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1957-04-11 第26回国会 衆議院 農林水産委員会水産に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月十一日(木曜日)     午前十一時二十五分開議  出席小委員    小委員長 鈴木 善幸君       川村善八郎君    椎名  隆君       白浜 仁吉君    田口長治郎君       原  捨思君    松田 鐵藏君       赤路 友藏君    中村 英男君       芳賀  貢君    日野 吉夫君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 奧原日出男君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君  小委員外出席者         農林事務官         (水産庁生産部         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   太田 康二君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      大慈弥嘉久君     ————————————— 四月十一日  小委員有馬輝武君同月十日委員辞任につき、そ  の補欠として赤路友藏君が委員長指名で小委  員に選任された。 同日  中村英男君三月九日委員辞任につき、委員長の  指名で小委員に補欠選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  漁業用燃油価格対策に関する件  鮭鱒延縄漁業許可方針及び北洋漁業に関する  件     —————————————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより水産に関する小委員会を開会いたします。  サケ・マスのはえなわ漁業昭和三十二年度の許可方針につきまして懇談会を開きまして御協議を進めて参ったのでありますが、その結果自民党、社会党の党の御方針意見が一致いたしまして、次のように小委員会としては方針決定いたしまして、これを明日の本委員会に小委員長から報告をいたしたいと存じます、その決定を見ましたところの内容は次の通りであります。一、昨年漁業許可を受けた漁船については全船を許可すること、二、各県の調査船は全船を正規の許可船とすること、三、操業区域条約区域外にして前年度と同一の水域とすること、四、四十トンの範囲内において代船を認めること、五、許可有効期限はさけ・ます流網漁業取締規則第八条に基き三カ年とすること、六、操業期間は三月一日から七月三十一日までとすること、七、昨年の許可総ワク内において今後補充許可に際しては道県間の不均衡を是正すること、以上の要綱を小委員会決定といたしまして本委員会報告をいたすことにいたします。     —————————————
  3. 鈴木善幸

    鈴木委員長 それでは次に漁業用燃油の問題につきまして調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。白濱君。
  4. 白浜仁吉

    白浜委員 初めに水産庁次長にお尋ねいたします。最近非常に漁業用重油価格が暴騰してきておる。従来は大体経営費の四割相当漁業用重油価格だというふうにわれわれは思っておったのでありますが、最近の状況を見ますと、これが五割ないし六割ではとても採算がとれないということをひんぴんとして各地の漁業者から訴えられておるのでありますが、現在の状況のまま推移していいのかどうか、また今のままの状態でこの価格でいいものかどうか、水産庁としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  5. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 ただいま白濱先生からお話のございました通りに、漁業用重油価格がスエズ問題以来暴騰して参っているということにつきましては、われわれといたしましてもまことに痛心をいたしております。漁業用重油につきましては系統組合による共同購入の推進に努めて参ったのでございますが、共同購入価格全漁連の購入いたします工場渡し価格について見ましても、相当上って参っております。昨年の十二月までは、全漁連と出光興産との契約を見てみますと、一万七百円という古い契約のものがまだ続いておったのでございますが、今年に入りましてから値が上って参りまして、今年三月現在引き取っておりますものは一万一千九百五十円、こういうふうな価格に相なっておるのでございます。末端価格につきましては、一万六千円あるいは一万六千五百円というふうな声をわれわれも承知いたしておったのでありますが、きょう伺ってみますと、鹿児島あたりではもう一万八千円というふうな状況に来ておる、こういうふうなことであるのでございます。そこで、これに対しまする対策といたしましては、漁業用重油配給価格を引き下げるとともに、これに対する供給数量をいかにして確保するか、こういうことに尽きるのでございますけれども、これが具体的な方策といたしましては、やはり先ほども申し上げましたように、系統組合によりまする石油共同購入を推進して、そうしてこれによりまして、ともすれば利潤追及ということに流れる性格を持っておりまする市販の石油価格を牽制していくというふうなことに努力していかなければならぬ、かように思うのであります。そこで通産省御当局との間におきまして、そういうことをいかにして具体化するかということについて、いろいろお話し合いをいたしておるのでありますが、まあ現在におきましては、まだお互いのそれぞれの立場というものを、お互いに確認し合うというふうな段階のお話し合い以上には、実はまだ具体的な解決のめどを見ておらないような状況でありますので、われわれといたしましては、できるだけさらに話を詰めて参りたい、かように考えております。
  6. 白浜仁吉

    白浜委員 ただいま次長お話によりますというと、スエズ運河の閉鎖以来のことが非常に影響した、そのために昨年末一万七百円のものがすでに一千二百円、約一割以上も上っているというふうなことでありますが、鉱山局長はその方のいわゆる専門家でありますが、われわれが聞いておりますところでは、運賃が暴騰した、暴騰したといいましても、それほど影響するところは多くないのではないかというふうにも聞いておるのでありますが、あなたがお考えになりまして、この値段が妥当と考えられるのかどうか、その点鉱山局長の御意見を承わってみたいと思います。
  7. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 水産用A重油価格について、最近の動向と、それからスエズ紛争以後、原価的にどういうふうにその要素が変っておるかということについて申し上げたいと存じます。A重油末端価格につきましては、現在われわれがほんとうに信頼し得るという資料がないことは非常に遺憾でございます。石油連盟とかあるいは石油販売業者の実は調査がございますが、これは相当利害関係のある業者の作るものでございますから、ある程度色目で見られることも仕方がないというような欠陥もあると思います。そういう意味で、私の方でまあ一応信用できると思いますのは、日銀卸売物価と、それから経済企画庁外郭機関として経済調査会というのがございますが、ここの調査が大体経済企画庁が作ります物価指数基礎になっておるのでございます。まあこの二つ調査が、一応われわれはどなたにもお話申し上げて御信頼できるものではないかと思っておりますが、それについて最近のA重油価格動向を見てみますと、これは日銀東京におきます卸売物価でございます。従って、末端の小売りの段階のものというのではございませんが、それによって見ますと、A重油価格は、大体昭和三十年の平均が一キロリットル一万三千二百円ということになっております。自来三十一年の八月まで一万三千二百円でずっときております。それが九月から十、十一と一万三千百円で、百円ばかり下っておりますが、それからあと、特に三十二年の一月に一万三千八百円ということになっております。二月も一万三千八百円であります。それによって見ますと、昭和三十年ごろと比べますと、一キロリットル当り六百円の値上り、それから中東事変前と比べますと、七百円の値上りということになるわけであります。なお昨年の九月以降百円ほど下りましたのは、A重油AA制を実施した影響で、非常に需給の調整がうまくいくようになりましたために値下りをしたのだと考えております。それから経済調査会の方の調査によりますと、これはA重油(陸上のもの)についての調査でございますが、東京について見ますと、三十年の二月が一キロリットル一万五千円、それから三十一年九月が一万四千円、三十二年の二月は一万六千円というようなことで、日銀調査と、場所東京周辺ということで同じでありますが、若干数字が違っておりますけれども経済調査会の方は、ドラム詰めの手数料を五百円含んでおります。これを差し引いて比較しなければいけませんが、そういたしてみますと、三十年の二月の  経済調査会調査による東京大口需要家渡し価格は、一万五千五百円と  いうことになります。こういうふうに調査機関二つの違った資料を出されておりますので、われわれとしてもどれが正確なものであるかということを容易に判定いたしがたいのでありますが、しかし中東事変後の価格事変前の価格を比べますと、大体七百円ないし千五百円、その程度値上りがあるということは、大勢として言えると思うのであります。  なおただいま申し上げました価格は、すべて京浜地方価格でございまして、これが九州とかあるいは北海道のような、精製所から非常に遠距離にある場所につきましては、運賃等増高もありまして、これよりも相当高いものになっているということは、念のために申し上げておきたいと思います。  このようにして、事変前後の大口需要家価格が、大体七百円ないし千五一百円くらい上っているのは正しいかどうかということでございますが、それでは原価構成事変前と今日とどう違っているかということを申し上げたいと思うのであります。原価のこまかい構成につきましては、われわれはそう法律根拠に基いて詳細な資料をとる権限もございませんし、また精製業者事情によっていろいろ違っていると思いますので、あまりこまかく掘り下げなくて、ただ輸入原油から精製するものにつきましては、その輸入原油運賃が大体どのくらい上っておるかということ、それから製品のままで輸入する重油につきましては、向うの価格運賃がどのくらい違っておるかということについてだけ申し上げてみたいと思うのであります。  原油で持ってきて国内精製する分の運賃値上り分だけについて見ますと、昭和三十年ごろの運賃USMCマイナス三五という非常に低いところにありましたが、三十二年の三月は平均してプラス三二・八ということで差引七〇%近く差があるわけであります。三十年の数を基礎にして絶対数でいいますと、マイナス三五でありますから六五と見ていいわけですが、六五の指数のものが一三三くらいになったわけでありますので、運賃だけから言うと倍以上のものになっておるわけであります。これを原油一キロリットル当り運賃値上り分に直し、さらにそれをA重油にどれだけふりかけてくればよろしいかという計算をしてみますと、国内精製重油一キロリットル当り千二、三百円くらい運賃値上りが響くということが出て参ります。  それから製品のままで輸入する重油につきましては、FOB価格が非常に上っております。大体二六、七%くらいFOB価格自体で上っておるわけでありますが、それを一キロリットル当りに直してみますと二千円以上の値上りになります。それから運賃も、中東紛争以前はマイナス三三という数字でございますが、それが三月はプラス三五というわけで、これも倍以上になっており、その運賃値上り分が千七、八百円くらいになるかと思います。ですから、輸入A重油は一キロリットル当り四千円くらいFOB価格とレートの値上りだけで昨年の九月ごろよりも上っておるということになるわけであります。  この製品のままで輸入される分と国内精製される分と二つが総合されて国内価格を形成するわけでありますが、三月の状況ですとこれが大体五分、五分に総合されておるわけであります。そういたしますと、一キロリットル当り二千数百円くらいはコストが上っておるということになると思います。そういうわけで、中東事変以来、一般A重油の市価は確かに上っておるのでございますが、ただいま申し上げましたごとく、日銀卸売物価調査あるいは経済調査会大口需要家に対する販売価格等から見まして、七百円ないし、千五百円というくらいの上昇になっております。他方コスト上昇は二千数百円ということになっておりますので、われわれとしては、A重油につきましては、精製業あるいは元売業がこの中東事変に籍口して不当な利益をむさぼっているということは言えないのではないかと考えるのであります。しかし、以上は国内精製業者元売業者全体を平均しての数字でありまして、個々の場合にはまたいろいろ違ったものが生まれてくると思います。たとえば、会社によって輸入重油を非常にたくさん取り扱って国内精製の分を少量しか扱っていないところは、これよりもっと高い価格で売らなければならないでしょうし、また輸入重油はあまり扱わないで国内精製のものをたくさん扱っている業者もございます。そういうところはそれよりもっと低い価格で取り扱ってもよいというようなことが言えるわけでありますが、一応大勢としてはただいま申し上げた通りでございます。
  8. 白浜仁吉

