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1957-03-05 第26回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月五日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 小枝 一雄君    理事 吉川 久衛君 理事 白浜 仁吉君    理事 笹山茂太郎君 理事 田口長治郎君    理事 中村 時雄君 理事 芳賀  貢君       赤澤 正道君    大石 武一君       大野 市郎君    川村善八郎君       木村 文男君    草野一郎平君       椎名  隆君    鈴木 善幸君       中馬 辰猪君    綱島 正興君       永山 忠則君    原  捨思君       松浦 東介君    松田 鐵蔵君       松野 頼三君    村松 久義君       阿部 五郎君    赤路 友藏君       伊瀬幸太郎君    石田 宥全君       石山 權作君    稲富 稜人君       楯 兼次郎君    細田 綱吉君       山田 長司君    久保田 豊君  出席国務大臣         農 林 大 臣 井出一太郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 永野 正二君         農林事務官         (振興局長)  大坪 藤市君         農林事務官         (畜産局長)  谷垣 專一君         食糧庁長官   小倉 武一君  委員外出席者         農 林 技 官         (農地局建設部         長)      清野  保君         農林事務官         (食糧庁総務部         企画課長)   中西 一郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      新沢  寧君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 二月二十一日  委員井手以誠君辞任につき、その補欠として稲  富稜人君議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員山田長司辞任につき、その補欠として上  林與市郎君が議長指名委員に選任された。 三月一日  委員木村文男辞任につき、その補欠として松  村謙三君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員松村謙三辞任につき、その補欠として木  村文男君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員加藤常太郎君及び木村文男辞任につき、  その補欠として草野一郎平君及び松村謙三君が  議長指名委員に選任された。 同 日  委員松村謙三辞任につき、その補欠として木  村文男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月四日  生糸製造設備臨時措置法案内閣提出第七八  号) 二月二十一日  抑留船員に対する見舞金等に関する請願(池田  清志君紹介)(第一一〇五号)  豊冨村の七幹線第一支線排水こう拡張に関する  請願芳賀貢紹介)(第一二八号)  農地法厳正施行等に関する請願外三件(田万  廣文紹介)(第一一二〇号)  地方競馬民営移管に関する請願五十嵐吉藏君  紹介)(第一一九八号)  西野、濁河温泉間奥地林道開さくに関する請願  (植原悦二郎紹介)(第一一九九号) 同月二十三日  消費者米価値上げ及び統制撤廃反対等に関する  請願西村彰一紹介)(第一三二四号)  真珠区画漁業権改正に関する請願田中幾三郎  君紹介)(第一三二五号) 同月二十六日  地方競馬民営移管に関する請願安藤覺君紹  介)(第一四八〇号)  名木沢開拓地揚水路事業促進に関する請願(松  澤雄藏紹介)(第一四八一号)  毒沢開拓道路建設工事促進に関する請願松澤  雄藏君紹介)(第一四八二号)  紅内銀山開拓道路建設に関する請願松澤雄藏  君紹介)(第一四八三号) 三月一日  地方競馬民営移管に関する請願山本利壽君紹  介)(第一五八八号)  東宇和蚕糸農業協同組合乾繭施設地元移管譲  渡に関する請願鈴木善幸紹介)(第一六四  〇号)  枕崎漁港修築事業促進に関する請願原捨思君  外三名紹介)(第一六四一号) の審査を本委員会に付託された。 二月二十二日  冷害凶作対策に関する陳情書  (第二三八号)  北海道冷害地帯農家救済貸付等に関する陳情  書  (第二三九号)  農業生産指導確立等に関する陳情書  (第二四〇号)  蚕糸業振興に関する陳情書  (第二四一号)  農林土木災害復旧事業費補助率引上げ等に関す  る陳情書  (第三一五号)  新農山漁村建設総合対策事業費補助率三割引上  げに関する陳情書  (第二二六号)  農業委員会制度改正等に関する陳情書  (第三一七号)  冷害農家救済措置に関する陳情書  (第三一九号)  印旛沼、手賀沼干拓事業促進に関する陳情書  (第三二八号) 同月二十五日  地方競馬民営移管に関する陳情書  (第三四一  号)  小団地開発事業に関する法律制定陳情書  (第三四八号)  食糧管理制度に関する陳情書  (第三八九号)  冷害凶作対策に関する陳情書  (  第三九〇号)  農林省に園芸課設置に関する陳情書  (第三九一号)  日ソ漁業委員会漁業代表者参加陳情書  (第三九二号)  急傾斜地帯農業振興対策関係予算確保に関する  陳情書  (第三九三  号)  自作農維持創設資金わく拡大に関する陳情書  (第三九四号)  土地改良事業促進に関する陳情書  (第三九六号)  造林政策拡充強化等に関する陳情書  (  第三九七号)  農地法の一部改正に関する陳情書  (第三九八号)  新農山漁村建設総合対策事業に関する法律制定  の陳情書  (第三九九号)  災害農家に対する概算金返納期間延長等に関す  る陳情書  (第四〇〇号)  甜菜糖払下げに関する陳情書  (第四〇一号)  林業振興に関する陳情書  (第四〇二号)  山林復興に関する陳情書  (第四〇三号)  甘しよの価格対策に関する陳情書  (第四〇四号)  農業委員会事務手数料に関する陳情書  (第四〇五号)  開拓組合育成に関する陳情書  (第四  〇七号)  仁淀川分水対策に関する陳情書  (第四三四号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  水産に関する小委員補欠選任  農林水産業基本施策に関する件     ―――――――――――――
  2. 小枝一雄

    小枝委員長 これより会議を開きます。  この際、井出農林大臣よりごあいさつをいたしたいとの申し出があります。これを許します。井出農林大臣
  3. 井出一太郎

    井出国務大臣 委員長のお許しを得てごあいさつを申し上げます。  石橋前総理の病状あつくして、それがために総辞職と相なり、岸内閣が成立をいたしましたことは御承知通りでございます。私、不敏でございまするが、引き続きこの重職を汚すことに相なったわけでございます。石橋内閣当時申し上げましたことを一切継承して施策に当る所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 小枝一雄

    小枝委員長 農林水産業基本施策について大臣に対する質疑を行います。  川村善八郎君。
  5. 川村善八郎

    川村(善)委員 私は井出農林大臣に対して、主として水産に関する問題を御質問いたしたいと存ずるのであります。私の質問せんとする水産問題については、赤路委員から質問をされております。しかし赤路委員は与党になったのかどうかわかりませんが、与党的な御質問をされて、それに対してお答えをされておるのでございまするけれども、私はどうも井出農林大臣答弁にまだ納得のいかない点もございますので、重ねて御質問をいたしますから、御了承を願って、しかるべき御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。  第一にお伺いいたしたいのは、漁業共済保険制度確立についてでございます。この問題については漁民も多年要望して参りましたし、かつまたわれわれ水産委員会の当時から研究をして、ぜひ確立をいたしたいということで、それぞれ水産庁でも研究をしておられたようでございますが、本年に至りまして、予算案を見ましたところが、本年も調査費として現われておったので、わが自民党の水産関係の議員は寄り合いまして、ぜひとも本年から発足すべきであるということで、ようやくそれが入れられて、実験的調査費として七百万円ほどの予算が計上されたのでございます。そこで今年いわゆる実験的調査を一部やることに相なるのでございますが、われわれはやはり三十三年度から本格的な保険制度確立いたしたい、かように念願をしておりますし、またこれが強い漁民要望でもありますので、三十三年度から本格的な発足をさせるかどうかという点についてまずお伺いをいたしたいと思うのであります。
  6. 井出一太郎

    井出国務大臣 漁業共済制度についての御質問でございます。この漁業共済については、その組織なりあるいは災害原因の究明なり、漁獲高把握方法等についてもなお究明、検討を要すべき余地があろうかと思うのでございます。  そこでただいま川村委員指摘のように、本年度若干の予算をもちまして本制度の試験的な実験を行いまして、これの問題点を具体的に把握をいたし、漸次制度運営軌道に乗せていこう、こういうことを方針にしておるのであります。従いまして三十三年度におきましては、昭和三十二年における試験的実施の状況を検討しながら本制度運営が十分に軌道に乗りますように推進をして参りたい所存でございます。
  7. 川村善八郎

