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1957-03-12 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十二日(火曜日)     午前十一時八分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君    理事 田口長治郎君 理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    安藤  覺君       五十嵐吉藏君    石坂  繁君       大石 武一君    大野 市郎君       川村善八郎君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    永山 忠則君       原  捨思君    松浦 東介君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       石田 宥全君    石山 權作君       稲富 稜人君    川俣 清音君       楯 兼次郎君    中村 英男君       細田 綱吉君    山田 長司君  出席政府委員         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局金         融課長)    和田 正明君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    諫山 忠幸君         農林漁業金融公         庫総裁     山添 利作君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月八日  委員安藤覺辞任につき、その補欠として加藤  常太郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤常太郎辞任につき、その補欠として  安藤覺君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員淡谷悠藏君及び中村英男辞任につき、そ  の補欠として石山權作君及び山崎始男君が議長  の指名委員に選任された。 同月十一日  委員安藤覺君及び白浜仁吉辞任につき、その  補欠として仲川房次郎君及び中村三之丞君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員中村三之丞君及び仲川房次郎辞任につき、  その補欠として白浜仁吉君及び安藤覺君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日  委員楯次郎君、日野吉夫君及び山崎始男君辞  任につき、その補欠として松岡駒吉君、川俣清  音君及び中村英男君が議長指名委員に選任  された。 同日  白浜仁吉君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月八日  韓国抑留船員救済等に関する請願白浜仁吉  君外三名紹介)(第一九四三号)  同(赤路友藏紹介)(第一九七九号)  同(有馬輝武紹介)(第一九八〇号)  同(今澄勇紹介)(第一九八一号)  同外一件(田中龍夫紹介)(第二〇〇八号)  栃木県立農業試験場南河内分場ビール麦育種  試験地併設請願小平久雄紹介)(第一九  四八号)  農業共済制度改正に関する請願高橋禎一君紹  介)(第一九九一号)  真珠区画漁業権改正に関する請願潰地文平君  紹介)(第一九九二号)  の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  昭和三十一年の災害による被害農家に対する米  穀の売渡特例に関する法律案笹山茂太郎君  外七名提出、第二十五回国会衆法第八号)  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第八号)  天災による被害農林漁業者等に対する資金の融  通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一八号)     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  第二十五回国会より継続審査になっております笹山茂太郎君外七名提出昭和三十一年の災害による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案議題といたし審査に入ります。  本案は前国会において趣旨説明を聴取し、その内容につきましては、すでに各位のよく御承知のところと存じますので、この際趣旨説明の聴取は省略し、直ちに質疑に入りたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、質疑に入ります。
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 質疑はありませんか。質疑がなければ、本案予算を伴う法律案でありますので、この際国会法の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることにいたします。業務第一部長
  5. 諫山忠幸

    諫山説明員 米の安売りの問題に関しましては、御趣旨に沿うように努力いたして参りたいと考えておりますが、ことしの災害は特に北海道において激甚でございます。内地においてはそう大した被害が見られないという点もございますので、どういう府県に適用していくかということを考えて参りたい。  なおもう一点、現在の配給制度は、従来の安売りをした時代に比べて、希望配給というような別な配給も出ておりますし、外米についてはほぼ統制を解除して無制限な配給をいたしておりますので、全配給を合しますと三十数日の配給になっておるわけであります。そこでどういうものを対象にして安売りをするかという点に関しては、今後十分財政当局と協議をいたしまして決定して参りたいと考えております。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの第一部長の御意見政府意見を代表したものですか。この法律案に対して賛否を明らかにしてもらえばいいのです。あなたの意見を聞いていると賛成だか反対だかわからぬのですが、政府としてこの議員立法賛成であるか反対であるかを具体的に述べられたらいいのです。
  7. 諫山忠幸

    諫山説明員 御趣旨賛成なのでございますが、具体的な実施の面について政府として確定した意見を持っておりませんので、今後そういう面を検討いたして参りたいと考えております。
  8. 小枝一雄

    小枝委員長 次に討論に入ります。討論はありませんか。——なければ直ちに採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。   〔総員起立
  9. 小枝一雄

    小枝委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。  この際、笹山繁太郎君より本案に対し附帯決議をいたしたい旨の申し出があります。これを許します。笹山繁太郎君。
  10. 笹山茂太郎

    笹山委員 今回決定を見ました昭和三十一年の災害による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案についてでございますが、これはもともと北海道等の冷害、水害等を受けた被害農家に対する救済の法案でございまして、前国会において至急成立を予定しておったのでございますが、国会末期のあの状態によって継続審議になり、予定よりも相当おくれて施行されることになったのでございます。従いまして、これらの被害農家の状況を見ますと、端境期を控えてだんだん手持ち米が少くなり、困窮の度もいよいよ激しくなる状態でありますので、これを補うためにこの際附帯決議をつけたいと思うのでございます。  案文を読み上げます。    昭和三十一年の災害による被害農家に対する米穀売渡特例に関する法律案に対する付帯決議   本法成立が遅延した事情にかんがみ、政府は、本法の施行の日から昭和三十二年十月末日迄の間、被害農家に対し、現行の特配分のほか、月四日分に相当する準内地米配給ができるよう措置すべきである。  この点についてお諮りを願いたいと思います。
  11. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま笹山繁太郎君より提案されました附帯決議を付するに賛成諸君起立を求めます。    〔総員起立
  12. 小枝一雄

    小枝委員長 起立総員。よって笹山繁太郎提出附帯決議を付するに決しました。  なお、本案に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  14. 小枝一雄

    小枝委員長 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正法律案議題といたし、審査を進めます。なお、天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案農林漁業金融公庫法の一部改正法律案と関連いたしますので一括議題となし、審査を進めます。質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。赤路委員
  15. 赤路友藏

    赤路委員 農林漁業金融公庫法一部改正に関連して、公庫総裁にお尋ねしたいと思います。昨年度政府出資金が非常に少額であったために公庫運営に苦労されて、そのことが今の業務委託手数料引き下げというような形になって現われたと思うのであります。本年度政府出資金が六十億増になっておるのでありますが、本年度公庫運営の見通しと申しますか、そうしたものに対して概略御説明願いたいと思います。
  16. 山添利作

    山添説明員 御承知のように、三十一年度及び三十年度出資がそれぞれ十億円でございました。本年度産業投資特別会計を通じまして七十億円の出資を得られました。このことは大へん喜んでおるわけでございますけれども、しかし、公庫全体の採算という点から見ますと、これは私どもの必要と認め、もしくは希望しておるところからははなはだ遠いのでございます。と申しますことは、結局その年度における収支のバランスということでございますればこれは何ら差しつかえございませんけれども貸付の中にはどうしても回収不能のものが生じ得るのでございまして、それに対する引き当てをいたしておかなければならぬのでありますが、これに対する備えが現在の七十億の出資でははなはだ心もとない。これは予算的に申しますと、三十二年度においてそのような消却引き当てに当て得る見込みは四千六百四十六万円でございまして、これは予算上の見込みでございます。ところが実際問題といたしましては、毎年確実に消却しなければならぬものは少いのでございますけれども、六カ月以上の延滞になりますものがやはり年に三億程度あるわけでございます。もっともその三億はまるまる回収不能になるというわけではございません。これは将来その半分以上はむろん回収できるものと思いますけれども、そういう状態でございますので、これに対する備えをする必要があると考えております。そういう点から見ますと、四千六百万円の予算上の消却引当金に当て得る額ということでは、私どもとして非常に不安があるわけであります。従って出資としましては、ことしのことはきめましたのでありますけれども、将来におきまして、運用しまする資金のうちにおける無利子出資総額の割合をふやしていただきたいということを強く考えておるのであります。
  17. 赤路友藏

    赤路委員 政府の方へお尋ねしますが、今総裁から御説明のあった通りであります。三十二年度資金計画を見て参りますと、政府出資金が大体五百七十億、借入金の方が六百四十七億ということになっておるわけです。政府金融機関としての性格から考えた場合、当然今申し上げたような出資金借入金バランスは逆にならなければならぬじゃないかと考える。この点について政府としてはどういうようなお考えをお持ちでありますか。
  18. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御承知のように公庫貸付対象公庫法できめられておりまして、それに対する貸付利率もそれぞれきまっております。これらと累年の業種別対象別貸付額をにらみ合せまして公庫の経営が成り立っていくように、無利子の金と有利子借入金とのバランスをとっていかなければならない。これが原則であります。たまたま予算の都合上三十一、三十年度は無利子の金が非常に圧縮され、先ほど総裁からお話がありましたように、公庫の経理上貸し倒れ準備金、そちらのものを食うことによってまかなってきておるのであります。これは公庫の健全なる運営上おもしろくないというので、三十二年度予算には無利子財源増加を要求して七十億は認められたのであります。私どもの方では、農林漁業金融本質から見まして、必ずしも現在の貸付利率で満足できないじゃないか、そういう点もありまして、それらとただいまの公庫営業年度がだんだん進むにつれての貸し倒れ準備金との関係等考えまして、三十二年度にはちょうどこれらの倍くらいの額、百四十億あまりを要求したのであります。総額の査定、財源の分配との関係で七十億に落ちついたような関係になっております。将来はそういう点を考えまして貸し倒れ準備金、それからできるだけこの農林漁業金融の低金利をはかるという趣旨から無利子資金増加に努めたいと考えております。
  19. 赤路友藏

    赤路委員 今局長の方からいろいろ御答弁があったのですが、要するに公庫の正常な運営をはかるためにはここで一そうの努力当局としてはやってもらわなければならない。今の御答弁努力するとおっしゃるので、これは言うだけでなしに、ほんとうにやっていただきたい。それからこれを見てみますと、産業投資出資金がございますね。それから一面産業投資借入金と、産業投資分が二様になっておるのですが、この理由はどういうわけですか。
  20. 山添利作

    山添説明員 これは産業投資特別会計からは出資を受けてもよし、借り入れてもよし、結局産業投資特別会計から借りましたのは二十七年度三十億円。それを少しずつ返しまして、現在二十六億円残っておる、こういうわけであります。
  21. 赤路友藏

    赤路委員 本年度のものは、この資金計画によりますと七十億円の出資金になっておるわけですね。この七十億は産業投資特別会計からの出資金ですね。そうすると借入金というのは、今の総裁お話のように、以前に借り入れられておったもの、それがそのまま残っておる。これが二様にこのまま現存されておる理由は一体どういうわけですか。
  22. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは今お話がありましたように二十七年度資金計画といたしまして、そのときは三百二十五億円の資金で、そのうち一般会計から六十五億、資金運用部から百十億、産業投資特別会計から三十億、そのときにその産投会計から借り入れをやったのであります。そのときは一般会計のものが多かったから、産業投資特別会計のものは借り入れであった、こういうことになっておりまして、単に資金繰りの関係であります。その残がただいま総裁からお話がありましたように産投借入残として残っておるわけであります。私の方としてはこれはできるだけ無利子の金の方に振りかえる努力は今後しなければならぬ、こういうふうに考えます。
  23. 赤路友藏

    赤路委員 今最後に局長は、産業投資特別会計からの借入金、これを無利子なものにするように努力をしなければならぬということは、出資に振りかえる、そう私は理解しておりますが、これは今までずっと利子として支払われてきておった。貸借対照表ではこのものは約二十四億ということになっておりますね。従って二十七年度三十億投資されたとすると、利子等で六億支払われておる。こういう計算になりましょう。こういうことがやはり公庫自体運営に非常に支障を来たしておるのではないか。他の公庫の方を見てみますと、産業投資というのはほとんどが出資になっておるわけですね。従ってこの公庫の場合においても、これはすみやかに政府出資の方に切りかえるべきだと思います。これは絶対一つ努力していただきたいと思うのです。  それから今簡易保険郵便年金それから今の産業投資からの借入金、これらはそれぞれ金利が違いますか、金利はどういうふうになっていますか。
  24. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 同じであります。
  25. 赤路友藏

    赤路委員 何ぼですか。
  26. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 六分五厘です。これはちょっと補足説明いたしますが、一時なるべく資金運用部はほかの方で、農林省の方の関係政府資金簡易保険郵便年金からというふうに便宜上の仕訳を作っておったのであります。ですからどちらで借りようと同じ金である、こういうわけであります。
  27. 赤路友藏

    赤路委員 金利が六分五厘、そうすると公庫貸し出しの方では災害融資その他の場合、これによりますと年利四分、五分というのがある。そうなってくるとこれは逆ざやということになる、これは一つ負担になると私は思うわけなのです。そうなって参りますと、一番必要だと思われる災害融資等は、金融機関としての立場からいくと、やはり融資をする場合はともすると利回りのいい方へ出したがる、逆ざやという形になって出て参りますから、やはりこれが抑制されてくるという結果が招来されると思うのです。だからそれを六分五厘で金を借りて、それから四分や五分のものをどんどん出しておったのでは、これは公庫はお手あげなんだ、従ってその方はできるだけ押えて利回りのいい七分とか七分五厘とかと・いう形の方面へどうしても融資が流れがちになる。これは何と理屈をつけてみても、実際上運営の衝に当るとそういう形にならざるを得ないと思う。こういう面を考慮に入れた場合、この金利引き下げということを考えなければならぬということが一点と、それから先ほど申しましたように、できるだけ借入金出資金の現在のバランスを逆にしていく、そうしませんとほんとう政府金融機関としての性格というものがぼけてくるのじゃないか、もう普通の金融ベースに乗せてやるというなら、何も政府金融機関を作る必要はないのだ、これは一般市中銀行にまかせておけばいいわけなのだ。やはり政府金融機関を作るということは、それはそれなりの一つ使命がある、その使命を達成さすように政府努力しなければいけない、この点どうお考えになりますか。
  28. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話のように公庫資金融通は政策的なものでありますから、御心配のような利子収入の多い対象興味を持つということはあり得べからざることである、こういうふうに考えております。しかし何といいますか、人間の本質からやはり勘定してみると、少しでも利益の多いところに興味を持つということも、争えない事実であります。私の方では一応貸付対象ワクにつきまして、各原局意見を十分聞きまして、現在までのところは各原局ワクの要求につきまして、当初の資金額が小さいときに比べまして抑圧は加えておりません。従いまして御心配のような点はないと思いますが、なおその点は今後とも公庫貸付運用については十分注意してやりたい、こういうように考えております。
  29. 赤路友藏

