○位
野木政府委員 便宜法案の条項に従いまして
補足説明を申し上げます。あとで書面で差し上げたいと思いますが、まず
裁判所法の
改正の部分について御説明いたします。
まず、第一条の、目次の
改正でございますが、第二編及び第三編の目次を
改正いたしております。
現行法は、第二編の
編名が「
最高裁判所」というふうになっておりまして、その第二編の中に
最高裁判所のことを
規定し、第三編の
編名が「
下級裁判所」となっておりまして、その編の中に
高等裁判所、
地方裁判所、
家庭裁判所及び
簡易裁判所に関する
事項を
規定いたしております。
改正案は、後に述べますように、
下級裁判所の一種といたしまして
最高裁判所小法廷というものを置くことにいたしておりますので、
最高裁判所小法廷に関する
事項が、
最高裁判所に置かれる
関係上、第二編の中に
規定されることになるわけでありますが、第二編及び第三編の
編名を、それぞれその内容を一致さすために、第二編の偏名を「
最高裁判所及び
最高裁判所小法廷」、第三編の偏名を「
高等裁判所、
地方裁判所、
家庭裁判所及び
簡易裁判所」というふうに改めようとするものであります。
それから、第二条についてでありますが、これは新たに
下級裁判所の一種として、
最高裁判所小法廷という
裁判所を設けることを定めたのであります。
現行法の第二条の第一項は御承知のように
下級裁判所の種類について
規定しておりますが、
最高裁判所小法廷を設置することに伴いまして、条文の体裁を改めまして、本項を
裁判所の種類に関する
規定といたしたのであります。すなわち、
裁判所の種類といたしましては、すでに
憲法上
規定されておる
最高裁判所のほかに、
高等裁判所、
地方裁判所、
家庭裁判所及び
簡易裁判所が本項の
規定によって設置されますことは従来の
通りでありますが、これらの
裁判所のほかに新たに
最高裁判所小法廷という
裁判所を設置することにしたのであります。この
最高裁判所小法廷という
裁判所は、
憲法第七十六条にいう
下級裁判所の一種ではありますが、後に述べますように、
事件の処理上また
司法行政上、
最高裁判所ときわめて密接なる
関係を持っておりますので、特にこれを
最高裁判所に付属して設けることにいたしております。
第二項でありますが、「
下級裁判所の設立、廃止及び
管轄区域は、別に
法律でこれを定める。」というふうな字句になっておりますが、これを「
高等裁判所、
地方裁判所、
家庭裁判所及び
簡易裁判所の設立、廃止及び
管轄区域は、別に
法律でこれを定める。」ということにしようとするものでありまして、これは、
最高裁判所小法廷というものが
下級裁判所のうちに加わったのでありますけれども、これについては、性質上その
管轄区域は全国に及ぶというものでありますから別に
法律でこれらのことをきめる必要がないので、このように
改正をいたしたのであります。
それから、次に第五条の
改正であります。これは、
裁判所の官名の種類を追加したのと、
最高裁判所の
裁判官を減員することにしたのと、二つのことについて
規定いたしてあります。
現行法の第五条第二項は
下級裁判所の
裁判官に関する
規定でございますが、
最高裁判所小法廷の設置に伴いまして、新たにこれを構成する
裁判官といたしまして
最高裁判所小法廷首席判事及び
最高裁判所小法廷判事という二種類の
裁判官を設けることにいたしました。
それから、
現行法第五条第三項は
裁判官の
員数に関する
規定でございまして、
最高裁判所の
判事の
員数を十四人ということに定めておりますが、これを
改正いたしまして、
最高裁判所における
審理の
円滑化をはかるために、
最高裁判所の
判事の
員数を八人に減ずることにいたしたのであります。それからまた、小
法廷の
首席判事及び小
法廷の
判事は、いずれも
下級裁判所の
裁判官ではありますが、その占める地位のきわめて重要であるということにかんがみまして、この
員数を特に
裁判所法の中で
規定することにいたしまして、
首席判事の方は六人、それから
法廷判事の方は二十四人にすることを定めております。その他の
下級裁判所の
裁判官につきましては別の
法律できめることにいたしたのは
現行法の
通りであります。
次に、第二編の
編名でありますが、この
改正につきましては先ほど目次のところで申し上げた
通りであります。
それから、第六条、第七条、第八条の
見出しを改めております。これは、
現行法は第二編で
最高裁判所に関する
事項のみを
規定しておりますので、
見出しのところで特に
最高裁判所ということを断わっておりませんが、今度は第二編の中で
最高裁判所のほかに
最高裁判所小法廷に関する
事項を
規定することにいたしましたので、六条、七条、八条は
最高裁判所についてのことを
規定しておるという趣旨を明らかにするために、それぞれこのように
見出しを改めようというのであります。
それから、第八条の二の
規定を新設いたしましたが、これは小
法廷の設置の仕方及びその構成について
規定いたしたのであります。小
法廷は
下級裁判所の一種でございますから、これを
最高裁判所の
機構から全く独立した別個の