    川村(善)委員 三十二年度から完全実施ができないことはわれわれも承知しておりますけれども、とにかく三十二年度に実験をやるということでありますので、これをわれわれも十分気をつけてやらせなければなりませんし、それによってそれぞれのいわゆる案というものもさらに生まれて参りましょうから、三十三年度にはぜひとも農林大臣の御答弁のように、全部が全部というわけでもないだろうけれども、軌道に乗せるものだけは発足されるようにまずもってお願い申し上げておきます。  それから今年の実験によりまして、直ちに保険資金等は間に合いかねる場合もあろうかと私は考えます。そこで災害があった場合には、一時資金借り入れ等もしなければならぬのでありまするから、その場の利子補給等農林大臣において考えておかなければならぬのじゃないかということが一点。  それからこの実験的調査費に至るまでの間に、大臣とも折衝をいたしましたし、さらに水産庁首脳部にもずいぶんわれわれは折衝いたしたのでございまするが、大臣はしろうとでございまするから、なかなか不安であったことは私らも了承いたすのでございますけれども、水産庁首脳部に至りましてはやや反対意思があったんじゃなかろうかということを私は想像しておるのでございます。もし水産庁首脳部自分たち意見と違った実験的な発足をいたしましたので、力を入れてやる、いわゆるどこが主体になろうとも、相当援助をしなければ成功するものでないと思っております。日本の官僚には、とかく民間から起きた問題、あるいは国会から起きた問題については、意見が食い違った場合は、どうも手続その他についてのいろいろ援助等の問題があった場合には、等閑に付す、傍観をするというようなきらいがないでもないのでございます。その点、大臣は、私らが折衝をした場合にるる私から申し上げましたら、施策を変えてまでもあなた方の要望に従って、三十三年度からやるという意見もありましたが、そういう場合にはそういう御決意があられるかどうか、この点をお伺いいたしておきます。
  8. 井出一太郎

    井出国務大臣 最初の災害か発生した際には当然御趣旨のような線で考えていかなければならぬと思っております。  なおまたその漁業共済制度に対して水産当局が熱意が希薄であるというふうにお受け取りになったかとただいまの御発言から拝承したのでありますが、これは決してさようなわけではなく、あくまで慎重を期してそのように申し上げたのかと思うのであります。私先ほど申し上げましたように、三十三年度からは軌道に乗せて参る所存でございます。御了承をお願いしたいと思います。
  9. 川村善八郎

    川村(善)委員 次にお伺い申し上げたいことは、沿岸漁業振興対策についてでございます。この問題につきましても赤路委員から御質問がございまして、大臣からは、漁船建造資金とか、あるいは浅海増殖予算とか、あるいは漁港予算拡大されたから、そのようにしてまず沿岸漁業振興対策をはかっていくということでありましたが、もちろんそのような措置にはなっておりますけれども、計画性がございません。場当り式でございます。少くも、今日になりますと、遠洋漁業政策はかくあるべきである、あるいは北洋漁業の問題はかくあるべきであるとか、沿岸漁業の問題もやはりかくあるべきであるという政策に基いて計画性を織り込まなければならぬと私は思っておるのでございます。そこで、聞くところによりますと、水産庁内にその計画を立てる機関をお作りになるということでありますけれども、この問、旭について大臣から御答弁がなかったようであります。一体果していわゆる沿岸漁業対策のために一つ機関を設置するということがあるのかどうか。あるとすればいいのでございますけれども、ないとするならば、将来そういう計画を立てるための機関を置くという御意思があるかどうか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  10. 井出一太郎

    井出国務大臣 水産庁の中に、これはまだ仮称というような意味でありますが、企画委員会と申すような機関を設けまして、ただいまの御期待にこたえて参りたい、こう考えております。
  11. 川村善八郎

    川村(善)委員 次にお伺いいたしたいのは、水産金融でございますが、なるほど表面から見ますと、金融措置は十分できておるようであります。ところが、これを掘り下げて検討してみますと、金融措置がありましても、行き渡っておらないというきらいがあります。そこで、その例をあげますと、大型漁船につきましては、資力もございますし、信用もありますから、どんどん農林漁業金融公庫資金にも入っていくことができますし、農林中金の金も借りていくということができますけれども、いわゆる零細漁民小型漁船建造につきましては、そのような制度がございましても、なかなか行き渡らないのが現状でございます。そこで沿岸も沖合いも遠洋も発展させるとするならば、やり全部に資金措置が行き渡るような方途を講じなければならないと思うのでございますが、実際問題は、先ほど申し上げましたように、沿岸漁業小型漁船資金は行き渡っ一ておらないということになっております。この点について農林大臣はどういう御方針をとられていますか。それから、中金につきましても、中金のやり方について、本委員会でも相当議論をされましたし、またわれわれも、社会党の諸君の突っ込んでおることは、その通りだと思っております。そこで中金に対しての考え方も相当農林大臣が改めていかなければならぬのじゃないか。例をあげますと、ずいぶん露骨な問題がございます。しかしながらそれはそれといたしまして、沿岸漁業者にもう少し資金が回っていくような方途を講じられれば、われわれとしては満足ではないけれども、了承するのでありますが、沿岸漁業の、いわゆる小型漁船建造等についてはどういう方途によってお進めになられるのか、承わりたいと思います。
  12. 井出一太郎

    井出国務大臣 漁業金融、特に小型漁船等についての御質問でございます。これは御承知のように、農林中金という一つ系統金融機関が一方にあると同時に、他方施設資金としては農林漁業金融公庫がございます。そこに所定のワクというものはとってあるのでありますが、御指摘のように、金融であります以上は、返済の能力あるいは担保能力というような問題からしまして、大型の方は均霑するが、中小は回っていかない、こういうような欠陥は、確かに現在ございましょう。そこ一で、やっぱり零細漁家に対する直接融資というものはなかなか困難でございますので、一つ共同化という方向によって、協同組合共同施設という形で、小漁船建造を指導いたしたい。また信用保証制度というようなものの活用によりまして、ただいま仰せられまする面の欠陥をできるだけ補って参りたい、こういうふうに思っておるのであります。
  13. 川村善八郎

    川村(善)委員 ただいまの農林大臣の御答弁では、了承はできます けれども、農林大臣がそのような御処置をとられるとしても、もう少し御研究をされて、一体現在がどうなっておるか、それから将来はどうしなければならぬということを具体的に調査を進めることもやはり必要だと思いますので、ただ一片の御答弁でなく、一つ十分に意を尽くすようにお願いを申し上げる次第であります。次に水産物価格の安定の処置についてでございますが、これも赤路委員から御質問をされまして、大臣答弁を承わりましたけれども、やはり輸送船強化とか、あるいは冷蔵庫建設とか、製造加工も含まれておりましたが、そういう措置でやっていきたい、こういう御答弁でありました。まあ大臣答弁としては満足だと思っておられるか知りませんが、私はどうもそれでは納得ができません。と申し上げるのは、ただ輸送船をたくさん与えたからとか、あるいは冷蔵庫をたくさん作ってやったとか、あるいは加工をもう少し拡大をして、いわゆる食品にしてやるとかいうことであっても、生産消費と伴わなければ価格の安定ができないのでございます。そこでこの問題につきましても、われわれ水産委員会の当時販売機構の問題でだいぶ取り上げたこともございます。ところが商人漁業者とは太刀打ちができません。いつか知らず、商人の横行というか、あるいは商人の手中におさまってしまって、水産の方の団体の販売機関というものは都市等に進出をすることができないことになって、消費の部面についてはいわゆる商人にまかせきりになっておるというような状態になっております。従って輸送船をうんと拡大して輸送いたしましても、大量にいくと価格がたたかれる。それから製品にいたしましても、どんどんりっぱな製品をたくさん作って都市に流しても、多ければたたかれるということになって魚価の安定ということができないのが実態でございます。そこで大量生産のあるところのサンマとかあるいはイワシとかあるいはサバ等の問題も、何か一つ方途を打たなければならないのじゃないかということで多年研究して参ったのでございます。そこで最後の落ちは鮮度のやや落ちたもの、あるいは輸送ができなかった場合には、ミール魚かす落ちでございます。これらは長く保存もできますし、それから飼料ともなりますし肥料ともなりますし、それから、ミールとなって貿易もできるのでございます。従ってこれらのものを何か水産物価格安定法といったような立法をいたしまして、それにある限度資金措置を講じてやられますと、昨年北海道におきましてサンマが一貫目十円だとか、あるいは一昨年山陸方面で一貫目十五円であるとか二十円であるとかいったようなことが除かれるのじゃないかということを私は考えております。そこでその問題につきまして立法をし、金融措置を講じてやりますならば、そういうある限度価格の安定を維持することができると思うのでありますが、そういうことをお考えになるのか、もし現在お考えになっておらなくとも検討をいたしましてそういう措置を講ずる御意思があるか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
  14. 井出一太郎

    井出国務大臣 川村委員は御専門の立場でるるお述べになられましたが、この魚価安定対策は、ただいまの御質問の中にむしろ私が申し上げるべき回答までも含んでおったというふうな感じがいたすわけでございます。御指摘のように魚類というこの生鮮食料品が大量にとれまするときには、一挙にこれをさばくということがなかなか困難である、それに対する対策は先般赤路委員の御質問にもお答えした通りでございます。まあ船をよけいにするとか、冷凍設備をふやすとか、金融措置を講ずるとか、こういった月並みなことでは相ならぬ。これももちろん必要であるということは川村さん御了解と思いますが、いま一つの新しいアイデアといいますか、ミールなり魚かすなりの問題を御提起になられました。これは私は非常にけっこうな御構想であろう、こういうふうに存ずるわけでございまして、その御示唆に基いてこの問題は十分に考究検討をいたしたいと考える次第でございます。
  15. 川村善八郎