    白浜委員 なかなか専門的なことでありまして、私どもしろうとにはとても知ることのできないような点も多多ありますので、冒頭に当りまして、私どもの調べる上の一助にしようと思いますし、引き続いての委員会などでも必要としますから、まず鉱山局長資料をお願いしておきます。それは、原油輸入原価の表、あるいはまた昨年度の月別船運賃、それに付随して輸入高、こういうものをお願いしておきます。いろいろお尋ねしてみますと値段もなかなか押えきれないという話でありますが、昨年ですか一昨年でしたかできました例のボイラー規制法指示価格を出すことができるようなことになっていると思いますけれども、そういうことをやった例がありますかどうか。またその指示価格をかりに出した、あるいは出すといたしますれば、どういうふうな根拠に基いて、はっきりしたものがつかめないというのなら出せるのかどうか、そういう点をお尋ねしておきたいと思います。
  9. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ボイラー規制法では価格とか出荷について指示ができるという規定がございます。われわれもあの規定価格指示をいたしたいというふうな考え方で省内でいろいろ相談いたしたのでありますが、今のところあれを発動してすぐ価格指示ができるということはちょっと言えないような状態でございます。しかし、法律を発動いたしませんでも行政指導である程度価格規制はできると考えておるのであります。もちろんこれは業界反対相当ございますが、反対を押し切ってやるという事態もございます。しかし、われわれは、正しいと思えばそういうことをやる腹でございます。最近価格行政指導をいたしました実例としましては、本年の三月に、あらゆる石油製品の元売価格といいますか、仕切り価格を据え置きにする、上げないということを各精製元売業者首脳部に約束いたさせたので、これはその通り行われていると思っております。これはしかし仕切り価格、つまり精製業者あるいは元売業者特約店に売り渡す場合の価格でございます。これはこの三月上っていないと思います。それからまた各精製業者元売業者に対して一月に通牒を出しまして、今後仕切り価格の改訂をする場合には鉱山局の承認を受けてもらいたいと言ってありますが、これも励行されておると私の方では考えております。そのようにして直接どういう法律の第何条によってこういう指示をするということは言ってございませんが、しかし鉱山局通牒でそういうことを言ったならば、これは励行されるというふうにわれわれは考えております。少くとも今日まで——今日といいますか、特に中東紛争以後の価格の問題につきましては、そういうわれわれの方針を無視したという事実はまだ認めていないのでありますが、もしこれに違反した場合には、われわれとしては外貨の割当を削減するということを常に言っております。そういう価格指導をする通牒にはそういうことを書いてございますが、われわれとしては、そういうやり方によって、行政指導を効果あらしめたいと考えております。それから、価格についての精細な調査は、今のところ法規に基いてはできないということを申し上げましたが、われわれとしては、主要な会社から、法律には基きませんが、価格資料をとっております。それによっておよその見当はつくわけで、数社の資料をとれば、大体そのうちの正しいところはどの辺だということはわかるわけでありまして、それによって、一応われわれとしては適正な価格はこの辺だという数字をもってやっておるわけでございます。
  10. 原捨思

    ○原(捨)小委員 鉱山局長の御答弁によりますと、なるほど元売価格についてはこれを適当なところで押えておる、かような御答弁のようであります。しかしながら、小売価格については、九州であるとか北海道であるとかというようなところの小売価格は的確につかんでおらぬ、かような話でありますが、元売業者価格さえ押えれば、適正な小売価格がそこに生まれておる、かように信じておられるのでありますか。また小売価格がほとんど手放しのようなふうであるとしても、鉱山局として行政指導上何ら差しつかえない一ほんとうにりっぱな行政指導をやられるためには小売価格というものを的確につかむ必要はないのか、そういう点、ちょっと……。
  11. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 私の方では石油価格を適正にする一番根本的な方策としましては、供給量を豊富にするということであります。需給が逼迫しますと、いかに法律価格をきめましても、その価格が守られなくなるということは、過去のわれわれの経験で承知済みでありまして、従ってわれわれとしては、原油なり製品なりの輸入外貨をできるだけたくさんとって、それで市場への供給量を豊富にするということをわれわれの政策の第一の、要諦と考えてやっておるのであります。そのために実は昨年の十二月に緊急に外貨予算を追加いたしまして、約千八百九十万ドル——これは一カ月半分ぐらいの原油相当しますが、その分を特別に輸入する手を打ったのであります。そういうふうにいたしまして、供給量を豊富にするということによって価格を牽制しようということを、第一のわれわれの関心事といたしておるわけであります。それから末端価格規制する方法としては、ただいま申し上げました元売価格を適正に押えておけば、あと需給関係供給を豊かにすることによって、そう末端が暴利をむさぼることはないだろうと考えております。さらに行政指導の具体的な・姿といたしましては、これは昨年の十二月ごろ特に方針をきめて業界に示したのでありますが、大体石油特約店と申しますか、小売業者は、それぞれの元売とか精製業者と非常な系統的な関係になっておりまして、その点がほかの商品の小売商とは違うところでありますが、われわれはその点を利用いたしまして、元売業者をして、その自分の系統特約店を監視させる。もし特約店が不当な価格で油を売ったというようなことがあれば、元売業者に対してわれわれは責任を負わせるということを明らかにいたしております。  それからなおまた通産局苦情処理委員会というものを設けまして、そういう特約店が不当な価格で油を売った場合には、需要者から通産局苦情の申し入れをしてもらって、そこで事態を処理していこうというふうに、そういう機構を作ってやっておるわけでありますが、われわれとしてはこのよう一なことによって小売価格の適正を期するようにしたいというふうに考えております。
  12. 原捨思

