運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1957-04-24 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十四日(水曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 稲富 稜人君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    石坂  繁君       大野 市郎君    川村善八郎君       木村 文男君    椎名  隆君       綱島 正興君    永山 忠則君       原  捨思君    本名  武君       松野 頼三君    阿部 五郎君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    中村 英男君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局農         業保険課長)  丹羽雅次郎君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  藤巻 吉生君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二十四日  委員小松幹君、永井勝次郎君及び日野吉夫君辞  任につき、その補欠として石田宥全君井谷正  吉君及び石山權作君が議長の指名委員に選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業災害補償法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三一号)  農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案(  内閣提出第一三二号)  農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準  率の改定の臨時特例に関する法律案内閣提出  第一三三号)  新潟県における豪雪対策に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  さきに本委員会でも調査報告を聴取いたしました新潟県における豪雪対策について、委員長より政府側に対し中間報告を求めておりましたところ、政府より発言を求められておりますので、この際これを許します。大坪振興局長
  3. 大坪藤市

    大坪政府委員 豪雪対策の件につきまして、ただいま委員長より御指名がありましたので、私より中間報告をいたしたいと思います。ただ、本件閣議決定を経ておりませんので、いわゆる中間的な報告であるということで御了承を願いたいと思うのでございます。  豪雪の問題につきましては、ことしは昭和九年及び二十年に匹敵する豪雪でございます。かつ、三月の下旬から四月の初旬にかけて雪がたくさん降ったというような関係で、消雪の時期がおくれておる、こういうような事情がございまして、当委員会並びに参議院の委員方々現地視察並びに指導をお願いいたしたのでございます。私どもといたしましても、技術官に二回にわたりまして現地を踏査させ、かつ指導をいたしたのでございます。それらの結果、農林省といたしまして大蔵省に対しまして一定予備金支出を要求して参ったのでございますが、特例でございますので、なかなか大蔵省との折衝に手間取ったのでございますが、幸い現地視察をお願いいたしました諸先生方の御指導と両政務次官の会合の結果、一応こういうものを補助しようということで大体の了解点に達しておるのでございまして、大体了解点に達しましたものを基礎といたしまして、あさっての金曜日の定例閣議で正式に決定していただきたい、かように考えておるのでございます。  まず了解点に達しました第一点は、消雪を促進することが何よりも必要でございますので、町村あるいは協同組合等土取り場設置いたしました場合に——それは土取り場設置いたしますと、農家の人がその土取り場の土をとりまして、自分の本田並びに苗しろの予定地に土をまくわけでございますが、豪雪のためにどこからでも自由に土がとれるというような事情ではないのでございますので、特に市町村あるいは協同組合等農民のために土取り場設置いたしました場合に、その設置いたしました費用について、つまり土取り場補償費支出いたします場合に、その補償費用補助対象にするということが第一点でございます。これは、補助金助成の率は二分の一と、かように考えておるわけでございます。  第二点は、苗しろ並びに本田農家方々が土をまく、つまり散土いたします場合に、その散土に労力を用いた場合、その労力雇用労力の形によりまして現金支出を必要といたしました場合には、その現金支出に対しまして大体半額助成する、こういうことに一応私ども大蔵省の方では意見が一致いたしたのでございます。  次にこの際できるだけ早く苗しろの造成をやる必要がある。一面において散土いたしまして、苗しろの整地を促進しますと同時に、あの山間地帯でありますので、新潟県におきましても、いわゆる改良苗しろと申しますか、保温折衷苗しろの普及がまだおくれている地帯でございますが、どうしてもこの際健苗を育成する必要がある。こういう関係からいたしまして、健苗を育成するための保温折衷苗しろの温床費に対しまして助成をする。これは実は改良資金の方でまかなうということになっておるのでございますが、特に新潟県の豪雪地帯は、そういうような改良苗しろの普及が非常におくれておる地帯でございますので、特別措置といたしまして、改良費から、その地帯だけは特例として助成対象にする。これは大体三割見当、一坪当り十八円見当と考えているのでございます。  次に本田に移植します場合に、苗しろの設置がだんだんとおくれて参るということが想定されまするし、その物合におきましては、どうしても密植をしなければならないというような事情がございますので、こういうような豪雪の場合には、おおむねよけいに苗しろの仕立てをするということが必要になって参るのでございます。予備苗しろと申しますか、農家自身が、あるいは協同組合なり町村等におきまして、予備的に苗しろをよけいに増設しました場合、これはもちろん当該地方でやります場合、あるいは平坦地等委託経営形式で、予備苗しろを経営せしめるという二つの場合があると思いますが、そのいずれの場合におきましても予備苗しろの設置をやらせました場合には、それに対しまして大体半額程度のものを助成をする、かようなことになったのでございます。  次に水口被害を防止する。これはビニール板畦畔に巻きまして、その小さい穴から水を出しまして、いわゆる水温を上昇させまして、本田の成育を増進する施設でございますが、これも大体は一般対策といたしまして改良資金でやることになっておりますが、特別措置といたしまして、これも助成対象にする。大体これも三割見当助成補助率といたしたい、かように考えているのでございます。  次に今回のような豪雪、それに引き続きます冷涼なる気候ということが想定されますので、こういうような場合には必ず夏におきましていもち発生想定されるのでありますが、これに対しましてまず懸及び国有の防除機具を一応動員態勢をとっていく。しかしながら当該地方におきましては防除機具普及率もきわめて少いのでございますから、町村が来たるべき病虫害対策といたしまして防除機具設置いたしまする場合には、これも一つ補助対象にする、大体四分の一の補助、かように考えているのであります。なお私どもといたしましては、当初、大体いもち発生が、非常に確実に予想されまするし、少くとも一回ぐらいは平年よりもよけい農薬防除作業をやらなければならないということが想定されますので、その場合に対処しまするために一回分の農薬剤補助金大蔵省に要求いたしたのでございまするが、実はこの点につきましては、現実病虫害発生した場合に考慮いたしたならばいいのじゃないか、今からそれを想定しておく必要もないのじゃないかということでありまして、その点につきまして私どもの方も大蔵省の意向を了承いたしまして、今回は農薬補助については見合わしたのでございます。これは桑の場合も同様でございます。なお病虫害予防対策といたしましての動力噴霧機等防除機具対象につきましては、当然桑の場合も想定いたしましての対策、かような格好になって参るのでございます。  次に、現に府県は相当現地指導をやっております。なお国の地域農業試験場の方も、相当現地に参って指導督励をいたしておりますから、国並びに都道府県等現地指導に要しまする事務費でございまするが、旅費等を若干計上いたしたい、かように考えておるのでございます。  さらに今後の豪雪対策につきまして、豪雪をどういうふうにしたら早く解消できるか、それから豪雪農作物との関係をどういうふうに調合するかというような点を根本的に試験研究いたしまするために、大体これは県の試験場でございまするが、これに対しまして必要な経費を計上いたしたいと考えておるわけでございます。  これらの問題につきましては大体金曜日に閣議にかけまして、同時に細目を大蔵大臣と打ち合せいたしまして、その日に県に通牒を出します。県におきましてもすでに指導をしておりまするし、農民の方におきましても消雪を現にやっておる、あるいは苗しろの造成を急いでおるのでございますから、それを県の方で取りまとめまして、その結果を県の予算化いたしまして、それを農林省の方に報告していく。報告が来ましたならば大蔵省と打ち合せいた肥しまして、その場合初めて、ただいま申し上げましたような基本原則にのっとりまして金額を策定して予備費を計上する、かように考えておるのでございます。本問題につきましては、一つ非常な特例豪雪の年であるということと、もう一つは、これは先生方がお見えになりまして異口同音におっしゃることでございますが、当該地方新潟県等におきましても特に農業方面では非常な後進性地帯であって、こういう際に特別の施策を施しまして、豪雪対策と同時に、今後の農業改良にちょうどエポツクをなすような時期でございますので、私どもといたしましても、地域試験場、県の試験場並びに普及事業総動員態勢をとって特別の指導をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  簡単でございますが、一応中間報告として申し上げます。
  4. 小枝一雄

  5. 吉川久衛

    吉川(久)委員 ただいま振興局長から豪雪対策中間報告を伺ったのでございますが、ただいまの報告で大体了承するのでございます。大蔵省は当初、災害が予見できるという将来の問題については、予算の建前上、補助金を出すことが非常に困難である、従ってこの種のものについては融資でもっていくというような、全面融資建前をとっておられたのでございますが、同僚議員各位の御熱心な御協力、また農林省の非常な熱意を持った態度が大蔵省の理解を深めまして、そうしてここに助成特例を見るに至ったことは、私は非常にけっこうであると思います。被害がやがて起ることが予見できることははっきりいたしているのでありますが、しかしただいま御報告になった程度は、これは指導費とかあるいは試験研究費その他防除機具等の問題は別でございますが、その他の大部分は緊急中の緊急対策でございまして、今後雪解け後には、桑園被害あるいは山林幼齢樹被害等の具体的な問題が出て参ると思います。あるいはその他一般農作物等についても、被害が予見できるのでございますが、それが具体的に出て参りましたときには、これはもう間髪を入れず、それの措置をとっていただくことを、今から一つ政府にお考えを願っておかなければならないと思います。  ただ私はここで農林省に御注意を促しておきたいことは、私が大蔵省といろいろ折衝いたしておりましたときに、補助金になったから、今度は資金はそう必要でないという考え方を持っているものを私は感じたのでございます。大蔵省にも注意をいたしておきましたが、農家自己負担については、無利子の資金の世話をしなければいけない、そのワクについて相当の用意の必要があるということをお話いたしておきましたが、大村主計官あたりはその点についてはうなずいていたようでございましたが、どうか一つ局長からも、今後具体的な折衝に当っては、農家自己負担分についての無金利資金融資について、特に御配慮をお願いをいたしておきます。中間報告でございますから、まだはっきりしたことはわかりませんが、大体において私は現地調査した責任者として、了承をいたしておきます。
  6. 大坪藤市

    大坪政府委員 今吉川先生より御注意があったのでございますが、実は本件対策につきましては、先生から非常な御指導を賜わりまして、この問題については、先生は非常によく現実を御存じてございます。ただいまもお話がございましたように、今後の問題といたしましては、病虫害の問題もございますが、雪解けが開始いたしました場合に想定されますのは、一つ農地そのもの被害の問題、それからその下にありますところの麦、蔬菜等農作物の問題、それからただいま御指摘がございました桑及び山林の植林の問題、これらの問題があろうかと思うのでございますが、これらにつきましては、私どもも今後の事情によりまして、必要があれば緊急なる対策を立てたいと考えているのでございます。  なお無金利の問題でございまするが、農林経済局の方より、中金等新潟県の豪雪地帯には一応必要な金はできるだけ出していただけるようにということを、金融課長からお話してあるのでございます。今後その点についてもよく検討いたしまして、遺憾なきを期したい、かように考えておるのでございます。
  7. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいまの政府報告に対し質疑の通告がありますので、これを許します。  石田宥全君
  8. 石田宥全