    赤路委員 だいぶ苦しい御答弁のように私は思うのですが、要はそうした面に対する親心といいますか、これは公庫運営をスムーズにやるということではないのですね、そうでなしにほんとうにこれは普通一般市中銀行たり、系統金融に乗らない、しかも行面的な面でどうしてもやらなければならない融資なんです。そういうような国民の立場の上から考えた場合、これに対する今までの農林省努力というものが、やはり多少欠けておったのではないか、十分これらに留意をされて、一つ努力を願いたい、こういうふうに希望をいたします。  それからちょっと総裁にお尋ねいたしますが、開発銀行から復興金融公庫融資分肩がわりされておりますね。それの現在残高はどの程度ございますか。
  30. 山添利作

    山添説明員 開銀から引き継ぎましたものは総額二十一億円、この開銀から引き受けましたものといいますと、結局復興金融ですが、これの回収率は実はまるでだめだと思っておりましたら、必ずしもそうでないのであります。これは一つはたとえば漁船の建造などにつきましては、過去の滞りを一掃しないと新規資金が貸し出されぬ、こういうこともございます。それから塩業につきまして電気製塩をやりましたね。これが途中から占領軍の政策によりまして中止になった。これは全く大体はだめなものであります。しかしこれも昨年専売公社から一種の補償金のようなものを出しました。それが私の方の回収に入る、こういうようなこともありまして、私どもが当初考えておりましたよりも、回収成績は割にいいようであります。これはまた委託金融機関が相当熱心に回収に努めておる、こういうことにもよります。この二十一億を引き受けましたときには、約四億円は損失があるものとして、開銀から私の方が金を受け入れております。要するに二十一億円を四億円減価して評価して引き渡された。帳簿上の価格で引き受けたのでありますけれども、実際金を四億つけてきた、こういうことになっておるのであります。しかしもちろん引揚者の方々がやりました底びき網など、こういうものは返らないと思いまするし、また特別そういうものを私ども回収あまり——何といいますか、事情事情でございますから、その辺は事情考えてやりたいと思っております。塩につきましても同様であると思います。
  31. 赤路友藏

    赤路委員 その割に回収率がよかったというのはけっこうなことなのですが、二十一億引き受けられて、現在未回収のものはどの程度ございますか、
  32. 山添利作

    山添説明員 これは後ほど資料をもちましてお答えいたします。
  33. 赤路友藏

    赤路委員 これは引き受けた結果どうなっておるのですか。これは出資金になっておるわけですか、借入金ということなのですか、どちらですか。
  34. 山添利作

    山添説明員 これは大体政府の方で出資に振りかえてくれております。
  35. 赤路友藏

    赤路委員 そこで数字をお示し願わなければならぬと思うのですが、復金肩がわりをやって二十一億というものが出資になっておるわけですね。今総裁がおっしゃるように回収率が割合いい、けっこうなことなんです。これが五十でとまるか、六十でとまるかわかりません。かりに五十でとまると、やはり十億あまりというものは出資の形にはなっておるが、事実はゼロなんです。ゼロ出資ということなんです。これはおかしい。だから復金から貸し出したそのしりぬぐいをやるという格好になるわけです。これに対して、もしそういう事態が出たときに政府はどうしますか。それだけ公庫運営にしわが寄ってくると思うのです。そういう事態が出てくるのじゃないですか。
  36. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話通りになると思います。それでありますから先ほど総裁お話しいたしましたように、あらかじめ四億の償却はもらっておる。それ以上に穴があいた場合どうするかという問題だと思います。それはやはり回収進行度において政府としてそれだけのものは穴埋めする、これは当然公庫本質からそういうことをしなければならぬということになります。それによって公庫貸し出しが歪曲されるということがないように私どもとしては処置をしなければならないということであります。
  37. 赤路友藏

    赤路委員 話としてはよくわかるのですが、こうしたことも大きな圧力となっておるということは、これはいなみがたい事実だと思う。それらの点を十分考えて、これに対しては総裁ももちろんでありますが、政府の方でも十分考慮して、とにかく運営をスムーズにやる。これは何も公庫総裁がどうだとかこうだとかということではなくて、運営をスムーズにやるということは、それだけ末端が潤ってくるということですから、この点十分御留意を願いたいと思うのです。  そこでもう一点公庫にお尋ねいたしたいと思いますが、これは政府の方の意見もあわせてお聞きしたいのです。最近の公庫金融それから系統金融としての農中の金融の姿、こういうようなものを見て参りますと、ややふに落ちないような線があるわけなんです。と申しますのは、公庫と農中とで一単位に対する融資を共同で融資する。たとえば公庫の方が六十億なり七十億見る。あとは一つ農中の方で見るというような形のものが現われてきているようなんです。これは公庫金融としては正常な姿ではないように思われるわけなんです。この点に対して一つ局長総裁から御意見を伺いたいと思います。
  38. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 公庫貸し出し内規といたしましては、所要額の八割までを貸す。実際は平均いたしますと六割という内規になっておると思います。そうしますと自己負担分をどこから融資するか、こういう場合に、農中の金を一緒にほしいということになるわけであります。従いまして、原則といたしまして私の方の考えは、ことに大きい事業につきましては、自己資金三分の一、公庫三分の一、系統資金三分の一、こういうふうな指導をしてきているわけであります。すなわち出資の増なりあるいは積立金の利用による自己資金、それから残りの三分の一、それから、足りぬからどうしても外から借りたいというものは、中金なり信連から借りたらいいだろう、こういう指導をしているわけであります。それが、事業運営する上において相互牽制といいますか、慎重さを持つ上において適当であるだろう、こういう考えからやっているわけであります。従いましてお話のように公庫と農中との協調融資という姿が出てきております。これは私の方では公庫の金にあまりたより過ぎますと、何といいますか親方日の丸で経営がずさんに流れる、放漫に流れるというようなことを防止する意味におきまして、ある程度まで必要じゃなかろうかと考えているわけであります。
  39. 山添利作

    山添説明員 公庫の貸し付けます事業対象にも、御承知のようにいろいろあるわけでありまして、土地改良でありますとか、造林でありますとか、いわゆる基本的なものはもっぱら公庫資金によるのでありますけれども系統資金公庫資金とのちょうど中間に位するようなものがあるわけであります。これは農業協同組合のいわゆる共同施設、農村工業と言うと少し大きいかもしれませんが、いろいろ加工事業等をやる場合、これは本来の考え方からしますれば、かなり収益性があるべきはずの事業でございますから、事情が許せばこれは系統金融でまかなってもいいわけであります。ただ現在の金融情勢といたしまして、金利も相当高いし、また特に年限等が長いものは、系統金融では困難でございますから、そういう中間的なものにつきましては、両方の資金で協調的にやっていくという方針をとっているのであります。共同施設及び個人施設がそうでありまして、個人施設は現在は畜舎、サイロ、それから系統資金とは違いますけれども漁船なんかも、個人の船を作ります資金も、公庫としましてはそこに貸付の限度を低くいたしておりまして、実際上これは普通の金融と協調されるような形で運用いたしているのであります。そういうわけでありまして、基本的な公庫資金プロパーに当然よるべきものと、それからやや中間的なものは事情の許す範囲において、資金を協調融資の形でやっていくということをやっておるのでありまして、必ずしもその協調融資的のものは、観念論とか理論上からいたしますと御議論はあるわけでありますけれども、現在の実情としては適切な方法ではなかろうかと存じておるのであります。
  40. 赤路友藏

    赤路委員 八総裁の方からいろいろ御説明がございまして、現実の状態としてわからぬでもない。総裁もおっしゃるように、理論的にはいろいろ問題がある、これは確かにあると思う。公庫法の第一条にかなり明確にいう書かれておるわけでありまして、「農林漁業の生産力の維持増進に必要な長期且つ低利の資金で、農林中央金庫その他一般の金融機関融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こういうふうにうたっておりますから、理論的に言えばかなり明確にこれは区分されなければならぬと思う。今総裁がおっしゃったように、協調融資といいますか、たとえば中間的な存在で、主として農中が系統金融として出すべき性格のもの、これに対して公庫がバック・アップする意味で協調融資をする。こうなってくると、農中で借りたのよりも金利としては下るわけですね。これは、ダブらせて考えた場合です。ところが当然この公庫でまかなうべき性質のものを、協調融資という形になると、これは逆の場合ですが、金利が高くなるという結果を招来するわけです。ここのところはよほどそれらの線を一つ十分実質的に考えて繰作をしていただかねばならぬと思います。ただ公庫なり農中なりの立場だけからこの融資考えるのじゃなしに、貸した結果一体どうなるのだということを、やはり金融の場合は、これは政府金融機関であるだけに考えていただかなければならぬと思う。ともすると今申し上げますように、公庫で当然貸すべきものが、協調融資という面になって、逆に金利の高いものを借りなければならぬという結果のものがやはりある程度現われておる。こういう点については今後一つ十分考慮していただかなければならぬと思うわけなんです。そのことは、きょうは農中さんお見えになっておりませんが、やはり農中の金利高ということが一つ大きな原因じゃないかと思う。これは系統機関として、政府は相当これに対して発言権も持っておるわけなんです。この農中の金利高に対する詮議のしよう、これは十分なされなければならぬので、これなんかは局長、今すぐ答弁せよたってすぐには答弁できないと思いますが、大体どのようにお考えになっておりますか、何かいい方法がありますか。
  41. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 一般金利の低下に伴いまして、系統金融金利だけが高く存することは、そういう希望がありましても行われ得ないわけでございます。私の方といたしましては、系統金融金利低下について、中金を中心として早くやれということで慫慂しているわけです。中金といたしましては、貸付金の方は昨年の四月に一分下げたので、ことしの四月からまた五厘下げるということを決定いたしております。四月から実施することになっております。ところが問題になりますのは、貸付金の金利引き下げる限度は、やはり資金源のコストの問題であります。預金の金利の問題が当然出てくるわけであります。この点につきまして、現在農林中金におきまして信連あるいは金融協会そのほかの関係者と、これをいかにすべきかということをもう数回討議しておりますが、中であります。どうしても一般金利の低下に従って預金金利の問題も片づけなければならぬ、こういうのが現状であります。この点は私の方といたしましても、この金利低下の線に沿って指導していきたい、こう考えております。
  42. 赤路友藏

    赤路委員 今の最後のところが何かぼけてしまったのですが、おっしゃる通りなんです。昨年一分下げた、ことし五厘下げる、これは貸出金利を下げるのですね。ところが預金の方はそのままなんです。それでは系統機関としてはやっていけない。これは当然のことなんです。そこでこの預金の金利に対して何らかの措置をとらなければならぬという段階にきて、今討議中だ、こういうことなんですね。討議されるのはけっこうですが、あなた自身のお考えは、下げなければいかぬと思うのか、下げないで何か方法があると考えられるのか。このことは単に、農中の運営と申しますか、これだけではないのですよ。このことはやはり相当大きく農協全体のあり方に関連性を持ってくる。だから単に農中の運営という面からだけこれを取り上げたのでは、非常に視野の狭いものになる。だから農協のあり方本来の姿はどうなければならないかという観点の上に立って、大きな立場からこれを考慮していかなければならぬ、こういうふうに私は思うのですが、どう考えるか。
  43. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話通りであります。例を申し上げますと、非常に複雑な問題がある。中金自体の経営の合理化の問題、それから今の系統金融のあり方の問題。これは二十八年に災害資金を出しまして、会計検査で五百幾つやられましたところ、それと再建整備の組合と対照表を作ってみたのです。その指摘を受けた中で、営農資金を再建整備的に使っている組合が相当あるわけです。そのゆえにその組合は立ち直ったという例もあるわけです。これは現在の系統金融のあり方に対する非常に大きい示唆を含んでいるのではないかと思います。要するに貸した借りたということでただやっているだけではなしに、もう少し系統金融として、上級機関が下級機関を指導すればもっと有効に働くのではないか。こういうことを示唆しているのではないか、そういう点いろいろあるわけでありますが、それらの点について一応各方面の意見を出尽させまして、その上で私の方としましても徹底した指導をやりたいと思うので、これは御承知のように農業団体再編成のときに系統金融の問題が非常にやかましい問題になりまして、問題をそれていったような面もなきにしもあらずと思います。そういう関係もありますので、私どもの方としましては、各方面の意見、各方面のデータを寄せまして慎重にやりたい、こういうふうに考えているのであります。
  44. 赤路友藏

    赤路委員 今までの私の質問の過程を通じて御答弁願いましたことは、ほぼ私の考えていることと同意見、こういうふうに私は理解をいたします。非常にけっこうだと思いますから、あとはここで答弁のしっぱなしでなしに、それを実行化していくこと、これを私は期待いたします。
  45. 山添利作

