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1957-04-23 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十三日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 助川 良平君 理事 田口長治郎君    理事 稲富 稜人君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    五十嵐吉藏君       石坂  繁君    大野 市郎君       川村善八郎君    木村 文男君       草野一郎平君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       原  捨思君    本名  武君       松浦 東介君    赤路 友藏君       足鹿  覺君    伊瀬幸太郎君       石田 宥全君    楯 兼次郎君       中村 英男君    永井勝次郎君       山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君         運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君  出席政府委員         水産庁長官   岡井 正男君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君         海上保安庁長官 島居辰次郎君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新沢  寧君         農林事務官         (水産庁生産部         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (水産庁生産部         海洋第一課長) 木田  繁君         海上保安監         (警備救難部         長)      砂本 周一君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 四月二十三日  委員井谷正吉君、石山權作君及び楯兼次郎君辞  任につき、その補欠として永井勝次郎君、石田  宥全君及び伊瀬幸太郎君が議長指名委員に  選任された。 同日  委員石田宥全君辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  にしんに関する漁業調整に関する件  鮭鱒延繩漁業許可方針に関する件  北洋漁業に関する件  漁船の航行の安全に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  水産関係の問題について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを順次許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 長官にお尋ねいたしますが、北海道におけるニシンは、引き続いて非常な凶漁であります。この沿岸凶漁転換策として、道庁ではいろいろな施策を前から進めているわけでありますが、そういう問題からいたしまして、本年は沿岸漁業ニシン業沖刺し網転換して、その活路を開こうということで、漁獲区域も、沿岸から少し沖合いに延ばそうという、こういう計画であります。これに伴う中型機船底びき網の業に対して、混獲問題に対する制限がなされております。この問題の競合中心といたしまして、今道庁関係水産庁関係で、いろいろ話し合いが進められておると思うのでありますが、これらの問題につきまして一般的に、この問題を中心とした基本的な考え方、及び今後の水産庁のとるべき方針についてお考えを承わりたい、かように存じます。
  4. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま永井先生の御質問の内容は、その通りでございます。ただ昨年までと、若干政府考え方において違う点がありますのは、従来北海道ニシンというものにつきましては、いわゆる国内的な漁業調整というようなのを主体に考えたのでよかったわけでございまするが、日ソ漁業委員会におきまして、鮭鱒ニシンカニ、この三極目の水産物につきましてやはり話し合いを続けていく。むしろニシンにつきましても、ニシン資源を保護しながら、両国において共通的な結論を見出すというような方向へいく段取りになっておりますので、ソ連ニシン漁業に対する考え方日本側考え方で、双方とも共通的なものは共通的な姿である方が、今後両国交渉日本側に対して有利であろうという考えがございます。従いまして、国として底びき網のニシン制限について積極的にやらないで、むしろ今後は民間協定操業協定を、道庁水産庁においてあっせんしてやらす、そういうような民意の発露によりまして操業協定をやらして、それを道庁なり中央官庁において、その通りを推進していくというような形にしていく方が非常にけっこうであろう、かように思っておるわけでございます。従いまして、ただいま永井先生の方から御指摘がありましたように、私の方といたしましても、北海道庁と緊密な連絡を保ちながら、近く双方操業上の協定、いわゆる沿岸考え方制約しない、また底びきも非常に困らないように、双方とも適当な点で操業協定を結ばせたい、かように考えておるのであります。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 今の長官の話によりますと、従来は国内問題であって、その考え方には変りはない、本年は日ソ漁業条約その他の関係で、国際的な問題が新たに生起された、その新たな条件の上に立って考えなければならない、こういう御答弁と了承したわけであります。そういたしますと、この混獲問題基礎になっている国内問題、すなわち沿岸定置漁業沖刺し網転換するにあらざればこの活路は開けない。沖刺し網定置漁業者にとっては唯一の生くる道である。従って、その道はできるだけ開いて、守ってやるようにしなければならない。そこから起るいろいろな問題は、定置漁業者転換を主にして考えていかなければならない、こういう従来の考え方には変りがないのかどうか。現在のニシン凶漁におけるその転換、及び沿岸漁民の今後の対策という問題に対して、どういうふうに現実をつかんで、どういうふうな方向で解決すべきであると考えているのか。国際問題はしばらく取り除きまして、国内問題としての基本的な考え方を、一つ明確に伺っておきたいと思います。
  6. 岡井正男

    岡井政府委員 永井先生十分御承知のように、北海道定置によるニシン漁業というものは、まず当分の間見込みはないと思います。従って、従来定置に依存しておりましたニシン業者が、沖合いニシン漁業転換する、多く沖刺し網転換するというのは、これは必然的な転換でございますがゆえに、道庁におきましても、中央官庁におきましても、そうあるのが当然であるし、そうあった暁において、これを生かすように指導するのが当然だと、かように考えております。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 そういたしますると、従来の一船、一航海百貫程度の混獲、こういうことはその限度において許容量である、こういう制限は妥当であると考えているのかどうか。それから、妥当であるとすれば、これらの実行の面において、どういうふうに措置すべきであると考えておるのか。それから今後沖刺し網と底びき網との間に競合が出るであろう諸問題、あるいは時期の問題あるいは地域の問題、あるいはニシン資源確保の問題、そういうような諸問題があろうと思いますが、それらの問題に対してどのように措置することが漁業政策上妥当であり、妥当であるとするならば、その妥当な線を実行するために政府として措置にすべき諸対策というものを具体的に明確に示していただきたい。
  8. 岡井正男

    岡井政府委員 ある漁業について、たとえば御指摘中型底びきについてのニシン混獲を時期的に、あるいは区域によって、あるいは漁獲量によって制限する、あるいはこれをコンビしていくといういろいろな方法もあるわけでございますが、先ほど申し上げたように、政府として大っぴらにこれを制限するという方式をやめて、むしろ民間協定の形をとらして、それを道庁なり中央官庁協定事項を守らしていくというような裏からいった形をとりたい、かように考えておりまするが、それらについて、おそらく今明日に着く予定になっておりますが、道庁主務部課長を呼びまして、具体案を急速私の方でも相談して、早い時期に結論を出そう、こういう段取りにしておるわけであります。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 混獲問題については芳賀委員からもいろいろ質疑があるそうでありますから、私あまり深く立ち入ったことはこの場合差し控えて、芳賀委員質問が進められて、その間にもし関連事項があったならば関連質問を許していただくというような形でこの問題は扱いたいと思うのでありますが、今私は、国内問題としてこの問題を考えた場合どうなるかという前提でお尋ねしている。国際問題は新たなる事態だからしばらく置いて、国内問題は国内問題として基本的な態度をまずはっきりしておいて、そしてそこに付加された国際問題というものを関連されてどう措置するかということは第二の問題として考えていくわけであります。でありますから、ただいま長官の言った業者間の操業協定に基いて、それを土台としていろいろな対策を立てていくということは、今の場合国際問題は別でございますから、これはしばらく置いておくわけであります。でありますから、国内問題として取り扱った場合、どういうふうに措置することが漁業政策上妥当であると考えているかということについてお尋ねしたのでありますから、ただいまの答弁はそれに当らないと思う。ですから一つ国際問題はしばらくおいて、国内問題として漁業政策上どう考えるか。これは国際問題が起っても何でも、主体的な条件はまずわが国漁業政策として確立しておいて、そのわが国漁業政策という主体的な条件立場に立って国際情勢を勘案し、これに臨機応変に対処していくという態度でなければならない。国際問題を処理する前にまず国内の主体的な政策というものの確立が必要であると私は考えますために、このことをお尋ねするわけであります。
  10. 岡井正男

    岡井政府委員 考え方に若干のズレがあるようでありますが、国際的に一応国内規制措置というものが公けの機関から打ち出された場合には、ソ連に対してもその通りをやはり資料として提出せざるを得ないわけであります。(永井委員「それはわかるんです」と呼ぶ)ですから、結局永井先生の御心配の点は、考え方はそうズレがないわけでございまして、形としてのズレがあるだけでございますから、実質的には、先ほど申し上げましたように、沿岸からやむを得ず沖合いへ転向せざるを得ないような漁業については、私の方でも保護育成すべきものであるという考え方があるわけでございますから、それに大きな障害にならぬように、適当な双方協定を結ばすように道庁なり私の方でも最善の努力をして、結果的には同じような結論を見出したいと思っておるわけであります。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 長官答弁は一オクタン価私の質問よりは高くなっておるのです。私の今尋ねたいことは、基本的な態度をまず国内問題として明確にしておいて、そうして国際問題をそれにどうかみ合せるかということなんです。だから長官の言うように、何か国で一定の制限をする、何なりを置くということになれば、今後の日ソ交渉において、国際問題として不利である、こういう点から自主的な漁業者操業協定というような形にして、政府みずからの制限とか何とかというものを置かないで、運用の上においてこれに対処していく、そうして今後想定さるべき日ソの漁業問題については弾力性を持っておこう、固定した条件を今作らないでおこうという考え方は、それはいいんです。それはそれとしてわかるわけですが、     〔委員長退席吉川(久)委員長代理着席〕 その前提条件となる国内問題としてのいろいろな考え方、これが確立されておらなければならぬと思うのです。そこで沿岸定置漁業者沖刺し網に進出する以外には生くる道がない、こういう現状把握については、長官もその通り考えになっておるのかどうか、ちょっとお伺いします。
  12. 岡井正男

    岡井政府委員 沿岸漁業沖合い漁業との調整については、ただニシン問題だけでなく、内地の方においても至るところそういうようなケースがあるわけでございますが、特にニシンにおいてはそれが非常にはっきり現われておるということにすぎないのでございます。そういう場合に、われわれとしては、沿岸の小漁民が宿命的にその土地を離れることのできない定着性魚種を生活のかてとしておるようなものについては、優先的に育成するというような方針は、おしなべて全国漁業について言えることだろうと考えております。ニシン漁業についても大体そういうような考え方であればこそ、今まで底びき業者としては例のない育成措置をとって貫数を押えてきたのでございます。ただ国際的には、それは表に出すのがまずいから隠しはしますが、そうかといって野放しに底びきは自由勝手にやりなさいということは私の方ではさせないつもりでおります。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 沿岸漁民に対する長官考え方は正しい考え方であり、一万一千経営世帯、十万名の北海道沿岸ニシン漁業者に対する生業を守ってやらなければならないという考え方に対しては敬意を表します。  そこでそれならば、その定着性のある漁民で動けない、そして沿岸ではとれなくなって沖へ出なければ生くる道がないという一つの固定した条件がここに確立された。そういたしますと、中型機船底びき網というものは、これは機動性があるわけであります。またニシンをとらなくても、従来禁止されていても、十分に漁業をやって成績を上げているわけです。また漁場の選択権は、動いてどこでも選択することのできる移動性を持っておるわけです。でありますから、混獲の問題、あるいは地域的に、季節的に競合するという条件ができた場合、どの線に調整するかといえば、これは定着性のある、漁民が動けないのだ、固定した条件がここにあるのだという、その条件を固定して、その上で移動性のある中型機船底びきの扱いというものを考えていくということが、ただいま長官答弁された考え方基礎として、それを前提条件として考えて参りますれば、当然そういう結論に至らなければならないと考えるのでありますが、この点についてはどうでありますか。
  14. 岡井正男

    岡井政府委員 そういう考え方でありますが、しかしそれがあまり度が過ぎますと、たとえば混獲といいますと、ほかの魚種をとるというので、すなおなひき方をいたしましても、沿岸漁業者が忌みきらう。ニシンが底びきにも乗っかるわけです。それを全部沖で捨ててしまわすということももったいない、従って混獲制限というので、なるたけそういうニシンがとれそうなところは避けてとれというような指導方針で今まできたわけであります。それでその量が非常に沿岸では不満な、少い量であるという意見があるかもしれませんが、そういうことがございますので、今後北海道が、特に西尾水産部長の、具体的な操業調停の案を示してほしい、われわれも乗っていこうと言うのは、心底に流れる考え方としては永井先生の御指摘の線とそう食い違ったものではないと思います。
  15. 永井勝次郎

    永井委員 いろいろな漁業の中で混獲が起ってくる。これは避けられないことであろうと思う。ただ混獲を名として、より多く漁獲しようという方向に動くか、混獲制限があるのだし、そういう一つの国の漁業政策である限りそれを避けていくか、どっちの方向をとるかというところに問題があると思うのであります。そこでこういう一つのデリケートな問題については、やはり国の漁業政策として、きぜんたる、厳然たる一つ態度が確立されておらないと紛淆を来たす結果になると思う。長官混獲の問題は、ニシンについて異例のない制限禁止をしておるのだ、こう言われましたけれども、これはニシンだけではありません。たとえばカニ漁の場合、同じカニという同種のものをとっておるにもかかわらず、その中で雌ガニは反当り一尾よりとってはいかぬ、あるいは雌ガニはとってはいかぬ、こういう、ニシン混獲どころではなくして、同種のものの中で雌雄を区別してとれというような、こういうことも、やはり資源の確保なり、あるいはこれを永続させるという漁業政策の上からそういうことをしておるのでありますから、ニシン混獲を禁止するなんというものとは全然違う。あるいは子ニシン制限にいたしましても同様であります。そういう制限条件があって、それを実行させておる。でありますから魚種の違った漁獲についての混獲を禁止するということは、これは実行もできるし、政策上妥当な線であると思う。でありますから、その点についてはあいまいな御答弁でなくて、明確に一つ、この際さらに答弁をわずらわしたい。これがこれから話を進めていく上における主要な点でありますから、この点は明確にしておいていただきたい。カニや何かの場合だってこういう制限をしている。これは相当無理だと思う。それさえ実行している。いわんやいろいろな魚を移動してとることができる条件の中で、ニシン混獲を百貫という制限はどうしてもできないのだ、どんどんとるということ、そういうことはあり得るのだというようななまぬるいことでは、問題が混乱して参ります。厳然たる当局の漁業政策政策としての態度というものをこの際確認しておきたい。
  16. 岡井正男

    岡井政府委員 全国の底びきの地区は、ブロック的に分けますと七つ以上あるわけですが、ただ底びきで漁獲されるもののうち、特に混獲制約を受けているのは、北海道の底びきのニシンにのみ適用しているわけであります。御指摘同種のものについて、小さいものをとってはならないというのは、瀬戸内海あたりの省令による取締規則だとか、あるいはまたほかでも府県によって行われている県知事限りの取締規則などで往々にしてありますが、それは同じ魚種をとる場合に、稚魚を乱獲してはならぬ、あるいはまた産卵に寄ってくる雌のものをなるだけとらぬようにしろとかいうような制約をしているわけで、こういう点はソ連側もあるいはまたアメリカやカナダあたりにおきましてもそういうような規制はあるようであります。これは主としてその同種のものの繁殖を阻害しないようにというような建前からそういうことが行われております。ニシンにつきましても、北海道道庁取締規則建網業者におきましても、あるいは沖刺しにおきましても、小さい混獲するニシンはやはりこれは禁止すべきだというような建前の法規が出ているように考えます。
  17. 永井勝次郎

    永井委員 だからどうだというのか、そこを伺いたい。説明だけじゃわかりません。
  18. 岡井正男

    岡井政府委員 従ってわれわれとしては、その魚種繁殖を阻害するようなものについての規制と、自然の姿で操業している場合に混獲するところの混獲率規制というものは、若干その間にニュアンスが違うわけでございますので、北海道ニシン混獲制約するということにつきましての量をどうするかというような問題につきましては、北海道道庁側の、地元でよく知っている部課長意見も聞き、今後実行方法としてどうするのが一番いいかというようなことを、時期、区域等もいろいろ相談して、前段に申し上げましたように適当と思われる規制操業協定を結ばせたい、かように考えております。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 私が長官に聞いているのは、個々の取締りをどうするか、あるいは具体的ないろいろな問題をどうするかということではなくて、漁業政策として少くとも日本の国全体の水産行政というものを総括し、指導し、その責任の地位にある長官立場において、日本漁業政策として、水産行政として基本的な考え方がどうあるべきかということを聞いておるのです。ですからこの場合は、道庁その他の担当官説明その他もあることでありましょう、考え方もあることでありましょうが、ほんとうに一つの、与えられた問題が同じでありますから、同じな条件の上に立ってどうすべきかという政策を確立するときには、そう違いがないと思う。ですからこれはもう最高権威水産庁長官としてその問題をあいまいにしないで、明確に同じ種類のカニをとっていて、雌はこれだけしかとってはいけないという制限をしておるにもかかわらず、混獲の問題の答弁は非常にあいまいになりつつある、最初よりもだんだんピンぼけしてきているのじゃないかと思うので、その点はもう一度はっきりと、政策としてどうあるべきか。これは避ければ幾らでも避けることができる。ニシンをとらなくたって幾らでもできる。一航海一船百貫以上とってはいけないという制限があれば、それを厳格に国の政策として実行するのだという態度さえあれば、カニの問題なんかよりはずっと実行がやさしいし、避けられる、実行の可能な条件があると思う。ここをはっきりさしていただきたい。
  20. 岡井正男

    岡井政府委員 ピンぼけというおしかりをこうむりましたが、私の説明が足らぬのかもしれませんが、たとえばカニについて、稚ガニをどうするとか雌ガニをどうするとかいうようなのは、その混獲をとめるというアイデアそのもの資源保護建前からきたものであるし、今現に御質問になっているニシン混獲問題は、これは資源の問題でなくて漁業調整の問題であります。従って資源愛護のためにするものと、漁業調整からくる混獲率をとめるという方法については、おのずから少しずつ違うわけでございます。要は百貫の混獲率というのは非常に簡単明瞭であって、われ行かんという断固たる中央方針があればいいじゃないかという御指摘でございまするが、むしろ底びきとかトロール漁業にある魚種規制するという考え方であるならば、区域規制をして、沿岸に迷惑をなさぬような区域で、そのかわりに混獲しても自由にとりなさいということがはっきり打ち出せるものであるならば、それが一番はっきりするわけであります。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 カニの場合における資源保持の問題とニシンの場合における混獲の問題とは性格が違うというくらいなことは、長官から説明を聞かなくても、先ほど来私はわかっている。そんなことじゃないのです。同じカニをとりながら、その中で雌をこれだけよりとってはいかぬという無理な制限さえ資源保護のためには実行させておるのだ、そうすれば混獲というような問題——ここはニシンがたくさんとれるけれども、こういう制限があるからここの場所は避けよう、移動して漁業することのできる底びきについては、厳然たる措置がなされておれば、そういうことは幾らでも可能ではないか、そういうことが可能な条件のときに、混獲の方は資源保護でないからとったってかまわないのだというようなあいまいな態度ではいかぬのではないか、こう言うのです。混獲の問題はやはり資源の問題にもやがて影響するでありましょうが、今主たる問題は、カニの場合は資源保護の問題である、あるいはニシンの場合は混獲の問題である、性質が違うくらいなことはわかっている。  しかしこの問題はさらにこれからの質問でお答えしていただくといたしまして、それでは調整の規準はどこに置くかという問題です。これはやはり定置定置の本来の漁業方法がある、それから機船底びきは機船底びきの本来の漁法がある。それぞれの性格に準拠した方法による調整ということが基準になっていかなければならないと思うのですが、その点はいかがですか。
  22. 岡井正男

