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1957-03-19 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十九日(火曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 中村 時雄君    理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    安藤  覺君       石坂  繁君    大野 市郎君       木村 文男君    椎名  隆君       鈴木 善幸君    中馬 辰猪君       永山 忠則君    原  捨思君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    阿部 五郎君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    小川 豊明君       久保田 豊君    楯 兼次郎君       日野 吉夫君    細田 綱吉君       山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農地局長)  安田善一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      立川 宗保君         農林事務官         (農地局管理部         入植営農課長) 安藤文一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 三月十六日  委員竹内俊吉辞任につき、その補欠として松  野頼三君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員八田貞義君、淡谷悠藏君及び上林與市郎君  辞任につき、その補欠として本名武君、日野吉  夫君及び山田長司君が議長指名委員に選任  された。 同月十九日  委員本名武君、赤路友藏君、石山權作君及び楯  兼次郎辞任につき、その補欠として八田貞義  君、小川豊明君、辻原弘市君及び中居英太郎君  が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十八日  森林法の一部を改正する法律案内閣提出第一  〇六号)(予) の審査を本委員会に付託された。 三月十五日  米麦価引下げ反対等に関する陳情書  (第四六八号)  米価値上げ反対等に関する陳情書外一件  (第  五一五号)  蚕糸事業振興法制定等に関する陳情書  (第五一六号)  新農山漁村建設総合対策事業促進に関する陳情  書  (第五一七号)  農業委員会法の一部改正法制定促進に関する陳  情書  (第五一八号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  開拓融資保証法の一部を改正する法律案内閣  提出第七号)  開拓営農振興臨時措置法案内閣提出第八三  号)     ―――――――――――――
  2. 小枝一雄

    ○小枝委員長 これより会議を開きます。  開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓営農振興臨時措置法案一括議題といたし、審査を進めます。  質疑に入ります。石田宥全君
  3. 石田宥全

    石田(宥)委員 開拓問題全般について質疑をいたしたいと思うのであります。御承知のように農地年間平均三万三千余町歩あるいは四万町歩と言われておりますが、そのくらいずつ壊廃をいたしておりまして、戦後十年間ではおよそ四十万町歩程度はつぶれておると推定されるのであります。このままで推移いたしますならば、国内における食糧自給度を高めるなどということはとうていおぼつかない。後にこの転用基準等についてお尋ねしたいと思うのでありますが、農地壊廃による耕地の減少はまことに憂慮にたえないものがあります。幸い開拓事業年間平均五万五千町歩耕地拡張をはかり、戦後六十万町歩農地を造成し、九百二十五万石の増産効果をあげてこれを支えておることは、開拓事業の成果と言わなければならないのであります。この事業重要性もまた意義あるものと思われるのでありますが、政府は、この問題についてしばしば本委員会においても問題となっております営農類型等の問題について、少しも具体的な対策を示しておらないのでありますが、従来の開拓の実情を数字的にお示しを願いたいのであります。まず第一に従来の入植者の総戸数、それから今日までの離農者戸数、それから現在の定着者戸数状況、これを一つ承わりたいと思うのであります。
  4. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 入植者の総戸数終戦後全体で約二十三万ほどございます。そのうち入植して離農いたしたものは約八万戸ございまして、現在定着開拓者となっておりますのは十五万五千戸であります。なお詳細な正確な数字はお手元に御配付を申し上げてあります。
  5. 細田綱吉

    細田委員 関連して。お手元に御配付するというのですか、してあるというのですか。
  6. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 委員部の方にはお届けしてあります。
  7. 細田綱吉

    細田委員 委員部の方に届けた資料にこの点が入っておればよろしゅうございますが、入っておらなかったら御提出を願いたいのですが、各都道府県の昭和二十五年ごろから三十二年度までのあなたの方の開拓割当面積——北海道は幾ら開拓しろとかというような開拓割当面積とその裏付予算措置、それから同じくそれに対する成功面積とでも申しましょうか、及び今石田委員の御質問になった入植者数、この点を文書にして一つ提出を願いたいと思います。
  8. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 大体は委員部の方に提出をいたしております資料の中に入っておるのでございますが、一部入っておらないものもございますので、その分はあとですみやかに提出をいたします。
  9. 石田宥全

    石田(宥)委員 入植者融資連帯保証関係やら家族構成関係等で容易なことに離農できがたい状態に置かれているわけであります。にもかかわらず、ただいまの御答弁によりますと相当数離農者を出しているようであります。これは従来の開拓政策が行き届かないためにやむを得ず離農をいたしておると思うのでありますが、その原因はいろいろあげることができると思うのでありまして、根本的にはやはりこの営農類型という一つのワクが問題になっていると考えられるのです。われわれの地方におきましてもたくさん見受けるのでありますが、人は入ったが道路がいつまでもできない、開拓はできたけれども肝心な家畜が入らない、あるいはうちは建ったけれども水が出ない、あるいは予定したところの水田工事がうまくいかないというようなことで非常な窮地に陥っておる。政府は当初全額国費で出発をいたしたのでありますが、補助制度で後に実施するようになり、補助以外の金融制度が確立されていなかったのであります。また自己負担が非常に重く、少額の融資では今申し上げたような施設が十分できるはずがないのであります。低位生産地帯においてこういう状態であっては、特に一番早く入植した人たち農業の未経験者が非常に多かったわけでありますから、そこに非常な無理があったのではないかと考えるでありますが、政府としては今の開拓者状況でいけると考えておられるのか。また離農者を出しただけでなしに、開拓者農業収入面等が他の農家所得と比較して非常に低い。農業粗収入三十万円以下の農家は全体の八四%を占めており、三十万円以上はわずかに一六%という数字があげられておるようでありますが、開拓農家一戸当り家族人員は、先ほど触れましたように非常に多く四・七人になっておる。家族一人当り月三千円の生計費を要するとすれば二戸当り月一万五千円、年間十八万円。それに経営資金が約十万円はどうしても必要なのでありまして、三十万円以下の収入では、施設の拡充やら拡大再生産ということは全く考えられない。経営維持手一ぱいでありまして、さらに各種負債償還金はどうにもならないという苦境に置かれておる。それではなぜ開拓地がこういうふうに行き悩んでおるかお考えになっておるか、この点についての根本的な考え方に検討を加える必要があると思うのでありますが、こういう現状から見て、具体的な根本的な対策をどこに求めようとしておるか、承わっておきたいと思います。
  10. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 終戦開拓入植をいたしていただきました方々の中から、今日までに約八万戸の離農者が出たのでございますが、それは終戦直後、まず引揚者とか戦災者等を、終戦後の事情から、ともかく農業で社会的に救済しようという目標一つ持ち、また当時の食糧需給関係からいたしまして、その危機を乗り切っていただくように緊急開拓を早急にいたしたことから始まるのでございますが、二十年から大体二十四年までがその時期であったと思います。大体二十五年以降においては、地区計画もはっきり立て、建設工事も及ばずながらかなりつけまして、そして計画的な入植をしていただくということに努力をいたしました。従いまして二十二年に営農類型と申しますか、開拓者開拓地入植して営農をせられた場合に、約五年前後たてばこういう姿になるだらうという営農土地生産手段、作付の状況農業収入その他の経済事情類型を持ったのでございますが、二十六年に一部の改訂を行いました。前の営農類型ではやはり経営規模所得見込み等が小さ過ぎるという観点があったのでありますが、終戦後約十年間離農された八萬戸の方は、昭和二十年から二十四年までに入植された方だけで約七万戸でございます。従いましてそれ以降入植せられました方は、その後の鉱工業の発展とか自分の家庭事情とか、かねて開拓入植される前の御経験職業等の一般的な復興に伴いまして、適当なる職業に転換をされた、こういう事情が大部分でございまして、その数も非常に減少しておるのであります。しかしながら今定着されておる方でも、その配分面積耕地としていただくものが、成功検査をする予定の年に至りましても、計画の六九%しか開墾がされておりません。そこで営農の進度が落ちておるのはどういうことであらう、その根本的な見解はどうだということの御質問に答えることになりますが、やはり農地法の規定に従いまして、開拓地は、開拓適地農林省及び県庁でいたします際に、傾斜度、土質、土層の厚さとか気象、日照の関係等について基準を持っておりますが、従来開拓地となりましたところについて天然自然の立地条件がやはり他の平坦部中心にしました農地よりはかなり悪い、また予算措置計画措置をとりつつ行なっておるのでありますが、ただいま申し上げましたように、特に二十四年までには計画はしっかり立たないで、先に人が入植されて、少し過剰入植された、また建設工事、水の点とか用地配分が必ずしも適正でなしに先に入植せられて、あと計画が立って参った、こういうことの計画不備もあったと思います。その他緊急に需要の多かったその時代を中心にいたしまして、用地配分がおくれたり、建設工事が遅滞をいたしたこともございました。その後においてはだんだんこれが総合的に計画的に入植をしていただいている状況でございますが、その間に海岸あるいは湖の干拓地は別といたしまして、大体山地の開拓地が多いのでございます。平坦部の旧軍用地をまた農地に戻して開拓地にいたしたところなどは、既農家水準を抜きまして相当のいい成績を営農上に表わして下さっている農家も多いのであります。しかしそれは約三割。そこでこれらの立地条件とか計画をしっかり立てて、目標営農類型創設民家としての中堅農家にふさわしい類型にする。また土地配分規模を適正にいたしますと同時に、作物の方も農作物本位でしないように、家畜等をよく導入いたしまして、多角経営をしてもらうように持っていくことが必要ではないか、この観点において今後留意すべき事項、過去において反省すべき点に照応いたしまして——この山手の開拓地災害がしばしば起りましたので、この間において営農類型ともいうべき目標営農の形に達しなかったことが相当多いと思っております。従いまして営農を高めまして、できますれば既入植者でも土地の再配分のできるところは下だしまして、建設工事のついていないところ、おくれているところは促進することにいたしまして、既入植者営農振興について特段の臨時措置も講じたい、また今後の新規入植につきましては、かねて研究中のものを取り急ぎまして営農類型を変えて参って、新規入植方々の方に向ってこれが適用できるように目下努力したいと思っているのであります。
  11. 石田宥全

