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1957-04-25 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月二十五日(木曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 田村  元君    理事 床次 徳二君 理事 福井 順一君    理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       宇都宮徳馬君    江崎 真澄君       北 れい吉君    眞崎 勝次君       粟山  博君    山本 粂吉君      茜ヶ久保重光君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    西村 力弥君  出席国務大臣        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         行政管理政務次         官       楠美 省吾君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 四月二十五日  理事保科善四郎君辞任につき、その補欠として  田村元君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣  提出、第二十四回国会閣法第一五六号)  内閣法等の一部を改正する法律案内閣提出、  第二十四回国会閣法第一六一号)  国家公務員法の一部を改正する法律案内閣提  出、第二十四回国会閣法第一六二号)  国家行政組織法の一部を改正する法律案に対す  る修正案宇都宮徳馬君外四名提出)  内閣法等の一部を改正する法律案に対する修正  案(宇都宮徳馬君外四名提出)     ―――――――――――――
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣法等の一部を改正する法律案及び右両案に対する宇都宮徳馬君外四名提出にかかる両修正案並びに国家公務員法の一部を改正する法律案一括議題とし質疑を続行いたします。受田新吉君。
  3. 受田新吉

    受田委員 大久保国務大臣御所管の行政管理庁行政管理事務について、あなたのなされつつある行為についてお尋ね申し上げたいのです。これは今回の機構改革に関連する問題として見のがすことのできない重大な問題は、現在の行政機構の欠陥と申しますか、どこかに不行き届きな点が存在するがゆえに、公務員の中に驚くべき汚職事件を起す人々が多数出ておる。また各官庁にいろいろな不正行為が発生しておる。これは私はせっかく機構改革に乗り出された政府としては、ぜひこの問題を徹底的に検討を加え、これが禍根を絶滅する対策をまず立てておかれなければ、行政機構改革の意義が成り立たないと思うのです。行政管理庁行政管理事務において、今その事務の衝に当りつつある職員が少数であるとかいうような、そういう逃避的な考え方でなくて、とにかく各省庁にまたがるこの驚くべき不正行為汚職事件、こういうものを絶滅する対策はいかなる根拠に立ち、いかなる信念を持ち、これを進められつつあるか。行政管理庁長官たる国務大臣としてお答え願いたいのであります。
  4. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 非常ないい質問を受けまして感謝にたえません。私も全く同感であります。行政管理庁としては当然機構の上から今話しました問題のようなのを絶滅を期する意味においての立案をしなくちゃならぬ、こう考えております。これはしかし一つ考えでありまして、私は今日の各官庁その他の不正事件の起りますのは、一つ思想問題からきておる。ことに著しく感ずるのは敗戦後の日本思想であります。一時は全く混乱したのであります。東に行くか西に行くかわからぬというような思想の波乱であったのでありますが、終戦後十年を経過してやや思想が落ちついて参りました。大体真正に向いつつある今日であります。こういう機会をとらまえて、この方から検討し、さらに機構の上から検討して、両方面から少くも公務員としてはかかる行為がないようにしなくちゃならぬと感じております。まだ具体案は持っておりませんが、いずれそういう時期が遠からずのうちに参ると思います。
  5. 受田新吉

    受田委員 あなたの信念の存するところをちょっぴり伺ったわけですけれども、私は、今回の行政機構改革案というものは、そうした行政機関の不正を摘発し、汚職を防止する対策としては、かえってマイナスになる大きな要因をはらんでいると思うのです。なぜかというと、行政機構改革が一党一派党利党略に利用されるというようなおそれも多分にあるわけです。今回の改革案一つ二つを拝見いたしましても、そのときの政府鼻息のかかった改革であるというそしりを受ける点も発見できる、そういうような要因をはらんだ形の行政機構改革で、むしろ積極的に官紀粛正機構堅実化をはかろうとする目的とは逆の方向にいくような案をお出しになったのでは、あなたのお説の目的が達成されるかどうか、私ははなはだ憂えております。ことに今回の、人事院を廃止して、政府部内に人事局を置き、従来の人事院任用とかあるいは分限、懲戒、その他の公平を期する機関としてこれを外局に存置するというような形のものでありますならば、結局そのときの政府のごきげんうかがいのお茶坊主的高級役人が、人事実権を握っておられる政府の要人に食い込みまして、その権勢をほしいままにするおそれがあるということは、これはわれわれが指摘するまでもないことなのであります。運用の面において必ずそういう結果が生ずるおそれが必然的に包蔵されていると思うのです。そういうときにお茶坊主的役人を横行せしめるような行政機構改革をなされまして、そしてときの政府にごきげんをうかがい、政治的な行動の際には公務員法違反をやつてでもその政府に忠実なる公務員たらんと志す、こういうような形になることは必然です。政治活動制限規定など無視して要領よくやる、しかも違反した者に対しては、その摘発は政府忠勤をはげんだゆえをもって手心を加えるということは、これはもう従来選挙干渉で歴史的にその時の政府配慮のあったことは、これは大臣もよく政治史の上で御勉強されていると思うのです。従って各省庁にまたがる驚くべき腐敗、堕落を防止するためには、公務員綱紀粛正をはかるためには、公務員が時の政府に阿附党同いたしまして、お茶坊主的存在として忠勤を励むというような形のものでなくて、時の政府責任者がだれであろうと人事管理行政の上においては公平が期せられて、常に公務員として中正な道を歩むという形のものにしておかないと、私はあなたの所期の目的が達成できないと考えます。大臣の御見解をただしたい。
  6. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今回の機構問題の目的とするところは、先日も宇都宮君から説明しておりますが二つありまして、一つ責任体制を明らかにするということが一つ、もう一つは合理的に機構を直すという、この二つの点が主眼で作ったものであります。直接に公務員濱職を防止するという意味はないのであります。合理化という点においてあるいは多少その点を是正せしめることができることと思いますが、とにもかくにも今回の機構改正主眼点はこの二つに置いてある。そこでもしこれをやったならばお茶坊主がはっこするような時代がくるのじゃないかという御心配でありますが、私はきのうも申しました通り、今度の機構改革人事院としての機能をちっとも制限しておりません。依然として法律明文によって人事院としての機能、すなわち公務員をして公正なる行政をなし、公務員の待遇を改善するという二つの大きな目的を達成するようになっております。これは法律明文によって規定されております。いかに総理大臣といえども、この職権を侵すことはできないのであります。ですから人事委員会の人間がしっかりしておれば、決してそういう心配はない。普通の勧告権以外に、もし不正があったならば人事委員会総理大臣に向っても勧告ができます、各省大臣に向っても是正勧告かできます、そのほか各省庁の長に向っても是正勧告かできる権限が与えられております。お茶坊主がばっこするという御心配はまずなかろうと思います。
  7. 受田新吉

    受田委員 お茶坊主ばっこ時代が出現するおそれありとする私の質問に対して、かかる事態はまずなかろうという御判定のようでありますが、しかし問題はあなたの今お考えになられておるような厳格な中正の保たれる新しい立場における国家人事委員会ではありません。これはあなたが御提出されて御承知のように、総理府の一外局にすぎないのです。総理大臣指揮下に置かれている一外局です。もちろん人事官の特殊な身分というものは確保されておりましても、要するに総理大臣鼻息のもとに行動をされる機関であることはあなたも御承知通りです。そして人事権を握るところの人事局なるものも、これは完全に総理府内局に編入せしめられまして、いわば人事実施面と、それから公平な立場で行わなければならない人事行政管理面二つとも政府の部内に置かれて、時の政府の意のままに動かされる結果になることは、これはいかように美辞麗句を使われようと動かすことはできません。従って従来準立法機関として人事院という機関があった、人事院は、国家公務員法規定に基いて人事院規則を定め、人事院独自の意思表示が準立法的に行われておった。それについて今度は政令処理しょうというのですから、政府の意のままにいろいろな政令か出るということになる。結局法律委任に基いて人事院規則によって常に各省庁にまたがる人事の公平と給与の適正を期するごとくに運用されていた人事院機構というものか、その中心になる柱を失ったということはこの改革案に明瞭に示されておるのです。私は政府の悪因されておることについてある程度了承できないことのない節もあります。それは責任政治の確立という意味からいうなら、は、時の政府人事予算あらゆる面において時の政府意図のもとに責任を果すべきであるという御趣旨については了承せざるを得ない向きもあるのでございますか、人事行政という問題だけは、これは国全体を動かす一つ心臓部仕事でありまするだけに、せめて時の政府鼻息によって動かされる形のものでないように、中正が保たれて各省庁にまたかるところの不公平が是正されて、常に厳然たる立場人事行政上の管理機関としての存在が発揮できるようにあらしめる必要がないものかと私は考えるのでございますが、いま一度お考え直しの余裕はございませんでしょうか。
  8. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 さきに申しました通り人事委員会という会の所属は内閣総理大臣統括のもとに置かれておりますけれども、その仕事をするという職権法律によって明文化されて、これは内閣総理大臣といえども干渉できない全く一個の機関として独立権限を持っておるのだからして、その心配はなかろうと思うのであります。非常に御心配のようでありますけれども、今一つの例をあげてみれば、独占禁止法を取り締る公正取引委員会というのかあるのですが、これも形の上では総理大臣統括下に置かれておるのでありますけれども、世間ではこの公正取引委員会が曲ったことをすると心配する人はない。やはり正しい道をとっている、こう思っております。これと同様に、今回できます人事委員会も、そう疑ったら限りかない、私はそういう心配はない、必ずまっすぐにやるということを信ずるものであります。  それから規則のことをちょっと一言触れておりまするか、人事院規則は確かに従来やっておりました。これは今度できます人事委員会におきましても、やはり人事委員会規則というものを認めております。今政令の話が出ましたが、政令はこれは機構を作る問題の政令であって、職権内容に触れるところの政令ではないのです。職権内容法律に限定されて明文がありますから、決して職権を侵すことはできぬ、こう私は考えております。
  9. 受田新吉

    受田委員 従来の人事院規則そのままの形のものが残されるということならば、一応私はあなたのお説を了承します。しかしこの法律改正案を拝見いたしますると、従来の人事院規則という条項がみな削除されて、命令ということに書き改められておる。これはいかような理由でございますか。
  10. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは今話しました通り職権の問題には触れていないのです。役所の組織なんです。いわゆる国家行政組織法に基く政令でありまして、これは各官庁ともこれに従うことになっております。その職権内容については法律が厳然として独立権限を与えているから、私は職権そのものはちっとも差しつかえないと思っております。
  11. 受田新吉

    受田委員 人事院は、従来政令と同格の実力を持つ命令として人事院規則出しておったと思う。しかもそれは国家公務員法によって委任されたところの命令であった。従って各省鼻息をうかかうごとなく、中正立場規則の公布ができたのです。ところか今度政府部内だけで命令を出されるということになるならば、これは人事院規則とは変った意味で、一つの政治的な配慮による命令ということになる。そこを私はお尋ねしておるわけです。
  12. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 いやその点を私お答えしたのです。国家人事委員会としての公務員の職務を監督する職権については、法律が厳として存在している。法律明文があるのですから、どういう規則が出ようが、法律の方がずっと効力が上です。だから人事院職権というものはちっとも侵されていない。実際の組織委員組織とかそういう問題になると政令で出ますけれども、それは組織の問題であります。職権の問題と違ってきておる。職権は依然、厳として存在しおるのだからちっとも心配ない、こう思っております。
  13. 受田新吉

    受田委員 私がお尋ねしているのは、今度の国家人事委員会規則というものは、従来の人事院規則と比べたならば、それは非常に勢力の弱い、限界された範囲になる。ここを指摘しておるのです。たとえば従来の国家公務員法で一例を申し上げます。臨時的関係に立つ職員の雇用などにおいては、これは定数その他についても人事院規則できめられたことなんです。そういうような場合に、新しいこの国家人事委員会は、そうした定数等に触れる問題はできないことになる。こういうところにおいて、国家人事委員会規則ははなはだ局限された立場で出される、こういうことは明瞭じゃないですか。
  14. 岡部史郎

    岡部政府委員 人事院規則国家人事委員会規則との関係でございますか、大臣からたびたびお答え申し上げております通り人事院が準立法機関として人事院規則を制定することができると同じように、国家人事委員会もやはり同じく準立法機関として国家人事委員会規則を制定することができるわけであります。その国家人事委員会規則を制定することができますのは、今度の改正法によりましても、その第十六条に基きまして、その権限に属せしめられた事項につきまして法律実施するため、もしくはその委任に基きまして国家人事委員会規則を制定することができるわけであります。ただ従来の人事院権限のうち、人事局に移る部面があるわけであります。その人事局に移る部面につきましては、これはほんとうの内局としての行政機関仕事でございますから、それを実施するにつきましては政令でやる。国家人事委員会権限に属するものについては、相かわらず人事委員会規則を制定することができる、こういうことになります。
  15. 受田新吉

    受田委員 それはもちろんその通りなんです。従って従来人事院規則で対象になったものが人事局の方へ移ってしまって、国家人事委員会に残存する権限に関する規則だけが認められるということになるわけなんです。だからこれは実質上筋骨をもがれて、その枝葉が残っている機関としての命令である。たとえば今あなたの仰せられるような任用の原則を定める問題とか、公平を期する問題とかというようなものが残っておるということになるのです。実質上の柱となるべきものは、政令として、政府部内で勝手にお出しになることになるわけなんです。そこを私は申し上げております。
  16. 岡部史郎

    岡部政府委員 そこが問題でございまして、従来の人事院の中から、内閣責任において実施するにふさわしい部面人事局に移りますから、この人事局仕事としてやる部面につきましては、これは政令あるいは総理府令でやるのが当然でございますので、これは形式論ではその点は解決つかないので、要するに、人事院権限のうちどれだけが人事局に移ったかという、その移ったものが適当であるかどうかということの問題でございまして、移したものが適当ならそれを実施するのはまた政令でやるのは当然のことである、こう存じます。
  17. 受田新吉

    受田委員 その政令に移された部面が、今の各省庁にまたかる人事実施面において特に配慮しなければならない重要な部分になってくるわけです。その大事な要素を失って、わずかに、これはだれか見ても、当然政治的には大した問題になりそうにない、ある程度事務的な処理としてちょっと敬意を払う程度のものが、国家人事委員会に残っておるという形になっているのです。たとえば公平の問題とかあるいは任用の問題とか任用試験の問題とかいうのは、これは従来でもそうしたものに対してちゃんとした機関があったのだから、これは別にあらためてここで恩着せがましく、国家人事委員会は貴重な機関として残されているというような敬意を払わなくても、この程度のものは当然置かなければならぬのですよ。そういうものをここで、さもさも大事な機関が依然として別格官幣社として残っておるのだということにして、官幣社の方は政府の方がその主体を奉遷申し上げて、大政奉還といいますか、大事なところをお取り上げになっておるということになっておる。これはいにしえの制度から申し上げますならば、大事な行政上の実権征東大将軍が握って、かりそめに征東大将軍を任命するところの機関として天皇の地位か温存されていたと同じようし、実力を発揮する大事な面は全部お取り上げになっておられるということははっきり申されると思う。
  18. 岡部史郎

    岡部政府委員 その点はお言葉を返すようですが、大へんな問題だろうと思うのであります。世界の各国を通じまして、人事行政機関独立性を必要とするというのは、試験任用の問題、それから苦情処理の問題あるいは勧告の問題でございまして、これらの点につきまして、独立権限を行使する必要があるから、独立の性格を与えて、これに準司法機関あるいは準立法機関というような地位を与えておるわけでありまして、そういう意味におきまして、このたびの国家人事委員会というものは、人事行政の公平、中立及び公務員の福祉の保護、利益の保護をはかる権能は十分に存置しておるわけであります。これを実施するために人事委員会規則制定権が与えられておる。その他の、真の実施部門につきましては、これは本来内閣責任範囲内において行う普通の行政あるいは予算の編成というようなものと同じように、内閣本来の仕事ではなかろうか、こういうように考えます。
  19. 受田新吉

    受田委員 岡部さんはこの国家公務員法を制定される当時にこれの担当政府委員として御活躍されたお方であり、特に二十二年の秋に国家公務員法が初めて、フーヴァー勧告に基いて、いわばあちらさんの外患のもとにこれか取り上げられたときに非常に努力された人であることはよく知っているのですが、しかしここで御指摘申し上げたいことは、米国におけるいわゆるフーヴァー委員会というあの委員会報告書出している。その報告書の中には、終戦後の新しい情勢のもとに、国内政策としても対外政策としても、公務員制度能率化合理化というようなものを十分考慮する形で報告書が出されていると思うのですが、そのフーヴぁー委員会報告なるものについて、あなたは日本行政委員会あり方、その他の問題として、どういう見解を持っておられるのでしょう、御意見を伺いたい。
  20. 岡部史郎

