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1957-04-08 第26回国会 衆議院 農林水産委員会水産に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月八日(月曜日)     午前十時五十分開議  出席小委員    小委員長 鈴木 善幸君       川村善八郎君    白浜 仁吉君       田口長治郎君    原  捨思君       村松 久義君    有馬 輝武君       芳賀  貢君    日野 吉夫君  出席政府委員         水産庁長官   岡井 正男君  小委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         漁業調整第一課         長)      丸山 文雄君         農林事務局         (水産庁生産部         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (水産庁生産部         海洋第一課長) 木田  繁君     ————————————— 四月八日  小委員赤路友藏君同日委員辞任につき、その補  欠として有馬輝武君が委員長の指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  北洋漁業及び以東底びき網漁業に関する件  鮭鱒延繩漁業許可方針等に関する件     —————————————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより水産に関する小委員会を開会いたします。  サケマスえな漁業に関し調査を進めます。なお、この議事は都合により懇談の形で行うことにいたします。     〔午前十時五十一分懇談に入る〕     〔午後零時四十六分懇談を終る〕      ————◇—————
  3. 鈴木善幸

    鈴木委員長 それではこれにて懇談を終ります。  ただいままで、本年度のサケマスえな漁業許可方針について御協議を願ったのでありますが、これより以東底びき漁業の問題につきまして調査を進めます。原捨思君より質疑の通告がありますので、これを許します。原捨思君
  4. 原捨思

    ○原(捨)小委員 私は底びきの試験操業についてお伺いしたいと思います。まず底びきの試験操業区域として指定された場所が何カ所くらいありますか。さらにその試験操業の時期は何日から何月まででありますか。さらにその試験操業に従事する底びき漁船許可船であるか、無許可船であるかということをまずお伺いします。
  5. 丸山文雄

    丸山説明員 ただいまの問題、長官はいろいろ日ソ交渉でそちらの方に王をとられましたので、最近の進め方について、連絡も不十分で御承知ないかもわかりませんので、便宜上私から御説明申し上げます。  本年度やろうと思っておりますところは、一つ南部沿海州であります。ウラジオの付近になりますが、南部沿海州、それから日本海の一部、それから鹿児島の一部、それから樺太の東岸、大体そういうところを予定しておるわけであります。それでこれに出て行きます船はすべて現在の許可船であります。
  6. 原捨思

    ○原(捨)小委員 試験操業は今年初めて行われるわけですか、それとも昨年あたりもやられたのですか。
  7. 丸山文雄

    丸山説明員 今年で三年でございます。
  8. 原捨思

    ○原(捨)小委員 おもに私は鹿児島県の宇治群島試験操業について伺いたいのですが、これは何年からおやりになったのですか。
  9. 丸山文雄

    丸山説明員 これは本年初めて取り上げたわけでありますが、最近におきましては——われわれがあそこを考えましたのは、御承知通り四国九州全般における底びき漁業と、それから沿岸のはえなわとの摩擦が非常に多い地域でありますので、あの近辺の海上を探索して関係の底びき漁業間引き漁場としての考慮から出たわけであります。ところが現実の問題としまして、地元の問題がいろいろありますので、その計画はございましたけれども、そういう事情がありますので、場合によってはとりやめることも適当ではないか、こういうふうに考えております。
  10. 原捨思

    ○原(捨)小委員 底びきのことを私あまりよく知らないのでありますけれども、鹿児島県の西薩海岸はずいぶん古くから以東底びきの出漁によって非常な打撃をこうむっておる。打撃をこうむっておるという表現ではまだ足りないのでありまして、ほんとうにあの沿岸漁民は、もう長い間泣かされてきておるということが実際であるのであります。  そこでこの宇治群島試験操業区域とされることは、この薩摩沿岸にとってきわめて影響がある。私のところ下も、最近あの沿岸のすべての漁協からこれをやめてもらいたいという陳情の電報がきております。なお漁師の人からもこういうふうに反対の陳情がきておるのであります。ただいまのお話によれば、場合によってはとりやめてもいいというお話でありますが、そういうことになりますれば、私はこれ以上質問申し上げる必要はないと思いますが、この点長官から明確に一つお答えを願いたいと思います。
  11. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま丸山君の方からお答えした通り、元来底びきと沿岸摩擦を避けるために、できれば釣なわ業者零細漁民がいみきらうような、沿岸心配を避けるために、沖合いとかそういう未利用のところでやらすということにして、明るい沿岸漁業操業という姿を見たいということで発足した試験操業であります。従いまして試験操業するということ自体において、すでに沿岸の方が初めから総スカンであったというような場所でやりましたら、よしんばその効果のいかんにかかわらずその実現が困難だと思いますので、そういうところは丸山君が再考しようと言うた通り私も再考いたしたいと考えております。
  12. 原捨思

    ○原(捨)小委員 長官から明確な答弁を承わりまして非常に満足であります。実はこの問題について私は一ぺんあらたまって質問したいと思っておりました。この海域において終戦以来何回か密漁船を拿捕しております。なおその後海上保安庁等もあそこに出張所を設けて取締りに従事しておるわけであります。そうしてようやく拿捕されたその底びき漁船は、中央できわめて軽微な行政処分だけで済まされておる。しかもその数隻の底びき許可船のうち最も悪質な底びき漁船が最も多く検挙されておるわけであります。私は約七年間鹿児島漁連の会長をしておりまして、それらの事情はよく承知しておるのでありますが、聞くところによればその最も悪質な業者試験操業をさせられるようなことになっていることを聞きまして、どうもふに落ちない点がある。これは現在鹿児島県の水産課長が新任間もない人であるので、それらの、沿岸漁民ほんとうにかたきのごとく思っているような人に試験操業をさせるというようなことはもってのほかだという感じを持っておりまして、いつかはこれらの点をお尋ねしたいと思っておったのでありますが、本日の長官の御答弁によりまして、この問題は全く解消したような御答弁がありましたから私の質問はこれで終りますが、今後これらの試験操業等につきましては、水産庁におかれてもなお一段の注意を払ってあやまちのないように御努力を願いたいと思います。
  13. 有馬輝武

    有馬(輝)小委員 関連。ただいまの原委員質問に対しまして明確な御答弁がございましたので、これ以上質問するのもいかがかと思いますが、少しお伺いしておきたいことは、今原さんからもお話がありましたように、県側の意向について十分打ち合せていただくことが必要だと存じます。そうして最終的な結論を出されるようにしていただきたいということが一つ。いま一つは、この試験操業効果について、具体的な場所一つ二つあげられて、水産庁としてのこれに対する御意見を伺いたい。この二点を担当課長でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
  14. 丸山文雄