裁判所として設置いたしまして、別個の
長官、別個の
事務局等を置く、そういうふうな全く別の
裁判所として設置するというやり方も考えられるのでありますが、小
法廷は
事件の処理上
最高裁判所と
密接不可分の
関係にありますので、これを
最高裁判所に付属して設置することにいたしました。そうして、その
司法行政事務は、特別のものを除きまして、小
法廷みずから行うことなく、
最高裁判所に取り扱わせることにいたしております、これは後に述べます。そうして、
長官、
事務局等は別に置かないことにいたしたのであります。
第八条の二の第二項は、国法上の
裁判所としての小
法廷が、小
法廷首席判事六人及び小
法廷判事二十四人で構成されることを定めたものであります。これは、
裁判所法の他の
規定、すなわち十五条、二十三条等で
最高裁判所、
地方裁判所等について
規定されている
規定の体裁にならった
規定のいたし方をいたしております。
第八条の三の新設がありますが、これは小
法廷の
権限について
規定しております。
まず、第一項は、
上告事件の
審判を初めといたしまして、
最高裁判所が第七条及び第八条の
規定によって
裁判権を持っておる
事項につきましては、原則として小
法廷も
最高裁判所と同様の
裁判権を有することにいたしております。ただ、小
法廷が
裁判権を有するのを適当でないとして
最高裁判所の特に定める
事項、たとえば
裁判官に対する
分限事件、
人事官の
弾劾事件等が予想されるのでありますが、そういうふうな
事件はこの例外とすることにいたしておるのであります。小
法廷は、そのほか、
裁判所法によりまして、小
法廷の
裁判に対して異議の
申し立てがあった場合に、
原裁判の
執行停止等の処分を命ずる
権限を認められております。これは後に出て参りますが、そういうような
権限を別に持っておりますし、また、一定の
範囲内の
司法行政事務を行う
権限が認められております。これも後に出て参りますが、そういうふうに、この
法律で別に定める
権限を持っておりますほかに、他の
法律において特に定める
権限も持つわけです。この他の
法令において定める
権限というのは、たとえば、
刑事事件につきまして、小
法廷がした
裁判に対して異議の
申し立てがあった場合における
原裁判所としての刑の執行の停止または
原裁判の執行の停止、これもこの
刑事訴訟法の
改正によりまして今度その趣旨の
規定が加えられることになっておるのでありますが、こういうふうな他の
法律で
規定される
権限、特に定める
権限というものも持ち得ることになる。これらは小
法廷固有の
権限というふうに申して差しつかえないのであります。これが第二項の
規定でございます。
それから、次に、小
法廷は
憲法判断等を必要とする
事件につきましても抽象的には
裁判権を今申しましたように持っておることになるわけでありますが、しかしながら、
憲法問題について判断を要する場合、あるいは従来の
最高裁判所または小
法廷の判例を変更しようとする場合等におきましては、みずから
裁判せずに、直ちにこれを
最高裁判所の方に移しまして
最高裁判所の
審判を受けさせるのが適当というふうに考えられますので、これらの場合には小
法廷は
裁判をすることができないことにいたしたのであります。その場合を第三項に列挙いたしております。ここに列挙いたしました一、二、三の
事項は、いずれも現在の
最高裁判所の小
法廷、これは別の
裁判所でなくて
最高裁判所の中の
裁判機関としての形態だと考えておりますが、この現在の小
法廷において
裁判をすることができない場合、すなわち大
法廷に
事件を移す場合とほぼ同様でございます。そのほか
最高裁判所が定める場合におきましても同様に小
法廷は
裁判をすることができないことといたしておりますが、この
最高裁判所が定める場合といたしましては、
憲法その他の
法令の
解釈適用について特に重要な
事項を含むものと認められる場合、すなわち
法令の解釈に関する特に重要な
事項、こういうふうなものが
最高裁判所によって
規定されることが予想されるわけであります。以上の場合には小
法廷はみずから
裁判をすることができないので、その
事件を大
法廷に移すことになるのであります。これらの場合を通じまして、小
法廷は抽象的には
最高裁判所と競合して
事件についての
裁判権を有しておるのでありますが、その
裁判権の行使が制約されることになるわけでありまして、この
関係は、
選択刑として罰金が定められておる罪に当る
事件等を
審判する場合の
簡易裁判所の
科刑権の制限、すなわち
現行裁判所法三十三条の二項、三項にその定めがありますが、この場合の
考え方と同じような
考え方をとっておる次第でございます。
それから、次に第九条の
改正であります。これは、
最高裁判所か
審理及び
裁判をする場合の
裁判機関としての態様を改めますとともに、新たに小
法廷が
審理及び
裁判をする場合の
裁判機関としての態様について
規定したのであります。すなわち、
現行法の第九条第一項及び第二項は、
最高裁判所が
審理及び
裁判をする場合の
裁判機関の態様としての大
法廷及び小
法廷について