    山添説明員 先ほどの開銀から引き継ぎました二十一億円のうち、現在残っておりますのは十五億九千万円でございます。
  46. 赤路友藏

    赤路委員 十五億九千万円と申しますと、約十六億ですね。だから残額の方がまことに大きいことになるわけです。この十六億の中で、大体どの程度回収できそうに思われますか。これはなかなかむずかしい問題ですから、確実にということはあるいはできないと思いますが、現在の状況からほぼどの程度ですか。
  47. 山添利作

    山添説明員 これはどうせいずれもみな延滞になっているものが何らかの機会に返ってくるのでありまして、今確実な見込みを立てることはできません。ただ形式論から申しますれば、先ほど四億円どうせ返らないだろうという金の見合いとして開銀から受け取っておると申しましたが、それを引きますれば、結局今後十一億返る、しかしこれはただの形式論でございまして、いずれ引き受けますときにはABCで評価をいたしまして、債権ごとにこれは幾ら返る、これは何割返る、こういうような評価をしてやったのであります。その後事情も変っていると思いまするので、これを一つ見込みとして立てます部分には、やはり一つ一つさらに詳細に当ってみませんと、自信のあることは申し上げかねるのであります。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 今はむずかしいと思いますから、これ以上はいたしません。ただ二十一億開発銀行から継承したときは二十八年です。そうすると今日まで四年ですね。四年の間に十六億といたしますと、五億回収されたということなんです。あとはまだ回収されていないのです。回収率は割合考えたよりいいと総裁はおっしゃったわけなんだが、この数字からいくとあまりいいとは言えぬと思う。四年間に二十一億の中で五億しか返ってきていない、この状態でいきますと、返る率というものは、これは内容がいろいろありますからわかりませんが、あとその端数の五億九千万円だけ返ってくれば、最上のところじゃないですか。そうすると二十一億というこの出資は、十億円は幽霊だということになる。これがそのまま大きな負担になって残るだろう、このことは言えると思う。これらの点今後十分御検討の上御善処願いたいと思います。
  49. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 一、二伺いたいのですが、ことしは去年よりだいぶ資金を増額されて、原価が三百五十億、内訳としては政府出資が七十億で、借入金資金運用部資金百八十億、回収金百億、こうなっておるのです。今お話がありましたけれども、一般の融資回収状況はどんな状況になっておりますか。これはこまかな数字でなくともよろしいのですが、その概要を一つ総裁の方から承わりたいと思います。
  50. 山添利作

    山添説明員 現在の貸付残高は千億をちょっとこす程度になっておりますけれども、御承知のように一年とか、二年とかあるいは三年とか据え置きの期間がございます。従って実際の償還期に入っておりますものは、その半分より少し少い程度でございます。これにつきまして現在延滞が起っておりますのは、これは少し数字が古うございますけれども、三十一年十一月末現在におきまして六カ月以上の延滞をいたしておりますものが、件数にして六百六十四、その延滞元金が九億四千二百万円ございます。また延滞の利息でございますが、これが五億八千一百万円、元利合計にいたしますると十五億二十四万円、こういうことになっております。これは六カ月以上、すなわち三十一年十一月末現在をもちまして六カ月以上延滞しておるものでありまして、むろんこれが全部返らぬというわけではないのでありますが、一応六カ月以上延滞しておる。これに見合うと申すとおかしいのでありますが、いわゆる貸倒準備金でございますが、これが十五億ございます。十五億ございますけれども、そのうちの四億円は、先ほど申しましたように開銀から来た部分でありまして、これを別にいたしますると十一億、こういうことになっておるわけであります。
  51. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいまの数字を承わりますと、成績がかなりいいように見受けられるのでありますが、一応償還した形になっておっても、事実上は償還が不能であって借りかえをする部分が相当あるのじゃないかと思うのです、地方の実情から。そういう数字はわかりませんか。
  52. 山添利作

    山添説明員 私の方ではそういう借りかえ資金などはむろん出しません。従ってこの数字は、かりかえ資金がどこからか供給されたということではないと思います。ただし、一つの土地改良区の継続事業には年々貸しますし、金にしるしがついていないから、そういうことがないという保証はできませんけれども、しかし私の方の貸付といたしましては、一々新しい資金需要に対して貸すのでありまして、そういう回り回って回収になるような貸付方はいたしておりません。
  53. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは地方の実情がおわかりになればはっきりするのですよ。それで最近は償還不能になってやむを得ず借りかえの措置をやっておるところが非常に多いのです。これは経済局長の方で大体そういう点お調べになっておりませんか。
  54. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方ではそういうのは調べておりません。ただいま総裁が話したような、新しく建設する場合であればはっきりわかるわけでありますが、しかし継続事業でタブってやるとか、新しくやるのだけれども、実はほかから金を借りてきて元のやつを返す財源に使うというものがあれば、これは地元では相当大きい問題というか、ほかから金を借りれば金利が高いわけですから、相当大きい負担増になるわけで、もっと正面から借りかえてくれというふうな意気込みで出てきてもいいのじゃないかと思いますが、私の方ではまだどうもよくわかりません。具体的な話を承わりまして調べてみたいと思います。
  55. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この問題は表面に現われにくい問題でございますけれども、土地改良等の場合で負担が非常に重い。地方では相当苦心をいたしまして、借りかえ借りかえでやり繰りしておる。そうしてそれにはさっき赤路委員も指摘されたように、従来の金利の問題が相当大きな負担になっておる。今現われておらないにいたしましても、こういう情勢が続きますと、やがて相当大きな問題になって現われてくるであろうということが想像されますので承わっておるわけなんで、やはりそういう面からも金利の問題については十分一つ御検討を願いたいと思います。  それからもう一つちょっと承わりたいのですが、自作農維持創設資金貸付条件の問題ですね。この前いっかこの委員会でいろいろ質問をしたことがあるんですが、金融公庫業務規程の中において、この資金貸付に当って抵当権を設定しまたは保証人をつけることができるという業務規程がある。ところがこの自作農維持創設資金の法案審議に当りまして、私どもは土地を抵当権を設定するということの条件を削除して、修正をして法案は通過させた。法案の中にはこれを抜いておるのに、業務規程のような中でその規定が入っておる。しかも現実には保証人を立てたり、さらにまた農地を担保にとったり、二重のような取扱いをやっておるのです。この業務規程について修正等されたか、あるいはまた取扱いの上においてそういう法案改正趣旨に沿う取扱いをなされておりますか。どういう処置をされておりますか。
  56. 山添利作

    山添説明員 これは私どもは、法案が修正された趣旨そのままを受けて、その通りにやっておるつもりなのであります。従って土地を抵当権に入れるなどということは、決して公庫もしくは公庫の事務を扱う機関で慫慂しているわけではございません。保証人でけっこうであります。ところが実際は、二割ばかりは土地が保証人なくして抵当権に入っております。考えてみますると、保証するというのは親戚とか特殊の関係のある人はやってくれまするけれども考え方によればちょっとめんどうな場合もあり得るのでありまして、これは私が直接聞いたわけではございませんけれども、どういうわけだろうかといえば、それは借りる人自身が、人にめんどうをかけて頼むよりも、土地を担保にして保証人なしで借りた方がいい、こういうケースもあるそうで、なるほど私もそういうこともあるだろう、かように考えておるのでありまして、決してこれは特別に担保の方が固いから担保を提供させておるというようなことはやっておりません。その事実もないと思います。
  57. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは末端に参りますと、やはりその二つを、保証人をつけたり、担保をとったりというような取扱いをやっておるのです。あるいはこれは資金ワクが少いために、申し込み者の十分の一か二十分の一くらいに減らされる、そういうようなためにやるんじゃないかということも考えられますけれども、これは私は非常に酷なやり方だと思うので、そういうことのないように、今総裁答弁されたような趣旨一つ取扱いを願いたいのです。  それから手続上の問題ですが、これも前から問題になっておりますが、若干簡素化されたようでありますけれども、この手続が非常に煩瑣であって、農民の手には負えない。だれかその専門家を雇って作文をしなければならないような実情にありますので、これはもっと一つ根本的に改正をしてもらわないといけないと思うのです。そこで一つ局長にお尋ねしたいのですが、あの手続をずっと調べてみると、どこにガンがあるかというと、これは単なる資金融通するということでなしに、こぶがついておるということです。どういうこぶであるかというと、再建計画というこぶなんです。その再建計画というものは県知事の責任においてやらせることになっておる。ですから資金融通を受ける手続そのものよりも、むしろそのこぶの方の再建計画というものが非常にむずかしいものになって、農民の手に負えないことになる。現在の社会情勢、経済情勢のもとにおいて、農民が農地を担保にしないといっても、それほどまでにむずかしい再建計画などを一体やる必要があるかどうか。事実上はこれは、かつて負債整理組合法というものがあったときに、やはり同じことをやった。しかしそんな作文をやっても、作文通り農業経営はやれるものじゃないのです。県知事が責任を負って、いろいろな指導員などが行って、数字だけは組み立てますけれども、農業経営の実態というものはそれとは全然かけ離れたものになっておる。これは農業のことを少し知っておる人ならわかるはずなんです。県としても非常に迷惑な話であり、資金融通を受ける農民からすると、非常に迷惑千万な話なんです。これは再建計画ということを取って、もっとすっきりした形で融資一本にされれば、今度は資金ワクも五十億ということになりますと、かなり潤うことになるわけなんですが、そういう点について検討を加えられておりませんか、どうですか。
  58. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 お話の点は、最初のスタートに非常に慎重を期しましたので、私も千葉県など回りましたら、改良資金が全部それにひっかかって、普通の改良資金を補給してくれといって訴えられた例もあります。そうなるとお話のようにとても大へんなことになって、農家の手には負えない。これはやはり県の指導なりあるいは慎重さから来ておるわけであります。もう三年目でありますから、思い切って簡素化するという案をやっております。これはスタートのときに少し慎重過ぎたというのを私どもの方でもよくわかっております。ただ金を借りるのでありますから、寝ておってというわけにはいきませんが、その点やはり農家の今言った保証人の問題なり担保の問題については、ある程度みんなが助け合って、それを返していけるような態勢が最低限必要で、そういうふうな指導に切りかえたいと思います。私の方では今度の手続の簡素化で相当思い切って簡素化したつもりでありますが、しかしそれもステップ・バイ・ステップで行きたい、こういうふうに思います。
  59. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これはもっとやはり考え直してもらいたいと思うんですよ。  それから貸付の場合に中庸以下の農家、こういうことになっておりますね。これがかなりひっかかって地方ではいろいろ問題を起しておるのですが、一体その中庸以下という場合に、その判断の基準をどこに置いてやることになっておりますか。
  60. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、中庸以下のもの、これは法案審議の際に、借金能力のある農家に金が流れないようにという希望もありまして、抽象的に指導しております。従いまして、県の係官の考え方によって、非常にしゃくし定木にやっている例もあります。これらはだんだんわかってきておりますから、具体的に指導をやっていきたいと思います。先ほどお話がありましたように、初めのうちは資金ワクが相当ありましたから、あるいはやむを得なかった、しっくし定木の資金繰りをやったということもいなめないと思います。これもまた御注意によりまして、どんどん改めていきたい、こういうふうに思います。
  61. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 金融機関ですから、償還第一主義にお取り扱いになるのはある程度やむを得ないといたしましても、やはりさっき赤路委員が指摘されたように、公庫法の第一条の目的に明らかになっておるわけでありまして、ほかから融資を受けることのできるような人々ばかりいってはならないので、そういう趣旨からいって、中庸以下という抽象的な表現は私は悪くないと思うのですけれども、それがためにいろいろ地方で問題を起すようなことのないように、一つ御注意願いたいと思うのです。  関連ですから、この程度にしておきます。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 最初に公庫関係のことを申しますが、第一点は、昭和三十一年度貸付計画に対して現在どのような実行の成績をたどっているか、これはもちろん中間的なものですが、その点を御説明願います。
  63. 山添利作

    山添説明員 三十一年度におきましては、御承知のように、北海道災害等がございました。そのほかにも災害がございました。そこで、公庫といたしましては、約二十五億貸付ワク増加いたしまして、その約半分は自作農創設維持資金に回しておりますが、大体そういうことになっております。それから、個々の事業種目に対しまする貸付の額でございますが、若干余りましたのが、土地改良関係、これは災害が少かったのでありまして、その金が余ったのであります。そのほか林業関係におきましても二億ばかり余っております。これらを他の部門に回しておりますが、主として塩業でありますとか、あるいは共同施設の面にこれを回しておるのであります。伐採調整資金も、これは林業関係で他の林道、造林で二億二千万円余りましたのは、伐採調整資金の方に回しております。大体そういう概況でございます。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま山添さんの御説明では、二十五億ワクの拡大を行なったということであります。そうすると、三十一年度の原資構成が変ってきておるわけなんですが、それは出資金がふえたのか、あるいは借入金がふえたのか、その内容はどういうことになっておりますか。
  65. 山添利作

