新規の加入者がそれでは従来よりも高くつくじゃなかろうか、こういう関係になりますが、十二級局で転換機の加入者二名というようなところ、もうそれ以上には入るわけにはいきません。それ以上数がふえれば、十一級なり十級の基本料あるいは料金を払うということで、自然的に加入者がふえたところに参加すれば、それだけの使用料というものはいただく、こういうことに使用料はなるのでございます。それから、負担金につきましては、これはほとんど、二万円でございまして、変りございません。おそらくそういうところにつきましては社債もちょうだいいたしておりません。従って、あとの問題は何かと申しますと、区域外、あるいは特別加入区域の点について付加使用料がどうか、こういう問題でございますが、この点につきましても、地域をなるべく実情に合うようにいたして決定するということで考えます。  次の町村合併の問題でございます。この場合におきましては、従来二つの局であったのが一つになったという場合に、今度はその合併された局の加入区域外になるか、特別加入区域になるか、こういう心配が本来あるのでございますが、町村合併に伴う場合に限っては、絶対今までの普通加入区域は普通加入区域のまま、級局が変らない限りは負担金あるいは社債その他に変りなくいくわけでございます。ただ、合併された局の結果、数が多くなれば、従って級局が上る、これだけの点が変るだけでございます。
  223. 片島港

    片島分科員 それでは、たとえば転換機の場合には、これは私の区内にあるのでありますが、瓢丹渕というのが村所に統合されて、これはおそらく四里か五里あるのじゃないかと思うのですが、十数キロのそういうようなところにおる者が新たに電話の加入を今度の新しい局に申し込みをする場合には、もちろん新たに線路を引かなければなりませんが、その村所の局のそばにおる人が加入を申し込むのと、数里も遠いところにおる者が申し込んでも、負担金は二万円でいいのでありますか。
  224. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 負担金は同じでございますが、線の設備費というものがございます。これは線路がある場合にはいただきません。線路がない場合に、新設する部分については、区域外にわたる部分、あるいは特別加入区域にわたる部分だけをいただくことになっております。そういう場合にも、できるだけ公社の方で線路をみずからこさえる、こういう態勢で考えておるわけでございます。
  225. 片島港

    片島分科員 電柱は立っておりますが、そういう線路はないのですよ。電柱も必ずしも立っておりません。一本道のところを通っておるのを、今度は横道のところから申し込みがあるわけです。しかし、新たに申し込んだ場合には、前の場合だったならば、その局からの距離で電柱や電線の料金を支払えばよかったのが、今線路があった場合にはいただかぬと言うが、大体いなかでは線路がないのですよ。ぎりぎり一ぱいの線路しか引いてないわけですから、そのほかに新たに加入を申し込めば、当然線路を引かなければならぬ。それは非常に遠いし、四里も五里も、少なくとも二里、三里というようなところの線路を加入者が自分で持たなければならぬ。莫大なものになるのですよ。
  226. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 今御指摘のような十二級局、十一級局というものは、実は加入区域というものが設定されてないのであります。従って、今のような例は、やはり十一級局、十二級局であっても、新たな線路となりますと、一定の距離以上となると設備費をちょうだいいたします。そういうことで、その意味においては差がございませんし、もう一つは、そのような長遠の距離のところに電話一本つけるというような場合は、これは共同電話でいっていただくことが、われわれの方としても、また加入者の方としても、負担が軽くて済みやしないかということで、電柱や電線をつけなくても、共同電話でいけるようなことを今考えております。
  227. 片島港

