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1957-03-29 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十九日(金曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君    理事 福井 順一君 理事 保科善四郎君    理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君    理事 受田 新吉君       大坪 保雄君    大村 清一君       北 れい吉君    田中 龍夫君       眞崎 勝次君    粟山  博君       山本 粂吉君   茜ケ久保重光君       飛鳥田一雄君    有馬 輝武君       淡谷 悠藏君    片島  港君       森本  靖君    西村 力弥君       横路 節雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松浦周太郎君         建 設 大 臣 南條 徳男君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 田中伊三次君  出席政府委員         内閣官房副長官 田中 榮一君         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠男君         人事院事務官         (事務総局給与         局次長)    慶徳 庄意君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   大山  正君         行政管理政務次         官       楠美 省吾君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         総理府事務官         (自治庁行政部         長)      藤井 貞夫君         検     事         (大臣官房調査         課長)     位野木益雄君         外務政務次官  井上 清一君         外務事務官         (大臣官房長) 木村四郎七君         外務事務官         (大臣官房会計         課長)     中川  進君         大蔵事務官         (大臣官房長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     内藤譽三郎君         建設事務官         (大臣官房長) 柴田 達夫君  委員外出席者         防衛庁人事局調         査官      山本壮一郎君         外務事務官         (大臣官房総務         参事官)    後宮 虎郎君         外務事務官         (大臣官房人事         課長)     広田しげる君         大蔵事務官         (大臣官房文書         課長)     谷村  裕君         文部事務官         (大臣官房人事         参事官)    田中  彰君         農林事務官         (大臣官房文書         課長)     松岡  亮君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十九日  委員下川儀太郎君辞任につき、その補欠として  森本靖君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月二十九日  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇四号)(参議院送付) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一〇四号)(参議院送付)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八八号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)     —————————————
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。淡谷悠蔵君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は農林省関係定員の問題で質問したいと思うのであります。一体農林省の最近の仕事は以前よりもはるかにふえているように承わっておりますが、仕事の量は以前よりふえておりますか減っておりますか、それを二つ確かめておきたい。
  4. 楠美省吾

    楠美政府委員 淡谷委員の仰せのように、農林省仕事につきましても私は減ってはいないと思っております。予算も昨年より少しふえておるわけでございますから、減っていることはないと思います。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 仕事は確かに増しておりますし、特に去年、おととし、さきおととしという工合に、例年の災害の際にも各地方からあがって参りますいろいろな災害調査が信用されませんで、農林省の直接に指導監督する統計事務所等資料が信用されている。この資料が、定員不足のために大へんにずさんなものになっている場合もたびたびあるのでございますが、一体この定員は、農林省仕事年ごとに多くなっているのに対して、これまでどの程度に増員しておりますか。仕事量増加に伴って定員もふやされておるかどうか、その点の御説明を願いたい。
  6. 岡部史郎

    岡部政府委員 御承知通り農林省は非常に広範な仕事をしておるわけでございます。それに伴いまして職員定員法上の定員六十四万の一割以上に上ります七万余の定員をかかえておるわけであります。この七万余の定員の適正な配置によりまして、農林省仕事を重点的にうまくやっていくように、毎年配置転換あるいは必要な部面の増員というようなことをやって参っているわけでございまして、本年御審議いただいております定員につきましても、特に増加はございませんけれども、重点を向けている部面にそれぞれ配置転換を行なって、仕事に支障のないように取り計らっております。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これまで農林省行政整理等によって人員をだいぶ整理されておりますが、一体何回くらい人員を減らし、どういう理由でこれを減らしたか御答弁願いたい。
  8. 岡部史郎

    岡部政府委員 戦後の行政整理におきましては、大きな整理だけ申し上げますと、第一回が二十四年、第二回が二十七年、第三回が二十九年、この二回でございます。この三回におきまして政府職員総数について申し上げますと、二十四年においては約二十万、これが一群大きな行政整理でございました。これは戦時中から戦後にかけまして膨張し過ぎた政府職員整理を大規模に行なったわけでございますが、次いで二十七年に約九万人を整理いたしております。それから二十九年におきましては約六万人の整理を行なっておるわけでございますが、これは各省を通じましてそれぞれの仕事職種に応じまして、一定の割合で整理を行なっております。  農林省について申しますと、最近の二十九年の整理におきましては、いろいろな部門について整理を行なったのでありますが、約七%の整理を行なったと承知しております。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうしますと仕事はだんだんと増加しておりますのに、定員は減らされておる。以前は非常に不要な人間がたくさんおったというふうに言われるのですが、私は役所として不要な人間を二十万、三十万置くはずはないと思う。これはむしろ予算等に縛られて、実際必要な人数を切ったような傾向があると私は思うのですが、そういう点はございませんか。あくまでも合理化によって何ら省の仕事が停滞していない不合理な点もないというふうにお考えになっておりますか。
  10. 岡部史郎

    岡部政府委員 戦後の数度の行政整理におきましては、いろいろな事情がございます。ことに戦後におきましては、戦時中及び戦後の特殊事情から機構が膨張し、職員が大量に上るということは各国共通してのことでありますので、これはひとり日本だけではありません。世界各国を通じて大規模整理が行われたわけでござまいす。二十四年の二十万の行政整理というのはまさにそういう事情もあるわけでございます。その後さらに二度、三度ということは、これは各国共通して行政整理をやらざるを得ない、再建の悩みというものがあったと思うのであります。それぞれの省の立場から申しますならばなかなかつらいことでありますが、国家全体として再建のためにできるだけ行政機構を縮小し、人員を縮小し、そうしてこれの能率を上げてやっていくという、職員側からいえば、あるいは当局側から申しましても必要最小限度人間事務能率を上げる、こういう見地から難きを忍んでこの行政整理をやって参ったというように御了承願いたいと思います。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 しからばその整理は何年まで整理をするつもりでありますか。なおこの後もそういうような冗員の整理を行うつもりであるか、あるいはもう終っておるのであるか、そのけじめをはっきりつけてもらいたい。戦後もう十年以上たっておるのでありまして混乱期も終っておるのですから、この辺ではっきりした合理的な定員というものがきまってもよいと思います。まだ整理が続きますか。
  12. 岡部史郎

    岡部政府委員 二十九年の整理は二カ年にわたりまして、二十九年から三十年にかけて完了いたしたわけであります。それで最近の整理計画は今のところ終っておるわけでありますが、今後さらに人員整理を行うかどうかということは国の政策に関係してくることでありまして、ある部門行政事覇は国として要らなくなったという政治的な決定をされます場合においては、それに従事する職員整理ということは、他の必要の部門配置転換を必要とする場合のほかは起ることだろうと思うのであります。これはそのときの国民及び内閣決定をする大きな問題であろうと思うのであります。現在その点については何ともお答えいたしかねますが、現在のところは人員についての行政整理計画はございません。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは伺いますが、昭和三十年から外国食糧輸入検査新規事業として設けております。特に外国食糧サイロ等を横浜などに建設しておる。しかも食糧庁はそういう新しい事業に対しまして、正規職員を四百五十名要求しておりますが、もうすでに不要な部分は切ったのだとするならば、この事業の拡張による新しい要求は当然受け入れるべきであると思うのでありますが、これを受け入れましなかどうかまずお聞きしたい。
  14. 岡部史郎

    岡部政府委員 このサイロ建設についてはいろいろ問題があるわけでありますが、淡谷委員に特にお考え願いたいのは、この役所というものは一つの仕事がふえたからその部門に必要な定員をそのまま要求し実現するというのでは、役人はふえる一方でありますので、結局サイロ事業と申しますのは食糧管理制度の一環でございまして、必要な人員もごくわずかであります。二万五千人の食糧庁職員の中から二十五人や三十人の定員配置転換ができないはずはないと私ども考えておりますし、そういうようなことによってそちらの定員も充実しておるはずでございます。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 首を切るときには無用だからと言って首を切っておいて、必要な場合には役所都合で増さない。そのしわ寄せば一体どこに参りますか。労働加重ではありませんか。あるいは仕事のずさんな結果を招く。あなたはそうおっしゃるけれども、首を切った瞬間から定員法ワクに入らない非常勤職員あるいは雇用労働者等が莫大に増加しておる例があることを私は承わっております。この定員法によらざる非常勤常勤といったような職員、あるいは単なる雇用労働者の数がどれくらいふやされておるか承わりたいと思います。
  16. 岡部史郎

    岡部政府委員 行政整理によりまして減った人員あるいはやめさせられて十割増しの退職金をもらった職員が、そのまま形を変えまして、定員外職員になるというようなことは、政府をあざむき、国民をあざむき、あるいは国会の御審議をあざむくものでありすして、そういうことはほとんどない。特別な事情によりましてその後雇われる場合は別といたしまして、そのようなことはあり得ないこと、私はこう考えております。ただいろいろな事情によりまして、臨時仕事がふえてくる、あるいは賃金でするのにふさわしい仕事かふえてくるというようなことがあろうかと思うのであります。そのようなために常勤労務者あるいは常勤的な非常勤職員というものが発生して参るわけでありますが、農林省におきましてはその数字が相当な数字に上っていることは御承知通りであります。現在におきましては、農林省所管事務のうち公共事業につきましては、常勤労務者が二千四百名あるいは農産物検査については、三千名、それから国有林野特別会計については約一万一千名、こういうような数字になっております。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 行政整理を行われました職員がそのまま非常勤職員に変っておるか、あるいはその手不足を埋め、安い労賃で使うために暗黙のうちにそのような労働者がふえておるか、私はこれは問題外だと思う。ただ現実に農林省の場合、約三万者を超す者が、そういう定員法によらざる労働者として入っておる。私どもの調査では三万四千名になっております。これは若干違うかもしれない。これらの非常勤職員手不足のために臨時雇用されており、ます労働者一体どういう待遇を受け、どういう状態に置かれているか、お調べになったことがありますか。役所都合はそれでよろしいかもしれない、予算は減るかもしれない。しかし雇用されました人たちが実際こういう国の仕事に従事しながらどのような待遇を受けておるか、その点お調べになったことはありますか。
  18. 岡部史郎

    岡部政府委員 定員外職員がどういう事情で発生するかということが根本でございますが、これはいろいろでございます。非常に合理的と思われる事情もありますし、因襲、因縁、事実による不合理的な事情によって発生する面もあるのであります。このことは常勤的非常勤職員といわれる者についても同じであります。でありますから、これらの取扱いというものは非常に問題なのでありますが、ただ常勤労務者として雇われております職員というものが相当多数に上る。これらの職員に、使っている以上やはり喜んで働いてもらう方法も講じなければならぬ、またこの人たち能率を上げてもらう必要もある、こう考えておりますので、年来その点については関係当局と努力して参りまして、現在のところ常勤労務者といわれますこれらの職員は、定員外職員とその処遇においては全く同一であります。あるいは職権の行使につきましても全く同一であります。それからたとえばこれは淡谷さんよく御承知と思いますけれども、農林省食糧事務所検査官の手が足りない、常勤労務者を使わなければならぬという場合におきまして、自分たち常勤労務者として食糧検査に行くのにはどうも格好が悪いということでありますが、これはやはり当該官吏として、食糧検査官として出て行くようになっております。それからこの新年度からは、常勤労務者というものはふさわしくないと思いますので、これも常勤職員という名称に改めております。ただこれはあくまで臨時職員であるという意味をもって、二カ月以内の期間をもって雇用されるという定員法上の原則がございますから、これは取っ払うわけにはいきませんが、それ以外につきましては、全く同じような待遇を与えておるわけであります。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこが重要な問題であります。事実上は数年もしくは十数年連続しておる労働者がいる。それが定員法によって二カ月きりで首を切ってはまた頼む、また首を切っては頼む、そういう形にしますと一体どういう結果が招来されるか、なおこうしたいわゆる非常勤的常勤という人以外に、全く封建的な搾取状態におかれておる多数の林野庁関係現場職員があるということは、何としてもあなたはいなまれないだろうと思う。これはございましょう、その点はどうです。
  20. 岡部史郎

    岡部政府委員 お言葉をお返しするようでありますが、私は林野庁職員は、封建的の搾取を受けておるなどとは考えておりません。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは実例を申し上げます。はっきりした実例を申し上げますから、こういう事実があったかなかったか、責任ある御答弁を願いたい。あなたがはっきり自信を持って言われるならば、具体的に例を申し上げましょう。ただし、この資料名前は私持っておりますよ、名前は持っておりますが、この資料名前を発表しますとすぐ首になるのです。そういうのが第一封建的だ。労働組合の組織も持たず、身分の保障もされていない。ただ二カ月間勝手に雇用されたという第一条件のために、これはすぐ解雇されます。私は手元にはありますけれども、この席上で姓名を発表しませんが、無責任な資料ではございません。まずこの人たちが頼まれていまして、恩給、退職金、そんなものはむろん適用されない。それから雇用関係なども全く正規雇用関係になっていない。この事実があることをまず申し上げておきたい。  一例を申し上げますと、たとえば三十一年の一月からその十二月末まで継続雇用されまして、各月とも二十二日以上継続就労しておる。退職金を三千円支給されたとした場合、本人の失業保険金の日額が三百円であったために、退職金失業保険金の十日分に該当する理由で、失業保険の金の支給総日数から十日を差し引かれておる。それからこの失業保険金が支払われる場合に、普通の場合であれば翌日これは支給されていることになっておりますが、これの労働者には早いので一カ月後、おそいのでは三カ月後になってようやく支給されておる状態だ、これはまだ軽い方なんです。気の毒なのは公務災害の場合です。御承知通り林野関係労働者というものは、大へんに危険な仕事をしております。この人たち労働基準監督署管轄外になっておるというので、公務災害がほとんどやみにはうむられておる。幾ら監督署に泣きついても、権限外であるという一言で断わられてしまっておる。そんな状態で泣き寝入りになっておる場合が大へん多いのであります。  さらに安全競争という無災害を記録するための競争が行われておりますが、この競争なども、とても自衛隊の死の行軍とまではいきますまいけれども、かなり峻烈な方法でその安全競争をやらせまして、万一その競争がうまくいかない場合に、主任が成績を上げるために、公務災害にかかっても、かかったと言わないでくれと強制しているのであります。もしそれをしいて申し出せば直ちに首を切るか、次には雇わない。二カ月ですから簡単にできるのです。地元の労働者はこういう主任を何と言っておるかと申しますと、庄屋と言っておる。班長までが庄屋と呼ばれております。こういう労働の実態が枚挙にいとまないほどあるのでございますが、こういう点は全然ないとあなたは仰せられるか。まだほかに例がたくさんあります。この点はどうですか。
  22. 岡部史郎

    岡部政府委員 淡谷委員のお尋ねは常勤職員、つまり常勤労務者とそれ以外の非常勤一般とを混同しておられるのじゃなかろうかと思っております。私が第一に申し上げたいと思いますのは、二カ月以内の期間を限って雇用される常勤労務者といわれますものは、きのうから御説明申し上げております通り一般職給与法適用を受けまして、何級何号という格づけになっておりますので、お示しのような事例に該当するものはない、こう今でも私は思っております。それから今お示しのような事例に該当するものがありとすれば、いわゆる非常勤職員で、日々雇い入れられているもので、その職種がどういうものかにつきましては、今お示しがなかったのでわかりませんが、あるいは炭焼きであるとかきこりであるとか、いろいろな種類があろうかと思うのであります。これは林野事業につきまして、いろいろな職種につきまして原始的な形態があるわけであります。そういうような原始的な形態職員について労働基準法適用しないで、国家公務員法一本でいくことが果して合理的なのかどうかということは、私きわめて検討の余地はあろうかと思うのでありますが、その種類についても封建的搾取と言えるかどうかということはまた別問題であろうと存じます。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は両方の種類のものを一緒に申し上げております。あなたは二カ月雇用ということを言われますが、二カ月雇用といったはっきりしたものがありますが、それがないので、実際の定員不足を封建的な雇用方法によってやっている実例があることを認めなければならない。あなたはないと言うけれども、二カ月雇用というもののほかに、こういう封建的雇用方法が現在特に林野労働者の間に行われている例はやっぱり認められると思う。これをあなたは合理的だと言われますけれども、予算などの関係でしいて定員ワクを狭めて、実際に必要な労働者職員を入れないことに起因している、こういう点はいかがですか。
  24. 岡部史郎

    岡部政府委員 林野特別会計雇用される職員というものは職種がきわめて多いのでありまして、これは時節によって違いますが、その事業費によりまして雇用される職員というものは、林野庁定員約二万人以外に、ときによりましては十五、六万、少い月でも十万を制、ることはないと思っておりますが、これらは全く賃金形態非常勤職員でありまして、いかなる場合におきましても、これを国家行政機関を構成する公務員として、定員ワクの中に入れるべき職種のものとは、われわれも考えたことがございませんし、当局考えておりませんし、組合側もそういうようなことを考えてないわけでありまして、これは全く役所構成員以外に考えるべき職種、こういうように考えております。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私は、そういう認識が今日までの定員法を大へんに不合理なものにしていると思うのです。やはり職員の数が少く仕事が多くなって、労働が過重になりますと、こういう雇用人夫のうちの若干も実際においては職員らしい仕事をする場合が間々あるのです。私が言っておりますのは山林労働者でありますけれども、山林労働者を使っております班長なんというのは、単なる雇用人夫でありながら、実際においては何年も十数年も連続して職についておりまして、それが公務員待遇を受けないからこういう雇用関係になってしまう。そういう点はどうですか、仕事が非常に多くなった場合は、必要な職員はやはり公務員法によりまして正規公務員に雇われた方が、私はこういう封建的な労働状態がなくなるものと考えておりますが、その点の考えはどうですか。
  26. 岡部史郎

    岡部政府委員 林野事業につきましては、これは御承知通り公労法適用を受ける職員が大部分でありまして、むしろ公務員法一本を適用するよりも、賃金その他勤務条件形態につきましては、団体交渉によってやる方が望ましい。しかも林野特別会計によってこれを経理するのだということになっておりますので、このような事業量に応じまして絶えず増減します職員、すなわち年間絶えず季節的に増減している職員が今お示し職員の大部分でありますので、そういう職員定員で規制するということは、これは実情に合わないこと、はなはだしいものと思うのであります。先ほど申しました通り、これらの職員勤務条件及び労働量に伴う人数その他は、団体交渉に基く勤務条件から割り出されてやる方が合理的なんじゃなかろうか、こう考えております。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の言い方が悪いのかあなたの聞き方が悪いのかわかりませんが、さっき言った通り、本来ならば公務員になるべき人間公務員にならない、そして実際は公務員仕事をしている事実があるということは、これは一体何に起因するかと申しますと、定員法に縛られてそういうものを公務員にするわけにいかない、いかないから公務員ならざるものに公務員仕事をさしているので、そのために一般労働者との雇用関係が非常に封建的なものになってしまう。何ら監督も受けない、恩恵も与えられないような状態になってしまう、そう私は考えるのですが、これはいかがですか。特に農林省仕事はそうですが、建設省も同様で同じ悩みがあると思う。今片島さんからもその例があるということを言っておられます。実際は公務員労働者雇用するので、その公務員労働者雇用するならばいいけれども、公務員手不足なために、現場の仕事公務員になれないような班長というようなものに頼んで、これに労働管理をさしている例が非常に多いのです。この班長というのは、あなたがおっしゃいますような、現実は決して短かい雇用じゃない。中には長いのは二十数年なんというのもあるのです。こういうのはむしろ公務員として、はっきり監督もし統制もして労務管理に当らした方が、はるかに合理的な山林労働者待遇ができると考えるのです。そういう点を私は聞いているのです。
  28. 岡部史郎

    岡部政府委員 私も、営林局の下部機構に働きます、今お示しの労務者諸君が数十年、あるいは親子代々にわたって営林局に勤務しているという実態も承知しておるわけであります。これらの職員というものは、その処遇を事務官、技官にするのがいいのか、あるいは具体的に申せば、御本人が工合が悪いときむすこさんがかわりに出られるというようなことも実際にやっておるようでありますが、そういうように実際その現場で都合よく働いて、しかも勤務条件がいいようにできる方がいいのかということは、これはやはり一つ考えなければならぬ問題であるわけでありまして、従って一つの組ができればそこに班長もできましょうし、そういうようなこともある程度まで、適当な監督組織のもとにそういう監督グループもできることだろうと思うのであります。それらの職員をすぐ定員の中に入れるのがふさわしいかどうかということは、これはなお検討の余地があろうと思っております。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その点が非常に私と食い迷う点なんです。あなたは林野庁の現場の労働者の中には親子代々やっている人もあるというのですが、これは封建的な雇用関係じゃないですか。親子代々使わなければならないような長期にわたるものは実力者ですから、かわりたての営林署長なんかそういう班長の前には頭が上りませんよ。それを公務員法によらずして放しておくから、この連中が勝手にふるまうということが起っておるのです。そのために幽霊人夫が出ております、ピンはねが出ております。これは実にたくさんあります。きょうは申し上げませんが、一々名前が出ております。中には療養の費用までピンはねをしておるような、具体的な営林署の名前がみんな出ておるのです。これは申しませんが、こういう労働関係を起すのは、あなたのおっしゃるような親子代々漫然として、役所と実際の労務者との間の労務管理に当るべき公務員公務員の資格を与えられていないことに起因すると私は信じます。あなたはそれをまだ疑っておる程度なんですが、明らかじゃないですか。十数年役所仕事をしながら、恩給ももらえない、退職手当ももらえない、こういうことになるならば、仕事のあるうちにできるだけ搾取しておこうといったような考えになるのは当然だと思う。その点はどうです。
  30. 岡部史郎

    岡部政府委員 この営林署の現場に使用される労務者というものは、地元の農村生活と密接な関係があるわけであります。生活がその地方の農村にあるというようなために、親子二代にわたって営林局に使用されているというような例があるわけでありまして、これは他の職種と違うためにこういうことが出て参っているわけであります。これは国鉄で親子二代が使われるというのとちょっと違うかと思いますが、必ずしも淡谷さんのおっしゃるように封建的だときめつけるわけにもいかないだろうと私は思います。そういうように地元と密接な関係がありながら、しかもその雇用形態というものを合理化する余地は、私はあろうと思っております。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私はあなたと封建制についての議論をここでしょうと思いませんけれども、具体的な例を言うと、営林署が三百三十四日分の稼働日数に相当する賃金を払っているのに、そうした公務員ともつかない庄屋ともつかない、あなたのおっしゃる非常に農村に密着した合理的な制度かもしれませんけれども、そういう人が百十八日の賃金しか労働者に払っていない、こういうような不明朗さがある。これは親子代々使っている人にはよく現われることなんですが、これもやはり肯定されますか。一つや二つじゃありませんよ。こういう雇用関係においてはしばしば出てくるのです。これも、封建的じゃありませんというならそれでもいいでしょう。封建的でなくてもいいが、こういう事実をあなたは許されますか。こういう事実が起る根本原因を、定員法の方からもう一ぺん考慮される気持はございませんか。
  32. 岡部史郎

