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1957-02-08 第26回国会 衆議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年二月八日(金曜日)     午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 長谷川 保君    理事 赤城 宗徳君 理事 坂田 道太君    理事 米田 吉盛君 理事 河野  正君    理事 佐藤觀次郎君       永山 忠則君    杉浦 武雄君       田中 久雄君    並木 芳雄君       牧野 良三君    山口 好一君       木下  哲君    小牧 次生君       櫻井 奎夫君    高津 正道君       野原  覺君    平田 ヒデ君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  稻葉  修君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勳君  委員外出席者         専  門  員 石井つとむ君     ————————————— 二月七日  委員宇都宮徳馬君辞任につき、その補欠として  濱野清吾君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月七日   就学困難な児童のための教科用図書給与に  対する国の補助に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九号) 同日  岡山大学工学部設置請願亀山孝一君紹  介)(第三五二号)  特異性行為の排除に関する請願加賀田進君紹  介)(第三五四号)  学校事務職員身分保障に関する請願五島虎  雄君紹介)(第三五五号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教関係予算に関する説明聴取     —————————————
  2. 長谷川保

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  本日はまず昭和三十二年度文教関係予算について説明を聴取いたします。灘尾文部大臣
  3. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 昭和三十二年度予算の大綱につきまして御説明申し上げたいと存ずる次第でありますが、その前に私がどういう心持文教行政に当りたいと考えておるかというふうな点につきまして、簡単に申し上げておきたいと思います。  文教の問題につきましては、戦後新しい制度がしかれまして、これが整備お互いに努力して参りましたわけでございます。同時にまた、その制度に対するいろいろな批判がかなり行われておるわけでございます。だんだんと制度整備して参りましたが、私は今後お互いに考えなければならぬと思います点は、やはり実質の問題ではなかろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、諸般の制度につきましても十分検討を加えますと同時に、教育内容、その他につきまして、実質的にお互いによく検討して参りまして、ほんとうに教育の実が上るように持って参らなければならないと考えておる次第でございます。  とりあえず私が今度の予算の編成に当って特に考えました点を申し上げてみたいと思うのでございます。予算そのものにつきましては、御承知のような事情ですでに予算案が大蔵省の方に送られた後に就任いたしましたような関係もございまするし、十分な時日もございませんので、一応前大臣の提出せられました案を踏襲いたしまして、予算の折衝に当りましたわけでございますが、その間特に重点を置いて考えました点を申し上げますれば、大体私の文教に関する考え方についても、あるいはどこに重点を置いているかというような点についても、御了解がいただけるのじゃないかと思うのでございます。  古い言葉でございますけれども、私は、やはり教育につきましては、いわゆる知育徳育体育、このいずれもが伸ばされていかなければならぬと思うのでございます。徳育の問題については、これはもちろんきわめて重要なことと考える次第でありますし、ことに今日の青少年状態等にかんがみまして、世間におきましても、ぜひこの徳育ということを重視しなければならぬということが強く叫ばれておる次第でございます。しかしこの問題は、実は必ずしも予算の問題ではないと考えております。