    片島分科員 共同電話というのはわかっておるのですが、これは限度があるのです。これはあとでお尋ねしたいと思うのですが、農村公衆電話というのができまして非常にみな喜んでおる。ところが、共同の加入者が非常に多くて、五人ばかりぶらぶらと下っていくのですね。加入者が五つも共同電話におったら、もう耳で聞きわけるわけですから、ちりんといったときはだれ、ちりちりはだれ、ちりちりちりはだれ、さっぱりこんがらかってわからないことが多いのです。ことに、天候の工合とかなんとかいって、少し線路の状態が悪いときは非常にこんがらかる。共同加入というものにはおのずから限度がある。そこで、非常にこういう点で今後不便になるのじゃないか。特に、電話が急速な進歩をいたしまして、少くとも昔よりもよくなるということでなければならぬと思うのであります。ところが、前は五加入あっても十加入あっても、交換台を置いて、そうして交換機を置いて、そこで交換事務をやっておった。最近になると、二十でなければいかぬ、三十でなければいかぬ、また四十でもという工合で、交換機を大きくしてその区域の加入者をふやすということをなかなかやってくれないのです。これは実例を言わなければわかりませんから、そんなことはないだろうと言われるかもしれませんから、申しますが、延岡の近所の梅木というところに、延岡からか、北浦からか、どっちからか、交換機を据えてもらいたいということを、ずいぶん前から私は電通局との間でも折衝しておったのですが、現在の公社の方針としては、三十や四十くらいでは交換開始をやらない、やる方針でない、むしろ現在の小さい交換局は漸減していく方針である、こういうことまで言われて、昔の方が、いなかの山奥におったものは便利であって、電話が非常に発展をしてくると同時にむしろ農村方面においてはそういう方面から取り残されるというような実例がある。これはむしろ、やはり小さい山奥の局であっても、現在三十の加入交換機があるならば、これを五十に取りかえてやるとか、あるいはさらに五十を百に取りかえてやるというふうにして、そして今十の加入があるところはこれを三十にまで——これは申し込みはあるのですから、そういうところはまた新たに三十の交換機でもってやる、こういうようなことをして、都会における電話の非常に便利な状態を農村方面にまでうるおしていくようにこそしなければならぬのを、これに逆行するようなことをせられるということは非常に遺憾であると思いますが、いかがでありましょう。
  228. 吉沢武雄

    ○吉沢説明員 具体的な御指摘の点については、またよく実情を調べた上でお答え申し上げたいと思いますが、一般論といたしまして、この交換事務開始というものの基準が低過ぎやしないか、他に道がないかというような向きの御意見もあったようですが、実は、交換事務開始をする場合、交換事務開始にかわるべき方法として、私どもは飛び地加入という制度をとっております。それはどういうことかと申しますと、交換事務開始ほどの加入はない、またそこには郵便局もないというようなところで、ある程度の数がある、しかもそれは多数共同のような形でもある程度間に合うということでありますと、その部落を一括いたしまして局からケーブルなりあるいは電線を引いて参りまして、そうして部落の中心までは全然設備費をちょうだいしません。公社の方で持ち出しにしまして、それから先につきましては、この何メートル以内の間でしたら、たとい電柱を立てましても別に御負担をかけない。そのようなわけで、交換事務開始と同じような集団の加入、しかも何ら設備費もちょうだいせずにやる、こういう方法を考えております。あながち交換事務開始でなければ救えないという場合だけではないのであります。また、交換事務開始がより便利であるし、将来もそこに局を置いた方がいいという場合におきましては、もう交換事務開始をやる。こういうように、その実情によりまして考えて措置をしておるわけでございます。
  229. 片島港

    片島分科員 郵便局もないところに交換機を置けと言うのは無理でありますから、私も郵便局のないところに交換機ばかりを置けと言うわけではありません。私の言っておるのは、郵便局のあるところのことを言っておるのであります。飛び地加入についてはもちろん私も承知をいたしておるし、またやっておられるのでありますが、しかし、現存しておる交換機、交換台もあって交換事務を取扱っておる局を、その局を拡張するようなことはしないで、郵便局も現在はあって通話事務を取扱っておるのだが、ここに交換開始をするならば、現に三十なり四十なりという加入者が申し出ておるのですから、そういうところに対する交換開始を、通話局を交換局に切りかえるとか、あるいは現在の交換台が非常に狭隘でもう収容力がないというところを、土地の要望によって交換台を取りかえて収容力を多くするということは考えておられぬのかどうか。かえって、昔は、五人であっても十人であっても交換台を据えてやって非常によく便利をはかってくれておったが、最近、公社になると、なかなか、独立採算制というか、やはり商売気がどうしても強く出てきて、もうかるところにはうんとやるけれども、いなかの方であまりもうからぬところは手が回らぬというような現象が現実に出てきておるのではないか、これを何とか救うてやる道はないかということを言うておるのです。
  230. 靱勉