    岡部政府委員 おそらく政府のいろいろな職種のうちにおきまして、林野関係職種がいいとか悪いとかは別問題として、一番原始的な形態を持っている部面が多いということは、淡谷さんの御指摘の通りに私も十分認めたいと思っております。従いましてそういう意味におきまして、その雇用形態合理化する余地がきわめて多いということもあろうかと思うのであります。林野関係の組合が終戦後結成以来努力している一つの重点も私、そこにあると承知しております。この問題は林野当局も努力しているように私承知しておりますので、ここ数年いろいろな基準ができまして改善が著しいと思っておりますが、なお改善する余地がある。もちろんそれに関連して定員法についても影響するところがあろうかと思いますので、その点は御意見を十分尊重いたしたいと思っております。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 今度は封建的でなく原始的と変りましたけれども、それはどちらでもよろしい。ともかくこういうふうな不明瞭な労働雇用関係、中間に賃金搾取するような機構を入れておいて漫然と認められておったら、これは近く爆発しますよ。これは全国に例がある。原始的なのはいいけれども、営林署の署長の何かの関係で、局長の指令を受けて山一つ売って、国へ代金を納めないようなまことに近代的な営林署も実際にあるのです。これは会計検査院の報告にある、いわんや全く公務員監督も受けないような班長が自由に人夫を雇用し首を切る、こういった形のものがいつまでもあっていいとはどうしても考えられません。あなたは林野庁で逃げられますけれども、他の場合もたくさんある。さっきもあなたが言いましたけれども、食糧庁の場合を見ましても、検査員が検査に行く場合に名前がなければ都合が悪いから名前をもらって行くというのでしょう。名前だけはもらいますが、この人は定員法に縛られて正規職員になっていない。私は林野庁だけだとは言わない。こんな点は一体どう考えられておりますか。林野庁で逃げられますけれども、各省にあるの一です。
  34. 楠美省吾

    楠美政府委員 いろいろ淡谷委員また岡部部長の答弁もございましたが、私は公務員定員法の問題は長い間やっていながら、いまだにはっきりした結論が出ていないのは非常に残念に思っております。常勤労務者常勤職員にしたりする程度は今もやっておりますが、公務員制度調査会などができて、その答申に従いましていろいろ目下作業中でございますが、やはりわれわれは単に答弁するだけでなくて、何としても常勤労務者問題は徹底して研究いたしまして、定員に繰り入れるとか、ほとんど同じ待遇をやっているのでございますから良心的な解決をして、来国会ぐらいには御審議願いたいと思っております。淡谷委員のいろいろ御熱心な御研究も承わりましたので、せいぜい来国会ぐらいにはその点で皆様の御審議を受けたい、りっぱな計画を持って参りたいと思っておりますから、どうかその点は一つよろしく御了解をお願いしたいと思っておるのでございます。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは次官の答弁ですから非常に政治性を持ってくると私は思いますので、率直に私からもお尋ねしたいのですが、これは定員法改正の問題じゃないのです。現在の定員法ワクの中に実際に必要な定員が組めないというのは、最近の農林当局が要求を入れられるほど強さがない点にあるのじゃないかと私は思うのです。一面からいうならば、大蔵省が予算関係上からだけ見て、各省のさまざまな要求にそろばんの上で大なたをふるうという根本問題に私はなってくると思う。この際審議したいのは、あなた方もつるし上げられるとかなんとかいうのではなしに、実際に臨時雇用の問題、非常勤の問題は、人数はほしいのだが、予算関係人数が取れないからやむなくこうしているのか、実際に必要がなくて首を切ったのか、こういう点は私はむしろ次官から率直に答弁してもらいたい。どうしても必要がないというのであれば、私はまた文句があります。必要はあるのだが大蔵省との予算折衝の面で何としても定員外にしておくというのであれば、これはまた別に考えがある。その点はどっちなんですか。さっき二十九年で整理は一応断行されたという。農林省仕事はふえているにもかかわらず、定員は決してふえていない。これは予算関係でしょうか。その点を確かめておきたい。
  36. 楠美省吾

    楠美政府委員 どうもだいぶめんどうでもてあますような質問に相なりましたが、やはりアメリカ等にも戦後フーヴァー委員会というりものができまして、ルーズヴエルト前大統領の時代にやったのでございますが、野党も与党も、大統領がかわりましても、あのフーヴァー委員会によっていろいろな機構改革と申しますか、大整理と申しますか、いろいろやった例がありまして、フーヴァーは幾たびもその委員会に起用されていろいろなアメリカの整理をやったことも聞いておるのでございます。必要がないから切ったのか、予算が足りないから切ったのか、その点になると非常なめんどうな問題になるのでございますが、やはりそこいらは、私は何も公務員に過労をしているような意味では毛頭ないのでございます。科学的な働きようと申しますか、やりようによって現在の職員でもまかない得るものだ。そうした正式に定員にも入れていいものを、あえて常勤の労務者その他にしておるというのは、それはその関係にある者の努め方が足りないといえばいいか、もっとはっきりした定員なら定員に繰り入れていいものじゃなかろうかと考えておる次第であります。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次官がもてあまされるような問題でしたら、大臣が来てから伺いますけれども、こうした無理が必然にしわ寄せになりますのが、過重労働の犠牲者だと私は思うのです。これははっきりわかっていると思いますが、ごく端的に申し上げまして、、結核による長期欠勤者は、二十七年から三十一年までどのような趨勢になっておりますか。これを伺ってみたい。
  38. 岡部史郎

    岡部政府委員 公務員全般におきまして戦後特に結核に起因する——これは戦時中からでありますが、戦時中から結核に起因する長期欠勤者が多くなりましたので、戦時中、昭和十九年でありますか、次官会議決定で、特に一年間の有給休暇を認めるというような措置をとったこともあるくらいでありまして、これは政府全体を通ずる大きな問題でございます。それで、この長期欠勤者を防止するために、各省とも健康管理にきわめて意を注いでおるのでありまして、近来におきましては、特に結核に基く長期欠勤率の多いという職場におきましても、その改善率が著しいものがあるのでありますが、それでも、昨日も申し上げました通り、現在各省を通じまして年間七、八千の長期欠勤者があり、人事院の調べによりますと、八七、八%までは結核に起因するものでありますので、この点は今後も健康管理にさらに意を注ぎまして、これを改善する必要があろう、こう考えております。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 やはり理屈はいろいろつきますけれども、結局起ってきておる問題は過重労働による健康の犠牲なんであります。これは起ってからあわててもしようがない。どんなに数字をくってみましても、農林省仕事というのはちっとも減っていないことは事実なんです。仕事は減っていないで定員を減らすという基本的な線に、こういう結核に限らずさまざまな間違いも起るし、結核になりたくないと思えばあるいは疑獄をやるかもしれない。何とかして自分の生活を保護したいという考えがある。私は、もっと大胆率直に現在の定員数では少い、こういう観点にお立ちになりますのが、この問題を打開していく基本的な線だと思いますが、その点まで断言できませんか。
  40. 岡部史郎

    岡部政府委員 この点はきわめて大きな問題でありまして、ここで私からかれこれ申し上げるわけには参りませんが、行政事務が激増してくるということは厳たる事実であります。ことに戦後の行政事務の激増というものは、私は著しいものであると思うのでありますが、ただ仕事がふえるから漫然と安い賃金人間を雇えばいいというような傾向は、むしろ改めなければならないのでございまして、仕事合理化し機械化するあるいは事務手続を改善するという方向、それから職員が熟練する、有能な職員を雇い入れるということによって行政事務を処理していくのが、むしろ根本態度ではなかろうか、人間だけをふやすということは下の下策である、私はこう考えております。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなたがそうおっしゃられるのがむしろ現在の姿ではないですか。仕事がどうにもならないから、臨時雇用職員というものでまかなっておる。普通の職員では長い間勤めるならいろいろ手当も出さなければならないし、昇給もしなければならない。二カ月交代ならば、二カ月の臨時雇用ができるのだから、それが数年続こうが、十数年続こうが、臨時雇用としてもっていこうという態度の中に、むしろあなたがおっしゃられたような、安い職員を使ってそして仕事を糊塗していこうという著しい傾向があるわけだと私は思う。その点はそうお考えになりませんか。
  42. 岡部史郎

    岡部政府委員 それはちょっと誤解であろうと思うのでありまして、現在二カ月以内の期間を限って雇用される職員は、仕事の性質が臨時だからそういう雇用方法をとっているわけでありまして、そういう臨時仕事が各役所にあるということは、定員法が認めているわけなのでありまして、臨時仕事についてはこういう臨時の雇い方をすべきである。しかし臨時職員につきましても——臨時職員というものは政府、民間を通じましていろいろ問題があることは承知しておりますが、話が順序をそれますからそれはやめるといたしまして、政府に関する限りは、臨時職員につきましても本職員と同じような条件給与法の適用を受けて同じように格づけいたしておるわけでありまして、決して低賃金という意味を持っているわけではございません。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは、その臨時職種というものを大体お調べがあると思いまするが、臨時雇用職種の表と人数などを御説明願いたい。
  44. 岡部史郎

    岡部政府委員 常勤労務者は各省を通じまして六万人おります。しかもこの職員は各省にまんべんなくおりますが、その一番多いのは、今問題になっております農林省建設省、運輸省、北海道開発庁の公共事業に従事している職員でございます。それからそのほかの各省におきましては、これはいろいろな職種がある。厚生省におきましてはあるいは病院療養所のつき添い婦というようなものも二千余人常勤労務者になっておるはずでございます。その職種につきましてはきわめて千差万別と申していいと思っております。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣が見えましたから、あなたとの質疑はこの辺で——あなたの答弁はもっとつくのがほんとうでしょうが、あなたははっきりした自信を持ってこうやる——千差万別であるとか大へん多いとかいうことでは答弁にならぬ。私たちは具体的に数字を押えまして、これはあなたの方の見解とは違うかもしれませんから、私は確かめておきたいのですが、農林省関係だけでも現在定員法ワク内に入れていい者が約三万四千名あるという調査が私のところに来ておる。あなたは、臨時仕事だから臨時でいいといったふうにお答えになっておりますけれども、具体例を申し上げるならば、一体最近の麦類の検査の数が、昭和二十一年から三十年までの間にどの程度に増加しておるか押えられておりますか。これは検査の例だけです。
  46. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは要するに食糧事務所定員の問題であります。御承知通り食糧事務所に二万五千人の定員外職員がおり、そのほかに約三千人の常勤労務者がいるわけでありまして、麦類につきましては、間接統制になりましてからも、かえって麦の買い入れ数量が増加している。従って世間が言うように、主食の統制がゆるんだのだから仕事が非常に減ったのじゃないか、食糧事務所職員仕事が減って、人間が余ってきているんじゃないかという意見に対しましては、決して麦類が間接統制に移りましてから滅っているということは言えないのでありまして、むしろ食糧事務所の第一線はかえって仕事がふえているということを困って訴えていることは私承知しております。大臣が見えておりますから、どうかまたあとからに願います。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そう逃げられても逃がすわけにいきませんから、もう一歩突っ込んでいきます。  それについて昭和三十年の十二月に人事院から、現在雇用している定員外職員の実態は正職員と何ら変るものではないといったような判定書が出されておるのです。それからこの麦類の計数なども、あなたは漠然とされましたが、私の方の調べたものだけでも、ずっとパーセンテージが上ってきているんです。約二倍近い検査数量があるのに、人はふやさないし、定員外でやっている、こういう形ではまことにこれは残念しごくです。むしろ寒心にたえない。職員を犠牲にするか、仕事を犠牲にするか、国政を紊乱するか、こんな結果しか出ないのです。私は、あなたが政府の官吏として現在の法に非常に忠実なことはわかりますけれども、大臣に一つ政治問題として要約してお尋ねしておきたい。さっきからあなたの留守中に次官並びに説明員の方にいろいろ伺っておいたのですが、私は農林省関係の点について質問しております。大臣にこれをむしろ要望しておきたい。いろいろ聞いてみますと、農林省の中でもさまざまな仕事、あるいは統計事務にしましても、検査にしましても、改良普及の仕事にしましても、非常に立ちおくれた農村をもり返すためには仕事がふえてきておるにかかわらず、この定員法による職員がだんだん減っている形が多い。この定員法によらざる職員の数がずっと増してきているのです。この結果、仕事が大へんに混乱しまして、特に林野関係仕事、公共土木関係仕事、これは建設省の関係もありますが、こういう関係の労務雇用を担当する面におきましては、不明朗な事件が出る可能性が非常に多い。定員法改正することもありますが、定員法改正は、むしろ圧縮して、現在の臨時雇用なども認めて、ほんとうの定員は減らそうという含みがあるのかないのか。むしろ現在の定員法で、必要に応じてこの定員を増すという方向をとられるのか、どっちか、私は大臣にはっきりした御答弁を願いたいと思う。
  48. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 今年度の定員法改正につきましては、一番初めに説明いたしました通り、努めて必要な部分だけにとどめる。ことに現業的の仕事に重きを置いて査定するという方針のもとに査定したので、結局のところ約三千人ばかり増員してしまったという結論になっておるのでありますが、これは今年度の査定方針でありまして、今あなたの言われました常勤労務者の問題、続いて常勤非常勤者の問題、これはもうここ数年来の長い問の論議の種になっている問題です。この中には実を申せば普通の公務員と同様の仕事をしている者があるのです。人間から見てもそういうりっぱな人がありますし、年限から見ても長くやっている人もある。これらの処遇については何とかしなければならぬということは、一般の世論です。しかも公正な世論だろうと私は思っている。そこでこれをどう解決するかというのが、これは前にもおそらく話が出たと思いますけれども、公務員調査室の任務になっている。公務員調査室が何ゆえにできたかというと、これは御承知と思いますけれども、調査会を作って結論を得て実行しよう、実行するについては、調査室という専門の部屋を設けてその調査にかかろうというので、その当時人事院を中心として、人事行政について明るい人を政府部内から抜擢して、優秀な人が集まって、おそらく二年ないし三年の予定をもってこの人事行政を片づけようとしてかかっている。今年その調査の結果現われましたのが給与改訂であります。まっ先に給与の改訂を片づけ、それから後に公務員全部の問題に入ろう。公務員全部の問題に入りましても、なかなか問題は複雑です。任用の問題、資格の問題あるいは服務の問題、懲罰の問題、あるいは退職手当の問題、恩給の問題等、非常に問題がからまってきまして、この問題を二、三年で解決できるかどうか疑問でありますけれども、今日の予定は二、三年のうちに片づけよう、まっ先に今年は給与問題を解決しようというので、給与の案をとりあえず作りまして、議会の御審議を願っているような次第でありまして、この次にきますのが、おそらくこの公務員の問題に入ると思います。ですから、今検討中でありますから——これは常套語で検討中という水くさいことは申しません。ほんとうのことを言うのであります。ほんとうに検討中であります。一年か二年——二年かからないでおそらくこの問題は問題になって必ず案が出て、政府案として提案されると思います。その方向は、おそらくあなたの言われる通りに、ある程度これを定員の方に組み入れるという方向に進むものと信じております。ただ、具体的のこまかいことは申しませんが、大きな筋道はそういう方向に進んでおります。今申しました通り真剣な話ですから、この点は一つ御了承をお願いいたします。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あとの質問もあるようですから、この一点にとどめておきますけれども、大臣にもう一点だけ御答弁願いたい。それは定員法改正しましても、調査室を設けましても、根本的な認識に食い違いがありますと、むしろマイナスが起りこそすれ、絶対プラスにならないというのは、われわれの調べによりますと、現在農林省が三万四千名持っております定員外人員、しかもこれは人事院の判定によりますと、むしろ定員にするのがいいという判定がある現実、これは政府一体どうなると思っているかという問題、さっきも御答弁がありましたが、結核の患者がふえてきている、さまざまな思わしからざる事態がこの職員の健康、生活方面に現われてきている。さっき次官が御答弁できないというので保留しておきましたが、正直言って、農林省といわず、各官庁を通じてもっと定員はほしいのだが、大蔵省からの圧迫があるので、遺憾ながらこの辺で定員をとめておくのだという点があるんじゃないですか。私はそれを今どうしろと言うんじゃない。けれども、その根本方針があるならば、定員法改正よりも、あるいは調査室よりも、現実の問題としてもっと合理的な定員増加をするのが政府の任務であると私は思う。さっきの大臣の御答弁を聞きますと、これはほめるわけじゃございませんが、今までの答弁よりははるかにはっきりしている。この際私は大臣の責任において、大蔵省との折衝もありましようけれども、今の定員は遺憾がなら自分たちの要求より少いのだから、これを増す方針であるということを御確認願いたい。それで私はやめます。
  50. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、全面的にあなたの満足する案ができるかどうか、私は保証できませんけれども、少くともあなたの希望しておる方向に進むことは間違いございません。なおさき申しました通り、現在の調査室は私は信用しております。相当の秀才ぞろいで、時世も相当了解しておる人間であります。この方々の作った案はそう間違いはない。けれども、私どももあなたも協力して、お互いに間違いのない方に努力したいと思います。
  51. 相川勝六

  52. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 だいぶ質問がございましたので、私がお尋ねしようと思った点も出たようであります。しかし私は定員法というものを見まして——実は世の中に不思議なことがたくさんございますが、現在の定員法調べてみまして、特に制定当時のいろいろな文献等も引っぱり出して見ておったのでありますが、どうも定員法というものが私にはよく納得がいかぬのであります。従いましてこれは非常に素朴な質問でありますけれども、まず定員法政府が制定されました理由、根拠というものをもう一ぺんここで簡明にお示しを願いたい。でないと、私があとから触れますいろいろな具体的な問題についての御質問を申し上げる際堂々めぐりをする可能性がある。従いましてここであらためてもう一回定員法の制定当時にさかのぼって、その精神なり理由なりあるいは根拠について政府の見解をお示し願いたい、こう思います。
  53. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 御承知通り、現在の定員法ができる前には各省ごとに定員がきまっておりました。これは御承知通りであると思います。従って政府機関全部を通じての定員法というものはなかったのです。けれども、各省ごとに官吏だけ、属官以上の定員をはっきり列記しておったのであります。ところが今申しました通り、各省を通じての定員がはっきりわかりませんので、今できております定員法においては、政府機関の定員が一目してわかるというような経過になっておる次第であります。しかし現在の定員法に私は満足していないのです。と申しまするのは、もしこの定員について公務員をどの程度までに公務員とするか、どの程度まで雇用人にするか、どの程度まで常勤職員にするかという限界がはっきりすれば、これはまたぐらついてくるのです。この定員法というものは必ずそうなってくる。そこでそのときに対する準備として、今からどの程度までどういう工合にするかという腹案がなければならぬ。これはさき申しました通り公務員調査室と連絡をとって、どういう方向に進むかという考えのもとに今準備をしておる次第であります。今の定員法が必ずしも絶対いいとは思っておりません。
  54. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 今御答弁を聞いておりますと、定員法に対して非常に御自信がないように思うのであります。先ほど淡谷委員の質問に対する岡部理部長の御答弁によりますと、昭和二十四年に約二十万の国家公務員整理した。定員法ができたのはちょうど二十四年です。当時私どもがおぼろげに覚えておることは、定員法制定当時、いわゆる定員法は今大久保国務大臣の御答弁のように、各省ごとにあったいろいろな系列を、一般的に普遍化して一目瞭然に判明するような姿を打ち出したとおっしゃる、そういった理由の中に——これは明らかに国家公務員の首切りの一つの法である。いわゆる政府政府自身の責任において公務員をどんどんふやしておきながら、今度はそれをもてあまして、これを整理することができないために定員法というまことに合理化した法律を作って、これで公務員の首を切る一つの根拠にした。当時言ったことをおぼろげに記憶しておりますが、二十四年に二十万の公務員を首切った、こういつたことと符合いたしますと、やはり今大久保国務大臣の御答弁に端的に現れるように、非常に自信のない法であるということを思うのであります。今の定員法は決してりっぱなものではございませんし、大臣自身御不満をお持ちであることは私は当然だと思います。従いまして、こうなりますと私はやはり定員法というものを根本的に——今淡谷君の質問に対して大臣は調査室等を通じてわれわれが期待するような方向に進みたいという御答弁でありますが、ここで定員法そのものに対して根本的な検討を加えて、ただ単に枝葉末節の定員の数なんかに拘泥しないで、この定員法そのものに対する本質的な検討を加えて、いわゆる抜本的な改革をなさる意思があるかどうか。今の御答弁で調査室等で調査をなさっているということはわかりますけれども、これは私は幾ら大久保大臣がおっしゃっても枝葉末節な点が多いのではないかと思うのであります。それで一つ定員法を根本的にもっと掘り下げて、今までの概念にとらわれないでそのものを検討し、これを改正すると申しますか、あるいはもっと合理的なものにお変えになる意思があるかどうか。そのことはあとからお尋ねする——私たちは建設省の問題を中心に御質問するのでありますが、やはりそういうことと関連していきませんと、先ほど申しますように質問応答がいわゆるコンニャク問題になって、今まで長い間繰り返してこられたことを、また再びここで繰り返すということになりますのでお尋ねするのですが、一つ政府のそういった点に対する御所信をお伺いしたいと思います。
  55. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまお話のように建設省に常勤労務者その他の定員に入らない人が非常に多いのです。農林省と並んで建設省には実に多いのです。気の毒に思って、この点は私は同情しておる次第であります。なおこの定員法改正の問題についてのお話でありますが、これはちょうど私が言いたいことをあなたが言ってくれたのであります。私はあなたと同感であります。さき申しました通り、ちょうどいい機会が今きておりますから、あなたの言う通り進みたいと思います。なおあなたも十分に御努力して下さい、応援して下さい。
  56. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 まことに大久保国務大臣の明快な御答弁でございますが、ただ非常に不思議に思いますのは、大臣も私と同じお気持とおっしゃるが、同情もされておるし、同じ気持であるとおっしゃりながら具体的には物事が一つも進展していないのですね。そこに問題があると思うのであります。岸内閣がいつまで続くかわかりませんけれども、少くとも大久保国務大臣は前の第二次鳩山内閣の場合にも、行官ではなかったのですが、給与担当の大臣をしていらっしゃって、いろいろ給与面で御折衝申し上げたのですが、問題は大臣が今おっしゃったことが具体的に事実となって現われませんことには、公務員諸君はやはり安心をして仕事ができませんし、また私どもとしてもこれは納得いかぬのであります。これは先ほどの淡谷君の質問に対する御答弁に関連して参りますが、今大臣のおっしゃった、非常に私どもから見るとりっぱな御所信を具体的に現わされる時期というものは、国務大臣はなるだけ早くとおっしゃるけれども、やはり聞く方にとっては、適当なとかあるいは早いとかいうことは常日ごろの言葉でありまして、大体のめどでもお示し願えればさらにありがたいわけですが、一つ思い切って——大臣のおっしゃる調査室は、俊英ぞろいの調査室で、もう長い間検討しているのですから、そろそろそういっためどくらいは出てもいいと思うのですが、そのめどについてなお一そうの明快なお示しを願いたいと思うのであります。
  57. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 従来の定員法を、悪用といっては語弊があるが、利用して、首切りの材料に使った例はあるのです。ことに終戦後、公務員整理するために、これを使って首切った例は、二、三あるようであります。しかし、もう今日においてはそういう非立憲的なことはおそらくできまいと思う。またやる考えは持っておりませす。まじめに研究してまじめに進みたい、こういう考えであります。なお、今どの程度まで進捗しているかという問題であります。これは向うとも打ち合わさなければ断言できませんけれども、分担して持っておりますから、相当に進んでおると思います。今年はあるいはむずかしいでありましょうけれども、来年度には私は出し得るという見通しを持っております。
  58. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 だいぶはっきりした御答弁をいただいたのでありますが、そこで一つ具体的な問題に入っていきたいと思うのであります。岡部理部長 二十四年の定員法制定当時の政府職員の数と今日の職員数との移動の状況は、いかがでありましようか。
  59. 岡部史郎