学校教育にいたしましても、社会教育にいたしましても、その教育のあらゆる部面を通じまして、この心持が強く出てこなければならないのではないかと考えておる次第でございます。  知育の問題といたしましては、何といたしましても、日本の今日の科学水準というものが高まって参らなければならぬ。外国に比べますと、だいぶ立ちおくれをいたしておるというような点も少くないようでございますが、諸外国に伍して遜色のない科学水準に到達することをすみやかにやって参らなければならぬ、そういう考え方をいたしておりますので、今回の予算につきましても、日本科学水準を高めるために必要な、いわゆる科学教育方面につきましては、特に重点を置いたつもりでございます。同時にまた、産業経済界等の実際から申しましても、相当な科学技術を身につけた人を要求いたしておると思いますので、さような意味におきまして、科学技術教育について力を入れておるような次第でございます。従ってまたその関係におきまして、特に国立大学の諸施設整備する、あるいは国立大学研究に幾らかでも便宜を与えますために、教官研究費増額いたしますとか、あるいは学生経費増額をはかるとかいうようなことも努めたつもりでございます。  なお理科あるいは産業教育等につきましても、十分とは申しませんけれども、これにつきましては経費増額等についても配意いたしたつもりでございます。  私学方面におきましても、理科研究設備というような事柄につきまして若干の経費増額を考えた次第でございます。  公立文教施設につきまして、これが整備充実をはからなければならぬことは、これはもう当然のことでございます。年来努力いたして参りました次第でございますが、今度の予算におきましては、新市町村育成というようなこととも関連いたしまして、学校統合、あるいはまた不正常授業の解消というような点に重点を置いたつもりでございます。  またスポーツ振興、私といたしましては、今日の青少年の状況を見て参りましても、また国民生活全体の状態から考えましても、スポーツ奨励することによって、健全明朗な社会を実現するその一助といたしたいと考えまして、今後この方面相当努力をして参りたいと考えております。今度の予算におきましては、経費はきわめてわずかではございますけれども、地方スポーツ振興するために二千万円ばかりの経費を計上いたしたようなわけでありますが、だんだんと検討を重ねまして、この方面につきましては、さらに伸ばして参りたい、こう考えている次第でございます。  そのほか、国立競技場設置に関する経費でありますとか、あるいはまた体育団体に対する助成の道を開くというふうなことも考えた次第でございます。  次に、日本の今日置かれているところの国際的地位にかんがみまして、また日本の将来の発展というようなことを考えまして、国際文化交流というようなことも、わが国といたしましては努力すべき問題ではないかと考える次第であります。ことに東南アジア方面との文化交流ということは、ぜひとも推進して参らなければならない重要な項目ではないかと思うのでございます。その方面のことにつきましても、鋭意努力して参りたいと考えている次第でございますが、今度の予算におきましては、特に東南アジア方面からの国費による留学生の招致ということをさらに強化いたしたいと考えまして、思うように参りませんでしたが、若干留学生の数もふやすことにいたしますと同時に、これが受け入れ態勢ということがきわめて必要なことと考えますので、この留学生の諸君をあたたかく、親切に世話をするための受け入れ態勢整備というようなことにつきましても配意をいたしたつもりでございます。詳細は会計担当参事官から御説明をいたさせますが、要するに経費の面から申しますれば、特にこの科学技術教育振興、それから体育奨励、こういうような面に重点を置いて参りたいと考えております。同時に先ほども申しましたように、学校教育あるいは社会教育のあらゆる部面、機会を通じまして、道徳水準が高まるように努力して参りたいと考えておる次第でございます。  以上まことに簡単でございますが、私の御説明にかえる次第でございます。詳細は一つ会計担当参事官から御説明いたさすことにいたします。
  4. 長谷川保

    長谷川委員長 引き続き補足説明を聴取いたします。天城会計参事官
  5. 天城勳

