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1957-03-06 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月六日(水曜日)    午前十一時五十八分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君    理事 白濱 仁吉君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    石坂  繁君       今松 治郎君    宇都宮徳馬君       大野 市郎君    川村善八郎君       木村 文男君    草野一郎平君       椎名  隆君    關谷 勝利君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       永山 忠則君    原  捨思君       濱野 清吾君    福田 赳夫君       松浦 東介君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    村松 久義君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    稲富 稜人君       楯 兼次郎君    中村 英男君       日野 吉夫君    細田 綱吉君       山田 長司君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     松木 豊馬君         農林政務次官  八木 一郎君         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (農林経済局         長)      渡部 伍良君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 専一君         食糧庁長官   小倉 武一君         林野庁長官   石谷 憲男君         農林事務官         (水産庁次長) 奥原日出男君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   吉村 真一君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 三月六日  委員赤澤正道君、安藤覺君、五十嵐吉藏君、木  村文男君及び本名武辞任につき、その補欠と  して濱野清吾君、今松治郎君、關谷勝利君、福  田赳夫君及び宇都宮徳馬君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員今松治郎君、宇都宮徳馬君、關谷勝利君、  濱野清吾君及び福田赳夫辞任につき、その補  欠として安藤覺君、本名武君、五十嵐吉藏君、  赤澤正道君及び木村文男君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 三月五日  開拓営農振興臨時措置法案内閣提出第八三  号) 同月六日  土地改良法の一部を改正する法律案内閣提出  第八四号) 同月五日  真珠区画漁業権改正に関する請願(田村元君紹  介)(第一七四九号)の審査を本委員会に付託  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業基本施策に関する件  岐阜県における林業振興対策及び山林部設置問  題に関する件  佐世保近海駐留軍施設による漁業者損失補  償に関する件     —————————————
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  林業関係の問題について調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。楯兼次郎君。
  3. 楯兼次郎

    楯委員 これは岐阜県に起った問題でありますが、全国の各地方自治体にも関係がありますので、具体的な例をあげまして私は林野庁長官にお伺いをいたしたいと思います。  最初に、私は断わっておきたいと思いますが、あとで問題になりまする林野庁から出されました山林部設置という問題については、私ども林業県でありまするから賛成をいたしております。賛成をいたしておりますが、あと質問をいたしまするあなたの方から出されました公文書によって、いろいろ県知事選挙あるいは各政党の政治的問題に発展をいたしまして、今岐阜県は、林業団体あるいは町村長等県民大会をやって、非常に大きな政治問題となっております。本日から県議会が開かれておりまして、この問題が県会において論議をされるという段階でありますので、一つ伺いいたしたいと思います。  まず第一にお伺いをいたしたいことは、先日林野庁から岐阜県に対して、岐阜県は山林県であるから山林部をぜひ設置せられたいというような文書が出たというのでありますが、そういう例が他の県、あるいは過去においてあったかどうか、この一点をまず最初にお伺いをしたいと思います。
  4. 石谷憲男

    石谷政府委員 ただいまの御質問でございますが、まさしく私どもといたしましては、特に岐阜県の地方林政の問題に関連いたしまして、従来の山林事務局という変形的な機構をこの機会にぜひとも山林部という恒久的なものに改めて置き直してもらいたいということは、しばしばの機会県当局者に御要望は申し上げておったわけでございますが、文書をもちまして私どもの意向と申しますか、希望を表明いたしましたものの中には、特に山林部設置というようなことにつきまして、何も具体的なことを実はお願いはいたしておらぬわけでございます。  それから、こういった種類の例でございますけれども、これはごく最近におきまして、地方自治法の問題と関連をいたしまして各県に起ったのでございますが、こういった事例は他にはございません。
  5. 楯兼次郎

    楯委員 ただいまの御答弁を聞きますると、そうした山林部設置に対する強い要請はない、こういうようにおっしゃいますが、きのうの地元新聞には、あなたが手紙を出されたという文書写真入りで載っております。私はなぜこの問題をここに提起をいたしますかというと、これは政党といいますか、県知事選挙をめぐって、一方の候補者と予定をされます人が山林部を作ることにおいて他の候補者と目される人をそこで押えつけよう、こういうのが根底にあるということを新聞紙上承知をいたしております。それから、繰り返すようでありますが、この問題をめぐって関係県民は大騒ぎをしておる。今あなたがそういう覚えはないと言われるのでありますが、写真入り新聞に載っておるのでありますから——私は山林部設置には賛成でありますからこの問題を追及しようとは思いません。思いませんが、率直にいま一回、それらしき文書を出されたかどうかという点を重ねてお伺いをしたい。
  6. 石谷憲男

    石谷政府委員 ただいま御答弁申し上げましたのは、出しました文書の中に山林部設置を云々というような具体的なことを書いて要請をしておるということがないということを申し上げたわけでございまして、文書につきましては、これは私どもから県議会議長あてに出しておることは事実でございます。
  7. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと、私的にそれらしき文書を出した、こういうふうに了解をしていいわけでありますか。
  8. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは正式な手続を経ました公文書ではございませんので、ただし林野庁長官という名前は使っておりますが、私の私印を押したものを出したわけでございます。出したと申しますのはこういうことでございます。実は林務部設置問題につきまして最終的に林野庁は一体どういう見解を持っておるかということのただし方は実はあったわけでございます。これに対しまして、岐阜県政の中で山林行政の持っておる比重というようなものを考えてみますと、全国的な視野に立って種々検討を加えたような場合におきましても、やはり部を設置されて完全な行政運営の体制というものを確立していただくことが岐阜林政のためにけっこうだという考え方を私どもは引き続き依然として持っております、そういうことにつきましては、県当局にも、知事を初めといたしまして関係者にしばしば機会あるごとに申し上げております、ということを私ははっきりと表明をいたしたのでございまするが、そういうような意思であるならそういう意思であるということを一ぺん率直に書いて私どもにくれないかということでございまするから、従いまして、ただいま申し上げましたように、山林部設置ということはどこにもうたってありませんけれども、すでに山林部林務部設置等を見ました他の府県等の例をここにあげまして、行政の能率的な運営をはかっていただくためには、この機会に十分考えていただきたいということを書いた文書を実は差し上げた、こういうことでございます。
  9. 楯兼次郎

    楯委員 長官意図は私わかるのでありますが、この文書の中で私どもが大きく感じまする点が二、三あります。それは第一に、私が申すまでもなく地方自治法の百五十八条によって、二百五十万未満の県においては六部制である、こういうことがうたわれております。今日あなたが文書を出されますときに、部が設定されるという段階でありますれば、これは私も了解いたしますが、すでに六部ができておるにもかかわらず山林部設置するということは、他の一部をつぶさなくてはならない。これはこの新聞にも同時に出ておりますが、自治庁といたしましては、そういう法文がある以上この一部増設は認めない、こういうことははっきり言明をいたしております。従って、この点は長官も御承知であろうと思います。従って、この文書を出された以上は、山林部をもしあなたの要請によって設置をいたしました場合には、他の一部を振りかえるということをお考えになった上でこの文書を出されたかどうか、こういう点をお聞きしたい。
  10. 石谷憲男

    石谷政府委員 そこでございますが、御承知のように岐阜県は人口が百六十数万というふうに聞いおりますので、自治法によりますと大体六部制ということを原則にいたさなければならぬ府県のように私ども承知いたしておるわけでございます。それから、私どもといたしましては、林務部というものをすっきりした姿において作り上げていただくということを多年にわたって要望をいたしておったわけでございまするが、必ずしも他の部を廃止いたしてまで林務部をぜひ置いていただくというようなことを強く要請をいたしたわけではございません。ただしこういう機会に、林務行政というものが非常に機構上後退をするということになりますと、岐阜林政にとりましては非常に危機だという点を考えていただいて、可能な限りの善処をしでいただきたいという意味合いで、私ども意思表示をいたしたわけでございます。
  11. 楯兼次郎

    楯委員 この文書の中でいま一点、これはあなたの方では何か意図があって書かれたかどうか知りませんけれども、第三者の私どもがこの文書を読むと、いかにも何か含むところがあるという文句があります。それは、その山林部設置するかいなかによって勢いその行政機構規模に応じた計画を立てざるを得ない、ということは、もし山林部設置しなかったならば、それだけ補助金なりあるいは中央におけるめんどうを見てもらえないのじゃないか、こういうふうに私どもが読むと解釈をされるわけです。そういう意図がおありになってこういう文句を使われたのかどうか、この点をお聞きしたい。
  12. 石谷憲男

    石谷政府委員 私どもは決してそのような意味合いを一般的に含めましてただいまのように表現をいたしたわけじゃございません。ただ岐阜県におきます特殊事情が実はあるわけでございます。御承知かと思いまするけれども岐阜県におきましては昭和三十年度以来五ヵ年の継続予算をもちまして県行造林によって一大水源林造成運動というものが展開されておるわけでございます。これは毎年千町規模仕事をやって参る、こういう仕事が一方において行われておりまするのと同時に、公有林対策といたしまして、非常に大規模官行造林事業というものの要請が実はあったわけでございます。私どもといたしましては、これらのことにつきまして、可能な限り国としてもこれをお手伝いするということで、他の県に例を見ないような緊密さをもちましてこれらの事業推進に当って参っておったわけでございます。これをやって参ります上におきまして、従来の山林事務局という機構でありましては何がしかの不安を感ずるということをしょっちゅう考えながらやって参りましたときに、この機構問題が大きく後退いたしますと、そういう特殊な一定の問題を預かっておる預かり方につきましても、かなりわれわれとしては考えなければならないのではないか、これは当初林野庁といたしましても、この仕事推進をいたしていくときにもいろいろ議論があった問題でございますから、そういう点を実は表現をいたした、こういう意味でございます。
  13. 楯兼次郎

    楯委員 ただいまの御答弁を私は好意的に解釈をいたしたいと思いますが、関係者が一番今問題を起しておりますのは、ただいま私が言いましたこの文書字句をとって、そうして一方の人たちは、こういう字句があるから国庫補助金山林部設置しないことにおいて削減をされる、これは県に行ってみますといわゆる先ほど申し上げました両候補者と目される一方の団体は、公然と天下に発表をいたしまして運動をいたしておるのです。そこでこれは一番大事な問題でありますが、もし岐阜県がこの山林部設置をやらなかったならば、従来のこの森林関係に対しまする国庫補助削減されるのかどうか、この点を一つはっきり長官言明をしていただきたい。私はこの問題をお聞きしたくてきょうおいでを願ったわけでありまするから、この点をはっきりしていただきたい。
  14. 石谷憲男

    石谷政府委員 山林部設置されなかったということだけの事由をもちまして、意識的に国庫補助金交付額を減額するというふうなことは私ども絶対にいたしません。ただいま申し上げましたように従来の機構をもっていたしましても少し張り過ぎるぐらいな事業岐阜県内におきましては行われておるという現状があるわけであります。何といいましても全国一の山林県でございまするから、山林事業のごときは他府県に比しまして力以上のものが行われておる、こういう点で従来不安を持っておったというふうなことすらもあったのでございます。そういう意味合い検討は十分いたさなければならないと思いますけれども、このことによりまして意識的にどうこうするというような考え方は毛頭持っておりません。
  15. 楯兼次郎