    岡部政府委員 定員法の制定当時、すなわち昭和二十四年におきましては、国家公務員は約百万でございます。それを定員法制定の際、先ほど申し上げました通り二十万整理いたしまして、約八十万で定員法は発足いたしております。現在御審議いただいております定員法は六十四万でございますが、そういうような経過をたどっております。
  60. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 制定当時百万ありました公務員が、今日では六十四万余り、しかしそのほかに、たびたび問題になっております常勤労務者あるいは常勤的非常勤職員というものが、約四十四、五万人あるじゃないですか。そのようなことを聞いておりますが、常勤ないしは非常勤労務者は、政府の実数ではどのくらいあるか、この点一つ……。
  61. 岡部史郎

    岡部政府委員 ただいまお答えいたしました通り、あるいは大臣からも申された通り定員法制定の際には、従来の官制のように、単に官吏、属、技手以上の官吏ばかりでなしに、雇員、傭人、すべてを含んで、全政府機関に雇用される政府職員の総数を規定したつもりであります。その数が、昭和二十四年に八十万ということでございました。ところが現実には、これはいろいろないわく因縁があるのであります。御承知通り建設業に従事されるはかま人夫といわれているたぐいのものが、いろいろな事情定員の中に入らなかったというようなこともあります。それから、公共事業のやり方にも関係いたしまして、臨時職員定員外に発生して参りました。これが昭和二十五年ごろになりますとぼつぼつふえて参りまして、約三万近い数字になって参りましたので、これらの処遇をどうするかということが問題になりまして、二十五年になって人事院から通牒が出まして、これらの職員は、これを常勤労務者と称して、なるべく定員内の職員と同じような待遇をするようにしようじゃないかということになりました。それから昨日も申し上げました通り昭和二十七年度の予算から、これを物件扱いしませんで、常勤労務者給与という項を設けまして、そこで予算定員を規定するということになりました。これが昭和二十七年度におきましては約三万七千であったと思っております。その後逐次ふえまして、ことに昨日大臣からもお答えされた通り、三十一年度におきましては、約一万六千人を常勤非常勤の中から常勤労務者に繰り上げて、その待遇の改善をはかったというようないきさつがありまして、三十一年度においてはついに常勤労務者は六万を突破する、定員内の職員の一割に達するというようなことになりまして、このような趨勢でこれを放置することはできないというので、われわれはこの二、三年来努力して参りまして、昨日有馬委員にも詳細御報告申し上げました通り、ようやく次の通常国会を目途として具体化しよう、こういう段階になっております。
  62. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 いろんな聞きたいことは、ほかの委員が聞きましたので、やめますが、常勤労務者が二カ月に限られたのですが、その二カ月という期間をお作りになった根拠があるか、あったら一つ……。
  63. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは二十四年の定員法制定の際に、政府職員の中で常勤的な形態のものは全部定員法の中に組み入れよう、しかし、その際——政府には臨時仕事がたくさんある。その臨時雇用される職員まで定員の中に入れるということは、何といっても無理ではないか。その場合に、そういう臨時職員として定員からはずされるものの雇用期間を何カ月にするかということは、これは一定した客観的なめどがございません。それで他の法律労働基準法も一応の参考にはいたしまして、結局この二カ月というのは、率直に申しますと、具体的な一番妥当性を求めたという以外にございませんので、これが二カ月でなければならぬ、三カ月ではいかぬ、四カ月ではどうかというようなことを具体的に説明することは困難であろうと思っております。
  64. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 二カ月というこの期間は、労働基準法その他の点から、問題は、政府機関においてこういう、悪く言えば脱法的な雇用関係があるということが——これは民間の会社、工場等にも相当あるのです。いわゆる臨時臨時工ということで相当長い期間雇っておきながら、あらゆる法の恩典を受けさせない。これをいろいろ問題にしますと、すぐに政府ですらやっておるという。法を制定し、法を施行する政府がやっているんだ、われわれがやるのが悪いはずはないというわけで、二カ月というものは、そういった中小企業主諸君が使う常套手段である臨時工という性質のものであるというふうに思うのであります。岡部さんの御答弁でも、具体的な妥当性とおっしゃったけれども、具体的な妥当性と言っても、私には納得できない。従って、この面からも、いわゆる常勤労務者状態というものは害毒を流しておると思う。常勤労務者の諸君そのものが非常に因っておるだけでなくして、そのことが日本の他の民間産業に従事する労務者に大きな悪影響を与える点があるのでありますが、その点はいかようにお考えになるか。
  65. 岡部史郎

    岡部政府委員 定員法第一条に規定しております、二カ月以内の期間に限って雇用されるという、その二カ月ということがどういう意味があるのか、これが合理的であるのか、あるいはこれに対してどういう弊害があるのかということについては、今茜ケ久保委員の仰せの通りの問題があるのであります。この点につきましては、先ほど大臣から申された通り、やはり定員法検討の一つの問題となるというふうに御了承いただきたいと思います。
  66. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 だいぶ時間が切迫しておるようでございますから、せっかくの委員長の御期待に沿うように努力をいたします。  そこで大久保国務大臣にお伺いしたいのでありますが、私どもの常識で考えますと、それは政府には政府としてのいろいろな理由もございましょうけれども、実際多数の人が雇われて、今お聞きするとすでに物件費で支払った給料もやはり人件費に変っているんですね。ただそれが定員法ワク内に入ってないというだけなんです。定員法ワクの中に入ると、またいろいろな別の条件も出て参りましょうけれども、私はざっくばらんに申し上げて、この辺で一つ思い切ってこういったものをきれいになくして、さっぱりした定員法の中における職員に入れることの方が、定員法に縛られてきゅうくつなこういった問題を残すよりも、政府の行政執行の上においてはむしろ非常に大きなプラスがあるのではないか、かように思うのであります。大蔵省の予算その他の処置もございましょうけれども、私は政府自身がそういった確信と自信を持っておやりになるならば、さらに私どもがこれを支持をして大いに御協力を申し上げるのですから、不可能じゃないと思うのです。そこで一つ、先ほど国務大臣はそのように努力するとおっしゃいましたけれども、気持としては今申しますように、ここでさっぱりすることの方がいいように思うのでありますが、国務大臣もさっぱりしたいという御気持をさらに具体的に表わすために、一つ格段のお骨折りをしていただきたい、こう思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  67. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいま御熱心な御質問でありますが、この問題につきましては、先ほど来声明いたしました通りに、私も同じ方向に進みたいつもりです。できるならばさっぱりした方が、私としてもこういう委員会に出てきても皆さんにこづかれないで済むのです。その方が気持がいいけれども、物事にはやっぱり限度がありますから、その限度を守る必要はあると思いますけれども、少くとも方向はあなたの言う方に進む、また私もその方向に努力するということだけはっきりと申し上げておきます。
  68. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 大臣、非常に御熱心な御答弁でけっこうなんですが、限度が問題なんですよ。その限度をおっしゃるとせっかくの大臣の今の御熱心な御答弁が、やはり精神がなくなってくるんですね。限度をおはずしになって、私はすべてをフリーにしろとは申しませんが、御答弁の中で先ほどざっくばらんということを言って、いかにもそれに全面的に御賛成の御答弁をしながら、やはりそこにちゃんと限度という言葉で逃げ道ができているんですな。やっぱり逃げ道を作らないで、限度などというけちな言葉をお使いにならないで、全面的にそういうふうに努力するという御態度と御決意が私はほしいのです。これはもう一押しですから、一つ限度という言葉をおはずしになった誠意ある御答弁を一つもう一ぺんお願いしたいと思うのです。
  69. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 実を申せば、これは先ほどから繰り返して申上げます通り公務員制度の根本の原則が確立できないうちはこれはきまらぬ問題です。その根本の原則をきめるのは私の主管じゃない。これは逃げ道じゃない。ほんとうの話です。やはり内閣仕事になっておりまして、ここからくつがえしてかからなければならぬ。だから私の言う限りにおいては全部が全部できますということは少し越権です。ほんとう言えば、そこまでは言い過ぎだと思うのでありますが、私の腹の中ではあなたの気持がよくわかっている、その方向に向って進みたいと思います。
  70. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 そこで建設省にお伺いしますが、時間もないそうですから、一つ端的にお尋ねしますから、率直に御答弁願いたいと思います。農林省の場合と同じでありますから別にくどくは申しません。官房長、あなたもたくさんいわゆる定員外職員を持っていらっしゃるわけですが、あなた方が仕事をなさる上にこのことが相当の支障、ということは申し上げませんでも、やはり何かと思わしくない点等が多々あると私は思うのでありますが、やはりあなた方の立場としてはこれが定員になればどんなにか建設省の仕事も、さらに格段と業績も上り、またいろいろな面でロスも少く仕事もできるのではないかと思うのでありますが、この点いかがでありましょうが。
  71. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 建設省といたしましても先ほど来お話のございます常勤労務者常勤的非常勤職員を多数かかえておる現状でございまして、これらの定員化につきましては、かねがね最も熱望しておる次第でございます。もちろんこれらの職員の問題でございますと同町に、公共事業全体の能率を上げる問題でもございます。机を並べておるものでいろいろ身分の取扱いが違うという点から、士気にも関係する点もございまして、職員の問題としてもお願いいしたいし、公共事業をりっぱにやっていく上においてもお願いいたしたいとかねて思っておるといろでございます。
  72. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 たしか建設省では大蔵省に対して三十二年度予算に一万七百名かの定員化の要請をされたように伺っております。これをされた事実があるかどうか。さらにそれが予算の中に入ってこなかったいきさつをざっくばらんにお伺いしたいと思います。
  73. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 三十二年度予算の要求に当りまして、お話の通り現在かかえておる職員は一万六、七千名ございますが、実態調査をしまして、まずまずこの程度は定員内の職員と同じような職務内容を持っておるものだから、これだけでいいとは言えませんし、これだけが必ずというはっきりした根拠は持っておりませんけれども、一つの職務内容調査を非常に厳密にいたしまして、確信のあるところで一万七百名というものを要求いたしました。しかしこれは先ほど来行政管理庁の大臣を初め、政府委員の方から御答弁になっておりますように、公務員制度の改革の問題を目前に控えております。その公務員制度の問題でどこまで公務員に扱うのかという問題が決定するわけでございますから、私どもの方は現状から非常に責任のある仕事定員職員と同じような仕事をしておることが絶対確実であると思うようなものを一万七百名御要求いたしたのでありますが、この数という問題はそのような意味でございまして、公務員制度の改革の見地に立ちます場合には、根拠のあるものではございません。あらためてこれは政府の御方針で検討さるべき問題であると思います。経緯といたしましては、公務員制度改革がすでに目前にございますし、本来それと一緒に解決すべき問題でございますので、できるだけ早くこれが実現することを熱望しつつこれを三十二年度予算において実現することは、今回は、断念いたしたというのが実情でございます。
  74. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 それでは建設省自体が要求を断念されたので、大蔵省あるいは行政管理庁その他の関係者のいわゆる否定にあってできなかったというのではなくて、建設省が今申し上げましたことを勘案して、今回は提出を断念した、かようなことでございますか。
  75. 柴田達夫

    ○柴田政府委員 さらに詳しく申し上げますれば、公務員制度の改革が目前にあることを考えると、建設省が最も熱望しておりましたが、建設省だけにこれらの職員があるわけではございませんし、先ほど来の農林省、運輸省その他関係の省がございます。これも全体の制度の問題であり、かつまた定員法の問題であるということで一つの時期を待てという趣旨によりまして、今回建設省だけが定員法の中に入れてもらうという点は、三十二年度の予算定員法改正ではあきらめましたけれども、今後さらに——先ほど来お話がございますように、一年のうちには解決するということを今日におきましても熱望をいたしておる次第でございます。
  76. 茜ケ久保重光

    ○茜ケ久保委員 柴田官房長は、おそらく全建設労働組合の諸君ともしばしばこの問題では御討議になっておると思うのでありますが、今官房長も御答弁のように、人情論は別にいたしましてもいわゆる政府の相当な責任と相当な内容を持った仕事たしながら、一方では定員外職員として非常な不遇をかこつという状態が、政府仕事をさせる上に重大な影響を持っということでありますので、これは私はただ単なる定員法に縛られて動きがとれぬということでなくて、先ほど大久保国務大臣がとにかく誠意のある御答弁をなさっておりますので、これを全幅的に御信頼申し上げるとまではいきませんけれども、これは私はやはり一応期待すべきであろうと思うのであります。従いまして、いろいろ問題がありまして、こまかい問題もお尋ねしたいと思ったのでありますが、まだあとに二人の質問者がありますし、委員長の一時までにどうしても上げたいという御熱望もございますので、この問題はまた機会をあらためてもっとじっくり一つ行政管理庁といろいろ討議したいと思うのであります。従いまして、私はきょうは建設省の問題を中心に相当お尋ねしたいと思ったのでありますが、そういったことを後日に譲って、最後に一つただ単なる法の規制の固定した運営だけにとらわれないで、この際思い切った処置とそれに対する決意のある態度をぜひお示し願って、こういった問題が早急に解決するよう全面的な御努力を要望しまして、一応質問を打ち切っておきますが、一つぜひ先ほどの大臣の御誠意を一日も早く具体化するような御努力をなお御要望申し上げましてこの点については終ります。
  77. 相川勝六

  78. 森本靖

    森本委員 時間もないようですから、質問も簡潔にやりますので、答弁も簡潔にお願いしたいと思います。すべての官公署の中で、看護婦用の定員は大体どのくらいありますか。
  79. 岡部史郎

    岡部政府委員 お尋ねがはっきりしなかったのですが、たとえば国立病院療養、所の看護婦の定員のことでございましょうか。それとも各内部で職員の医務室のようなところに従事している看護婦のことでしょうか。
  80. 森本靖

    森本委員 各省のそういうところの医務室あるいは病院等におけるところの看護婦と、それから厚生省の所属の国立病院の看護婦、これは三つに分けぬと性格が違いますので……。
  81. 岡部史郎

    岡部政府委員 政府が経営しております病院におきましても、国立の病院、療養所、それから郵政省であるとかあるいは警察庁、宮内庁が経営している病院というようなものがございますので、そこはいわゆる法律に定められた基準に基きまして、医師及び看護婦の定員配置しております。ですからこれは御指摘の問題外であろうと思うのでありますが、各省におきましては、それぞれその職員の厚生施設として若干の施設を持っておりますので、そこに医師、看護婦がいるわけでありますが、これは大体昔の嘱託医——昔は嘱託医と言っておりましたが、その例にならいまして、非常勤職員あるいは常勤労務者という形で数名ずついるのが例でございます。
  82. 森本靖

    森本委員 簡単に御答弁願いたいというのは、今言ったように、国立病院系統の看護婦何ぼと、それから各行政機関における看護婦が何ぼと、その回答だけでいいのです。わからなければわからぬと、そういう回答でいいのです。
  83. 相川勝六

    相川委員長 森本君に申し上げますが、予算数字の問題は、あるいは急に答弁できぬかもわかりませんから、文書をもって御質問になって、そしてそれをあとで聴取する、この方が便利かもわかりません。
  84. 森本靖

    森本委員 だから、私が質問しておることがわからなければわらぬという回答でいいということを言っておるわけだから、わからなければわからぬという明答をしてもらった方がいいのです。
  85. 岡部史郎

    岡部政府委員 今手元に資料ございません。
  86. 森本靖

    森本委員 そこでお聞きいたしますが、この看護婦については、各行政機関における看護婦の場合と、それから国立病院の看護婦の場合と相当違うと思いますが、行政官庁における看護婦の定員を漸次非常勤に切りかえていって、そうして医師の定員とこれを切りかえをしていく、こういう方向に今の政府全体が向いておるのではないかと思うのですが、国立病院は別として、そういう厚生省の所管における国立病院以外のところはそういう方向に向っておるのではないですか。
  87. 岡部史郎

    岡部政府委員 政府全体としては必ずしもそういう方針はとっておりませんが、役所々々によりましていろいろな事情もありまして、そういう方向があることも認めます。
  88. 森本靖

    森本委員 そうすると、それは政府全体の意向ということでなしに、各省それぞれの意向によってそれはやる。そこで各省それぞれによってそれば是正することがきる、こういうことに考えていいわけですか。
  89. 岡部史郎

    岡部政府委員 その通りでございます。
  90. 森本靖

    森本委員 それならば、各省の問題については、またあとで他の委員会でやりたいと思いますが、ちょっと定員法の今回の改訂の中で特にお尋ねしておきたいことがありますが、運輸省の中の航空管制における増員というのがこれに出ておりますが、これはどういう意味ですか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  91. 岡部史郎

    岡部政府委員 航空管制は飛行場のタワーから航空交通を管制するのでありますが、これは戦後司令部が担当しておりまして、わが国におきましてそれに必要な要負ができ次第わが国が引き継ぐということになりまして、現在年次計画をもってその要員を養成しております。約六百七十名くらいの職員を必要といたしまして、その半数以上が養成できておりまして、ことしもそこに書いておりますように、六十名の増員を願っておるわけであります。これが昭和三十四年に完成する今の計画であります。
  92. 森本靖

    森本委員 この案で見ると六十名ということでありますが、そうすると来年、再来年はこれ以上に増員をされる、こういうことですか。
  93. 岡部史郎

    岡部政府委員 予定通り計画を完成させるためには、来年度は六十名では足りなかろうと思っております。
  94. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは六百七十名全部を行うのは、三十六年ですか。
  95. 岡部史郎

    岡部政府委員 三十五年でございます。
  96. 森本靖

    森本委員 三十五年ということになりますと、この航空管制の事務引き継ぎに伴う増という仕事の内容はどういう内容ですか。
  97. 岡部史郎

    岡部政府委員 先ほど申し上げました通り、主として羽田の飛行場などにあります航空官制タワーから飛行機の着陸、離陸その他を指図する仕事でございます。
  98. 森本靖

    森本委員 そうすると、これはおそらく無線業務に関する従業員じゃないかと思いますが、そうですが。
  99. 岡部史郎

    岡部政府委員 無線電話の教養を必要といたします。それから外国語の教養も必要といたします。
  100. 森本靖

    森本委員 この六十名の増員というのは、私の考えでは、おそらく今日電波というものが一応日本へ帰っておるわけですが、電波というものが日本に帰っておりながら、実際にそれを運用するのは米軍である。それを順次返してもらうために、六十名配置をする、こういうことだろうと思うんですが、この六十名を配置した場合に、米軍の方はそれだけの減員をして交代する、こういうことになるわけですか。
  101. 岡部史郎

    岡部政府委員 この六十名は、目下米軍の監督のもとに仕事を習っている状態でございますので、習っているものが熟練して手がはぶければ、向うの方をはぶくわけでありますが、これは主として教育を受ける建前でございます。ただ先ほど申し上げました通り、日米相互の取りきめがありますので、その取りきめには日本国政府が管制業務を提供できると、相互に意見の一致を見たとき、その運用の責任が日本政府に引き渡される、その年度を三十二度と予定しているわけであります。
  102. 森本靖

    森本委員 だから毎年々々六十名ないし七十名程度養成していくと思うんです。その養成期間はおそらく半年なり一年で済むと思うのですが、一年済んだ場合、六百七十名ということにならなくても、その期間においてそれだけ米軍が交代していくかということを聞いおる。
  103. 岡部史郎

    岡部政府委員 手がはぶければそれだけ減るということを先ほどから申し上げております。
  104. 森本靖

    森本委員 手がはぶけるかどうかとこうことでなしに、米軍がこれをやれば手を引いていくのかどうか、そういうことがはっきり約束になっておるかどうかということを聞いておるわけです。想像でなしに、具体的な問題として……。
  105. 岡部史郎

    岡部政府委員 この点は技術的な問題でありますが、なっているそうであります。
  106. 森本靖

    森本委員 なっておるそうでありますということでありますが、確かにそうなければならぬことでありますが、そうならない場合もあるやに私は聞いておりますので、特にこの六十名の増員ということにからんで念のために聞いておるわけであります。しかしあなたは行政管理庁であって、運輸省当局でないので、それ以上は無理だと思いますが、そこで私は行政管理庁長官として特に聞いておきたいことがあるわけであります。今の航空問題にいたしましても、たとえばこの定員が六十名増員される、その次は七十名増員をされるということは、定員法関係がありますが、その実際の仕事の内容というものは、すべて電波に関係をする事項のものであります。ところが、その電波の関係監督官庁というものは郵政省である。そうなってくると、航空業務ということについて、今日の航空業務の空は全部米軍の管制下であります。ところが米軍が行なっておるところの電波というものは、日本に返還をされておるものであります。それを向うさんが利用しておるという格好になっておるわけでありますが、そこで特に行政管理庁長官としてお聞きしたいのは、この電波、放送というような問題が今日郵政省が監督官庁としてあるわけであります。ところが今回の定員法の改定では、電波放送に関する増員は一名もなされておらぬ。今日のテレビ、放送、無線、こういうところの日々の電波の状況を見ると、もう日進月歩、でありまして、相当進んできておる現状にあるわけです。ところがこれが全然増員されておらぬということで、電波管理の事務当局としても非常に困っておるというのが実情であります。さらに日本の民間テレビにいたしましても、民間放送にいたしましても、相当強力な方向に進んできておる。こういうふうな状況において——大事な問題だから、管理庁長官によく聞いてもらいたいのですが、そういう電波とか放送とかいう問題の定員を討議する場合に、郵政省において具体的に定員をどういうふうに要求するかということを討議する省議がある場合に、その省議に参画するものが郵便を取り扱うところの郵務局長、これは電波放送について全然関係のない人であります。それから簡易生命保険、郵便年金を扱うところの保険局長、それから郵便貯金を扱うところの貯金局長、こういう人々が集まって省議を行うわけです。今放送界の一番問題になっておりまするテレビのチャンネル・プラン等についても、こういうところの省議において決定される。こういう機構について、行政機構についての問題を考えるところの管理庁長官としては、こういう行政のあり方について一体どう考えるか。定員にも関係があるますので、特に私は管理庁長官にお聞きしたいと思います。
  107. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 尋ねてみますると、電波に関する職員は今年はふえていないそうです。昨年一度においてふえているそうです。今年度はまずふやさない、現情のままでやってもらいたいというので、定員増加はありません。  定員に関する討議の機関、これは私こまかいことは実は知りませんけれども、もしそこに欠陥がありますならば、調査の上に欠陥がないようにいたしたいと思います。
  108. 森本靖

    森本委員 電波という問題は、将来日本にとっても一番重要な問題であります。特に大東亜戦争等に徴しても、電波が一番の日本の敗因だ、今日放送電波がこれだけ発達をしてきている。外国においては電波省というようなものもあるのでございますが、一番大事な電波というものが郵政省の——郵政省というのは大体郵便貯金、保険、為替などを扱うのですが、こういう機関の中に小じんまりとあるわけです。そういうところからいろいろな問題に波及してきている。こういうところの行政機構のあり方について、行政管理庁長官としては何か考えなければならぬというふうに考えませんか。将来の日本の電波の発展ということを考えた場合に……・。
  109. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 電波の問題は、ただいまお話の通りであります。実は私は公安委員長をしておりますので、私の方にも電波の関係者がたくさんあります。電波の講義は一通り聞いているのであります。しかしあなたの方が詳しいようでありますけれども、将来はあなたの方ばかりでなく、私の方も、あるいは運輸省関係、あるいは防衛庁関係、総括して何らかの機関を作る時代がくるではないかと思いますが、そういうように感じております。
  110. 森本靖