    天城説明員 お手元に配付いたしました文部省所管昭和三十二年度予算要求額事項別表、これに基きまして御説明いたします。なお別刷りで三十二年度予算事項別内訳を添付いたしましたので、事項によっては、内訳別紙の方でごらんを願いたいと思います。  第一の事項は、義務教育費国庫負担金でございます。明年度八百四十七億要求いたしておりまして、増七十七億五千万でございます。この内訳につきまして別紙内訳をごらん願いたいと思いますが、この七十七億の増の大ざっぱな内訳でございますけれども、まず明年から予定されております給与改訂に要する経費が四十四億九千七百万、これは現在のベースに対しまして大体六・二%アップを見込んでおります。  次は普通の昇給財源でございます。これが約二十億、この考え方は、大体従来と同じものを踏襲いたしまして、年間の昇給率を四%と考えまして、それに要する財源を二%、こういう計算をいたしております。給与単価については、別にあとに資料を載せてございます。  期末手当増額、これは昨年末いわゆる〇・一五の増加がございましたが、これに伴う平年度化した経費でございます。  教職員増加に伴う経費が一億五千万、これは別に資料がございますが、約千四百名の教員増に見合う増でございます。  次の学歴是正給与法実施、前国会給与法改正が行われまして、いわゆる高額所得者給与是正実施される段階に至っております。これは大体旧大二号、新大一号の線でございますが、それの実施が見込んで八千五百万円。  次に僻地手当増額でございますが、これは昨年の年度中に、従来の僻地手当の支給が定額から定率に変りましたので、それに対応した増を三千五百万見込んでございます。薪炭手当の計上も、新しい給与制度費目増加に見合う経費でございます。  次は恩給費でございますが、恩給費は三十一年度から実施しておりますが、その負担金を五千万円増加いたしております。  教材費でございますが、児童増減がございまして、それに見合った数字の結果でございまして、三百万円の減になっております。  三番目以下に大体算出の基礎が載っておりますので、簡単に申し上げますと、明年は小学校児童におきまして、三十四万八千の増加が見込まれておるのに対して、中学校におきましては、逆に二十三万九千の減が見込まれておるわけでございます。その結果総体といたしましては、若干ふえますけれども、その基礎数字に基きまして、学級数を推計し、二枚目に入りますが、教員数を推計したわけでございますが、小学校では約五千人の増、逆に中学校では約三千七百人ばかり減がありまして、プラス、マイナスいたしまして千四百六十五名の教員の増を見込まれておるわけでございます。  給与単価につきましては、政令該当一般県と非該当の県とありますが、一般県につきましては、先ほど申しましたように、二%の昇給財源を見込んでおりますが、出発点は、昨年の十月一日の現在給与出発点にいたしまして、それに先ほど申しました給与改訂に伴うアップ率六・二%を見込み、昇給財源を二%加える、こういう考え方で算出いたしましたのが、ここにございます給与単価金額でございます。  第二番目は教育委員会育成強化経費でございます。これは前年度に対しまして、約七百四十万増加いたしておりますが、その中に新しい事項が四つ含まれております。一つ地方教育行政職員研修に要する経費でございますが、改正後の地方教育行政の行き方に対しまして、特に行政職員研修をいたしたい、こう考えまして、大体六週同程度講習会を中央において開催いたしたいと考えておる経費でございます。  二番目の市町村教育委員会指導調査も、改正後の地方教育運営を円滑にするために、国からの指導及び県から市町村に対する指導、こういうことが新しく規定されたわけでございますが、これに要します経費でございます。  それから三番目の広報波動、これは従末文師広報を発行いたしておりましたが、これに二百万円ほど増加いたしまして、たとえば予算あるいは法律等の制定に対しまして、広報的な広報活動をいたしたいというので、新たに増加いたした経費でございます。  四番目の教育委員会運営指導は従来からの標準経費でございます。  第三の科学技術教育振興という項でございますが、中味はいろいろございます。最初理科教育振興、これは御存じ理科教育振興法に基きます地方団体に対する国の補助金でございます。大体従来の年次計画に基きまして予算を積算いたしておりますが、前年度に比べて約二千二百万ほど増加いたしております。  次の産業教育振興、これも同じく産業教育振興法に基く補助金でございますが、理科と同様若干増加いたしまして、七億二千万計上いたしました。この補助金備考欄にございますように分かれておりまして、それぞれの経費につきましては、従来に比して若干の違いがございます。たとえば高等学校におきましては、施設補助設備に比べて若干おくれておりましたので、明年度施設の方に力を入れまして、二億三千万円、前年度は一億三千五百万でございます。これに一つ重点をおきました。  