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西村(榮)
分科員 あなたが今御答弁になった四億、五億ドルの手持ちというものは、私はこれは今の
日本の産業規模の最低限だと思います。これを食うわけにはいきません。そこで私はあなたの答弁の中に苦しいところもよくわかります。苦しいからこそ長らく御
説明なすった。苦しい点は私はよくわかりますが、私の心配するところは、ことしの生産規模は
政府の原案によると一二・五%ふやす、こう言っております。
輸入は一〇%ふやして、
輸出は一三%ふやすと言っております。ところが私はその
貿易計画に対していいか悪いかという議論をする前に、もっと大切なことは
日本の
輸出を伸ばし、同時に
日本の産業の底固めをするための必要なものは、何と言っても通貨の安全性を確保しなければいけない。これは
貿易のつじつまを合せねばならぬ。そうするとあなたはいろいろ今御
説明になりましたけれ
ども、あなたの御
説明の根底が狂っているということは、すでに昨年度だけが
輸入量が三十二億二千八百万ドルです。これからいくとあなたの方の
政府の統計によると、一〇%ふやすということになると、これはすでに統計からいっても、
政府の
貿易計画からいっても、実績からいっても、三億五千万ドルほどの赤が出てくる。数字を積み重ねると言われたが、数字の積み重ねは実績で積み重ねねばいかぬ。すでに三億五・六千万ドル
政府の
計画からいくと赤が出る。あなたがしりをとんとんにしたのは偶然であって無理にしたのじゃない、こうおっしゃるのだが、
政府の
計画からいくと、くどく言うけれ
ども昨年度は三十二億二千八百万ドル、これが一〇%ふえれば三億ドル。現に、それは去年の話ですが、ことしの一月になってがぜんとして
輸入はふえております。去年の一月の
輸入は二億一千八百万ドルでありましたが、ことしは三億二千八百万ドルです。それに対しまして
輸出は去年は一億四千九百万ドルでありましたが、ことしは一億六千九百万ドルで、伸びは去年の約六〇%しか伸びておりません。しかるに
輸入の方はといいますと、
輸入の超過した分は去年よりも一四〇%超過している。これは一月です。もちろん季節によって違いますけれ
ども、この数字を見ますと、
貿易の国際収支の面においてがく然たるものを私は発見するのです。そこで私は
政府が提出された予算案の中に四つの欠点があると思う。欠点が
一つ指摘された。こまかいことですが、在外資産の返還で池田君はとうとう
——あれは初めからすなおに、いや十億円は計上したのだけれ
ども、それは引揚者に対する
一つの政治の真心を計上しただけであって、これから計算しまして財政と引揚者のお気持とを見合って万全の措置を講ずる、とりあえず財政法違反か何か知りませんが、苦しい人の
立場を尊重して、これは政治の真心を計上したと答弁されればよかった。理屈を言うて通そうとするから、これは一ぺんとっちめておかなければならぬというのでこらしめられた。だから陳謝文を読まなければならぬ。そこで第二の穴はここにある。そこで私は
予算委員会の派手なところでやらずに、あなたと私は年来の友人ですから、静かに心境を聞いてみようと思った。結局数字において穴があった。そこで答弁が困難なら答弁なさらなくてもいいのですが、それならそういう数字のもとにおいて、
日本の将来の
輸出計画はどうするかということなんです、私の言うのは。国際収支をこの
現実に直面してどうバランスしていくか。もうおやめなきい。在庫品が四億、五億とあるからこれで食えるのだというようなことは
日本の産業界を押える。それから
輸出の問題についても、あなたは二十八億が一千万ドル切れればおれはやめる、と悲壮な決意はごけっこうですけれ
ども、そう悲壮がらずに冷静に善処した方がいいと思う。すると問題は、
輸出がどれだけ伸びるか伸びないかということはいろいろ国際
関係によって違いますが、
現実においては
輸入がこれだけ伸びざるを得ない。そうすると
政府の国際収支はどう見積っても、
輸出が
予定通り伸びても三億五千万赤字が出る。私は二十九年のあのデフレ恐慌の大きな惨害は、国際収支のアンバランスから来たということを
考えてみますと、一体これはどう善処されるか、このことなんです。