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1957-05-18 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十八日(土曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       五十嵐吉藏君    加藤常太郎君       木村 文男君    椎名  隆君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       永山 忠則君    原  捨思君       本名  武君    松浦 東介君       松野 頼三君    村松 久義君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       石田 宥全君    石山 權作君       稲富 稜人君    田中 利勝君       楯 兼次郎君    中村 英男君       成田 知巳君    日野 吉夫君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       井村 徳二君         総理府事務官         (経済企画庁調         整部長)    小出 榮一君         農林政務次官  八木 一郎君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君         農林事務官         (蚕糸局長)  須賀 賢二君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君         通商産業事務官         (鉱山局長)  森  誓夫君  委員外出席者         議     員 藤本 捨助君         総理府事務官         (経済企画庁官         房企画課長)  磯野 太郎君         厚 生 技 官 恩田  博君         農 林 技 官 下条菊次郎君         農 林 技 官         (蚕糸局蚕業課         長)      小林 明隆君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新澤  寧君         農林事務官         (水産庁生産部         水産課長)   太田 康二君         日本専売公社塩         脳部塩業課長  守田 富吉君         参  考  人         (愛知用水公団         総裁)     浜口 雄彦君         参  考  人         (愛知用水公団         理事)     伊藤  佐君         参  考  人         (愛知用水公団         理事)     中川 良吉君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 五月十七日  委員安藤覺君及び中馬辰猪辞任につき、その  補欠として加藤常太郎君及び奥村十郎君が議  長の指名委員に選任された。 同月十八日  委員奥村十郎君、加藤常太郎君、阿部五郎  君、足鹿覺君及び横路節雄辞任につき、その  補欠として前尾繁三郎君、安藤覺君、成田知巳  君、田中利勝君及び山田長司君が議長指名で  委員に選任された。 同日  委員前尾繁三郎君、久保田豊君、田中利勝君及  び成田知巳辞任につき、その補欠として中馬  辰猪君、足鹿覺君、伊瀬幸太郎君及び阿部五郎  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として久保  田豊君が議長指名委員に選任された。 同日  理事稲富稜人君辞任につき、その補欠として中  村時雄君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  凍霜害による農業災害対策に関する件  漁業共済に関する件  水質汚濁防止に関する件  酪農に関する件  漁業用燃油に関する件  愛知用水公団事業運営に関し参考人より説明  聴取塩害による農業災害対策に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  凍霜害被害対策について調査を進めます。  この際昭和三十二年五月の凍霜害対策等に対する件について決議をいたしたいと存じます。  まず案文を朗読いたします。    昭和三十二年五月の凍霜害対策等に関する件   去る五月三日及び四日、東北関東甲信越等の各地方に発生した凍霜害による農作物の損害は五十億円を超えるものと思はれ、被害農家は昨年に引続く連年の災害により負債は累積し、その苦悩は極めて深刻である。よって政府はこれら凍霜害の常襲地帯に対して適切合理的なる恒久策の確立を図るべきであるが、当面、左記の事項を中心とした救済対策を速急に樹立し、もって今后の農業経営の安定、農業生産の確保に遺憾なきを期すべきである。     記  一、農業金融及び農業共済に関する事項   (1) 被害農家に対して「天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法」の適用により、速やかに経営資金及び事業資金貸付を行い、併せて利子補給損失補償措置を講ずる。被害の特に著しい農家に対しては、政令による地域指定を行い、貸付利率を三分五厘とし償還期限は五年の範囲内でできるだけ長期とする。     なお、累年災害を受けた農家に対しては、本法により借替資金貸付ける。   (2) 被害を受けた開拓農家に対しては前項による経営資金融通措置を講ずるほか、生産資金貸付等特別の措置を講ずる。   (3) 農林漁業金融公庫から農林漁業資金を借受けている者で今回の凍霜害によりその償還が困難な者があるときは、公庫をして償還猶予措置を講ぜしめる。   (4) 災害のため困窮が著しく、自作農維持が困難となった者に対しては、「自作農維持創設資金融通法」第二条第四号資金を、優先的に貸付ける。     償還期限は三年据置、二十年以内、利率は年五分とする。   (5) 被害農家に対し速やかに共済金の仮払を行はせるため農業共済基金より農業共済組合連合会に対し仮払資金融通するに必要な財源措置を講ずるとともに所要利子補給を行う。尚、春蚕の掃立不能及び被害激甚農家に対しては、農業共済保険特別会計より、早期概算払いを行う。   (6) 凍霜害のため原料繭および原料果実等の入手が困難となった製糸業者農産加工業者等経営の安定を図るため、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫商工組合中央金庫等より長期低利資金融通し、又は融資のあっせんを行う。  二、営農資材等に対する助成に関する事項   (1) 樹勢回復用肥料代     桑、茶苗代及び果樹に対する肥料所要量の二分の一(入植者に対しては三分の二)を助成する。    肥料所要量は桑、茶及び苗代については、反当平均七貫五百匁(硫安換算)とし、果樹については、これに準ずるものとする。   (2) 病虫害防除用農薬代     桑、茶、麦、馬鈴薯及び果樹に対する農薬所要量の二分の一を助成する。   (3) 蚕種については晩秋蚕掃立卵量蚕種代の二分の一を助成する。   (4) 稚蚕共同飼育及びその施設(共同桑園を含む)に必要な経費に対し助成する。   (5) 水稲苗代に対しては追播用種もみ代又は購入苗輸送費に対し助成する。   (6) 凍霜害予防のため重油等燃料を消費した農家に対しては、特にその経費の一部を補助し奨励措置を講ずる。     尚、そさいについては災害対策用予備貯蔵種子を速かに放出させる。   (7) 森林の被害については、その再造林に対し必要な経費助成する。  三、技術指導強化等助成に関する事項   (1) 技術指導強化に要する経費として次の如く予備金より支出する。    (イ) 蚕業技術員及び農業改良普及員に対し特別指導手当助成する。    (ロ) 繭の減産により給料の支払の困難となった組合等に対し蚕業技術員給料を補助する。   (2) 統計調査職員及び農業共済団体職員に対し、災害調査活動費予備金中より支出して増額する。   (3) 農作物及び蚕糸の凍霜害に対する試験研究調査費予備金中より支出して増額しまたは助成する。   (4) 凍霜害予防対策として、農業気象通報連絡員設置及び気象観測器具購入に必要な経費の補助並びに重油等燃料燃焼装置重油予備貯蔵土地条件改善整備等に要する経費助成を行う。  四、その他の事項   (1) 桑、茶、麦等専業地帯にあって潰滅的打撃を受け他に現金収入のとぼしい農家に対しては救農土木事業実施しこれを救済する。   (2) 葉タバコ耕作者に対する災害補償を速急に実施する。   (3) 災害農家については、申請による予定納税額減額等所得税減免措置を講ずる。   (4) 被害府県及び市町村の今次災害による税収入の激減と支出増加に対処し、地方特別交付税及び記載の特別措置を講ずる。     地方財政再建促進特別措置法による地方公共団体は別途対策を樹立する。    右決議する。   昭和三十二年五月十八日       衆議院農林水産委員会  本件を委員会決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めさよう決定いたしました。  本決議に対する政府の所見を求めます。井出農林大臣
  4. 井出一太郎

    井出国務大臣 去る五月三日、四日の凍霜害によりまする被害東北、関東、甲信越にわたりまして相当深刻な打撃を及ぼしましたことは、被害地農民諸君に対しましてまことに御同情を禁じ得ません。ただいまこれが対策としてそれぞれ行き届いた御措置を当委員会決議として御要請に相なったわけでございますが、政府といたしましてはこの御趣旨を十分尊重して対処いたす所存でございます。右お答えいたします。
  5. 小枝一雄

    小枝委員長 なお本決議政府への参考送付等の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。五十嵐吉藏君。
  7. 五十嵐吉藏

    五十嵐委員 農林大臣一つお尋ねをしたいのですが、今決議になりましたことは、農林委員会決議としてぜひ実現をしたいものばかりです。この中で特に重要な問題は——いずれも重要ですが、特に問題点となっているのは、ただいままで大蔵省の大体の意向を総合したところでは、この第二の営業資材等に対する助成に関する事項、この問題はここで決議をしても、これを実現するためには容易でないような気がいたします。そこで、これは少くとも閣議決定にまで持ち込んで、大臣にも大いに政治力を発揮していただかないと、容易にこの問題は解決しないのじゃないかと考えます。これは閣議決定にでも持ち込まない限りは、なかなか実現しないと思うのですが、これに対する大臣のお考えを承わりたい。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 先週の閣議におきまして、私から凍霜害の実情をまずとりあえず報告いたしておきました。その後農林省の調査もまとまりましたし、なおただいま当委員会の御決議等もございまして、いよいよ問題がしぼられて具体化して参りましたので、特にただいま御指摘の点については十分力を入れまして、これを閣議へ持ち込んで善処いたしたいと考えます。     —————————————
  9. 小枝一雄

    小枝委員長 水産関係の問題について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。鈴木善幸君。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁業共済制度の問題につきまして農林大臣お尋ねしておきたいと思います。政府におきましては昭和三十二年度予算措置を講ぜられまして、沿岸全漁民が長年要望しております漁業共済につきまして、試験的に今年から実施をされるということを言明なさっておるわけでありますが、その試験実施構想をこの際お聞かせ願いたいと存じます。
  11. 奥原日出男

    奥原政府委員 ただいま実施のにない手であります全国水産業協同組合共済会との間におきまして具体的な実施方法についての打ち合せをいたしておるのでございます。細目の点につきましてはまだ結論の出ない点もございますが、大体の構想を申し上げますれば、漁業共済漁具共済を並行してこの際実施をしていく、こういう考えでございます。  これが実施組織といたしましては、各県に全国水産業協同組合共済会の下に下部組織を作って二段階でやろか、あるいは一段階で全水協地方に支部を設けてやるか、こういう点に関しましては、現状においてはむしろ一段階で全水協地方下部組織を持ってやるという体制で進むことの方が実際的である、こういう考え方にいたしておるのでございます。  試験実施の件につきましては、地方の希望、あるいは地方におきます漁業のウェート及び地元の漁連、信連の能力等を勘案いたしまして、大体十五県見当を選定いたしたいと考えておるのでございます。  漁獲共済の大体の構想といたしましては、漁場を自営する漁業協同組合及び生産組合、また単一の漁業協同組合組合員で構成いたしております協同形態、さらに漁業協同組合組合員漁家集団を作って完全にその生産物当該漁業協同組合共同販売に出荷し得るかどうかということも考慮して、これをさらに加えることを検討いたしたい、かように考えておるのでございます。  共済価額といたしましては、各漁期において操業のために必要といたしまする経費予定額の八〇%相当額を考慮しておるわけでございます。共済掛金といたしましては、契約者の過去の経営実績に応じまして個々に定める予定でございますが、大体全国的な、従来調査いたしました危険率から見まして、共済金額百円について四円見当、こういうふうに相なろうかと推察をいたしておるのでございます。  共済金支払いに関しましては、共済価額の中で加入者契約をいたしております共済金額とのその比率をもちまして、共済価額漁獲金額との差額に乗じて出ました額を支払うというふうにいたそうか、かように考えておるのでございます。一番実施調査において問題となりますものは、末端におきます経費の正確なる把握及びその生産額の完全なる掌握ができるかどうか、こういう点にあるのでございまして、これらにつきましてもそれぞれ共済契約に伴います運営上の仕組みを考慮をいたしておるのでございます。  漁具共済に関しましては定置網、養殖用のいかだあるいはひびその他の漁網等を取り上げることにいたしておりまして、共済価格の八〇%をもって共済金額の限度とする。大体共済掛金といたしましては、共済金額百円につきまして概算月当り五十銭から九十銭くらいの額が掛金になろうかと考えておるのでございますが、なお細目につきましてはただいま申し上げましたごとく、いろいろまだ検討をいたしておる段階でございます。
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 試験実施に関する大体の御構想を承わったわけでございますが、その際に関係漁民の間で心配しております点は、異常災害等が発生いたしまして、共済掛金収入ワク内では保険金支払いができないような事態が発生した場合には、試験的であっても非常に危険である、こういう不安感があるわけであります。そこでそういう事態が発生いたしました際には、これは政府民間団体試験を委託するわけでございますから、借り入れ等に伴う利息の補給あるいは損失補償、そういうものを当然三十三年度予算において跡始末をする必要があると思うのでありますが、これに対して農林大臣はどのようにお考えになっておりますか、その点を明確にしておきたいと思います。
  13. 井出一太郎

    井出国務大臣 漁業共済制度はいわば長期均衡の建前に立っておりますので、年によっては非常に多額の共済金支払いを要する場合もありますることを当然予想しなければならないと思うのであります。そのような場合といたしまして、共済契約者に対して所定の共済金支払いが不可能にならないような措置をどうするかというお尋ねでございますが、財政当局とも十分に協議をいたしまして、契約者に不安を来たさないような適切な処置を講じて参りたい考えでございます。
  14. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの農林大臣の御答弁は、本制度を今後実施して参りまするについての心がまえをお話をいただいたわけでありますが、私はこれを二つに分けまして、今回の試験的実施政府責任民間団体に委託してやらせることでございますから、不幸にして異常災害等が発生して保険掛金だけでは始末がつかないというものはあくまで政府責任利子補給あるいは損失補償をやるべきである、こう考えるのでありますが、これに対する措置いかんというのが第一点。それから、今年度実験の結果によって昭和三十三年度から本格実施に入るといたしますれば、根本的な措置といたしまして基金を設定するとか、いろいろの支払い準備金制度を設けるとか、そういう措置を講ずる必要があると思うのであります。その二段に分けまして御答弁をわずらわしたいと思います。
  15. 井出一太郎

    井出国務大臣 本年度試験的にこれを試みているわけでございまして、その規模は範囲がきわめて限定をされますが、しかしこういった性格のものでございますから、そういった異常災害の発生する場合もあらかじめ想定をしておかなければならぬと思うのであります。それにつきましては、もちろん試験的にやっていただく機関あるいは当該府県、こういうところの損失がないように処置を講じたいと存じますし、それからこれを本格的に長期にわたって施行をいたします場合には、その一つ基金制度の設定ということも一構想であろうと思うのでありまして、それらについても十分研究をして措置をいたしたいと考えております。
  16. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの農林大臣の御言明で、関係漁民も一応安心することと存じます。つきましては、本来でありますれば、この国会で本制度試験実施のために、あらかじめ利子補給とかあるいは損失補償とか、そういうような立法措置をしておくことが親切であると思うのでありますが、ただいま農林大臣言明によりまして、私どもはそのような立法措置なしでも、関係漁民は安心して本制度を活用して参るものと期待をいたすわけであります。つきましては、そういう立法措置が行われないわけでございますから、資金の一時的な借り入れ等の必要が起りました際には、行政当局として全水協金融機関との間をごあっせんいただきまして、そういうような資金の円滑なる調達ができますように特段の御配慮をお願いしたい、このことを重ねて御希望申し上げておきたいと思うのであります。  それから私どもは、昨年参議院選挙に当りまして、わが党の新政策として漁業共済早期実施を公約をいたし、今年度予算実験実施予算を盛りまして、具体的な一歩を踏み出したわけでございますが、三十三年度から本格実施を実は全漁民が待望いたしているわけであります。また私どももぜひ今年度実験実施試験実施の結果を基礎にしまして、来年度こそ本格実施に入りたいと念願をいたしているわけでありますが、農林大臣におかれましても、ぜひ来年度予算の編成に当りましては、漁民大衆の長い間の要望をとくと御了察を賜わりまして、来年度こそ本格実施に入りますように諸般準備をぜひお進め願いたい、こう思うのでありますが、これに対してはっきりした見通し、御言明をいただければ幸いだと存じます。
  17. 井出一太郎

    井出国務大臣 われわれといたしましても、御指摘のような線に従いまして三十三年度から実施すべく諸般準備を続けているわけであります。それにつけましても、本年度試験実施をできるだけ成功裡におさめたい、そしてこれを貴重な資料として踏み切って参りたい、こう考えているわけでございます。
  18. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 もう一つ、今年度漁業共済関係予算の内訳が、試験調査委託費と、それから調査会と申しますか、審議会と申しますか、そういう委員会設置経費に分れておるように存じておるわけであります。今年度から試験実施をやりますためには、相当経費が実は必要でございまして、今回の三十二年度予算関係経費をできるだけ試験実施の面に集約をいたしまして、重点的にこれを使ってその成果をおさめていく必要がある、こういう工合に考えておるわけでありますが、その面につきまして農林大臣はどのようにお考えになっておりますか、この機会に承わっておきたい。
  19. 奥原日出男

    奥原政府委員 今年度予算実施に関しましては、ただいま鈴木先生が御指摘に相なりました通りにわれわれとしても考えておるのでございます。今年度予算は八百十六万円でございますが、七百二十五万円は調査委託費に使う、こういうことにいたしておるのでございます。残りの金はただいまお話がありました調査会、これによりまして試験的実施についての経過及びその結果を分析し、さらに今後の本格化についての進め方を推進していく、こういう趣旨調査会でございまするので、これもやはり有意義な仕事である、かように考えておるのでございますが、さらに試験的実施に関しまする指導監督、そういうふうな経費に約九十万円を充てる予定にいたしております。
  20. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁業共済制度の問題につきましては、後日また詳細にお尋ねをする機会があると思いますから、この程度にとどめておきたいと思います。  次に漁業用燃油の問題につきまして、その後通産大臣とのお話し合いをせっかく大臣お進めいただいておったようでありますが、漁業用燃油の今後の取扱い方針が、もしきまっておりますれば、この際御発表願いたいと思います。
  21. 井出一太郎

    井出国務大臣 全漁連に対しまする漁業用燃油、ことにA重油の問題につきまして通産大臣と再三話し合いをいたしておるような次第でございます。大体大よそのめどはついて参ったわけでございますが、ただいまのところ国内精製分外国輸入の分とをフィフティ・フィフティに配給をいたすというような点、それから実績を尊重するという意味で、従来の全漁連の使用しました実績基礎にいたすわけでございますが、同時に今後も半年ごとに、その半期で使用いたします国内A重油を一定のワクに押えまする場合、それを上回って使用をいたしまする場合は次の半期で調節をいたす、そして弾力性を持たしたものとして進めて参る、こういうようなことは了解がついておるわけでございます。そして本年度の上期のスタートをどのくらいの量から始めるかという点につきましては、もう少し最終の話を詰めて参りたい、こう考えております。
  22. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 大臣の非常なお骨折りで、このむずかしい問題もだんだん解決に向っておるようでございまして、その御努力に感謝を申し上げるわけでありますが、この際特に申し上げておきたいことは、全購連の問題等がありまして、これにいろいろな理由をつけて、いわゆる反産的な運動が商人の間に強く台頭いたしておることであります。今日漁業用燃油漁業経営費の三十数%を占めるというようなことで、今後漁業経営の安定は漁業用燃油をいかに安く円滑に確保するかということに大きな比重がかかっておるのでありまして、私どもは、全漁連等漁業団体にこういうような資材を安く円滑に確保するための措置につきましては政府は全購連等の問題に関係なく、勇気をふるって適切なる御措置を願いたい、このことを強く希望申し上げておくわけであります。  なお今大臣お話になりましたが、当初の出発の数量も大切でございますが、上期の配給実績基礎にしまして、将来漁業団体購買事業がその実績によって逐次伸びていけるような制度をこの際ぜひ確立さしていただきたい、こういうことであります。  それから、A重油のことは今の御答弁で私ども大体見通しを得たような感じでございますが、B重油についてでございます。B重油実績は一応五万トンということに相なっておりますが、これも国内精製のものと、製品輸入のものとは、需給計画を通産省が立てておりまする内容を見ますと、十一分の十が国内の精製のもの、こういうことに相なっております。従いましてB重油五万トンの割当に当りましては、この需給計画に基く国内精製のものを十一分の十という比率で確保することが、これは理論上からいっはも正当なことである。こう考えておるわけでありまして、A重油の問題が話が進めば当然B重油の問題にも触れると思いまして、この際特に希望申し上げておきたいと思います。  それから次にもう一点だけ御質問申し上げて私終るわけであります。それは農林水産の統計事務所に水産課を従来十一カ所か二カ所おもな水産県に設置いたしておるわけでありますが、今回水産統計の整備のために新たに十カ所ほど追加をされて水産課を独立された、こういうことに承わっておるのでありますが、ところが課長の予算定員の関係から大蔵省の方がこれに了承を与えない。そこで課長の任命ができない、こういうようなことになっておるやに承わっておるわけでありまして、私ども、いろんな水産漁業施策が基礎的な統計資料の上に立って今後行われる必要があるわけでありまして、少くとも水産の主要県におきましては、ぜひ水産課をすみやかに設置をしていただきたい、こう念願するわけであります。この点につきまして農林大臣は、早く大蔵当局に話をつけて、水産課の設置が実現できまするように御配慮を賜わりたいと思うのでありまするが、これに対してどうなっておりますか、経過を承わりたいと思います。
  23. 井出一太郎