    ○原(捨)小委員 私の承知いたしておりますところでは、三十一年の三月の重油市況は、勝浦で一万四千七百円、長崎で一万四千百円、こうなっております。ところが三十二年の三月において勝浦で一万七千円、長崎で一万六千五百円、こういうことになります。すなわち勝浦において二千三百円、長崎で二千四百円という値上りになっておるようであります。北海道あるいは九州の南端に参りますと、それだけなお高くなるというのが事実でございます。これをお認めになりますか。
  13. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいまお話しになりました事例は、具体的な取引条件等が明確にならないと適正であるかどうかということは申しにくいわけでありますが、扱い量が非常に小さいとか、あるいは支払い期限が非常におそいとか、いろいろな取引条件の違いによって、小売価格については相当な値開きが出てくるわけでありますが、しかしただいまの二千四百円の値上りと申しますのは、先ほど私が申し上げました平均的な場合から言いますと、大体二千数百円は中東事変以後フレート、FOB価格値上り等でそのくらい上るということがございますので、それから見るとそうこれは不当な値上りだということはまず言えないのではないかと思いますが、しかしこの数字は具体的にどういう条件のもとで取引されたかということを見た上でないと、正確なことは申し上げがたいと思います。
  14. 白浜仁吉

    白浜委員 この値段を下げるのには一体どうした方が一番いいかという案を、あなたはお持ちじゃないかと思うのだけれども、ここでそのお考えを御開陳願えれば幸いと思うのですが。
  15. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいま水産庁次長が申されましたことは、私もその方向においては非常に話がわかるのでございまして、全漁連取扱い価格をなるべく低廉なものにして、ただしこれは私の方の立場もございまして、精製業者なりあるいは輸入業者なりの利益を全然なくするとか、あるいは出血させるというところまではいけませんが、しかしわれわれが見てしんぼうできる程度のなるべく安い価格で長期の安定した契約をする、そういうことをいたしますと、これが一般市況にも非常に牽制的な効果を持って、よくなると思うのでありますが、特に私としてはそいう方向に進んで参りたいと思うのであります。ただ先ほども申し上げましたごとく、コストのなるべく安いところから買ってもらうというような方向にさらに全漁連の方でもお考えを願わないといけないかと思うのであります。と申しますのは、現状ではA重油の形で輸入をされる場合は、中東紛争前に比べて非常に値上りしております。従ってなるべく国内精製分の多いような精製業者あるいは元売り業者から買うというような考慮をしていただく必要があるかと思うのであります。そうすれば精製業者あるいは元売り業者に損失を与えないで、しかも安、い価格で買えるようになってくると思うのであります。いずれにしろ一応全漁連の贈入価格をなるべく低位に安定させるという方向に私としては努力をいたしたいというふうに考えます。そのほかの全漁連関係ない一般水産業者の購入する価格につきましてはそれぞれ地方通産局で今苦情を受け付けて話をしているわけでありますが、その動向によりまして、必要あればまた何か価格の基準になるようなものを指示していくということも考えていきたいというふうに考えております。
  16. 白浜仁吉

    白浜委員 先ほどのあなたの御答弁の中の、外貨を十分に持てれば値段が下るのだという考え方は、僕は一つの考え方だろうと思うのでありまして、あなたのお考えが三十二年度では相当生きてきたというふうに私どもも思っておるのでありますけれども全漁連の問題は別としまして、どうしても漁業用重油価格を下げなければならないという前提に立つといたしますならば、やはり原油をたくさん入れなければならぬというふうなことが根本問題ではないか、こういうふうに思うのであります。最近の状況を私どもが聞いてみますと、原油からのA重油の取り方、専門の言葉で言いますと、いわゆる得率と申しますかどうか知りませんが、その率が非常に減っている。これは石炭事情あるいはまた最近のストの関係で非常にB、C重油が高価に売れるというふうなことで、これを商人だけの手にまかせておきましては、価格の操作が非常に困難ではないかというふうに私は思うのでありまして、先ほど局長が申されたように、長期の契約をしてどうしても価格を安定させなければならないというならば、やはり原油そのものについての輸入を根本的に考えなければならないのではないか、あなた方の外貨の割当について、根本的に考え方をここで改めてもらわなければならないのではないかというふうに考えるのであります。私は参考のために最近ある業者を招致しまして聞いたのでありますが、自分のところでは非常にキャパシティもあるのだけれども外貨が少くてどうも値段が下げ切らないのだということを言われたのであります。これは業者の正直な打ちあけ話ではないかというふうに承わっておるのであります。そこで従来の外貨の実績ということにとらわれないで、少くとも本年度増量された分についてだけでも価格を下げるためのあなたの考え方を変えて方針を立てていただきたい、こういうふうに私は思うのであります。これは間違いないと思うのでありますが、あなたが「石油通信」に記者会見で申された言葉の中でも、理想を言えば受注量に基く割当が最もよいのではないかと考えているということを発表されておりますが、まさにその通りでありまして、あなたの考えておられる線を強硬に主張されて、通産省としてもその具体策を立てて——業界も何も全部が損しろ、出血をしろということを私どもは申すのではありませんが、漁業者も立っていくような方途を考えてもらいたい。少くとも今の沿岸漁業者がどういうふうな苦境に立っておるかということは、あなたは一応門外漢であるかもしれませんけれども、熟知されておると思うのでありまして、先ほど懇談会で松田先生からもお話がありましたが、一片の紙きれをもって——外貨を持ったがために膨大な利益を上げているのです。この現実は、私ども直接漁業者の実態を見る場合に、黙視しているわけには参らないのであります。そういうふうな点は十分考慮されていただきたいと思うのであります。三十年の七月ですか、当時の石橋通産大臣が非常に努力をされ、また当時の与野党とも一緒になりまして、かつて全漁連外貨を十万キロ分やった。これは当時半年度分だというようなことで十万キロやったのでありますが、そのために価格が非常に影響を受けまして値上げができなかったという事例から見ましても、私は三十二年度には、少くとも全漁業者——通称百万トンと称せられているのでありますけれども、この百万トンの半分くらいに相当する部分を共同購入の形で、あるいは全漁連に委託するなり何なりして価格の操作をやってもらいたい。そういうふうな指導方針であなた方もここで踏み切ってもらいたいということを希望するのでありますが、こういうふうな私の考え方にあなたは同調できないかどうか、この点を一つお尋ねしたいと思います。
  17. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 外貨の割当方針の問題についていろいろ御要望を受けたわけでありますが、私といたしましても、現在の外貨割当のやり方は非常に機械的であり、また非常に固定的といいますか、どうも融通性の非常に少いものでありまして、これが精製業者の優勝劣敗をきめるという点におきましては、十分な効果を持っていないという点をあきたらないと思っているのでありますが、しかしそれならばこれを変えるにはどういうやり方が一番いいかということであります。受注の量を基礎に分けていくというやり方も確かに一つの行き方で、私もそういうことは十分考えられると思いますが、ただ需要家が非常に少数で、その需要量がまた的確につかみ得るという場合でしたら、あるいはそういうこともやりやすいかと思うのでありますが、何しろA重油に例をとってみましても、水産業のみならず海上輸送あるいは陸上の鉱工業にも使っておりますし、需要家が非常に多くてその真実の需要を正確につかむことが実は一苦労でございます。そういう点で問題があるわけでございますが、従って現在のところ私はそういう方向に踏み切るというところまではいっていないのでありますけれども、この問題は将来とも検討を続けていきたいというふうに存じております。
  18. 白浜仁吉

    白浜委員 検討されただけで実行されなければこれは何にもならないのでありまして、目前に追った、しかも毎日々々の問題でありますので、至急あなたの考えている正しい方向に踏み切ることを特に私はお願いしておきます。全漁連の方からもわれわれの方に陳情が出ているのでありますが、わずか二十万トンくらいのA重油をもってどうこうだという、まことにしみったれた全漁連考え方に私は反対でありまして、少くとも全沿岸漁民が、特にこのポンド油の恩恵を受けていないところの漁業者が一丸となって、将来自分の一番最大の、しかも必要品であるところのA重油、B重油などの確保をしなければならないということは、私は趨勢であろうと思うのでありまして、あくまでもそういうふうな点について、今後も水産庁並びに通産当局の方でも協力をしていただいて、この価格の値下げについて格段の御努力をお願いしたいと思うのであります。  私ばかりしゃべっておりましてもまことに申しわけないので、私はまた機会を見て質問をしたいと思うのでありますけれども、従来の通産省の鉱山局行政指導行政指導だということに、非常に口はばったいのでありますけれども、私は信頼を置いておりません。そういうふうなことではいつまでたっても沿岸漁民零細漁民が救われる時期はないと思うのでありまして、あなたの直接の行政分野ではないかもしれませんけれども水産庁当局並びにこの悲痛な沿岸漁民、零細漁民の声もまつ正直に聞いていただきたいということを要望して、一応私の質問を終ります。
  19. 原捨思