    丸山説明員 第一点の問題につきましては、一応事務的には——これは長官の御決裁ではございませんけれども、いろいろ現地において問題があるというふうに事前に若干は知っておったわけでありますが、県の考え方もはっきりいたしませんので、現地で御相談をするわけでありますけれども、おおむね取りやめる方が適当であろうということで、長官、次長以外の者の名前でもって、中止の予定であるということを連絡してあります。従いまして鹿児島県がどういう考えでこれに対して意見が出てきますか、それによって最終的にきめるわけでありますが、おそらく方向としましては、ただいま長官から言われましたようなことが適当ではないか、そういうふうに考えております。  それから一般的な底びきの漁場として、先ほど申し上げました過去両三年の結果によりますと、大体現在は試験段階を過ぎまして現実に操業しておるわけでありますが、千島の南部太平洋沖であるとか、それから中部千島、このあたりは現在大体五十トンから七、八十トン級の底びき船が約百二、三十出漁しております。それからオホーツク海につきましては、これも樺太近辺でありますが、大体同程度の規模の船が五、六十隻前後現在操業しております。それから日本海の一部につきましてはやはり二十隻前後、それから若干西になりますけれども、たとえば兵庫であるとか鳥取であるとか、あのあたりの船が利用すると思われる漁場についても二十程度、大体そういうところで全体としましては現在試験操業の結果、採算がとれるという建前で動いている船が二百三十くらいあります。この漁場で今後どれだけ収量があるかということはまだわかりませんけれども、おおむね三百四、五十はいけるのではないか、こういうふうに考えております。ただ問題は、こういうところでありましても、その漁場だけで従来通り採算が成り立つかどうかということがはっきりいたしておりません。われわれの方としましては、ある一定の時期には岸に近寄らないという条件のもとに対処しているわけであります。
  15. 有馬輝武

    有馬(輝)小委員 終ります。
  16. 鈴木善幸

    鈴木委員長 川村君。
  17. 川村善八郎

    川村(善)小委員 私は、長官に対して、北洋サケマスの今後の漁獲取扱いについて基本的に一、二をお伺いしておきたいと存ずるものでございます。  北洋サケマス漁業の問題につきまして、水産庁要望やあるいは漁民要望の十六万五千トンは獲得することができなかったとはいいながら、いろいろないきさつもありまして、ようやく十二万トンを条約区域内でとれるようになったことは、不満足ではありますけれどもまあまあということで、やはり一応がまんをしなければならぬと思っておるのでございます。ここまでとつていただきました努力に対し、長官初め委員の方々にわれわれは感謝をしておるような次第でございます。しかしながら、今後この十二万トンの条約区域内の漁獲量に対しまして、母船側と、極端に言えば独航船側と四十八度以南流し網業者との間にいろいろないきさつが起るのじゃないかということを私は心配をしておるのであります。もちろん十六万五千トンとれますと何らそんなこともなかったでございましょうが、十四万五千トンの新提案に対しても、その御承諾を願えないで十二万トンに落ちついたということでありますだけに、お互いの経済面考えたときに、業者というものは深刻に考えてそれぞれ働きかけていると聞くのでありますけれども、これも一応やむを得ないと私は判断をしているものであります。従って、いずれにいたしましても、一方を満足させるというと一方が不公平であり、双方満足させるということはとうていできませんので、私の言葉で言い表わすと、不平の公平な配分よりいたし方ない、いずれにも不平があるだろうけれども、がまんをしてもらわなければならぬと私は考えておるのであります。そこで、採算面についてはもちろん水産庁も御検討をされていると存じます。また私たち採算面の計数を出しまして、検討を続けておるのでございますけれども、全部が全部決して思うように利益を獲得するような漁獲量割当ができないということもよく承知しております。そこで、どうしても母船側に至りましては減船ということをしなければならないと思うのでございますが、一方四十八度以南流し網は、減船するということは、理論には成り立つでありましょうけれども、実際問題としては減船ができないのじゃないかと考えております。しかし、公平な立場において考えますと、やはり減船をしなければならない、いわゆる制限をしなければならない場合には、これは独航船区域内、いわゆる母船漁業区域内の漁船も、さらに四十八度線の区域内の漁船も、制限する場合は一応制限するという基本的な考えを持たなければならぬと思うのでございますが、こうしたような点につきましては、長官はどう考えておるか。この問題をお伺いしたいと思います。
  18. 岡井正男

    岡井政府委員 今まで非公式会合におきましても、先生方からいろいろなアドヴアイスをいただいておるわけでありますが、今のところ、最終的には急いできめたいと思いますが、従来のいろいろな経緯並びに現況、将来の見通し等を勘案いたしまして、でき得る限り的確な資料をもって、大臣に最終的なお考えを決意していただくということにいたしたいと思っております。ただいま私が申し上げることは、むしろ個人的な気持でお答えするという点もあらかじめ御了承いただきたいと思います。今のところまだ公的なかたまりではございませんが、事務当局考え方といたしましては、十六万五千トンは、これは理論的に成り立つにいたしましても、従来の経緯から見て、ソ連がこれと妥協するというように初めから私の方は考えておりませんでした。十四万五千トンプラス・アルファの線につきましては、井出大臣が最終的な日本の考え方として持ち出したわけでございますが、これを向うがいろいろ分析した結果、それと内容的に変らぬという意味で、向うも最大限の譲歩という形で、十二万トンでせんないということで妥結したことは御承知の捕りでございますが、しかし先生方を初めとして、関係業者が内心それでなおかつ不満を持っているということは、われわれ恐縮いたしております。従って、川村先生からの労苦をねぎらうというお言葉は、不満を秘してのお言葉と非常に感銘しておるわけでございますが、できれば十二万トンせんないという線で、従業者並びに漁業者に働き場所をなくするようなことをせないでいきたいという気持を率直に持っておるわけであります。しかしながら、ただいま川村先生が御指摘のように、それでは従来の採算ベース、従来のいろいろな借金その他もろもろの関係を勘案しての結果から言えば、全船稼働もよいが、それでは経営的に非常に難渋するものが相当あるという点も推察できます。従って、独航船並びに母船の方それぞれの考え方によりて自主的に話が円満にまとまる、そういう線での減船の打ち出し方がなされていった場合は、われわれこれについての行政措置を適当に考えたい、かように考えております。今のところ、役所の方から、まっこう上段に太刀を振りかぶって相当削ろうというような行き方はいかがなものかと考えております。
  19. 川村善八郎