    岡井政府委員 元来そういうふうなお説でございますと、要は沿岸漁業者に立ち入り禁止区域でも与えて、そこには沖合い漁業は立ち入ってはいかぬ、沿岸に優先的にやるというようなことに漁業改正をすべきではないかということで、漁業改正一つ研究課題としてわれわれ今なお研究いたしております。その漁業改正をそういうふうにしてしまえばはっきりするわけでありますが、それをしていない今日におきましては、やはり沿岸の宿命的なものに対する考え方は、できる限りそれを守ってやって、移動漁区でいけるものについて、若干めんどうでも制約を加えていくという考え方そのものは私が先ほど申し上げた通りでありますが、それじゃ今すぐにどういう名案があるか具体的に言えと言われますと、先ほども抽象的ではありますが申し上げたように、機動的な底びきを制限してある特定の魚種を相なるべくはとらさぬようにするためには、漁期で押えるか、区域で押えるかあるいはやむを得ずとれたものは混獲率で抑えるか、この三つでございまして、それをどういうふうにかみ合せて、いわゆる沿岸漁業者との摩擦を少くするかという案を至急考えたいと思って、われわれは道庁との交渉を二、三日を控えてやっているわけでありますから、しばらく御猶予をいただきたい。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 国の漁業政策の基本的な態度というものが確立しておりませんと、これら業者間の操業協定によってということになりましても、これは利害かいろいろ競合する問題であります。競合した場合これを裁定し、あるいはこれを指導し、あるいは適正な操業協定というものを結ばせるための当局の態度があいまいになっておりますと、この操業協定というものが常に混乱し、紛淆し、実施の面において常にごたごたが起ることになるわけであります。若干のごたごたはいろいろな操業過程において起り得る条件はありましても、きちっとした基本的態度があって、それを基準として操業協定を結ばしめた、こういうことになりますと、割合にすっきりとした線が出てくるのではないか。ですから私は今基本的な一つ考え方をここに確立する必要がある、またそれを伺っておく必要がある。これから道庁等と折衝されるにつきましても、あるいは業者に対していろいろ指導されるに際しても、その基本的な態度がこれから具体的な協定に入るべき操業協定というようなものの前提条件になる、基本的な条件になる、こう思うから聞いているわけですが、先ほど来の私の質問に対しての答弁を要約して、私は大体次の芳賀委員質問に譲りたいと思うのでありますが、第一にニシン定置漁業者、一万一千の経営者、十万の漁業者、こういうものは定着しているのであって、移動ができないから、その漁業の生業を確立してやるために今後のいろいろな措置は優先的に考えてやるのだ、そのために沖刺し網という漁法への転換は不可避な条件である、こういうふうに確認してよろしいかどうか、これが一つ。  それから中型機船底びき網は移動性のものだ、漁場の選択権は船の方にあるのだ、ニシンという固定したものを対象にしなくても、幾らでも努力によってその辺を動いて自分の漁業の経営を確立することができるのだ、魚群の探知機も持っている、あるいは大きないろいろな近代的な漁法もある程度整備しておる、こういうような有利な地位にあるそれぞれの技術及び施設を百パーセント活用できるような方法において、これを活動させるという分野を与えるというような意味において、この調整条件というものは移動性がある。いろいろな近代的な施設も持っており技術も持っておる。こういう立場において考えていくべきであるという考え方、これが第二。  それからもう一つは、政府みずからは制限及びその他を国際的な関係もあるからこれはやらないが、業者自身の操業協定を結ばしめる。これについては、もちろん道及び水産庁漁業政策というような基本的な考え方を織り込んだ線でそういうものを結ばしめて、そして国際的な今後起り得べき諸情勢に対応する弾力性を持たせていきたい。名前は操業協定であるが、これは国際的な関係考え方法であって、実は政府及び当局の漁業政策一つの具体的な表現である。これが第三。そういうような意味において調整の原則というものは底びき網及び沖刺し網それぞれの漁法の特長を生かし、それぞれの性格を発展できるような条件基礎に与えて、今後やっていくのだ。  それから混獲その他の問題については、先ほど来私が言いましたような措置によって、そうして十分競合を来たさないような措置をしていくのだ、こういうふうな答弁の要約であるということを確認してよろしいか。言葉は違いましても、そういう趣旨であったと了解するのでありますが、これらの点を確認いたしまして、一応この混獲の問題は芳賀君が質問されるといいますから、それに譲り、及びその間に関連質問があれば許していただきたい、こう思います。
  24. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま永井先生の御発言中、若干私が答弁申し上げたのとずれがある点だけを一応申し上げておきたいと思いますが、ニシン定置漁業ということにつきましては、まさしく固定したローカル的な制約を受けた漁種でありまして、これは移動力を持たない。そこで宿命的なニシンの来遊を待って生活のかてにするというものであります。そういうような漁法ではニシン業者は非常にお困りであろうということは、二年前からわれわれ警告をしたところでございます。道庁におかれましてもその点をよく翫味せられまして、最近いわゆる沖刺し網に転向するようになったのでございますが、沖刺し網に転向いたしますると、これは従来の定置漁業とは違いまして、やはり底びきほどの機動力はございませんが、沖合いで機動力を持つことに相なります。たとえば日本海の方のニシン漁業が非常にだめである。従ってオホーツクの方に若干入っていくというようなことを道庁も現にやらしているようでございまして今までとは若干変って参りました。従って底びきとの競合地区というのが拡大されておる。一日も早く双方協定を結ばして、これを中央官庁なり道庁が確認して、その通り守らして、双方とも安全に操業していくという段取りをつけたいという考え方も、実はここに存するわけでございます。しかしながら定置漁業がやむを得ず沖刺し網にかわったのでございまして、そのかわりばなに直ちに非常に困って、かわってはみたもののそれがだめであるというようなことにはささぬようにというつもりで、われわれは永井先生の御指摘になったように、なるたけ早く沖刺し網漁業者も因らないような操業協定を結ばしたい、かように存じておる次第でございます、
  25. 吉川久衛

    吉川(久)委員長代理 芳賀貢君。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 農林大臣にお尋ねしますが、時間の都合はどうですか。
  27. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 しばらくよろしゅうございます。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 まずお伺いしたい点は、鮭鱒のはえなわ漁業についてでありますが、これは水産行政を行う上に、行政庁として許可、認可等はどういうような経由で取り扱っているか、その点をまずお伺いいたします。
  29. 岡井正男

    岡井政府委員 お尋ねは、はえなわ漁業を自由漁業から許可漁業に取り上げて政府はするようになったのかというお尋ねと推察いたしまして御答弁申し上げます。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないですよ。水産庁においてたとえばはえなわ漁業あるいはそれ以外の漁業にしても許可、認可ということをやるでしょう。その場合の末端からの書類の手続等の処理に対しては、どういうような経由でやっておるわけですか。
  31. 岡井正男

    岡井政府委員 大体各都道府県からやりたいという希望者を府県を経由いたしまして私の方へ集積いたしましたもので適当だと思われるものに対して許可する。ただし大きいものは大体許可せないで、四十トン以下の漁船を許可する。一番当初自由漁業から許可漁業にいたします場合には、どの漁業におきましても、現在やっているという人たちは、希望さえあれば全部を稼働せしむるように優先的にこれは許可をするというような段取りになっております。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、はえなわ漁業を希望するものの許可申請は、区域の都道府県知事に書類を提出して、知事から水産庁に向って申達があるということなんですね。それ以外の経由機関というのはないですか。
  33. 岡井正男

    岡井政府委員 その通りでございます。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 ではお尋ねしますが、はえなわ漁業の許可については、そういうような書類の申達の経由を異にして、何か別個の団体にその書類を出せというような、そういう了承を水産庁は与えておるのじゃないですか。
  35. 岡井正男

    岡井政府委員 そういうことは断じてございません。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そういうことはないですよ。これはおそらく農林大臣と長官が認めてそういうことをやらしておるというふうに私は確信しておるわけです。具体的な事例を申し上げますと、今年度のはえなわ漁業の許可、認可等につきましては、特に全国鮭鱒延繩漁業協議会に書類を出して、この協議会を経由して水産庁に進達できることになっておりますね。間違いないでしょう。
  37. 岡井正男

    岡井政府委員 私の方はそういうことは存じません。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうはずはないと思うのですがね。  それではもう一点農林大臣並びに長官にお尋ねしますが、国会議員を中心にした鮭鱒延繩漁業推進議員懇談会というのがあるでしょう。これは全国鮭鱒延繩漁業協議会とうらはらの関係にあると思いますが、この懇談会の代表が昭和三十二年四月二日に農林大臣と長官に会って、本年度のはえなわ漁業に対する許可方針について相談した結果、ことしの許可方針としては昨年出動した全船について許可をするという意見の一致を見ているわけですね。これは昨年出漁した一切のはえなわ漁業の船に対しては許可をするということを農林大臣、長官と懇談会なるものが懇談の結果、こういう決定を行なっているのです。そうしてその文書を全国関係業者に流して、今年度の許可方針に対しては水産庁から一応の通達は行っているかもしれぬけれども、こういう取りきめが行われておるので、書類の進達に対しては、全国鮭鱒延繩漁業協議会に対して一括書類を出せ、こういう通知が関係府県に届いているのですよ。そういうことになると、四月二日に農林大臣並びに水産庁長官はこの鮭鱒関係の懇談会と協議して、ことしの許可方針はこうする。しかも昨年四十トン以上の船に対しては異例の措置として取り扱うということにして、それを試験船という名前をつけて、一カ年限りということで昨年は操業したのでありますが、この懇談会と大臣、長官話し合いの中においては、これらの四十トン以上の船に対しても全船許可することにきまったという通知が流れておるわけです。この点に対しては、大臣も四月二日の決定事項については承知しておられると思いますので、この点をお尋ねいたします。
  39. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 その点については農林大臣としては関知しないところでございます。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは念のために書類を読んでみますが、「鮭鱒延繩漁業についての今年度の許可をめぐって、さきに貴下に御配慮を御願い申し上げましたが、日ソ合同委員会の進展に伴い漁期も切迫した条約区域外の操業に関し、本懇談会として昭和三十二年四月二日午前八時半より農林大臣、長官と懇談いたしました結果昨年出漁した全船について(調査船も個人許可として)許可をいたすことに意見の一致を見ましたので、取急ぎ申請書を取纒め左記宛御送附下さるよう格別の御配慮を賜り度く願上げます。  従って水産庁より通達されている四十七屯以上の調査船については半数の隻数を認める様でありますので、各県において申請書提出にあたって取扱に苦慮いたしておるものと考えられますが、全船を個人許可申請書にいたして提出相成り度く申し添えます。  申請書送付先、「全国鮭鱒延繩漁業協議会、昭和三十二年四月二日、鮭鱒延繩漁業推進議員懇談会、各関係知事宛」こういうことなんですね。これに対してはこの懇談会関係議員三十名に及ぶ名前が連署されておりますが、鮭鱒延繩漁業推進議員懇談会という名前でこういう通知が出ているわけです。こういうような行政の陰において行政庁の大臣あるいは長官が一部の議員懇談会等々と話し合いをして、行政の一つの領域を侵害するような行為が行われておるということは全く異例なことであるというふうにわれわれは考えるわけであります。これは非常に重大な点であると思いますので、特に大臣の出席をお願いしてお尋ねしたわけでありますが、この四月二日における議員懇談会との協議の内容とか経過等に対しては農林大臣及び水産庁長官は全く関知されておらないのか、その点をもう一度確認しておきたいと思います。
  41. 岡井正男

    岡井政府委員 ただいま御指摘のようなことは、結論的には大臣がおっしゃったと同じでございまするが、しかしある国会議員の方々から鮭鱒はえなわ漁業についての御希望といいますか、御陳情というか、事務当局に対してなされたことはございました。しかしわれわれとしては、結論的に言いますれば、水産小委員会なり国会の方の正式の御勧告等がございますれば、それは尊重して行政事務として貴重な参考にはいたしますが、私的な御陳情につきましては、十分陳情は承わりましても、それによって行政事務を左右されるというようなことはないようにわれわれは自重しておるつもりであります。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 しかし鮭鱒延繩漁業推進議員懇談会が、この書面によっても国会議員の名前が二十六名連署されている、こういう議員懇談会が四月二日に農林大臣と水産庁長官に会って具体的な懇談の結果、こういうことに意見の一致を見たということを各関係府県知事あてに書類として流しておるのでありますから、大臣や長官が全く関知されない事項をいかにもきまったというようなことにして書類で流すということはまさかしないと思うのです。これは今になってみれば、そういう話し合いがついておったというようなことは会議の席上で発表できないかもしれませんが、少くともこういう動きがあったということに対しては了承を与えられておったと思うのですが、いかがですか。
  43. 岡井正男

    岡井政府委員 大臣はもちろんその陳情された席にはいらっしゃらなくて、私とたしか生産部長が一緒だったと思いますが、承わっただけでございます。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 こういう書類が出ておるので——おそらくこのはえなわの許可申請に対しては都道府県知事からまっすぐに水産庁に書類は出てこないと思うのですが、現在申請書等はもうすでに届いておりますか、あるいはどこかで停頓しているか、その点はどうですか。
  45. 坂村吉正

    ○坂村説明員 私かわってお答え申し上げますが、四十トン以下の全然問題のないものについては県からも最近になって申請書がだいぶ参りまして、数日前現在で八十四隻許可を与えております。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 四十トン以上の分についてはまだ一隻も出ておらぬですか。
  47. 坂村吉正

    ○坂村説明員 県によってはぼつぼつ出ておるところもございまするが、全然出てきていないところもあります。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣にお尋ねいたしますが、この全国鮭鱒延繩漁業協議会というものは、団体営としてどの程度信を置く基礎を持っている協議会ですか、御存じないですか。
  49. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほど私全く関知しないと申し上げたんですが、そういう団体が一体あるのやらいかがかも存じませんし、かりにあったとしてもオーソライズされているものでもないでしょうし、どうもちょっと理解に苦しむのでございます。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 通知を出したのは鮭鱒延繩漁業議員懇談会が関係都道府県知事に文書を出しております。そして申請書を出す場合には、今度は全国鮭鱒延繩漁業協議会に一括して書類を出してもらいたいということを述べてある。ですから議員懇談会と延繩漁業協議会はやはり密接なうらはらの関係がここにあるというふうに、私は推察するわけなんです。大臣も水産庁長官もえたいが知れないという団体であるとか、あるいは懇談会、協議会が行政府の権限を犯すような書類を地方公共団体等に公然と流すようなことは、これは看過することができますか。
  51. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 行政に対しましてこのようなことが行われましたことは、非常に遺憾に存じております。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 これは遺憾だけでは済まぬと思うのです。農林大臣として何らかのけじめをつけるお考えがあればお伺いするし、こういう不明朗な、行政を侵害するような団体や機関の所在に対しては、断固として処理するという御決意があれば、この際表明していただきたい。
  53. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 さっそく取り調べましてその点を明確にいたし、行政に対する侵犯のごときことがないように処理をいたしたいと考えております。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣の方は私はそれで了解しましたが、しかし水産庁長官岡井さんの場合は、これを全然知らなかったとは私はいえないと思う。少くとも水産庁長官は、この動きに対してはやはり相手方が安心するに足る何らかの了承を与えておるというように私はどうしても考えるのですが、どうですか。
  55. 岡井正男

    岡井政府委員 これはずっと後に私の方は承知したわけでございます。こういうのが流されてずっと後にある府県の係の者からそういうことがあるということを私の方へ報告しまして、私も知りましたが、そういうことはまことに残念であると私は思っておりまして、ただいま大臣がお答え申し上げたようなことで、私も大臣の御下命通り善処いたしたいと考えております。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 こういう問題が一つ起きると、これは一事が万事じゃないかということになるのです。今日の水産行政は全く不明朗きわまるものであるということが批判されると思うのです。しかもわれわれとして遺憾にたえないことは、四月二日にこういうような取りきめが行われて、しかも四月二日付で関係都道府県知事にこういう文書が流れておる。しかもそのあとで当委員会の小委員会等において、わざわざはえなわ漁業の問題が議題として取り上げられておる。水産小委員会は四月八日、四月十一日に開かれております。この両度の小委員会においてもやはりはえなわ漁業の問題が一つの議題として出ておるわけです。そこでわれわれはやはりことしのはえなわ漁業に対する問題等を慎重審議しておるのですが、その陰でもうすでにそれ以前にこういうような品目の取りきめとか、文書が流れておるということになると、こういうような裏の行為がいかにも国会の意思であるかのように合法化するため、委員会においてこの議題が取り上げられたということにしかならないのじゃないですか。長官はどう考えておるのですか。あなたも小委員会等に出席されたり、あるいは四月十二日の農林水産委員会において水産小委員長の報告があったときにも、政府を代表して長官は所見を述べておるのじゃないですか。
  57. 岡井正男

    岡井政府委員 先ほどもお答え申し上げたように、国会議員さん方から御陳情というか意見の開陳があるのは、これは私は承わりました。とはいうものの正式の公的な機関としてでなく——むしろ水産小委員会かなんかのように正式の機関が御決議になってまとまった御勧告でもいただきましたら、それは行政的に貴重な資料として勘案いたしますと言った通りでございまして、幾ら私的なお考えでどういうふうな動きをなさいましても、それは私の方はお取り上げいたしておりません。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 水産庁が権威ある立場で行政を処理している場合は、こういう大臣も長官も全然関知していない問題を、しかも大臣や長官と協議の結果こうきまったというような、僣称してこういう通知を出すことはしないと思うのです。しかも良識ある国会議員が二十数名この懇談会に名前を連ねている以上、そういうわきまえがないわけじゃないと思うのです。わきまえてやっておるということになれば、これはやはり長官がこの動きに対しては了承を与えているとしか見られないじゃないですか。しかもこれを合法化するために、それでは農林委員会等において、小委員会あるいは本委員会においてこの問題を取り上げて、この趣旨に沿ったような意思表示をしてくれた場合においては、自分たちとしてはやりやすいくらいのことは言っているのじゃないですか、長官
  59. 岡井正男