    ○原(捨)小委員 先ほど鉱山局長は、末端価格値上りは、必ずしも今の石油事情からいって不当な値上りではなかろうと考える、こういう御答弁でありましたが、なるほどそうかもしれないと、その点は私も考えるのであります。しかしながらひるがえって漁業者立場から申し上げますと、昨年の三月で一キロ当りの漁獲量がどうだったかと申しますと一千二百九十四貫、本年の二、三月で見ますとそれが一千八十六貫、こういうふうに減じております。百分比で見ますならば二二%減になっております。そこで考えなければならぬことは、この石油値上りというものは、漁業におきましては漁価に転嫁することができないのであります。従いましてそれだけ業者の苦衷は非常に大きなものがあるわけでありまして、どうしてもこれが根本的な対策考えざるを得ない立場に、われわれは置かれておるのであります。  そこで二、三お尋ねいたしたいと思うのですが、三十二年度の各種重油の需要量は幾らでありますか。またそのおもな需要者の内訳を御説明願いたい。
  20. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 三十二年度におきましてA重油の需要を百四十八万キロというふうに見ております。B重油は三百万キロ、C重油が三百六十五万キロであります。この数字は三十二年度の外貨予算を組む際に私の方で調定したものでございます。このA重油百四十八万キロの内訳を申し上げますると、鉱工業が十五万キロ、農林水産関係が八十三万キロ、このうち三万キロは農林関係でございます。船舶運輸が二十六万キロ、その他が二十四万キロということになっております。B重油につきましては鉱工業関係が百八十四万キロ、農林水産関係が四十五万キロ、船舶運輸は五十五万キロ、その他が十六万キロ、計三百万キロということになっております。それからC重油が、鉱工業関係が三百四十九万キロ、農林水産関係が二万キロ、船舶運輸関係が十三万キロ、その他が一万キロ、計で三百六十五万キロということになりまして、重油の全総計が八百十三万キロということになっております。  なお水産関係数字につきましては水産庁とも打ち合せまして作った数字であります。
  21. 原捨思

    ○原(捨)小委員 次にお尋ねいたしたいことは、三十二年度における国内精製油のうちの重油の六百六十八万四千トン、輸入の二百五十四万三千トン、それから需要の八百三十九万トンのこの三つのABC重油の内訳を一つお聞かせ願いたいと思います。
  22. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいま申されました数字は私ちょっと思い当るところがないのでございますが、しかし御質問の要旨は、昭和三十二年度におきまするABCの重油供給見通しの内訳を明らかにせよという御趣旨であろうと思います。
  23. 原捨思

    ○原(捨)小委員 精製の内訳です。
  24. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 国内精製の分と輸入分とがどういうことになっているかということですね。A重油について申しますと、供給の総計を百五十五万キロと考えております。そのうち国内精製の分が七十五万キロ、輸入分が八十万キロ、それからB重油供給総計三百三十二万キロで、国内精製が三百二万キロ、輸入が三十万キロ、それからC重油の方は供給の総計が四百三十五万キロ、うち国内精製が二百九十一万キロ、輸入が百四十四万キロ、合計しまして重油国内精製の総計が六百六十八万キロ、輸入が二百五十四万キロ、計九百二十二万キロということになって、先ほど申し上げました需要の総計は八百十三万キロでございますから、供給の方を相当大きく見ております。これは在庫量を増加しようという趣旨から出ております。  それからこの国内精製の分の算出の方法でございまするが、たとえばA重油などは一応得率を五%と見て最近の数字をそのままとっておるわけでありますが、実際にはこれは各会社の生産計画を見て算出した数字ではございません。一応の推定でございまして、実際はまたこれは変ってくるかとも考えられます。
  25. 原捨思

    ○原(捨)小委員 もう一点お尋ねしたいと思いますことは、原油輸入価格とそれから国内精製重油原価計算、これをお示し願いたいと思います。先ほど局長は精製業者によって多少違う、こういう御答弁のようでありましたが、多少違う点もあるかもしれませんが、大体最低幾ら、最高幾らという程度でいいと思いますが、それをお知らせ願いたい。
  26. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは後日資料でお知らせいたします。
  27. 原捨思

    ○原(捨)小委員 それではなるべく早く委員会に間に合うようにお願いいたします。  それでは最後にお尋ねしておきたいと思います。現在外貨割当はどういう基準によって、割り当てておられますか、その点をお伺いします。
  28. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 原油及び石油製品輸入外貨の割当基準は、過去数年を振り返ってみますと、少しずつ変遷いたしておりますが、昭和二十七年ごろまでは精製工場の設備能力を基準にしてやっておったということでありますが、その後はおおむね過去のある期間におきます外貨の割当金額と輸入重油あるいは石油製品の数量、これを五分五分にウエートをつけまして、そして出した数字基礎にして各社別に配分するということを、原則としてやつてきておるのであります。若干そのほかに貿易振興の見地から、特定の地域から輸入したものには、あるメリットをつけるということも、現在は廃止しておりますが、最近までやっておった事例がございます。
  29. 原捨思

    ○原(捨)小委員 過去において販売実績等がその外貨割当の一つの参考になっておらなかったかどうか、今後こういう実績を参考にされる御意思はないか。
  30. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 販売実績を外貨割当の基準に使うということは、過去においても原則としてやっておりません。それから将来の問題といたしましては、私たちそういう研究を今いたしておりますが、実は販売実績を正確につかむということが非常に困難なのでありまして、販売業者あるいは元売り業者等の報告によってすぐその数字を採用いたすということは、われわれまだ十分に自信を持つことはできないのでございます。しかし輸入に関する数字は、税関を通りますので、これは官吏の手でしっかりつかむことができるというので、輸入数量は一応正確につかんでおり、また割当の基礎として何ら今日まで紛争は起きていないのでありますが、販売実績をとるということになりますと、正確にとるための機関がちょっと現在のところ信頼し得るものがないために、非常に困難があると考えるのであります。     〔小委員長退席、白浜委員長代理着席〕
  31. 原捨思

    ○原(捨)小委員 私は、ただいま設備等も割当の基準に考えているというお話でありましたが、徳山のあの燃料廠の跡の入札、またあの重要性を考えますときに、これは設備に対する通産省の考え方というものが、どうも私にはわからないのでありますが、私はやはり適正な燃油価格というものを作り出すためには、外貨割当というものはきわめて大きな要素をなしている、ここにすべての原因があるというような気がしてならないのであります。いずれ次の農林水産委員会において質問したいと思いまますが、きょうはこの程度で質問をとどめておきます。
  32. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 私からも水産庁並びに鉱山局長にお尋ねをいたしたいと思います。  まず奥原次長にお尋ねしたいのですが、先ほど白濱、原両委員から御指摘がありましたように、漁業用燃油価格が最近非常に暴騰いたしておるのでありますが、御承知のように燃油の漁業経営費に占める割合というものは、非常に大きな部分を占めておりまして、この燃油の価格がわが国の沿岸漁業の経営に死活的な影響を持つものであるということは御承知の通りであります。大体通念といたしまして、漁業経営費の三割程度漁業用燃油が占めているという工合に考えられておったのでありますが、最近の高騰でこの比率は非常に上昇を見ておると思うのであります。経営費から見た漁業用燃油の経費というものを水産庁はどう分析して見ておられるか、その点をお尋ねしたい。
  33. 奧原日出男