    井出国務大臣 最近の水産業の発展ににらみ合せますると、その事業量あるいは業務の複雑性から見まして、やはり水産課の設置ということが強い要請になって現われて参ったわけでございまして、ただいま鈴木さん御指摘のような意味において、今回八カ所にこれを新設する、こういうことで五月一日からスタートをいたしておるわけでございます。これにつきましては、御趣旨に沿いまして、予算の裏づけ等にも配慮を用いて遺憾なきを期したい、こう考えております。
  24. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私、農林大臣に対する質疑はこれをもって終りますが、この際経済企画庁から御出席になっておりますれば、水質汚濁の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  水質汚濁の問題は、最近鉱工業の飛躍的な発展に伴いまして、内水面といわず沿岸、特に浅海の漁業に大きな被害が随所に起っております。さらにそれに加えまして最近ホリドールその他の農薬の被害もまた伝えられておる。今日この公衆衛生の面はもとよりでございましょうが、漁業の面からいたしましても、水質汚濁防止対策を急ぐ必要は非常に急なるものがございます。そこで私どもは、かねて水産資源保護法を議員立法で制定をいたしまして、保護水面を設定いたしますとか、あるいは河川でダム等を建設をする場合あるいは砂利等を採取する場合、そういう魚族の繁殖場、養卵の場所を特に保護するような法的な措置を講ずる水産資源保護法を成立をさしたのでございますが、   〔委員長退席、笹山委員長代理着席〕 しかしながら、これは水産関係の立法だけで十分な成果をおさめることはできません。そこで私どもはもっと広い立場に立って、各関係機関、通産行政あるいは建設行政あるいは公衆衛生の面、そういうような広い観点に立って、この水質汚濁の防止をはかる必要がある、こう考えるものであります。そこで経済企画庁が中心になりまして、政府においても今日までいろんな御研究を進めておるようでありますが、もしその構想がまとまっておりますれば、要綱案としてでもこの機会に御説明を願っておきたいと思うわけであります。実は私どもは全国の沿岸漁業者の強い要望によりまして、今国会こそこの水質汚濁に対する抜本的な法的措置が生まれることを強く期待いたしたのでございますけれども、時間的な関係でそれができなかったことを非常に残念に思うわけであります。つきましては、せめて要綱なりともその構想がまとまっておりますれば、この機会に御発表願いたい、こう思うわけであります。
  25. 井村徳二

    ○井村政府委員 御意見全く同感でございまして、今日まで企画庁といたしまして検討いたしました状況をお答え申し上げておきたいと思います。従来この問題は、厚生省において開催されてきました水質汚濁防止対策連絡協議会というものにおいて協議されて参ったのでございますけれども、この三月かと思いまするが企画庁へ持ち込まれておりまして、今日まで四回ほどその会議を開催して参ったのであります。この会議におきまして、水産資源保護の見地から、行政委員会を設けまして、水質汚濁防止地域の指定等を行うべしとの意見、あるいは環境衛生の見地から公共水汚濁防止委員会、これは仮称でございますけれども、それを設けまして、各省に勧告、推進の実をあぐべしとの意見、または水質汚濁防止行政の強化に異存はないが、鉱工業との利益調整を高い見地からはかるべしなどの意見が出まして、さらに現行立法の活用によりまして本件の目的達成を期し得るものではないかという意見等が出まして、今日まで参ったのでございます。いろいろ議論が出まして、御意見のごもっとものものが具体化されていかないという内容におきましては相当に議論されました。しかしきょうの段階におきましては、意見が今申し上げるように一致いたしたのでございます。一つは、水質汚濁の現状と各国制度にもかんがみまして、新しい行政分野として本件を取り上げまして、所要の行政組織と立法とを検討する、二つは、関係各省の施策を総合調整して、水質汚濁に関する基本的対策を樹立する、三つは、管理面等実施分野におきましては、関係各省の現行権限を尊重し、これによる、その次は、水質汚濁の問題に限定して、他の鉱害防止一般は対象としない、この四つによりまして、現在連絡協議会においては水質問題調整審議会、あくまで仮称でございますけれども、そこで基本法の制定を検討中であります。すみやかに御期待に沿うような方向へ持って参りまして、来たらんとする議会に法文化して、そして御審議願いたいという考え方を持っておりますことをはっきりお答え申し上げます。
  26. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御答弁によりますと、関係各省の中で審議会を作られて、四項目の基本的な柱をおきめになって、今後水質汚濁に関する規制の立法措置をだんだん研究してきておる、こういうことを承わったわけでありますが、もっと具体的な規制措置に関する要綱と申しますか、もう少し具体化したものがまとまっておりませんか。もしまとまっておりますれば、私どもも国会の休み中に十分現地の事情等に照らし合せ、また関係漁民の要望等もしんしゃくして十分この機会に検討を加えておきたい、こう考えるわけでありますが、資料の段階でもけっこうでありますが、この際御発表願いたいと思います。
  27. 井村徳二

    ○井村政府委員 一つの試案は持っておるわけでございますけれども、これはこれからの検討でどうなって参るかわかりません。あるいは文書でお手元へ差し上げてもよろしゅうございますし、ここで申し上げてもよろしゅうございますが、まだ単なる私たちの側のみの試案でございます。
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 実は私五月十四日の日付の入った経済企画庁の案としての水質汚濁の規制に関する措置要綱試案資料一というのを拝見いたしておるわけでありますが、そうすると、これは企画庁だけの案であって、関係各省の意思統一がこのような形でなされており、まとまったものである、こういうことではないのですね。この点を一つお尋ねします。
  29. 井村徳二

    ○井村政府委員 流してはおりますけれども、正式に会議には出しておりません。こういう案でいきたいから研究してくれという程度であります。
  30. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私もこの試案についてもいろいろ意見もあり、申し上げたい点も多々ございます。しかし今日各地にトラブルが起っておりまして、早急にこのような水質汚濁の問題も防止しなければならないし、また起った事件についてもすみやかに補償等の措置がなされるために一つの基本法を早く制定してほしいというのが全漁民の強い要望であり、念願でございます。そういうような観点からこの際理想的なものは別としても、拙足のものでけっこうでありますが、早く制度を確立して実施の面において逐次改善をしていくというようなことでいいと思いますから、一日も早く水質汚濁の防止に関する立法措置を講ぜられ、来国会にはぜひ政府から提案されることをこの際強く要望して、私の質問を終ります。
  31. 中村英男

    中村(英)委員 関連して。企画庁政務次官のお話を伺っておりまして、少々がっかりしたのですが、実は近代産業、ことにパルブ事業の廃液の漁業に及ぼす影響が非常に甚大で、従来ケース・バイ・ケースでこれを処理しておった。そういうことが各地においていろいろ問題を起し、ことに先般島根県の益田市において漁民が市会で乱闘問題まで起して、過般当委員会で水産庁に調査方お願いしたのですが、そのときの田口君なり私の質問に対しては、これは水産庁の課長さんの答弁でしたが、今度の国会になるべく法案を提出したい、そういう御答弁でしたから、私も相当企画庁でも御検討願って、この国会の終りには法案が提出されるのじゃないかと実は期待しておったのです。期待しておりましたが、今お伺いすると、これは相当長い問題ですが、やっと四項目作って、これから審議会を作ろうかというようなことでは、なかなか次の国会にもとても間に合わぬのじゃないかという懸念さえ起きてきたんですが、これは各省寄って三月から検討しているということですから、ちょうど私ども委員会でこの問題を取り上げた直後ですね。これはほっておくわけにはいかぬというようなことで、そういう会合をおやりになったと想像するのですが、次の国会に水質汚濁防止法案をお出しになる相当の自信がありますか。
  32. 井村徳二

    ○井村政府委員 企画庁へ持ち込まれたというわけでございますが、御承知の通り、企画庁は調整していくという立場にありまして、これをプツシユして法律化していくことにつきましては、非常に努力することはお誓い申し上げますけれど、閣議へのプツシユ、政治力と申しますか、そうしたものを役所側にのみ課せられないで、一つ各位の絶大な御協力を賜わりたい、さようにお願い申し上げます。御意見は全く同感であります。
  33. 中村英男

    中村(英)委員 水産庁にお伺いしたいんですが、過般の当委員会において漁民との紛争問題を調査してもらいたいということで、おいでになったはずでありますが、ごく簡単にその辺の説明を願いたい。また私も実は調査に行きまして、その後知事と議会に対して仲に入って調停せいということを話したんですが、どうも私がここで質問したのと同じように、現地へ行ってみると、中越パルプの社長は、廃液は何らの害がないのではないかという考え方をお持ちのようです。従って、これは議長の取扱いも下手でしたが、そういうことで条件闘争が絶対反対闘争に転化していったんです。そういうふうに私は調査してきたんですが、これはやはり最初私どもが申し上げましたように、水質汚濁に対する法案がないから、こういう問題が起ったということははっきりしているのですから、向うにおいでになった結論というか、どうしたらそういう紛争が解決できるかという、その結論がありましたら一つその点お伺いしたいと思います。
  34. 新澤寧

    ○新澤説明員 過般委員会でそういうお話がございまして、さっそく水産庁から担当官を差し向けまして調査をいたしましたところ、いろいろ調べて参りましたが、基本的にはただいまお話がございましたように、水質汚濁という問題に対する認識の仕方におきまして漁民側と、工事を施工しようとする工場側、さらにそれの誘致を促進しております市側との間に非常な見通し等についての見解の相違がありまして、それがいろいろ事態を紛糾せしめる結果になったということは、まさにお話の通りのように私どもの担当官も見て来、そういうふうに感じて参ったのであります。ただその後いろいろああいう事件も起しましたし、また私の方からもいろいろお話を申し上げました結果、特に工場の誘致に熱心な市当局におきましても、従来の考え方を急角度に改めまして、一切を島根県知事におまかせをして、島根県知事が両者の間に立ちましてこの問題の解決に当るということをきめ、知事もその点を依頼をなされたようでございます。その後聞きましたところによりますと、数日前に県知事がその依頼を受けて正式なあっせんにつきましての会合を持ち、あっせんに乗り出したということでございます。基本的な問題は、工場側が現在の技術的水準において最も高度の浄化施設を持って、廃水汚水を海に流さないということが十分できますので、特に今後知事のこの問題の解決に当りましても、そういう技術的な観点に重点を置かれまして、特にその道の専門家であります二、三の学者、あるいは水産研究所の専門に研究しております研究者等をその委員の中に交えまして、技術的な検討を中心といたしまして、この問題の解決に進んでいこう、こういうように方針が定まりまして、すでにその方針で事態の善後処置に出発したというような報告を受けておる次第でございます。そういうことで問題を単に政治的に解決することなしに、技術的な観点から解決するという軌道に乗った方向がとられましたので、問題も逐次解決の方向に向っていくのではないかというふうに観察をいたしておる次第であります。
  35. 中村英男

    中村(英)委員 今の御説明にありましたように、やはりああいう事件を起した根本は、汚濁された水が漁族に及ぼす影響力の認識の相違からそういう問題が起った、こういうように御調査なさったようですが、そうだとしたら私ども先ほどの委員会で言いましたように、これはやはりそういう廃液がどの程度魚族に影響を及ぼすかという科学的なデータのつかみ方、そういうことをはっきり水産庁あたりが持っていないとそういうことを県の知事に委任されましても、実は県でも困っておる。県でいろいろ調査しましてもなかなかはっきりしたデータが出てこないのです。補償というふうな線に来ずに、漁業の振興費として従来出されておったのです。これは言葉を変えて言えば、そういう魚族に対する影響の度合いというものが科学的に学問的に出てこない。いまだに政務次官の御説では、これから審議会を作って、試案を持っているが、何とか今度の国会に出してもらいたい、出したいという考え方を持っておりますが、これも早急にはなかなか実現できにくい問題です。そうだとしたらやはり水産庁は、困難ではあっても科学的なデータを出すことを一つ御努力願いたいと思う。そうしないとなかなか知事が中に入っても困る。そういう点がございますから県だけにまかせずに、科学的なデータをつかむことに一つ努力を願いたいと思います。  これで私の質問は終ります。
  36. 田口長治郎

    ○田口委員 関連。ただいままでの鈴木委員中村委員の御質問に対しまして、関連事項としてお伺いするわけでございますが、井村次官のお話では、経済企画庁の試案なるものがまだ各省とも何も御相談がない、まだ固まっていない案である、こういうような印象を受ける答弁でございますが、私の記憶しておるところによりますと、あなたの役所が中心となって水産庁あるいは厚生省、通産省その他と幾たびも集まってこの問題について論議し、研究されて、そういうような機会をたびだび作ってやっておられるということを聞いておるのでございますが、今までの次官の説明によりますと、この会議話し合いといいますか、経過といいますか、結論といいますか、そういうものは何もないことになっておる。そうしてあなたの方の役所だけのほんとうに一方的の考えの試案である、こういうように解釈できるのでございますが、もしそうだとするならば、ただいま資料として発表されておりますそのほかに、各省関係者が集まって話し合った経過なり結論というものがなければならぬ。あるいはそれがないとすれば、今各省とまだ十分に相談していないがと言われるその資料が、各省と相談せられた結果まとまったものであるかどっちかでなければならぬと思うのですが、その点はいかがでございますか。
  37. 磯野太郎

    ○磯野説明員 ただいまのお尋ねにお答えいたします。先ほど次官の申しましたように、経済企画庁では四、五回会議をやりまして、その結果大体各省了解の一応の結論は出ておるわけでございますが、そのおもな点としては、一つは水質汚濁の問題は新しい問題であって、各国ともに先進国ではそういうふうな立法を持っておりますので、そういう新しい問題として考えていくということが第一点であります。それから第二点としましては、現在いろいろな法律におきまして多少水質をきれいにしなければいかぬというふうな規定に触れておりますけれども、そういう根本がございませんので、たとえば水質汚濁の防止法律というふうな基本法律を作ろうじゃないか、こういう点が第二点でございます。それから第三点といたしましては御承知のように水質汚濁の防止につきましては、水質の許用基準を作るとか、それからその汚濁についてのいろいろ処理をするとかいうふうな非常にむずかしい問題、かつ専門的な問題がございますので、中央に政府の補助機関としまして、たとえて申し上げれば、水質問題調整審議会というふうな審議会を作りまして、そこで重要な事項について考ていこうじゃないかということが第三点でございます。それから第四点としまして、水質汚濁の防止に関する実際の行政の処理としては、これは厚生省、建設省、通産省、いろいろ各省の行政面がございますので、そういう行政面で、今申し上げましたような水質汚濁防止の基本法の趣旨にのっとってやっていただくというふうなこと、以上申し上げました大体四つの点につきましては、各省の意見が一応了解点に達しまして、そういうことで、至急具体的なデータについて研究をしていこうじゃないか、こういうことになっております。
  38. 田口長治郎

    ○田口委員 この問題につきましては、各府県における水産業と、水質を汚濁する人との関係にいたしましても、あるいは公衆衛生方面から申しますと、飲料水その他の汚濁という点から考えましても、非常に逼迫をしておる問題であります従ってわれわれは議員立法ででも急いで汚濁防止を制定しなければならぬ、こういうようなこで進んでおったのでございますが、ある程度予算関係もございますし、でき得れば政府提案として、希望すれば今国会に出してもらいたかった、こういうような気持で各省に促進方を依頼をしておったのでございますが、井村次官はこの方面のことも相当御研究になっておられると思いますが、何か先ほどの答弁を聞いておりますと、そこまでせっぱ詰まった気持でおられないような、そういうようなふうに私からいたしますと考えられるのでございますが、きような事情で各府県でいろいろなトラブルが発生しておる。これの解決方法が、よるべき法がないからますます複雑である。また資源関係から申しましても、このまま放置しておきますと、原始産業が至るところで資源を枯渇されてしまう。従って生活のできないような国民がそこここにできつつある。さりとてこの方面だけを何とか処置するという考えでは、今度は工業その他に対する問題が非常にむずかしくて、この法律を作るのにますます困難を加える。こういうようなことで被害を与える者、被害を受ける者が一緒になってこの問題を処置するような、そういう意味における立法であればどこにも無理がないじゃないか、こういう観点から一応われわれとしても水質汚濁防止法というものの案を作っておる。この案はおそらく役所でも御存じと思うのでございますが、事を早く運ばせる意味におきまして、そういうものを一つの原案として一日も早く立法処置を講じなければならぬ、こういうふうに考えるのでございますが、非常にむずかしい問題で、基本的にまた初めからやり直すということになりますと、少くともこの問題は二十年か二十五年くらいは日本で論議されておる問題でございますから、それを初めの出発点にまた戻すということになりますと、これは大へんでございます。この二十五年程度のエキスを議員立法として一応立案したものがあるのでございますから、これを基礎にしたお考え方ということになりますと、やや考え方がたやすくなるんじゃないか、こういうふうに考えるのでございますが、この議員立法としてわれわれが原案を作ったものを御研究になって下さいましたかどうか。またこの問題を運ぶについては、何かそういうものをもとにした方が立法処置が早いじゃないか、こういうふうにお考えにならないかどうか、この二点についてちょっとお伺いしたいと思います。
  39. 井村徳二

    ○井村政府委員 実は私の関係しておりました製糸業も、二、三年前非常な世間を騒がしたような体験を身にしみてしたわけでございまして、御趣意全く同感でございます。議員立法の御趣旨もよく勘案いたしまして御期待に沿うように努力いたしますことをお誓い申し上げます。   〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 田口長治郎

    ○田口委員 もう余分な質問はいたしませんが、どうすることがこの法律を作るのに早い方法だろうか、この問題を一つ十分御研究になりまして、この次の国会には一つ政府案として提出していただきますように御努力を願いたい。われわれもまたその線に沿うて国会であらゆる努力を払うつもりでありますから、この一点だけを一つお願いしておきます。
  41. 井村徳二

    ○井村政府委員 御趣意全く賛成でございまして、どうか各位も一つ企画庁においで下さいまして、御協力願います。     —————————————
  42. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際厚生省の事務当局にお尋ねしますが、乳製品の問題ですが、三月上旬に有毒の乳製品が市販されているということが発見されて、それがその後処理されたと思いますが、この点に対しましては、厚生省当局としては、もうすでに相当期間も経過しておりますので、諸般の経緯というものは十分おわかりと思いますので、この際具体的な御説明を願います。
  43. 恩田博