    岡部政府委員 アメリカフーヴァー委員会というものは、ロッジブラウン法に暴きまして、超党派的にアメリカに設けられました行政機構改革委員会で、もとの大統領ハーバート・フーヴァー委員長でありますので、委員長の名前を借りてフーヴァー委員会と俗称しておりますが、このフーヴァー委員会が、昭和二十二年に出しました機構改革報告というものは、専門部会報告数十冊のほかに、主報告書、たしか十九冊ばかりだったと思いますが、いろいろな部門に分れて報告が出ております。人事行政につきましても、一冊の報告がございますが、その報告内容は、人事行政改善につきまして多岐にわたっております。その主報告の基礎をなす専門部会報告は、アメリカ人事委員会につきましても、その運営状況あるいは大統領責任制ということの矛盾というようなことで、やはりこれを独任制官庁にすべきではないかという専門部会報告出しておりますが、いろいろ議論の末、主報告においてはその点はとっておりません。従って機構については触れておりませんが、人事委員会大統領責任との関係を、どう調和するかということは、アメリカ人事行政機構におきましても、長年非常にむずかしい懸案になっております。それでさしあたりは人事委員会大統領を連絡するためのりエイゾン・オフィスというものを、すなわち連絡機関大統領の直属に置きましたが、結局これでもうまくいきませんので、人事委員長を直接に大統領人事行政の幕僚といたしまして、これを閣議に列せしめるということにいたしまして、人事委員会は廃止いたしませんけれども、大統領と今のいわゆる人事委員会制度との調和をはかっているわけであります。そういうふうに、アメリカにおきましても、人事行政機構独立性を持つということと大統領制との責任をどう調和するかということにつきましては、長年の間大きな問題になっております。
  21. 受田新吉

    受田委員 日本の各種の行政委員会の上にこれをどう反映したらいいかという問題、それから英国ホイットレー協議会といいますか、例の身分保障考える形で進められているところのこのあり方というものを比較検討いたしましたときに、日本は純アメリカ式日本行政委員会組織を進めていくかいいか、あるいは英国行政機構というもののあり方、すなわち能率という問題を一応お預けにしてでも、ある程度の安定した身分の保障されるような形で公務員制度をもっていくというような形のものと、双方を考慮していくというような形にする、あるいは日本の特殊の国情に即した新しい企画のもとに、われわれは行政機構を立てるべきであるという形をとられるのか、根底を流れる政府意図はどういう方向にあるかを、ちょっと基本的な御説明を願いたい。
  22. 岡部史郎

    岡部政府委員 アメリカ公務員制度につきましても、ここ十年ばかりの動きを見ましても、非常に激動しております。先ほど申し上げました、昭和二十二年にフーヴァー委員会人事行政につきましての勧告出しましたが、さらに第二次フーヴァー委員会が、一九五三年から五十五年にできまして、これにおきましても、人事行政改善について勧告出しておりますが、その勧告方向というものは、従来のアメリカ公務員制度につきまして相当大きな考え方の転回を示しております。一言で言いまするならば、受田委員よく御承知でありますから詳しく申し上げる必要もございませんが、イギリス式方向に転回しておるということが言えるわけであります。またイギリスにおきましては、これが不平なしに行われておるかと申しますと、イギリスにおきましても、例の行政職執行職その他の階層があるわけであります。これらの逆用につきましていろいろ問題があるわけであります。職員側管理者側との不平不満あるいは苦情処理につきましては、御承知通りホイットレー協議会を活用してやっていっておる、こういうような状態でございます。これらの点につきましては、やはりわが国の公務員制度につきましても、他山の石とすべき点が多いように考えられます。
  23. 受田新吉

    受田委員 このアメリカの新しい時の流れと、イギリス議院内閣責任内閣制度のもとに生れた公務員制度動きを適当に調整して、日本独特のものを生み出したいというお気持があると思うのですが、私はここで一つ根本的な問題にもう一つ触れなければならぬことがあるのです。それは憲法第二十八条には、勤労者としての国民に与えられたる基本的人権がある。いわゆる団結権、団体交渉権、罷業権、これが公務員法によって、昭和二十三年のいわゆる政令第二百一号で、当時蘆田内閣が痛々しくこれを拝受して、その後ついに内閣がつぶれ、吉田内閣の初頭において成立した例の公務員改正、これによって、憲法二十八条の規定が抹殺されたごとき形に公務員法が変えられたわけでございまするが、大久保大臣にお尋ね申し上げたいのでございまするが、あなたは国務大臣として、この憲法二十八条の規定は、国家公務員に基本的に与えられたる権利であることには間違いないかどうか。基本的には、二十八条の権限ば基本的人権として、当然公務員である人々にも与えられておると断定されるかどうか。
  24. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 二十八条の勤労者の団結する権利及び云々、これは日本国民として勤労者というものは一様に持っておる権利だと思います。これは間違いない。だれも持っておる。ところが国家公務員というものは、十五条によって制限されております。公務員を選ぶのも国民の権利だし、罷免するのも国民の権利である。そうして公務員としては国民全体に向っての特殊の奉仕者であると、こう書いてある。奉るという奉仕者と書いてある。ですからこの特殊性を考えて、この労働権に制限を加えたものである。もう一つは同じ憲法に、公共の福祉云々、公共の福祉のためには制限ができるということになっておりますから、この二つの性質の上から、一つは公共性の上から、公務員の労働権の制限というものは来ておる。これはまことに当然であるばかりでなく、日本における判例があるのです。最高裁の判例ばこれを認めておるのですからして、間違いないと、こう考えております。
  25. 受田新吉

    受田委員 あなたは、国民共通の基本的人権の立場から、勤労者に対して与えられたる権限である二十八条は、国家公務員にも認められる、それは今納得されたわけですね。ただ公共の福祉とか、パブリック・サーバントの立場からの制約によって、それに制限が加えられているにすぎない。従って国家公務員は勤労者であることには間違いない。大前提は勤労者であるということははっきり確認していただけますか。そこをはっきり言っていただけばいいのです。国政全般に関する基本的な問題だから、国務大臣から。
  26. 岡部史郎

    岡部政府委員 大臣からお答えいたします前に、私から事実問題として御参考までに付加して申し上げますが、この二十八条の勤労者の中に国家公務員を含むかどうかという問題でございます。これは学説としては二つあるのでございます。たとえば東大の宮沢教授のごときは、二十八条の勤労者に国家公務員は含まないのだ、こういう学説でございます。他の有力な学者は当然二十八条の中には国家公務員も含むのだ、こう学説は二つございますが、しかしその学説を越えまして、今の最高裁判所の判例といたしましても、二十八条の権利はあるにしましても、それと同じ平面におきまして、公共の福祉によって国家公務員が団体行動権が制限されるのは合法的であるということを判示いたしておるわけであります。このことか先ほど大臣からお答え申し上げた趣旨でございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 今岡部学者によって御説明相なった学説の二つの流れのことですが、宮沢教授がかれこれ言ったという問題などは、学説としてあなたは取り上げたわけでございまするが、すでにこの憲法ができた当時は、国家公務員も明らかに憲法二十八条によってりっぱに権限を与えられておつだのです。それは御承知でございますか。
  28. 岡部史郎

    岡部政府委員 労調法第三十八条におきましては、御承知通り現業以外の公務員は――すなわち従来の官吏その他の非現業の公務員は、争議権を禁止されておったわけでございます。争議権を認められておりましたのは、いわゆる現業の職員というように御承知いただきたいと思います。
  29. 受田新吉

    受田委員 従って学説の問題からかれこれ議論する問題でなくして、現実の問題として二十八条の基本的人権なるものは、全国民に与えられたもの、勤労者に与えられたものと断定するのが公正な解釈と思うのでございまするが、今度は大久保さん、岡部さんのお説にかんがみまして、政府部内の統一した見解をお示し願いたいと思います。
  30. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 十五条は国民と書いてないのです。十五条も二十八条の中にも、勤労者と書いてある。一方は公務員と書いてある。勤労者というものをどうして勤労者とのみ使って国民と使わないか。国民全般にそれを認めるというならば、私は国民と書くのが妥当だろうと思う。そこで疑いが起ってきて、二つの学説が起るのは、やむを得ないと思います。だから私は全部包含するという解釈は疑問を持っております。
  31. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、あなたは二十八条の勤労者という中には国家の公務に従事する公務員は入らない。しかしある程度この権限を認められておるところの、たとえば公共企業体に勤務する職員は認められておる。これは勤労者である。純粋な国家公務員は勤労者でない、こういう解釈になりますか、お答え願います。
  32. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 現行の法律において一般公務員は禁じてあるのは当然であります。公共企業体の職員も争議権は認めておりません。団体交渉だけ認めております。
  33. 受田新吉

    受田委員 団体交渉権が認められているというのは、憲法のどの条項によって認められたのでございますか。
  34. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 根拠はやはり公労法だろうと思います。
  35. 受田新吉

    受田委員 公労法の根幹をなす憲法の規定はどの条項によっていったものであるか。憲法を無視した法律はないはずでございます。
  36. 岡部史郎

    岡部政府委員 お答え申し上げます。公共企業体の職員の団結権あるいは団体交渉権が公労法で認められているその根拠はどこにあるかと申しますならば、いろいろ意見はあろうと思いますけれども、憲法二十八条に求めるのが妥当でなかろうかと思っております。
  37. 受田新吉

    受田委員 そうすると、今大久保さんがお答えになられた公務員範囲でございますが、あなたは国家公務員は勤労者じゃない、そう見るのが正しいんだというお説である。最初はそうでなくて、基本的にはみなあるんだ、しかし公共の福祉と国民全体の奉仕者の立場でそれが制約されているのだと仰せられた、今度後には勤労者という範疇に公務員は入らないというお説を述べられたと思うのでございますが、大久保大臣、この御見解の差異をもう一度お聞かせ願いたい。
  38. 岡部史郎

    岡部政府委員 ちょっと私かわって申し上げたいと思うのでありますが、大臣も第二十八条は公務員に適用がないとは申し上げてないので、ただそういう学説があるということは大臣からもお答え申し上げた通りでありまして、公務員に二十八条の規定の適用がありましても、同時に十五条あるいは十二条、十三条によりまして、適法にその団体行動権を制限することができるということを申し上げたわけであります。それから念のために申し上げますれば、公社の職員公務員じゃございませんから、なおつけ加えて申し上げます。
  39. 受田新吉

    受田委員 公社の職員公務員でない、公共企業体の職員であることは、はっきりしているわけです。しかしこれはいつでもまた公務員に転換できる立場にも置かれているわけで、人事の交流で適切に交代できるわけです。先ほど申されたように、国家公務員には二十八条の規定によりまして団結権、団体交渉権及び罷業権さえ認められたものがあるのです。つまり国家公務員の一部は二十八条の適用の該当者であり、一部は二十八条の該当者でないという根拠をどういうふうに説明されますか。
  40. 岡部史郎

    岡部政府委員 争議権が認められている国家公務員というのは、今ございません。
  41. 受田新吉

    受田委員 以前あった場合のことをどう説明するか。
  42. 岡部史郎

    岡部政府委員 公務員の争議権その他の団体行動権を認めるかどうかということは、公共の福祉との関係考えていく立法政策の問題であろう、こう存じます。
  43. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、憲法二十八条の規定は、十二、十三というような憲法の条項の規定にかかわらず、基本的には公務員のすべてに与えられている基本的人権である。ただそれが特殊の規定によってこれが制限されているという解釈にはっきり落ちつくことになりますか。
  44. 岡部史郎

    岡部政府委員 そういう解釈が今のところ一番ポピュラーな、有力な解釈と存じております。
  45. 受田新吉

    受田委員 そういうことであるならば、今大久保大臣の後ほどの御説明の、国家公務員は勤労者でない、この御判定は私は間違いであると思いまするが、今度は大臣から御答弁を願います。
  46. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 これは見ようによってむずかしいのですよ。同じ公務員であっても、やめて勤労者になればこれは勤労者になる。だから公務員という地位を持っておられる間は、公務員という特殊な立場において勤労者でないという場合も出てくるのですから、これはなかなか判定はむずかしいと思うのですが、原則はやはり国民全体が持つべきものであるが、こういう特殊の場合にはやはり特殊の扱いを受けるべきだというのであります。これは全体の勤労者かどうかということは一がいに言うのはなかなか困難だと思っております。
  47. 受田新吉

    受田委員 はなはだあいまい模糊たる御答弁でありまして、私は今度の行政機構改革に当って政府の根本的な考え方をただす必要があると思うのです。そうしないと――憲法二十八条及び十二条、十三条というような規定と関連して、十五条等に及ぶ一連の人権問題に関連した規定につなかった問題として、明快な政府の答弁を得ておきたいのです。一がいには言えない、すなわち二十八条の勤労者という中に国家公務員が入るか入らぬかは、これはいろいろな場合があって、入らぬ場合もあり入る場合もある、一がいには言えないのだという今の大臣のお説でした。岡部さんは一般の考え方からいえば、私の指摘した通りに、二十八条の勤労者の中へ公務員は入る、それが国民全体の奉仕者として、あるいは公共の福祉に関係した制約を受けると認める私の説に同調しておられたのでありますが、大久保さんは岡部さんを任免する権限を持っておる任免権者です。任免権者は、あなたの学説、あなたの主張と異なる部下かおる場合には、これを罷免すべき性質のものじゃないかと思うのですが、(笑声)それほど責任者見解の方が大事なんです。部下の見解ではなくて、最高責任者の任免権者の見解が一しかもあなたは憲法上の国務大臣でいらっしゃる。憲法上の国務大臣が持たれる見解が決定権を持っておるということはあなたも御存じだと思うのですが、一つ憲法上の機関である国務大臣の御答弁を願いたい。
  48. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 こんがらかって解釈されておるようですけれども、原則として私は国民全体を勤労者と見るのが妥当な説である、これは初め申し上げた通りであります。私は初めからそう言っておるのです。国民全体が労働権を持っておる、従って争議権その他の労働の権利を持っておるという原則は変らない。ただ十五条によって公務員という特殊の身分になるとそれが制限される。どうして制限されるかというと、一つ公務員という本質論からきて制限されておる。もう一つは公共の利益のためには制限し得るという憲法の条項によって制限される。この二つの条項によって制限されますけれども、それが公務員という身分をやめればこれは制限を受けなくなる。やはり二十八条の一般の勤労者であると解釈していい。少くとも公務員たる身分を持っておる間は制限を受ける、こういう考えを持っております。
  49. 受田新吉

    受田委員 あなたのお説は制限を受けた方だけを考えておると思うのですが、基本的に勤労者かどうかということを今お尋ねしておる。それが基本的にも一がいには言えないとあなたは言われた。そうですよ、速記録を見ればわかるのです。基本的に考えて二十八条は、公務員も勤労者たるの基本的な人権を持っておるかどうか、このことを念を入れて繰り返しお尋ねしたら、あなたはそのことについて一がいには言えないと言ってずいぶんがんばられた。それを訂正されますかどうですか。
  50. 岡部史郎

    岡部政府委員 二十八条を公務員を含むという解釈につきましても一がいに言えないのは、私は当然だろうと思うのであります。公務員と申しましても、上は大臣から下はわれわれに至るまであるのでございまして、大臣が、あるいは政務次官が、あるいは事務次官が公務員だから、長官が公務員だから、これに争議権があるというのも実情に即さないわけでございます。一がいに言えないということは私その通りだろうと思うのでありますが、しかし大体におきまして、大臣からも申されました通り公務員も勤労者としてこのような規定の適用を受けるということは、一応は考えられるということでございます。
  51. 受田新吉

    受田委員 大臣のお説は、最後は、公務員は二十八条に原則として認められるのだ、それが制限を受けることになるのだということに訂正されたのですが、その訂正はまた間違いですか。また一がいにということは言えないという。私は今最終的な結論をお尋ねしたところが、最終的には二十八条の勤労者であると考える、しかし今申し上げた二つ三つの規定によってそれか制限を受けておると私は解釈すると直されたのでありますが、また一がいに戻りますか。
  52. 岡部史郎

    岡部政府委員 一がいには言えませんけれども、大臣が申された通り、大体において二十八条の勤労者の中に公務員は該当すると考えてよろしい、こう思っております。
  53. 受田新吉

    受田委員 これは政府部内の意見を統一して研究していただかなければならぬ問題だと思います。上は大臣から全職員にわたって見解が統一されていない。従ってそういうことになると、次の問題に進まないわけです。すなわち公務員の中には一部には二十八条の勤労者である人もあり、また勤労者でない公務員もあるということに解釈を持っていかれると、次の問題に発展ができない。何となれば、罷業権とか団結権とか団体交渉権とかいう問題を復活する一つの立法事項としてこれを認めるかどうかという問題になってくるので、そういうことで法律で認めることができれば、二十八条の基本的人権は、全部の公務員にわたって一応認められておるものが復活するのだということになると、もし二十八条の勤労者の中に全公務員が入っていないとするならば、いかなる場合においても法律をもって憲法の二十八条の解釈を変更することはできないということになりますので、いかなる公務員にも二十八条に規定するような権利を復活する法律を作ることができないことになると思うのですが、いかがですか。
  54. 岡部史郎