    岡井政府委員 そう揣摩憶測をたくましうして私を悪者にされてはまことに私も遺憾しごくと思いますが、決してそういうことはございません。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 私は追及する意思はないのですけれども、やはり問題の所在等を明らかにする必要があるから繰り返してお尋ねしておるのです。しかしかりそめにもこういうような行為を行わしめる一つの原因の中には、水産庁が全然これに関知しておらぬということは言えないのじゃないかと思うのです。たとえば北洋問題にしてもあるいはその他の漁業問題等にしましても、行政的な最終的な決定が行われる前後における業界とか、あるいは一部の勢力の動きというものは、やはりわれわれが中立的な立場から見てもすっきりした了承をするに苦しむような不明朗な動きがないわけではないと思うのです。ですからこういうような行政庁である水産庁関係業界とか、またいろんな勢力とのつながりをこの際明朗化するということはどうしても必要なことでないかと思いますし、特に農林大臣の場合においては、そういう点を明朗化するためには、井出さんは最適な人だと私は考えておるわけであります。こういうようなとかくいわれるところのくされ縁的な問題は一日も早く払拭してもらう必要があると思うのですが大臣はどう考えておりますか。
  61. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほども申し上げましたように、さっそく事態を究明をいたしまして、このような不明朗な問題がどうして起ってきたかということも十分に検討をいたしまして、行政がいやしくもこういうことによって撹乱をされないように善処をする所存でございます。そしてまた現在水産庁考えておりますはえなわ漁業に対する許可方針等というものは、先ほどお読みになりました線とは、はなはだしく違うのでございまして、そういう点は実際行政措置もそういうふうな線によってゆがめられることはない、こういうふうに御承知をいただきたいと思います。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 この際特に大臣に申しておきますが、四月十二日の当委員会におきまして、鈴木水産小委員長からはえなわ漁業に対する小委員会の決定事項の報告があって、それを委員会は承認しておるのですが、その後にこういう事態が起きて参りました。そうなると私どもとしても、当時の委員会等における問題の取扱い等の中にも、やはり以前からこういうような動きがあり、しかも関係都道府県知事にかかる奇怪な文書を流したようなことも今日発見されましたので、たとえば十二日の委員会において小委員会の決定を了承するというようなことが行われたとしても、やはり事態をこの際明確にする必要があると思うわけです。特にその小委員長の報告に対しまして岡井水産庁長官政府を代表して、「委員会の方で御決定になりました事項については、行政措置といたしまして貴重な御示唆といたしまして、慎重にこれを取り扱って万全を期したいと心得ております。」ということを長官は述べておるのですが、私どもはすなおに長官のこの委員会における発言というものを、今日の段階では了承することはできないのです。ですからこのはえなわ漁業の取扱いについては、委員会の決定は当時そのようなものであったといたしましても、この際行政庁の立場において明確なる方針を確立して、大臣とされても断固たる態度で、この際蛮勇を振うというような気持で行政の明朗化に対して一つ進んでもらいたいということを私は特に希望を申し上げておきます。
  63. 永井勝次郎

    永井委員 先般の本委員会において、北洋漁業の日ソ漁業協定に基く十二万トンの漁獲に対する配分の問題について審議をいたしました。当時どこの会社がどれだけの割当になるかということは別として、配分基準は明確に示さなければならない、事柄がきまってしまってからではいけない、きまる前にそういう基準だけはこの委員会にはかるべきだということを、私は要求いたしました。当時井出国務大臣は「これが決定はいわば行政の仕事でございますので、その分野はなかなか微妙な点はございましょうけれども、今の資料というふうなものに関する限りは、これはできるだけ御要請にこたえたいと考えます。」こういうふうに答弁している。ところがこれはもう資料も何も本委員会に示さないまま決定を見ました。これは大臣の答弁とはなはだしく矛盾するものであります。今日に至りましてもまだ配分資料というものは明確にされておりません。こういうふうにその場のがれの答弁をして、きまってしまえば、まあまあと落ちついてしまうであろう、時間が経過すれば済むだろうというような、こういうやり方は私は行政に対して誠実なゆえんでないし、また国会に対する行政庁としての態度ではないと思う。このことについて、事前に示す、要請にできるだけおこたえしたいと言っておきながらできなかったのは、どういう理由に基くのか、今日までその資料が示されないまま、どういう基準であったかわからないままに結論を出されてしまっているということに対して、どういうふうに考えるか、これを伺いたい。
  64. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 実はその際資料を提示することを発言しておりますことは、御指摘通りでございます。その資料を作成いたしまして、それぞれ衆参両院へお配りするようにということを命じておいたのでございますが、今聞きますと、私はもちろん配付されておるものと考えておったのでありますが、参議院の方へは、ちょうど折柄委員会が開かれましたのでお配りをいたしましたものの、衆議院の方は、大へん相済まない次第でありますが、その機会がないままにお配りをしなかったように、報告を今受けた次第でございます。そのようなわけで、どうか御了承を得たいと思います。
  65. 永井勝次郎

    永井委員 私の要求したのは、ただ箱の中に印刷物を投げ込んでおくということではなくて、その資料に基いて、その資料が公正な基準であるかどうかをこの委員会として審議する機会を与えるべきであるという立場において要求しておるのでありまして、ただ投げ込んでおくということではないのです。
  66. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 永井委員の言われるような意味において資料を提示いたし、農林省の立場において御説明を申し上げる所存でおったわけでございます。たまたまその機会をいろいろな手違いから失ったというような次第でございまして、この点はたいへん遺憾にたえません。
  67. 永井勝次郎

    永井委員 井出農林大臣は誠意のある人柄であるとわれわれは考えておるのでありまして、その意味において、こういう問題について約束したことは約束で、実行したいという気持は十分あったのではないか、いろいろな諸情勢からそのことができなかったのではないかというふうに、われわれは大臣の立場で、善意な解釈においてこの問題を考えておるわけでありますから、はなはだ私も遺憾であると思うのであります。大ていの問題が、こればかりではなくて、きまる前はがあがあ言っても、きまってしまえば、きまってしまったじゃないかといって、問題をあいまいにしてしまうという態度が従来あるので、この点についてははなはだ遺憾であるということを強く申し述べておきます。  そこで、どういう基準によって配分したのか、ここで明確に伺っておきたい。
  68. 岡井正男

    岡井政府委員 まず母船式サケ・マス漁業とサケ・マス流し網漁業と、双方に対する配分につきましては、日ソ漁業条約による規制区域内における本年度のサケ・マスの総漁獲量は十二万トンと決定されましたので、ただいま申し上げる二つのグループの分け方につきましては、一応その事前に委員会において永井先生その他から御指摘のありましたように、まず総漁獲量からオホーツク海区についての割当は一万三千トンとすでに決定しているんだから、その分は差し引いて配分するのが妥当だという御発言も重要な参考にいたしまして、われわれもその通りという気持でさようにやりました。それからまず豊凶を含む過去二カ年のオホーツク海区以外の海区における単位漁獲努力当りの平均漁獲量を算定いたしました。と申し上げますのは、昨年度におきましては、流し網漁獲者が漁獲した量というものは、いわゆる規制区域内と区域外に区分いたしますると、官庁における一番確率の高いと思われる基準を基礎にして計算いたしますると、区域内の漁獲量というのが一万トンそこそこになり、区域外の方が非常に大きいかさを占めます。それでは流し網漁業者がそういう特異例の年だけをとりましては率が悪くなるというような関係もありますので、もう一つ前の年を、やはり官庁における資料の計算によりますると、区域内というとり方の方が八割も占めておりまするので、それも合せて考えることにいたしました。それからまた本年度の漁獲努力はやはりオホーツクを除きまして独航船側三万一千トン、流し網側一万六千トン、これも計算の基準にいたしました。さらに昨年度におけるソ連閣僚会議決定に基く規制区域内の漁獲量の割当実績、これもオホーツクを除きまして、母船側三万九千、流し網側一千というのをやはり計算の基準にした結果、母船式漁業の方が十万トン、流し網漁業の方が二万トンういう計算数字が出たのでございます。この出た数字を逆に裏から見ました。と申し上げますのは、結局母船側の独航船側がとる十万トンというものは規制区域内でとりまするし、これは十万トンに余裕は全然ありません。一方流し網漁業については、区域内二万トンといたしまして、われわれが見たところは区域内において六割、区域外において四割は漁獲可能なりという推定がなされますので、三万三千三百トンという流し網の当然あるべき漁獲量が計算されます。これをいわゆる経営コストからいろいろ計算して出した利益率というものは、母船についておる独航船におきましては一七%流し網におきましては一八%、こういうふうなほとんど差異のない利益率というものが出ましたので、さかのぼって十万トン、二万トンの割当数字というものはまず正鵠を得ておるものだというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  69. 永井勝次郎

    永井委員 前回伺いましたところによると、昨年の実績、その他の実績、コマーシャル・ベース、この一二つの基準で配分をするのだと当委員会における説明でありました。でありますから、今の長官説明でははっきりいたしません。昨年の実績はどういうふうにしたのか、その他の実績はどうなのか、それからコマーシャル・ベースはどういう計算でどういう数字が出たのか。この三つについての基準を明確にしてもらいたい。いろいろな、これはこうしました、ああしましたという説明はあとでよろしい。資料の三つの基準を示してもらいたい。
  70. 坂村吉正

    ○坂村説明員 私からかわってお答え申し上げます。  昨年の一つの実績と申しますのは、昨年のみの実績をとることはどうかと思いますので、昨年と一昨年の実績を考えたわけでございます。昨年と一昨年の実績をとります場合に、漁獲量と漁船の総トン数というものを考えて、昨年と一昨年と平均いたしますと、漁船の……。
  71. 永井勝次郎

    永井委員 そうでなくて、昨年の実績はどのくらいだった。二つとったというなら、一昨年はどうだった。こういう数字をちゃんと示してくれというのです。
  72. 坂村吉正

    ○坂村説明員 ですから、実績の取り方としましては、昨年の漁獲の実績と漁船の総トン数とを考えまして、漁船の一総トン当りの漁獲量幾らであったか、こういうことを計算いたしまして、それを基準にいたしまして、現在の流し網と独航船との現有の漁船の総トン数にかけまして、それの比率を一つとして考えたわけでございます。
  73. 永井勝次郎

    永井委員 それはどういう数字か。
  74. 坂村吉正

    ○坂村説明員 それが独航船の場合におきましては、漁船の一トン当りの漁獲量は三・六トンということでございます。それから四十八度の場合におきましては漁船の一トン当りの漁獲量が二・一トンということになります。漁船の総トン数の方は、独航船においては三万一千三百九十二トンでございます。それから四十八度の方は一万六千百六十四トンでございます。これをかけますと、漁獲量は、独航船では十一万三千トン、それから四十八度では三万三千九百トン、こういう数字になるのでございまして、これが去年とおととしの実績を基礎にした漁獲量の比率になります。     〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕 それからこの比率で十万七千トンを配分いたしました。これを一つの要素として考えたわけであります。それから前年度のブルガーニン区域の中におきますところの独航船と四十八度以南に対する配分の比率をとりますと、これは独航船の方が三万八千七百八十三トン、それから四十八度以南が一万百六十九トン、この比率で十万七千トンを配分をいたしまして、両方を勘案いたしまして平均しました数字が、独航船においては……。
  75. 永井勝次郎

    永井委員 今説明しているのは、あなたの計算に基いた結果がこうだというので、その基礎になる漁獲量はどういうふうな数字なのか、総トン数はこうだ、そしてそれを計算したらこうなるということを言えばいいのです。ところが計算したらこうなるというだけで、その基礎資料を説明しないから私どもの方ではわからない。くどくどした説明は要らないから、昨年の漁獲量はライン内で流し網が幾ら、母船が幾ら、一昨年は幾ら幾ら、総トン数はこれで、計算すればこうなる、こうはっきり言えばいいのです。
  76. 坂村吉正

    ○坂村説明員 その点は、この前の委員会の長官答弁のときのように、昨年の実績そのものを基礎にするという考え方をそのままとりませんで、昨年と一昨年とその両方の実績を考えまして、ことしの情勢を判断いたそうと考えたわけであります。
  77. 永井勝次郎

    永井委員 だからその数字が幾らだというのだ。弁解的なことは言わないで、すっと簡単に言えばいいじゃないですか。     〔赤路委員「昨年とった量と、おととしとった量と、トン数と、数字だけ並べればいいのだ」と呼ぶ〕
  78. 木田繁

    ○木田説明員 昭和三十年におきまして流し網がとりました総体の数は四万七千六十八トンでございます。それから昭和三十一年におきます流し網の漁獲量は四万一千六百二十五トンでございます。これはラインの中あるいは外という区別なしに総体としての漁獲量でございます。次にオホーツク海を除きました母船式のとりました数量は、昭和三十年におきまして九万三千四百七十七トンでございます。それから昭和三十一年におきましては七万六千八百二十三トンの漁獲をあげておるのでございます。これに対しまして、昭和三十年におきます流し網の漁獲努力としての漁船のトン数は二万八千二トンでございます。昭和三十一年におきます流し網の漁船トン数は一万六千百六十四トンでございます。これに対しまして、オホーツク海を除きましたアリューシャン海におきまする母船式の独航船の漁船トン数は、昭和三十年におきまして一万九千六百二十四トン、昭和三十一年におきまして三万一千三百九十二トンでございます。そこで昭和三十年と三十一年におきます漁船の一トン当りの平均漁獲量を出したのでありますが、母船式におきましてはそれが三・六トン、流し網におきましては二・一トンに相なります。そこで一つのファクターといたしましては、これは一番むずかしいところでございますが、流し網が現在の条約のいわゆる規制海区内でとる見込みをどれだけにするかということでありますが、これをいろいろ調べました結果約六〇%と考えまして、その漁獲を基準にいたしまして出しましたのが、母船につきまして約九万トン、流しにつきまして約一万六千トン、さらに前年度ブルガーニン・ライン内におきまするオホーツク海を除きました母船と流し網の漁獲量が、母船が三万八千七百八十三トン、流し網が一万百六十九トンという割当にいたしましたので、この割当の数量を考慮いたしまして十万七千トンを配分いたしますと、それが八万四千トン及び二万二千トン、かような数字に相なります。これを基礎にいたしまして両方按分いたしました結果十万トン及び二万トンという結果を得たわけでございます。
  79. 永井勝次郎

    永井委員 それは昨年の実績ということでしょう。それが昨年だけでなく、一昨年を加えた実績だ。その他の実績、それからコマーシャル・ベース……。
  80. 木田繁

    ○木田説明員 その結果に基きまして、参考として流し網及び独航船の方での利潤率がいかほどになるかということを考慮いたしたわけでありますが、母船におきましては一七%程度、流し網におきまして一八%程度の利潤率になる、かように考えたわけでございます。
  81. 永井勝次郎

    永井委員 その他の実績はどうなっておりますか。この前この委員会で述べたのは、昨年の実績をとる、その他の実績をとる、コマーシャル・ベースをとる、この三つの基準で配分するのだということを説明した。だから、昨年の実績ということは、今話を聞くと、昨年だけでなくて一昨年も入ったと言う。その他の実績はまだ説明がない。計算の結果だけの説明です。これは問題ですが、一応伺っておきましょう。その他の実績というのはどういう実績をどういうふうにとったのか。
  82. 岡井正男

    岡井政府委員 その他の実績というのは、調べてみましたが——役所といたしまして的確な確信を得られるのは、私の方が監督上直接タッチをいたしましていろいろ調べました資料として、昨年と一昨年は官庁資料として出てきます。その前は流し網漁業においても混乱時代でございましたし、われわれといたしましても的確な資料の把握が困難なので、それはとることができなかったわけでございます。
  83. 永井勝次郎

    永井委員 なんですか、この間ここで説明したのは、一両日中に発表する、その発表するときに発表すると言うから、それではどういう基準でやるかと言ったら、この三つの基準でやると言う。それを今計算してやっておるから、今示されないが、すぐできるのだ。ところが今聞いてみると、不確定であって、それは資料にならぬからやめたのだ。それでは全部の資料が、昨年の実績というのは一昨年も含めたのだ、その他の実績は不確定だからやめたのだ。それからコマーシャル・ベースというのは計算の基礎は別ですが、コマーシャル・ベースというのはどういう考え方で、どういう一つのファクターをとって、どういうことをやったのだということを簡単に言えばいいのですよ。
  84. 岡井正男

    岡井政府委員 コマーシャル・ベースは、今主務課長から御説明させますか、コマーシャル・ベースを基準にとることは非常に危険であるという御指摘が先生方からもあるし、われわれコマーシャル・ベースにつきましては、いろいろな点においてまだ議論の余地もあろうと思いまして、これはあくまでも参考資料として使ったのでございます。
  85. 永井勝次郎