    川村(善)小委員 私も長官のおっしゃられる通り考えをしておるのでございますが、私の聞いておきたいことは、現在四十八度以南業者を、いわゆる独航船業者との間でいろいろ議論を戦わせておるようなきらいがあるのでございます。でありますから、全船稼働ができれば問題はございません。それで採算が成り立てばけつこうでございます。しかしながら、独航船側、いわゆる母船側に多数の漁獲量を割り当てればそちらは満足しますけれども、そうなると、四十八度以南サケマス割当量不足になるから採算に乗らないことになり、逆に四十八度線以南業者によけい割り当てると独航船の方の割当不足になりますからとても採算が合わぬということになるのでございます。従って、整理をしなければならぬ、いわゆる現在の十二万トンでどうしても赤字が出るという場合は、やはり行政的にも相当指導して減船をしなければならぬと私は考えておるのでございまするその場合、四十八度線は整理は困難だということは私は十分にわかっておるけれども、考えとしては双方漁船というものを対象にすべきだ、こういう考えを私は持っているのですが、長官はどうだ、こう聞いておるのでございます。
  20. 岡井正男

    岡井政府委員 ごもっともの御質問のように思いますが、ただ四十八度以南の方の考え方としては、小さな、いわゆる北海道沖からあまり遠くにも行けないようなほんとう小舟、中には専門化したような、ほとんど独航船に付属してもりっぱに働けそうな、中型とでも申しますか、そういうようなグループと、その中間をいく三つのグループがあるわけでございますが、その中間あるいは小さな方は、やはり兼業をやらざるを得ないような立場のものでございますので、おそらく鮭鱒割当自分らに不十分だと思いましても、これは宿命的にやめるというような線は出ないと思います。従って中段階及び小さな小舟のようなランクの人たちがやめないというのに、専門化した大きいのからまた自分たちの方の仲間だけ整理するという自主整理というような線も出にくいと思いますので、四十八度の方は不満がありましても、その不満の中で繰業はやはり継続するものだろう、こういうふうに思いまするし、すでにその意思表示は前からそういうふうに強い意思表示をしてきておるような次第でございまして、これは見通しとして、役所が、先ほど申し上げましたように、やめた方がいいというようなことは非常にむずかしいのではあるまいか、その点は川村先生の御質問といささか食い違いがあるかもしれませんが、そういうふうに考えております。
  21. 川村善八郎

    川村(善)小委員 その点はこの程度にしておきますが、母船側独航船整理必至ということで案を立ててやっております。私も母船漁業の代表もしておりますし、独航船も出しておりますから、これはいろいろなケースがありますので、必ずしもどうも母船側の主張しておるような線ばかりもいいとは言われませんが、とにかく平均して借金が一千八百円くらいずつありますので、かりに二百トンずつ割り当てられて出ていくとしても困難があるんだ、そういう点から、二百二十トンないし二百三、四十トンにして独航船整理していかなければならぬという方向に向いておるようでございます。そういう場合に、先般この小委員会漁業補償問題も出ましたし、その中にちらほら北洋漁業整理の問題に関連して補償の問題も出ましたが、大蔵省大村主計官はいわゆる北洋漁業全体について、さらに一歩進めて、こういうことがあった場合に漁業全体を通じて公平にやっていくというようなことで、私善意に解釈したのでございますが、やはり独航船整理等があった場合は漁業補償対象にするんだという解釈を持ったわけでございます。そのことは今後長官のお骨折りを願わなければならぬのでありますけれども、それのみで整理される船はとうてい満足できないと思いますし、さらにまた相互扶助でやっていきましても、現在経営に困難を感じております独航船は、多大の金を出して自主整理などということは困難であります。従って金融の措置も講じなければならぬでありましょうし、さらに金利の補給の問題等考えなければならぬし、またもらった金、いわゆる補償として受けた金に税金をかけられると、五〇%以上持っていかれた場合には何にもなりませんので、こういう点について長官考えを持っておるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  22. 岡井正男

    岡井政府委員 さっき申し上げましたように、自主整理をやるのだという前提のもとに研究せいというようなことでございますれば、さっそくきょうあすにでも大蔵当局と非公式に私は談合を進めてみたいと思います。ただ私が今まで聞くところによりますと、関係法規をやはりいじることでなければ、この際に整理した人間の税対象を非常に有利に進めるということは、行政措置のワクの範囲を越えるというようなことを大蔵省は言っておるというところだけを今のところ聞いておるわけでございまして、しからば的確にどういうことでどうだという具体的なところは、まだだめ押しをいたしておりませんが、私がせわしければ関係部長でも非公式に当らしてみたいと思っております。
  23. 川村善八郎