    山添説明員 公庫ワクをふやしますのは、大体回収金の増加であります。回収金を当初六十五億というふうに見込んでおったのでありますが、実際返ります金は百八億ぐらいになります。これは計算しますときには百三億という計算にいたしまして、それが増加したのであります。それから、またそのほかにも、三十年度中にできました、貸付をしたけれども貸付の辞退があったとかいうようなものもございます。しかし主たるものは結局回収金の増加であります。この回収金を、実は初めから災害のことを考えまして低目に見積ってあるのでありますが、それよりも実際はやはりたくさん返ってくる、こういうわけでございます。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 次に先ほど同僚の赤路委員から御指摘がありましたが、資金構成の一つの傾向として、結局出資金借入金バランスがだんだんアンバランスになってくる。そういう傾向は、二十六年度の発足は出資金が七五%で借入金が二五%ということで出かけたのですが、三十年度あたりから今度はそれが極端に逆転するようなことになってきたわけなんです。特に三十一年度の場合は出資金はわずか十億円しかないということで、昨年度もこの公庫法の審議をするときにはずいぶん問題になったのですが、その場合、これは一つの消極的な方法ではありましたけれども、経費面を極力節約したり、効率的にそれを運用することにして、コストの維持をはかるというようなことでありました。その当時示されたいわゆる業務改善等によって資金コストの現状を維持していくような努力をするという表明があったのですが、その成果はどのような形で現われたのかどうか。
  67. 山添利作

    山添説明員 公庫の使っております金は大部分が手数料でありまして、公庫プロパーに使います金は非常に少い。手数料は昭和三十年度におきまして約一割五分引き下げをいたしたのでございます。三十二年度予算にはその手数料の引き下げということは出ておらないのであります。これは出資を今後大いに努力を願いたいと思いますけれども、おのずから百パーセント希望通りというわけにはいきませんことは、あらかじめ覚悟をしておかなければなりません。そこで今後の計画というものを想定して、やはりなお手数料の合理化には努めたいというつもりでおります。
  68. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、この手数料部面の合理化に対しては、三十二年度はどのような目標を持ってやられるのか、その点はいかがですか。
  69. 山添利作

    山添説明員 これはまだ、これから実は、お役所に案を説明して了解を求めておる程度でございまして、また相手さんのこともあることでありますから、この際は一つ差し控えたいと思います。
  70. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは経済局長はこの点どういうようにお考えですか。
  71. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、先ほど総裁から話がありましたように、公庫事業はやっと一人前になったところでありまして、今までは委託機関に対する事務がほとんどであった。今度は貸付の状況、それから回収金の状況等もありますから、むしろそういうものについてもっと積極的な管理をしてもらいたい、こういう一つの注文が出ているわけであります。これと経費節減とのかみ合せで考えなければならぬのではないか。これから検討していきたいと思っております。
  72. 芳賀貢

    芳賀委員 その次、これは毎年問題にもなっておりますが、公庫のいわゆる出先機関といいますか、現地における取扱いの業務は、現在までは中金の支所であるとか、あるいは県の信連等に委託をやっておるのですが、今の話では、大体一人前になったという段階であるとするならば、この支店等の設置という問題は具体的にどういうように考えておるのですか。
  73. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 当然そういう問題が議題になっておるわけであります。これは先ほど赤路委員からもお話がありましたような、中金それ自体が現に支所の配置を数カ所やるということを決定したという問題もあるわけでございますので、それとの関連、それから信連の支所との関連、そういうものとにらみ合して、大口のものについての管理は直接公庫がやった方がいいじゃないかという考えも出てきておりますから、できるだけ早い機会に数ブロックにわけて、そういう公庫の出先を作った方がいいじゃないか、こういう線で検討しております。まだいつからどうやるということを申し上げる段階にはいっておりませんが、検討はいたしております。
  74. 芳賀貢

    芳賀委員 その場合実際の経費面において、支店を設置する場合とそれから現状のように中金とか信連等に委託する場合と、これはやはり採算上の問題もあると思うのですが、そういう点を具体的に比較した場合には見通しとしては大体どういうことになるのですか。
  75. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 その点はいろいろな計算の仕方があるものですから、結論が出てないし、はっきり申し上げられないのであります。どうしても支所を設ければ一定規模以上のやつは直接開所した方がいいじゃないか、その割合はどのくらいになるだろうか、そうするとその支所の経費と、今まで委託しておった費用との差引勘定はどうなるか、当然そういう問題が出てくるわけでありますが、もう少し検討をやってみたい、こういうふうに考えております。
  76. 芳賀貢

    芳賀委員 次に先ほどこれも赤路委員から指摘がありましたが、産投特別会計から昭和二十七年に二十億の借り入れをしておるのですが、この残高をそのまま借入金として処理する考えはないということを局長も言うておったのですが、ことしの投融資計画の場合に、農林省としては果してこれを出資金に振りかえるとかなんとかいう積極的な意思表示とか、大蔵省に対する努力は実際やったのですか。
  77. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは御承知のように公庫全体の資金コストがどういうふうになるかというところから言われているわけであります。私の方としては公庫ワクをできるだけよけいとりたい、新しい出資ワクをよけいとりたいというのがまず優先的になります。従って従来のやつの振りかえというのは第二段の問題になってくるわけでありますから、ワク公庫のコスト計算から出てある規模にならなければ、それじゃ今のやつをかえてくれという交渉になるわけであります。そういういろいろなやりとりの関係で今度は実現しておりませんが、当然その問題は検討のアイテムとなって上っておるわけであります。その結果いろいろやりとりで現在のような経過をたどっております。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員 もちろん原資調達等をやる場合に拡大をするということは第一段階ですが、ただこういう政府機関の公庫等の資金構成を見ると、農林漁業金融公庫だけは産投からの借入金を持っておるのです。それ以外の国民金融公庫であるとか住宅金融、中小企業、あるいは北海道、東北開発、公営企業金融公庫、これらの公庫出資金産投会計に依存はしておるけれども借入金というものは全然持っておらないのです。ですからこれはやはり原資構成の原則からいっても農林漁業金融公庫だけが産投会計からの借入金を持っておるということは変則じゃないかと思うのです。ですからこれはやはり農林省としてもそういう他の公庫等の実情というものを十分指摘して、これはやはり速急に解決しなければならぬ問題だと思うわけですが、農林大臣なんかもこの点はどう考えておりますか。
  79. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御説の通りであります。これは予算書でごらんになっておわかりのように、少しずつ政府出資いたしておりまして、政府機関の内容が違っているわけです。たとえば公募債を出すのと、あるいは自己資金がどれだけあるかとか、少しずつ違っておるのでありままして、先ほど申し上げましたように、資金コストなりあるいは公庫全体の運営がどうなるかということから、耐えられ譲られるところは譲ってきておる、こういうふうな関係であります。どうしても御説のようなことをやらなければいけない、こういうふうに考えております。結果的に見ますといろんな割り切ってないかすが残っておるというように出ておりますけれども、交渉の結果ではお話のような趣旨になっております。
  80. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、自作農維持創設資金融通法に基く貸し出しの問題ですが、現在維持資金と創設資金がどういうような工合で貸し出されておるか、その内容はいかがですか。
  81. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 維持資金が七割くらいというのでありますが、あとで資料を差し上げます。
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 維持資金は七割以上ということになると、ほとんど自作農維持創設資金というのは農地維持のために要求が多いということで、やはり農家の経済がだんだん窮迫して結局自作農維持のために金融を受けて現状を維持しなければならぬというのは一つの傾向だと思うのです。そうなりますとやはりこれは多分に消極的な現状維持的な資金需要が農村においては拡大されてくるということになると思うのですが、先ほど総裁からもお話がありました二十五億のワクの拡大の中で、その半分が自作農創設の方に回ったのですか。
  83. 山添利作

    山添説明員 半分以上回っております。大体自作農維持創設の金は三十一年度において予算上初めは二十五億ですね。それが四十二、三億になってあります。従ってふやしました金が十九億八千八百万円であります。
  84. 芳賀貢

    芳賀委員 その次にお伺いしたい点は、これは一つの問題点なのですが、自作農創設の名前で結局金融を行なっておる。これは農村にとっては一番長期低利の有利な金融なのですが、一方において災害等によって天災融資法に基いてごく短期な災害地に対する貸し出しが行われておる。しかし毎年災害を受けるような地帯においては、短期の負債が累増してなかなか計画的に償還できないということが現在の実態なのです。ですからこの累増を簡単に処理できないような農家の負債をやはり長期低利のものに切りかえていく措置というものはどうしても必要になってくると思うわけですが、この際政府としても、たとえば自作農創設維持資金がほとんど農地維持のために使われておるというような場合においては、これはやはり負債整理の資金的な性格を多分に持っておると思うのです。ですからこの際これに関連をつけて、何らかの新しい機軸を発見するような、そういう計画とか意欲があるかどうか、その点はいかがですか。
  85. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 維持資金の内容は、疾病障害等による場合、それから災害による場合、それから省令で定める場合、こういうふうな三つの行き方になっておるわけであります。今の災害のために借金があって土地を離さなければならないような状態に追い込まれた場合は、当然これに借りかえができるわけであります。ただちょっと先ほどのお話に関連するのでありますが、自作農のワクを非常にふやす主張をしたのに対して、大蔵省側に、何か災害資金を全部それにかわるのじゃないか、こういう危倶も持ったわけです。従って自作農の資金はやはり自作農の資金としての特性を出さないと元も子もなくなるおそれがあるので、私どもの方では先ほど石田委員の話もありまして、手続の簡素化とか担保の関係等についていろいろ話がありますけれども、やはりそういう点に自作農の資金はそれぞれに特色があるのだということではっきりした制度を置きたい、こういうふうに考えておるのであります。
  86. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことでありますれば、何も無理に自作農維持のこの資金に結びつける必要はないのです。明確に災害等によって農家の負債が非常に累増して平常の状態でないというような場合、それならばむしろ負債整理資金とか何とか、そういうものを一つ新しく加えて、そうしてそれによって救済するという方法もあると思うのです。たとえば開拓関係のごときは、やはり災害融資がなかなか返済できないというような場合には、開拓者融資の特別措置法にそれを切りかえるとか、今度の立法を見ても、たとえば開拓営農振興とか、そういう形の中で現在の災害等の原因によるところの負債を長期化するための目的を持った法律が出されておるような状態ですから、やはり現在の国内におけるそういう特殊な災害等の原因によって負債が非常に重圧になって完全な経営ができないというような農家に対しては、そういう道を開くということはどうしても必要になってくると思うのですが、いかがですか。
  87. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の先ほどの説明が不十分であったのかと思いますが、今のようにこの維持資金の中で毎年累年災害によって困難を感じておる者も含まれておるわけでありますから、天災法による営農資金である程度までいって、返せる場合は返してもらう、返せない場合は自作農資金に乗りかえる、こういうことになるわけであります。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員 次に貸付の面で、昨年の計画と比べて小団地の土地改良関係貸付の計画が数字が減少している。この原因は何ですか。
  89. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 小団地の分は補助金見合いの金でありまして、補助金の総額が減ったのでそれにつれて減った、こういうことであります。
  90. 芳賀貢

    芳賀委員 その次に新農村計画に基く融資項目が一つ出てきたのですが、これはもっぱらどういう方面を対象にして貸し出しを行なったのですか。聞くところによると、有線ラジオみたいなものだけができて、あとは何もやっておらぬというのが、新農村計画の実態のように聞いているのですが、融資の面ではどういう点に重点が置かれているのですか。
  91. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 新農村建設の事業の内容は、農業、林業、畜産、水産に関するいろいろな施設があるわけであります。その新農村の対象町村の分をまとめて一括計上しおてるのでありますので、建設計画の中に盛られる施設を対象として貸し付けるものを便宜ここにまとめた、こういうことだけであります。お話のように有線放送だけにやるというような考えは全然ございませんし、また実際問題として新農村建設計画は、畜産、林業、農道、そういうもので補助の対象にならないもの、あるいは改良基金でまかなえないもの、そういうものも相当入っております。それらのものについて貸付をする、こういうことになっております。
  92. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に予備金が十五億ぐらい用意があるのですが、これはいろいろな事態に即応するためと思いますけれども、この中に特別な配慮というものはあるかどうか聞いておきたい。
  93. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはざっくばらんに申し上げますと、最後に四十億追加になったのであります。それの各対象別の配分について、各局との話し合いが十分つかないで、ある程度再検討を要するという問題もありましたので、政府の予備費ということで計上しておるのであります。従いまして特別の意味は全然ありません。三十一年度貸付の状況等を見ましても、やはり予備費を持っておった方が、先ほど来お話がありますように、ワクあまり厳重にすると、需要が多くなった場合に、ワクを気にして貸すべきものを押えるとういようなことが気分的になきにしもあらずでありますから、そういう場合には、余裕があるのだから、とにかくいいものはいい、悪いものは悪いで、自由に審査する方がいい、こう行った方がいいのではないか、そういった従来の考え方もありまして、一応こういうことにいたしたのであります。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 午前中の質問はこの程度にして、あとは午後に継続いたします。
  95. 阿部五郎

    ○阿部委員 資料の要求をお願いいたしたい。昭和三十一年度の稲作の被害について、農業災害補償法の適用上被害の査定を、これは全国的に多少時期は違っているかもしれませんが、私の聞いたところで、四国あたりで二月中ごろに発表があるそうでありますが、それが例年のものと、現在の被害状況として調査報告をしたものとの間の差がはなはだしい。そこで農民の間に非常な危惧があるようでありますから、それで三十一年度被害の査定をなさったその数字的な根拠資料を御提出願いたいのであります。それで一つ詳細に、各共済組合が末端で査定したもの、それと統計事務所の査定その他の各般の数字、並びにそれについて最後に農林省で決定なさったその査定、計算の仕方、これに対する詳細な資料を各県別に御提出願いたい。
  96. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま阿部委員の御要求の資料については、農林当局において至急に御提出になるよう希望いたします。
  97. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 農地関係ですけれども、あとで法案の審議と関係がありますので、土地改良事業関係としまして、国営干拓、代行の干拓事業、それから国営灌排事業、県営それぞれそれを分けて個所数と事業総額、それから進捗度、着工年次と完了見込み年次、以上のほかに、右にあげましたような区別による調査の完了しておる地区、それから調査中の地区の概要、以上の資料の御提出を要求いたします。
  98. 小枝一雄

