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1957-05-16 第26回国会 衆議院 本会議 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十六日(木曜日)     —————————————   昭和三十二年五月十六日     午後一時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの   件  岸内閣総理大臣アジア諸国及びアメリカ合衆   国訪問についての発言及びこれに対する質疑  南方同胞援護会法案床次徳二君外四名提出)   トランプ類税法案内閣提出)  準備預金制度に関する法律案内閣提出)  医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予   備試験の受験資格の特例に関する法律案(野   澤清人君外八名提出)  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(瀬   戸山三男君外七名提出)  農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及   び公立高等学校の教員に対する産業教育手   当の支給に関する法律案赤城宗徳君外七名   提出)  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案   (永山忠則君外八名提出)  盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部   及び高等部における学校給食に関する法律案   (参議院提出)  公立学校学校医公務災害補償に関する法律   案(参議院提出)    午後一時二十九分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの   件
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。内閣から、国家公安委員会委員高野弦雄君を任命したいので、警察法第七条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  アジア諸国及びアメリカ合衆国訪   問についての岸国務大臣発言
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 内閣総理大臣からアジア諸国及びアメリカ合衆国訪問について発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣岸信介君。(拍手)   〔国務大臣岸信介登壇
  6. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 私は、来たる五月二十日東京出発ビルマインドパキスタンセイロン、タイ、中華民国の諸国を歴訪し、六月四日帰国の後、さらに六月十六日東京出発、七月一日帰国の予定をもって米国訪問することとなりましたが、これら諸国歴訪の途につくに当りまして、本日ここに所懐の一端を申し述べたいと存じます。(拍手)  私は、かねてより東南アジア諸国訪問したい強い希望を抱いていたのでありますが、それは、アジアに対し深い関心と共感を持っており、アジア諸国との友好関係増進強化念願しているからにほかならないのであります。(拍手わが国は、アジアの一国として、アジア諸国とは地理的、歴史的、文化的に深いつながりを持っており、アジア繁栄と平和なくしては、わが国繁栄は望み得ないのであります。さきに、当国会の劈頭、施政方針演説で申し述べました通りアジア諸国との善隣友好関係の確立は政府外交方針基調とするところであります。  東南アジア地域は、今や独立を達成して十有余の独立国となり、困難な国際情勢のもとにあって、幾多の障害を排しつつ、それぞれ、政治的に、経済的に、独立の完成と国民生活近代化に向って非常な熱意を持って邁進しているのであります。これらの建設が進むことは、アジアの自由と安定、ひいて世界の平和と人類の繁栄をもたらすものでありまして、私はこれら諸国建設がすみやかに完成されることを念願するものであります。アジア諸国は、一昨年のバンドン会議により、世界平和維持のために大きな貢献をなしたのでありますが、国際社会においても、アジア諸国発言は著しくその力を増すに至りました。今日、国際政治の分野において、アジア諸国は重要なる要素であるとともに、世界平和の維持促進の上にきわめて大きい使命を持つに至ったのであります。わが国は、今後ますますアジア諸国と協力し、世界繁栄と平和に貢献したいと存ずるものであります。(拍手)  多年の念願たる独立をかち得たアジア諸国が当面している最大の問題は、いかにしてその政治的独立経済的裏づけをするかということであります。これらの諸国は、各国とも、産業開発計画を立てて、その実施に鋭意努力をいたしているのでありますが、産業開発には多額の資金と技術を必要とし、これらが十分でないことが険路となっている現状であります。わが国としては、アジア諸国経済建設には深い理解と同情の念を有するものでありまして、あらゆる面からこれら諸国経済開発に大いに協力したいと考えます。(拍手アジア諸国経済開発促進されることは、とりもなおさず、アジア諸国間の通商を促進し、アジア全体の経済発展をもたらすのみならず、世界経済発展に寄与するところが大きいのであります。  私は、今回アジア諸国首脳者と親しく会って、これら諸国が戦後苦難の道を歩みつつあったわが国に対し終始与えられた好意と支援、特にわが国国連加入についての支持に対しまして深厚の謝意を伝えたいと思いますと同時に、アジア人としての立場に即して、わが国とこれら諸国との親善友好関係増進経済協力文化提携促進について話し合いアジアの興隆と世界の平和について隔意なき所信交換を行い、わが国今後のアジア外交の積極的な展開に資したい考えでございます。(拍手)  なお、今回の旅行はきわめて短時日をもってする関係上、アジア諸国全部を訪問することができないのはまことに不本意でありますが、私としては、訪米後なるべく早く他の諸国訪問を実現する機会を得たい考えであります。  次に、米国訪問につきまして申し述べたいと思います。  自由民主主義を堅持せんとする日本が、志を同じくする他の自由民主主義諸国と協調を保ちつつ世界平和の増進に努めることを外交基調とすべきことは、申すまでもないところであります。私は、アジアの一国である日本にとって、自由世界主導的地位にあると同時に、アジアの平和と繁栄について重大なる関心を有する米国との協力関係が重要であると信ずるものであります。(拍手)  米国との協力関係維持増進することは、サンフランシスコ平和条約により日本独立を回復して以来、歴代内閣が踏襲してきた一貫した外交政策であり、また、現内閣においても、この基本方針にいささかも変るところはないのであります。