    ○恩田説明員 御説明を申し上げます。今の御指摘の話が実は報道関係から若干入った事実があるわけでございます。従来ちょいちょいそういう話が出ましたので、われわれといたしましても内々調査はいたしておったのでございますが、たまたまその乳製品の製造する場所が、一つの県だけで作っております関係上、その県に対しまして、直ちに電話をいたしますし、情報を伝えましてその検査の結果を求めたのでございますが、その当時の結果といたしましては全然反応はなかった。それから今度はそれを消費します最も大きい都市が東京でございますので、東京都庁の担当の検査結果を求めましたところが、これも反応は出ておりません。それから一部国立の衛生試験所へ出したものがございましたので、その結果が少し遅れておりましたが、反応はその方も出ておりません。ですから私どもといたしましては、行政の形が知事に委任をしております関係上、府県におきまする各種研究施設、試験施設におきまする結果がそういうふうでありますために、私の方としては直接には取り上げてなくて、なお監視は続けるように指示はいたしております。そういう状況でございまして、結果としましてはそういう反応があるものは出ておりませんことを御報告いたします。
  44. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今御説明の中に、報道関係からそういう問題が出たということを言われましたが、報道関係というのは新聞ですから、いつごろの新聞にそういう問題が載ったか、その点はいかがですか。
  45. 恩田博

    ○恩田説明員 私が聞きましたのは、新聞には出ておりませんので、新聞屋がこれが正しいかどうかを確認に来たものと私は思っております。ですから、私どもとしましては、全然そういった結果の成績を持っておりませんので、その旨を伝えましたが、たといそういう情報があってもなくても、当然常時心配していなくちゃいけませんので、引き続き検査をやるようにというふうな指示をしておるわけでございます。先ほど申しました通り、新聞には出ておらないと思っております。確認に来たもの、こういうふうに考えております。
  46. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなた方は厚生省、しかも環境衛生部の所属なんですから、もう少し詳しくわかっておるのじゃないのですか。この問題はやはり軽々しい問題じゃないと思うのです。有毒の乳製品がしかも市販されておったという現実があった場合、それはやはり厚生省の立場におかれても詳しく内容調査を進めて、その真実がどうであるかということを天下に明らかにする責任があるんじゃないですか。それが報道機関の新聞にも全然載っておらない形の中で、そうしてそれが報道機関から問題が出たなんというのは、社会人としての良識から考えると、そういうことは了解に苦しむ問題です。ですから、私は特にメーカーであるとか具体的な問題にことさら今触れておりませんけれども、これは厚生省当局が十分その内容を知っておると思うので、あえて抽象的な質問をしておるのです。そういう意味で、もう少し責任のある具体的な説明をお願いしたいと思います。
  47. 恩田博

    ○恩田説明員 今御指摘がございましたが、実は報道関係の方からそういう連絡がありましたので、その真偽を確かめるということでもないのでございますが、ふだん検査をいたしております関係上そういう措置をとりまして、関係の県に検査をさらにやるように指示したのでございます。なお具体的に申しますならば、私の方で指示しましたものの中につきましては、その製造に際して使用したもの、たとえば原乳関係以外のものでございますが、それらのものにあるいは反応があったかなかったか、使ったものが出ておりますので、それについて反応を調べる、それを先にやりまして、その次には製品について検査をするように指示したのでございます。ですから、その結果におきましては反応は出ておりませんでしたが、なおそれでは不十分というか、あるいは検査漏れもあるかもしれぬということで、消費地であります東京都には相当な品が集まっておりますために、それらの製品につきましても検査をやらしたわけでございます。ですから、われわれとしましては、これは検査の方法か何かにあるいは誤まりがあったんじゃなかろうか、こういうふうな考えを実は持っておるわけでございます。
  48. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題に関連して、かつて森永の徳島工場で粉乳の砒素事件というのがあって、それは厚生省でも知っておりますね。それと類似のような問題じゃないかというように私は考えおるのですが、そういたしますと、厚生省のタッチした範囲においては、何年の何月の製品が有毒製品であるということに疑点を持たれて分析をやられたのか、これは何日の製品ということはわかるのですから、いつの製品がそういう有毒の製品であったということに疑点を持って、あるいは県であるとか、都庁の試験機関が分析したり、また国の試験機関がそれらを分析したか、その点を明らかにして下さい。
  49. 恩田博

    ○恩田説明員 日付というものは各製品につけてございますので、その製品を見ますと、これは何月何日に製造したということがわかるように実は法規できめられてございますし、もちろん書いてもございます。いつのが悪かったということは、そういう話が出ますと次から次へと日が変ってくるわけでございます。ですから、私どもとしましては、日はちょっと忘れましたが、昨年の十月か十一月ごろと思いましたが、そのころ以降のものにつきましてやるような指示をしております。なお、もしその前のがあればそれも取り寄せてやるように、こういうことでございます。データを今持っておりませんので日ははっきりわかりませんが、大体その以後のものであるものにつきましてはやっておるはずでございます。
  50. 芳賀貢

    ○芳賀委員 非常に抽象的でそれじゃわからぬです。ですから、たとえば報道機関からこういう有毒製品が出ておるという事実を指摘された場合、そういう事実はないということを回答されたんでしょう。その裏づけをなすものは、やはり何月何日の製品がこういう毒素が混入しておるということを指摘された場合には、その製造月日の入った製品を分析しなければ、それが有毒であるかどうかということはわからないと思うのです。ですから、何月何日の疑わしい製品を対象にして、それを分析した結果、それは全くの危惧であって、有毒でも何でもない、食品としての資格を備えたものであったということが確認されたと思うのです。これは毒素の入っていない日付の製品を分析した場合には何にも問題は出てこないと思うのです。ですから、これが危険だと認められる製造月日の入った製品を分析しなければいけないと思うのです。ですから、何月何日の製品を分析したということは厚生省としては確認されておるのでしょう。その点を私は聞いておるのです。
  51. 恩田博

    ○恩田説明員 ごもっともでございますが、先ほど申しました通り、報道の人は、何月何日に入っておったというのじゃなくて、そういう話があるようだがどうか、こういうことでございましたので、私どもは、そこにその報道の人もおったと思いますが、すぐその県に電話しまして、その結果をその前で引き写して見せたことはございます。ただ向うでやったことを知らないことはございます。ですから、報道関係から何月何日に入っておったということはなかったのでございます。ですから、私どもはたといそれがうわさでありましても非常に困る。先ほどお話のように、先ごろの事件のこともございますので、相当大きな問題になりますので、うわさであってもこれは処置しなければいかぬということで、われわれとしては相当の大きな処置としてそれをとってみたのでございます。その結果なかったということで、やはりこれはそれだけのことであったろうかということで下げられたように私は承わっておりますが、実態は何月何日というのじゃなくて、そういうことがあるようだが、ということでありましたので、一応やったわけであります。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは具体的にお尋ねしますが、その有毒と疑わしい製品を分析した機関はどことどこですか。先ほどもちょっと触れたが、もう一度繰り返してお伺いします。
  53. 恩田博

    ○恩田説明員 福島県の衛生研究所と東京都の衛生研究所、厚生省の衛生試験所には、その会社が毎日定期的に製品を届けておるようでありますで、それをたまたま調べたその結果が連絡があったと思います。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういたしますと厚生省の場合は、各乳製品会社が製造する毎日の製品を厚生省へ試験のために届けてよこすわけですね。厚生省は各メーカーから提出された製品を恒常的に全部検査あるいは分析して、その内容がどうであるかということを確認しておるわけですね。その点はどうですか。
  55. 恩田博

    ○恩田説明員 製品を衛生試験所に送てよこすようにということにはなっておりません。これはたまたま前に事故がありましたために、各業界が自粛しまして、製品については努めて検査をして出すという方針をこの前立てまして、それを実行しておる一つの現われであります。たとえて申しますと、子供に飲ませるものにつきましては、乳製品技術協会をして検査をさせるというふうになっております。たまたまその会社では研究施設を持っておりますけれども、かつて事故もありましたために、なお念のために衛生試験所の方に送って検査をしておったものと思います。
  56. 芳賀貢

    ○芳賀委員 こういう人命に関するような食料品に対して疑わしい問題があるということがわかった場合に、どうして国の研究所がこれを取り扱ってみなかったのか。ことさらに福島県と都の研究所とかにまかせて、厚生省としては全然これにタツチしなかったということですね。
  57. 恩田博

    ○恩田説明員 実体が県の知事の委任事務でございますので、一応県の方で検査をやりまして、幾らかでもおかしいというふうなことがあったならば処置するのが行政の形から必要であろう。もちろん私の方は全然やらないのではございませんで、むしろ検出することを当時は希望しておったような形であった。ところがどうしても出ないということでございますので、なおかつ継続検査をするようにということにしまして反応のあるものにつきましてはそのつど報告するようにいたす。なお私どもとしましては、たまたまうわさでありましてもこういう問題があったことにつきまして、今後ともなるべく近い機会にそういう機会を作りまして、一斉に検査をしまして安心のできるものを出さなければいかぬという決意を固めております。その後大阪等でやったことがございます。その結果につきましても、ものは若干違っておりましたけれども比較的いい結果が出ております。これは毒素ではないのでございましてまた人命にかかわるとか規格にはずれるという程度ではないのでありますが、そのうち比較的成績のよくないものにつきましては、私どもの方でも、本社は東京にあるものが多うございますので、本社の担当者を呼びまして厳重に注意をし、今後注意を払うように指示はいたしております。
  58. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは福島県と東京都庁の研究所の分析の結果は、当然厚生省に報告がきているわけですね。そういうものは当委員会に資料としてお出しになれるでしょうか。
  59. 恩田博

    ○恩田説明員 検査の成績書は一応参っておりますが、継続しているものもございますので、なるべく早い機会に早急にまとめまして御提出できれば御提出いたしたいと思います。
  60. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に有毒製品だと認められるような製品が東京都内で市販され、その現品が速急に回収されたというようなことも一部には伝わっておりますが、そういう点に対してはどういう処理をされたか。厚生省がそういう問題を調査されたか。あるいは都庁等から、こういう疑問のあるような製品は会社の方で回収したという報告があったか。厚生省自身としてそういうことが行われた事実を調べたことがありますか。
  61. 恩田博

    ○恩田説明員 そういった製品が市販されておりましたものを集めたかということでございますが、これがこの事件の始まりであろうと私は考えておりますけれども、事の始まりは、ある会社の製品のものについてカビがはえておった。カビがはえておりますことは、場合によりましては別に有毒ではないのでございますが、商品的の価値としては非常によろしくないというようなことから、東京都がその会社に対しまして、カビがはえておったのがあるようだがということの指示をしたそうでございます。その会社といたしましては、カビがはえては商品価値的には非常に落ちるからということでそれを回収したということは、東京都から連絡がきております。そのことで砒素が入っておったのではないかということを実は報道関係から連絡があったわけであります。私どもはその事件は東京都からの連絡によりましてそれは単にカビであったというふうに承わっているわけでございます。
  62. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その問題を厚生省の方でカビだったということを、厚生省が弁明したりそういう理由づけをしたというふうに聞いておりますが、厚生当局の方でいやこれはカビだったんだということを発表したのではないですか。きょうは国会の幕切れで時間がありませんから十分お尋ねすることはできませんが、大体きょうは経過等を聞いて閉会中の次の委員会等においてはもう少し具体的なお尋ねをしたいと思いますので、明らかになっている点はなるたけ本日明瞭にしていただきたい。
  63. 恩田博

    ○恩田説明員 私の方からカビだったという表現はいたしておりません。これは東京都で検査しました結果でありますので、私の方は、東京都の報告を聞いて、そういうことであったそうだ、なお新しい事態があったならば何とか善処したい、その結果はお知らせする、こういうふうにしておりましたので、私の方で発表はいたしておりません。東京都でそれを抜きまして検査しました成績も実は出ております。それをあわせて資料としてお出ししてよろしければお出しいたします。
  64. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そのカビの製品がどの程度に回収されたかという具体的な内容に対しても資料としてお出し願いたい。  それから先ほど報道機関から指摘されたということを言われましたが、私もその当時の新聞等を調べても、具体的な事実として全国的な大新聞にも全然載ってないのです。ただ一つ株式の動きの中に、そういうことが若干指摘されているような記事がある。その問題が起きたということに基因して、その会社の株が値下りをしておるということが伝えられておる。そうなるとこれは全然事実無根で何でもないことが、株の値下りを誘発するというようなことにはならぬと思う。そういう点あなたの方では、やはり毎日の経済の動きとか、特に乳製品会社の株式の動きなどというものは調べておると思うのですが、やはりその株の値下りと、その会社の乳製品にそういう有毒と認められるような疑わしい問題が起きたということが、一番鋭敏な性格を持っておる株に響いたのではないかと私は思っているのですが、その点はどういうようにお考えですか。
  65. 恩田博

    ○恩田説明員 株の値下りとの関係でございますが、私ども先ほど申しました通り、新聞は、あわてて集めたから、これは何か入っているのじゃなかろうかというふうに感じられたのではなかろうかと思うのであります。そのために、何かおかしなことがあったんじゃないかということを考えられたために、最も心配のある有毒成分ではなかろうか、こういうふうに考えられたのじゃなかろうかと今もって考えておりますが、それが派生的にうわさになりまして、ずんずん広がっていったものであろうかと思いますが、私どもの方といたしましては、もちろんいろいろな毒物等に関しましては注意をしなければなりませんけれども、そのもの以外の、たとえば生物学的のことにつきましても、一切全部にわたりまして注意をして、非常にその製品としてよろしくないものを集めさせた、商品的価値としてよろしくないものを自発的に集めたということであって、それから先は進んでおりません。ただうわさとしましては、株式の会社が、あの話はほんとうであろうかということを、聞きに来たとか電話で連絡があったとかいうことは承わっておりますが、そこら辺が、今指摘されましたように、芳賀先生が御承知であられるような程度に皆さんが知っておられたことが、そういうように響いてきたのではないかと私ども考えております。なお私どもとしましては、先ほど言う通り、決してこれが終って一安心したというのではなくて、たまたま食品衛生法の改正がただいま社会労働委員会にかかっておりますので、これが終りましたときには、直ちに全国的に一斉にやりまして、国民の安心できるものを出すことは計画として実は持っておるわけでございます。先ほど申しましたように、悪いから株が下ったということもございますが、私どもとしましては、一切悪いものは売らせないということでございますので、たまその製品が、東京都の連絡によりますとカビが生えておった。自発的にそれを回収した。回収する方法については、私どもよく存じておりません。どういうふうなことになっておりますか知りませんが、私どもとしましては、もしそれが御指摘のように有毒成分で、人体に非常に有害な成分であるということでございますれば、直ちにこれは処置をとるわけでございます。あるかないかわからないものを大騒ぎしますと、かえって業界も混乱しますし、いわゆる営業関係の影響も、将来非常に大きな影響を受けますので、私どもとしましては、実はこれは慎重に取り扱っているつもりでございます。  なお現在までのところでは、一応新聞にも出ないで、先ほど御指摘のように、経済界のことも幾らか考えているだろうと言われましたが、経済的にも影響がなくて、まあまあというふうな気が実はしているわけでございます。今後とも継続して検査をいたしますし、一斉検査もやりますが、いささかでも懸念があるものにつきましては一ペんに処置をとる、こういうことについては一つも方針を変えておらないつもりでございます。
  66. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題が、今恩田さんが言われたようなことであれば、それに越したことはない。また具体的な事実の上で確認されない限り、こういう問題があるというようなことは、軽々しく伝えらるべきでないし、そのことによるいろいろな経済的影響とか社会的な不安というものは、これは慎重を期さなければならぬ。ただそういう純粋なことでなくて、たとえば特定のメーカーとかあるいは政府機関が、利害の上に、あるいはそういう黙約の上に立って、ことさらに事実があるのをないがごときことにして、社会不安を防いだり、経済の一つの動揺を防ぐというようなことは、これはいけないことだと思います。それは結局人命を軽んじて、特定の会社の利益のために動くというふうなことになると思うのです。慎重を期してもらうということは、これは非常に好ましいことであり、けっこうなことでありますが、その慎重を期するという表現の陰に隠れて、人命を軽んずるような行為がある場合においては、これは断じて許せないと思う。ですからこういう点に対しては、やはり責任のある調査とか研究の結果というものは、率直にお示しになる必要があると思う。私の持っている新聞によると、ある会社が不良品を出したということで、十円方株価が暴落したので、その会社側が、いやそういうことはないのだということを盛んに否定したり、弁明した結果、また五、六円戻したということが、この記事に載っているのです。ですから、やはりそういう株式市場に現われた一つの現象というものは、これは全く根拠のないものの上に立って株価の変化が現われるわけはないじゃないかというふうにわれわれは考える。それとたまたま符節を合せるように、今の説明によると、ある会社の製品で、カビの生えた製品がその当時市場に出されたというようなことでありますけれども、こういう点に対しましても、新聞報道も、特に食品であるから慎重を期して、各社が一斉に、具体的にそういう問題を取り上げなかったと、私は善意に解釈をしているわけですが、そういう内容等に対して、もう少し知っている範囲のことを、この機会に説明願えれば説明してもらいたい。
  67. 恩田博

    ○恩田説明員 ただいまの芳賀先生のお言葉は非常にありがたいことでございまして、いやしくも人命に関係あることにつきましては軽卒にすべきではない、その場合は断固として処置をしろということでございますので、私ども日ごろそれを念願して努力しているつもりでございます。なお、今後もそういうことがございますならば、さらにこれを徹底しまして、社会不安を起すようなものは一つも出さない、こういうことに努力をいたします。なお、今後ともどうしても御不審と申しますか、製品について御不安があるというような御意見でもございましたならば、私どもの方としても取り上げる所存でございますが、たまたま今回の問題は、福島県の方が先に手をつけておりました関係上、組織的な関係からそちらにまかせて検査を願っておったわけでございますので、その点は一つ御了解を願いたいと思います。なお私どもといたしましては、従来とも人命を守るために努力しておりますので、そういう懸念があるものにつきましては、努めて社会不安を起さないように、内々にこれを調査する。疑いの念が幾らかでもあるという場合には、直ちに処置をとっておるつもりでございます。今後とも御希望の線に沿いまして、研さんを積み、そういうことのないように努力いたしますが、なお私の方でも来週早々に、これとは別でございますが、技術の向上をはかるために県の担当者を呼んでありますので、その際、こういったことも議題に出して大いなる努力を払って参るようにいたしたいと思います。なお、検査の方法と申しますものは、私どもの方では技術的に方法がきまっております。たとい私の方がそれを隠しましても、県でやる方法も同じでございまして、やり方が上手とか下手とか、なれているとかいないとかいう点が若干はありましても、検査の方法が実はきまっているわけでございます。東京でありましても、福島でありましても、大阪でありましても、福岡でありましても、検査の方法は同じでございますので、われわれの方としてはその会社が大きいからあるいは小さいからといって隠すことはできないわけでございます。かりに東京で隠しましても、神奈川県で出ますれば同じでございますので、そういう点、われわれとしては政治的な解決というものはとってもおりませんし、とる所存もないのでございまして、検査した結果がデータとして堂々と出てきます。御心配の点について申し上げるわけでございますが、今後ともそういうことは一切いたすことはなかろうと思います。一応、念のために申し上げておきます。
  68. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間の都合もありますからこの程度にしておきますが、実はきょうは環境衛生部長の楠本さんにきてもらって責任のある答弁を聞きたいと思ったのです。しかし、参議院での法案審議の関係もあって出席できないいとうので、あなたにかわって答弁してもらったのです。先ほどの資料は必ずお出し願うように、これは委員長からお取り計らい願います。  最後に一点お尋ねしたい点は、そういうことはないと思いますが、もしそういう製品が現実の問題として出てきた場合はどうしますか。あなたの方では毎日の分を全部分析して検査するのでそういう心配はないといって、たまたまカビのはえた製品があったということだけをお述べいただいたのですが、製品には月日が入っていますから、そういうものが市販になってだれかが買い求めて持っておってあとで発見される場合もあるし、そういうものが現実に出てきた場合はどうなるのですか。
  69. 恩田博