    石田(宥)委員 ただいまの答弁によりますと、昭和二十四年までの入植者農業の未経験者であったり、その後国内経済が安定するに従って他に転業する等の条件で、大部分離農しているというお話であります。なお検査の結果、まだ開拓が十分でないとかあるいは過剰入植の場合に計画不備があったとかいうようないろいろなことを申されているのであります。そうするとそういう点を修正するなり、再建計画を立てるなりすれば、大体やっていけるというふうにとれるような御答弁なんです。私が根本的に伺っているのは、粗収入が三十万円以下というのが開拓農家の全体の八四%も占めているのだが、そういうような状態でいいのか、既入植者安定計画中心に今後考えるということで振興法も出したんだとおっしゃるけれども、一体こういう現状でいいのかどうか、このことを中心に承わっておるのです。
  12. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 開拓農家は、何と申しましても開拓地土地を一番重要な生産条件として、しかも既入植者は、配分を受けて自作農として土地を所有しておるのでございます。従いまして、既入植者につきましては、あまり適当な規模でないところへ過剰入植をせられたようなことにつきましては、開拓地お話し合いとか、離農の希望があるときに再配分土地について行いますようなこと以外は、何しろ農家ごと土地配分を終りまして、自作農として営農がまだ十分にいっておりませんが、できておるものでございますので、既入植者の七割はまだ営農類型を達すべく努力をしていただく、また私どもも協力して御援助を申し上げるということでございますが、やはり主として営農高度化の効を中心にいたしまして、それの生産基本条件建設工事等をつけ加える、また災害等におきましてたまりました負債は、今後の営農の進展に応じまして支払えるような条件に直す。たとえば天災法災害資金を五分五厘または三分五分の金利において五年ないしは三年という償還期限になっておりますものを、開拓農協中心にしまして振興計画を立てて、知事の確認を得るようになりました場合は、十年の償還期限に借りかえをして緩和をする、またどうしても支払えない債務があるうちで、政府措置してもいいと思われる場合、たとえば入植をされました際に開拓者資金特別会計からの基本資金営農資金を借りておるわけでございますが、当時入植した際に連帯保証になっておるわけでありまして、そのうちに離農者が出てきたり、脱落者が出てきますと、その借りておられる分も、直接の債務者開拓農協であり、開拓農協入植者に貸しておるのでありますが、連帯保証関係で他人の分まで債務を負うておる条件もございます。そこで国の債権管理法に基きまして、そういう債務を軽からしめる、場合によりましては免除をする措置をとるように大蔵省とも話しまして、それらの措置をとりたいと思っておるのでございますが、新規入植で今後の営農の姿、営農のさせ方について改善をはかることは努力をいたしたいと存じます。既入植者方々については、主として営農振興をはかり、その裏としまして債務緩和をはかることで、目標水準のところへ到達をしていただきたい。それ以上でありますと、土地中心にしました農家でございますから、なかなか手直しがむずかしいので、まず第一段にそれをやっていただきたい、こういうふうに思っております。
  13. 石田宥全