    石田(宥)委員 特に新潟県の豪雪対策につきまして、本委員会から委員を派遣され、また政府等も二回にわたって係官の派遣をなされ、調査の上すみやかにその対策を樹立されまして、まことに感激にたえない次第でありますが、ここで一点お伺いをいたしたいことは、御承知のような豪雪地帯でございますので、冬季間はほとんどその主人公が先になって都会地、あるいは温暖地方に出かせぎをいたしておる。こういうような状況の中にあって、消雪をいたしまするにはやはり相当な犠牲を払って、もちろん女や子供までかり出しますけれどもやっておる。ただいまの御報告によりますと、雇用労賃だけに対してその二分の一程度補助金を交付されるということでありますが、雇用労賃を支払ったものに対する二分の一、こういうことになりますと、事実上出かせぎを途中で切り上げて家に帰ってきて消雪の作業をしなければならないというような事態がかなり多くあるわけであります。そういうことになりますと、出かせぎをやっておれば相当かせげるのに消雪のために切り上げて帰ってきて、自家労力に従ったから、これは補助対象にならないというような事態が起るわけでありますし、また家内労働などでやった場合に、これが補助対象にならないということになりますと、土取り場設置に対してはもちろん今の御報告によっても恩恵にあずかり得るのでありますけれども、そうでない自家労力の場合は全然対象から除外される、こういうことになるのではないかと思いますが、そういう場合には全然対象からはずれることになりますか、どうでしょうか。
  9. 大坪藤市

    大坪政府委員 御指摘の点はまことにごもっともかと思うのでございます。ただ本件は非常な特例でありまして、こういうような措置を特にお認めいただくというような格好になりますので、農家の方がみずからの労働でやりますものにつきまして、助成対象とするということは困難ではなかろうか。現金支出を必要といたしました場合に、これはもう仕方がないから、それまでして食糧増産、その他農産物の増産に協力していただくという意味合いで、現金支出には一つ助成をしよう。ただ現金支出自家労力、その中間的なものが実はあるわけでございまして、ただいま先生指摘のような点も、裏を返せばもしいつまでも出かせぎを延ばして、そのかわりに雇用労力を使った場合に対象になる。ところが早く帰ってきて、自家労力でやったときには対象にならない、そうすると半月なら半月長く出かせぎに行っておって、帰りをおそくして労力を他から求めた場合には対象になる。こういうことが起きてくるわけでございます。また親戚等から加勢してもらった場合におきまして、いろいろみやげなどを持たしてやる、それに現金支出を要した場合にはどうするか、いろいろなきわめて割り切れないような点が、いろいろと事情を勘案、考慮してみます場合には起きて参りまするが、これは一つ特別の措置でございますので、私どもといたしましては現金支出、こういうことに限定せざるを得ないのではないだろうか、かように一応考えております。
  10. 石田宥全

    石田(宥)委員 事務的にはそういうことになろうかと、実は心配をしておったわけでありますが、この点ははなはだ遺憾でありまして、そういたしますと事実上農家には補助金が回らないという結果になるのではないかと思うわけでありますので、これは一応すでに大蔵省と協定がついておるということでございますから、いまさらここでもう一ぺんやりかえしてもらいたいということも無理な要求かとも存じますけれども、その取扱い等については、ただいま局長からもおっしゃったような、親戚同士でお互いに協力し合ってやる。人を頼んでも、正式に賃金は払わないけれどもやはり事実上相当金がかかっておるというような場合、あるいはまた正式な賃金ではないけれども賃金相当するような謝礼というような問題については、やはり県当局ともよく協議をされて、実情に即するように、一つ取扱い方をお願いしたいと思います。  それから次にもう一つお伺いしたいのは、植付が非常におくれ、それから急に温度が上って参りますといもち発生する。これは当然いつもそういうことになっておるわけでありますが、それに対する防除機具並びに一回分の農薬については一応話し合いがあった、これは相当措置をするということでまことにけっこうなわけでありますが、豪雪地帯水田もございますけれども桑園が非常に多いのでありまして、この桑園も実は昔からの経験から割り出して、収量は少いけれども耐寒性、耐雪性の桑園を仕立てておる。しかしながら本年のように半年以上も雪の中にありますというと、胴枯病等が非常にたくさん出て、場合によるとほとんど桑園として今年は収穫できないというような事態も、場合によっては想定されるのであります。これは雪解けを待って直ちに数回にわたって相当農薬を使って防除をやれば、ある程度食いとめ得るのではないかということも、これも過去の経験から判断いたしまして想定されるわけであります。今局長のお話しでは、水田のことについては具体的にお述べになっておりますけれども桑園に対する対策というものがちょっと具体的に出てないようでありますが、これはもうその結果を待ってということでなしに、雪が消えたらもうすぐこれをやりませんと、今まで雪の中でつかっておったものが急に高い温度になってすぐやられるわけでありまして、これに対する対策が抜けておりますというと、むしろ水田よりも桑園の多い地帯でありますだけに、農民は非常に心配をしておるわけでありますが、これに対してもう少し具体的に、早急に措置できるような対策がありますかどうですか、承わっておきたい。
  11. 大坪藤市

    大坪政府委員 病虫害関係におきましては、私どもの当初大蔵省に要求いたしました場合には、水稲及び桑の病虫害に対応し得る防除機具補助の問題と、それから水稲及び桑の一回分の防除薬剤補助の両方を大蔵省の方に要求いたしておったのでございまするが、農薬代の方は、水稲の方も桑の方もこれは今後の問題でありますので、この際は見合せる、こういうことに相なったのでございます。防除機具の方は大蔵省の方も、水稲につきましては特別この際国及び県の防除機具を動員して、かつ不足の分については助成をしよう、かような格好に相なっておるのでございまして、一応対象といたしましては農機具防除機具補助対象水稲想定いたしておるのでございますが、同一地帯でございますので、桑につきましても、水稲相関関係がございますから、できるだけ含めまして、私どもといたしまして県とよく相談いたしまして、不足防除機具計算をいたしたい、実はかように考えておるのでございます。こまかい点につきましては今後大蔵省折衝するのでございますが、いずれにいたしましても農家が使いまする場合には、桑の方も水稲の方も一緒という格好に相なって参りますので、その辺の事情現地水稲並びに桑の今後の病虫害に対応し得るような姿勢で進みたい、かように考えておるわけであります。
  12. 石田宥全

    石田(宥)委員 なるほど水稲並びに桑ということでありますが、実は特別な地帯でございますから、防除機具どもほとんどない。貧農、小農だけの集団地帯のようなものでありますから……。しかしながらちょうど水稲に対する農薬散布の時期と春の桑に対する時期とはズレがありますから、実は春の関係については農機具はほかから融通がつくのでありまして、この点は私は心配ないと思うのでありますが、やはり農薬に対して相当現金も枯渇しておりますし、また農協などもきわめて財政が貧弱でございますので、もう一週間か十日たてば、場所によっては散土などをいたしましたところは雪が消えるわけでありまして、消えたらすぐに農薬散布が必要なわけなんでありまして、そういうことに対してやはり具体的な指示がなされ、そしてすぐにそれに対しては若干の補助があるのだということを周知徹底させておきませんと、時期をおくらすおそれがあるので、この点については、農薬に対しては特別な御配慮を賜わりたいと思うのです。  それから、今承わりますと、それぞれ消雪対策雇人費に対しては二分の一の補助、苗しろについては、温床費についてはこれも三分の一程度、委託苗しろについては二分の一、水口被害防止については三割程度防除機具は四分の一というふうに、今まであまり例がなかったような比率で具体的に補助率が示されたわけでありますが、先刻申しましたように、労力に対する補助のごときは、現金支出に対する二分の一ということになると、見たところは消雪労力に対して二分の一というと非常にりっぱでありますけれども、実は内容はほとんどからっぽになってしまう、こういう結果になると思われる。その他の項目については必ずしもそれほどとは考えませんけれども、そういうふうに考えてきますと、表向きはなるほど非常にりっぱにできているが、内容は一体どの程度になるのか、現地において県当局等がよく指導をし、対策を立てて、現地からその数字が上ってきたところで数字は決定するのだ、こうおっしゃるけれども、これは考え方によっては非常に体裁のいい逃げ道がそこに作られておって、事実はほとんど現金支出をしなくてもいいような結果になるのではないか。農民にはこういうふうな補助率をりっぱにお示しになったので、非常に喜んでいると思います。私も実はこれは大へんありがたい処置だと考えておったのでありますが、内容をずっとしさいに考えてみますと、形式だけはりっぱであるけれども、中身の入らないものに落ちつきそうな気が実はするのであります。今まで二回にわたって調査をされ、また県からもいろいろな資料が上って参っているのでございまして、それらの資料に基いての振興局での計算では、一体どの程度になるという想定をされておりますか、おおよそでけっこうなんですが、その数字一つお聞かせ願いたい。
  13. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま今回の措置は表面は非常にいいけれども内容がないじゃないかというようなおしかりを受けておりますが、実は私どもの方が対策を立てまして大蔵省折衝いたしました場合は、一定項目一定金額を一応想定をいたしておったのでございます。ただしかし私ども想定でさえも、これは全くの想定と申しますか、腰だめと申しますか、そういうような数字であったのでございまして、確信を持ち得なかったのでございます。そこでいろいろ折衝が長引いたと申しますか、難渋をきわめたのでございますが、この際最も必要なことは、まずこういうこととこういうこととこういうことはできるだけすみやかにやれ、その場合に政府といたしましてはこれだけの助成的な措置を講じてやる、こういう態度の決定が一番先決問題であるのでございまして、金額の決定そのものは実は現地でやってみなくちゃわからない、こういうような格好に相なるわけでございます。現に農家の方も散土消雪その他の作業は実行いたしているのでありまして、県も、先ほど申し上げましたように国も、特別対策として、豪雪地帯におきます農業振興の基本であるという考え方から、大いに奨励をして参りたい、総動員をして奨励をして参りたいと思いますので、これは相当の実効が上るものと確信をいたしております。ただどれだけの金額になるかということは、一応現在までのところでははっきりした見通しは実は持っておりませんので、御了承を願いたい、かように思います。
  14. 石田宥全

    石田(宥)委員 全然雲をつかむような話で、りっぱな証文だけはいただいたけれども、中身が入らなかったというようなことでは、一向これはためにならないことで、やはり多少数字的な基礎に基いて計算をされていると思うのですが、全然その被害の状況なりあるいは対策の経費の数字を離れた案というものは私は考えられないと思うので、これは今ここではっきりした数字を要求することは無理であろうと思いますから、はっきりした数字でなくとも、おおよその数字で大体どの程度になると考えられるかということを承わっておきたいと思いますが、それはやはり大体の数字くらいはお示し願えると思うのですが、どうですか。
  15. 大坪藤市

    大坪政府委員 実は予算に関連したことでございますから項目数字が中心的な問題になるわけでございます。折衝の過程におきまして、その点のうち項目につきましてはただいま申し上げましたように、こういう項目についてはこれだけの助成をするという点がはっきりいたしたのでございますが、金額の点につきましては、実は農林省の方と大蔵省の方と相当大きな食い違いがございまして、それでなかなか結論を得なかった、こういうような格好になっておりますので、私どもの見方あるいは大蔵省の見方に相当の開きがございますので、この際は数字の問題は一応抜きにして、まず現実の問題としてそういうようないろいろな施設を現地で実行するということが先決問題でございますので、農家が喜んで実行し得る体制を一日もすみやかに確立しておく、数字の問題は第二段の問題として、現地から現実数字が出て参りました場合に大蔵省と相談をして決定をする、こういうことに大蔵省と意見の一致を見ておりますので、数字の点は遺憾ながらおしかりを受けるわけでございますが、ここで私が大体どのくらいだろうと申し上げるような数字も実は持ち合せがない、かような格好になっておりますので御了承を願いたいと思います。
  16. 石田宥全