    ○恩田説明員 検査をやっておりますために、その報告が私どもの方へ参って、いささかでもこれはおかしいということがありますれば、当然直ちに、この前の事件のときと同様な手を打たなければならないと思っております。大体私どもは、いつもそういう状態が起り得ることを考えて毎日の仕事をいたしておりますので、その際には円滑に行き渡るような処置をとりたいと考えております。     —————————————
  70. 小枝一雄

  71. 赤路友藏

    赤路委員 前の委員会漁業用燃油の問題について御質問申し上げ、資料の御提出を願うとともに、三十年末業者の方から重油値上げに対する申請があったことについて御質問を申し上げましたが、お調べになった結果について御答弁を願いたい。
  72. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 実はそのときは私が鉱山局へ参ります前の時代でありましたので、先生の御質問を受けましたあとすぐ役所の受付の帳簿書類を調べましたが、書類としてそういうものが出ている事実を発見することはできませんでした。また当時仕事を扱っていた鉱山局内の者について聞きましたり、また石油連盟の方も調べてみたのでありますが、そういう申請を文書をもってしたという証拠ははっきりとつかむことができなかったような次第であります。
  73. 赤路友藏

    赤路委員 それではそういうことは正式に通産省の方にはなかった、こういうお答えであったと確認いたしましょう。  それから資料の御提出を願ったのでありますが、この資料によりますと、原油精製の過程における各油種別の得率が全然わかっていない。この前たしか鈴木委員の御質問に対して御説明があったようでございますが、あの御説明はどうも明確でないように思うのですが、得率ははっきりわかりますか。
  74. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは毎年あるいは毎期の石油製品の油種別需給関係によって若干の変動があるわけであります。しかし、それらは大体鉱山局で資料としてそろえてあるのであります。最近の数字について申し上げますと、これは年間平均のものでありますが、たとえば昭和三十一年度について申しますと、揮発油は二五・五%、灯油が六・五一%、軽油が七・四五%、重油が五〇・二六%、その他合せて九〇・八六%ということになっております。揮発油について一応年次別に見てみますと、三十一年度はそういうように二五・五%でありましたが、三十年度は二八・一六%、二十九年度は二六・六%というようなわけで、三十二年度見通しとしては二六・五%というふうに考えております。三十二年度におきます油種別のいろいろな需要の変動によって若干の違いが生じてくるかと思いますが、そういうことになっております。重油について見ますと、三十年度は四六・六四%、二十九年度が四七・三六%で、三十一年度は重油の得率は過去三年のうちで一番高いということになっております。その程度の変動があるわけでありますが、ただいま申し上げましたようなことから得率の概数はつかめるというように考えております。
  75. 赤路友藏

    赤路委員 重油の場合五〇・一六、A、B、Cの区分はどうなってますか。
  76. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 A、B、Cの三つの区分については、私ただいま資料は持っておりませんが、A重油だけについて申しますと、全体のうちの大体六%くらいが普通で、昨年度の下期は、石炭が非常に足りなくてB、C重油の量が非常にふえたので、若干これは低下しておるというふうに考えております。
  77. 赤路友藏

    赤路委員 この資料は、原油価格、重油の油別の精製原価があるわけなのです。私が今収得率を特にお尋ねしたことは精製価格が、A、B、C三段階に分けて、A重油が九千九百円、B重油が八千円、それからC重油が七千円、こういうふうに出ておるわけなのでありますが、少くとも精製原価がこうして出てくる限りにおいては、収得率が十分基礎になって価格算定がされておる、こういうような考え方で、収得率が不明確のままではこの価格の算定は不可能であると思う。そこで収得率を特にお尋ねしたわけであります。そうすると九千九百円、八千円、七千円というこの原価の算定基礎は、今局長が御説明になりましたように、三十一年度の収得率の平均によってお出しになったということですか。
  78. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 原油の原価あるいは精製品等を油種別に配分する場合には、過去の最近の機械の生産量とその販売価格というものを基礎にして油種別に割り振りをしていくというのが通例のやり方であります。従ってこういう計算をする場合には、その期あるいはその年度の価格なり生産予想量というものは不確定なものでありますからこれは使わないで、なるべく最近の年の安定した姿のものをとって、その生産量と販売価格をかけ合したものでもって、全体の原油の購入価格から精製品に至るまでの原価を割り振っていくということが普通のやり方になっておるわけであります。
  79. 赤路友藏

    赤路委員 今の説明ではちょっと納得いたしかねるのです。原油を輸入して、それによって各種油を精製する。そうすると、そのそれぞれの工場の機械の装備であるとか能率であるとか、いろいろファクターがあると思う。それから今度は原油それ自体の性質も収得率には関係を持ってくると思う。そういうものが基礎になり、それにいろいろな経費が加わってきて初めてこれが出るのじゃないかと思う。それでは九千九百円というのはあなたの方で計算されたのですか、それともどこかの会社から出てきた数字なまのものなのか、その点はどうなのですか。
  80. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは一つの会社の数字ではございません。われわれがすべての会社から資料をとりまして、それを総合して調整いたしたものでございます。
  81. 赤路友藏

    赤路委員 そこに問題があると私は思う。今のあなたの答弁をそのまま聞きますと、各会社から数字が上ってくる、その各会社から上ってきた数字を、あなたの方の考え方と申しますか感覚でこれを操作して、そしてこれを出したということになる。それではほんとうの精製原価が出ないのではないかと思う。この点について、ちょうどこの前川上さんが局長のときも、いろいろ問答をしたわけです。そのときは、この前の委員会でも問題になりましたように、法的にそれらの会社をいろいろと調べるような根拠がないので、これはなかなか調べられないのだ、だから重油ボイラーの法律を通してもらうと、そういう法的な根拠ができるから、それらのものも十分調べることができます、こういうことであの法律は通っておるわけでございます。そうすると、あのときから今日すでに一年七カ月たっておるのに、何らやっていない。やはり各工場から出されてきた数字があくまでも基礎になって、それに通産省の方の考え方が加わって、この価格が出たのとすると、私は精製原価というものは非常に基礎が薄弱なものだというふうに思いますが、どうですか。
  82. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいまの私の御説明の印象が、この資料の基礎になるものは、各社からきたそのままのものであるというふうにおとりいただいたのかもしれませんが、そういう意味ではございません。これは大体FOB価格なりあるいはCIF価格というものは、われわれ客観的につかむことができるわけであります。それから問題は精製費ですが、これは各社の言い分をとっておりますと、あるいは非常に大きいものになるかもしれませんが、これはわれわれが相当な査定をいたしまして、ある程度の圧縮を加えて出したものであります。そういうわけで、われわれとしては相当客観的な判断をして修正をしたものであるというふうに考えております、
  83. 赤路友藏

    赤路委員 一応局長の言うことを信用いたしましょう、おそらくそういう形でやられたと思う。そこでやはり根本は、この前も局長は、その法律はできたが、いろいろ検討してみたところが疑義があったというようなことをおっしゃっておる。ほんとうにこの原油の原価決定、今精製原価の決定をしようということになりますと、まず鉱山局の方で少くとも会社の内容、実態にわたって調査をする必要があると思う。これがどうも疑義があるということだったのだが、その点もう一度御説明願いたいのです。
  84. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 その後というのは、先生の御質問を受けましてからその後でございますが、法制局にいろいろ問い合せをいたしました。人によってはいろいろ意見の違いもあるのでございますが、われわれとしては法律解釈の担当の方の意見を尊重するしかないので、その方にいろいろ聞きました。その結果は文書ではもらっておりませんが、一応口頭のものといたしましては、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の六条に、重要な用途に重油の供給を確保するためには、政府は必要な指示ができるとあります。八条にまた、この法律を施行するために必要な報告を関係の製造業者、販売業者、輸入業者から徴することができる、こう言っておる。それらを総合して考ますと、政府が何らか重要用途に対して、供給確保のための指示をする場合には、そういう価格についての指示もできるのだから、その場合には用途の調査をすることも可能であろう、こういう一応の口頭の回答を得ております。われわれとしては、今後必要な場合にはそういう解釈に従って動いていきたいと思います。
  85. 赤路友藏

    赤路委員 それで法律ができて今まで一年七カ月、これはやられなかったことがはっきりした。法制局の見解で、そういう事態が来たときはやれ、こういうことであります。それで今局長からもそういう事態が来たらやる、こういうお話を承わったのです。そこで私が申し上げたいことは、私が説明するまでもなく局長自体御承知だと思うのです、油の日本産業に及ぼす影響というものが非常に大きなものだ。何といっても産業の基礎資材であるということは間違いない。これの価格の高低ということがあらゆる面に影響を及ぼす、そういう事態が来たなれば調べますということではない、私はそう思う。これは重要な基本資材であるだけにそういう法的根拠があり、法制局がそういうような見解を持っておるなれば、少くとも私はやるべきだと思う。これは日本産業に大きな影響を及ぼさないような、あるいはもっと極端に言うならば、副資材のようなものなればこれは別です。そうじゃない。重要な基本資材だ。だとするなれば適正な価格を出すということが、行政官庁としてはとられなければならぬ措置ではなかろうか。だから当然その事態が来たなればやるというのじゃなしに、やられなければならぬと私は思うのだが、局長はどうお考えになるか。
  86. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ボイラー等規制法の六条で、いろいろな供給上の、それも重要な用途に対して指示をするときには、それに必要な基礎を持っていなければならない、こういうことであります。その場合考え方としては、先生の言われるような考え方もあり得ます。われわれとしては、行政指導で事柄がおさまる範囲ならそれでいいのだが、それ以上に政府の指導ではだめで、やはり法律に基く指示を出さなければいけないという段階になりましたら、その場合遺憾のないような基礎的な資料をとるということも必要だと考えております。
  87. 赤路友藏

    赤路委員 これはこれ以上やりましても、議論になると思いますからやりません。局長の言葉を信頼いたします。  それから需給計画なのですが、需給計画の表をいただいた。これはこの前に石山委員鈴木委員が御質問になったのですが、この需給計画を見てみますと、A重油の方では高い輸入の方が多くて、安い国内産の方が少い、こういう数字になっておるわけですね。これは先ほども言ったことでありますが、非常に重要な資材である、こういう観点の上に立った場合、需要者の立場というものも十分考えの中に入れるならば、むしろ安い国内産のものをより多く確保するということをおやりになるのが、私は行政庁としては当然のことじゃないと思う。高いものを買わせて使わすよりも、安いものを使わせるということに私は重点を置かるべきだと思うのだが、これは逆になっておる。ちょっと納得しかねるのだが、これに対する見解はどうです。
  88. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 先生のおっしゃる通りだと思うのであります。われわれも、できるだけあらゆる油種にわたって、低廉なものをもって充足することを理想としてやっていかなければならないと考えます。しかしながら現状では、一体原油を輸入する場合に石油の需要量を基礎にしてその数量をきめるか、ガソリンの需要量を基礎にしてその輸入量をきめるかというところに大きな問題があるわけでありますが、従来原油の輸入計画をきめる場合には、必ずガソリンの量を基礎にしてきめておるわけです。その結果重油がどうしても国内精製のものでは足りなくなって、ある一定量を輸入しなければいけない、こういう格好になっておる。現状では幸いにしてガソリンが、特殊な航空揮発油を除きましてはほとんど全部国内で自給しているという格好になっておりますが、これをもし逆にしまして重油を全部国内で自給するということになりますと、原油の輸入量を非常にふやさなければならぬ、その結果ガソリンが生産過剰になる、これはどこかへ持っていって売らなければならぬ、こういうジレンマにあるわけであります。現在としては、ガソリンの需要量を基礎にして原油の輸入量をきめるということになっておる。その結果、重油の面では需給上は多少輸入で補うという、やや不満足な結果になっておるわけでございます。こういうことは基礎的な問題でありまして、将来われわれの考え一つとしては、もう少しガソリンの輸出を考えて、できるだけ原油の輸入量をふやすという方向に持っていきたい、そうすれば理想に近づいていくということになると思います。現状では、ガソリンの輸出ということも国際資本と戦っていかなければならぬ、そう簡単な道ではございません、けれどもわれわれはそういう方向に向って努力していきたい、そういうふうに考えております。
  89. 赤路友藏

    赤路委員 いろいろ事情があるだろうと思う。そこでその点は一つ了解いたしておきましょう。  そこでA重油ですが、A重油は聞くところによると日本固有の需要であって、外国では使っていないように聞きますが、これはどうでしょうか。
  90. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 外国では、A重油という規模のものは明瞭にはありません。しかし大体少しずれてはおりますが、似たような規格のものがあるわけであります。従って実質的に言って、A重油に類似したものの需要が外国では全然ないということは言えまいかと思います。ただ規格は、日本のJISできめておるA重油の規格と同じようなものは、外国ではそのままはありません。若干似たようなものがないとは言えない、こういう状況であります。
  91. 赤路友藏

    赤路委員 これも私は一つの問題だと思うのですが、日本で使うA重油と同一の規格のものはない、しかしそれに似たようなものがある、こういうことになりますと日本へ輸入するようなA重油は特別に作らなければならぬ、こういうような格好になるのじゃないか。そうなって参りますと、非常にA重油を使用する日本の立場からいきますと不安定なものだ、こういうことが言えると思う。こういう点も、A重油をできるだけ国内産で、原油から精製したものでまかなっていてもらいたいという一つの理由になる。この点は一つお含みおき願いたいと思う。それからいろいろと調整の関係もあるだろうし、ただいま局長が御説明になったようなこともあろうと思う。ただほんとうに行政庁の方で真剣になって、このA重油なりあるいは国内で使うところのB、Cオイル等をより多く出さなければならぬというような考え方になるなれば、それだけの行政措置といいますか、行政指導は十分できなければならぬと思う。先ほどの御説明にありましたように、A重油の収得率が六あるいは七、多くて七、少いときには五、こういう程度なんですが、しかし本気になってこれをある程度確保しようとするなれば、私は相当いくのだと思うのです。ちょっと調べてみたところによりますと、アラビア原油でやった場合、A重油は大体三十一から五十四の収得率があるこれは名前は申しませんが、ある精製工場の方からのデータですが、そういう状態なんです。だから必ずしも六とか五とか七とかいうものが固定したものではない。これは採算上不利であるからやらない、こういうことにすぎぬと私は思うのです。私があえてこういうようなことを申し上げるのは、先ほど言いましたA重油漁業にとりまして非常に大きな生産のウエートを占めておるものだから、特に零細な漁民は最近では値上げのために困っておるのです。それだけにそうした面をも加味されて、行政指導は誤りのないようにお願いをしたい。この点については御答弁は求めません。  それから四月二十二日に、鉱山局長名で地方通産局長あてに、「海上用のBC重油の価格について」という通牒をお出しになっております。これは先般の委員会でも御答弁を願ったのですが、その通り千五百四十円の値上げを通産省は二十三日発表しておるわけです。この通牒を見てみますと、一キロリットル当り原則として千五百四十円値上げを行なったものをもって妥当とする、こういうことがうたわれて、それから項目の第一のところに、輸入重油への依存度の高い石油会社の価格の値上げについては特に弾力性を認め、画一的な取扱いに堕さないようにせられたい、こういうことが一項に書かれているわけです。この意味が私にはわからぬのですが、原則として千五百四十円の値上げを行なったのが妥当である、しかし輸入重油への依存度の高い石油会社の価格の値上げについては画一的であってはならぬということになると、上の方へは無限制にいくということになる。これは原則なんだから、二千円になっても三千円になってもよろしゅうございますぞ、輸入重油に依存度の高いところのものは二千円に上っても、三千円に上ってもよろしいというふうにとられますが、これに対する御答弁をお願いしたい。
  92. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 あの通牒に書いてありまする千五百四十円程度の値上げが妥当であるという原則は、全国平均の場合のものでございます。個々の会社について言いますと、、輸入分が供給の大部分を占めるという事例もないわけじゃないのです。そういう場合には輸入分が非常に高いのでありますから、一律に原則で縛っておったのでは、これはどうもまずい結果になると思います。しかしながらこれは勝手にそういうことをやってよいという意味じゃありません。通産局がいろいろな調停をする場合の基準として、その通牒を出したのでございますから、そういう例外を認めてよいかどうかという場合には、通産局がよく審査をしてやるというふうにわれわれは考えております。
  93. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと水産庁の次長にお尋ねいたしますが、これは海上用のBCオイルなんです。それだけに非常に影響するところが多いのですが、この通牒を鉱山局長名で出すときに、そうあなたの方では了解してちゃんとやったのですか。
  94. 奥原日出男

    奥原政府委員 千五百四十円の値上げにつきましては十分協議をいたしたのでございますが、実はこの通牒を出されます前には、この内容につきましては御相談をいただいておりません。
  95. 赤路友藏

    赤路委員 そうすると、千五百四十円という値上げについてはほぼ了解をした、こういうことですか。
  96. 奥原日出男

    奥原政府委員 さようでございます。
  97. 赤路友藏

    赤路委員 この値上げをすることについては、水産庁もこれはやむを得ずそうされたということを今次長も答弁で言っておる。ところがこの通牒については全然事前に相談を受けていない。通産省の立場からいくと、一々そういうことを連絡する必要もないかもしれぬと思いますが、このBオイルを使う船というものは、外へ出るのではなしに小さい船なんです。  水産行政に対する影響というものは非常に大きい。こういう場合には、やはり事前にできるなれば連絡をしてやってやることが、横の連絡をとる面でもやはり正しいやり方じゃないか。今後こういうことのないようにできるだけ緊密な連絡をとって、一つおやり願いたいということを御注文申し上げておきます。  そこで千五百四十円の値上げを指示された後、末端価格がべらぼうに飛び上っている。調査によりますと、岡山県の牛窓では市況が一万四千円、それから長崎県の野母では一万四千五百円、宮崎県の土々呂では一万五千五百円、こういうふうに指示前の価格プラス千五百四十円プラス・アルファということになっておる。しかもこのアルファ分が千五百円から二千円、こういうように上っておる。結果からいきますと千五百四十円を原則として値上げするということを指示した結果、これをごく一部でしょうが、こういうように一応末端では三千円もしくは三千五百円の値上りがある。この千五百四十円の値上げの通牒をお出しになった後において、何か末端のBCオイルの価格調査をやられたことがございますか。
  98. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 BCオイルと言われましたが、B重油につきまして、五月の初めごろに通産局を使って主要な地点の末端価格の調査をいたしたものがございます。それによりますると、これは販売条件いかんによりまして非常に価格が違ってくるわけでございます。バルク売りとドラムカン売りとで若干違いますし、それから支払い期限のいかんによってまた違っておりますが、一応私どものところでわかっておりますところを申し上げますと、北海道の函館でバルク売りが一万五千五百円、これは三十日ないし六十日の手形払いであります。三重県の鳥羽、バルク売りが一万三千五百円、これは現金売りです。それから岡山県の牛窓、これはただいまお話がありましたが、バルク売りでなくてドラム売りで一万三千円、これは現金売りです、それから長崎県あたりでございますと、バルク売りで一万二千五百円ないし一万三千五百円、ドラム売りで一万二千五百円から一万三千七百円、これは現金売りであります。そのほか鹿児島では、これは枕崎でありますが、バルク売りが一万五千円、それからドラム売りが一万五千二百円、これは現金売りであります。なおドラム売りよりもっと小口のガロン売りについて申しますと、一万六千円くらいになっております。そういう調査の結果はわかっておりますが、なおしかし個々の場合にはこういう平均的なものとは違った例もいろいろございましょう。それがまたあるいは不正な取引というように見ていいものもなきにしもあらずと思いますが、こういうものは随時御指示をいただきましたならば、通産局をして十分措置をしていきたいというふうに考えております。
  99. 赤路友藏

