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1957-04-01 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月一日(月曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 芳賀  貢君       安藤  覺君    川村善八郎君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       永山 忠則君    原  捨思君       松浦 東介君    松野 頼三君       村松 久義君    阿部 五郎君       赤路 友藏君    足鹿  覺君       井手 以誠君    石田 宥全君       石山 權作君    川俣 清音君       久保田 豊君    楯 兼次郎君       中村 英男君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (農地局管理         部管理課長)  石田  朗君         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月三十一日  委員赤澤正道辞任につき、その補欠として淺  香忠雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員淺香忠雄辞任につき、その補欠として赤  澤正道君が議長指名委員に選任された。 四月一日  委員阿部五郎君及び風見章辞任につき、その  補欠として足鹿覺君及び山田長司君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  土地改良法の一部を改正する法律案に関し参考  人出頭要求に関する件  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第八四号)     —————————————
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 土地改良法の一部改正について質問いたします。この改正案の中で特に問題になる点は、特定土地改良事業をやった場合に、国が国営干拓埋め立てをやった場合に造成された農地処分方法というものは、従来の農地法に基く規定から見ると全く異なった方式がとられておるわけですが、この点に関して特に法律根拠の上に立って明確な御答弁を願いたい。
  4. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 国営干拓地及び埋立地土地改良法によりまする造成さるべき土地は、本法では埋立予定地といっておりますが、それに関しまする処分等規定は九十四条の八以降に書いてありまして、その趣旨を法文に即して申し上げますと、農地法からこの関係規定を削除いたしまして土地改良法に基きました趣旨は、埋立干拓地農林大臣が行いまする事業は、もともと現行土地改良法によりましても土地改良事業としておるのであります。これに対しては府県を含む地元負担を課し得る規定現行法においてもあります。その負担に関する規定法律に基きまして政令をもって指定するようになっておるのでございますが、一方農地法におきまして公有水面埋立法によりまする事業農林大臣が行いますときに、その配分計画売り渡し予定の定め方、及び売り渡し通知をいたしまして入植してもらう規定があるのであります。今回は土地改良法によりまして土地改良事業としてかねてなっておりまするこの埋立干拓地を造成する事業を、土地改良法として一貫いたしまして現行法においても土地改良事業といたしておりますことに照応いたしまして、負担規定を生かして、別途予算で計上しておりますような予算書に基いて特別会計制度を運営すると同時に、負担をしていただくことを予定いたしておりますとともに、その事業開始手続土地改良法において行い、それが事業が進みまして公有水面埋立法許可農林大臣は受けて事業をいたします。その事業完了の日を定められますと、すなわち農林大臣完了の日を通知いたすのであります。そこで通知によりまして土地になるということになりますが、その際は陸地と見られますものができましても、事業完了通知以前は公有水面であるわけであります。そういう事業をいたしておりまするが、農地法のねらっております各種の趣旨を貫徹いたしまするとともに、土地改良事業干拓埋立事業の一貫した仕事を土地改良法において行いますこととを調整いたしまして、入植予定者につきましては次のような措置をとりたいとしておるわけであります。すなわち第九十四条の八におきましては、この埋立予定地につきまして、事業完了前には干拓事業をいたしまする地区ごと土地配分計画農林大臣が立てまして、この配分計画に基きまして埋立予定地所在予定配分口数及び予定配分面積を定めまして、これを公告をするようにいたしております。これに応じまして、入植をされたいというお方を選考募集するのでありますが、農地法におきましては、この選考に関しては知事が行うことになっておりますが、今回は農林大臣が行うことにいたしまして、知事にその権限を委任できることをも規定しておるのであります。公告の日から起算いたしまして三十日以内に、省令で定める手続によりまして、配分申込書農林大臣提出していただきたいと思っておるのであります。これが第二項でございます。農林大臣はこの配分申込書提出をした者の中で選考をいたします。選考する際に、重点はあくまでも自作農として、農業に精進する見込みのある者の中から選ぶことにいたしまして、配分通知書をこれに対して選定の後は交付をすることにいたしております。これに記載する事項は、第三項の末尾の各号に掲げてある事項でございまして、配分を受ける者の氏名、名称、住所、配分する埋立予定地所在の場所及び面積土地の用途、配分条件配分を終りまして土地所有権配分通知書交付した者に取得してもらう前に、一時使用許可無償において行いたいと思っております。この場合の一時使用をさせる埋立予定地は、まだ公有水面である法律構成をとっております。そしてその使用期間に、ある程度の実質上の耕作手続をとっていただきまして、そうして先ほど申しました農林大臣公有水面埋立事業完了の日を通知いたしますると使用をさせることをやめまして、その事業完了の日をもちまして、配分通知書交付を受けた人が当該干拓地埋立地につきまして—それは法律上の土地になっておるわけでございます、その所有権を取得するようにいたしております。これは一に、一方土地改良事業法において、先ほど申し上げました土地改良事業としての一貫した事業手続—配分管理処分灌排事業のそれよりも大規模で徹底した土地改良事業、こう見まして一貫した手続をとりたいと思っていることが第一点と、あわせまして農地法で意図しておることに支障を与えず、農地法埋立地について土地配分手続をとることに照応して、趣旨変更しない趣旨規定いたしておるつもりでございます。こまかいことにつきましては、なお御質問に応じましてお答えを申し上げます。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 局長答弁は要点をはずしたような答弁をしているのですよ。私の聞くのは、もちろん土地改良法現行規定の中においても、たとえば申請によらない土地改良事業はこれこれであるというような規定があるわけです。特に土地改良法の八十七条の二の申請によらない土地改良事業の中には、埋め立て、干拓等国営事業をやるということになっているわけです。ただ問題は、この国営事業によって埋め立て、干拓事業が行われて、所期の目的に到達して農地が造成された場合のその後の処理というものは、これは農地法の六十一条から六十七条までの規定に従ってこれを処分しておったわけです。そういう厳然たる規定あるいは農地法法律根拠があるにもかかわらず、今回の改正によって、土地改良法の方でこの処分を行わなければならぬという明確な理由が了解できないわけです。何のために農地法規定があるにもかかわらず、このような了解に苦しむような、異例な法的措置を講じなければならぬかというその理由について、根拠を明らかにしてもらいたいということを私は言っているわけです。その点を簡明に、具体的に述べてもらえばいいわけです。
  6. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今回は、政府におきましては土地改良工事特別会計を設けまして事業促進をはかりますとともに、経理の区分を明らかにしまして干拓事業を行なって参りたいと思っておりますが、その際、先日も申し上げましたように、農地法で意図しておる農地政策支障を与えない趣旨で踏襲しまして、また事業性質でありますところの土地改良事業としては他の土地改良事業に照応いたしますように、事業開始から管理処分に至りますまで一貫して簡明な制度にいたしたい、こう思っております。あわせて干拓事業国費相当かかりますことが、最近までの国力におきましては事業の著しい遅延を来たしておることにもかんがみまして、一部地元負担を従来はとる法制、制度になっておりましたが、負担金としてはとっておりませんでした、土地改良事業の他の部分と照応いたしまして地元負担をお願いしたい、こういう制度にしたいと思っておるのであります。負担をお願いすることになりまして、また土地改良事業特別会計で採択をして事業推進しようとするものにつきましては、借入金制度特別会計で経理することによりまして、事業資金の拡大をはかろうと思っておるわけでございます。負担との関係もありまして、従来の農地法売り渡し行為を国が行う、それに応じまして、売り渡し代金を徴収しておる。そういうことは、売り渡し代金地元負担とは法律的性質は違います。現行においても違うことを予定して別個の法律ができておりますが、二つの法的体系を立てるよりは、一つ法的体系にした方がいいとも思います。現行法とおっしゃいましたが、それをそのままにしておく説もあると思いますが、今回はそういうふうにいたしたい、こう思っておるのでございます。経済的には、入植者経済負担という意味においては同じことでございますが、政策及び制度といたしましては、売り渡し対価とするのはこの際は適当でない、土地改良法に即してやる方がよろしい、こう思いまして、農林大臣が行う干拓予定地については、作付が相当進んで行い得る時期に、国の公有水面埋立事業完了する日をもちまして埋立予定地埋立地となるわけであります。権利対象となるときに、権利を明らかにする意味におきまして、入植者地元負担をお願いする場合には先ほど申しました配分通知書交付することによりまして、所有権事業完了の日に獲得していただくのがまことに簡明で、農地法の意図しておる精神の諸条項を貫き得る、こういうふうに思っております。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 それはまるっきり的はずれですよ。農地法の場合も、造成農地売り渡しというものを完了後に行うのですよ。ですから造成された農地処分というものは事業の進捗と何ら関係がないのです。でき上ったものを処理するためには、どういう規定に基いてやるかということになるのであって、土地改良法の一部改正による場合も、造成されたものを予定された者に取得権を与えるということになっているし、農地法からいいましても、造成された農地売り渡しは六十一条以降の規定によってこれを行うということになっておるわけです。ですから土地改良特別会計法は、この造成農地処理ということに対しては、何ら関係がないのです。ですから、ことさらに農地処分規定というものを、従来ある農地法からはずして、土地改良法の中でやらなければならぬという具体的な理由、どうしてもこうしなければうまくないのだという根拠が明らかでない。しかも対価は取らぬといいながら対価にひとしい、あるいはそれ以上のものを負担金という名目で徴収しようとするところに大きなねらいがあるようにも考えられるわけですが、その点の経緯をもう少しつまびらかにしてもらわぬと、なかなか審議を進めることはできないと思う。
  8. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 つまびらかに申し上げておるつもりであります。第一点は、土地改良事業として行います干拓事業埋立事業を一貫して、事業開始から事業完了して、施設を含めて、その施設の中にあります埋立予定地に至りますまでの処分を一貫して土地改良法でやりたい。土地改良法基本法規として、その土地改良事業が行われる最後まで続けて規定をいたしたいと思っております。あわせまして、当然に農地法農地に関します基本法規でございますから、これらの精神及び運用を従来の方針と変更する意図はございませんから、これに支障が生ずるようなおそれがある場合は、支障がないように法律を構成することが、法的構成としても最も適当であると思います。他の説があるかもしれませんが、最も明快にするには、その土地改良法農地法とを両方立てることが一番はっきりしている。一番はっきりしている方法をとる方が適当だと思う趣旨でありまして、これは土地改良法建前を貫くとともに農地法建前を貫くことに、はっきりさせることの度合いを強くしたために、御解釈によりますと不分明だといわれることができるかと思いますが、現行法趣旨が貫ける方がいい、こういうふうに私どもは思っておるのであります。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 これは安田さんだけはっきりしておってあとの者は全然わからないのですよ。何のために現行法でやれることを土地改良法の中でやるか。何か理由がなければ、あなたもやらないのでしょう。これはそんたくすれば、おそらく農地対価を設定して売り渡しを行なった場合、農地対価を徴収するという場合においては、今度提案になっているところの土地改良特別会計の中へそれを繰り入れるということは、おそらくできないと思うのですね。それで今度の改正のねらいは、土地対価を回収する場合のその代金特別会計の中へどうしたならば入れられるかということをいろいろ考えてその結果こういうことを、負担金という名前で書いているのではないですか、どうなんです。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 特別会計法土地改良法改正を予定しまして、その両方考えて書いてありますので、大蔵、農林特別会計合同審査の際に、大蔵省政府委員が、売り渡し代金土地改良特別会計収入とし得るというのは、干拓地埋立地農業用以外に売り渡した場合の代金ということをお答え申し上げたと思います。土地改良特別会計収入にし得ないというのは、土地改良特別会計法の制定と土地改良法改正との両者を考えたからそういうふうにしているのであって、立法論といたしましては、農地用土地売り渡しがある場合は、それを代金として特別会計収入とし得るということも別に不可能ではございません。両方を考えているからそうしたわけであります。収入とし得ないから売り渡しをしない、そういうことではございません。また現在農地法によって公有水面埋立事業完了しましたときに、その事業完了の日に土地となるわけでございますが、これを売り渡しする場合、その対価は、政令で定めているので、政令の定め方によるとは思いますけれども、その付近近傍類地下田価格を中心に見ておりますが、干拓事業相当国費を要する。建設費のことばかりでございませんで、およそ干拓地というところは、湖面干拓でも海面干拓でも、新たに造成さるべき農地、またそれが農地となりました場合の生産力から申しますと、新規造成農業用土地以外の、その付近近傍類地下田に匹敵するかどうかの点もよく考えてみる価値があると思っております。かりに農地法体系で今後推移するとしましても、干拓地は、約三年たちますと相当生産力を持っております。この分に小作料統制額変更に関しまして申し上げましても、農地法趣旨は、小作料の額を最高額において統制しておりますのは、それぞれ目的がございましてどんな場合にも、現行方式現行のはじき出した額を、事情が同じであります場合には変更する意思はございません。たとえば、すでにりっぱな農地として数十年の土壌改善その他の措置を講ぜられまして、施設もまた設けられております農地売買取引は自由でございますから、かりに相当高い価格で買われたりする土地につきまして、小作用にこれが出される、賃貸借契約が結ばれる、小作権が設定されるという場合でも、それは小作料統制といたしましては、法の目的に応じまして、いかような特殊条件がありましても、小作料統制目的に即した統制額を適用しておるのであります。取得した農地価格と直接関係を持たせておりませんので、そういう観点からいたしましても検討をする余地も多分にあるのであります。国が行います埋め立て事業干拓事業について、海面から出ました土地農地として自作農に精進する人に配分を国が決定してお渡しいたします場合には、何も有償、無償という譲渡概念をとる必要はございませんので、最も農地法支障がない明確な規定を設けるのが一番よいことである、こういうふうに思っております。