    ○奧原政府委員 実はスエズ以来、漁業用燃油末端価格が非常に上ってきているということを、それぞれの地方からの情報として承わるたびにわれわれ非常に腐心をいたしておるのであります。漁業用燃油が全体の漁業経営費中に占めます割合につきましては、魚価経済調査が御承知のような比率で今まで計数的に明らかになっておるのでございますが、しかしこれは昭和二十九年までのものしかまだまとまっておりません。従いましてスエズ以来の状況におきましては、その比率はおそらく非常に高騰しているのではないかということを心痛いたしております。
  34. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 今、抽象的に当局も漁業経営費の上で占める燃油の経費は従来より非常に高騰しているだろうということをおっしゃっているのでありますが、私どもの計算では、すでに経営費の四割五分を示している。これが漁業によりましていろいろ差異はございますけれども、大体漁業者の各漁業経営費を検討いたしますと、四割ないし四割八分程度漁業用燃油の経費で支出している、こういうような状況でありまして、まさにこの最近における漁業用燃油の高騰はわが国の沿岸漁業を破綻の一途に追い込んでいる、こういうことが指摘されるわけでありまして、われわれはこの燃油の価格対策、これを通産、農林両当局が真剣に対策を立てていただいて、一日も早く一万二、三千円程度漁業用燃油価格の安定を見るように措置していただきたい。漁業者の手に少くとも一万二、三千円で渡るようにしていただきたいということを私は申し上げて、当局の御善処を要望しておきたいと思うのであります。  そこでさらに私はお尋ねしたいのでありますが、先ほどA重油需給の模様を数字をあげて御説明を願ったのでありますが、今日安い原油からの精製でできて参りますA重油の量が非常に少くなっておる。A重油得率が非常に低く押えられてきておる。これはもとより精製における精製業者の採算上からきていると思いますけれども鉱山局長先ほど来御指摘になられましたように、運賃値上りでありますとか、あるいは生産地における油価の高騰というようなことからいいまして、製品による輸入価格が非常に高いものについておるということでありますならば、このA重油価格を安定させるためには、どうしても原油からの精製に当ってのA重油得率を調整していく以外に道はないのではないか。大体従来からこのA重油得率は、八%程度が妥当である、そう考えられてきておるのでありますが、現在その得率はどの程度に相なっておりますか。それを承わりたい。また採算一本やりで、その得率が非常に低くなっており、その結果A重油の生産量が激減しておるということにつきまして、当局として行政指導を加えられる御意思があるかどうか。この点を鉱山局長にお尋ねしたい。
  35. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 A重油得率は過去の統計から申しますと、昭和三十年度は七%であります。昭和三十一年度は年度平均で五・九%であります。それが下期だけをとってみますと五・一%ということでありまして、大体七%から五%ということになっておるわけであります。最近のA重油得率がどうして下ったかということを考えてみますと、A重油AA制になったために輸入が非常に自由になってきて、豊富な供給がなされるようになってきた、そういうために精製業としては国内精製によるA重油供給を増加する必要がそうなくなったということも言えると思います。他面下期において特に得率が下ったのは、むしろ下期の石炭あるいは電力その他のエネルギーとか、燃料の不足をカバーする意味で、他のB重油C重油等の生産をふやすようになってきたということではあるまいかと考えておるのでありますが、そのようにして、見方によれば利益の少いものを作らないということもいえますが、他の面からいいますと、国全体として見て、燃料の種類別のバランスをとる結果になるということで、つまりB重油とか、C重油の不足を補うために、そちらのものが増産されるようになったということだと思うのであります。従いまして政府としましてはこういう得率をどうこうしろということを指示することははなはだ困難だと思うのでありますが、もしかりにA重油得率を引き上げて、そのためにB重油とかC重油供給量が減ってくる、これはAA制でないから少し足りなくてもすぐ輸入されるというものではございません。そうしてその他の種類の油の需給が破れてくるという結果になることをわれわれは非常におそれるのでありまして、われわれとしてはそう簡単に油脂別の得率をこうしろ、ああしろということはなるべく慎しみたいと思うのであります。これはガソリン等についてもそうでありまして、すべて油脂別の得率を政府のほんの乏しい頭で割り出して、ただ一つの事実だけを見てある指示をするということになりますと、われわれの予想しないいろいろな複雑な動因によって動いておりまする各油脂別の需給のバランスがこわされる結果になるということをわれわれは非常におそれるのでありまして、できるならばそういう得率について指示をするというようなことは避けていきたいと思うのであります。現在国内精製得率が非常にA重油の場合に少くて、それが価格の高騰の一つの原因をなしているというふうな考え方をされておりますが、これは輸入分が中東紛争の影響を受けまして特に高くなったために、そういうことが問題にされるのでありまして、少くとも中東紛争以前においては、そういうことは全然言われていなかった、おそらくこの紛争の影響がだんだん解消して参りますと、外国のFOB価格のレートもだんだん正常に返って参りまして、国内精製の分と輸入分とはそう大きい開きを持たなくなります。従って得率の問題もそう問題にならなくなるというふうにわれわれは見ておるのであります。最近御承知のように、スエズが全面的に開通をいたしました。このために世界的に見てタンカーの需給が非常に緩和されております。それが運賃の下落となって現われております。また全面的な現象として運賃が下ったということは言えませんが、しかし相当そういう傾向が顕著になってきておりますので、われわれとしてはもう二、三カ月のうちには中東事変の影響は相当消えて正常な事変前のような姿に返ってくるんじゃないかというふうに期待を持っておるわけであります。
  36. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私は今の森鉱山局長の御説明を聞いておりまして、あなたが今日の沿岸漁業者の経営が非常に危機に瀕しておるこの実情をあまり御承知ないために、非常に冷静にこれを考えておられるんじゃないか、事態はきわめて深刻な状態である。こういう前提で私ども非常に心配をいたしておるわけです。この得率の問題にいたしましても、私どもA重油輸入が従来のように安く入ってくる、そうして国内原油から精製されるものとあまり変らない価格でこれが漁業者の手に渡る、こういうことでありますれば、得率も問題にする必要はない、こう考えるのです。ところが最近までの状況は御承知の通りA重油輸入価格製品価格というものは非常に高い。でありまするから、主として製品輸入に依存しなければならないような状態に置かれますと、結局高い価格のものを漁業者は押しつけられる、こういうことになりますので、私は正常な一般的に考えられるところの得率というものを当局が行政指導でもってやって、そうして比較的安いA重油を確保するということを考えなければいかぬじゃないかということを申し上げておるのであります。ところがそういう得率のことを問題にせぬでも、他に適切な手を打っておられるのであれば、私どもはそういうことを御要求申し上げる必要はないのであります。ところがボイラー等の規制に関する法律も前の川上鉱山局長の時代は、この法律さえ通してもらえば価格等については十分行政的に措置できる、早く通してくれということをわれわれに要請をして、私どもこれに協力してやった。しかるにそれは単なる一時のがれのための口実にすぎないのであって、何らそれを活用しない。やる熱意もない。これが鉱山局の燃油行政の実態です。漁業者はあなた方の国会における言明を信頼して、適切なる手を打ってくれるであろうということに期待をしているんだけれども、何らやってない。今の森局長になりましてからも、今のお話を伺っておると、スエズ問題もだんだん解決をしてきた、だから二、三カ月もすれば正常な姿に返るだろう、それまでは何もやらぬでも自然の成り行きがそうさせるんだということに漫然期待をされておるような御答弁を伺いまして、私非常な憤激を覚える。もっと火がついておるというこの実態をあなた方は見て、一つ熱意を持って今日から適切な手を打つということをやっていただきたい。  そこで、次に私はお伺いするのでありますが、三十二年度の外貨割当は多分千五百万トンであったと思います。三十一年度に比較いたしまして三百万トンの増ですか、その千五百万トン分の外貨割当が外貨予算に計上されておって、昨年に比較しまして三百万トンだけ多くなっておるわけでありますが、これを今のように鉄鋼関係でありますとか、あるいは漁業関係でありますとかいうような、大口需要家で数量のまとまってはっきりいたしておるもの、こういうようなものに対して千二百万トンは実績割当として、あとの三百万トン分は、受注割当にするとかいうような、今の需給関係に即応する外貨の割当をするという御意向がありましょうかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  37. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいま非常に強い御要請を受けたわけでありますが、この点については、われわれはできるだけの努力をいたしていきたいと思います。  それから外貨割当の三十二年度の何についての具体的な問題としましては、ただいまもいろいろここでお答え申し上げましたように、受注割当にするということは現在のところ事務的にまだわれわれ自信がございません。受注を正確に捕捉することが非常に困難でございましたり、あるいはどの範囲の受注を一体優先的に扱うかという問題もございます。それらをもう少し研究いたさないと、軽々にそういうやり方をとるのはむずかしいし、かえってまた非常に大きな混乱を起すのではないかというふうに考えておりますが、方向としては私たちとしても何かそういうふうな考慮を入れることが適切であるということは考えておるのでございますから、事務的に見まして、それをすぐ実行に移すということはまだいろいろ研究をしなければいけない状態であると考えております。
  38. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 鉱山局長は、自民党の政調会で燃油問題を審議されました際に、政調副会長の松野頼三君の申し入れに対して、価格の面で相当はっきりと、当局としてこの程度価格石油業者と消費者団体である全漁連との間の価格の折合いをつけてみたいというような言明をなさっておられたようでありますが、これらの面につきましてもいまだ明確な線をお出しになっておりません。また水田通産大臣は、私どもお会いいたしました際に、原油外貨割当だけはかんべんしてくれ、しかしA重油は適正価格でもって、そうしてこれを価格の面で十分漁業者が納得できるような価格A重油を現物で確保させるような措置を責任をもって講ずるというようなことを約束されておりますが、これまた適切なる措置がなされておりません。従いまして、私はきょうの小委員会では、先ほど来出ておりまする委員諸君の要望あるいは御意見というものを小委員会として取りまとめまして、これを本委員会に移し、通産大臣並びに農林大臣の御出席を求めまして、私は早急に政府がこの漁業用燃油について明確なる措置を講ずることを強く委員会として措置すべきものである、こういう工合に考えております。従いまして、きょうは私はこの程度で私の質疑を保留しておきたいと思います。
  39. 白浜仁吉