    川村(善)委員 次にお伺いいたしたいのは、漁業法水産業協同組合法改正の件についてでございます。御承知のように漁業法水産業協同組合法占領治下において立法されたのでございます。当時われわれも決して納得したものではございません。言いかえるならばアメリカから押しつけられた両法律でございます。この問題は当時石原委員長水産委員長でありましたが、国会で問題まで起したという一幕もあったのであります。その後数度にわたって改正をいたしましたけれども、これは部分的でございまして、満足すべきものではございません。今日のように、漁業もいろいろに変って参りましたのでいろいろ輻湊して参りましたし、またそれをある線までまとめて考えていかなければならぬ点も多々あるのでございます。従ってこの漁業法並びに水産業協同組合法というものを改正しなければならないということをわれわれは考えておりますが、農林大臣はお考えになっておりますかどうか。もちろん内容につきましては今どうするこうするといったようなことは御答弁はできますまいと思いますし、さらにまた今国会で提案するということは容易でなかろうと思いまするけれども、少くも次期通常国会に出さなければならないと私は考えておりますが、農林大臣はいかように考えておりますか、その点をお伺いいたします。
  16. 井出一太郎

    井出国務大臣 漁業法並びに水産業協同組合法、これは水産行政における基本法でございます。絶えず検討は取り進めておるわけでございます。それで問題点としましては、たとえば漁業調整委員会の構成でありますとか、あるいは調整制度強化でありますとか、許可漁業調整方式でありますとかいうような点が漁業法については多多あるだろうと思います。それから水産業協同組合法につきましても、これはやはり協同組合組織でありますとか、組合員の資格でありますとかあるいは監督、許可の問題とか、いろいろあろうかと思うのであります。今さしあたってすぐにというわけには参りますまいが、十分意を用いまして、絶えずこれらの基本法現状に即した、時代の進展にマッチしたあり方をしなければならぬというところに思いをいたして検討をさせておるわけでございます。
  17. 川村善八郎

    川村(善)委員 両法律改正につきましては、私の意とするところを大体言っておられますから、そのような方向改正をしてもらえばいいのでございます。少くも次期国会には必ず提案するという心組みで一つ研究を進められたいと希望いたす次第でございます。  次に水質汚濁の問題でございます。この問題につきましても赤路君の質問農林大臣お答えをしておられますが、一番ガンとなっておりますことは、最近農薬が非常に進歩いたしまして、それによるところの被害が莫大となっております。どうも農薬となりますと、水産行政農林大臣所管であり産業の農薬関係の問題も農林大臣所管でありますだけにやりにくいことは私たちはよく承知しておりますけれども、このままに放置しておきますと、浅海増殖をいかに拡大いたしましても実を結ぶことができない場合もございますし、それからさらに沿岸に寄ってくる魚が逃避してしまって、沿岸に来なくなってしまって不漁を続けなければならないということも起きて参ります。たとい農林大臣所管の問題でありましても、やはりこの場合何とか処置を講じなければ沿岸漁業者が立ち行きませんので、ぜひこの点は決意をいたされまして、十分に沿岸漁業を保護するような措置を講じていただかなければならないと思うのであります。  次に工業の発展に伴って汚水が相当出ております。これらについて個々の都市あるいは工業地帯と交渉いたしましても、その都市なり町村なりが、漁業が従か、あるいは工業が従かということになると、なかなか割り切れないで、その地方の漁業が不振になりましても投げられるということがこれまでたくさんあったのでございます。それから建設工事が進むというと、各河川からどんどん汚水が出る。これも建設大臣所管でありますから、農林大臣はなかなか権限を振り回してやることができないといったようなことから、協議も調停もできないという場合もございます。それから最近漁業あるいはその他の船から流すところの油、この問題でノリ等の被害が相当ございます。これまで本委員会でも取り上げましてずいぶん所管大臣に突っ込んだ質問をいたしたのでございますけれども、一向に解決がついておりません。もちろん非常に各般にわたることですから、めんどうなことは私ども承知しておりますけれども、この際井出農林大臣の手によってこういう問題を解決つけてもらわなければ、機会を失ってしまうという感じがするのでございます。ぜひともこの際、ただいままで申し上げました実態等を十分御検討下さいまして、井出農林大臣の手によってこの漁民の不安を一掃するようにしていただきたいのでございますが、おやりになる御意思があるかどうか、この点をお伺い申し上げます。
  18. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま水質汚濁の問題につきまして、あるいはこれが農薬によるもの、工業の活発化に従って、あるいは都市の膨張等に伴って水質が汚濁するという観点から、ないしは船の油の問題等にも触れて御指摘になりました点は、私どももちろん痛感しておる次第でございます。問題はあるいは通産、建設、これらの各省にもわたることでございましょうし、また中には原因の究明がいまだ不十分である部分もございましょう。そのような次第でありまして、もうしばらくかすに時日をもってしていただきまして、これらの点を十分に究明をいたし、なおかつ政府部内における意思統一というふうな努力もいたしまして、今おっしゃいますような線に努力を傾けるつもりでございますので、御了承を得たいと思います。
  19. 川村善八郎

    川村(善)委員 ただいま大臣から御答弁下さいましたことで、相当めんどうなことはわれわれも承知しております。しかしその問題が大臣の手によって解決されますと、水産資源保護法というものを改正すればできることになります。われわれは水産委員会に席を置いた当時、この法律立法いたしまして、農林大臣の権限においてそういうものを阻止することができるというような強い立法をして、衆議院は通ったのでございますけれども、参議院で修正されまして骨抜きにされたという実態になっております。従って一日も早く所管事項についてはもちろんでございますが、各省に関連のある問題に  ついても話し合いあるいは協議をいたしまして、この生産資源保護法を改正するまでに持っていってもらいたいと  いうことを希望いたしまして、次に移ります。  次に日韓漁業問題でございますが、この点につきましても赤路委員から質問されて御答弁をいただいております。もちろん親切丁寧な御答弁でございますから納得しなければなりませんけれども、一言申し上げておきますと、これは外務省、法務省の関係もありまして、相当めんどうなことにはなっておりますけれども、痛みを感ずるのは漁民でありまして、あなたの所管に関する問題でございます。でありますから井出農林大臣がこの両省に対してもう少し強くやっていただかなければこの問題の解決はつきません。解決がつかないと何百隻という漁船の禽補問題も、千数百人の抑留されている問題も、解決がつきません。のみならず、あの海峡におきまして安定した操業ができないということになりますので、赤路委員に御答弁されたようなおざなり主義でなく、もっと積極的に、−日韓の漁業問題を、自分の手で解決をつけるんだという決意をもって進んでもらわなければなりませんが、その御決意があるかどうかという点が一点と、最近承わりますと日韓会談が行われるということでございますが、もちろん会談でありますからいついっかに解決がつくということは、この席上で御答弁はできまいと思いますけれども、その大体の見通しを承わりたいと存じます。
  20. 井出一太郎

    井出国務大臣 日韓漁業問題につきましては、先般赤路委員お答えいたしました通り、私も非常に心を痛めておる問題でございます。そのときにも申し上げたかと思いますが、長崎県のある一部落はほとんど全部が抑留されておるということを、その代表者から切々たる訴えを受けまして、非常に心を打たれるものがあったのでございます。そのような関係で、このごろ来あるいは外務大臣、あるいは法務大臣にも連絡をとりまして、鋭意これが打開を急いでいるわけでございます。日韓会談もようやく軌道に乗りかけている次第でございまして、私は遠からずこの問題は解決を見るであろうという見通しを持っている次第でございます。もとよりこれは外交的にいろんな問題を含んではおりますが、その中で今おっしゃるように一番犠牲を受けているのは何といっても抑留漁民諸君でございます。そこに意を用いまして私も十分の決意をもってこれに当る所存でございます。
  21. 川村善八郎

    川村(善)委員 次にお伺いいたしたいのは国際的の遠洋カツオ・マグロ漁業の問題であります。政府はこれまで沿岸から沖合、沖合から遠洋というふうにいたしまして、カツオ・マグロも発展はして参りましたが、発展しただけに、日本に近い海域ではもうカツオ・マグロ漁業は成り立たないような状態になりましたので、一歩々々遠い海洋に出なければならないという実態になったのでございます。しかし遠洋へ行きまして漁業をやる場合に、国際間の問題でいろいろ拿捕されたとかあるいはこの地域には入ってはいけないということで、カツオ・マグロのいるところへ入っていけないというような実態でございます。この問題を解決するためにはやはり漁業協定なりあるいは漁業条約を結ぶ必要があるんじゃなかろうか、しかもそれも早く進めなければならないのじゃないかという考えを私は持っておるのでございます。なぜおくれると不利になるかというと、一つの例をあげますと、北洋のサケ・マス漁業については、日米加三国漁業協定が結ばれた当時は、われわれもこの問題を取り上げまして、ソ連とも何らかの形でいわゆる漁業協定でもしなければ、やがてソ連からも必ず圧迫を加えられることがあるのじゃなかろうかそれからさらにカツオ・マグロについてもわれわれは言及しております。ところで当時政府は何ら手を打たなかった、また今日まで手を打っておらなかったということで、おそらくソ連がアメリカ、カナダに対して対抗的にやったものか、あるいはやはり日本の漁業を阻止するためにやったのか、これはわかりませんけれども、今日北洋漁業の問題で行き悩みを生じておるという実態でございます。カツオ・マグロについてもフィリピンの沖合い等につきましては相当にいることは明らかでございます。しかし入られないというのも明らかでございます。従ってこういう方面に早くやはり日本から手を出して、漁業協定を結ばぬかといったような措置をとることが必要でなかろうかと思うのであります。こうでもしなければ、今後国際漁場に乗り出す日本の漁民は、日ソ関係の解決がつくとその味をしめて直ちにまた各国が出てくるのじゃなかろうかという気がするのでございますから、この国際漁業の問題については関係のある国国と話し合い、あるいはできるならば協定を結んでいくべきだという考えを私らは持っておりますが、大臣が持っておられるかどうか。また持っておられるとすなるならば、その協定等を結ぶに力を入れて、そしていつごろまでにどうしてやるといったような具体案を持っておられるかどうかという、この二点についてお伺いをいたしたいと思います。
  22. 井出一太郎

