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緒方政府委員 ただいまの御
質問については、先ほど
お話がございましたように、もしもこれが限界を越えることになりますれば、実際いわれるごとくこれが
人体実験ということになりますれば、
人権じゅうりんということになります。しかしながら一面これが許される
研究の
範囲であるということでありますれば、いたずらに遷延いたしまして
真相がはっきりしないことには
研究の意欲を阻害することになりますので、これはいずれにいたしましても、
お話の
通りなるべくすみやかに事態をはっきりさせなければならぬと私
ども思っております。ただ先ほど申しましたように、事柄が非常に専門的なことでもありますし、限界ということは非常にむずかしいものでございますので、私
どもとしましては十分慎重に材料を収集しておるというところでございます。いろいろ
弁護士連合会から指摘されました点等につきましては、一応それに対しまする
病院側の
説明を聞いており参ます。ただそれをここでずっと申し上げることが、今の御
質問の御
趣旨であったかどうかはっきりいたしませんけれ
ども、一応それを申し上げることはできます。一応簡単に概略を申し上げますと、事実といたしましては先ほど
お話の
通り、
昭和二十七年から三十一年にわたりまして
新潟大学の医学部の
桂内科と
新潟精神病院長と協議の結果、
精神病院におきましてその
適用患者に対して
ツツガムシの
発熱療法を実施することになりまして、
桂内科におきまして従来県内の自然感染
患者等に対しまして実施して参りまして、十分成績を上げております
ツツガムシ病療法を用いて実施したということでございます。人数等につきましては先ほど申し上げました
通りでございます。それからこの
ツツガムシの病原菌を用います発病
治療というのもは、
新潟大学の
説明によりますと、これ
精神病患者に対しましていろいろございます施療法のうちの一種として十分認められておるものであり、
精神病院側におきましても、もしできればやりたいという
考えがある。
桂内科におきましては先ほど申しましたように 県内における自然感染
患者に対しましての施療
方法等も十分確立しておりまするし、あるいは動物
実験等も十分経まして確信を持っておりますので、それを用いて、
発熱療法を
精神病の
治療と合せて行なった、かような
説明に相なっております。
あとの、先ほ
ども問題になりました
皮膚の切除でございますが、これは
大学側の
説明によりますと、切除いたしますと瘢痕がやはり残りますので、なるべく瘢痕が目立たないように十分注意してやった。特に
注射部位も目立たないところを選んで、内ももを選んだということでございます。しかしこれは
患者によりましては、先ほ
どもちょっと申し上げましたけれ
ども、その
反応の度合いが違うので、非常に強い
反応を示した特定の者、百四十九名のうち十一名でございますけれ
ども、これに対しましては一センチ平方、深さ三ミリの
皮膚を切除いたしました。これはかいようが起ることを防ぐために、なるべく少くするためにこれを行なった、かような
説明でございます。現在この
患者の
状況を見ますと、うち一名はちょっとひどい傷が残っておるそうでございますけれ
ども、これは
説明によりますと、その
患者が
あとでひっかいたために傷
あとが相当残った、かような
説明でございます。これはあくまで
治療して潰瘍を防ぐためである。それからなお
ツツガムシの自然感染等の場合におきましても、
皮膚を切除して
治療するということは従来も行われておったという
説明でございます。それからこの
治療を行いました期間において死亡者が九名出ておりますが、これは
発熱療法との
関係はないという
説明でございます。つまり
発熱療法と申しますのは、熱のある期間は一週間から十日くらいであって、通常高熱は三日か四日くらいでございます。特に抗生物質等の投与によりまして、
ツツガムシ病そのものはすみやかになおすことができることになっておる。ところがその死亡というのは、その
接種後一番早いもので四ヵ月後に死亡した人が一人おります。これの
原因はいずれも肺結核、肺炎、それからその持っております病気そのもの、麻痺性発作ですか、その病気、それから自殺した者が一人おります。全部で九名ございますけれ
ども、いずれも併合症あるいは自殺等で死んだのであって、
発熱療法のためではない。今、申しますように
接種いたしました後四ヵ月が一番近いのであります。
あとはいずれもそれよりも経過したときにおいて、そういう事故が起った、こういうことでございますので、死亡そのものと
発熱療法とは因果
関係はないという
説明でございます。大体問題点として指摘されておりますおもなことにつきましての
説明は以上の
通りでございます。
なお詳しい点につきましては、先ほど冒頭に申し上げましたように十分
調査をさらに精密にいたしたいと
考えております。従来の
説明によりますと、私
どもといたしましては、言われるごとく
人体実験ということではないじゃないか、
ツツガムシ療法の従来の
方法を十分
研究をいたしまして、その療法を用いて、あわせて
精神病患者の
発熱療法を行なった、かような
説明に現在までの調べにおきましては相なっておりますことを申し上げておきたいと思います。