しかしながら、日本が昨年ソ連との国交を回復し、さらに国連に加盟して、完全なる国際社会一員となった今日においては、日米関係もおのずから新たな段階に入ったと申さなければなりません。(拍手)私の今回の訪米は、このような新たなる段階に即し、あらためて、今後の日米関係のあり方について、米国政府最高首脳者と率直な話し合いをなさんとするものにほかなりません。今後の日米両国がとるべき政策を論ずるに当っては、現在の国際情勢と今後の動向についての認識を一にすることがぜひとも必要であることは、申すまでもないところであります。  私は、また、米国政府首脳者に対して、戦争の防止と世界平和の維持に対する日本国民の強い希望理解せしめると同時に、日米協力関係増進するためには両国間に真の相互信頼関係を築くことが欠くべからざるものであることを強調する所存であります。(拍手)また、このような相互信頼関係を確立するためには、両国が基本的にいかなる政策をとるべきであるかについても、腹蔵ない意見交換を行いたいと考えている次第であります。私は、米国が究極の目的とするところは世界の平和と安全の維持であり、また、真の独立国としての日本との協力関係増進することが米国念願であることを信ずるがゆえに、両国間には基本的には何等の利害の対立はないと考えるものであります。私は、このような観点から、私の所信意見米国政府要路者に開陳すると同時に、また、先方からも同様に率直なる意見表明がなされることを期待しているものであります。  今や、完全なる国際社会一員として、真の独立国としての立場を主張せんとする日本としては、みずからものを言うと同時に、相手国の言い分に対しても、堂々とこれに耳を傾ける襟度がなければならないと信ずるものであります。(拍手)それでこそ、初めて真の平等関係に立脚した日米両国協力関係が実現するものといわなければなりません。私がさき日米関係が新たな段階に入ったと申したのも、まさにその意味にほかならないのであります。  私の今回の訪米は、具体的問題についての交渉意味するものでもなければ、また、日米間の懸案をこの際一挙に解決することを目的とするものでもないことは、申すまでもないところであります。(拍手日米協力関係は、今後の国際情勢の推移とも関連し、絶えず発展すべきものである以上、一回の会談においてすべてが解決すると考えること自体が誤まりであると考えるのであります。しかしながら、基本的な問題について、米国政府最高首脳者と直接忌憚ない意見交換を行うことにより、よりよい相互理解が達成され、今後具体的問題についての両国協力関係増進するための基礎が築かれるであろうことを強く期待すると同時に、そのことが可能であることを、かたく信ずるものであります。(拍手)      ————◇—————  アジア諸国及びアメリカ合衆国訪   問についての岸国務大臣発言   に対する質疑
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの発言に対し、質疑の通告があります。これを許します。勝間田清一君。   〔勝間田清一登壇
  8. 勝間田清一

    勝間田清一君 私は、ただいま行われた岸総理所信表明に対して、日本社会党を代表して、若干の基本的な問題についての質問をいたしたいと思います。(拍手)  岸総理がこのたび進んで海外旅行し、それら諸国人民指導者友好関係増進し、重要な外交問題について意見交換し、さらに国際情勢について認識を深めることは、きわめて有意義であると思うのであります。(拍手)特に、わが党再主張したごとく、アメリカ訪問する以前に、まず東南アジア諸国を歴訪する順序をとったことは適切であります。しかし、岸総理が単なる引き継ぎ政権ではなく、国会を解散し、国民に信を問うて、権威ある政権代表者として出発する手段がとられなかったことは、この旅行成果と意義をきわめて減殺するものであります。(拍手)けだし、政権維持選挙目当て海外旅行参観交代に似た屈辱旅行は、いかなる意味においても相手の尊敬を受けることはあり得ないからであります。(拍手)また、今日のアジア情勢を観察するときに、賠償問題や経済提携等できわめて重大な関係のあるインドネシアやフィリピンを除外し、この際特に台湾訪問することが果して妥当であるかどうかに疑いを持たんとするものであります。(拍手)何となれば、日本中華人民共和国との国交回復問題は、わが国当面の重大課題でありまするが、目下の中国台湾との関係は、一つには、中国の第三次国共合作の呼びかけがあり、一つには、アメリカ台湾への誘導弾の持ち込み、第七艦隊原子兵器による装備等によって、きわめて重要かつ微妙な関係にあり、新たな緊張さえ看取されるのであります。従って、今日、岸総理の日程について、岸総理は再考を要するものと考えるのであります。(拍手)  私の第一の質問は、東南アジアの問題についてであります。東南アジアSEATOグループAAグループとの二つに分れているといわれております。過般バンコックで開かれたエカフェの第十三回総会においても、中共の参加問題や総会主導権をめぐって、この二つグループは微妙な対立を見せたと、いわれております。この傾向は決して好ましいものというわけには参りません。何となれば、東南アジアはもちろん、アジアアラブ諸国においては、それぞれ異なった歴史条件があるにいたしましても、共通の問題が数多く存在いたしているからであります。緊張を緩和し、平和を確立することにおいても、植民地主義を排撃し、独立を完成する点においても、また、経済的な後進性を克服して、近代的な生活水準人民に保障することにおいても、すべてアジアは団結し協力し合わなければならないからであります。(拍手)  しかし、これらの要請にもかかわらず、アジア分裂させようとしている力がアジア以外から働きかけておるのであります。(拍手SEATO軍事同盟はその最も具体的な例でありましょう。アメリカは、去る二月キャンベラで開かれた第三回SEATO理事会においても、ダレス国務長官をして、「ここ三年間でSEATOはその基礎を確立し、極東の平和に積極的に貢献するようになった」と広言させましたが、ダレスは、この理事会で、SEATO軍事的筋金を通し、ハンガリー事件等を契機としてアジア諸国に起きてきたソ連中共に対する不信感を逆用して、SEATO拡大強化をはかろうとしたのであります。朝鮮と同様に台湾中国から引き離し、台湾原子兵器誘導弾を持ち込んでいるアメリカ政策も、南北ヴェトナム統一をおくらしているやり方も、また、パキスタンバグダッド条約に参加せしめて、これに軍事的な援助を与え、カシミール問題を中心として対立しておるインドパキスタンとの対立を激化せしめておるというやり方も、すべてアジア二つに引きさく政策であることは共通いたしておるのであります。(拍手)  日本保守党が従来とってきた政策は、遺憾ながら、このアジア分裂を助け、そのお先棒をかつぐ役割を果したことは、断じて承認せられぬことと思うのであります。(拍手)たとえば、南北朝鮮の統一を妨げる対韓国の外交について見ても、一千万足らずの台湾を承認し、六億の中国を退け、 ココム、チンコムのきびしい禁輸政策をとっていることもその好例であります。