    岡部政府委員 そのようなことはないと存ずるわけでございまして、たとえば二十八条は積極的に保障する規定でございますので、この規定がなくても法律上あるいは事実上争議権が認められるということはあるわけであります。これは別に関係がなかろうかと思うのであります。ただ御承知通り、二十八条の勤労者の団体行動権というものの発生を歴史的に考えれば、いわゆる工場労働者と経営者あるいは資本家との間において対等な力を与えるために、こういうようないわゆる主として工場労働者の保護のための規定かこの歴史的発達の理由がありますから、それがどの程度まで国家公務員に適用されるかどうかということは問題があるというのが、そもそも先ほど最初に申し上げた学説の趣旨なのでありますが、しかし現在のところは、公務員といえどもこの勤労者の一人である、二十八条は原則的に適用を受ける、しかし同時に公務員の本質にかんがみて、大臣から申されました通り他の条章によって制限を受ける、こういうのが普通の解釈ではなかろうか、こう考えるのであります。
  55. 受田新吉

    受田委員 そうすると一がいにという言葉は撤去されますか。
  56. 岡部史郎

    岡部政府委員 議論が多岐にわたって誤解を招くようでしたら撤去してよろしいと思います。
  57. 受田新吉

    受田委員 きわめて明瞭になりました。しからば今後法律によりまして、二十八条のいろいろな保障された権利を復活するような形に法律改正がされることは可能であると断定してよろしゅうございますか。
  58. 岡部史郎

    岡部政府委員 二十八条及び十五条、十二条、十三条の公務員の本質にかんがみまして考慮さるべき問題だろうと思っております。
  59. 受田新吉

    受田委員 それはもちろんいろいろな憲法上の規定に基くわけでございますけれども、二十八条の基本的権利が復活するような法律を作る可能性があるということは、はっきり言えますですね。可能性の存在はお認めになりますね。
  60. 岡部史郎

    岡部政府委員 公務員の本質をどう考えるかというその場合の社会通念によるわけでありまして、公務員の本質が、これは国民の信託に基いて公務を遂行するものであるから、国民に対して、あるいは国民を代表する政府に対して、争議行為などをすべきでないという本質にかんがみますならば、公務員についての争議権などというものは、あるべきではないという考え方も出てくるわけであります。そういう考え方に基きますならば、公務員の争議権というようなものは法律規定すべきではないということになろうと思います。
  61. 受田新吉

    受田委員 争議権は抜きにして、団体交渉権の程度までは認める公算があるかどうか。
  62. 岡部史郎

    岡部政府委員 その点につきましては、それぞれ公務員の本質にかんがみまして、憲法の条章を考慮して考えられるべき問題だろうと思います。
  63. 受田新吉

    受田委員 大臣の御答弁を……。
  64. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 さっきからの論議の結論として、法律によってでき得るという結論だろうと思います。
  65. 受田新吉

    受田委員 大久保大臣から、団体交渉権までは復活し得る法律が作れる、でき得るという明言があったわけであります。そうしますと、ここでまたもとへ話が返りますが、人事院存在の問題でございます。岡部さんは、少くとも現在の公務員行政面における最高権威者であることは、自他ともに許されている御存在ですが、しかしながら、あなたは戦後の公務員法ができてから十年間にわたる日本の流れを見たときに、日本行政制度の民主化という形を現に実現しているかどうかということをお考えいただかなければならぬと思うのです。せっかく十年の間に人事院が、とにかく曲りなりにも人事行政管理面において偉大な実績を上げられた。しかも人事行政管理面という問題は、これは非常に科学的な根拠の上に立って、筋を通してなされる問題でもあるので、いいかげんな政治的配慮でなさるべきものではないのです。従って、十年間、人事院が科学的な根拠に立って、常に人事行政の管理の土に一つ一つ地歩を築いてきたこの功績を忘れちゃならぬ。この大事な科学的根拠に基く人事管理面の問題が、政府の部内に移された場合にどういうことが起るかということになるのです。まだ十年しか年を数えていない。せっかく育ったこの民主的な、しかも科学的な人事行政管理面が、再び政府のいわゆる政策的な、党利党略的な形の人事実施面の剥奪によって、せっかく成長しつつある芽がつまれたとしたならば、これは今回法律案をお出しになられた政府に重大な責任があると思うのです。私は十年の間にこの科学的な根拠のもとに、しかも民主的に育ちつつある人事行政管理面の大事な要素が、まだ十分満ち足りておるとは思いません。もう少しこれを成長さして、もう少し時の政府党利党略の外に立って、少くとも高級人事の問題だけは、じっくりと、公平に行けるように持っていかなければいかぬ、こう思うのでございます。  そこで大久保さん、そういう観点から、あなたがもし自分の政府で思い切った人事を行おうとするならば――下級へ事では政府意図を浸透できないのですから、どうしても高級人事になるのです。高級人事のポストだけは特別職にでも切りかえて、今の人事でいえば局長以上を特別職にするとかいうような形にして、時の政府の思うままに一部の者だけを握って、あとは全部人事院の所管に残しておくという形の方がむしろ賢明ではないかと思うのですが、いかがですか。
  66. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 高級人事の問題が出ましたが、これは一つの案でありますけれども、現在の行政機構におきまして、今直ちに一般職を切りかえて特別職にするということは、なかなか困難であろうと思います。実情がなかなか許さぬのです。一歩々々そういう方向に進むのがこれからの方向でありまして、今直ちにということは疑問だろうと思います。  一言つけ加えておきますが、先ほど法律でできるというのは、無条件に法律でできるということじゃないのです。憲法の精神を侵さない範囲においての法律で制限ができる、こういう意味ですから、その点一つお含みいただきたい。
  67. 受田新吉

    受田委員 大体高級人事は閣議で最終決定されるということになっておる。閣議による人事というものは、いわゆる局長級以上の職にある者を任命するときに行われる。これはきのう私が確認した通りです。そういう形の官職の人々に対しては、もうすでに政府の腹で人事が行われておるのです。従ってそういう人々を特別職にするのには何ら困難はないと思うのですが、これは、専門的な立場、学者として見られた岡部さんと、大臣と、両方からお伺いいたします。
  68. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今日の人事の扱い及びその規則において、特別職と一般職の取扱いが違っておるのです。これも、今度の行政機構改革一つの大きな原因です。たとえば一般職は人事院がやっておるのは間違いない。ところが特別職になりますと、人事院関係しないのです。だから人事院関係するのは一般職だけであって、特別職に対する待遇その他の改善には全く手が出ない。これは大蔵省でやっておるのです。こういう点を是正する意味においても、私は今度の行政機構改革は必要だ、こう考えております。
  69. 受田新吉

    受田委員 あなたのお考えの根拠は、私は非常に薄弱だと思うのです。人事院は特別職のことを考えてくれないんだ、だから特別職は最後に回されておるとあなたはお考えになっておられるのでしょうが、しかし、特別職のような限られた方には、実に優遇されておるのです。特別職の非常勤の委員長のごとき、八万二千円から八万八千円です。はなはだしきに至っては、国務大臣以上の給与をもらって、一カ月に一回か二回ほど勤務して、まことに、何といいますか、冗官――余った役人で国費を冗費しているという方々が相当おることは御承知通りです。そういう意味で、特別職というものに切りかえていったら効果がどうあるかということは、まず人事院の干渉を受けなくていい――非常にいいでしょう、あなた方がお喜びになる通りです。人事院の干渉外に置かれるということ、もう一つは、限られた人々であるから、待遇その他についても十分考慮できるという二つの長所がある。そうして人事院は厳として存立させるという形であるならば、これはあなた方のお願いされる方向に、はっきり目的が達せられると思うのです。大臣、そういう手はどうでしょう。
  70. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 特別職は、さきに申しました通り、特別の法律によって採用することになっておって、それ以上はできないのです。やはり法律改正を要するのです。従って、今直ちにこれを直すということは困難でありますが、ただ将来の方向としては、できるだけ特別職を多くして、政党政治としての本質を発揮する、議院内閣制の政府としての政策の確立をはかるということが進むべき方向であると思っております。
  71. 受田新吉

    受田委員 進むべき方向を示唆されました点は共鳴いたしますが、大体局長以上になればこれはもう特別職にしても差しつかえない。それはいつでも首にできるのです。内閣がかわれば首にすればいい。そして、局長までの人はやはり国家が身分を保障しておかなければならぬ。そういう形で、そのときは人事院の存立というものだけは一応やらなければならぬと思うのですが、しかしあなた方はもう一つの問題として、大いに考え違いをしておられる点がある。それは、今まだ日本人事行政面において十分民主的なあるいは科学的な根拠が確立していない。今それを漸次築こうとしている段階で、急いで政策面に、政治的な面にこれを転換させようということになると、せっかく築かれた科学的な、民主的な人事行政管理というものが一つの芽を折られる形の結論が出ると思うのです。これをどう是正するか。まだ時期が早いということです。
  72. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人事の方針として、やはり民主的の方向をとっていくという大きな方針は、どの内閣にかわろうとも動かすことができない方針である、また動かしてはいかぬ方針である。ですからして、この方針に反した行政は私はできないと思っております。
  73. 受田新吉

    受田委員 これは今回の法律改正の根本的な問題でありますので、私は時間をかけてはなはだ申しわけないのでございますが、この人事院昭和二十二年にできた。しかも当時は臨時人事委員会として出発をして、そして公務員には原則的に二十八条の基本的権利も付与されておった。それが一般の普通の人事院に変って間もなく、あらしのごとくに、公務員の罷業権の剥奪その他の大改正がされた。そうして公務員立場の人々は、自分の鋭い主張も十分することができないような環境に置かれたのを、人事院がこれにかわってその主張を受け入れ、いろいろな懇願をしたい気持も取り入れる、そうして公平な、科学的な立場、民主的な立場から勧告をしまた報告を行いまして、しかも人事実施面についても一つの適正な基準を設けて今日まできておる。それができ上ってまだ八年か九年しかたたない今日、せっかく公務員立場で最終的に守られる機関であるこの人事院か大事なところの骨を抜かれたとしたならば、一体一般公務員はどこへ自分たちの要求のはけ場を求めるのでございましょう。憲法二十八条の精神及び十二条、十三条、十五条の、あの辺に掲げられている基本的人権の立場は、ある程度制約をされながらも押えてきた。それが、これらの人々に対する最終的な擁護機関というものがなくなってしまう。しかも人事局という総理府内局で、人事局長の手によって自由に任命される。お茶坊主的な人事が行われる。次の選挙対策に、新しい人事的な配置を行う。これは中央、地方を通じてわれわれはこれを痛感しておるのです。しかも自由民主党の長期にわたる政権、昭和二十三年の末以来すでに九年になんなんとする自民党政治は、なお今日三百名の大軍を率いて依然として長期にわたる政権を夢見ておる。保守政権長期にわたる人事行政があなた方の腹一つで自由になるということになったら、これは非常な腐敗堕落が起る。先ほど冒頭申し上げた公務員汚職、疑獄及び各省にまたがる不正行為が相次いで起る危険が多分にあると思うのです。公務員を安んじてその地位に置かないところに、こういう腐敗が起ってくるのをあなたは御存じだと思うのです。それをいよいよ公務員の手も足も縛って、若き人のごとき、その薄給に甘んじてだれにも苦情を言うこともできない。苦情処理機関があるとおっしゃるが、それはもう事実上だめなんです。そういう実質上救われる道のない公務員に対して、汚職をせよ、食えなければ何かせよということを結局しいる、ような結果に私はなると思うのです。どうですか、この方面を担当せられ、幸い行政管理庁の長官でもあられる大久保さん、あなたは自民党の大幹事長にも擬せられたほどの人徳のある方ですが、そういう立場でこの際英断をふるって、各省にまたがる不正行為の絶滅と、そうして人事の公正を期するために、せっかく持ち出されたこの問題であるが、一つ先ほど以来申し上げたようなところに従って、しばらくの間この科学的根拠に立つ人事行政の管理政策を進めるべきでないかということに御考慮いただく余裕はございますまいか。
  74. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 えらい大演説を拝聴いたしました。私は今度の機構改革というものは、公務員のためをはかってこそ作ろうとしておるのです。これはきのうも申し上げたかもしれませんが、今度の機構というものは人事院勧告権政府人事局とが相待って、人事の処遇をよくしようとするためにできたのです。(「公務員は喜んでおらぬじゃないか」と呼ぶ者あり)公務員が喜ばないのはまだ仕事をしないからで、これからやれば驚くほど喜ぶだろうと思います。(笑声)ですから、これを一歩後退してとかなんとかいうのは、これはほんとうに考え違いなんです。勧告権も決して減っておりません。従来の通りです。それから綱紀の問題、これはさっきお話しました通り、これは機構ばかりではないのです。とにかく敗戦後の思想の混乱が一つの大きな原因です。これは別途の方法をもって是正する考えを持たなければならないと思っております。なお人事院がえらい権限を持って、人事委員会権限かないような感じを与えるお話でありますが、全くそうじゃないのです。公務員保護する点においてはちっとも譲っておりません。これは先ほど申した通り総理大臣といえども一歩も干渉できないのです。これは法律ではっきり明言しておりますから、政令がどうの規則がどうのといいますけれども、規則政令以上に法律の方が強い力を持っているのですから、これは私は公務員保護するについては十分であろうと思います。  なお一言つけ加えておきますが、受田さんはばかに委員会を攻撃されるようでありますが、ほんとうに記録を読んでみると、人事院ができるときにこれはやはり問題になった。そうして、そのときには人事院というのは官僚くさいから、むしろ人事委員会にしたらいいということが当時の社会党の諸君の議論だった。私はこういう意味から考えても社会党の人は喜んで賛成してくれるだろうと思って実は提案したのです。この点をよくお考え下さい。
  75. 受田新吉

    受田委員 私はそのとき担当した委員であったから覚えておりますが、人事院といえばこれは貴族院とか枢密院とかいうにおいがするということはわれわれも申し上げました。しかし機構の問題、権限の問題についてはあなたは考え違いされているので、今度作られるのは国家人事委員会といって、あなたはきわめて民主的のように仰せられますが、明らかに人事実施面取り上げて、基本的な公務員の擁護の、身分的なあるいは救済的な面だけを披露して、人事の実際の取扱いの方は全部剥奪しておられるではありませんか。委員会と名が変ったことによって骨を抜かれた。だから私は、人事院国家人事委員会と名を変えられても、けっこうです。けれども、従来の人事院をそのままの形で、ここで国家人事委員会と改めて、名称だけ変更をするならば大賛成です。大臣いかがですか。名称だけ変えて、権限は今までと同じです。それについて御意見を伺いたい。
  76. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 私どもは、その点ばかりでなく、内閣責任制度という点から考えておりますが、やはり総理大臣人事権に容喙し得るのが原則だろうと思う。もしこれができないなら憲法違反ですよ。憲法には、各国務大臣行政の執行については議会に対して責任を負うと明文が書いてある。ところが今日の機構では責任を負えないですよ。負えないようにしておくということは機構が悪い。このことを主眼考えて、今度やはり人事局というものを作って、総理大臣の監督によって人事行政について発言し得るような組織にしておくのが妥当である、こういうふうに感じてやっておるのです。
  77. 受田新吉

    受田委員 現状では国会に責任が負えませんか。内閣は、憲法第六十六条による国会に対する行政上の責任を負うことができませんか。これは非常に重大な発言なんです。
  78. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人事行政責任を負うのに不明朗な点がある。明朗になっていない。
  79. 受田新吉

    受田委員 それでは責任を負えないということが是正されたと了解します。これは責任を負えないということになると、やめてもらわなければならぬので、非常に重大な発言なんです。つまり憲法六十五条によって行政権は内閣に属する。それから六十六条によって内閣は国会に対して連帯して責任を負うとなっておるのですが、責任が負えないということになると、内閣をやめて、内閣を変えてもらわなければならぬと思って非常に心配したのです。それで最終的な人事は閣議で決定してあなたの方で発令される、政府で発令されるということには間違いないはずでございますが、いかがですか。
  80. 岡部史郎

    岡部政府委員 今お尋ねの点は大へん違いまして、一般職の人事につきましては――一般職と申しますのは、各省事務次官以下全職員でございますが、これは国家公務員法第五十五条に基きまして、各大臣が任命権を持っておりまして、内閣は任命権を持っておりません。
  81. 受田新吉