    楯委員 そのことのみによって増減をするということはない、こういう答弁では、受けるわれわれは非常にあいまいのような感じがするわけです。今あなたもおっしゃいましたように、岐阜県は全国で第一位と言われる山林県でありますから、国庫補助については山林部設置いかんにかかわらず、当然従来通り方針を堅持する、こういうふうにおっしゃらなければ、われわれとしても先ほどの文書の中の文字を、あなたは言葉をあいまいにしながら適用をされようとしておる、こういうふうにしかとれないわけでありますから、山林部設置いかんによって国庫補助については考えない、これは何でもないことでありますから、こういうことを一つはっきり言明をしていただきたいと思います。
  16. 石谷憲男

    石谷政府委員 ただいま御説明を申し上げましたように、あくまでも事業実態に対しまして国庫補助というものを交付いたしておるわけでありまして、それだけの事業責任を持って果されるという事実に対しましては、私どもは部があるなしの問題にかかわらず絶対実行いたす、こういうことでございます。
  17. 楯兼次郎

    楯委員 それでは具体的な問題について一つお聞きしたいと思います。水源地造林国庫補助でありますが、この二十日の日にあなたの方で査定をされました実績によりますと、千町歩が四百五十町歩削減をされておる、これは昨年度に比べて三分の一に削減をされたのでありますから、これに関係した団体人たちは、それ見よ、三分の一に削減されたではないか、こういうふうに宣伝をいたしておりますが、これは今あなたが言明をされましたことと実態が違うと私は思う。この点はどういう関係削減をされたか、言明を願いたいと思います。
  18. 石谷憲男

    石谷政府委員 従来治山事業の中で水源林造成ということで実施いたして参りました事業が実はあるわけでございますから、これは新植費に対しまして国では三分の二、都道府県では三分の一の全額補助実施をするという造林でございます。実施段階においてすでに県行造林という方式をもって実行をいたしておるという現状であるわけでございます。ところがこの問題につきましては、御承知のように非常に公共性の高い造林でございますし、それから植栽をいたしました以後の保育管理というものが徹底をいたしませんと、なかなかこういう地域の造林の成果というものは上りにくいというような考え方からいたしまして、これは国有林野事業の益金の一部をもって実施いたしております官行造林事業対象として水源林造成のようなものは実施をもくろむべきじゃなかろうかということで、実は林野庁の方でその計画をして参ったわけでございます。従いまして本年度といたしましては、現在県行造林事業でやっていくつもりで相手の市町村その他との間に契約を締結いたしております土地が大体二万町歩程度ございます。そういうものが整理でき次第官行造林事業でこの仕事を取り扱って参ろうというようなことで、実は昭和三十一年度におきましては、約二万町歩水源林造成を行える予算の成立を見たわけでありますが、ただいま国会で御審議いただいております案によりますと、それが六千町歩に減っておるわけであります。公共事業としては六千町歩減ったということでありまして、その反対に官行造林事業対象がそれだけふえておるということに相なっておるわけでございまして、全体が三分の一以下になっておるということからいたしますと、岐阜県の場合におきましては、昨年は一千二十町歩でございましたが、ことしは現在のところ概定四百五十町歩というものを容認しているというわけでございますから、予算規模の減りに合せますと、岐阜県の交付率ははるかに高くなっておるというのが現状でございます。
  19. 楯兼次郎

    楯委員 そういたしますと対象予算が昨年より約三分の一かに減ったから、当然岐阜県の国庫補助対象がそれだけ減ったが、むしろ率からいけばいいのではないか、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますかまあ長官意図もよくわかました。冒頭に申し上げましたように山林県でありますし、山林部設置にはわれわれ賛成でありますから、ただいまの言明で安心をしたわけでありますが、ここで御注意を申し上げたいことは、県の政争にあなたのお出しになりました文書が巻き込まれておるということ、だからあなたの方では好意的に出されたのでありましょうが——もちろんこれは地方自治中央官庁が介入をするという適当でない意味も含まれておりますけれども、その問題はここでかれこれ言いたくはございません。好意的にあなたの文書を受け取りたいのでございますが、悪くいえば、この文書が利用されておる、あなたが政争に利用されておる、こういうことになるわけです。ただ、政党の争いという点については、われわれも政党人でありますから、これはやむを得ないと思いますが、何も実態を知らないこれらの林業関係者が私はかわいそうだと思うのです。中央補助金が減った、従って県の適用を受ける補助金も減った、それ見よ、言わんこっちゃない、こういう根もないことを中心にして、いろいろ政争が行われておりますので、こういう実態一つ十分お考えになって対処していただきたいと思います。  そこで、私はこの問題について最後に長官にお願いいたしたいことは、山林部設置いかんにかかわらず、われわれの取扱いというものは変らない、こういうことを、一つ岐阜県の知事に対して言明、勧告を願いたいと思いますが、していただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
  20. 石谷憲男

    石谷政府委員 私どもといたしましては、ただいまも御説明申し上げましたような考え方に従いまして、そういうことをいたしたのでございますが、それが、ただいまお聞きいたしました通り地方の政治問題の渦中に巻き込まれるということに相なるといたしますならば、私どもといたしましても、十分に反省をいたさなければならないと考えるわけでございますが、私ども決して地方自治に干渉するというような意味合いでそういう措置をいたしたものでないということにつきましては、一つ御了承をいただきたいと考えるわけでございます。  それから自治体がございまして、それが責任を持って事業実施が行われて参るということが当然補助金交付前提でございますが、そういう前提につきまして、何も動きがない限りにおきましては、部であろうが、課であろうが、私ども予算交付方針なり態度は何も変らないということは、どの場合につきましても、明確に言えることと思いますので、そういう意思表示したものを県当局にいたしますことは、一向差しつかえない、かように考えておりまして、しかるべく措置いたしたいと考えます。
  21. 小枝一雄

    小枝委員長 楯君、簡単に願います。
  22. 楯兼次郎

    楯委員 もう二、三点です。それでは、その問題は一つお願いします。  それから、国有林の処分の問題で簡単にお伺いいたしますが、実は私どももいろいろ地元零細企業の方、たとえばげたを作る、あるいは小さい木工でありますが、そういう方たちから、非常に材がないので、何とかしてもらえないか、こういう声がありますので、営林署の方へよくお伺いをするわけでありますが、そこで私どもどうもふに落ちないことがあるわけです。といいますのは、民材を買っては、今の零細企業は採算が合わないのです。たとえば国有林をある人が払い下げてもらう、それをまた買いといいますか、転売をしてもらった場合には、市販より石千円ぐらい高い。零細企業のいろいろな経営の実態にも悪い点があるとは思いますが、とにかくそれではやっていけない。そこで、ぜひ国有林でこれらの仕事をやりたいというわけで陳情に参るわけでありますが、なかなか使用量だけ払い下げをしていただくことができないのです。ところが実際ないのかといいますと、そうじゃない。特定の個人にはどんどんと払い下げておるわけです。そこで、地元の付近の零細企業に対して、使用人あるいは企業規模等を勘案されまして、十分こなすだけの、大した量ではございませんけれども、そういう材を払い下げることができないのかどうか。非常に不合理があると思いますので、この点をお伺いしたいと思います。もしいろいろな業種によって適当な材がない場合には、彼らの言っておりますのには、振りかえることができる、そして仕事をやっていくことができるのであるから、どうかそのようにやってもらえないのか、こういう声が非常に高い。特に年末から年始になりますと、もう材がないから山へ出ない。従って一ヵ月も二カ月も仕事なしで遊んでおらなくちゃならぬ。私の知っておる男もついこの間倒産をしてしまったわけでありますが、こういう点について長官はどいうようにお考えになるか、ついでに聞いておきたいと思います。
  23. 石谷憲男

    石谷政府委員 これは国有林産物の売り払いにつきましては、私どもといたしまして、できる限り公正妥当な方法をとりまして、そのときの時価をもとにいたしまして売り払いをいたす、こういうことで実施をいたしておるわけでありますが、御承知通り公入札指名競争入札随意契約、こういうような三つの方法で売り払いをいたしておるわけでございます。それからどのような売り払いをいたしましても、一般的に申し上げられますことは、要するに製造業者に売るという売り方を実はいたしておるわけでございまして、たとえば木材業者木材の伐出業者というものが国有林内仕事をいたしております場合におきましては、製造業者の指定をいたしました下請として作業をいたしておる、こういうような実態になっておるわけでございます。そこで国有林の生産いたしますのは、御承知のように非常に特定なものを生産をいたしておるというような関係からいたしまして、特定用途材につきましては随意契約によってかなり広く売り払いの道が可能に相なっておりますし、それからこれもまた一つの共通的な原則でございますが、随意契約によって売り払いますような場合におきましては、もちろん売り払いの用途を非常に制限をいたしておりますが、製品にいたしましても、立木にいたしましても、いわゆる地元工場の作業用材の最小限度を安全に確保してもらうというような建前で参っておる。それで地元工場というものをどのように理解するか、このようなことに相なろうかと思うわけでありますが、私どもといたしましては、零細な企業者が協同組合を作られまして、しかもそれがいずれも製造業者が協同組合を作られまして、国有林材の払い下げを希望される。それに対しまして国有林側が売って参るということは一番妥当な売り払いの事柄だ、かように考えておりますので、方針といたしましては絶対そういうケースを排除しておるものではございません。むしろ地元の人が協同組合をお作りになって協同集荷をせられる、その相手が国有林だという場合には、非常に歓迎をいたしまして取り扱う、こういうような考え方を実は持っておるわけであります。
  24. 楯兼次郎

    楯委員 関連質問もあるそうでありますからここで多くを質問はいたしませんが、ただいま長官の言われた意図が下部に徹底をしておらないと思います。ワクがあって、なるほどワクだけはくれるでしょう。しかしそのワクたるや、地元の業者にいたしますと、半分あるいは三分の一、しかもその材が入らなければもう仕事ができない。なるほど民材はあるでしょう。あるでしょうけれども民材といいますか、他の木材を買ったのでは採算が合わない。それで、ぜひという声が非常に強いわけです。ところがワクいっぱいやったからいいじゃないかというので、そのワクも拡大をしてくれない。と思うと片方の特定の大きな業者に対してはどんどんと払い下げをやる。しかも今あなたがおっしゃいましたように、何といいますか、私によく用語はわかりませんけれども、製造といいますか、製材といいますか、そういうことに使わない、聞きますと、原木でどんどんと転売をする、こういうのにもどんどん払い下げておるという現実を私は知っておりますので、この点はやはり国でやっておりますから、零細企業救済という面で一つ徹底をしていただく必要があるのではないか、こう思うのであります。  私はなぜこういうことをついでとは言いながら申し上げるかといいますと、こういう例がございます。これは聞いておいていただきたいと思います。これらの協同組合を作っておりまする零細企業に頼まれまして、私は署長にこの話をしたのです。これは地獄谷という地名まで彼ら業者が指摘いたしましたので、私は、ここにあるじゃないか、ちょうど今皆伐といいますか、とにかく払い下げ年度の来ておるところがあるじゃないか、こういうことを言ったわけです。ところがそれは本年度やりませんと署長は言うのです。私はわかりませんから、やらないところならこれは無理押しをできないじゃないかというので黙って帰ってきたわけでございまするが、それから半年ばかりして聞きますると、いわゆる大きな特定業者に本年度やらないと言ったその地域を全部払い下げておる。これにはいささか私はしゃくにさわったのであります。そういう事例がありまするから、とにかく国有林を唯一のよりどころとして生計を営んでおりまするこれらの小さな企業をまず優先的に救済をしていくという方途をさらに強化をしていただくのがいいのではないか、こう思いまするので、ここでお伺いを申し上げておきます。
  25. 石谷憲男