    永井委員 大臣、これを聞いていてどういうふうに感じますか。一両日で計算が仕上って、そうしてこういう基準で配分するのですと、この委員会で約束した。その約束したのが一つも満足なのはないじゃないですか。昨年の実績というのは昨年の実績だけでなくて一昨年も含めた、その他の実績は不確定だからだめだ、コマーシャル・ベースは非常に問題があり、危険だから、これは参考だ、一体そういういいかげんな態度でこれだけの大きなまじめに討議する問題を、しかもこれは利害が非常に錯綜しておる問題です。そういう問題を扱う態度としては、水産庁は実にでたらめ千万だと言わざるを得ない。ただおそらく私が、昨年の実績、一昨年の実績、コマーシャル・ベースなんてどういう率によってやるかと言ったから、一応言わなければならぬと思って言ったのだろうと思う。やってみたら疑義があるからやめようというのでそうやったのだ。だからこれは確固とした——北洋漁業という問題をわが国漁業政策なり水産行政なり、それからどう今後持っていくかというような指導精神等がいろいろな角度から検討されて、きちっと練り合せた上で基準というものが出されたものではなくて、口から出ほうだいに言ったことなんです。だからこういうふうに動くんだ。正確な基準を出せば母船の方には有利に運ばない。数字を正確に出すと、流し網にこの数字はどうだこの数字はどうだと押されたら困るから、そこで配分基準というものをすっかりぼかしてしまって、つかまえどころのないような基準でこういう計算を出した。だから結論を出しておいて逆算していったんだ、あとで理屈をつけたんだ、こういうふうにわれわれは了承せざるを得ない。そう了承することがふらちであるというならば、私の判断をくつがえすような、反論するような具体的な事例を出してごらんなさい。出すなら承わります。
  86. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま水産庁当局からの御説明は、長官、生産部長及び木田課長と三人の品を通じたものですから、あるいはその間永井委員のお受け取りになる御印象が少しく不整理のようにお受け取りになったかと思いますが、これは決して私はそうでないと思うのであります。私も水産庁当局が非常に苦心をして、この決定に至るまでの昼夜を分たない努力の跡を承知しておりまするだけに、決してその結論を先に出してあとから裏づけたというふうなものではないと考えておるのであります。昨年の実績を一つの資料にとった、これも事実でございまするし、また、その他のというふうな表現を用いました点は、たとえば昨年のブルガーニン・ラインの中における漁獲の分け方というふうなものは、これはその他というふうなものに包含してもよろしかろう、こう思うのであります。それからまた経済ベースの問題は、これまた非常にきちんとした計算のもとに出ておるわけでございまして、この実績ないしその他の資料を基礎にして分けたものを十分に裏づけられる参考資料という価値はあるものというふうに私は見ておるのでございます。そのような次第でありまして、あるいはこの数字に対する説明の仕方が少しくまちまちであったかも存じませんが、数字は何よりも雄弁に実際を物語るのでありますから、この点は資料としてお示しをいたしたいと考えております。この作業をするに当りましては、これはもう昼夜を分たない努力をいたし、しかも虚心たんかいに申しましてきわめて公正妥当な割り方をした、こういうふうに御了解を願いたいわけであります。
  87. 永井勝次郎

    永井委員 大臣は裏のいろいろな動きや実態やそういうものを知らないで、部下の行政官をかばうということは、大臣の気持としてわかりますが、そういうわからないことを弁解するもんじゃないです。われわれの質疑の中で真実がどこにあるかということを鋭敏に読み取って、どこに問題がありどこに行政上の欠陥があり、漁業政策というものはどういうふうにきちっと確立していかなけれなならないかということを、大臣は大臣の立場で大きくつかんで今後の対策を確立することが必要なんであって、弁解することはやめたらよろしい。今これはこういうコマーシャル・ベースに当る、これはその他の実績に当るであろう、こういうことを大臣は言っておるが、現に水産庁長官はその他の実績は相当危険があるからこれはやめたんだ、こう言うのです。それからコマーシャル・ベースはいろいろ問題があるから裏のなににしたのだ、こう言うのです。現実にそう言っているじゃありませんか。いろいろなつじつまを合して弁解してやるあるいは擁護してやるという気持はわかるけれども、わからないことについてやれば善意はわかっても大臣もやはり共犯者ということになるわけです。でありますから、私はこういう問題はやはり真実はどこにあるかということをこの際明確にしていかなけれなならぬと思う。問題は数字が雄弁に物語ると言うけれども、この数字が問題なんです、不確定の条件です。ライン外でとったものとライン内でとったものをどういうふうに区分するかという問題です。十二万トンという総ワクがきまった、そして母船の方の実績を調べていくと九万三千トン内外よりないわけです。ですから総量が予定よりも減ったにもかかわらず母船の方は実績よりも割当がうんとふえて、それから流し網の方はこれだけの実績を持っておるにかかわらず、この方は実績よりも割当がうんと下回っておるというところにこの数字の割り振りについて問題があるのです。総量が全体にふえて、そしてふえる比率が薄かった厚かったという問題なら別なんです、総量が減ったのです、その中で母船のワクは実績よりふえておるが、流し網の方は予定しておる実績よりもうんと下回っておる。しかも計算が一万トンよりないという計算基礎に問題があるんだから、問題があれば問題があるほど関係者を事前に呼んで納得させて、その上で実行に移さなけれないけませんよ。そして納得しない一方的なことをやったら、これは必ず事後において爆発して、そしてこれは国内の問題となって、十二万トンというワクを与えて国内で割り振りの問題で醜態をさらけ出して、それが来年の日ソ漁業協定話し合いの中でまずい結果になってきて、国辱的な醜態をさらす結果になってはいけないから、十分にそういう問題を事前に処理するようにと私はここで懇々と言ったはずである。それにもかかわらず一方的にばんときめて、しかも資料は今日まで事前に発表もしないで、そして事前にわれわれにこの委員会で約束した配分基準とは全く違った内容によって配分して、それで説明が通ると思ったら、そういう甘い委員会をなめてかかったのではわれわれは断じて許しませんよ。きまった問題でありましてもこのけじめはやはりここで明らかにしていかなけれなならない。ソ連の方は母船式の漁法が問題なんです。でありますから五十二度以北については網の間隔であるとか船の間隔であるとかいろいろな制限を加えてきておる。その日ソ漁業協定の上で一番問題になる母船式の方へどんどんふやしておる。昨年だって河野農林大臣が行って、減ることはわかっているにかかわらずオホーツク海の試験船とかなんとか言ってどんどんふやしていって、日ソ漁業協定のうちの一番問題となる点をどんどんふくらまして、そして問題点をますます悪化させるような条件を作っておいて、そのしわ寄せを沿岸漁民の流し網にどんどんしわ寄せしておいて、知らぬ顔の半兵衛でほおかぶりして、母船式の利益擁護だけをはかるような水産庁であっては、われわれは国民の名において事実を明らかにしていかなけれなならぬ。数字の問題はいろいろ動くでありましょうが、そこにはいろいろ話し合いをすればお互いが納得のいくあるいはがまんのできる数字の基準というものが出てくるはずなんです。このようなことをしてわが国漁業政策の前途に暗い影を残して、ますます圧迫されるような条件を残しておく、この措置について大きな誤まりを犯しておるということが一点であります。それからコマーシャル・ベースとかなんとか言うけれども、ふやすだけ船をふやしておいて、その一つ一つの船が採算の合うような、そういう計算を立てて利益を擁護してやる理由はどこにもない。しかも減船をするという。その転換資金として一隻に三千万円か四千万円やるんだという、一体それはどこから出るのですか。母船が自分の身銭を切ってふところから出す金ではありません。それは経常費の中に入って消費者にみんな転嫁される金ですよ。国民の非常な努力によって、国民的支持によってこの漁場を契約してとった。それが全く二つか三つの母船式資本家の独占に帰して、そうしてその中で利益の分け前をやり合って、それを全部消費者に転嫁させて、これで一体日本漁業政策というものが正しいやり方であり、国民的支持を受けた結果に対する国民への答えなのか。どんな口はばったいことをやろうといったって、こんなことで国民の前に大きな口がきけますか。私は大臣の意思ではないと思う。ですから大臣は自分のわからないことはわからないとほおかぶりすればいいんです。そして大臣としてとるべき態度は、これを正しく国民の正義感にこたえるように、間違っておれば是正する、あるいは正しいと思うならば、反対する者に納得させる手続方法を十分にとらなければいけない。国会に対してももっと誠意をもって、いいかげんにきめてしまえばあとは尻暗観音で済むというような甘っちょろい考えではなしに、もっとまじめに問題を処理しなければいけない。真実がどこにあるかということを明確にすべきである。私はその意味においていろいろなたくさんの問題がありますが、きょうは時間がありませんので、正確な資料をもらった上で、その資料に基いてさらに検討し、この問題についてはさらに追及するであろうということを留保して、本日はこの程度にしておきます。
  88. 赤路友藏

    赤路委員 今永井君からいろいろ話があったが、非常に一理ある話です。そこで水産庁当局の方としても、それらの正確なデータを出さなければいけない。水産庁に言っておくが、こういうような問題の起ってくる原因というものをよく考えなければいけない。流し網に五百隻の密漁船があるということをあなたたちは隠している。それがどれだけとっておるかということを調べておるか。だから末端をかばうこともいい、かばうこともいいが、こういうような題題で政治問題化してくる。この際資料を明らかにして出しなさい。それを私も永井君と同じように重ねて要求しておきます。
  89. 永井勝次郎

    永井委員 言い残しましたが、一応こういうふうな割当がきまった、このきまった事柄に対して、流し網に対してライン内漁獲に対する許可というものはどういう措置をとり、どういうふうにして成績を上げることができるような措置考えているか、許可の問題について伺いたい。
  90. 岡井正男

    岡井政府委員 四十八度以南の代表一者一、二名を一両日中に呼びまして、御指摘のような点は十分業者の意向を聞きながら善処をするように今現にやりつつあります。
  91. 永井勝次郎

    永井委員 以南の方に出漁する許可ではライン内には出漁できないと思う。それは一本の許可でどっちへでも随時に魚群を追って漁獲することができるという許可証を与えるわけですか。
  92. 岡井正男

    岡井政府委員 鑑札をいつごろ交付して、四十八度以南の人たちが操業を自由にしながら、しかも規律正しくやれるべきかということで今研究中でございます。
  93. 永井勝次郎

    永井委員 今年の実績は今年の実績だけでは済まなくなって、来年の割当がさらに実績の土台となる。これからずっと北洋漁業についての基礎固めを今やろうというところに問題があるし、それから流し網に対する許可の出し方にも、たとえばライン内はソ連語による許可証でなければならぬというようなことになれば、これは一定の時期に母船が流し網が出てくるところの地域でどんどんとって、そうしておくれてたとえばソ連の許可証を与える。流し網が行ったときにはそこではとれない、それが実績となって来年はまた割当がうんと減るというような、いろいろ操作上で許可証一本でどうにでもなるというような事情でありますから、これは大臣においても十分検討されて納得のできるような公正な行政措置というものを今後考えていただかなければならぬ。これだけつけ加えておきます。  なおこの問題については、この問題が明らかになるまで私は質問を続けたいと考えております。
  94. 小枝一雄

    ○小枝委員長 この際暫時休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時五分開議
  95. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  水産に関する問題について調査を進めます。質疑を続行いたします。赤路友藏君。
  96. 赤路友藏

    赤路委員 きょうの朝日新聞に「船舶監督の強化を、海難事故の発生は危険な船の航行も原因」というので、東京商船大学教授の小門和之助さんが一文を書いておる。お読みになったかどうか、おそらくお忙しいからお読みになっていないだろうと思う。その中にこういうことがある。「洞爺丸事件このかた、船員団体が運輸大臣に対し、海難防止の立場から、海事行政の改善について意見を具申してきたが、結果的には、なんらの反響が示されていない。」こういうようなことを書かれておるわけです。最近いろいろ海難事故が——御承知の通り先般も瀬戸内であったようです。小門教授は海事行政の面からこの点を取り上げて論じておるようですが、変った面から一つ私はこの問題について、大臣に御出席願ってお聞きしたいと思うのです。と申しますことは、北洋における流氷による海難事故が非常に多いわけなんです。三十一年度一年間の統計によりますと、流氷による海難だけが二十六隻に及んでおる。すでに本年に入ってから今月までの間に十二隻に達しておるわけです。そこで先般私はこのことで保安庁の方へ報告を求めて資料の提出を願ったのですが、こういうのがある。漁船第五大北丸は昭和三十二年一月の七日、宗谷岬の東北東百三十マイルにおいて、稚内向け帰航中流氷に接触浸水し、緊急通信を発したので、巡視船四隻が現場に向って急行するも、ついに三隻は流氷源を突破することができず、ようやく一隻が現場に到着、長期間捜索を続けたが何ら手がかりを得ず、ついに絶望されるに至った。この救助活動において、巡視船の中には船体、推進機に損傷を受けたものがあった、こういうことで第五大北丸はついに行方不明になっております。しかもこえて三月の十九日、同じく漁船第二照丸も流氷に閉ざされて航行が不能に陥っておる。巡視船が出動したが、氷原突破不能で近接することができない。そのためこの船は三月十九日から三月三十日まで、そのまま流氷に閉ざされたままなんです。その後海象が好転してきたために自力脱出ができた、もしもこの第二照丸も海象が好転していなければそのまま行方不明なんです、こういうことが私は言えると思う。海上保安庁はこういうような現象から見て、一体今まで何をしておったのか。私は今後ともにこういう種類の海難が出てくるのではないか。その点に対して非常に不安を感じておるのであるが、これに対する対策というようなものがあるのかどうか。それをお示し願いたい。
  97. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 海上保安庁といたしまして、北海道以北の北洋海域につきましては、平素から漁期においてはほかの管区からの応援を得まして、北海道方面——私の方でいいますと第一管区でございますが、それだけでは足りないので、巡視船をふやしまして警戒に当っておるわけであります。それよりも先に、この流氷につきましては、本年だけの例をあげますと、約一月から三月の末、四月初めごろまでにつきまして、約七回にわたって流氷の観測をやっております。飛行機とヘリコプター、それから巡視船、こういうものを使いまして、稚内から網走、知床方面、それからオホーツク海の方面をやっておるわけでありまして、これを逐次第一管区から一般の漁業方面に流氷の状況を知らしておるわけであります。それから先ほどお示しになりました例は全くおっしゃる通りでございますが、しかしいつもいつも困難であったということでもない、困難は困難でありますが、巡視船で救い出した例もありますし、また航空機でもって流氷の中の水路を見つけ出して、誘導して救い出した例もあるのでありますが、しかしながらおっしゃったような例もまさしくあるのでございまして、私の方といたしましては、航空機その他による観測は当然なことでございまして、またそれを一般の漁業方面に知らせることも当然なことでございますが、今後は単なる巡視船ではなくて、砕氷能力を持たした巡視船を作ってこの方面に配属すれば、一そう効果があろうかと存じておるようなわけであります。
  98. 赤路友藏

    赤路委員 ただいまの答弁によりますと、流氷観測をやっておる、そういうことが漁船その他に十分通報されておることと思います。しかしながら必ずしもそのことによって、こういうような事態が今後も起らないということは保証できません。そこで航空機なりヘリコプター等によって、あるいは救出するとか、いろいろな方法もあろうかと思う。しかしながら現にこの一点だけを見ても、何といっても欠陥は砕氷能力を持った船がないということなんです。これは大きな欠陥なんです。今南極の方の学術探検と申しますか、調査と申しますか、それに宗谷が使われておる。その間砕氷能力を持った船が全然なくて、こういうような事態が起ってきた、こういうことは当然北洋を考えた場合は起り得べき事態です。少くとも砕氷船を南へ出した限りにおいては、それに対処する方法は当然私は考えられていなければならなかったはずだと思う。そうした面が考えられていなかったとするなれば、これは保安庁の怠慢だと私は言いいたい。(「大蔵省から予算がとれないんだ」と呼ぶ者あり)今川村君は変なことを言ったが、予算をとらなければ何とかというような問題ではない、人命に関する問題なんです。海上保安庁の船が四隻も出て行って、三隻は全然現場へ行けない、わずか一隻行った船も手をつけられないでみすみす見殺しにしておるのであります。ここでいいかげんな答弁で事が済む問題じゃないのです。死んだ人の立場に立って見なさい、残された家族の立場に立って見なさい、これは君たちは怠慢でない、予算がないからこれでよいんだと言えますか。今砕氷能力を持ったような船を配属したい、こういうことを言っておるが、それが具体的にできるのですか。大臣どうです。大臣は責任者だから大臣から一つお聞きしたい。
  99. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 今海上保安庁長官からお答えした通りであります。砕氷能力を持った船をだんだん作っていかなけれなならないと思います。それらについてもむろんそういう方向考えは進めていきたいとは思っておりますけれども、今日の手の足りないことからそういう事態の起ったことはまことに遺憾にたえないと思います。
  100. 赤路友藏

    赤路委員 よくわかるのです。遺憾にたえないとか、こう考えておりますとかというような問題で解決のつく問題ではない。もうこれ以上言ってみても押し問答になるから私は言いません。言いませんが、どうしてもこういう事件は起ってくるのです。現に昨年の統計で二十六隻あるのですよ。船までちゃんと明記してある。ことしに入ってから十二隻ある。その中にすでに行方不明の船がある。ようやく助かったが、十何日間も氷の中に閉ざされて、ほうりっぱなしにされている船がある。これは行政を担当する官庁としては十分考えてもらわなくてはならない。これは予算があるとかないとかの問題ではありません。私はここでぜひお願いしたいことは、北洋に関する限りは、今長官も言われましたが、砕氷能力を持った船をたとえ一隻でもよいから作ることです。一体作るだけの熱意はあるのですか。
  101. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 三十二年度予算においてとれた三百五十トン型の船があるにはあるのでありますが、これはまだ決定しておるわけでありませんが、北海道の方に配属する考えで、そういう設計を今考えて計画中でございます。その船は砕氷構造にするつもりでおります。
  102. 赤路友藏

    赤路委員 これは北洋だけの問題ではない。海難関係について私は少しお尋ねしたい。これは本年三月に発行しておる海上保安統計年報です。この年報によると、三十一年度の海難隻数は四千百三十二隻ある。この海難船の損失高を調べてみると、ここにちゃんと統計があるんだが、これによると三十八億六千八百万円、漁船だけの損失は十四億五千四百万円に達しております。これは膨大なものです。しかもこの海難の状況、救難の状況を見てみると、これは統計に示されておる点でいくと、沈没、行方不明が一五%、自力入港が一八%、民間救助が一八%、その他救助が七、それから協力救助というのが七、保安庁で救助したのが三五%、大臣どうです。これだけある。四千百三十二隻海難しておる。その海難の中で保安庁が救助したものは三五%しかない。私は、海上保安庁もあるだけの力を出してやっていることは認めますよ。努力していることは認める。しかしこれだけ大きな海難に対してわずか三五%しか海上保安庁自体の手では救助していないということが現実にこの年報に載っておるのだから、これは考えてもらわなけれないけない。しかもこの間海難の船の乗組総人員は三万三千四百七十二人、そのうち自力で上陸した、あるいは入港したのが一万二千二百三十一人、海上保安庁が救助した数は一万七百六十二人、しかも行方不明、死亡が七百二十三人ある。これは簡単に考えてもらっちゃ困る点なんです。なぜこう成績が上らないか。どうです、長官、なぜそんなのか一ぺん説明して下さい。
  103. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 ちょっと成績が上らないという言葉はわれわれにとって少し酷じゃないかと思うのです。われわれとしては一生懸命やっておる。さっきもあなたがほめて下さったように、僕らの船で一生懸命やってそれくらいだということです。私らの船としては全力を上げたわけてありまして、その原因は船が少いからそういうふうな結果になっているのでありまして、われわれとしてはできるだけ船を作っていきたい、こういうふうに思っておるのであります。ですから、決してぼやぼやしておって成績が悪いのではないのであって、船が足りないということに一つ御了承願いたいと思うのであります。
  104. 赤路友藏