(拍手)数億に上るアメリカ域外調達は一見日本経済に好結果をもたらしているかに見えるが、事実は、アメリカアジアに対するひもつき経済援助軍事援助に結合し、アメリカの野望とそのアジア分裂政策を助ける政策以外の何ものでもないのであります。(拍手)  吉田首相は、渡米の際、アメリカ資本日本技術東南アジアの労力と資源、これを結びつけた東南アジア開発方式を提唱いたしました。岸総理もまたこの政策を踏襲するかに見えるのであります。岸総理は、所信表明において、経済協力を推進するとか、アジア問題はアジア各国とともに解決するとか言われましたが、従来のこのアメリカ資本のそでに隠れてアジアへの進出をはかるがごとき帝国主義的政策を一擲しない限り、私はその実現を見ることは困難であると思うのであります。(拍手)また、アジア分裂せしめる政策を完全に改めない限り、アジアの平和やアジアのかけ橋を口にする資格は断じてないと思うのであります。(拍手)私は、これらの問題について、岸総理所見を伺いたいのであります。  日本は、今や、こうした政策を改めなければなりません。アジアアラブの精神に帰り、その国々の独立統一に協力し、対立緊張を緩和し、それぞれの国が自主的に立案している経済開発計画日本技術をもって援助協力する政策こそ、日本の平和と繁栄を保障するものであると確信して疑いません。(拍手松村謙三氏は、過般、岸総理の代理として、東南アジア訪問されました。帰国後、ある週刊誌感想文を寄せて、私は中立外交を支持すると言い切りました。(拍手)これこそ、アジアの事態を冷静に見るものの当然の結論であります。岸総理所見を伺いたいのであります。(拍手)そして、岸総理が、インドビルマセイロン等の視察において、また、今度は訪問されないけれども、あのフィリピンにおいてさえ、彼らが何を考えつつあるかという事実を、松村謙三氏と同様に、しっかりと把握ざれることを期待するものであります。(拍手)  私の第二の質問は、中華人民共和国に対する岸総理の基本的な考え方であります。(拍手終戦以来十二カ年、いまだに日本中華人民共和国との国交回復を阻害いたしているものは、アメリカ日本に対する不当な圧迫であります。(拍手)また、これに追従してきた歴代保守党内閣従属外交の結果でもあります。(拍手)  わが党は、過般、親善使節団中国に送り、当面の貿易、漁業、文化技術あるいは行方不明者や戦犯の釈放についても具体的な交渉をいたして参るとともに、中国との国交回復に関する基本坊針についても十分な意見交換をなして参りました。そして、それらの成果はすでに共同コミュニケを通じ発表するとともに、重要なる問題については岸総理自体に対しても報告をいたしたところであります。  日中の国交回復において特に重要な問題は、無条件講和が可能であるという点であります。すなわち、安保条約ソ連中国仮想敵国とした軍事同盟にかかわらず、これが解消は講和条約前提ではないということが明らかにされました。また、もし安保条約が解消ざれるならば、それと同時に中ソ友好同盟条約も解消され、さらに、不可侵条約あるいは米ソを含む極東または太平洋地域集団的平和保障体制を確立する用意のあることが明らかになりました。特にこの際指摘したいことは、賠償等の諸懸案は友好的に解決ざれることに意見一致を見たことであります。コミュニケの中で、「長期かつ積極的な協力関係を樹立することは、諸懸案を友好的に解決せしめる基礎であるとの意見一致を見た」と明記してあります。賠償に対する中国態度が、終戦以来ここに初めて表明されたのであります。  これによって、日中の国交回復無条件解決されるとの中国態度が明らかにされました。(拍手)われわれが、日中の国交が全面的に回復するように、すみやかに両国政府間において交渉が開始されねばならない段階に来たと確認し合ったのは、当然のことといわなければなりません。(拍手岸総理がこの日中の国交回復に対していかなる考えを持って旅行せられるか、ここに明白に答弁を要求するものであります。(拍手)もし、総理が、国際情勢を口実として、まだその時期でないと説明ざれるならば、何ゆえにイギリスやインドビルマ等の多くの自由主義国家までも中華人民共和国を承認しておるかを説明願いたいのであります。(拍手)また、敗戦国日本独立国として十二カ年も中国戦争状態を終結し得ない理由は一体どこにあるであろうか。平和を回復する当然の権利が不当にアメリカに圧迫されておるのではないか。私はこれを岸総理は明らかにする必要があると思うのであります。  ひっきょう、掘り下げて考えてみると、吉田内閣によって台湾を承認し、これと講和を結んだことが、日本外交歴史における一大失策であると考えるものであります。(拍手)また、がんじがらめにあって、対米従属から一歩ものがれることのできない現保守党内閣外交そのものによるものといわなければなりません。(拍手)この責任はすべて保守政権が負うべきものである。石橋前総理は、日中の国交正常化熱意を示されるかに見えました。岸総理は、このたびの渡米に当って、当然中国問題はその議論のアイテムになるに違いない。私は総理所見を聞きたいのであります。  共同コミュニケにおいてさらに重要なことは、われわれ社会党は、二つ中国を認めず、中国一つであって、台湾中国の内政問題であるとの基本的態度表明いたしました。(拍手)このことは重要な意味を持っておるのであります。一つは、台湾中国から引き離し、台湾国連信託統治にするか、またはこれを独立せしめようとする国際的な陰謀を粉砕せんとしたからであります。(拍手)このことは、日本人の中国人民に対する唯一の義務であると思うのであります。アジアの平和をもたらす基本的条件であると確信するからであります。(拍手)また、台湾中国との関係は、あくまでも内政問題であって、いかなる理由、いかなる手段にせよ、外国がこれに干渉することは、国際秩序を乱す、許すべからざる侵略行為であると確信いたすからであります。(拍手)  特に銘記すべきことは、最近、アメリカは、台湾海域における第七艦隊原子兵器によって装備したことを発表いたしました。また、台湾マタドール等攻撃兵器が到着した旨を公表いたしました。私は、アメリカ台湾に対してこらした行為をなし得る正当にして十分なる理由を発見するに苦しむものであります。ひたすら平和を念願するアジア全民族の要望を裏切る行為であると確信いたすものであります。(拍手)  岸総理は、こうした二つ中国観に対して、また、アメリカ台湾に対する最近の軍事政策について、アジア諸国の真の叫びを正確に把握してこられたいのであります。特に、インド訪問した際に、私はネール首相とこの問題に対する十分なる意見交換を勧めんとするものであります。そして、渡米の際に、一つ中国を主張し、台湾問題の解決については、あくまでもジュネーヴにおける米中会談を続行し、ここを通じて平和的な解決をはかるべきことを要請すべきであると確信いたすのであります。(拍手岸総理はこの問題に対する用意があるかどうか、私は所見を承わりたいのであります。  最後に、安保条約並びに行政協定改廃と、日本完全独立の方策について、総理の基本的な態度をただしたいのであります。  歴代内閣は、今日まで、しばしば、総理外務大臣あるいは特使アメリカに派遣いたしました。