○大坪保雄君 ただいま
議題となりました
公衆衛生修学資金貸与法案、
結核予防法の一部を
改正する
法律案、
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律の一部を
改正する
法律案、
原子爆弾被爆者の
医療等に関する
法律案及び
失業保険法の一部を
改正する
法律案の五
法案につきまして、社会労働
委員会における
審議の
経過並びに結果の大要を御
報告申し上げます。
まず、
公衆衛生修学資金貸与法案について申し上げますれば、戦後における
わが国の公衆衛生行政は飛躍的発展を見たのでありますが、公衆衛生行政の第一線
機関ともいうべき保健所の基幹職員たる医師、歯科医師については、公衆衛生方面に対する関心の少いこと及び民間の医療
機関に比べて著しく
給与の低いこと等の理由により、その充足についてはすこぶる困難をきわめ、現在数は所要定員を大幅に下回る
実情であり、公衆衛生諸施策の
実施に重大なる支障を生ずることが懸念されますので、今回学資貸与の道を開くことにより保健所勤務医師等の質的並びに量的充実をはかろうとするのが、
政府の本
法案提案の理由でございます。
本案は、二月二十一
日本委員会に付託せられ、同二十二日神田厚生大臣より
提案理由の
説明を聴取し、本月十八日
審議に入りましたが、二十日の
委員会において
質疑を終了し、同二十二日
討論を省略して
採決に入りましたところ、
本案は
原案の通り
全会一致可決すべきものと議決いたした次第でございます。
次に、
結核予防法の一部を
改正する
法律案について申し上げますれば、現在
わが国の結核死亡率は戦前の約四分の一近くまで減少いたしましたが、結核患者数はなお二百九十二万人の多数に上る
実情で、一そう強力なる結核対策の
実施を必要とするため、今回、現行
結核予防法の一部を
改正し、従来本法に基いて
実施した健康診断、ツベルクリン反応検査または予防接種について受診者またはその保護者から徴収できることとなっておりました実費徴収を廃止し、その
経費はすべてこれを公費負担とすることとして、健康診断、予防接種の徹底をはかろうとするのが、
政府の本
法案提出の理由及び
概要であります。
本案は、二月二十一
日本委員会に付託せられ、同二十二日神田厚生大臣より
提案理由の
説明を聴取し、本月二十日
審議を行い、同日
質疑を終了いたしましたが、二十二日
討論を省略して
採決に入りましたところ、
本案は
全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第であります。
次いで、
本案について滝井委員より
附帯決議を付すべきであるとの
動議が
提出せられ、その
趣旨の弁明がございました。朗読いたします。
附帯決議
政府は、社会保障
制度審議会の医療保障
制度に関する勧告を尊重し、急速、抜本的に結核撲滅対策を樹立すべきであり、その過渡的
措置とし、至急に
結核予防法第三十四条及び第五十七条を
改正し、結核医療費に対する公費負担の義務化とその負担率及び医療費並びに健康診断、予防接種に対する国庫補助率の引上げを図るべきである。
かくて、本
動議について
採決を行いましたところ、これまた
全会一致をもって可決すべきものと議決いたした次第でございます。
次に、
母子福祉資金の
貸付等に関する
法律の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
現在、
母子福祉資金について、国は
都道府県が
貸付金の財源として計上する金額と同額の金額を
都道府県に貸し付け、
都道府県は、この合算額を財源として、母子家庭等に生業
資金その他各種の
貸付金を貸与いたしておるのでありますが、地方財政の窮乏等の事情もあり、
貸付金の財源が十分でないため、母子家庭等からの借り入れ申し込みに対し十分応ずることができない
実情にあるのでございます。よって、今回、国の
都道府県に対する
貸付率を現行の二分の一から三分の二に引き上げて、国は
都道府県が
貸付金の財源として計上する金額の倍額に相当する金額を貸し付けることにより
貸付金の財源を確保して、母子家庭の福祉を一そう増進いたそうとするのが、
政府の本
法案の提案の理由であります。
本
法案は、二月二十五
日本委員会に付託せられ、本月十五日厚生大臣より
提案理由の
説明を聴取した後、
審議に入りましたが、去る二十日の
委員会において
質疑を終了いたし、二十二日
討論を省略して
採決に入りましたところ、本
法律案は
全会一致原案の通り可決すべきものと議決いたした次第でございます。
なお、山下委員より次の
附帯決議を付する
動議が
提出せられ、同委員より
趣旨の
説明がありました。朗読いたします。
附帯決議
母子相談員に要する費用はその二分の一を国が負担する規定の存するにも拘らず現在その適用が停止されているため、母子相談員の手当の支給については事実上円滑を欠く場合が少くないので、
政府は売春防止法における婦人相談員の場合におけると同様の
予算措置を講ずることとして、母子相談員の活動の一層の充実を図るよう速かに善処されんことを要望する。
右決議する。
次いで、
採決を行いましたところ、
全会一致をもって
附帯決議を付することに決したのであります。
次に、
原子爆弾被爆者の
医療等に関する
法律案について申し上げます。
原子爆弾による被爆者は、十余年を
経過した今日、なお多数の要医療者を数えるほか、これら被害者の健康状態は今も医師の綿密な観察指導を必要とする現状であり、