    受田委員 それはお説の通り、憲法五十五条に三項にわたる規定があって、任命権者の規定のところに書いてある。ところがその各省大臣というのは内閣を構成している大臣であって、しかも今の大臣は全部総理大臣が任命する。だから昔の内閣のように、同列の立場で総理の権限の薄かった時代とは違って、総理の腹一つで自由になるのです。変な人事をする大臣がいれば、首を切ればいいのです。いかがでしょうか。内閣責任の問題としては問題ないじゃないですか。
  82. 岡部史郎

    岡部政府委員 各省大臣各省の自分の省に属する職員人事について全部任命権を持つということは、これは五十五条によって明らかであります。また内閣総理大臣が随意に国務大臣を罷免するということができることも憲法上明らかでありますが、その点におきましては直接の関係はございません。人事行政その他の面についても全部同じことで、人事権はあくまでも各省大臣に属するわけであります。直接には内閣に属しません。
  83. 受田新吉

    受田委員 その人事の問題なんですが、これに書いてある通り各省大臣、会計検査院長、人事院総裁、それぞれ独立したところにはその責任者がおるわけです。ところが今度は特にこの規定のうちで削除したところが相当出てくるわけですね。人事院総裁のところを削除したり、あるいはこの責任委任はその効力が発生する日の前に書面をもってこれを人事院提出しなければならない。あるいは人事院規則及び人事院指令に基くというのを削除する、こういうことをやっているわけです。従って私は従来のことをもう一度繰り返すのでありますが、各省大臣が直接行なった人事に、内閣が行うことができないという点において何か非常な制約を受けるような印象を私受けたのでございますが、どうですか、総理大臣としての職権をふるうのに非常に不都合である  部下の大臣にそういう人事権をまかしてあるのだから、総理が一々気を使う必要はないじゃないですか。いかがですか。
  84. 岡部史郎

    岡部政府委員 お説の通りになっているわけでありますが、ただ事実問題として、局長級以上の人事につきましては、閣議に提出するということになっておるわけであります。これは単に手続の問題でありまして、任命権には関係ないわけであります。
  85. 受田新吉

    受田委員 岡部さんは今度の機構改革で局長になられるお方であるとも思います。局長の人事を閣議にかけていただいて、今度局長になられるはずでありますが、そういうことを抜きにして、各省でそれぞれ行われた人事、それがしかも閣議で了解を得て発令されるということになれば、総理大臣の辞令でなくたって私はいいと思うのです。各省大臣の任命権に基く形でいいと思うのです。
  86. 岡部史郎

    岡部政府委員 いわゆる同級人事といわれるものにつきましても、今度の改正法におきましても、当然各省大臣が任命することになっています。人事院総裁を削りましたのは、これは国家人事委員会として、その条文に書いてあります外局職員人事については外局の長が持つということになっておりますので、それに該当するから削ったわけでありますし、その他の点につきましては、単に事務上の手続の簡素化をはかっただけでございます。
  87. 受田新吉

    受田委員 それだけの問題を取り扱うだけで、大騒ぎをしなくても済む問題とあるならば、従来でも済んだことだし、そして総理の権限は非常に強大で、気に入らぬ大臣は、いつでも本人の意思に反してやめさせることができる。それでもう一つは、予算上の問題でも、大蔵省の主計局長に適当な人間かおらなければ、主計局長を首を切ればいいのです。政府予算執行の面において責任かあるのですから、予算編成権が大蔵省にあるにしても、大臣がその責任者を適当に操縦していけば、自由に政党責任政治が果され、筋が通ると私は思うのです。従って今までの形をそのままにしておいて、むしろ強力な政治力を発揮する内閣ができて、統制ある内閣ができて、強力な大臣ができるならば、何ら支障は起らぬと思うのですが、どうでしょう。
  88. 岡部史郎

    岡部政府委員 お説の通りで、従って任命権につきましては、このたびは変更ございません。
  89. 受田新吉

    受田委員 人事局を設けなければその内部の仕事ができない。各省人事にわたって責任政治が果せないということで機構上の要求をされていることは、すなわち現内閣が十分実力を発揮し得ない内閣であって、法律に基いて何かのワクをはめてもらわなければ困るのだという結果になっておると思うのです。今までのあり方をきわめて民主的にきわめて信頼される形において断行されるならば、所期の目的は達成できると私は思うのです。これは学者の立場ではなくて、大久保国務大臣として、国務大臣たるあなたが、今までの形でしばらく人事院機構をそのままにしておいて、人事院が今まで研究したあの頭脳のみがきをもう少し続けてもらって、そして何年か後になって機か熟したころにこの改革に乗り出すということにして、時をしばらくかせいでみる。この間においては、政府は内部において人事行政の面においてじっくりと検討していただいて、不満の点があるならば、それを除去する道は幾らでもあると私は思うのです。人事院がめくら判を押さなければならぬという心配などは、これは単なる心配であって、事実は人事行政は大体政府考え通りになっておるでしょう。おそらくそうなっておると思うのです。人事院政府考えに反してその権限を非常に行使し過ぎて押えてきた事例がたくさんありましょうか。その事例もちょっと示して御答弁を願いたいのです。
  90. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今のお話は肝心な話になりますから、少しこまかく申し上げます。今度の行政機構改革人事院を廃止して人事委員会を作るという大体の構想になっております。これをやってどういう利益があるのだろうということを考えてみると、一つは、さっきからしばしば繰り返しました通り、憲法上においての総理大臣人事権責任を果す機構がはっきりしてくること、今もないのではありません、どこにあるのか知らぬが、はっきりした機構がない、この機構一つできること、これは一つの利益だと思う。もう一つ、これを通じて、人事院でなく、内閣固有の人事行政に対する主張、考え、これを発現する機構がこの局を通じて行うことができるということであります。というのは、人事局総理大臣の直属の機関になりますから、総理大臣の意向はそれに反映し得るという一つの利益があります。もう一つは、さきに申しました通り日本内閣制度のもとにおいては、人事機構の取扱いの局がないため、せっかく人事院が骨を折って勧告してきても、それを消化する受け継ぎの機関がないのです。機関がないから、もし勧告を受けても、これは大がい大蔵省に回されてしまう。大蔵省はどっちかというと、きのう話した通り、なるべく歳出を少くするという頭で値切る、――値切るという言葉はおかしいかもしれぬが、まあ値切るというような傾向があるのですから、これができれば勧告権というものを私ははっきり受け入れの機関かできるので、これまであいまいであった勧告が効果を発揮するのに非常に便になる。これも有力な利益になる。もう一つは、日本行政制度考えてみますと大ざっぱに見て、立法、司法、行政と三つになっています。立法は御承知通り議会がやっている。司法の方は裁判所がやっている、あとは広い意味行政です。行政全般にわたって、これはやはり総理大臣の所轄のもとに統一されておるというのか常識です。ところかこれまでの人事院というものは、そのワク外になっているような形なのです。「内閣の所轄の下」と書いてある、今度ははっきり「内閣総理大臣の所轄の下」とこう書いてある、こういうことになるわけです。そうして国家行政組織法の一環としてその基準に従って組織をするという原則になる。そのために、私は日本における行政組織が一貫した組織になるという点が一つの利益であると思います。もう一つ考えなくちゃならぬ点は、一体これまでの人事行政というものは、人事院が中心にやっておったために、ほかの一般行政官庁との連絡が不十分です。ところが今度のように、やはり人事委員会というものは人事行政についての中心の方針をきめる、それを執行する実施機関として人事局ができる、そうすれば一般の行政機関との同に立って調和するのに非常に便利である。調和していって、人事行政の円油化というか人事行政の交流というか、その他のことをするのに便利であろうと思う。一般行政との調和に便利である。まだあるかもしれませんか、大体考えてみればそういう点において利益になると思いまして、今度の案を考えた次第であります。といって、初めからたびたび申しました通り人事行政は大事ですから、この国家公務員の給与を下げるようなことがあっては大へんだ、これはどうしても下げまい。そのためには従来人事院勧告権を持っておったこの勧告に対する権限は、一歩も侵させないようにしよう、これはだれが行っても侵させない独立職権を持たせようというので、勧告権は十分に尊重をする、同時に今度できます人事委員会人事委員身分というものをはっきり保障して、本人の意思に反しては進退をされることのないという保障も与える、勧告に不十分であった場合には調査もできる、あるいは帳簿の検査もできる。そうして各行政長官に向って、いろいろの勧告を発することかできるということまでつけ加えてあるの、だから、私は公務員保護については決して悪くなっていない。むしろより以上に内閣と一緒になって公務員の処遇をよくしていくのに便利な機関になる、こう信じております。
  91. 受田新吉

    受田委員 午前中の質問はこれで終らせていただきます。これは根底に非常に大事な要素が流れておる法案でございますので、お互いは微に入り細をうがって質疑応答の中から結論を尊きたいのですか、今大久保さん、あなたは今度人事局内閣に置くことについて非常な利点をお上げになられたのです。その点についてはあなたの立場から、またわれわれ公平に見ても、長所のあることを認めますが、はかりにかけてみて、どちらが重いかというところにこの政治の要諦があるわけでございますので、現実に今私が申し上げたような欠点のある問題を、今あなたが御指摘になったような利点と比べて、重みの多い方に向って動くということか政治家の責任だと思うのです。  一例を申しあげますが、こういう問題について触れる前に、政府部内においてまだ統制ができておらぬところがたくさんあるのです、今日私資料でお出しいただいた中に、大臣と政務次官になった数が出ました。これを見ますと、まさしく自由民主党の現在までの国務大臣は六十三人、終戦大臣になられた方だけで六十三人。終戦後じゃない、憲法施行後ですから、結局蘆田内閣以後の国務大臣であって、それ以前、吉田内閣以前の分は入っておらぬ。幣原内閣の人は……。それを入れるとさらに多くなるわけです。それで六十三人国務大臣がおられるわけです。自民党の代議士の中で、この前新たに出られた方を含めて、とにかく五人に一人以上の国務大臣、政務次官は大体百人、こう考えますと、自民党に籍を置いておられれば、よほどの人を除いては大臣が政務次官になれる。ありがたい政党である、ということがはっきり数字に出ているのです。こうなってくると、あなたが昨日言われたように、政務次官にも大臣にも人を得て、部内の統制に十分信頼の置ける人を置きたいと仰せられても、だんだんと人的資源が少くなってくると、この問題をまたはらんでくると思うのです。果せるかな、行政管理庁の所管に属する自治庁長官である田中さんか、看板を大臣室と書いておられる。これはあなたの方としては行政管理上、自治庁の中に自治庁大臣というのはいないはずなんです。自治庁大臣というのはいない。これはまだ省になっていない。省に昇格したと聞いていません。総理府外局にすぎないのです。あなたと同じ……。あなたの部屋には大臣と書いてあります。大久保大臣の邪魔の看板は大臣と書いてある。私はこういうとろこにも、同じ総理府の内部において、とにかく大臣室の看板というもの、このレッテルは、これはその役所を表象するものです。ところが自治庁には自治庁大臣がおるということになると、自治庁大臣から次長ということになる。現在はまだ機構は変っていないのですから、やはり自治庁は長官のはずなんです。総理府外局の一長官にすぎない。今度新しいこの法案を見ると、総務長官のもとに総理府の各部局を置かれるとなっているが、まあ国務大臣をもって充てる長官がおるところだけはそのらち外に置くように書いてありますが、とにかく総理府外局にすぎないことは間違いない。その外局にすぎない自治庁の長官主に大臣室という看板、きょう私聞いてみたら、まだかかっておるそうです。私きょうお尋ねしようと思って確めて用意しておる。本日をもってなお依然として自治庁には大臣存在しておる。行政管理の立場から、行政管理庁長官として重大な責任のあるこの役所の責任者の官名詐称問題を、いかに取り扱われるか御答弁願います。
  92. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 受田さんかそういうこまかい点まで御心配になっておるということはまことにありがとうございます。私は不幸にしてまだそれを知りませんから、さっそく調査いたします。
  93. 受田新吉

    受田委員 調査だけではいけないのです。不幸にして知らない、あなたは非常にこまかいところを気をつけていただいたということですが、調査した結果いかなる措置を行政管理庁長官としてとられるか、午後の委員会において即答を願いたいと思います。それでは午前中の私の質問を終ります。     ―――――――――――――
  94. 相川勝六

    相川委員長 なおこの際理事の辞任についてお諮りいたします。理事であります保科善四郎君から、理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  引き就き理事の補欠選任を行いたいと存じますか、その方法は先例によりまして委員長から御指名いたすに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきまして田村元君を理事に指名いたします。  午後は一時半から再開することとして暫時休憩いたします。    午後零時二十三分休憩      ――――◇―――――    午後二時十三分附議
  97. 相川勝六

    相川委員長 体感前に引き続き会議を開きます。  国家行政組織法の一部を改正する法律案内閣法等の一部を改正する法律案及び右両案に対する宇都宮徳馬君外四名より提出にかかる修正条並びに国家公務員法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。床次徳二君。
  98. 床次徳二

    ○床次委員 今回の改正案の中に政務次官二名を置かれることになっております。その二名の各省におけるところの任務の分担につきましては大臣が定められるようになっておりますが、大体どういうふうな割合によって二名を活用されるお考えでありますか、政府の御見解を承わりたいと思います。
  99. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 政務次官を二名置くという案も三宅に限って二名置くという案になっております。その活用事務分担の状況あるいは大臣に事故があった場合にどちらを先に大臣に任命するか、これは一切あげて所管の大臣にまかせる、こういう建前をとっていきたいと思っております。
  100. 床次徳二

    ○床次委員 大体今回二名置かれるのは事務の煩雑であったところを主として選ばれたように思うのでありますか、すなわち局の数の多いものか結果においてはあがっておると思うのであります。従って仕事を縦割りにいたしまして、各局を分担するという形が予想されるのでありますか、大体さように解してよろしゅうございますか。
  101. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その分担の仕事は、今申しました通り所管の大臣に一任しております。あるいは局割りにする場合もあるし、あるいは全体を共同して双方持つという場合もあると思います。
  102. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの問題は、これを十分にそれぞれの事情に応じて円滑に扱われることが増員しました趣旨に合うゆえんではないか。この点は一つ慎重にやって、今回改正の趣旨が十分達せられるよう配意されることを要望する次第であります。  次に承わりたいのは今日各賞庁におきまして局長、課長というものが果してほんとうに各省事務を把握しているかどうかということに対して、やや疑いなきを得ないのであります。今日トップ・マネージメントといって、博部の強化に対しては政府も非常に考えられておるようでありますか、切実に汚職その他の発生いたしました実情を見まするに、局長、課長がほんとうに事務を把握していないという点が考えられるのであります。この欠点の一つの問題といたしましては、大臣がよく言われるがごとく、精神的の問題もあるのでありますが、人事の異動がひんぱんに過ぎて、十分に局あるいは課内の事務を把握するに至らない。従って課長補佐ぐらいの者が大きな権限を持つ、このために独断専行、これが汚職の原因になるということもあり得ると思うのでありますが、この点に関して大臣はどういうようにお考えになっておられますか。これはトップ・マネージメントとあわせまして、ほんとうの事務組織の強化という意味において考えられる必要があると思いますが、御意見を伺いたいと思います。
  103. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 第一階級の監督機関として局長を中心にやっていきたい、第二の監督機関として課長を中心にやっていきたいという考えであります。お説の通り各局課長の更迭がひんぱんであって、あるいは身につかぬような場合もあるかもしれませんが、こういう監督機関を中心として身につくように、落ちついて仕事ができまするように進めていきたい。
  104. 床次徳二

    ○床次委員 一応御答弁を承わりまするか、今日の組織におきましては真に局長、課長が責任を持ち得る状態にならなければいけないのでありまするが、とかく実際の責任は局長課長が負い得ない、これを知らないという実情があることははなはだ遺徳だと思う。この点特に一つ政府におかれましても御留意をいただきたいと思うのですが、この機会に簡単に人事機構の問題について承わりたいと思うのです。今回政府人事行政機構及び運営の改正につきまして提案をしておられるのであります。すでに部分的には質疑があったのでありまするが、その大体の精神がどこにあるかということについてあらためて大臣から承わりたいと思うのであります。
  105. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今回人事機構改革を計画しました基本の観念に二つあります。一つ責任体制を明確にするという点であります。一つ機構合理化するという点であります。責任を明らかにするという点から考えてみますると、今日の日本の憲法において人事行政に触れている面が二つあります。一つは憲法第七十三条に総理大臣は官吏に関する事務を掌理する、と官吏という言葉を使っている、だから当然公務員に関する事務総理大臣は扱わなければならぬのです。ところがさきに申しました通りこれは扱う機関がないのです。ないからして今回内閣の中に人事局を置いてこれを扱う機関にして、憲法の趣旨に沿うようにしたい、そして六十六条に規定してある行政各部の執行について国会に対して責任を負うことができるという建前をとりたい、これが一番の中心であります。と同時に、このままにしておくよりもこの機構二つにして一方は政府、一方は人事院の働きを強化して、日本人事行政の向上をはかることが合理的でないだろうか。一方においては人事院の働きが加わり、一方においては総理大臣考えが加わって、日本人事行政がもっとよくなる、公務員の待遇もよくなるという自信のもとにこういう機構をやったのであります。この点から考えてみれば、一方においては責任を明らかにすると同時に、一方においては合理的になった、こう私は考えます。
  106. 床次徳二