規定しておりますが、
改正案における小
法廷は
最高裁判所とは全く別個の
裁判所でありますので、この新しい
関係に応じまして本条を
規定いたしたのであります。
まず、
改正案による第九条第一項といたしまして、
最高裁判所が
審理及び
裁判をする場合には、その取り扱う
事項の
重要性にかんがみまして、すべて
最高裁判所の
長官及び
最高裁判所の
判事全員、すなわち九人の
裁判官の
合議体で
審理及び
裁判をするというふうにいたしたのであります。この場合の
合議体を便宜大
法廷と呼ぶことにいたしております。従って、
現行法における小
法廷のように、一部の
裁判官からなる
合議体で
審判をするという方式は認めないことになるわけであります。
改正案の第九条第二項は、小
法廷が
審理及び
裁判をする場合の
裁判機関としての態様について
規定いたしております。小
法廷は三人以上の
員数の
裁判官の
合議体で
審理及び
裁判をするということに
規定いたしておます。各
合議体の
裁判官の
員数につきましては、現在の小
法廷の例にならいまして、
法律では単に三人以上とのみ定めることにいたしまして、その具体的の
員数は
最高裁判所が定めることにいたしたのであります。
次に、第十条の
改正であります。本条の
改正は、
現行の小
法廷を廃止いたしまして、独立の
裁判所として新たに小
法廷を新設することに伴いまして、従来の
最高裁判所の大
法廷と小
法廷の間の事務の
分配等に関する
規定を改めまして、小
法廷と大
法廷すなわち
最高裁判所との間の
事件処理上の
関係を新たに
規定するとともに、小
法廷の
裁判に対する不服の
申し立てについて
規定したものであります。
まず、小
法廷は、原則として大
法廷と同一の
裁判権を持っておりますことは先ほど申し上げましたが、第八条の三の第三項の場合、すなわち小
法廷で
裁判をすることができない場合は、その
裁判権の行使が制限されて
裁判ができないことになりますので、
事件を大
法廷に移すべきものといたしたのであります。
改正案の第一項はこの趣旨の
規定であります。なお、小
法廷が先ほど申し上げました固有の権利としての
裁判権を行使する場合があるわけでありますが、この場合にも、第八条の三の第三項に該当する場合には、
事件を大
法廷に移すということになるわけであります。この場合の大
法廷の
裁判権は、
事件を移されたことによって発生するということになるわけでありまして、この
関係は、
現行の
民事訴訟法の三十一条の二、すなわち
簡易裁判所がその管轄に属する
事件を裁量によって
地方裁判所に移送した場合の
法律関係と同じように考えておる次第であります。
しかし、原則として、
最高裁判所が
裁判権を有する
事項につきましては小
法廷もまたこれと競合して
裁判権を有しておりますので、
上告事件その他第八条の三の第一項の
規定によって大
法廷及び小
法廷の双方がともに
裁判権を有する
事項につきましては、両者のうちいずれがこれを取り扱うかということについて
規定を設ける必要があるわけでありまして、第二項はこの点に関して
規定したものであります。このような
事件はまず小
法廷において
審理をする、そうして大
法廷は
事件が小
法廷から移された場合に初めて現実に
裁判権を行使するということにいたしたのであります。ただ、
最高裁判所が規則でもって大
法廷のみが
裁判権を有して小
法廷には
裁判権がないということにすることがあるわけであります。これは先ほど御説明いたしましたが、そういうふうな場合については大
法廷が初めから
事件の
審理に当ることは申すまでもございません。
次に、第十条の第三項でありますが、小
法廷が、第八条の三の第三項の場合に当るものとして、すなわちみずから
裁判をすることができない場合に当るものとして
事件を大
法廷に移した場合においても、大
法廷で
審理いたしました結果、当時者の主張が実は
憲法違反の問題じゃない、従って
事件の処理につき
憲法適否の判断を必要としないということが認められた場合、こういうふうな場合には小
法廷において
裁判をすることができるわけでありますから、小
法廷において
裁判をすることができる場合に該当するものと認めたときには、大
法廷は、本来これは小
法廷が
審判できた場合であるということで、
事件を再び小
法廷に移しまして、小廷法でさらに
審理、
裁判をさせることができることを認めるというふうにいたしたのが第三項であります。
第四項は、小
法廷は一種の
下級裁判所でありますから、
憲法第八十一条、すなわち、
最高裁判所は違憲判断についての最
終審裁判所であるといっておりますが、その
規定との
関係上、その
裁判の
憲法適否の問題につきましては大
法廷の最終的判断の機会を与える必要がある。そこで、第四項におきまして、「他の
法律の
規定により不服の申立をすることができる
裁判を除いて、小
法廷の
裁判に対しては、その
裁判に
憲法の解釈の誤があることその他
憲法の違反があることを
理由とするときに限り、大
法廷に異議の申立をすることができる。」ということにいたしました。しかし、
裁判に
憲法の解釈の誤りがあるという場合には、これは本来小