    石田(宥)委員 振興法案融資の問題についてはまた後ほど詳しくお尋ねをしようと思うのでございます。局長も御承知のように三十一年の十月だったと思うのですが、災害対策に関しまして、「被害を受けた開拓農家に対しては、とりあえず前項により融資する。連年の災害によって累積した借入金については、このさいこれを整理するものとする。また、開拓政策の刷新を図り、営農基礎を脅かす諸障害を取除くこととし、開拓地営農類型について再検討を行い、開拓者資金融通制度の改革と同特別会計資金枠の大巾な増額を行うものとする。これがため必要な法的措置を講ずる」。という決議が行われておるのです。この決議が出るまでには、すでに開拓問題が論議されるたびごとにこの営農類型の問題が問題になっておるのです。今局長の言われました振興法内容については、後ほど具体的に伺うわけでありますが、この営農類型の問題についてしばしば問題になり、本委員会において決議まで行われておるにかかわらず、ほとんどこれを顧みないのじゃないですか。御承知のように、当初の経営資金は、入植後三カ年に合計十三万五千円を必要とするということで、住宅補助金が五万四千円、自己資金一万七千円があると仮定して、差引六万四千円の融資一が必要である。これによって開拓営農一は成り立つというのが、昭和二十三年に制定された第一次営農類型の結論であります。最近はそれに物価指数上昇変動の比率をかけまして、すなわち現在の指数は二・七七八倍ということになって、六万四千円にこれをかけて十七万七千七百九十二円、これを切り上げて十七万七千八百円と算定して実施しておるのであります。ところが最近北海道等に行われております機械開発公団による事業パイロットファーム等によりまして、今これとは全然異なる計画が進んでおるわけであります。当初から入植した者が、いろいろな障害のために借金で首が回らなくなっておる。しかも連帯保証で簡単に逃げ出すこともできないというような状態のもとに置かれておるものを、根本的な問題をそのままにしておいて、新たに行われるものは、今度はそれとは全然規模計画内容も異なるものをやっていく。しかも北海道に昨年災害調査に参りました際に見てきたのでありますが、パイロットファームでじゃんじゃんりっぱなうちなどが建っておる。すぐ隣接したところにずっと昭和二十三、四年ごろの古い開拓者が住んでおる。こういうアンバランスの状態のもとにおいて、古い既入植者をこのままにしておいて、今局長の言われるような弥縫策で一体やっていけると考えられるのか、この根本の問題を聞いておるのです。
  14. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 ただいま御審議をお願いしておりますのは、既入植者中心にして、営農類型がすでに立っておるものにすら到達をしておりません既入植農家をそのままほうっておいてはいけませんので、五年計画をもちまして、現況を基礎にしまして五年先の安定目標一つ立てまして、そうして営農振興をはかろうとする法律案を出し、これに伴う予算融資等措置の御審議をお願いしており、またお願い申し上げましたことでございますが、御意見にありましたように、今営農類型のあるものは、手開墾中心としまして五類型あります。そのほかに機械開発公団の手を経まして、いわゆる機械開墾をやることになる。それがいわばパイロットという形で行われて、目下のところは三年計画になっておりますが、これは三年の間でも、また三年を経過しましても、その方式を他の似た地域に拡大したいと思っておるのでございますが、その間に現在の営農類型が適当ではないんじゃないか、これを根本的に変えなくちゃいかぬのじゃないか、それからまた同じような地域に、やり方も変り、営農類型も変ったものがあるんじゃないか、その根本はいかにすべきかということだと思いますが、私どもお話の通りだと思いまして、今後の新しい開拓入植営農をしていただく場合の諸条件とその営農類型は、これをもう少し大規模に、経営多角的経営をしていただきますように、また補助融資の度合いも、入植全体が増さなければならないかと思いますが、しかもそれをいたします際に、入植の直後、最初の方により多くの補助融資をいたしまして、終りに従って少くなる、生産手段を整えるのを早くやる、営農を進展させることを早くやるというような方式において改訂すべきものだと思っております。これは目下の見込みでは、前国会あるいは休会中の当常任委員会で御決議もいただきましたことに照応しまして、せっかく研究中でございまして、三十二年の適当なときにはその成案を得まして、三十三年の予算に反映せしめまして、そして今後の入植営農開拓営農基準といたしたい、こういうふうに思っておりますが、問題は、すでに土地配分を受けて定着はしておられますけれども営農が進まない、災害その他によりまして負債が多いという十五万五千の既開拓者についてどうするかという問題もより以上の焦眉のことでございますので、それに対しましては、今回の法案予算融資措置でやりたいと、こういう考えでございます。
  15. 石田宥全

    石田(宥)委員 事ここに至ってまだ慎重を期して、これから検討を加えていくということでありますが、それではもう入植者は死んじゃうのです。何年かかると思っているのです。どうにもならないところに来たからというので、委員会で特別な決議まで行なっておるのです。もうそういう段階じゃないので、私どもこれを問題にしておるのですが、一体わずかの災害融資についての利子補給程度のことで再建できると考えておられるか。考えておられるとすれば、まことにそれは甘い考えで、私どもは本来から言えば、かつて農村において借金棒引き運動というものをやりまして、ずいぶん長くかかりましたけれども、後に負債整理組合法というものを作って、そうしてあの当時の負債は全部片づけた。その後の経済情勢もありますけれども、あれで日本農村借金というものが一応片づいたことがある。今の開拓者状況というものは、あの当時の日本農村よりももっと深刻な状態です。だからでき得ればそのようなやはり特別な措置がなければ私はやっていけないのじゃないかと思う。世界各国の例を見ましても、開拓者に対する保護政策というものは、三十年、四十年の長期無利子資金を回して、そうして自立経済を達成するような援助をしておるのです。ところが日本の場合は、入植はさせるが全く入れっぱなしで、あとは野となれ山となれで、弥縫策だけをやっておる。また再びそのような弥縫策を講ずるにすぎない。一体これは、今度安田局長などがこの振興法このままのものをお出しになり、この程度で何とかなるとお考えになっておったんですか、あるいはまた農林省としては、こんなことではなまぬるいので、もっと根本的に再建できるような方策を考えておられるのだけれども、ほかの条件で制約を受けて、やむを得ずこんなところへ落ちついたということなんですか、一つ率直に承わりたいと思うんです。
  16. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 私及び私の担当いたしておりまする農地局でも農林省でも、いろいろと研究いたしまして、率直に申しまして、これよりももっと根本的な、危なげのない開拓営農をしていただいて、りっぱな中堅自作農家を作り出すという開拓に対する対策を立てたいと思っておりましたが、ここ一、二年の間営農類型改訂を事務的に研究しておりますことについても、また十分に成案を得ませんので、一つ既開拓農家の、入植された当時に営農がこの程度ならば安定するであろうとして立ててあります類型に至っておらない、ほんとうならばもうその時期に来ておるという十五万五千戸の方の約七割、そういうお方に対してはいかに応急的に措置すべきかということと、今後の開拓基準あるいはやり方、こういうものを将来に向ってどうやるかを一応分けまして、そして既入植者開拓営農振興につきましては、今回御提案申し上げました法案予算融資措置によりまして、新規のものは御指摘もありましたように、努力をいたしまして、すみやかに将来の政策として出したいと思っておることに事情が変えざるを得なかったのでございます。しかし開拓営農振興臨時措置法によって措置をとろうといたしておりますものも、研究中の今後の営農類型改訂上取り入れて差しつかえがなかろうという部分は取り入れまして、既入植者の今回の対策の五カ年後の営農類型と申しますか営農目標、そういうものは従来から現在入植される際に適用されております営農類型よりは改善をはかった安定目標一つとらえようと思って、そう考えておるのでございます。たとえて申しますと、今五地区、五類型に分れておりますものを七類型にいたしまして、それにそれぞれの目標を立てる。そうしまして年間粗収入が十五万円以下のような方々が非常に多いのを、五年後には少くとも約二十二万七千円以上で、日本の北の方ではおのずから土地生産力等のこともございまして、経営規模類型規模も広くなくちゃいけませんので、粗収入としてはあるいは五十万というところを目標にしなくてはならぬと思っておりますが、それぞれに今回は営農類型改訂途中における成案を得ましたものを既入植者に適用できるようなふうに応用いたしまして、安定目標を作って進んでいきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  17. 石田宥全

