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久保田(豊)
委員 今までの御
説明の中でも、これからやる新規の
開拓者については新しい
営農類型も準備しておる、まだ公表の段階にはならぬがということでございましたが、それと連関いたしまして、私は
既存の
開拓農家に、
お話のありました
通りまだ開墾も十分にいっていない、六五%くらいですから
規模も大きくなるものもありましょう、ただ単に
経営面積の
規模というだけでなく、
ほんとうに
開拓民がやっていけるような、
希望の持てるようなはっきりした
基準を、
行政措置でも何でもよろしいが、少くとも
振興計画が立つ場合においては、
ほんとうにいけるような
目標をはっきり
規定してやっていただくようにお願いいたしまして、時間の
関係もありますからこの問題についての質問を終ります。
その次にもう一点お伺いしたいのは、今の
開拓地の状況から見れば、新規の投資をしなければ
旧債の整理だけではとうてい成り立ちません。
旧債の整理もある
程度延ばしてやって、その間に
自己資金の蓄積ができて、その
自己資金の蓄積によってそれぞれの
経営をよくするという幅は、特殊の場合を除いてはほとんど少いように私は思う。大多数の
開拓農家というものは、
旧債延期によってその間に多少の余裕ができたとすれば、これはおそらく今の生計費の極端にひどいものを埋めるか、それでなければ今家がほとんどだめになっている、この家の修理に使うか、それでなければ義理の悪い個人
借金をしておるのにいやおうなしに取られるか、こういうことになって
農業経営の充実のために使われる
資金というものはそれによってはほとんど出てこないと思う。そこで
政府もいろいろな新しいものに対して援助の
計画も立っておられるようでありますが、少くとも今まで聞いたところでは非常に不十分であり、不安定であります。ほとんどこれに対しましてはっきりしたものがない。たとえば
開拓資金八億五千万円の中から大体牛の三千四百頭、馬の千頭、乳牛六千頭とかあるいは寒冷地の
振興特別対策、国有林の貸付をやるとか、こういうことです。それから中期
資金を回して中小家畜を少しやってやるとか、今までのところはこのような
程度であります。これではとうてい
ほんとうの
振興計画にならないと思う。やはり大蔵省との
関係においてはいろいろ困難もあられようと思う。あられようと思うが、少くともこの点についてはもっとはっきりした
資金計画あるいは事業
計画というものをお持ちになってぶつかられることがぜひ必要だと思う。そうでないと、一生懸命
振興計画を立てても、結局今言ったようなワクの範囲においてしか実行はできないということになる。これでは
振興計画を立ってもその大
部分が砂上の楼閣ということになる。賢明な
農林省当局のことですから、おそらくいろいろ
考えてはみたと思うが、大蔵省に頭を押えられて結局できないから、この
程度で何とか
一つつじつまを合せて
農林省の面子を立てようということだろうと思う。その御苦心のほどはわかるが、こういう態度では今後の
開拓政策もだめです。現在おるところの
開拓民も、これによってはとうてい立つことができないと思う。この点について
農林省はもっと勇気を持つべきだ、確信を持つべきだ。少くとも研究会の時代とは違う。これに対しては財界とか、あるいは与党の中でもいろいろ反対がありましょう。しかし
開拓政策をやる以上は、明確な
計画と
資金を持つべきだと思う。この点については何にもない。御苦心のほどはわかりますけれ
ども、
一つもっとはっきりした具体的な
計画を立てて、
開拓民が自主的な
振興計画を立てたらこれに十分こたえられるような態勢をこの際どうしても立てることがこの
法案を生かす道であると思う。そういう点からいうと、この六条の
規定というものは、
農林省の非常に苦しい立場をこういう
程度に反映したものだと思うが、
農林省の今後の強力な
施策を打ち出す
法律的根拠としてはきわめて不十分だと思う。この点についてのお
考えを聞いておきたい。