    ○床次委員 近代の諸国家におきましては、人事行政の公正を保持するために、独立性を持つ中央人事機構を設けるというのが例のようでありますが、今回の改正によりましてこの独立性が害されるということを、社会党の諸君は非常に心配しておられるのであります。この点、今回政府考えられましたところの国家人事委員会というものの性質が、人事行政に対して期待される独立性の確保という点において、果して遺憾ないかどうか、この点について御見解を承わりたいと思います。
  107. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 この点も先ほど申し上げたかと存じますけれども、今回できます国家人事委員会は、勧告権については従来の人事院と同じでありまして、公務員の給与に関する勧告権が一番中心になると思います。この点は、従来と同じ勧告権を持っております。もう一つ人事行政の公平を期するという点も、やはり今回できます人事委員会の大きな仕事の任務として権限を持っております。従来に比して何ら遜色がないばかりでなく、今回の人事委員会におきましては、人事宜の身分の保障です。身分の保障がなければ、やはり強い執行はできないのです。ところが、今回の人事委員会におきまする人事官身分保障は、法律によってはっきり保護されております。本人の意思に反して勝手にやめることもなし、弾劾裁判を受ける以外に勝手の処置はできないことになっておる。職権権限もはっきりしておりますし、身分の保障もはっきりしております。さらにそれにつけ加えて、平生の場合において人事行政を監督する意味において、政府に向って法制その他についてのいろいろの意見を申し出すことができる、あるいは行政についてのやり方がまずいからというので警告する権限も持っております。調査する権限も持っております。あるいは人事の給与簿についての検査権を与えるというような点を持っておりますので、私は人事行政について従来の人事院がやっているものを狭くしたとは考えません。人事院の持っています特質は、十分に保障しておるつもりであります。
  108. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまの大久保大臣の御答弁によりますと、従来の人事院権限と新しく設けられるところの国家人事委員会というものの権限には、大した差がない。しかも法律の体裁からいきまして、法律の体裁はなるほど非常に大きく変っておるのでありますが、実質においては大した差がないと思うのであります。もしもさような状態でありますならば、社会党の諸君が人事院の改廃として非常に懸念しておられるのでありますが、その懸念に対しまして、何も大きな改正をする必要はないのではないか、むしろ現状のままに残しておきましても、この点は大きな差はないのではないかという気がするのでありますが、この点特に変えなければならないという強い理由があるのか。ほかの関係がありますので、一緒にやっていきたいというつもりのようにも思うのでありますが、私は本質的にはただいまの御答弁にもありましたように、大さな差はないということを感ずるのでありますが、この点について御答弁を承わりたいと思います。
  109. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 全く差はないと感じております。御意見は私も十分考えております。
  110. 床次徳二

    ○床次委員 次に今回の人事機構における改正の一点は、内閣責任を持つという意味におきまして、一部内閣にその事務を移管いたしまして、人事局を置いたのでありまするが、特に内閣責任が不明確であって、不都合であるという立場に立って考えておられる点、いかなる不都合があるかという点につきまして御説明をいただきたいと思います。ぜひ人事局内閣に持っていきたいという御趣旨を御説明いただきたい、これは事務当局にお願いいたします。
  111. 岡部史郎

    岡部政府委員 責任体制の確立という、大臣から言われました大きな問題とも関連があるのでありますが、現在の人事院は、すなわち中央人事行政機関として、午前中からもお話がありました通り、一例を引きますと、職員の給与のベースアップの改善について、これを内閣及び国会に対して勧告いたすわけであります。その勧告を尊重して政府側がこれを実施しなければならぬわけでありますが、政府側としてこれを実施する機関がない。従って今のところこの実施を、また勧告した人事院に戻して実施させるという形でありますか、一例を申し上げますると、こういうような形で、やはり人事院なり人事委員会なりが政府に対して給与の改善その他を勧告した場合におきまして、これを受けて実施をするための機関として人事局か必要である、こう考えているわけであります。
  112. 床次徳二

    ○床次委員 今の実施面におきまして人事局がほしいという気持は、実際においてその不便がありますることにつきましてはわれわれも了解できるのでありますが、しかし、今度の改正を見ておりますると、それほど実際的におきまして不自由のないものについても相当修正を加え、いわゆる理論的な立場において修正を試みておられる点があると思うのであります。たとえば国家行政組織法の適用を受ける――現在の人事院国家行政組織法の適用を受けない独立機関になっている。ところがこれを行政組織の現状にかんがみまして適用を受けるものに改めるというような理論的なものもあるのでありますが、これが実際上におきまして果してどれくらい不自由があるかどうかという点なんです。この点は実情はいかがですか。
  113. 岡部史郎

    岡部政府委員 御承知通り人事院はみずから内部機構を管理することになっておりまして、国家行政組織法の適用を受けない。従いまして、みずから内部部局を定めておるわけであります。行政機関としましてはそういう点は異例なことなのでありまして、理論的には国家行政組織法の適用を受けて、内部機構国家行政組織法の基準のもとに定めるのが正しい、こう思うのでありますか、それならば、人事院か勝手にむちゃな内部機構を作ってもいいかと申しますと、実際問題としてはそういうことはないのであります。やはり相応な内部部局を作っております。実際問題として行政組織法の適用がないから、目に見えて今不便があるかどうかということは、そう大した問題ではないかもしれませんが、国家行政組織法の適用がないということは、ひいては行政機関職員定員法の適用もないということになります。すなわち人事院の内部機構及びその職員の定員につきましても、国会におきまして、この内閣委員会におきまして公正な御審議を受ける機会がないということ。それから職員の定員につきましても、もっぱら大蔵省の予算査定に服して、他の行政機関と同じように定員法によって適正に国会の審議を受けることがない。こういうようなことは、行政機関としては他の行政機関に比べて不つり合いな措置ではなかろうか、こう考えるわけであります。
  114. 床次徳二

    ○床次委員 ただいまと同じような意味改正を、今回ばだいぶ試みられておるわけであります。   〔委員長退席、山本(正)委員長代理着席〕 先ほど大臣にもちょっとお尋ねしたのでありますが、今後新設されまするところの国家人事委員会でありますが、これ自体も新たにその所属が変ってきたということになります。これによりまして、形式上は内閣総理大臣権限に属するように見えるために、非常に制限をされたかのごとく社会党では心配せられる。しかし、実際におきましては、独立権限法律によって確保されておるという格好になっておりまして、現実から申しますると、特にこういう改正をしなければならぬかどうかということについては、議論があるのももっともだと思うのであります。実際におきましては、先ほども申しましたが、しいて改正しなくても、現実の人事委員会権限を行使する上においてそれほど遺徳の点はなかった。ただ理論上におきまして、ただいま予算の問題とか、定員の問題とかいうものについては整理をする必要がある。また今後の行政機関としての統一性を保つ上におきまして、内閣総理大臣権限に属するというような理論的なものがあると思うのでありますが、さように考えてよろしゅうございますか。
  115. 岡部史郎

    岡部政府委員 人事院の実際の運営のことを申し上げるよりは、その地位かそれではどこにあるのか、内閣総理大臣の所轄のもとにあるからいかぬというお尋ねがたびたびあるのでありますが、それでは現在どこにあるのかと申しますると、公務員法の第三条には、人事院内閣の所轄のもとに置く、こうあります。それでは内閣の所轄のもとに置くということは、どういうことかと申しますと、内閣法に基礎かございまして、内閣法の十二条の第四項に、内閣には内閣官房のほか、内閣事務を助けさせるため、法律の定めるところにより、機関を置くという規定があるわけであります。これに基きまして、人事院法律的な性格を申しまするならば、官房と並びまして、法制局と同じような補佐部局である、こう考えられるわけでありまして、組織上の地位としては何ら独立性はないわけであります。ただ人事院がきわめて独立性が強いと申しますのは、その権限におきまして、ほとんど内閣総理大臣の指揮監督を受けないということ、それから権限の行使についても、あるいは人事官身分についても、その地位が保障されているという、その権限の行使についてきわめて強い独立性を持っているということなのであります。従いまして、このたびの案は、他の独立して職権を行使すべき公正取引委員会であるとか、土地調整委員会であるとか、あるいは中央労働委員会と同じように、総理府外局として内閣の所轄のもとに置きますが、その権限につきましては、従来の人事院と同じように独立性を与え、その独立性というものは、人事委員会が行使するのにふさわしいものについて、その独立的な権限を行使する、こういうような構想に相なっております。
  116. 床次徳二

    ○床次委員 今回総理府人事局が設けられることになりますが、この総理府人事局におきましては、職員と給与の関係を行うことになるのでありますが、これが実施につきまして、相当従来の人事院のときよりも公務員が不利をこうむるのじゃないかということを非常に懸念されるのでありますが、この懸念に対して、政府は懸念のないことを説明していただきたいと思います。
  117. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいまのお尋ねの、職員が不利をこうむる懸念ということは、このたびの改正によりましては全然考えられませんので、むしろ大胆がたびたびお答え申し上げております通り人事委員会が適正な勧告をする、それを受けて強力にこれを実施するための責任者として総務長官を置き、人事局を置くということでございますから、むしろ公務員の利益保護、あるいは円満、適正なる人事行政の実現のために適当な措置であると考えております。
  118. 床次徳二

    ○床次委員 今回の新しく設けられるところの人事局仕事に関しまして、御説明をいただきたいと思います。
  119. 岡部史郎

    岡部政府委員 人事局の所掌事務は、大体人事行政実施面におけるものでありまして、その内容ははっきり法律に書いてございますが、第一に国家公務員制度につきまして調査し、企画し、及び立案することであります。これは一般職、特別職を通じてございます。第二は、国家公務員の職階制、任用、給与、服務、能率、厚生その他の人事行政に関する方針や基準、手続、計画等につきまして、これを調整したり、総合したり、指示したりすることであります。第三点は、国家公務員の共済組合を所掌いたします。第四には、国家公務員の退職手当、及び退職年金に関することをやります。第五には、国家公務員人事行政に関して、他の行政機関の施策及び事務につきましての総合調整に関することであります。抽象的に申し上げましてあるいはおわかりにくかったかと思いますので、もう少し具体的に申し上げますと、たとえて申しますれば、今後は人事局におきまして職員の職種、職級を決定する、あるいはこれを何等級に格づけするかというようなことも行うことになりますし、ある行政機関におきまして、何等級の官職を幾つ置くかというような級別定数の設定というようなことを実際にやるわけであります。すなわちいわゆる人事院勧告によって定められます給与法の実施基準を定めることになります。あるいはいろいろな手当、勤務地手当でありますとか、特殊勤務手当でありますとか、期末手当でありますとかそういうようないろいろな手当に関する法令の実施の基準を定めることになります。また服務に関する基準の設定に当ります。あるいはまた職員能率向上、あるいは厚生、レクリェーションというようなことの基準を定めたり、指導に当ったりいたします。あるいは共済組合、退職手当、災害補償の実施に当る、およそ本来の実施事務という部面につきまして所掌する、こういうことに相なります。
  120. 床次徳二

    ○床次委員 ただいま御説明のごとく、本来の実施事務に関する職員の服務の問題は、決してその職員が不安を感ずる必要はない。公務員は不安を感ずる必要はないと思うのでありますが、ただ表面から見まして、非常に広範なものが人事局に移るかのごとく考えられて、これが、一般公務員かこの改正案に関して非常に不安を感ずるゆえんだと思う。この点はやはりこの改正案に関して十分その周知徹底に努められることがよいと思うのでありますが、同じような問題についてさらに御質問するのでありまするが、職員の政治的行為の制限あるいは職員の団体に関する等の事務は依然として――これは依然としてというよりも、今回の国家人事委員会の方に所属する。これは従来預りの権限が確保されるわけなんでありまするが、これが国家人事委員会という新しいものに所属するために、何らか権限が狭くなって、制限されたかのような印象を与えておるのだと思うのでありますが、さように解してよろしゅうございますか。
  121. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいまお尋ねの通り職員の政治的行為の制限に関する法律範囲内における規則の定め方あるいは職員の団体交渉に関する問題というようなことは、すべてこれは国家人事委員会の所掌に属しております。従来の人事院権限と変りがございません。
  122. 床次徳二

    ○床次委員 さらに今度の新しい国家人事委員会と従来の人事院との権限の差におきましては、一見いたしますると、いわゆる職員の給与の改善に関する勧告が、国会並びに内閣に対して行なっておったのに対して、今回は内閣にのみ行うというところにおいて、相当権限が小さくなったように世間では印象を受けておるのであります。しかしこの場合におきまして、国会に対する勧告権限をしいて内閣に対する勧告権限にのみ制限する必要があるかどうか。この実益は果してどの程度のものかということについての御説明をいただきたい。
  123. 岡部史郎

    岡部政府委員 お尋ねの点は、きわめて理論的な問題でございまして、行政機関として国会に直接接触いたしますのは、内閣責任をもってこれに当るわけであります。これが議院内閣制度のいわゆる責任政治といわれるものの本旨であろうと思うのであります。すべて内閣責任のもとにおいて、国会と交渉に当るわけなんであります。しかるにこの勧告というものは、そもそも独立的に行使するものでありますから、従いまして独立機関としての国家人事委員会が、内閣に対してその実施方を勧告する。ただその実施につきましては予算及び法律を必要といたしますので、やがて国会において御審議いただかなければなりませんが、その御審議の参考のために、直ちに国会がこれを御承知になるということも必要なことでございますから、人事院から勧告がありました場合においては、政府は必ずこれを受領してから七日以内に内閣が国会に対してこれを報告するということになっておるのであります。これは先ほどから床次委員のお尋ねの通り行政組織のあるべき筋を通したということでございまして、実利実害というような問題ではなかろう、こう考えております。
  124. 床次徳二

    ○床次委員 ただいままで御質問申し上げ、それに対する御答弁があったので、大体おわかりだと思うのです。今回の修正案の趣旨に対しましては、意図せられるところは、行政機関としての責任を明らかにするというところに目的があるように考えられるのであります。なおその他におきましても相当の修正が行われておりまするが、体裁は非常に広範な全条にわたるような改正のようでありまするが、実態はそれほどでない。世間の方がどうも修正案に対する恐怖を余計感じすぎているのじゃないか。実態をもっと公務員にわからしめれば、それほど反対はない案じゃないか。あるいは逆に申しますると、それほど大きな形式的な改正でなくても、実質的にほんとうに必要なところだけを改正すれば、用は足りるのじゃないか、そうも言えるのでありますが、この点に対する政府の御意見を伺って私の質問を終ります。
  125. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいま床次委員のお尋ねの通りでありまして、このたびの改正は最小限度の改正でございます。従いまして、一例を申し上げますと、現在人事院職員七百二十名のうち、国家人事委員会に残るのが五百六十名であります。人事局に予定されております職員は約百十九名となっておるわけでありまして、こういう点から見ましても、世間一部の新聞に伝えられております通り国家人事委員会というような手足のない委員会を置いたんじゃ、公務員の利益の保護、あるいは公平の確保ということはできぬじゃないかというような意見は、紙上で見たのでありますが、そのようなことは全くの誤解でございます。このたびは必要な最小限度の修正である。こう考えております。
  126. 山本正一

  127. 受田新吉

    受田委員 床次さんから政府に御協力の結論が出るような御発言があったわけですが、最終的に世間が少し誤解しすぎているのじゃないかという意味の発言があったわけですが、問題は誤解ではないのです。これは根本的な理論的根拠から問題があるのですが、きょうは紳士的な申し合せもありますので、国家公務員法改正の問題点につきましては、後日あらためていんぎん丁重にお尋ねすることにしまして、一ところだけ今度の改正案の中で内閣法にも、また国家行政組織法にも関係する問題を伺っておきたいのですが、今度の国家公務員法改正案の中に国家人事委員会委員長の秘書官を内閣において任命するようになっておりますが、これはどういう理由からでございましょうか。
  128. 岡部史郎

    岡部政府委員 秘書官は従来特別職とされておりますので、特別職の任命権は内閣にあるという解釈によりまして、そういうことにしております。現在とその点は変りございません。   〔山本(正)委員長代理退席、委員長着席〕
  129. 受田新吉

    受田委員 国家人事委員会というものは、人事官もこれまでの通りにその身分を確保し、独立性を高めるということになれば、その秘書官を内閣で任命するというのは筋違いだと思うのでございまするが、これを直す必要はないのですか。
  130. 岡部史郎