    石田(宥)委員 今後の新しく行われるもの、それから既入植者とは二つに分けて当然考えなければならないことなのでありますが、今局長も言われるように、従来の計画ですら達成されておらないところが多い。そうすると、完全に計画通りに行っておってさえも、まだ年間三十万円以下というものが圧倒的に多いという実情のもとにおいて、その計画すら達成されておらない地域農家というものが非常に多い。そうなればそういう農家というものはもうどうなってもいい、こういう結論になるのじゃないですか。私どもはそういう脱落者を出さないようにするために緊急の措置を必要とする、こういうふうに考えておるので、それをまだこれから検討を加えていくというようなことでは間に合わない。一体どうやって間に合せるか、こういうことなんですよ。役人的な要領のいい答弁なんですが、今後の構想については、現在の状態を一体どうやって切り抜けさせるかということなんです。
  18. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 もう少しはっきりと石田先生の御質問に応ずるように申し上げますと、既開拓者営農振興をはかって安定した開拓農家を作るために、いわば既開拓農家に対する営農類型を新たに作る。その営農類型目標にして五年後には完成し得るようにするというのが、私ども考え方でございまして、現況とその安定目標の比較をいたしますと、西南暖地のような一番経営規模が小さくて現在粗収入が二十万円くらいのところは一割以上はぜひ増したい。またそれに照応して、一町二反の規模に入らないような二町、二町五反、三町、四町、五町、六町、また北の方に行くと十町の類型のところもございますが、それぞれの地域に対して家畜、役畜、乳牛、中小の家畜、こういうものなどを積極的に導入いたしまして——西の方には乳牛等を入れる類型になっておりませんでしたのを、そういうことを撤廃して、全国的に役畜も乳牛も中小家畜も入れる、そういう営農高度化をはかりたい。また場所によっては果樹等も取り入れていくことをやっていただきたい。また寒冷地の方については、かつていろいろ御説明を申し上げ、御審議もいただきました寒冷地対策として取り上げておるような土地条件の改善をはかりますが、国有貸付の乳牛、役畜制度で三千五百頭ばかり三十二年度には特に不振な開拓地用に回して、それをも加えまして営農高度化をはかっていきたい。それには農地法入植成功検査を受けて、まだ成功しておらぬ、こういうふうに適用される方々が多いのでありますから、それではせっかく今まで御努力を願いましても、自作農として細々ながら安定した農家として途中でやめてしまうということになりますから、農地法成功検査の期限を延長したり、また耕土培養法で援助する場合の期限もございますので、これの改正をはかって期限を延長したりして、補助とか融資が打ち切られないように、さらにはこの期間に増加投資をして援助をし、少くとも五年間に所期の目的をおくればせながら到達していただきたい。何しろ耕地条件等がございますから、耕地だけではいけませんので、防風林とか飲料水その他の水の工事とか、重要な開拓道路が計画のようについていないとすれば、三十二年度は一億円余をそのために注入しておりますが、それらをもちまして思い切って安定目標到達していただきたいと考えておるわけであります。
  19. 阿部五郎

    ○阿部委員 関連して。今の御答弁を聞いておりますと、関西地方の開拓営農規模というか、営農類型とおっしゃったが、それを拡大する御計画がある、しかもそれに質的の改善も加えて酪農を加味されるというような御意思があるように承わりました。これはまことにけっこうと思うのでありますが、それは一体具体的にはどういう処置をなさるのであるか。開拓営農振興臨時措置法案というものを拝見いたしますと、それではわずかばかり、しかも非常に厳格な制限のもとに金を貸すということがきめられておったり、成功検査の年限を延ばすということが書いてあるくらいで、ただいまの御構想などは片鱗も表われておらないように思う。一体どういう具体的な方法でなさるつもりであるか。
  20. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 この法案開拓者方々開拓農協中心にしてその組合の半分か半分以上、または二十人以上の方々営農不振の状況にある、こういうところにつきまして、組合員の申し入れに応じて振興計画を立てておるようであります。その裏づけとして政府はどういうことをやるかということでございますが、まず第一は、開拓営農指導措置といたしまして、農林省の三十二年度の予算にも計上いたしておりますように、指導措置は八百七十七万円を計上してそれに充てたいと思っております。負債整理の方としては、天災融資法の条件緩和するために、一億六千万円の利子補給を計上しておりますほか、本法に伴いまするものはさらに償還金の倍の延長をすることに伴いまして千四百万円余を計上いたしました。また土地配分是正をすることができるところにつきましてはこれを行うことにいたしまして、三百万円に近い交付金を交付し、また営農振興を特にはかりたいところは、地区別にここ二カ年間営農診断をしておりまして、来年をもちまして大体不振地区は診断が終ることになっておりますが、その診断に応じまして経営改善をはかる。これに対しまして、三十二年度は約百七十万円を計上しておるのでございます。  さらに家畜の点で先ほど申し上げましたが、畜産局で計上しておるもので、私どもの方の開拓営農振興用に、家畜購入費としまして、乳牛三千頭、和牛二千頭、二億四千五百万円が計上されておりますが、この五千頭のうち三千五百頭は開拓地の方に向けよう、それから別の法案提出してございまるが、開拓融資保証の改正をしまして、三千万円の政府出資を中央開拓融資保証協会に新たにいたしまして、これによりまして要するに中小家畜の導入資金に充てるための政府出資をいたします。その規模は、三十二年度では綿羊が七千六百頭、豚が約四万頭弱、鶏を十一万羽、これを目標にいたしておるのであります。  このほかに予算以外といたしまして資金があるわけでございますが、三十二年度といたしましては、開拓者資金融通特別会計で八億五千二百万円余を計上いたしまして、これをもちまして本法の運用の裏づけといたしまして、これは営農改善資金として政府の低利の長期の資金を供給し直す。これを一億九千六百万円、約二億弱でございますが、それを予定しておる。さらに不振対策地域では一億六千万円余を予定いたしました。またこの中には、中期資金と従来言っておりますが、先ほども申しましたように、西の力にも大家畜を導入することといたします、乳牛約六千頭、馬一千頭、役牛三千四百頭、約一万頭でございますが、この寒冷地対策以外の一般の分といたしまして一万頭の大家畜を導入することにしまして、その資金が約五億、正確に申しますと四億九千五百万円余を開拓者資金融通特別会計に入れておるのでございます。  さらに地区計画を完成いたしますために、道路工事とか水の問題とか、こういうものを建設事業としてさらに進める要がございますので、これは本法案によりましては振興計画内容の事項になっておると思いますが、それの認証を知事において得ますれば、政府援助する、県も援助していく、こういうことをもちまして、建前といたしまして新たな本法関係開拓開墾、建設事業費としては一億を特別に計上いたしましてそれに充てたいと思っておるのであります。これは補助金であるわけでございます。  また開墾作業費といたしましても、土地を再配分しまして、増地して手直しすることも考えております。これにつきましては、従来の開墾作業費を九億計上しておるほかに、本法関係としまして二千八百万円弱、また飲料水施設をつけ加えるためにこの法案関係としましては千三百万円余を計上しました。また本法で耕土培養法の改正をねらっておりますが、これを適用する耕地の増加分がございますので、これに対しましては四百三十三万円を計上いたしました。そういうことをもちまして非公共事業では二億二千万円を計上いたし、開拓者資金融通特別会計関係は八億五千二百万円の資金を予定いたします。それから公共事業——道路、水路というようなものでありますが、これに一億四千七百万円を計上して裏づけとしてその措置に充てたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  21. 阿部五郎

    ○阿部委員 お話はわかりますが、御構想と御説明になった仕事の予算上の規模とはよほどの差があるように思われます。しかしそれはしばらくおくといたしましてもそういうふうに建設事業もやり、家畜の導入もやるということはもちろんけっこうであって、それが実現されるところは改善されることは間違いないと思いますが、関西地方、特に四国地方などでは非常に急峻の山岳地帯があって、牧畜には適しないというところが相当多くあると思われます。そういう地帯の農業については、何かここに新たな考え方を実施に移さなかったならば、農家経営状態の改善は困難ではなかろうかと思います。単に開拓農家ばかりでなしに、既存の山岳地帯の農家であっても、今後ますます——現状においては主としてタバコとか、これはタバコといいましてもだんだん売れなくなる刻みタバコの材料しかできないのであります。それからミツマタとかコウゾというものもだんだん需要が減っておる、これにかわるものとして桑を植えさせようとしましても、これまただんだん衰退に向いつつある産業でありますから、それで開拓農家でなくても、山村農家経営はだんだん困難になりつつあるのであります。そういうところ、地味の悪いところにあとから開墾させて入植させておりますから、この窮状は想像のほかであります。それで今おっしゃったようなことはもちろんけっこうでありますけれども、既存の農家とともに開拓農家、ことに山村の農家に対しては新たな考え方が必要であろうと思うのでありますが、農林省においては、結論には達しておらないかもしれませんが、今までも研究なさっておりましょうから、それらについてのお考えがあれば、この際承わっておきたいと思います。
  22. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 いろいろ農林省でも、試験場のみならず開拓営農指導員も連れて、また本省でもいろいろ検討しております。また開拓農協開拓連の方々、信用保証協会の関係方々ともよくひざをつき合して研究しておるのであります。やや今否定的に御意見を述べられたかと思いますが、開拓者の団体の方々は第一にはやはり家畜だという御要望でございます。しかしそればかりではいけませんので、従来の作物について安定度を増すということが第一であります。特に西日本の方につきましては、先般委員会でも申し上げましたように、果樹等を交えましてやっていただくことも非常にいいことだ、こういうふうに考えておりますが、それらに対応する裏づけとしましては、先ほど申しましたように営農資金約二億等を使いまして、やっていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
  23. 阿部五郎