    ○靱説明員 片島分科員のお話、まことにごもっともな御意見でございまして、私どもも、電話がよくなって、農村に悪い結果を及ぼすというようなことはもってのほかだと思っております。そこで、非常に遠隔の地につきましては、今後におきましてやはり交換事務開始というものを考えなければいけないということを一つの対策として考えております。さらに、交換開始にならないでも、あるいは十ないし二十くらいの御希望の方があれば、群衆電話という施設——もちろん通話の秘密も確保できますし、相互間でも通話ができ、さらに隣接の局へも迅速につながるという自動の機械であります。これは維持が非常に簡単でございまして、たとえ郵便局がなくても、どこかあるいは公けの機関におまかせして、できれば簡単な交換施設でそういう二十、三十のところは開設し、さらにそれより非常に少いところにおきましては自動公衆電話をつけまして、それを共同で使用する、そういうことによりまして、離れた地域におきましても電話が普及できるようにしたい。実は、本年度から無電話部落対策と申しますか、電話の非常に少いところの対策ということを考えて、三十二年度予算としましては十五億を見るというようなことになっておるわけであります。さらに、町村合併に伴うところの電話局の整備に伴いまして、そこにありまする需要にはできるだけおこたえする、こういうようないろいろな方法で、今片島分科員のおっしゃったように、不利になるというようなことがないように計画いたしたいと思っております。
  231. 片島港

    片島分科員 今無電話部落の解消というようなことでお話がありましたが、これは農村の今電話に非常に不便をしておるところの部落における公衆電話の設置の問題でありますが、三十一年度に四億円の予算をもって四百個ほど実施をせられたようであります。三十二年度の予算を見ますと、十五億円によって三千個の公衆電話をつけようとしておられるのでありますが、四億円で四百個を作る場合でも、なかなか遠距離のところになりますと単価に拘束をせられて、できるだけ現在の局から近いところで不便なところというようなところを自然当事者としては選ぶようになるのであります。ところが、四億円、四百個というと、一個が百万円平均であります。これは実績はもう少したくさんつくようになっておるかもしれませんが、単価として約百万円、ところが、十五億円、三千個をつけようということになると、単価の面で三十二年度は半額に減らされておる。ちょうど建設省で住宅を建てるときに、予算がふえたふえたといっておるが、内容的には非常に狭い住宅を建てて戸数でこなそうということをやっておりますが、今度も数は非常に多いけれども、数に比べる場合に予算額としてはきわめて少額に過ぎるのじゃないか。こういうことになりますと、来年度こそはと思って非常に期待をいたしておりました電話局から遠距離にある非常に不便なところの人々は、逆に今度は局から近いところだけの数だけふやそう、数でこなそうというような計画によって、さらに救われないような結果になるのじゃないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  232. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいまの御質問お答えいたします。無電話部落に対する施設の建設の方法でありますが、これはいろんな方法がありまして、たとえば、従来ある線に新しく添架していく方法をとるか、あるいは簡単な搬送をかけていく方法、あるいはまた、RDケーブルといいまして、鉛被を使わないケーブルを使いますとか、あるいはまた、柱を少し細かくいたしまして経済的に設置する、あるいはまた、距離がうんと長い場合には簡単な超短波の無線電話を使う、そういったいろんな方法があるわけでございます。それで、三十一年度におきまして大体百万円でやりました場合には、たとえば北海道あたりの遠いところでは超短波を使っていくというようなことも考えておりますし、一般的に多少余裕を見たのでありますが、それを実際行なってみますと、その設計を切り詰めて、与えられた金額の中でできるだけたくさんの電話をつけて無電話部落を早く解消したいということで、新しい技術を入れたり、あるいは設計を切り詰められる範囲において切り詰めていくという方法においてやったのでありまして、遠いところは全部あと回しにするということは考えていないのであります。
  233. 片島港