    白浜委員長代理 赤路委員
  40. 赤路友藏

    赤路委員 今まで他の委員諸君からだいぶ詳細にわたって質問があったわけなんですが、私はちょっとお尋ねしたいのです。  二十九年の五月十七日に農林水産用石油類の確保要領というのが出されております。     〔白浜委員長代理退席、小委員長着席〕 それから三十年の四月一日に農業用A重油協定価格というものが出されておる。それから三十年の七月三十日に海上用BC重油の確保要領というものが出されておる。これらのものの出された以後石油業界の方から値上げの申請が行われたと聞いておるが、それはいつなされたか、その値上げ申請の価格は一体どうであったか、それに対して通産省としてはどういう措置をとったか、これをまずお聞きしたい。
  41. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 二十九年の五月の通牒は数量の確保を特に要請したものであると思います。従って価格の問題には触れておりませんが、少くともその後数量の確保について問題が起ったということはわれわれ聞いております。三十年四月の通牒は協定価格として当時の二月よりも七百円ばかり安くするということで、そういう協定価格を作る動機になっておるわけでございます。あの通牒では、そこで協定価格を作ってやっていくということでありまして、あと政府がどういう措置をするかということにはあまり触れておりませんが、当時の協定価格を七百円だけ安いところできめるという趣旨のものでございます。三十年の七月の通牒は、海上用BC重油関係であります。これは一般重油輸入関税を課する、けれども水産用あるいは海上用のものにはそれを転嫁させないという趣旨のものでございますが、同時に三十年二月の価格を据え置きにするということを明瞭にしておるものであります。その後これについては別に需要家の側からも大して問題も起らずやってきたのでありますが、しかし昨年の暮れから中東紛争のために価格がだんだん上ってきた、三十年二月の据え置きでは石油業者もとても商売ができないということで、石油業界から三十年二月の価格をある程度上げるようにしてもらいたいという要請が出てきたわけであります。これはことし一月ごろでございます。われわれとしましては、それを関係官庁でありまする水産庁あるいは運輸省と協議をいたしまして、どのくらいの値上げを適当と認めるかということをその後打ち合せをいたしたのでありますが、最近におきましては大体三者の間に意見の一致を見ておりまして、その程度の幅で——三月の価格でございますが、三月の海上用のBC重油についてはその程度値上りはやむを得ないものとして、地方の通産局でいろんな苦情処理をする場合には、それを基準にしてやっていくというふうにさせたいと考えておりますが、これは近日中にそういう数字を地方へ示す段取りになっております。
  42. 赤路友藏

    赤路委員 この程度でよかろうという三者で話し合いのできた値上りの幅は何ぼですか。
  43. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは三十年二月以後の運賃とかFOB価格の変動だけをとってみたわけでありますが、およそ千五、六百円程度の幅になっております。しかしこれは元売り業者事情によっても違いまするし、また買手の側のいろんな条件でも違いますし、支払い条件のいかんによっても違いましょうし、一応の大ざっぱな基準としてその程度のものを考えて、あとは具体的な実情に即してこれに変化をつけていくというような考え方をいたしております。
  44. 赤路友藏

    赤路委員 今の御答弁によりますと、船運賃の上り等いろいろ勘案してまずこの程度はやむを得ないだろう、そこで正確なことは追ってはじき出してやろう、こういうことなんですか。
  45. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 個々の取引価格の適正であるかどうかを認定するのは中央官庁ではとてもできませんので、いろいろ問題の起っている地方の通産局で、その実情を聞いて適正なものを判定することにして、私の方としては、普通の場合の基準はこの程度のものだというところを示すことになっているわけでございます。
  46. 赤路友藏

    赤路委員 そうするとまずそれだけの程度のものは上げるのを今のところ通産省の方としても黙認するという形ですね。そういうふうに理解いたします。  先ほど来からいろいろお聞きしておりますと、ふに落ちぬところが二、三点出てくるわけです。後ほどあらためて総括して資料提出の要求はいたしますが、自演委員の御質問に対して、原価を知るための法律根拠がないので詳細は知らないのだ、こういうような御答弁があったようであります。この問題は二十二国会においても相当論議されたわけです。まずそれをつかむということですね。これが一番価格決定基礎をなすものである。それがつかめぬというようなことで、この価格決定を云々するということは、いささかおかしいじゃないかということで、当時川上さんが鉱山局長であったのです一が、その際も相当これが論議されて、一質問も集中された点なんです。これに対して川上さんは、「今度はこうした方面の調査も十分できるような条文も入れてございます。」——これはあの重油ボイラーの設置の制限等に関する法律です、「「通商産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、重油ボイラーを設置している者又は重油の生産業者輸入業者若しくは販売業者から報告を徴することができる。」という規定を置きまして、この規定根拠をもちまして、われわれの方としましては今後法律的な調査を行いたいと考えております。」こう言っている。そうするとこれは先ほど鉱山局長の御答弁とはちょっと違ってくる。これはどうなんですか。
  47. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 私の方でもそういう資料を法規によってとることは非常に都合がいいと思って、その条文も研究をいたしたのでありますが、これは法律の趣旨から見て、重油ボイラーの規制に必要な範囲のそういう報告ならいいけれども、それ以上に出て調査するということは疑問があるということを省内で言われまして、ちょっとその条文を使うことをわれわれまだ決心いたしかねているわけでございます。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかりました。先ほど価格指示その他については庁内でいろいろ話し合ったが、若干疑義があるとこうおっしゃっておったのは、そういうことだろうと思います。そうなりますと、これは重油用のボイラーに使うもののみに限ってやれるということであって、私たちは当時この法律を作る場合におきましても、当然これはそれに限らず重油という日本の産業の基本的な資材を公正なものとして流す、こういうような意味合いからもできるもんだと思っておったが、できないということになると、これは法律の改正をやらなければならぬ、そう考えます。この点は後ほどわれわれも十分協議して、ほんとうにあなたたちが行政指導上あるいは日本経済全般の立場の上に立って十分指導し得るような、働きやすいような、動きやすいような法律を作っていくのが私たちの使命だと思いますから、あなたたちの動けないような法律を作っておってそういう欠陥があったということは、私たちも十分考えて、これは当然直されなければならぬと思います。  そこでそれはおいておきますが、この三十年の十二月だったと思いますが、業者の方から値下げの申請はこなかったのですか。
  49. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 三十年の十二月でございますと、私は実は当時まだおりませんでした。これは別に理由になりませんが、まだ聞いておりません。従って調べますが、今すぐにはお答えいたしかねます。
  50. 赤路友藏