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 今の答弁の中で、土地改良特別会計法歳入の部面に農地売買代金対象にしても差しつかえないという答弁農地局長はされたですね。それで差しつかえないとすれば……。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 立法論としてはそういうこともあり得る、こう申し上げたのであります。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 そうしますと、土地改良特別会計法を修正しても差しつかえないということですね、そのことは。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 芳賀委員のおっしゃることと同じことを申し上げておるのではございません。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 何ですか、もう一回言って下さい。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今回は土地改良特別会計法土地改良法改正法律案とを照応せしめて両案を作成しておりますので、土地改良特別会計土地買収代金歳入とし得るのは、干拓地につきましては、農業用として売り渡す土地でない場合の土地売り渡し代金歳入とし得ると大蔵省政府委員も答えておるはずでございますが、立法論としては、農地法売り渡し行為をするという場合、国の埋め立て事業をして完了した土地を売り渡すということを予定いたしますと、その売り渡し代金特別会計法の中で特別会計歳入とするという立法論もございますけれども、そういう説をとるのは—農地法土地改良法の両法的体制、これは農地土地改良基本法規と考えておりますのでそうしない方が、私どもが案を備えまして御審議をいただいておる案が適当であると思っておるのでございまして、芳賀委員のように考えておるのではございません。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 では局長前説を翻したのですね。先ほど私は、土地売り渡し代金として特別会計に入れることは当を得ないようなことになるから、それを負担金という名目で入れるために土地改良法改正をこういうふうにしたのではないかと質問したのです。ところがあなたは、立法論からいえば造成農地売り渡し代金特別会計に入れることも差しつかえないということを答弁しておるじゃないですか。そういうことであれば、現在の農地法規定によってこの干拓埋め立ての造成した農地売り渡しを行なって、売り渡し代金特別会計の方へ入れるということにしても何も支障はないと思うのです。どうですか、その点は。
  18. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 速記録についてごらん下さればわかりますが、私は前説を翻しておるのではございません。立法論としてはそういう説があるでございましょうが、私どもが作成しました案の方が土地改良法農地法関係ではるかにすぐれておる、こういうふうに申し上げたのであります。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 冗談じゃない。そういう自画自賛をしても、みんなが認めなければだめです。あなた一人ですぐれていると言っても、万人が見て、これはすぐれておらぬ、改悪である、筋が通らぬということになれば、それはだめじゃないですか。今日まで農地法規定に基いて何ら支障なく、遅滞なく運営されてきたのですから、それをことさらに今土地改良法改正の中でこういう新しい規定を設けなければならぬというためには、よほどの理由がなければ、納得させ得る理由がなければこの法案の審議というものは進まないですよ。その点だけを明確にできればいいです。自信があれば一つ答えて下さい。
  20. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 国が初めて造成する干拓地埋立地、特にその予定地がまず第一に重要でございますが、その土地につきまして、現在の法的構成と、その定めている売り渡し方法売り渡し価格でございますが、その方法は大体支障がないので、他の法的部分が変ればそれに応じただけ変るので、趣旨は変らないでけっこうと思いますので、土地改良法に移しても同様に考えております。他の法的部分が変るというのは、所有権取得をさせる法的構成と手段でございます。初めて国土が広がって、新規造成されて、国がこれを作る場合におきましては、国の法律に従いまして行う場合は、法的に一定手続を経て行いますれば原始取得しても差しつかえない、それがはっきりしていていいと思う点が一つでございます。もう一つは、現在の売り渡し価格のことでございます。代表的な平均的な額でいたしますと、反当一万二千円前後でございますが、埋め立て、干拓にはおおむね漁業権消滅をさせる必要もございます。終戦後採択しました干拓事業を行なっております地区の、平均を実績について申し上げますと、漁業権消滅のために要する費用は、国としまして反当平均四千円程度のものでございます。一万二千円から四千円を差し引きますと、漁業権消滅は国の事業に必要な経費でございますし、また当然補償は適正にすべきものでございますので、売り渡し価格と直接関係せしめておりませんけれども、この両者の額をもってしますと、反当八千円ぐらいになるわけでございます。その収入を、かりに芳賀委員のおっしゃいますように特別会計に入れましても、現状と差がなき干拓事業推進態勢になるわけでございます。一方一般会計予算の獲得、その編成の仕方に関係しまして、これも十分に補正予算は努力いたしたいと思いますが、およそ干拓事業は三十二年度以降は、各地区につきまして七年以内で完成することを原則としたい。少くとも工期についてみましても、着工後七年以内で完成したい目標を持っておるわけでございますが、七年と限らずしましても、工事を大いに促進して農業政策農家政策農地政策土地改良事業推進財政力、三者を吻合させまして、いずれの目的をも達成せしめるには、負担金事業費の二割くらい、しかし農家負担に耐え得る範囲、また入植した人に余剰が相当残る営農をなし得る程度を狙いまして、応分な負担を持っていただくことも、事業促進の一助である。単に負担を持たせるばかりじゃなしに、それに見合いまする政府資金借り入れ元本特別会計に投入いたしまして事業費にあてることが非常にいい方法である、こう思いましてその辺の変更もいたしたいと思っております。それらの諸点を総合勘案いたしまして—私どもがひとりでいいと思っておるじゃないかというお話もございましたが、いろいろ考えまして、その案でいいという案を具しまして御審議をお願いいたしておるわけでございます。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 今の答弁を聞くと、すぐれておるという点は、農地法規定によってこの農地売り渡し処分した場合においては、一定の限界があって、それ以上の対価をこちらがとるわけにはいかぬのですね、ですからそれ以上高価に処分するための方法としてかかる態勢を意図されたということなんですね。端的に整理して言えば。
  22. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現在定めております農地法による売り渡し価格は、今回考えております土地改良法干拓地につきましての地元負担より安いのでございますけれども、引き上げるために、また引き上げできないから、土地改良法に出したというふうに御解釈下されては、少し御解釈が片寄っておるように思います。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 それ以外に理由はないじゃないですか。現行規定によっては一つの限界というものがあって、それ以上の対価をとることはできないから、別途に土地改良法の一部を改正することによって新しい算定の根拠を作って、それによって負担金名目土地代金を徴収するということに尽きておると思うんですが、それ以外の理由というのは何ですか。
  24. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 土地改良事業を国が行います場合に、灌排事業で例を申し上げますと、その工事費に対しまして国が六〇とか五八とかいうのを負担しおる。その事業費の四〇とか四二とかを国が負担するのはほかに例がございます。国営事業以外におきましても、すべて地元負担というものがございます。干拓事業国営事業、公営土地改良事業と思っておりますし、また現行法においても、そう規定いたしております。その事業費について地元負担がかかるということも、現行法も予定しているところでございます。そこで地元負担売り渡し対価とは必ずしも考えておりません。売り渡しをすれば地元負担が取れない。地元負担を取れば売り渡し価格変更できないということのみをもって、本法案を御提出申し上げたのではございませんので、先ほど申し上げましたことが理由でございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 今の答弁によっても、もちろん国営の灌排とか代行灌排等によっての負担金制度というのは、改正以前からあるのです。それを問題にしているのではない。埋め立て干拓によって造成された農地処分というものが、この改正法案の中に出てきているから、そこを取り上げているのです。それ以外のことをとやかく言っているのではないのです。だから何のために土地改良法規定の中で農地法現行法の中で十分処分されることをわざわざ土地改良法の方へそれを持っていってやらなければならぬ理由がないではないか。あるとすれば、土地改良法規定によって一定の限界があって、それ以上の対価を受け取ることができないから、土地改良法の方でそれ以上の対価負担金の形で定めて徴取するという、窮余の一策としてこれをやっているのであれば、それは単なる一つ理由として認める点もあるけれども、それが理由でないとすれば、それ以外の理由は何ら見受けることができない。だからそれ以外の理由があれば示してもらいたいということを繰り返し繰り返し言っているけれども、あなたはその点を示さないのです。
  26. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現行法規定してあることはすでに御了知と思いまして、それは省略しまして、それ以外に御質問のあったことはすべてお答えしているつもりでございますが、現行土地改良法によりましては、干拓事業土地改良事業である。それからその他の灌排事業から換地事業農地の集団化事業に至りますまで土地改良事業である。こういうふうに考えておりまして、その他の土地改良事業は、工事費について地元負担をお願いしていることは御承知の通りであります。干拓事業におきましても、事業費につきまして地元負担をお願いし得るという規定を設けて、その態勢現行法といたしておりますことも御承知の通りでございます。  そこで第二点は、土地改良事業を行います手続は、土地改良事業が完成しましたときに、でき上りましたものをどう管理処分するかは、土地改良法が他の点においてもすべて規定をいたしております。既耕地において行われまする土地改良事業は、土地がすでに配分済みと申しますか、そういう配分という問題はございませんので、当然所有権のあるまま、あるいは耕作権のあるままにおいて、あとの施設管理処分規定いたしております。新たに農業用に使われるべき土地が造成された場合につきましては、その配分管理処分とを規定する要があるのであります。しいて干拓の例に近いものを申しますと、未墾地を農地にすることがございますが、未墾地は農地法規定に従って、これを政府が買収して、その元の値段に一五%ばかりをプラスして未墾地のまま農家に与えまして、それから土地改良事業が始まるのであります。開墾したり、開墾道路を作ったり、水路をつけたりいたします。その事業は全額国費でやる場合も、地元負担を徴してやる場合もあるわけであります。開墾作業費などは開墾予定地を未墾地買収価格に一五%をプラスして売り渡しまして、八割の面積について四五%の補助をいたしておるのであります。残りは開拓者の負担になるわけであります。それに照応しまして、干拓においては干拓堤防の施設等ができますほか、その中に最初のうちは公有水面をだんだんと埋め立てして、やがて所有権対象となる農地ができるわけであります。そこでその工事完了の際に所有権を取得せしめ、それ以後は自作地とする、こういう態勢をとる必要がありますので、配分計画を立てるわけであります。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 今安田局長の言われた程度のことは、一応当委員会の委員はわきまえて質問をしているのです。だから、問題は土地改良法農地法の使命とか分野というものは、法律相互の間においておのずから明確になっていかなければいけないでしょう。それが交錯したり何かした場合は非常に混乱がくるのですよ。ですから、土地改良法の持つ任務とか分野は、第一は土地生産力を高めること、開田開畑をやるとか、あるいはまた新規の農地造成をするとか、おおむね国家経済の上から見ての農業生産力を高めるという意味と、固有の農地それ自体の生産力を高めるというところに土地改良法のねらいがある。ですから、農地管理とか処分なるものは、明らかに農地法の範疇において行うべきことなんです。それを今度は、土地改良法改正することによって造成農地処分まで土地改良規定の中でやろうとするところに混迷が生じてきておるわけです。ですから、そういうことをどうしてもやらなければならぬという必然性は何らないのですよ。われわれはそこを中心の問題点として論議しているのですが、その点に対してのみあなたは全力を傾けて明快な答弁をすればいいのです。何のためにそうしなければならぬかという理由が当然あるのですよ。今までの答弁によってはその理由が明確でないのです。不明確というよりも全然ないのです。あればこの際示してもらいたい。
  28. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問に応じて説明する際に、少く敷衍した方が説明しやすいというときは、ちょっとお聞きを願いたいと思います。  土地改良法第一条の目的としては、農業経営を合理化し、農業生産力を発展させるためという目的のもとに土地の改良、開発、保全及び集団化を行うわけでございまして、農地の改良をしたり、特に開発をしましたり、その保全をしたり集団化を行いまするためには、干拓地においては事業開始手続から、先ほど申し上げましたところを一貫して行うことが必要だと思うのでございます。集団化事業といたしましての換地計画を行いますると、土地所有権の調整をいたさなくてはいけません。新しい造成地が農地の開発として行われまして、かつその後の保全もする必要があるという場合には、その権利関係を明確にすることは土地改良法目的として適当なことであると思うのであります。また法律には法律文の前提としましておのおの別々の理念というものがありますが、二つの法律の上位に立つ理念というものは一つ政策としてあると思います。たとえば自作農を発展させ維持していくという理念があると思います。従いまして農地の開発をした場合に、いかなる新造成地の配分をするかという理念が土地改良法にあってもいいと思うのです。農地法において土地改良事業の結果としましてできました新造成地を、どういうふうに配分売り渡しするということと、土地改良事業干拓事業にさらに力を加えまして、その事業完了とともに、施設管理及び処分をする、施設以外に伴ってできました新土地配分処分をするということを規定することは、むしろ制度の紛淆を来たさないでかえっていいかと思うのです。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 局長の説は一応お説として聞いておきますが、この法案審議に必要な答弁ではないのです。そこで委員長に申し上げますが、この際管理部長あるいは農地課長でもいいですから、農地法土地改良法の競合するこの改正点に対する明快な答弁を要求します。
  30. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御質問に応じて答えますが、私の答弁と同じでございますから……。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 いや聞いてみなければわからぬですから。
  32. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 政府を代表してお答え申し上げておりますから同じであります。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 委員の要求によっては、政府委員であろうと説明員であろうと要求に基いて答弁するのが当りまえですよ。できないですか。
  34. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 必要に応じまして答弁をいたさせます。
  35. 立川宗保