法廷は
事件を大
法廷に移す建前でありますから、このような事例は実際上はあまりないわけと考えるのであります。その他
憲法の違反があるときということがありますが、それは小
法廷の
裁判の手続が公開手続に違反したというようなことが考えられますが、こういうようなことも実際上はきわめてまれだろうということが考えられます。「他の
法律の
規定により不服の申立をすることができる
裁判」とありますが、その意味は、
刑事訴訟事件につきましては、小
法廷で行われた
裁判に対して
刑事訴訟法中に新たに異議についての
規定を設けることになっておりますが、ここに他の
法律の
規定により異議の
申し立てをすることができる
裁判とはこのような
裁判をいうのであります。
また、
裁判の遅延による正義の実現の遷延を極力防止しなければならないということと、小
法廷の
裁判には今申し上げましたように
憲法違反があるというふうな事例はきわめてまれであろうということが考えられますこと等を考慮いたしまして、
民事訴訟の特別
上告の例にならいまして、異議の
申し立ては、
裁判の確定を妨げまたはその執行を停止する効力を有しないことといたしました。ただ、事案によりましては、大
法廷または小
法廷は、
最高裁判所の定めるところによって
裁判の執行を停止し、またはその他必要な処分を命じ得ることといたしまして、
当事者の権利保護に遺憾なからしめるようにいたしたのであります。第五項がこの趣旨であります。
第六項でございますが、第一項の
規定によって小
法廷から大
法廷に
事件を移し、または第三項の
規定によって再び大
法廷から小
法廷に
事件を移すという場合には、これは必ずしも訴訟法に定めるような厳格な移送手続による必要もないと考えられます。むしろさらに簡易迅速なものとすることが適当であると考えられますので、これらの手続の詳細については
最高裁判所の定めるところによるものといたしております。また、右に申しました異議の
申し立て及び
裁判等に関する手続等につきましても、同様
最高裁判所の規則で定めることにいたしました。これが第六項であります。
次に、第十一条の
規定でございますが、これは、各
裁判官の意見の表示を必要とするのは、
最高裁判所の
裁判、すなわち大
法廷で
裁判をした場合に限られることになっております。これは、小
法廷の
裁判官としましては、
国民審査もございませんし、下級
裁判官でございますので、特にほかの
下級裁判所の場合と区別する必要はないと考えたからであります。
次に、十一条の二の
規定を新しく設けましたが、この
規定を設けましたのは、小
法廷の
裁判官の職務の代行を認めようとするものであります。
高等裁判所、
地方裁判所、
家庭裁判所及び
簡易裁判所の
裁判官につきましては、
現行法によって
裁判官の職務の代行が認められております。これは、差し迫った必要がある場合においては他の
裁判所の
裁判官にある特定
裁判所の
裁判官の職務を行わせることができるというような趣旨の
規定であります。十九条、二十八条、三十一条の五、三十六条等でありますが、小
法廷におきましても、
裁判事務の輻湊等の場合が考えられますので、その
裁判事務の取扱い上差し迫った必要がある場合においては、
最高裁判所は小
法廷判事の職務を
高等裁判所の
判事に代行させることができるようにしたのであります。これは、
高等裁判所の
判事の資格等は小
法廷の
判事と同じでありまして、このようにいたしたのであります。
それから、十二条の
改正でありますが、これは
最高裁判所に置かれることになる小
法廷の
司法行政事務について
規定したものであります。第二項の
改正は、
最高裁判所長官及び
最高裁判所判事の全員で組織する
最高裁判所の
裁判官会議と、後に述べます小
法廷の
裁判官の会議との区別を明らかにするための字句の整理でありますが、その次に新しく加えました二項の
規定は、小
法廷の
司法行政事務のうち直接
裁判事務に密接な
関係を有するもの、すなわち小
法廷における
裁判事務の分配、
裁判官の配置及び
裁判官に支障があるときの代理順序は小
法廷みずから定めることとするのが適当でありますから、第三項の
規定によりまして、これらの
事項は
最高裁判所の定めるその他の
事項とともに小
法廷の
裁判官の会議で自主的にきめることといたしました。しかし、小
法廷が、前に述べましたように
事件の処理上
最高裁判所と
密接不可分の
関係にある点にかんがみまして、小
法廷に関する
司法行政事務のうち、第三項に掲げるもの以外のものは、原則として
最高裁判所がその
司法行政事務として処理するということにいたしまして、
司法行政事務の
関係では
最高裁判所に従属しているという
関係になるわけであります。
次に、第三編の
編名改正でありますが、これは目次の
改正のところで御説明した
通りであります。
三十九条の
改正、これは、
最高裁判所長官の指名または
最高裁判所判事の任命につきまして、内閣の諮問機関として
裁判官任命諮問審議会を設置しようという趣旨であります。
裁判所法制定の当初は、御承知のように
裁判官任命諮問
委員会の
制度がございました。この