    石田(宥)委員 実はある程度どもも聞き及んでおるわけなのです。ところが、農林省の方の計算された数字大蔵省の方の数字があまりにも大きな食い違いがあって、調整がつかなかった、そうしてこういうふうな補助率というようなところに逃げ込んで数字にはさわらなかった、こういうことを実は聞いておるわけなのでありますが、そういたしますと、先ほど申し上げたようにわれわれは非常に不安なのです。から手形をつかまされるという結果をおそれるわけなのでありまして、もしその大蔵省の見解と農林省の見解とに、どういう点でどういう食い違いがあるのかということが明らかであるならば、またそれ相当対策も考えなければならないと思うのであります。たとえば今の予備金支出について、従来の法令の範囲ではこういう点はできないんだ、こういうことならば、それじゃ立法措置をやるということも考えなければならないでしょうし、そういう点で伺っておるのであって、一体大蔵省の見解と農林省の見解で、どこにそんな大きな見解の相違があったのか、こういう点はやはり率直にここで打ち明けを願わないと、その対策についても考えようがないわけなんで、それを伺っておるわけでありますから、一つ差しつかえのない範囲でその点を明らかにしていただきたい。
  17. 大坪藤市

    大坪政府委員 その点につきましては、たとえば面積の見方等につきましても、私どもの方が大蔵省にいろいろ数字提出しておりますが、これも実は私どもといたしましては想定数字でございますので、これにつきましてはっきりどれだけの面積になるというような点がなかなかつかみにくい事情でございますので、こういうことをやった場合においてはこれだけの助成をするということをこの際まずきめておけば、これはもちろんきょうの段階におきましてはまだ閣議決定になっておりませんが、明後日は閣議決定になりまして政府の正式な約束というような格好になろうかと思いますので、決してこれはから手形を出しておるというようなことには相ならぬじゃなかろうか、それではっきり県の方に通知をいたしまして、お約束申し上げるわけでございますから、県の方も、あるいは現実にその指導を受けてやる農民の方も安心して仕事ができるのじゃなかろうか、実はかように考えているわけでございます。
  18. 石田宥全

    石田(宥)委員 要するに一定金額を打ち出すにはいろいろな資料に基いて想定をされた、そういうことですが、その農林省想定をされた基礎資料に基く数字と、それから大蔵省側の主張した数字にはなはだしい食い違いがあったということですが、それはどういうところにあったのか、こういうことを聞いているのです。
  19. 大坪藤市

    大坪政府委員 面積の見方等におきましていろいろと食い違い等もございまするし、この段階において幾らと見ると、これは予備金の計上でございますので、現実に面積のはっきりしたときにこれは決定すればいい問題じゃなかろうかと実は私どもは考えておるのでありまして、数字そのものは、現実にこれを実行している段階でございますので、この際は一応県の今後の指導並びに農家現実の仕事のやり方、これを見た上で決定をする、かような格好にいたしたいと思っております。
  20. 石田宥全

    石田(宥)委員 面積等の問題は、これはもう今さら議論の余地はないので、面積などとおっしゃるのはおかしいと思うのですが、しかしここで水かけ論をしてもしかたがございませんから、この問題はこれ以上深く追及いたしませんけれども、とにかく県の方でもいろいろなけなしの財布をはたいて対策を立てておりまするし、正確な数字も出て参りましょうが、その間において、実際から手形に終らないように一つ特別な御配慮を願いたいと思います。  次に、恒久対策の点ですが、これはやはり結局は振興局でお骨折りを願わなければならないと思いますが、御承知のようにああいう山間地帯でございまして、さっきも申し上げたように水田は非常に少い。きわめて貧農、小農の集団地帯であります。従って農業経営の基盤であります土地改良がほとんどできておらないのです。特に小団地が多いものでありますからこれが行われない。雪解け水の被害などについても、やはり土地改良が完全に行われておればある程度防止はできる。幸いにして積寒法というものができて、多少恩恵があるのじゃないかと考えておったのでありますが、事実はほとんど恩恵を受けることができない。それは、要するに従来の二町歩以上というような一つの線が引かれておる、今度は形の上で五反歩以上ということになりましても、事実上の予算措置がほとんど行われませんで、土地改良がほとんど行われておらないのです。こういうようなところでありまするから、根本的には土地改良を完全に行う以外に恒久対策としてはこれは方法がないのです。ですからこれはやはりそういうところに立脚いたしまして、その上に立ってのいろいろな施策ということにならなければならない。ことに今度消雪時の対策でありますが、今こういう文明の時代に、シャベルでもってあるいはそりにのっけて土をばらまいて歩くようなこういう原始時代のようなことも——それもやらなければなりませんけれども、これをもっと根本的に、今は雪上自動車というような雪の上を走る自動車もできておりますし、いろいろな機械ができておる今日、これに対する根本的な対策を御研究を願わなければならない。あるいはまた税の負担等においても、家屋等はああいう豪雪地帯でありますから、むしろ木材の材石は暖地よりもはるかに多く要しておる。そういうところで固定資産税というものは、これは土地でも同じでありますが、比較的過重なんです。暖地とあまり相違がない。そういうような課税面等においてもやはり検討を要する問題がたくさんあるわけであります。ことしは十年ぶりの大豪雪でありますが、しかしながらこれは十年ぶりにたまたま起るものではないのであって、年々あるけれども、ことしは少し多いというだけの話なんです。年々あるものであるにもかかわらず、恒久対策として今申し上げたような調査、研究もほとんど行われておらない。県立農事試験場がわずかに耐雪性の桑の改良であるとか、あるいは耐雪性のレンゲソウの品種を作るというようなことをやっておるだけであって、根本的な対策というものはほとんど手がついておらないのです。この機会に振興局が中心になって、そういう面についての恒久的な対策一つ樹立していただいて、ああいう天然に恵まれない地方農民も、ある程度そういう面で施設の改善なりあるいは対策を立てることによって相当農業も営み得るのでありますから、根本的な恒久対策についての検討をこの機会に本格的に樹立されるように要望を申し上げておきます。
  21. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま豪雪地帯についての土地条件の整備、あるいは農業技術の改良の問題、あるいは税金その他の農林関係以外の問題、いろいろ現地に出張された方も、また県当局自身もそういうような点が非常に立ちおくれておるということを認めておるのであります。ただいまお話のありましたように、私どもとしても、今後は特にそういうような点についていろいろと研究して、対策に万遺憾なきを期したい、かように考えておるわけであります。
  22. 小枝一雄

    小枝委員長 大野市郎君。
  23. 大野市郎

    ○大野(市)委員 関連して二、三お伺いいたしたいのであります。先ほど農林省では寒冷地農業確立のための恒久対策というので寒冷地農業調査協議会が設置されておるようでありますが、この寒冷地のみならず、今回の降雪の状況などから拝見いたしましても、寒いということのほかに、積雪というものが非常に住民に害をなし、農作物その他の施設に害をなすものであります。従って農林省においては、この寒冷地につけ加えまして積雪あるいは豪雪、表現はいかようにもありますが、積雪という意味合いにおいて、この調査協議会というものを拡充せられる御意思があるか。
  24. 大坪藤市

    大坪政府委員 もちろん新潟県は積雪寒冷地帯に入っておるのでありまして、当然あの法律の適用がありますし、今後農林省が寒冷地帯農業振興のいろいろな問題を解決して参ります場合に、当然当該豪雪地帯農業振興も対象となるわけでございます。その点については、今後試験研究あるいは改良普及事業あるいはただいまお話のあった農地条件の整備、これらの問題について逐次対策を樹立して万遺憾なきを帰して参りたいと考えております。
  25. 大野市郎

    ○大野(市)委員 それから同じ問題でございまするが、今回の緊急対策といたしましては、あるいは質問がダブるかもしれませんが、林業関係現実被害をつぶさに現地で見ますと、非常に広範囲に、しかも杉の二十五年、三十年くらいの樹令のごときものまでが折れておるわけであります。これらは雪消えとともに正確な被害が出ると思われますが、こういうものに対して、これは御担当が異なると思いますが、御出席がありませんので、農林省の代表としてという意味で、この点に対しての対策もお考えだろうと思いますので、ちょっと伺います。
  26. 大坪藤市

    大坪政府委員 今回の措置は、御承知のように、目下の緊急対策ということにしぼって予備費を計上する、こういう格好になっておりますので、今後雪が解消した場合いろいろ問題が起るかと思うのであります。御指摘の苗木あるいは林木の被害の問題あるいは雪の下に埋もれておりました麦、野菜その他の農作物の問題、あるいは農地自身の問題、あるいは桑の問題、いろいろあるかと思いまするが、これは雪が解消した場合の情勢を調査して、それによって必要があれば、対策を講ずる、かような格好に相なるかと考えるわけでございます。所管が違いますが、ただいまの御意見の点は関係の林野庁の方によく話をしていきたい、かように考えております。
  27. 大野市郎

    ○大野(市)委員 そのほかに果樹園のたなが豪雪のために折れて、大被害が生じておる状況もありますので、これもただいまの御答弁の趣旨をわれわれ理解いたしますので、つけ加えてぜひ部内で将来の御検討の資にしていただきたい。  それからもう少しお聞きします。これも本日早々でありますので、自治庁関係の交付税の問題にもなりまして、恒久対策の方になりますので、いずれそういう機会をいただいたときに詳細さらに述べるつもりでありますが、当面問題点として部内でも御研究願い、またその機会に自治庁方面にもお伝え願いたいと思いますが、県道や国道において積雪のためにそこの市町村の住民がその市町村費をもって現在ブルドーザーなどの機械力をもってトラックなどが通れるようにいたしておるわけであります。ある大きな市などにおいてはその燃料代だけで一冬に二、三百万円の予算を使い、国道線を死守しているような状況もあります。これらはそこの市町村の利益のみでなく、そこを使用する国内の貨物の輸送に全般的な利益を及ぼしておるわけであります。このようなものもやはり雪国の特殊な事情から住民に負担が過重にかかっておるのでありますから、こういうものも地方交付税の特別交付税なんかで見てやらねば公平を欠くのではないかというような印象を持っております。本日はただ問題点だけをちょっと申し上げておきたいと思います。  なおそのほかに学校や役場などの雪下しの費用の問題であります。特に豪雪地方などにおいては、一冬に十四回も雪おろしをいたしておるわけであります。それらに支払った人夫賃は自治体の大きな負担になっておるわけであります。これらはいずれも立証できるところの詳細な資料をもってその負担状況が明確になるはずでありますので、これに準じて住民の屋根からの雪おろし——おろさねば家がつぶるるのでありますから、そういう意味で非常な目に見えない費用がかかり、他人に支払う雇用労賃がそのうちの負担になっております。小千谷市などは一戸に一冬五万円のむだが出るという統計まで発表されておるような状況でありますので、こういう雪おろしから除雪の費用、冬囲いの設備費、それに伴って家屋がいたみまするので修繕費が他よりもかさむ、さまざまな非常な不利なる問題があります。これは建物の償却費の問題にも関係いたし、所得税の必要経費として控除すべき範囲の問題でもまたあると思います。あるいは市町村関係の公共企業体に対しては、いわゆる特別交付税的な関係になるのではないかと思われます。以上のような諸点が伏在しておりますが、いずれ詳細な資料を持って各担当御当局御出席のときにお時間をいただきたいと思いますので、農林部内といたしましても、問題点を一応御了承願って御研究をしていただきたいと思います。以上の諸点を御質疑いたすわけでございましたが、この緊急の問題に対して部内が一致されて、住民の福祉のために格段のお骨折りをいただいたことを、その地方の実情を知っておりまする一人といたしまして感謝いたしておきます。一そうこれが実現に御協力をお願いして、私の質問を終ります。
  28. 大坪藤市