    ○立川説明員 御承知の通り従来干拓地あるいは埋立地処分方法につきましては、農地法にその規定かございまして、未墾地の処分と同じ箇所に規定をいたしておるわけでございます。そこで農地法規定についてごらん願えるように——農地法第六十一条第一項第五号の「公有水面埋立法により農林大臣が造成した埋立地」というところにその規定があるわけであります。これにつきましては従来の規定の内容をもう一ぺん繰り返す必要はございませんが、同時に土地改良法におきましては、土地改良事業を行いました際にその関係者から負担金を徴収するという規定があることも御承知の通りであります。そこで干拓につきまして申し上げますと、干拓地について、この干拓される土地を耕作いたすことになります人については、当然相当な受益が考えられますので、この土地改良法の考え方に基きまして負担を徴収するということももちろん可能でございます。従って今回土地改良特別会計の成立に関連をいたしましてこの土地改良法の立て方によりましてその受益者から負担を徴収するという考え方をとった次第でございます。その点については農地法体系土地改良法体系体系上の紛淆はないと存じます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 管理部長にお尋ねしますが、問題点は土地改良法農地法農地処分をやる場合の考え方は、権利の帰属というものが土地改良法改正によると非常に不明確になるのです。たとえば取得権の移行というような場合も、土地改良法の方ではそれは原始取得の形でやるのだから差しつかえないということを言っているが、今後たとえば、現在はこれは干拓あるいは埋め立てだけの特定事業に限定されておりますが、国営開墾とか国営で行う農地の造成等を今後強力にやる場合のその造成農地処分方法をどうするかという基本的な問題になると思うのです。未墾地の場合は未墾地の段階で売り渡しを行なっておるけれども、この方式というものは果して妥当であるかどうかということは議論の余地があるでしょう。未墾地を国営で開墾して完全に農地に造成してからそれを売り渡しをすべきものであるかどうかということは、今まで十カ年以上の開拓行政の経過を見ればおのずから明らかなんです。ですからこの農地の造成というものは、まず国の責任において行うということであれば、明らかにこれは進歩であるということは言えるのです。しかしその造成された農地をいかに適法に処理してそれが受益農民の過重な負担にならぬ、そして国の農業生産力の増強に寄与できるかというところに政策というものがあると思うのです。そういう場合に、やはり国の権利の帰属とか取得権の問題等を不明確にするということは、今後国営農地造成事業等に対しては重大な影響があると思うのです。そういう点はどういうふうな配慮をされて、この改正法律案を作ったかという点を管理部長にお尋ねします。
  37. 立川宗保