    小枝委員長 ただいま石田委員から御要求の資料につきましても、農林当局においてすみやかに御提出なるようにお願いいたします。  午前中の質疑はこの程度にとどめたいと思います。     —————————————
  99. 小枝一雄

    小枝委員長 この際お諮りいたします。委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠委員長において指名いたしたいと存じますが御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、白浜仁吉君を理事指名いたします。  それではしばらく休憩いたしまして、午後は一時三十分より開会することにいたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後三時二分開議
  101. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。
  102. 芳賀貢

    芳賀委員 天災法についてお尋ねしますが、今度の改正点は、大体五点に分れておるようですが、このうちの一番主要な点はどこですか。改正の一番のねらいとしたところを局長から御説明願いたい。
  103. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 提案の際に申し上げましたように、一番主要な点は、特別被害農林漁家あるいは特別被害地域、すなわち三分五厘の低利を貸し付ける地域なり対象の農林漁家を明確にするということが一番大きい点ではないかと思います。そのほかの点、いろいろありますが、そのほかの点は、従来の運用から見まして、考え直した方がいいだろうという点でありまして、私どもが一番重要だと思うのは、今申し上げた点であります。
  104. 芳賀貢

    芳賀委員 災害地域の区分を明確にするということはけっこうなことでありますが、そのことによって、今後相当甚大な被害を受けた地域の被害農民が受ける恩恵といいますか、そういうのは、改正によって今までとどう違ってきますか。
  105. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 二十八年の災害資金、冷害あるいは風水害の資金の利用状況を、会計検査院の検査、その他私の方でも調べてみましたところが、その被害の程度に応ずる融資がなされてなかったようであります。その点は結局、ただいま申しました特別被害地域なり、あるいは特別被害農林漁家というものの認定が明確でなかったことが非常に大きい原因じゃないか、こういうふうに私の方では考えたのであります。これによりまして、被害の程度に応じて公平に災害資金融資される、こういうふうに私の方では考えております。
  106. 芳賀貢

    芳賀委員 この特別被害の農林漁家の基準については、一般農家の場合は、今までとそれほど違わぬと思いますが、漁業者あるいは林業者の場合は今までと比べると規制が相当厳重になったように考えられるわけでが、これは何か一つ理由があると思いますが、その点に対しての御説明をお願いいたします。
  107. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では特別しぼったというふうには考えておりません。従来のやり方を明確にしたにすぎない、こういうふうな趣旨から書き直したのであります。
  108. 芳賀貢

    芳賀委員 特に今度の改正の場合、問題に拾い上げられておらぬ点があるのですが、それは災害融資を受けた場合、都道府県の負担に対する検討が全く行われておらぬというように考えます。災害が頻発する都道府県の財政負担は相当の数字になってくると思います。それがやはり都道府県の行政の面に非常に重荷になるような場合があるわけですね。こういう点はやはり今までも問題となってきたのでありますが、法律改正をやって、この法律の内容を整然としたものにするという場合には、地方公共団体の負担の軽減ということに対しては、相当重きを置く考慮が必要であったと思うのでありますが、その点が全く放置されたように見えるのです。これをどういう理由で黙殺したのでありますか。
  109. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは前の天災法それ自体に、国と市町村の負担関係が十分検討されておったと考えるのであります。すなわち普通の場合の利子補給でありますと、国が二分の一、県及び市町村で残りの二分の一を負担する、そういうふうになっておりました。さらに三分五厘貸付に要する利子負担の増額は、増額の分を国で負担する。すなわち地方公共団体は二分五厘なら二分五厘の負担をする、こういうふうになっておったのであります。従って、災害の度合の烈しい場合はもっぱら国が負担するということになっておったのであります。従いまして、その点は、御質問の趣旨は、もっと累年災害がある場合は府県のあるいは市町村の負担分を低減したらいいじゃないかというふうな趣旨じゃないかと想像いたしますが、これはやはり営農資金貸付の適正化を期するためには、地元の指導なり注意が十分行われる必要がある。これは先般の会計検査院の調査から見てもその点は痛感するのであります。やはりある程度は持っていかなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。ただ前の法律では、三分五厘の場合でも、市町村及び県すなわち地方公共団体の利子負担分は二分五厘ということになっております。今度の改正では、先ほど来農業金融金利の低下の問題が取り上げられておりまして、だんだん下っていくことになるということになりますので、国の補助率は百分の六十五を負担し、そういうふうにして全体の利子が下れば市町村の負担分もパラレルに下っていくというふうにしたのであります。この程度の負担はやはり金融の適正を期するために府県及び市町村で持っていただくのがいいのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
  110. 芳賀貢

    芳賀委員 地方公共団体が、普通災害また特殊災害の場合においても、原則として利子負担は従来二分五厘さしておったというその原則は、どうしても二分五厘させなければならないというふうなはっきりした根拠がないと思うのです。その根拠というものがもし明確にあれば、この点を明らかにしてもらいたい。
  111. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは国と地方公共団体が半分ずつ持ったらいいじゃないか、そして地方公共団体の負担分は市町村と府県が半分ずつ持つとすれば四分の一ずつになる、そのくらいなところでバランスがとれるのじゃないか。すなわち四分の一、四分の一、二分の一ということで市町村、府県、国が負担すればいいのじゃないかということで前の法律にきまっておるのであります。そのやり方は、昭和二十八年の災害融資から大体その方針をとってきておるのであります。しからばそれ以外に方法はないかということになりますれば、これはないとは言えないと思いますけれども、一応各方面の意向を総合して、国と地方公共団体半々がいいじゃないかということになっておるわけであります。
  112. 芳賀貢

    芳賀委員 今回の改正一つのねらいとして、系統融資金利が一部低減したので、今度は国あるいは地方公共団体がどの面でその一部の下った利子を低減するかというところにもやはり問題があったと思うのです。私ども考えから言うと、地方公共団体、しかも災害を受けた地域の地方公共団体の負担が大体国と対等であるというようなことでなく、ただでさえ地方公共団の財政はだんだん弱体化しているような現況に置かれておるのだから、この一部の引き下げた分はやはり地方公共団体の負担軽減に重点的に回すべきではないかというような考えだったわけです。農林省当局としても大体それに同調したような態度であったと考えるのでが、今度の改正案によると、その実というものがあまり示されていないわけです。この点地方公共団体の負担軽減というものは、一般災害の分の場合に、やはり国も地方公共団も従来の二分五厘が五厘ずつ引き下っておる程度であるし、あるいは開拓の被害地の場合においては従来の三分ずつの負担がやはり二分五厘ずつということになっておりますし、それから特別被害地の場合においても従来は二分五厘と五分五厘であったのが今度は地方公共団体が二分四厘五毛で国が四分五厘五毛、こういうこまかい何毛までつけたような区分になっておるのです。結局これは特別被害地域の場合においても、国が九厘五毛負担が減って、地方公共団体はわずかに五毛くらいしか減らぬということにしかなっていないわけです。ですからこういう点は、やはりこの地方公共団体の負担軽減という上からいうと、非常に期待に沿ったものではないと考えられるのですが、この真意はどこにあるか御説明願いたい。
  113. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 かりに四月以降の中金の金利体系をもとにして御説明申し上げますと、四月以降は中金の金利が八分五厘、信連で五厘とりまして九分、単位組合が一分とりまして一割で農家に貸す、こういうことになります。その場合に六分五厘地帯では三分五厘利子補給になり、それを折半することになっておりますから一分七厘五毛ずつ国と地方公共団体が持つということになります。これを三分五厘の地域にしますと、一割に対して六分五厘の利子補給をいたしまして、三分五厘で農家に貸す。そうしましてそれの改正法でいきますと、六五%は四分二厘二毛五朱となり、地方公共団体は二分二厘七毛五朱ということになります。これは従来のあれからいきますと、六分五厘の中から二分五厘を差し引いた四分が国の負担ということになっておったのが、今度四分二厘二毛五朱で、〇・二二五だけ国が多くなり、地方公共団体は〇・二二五だけ減る、こういうことになっておるのであります。それ以上に地方公共団体の負担を軽減せよ、こういう御主張でありますけれども、今回はこの程度でやむを得ないということを御了承願いたい、こういうふうに私どもの方は考えております。
  114. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、これは最初から農林省考えがこれだったのですか。
  115. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはこの前この問題が討議された委員会のときは、地方公共団体はそのままでやむを得ぬ、そういうふうに申し上げておったのでありますが、その後いろいろな御意見がございまして、ここまでやったのであります。二分五厘でありますから、それも公共団体で持ちにくい、こういうこともなかなかむずかしい主張でありますので、地方公共団体の財政状況についてさらに特別の措置を講ずる、そういう問題として取り上げないと、この天災法だけの関係で議論するのでは少し弱い感じもいたします。しかし御趣旨でございますので、百分の大十五というところでやれば、多少の軽減をはかれる、こういうことに考えております。
  116. 芳賀貢

    芳賀委員 今局長の言われた天災融資法だけで地方公共団体の負担軽減をやらすということは、これは迫力がないということでありますが、それであれば具体的に災害を受けたる地方公共団体にかかる負担を国はいかなる方法でこれを援護したりカバーしたりというような具体的な方策が、あわせてこの法律改正とともに出てこなければならぬと思うのですよ。そういう場合、たとえば自治庁やなにかの考え方はどういうことになっていますか。
  117. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 御承知のように災害の場合には、災害に対する地方公共団体の財政需要の測定について特別の措置がとられておりまして、特別交付金の増額ということが出ておりますから、その上にさらに減ずるということになりますと、さらに検討を要するのではないか、一応特別交付金で自治庁の方としては処置している、こういう見解になるのであります。しかしそこには財政需要に自治庁側と地方公共団体側の意見の相違があるわけであります。それらをにらみ合して結論を出さないと出ないわけであります。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 今特別平衡交付金等の問題が出たけれども、これはこういうような地方公共団体の利子負担等に対して、相当見合ったような特別交付金というのは、実際問題としてはそんなに出ておらないのです。そういう問題はやはり農林省としても、当然そういう具体的なものを把握して、あわせてやっていかぬとうまくないと思うのです。そういう点に対しての確信はあるのか、伺いたい。
  119. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 先ほどから御説明申し上げましたように、地方公共団体側の主張と自治庁側の主張の相違はあるわけであります。しかし建前としては特別交付税、交付金で処理するということになっておりますから、やはり地方の実績を積みまして、それでは建前と実際が違うじゃないか、だからこう直すべきじゃないかという議論にならないといけないのじゃないかと思います。その点はさらに検討させていただきたいと思います。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまの点に対しては、これは後刻自治庁長官の出席を求めて、この点に対する質疑を行いたいと思いますので、委員長においても御了承を願いたいと思います。  それで問題は今度の負担区分ですが、百分の六十五というのはどこから出てきたのですか。
  121. 和田正明