特に、昭和二十八年九月は、吉田総理特使として池田勇人君がアメリカに渡り、池田ロバートソン会談が持たれたのであります。その目的は、MSA援助受け入れ前提とする日本防衛計画についての話し合いであったと思うのであります。次いで、二十九年十一月には、吉田総理自身アメリカ訪問いたしました。その目的は、日米間の関係強化するといった抽象的なものであって、ただアメリカ資本と提携して東南アジア開発をはかるといった間違った具体的提案をなされたにすぎませんでした。そして、最も記憶に新たなところは、一昨年夏、岸幹事長みずからも参加した通り重光ダレス会談が持たれたのであります。そのときの声明は、「日本自国防衛の第一次的責任を引き受け、そして西太平洋の安全保障に寄与する」というものでありました。この声明は、日本海外派兵に触れるものとして、内外に重大なるセンセーションを巻き起したのであります。(拍手)  これらの過去の経験に明らかなごとく、歴代内閣アメリカ訪問は、あるものは無意味に終り、あるものは重大な失敗を繰り返しておるのであります。その最大理由には、アメリカみやげによって政権維持強化をねらった歴代内閣のいやしい態度を指摘せざるを得ません。(拍手)そして、さらに重大なことは、日本完全独立を阻害し、従属化しておるところの安保条約並びに行政協定改廃に対する明確な見通しと、これに対する準備の欠けておったことを指摘せざるを得ないのであります。(拍手岸総理は、今国会において、これら両条約改廃の意図あることを明らかにされました。また、対等な形で日米関係を調整すると言われたのであります。しかしながら、安保行政条約改廃基本的構想は何ら表明せられていないのであります。(拍手ただばく然と話し合うだけではなくて、日本側のしっかりした構想を持って話し合う段階にあると私は確信いたすのであります。しからざれば、渡米が無意味に終るばかりでなく、重光ダレス会談のごとく重大な失敗となり、改廃どころか、かえって抜くべからざる安保条約の泥沼に引き込まれるであろうことは、今日懸念されるところであります。(拍手)  私は、この懸念を二つ抱いておるのであります。  一つは何か。両条約の片務性を改め、双務性へ切りかえるという方向をとる限り、重光ダレス会談に見られるごとく、憲法に違反する海外派兵に引きずり込まれることは明らかであります。そらして、この政策は、台湾南鮮と結ぶところのNEATO協定の締結か、SEATO協定参加への、最も好ましからざる方向に進むこともまた明白であります。(拍手)このことは、とりもなおさず、安保行政条約改廃ではなくて、むしろ、その体制に強化され、日本独立と平和を脅かす結果になることを指摘せざるを得ません。(拍手岸総理は、両条約改廃の問題と、この双務制の問題の起すジレンマをいかに解決せんとするのかを明白にせられたいのであります。(拍手)  第二の懸念は、両条約改廃アメリカのニュー・ルック政策との関係の問題であります。周知のように、アメリカは、そのニュー・ルック政策によって、全世界にまたがる軍事基地を原子兵器誘導弾兵器によって装備がえせんといたしております。NATOグループは、すでにこのことを承認しました。西欧連合は、去る七日、誘導弾並びに近代兵器の生産プール案を審議する閣僚会議開催を決議いたしました。西ドイツは、過般の英国のマクミラン首相との会談において、北大西洋軍を原子兵器で装備することに意見一致したと発表しました。SEATOに対し、台湾、沖繩に対し、アメリカは同様の政策をとりつつあることも、すでに明確にしたところであります。従って、安保行政条約の改正という美名に隠れて、原子兵器並びに誘導弾兵器の日本持ち込みにすりかえようとする意図のあることを懸念いたすのであります。(拍手)  岸総理が、訪米を前にして、自衛のためなら核兵器の保有もまた違憲でないと重大な発表をいたしました。このことは一脈の関係を持った重大なる発言といわなければなりません。(拍手)原水爆実験に反対していることにきわめて熱心であるかに見えた岸総理大臣は、実はみずからの腹の中に最もおそるべき原子爆弾を貯蔵しておると断言することもはばからないのであります。岸総理は、アメリカのこの要請を阻止し、しかも、安保行政条約の桎梏から日本を解放するという困難な問題を解決する責任があると確信いたします。  わが党は、安保行政両体制のワクの中で、いかに巧妙に立ち回っても、日本をこの桎梏から解放することは断じてできないものと確信いたしております。(拍手)平和憲法を唯一の武器とし、アジア善隣友好の外交基礎を置いて、両陣営を含む集団安全保障体制に切りかえることが、この桎梏からのがれ、この日本独立と平和を守り得る唯一の道であると確信して疑いません。(拍手)  岸総理訪米に当って、これら諸問題についての所見を伺って、私の質問を終る次第であります。(拍手)   〔国務大臣岸信介登壇
  9. 岸信介

    国務大臣岸信介君) 勝間田君の御質問にお答え申し上げますが、勝間田君の御質問は、私に対する御質問よりも、従来の社会党の主張を強く主張されておりまして、私自身としては、全体として、この外交政策の根本に関して、われわれ自由民主党と社会党がかくも考えを異にしておるということは、外交上きわめて遺憾と考えておるものであります。特に指摘されました数点に対して、私の所信をさらに明らかにいたします。  第一は、今回インドネシア、フィリピン訪問せずして、台湾訪問することは不可である、日程を変える意思はないかということでありますが、私が先ほどの所信声明のうちにも申しておりますように、さらに、私は、今回訪問しない東南アジア諸国に対しましても、なるべく早い時期にこれを訪問する意図でございます。インドネシア及びフィリピンを今回たずねることのできないということは、私も遺憾でありますけれども、日程の関係上やむを得なかったのでございます。従いまして、私は、今日、日程を再考し、これを変更する意思は持っておりません。  アジアの現状を分析して、アジアが二分した形になっておるということをお話しになりまして、そのことは非常に遺憾であるという御意見でございます。私も、全く、アジアの現状を見まして、そういうふうな二分したような傾向にあることは、アジアのために非常に遺憾と考えるものであります。その点におきましては、勝間田君と全然意見を同じくするものであります。ただ、その原因が、もっぱらアメリカのこの東南アジア政策がこれを二分せしめておる唯一の原因であるという判断に対しましては、私は遺憾ながら意見を異にするものであります。(拍手)と申しますのは、今日、国際の情勢が、東西両陣営といわれ、アメリカソ連を中心として二つの勢力が対立関係にあることは、私は、世界の大きな大勢であって、これまた非常に遺憾とするところでありますが、現実であります。しこうして、この両勢力がアジアにおいても相対立し、拮抗しておるということは、世界の現状からきておるものでありまして、これら東南アジア諸国のうちにおきましては、自由を愛好する国々は、ソ連からの間接的あるいはいろいろな意味における侵略をさえ強く唱えております。私は、従って、これをただアメリカ政策分裂せしめておるというような判断は、国際情勢の判断として適当でないと思うものであります。