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1957-04-27 第26回国会 衆議院 文教委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十七日(土曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 赤城 宗徳君 理事 高村 坂彦君    理事 坂田 道太君 理事 竹尾  弌君    理事 佐藤觀次郎君       杉浦 武雄君    永山 忠則君       並木 芳雄君    山口 好一君       小牧 次生君    櫻井 奎夫君       高津 正道君    辻原 弘市君       野原  覺君    小林 信一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         人事院事務官         (給与局次長) 慶徳 庄意君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤誉三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政部         公務員課長)  角田礼次郎君         文部事務官         (大臣官房人事         参事官)    田中  彰君         文部事務官         (大臣官房総務         参事官)    斎藤  正君         文部事務官         (初等中等教育         局教科書課         長)      安達 健二君         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 四月二十七日  委員平田ヒデ辞任につき、その補欠として辻  原弘市君が議長指名委員に選任された。 同日  委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として平  田ヒデ君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十七日  国立及び公立学校事務職員休職特例に  関する法律案永山忠則君外五名提出衆法第  三三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  学校教育法の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇〇号)  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案内閣提出第一〇一号)  国立及び公立学校事務職員休職特例に  関する法律案永山忠則君外五名提出衆法第  三三号)  学校教育に関する件     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず国立及び公立学校事務職員休職特例に関する法律案議題とし、まず提出者より趣旨説明を聴取いたします。永山忠則君。     —————————————
  3. 永山忠則

    永山委員 ただいま議題となりました、国立及び公立学校事務職員休職特例に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  すでに御承知通り国立または公立学校の校長及び教員が、結核性疾患のために、長期休養を要する場合、その休職期間につきましては、教育公務員特例法第十四条によりまして満三年までとなっており、その休職期間中は、給与全額支給されているのでございます。しかるに、これらの学校事務職員結核性疾患にかかり休職されたときは、教員同一職場に勤務しておりながら、任免、分限、給与等については、教員とは画然と区別されており、異なった身分規定を受けている関係から、国家公務員法人事院規則一般職給与に関する法律及び地方公務員法地方公共団体条例等によりまして、その休職期間は、満二年までとなっており、その休職期間中は、俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の八十が支給されている現況でございます。  今さら申し上げるまでもなく、学校における教員事務職員とは、ともに学校教育の両翼をなしており、学校教育の円滑をはかり、教育効果を最大限に発揮させるためには不可欠、かつ不可分の関係にあるのでございます。とりわけ大学以外の学校における事務職員は、学校という教育の場において、成長発達の途次にある児童並びに生徒の健康上にも及ぼす影響が教員と同様に多大であることを考えますとき・結核性疾患によるその休職取扱いにおいて、教員事務職員とが、それぞれさきに申し上げましたような不均衡取扱いを受けることは、学校教育の運営上、厳に避けるべきものと思うのでございます。  以上御説明申し上げました理由によって、本法律案は、国立または公立大学以外の学校事務職員が、結核性疾患のため、長期休養を要する場合に該当して休職されたときは、その休職期間及び休職期間中の給与は、教育公務員特例法規定を準用することにより、教員と同様に安んじて十分に静養し得るようはからわんとするものでございます。  以上が、この法律案提出理由内容でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  4. 長谷川保

    長谷川委員長 これより本案に対する質疑に入ります。質疑通告があります。これを許します。坂田道太君。
  5. 坂田道太

    坂田委員 事務職員結核休職に対する法律案提案理由をただいま承わったのでございますが、確かに事務職員方々処遇につきましては、従来同一職場にありながら、一般教職員方々よりも、待遇給与等についてもはなはだしく不均衡であるという点もあるのでございまして、われわれといたしましては、これらの方々に対して何とかそのアンバランスを是正したいと考えて参っておったのでございますが、政府はこれら事務職員に対して、今後何らかの行政措置等による待遇改善についてお考えがあるか、あるいは何か行政指導等によって、これらの事務職員方々が安んじて自分の職責を完全に全うできるような態勢に持っていかれるような具体的な措置をお考えでありますならば、この際承っておきたいと思うのであります。
  6. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ただいま御指摘の通り事務職員一般教職員に比して待遇が十分でないという点につきましては、私どももかねがね心配しておりまして、事務職員優遇につきまして、種々検討を重ねて参ったのであります。特に小中学校においては事務職員の数が少いという点から、役職につく機会も少くて、事実上低い級に格づけされておる。こういうような事例も間々ございますので、できるだけ事務職員職務性質にかんがみまして、役職につくような場合に、単に人数だけを基準にしないで、職務性質及び学歴経験年数等を勘案しまして、事務職員が将来適当な級に昇進できるような通達をいたしたいと考えておるのであります。特に国立高等学校事務職員につきましては、係長で十級、事務長は十二級までいけるように措置されておりますので、この公立学校との均衡も考慮して事務職員優遇が講じられるように指導通達を出すように準備をいたしております。それ以外の事務職員の時間外勤務手当についても、従来市町村立学校につきましては、市町村負担するという建前になっておりますが、この額も十分に支給されておりませんので、一般事務職員との均衡を考慮いたしまして、適正な額が支給されるように考慮いたしたい。なお県費負担職員任用につきましては、今後は人事交流をはかるという意味から、統一的な基準都道府県単位任用を行うように指導いたしまして、人事交流を促進いたしたい。特に事務職員人事が渋滞しているという事情もございますので、こういう面においても改善をはかりたいと考えております。それから同時にこういうような任用の統一をはかることその他によりまして、教育委員会学校、あるいは教育関係機関との人事交流をさらに促進いたしまして、人事の渋滞を来たさないように努力いたし、また教員については研修機会がたびたびあるのでございますが、最近学校事務が非常に複雑になっておりますので、事務職員にも研修機会を与えませんと、職務能率の上から考えまして十分でないと思いますので、学校教職員と同様に研修機会を与えて、事務能率の向上、学校事務の運営の促進に努力をはかりたい。そのような意味をもちまして、文部省から通達を準備いたしている次第であります。
  7. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はございませんか。——なければこれより本案討論に付します。——別討論通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案原案通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。   〔総員起立
  9. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案原案通り可決するに決しました。(拍手)     —————————————
  10. 長谷川保

    長谷川委員長 次に市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案議題とし審査を進めます。質疑があればこれを許します。——別になければ、この際小牧君より本案に対する修正案提出されております。提出者より趣旨弁明を聴取いたします。小牧次生君。
  11. 小牧次生

    小牧委員 ただいま議題となりました、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  御承知通り市町村立義務教育学校教職員給与につきまして、現在都道府県負担となっており、国は、毎年度都道府県ごとに、その実支出額の二分の一を負担しているのでございます。  しかるに、今日、市町村立義務教育学校事務職員にかかる時間外勤務手当につきましては、従来都道府県負担の対象とならず、その全額当該学校設置着たる市町村負担となっている関係上、ややもすれば市町村財政の規模の大小によって左右されるため、その適正な額の支給がなされていないうらみがあるのでございます。これらの点を考えまして、本修正案は、義務教育の円滑な実施に資するため、市町村立義務教育学校事務職員にかかる時間外勤務手当を、他の給与と同様に都道府県負担規定して、その実支出額の二分の一を国に負担させようとするものでございます。  以上が、本修正案提出理由内容でございます。慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。
  12. 長谷川保