政府においても、
昭和二十九年度以降、広島、長崎両県に居住する一部の人々に対し逐次精密検査及び研究治療を行なって参ったのでありますが、今回、これら被爆者の現状にかんがみ、全国的に必要な健康管理と医療とを行うこととし、その福祉をはかろうとするのが、
政府の本
法案提出の理由であります。
本案は、二月二十一
日本委員会に付託せられ、同二十二日神田厚生大臣より
提案理由の
説明を聴取し、本月二十五日の
委員会において
審議を行い、
質疑を終了いたしましたところ、
自由民主党及び
日本社会党の共同提案による修正案が
提出せられ、田中委員よりその
趣旨の
説明がありました。その要旨は、附則に一項を加え、地方税法における法人
事業税の課税標準の算定方法に関する第七十二条の十四の規定並びに個人
事業税の課税標準の算定に関する第七十二条の十七の規定を改め、本
法案に基く医療につき支払いを受けた金額は総益金または総収入金額に算入せず、また、本
法案に基く医療にかかる
経費は総損金または必要な
経費に算入しないことといたそうとするものであります。
次いで、
討論を省略し、修正案並びに修正
部分を除く
原案の他の
部分について順次
採決に入りましたところ、
本案は
全会一致修正議決すべきものと議決いたした次第であります。
次いで、
本案について、
自由民主党及び
日本社会党の共同提案で、次の
附帯決議を付すべきであるとの
動議が
提出され、佐竹委員よりその
趣旨の弁明がございました。朗読いたします。
附帯決議
一、
政府は、原爆被災者の更生のため必要あるときは、低所得階層対策費の世帯更生
資金貸付を行わしむることとし、その予算的
措置についても遺憾なきを期せられたい。
二、
政府は、第二条の被爆者に関する政令の制定に当っては、現実の要治療者を逸しないように配意するとともに被爆時の胎児以外の被爆者の子についても罹病の有無を急速に調査の上、適切なる処置を講ぜられたい。
三、
政府は、原子爆弾その他に因る放射能障害についての研究及び之に対する治療法の進歩を図るため、積極的施策を講ぜられたい。
かくて、本
動議について
採決を行いましたところ、これまた
全会一致をもって可決すべきものと議決いたした次第でございます。
最後に、
失業保険法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本
改正案は、日雇い労働者に対する失業
保険の給付
内容を改善するとともに、失業
保険事業の円滑をはかるため、失業
保険金額の自動的変更等について合理化しようとするものであります。
次に、そのおもな
内容について申し上げますと、第一は日雇い労働失業
保険の
保険給付
内容の改善でありますが、最近、日雇い労働被
保険者の賃金水準が本
制度創設当時に比して相当上昇しており、失業対策
事業の就労者の賃金も
昭和三十二年度より引き上げられる
関係上、この失業
保険金に二百円の日額を新たに設けて第一級とし、従来の百四十円を第二級としたことであります。第二は、日雇い労働者の失業
保険制度の適用
区域は従来市町村単位に定めておったのでありますが、最近、市町村合併によって市町村の
区域に変動があり、山間僻地等においては
実情に即しない個所も出て参りましたので、これらを適用
区域から除外する道を開いたこと等であります。
本
改正案は、去る二月二十
日本委員会に付託せられ、同二十一日松浦労働大臣より
提案理由の
説明を聴取した後、
審議に入り、数回にわたり、きわめて熱心な
質疑応答が行われたのでありますが、本月二十二日
質疑を終了いたしましたところ、本日の
委員会において、
日本社会党八木一男君外十三名による修正案が
提出せられました。その
内容は次の通りであります。
第一に、失業
保険金額の自動的変更並びに適用
区域は現行法のままとすること。
第二に、日雇い労働被
保険者に支払われた賃金日額が二百八十円以上の場合は第一級、二百八十円未満の場合は第二級とすることとなっているのを、
基準となる賃金日額を二百二十円に引き下げること。
第三に、新たに日雇い失業
保険については国庫負担を二分の一とし、また、失業
保険金の支給における待期期間について、通算六日を五日とすること等であります。
次いで、
原案並びに修正案を一括して
討論に入りましたところ、
日本社会党を代表して五島委員より、修正案に
賛成し、修正
部分を除く
原案に
賛成する旨の
意見が述べられ、
自由民主党を代表して田中委員より、
原案に
賛成し、修正案に反対する旨の
意見が述べられたのであります。
次いで
採決に入り、まず八木一男君外十三名
提出の修正案について
採決いたしましたところ、
賛成少数をもって否決すべきものと議決せられ、次いで
原案について
採決いたしましたところ、多数をもって可決すべきものと議決せられた次第であります。
なお、大坪委員より
附帯決議を付すべき旨の
動議が
提出され、
全会一致をもって
附帯決議を付することと決しました。朗読いたします。
附帯決議
一、
政府は、社会保障
制度の拡大という見地から、従業員五人未満の
事業所についても、失業
保険を適用し得るよう速かに実態調査を進められたい。
二、
失業保険法第三十八条の十一第一項に規定する二百八十円の額については、
政府は
改正法律の施行後における日雇失業
保険制度の
運営の実態を勘案して、これを引下げるよう努められたい。
以上、御
報告申し上げます。(
拍手)