委員会はその後
昭和二十三年の一月から廃止されまして現在に至っておるのでありますが、内閣が
最高裁判所長官の指名または
最高裁判所判事の任命を行うにつきましては、その人選について一そう慎重を期するようにする必要がございますので、
裁判官任命諮問審議会の意見を聞くべきものとするのが相当であると考えられますので、このようにしたのであります。この
審議会は内閣に置きまして、
裁判官、検察官、弁護士及び学識経験のある者のうちから任命される
委員で組織するものといたしております。その詳細につきましては、前例にならいまして政令で定めることにいたしております。
第四十条でございますが、これは、小
法廷の
首席判事及び小
法廷判事につきましても、他の
下級裁判所の
裁判官と同様に
憲法第八十条に従った任命方式をとる、すなわち、
最高裁判所の指名した者の名簿によって内閣でこれを任命する、そしてその任期は十年とすることにいたしました。そのほか、特に小
法廷主席
判事については、その地位の
重要性にかんがみまして、最高裁所
判事及び
高等裁判所長官と同様その任免を天皇が認証することにいたしたのであります。
四十一条の
改正でございますが、これは
最高裁判所の
裁判官の減員並びに小
法廷自席
判事及び小
法廷判事の新設に伴う
改正でありまして、
現行法第四十一条は、
最高裁判所裁判官十五人のうち、一定の
法律専門職に在職の経歴を必要とする者の数を少くとも十人というふうに定めておりますが、今度この
最高裁判所裁判官を
長官を入れて九人ということに減員いたしますことに応じまして、現在と同じ比率で、この一定の
法律専門職に在職の経歴を必要とする
裁判官の数を少くとも六人ということにいたしたのであります。また、その在職年数の計算につきましては、小
法廷主席
判事または小
法廷判事の在職を
高等裁判所長官、
判事等の在職と同一に取り扱うことにいたしましたほか、必要な字句の整理を行なっております。
次に、四十二条の
改正でありますが、これは、小
法廷首席判事及び小
法廷判事の任命資格を
高等裁判所長官及び
判事の任命資格と同一にいたしましたほかは、四十一条の
改正に伴う字句の整理を行なったのであります。
四十四条でございますが、これは、小
法廷首席判事及び小
法廷判事の職にあった者につきましても、
高等裁判所長官、
判事等の職にあった者と同様、
簡易裁判所判事に任命することができるようにしたほか、字句の整理を行なったのであります。
四十七条でございますが、これは、
下級裁判所の
裁判官のうち
最高裁判所がその職を補することになるのは、小
法廷首席判事及び小
法廷判事以外の
裁判官、すなわち
高等裁判所長官、
判事、
判事補及び
簡易裁判所判事に限られるということを明らかにしたのであります。すなわち、小
法廷首席判事及び小
法廷判事については補職の必要はないから、このようにいたしたのであります。
それから、第五十条でございますが、これは、小
法廷首席判事及び小
法廷判事の定年を、
高等裁判所長官等と同様、年令六十五年に達したときというふうにいたしたのであります。
第五十四条の
改正でございますが、これは、
最高裁判所判事の
員数が八人と定められることに伴いまして、
最高裁判所判事秘書官の人数を八人ということにしたのであります。
次に、第五十七条の
改正でありますが、これは小
法廷にも
裁判所調査官を置くようにしたのであります。
現行の第五十七条第一項では、「
最高裁判所及び各
高等裁判所に
裁判所調査官を置く。」というふうに
規定いたしておりますが、これとの均衡上、また実際上も、小
法廷において判例の索引、外国立法例、文献の調査その他
裁判官の補助的事務を行うということは必要であると考えられますので、小
法廷にも
裁判所調査官を置き得ることにしたので、あります。
七十七条、これは小
法廷の
裁判の場合の評決につきましても
最高裁判所は特別の定めをなし得るようにしたのであります。小
法廷は前に申し上げましたように
最高裁判所の定める三人以上の人数の
裁判官で
審理及び
裁判をすることになっておりますので、場合によっては偶数の
裁判官で
裁判をすることも考えられますから、
最高裁判所の
裁判の場合と同様に、
最高裁判所が特別の定めをする余地を認める必要があると思われるのであります。
以上が
裁判所法の
改正の
関係でございますが、次に、第二条、すなわち
刑事訴訟法の
改正の条文について申し上げます。
まず、三百七十条の
改正でございまますが、三百七十条の第一項は上訴費用の補償決定をする
裁判所を定めておるのであります。このたび小
法廷が
上告裁判所となったことに伴いまして、小
法廷が補償決定をするということが考えられるのであります。そこで、従来上訴
裁判所たる
最高裁判所または
高等裁判所が補償決定をするという趣旨になっておったのでございますが、これを単に「
裁判所」というふうにいたしまして、小
法廷がこれに含まれるという趣旨を明らかにしたのであります。
それから、第三百八十五条第二項及び第三百八十六条第二項、この二つの条文は、
高等裁判所の控訴棄却決定につきまして