    川村(善)小委員 もちろん減船整理をするという場合には特別な立法として補償すべきだということを打ち出せば一番いいのでありますけれども、とうてい今国会には、かりに整理案が立ちましても、立法には容易でないということを私は考えております。そこで私たちは今こういう線を打ち出しておるのです。とにかく減船をするということは、表面的にはその通りでございますけれども、休業としておいて、かりに五百隻のうち百隻を減船するという場合は、百隻を休業としておいて、それに対する措置を講ずる、いわゆる休む船主に対して幾らやるとか、あるいは休業船に乗り組んでおるところの漁夫に対しては、やはり北洋で働いたと同様まではできないといたしましても、それに準ずるだけの給与を考えていきたいということで進んでおるのですが、こういう点で、いずれ案ができますと水産庁相談に上ると思いますが、そういう点においても十分長官は御考慮いただいておかれればけっこうだと存ずる次第であります。  そこで、最後にお伺いしますけれども、独航船整理にいたしましても、母船整理にいたしましても、私はこの際やむを得ないというよりも、むしろ整理をするという方針で打ち出すことが妥当だ、かように考えております。過去、昭和二十九年、三十年の漁獲高を見ます。と、いずれも二千五百万円を下っておりません。従ってその後いろいろ内容の整備をいたしまして、二千五百万とか三千万とれないでも、大体平均の二千万以上とれると、とにかく借金も返済していけるし、船の建造費も償還できますし、さらに安定した生活までという満足はいかないでも、暮していけるだけのものが出るんじゃないかと私は考えておるのでございます。しかし根本的には、母船も多いし、独航船も多いということだけはどなたも言われると思っております。と申し上げますのは、昭和三十一年度に十七船団を出しておるということで案を立てていったんでございます。それに付属する独航船が現在五百隻となったのでございますが、あのときはやむを得ず独航船を減らすというわけにいかないで、先発船後発船の二通りに分けていったのでありますが、後発船は相当の損害をしております。また母船もそれによる損害のあったことも事実でございます。ところがその母船付属独航船内容を見ますと、三十一隻もついている船もあり、二十五隻もない船もある。従って今後平均にパーセンテージで減船をすると非常に不公平が出るのでございます。一割整理するということになれば二隻か三隻で済むのでありますけれども、二割も整理するということになると、かりに付属独航船が二十五隻である場合は五隻減船しなければならぬということに相たりますと、二十隻より残りません。そうしますと、母船採算が完全にとれたいということになります。こうしたようなことは、水産庁行政がいいとか悪いとかいうことよりも、いろいろな経緯のもとにそうなったのはやむを得ないとしても、今度の十二万トンを基礎にした漁獲量でやる場合は、母船の再編成をすべきだ、私はかような議論を持っております。その場合に、一母船にかりに三十隻場が妥当であるならば三十隻、あるいは二十五隻が妥当であるならば二十五隻、これはいたしかたないことといたしまして、平均母船割当をすべきだ。漁獲量平均独航船の数も平均に割り当て、若干差異のあるものについては、過去の三大会社といいましょうか、日魯日水大洋等試験操業で行った歴史もあり、そのために貢献をしているのでございますからやむを得ないとしても、片一方が二十五隻、片一方が三十七隻というような不公平な付属独航船を配船してやらせるべきではない、かように考えておるのでございます。私の考えは、再編成という基礎の上にそういう発言をしておるのでございますが、長官はどういうお考えを持っているのですか、この点をお伺いしたいと思います。
  24. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいまお話のように、アンバランスになっているのですが、要は従来の慣行と実績、一応そういうような特性をしいて、この際は一切こういうものは見ないというふうに割り切っていくということまでいかなくても、徐々に先生が言われたような線へ移行することは当然のことではないか、かように考えております。
  25. 川村善八郎

    川村(善)小委員 今長官から、私のような極端な考えではないけれども、配船のバランスをとっていくというお話のようでありますが、ぜひそのようにして、そして各母船も在来の経済が成り立つように、それによって独航船も、さらにその会社の資金等も十分活用して満足漁業ができるように努力されんことを希望いたしまして、私の質疑を終ります。
  26. 田口長治郎

    ○田口小委員 これは来年以降の問題に関連することでありますから、この際一、二点お伺いしておきたいと思うのでございますが、今度の交渉で私らが一番不思議に思いましたことは、日本の漁獲数量だけが常に問題になりまして、ソ連の漁獲数量については、内部では話が出たかもしれませんけれども、外部的にはほとんど触れておられないというような感じがするのでございます。御承知通り日ソの漁業条約、あるいはこの条約に基いて今度の会談された問題の重点は、北洋における鮭鱒その他の資源問題から出発した条約である、こう考えてみますと、一方だけの漁獲を議論して先方の漁獲数量に対してはほとんど話が出ない。これは外部から見ておりますとまことに奇怪千万なことでございます。私が申すまでもなく、北洋の資源問題、こういうことになりますと、結局ソ連と日本がとる漁獲数量によっていろいろ考えなければならぬ、こういうふうに考えるのでございますが、今回の会議を通じましてソ連の漁獲数量に対してはどういう程度にお触れになったのか、その点をます一点お伺いいたしたい。
  27. 岡井正男

    岡井政府委員 新聞などであまり派手には書いておりませんが、科学小委員会の論争のうちの少くとも三分の一以上の時間を使って論争されたのは、大体今田口先生が御指摘になった点でございます。しかし条約上は、一応公海における漁獲量を決定するという定めになっておりますので、公海における漁獲量イコール日本が全部であるというわれわれは解釈をとって議論をし、向うもそれは実質的にその通りだということを認めております。しかし来年以降注意せなければいかぬのは、向うの方が沖どりを始める場合におきましては、もしも公海における漁獲量を決定した場合に、その中にはソ連側の沖どりも含むというような議論を持ってくるかもしれぬという点が、やはり注意をすべき事項ではあるまいかと考えております。従って日本の漁獲量すなわち公海における漁獲量を決定するのは、勢い日本の漁獲量であるという意味におきまして、新聞でもああいうように派手に書いたし、われわれも極力公海における漁獲総量を資源的に心配要らない限度においてはいかに一ぱい一ぱいの点を主張するかというところへ持っていくために、勢いソ連における計画量並びに漁獲実績はどうだという点は、相当突っ込んで調べ、向うも初めから昨年の八方二千七百に対する計画量を上回る十六万五千とったやつの内訳はかようにとりておりますと、魚種別、地区別に提示してきたわけであります。  なお十四万トンの計画については、向うは意思があってしたのかせぬのかわかりませんが、とにかくそれを最近では十二万トンに、少く直しておるようでございます。これは那辺に意思があるかわかりません。
  28. 田口長治郎