    赤路委員 今局長の御答弁になりました各漁港における価格は、やはりこの指示前の価格プラス千五百四十円——これはそれぞれ条件があるから必ずしも千五百四十円を固執してはならぬのですけれども、しかしながら、それから見ましてもやはり私は高いと思う。それはその指示によってむしろ指示額以上につり上っているように私には考えられる。そこでもしもそういうような事態が今後の調査によって明確に把握できた場合は、これは当然調整していただかなければならぬ、この点一つ御希望申し上げておきます。それからこの千五百四十円の値上げを妥当とした基礎は一体どこに置かれているのか、数字的にあればお教え願いたい。
  100. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 この一−三月に中東紛争の影響を非常に受けまして、石油製品一般が急激な値上りをした。そこで急速にこれを調整するための手を打たなければならないということで、私どもの方ではいろいろ原価の調査をしていったわけでございますが、やり方としては、海上用B・C重油につきましては一昨年の二月現在の価格を一応据え置くということで今日に至っているわけであります。それでそれを基礎として、その後の原油あるいは製品のFOB価格あるいはシフ価格の方がどの程度であるかということは、客観的な資料で相当容易につかめるわけであります。その分を計算しまして継ぎ足した。そして千五百四十円という数字を出したということであります。従って現在、この通牒を出しました時点におきますあらゆる限界要素はどうかということを洗うことはしないで、ただ原料のコスト高をそのまま継ぎ足したという考え方をとったわけであります。これは限界要素を洗い始めると、とても切りがなくて間に合わないというので、便宜そういう方法をとったわけであります。
  101. 赤路友藏

    赤路委員 今の点、先ほどのA重油の場合とも関連があるのです。私は率直に言わしていただきますが、今までの通産省の方の重油に対する価格対策というものがそういう形でやられてきておる。ここに一つやはり問題点があると思う。今後これらの点については十分慎重に、少くとも納得のいくような数字の上に立って、科学的な基礎の上に立ってやっていただくように御注意を申し上げておきます。  もう時間もだいぶたっておりますから、一つ簡決に御答弁を願います。次に、全漁連に対する外貨割当を私は四年前からやかましく言っておるのです。三十年度には、ようやくひもつき外貨といいますか、変な形で妥協された。私は今日に至ってもやはり外貨を割り当てるべきであるという意見を持っております。これはもう説明しません。この前のとき私が申し上げた通りなんです。少くとも重要な基礎資材である石油価格、重油価格が、すべて油の価格が、一方的な石油カルテルの独占形態の上でやられるということではいかぬ。だからどうしてもこの際アウトサイダーを入れて、これを少しでも抑制していく、こういうような観点の上に立って——特にそれが一点と、現在の零細な漁業家に対する生産コストを下げるという意味からも、私は依然として外貨を割り当てるべきだという意見を持っております。割り当てる意思はありませんか、ありますか、この点を……。
  102. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これは一般の外貨割当の原則に従って処理しなければいけないと思います。別に石油製品だけの問題ではないと思います。通商局でいろいろ外貨割当の方針をきめておりますが、その方針が変らない限り相当困難だと思います。
  103. 赤路友藏

    赤路委員 外貨を割り当てる意思はないという御答弁ですね。しかし外貨を割り当てなくとも、御意思に沿えるような措置はとれるんだというふうに私は解釈しておきます。しかし二十二国会で、前の松尾鉱山局長は、参議院の農林水産委員会で、森崎隆君の質問に対して、こういうことを言っておるのです。「A重油を買い付けることが、何か世界の油の事情から非常に困難であるとか、あるいはむずかしい事情を伴うようなことに相なりますれば、そういう情勢のときにはこれはA重油だけをということには参らないわけで、そういう情勢になれば原油をということに当然考えざるを得ないと思います」これは割当の問題なんです。だから情勢が非常に困難になった場合は、A重油だけでない、原油の外貨割当を考えざるを得ない、こう言っておるんです。そうすると、今のあなたの答弁と、大きな食い違いがある。少くとも法律の解釈であるとか、あるいは議会におけるわれわれに対する答弁とかいうものは、担当の行政官がかわったら食い違いがあるというのでは困るのです。これをどうお考えになりますか。
  104. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 それは係官が変って方針が変るということはよくないことだと考えます。しかし現在の状態から見まして、私の先任者がそれほどの意味のことを言ったといたしましても、現在この仕事を担当しているわれわれとしては、こういう点でそういう考えはとれないということをよく御説明申し上げ、御納得いただくように努力をすべきだというふうに考えております。
  105. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかのだ。あなたの言うことはよくわかるのだが、そうすると局長がかわるたびに都合のいいような答弁で、そこだけを糊塗してしまったらあとは知らぬぞということになるあなたは一生局長をしているわけじゃないのだから。松尾君の場合だってそうだった。しかし少くとも局長たる者が発言したことは、ことに二十二国会で何ぼもたたぬのだから、責任を持ってもらわなければかなわぬと思うのです。そのときだったら食い逃げですよ。これは食言というやつです。これは松尾君のことだからあなたにやかましく言ってみても話にならないと思うのですが、これでは私は困ると思います。  そこで私は考えていただきたい。あなたの言うこともわかる。わかるが、あなたも私の言うことはわかってくれていると思うんだ。この前も言ったでしょう。お調べ願ったかどうかわかりませんが、水産物の輸出の獲得外貨の一割を還元することくらいは何だと私は言っている。しかも沿岸の諸君が輸出した一割三十五万、それくらいのものは何ですかと言っている。これは外貨割当の基本的な方針というものがおありだろうから、あなたにここで言ってもすぐどうというわけにいかぬと思う。しかしながら少くともわれわれはそういう考え方の上に立っておるんだということをお含み願って御努力を願いたい。努力してもらえますか、どうですか。
  106. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 水産業が非常に外貨を獲得いたしておりますることとか、あるいはそのほか経営上一般製造工業とは違ったいろいろな困難があるということはよく承知して、できるだけ水産業に対しては低廉な油を供給できるように努力をする、私はこういう気持で今後もやっていきたいと思います。
  107. 赤路友藏

    赤路委員 もう一って言っておきます。というのは、関税定率法による母船式鮭鱒、それから南氷洋の捕鯨船、これは全部免税のオイルを積んで南方へ行く船です。南氷洋へいくのはポンド外貨を持っていって安いやつを買っている。そうすると、これは運輸省関係であるが、政府機関であることは間違いない、それが大資本漁業に対しては安い油を買わすように外貨の割当はするが、零細な漁業に対しては知らぬ顔をしておるということに結果はなると思うのです。これは私は悪いというのじゃないですよ。そういう国際漁業をやって、しかも鯨にしても鮭鱒にしても、これらはすべて輸出が主体です、そして外貨を獲得していくのだから、これは日本の経済の立場からいって当然できるだけコストを下げてそして外貨を多く獲得さそうという意思があってやられておることだから、けっこうだと思う。けっこうなことだが、現実に現われておる姿はそういうふうにとられても一言もない形にあるということを考えてもらわなければならぬ。ああ、そうですか、それじゃそんなものやめましょうと言われたら、これは困る それにもやる。そして当然それと同じように、より以上に保護しなければならない零細なものに対しては外貨の割当はできませんというのじゃおかしいじゃないかというのです。だからここのところで、今私が言ったのも一つの理由なんですから、これらの点も一つ十分に考えていただきたい。三十一年の港湾及び運航経費を見ますと、上期が二千七百九十三万六百九十二ドル、下期が二千四百二十七万六千三百三十二ドル。三十年度の母船漁業を調べてみますと二百二十四万二百三十ドル、これがポンド外貨です。その他北洋の母船分は四十二万四千九百七十ドル。これは大蔵省から出たデータです。こういうものがあることをお含み願って、今後真剣になってこの外貨割当についてはお考えを願いたい、こういうことを申し上げておきます。これは答弁願っても同じ答弁しかもらえぬから、答弁は要りません。  それから現在まで全漁連の方と交渉していますね。現にやっておるわけですが、その経過はどうなっていますか。
  108. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 全漁連に対してできるだけ安い油を供給しようということで鉱山局としてそのあっせんをいたすことになっております。大体今後半年間にあっせんいたします国内精製の量は四万キロ、下期といいますかその後の半年のあっせん量は最初の期の全体の取扱い量の実績を見て、実績が非常にふくれればその実績に従ってふくらましていこう、大体半年ごとの実績によって次の半年のあっせん量を増大していこう、こういうことで大体水産庁と了解がついております。ただいまそういうことでありましてこれから適正価格についての話し合いをするということにいたしております。できるだけ早くまとめまして、その効果を早く上げたいと考えております。
  109. 赤路友藏

    赤路委員 せっかく御努力を願っておると思いますから私はここでとやかく申し上げません。ただ申し上げておきたいことは、全漁連に十万トン出して、それが軌道に乗ったのは割合おそかったのです。特にこの外貨割当の問題は、私の先ほど言ったように四年越しの問題なんです。それで末端の漁協の諸君は投げておったのです。ところがこれがかなってできて、ようやくこれが軌道に乗ってきておるときなんです。まさに軌道に乗ってきて、これからというところなんです。だから、昨年の全漁連の扱いの油の量を基準にするということは私は酷であると思う。伸びるがそういうことで伸びたときはふやそうというのだからけっこうです。だから大いにこの点やっていただきたい。ただしそれは四万トン、そうすると全体の量は何ぼですか。
  110. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 一応国内精製と輸入分とが五分々々になるように持っていこうという前提にやっておりますので、国内精製四万キロリットルといいますと一応半期で八万キロリットル扱うということになります。従ってそれをそのまま年間に計算しますと、年間十六万キロリットル扱うということになりまして、先生が今御心配になりましたような過去の実績の程度に縛っておるものではなくして、すでにこの四万キロというものが過去の実績から見ると相当ふえておるというふうに考えております。
  111. 赤路友藏

    赤路委員 さっき鈴木君が質問したときにB重油のことを言っていましたね。あれは何ぼになっていますか。
  112. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 このB重油の量につきましては、適正な需要量が幾らかということはまだ水産庁とも話し合いができておりませんので、私はここですぐ申し上げることはできません。もう少し両者話し合いをした上で申し上げたいと思います。
  113. 赤路友藏

    赤路委員 それでは話し合いをしていただきましょう。そこでBについて御希望だけ申し上げておきます。というのは、B重油需給計画によると、生産が三百二万キロリットル、輸入の方が三十万、これは率でいくと十対一になりますね。そうなってくるとBの場合考慮されなければならぬことは、やはりA重油も同じでありますが、Bの国内産の原油からする精製原価は安いわけなんですから、この需給計画による生産と輸入の比率をそのままこうあげられますか。量は何ぼになるか、それはこれから話し合うからわからぬとして、これを一体どういうふうにして渡してやるか。輸入はやはり高いですからね国内の方はあなのた方の資料によるとB重油は原価が八千円ですか、しかも国内が多いんだから、その比率で渡してやる、こういうお考えはどうでしょうか。
  114. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 実は重油の取引の実態につきましてはまだ十分な調査ができておりません。どういうところから買っておるのか、また現にどのぐらいの割合で買っているのかということは実はわからないのであります。それを調査した上で、しかし趣旨からいいましたならばやはり高い輸入分を平均よりもよけいつかまないように持っていきたいというふうに考えております。
  115. 赤路友藏

    赤路委員 それはそれでよく御考慮おきを願うことにして答弁は求めません。それから価格のことですが、価格はまだ話し合いできまっていないそうですが、少くとも国内産の原油から精製の原価が九千九百円ということは一応資料としていただいておりますからこれが基礎だと思うのです。この上にプラス工場の利益率ということになるわけですが、何ぼぐらいをお考えになっておるかお漏らし願います。
  116. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいままだ水産庁と話していないので明確なことは申し上げられませんが、考え方としては一体一般の製造工業の平均利潤を取ればいいんじゃないかというように考えております。
  117. 赤路友藏

    赤路委員 それもこれ以上答弁を求めたってどうかと思いますから答弁を求めません。ただここで一言申し上げておきたいと思いますのは、かりに四〇%か五〇%か知りませんが、国内製品をやる、あるいはAAで入れる、そうするとAAで入れる場合外貨がやはり問題になる。入れてくると相殺しなければならぬ。これはやはり順調に入らないと実際上の問題として困るわけです。そういうことで外貨保有の状態をちょっと調べてみた。ほんとうに安心できてやっていけるのかどうかということ、三十一年十二月に十四億三千五百万ドル、それから三十二年の四月に十一億六百万ドル、四カ月の間に外貨保有は三億二千九百万ドル減じておる。そうするとこのほかにインドネシア、韓国の焦げつき分が二億七千万ドル、これを差し引きますと外貨の保有額は八億三千六百万ドルということになる。政府が今日まで常に言っておるところの適正な外貨保有の額というのは九億ないし十億ドルである。そうするとこれだけですでにその政府の適正な外貨保有額を大きく下回っておるというのが現在の実態になっておる。しかもこれは表面上のことであって、この外貨保有のなお残されたものの中にはユーザンスによる支払いの繰り延べ分、これは借金でしょうね、これが四億七千万ドルある。これは何かというと綿花、石油その他等々です。これを差し引くと正味の保有外貨というものは三億六千六百万ドルということになる。しかも政府手持ち外貨の中の日銀の保有分が四億二千五百万ドルと推定されるのですが、そうすると外貨ゼロだという算術になるわけです。そうすると先々輸入に非常に不安が残るという点がございます。これは何も鉱山局長の方の所管内のことでないので御答弁は求めないのでありますが、こういうような外貨保有の現実というものもやはり考慮していっていただかなければならぬ。それだけに私たちは今話し合いを進められておるこの過程においても、できるだけ一つ国内の精製されたものを割り当てるという形がやはり安定するんだ、こういうふうに考える。ぜひそういう形でお話し合いを進めていただきたい。今まで水産庁次長水産課長も聞いておられるだろうから、私たちはそういう考え方の上に立っておるので、どうかそういう点を十分お含みになってお話を進めていただきたいと思う。いかがでしょう。
  118. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 大体これから実施いたします数量をいろいろきめるというようなことについての基本的な点は話し合いがついておりますので、これを急に変えるということはちょっと困難かと思いますけれども、そういうA重油の輸入が非常に困難になってくるというような場合には、おっしゃるごとく今ような形だけでは無理だと思います。国内精製のものを多分に供給するということも考えていかなければならないということは同感でございます。     —————————————
  119. 小枝一雄

    小枝委員長 この際お諮りいたします。理事稲富稜人君より理事辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めます。つきましてはその補欠委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、中村時雄君を理事指名いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時三十一分休憩      ————◇—————    午後三時四十七分開議
  122. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  愛知公団用水の事業運営の問題について調査を進めます。本日は参考人として愛知用水公団総裁浜口雄彦君、理事伊藤佐君、理事中川良吉君、以上三名の方をお呼びいたしたのでありますが、浜口総裁は風邪のために長くこの席におることができないということで、一応御出席になりましたが、そういう理由で帰宅されることを委員長において了承いたしまして、ただいま御出席は伊藤、中川両理事でございます。それではまず参考人の方から愛知用水公団の事業進捗状況について説明を聴取することにいたします。伊藤参考人
  123. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 ただいま委員長から御指名いただきました伊藤でございます。公団発足以来現在までにやって参りましたことにつきまして、ごく簡単に御説明を申し上げたいと思います。その前にただいま委員長からお話のございましたごとく、総裁が健康上の理由で、先ほど参りましたが退席をいたしましたことを深くおわびを申し上げます。  公団が発足いたしましたのは昭和三十年十月十日でございました。その発足直後におきまして農林大臣から、愛知用水事業の基本計画を示されまして、その基本計画に基きまして実施計画の樹立を命ぜられたのでございます。これは愛知用水公団法に基いて命ぜられた次第でございます。自来実施計画の作成、大きく申しますと工事着工のための諸準備をただいままでやって参ったわけでございます。その準備の点を大きくわけますと、一つ国内的のものでございまして、もう一つは対外的のものになるわけでございます。国内的の問題といたしましては、先ほど申し上げました基本計画に基きまして工事の実施計画の樹立をやって参ったのでございますが、何分にも三県にまたがりまする非常に広い範囲にわたるものでございます。ダムありまた水路ありということでありますので、一時に実施計画の樹立ということはなかなか困難でございますので、まず最初にダムの面の実施計画の樹立に力をそそぎまして、昨年の十月にダムの実施計画を完成いたしたのでございます。それに並行をいたしまして水路の関係のものを調査、測量をいたし、実施計画の樹立の準備をいたして参ったのでございますが、大体におきましてただいままでに水路を二分いたしまして、上流部分につきましてのまず公団としての原案的なものは大体準備完了いたしておるのでございます。なお続きまして下流部におきまする実施計画をただいま作成をいたしておるような次第でございます。なお実施計画の作成に当りまして、御承知のようにこの事業は農業用水を主といたしまするけれども、そのほかに発電の関係がございます。なお水道の用水あるいは工業用水というふうな関係がございますので、農林省時代から引き継ぎました計画に基きまして、発電関係におきましては関西電力、それから水道、工業用水につきましては愛知県と、それぞれ事業実施に必要な協定をいたして参ったのでございます。  それから対外的の関係といたしましては、これは世界銀行の借款を目的とするものでございますが、その世界銀行の借款の前提といたしまして世界銀行の方で信頼をする外国の技術者のアドヴァイスを受けてやるということに、農林省時代からの世界銀行との約束と申しますか、そういう条件がございますので、それに基きましてこれまた農林省時代にきっかけを作っていただきましたアメリカに本社を持っておりますエリック・フロア会社との協定を昨年の五月に結びまして、昨年七月以来現地の方にエリック・フロア社からそれぞれ技術者が参りまして、その技術者と公団の技術陣営とが一緒になりまして調査をいたし、測量をいたし、計画を立てて参ったのでございますが、先ほど申し上げましたように実施計画につきましては、ダムについては十月半ばにでき上りました。なお水路につきましては、幹線水路につきましては一応のものを昨年の十一月の初めまでに作りました。それらのものを一括しいたしまして世界銀行に対する説明の資料といたしまして昨年の暮れに公団の技術を担当いたしております桜井理事以下の者がアメリカの方へ参りまして世界銀行の方と折衝をいたしたのでございます。技術の面につきましてはすべて了解をつけて参ったのでございます。たまたま向うに行っております途中におきまして、資金の計画の面におきまして去る一月中旬に政府の方針が変りまして、余剰農産物の第三次分の受け入れが中止される結果になりましたために、公団の従来の資金計画に変更を及ぼさねばならぬということになりまして、その点につきましては農林省が主となっていろいろと資金計画の変更につきまして御配慮いただいておるような次第でございます。  大体におきまして公団発足以来今日までやって参りましたことは、ただいま申し上げたようなことでありますが、要するに農林大臣から示されました愛知用水事業の基本計画に基きまして、工事を始めるための実施計画並びに世界銀行に説明をいたしまする計画の作成をやって参って、今日まで至った次第であります。
  124. 小枝一雄