    長谷川委員長 これにて修正案趣旨弁明は終りました。修正案に対する質疑通告がありますので、これを許します。辻原弘市君。
  13. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま提案されました修正案は、かねて問題になっておりました公立学校事務職員に対して、新しく都道府県負担でもって超過勤務手当支給するということを法律によって明確にしようという趣旨のものでありますので、この修正案に対しましては、われわれは全く賛成でございます。同時に、先刻可決せられました公立学校及び国立学校事務職員に対する結核休職特例に関する法律案、これも同様多年問題となっておりました事務職員処遇について、その解決に大きく一歩踏み出したという趣旨のものでありますので、われわれは異議なくこれに賛成をいたしたのでありますが、これら多年懸案でありました学校事務職員待遇問題が、ここにそれぞれ与野党が共同いたしまして、これらの問題の解決に大きく端緒を開きましたことは、喜びにたえないところでありますが、今回こういうような法律的な措置並びにまた先刻内藤政府委員から答えられました給与取扱いに対する具体的な方法と合せまして、現実的な待遇改善に資することは間違いもない事実であろうとわれわれは期待をいたしておるのでありますが、しかし翻って考えますると、事務職員処遇の問題は、一つは、やはり事務職員身分取扱いにあったのでありまして、このためにわれわれとしましては、かっての国会に事務職員身分を、その職務内容から考慮して、当然教育職員の範疇に入れるべきであるという趣旨法律提案いたしたことがございました。しかし当時与党の賛成を得られないままにこれが廃案となったのでありますが、こうした身分上の問題は、今回の法律的あるいは行政的措置におきましては、何ら根本的に触れてはいないのでありますけれども、しかしながら身分教育職員と同じような立場に置かれると同然の具体的な改善措置がこれによって行われるであろうということは、先ほども申し上げましたようにわれわれも考えておるのであります。しかしながら、法律が作られ、あるいは行政措置が行われましても、あげてこれらの実施の主体は地方でありまするので、将来これらの法律実施並びに行政措置運用等をめぐって、無用の誤解やあるいは疑義を生じないように、この機会に私はそれらの重要な諸点について、それぞれ関係省から承わっておきたいのであります。  まず第一に、ただいま修正案として提出されているこの超過勤務手当の問題についての内容でありますが、都道府県にその支給を上げることによりまして、当然国庫負担法趣旨から申しまして、地方はこれらに対する支出義務を持ってくるわけでありまするから、これが実施になりました場合、年間どの程度地方における支出が必要となってくるか、この点をまず明らかにしておいていただきたいと思います。同時に、これは今後の問題でありますが、地方支出した場合に、その半額国庫で見るということでありまするから、それらの財源措置についての方法、これを文部省からまず承わりたいのであります。  それからいま一点は、これはあわせて自治庁にも伺いたいのでありますが、通例義務教育職員以外の公立学校等における事務職員は、在来より超過勤務手当支給せられておったと思うのでありますが、その場合の給与総額に対する比率を何ぼと見ておったか。同時に今回支給しようとする事務職員に対する超過勤務手当支給率は、給与総額に対して幾らになるのか、その点を承わっておきたいと思います。
  14. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 このたび御提案になりました事務職員超過勤務手当総額は、大体一億円であります。それで当然これが国庫負担にはね返りますので、はね返った国庫負担の額が約五千万円、こういうふうに見ておるのであります。その積算の基礎は、大体地方財政計画では本俸の六%程度を超勤として見込んでおるのであります。  この法案が可決された場合にどうするかというお尋ねでございますが、現行国庫負担金の予算で一応まかなわなければならないのではなかろうか、もちろん補正機会がございますれば、当然補正を要求いたしたい考えでおります。
  15. 角田礼次郎

    角田説明員 ちょっと財政の問題の御質問で、私はっきり記憶しておりませんが、事務職員として特別にどうということは、たしか財政計画の上でもなっていないと思いますが、一般職員につきましては、今内藤局長から御答弁がありましたように、大体六%程度見込んでいるように一応記憶しております。
  16. 辻原弘市

    辻原委員 財政担当の方が見えておられませんので、ちょっと困るわけでありますが、それでは文部省に伺います。義務教育学校の場合には、国庫負担でもって半額をカバーするということで、おそらく実施上あるいは財源上はさしたる問題がないように考えます。問題は、今自治庁にお伺いいたしました国庫負担法に関連のない公立高等学校関係、これは従来知るところによれば、若干支給をしているところと、支給していないところとがある。もちろん一般職員程度ではありません。それよりきわめて少額でありますが、非常に不均衡な形で施行が行われているのでありますが、懸念されることは、新しく法律でもって、財政半額義務教育措置をする。ところが公立高等学校の場合は、これは従来通りでありますから、その場合地方においては、この支出ににわかに従来よりもカバーをしていくということに若干遜色が出てくるのじゃないかと考えられるわけですが、それらの点は実施均衡をとり得ることに心配がないかどうか、この点をまず文部省から伺いたいと思います。それから文部省が従来自治庁等との折衝の過程におきまして、財政計画ないしは単位費用等関係においてはどういう形になってくるのか、一応文部省見解を伺っておきたい。
  17. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 高等学校の場合の事務職員は一応全部地方財政計画で六%と見ておるわけでございます。従ってこの法律可決されても、高等学校については非常に大きな支障があるとは私は考えておりません。なお本年度単位費用の中におきましては、高等学校につきましては特別に優遇をいたしまして、従来の三割増し程度単位費用の増額をしておりますので、この面から考えましても、この程度のことは何とか消化できると考えております。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 次に、先刻可決になりました結核休職について、同様やはり地方支出増となる分、これに対する措置、それから定員に対する比率、これを明らかにしておいていただきたい。
  19. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 結核休職につきましては定員の一・五%を見込んでおります。この額が大体二千万と私どもは推定しておりますが、もちろん推定でございますから、現実にどの程度結核患者が出るかによって違ってくると思います。大部分が義務教育だろうと私どもは思っておりますが、こういう点から国の費用一千万が負担増になると考えます。これも先ほど申しましたように、超過勤務と同じように、現在の負担金のワクでできるだけ処理いたしまして、適当な機会補正がございますれば補正要求をいたしたいと考えております。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 次に、その他のと申しますか、基本給改善について、先ほど坂田委員質問に答えてその方針を示されておりますが、基本給改善措置、その他任用人事交流研修、それから今の法律関係している時間外手当、こういった問題に対する地方実施に対する徹底方法、これをどういうふうに考えているか、この点をもう一度明らかにしておいていただきたいと思います。
  21. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 文部省通達指導いたし、また教育長会議が近くある予定でございますので、教育長会議にもこの趣旨は十分徹底いたしたいと考えております。
  22. 辻原弘市

    辻原委員 そこで人事院自治庁にお伺いいたします。先ほど内藤政府委員から述べましたように、これは今後文部省の通牒で地方に徹底するということであり、また同様趣旨をそれぞれの諸会合を利用して運用に全きを期するという方法を講ずるということでありますが、それらの内容について、すでにここで表明をせられておりますのでお伺いするのでありますが、自治庁人事院ともこれに異論がないかどうか、この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  23. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 人事院立場としましては、御承知通り国家公務員のみを所管いたしておるのでありまして、地方公務員権限外でございます。従いまして、公けの席におきまして、この案がよろしいとか悪いとかいうことを申し上げる立場にございませんので、この委員会においては、はっきりしたことをお答え申し上げることはできないと思います。ただ実際上の問題としましては、やはりひとしく給与行政をやっておりますので、事実上の問題としては事務的にいろいろ御連絡あるいは御相談を受けておりますが、そのような立場におきましては異存がないのでございます。
  24. 角田礼次郎

    角田説明員 私どもの方は地方公務員全般関係があるわけでございますし、また私どもの方の立場として、地方公務員給与その他の待遇の問題は、法律に特別に定めがない限り、これは地方団体が自主的に決定する、こういう建前で従来すべて公務員制度運用しているわけであります。従いまして、特殊な職員のいろいろこまかい問題につきまして、私どもの方として積極的にいろいろ地方指導をするというようなことはいたしておらないのでございますが、ただいま学校事務職員の問題につきまして、いろいろ立法措置以外の行政措置の面につきまして、文部省の方から御発言があったわけでございます。従来学校事務職員の問題につきましては、文部省の方からいろいろ密接に私どもの方に御連絡をいただいております。従来もそのような面について自治庁関係文部省関係でそごを来たすというようなことはございませんでした。ただいまの文部省が御指導になる根本的な考えなりその大綱につきましては、私どもも別に異論はございません。
  25. 辻原弘市