    ○和田説明員 私かわりましてお答え申し上げます。現在の天災法ができました当時が、御承知のように農林中金の貸し出し金利が一割でございまして、信連が五厘歩ざやをとる、単協が一分利ざやをとりまして八分の補助金をして三分五厘にいたしますと、その場合に地方庁の負担が二分五厘で国の負担が五分五厘であった、この前提で国の補助率を計算をいたしますと、当時の国の補助率が百分の六十八・七五という数字になりますから、それを基礎にいたしまして計算をいたしたのでございますが、その場合にこういう端数の数字をそのまま使いますと補助金の計算上非常に事務手数を要しまして、計算が不可能でございまするので、それを六十五というふうに整理をいたしたのであります。先ほど来局長が申し上げておりますように、この改正によりますと現行の地方庁負担二分五厘が二分四厘五毛に落ちますが、さらに農林中央金庫が今後貸し出し金利引き下げますので地方庁の負担が四月以降下りまして二分二厘七毛五糸ということになります。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 どうもこの点がおかしいと思うのですよ。今までは原則的に地方負担が二分五厘なら二分五厘という原則の上に立っておったでしょう。今度はそのバランスがくずれておる、一般災害の場合は二分までは地方公共団体が負担する。災害がひどくなればなるほど地方公共団体によけい持たせるということに結果的にはなりますね。むしろ災害の甚大な場合は地元負担というものはなるたけ軽くしてやろうというのが本位だと思う。普通災害の場合には二分の負担で、特別災害の場合には二分四厘五毛までになったのだというと、今までと精神が変ってくるのではありませんか、逆じゃありませんか。
  123. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは考えようの相違になるかもしれませんが、災害がきついから補助率をよけいにする。補助率をよけいにすればそれぞれの負担の絶対割合は多くなる、これは私の方ではやむを得ぬと思っておるのでありますが、災害の多い場合の負担率の増を全部国で背負えということもわからぬことはないと思うのでありますが、従来の経過がこういうふうになっておりますから、かつまた災害のひどい場合に特別交付税の増額という問題もございますので、建前としてそちらで見ることになっているじゃないか、こういう議論からいいますと、やはり実績でどういうふうになっておるかということを考えないと、初めから制度を立てたときにそう割り切りましていかなる場合においても市町村の負担割合は絶対割合において変えないという建前でスタートするなら、これは一つ考えとしてあり得ると思うのですけれども、経過的にそうなっておるのを直すのでありますから、もう少し検討させていただかないと、すぐここでそちらがいいのだ、そちらに乗り移らなければならないということはいえないと思うのであります。これは経過的の事情がありますからして、その経過的の前にきめた立論の基礎を打ちこわしていかなければなりませんからして、そういうふうに考えます。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 改善ならいいですよ。改善するなら賛成なんですがね。最初の答弁によると二分五厘の地方負担というのは、これは一つ原則なんだということを局長も言ったでしょう。原則を当てはめる場合、特別災害よりも一般災害の方が規模も広いし、また適用も多いと思うのです。その場合には一分の金利引き下げによって、国と地方公共団体が五厘ずつ負担が減って二分ずつということになったでしょう、これが一つの根拠になると思うのです。ですから特別災害の場合も一分の金利が下った場合は、常識的に考えれば国も地方も五厘ずつ折半してよいのではないかという論も成り立つと思うのですね。その場合には特別災害のときだけ百分の六十五というものを使って、一般災害と開拓の被害の場合には折半主義を用いる、ここに一貫性が失われておると思うのですよ。そうでしょう。
  125. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 芳賀委員のお考えはよくわかるのです。従来二分五厘を据え置いておる。つまり低被害の場合の地方公共団体の負担分を据えおくならば、金利体系が変って金利が安くなった場合の折半主義から考えた地方公共団体負担分を基礎にして足らぬ分を国で負担しろという立論であります。それはよくわかりますが、また一方からいきますと二分五厘でとにかく特別災害の場合には地方公共団体が負担するという原則が一応できているじゃないか、それを少しでも減らすのだからこの際はがまんしていただきたい、こういうのがわれわれの考え方であるわけであります。これもわかっていただけると思うのです。先ほど申し上げましたように今度の特別災害のやつでいきますと、従来の場合と違って、特別地域の指定が非常に綿密に行われることに、われわれの方では予想しておるわけであります。そうしますと、それによる補助絶対額が国の負担分もふえてくるんじゃないか、そういう見通もありますので、そうすると予算の絶対額の負担という考え方が出てくるわけであります。従って予算総額の見地から市町村あるいは府県等地方公共団体の負担をこの程度で一応やってみようということになっておるのであります。ですから、これでやってみまして、どういうふうな国の負担と地方の負担ということになるかということを、少し実際を見てから御趣旨のような点について十分検討を加えていったらと私は考えます。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 この点はもしも原則を、折半方式を変えたり、あるいは二分五厘の地方負担という原則をかえるとすれば、むしろ全部に対して百分の六十五なら六十五を当てはめるということの方がかえってすっきりするんじゃないか。どの災害に対しても六十五と三十五にするというなら、それなら話はわかるのですが、一般と開拓の場合には折半でいく、特別被害である限り百分の六十五ということになるから、すなおにうなずけない点が出てくる。そういうことになると、むしろ百分の六十五というものは問題になると思う。これを場合によっては七十と入れかえたり、八十と入れかえた場合の方がむしろ前段の普通被害と開拓被害の場合の負担区分に当てはまるような場合も出てくると思うのです。ですから百分の六十五にするということにこの改正の問題点があると思う。この点はやはり農林省の本意じゃないと思うのですが、どうですか。
  127. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ですから予算総額の見通しの関係ということを申し上げたわけでありますが、この特別指定のものも綿密にやっておりますから、今度府県を指定すれば自動的にずっと下まで行くことになりますから、従来みたいに不明確にするわけにいかないと思います。従って場合によると利子補給の国の負担額が相当膨大になるのじゃないか、こういう心配もあるわけであります。そういう点を見て、これを百分の八十にするなり七十にするなり、あるいはお説のように一般の分の折半の地方公共団体負担分以上を全部国が持つ、そういう考え方もいろいろ出てくると思うのです。これは従来の経過と将来の必要補助額の見通しからこういうことになっておるのであります。御趣旨はよくわかるのですが、そういうことでありますから御了承願いたいと思います。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 今度の改正によって、むしろ国の利子負担分は整理されて減ると思うのです。局長はふえると言ったが、これは反対じゃないですか。被害地域の段差を明確にすると同時に、特別被害地域の中における特別被害農林漁業者というものもまた厳密に区分する。今までは特別被害地域といわれたその中に包括されたものはほとんど三分五厘の適用を受けたのです。今度の場合は特別被害地域の中におけるさらに個々の特別被害農林漁業者を町村長の認定によって区分するのですから、そういうふうに厳密にふるいにかけていけばむしろ国の負担分というものは確かに減っていくと思うのです。そうでないですか。
  129. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは特別被害地域をこういうふうに区分をして、それから府県の中の、場合によっては大字まで指定するということになるわけです。そうしますと、いわゆる災害の態様にもよりますけれども、私の方の見通しでは、相当大部分が特別被害地域に指定されるのではないか、そこで逆に今度はまた、その中で特別被害農家というものの厳選を頼んでいるわけでありますが、それにしましても、従来のものだと、何といいますか、金を借りた者がこれを悪用しておったというようなことがありますが、いずれにしましても三分五厘の金ということになると、安いわけでありますから、合法的に、被害さえこうむっておれば、旧債の借りかえとか何とかに結果的になるような借り方もできるわけでありますから、それを拒むという趣旨はこの法律にには出ておらないわけでありますから、必ずしもお前のところは財産があるとか、収入が多いから被害が多くてもこの三分五厘は貸さないとは、市町村長は言わないと思います。そうしますと、国の補助負担が相当ふえてくるのではないか、こういうような見通しを立てているわけです。すなわち一般の分が割合が減って特別の分が割合がふえてくるのではないか、そういうような見通しに立っているわけです。果してそういうようになるかならないかということは、これはやってみないとはっきりしたことは申し上げられませんが、私の方は、そういうように今までの貸付の実態から見、それから府県の要求等から見ますと、そういうように見通しているわけであります。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 利子負担の問題は、これは局長の御答弁ではなかなか了承できないのですが、これにあまりこだわってもなんですから、次に移ります。その次は利子以外のやはり被害農家に対する貸付の条件緩和ということも大事だと思う。今までも問題になっているのは、やはり償還年数は非常に短期間でありますが、その一つの方法として据置期間というものをやはり前提として認める方がいいのではないかと思うのです。そうでないと、ごく短期の資金は、二年資金とか三年資金というようなものは、借り受けてから半年ぐらいたってすぐ返済に入るというようなことにもなる場合がありますね。ですからこれはやはり一応据置期間というものを、そう長期でなくてもいいと思いますけれども、一年なら一年というそういう期間を設けて、緩衝地帯を設けて、具体的に計画的な返済ができるような措置は、どうしても必要だと思いますが、この点はどういうふうに考えますか。
  131. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは実際問題として、一年の据え置きということを予想しておったのでありますが、今のような点もありましたので、たとえば今度の北海道の冷害資金等については一年据え置けということを通知の中へ書き加えてやっております。これは運用で処置してあります。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 では今後運用の面だけでやって、明確に据置期間を置くということを規定づけないでやりたいというお考えですか。
  133. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 そうであります。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 その点も一つ問題点として残ると思うのですが、その次は、農林大臣の権限を一部都道府県知事に委任するということになっておりますが、これはたとえば指導監督の権限等を移行するというようなことでもあると思うのですが、具体的には、農林大臣の権限が都道府県知事に相当の幅で委任された場合には、これは都道府県知事の責任上の負担というものはどういうことになっているのですか。
  135. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは会計検査院なり行政管理庁の監査の結果、金融機関だけにこの資金融通の適正の責任を負わすのは無理だと思います。そうかといって、農林省が直接全部をみることもできない。まして利子負担の補助が府県にあるのだから、府県がこれを指導監督するということをもっとはっきりした方がいいじゃないか、こういう趣旨から出ておるのであります。大体それにつきましては、各県平均二十万円余りの補助金も来年度予算に計上いたしましてやっていこう、こういうふうに考えております。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 都道府県知事が農林大臣の権限を委任された場合、善意な行為を行わないような場合、そういう場合は責任追及ということは起るでしょう。
  137. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これはやはり府県に権限を委譲するのでありますから、府県知事においてできるだけの努力をしていただきたい。それを要求するのは当然であります。しかしやらなかったから知事を罷免するとかなんとかそういうことはできません。知事の善意な良識に従ってやっていただくより仕方がありません。足らぬところはやはり農林省から出向いて指導監督することになると思います。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 次にこの天災法の中で、既存農家と開拓農家を区分して、そうしてその資金融通を行なっておるのですが、実際問題として天災融資法の中で開拓者の災害資金を流すということ、いろいろやってやればそれにこしたことはないのですが、今までの経緯とか実績にかんがみて、開拓者の災害融資というものをこういう形の中で永続していくということは、やはり問題があると思うのですが、そういう点に対して検討された面があれば、この際説明を願いたいと思います。
  139. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 開拓者の資金については、開拓者営農資金融通特別措置法とかいろいろな制度があるのであります。それに加えてこの天災法による営農資金融資があるわけであります。これはお話のように、開拓者については補助それから融資の体系を再検討する必要がある、こういうのでその一端として農地局の方から今度法律が出ておるような関係であります。私の承知するところは一端でありまして、さらに根本的に考え直す必要があるのではないかということで、農地局の方でも検討を加えておるように承知しております。その際に、この天災法の中から除く、あるいは天災法の中でも開拓のそのほかの制度とからみ合せて、もっと異なった規定を置くか、そういうことはそのときの結論に待ちたい、こういうふうに考えております。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 開拓者の場合は特に常襲的な災害地域になるので、開拓者は今では正常な健全な営農はできないような状態になっておって、災害のない年の方が困るのです。そういう変則な形が実際問題として生まれておるのです。ですから何か災害が起きないと、災害理由にして特別の資金が流れてこないからやっていけないというようなところまできている地域もあるのです。ですからそういうのを知りながら、こういう形で恩情的に、資金さえ流してやればいいということでは、やはり根本的な解決はできないと思う。そういうところに、たとえば開拓者の営農振興法とかそんなものが今国会に出された大きな原因もあると思います。ですからこの点は今日までの開拓行政に対する施策の内容とかそういうものも十分反省する必要もあるのですけれども、今後開拓農民が自立できるという方向をはっきり打ち出してそれに即応したところの経営資金であるとか、あるいは災害融資等を形を整えてやってやるということがどうしても必要だと思うのですが、そういうことを今後考慮に入れた場合に、単に天災法の中で、開拓者関係だけを若干の恩恵をここに付与してやっていけばよいということには絶対ならないと思います。この点やはり今後の問題として十分検討の余地があると思うのですが、それらの点に対して具体的な構想があれば、この際明らかにしてもらいたいと思います。
  141. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは私の所管でないものが大部分でありまして、農地局の所管になっておりまして、そちらの方から聞いていただいた方がよいと思いますが先ほど申しますように、天災融資の方で開拓の問題を片づけようという意図は全然ないのであります。むしろこの中に少しでも入れて、今の開拓者営農資金融通の制度とか、そのほかの開拓の方の一助ともなればという程度と私も考えるわけであります。これは開拓政策のよその局のことで、あまり批評すると怒られると思いますが、やはり根本的に考えなければいかぬではないか、そういう段階ではないかと思います。たとえばデンマークなんかあれだけ農業々々とやかましく言っておりますが、やはり開拓営農資金は四十年で無利子の金を相当出しておるのであります。日本の金利体系とか金融体系が向うの状態と非常に違うから一挙にそこまで行けないかもしれないけれども、開拓者の営農の確立の可能性その度合いを考えて戦後の緊急開拓からもう十年たっておるわけでありますから、このあたりで考えなければならない、こういうふうに考えて、私の方でも金融の面から見た意見は担当局の方に申し上げておるような次第であります。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 委員長に申し上げますが、経済局長に対する質疑は私はこの程度ですが、あとで先ほど申しました通り、自治庁長官と農地局長とあと農林金融に対する農林大臣の所信を少し聞きたいと思います。これは後日出席を求めてやります。その点だけを保留してきょうはこれで終ります。
  143. 小枝一雄