    石谷政府委員 御趣旨の通り零細企業に対しましてその家業用の資材を安全に供給するというようなことは、国有林野事業の持っている重要な使命の一つ考えまするので、徹底をいたしておらぬ向きに対しましてはすみやかに徹底方をはかりまして、そういう方向へ進めて参りたいと思います。
  26. 小枝一雄

    小枝委員長 山田委員に申し上げますが、理事会等の申し合せもあり、時間の関係もありますので、関連質問一つ簡単にお願いいたします。
  27. 山田長司

    ○山田委員 私はいつも時間の制限をされるのですが、実は理事会で時間の制限について申し合せがあるということを私は知らなかったのです。  そこで長官が見えておるときですから二、三伺いたいのです。ただいま楯委員質問の中にありました林務部、こういう部の廃止の問題は、全国の各府県におきまして、地方自治法の百五十八条によってかなり出てきておると思うのです。そしてただいま楯委員質問にありましたように、林務部が廃止になることによって国から回る補助金が減額されるのじゃないかという声がかなりどこの府県においてもあるのです。こういう点、今質問にお答えされた要点が、あなたのお答えでは明瞭に出ていないのです。御承知のように都道の場合は別ですが、人口二百五十万以上の府県、人口百万以上二百五十万未満の府県、それから百万未満の府県、こう区別があるのですが、林務部の廃止は全国でどのくらいまずあるのか。今ちょうど各県の予算の審議中でこれは重大な問題になっているのです。今林務部を廃止しかかっているところがどのくらいあるのか、まず最初にこれを一つ伺いいたします。
  28. 石谷憲男

    石谷政府委員 林務部が存置することにきまりましたのは十一道県でありまして、北海道、群馬、栃木、長野、山梨、静岡、奈良、広島、福岡、宮崎、鹿児島でございます。さきに林務部設置されておりましてもうすでに廃止決定を見ておりますのは、秋田、岩手、宮城、福島、島根、これは地方自治法云々の問題にかかわらず、昨年、一昨年もうなくなったところでございます。  それから特に今回の地方自治法の施行の問題に関連いたしましてなくなりましたものは、徳島、岡山、山口の三県でございます。そして岐阜県が山林事務局という別な機構で、これは部扱いの機構でございますけれども、ここ数年来やっておることが、現在問題になっておるということであります。
  29. 山田長司

    ○山田委員 それで予算の面について、部になったところ、それから廃止になったところ、存置されたところ——今の岐阜県のような残されたところ、それの楯委員質問についての長官のお答えは明瞭を欠いている点があるので私伺うわけですが、その点の配慮はどうなんですか。
  30. 石谷憲男

    石谷政府委員 私どもといたしましては、そのことによりまして、予算配賦の手かげんをするというようなことは絶対いたしておりません。もちろんただいま問題になりました岐阜県の場合におきましても、そのことによって手かげんをするということは絶対いたしません。
  31. 山田長司

    ○山田委員 毎年造林国家予算として各府県に配賦されている金額は、何を基礎にして各府県に何千万の補助金が行っておるのか、その基礎の根拠を一つ……。
  32. 石谷憲男

    石谷政府委員 林野庁関係から府県交付いたしております補助予算の中で、金額的に大きいものは三つの公共事業関係の経費でございますが、これは治山、林道、造林でございます。これらのものにつきましては、特に五年を一期といたしまする森林計画というものが都道府県の小さい流域の単位ごとに作られておりまして、これは森林区施業計画という五年計画でございます。その中で今後五ヵ年の間に治山事業においてはどれだけのものをやるべきである、造林事業についてはどれだけのものが対象になる、林道については新設がこれこれ、延長がこれこれという具体的なものが場の計画として実は出ておるわけでありまして、これらのものが予算の要求の資料にもなり、また配賦の根底にもなるわけでございまして、それらにつきましてももちろん扱いの優先順位というものを計画段階でつけておるわけであります。ただしそう申しましても林道の場合におきましては、地元の負担という問題もありますので、その計画段階においてついております順位をもとにいたしましても、そのときの情勢で多少順位が変ってくるということもございますが、そういうもので決定された予算の額によって優先配賦する、こういうのが大体公共事業の配賦の仕方でございます。それからそのほか森林計画に対しますところの予算の配賦、これも金額的に申しますと、従来規模では年額四億くらいのものでございますが、これはただいま申しました計画編成の年々の数字がありまして、その面積一町歩当り幾らというものが基礎になりまして配賦されておるという状況でございまするし、技術普及関係のものにつきましては、これは職員費が中心でございますので、各府県に配当しております職員の数に比例いたしまして予算が配賦される、こういうことに相なっておるわけであります。その他害虫防除等の金につきましても、害虫の発生した実態に対比しまして配賦する、こういうようなことでいっておるわけであります。
  33. 山田長司

    ○山田委員 かなりの金額になるのではないかと思うのですが、ちょうど十月の共同募金と同じように、来月行われる緑の羽根の運動ですが、この緑の羽根に集められた金というものは、どうも山持ちの山の苗木にだけ、こういう補助が行っておるばかりでなしに、学童を使った緑の羽根の運動も、その金までがやはり山の木の苗を植える経費に回されるわけなのですが、国家の造林計画としてそういう金を集められて回されることは、別に差しつかえないわけであるけれども、この金の明確性が、中小学校の児童たちまで駅頭に出て緑の羽根の運動で集められて、それがどういうふうに府県に集められ、中央に持ってこられるのか、実際はあの金をどうするのかということが話題になっているわけです、こういう点はやはりはっきりしてもらいたいわけなのです。そういう点やはり運動推進する意味からいっても、どういうふうに使われて、どういうふうに山の苗木のために回っているのか、こういう問題を片づければ、地主がうちの山の枯れ枝をとってはいけないなんてずうずうしいことは言えないはずなんだ、国民の税金で山の木を植えているのですから。こういう点が明確にならぬために地方の山の中へ行って枯れ枝一つ刈ることができないという状態なのです。こういう点はやはり明確にしなくてはいかぬのですが、長官それは一体どういうふうになっているんです。
  34. 石谷憲男

    石谷政府委員 近年毎年のように四月の初旬に植樹週間を設けまして、その期間に緑の羽根による募金運動実施して参っておるわけでございますが、ただいまのお話のように、その募金されました金の中の相当部分が、苗木として実際問題として植林者の手に渡っておるのではないかということは全然ございません。大部分は募金団体に入っておるという状況でございまして、私ども承知しておる限りにおきまして、これが植林用の苗木として入っておるという事実は全然ございません。
  35. 山田長司

    ○山田委員 それは国民運動として推進する以上明確性を欠いておってはいけないから私は申し上げるので、かなりの人員が動員されて全国的に——私はこの運動をやられることを悪いというのじゃないんです。大いにやられてけっこうなのです。しかし中学生や高等学校の生徒まで駅頭にあるいは村の辻々に立ってまでやる運動で集められた金が、どういう経路を経て村なり町なり市なりからあるいは県に集められ、あるいは国に集められるのか、こういうことが明確性を欠いておるわけなのです。これは知らす必要がないというならば、むしろ廃止運動をしなければいかぬと思うのです。もっと明確性が出てこなければならぬと思うのです。共同募金の場合は、県で集められたものが中央に来て、中央から地方へ還元されておるということが大体明確になっておると思うのです。この点集められた金は一体村で集められたものは村で使ってしまっているのか、あるいは県で集められたものは県で使ってしまっているのか、この点がはっきりしていないのですが、どういうふうになっているのです。
  36. 石谷憲男

    石谷政府委員 緑の羽根募金運動の主催は国土緑化推進委員会という機関がございまして、この民間団体が実は主唱されておるわけでございますが、中央に国土緑化推進委員会の本部がございまして、各都道府県にそれぞれの支部的なものがあるというような形であるわけでありまして、募金の主体はあくまでも地方にございます国土緑化推進委員会の支部的なものということに相なっておるわけでございます。
  37. 山田長司

    ○山田委員 大体この運動はいつまで続けるのですか。この運動を続ける期間はいつまでです。
  38. 石谷憲男

    石谷政府委員 この運動を通じましてやはり国土緑化に対しますところの一般国民の関心というものは、ある時期よりも非常に高まっておるように私は考えるのであります。現在いつまで続けるかということに対しまして、林野庁としての見解をまだ明確にいたしておりません。
  39. 山田長司

    ○山田委員 地方に、この集められた金の主体性があるならば、その地方で集められた金はどういうふうに還元されておるのですか。どういうところにその金は大体入っておるのです。
  40. 石谷憲男

    石谷政府委員 ただいま申しましたように、新植用の苗木等に充てて、苗木として配られるというようなことは絶対にやってはならぬということは明確にいたしております。大部分のものは募金団体に返るのでございますけれども、その辺の状況につきましては国土緑化推進委員会に対しましてあらためて調査いたしまして詳細に御報告申し上げます。
  41. 山田長司

    ○山田委員 調査をするとあなたは言っておるが、今まで何年やっておるのです。そんな不明確なことで、たとえ十銭の金でも道行く人から集められて、そして国民運動になるなんて、とんでもない話ですよ。一体今まで何のためにそういう問題について監督の衝にあり、——予算地方に回して、この運動と一体となった形で緑化運動は進められておると私は思うのだ、それが一体今調べなければ答えができないのだというのでは、どうも理解ができないのですが、一体どうなっておると思うのですか。このくらいのことはわかるでしょう。どうなっておると長官は思うのですか。
  42. 石谷憲男

    石谷政府委員 ただいま申し上げましたように、それぞれの募金団体に返っておるというふうに考えておるわけであります。
  43. 山田長司

    ○山田委員 あなたの答弁では理解できないから、ぜひこれは再調べしていただきたい。いろいろ醜聞を私は耳にしております。しかし今ここではっきり実情をとらえておらないので、聞いておる程度で発言すると大へん不見識でありますけれども、やはりあなた方の答弁を聞きますと、なるほどこれは理解のできない点があるように思います、どうか運動推進するために、そういう点もう少し明確にお調べ願いたいと思うのです。  次に伺いますが国有林の処理の問題です。これはおそらくいろいろ他の委員からも将来質問がある問題だと思うのですが、国有林の存置として一体何十町歩のもので、大きな人間が二人も三人もでかかえるようなクリの木の国有林の地域があります。これはほとんど枯れております。国有林というものは治山、治水の見地から十分そういう点の監督をされておると思うのですが、そういう枯れ木に匹敵するような大きな大木を立てておくことは治山治水上からよくないことですが、こういうものの処理の仕方はどういうふうにお考えになりますか。
  44. 石谷憲男