    井出国務大臣 四面環海と申しますか、海をもってめぐらされておる日本の一つの宿命とでも申すべきものから、やはり漁業の面において沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へ、こういう拡大方向をたどらざるを得ないことは全く川村委員と同感でございます。にもかかわらず公海における漁業に対する制限というふうなものが国際的に日本にいろんな圧力をかけてきておることも事実でございまして、これを早期に見通して解決すべきだ、たとえばマグロ・カツオについてただいま御指摘のフィリピン方面に対しても早いところ手を打つべきである、こういうことは私も川村委員と同感でございます。ただ漁業協定を結ぶかどうかということにつきましては、相手国の状況等もさらに検討を加える必要があろうと思いますので、このあたりは御趣旨の線に沿うて十分研究をいたしてみたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 川村善八郎

    川村(善)委員 次に北洋漁業の問題について伺いますが、この問題につきましても赤路委員から督励的質問がありまして農林大臣から感謝的な御答弁があったのでございます。私も、現在日ソ漁業委員会が開かれておりますので、内容には触れたくはございません。要は関係漁民も日本の国民も望んでおるところの線に落ちつけばけっこうなのでございます。だが実際問題は、十六万五千トンと八万ないし十万トンの線で行き詰まりを生じているように私ども新聞で拝見しております。そこでどうしてもこれを打開するためには、何らかの手を打たなければならぬということで、これも新聞に出ております。そこで私は新聞がどういうふうにして取材をするのかわかりませんけれども、秘密会議でやることが漏れて新聞に掲載されて、われわれがここでただ見てそうかなといったようなことで終らなければならぬということになりますと、国会議員として何か何にもやらないでおられないような気がするのでございます。そこでここまでどん詰まりになりましたならば、もちろん打開の方向を新たに考えなければなりないことは万々私らも承知しておりますが、農林大臣として所管委員会寺に何らかの手を打たなければならない時期も到来したのではないか、もっと端的に言いますと、国会で取り上げ時期も来たのではないかと思っているのでございますが、まだその機に至りないというのか、解決つけられる見通しがつくのだ、見通しがつくならばいいのじゃないかという感じを持って国会に呼びかけないというのか、どちりかわかりませんけれども、私らとすれば、有利に解決つくならばあえて国会で取り上げるべきでないと思っておりますけれども、しかしいささかでもお力を借すということで、国会が取り上げることもあえて差しつかえないのではないかという気もいたすのでございます。従って時期ももうまさに迫っておりますので、この際国会でも何か与野党を超越して取り上げる場面も私はほしいのでございますが、その必要があるかどうか、また必要があるとするならば、これはここでは御発表になるわけにもいきますまいけれども、やはりある機会を作って御相談をするということも必要だと思います。この点について大臣のお考えはどうか。要は、目的達成のためには全力をそそいで、いわゆる国民の要望にも、関係漁民要望にもこたえることはもちろん必要でございますが、それらに対応して国会も何か手を打たなければならぬという気がするのでございます。それでその必要があるかどうかということをお伺いいたしたいのでございます。
  24. 井出一太郎

    井出国務大臣 北洋漁業の問題につきましては、前会赤路委員にもお答えを申し上げました通り、目下漁業委員会が開催進行中でございます。新聞等にもいろいろ伝えられているようでございますが、一度こういう問題につきましては、委員会にも御相談をすべき機会を得なければなるまい、こういうふうに私も考えております。ただその時期等、やはり微妙な関係もございますので、これは追って委員長とも御相談を申し上げた上対処をいたしたい、このように考える次第でございます。
  25. 川村善八郎

    川村(善)委員 次に日ソ関係で、北洋のサケ・マス漁業は曲りなりにも私はおそらく井出農林大臣の力でできるものと確信しております。ところが領土の問題が解決つかないというと、沿岸的な漁業、たとえて申し上げますとコンブだとか貝類とかあるいはタラ、カレイ、こうしたような沿岸的な漁業が、出漁ができないわけではございませんけれども、ソ連のために拿捕されておるという実態でございます。そこで北洋サケ・マス漁業の問題が解決つきましたならば、これらの問題の解決のために、領土が帰るまでの暫定期間、その漁業が行われるような措置を講じてもらいたいという地元漁民からの熱望が相当あるのでございます。従ってこの問題解決のためには、委員会を通じておやりになればまことにけっこうでございますが、今度の委員会は限られておる問題を解決するためでありますので容易でないと思いますけれども、若干の時間でもありましたならば、ソ連関係の要人とお話し合いをして、ぜひとも緩和するような方法を講じてもらいたいというお願い的な質問でございますが、できるものかどうか。それからこの間の外務委員会を聞いておりますと、話し合いができないのだという答弁をされておるようでございます。私は話し合いはできるのだ、解決するかどうかという問題はめんどうでございましょうけれども、話し合いくらいは、せっかくソ連の漁業委員が来ておりまするし、大使館もここに設置されまして、大使も来ておられるのだから、農林大臣から話し合いをしてみることもできるのじゃないかという気がいたしますが、要は、決定という問題は相手のあることですから、直ちにできるかどうかということはわれわれ保証はできないと思いますが、話し合いをしてみて、できるならば解決してもらいたいという地元の漁民要望にこたえていただきたいと思います。この点について農林大臣の所見をお伺いしたいと存じます。
  26. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま御指摘の歯舞、色丹あるいはその近海が非常に豊富な漁場であるということは、よく承知をしておるのであります。ところが目下開催されております日ソ漁業雲員会で討議をされまする問題は、日ソ漁業条約に基きまして、この委員会で討議決定をすべき事項というものはおのずから限定されておるわけであります。従いまして、歯舞、色丹近海のソ連領海内における漁撈の問題はこれは委員会の議題外ということになるわけでございましょう。しかし交渉が友好裏に進められまする場合には、当然こういった問題につきましても話し合をする機会はあろうかと思うのであります。全般的に申せばこれはやはり領土問題という一つの大きな外交問題の一環ということではございましょう。しかし折に触れ、機会をとらえて、こういうものを一つずつでもほごしていこうという努力はいたす所存でございます。
  27. 川村善八郎

    川村(善)委員 農林大臣にぜひそのような方法で解決されるようにお願いを申し上げておきます。  次にお伺いしておきますことは、農林漁業許可行政に、率直に言うと全く不純な問題がたくさんこれまで起きたのでございます。例をあげますとたくさんありますが、時間の関係上申し上げません。しかし井出農林大臣は温厚な方であり、手腕、力量もあり、公平な人でもありますから、今後は農林水産許可行政に今までのような不純なやり方はしないと確信しております。従ってこの問題は具体的には申し上げません。要は、今後の農林水産許可行政の公平ということをまずお願いをいたしまして、内容には触れませんからよろしくどうぞこの問題は御考慮のほどをお願い申し上げます。  さらに零細農村あるいは漁村、半漁半農と言った方がいいと思いますが、これらの小団地の開発は、最近手をつけました北海道におきましても、非常に成績がよい。漁業は不振でありましても、飯米の方で確保ができますと、それによって生活が確保されて安定生活ができるということが、実施したところは各地に現われております。今後もやっていただかなければなりませんが、大体農村では、大てい一軒のうちで三反歩ぐらいまきますが、米は北海道であっても十五俵ないし十八俵とれるのでございます。いいときは二十俵くらいとれます。ぜひこれをやっていただかなければなりませんが、今のところでは、小団地といえども五町歩とかあるいは十町歩というようなことで「政府が予算措置を講じておるようでございますが、もっと掘り下げて、一町歩くらいを単位にして、あるいはそういかなくてもある部落なら部落、町村なら町村で五町歩になればいいといったような方法で、土地改良なりあるいは小団地開発なりをやっていただきたいと思いますが、この点について農林大臣はどういう御意見を持っておられるか、伺いたいと思います。
  28. 井出一太郎

    井出国務大臣 川村さんから、半農半漁というような形において漁民の安定をはかる意味における小団地の開発が、非常に効果を上げておるという御指摘がございました。私どもももちろんそういう方向で、あるいは小団地というような一つの規格には何らかの考慮を用いなければならぬかもしれませんが、方向川村委員指摘方向において努力をいたす所存でございます。
  29. 川村善八郎