    小枝委員長 次に参考人に対する質疑を行います。  石田宥全君。
  125. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま御報告を伺ったわけでありますが、昭和三十年十月からずっと農林省が当初設計、計画をいたしたものに基きまして準備をお進めになっておられるわけでありますが途中において資金関係は第三次余剰農産物の受け入れが取りやめになったので、その点についての資金計画の変更はこれは当然なことであると思いますけれども、今日まで実施計画についてダムについては三十一年の十月ごろに実施計画が完成し、幹線水路上流部分は同年の十一月ごろに完成をしたということでありまするけれども、また下流の分については、いわゆる支線水路については実施計画ができ上っておらないということでありますが、当初われわれがこの法案を審議いたしました際には五カ年で完了をするということであったわけであります。今申し上げたように資金関係については重大な変更がありましたから、資金についての変更から来る障害は別問題といたしまして、今日までこのように遅滞いたしておりまする一番大きな原因というものは一体どこにあったわけなんですか。お尋ねしたい。
  126. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 ただいまお話のございました点にお答えする前に、支線水路の点につきましても一言お話いただきましたので、その点申し上げます。  さっき申し落したのでございますが、支線水路につきましてはこれは大部分愛知県並びに岐阜県の方にお願いをすることにいたし、この方の協定もすでにそれぞれ結んでおりまして、ただいま県の方で支線水路の実施計画の作成中でございます。  その次の今まで遅延しておるという点については何が原因かというお話でございますが、これは御承知のように農林省から示されましたものは基本計画でございまして、これは申し上げてみれば技術的にあるいは経済的に可能であるという、そういう一つの可能性を見当づけたというふうな、大ざっぱなと申しますと語弊がございまするけれども一つの計画、それに基きましていよいよ工事をやりますためには相当これは詳細な実施計画を立て、さらに御承知のように設計をやっていかなければならぬということになります。ダムにいたしましてもまず日本といたしましては今まで二、三例はございまするけれども、非常に大規模なロックフィル・ダムという新しい形式のものでございまするし、それから水路にいたしましても幹線だけで百二十キロございまして、支線を入れると千三百キロにも及ぶというふうなものでございます。そのほか非常に地形等も錯雑いたしておりますので、それに関しまする実施設計計画並びに実施設計を完全に立てまするためには、これは相当に努力いたしましてもある程度の日数はかかるということでございまして、私どもといたしましては微力でございますが、公団全員あげて今までやって参りまして、その間準備に全力をあげて参り、特におくれておるというふうには考えておらないわけなのでございます。
  127. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 支線の部分は工事は県に委託されるということを承わっておりましたが、実施計画も一切県に委託されることになるのですか。
  128. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 実施計画、それから設計並びに工事監督、これは一切県の方に委託をすることになっております。
  129. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま伊藤参考人の御説明によりますと、当初の農林省の作った設計に基いて実施計画はやっておるけれども、非常に複雑な事情があって、ことにダム等については新しい試みでもあるので、相当むずかしい点があるということであります。そういたしますとわれわれが法案を審議いたした当時は、ほとんど当時の計画はそう大した変更をしたり、あるいは実施設計にたくさんの時日を要するようなものではない、ほぼ完璧な設計計画であるという話を承わっておったわけであります。従って五カ年間で完成をするということを聞いておったわけなのでありますが、今のお話によりますと、当初の農林省の計画設計というものがずさんであった、そこで実施設計をするのに非常な長年月を要する結果になった、こういうふうに承わるのですが、そういう事情なのですか。
  130. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 私の申し上げようが悪かったので十分に意を尽さなかったと思うのでありますが、農林省の計画がずさんであったとかいうようなことは絶対にございません。ただ基本計画というものの性格上、これは実施計画あるいは実施設計とはおのずから違いますので、それで計画にはかわりはございませんけれども、それを実際に実行に移しますためには、たとえば水路で申しますれば、こっちを通った方が安く上るとか、あるいはどうだとかいうことが出てくるわけでございます。それが非常に広範にわたっておりますために、またそのためにあらためて計画を立てるためと、それから実行に移すためのさらに一歩進んだ調査というふうなものも必要でありまするために、おのずからそこに時日がかかるということでございます。それからなお五年間でできるかどうかというお話でございますが、これはただいまわれわれのところでやっております見当から申しますれば、所定の年月内に十分やり得る、こういう確信を持っておるわけでございます。
  131. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 当初の計画設計と実施設計との関係は、私も直接事業をやっておりますので知っております。しかし承わるところによると、相当数の職員、技術官を配置されておって、その職員や技術官が十分に仕事が与えられないで、ほとんど開店休業のような状態が長く続いておるということの訴えを聞いておるわけなのです。今のお話でありますと、そういうようなことがないようはお話しになるわけでございまするけれども、フルに職員やあるいは技術官を使うことができなかったというのは、一体どういうところに原因があったのですか。
  132. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 ただいまのお話でございますが、これは時期的に見ますと非常に忙しい時期と、そうでない時期とおのずからあるわけでございます。たとえて申しますれば、公団の発足当初におきましては、非常に事務的な陣営が極端に忙しいということがございます。その後また予算の編成期というふうなところになりますと、これは事務も技術もともに忙しいということもございますが、おしなべて見まして、ただいまお話しのような十分に活用されておらぬというふうな点につきましては、私どもはみんな一生懸命働いてやっている、十分に全力をあげてやっているだけの仕事がある、かように考えておるのでございます。
  133. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで一つ伺いたいのですが、こういうふうな三百億以上の大事業でありますが、現地にはそれぞれりっぱな建物が建って、設備が完備しておる。しかるに東京に総裁室というものをわざわざ設けられて、その東京が本拠なのか現地の名古屋が本拠なのか、一向わからない。ことに、これは職員の方から聞いておるのでありますが、役員の人たちの中には家族を東京に置いて、東京が生活の本拠のような状態にありながら愛知に本拠かあるという名目にして、東京の自宅に来ることを、これを主張ということで費用弁償を取っているというような事実があると指摘されておるのでありますが、さような事実はないのでありますか。
  134. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 ただいまの前段のお話の、東京が本拠かどちらが本拠かというお話でございます。これはむろん法律にも示されておりますように、名古屋が本拠でございます。ただ事の進行の状況によりまして、最初のうち、特に工事の始まりますまでは対外的な関係、対政府関係あるいはまた対世銀関係等の、東京におきまして比較的折衝を要するような事項が多いために、東京の方に総裁なんかもおることが多いというふうなことはございますが、しかしこれとても、いよいよ工事が始まって参りますればおのずからそこにどちらの方に重点が置かれて参るということは、これは当然であると思うのでございます。  それから役員等でこちらに家族を置いておって、そうして向うの方におってなお東京の方へ、家族のところへ出て参るときに、出張というふうなものがあるかどうかというお話でございますが、この点は私どもも最初、公団のこういったような東京にも連絡所がある、名古屋に本拠があるというような点につきまして各方面、ほかの官庁その他銀行会社等も参考にいたしまして、そうして一つ制度を作ったのでございますが、大体名古屋に駐在をいたしております者が東京へ参りますときには、東京に参ります旅費を出す、それから東京に本拠が——これは少数な人間でございますが、東京におりまして名古屋の方へ出張するという形のときは、名古屋に行くときの出張旅費を出す。ただし東京にたまたまうちがありまして名古屋に駐在をしている、名古屋から東京に出て参るというふうな場合におきましては、極端に、普通政府で認められました旅費の数分の一のものを給する、こういうふうな実際の運用をいたしております。
  135. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 本拠は名古屋だということでありますが、名古屋に本拠があったならば東京は出張事務所というようなものであるべきだと思うのですが、総裁室というものを東京に設けられたということは、総裁はその本拠と離れて、別に活動をしなければならないような事情があるのですかどうなんですか。聞くところによると、総裁は愛知へは年間に二回ないし三回しか行っておられないということでありますが、私どもとしては、名古屋に本拠があるという以上は、そういうことはあり得ないと思うのであります。この点はどうしても納得がいかないのですね。東京を本拠にして向うへ出張するなら出張する。ところが名古屋に本拠を置いて、総裁室だけを東京に置いて、そうして総裁は東京を中心にして活動しておる、これはやはりいろいろな疑惑を生むところの私はもとになると思うのであります。今の総裁としての仕事と、それから公団の実務というものの関係は一体どういう状況になっておるのですか。
  136. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 ただいまの点私からお答えいたすことが適当かどうかわかりませんけれども、先ほど申し上げましたように、ただいままでの過程におきましては、比較的中央の折衝が多いために、総裁も主としてこちらにおります。なおさっきお話がございました年に二、三回ということ、これはどういうふうなことがお耳に入っておるか知りませんが、月に一回くらいは向うへ参っております。なお総裁室の問題でございますが、これは総裁室の主力はやはり名古屋の方に置いてございます。たまたま総裁がこちらにおります場合に秘書の者はこちらにおりますけれども、それ以外の総裁室の者は全部名古屋の方におるような次第でございます。
  137. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 総裁も副総裁もおられませんので、根本的な問題はあまり御質問申し上げてもどうかと思うのでありますが、事務的な点をちょっと伺いたいのですが、現在愛知用水公団の人件費を中心とする一カ月の経常費と申しますか、これはどの程度になっておりますか。
  138. 中川良吉

    ○中川参考人 最近の一カ月の支出は大体一億円前後でございますが、それは事業費と人件費、その他一般管理費とを合せたものであります。三ど年から三十一年まで、本年の三月までの総額で申し上げれば、大体それで一カ月の平均がどのくらいになるかということがおわかりいただけるかと思います。支出の総額は三十年公団が創立せられましてから本年三月までの累計の支出額が十八億円であります。このうち事業費に属しますものが八億三千万円、一般管理費が四億九千八百万円、固定資産の取得費が四億一千三百万円、ほかに少々借入金の利息であるとか、事業資金融通であるとか、小さなものは六千万円ぐらいでありますが、大体それで十八億円になると思います。そういう振り合いであります。
  139. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大体十八億のうちの事業費、管理費、固定資産の取得費その他ですが、人件費はどのくらいですか。
  140. 中川良吉

    ○中川参考人 ただいま申し上げました一般管理費が四億九千八百万円でありますが、このうち役職員の給与費が二億三千三百万円であります。
  141. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、大体事業費というものがまだあまり多くかかっておらない段階でありますが、かなり巨額の経費がかかっているわけであります。そこで昨年の春ごろからしばしば、今度は近く告示になるんだ、今度は告示になるんだ、あるいは三月だ八月だいうふうに伝えられておったわけでありますが、いまだに告示の段階に至らないというのは、先ほどお話がありましたように、実施計画が樹立されないためにそうなっているのか、あるいは資金関係に問題があったのか、あるいはその他に事情があったのですか。
  142. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 告示の点でございますが、先ほど申し上げましたように、告示は、これは実施計画ができまして、関係県と協議をいたしまして、協議の経過を具しまして農林大臣の方に申請をして初めて農林大臣の方で受け取られるというかっこうでございますが、告示の前提になります実施計画、とりあえず山の分につきまして、昨年の十二月の半ばに関係各府県に協議をいたしまして、その協議は返事のあったところもございます、あるいは返事のないところもございますが、その返事のないところにつきましては、その経過を具しまして農林大臣の方に申請をいたしたということでございます。その後状況の変化、すなわち資金関係の変化等ございまして、それがまた世界銀行等に対する説明の関係等がございまして大体こういうことになっている、こういう状態でございます。
  143. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そういたしますと、先ほどの御報告で、支線の水路を、実施設計が県に委託しているので、まだ完了しないということでありますが、今のあなたの見通しでは、いつごろこの実施設計が完了し、いつごろ告示の申請ができる段階でありますか。
  144. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 いろいろこの点につきましては、告示のやり方の問題もあると思うのでございます。大体全部すっかり完了いたしましてからやるというやり方もございますが、それから部分的にできたものをある程度まとめてやるというやり方もあると思うのでございます。ただいまわれわれの方といたしまして考えておりますのは、ある程度部分的にまとまりましたものを逐次やって参るというようなことで今日はお願いしている次第でございます。
  145. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農地局長に伺いますが、告示というものは、やはり全部の実施設計が完了いたしませんと、農家の負担区分等が明確にならないという関係があると思いますので、やはり実施計画が完了した後に告示をされるのが建前ではないかと思うのでありますが、公団の方としては、もちろんこれは事業団体でありますから、便宜上切り離して、ダム部分ならばダム部分だけあるいは幹線水路ならば幹線水路だけというふうに切り離して片づけていった方が都合がよいというお考えのようにも承わるわけでありますが、局長は一体この告示についてはどういう方針でお臨みになるお考えですか。
  146. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 公団の実施計画の告示に関しましては建前は石田委員のおっしゃいます通りに考えております。ただそのために実施が著しくおくれるおそれがある場合には、農民負担の点とか事業費の点とかいうことが、少くともただいままでに公団が努力して作ったものの最新版を正直に出しまして、そうして関係地元のお方々の同意を伺う、こういう建前でございますから、その趣旨を曲げない範囲で最近のものでありますれば、工夫して出すのも一応と思いますが、今出ておるのはそう認めておりません。
  147. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 今の段階ですと、局長の考えではおおよそいつごろになったならば告示のできる態勢が整うお見通しなんですか。
  148. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 公団の方が農民代表を含めましたわれわれ農林省の研究結果を了とせられまして、必要な二点ばかりの訂正を出されれば、できるだけすみやかに告示をして着工を早くするのがいいと思っております。昨年末に提出になりましのは、伊藤理事からもお話がありましたように、ダム部分だけでありまして、その事業費負担区分と三十年の当時の余剰農産物受け入れが打ち切られました現在の状況を反映しておらないものを提示されておりますので、第一にはすでに世銀にも桜井理事が提示した程度のものは掲げるべきだという意見を申し上げた。それに応じまして幹線水路以降についても若干計画書をつけ加えて三月十五日に御提出になりましたが、その間におきましても先ほどお話がありましたように、長野県知事に対する協議書はきませんで経過だけが提出になりました。五月四日になって口頭報告があったのでございます。そこで私どもは幹線水路その他でも、特に幹線水路につきましては、重要な部分で負担区分特に農家負担にも関係が多いから、最新版をもちまして再提出をされるように数回にわたって公団に申し入れ、通達をしておるのでありますが、その同意をされませんで、まだ出しておりません。きょうの昼も実は公団の総裁にもその趣旨を申し上げておるのでございます。
  149. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 次に資金関係を伺いたいと思うのであります。当初の計画では見返り資金が百六十八億受け入れの予定であったわけでありますが、今まで第一次分、第二次分が五十八億九千万円ほどで、第三次の受け入れは政府の方針として打ち切りになったわけです。この関係と、それからきのうもある新聞によりますと、世銀の資金が二十九億ほどに変ったということであります。当初は三十六億と記憶しておるわけでありますが、世銀借款三十六億が二十九億何がしかに変更になりますと、それに伴う資金計画というのはどういうふうに変更されたのでありますか。
  150. 中川良吉

    ○中川参考人 世銀の借款額は当初は一千万ドル、三十六億円ということで考えておりましたけれども、その後輸入機械の検討をいたしました結果、それほど所要がないということになりましたので、輸入機械を含めて約八百万ドル、邦貨に換算して二十九億、あとの機械は国産機械で間に合うということでありますから、円資金で調達いたしたいと考えております。
  151. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 事業費総額では当初は三百二十一億余でありますが、きのうの新聞の発表を見ますと三百三十一億という数字に変えてあるようであります。これは今のお話によりますと、相当に金額が変ったにもかかわらず、世銀の関係は大幅に減額したのは一体どこに大きな理由があるのでしょうか。
  152. 中川良吉

    ○中川参考人 三百三十一億の案は、当初三百二十一億でありますから十億円ふえておるわけでございますが、工事費その他出たり入ったりはありますけれども、幹線水路の方で当初の計画よりも多少多くなりそうであるという関係で幹線水路の工事費が若干ふえております。その他堰堤方面では多少減っておるところもありまして、総額としては十億円の増加になっておる、こういうことであります。
  153. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 幹線水路の方では相当額ふえて、ダムの関係では当初計画よりは相当減っておるようでありますが、その金額はおよそどの程度の増減があるのですか。
  154. 中川良吉

    ○中川参考人 堰堤の方では当初の案に比べまして三百三十一億の案では一億六千九百万円の減少になっております。幹線水路におきましては九億九千六百万円の増になっておりますので、その幹線の増加が全体としては響いておるわけであります。その他支線等についてははっきりしたことはまだ固まっておりません。
  155. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 さっきのお話によりますと、ダムの方は実施計画は完了して昨年中にすでに調査完了だというふうなお話なんですが、数字はまだはっきりしないのですか。
  156. 中川良吉

    ○中川参考人 数字というのはちょっとお伺いしますが、ダムの建設の予定のことですか。
  157. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そうです。
  158. 中川良吉

    ○中川参考人 それはただいま申し上げましたように、基本計画に対して一億六千九百万円ほど減ったもので実施の計画ができておるわけであります。
  159. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 わかりました。  私どもこの事業を進める上に、当初この法案の審議の過程におきましても、農民の負担分がほかの土地改良事業と比較して相当に高額であるということが追及され批判をされて、特に本委員会は附帯決議をもいたしておったわけでありますが、その後の資金繰りの関係によって、最近伝えられるところによると、農民の負担分が相当大幅に増額になるということを承わっておるわけであります。ところが電力の関係、水道の関係ではむしろ当初の計画よりも減っておるように承わっております。電力関係、水道関係の方ではむしろ減額されて、農民負担分だけが増加になるということは了解に苦しむわけです。特に私は愛知用水の場合に問題になると思いますのは、畑地灌漑等が相当に多いのでありまして、畑地灌漑というものは特別の果樹地帯等で相当収入の多い地域は、負担が重くとも割合にたえていけると思うのですけれども、そうでない果樹以外の畑地において負担が重くなって参りますと、従来もしばしば各地に問題を起しておるのでありますが、当初の計画の負担額からだんだん増額になって、工事途中に反対が起って挫折を余議なくされるような事例が全国至るところにあるわけです。ところが今度は先般も大蔵委員会でちょっと問題になったことを伺っておりますと、農民の負担部分が相当大幅に増額されるということでありますが、その間の事情を少し詳しく承わりたいと思います。
  160. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 これは私の方からお答え申し上げるよりも、むしろ農林省の方から申し上げるのが適当であると思いますが、一応私の考えておりますことを申し上げます。さっきお話のございました愛知用水の実情は、ほかの同種のものに比べて高いことになるというお話でございました。これは農林省の方で十分に基本計画の際に検討をいたされまして、そうしてこれは十分経済的に償うという検討の結果計画ができておると存じておりますが、なおこの点につきまして、多少ほかの方と違います点は、愛知用水の事業費と申しまするのは、末端の五町歩までの、いわゆる団体営に担当する部分までのものを全部包含しておるわけでございます。普通私どもは県営事業あるいは団体営で国営事業をやりますような場合に、国営事業だけの部分の経費を見る場合もございます。そういったような点で、愛知用水は末端五町歩まで全部経費を見ておるというようなことで、名目上上ってくるというような点も私はあろうかと思うのでございます。  それから畑地灌漑等の点につきまして、これはただいま地元の土地改良区あるいは県の改良課というものが主体になりまして、いろいろ具体的に各部落にわたりまして、こういったような場合には各部落ではどういうふうな畑地灌漑をやったらよろしいか、また農業経営をどういうふうにしたらよろしいか、それに対する経費の増あるいは収入の増というものをどの程度にするかということをやっておるのでありますが、ただいま私の承知いたしておりますところでは、大体一毛作田を二毛作にいたしますことによりまして、最低六千円の利益を上げる。それから新しく畑地灌漑をやるところにつきましては、年間一反歩当り一万円の増収をはかるということを目的にいたしまして、それで大ざっぱに言いまして、大体三千円平均程度のものは、利益の半分をそこに投入すれば償還ができる。そうして償還が済んだあとそれだけのものが全部残る。こういったような実際の見当をつけて、いろいろ農家の方とも相談しておるというふうに聞いておるのでございます。
  161. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 私どものところに入っている情報によりますと、最近負担が相当増額されるという情報に基いて、農民の中にかなり強い反対運動が起っておるということを伺っておるのでありますが、なるほど今おっしゃったように、国営の場合は国営幹線水路だけを対象とし、県営の場合は県営水路だけを対象にする。今度の場合は団体営に相当する部分もあるから、額がかさまるのは当然だという御説明でありますけれども、私どもが当初審議いたしました予算と計画によれば、開墾部分を除けば、反当年間二千五百八十円程度、これを十年間というふうに見ておった。ところが、最近の先ほど申しましたような資金計画の変更に基きまして、これが十年間として三千五百円以上、これを十年間全部合計いたしまするならば、三万五千六百余円というふうに増額になるということを承わっております。そういうふうに負担が増額になりますると、今申しましたような問題を起すことになると思うのでありますが、なおこれに関連いたしまして、これは資金の面の関係でありますけれども、私も土地改良事業をやって経験を持っておりますが、大きな金額の負債による工事を進めた場合に、その利子負担というものが相当大きくなって参るわけなんで、今大蔵委員会などで問題になっておりまする反当三万五千幾らというような負担のほかに、これに関連したプラス・アルファとしての利子負担が加重されるというふうに私は実は考えておるわけであります。そういう点で、当初の基本計画の負担額と、それからこれもあとで質問をいたしまするけれども、農林省と大蔵省と公団の間に了解ができたと、最近伝えられておる案によりましても、今申し上げましたような負担額になるようでありますので、この問題は相当後になって問題を起すであろうと考えるので、これを伺っておったわけであります。なお先ほど伺った資金計画の関係でありますが、見返り円が打切られ、世銀の借款は先ほど伺った通りでありまして、これは別といたしまして、見返り円の打切りに伴うところの預金部資金の受け入れに伴いまする利子利率の差というものが相当大きなものがあると思うのでありますが、その関係をどういうふうに勘案される予定でありますか。
  162. 中川良吉