    ○立川説明員 もとより、お話の通り土地改良の場合に、その農地を完成して処置をするか、あるいはその途上において処置するかという点は、いろいろ問題がございます。干拓の場合につきましては、完結をいたしましてその開墾作業を起します前にその土地の処置をいたすということにいたしておるわけでございますが、その負担土地改良法によってなします際に、その農地状態に完成されましたその過程を考えまして、十分受益を受けるその範囲内の負担でありますれば、これは一向差しつかえない、こう考えまして土地改良法体系によって負担率を考え、負担を課するということにしたわけでございます。
  38. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私に対する質問ではございませんが、管理部長におっしゃいましたのも政府だと思いますのでお答え申し上げますが、農地法規定してある各条章は、すべて農地に関しておるものとは限りません。漁業権消滅に関しますことも、幼齢林に関することも書いてあります。ただ目的農地法第一条にねらいましたことが書いてあるのでありまして、未墾地は未墾地、公有水面埋立地埋立地としておるのでございまして、農林省が行います事業はもっぱら農業用に供する土地についてでありましたり、新造成事業土地の造成事業についても行いますが、どの段階で農地である、どの段階で農業用に供せられるべき土地である、こういうことは、それぞれその適用すべき規定について考えなければいけないものだと思います。土地改良法について所有権を取得せしめますのは、所得権の対象になりまする農林省が行う埋め立て、干拓事業についてでき上りました土地のことでございますが、その土地に即して見ましても、現状が耕作に供されておる、また耕作に供せられる直前であるという現状主義をとっておりまして、公有水面そのものとして扱うべき対象物が所有権対象になるときに、すぐ所有権取得をせしめようというのが、今回の土地改良法改正案でございます。その前に農地法を適用する農地にさせたい、また農林省の行いまする干拓事業の結果の土地であるから農地の用にさせたいというので、所有権対象になり得る土地になる前でも水面というわけでありますが、普通の目で見た状態では、水から上へ上った土地に照応するような権利対象にならぬものがまずできるわけであります。そこを無償使用させることから始めまして、それに引き続いて所有権を持たせる。その後現状主義で、農地になったときには直ちに農地法を適用する、こういう仕組みにしたいと思っております。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 今の問題は、そういうことは農地法にある通りのことをあなたは言っているのですよ。たとえば農地法の第五十六条の一項には、公有水面を埋め立てしようとする意図を持った場合、これは農地を造成するとか農家経営の安定を目的にして特定公有水面農地に造成したいという場合に初めてその目的が明らかになって、そして漁業権とか入漁権とかいうものを国が滅消させる手段に出るでしょう。滅消の方法というものは権利の排除とか何かによって国に帰属するわけですね。そういう権利というものを今度は七十八条の規定によって農林大臣管理するわけですね。そして今度は農地造成の事業土地改良法規定に従って埋め立てとか干拓とかいうものが始まるのですよ。そうして埋め立てとか干拓の場合には、目的が達成されて新しく農地が生まれてくるのですよ。ですからそのでき上った農地をいかに処分するかという処分方法ですね。今までは造成された農地権利というものは国に帰属してそれから売り渡すという形式を経て処分が行われたということが、従来農地法規定に明確になっておって、そうしてそれらの特定の農地売り渡し方式というものは、農地法の六十一条の規定、それから六十二条の規定では土地配分計画というものを立てるわけです。そうして六十三条では買受予約申込書の提出をさせるわけです。六十四条では売渡予約書の交付をやって、六十五条で買い受けの申し込みを農業委員会を経由して出すわけです。六十六条では農業委員会の関係書類が知事に進達される。それから六十七条で初めて売渡通知書というものが交付されるわけです。こういうはっきりした段階を経てしかもこの売り渡しを行う場合には、農地法の四十一条によって定める対価の支払いとか、あるいは支払い期間が三十年で、そのうち据え置き期間を置くことができて、利子は五分五厘の均等償還であるとか、あるいは一時支払いの方法も講ぜられるという規定、さらに売り渡し後の検査とか監督というような点に対しては、農地法の七十一条の規定で定められておる。もう全部が明確に処理されるということが農地法の中で明らかになっておるわけなんです。ところがこの土地改良法規定では、その経過的な処理も非常にばく然としておるのです。ただ最初に土地配分計画を立てて、それから配分申込書を出させて農林大臣配分決定を行う。そうして農地が造成された、いわゆる完了の日に取得権というものは移行される、そこで設定されるということになっておるわけでしょう。その後の監督とか管理とかという規定は何もないのです。農地委員会とかに対する何らの関与権というものを与えておらぬということになっておるのです。ですから、この農地法配分計画移行の処理規定と、それから土地改良法の今度の改正案とを対比した場合においては、今度の改正案の方が非常に充実しておらぬということは一目瞭然なわけです。こういうあいまいもこたる処理規定を設けてまで、農地法現行規定を空文にさせるようなことをする必要はないと思うのですが、その点は管理部長いかがですか。
  40. 立川宗保