    ○田口小委員 この条約における漁獲量の問題は、公海における漁獲数量、このことははっきりしておるわけでございますが、少くとも資源関係から北洋鮭鱒の漁獲数量をきめよう、こういう場合におきましては、条約上の公海だけの鮭鱒の話では話が片づかぬと思う。しかも条約外の北洋でとっておる数量が、公海でとっておる数量よりもなお一そう多い、こういうような場合におきましては、資源の総量ということを考える場合、また日ソ漁業条約がそこに基点を置いて締結され、話をする以上は、条約の表面がどうあろうとも、公海外で公海以上にとっておる漁獲数量というものがきまらなければ、北洋における資源をもとにした漁獲数量というものはほんとうにはきまらない、こういうふうに考えられるのでございまして、この点はおそらく日本の政府にいたしましてもソ連の立場にしましても、総量がきまらなければ、資源保護の意味の漁獲数量というものはきまらない、この話ははっきりわかると思うのでございます。こういう点からいって、おそらく今度の折衝では、日本の漁獲高だけに熱中されて、その点を強く主張され、そして北洋鮭鱒をとる総数量はどれだけだ。従ってその数量のうちのこの部分はソ連でとり、この部分は公海で日本がとるのだ、こういうような話にならなければ筋が通らないと考えるのでございますが、これはもうきまったことでございますから、一つ来年の折衝に対しましては、公海でとる漁獲高を決定するには、公海外でとれる漁獲数量と常に見合せる、一方がはっきりきめなければこっちもきめられないという態度でぜひ進んでいただきたいのでございます。  それから第二の問題といたしまして、いよいよ会議の最終段階になりまして、十二万トンが例外的の処置である、この言葉に対して本年に限るというような言葉が非常に問題になったようでございますが、これを掘り下げて考えてみますと、結局ソ連でも、河野さんがソ連に行かれて、豊年のときは十万トン、不漁のときは八万トンという数字が今に生きておるために、今年に限るという言葉は、それじゃ今年は豊漁の年かあるいは不漁の年かということが次に問題になって、結局豊漁の年だという観点に立って本年に限り十二万トンというふうにきまったようでございます。もし豊漁の年十万トン、不漁のときに八万トンというこの数字が今に生きておるとすれば、本年に限り十二万トン、しかも今年は豊年であるということになりますと、次年度にまた折衝されるのに非常に骨が折れることになるのじゃないかと思う。私らとしましては、河野さんの話がいかようにあろうとも、条約あるいは付属書類あるいは合同委員会ということで決定した表向きの話で常にこの問題を考えるのでございまして、私的にいろいろな話がありましてもこれは茶飲み話程度考えておる。日本としてはそう考えざるを得ない。何も表面に出された契約にも何にもないのでございますから、これは当然に一つの話題である。また河野さんの話を聞きますと、先方が八万二千五百トンとる、こう言うからその数量に見合って八万トンないし十万トンというような話が出たのだ、こういうことも聞いております。しかるにどうも先方は十六万トンもとっておる、こういう話でございまして、河野さん自体でも先方の漁獲数量、漁獲目標に見合った数字ということをはっきり申しておられまするし、いわんやこの問題は別に条約あるいは付属書類にも何にも入っていない。また協定書もわれわれは見ていないという状態でございますから、ソ連がいかように考えておりましても、日本政府といたしましてはさようなやみの数字に対してこれを認めると申しますかある程度この数字に拘泥するといいますか、さようないきさつ考え一つも必要でないと私は考えるのでございます。この点は非常に重大でございまして、私らは今度の日ソ合同会議の場合におきましても、まず第一に日本政府としては八万トンないし十万トンというのはあずかり知らぬ、そんなばかなことはないということでこの数字を破棄させて折衝すべきであると考えておったほどでございます。日本政府としては、かような表面に出ない数字に対しては何も知るところでないのだというお考えでおられますか、この点を一つ答弁願いたい。
  29. 岡井正男

    岡井政府委員 これは非常に重要な御質問なので、私より上の段階でお答えするのがほんとうではないかと思います。委員決定というよりも代表者会議で決定されたことであります。しかし御参考までに私の若干の考え方をこの際御披露するならば、大体において田口先生から御示唆があったような点は、われわれも同感の点が非常に多いわけであります。ただ当初向うの方が八方、十万との了解事項というか、そういうのを頭を出したようなことで、例外としてというような文句があって断固反対して三日も四日もそれがために時間が長引いたというような経緯から御想像いただきましても、代表者あるいは首相にいたしましても、日本側は全部こぞってそういうものはキャンセルするという方向でいたということは御想像できると思いますが、さりとて来年八万、十万が全然論議に上らぬかといえば、ソ連側のことですからおそらくまた言うかもしれません。しかしわれわれとしては八万、十万という線は一応くずしたという考え方でおりますので、来年行かれる人もその点は田口先生から御示唆があったような方向で強く日本のために発言をしてもらうべくわれわれも十分心がまえをいたしたいと考えております。
  30. 田口長治郎

    ○田口小委員 河野さんの話を聞きますと、向うの八万二千五百トンの数字を出してきた場合において、その数量と見合いにして豊漁の年は十万トン、凶漁の年は八万トンということでよろしいというような返事を河野さんはされたようでございますが、いよいよ最後になってまさに別れんとするときに、おれの方の八方二千五百トンは取り消すのだということを先方が言うてきた。それは約束が違うではないか、君の方で八万二千五百トンを言うからこれと見合いに、八万ないし十万ということを僕の方は承知しているのだ、それを取り消すのだったら僕の方でも八万、十万トンというものは問題にするわけにはいかない、こういうことを言い残して別れたという事情になっているように河野さん自体から私聞いたわけでございますから、さような状態を御考慮になりまして、ソ連としてはいかような言いがかり、これは先方の権利でございますから仕方がありませんが、さような妙な話題、突発的に出た茶飲み話程度にしかならないようなそういう問題に日本政府が拘束される必要は絶対にないと思いますから、この点を念を押しまして来年の折衝に対しましては準備をしていただくことを希望しまして、私の質問を終ります。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 ただいま川村、田口両委員から北洋漁業の問題の発言があったのですが、それに関連して若干お尋ねいたします。  実は先週の金曜日に、井出農林大臣から、農林水産委員会において秘密会を請求されて、そうして北洋漁業関係の締結された大綱的な報告があったので、当然今後においても協定の内容とか、今後の政府のこれに対処する方針等に対しては、小委員会というよりむしろ農林水産委員会等においても、十分内容を明らかにする必要があると思いますが、関連の意味でお尋ねしたい点は、ただいまの長官の御答弁によると、この条約海域の中における十二万トンでありますが、これに対する出漁の態度を、政府側の考え方は、たとえば母船にしても政府の行政的な指導を加えて、これを減船させるというような考えはない、一つの成り行きとしては全船出漁ということになるだろうという見通しのもとに、行政的にそれに制限を加えるとか、整理をする意思がないというお考えなんですか。
  32. 岡井正男

