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井堀分科員 自治庁長官の誠意ある態度を私はそのまま買いたいと思う。しかし井本
刑事局長には言っておきたいと思います。こういうようなものが犯罪になるかならぬかは別として、調査ができてないというようなことはうかつ千万だ。そういうことでは厳正公正を欠くのです。この点についてはきょうは法務
大臣に
一つ出ていただいて、もう
一つ大事な点をお聞きしたがった。それは今度の市長の
選挙と同時に行われまする五人の市会議員の補欠
選挙なのです。この五人の補欠
選挙は皆さんも御存じだと思いますが、前の市長の
選挙のときに
選挙違反を犯して最高裁の決定で失脚した方なのです。その補欠
選挙なのです。そうしてこの候補者の中には、失脚したにもかかわらず、時たまたま国連加盟の恩赦で資格が復活したというので、その人が再び立候補しておる。それからこの
選挙違反の
内容はあなたもよく知っておられると思う。かなり露骨なものなんです。この旅行は公然とやっておるから——大体犯罪というものは隠れてやるものだとあなたが善意に
考えておることは私も否定しない。
一般にそう
考えられておる。ところがこの五人の人が
選挙違反してひっかかった
内容は御存じのはずです。こういうようなことが公然と行われたからということによって、犯罪行為を構成する条件が何か阻却されるようなお
考え方は生まれてこないはずです。いみじくも四年前の市長の
選挙のときに、これは高石さんの方の側ではなしに、名前は申し上げませんけれ
ども、その候補者のために買収行為をやって、あるいは供応を公然とやって、実に派手なものです。さすがに検察局も目をおおうことのできない、公然とかかる露骨なことをやっているのです。さしも法廷でい一ろいろと弁護いたしましたけれ
ども、一弁護かなわず、五人の人はともに公一民権停止です。あま執行猶予になっておりましたけれ
ども……。きょうはぼくはその点について法務
大臣に伺うつもりなのです。信賞必罰をやかましく言う
内閣が、この前の恩赦について実はきょう聞こうと思ったが、法務
大臣がいらっしゃいませんから、国務
大臣でおありの
自治庁長官に御答弁をいただいてもいいと思うのです。これはこの前、恩赦の出る前にこういう問題については、特に
選挙違反の犯罪に関連する
人々が恩赦の対象になるということは、世論からも非常なひんしゅくを買ったわけである。こういう問題については、
国会には公職
選挙の特別
委員会が設置されておるわけです。この
委員会ぐらいにはその報告をしてもいいのじゃないか。その報告を当時の牧野法務
大臣にわれわれは要求いたしたのにもかかわらず、とうとう出てこないで、政務次官が出てこられてお茶を濁したという事実がある。そのときに、われわれはあらかじめ予見できたことだ。裁判所のことを私はよく知りませんけれ
ども、要するに前科を刑の裁定の際に問題にしていることは、古今を通じて
一つの常識になっております。前科があるかないかということによって非常な違いが出てくる。
選挙違反などというものは、特にそういう場合には、一体この
地方はどういう
選挙がふだん行われているか、もう私は多くを述べぬでも、この事例でわかるように、
選挙管理委員長がこういうところへ入っていくような状態のところですから、事態も想像がつくでしょう。そういうときにたよりになるものは一体何ですか。司法権じゃないですか。その司法権と表裏一体の形で動かなければならぬ刑事行政というものが、こんなざまで一体どうなるかということは1私が
関係者でなければもっと強いことが言えるのでありますが、不幸にして私がこの土地の者でありますために、多くを述べることを遠慮いたしておりますけれ
ども、私は何も人を憎んでおるのではありません。東京の近郊にこういう
選挙が公然と行われて四年前にやったことをまたやるのです。私は刑事罰が妥当な罰だとは
考えません。要するに
民主主義の一番強い罰は、やはり世論と高い道徳からくる罰でなければならぬのです。そのことは前から述べておるところでおわかりの
通りなのです。やはりそういう感覚とそういう
考え方というものか、刑事行政の中に現われてこなければ、六法全書だけでやってもらえばいいのです。機械的な労務でいいわけであります。この点はまことに残念しごくでありまして、私はこの質問をこういう結論に持ってくるつもりではなかった。せっかく
田中自治庁長官が誠意を持ってお答えになっておりますから、できるだけその誠意を買って、できたことを、私は罰をもって臨むということよりは、こういう事態を払拭するためには、お互いに重大
責任があることを痛感するからであります。
長官がこれを
一つのあれにして、
全国的なものを調査なされるという誠意は非常にけっこうだと思う。私は信賞必罰の基準というものが、どこに置かれているかということがよくわかりました。いずれ
総理大臣が御出席になるでありましょうが、
国民に誓い、神に誓ったあの誓いの
内容については、かくのごときものであることを明らかにされましたから、その上に立って次の
委員会で私は質問を試みるつもりでおります。そのときにはぜひ
田中長官は立ち会われて、御証言を願おうと思っております。
以上で私の質問を終りたいと思いますが、最後に
一つだけ、今言うようにこの前の国連加盟によって恩赦を受けた人は、それはもちろん
法律的、形式的にいえば恩赦ですから、前科が解消することは当りまえですが、事実は消えません。しかも前期の市長
選挙のときに
選挙違反を犯した者が今度の
選挙のときにまた出るというのはどういうわけであるか。これは今後の
政治の基本的な問題になると思うのです。こういうものに対する
政府の判断を伺っておきたい。それから恩赦を下した
政府の
責任は重大です。前の
政府でしょうけれ
ども、しかし同じ
政党内閣ですから、これに対する
田中長官の御見解だけを伺って私の質問を一応次の
一般質問に譲りたいと思います。