    小枝委員長 承知いたしました。さよういたします。
  144. 川俣清音

    川俣委員 総括的に一問、各論的に一問お尋ねしたいと思います。一般に補助の対象にしかねるようなことを財政当局からして融資というふうに切りかえられて、この法律が出てきたわけです。そこで一番最初は予算上補助の範囲をできるだけ縮小する、そのかわり融資でこれを助成していこう、こういう考え方でこの法律ができたわけであります。できてみるとだんだん補助から助成に、融資にかわっていくんだが、この融資もだんだん窮屈にしていくというような形になってくると、一体またもとの補助の方へ戻る本質を持った意味に考えておられるかどうかというこの点であります。本来農業とか、漁業、林業というものは、これ自体がいわゆる営業というか、利益を目標にしての事業としては成り立たない面を持っている。従って従来は補助でこれを見ていくという建前をとってきた。最近どうも大蔵省当局農林省当局が押し詰められて、だんだん融通でこれを見ていく、しかも融資の幅をだんだん狭めていくという傾向がありますが、一体将来もこういうことがこのまま続いていくかどうかということが一問です。
  145. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 補助の対象にならぬものを融資に切りかえたけれども融資でやってみてもまたやかましいことを言って必要なところに金が出ないという御指摘でありますが、なるほど金融公庫ができた初めの時代におきましては、資金ワク等がありまして十分でありませんでしたが、補助対象についてはできるだけ改善を加えまして、やかましいことは言ってないつもりであります。ただしばしば各方面で指摘されますように、補助金が一口二十円でくるとか、三十円でくるとか、来たってわけがわからないからどこかへ消えてしまう。そういうものであるから、いわゆる少額補助は整理した方がいい。そうかといって、そういう金が補助金で出た場合には、あるいはそういう格好になっているかもしれないけれども、それによってそのほかの金が融通されて農業経営に役立っておる部面もあるじゃないか、従って金の絶対額は要るのだという建前からいえば、やはりそういうものを拾っていかなければならないのでありますが、補助にしましても融資にしましても外に対する責任のある金でありますから、その使途が明確になり、ことに融資であれば、その金が善良なる管理者の努力をもってすれば返せる建前でないと工合が悪いわけであります。そういう点につきましては、やはり一通りの手続なり証文が必要になってくると思うのであります。そういうもののわかりにくい分は、たとえば公庫の金で申し上げますれば、自作農創設資金で使途は限定しない、しかし一定の条件による借り入れ理由並びにそれに対する償還の可能性というようなものを一応見る。あるいはまたいわゆる少額補助で切られました、たとえば堆肥盤とか厩舎というようなものは、公庫の別ワクもありますが、新農村建設の中の使える金の項目としてあげまして、あまりやかましいことを言わないで、一つの計画の中の一環として貸すというふうに考えてきておるのであります。御質問のように、融資になって、融資で締めていくという方針はとっておらないし、また資金ワクからいってもその必要をあまり認めないので、もしそういうところがありますれば具体的に御注意をいただいて直していきたい、こういうふうに考えます。
  146. 川俣清音

    川俣委員 少額補助の場合は行き渡らないという非難があります。それだから補助をやめるというのじゃないというのが大蔵省の今日の御説明なんです。そうすると末端に配分されると少額になるけれども、農業施策の上からいうと必ずしも少額じゃない、この補助というものをやはり有効に押えておくという考え方が前に出ておって、それでなお不十分な分を融資で補う、こういう考え方でなければならぬ。何といっても融資対象になるのは、事業として成り立つ、あるいは返せるということが条件でありますから、必ず返せるということが条件にならなければならない。従いまして農業自体あるいは林業自体、漁業自体が一体今の資本主義制度の中において経営が成り立つのか成り立たないのか、成り立つような方策をとらないでおって、返せないから、融資ができないのだということになれば、これはほんとう融資ではない。やはり返せるような基盤を作ってやり、条件を満たしてやって初めて貸すということが出てこなければならぬと思う。あなたの方は貸すことの方が先で、条件を満たすということがおくれているのだと思う。少くとも経済局は貸すことが条件でなくて、それらを借り得る農家とし、借り得る漁業者とし、借り得る林業者を作ることが任務でなければならない。ところが貸す方のことばかりやかましく言って、返せるか返せるかというだけの施策のように思うから、もう一度この点お伺いしたい。
  147. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 返せるような農業経営の基盤を与えないで、金貸しのところだけでやかましく言って困る、これはその通りであります。しかし金を貸す際に、金を貸すこと、それだけで返せるような基盤を作ることはこれまた不可能であります。これは農林省全体あるいは農家の団体の方も一緒になってやらなければいけない部分の方が私は多いのではないかと思います。従いまして原則的には御説のように能力のないものに返せ返せといっても一向金が出ないじゃないか、そういう部面は今の段階ではあすからなくせといっても、これはなかなかむずかしい問題ではないかと私は考えます。
  148. 川俣清音

    川俣委員 このことをお尋ねしたのは——返すためにいろいろ条件を整えようというのが改正案の要旨なんですね。返せるような条件を整えよう、こういうことなんです。法律的には必ず返せるようにしょう、こういうことがねらいなんです。そこでお尋ねしますけれども、この法律の一部改正をなさるにつきまして、政令に委譲されている。この政令の用意ができているのですか。いつでも政府法律案を出すけれども政令はまだだ、こういうことですが、やはり政令の目安がないと法律案というものは生きてこない。そこでこの政令を準備しておられるかどうか。
  149. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 今度の天災法の一部改正の方で、この法律に基いて新しく政令に譲っているのは、第八条の権限の委任のところ、法律の九ぺージにありますが、これは府県知事に権限を委任する場合の範囲をきめるのであります。それからもう一つは初めの方の特別地域指定、四ページの一行目から一、二、三各号に「政令で定める都道府県」こういうふうになっております。これは都道府県を指定することを政令でやるわけであります。どの都道府県ということを政令で定めるということであります。ですからそれが政令になるわけであります。
  150. 川俣清音

    川俣委員 もう一つあるでしょう。漁具であるとか漁船であるとか政令に委譲しておる。こういう政令が準備さておるかどうか聞いておるのです。一
  151. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 二ぺージに漁船、漁具があります。これは一定の規模以上のものは除外するということを予想しております。
  152. 川俣清音

    川俣委員 その政令ができておりますかということを聞いておるのです。
  153. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 政令案としてはまだできておりません。政令の規定内容としてそういうことを予定しておるわけであります。
  154. 川俣清音

    川俣委員 政令の要綱でもいいからつけて説明されなければ、この法案のほんとうの運用というものはできない。その運用に伴う政令というものが準備されていなければ、漁船も政令にゆだねるというのですから、問題が出てくるのです。漁具、漁船の場合は法律よりもむしろ政令の範囲によって問題が起きてくるのですから、政令がはっきりしなければならない。権限の委任事項についても、やはり内容がはっきりしなければならない。どういう点を委任するか、これによって法律全体に影響してくる問題です。従って政令の要綱くらいは示してもらわなければ、法案審議の対象になりませんよ。局長答弁を願います。
  155. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは今までの天災法の運用で御承知のように、そのときそのときの災害の態様によりまして、それに適合するように政令をそのつど出しておるわけであります。従いまして船舶の政令で定めるものを除くというときは、そのときの態様によって何トン以上は除くということなら除くということで考えなければならないのでありまして、初めから何トン以上は除くということは考えていないのであります。災害のつど政令で定めるというように考えております。  それから都道府県を指定するというのは、もちろんそのつどであります。それからまたこの場合は単位組合の指導監督を委譲するということを定める。お話しのように政令の内容は非常に複雑であってわからないものとは私の方では考えておらないのであります。
  156. 川俣清音

    川俣委員 そうするとこの提案説明とだいぶ違うのじゃないですか。この補足説明書によりますと、漁船及び漁具についての政令で定めるものを除く趣旨は、こまごましたものは五割以上の被害を計算する場合の計算基礎から除外する趣旨でありますということで、今のあなたの説明と違うじゃないですか。
  157. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは大きいものを除く。それから極端に小さいものを含むことにしなければならないので、その説明が不十分ではないかと思いますが、問題になるのは、やはり一定規模以上のやつを除く方が原則的に問題になるのであります。
  158. 川俣清音

    川俣委員 補足説明書に、漁船及び漁具については政令で定めるものを除くという趣旨は、こまごましたものは五割以上の被害を計算する場合の計算基礎から除外する趣旨でありますと書いてある。あなたの前の説明と違うのです。
  159. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私が説明したように御訂正願いたいと思います。補足説明の方は説明趣旨が不十分であります。
  160. 川俣清音

    川俣委員 そうすればいよいよもって政令の要綱でも出さないとどちらがほんとうかわからない。これを採決する前に政令の要綱を見て採決の適否をきめなければならぬので、要綱だけでいいからお出し願いたい。
  161. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 政令の基準の要綱を差し上げます。
  162. 川俣清音

    川俣委員 次に従来はかなり被害時の状況を見て、施設被害については被害をこうむった旨市町村長の認定を受けたものを対象にしておったわけですが、今度はそれをさらに具体化したわけです。問題になるのは、従来は被害をこうむった旨の市町村長の認定を受けたものとなっているのを、今度は当該施設の被害時における評価という。一体被害時における評価とは何をさすのですか。
  163. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 これは八月なら八月に水害をこうむりまして施設が損傷を受けたそのときの評価であります。
  164. 川俣清音

    川俣委員 いろいろな評価の仕方がありますが、それは時価という意味ですか。
  165. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 時価でいいと思います。評価には再生産評価とかいろいろなやつがありますが、ここで考えるのは時価で評価した方がいいのであります。
  166. 川俣清音

    川俣委員 評価の仕方にはいろいろある。これを再取得するためのもの、こう見るか、そのとき持っておったもののいろいろなものを差し引いた残物と見るのか、これは評価の方法はいろいろあるわけです。むしろそういうことは、前の法律では政令やそのときどきの基準を示していた。これは法律の上に取り上げるからにはこういうあいまいな文字ではかえっていけないと思う。むしろ解釈を広範にしておく方が適宜な処置がとれますけれども、こういうふうに表現すると、これはなかなか問題なんです。評価の方法というものは、これはまた政令にゆだねるとか何かなければ評価についていろいろな問題が起きてくる。ある地方における時価の評価とある地方における評価と評価の方法が変ってくるということになる。そうすると不公平の問題がまた起ってくる。評価くらいむずかしい問題はない。あえてむずかしい表現を使ったのはどういう意味なのですか。
  167. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 また突っ込まれるかと思いまして、その評価という建前で話しておりますが、法律には「被害時における価額」となっておるわけでありまして、それは結局どういつでも評価になるわけでありますが、私の方ではこれは時価がいいと思いますけれども、たとえば税金の問題であるとかあるいはそれを売買する問題でありますとか、非常に厳密にやらなければこの法律の運用はできないとは考えておらないのであります。金を貸すのでありますから、できる限り罹災者の救済になるような価格で、時価と違ってその人が償却積立金も何もないというような場合は原型復旧の再生産の価格で出されてもこれはやむを得ないと思います。それがいけないならば、政令で厳密に規定しなければいけないことになるのでありまして、それだけ厳密にやらない方が、お話もありますように災害時の措置としてはかえっていいのじゃないか、こういうふうに考えます。
  168. 川俣清音

    川俣委員 これは軽率ですよ、「被害時における価額」というのは。これは結局評価なのです。時価という評価ですよ。百分の五十以下の場合は問題はまた別です。価格が百分の五十、半分以上ということになると、これは新しく全部作り直さなければならないという問題が出てくる。半分も痛むと、ここに専門家がおるけれども、これは修理するよりも新しくこさえ直さなければならぬ、こういう問題が起きてくる。そうすると、古いものの半分の評価というようなことでは適切なことにはならないのです。むしろ損壊したための著しい被害をこうむった旨の市町村長の認定があるということの方が適切な処置ができるのではないか。これは改悪じゃないか。非常に厳密にこしらえたようだけれども、非常に抜けておる点は前よりもかえって大きく抜けるのではないか。これは評価の方法が悪ければ前の法律の方がずっといいということになる。あなたは首をかしげておるけれども、百分の五十なんて出したからには——施設ですよ、半分以上こわれたということになると、それはもはや修理じゃないのです。百分の五十以下であった場合には、百分の十とか二十という場合には、修理ということは考えられます。ところが百分の五十、百分の八十となるとこれは修理とか原型復旧なんという問題じゃないのですね。それ以上の場合です。従って融資対象はその時価の半分だというようなことでは、やはり融資としては何らの価値もないということになる。
  169. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 私の方では、その者になんぼ貸すという基準に施設の評価——被害時における価額の百分の五十というのを出したのじゃなくして、三分五厘の低利に貸す対象として相手を考える場合にどういう程度の被害をこうむった人にそれを認めるかという基準を作っておるのでありますから、従いましてゆとりのある解釈ができる。しかし一応は今まで「著しい被害を被った旨」というので、これだとよるべき認定の基準がないわけでありますから、いかなる評価方法によろうとも、この方法でいっても百分の五十、この方法でいっても百分の五十という場合に、一番有利な方法をとられて五十以上になったと説明されても、これは私の方ではやむを得ないと思っております。ただつかみでこの人は百分の五十と認定したというのでは困るということをいっておるだけでありまして、私の方では普通は時価をもとにして考えていただくのがいいだろうと思いますけれども、もっと込み入った評価方法でやりまして、これは百分の五十以上の被害をこうむっておるから三分五厘にしたので何が悪いか、こういわれた場合には、ああそうかということで聞くよりしかたがないのじゃないかと思います。ただ、市町村長が認定する場合に、ある基準を与えておいた方が、抽象的よりもいいのじゃないか、こういう考え方でございます。
  170. 川俣清音

    川俣委員 ですから、認定するときに、時価によってある人は三分五厘になる、これは利子が違うわけですから、評価いかんによっては非常に問題が出てくるわけです。  そこで、もう一つ問題を拡げますが、漁具や漁船の方は政令というのですが、この方こそほんとうは法律でなければならぬのです。評価のようなものこそ政令なんですよ。逆なんですよ、あなたの方は。評価基準というものは政令に譲っている場合がたくさんある。しかし法律の指定する漁船というのはどういうものをさすのだ、漁具はどういうものをさすのだ、こういう言葉でいくことの方がむしろ法律上においてはある程度必要だと思う。どの程度対象になるのだ、ならないのだということが、この方が明瞭であるべきだと思う。評価というものは非常に複雑なものであるから、これは政令に譲るということが必要になってくる。この点どうです。
  171. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 漁船、漁具は原則として全部を対象にした方がいい、しかし、非常に大きいものかと手こぎの釣船だとか、そういうものまでやればかえって複雑になるから、そういう両極端のものを除こうというのが、この政令で除くという趣旨でございますので、やはりこれはちょっと法律では書き切れない、しかもその年々の災害によって態様を変えていった方がいいじゃないかと考えてこれを作ったのであります。
  172. 川俣清音