    片島分科員 それでは、金額の割に個数がふえておるけれども、その設置する基準等について今年度と変らないように実行できるということでございますか。
  234. 米沢滋

    ○米沢説明員 なるべくそういうふうにしたいと思っております。ただ、たとえば超短波の配分とか、そういう点におきまして多少変るかもしれません。非常に遠くなって参りますと、超短波を使った方がいいというところが出て参ります。しかし、これなんかは地形によってやはり使えるところと使えないところがありますから、そういう点は実情によって考えなければならぬと思います。
  235. 片島港

    片島分科員 どうしても、こういうことになりますと、やはりできるだけ安易な方法でやろうということになって、不便なところが実行の場合にあと回しになるということが出てくると思いますが、どうか実行の場合にそういうことがないように、公社として善処していただきたいと思います。  最後に、給与問題についてお尋ねしたいのでありますが、一般職公務員の給与改訂によって電電公社の従業員は何らかの措置を講ずる必要はないか。また、一般職の公務員の給与体系の改定が何らの影響を及ぼさないかどうか、この点をお伺いしたい。
  236. 靱勉

    ○靱説明員 実は、予算政府の方に提出いたしました当時、必ずしも公務員の給与改訂というものは決定いたしておりませんでした。私ども、あるいは昇給その他につきまして予算上折衝いたしましたし、それが政府予算案決定以前に公務員のものもきまって参りましたので、公社としましても若干の給与改善の必要ありというような意見を持っておりますが、ただいまのところ、公社としましては、組合との間の団体交渉で在来やっておりましたが、ついに両者妥結に至りませんで、紛争状態になっておりますので、現在調停委員会にかかっております。調停委員会の調停の結果、あるいは予算的措置その他の条項を入れることになりますか、さらに仲裁へいきますか、新聞等において報道されているような程度の給与改訂が公務員に出されますと、公社職員の給与につきましても考慮しなければならぬ問題があるというふうに考えております。
  237. 片島港

    片島分科員 公務員に対する給与の改訂は、すでに法案も準備せられて、また予算にすでに盛られておるのでありますから、それが実施せられるということは、大体今日の政府及び与党の勢力から見ても実施できると考えなければならぬのでありますが、それによって影響を受けるということになるならば、やはり公社予算においてすでにその点も準備をしておかるべきであったと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  238. 靱勉

    ○靱説明員 公務員のベース・アップといいますか、給与改善によって影響を受けるという意味についていろいろあるのでありまして、もちろん、公社の職員の給与は、公務員の給与と民間の給与との関係その他の事情を勘案してきめる、こういう形になっておりますが、現に三公社五現業と申しますか、これにつきましては団体交渉が主体でありまして、あるいは人事院の勧告というものもないわけです。そこで、労働委員会というものが設けられておりますので、これらにおきまして両者の紛争を解決するというふうな態勢になっておりますから、それを見越して予算考えるということは、これは政府の方においてもなかなかできないことではないか。また予算性格としますと、公社の立場としましては予算を作って政府提出いたしますが、これの調整権というものは郵政大臣大蔵大臣が持ちまして、政府予算の一部として提出する、こういう格好になっております。
  239. 片島港

    片島分科員 公務員が実施せられるということになりますれば、当然これは公社側として検討していただかなければならぬと思うのであります。また、同時に、団体交渉によって給与体系が決定することになっておりますから、調停に出されればその結果に従って、また公務員の昇給等の関係を考慮して、すみやかに公社の態度を決定していただくようにお願いをいたします。  それに付随いたしまして、昇給率の問題でありますが、予算上四%見てあるようでありますが、それに間違いございませんか。
  240. 靱勉

    ○靱説明員 間違いございません。
  241. 片島港

    片島分科員 昇給率の問題は非常に重要な問題でありまして、私は去る国会において内閣委員会でも政府当局に質問をしたのでありますが、昨年度の国民所得が一〇%以上回っておる、また来年度においても、経済企画庁の発表によりますと七・五%もふえる、こういうことを政府当局が公認しておるのであります。そういたしますと、電通の従業員は四%しか昇給をしないということになりますと、一般国民の所得が相当上っておるのに、その上り方というものは昇給以外には所得の上る方法はないのでありますから、一般国民ほどは所得を上げなくてもいい、こういうふうなお考えで四%を組まれたのでありましょうか。
  242. 靱勉