    森本委員 これはあなたの方とか私の方とかいうことじゃない。公安委員会の警察の電話も、鉄道の電話も、すべて電波監理局が管掌している。この電波を実用に供するということについては、それが警察庁なり鉄道がやっておるのでも、その波の割当をどうするとかいうことについては、すべて郵政省の電波監理局が一元的に監督をしているわけです。だからあなたのところとか私のところとかいうことじゃない。すでにそれだけの監理をしているわけですそれだけの監理をしている電波監理局というものが、郵政省の一内局で小じんまりしている。そういうことでは、日本の将来の電波の問題が非常に憂慮せられる。これがおそらく電波省とかあるいは別途の官庁であれば、今回の定員の改定についても、相当の定員改定ができたであろうと考えますけれども、そういう面で影が薄れてしまって、定員が全然ふえておらぬということも考えらるわけです。だからそういう面における総合的な日本の電波行政というものを考えた場合には、今の機構については何か考えてみなければならぬのではないかということを長官に聞いているわけであります。
  111. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 御承知通り、将来の問題としては重要な問題でありますから、おそらくその機関はもっと拡張され、もっと整備される方向に進むと思います。従ってそれに要する人員も相当に必要になってくるのではないかと存じます。
  112. 森本靖

    森本委員 それではもう一つお聞きしたいわけでありますが、先ほど来の質疑応答で、この定員法というのはもともと従業員の首を切るために作ったものでありまして、当時世紀の悪法というように言われたわけであります。私もその定員法で首を切られた一人でありますが——もっとも当時の長官も落選をいたしましたが、それは別といたしまして、ともかくこの定員法が現業官庁にとりましてはかなり悪法であることは事実であります。私は一般会計の適用される官庁が、一応定員法というワクにおいて行われることも、定員が適正であるならば、ある程度やむを得ないと考えられますけれども、特別会計の現業官庁においては、定員法定員を縛ることはどうも納得しかねる点があるわけであります。だから特別会計の現業官庁等においては一応三公社と同じように定員法ワクからはずす。その場合でも予算給与総額のワク内においては定員を押えることはできるわけですから、定員法ワクをはずしても何ら差しつかえない、こういうことになるわけでありますが、長官としてはそういう意思はないのですか。
  113. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまのところ、やはり定員法から離す考えは持っておりません。
  114. 森本靖

    森本委員 定員法からはずす考えは持っておらぬと言いますけれども、一般会計の各行政機関定員と、特別会計によって独立採算制をしいられておる現業官庁とを同一定員法によって律するということは、どうもおかしいじゃないですか。
  115. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 いろいろ理屈、反対論はあると思いますけれども、ただいまのところ現状で差しつえないと思います。
  116. 森本靖

    森本委員 理屈、反対論じゃないのです。これは現実の問題として言っておるわけです。たとえば今まで国鉄にしても電電公社にしても一応定員法の中にあった。ところが公社になって定員法からはずされた。そこで今の行政機関の中で一番大きな定員をかかえているのは郵政省なんです。しかし郵政省は現業官庁として独立採算をやって、一般会計には迷惑はかけておらぬ。そういうことになってくると、その年次々々の経済情勢によって事業の拡張を考えていかなければならぬわけです。そういうふうな経済力の発展に呼応して事業が伸びたり縮んだりするところの現行官庁の定員を、一般会計における行政機関定員同一に縛っておかなければならぬという理屈はどこにありますか。
  117. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 事業の大小あるいは盛衰に従って人を増減すると言いますけれども、今日の日本の公企体においては、そう減らしたという例はあまり知りません。ほとんど一般官庁並みに扱っており、またそういうふうに実行しておるように思われます。
  118. 森本靖

    森本委員 私の質問に対する答弁にはならぬですよ。郵政省のような現業官庁では減っていく場面もあるのです。六百何名というのは——たとえばいなかの郵便局で電信電話も郵便も全部一緒にやっているところが、経済力の発展によって電話が独立した局になった場合には、その人間は全部電電公社の定員になっている。そうすると、郵政省の定員はそれだけ減ってこなければならぬことになる。これはおそらく今後五年も十年も続いていくと思うのですよ。そういうことになってくると、これは一般の行政関係定員とはだいぶ違うわけです。あなたはにべもそっけもなく、そんなことは考えておらぬというけれども、これは将来考究すべき余地がありはせぬですか。
  119. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 せっかくの御希望でありますから、十分考究してみます。
  120. 相川勝六

    相川委員長 有馬輝武君。  有馬(輝)委員 それでは農林省の方から伺いますが、本年度も農林省はゼロになっているわけですが、行管に対し、何名要求されたか伺いたいと思います。
  121. 松岡亮

    ○松岡説明員 農林省といたしましては、当初予算定員の新規要求が八百七十七でございます。そのほかに常勤労務者九百七十、これだけを要求いたしました。
  122. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 その中に農地局の五百六十六名というものは含まれておりますか。
  123. 松岡亮

    ○松岡説明員 五百六十六を含んでいるはずであります。
  124. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 岡部さんに伺いますが、農地局のは単なる定員要求と違いまして、予算が二十一億付された形で新しい事業が計画されまして、八郎潟、庄内、鬼怒川、富川、道前、道後、濃尾というように事業所の指定もはっきりしておりまして、他の要求と違うと思うのであります。もちろんこれらの実態については岡部さんも十分御承知で、この点については手直しするというお約束もあったようでありますが、結論的にはゼロになっている。そういうことになりますと、たとえば前の北海道の例等におきましても、九十三億の予算に対しまして、百四十名定員を認められたといったこととも比べまして、実態的にも、また均衡論からいいましても、非常に不合理な点ではないかと思うのでありますが、その点についてはどうなっておりますか。
  125. 岡部史郎

    岡部政府委員 今のお尋ねの件につきましては、事情を私どもも十分当局からも聞き、関係者からも聞きまして承知しております。このように膨大になりました農林の公共土木事業定員合理化という問題につきまして、今の五百六十名の常勤労務者定員化の問題が切実な問題であるということは、私どもも十分承知しておりましたが、この常勤労務者定員化の問題につきましては、他の関係省との関係もあり、先ほども申し上げました通り、来年度の通常国会においては何とか解決できるのではないか、ぜひ解決したいという段階に入っておりまするので、それまでがまんしていただくということにいたしたわけでありまして、お尋ねの御趣旨は十分尊重しておりますし、関係者ともその点はよく話し合っているつもりでございます。
  126. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 これは常勤非常勤の問題ではないと思うのです。新しい事業所を起して予算もついており、事業計画もできているのに、それに対する定員は何もない。これは普通の場合と違って、話がついているとか何とかいうことでは済まされない問題だと思いますが、その点はどうなんですか。
  127. 岡部史郎

    岡部政府委員 農地事務局関係定員増につきましては、現在これに従事しております、すなわち農業土木事業の管理、監督的な仕事をやっております常勤労務者五百六十名ですか、これを定員化しようという問題が具体的な問題でありまするので、新規の定員増加というよりは、この常勤労務者定員化の問題が具体的な問題になります。これをどう解決するかという問題につきまして、結局見送った、そのために定員増がなかった。その定員増ということは、結局常勤労務者定員増加の問題とからんでいる問題でありますので、そのようにお答えしたわけであります。
  128. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 この問題については年度途中でも考慮されるというお含みでございますか。
  129. 岡部史郎

    岡部政府委員 この常勤労務者定員化の問題は、今年度中には実際問題として困難であると思います。次の通常国会において解決したい、こう考えております。
  130. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 それではただいまの五百六十六名の問題につきましては、三十二年度中には必ずはっきりさせるというふうに了解しておいてよろしゅうございますか。
  131. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは関係当局とも十分話し合っているところでありまして、この問題は三十二年度におきまして、政府の責任において必ず解決したい、こう考えております。
  132. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今の問題はそれでけっこうでございます。  次に、農林省として八百七十七名と九百七十名の増を要求されたということでありますが、この中でおもな要求のところはどこどこでございますか。
  133. 松岡亮

    ○松岡説明員 だいぶこまかく分散しておりますので、一々申し上げてもなにかと思いますから、主要なものというよりも、まとめて申し上げます。定員法による定員増加の分は、農林本省におきまして八十六名、試験研究機関におきまして六十七名、検査指導機関において百三十五名でございます。それから地方官署が五百二十六名、林野庁が十二名、水産庁が四十七名、大体こういうものでございます。
  134. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 岡部さんにお伺いいたしますが、昭和二十四年に十万人をこえておりました農林省定員が、御承知のように現在では、三万人減らされまして七万名になっております。この点につきましては、私きのうも申し上げましたので、その理由は申し上げませんけれども、少くとも岡部さんがしょっちゅうおっしゃるところの仕事の質と量という点から見まして、私は林野の問題にいたしましても、先ほど淡谷委員から話されましたところの食糧庁の実態にいたしましても、被害調査その他の統計事務にいたしましても、私はおっしゃるところの質と量にまず適合するところの定員の要求というものが、決して水増し要求であるとか何とかいう性質のものではないというふうに考えておりますが、これについて例年要求を押えられてきた根本的な理由についてお伺いいたしたいと存じます。
  135. 岡部史郎

    岡部政府委員 これは農林省ばかりではありません。各省すべて共通の問題でございますが、毎年々々定員増加要求の趨勢は非常に各省はなはだしいものがあるのであります。これをできるだけ押えるということも、これが政府として必要なことではなかろうか。これは非常に苦しい仕事でありますが、やはり極力政府職員の数というものを押えて、できるだけ少い数で仕事をまかなっていっていただくというのが政府の根本的な査定の態度でありますので、そういう趣旨で定員というものを極力ふやさないようにお順いしているわけであります。そういう点につきまして、できるだけ各省の納得を得まして、今のような定員の形になっております。
  136. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 これは大久保さんの方からお話がございましたように、当然各省の要求をそのまま見とめるというわけには参らないと存じますし、御苦心のほどもよくわかるわけであります。しかしおっしゃるところの質と量というものに適合しないような形で押えるということについては、これは相当考慮していただかないと問題が派生してくる。今具体的な例を申し上げますとたとえば大麦の検査成績にいたしましても、昭和二十一年に三百九十五万俵と言われたものが六百六十四万俵、小麦も六百二十七万帳が一千十四万俵、裸麦にいたしましても検査数値はほとんど倍近くになっている。また買い入れ数量にいたしましても同様でございます。これに伴うところの保管、管理、輸送あらゆる仕事が累増して参ることは御承知通りでありまして、こういったことから考えてみますと、当時の仕事が二倍になっている、定員は減らされておるというこの実態と、たとえばこれは例にあげて恐縮なんですけれども、先ほど森本君が質問いたしましたところの郵政省の増員、これもやはり仕事の増に応じたところの当然の定員増であろうと思いますが、一方では定員増がありながら、一方では仕事の最がふえているのに定員増がなされていない、こういった不均衡がどこから生じてきたのか、そこら辺について納得のいく御説明をいただきたいと存じます。
  137. 岡部史郎

    岡部政府委員 業務の質と量の増加に伴う定員増加をどう査定するかという問題につきましては、先ほどあるいは昨日森本さんからお話のありました郵政省の定員増加というようなものは、これは物量の増加がはっきり業務量になって現われて参りますので、比較的査定しやすい、これを処理するためにはどうしても必要最小限度人間が要るという場合におきましては、これは認めるのが当然でございます。私どもそういうような考え方でおります。それからお話には出ませんでしたが、文部省で学年進行とか学級の増設その他に伴いまして学校の先生が要るという場合におきましては、これも増加をお願いするのは当然でございますが、その他の行政事務につきましては、そういう点を判定するのが現在の段階ではきわめて困難であるというような事情があるのであります。ただいま有馬要員から御指摘のありました麦の買い入れ検査関係増加、これはその通りでございまして、その増加は十分認めているのでございますが、同時に、今の食料管理制度全体といたしまして今二万二千人の職員が従事しておりますが、これは麦以外の主食の供出関係の事務その他につきましては、これは心理的にもあのころの状態に比べましてずっと勤務状態が楽になっているという事実もあるはずでございまして、そういうことも米、麦その他の雑穀を全部勘案いたしまして、現在の定員でやれるのじゃなかろうかというような考え方で参っております。
  138. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 仕事の実態論をお話になると、議論になりまして非常に恐縮でございますが、岡部さんは郵政省や教育行政の面に比べて物量の増加がはっきり現われないとおっしゃるけれども、私は食糧事務所の一職員としまして、検査もやってきたし、坪刈りもやってきております。実際にやってごらんなさい、一人の人間がやり得るものには限界があるのです。しかもそれもそれがかつての二倍にはっきり現われてきておるわけなんですよ、それではちょっと御説明にならないと思いますが、私はあなたの今おっしゃった言葉の中にも、きのうからちらちらと出てきておりますが、食糧管理制度に対する心理的な問題というようなこと、これについては私はよほど注意して発言していただきたいと存じます。きのう申し上げましたように、ここで私はあなたと食糧管理制度のあり方、性格論に対して議論をいたしたいとは存じませんけれども、少くとも与党におかれましても、現在の管理制度というものは維持していくという建前に立って本年度の予算を組まれ、そのような方向で進められておるはずであります。もちろんこれはわが党におきましても、また与党内におきましても、いろいろと論議の存するところでありましょう、しかしながら政府としては一つの方向というものがきめられておってそのきめられた方向に従って現在仕事に従いたしておるのであります。その実態がおっしゃるところの物量ともに過重負担になっておる。食糧事務所職員を、岡部さん、よく支所、出張所に行って調べてごらんなさい、調査事務、買い受けの集計その他については、役所でできないから家に書類をかかえて持ってきてやっております、食糧事務所の出張所では三人か四人でやっております。そういった点を考慮されたならば今おっしゃったような議論はでてこないと存じますが、なお統計調査事務所についても同様であります。食糧事務所よりももっと少い人間で前時代的なものをやっておる。それに今度被害調査を県単位から郡単位におろしてやらなければならない、年々新しい統計の対象事務というものがふえてきておる、そのような実態についてやはり心理的なというようなお言葉でもって押えられるというような点については、どうしても納得がいかないのでその点再度御答弁をいただきたいと存じます。
  139. 岡部史郎

    岡部政府委員 大へん恐縮に存じますが、きのう申し上げたことは食糧管理制度について率直に言及したわけでございますが、本日申し上げましたのは戦後の供出制度の歴年の推移を見ますと、主食の供出が農民に無理にいやいや供出させた時代に比べまして、心理的にもその他にも非常に供出事務自体が楽になっている、そういう面において負担が軽くなっている面もありましょう、というそっちの方の趣旨をきょう申し上げましたので、食糧管理制度のことではございませんので、そこは一つ大へん私誤解していただいて恐縮でございますが、そういう趣旨であります。
  140. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 その点はいいですが、そのあとの方です。
  141. 岡部史郎

    岡部政府委員 そういうわけでございますので、どこまでもやはり仕事にマッチした定員を確保する、必要最小限度定員を確保するということは、どの各省を通じましても同じように取り扱わなければならぬ、そういう根桝本方針でこれは行っておるわけであります。
  142. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 だから同じように取り扱わなければならないのに、物量ともにふえておるところを一人もふやさないで、郵政省その他——これは郵政省ばかりでなくして、昨年度も、厚生省その他、これは例年ふえております、そういったものの不均衡を生じておるのではないか。せっかくの大久保さんなり岡部さんなりの御意思というものが、そういった点が明瞭にならないと何だかあいまいもことしてきて、行政管理庁自体がどのような基準でやっておるのか不明朗になってくると、あえてきのう私が大臣にどのような基準でこの定員の問題を考慮されておるか、非常に抽象的ではありますけれどもお尋ねを申し上げたのは、そこらへんにあるわけでございます。やはりこの点、これは水かけ論になりますのでこれ以上申し上げませんけれども、農林省といたしましても水増しして要求しておるわけではございませんし、そういった点を十分御考慮の上、ただ単にこれは全体的に押えていかなければならないという角度で、安易な形で全部ぶった切るという態度はぜひやめていただきまして——もちろん削るべき点は削っていただいてけっこうでありますけれども、やはり仕事の実態というものに即応したところの結論を、明年度は必ず出していただきますように、強く要望いたします。  なお大蔵省の方がお見えになったそうでございますから、時間がございませんのであと五分くらいで終えますが、大蔵省の常勤非常勤の数は御承知通りであります、この膨大な方々が、実際税務行政その他をやっていかれる上において非常な障害になっておるのじゃないかと私は考えておりますが、この点についてはどうでしょう、
  143. 谷村裕

    ○谷村説明員 先ほどからいろいろお話が出ておりますが、常勤労務者あるいは非常勤の方々、そういう一般職員と若干違った方が同じ職場におりますことは、確かに問題はあると思います。しかしこの問題をどういうふうに今後扱っていくか、これはただいま管理庁の方からも御答弁ございましたが、われわれとしてもよく実情を確かめまして扱い方を十分研究もしたいと思っております。現状におきましては今の情勢でやっていただくよりやむを得ないと存じます。
  144. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 それからこれは派生的な問題でございますが、各地に非現業共済組合の寮がございます、そこの女子職員その他についてわずか四千円ぐらいで、しかも十時間、十二時間労働をしいておる実態は、谷村さんもよく御存じだと思います、そしてその人たちが一カ月か二カ月でどんどんやめていく、いわゆる賃金は低いし非常にきつい労務をしいられて、休暇もほとんどないという形でせっかく入った者がもう次に行ったときにはいないという事態が起きておることは御承知通りでありますこの点についてあなた方はどういった基準でこういった職員雇用しておられるのか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  145. 谷村裕

    ○谷村説明員 ただいま御質問のありました点は、実は私率直に申して、そこまでよく承知いたしておりません、従いましてもしそういう事実がありますならばどういうことであるか、よく非現業の方に問いただしてみたいと存じます。
  146. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 その点谷村さん、皆さん方が言っておるにもかかわらず、そういったことが出先で行われておるかわかりませんというので、その点を十分調べまして、こういった異常なことが行われないように研究していただきたいと思います。  非常に時間が制約されておるようでありまするから、まだいろいろお伺いしたいこともありますけれども、私の質問はこれでとどめさせていただきます。
  147. 相川勝六

    相川委員長 他に質疑の通告もありませんので、これにて質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので直ちに採決いたします。本法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。   〔総員起立〕
  148. 相川勝六

    相川委員長 起立総員。よって、本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  この際、自由民主党及び社会党共同提出の本法律案に対する附帯決議について飛鳥田一雄君より発言を求められております。これを許します。飛鳥田君。
  149. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 自由民主党、社会党両党の意見を代表いたしまして、ただいま可決になりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提議したいと存じます。  まず案を朗読いたします。   政府は行政運営の実情に即し、各  行政機関における職員定員配置を  適正公平にするとともに、職員労働  が過重ならざるよう、増員その他適  当の措置を講ずるほか、常勤労務者  であって長期間勤務に服しており、  かつ行政機関の恒常的構成員と認め  られる者は、これを定員法上の職員  に繰行入れる措置を講ずべきであ  る。以上であります。理由はあらためてことごとしく述べ立てる必要もありません。今までの質疑の中で明確になっておると存じます。以上であります。
  150. 相川勝六

    相川委員長 これより自由民主党及び社会党共同提出の附帯決議について採決いたします。本附帯決議に賛成の諸君の御起立を求めます。   〔総員起立〕
  151. 相川勝六

    相川委員長 起立総員。よって本附帯決議は可決いたました。  なお、本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  午後二時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      ————◇—————   午後四時十分開議
  153. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより審査に入ります。  まず政府より提案理由の説明を求めます。南條建設大臣。
  154. 南條徳男

    ○南條国務大臣 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。  まず、建設省の所掌いたします事務は、土木、建築等の直轄事業に関するものが多く、その遂行に当っては、事務、技術を問わず、特に専門的知識を要することが少なくないのでありまして、建設省所管事業の合理的かつ能率的な遂行をはかるためには、これらの業務を担当する職員の資質の向上をはかる必要があると考えます、ここにおきまして、今回、土木、建築及び測量その他建設省の所管行政にかかる専門の技術及び事務を担当する職員の養成及び訓練をつかさどらせるため、従来当省の付属機関百である地理調査所及び土木研究所において実施して参りました研修業務をも統合いたしまして、新たに付属機関として建設研修所を設置して、職員の組織的な研修を実施することといたしたいと考えるのであります。  次に、河川に関する行政は、その性格上、治水、利水の両面におきまして関係するところが多く、その円滑な運営をはかるためには、広く関係行政機関及び学織経験者の意見を取り入れる必要があるのであります。河川行政の諮問機関としては、古くは臨時治水調査会、土本会議等が設けられ、現在は、法令に基かない建設省限りの機関として河川審議議会を設けて、その運営をはかって参ったのでありますが、河川行政の重要性にかんがみ、これを法制上の審議会として、河川及び海岸に関する重要事項で建設省の所管に属するものを調査審議させることといたしたいと存じます。本審議会の運営によりまして、河川及び海岸行政の一そうの推進を期する所存であります。  第三に、水道及び下水道に関する事務につきましては、現在厚生省と建設省の共管するところでありますが、その所管を簡素明確にし、行政の運営の合理化能率化をはかるため、下水道に関する事務を、終末処理場に関するものを除き建設省で所掌することとし、水道に関する事務及び終末処理場に関する事務を厚生省の所掌とすることといたしたのであります。  第四に、建設省の直轄事業または公共団体の行う建設事業に産業開発青年隊を導入して、実際的な教育を行うことは、これら諸事業の推進をはかり、また、地方青年の就労対策としても必要でありまして、昭和二十八年度以来これに関する事務を取り扱って参ったのでありますが、今回これに関する規定を整備いたし、本事業の一そうの推進をはかりたいと存じます。  その他、受託事務の範囲及び部内における事務の所管につきまして若干の改正を加えることといたしました。  以上が建設省設置法の一部を改正する法律案理由及びその要旨でございますが、なにとぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
  155. 相川勝六

    相川委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました、引き続き質疑に入ります。西村力弥君。
  156. 西村力弥

    ○西村(力)委員 簡単に二、三点お尋ねいたしたいと思うのですが、従来建設省の研究所では、技術の研究にとどめておりましたが、今度は事務の研究をもその機関において行う、こういう工合になっておりますが、これは少し拡大し過ぎるのじゃないかという感じを私は持つわけでございますが、この点に対する御見解を一つ承わりたい。
  157. 南條徳男

    ○南條国務大臣 ただいまの御質問でありますが、研修につきましては、従来技術ばかりでございましたが、今回これを事務に拡大いたしましたのは、だんだん事務が拡大いたしまして、用地の問題あるいは労務関係等の仕事がふえましたので、事務の者にもそれらに関する研修を必要とするという理由であります。
  158. 西村力弥

    ○西村(力)委員 建設省の官吏の方々でも、全然技術的な教養を持たなくとも十分に事務をやっておる。たとえばそこにいらっしゃる官房長にしましても、技術的な専門家ではないはずだろうと思うのです、まあそれはいろいろな特殊な点もあるでしょうから、事務の職員も研修を行わせるということはいいかもしれませんけれども、私としては、一般的に事務は事務としての一つの系統を持ったところで研修をさるべきであって、それぞれの省においてそういう何を負担していくということは少し考慮を要するではないか、こう考えるので、先ほどの御質問を申し上げたような次第でございます。  次にこの前、厚生省設置法の場合においても、水道行政を整理したことに対して、私はその考え方について賛成したのでございました。ところが下水道に関して、終末処理の場合を厚生省に残しておくというか、渡したというか、そういうことになっておる点は、非常に徹底さを欠くではないか。水道行政が各方面にわたっておったために、その水道あるいは下水道をやろうとする地方自治団体は、非常に煩瑣で、各方面に渡りをつけなければならないために難儀をしたということは皆様御承知通りだと思うのです。それを整理して、その不便を排除しようとするならば、下水道においても一貫してその終末処理まで建設省一本において所管するという工合に徹底すべきではないか、こういう考えを持つのです。それでそういう工合にならざるを得なかった事情というものは、これは簡単ではない。各役所の、何というか、従来の行きがかりとか、そういうものがあるのだろうと思うのですけれども、なぜそういう工合に、下水道を一貫できなかったかという理由を一つお聞かせ願いたいということと、また下水道と終末処理とを分割処理した場合において、それを調整する方法はどう考えておるか。なお上水道において、これは厚生省所管でありまするが、道路行政と非常に密接な関係があるので、そういう場合の連携、調整あるいは協力、こういうことについてはどういう方策をとろうとするのか、その点についてお考えを承わりたいと思う。
  159. 南條徳男