    赤路委員 そのときに業者からは値上げの申請が確かにきているはずなんです。その値上げ申請を通産省の方は許可していないわけです。なぜその当時許可しなかったのか、理由がなければならぬはずですから、許可しなかった理由と、向うが要求しておった値段、そして向う側の理由も当然ありましょうから、それらのことは後ほどまたお調べの上であれしていただきたい。  そうすると、次の質問に対しても鉱山局長がおかわりになっているのですから、ひょっとしたら御答弁願えぬかと思いますが、三十年に全漁連に対しましてひもつきで十万キロリットル割り当てたわけなんです。その結果漁業界に対して、あるいはまた一般の消費者に対してどういう影響を及ばしたか、これはお調べになったかどうか。ということは、この十万キロリットルをひもつき外貨で出すときに相当もんだ、これはもう三年越しの問題だったのです。それを石橋さんが当時大臣であって、踏み切ってこの点がなされた。それだけに通産省の方としても非常に慎重にやられた。やられただけに、その結果どういう影響があったかということは通産省としては当然調べなければならぬ。率直に申しますと、通産省はこの十万キロリットルのひもつきを出すのはまっこうから反対してきておった。それをいろいろな事情といいますか。それでのまされたと言っていいと思います。それだけに通産省の考えておった、このひもつき十万キロリットルを出したことによって混乱が生じたのか、あるいはそれがむしろ逆に好影響を及ぼしたのか、この程度調査は当然さるべきである、こういうことがされておるかどうかということ。従ってその結果に対する通産省としての判断が出なければならぬ、どういうふうに判断をされているか。ちょっと先ほどのこととも関連もありますが、御答弁できなければけっこうですが、もしできるならば、この際御答弁願っておきたいと思います。
  51. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいまお話のありましたような調査をわれわれの方で組織的にやったという話は聞いておりませんが、私の想像で申し上げますと、A重油AA制にいたしました一のが昨年の六月でございまして、あの一ひもつきにして間もなくそれがAA制になりましたために、むしろAA制にしたことの影響は、今いろいろはっきりつかめますけれども、ひもつきにして割当した影響につきましては、まだ十分な成果が見えないうちにAA制になってしまったのではないかというように思うのであります。AA制になりましてからは、一キロリットル当り百円くらい先ほど申し上げましたように卸売価格が下っております。そういうことはいえるのでありますけれども、ひもつきにいたしました影響として特に顕著なものをわれわれは御指摘することはできないのでございます。
  52. 赤路友藏

    赤路委員 それじゃその程度にとどめておきましょう。三十一年の二月から一般市況がずっと低下してきておる。おっしゃるようにAA制に切りかえたということ、このことも大きく影響しておるだろう。あるいは通産省でお考えになっておるこれが最も大きな原因だとおっしゃるかもしれぬが、私はそれとともにアウトサイダーとして、この十万キロの与えた影響というものを無視できない、こういうふうに考えておるわけです。  そこで、私が先ほど言いましたように、そのAA制になる前に、業者の方から要求が出ておるはずなんです、値上げ申請の。これらとの関連を考えて、その結果の判断はやっていただかなければならぬと思います。これはもちろん御答弁を求めるわけじゃありません。  それから、先ほど鈴木委員からも、局長は漁業のことをあんまり知っておられぬじゃないかというような話がありましたが、これは鉱山局長漁業のことを知れという方が無理だと思います。ただしかし通産省におられ、そうしてこういうような石油問題等を特に取り扱っておられる関係もありますので、水産物輸出による外貨獲得がどの程度のものかということは十分一つおわかり願えておると思うわけなんです。で、大蔵省の税関の統計によりますと、三十一年の一月から十二月まで、この一年間における水産物輸出の外貨獲得の実績は、一億六千二百六十六万七千ドルになっておる。これは大蔵省の税関統計ですから私は間違いないと思います。そうすると、三十二年度の外貨資金計画は、二億五千六百十八万ドルですか、金額は。
  53. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 二億五千八百十八万ドルですね。
  54. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、水産物輸出による外貨獲得と比率を見てみますと、約六四%という比率になるわけです。で、これはもちろん漁業全般ですから、大きなものになります。かりにその中から母船による漁業、これを除いて沿岸の中小漁業、零細漁業をくるめた輸出による外貨の獲得を推定いたしますと八千四百万ドルという数字が出てくる。これは石油外貨割当の三三%に当ります。そこで外貨獲得量の一割を還元すると、現在のA重油輸入価格を三十ドルと一応押えてみました場合、これは私の計算ですからこまかいことは知りませんが、二十八万キロリットルになるわけです。私の言いたいことは、それだけ外貨獲得に大いに役立っておるその外貨獲得をやったせめて一割程度は還元してくれてもいいじゃないかということなのです。先ほど鈴木委員もおっしゃったように、漁業の生産費の中で占める燃料の比率というものは非常に大きいのでありまして三三%を占めております。生産費の中で三三%も占める燃料価格というものが引き下げらるということ自体は、魚価の経済安定を意味いたしますし、またそれは生産コストの低下をも意味するものである、そうなって参りますと従って外貨獲得のための輸出を伸ばすという点においても一段と好条件が与えられると私は考える。一面今日の石油業界の姿を見てみた場合、これはほとんど独占形態にひとしいのです。価格操作はもちろん行政庁であり、監督庁である通産省の方でおやりになろうかと思いますが、しかし今までの御答弁のあれからいっても、強くそうしたことを規制するわけにはいかない。そうなってきますとできるだけ公正にこれを供給さす、その支柱としてはここで一本アウトサイダーを持つということが一つの大きなファクターになるのじゃないかと思うわけです。そういう意味から私も白濱君が言っておりましたように、むしろこの際は原油外貨を割当でやる、かりに一歩譲っても、この前同様のひもつきでこの際安価な重油を使わしめるようにすることがやはり行政官庁としては真剣になって考えてもらわなければならないところだと思う。いずれにいたしましてもいろいろな資料が未整理でありますので、私はこの点については御答弁は求めませんが、ぜひ一つ真剣になってこれと取っ組んでいただきたいと思います。  そこで今度はぜひ御答弁願わなければなりませんが、聞くところによりますと、石油精製業者への外国資本の投下率というものは相当大きいと聞いておる。たとえば東燃にいたしましても丸善にいたし一ましても、その他等々五〇%、ひどいのになると五五%というようなことを聞いておりますが、その姿は何を意味すると思いますか、どういうふうに御理解になっておるか、変な質問でございますが、お聞かせ願えればこの際御答弁願いたい。
  55. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 現在の大きい石油会社の中に五〇%あるいは五五%という外資が入っている会社がございます一が、これは過去において日本の石油精製業が敗戦の痛手を受けて動きのとれなかったときに、これを急速に復旧するという意味でそういう外資を導入したということは一応理屈があったと思います。しかし今後のあり方として、従来通り考えでやっていっていいかどうか、これは必ずしもそういうことにはなるまいと思います。ただ資本として外資を入れるか、他の融資を受けるかという問題がありますが、その意味で外国資本を利用する、ただし株主としての新たな参加を受けないという意味での必要は、今後とも絶無とはいえないと思います。日本の石油精製業は通産省のエネルギー二十カ年計画によりますと、二十年後には四、五倍の姿に成長していなければならぬ。その意味で必要な資本を外国から借りることは必要だと思いますが、しかし株主として迎えることには相当批判的でなければならぬと考えております。幸い現在外資の入っている石油会社が、外国資本によっていろいろ操作されて、それが日本経済にマイナスになっているという現象はまだ起きてないように思いますが、われわれとしては、過去においてこういうことがあったからといって、将来もこういうことでなければならないという考えは持っておりません。
  56. 赤路友藏