    大坪政府委員 ただいま豪雪地帯につきましていろいろ特殊な事情をお述べ下さったのでありますが、農業自体の非常におくれておる事情もございますし、今後の農業の振興につきましては私どもはその所管でございますので、これは一つ逐次遺憾なくやって参りたい、かように考えるのでございます。農業以外の問題につきましても、農民の生活と農業とは唇歯輔身の関係でございますので、私どもといたしましてはいろいろ考究し、また関係方面にもその実情を申し述べまして、できるだけ当該地方農家自身がよくなって参るように措置したい、かように考えております。     —————————————
  29. 小枝一雄

    小枝委員長 次に農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案及び農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案、以上三案を一括議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案も出ておりますので、いわゆる農単の試験制度が五カ年で終るということで、これを廃止される意向のようでありますが、提案理由の説明を見ても、農単方式についてはいろいろ利点もあるけれども農業災害補償制度の運営の現況から見て、今すぐにこの方針に移行することは無理かと思うので、これを廃止するというのが、この法案の提案の趣旨でありますが、この内容についてもう少し詳しく——五カ年間にわたる農単の試験を実施した経過の中から、むしろこれは農災法の一部改正の中に、農単によるところの利点等を加えて改正を試みるべきでないかというふうにも考えられますので、この点について局長から御説明を願います。
  31. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農家単位共済実施成績資料としまして、こういうのがお配りしてあると思います。これでごらん願いますと、農単につきましては各部一組合を選びまして、水稲は五百五、六十組合、麦ではやはり五百数十組合を特別に特例法に基きまして選定して、五カ年の実験をやってきたのであります。その結果はそれぞれ表になって出ているのであります。たとえば表の二ページを見ていただきますと、一戸当り共済金額では、一筆に比べまして農単の方がふえます。さらに四ページを見ていただきたいと思います。二月当りの共済金につきまして農単の方が一筆よりふえております。さらに金額被害率から見ますと、農単の方が減ってくるのであります、それからまん中の欄の戸数被害率を見ていただきますと、やはり農単の方がうんと減ってくるのであります。大体建前の当然といたしまして、農単は農家の持っている各筆の増減収の集計を農家で縛っているのでありますから、ある農家の持っている筆の一部は減収しましても、一部が平年作あるいは平年作を上回るということになりますと、差引いたしまして、その農家被害率は減ってくることになります。従って現在の制度を切りかえる場合には、今までの受益農家戸数がうんと減るということは、相当問題になってきているのであります。それから十ページを見ていただきますと、経営規模別に見ました場合に、経営規模が大きいほど被害率は減ってくるのであります。これも農単の建前からいえば、あるいは当然の帰結になるかとも思います。十ページの表で見ていただきますと、大体五、六反程度までが被害率が大きくなる。それから一町五反をこえる、西の方では一町をこえますれば、うんと被害率が低くなってくるのであります。そういうふうな関係で、初めから農単方式をやるということになれば、あるいは当然こういうふうな結果でいいということも言えるかもしれませんが、現在の一筆建でやっておりますれば、やはり経営規模の大きい農家被害を受けた経営耕地については共済金をもらっておる、こういうのでありますから、これの善後措置、すなわちあるいは無事戻しを考えるか、あるいは国庫の補助を増すかというようなことが当然問題になってくるのであります。それらの方法についてなかなか解決の名案がつかない。ただし今申し上げましたことは、当然農単の利点として考えられることでありますが、この十年間一筆方式をとってすぐそういう農家の現状にうんと変化を与えるということが、今までのこの実験の成績だけでは、そう簡単に切りかえることはできないのではないか。ことに農単の場合は農単の料率算定の資料がなかったので、一筆方式によってきめられたものをとっておりますが、その場合には現在の一筆建の場合よりも補助率をうんと多くして、一筆でとる場合の農家負担掛金、国庫から補助する分を引いた農家負担になっておる分の残りの半分も増して補助するとか、あるいはこれを実施する団体に相当補助金を出しておりますから、そういうことで一見非常にその組合としては恩恵をこうむっておるように見えますが、これを全面的に全国に及ぼすということになりますれば、そういうことも財政負担を非常に増すことになりますので、従来の負担率なり従来程度の組合に対する補助でもって切りかえることは、受ける農家側において非常に問題になるのじゃないか、こういうふうな点から私の方では、今回は農単方式を取り入れることができなかったのでございます。
  32. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この五カ年間せっかくこの農単方式の実験を行なって、それを何ら無価値なものにして廃してしまうということでは全く芸がなさ過ぎると思うのですけれども、これは昭和二十七年から実施したのですが、その当時からやはり共済制度の一つの今後の発展のあり方として、一筆方式より農単方式に移行すべきであるというようなそういう底流をなす考え方があって、実験に入ったとわれわれは理解しておったのですが、五カ年間たった今日、実験の過程において今局長の言われた利点とするようなところを整理したり、採用するような熱意のある作業を何らやっておらなかったということは、これは怠慢ではないですか。
  33. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農単法を実験する場合の大きいねらいは、一つは手続を簡素化することになりはしないかということ、もう一つは国の負担が軽減されるのじゃないか、こういうふうなところでないかと思います。ところがやってみますと手続の簡素化の問題は、結局何といいますか、やはり農家の持っておる各筆を農家で縛る、農家で一括するということで、かえって一筆ごとよりも手続が簡素化されないという結果が出てきた、それから国の負担を減少する、これは先ほどの説明で、はっきり国の負担を減少するということが出てくるのであります。しかしそれは何といいますか、あまり言葉は適切でないと思いますが、現在の一筆方式で農家が期待しておる共済金の受け取り権が戸数においては半減する、こういう結果が出てくるわけです。そのことはやはり今のような仕組みでは、一挙に受益農家戸数を半減するというようなことは踏み切れないのではないか、こういうところで、私の方では今はこの農単方式を採用する時期でない。さらにこの農単方式をする場合の制度の立て方というところまで入っていかなければならないのじゃないか。お話のように芸のない話じゃないかということは一見言われるかもしれませんが、しかし農単方式をやったことによりましていろいろな示唆は得ております。すぐそれを今度の改正の中に織り込んでおりませんけれども、農単方式の実験によって、今度の改正案の運営上いろいろな注意すべき点等についての示唆が得られたと私は考えております。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今局長が農単方式の方は損害評価とか、そういう事務的手数が煩瑣になると言ったけれども、これは最初から純然たる農単方式によるところのいわゆるそういう損害評価とか、一切のシステムを明確にして始めたのならそういうことにならなかったと思います。先ほど言われたように農単方式をとることにしても、やはり筆ごとの損害評価をやる、そして経営反別全体でまた縛るというようなことをやったから、これは二重の手数ということにおそらくなったと思うのです。だから五カ年間やっておるうち、農単方式として損害評価の新しい方式とか、いろいろそれに付随した問題の解明をだんだん積み上げていく努力というものは、実験の過程において必要でなかったかと私は思うわけなんですが、そういうことはほとんどやっておられなかったように考えるわけなのですね。もう一点は、国の負担分が軽減するという話がありましたが、これは現在の農単方式によると受益農家が減るということからそういうことになると思うけれども、しかし国のほんとうのねらいは、どうしたならば国の負担分を軽減させるかという方式を考えるのではなくして、少くとも現行の国の負担分のうちにおいて、より高度な共済制度の改善とか合理化をやるかというところにその努力がなければならぬのではないかと思うのです。そういう場合においては、やはり現行の一筆方式よりも、農家の経営の中における損害の所得補償という上からいえば、農単方式の方がはるかに高度のものであるということは、考え方としてはそう言えると思う。ですからやはりこの機会に全面的に農単の利点とするところを改正案の中へ織り込むことができないとしても、将来の制度の改正の方向として、農単の利点というものをこの改正案の中にできるだけ取り入れる努力をすべきでなかったかというふうに考えられるわけなんですが、その点はいかがですか。
  35. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 農単と前の制度との相違は、反建か石建かということでありますが、農単は石建になっておるわけでありますから、その石建の分は今度新しい制度の中に取り入れておるわけでございます。それから御指摘のありました損害評価についても、農単の今までの損害評価と同じ考えでやるからだめじゃないか、こういう考えはごもっともでありまして、農単でやって手続を簡素化するということになれば、今の立毛における損害評価ではなくして、農家の実際収穫高、玄米なら玄米、あるいは農家の販売数量、そういうものを保険の対象にしてやる、こういうことも一つ考えられるわけであります。しかし今のように、農家の収穫高を押えればいいことになるのですが、かえって今の立毛の損害評価よりもこれはつかみにくいのではないか、こういうことで現在のところは損害評価をやるとすれば、やはり立毛で損害評価をやるよりほかにないのではないか。それ以上踏み切れなかったのであります。これは一つは供出制度というようなものとの関連において、あるいは将来もっと考え直すことができるかもしれません。しかし現在までの段階では、そこまで踏み切れなかったのであります。だから農単方式のものを全然無視しているというのではないのでありまして、一番大きい点は、今の石建を採用したということは、やはり農単の実験の結果相当石建に対するわれわれの自信をつけた、こういうことは争えないのではないかと思います。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それから農単の実験を始める当時は、むしろ零細経営の農家の方が非常に不利益になるのではないかという危惧もあったのですが、結果的には大経営の方が恩恵の度合いが少いということは明確になったのですから、そういう点からいうと、わが国の零細規模の経営の中における農単というものが、決して弱小の経営農家に対して不利でないということは明らかになったと思うのです。それからもう一つ、たとえば北海道等はそうでありますが、災害の極端にひどいようなこういう常習地帯においては、最低の経営を持続するために、農家の最低所得の保障をねらったような、むしろ農単によるそういう方式の方がいい。その平年作に近いような、あるいは平年作の中において局部的に災害があったという場合には、そういう筆建の場合よりも大災害等に対して耐え得るような補償制度をとられた方がむしろ望ましいというような意向が非常に強いわけであります。そういう場合においては、補償限度の引き上げ等によって農単の制度をやるということも常習地帯について考えられる点でないかと思うのです。全国一律に農単にするということはなかなか困難性もあるかもしれぬけれども、非常に災害の度合いの激しい変化の多いような地帯に対しては、制度上において何らかの形で農単方式というものを生かすことも決して不可能ではないと思うのですが、そういう点に対してはどう思っておりますか。
  37. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 三十一年度の北海道の冷害のように、全面的に被害程度が多い場合はどちらでも同じじゃないかと思います。ただ今までの試験の段階におきましては、組合あるいは掛金等に対する国の補助が大きいですから、よけいに得のように見えると思いますが、それを一律にすれば変りはないじゃないかと思います。むしろこの災害補償制度では、やはり災害を受けたたんぼについての補償を多くするか、農家の総所得を補償するかという考え方の相違になってくると思うのです。そうしますと、やはり農家の総所得ということになりますと、先ほど来申し上げますように、今すぐそこへ飛び込むというわけにはいかないのではないか、こういうふうに考えます。しからばお話のように希望のある地域で農単方式をとるわけにいかないか、こういうことでありますが、これは保険制度についてはやはり全国一律というか、統一性を要求されるのでありますから、また農家がこの制度によって公平な取扱いを受ける利益を受ける、こういう点から見ましても、ある地域々々によって方法を選択さすということは、非常にこの制度の運営が複雑になりまして、われわれの方としては、すぐそこにそういう地域別に違ったやり方を採用するというところまで踏み切り得ないのであります。これはもちろんまだ農単制度で今説明申し上げませんでしたが、農単制度を採用する場合の料率等をどうするかということも、これは五カ年間の成績ではすぐ出て来ません。もう少し時期をかけないと出てきませんから、そういう農単制度それ自身の、かりにやるとしましても、やはり準備期間が要りますから、そういう点からも、この際そういうふうなお説のようなことは私どもとしてはようやらないのでございます。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 農単の方はこの程度にしておきます。  次に本法の改正の方におきまして、改正のおもな点となっている問題について順を追ってお尋ねしますが、第一点は今度の改正によって零細農家に対する加入の特例が設けられるようなことになっておるのですが、これは今までの経営耕地面積から耕作面積にそれを改めるということですが、内地は耕作面積が二反、北海道は五反ということのようでありますが、こういうような特別措置を講ずることによって、零細農家に加入の任意制を認めるというそのパーセントは全体のどのくらいになっておりますか。
  39. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お配りしてある補償制度に関する資料の第一でございます。そこを見ていただきますと、米麦合せ一反歩未満の農家戸数及び二反未満の農家戸数、こういうふうに出ております。米麦合せて二反歩未満の農家戸数としますと全国で九十一万戸になります。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 二反歩未満にすれば九十一万戸になるということですが、これをさらにもう一反歩引き上げるというような場合にはどういうことになるのですか。
  41. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 第一表は米麦合せ二反で切ったものでございますが、これをかりに三反で切りました場合の表といたしましては七ページにございまして、七ページは面積でございます。戸数は八ページの下の欄の百四十五万七千戸という数字であります。
  42. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると特例措置を設けて、零細農家の任務によって加入できるようにする最大のいわゆる許容限度といいますか表限は変かもしれませんが、最高どのくらいまでは保険経営の上からいって任意加入を認めていいかという一応の限界があると思うのですが、それが二反歩か三反歩かそういう一線を画する場合の検討をした場合、どの程度まで最高限度として容認できるかという点に対する検討がなされておるならばその点をお伺いします。
  43. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは第一表の二反歩未満の農家戸数のところで見ていただきたいと思います。一表の一番右の欄の米麦合せて二反未満の農家戸数の総農家戸数に占める割合を見ますと、二反未満の農家戸数が二〇%以上を占めるのは東京、山梨、静岡、和歌山、島根、広島、愛媛、高知、長崎、鹿児島、こういうふうになっておるわけであります。これを三反以下で切りますと、かりに水稲だけで見ますと大へんなことになるのであります。たとえば神奈川県は三反未満の水稲農家戸数が五五%、それから山梨県は七〇%というふうになるのでありまして、三反でやるとある県ではこの制度が成り立たなくなるおそれがあるのじゃないか。そこで私どもの方としましては米麦合せ二反歩あたりで切らなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  44. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお伺いしたい点は、先日同僚足鹿委員からもいろいろ御質問がありましたが、共済の運用上基準反収の問題が非常に大事だと思います。共済の場合に用いる基準反収等はいろいろあると思いますが、この制度の中で用いる基準反収は、現在の統計上から見た実質的な反収と比較した場合どういうような開きになっておりますか。
  45. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 お手元の資料の十七ページに三十一年産水稲の基準反収の表がございます。ただいま私どもがやっております基準反収の取扱い方といたしましては、統計調査部から各府県別平年作反収をちょうだいいたしまして、これを当該府県にわたり府県内の基準反収がその数字に一致するよう取り扱うようにいたしているわけであります。この統計調査部の平年作につきましては、後ほど統計調査部の方から御説明になると存じますが、一応昭和元年からの反収の生産条件の変化を織り込みました趨勢値から本年における反収はいかにあるべきかを算定いたした反収であります。一体その反収がわれわれの常識とどういう関係にあるかということで、右から二番目に三十一年産水稲につきましての統計作付面積を示しております。基準反収に乗ずると六千六百八十八万六千石という数字に相なっているわけであります。一応全国の平年作を六千六百八十八万石と考えますれば、現在示しております基準反収の府県別の妥当性が一応御判断の御参考になろうかと存じまして示したのであります。
  46. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 統計調査部の方で考えております平年反収は、水稲につきましては昭和元年から前年までの趨勢値をとっております。三十一年は全国単位二石一斗一升であります。麦につきましては大正十三年から前年までの趨勢値をとっております。これは麦別に申しますと、小麦が一石四斗八升、大麦が二石二斗九升、裸麦が一石四斗八升になっております。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 現在供出制度なんかあまりやかましくなっていないのですから、現実に即応した反収基準を把握してやらぬと、せっかく共済に加入して損害を受けた場合に補償してもらうという期待が全く裏切られるわけです。現地ごとによって違うと思いますが、現在採用する基準反収は、おそらくその地方の実収の反収に比べて七割くらいということになっているのじゃないですか。どうです、その点……。
  48. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 当該の年の実収と基準反収を比較いたしました調査は、残念ながらございません。ただ、ちょっと先ほど申し落しましたが、統計調査部の方からいただきます反収を、その県におきまして市町村別に加重平均をしておろすわけでございますが、それが五%の上下にあります限りは、共済の側におきましてはそれを認める、こういう措置をとっておりますことを申し添えます。  今御指摘の、実際の反収と相当違うのではないかという御意見でございますが、私どももいろいろの機会にそのように承わるわけでございます。しからば、実際の反収というものはどの程度であるかということになりますと、過去の統計をもとにしてこれをやっております関係上、この際特にどういうふに改めるという、改めるべき基礎になる資料そのものがなかなか得られない、こういう実態にあるわけでございます。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題は、基準反収が非常に大事だと思うのです。ですから現実には平年作で三石とれるという地帯において、その地方の基準反収が二石一斗くらいだということになると、実収の七割くらいが基準反収ということになって、そのまた七割以下の作況でなければ共済対象にならぬということになると、七七、四十九で、大体実収の五分作以下くらいにならなければ、共済対象にならぬという現実が生じておるのですね。農家の場合は、自分の実収と基準反収が幾らという観念の調節がとれておらぬですから、災害が起きたときだけ、自分のところは三石とれるのに、ことしは七分作以下になって二石そこそこしかとれておらぬのに、共済の対象にならぬのはどういうわけだという、そういう疑問が生じてくると思うのです。ですからやはりその共済制度の中における基準反収の設定というものは、現実に即したような方式をこの際採用する方に、やはり踏み切ってみる必要があるのです。もちろん基準反収が高ければ掛金も高くなるということは付随してくることなのですが、そういうことは当然わきまえのうちに入っておるのですからして、基準反収を、合理的に現実に即したような基準に思い切って改訂して、そうしてこの制度が期待に沿えるような運営ができるようにする、こういうことにならぬと、それ以外の点をいろいろ苦心されて改善されても、基準反収の問題が今まで通りの、いわゆる昭和元年以来の趨勢値というようなことで押えられておっては、何にもならぬと思うのです。どうですかね、そこのところは……。
  50. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 基準数量は最近の、ことに三十年、三十一年の豊年時には非常に低い、そういうことが今までの制度の運営上非常に問題でありまして、私の方でも弱っておる点であります。しかしこの基準数量としては、三十一年度が二石一斗でありまして、三十年度は基準反収二石になっておるわけであります。この趨勢値で上げているわけですから、三十年、三十一年度のような豊作がいつまでも続くものであるのかどうか、こういう問題が一つあるのじゃないかと思います。もしそうであるとすれば、これは考え直さなければいかないということになると思います。それはおそらく供出自体の統計、これが誤まっておるのであるから、そこを直して、そうしてこの趨勢値をはっきり出していくということが必要じゃないかと思います。しかし三十年、三十一年度の作が、技術の進歩もさることながら、技術の進歩に伴って天候等の条件が整っていたということであれば、われわれの方で見ているこの趨勢値というものを、あまり無視するわけにもいかないじゃないかと思います。そうかといって、農家が個々に、わしのたんぼは普通の年ならばなんぼとれる、あるいはなんぼとりたいという見込み反収を、自由に選択さすということも、これは制度として成り立たないのでありまして、その点はわれわれの方としましても、非常に苦慮しているところであります。しかし、これは一ぺんには片づきませんが、先ほど来申し上げますように、統計の整備あるいは補正というようなものをもとにしまして、やはり基準反収の点を是正しなければならない、こういうふうに思っております。ただ、従来では反建でありましたから、何といいますか、一律削減ということができなかったので、今の基準数量と実際との比率という問題が、非常にはっきり出ておったのであります。一律削減をやりますれば、従来とは多少組合員の受ける感じが変ってくるのじゃないかということも期待しているのであります。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 強権供出時代は、やはり基準反収が低いということが、政策的にも望ましい時代もあったけれども、現在は、農政を進めていく上からいっても、たとえば日本の食糧増産の成果が全然上らぬというようなこともずいぶん批判されて、経済効果の上らない農業予算は削減するというような意向も最近強くとられているのですが、これはやはり水稲にしても、すなおな実収高の把握ということをやっていかぬと、単に共済制度だけで、なくて、農政全般に対しても狂いがくるのじゃないかというふうに考えられる。まあここ最近は、ほとんやどはり七千万石台というものは割っていないと思うのです。そうなると、すでに六千五百万石とか六千六百万石が、平年時の全国の収穫高であるという観念は、これはやはり現実に適応しなくなってきているのじゃないかと思うのです。ですから、そういう場合には、やはりある程度勇気をふるって、七千万石なら七千万石が平年時の収穫高になっているのだというような、そういう切りかえを思い切ってやることが必要じゃないかと思うのですよ。ただ問題は、たとえば地方の都道府県と統計調査部の食い違いは、むしろ反収の問題よりも面積の問題が不一致なんです。だから統計調査部の方は、面積はなわ延びがあるとかなんとか、比較的面積の面ではそれを広げていって、そのかわり反収の面では、あまりそれをつり上げないようにしているし、それから府県の場合には、面積はそれほどないのだということを今まで主張してきているのです。ですからこういう点に対しては、統計調査部としても面積だけを広げて、ただ反収をあまり上げないというようなことでなくて、実際の反収はどうなっているかということをむしろ基本にして、それと同時に正確な面積の把握をやるというふうに方針を変えていったらどうかと思うのですが、いかがですか。
  52. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 お話のありましたように、平年反収というものに対する感じが非常に実際と違っておりますので、この点につきましては私の方も実地に当りまして目下検討いたしております。
  53. 小枝一雄