    石谷政府委員 御承知のように現在農林省の所管しております林野は約五百六十万町歩ございますが、これが五百三十の経営区という単位に分れておりまして、経営区ごとに十年の計画——伐採、植栽伐採をいたしますための施設というようなものの計画を内容とする十年計画案が実はあるわけであります。そのきめられました十年計画案によりまして伐採が行われ、その跡地の造林が行われ、伐採をいたしますための林道その他の施設ができるということで、そういう計画はまた国有林野事業予算割当の根拠になっておる、こういうような状況になっておるわけであります。これが永年にわたりまして、一定数量のものが繰り返し伐採されるような建前の上に、山の取扱いの仕組みがきめられておる、こういう実は実情にあるわけでございます。従いまして現在あるところに伐採が進行しておる。その伐採の進行が次第に進んで参りますと当然伐採の対象になりますものも、今申し上げますように毎年の伐採量というものは一定の方式によってとりきめられて、しかもそれだけのものがある地域にわたりまして永年にわたって収穫できるというような方式でやっております関係で、その場所だけごらんになりますと非常に老齢過熟のものが立って、治山治水の上にも役立たぬではないかというふうな御見解をお持ちになる場合もしばしばあると思うのであります。ただいま御指摘のようにそういうものをいつまでも立てておることは治山治水の上からいきましても非常に危険なことでございますし、あわせてまた木材の需給事情等が非常に窮迫しております当面の情勢から申しましても、これはのっぴきならぬことでありますので、私どもとしてはそういうものがすみやかに整理の対象になり得ますように、国有林の経営、仕組みというものが新しい情勢に対応するごとく変えていかなければならないということで、現在検討をいたしておるわけであります。
  45. 吉川久衛

    ○吉川(久)委員 議事進行。ただいまの山田委員の御質疑はきわめて重要な問題であろうと私も思いますが、一時半から稲富委員の代表質問の続きがありますし、大臣の時間の都合等もございますので、山田委員のために林野関係の問題については特に一つ時間を作っていただくことにして、この程度にしていただいて、理事会の申し合せのように綱島委員質問に移っていただきたいと思います。山田委員にお願いをしてもらいたいと思います。
  46. 小枝一雄

    小枝委員長 山田委員、ただいま吉川委員から議事進行についての御発言がありました。どうぞそういうことで御了承願います。
  47. 山田長司

    ○山田委員 もう一点だけ。理事会の申し合せを知らなかったので、もう一点でやめます。長官伺いますが、実は全国で現在町村合併促進法によって、町村合併がかなり促進されておると思いますが、まだ町村合併の結論を見ていない地区もあります。この町村合併促進に当りまして、町村合併促進法の説明に当った県当局が、町村の平衡交付金は決して少くしないとか、あるいは国有林払い下げはうまくやって財源にゆとりを作ってやるとか、こういうような言葉をかなり使って、町村合併が進められたところがあるわけです。これに自治庁林野庁はどういう関係——この国有林払い下げ等を円滑を期するために協力するというようなことを言われておるらしいのですが、どういう点で林野庁自治庁とそういう話し合いをしたのか、またこれをほんとうにやってやるつもりで話し合いをしたのか、簡単でいいです、一つ伺います。
  48. 石谷憲男

    石谷政府委員 町村合併促進法、それから新市町村建設促進法でございますか、これによりまして国有林野を現に売り払っておるわけでございますが、要するに御承知のように現在の国有林野は大小さまざま、条件が異なっておるものが非常にたくさんございまして、私どもといたしましては、さきに実施いたしました国有林野整備の基準、趣旨にのっとって実施をするという建前で実行いたしておるわけでございますが、そういうふうな希望が現地機関の営林署あるいは営林局で上って参ります。そこでその趣旨にのっとりまして、営林局側では、一応これは取り扱いにくいとか、これは取り扱うについては、こういうような考え方で、こういうように整理してもらわなければならぬとかいうような希望を付しまして相手方の町村に話をするわけでございます。ところが町村としましては、なかなかそれでは満足しかねるというような場合もしばしばあるわけであります。そういう場合には府県を通じまして、自治庁にその問題が上って参るということで、それでそうなりました場合に、今度は自治庁と私どもの方でその問題をさらに具体的に検討いたしまして、再検討の要があるというものにつきましては、もう一ぺん営林局、署という下部に流していく。こういう一たん上りましたものについてそれをまた、それに対して意見を付しまして、相手方に返す。それを、もう一ぺん上ってくるという段階について、林野庁自治庁が話し合いをいたしまして問題の促進をはかろう、こういう趣旨の話し合いでございます。     —————————————
  49. 小枝一雄

    小枝委員長 次に佐世保港外海域における投錨禁止区域設定による漁業補償の問題について調査を進めます。質疑の通告があります、これを許します。綱島正興君。
  50. 綱島正興

    ○綱島委員 お尋ねしたいのですが、水産庁と調達庁と大蔵省主計局と、それぞれ御出席のようですから、各別には申し上げませんから、適宜お答えを願いたい。お尋ねをいたしたいことは、御承知通り、佐世保は港外が投錨禁止区域になっておりまして、そのために漁業が被害をこうむっているわけでございます。昭和二十八年法律第二百四十六号によって、その第一条の「水中工作物の設置若しくは維持、水面の利用上必要な施設であって政令で定めるものの除去、損壊若しくは変更」この点に当るのでありますが、ここで非常な損害をこうむっておりまして、業種別にいえば、先ほど陳情書を皆様にもお渡ししてありますから、大体御承知のはずと思いますが、縫切縄とか揚繰網とか、あるいは船びき網とか小型定置の免許漁業あるいは夜焚一本釣等が実際上はみな禁止されておって、この被害は二十六年以来今日まで続いておるのでありますが、政府の通達によりますと、三十年十一月二十四日より三十二年三月十一日分だけを補償するがごとき通達を受けておるのでありますが、業者はその前からたびたび福岡の調達庁の支所ですか出張所ですか、そこへ補償の願いをしても、どうしても書類を上の方へ取り次いでくれない。とどのつまりにこういうものが出てきた。どうもわれわれが考えてみると、非常にここが何というか、行政怠慢というか、あるいは失政というか、非常に理解しがたいものがあるのでありますが、その間の役所の方の事情をひとまず伺うことにいたします。
  51. 松木豊馬

    ○松木政府委員 お答えいたします。佐世保港外の投錨禁止区域に対する漁業の補償はどうなっているかというお尋ねと思いますが、あそこの投錨禁止区域は、実は占領下から投錨禁止になっておりまして、講和発効後も引き続いてやはり投錨禁止区域になっております。高後崎から半経五千ヤードといったところでございますが、実はその禁止区域は投錨を禁止しているだけという状態でございます。講和発効以来も実は漁業の被害があることにつきまして疑問と申しますか、漁業の被害がないのではないか、いやあるといったようなことがはっきりしておらなかった区域でございまして、従いまして最近まで御指摘のようにその区域の漁業被害というものに対して補償をいたしておらないのが現状でございます。しかし最近になりまして、やはりそこに漁業の被害があるのだという申請が出て参りましたので、ただいま私どもといたしましては、その問題について検討中でございます。
  52. 綱島正興

    ○綱島委員 そういたしますと、今までは漁業の被害があるかどうか疑問であったからやらないということになって、ただいま大体あるということがおおよそ見当がつくようになったから、今度補償をしようという考え方になったのだというようなお答えのようです。ところがそれならば、初めて三十年の十一月二十四日から被害があるようになって、その前は被害がなかったということのようになるようですが、それならどうして二十六年の禁止後のものを全部計算せずに、三十年の年末からだけやるのか、こういうことはどうも受け取れないのですが、そこはどうですか。
  53. 松木豊馬

    ○松木政府委員 御指摘のように期間を区切っておりますことは一応便宜上の問題でございまして、過去へさかのぼりまして講和発効後の状態を全部調べてみなければならぬというのが当面しておる問題でございまして、とりあえず最近の分は資料等も大体調査ができてきた、こういうのが今の状態でございます。さかのぼりまして調査の結果を待ちまして、補償を要すべきものは大蔵省に予算金額の要求をいたしたい、かように考えております。
  54. 綱島正興

    ○綱島委員 なるほどそういうことならいいように思うのですが、不思議でかなわぬことは、これは最初は三十年の十一月二十一日から三十一年の三月三十一日までの補償請求書を出せという内示があったものだそうです。その後あらためて今度三十二年三月三十一日まで一ヵ年間延びてまたやってきておる。前のものは一つも補償請求書を出せということがきていないので、これを調べなさるのには前のものから請求書が出たことにして、いずれは調べます。役所が自分で調べてみて、なるほどそれよりよけいあるようだと思っても、願い書がそれ以下であればそれより上に出したことは一つもない。下手な願いを出せばそれより下に値切るというのが通常のようだけれども、願い書自身さえまかせないでやっておられる。どうも今のお答えを私は非常に善意に解釈すれば、早くやってもらって、予備金からでも出してもらうということならば納得されぬこともないが、それなら講和発効後のものを全部やってもらわなければならぬ。それも作業のでき次第にやってもらわなければならぬと思うのですが、調達庁ではその点どういうお考えでございますか。
  55. 松木豊馬

    ○松木政府委員 お話の分につきましては、まことに申しわけないのでありますが、問題が何分にも最近起って参ったという関係でございまして、既往の分につきましてはできるだけ早く調査作業を終りまして、それで善処いたしたいと思います。
  56. 綱島正興

    ○綱島委員 主計官にお尋ねをいたしますが、いずれはこれは三十二年度の予算に入っておるわけではないから、予備費から全部出さなければ出しようはなかろうと思いますが、大体一ヵ年の被害額は一億六、七千万円に及ぶようですが、これが五、六年になると相当の金額ですが、これを予備費でお出しになる御意思があるかどうか、これを一つ伺っておきます。
  57. 吉村真一

    ○吉村説明員 お答えをいたします。松木不動産部長からお答えになりましたように、調達庁から御要求が出されれば私の方でも至急検討して善処いたしますが、支出科目につきましては、これは従来から防衛支出金の中からやっておりまして、大蔵省所管に一括計上してあるわけでございますが、これは必要に応じまして移しかえておるわけでございます。たしか三十二年度に組んでおります防衛支出金の中には積算の根拠としては見ておりませんが、実行の過程におきまして、駐留軍の関係と申しますのは、わが方で予測し得ない需要も起りますし、われわれが必要であると見ておったのに必要でない場合もございまして、金につきましては多少のゆとりができる場合もございますし、その場合にはむろんそれでやりたいと思っております。私の見込みではございますが、一年先のことでございますから鬼が笑うかもしれませんけれども、調達庁でどの程度御査定になるかしれませんが、大体まかなえるのではないかという見通しでございます。
  58. 綱島正興

    ○綱島委員 水産庁にお尋ねいたしますが、これは水産庁に直接の御関係とも言いかねるのだけれども、広い意味の水産行政からの考えで、できるだけ零細漁民の立場を考慮されて、できるだけの指導をされたり協力をされる御意思がありますかどうか。
  59. 奥原日出男