(拍手)私は、所信のうちにおいても述べたごとく、アジア・アフリカ・グループの間におきましては、歴史的にも、あるいは思想的にも、地理的にも、きわめて緊密な関係があり、この間にアジア人として共通の意識を持ち、共通に解決しなければならぬ問題を持っておるという点においては、勝間田君と同じ意見でありまして、それをいかにして解決する方向に持っていくかということが、われわれAAグループに属しておる国々の責務であると同時に、日本としても最も大きな使命の一つであると思います。(拍手)私は、世界的に見て、東西両陣営の対立を、国際連合の場において、いかにしてこの緊張を緩和するかということが、外交上わが日本の使命であると同様に、AAグループと西欧諸国との間の対立や、あるいはAAグループ内におけるところの分裂の傾向を、いかにして一つにまとめ、また、これらの対立している関係を緩和するかということは、AAグループ一員としての日本の大きな使命であると思うのであります。(拍手)  次に、日中国交回復問題についての御意見でありましたが、これは、過般、社会党の方々が中国を親善使節として訪問されました際に共同コミュニケが発表され、また、日本に帰ってこられてから、私も詳細に報告を聞いたのでありますが、私は、この日中国交回復に関する時期が今である、直ちに両国政府間において国交回復についての交渉を始むべきであるという社会党の諸君のお考えとは、遺憾ながら意見を異にするものであります。(拍手)私どもは、現在はその段階ではない、現在においては、われわれは、貿易、経済関係においてはこれが増進について努力をすべきであるけれども、政治的な関係において、正常なる外交関係を復活するとか、あるいは中共政府を承認するということは、その時期でないということを申しました。これは、勝間田君もお話がありましたように、国際的情勢も一つの原因であります。  それから、台湾政府を認めたことは失敗である、外交上大失敗であって、これは単純な中国の内政問題であるという判断に対しましては、日本が正式にこれを認め、正式にこれとの間にわれわれは条約を結び、友好関係にあり、また、国際連合における有力なるメンバーとして台湾政府が認められておる現状というものを無視しておる議論であると思います。  最後に、私がアメリカ訪問する際に、安保条約行政協定の問題についても御意見がございました。私は、すでに、この問題につきましては、しばしば私の所信国会において明らかにいたしておりますが、私どもは、社会党の諸君と違って、安保条約体制を今日廃棄するという意思は持っておりません。しかしながら、この条約が締結せられた当時におきましては、御承知の通り、われわれは日本において自衛力というものは全然皆無である、また、国際連合にも加盟をいたしておらなかったのであります。しかるに、今日におきまして、われわれは自衛力の漸増に努めて参りまして、とにかく完全に日本日本自体の自衛力でもって防衛することはまだできませんけれども、少くとも日本の防衛について相当の責任を分担し得る程度の防衛力を持っております。また、国際連合にわれわれは加盟をいたしました。国際連合の一員としてのいろいろな義務や、また当然なさなければならぬことがございます。これらを考えてみますと、今日、安保条約行政協定を根本的に再検討して、これを合理的基礎に置くということは必要であると私は考えております。ただ、今おあげになりましたが、片務的である、これを双務的に改めるというふうな形式論でこれを論ずるというと、あなたが御指摘になったような海外派兵の問題が関連してきやしないかというようないろいろな疑惑が出ます。疑心暗鬼が生ずるのであります。私は、そういう意味において、そんな形式論理ではなくして、これは今申しましたような情勢の変化によるところの合理的な基礎にこれを置くということが最も適当であると思います。  なお、この問題に関しまして、過日、私が、国会において、憲法解釈論として、核兵器の問題と自衛権の問題との論議をいたしましたが、それは、詳しいことはすでに明らかになっておりますから、私は詳しくは申しませんけれども、今度の私の訪米に際して何らかの意図をもってかくのごとき解釈をしたとか、あるいは、アメリカとの交渉においてこういうものが日本に新たに課せられるとかいうようなことは絶対にございませんから、御安心を願いたいと思います。(拍手)  それから、将来の日本安全保障体制につきまして、社会党におきましては、現在の日米安全保障条約体制を廃止して、日米中ソを含む集団安全保障体制によって日本の安全を保障すべきだという御議論をなすっておいでになりますが、これまた、私は、世界の現状に即さない一つの空論、と申し上げては、はなはだ御憤慨になるかもしれませんが、一つの理想論にすぎないと思います。私ども、もしそれができるのであれば、国際連合自体の現状は、ああいう状況ではないと思うのであります。(拍手)こういう意味におきまして、私は、現状においては、日米安全保障体制を、合理的な基礎、すなわち、さっき申したような変更により、日本独立完成、自主独立立場から日米関係を合理化することが必要であると信じておるのであります。(拍手
  10. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  南方同胞援護会法案床次徳二君   外四名提出
  11. 山中貞則

    ○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、床次徳二君外四名提出南方同胞援護会法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。  南方同胞援護会法案を議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員会理事山本正一君。   〔山本正一君登壇
  14. 山本正一

    ○山本正一君 ただいま議題となりました床次徳二君外四名の提出にかかる南方同胞援護会法案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本案は、沖繩や小笠原諸島の現状にかんがみ、それら地域の諸問題の解決促進をはかるため必要な調査研究及び啓蒙宣伝を行い、かつ、それら地域の同胞に対して各種の援護を行なっておる財団法人南方同胞援護会を特殊法人といたし、法律に規定しようとするものであります。  すなわち、同会に対する政府の監督を強化し、同会の行う事業を憲法八十九条の「公の支配」に属せしめ、慈善、教育もしくは博愛の事業と認められるものについても政府の補助金を支出できるようにしようとするもので、そのおもなる点は次の通りであります。第一は、同会の目的、業務についてはおおむね現在のものを取り入れ、会長、監事及び評議員は内閣総理大臣が任命することといたし、第二は、監督官庁としての内閣総理大臣は、必要があると認めたときは同会の業務または会計の状況を検査し、また業務上において法令や行政処分または定款に違反したときは必要な是正措置を命ずる等の監督権を行い得ることといたし、第三は、国は、この会に補助金を支出し、その他財政的援助をすることができるとするとともに、それに伴う必要なる監督の権限を持つことといたしたことであります。  本案は、五月十五日当委員会に付託せられ、本日提案者の説明を聞き、引き続いて質疑を行い、討論を省き、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決することに決定をいたしました。  右、御報告をいたします。(拍手