    赤路委員 今ぼやぼやしているんじゃないというお話があった。私もそれは認めるのです。あとう限りの力を出してやっておるでしょう。しかし船が少いからこの程度の成績で終っているんだというだけでは、私はこれは答弁にならないと思う。そんなことはわかり切った話です。日本の国は一万海里という長い海岸線を持っておるのですよ。あなたの方の船は全部で四百十隻だ。その中で巡視船が九十二、それから港内艇が二百八、これから下はほうっておきましょう。巡視船が九十二なんだ。確かに船が少い。この九十二の中でほんとうに動けるのは何ぼあるのですか。みな動いていますか。
  105. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 みんな動いています。船を作ることはほんとうにおっしゃるようにできるだけやりたいと思ってやってきたのでありますが、その努力の足りないことを言われれば、これは申しわけないわけでありますが、できるだけ今後も船を作りたいと思っていますから、その節は何分にも御援助を切にお願いする次第であります。
  106. 赤路友藏

    赤路委員 長官はみな動いておると言った。それは動くだろう。私はしろうとじゃないんだ。それじゃその船は年間全部動いていますか。年間通じてどういうふうになっているんですか。検査とかなんとか。
  107. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 赤路先生は船のことをよく御存じだと思っていましたからあまり詳しいことを申し上げませんでしたが、船というものは一年に一回は定期検査をやります。ですから、普通の船というものは一カ月は動かない。ドックへ入っていろいろ整備することになっておるわけであります。それからその他の小修理のときは運航しないのですから、いわゆる動いておるとか動いていないとかいうことは、つまり運航できるかどうかという可能性の問題でありまして、それは運航の可能性であるということを申し上げるわけであります。もうよくおわかりだと思って言わなかったのでありますが、なお詳しい話は幾らでもやります。
  108. 赤路友藏

    赤路委員 僕の言葉が足りなかったかもしれません。動いておるかということは、九十二隻の中で平均するとどの程度稼働しておるかということです。
  109. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 ちょっとわかりにくいんですが、巡視船……。
  110. 赤路友藏

    赤路委員 巡視船は九十二隻ですね。その中で定期検査がある、それから修繕がある。この期間は抜けるわけなんだ。九十二隻の中で定期検査それから小修繕で抜けるから九十二隻全部動くわけじゃないでしょう。平均どれだけ動いているかということです。
  111. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 おっしゃる趣旨はわかりました。こういうことだろうと思っております。私の方から早く答弁申し上げた方がいいかもしれません。つまり九十二隻の中には従来の海軍から引き継いだ古い船もございますので、そういう船はいわゆる稼働率は少いわけであります。そういうことをおっしゃっておるだろうと思うのであります。そういうわれわれの方で駆特型と言っておりますが、海軍から引き継いだ船齢の古い船は、おっしゃるように稼働率は悪いのでありまして、これをできるだけ早い機会に性能のいい巡視船にかえる方がもちろん高能率的であるのでございまして、こういうふうなことについてもできるだけやらなければいけないというふうに思っております。
  112. 赤路友藏

    赤路委員 どうも僕の言うことがはっきりおわかりにならぬかと思うのだが、巡視船の九十二隻はみな動く、それぞれ必要に応じて警戒なりあるいは救助なりに出ておるわけですね。しかしながら今言うように、定期検査であるとか小修理であるとかいうようなことがあるのだから、結局年間を通じてみた場合、全部動くのだったら九十二に三百六十五をかければそれでいいのです。ところがそうはいかない。それで九十二隻の中で平均すると大体どの程度の稼働率になるか、そういうことなんです。出ていなければいいですよ。
  113. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 今こまかい数字は持っておりませんが、巡視船の行動関係につきましては、いわゆるパトロールするときに行動するのと、整備いたしますのと、それからいざ遭難船があった、あるいはほかの公安関係の事件が起きたということのために待機する、こういう三つのものに分けております。そういうことで、こまかい数字は今ここへ持ってきておりません。
  114. 赤路友藏

    赤路委員 それじゃもうこの点はこれ以上言わない。私は今の保安庁の持っておる船の様子からいった場合、九十二隻というものについては相当稼働率が下ってくると思っている。しかもその中で今長官が言ったような、パトロールであるとか整備であるとか公安関係、こういう三つの職能を持っている。これは一万海里全部これでやる。ここにそもそもの無理がある。これからぼつぼつ船も新しいのに切りかえて参ります、また必要に応じてこれからぼつぼつ船の隻数もふやして参ります——、けっこうです。けっこうですが、先ほど言ったこの海難の数、それから漁業関係だけで見た場合でも、三十一年度の漁業の違反件数は六千百六十七件。膨大な違反件数が上っておる。これは私が言うまでもないと思うのですよ。あなたたちのところには陳情書がたくさん来ておるはずです。沿岸の零細な漁民の諸君が密漁船のために非常に悩まされておる。一隻でもいいから何とかして回してくれという、この零細な沿岸漁民の訴えというものは、あなたたちには十分わかり切っておるはずなんです。予算がつきませんからとか、これからやりますからとか、そんなことで解決のつく問題じゃないのですよ。ここだからそんなことが言えるのだ。現地へ行ってそんなこと言ってごらんなさい、とんでもない。先ほどの流氷で行方不明になったのもそうだ、家族のところへ行ってそんなこと言ってごらんなさい。現地の者の身になって考えていかなければいかぬと思う。私は非常に無理なことを言っておるようですよ。自分でも知っている。無理かもしれぬ。きょうはなぜ大臣に来てもらったか、率直にいって、何もこの程度のものに大臣を引き出す必要はないのだ。大臣はお忙しかろう、いろんな用件をかかえておられる。こまかいと言ったら変だが、こうしたことにはお気づきにならないだろうと思えばこそ、私はわざわざ大臣に来てもらってこれを言っているのだ。いいかげんな考え方、いいかげんなその場のがれの答弁では困る。九十二隻、これで十分な使命は果せません。これは率直に申し上げる。私はこれ以上質問しません。これから先は何ぼ言ってみても同じです。  そこで最後に大臣にお願いをいたしておきます。実情は今の通りです。重ねて申しますが、きょう大臣にぜひ来ていただきたいと言ったのはこれを知ってもらいたかったからです。事は人命に関する問題です。しかも海難のために損失を受ける金額それ自体も実に膨大なものです。それとともにまた漁業面では密漁船が横行している。これのために沿岸の零細な漁民は泣いている。この事実をどうか大臣お知り願って、少くとも海上保安庁が仕事のできる範囲内の努力は一つぜひやっていただきたい。これだけです。答弁は求めません。
  115. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 ただいま申し上げたように、海上保安庁が全力をあげてその機能の発揮に努めておりますけれども、ただいまお話しのように四面海をめぐらし、装備がはなはだ不足でありまして、船舶初め航路標識その他もっと力を入れなければいけないのでありますが、今終戦後十年、ようやくその緒についてきましたので、これからさらに一そうの努力をいたしまして、順次御期待に沿うようにしていきたいと思います。
  116. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 赤路委員から北海道の漁船、北洋に出ております漁船の救助が遅々としてふるわないために相当の被害があり、人命も非常に失われているということを指摘されたのでございますが、それに対して海上保安庁長官が、極端に言うならば、われわれも誠心誠意一生懸命にやっているけれども船が足りないのだ、船を大いに建造してもらうべく皆さんの御協力を願いたいと申している。これが結論のようでございます。そこで私は大臣に一言申し上げておきますが、海上保安庁は運輸省所管であることは申し上げるまでもございません。私も赤路委員と同じ意見を持っておりますので、でき得るだけ海上保安庁の救助船なりあるいは監視船なりあるいは取締り船なども拡大したいということで今日まで努力をしてきたのでございます。ところが当の責任であります運輸省は、私約十一年になりますけれども、一回だって国会のわれわれに向ってかような意見も述べなければ、努力した跡を聞いたことも見たこともございません。宮澤大臣は熱心にやられたということは私もよくわかっておりますけれども、これまでの大臣は一向に努力したことはございません。これははっきり申し上げておきます。燈台の問題にしてもしかりでございます。かつての燈台は大きな船舶の航行の安全を確保するためにつけられた。ところが最近大きな船はあまり事故がありません。漁船が多いのでございます。従って各地のみさきみさきには全部燈台をつけなければならない状況に変って参りました。この燈台の問題も全く等閑に付しているというのが今までの運輸省のあり方でございます。海上保安庁では救助船の問題なり燈台の問題を今日まで非常に強く取り上げておりましたことも私らはよく認めるのでございますけれども、当の責任のある、しかも運輸省がこれに対して無関心であるから、これまでの大臣も熱心にならなかった、私はかように判断をしております。赤路君の御指摘はもっともでございまして、私は、今後流氷に耐える船はもちろんでございますけれども、またその性能を有する船舶を多数建造して、そして海難に対処してもらわなければなりませんし、さらに燈台等も相当にふやしてもらわなければならぬという考えを持っておるのでございます。しかも燈台につきましては、漁港が完成すると直ちに入港に便ならしめるように、漁港の一番突端に燈台をつけなければならぬということも海上保安庁の使命でございます。ところがこれらを実現するべくずいぶん海上保安庁では努力しておりますけれども、これも同様運輸省では一考もしないといったらあまり露骨な発言であるかとも思いますが、実際に関心を持っておらない。でありますから、これまでも救助船なり、あるいは監視船なり、取締り船なり、あるいは燈台の設置も遅々として進まないというような状態でございます。今年の予算はもうすでに終ったのでございますけれども、大臣の在任中にこの問題はさらに予算の獲得に織り込まれるのじゃないか、かように感じておりますので、海上保安庁に対する予算の措置等のためには大いにがんばってもらわなければならぬと思います。  そこで、今まで十数年間こうして見ておりますと、どうも運輸省が関心を持たないのは何かそこに原因があるのじゃなかろうか、腕がないのか、あるいは関心を持たないのか、いろいろに判断が下されるのでございますけれども、このままでは先ほどから言う通り、非常に能力も足りませんし、われわれとしても非常な危険にさらされるということになるのでございます。そこで、私露骨に申し上げますと、海上保安庁の仕事は、もう漁業にほとんど九割九分の努力をしなければならぬということになっておりますから、運輸省からこれを切り離して、有力な大臣でございますから、この際思い切って水産庁と海上保安庁のお仕事とを合せて海洋省でも作って、専門に漁船の救助なり、あるいは指導なり、あるいは先ほど赤路君が言われた沿岸を荒し回るものを取り締るようにしたらどうかということを私は考えております。われわれ議員の中にも、最近そういう声が非常に起ったのでございますから、大臣もお考えになって、もし来年度において少しでもわれわれの要望が満たされないとするならば、赤路君とも相談いたしますが思い切って海上保安庁の機構というものを水産庁に移して、そうして海洋省なりあるいは水産省なり作って海上保安庁の使命を全うするようにした方がいいんじゃないかという考えを持っておるのでございますが、所管でありますから、なかなかなわ張り争いで放しはしないでありましょう。大臣が思い切ってやろうとしても、なかなか運輸省の役人たちはそれに応ずるわけでもないでしょうけれども、わが自民党の内閣で、思い切ってそうしたような行政をやるべく機構の改革をした方がいいと思いますが、この点について大臣はどういうお考えを持っておるか。過去の運輸省の努力が非常に足りないから私はこういう発言をしなければならぬのでございますから、その気持もお察し下さいまして、一つ明快なる御答弁を願いたいと思うのであります。
  117. 宮澤胤勇

    ○宮澤国務大臣 ただいま赤路さん並びに川村さんから伺いましたが、こういう実相がやはり広く世間にも伝わっておらない。それで私ども運輸省当局として、この海上保安庁の仕事並びに港湾その他の諸施設、航路標識等に対して、さらに一そうの努力をしなければなりませんけれども、しかしながらやはり世間一般の認識も足りなかったんじゃないか。今伺うと、赤路さんのお話で、ああいう大きな事故が相次いで起っておるということも、私自体も実は承知いたさなかったわけでありまして、世間にも知らせて、さらに予算のぶんどりなどということでなくして、大きな世論の声を背景にこういう問題は解決していきたいと考えております。  また、ただいま川村さんのお話の行政機構の問題は、私どもこれが国家のためになるものであるならば、そういう小さな考えでやっていくつもりはありません。やはり政府の仕事ですから、一番機能の発揮しやすい方法考えていくということは当然でありますので、これらもまたやはり国会なりもしくは世間の御意見なり、世論なりに従って、最も能率の上る方法、効果の上る方法でやっていきたいと考えております。
  118. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これにて運輸大臣に対する質疑はよろしゅうございますか。——ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  119. 小枝一雄

    ○小枝委員長 速記を始めて。  引き続いて質疑を行います。芳賀委員
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 午前の委員会において、同僚の永井委員からニシン漁業に関する質問がありましたが、政府答弁が明確でありませんので、さらに具体的にお尋ねしたいと思います。長官の出席がないのですけれども、漁政部長で政府を代表して明確な答弁ができますか。
  121. 新沢寧

    ○新沢説明員 一応部内で相談いたしておりますので、水産庁としての方針はお答えできると思います。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 それではお尋ねいたしますが、当委員会においては昭和三十年の十二月十日に、ニシン問題を取り上げて質疑を行なったことがあるのです。それは御承知の通り昭和二十九年の十二月二日に農林大臣の指令に基きまして中型底びき船のニシン漁業に対する制限規定を指令として通達しておりまして、それが今日まで底びき船に対する一つ制限規定として実施されておるのでありますが、水産庁当局においては、毎年のようにニシンの底びきによる混獲問題に対して非常に不明確の態度を今日まで続けてきておって、ただ北海道における現地の声に押されてこの規定が今日まで持続されておるわけでありますが、この機会に、単にニシン漁業の問題だけでなくて、北海道における沿岸漁業全体の施策の中から、水産庁としても国の水産行政の一環としてこの問題をどうするかという点をやはり明確にさるべき必要があると思うのです。その基本的な考え方についてまずお尋ねしたい。
  123. 新沢寧

    ○新沢説明員 お話のように、ニシンの底びきによる混獲制限の問題につきましては、この両三年来の問題でございます。しかし水産庁のこの問題に対する考え方は、当初と現在まで変っておらないのでありまして、当初から水産庁といたしましては、ニシン混獲の問題につきましては、沿岸ニシンに依存する漁業者の生活の安定、経営の安定ということを第一義的に考えることは、当然のことでありますが、ニシンに関します限りにおきまして、これの資源の問題あるいは漁獲によります将来における資源量への影響あるいは沖合いにおいて漁獲することによる沿岸に対する影響というような問題になりますと、水産庁考え方北海道側の考え方と若干の相違がありましたために、両者話し合いで、ただいまお話のありましたような措置を今日までとってきておるわけでございます。基本的には沿岸業者の生活安定ということを第一義的に考えるのでありますが、ニシン漁獲に関する限り、必ずしも沖でとることがいけない、あるいはとり過ぎることがいけないのだという問題の考え方をいたしておらないわけでございまして、最近の海況の変化によって沿岸ニシンがとれなくなった。従ってニシンをとるためには、沿岸で待っていないで、沖に出てとるのだという考え方は、むしろ水産庁側といたしましては、北海道側にこの両三年来そういうことを勧告と申しますか、示唆と申しますか、して参っておったわけでございます。それが本年になりまして、北海道側としましてようやく踏み切って沖に出てとるということになったわけでございます。そういたしますと、今まで北海道側が主張しておりましてニシン漁獲に対するいろいろな考え方の理論づけと申しますか、理由が、本年において非常に変ってきたというふうに私ども見ざるを得ないわけでございます。ということは、北海道側も沖へ出ることによっての資源への影響、魚道の撹乱という問題も、沖に出るということを踏み切った以上割り切っているというふうに考えられるわけでございます。そうしますと、この問題に関します基本的な考え方において、二、三年来水産庁考えて参りましたことと北海道考えますことが、本年において一致したというふうに見るわけでございます。そうしますと残ります問題といたしましては、漁場におきます操業上の調整の問題として問題を考えることが至当なのではないかということで、私どもこの問題を考え、その結論を見出すために午前中長官がお答え申し上げましたような措置を、今後ともとって参ろうというふうな段取りにあるわけでございます。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの新沢さんの答弁によると、従来は水産庁北海道庁の間における考え方が必ずしも一致しておらなかったけれども、本年北海道道庁方針に基いて、ニシン沖刺し網漁業を二カ年間の計画で、試験操業をやるということに積極的に踏み切ったというこの事態は、従来水産庁がとられておった、ニシン漁業の漁法の改善に対する考え方と完全に一致したという意味なのですか。
  125. 新沢寧

    ○新沢説明員 その通りでございます。今まではニシンというものは、沖刺し網で沖でとることは、沿岸ニシンをとることに非常に悪影響を与える、こういう主張が北海道側の主張であったわけでございますが、私どもとしては、これは学者の研究によりましても、そういうことはない、海況の変化によりまして魚が沿岸に来なくなったのだ、従ってニシンをとるためには沖へ出なければならないということで、それをかねがね主張をしておったわけでございます。その点必ずしも、従来は北海道側でその点がまだそういう理解に到達していないで今日に及んでいる。それで昨年の秋立てました北海道ニシン対策においては、その点をはっきり認めまして、やはり沖へ出てとるという政策転換した。このことは水産庁が、従来ニシン問題について考えたことと軌を一にしておる、こういうふうに言えると思います。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は新沢さん、少し違うのじゃないですか。水産庁考えは、従来の態度としても、決してこれは沿岸漁業を保護するという考え方の上に立っていないのですよ。そういう考え方の上に立っておるとすれば、たとえば共同漁業権内の漁場における刺し網漁業とかあるいは定置漁業が、その定着した海面において、原始的な漁法によった場合においては、現在もうおそらくニシン漁業をやることができないような事態に当面しておるという判断の上に立つとすれば、これらの沿岸の既得権を持ったニシン漁業者が、どうしたならば沖合いに進出できるかということを考えなければならなかったはずだ。ところが水産庁は、何らそういうことを考えておらぬでしょう。この沿岸における歴史的な既得権を持った沿岸ニシン漁業の諸君を、沖合いに出すためにはどうするかという、そういう明確な対策というものは、今まで水産庁は講じたことはないのです。ただ水産庁のとった態度というものは、沿岸においてニシンをとるということは実際問題として不可能な事態になってきておるので、沖合いでこれはとるべきである、その場合には、中型底びきによる漁業も認むべきであるというのが水産庁態度だったのでしょう。ですから沖合いでとるということに対しては考えが一致したとしても、この基本的な沿岸漁業者を進出させて、そしてニシンの漁法を改善して、生活権を保護するということの考え方の上に立っていなかったということは否定できないでしょう。いかがですか。
  127. 新沢寧