    岡部政府委員 秘書官の任命権の問題につきましては、これも受田委員がよく御承知通り公務員法の第二条第三項の八号におきまして、内閣総理大臣及び各国務大臣または特別職たる機関の長の秘書官はこれを特別職とするというようにきまっておるわけでありまして、これを一般職に直ちにするかどうかということは、秘書官がこういう大臣クラスの人たちの近辺におきまして機務に携わる、またその任用につきましても自由勝手でなければならない、また必ずしも身分の保障をする必要がないというような見地から、秘書官というものは特別職になっている。従来から秘書官というものは政務官的な色彩を持つものでありますから、そういう意味におきまして特別職になっているわけでありまして、特別な考慮がない限り、秘書官は現在特別職が本筋であろう、こう考えます。
  131. 受田新吉

    受田委員 これはそうした形において任命される場合には、国家人事委員会委員長が自己の意に反して秘書官を任命されることもあり得ると思うのです。少くともその独立性を確保するという意味から言うならば、当然その外局の長である委員長の任命権によって秘書官を任命するという方が、運営を妙にする上においては効果的ではないでしょうか。
  132. 岡部史郎

    岡部政府委員 まことに御説ごもっともだろうと存じます。
  133. 受田新吉

    受田委員 ではごもっともということでございますから、この法案についてはまたあらためてゆっくりお尋ねすることとして、さしあたり今回同時に提案されております国家行政組織法及び内閣法のそれぞれの改正案についてこれからお尋ねを申し上げます。私はその前に、まず行政管理庁長官として行政管理庁が持つ職務の範囲――これは行政管理庁設置法に幾つか列記されてある。この目的にのっとって午前中お尋ねした問題の御答弁を大久保国務大臣より願います。
  134. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 権限のお話でありますが、行政管理庁設置法にこまかく書いてありますから、一々読むのは非常に煩雑ですから省略しますが、機構についての今回の提案の趣旨は、先ほど申しました通り責任の問題と合理化の問題であります。しかしそれは今回の提案であって、あるいは定員を減ずるような機構改革もあると思います。あるいは定員を増すような機構改革もあり、あるいは経費節約の見地からやるような機構改革もあり、いろいろな改革もあると思いますが、要するにその当時の時勢のいかんとにらみ合せて改革をしていかなければならない、これが機構改革に対する私の考え方であります。同時に私の方には監察事務が付されております。監察事務については二つ考えです。第一番は、国家の重要な点に関する監察をする。もう一つは、問題を起しやすい、国民の誤解を招きやすい点に中心を置く、たとえば道路の補助の問題、あるいは租税の賦課の問題とか、あるいは国鉄のような特別の機構の収入問題とか、そういう誤解を起しやすい点に監察の主眼を置く、こういう考えで進んでおります。
  135. 受田新吉

    受田委員 行政管理庁設置法第二条第二号「行政機関機構、定員及び運営の総合調整を行うこと」が重要な任務なっておるのでございますが、たとえば、自治庁の長官である田中さんが大臣の看板を自分の居室の外に掲げているが、あなたは大臣でなくて長官と書いてある。防衛庁に行ってみても長官と書いてある。こういうものは、「行政機関機構、定員及び運営の総合調整」の「運営」という線からというならば、これは総合調整をはからなければならぬあなたの責任があると思うのでございます。同じ総理府の中で、一方は大臣室と書いてあり、またそのほかの総理府外局には長官と書いてある。これは運営の総合調整がはかられておらぬ。行政管理庁長官として責任重大だ、一つ御答弁を願いたい。
  136. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 この問題は午前中せっかく御質問がありましたので、せいぜいこれを調査しようと思いましたか、相手方の田中長官がいないので聞きようがないのです。もう少し待っていただきたい。
  137. 受田新吉

    受田委員 それは明日お尋ね申し上げることとして、今私が申し上げた看板のかけ方は、あなたの方の運営面における、つまり第二条二号によるあなたの所管であると判断してよろしゅうございますか。
  138. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 事務的のものですか、広い意味においてはその中に入ると思います。
  139. 受田新吉

    受田委員 国民の上に立って国民全体の奉仕者として働かれる、特に国務大臣という地位にある方々の言動は、国民に及ぼす影響がきわめて重大である。そこを十分考慮せられて、内部部局の運営の総合調整をおはかり願いたい。勇断をもってこれをやってもらいたいということをお願いしておきまして、この解決は、明日委員会で御回答をいただくことにいたしたいと思います。  さて私は午前中、昨日求しました資料提出の御回答として、現在の自由民主党の議員のうち、国務大臣または政務次官になられた方々のお調べの数字が出たことを申し上げたのでございますが、これは非常に莫大な数字になっておりまして、国務大臣において衆参両院で八十四名、政務次官において双方で百三十二名、合計二百二十名になんなんとする、大臣、政務次官の前歴者がおる。しかもこれは新憲法施行後においてなられた方であって、それ以前を加えると、これに相当の数か加えられるという現状において、自由民主党の議員をやられる方は、すでに大半が大臣もしくは政務次官という国家行政組織法及び内閣法における重要ポストにおつきになっておられる。従って政党政治の本質から考えまして、総花的に議員にそれぞれのポストを与えようという考え方からいかれるならば、長期にわたって解散がされない場合には、もう新旧のわかちなく、代議士になればその地位につけるということになる。だから、人選とかなんとかいう問題ではなくて総花ということになりますと、午前中あなたが仰せられたように、それぞれ適材適所主義でそそうのない人間をポストに充てるということを目標にせられましても、実際問題としては、儀礼的にそのポストに坐っていただく方ができる。しかも今回の改正案では政務次官二人を置かれる省がたくさんできるわけです。そうすると、ますます政務次官がふえて、どこかから借りてこなければ足りなくなる。そういうことになると、志す方とは違った方向に実際の面が動いてくるおそれがあると思うのでございますが、こうした情勢の中で適材適所の人材を得ることが可能であるとお考えでございましょうか。
  140. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 現在の自由民主党の代議士の数は、御承知通り衆議院だけで約三百名、参議院議員を合せますと四百何名という数であります。敗戦後の改正後の代議士に当選した数を入れますと、もっと数が多いと思います。落選者の数も大分多いと思います。総数にすれば幾人になるか正確には存じませんが、相当の数だと思います。してみれば二割か三割にしか当っていないでしょう。こういう感じでありますから、比較的その中から適材適所の人を選んで政務次官あるいは閣僚にするということは可能であると思っております。
  141. 受田新吉

    受田委員 調査してお出しいただいた数字は、現自由民主党議員という冠頭詞がつけてあるのでございまして、すでに落選した人は除いて、現職議員の中で大臣及び政務次官の前歴者という資料として私は了解したのでございますが、これはひが目であるかどうかお答えを願いたい。
  142. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 ひが目ではありません。調査はその通りであります。代議士及び参議院議員に当選した人の数はもっとはるかに多くいるだろうと思います。あるいは五百名か六百名になるか、ちょっと数はわかりませんけれども、その中の百名内外でありまして、そう大した数ではありませんから、私は適材適所主義はある程度貫き得ると思うのであります。
  143. 受田新吉

    受田委員 一割か二割ではないのです。これにあげてある衆議院だけに例をとりましても、て百十六一人、今自由民主党の議員は三百名に足りないと思っておりますが、百六十一人といったら過半数はすでに前歴者である。これから残された少数の人の中から今後また政務次官をとり、大臣をとるということになるわけでございますが、政党政治の一つあり方として多数のポストを持ち、しかも長期にわたって政権を獲得した場合においては、適材適所主義にひびが入るおそれがありはしないかということをお尋ねしているのです。
  144. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 一歩譲って現在の人員から考えましても、約四百人おります。その中から任官している者は両方合せて約二百名近くになりますが、約半分の中から半分選ぶのだから、これは適材適所と大げさに覆えないかもしれぬが。二百名の中から比較的いい人を選べばやはり適材適所の主張を実現でき得ると思います。
  145. 受田新吉

    受田委員 二名に一名という確率は非常に高いのです。しかも残された人々ばもう半分に足りない。その中から今後長期にわたってとるということになれば、みなその地位につく。適材適所でなくなって、順序よくその地位につくというおそれもあるわけであります。そういうことを考えますと、政党政治における政務官の任免ということは、適材適所よりは、ある程度それぞれ派閥による振り割り、あるいは次期選挙対策ということが配慮の有力なる根拠になるということが言えると思いますが、御見解を伺いたい。
  146. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 人は見ようによっていろいろの観念がわくと思いますが、私どもは人事行政というものはそうむちゃくちゃなことはできない。ことに今日は議会においても批判が強い、言論界においても批判が非常に強いのですから、そう曲った人事行政は今日の時世においては許せない。やはりある程度適材適所主義を貫かなくてはならない、こう思っております。
  147. 受田新吉

    受田委員 今回の国家行政組織法の一部改正案の中には、第十七条に政務次官の職務の内容が書いてあるわけですが、「その機関の長たる大臣を助け、政策及び企画に参画し、政務を処理し、並びにあらかじめその機関の長たる大臣の命を受けて大臣不在の場合その職務を代行する。」という規定があるのです。こうすると、政務次官というものは非常に重要な地位にあるわけで、大臣不在の場合その職務を代行するというお仕事というものは、これは内閣法における臨時職務代理とまた関連が出てくると思うのです。これはどういうことになるのでしょうか。
  148. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 内閣法に規定します代理、これは比較的長期に病気あるいは旅行等で職務をとることができない場合、他の国務大臣をもって充てる制度であります。この今回の政務次官の問題は、そういう広い長い意味じゃないのです。病気あるいはその他の事故によって執務を見られないごく短かい期間、内部の意思決定、たとえば農林省なら農林省の意思を決定するについての便宜の措置であります。従ってその職務の範囲が全然違っております。閣僚の場合においては閣僚として内外に対して責任を負わなくちゃならないわけでありますけれども、政務次官の場合においては、その行政長官の権限のうちにおいて、しかも行政長官からゆだねられた範囲において行うごく狭い意味であります。従って短期間のものである、こう御承知を願いたいと思います。
  149. 受田新吉

    受田委員 その職務代理期間中においてなさった行為が、いろいろな責任問題を起した場合における責任の所在はどうなりますか。
  150. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 その場合の責任はやはり大臣責任を負うことになっております。
  151. 受田新吉

    受田委員 大臣不在中の職務代行者である政務次官の行為において、弊害やあるいは非常に不利益を与えたとかいう場合は、大臣責任を持つということでございますが、この大臣の職務を行う政務次官の行為というものは、少くとも大臣が職務をとると同じ形で行われなければならぬと思うのです。そういう重要な仕事委任せられる場合の政務次官の地位というのは、非常に重要な地位だと思うのです。すなわちこの規定があることによって、前から申し上げておる副大臣というお喜びの名刺をお刷りになる原因にもなる、こう思うのでございますが、あなたの今のお説のように、大臣の職務を代行して、しかも責任大臣が持つ、失敗しても責任は政務次官でなくて大臣だということなれば、政務次官の地位は今まで考えたものでなくて、きわめて高い地位にあって事務次官以下を押えることになる。従って書類の決済等においても大臣にかわってこれを処理をされるということになると思うのです。そうした書類の決済等について、従来政務次官の置かれた地位は、聞くところによれば事務次官をもって最終的なものとして、政務次官は飛ばして大臣に持っていく、こういうふうになっていると聞いておりますが、さよう心得えてよろしゅうございますか。
  152. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは常時の場合じゃないのです。先に私が申しました通り、特別な短かい期間病気あるいは事故のために出られない場合の臨時の措置でありますから、従来とそう大した私は差はないと思います。ただ副大臣云々というお言葉が出ましたが、今回の法制においては、副大臣という言葉はどこにも使ってありません。これは全く事務的の関係、内部の意思決定の場合のごく限られた範囲の問題であります。大臣が持っておる職権全部じゃないのです。ことに大臣がお前この際これをやれというごく狭い範囲でありますから、そういう異例の措置、その他はできないと考えております。
  153. 受田新吉

    受田委員 異例の措置ということを今言われましたが、異例の措置以外には政務次官はそうした事務的な書類の大臣決済には、事前に何ら関与しないことになっておりますか。これは政務次官の方からお答えいただいた方がよろしゅうございます。つまり事務次長の方からすぐ大臣の方にいくようになっておるかあるいは政務次官の方から印判をもらっていくようになっておるのか。
  154. 楠美省吾

    楠美政府委員 よその省はどうなっておるか知りませんが、私の知っておる範囲では、大体行管の書類などは次長からまっすぐに大臣に行くことはほとんどないと記憶しております。大体政務次官の手をほとんど通っております。
  155. 受田新吉

    受田委員 そういうことであれば貫録十分ということになるわけですが、にもかかわらず政務次官が従来浮き上るという立場に置かれておる理由はまたほかにもあると思うのです。私は今回の改正の要点が、大臣に次いでの政務次官の地位を高からしめるところにあると思うので、一応それはうなずくことにいたします。今のように行政管理庁の政務次官は非常に重視されておる。ほかの省によると政務次官は全然通らないで、事務次官からぱっといっておるということを聞いておるのでありますが、そういうことが全然ないように、これまた行政各部のそうした運営の面においても、総合調整をはかられ、行政管理庁のお仕事からいったならば、当然これも政務次官の置かれておる地位というものに対して、御考慮が払われなければならぬと思うが、これはどうですか。やはり各省の政務次官の置かれておる立場は、政務次官会議などで、特に行政管理庁の政務次官であられる方々は、その点各省がどうなっておるかぐらいは御研究になっておると思いますが、前任者である宇都宮先生は長期にわたって御経験じゃないでしょうか。
  156. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 ただいまの御質問は政務次官の権限は現在どうなっておるかということでございますが、私は各省によって実情は相当違うと思うのです。しかしながら最近は、一般に単なる形式的な名誉職として政務次官にすわっておるという人は、非常に少くなっておるのじゃないかと思います。一つは国会の仕事が非常に忙しくなりまして、国会の答弁なんかも、できるならば政務次官が当ってくれた方がいいというような空気が、私は各省にあると思うのです。今のように国会が長期にわたりまして、ほとんど各省行政首脳部が国会開会中は国会に引き出されて、いろいろ御質問を受けておるというような状態ですと、どうしても行政がお留守になってくる。行政かお留守になってきますと、単なる行政措置でできるようなことも、立法でやるというような傾向になりまして、ますます国会の方が忙しくなる。ですから国会答弁のごときは、できる限り政務を担当することを建前にしておる政務次官が答弁いたしまして、各省事務当局の首脳は、行政に国会開会中もイギリス等で行われておるように専念したい、こういう空気が非常に強くなってきておると私は思うのです。そういう空気を反映して、政務次官の地位等に対する理解も非常に大きくなっているのじゃないかと私は想像しておるのです。しかしながら、もちろんこれは各省によって違います。またその人によっても違いましょうし、各省の伝統によっても違いましょうけれども、そういう傾向である、こう私は存じます。
  157. 受田新吉

    受田委員 各省にまたがる、共管相通ずる問題点として、政務次官会議その他で一つ政務次官の地位を高からしめるごとき方向へ持っていかれないと、政治責任が明らかにされなくなると思うのです。これはこの法案の改正と同時に、十分一つ御検討願っておきたい。  次に、政務次官の職務代行の順序ですけれども、あらかじめその大臣が定めるということになっているわけです。これは大臣職権として、第一政務次官、第二政務次官という形になるわけでしょうが、これは非常にまたむずかしい問題になる。おれの方が偉いんだと感じている政務次官が、はしなくも第二順位に置かれたという問題も起るでしょう。こういう問題の取扱いについて十分配慮されておりましょうか。
  158. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 そういう問題については、一にその所属の長、すなわち大臣権限にまかしてあります。あるいは大臣によっては、初めから一人の人をきめてそれを押し通す場合もあるし、あるいは半年交代なり一年交代でやっていくような場合もあるし、それから職務の範囲も、全部の省を一人でやる場合もあるし、あるいは二人でやる場合もあるし、あるいは分けてやる場合もあるし、いろいろの方法があると思うのであります。これを一々法制の上で規定するのはなかなか繁雑でありますから、一にあげてその所属の大臣にまかせる、こういうことに規定しております。
  159. 受田新吉

    受田委員 複数制の政務次官は任意設置である、置くことができる、置かなくてもいいんだ、こういうことに規定はなっている。従って現状をそのまま押し通してもいいことになるわけですね。
  160. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 理屈から言えばその通りでありますけれども、せっかく政務次官の制度を設けた以上は、私は二人置くことを希望いたします。
  161. 受田新吉