    川村(善)委員 まだたくさんございますけれども、時間がないようでございますから、最後の一点をお伺いいたしたいと思います。鉄道運賃がいよいよ値上げをされることに相なっております。そこで鉄道運賃の値上げに伴って農機具なり、肥料なり、あるいは漁具なり、いろいろこうしたものが値上りをするということは常道でございます。従ってそうしたようなことから、農村関係ではおそらく農産物の価格の問題にも触れるでありましょうし、さらに水産関係でも、今度発足しますところの漁業の共済問題でもいろいろ変ってくると思います。従って、これに対する具体的な対策といっても今御答弁もできますまいけれども、これに対する対策があるかどうか。極端にいえば、水産関係は別といたしましても、農林関係は非常に大きな問題として取り上げられるのじゃないかということを考えておりますが、こういう点について御意見がございましたら、御意見を承わりたいと思います。
  30. 井出一太郎

    井出国務大臣 運賃の値上げが農林水産物価格にいかなる影響を及ぼすか、このことは私どもも重大関心を持ちまして、鋭意経済局で検討を続けて参っておるのでございます。そこで運輸当局とも相談をいたし、例の遠距離逓減制というふうなものが従来通り行われなくなる結果、特に日本のような南北に距離の長い国において、鉄道輸送によるところの農林水産物資が多いのでございますから、相当な影響が出るわけでございます。これはそれぞれ個々の品目につきまして特別割引という形をとることによって、大体一般的な運賃値上げ以上に及ぶものを押えるという方向で、ほぼ目的を達したかと思っております。  それから肥料等につきましては、七月までは値上げをしないということで、これは肥料産業とのまた交渉によって、運賃分などは何とかコストの中へ吸収できないものかというような協議もいたす所存でございまして、できるだけ一つ運賃のはね返りが少からんことを期して善処いたしておる次第でございます。
  31. 川村善八郎

    川村(善)委員 私たちは与党でございますから、運賃の一三%の値上げについては反対するわけには参りません。そのはね返りは主として農林水産物輸送に来ておるようなことでございます。これも言いたいことがございますが、時間の関係上申しません。よほど農林大臣がしっかりした気持でやらないというと、いつかしら運輸省の方では話し合いと実際とは違ったような行動をとるような場合がこれまでもたびたびございましたので、ぜひともあまり農林水産物に大きな影響を来たさないような運賃にしていただくように努力していただくことをお願いを申し上げまして、私は質問を終る次第でございます。
  32. 小枝一雄

    小枝委員長 稲富稜人君。   〔「答弁が要る」「関連して」「答弁は要らぬのだよ」と呼ぶ者あり〕
  33. 小枝一雄

    小枝委員長 稻富君、発言を許しましたから御発言を願います。
  34. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は日本農政の基本の問題についてまずお尋ねしたいと思います。これは農林大臣が最も農村に理解があり、農政通であるという建前から、あえて私はこのお尋ねをしたいと思うのでございます。  日本の農政が二十八年を最高といたしまして後退しているという事実は、これは少くとも日本農政に関心を持つ者がひとしく認めているのであります。先日この事実に対して石田委員質問いたしますと、農林大臣は、昭和二十八年は災害等があったから、予算は千七百億に膨大しておる、しかしながら内容をよく検討いたしますと、それほどのひどい減額ではないというように御理解をいただいてよかろうと思います。という実に楽観したような御答弁をなさっておるのであります。もちろん二十八年は災害等があるし、千七百八億九千二百万円の農林予算が計上されておりますが、さかのぼって二十七年は災害がありませんけれども、千四百七十億九千五百万円の農林関係予算が計上されておる。二十六年は千百二億四千三百万円の予算が計上されておる。さらに二十八年以降は、二十九年におきましても千百十八億五百万円の予算が計上されておる。三十年は九百六十二億七千九百万円の予算が計上されておる。こういうような事実から申し上げまするときに、本年の農林予算というものは明らかに後退している。しかも予算規模が膨大しているという、この点からいいましても、明らかにこれは後退していると思う。この事実を農林大臣は認めておられないのか、この点をまず農林大臣から承わりたい。
  35. 井出一太郎

    井出国務大臣 先般石田委員お答えをいたしました通り、農林予算が近年総額において漸次減少しておるのではないか、この点から問題を追及していくと、やはり農政は後退しておるという御指摘があったわけでございます。これは内容を吟味してみまするならば、実質的な農林関係に用いられておる数字というものを検討いたしますと、二十八年に比べると、農林予算が半減しておるではないかというようなお尋ねに対しましては、災害その他もあって、絶対数字を見ればそうでありましょうけれども、これをよく内容的に御検討いただきまするならば、それほど減っておるというのではなかろうという御答弁を申し上げたつもりでございます。私ももちろんこれでいい、これで満足だとは申し上げておらぬのでございまして、限られた予算ではありまするけれども、これを最も効率的に運用をいたすことによって、今御指摘のような欠陥が、もしありとすれば、それをカバーして参りたい、こういう所存でおる次第でございます。
  36. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題は、すでに農林省が予算編成の当時に最初に大蔵当局に要求いたされたその要求額から申し上げましても、相当に減額されている。要は、これはもちろん農林大臣一個人の問題じゃなくして、わが国の政治上に農政というものをどれほど大きく取り扱うかというここに帰着すると思うのであります。こういう点から申し上げまして、明らかに現在の日本の農政というものは、日本の国の政治全体から申し上げまするときに、だんだん後退しているという事実はこの点に明らかになっていると思う。要は、こういうような現在の農業に対する国の政治の取扱い方に対して、これはもちろん農林大臣の政治力とかいろいろありましようが、あえて私は政治力がないというのではございませんが、こういうような一つの取扱い方を見ると、日本農政に対しましては、よほどわれわれ農村を憂慮するものは考えなければいけないと思う。ただ与えられた予算面において何とか最善を尽したいという消極的な考え方でなくて、こういうような農政の取扱い方に対して、もっと農林大臣というものは確信を持って、もっと積極的な農村対策を樹立するということが、今日の日本農業といたしまして非常に重大な問題じゃないかと思う。これに対する農林大臣の御所見なり将来に対する意見と希望を承わりたいと考えます。
  37. 井出一太郎

    井出国務大臣 施策の反映が予算の面に現われる、こういう点からとらえられての御発言でございましょうが、その意味においては、すでに予算も提出をされておる段階でございまするので、本年は一応予算面においてはこれをもってしんぼうしなければならぬということでございましょうが、しかし先ほど来申し上げるように、これで満足しておるというのではございませんで、稲富さんのおっしゃるような方向に積極的に取り組んで参るという希望あるいは決意、これに関する限りは私も同感でございます。
  38. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは農政の基本的な問題についてはまた後の機会に譲ることにいたしまして、私は本日はさらに食糧問題についてお尋ねいたしたいと思います。  食糧管理特別会計予算案の編成に関する基本方針は、私たちの知るところによりますと、当初一月八日の閣議においては消費者米価の引き上げを行うとともに、国内産麦の価格体系を調整して食糧管理を合理化する、こういう決定されたように記憶しております。この基本方針に基いて三十二年度においては米価を一升八円五十銭程度引き上げることとし、三十一年度までは食管の赤字は一般会計より補てんし、三十二年度以降は均衡予算を組むという予定であったようであります。ところがその後一般世論及び与党内部よりの反対にあって急速この方針を変更することのやむなき状態に立ち至り、食管会計については特別調査会を設置し、食管制度の合理化について全面的に検討し、米価その他の基本問題を処理することとして、食糧の管理に関するこの重要問題は、すべてこの調査会の方針の決定を待ってあとに回すというような事態になったのであります。従って食糧管理に関する一般会計及び特別会計の予算案は非常に重要な問題であるにもかかわらず、当分これをたな上げして予算の編成をするという醜態をさらけ出したというような実情であるのであります。  すなわち、三十一年度までの赤字は、実に百九十四億八千八百八十二万七千九十一円に及んでおる。すなわち三十一年度の赤字は約百六十一億円であり、三十年度の赤字は二億七千万円、さらにそれ以前の赤字は約三十一億円であるのであります。さらに三十二年度の赤字は百四十一億八千二百九十六万七千円と推定されておる。こういうような問題を一切未処理のままという、実に前代未聞の予算案が今日提出されております。ところが従来の例によりますると、当年度の損失は補正予算で一般会計から繰り入れる。また翌年度の損失予定は通常予算で一般会計から繰り入れて補てんするというような建前になっておったように記憶しております。しかるに最近における食管のあり方というものは、非常に決算があいまいであるといわれ、経理は乱脈をきわめておるといわれ、運営は混乱の極に達しておるといわれております。すなわち三十年度の食管特別会計についてこれを見ますると、六十七億円を赤字補てんのため一般会計より繰り入れ、さらに百億のインベントリーの取りこわしを行なって財政の整理を行なったばかりであります。ところがいろいろ調べますと、二十九年度までに約三十億円の赤字を背負っておることが明らかになっておる。今日までこの二十九年度までの赤字を放任いたしておった理由はどういうわけであるか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
  39. 井出一太郎