    ○中川参考人 見返り資金資金運用部資金との利子の差をどうするかということでございます。これは私どもとしては、その二分五厘の差を政府利子補給のような形でやっていただけば一番よろしいわけであります。本年の一月から三月ごろまでの交渉によりましても、大蔵省の方でそれはできぬというお話で、三月下旬に私どもの方へお示しをいただいたものでは、私は主としてその部分を公団の留保金その他から支払いまして、負担し切れない部分を受益者の方に持っていただく、こういう形になっておりまして、今の利息の価格はどのくらいになりますかと申し上げますと、二十五年——二十五年と申しますのは、五年の工事期間と、その後の据え置きの二十カ年とを加えまして、二十五年後におきまして約百億くらいの差が出るわけでございます。しかしこれを全部受益者に負担さす、こういうことではないのであります。当初の基本計画におきましては、公団の事務費の二十数億あるいは維持管理に入りましてからの事務費、これは年額五千万程度のものを二十年間見ておったわけであります。そういうものをはき出しまして、公団の負担し切れないところであるその部分を、事業費の方と同じように計算をするという点もありますし、それから公団が維持管理になりましてからの余裕金の運用によって若干の黒字が残るということになっておりましたのを、黒字が残らぬように全部はき出す、こういう計算にしますために、その全部が受益者の負担というふうに言っておるわけではないのであります。
  163. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 利子部分は建設工事期間中の事業費それから事務費の借り入れに伴う利子というのは、大体今お話の通り約百億、そこで電力関係、水道関係利子は動かないというふうに伺っておるのです。そうしますと、その百億の部分というものの大部分は、今参考人のおっしゃるようなふうに、ある一部に黒字が出て、それに充てんできればけっこうでありますけれども、それが予定通りいかないとすると、その百億というものが大部分受益農民の負担になる、こういう結果になると思うので、そういたしますると、われわれが当初審議した際においてすら、農民負担が重過ぎる、過重であるというので、特別な附帯決議までしたのに、さらに百億に及ぶところの利子の大部分を受益者農民に負担させるということになるとこれは重大な問題だ、この点について、農民の負担というものは今までずっと土地改良事業でやっておる、他の地区との例等もありますが、農民負担にはおのずから一定の限界がある、百億近くのものが従来の資金計画が変更になって受益者農民に負担させなければならないような事態が起る可能性があるということが明らかになったわけでありますが、そういう場合に、農民の方は当初の計画とはすっかり変ってきて、そんならもうやめちまえという意見が当然起ると思う。農地局長は、農地局長責任においてこういう問題については一体どうお考えになっておりますか。このまま進めていいとお考えになっておりますか。再検討を要するとお考えになっておりますか。
  164. 中川良吉

    ○中川参考人 ただいま申し上げましたことをちょっとお取り違いがあるんじゃないかと思います。百億円の利子負担が増加する、その大部分が農民に転嫁されるのである、こういうふうに御理解のようでありまするけれども、そうではございませんで、農民に負担させまする金利は法令によって定まっておる。それをただいまの案では若干上げようかという案でございます。それから建設利息につきましても、農民の負担しますものは実効金利と申しまするか、各種の金利の差のあります借入金がありますので、それを平均いたしまして、実際上のもので負担をしていただく、それからもう一つの点は、電気及び水道では当初の計画に比して負担が軽くなっておるではないか、こういうお話でございます。電気、水道につきましては金利は約定金利でありますから、前のものとは変っておらないのでございますけれども、ただ基本計画に計算しておりまする建設利息、私どもの方で最近に計算いたしました、建設利息がかなりの差があります。ところがなぜ差ができますかと申しますると、おそらく当初の基本計画におきましては、年々の所要資金年度の初めに借りたものとして全部金利を負担さした、ところが実際に工事をやっていく上においては、四月の一日に一年分の工事費が出るわけではございません。少しずつ出て参りますので、おおよそとしては一年間の利息の半分が負担になるであろう、こういう計算に基いて試算をいたし直しますと、たとえば従来の基本計画では六億くらいの建設利息の負担になっておったものが、今度は三億くらいの負担で済むじゃないか、済むと申しますか、実際そうなるわけであります。それを比較しますと、電気は三億軽くなる、こういう計算も立ち得るかと思いますけれども、電気が軽くなったわけではない、約定の利率によって計算をいたすわけであります。
  165. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 基本計画の際には建設に要しました経費そのものを農業、電力、水道、また農業の中には国庫、県、農民という間で費用を負担いたしますとともに、愛知用水公団法に基きまする現行の法令によりましては、建設利息、すなわち建設期間における利息も以上申し上げましたもので負担するという制度になっておるのであります。石田先生の大蔵委員会等で問題に取り上げられて、一応きまったかに伝えた農林、大蔵の折衝経過の案、また公団がそれで了解をしつつあるという案等について見ますと、金利が高くなった部分と、公団の事務費を負担することが新たに起きました分と、また負担金を農民が償還をする場合に、今回国会で審議をお願いいたしました特別会計等の例を、そのままでございませんが、参考にして償還金利を上げる等の点が出まして、先ほど御指摘になりました実数はともかく、大勢は大体が負担額の増額になっておるわけであります。それでは農業土木、土地改良事業、畑灌、開拓事業をしつつ、それで土地条件の整備をいたして農家経営に資しようとするのが農林行政でございまするから、農業の負担すべき分のうちの農民の負担は極力増加がない方が望ましいと思っております。その間には、農業と電力、水道との間に負担はなお調整する余地はないか、また農業の負担する分でも、国庫と県と農民との間で調整しなければ、一年反当平均しまして三千四百円をこえる償還額では、私どもが国営、県営、団体営を全国にわたってみずから実施し、また補助事業を通じて行なっておりまする、ものの実例からいたしましても、農家経営からいたしましても、この案は妥当でないということで、農民負担を軽からしめることについて、ただいま申し上げましたように、大臣を補佐いたしまして農林省では目下苦慮いたしておるところであります。
  166. 伊藤佐

    ○伊藤参考人 この問題は非常に重要な問題でございますので、私からも一言申し上げさしていただきます。  先ほど石田先生からお話のございました基本計画におきましては、二千五百数十円、最近の何でいうと三千数百円になるということでございますが、ただいま局長からもお話のございましたように、この資金計画の面で、これは先ほど来お話が出ておりますように、大きく変って参りましたのは、余剰農産物を受け入れないことになりました結果、それに伴います影響が一番大きいのでございまして、資金計画はすべてこれは政府におかれて立てられまして、われわれの方といたしましては、その政府の立てました資金計画に基きまして事業を実行していく、こういう建前でございます。私どもの方もまだ新聞その他で伝えられております三百三十一億というものの中味の点につきましては確定的なものの御通知は受けておらないわけであります。今局長の言われたように、農林省の方でいろいろお考えになっておることと存じます。
  167. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この利子の計算などまだ実は詳しく当っておりませんのでこの程度にいたしますが、きのうの新聞に発表された農林省案が決定をみたように報道されております。それは国庫補助の方を八十六億ですか、増額をするという——総経費に対して百四十六億一千六百万円、これは赤字補てん分二億二千九百万円を含めて決定をしたというふうになっておるのですが、それでここで聞いておきたいことは、今の局長のお話あいるはまた参考人お話によると、まだ折衝過程だ、こういうことですが、新聞では何か農林省案で決定を見た、こういうふうに伝わっておりますが、実際は農林省と大蔵省との間において話し合いはきまったのですかきまらないのですか、局長一つ……。
  168. 安田善一郎

    ○安田(善)政府委員 きわめて率直に申し上げますと、三月末ないし四月初めのころ公団から資金計画の確定の督促を受けまして、経過的にここら辺まで来ておるということにつきまして農林省側において不手ぎわもあったかと思うのでありますが、その後大臣にも次官にもいろいろ研究をお願いいたしまして、農林大臣大臣は大蔵大臣に向い、農林次官は大蔵次官に向い、また私どもは大蔵省の官房長、主計局に向いまして、その案では農業政策的に適当ではないという意見をもって折衝をいたしつつありますが、明確な結論が出ないのであります。
  169. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 大蔵委員会において主計局長または大蔵大臣は、農民の負担が増額になるようなことはしないということを言明しておるようです。これは速記録で明らかなんです。そういたしますと、この点は今後の問題になると思いますが、どうも私どもも不勉強で、まだよくキャッチしていない面もありますけれども、今までの経過から見ると、結局農民の負担にしわ寄せになるような感じがしてならないのです。大蔵省は、主計局長も大蔵大臣も、農民負担が増額にならないように措置をするということを言明しておるのでありまするから、この点は一つ局長、大臣とも相談をされて、すみやかにそのような措置を大蔵省がとるようにお進めを願いたい。  きょうは実は総裁、副総裁とも事故のためにお見えにならないので、事務的な点を中心に申し上げたわけでありますが、いずれ私どもももう少し掘り下げて勉強しまして、次の委員会でこれを再検討しなければならないのではないかと考えるわけでありますが、農林省の方でも、また公団の方でも、すみやかにこの事業に着工できるように準備を進められることを希望いたしまして、私の質問を終ります。     —————————————
  170. 小枝一雄

    小枝委員長 香川県における製塩による農作物被害対策について調査を進めます。  この際議員藤本捨助君より本問題について発言をいたしたいとの申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認めます。藤本捨助君。  藤本さん、念のために申し上げますが、いろいろ御要求もあったのですが、きょうはいろいろ支障がありまして、農林省からは政務次官、専売公社の方からは塩業課長が御出席になっております。さよう御了承願います。
  172. 藤本捨助

    ○藤本捨助君 国民の生活に対しまして必需品中の必需品であります塩の生産が、香川県におきまして大体三十一年度十八万トン、この全国生産高の約三分の一に近い生産をしております香川県下におきまして、高松市の下笠居、坂出市の王越、松山地区、さらに三豊郡の仁尾町、さらに牟礼地区というような地方約千二百町歩にわたりまして、流下式製塩をやっております枝条架の周辺において、農作物が未曽有の被害をこうむっております。それにつきまして私は専売公社の御当局、農林省の御当局に、時間がきわめてございませんので簡単にお尋ねいたしたいと思います。  まず第一は、ただいま申の上げましたこの流下式製塩をやっている枝条架の周辺と申しますか、ことに西風でも吹けば、その風下に当る周辺の農作物が未曽有の被害をこうむっております。この事実を当局が御存じであるかどうかということであります。また具体的にすでに御調査しておられるかどうかということであります。  次に、この被害につきましては、被害者はもとより、現地の当局、さらに調査に行った方々は異口同音に、これは流下式製塩法による枝条架についている濃度の高い塩水、あるいは塩の粉末が風にあおられて飛散する、それでその風下の農産物等が被害を受けたのだということを申しているのでありますが、これに対しまして、言いかえますれば、この未曽有の農作物被害に対してその原因をなすものは、この流下式製塩法による枝条架にくっついた濃度の高い塩水や、あるいはそれが塩霧となり粉末となって飛散した、それがくっついたことによるのだということについての当局の御所見いかん。これが第二点であります。  第三点は、現地調査によりますと、この枝条架のるあところから百五十メートルぐらい離れたところが一番ひどい、さらに千五百メートルということになると非常に軽度になる、被害が少い、こういうようにも言われております。それから十センチメートルぐらいなところで塩素が〇・〇〇五ミリグラムというぐらいになれば被害がなかった、こういうことがわかっておりますが、そうだとすると、この流下式製塩による枝条架の設置に対しまして、当局の指導監督はよろしきを得たのかどうか、あるいはまた製塩業者がそれをよく守っておったかどうかということであります。  第四点といたしまして、現在生じている未曽有の被害が、この流下式製塩法と因果関係があるとするならば、これを補償する方法についてどういう考えを抱いておられるかということであります。さらにこのままにしておきますと、今後もこういう被害が次々起るであろうと思う。そこでこういう被害をないようにするためにどういう措置を今後とられるか。それにつきまして、まずこの現在のような枝条架による流下式製塩法に何かの措置を講ずれば、この製塩法と、それから周辺の農作物の栽培は両立するのかせぬのか、もししないような場合には二者択一というようなことも考えられるが、たとえばこの枝条架による製塩法を何とか考え直すというようなことも考えられるのであるが、われわれとしては、製塩もわが国の現在の立場からいって非常に大切であるから、ますますその発達を念願すると同時に、農作物の栽培も非常な発達を念願する、こういう意味で両方ともうまくいくような方法はないのか、もしなければ今後どうするかというような点について承わりたいのであります。  これにつきましては、現在の段階においてお答えになれる限りの御答弁をいただきたい。でないところは今後すみやかに調査をなされまして、あるいは私のあとで加藤君、成田君が御質問いたしますから、そうい点について、また今いただくであろう御答弁なり、また御調査の結果による御答弁なりを承わりまして、私はまた後日あらためて具体的にお尋ねいたしまして、その対策について善処を願いたい、かように考えております。  それからもう一つ、大蔵当局、ことに国税庁の長官にお尋ねしたい点は、今度のこの被害をいわゆる災害というかどうか、災害となれば災害被害者の租税の減免あるいは徴収猶予等に関する法律の適用をするかせぬか、そういうような点をお尋ねしておきます。  以上の諸点につきましてお尋ねいたし、また私の御答弁等に対する重ねての御質疑は後に保留いたしたいと思います。
  173. 守田富吉

    ○守田説明員 塩脳部長がちょうど出張中でございますから、かわりまして御答弁申し上げます。  香川県の海岸地帯、特に下笠居、松山付近に相当塩害が起っているということは、地方局の方からもしばしば報告がございました。本社の方からも先般調査員を派遣いたしましてこの実情も調べて参った次第でございます。枝条架の作業に当りまして、濃厚な塩水が飛散いたしまして、これが風向きあるいは風速の強いとき等のかげんによりまして農作物被害を起したという事実は、公社といたしましても認めているわけでございます。ただもっと早く防止策をなぜ講じなかったかというおしかりもあろうかと思いますが、何分この流下式枝条架という設備はごく最近のものでありまして、一昨年あたりから大体普及して参ったのであります。今まであまる塩害問題というものは起っておりませんでした。ただ局地的にごく接近した部分の野菜が枯れるとか、木が枯れてきたというふうなことはあったのでございますが、これらの問題はごく小さな問題でありまして、現地々々で適当に解決が当事者同士でついておったわけであります。今回の香川県の被害相当広範にわたるということでございまして、問題が大きくなって参ったわけでございます。公社といたしましても十分事情を調査いたしまして——ただいま公社の考えております方針といたしましては、まず第一に、現在の被害をどうするか、今後の被害をどうして防止するか、この二点でございます。従来の被害額については、この被害の実情と申しますか、被害額を査定するということが非常にむずかしい性質のものでございます。先般も本社から調査員を派遣して見てこさせたのでありますけれども、なかなか短時日に少数の人間が行ったくらいでは、ちょっと被害の実情を把握するということが困難だということがわかりました。それで一昨日高松の局長がちょうど上京しておりますので、局長と今後の方針について打ち合せました結果、局長が高松に帰局後県の当局とも御相談を申し上げて、権威者を多数委嘱して調査団のようなものでも作っていただく、そうして実際に塩による被害がどのくらい起きたかということをまず調査することが第一段階として必要な措置であると思います。なお起きました被害につきましては、公社といたしましては極力塩業者の方を説得いたしまして、その被害補償さすようにいたしたいと考えております。  なお、今後の防止につきましては、根本的には今回の塩害による実情を手本にいたしまして、根本的な方策の研究を現にいたしておるのであります。さしあたりの方法といたしましては、現地におきまして、まず現在とっております方法は、風速の強いときは枝条架の作業を休む。それから枝条架の背面、風下側にしぶきよけを作りまして、しぶきを山手の方に送らないように、それから枝条架のといをふさぎまして、といの上から風にあおられて飛んでいくあわ、塩水のあわを飛ばないようにする。なお塩業組合でサイレンをつけて、風向きが変ったりしたときには、サイレンによって現場に作業中止を命ずるというようないろいろな方法を講じまして、被害を起さないような万全の措置を現在とらしておるわけでございます。先ほど許可について十分指導したかということでございますが、かような枝条架の許可につきましては、実は枝条架が最近の設備でございまして、かような広範囲被害を起こすということは従来あまり考えられていなかったわけでございます。もちろん風の強いときなどは、常識として塩業者は被害を起すようなおそれのある場所における操業は中止するということは当然であるわけであります。もちろん公社といたしましては、従来しばしば地方局を通じて、塩害防止については十分塩業者の注意を喚起してきたわけでございます。ただ塩業者におきましても現在のごとき被害が起るということは全然予想していなかった。たまたまこの冬は非常な早害でありまして、ほとんど雨が降っていないわけです。こういうものと重なり合いまして比較的大きな被害があったのではないかと思うのであります。今後におきましては十分注意をいたし、万全の措置をとりたいと考えております。
  174. 小枝一雄

    小枝委員長 藤本君に申し上げますが、実は国税庁の方から出席いたしておりませんので、御発言の趣旨を国税庁の方に委員長の方から申し出まして、文書をもって直接回答するように取り計らいますから、さよう御了承願います。
  175. 藤本捨助

    ○藤本捨助君 今御説明いただきましたから、これに対する再質疑は、私ちょうど参議院から呼びにこられておりますので、すぐ参りますが、あとで成田君、加藤君から詳細な御質問があると思いますので、速記を通しましてまた重ねて御質問いたしたいと思います。
  176. 小枝一雄

  177. 成田知巳

    成田委員 ただいまの藤本さんの質問に関連して二、三点お尋ねいたします。ただいまの御答弁で、今までの現地からの報告あるいは最近局長がお見えになって事情を報告された、それによると、枝条架による被害があったという事実を御確認になったと思いますが、いかがでありますか。
  178. 守田富吉