    岡井政府委員 先ほど川村先生にお答えしたのと重複するかもしれませんが、一応役所としては、母船は何ぼやめる、独航船は何ぼやめるというような行き方でなくて、採算はこういうふうにした方がとりやすい、従ってそれがためには自主的に仲間の方から希望退職を募って、それが何人か出ますと、その者には、残った者が若干もうかる率が多くなるのだから、それで納得ずくでこういうようにしようか、従ってその場合には金融の世話を政府が見てくれというような問題が起るかもしれませんが、そういうのが出た場合には、私の方は民間の結集された御意思をできる限り尊重しながら行政の面に移しましょうというお答えを申し上げたわけであります。御承知通り母船もいわゆる労働者を相当かかえ込んでおりまするし、その労働者の人は、ことしも線内で十二万トンになれば大体行けるんではあるまいかというので、心待ちに待っておるような人も相当あるわけです。これはずっと一年一年でぴたっとやめるんでなく、相当行きなれた者はやはりその時期になりますと契約を新たにするらしいのでございます。私の方は母船と言わず、独航船と言わず、できれば——業者の方は母船家も若干もうかりが薄くなって、赤字とまではいかなくても、利益が全然なくても、あるいはまた四十八度でも大きい人たちは、船持ちの方はあまり利益がないかもしれぬが、しかし雇われる身になってみると、ほかの漁業でかせぐよりも、むしろ鮭鱒へ行った方が率がいいというのであれば、やはり多くの人を働かすようなことにしたいという気持は、役所にはあるわけでございます。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そうすると母船独航船側で自主的に健全経営というような形で一つの案を立てて、こういう方針減船してやるというような態度をきめてきた場合には、政府としてはそれに対応した方針を立てて十分対策を講ずるというふうに理解していいわけですね。     〔小委員長退席、原(捨)小委員長代理着席〕  次にお尋ねしたい点は、これは直ちに当面して起きる問題ですが、条約海域の中における十二万トンを、たとえば母船側と四十八度以南流し網の間において、どういうふうにして合理的に、どっちも納得のできるような区分を行うかということは、政府としても非常に困難な問題であると思うわけですが、これは回避することはできない当然やらなければならぬ問題ですから、その場合の、実際その衝に当る長官の心がまえといいますか、そういう一つ考え方の基本があればこの機会に聞いておきたい。
  34. 岡井正男

    岡井政府委員 今の御質問は、場所は違いますが、社会党の政策の方の幹部の二、三の人からもこの間私に同様な御質問がありました。それで私は、この問題は国際的漁場に処する国内のつながりを持つ行政措置であるから、どこへ出しても筋の通るような案以外には、えこひいきをするような案は一切出しません。だからいろいろなファクターを十二分に考えて、どこへでも説明できるような案を出しますので、できれば一つ、ありがたい御示唆としていただきますが、私の方へまかしてくれ、自信を持って私どもやります、こういうお答えをしたのですが、水産部会なりその他からいろいろまた質問があろうと思います。その場合には、そういう基本的な考え方がまとまり次第早く説明を加えて、また議員さん方にも納得のいくようにした方がいいぞという御示唆をいただきました。そういう考え方でおります。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 国際環視の中でそういうすっきりした案を立てるということは全く好ましいことでもあり、いいことだと思うのです。それで五十数日の間いろいろな御苦労をなさったわけでありますが、結局折衝の過程においては、ほとんどそれぞれ数字を基礎にしてやられたと思うのです。それでたとえばこの条約海域内における十二万トンという場合においても、この海域内における一九五六年度の実績というものがもちろんあると思うのですが、その数字、それからその数字の中において母船漁獲高と流し網漁業による漁獲数量というものもやはり数字があると思うのです。これらの数字は、今後の方針を立てる上においてはやはり非常に貴重な根拠になると思いますので、その大綱的な数字をこの際参考までに示してもらいたい。
  36. 岡井正男

    岡井政府委員 現在の条約の規制区域内では九万三千が独航船、いわゆる母船に属しておる独航船で、それから推定量で大体大まかにいいますと、半分々々くらいの見当といたしますならば、約二万一千トンが四十八度以南流し網ということに相なります。的確にいいますならば、四十八度以南流し網は規制区域内で八千トンとったことは、これははっきり計数が出ております。それから昨年まではブルガーニン区域でございまして、ブルガーニン区域の上にプラス・アルファされたものがいわゆる今回の規制区域でございます。今回の規制区域から引くことブルガーニン区域ということになりますると、四十八度以南のかせぎ場所というのは三角地帯とウナギの寝床みたいに幅の狭いのが横に伸びておるわけです。そこでかせいだ数がわれわれとしては的確につかめないということなんです。しかし大体においてわれわれとしては、ソ連に対してこの数字は的確ではありませんよという断わりをして数字を示しておる。ソ連側の方は、当初四十八度以南でかせいだのは八千トン・プラス・アルファの地区はほとんど僅少のものだ、大部分は今回の規制区域以外であるというような意味の、露骨な発言はしませんが、そういうふうな出方です。坂村部長が幾ら中の方が相当多いといっても、終始一貫かぶりを振っておりました。それで結局、向うの技術者の責任者の方と坂村部長とが折衝しまして、まあ推定数字しかあげることはできないということにいたしまして、向うの方も最後まで確認せずに帰りました。ですから、大体のところは向うの方としても四十八度以南のものは日本側が考えているよりも外が多いんだという考えをもって帰ったに違いない。こちらの方はソ連が思うほど外でかせいだのじゃない、もう少しうちでかせいでおる、まあ半々くらいはいっておるだろうという気持を持っておるわけです。  ただ、この際に誤解のないように一言つけ加えますならば、四十八度以南人たちは、去年は非常に例外であったわけです。例外であるから外で相当取りましてもそれは例外でありました。今後去年の例外で外でだいぶ取れたやつを、露骨に外でだいぶ取れたということになっては内輪のほんとう——対ソ関係の方の量を減らされては困るという気持があるとは、これは十分にお察しできるわけです。まあ去年一年の例外的なものでなくて過去のものも大体に見当のついておる数字もありますし、去年割った数字もありましょうし、あるいは経済面のいろいろなファクターもありますから、われわれの方はそれらをずっと全部考えまして、どなたに説明しても公平だろうというような案を至急作るようにいたしておりますが、金曜日土曜日二日は作業をするような課長補佐以下全部徹夜なんであります。それできょうから国内態勢の仕事に取りかかるようにいたしたいと思っております。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 今のお話によりますと、条約区域内における昨年の実績は母船独航船によるものが九万三千トン、それから流し網によるものが二万一千トンですね。こういうことになると、昨年の条約区域内における実績は十一万四千トンということになるわけですか。そのほかにブルガーニン・ライン関係の八千トン、それが流し網ですね、その関係はどうなんですか。
  38. 坂村吉正

    ○坂村説明員 先ほどの長官お話の中で、そのブルガーニン・ラインの中での八千トンというやつは二万一千トンという中に含まれた数字です。ただ二万一千トンといいますのも、先ほど長官が言われましたようにほんとうの推定でございまして、いろいろソ連との話の過程におきまして外が多いとか少いとかいうような議論を非常に重ねまして、とにかくその議論をしても推定数字だからしょうがないから、一応それは半分々々ということにしておこうじゃないか、こういう話をしましてそれも向うもはっきり確認しないでそのままもの別れになっておるわけであります。そういう経過の数字でございますので、そういう工合に御了承いただければと思います。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そうすると、結局条約区域内の昨年の実績は総体で十一万四千トン、そのうち母船独航船によるものが九万三千トンで、残りが流し網漁業によるものということになるわけですね。
  40. 岡井正男