    ○新沢説明員 ニシンをとるためには、沿岸で待っていてもだめで、沖合いへ出なくてはならない、こういう点につきましては、先ほど申し上げました通り北海道に対してはかねてから申し上げたことであります。そこで、それならば従来沿岸ニシンをとっておった者に対して、優先的にと申しますか、ニシンをとらせるように考えるべきであって、それに対して、底びきがニシンをとることを考えるのはおかしい、こういうふうなお話でありますが、私どもといたしましては、理屈から申しますと、ニシンというものは人間がとるくらいのことによって資源に一影響はないのだ、だからニシンのとり過ぎによって、将来ニシン資源に悪影響を及ばすものではない、こういう学者の意見が通説であるように聞いているわけでございます。ただそこで問題は、底びきに積極的にとらせるとかどうとかいう問題ではありませんで、現実の問題としまして、従来のニシン漁業の漁場が変って参りまして、従来主として日本沿岸の方々が沿岸ニシンをとっていたのが、最近におきますニシンに関する学者、研究所等の意見に従って新しく漁場を求めまして、樺太の近くとかあるいはオホーツク海に、従来沿岸でとった人が沖刺し網によって進出していく、こういう形になったわけでございます。そういたしますと、従来底びきの漁場であったところが新しくニシンの漁場となってきたということから、操業上の問題を考えなければならない。同じ場所で、いわゆる底びきが操業している。そこがまた新たにニシンの漁場となったために、沖刺し網が進出する、これは同じ漁場で操業するのでありますから、両者の間の操業調整ということを考えなければならないということが一点でございます。もう一つは、底びき網による漁法の必然的と申しますか、避けられない事情といたしまして、ほかの魚をとろうと思っても、その目的のばかりとれないで、ほかの魚も入ってくる、こういう必然性を持っているわけでありますから、不自然の取り締りの仕方をしても、それは実効を上げ得ない。かたがたニシン資源問題についてはとり過ぎということは顧慮するに足りないというような、幾つかの条件をからみ合せて考えますと、従来の混獲制限百貫というところで線を引いて、それ以上はいけないのだ、それ以下ではいいのだ、こういうふうな取り締りの仕方は実情に沿わないので、むしろ実際上の問題として、同じ漁場で操業する二つの漁業が、相剋を来たさないようにやる方に考えを向けなければいけないということに、問題が移ってきているわけなんです。その場合におきましても、前提となりますのは、海の上で操業することでありますし、もちろん水産庁にいたしましても、北海道庁にいたしましても、それぞれ取締り船を持っております。あるいは指導船を持っておりますけれども、そうした官憲の力によって取り締るというよりは、両者の間で事前あるいは事後におきまして、十分な協調を結んで円満操業ができますならば、両者のために最もいいのではないかということが、われわれの問題の解決の基本的な態度でございます。そういうことで、長官は午前中のお答えで、民間協定というようなお言葉を使って御答弁いたしましたが、そういうようなことで解決いたしたいというように考えているわけでございます。決して沿岸業者の進出する先を、底びきによって頭を押えるという意図は持っておらないわけであります。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 私のお尋ねしたのは、当初水産庁北海道庁との間において意見の不一致があったということを新沢さんが言われたから、その不一致というものは単に、今年北海道が試験操業としてニシン沖刺し漁業をやることになったので、それだけで意見の一致が完全になったということじゃないと思うということを私は指摘しておるのです。水産庁は先ほども言った通り沿岸ニシン漁業者の生活権を擁護するという明確な立場の上に立って沖合い漁業考えておったのではなくて、漁場が変ったから、底びき船によってニシンをとらしても差しつかえないんじゃないか、やむを得ぬだろうという考え方だけを持っておったにすぎないのです。そうでしょう。そうでなければ、今日まで政府方針として何らかの沿岸漁業対策というものが明確に打ち出されておったと思うわけでありますが、これに対しては何ら具体的な施策が講じてないでしょう。何かやりましたか。
  129. 新沢寧

    ○新沢説明員 従来の北海道考え方といたしましては、やはりニシンというものは沿岸に回遊してくるものだという考えを強く持っておられたように思っております。従いまして従来の北海道側と水産庁側の意見の相違というのは、沖でニシンをとることについての解決の相違であったわけです。沖でとることは漁道を撹乱して、沿岸ニシンの近づくのを妨げる、また資源的にも悪影響があるというのが北海道庁側の主張であったわけであります。水産庁側としましては、そういうことはないのであって、沿岸ニシンが寄らなくなったのは、一に海況の変化によるものである、従って沖でとるという問題ではなくて、ニシンをとるためには沿岸で待っていてはいけないので、沖に出なければいけないのだということをかねてから水産庁考えていたわけで、またそういうことを主張しておったわけであります。その点について北海道庁といたしましても、昨年の秋立てましたニシン対策におきまして、はっきりそのことを認めまして、やはり沿岸で待っていてはいけないので、沖へ出てとるのだという方針を立てられた。そのことにつきましては、われわれはもちろん大賛成でありまして、その施策が今後伸びるように考えなければいけないというふうに思っているわけであります。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 だから沿岸から沖合いに出るという場合においても、零細漁民は資本的にも全く無力だ、こういう人たちが組織的に漁法を切りかえて沖へ出られるような力づけのために、水産庁は何かやりましたかということを私は聞いておるのです。考え方だけじゃないのです。もしそういう基本的な考えであったとしたならば、道庁に対しても指導したり、それを十分慫慂して、そして強力にやるべきであるというような具体的な施策を与えるべきであったと思うのです。そう思っておっただけで、何もやってないじゃないですか。具体的にはどうですか。
  131. 新沢寧

    ○新沢説明員 確かにそういう経過的に長く水産庁側と北海道側の意見が一致しなかったというために、やはり同じ方向を向いての施策の推進ということについて至らざるところがあったかと思います。しかし基本的な方向北海道としてはっきりそういう方向をとりました以上は、私どもも、その政策が伸びていきますように、十分あらゆる点について配慮を加えて参りたいと思っております。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは北海道庁が立てた春ニシン地帯の漁業総合開発計画というものは、新沢さん御承知と思いますが、この五カ年計画の線に沿って新しい漁業開発計画が進められていくわけでありますが、特にニシン漁業の改善に対しては、全面的に水産庁としては道の方針や案を支持して、それに力をつけて、その方向に向って十分成果をあげるように努力される、そういうことですか。
  133. 新沢寧

    ○新沢説明員 お話の通りでございます。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 そういたしますと、結局沿岸ニシン漁業者の既得権益の確保というものは、やはり沖合いへ出た場合においても、歴史的な事実とその生活権というものは認めて、そういう人たちの漁場としてどこまでも確保してやる。その場合沖合いの漁場における底びき船との漁場の競合等に対しましては、これは国の方針をもって、中型底びき船の取締り規定等の規則の上に立って、やはり一貫した制限とか規制を加えてやっていくということによって、初めて漁場の混乱を防いだり競合を防ぐということの成果が上るのじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  135. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいまの点でございますが、従来から底びきが操業いたしました漁場と、新しくニシン沖刺し網操業しようと考えられております漁場とが、地理的にはほとんど一致しておるわけでございます。そういたしますと、問題として起きて参りますのは、ニシン混獲をどうするかということよりも、具体的にその同じ海面における操業上の摩擦が生じないようにということの問題が主となってくるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、ニシンのとり過ぎということはむしろ問題はないわけでありますから、同じ海面において両者の操業が円滑にいくにはどういうことを考えたらいいかということが問題の中心になってくるわけでございます。私どもそういうように本問題は考えて処理をいたしたいということで、先ごろ来道庁の側にも再三おいでを願って相談をし、また、今後も相談したい、こういうふうに思っております。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、もし漁場が沖合いにおいて競合するような場合においては、主目的が違うのですから、中型底びきの場合、これらの人たちはニシン専獲を主目的として漁業をやっておるのじゃないでしょう。それも禁止してあるでしょう。ですから自分の船の漁撈の目的は何だということはそれぞれわきまえておると思うんです。ニシン沖刺し網ニシンを主目的として漁撈をやるのですからね。それから底びきの場合には、それ以外のものをとるというところに目的があるのだから、漁撈の主目的が競合したり摩擦しなければそれで十分目的は達せられると思うのです。そのためにやはり行政的な措置とか指導とかあるいは取締り規則というもので明確な指示を与えて、それが遵奉されていけば、私は所期の成果というものは達せられる、そういうふうに考えておるのでありますが、その点はいかがですか。
  137. 新沢寧

    ○新沢説明員 おっしゃるようなことであろうと思いますが、問題は、底びきの実際の漁法から来る必然性として、魚をより分けてとるということはできないわけでございますから、百貫とかなんとか具体的な線でその上と下で処遇を異にするということは、これは実際と合致しないわけでございます。ですから問題としては、底びきの方としては、せっかく沖刺し網ニシンをとるために出て来た業者ニシンをとることをできるだけ妨げないようにという考えをもって操業するということが最も必要になってくるわけなんです。ですから、百貫で線を引くということではなしに、先ほど来再々申し上げておりますように、操業上の摩擦相剋が生じないようにするには、お互いにどういうふうに操業するか、どういうふうにおのおのの分を守って操業するかということを話し合ってきめることが最も実際的な解決方法ではないかというように考えておるわけなんであります。形式的に実態に合わない線の引き方をいたしましても効果はないというふうに考えておるわけでございます。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 効果は上っているでしょう。二十九年の十一月以降そういう大臣指令を出して、今日まで禁止規定というものはやはり守られておると思うのです。全部が違反しておるのですか。農林大臣指令ですか、通達まで出して、その規定にそむいてはならぬということを徹底さしておいて、監視船や取締り船まで出ておって、私は成果を上げておると思うのです。指令を出した農林省当局が、あれは全然昔の一片の紙切れだったというふうに考えておるのですか。
  139. 新沢寧

    ○新沢説明員 過去におきます実際の処理状況を見てみますと、確かに北海道庁の船あるいは海上保安庁の船が容疑のある船を捕獲いたしまして送検をしておる実例があるわけでございますが、実際の問題といたしまして、犯意なしということでことごとく釈放されておるというのが実情であります。海上保安庁なりあるいは検察庁といたしましても、現在百貫の上と下という形式的なことで処罰の決定、非決定をすることはなかなか困難であるのが実情であると思うわけでございます。実際の指令を出しておりましたのは水産庁でございますが、犯意の有無、処罰するかしないかは検察当局が決定することでございまして、検察当局の今日までの処理状況を見てみますと、事実はそういうことになっておるわけでございます。ということは、百貫という形式的な線を引いて、それを唯一の取締りの基準といたしますことに実際上の困難があるということを物語っているように私ども見ておるわけでございます。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 水産庁が犯意なしと最初からきめてかかるようでは、みんな犯意がないことになってしまうのです。あの禁止規定は百貫とらせるということじゃないのでしょう。十一月、十二月の冬ニシンに対しては百七十万貫を限度として認めるが、一月以降六月までの春ニシンに対しては禁止するのですよ。ただし、一船一航海百貫の範囲内においてはやむを得ぬということなんです。百貫とれというのじゃないのです。これは採捕してはならぬということを厳達しておくけれども、今新沢さんが言ったように、実際漁撈をやる場合は一匹も入らぬというわけにはいかぬから、百貫以内の場合においては違反にならぬということなんです。あなたの方は、いつも言う通り、百貫までとってもいいというような態度で臨んでいるから、その場合それが二百貫になっても、百貫まではとれるということで、混獲して場合はそれを越えても犯意がないということにあるいはなるかもしれぬ。そこらのけじめがついていないのじゃないですか、どうなんです。
  141. 新沢寧