    ○阿部委員 もう一点だけ伺いますが、入植後一定の期間が過ぎて検査の結果、いまだ開拓ができていないという関係土地につきましては農地法に基いて検査の結果これを国に取り上げるということになっておると知っておりますが、すでに取り上げた農地が一体全国でどれくらいあるか、それから一農林省の方針としては、一たん国に取り上げて、その取り上げたものを一体どう措置なさるお考えを持っておられるか。この開拓ができなければそのままほうっておくわけにはいきませんからもちろん取り上げるのもよろしいでしょう。また期間を延長なさるというのがこの法律案に含まれておるようでありますが、それも将来開墾の可能性のあるところならば期間を延長なさることもよろしいでありましょう。しかしやむを得ずして国が取り上げるといたしましても、その取り上げたものを国がどう処置するか、これは非常にその付近の開拓農家経営にも関連してくることでございますから、御方針はいかがなものであるか伺いたい。
  24. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 先ほど来申しました終戦後の事情の、私どもの認識からいたしまして、農地法の規定は規定でありますが、今回この法案をもちまして法律上の改正をはかりたいと思っておりますことの基本に照応するわけでありますが、まず最初は未墾地を政府が買収いたしまして、最初の一年入植される方に貸し付けるわけであります。それから五年据え置き、二十五年償還の条件で売り渡すわけであります。立法当初農地法においては約五年という考えでありましたが、ただいまの法律ではこれが前の法律とは変りまして、五年ときちんと切らないで、成功検査をするのが適当と思う時期に検査をする。そしてこの成功検査をいたしましたあとでは、三年間開拓農家はその土地を自由処分することができる、もし処分するときには政府に売る、こういう法令になっておるわけであります。従いましてこの運営に当りましても検査に不合格であっても国が買うという態度をそのままとらないで、そのお方々がまだ営農の段階が十分ではない。たとえば耕地をとりまししも六割の開墾をしていらっしゃる、それに対しましては六割に応じた開墾作業費を出しますけれども、七年たっても六割しかできておらぬからというので、すぐには土地を取り上げないようにいたしておるのであります。むしろこれを積極的にもり立てて、早く検査を通るようにという指導をいたしております。もし離農していただく。土地を買い上げた方がいい。自作農として精進の見込みがないという判定がつく場合には政府が買うことになりますが、既開拓地につきましてはこういうような法案提出しましたり、石田委員からのお話もありましたような考えを私どもも持ちますから、その開拓地区の既入植農家耕地がふえるように土地配分をしたいと思っております。それが第一でございます。またそれに応じましては債務の継承等も若干あるかもしれません。しかしそれは適当な過酷でない措置でやりたいと思っております。ところがそれが再配分ができない場合がありましたら、第二段としまして適当な入植者を新たにそこに入れるということになるかと思います。しかし私どもはこの法案提出いたしました本来の趣旨に応じまして、もともとの類型がやや経営等も小さくて、営農高度化も十分な目標を持っておったものではないから、その開拓地において耕地の余裕ができました場合は、既入植農家配分して経営を増す、しかし個人配分ができぬところは共同耕作地として、開拓農協等を通じてその地区の開拓者が耕作されるようなことも考えておる次第でございます。
  25. 阿部五郎

    ○阿部委員 お話はわかりましたが、その合格しない土地であって、もともと開拓に適当でない土地であったというものが、実際私らのような急峻な地帯ではあるのであります。そういう場合にそれは再配分しようにも農地にならない土地なのであるからどうにもなりません。そういうものを開拓農協の共同の薪炭林あるいは植林地用、こういうことで農協に経営させるということはお考えになることができましようか。
  26. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 入植された土地ですでに配分しましたところで終戦直後四、五年の間は確かに不適地であったところもあったと思います。それから地区計画を立てましたときに、ボーリングして水が出るという予定であったところが出なかったというところも事実かなりあります。そういうものにつきましてはそれぞれの建設工事をすることにいたしておりますが、特にこの法律案が施行になりましたら、計画的に五年間でこれに追いつかせようと思っておるわけであります。予算措置もそれに応じて講ずるように、大蔵省と協議済みでございますが、お話開拓不適地でありますところは、先ほど申しました土地配分是正をやろうと思っておりますから、開拓農協中心開拓者に作っていただく振興計画の中にそれを織り込んでいただいて、知事の認定もいただいて政府援助をする。こういう自主的な計画立てを開拓者の方にもしていただく。従来はとかく開拓者は、政府とか県の側からもちまして計画を作って開拓者に与えるような格好であります。そこで段階も入植相当の年数になりますから、開拓者のお方から立てられることを期待しておるわけでありますが、その際に御提案になりましたような農協を中心に共同的にあるいは薪炭林に使うとか、あるいはまだ配分になっておらぬ土地で畑地ばかりだ、防風林や何かついておらぬ、こういうところはむしろ積極的につけ加えるというような、そういうこともやりたいと思っておるのでございます。そこで私どもここにあります自作農創設特別会計で持っております、現在管理しておる土地相当ございます。その土地開拓地に近いところで開拓者配分もできるところ、また開拓者の個々に配分することは適当でないが、共同畑とか共同薪炭林とか、共同防風林、そういうものに使い得るものは積極的にこれを追加して開拓者にお渡ししよう、こういうふうな考えでおるのでございます。
  27. 阿部五郎

    ○阿部委員 もう一つこの委員会の最初のときから、農地の用途転換の基準をお定めになるというようなお話がありましたが、それはいつごろ定めるのでありますか。それからそれはどういう形式で、たとえば農林省令を出されるのであるか、単なる告示でございますか、どんな形をお考えになっておりますか。
  28. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 約三百万円余の予算を計上いたしまして農地の転用基準を作ろうという計画を持っておるわけでございます。これを作成しで公けにして実行に移そうという時期は、四月以降新年度のできるだけ早い時期と思っておりますが、目下研究をいたしておるわけでございます。その内容は、私どもは当初全国的に適用になるものを一挙に作りたいと思っておりましたが、予算の制約もございましたので、約三カ年においてやっていこう、それから三十二年度におきましては、各都道府県の一県当り三都市くらいをねらいまして、都市の周辺から都会地、他産業の鉱工業生産地域、蔬菜供給地、住宅地、純農業地域とかということを中心にいたしまして、県ごとに立てていきたい。従来は農地を他に転用したいと思う方々が個々のケースに一年中ばらばら申請があるわけであります。従いまして農地を維持するとか農地を造成するとかということと、農地がつぶれていくということと、また農地がつぶれる場所がどうしてもつぶれなければならぬならば、農地として最もいいところが残って、生産力の低いところや、また数年たてばどうしても工業地、域か住宅地域になる、民生上どうしてもそう考えなければならぬということと関係なしにつぶしたいという人の懇意と申しますか、勝手な経済上その他の利益からするもので、時期においても場所においてもばらばらと出てきますから、これをあらかじめ予定しまして、公益上どうしても必要なもの、国民生活上どうしても必要なものを中心にして、適した地域——農業を守る意味でも適した地域へ転用する、こういう基準を作りたいと思っておるのであまりす。その運用は農地法の現行規定に従いまして農地の移動とともに農地の転廃用は知事の許可が要るわけであります。相当規模になりますと、農林省の承認を得て、あとで知事の許可になるわけでありまして、その許可の基準にいたしたいと思っておるわけでございます。これの編成は全国に一定の考え方を統一して行われる要があると思うのでありますが、許可の基準でございますから目下のところでは農林省から知事に向います通産でいいんじゃないかと思っております。必要に応じましては公けに告示するのが適当な場合もあるかと思います。これによりましてあるいは土在改良工事、道路工事その他の公共事業に対応しましたり、首都建設計画に対応しましたり、産業都市計画に対応しましたり、そういうふうにまたその基準をもっては一年中ばらばら許可しないで、耕作の状況に応じまして一年に二回、せいぜい三回とかというときだけに許可するようにしたらいかがかと研究いたしております。
  29. 石田宥全