    岡井政府委員 いや、そうじゃないのです。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 そうでしょう。十一万四千トンの中から九万三千トンを引いたものがとにかくこの条約区域内における昨年の流し網の実績であるということがいえるわけですね。その会談のときに日ソ間の話し合いの中で用いられたこれは根拠のある数字だということはいえるわけですね。いろいろな数字があるから私たちも迷うのですよ。ですから、国際的に用いたとか政府が正式に用いたという数字が一番信憑性があるという以外ないと思う。これで繰り返して尋ねておきます。
  42. 坂村吉正

    ○坂村説明員 先ほどお話し申し上げましたように、一応の数字としてはそういう数字でございますが、向うとの話も最終的にそういう数字で固めた基礎で話しておるわけではありません。まあ四十八度以南の船の漁獲量が外がどうだ内がどうだということをいろいろ議論しておりまして、いつになっても話がつかぬから大体半分々々くらいで話をしておいたらどうだろうかということは向うの委員と話をしまして、まあそんなことにしておこうか、こういうことを持ち出したわけでございますが、向うでもこれはもうどっちの数字をとっても推定なんだからこれは伏せておこうということで全然最終的に確認をしてない数字でございます。そういう経過の数字でございますので、そういう経過と一緒にお考えいただければけっこうだと思います。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀小委員 次に条約区域外の自由にとれる地帯、自由漁場条約区域内との関係は、相対的には交渉の過程においても全くこれは関係がないということではなかったのでございますね。不可分の関係の中において制限区域内と外というような問題も取り扱われると思うのですが、それらの関連はどういうようなことで交渉の中で取り扱われておりますか。
  44. 坂村吉正

    ○坂村説明員 お答えいたします。十四万五千トンを出す場合にはまさしく御指摘の通り四十八度以南の問題は一応解消する、しかし十二万トンということ、いわゆる条約区域を動かさぬということになりますと、今言ったような推定数字ということがやはり身欲に考えるとどちらも議論の余地の残る問題でございます。従いましてこれにつきましては、やはり役所が、双方から憎まれましてもこの際断固として適当な、最も信憑性のあると思われるような計数によって割り振る以外に手はないと考えます。
  45. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 関連して。私からも二、三お尋ねしておきたいと思います。それは先ほど川村委員からお尋ねがあった点でございますが、今回の条約区域内十二万トンという協定が日ソの間にできたわけでありますが、母船側独航船側も一応十二万トンの配分が昨年のブルガーニン・ラインにおける流し網母船漁業との配分率を一応の基準として、大体その辺をめどにしていろいろ計算をした結果、どうしても独航船は一割程度減船整理やむなしという結論に達した模様であります。この減船整理をやります場合に、政府がこれに対する跡始末につきまして、転換補償の資金のあっせんでありますとか、あるいはその借り入れに伴う利息の利子補給というようなことについてお考えがありますかどうか、まずこの点を一つ伺いたいと思います。     〔原(捨)小委員長代理退席、田口小委員長代理着席〕
  46. 岡井正男