規定いたしておりますし、また、第四百三条の第三項は
高等裁判所の公訴棄却決定について
規定いたしておるのでありますが、いずれもそれは
高等裁判所でそういうふうな決定があった場合にはその
高等裁判所に異議の
申し立てをすることができるというふうになっておるのであります。ところが、従来は、四百十四条の
規定によりまして、これらの
規定が
上告審における同じような種類の決定にも準用せられるものと解釈されておったのであります。しかし、後に述べますように、四百十五条及び四百二十八条の二という
規定が
改正ないし新設されることになりますので、小
法廷のした決定に対しましては
最高裁判所に異議の
申し立てをすることができるようになったわけであります。そういたしますと、
上告審におきましてはもはやこの三百八十五条第二項、三百八十六条第二一項及び四百三条第二項の準用によって異議を認めるという必要がないものと思われますので、これらの
規定を削除することにしたのであります。しかし、
高等裁判所がしたこれらの決定に対しましては従前
通り異議の
申し立てを許す
規定が要りますので、後に申し述べます四百二十八条の
改正によりましてこれを認める趣旨を明らかにいたしております。
次に、四百五条の
改正であります。四百五条の第二号及び第三号の
改正は、「
最高裁判所」の下に「又は
最高裁判所小法廷」を加えようというのでありますが、これの趣旨は、
憲法問題を含む
事件とかあるいは判例変更を必要とする
事件等を除きまして原則として最終の
法律審となる小
法廷、すなわち、小
法廷というのはそういう
憲法問題、
判例変更等を除きまして最終の
法律審というふうになるわけであります。そういうふうな小
法廷の果す重要な役割にかんがみまして、その判例にも
最高裁判所の判例に準じた権威を認めまして、これに違反する
高等裁判所の判決に対しては常に
上告することができるようにしようという趣旨であります。
次に、本条に第二項を加えますが、これは、
刑事訴訟法における
上告理由の
範囲を拡張いたしまして、判決に影響を及ぼすことが明らかな
法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することを
理由とするときにも
上告を認めようとする趣旨でありまして、この
法律の中でも最も重要な
改正点の一つであります。
現行法は、御承知のように、
上告の
理由を
憲法違反及び判例違反に制限をいたしまして、一般の
法令違反を
理由とする
上告を認めていないのでありまして、
高等裁判所が一般の
法令の解釈または適用を誤まった場合にも、これに対して
当事者が権利として救済を求めることは許されないわけであります。もちろん、
上告事件処理の実情におきましては、
最高裁判所は、第四百六条の
事件受理の
制度及び第四百十一条のいわゆる職種破棄の
制度を活用いたしまして、
法令の解釈の統一と個々の
事件における
当事者の救済とをはかってきたのでありますが、これらの
制度はいずれも
最高裁判所の良識に基く裁量にその運用がゆだねられておるものでありまして、
当事者といたしましては、適正な裁量が行われるかどうかということについて不安がないわけではないのであります。
上告制度が
法令解釈の統一を重要な目的とすることは当然でございますが、一面、国民の権利、人権に直接影響する
刑事裁判におきましては、個々の
事件における
当事者の救済という要請も無視することはできないのでありまして、
現行法制定以来
上告申し立ての
理由を拡張すべきであるという意見が一部に強く主張されておりますのも、また
最高裁判所が前に申しましたように四百六条、四百十一条等の
制度を活用してきたのも、
刑事裁判のこのような性格に基くものと思われます。そうだといたしますれば、
上告審における一般の
法令違反の審査を
最高裁判所の裁量にゆだねてしまうよりも、これを
上告裁判所の義務とすることによって、個々の
事件における
当事者の救済を十分にいたしまして、
裁判の公正に対する保障を一そう強化するのが相当であると考えられるので、本条に第二項を加えましたのもこの趣旨に基くものであります。
ところで、この一般の
法令違反を
上告理由に加えるといたしましても、その
範囲をいかに定めるかは問題でございます。たとえば、いろいろの場合が考えられるわけでありまして、すべての
法令違反を
上告理由にする、あるいは判決に影響を及ぼすべき
法令違反を
上告理由とする、あるいは判決に影響を及ぼすことが明らかな
法令違反を
上告理由とするといういろいろな場合が考えられるわけでありますが、ここではこれらの事由を直ちにとってもって
上告理由とすることはいたさなかったのであります。その
理由は、これらを
上告理由といたしますと、判決に影響を及ぼすことが明らかな
法令違反というのはすでに御承知のように控訴
理由となっておるのであります。三百七十九条及び三百八十条等の
控訴審の
規定等との均衡から見まして、これは適当でないというふうに考えられますばかりでなく、
上告審の負担をあまりに過重とするというおそれもございますので、そういう点を考慮いたしまして、判決に影響を及ぼすことが明らかな