    ○立川説明員 現在の農地法に基きます場合の手続につきましては、ただいまお話がありました通りであります。農地法の六十二条以降に手続規定をしてあるわけでございます。ところが今回土地改良法改正いたしまして、土地改良法規定によりまして干拓地配分手続規定をいたしたわけでございますが、その規定の内容をずっと対比をいたしまして御説明を申し上げますと、今回の土地改良法の第九十四条の八に規定をいたしてございますその規定でございます。まず従来農地法によりまして、土地配分計画の作成、公示をいたします。今回の土地改良法によりましても、土地配分計画の樹立、公告をいたしますことも同じでございます。それから従来は、農地法によりましてその配分計画の公示がありますと、知事に対しまして希望著が買い受け申込書の提出をいたします。公示の日から三十日以内でございます。今回の土地改良法改正規定によります手続にいたしましても、農林大臣に対しまして配分申込書提出をいたしますが、公告の日から三十日以内であります。次に入植適格者を選定いたしまして売渡予約書を従来農地法によって交付をいたしておったのでございますが、今回は配分通知書を交付をいたします。その規定の内容につきましては、従来の農地法によります知事売り渡し通知書の内容と同じものを交付をいたすわけでございます。そこで従来は売り渡し予約書を交付を受けて、そうしてその予約書の交付を受けました者は、農業委員会に買い受け申込書を提出をいたします。農業委員会が知事に進達をいたしまして、知事が最終的に売り渡し通知書を交付をいたしたのでございますが、今回は農林大臣配分申込書の申し入れを受けますと、入植適格者の選定をいたしまして、ただいま申しましたような配分通知書交付をいたしましてその配分通知書交付を受けました者が負担金交付するということを他方で行いまして、その公有水面埋立法によって干拓地ができ上るという日に配分通知書に基きまして土地改良法規定により土地所有権を取得する、こういうことになりますので、手続の進行の過程におきましては、ほぼ従来と同じであるということに相なります。
  41. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 御指摘の点は管理部長のお答えで足りなかったと思いますが、(芳賀委員「十分です」と呼ぶ)十分ならばそれでよいんですが、私の見るところ足りないところは、九十四条の九の、政令の定めるところにより、御指摘の点は農地法土地改良法を支配する一つの理念といたしまして、規定するつもりでございます。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 今の答弁によると、違った点が述べられていないですね。類似な点だけは比較されて言われておるけれども、この土地改良法改正による配分方法はまず土地配分計画を立てる。配分申込書提出させて配分通知書の交付を行うということをやって、それから今度は権利取得ということになるのですね。農地法の方は土地配分計画を立てるという点と、買い受け予約申込書を提出させるという点と、売り渡し予約書の交付までは段階は同じなんですよ、ただ違う点は、農地法の方では買い受け申し込みをさせて、それから売り渡し通知書を出すということになって、売り渡しという形が権利の取得の場合には講ぜられるわけですね。土地改良法の方ではそれを全く行わないで、すぐ取得権がそこで設定されるということになっておるわけです。ですからここに根本的に違う問題があるわけなんです。この点は農地法によるところの農地処分の基本方式と、土地改良法に基くところの方式との一番大きな相違点だと思うのです。ですからこの点を明確にしてもらわなければいけないと思うのです。権利取得のあり方は、一方は原始取得の形でやるというし、今までは農地法の分は承継取得の形だと思うけれども、原始取得の場合には既存の権利とかそういうものが完全に遮断されて、そうして過去のいろいろなつながりというものは何らないということから出発しておるし、今までののは、承継取得で、創設とかそれから設定とか、そういうような意義を持った取得方式だったと思うのです。それが今度は全然違う方式を採用するということになるので、これはやはり農地法の今後の農地処理の上からいっても重大な影響が相互間に起きてくると思うのですよ。こういうのを単なる一つの便法だけで干拓地やあるいは埋立地土地対価をよけい取るために、今度はこの原始取得の方式をとって、負担金という方法特別会計にそれを取り上げるというような便宜主義だけの考え方でこういう大事な法律改正を行うということは危険しごくだと思うのですよ。この点はどうですか。
  43. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 危険しごくという結論のところを除きまして、農地法関係条文と土地改良法改正しました条章関係は、管理部長が申し上げました通りで、芳賀委員の御指摘になりましたように改正をしたいと思っております。なぜそうするかと申しますと、地元負担をたくさん取れないから農地法から移したのではございませんで、土地改良事業は一貫して最後まで土地改良法によりたい、基本法に基きたい。もう一つは、公有水面埋立権を国が行う干拓事業のために国がとった場合の規定でございますので、公有水面埋立法に基きまして権利農林大臣が持ちましたものは、埋め立てをするという権利と、その後この事業完了した場合に得た権利はこれを堅持をいたしておりますから、そこでこのような法的措置をとりましても支障がないと考えます。農林大臣が行う埋立干拓事業の結果による埋立予定地に関する管理配分に当りましていかにするかは農地法土地改良法を通ずると申しますか、その上に立つ双方にわたる農業政策上の基本的な精神であり、農林大臣の持っておる理念でございます。そういうふうにしたいという案を御審議をお願いしておるわけです。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 今度はこの相違点から発展する問題があると思うのですよ。今までも農地法に基く売り渡しを行なった場合には、その目的から非常に逸脱したとか、忠誠義務を怠ったとか、いろいろな違法的な農地事業に対する行為が認められた場合には、買い戻しとかいろいろな方法で国がその農地を再び取り上げるということもできたんです。今度のように、原始取得の形で所有権取得権が設定された場合においては、その後この農地をどのような用途に供しても、それに対して国がこの農地を取り上げるということは絶対にできないと思うのです。取得権の設定の方式が根本的に全然違うんですから、こういう問題は必ず出ると思うのですよ。そうなると、農地処分とか、管理の分野からもこれは全く逸脱するような対象土地ということになってしまうおそれもあると思うのです。こういう点はやはり十分検討しておかれたと思うのですが、その点はどうですか。
  45. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法で意図しておりまする事項はたくさんありますが、自作農として土地を極力取得させる、それからその権利関係を調整する、小作料統制する、それらの規定農地になりました土地については農地法の各条章に従って行うのでありまして、干拓地について売り渡し手続から直ちに発生するものではございません。土地改良法によって配分をいたしましても、農地になりましたものは農地法で適用しようと思っておるわけです。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、この土地改良法によって造成された農地が原始取得の形で所有権が設定されるでしょう。それが農地としての本来の目的以外に使用されたりなんかする場合にはやはり違法ということになるですからね。農地として造成してその目的に沿わせるべく適格者を選んで土地を与えたんですから、それが全く目的と異なった用途に供されたり、それから忠実に農地というものが維持されないという場合には、これはやはりいつまでもその者に預けておくというわけにはいかぬでしょう。農地法規定によると、それは買い戻すというような形で国がまた再びその所有権を国に移すことができたんですが、この土地改良法方式でいくとそういうことはできないのです。こういう点に対しては、そういう事態が絶無だとは言えぬですからね、やはりあらかじめそういう場合にはどうするというようなことも十分配慮のうちに入れて法律改正とか法案というものは作るべきだと思うのです。当然それはやっておると思うのですから、その点はどうですかということを聞いておるのです。
  47. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 お話の点に関しましては九十四条の八の三項中の四号、配分条件を活用いたしまするとともに、農地になりますから、農地の移動制限、賃貸借権等の設定の制限等を当然適用することになると思っております。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、私の聞いておるのは、原始取得によってその所有権が設定された場合、目的から逸脱したような行為をした場合においては、やはりその罰則とか制裁とかいうものは当然あってしかるべきなんですよ。これは干拓、埋め立てに要した経費の全額をもって、それを負担金の形で回収するんじゃないですからね、そのいわゆる負担金というものを対価に比べてみればその何割かであってそういうことで売り渡しをしておるわけです。それを今度は取り上げる場合なんですよ。もとへ戻す場合の方法があるかということです。
  49. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 所有権を取得した人が自作農として精進する見込みがないことが明らかになった場合とか、耕作をしないことを継続して行う場合等につきましては、移動の許可によって処置をしていく、未墾地を開墾いたします場合にも、成功検査をして三年間政府は買い得るということになっておるのでありましてその三年間過ぎれば一応自由になる、そのようなその者の自由で所有権の移動あるいは他人に耕作をさせる能力の生じたような農地は他の農地法規定で行いますから、干拓地入植される方についてはその程度でいい、こういうような見解を持っておるのであります。
  50. 芳賀貢