    石田(宥)委員 先ほどの局長答弁によりまして、従来の開拓地に対しても家畜の導入あるいは耕地面積規模の拡大、その他いろいろな施設についての融資または補助等についての数字が示されたのでありますが、その考え方、その方向はよろしいと思うのでありますが、問題はその資金のワクの問題で私は一つけたが違うのじゃないかと思うのです。考え方はいいけれども箱庭的の考え方であって、きわめて小部分についてならばさっきおっしゃった数字でけっこうなんですけれども、全国にこれを当てはめるということになると、スズメの涙のようなものになってしまって、全く申しわけに終り、事実上もう奪い合いになって、どこもかしこも何にもならなくなってしまうおそれがあるのです。だからさっき私が承わったように、あなた方これを担当しておられる責任者とすれば、こんなことでやれるとはお考えにならないと思うのです。それは財政の都合かなんかで大蔵省あたりにだいぶ圧迫をされて、やむを得ずそんなところに落ちついたのではないかと思うのですけれども、そういうふうになりますと、わずかな目くされ金で妥協するようなことは私はいかぬと思う。どうしてもこれはやはり根本的に建て直すというあなた方本来の考え方に立ってもっと強硬に——これは国策全体の上から見ても非常に大きな問題でありますから、ぜひ一つ考え直していただきたい。振興法についてもあるいは融資保証の増額の問題等についても、われわれは十分検討を加え、できるならば相当な修正もいたしたいと考えております。なお振興法法案内容についての質疑は後に回しまして、今阿部委員から問題が提起されました転用基準の問題について答弁があったわけでありますが、特に開拓地についてはこういう問題があるのです。開拓適地としてすでに政府が買い上げをした、あるいは買い上げの対象になっておる。買い上げをやってしまえば問題は起らないのですけれども、対象として予定しておる買い上げの予定地に対して、森林組合等が植林の補助金もあるわけでありますから造林計画を立てる。そうすると造林計画の方が優先いたしまして、開拓地の方は買い上げがストップになってしまう。そうなると開拓関係が挫折してしまうわけですね。これは至るところに散見するわけでありますが、農地局と林野庁との間にこういう問題について何か話し合いがありましたか、あるいはこれはどうしても造林計画を優先させるということになりますと、開拓予定地というものは、このごろでは地主団体等の策動などもあって、ほとんど挫折しているような状況なんですが、農地局としてはこれはやはり開拓中心に取り扱わなければならない問題でありまするし、林野庁に対しては、いたずらに造林計画を立てて買い上げを免がれるというような謀略的な措置については、やはり何らか適切な措置を講ずる必要があると思うのでありますが、局長のお考えはどうですか。
  30. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 この問題は、林野庁長官と私が農地局に行きました以降でもかなりよく意思を疎通させるように話しておりますが、現在林野庁の国有林、民有林を通じました行政の基準は、森林計画として現われておるわけであります。森林計画の中にはいろいろなものがございますが、全国の各地区につきまして五分の一ずつ年間にやっていく計画になっております五年計画が終って、次の五年計画になっておるのであります。特に平地林等につきまして、農地法開拓適地としての基準そのものが当てはまる場合におきましては、国有林は積極的に協力していただく、民有林も、森林計画上においては農耕地または農耕用の適地、開拓予定地との関係を調整して、農地局計画が立ちましたものについては森林計画上においても調整をはかってもらう、こういうことにいたしておるのであります。ただ適地として条件を備えておりますものでも、これを買収する特別会計予算等の組み方もございまして、またその特別会計に盛っておる現在の管理面積と申しますか、まだ未配分で盛っておる面積もございまして、ここ数カ年の五千戸新規入植というような規模におきましては、三年分くらい実はあるのでございます。しかし三十二年度も勢いを弱めないでほぼ同様の規模の未墾地を買収する、こういう予算を立てておるわけでございまして、その予算について買収し得るところは農地法という非常に強い法律もございますから、農耕用以外の土地の所有者の所有権をあまり侵したり、財産権を侵害するような形もいかがかと思いますが、公益上必要な場合としては、調整をとって十分に農耕地開拓予定地の確保をはかりたい、こういうふうに思っております。
  31. 石田宥全

    石田(宥)委員 この問題はやはり今後相当問題があるわけでありますが、今の局長答弁によると、買い上げについて相当考えておるということでありますが、予算の面では前年度より一千二百万円ほどむしろ減額されておるのです。これはどういうわけなんですか。
  32. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 これは先ほど申し上げましたように、政府がすでに買い上げをいたしましてまだ開拓者用に配分していない土地、これが相当ございます。それは地区計画が立っておるものもあって、これから開拓者用として使うものと地区計画をこれから立てて使おうというものと両方ございまして、その関係一つ、もう一つは、開拓関係の実情に応じまして、三十二年度は既入植者営農振興をはかることに一つ重点を置きまして、新規開拓入植者を新しい開拓地入植していただくことについては、先ほど御指摘もあり、私も申し上げましたように、営農類型根本的な改訂とか、これに照応します補助融資やり方等をここ半年、一年で一つ完成してみたい。従いまして、三十二年度に入植される方についての計画予定は四千戸くらいにしたい。去年は五千戸でございました。だから千戸減りますから、御指摘の予算がそのくらい減っても適地の確保としては支障はないし、三十三年以降においてしっかり新規開拓政策を立ててやっていこうという上において、そうした方がいいじゃないか、こう思ったのであります。しかし四千戸と概算しましたもの、どうしても開拓者として入植していただかなければならぬ人はほぼ予定があるわけであります。どういう方々かと申しますと、農業用水利上必要なダムを作る、そうすると水没農家ができますから、農家であられる方はなるべく他の地域に移転されても農家として精進していただきたい、その経営規模も拡大していただきたい、その他もし開墾等の場合は計画がございます。これは干拓においてもございますが、それらの者を中心にしまして、具体的に開拓者として入植していただく、あるいはその農家が他の土地へ移って営農していただく、こういうお方々の目算が約四千あるわけであります。それにとどめまして新規開拓を一応やろう、こういうふうに思ったわけであります。
  33. 石田宥全