    ○守田説明員 確認いたしております。
  179. 成田知巳

    成田委員 枝条架による被害があったということを公社も御確認になって、しかも調査団を派遣して現地を調査したいというのは、被害範囲がどの程度であったか、あるいはまた将来被害を防止するにはどうしたらいいか、こういう意味で御調査をなさると思うのでありますが、今御答弁によりますと、枝条架というものは非常に新しい方式であって、こういう被害が発生することは予想されなかったということですが、もともとこの枝条架を奨励されたのは公社だと思います。従って公社がこういう問題を取り上げられるときは、当然十分の調査なり用意をなさって、業者に奨励するのが当然である。業者の責任というよりも公社の責任だと思うのです。今最後の御答弁で、去年は非常な早書であった。そういう関係被害が大きかったのではないかといういわば逃げ口上的な御答弁があったのですが、これは私から申し上げるまでもなくこういう工作物の瑕疵による損害は大体無過失損害賠償である。しかも原因が競合しておっても、一部の原因があった場合には責任を負わなければいかぬということになっておるわけですから、当然賠償の責任があると考えるのでありますが、この点についてどうお考えになりますか。
  180. 守田富吉

    ○守田説明員 枝条架を契励いたしました公社といたしましては、確かに奨励をして参ったのでありますけれども、枝条架自体必ず塩害を起すという筋合いのものではないのではないかと思いまして、なるべく適当な管理を行いますれば当然塩害は防止できるものであると考えております。従って公社において、ただいまのところはこの災害について何らかの賠償をするということは考えていないのでございまして、公社といたしましては、できるだけ塩業者と当事者との間をあっせんいたしまして、被害額について、事実塩害による被害につきましては塩業者に補償するように指導いたしたいと考えております。
  181. 成田知巳

    成田委員 今公社にすぐ賠償の責任を云々ということを私言おうとは思っていなかったが、そういうことを言われたからその問題について申し上げたいと思います。適当の予防装置をしたならば被害を防止できるというお話ですが、その自信はおありですか。実際調査をやりましていろいろ予防装置をやりましても塩害は完全に防止できない。ましてや私たちはしろうとでありますが、枝条架の問題で完全な予防装置ができるとは思えない。予防装置をやったが損害が発生した場合に、公社としては枝条架を奨励した一斑の責任は負うべきだと思います。そういう思味で特にここでお願いしたいのは、調査団を編成するというが、業者必ずしも財政的に恵まれているとも限らない。そこでこの枝条架を奨励した専売公社として徹底的な調査をやるために、公社の責任において公社の費用において完全な調査をやるのは当然だと思いますが、いかがですか。
  182. 守田富吉

    ○守田説明員 調査につきましては、もちろん公社の方である程度の費用は負担できると考えております。ただ公社で単独で調査団を編成いたしまして調査いたしますよりは、やはり地元の諸君、県の方とも十分打ち合せた上で調査団の編成派遣ということはいたしたいと考えております。
  183. 成田知巳

    成田委員 調査団の編成は地元と十分打ち合せになってけっこうですが、その費用については公社で御負担願いたい。ある程度といわず全額公社で御負担願いたいということを特に希望しておきます。  それから調査の結果損害の発生が確認され、さらに予防装置をやりましても完全に予防ができないという事実が判明したときに、公社としてはどういう処置をとるお考えですか。
  184. 守田富吉

    ○守田説明員 予防装置について完全に予防は困難ではないかという成田先生のお説でございますが、これはたとえば風向きによりましては、海の方に風の吹くときには全然被害考えられないわけであります。またかりに山手の方に吹いておりましても、一定の風速以下の場合にはほとんどしぶきは飛ばないのでありまして、この際にも被害はまずあり得ない。ただ少しでも効率的に作業をさせたいがために、完全な防止方法ができない前に作業するということのために被害が起るわけでありまして、何らかの方法をもってすればある程度の風速までは被害が防止できる。これ以上の風速になればやめるよりほかはないという限界があるはずでありまして、それらにつきましては、なお今後十分調査いたしたいと思いますけれども、現在一応指導の基準にいたしておりますのは、風速六メートルでそれ以上は中止するということでさしあたり指導いたしているわけであります。
  185. 成田知巳

    成田委員 今課長お認めのように業者としては欲がある。そこで風速六メートル以上というのが枝条架としては最も能率の上るときです。そこで業者としてはみすみす能率の上るときにその作業をやめることは事実上できないと思います。現に今まで公社が御指導なさってもそれはやっていない。そのために被害が非常に大きい。そういう場合に公社としては責任を持って、風速六メートル以上の場合には作業を中止さすというような自信を持っていらっしゃいますか。責任をもってやめさすのだということが言い切れますか。
  186. 守田富吉

    ○守田説明員 現に生島のごときは、六メートル以上山手に向って吹く場合には枝条架の作業をとめるということを実行いたしております。先ほどもおっしゃる通り塩業者としては痛いわけでございますけれども、塩害を起すことを防止するためには現在とめるよりほかにないわけであります。それは必ずしも塩業者としてとめることをしないということはないと思いまして、公社といたしましても十分これらの点については塩業者を指導し得る自信がございます。
  187. 成田知巳

    成田委員 生島の場合はとめられたということですが、現実はそうでないと思うのです。もしとめてしかもああいう塩害が発生するとすれば、今の装置だってだめだ、こういうことを逆に裏づける結果になると思います。そこでとめてもだめだという場合、それからとめろといっても業者がとめない場合と二つあると思いますが、とめろといっても将来業者がとめなかった場合は、公社としてはどういう御処置をとる方針ですか。たとえば操業を中止するとか、営業許可を取り消すとか、そういう公社の勧告に従わなかった場合、公社としてどういう方針を持っておるか。勧告に従ってとめたとしても、まだ塩害が発生する、こういう場合にはどういう方針をもって対処されようとしているか、この二つについて承わりたい。
  188. 守田富吉

    ○守田説明員 枝条架をとめれば塩害は起り得ないわけでありまして、公社側といたしましては、法律的には指示事項の中で操作方法というようなものをうたって、これを強制的に塩業者に従わすということも方法としてはあるわけでございますけれども、これはそういういわゆる強圧的な方法で臨むということは、いろいろむずかしい問題がございますので、現在のところはどこまでも指導でもって塩業者の作業を自発的にやっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  189. 成田知巳

    成田委員 くどいようですが、私がお聞きしておるのは、今までも公社は指導をなさったと思うのですが、その指導に従わないで、風速六メートル以上でも操業をやった。そのためにこういう大きな被害果樹に対して及ぼしているわけですから、話し合いだとか、指導けっこうです、しかしどうしても聞かなかった場合公社としてはどういう御方針で臨まれようとしているのか、これをお聞きしているのです。
  190. 守田富吉

    ○守田説明員 従来指導を聞かなかったじゃないかとおっしゃるのでありますけれども、こういう塩害が起りましたのは今回が初めてでありまして、この非常に広範な塩害が起りましたために、具体的な指導方針というものを定めて現在指導いたしておるわけであります。現在は塩業者の方も十分反省いたしまして、公社の指導に従った作業をやっておるように私は聞いておるのでありまして、どこまでも指導で行き得るものと考えておるわけであります。
  191. 成田知巳

    成田委員 その行き得るというのは仮定なんで、私はそういうことを聞いているのじゃなしに、現実に指導に従っていない事実があるわけですね。そういう頑強な業者に対して、公社としてはどういう御処置をとる方針なのか、これを承わっておるわけです。そういう希望的な観測をお述べになるのじゃなしに、現実に公社の指導に従ってない、また将来そういうおそれが多分にある、そういう事実が発生したときに、公社としてはどういう御処置をとるか、その点だけはっきり承わっておけばいいのです。
  192. 守田富吉

    ○守田説明員 非常に重要な方針の問題でございまして、私からはその結論を申し上げかねるのであります。ただ私は法律上指示事項の中に入れて塩業者にこういう方針でやれということを命令することはできるということを申し上げておきたいと思います。
  193. 成田知巳

    成田委員 重要な方針事項だから課長としてはお答えになれないという御答弁らしいのですが、それではそういう指示事項を出して、こういう方針に基いて操業しろ、この指示に従わなわった場合法律上公社としてはどういう処置がとれるか。
  194. 守田富吉

    ○守田説明員 指示事項は法規に明示されておりまして、指示事項違反をいたしますれば製造権の取り消しもできるわけでございます。
  195. 成田知巳

    成田委員 そうすると、法律上は営業停止あるいは製造権の取り消しができるわけですね。また法律がそういうことを規定しておるということは、当然状況によってやらなければいけない、こういうことを予想しての法律だろうと思うのです。それで課長さんに今取り消しをやるかどうかといってお聞きすることも無理かと思いますが、法律上こういうことができるということは確認しておきたいと思うのです。  それから最後に一言申し上げておきたいのですが、私たち地元で農民の方から聞いた感じなんですが、どうも公社は塩業者と一緒になって自分たちの要求を取り上げてくれない。幾ら陳情しても相手にしてくれない。そういうことがつのりつのって今度爆発しまして、こういう大きな社会問題になった、これが一つ。それからもう一つ、公社がこれをあまり積極的にお取り上げにならなかった原因というのは、みずから枝条架を勧めたものですから、その責任上あまりこれを表面に出したくない、こういうことで押えに押えてこられたと思う。しかし問題がここまで来た以上、この際公社としては一つ公平な立場でいわゆる監督官庁の立場で、処分すべきものは処分する、処置すべきものは処置する、こういう態度に出ていただきたいということを特に要望いたしておきます。
  196. 小枝一雄

  197. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 両君から話がありましたので、重複する点を避けまして、農林当局並びに専売当局にお聞きしますが、農林省といたしまして、今回の香川県の塩害の被害に対して御報告が現地からありましたか、いかがでしょう。
  198. 八木一郎

    ○八木政府委員 県を通じましてこの被害状況を聞き、目下事実を調べて善処しつつあるところでございます。
  199. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 被害は、私も現地を実際に見たのでありますが、最初現地へ参りますまでは、多少これに便乗していわゆる賠償の問題をどうするというようなこともあろうと思っておったのでありますが、現地を現実に見ますと、被害の甚大さには驚嘆いたしたのであります。被害はおもに園芸類、柑橘、晩生柑橘並びにその他落葉の果樹でありますが、かような農作物に対しましては特に塩害の被害が甚大でありまして、農林省より正式の調査をするような方途を講じていただきたいのであります。何といっても被害を実地にこれが塩害であるかないかという科学的な基礎づけをすることが目下必要でありますので、農林当局の今後の調査の御方針についてお伺いいたしたい。
  200. 八木一郎

    ○八木政府委員 御注意の通りに、農民の経済と生活を見ておる農林省といたしましては、かくのごとき甚大なる被害をまのあたりに見て、直ちに適切な具体的な調査を進めまして貴意に沿いたい、こういう考えでございます。
  201. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 農林当局の御芳志を感謝いたします。どうか御実行いただくといたしまして、次に塩業課長にお尋ねいたしたいのでありますが、ただいま成田議員からの御質問に対しまして、風速五メートルに達すれば、操業を停止すれば被害は皆無だというような御意見でありますが、私は現地をよく見まして、それは皆無ではありません。皆無である、ないという議論をここでいたしましても、これは無意味でありますが、課長は皆無であるというような断定を下したわけでありますが、どのような資料についてさような断定を下されたのですか。
  202. 守田富吉

    ○守田説明員 先ほど私が申し上げましたのは、枝条架をとめれば被害はないと申し上げたわけであります。
  203. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 五メートルでとめれば——これは全然操作をしないのでありますから被害はないことは子供でもわかっておりますが、五メートルまでの場合は操業を持続するという意味になると思いますが、五メートル以下の場合には操業したときは被害が皆無である、先ほどのお話ではそういうことになるのでありますが、そういう御確信は持っておるのでありますか。
  204. 守田富吉

    ○守田説明員 先ほどの五メートルと申しますのは、下の際におきまして一応地元側と塩業者側と話し合いまして、五メートル以上のときにはとめようということで話し合いができたわけでございまして、現在さしあたり公社としては確実なデータを持っておりませんので、この申し合せを他の地区にも勧めておるわけであります。
  205. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 それは現在は特に柑橘などは壊滅状態に瀕するような被害をこうむっておるのであります。そして農家といたしましては塩業者に抗議をいたしましても、塩業者のいうには、これは専売公社の許可によってわれわれは営業しているのであって、当然操業する権利を持っておる、そう言いますので、農家といたしましては被害があると思ってもこれ以上言えませんので、五メートルでも被害があるが五メートル以上になれば特に被害が甚大であるから多少妥協して、五メートル以上は遠慮しようということでありまして、五メートル以下の場合には被害がないということは、これはないと思います。御承知のように普通の鹹水は二、三度でありますが、これが流下式になると五、六度、枝条架いたしますと十五、六度、かように濃度の高い鹹水でありますが、この枝条架は相当高所にあります関係上微風によっても近距離の場合には塩分は飛散するのでありまして、五メートル以下の場合には皆無ということは、これは私は調査が不十分と思います。これに対しまして何といっても専売当局に、今までこれに対する対策の点で誠意がながったと思います。私も先だって帰ったときに、専売公社の塩脳部長に、公式でなく別々でもいいから一ぺん見たらどうか、こう言いましても、責任問題ばかりびくびくいたしまして、今まで専売公社といたしまして調査いたしたことは一回もございません。この製塩というものは私から申し上げなくても十分御承知のように、専売公社が監督権を持ち、枝条架する場合にも枝条架に変更した場合にはこれに許可を与える。許可をするということはすなわちよかろうということでありまして、かように強力なる勧告権を持ちながら、かような場合にはそれを回避するというような専売局の態度に対しまして、地方民がより以上感情的になっておりますことは、私はこれは地方民が悪いような感じがいたしません。もう少し本社から当を得たような指示をして早く調査をする。そして今の課長の話では、この損害に対しては専売局は関係ないと断言いたしましたが、これはもう少し大所高所から考えて、時によれば専売公社が塩業者に払う賠償金の中に含みをもってこれをまかなうというような政治的な方途もあるようなことも仄聞いたしますし、将来は、何といっても塩業者も採算の業務でありまして、現在の被害調査いたしておりませんけれども、何十億というような莫大な損害額になると思います。さようなときに農林当局の方でこれに対する助成金がなければ業者がこの損害を賠償するかまたは専売公社がこれに対して適当な措置をとるか、こうしなければ解決の方法はないと思います。従来でも塩業者が相当被害をこうむったときには専売当局としては相当助成もいたしておりますが、自分の管轄でない農家の問題であるからわれ関せずというようなことは、専売公社のとらざる策だと思うのでありますが、これに対しまして御所見をお伺いいたしたい。
  206. 守田富吉

    ○守田説明員 公社といたしましては決して責任を回避いたしておるつもりではございませんので、現に現地でも連日これが対策に協議を重ねております。塩業者を集めて被害対策をやるわけでございます。損害の賠償とか現地解決をやるべく現になお努力をいたしておるわけでありまして、現にある程度現地で話がついているところもあるように聞いております。ただ全般的な大きな問題といたしましては、何分この被害額を確定いたしませんことには具体的方法が出て参りません。先ほども申し上げましたように、まず現地調査をいたしまして権威ある——ほんとうに塩害による農家被害はどの程度あるかということを十分調査をいたすことがまず第一段階として必要であると考えております。
  207. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 今の御答弁大いにいいと思いますが、最初の答弁と多少変ってきた点も感じます。今後の問題は相当曲折があると思いますが、今の段階に専売当局として損害に対しましては専売当局は関係せぬ、無関係だということは、これは長官もまたその上の関係の大蔵大臣もいろいろ協議した結果の公けの御意見ですか。
  208. 守田富吉

    ○守田説明員 事務的に法律上現在の専売法から申しまして、そういうお金を出す方法がないということを申し上げたわけであります。
  209. 加藤常太郎

    ○加藤(常)委員 その意味であれば納得するのでありますが、やはり今まで例のない問題でありますし、法律的に専売法によって農家の賠償まですることは専売当局としてできない。これは多少関係のある人であればわかるのでありますが、しかしこの問題が解決できないというようなときになった場合には、私は監督の立場の専売公社といたしましても、いろいろ政治的な含みを持った対策を立てなければ完全な打開策はないと思います。被害の僅少な場合には、これは従来からでも野菜類の被害に対して業者と耕作者で賠償をやってきた例もあるのでありますが、これは被害が僅少の場合でありまして、かように被害が甚大な場合にこれを塩業者のみに負担させるという場合には、これは私は絶対不可能と思います。またこれができるといたしましたら塩業者というものはあまりにも莫大な利益があるものでありまして、さようなことは公社の指導の立場からいって、今の塩業者というものは、さような純利益はないと思う。まだ調査が確定いたしておりませんので、最終の被害額も決定いたしておりませんし、妥協点がどうなるか、金額はわかりませんが、業者のみにおいて今までの損害の解決をやるということはできないと思う。そういうような見地からも、きょう大蔵大臣にもお会いいたしまして、これは大所高所から考慮してもらいたい。特に専売当局も、ただみえを張るだけでなく、好意的な気持でやってもらいたい。やはりこれは政治的に何だかんだというような宣伝をいたしております。社会党がおだてておるとかいろいろなことを言っておりますが、さようなことはこの問題においてはありません。本日も社会党の議員の方の御質問がありましたが、弱い農作者のために何とか円満な解決をするように、われわれもかような質問をいたしておるのでありまして、親心を持って今後この損害の賠償に当る。そうして塩業者を御指導なさる。ただ責任を回避するような立場でこの問題に当らないように、私は特にお願いいたしたいのであります。  なお、今後まず第一番に必要なのは、農林省並びに専売当局の調査、これはやはり具体的な調査も必要でありましょうし、また中間的な、学者によっていろいろ損害の御査定を願うというような方途も必要であろうと思います。また県当局も相当大問題でありまして、県当局は知事初め関係の事務当局もこれに熱心でありますので、農林当局、県当局並びに専売当局も、よくこの点を理解なさって、円満に協議しつつこの対策を解決していく。こうなれば、私はこの処置は生まれてくると思いますが、このまま放置して、三者の援護策が当を得なければ、私は大なる社会不安が起きて、そのときに政府として立ち上らなければならぬ、かような醜態が起るような感がしてならないのであります。この点は特に専売当局に対して、十分なる御理解ある今後の処置を要望いたす次第であります。  きょうは最終日でありますから、あまりこの問題ばかりに時間をとるのはいかがかと思いますので、また次の委員会などで御質問いたしますが、今言ったような問題が出るとさっそく、われわれは関係ないというお言葉を使わないように——これは当然専売公社法によって私は承知しておりますが、それは最後の手でありまして、やはり損害を起さしたのは塩業者であり、それを許可、指導したのは専売公社でありますからどうか親切にこれが解決策に進むように、特に好意ある措置をとられんことを、専売当局に心から要望いたします。
  210. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは本日の会議はこの程度にとどめたいと思います。     —————————————
  211. 小枝一雄

    小枝委員長 この際委員長といたしまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。今回の国会中、委員各位におかれましては絶大なる御協力を賜わりまして、無事にこの委員会を終ることができましたことは、委員長といたしましてまことに感謝にたえません。ことに政府提案の条件といたしましては全部、議員提案の一件を残すだけでありまして、全部の議了ができましたことは、皆さんの熱心な御審議と、また委員長に対する御協力のたまものでありまして、衷心感謝にたえない次第であります。なお関係各位に対しましても、この機会に厚くお礼を申し上げます。(拍手)  これをもって本日は散会いたします。    午後五時四十五分散会