    芳賀委員 それは変じゃないですか。農地法の適用が、こういう形で所有されたりした農地に対してはうまくいかぬでしょう。
  51. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 現在の農地法の意図しておるところはそのくらいでいいと思います。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 そのくらいでいいなんというなまぬるいことでは法律は作れない。けじめがつかぬで、そういう程度でいいと思うなんというなまぬるいことで簡単に法律改正したり作られたら大へんですよ。この点はやはり明確にしてもらわなければいけないと私は思う。
  53. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 ただいまのは御質問でございますか……。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は非常に重大だと思います。やはり明確にしてもらわぬと審議を進めることはできないと思う。この点に対しては政府当局において十分根拠を明確にして、そしてこの法案審議支障のないようにするように委員長からお伝え願いたいと思います。
  55. 小枝一雄

    ○小枝委員長 ただいまの芳賀委員の質問の点につきましては、政府側といたしまして十分検討の上適当な機会に御答弁を願いたいと思います。
  56. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 所有権を取得せしめました自作農として意図している人が、所有権を取得した土地につきまして権利を移転するということの場合は農地法権利移転に関します規定を適用しまして、県知事許可を必要とする。私どもの方針としましては、客観的に必要やむを得ない場合以外は許可はできない、たとい許可される場合がありとしましても、自作農として精進される人が承継する場合でなければ許可はできない、またそれは土地改良法によります配分通知書配分条件の中にも明らかにして行う、また他人に賃貸借するのも、配分目的に即しまして、同様配分条件で明確にすると同時に、農地法の適用をいたしまして、客観的にやむを得ない場合以外は許可いたさないいたすべきでない、そういうふうに考えております。その他の点につきましても農地法の適用は同様でございます。     〔「これは重大だ、休憩しよう」と呼ぶ者あり〕
  57. 小枝一雄

    ○小枝委員長 それでは午前中の会議はこの程度で暫時休憩いたします。午後は三時から再開いたします。     午後零時十四分休憩      ————◇—————     午後四時十五分開議
  58. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたし、質疑を続行いたします。川俣清音君。
  59. 川俣清音