    ○奥原政府委員 本件に関しまする水産庁の立場に関しましては、ただいま綱島先生がお話しになりました通りでございます。水産庁としましては、水産行政、漁民の福祉増進という観点から従来調達庁関係で具体的に起りました案件につきまして、常に実情をよくお話し申し上げて問題解決に御協力するという立場をとって参りました。本件につきましても、実はこの投錨区域の問題自身につきましては、予備知識なしにここに参っておるのでございますが、当然従来からの水産庁の態度によりまして善処いたして参りたい、かように考えております。
  60. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま綱島委員と松木不動産部長との応答を聞いておりますと、三十年十一月二十四日以前の被害の補償について、何だか以後のものがはっきりすれば以前のものも引き続き作業するんだというような、さような印象を受けるような答弁でございますが、この以前の損害ということにつきましても、現在損害を認めておられるのでございますから、現在においては以前の損害もはっきりしたことと思うのでありまして、三十年十一月以降の補償は当然でございますが、この制度を設けられてから、三十年十一月二十四日までの被害についても当然補償しなければならないと思うのでございますが、その点を一つ明確にしていただきたいのでございます。
  61. 松木豊馬

    ○松木政府委員 お答えを申し上げます。りくつの上から申しますとお話の通りでございますが、先ほど申しましたように、実際の面が今作業の完了をいたしておらない段階でございまして、そういう面から不確定、あいまいな御返事のようにお聞き取り願ったと思いますけれども、よく調べてみまして、今と同じようなことであるという立証等を明らかにいたしまして結論を出したい、こういう意味でございます。
  62. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいまの調達庁からの答弁は当然なことでございまして、これは吉村主計官も御同様のことと思いますが、その点いかがですか。
  63. 吉村真一

    ○吉村説明員 実は私この問題は最近になって聞いたのでございますけれども、確かに東京湾の場合でございますと、これは先ほど投錨禁止区域と松木不動産部長からお話がありましたが、水中聴音機が設置してある地域のようには見受けられますが、この関係は東京湾につきましてはどうも補償をやっておるような記憶がしておりまして、調達庁の方でおそらく事実問題として漁業の被害があるかどうかについて疑問があったというお考えだろうと思うのでございますが、今まで大蔵省に対しては実は正式に予算の要求がなかったのでございまして、本日初めて聞いたわけでございまして、調達庁の方で事実認定として漁業被害が確かにあるという御認定をされて御要求が出てくれば、われわれの方でもむろん検討いたしまして、それぞれ予算措置をすることになると思っております。
  64. 田口長治郎

    ○田口委員 その点につきましては調達庁と大蔵省のお考えは了承いたします。  第二の問題といたしまして、今大蔵省からお話がありましたように、この高後崎で投錨禁止をしておる理由は水中の聴音機設置のためである、さように考えるのでございますが、そうでございますか。
  65. 松木豊馬

    ○松木政府委員 この点は私どもといたしましては、ただいまのところでは多分そうであろうと考えております。
  66. 田口長治郎

    ○田口委員 海底の施設に対して投錨を禁止するということは——この投錨という言葉は普通しろうと考えからいたしますと、いかりを打ってはいけない、こういう解釈でございますが、施設そのものが海底に敷設してありまして、この施設物に損害を与えてはいけない、こういう意味において投錨を禁止したのだ——この投錨という言葉が非常に悪いのでございまして、それじゃいかりだけ打たなければ、海底を底びき網なんかでがんがん引いていいかどうか、あるいはいそ建て網なんかを建てて網をどんどんその付近に敷設していいかどうか、こういう問題になるのでございますが、要はこの海底の施設物を保護するために、これにいろいろな故障を起させないために、この海底でいろいろなものを引っぱり回す、あるいは投ずる、そういうことを禁止するということでございますから、しろうと考えの、いかりだけを打ってはいけない、こういう意味でなしに、この海底を使用して網あるいは綱を引っぱり回す漁業を結局禁止してある、いかりは打たないけれども、そういう漁業を禁止してある、こういう意味だから、この地点におきましてもいろいろな漁業があるのでございます、いかりを打ってする漁業もある、あるいはいかりを打たないで海底を網で引いてやる漁業もある、あるいは海底を網で取り巻いてやる漁業もある、こういうものが一切禁止をされている次第でございますから、この点につきまして調達庁が漁業の補償を考えられる場合におきましては、いかりを使用する漁業だけというような意味でなしに、工作物によって禁止をされているいろいろな漁業のすべての損害、この点もぜひ考えなければ問題は解決しない。もしいかりを投じるものだけというようなことになりますと、いかりを投じないで海底をかき回す漁業はやっていい、こういうような解釈になるのでございますから、この点私らと大体同じ考えを持っておられるかどうかお伺いいたしたい。
  67. 松木豊馬

    ○松木政府委員 ただいま先生のお話の通りでございまして、単に投錨云々ということは考えておりません。従来といえどもそういうように東京湾等の関係を処理して参っておりますので、この場合といえどもやはり底びきにかかるような漁業のやり方のものはすべて考えるというのが至当であると存じます。
  68. 田口長治郎

    ○田口委員 従来この種の問題につきましては、調達庁と大蔵省では非常に連絡がついているようでございまして、大蔵省も調達庁も漁業の実態についてはある程度御存じでございますけれども、詳しくない、こういうような関係がございます。さような点から水産庁とも常に一つ緊密なる連絡をとって処置してもらう、こういう考えを私らは持っておりますが、この点今日まで連絡はとっておられましょうけれども、なお一そう緊密なる連絡によって処置する、こういう御希望を申し上げまして私の質問を終ります。
  69. 綱島正興

    ○綱島委員 これは海底に縦横無尽にブロックのように施設がしてあって、タコつぼも入れられなければ一本釣もできない。この区域は何にもできないように全部施設がしてあるそうです。ことに書いてあるのは過大なことを申し上げているのではなくて、むしろこれは、投錨ということだけだから大したことではなかろうということではなくて、漁業が一切できないようにそこが縦横無尽に施設がしてあって何にもできないようにしてあるそうですから、その点はどうぞ調達庁でも十分にお調べになって、申請が非常な不当なものであるかないか、そういう点も事実についてもう少し御調査を願いたいということを希望しますが、部長はどういうお考えでございますか。
  70. 松木豊馬

    ○松木政府委員 お答えいたします。お話の趣きに従いまして十分疎漏のないように調査をいたしたいと思います。
  71. 小枝一雄

  72. 原捨思

    ○原(捨)委員 調達庁にちょっとお伺いしたいと思います。同じ長崎県に鳥島演習地があるわけでございますが、この鳥島が演習地になっておりますために、九州の各県が非常な被害を受けておりまして、多年の間これが廃止方について各県から非常に熱心な陳情がなされているわけでありますが、現在どういうことになっておりますか、お伺いいたします。
  73. 松木豊馬

    ○松木政府委員 鳥島はただいま先生が御指摘のように、米駐留軍の対地爆撃訓練場ということになっておりまして、従来御承知のようにしばしば問題になり、国会でもいろいろお話があって、私ども調達庁といたしましても、米軍とも再三にわたりいろいろな交渉をして参ったのではございますけれども、軍の方の必要性は非常に強いものがございますし、実際上また訓練の状況も百パーセントやっているという状態でございまして、ただいまのところではそれを使わなくするということにはなっておらないのでございます。一方経過的には先生も御承知と思いますが、たとえば使用の射撃の演習の時間をある時期取りやめるとか、あるいは時間を短縮するとか、時期的にどういう時期に、たとえば漁獲の最盛期には訓練をやめるとか、いろいろなことがあったのでございますが、地元の利害関係等もいろいろ複雑に相なっておりまして、御承知のように現段階ではかくかくするという明瞭なきまりには至っていないのが現状でございます。
  74. 原捨思

    ○原(捨)委員 御答弁によりますれば、鳥島については近い将来において廃止されるという見通しはないようであります。しかしながら、御承知通り九州各県は李承晩ラインの設定のために致命的な打撃を受けておりまして、その上そのかわりになる漁場であるところに演習場が設けられておるという状態で、漁民は全く困っておるわけでございまして、そういう観点からいたしましても、わずかな補償などをとるということが決して漁民の希望ではないのであります。しかしながら、これが近い将来に廃止できないということであれば、この補償についてもっと積極的に考えてもらわなければならぬ、かように考えるのでございますが、この点について調達庁としてどうお考えになっておりますか、その点をお伺いいたします。
  75. 松木豊馬

    ○松木政府委員 現在の段階では即時または近い将来あそこが返還になるという見通しは立たないと思っておりますが、それだからと申しまして、直ちに、たとえば代替の演習場を作るとかいうことも非常に困難でございますし、私どもは、ただいまは、何とか演習を緩和させる、あるいは漁業期は中止させるといったようなことで、被害を最小限度に食いとめていく方法はないかということで、非公式ながら軍ともしばしば交渉を続けて参っておるようなわけでございまして、現在の段階ではいかんせんそういう程度しかできないのではないかというふうに考えております。
  76. 原捨思

    ○原(捨)委員 はなはだ心細い答弁で納得がいかないのですが、調達庁としても一つこの問題をもっと真剣に考えてもらいたい、そうして全面的な廃止ができなければ演習の時期を変更してもらう、あるいは補償を増額する、これはもっと真剣にお考え願わなければ、漁民は決して納得いかない。どうも鳥島の問題とかは調達庁として米軍に遠慮されておるようなものがあるところさえ感じられるのであります。私はこれ以上申し上げませんが、一つこれらの問題をもっと熱意をもってお考えいただきたいということを希望申し上げておきます。
  77. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは暫時休憩いたしまして、一時三十分から再開いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後一時五十七分開議
  78. 小枝一雄

    小枝委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業基本施策について質疑を続行いたします。稲富稜人君
  79. 稲富稜人

    ○稲富委員 昨日の質問に引き続き、さらに食管特別会計の問題につきましてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、大臣に質問をいたします前に委員長に希望申し上げたいと思います。  私がここに質問をいたすのにつきましても、二週間以上さらされております。ようやくきのうから質問に、入ったわけでございますが、きのうの質問も、ちょうど核心に触れたときに突然大臣の差しつかえがあるということで休憩をなされまして、実に私は遺憾に存じております。ただいま申し上げましたように、すでに二週間以上経過して今日ようやく質問するのでありますから、できるだけ一つ突然の休憩等によって中断していただかないように、私もできるだけ簡単にしようと思っておりますので、その点特に最初委員長にお願いをしておきたい、かように考えておるわけであります。  農林大臣にお尋ねいたしたいと思いますのは、昨日の私の質問に対して明らかになりましたことは、農林大臣の答弁によって、三十年度までの食管の赤字は今回の補正によって処理するが、三十一年度の赤字は決算確定後これを処理するという御答弁があったように記憶しております。この決算確定後三十一年度の赤字の処理をするというのは、それが決定したならば一般会計からこれを繰り入れる、こういうような含みで御答弁されたのであるか、その点を明らかにしておいていただきたい。
  80. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 そのように御了解いただいてけっこうと思います。
  81. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではさらにお尋ねしたいと思いますのは、私昨日の冒頭の質問に申し上げましたように、食管の特別会計がたな上げになったということは、ちょうど予算編成の当時に閣議決定されました消費者米価の値上りというものもたな上げにされたことも一つの原因であると思うのでございますが、それでは消費者米価の値上げというものは、今回の三十一年度の赤字の決算とは何ら関係がない、こういうお考えでありますか承わりたい。
  82. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 今の御質問の趣旨は領得しかねますので、もう一ぺん……。
  83. 稲富稜人