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  トランプ類税法案内閣提出)  準備預金制度に関する法律案(内   閣提出
  17. 山中貞則

    ○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出トランプ類税法案準備預金制度に関する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。  トランプ類税法案準備預金制度に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事平岡忠次郎君。   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔平岡忠次郎君登壇
  20. 平岡忠次郎

    ○平岡忠次郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。  まず、トランプ類税法案について申し上げます。  本案のおもな改正の第一点は、最近における税法の立法例にならいまして、骨ぱい税法の全文を口語体に改めるとともに、その名称をトランプ類税法とすることといたしているのであります。次に、現行骨ぱい税の印紙納付制度は課税の適正をはかる上に不備があると認められますので、これを他の間接税と同様に現金納付制度に改めるとともに、別にトランプ類税証紙制度を設け、移出の際トランプ類の包装にこれを張りつけさせることにより、納税が確実に行われるようにいたそうとするものであります。次に、トランプ類の製造者等が材料等を支給して下請業者にトランプ類の製造を委託する等の場合には、その委託者等を納税義務者とみなして、徴税の合理化をはかるとともに、製造工程中のトランプ類も、これを完成トランプ類とみなすことにより、課税上の取締りを充実する措置を講ずることといたしております。次に、象牙製及び牛骨製マージャン以外のマージャンにつきまして、その税率を現行の一組二千円から千円に引き下げることといたしております。  本法案につきましては、審議の結果、本十六日質疑を終了し、社会党を代表して石村委員より賛成討論があった後、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  〔議長退席、副議長着席〕  なお、本法律案につきましては、横山委員より次の通り附帯決議案が提出されました。その案文は次の通りであります。   現在の租税体系は、本国会における税制改正によって直接税については多くの改革がなされたが、間接税については多くの問題が残された。   間接税就中酒税、物品税については時代の変遷とともに課税物件の選択、課税物件間の税率の権衡、納税者の負担力について速かな検討と軽減が必要であると考えられる。   さきに税制審議会においては、物品税について玉ラムネをはじめ中小企業関係の諸品目について税率引下げの答申案が提示されたが、諸般の事情から今国会には上程に至らなかった。しかし、これらのものは最小限のものであって、その他不均衡を生じているものを含めてこの際速かに税率の改正を加える必要がある。   一部には物品税について増税の意見もあるようであるが、本委員会は当面これはなさるべきでないと考える。   よって本委員会は、政府が三十三年度において、如上の点を考慮し、間接税殊に酒税、物品税について根本的な検討を加え、全面的な改正を行うよう要望する。  次いで、本附帯決議案を採決いたしましたところ、全会一致をもって附帯決議を付すべきものと決しました。  次に、準備預金制度に関する法律案について申し上げます。  この法案は、通貨調節の手段として準備預金制度を確立し、わが国の金融制度の整備をはかろうとするものでありまして、その骨子は、金融機関に預金の一定割合の現金を日本銀行に預入させ、この割合を変更することによって通貨量の調節をはかろうとするものであります。  法律案の内容を概略申し上げますと、第一に、本制度の対象となる金融機関は、さしあたり、銀行法で免許を受けた銀行、長期信用銀行及び外国為替銀行程度を予定し、第二に、対象とする預金については総預金をとることとし、第三に、準備の内容は日本銀行預け金とし、第四に、準備率の設定、変更または廃止は日本銀行の権限とし、その最高は一〇%として、最低は定めないものとする。第五に、金融機関の預金及び日本銀行に対する預け金は一カ月間の毎日の平均残高により計算するものといたしておるのであります。  本法案につきましては、本日質疑を終了し、討論の通告がありませんでしたので、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。
  21. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  医師国家試験予備試験及び歯科医   師国家試験予備試験の受験資格   の特例に関する法律案(野澤清   人君外八名提出
  23. 山中貞則

    ○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、野澤清人君外八名提出医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格の特例に関する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  24. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。  医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格の特例に関する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員長藤本捨助君。   〔藤本捨助君登壇
  26. 藤本捨助