    井出国務大臣 食管会計につきまして稲富委員からるる御指摘があったのでありますが、建前は何と申しましても年々均衡予算を組まなければならぬということは当然でございます。しかるにここ両三年の食糧需給の推移を見ますると、非常に凶作の年が続き、今度は逆に豊作の年が続いておる。そういうふうな国内の需給関係もございまするし、あるいは国際的にも最初予定されました外国食糧の価格に変化が現われ、運賃その他にも騰貴現象が現われたというような予測しがたい問題も出て参りました。当初の均衡予算というものが途中で、今御指摘のように、一般会計から埋めたり、インベントリーをくずしたりいたしたにかかわらず、そういうような結末が出てきたということはまことに不手ぎわではございまするが、やはり予見しがたい諸要素というものが働いたんだというふうに御了解願いたいと思います。なおこういった技術的な問題でもありますので、食糧庁長官も来ておりますから、御要求がございますれば、詳細にお答えさせることにいたします。
  40. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうしますると、二十九年度以前の赤字というものは、当然その後に生じたものでない、その以前にあったわけであります。それを放任なさっておったのはどういうわけかということをお尋ねしておる。
  41. 小倉武一

    ○小倉政府委員 放任しておったわけではありませんで、三十年度の予算の一実行上、ただいまお話がございましたように、百億のインベントリーをくずし、それから六十七億を一般会計から繰り入れるという補正がございましたが、その際には、それによって二十九年度からの繰り越し損も入れて全部きれいになる、こういう見込みであったのであります。しかし三十年度の決算をやってみますと、なお赤字が出て参りました。それを年度別に分けてみれば、二十九年度の埋まるべきものが埋まらなかった。なお若干の三十年度の損が出た、こういう次第でございます。
  42. 稲富稜人

    ○稲富委員 ただいまの答弁から聞きますと、三十年百億のインベントリー、一般会計から繰り入れる損は、その以前はそういう赤字はないと思っておったが、その後二十九年度以前の赤字が出てきた。こういうような御答弁のようでございまするが、そういたしますると、食管会計の経理というものはどうなっておるか、われわれには理解しがたい。あらためてその点を確認しておきたいと思いますが、どうですか。
  43. 小倉武一

    ○小倉政府委員 先ほど申しましたことを繰り返すことになるわけでございますが、三十年度の補正をいたします場合に、インベントリーと合せて百六十七億埋めることによって特別会計の損は消えるという見込みであったのであります。ところが三十年度が済んで、それを決算してみますと、補正のときの見込みが違っておった、こういうわけでございます。そこで全体を申しますと、三十年度決算上の損は百九十五億に相なったのであります。そのうちインベントリーが百億、それから損失補てんが六十七億、それから資産の再評価益が二十五億、それを差し引きますと約三億になるわけでございます。これが二億七千万円の三十年度の損、こういうことになるわけです。ところがそのほかに累年損が約三十一億ございます。この三十一億は、百六十七億をインベントリーと一般会計から繰り入れる際には二十九年度からの繰り越し損は埋まる、こういう見込みを立てておったのでありますが、それが埋まらずに再び出てきたということであります。その事由は、三十年度の事業執行上出て参りましたいろいろの事由がございますが、そういうわけでございまして、二十九年度の損が結局処理できなかった、補正予算のときにはそれを埋めるということで百六十七億入れたわけでありますけれども、結局処理ができずに再び頭を出してきた、こういうことであります。
  44. 稲富稜人

    ○稲富委員 この問題はあと回しにしてさらにあとからお尋ねすることにいたしまして、さらにお尋ねしたいのは、三十年度までの赤字は、ただいま申し上げましたように三十三億ないし三十四億円であるということははっきりわかったわけであります。三十年度には食管の所有する固定資産の再評価を行なって、再評価価額二十五億二千百余万円を食管の利益に計上されております。これは会計検査院の報告にも指摘されておる事実でございますが、この食管特別会計が所有する土地建物類の価額の変動は、国有財産の価額に変動を生ずるということになるのであります。これを特別会計の利益に計上するというのはどういう理由に基いてやられたのであるか。もしこれを除外いたしますると、三十年度までの損失は実に五十八億に達することになるわけであります。政府はいかなる法令の根拠に基いてこれを利益に計上することにされたのであるか、その理由を明示いただきたい。
  45. 小倉武一

    ○小倉政府委員 三十年度の決算の上での資産の再評価益をもちまして損失を埋めた法律的根拠、こういうお尋ねのようでありますが、私どもの事務処理上の経過を申しますと、損失の補てんには実は充てたくなかったのであります。ところがこれを積み立てるという点についての法律的根拠がなかったのであります。もちろん法律改正等をすればこれはできるわけでありますけれども、いろいろ事務処理上決算が非常におくれまして、法令改正等の時期も失しまして、むしろ御質問とは逆に、今の法律ではこれを積み立てておくということについての法律的根拠がないということで、やむを得ず取りくずしたのであります。これは他の特別会計との法律上の関係もございますので、大蔵省、会計検査院でよく調べまして、お尋ねのようにそういうことにいたしたのであります。これは五年ごとに再評価することに相なっておりまするので、ちょうど三十年度の決算をいたすときがたしかそのときに相なっておるということで、やむを得ずそういうことにいたしたのであります。なお今後といたしましては、いろいろ立法上の検討を要する問題だとは存じております。
  46. 稲富稜人

    ○稲富委員 そういたしますと、法律改正する余裕はなかった、それだから法律の根拠はないけれども、一応そういう違法というか、便宜をはかってこれを処理した、こういう御答弁でございますか。
  47. 小倉武一

    ○小倉政府委員 積み立てるには法令の根拠が要る、ところが一方再評価しなければならぬという法律上の制約があるわけでございます。再評価して益が出れば、これは普通の益として処理せざるを得ない、こういうことであるわけでございます。
  48. 稲富稜人

    ○稲富委員 どうもわれわれはその点の御答弁には釈然としない、何だかヴェールをかぶせたような御答弁で、われわれは納得いきません。さらにこの固定資産の再評価というものは、今長官から答弁がありましたが納得いかない。しかしもうそれを別といたしまして、三十年度までが三十三億円であるということは、先刻からはっきりされております。これはすでに決算が確定しているのであります。食管の保有する米麦等の商品の評価がえ等によって、この損失額に増減を来たすことは絶対ないのであります。これは当然一般会計から繰り入れる以外には方法がないと思う。御承知のごとく単年度でそれを終るのが現在の財政法の原則であります。すなわち財政法の第十二条は、会計年度独立の原則を規定しております。すなわちそれには「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」と、こういうことをはっきりうたってあるのであります。当年度の赤字は当年度において処理すべきものであります。従って三十一年度までの赤字は、当然第一次補正によって処理すべきが当然であります。もしもこれをやらないというならば、これは国の財政政治の精神を、内閣の都合によってみだりにこれを変更するということになりまして、明らかにこれは違法である、かように考える。これに対する農材大臣の所見を承わりたい。
  49. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは予算委員会において大蔵大臣からもまた私からも御答弁申し上げてあるのでありますが、ただいま来問題になっておりました三十年度の赤字三十四億、これは今回補正において処理いたす、それから三十一年度の分は決算確定を待ちましてこれの措置をする、こういうことで政府一としては対処しておる次第でございます。
  50. 稲富稜人

    ○稲富委員 今大臣の言われたように、三十年度までの赤字をやらなければいけないことはもちろんでありますが、今はっきり出ておる三十一年度までの赤字も、ただいま長官からも御説明せられましたように、国に困り抜いたあげくこういうような赤字が出てきておるということは、大臣もお聞きの通り、であります。当然私は三十一年度までの赤字というものは、ただいま申し上げました財政法の原則から申しましても、第一次補正によって補うことが当然であると思う。それで政府があとからこれをやろうということ自体がこれは財政法に対して非常に違法である、これは第一次補正によって補正すべきが当然であるという考えを私は持っておるのでありますが、これらに対して大臣はそうお思いにならないのか、あらためて承わりたい。
  51. 井出一太郎

    井出国務大臣 その点はまだ決算上未確定の要素も若干ございましょうし、七月に相なりますれば、明確な三十一年度の欠損というものが明らかになりまするので、その上に処置をして参るというのが政府の方針でございます。
  52. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうすると、あなたのおっしゃるのは七月だと言われます。あるいは含みとしては、食管制度特別調査会等もできるので、そういうものの答えを待ってこれに対処する、こういうような含みもあるのでございまするか、その点承わりたい。
  53. 井出一太郎

    井出国務大臣 既往の年度の赤字の問題はそれとは、つまり食糧管理臨時調査会ですね、これとは別個に扱う所存であります。
  54. 稲富稜人

    ○稲富委員 それとは別個であるとするならばなおさらでございまするが、私は何回も繰り返して申し上げまするが、当然ただいま申し上げましたように財政法の原則に対してしからばそれは違反しないという考えであるか、この点さらに法的解釈を承わりたい。
  55. 井出一太郎