    ○靱説明員 昇給率につきましては、単に電電公社だけでございませんで、三公社五現業、もちろん公務員におきましても四%という、みんな一律のことになっております。私ども予算を策定した場合におきまして、これには問題があったが、そういうふうに予算案では決定したわけです。  なお、関連して申し上げますと、先ほど御質問のありました労働委員会の裁定の場合に対しまする措置といたしましては、お手元に届いておると考えるのでありますが、三十二年度政府関係機関予算総則の第二十五条に、給与に関する公共企業体等労働委員会の裁定を企業の経営に及ぼす影響等を考慮した上で実施することが適当であると認められる場合において、郵政大臣大蔵大臣に協議して定めるところにより、郵政大臣の承認を経て、経費の流用もしくは予備費の使用によって給与総額を増すことができるというような予算総則がついておるわけでございます。
  243. 片島港

    片島分科員 一般公務員については、このたび予算的に一人当り千円をこえる昇給が行われるので、これは私たちいろいろ批判を持っております。また、今度の公務員の給与体系は、電電公社にこれを適用した場合にはきわめて不適当であると私は考えておるのであります。しかしながら、一応そういうふうな昇給を行い、給与体系の改訂を行なっているのでありますから、一般公務員と違った配慮のもとに、また団体交渉によって給与を決定する、しかし予算を編成する場合には、団体交渉によらないで公社側で相手側に関係なく予算を編成せられるのでありますから、やはり一般公務員などとは関係なく、公社は独自の立場において、一般国民所得が上昇するような気配にあるならば、またそれを政府が公認をしておるならば、それに伴う給与の上昇ということを当然検討せられてしかるべきである、一般公務員もそうだし、まあ仕方がないということでは適当でないと思うのですが、いかがでありましょうか。
  244. 靱勉

    ○靱説明員 通常の昇給率というものにつきましては、各機関それぞれ変えるということは、実際におきまして、政府関係機関予算としまして、私どもは現在の態勢におきましては困難だと存じております。これは各企業体それぞれ変っておると思います。そこで、ただいま御指摘の、公務員の方が上る場合に、お前たち、国民所得の上昇率等から見ても少いではないか、こういう御質疑でございますが、これはただいま申し上げましたように、私ども、現在の給与総額制度というものがございまして、なお電信電話公社、三公社につきましてはかなり弾力条項がございます。それらを合せまして在来、何と申しますか、それぞれ措置して参っておるのであります。もちろん、いろいろ理想の体系は公社自身としても真剣に検討いたしておるわけでありますが、今回の公務員の給与改善にマッチすると申しますか、それに対するいろいろな影響を考慮しての問題は、やはり労働委員会の裁定等を待って措置するというような考えのもとに、この際いたさなかったのであります。
  245. 片島港

    片島分科員 最後に、国際電電の従業員と、あなたのところの従業員との間の給与には非常に開きがあるのでありますが、これはどういうふうにお考えになられるか。人のところのことは私のところでは知らぬとは、私は申されないと思う。今おっしゃったように、公務員の給与、民間給与等の状態を見て従業員の給与をきめるというのでありますが、その民間の給与のうちで最もあなたたちと近しい間柄にあるのは国際電電でありまして、国際電電はあなたのところと一緒だったのが、法律によって持株を向うの方に譲りまして、そうして実は分れた、きわめて血のつながった従業員が多いのでありますが、その間に給与の非常なる差額ができておるということに対して、公社当局はどうお考えになりますか。
  246. 靱勉