    ○藤本捨助君 ただいま議題となりました医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格の特例に関する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  現在、医師または歯科医師になるためには国家試験に合格しなければならないのでありますが、終戦前に朝鮮、満州、台湾、樺太等の地において、その地の制度によって免許を得て開業していた者に対しましては、医師法または歯科医師法の附則等によりまして、選考または特例試験により内地の免許を得る措置が講ぜられ、また、別に国家試験の予備試験を受験する資格が与えられておったのでありますが、これらの選考及び特例試験の制度は、昭和二十八年三月以降の引揚者を除きましては、すでに期限が切れております。予備試験の受験制度も、昨年末をもってその期限が切れておるのであります。また、終戦前満州方面向けの医師の養成を目的として内地に設けられました医学校を卒業した者等につきましても、従来国家試験予備試験の受験資格が与えられておりましたが、これまた昨年末をもってその期限が切れておるのであります。従いまして、これらの制度によってなお資格を得ることができなかった者は、現在、医師または歯科医師となる道が閉ざされておるのでありますが、これらの該当者はなお相当数ありますので、今回、さらに、医師国家試験予備試験及び歯科医師国家試験予備試験受験資格昭和三十四年十二月三十一日までに与えることとし、これらの人々の将来に希望を持たせようとするのが、本法案提出理由であります。  本案は、本日、本委員会に付託せられ、提出者野澤清人君より提案理由の説明を聴取した後、質疑、討論を省略して採決に入りましたところ、本案は全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  27. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  宅地建物取引業法の一部を改正す   る法律案(瀬戸山三男君外七名   提出
  29. 山中貞則

    ○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、瀬戸山三男君外七名提出宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  30. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。  宅地建物取引業法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事荻野豊平君。   〔荻野豊中君登壇
  32. 荻野豊平

    ○荻野豊平君 ただいま議題となりました宅地建物取引業法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は、昭和二十七年に制定されました宅地建物取引業法につきまして、法施行土の経験並びに住宅事情、特に宅地事情が依然として窮迫している点にかんがみ、宅地建物取引業者の質を向上し、業務の適正なる運営をはかる目的をもって、次の諸点について改正しようとするものであります。  その第一点は、宅地建物取引業者は、その事務所に、都道府県知事の待ち資格試験に合格した宅地建物取引員を専任の取引主任者として一名以上置かねばならぬこととして、業務の適正なる運営をはかるようにしたことであります。  第二点は、従来、宅地建物取引業を営もうとする者は、法の定めるところにより登録を行えば営業をすることができたのでありますが、今回、これに加えて、営業保証金として、主たる事務所について十万円、その他の事務所については、その事務所ごとに五万円、合計三十万円までの金額を供託しなければ営業できないこととした点であります。  第三点は、宅地建物取引員に対する試験制度にあわせて、その資質の向上をはかるため、宅地建物取引員会及び宅地建物取引員会連合会を設けることができることとした点であります。  以上が今回の改正のおもなる点でありますが、その他、無登録業者に対する取締りの強化、既存の宅地建物取引業者に対する経過措置等について規定を設けております。  本法案は、去る五月十五日本委員会に付託され、五月十六日審議を行いましたが、格別の質疑もなく、採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  右、報告いたします。(拍手
  33. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案赤城宗徳君外七名提出)  教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案永山忠則君外八名提出)  盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案参議院提出)  公立学校学校医公務災害補償に関する法律案参議院提出
  35. 山中貞則

    ○山中貞則君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、赤城宗徳君外七名提出、農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案永山忠則君外八名提出教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案参議院提出、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案公立学校学校医公務災害補償に関する法律案、右四案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  36. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 山中君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。  農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案公立学校学校医公務災害補償に関する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。文教委員長長谷川保君。   〔長谷川保君登壇
  38. 長谷川保

    ○長谷川保君 ただいま議題となりました農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案公立学校学校医公務災害補償に関する法律案教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案につきまして、文教委員会における審議の経過及びその結果を申し上げます。  まず最初に、農業又は水産に係る産業教育に従事する国立及び公立高等学校の教員に対する産業教育手当の支給に関する法律案について申し上げます。  本案の要旨は、国立または公立の高等学校において農業または水産にかかる産業教育に従事する教諭、助教諭、常勤講師に対して産業教育手当を支給することとし、その支給額等については、国立学校の教員に対しては、その者の俸給月額の百分の十の範囲内で、文部大臣が人事院の意見を聞いて定め、公立学校の教員については国立学校教員の産業教育手当を基準として定めることを規定しております。  