    井出国務大臣 これは財務当局から御答弁をした方がしかるべきでございましょうが、政府としてはその方針をもって臨む、こういうことに相なっておる次第でございます。(「答弁にならない」と呼ぶ者あり)
  56. 稲富稜人

    ○稲富委員 法的根拠を明らかに聞いているのだから、違法にならないかというのです。財政法四十二条を読んで、これに対する御答弁は重大な問題でありますから、法的根拠及び違法でないかという解釈をはっきり伺います。
  57. 井出一太郎

    井出国務大臣 従来もそういう例はあるように承知しておりまするし、われわれといたしましては決算の確定を待って処理をしてしかるべきもの、こういうふうに考えております。
  58. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは農林大臣に聞きますが、あなた大蔵大臣としてお考えになるのじゃなくして、食管特別会計を預かる農林大臣として、第一次補正によってこれを処理した方が実際の運営上からも当然なのだ、この点を勘案して、やはりこの問題は法的問題を考えなくちゃいけない。こういう立場で、あなたはどうも大蔵当局なり、政府等に非常にこだわっていらっしゃるようでありますが、あえてこだわらないで、食管会計を預かる農林大臣として端的にお考えを承わりたい。
  59. 井出一太郎

    井出国務大臣 これらは一農林当局というだけでも御答弁申し上げかねる問題でございまして、政府として一体的、総合的に申し上げておるわけでございます。その点は予算委員会お答えを申し上げておる通り考えております。
  60. 小枝一雄

    小枝委員長 中村君。
  61. 中村時雄

    ○中村(時)委員 大臣、そんな答弁はおそらくだれが聞いても、与党の中においても納得はできぬと思う。今稲富氏の聞いているのは、財政法の四十二条に基いた質問をしているのです。だから会計年度ははっきり期間がきまっている。ところがあなたの方の食管の制度の中には、このコスト計算をするときに一月、二月、三月を推定して、六月、七月になってきて決算をしょうという考え方の基本的な、食管そのものの中に問題があるわけなのです。それに対して、あなたはそれをごまかそうとするから問題が起きる。食管法でなくして、財政法に基いていくならば、当然一般会計から百六十一億の赤字補てんをはっきりさすべきだという意見になってくるわけだ、私はそう思う。ところがあなたはそれを政治的に、今言ったように逡巡しておるから問題が出てくるのです。だからその点をはっきり割り切っていけば、この百六十一億に対してもどうするかという結論が、財政法の上からも出てくるはずです。ところがあなたは、現状においては食管法上六月、七月に決算するのだから、一月、二月、三月の推定でしなくてもいいのではないかというあいまいな返答になってくる、こう私は思う。そこの結論をはっきりさせない限り、これは進んでいかないと思う。それはおわかりだろうと思うのですが、そこをはっきりさせてもらいたい。
  62. 井出一太郎

    井出国務大臣 その点は先ほど来お答えを申し上げております通り、決算が確定をいたしました上において赤字処理をいたす、赤字処理をしないというのではない。これは三十一年度において処理をいたすことはしないのですが、いずれかの機会にはこの赤字は一般会計から補てんをする、こういう考え方の上に立っておるわけであります。
  63. 中村時雄

    ○中村(時)委員 決算が行われた場合ということ、あなたのお考えは六月、七月を意味していると思うのです。ところが実際の決算をやろうといえば、一月、二月、三月の推定でもできるわけなんです。事実今までやっているのでしょう。そうすると六月、七月に繰り延べなくても、少くとも一月、二月、三月にできる。それをあくまで六月、七月の決算にとおっしゃるならば、私は赤字がもっとふえるという前提に立っているのではないかと思う。そのごまかしじゃないかという質問にもなってくるわけです。だからそういうことではなくして、一月、二月、三月の推定に基いた決算で実際の方向をはっきりと打ち出せるのではないか。打ち出すためには一般会計から百六十一億は出るのじゃないか、こういう点は、あなたのような賢明な頭だったら、はっきりと打ち出せると思うのです。それをごまかして、決算ができればそのときにおいて赤字のことを考慮したいと言うようなことは、これは一つの、何といいますか、私はごまかしだと思うのです。だから賢明なあなたの頭なんですから、そこのところがはっきりできると思う。それを聞いているのです。何も決算を聞いているわけではない。私の質問はわかるでしょう。だからそういう意味において、私は正直に答弁していただきたいと思うのです。何も大蔵の問題だとか、ほかのことを考える必要はない。財政法ははっきりしているのだし、推定に基いて計算もやっているのだし、そうすれば赤字が幾らになるということも出てきているのだし、その出てくるものはおそらく百六十一億ぐらいではない、もっとふえると思うが、そういうことは別として、今言った百六十一億に対しても推定上はっきりしているならば財政法に基いてはっきりさせた方がいいのではないか、こういうことになってくるわけです。
  64. 井出一太郎

    井出国務大臣 中村委員指摘のように六月、七月に延ばしたから赤字がえらく大きくなるというふうなことは、私どもは考えておりません。(「大いにある」と呼ぶ者あり)御案内のように若干の不確定の要素というものは確かに残っておると思います。従いましてそういう点の明確を期するのには、今推定で腰だめの数字でやることよりも、決算を待って明確化することの方がよりよいのではなないか、こういうふうな考え方です。
  65. 中村時雄

    ○中村(時)委員 では七月、八月の決算を待たなくても百六十一億以上にふえるとは考えていない、こういう結論が出ておるなれば、なおさら一月、二月、三月の推定の正確なものという考え方になっているから、それに基いてやっているのだから、どうしてもそれは今言った財政法に基いてはっきりさすのが原則的な問題として出てくるのではないですか、私はそういうふうに考えますが、それだったら、なおさらここのところで、はっきりさすべきではないかということになってくると思うのですが、どうですか。
  66. 小倉武一

    ○小倉政府委員 法律的に……。
  67. 中村時雄

    ○中村(時)委員 大臣に私は聞いているのですよ。
  68. 井出一太郎

    井出国務大臣 政府委員から補足をして答弁をいたさせます。
  69. 小倉武一

    ○小倉政府委員 この予算の編成の上なり、あるいは予算執行の途中なりに見込まれる損の埋め方の問題につきまして、財政法との関係についてのお尋ねが、王のようでございます。私は直接財政法の所管でございませんので、財政法上の解釈についてここで申し上げるわけにはちょっと参りかねるのでございますが、特別会計法の関係を主として申し上げますと、特別会計法は財政法の例外規定を作ることができるように相なっております。そこで食管の特別会計法をごらんになっていただきますと、むしろ決算を待たないで繰り入れるのは非常な例外的なものに限っておるようであります。それは従来輸入補給金と申しておりましたものにつきましては、法律措置を待たずに特別会計法に基いて繰り入れることができます。ところがそうでなくて、赤字というものの見込みについて繰り入れますのは、付則にもございますが、むしろ決算に基いてやるということについて、これはできるという規定がございます。従って決算に基かないで一般の赤字を埋めるということはどうも特別会計法だけではできそうではないのであります。従来もそういう説には特別の法律を制定いたしまして繰り入れておるのでございまして、現在の法律の解釈の上で、従来のが不当だ、不法だということではないように思います。
  70. 稲富稜人

    ○稲富委員 私はそういう財政法をお聞きしておりません。さらに私はこれを裏からお尋ねしたいと思うのですが、先刻私の質問に対しまして、本年度の予算編成当初の方針に対しましては、大臣も私の申し上げたことを御承認になったのでありますが、その当時食管特別会計の予算案の三十一年度ままでの損失の百九十五億円に対しては一般会計よりこれを繰り入れる方針が最初決定された。ところがその方針が一切御破算になっております。そうして現在の赤字予算というものが提出されておるのでありますが、最初に計画されておった百九十五億円の財源はそれではどこにしまい込まれたのであるか、それを一つ承わりたいと思います。
  71. 井出一太郎

    井出国務大臣 ただいま御指摘の最初の方針と申しますのは、一月八日の閣議の決定をさしていらっしゃると思うのでございますが、その際は今おっしゃるように百九十五億円というふうな具体的な問題にまで触れて結論が出ておるのではなくして、予算編成方針の大綱と申しましょうか、そういうことが決定せられたのでございまして、その財源がどこかへ引っ込んでしまったという御指摘なんでありますが、その一月八日の決定は、そういうところまではこまかく詰めておらなかった、こう御承知を願いたいと思います。
  72. 稲富稜人

    ○稲富委員 そうするとその当時、三十一年度までの食管の赤字は本年度において繰り入れる、こういうような方針であったことだけは今も大臣のお認めになった通りであります。その後、先刻から申し上げましたようないろいろな内部的の事情、世論の動向等によってたな上げされたのである。最初政府がそういう計画をされたということは、財政法の原則に基いて、当然本年度においてこれは補てんすべきものであるという解釈のもとにおいて当初は計画されたと思うのです。それがその財政法の原則に違反するようなことに考え直しをされたことにまた大きな疑惑があるわけです。どういうような法的根拠によってそういうことをされたか、それを聞いておるわけです。これは最初の計画通り、第一次補正によって何とかして補てんすることが財政法の建前から当然ではないか、当然やろうとしておったことをあなた方は途中で変えておる。それを聞いておる。当然これはやるべきではないかということをさらに認識を新たにして御答弁願いたいと思います。
  73. 井出一太郎