それから実習船建造費補助金、これは公立水産高等学校実習船の建造に要する経費でございますが、従来大型船計画を進めておりましたが一段落いたしましたので、明年度は中型、小型大体三隻くらいを見込んでおりますので、金額的には前年度金額の約半分くらいに落ちております。  これに対しまして四番目の中学校研究指定校補助金、これは中学校産業教育設備につきまして、研究指定校という形で補助申請をしておりましたが、これも高等学校に比べてややおくれておる面がございましたので、明年度中学校重点を置きまして、六千万円を計上いたしました。前年度は二千五百万円でございましたので、約二倍以上の金額を計上いたしたわけでございます。  第三番目は、科学研究費等拡充でございます。これは総額におきまして十三億一千四百万円で、七千三百万円の増加でございますが、これも備考欄にございますように、事項が幾つかに分れております。一つ科学研究費交付金、前年度科学研究費交付金化学研究促進のための経費二つに分れておりましたが、これを一本にいたしまして、約一億の増加を見込みました。  二番目の科学試験研究費補助金、これも約二千五百万円ほど前年度に比べて増加いたしております。研究成果刊行費補助金、及び輸入機械及び図書購入費補助金、それから民間学術研究団体補助金、これは東洋文庫とか、あるいは徳川生物学研究所、あるいは労働科学研究所等、民間の優秀な学術団体に対する補助金でございます。  第四番目は、在外研究員の派遣でございます。これは国立大学教官の、いわゆる海外の留学生として派遣する場合の経費でございますが、従来七千万円程度で、なかなか伸び悩んでおりました経費でございますが、特に学問の国際的交流という面から増額をいたしまして、一億という金額になっております。この一億に伴います派遣人員等につきましては、大学側要望等もございますので、よく打ち合せてなお決定いたしたいと思って、現在のところはまだ確定的にきまっておりません。  第五番目は、国際地球観測年事業でございます。御存じのように、三十二年はこの事業の本観測の年に該当いたしておりますので、これに必要な経費を計上いたしたわけでございますが、総額におきまして八億五千万円、前年度に対して約一億五千万円ほど減になっておりますが、これは備考欄の(3)の南極地域観測経費におきまして、前年度観測船宗谷改装経費を見込んでおりましたが、それが本年度は不要になって落ちたために、総体においては減になっておりますが、国内観測ロケット観測南極地域観測、それぞれ観測経費としては必要な分を見込んで、実質的には増を考えたわけでございます。  第六番目の私立大学研究設備助成、これは従来から継続しておる経費でございますが、本年度は五千万円の増加を見まして、八千八百万円を要求いたしております。これは大学におきます基礎研究設備費補助金でございます。  第七番目は、私立大学理科特別助成、これは三十一年度から新たに計上いたした経費でございますが、前年度と同額でございます。上の研究設備に対しまして、これは理工系教育面助成という意味経費でございます。  第四番目の育英及び学徒援護事業拡充でございますが、まず育英会経費でございます。育英会貸付金は四十一億でございまして、金額的には前年度と大差はございませんが、中身で二、三申し上げておきたいことは、高等学校奨学金が、従来千円口と七百円口と二つございましたが、明年度から全部千円にこれをそろえたいと考えております。それに要する経費増加分が約八千八百万円ほど見込まれております。その他大学の二千円口、三千円口の二口がございますのを、三千円口を増加していくというようなことを中心に考えておりまして、採用者比率、数等については特に増減はございません。それからその事務費補助金でございますが、返還事務がだんだん忙しくなって参りますと同時に、返還事務を促進するために必要な事務費を計上したのでございます。  二番目の学徒援護会補助金でございますが、これは学生のアルバイトのあっせん、あるいは学生の宿舎をやっております系統団体補助金でございますが、明年度宿舎の修理とか、あるいは神戸に新しい学生相談所を設けるというようなことを見込んだ経費でございます。  第五番目の私学の助成でございますが、これは二ページに移りまして、中身が四つに分れております。(1)(2)の私立大学研究設備助成及び理科特別助成は、それぞれ科学技術振興のところで申し上げまして、備考としてここに再出した、わけでございます。  (3)の私立学校教職員共済組合補助でございますが、現在約六万二、三千の組合員がございますが、この組合に対する事業費について給付の百分の十五を国で補助することになっておりますが、前年度の実績に基きましてこれを約三千五百万円、それから、その他事務費で約二千五百万円を計上いたしております。  (4)の私立学校振興会出資でございますが、これは二十八年度から政府出資を続けておりまして、三十一年度までに三十六億五千万円を見込んだのでございますが、一応五十億円というような理想を持っておりますので、なお出資を続けるわけで、明年度は前年度に比べて約五千万円を増加いたしまして、八億五千万円を出資する経費を計上したわけでございます。  第六番目の教育の機会均等でございますが、これは内容が主としてそういう面に使われる経費でございますので、一応こういう名称にいたしましたが、趣旨といたしましては初等中等教育助成関係経費を計上したわけでございます。  最初公立養護学校教育費負担金でございます。これは二十四国会でございましたか、特別な法案がございまして、公立養護学校教員費、それから生徒教材費及び建築の施設費につきまして国がそれぞれ助成するという内容のものでございますが、これに基きまして、ここには給与教材費金額を計上いたしました。お手元に別にお配りいたしました資料の二ページのところの(2)養護学校教育費国庫負担金の概要がございますが、明年度公立養護学校に新しくかわるもの及び設立されるものを見込みまして、大体本校十四校、分校三校というものを対象にした経費を計上したものでございます。内訳別紙のところに記載してございます。  その次は準要保護児童生徒対策で、前年度一億八千万円に対しまして、二億九千万円を計上いたしました。備考欄にございますように、事項二つでございまして、一つ教科書児童生徒に無償で供与いたします補助金と、学校給食補助金でございます。両方とも前年度小学縦児童のみを対象といたしまして発足いたしたわけでございますが、明年度からは中学校施設をも対象に加え、かつ比率を若干ふやしまして、教科書におきまして一・九%、約三十五万の児童生徒対象に考え、給食におきましても一%を対象といたしまして、約七万の児童生徒をこの経費によって補助したい、こう考えております。  第三番目は、高等学校定時制教育関係振興経費でございます。備考欄でごらん願いたいと思いますが、(1)の定時制教育設備費補助金と、(2)の通信教育運営費補助金、これは振興法に基き従来から継続されております補助金でございますが、大体前年度と同じ程度経費でございます。それから(3)の給食施設設備整備、これは前国会におきまして立法がございましたが、それに基きまして本年度から実施する経費でございます。大体整備計画といたしましては、この内訳表の四枚目にございますが、二百校を対象といたしまして、給食施設及び設備整備したい、こういう経費でございます。(4)の定時制高等学校施設整備でございますが、これは五千万円このたび新たに計上いたした補助金でございます。備考といたしましては、予算書の上では公立文教施設に計上されてございます。  それから事項の(4)に戻りまして、学校図書館設備整備でございますが、これも学校図書館法に基きます国の小、中学校に対する助成でございますけれども、これは年次計画を若干延ばされまして、経費が前年度に比べて六千万円ほど落ちております。その他については特に変りはございません。  それから事項の(5)の特殊教育振興経費でございますが、備考欄にございますように、(1)は盲ろう養護学校児童生徒就学奨励費でございます。先ほど申し上げましたように、養護学校につきましても、就学奨励費対象に加えることが法律に規定されましたので、新たに養護学校分をこれに加えております。それから(2)の特殊学級設備整備でございますが、これは小中学校特殊学級が付設されておりますが、その特殊学級充実をはかりたいという考えで、設備費補助したい、これも新たに計上いたした経費でございまして、八百万円で、大体百学級対象にいたしております。それから(3)の特殊教育施設整備費補助金でございますが、数字をカッコしてございますように、これも事項といたしましては、公立文教施設に計上されてございますが、前に申し上げたと同じく公立養護学校施設補助金を国で出すように法律化されておりますので、それに伴う経費を含めて、これは前年度より増額して計上してあります。  事項の(6)の僻地教育振興関係経費備考をごらん願いたいと思いますが、(1)の小学校教員臨時養成所、それから小中学校教員住宅建設費等は、従来から継続して参った経費でございまして、それぞれ若干単価増額をいたしておる程度でございます。(3)の僻地教育充実費補助といたしまして、新たに一千万円を計上いたしましたが、これはいわゆる僻地校で、無電灯地帯に存在する学校がたくさんございまして、学校に電灯がつきません。