    受田委員 大蔵、農林、通産だけに置いておるということになると、おれの方はもっと大きな役所だと思っておる大臣もおられると思うのです。この判定は非常にむずかしいことなんです。どこへ線を引くかということはなかなか容易でないのですが、この三省に限った根拠、その次にはどういうものを考えておられるか、その次に控えている順序というものをお示し願いたい。
  162. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 今の問題は、いろいろな論議がありました。あるいはその所属している省の予算の金高によろうか、予算の多い順に置こうかという議論もあった。そうじゃない、これは予算だけではいかぬのだ、予算だけでなく、その省の職員の数によろうかというような議論も起った。あるいはまた、その省の事件の取扱い件数によったらどうか、こういういろいろな議論が出ました。しかし、これは、どれをとっても、全部うまい結論が出ないのです。そこで結論は、きのうですか、どなたか説明のあった通り、常識に帰したわけです。常識的に見て、この省が比較的肝心だ、多いという常識を基礎にして、とりあえずこの三つの省をきめたのです。将来はどこを増すか、まだ決定しておりませんが、もし必要があったならばそのときに具体的に問題か起ってくると思っております。
  163. 受田新吉

    受田委員 常識的に御決定になられて、あとの追加は今考えてないのだということでございますが、政治の上に常識が横行するということは、これはまあある程度許される点もありますが、一応立論の根拠というものが私必要だと思うのです。ここへ三つほどあげられたについても、ここにはどうしても政務次官を置かなければならない理由があるんだということをはっきりしておかないと、常識を立論の根拠にしておられると、これは行政管理の面において、はなはだ私は不安定だと思うのですが、学者としての岡部先生の御意見を一つお聞きしたい。
  164. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 その前にちょっと、私が修正案の提案者ですから、一応御説明いたします。これは政府と十分打ち合せしてあることですから御説明しますが、大体、大蔵省は、予算という非常に大きな行政をかかえております。そのほかに、税に関する国税庁なんかもかかえております。それから国有財産というやはり大きなものをかかえております。でありますから、最初に行政改革の案が検討されましたときに、大蔵省は予算担当の政務次官をぜひ置くべきだというような議論が出たくらいでありまして、予算はある意味じゃ重要な政務でございますから、そういう点を考えまして、大蔵省には置くべきだという結論に達したわけであります。それから農林省でございますが、農林省は御承知通り、食管特別会計だとか林野特別会計だとか、あるいは水産庁だとかいう非常に大きな外局を持っておる。ですから、それこそトップ・マネージメント機構がよほどしっかりいたしておりませんと、内閣行政からはずれるというおそれをわれわれは感じて、初めから、農林省のごときは政務次官を大いにふやすべきだ――中には、農林省の外局などの長官は、むしろ内閣と進退をともにするような特別職のものがいいというような意見もあったくらいでありまして、そういう意味から農林省にはぜひ一人ふやすべきだという結論に達したわけです。それから通産省でございますが、通産省は御承知通り、中小企業庁などをかかえておる。それからもう一つは、やはり行政機構全体を考えます際に、貿易機構の強化ということを考えたわけです。それから貿易機構はもちろん外務省とも関係があるところから、通産行政の貿易行政というものを非常に重要視しまして、貿易庁を復活したらどうだというような意見もあったくらいでありまして、中小企業政策というような重要な政策と同時に、貿易政策も立案実施するという意味で、通産省に置いたわけです。これは十分根拠があるわけです。  それで、その他の省になぜ置かなかったかという問題になりますと、それほどの重要性をこの際は認めなかった。たとえば建設省にいたしましても、これは非常に重要ではありますけれども、しかしながら比較的仕事が単純で一本でありますし、それから運輸省にいたしましても、これもいろいろ行政はありますけれども、しかし農林、通産、大蔵等に比べますと、やはり比較的単純であるというような考えからふやさなかったわけであります。厚生省についても同じであります。
  165. 受田新吉

    受田委員 この三省は非常に複雑多岐に分れておる、他の省は単純である、要するに立論の根拠はそういうことなんですね。そこでもう一つは、それでは政務次官を二人置いた所では、政務次官の任務の配分というものは考えないのか。ばく然と入り乱れて二人置いてあるのか、あるいはその省の内部において政務的に任務を分けるという意図を持っておるのか、お答えをいただきます。
  166. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 こういうことは、法規の上では大胆にまかせることになっているわけです。しかしながら、私はやはり必要に応じて分けたらどうだろうか、たとえば農林省におきましては、外局を担当する者と内局を担当する者というふうに分けたらどうか、大蔵省においては、予算を特に担当する人を作ったらどうかというように考えておるわけであります。
  167. 受田新吉

    受田委員 その問題はこの際一応はっきりしておかないと――大臣にまかせるということになると、ある大臣はばく然と、とほけたような形で入り乱らしたり、またある大臣は分ける、こういうことになりますので、ある程度の内規的なものは閣議の中で話し合いをするとか何かの方法で、どれとどれはどうするということを担当大臣と話し合いをしておくという形にしておかないと政務次官といえどもやはり人でございますから、第一順位の政務次官と第二順位の政務次官ではそこにおのずから相確執が起ることをおそれるのです。この二人が誠実をもって大臣を補佐すればいいけれども、そこには感情も手伝ってきて、双方に対してはっきりしたものを用意しておかないと、なかなかむずかしいものです。それは政党政治の一つの悲劇でございますけれども、しかしながらこれは現実の問題でございますので、十分考えて、この事務量を適当に分配するという形のものが私はほしいと思うのです。そして、なおこの選に漏れた他の省、事務が比較的単純であるとして除外された省におきましても、おそらくおれのところにも政務次官が二人ほしいということも出てくるでしょうし、そのうちまた猟官運動などが起りまして、政務次官のポストが一人でも多い方が次期選挙対策には都合がいいという事情も発生して改正されるという場合も起り得ると私は予想されるのです。そうした不安定な状況にこれを置かれないように、截然とした区別ができて、そうした政党政治の弊害の方が現われぬように、一つはっきりしたものをここで固めておいていただきたいのですが、いかかでしょう。
  168. 宇都宮徳馬

    宇都宮委員 そういう御趣旨も十分に考えまして、政務次官の定数を三人に制限し、置く省をはっきりさせたのでございます。でありますから、この前の法案と違いまして、今後も決して勝手にふやすことができない、議会の御審議を得ねば、たとえば厚生省に政務次官をふやすといってもふやすことかできないというように、今度の法律では決定いたしておりますので、決して簡単にふやすというわけには参らないわけであります。今おっしゃいましたところの、特に政務次官の権限の問題ですが、人間ですから確執が起ってけんかするのではないかという御心配がありました。これは政治の人事の根本問題でありますが、われわれもいろいろなそういう御心配を皆さんから聞いたのですが、そういう心配を押してもかようなことが現在は必要な時期であるので、われわれは一政党員として十分注意したい、かように存じておるわけであります。
  169. 岡部史郎

    岡部政府委員 私からもちょっと御参考までに英国の外務省の機構について申し上げますと、外務大臣の下に国務大臣、ミニスター・オブ・ステートというのが二人おります。その下に事務次官のほか政務次官が二人おられまして、これらの方々は慣例によりまして、いずれも外務大臣から職務の担当を命ぜられまして、外交政策の実施に努めておられる。そういう先例にもよりまして、政務次官を二人置かれる場合におきましては、その職務の分担は大臣が定めるところにまかせるのがよかろうというのが原案の趣旨でございます。
  170. 受田新吉

    受田委員 修正案宇都宮先生が中心でおやりになったようですから、その御説明でよくわかりますし、原案の説明は学者としての立場で研究されている岡部さんの御見解を伺ったわけです。そしてその間に常識的な御判断をいただいたのが大久保国務大臣、こういう関係になる。その三者の一体として今この案が提出され審議されていると私は了解するわけです。そこでもう一つこの組織上の問題でお尋ねを申し上げなければならないのですが、これは修正をされる前の原案と比較してまた問題があるのです。これをやっておるとなかなかおもしろいところもあるのですが、各国の政務官がこういう特別職についている実例を、主要国に関するものを一つ提出願いたいと私は要求しておいたのです。それでもう一つ資料をお願いして、これは私今拝見したのですが、お話を進めていきますが、例の付属機関です。内閣の付属機関総理府の付属機関があるのですが、内閣の付属機関総理府の付属機関のウエートの違いは私心得ておりますけれども、総理府に置かれている付属機関かこれだけたくさんある。そうして、実績がどういうふうになっているかということでお願いしましたら、答申等についてこれをお書きいただいておるのですが、これだけたくさんあるものを、その一部を整理して、厚生省所管に関するところの例の引揚同胞対策審議会などは厚生省へ持っていく、こういうふうにされたわけなんです。これだけたくさんあるものの中で厚生省の分が一つその他が一つ、こういうことを御決定されて、あとはそのままになっていることは私はどうも了解に苦しむのでございますが、これを拝見したら、それぞれの省の直属とすべき性質のものが多数あると思うのですが、これはいかがですか。
  171. 岡部史郎

    岡部政府委員 方向といたしましては、今の受田委員の仰せの通りだろうと存じます。従いまして、総理府にあるこれらの審議会について、それぞれ一番関係の深い省にできるだけ移すのかよろしかろう、こういう方向で努力しております。このたびは、その第一着手といたしまして、一、二の付属機関を移すことにしたわけでありますが、内政省設置の暁にはさらに大規模にこれらを移す計画もあったのであります。方向といたしましては、受田委員の御意向を十分尊重して関係者は努力いたしておりますことを御了承いただきたいと思います。
  172. 受田新吉

    受田委員 この中で、総理府へ置いて、当然各省にまたがる共管事項などもたくさんある分もありますし、またそうでないも一のも一ある。それについて、御研究は済んでおるだろうと思いますが、あなたの方で一応分類された付属機関の構想を伺っておきます。
  173. 岡部史郎

    岡部政府委員 これはたびたび研究が済んでおる問題でありますが、また反面におきまして、各省との意見の調整もできていない点が多いのであります。今私の口から、この審議会はこの省に移すのがよろしかろうと申すのも幾らか差しさわりがあろうかと思いますので、御容赦いただきたいと思います。
  174. 受田新吉

    受田委員 政治的な御発言でございますので、それは差し控えますが、同時にもう一つ、これは相当仕事もしておられるわけなんですが、ここへ出ていろいろと会議に参画される人々の待遇などの問題になってくると、これははなはだ失礼でございますが、ほとんど顧みられていない。委員会出席手当なども出ていないというような委員会もあるのじゃないかと思うのですが、この付属機関に対する予算措置というものは配慮されているのですか。ほんの形式的な形にしかなっていないと私は思うのですがね。
  175. 岡部史郎

    岡部政府委員 審議会につきましては、審議会の委員は給与法におけるいわゆる非常勤の職員といたしまして、これには最高一日三千円まで支給するということになっているのでございまして、会議が半日でございますから、おそらくその半額以下には普通なるだろうと思います。どっちみち十分なる金額ではございませんけれども、今の法律の定めているところに従いまして、審議会の委員にはそういう給与が支給されることになっております。
  176. 受田新吉

    受田委員 審議会の委員の中に国会議員が出ている場合があるが、国会議員は閉会中に地方からこちらへ出るためには、往復の旅費も要るし、宿泊費も要るという形になっているはずでございますが、閉会中会議を開いた場合に一文も出ていないという実情を御存じでございますか。
  177. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは受田委員も御承知通り公務員法には厳然として二重給与は禁ぜられておりますので、公務員たる資格におきまして、審議会の委員になる場合には給与が出ません。民間の委員の方々にだけ差し上げることになっております。
  178. 受田新吉

    受田委員 それば一つ問題があると思う。国会の場合は、これは開会中はこちらに来ることになっている。閉会中にはそれぞれの郷里におることを原則としている。それを東京の会議に呼び出した場合に、普通の国会の会議であるならば、会議中はそれぞれ正当の出勤日当が出ることになっている。ところかこういう会議に出た場合には一文も出ないということは筋が通らないと思うのでございますが、こういうところまで心を配る必要がある。どうですか。
  179. 岡部史郎

    岡部政府委員 先ほど申し上げました通り民間の方々を委員にお願いいたします場合において、御出席いただきます場合においては、法律の定めるところによりまして、手当を支給することになっておりますほかに、地方から地方在住の方に委員として上京をされます場合におきましては、これは原則として旅費も支給するということに相なっております。
  180. 受田新吉

    受田委員 それが事実問題としてなっていないのです。委員会に出ているすべての議員は一文ももらっておりません。これはきわめて明瞭であります。こういうところにも委員会の運営に非常な欠陥がある。誠実をもって努力しようという人々に対して手落ちが起っておるということを一つ考えていただきたい。御調査をしていただければきわめて明瞭なことであります。  もう一つ内閣に属する補佐機関というのが、昨年御承知のようなりっぱなものかできて、今日開店休業になっているわけでありますが、そういうようなものとこの総理府の付属機関との関係を調整される必要に迫られておりませんか。
  181. 岡部史郎

    岡部政府委員 御承知通り、先ほども条文を申し上げましたが、内閣法十二条によりまして、法律の定めるところにより内閣には補佐機関を置くことができるわけでありまして、いろいろなこういう機関法律の定めるところによって設けられることがあるわけであります。現在内閣に設けられておりますその種の機関といたしましては、外貨予算を決定するための閣僚審議会、それから憲法調査会及び国防会議がございますが、これらはいずれもやはり内閣が政策を決定するためのごく高いレベルにおける内閣の諮問機関として、その重要性を認められて設けられたものであろうと存ずるものでありますが、その他の付属機関につきましては、やはりこれを総理府に置いて諸般の関係行政の調整に当り、及び民間の方々の御意見を承わるというのが筋だろうと思うのでございます。現在直ちに内閣総理府との間を調整するというほどのまだ必要はなかろうと思うのでありますが、これが乱に流れてはいけない、こういつも考えております。
  182. 受田新吉

    受田委員 この付属機関というものは油断をすると軽視される機関になるのです。だからといってこの内閣に直属する機関としての国防会議とかあるいは憲法調査会、こういうものは大事にするが、あとのものは軽くするというわけにもいかない、従ってこういつた機関ができている以上は、この機関が十分生きて動かなければならない、生きて動くことができないような機関、たとえば憲法調査会のごとき開店休業になっているような機関は何とか整理しなければならぬ、こういうことになるわけです。これは国務大臣としての大久保さん、憲法調査会という開店休業の機関が今内閣にあるわけです、これはかりそめに考えるわけにはいかないのでありますが、これは一体どうしたことかということをお尋ねしたいと思う。
  183. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 憲法調査会の問題でちょうど今御質問のような批評がぼつぼつあることは聞いております。しかしまた一方考えてみますると、鳩山内閣の末期にできたのです。それから石橋内閣に移り岸内閣に移りわずかな間に内閣が三つもかわっている、これは腰を入れて委員を選考する余裕がなかったのですが、ようやく岸内閣ができまして腰が落ちつきかかっておりますからして、今せいぜい急いでおりますから、そのうちにできることと思います。従って運営も活発になってくることと思っております。
  184. 受田新吉

    受田委員 ぜいぜい立て直しに努めておられるということですが、憲法調査会のような批判の多い機関内閣にできておるわけです。少くとも内閣に画属する機関あるいは総理府の府属機関とかいうものは、多数の力で押しまくってでき上ったというような形のものがここへ出てくると問題が起るのです。少くとも党派を越えた結論として生れたような機関が生れるべきものだと私は思っているのです。従って総理府に置かれている諸般の付属機関などを拝見いたしましても、この中に国会の激しい反対を押し切って出たというような法案がどれだけあるかというのです。一たび法律となって、あるいはこれに入れられている以上はもう御研究になっていないかもしれませんが、そこまで心を配って国民の声がどう動いた付属機関であるかということを研究しておられるのが、われわれめパブリック・サーヴァントとしての政府責任だと思う。ちょっと一覧されたうちでどういうふうになっているかお答え願いたいと思います。
  185. 岡部史郎

    岡部政府委員 お手元に差し上げました総理府に設けられております審議会につきましては、御指摘のような問題のあるものは見当らないのでありまして、むしろ国会の熱心なる御審議によりまして成立したものがこれらのほとんど全部であると了承しております。
  186. 受田新吉

    受田委員 大久保さん、国会の総意によって設けられたような付属機関は実効を上げることができるのです。国会において激しい対立の上でできたような機関は開店休業の状況になって、たくさんの職員を雇い、一千万円をこえる費用をむだづかいにしておられるという結果になってくるのです。十分身にしみておわかりになったと思うのです。なお憲法調査会に関連して私はここでちょっとだけ、あなたは国務大臣で閣内における政治責任の連帯的な立場に立たれておると思いますので、その後閣議がどうなったかをお聞きしたいのですが、五月三日の憲法十周年記念日はやることになっているのですか、あるいはなっていないのですか、これは閣僚としてどういうふうに決定されたか御報告願いたいのです。
  187. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 政府は党と相談の結果、ことしは一つ見合せようじゃないかということになっております。おそらく見合せになることと存じております。
  188. 受田新吉