    辻原委員 ただいま承わりますれば、それぞれ所管建前から、公式に表明云々ということに支障があるが、実際上の措置、事務的な内容については、人事院自治庁とも異論がないというお話でございました。と申しますのは、人事院義務教育に関する事務職員所管ではないかもわかりませんが、人事院という職制から、おそらく地方人事委員会等から、これらの実施についての文部省通達が果して妥当なものであるやいなやというような質問が、あるいは人事院に参るかもわからぬというようなことを懸念いたしまして、そういう場合にそれをわしの方では知らなんだということでは困りまするので、そうした場合においてはただいまここでお述べになりましたように、その内容については文部省見解と一致しておるということが回答せられるものと予想いたしまして、このことは了解をいたします。  次に基本給の改訂についての文部省指導でありますが、現在特にこれは義務教育事務職員関係に多いのでありますが、それぞれの職階に基いて人事院職階級の八の二ですか、格づけ基準によればどうしても一ないし三といったような、あるいは四、五といったような少数の事務組織の場合は、現行給与法の十二あるいは十級というような役づけグレードに昇格させることが困難な仕組みになっておるように聞いておるのであります。従って地方においてはそれが不当に低く押えられて、本来事務職員職務重要性にもかかわらず、教職員と比較をいたしましても、それと同程度の動続年数ないしは学歴を有しておっても、上級に進んでいかないという欠陥を持っておるのであります。それを今回文部省はそうして部下職員の数に拘泥することなくこれを昇給させるという指導をなさるようにただいま承わったのであります。そのことはもっと簡単に言いますると、結局現在それぞれの職階があるけれども、主として勤務年数あるいは学歴等を重視して、それに対しては十級ないし十二級という役づけ職員までこれを頭打ちなくして昇給をさせていくという趣旨のものであるというふうに解釈をいたしたのであります。念を入れるようでありますが、そういうことでありますかどうか。
  26. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 事務職員は、学校事務職員の場合でも一般事務職員の系列に入るわけでございます。従って事務職員の中における職階的な要素というものは当然考慮されるわけでございますが、従来数の少い場合には役職につく機会がまれであった。従ってグレードのきめ方が低いところに落ちついておった。ですから今後指導する場合には、部下職員の数のみによらないで、職務性質学歴勤務年数を考慮して役職につけるようにいたす。役職につきますれば係長で十級、事務長で十二級という公立学校の例もありますので、そういうふうに指導いたしまして事務職員優遇をはかって参りたい、こういう趣旨でございます。
  27. 辻原弘市

    辻原委員 次にもう一点。すでに給与法改正案が本院を通過いたしまして、近く参議院でも可決予定でありますが、それによりますと、従来のグレードがかなり大幅に変更せられて、新しい等級によって規定されておるようでありますが、その場合に現行給与法では、十ないし十二級でありますが、今度はかなり幅が縮まっておるという関係で、その格づけについても非常に幅のあるものになっておりますが、一体どの程度のものに——これはもうすでに実施の段階では新給与法に基くと私は実際上の問題から考えます。そうした場合に、これは将来の問題でありますから、多少問題はありますけれども、しかしこの機会にこれらの点についてもはっきりしておいていただいた方がけっこうと思いますから、どの程度等級に該当してくるのか、これを一つ御説明願いたい。
  28. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 人事院ともよく打ち合せしておりませんが、私どもの心づもりでは、大体課長補佐の四等級以下ということを予想しておるのであります。
  29. 辻原弘市

    辻原委員 次に、人事交流指導をされるようでありますが、この点について一点、これは実際上の問題として起ってくるだろうと私予想いたしますので、文部省見解を明らかにしておいてもらいたいと思いますが、それは県で統一して、府県庁あるいは教育庁等との交流をはかるということは、趣旨はまことにけっこうであります。しかし逆にこういうことも予想される、それは現在府県庁なりあるいは教育庁においてかりに人事が停頓をしておったような場合、今度は逆にそのはけ場を公立学校事務職員の場に持ってくるという危険、私はむしろ県へ上げていくあるいは教育庁の方へ交流さしていくというそういう人事交流よりも、逆に天下ってくる人事交流の方が、地方において往々やられる人事の手段ではないか、こういうことが予想される、そういうふうになりますと、これは一種の人事のしわ寄せのはけ場というようなことになると考えられるわけであります。そういうことになれば、これは今回指導される通牒の趣旨は全く意味をなしませんので、こういうことについての配慮はどうするのか、これは具体的には地方がやるのでありますから、文部省としては取扱い上は非常にむずかしいと思いますけれども、しかし人事交流をするのだという建前で推進されたならば、これは交流は上り線と下り線がある。上下という言葉の表現は非常に悪いのでありますけれども、その交流する場合には、いい面に交流を活用してもらうような指導をどういうふうにするのか、これを伺いたい。
  30. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 お話のように人事交流はこれは両面あると思います。このたびの私ども指導いたしたいと思っておりますのは、県で統一任用をいたしますれば、そうして学校に常時派遣できるように、本庁の方で見習いをして、学校の方で事務をとらせるとか、あるいは学校の方で事務をとったものを本庁の方にかわらせるというようないろいろな方法があると思いますが、できるだけ従来のように情実で人事をしないで、県で統一採択によって、試験採用でいたしまして、そういう弊害を除去するように指導いたして、できるだけお話の御趣旨に沿うように努力するようにいたしたいと思っております。
  31. 辻原弘市

    辻原委員 そこで最後に伺っておきたいのは、もし今言ったような通牒による指導、あるいは具体的に会合等による指導において徹底できず、しかも今日事務職員に関連する法律が二つ考慮されておるわけでありますが、それらの法律をもってしても、実施地方庁にあるということで、実質的な待遇改善が行われないというような事態に至った場合、これは将来の予想でありますが、そういう場合には一体文部省としては、それらの事態に至って、どういうような措置をやられようとするか、その点もあわせて一つ承わっておきたいと思います。
  32. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ただいまお話の二法律及びこの通達によって十分事務職員待遇改善されることを私どもは期待し、また希望しておるわけでございます。私どもの努力の至らない点があるかもしれませんが、最善の努力をいたしまして御期待に沿うようにいたしたい、そういう不幸な事態は私ども予想いたしておりませんので、今後十分指導するつもりであります。
  33. 辻原弘市

    辻原委員 おそらくそういう事態も予想されるであろうと思いまして、その場合の抜け道を私は実は暗示をいたしたのでありますが、それには答えられないで、これで完全にできるという相当自信のある政府見解を示されましたので、それ以上は申し上げません。その自信が一つ後日裏切られるようなことのないように、多年懸案のこれら事務職員処遇の問題について、最大限法律措置あるいは行政的措置を十全に活用せられて全きを期せられるよう、要望を最後にいたしておきます。  なお、本修正案事務職員の問題でありますが、提案をせられております改正案は、これも従来懸案となっておりました養護学校職員に対する給与取扱いを事実上改善しようという趣旨のものでありますから、従ってわれわれはこれに対して何らの異存はないのであります。ただ、ここで養護学校を入れてその内容の向上をはかるということになっておりますけれども、実態は申し上げるまでもなく、今日養護学校の数はまだまだきわめて微々たるものでありまして、先般来から当委員会でも実地の調査まで行いましたように、肢体不自由児あるいは精神薄弱児等の教育問題は、今日社会問題としてもきわめて大きな意義を持っているわけでありますから、それらの教育に当る養護学校の施設あるいは教職員待遇等は、今後とも十分文部当局におきましても、おざなりじゃなくして、積極的に一つ考慮せられて、今回のような法的措置が必要とすれば、これまた憶するところなく、文部省はわれわれの前に提示せられて、われわれと共同してこうした特殊な教育に全力をあげて参るよう、これも最後に要望いたしまして、あわせて私の質問を終る次第であります。
  34. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はありませんか。−他に御質疑もないようでございます。  この際本修正案に対し文部当局において何か御意見があれば、これを許します。灘尾国務大臣
  35. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 市町村立の小学校、中学校等の事務職員の時間外勤務手当都道府県負担とするという御趣旨につきましては、政府といたしましても十分尊重しなければならぬ、かように考えておる次第でございますが、新たに都道府県財政負担を増加し、またその半額については国の負担を伴うこと等の問題がございますので、まことに遺憾でございますけれども、にわかに賛意を表するわけには参らないのであります。
  36. 長谷川保