    岡井政府委員 一割減船が自主的に、もうすでに固まったようなお話でございますが、われわれの方の見方として、経済的に、従来借金がこの程度あるものと仮定しても、どうにかいけるなと思われるのをなおかつ乗り越えて、幾ら自主的といいながら、理不尽に過剰な自主的な線をお出しになりましても、私は逆にそれは御忠告申し上げたいと思っております。納得のいく線をお出しになったのを、さらに私の方でも——おそらく川村先生の言われるのは、ほんとうにだれが見てもそうだという計数が出た場合のお話と私はそんたくしてお答えしたわけでありまして、今のところ一割も出すというのは、行き過ぎではあるまいかという気もいたしますが、その議論は別といたしまして、今鈴木先生のお尋ねの結論的に自主的に何ぼか出る、そうするとその見舞金とか何かを自主的にまかないきれないようなものについての金融措置、あるいはそれについての利子補給までをお考えになっておるかどうか知りませんが、そういう点でしょうが、こういう点については、一つわれわれはこの作業をしながら、なおかつ大臣あたりの上の方の御意思もよく聞いてみたい、かように考えておりますので、今ここで答弁は、ちょっと時間的にお許しをいただきたいと思います。
  47. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 長官は非常に大事をとっての御答弁で、まあ今の段階では、長官としてのお立場から一応了承されるわけなのですが、御答弁がございませんから、私から意見を申し上げて御参考にしたいと思います。この自主的な転換なり整理なりという場合、いろいろの原因があると思います。それは資源が逐次減少して参りまして、どうしてもこれだけの独航船の稼働ができない、自然的に資源の関係で、減船整理やむなしというような場合は、これは行政上政府の関与できないような自然条件でそうなったのでありますから、これは政府には責任もない。しかしこれをできるだけ援助するという立場は、やはり政府にはある、こう思うのであります。しかるに今回の経過を見ておりますと、河野農林大臣が御就任になりまして以来、二回にわたりまして飛躍的な船団の増強をやっている。それまでの岡井長官が次長時代、非常に政府は慎重に、日ソの関係を考慮されまして、ソ連の動向を注視しながら非常に慎重な態度でもってやって参った。ところが河野氏が農林大臣に就任されてから、一挙に倍増するような勢いで船団数をふやしてきた。それがいたくソ連を刺激したと私たちは思っております。特に今回の日ソ漁業委員会でも出て参りましたように、でき得べくんばオホーツク海を禁漁区にしたい。これはことし初めてソ連が思いついたことではないと思う。これは前々からそういう考え方を持っておったでありましょうが、それを二船団から一挙に七船団にふやそうとしたことが、ソ連を非常に刺激いたしまして、ブルガーニン・ライン等の設定として現われてきた、私はこう思うのであります。こう考えて参りますと、今日の一五百隻の独航船というものに許可をされましたこと、これはやはり政府の見通しの上に立っての措置であったが、それがその十九船団、五百隻というものを整理せざるを得ない。今回特に条約区域で十二万トンということになりますと、これは政府の政治上、行政上の責任は、全然なしとはわれわれは言えないと思う。これは私ども与党の立場にありましても、率直に言えば、政治的な見通しを甘く見た、こう指摘せざるを得ない。そう考えますと、やはりこれは政府も民間も虚心たんかい、ほんとうに率直な態度でもってこの事態に対処して、減船すべきものは減船をして、そして北洋の安定操業がなされるようにすべきである。それを、これは五百隻でとろうが四百隻でとろうが、それは民間の勝手だというような考え方は、私は許されないと思うのであります。特に私どもは行政上非常に異例の措置として考えているのでありますが、独航船の許可に当りまして、底びきあるいは流し網の許可を五〇%アップでもって捨ててきなさい、そうするならば北洋独航船として許可を与える、こういうような措置までとらせて、そうして独航船を五百隻許可した。それが日ソの規制漁獲量によって安定操業ができないで、これを整理せざるを得ないというようなことになるといたしますならば、これは政府もやはり重大な責任を負わざるを得ないものと思うのであります。そういう意味からいって、民間ベースで整理するのだから、政府はそういうことの跡始末はあずかり知らぬというような、そういうてん然たる態度は、私は情味ある岡井行政としては、これはとるべきでもないし、おそらくおとりにならないだろう、こう思っている。その点は、必ず業界も納得するような御措置をとるものと確信いたしておるのであります。ただ、まだ具体的にそういう段階に入っておりませんから、長官が御答弁にならぬのもこれはやむを得ないと思いますが、そういうことは、これは業界全体の声である、またわれわれもそれは当然のことだ、こういう工合に考えておりますから、そういう強い要望が業界の声であるということを一つ御了察おきを願いたい、こう思うわけであります。  それからもう一つ、これもやはり川村委員が触れた点でありますが、各母船の船団に所属しておりますところの独航船の隻数が、非常に不均衡になっています。おそらくこの点は役所も当初、大体きちんと平均にはならないにしても、おおむねならされた独航船の数がそれぞれの船団に配置されるということを所期しておられたと私は記憶いたしております。もとより母船には大きさと性能、処理の設備などの差がございますから、Aクラス、Bクラスというようなものに分けると思うのでありますが、そういたしますと、この母船の大きさ及び処理能力からいたしまして、三十隻程度を適当とする船団あるいは二十五隻程度を適当とする船団、二つくらいに区分ができるのではないか、こう思うわけでありますが、今回の特に整理に当りましては、この機会こそ各母船の設備能力に応じて適正な独航船の再配分をすべきだ、私はこう考えます。と申しますことは、魚価の値ぎめに当りまして、その船団の不合理な経営がなされておる——母船の設備と独航船の数とのアンバランスのために、不均衡のために、合理的な採算ベースになっていないとしますと、その一番もうからない船団が結局漁価交渉の基準になって折衝される、こういうことです。そうしますと、それだけ独航船の魚価にしわ寄せされてくるということに相なるわけでありまして、私は今回独航船整理がなされるというこういう機会こそ、各母船間の独航船配属隻数のアンバランスを是正すべきものである。これは行政として当然そうすることが妥当だ、私はこう考えるのですが、この点長官はどういう工合に考えておりますか。
  48. 岡井正男

    岡井政府委員 先ほど川村先生からも似通った御注意的な御質問がありましたが、われわれも非常なアンバランスであるし、一方多過ぎて作業上むしろ困る、一方においては採算ベース上から言うて船が少いというようなことがあることは、健全な経営として推し進めるわけにもいきますまいから、この点は十分胸に置きまして、一つ善処したいと思います。ただ一もくさんに、そうかといってきれいにこの際一ぺんに掃除できるかどうかということは、従来のいろんないきさつもありますので、その点も若干参考にしながら、無理のなるだけ少い程度行政措置をやりたい、かように考えております。
  49. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 大体長官も同じようなお気持でおられますから、これ以上その点は申し上げませんが、ただ二隻か三隻程度のものを調整すれば大体ならされるというのです。これは大ごとのようでありますけれども、独航船を少し多いところから二、三隻回してやれば調整ができるのです。その母船会社から独航船に出しておる仕込み金とかいろいろな借金というものは、これは母船会社間で十分——かたき同士ではございませんで、同じ業界のことですから、そういうものを肩がわりすることは何でもない。ただ、そういうことがむずかしいというような口実のもとになされないと、そのしわ寄せが魚価に反映してくる、こういうことです。これは北洋全体の安定のためにぜひ一つやっていただきたい。こういうことを重ねて要望申し上げておきます。  第三点は、今度母船なり流し網に対してどういう割当をなさるのか。つまり一隻々々の流し網に対して二百十トンとか二百二十トンとかいう工合に割当をなさるのか、それとも大体独航船の隻数をならしておいて、船団別に六千五百トンとか七千トンとかいう工合に割当をするのか、あるいは大きく流し網母船式とにワクを分けて、そして割当量をとったら、その月漁獲を停止させるというような方式でいくのか。要は、せっかく長官等が御苦労なさって獲得しました十二万トンというものを、昨年のようにとり残すことがありますと、これは国家的に損失である。だからそれはどういう工合なことで十二万トンを、少い量であるならこれを確実にとるか、そのお考えをお聞きしたい。
  50. 岡井正男

    岡井政府委員 お答えします。一船一船の独航船及び四十八度は単独船ですが、それに割当をしまして、積み上げたものを母船の場合には母船で総計算して、たとえば各母船が六千トンなら六千トンになるとしますると、各独航船の能力が違うため、あるいはまたエンジン故障等でとり残しの懸念のあるものについては、同僚の独航船に余分に働かしまして、そして母船でバランスをとるというふうにしますので、母船の方のとり残しは少しも心配はないと思います。ただ四十八度以南の方では、去年もああいうふうにとり残しがありまして、ことしも心配していますが、それは十分に注意いたします。そういうことがありますと、明年度以降の交渉に非常に差しさわりができる。ことしでも二千トンをとり残したという点がどうもあとまで、露骨には言わぬが、皮肉をよく言いました。そういう点がありますので、四十八度以南の方は、割当は最初に母船式と四十八度とをぱっと各船団に割りましても、よく注意深く、私の方はそれをとり残しのないように配分したい、かように考えております。
  51. 鈴木善幸

    鈴木(善)小委員 その他いろいろお尋ねしたいこともありますが、だいぶ時間も経過いたしましたから、またあらためてお尋ねすることにしまして、きょうはこれで終ります。
  52. 田口長治郎

    ○田口小委員長代理 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時十八分散会