こういうところに簡単な自家発電装置をいたしますと、視聴覚教材の拡張その他において、非常に教育上利するところがあるというので、従来から考えておった経費でございますが、明年度大体四十カ所を対象にいたしまして、水力ないしは火力の自家発電の装置を施設する補助金を計上いたしたわけでございます。これも備考といたしましては、公立文教施設僻地関係のところに計上いたしてあります。(4)の僻地における集会室等整備費補助金でございますが、これも従来から計上しておった経費でございます。  事項の(7)の教科書センターの運営費でございますが、これは大体全国六百カ所ほどに、前年度三千万円の経費を計上いたしまして、教科書センターを設置する設備費補助したわけでございます。これによりまして、教科書センターが設置されたわけでございますが、これに伴います運営費を本年度補助したい、こう考えまして、金額的には三百万円でございますけれども計上いたしました。二千七百万円の減になっておりますけれども、前年度の三千万円と今年度の三百万円とは中身が異なっております。  事項(8)の学校給食施設及び設備経費でございますが、これは内訳表の最後のページの(8)に中身がございますが、小学校四百五十校、中学校百五十校を対象にいたしまして、施設及び設備補助をいたす経費でございます。これは前年度に比べまして数字の面で落ちておりますが、前年度には学校給食用の牛乳の殺菌施設というものを、集約酪農地域に設置するという特別なものを加えておりましたので、それが前年度限りで落ちたために、総額においては減になっておりますが、事業計画といたしまして、給食関係そのものについては特別な減は見ておりません。  それから(9)の日本学校給食会の補助金でございますが、これは事務費、あるいは給与費の改訂等に伴うものを直した程度でございます。  事項の第七番目の文教施設整備でございますが、中身は大きく国立文教公立文教に分れております。国立文教といたしましては、前年度に比しまして七億ほど増額されておりまして、約三十億を要求いたしました。これは大学における科学技術基礎研究充実というようなことと関連いたしまして、特に重点を置いた経費でありますが、増のおもなものは戦災復旧関係で約二億ほど、それから研究所の整備で約二億、それから一般施設整備といたしまして一億、こういうようなものがおもな事項になっております。  それから公立文教施設整備につきましては、内訳表の最後に一覧表を貼付いたしてあります。それでごらんいただきたいと思いますが、若干御説明いたしますと、重点的に考えて参りました経費は、第四番目の学校統合特別助成補助金でございますが、前年度三億を計上いたしまして発足した経費でございますが、町村合併等の進行に伴いまして特にこれを重点に考えまして、七億一千四百万円、従って四億一千四百万円の増を見込みました。  その次は六番目の、小学校正常授業解消のための経費でございます。これも御存じのような事情で非常に必要な経費と考えまして、本年度六億を見込みまして、前年度に対して二億六千万ほどの増加でございます。  その他、金額的には大きな線は出ておりませんが、義務教育年限延長に伴う建設費負担金等につきましては、従来の線に続きまして、それぞれ重点を置いて考えたわけでございます。  なお、△印がございますが、減は、3の戦災復旧費の補助で、特に小学校の一般校舎、前年度三億七千六百万を本年度は計上いたしてございません。これは戦後十年余を経まして、一応小学校一般校舎の戦災としての復旧は終ってきたわけでございまして、なお若干のものは残っておりますが、これは主として都市の関係でございますので、不正常の経費その他で補っていくことにいたしまして、事項としてはこれを削除いたしたわけでございます。  それと、十三番目の、災害復旧関係経費、三十一年は発生災害が幸いに非常に少なかったので、本年度に持ち越す分が非常に減ったということで、減が出ております。従って総額におきましては大体前年度と同額でございます。必要な面においては重点的にいたしたつもりでございます。  事項別表に戻りまして、第八番目の、社会教育助成経費でございます。これは事項が六つほどあがっておりますが、一番目の青年学級充実費、二番目の社会教育施設設備充実費、この二つにつきましては前年と同額でございます。  それから三番目の、社会教育特別助成でございますが、金額的には前年と同様七千万円を計上してございますが、前年度の七千万のうち、二千万は芸術院会館の建設の経費という、いわばひもつきの形の固定した経費でございましたので、純粋な特別助成としては五千万円でございます。本年度はそれが終っておりますので、実質的には七千万円まるまる特別助成として使える形になっております。この経費は、この言葉にあります通り、社会教育についての特に必要な面での特別助成という意味でございますので、ある程度弾力性を持って実施いたしたいと考えております。