    長谷川委員長 これより小牧提出修正案並びに政府提出原案を一括して討論に入ります。別に討論通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。まず修正案について採決いたします。小牧提出修正案に対し、賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立
  38. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって小牧提出修正案可決せられました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立
  39. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案小牧提出修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  40. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、学校教育法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。質疑通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 文部大臣に二つばかりお尋ねするのですが、養護教育の問題は非常に重要なことでありまして、先般私たちも実際実情を見て非常に痛感したのですが、今回政府からそういう法律の一部を改正する法律案が出されたのですが、現在どういう事情にありますか、文部当局から一つ御説明を願いたいと思います。
  42. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 養護学校につきましては、学校教育法義務制を建前にしておるのでございますが、これはまだ準備が整わないという点を考慮しまして、設置者及び保護者に対しては付則におきまして義務制を免除しているわけでございます。ところでこの養護学校に該当する学校が、私どもの調査では大体十七校ございます。現状は三十一年度では十校でありますが、三十二年度の予想としては、新設及び転換を含めて大体十七校。児童数で申しますと、三十「年度の児童数が七百八十六人、三十二年度予定されておる者が二千三百四十八人。教員数で申しますと、三十一年度教員数が百二十五名、三十二年度の予想教員数が二百八十五名でございます。これに要します経費の国庫負担としては、給与費で三千万円、それから教材費で三百万円、三千三百万円がすでに予算で計上されております。なお建物の方は、施設費の補助として二千数百万円を計上しております。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 予算上のいろいろの困難もありますけれども、しかし小中学校にすべて義務制に置くように考えるけれども、一体政府はどういう考えを持っておられるか、文部当局にお尋ねします。
  44. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 将来法律の命ずる通り義務制に移したいのでございますけれども、まだいろいろとその準備段階にございます。しかし先般通りました法律もございますので、その趣旨をさらに徹底し、普及いたしまして、今後一そう充実して義務制に持っていくように努力いたしたいと考えております。
  45. 坂田道太

    坂田委員 関連質問。精薄の児童が大体どのくらいあるかということと、その就学率、それがおわかりになりましたら、一つ御答弁願います。
  46. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 精薄の児童数は十一万二千と私どもは推定しておるのでございます。これはIQ五一から七五——七五を過ぎますと教育不能でありますので、五一から七五の範囲で、就学率はわずかに一・〇五%であります。
  47. 坂田道太

    坂田委員 教育上、県下に一つか二つの学校に集めて精薄の児童を教育した方がいいのか、それともやはり普通の学校に特殊学級というような形で教育をやった方が教育効果が上るのか、その辺のところは文部省の方針はどちらに重点を置いておられるか。
  48. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点は双方に置いておるのでございまして、症状の重い者は養護学校の方に通学さしておるのでございます。症状の軽い者は普通の養護学級に入れてあるのであります。先般坂田先生あたりの御努力によりまして、養護学級の設備を増設いたしました。本年度百学級ほどの増設を考えておるのであります。
  49. 長谷川保

    長谷川委員長 他に御質疑はございませんか。——なければ本案に対する質疑はこれにて終局いたします。  これより討論に入ります。別に討論通告もないようでございますので、討論を省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。本案原案通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔総員起立
  51. 長谷川保

    長谷川委員長 起立総員。よって本案原案通り可決するに決しました。  ただいま議決されました三案に関する委員会報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 長谷川保

    長谷川委員長 御異議なしと認め、さよう計らいます。     —————————————
  53. 長谷川保

    長谷川委員長 次に、文部行政に関する質疑通告があります。これを許します。野原覧君。
  54. 野原覺

    ○野原委員 佐賀県の教員組合の幹部が教育委員会から停職処分になり、あわせて二十四日には警察権がこれに介入をしてきております。この点につきましては、一昨二十五日私は文部大臣に質問をいたしておるのでございまするけれども、なお足らない個所も相当ありまするので、二十五日に引き続きまして二、三お尋ねをしておきたいと思うのであります。  まずお聞きしたい第一点は、佐賀県の教育委員会文部省に指示を求めてきております。文部省に対して佐賀県の教育委員会が、佐賀県教職員のいわゆる三、三、四の実力行使と称するものに対してどのように対処したらよろしゅうございますかと、お伺いを立てに来ておるのであります。これは二十五日にすでに文部当局から答弁があったのであります。一体指示を求めてきたのは何月何日でございましたか、お尋ねしたい。
  55. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 別に佐賀県から私どもに指示を求められたことはございません。たしか私の記憶では、二月の終りに委員長教育長が同道で文部省においでになりまして、三、三、四の休暇闘争の実情について詳細な御報告をいただいただけでございます。
  56. 野原覺

    ○野原委員 佐賀県教育委員長、それから佐賀県の教育長同道して文部省にやってきた、その二月の終りというのは、たしかという言葉で表現されておりますけれども、実はこれは私ども問題にする大事な要素なんです。あなたの方もこういう重要なお伺いに対しましては記録なりなんなりあるはずですから、これは何月何日ですか、たしか二月の終りというあいまいな御答弁でなしに、正確なものをお示し願いたい。
  57. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 後刻正確な日にちを御連絡申し上げます。
  58. 野原覺

    ○野原委員 ただいま正確に日づけがわからなければ、これはあとでまたお聞きすることにいたしましょう。  そこで、そのときに、小松という教育委員長教育長の坂井さんと教職員課長さんがたしか同道だということを私ども聞いておる。この三名の当面の責任者がやってこられて、そのときこの三名の方に会われた文部省の人、いわゆる指示に当られた方は文部省のどなたでしたか、お聞きしたい。
  59. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 地方課長及びその係員にお会いになった。それから私にその後三人の方がお目にかかった。あとはお目にかかっていらっしゃらないはずであります。
  60. 野原覺

    ○野原委員 地方課長並びに係員・それから内藤初中局長、この三人が指示に当った方である、このように受け取ってよろしゅうございますか。
  61. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大体そう御了承願ってけっこうと思います。
  62. 野原覺

    ○野原委員 そのときあなたの方は、これは重要な問題ですから、灘尾文部大臣に当然御相談がなければならぬと思う。このように問題が発展してきますと、灘尾さんがやはり政府の文教方面の責任者、いわゆる政府の責任者として、批判もされ、糾弾もされる立場にあるわけです。私はこれは当然御相談があるべき筋合いのものであろうと思う。相談をしたかどうか、お聞きいたしたい。
  63. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 大臣には私から直接に御報告申し上げてあります。
  64. 野原覺

    ○野原委員 それは報告であって、指示をするに当ってこのような指示をしたい、このような法解釈で私は臨みたいと思うが、大臣よろしゅうございますか、こういう相談をして指示をしたのか、それとも指示をして帰してしまってから、こういたしましたと事後の報告をやったのか、お聞きいたしたい。
  65. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私どもは何ら指示をいたしておりません。
  66. 野原覺