    小枝委員長 午前中の会議はこの程度にとどめまして、午後は一時半から開会いたします。  休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十二分開議
  54. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業災害補償法の一部を改正する法律案農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案及び農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案、以上三案を一括議題といたし、質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 午前中基準反収の問題で質問したわけでありますが、結局従来のような基準反収のとり方でいく場合においては、将来においても被害農家に対する農災制度の期待というものは非常に薄いと思うわけですが、結局基準反収を今のようなとり方で持続していくという場合においては、政府が今度示されておるところの七割、五割というような四段階制の場合も、その最高率を高めるというようなことをしなければ調和がとれないと思いますが、その点はどうですか。
  56. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいまの七、五、三の上にもう一つ八なら八、九なら九というものを作らなければ運営がうまくいかないではないか、こういうお話でありますが、実はこの共済保険の補てんする限度を何にするかという点が問題でありまして、従来農産物の価格の半分ということを目途にしておりますので、その線によってそれまでは確保できるようにしようということで七割というのを出しておるのであります。それまでかけたくないという場合には必ずしも強制する必要はないから、そのほかに五、三、二というのを置いたのでありまして、その七の上になお八を置くということにつきましては、農家の希望で農家が掛金をよけいかけるということで満足するのだからいいじゃないか、こういう説もありますが、現在の制度はそれに並行して国の負担がそれだけ増す、こういうこともありますので、私ども関係各省間の協議では、従来の農産物の価格の二分の一を補償するというところにとどめておるのであります。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 国の負担分を増さないということだけを建前にしてやっていくという場合には、これは大した改正にならぬのです。ですから、制度改正が行われるに従ってやはり国の負担も相当額ふえて、そうして制度の内容が充実するということでなければよくないと思います。ですから、たとえば基準反収を現実に即したものに是正するということであれば、もちろんそれに基いて今度の損害高というものは相当大きくなってくるようなことになるからして、国の負担分というのは当然ふえてくるわけですが、現実農家の損害に対して、国がどの程度責任を持ってそれを補うかというところに共済制度のねらいがあるのですから、やはり今回の改正の場合においては、この基準反収というものを現実に即して是正するような措置を講ずるか、あるいは政府が今考えられておる四段階制の中における七割というものをもう二つ高めるか、何らかの措置を講ずるということに明確にならなければいけないのですが、もう少しこの点に対して政府のはっきりした答弁を期待するわけです。
  58. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ですから、最初に申し上げましたように、どの限度までこの制度で補償するか、すなわち総収入にするか、現在のように半分にするか、七割を見るか、あるいは現実の出費分だけを見るか、いろいろな考え方があります。現在の制度は価格の半分ということを押えておりますから、それをとった、それは経過的の問題でありまして、改正案を実施した上、これは省令事項でもありますので、改正案を実施して、その実施の経過にかんがみてさらに七割の上のランクをつける必要があるかどうかというようなことは結論を出してもおそくないじゃないか、そういうふうな考え方で、今度の案は現在の二分の一を確保するというところに関係各省の間で話をきめておるのであります。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 先日も足鹿委員から問題の提示がありましたが、この七割、五割、三割、二割の段階にさらに八割という段階をもう一つ設けた場合、どの程度政府の負担分がふえるか、それは計算したことがあるんですか。たとえば七割をやめて八割とする場合と、七割をそのまま置いて、その上に八割を置く場合とは相当違うと思うのです。ですから、これらの政府の負担分の増大の数字がどの程度になるかという点を参考までにお伺いしたい。
  60. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 お答えいたします。選択の金額を開きまして実行いたしました場合に、全国でそれをいろいろな組合が選びまして、どの程度におさまるかということはなかなか推定が困難であります。二十八年以来組合で選択いたします制度をとりまして、毎年予算編成の際には、その実績によりまして選択の幅の平均値の中でその何割程度におさまっておるかということを実績で算定いたしまして、予算編成で実行いたしております。この方法で同様に七千円、五千円、三千円、二千円の上に八千円という選択の種類を作りまして、現在予算を作成いたす際にやっておりますことと同じ方法で計算いたしますと、掛金の面、総額におきまして十八億の増加と相なります。そのうち十一億七千万円ほどが国庫負担の増になりまして、農家負担の増は六億六千万円程度に相なる試算に出ております。それから上積みで八千円という数字を作らないで、もし七千円を八千円にかえたら幾らになるかということでありますれば、試算をさせていただきたいと思います。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に法律案要綱の第三に、共済組合または共済事業を行う市町村が支払うべき共済金にかかる損害の額の認定は、主務大臣が定める準則に従って云々とありますが、この場合の主務大臣が定める準則の内容というものはおおむねどういう内容を持っておるのですか。
  62. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは部落段階で部落損害評価委員が行う調査の方法でありますとか、あるいは市町村が行う場合は市町村の損害評価委員が部落の評価を調整するために行う調査の方法あるいは連合会及び組合の評価を調整するための調査の方法、国が示します審査基準に対応して連合会及び組合が行う損害額の決定の方法、それらのことを準則の中にうたおうと考えております。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合損害評価を行う一つの末端の機関として連合会もそうでありますが、損害評価会を設置することになるようであります。この損害評価会の構成と実際の機能の運営に対してはどういうような構想でやっていくつもりですか。
  64. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 損害評価委員は村の中で損害評価にたんのうな人を選定するのであります。損害評価委員の資格なり損害評価委員になる人は同じ村の中でありますから、従来と変った人があるというわけでありません。ただ従来は損害評価のために寄り合いはありますけれども、それはただ通牒とか指導方針でやっているだけでありましたのを、今度はこれを法律上明確に規定したのであります。権限は市町村の組合長、市町村が行う場合においては市町村長の諮問機関になるわけであります。損害評価を認定する場合は、まず損害評価会の意見を聞かなければならないということを法律上の義務としてつけたのであります。従来本制度を実施する上においてとかくいろいろな問題がありましたが、ほとんど大部分の問題が損害評価にかかっているといってもいいくらいの問題でありますので、この運用に念を入れ、適正にこれを行うために法律上もこれを重視したというのが今回百四十三条等において規定をいたしたゆえんであります。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その場合の損害評価会の損害認定の決定等がどの程度の権威と効力を持つかということです。損害評価会を必置なものにして今まで以上充実した機能を発揮させるとしても、この損害評価会の損害に対する認定等が行われた場合、それがどの程度の効力を持つか疑問だと思うのです。
  66. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは結局従来統計調査部の県別あるいは郡別の損害額調査で査定しているということになっておりまして、実際の調査の方法が正鵠を得るならば、その組合系統で調査した損害額と統計で認定調査した損害額とはそう開きのある筋合いはないわけであります。要するに坪刈りをやるとか見回り調査をやるとか粒数計算をやるとか、そういう点について科学的にというか実証的にやれば必ず近い数字が出るわけでありますが、そういう調査の方法につきまして、統計調査部の損害評価方法あるいはそのほかの面の正確なる損害評価方法等をこの損害評価会の中に取り入れられるような機構として考えておるのであります。従いまして私の方では、たとえば統計で調査する場合に、統計の坪刈りの場所はどこどこであり、いついつやるからこれを見ておってくれ、それからまた組合の方でいついつ、どこどこで坪刈りなら坪刈り、損害評価なら損害評価をやるから、統計の方の人もその方法が間違っておるかどうか見ておってくれ、そういうふうな相互の連絡によって調査そのものを正確にすることによってこの評価会の損害評価が成功を期せられることを期待しております。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この損害評価会の機能というものでありますが、これはたとえば地元の損害評価を行なってそれが集積されて、その集計されたものをその町村なら町村の組合段階においてこれが妥当かどうかということをみずから判断して、そして結論を出すという、そういう任務を持っておるのでしょう。
  68. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 最後の決定権は組合長なら組合長が持っておるのであります。組合長が決定する場合の補助機関ということになるわけであります。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、決定を行うその組合長の決定というものはおそらく形式的なものだと思うのです。その決定を権威づけるためのこういう機関だということになると思いますが、しかし問題は個々の農家の損害調査です。今度はどういう形で、従来と違った方式で行われるかということが一番問題だと思うのです。先日の局長の説明の中にも、末端農家に対する的確な損害の評価額の認定をどういう具体的な機能でやるんだということに対する説明は十分でなかったと思われるわけです。この点がやはり、たとえば国の調査機関が末端までおりてやれるかどうかということにもなるかと思うのですが、この点を解明しておかなければ損害評価額に対する問題点は全然明らかにされぬと思うわけです。
  70. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 組合で評価する場合にもやはり坪刈りなら坪刈りというものをやりまして、それを評価委員が見て、どの程度の田であればこの坪刈りの結果どれくらいな損害だというサンプルができます。それに基いてみんなが見回って一筆々々の損害を評価することになると思います。ですから、そのもとの精密にはかる場合のはかり方が模範となって、他の田が比較される場合の比較の仕方、そういうものについて、組合の独断的あるいは恣意的な考え方でなしに、ある一つの、今の損害認定に関する準則の中できめられます方法に従って行われますれば、損害評価は従来よりも念入りに行われることになりますので、その結果は従来よりも正鵠なものが出てくる、こういうことを期待しておるのであります。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 問題は、従来は共済法の建前からいって、町村段階の調査というものは全く組合の自主性にまかしておったようなことなんですが、それが最終的には組合の自主性を持った損害評価というものは無価値なものにひとしいようなことにされておったのですね。ですから、そういうことを幾ら繰り返してもいけませんので、今度の改正を機会に、やはり末端の損害の確認の段階まで国が責任のある調査の手をおろして、そして組合と共同責任の立場でその末端の損害評価をやるということにすれば、あとになって組合の評価が二分の一にも三分の一にも削減されるという全く妥当性のない結果が出ないと思うのです。ですから、それをどうやるかということが今度の改正を機会に具体化するべきであると思うのです。
  72. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 それでありますから、結局私坪刈りの方法を例に引いているわけです。坪刈りの方法について正確に出てきますれば、そのたんぼについての従来の統計の見方と従来の組合の見方との開きがなくなるはずです。それを模範にしまして周囲の田の損害を評価することになれば模範になりました筆のたんぼの損害の程度の見方がそもそも一初めから狂っておれば、それをもとにしてほかの田の損害を評価した場合には全部が狂うわけであります。基礎が同じであればあとの見方の相違というものも幅が狭まってくるのじゃないか、そこをねらっておるのが今後の損害認定に関する準則の内容等できめられる調査の方法の主眼点になる、こういうふうに思います。
  73. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、それをやる場合、それでは国の調査機関では統計調査部の末端職員を町村段階までおろして、そして損害評価の基礎的な坪刈りだとか何とかの作業もやらして、やはり国の調査機関が現地においてもその調査や損害の認定が確実であるかどうかということを責任を持つということまでしなければいかぬと思うのです。そういうことは当然考えているのですか。なお、現在の統計調査部の人的な配置とか機構の上からいって、そういうことが期待に沿ったところの処理ができるかどうかという点もあわせてお答え願いたいのであります。
  74. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これでは、組合の損害評価に統計の職員をそのまま入れてそれで最終にする、こういうことは今すぐ考えておりません。そういう案を損害評価について検討の段階において出したこともありますけれども、それはそれでまた今度ほかの弊害が出てくるというので、結局組合が損害評価をする場合に、その損害評価の方法等について統計の職員が実際に指導に当る、相談にあずかる、こういうことはやる、それからまた統計が坪刈り検見をやる場合に、損害評価委員あるいは共済組合の人がその調査に立ち会って統計のやり方を見てもらう、そうして今度組合で評価する場合の参考にしてもらう、こういうふうに相互に調査の方法その他の知識の交換、技術の交換をやるということは大いにやっていきたい、こういうふうに考えております。従いまして、建前はやはり組合は組合、統計は統計、しかしそういうことをやりますれば調査の方法が正確になるということになれば、おのずから統計の調査と組合の調査の開きはずっと狭まってくる、こういうことを期待しておるわけであります。
  75. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もちろん国の調査機関は組合の行う事業内容まで完全に入るということはできないとしても、農済組合の場合はこれは損害評価でありますが、統計調査部の仕事は当然作況調査を行わなければならぬことになっておるし、あるいは災害が起きたときには災害調査等をやることになっておるのですから、その調査の結果というものはやはり組合の損害評価であっても、それから国の調査機関の作況調査であっても、その同一市町村内における作況がどうであるということの調査の決定は、そんな大きな狂いはないと思うのです。ですからこれをうまく調和させるような現地における調査機関というか調査機構というものをやはり確立する必要があるのじゃないかと思うのです。そうでなければ、従来と同じような弊害というものが、現地における損害評価の権威のなさというものがどこまでも続いていくように考えられるわけです。
  76. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 どうしても組合はやはりできるだけ有利に結論を出したいというのはやむを得ぬじゃないかと思います。統計の方が特に厳密にやるというふうなことはかりにあっても、私の方では従来統計の県別あるいは郡別の損害額に一定のアローアンスを与えておりますから、それは相当帳消しされておる。それでも現在はなお相当の開きがあるわけでありますが、そういうことでは本制度の運用がうまく行かぬわけでありますから、統計の数字一定のアローアンスをつければ、その範囲内に組合側の損害評価が入ってくるという程度くらいまでの損害評価の正確さを持たせたい、こういうのがねらいなのであります。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題はやはり統計調査部のこれからのあり方の問題等にも関係すると思うのです。ですから最大限に統計調査機構を有機的に動員した場合において、今までの統計調査部の仕事以外に、共済制度の面に対しても権威のある国の調査機関が動員されて、相当の所期の目的を達することが側面からできるのじゃないかとも考えられるわけです。ただ単に現在配置されたそのままに定着してやる方法でなくて、これは時期的にもまた災害別によってもその機動性を発揮させることがもしも可能であるとすれば、それほど膨大な人的のものを増大しなくてもやれる場合も便法としてはあるのじゃないかというふうにも考えられるのですが、これらの点に対しては局長並びに統計調査部長も来ておられるのですが、現在の機構のもとにどの程度有機的な動員ができるものであるか。その辺はどうなんですか。
  78. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは仰せのように現在の機構を有機的に動かさなければならない、こういう考え方で統計調査部の方で検討を加えてもらっております。要するに災害が起った場合に、他の事務所あるいは他県の事務所の人を災害のひどいところに集中的に機動的に集まってもらって、損害評価の手助けをする、こういうことは行政として考えなければならないことじゃないか。そのためにたとえば旅費そのほかの費用相当ふえる。それから場合によったら、その機動力も限度があるから、あるいはこの共済制度の損害評価のために人を増さなければならぬ場合があるかもしれません。その点についてはこの法律が三十三年度から施行になりますので、三十三年度の予算にはぜひ何らかの具体的措置を予算化したい、こういうふうに考えております。
  79. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 ただいまの局長の御意見にちょっとつけ加えますと、私どもの方の調査のやり方におきましては、県別の数字が一番正確に出ます。それから群別、市町村別とだんだん正確度が減って参るようなことになっております。従いまして、ただいま私どもの方の持っております陣容なり機動力なりをもちましては、正確な市町村別の数字というものが得にくいわけでございますので、今局長が申しましたように、ほかの県からの応援ということになりますと、被害が起りますときはだいぶ各県とも起るような情勢にありますので、かなりむずかしい点があるかと思いますが、たとえば食糧検査員であるとか、あるいは改良普及員であるとかいうような方は応援を願える場合もあるかと思いますので、そういうような機関の職員の応援を願うことも考えなければなりませんし、かなり予算が要るかと思いますが、そういうような方法でより正確な統計資料を出すことは私どもも現在検討いたしております。
  80. 足鹿覺