    石田(宥)委員 予算が減った理由は今承わったのでありまして、適地確保については支障がないという答弁でありますが、最近地主団体が非常に活発な動きを始めまして以来、至るところにおいて開墾適地の買い上げがストップさせられておる現状です。これは局長よく御存じだと思いますから詳しいことは省略いたしますが、なお同時に、やはり開墾適地であって、政府が買い上げをしてあるものであってもこれの売り渡しをしない、しかもそれには地主の策動があってできない。これは県の段階ではどこの県でもかなり露骨な陳情合戦になっております。これはやはり地主の政治力が県当局を圧迫して支障を起しておるのであります。これについてはまた別の機会によく検討しなければならないと思いますが、少くとも農地局としては、地主団体の動き等に左右されて開墾適地の買い上げをしない、あるいは売り渡しをしないというようなことのないようにしていただきたい。これは私具体的な例をたくさん知っております。知っておるけれども申し上げませんが、そこでさっき阿部委員の指摘された転用基準の問題です。これは局長からもいろいろ御答弁がありまして、どういう手続によってどういう規準をきめるかということについての抽象的な御見解を承わったわけでありますが、現在の状態でありますと、農地にしておくよりは工場敷地にした方が数十倍高く売れる、しかるに、さっきやはり局長答弁の中にもありましたように、首都圏整備法との関係、都市計画法との関係、住宅公団法との関係というような関係がございまして、どんどんと耕地がつぶされていく。農業それ自体の本質的な弱体性と申しますか、後進性と申しますか、いかなることに使っても農業に使うよりは経済効率が高い、これはもう御承知の通りなんです。そういたしますと今後、今申し上げました他の法律との関係のもとに、無限に耕地はつぶされていくわけであります。従ってこの関係について、この転用基準の設定というものは、私は農地法を守っていく上において、自作農主義の建前に立つ日本農地制度の制度そのものについての非常に重要な問題であると思いますので、これはさっき非常に抽象的な手続上の問題だけを承わったのでありますが、これを工場敷地にした場合、宅地にした場合に二十倍にも三十倍にも売却もでき、転用ができるという場合に、一体どういう措置でそれを阻止して、耕地としてこれを守っていけるとお考えになっておりますか、この点だけを一つ承わっておきたい。
  34. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 結論的に要約して申しますと、農地法という法律の運用を適正に強力にするほか今は方法がございません。またこれを適正に運用し得る力といたしましては、農業委員会農業会議その他農民組合等の御協力や、法運用の基盤となる世論というものの御協力をお願いしたいと思います。私どもは、新年度に対処しましては——農地が他の用途に転用される場合には、積極的に農家の方から転用して売りたい、こういう事例も相当出ております。農業委員のお力も、言葉が適当でないかもしれませんが、そのあっせんをされる場合すらたまに耳にするのであります。そこで実はその差金を政府において徴収したいという考えを出しましたが、法的な研究を進めて参りますと、憲法の建前からいたしまして、税のような手段でないとなかなかむずかしいということが生じてきました。私ども農林省であり、農業政策上からこの措置をとりたいと思いましたので、新規農地造成あるいは農地の絶対的な確保ということと農地がつぶれていくということに一つの関連を持ちまして、その差益金を徴収するということが行われた場合でも、農地造成に使いたい、あるいは土地改良に使いたいと考えたのであります。そうしますると目的税のようなことになりまして、遺憾なことでございますが、三十二年度と申しますか、この国会には政府の意思を統一してこれを具体案として御審議いただく段階には至りませんでした。  なおまた先ほどもお話が出ました、地主団体がこれらの措置を利用して、その財源にしようというような意見を出されたことも聞きまして、なお慎重に事をかまえるべきだ、こう思いまして、今回はそのような考えを一応出さないことにいたしました。
  35. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連。今の問題についてちょっとお尋ねしますが、住宅公団ができて、住宅なり宅地なりの団地造成が盛んに進められ、そのために農地が盛んに転用されているわけです。この住宅公団法ができるときに、農地局としてはこの協議に参加したのかしないのか、この点からまず伺いたい。時間がありませんから、参加したかしないか、簡単に伺いたい。
  36. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 相談を受けまして、農地法の適用を受けるようにいたしました。
  37. 小川豊明

    小川(豊)委員 住宅公団ができるととここに区画整理が行われ、土地の減歩が行われる。この土地の減歩に対しては、農民の所有土地から三割四分七厘というものを減歩して無償で公団の方へ出さなければならない。こういうことになると、たとえば一町歩持っている所有者なら、三反四畝幾らというものは無償で提供しなければならない、こういうことになるわけです。これは一体協議を受けた農地局として、何の根拠で、農民が三割四分七厘というものを住宅公団の区画整理によって減歩しなければならないか、農民のために農地を守るという農地法の建前からいってもこれはおかしい。どういう根拠で三割四分七厘という、あなたの方で協議を受けたとすれば、そういう線が出たのですか。
  38. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 過般建設委員会で管理部長をして答えてもらいましたこともございまして、管理部長からお答えさしていただきたいと思います。
  39. 立川宗保

    ○立川説明員 日本住宅公団が宅地を造成いたしますためにいろいろ仕事をすることができるということは、日本住宅公団法の規定するところでございます。そこでどういうところを宅地にするかということは、その土地がかりに農地であります場合には、その農地を改廃をして宅地にすることが適当であるかどうかという見地において、農林省が参画をいたしまして、農林大臣の許可がなければその日本住宅公団といえども農地を転じて宅地にするわけには参りません。しかしながら日本住宅公団は宅地を造成して家を建てて住宅政策を遂行する機関でございますから、ここは宅地とすることが適当であるというところになると、そこについて区画整理をやる、区画整理事業をやるについては区画整理法に基きましてこの仕事をやるわけでありまして、その区画整理法には道路、水路その他の必要な土地関係者から供出をしてもらいまして、その土地が道路とか水路とかがついたりっぱな土地になると、非常に便利ないい土地になる、こういうわけでありますので、その関係の人々からそれぞれの土地を供出してもらってその財源に充てる、こういう規定がございますので、その区画整理法の規定によってただいま御指摘の減歩ということが行われる次第でございます。
  40. 小川豊明

    小川(豊)委員 さっき言ったようにかりに一町歩土地を持っていた農民が三割四分七厘を無償で提供しなければならないならば、あと農業ができなくなる、支障を来たすでしょう。そうすればこの点においてはむしろ農民が非常に困却する。  それから私がこれをお聞きしたときに、三割四分七厘というのは、地価が非常に高騰するから三割四分七厘ぐらいを出しても農民は得なんだ、こういうことで三割四分七厘というものができた、こういう答弁を受けている。ところが三割四分七厘出しても、あとを売らなければ農民は利益にならない。その残った土地を六反歩なり七反歩なり耕作していれば資産税がかかるかどうか知らないが、そういう税金が上るだけで、土地を売らなかったならば利益にならない。従ってその地域の農民は全部土地を売り払ってよそに行く、離農するということが前提になって三割四分七厘というものはきめられているのじゃないですか。農地を守るどころではなくて、このことによって農地が壊滅していく、農民が離散していかなければならないということがこの住宅、公団法の中には当然出てくる。従ってこの三割四分七厘を農民から提供させるということは、一体どこに根拠があるか、農民はこの点において利益を得る立場に立ちますか。逆に私は被害者の立場に立つのではないか、こういうふうに考える。こういう住宅公団法ができる場合に、あなたの方は協議に参加したとすれば、この三割四分七厘という規定は一体どこから割り出したのか、あなたの方で適当と認めたから三割四分七厘の減歩というものを協議に参加して賛成しているのでしょう。農地を提供させるときに、三割四分七厘というのはどういう根拠に基いて出ているのです。
  41. 立川宗保