    ○南條国務大臣 多年の懸案でありました上水道と下水道との専管部分を、厚生省並びに建設省に分けますことは、御説のように各役所のセクショナリズムというような問題もありまして、なかなか容易でなかったのでありますが、地方の自治体等の要望もありまして、今回下水は建設省、水道については厚生省、工業用水は通産省というふうに分割することによりまして、この事務の簡素化、敏捷化をはかるというふうにいたしたのであります。これは地方の自治体の皆さんから大へん喜ばれておることでありまして、この点につきましては国会の委員会においても御同感下さると思うのでありますが、さて今の、それならば終末処理の分をなぜ厚生省にやらして建設省がやらぬかということでございます。この点につきましては、いいいろ議論があるのでありますが、終末処理は御承知通り糞尿処理の問題で、ございまして、浄化施設その他のものは環境衛生、公衆衛生等の関係からいたしまして、建設省が当るよりも厚生省が専門の立場においてこれに当ることが最もふさわしいと考えましたので、あえて建設省はこれを主張しなかったのでありますが、しかしこの工事施行その他のことについては十分連絡協調いたしまして、その間において全然遺憾のないような処理をするということでございますから、この点も御了承願いたいと思うのであります。
  160. 西村力弥

    ○西村(力)委員 ただいまの御答弁ですと、終末処理というものを糞尿処理の独立した処理場、これだけに限っておるようでございますが、この前の厚生省設置法の場合における厚生省側の答弁ですと、下水と水道のところは建設省、最終の終末処理のところは厚生省、こういうふうに分割せられるのだという趣旨でございましたが、今の大臣の答弁の通り、独立した終末処理場だけが厚生省の所管、こういうことになるのでございますか。
  161. 南條徳男

    ○南條国務大臣 その最終の終末処理の部分だけが厚生省のことになるのでございます。仰せの通りであります。
  162. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私のお聞きしているのが徹底しないようですが、下水道がずっと水洗便所なんかからやってきて、終末処理場が東京都から向うにあるという工合にあるわ、ですが、そうではなく、中小都市では糞尿だけ処理する独立した処理場を持っておりますね。それだけを厚生省所管にするのか、一貫した中の終末処理場を県生省所管に分離するのかというのです。
  163. 南條徳男

    ○南條国務大臣 そういう場合においては、一貫した終末処理場は全部厚生省にさせるということでございます。
  164. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それではわかりました。そのことに対しては、衛生上の見地から建設省もそれを了とせられておるように承わったのでございまするが、私たちとしてはやはり工事の一貫性からいいまして、また地方公共団体の便不便の問題からいきまして、将来は一本に一貫したものに、建設省所管なら建設省所管にすることが至当である、そういう方向に今後また再度改めようとするお考えを持っていらっしゃるかどうか、建設省側としてはぜひそういう態度をとって、一本の下水道工事をやろうとするときに、途中までのところは建設省の所管であり、こっちは厚生省にいろいろ折衝しなければならぬという不便を除くことが正しいと思うのです。その点に関する大臣のお考えを承わりたい。
  165. 南條徳男

    ○南條国務大臣 今回は厚生省との話し合いでようようこういうふうな処理にいたしたのでありますが、この終末処理場を厚生省が担当するということだけでも、ともかくも水道行政と下水行政が両方に分れたということについて、自治体側においては非常に歓迎していただいておるようなわけであります。そこで今のお尋ねの点につきましては、これを当分実施してみまして、その後の地方の意見等も参酌いたしまして、今後の処理を考えたいと思いますが、一応今回はこれでしばらくやっていきたいと思います。
  166. 相川勝六

    相川委員長 他に質疑の通告もありませんので、質疑はこれにて終了いたしました。  引き続き討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。本法律案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  167. 相川勝六

    相川委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  なお本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 相川勝六

    相川委員長 御異議なしと認めますしょってさよう決しました。     —————————————
  169. 相川勝六

    相川委員長 引続き一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律業、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の三法律案を一括議題として質疑を続行いたします。横路節雄君。
  170. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣にお尋ねをしますが、われわれの手元に配付されておる行政職俸給表についてお尋ねしますが、これらの別表の第一の、中央官庁の行政職の俸給表を例にとって申し上げたいと思うのですが、従来は七百円未満の昇給については六カ月、七百円から千五百円まで九カ月、千五百円以上は十二カ月、こういうように昇給期間については全部級のいかんを問わずきまっていたものを、なぜ二等級以下これが全部二等、三等、四等、五等、六等、七等でこういうように違えたのか。その理由を一つお尋ねをいたします。
  171. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 技術的の問題でありますから、大山室長から……。
  172. 横路節雄

    ○横路委員 いや、これは技術的でないのです。今までは昇給を全部通して七百円以下は六カ月、七百円から千一五百円までは九カ月、千五百円以上は十二カ月、それをなぜ各等級によって昇給の期間を違えてきたかということは、この俸給表の非常に大事なことなのです。これは技術的な問題ではないのです。それをお尋ねしておるのです。
  173. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 今のお問いの点は、現在の俸給表との差のことを言っておられるのですか、現在六カ月、九カ月、十二カ月でありますがその後両方の案を見合いまして十五カ月、十八カ月にしたのであります。
  174. 横路節雄

    ○横路委員 私は労働大臣にお尋ねしますが、たとえばあなたがごらんいただけばわかると思うのですが、行政職の中央官庁の(一)ですね。たとえば七等級の場合には一万一千四百円から一万二千三百円ですね。これはわずか九百円上るのに十八カ月もかかる。ところがたとえば五等級にくると一万三千三百円から一万四千七百円で十二カ月、これは皆違うわけですね。一体この違うものの考え方はどこにあるのかと聞いておるのです。違うから違うではないのです。
  175. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 これは現在の俸給表もそうなっておるもの、でありますからそれにならっていたしたのであります。
  176. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣、それは違いませんか。あなたはそういうように——七等級、六等級を一つ一つこまかに見て下さい、今まではたとえば七等級の第一なら、は五千八百円から六千円に、わずか二百円上るのに一年間据え置いておるのです。今度は六カ月ですよ。そのことが一つと、各等級によって金額と昇給期間とが違うのです。——何だったら大山さんでもいいです。
  177. 大山正

    ○大山政府委員 数字のことでございますから……。
  178. 横路節雄

    ○横路委員 数次というよりも、ものの考え方を聞いておる。数字じゃないですよ。
  179. 大山正

    ○大山政府委員 失礼いたしました。七等級の五千八百円、六千円といたしましたのは、現在五千七百円に相当します金額を五千八百円とし、五千九百円に相当する金額を六千円というように置いたのでございますが、現在の四級、五級の昇給速度を大体保つという考え方で七等級を作っておるわけでございます。お話のありましたそのあと十五カ月、あるいは十八カ月というように、等級によって、同じ金額でありながら昇給の速度が違うという点につきましては、たとえは六等級について申しますならば、六等級の標準的な級は、現在十五級区分の六級、七級である。七級でおおむね頭打ちになりまして、それから八級に進む、その昇級速度を大体この俸給表に表現するという意味で、人事院の勧告によりますと、大体六等級の標準の昇級速度を六カ月四百三十円、年八百六十円だったと記憶いたしますが、その間差を標準といたしました。ただ勧告と違いますのは、何百何十円という昇給速度を用いませんでしたので、大体百円単位の金額を用いることによって作ったということでございますし五等級がまた違いますのは、これは勧告にもありますように、標準級におきまして千円間差、四等級におきましては千二百円間差というような形を、勧告に従いまして作ったのでございますが、以下十五、十八というように変っておりますのは、それぞれの等級において、現在の級で進みました場合に大体頭打ちになるという線を多少是正いたしまして、ゆるやかなカーブで逐次昇給速度が落ちる、そういう考え方で構成しておるわけであります。
  180. 横路節雄

    ○横路委員 大山さんにお尋ねしますが、この昇給期間というのは、前の俸給表によるところの、十五級の級の格づけのときの昇給と同じ速度だというのですね。それをただ七等級にしたから、それを級の切りかえのときにこういうふうになったので、速度には変りはないというのですね。その点だけはっきりしておいてもらいたい。
  181. 大山正

    ○大山政府委員 現在の十五級区分のうち、行政職について申しまするならば、勧告にありますように、六等級であれば、標準級が六級、七級である。例外級が八級である。その昇給速度をおおむねこの各等級に体現するという形でございます。ただこの場合に、現在頭打ちあるいはワク外というようなスピードになっておりますところをならして作ってある、こういうことでございます。
  182. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣にお尋ねしますが、私が申し上げるまでもなく、一等級から七等級までは、この間ここでもいろいろ議論されましたが、いわゆる職務に基いてこういうように俸給の開きを作ったわけですね。そういうふうに考えてよろしゅうございますか。——それであれば私はお尋ねいたしたいのですが、この俸給表の中には職務の責任区分が明らかになっておる。そうですね。大臣、その点どうなんですか。
  183. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 七等級に分れておりますが、これはもちろん職務給になっておりますけれども、係長、課長あるいは局長、いずれも重要な職務について形式上はこうなっておりますけれども、係長という名前ではなくても、係長同等の重要な職務についた場合においては、これはやはり同じような給与になると思っております。
  184. 横路節雄

    ○横路委員 大山さんにお尋ねいたしますが、一般行政職の三等級は課長となっておりますが、それじゃ具体的にそれぞれの省で、課長という名ではないが、課長に匹敵する職務は何ですか、そういうものがあるのですか。
  185. 大山正

    ○大山政府委員 具体的にこの三等級にいかなる職務を格づけするかということは、人事院が分類の基準を定めるということになるわけでございますが、ただいま御質問のありました点について私の考えとしてお答え申し上げますならば、たとえば現在各省の参事官というような名称で、必ずしも課長という名称を用いないで、大体課長と同程度というように考えられている職務があると思います。あるいはまた専門技術的な仕事でこれに匹敵するというように考えられるものもあると考えておりまます。
  186. 横路節雄

    ○横路委員 それじゃあなたにお尋ねしますが、管理職手当を出しているものは、その場合には課長だけですか。参事官には出すのですか、出さないのですか。
  187. 大山正

    ○大山政府委員 現在管理職手当の実施につきましては人事院でやっておりますので、具体的には人事院の方から……。
  188. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 大体課長相当とみなされておりますものには、同程度の、管理職手当ではございません、特別調整額を出しております。
  189. 横路節雄

    ○横路委員 それで私は労働大臣にお尋ねいたしますが、一等級から七等級までは、たびたびここで問題になっているように、職務に相当してこの等級並びに号俸を定める。ところが三等級以上については二五%の特別調整手当を出しているというのはおかしいじゃないですか。この俸給表は、明らかに職務の責任内容についてこれを作った。それであるのにかかわらず、三等級以上については二五%も特別調整額を出してあるというのは一体どういうわけですか。
  190. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 時間外及び超過勤務手当にかわるものとして一応そういうふうになっているようであります。
  191. 横路節雄

    ○横路委員 そういう事務的な答弁をされると、私の方からさらにあなたに聞かなければならないのですが、それならば超勤手当というのは、一般の職員には一体どれだけ払っているのですか。
  192. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それぞれ時間外の経過時間において払っておりますが、ここにはその数字を今児持っておりません。
  193. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣、そうではないんです。時間に応じて払っているんじゃない。初めから予算できめているのです。それはそこにいらっしゃる方はみな私の意見に、なるほどそうだなと思いますよ。何時間やっても無制限に払っているものじゃない、ちゃんと一月幾らときめてある。だから私がお尋ねしたいのは、一体幾ら払っているかということ、これは労働大臣、資料があるでしょう。一番ひどいのは農林省ですが、農林省はわずか六・五%しか払ってない、そうすると、四等級以下の者は農林省においては六・五%の超勤手当しかもらっていない。ところが一等級から七等級までに分けたというのは、この俸給の中には、その職務の内容について分けた。もしも超勤手当を払っていないからつけるというのであれば、一〇%ぐらいつければいい。農林省は一番わるくて六・五%、なぜ二五%をつけるのですか、おかしいじゃないですか。労働大臣どう思いますか。おかしいとお思いになりませんか。
  194. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それは今御指摘になった通りであるとすればおかしいように思われるのですが、それは現在の法律によって人事院が決定いたしております。
  195. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣に私がお尋ねしているのは、労働大臣も確かに私の話を聞けばおかしいとお思いになる。実際には六・五%しか払っていない。その超勤に見合うものとして特別調整額を払うとするならば、最高払っても一〇%くらいで適当だと私は思うが、二五%も払っている。二五%も払っていることは、これは管理職手当ではないというけれども、おそらくその性質はやはり管理職手当だと思う。この俸給表は明らかに身分によって、責任の度合いに応じて作ったものだとあなたたちもお話なすっているが、おかしいじゃありませんか。矛盾を感じませんか。これはただ人事院がやったのだからやったのだというわけにはいかぬじゃないですか。労働大臣いかがですか。
  196. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 この俸給表は今までの人事院の勧告によって一応こういうふうに作りましたが、その手当の問題については、予算その他の関係において今後別個に検討すべきものだと思います。
  197. 横路節雄

    ○横路委員 いやそうではないのです。二五%払うことについてはきまっているわけですな。人事院規則の俸給の調整額の第一条の中できめられてある。しかもこれば給与法第十条の第一項の規定においてこうなっている。私の聞いているのはこうなんですよ。あなたの方で、この俸給表については身分、職務の内容によってきめたんだという。だから俸給の中に職務の内容が一つ一つ入っているわけであるのに、なぜわざわざ三等級以上の者については二五%もつけるのですか、こう聞いている。初めから二五%あって、その二五%が職務の内容であるならば、一等級、二等級、三等級についてはもう少しならしたらいい。このやり方は明らかに私はおかしいと思う。  これは人事院の方にお尋ねしますが、二五%の特別調整額は、今年は予算についていないのですか。そんなことはないでしょう。ついているのでしよう。
  198. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御質問になっております特別調整額でございますが、これは二五%ということをおっしゃっておるのでございますけれども、特別調整額の甲というのが二五%でございます。それから乙というのが一八%、丙が一二%であります。それぞれの段階によりましてきまっております。それで今お尋ねの予算に入っておるかというお話でございますが、これは予算に入っております。
  199. 横路節雄

    ○横路委員 あなたはわざわざ一八、十二と出さなくても、私が聞いているのは行政職の(一)を聞いているのだ。行政職俸給表の(一)というのは本省のことを言っているのだが、本省で二五%以下というのはないのだ。本省の課長以上は二五%になっている。そういう意味ではせっかくこれを出されたが、これが職務の内容であるというならば、こちらの特別調整額をやめればいい。もしも特別調整額を残すというならば、これは特別調整額というけれどもやはり管理職手当ですよ。それであるならば、あなたの方の職務の内容できめた一等級、二等級、三等級については、もう少しカーブをゆるやかにすべきなんです。これは結論からいったら、いわゆる二重手取りですよ。おかしいじゃないですか。この点については大臣もおそらくおかしいとお思いになると思う。しかも課長になっていきなり二五%というのは、おかしいですよ。  内藤さんにお尋ねしますが、学校職員にはこの管理職二五%なんというのはありますか。
  200. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 学校の場合には学長、学部長、事務局長、会計課長、庶務課長等の役職には、今の調整額はついております。
  201. 横路節雄

    ○横路委員 それは国立大学ですか。
  202. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 さようでございます。
  203. 横路節雄

    ○横路委員 それではあなたにお尋ねしますが、高等学校や小、中学校はどうですか。
  204. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 小、中学校の先生につきましては、御承知通り教員については特別調整額が一号よけいについておるわけであります。
  205. 横路節雄

    ○横路委員 管理職手当がついていますかと聞いているのです。
  206. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 管理職手当はついておりません。そのかわり超勤に匹敵するものとして、特別調整額を一号つけたわけであります。
  207. 横路節雄

    ○横路委員 さらにあとであなたによく文部省関係をお尋ねしますが、次に労働大臣にお尋ねします。これは人事院の方でもなかったのに、政府の方で出されたのですが、中央官庁と地方の官庁とに俸給表を二本にしたというのは、何か深い意味があるのですか。
  208. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 中央官庁と地方官庁は、組織及び仕事の内容が違っております。それで中央官庁と地方官庁に分けることが便利であると考えたのであります。
  209. 横路節雄

    ○横路委員 しかし人事院の基準の中で、たとえば地方官庁の課長については四等級、地方官庁の部長については三等級、こういう基準をきめてやっても何ら差しつかえないのでしょう。それではうまくないですか。いかがでしようか。
  210. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 大山室長から答弁いたさせます。
  211. 大山正

    ○大山政府委員 行政職につきまして、中央と地方で(一)と(二)に分けましたのは、人事院の勧告のありました行政職の七等級の区分が、本省庁の組織段階に大体マッチすると思うのでございますが、地方の第一線の機関等におきましては、ややこれと職務の段階、組織の段階が違う場合が多い、かように考えまして、二つの俸給表に分けた方がより適当であろうと考えたのでございます。ただいま御指摘のありました、地方の課長が本省の課長補佐と同じでよろしいではないかという点でございまが、この点は今回分けました俸給表におきましても、(一)の四等級すなわち本省の課長補佐のクラスと、地方の(二)の三等級、これは標準的に地方の課長あるいは第一線機関の所長のクラスでございますが、この俸給は全くお話のように同一でございます。違いますのは、中央の五等級、係長クラスのところを、地方におきましては四等級と五等級の二段階に分けておるのでございまして、この点御指摘のように、勧告におきましては五等級に一緒に入っているという場合と、係長が一部六等級に入っているという場合があるわけでございますが、私どもいろいろ検討いたしました結果、やはりこの段階は二つに分けて、一般係員との間に二つの段階に分けた方がより適当である、かように考えまして、中央の五等級の俸給表をおおむね二分したという形にいたしたのであります。
  212. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣も表をごらんいただきたいと思うのですが、中央官庁の四等級の号俸、一から始まって十五に終っている二万三百円から四万五百円は、地方官庁にいきますと三等級で二万三百円から四万五百円、同じことをやっているわけです.ですからこれは人事院の考え方の方が正しいのです。だから私が言うたように、人事院で基準を定めるときに、地方官庁の課長は四等級だとしているが、こういうように等級の格づけさえしておけばいい。それから地方官庁の四等級のお話がございましたけれども、なるほど一号、三号は、四等級は一万五千円から始まっていますが、中央官庁の五等級は一万三千三百円ですが、そこの三合俸は一万五千三百円から始まって三万三百円まで同じなんです。一体なぜこういうふうにわざわざ分けるのでしょうか。そこで田中自治庁長官にお尋ねいたしますが、地方はどっちを採用するように自治庁としては一応の基準をお定めになるのですか。これはめいめいどちらでも勝手にやったら、大へんなことになりますが、自治庁では一体どうなさるのですか。
  213. 田中伊三次

    田中国務大臣 お説の通り国家公務員の行政職は表が二つにわかれておる。地方公務員は地方公務員法の精神にのっとりまして、国家公務員給与の改訂には右へならえをする、こういう方針であります。ところが実際に右へならえをしようという段階になって、(一)表、(二)表いずれをとるべきか、ほかにもたくさん種類があるということになりますと、私の方でこの表を頭において、地方公務員の職務内容についてあらかじめ調査研究しておきませんと、実施の指導は急速にできぬという事態になっておりますので、現在は二、三の手近な府県についてその実態を調べておりますが、複雑でなかなかその結論が出ないのです。そこでありのままに申し上げますと、今の調査の段階においては、やはり(一)表を適用せざるを得ないのではなかろうか。しかしながら、ほかにも医療職とか教員職とか、表がたくさんありますので、地方に右へならえをさせる場合には、地方の実態に適するようにこちらの方で整理、整頓をいたしまして、一定の適用準則を作って、私の方の次長名でこの準則を示します。そしてこれによって、でき得る限り中央の改訂の精神に従って手落ちのないように指導することに努力したい。こういうことで大体今の見通しは(一)表を適用せざるを得ないのではないかと思います。
  214. 横路節雄

    ○横路委員 まことにその通りだと思う。自治庁でどちらを採用してもよろしいなどといって指示ができるわけはない。おまけに自治庁が東京と京都、大阪などについては(一)表でやれ、その他の県は(二)表でやれということになると、(二)表の県は一級下の県だということになってくる。働く人々に対してそういう心理的な悪影響を及ぼすような俸給表というものはないのです。これはいよいよ今晩おそくからあすにかけて小委員会でおやりになると思うのですが、私は(二)表についてはあまり固執されないでおやりになった方がいいと思う。これは労働大臣に率直なお話をお聞きしたいのです。
  215. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 非常に同情のあるお問いでございますが、私は提案者でありまして、本俸給表はわれわれの常識としては完璧を期したものだと思っておりますので、これの通過を願ってやみません。
  216. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣はいろいろな考慮を払われてそういう答弁をなさるのでしょうが、実際私が今話したように、行政職の(二)表の三等級は中央官庁の四等級をそのまま移したのです。何も分ける必要はない、人事院の基準でやらせればいい。私は人事院の方に賛成ですが、淺井さん、あなたはやはり一本の方がいいでしょう。
  217. 淺井清

    ○淺井政府委員 私は勧告の当事者でありますから……。これは正直なところを打ち明けて申しますれば、これを二表に分けるまでは勧告のときにいろいろ議論をいたしました。これを二表にやれば合理的になるかもしれません。しかしまたただいま横路さんから御指摘のように、職員に与える心理的影響がありますから、これはまず一表でやっておいて適用の上においてしかるべくやる、そういうつもりだったのです。
  218. 横路節雄

    ○横路委員 そこで労働大臣にお尋ねしますが、労働大臣は私どもがいろいろお尋ねしますと、いや、それは人事院の方の基準で定めてやるんだとよく言うのです。だから給与表の(二)の件も今総裁からのお話のようにいろいろ御意見もあっただろうと思う。しかし実際に勤務する職員に与える心理的な影響も考慮されねばならぬことなので、これはやはりいつもあなたが私どもに答弁しているように、あげて人事院の基準におまかせになったらいいと思う。これはいかがですか。今田中長官からも言われているように、これは実際地方公務員全体を考えますと、問題です。たとえば東京、大阪、京都は(一)表を使うが、あとの県は(二)表を使うということになれば、あとの県に働く人々は問題です。そういう点はいろいろ考慮なすって行政職の(二)表を作ったのでしょうが、そういう点からいけば、今総裁のお話のように、これは人事院基準におまかせになっていいのではないですか。きょうは最終段階ですから、労働大臣からこういう点もほんとうのところを聞きたいのです。
  219. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 ごもっともの点もありますけれども、私どもの今提案しておりますのは最善を尽したものであります。同時に人事院の勧告に基本を置き、技術的な面は政府の責任においてやった面もございますが、これの通過を祈ってやみません。
  220. 横路節雄