    足鹿委員 関連して、今の評価と統計の関連の問題ですが、今も統計調査部長が言われるように、市町村の統計資料というものは現在の機構ではないのですが、まだ戦後のこの機構ができる前には、市町村統計吏員という制度があって、そうして市町村みずからか一つの統計の資料を持ち、それが県に伝え、国に伝えておった。そういうやり方もあったのです。今度事業が市町村に移る場合に、また最近市町村合併が非常に進行して、大市町村ができて、郡よりも大きい市や町ができるという段階に来ておって、郡の持つ郡の統計資料はあるが、市町村のはないということは、私は矛盾だと思うのです。今度の損害評価とのつなぎをやろうとすれば、郡ではどうしてもつかない。今までの昭和三十年に実施されてきてからの実例から見ても、思わしくないということは明らかなんです。従って今問題になるのは、市町村単位のいわゆる被害統計というものだけにでも限定してまとめることができるのか、できないのか。できないとすれば、どこに難点があるのか。その点について。
  81. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 私の説明が少し不十分だったと思うのですが、統計の機構で市町村別の損害額を出すということは、これはとうていできないと考えておるのであります。そこで私の方で考えておるのは、市町村別の数字は組合で損害評価してもらう。その損害評価の方法についてまちまちであるとか、あるいは私の方の統計から言わせれば、組合の損害評価の方法が不正確である、そういうことによって組合単位の損害評価が出てくると、県に集計すると大きい開きがあるから、調査の方法は十分正確なものとして、統計、組合相互でよく打ち合せて、これなら間違いないという方法でやってもらう。そうしてその集計が県に集まってくるわけですから、県の統計機構で従来の県別なり群別の大数観察によるトータルの数字と比べてみて、そういうふうに基礎の調査報告が正確であれば、あまり狂いはないだろう、こういう考えであります。なぜかと申しますと、統計が市町村別の数字をやるということになれば、今の機構ではとてもだめである。また損害評価会に損害評価委員相当置くわけでありますが、それと同数程度のものを置かなければならぬということにもなると思います。それらの統計機構の人員を相当増さなければいかぬことになりますし、平素からそういうものを置いておくというわけにもいきません。そこまでいくのには、機動力を発揮するといってもそれはとてもできない。従って、統計調査部の人は組合に調査の方法の正確性をお教えする、あるいは統計の見方、統計調査方法について、組合から、これはふに落ちめがどういうわけかということをいろいろ自由に発言できるようにしてもらう、こういう程度のつながりをつけたいと思っております。そのように御了承を願いたいと思うのであります。
  82. 足鹿覺