法令の違反があって原判決を破棄しなければ著しく正義に反することを新たに
上告理由として認めることにいたしたのであります。ここに「原判決を破棄しなければ著しく正義に反する」という字句がございますが、この趣旨は、すでに御承知のように、
改正前の現在の四百十一条に同じような字句がございます。例の職権破棄の
制度、この条文についてすでに多くの判例が出ておりますので、大体の意味は明らかにされておるのでありますが、結局、
当事者の権利
関係に実質的な影響を及ぼすような場合はそういう場合に当るというふうに考えております。たとえば、有罪か無罪かの結論を逆にする、あるいは刑期に変動を生ずるというような
法令違反があれば、これはもちろん
上告理由になるわけでありますが、ただ単に、たとえば刑法十四条の適用を示すことを忘れる——十四条というのは刑期を加重しても二十年をこえないというふうな趣旨のものでありますが、これの適用を示すことを忘れるというような場合、こういう場合にも今までの
控訴審では判決に影響を及ぼすことの明らかな
法令違反に該当するという判決例がある。ですから、あとの正義に反するということを加えないと、それも
上告理由になるということになるわけであります。そういう場合とか、あるいは、放火
事件につきまして刑法第十九条の適用を誤まりまして、無価値に近いマッチ一個を誤まって没収したというような場合、こういうふうな場合等にはこれを事由として
上告理由とすることができないというふうになると考えられるのであります。
それから、四百十条でありますか、これは、四百五条の第二項の新設によりまして
上告理由が拡張されたことと相待ちまして、
上告審における原判決の破棄の事由を整備したものであります。
四百十一条でございますが、これは、
上告裁判所が職権によって原判決を破棄することができる場合を本条は定めておりますが、本条第一号の事由が前に申し上げましたように、新たに四百五条第二項に
上告理由としてつけ加えられることになりましたので、その第一号を削除することにしたわけであります。
次に、第四百十五条でございますが、これは
最高裁判所小法廷のした判決及び
上告を棄却した決定に対する
最高裁判所への異議について
規定したものであります。
裁判所法の
改正によって設けられることになりました小
法廷が
下級裁判所である以上、その
裁判の
憲法適否の問題につきましてはさらに
最高裁判所による最終的な判断の機会を与えることが
憲法上の要請であると考えられますので、小
法廷の
裁判に対しまして
憲法違反があることを
理由として
最高裁判所に異議の
申し立てをすることを認めたのであります。本条は、四百二十八条の二、これは後に述べますが、それの新設の
規定とともに、
改正後の
裁判所法第十条——さきに申し上げましたが、この第十条の第四項、第五項などと趣旨を同じくする
規定でありまして、特にこれを
刑事訴訟法中に
裁判所法とは別に
規定を設けることにいたしましたのは、
刑事訴訟法が人権に直接の
関係を持っておるという性質にかんがみまして、異議に関する
事項をすべて
最高裁判所規則の定めるところにゆだねるということにはいたさなくて、一定の
事項は
法律によって
規定するのが適当であると考えられたからであります。
本条の第一項は、小
法廷のした判決及び
上告を棄却する決定に対し、四百五条第一項第一号に
規定する事由があることを
理由として
最高裁判所に異議の
申し立てをすることを認めております。
上告を棄却する決定は不適法な
上告の
申し立てを棄却する決定でありまして、
事件の内容を審査した上でなされるものではないのでありますが、これによって
事件を終結せしめるという点では判決に類似いたしておりますので、ここにこれを加えた次第であります。四百五条第一項第一号に
規定する事由、すなわち、
憲法の違反があること、または
憲法の解釈に誤まりがあることと申しますのは、
改正後の
裁判所法第十条第四項に出ております
憲法の解釈の誤まりがあることその他
憲法の違反があることというのと同じ意味でありまして、本項の
規定によりまして異議の
申し立てをすることができる
裁判は
裁判所法の第十条第四項、これは
改正後の条文でありますが、それにいわゆる「他の
法律の
規定により不服の申立をすることができる
裁判を除いて」云々というその
裁判に該当するわけであります。
第二項は、第三項とともに、異議の
申し立てと小
法廷の
裁判の効力との
関係を
規定したものであります。まず、第二項の本文は、異議の
申し立てがあっても判決の確定が妨げられない、また
裁判の執行が停止されないことを
規定いたしております。従いまして、小
法廷が有罪または無罪の判決をいたしますれば、その判決は直ちに確定いたします。また、小
法廷が
上告棄却の判決または決定をいたしますれば、有罪または無罪の第一、二審の判決が直ちにここで確定することになるわけであります。これによって、刑の執行を初めとして、判決、決定のあらゆる効果が発生するわけでございます。このようにいたしましたのは、前に
裁判所法第十条において述べましたように、
裁判の遅延により上訴
事件の遷延を極力防止しなければならないということと、小