    ○野原委員 あなたはそういうことを言うならば、そういうしらを切るならば、私は具体的に事実を出しますよ。私はあまりこういうことは文部当局に対してもうこの段階になれば申し上げたくない。佐賀県の教育界が泥沼につっ込んだこの実情というものは、私は私の出身関係等もございます、社会党もこれには承知できないといきまいておりますけれども、私は文教委員の一人としてこの問題を何とかして一日も早く解決しなければならぬ。しかも幸い国会が開かれておるいい時期でございますから、この泥沼から佐賀県の教育界をすみやかに立ち直らせるためには、どうしたらよいかということを真剣に考えなければならぬ。警察が介入してきたからといって手を打って喜んでみたり、日教組ざまを見ろうとかっさいをあげてみたりする今や事態ではない。だから私は聞いておるのですけれども、あなたは真実を語ろうとしない。あなたは何も指示をしないというけれども、それじゃお伺いにきて黙って帰したのじゃないでしょう、何か話したのでしょう。この小松教育委員長、坂井教育長、古賀教職員課長が来てどういうことをお聞きしましたか、それから聞こう。
  67. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 事ここに至った経過を詳細に伺ったわけでございまして、三・三・四の休暇闘争がいかにして起きたか、そしてそのときの状況が、どの程度実際に無断で休んだとか、そういうこまかい情報を受けたのであります。いま一つは、佐賀県の人員整理が二百五十九名というのは非常に過酷だ、これを何とか打解してほしいという強い御要望がございまして、佐賀県としての態度が出ましたので、私どもはさっそく自治庁に交渉いたしまして、何とか再建計画の緩和について自治庁の協力を強く要請いたしたのであります。それ以外に私どもは具体的に指示した覚えはございません。
  68. 野原覺

    ○野原委員 佐賀県の教職員のとったいわゆる三・三・四の実力行使というものは、地方公務員法の三十七条に一体該当すると判断をしていいのかどうか、これはやはり佐賀県教育委員会が長い間問題にしてきたことなんです。だから、もとよりあなたが言っているこの実力行使と称するものの経過の報告もあったでしょう。それから佐賀県の教員の人員整理その他にからむ地方財政の実情の話もあったでしょう。それはあったに違いない。あったに違いないけれども、三名が上京をして文部省にやってきたのは、わかり切ったそれだけで来たのじゃない。この三・三・四とやった問題を、一体どう処断したらよいのか、法解釈についても一応文部大臣は教育委員会に対して指導助言ができるのだから、一ぺん中央の見解というものをお聞きしなければならぬというので来ておる。そういうことを坂井教育長が言っておる。あなたはそういう事実はないと言っておりますが、あなたがそういう事実がないということであれば、私は委員長に要求がありますけれども、しばらく休みが続くようですけれども、佐賀県の教育長なり教育委員長なりを呼んできて、私ども究明しなければならぬ。そういう話はみじんもなかった、あなたがただいま言ったその闘争の経過、それから佐賀県の人員整理の実情報告、財政等の問題、それだけであったとあなたがあくまでも断言するかどうか、もう一ぺんこれをお聞きします。
  69. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私はそれが主であると記憶しております。あるいは地方課の方に参りまして今のこれが三十七条違反かどうかという点については、佐賀県としては三十七条違反だと、こういうふうに確信していらしたので、その三十七条違反であるということについては私どもも賛意を表したのであります。これについては佐賀県から意見を求められたのではなくて、佐賀県の見解を披瀝されたのであります。
  70. 野原覺

    ○野原委員 とんでもないことですよ。言を左右にしてもらったら困るのです。そういう、私ども議員に対して、追及すればぼつぼつ真実を語るというようなことは、文部省の初中局長という責任の立場にある人のとるべきことじゃないのです。文部大臣、こういう態度で一体よいのかどうか。私は国会議員の一人として、がまんができない、そういう人をばかにした答弁の仕方は。法規解釈について明らかに質問しておるではないか。佐賀県はなるほどそういう見解をとっておったにしろ、私はこう思うのだが文部省は一体どう思うかと、やはり聞いておるじゃありませんか。こういうことはすなおに答えてもらいたい。法規解釈を聞いておる。そうして法規解釈については、あなたはただいま佐賀県の教育委員会と同じ見解をとるのだ、こういうことを言っておる。そこではっきりしました。だから法規解釈については、第三十七条に該当する、つまり争議行為であるという断定を文部省も下して、そうだという自信を佐賀県の教育委員会に与えておる。これは向うがどう解釈をとろうとも、自信を与えたということは、一つ指導助言なのです。だれが聞いてもやっておるのです。そこで、やっておりますが、そのほかにあなたは指示を与えていませんか。これはすなおに言って下さい。僕は単にいいかげんなことでお聞きするのではない。私は一ぺんあなたに直接それを聞かなければならない。そのほかに指示を与えていることがあるだろう。それをお聞きする。
  71. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私それ以外に記憶にございません。
  72. 野原覺

    ○野原委員 記憶になければ、坂井教育長の談話を申し上げましょう。坂井教育長は、四月十五日、次のような談話を発表しておる。文部大臣、次官は、処分妥当と賛成をいたしました。停職処分にすることは妥当、つまり地公法の第三十七条、それから二十九条の適用ですね。これは当然だ、しっかりやれ、こういう意味です。妥当と賛成をした。法規解釈につきましては、文部省として妥当性を裏づける助言、資料を提供いたしましょう。だから文部省としては君らが自信を持つように、——よろしいか、君らが自信を持つように、その妥当性になる資料、それからそれを裏づけるところの助言、それをいたしましょうと確約をいたしましたと、佐賀県に帰って教育長が談話を発表しておりますが、この談話は全く事実無根の談話であるのか、文部省としては、けしからぬ、坂井県教育長は文部省が何ら関知しないことを話したと、あなたは断定するかどうか、お聞きします。
  73. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それはちょっと違うのでございませんか。私が申し上げたのは二月の終りのときなのです。坂井教育長は処分が済んだあとで文部省においでになりました。そのときと今野原委員のお話は混同されておるのじゃないかと思います。
  74. 野原覺

    ○野原委員 何を私は混同しておる。混同しておるのじゃないかとあなたは言うが、僕の言っておることの混同の具体的なところをさして下さい。私は何も混同してない。
  75. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほどお尋ねの件は、二月の終りに坂井教育長が来たときにどういう相談があったのか、こういうお尋ねであったから、私はそのときのことをお答えしたわけです。しかし今お話しのは、四月十五日とかとお話しですが、あるいは十日ですか、これはその次に・処分が済んだ後に坂井教育長がおいでになった、このときのお話については私は何ら申し上げてない。そのときには次官にも、大臣にもお会いになったので、前のときと事情が違うのだということを私は申し上げたのであります。
  76. 野原覺

    ○野原委員 そういたしますと、四月十五日の談話は処分をしたあとであるからとあなたがそう言えば、なるほどその点は私も混同した印象をあなたに与えておりますが、それはあなたの言う通りに私も従います。僕はすなおですよ、ごらんの通り。あなたもすなおな態度で臨まなければならぬ。僕もそう言われればああそうか、僕の言い方もまずかった、こう考えます。  そこで伺いますが、あなたは、一番最初に来たときに弁護士を世話しましたね。一番最初と四月十五日の談話との関連はわからないが、弁護士を世話しよう、こういうことを言われておりますね。弁護士の世話をやろうと、あなたはこう言っておるでしょう。どうです。
  77. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 それは違います。これは確かに弁護士の相談を受けましたけれども、私の方から世話しようということを一言も言っておりません。佐賀県で非常に事態の重大な問題なので、弁護士をあっせんしてほしいという御依頼は確かにありました。
  78. 野原覺

    ○野原委員 幾ら重大な問題でも県教育委員会です。佐賀県には弁護士が一体何人おると思います。弁護士を文部省が推薦して薫ることは、これまたちょっと言葉のあやで、弁護士を世話してくれないかという話がありました、こういうように言っておりますけれども、その話があってそこであなたは、よしそれでは君らが確信の持てる——こういう方面に明るい弁護士はこれは文部省は詳しいのです。教育法規とか地方公務員法とか教育行政法といえば特殊な問題です。それぞれ刑法、民法、商法あるいは為替と専門の弁護士があるわけですが、文教関係の法規について明るい弁護士というものはあなたの方が知っておるのだから、弁護士を推薦しておるでしょう。だれを推薦しましたか。だれです。その名前を言ってごらんなさい。
  79. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点は、りっぱな弁護士を推薦してほしいという佐賀県の教育委員会の希望に沿ったのでありまして、私の方から一方的に世話したということはございません。名前については、ちっと私今記憶にございませんので、後ほど整理して申し上げたいと思います。
  80. 野原覺