    足鹿委員 どうもよくわからぬのです。市町村単位にまとめ上げるということをやると、非常に経費がかかるというのですが、現在小さな郡は一市二町くらいに分れておるところがたくさんありますよ。現在の統計調査事務所の配置機構を見ておりますと、支所があって、出張所を統轄しておるのですね。ですからその機構の上にあって、ただ数字の集計の単位を市町村にとるのと、郡にとって県にまとめるのとの違いであって、そう大きな経費や人員を伴うことではないと思うのです。この前の制度改正のときにも、やはり上下に相当の振れを見て、弾力性のあるものにしなければならぬと言ったのですが、あれがうまく適用されないのは、組合は損害評価を市町村単位に行なっていくのに、統計調査事務所は郡で集計するというところに原因があったのではないかと思っているのです。しかし、従来のように、一部に四十も五十も市町村がある場合と、十に足らないような段階まで町村合併が促進した現在とは、よほど事情が違うと思うのです。ですから、ただ集計の単位を郡でやるのと市町村で集計して郡に持ち上げるとの差だと思うのです。それができないのはおかしいと思うのですがどうでしょう。
  83. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 郡といいますか、統計事務所単位という考え方なんです。三十年、三十一年で、群別というかそういうブロック別の数字を出しまして、統計学の教えるところによると、必ずしもその単位では正確な大数的な結論は出ないわけでありますから、郡単位というのを続けていったらいいのか、県のトータルだけ押えて、村別のは先ほど申し上げたように組合の正しい調査方法による結果をもとにして県のものを配った方がいいのじゃないか、郡単位のをやめたらどうかというような説も出ているわけであります。そういう際でありますから、もっと小さい市町村単位になれば、数字上の不正確さというか誤差というか、そういうものが大きくなるのじゃないかというのであります。従って、繰り返すことになりますが、組合の町村別の損害評価を正確にして、これを尊重していくようにしたいと思っております。
  84. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 郡が五百五十くらいといたしますと、新市町村の数が四千か四千五百くらいになるのです。正確度を同じくらいにするといたしますと、かなりの金が要るわけになります。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 藤巻さんの言われることと局長の理解とちょっと違っておるのです。統計調査部長の言われた町村段階よりも県段階の方が正確だということは、何も町村ののはやれないとかやっていないというのではない、やはり調査の基礎は市町村の段階からだんだん進めていって、それが郡とか県段階に集計されて、全体のバランスをとって調整されたもの、たとえば実収高と損害高の数字ということになるのです。そこまでいって初めて確実性が持てるのであって、調査の出発はやはり末端の市町村から始まっておるということは厳然たる事実なんです。ただ、市町村ごとにやった場合に、最初の調査が一番確実性を持ったものでないということを調査部長は言われているではないですか。
  86. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 そうではないのでありまして、サンプル理論でありますから、サンプルの地域が広ければ広いほど正確なものが出てくるわけです。お話は、市町村ごとに締めて、それを県のものへプラスして出す、こういうことではないのでありまして、サンプルを県でまとめる場合、郡でまとめる場合、町村でまとめる場合、郡でまとめますと、郡の中で相互相殺といいますか、いわゆる大数観察の結論の誤差が大きくなるわけです。不正確度を増すわけであります。ですから、サンプルのとり方によって、町村で縛ればその統計がその村の実際を必ずしも伝えていることにはならない場合が出てくるわけであります。もしそれをやるとすれば、町村別のサンプルの数をうんと増して町村の正確性を持たせなければいかぬわけでありますから、うんと手数がかかり費用がかかることになります。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはちょっと違うのです。統計調査部長からもう一回説明して下さい。
  88. 藤巻吉生

    ○藤巻説明員 ただいま局長の申し上げました通りでございまして、一つ地域に対してなるべく標本の数がたくさんあるほど正確な調査ができるわけでございます。従いまして、私どもただいま大体一部平均百六十単位区くらいで調査しておりますが、その場合で、県におきまして水稲で大体三%の正確度、郡になりますと一割の誤差が生ずるような計算があります。市町村になりますと非常に大きな誤差が生ずるような結果になりますので、実際調べております単位区なり標本の筆はもちろん町村にあるわけでございますけれども、そこの数字がそのままその部落なり町村なりの数字にはならないのでございます。全体を県でまとめまして県別の数字が出てくる。それをまた逆に郡別、市町村別におろしていく、こういうやり方をやっております。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことだと共済制度のあれに当てはめていくわけにいかぬのです。確率の問題は幅が広くなるほど高まってくることは、今の標本筆を設けてやる統計調査の方式から言えばそうなんですが、しかし、確率は非常に低くても、末端からやっていくことには変りないのです。北海道の場合は支庁単位に集めるとか、あるいは統計調査部の出張所がやはり二カ村とか三カ村とか持ってそこでやっておるわけです。だから、調査そのものを末端においてやっておるということはやはり変りないのです。その末端において行われている統計調査作業と共済組合の損害評価調査をもう少し組み合せて、国の出先機関も末端まで下りておるということに対する責任を持ったような共同調査の態勢等ができないということはないと思うのですがね。
  90. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは、町村で一ぺん締めくくるのであれば、町村の正確度を二%なり三%にするだけの標本数が必要になってくるわけであります。県でやるとすれば、その町村から出す標本の数は一定の数でいい。その標本の調査は正確に行われているということになるわけです。しかし、その標本の数だけでその町村をくくると、標本の数が少な過ぎるから誤差率が非常に大きく出てくる、こういうわけであります。それを市町村のワクをつけないで県で一まとめにすると、県の全体の結果として出てくる数字の誤差率は少いわけであります。ですから、統計機構を組合単位まで下げるということになれば、組合単位の標本数をその単位に適当とする数だけ出さなければいかぬわけですから、現在の標本の数ではとても間に合わないわけであります。従って現在の機構なり人員ではとても行えない、ところが私の申し上げておるのは、組合の方で、統計がやっておる坪刈りの方法とか、あるいは粒数計算の方法とか、いろいろな損害評価の方法さえ正確であれば、それは組合の思う通りの標本数を組合で選定して町村数字を出せば、今度はそれを県全体に町村別のやつを合計したやつと、統計の各単位のサンプル調査でやったその結論とは、そう開きが出てこないであろう、今みたいに倍になるとか三倍になるとかいうことは出てこないだろう、こういうことを申し上げておるのであります。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そういうことだと、何も今までと変らぬでしょう。現在までも結局農林大臣は都道府県に対して減収石数と被害面積との一つの基準を与えておるでしょう。これはワクだと思うのです。そのワク内において処分しろということになるのですからね。そういうことでなくて、末端の調査とか被害の確認というものは、最後までそう狂わぬようなことにするにはどうしたらいいかということを考える必要があると思うのですよ。
  92. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 現在までのやつは、たとえば統計の調査職員との連絡というようなことは、これは供出制度からの関係で非常に秘密主義といいますか、外に対してあまり連絡していなかったわけであります。三十一年度から連絡せよ、こういって通牒を出しておりますけれども、末端からの声を聞きますと、連絡してないようであります。今度は損害評価会を法定するわけでありますから、その損害評価会の評価の方法、そういうものについて統計調査部が積極的にお手伝いをする。それからまた逆に、組合の方から統計調査部でどういうことをやっているのだ、統計調査部が坪刈りをやる場合にはどういうことをやっているかということを積極的に連絡してきて、見ておってくれ、君らがやる調査もこういうふうに正確にやってもらいたい、こういう建前にするのでありますから、従来とは非常に変って、統計機構を組合の評価に適用する、こういうことであります。これは私の方で変えようというわけであります。
  93. 足鹿覺