    ○靱説明員 各企業体におきまする適正なる給与というものは何かということは、私は非常にむずかしい問題であると存じております。公社としましても、これは真剣に検討して参らなければならないわけでありますが、要するに、独占的な公共事業であるという点を考えますと、やはりこの事業発展によりまして、利用者の方といいますか、広く申せば国民利益を増進する、また、その事業発展によって、国民利益に関連いたしますと同時に、それに従事する職員にも適正なる給与を支給していく、これは当然の要請でありますので、私ども、まず基本的に考えるべき問題は、公社の事業体としての性格、それの財政状況、業績、事業発展ということから一つの理想的なものを出すべきだ。しかしながら、それが直ちに給与の是正ができるような状態にかりにあったとしましても、現在の公社法の建前で申しますと、公務員と民間企業の従業員その他諸般の状況考えて給与準則がきまってくる、こういう状態でありますから、当然世間を見回さなければならぬわけであります。その点におきまして、同種の企業との比較が問題になりますが、その場合、今御指摘のように、全く同じような事業と申しますれば、国際電信電話会社事業と公社の事業は、公衆電気通信業務として同じでございます。そこで、現在相当隔たりがございますが、ただいま申したような次第で、もちろん国際電電の職員に対する給与の状況というものは私ども注意しまして参考ともいたしますが、それに対する批判を今求められましても、根本的には、今申したような企業の本質、性格、それの社会的利益の分配というようなものから考えまして、おのずからそれぞれの企業体として給与はきまるものと考えております。
  247. 片島港

    片島分科員 これはなかなか微妙な問題でありますので、私はまた他日の専門の委員会においてお尋ねいたしたいと思います。  最後に、電話事業が非常なる発展を遂げておりますが、電話事業発展に伴って、——これは伴ってと言っても差しつかえないくらい電信事業は非常に進展をしていない。むしろ事業が圧縮されておる。そのために非常な努力をせられておるにかかわらず、他の五カ年計画が順調な歩みを見せておるにかかわらず、電信関係が五カ年計画の線に沿っていけないで、特に機械化の問題が今日に至るまで遅々として進んでおらない、合理化も進んでおらないという一番大きな理由はどういうところにあるのか、お伺いいたしたいと思います。
  248. 靱勉

    ○靱説明員 今おっしゃる通り、電話の発達に比べますれば、電信は、かなり飽和状態と申しますか、そういう状況にあると申して差しつかえないと思います。普通の電報としましては通数が若干減ってくる傾向にあります。しかしながら、専用電信と申しますか、電信の新たな利用方法というものはむしろ増加しておるのでありまして、電信事業全般として縮小過程にあるとは考えておりません。しかしながら、一応年に百億円近くの赤字というものが概定されるという状況から見ますれば、それの合理化というふうなものはむしろ国民の皆様に対する私どもの責任かと存じまして、いろいろと合理化の施策もこれから実行して参らなければならぬわけでございますが、在来、電信におきましては、かなり人に期待される、人の占める割合というものが大きかったのであります。配達は完全に人がしなければならぬというようなことで、人件費が支出 大きな面を占めておるわけであります。そこで、合理化あるいは機械化が非常におくれておることは事実でございますけれども、一方、あまりに急激にこれをやることによって職員に非常な不安動揺を与えるということもどうか、また、技術の新たな発達も考慮して、これは適時適切に実施していかなければならぬというような考えのもとに、若干スピード・ダウンしたという点はございましたが、今おっしゃられたように、逓信事業全体が衰退をたどっておるというような考えではなく、むしろ新しい技術を入れましてもっと発展さすべきものだと考えておりますので、それらの発展とにらみ合せて合理化施策も推進したい、こういう考えでございます。
  249. 片島港

    片島分科員 それでは、時間が参りましたので、他日に譲りまして、私の質問を終ります。
  250. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 これにて各省に対する質疑は一応終りましたが、さらに御質疑があれば承わります。——別に御質疑がなければ、これにて予算各案に対する運輸省郵政省及び建設省所管の質疑は全部終了いたしました。  この際お諮りいたします。昭和三十二年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管についての討論採決は、これを予算委員会に譲るべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 宇都宮徳馬

    宇都宮主査 御異議なしと認め、さよう決しました。  これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。  分科員各位の御協力に対し、厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。    午後四時四十七分散会