本案は赤城宗徳君外七名の提出にかかり、去る三月三十日当委員会に付託されて以来、産業教育手当支給の対象としては、さらに工業高等学校等の教員及び農工水産等の高等学校におけるその実習助手などをも含ましめるべきであることなどについて熱心に審議されたのでございますが、それらの詳細に関しては会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、五月十六日に至り質疑を終了、引き続いて本案に対し内閣意見を聴取した後、討論を省略して採決の結果、起立総員をもって本案は原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次いで、辻原弘市君から本案に対する附帯決議案が提出せられました。すなわち、   産業教育の重要性にかんがみ、政府は農業高等学校及び水産高等学校とこれら以外の産業教育をなす高等学校との間における均衡を保持せしめるため、特に工業高等学校及び商船高等学校に対しては、昭和三十三年度において、同種の教員に対する産業教育手当を支給し得るよう所要の措置を講ずべきである。   なお、産業教育をなす高等学校における実習助手の職務内容は、教員に準じ、極めて重要にしてかつ、特種の性格を有する点にかんがみ、政府は、昭和三十三年度において、前項記載のそれぞれの学校における実習助手をも、産業教育手当支給の対象となし得るよう所要の措置を講ずべきである。  以上の附帯決議案は、採決の結果、起立総員をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次に、盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案について申し上げます。  本案は参議院提出にかかるものでありまして、その要旨は、盲ろう学校及び養護学校における教育の特殊性にかんがみ、これらの学校の幼児及び義務教育関係以外の生徒に対しても学校給食を実施することとし、これに必要な施設、設備に要する経費及び学校給食の運営費のうち政令で定めるものは当該学校の設置者負担とし、これら以外の経費は保護者の負担とし、さらに、国は、食糧管理特別会計の負担において、学校給食用小麦等の代金を特別低廉に定めるとともに、関税定率法の適用により低廉な脱脂粉乳を供給することなどを規定しております。  本案は、五月十三日当委員会に付託されて以来、盲ろう養護学校の特殊性及び当該学校における給食の必要性等について熱心なる質疑が行われました。その詳細については会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、五月十六日質疑を終了、討論を省略して採決の結果、起立総員をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  次に、公立学校学校医公務災害補償に関する法律案について申し上げます。  本案は参議院の提出にかかり、その要旨は、公立学校学校医の公務上の災害に対して療養、休業等の補償をすることとし、その補償の範囲、金額及び支給方法等は政令で定める基準に従い地方公共団体の条例で定め、さらに、市町村立の義務教育諸学校学校医にかかる補償に要する経費は都道府県の負担とし、国はその二分の一を負担することなどについて規定しております。  本案は、五月十五日当委員会に付託されて以来、学校医公務災害補償に関する実施基準について、また、これに関連して、児童、生徒の災害補償対策等に関して熱心に審議されたのでございますが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。  かくて、五月十六日質疑を終了、討論を省略して採決の結果、起立総員をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第でございます。  最後に、教育職員免許法施行法の一部を改正する法律案について、審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、教育職員免許状の新旧の切りかえが適切を欠いていたと認められるいわゆる軍学歴者中、次に述べるものにつき教育職員免許状の授与資格について是正を行おうとするものであります。すなわち、旧陸軍士官学校、陸軍航空士官学校、陸軍経理学校、海軍兵学校、海軍機関学校及び海軍経理学校の卒業者で、現に一年以上小、中、高等学校に在職する者に限り、旧制高等、専門学校卒業者等と同等に取り扱おうとするものであります。すなわち、これらについては、従来中学校教員の臨時免許状のみが与えられましたのを、小、中、高等学校の教員の臨時免許状、二級普通免許状が授与ざれ得るように改めようとするものであります。  本案は、永山忠則君外八名の両党共同提案にかかるもので、五月十六日委員会に付託せられ、提出者よりの提案理由説明を聴取して審査に入りました。  質疑のおもなものとしては、法案の対象を在職一年以上の者に限定した理由、この是正措置が現在まで遅延した理由等について、提出者及び政府当局に対し質疑がなされましたが、その詳細については会議録により御承知願いたいと存じます。  かくて、質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上をもって御報告を終ります。(拍手
  39. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 四葉を一括して採決いたします。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって、四案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————
  41. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) この際暫時休憩いたします。    午後二時五十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  岸  信介君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         厚 生 大 臣 神田  博君         農 林 大 臣 井出一太郎君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君         郵 政 大 臣 平井 太郎君         建 設 大 臣 南條 徳男君         国 務 大 臣 石井光次郎君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 鹿島守之助君         国 務 大 臣 小滝  彬君         国 務 大 臣 田中伊三次君   出席政府委員         内閣官房長官  石田 博英君         大蔵政務次官  足立 篤郎君         厚生政務次官  中垣 國男君         運輸省鉄道監         督局長     權田 良彦君