    ○稲富委員 要約して申し上げますと、今日消費者米価を値上げしますと、当初政府が計画しておりましたことは、これは特別調査会を作ってやるということにたな上げになっております。今日食管の三十一年度の赤字を決算後にやるということになりますと、昨日の御答弁によりましても七月ごろだろうとこう言われた。私は調査会との関係があるかと言ったところが、それはないとおっしゃった。そこでお尋ねしたいと思いますることは、この消費者米価の値上げをする場合に食管の赤字があるからこれが値上げの理由になるというようなことにはならないか、この点を承わっておきたいと思うのであります。
  84. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 昨日も申し上げたと思いますが、三十年度、三十一年度、少くとも既往の食管の赤字というものは、三十二年度以降の消費者米価にはこれを転稼するとかなんとかというふうなことは全くございません。ただ従来食管の運営においてどのような経理状況に相なっておるか、さらに申すならば、赤字がどういう形で出ておったか、こういうことはおそらく臨時食糧管理調査会で審議をいたします際の参考にはなるだろう、こう考えております。
  85. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではさらに進みましてお尋ね申し上げたいと思いますのは、三十二年度の食管特別会計の赤字の見通しでございますが、当初損失見込み額は百六十三億円であると言われておったのであります。その後食管の赤字問題がやかましくなりますると、食管経理の合理化という名目で二十一億円が圧縮されて、事業上の損益として百四十二億円が計上されているということになっておるのであります。この事業上の損益のどの項目をどのように節約してこの二十一億円というものが圧縮されたのであるか、この点を承わりたい。
  86. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 詳細は、食糧庁長官から報告をいたさせます。
  87. 小倉武一

    ○小倉政府委員 予算案の編成途上の数字だと存じますが、大きく違って参りましたものの一つは農産物それから飼料等の価格安定関係につきましての損益、これにつきましての問題、それから食糧の管理費の問題、そういった面についての検討を加えてただいま提案しております予算にまで圧縮をしたわけでございます。数字的な詳細につきまして申し上げますと、現在の損の見込みの百四十二億に対しまして、当初百六十四億、これが今お尋ねの相違の数字だと存じますが、これに対しまして農産物の赤字、えさの赤字、そういったものを約十億とその当時組んでおったのでありますが、これは決算上翌年に繰り入れる、こういう考えからで、予算上はそれは損と見ないことにするということでまず十億を落し、それから次は食糧管理費あるいは事務費の点でございますが、事務費について、当時大蔵省に要求しておりましたベースと比較いたしまして約十億節減する、それから同じく管理費につきましても約五億節約する、さようにいたしますと、赤字が百三十九億に相なるのであります。それから国庫余裕金の使用率を約百億程度ふやすということによりまして、金利負担が六億余り減る、そういうことによりまして赤字が百三十三億程度になる、こう踏んだのであります。そこで今度はこの百三十三億と現在の百四十二億との違いでございますが、これらにつきましては、詳細は結局またもとに戻りますが、農産物、えさの赤字を予想通り予算上にも出して、それがもとに戻って約九億損を出す、こういうことで約四十二億、こういう数字になったのであります。
  88. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの食糧庁長官の御答弁は私にはどうもぴんとこない、わからぬ。私の承知いたしておりまする百四十二億の数字はこういうことではじかれておると承知いたしております。内地米の二重価格による損が百七十三億、それから内地麦の二重価格による損が七十五億、外米安売による損が十五億、農産物価格安定による損が二億、飼料需給安定による損が七億、合計が二百七十二億、これに対して益金の見積りが外麦の売り渡しが百三十億、その結果が百四十二億、こういうような数字が出たと私は承知いたしておるのでありますが、この私の承知いたしておりますのがどういうように変更になっておるのか、今御答弁があったのでありますが、この点はどうであるか。それからあなたの今の御答弁を聞いておりますと、こちらからもつまんできた、あちらからもつまんできた、つまみが非常に多いので私にははっきりわからない。そこでその点、これは将来の非常にいい参考になりますので、わかるようにお聞かせ願いたいと思います。
  89. 小倉武一

    ○小倉政府委員 昨年度の損益見込みにつきましての内訳と申しますか、部門別、もの別のお尋ねでございますれば、今お読み上げになりましたように、国内米は百七十三億、内麦が七十五億、それから外国米が十七億、それから外麦の益が百三十二億、農産物価格安定の関係が二億、それからえさの関係が七億、合せまして百四十二億ということであります。これと比較しまして、予算案を作成する途上で出ました数字との違いをお尋ねになったように思いますので、先ほどはそれを申し上げたのであります。この百四十二億になりました金額のもとの数字と申しますか、お尋ねの数字、百六十四億との違いはどういうふうなことからきたか、こういうことでございます。そこでまず農産物、テンサイ、飼料の関係でございますが、百四十二億のときにはこれを合せまして九億、こう見ておるのであります。それから百六十四億のときは十億というふうに見ておったわけであります。その他先ほど申し上げました通りでございます。なおお尋ねによりましてお答えをいたします。   〔委員長退席、吉川(久)委員長代理着席〕
  90. 稲富稜人

    ○稲富委員 結局つまんで二十一億というものが出てきていると言うのですか、そういうように簡単に浮くものであるか。百六十三億のものが百四十二億となったというその根拠がわからない。わかるのでございますか。百六十三億が百四十二億になったのだ、それはどこで二十一億圧縮したのだというと、こちらからもつまんできた、こちらからもつまんできたと言うが、損益というものは、やはりはっきりした基本がなければいかぬと思う。その点がどうもわれわれには納得がいかないわけです。私の質問がわからぬのか、あなたの答弁がわからぬのかどうもはっきりしないのですが、私はそういうことをお聞きしているわけです。あなたの二十一億の圧縮ができたというのは、私が聞いておりますと、この項でこれだけつまんではじき出したのだ、この項でつまんではじき出したのだということで、いかにも根拠がないようにわれわれには聞き取れる。その点が私たち納得がいかない。それではその基本的な根拠をもっと詳しくお話し願いたい。
  91. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはできるだけ損を少くするということでございますが、そういうことでありますと、やはり損益の勘定の科目の各般にわたって検討して損の出方を少くするわけですから、どこか一個所だけでもって二十億、三十億を浮かすということはなかなかできません。そこでどうもあちらこちらからということについての御疑念のようでありますが、そういう趣旨で主として、もちろん管理費あるいは事務費、金利の面がおもでございますけれども、たとえば金利の面につきましては、食糧証券の金利を浮かすために、国庫余裕金の借り入れを多くする。そこで金利負担の部分を減らしていく。それから管理費の面につきまして、あるいは事務費の面につきまして圧縮を加える、そういうことであります。あるいは農産物の関係あるいはえさの関係等につきましては、これは損がおそらく出るだろう。しかしそれは出れば決算上埋めるという前提でもって予算は編成をする。そういうことなどによりまして、先ほど申しましたような圧縮をいたしたのであります。
  92. 稲富稜人

    ○稲富委員 食管の御説明は、昨日も二十九年度以前の赤字の原因等を聞きますと、どうして放任しておったかという質問に対しましては、どうもそれがあとからわかったんだ——少くとも、約三十億ぐらいの大金があとからわかってきたんだというような御答弁があった。今度の二十一億の圧縮も、どうも所々方々からつまんで、ざわざわやかましくなったから百六十三億を百四十二億に技術的に圧縮したというふうに受け取れる。農林大臣はこの点はおわかりになるのか、私はどうもわかりませんが、農林大臣から一つその点をおわかりになっておるなら承わりたい。
  93. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 食管会計を合理化する、これは私就任以来の念願でございます。今回予算編成に当りましても、当初は今御指摘のような百六十数億という試算が出たと思いますが、これをさらにメスを入れて検討をせよと命じたわけでございます。それで今あちらこちらからつまんできたとおっしゃいますが、その中で国庫余裕金をよけい使うという意味において金利の問題は御納得がいけると思います。それから農産物のあるいはテンサイ、飼料、これらについても仕分けを別にして御了得がいくだろうと思います。あと長官からは事務費についてそれぞれ十億、五億、こういう数字をお示しいたしたのでありますが、食管の経費は御承知のように数百億というようなことでもございますので、これをしさいに検討いたしますると、この程度の節約は可能であろうということでぎりぎり結着の数字が百四十二億、こういうように御了承を得たいわけであります。  さらにまたきのうの点について御質問がございましたが、三十年度の赤字三十四億というものは、二十九年度分と三十年度がその中に雑居しておるのではないかという御指摘でございました。これはわれわれはこういうふうに仕分けをしておるわけであります。二十九年度から繰り越されました二十九億でございましたか、その数字は昭和三十年度の補正をいたしまする際に御案内のように百億はインベントリー、六十七億を一般会計から支出をいたしました。その際にその赤字は補てんをする、こういう見合いのもとに処理をいたしたわけでございます。しかるにその後、これは見込み違いをしたといえばおしかりを受けますが、二十九年度はそれで一ぺん処理をして、三十年度において不測の事態が起りまして三十四億の赤が生じた、こういうように解釈をしておる次第でございます。
  94. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、事務費等においても相当の節約をした、こうおっしゃるのでありますが、どうも先般来消費者米価の値上げ等の問題から起ってきますものは、食管の赤字が非常に生じておるということが大きな問題になっておる。私は、食管のあの赤字ができたということに対しては、従来この食管をあずかっておる事務上においての、われわれとしてはっきり知らない運用上に非常な欠陥がありはしなかったと思う。この問題を検討せずして、ただ食管の赤字が生じたがためにこれに対する消費者米価の問題を論ずるということも、私は消費者からいえば実に迷惑な話だと思う。そういう点から、ただいま申し上げましたように事務費等がちょっと工面をすれば圧縮されるというようなこともわれわれとしては納得のいかないことであるのであります。  それで私は、しからばその食管の赤字を生じたその事務費、人件費等について、さらに大臣はどうお考えになっておるか、一つお尋ねをしたいと思うのでございます。現在食糧庁の職員は、これは大臣御承知だと思うのでありますが、一般会計負担職員が百八十三人おるのであります。特別会計負担の職員は実に二万五千二百五十人になっておるのであります。これに対して支払う金額は、一般会計負担が四千百万円であり、特別会計の負担は四十七億一千五百万円となっておるのであります。かくのごとく何ゆえに一般会計負担職員と特別会計の負担職員とに分類する必要があるかということをわれわれは非常に了解に苦しむのであります。この点一つ承わりたい。  さらに、食糧庁長官は一般会計の職員のようであります。部長四名のうち二名は一般会計、二名は特別会計が負担しておるという状態である。課長十七名のうち一般会計は八名であり、特別会計は九名という負担の区分になっておるのであります。このように公給の支給官庁を区分しなければならないのはどういうわけであるか、この点を一つ、これは大臣に伺いたい。
  95. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 今稲富委員御指摘の問題も、私といたしましては一体こういう形でいいかどうかというあたりに私自身も就任以来一つの問題点としてとらえておったところでございます。おそらくこれはずっと長い食管会計の歴史といいますか、伝統といいますか、こういうものにもよってきたるところがございましょうが、この膨大な食管に従事いたしておる職員は、大部分は第一線の検査事務等を行う職員であろうかと思うのであります。そして、これらは米の流通が自由であったという時代は、いわば検査費というふうなものでその給与がまかなわれるというような性質のものであったのではなかろうか。そういう長いしきたりというか、伝統というか、そういうものがあったと思うのであります。さような意味で私はこの食管会計に従事する職員のどこまでが一体一般会計で負うべきものだろうか、あるいは特別会計の分に残すべきものはどういう性格のものにあらしむべきか、こういうあたりは私自身も一つ検討を加えてみたい、こういうふうに考えておる点でございます。
  96. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの大臣の御答弁によりますと、将来は十分検討したいとおっしゃっておるのでありますが、私は赤字の原因を追及しているのでありまして、なぜ今までこういうような状態に置かなければいかなかったか、私はここに食管会計の非常な複雑さがあるのではないかと憂慮をするのであります。この点から、なぜ従来からこの点が行われておったか、これは検査に従事しておるものだけを食管に分けた、こうおっしゃるならこれは別でございますが、同じ食糧庁に勤務しておる課長、部長を二つに分けるというようなことをなぜとらなければ食管の運営ができなかったか、この点を私は承わりたい、こう考えております。
  97. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この点は、先ほどの御答弁でも申し上げたつもりでございますが、従来一つのしきたりのような工合になっておったのではないかと思うのでございます。従いまして、これらの問題は、今回食管合理化というこの問題と取り組んでおるさなかでございますから、御趣旨の線にも従いまして十分究明をいたしてみたいと考えております。
  98. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は将来のこれに対する方針は申しておりません。ただ食管の赤字を生じた原因を私はいろいろ検討をしたいと思っております。昨日から申し上げましたように、食管の経理その他というものは、実にわれわれの納得ができないように紊乱をしておる、こういわれておる。あなたは大臣になられて今日までまだ新しいので、今までの食管の内容等は御存じないかもわかりませんが、それならばこれは事務関係の詳しい方からでいいのです。何がために今までそういうふうに分けておったか、何がために分ける必要があったか、あるいは将来は分けぬでもやれるのか、この点をはっきりしていただけばいいのです。私は何も追及はいたしませんが、参考までにこの点は承わりたいと思います。
  99. 小倉武一