    ○新沢説明員 お話のように、確かに指令の意味はニシンをとってはいかぬということであります。ただ漁法上の必要性から混獲というものは避けられない。混獲の場合の一応の行政上の基準として百貫という線を引いたわけでありますけれども、そうした行政上の認定基準を百貫という具体的な線で引いても、実際にこの犯意の有無等々を考え合せて、違反かいなかを決定する立場にある検察庁としては、客観的に形式的な線を引かないで、もっと別の要素で犯意があったかなかったかというところにさかのぼって決定しなければならないわけであります。そういたしますと、現在の漁法上から犯意の有無を判断いたしますには、百貫とか二百貫とかというような数量ではなく、もっと明らかな認定を決定づけるに足るだけの裏づけがないとやはり処理しにくいというふうに今までの処理経過から見ておるわけでございます。従って、水産庁は沖でとるごとについて悪影響がないと考え北海道側は悪影響があると考えた両者の意見の相違の結果出された指令、その指令が実際の適用上においてむずかしい問題に逢着している。それから北海道としても、ニシン漁獲についての考え方、特に沖においてとることについての考え方が急角度に変って参ったということ、それから、先ほど申し上げておりますような新たな事態として、ニシン沖刺し網の漁場が底びき網の漁場と一緒になったというようないろいろな事情の変化を考えますと、問題を白紙に戻しまして、新たにニシンをとるために沖刺しとして進出した業者を圧迫しないようにする、沖刺し網が十分ニシンをとれるように操業上の配慮を加えることによって問題の解決が得られるのではないかというふうに考えてきたわけでございます。資源問題なし、漁撈問題なしとすれば、同一漁場における両者の相剋摩擦をいかにして防ぐかということに問題をしぼって考える、先ほど来同じことを繰り返しておるようでありますが、現在のニシン混獲問題解決の私どもの考えの基本はそこにあるわけであります。底びき網がどんどんニシンをとってかまわないのだ、底びき網の業績を上げるためニシンをとらせるのだ、決してこういう意味ではない。従来の取締りの方法なり基準なりでは実際上の取締りができない。問題は取締りにあるのではなしに、両者の操業の摩擦をいかにして防ぐかということにあるのだ。そうしたならば、問題は百貫云々ということではなしに、両者の間でいかに操業協定が円滑に行われるかということの解決を水産庁なり道庁なりの指導によって早急にはかるべきではないか、こういうような考え方をとっておるわけでございます。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもいろいろ説明を聞いていると、だんだん水産庁態度があいまいになるのですが、一体何を考えておるのかわからぬのです。結局沖合い漁業になったら、この場合沖刺し網漁業を認めるかわりに、同一漁場においては底びき船によるニシン操業制限規定をはずしたいのでしょう。実際はそうじゃないのですか。これは奥原次長もその論者だというふうに聞いておるから、そういう根拠のある態度ならば、この際明らかにした方がいいんですよ。午前中の水産庁長官答弁も、今の新沢さんの答弁もみんな違うじゃないか。まだ次長の見解を聞いておらぬから、何か特別に変った意見があれば、この機会に明らかにしてもらいたい。
  143. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 午前中外務委員会あるいは国土開発委員会等に出ており、また今実はこういう御質問が出ることを予測しないで他出をいたしておりまして、本朝来ここで交換されたニシン問題についての意見は承知いたしておらないのでございます。しかしこの問題に対処する水産庁態度というものについては、答弁者がだれでございましょうが、これは変りがない。     〔委員長退席、川村(善)委員長代理着席〕 要するに、今年は昨年までの事態とは事態が変ってきた。沿岸定置あるいは刺し網等でずっとニシンの来遊を待っておるという漁業形態では、とうていニシン関係漁村の漁業経営は成り立たないのでありまして、道庁水産庁といろいろ打ち合せをした結果、ニシン沖刺し網漁業を進めていく上に、現に百五十隻のニシン沖刺し網を宗谷海峡から東の方に出すということに踏み切っておるのでございます。ところがこの海域は、かねて底びきが昭和二十六年ごろからニシンの沖とりということをやり出しまして、漸次沿岸漁村との間にいろいろな問題を起し、また御承知のような百貫という混獲制限のもとでございますけれども、とにかく底びき網というものが現に操業しており、ニシン混獲しておる漁場でございます。同じ漁場に底びきの船と百五十隻からの——今年はとにかく百五十隻、将来は今年の成績によっては四百隻くらいまでも進めたい、こういう両方の船が入りまじって操業していくということになれば、その間において必ず両者の相剋、衝突ということを免れ得ないのでございます。そこで沖刺し網をこの漁場に出す以上は、当然その両者の間の漁場の調整というものを絶対にやらなければならないということが、われわれが昨年の秋以来北海道庁に対して常に要請して参っておったことでございます。  他方において、ただいま漁政部長が御説明申し上げておりましたように、底びきの混獲の限度百貫というこの制限自体は、漁場の規律の方式としては非常に不合理なものであるのでございます。従って過去の事態においてはこういう方式で沿岸と底びきとの間の調整をとって参ったのでございますが、今日のただいま申し上げたような新しい事態におきましては、両者の沖とりの漁業相互の間の調整をはかるということを条件として、この百貫の混獲制限問題は再検討されなければならない、かように考えておるのでございます。この点につきましては人によって表現の相違はございましょうけれども、考え方としてはみな一致してわれわれ一同そういうふうに認識いたしておるのでございます。
  144. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題は今始まったことではない。前の長官の塩見さんの時代にも混獲制限の規定をずっと続けてきたのでございますが、そのときの塩見さんの見解によっても、禁止規定の百貫という線は確かにいろいろ問題がある。しかしこれがいけないから、これにかわってどうしたら混獲禁止をできるかというよりよき規定というか、こうやったらという代案がないので、それでやはりこれを続けていくということを当時の塩見長官は言明している。あなた方は無為無策で、百貫はおかしいから、これは白紙に戻して再出発しなければならぬというようなことを言っておるけれども、何ら定見がなく、これはおかしいからこれを廃止するんだというようなことでは、今後の事態の混乱というものはすぐやってくるでしょう。ですからたとえば少しくらいおかしいとしても、現在までの底びき船は、許可を与えるときには、ニシン漁獲を目的にしていないのでしょう。ですから二百七十隻近い底びき船というものはニシン漁業に依存していない。だからニシン沖刺し網沖合いの漁場へ出ていっても何らそこに競合が起きないということは当然考えられるのではないですか。今まで底びき船が沖合いニシン漁獲をやっておった、そういう既得権がある場所に沿岸から沖刺し漁業が進出していった場合には、これは問題が起きるけれども、今日まで中型底びき船に対してはニシンの専獲とか大っぴらに春ニシン混獲というものは全然認めていないし、それに依存しなくとも、今日まで底びき船というものは完全に企業が成り立っておったことは、私が言うまでもないでしょう。ですからそういうような経過を持っておるし、歴史的な根拠もあるから、現在ニシン漁業の漁法を改善して、沿岸から沖合いへ出るという、このニシン沖刺しの試験操業を二カ年にわたって北海道方針でやる。その方針に対しては、水産庁としては全面的にこれを支持するということを先ほども漁政部長は言明しておられるんです。ですからそれを保護する場合には、二カ年間の試験操業の成果というものは二年後でなければ十分わからぬと思うのです。少くともその期間中はやはり一方における底びき船のニシン混獲という問題に対しては、一貫した明確な制限を設けて、それを持続するという態度をとらなければ、せっかくの沖合いに出た沖刺し網漁法による試験成果というものは上らぬと思うのです。そのくらいのことは水産庁としてもわからぬはずはないと思う。ですから地方庁がせっかく苦労して立案したこういう沿岸漁業一つの改善の方法とかあるいは沿岸における漁業の総合開発計画等に対しては、少くとも中央政府としては、全面的な理解と支援を与えるという積極的な態度というものはどうしても必要だと思うのです。そうでなくて、あなたたちは、底びきに船は大臣許可だから、これらの船の利益を守ってやる、そういう考え方だけに立ってものを考えるからだめなんですよ。その点はどうですか。
  145. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 ただいまの芳賀先生の御質問の点につきましては、水産庁として若干問題の理解を異にいたすのでございます。それは底びきのニシン漁獲に関しては、確かに許可の条件として混獲百貫という制限を置いて、その範囲において今日までニシンと関連を持って参ったのでございます。しかし百貫の混獲の限度というものについては、その制度自体の不合理性を検察当局あるいは海上保安庁方面においても指摘をいたしておるのでございます。たとえば私の方の底びきの係の者が北海道へ出張いたしますれば、現地の保安庁の担当者がやって参りまして、百貫の混獲の限度は漁業規制の方式としては非常に不合理だ。そのために自分たちはこれが取扱いに非常に困惑しているというふうな話をいたしたというような事実もあるのでございます。そういうふうな検察側の見解等も反映して、底びき漁業者としては、あの百貫の限界のワクの中に許可の条件を順法しておるということは、これは申し上げかねるのでありまして、実際問題として底びき網自身を若干細工することによりまして、相当程度のニシン漁獲をしておるというのが今日の実態であろうか、かように考えるのでございます。オホーツク海における沖取りというものは、とにかくいろいろな紛糾は招きましたが、底びきが開いて参りました漁業であるのでございます。ところでその同じ漁場へ今度西の方から沖刺し網が百五十隻入っていくということに相なりますれば、底びきと沖刺し網との間に必ず操業上の紛糾を来たすということは火を見るよりも明らかなのでございまして、われわれといたしましては、両者の間の調整をこの段階においてとらなければならないということを、北海道当局に対して昨年来常に要請をいたして参ったのでございます。それに対しまして道当局と申しますよりも、北海道沿岸漁村の方々の御見解かと思うのでございますが、底びきの今やっておる漁場へこれから四百隻も沖刺し網が入っていけば、底びきは結局そこから追っ払われてずっと沖の方に行ってしまわざるを得ない。そういうことで底びきをここから駆逐するのだ、こういうふうな考え方を端的に述べておられる方もあるのであります。そういう状態において沖刺し網がそこへ入っていけば、必ずや両方の漁業の間に熾烈な闘争が起ってくるということは当然予見されることでありまして、そこでこの段階において、両方の漁業が併存し得るというふうな何らかの規制方法を考究しなければならない。そのためにはまず第一には両方の漁業者が十分この問題についての話し合いをする。また道当局がそのつもりになって、水産庁もまた道当局が一緒になってやってくれるというとことであれば、両者の間に周旋をして、何らかの調整を、話を煮詰まらせていく努力を続けるべきである、かような見解を持っておるわけでございます。
  146. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう、民間の業者なりに自主的に話し合いをまずさせて、ということは行政庁として全く自信のない証拠なんですよ。同一漁業者間における利害関係がないということは言えぬと思う。あえてそれを認めるというような場合には、一番大事な点は、沖刺しと底びきがどちらもニシン漁業を主目的にしておらぬということなんです。沖刺しの目的はニシンを沖でとるために出ていくけれども、底びきの場合はニシンを目的にしていない。ですから、それぞれの船の漁業目的が明らかになっている限りは、同じ漁場においてもあなたの言うような闘争であるとか混乱であるとか激突なんていうものは起きるはずはない。最初からお互いに理解し合って同じ漁業者として協力し合うという気持があれば、そういうものをまた指導したり醸成させるというのが行政庁の役割でしょう。何かアジって最初からこうなれば闘争が起きるとか激突するというようなことをあなた自身が宣伝して火をつけるような態度でおるじゃありませんか。そういうことでなくして、予見される事態はこうであるから、今から趣旨を徹底させて、底びきの場合においてはニシン漁獲が目的でないのだから、自分の目的とする漁業に向ってやってもらいたいとか、沖刺しの場合においてもニシンが目的なのだから、そのことによって底びきの今までの操業の能率を低下させたり、じゃまをしないようにしなければいかぬというような、そういう指導的な役割に回るということであれば話はわかるけれども、たちまち混乱や闘争が起きるというようなことであなたが火をつけて回って、そうして問題を混乱して、そのことによって、この禁止規定がだめなんだから、これをはずして、どっちもフリーな立場沖合いにおいてはニシンがとれるようにした方がいい、そういう考え方なんでしょう。そういう意図であるならばそういう意図であるということを明確にしてもらえばいい。迂遠な表現をとらぬで……。
  147. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 漁業調整ということのために水産当局の行政努力の大きな割合を不断にわれわれさいて参っておるのでございますが、しかし、これは役所側が最初から役所側の中で考えた案を押しつけるということで漁業調整ができるものではないのであります。あくまでも両当事者のそれぞれの主張を——これは場合によれば漁業者自身の主張を開陳させることもあり、あるいはまた、県間の利害が対立いたします場合には、県当局をそれぞれ話し合せて、その間に調整をはかることもあるのでありますが、どちらにいたしましても、そのときの状況によって方法は異なりますけれども、ともかく両当事者の主張を歩み寄らせる、そういうことで初めて調整ということができ上るのでございます。今の段階においては、底びき側もまた沖刺しの方も、何らかの調整方策が実を結ぶまでの間極力お互いを刺激しないようにしようというふうな態度をとっておるように承知したしておるのでございますが、しかし、これが調整が全然とられない、また両当事者の全く相対立しておる見解について何らの顧慮も払われない、こういうことに相なりますならば、私は、漁業者の常といたしまして、決してしかく相互の間の紳士的な融和関係が自然発生的にできてくるというふうには考えられないのであります。やはりあくまでも調整をとるということはやっていかなければならない問題である、かように思うのであります。百貫の制限をはずすということが何か先入主になっておる、こういうふうなお話でございますが、われわれは合理的な調整をとるという観念の中に、百貫の制限をより合理的なものにするという観念をも含めて考えておる次第であります。     〔川村(善)委員長代理退席、委員   長着席〕
  148. 芳賀貢

    芳賀委員 きょうの午前の長官答弁も、あるいは漁政部長の答弁も、この問題に関しては水産庁にもいささかの意見はあるけれども、ともかく北海道庁が新しい機軸を開いたのだからして、あくまでも北海道のこの方針を認めて、それを尊重して支援するということを言っておる。あなたの場合には考え方が違うのじゃないですか。
  149. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 北海道庁の考え方と私の考え方と違うということはどういう意味か私よくわかりませんが、北海道庁が沖刺し網転換をしてニシンの沖取りをしようということに対しましては、水産庁はこれに満腔の賛意を表し、そういうことが円滑に進んでいくことを期待いたしておるのでございます。従いまして沖刺しの円滑な進出のために、すでにその漁場で操業しております底びきとの間に何らかの合理的な調整方策を講ずるべきだということを申し上げておるのでございます。
  150. 芳賀貢

    芳賀委員 まだそういう衝突とか闘争ということが起きない場合に両者の調整をとれというところに問題がある。今までの底びきに対する制限規定はまだ廃止されていないのでしょう。この規定は、実際問題として検察当局の見解等によっては問題があるとしても、とにかく農林当局としては一つの取締り規則としてこれを用いておってはずしていないのだから、やはり底びきの諸君はこれを守るという態度変りないと思うのです。そして一方沖刺しはことしから初めて試験的に行われたのですから、一方においては従来通り制限を明確にしてそれを守ってもらうということに一そう努力してもらうと同時に、一方においては新しく進出する沖刺し業者に対しては、その底びきの今までの操業に対して無用な摩擦を起さないとかじゃまをしないというような一つの指導とか取締りをやるということで、この問題は解消できると私は思うのです。ただいたずらに問題を大きく考えてみたり、混乱さすような事態を作り上げて、そうしてこの禁止規定を取りはずすというような考え方は、やはり差し控えるべきだと思うのです。そういう点に気がつかぬですか。
  151. 安藤覺

    ○安藤委員 議事進行。先ほど来承わっておりますと、お互いにほんとうのあれを理解し合わない食い違ったところができておるように思うのです。というのは、たとえば沖刺し網ニシンの底びきと同じ漁場でやって競争にならぬと芳賀君は言いますけれども、底びきで引っぱっているところへ沖刺しを入れればぶつかってくるのは当然です。そうして水産庁の方ではニシンは百貫まではやむを得ぬと認めているのだ、だから今後これをはずしてもっとたくさんとってもいいのだというふうに言われるでしょう。そうすると今度芳賀君の方では、底びき網がニシンをとるということはおかしいじゃないか。こういうことになってくる。そこのところをお互いにもう少しゆっくりした気持で考え合って話し合われると、この問題は調整がつくのだと思う。論争されているのはけっこうですよ。けれども同じようなことをいつまでも繰り返していると、時間を空費するだけで話の解決点がない。だからだれかがこの話を調整していかなければならぬ。この意味において委員長において調整をとって話を進めていただきたい。
  152. 芳賀貢

    芳賀委員 今安藤さんから御意見があったけれども、私は質問しているのです。論争でも何でもない。水産庁が今回とろうとする非常に不明確な、不明朗な態度の原因がどこにあるかということを私は明らかにしようと思って質問をしているので、なるたけ無用な質問はしたくないのです。しかしいつまで聞いておっても中心点に触れぬような答弁があるし、また見方によっては水産庁内部においても首脳部の見解が完全に一致しているとは思えない点もあるので、次長があとから来たから、特別の考え方があれば述べたらどうかということを私は言っておるわけなのです。  次にお伺いしたい点は、沖合いの漁場においてニシン混獲を禁ずることは不可能であるということを言われたが、漁法が近代化されている今日、たとえば魚群の探知機にしても、その魚群がニシンであるかほかの魚族であるかということは、この探知機でわかるところまで高度に発達している、それからニシンの回遊群の習性にしても、それは完全なる底びきによってとらなければとれないものであるか、あるいは中層にそれが回遊しているので中びきでとるものであるか、そういうことは私たちが言わなくても水産庁においては専門家がそれぞれおりますから、ニシン専獲を目的にしない限り、混獲を良心的に避けるということは、現在の漁法上からいって可能なことです。絶対避けられないということではないと思うのです。そういうことはわかっておりながら混獲は避けがたいと言って、それで百貫の規定がおかしいということを言っているけれども、やはり漁法が近代的に改善されればされるほど、目的とした魚族をとるということに対する狂いというものはだんだん少くなると考えているのですが、その点はいかがですか。
  153. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 そういう点になりますと、芳賀先生も御承知のように、私も水産庁に新しいのでございまして、技術的に割り切ったお答えをいたしますのには、さらに専門家を呼んでこなければならないかと思うのでありますが、私は、確かに先生のお話のように、もっぱらニシン漁獲するという操業は、これは底びきに対して許さるべきではないと考えておりますが、しかしながら、これをそういう抽象的な表現でなしに、漁具、漁法等の面において、何らかもう少し具体的に取締りの対象として取り上げ得るように端的に把握できないかということを、不断に部内にも私は要請をいたしているのであります。ところが遺憾ながら技術的に検討をいたしてみますれば、そういうことを漁法等の面においてうまく掌握していくということは困難だというふうにわれわれは承知をいたしているのでございます。
  154. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで観点を変えて申し上げますが、このニシン問題というものは、これは沿岸漁業対策として非常に重大な問題なんです。それでお伺いしたい点は、底びきとニシン漁業の経営体を比較した場合、どの程度の実態であるかということをお尋ねするわけであります。ニシン漁業専業とかあるいはそれに相当の依存度を持つ企業体、定置とか刺し網漁業とかいう企業体がどういうことになっているか、あるいはこの底びきの企業はどの程度の数であるか。こういうものはやはりその実態の上に立って考えないと、いかにもニシン漁業と底びきが数的にも、企業の上からいっても、経済的な状態の上からいっても、同等の立場の上にあるような錯覚をもって論ずると、先ほどの安藤委員のような説が出てくると思います。ですからそういう企業体の実態というものがどうなっているかということをまずお尋ねいたします。
  155. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 いずれこまかいことは資料をもってお答えいたしたい、かように存じておりますが、沖刺し網と底びき漁業とを比較してみますと、その経営主体の規模というものは、もう問題にならず、底びきの方が大きいということを申し上げざるを得ないと存じます。また漁獲努力が底びきの方が非常に大きい、それと対応いたしましてその漁獲能力ということにつきましても、底びきは沖刺し網とは比較にならない大きなものを持っている、かように考えております。そこでいわゆる零細な沿岸漁民をどう持っていくか、こういう問題につきましては、もちろん一方におきましては、底びきの従業者として就労するという問題もございましょうけれども、これは今北海道庁がいろいろ進めておりまするように、沖刺し網沿岸漁村の中の一部のものを転換していくということが望ましい対策である、かように考えております。
  156. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、具体的にそれぞれの漁家層の実態がどうなっているかということを聞いているのです。沿岸ニシン漁業の場合、定置漁業とか、あるいは刺し網漁業ですね。その企業体の実態の数的な現況とか、そういうものがどれだけであって、そうして問題になっているところの底びき船が一体何隻くらいあるとか、そういう現実の比較というものをやってみなければわからぬのですよ。そうして沿岸の場合においては、その企業体に依存しておる漁家の人口とか、そういうものがどうなっているかということ、それはおわかりでしょう。それがわかっていなかったら論ずる資格がないですからね。
  157. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 オホーツクでこの問題に関連を持っておりまする底びき漁船は、私今手元に資料を持っておりませんが、約百五十隻、これの根拠地はオホーツク海の沿岸のみならず、稚内、さらに西の方、あるいは小樽あたりまでも一部入っておるかと考えております。
  158. 芳賀貢

    芳賀委員 私はオホーツク海関係だけ聞いているのじゃないのですよ。北海道におけるニシン問題、あわせて北海道沿岸漁業対策との比較の上に立って、このニシン漁業関係の企業体の現況と、それから底びきの関係がどうなっているかということを対比して説明してもらいたいのです。これは農林省の統計調査部でも毎年調査内容を出しているのだから、これは次長がわからなければ新沢さんでもいいですよ。そういう事情がわからなければ問題を論ずるわけにはいかぬと思うのです。
  159. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 いずれ資料をもちましてお答え申し上げます。ただ私がオホーツクについての問題を申し上げましたのは、当面いたしておりまする底びきと沖刺し網調整の問題、この問題は今オホーツクにおいて起っておる問題でございますので、オホーツクについて申し上げた次第でございます。
  160. 新沢寧