    ○野原委員 このことは、推薦してくれないかと頼まれれば推薦する、これは私は当然だと思う。しかしこの種の問題は灘尾文部大臣がしょっちゅう言われておとますように、文部省指導監督助言の立場にあるとはいいながら、教育委員会の自主性というものも一方法はこれを確立しておるです。憲法なりもしくは教育基本法あるいは教育委員会法というものは、地方における教育の自主性、あるいはこの前の国会で一部骨抜きにはなっておりましても、その精神は瞭として明らかなんです。こういう教員組合を相手に片一方では不利益処分で人事委員会に提訴しておる。そういう事態に文部省が飛び込んでいって、弁護士を推薦するとは何ごとだ。文部省としてはそういう話があっても、そういうことはすべきではない。それは君らが一つ探せ、こう出ることがほんとうの意味の民主教育を盛り育てる指導助言ではないか。あなたは言葉のあやでどう言おうとも、推薦したという事実はのがれない、これは明らかにあなたはそう言った、弁護士を推薦するなどということになれば当事者の一方に立つのだ。この問題の解決をだれがやるのですか。文部大臣がやる以外にないのです。地方における教育界が混乱して収拾できない事態になれば、文部大臣が片一方の側に立って、そうして教員の団体と四つになって組むという、こういう事態に事務局が追い込むとは一体何たることですか。私は灘尾文部大臣に聞きますが、あなたの責任で弁護士を推薦したのですか。そうなると私はほんとうにあなたを尊敬しておりますけれども、こういうことはがまんできません。あなたが弁護士の推薦を初中局長に命じたのか、お伺いいたします。
  81. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は弁護士を推薦するというようなことはございません。
  82. 野原覺

    ○野原委員 そうなるとよほど私は文部行政として考えなければならぬと思う。私どもは実はこの前の委員会におきましても、とにかく文部省は、灘尾さんが九州に行って発言されたということであるが、この問題は局地で解決すべきだ、当事者双方が十分話し合って解決する、私はこの基本的な態度に対して、さすが灘尾さんだと思って賛意を表しておるのです。なるほど高村さんの質問に対しては、あのときはああいう答弁をしておるけれども、久留米に行かれてそういう態度に出られたことは実に賢明であった。それならば灘尾さんの力によってこの問題は解決できるな、あるいは日教組の委員長と二人会って、そうして何とかしようじゃないかということで話ができるなと実は喜んでおったやさきに、こういう事実がどんどん上ってくる。はなはだ遺憾にたえない。だからこの問題には、私もすなおに、文部省は関与していないと実は受け取りたいのだけれども、関与しておるじゃないか。それは県において県の社会党と県の自民党とが対立しておることは、どこの県においてもあることです。だから教育委員会側を佐賀県の自由民主党が支持し、教員組合側を社会党が支持するということも現実でしょう。しかし私はそのことは問題にいたしません。そういうことはあることですから問題にいたしませんけれども、いやしくも国の官庁が、積極的にこういう問題に首をつっ込んでいくということは、自分の腹の底にこの際教員組合をたたきつぶしてやれという意図があると断定されてものがれられませんよ。これだけの事実があがってくると、そういう意図はございませんでしたとは絶対に言えないのです。そのことを一つ銘記してもらいたい。これはいずれまた、こういう事態がめったということが本日ここで明確になったのでありますから、後日問題にしたいと思うのです。  そこで佐賀県の県会が、これは私もまだ期日は明確に調べておりませんけれども、県会議員の質問に対しまして、教育委員会が答弁をしておる。この問題はいろいろいきさつはありましたけれども、私たちとしては何とかして処分をするということなしに円満に解決するよう努力をする、こう答弁をしておる。ところがこう答弁をしておる教育委員会に対してはっぱをかけたのが文部省であり、これを支持する政党なんです。そういう弱腰ではだめだ、君らがそういう弱腰だからということではっぱをかけて、一ヵ月ないし六ヵ月の行分処分ということになっておる。労働組合なり、この教組側を支持する団体があらゆる声明書、あらゆる演説の中に、政党なり政府が今や教育委員会のあと押しをして、そうして組合断圧の政治的陰謀だとか意図だといっておるのはこのことをさしておるのです。こういう点はもう少し私も的確な資料を収集いたします。だからあなた方が従来の態度を改めないで、片方だけを使嗾して徹底的に教育界を混乱せしめるということで初中局がいけるものならやってみて下さい。そういう初中局に対しては、私ども微力ではありますけれども、国会であらゆる機会に徹底的に問題にいたします。初等中等教育局というのは、初等中等教育界がほんとうにその教育のために専念できるような情勢を作るために存在する国の機関です。それが今や片方に加担して泥沼にころがしておいて、手をたたいておる。弁護士を推薦してやれやれと言っておる。そういうことは私はがまんできないのです。時間もありませんから、これだけ明確になればいずれまた後日の問題資料もできたわけで、私はこれは継続して、五月十八日、国会終了まで、事態が明確になるまではやりますから、委員長としてもお考えを願いたい。  最後に灘尾文部大臣にお伺いいたします。私はけさ朝日新聞の佐賀版を入手したのです。これは四月二十五日の日付であります。県のPTA内田会長がこういう談話を発表しております。「警察権が介入しては問題がますます紛糾し県教育界の混乱は収拾つかなくなるのではないかと心配している。」これは佐賀県全県民の偽わらざる気持だろうと思う。同時にこれは組合側がこの談話を発表したのじゃない。朝日新聞の発表です。佐賀市唐人町主婦野中多賀子さんはこう言っている。「はっきり内容は分りませんが、この問題で、先生を逮捕までするのは行過ぎではないかと思いました。この前の三、三、四割の休暇闘争も父兄としていいこととは思いませんが、警察権を発動せずとも当事者同士がもっと話合えば分ることではないでしょうか。」子供たちをどうしてくれるのだ、こういう声になっておる。一方組合の方では一ヵ月から六ヵ月停職処分、片一方は犯罪人扱いされて、今日九ヵ所に分断されておる。私は文部大臣の質問が終ったら、きょうは何時になりましても、一人になっても、これは重大ですから中村法務大臣と国警長官を要求しておるのです。分断して、しかもあるところでは、ある執行委員、名前はあがっておきますが、お母さんが脳溢血で重態で寝ておるのに、警官がどやどやと入ってきて、のけ、捜査をするのだと言って、そこにあるその先生の書類や何かを、その脳溢血で重態で医者から絶対安静を宣告されたお母さんの上に載せた事実すらある。こういう犯罪人扱いしなければならぬくらい悪いことをしておるのかしてないのか。こういうことは許びがたいのです。そして内田というPTA会長さんは保守的な方なんです。県のPTA会長ですよ。お母さんだって、これは私と同意見です。三、三、四割というものも、私も社会党としてもこれは当りまえのことだとは思いませんよ。こういうことは非常事態のことなんです。好ましくないことです。好ましくないことにはだれがしたかというその原因の追及はおのずからある。しかしこういう事態が起ったからこういうめちゃくちゃなやり方は教育界を混乱さすからというので、私らは問題にしているのです。だから文部大臣にお聞きしたいことは、このように県下の人、教育に関心のある者が実は非常な心配をしておるのであります、文部大臣としてはこの問題に対して、教員組合の行き過ぎ、得手勝手なことをしたの、だからざま見ろ、こういう冷淡なお考えで臨まれるかどうか、今や検察庁が関与してああいう法務というところは、事教育がどうなろうとも、そう判断すれば徹底的にやる、しかし今の教育界、佐賀県における教育の実情というものはえらいことになっておる。このことについてどういう所見を持っていらっしゃるか、どうなさろうとお考えなさるか、私は誠意のある大臣の御所信をここで承わっておきたいと思います。
  83. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほど来野原君の御質問を伺っておったのでありますが、私の本件に関する所見は前会御質問のときにお答え申し上げました通りであります。文部省が何かえらくこれを使嗾したとか、テコを入れたとかいうふうな意味のお尋ねであったようでございますが、さようなことはないということを、この前私は申し上げたのでありますけれども、これは一つ御了承願いたいと思います。今また本件についての私に対する御質問でございますが、私は前会も申しましたように、この事件全体を考えました場合には、まことに残念なことと思っており、遺憾に思っておる次第でございますが、今日のごとき事態になりました以上は、なるべく早く平静に復することが必要であろうと考えております。その意味におきましては、関係当局に対しましても、事柄が教育に関する問題でもございますし、また子供に対する影響も多いことでありますので、取調べ等については十分その辺を配慮して慎重にやってほしい、同時になるべくすみやかに取調べを完了してほしい、こういうふうなことを申しておるような状況でございます。今どうするこうするということを申し上げる段階ではないと考えます。
  84. 野原覺