    ○小倉政府委員 お話のように同じ食糧庁におる職員につきまして一般会計負担と特別会計負担と両方ございます。数字はお尋ねの中にございましたから省略いたしますが、なぜそういうふうになっておるかということがお尋ねの中心でございますが、これは、特別会計の食糧管理という業務に直接従事しておると見られる職員と、そうではなくて、いわゆる食糧管理とは非常に縁の遠い職員と二通りあるわけでございます。非常に手っとり早いと申しますか卑近な例を申しますと、たとえば食品行政と油脂行政というものがございますが、もちろん大豆等になりますれば、一部価格支持の面で直接食管の業務ということにもなりますけれども、一般の食品行政、油脂行政になりますと、これは他の局の行政と質的には変らない、従いまして、それを食管の特別会計で持つという筋は立たないではないかというようなことで、それでは私みたいなものはどうだ、こうなりますと、両方やっておるわけでございますから、なぜそうなっておるかと言われますと、いずれともこれは理屈はつくと思いますけれども、そういう趣旨で特別会計の事業費の中で当然負担してもいい性質のものと一般の行政と同じように一般会計で負担するのが妥当なものと、抽象的には二つあり得るということを御納得いただけると存じます。ただ、そのどこで線を引いてどうするかということになりますと、これはむずかしい問題で、なかなか御納得のいくような説明はできかねると思います。なぜ特別会計負担が百人であって千人でないのかということになりすと、説明をするのはむずかしいと思いますが、考え方としてはそういう考え方でなっておるのであります。
  100. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで今度その方法でございますが、あなたも先刻抱負を申されましたが、少くとも食糧行政というのは、食糧農業行政としての日本の国としての一貫性がなければならぬと思う。それをどういう基準において二つに分けるか。私はここに運営の非常にあいまいさがあると思う。こういうものはやはり日本の食糧政策の一環として一つに統一する、こういうようなことが当然とらるべきじゃないかと思うのでありますが、これに対する大臣のお考えを承わりたい。
  101. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほども申し上げましたように、食管のこの厖大な人員というものが、一は一般農林行政に従うという考え方、他は食糧管理に直接従事する現業的な考え方、こういうふうなことに相なって、今御指摘になりましたような混淆があったろうかと思うのでありますが、この点は先ほど来申し上げまするように、この際きちんとした食管の合理化という線に従いまして、仕訳を明確化いたしたい、このように考えております。
  102. 稲富稜人

    ○稲富委員 次に農林大臣、これは非常に重大な問題でございますので、   〔吉川(久)委員長代理退席、委員長着席〕 一つ特に農林大臣に私は承わりたいと思いますが、食管会計の不当不正経理について承わりたい。それはまず私は不良外米の生じた損害について承わりたいのです。御承知通り、三十年度より外国食糧の購入については着地検査基準に改正したはずであります。ところが、なおかつ大量の不良品を買い入れ、その結果食管は赤字を背負わされているという現状であります。すなわち到着港において不良品と認定されたものは輸入商社の責任となり、商社は相手国の輸出商社または機関に対してクレームをつけることになっているはずであるのであります。しかるにただいま申しましたような結果による事実が生じておるということは、実にこれは遺憾であると思うのであります。それでこの際私が承わりたいと思いまするのは、三十年度、三十一年度において相手国別及び輸入商社別の不良外米輸入数量及び金額を当初に承わりたいと思うのであります。
  103. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま御指摘のような点がございましたということは、まことに遺憾であります。詳細な数字等は事務当局から申し上げることにいたします。
  104. 小倉武一

    ○小倉政府委員 ただいま手元に数字を持っておりませんので、あとで調べまして御報告いたします。
  105. 稲富稜人

    ○稲富委員 それは外国食糧の輸入に対する非常に重大なる問題だと思うのです。しかも外国食糧に対して不良食糧を輸入して、これを手落から食管特別会計に損を生ぜしめておるというようなことは、これは私は見逃すことのできない大きな問題であると思うのであります。しかもこれに対して当然あなたの方ではどういう国から不良品が来たんだ、どういう商社がそれを扱ったんだということは、おそらくあなたの方でも相当にこの問題に対して交渉されたと思う。資料がないというならば、交渉に当った方としてはどこに交渉したくらいのことは頭になくちゃならぬと思うのですが、そういうような点も全然覚えていないのであるか、それほど問題にならなかったのであるか、それじゃこの点を承わりたい。
  106. 小倉武一

    ○小倉政府委員 外米の買付につきまして契約と違うようなものが入ってくる、そういういわば不良品あるいは事故品が出る場合にどう処置するかということにつきましては、水分の問題あるいは規格の問題あるいは量の問題、そういうことにつきまして契約面で一一どういう規格あるいは契約条項に違反すればどういう違約金をもらって、あるいはどういう場合には契約を解除する、あるいはどういう場合には弁償金をとる、こういう契約になっておりまするので、その契約によって処置をいたしております。個々の件数なり事故について会社別あるいは国別の資料を実は持っておりませんので、具体的にお話はできませんのですが、そういうことで処置をいたしておりまして、漫然とそれを放置しておくということはやっておりませんので、契約条項に従って違約金を取り弁償金を取るということをやっております。
  107. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題はすでに会計検査院からも指摘されている問題でございますので、あなたの方では十分これに対する処置はおとりになっていなければならぬと思うのであります。すなわち会計検査院の指摘している報告でわれわれが知りますと、昭和三十年度に準内地米は四十万トン程度しか必要がないのに、六十六万トンの買付を行なって、四億五千万円の保管料をよけいに支払わされておる。そして輸入商社あるいは保管倉庫を不当にもうけさせている。こういうようなことは実に重大な問題であって、こういうような事実に対するその責任はどこにあるか。この責任の所在を一つ農林大臣ははっきり御説明願いたいと思うのであります。
  108. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 もとより農林省当局にその責任の所在はあるわけでございまして、当時それに従いましてそれぞれの処置もとられておることと思うのであります。
  109. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣はその通り適当な処置をとられたことと思いますとおっしゃる。それではいかなる処置をとられたか具体的に御説明願いたい。
  110. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 事務当局よりお答えをいたさせます。
  111. 小倉武一

    ○小倉政府委員 お尋ねの責任の問題でございますが、これは私が責任者でございますので、自分からどういう責任をとったということを申し上げるわけには参りません。上司が御判断になると思うのでございますが、そのほか……(「聞えぬな、肝心なところになると聞えない」と呼ぶ者あり)準内地米の輸入と申しますものは、これはいろいろ事情がございますのですが、その事情のお尋ねでなくて、よって国損を来たした責任についてのお尋ねでございます。これは私ども責任でありますが、どういう責任をとるべきか、これは上司の御判断に待つほかはないと思います。
  112. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣は先刻責任に対しては処置をとっただろうとおっしゃった。今の長官のお話では、まだとってない、こういうことなんです。その点は大臣の御答弁とその衝に当っている長官とは答弁が違う。これはどうなんです。
  113. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 先ほどの御質問昭和三十年度という御指摘でございましたので、おそらくただいまの食糧庁長官の時代ではなかったろう、このようにも存じましたので、さように申し上げた次第でございます。
  114. 稲富稜人

    ○稲富委員 それじゃ損害に対する処置はどういう処置をおとりになったのでございますか。この点を承わりたい。
  115. 小倉武一

    ○小倉政府委員 大臣に対するお尋ねのようでございますが、事務的な面について私から申し上げます。  個々の契約違反の条項につきましては、それぞれ違約金なり弁償金をとっておるのでございますが、お尋ねの損をどうしたかという面につきましては、準内地米の損だけを切り離して処理することはやっておりません。全体の損、たとえば三十年度外米の輸入が多かったために金利、倉敷料がよけいかかったということは三十年度の損益に出てくるのでありまして、ただいま問題になっておるような損益の中に含まれてきますので、それを切り離して特に処理するということはいたしておりません。
  116. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうもはっきりしませんが、さらに進めて、黄変米の問題についてお尋ねしたいと思います。黄変米は現在十二万トンあると言われており、金額にしておよそ四十億円以上があるはずでございます。これには上米と中米と下米の区分を行なっておられるということを聞くのでありますが、もしも中米、下米が相当多くなりますると、食管会計の赤字に非常に影響することになるのであります。そこで、これが完了の時期あるいは損害の見込み、赤字の処理方法等について、特に大臣から承わりたいと思うのでございます。
  117. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 ただいま黄変米の現在量を十二万トンと言われましたが、これはその後もう少し減って、ただいまは十一万七千トン程度になっております。(発言する者あり)
  118. 小枝一雄