    ○川俣委員 午前の芳賀委員の質問に関連をしてお尋ねいたしたいと思いますが、午前中の局長答弁によりますと、干拓埋め立てをするに現行法では不十分であるというような説明がなされたようであります。主として干拓、埋め立ての場合はこういうことになるので法律の必要がある、こういうふうに説明のようですが、法律は御承知の通り農地法及び土地改良法によりまして干拓、埋め立ては現行法で十分でき得るはずなんです。それがさもできないようなことで改正を要するんだ、こういう答弁ですが、それでは改正の必要が出てこないと思うのです。この点についてもう一度御答弁願いたい。
  60. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 今回は、干拓は国の特定土地改良工事特別会計を設けまして、その予算も計上しまして借入金を使いまして事業量の拡大、事業の早期完成をはかりたいという考えでおりますので、そのもとにおいて国が行う事業としての干拓埋立事業を行いますが、その際に、借入金をすることができる。このことは国営灌排事業についても適用したいと思っておるのであります。その他は土地改良法によりまして干拓埋立事業の開始の手続からこの事業の結果出て参りますものの管理処分までの関係土地改良法できめたい、こう思っておるという趣旨であります。
  61. 川俣清音

    ○川俣委員 農地法対象物件を得るための行為の前提として土地改良を行うのじゃないのですか。
  62. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法対象物件であるところの土地についての造成事業農林省の行いまする干拓事業でありますが、逆に、農林省が行いまする干拓埋立事業の結果出てくる土地は全部または主として農用に供する土地でありまして、その一部は農用に供されない場合も出てくるかと思います。
  63. 川俣清音

    ○川俣委員 私の聞いておるのは、主として農地法対象物件を得るための行為としての土地改良事業が行う事業ではないか。農地法対象の物件たる農地を造成するために必要な行為としての土地改良事業法が行う行為じゃないか、こう聞いておるのです。
  64. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 公有水面埋立事業の結果、工事完了しますればできまするのは土地でございまして、土地農地となりますれば農地法の適用になるのでございます。農林大臣公有水面埋立事業をなしまするのは、農業用に使われる土地を主として造成するためのものでございます。その結果農地として取り扱うべき分が出ましたら農地法の適用がされる、こういうことでございます。
  65. 川俣清音

    ○川俣委員 主として農地法対象になる農地を造成することを目的としてやるのではないか。そのために土地改良事業を行う行為をするのではないかと聞いておるのです。
  66. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 先ほどお答えした通りでございます。
  67. 川俣清音

    ○川俣委員 私の質問は、主として農地法の適用になる農地を造成するために行う事業を、土地改良法で行うのではないかと聞いておるのです。行う事業にはいろいろやり方があるわけでしょう。
  68. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 耕作に要する土地が将来できますように、公有水面埋立事業を行いまして土地を作る事業をやるのでありまして、できました土地農地になりましたならば、農地法の適用を受けます。農地になる途中の段階には、農地法の適用を受けるまでに、工事の進捗に従いましていろいろの段階があると思います。農林大臣が行いまする埋め立て、干拓事業からできまする土地は、将来主として農地に供されるものを行うということであります。
  69. 川俣清音

    ○川俣委員 今の局長答弁は、当時土地改良法が出たときの政府の説明とだいぶ違っておる。またこの目的からいいましても、土地改良事業であるには、第一の条件として土地改良法によって行う事業であることを要する。土地改良事業を行うには、第一に土地改良法によって行う事業でなければならぬ。何になるかわからないものは土地改良法ではやれないのです。本法は、農地造成のためにと、こうなっておるのです。提案説明から見ましても、「土地改良法は、農地改革の成果を発揮するために、農業の基本的生産手段たる」云々ということで、それらのものを完備するために土地改良法を提案したのである、こういう趣旨になっておる。従って何ができるかわからないというものを、土地改良法でやるのではないのです。農地造成を目的として土地改良法ができておる。土地改良法は、従って土地改良事業、すなわち土地改良法に基く事業を行うために行う行為なのです。何だかわからないものを行う行為じゃないのです。そういう法律じゃない。農地を造成するために必要な行為として土地改良法がある。土地改良事業をやるからには、主として農地の造成が目的でなければならぬ。その他の部分もあるでしょうけれども、主として土地改良法というものは、農地を改善していくとか、生産をあげていく方法とか、造成するとかいう方法をとるために行う事業であるということを規定しておる。提案説明もさように行われておる。農地造成のために必要なものである。または農業手段として経営の合理化を行わしめる方法として土地改良事業を行うのである、こういうふうなことになっておる。それ以外は主として行う行為を持っていないわけなのです。もちろん灌漑排水なんかやる場合でも、これは飲料水に利用されるかもしれないが、主として何の目的のために事業を行うかということは、これは土地改良法に基く事業でなければならぬことは明らかである。ところが局長答弁は、何の事業をやるのだかわからない、できてみてからでなければわからないということでは、土地改良法対象にはならないはずなのです。この点を一つ……。
  70. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私の申し上げましたのが、一段、二段と区切って申し上げたかもしれませんのと、(川俣委員「よけいな答弁は要らない。」と呼ぶ)農地、すなわち耕作の目的に供せられる土地ができ上るまでに、公有水面から土地になります段階に、段階があるということを申し上げたことが、用語の不適当によりまして川俣先生が御質問になったと思いますが、そういう意味ではありません。将来耕作の目的に供せられる土地を主として造成するために、そういう土地を埋め立て、干拓して新たに造成しようという事業、そういうわけであります。
  71. 川俣清音

    ○川俣委員 初めから土地改良事業に適正な事業であるということを認定してかかる、こういうことになる。つまり土地改良法によって行う事業というものは、その基本法であるところの農地法の成果をさらに期待して土地改良法を執行していく、こういう建前になっている。将来できてきたものが農地法対象になるのじゃないでしょう。主として農地法対象になるものであるからして、土地改良法に基いて土地改良事業を行うのである、こういうことでしょう。そうでしょう。
  72. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法は、これもまた主として農地に適用になるものでありまして、農地法は、農地とするために政府が買収したり開拓したりするための未墾地、その未墾地というものも対象にいたしているような意味におきましては、農地法の条文のそれぞれに従いまして、農林大臣の行います事業によっての埋め立て、干拓地も、適用がある状態に達したとき適用があるのであります。
  73. 川俣清音

    ○川俣委員 この農地法の原則というか、この法律目的は、「この法律は、農地はその耕作者みずからが所有することを最も適当であると認めて、耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、その他土地農業上の利用関係を調整し、もって耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的」として農地法ができている。これらの農地法の効果を発揮するために必要な事業を行う事業として土地改良法があるわけなんです。農地法の成果を期待するために、さらに発展するために、土地改良法というものができていることは、提案説明の中に明らかであります。その土地改良法に基いて行う土地改良事業というものは、農地法の成果を期待するために行う事業なんである。それ以外の事業というものは、主として行われるべきものじゃない。これらの目的を主として達成するための事業土地改良法で行うんだ、こう規定している。何ができるかわからないようなものを、土地改良事業対象にするなんというようなことにはなっていない。まだ農地になるかならないかわからないようなものを対象にしてはやるのじゃない。農地法対象になる物件を進んで行うというところに、この事業目的があるわけなんです。この点を明らかにしてもらいたい。
  74. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法の第一条及び土地改良法の第一条は、おのおのそれぞれの法律目的を示しているのでありまして、農地法及び土地改良法にはそれぞれ各条章の規定がございます。その条章は、第一条の目的に資するための各種の手段が書いてありましたり、その他の内容が書いてあるわけであります。そういう考えで農地法をごらん下さいますと、放牧採草地というのは農地と分けてあります。その他の場合にも、土地などと書いてありまするところなどはまだ農地にならない土地を言っております。しかしその法の条文ごとによりまする上に立つ精神、理念といたしましては、土地改良法におきましてもそうでありますが、農地法におきましても同様、それは農地またはこれに準ずるような耕作の目的、一般的に言えば農業のために供せられる土地についての諸規定があるわけであります。そこで先ほど申しましたように、目的はそういうふうにありますが、公有水面埋立事業をしていくその事業段階によりましては、公有水面である段階もある。まさに水がその底である地殻の上にある状態の水面もある。それから事業が完成まぎわになりますと、一部普通に陸というような姿の土地が出て参りますが、公有水面埋立法に基きます事業が完成するまでは、その分につきましても、まだ公有水面である事業完了しまして、その竣工通知と申しますか、そうしますと、公有水面はかりでなしに、私有権の対象になる土地が出てくるわけであります。その土地を作ります段階に今申しましたような段階がありまして、土地ができましたときに、いかような相手、用途に配分するかということを確定いたしますと、一番当初の目的である目的がその土地に即してついてくるわけであります。そうして耕作の用に供しますと農地になる、こういう解釈であります。
  75. 川俣清音