    ○横路委員 大臣も大分つらいようですが、別表の行政職の二表については実際に同じ俸給表なんです。わざわざそれを引き伸ばしただけなんですから、それは人事院の基準の中、で定めればいいのです。ですから、別表の行政職の(二)は絶対に廃止しなければならぬと思います。  次に、三月七日の予算委員会における石橋君の質問に対する労働大臣の御答弁の中に、私もあらためて見まして、これは非常にいいなと思った点があります。ちょっと読んでみます。「石橋さんの今の御質問に対しては全く同感であります。でありますから六級、七級においては十分生活給を考慮いたしております、十五号でとまるのではなくて、ワク外昇給を認めておりますから、大体三万二千円くらいまでは六級、七級でも取れるようにいたしたい。かように考えております。」、これは非常にりっぱなお話だと思う。これは私も大臣の御意見に同感です。実は与党の諸君に私たちの方から率直に申し上げているのでありますが、その内容は五等級、六級等、七等級についてはこれをはずしてぜひ一本にしてもらいたいということです。きょうも終ったら正式に話をしようと思っております。なぜ私たちが五等級、六等級、七等級についてはそれをはずして一本にしてもらいたいかというと、大体普通は大学を出てまじめに勤務されていれば、課長補佐まではいかぬにしても係長まではいく。あるいは新制高校を出られた方でも、大いに努力せられた方は係長まではいく。そういう意味で五等級、六等級、七等級はぜひ一本にしてもらいたい。そして七等級、六等級の方でもあなたが答弁されているように、最高限度の三万二千六百円まではだれでもいけるのだ、この考え方は変っていませんね。もう一ぺんお尋ねいたします。
  221. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 私が石橋さんにお答えいたしましたのは、六等級、七等級も頭打ちになって二万六千円で終ってしまうというのではなくて、それからは三十六カ月ごとに昇給いたしますから、ワク外において三万円以上になるであろうということを申し上げたつもりでありますから、今後もワク外昇給は生活給というものから考えまして、どうしても認めなければならぬと思っております。
  222. 横路節雄

    ○横路委員 大山さんにお伺いしますが、 運用の基準の中で示すのでなしに、もしも政府がそういうように考えているならば、今政府が出した行政職俸給表の(一)をこのままかりに採用するとしても、七等級、六等級について、どなたでも三年ごとワク外昇給があって三万二千六百円にいくというのであれば、そういうように俸給表を作っておくことが働く人々に安心を与えることだと思う。これを見れば、七等級、六等級の頭打ちで、上にはいけないというふうに判断せざるを得ないでしょう。こうやって質問してお互いに話し合って初めてわかるのであって、そういう点からいけば、ずっと伸ばして三万二千六百円までいく俸給表をお作りになる方が働く諸君も安心してやれると思う。これは技術的な問題になりますが、大山さんどうですか。
  223. 大山正

    ○大山政府委員 お話の点は、七等級、六等級のワク外にさらに俸給表の数字を書くという御趣旨かと思いますが、私どもといたしましてはもちろん俸給表の一応のワクはここで切れるわけでありますけれども、あと三十六カ月引き続くわけでございますから、これを別にどこまで書くかという問題になるわけでございます。言い回し方が妙でございますが、書いても書かなくても同じ意味になるという意味で、二十四カ月から三十六カ月にかわるとこで一応俸給表としてはとめたというこ、とでございますので、ワク外昇給があるということは法律の上に明文で明らかでございます。
  224. 横路節雄

    ○横路委員 書いても書かなくてもいいということになれば、私は俸給表に示した方が正しいと思う。俸給表の中で七等級の最後は、ワク外昇給で三年ごとにいったらおそらく五十五くらいになるのでしょうか、幾らになるかは私も計算していないからわかりませんが、それであるならばそうお書きになった方が私は政府として親切なやり方だと思う。われわれがこうやって話をして、初めてワク外昇給が三年ごとに認められて、七等級も六等級も三万二千六百円までいくんだということがはっきりした以上は、私は俸給表をそういうふうにしておいた方が正しいと思う。  自治庁長官がお急ぎだということですから自治庁長官にお尋ねします。今あなたの御答弁で行政職の(一)、(二)についてはよくわかったのですが、地方公共団体は大きさが非常に違うわけですね。その中で行政職、技能労務職、研究職、医療職というように細分して、一体地方公共団体の人事の交流ができるものでしょうか。どこだって係長以上になりますと大てい交流するわけです。地方公共団体ではこういう細分された俸給表を使ってやれましょうか、いかがですか。
  225. 田中伊三次

    田中国務大臣 この段階での答弁は大へんしにくいことになるわけであります。しかしながらこれは国家公務員適用する俸給表として適当であるかどうかという所論にはノータッチで、地方公務員にこれに右へならえさす立場に立って申し上げますと、仰せのごとくに俸給表の仕組みが非常に多いわけであります。結果は地方公務員の交流関係にまず第一に相当な困難を来たすということで、ここがただいまこの俸給表を内閣の責任において提出をして御審議をいただきながら、その結果において、地方公務員適用する場合の困難について私が苦悩をしているという実情でございます。ことに私、先ほど御答弁を申し上げましたように、二、三の代表的府県について目下実態の調査を早急にやっております。この実態の調査の見通しから申しますと、今までの限度では第一号表を適用せざるを得ない。しかしながらこの場合においてはそう言い切れない点があります。なかなか複雑でございますので、大へん大ざっぱに申し上げて恐縮ですが、大都市及び大府県といったような場合を考えてみるときに、私の方で調整をして作りました一定の準則だけではどうしてもいけないのです。準則の外にはみ出す部分が出てこざるを得ない、こういうことでございます。しかしせっかく右へならえをするに、苦心をすればできようと考えまして目下苦心の最中である、こういう実情でございます。
  226. 横路節雄

    ○横路委員 私があなたに答弁を期待したのは、国家公務員の細分した俸給表に右へならえを期待したのではなくて、逆に、できるならば行政職一本の俸給表を——先ほどあなたに言いましたように、七等級、六等級でも三万二千六百円までいけるか、さらにもう少しこまかく規定をして、やはり地方公共団体においては原則としては行政職一本の俸給表をとられた方が地方自治をうまく運営する建前からいっていいのじゃないか、そういうことを私はあなたに聞きたいのです。それをあなたが、いや、国家公務員の俸給表に右へならえをするのだと言われると、私は重ねて、それならば役場で二百人か三百人、市で千人といったようなところはどうするのであるか、あるいはあなたは大府県と言うが、それならば人口でどう規制するか、いわゆる職員の数がどれだけ以上ならばどうするのかということになるのですが、原則はどうなんでしょう。
  227. 田中伊三次

    田中国務大臣 地方公務員に指示をいたします場合の原則は、国家の方が二つに分れておれば二つの表に右へならえをせよということに原則的にはなるのです。それは当然のことです。ところが(一)表(二)表に右へならえをする結果、いろいろ不合理が出るのでありまして、そこで先ほど申し上げました、これを一本とは申し上げかねますが、一本に近いものの姿の準則を作りまして、その適用の方途が右左に出ないように、一本に出る方向にその内容を持っていくように苦心をして準則を作ろう、平たく言えば一本に近い方向に指導していかないと交流の上から大へん困る。これはやって差しつかえないことで、原則は右へならえ、適用に際しては具体的には二つに分れているものを一つに近い姿のものにいたして適用していくことに努力することは何ら差しつかえないことでございますから、そういう努力中であるという意味でございます。
  228. 横路節雄

    ○横路委員 そこは先ほどの大臣の答弁でよく理解したのです。ただ私のお聞きしているのは、行政職、技能労務職、研究職——地方公共団体でも小さな研究所を持っております。医療職、これはありますよ、たとえば県立病院、市立病院、町村立病院などです。こういう場合にどうなさるのかというのです。右へならえだというと全部適用することになる。これはやはり交流するのですから、そのことを聞いているのです、どうなさるのですか、大体あなたの今のお考えでいいのです。
  229. 田中伊三次

    田中国務大臣 それは今申し上げましたように、準則を作って準則に右へならえをさす、こういうことなんです。あなたのおっしゃることと私の言っていることと同じことを言っているのです。右へならえということに力を入れるから、その方に力が入るのですが、そうじゃないのです。右へならえをすると不都合が生ずる、そこで準則を作るのだ、その準則の作り方はどういう作り方であるのだといえば、いわば一本に近いもの、あえて具体的に言うならば一号表に近いもの、そうして仕事を熱心にやっていただけるような意欲の起るように、そういうふうに作りまして、これを通牒をしていこう、こういう趣旨であります。
  230. 横路節雄

    ○横路委員 今の答弁ではっきりしたと思う。今の点は、私ども非常に心配しておりまして、実際に町村役場といっても、やはり町村病院を持っておるわけです。その場合に百人、百五十人しかない場合もある。また千人くらいらの市にしてもいろいろ持っておるわけです。研究所を持っておるわけです。今の大臣のお考え方は非常に私ども賛成です。きょうは率直に自治庁の長官からお答えをいただいて、私たちこれからこの法案を審議する上に、自治庁の考え方——おそらく地方公務員の五十万の職員も非常にきょうの大臣の答弁で安心したのではないかと思います。何かお急ぎでしたらどうぞ御退席願います。  次に労働大臣にお尋ねをいたしたいと思うのですが、実は行政職の(一)、(二)については、今私お尋ねをしたわけですが、技能労務職の俸給表、これをこういうふうに区分されてあるわけですが、これは私大臣なら御理解いただけると思うのは、大臣はずっと刻苦勉励をされておいでになられた方です。ですから私はこの技能労務職の俸給表、たとえば別表の八を見ますと、ここに地方官庁の技能労務職がございますが、ここに五千百円とありますのは、新制中学を出た諸君だ。私はこの技能労務職の俸給表から受ける感じは、一方は国家公務員だ、一方はお前らは公務員ではないのだ、お前らは雇用人なんだ、こういう格好ではっきりと身分的に分けていかれるような感じが強い。しかし官庁に勤める方は、中学を出て給仕になり、そして大臣もご存じのように、それから定時制高校に行き、夜間の大学に行き、昔なら高文をとる。そういう諸君がずいぶんとおった。そういうものがみな官庁に勤めていたのですが、こういうように一般の行政職と技能労務職とを分けると、中学を出て給仕をやりながら刻苦勉励をしてさらに伸びようという諸君は、初めからそういうような道を閉ざしてしまう。そういう考え方はないでしょうが、ちょうど地方、中央の関係のように、あなたたちはそうでないとおっしゃっても、しかし俸給表から受ける感じはそうですよ、私たちは技能労務職の俸給表もあわせて行政職の中に入れて、七等級で不便ならば八等級でも入れて八等級がだめなら九等級でも入れて作られることに中学を出て官庁に勤めながら定時制高校に行って、それから夜間の大学に行く、この道を進むということは、官庁に勤める以上はみんなそういうふうに決心していますから、他の方はいざ知らず、松浦労働大臣は刻苦勉励されて今日こういう地位を築かれた方ですから、私はこういう考え方に賛成していただけると思うのですが、どうですか。
  231. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 御趣旨のような方向に向っていけるような道は開いてあると思うのです。現在この俸給表で技能職としていろいろ守衛、小使、給仕、あるいは運転手、交換手というふうになっておりますが、五千百円の中学を出た人が刻苦勉励をして、そして定時制高校に行き、勉強した結果一号表の五級職、六級職の試験を受ければ、これは後に次官になられる要素を持っておりますから、私はやはりその道は開けておると思っております。それで何か技能労務職というものを国家公務員からはずすというようなお説でありましたが、私は今そういうことを考えておりません。
  232. 横路節雄

    ○横路委員 今大臣が技能労務職の俸結表の通用を受ける職員についても、国家公務員の身分からはずすお考えがないという答弁でございましたが、それであれば、ここに七等級が五千八百円からきまっておるならば、八等級を一つ作ればいい。八等級を一つ作れば、そこに五千百円を入れてやればいい、やはりそういうことをすることが、中学校からさらに刻苦勉励されていく諸君の道を開く道だと思う。だからこれはやはり十分考慮してもらわなければならぬと思うのですね。今大臣に私がお尋ねしているのは、与党の方にもわれわれの考え方をお聞きいただいて、あとで持たれる小委員会の中の修正案でも、ぜひ私たちはそのことを与党の人々にもよく御理解いただきたいと思っておるのであります。この点はぜひ大臣も考慮していただきたいと思うのですが、どうでしょうかね。大臣その方がいいじゃないですか。八等級を一つ起して、そこに五千百円から、こうやった方が大臣の今の趣旨からいうと合うと思う。
  233. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 先ほどからいろいろ御議論を伺っておりますと、さっきは五等級、六等級、七等級を一緒にして、五等級一本にして、もっと等級を縮めたらどうだという御意見のようでしたが、今度はこっちにきて議論すると、もう一つ八等級をふやせというように聞えるのでありますけれども、やはり部分部分に御議論されますとそういうことになるのでありますけれども、われわれは五千百円の給仕さんが、先ほどお話しのようなふうに刻苦勉励して、そうして五級職、六級職の試験を、受けて入っていきましたならば、それは次官になり大臣になる道が開けておる、かように思っております。
  234. 横路節雄

    ○横路委員 大臣決して私の話はつじつまが合わなくない。五級、六級、七級を一本にしてもらいたい、それを幸いに与党の方ものみ、政府の方も同調すれば、私が今申し上げているのは当然新しい六等級になるわけです。そういう意味なのです。それは当然なのです。ですからその点は、今あなたが出された俸給表をごらんいただいていますから、そのあとにもう一つつけてはいかがですか、こういう話をしたのであって、決してあちらこちらにいっておるわけではないのです。  大山さんにお尋ねしますが、行政職の(一)を使いますと、大学を出て二十年たつと幾らになるのでしょう。
  235. 大山正

    ○大山政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、大学を出まして試験を受けて六等級に入りました場合に、何年で上の等級に進むかということは、個々人によって違うわけでございまして、二十年たったら幾らになるかということを直ちに申し上げることはできないと思うのでございますが、御質問の御趣旨は、おそらくこの俸給表の上で飛び上りも何もなしに上って、オーバーラップをしたところから上った場合どうなるかという御趣旨かと思うのでございますが、大体三万円くらいのところへ二十年目でなるというように考えます。
  236. 横路節雄

    ○横路委員 それでは内藤さんにお尋ねしますが、教職員の俸給表の小中の二等級ですね。これは学芸大学の四年コースの者がここへ入ってくる。その場合には、二十年たつと幾らになりますか。
  237. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 これも正確に計算できないのですけれども、大体順調に上るものとして、二十年で二万八千八百円のところでございます。
  238. 横路節雄

    ○横路委員 それで私は内藤さんにお尋ねしたいのです。あなたは先ほど、教職員には一号の調整号俸があってうまくいっているのだという。ところが、今あなたお聞きになったでしょう、一般行政職の者は、二十年たてば概算して三万になるという。教職員の場合は二十年たって二万八千八百円。どこに一体職員の俸給表が、いわゆる超勤手当がないという立場において、優遇されているという実態があるのですか。ないじゃないですか。
  239. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 これは一つは、六級職試験を通った場合の想定なんでございまして、公務員の中には、六級職を通らない人がたくさんおるわけです。そこで六級職試験を通って入った人は、最も順調にいく人なんです。これと、一般のそうでない、六級試験を通らない方との比較をしてみますと、私は非常に違うと思うのです。そこで小中学校の場合でも、二十年たてば大体校長の方に切りかわると思います。ですから、校長になりますれば、はるかに上位の給与になると思うのでございます。二十年で校長になった場合は三万円をこすと思います。
  240. 横路節雄

    ○横路委員 いやしくも文部省の担当の局長にしては、私は今の答弁はちょっとふに落ちません。それは、一般行政職は六級の試験を受けたのだから、二十年で三万なんだ。小中の教員は、あれは六級職の試験にも受からないようなものだから、二十年たっても二万八千円だというような印象ですよ。小中に行っている者は学大の四年コースをとって——今は四年コースの話をしている。少くとも一学級、みんな五十人なり六十人なりの子供を教えている。あなた六級職の方が上で、そちらの方はだめだというのですか。あなたの答弁はおかしいじゃないですか。
  241. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 そういう意味で申し上げたのではなくて、六級職試験を通ってくる人は公務員の中でもまれだ、数が少いということなんでありまして、六級職試験を通らない公務員が相当たくさんおりまして、その場合には教員よりも低い、こういう意味でございます。
  242. 横路節雄

    ○横路委員 しかし今のあなたのお話で、六級職の試験は非常にめんどうなんだ、及第するのはまれなんだ、だからあっちの方が上なんだ、こういう考え方はおかしいですよ。六級職の試験を受かる者は決してまれではないですよ。ただ採用される者がまれなんで、逆ですよ。六級職の試験は、大学で普通にまじめにやっていれば受かるのですよ。ただ官庁の紋別の定数があるから採用されない、仕方がないから別の俸給表で入る。あなた、おかしいことを言いますね。特に今までのあなたのお話では、この学校の教員の俸給表は、超過勤務手当もないし、教育という特別の職務のために作ってある俸給表というのが、今お聞きのように六級職の試験を受かってきた者に比べて、二十年に少くとも千二百円からの違いがあるというのは、この俸給表に矛盾があるからなんです。これから話しますが、よく聞いて下さい。まず教育職俸給表の(三)、小中の俸給表の二等級、これは教諭ですよ。これはどこの学校を出た者を基準にして作った俸給表ですか。
  243. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 大体短大卒を基準にしております。
  244. 横路節雄

    ○横路委員 内藤さん、おかしくはありませんか。この二等級は、今全部学大四年コースに切りかわっているのですよ。それであるのに、小中の教諭の二等級は、あなたが今お話のように短大でやっておる。短大の資格による俸級表なんです。そのためにどういう矛盾が起きているかというと、たとえば教育職の保秘表の(二)だ。これは高等学校の教諭で、いわゆる大学四年卒の者を準にしている。だから、この教育職俸級表の(二)と(三)の二等級では、片一方は四年コースの大学、片一方は二年コースの大学を使っているために、明らかに体給の区分が違い、従って昇級の区分が違ってきている。これは明らかに矛盾じゃありませんか。これはどうですか、人事院総裁、矛盾じゃありませんか。おかしいでしょう、この俸給表は……。労働大臣、おかしいじゃありませんか。
  245. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 大山君から。
  246. 大山正

    ○大山政府委員 教育の(三)の俸給表につきましては、私どもといたしましては、短大、さらに新大も、現在の資格基準表による線を大体この俸給表に表わしたというように考えておるのでございますが、教育の(二)と(三)の差につきましては、現在のいわゆる教育俸給表の三本建、この差を大体の線において踏襲するという考え方で作っておるわけでございます。
  247. 横路節雄

    ○横路委員 それは大山さんらしくもないですよ。けれども、教職員給与三本建は、二十八年の四月の国会で、実はわれわれは反対をしたけれども、通りました。だから、今私はそのことについては触れません。しかし、そのときはそういう三本建にしたが、中学校、高等学校あるいは大学の俸給表のどこに、それぞれの俸給の金額について違ったところがあるのですか。全部一本にしているじゃありませんか。それをなぜわざわざ今度——あなた、ごらんになって下さい。二等級のところ、その一つ一つの昇給の金額は違うじゃありませんか。こういうやり方は、明らかに今までの原則をくずしたものですよ。大臣にお尋ねしますがね、大臣はこういうふうにお思いになっておりますか。四年コースの大学を出て、高等学校に行った、中学校に行った、これは俸給の差があっていいものでしょうか、同じ学歴で……。大臣の考え通りで一つどうですか。
  248. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 その点は、現在三本建になっておりまして、現在でも差をつけております。
  249. 横路節雄

    ○横路委員 いや、私は差のついていることはわかるのですよ。しかし、同じ大学四年コースを出た者の初任級はきまっていましょう。私が聞いているのは、今大山さんは前の俸給表を使ったというが、前は同じなんですよ。内藤さん、そうでしょう。俸給金額については……。違いますかね、なあた、答弁して下さい。
  250. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 前のは同じと思っております。
  251. 横路節雄

    ○横路委員 前のは同じなんですよ。大山さん、今度は、ごらんになって下さい、違うでしょう。
  252. 大山正

    ○大山政府委員 現在俸給表の使っています金額は、御摘指のように通し号俸であるわけでございますが、その昇格の仕方によりまして差が出てくる。現在では途中から差が出て参るわけでございますが、今回の俸給表におきましては、御指摘のように、入りました翌年から差が出て参るわけでございますが、これは現在昇格の操作によってやっております差を俸給表上の差に現わしたために、かようになったのでございまして、実態的にはおおむね現在の制度を踏襲したもの、かように考えております。
  253. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると今お聞きのように前の俸給表は同じなんです。ただ一号上に上げていることは事実なんです。それがいわゆる三本建の給与を貫いたものなんです。しかし俸給表は同じなんですが、今度は俸給表が別なんです。だからそういう意味から、今大山さんのお話からいけば、前の三本建の精神からいけば、なるほど一号の差はあってしかるべきかもしれない、しかしそのことと俸給表を違えてもいいということとは違いますよ内藤さん、そうじゃないですか。あなたはどうなんです。
  254. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 前の三本建の趣旨をくんでこういうふうにしたわけでございまして、実態的には変っていないわけでございます。
  255. 横路節雄

    ○横路委員 実態的にというが、金額が違うでしょう。あなた、金額をごらんになって下さい。(「初任給は同じだ」と呼ぶ者あり)初任給は同じであっても、そのあとで上る金額が違ってくるでしょう。あなた、もう少しよく調べてもらいたい。前の表をよく見て答えてもらいたい。
  256. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 それはずいぶん私どもも検討しましたけれども、現行と改正案との比較をしてみたところ、短大卒の場合に現行では四百五十円というのが四百円、高等学校の場合には現行で五百円が五年目で五百円、小、中学校の場合、高等学校の場合もほぼ現行との開きは同じでございます。
  257. 横路節雄

    ○横路委員 内藤さんの話はどうもおかしい。教職員の俸給表の二等級は初めから千円ずつでしょう。千円ずつがずっと続いて千二百円、片一方の方は、これはあなたのお話のところから始まるとしても八百円——八百円、九百円、千円、こういうふうになっている。片一方は初めから千円なんです。  それから次に、実は私のあとに受田君が労働大臣に質問することになっております。労働大臣も先に何か御都合があるようですから私は終らなければならないのですが、ここでちょっと内藤さんにお尋ねしておきます。たとえば教職員の俸給表の(三)の三等級を見て下さい。これは助教諭です。この助教諭の場合は、一万五千三百円までは昇給期間は一年であるが、一万六千三百円から一万七千三百円にいくときには十五カ月かかっておる。これも助教諭が学級担任をしていなければいいのであるが、全国に約三万からおる助教諭は、全部いなかで学級担任をやっておるのです。地方の農村では教諭と同じ責任を持ってやっておるのですよ。普通の行政職の職務内容とは違う。学童の命を預っておるのですから、こういう点あなた不合理だとは思いませんか。
  258. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 私どもは助教諭はなるべく早い機会に教諭に切りかわるように努力したいと思っております。御承知通り免許証も三十三年で切れますので、三十三年までにはできるだけ教諭の方に切りかわるように努力したいと思っております。
  259. 横路節雄

    ○横路委員 大山さんにお尋ねしますが、教職員俸給表の(一)の備考の二を見ますと、「この表の2等級の18号俸、19号俸及び20号俸は、大学院を置く大学の教授のみに適用する。」となっております。大学院の講座を持っておる教授ということになっておりますが、大学院の講座を持っておる助教授はどうなるのですか。
  260. 大山正