    足鹿委員 関連。問題の一番中心に触れてきたのですがね。この前の本委員会の決議と、評価問題についての参議院の農林委員会の決議の思想というものは、やはり最末端における評価を統計機構を加味して的確にやる、それを積み上げていけという思想に立っているのです。すなわち、衆議院の決議第八項は、「町村段階以上における損害評価の基礎として、農林統計調査機構の作業により作物統計から作成する一定の幅をもった減収率を使用できるよう同機構を急速に整備するとともに、末端組合においては同調査との有機的関連を保持しうるよう現行被保険者評価に伴う運営上の難点を改めるものとする。」いわゆる末端組合において統計調査部の行う調査とをうまくかみ合せる、そのかみ合せるには一定の減収率というものを適用するのだ、そして末端でまず調整してそれを積み上げろ、こういう思想ですよ。あなた方のは、郡あるいは県できめておいて被害率を出しておいて、それから逆算して町村に持っていこうというから、そこで問題が間違ってくる。私どもの今度の改正の重点は、やはり末端組合が今までよりもうんと少くなった現在においてはそう難色もなかろう、今局長がるる説明をされるような、それくらいの熱意のある協力態勢が統計調査部に与えられるものならば、市町村単位に組合との被害率の集計というものができないはずはないのです。まずそこで調整してやるということ、それは食い違いが大きいということを心配されておるようですが、そこを努力することによってこの制度が生きてくるのですよ。それからわれわれがいただいた資料の中にありますが、参議院もこの点ではわれわれと考え方が同じです。参議院の決議第五項は、「損害評価は被保険者から独立した、第三者が主体となって行うことを建前として措置し、これがため農林省統計調査機構を活用する。農林省統計調査機構は市町村区域の損害評価に利用することを目途として之が整備に努める。農林省統計調査機構は、国の再保険の前提として之を利用する。」こういうふうに、やはり参議院の決議第五項も、いわゆる末端組合、市町村組合の損害評価と統計調査部のものとをかみ合せていくという思想の上に立っておるのです。そこでまず一つ被害率を出していく。そのものを積んで——県で制度が違えばそこで調整することはやむを得ないでしょう。また国の立場においてある一つの予算的なワクとの食い違いも出てくるでしょう。ですからそこら辺の考え方が、さっきからの芳賀委員との質疑応答を聞いておって、従来とちっとも変っておらぬ。これでは損害評価に対する信頼性というものは出てきませんよ。何ぼ一生懸命やれ、やれと言ったって、自分たちでやったものが結局弊履のごとく取り扱われることになりますから。これは私ども考え方とあなた方の考え方の重大な食い違いです。これはもっと検討の要がありますよ。
  94. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 これは率直に申し上げれば、私がこれと同じ趣旨の案を、統計調査部でファイナルの第三者評価をやる、こういう案を出したのであります。これをもとにしてずいぶん検討したのでありますが、そのためには現在の調査機構では人員あるいは経費の点から——統計調査考え方は非常に厳密でありますから、国がやるとすれば最後の責任を負うということになる。ところが中途半端にそれをやりますとかえって地元で、国の調査機構と地元民との関係がまずくなるのではないか、とうてい今の行政能力では、これをかりに人をふやすにしても、現在の状況からいえば十分なことはとうてい不可能だろう、従って今はそうやる段階でないという結論に到達したのであります。ですから今の衆議院の決議、参議院の決議の趣旨は、われわれ十分検討を加えたのでありますが、その通りになっていない。私が先ほどから説明した程度になっておるのであります。これは率直に申し上げます。しかし何と申しましても損害評価がやっぱりこの制度の中心になりますから、これは次々さらに検討を加えて、ほんとに今言ったように第三者の統計調査機構でやる、はっきりそこまで持っていかなければと思っております。しかし現在の法律の改正の段階では、私の申し述べた程度でスタートしたい、こういうのであります。
  95. 丹羽雅次郎

    ○丹羽説明員 ちょっと私から補足させていただきたいと思います。足鹿先生の御指摘の通り衆議院の御決議がございまして、なるべく下で突き合せをやるという考え方、特に市町村の段階でやるというお考えにつきまして、私の承知いたしておりますところでは、当時一応その線によって案を立てたわけであります。ところが市町村におきまして一定の幅を持った数字を出すということにつきましては、当時予算並びに人員の関係で実行困難であるということで、とりあえず御趣旨に沿うという趣旨におきまして、郡段階で数字を出しまして、その郡段階の統計から出ました数字に中央で示します一定の方法で幅をつけまして、県庁の段階で組合の郡評価と統計をもとにいたしました郡評価の突き合せをやる、こういう方式を三十年産米に採用いたしたのであります。ところがその場合には、実際の各郡の統計の数字と、組合側が村別に調査いたしました郡の合計とに非常にでこぼこができまして、県段階特に県庁の段階によりましてその収拾に非常に苦慮いたした。そこで三十一年産米においては、とても県知事の段階でこれは困難だということで、共済団体の方から部分の数字を私の方に上げさせ、また統計の方から群別の数字をいただきまして、中央においてこの両者の突き合せをやり調整をはかる、こういう方法をとったのであります。ところが最近までにおきます実態といたしましては、県全体としては大体両者の間に意見の相違はないようであるけれども、中央において郡ごとに幅をつけましても、その幅をつけた数字が組合の評価との間に調整がつきにくくて、県全体で考えるならばけっこう話のつきます問題が、郡ごとにこれをやるという建前のために特定の郡が円満な解決を見かねる、こういう実態がことしにおいても相当出ておるわけてございます。そこでただいま私どもが考えております考え方といたしましては、先般お手元にお配りいたしました改正案要綱の方では、建前として組合評価で金を払っていくという原則はとりかねるので、考え方としてはあくまで第三者の資料である統計調査部の資料をもちましてチェックは行う、そのチェックの行い方としましては、一筆石建てに相なりますれば減収量総量で抑えれば事足りるわけでございますから、原則として県のトータルを組合の評価が過大であるか適当であるかのチェックに使いたい、従ってそれ以上に突っ込みましてその内部関係につきましてあまりやかましいことはなるべく言わない方がおさまりがいいのではなかろうかという趣旨のことが書いてあります。つまりお配りした改正案要綱の中では、連合会の統計調査部の郡別被害調査等を勘案して組合間の評価の相互調整をやるということで、「農林省は、統計調査部の資料に基き、都道府県単位に連合会の評価を審査する。」というふうに、一応県段階の下に入りましたものを取戻したらどうかと考えておるわけであります。今年度の実例といたしましても、北海道の例をとりますと、その地域を分けて立ち入りますために相当紛糾を起した例もございます。これが北海道全体の数字で中が相当大幅にゆだねられるということでありますれば、相当もっと円満に行ったとも考えられる経験もあるわけでございます。ただその場合にそれではそれだけ下の評価が全然死んでしまうではないかという問題につきましては、下の評価と組合の評価を実態的に、なるべく両者が歩み寄るような方法としては、先ほど来局長がるる御説明いたしましたような、技術的な交換の方法を一方において講じますと同時に、少くとも下で見ました対象面積は一応これを尊重しよう、いわゆる一律削減の思想をここに導入いたしまして、末端の見方との部分的な摩擦の調整を一律削減で行なってもらいたい、こういう考え方で一応考えているわけでありまして、その点につきましては、改正案要綱の「損害評価の実施に当っては左の措置により」云々というふうに、私どもの考えは一応お示ししたつもりでございます。
  96. 芳賀貢

    ○芳賀委員 結局そうなりますと、従来と変らぬということなんですね。最初に局長は、今度やり方を変えて、末端における損害の確実なる把握というものを重点にしてやらなければいかぬということを言っておったが、現在においては全く自信を失って従来と同じ方式でやるというようなことを言い出したり、あるいは統計調査部が末端の調査に参加する場合も、責任を持つということでなくて、単にお手伝いを申し上げるというような程度の表現でしたが、そういうことではいけないと思います。国の調査機関で手薄であることはわれわれもわかりますけれども、手薄であっても、市町村段階の組合の損害の調査等に対しては、国としても責任を持って積極的にそれに参加して、指導したりあるいは調査の確実を期するためのできるだけの努力をやられるような責任のある立場というものを明確にしなければ、改善にならないじゃないですか。
  97. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 今まで統計調査部と組合とは全然関係がなかったといっていいわけなんです。それを今度損害評価を作る場合に、それにお手伝いする——これは言葉が悪ければ直しますけれども、とにかく調査の方法等について、組合のやり方はこうした方がいいといって正確な方法を教え、そしてまた組合からも統計調査調査方法について不得心があればどんどん申し入れをやる。そこで統計調査機構と町村組合とは末端で相互に連絡が非常に緊密になってくるわけであります。その点は非常に違ってくると思うのです。今まで全然ないわけなんですから。みんな統計の方は秘密、組合の方が教えてくれといっても、いつどこで抜き取り調査をやるということまで秘密にしておったわけでありますから、非常に変ってくると思うのであります。そこのところでお話がありますよりに、統計が町村全体の数字について責任を持つということになりますと、これは非常にむずかしい問題になってくる。これは先ほどから申し上げたことでございます。私の方では相当従来の方針を組みかえて突き進んでいるのであります。
  98. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に先ほどの答弁によって、国の統計調査機関が最末端の市町村段階の調査ができないというような発言もあったが、今後の統計のあり方からいっても、やはり具体的な町村における統計上の調査というものは、ますます必要度が高まってきているわけであります。ただ国の食糧の集荷とかそういうことだけでなくて。ですからそういう場合においても、やはりこの機会にたとえば共済制度の中における調査等に関しても、やはり国の調査機関が末端における実態把握ができるようなところまでおりていかなければいけないと思うのです。そうでなければ単に一律削減の方式をとっても、これは場合によっては危険なことになるかもしれないと思うのです。この点はもう少し政府部内においても、局長の方でも検討されて、町村段階における損害評価を、現在と異なってどうやるという点を考えをまとめてもらいたいと思うのです。  委員長に申しますが、実はわが党は三時から共済関係の会合がありますので、きょうはこの程度にしてもらって、明日また続行してもらいたいと思います。
  99. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは本日の会議はこの程度にとどめまして、明日質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十一分散会