    受田委員 あなたはこの機構の上の責任者でいられる大臣でありまするから、当然憲法調査会はあなたの所管の機構の中に入ると思う。その憲法調査会もまだ発足しないのみならず、憲法かできて十周年になる記念すべき日に何ら国としての行事ができないという状況で、あなたは憲法上の九十九条に指定された国務大臣として、憲法を尊重する国務大臣として職責が果せると思いますか、お答えを願います。
  189. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 与党及び閣僚の間にはやろうという意見もあったのです。しかし多数が、これはことしばかりじゃないんだ、過去数年もやらぬのからしてことしだけ取り立ててやるのもどうかという議論があったので、取りやめることになったと思います。
  190. 受田新吉

    受田委員 過去数年はやらなかった。しかし今度は満十周年記念の歴史的な記念日なんです。すべてのこういう行事は十年、二十年という一つの区切りによってそれぞれ意識を高める行為が行われておる。十周年です。過去二、三年間やらなかったというだけでなくして、十周年という記念すべき日を、憲法を尊重すべき立場にある国務大臣たちが、与党と相談したらやらないという空気の方が強かったから引っ込めるということは、これははなはだけしからぬ考え方だ。どうですか大臣、今からでもおそくない。今から即座に閣議にかけてこれを決定されるほどの誠意はないか。あなたの御所管にも関係するからお答え願います。
  191. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 私は民主政治を主張します。従って、多数決に従います。多数の意思がそこにあります以上は、私はそれに従うよりほかはないと思います。
  192. 受田新吉

    受田委員 政府与党の中の多数決、これは問題です。政府与党の中にもやってはどうかという意見もある。岸総理も、原則としてそればけっこうなことであるが、どういうふうにやるか目下検討中であると答弁された。そこまで言っている。だから議員全体を考えたならば、政府与党の賛成者と野党の賛成者を合計したならば、民主主義の多数決で行くならば、これは当然そういう方向に行かなくてはならぬ。行かなくてはならぬよりも、第一、やるかいいか、やらぬがいいかという問題を、与党のなによりも政府自身の手においてやるべきであって、憲法を守る、憲法の玄関番である政府が与党の鼻息をうかがいながらやるというようなやり方は、筋が違っていると思うのです。むしろ政府自身の手で計画されてけっこうな問題でなかったかと思うのです。いかかですか。
  193. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 こういう問題を政府が独自の立場で勝手に主張するよりも、政府も党も一体のものでありますから、やはり相談して、多数決の原則に従ってやるのが一番いい方法ではないか、こう思っております。なお議会を通じて多数、少数の話が出ましたが、私はやはり自由民主党の方の頭数が多いと思って、これに従うのが正しい道だ、こう思っております。
  194. 受田新吉

    受田委員 それはやぼな御意見ですよ。自由民主党の中にも、やろう、やらないという三つの意見あるのだということになれば、それは野党の立場考えていくならば、当然幅の広い立場でこの際記念日をやるべきですよ。与党と野党とけんかしたらおれの方が多いからやってこいというのは、前に清瀬文部大臣がたんかを切られて、すぐ調査会の担当国務大臣をおやめになったことを御存じと思うのです。従って政府としては、憲法を守る立場にある国務大臣としては、それは何かの形でやるべきじゃなかったかと思うのです。今からでもやる気はありませんか。今はまだきまっていないということでありましたが、全然やらぬという腹にきまっていないということになれば、これから直ちにお諮りしていただける余裕があるかどうか、お答え願います。
  195. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 まだ確定ではございませんけれども、さきに話したのはざつくばらんの内容を申し上げたのです。今までの現況では、閣僚及び党を通じてやらぬ方の空気が強いのですから、これに従うつもりであります。
  196. 受田新吉

    受田委員 たよりない国務大臣ですね。これでは、政府は一度きめたことを与党に相談したらけられたからもうやらないのだということでは、国民も非常に失望しますよ。憲法改正とかあるいは擁護とかいう問題じゃないのです。高い立場でこの問題は考えなければならぬ問題だと思うのですが、まことにあさはかな方々であると嘆かざるを得ません。  もう一つ内閣法の一部改正法案に移ります。この法案は総理府設置法の一部修正にも及ぶわけでございまするが、内閣法と総理府設置法とかね合せて考えますると、内閣の官房長官に当るところを総理府の総務長官を置くというわけなんです。この総務長官というものは、総理府全般の所掌事務を統轄する機関、そこの最高責任者である、こういうことになっておると思うのでございますが、しからば総理府外局の所掌はどうなるか、こういうことでございます。国務大臣を置く外局の所掌は、それは国務大臣がおるので遠慮するということになっておるようですが、この関係一つはっきり示していただきたい。
  197. 岡部史郎

    岡部政府委員 このたびの改正法の第十九条の三項におきまして、その点を明瞭にいたしておるわけでありまして、総務長官は、総理府外局のうち法律国務大臣をもってその長に充てることと定められている外局を除きまして、その他の外局及び内局の所管の事項につきまして、政策及び企画に参画し、政務を処理し、各部周及び機関事務を監督することをその任務といたしてあります。
  198. 受田新吉

    受田委員 総理府の外周のうちで国務大臣をもって充てる、すなわちそれぞれの設置法の中に長になる人を国務大臣をもって充てるその長だけは所掌外に置くということでございますが、しかし総理府全体の統制をとる必要上、総理府連絡調整機関としての総務長官というものは考えなかったのですか。
  199. 岡部史郎

    岡部政府委員 その点もお説の通り、そういうことになっております。
  200. 受田新吉

    受田委員 どういう文章で書かれてありますか。
  201. 岡部史郎

    岡部政府委員 「総務長官は、内閣総理大臣を助け、府務を整理し、」という意味におきまして、そういうことになっておるわけでございまして、一例を引きまするならば、予算につきましては各外局全部の予算総理府総務長官の手元から大蔵省に行くというようなことにおきまして、府務の整理が行われるわけであります。
  202. 受田新吉

    受田委員 府務の整理ということになると、その整理の際において外局の長を制約することになりますかどうですか。
  203. 岡部史郎

    岡部政府委員 制約という言葉は語弊があろうかと思うのでありますが、今受田委員のおっしゃられた総理府全体の統一性を保つという意味と、また手続の意味から申しまして、やはり総理府総務長官というものは総理府全体に薄い幕をかぶせるということに相なります。
  204. 受田新吉

    受田委員 総理府全体にかすかな幕がかぶせられるということになりますると、予算獲得等において、総務長官の地位は、外局の長である国務大臣たちにも、ある程度実質上の制約を与えることになる、実際問題はそうなるというふうに了承してよろしいかどうか。
  205. 岡部史郎

    岡部政府委員 その場合におきましては、予算獲得におきましては、各外局の長が実際問題としては直接当り、総務長官が広い立場においてこれを助けるということになるのでありまして、そこに総理府一つ行政機関としての統一性が得られるわけであります。それを制約とお考えになるのは少し筋が違おうかと思います。
  206. 受田新吉

    受田委員 制約ということは、そこにある程度の気がねもあるとか、きげんをとらなければならぬというような問題が起るわけです。しかし私がまず一つ指摘しなければならぬことは、外局の長である人は国務大臣なんですから、閣議で予算の折衝などもやっているのだし、国務大臣として実力を発揮しているのだから、そのように総務長官に庁務の整理のために、府務の整理のためにふむふむといってうなずくような調子にならぬと思うのです。総務長官がその外局の長官である国務大臣を簡単に動かすということは、実際できないと思うのです。私はそういう問題よりもまだもっと大きな問題があると思うのです。それは今府務の整理ということをあなたが指摘されたのでございますが、総理府という大きな役所の中に、外局国務大臣をもって充てるのが四つも五つもある。そうした大きな幅の広い仕事をやっており、各省に譲れない、全体としてやらなければならないような国務の統轄をするということになると思うので、少くとも外局国務大臣を置いているような役所を幾つも持っている総理府としては、その間の国務大臣の連絡調整を他の意味でやる必要がある。それは現に防衛庁のごときは、外局とは青いながらこれは一省以上の実力を持っておるのです。行政管理庁なども、行政管理の職責は非常に重大ではあるけれども、実質上ははなはだ弱い存在として、わずかな職責をかかえて、地方にも出先機関がありましても、各省行政管理事務勧告を出されてもへのカッパで、ほとんど問題にされておらぬ。そして各省は独自の見解汚職をなさっておられる、不正行為をしておられるということになっている。そういうものをささやかな総務長官などで――しかも国務大臣をもって充てることができることになっているから、国務大臣でなくてもいいわけです。現在の官房長官と同じことです。非常な弱いものがそこへ出て、偉い国務大臣を幾つもかかえておる総理府の連絡調整機関をお勤めになるのは、容易じゃないと思う。むしろそういうものよりは、高い立場総理府全般の事務を常に公平にあらしめるように、縁の下の力持ちのような考えで、これをまとめていくという努力をなされる存在じゃないかと思うのです。だから高飛車にそこに出た機関ではなくして、いわば総理府のいろいろな問題を調整する番犬――番犬では大へん失礼ですが、番頭ですね。小さな番頭としてつつましやかにやっていく立場機関じゃないかと思うのですが、そうじゃないでしょか。
  207. 岡部史郎

    岡部政府委員 お説大へんごもっともな点もあるのでございますが、総務長官は一面におきましては、総理府内局行政事務、あるいは恩給に関しましても重要な問題がございます。ことに給与に関してはなお一そう大きな問題もございます。人事局かその下にできますならば、なお一そう大きな使命を負う、そういう点につきましての大きな任務を持っておりますが、他面におきまして、やはり府務整理するという意味におきまして、今受田委員のおっしゃられたような任務を果すことに相なろうと思うのであります。総理府というものは御承知通り国務大臣が長官である庁が六つもございますし、あるいはその他独立的な性格の強い外局行政委員会も四つ、五つあるというような状態でありますので、こういういわば遠心的傾向に対してこれを求心的な方向に持っていくということもやはり総務長官の一つの任務ではなかろうか、こう存じます。
  208. 受田新吉

    受田委員 従って副長官というものの存在は、これはまた微妙なものがあるのであって、予算関係に一人ほど考えたいというようなことで、またそこへ副長官を一人考えておる。こういうことは非常な念の入ったやり方でございますけれども、これは総務長官がそういう形に置かれておる場合に、副長官の任務というものは一そう繊細な形になると思いますが、副長官の事実上の仕事というものはどういうことになるか、どういうことを想定されますか。規則としてでなく、実際問題としてお答え願いたい。
  209. 岡部史郎

    岡部政府委員 副長官は全面的に総務長官を助けることになっております。
  210. 受田新吉

    受田委員 副長官の問題はこの間石橋委員からも聞かれたようでございますが、この特別職と一般職との分類の仕方にはいろいろ問題があると思うのです。これは政治的責任という意味事務責任という意味と分けて考えた場合に、そこに分類をされた理由をもう一度明らかにしていただきたい。
  211. 岡部史郎

    岡部政府委員 総理府には先ほど申し上げました通り、きわめて多岐多端な幾つかの重要性のある行政事務がありますので、これを分担する各局長を指揮監督して、総務長官を補佐するという意味におきまして、行政事務的にも練達堪能なものでなければならない、そうそう点から政治責任を持つ総務長官のもとに一般職の副長官を置くという構想でございます。
  212. 受田新吉

    受田委員 副長官は一名ですね。その一名の副長官は、これは任免権はだれが最終的に持ちますか。
  213. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは総理府職員でございますから、総理府の長である内閣総理大臣が任命権を持ちます。
  214. 受田新吉

    受田委員 総務長官は総務副長官に対してどういう権限を行使し得ますか。
  215. 岡部史郎

    岡部政府委員 総務長官は副長官に対しまして、これを監督するわけでございます。
  216. 受田新吉

    受田委員 副長官の任免権を総務長官に与える必要が実際の運営において起りませんか。
  217. 岡部史郎

    岡部政府委員 実際の必要と申しますよりも、これは国家公務員法の適用を受けまして、すなわち第五十五条の任命権の規定の原則の適用を受けるわけであります。この第五十五条によりますと、総理府及び各省職員の任命権は各大臣に嘱するわけであります。ただその任命権を大臣が一挙にこれを実施するのではなくて、部内の上級の職員委任することができるということになっておりますから、総理大臣の任命権を総務長官に委任する、あるいはそれをさらに下級の者に委任するということは考えられますけれども、副長官クラスの高級の職員の任命権を総務長官に委任するという必要は、実際問題としてなかろうと存じます。
  218. 受田新吉

    受田委員 各種の事務次官を任免するのは各省大臣であると私は了解しておりますが、間違いありませんか。
  219. 岡部史郎

    岡部政府委員 その通りでございます。
  220. 受田新吉

    受田委員 しからば総理府の事実上の責任者であり、府務の責任者である総務長官に、総理府職員の任免権を委任することが、どうして不当でございますか。
  221. 岡部史郎

    岡部政府委員 仰せのように各省大臣が次官の任命権を持つというのを総理府に引き比べてみますならば、総理権を持つ総務長官及び総務副長官の任命大臣がということに該当するものと思っております。
  222. 受田新吉

    受田委員 ここに非常にまた問題があると私は思います。総理府の府務を総務長官にさせることがきまった以上は、総理府職員の問題まで総理大臣が一々これに権力を発動することなくして、内務の統制責任者である総務長官、しかも国務大臣をもって充てる機関であるのだから、その機関が自分の下で動いておる事務次官に当る副長目を任免することは、これは行政運営の上において私は妥当であると思う。一々総理につながる総務長官、総理につながる総務副長官になって、総務長官は総務副長官に対して直接の指揮監督権はあっても、任免権のない形で、はなはだ弱い地位に総務長官は置かれると思う。しかも行政面の責任者である副長官が一般職の立場からでんとして控えておるという形になれば、より一そうそこに微妙な関係が生ずると思うのでございますが、総務長官に対する権限を付与する。国家公務員法五十五条の任免権者の委任をするということを、将来でもいい、考える余裕があるかどうか、お答え願います。
  223. 岡部史郎

    岡部政府委員 お言葉を返すようですが、任命権をどこに置くかということはきわめて重要なことでございます。そういう意味におきまして五十五条が慎重に考えられてできているわけであります。また改正前の公務員法の五十五条を考えましても、これは受田委員御存じの通りでありますが、昔公務員法の当初の場合におきましても、大体一級の官吏は内閣総理大臣ということにもなっておりますし、やはり高級官吏というものの任命権は内閣総理大臣に残しておくのが私は筋が正しいことだろう、こう考えております。
  224. 受田新吉

    受田委員 残りの質問はまた明日いたすことにしまして、ちょうど四時になりましたので、これできょうは質問を終ることにいたします。
  225. 相川勝六

  226. 北昤吉

    ○北委員 人事院を廃して内閣内局人事局を設けるというのですが、浅井総裁など果して人事局長になりますか。政府が進めても私はならぬと思うんですが、どうでしょうか。
  227. 大久保留次郎

    大久保国務大臣 それは実際問題でありますが、浅井さんは局長でなくて、新しくできます人事委員会委員長になる予定でございます。
  228. 北昤吉

    ○北委員 それならわかりますが、浅井君は私もよく知っております。慶応大学の憲法の先生で、国体明徴問題のときに辞職した人です。鳩山さんが自由党を組織したときに、安藤正純君が初代の政務調査会長で、今度日本で憲法を作らなければならぬというので浅井君を憲法調査会長にした。私はその下に会員になっておりました。安藤君がその後追放になりまして、マッカーサー憲法の試案が出てから私がかわりましたが、浅井君はりっぱな人で、英国憲法についてはことに造詣が深くて、鳩山さんは非常に信頼しておった。鳩山さんが追放にならぬで内閣組織するときには、美濃部さんを憲法改正の主任大臣に頼もう。美濃部さんは、明治憲法は変える必要はないという意見を持っておって入閣をしない。それで浅井さんにかえようかという意見があった。それほどりっぱな人であるから、人事院総裁にはなるけれども、今度設けられる内閣内局にある人事局長にはなるまい。浅井さんは御承知のごとく吉田内閣のとき人事院総裁になって、片山内閣のときにも藤田内閣のときにも鳩山内閣のときにもずっと継続しております。これは非常に人望のある人で、公平無私の人であるから、こういう人は人事院であろうと人事委員会であろうと、私は失ってはいかぬと思う。これは日本には珍しい、政争を超越した――保守的は保守的の人であるが、英国的な思想家だから、私は人事委員会委員長になられることは非常にけっこうと思います。これはそういうふうにお願いします。
  229. 相川勝六

    相川委員長 それでは本日はこれをもって散会いたします。あすは午前十時より開会いたします。    午後四時五分散会