    ○川俣委員 私の質問に答えてないです。農地法対象になる物件というのは、採草地も農地法対象になる物件なんです。私は農地というのは農地法対象になる農地ということを言っておる。放牧地もそうです。何も農地というのは抽象的なことではない。農地法対象になると初めから言っておるじゃないですか。そんなことも知らないで答弁する。農地法対象になる農地と言っているんですよ。対象にならない土地のことを言っているんじゃない。そんなよけいな答弁をせぬ方がいいのです。農地法対象になる農地ということで、君は何も知らない者にものを言うように、農地には放牧地もある、採草地もあると言う。私は農地法対象になる農地と言っている。あなたは埋立法による土地というけれども、埋立法による土地を造成するのではないのでしょう。さっきから芳賀委員に対しても、埋立法によるところの土地を作るんだ、陸というかしらぬ、岡というかしらぬ、そういうものが出てきたものは埋立法による土地だ、こう言っておりますが、そうじゃないのですよ。土地改良法に基く土地改良事業を行うのじゃないですか。そうじゃないのですか。土地改良法に基かない事業をやるということで埋め立てをするのですか。その点がはっきりしない。何か土地を作るんだ、作ってみなければ農地配分するかしないかわからないんだ、こう言うけれども、私どもは主として土地改良法に基く改良事業を行うんだ、こう理解しておるんだが、そうじゃないのですか。その点を明らかにしてもらいたい。
  76. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法対象になる土地を云々とおっしゃれば、そのようにもお答え申し上げましたが、農地法対象になる農地じゃないかと御質問になりましたから、農地法対象になる農地は放牧採草地その他の土地を除くと申し上げたのです。土地改良法の第二条の第二項第四号で「埋立又は干拓」は、第一条の目的には土地改良法全体が従うことになりますが、埋立、干拓事業をこの法律で行う場合には土地改良事業としておるわけです。
  77. 川俣清音

    ○川俣委員 答弁をごまかさないで下さい。そう言った。速記録を見てくれよ。二条で「この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。」これらのものを含めて農地法対象になっておるものなんです。二条の規定農地法対象になっている。この規定外のものを作るのだという意味じゃないでしょうと聞いているんです。二条でちゃんと規定しているんです。だから農地法規定しているもの、これは農業用道路も入る。農地法対象になるのですよ。農地というのは小学校の生徒が言うように、ものを植えておるところばかり言うのじゃない。農業用水路も農業用道路も入る。放牧地も入るし、あるいは農業用施設も入りましょう。これらのものを含めて農地法対象になるものを作る目的土地改良法ができておるのであるから、その土地改良法に基いて行う行為を今度はやるのではないかと聞いているんです。埋め立てをする土地を作るのだと、あなたはこう答弁をするから、埋め立てをする土地を作るのか、農地法対象になるものを作る目的かと聞いているんです。これだけ聞いたらわかるでしょう。
  78. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 公有水面の埋め立てをしまして、土地を作ることによりましてその手段を通じて農地法の適用になる土地を主として作るのであります。
  79. 川俣清音

    ○川俣委員 私の聞いているのは、行為を通じてできたものと、こういうことになりますると、あなたの所管外じゃないですか。何ができるかわからないということになると、農地法対象じゃないのですよ。不確定なものだということになる。埋立法によって土地を作るというのでありますれば、農地法対象になるもの、土地改良法対象になるものじゃないじゃないですか。行なった結果というけれども、行う行為は土地改良法に基かない行為というものはないはずなんです、農林省所管の中においては。やった結果が生まれてくるのでなくて土地改良法に基く事業ではないかと聞いているんです。私の聞いているのはそんなむずかしいことじゃない。土地改良法に基く事業計画ではないかと聞いているんです。あなたはそうじゃないような答弁をするでしょう。どっちなんですかというんです。土地改良法に基く改良事業を行うためではないかと聞いているんです。この点どうです。
  80. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 土地改良法の第二条の土地改良事業を行うのでありまして、その土地改良事業の中には埋め立て及び干拓分が入っておるのであります。
  81. 川俣清音

    ○川俣委員 だからして埋め立て、干拓も、土地改良事業法対象としたものを行うのではないかと聞いているんです。
  82. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 その通りでございます。
  83. 川俣清音

    ○川俣委員 その通りでしょう。なぜその通りはっきり答弁しないのですか。
  84. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 農地法農地という御質問でありまして土地改良法による土地改良事業として行うのではないかという御質問は、ただいま初めてでございます。
  85. 川俣清音

    ○川俣委員 土地改良法は、土地改良法対象になるものを対象にして土地改良法ができておるのです。農地法を基本にしてその進展をはかるためにその成果を期待して土地改良法ができておる。従って土地改良法というのは別な事業を行うためのものじゃないのですよ。宅地を作るための土地改良法じゃないのです。あるいはほかの山林を作るための土地改良法じゃないのです。山林の場合もあり得ますけれども、それは主とした目的じゃない。すなわちやはり農地法対象となるものを対象として土地改良法ができて、その土地改良法というものは農地を造成するために行う事業である、こういうふうに私はお聞きしたのです。ところがあなたのはそうじゃないのです。まだ公有水面であるか何だかわからないものだ、できてみて配分して初めて農地になるのだ、こう言うからどっちなんだと聞いているのです。できてからでなければ対象にならないものか、やる行為自体が土地改良法に基く行為なのか、できてみなければ土地改良法対象にならない、こう言うのか、どうですか。できるまでは土地改良法対象にならないと聞えるから、土地改良法目的であるところの農地造成または農地法対象になる農地の造成を目的としたものではないかと聞いておる。できてみなければわからない、できてみて配分して初めて土地造成になるんだ、こういうのか、どっちなのか。
  86. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 だんだん川俣委員と私の意見は合ってきたように思います。農林大臣土地改良法に基きましては、土地改良事業を行うのでありまして、土地改良事業を行う目的土地改良法の第一条のためであります。行う事業は埋め立て及び干拓事業でありまして、その目的は第一条の通りであります。その結果できました土地農地法の適用を受けるかどうかは、農地その他農地法の各規定に従いまして適用される状態になりましたならば、農地法の第一条の目的に即する限り適用になるのであります。
  87. 小枝一雄

    ○小枝委員長 暫時休憩いたします。     午後四時四十四分休憩手      ————◇—————     午後五時一分開議
  88. 小枝一雄

    ○小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際お諮りいたします。ただいま審査いたしております土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、本案に規定する干拓地等の取得の問題と農地法との基本的関係を明らかにするとともに、土地改良事業団体連合会の新設等の問題について、学者、利害関係人等よりこの際明日参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお参考人の選定につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  90. 小枝一雄

    ○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時二分散会