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大久保国務大臣 今のお話は肝心な話になりますから、少しこまかく申し上げます。今度の
行政機構改革で
人事院を廃止して
人事委員会を作るという大体の構想になっております。これをやってどういう利益があるのだろうということを
考えてみると、
一つは、さっきからしばしば繰り返しました
通り、憲法上においての
総理大臣の
人事権の
責任を果す
機構がはっきりしてくること、今もないのではありません、どこにあるのか知らぬが、はっきりした
機構がない、この
機構が
一つできること、これは
一つの利益だと思う。もう
一つ、これを通じて、
人事院でなく、
内閣固有の
人事行政に対する主張、
考え、これを発現する
機構がこの局を通じて行うことができるということであります。というのは、
人事局は
総理大臣の直属の
機関になりますから、
総理大臣の意向はそれに反映し得るという
一つの利益があります。もう
一つは、さきに申しました
通り、
日本の
内閣制度のもとにおいては、
人事機構の取扱いの局がないため、せっかく
人事院が骨を折って
勧告してきても、それを消化する受け継ぎの
機関がないのです。
機関がないから、もし
勧告を受けても、これは大がい大蔵省に回されてしまう。大蔵省はどっちかというと、きのう話した
通り、なるべく歳出を少くするという頭で値切る、――値切るという言葉はおかしいかもしれぬが、まあ値切るというような傾向があるのですから、これができれば
勧告権というものを私ははっきり受け入れの
機関かできるので、これまであいまいであった
勧告が効果を発揮するのに非常に便になる。これも有力な利益になる。もう
一つは、
日本の
行政制度を
考えてみますと大ざっぱに見て、立法、司法、
行政と三つになっています。立法は御
承知の
通り議会がやっている。司法の方は裁判所がやっている、あとは広い
意味の
行政です。
行政全般にわたって、これはやはり
総理大臣の所轄のもとに統一されておるというのか常識です。ところかこれまでの
人事院というものは、そのワク外になっているような形なのです。「
内閣の所轄の下」と書いてある、今度ははっきり「
内閣総理大臣の所轄の下」とこう書いてある、こういうことになるわけです。そうして
国家行政組織法の一環としてその基準に従って
組織をするという原則になる。そのために、私は
日本における
行政組織が一貫した
組織になるという点が
一つの利益であると思います。もう
一つ考えなくちゃならぬ点は、一体これまでの
人事行政というものは、
人事院が中心にやっておったために、ほかの一般
行政官庁との連絡が不十分です。ところが今度のように、やはり
人事委員会というものは
人事行政についての中心の方針をきめる、それを執行する
実施機関として
人事局ができる、そうすれば一般の
行政機関との同に立って調和するのに非常に便利である。調和していって、
人事行政の円油化というか
人事行政の交流というか、その他のことをするのに便利であろうと思う。一般
行政との調和に便利である。まだあるかもしれませんか、大体
考えてみればそういう点において利益になると思いまして、今度の案を
考えた次第であります。といって、初めからたびたび申しました
通り、
人事行政は大事ですから、この国家
公務員の給与を下げるようなことがあっては大へんだ、これはどうしても下げまい。そのためには従来
人事院が
勧告権を持っておったこの
勧告に対する
権限は、一歩も侵させないようにしよう、これはだれが行っても侵させない
独立の
職権を持たせようというので、
勧告権は十分に尊重をする、同時に今度できます
人事委員会の
人事委員の
身分というものをはっきり保障して、本人の意思に反しては進退をされることのないという保障も与える、
勧告に不十分であった場合には調査もできる、あるいは帳簿の検査もできる。そうして各
行政長官に向って、いろいろの
勧告を発することかできるということまでつけ加えてあるの、だから、私は
公務員の
保護については決して悪くなっていない。むしろより以上に
内閣と一緒になって
公務員の処遇をよくしていくのに便利な
機関になる、こう信じております。