    ○立川説明員 減歩の規定のもとであります区画整理法は日本住宅公団法ができます以前にすでに成立してございました。そこですでにあった区画整理法の規定として今の減歩ということが出て参るのでございまして、日本住宅公団法を作る際にはすでにそれが前提になってございましたので、その点についてはすでに成立をしておりました法律でございますから、特別にこれが根本的にいかぬとかよろしいとかいう論議はいたさなかった次第でございます。  そこでただいまお話がございました日本住宅公団が主体の場合にも、あるいは地方公共団体が主体の場合にも、都市の区画整理が行われます。その際の減歩の問題は、区画整理法の考え方といたしましては、一つには道路、水路その他の土地が要りますから、その土地を提供するという趣旨が一つと、もう一つはただいま御指摘のございました、その土地が宅地になりますので宅地価格が上昇するという意味で経済的にうらはらになる、こういう意味で減歩の規定があると存じます。そこで今お話しのように、農業を続けていこうという人の問題になって参るわけであります。この区画整理をいたします場合にも、農民は大体の場合にやはり二つの考え方に分れまして、ある方々土地の値上りを待って処分する、こういう考え方の方が一つ、もう一つお話しのようにその土地を従前通り経営して農業経営を続けよう、こういう人でございます。この農業経営を続けるという人の処置の問題については、先般も小川先生から建設委員会で問題になすってその際に議論がでたことでございますが、日本住宅公団が特定の土地について、区画整理をする。で、その土地について従来通り農業経営を続けようという農民については、経営面積が減りますと、従来の経営規模が減少いたしますので、その方々が従来の経営規模を維持しようとするならば、住宅公団でありますとかあるいは都道府県でありますとか、そういう機関でそれにかわるべき土地をあっせんいたしまして、従来の経営規模を維持するということを前提にしましてその区画整理をする。経営規模をただ縮小しっ放しではよろしくない、こういう考え方で取り進めているわけでございます。
  42. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は住宅公団の措置は住宅公団の措置として、面積が減少するから、その分のかえ地を見つけてやるということは総裁から聞いておる。そのことは住宅公団が責任を持ってやるべきことで、別にあなたの方からその答弁は必要ない。ただ、区画整理法は前にできているのだけれども、住宅公団法ができて、これに区画整理法が適用されて、農民が三割四分七厘を無償で提供されなければならないような事態が起ってくることはわかっていたはずです。従って住宅公団法ができるときに、農地に対してはこの点について特別の措置をどうして講じなかったかということを私はあなたの方に聞きたい。区画整理法が前にあるのだから仕方がないということでなしに、この住宅公団法ができるときに協議に参加したならば、こういう農民に痛手を与えることについて、なぜ特別の措置を講じなかったかということです。
  43. 立川宗保

    ○立川説明員 これは区画整理法自体が減少ということを問題にしておりますので、広く日本住宅公団に関係をする土地であるといなとを問わず、区画整理自身の問題かと存じます。そこで区画整理法それ自身の問題といたしましては、農地に関与する区画整理をいたします場合には、その区画整理事業の施行者は農業委員会の意見を聴取をいたしまして、地元の農民の意見を聞いて、その意見を十分に尊重をして事業を行うということを前提にしておるのでございます。そもそも区画整理をやる際に、一切農地について減歩をしてはならぬというような処置はちょっとできかねるかと思いまして、区画整理法自身の場合には農民との意思疎通を十分にやって区画整理を施行するということにいたしておる次第でございます。
  44. 小川豊明

    小川(豊)委員 この問題は、私は現地について調べますと、たとえば三十万坪なら三十万坪あった。その三十万坪に対して、その地域に居住する人でない地主が、山林や原野等を持っておる面積、それからその中に居住する農民、こういう点から言ってよそに居住しておる者は別に被害を受けるわけじゃない。三割四分七厘出しても地価が上るから、これはいいでしょう。そういうことから人員では多数が賛成した、こう言っておるけれども、面積でいくと、これは三割か四割しか賛成してない。ただその地域外の人で持っておる者は賛成するから、そういうことで多数の人が賛成したというのでもって強行しておる。この点農民のために農地を守る手段をもっと講じなければならぬ。この問題はまた建設委員会でお尋ねすることにします。  次にもう一点お尋ねしたいのは、千葉県——千葉県ばかりでないと思いますが、千葉県では砂鉄がたくさん採取されておる。砂鉄が遊休資源として採取されていくことはいいが、砂鉄を取るがために、当然農地がつぶされていく。ところが砂鉄を取る方の会社は、農民に対して農地法の裏をいくというか、一作の補償料として二万円、その一作の間とれないからその借地料として一万円、三万円という金額を農民に出して反対を押えて取っておるんだそうだが、その土地は十尺も二十尺も掘ってしまうので、ほとんど農地にはとうていならない。そういう形が出てきておる。そこでさっき言ったように農地転用の問題が出てくる。ところが相当面積に対しては農林省が承認をして初めて農地の転用が認められるわけでしょう。農林省に対して農地の転用届は何も出ていないで、そういうことで農地がどんどん壊滅していくことに対して、あなたの方では農地法の立場からどういう措置を講じておるか。
  45. 立川宗保

    ○立川説明員 具体問題でございますから便宜私から……。  千葉県の砂鉄を採取をいたします会社がございまして、今お話のように畑の下で砂鉄をとるという問題がございます。これはまさに農地の形状変更をいたすのでありますから、農地法の許可を要するわけでございます。その点について、関係農民の間にも、関係の鉱業権者の間にも誤解があったようでありまして、どうせまた取り戻して農地にするのでありますから、農地法の許可は要らぬというふうに解釈をしておったようであります。これはかりに戻すにいたしましても、一時的にいたしましても、農地の形状変更をする以上は、農地法の許可が要りますので、農地法の許可を得なければなりません。私どもはその事態を承知いたしましたので、さっそく関係者に対しまして、これは成規の手続をとらなければ農地法違反として処分するほかはないということを通告いたしまして、ただいますみやかに手続をとっておるようであります。私の方はそれについて十分厳重な審査をいたしまして、適当な条件のもとに許可すべきものならば許可する、許可すべきでないものなら許可しないということを書類の提出を待っていたそうというふうに考えております。
  46. 小川豊明

    小川(豊)委員 許可すべきものならするし、すべきものでないならしない、これは当りまえなのです。農地法違反を現にやっておるんでしょう。やっておる農地法違反に対して、農地局としてはどういう措置をとるか。農地法違反だということはわかっておるが、どんどん掘って仕事は進めていく。従って一カ月に何町歩かは壊滅していく。それに対してどういう措置をとるか。それからその問題にいくべきです。それをほうっておいて、そして調査して許可すべきものなら許可する、許可すべきものでないなら許可しないといったら、どんどんだめになってしまいます。今直ちにどういう措置をとるかお尋ねするのです。農地法違反は明らかだ。違反なら違反でないように転用願いを出させようとしているのか、それとも中止させていこうとするのか、どちらをとりますか。
  47. 立川宗保

    ○立川説明員 農地法の許可を要することを通告いたしまして、仕事を継続しようとするならば手続をとった上でおやりなさいということを、関係者である農民にも関係鉱業権者にも通告をいたしております。
  48. 小川豊明

    小川(豊)委員 手続をとった上でおやりなさいというのは、手続をとるのに一年かかろうと三年かかろうとも手続をとっている間はやることを認めるのですか。とめてから手続をとらしたらよいではないか。とめもせずに手続をとるといっても手続はいつとられるかわからない。その点はどうですか。
  49. 安田善一郎

    安田(善)政府委員 管理部長がお答え申し上げました処置は、農民を含めて一応犯意がなさそうだ、そうして農民の同意を砂鉄業者が得られてやられているから以上のような処置をとったと思います。農地法の許可を要することは当然でございますから、以上のような警告を発しましたが、警告を発しました以後事業をそのまま継続すれば停止をさせる措置を至急とります。
  50. 小枝一雄

    ○小枝委員長 暫時休憩いたします。午後は二時から質疑を続行いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかった〕