    ○大山政府委員 現行法の大学職員級別俸給表にやはり同じような規定がございますので、それをそのまま持って参りましたので、教授について適用するわけです。
  261. 横路節雄

    ○横路委員 そうすると助教授についてはどうなるのですか。
  262. 大山正

    ○大山政府委員 教授だけについて適用するわけです。
  263. 横路節雄

    ○横路委員 これは、同じ大学院で講座を助教授も持っておるでしょう。——持っていますね。それをなぜ助教授についても適用しないのでしょう。
  264. 大山正

    ○大山政府委員 現行制度におきまして、大学院を置く大学の教授についてのみこういう特例がありますので、これを踏襲したものであります。
  265. 横路節雄

    ○横路委員 そこで大山さんに尋ねますが、教職員の俸給表の (一)を使うと、大学を出て助手になった人は、二十年たつとどれだけになりますか。
  266. 大山正

    ○大山政府委員 何年目になるかということでなにいたしますので、どういうように計算いたしますか、個人によって違うかと思いますので、直ちにお答えできかねます。
  267. 横路節雄

    ○横路委員 たとえば五等級で九千八百円で赴任してくる。そうすると助手のままなったとしても二十年で二万八千四百円になる。私はそういうことをあなたにお尋ねしたいのですが、基準についてはっきりしないからということであれば、私はこの問題については、これ以上お尋ねしませんが、大臣も五時四十分をしきりに気にしておりますから、私はもう一つ大臣にお尋ねして、あと受田委員とかわりたいと思います。中央、地方の問題は、先ほどの私たちの立場で大体大臣も納得したと思うのです。  次に行政職と技能労務職の問題は、これは私は何といってもこういうような身分的な分け方をすると、将来これを公務員からはずすのではないか、こういう点もございますし、それからやはり官庁に働いている諸君が一生懸命に勤務するという建前からいっても、私が先ほど言いましたように、別に行政職の中に一つの等級を設けてその中にやるのが私は至当だと思うのです。そこで私があなたにお尋ねしたいのは、初任給については、ただ表の切りかえであるだけで、この初任給を思い切って上げることが今度の給与切りかえには大事なことだと思うのです。これはどうなっていますか、あなたのお考えを承わりたい。
  268. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 初任給の問題に対しましては、人事院の勧告が初任給は現在のままで変更しないという建前をとってきたものでございますから、それを尊重してこうやったのでございます。
  269. 横路節雄

    ○横路委員 淺井総裁にお尋ねしたいのですが、今の労働大臣の答弁で、人事院も初任給を引き上げるについてはなぜ考慮しなかったのか。私はやはり初任給を引き上げてやることが非常に大事だと思う。民間の給与と一一%の開きがあるという点からいっても、この民間の一一%の開きはいわゆる初任給だってやはりそういう違いがある。私は初任給を引き上げるべきだと思う。いかほど引き上げるかということは別にしても、当然引き上げをすべきだと思うのですが、なぜなさらぬのですか。
  270. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは一言で言えばベース・アップ方式をとらなかったからでございます。つまり現職者の号俸調整で給与改善ををする、こういう形をとりましたために初任給は引き上げなかったわけであります。
  271. 横路節雄

    ○横路委員 淺井さんに聞きますが、これは給与の改善でしょう。なぜ一体初任給についてて給与の改善をしないか、それをやればベース・アップになるからしないんだという考え方はおかしいじゃありませんか。やはりこれはあなたの方で総体的に六・二%上るとかなんとか、いろいろ説明されている。そういう点からいえば当然初任給についても上げるべきだ。なぜそこをそういうふうにちゅうちょされたんですか。
  272. 淺井清

    ○淺井政府委員 ここのところはいろいろ御意見もあると思いますが、それはさいぜん私が申し述べましたように、これは採用者の号俸調整の給与改善、こういう形でいわゆる号俸全部を改めるベース・アップ方式をとらなかったものでございますから、それでそういうことになったのですが、御異論のあることはよく了承しております。
  273. 横路節雄

    ○横路委員 労働大臣がいなくなったので大山さんに申し上げますが、ただ事務的に聞かれると困るのです。これは政府の方が手放しで、この俸給表はとてもいいんだ、こうかりに言うて見ても、これの第一の欠点は初任給を引き上げてないということなんです。これは第一の欠点ですよ。ほかのことについては、やはり人事院から来たものを幾分いいものに直したり、何だかんだされた点もあることは私も認めますが、この初任給だけは、これは直せばベース・アップになるからしないのだと言っても、今総裁の言うように給与改善なんですから——改善とは少くとも現状の段階よりはよくなることです。そうでないのですか、大山さん。それをなぜ一体ことし四月一日に採用する者をストップしたんですか。この問題だけはどうもふに落ちませんよ。
  274. 大山正

    ○大山政府委員 初任給問題につきましては、先ほど大臣からお答えがございましたように、今回の勧告の趣旨に従いまして、原則としては変えない建前をとっておるわけでございますが、ただ前々お話しいたしましたように、昇給期間を延伸したという関係のところ、それから昨年の暮れの国会で通過いたしました学歴差是正の関係のところは、初任給は人事院が指定するわけでございますが、俸給表を立案するに当りましては、そのことを想定いたしまして立案いたしましたので、その点は変っております。その他一般的に上げなかったという点につきましては御指摘の通りでございまして、俸給表として非常によくするということでなしに、そこに移り変ります場合に調整をするという考え方に今回立っておりますために、先ほど総裁も言われましたような関係で、初任給は一般的に原則としては触れないということになっております。
  275. 横路節雄

    ○横路委員 淺井さんにお尋ねしますが、民間との給与の開きの場合には、初任給の開きはなかったんですか。
  276. 淺井清

    ○淺井政府委員 民間との給与は全体の平均でやっておりますから、初任給はどうということは調査いたしておりません。
  277. 横路節雄

    ○横路委員 これで私はやめますが、私、総裁に申上しげますと、そういう比較もありましょう。しかしこれは国家公務員と地方公務員の場合には、総裁御存じのように、今のような比較はしないですよ。大学を出て何年、国家公務員のカード、地方公務員の同じ学歴のカード、こう引っ張り出して処理していく。決して総体のトータルでなんぼということでやったものではないんですよ。だから私は、今あなたが、それは総体のトータルでやったんだ、だから比較にはなりませんということは、少くともこの委員会の答弁としてはおかしいと思う。そういう比較だってなさっているんでしょう。そういう比較を全然しないで、総体のトータルだけで一一%なんていうことはないんですよ。必ずやはり五十なら、五十のカードを引い、それを一々対照して、それを合せて検討しているはずなんです。そうじやないですか。給与局長、一つどうです。
  278. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 れわれの方といたしましては、いろいろな比較はやっております。ただ先ほど総裁から申しましたように、今回の給与改善に当りましては、個々のポジション、たとえば行政職の課長でありまするとか係長を、民間と対比いたしまして、それで一一%差があるという御指摘でありますが、その通りでございますけれども、その個々のポジションを比較して権衡をとるというよりも、一般職公務員全体の権衡をとるという観点から六・二%、こういう調整をやった次第でございます。
  279. 横路節雄

    ○横路委員 これで私は終りたいと思いますが、国家公務員と地方公務員給与の比較はそうなっているのです。これは自治庁長官がおらないので残念ですが……。ですからこの点は、今いろいろ給与局長からお話があったように、いろいろカードを抜いて調べたものもあるはずなんです。そのことは、総体に一一%低い、そういう立場から言っても初任給は低いのですよ。これは大山さんだってよく御存じだと思う。決して官庁の初任級が民間と同等だとかなんとかいうことは考えていないはずだ。これの欠点はそこにあるのですね。この点は一つ十分政府の方でも考えてもらいたい。なぜ一体この点についてちゅうちょ逡巡されたかという点については、まことにどうも人事院もはなはだ遺憾である、こう申し上げておきます。それから内藤局長には、少くとも前には三本建であっても俸給表は全部一本にしてあったものです。それをわざわざ高等学校については新大、それから小中については四年課程のものがあるのに短大一本の俸級表をとったということは、明らかにこの法案の欠点ですよ。こういう点等は一つよく考慮してもらいたい。また与党の皆さんにも十分一つ考慮していただきたいということを申し上げて、私の質問を終ります。
  280. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 実際問題として小中学校の場合には、短大卒の力が総員の六%、新大卒が六%程度でございまして、旧制の師範学校を出た方が相当多いのでございますので、主として短大を中心に、しかも新大から途中から入る場合には、新大の方から入れるような配慮はされておるわけでございます。ですから短大のみというわけではございません。
  281. 横路節雄

    ○横路委員 どうも終ろうと思ったらまた答弁されましたから……。しかし何といっても教職員俸給表の第三表のいわゆる二等級というものは、明らかに短大によるところの俸給表です。ですからこの俸給表の欠点は、現在いる者について考えるのであって——全部四年コースの者しか採用できないようになるのですから、当然その者を基準にして考えなければならないのに、その者に目をおおうているということは、やはりこの切りかえの欠点ですよ。また答弁すると質問しますよ。
  282. 内藤譽三郎

    ○内藤政府委員 実は現在のところでも全部四年に切り変っているわけではないので、四年の方に切りかえてはいますけれども、まだ五〇%は短大卒なんでございますので、その点もお含みおきいただきたいと思います。
  283. 横路節雄

    ○横路委員 だから二等級については四年コースの者については考慮してないという私の批判を受けなければならぬというのです、短大二年コースの者で給与を作ったんだから。以上で終ります。   〔委員長退席、大平委員長代理着席〕
  284. 大平正芳

    ○大平委員長代理 受田新吉君。
  285. 受田新吉

    ○受田委員 お急ぎのお約束がございますので、御便宜をお与えする目的をもって順次御答弁を願いたいと思います。  私は、今回一般職給与法という基本的な法律改正に伴いまして特別職職員給与法が改正されるということは、これは当然であると思います。ところがここで基本的に考えていかなければならないことは、日本の給与体系というものが最近においてどうもことのほか複雑多岐になっておる。一般職給与法が累次の改正で一そう複雑化しているとともに、今回の改正がまたその最も尤なるものでございますが、特別職においてもどうも納得いかない諸般の改正がされておるのであります。これは後刻全体の問題として内閣官房長官に見解をただしたいと思うのでございますが、まずその特別職の中で外務省に関連する問題を大急ぎでお尋ねします。  今回政府がお出しになられましたところのこの特別職職員給与に関する法律改正案の中には、大使の俸給を特に五階級に分けて提出されておるのであります。大使というのは国を代表して海外で御苦労いただいておる特別な任務を持った方でございますが、その大使がここに一階級ふえて従来の俸給表の八万八千円から七万二千円に至るその次に六万六千円という大使が現われました。この六万六千円という大使は従来なかった俸給表でありまして、七万二千円という、一般職公務員では最高号俸を下らざる立場に、国の権威を海外に顕揚していただく意味において号俸一が定められておったのでございますが、今回その公務員の最高号俸を下回る六万六千円というはなはだ貧弱なる大使が現われた理由をお答え願いたい。
  286. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 お答えを申し上げます。今度外務省所管の大公使の俸給表を変えまして、大使につきましてば四階級を五階級にいたしたい、こういうことで今度の給与体系の改正に関しまして御審議をお願い申し上げておる次第でございますが、最近第二次世界大戦後世界の情勢は小国が競って大使を交換しようという風潮に相なっておりまして、これは格式を重んずることと、もう一つはやはりその国の独立——独立と申しますか権威を高からしめるというような意味かと思いますが、競って大使を交換するように相なって参りました。ことに中南米諸国におきましては、大使を交換しようということで、今度の在外公館の名称位置等変更の法律を御審議願いました中におきましても、数個の公使館を大使館に昇格いたします案を御審議願った次第でございますが、そうしたことと、もう一つはこの際大いに若い大使を作りたい、そうして外交界に清新な気風を注入したい、かように考えまして、若くして大使になりましても、俸給が飛躍的に増加するということじゃなしにある程度のつり合いのとれた俸給の昇給にしたら、こういうような点を考慮いたしまして四階級を五階級にしたわけでございます。これは大使の給与をベース・ダウンしたというような意味では毛頭ありませんので、この点は一つ十分御了解を願いたいと思います。
  287. 受田新吉

    ○受田委員 大使と公使はどちらも認証官でございますが、この認証官におきまして、公使にも八万二千円という号俸をもらっている方々もおり、また七万八千円という方もある。こういうふうにして、現在においても大使よりも高額の給与をもらっているところの公使もおるわけです。そこで、大使と公使の待遇差という問題になるわけでございますが、これは別に考慮をする必安なくしてそれぞれの立場を守らしめるというお考えでございますか。
  288. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 ただいまお話しになりました御説の通りでございます。
  289. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、公使が大使に昇格するということを今政務次官は言われましたが、格式の上で高い大使になる場合に、格式の低い公使よりも原則として給与が高いというのが建前ではございますまいか。
  290. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 一般的に申しますと、公使から大使になりました場合には位が上りますので、それに伴いまする給与が上るのは大体原則かと思いますけれども、そうでない場合もあり得るわけでございます。
  291. 受田新吉

    ○受田委員 そうでない場合があり得る方が多いように俸給表が作ってあるのです。ことに、六万六千円というのができますと、大使と公使の食い合っているところの面の方が広くなってくるが、これは御承知でございますか。
  292. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 大体、その人の経歴、閲歴、経験等から大使、公使に任命し、またその経歴等によりましてどの俸給に当てはめて何するかということを考慮するわけでございますが、公使から大使になることによって俸給が下るということはないわけでございます。ただ、たとえば大使でも三号俸の大使がありますと同様に、四号俸の俸給給与の高い公使があるわけでございます。位が違っておりましても、勤務した年数とか、あるいはまた経験とかいうようなことによりまして給与の面において違って参りますことも、これはやむを得ぬことじゃないか、かように考えております。
  293. 受田新吉

    ○受田委員 そのお説に対してはまたお尋ねをあと回しにしまして、大体、五等大使といいますか、今回の安い給料で御赴任いただく大使がおいでになる国はどこを予定されておりますか。
  294. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 これは国によってきまるというわけのものではございませんで、その人についていくわけでございます。しかし今度中南米の国でこれまで公使館であった国がだいぶ大使館になります。そうした国には比較的若い大使が赴任することに相なりまするので、大体今度の一号俸を受ける大使が赴任することになるのじゃないか、かように思います。
  295. 受田新吉

    ○受田委員 五等大使が赴任される国は結局中南米あるいはアジアの小さな国などのように、小国とあなたはさっきおっしゃった、一応大使には昇格をしておるけれども、格式は小さい国というところが対象になる、かように心得てよろしゅうございますか。
  296. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 大体お説の通りになると思いますが、必ずしもそうともいかぬと思います。あるいは相当長年勤務された方でいろいろな関係で小さな国に行っていただく方があるかもしれません。そういう場合には比較的号俸の高い、給与の高い力がそうした国に赴任される場合日もあるいはあると思います。必ずしも一がいにどうこうということは言い得ない、私はかように思っております。
  297. 受田新吉

    ○受田委員 民間の学識経験者その他実業界、政界等からその仕事をなげうって行っていただくような、特別に任用ししいただくような大使もできるわけですね、そういう人の俸給は何を基準にしておきめになるのか。
  298. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 やはり学歴とかその人の社会的な地位、それからまた従来とっておりました俸給給与というようなものをいろいろ参酌いたしまして、それにふさわしい号俸にきめたいと思います。ただやはり民間の相当の大実業家なんかでございますと、なかなかこれに当てはまらぬ場合も出てくるかと思いますが、できるだけそうした方面に考慮をいたしまして、従来のその方の給与というものを下らない程度、そしてまた向うに赴任されまして仕事をやられますのに不便または不都合の来たさない程度にきめるということが、そうした特別任用の場合の給与をきめる基準に相なっておると考えております。
  299. 受田新吉

    ○受田委員 一般職公務員では最高号俸をもらう方が大使になられるような場合は問題でない。六万六千円ということはあり得ないことなんですが、それから下に、たとえばあなたが今非常に若い人を採用するとおっしゃったのですが、その若い人を採用するとおっしゃったその人の現在占めておる地任と俸給はどのくらいのところを予定されておりますか。
  300. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 大体私ども先ほど若い人というように抽象的に申し上げましたのは、本名で申しますれば古参の局長というところでございまして、古参の局長の本俸またその他の諸手当、管理職などの諸手当を加えましたものを若干上回ったものが大体大使の一号俸に該当すると考えておりますので、古参の局長から大使を任命いたします場合、すなわち若手の大使を任命いたします場合には、大体ただいまお願いを申し上げております一号俸でもって大体適当なところじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  301. 受田新吉

    ○受田委員 大使、公使の格式でありますが、小さな国であっても大使を交換したいという国に対してはどしどし遠慮なくこれを交換する、しかしやや大国であっても公使でいいところはそのまま残すというような、そういう形に外国との大公使交換における一つの流れがあるので、かような俸給表を作られたと了解してよろしゅうございますか。
  302. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 それも一つの考え方だろうと思いますが、それと同時できるだけ一つ若い人も抜擢をして若い大使もこしらえたい、そして現在のわが国の給与体系の中において、若い大使を抜擢した場合にはもう一段下の一号俸を作ってもさような不都合は来たさない、さような考えから一号俸を作ったわけであります。
  303. 受田新吉

    ○受田委員 在外勤務者には在外勤務手当が支給されておるわけですが、その在外勤務者の勤務手当の支給状況はどういう形に置かれておりますか、大公使の俸給と関係しますので……。
  304. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 在外勤務者に対しまして本俸以外に在勤俸を支給いたしておるわけでありますが、その在勤俸の根拠になりますものは、その赴任いたします国の物価の状態とか、あるいはまた為替の関係とか、いろいろな点を考慮して、それぞれの任地につきましてきめていくわけでございます。そのきめます基準は大体どの程度のものを目標にきめるかと申しますと、まあ向うの国におきます中産階級の中くらいか、むしろ中の下くらいのところを目標にきめていくわけでございまして、これだけのことでございますれば、向うに行きまして肩身の狭い思いもせず、また国威を失墜するようなこともなく勤務ができるのじゃないかというところで、大体その程度を目安にしてきめておる次第でございます。
  305. 受田新吉

    ○受田委員 ごく簡単に一、二の例をお示し願いたいと思います。
  306. 木村四郎七

    ○木村政府委員 ワシントンにおきます外交官の在勤俸を例にとって申し上げます。六級職の者がワシントンに赴任いたしました場合は、月額二百三十ドルを文給いたしております。年額にいたしまして二千七百五十ドルになるのでありますが、これを十号俸といたしまして、十号俸より漸次上位になりますにつれまして、十号から一号俸、公使、大使となっておりまして、大使は年額一万八千八百ドルになっております。五号俸をとって申し上げますならば、五千七百八十ドルになっておりますが、この比率は一般職職員給与に関する法律に定めてございます俸給表の職級間の比率を参酌いたしまして、今申しました十号俸から漸次金額を算定してございます。
  307. 受田新吉

    ○受田委員 大使の一万八千八百万ドルという金額は約二万ドルです。そうしますと、大体七百万円近い金額になると思うのですが、外務省の役人の中に在外勤務中に国内における借金の穴埋めをするといううわさも流れておるということでありまして、一年間に七百万円も本俸以外の小づかいがあるということは、非常に恵まれておるお方であると御判断に相なりませんでしょうか。
  308. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 先般も在外公館のときに本委員会において申し上げたと思いますが、先ほども繰り返しましたように、これは外国におきましての物価また生活程度その他から比べまして決して高いものじゃなく、まず中産階級の中または下を目標にいたしておるようなわけでございまして、あるいは日本の国内におきます生活程度と比べまして若干ゆとりがある生活ができるかとも思います。しかしこれも、外国におきましては、他の国の公館員との交際、つき合いその他いろいろございますので、なかなかやはり楽ではないようでございます。それで私どもとしましてはあまり窮屈にして肩身の狭い思いをさせて、そして仕事をどんどん押しつけるというようなことでは思う通り仕事もできませんし、活発な外交の仕事をやるということもできかねると思いますので、まずこの程度で適当じゃないかということで在外給与をきめておるような次第でございます。
  309. 受田新吉

    ○受田委員 外交官にはそれぞれ外交上の交際費というものが別に計上されていると思います。大使館としての交際費、外交儀礼上における大使がなす行為に対する交際費というものを別に計上されていると了解しておりますがいかがでありましょうか。
  310. 井上清一

    ○井上(清)政府委員 各大使館には交際費を配分をいたしております。大使としての職務を執行いたします場合、また大使館としていろいろ仕事をやります場合に、その交際費は使えるわけでございますが、やはり個人としても相当外国に駐在いたします者にとりましてはばかにならぬ出費になるようでございます。  なお先ほどちょっと申し落しましたが、在勤俸につきましては、私どもの方で詳細に各国の例を調べて、それと対比いたしましもたのがございます。わが国の在勤俸はワシントン、パリ、ロンドン、モスクワというようなふうに各地において調べてみましても、米国、英国、これはなかなかやはり富の高い国でございますから、あるいは比較はどうかとも思いますけれども、西独あるいはまたその他の国と比べましても、どうも在勤俸というものが割合に率が少いというふうに考えております。なおこの率につまして、必要でございますれば、またお手元に資料として差し上げたいとも考えております。
  311. 受田新吉

    ○受田委員 もうそれでけっこうです。ただ外務省という特別のお役所が、外交上の責任を持つ役所として他の竹に見ることのできない特別の給与及びこれに準ずるものの手当を受けておるとするならば、これは各公務員間の比較論の上において非常な問題が起ると思いますので、私今指摘したわけでございます。外務公務員の実態が在外者において国内在勤中の赤字を十分埋めて余りあると伝えられておる、この風説を抹殺するような方向に持っていかれることを希望して一応お帰りを願いたい。  ここに田中官房副長官がおいでなので、後席どここに御足労いただく松浦さんとともに解決していただきたい重大な問題があります。その一端を申し上げますが、今回この重要法案である給与法案が提出されますに当って、政府としては日本の国家の組織的な立場から、行政上の組織あるいは公務員の制度的な問題という大きな立場から、何か一つの目標を持ってそれにつながるごとくに相次いで法案を出され、その一端が今回の給与法案であると見られる向きがあるのであります。そこで私は田中さんでけっこうなんでありますが、あなたは公務員制度調査室というものを所管される官房副長官でいらっしゃる。そこであなたの配下に属する公務員制度調査室というものに、今私が申し上げた大きな立場で国全体の公務員制度とかその給与の問題とかに検討を加え、これに関連する基本的な法規をお出しになろうとするには、あの貧弱な組織でその目的を達し得るとお考えであるかどうか、まずこれをお答えいただきたいと思います。
  312. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の国家公務員全体の給与その他に関しまする事柄の検討につきまして、内閣官房公務員制度調査室がございますが、これは昭和二十九年に公務員制度の検討のために設けられた一つの組織でございます。従いまして当におきましては、いわゆる公務員制度調査会の取り扱う事柄につきましてお世話をする、あるいはそうしたことがそもそも公務員制度調査室の出発でございまして、かような大きな全体の問題を取り扱うためには、とうていこの公務員制度調査室のような小規模なものでは人手が足りませんし、また十分に能力を発揮することができないことは私どもも重々承知をいたしておるのでございます。さような関係からいたしまして、将来といたしましては、この公務員制度調査室はやがて解消いたしまして、ただいま国会に政府全体としての行政機構の改革を法案として提出いたしておりまして、これが継続審議として御審議願っておることは御承知通りでございます。この中にも将来総理府の中に相当規模の大きな人事局を設置いたしまして、この人事局で公務員全体の制度としての問題、あるいは給与の問題その他あらゆる点につきまして、公務員の福祉のための事柄もこの人事局において取り扱わせるようにいたしたい、かように考えておるのであります。ただ現在のところといたしましては、定貴増加もできない現状でありますので、はなはだ遺憾ではございますが、公務員制度調査室のきわめて小さな規模でありますが、全職員の一致協力によりまして、非常に御苦労な事柄を奉仕していただいておるのでありまして、われわれといたしましても、将来これはもっと大きなものに拡大せねばならないということを重々考えておる次第でございます。
  313. 受田新吉