中身におきましては、現在のところ青少年に対する対策費、あるいは映画、演劇、音楽の振興費、あるいは青少年キャンプ事業、それから婦人教育振興等を中身に入れておりますけれども、それぞれの経費の細部につきましては今申し上げたような趣旨で、なお検討中でございます。  四番目の、芸術祭の運営経費、これは従来通りでございますけれども、今年度外国映画のコンクールをいたしたのを特別に計上したのでございますが、明年度はそれをいたさないで減額をいたしております。  社会教育施設整備費、これは御承知の公民館、図書館等の施設補助でございます。公立文教の中にもなるわけでございますが、前年度八百万に対しまして二百万増額いたしまして一千万を計上いたしてあります。  六番目の国立西洋美術館の創設費でございますが、これは旧松方コレクションをフランスから受け入れるということに関連いたしまして、国でもって美術館を創設する計画が進められてきております。設計もほぼ完成いたしまして、明年度一億五千万をもって上野に美術館を創設することにきめたわけでございますが、それに伴う経費でございます。  事項の第九番目といたしましてはスポーツ振興経費でございます。これは先ほどの大臣のお話にもございました通り、いろいろな面で力を入れた経費でございますが、まず地方スポーツ指導という経費に二千万円を明年度計上いたしました。これは国民の各層にスポーツを浸透し、地方スポーツ振興をはかりたいという目的の経費でございまして、大体中身といたしましては地方スポーツの優秀な指導制度を定めたい。それからスポーツ指導者の講習会あるいは研修会というようなものを開催したい、また市町村等で、独自でいろいろな地域社会を中心とした運動会その他のスポーツの行事が行われておるのに対して、これを指導していきたいというようなものを内容にいたしまして、大体一県当り四十万ほどの経費を計上いたしたわけでございます。  それからその次は、国際試合に対しまして選手を派遣する経費でございますが、備考欄にございますように、デビス・カップに百五十万円、それと第五回国際学生週間競技大会、これは普通学生オリンピックといわれる学生だけの国際競技でございますが、たしか四年に一ぺんずつ開催予定でございます。明年はロンドン開催が予定されておりまして、それに派遣する経費でございます。  それから国立競技場の設置、これも御承知の通り、明後年日本におきましてアジア・オリンピック大会が開催される運びになっておりますが、それに備えまして主競技場を作る案でございます。明治神宮の外苑競技場をそれに充て、開催するための経費でございます。十二億七千六百万円という経費を計上いたしております。  四番目は国民体育大会の補助金で、これは従来もあった経費でございます。明年は静岡県で開催を予定されております。  次の一ページに入りまして、五番目に日本体育協会の補助金でございますが、体協に対しまする補助金は戦後わずかな期間行われたことがございますが、その後ずっと継続的な補助が行われてきておりませんでした。体育団体整備という観点から、体協に補助を与えて、これの整備を図りたいという趣旨で新たに計上いたしたわけでございます。  第十番目は国際文化交流という項目でございますが、備考欄に書いてございますように、幾つかの項目がございます。  一番目の琉球派遣研究教員制度実施、これは琉球から現職の小、中学校の先生方が来られて実地研修をするという経費でございます。  二番目は、学生がこちらの大学に入学した場合の援助をするという経費でございます。これは従来から計上しておる経費をそのまま続けておるわけでございます。  備考欄の(3)(4)(5)が、先ほどお話のございました国費留学生補助に関する経費でございまして、特に東南アジアの関係留学生対象に考えました。(3)の方は、学生の増募を考えております。これは当初相当数の募集を考えたのでございますけれども、受け入れ態勢の万全を期することが前提であると考えまして、明年度増募は四十名にとどめております。今年度まで三十名できておりますが、明年度は四十名という考え方でおります。これに関連いたしまして、(4)にございますように、受け入れ態勢として、これら留学生のために宿舎を建設する考え方でおります。(5)は、この宿舎の維持、管理を中心に、留学生指導に当るために、財団法人日本国際教育協会を設立いたしまして、これに必要な補助を与える、こういう一連の構想で必要経費を計上したわけでございます。(6)は、国際文化事業団体等への補助でございますが、内訳は日仏会館、日独協会、日伊協会の三つでございます。