    赤路委員 非常にいいお話を承わったと思います。私もそうだと思います。いつまでもこういうような姿であってはならない。ああいうような戦争で徹底的にたたかれたものを、当時の経済力の貧弱な日本の資本で復旧することは不可能に近かったために、外国資、本を利用したということは、私は正しいと思います。しかしながら局長の言われるように、将来この姿がそのままいつまでも持続されるようであってはならないと思うし、局長もまたそういう意味のことをおっしゃっているだろうと思います。これは率直に私の考え方を申し上げたいのです。外国資本が導入された結果ここまで急速な精製工場の立ち直りもできて、その点についてはありがたいと思います。しなしながらここで考えなければならないことは、これらによって価格操作が自由になされるということは、かりにいかなる意味があるといたしましても、それは収奪という言葉が当てはまってくると思います。日本政府の行政官庁としては、そうしたものをできるだけ阻止していく。もちろん投下された資本に対する償却であるとか、それに対する配当とか、公正妥当なものは当然のこととしてしなければなりませんが、しかしそれ以上にわたるような、少くとも収奪を意味するような独占的な形態で出るような場合はこれを阻止していくということが、私はやはり行政官庁としてなさなければならぬ方向だと思う。もちろんただいまの局長のお話のような御意向なれば、十分そうしたことも御理解の上に御対処願えることと思います。どうぞそういう意味でぴたっとすっきりしたところでおやり下さるように希望を申し上げておきます。  そこで最後に資料の要求を重ねていたします。今まで皆さんによってばらばらに御要求があったわけでありますが、もう一度繰り返すことになりますが、資料要求をいたします。それは外貨資金計画、これを詳細に記入したものをお願いしたい。それから石油外貨の割当は各社別に決定したかどうか、もし決定しておればこの決定したものを御提出願いたい。それから品種別の肩入量、三十二年度の需給計画、これをかなり詳細にお願いをいたしたい。それから原油精製によって生ずる製品別の量、これは先ほど委員の御質問でずっと言われておりますが、なお詳細にお願いできればけっこうだと思います。それから現在の原油及び重油石油類の品種別の日本港着のキロリットル当り価格。それにもしつけ加えていただけるなれば、三十二年上半期と下半期に対する価格変動の大体の予想、先ほど中東問題もほぼ解決がつき、スエズの方も運航ができるようになりましたので、将来下ってくるという見通し、漸次下降線をたどっておるということをおっしゃっておられましたが、これを上半期と下半期に分けて——できなければけっこうですが、できましたらお願いしたい。それから原油から精製した製品の一キロ当り価格をどう押えるかということを、これは原さんの御質問に対して後ほど資料を提出するというお話でありましたが、以上資料を御提出願いまして、またその資料に基いてあらためて御質問なり御希望なり申し上げる、こういうふうにいたしたいと思っております。委員長において適宜一つお取り計らい願いたいと思います。
  57. 鈴木善幸

    鈴木委員長 ただいま赤路委員から御要求がありました資料、その他前に各委員より御要求がありました資料を、できるだけ早く調製していただきまして、委員部の方へ御提出をお願いいたします。
  58. 田口長治郎

    ○田口小委員 私は、漁業用燃油につきまして各委員からいろいろな意見なりあるいは要望がございましたから、今後通産省の考え方及び処置につきまして、必要がありますれば、他日総括的の質問をいたしたいと思うのでございますが、本日は赤路委員の質問に対しまして、関連として一点だけをお伺いしておきたいと思います。  それは業者の値上げ申請に対しまして、通産省は水産庁及び運輸省と御相談になって、大体今の情勢では千五百円ないし千六百円程度の値上げが至当であるから、これを標準にして各地方の通産局において処置しなさい、こういうような通牒を出さんとしておられますが、この問題に関しまして、通産省が、最初業者の値上げに対しまして、何とかしなければならぬということで案を練り始められた期日はいつごろであるか、さらに三省で御相談になり、そうして決定をされた月日はいつであるか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  59. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 今のは海上用BC重油の問題と思いますが、その価格の改訂につきまして、まず業界から一応要望書が出て参ったのが一月の終りごろでございます。それから私の方で一応それを検討しまして、各省に話を持ち込んだのが二月の半ばぐらいだったと思います。そうして各省と話ができましたのが三月の下旬でございました。そしてその最終案について業界の協力を求めてやってきたのでありますが、近日中にこれを通牒しようという段取りになっております。
  60. 田口長治郎

    ○田口小委員 ただいまの局長のお話によりますと、何とかしなければいけない、こういうような気持になられたのが大体二月の中旬から下旬、こういうことで一応お考えになり、案を立てられた。さらに各省といろいろ折衝され、いよいよ最後の決定をされたのが三月下旬である、こういうような日にちの関係考えてみますと、ちょうど  スエズの問題が、最悪と申しますか、あるいは多少復旧に着手をした、かかる時代におきましてお考えになった案で、一応案が立てられて相談し始められると、途中でこの案を変更するというようなことは、すべての場合に非常にむずかしいのでございますから、そのままの案でずっと協議され決定された、こういうふうに私考えるのでございますが、先ほどからの局長の御答弁によりますと、また実際に中東の、ことにスエズ運河が全面開通をし、そうして現実にはそのために石油価格も漸次下降状態にある、こういうことでございますから、この千五百円ないし千六百円というものは、最悪のときにお考えになった数字である、それが今漸次条件がよくなって値が下りつつある、こういうことを考え合してみますと、この数字を今地方通産局に出されるということは適当でないので、むしろもうしばらく、このスエズ運河の全面開通による石油価格動向というものを見られて、しかる後に処置された方が私はいいのじゃないかというふうに考える次第でございますが、この点について局長も、さような気持で処置することが妥当である、こういうふうにお考えになるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思うのであります。最も悪い条件のときにお考えになった、それが今の情勢で、しかも局長自身が価格は漸次安くなりつつある、こういうことを申されておる点から申しまして、この数字を今直ちに通達するということになりますというと、情勢の変化は地方通産局では考えないで、この数字にとらわれていつまでも処置する、こういう結果になることを非常におそれるものでございますが、これは今までの決定もありましょうが、情勢がすっかり違った新情勢によってさらに考える、こういうことが妥当であると思いますが、この点について御再考になる余地がありますかどうか、その点お伺いいたしたいと思います。
  61. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 われわれが今基準を示そうとしております価格は、一月と三月の間の取引の価格でございます。今後ずっと続けていこうとするものではございません。従って、過去において取引されたものを早く清算することが、売り手、買い手お互いに都合がいいわけであります。特に買い手の方に都合がいいと思っておりますが、それをいつまでもきめないで延ばしておくということは、問題をますます遷延させて、需要家にも非常に御迷惑をかける結果になると思います。従って、これは三月の取引に対して適用するのであるということは明瞭になっておりますので、当然またあと情勢が変って参りますれば、なお下ってくるということは明らかに理解されると思います。場合によれば、そういう下ったところで、必要とあらばまたいろいろな指導もしていいと思いますけれども、少くとも三月までの決済でございますから、これは早くきめた方がいいというふうに私は考えております。
  62. 田口長治郎

    ○田口小委員 今の局長の御答弁によりまして、三月間の価格決済の意味におきまして通牒するのだ、この点はよくわかりましたから、その点を明確にされて、地方通産局におきまして、以降の問題にまでこの観念が残らないような通牒をぜひやっていただきたい。四月以降の問題につきましては、新しい情勢によって一つ御判断を願う、こういうことを強くお願いをしておく次第であります。
  63. 赤路友藏

    赤路委員 今のところ、私もうっかりしておりましたが、三月を基準にして千五百円もしくは千六百円ですね。それは三月の市況を基準にするわけですか、それともその基準の置き方はどこを……。
  64. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは三十年二月の実際の価格基礎にして、それに千五、六百を積み重ねる、こういう考え方であります。なお多少補足させていただきたいのは、三月に対して一応の基準を作ろうと思いますが、私の方としてはできれば四月も、あまり事情が変っておりませんので、その基準によっていきたいと思っております。これはまた関係庁ともお話をいたしたいと思っておりますが、その情勢が変れば別であります。
  65. 田口長治郎

    ○田口小委員 その点ははっきりされて、追って書きでも何でもよろしゅうございますから、将来の問題はまた新しい情勢によって通牒するはずであると、こういうことを一つ明記していただきたい。うっかり通牒を見ておりますと、その通牒が永久の通牒のような錯誤に陥ることがよくあるのでございますから、その点を明確にすることをお願いしておきます。
  66. 鈴木善幸

    鈴木委員長 それでは、漁業用燃油の問題につきましては、まだ政府の方からも明確な結論が出ておりません。従いまして、この問題は引き続き当小委員会としても、先ほど政府に御要求いたしました資料等を検討いたしまして、十分審議を尽したい、こう考えておりますが、なおこの問題は、適当な機会に本委員会に移しまして、通産、農林両大臣の御出席を求めて、大所高所からさらに論議を尽す必要がある、こう考えるわけであります。  本日はこの問題につきましてはこの程度でとどめまして、非常に切迫しております関係から、午後三時から北洋サケ、マス漁業問題で小委員会を再開して、審議を続行することにいたします。  暫時休憩いたします。     午後一時三十八分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