    小枝委員長 御静粛に願います。
  119. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この問題は私どもとしても非常に苦慮しておるところでございますが、ただいま稲富委員御指摘のように、上中下の区分をいたしまして、食糧に回る可能性のあるものはさように処理したいと考えております。しかし特に病変のはなはだしいものはおそらくアルコール原料等に回す以外にはなかろうと思うのであります。そのことは直ちに国内のその他のアルコール原料とも競合関係を来たしまするので、払い下げの問題はそれらとにらみ合せて勘案しなければなるまいと考えておるのであります。でき得る限り国損を少くいたしたいと考えておりますが、アルコール原料等に回す場合にはかなり思い切って、見切って処分をしなければなるまいということから、やはり赤字として出ることはやむを得なかろうという見通しでおるわけでございます。
  120. 稲富稜人

    ○稲富委員 私の質問いたしましたことに的確な御答弁をお願いしたいのであります。大臣は今区分をしておるとおっしゃいますが、いつごろ区分を完了されるかを承わりたい。
  121. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この問題はやはり事務当局からお答えをいたさせた方がより的確であろうと思いますので、さよう御了承を願います。
  122. 稲富稜人

    ○稲富委員 これもただいまお尋ねしたのに御答弁なかったのですけれども、その損害の見込み数量、そのくらいはできていると思います。約十一万七千トンという御調査ができているくらいならば、損害の見込みなどは的確にできているだろうと思いますので、その損害の見込みを承わりたい。
  123. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは厚生省との連絡もございまして、いわゆるサンプリングの調査をしておるのであって、その結論が出ません限りまだ明確に幾ら幾らの赤字、こういうところまではお答えをしかねる問題でございます。
  124. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではこの機会にまた農林大臣に承わりたいと思います。三十一年度の国内産米に赤かび米が相当生じておるという事実がありますが、これはどのくらい生じておるのか承わりたい。
  125. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 赤かび米のことは耳にいたしておりますが、これはさらに科学的な検討を要する問題であろうと考えておるのであります。今御質問の御趣旨に的確に沿いますために事務当局からお答えをさせます。
  126. 稲富稜人

    ○稲富委員 今の御答弁、はっきりわからないのでございますが、国内産米に赤かび米が生ずるということは非常に重大な問題である。これも食管会計に及ぼす影響が非常に大きいと思います。それで、今のところどのくらい赤かび米が生じておるかということと、どの位損害を与えるのか、さらに、こういうものが国内産米にあるとすれば、将来これを防ぐためにいかなる指導をし、対策等をおやりになるつもりなのか、あわせて承わりたい。
  127. 小倉武一

    ○小倉政府委員 三十一年度に出た赤かび米の数量は的確にわかりませんけれども、政府の買い上げ等の対象から見まして約一万俵ぐらい各地に出たではないかと思います。これはもみのときに湿気を呼びまして、雨がかかるとかいうようなときに発酵をいたす、それが原因で発生をするようでございます。従いまして、これの防止の方法となれば、結局もみをよく乾燥して保管、管理をよくするということであると存じます。
  128. 稲富稜人

    ○稲富委員 これも食管特別会計の大きな赤字の原因になっているものとして、食糧の輸送の問題についてお尋ねしたいと思うのです。御承知通り、食糧の輸送については日通と食糧庁の総務部長との間に輸送契約が締結されて、日通の一括元請となっておりまして、食管会計が支払う運賃は毎年八十億前後と言われておるのであります。その支出は厳正であらねばなりません。ところが、ややもしますればこれは疑念の点が非常に多いのであります。この際お尋ねしたいと思いますのは、日通の社長と食糧庁の総務部長との間に輸送の契約が行われておるのでございまするが、食糧庁長官、あるいは大臣がその責任者でなくちゃいけないと思いますが、どういうわけで総務部長がその契約の衝に当っておるのか、この点を一つ承わりたい。
  129. 小倉武一

    ○小倉政府委員 これはほかの会計でもそうでありますが、食糧庁の支出については、支出官と支出負担行為担当者とに分れております。食糧庁の場合は、支出官が食糧庁の長官になっておりまして、支出負担行為者が総務部長になっております。そういう会計上の仕事の分担の関係から、契約の当事者は日通との契約に限らず全部総務部長がなっております。
  130. 小枝一雄

    小枝委員長 稲富委員に申し上げますが、農林大臣は予算委員会の方からしきりに出席の要求がありますので、そのおつもりで一つ……。
  131. 稲富稜人

    ○稲富委員 先刻から委員長に申し上げておりますように、重大な問題があるのに、途中で切られるということは非常に困るのです。昨日も重要なところで、勝手に私に何も断らないで、ただいまから休憩いたしますと、休憩されたので、せっかくの質問が骨抜きになっております。私は今日食管の赤字が生じているということが重大な問題になっているので、その赤字がいかなる点から生じたかということを検討することによって、赤字の処理の問題を考えなくちゃいけないので、こういう点も赤字の原因に対する関連があるからできるだけ簡単に今進めておりますので、この点は委員長も御了承を願いまして、いましばらく私に時間を与えていただきたいと思うのであります。  この日通との契約に対して一番疑念のある点は、御承知通り、政府と食糧運送契約書及び付属である運送契約書付録というものを見ますと、こういうことが書いてある。特別作業賃というものがここにあるのであります。これを見ると、悪天候のときの作業、坂道、悪路作業、深夜、早朝作業、強行作業等について、食糧事務所長が必要と認めた場合に検査の上実費を支払うこととなっておるのであります。その額は三十年度に実に八億円になっておるのであります。会計検査院もこれを指摘して、その支払いは非常に乱脈をきわめておるといわれておる。日通は全国を一括して元請けしているのであるから、作業の容易なところと困難なところは当然プラス・マイナスされて平均されるはずであるのであります。ところがわざわざこれを支払うに対して、あたかも与てあるような解釈によって支払いができるような、こういう金を支払う必要がどこにあるか、こうわれわれは考えるのであります。それでこの契約書の特別作業賃の条項は非常に悪用、乱用されておる、こう言っても差しつかえなと思うのでございますが、これに対して農林大臣はどうお考えになっておるか承わりたい。
  132. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 食糧庁が日通と一括契約をいたしておるゆえんは、他にかえ得る機構というものがただいまのところございませんので、これを利用しておるであります。御指摘の作業賃、これはおそらく今るるお述べになりましてような特別の作業が追加されるというか、超過勤務的な意味のものに支払われるということでございまして、私はそういう費目もあり得るであろうし、あってしかるべきだと思います。ただ非常にそれが乱用されて、不当不正なる支出をしておるというようなことがもし事実であるならば、これは十分に取り締りかつ気をつけて対処しなければなるまい、この考えておるのであります。
  133. 稲富稜人

    ○稲富委員 不正な支払いをしておるならば、取り締らなければならないことはもちろんでございますが、その契約書の中の今言う特別作業賃という条項があるから、それに基いて支払っておるということを言われるのでございましょう。それなら不当でないじゃないかということになってくるわけです。基本的な問題にさかのぼっていくときに、私がただいま申し上げましたように、日通と政府とは一括契約をいたしておる。一括契約をする以上は、いい条件のところと悪い条件のところがなければならないと思う。それを特にこういう場合は適宜やっていいということで、三十年度に八億の金を支払っておる。こういうようなところにも食管の赤字が生じた大きな原因があると言わなくちゃならないと思う。それでただ具体的な何か不正な金を払ったのではなくて、こういう契約そのものに非常な疑念を持たれるような点があるのであって、この点に対する大臣のお考えを承わっておる。
  134. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 食糧庁といたしましても日通との交渉は累次いたしまして、でき得る限りの経費節減に努力してきておるのでございます。しかし今御指摘の問題も、食管の経費を検討いたします際には、当然取り上げて吟味する必要があろうと考えております。
  135. 稲富稜人

    ○稲富委員 この日通と食糧庁との一括契約の問題は、長い間弊害が生じておると言われておる。それを今日まで放任され、そういうことが今日の赤字の原因をなしておる。これを指摘されて、将来は何とか考えなくちゃいけないだろうでは、今までの赤字のできた責任はどこにあるかということになってくる。こういうような日通さんのお気に召すような、国が非常に損をするような条件の契約でもしなければ一切やっていけない、そういうふうな状態に置かれているかどうか承わりたい。
  136. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 食糧庁当局と日通との間は、今御指摘のような、いずれが高いか低いかという問題は決してないわけであります。従いまして従来も日通に対してはしばしば経費の節減を迫り、またその実を上げて参っております。しかしその余ちが今後において決してないというのではなく、さらにメスを入れまして十分検討いたしたいと考えております。
  137. 稲富稜人

    ○稲富委員 この日通の問題に関連して、さらにこういう問題があるのであります。今検定料というものがあって、これは先日の予算委員会でも問題になったということを聞いておりまするが、三十一年度の契約書でも、国内産米については一升二円四十銭、外米については一円八十銭ないし三円九十六銭でございますか、これを財団法人の日本穀物検定協会が検定したものについてのみ日通を通して協会に支払っておるのであります。その総額というものは、二十九年は三千七百万円払っております。三十年は五千七百九十万円支払っております。三十一年は五千八百二十万円を支払い、さらに別に輸入商社、卸売等を通じて三十一年度二億五千五百万円を支払っておるのであります。すなわち、三十一年度だけでも実に三億円を支払っておるのでございますが、これはいかなる法律の根拠によってそういうものを支払っておるか、この点を承わりたい。しかも、この検定事業は、この穀物検定協会に独占させておる。食管は、支払いの義務を負いながら、消費者にこれを転嫁している。なぜこういうようにわざわざ日通を通じて支払わなくちゃいけないのか。なおまたこの幹部は、ほとんど農林省の古手のお役人さんがいらっしゃる。会長は前の次官の東畑さんである。こういうことをどうしてやっていいのか。もし第三者の公正な裁定機関を作る必要があるとするならば、これは合法的に立法化して、そうして検定料の支払いをやるというようなことをやって、こういうことに対する国民の疑惑をなくすようにすることが、私は最も必要だと思うのでございますが、これに対して大臣はどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  138. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは稲富さんにるる申し上げる必要もなかろうと思いますが、せんだって予算委員会でも確かにその問題が議論に相なりました。それで私どもとしましては、貨物の量目であるとか、品質あるいは包装、こういうものを的確に受け渡しができるということのためには、やはり何らかの検定機関というものがありますことの方が、売り方と買い方と両方重複してそこに立ち会うというふうな煩を避ける意味においては必要であろうかと思うのであります。しかし御指摘もございましたように、これが日通を通して検定料というものが支払われるとか、あるいはその検定協会の構成のあり方がどうかというふうな点は、私どもとしましても今回の機会にやはり大きな題目の一つとして検討をいたす所存でございます。
  139. 小枝一雄

    小枝委員長 稲富委員承知のように、予算委員会との話し合いもございますので、御質問は済んでおりませんが、一応休憩いたしまして、後刻質疑を続行いたしたいと思います。  しばらく休憩いたします。    午後三時四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかった〕