(7)国際会議の出席旅費、これも毎年定期的に開かれて出席の必要な国際会議への旅費であります。(8)の国際分担金は、日本の加盟しております国際会議に対する分担金で、特に教育関係のもので、国際版権保護同盟と国際計数センターと国際教育局に対する分担金でございます。  その次のユネスコ活動でございますが、この経費増額は従来やっておりました外国人のための日本辞典というものがいよいよ明年度に完成いたしますので、その最後の経費と、ユネスコの主催で明年日本二つほどの国際会議が予定されております、それらに必要な経費を見込んだわけでございます。  それから第十一番目の文化財保護事業の強化に伴う経費でございますが、この第一としまして国立劇場の設立準備費でございます。これは金額といたしましては前年度と同額、千七百万を計上いたしておりますが、これは土地を決定することが先決条件になっておりまして、実はまだ土地が最終的に決定いたしておりません。明年度は早急に土地を決定するという前提のもとに懸賞募集をして基本設計を立てるというところまでの経費を見込んで、千七百万を計上したわけでございます。それから次は文化財保存事業経費でございますが、これは備考にも書いてございますように、保存修理関係経費と、それから防災施設経費に特に重点を置きまして計上したわけでございます。たとえば昨年から始まりました姫路城の解体修理の経費、これが七千万円、あるいは新たに岡山の高梁城の解体修理というようなものを見込んで一おります。それから防災施設補助といたしましては建造物あるいは国宝の保護をはかるためのいろいろな支出でございますが、新たに高野山の収蔵庫、あるいは観世音寺の収蔵庫等を作るところの経費を見込んでおります。(3)の法隆寺の文化財管理費の補助でございますが、これも新しい経費でございます。約二十年間ほとんど国費でもって直して参りました法隆孝の文化財の保護を完全にするために、新たに、宗教活動をいたします寺務所とは別に管理機関が法隆寺に設けられまして、これに国も補助を与えて管理の万全を期そうという意味でありまして、文化財保護法に基く措置でございます。  それからその次は文化功労者年金で、明年度は大体八人を見込んで四千百万円を計上いたしております。  それから第十三番目は北海道冷害対策経費でございますが、これは三十一年度予備費におきまして給食費に約二千万円、教科書につきまして約九百三十万円ほど計上いたしておりますが、明年の七月の端境期まで同じように給食教科書補助を続けるための経費を計上したわけであります。  その他の経費、これは本省、所轄機関、文化財保護委員会を通じまして、標準予算系統の経費、それから給与改訂に伴う人件費などを計上したわけでございます。  なお事業費の文部本省のところに△印が大きく出ておりますが、これは前年度行なって参りました事業で打ち切りになったものがございます。たとえばオリンピック派遣費の二千万円とかあるいは学生寮の建設費三千万とかいうものが打ち切りになっておりますためのものでございます。  それから第十五番目に国立学校運営費でございます。これは最後のページにありますが、前年度三百三十三億に対しまして約三十五億の増を見込みまして三百六十九億を計上いたしております。この内訳給与費の改訂が非常に大きな量を占めまして、約二十三億は学校、病院、大学付置研究所費としまして見込まれております。そのほか科学技術振興という観点から講座研究費及び教官研究費につきまして一割の基準増をいたしますが、それに要する経費が約三億一千七百万、それから学生経費も一律に二割増をいたしまして、これに伴う経費が約一億七千万でございます。その他病院の患者医療費の四億の増加設備費の一億七千万の増加というようなものを大体見込んでおります。  そのほか新しい経費といたしまして科学技術振興あるいは技術者の養成等の観点から学科あるいは講座、研究所の部門の増設等がありますが、それらにつきましては別の機会に事項別に申し上げたいと思っております。  総計といたしまして文部省の要求額が千四百四十四億でございまして、前年度千三百億に対しまして百三十九億増でございます。一般会計の総額が一兆一千三百七十四億でございますので、大体一三%弱くらいの率になろうかと思っております。  だいぶ簡単でございましたが以上補足御説明を終りたいと思います。
  6. 長谷川保

    長谷川委員長 ただいま行われました昭和三十二年度文教関係予算に対する説明及び補足説明に対する質疑は次会に行うことといたします。  本日はこの程度とし次会は十三日午前十時より開会いたします。これにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会