    ○野原委員 失礼ですがどうもはっきりしない御答です。私はこう思うのです。教育委員会が自主的に行政として停職処分をやる、これは批判はありましょうけれども権限としてできると思うのです。やったことの内容に対する批判は別ですが、教育委員会が常識でそう判断したら処分はできる。これに対して今度は組合側が人事委員会に対して、不利益処分だといって提訴する、これも法的に許されておるのです。そのために人事委員会というものを作っているんですから、そこで裁決をされたことには従うと思う、それだけの手続があれば従う。裁判に三審制度があって、最高裁までいったなら、どんなに不満であろうともこれに従うことは、法治国家の国民としての義務であります。同様に合法的な争いを双方がしているところに何も警察権が首を突っ込むことはない。そこに警察権が関与しておるということについて、大臣はどういう所見を持たれるか。あなたとしては答弁しにくい問題かもしれません。しかし私は教育の最高の責任者であるお人から誠意のある御答弁をお聞きしたい。その点においてどういうお考えをお持ちか、もう一度承わって質問を終ります。
  85. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまの御質問は、前回も御質問になったことのように私は思うのであります。関係当局の見るところに従いまして行動を起しました場合につきまして、私がかれこれ批判がましいことを申し上げるのはいかがかと思うのであります。私は事態やむを得ざるものと考えております。
  86. 長谷川保

    長谷川委員長 高津正道君。
  87. 高津正道

    ○高津委員 国家公務員が文筆活動をやって悪いということはない、私はそれは認めるものでありますが、次の質問をいたしたいと思います。  第一に東京教育大学のうちに教育図書研究会という財団法人がありますが、文部当局はその実態や活動状況を調査なさったことがありますか。
  88. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 調査いたしております。
  89. 高津正道

    ○高津委員 広島大学教育学部内に学校図書研究会というのがありますが、それらの実態、活動状況を御調査になったことがありますか。
  90. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 調査いたしております。
  91. 高津正道

    ○高津委員 会長以下その役員はどういう顔ぶれでございましょうか。
  92. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 東京の方は、会長は前東京教育大学学長柴沼直——これは三十一年六月一日の調査でございます。理事長が野尻重雄東京教育大学農学部教授、理事に田中豊太郎、篠原、北山、近藤、山本、長谷、幹事が橋口、これが東京教育大学の付属の方でございます。広島の方は、会長が広島大学の学長の森戸辰男さんで、理事長は末吉さん、これは付属小学校の校長で、広島大学の教授でございます。理事には北浦、藤山、村井、小川、今石、田中、加藤、松本等でございます。幹事には奥村、脇の両先生がなっております。
  93. 高津正道

    ○高津委員 民法の規定によりますと、財団法人を設立する場合には、いわゆる寄付行為が必要でありまして、設立者はこの寄付行為によって一定の資産を財団法人に出捐帰属させることを必要条件としておりますが、東京教育大学内の教育図書研究会においては、いかなる人物がいかなる資産を提供したのでありましょうか。私の聞いているところでは、某出版会社が、その役員個人の名義で設立者となり、資産を出捐したものであって、すなわち事実の設立者はその出版社であるかの疑いがありますが、文部当局はこれを調査したことがありますか、お伺いします。
  94. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 学校図書の社長個人からたしか三十万円ずつの寄付金がございました。
  95. 高津正道

    ○高津委員 東京教育大学内の教育図書研究会の所在地は、東京教育大学でありますし、その理事その他の顔ぶれを見ましても、まるで東京教育大学の出店のような外観を呈しております。そしてこの教育図書研究会が編集した教科書の出版は、すべてを独占的に学校図書株式会社に担当せしめているものでありまして、これに対する当局の見解を承わりたいと存じます。
  96. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 ここで研究した図書が学校図書の方で出版されていることはまさしく事実でございます。
  97. 高津正道

    ○高津委員 東京教育大学教育界のメッカとも見られているのであります。中には神聖な殿堂のように、教育の権威のように見られているわけであります。そのような東京教育大学の出店のような教育研究会が、特定の教科書出版会社と連携しておるこの実情について政府見解を伺いたいのであります。教育は中立でなければならない、教育は政党が動かしてはならない、教育は神聖だというようなことがしきりに叫ばれているのでありますが、そのような状態であっても、いわゆる神聖な教育に累を及ぼすおそれはないでございましょうか。
  98. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 教科書に執筆される方は個人の場合、公人の場合、いろいろあるわけでございまして、著作活動が自由でございます以上、これを違法というわけには参らないと思うのでございます。
  99. 高津正道

    ○高津委員 教科書が児童、生徒の前に現われる過程といいますか、どういう経過をたどっているかということは非常に重大なことであって、こういうように一つの教科書会社から出た金をもとにして、そして先生たちが教育図書研究会というものを作って、その教科書だけに出す。これは学校の先生の内職といっても、向うの資本で活動して用意をして、そうしてその会社へ出しておるのでありますが、こういうやり方は学童の心理に悪影響を及ぼすものであろう、こう考えますが、御見解をいかがでしょうか。
  100. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 特定の会社に契約を結んで教科書を出版するということは、決して違法とかあるいは悪影響があるというわけには参らぬと思うのであります。
  101. 高津正道

    ○高津委員 違法でもないし悪影響があるとも言えない、こういう御説でございますが、私が指摘しておるこのことは、実質的には文部省の直轄学校である教育大学自身が——附属小学校のことを言うのですが、学校図書株式会社の提供した基金を利用して教科書を編集して、これを基金提供者たるその教科書出版会社に独占的に出版さしておる。これは教科書出版業界においては独占禁止法は守られておらないし、公正な競争による取引というものが阻害されておるものだと考えますが、文部省見解を承わりたいのであります。もし独占禁止法の第何条に違反していると言えないとするならば、独占禁止法の精神に違反しているのではないか、この二つのお尋ねするわけであります。
  102. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 先ほども申しましたように、学校がやっているわけではございませんで、その学校の先生方が所属している財団法人が主体になって契約をしているわけでございますから、別に独占禁止法とは私全然関係がないと思います。また精神的にも独占禁止法に違反しておる趣旨もないと思うのであります。
  103. 高津正道

    ○高津委員 極言するならば、こういうような状態で、東京教育大学の権威を利用して、あるいは広島大学教育学部——附属小学校でありますが、そういう権威を利用して、特定の教科書出版会社が教科書出版界に支配的地位を占めようとしておるものであって、社会的通念から考えれば、ある著者五人に団体をこしらえてもらって、そこへ原稿の依頼をするというのとは違って、伝統ある東京高師、広島高師、その後身であるところの、モデルスクールのような非常に権威を認められておるそこの先生を全部構成員にして、その研究会でもって独占的にその学図というものに教科書を全部出版させる、これはやはり社会通念上は許されないことではないか、こう考えるのでありますが、文部当局の御見解を承わりたい。
  104. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 私どもは、別にこれが独占禁止法に触れたと考えておりません。
  105. 高津正道