法廷の
裁判に
憲法違反があるような事例はきわめてまれであるということが予想されること等を考慮いたしたためであります。ただ、確定判決の効力のうちでも、最も重要でございます刑の執行につきましては、執行停止の必要のある場合も考えられますので、本項のただし書きによりまして、
最高裁判所または小
法廷の決定で、異議についての
裁判があるまで刑の執行を停止し得ることを定めますとともに、その場合には、上訴権回復の請求があった場合の
刑事訴訟法第三百六十五条の
規定の例にならいまして、勾留状を発することができることにしたのであります。
第三項は、小
法廷の
裁判によって確定する判決が死刑の判決である場合には、その
重要性にかんがみまして、異議の
申し立てがあれば、これについての
裁判があるまで当然に刑の執行が停止されるということにしたのであります。
第四項は、異議についての
裁判においては、不利益変更禁止の原則が適用されまして、小
法廷のした有罪もしくは無罪の判決、または小
法廷のした
上告棄却の判決もしくは決定によって確定した第一、二
審判決より被告人に不利益な
裁判をすることはできないことを明らかにしたのであります。検察官が異議の
申し立てをした場合にもこの
規定が適用されることになるわけでありまして、この点は特色があるわけであります。第二項におきまして、小
法廷の
裁判によって被告人の有罪または無罪を確定させることにいたしましたので、非常
上告や再審の場合と同じく、もはや被告人の不利益には変更しないことにしたのであります。
第五項は、異議に関する手続については、この
法律、すなわち
刑事訴訟法に別の
規定があるものを除きまして
最高裁判所の規則の定めるところによるということを定めたのでありまして、
改正後の、
裁判所法第十条第六項後段の
規定と同じ趣旨であります。
最後に、
現行法の第四百十五条は、四百十六条から四百十八条までの
規定とともに、
上告裁判所のした判決に対する、いわゆる判決訂正の
制度を定めておりますが、小
法廷の、判決に対しましては、前に申し上げましたように、四百十五条の
規定によりまして
最高裁判所に異議の
申し立てができることになっておりますし、また判決訂正の
制度は従来から
裁判の威信及び
事件迅速処理の観点から種々の批判がなされておったのでありますが、その運用の実績に徴しましても、特にその
制度の必要性があるということも考えられませんので、これを廃止することにいたしたのであります。
次に、四百十六条から四百十八条までの
規定でありますが、これを削除いたしておりますが、これは今申し上げましたように、判決訂正に関する条項であって、四百十六条及び十七条はこの判決訂正の
制度の廃止とともに不必要となったのであります。また、四百十八条の方は、
上告裁判所の判決が言い渡しとともに確定するということは、
改正後の四百十五条の第二項に
規定してございますので、これも不用となったので廃止しようというわけであります。
四百二十八条でございますが、これは、さきに三百八十五条第二項、三百八十六条第二項、四百三条第二項の削除について申し上げましたところですでに説明いたしてありまするが、
高等裁判所がしました控訴棄却または公訴棄却の決定に対する異議の
申し立てに関する
規定がなくなりますので、第二項に後段を加えまして、それらの決定に対しては従来
通り異議の
申し立てをすることができる趣旨を明らかにいたしますとともに、第三項の字句を整理したのであります。
四百二十八条の二でございますが、これは、
改正後の四百十五条に
規定する小
法廷のした判決及び
上告棄却の決定を除きまして、小
法廷のしたすべての決定に対して
憲法違反を
理由として
最高裁判所に異議の
申し立てをすることができることに定めたもので、四百十五条と同趣旨の
規定でございます。ただ本条に言う小
法廷の決定の中にはいろいろの性質のものが含まれておりますので、第四百十五条の場合のように単に刑の執行の停止ということではなくて、
裁判の執行の停止というふうになっております。
次に、四百三十三条の
規定でございますが、この
改正は、四百五条の
改正による字句の整理であります。
それから、四百五十三条の二の
規定を新設いたしております。これは、
改正後の第四百十五条の
規定によります異議の
申し立てを棄却した
最高裁判所の判決に対しましても、
上告を棄却する判決に対する場合と同じように、再審の
申し立てを認めようとする趣旨でございます。なお、
最高裁判所が小
法廷の判決を破棄した上でした有罪の判決に対しましては、四百三十五条の
現行の再審の
規定によりまして再審の
申し立てが許されるということは、申すまでもないところであります。
最後に、四百七十五条の
規定でございますが、これは、法務大臣が死刑の執行を判決確定後六ヵ月以内に命じなければならないが、この死刑の執行を命ずべき期間、これが一定の場合に延長されるとなっておりますが、この延長される場合といたしまして、新たに設けられました四百十五条による異議の
申し立てがあった場合を付加したわけであります。
以上簡単でございますが条文別の説明を終ります。