    ○新沢説明員 ただいま漁獲数だけしかはっきりしたのを持っておりませんで、統数ははっきりいたしませんので後ほど資料を整えてお答えいたします。
  161. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは私から申し上げますが、春ニシン関係の漁具別着業数は最近もそう減っていないのですよ。たとえば昭和三十一年度は定置の企業体が約一千、それから刺し網が一万ということになっているのです。ですから沿岸におけるニシン漁業の着業数というものは一万一千ということになっておるのです。ですからこれにつながる漁業の従事者というものが相当の数になるということはおおよそわかると思うのです。これに対しまして北海道における中型底びき船というのは大体二百七十隻くらいでしょう。ですから底びきと沿岸における定置あるいは刺し網漁業の企業あるいは漁家の占める実績とかその割合というものを考えた場合において、いかに北海道における沿岸ニシン漁業というものが今日困難な段階に当面しておるか、これはいうまでもないことなんです。ですからもう沿岸にはニシンが回遊してこないからして、そこで沖合いに出なければならぬという一つの必然的な段階にきておるわけでしょう。しかしそういう場合になっても、残念なことには零細漁民の企業内容においては、みんなが沖合いに出て、そして有利な条件の漁場において十分な漁獲を上げるということは、これは資本的に見てもできないのですよ。ですからわずかに北海道庁の計画として、今年は百五十隻だけを仕立てて試験操業を開始するというまことに残念な実情を持っておるわけです。だからこの問題を取り上げて処理しようとするときに、沿岸ニシンに依存しておった膨大な沿岸漁民や企業をどういうふうに転換して、これを保護させるかというところに、問題の重点がなければならぬと考えるのですが、遺徳ながら水産庁の場合には、そういうことに対する関心とか、具体的な施策というものは何ら講じておらないというこは、先ほどの水産庁当局のお答えからでも明らかになっておるわけです。ですから単に二百七十隻の底びき船だけの利害のために、この問題を対等に取り上げて考えるということには大きな誤謬があると思うのです。こういう点にに対しては、やはり思いを新たにして、この問題の解明に当る必要があると思うのですが、いかがですか。
  162. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 私は多少見解を異にするのであります。私は沿岸漁業者沖刺し網に大いに進出することを北海道当局と同様に衷心から希望するのであります。従ってこれを進出させるためには、漁場を同じくいたしておりますオホーツク海域におきまして、底びきとの間に合理的な漁業調整をはからなければ、沖刺し網はおそらくそこの経営の上においても非常な支障を来たすのではないか、こういう観点から両者の間の調整の必要性を強調いたしておるのであります。
  163. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、これも北海道の今年の計画でありますが、このようにしてニシン沖刺し網が進出してくるということについて、結局ある意味においては、底びき船の漁場に対する一つの影響を与えるという不安もございますので、それで本年度から北緯五十度以北に新しい底びき船によるところの漁場発見に対して調査船を出すというようなことに対しまして、大体千二、三百万円の予算を道費から計上するというような点につきましては、やはり水産庁にそういう計画等はきておると思うし、これにつきましても水産庁としては、やはり独自の立場から一つ考え方や、あるいはそれに対する協力というか、指導の態勢ができておると思うのですが、そういう点はどういうことになっておるか御存じないですか。
  164. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 水産庁といたしましても、北海道の底びきが大型化して、北樺太の沖合いからカムチャッカの沖合いに進出していく、そしてそれだけ沿岸漁村に対する底びきの圧力を緩和していくという方向に進んでいくことは、衷心から希望しかつ協力をしたい、かように考えておるのであります。そういう意味におきまして、過去三年間水産庁は内地沖合いの底びきの漁場を開発するということに努力をいたして参ったのでありまして、北海道の周辺におきましても、たとえば中部千島の沖合い、あるいはタライカ湾、沿海州沖合い等について過去において漁場の開発をやり、今年は北樺太の沖合いにおきまする漁場の開発に必要な助成費を計上いたしておる、こういう状況にある次第であります。
  165. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、今次長が言われた通り北海道庁の場合においても、単に底びき船だけを徹底的に圧迫するなんという考え方の上には立っていないのですよ、結局沿岸漁民が少しでも資本化された態勢を整えて沖合いへ出る場合においては、その沖合いにおいて実績を持った従来の底びき等のその漁場とか、資源というものをやはり別な形において拡大して保護してやる、そういう考え方というものは、当然これに付随しておるということはおわかりだと思うのです。ですから、大型化された中型底びき、百トン以上にもなるところのそういう船は、どんどん遠くまで出ていって漁場を開発して、そこで豊富な資源から大きな漁獲をあげるということが一番望ましいわけです。そのかわり、沿岸からようやく一歩沖合いへ出たような場合、そういう後進的な漁法による漁業者に対しては、従来そこが底びきの地盤であったとしても、既得権益の漁場であったとしても、やはりそういうことによって調整するということは十分できると思うのですよ。ですからこの際、北海道方針としては、二カ年間にわたって沖刺し網の試験操業をやるという考え方が決定されて、しかも共同化された形式で沖合いへ出るというような、そういう沿岸漁業の整備ということも計画の中に入って五カ年計画によるところの漁業総合開発計画案というものをようやく策定して、これに対してやっていくということになっておるのですからして、この際道の方針というものを、十分水産庁においても親心を持ってこれを見守って、その成果があがるようにしてやるべきだと思うのです。その場合支障になる底びきにしても、沖刺し競合等の問題に対しては、これは水産庁政府としての立場からそういう無用の摩擦が起きないようにして、将来あるいは日本海とか北洋とか、それ以外の遠くの漁場に対しても、みんながだんだん資源を追って進出できるようにすることがやはり水産行政一つのねらいであるというふうに私はどうしても考えるわけです。ですからこの際、あくまでもやはり二カ年間の試験操業の期間に対しては、この計画の線に対する圧迫とか制約を加えるがごとき状態が生じないように、水産庁として十分な努力をされる御意忠があるかどうか、その点はいかがですか。
  166. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 底びき漁業の将来の方角として、またニシン漁業の今後のあり方として、ただいま芳賀先生のお話しになりましたことについては、水産庁も円窓をいたしておるのであります。そういうことで道庁沖刺し網進出ということに対しましても、また底びき網の大型化ということに対しましても、われわれはこれを大いに推進をいたして参りたい、かように考えておるのであります。しかし現在の時点における現実的な問題といたしましては、沖刺し網の進出を円滑に進めていくということのためには、何らかオホーツクのあの競合しておる漁場におきまして、底びきとの間に漁場の調整をはかっていくということは、これはどうしてもやっていかなければならないことなのではないか。あるいはその努力が実を結ぶかどうかそれはわかりません、しかしとにかくできる限りそういう方角に関係者の話し合いなり、あるいは当局の努力が払われたということが沖刺し網の進出を円滑に運び得ることにもなるのではないか、私はこういう考えを持っておる次第であります。
  167. 芳賀貢

    芳賀委員 水産庁立場は、結局大臣許可のよるところの底びき船というものは、これは直接水産庁が許可した船だということがまず頭にある。北海道の場合は、一万一千の企業体につながる人口というものは約十万に及ぶわけです。これは北海道における住民なんですよ。この北海道における漁業に依存しておる住民が、やはり毎年々々のニシン凶漁によって非常に生活が脅かされているという、この事実の上に立った場合における考え方というものは、二百七十隻の指定の底びき船だけを持っておるという水産庁の場合と、行政の面においてもおのずから考え方が違うと思う。だからやはりその地元における水産行政をやる場合には、現地における住民の福祉とか、将来の生活をどうするかということが一番重点になるということなんです。こういう点は、やはり国の水産行政を進める場合にも、その地方に居住する一番困窮している住民の利益とか、生活をどうしてやるとかということに対する配慮というものが十分浸透されていなければ、ただ革に水産庁の行政というものは、資本力のより強い者が弱い資本を圧迫するという行政をやっておるというそしりを免れることはできない。そうでしょう、北洋における十二万トンの配分の問題にしても、やはり母船の勢力というものが流し網を圧迫しておるというような印象な受けやすいし、それから底びきとそれより小さい企業に対する資本の相互間における力関係というものに、弱い力を支援するとか、支持するという考え水産庁にはあまりないということ、これは否定することができない。あるいはまた、きょう午前中問題にしたはえなわ漁業の許可問題にしても、水産庁自身は行政的な自信とか一貫性を持っていないから、その行政に対する侵害というものは、他の勢力にどんどん侵害されてもそれがわからなかったとか、気がつかなかったとか、そういうことしか言えないでしょう。それが現在の水産庁の実態ではないですか。ですから今度のニシン問題を処理する場合においても、やはり国の明確な基本的な方針があくまでも沿岸漁業を保護するという考え方の上に立っている場合においては、一方においてはやはり底びき船に対する制限規定というものは従来通り持続すべきである、これは当然のことだと思うのですが、この点はいかがですか。
  168. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 水産庁がやっておりまする行政の上におきましては、私たち自身もいろいろ反省を不断にしておる次第であるのでございます。沿岸漁村の作興ということのためにどういう根本的な実効のある対策を立てるべきかということ等につきまして、われわれは不断に苦慮いたしておるのでございます。ただ、ただいまお話のございました機船底びき網漁業を大臣許可漁業といたしておりまするゆえんのものは、これは戦争中及び戦争後に一時知事認可にされておりました当時におきまして、ルーズに底びき網の許可が乱発され、それが沿岸漁場の資源を非常に荒す、そういう事態がありましたのでこれを合理的に規律していく、底びきの酷漁乱獲をチェックしていくということのために、これを大臣許可として今日までわれわれは仕事をいたして参っておるつもりでございます。底びきをひいきにして沿岸漁村を冷遇するではないかということに関しましては、北海道のあのニシン対策等についてわれわれが持っております理解というものをおわかり下さるならば、決してそういうことには相ならない、かように思うのであります。われわれは何度も申し上げますように、この際合理的な調整を講じなければ、沖刺し網の進出ということがおそらく非常に障害が起きるだろうということをおそれるからこそ、両者の間の調整をはからねばならぬということを申し上げておるのでございます。
  169. 芳賀貢

    芳賀委員 この問題については、きょうはまあ大体このくらいにしておきますが、午前中の長官答弁によりましても、若干の日子を費して、そして北海道における方針の確立等を見て、十分慎重を期したいという発言もありましたので、その間の推移を見る必要もありますので、きょうの質疑はこの程度で保留して、後日適当な機会に、これは非常に重大な問題でありますから、農林大臣あるいは水産庁長官の出席を求めて、さらにこの問題の根本的対策、解決等に対しては質疑を続行することにして、本日はこの程度で保留しておきます。
  170. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 時間がありませんので端的に申し上げますが、水産庁のおやりになってきたことについても、また現在道庁でおやりになっていることにつきましても、私は異なった意見もあり、また同感の意見もあるのでございます。その内容についてはもう時間がございませんから申し上げません。いわゆるニシン混獲制限というときの罰則は、現在の沖刺し網考えた場合でなかったことは、これは事実であります。いわゆる留萠地方を中心とした宗谷、後志、この方面のニシン沿岸漁業、すなわち定置漁業、それから共同漁業権内にあるところのニシンの刺し網、これが長年不漁になった。従ってそうしたようなことから、非常にニシン漁業者が苦難の道をたどってきた。この原因は沖で底びき網がたくさんニシンをとるからだということで、それではニシン混獲制限を加えてみたらどうだということに出発しておるのでございます。そこで今日では状況が変っておることも水産庁の言う通りであります。すなわち、その苦難の道を長い間たどらせておりながら、これを継続してきたところの道庁にも私は相当の責任があると思っております。これは長い間、もうすでに十五年くらい私のところではございます。二シンは沖合いにいるけれども沿岸に回遊しない。これは潮流の関係もありましょう、あるいは当時私の方には小型機船底びきがありましてニシンをとっておったという、漁場を荒し回ったという原因もありましょう、それから陸上が開発されたために汚水等が流れて回遊しないといういろいろな原因もあったでしょう。しかしそうしたようなことであっても、沖合いニシンが来ておるのだから、早く噴火湾のように沖刺し網転換をしたらどうかと勧めたのがわれわれでございます。それによって道庁は計画を立てられて、そうして今年から二年間試験操業をやるということにした。私はこれに対してなまぬるい、これはとっくに沖刺し網転換をしておかなければならぬ。転換する場合に、いわゆる底びきと対立するのは、これは明らかでございます。その当時からすでに底びきと沖刺し網をやるという計画があるならば、調整をしておく必要があるということも、これははっきり問題が現われておることはもう御承知の通りであります。そこでいよいよニシン定置漁業者も刺し網漁業者も、これではならぬということで、道庁の計画に従って今年から試験操業に乗り出した。ところが当時騒いだ沿岸ミシン漁業者というのは、先ほども申し上げましたように留萠支庁管内のニシン業者が騒いだのであって、いわゆるオホーツク海は問題がなかった。オホーツク海のニシン漁業者はニシンが来ないのだとあきらめておった。ところが今度の計画ではオホーツク海方面にも沖刺し網をやらせるのだといって試験操業を開始したというところに、今度は今まで底びき網が操業してあるところと漁場も同じ、時期も同じであるから問題が起きた。従ってこの問題を今にして解決をしておかなければ、将来やはり水産庁の次長の言われるように、ニシンの沖刺網し業者も困るであろうし、従って底びき業者も困るであろう、私はこう考えております。そこで底びき漁業の、今の百貫の制限などをしておったって解除したって、問題は核心に触れない。要するに漁場が同一であり漁期も同一であるから、沖刺し網は沖へどんどん行けといって、そこに摩擦があるのではなかろうか。私は摩擦があったかどうかはわかりませんけれども、そういう問題が起きた。であるから、いろいろ議論はございましょうけれども、この問題を今解決することが、漁期でもあるから非常に好都合であるので、水産庁からも係官を派遣上、道庁意見も現地で聞き、さらに業者意見も聞き、海上保安庁の意見も聞き、検察当局の意見も聞き、水産試験場もありますから、よくそういう人に集まってもらって、どららをとった方がいいかということをまず見出して調整に乗り出すことがほんとうじゃなかろうかと、私はかように考えております。今ニシンの百貫云々とか、あるいは底びきが乱獲するから資源がどうとか、あるいはわれわれは商売になるとかならぬといったようなことは、これは末端の問題だ。だから私は水産庁に対して意見を述べておきますが、早くあなた方から係官を派遣し、先ほど言われたように、現地でこの問題をどう処理していくかということを協議して早く結論を出さなければ、常にこの委員会でも取り上げられなければならぬのでありましょうし、その他の会合も持って取り上げられなければならぬということになりますので、早くこの問題を処理するためには、一体水産庁がただいま申し上げた私の意見をり取入れてやる意思があるかどうか、伺っておきたい。
  171. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 水産庁は、ただいま川村先生がお話しになりましたように、この二つの沖取り漁業の間の調整を今はかっておかなければならないという考えをもちまして、昨年の秋以来道庁に取り運び方を要請し続けて参ったのでございます。実は漁業調整ということにつきましては、どうもごたごたしないと調整されないということは非常に残念なことだと思いますが、しかしとにかく調整をしなければならないという水産庁考え方も、関係の方々は、満腔の賛意を得たかどうか別といたしまして、承知はしていただいたと、かように考えております。明日、聞くところによりますと、北海道道庁の方からも人が出て参るようでございます。ちょうど当地に関係漁業者がみな来ているようでありますから、当地でやりますか、あるいは北海道へ出かけてやりますか、そこらあたり道庁から参りましてからよく相談いたしまして、できる限り早い間に、とにかく調整の努力を具体的に運ぶようにいたしたい、かように考えております。
  172. 川村善八郎

    ○川村委員 次長も御承知のように、本日北海道開発特別委員会で底びき業者の代表も呼び、それからニシン漁業者の代表も呼び、道庁も、水産庁の次長も出席してこの問題を取り上げてみた。円満解決するように努力してみた。ところが道庁水産庁意見はまっこうから違っております。それから業者意見もある部分は同調もできるような意味にも解釈されますけれども、これもまっ二つになって意見の相違が出ております。そこで私の見方を申し上げますと、業者同士の調整をしろなどといっても今できません、私はかように考えております。それから水産庁道庁の間柄も、ここで解決するということも、一方どちらかが折れなければこの問題は解決つかない。いっまでたっても解決がつかないということになると、やはり最後には現地に血の雨を降らさなければならぬという事態も起きないとも限りません。従って漁期であるから沖合いにいって操業の状態を見るのもいいでしょう。それから実際に取締りなりあるいは回遊状態がどうというようなものは、試験場あるいは業者だって知っておるでしょう。でありますから、この問題は、中央でごたごたするよりもむしろそういう運びをした方がいいんだということを私は考えておるのであります。なぜかといえば、先ほど申し上げましたように、百貫の問題をこのままにしておいて説いたって、漁場が同じで操業の時間等もやはり重なる、同じところでやれば摩擦がないはずがない。であるから私はこの委員会は漁業調整を現地に行ってやった方がいいんだというような発言をしておるわけでございます。現地で道庁が割れているというようなことで、公平な意見を出すならば、北海道海区漁業調整委員会もあるけれども、これは取り上げてないようであります。でありますから水産庁の方で出向いていって、全部の意見を聞き、場合によっては自治団体の町村長なりいろいろなそういう代表に集まってもらって相談をした方が早いという意見を持っているのだから、すみやかにそういう方途をとられるように、私からむしろ勧告的意見を申し上げておきます。
  173. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま川村委員から開発特別委員会に関係者を呼んでニシン問題の意見を聞いたという発言がありましたが、これは議会における国土開発特別委員会に関係者を招致して意見を聞かれたのかどうか、その点が不明でありますので、委員長を通じて川村委員に明確にしてもらいたいと思います。
  174. 小枝一雄

    ○小枝委員長 川村委員、今の芳賀委員の発言についてどうですか。
  175. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 これは自民党の党内の北海道開発特別委員会でありまして、決して私は押しつけようという一方的な考えでなく、できるならばそこで妥協の線を出して円満に解決したいということで協議会を設けたのでございますが、遺憾ながら対立いたしましたので、次回に譲りまして、きょうは閉会いたしましてここに参って今意見を述べておるわけでございます。
  176. 小枝一雄

    ○小枝委員長 芳賀委員お聞きの通りです。
  177. 赤路友藏

    赤路委員 今までいろいろ芳賀委員から質問があったのですが、答弁の中にあったように海流の変化、そういう海況の変ったことによって、ニシンがここもと非常に不漁続きの状態であるわけです。これが一番問題なんですが、今問題になっているのは混獲です。混獲を今ここではずすということになると、当然ニシンを主目的に底びきが漁撈するという方へ転移することは明らかです。そういうような事態になった場合に、海況変化による不漁等の関連において、資源にどう影響があるか、この点どういうふうに水産庁考えられておるか。
  178. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 水産庁としましては、どちらにしても底びきがニシンを主としてとるような漁獲方法をとることを公然と認めるわけにはいかない。これはあくまでもそこに何らかのもっと合理的な規制考えなければならないと考えております。従いましてニシン資源の上にどういう影響があるかという問題でございますが、北海道に産卵のためにニシンがくるという現象はすっかりだめになりましたけれども、しかしオホーツクには相当なニシン資源が沖を回遊しておるということは認められるのでありまして、これからソビエトも十隻ばかり底びきの船団を回航したようでございますが、ソビエトもそういうことにおそらく非常な関心を持っておると思うのでございます。今の資源の問題は常に検討しなければなりませんが、今当面しておる問題だけの関係において、資源に非常に大きな影響があるというふうな判断はわれわれもいたしておらない次第でございます。
  179. 赤路友藏

    赤路委員 当面しておる問題としては大した影響はないということですが、先ほど芳賀君の質問の中にもあったように、北海道庁としては千二百万円か何か出して資源調査をやる、こういう段階なんです。実はこの前の予算審議のときも私申し上げたように、水産庁の中にニシンの試験の経費というものが全然見られていない。こういう問題が出て参りますと、何といっても問題の焦点は資源というところへひっかかってこようかと思うのです。もちろん当面はいろいろな問題はありますが、これは十分考えておいていただきたいと思います。  それからこの際資料の提出を要求しておきたいと思います。その第一は、日本海側とオホーツク海側のニシン定置漁業の現状と沖刺し網の今度の配備の現況。第二は春ニシンと冬ニシン日本海岸あるいはオホーツク海域についての資料。これはなければ無理は言いませんが、この程度のものはあると思います。第三はニシンのオホーツク海と日本海との交流についての資料。この三つの資料を御提出を願いたい。
  180. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 なるべく早く提出するように善処いたします。
  181. 小枝一雄

    ○小枝委員長 重大問題ですから善処方を要求いたします。芳賀委員の御発言のようにこれは重大問題でありますので、いずれ質疑もまだあることと存じますから、適当な機会に協議の上でやることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十九分散会