    ○高津委員 それはまたもう少し後にお伺いしますが、東京教育大学にある教育図書研究会は、出版会社学図とその姉妹会社の株合せて六万株を所有しております。六万株といえば、同社社長に次ぐ第二の株主でありまして、その時価は七百万円といわれておるのであります。もとより財団法人が資産として株式を取得することは、法律的には支障がないでありましょうが、いやしくも教育大学の出店のような観念を与えるところのこの教育図書研究会が、特定の出版会社の株式を資産構成上不当に多額に持って、その出版会社と利害共通関係立場に立つということは、教育行政、なかんずく教科書行政上見のがすことはできないと思われるのでありますが、この点もやはり差しつかえないという御答弁でございましょうか。
  106. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 特定の会社の株式を所有することは、私どももあまり感心しないと思います。すでに東京教育大学の方は、株式は処分済みでございまして、今保有しておりません。広島の方は目下手続中でございまして、これは近く処分するということでございます。
  107. 高津正道

    ○高津委員 東京教育図書研究会が処分されたのはいつでしょうか。
  108. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 三月十二日、処理したそうでございます。
  109. 高津正道

    ○高津委員 この教育図書研究会の事業は、教科書の編集のみであってこの事業によって年々二十万円前後の印税収益を得ておりますが、さきに指摘した株式の配当をも年々取得しておるのであります。それはようやく最近に至って処分したというお話でありますが、これらの多額の収益はどのように処分されていたものでありましょうか。また税務署に払った税金は幾らでありますか。
  110. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 株式は学園に引き取ってもらったわけであります。税金のことは、ちょっと税務署へ問い合せないとわかりかねますが、ただいま二千万円とおっしゃったけれども、二千万円は、最も採択の多かった年でありまして、現在は八百万ないしは一千万円でございまして、これは各教科の研究及び資料購入その他の編集費に使っておるわけでございます。
  111. 高津正道

    ○高津委員 国家公務員から言えば、百三条、百四条で、営利の団体の役職員になってはならないと、ちゃんときめてあるわけであります。そうして非営利の企業あるいは団体の役員になる場合にも、上長の許可を必要とする、そういう手続を年々更新されることになっておるのであるが、今日までその手続をいつもとっておられたかどうか。
  112. 田中彰

    ○田中説明員 国家公務員が他の事業の役職をかねます場合には、国家公務員法なりその他の法令で所轄庁の長の許可を得ることの必要なことは、御指摘の通りでございます。本件につきましては、教育公務員特例法二十一条によりまして、教育に関する他の事業ということで、国家公務員は任命権者の許可を必要とするわけでございますが、本件につきましては、目下その許可の手続を今年度においてはとっておるところでございます。
  113. 高津正道

    ○高津委員 参議院の地方行政委員会では、一二十四日に院内で懇談会を開いて、地方自治法の改正について相談をして、社会党、緑風会、自民党で意見が一致したために、地方自治法の一部改正法律案を出すことになりました。それはどういうのかといえば、その内容は、一、都道府県知事及び市長は私企業を営む会社、団体などの役員になることができない。また報酬を得て、その区域内のその他の団体の役員になることができない。二、この規定は副知事及び市の助役、出納長及び市の収入役に準用する。三、この改正規定は、公布の日から起算して三ヵ月を経過した日から施行する。参議院の地方行政委員会では、公選によるそれらの人々をもそのように厳格にしておるのでありますが、東京大学及び広島大学の公務員である教官、あるいは教授たちは、今も局長がお認めになったように、多かったときは二千万円という印税を受けたこともあるという。このような大きな仕事をやり、それから株の配当を受けておる。こういうようなことを今後もやる者があれば、やはり上長はそれを許可するのでありましょか。
  114. 田中彰

    ○田中説明員 国家公務員が本務以外の他の事業等の役員その他の職につきます場合に、大学側で本務の遂行に支障がないということでありますれば、文部大臣としても許可を与えておるのが通例でございます。ただし今御指摘のようなその他の事情がありますれば、これはもとより話は別でございまして、本務の遂行に支障があるかないかということだけでは、一がいには参らぬ事情がある場合もあろうかと存じます。
  115. 高津正道

    ○高津委員 それでは別の教科書の問題についてお尋ねしますが、初等中等教育局長内藤譽三郎氏は、今月の十六日に教科書会社に対して通達を出しておられるのを私は見たのでありますが、それによると、    検定申請原稿と同一図書の配布について   近時一部の発行者においては、教科書の検定申請中の図書と同一のものを採択関係者等に送付し、その校閲、加筆を請い、あるいは意見を求めている事実があると聞き及んでいる。このような行為は、申請者として最も適当であると信ずる最終原稿を提出して検定を申請するという現行検定制度の精神に反するものであるから、このようなことの行われた原稿については、今後検定調査をさしひかえることも考慮される。   また、このような行為は、実質上の献本行為ともみなされ、校閲等の名目によって献本制限の趣旨を逸脱しようとする意図とも解することができる。   以上の趣旨にかんがみ、各発行者においては、今後このような行為を行わないよう厳に注意されたい。 こういう通達を出しておられこるのであります。それより四日ほど前の四月十二日に、公正取引委員会事務局長名をもって「白表紙教科書についての調査」、こういうものが配られておるのでございます。非常に短かいからお許しを得て読んでみますと、   最近審議用、校閲用、編集用等として、いわゆる「白表紙の教科書」なる印刷物が、学校あるいは教員等の教科書選択関係者に配布されていることを見聞しておりますが、当該印刷物はさきに行った「教科書業における不公正な取引方法」告示に該当する疑があるとも考えられるので、公正取引委員会としてはその実態について調査を行うこととなりました。貴社におかれては下記にもとづき正確に報告書を作成のうえ、期日まで提出されますよう願います。   なお本調査と並行して公正取引委員会は各都道府県教育委員会に当該印刷物の配布状況の調査方の協力を求めました。また、本調査は独禁法第四十条にもとづく調査であることを念のため申し添えます。       記  一、報告書提出部数 二部  二、報告書提出期日 昭和三十二年四月十八日  三、提出先 東京都千代田区内幸町一の二公正取引委員会事務局  四、調査事項 別記 となっておりまして、その調査事項はたくさんに書いてありますから、私はこれを読むことを省略して速記には御掲載を願いたいと思います。  それである会社においては、小学社会という九冊で一部をなすものでありますが、これを約一万部配付しておる。そうすると九万冊になるのであります。また同じ会社では、小学算数五冊が一組になるものでありますが、約五千部出しております。これは金額で一万部出すと九万円、五千部出しているものとすると二万五千円以上のものであります。こういう状態が現われているのでありますが、これに対する政府見解をお伺いします。そして白表紙の実物まで私は苦心して手に入れましたが、こういう中身はすっかり同じものが非常にたくさんばらまかれておるのであります。これに対して文部当局の見解を承わります。
  116. 内藤誉三郎

    内藤政府委員 この点は公正取引委員会でも先ほどお読みになったように問題にしているわけでございます。ですから、こういうことが今後起きますと公正なる取引を害する点がございます。文部省といたしましてもこういうことは非常に好ましくないのでありまして、いやしくも検定出願中に加筆、訂正その他を請うというような形で献本類似の行為を行うことははなはだよくない、こういう趣旨から先般業者に対して警告を発した次第でございます。
  117. 高津正道

    ○高津委員 本会議が開かれるようでありますから、質疑はあとへ継続いたします。
  118. 長谷川保

    長谷川委員長 午前の会議はこの程度といたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時四十一分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