    井出国務大臣 予算編成の過程におきまして、一月八日にごく大ざっぱな大綱がきめられておっただけでありまして、予算編成の具体的な問題に入りまして以来というものは、諸般の計数においていろいろ変化もあったわけであります。従いまして、今稲富委員のおっしゃるように百九十五億円なるものが当然一般会計からその年度内に補てんをされるんだ、こういうところまでは当初方針というものは触れておらなかったのであります。従いまして編成過程において、それは十分働き得る余地というものはあり得るわけでございまして、当初からがっちりとそういう数字が詰って固定をしておったものではないわけでございます。
  74. 稲富稜人

    ○稲富委員 これは非常に意外な話なんで、赤字というものは百九十五億ということがはっきりしておる。予算編成のときにはその金額が固定しておらなかった、わからなかったなどということはわれわれには納得がいかない、御承知通りそれじゃ食管特別会計にどうしてそういう赤字が出たかといいますと、食管特別会計の累年の帳じりの分析の結果を見ると、こういうことになっております。これはあなたのところにも資料があると思います。すなわち累年の損益というものはこういうことになっております。さかのぼって昭和二十年から見ると、昭和二十年の損益は三十二億一千万円、そのときの差引きの赤字の累計というのは四十四億六千三百万円あったはずなんです。二十一年度には五十億二千五百万円の一利益が生じておる。それで二十一年度の差引き累計は五億六千二百万円。二十二年度は利益が八十八億八千百万円あった、そのときの累計は黒字で六十四億五千三百万円であった。二十三年には損失が百二十四億八千九百万円出ておる。二十三年は六十億三千六百万円の赤字となっておる。二十四年は四百四十二億四千八百万円の利益を生じておる。そのときの黒字は三百八十二億一千二百万円。二十五年が二十四億八千六百万円の利益なんです。累計は四百六億九千八百万円の黒字。二十六年が三十七億九千四百万円の利益。そのときの累計の黒字が四百四十四億九千二百万円。二十七年は損失が百四十億四千六百万円出ておる。それで差引き累計は三百四億四千六百万円になっておる。二十八年はさらに損失が二百五億六千三百万円、差引き累計が黒字が九十八億八千三百万円。二十九年が損失が百二十九億六千七百万円、二十九年は三十億八千万円という赤字が生じてきておる。先刻長官はあとからこの赤字が出てきたんだとおっしゃいますが、ちゃんと累計の帳じりに出てきている。三十年はさらに百七十億一千六百万円の赤字、損失を生じておる。それでインベントリーの取りくずし、六十七億の一般会計の繰り入れを出して、三十年度の差引き累計が三十四億という赤字になっている。さらに三十一年は百六十億の損失になっておる。百六十億の損失になっておるから、当然前年度の約三十四億の赤字と一緒になりまして、百九十五億という赤字が三十一年度ははっきり出てきておる。予算編成のときはわかっておったはずです。帳じりですから。予算編成のときに百九十五億の赤字というものはわかっておったのだ、数字がわからぬなりに本年度にこれの繰り入れ計画をしたということは、あまりにもあなたの方で帳じりの調べがごまかされておるのだ。これははっきりしておったわけです。それだから、これは当然本年度の補正によって繰り入れるのだ、するのだ、こういう建前をとられたものであろうと思う。ところが今の大臣答弁によると、そのときはこの赤字の金額がわかってなかったから、金額のわからぬままこれを補てんすることをきめたのだとおっしゃるけれども、それは私たち納得がいかない。またそういう損失の数字というものははっきり出ておらなくちゃいけないはずなんです。この点はどうであるか、一つ答弁願いたい。
  75. 井出一太郎

    井出国務大臣 こういうことに御理解を願いたいのです。今おっしゃる百九十五億という数字は、大よその見当としてはわれわれも握っておったわけであります。つまり概数としてはそういうものは想定できたのであります。しかし予算編成方針をきめたときには、必ずそれは一般会計で見るのだというところまで問題はきまっておりません。そこで二年間にわたるのでありますから、これをしさいに分析をいたしますと、三十年度の三十四億、これは決算も確定しておりますから、これは一つこの際一般会計から補てんをしてしかるべし、それから百六十一億と大よそ推定される三十一年度分というものは、未確定の要素も若干はございます。従って、これを一般会計から補てんをしないというのじゃございません、これは補てんをするという方針ではありまするけれども、決算の確定を待ってしかるのちにしてしかるべきではないか、こういう見解を政府として、はとっておるわけであります。
  76. 稲富稜人

    ○稲富委員 それなら事務当局に聞きたいのだが、ただいま私の申し上げましたこの損失の金額というものは、大臣答弁では実にはっきりしない数字であるように言われる。そういうように食管特別会計の帳簿というものはあいまいなものでありますか、乱脈をきわめたものでありますか、その点を一つ伺いたい。
  77. 小倉武一

    ○小倉政府委員 三十年までは決算も済んでおりますので、ただいま稲富委員が御指摘になりましたような数字は間違っておりません、そのままでございますしそれから三十一年度分、これは損益の見込みでございますが、これ一も私どもが見込んでおる数字とは聞違いございません、ただ三十一年度以降は見込みでございますので、その点は三十年度までの数字とは性格が異なっておる点があるのであります。
  78. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣答弁によると、三十一年度の赤字がはっきりしないから、今日これを補てんするという方針を延ばしたのだとおっしゃいますが、事務当局の答弁によりますと、ただいま申し上げました百九十五億の赤字は大体の見込み額でそう間違っていないという説明である。そういたしますると、当然これを補てんするという予想額というものはそう離れていないはずです。そうしますと、先刻から申し上げますように、財政法上の建前は、当然これは本年度に補てんしなければならないという建前をとっておりますから、第一次補正によってこれを補てんすることが当然内閣としてとるべき態度である、かように考える。概数は大体わかっている。しかも事務当局も間違しないと言ってしる。それをいかなる政治的技術によって、いかなる考えによって先に延ばそうとするのか、その点がわれわれは納得がいかないのであります。この点を一つ大臣から承わりたい。
  79. 井出一太郎

    井出国務大臣 何も技術的に作為をこらすとかなんとかいうのではありません。事務当局からも申し上げましたように、百六十一億という数字はおよその目安でございまして、これは私も先ほど来申し上げるようにそれほど大きくは動きますまいけれども、まだ年度も完了いたさないのでありますから、不確定な要素もこの中には入ってくる余地はあろうかと思うのです。従ってこれを決算が確定いたしましてから補てんをすることの方がより的確ではなかろうか、こういう考え方の上に立っている次第でございます。
  80. 小枝一雄

    小枝委員長 ちょっと申し上げます。ただいま稲富委員の重大な御質疑中でございますが、農林大臣は午後一時から日ソ漁業交渉に出席されますので、後刻質疑を伺うことにいたしまして、午前中の質疑はこの程度で一応打ち切りたいと思います。   〔芳賀委員「ちょっと待って、資料の要求がある」と呼ぶ〕
  81. 小枝一雄

    小枝委員長 それでは芳賀委員
  82. 芳賀貢

    芳賀委員 資料の要求をいたします。資料を委員長を通じてお取り寄せ願いたい。これは公正取引委員会に対する資料の要求であります。一つ昭和三十一年十一月七日に公取の委員の蘆野弘君が北海道において発表したのでありますが、雪印乳業他三社に対する審決監査についてという発表を行なっているわけ、です。この発表の内容。第二点は、昭和三十二年二月八日に公正取引委員会が雪印乳業株式会社を被審人として審判の開始を行うことを決定したわけです。それでこの審判開始決定書の内容。第三は、青森県で発行されている東奥日報という新聞がありますが、東奥日報の一月三十日に、公取委員会の審査第一室の担当官の後藤事務官が青森県の三八高度集約酪農地区内において独禁法の違反の事実があるということに関しての談話発表を行なっております。この東奥日報の一月三十日の後藤事務官が発表した談話の内容、第四は、これもまた公取委員会でありますが、本年度の北海道の釧路国浜中村の茶内という農業協同組合がありますが、茶内農業協同組合に対して公正取引委員会が勧告を行なっております。この勧告書の内容を資料として提供してもらいたい。以上の四点の資料を委員長を通じて明日じゅうに間違いなく提出するように取り計らいを願いたい。
  83. 小枝一雄

    小枝委員長 芳賀委員の御要求の資料につきましては、委員長においてすみやかに提出するよう取り計らいます。     —————————————
  84. 小枝一雄

    小枝委員長 この際お諮りいたします。委員の異動に伴い水産に関する小委員に一名欠員を生じておりますので、その補欠委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、稲富稜人君を小委員指名いたします。  なお今後委員の異動等に伴う小委員一の補欠選任につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 小枝一雄

    小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は二時から続開することといたしまして、これにて休憩いたします。      ————◇—————    午後零時四十一分休憩   〔休憩後は開会に至らなかった〕