    川俣委員 次にこれは局長の係ではないのですが、林産物の場合などでも同様でありまして、これも流失、滅失、損壊等による損失額が当該施設の被害時における云々というこれは、施設もあれば施設でないものも含めてあるわけですね。たとえば、必ず施設というふうに見らるべきものかあるいは施設の付属物か。これが流失したような場合、たとえば漁具といった場合は魚をとる道具、漁具のうちの付属物の場合は漁具というかどうか、施設かどうか。これは必ずまた問題になってくる問題です。あなたは首をかしげているけれども、漁船の一部の場合は施設か施設でないかがいつも問題になるのです。従って損壊等による損失額が当該施設の被害時における価額の何分の一、こういう表現を必ずしも私は妥当な表現だとは見られないと思うのです。たとえばこういうふうになっているでしょう。薪炭林は施設でないでしょう。それから今度はしいたけのほだ木は施設だ、こうあるでしょう。しいたけのほだ木は古くなれば薪炭材になる。そうでしょう。それはそうですよ。薪炭林の一部をほだ木に使うので、区別はないですよ。頭をひねったってその通りですよ。だからこれは実際は施設と区別がつかないものがたくさんあるんです。ですから「損失額が当該施設の被害時」というようなことを書かれますると、なかなかこれは——前のように流失し、損壊したための著しい被害ということになりますと、すべて含んでおって、適宜に解釈できますけれども、法文を細分すれば細分するほど、これはどの範囲が適用範囲になるかならないかという問題が出てくる。研究の足りない細分化の方法だと思うが、そういうことを感じませんか。
  173. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 たとえば漁船、漁具の場合で、「当該施設の被害時における価額」、その漁船、漁具が施設であるかどうか、あるいは漁船、漁具に付属するものが含まれるかどうか、そういう問題でありますが、私の方下は一応漁船、漁具も施設とこの法文下は読んでおるわけであります。その中に漁船、漁具に含んで漁船、漁具の付属物といわれるものが入っておるならば、それを加算して計算されても、あるいははずして、「以上」計算するのですから、なるべくはずした方が率が大きくなるわけですね。そしてはずされて計算されても、一々あまり厳密に否定できるわけでもありませんから、極端な行き過ぎさえなければ、一応の基準に照して、災害時でありますから、なるべく有利に解釈してあげた方がいいんじゃないか、こういうふうに運用したいと思っておるわけであります。先生のおっしゃるように非常に厳密にこれを運用する、そしてそれがちっとでも違っておればワクから落すという運用の仕方でありますれば、こういうふうな御指摘のようなゆとりのあると申しますか、幅のある書き方ではいけないと思いますが、この前の著しい災害ということで実際来たものを見ますと、必ずしも著しい災害でないものまでも来ておりますので、会計検査院なり行政管理庁で指摘されておりますから、一応の基準を示して、その基準に照らして、まあまあこの程度ならばやむを得ないんじゃないかという認定を市町村にしていただきたい、こういう趣旨であります。
  174. 川俣清音

    川俣委員 それは私は逆だと言うのです。法律にはっきり出てくると、会計検査院の指摘事項になおなってきます。前のようにぼうばくとしておれば、市町村長の認定だから、まだその認定を責めるということは困難だと思う。今度具体的に、そういう批難を免れようと思ってここに明文を出したからには、明文に対する解釈をはっきりしておかないと、今言ったような問題からかえって会計検査院の指摘事項になるおそれが、むしろ具体化したことによってかえって起ってくるんじゃないか。これはいけないぞということを書いたと同じことですよ。法律というものはそういうものです。だからいけないことをわざわざこれはいけないのだということで、あなた方は従来のやつはあまり寛大過ぎたというか認定の範囲が拡大されておったから、今度は細分化して明文をつけよう、こういうことで範囲を縮小するのでありまするから、そこに問題が出てくる、こういうことを言っているんです。きょうは時間がないからこの程度にしておきますが、これはもう一度よく御検討を願って、次に答弁を求めることにいたしまして、私の質問はこの程度で終っておきます。勉強の期間を与えます。
  175. 小枝一雄

  176. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 ただいまの川俣君の御質問は、私も触れてみたいと思っておった問題でございますが、あまり限定するために細分化すると、かえってこんがらかるということははっきりしております。そこで漁船の場合でも施設の場合でも、五〇%以上となりますと、場合によっては新しく建造した方が安い場合もある。こうしたようなことはその他の施設にもいろいろ起きて参りますので、これは局長の方で相当検討をしてみる必要があるということは川俣君と同様な意見であります。  そこで私お伺いいたしたいことは、今度の法律改正で今まで明瞭にならなかったことも明瞭にしたい、はっきり申し上げますと、第二条にある問題になっておりまするところの定義を明確にする、こういうことでございますので、考え方については私はいいと思います。そこで定義をはっきりするとすれば、やはり目的等の問題もはっきりしておく方がいいのじゃないか。たとえて申し上げますと、かつて六、七年前に東京湾でノリが一つもつかなかったことがあります。どういう災害の徴候であったかは結論が出ないままに終って、高い金利を払いながら休業した例がございます。さらに豪雨ということがこの第一条にうたってありますが、豪雨がありました際に、堤防が決壊したとか、あるいは土砂くずれがあって河川に流れて、それがために泥海に化した結果、コンブだとかワカメだとか、さらに貝類とかいうものが、流れないけれども死滅をするという例がたくさんございます。ことに雪の多いところなどは、融雪期に雨が降ると、これまた豪雨のときと同じように、堤防が決壊したりあるいは土砂くずれがあって、それが海岸一帯に流れて、やはり海草類が流れないが死滅をするといったような例がたくさんございます。ことにこれからは浅海増殖を大幅に広げて参りますので、そういう被害が大きくなるのは火を見るより明らかでございます。こういう場合に、この第一条の目的が八項目か九項目あがっていますが、どうも非常な疑義がございます。第一条の最後のところに等という字句を使っておるから、等で当てはめていこうという考え方があるようでありますが、やはり定義をはっきりする以上は目的もはっきりするということがいいんじゃないかという気がいたしますで、先ほど例をあげて申し上げたことが天災法の適用を受けるかどうか、この問題をもし御答弁ができれば御答弁をしていただきますし、御答弁ができないようであったら、これも川俣君の質問同様に研究をして後日の答弁に譲ってけっこうでありますが、一応お伺いをいたしたいと思います。
  177. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 この法律の目的にはいわゆる天災の中に入るものを列記しておるわけであります。天災に入るか入らぬかということを一々拾い上げて全部書くか書かぬかを等で縛っておる。従って今度はこの法律を適用する場合に、法律の適用対象となる漁業者がどういう天災を受けたかというときに、この漁業者をどう見るかということになると思います。お話のような場合には、私は法律の趣旨に照らしてできるだけ広く解釈した方が法律の立法の趣旨に合うんじゃないか、こういうふうに考えております。しかし具体的の問題になりました。ならば、この法律を適用していく方がいいのか、あるいはほかの措置でいくのがいいのか。これは全国的に広がるんだったら法律を適用するのに問題はないと思いますけれども、非常に局部的なもので、このくらいなものならば市町村なり府県なりで処理できるものか、あるいは処理できないものか、そういう具体的な問題として処理した方がいいんじゃないか、こういうふうに考えます。
  178. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 先ほど申しましたように、第二条の定義を今まで判断に苦しんだ点をはっきりさせようという趣旨のもとに今度改正法案を出した、この説明ではこういうのです。従ってそういう場合にやはり目的ももう少しはっきり、——あなた方の認定とかあるいは町村長とか県知事の認定とかいうことは、広く解釈されていい場合もございますけれども、今の例を上げたような東京湾のノリが腐食して一つもつかなかったという場合や、あるいは融雪期の土破くずれや、堤防が破壊されて、その地方一帯に泥水が出たとか、海流の異変等が生じた、こうしたような被害を受けたような場合もやはり天災でありますから、はっきりさせておいた方がいいんだ。こういうこともございます。雨が降って養魚場は流れなかったが、水が入って魚が死滅したというようなこともたくさんございます。これは湖沼等にもそういう例があって、全部死んでしまって浮んだという例がございます。でありますからこういう定義をはっきりする以上は、目的もそういうことをはっきりした方がいいのじゃないかというのが私の意見なんです。これがないわけではない。現に例があって東京湾というもの、あの辺一帯のノリがつかなかった、大被害です。その当時はこういう天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法というものがなかったのですから、なお東京の漁民は苦しんだ。それから宮城県、岩手県、それから青森県内で、いわゆる海草が流れなかったけれども死滅した。北海道にもございます。こういう例がはっきりある。しかもこれからは浅海増殖をどんどん拡大していかなければ、沿岸漁民は今後いろいろな面で経済の行き詰まりをするのだということで、農林省もはっきり打ち出しておるのだから、そういうものに対する被害等があった場合には、ただ法律の解釈でなくて、はっきりこれが適用になるのだというふうにしておいた方がいいのじゃないかということなのです。ただこの等で拡大するという考え方でいった場合、これは渡部局長がいらっしゃる間はいいでしょう。もし局長がかわり、あるいは長官がかわり、あるいはその他の役人がかわった場合には、そういう解釈が成り立たないのだということになれば、被害を受けた漁民が非常に困るということがあり得るから、定義をはっきりする、明確にするということならば、目的も現在あること、これからもあろうとすることについては、はっきりしておいた方がいいじゃないかというのだが、その点についてどういうふうな考えを持っておるか、こういうわけです。
  179. 渡部伍良

    渡部(伍)政府委員 ただいま御指摘になったような事例ですと、たとえば暴風雨、豪雨、あるいは高潮、そういうものの中に入る分が大部分じゃないかと思います。しかし前に御指摘になった海流異変とかそういう問題になりますと、ここには出ておりません。しかしそれはやはりこの第二条の定義のところで、天災を指定する場合に、その等が政令で明確に広げられるのでありますから、それでいいのじゃないかと思います。ただ政令で指定する場合に「被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大である」この解釈の問題であるわけであります。市町村で負担ができるか、あるいは府県で負担ができるか、その広がる程度はそのつど指定しないと工合が悪い。しかし運用としてはできるだけ広く解釈して運用した方がいいじゃないか、こう申し上げておるので、たとえばごく極端な例を申し上げますと、ある小さい川がはんらんしまして、そのすそにある養殖場が、流れはしなかったけれども泥水で魚が死んだ。こういう一カ村だけの問題の場合に、この天災法をもって指定した方がよいのか、あるいはそれは市町村なり県でめんどうを見てもらった方がよいのか、そういう政令指定の際の解釈の問題で解決できるのではないか、この法律をなるべく天災の救助に適用するように運用するという大原則をはっきりしておけば、多少かかっても間違いないのじゃないか、こういうふうに考えます。
  180. 川村善八郎

    ○川村(善)委員 ですからはっきりしておいた方がよいのだ。いわゆる解釈がそうなるという場合、あなた方がやる場合にはそれはいいのですけれども、とかく役所は役人がかわるというというと解釈はどのようにもなるのです。であるからこの等でなく、もう少し広げて天災というものはもう明らかにしておいた方がいいのじゃなかろうか。これはまたあとでいろいろ質問いたしまするが、そうしておいた方がいいという私の考え方でございます。  それからさらにもう一点ございますが、今渡部局長も触れたように、「天災による被害が著しく」といえば、これも大体解釈の問題になるわけなのです。それからさらに「国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令で」云々と書いてある。これも解釈になるわけなのです。というのはたとえて申しますと、北海道の場合等は、御承知のように東北六県と新潟県を合わせただけある。その一県に被害があった場合には、その県はもう全県やられたらわあわあ騒ぐ。ところが北海道の場合は十二支庁になっておりますが、それが二支庁くらいにまたがったって、これは県のわずか二割かそこらの問題なんです。ところが他の府県に比べると一支庁管内でも二県も三県もあるだけの広範囲だということがあるのです。ですからあまり解釈々々といって解釈をしなければならないようなことにしておくと、そこで戸惑いもするし、役人のかわった場合あるいは県知事等がかわった場合、そのときの説明等も聞いて頭に入っておる人はいいのですが、入っていない人は、さあどう解釈したらいいのだかと戸惑いすることもあるのではなかろうか。だから私はこの改正に当りましては、そういう点を明確にして、なるべく法文を読むとどなたでもわかるようにした万がいいのじゃないか、こういうことなんです。一々指摘するとずいぶん問題がございますが、何れもこれで農漁民が特に恵まれるということは一つもありません。むしろ改悪になるところがたくさんある。改正をすることと改悪をすることとは逆な方向でありまして、よく改正することは、漁民でも農民でも望むところであると思う。この改正の問題を見ると改悪だと解釈しなければならぬのだが、われわれはこれについてはもう少し論議をしてみたいと思います。これは改悪ですよ。これを農民なり漁民なりに全部知らしてごらんなさい。必ずわいわい騒ぎますよ。もう少し研究してもらいたい。きょうは時間もありませんから、この程度しておきますが、私も研究して、突っ込むところは大いに突っ込んで、意を尽してみたいと思います。
  181. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは本日の質疑はこの程度にとどめまして、残余の質疑は明日続行することといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      ————◇—————