    ○受田委員 今お説の中に現に提出されている関係諸法案の中身に触れた問題があったわけでありますが、今公務員制度調査会が答申をいたしました。その答申内容に基いて何か一つ大きな目標を実現させたい。特に公務員制度については根本的に管理職群というものの力を強化するような形に持っていきたい。それは公務員制度調査会の答申の中にもはっきり書かれておるのでありますが、そういう方向にいく一環として現に出されておる法案のトップマネージメント関係の、たとえば事務次官を置くとかというような法案をお出しになったのではないかと思うのです。これはあなたの方としてどういうお考えでお出しになったか、お答えをいただきたいと思います。
  314. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 当初、この行政機構改革案を出しました当時の考え方といたしましては、現在の国家の制度のあり方がややもすると政治と事務とが非常に泥同されやすい、またややもすれば政治が事務によって支配されるというようなおそれもございまするし、あくまで行政は政治が先行してそれに事務が従うのが行政の本体であろう、かような考え方からいたしまして、国の行政をやる上におきまして、どうしてもトップ・マネージメントの制度を採用いたしまして、これによって最高方針を立て、この方針を具体的に実現するためにこの管理職の問題を解決する、かような考え方から出発をいたしておるのであります。現在もその考えはあるのでありまするが、ただいろいろな関係からいたしまして当初の考えが若干訂正されまして、現在御審議を願っておるような行政機構改革案に変更されたわけでございます。
  315. 受田新吉

    ○受田委員 公務員制度改革の根本的な策というものは、それならいつごろお出しになる御予定でございましょうか。
  316. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 この公務員制度全体の改革につしまきては、また給与改訂以上に非常にめんどうな問題があり、大きな問題でございますので、本件につきましては、おそらく次の通常国会あたりに提案される運びになるであろうということだけは、申し上げて差しつかえなかろうと思います。
  317. 受田新吉

    ○受田委員 次期国会以前に公務員制度全般の改革案を用意するというお言葉であります。私は、そうした政府の態度があることに対して、今回出された給与法案とにらみ合せてお尋ね申し上げたいのでありますが、これはあなたのこちらにおられた松浦さんが今帰られて、お答えをいただく方に妙味があるのでございますが、あなたに一問だけお尋ねを申し上げておきたいと思う。  あなたとしては、この給与制度というものは、そうした公務員制度の根本的な改革とあわせて取り扱うべきものとお考えになっておるのでありますか、別にこれを分けて取り扱うのが本体としてお考えになっておるのでありますか、そのいずれであるかお答えを願いたいと思う。
  318. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今回公務員制度調査会から答申されました中には、もちろん給与の改訂等も若干含まれておるのであります。そして、御承知のように、昨年七月、人事院から公務員全体の給与の改訂に関する勧告がなされましたので、その当時政府としてはできるだけその勧告を尊重して、なるべく早期に実施いたしたいということを声明いたしております。さような関係もございますので、とりあえず国家公務員全体の給与だけはなるべく早く人事院の意思をも尊重して出したい、かような趣旨から今回公務員給与の改訂の法案を出した次第でございます。
  319. 受田新吉

    ○受田委員 それに関連して私が今問題にしてみたいと思うのは、今国家の公務に従事しあるいは地方の公務に従事している人を全部含めて、少くとも公務員と名のつく人々に対しての給与体系が個々ばらばらである。これを何とか中央でまとめようというような意図は持っておられないのか。先ほどいよいよ複雑多岐になって従来よりもかえって煩雑化しているということを申し上げたのでありますが、大目標としては、立法、司法、行政各部門における給与というものは、統一的取扱いに持っていくべきものとお考えではございますまいか、お答えいただきたいと思います。
  320. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今回の給与改訂は人事院勧告の線に沿いまして、勧告の内容を中心にいたしまして改訂法案を提出いたしたのでありまして、もちろんこれ以外にも特別職関係であるとか、その他今お示しのような職種についてのいろいろな給与の改訂の問題も今後まだ残されると思っております。これらにつきましては、今後この問題が解決してから後、逐一これを取り上げましてさらに再検討をしようと考えております。
  321. 受田新吉

    ○受田委員 今回特別職の俸給表の改正案もお出しになったのでありますが、こういう問題は、一般職の根本的な給与改善とおっしゃっておられるが、せっかくそういう精神があるのでしたらあわせて関連する懸案を解決するという方法の方が賢明ではなかったでしょうか。
  322. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 人事院の勧告を中心といたしまして改訂案を作りましたので、まずこの中に盛られた職種を中心にいたしまして改訂したことは申し上げた通りでありまして、そのほかの問題につきましては、先ほど申し上げました通りに、当然この際にやるのが至当であるかも存じませんが、いずれこれが解決いたしましてから後に検討いたしたい、かように考える次第でございます。
  323. 受田新吉

    ○受田委員 検討すべき問題の一つの具体例として法務省の関係を私は指摘したいと思うのです。三十二年度の一般会計予算の参照書を拝見いたしますと、二百六十一ぺ−ジに法務本省における事務次官、局長、部長、局次長、こう掲げられておる項目の中に、局長から下、課長参事官に至るまでは定員の中に適当に検事をもってこれに充てることができるという規定がずらりと並べられておるのでございます。局長に例をとるならば、十五級の局長三人、十四級の局長四人のうち、四人は検事をもって充ててよろしい、参事官の場合には十三級十一人、十二級九人のうち二十名、つまり全部検事を充ててよろしいということが書いてある。なお、さらに地方の法務省所管関係の所長あるいは部長、事務局長等に至るまで検事をもって充ててよろしいという規定があるのですが、これはどういう理由であるか、この前ちょっとお尋ねしたのでございまするが、この中に適当に数字をあげて検事を充ててよろしいと書いた、その数事上の問題と、検事を充てるという理由とをお示しいただきたいと思います。
  324. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 この前にも実は御説明申し上げたように思って、おりますが、御承知のように、法務省の仕事は裁判所、検察庁等々と非常に密接な関係を持っておりまして、その職務を遂行する上において裁判官、検察官としての経験知識を要するものが非常に多いのであります。その必要上、国会からのむしろ勧奨と申しますか、そういうふうなことも動機になりまして、法務省設置法の附則に法務省の職員のうち一定数は検事をもって充てることができるという規定が設けられておりまして、その規定に基きましてこういうふうなことになっておる次第であります。
  325. 受田新吉

    ○受田委員 その規定は規定としてあなたが御説明になることはごもっともなのでござございますが、しからばここに俸給額が掲げてありますが、一例を局長に取り上げますならば、二百三十八万六千八百円という定員七名に対するこの俸給は検事の俸給をもってしたか、あるいは局長の俸給をもってした数字であるか御答弁をいただきたい。
  326. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 ここの局長の欄に出ております数字は、充職検事の給与は含んでおらないのであります。充職検事については別の最後の欄に一括して載っておるわけであります。
  327. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますとここにあるうち四人とこう書いてある数字は、検事の最後に一括してある方に引っ込めて、ここでは三人と四人の七人のうち、残りの三人分が掲げられてあると見ればよろしいのございますか。
  328. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 その通りであります。
  329. 受田新吉

    ○受田委員 ここに問題があるわけです。あなたの省は法務省の設置法によって検事をもって当てることができる、職員の事実上の職務が一般職仕事をしておりながらも、検事をもってこれに当てるという、はなはだわれわれとしては解せないやり方をしておられる、このあり方は法務省という一般官庁の立場から見たならば明らかに変則である、これは当然本筋に戻すべきものであるというお考えをお持ちでないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  330. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 この裁判官、検察官の給与につきましては、見方によりますと一般職員と共通に考えていい要素もあるかと思いますが他面これは非常に特殊性があるということも十分御認識をいただいていいと思います。憲法の規定でも裁判官等につきましては特別の条章を設けまして給与についての規定を設けておるわけでありまして、特殊性が十分あるということを御認識をいただきたいのでありますが、この法務省の職員につきましても、先ほど来申し上げましたように、非常に特殊性がございますので、現実の必要上こういうふうなことになっておるということを申し上げたいと思います。
  331. 受田新吉

    ○受田委員 現実の必要ということについて私は疑義があるのです。あなたは、法務省を裁判官や検事の出先機関にするという危険が多分にこの問題に包蔵されていることをお考えにならなければならない。長く法務省におられると自然に朱に交わって赤くなるということにもなって、そのにおい、くさみをかぐことができなくなる。しかし外部から見ればこの法務省の内部の検事をもって一般職の職務を行わせ、しかも検出の俸給を与えるというやり方に至っては、これは臭気ふんぷんはなもちならぬです。由来法務省に一般の外部の立場から大臣が就任せられると長く勤まらない、犬養さんにしてもしかり、   〔大平委員長代理退席、委員長着席〕 また戦時中は風見さんも御苦労された、こういうところに法務省という役所の特別のくさみを私たちは感じているのでございますが、遺憾ながらあなたのところがただ一カ所一般職公務員の事実上充当されるべきポストへ検事を当てて、しかも検事の俸給は御承知のように最高号俸が十五級職よりもまだ三千円ばかり高いところの給料をもらっておられるのであります。その一号俸をもらうような人々がここへ来たならば、ここで一般職の俸給を適用されると明らかに引き下げられるのです。二号俸だってそうです。そういう形からいったならばいつまでたっても法務省の内部の間違い、すなわち公務員制度と給与体系を破っているこの間違いを正すことができません。あなたのお隣におられる田中さんに対しても私はお尋ねしたいのでありますが、国全体の公務員制度というものの本質と、そうして公務員に対する給与はその職務に対して支給されるのであって、実際取り扱っていないところの検事などという身分に対して支給されるものでないという一線は、十分御承知でございますか。これを一つお答え願いたいのです。
  332. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 仰せられる趣旨も十分了解できるのでございますが、職務という関係から見ましても法務省のある一定の。ポストにつきましては職務上の特殊性があるということが十分言えると考えております。この一方公務員制度全体との関係をどの程度調整するかということでございますが、これにつきましては公務員制度全体の検討をされる場合にも、その特殊性と一般性ということを研究されると思いますが、それと関連いたしまして調和できる範囲において体系を整えるということは、これは望ましいことと思いますので、そういう点については今後の推移もにらみ合せまして研究いたしたいと考えます。
  333. 受田新吉

    ○受田委員 研究をせられるというところに発展されたので私もある程度了解するところがあるのです。一般職職員とまた特別職職員との間の人事交流あるいは一般職職員間における職群間の人事交流、こういう問題が先ほど以来取り上げられましたが、事実上低い給与にあるポストへ転任を命ぜられるという場合が、他の各省においても、またいろいろな職群間においても起っておる、しかしみんなそれをがまんしてそれぞれの職務の特殊性にじてそれぞれの立場の俸給表の適用を受けておるのです。おわかりでございますか、法務省だけが俸給表を下げられて収入か減ると人材が集まらぬとあなたはこの間おっしゃった、しかし法務省の本省の局長ともなれば地方の検事をやるよりははるかにネーム・ヴァリューもあることだし、喜んでこれに赴任するという心根も起ると思うのです。しかも給与体系を乱してまでこの変則的な取り扱いを受けるごく少数の公務員として、その検事の俸給を甘んじて受けようとするさもしい心根を持った人が、国民の間の不正を糾弾し国家の秩序を保つところの重責にたえ得ましょうか、いかがお考えでございますか。
  334. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 各職務についておる各個人々々が自分の欲望からということではなくて、やはりそういうふうな職務についてはそれ相当の待遇をすべきじゃないか、こういうふうな考え方からこの制度が考えられておるのでありまして、場合によっては少々の収入の減少ということは地位に応じて必要に一応じて忍ぶということは当然かと思います。しかしながら今の制度といたしましてはこういうことが相当であるというふうに考えられてできておるのでありまして、その必要性はなおなくなっ一いないのであります。研究はいたしたいとは存じておりますが、御了承願  いたいと思います。
  335. 受田新吉

    ○受田委員 厚生省にはお医者さんの局長もおられるのです。また文部省には地方の大学の先生をされた人が高級職員をやっておられる。そういうところの職員も特別の俸給をもらっておられません。特別の俸給表の適用を受けておられません。それぞれの省にあるそれぞれのポストに与えられたる俸給表の適用を受けております。ことに民間へ出れば開業医として高い収入のあるお医者さんが曲げて厚生行政のために、自分は尽したいという熱願を持っておられる。こういうことを考えると、少くともこの際法務省の検事をもつてかねられる方々に対しまして、勇断を振ってこの弊害を除去するところに協力をされなければならぬ、課長さんは検事出身のお方であると私は聞いておる。あなた御自身のお立場を一つ例に引かれて、断固としてこの弊害を除去する決意をお示しいただけませんか。
  336. 位野木益雄

    ○位野木政府委員 制度といたしまして必要で、あるということで現在設けられておりますので、この制度の存否あるいは改正について研究いたしたいということを申し上げておるのでありますが、各個人につきましては、たとえばすでに今——これは個別的な問題になりますが、矯正局長あたりは検事の経歴を長く持っておるのであります。すでに検事正の職務にすらあったその矯正局長としては一般職になってきておられるわけであります。各個人々々としてはすでに十分そういうことがなされておると思います。
  337. 受田新吉

    ○受田委員 法務府の方に対する質問はこれでおきますが、今お聞きになられましたか田中さん、今からずっといろいろな公務員のそれぞれの特殊性をお聞きしますのでよく聞いておっていただいて、最後の断を下していただきたいと思います。法務省けっこうです。どうもお疲れでございました。次に防衛庁の職員の方はここにおいでいただいておると思いまするので一言お尋ね申し上げます。防衛庁にはこれまたきわめて特殊性のある防衛庁職員給与法というものがあるわけです。この給与法は、一般職給与法をまねて作ったと法文にも計いてあるし、またたびたび御説明をされておるの、でございまするがしかし自衛官という身分にある方の給与については、これは非常な特殊性を持っておる、この特殊性力二つ指摘するならば、もうしばしば申し上げたように、日額制を採用しているということである。しかもこの日額制が月額になおされるならば、九万円に近い給与が、七万三千円の公務員の最高号俸に当る陸将に与えられておる、こういう実例があることを私しばしば指摘しておるのでございまするが、この指摘されている欠陥について依然としてまだその改正をする用意がないと見えて、今回の改正案にもそれが出してない理由はいかがでございますか。
  338. 山本壮一郎

    山本説明員 自衛官の俸給については、ただいま御指摘になりまするように、一般職職員の俸給表をもとにい出たしまして、自衛官の勤務の特殊性に応じまして、若干の調整をいたしておるわけでございます。その内容を申し上けますと、それぞれの階級につきまして一般職の相当する俸給の号俸を基礎にいたしまして、勤務地手当それから超過勤務手当等を俸給の中に織り込みまして、なおさらにそれから恩給納金あるいは共済組合の本人の負担金等を差引まして、さらに一曹以下の営内者等につきましては、食費あるいは居住費たる光熱水費等を引きましたものを日額に直して、それぞれの階級別の俸給月額をきめておるわけでございます。それでただいま御指摘になりました陸将でございますが、陸海空将のこの将という。ポスト、職務内容等が大体一般職のどれに当るかということはいろいろ考え方はあるでございましょうが、われわれといたしましては、諸外国の例等も勘案いたしまして、大体陸将の甲につきましては、従来で申しますと十五級の一それから陸将の乙は十四級の一あたりのところに基準月額を求めまして、先ほど申し上げましたような方式で判定したものを現在の俸給額としたわけであります。
  339. 受田新吉

    ○受田委員 私はこまかい規定についてはまた機会がありますので遠慮しますが、大体一例を最高号俸にとってみたいのです。陸将の最高号俸は現行二千九百二十円、これを三十倍してみると幾らになるか、大体九万円に近い公務員の最高号俸、次官あるいは大学の総長の身分にある人の最高号俸が七万二千円、またあなたの部内には幕僚会議、アメリカの統幕議長に当る林さんの俸給は、これは七万二千円、こういうように非常に複雑なんです。その間の整理をやって、少くとも昔の軍人といえどもそれぞれ月額制の給与をもらっておったんです。何を好んで日額をここで作ってちょっと表面は安く見えて中身は多いというような俸給表をお作りにならなければならないか。こういうことに疑義を抱かれるのですから、一般職公務員の取扱いに準ずるという法の精神からいったならば、今もあなたのお説のように管理職手当とか、そのほか超勤手当とか、いろいろな諸手当等も一般職に準じた取扱いをされて統一ある給与体系を防衛庁の中にもお作りになる必要があるのではないか、私これをちょいちょい御注意申し上げておいたんですが、考慮すると言いながらも今日依然として旧態依然たる改正案をお出しになっておる。私はこの点はなはだ解せないのでありますが、私が今申し上げていることは誤まりであるかどうか、昔の軍人の俸給制度を考え、現在においても防衛庁の内部職員の中に、内局の職員とか、防衛庁の文官という一般職の俸給表の適用を受ける人々との間における大きな食い違い等を直す意味において、この際一本の体系になおすというお考えはないか、お考えをいただきたいのであります。
  340. 山本壮一郎

    山本説明員 自衛官の俸給につきしまして、先ほど申し上げましたシステムをとっておりますのは、特に日額をとっておりますのは、警察予備隊発足以来これできておるわけでございます。この理由は、一に自衛官が非常に異動が多うございますので、俸給計算等月の途中におきましての計算等に間違いがないようにという点が、一番の理由だと了解いたしておる次第でございますが、御指摘のように、防衛庁の内部におきまして、参事官等の俸給表、それから事務官等の俸給表、自衛官の俸給表といろいろ部内にたくさんの俸給表がございますことは、人事の異動、人事管理上支障もあることでございますし、自衛官につきまして、果して文官と全く同一の一つの俸給表で律し得ることができるかどうか。これは階級制度をとっておりますので、若干その点も問題があろうかと思いますが、先ほどからの御意見を承わっておりますと、俸給表をなるべく簡素化する方向で今後とも研究はいたしたい、かように考えております。
  341. 受田新吉

    ○受田委員 そのほかの防衛庁の問題はまたあらた−てお尋ねすることにいたしますが、今申し上げたような諸般のいろいろな公務員の立場によって、各個ばらばらな俸給表が作られておるのです。今大臣と副長官とお二人にこれから詳細にお尋ねするのですが、今防衛庁の力のお答えの中にありましたように、同じ俸給表に当てはめるということを私は要求しておりません。自衛官の特質性を十分認めておるのでありますから、今回お出しになっている一般職の行政職の(一)に準じてやれということを申し上げているのではない。しかし系列を同じにするということはこれは大事なことであって、日額制を月額制に直す、こういうようなきわめて簡単にできる問題などは大急ぎで手をおつけにならなければならない。転任が多いとかなんとか、いう問題ではない。昔だって軍人はどんどん転任しておった。今あらたまって転任が多くなったわけではない。特にこの間死の行進の実態調査などを拝見いたしましても、夜昼かけ持ちで働いている、超過勤務手当ももらわないでがんばっている自衛官の立場を考えたときには、十分私たちは御同情申し上げているのです。だからそういう問題について、俸給表についてある程度手ごころを加えるということは、ある意味では異議はありません。私は体系の問題を申し上げている。そこで給与担当国務大臣と、公務員制度及び給与の全般の統制をとられる田さんとに統一してお尋ねを申し上げたいのでございますが、時間も進んでおりますので、早く切り上げます。あなた方お二人に対して交互にお答えをいただきたい問題は、今回提出されているこの給与法案は、これは給与体系の問題としてもきわめて重大な変更を加えた法案であり、またその中に一つの職階的な要素を盛り込んだものとして批判もされている法案であるだけに、この際国民にも納得させ、またこの俸給表の適用を受ける公務員にも納得してもらって、みんなが納得するような形でこの法案が取り扱われなければならぬと私は思うのです。だから一方的な押し売りでもなく、またあなた方がいたずらに迎合されるという必要もない。筋の通ったことはどしどしおっしゃっていただけばいいのでございまするが、しかしながら、私今から一つ二つこれまでの質問者が触れておられなかった点についてお尋ねをさしていただきますならば、この基本的な給与法案の中において一つ大きな矛盾ができておる。その矛盾は先ほど指摘された中にもあったわけでございますが、初任給をどこへ置くかということ、そして同じく出発した職員が先でばらばらな待遇を受けてくるという、この問題です。これは厳密に言ったならば、俸給表は全部の公務員に対して一本をもって私は理想とすると思うのであります。高等学校で大学を出た公務員が勤務年数に応じて順次段階を踏んで進んでいくという形が、これは私たちとしては理想であると思っておるのでございますが、しかし問題はそれぞれの職種の職務の内容等にそれぞれの特色もあるので、こういう俸給表を出したということでありますから、一応この俸給表をもとにしてお尋ねいたします。大体一般職国家公務員試験を、つまり六級職、五級職、四級職と続いておるこの公務員試験を受けて一緒に出発した職員において、途中で上の階級に上らなかった場合に、昇格しなかった場合に、そこで足踏みをして差等ができる。従って同時に出発した職員能率があり、成績が優秀であると認められた方はどんどん進んでいくが、途中でつまずいた人は同じ公務員試験に合格した人でも差等ができる。こういうような問題は具体的な問題として私達としては本人の能率とか、努力とかいうものをある程度考慮する意味においてこれは認めます。しかし問題は試験にパスした人々と、またある資格試験をパスした人々とが、職群が異なることによって一般職公務員試験にパスした人と、他の職群におけるある特定の資格試験にパスした人との前進の度合において著しい相違を持たしておるということが、これは重大な手落ちである。特に教員の場合に、あるいは医療職の場合に、これはそれぞれの資格を持った人がその職務につくわけであって、決して無資格でその地位をなす人はございません。ところが教員の場合でありましても、われわれは三本建法案に反対をしてきた立場でございますが、大学を出て九千八百円という初任給、四年制の新大を出た人、これが中学校へ出る場合と、高等学校へ出る場合と、大学へ出る場合と、それぞれ十年、二十年の後において大きな開きを持たれるような俸給表になっているわけです。しかもその俸給表の昇給期間の問題のみならず、俸給そのもが一本の体系になっておらないで、それぞれの職種、と職群においてばらばらにできておる。これは教育職員の今度出された法案で一つ例をとりますと、別表第五のこの高等学校の場合、大学を出た人が十年たつと、ここで一万八千八百円という俸給をもらう。二十年たつと二万九千四十円という俸給をもらうわけなんであります。ところがこちらの同じ大学を出た九千八百円で始まった中小学校の俸給表の適用を受ける人は、最初の十年間においてはこれは相違がございません。しかしその次の十年先へ行くと二万八千八百円という差等を生じておる。これは明らかに三本立の弊害ではございましても、個々に比べてみますると、その数字上の比較でございまするが、一方で作られている二号表による数字とこの三号表による数字とは、それぞれの数字を異にしておるというところに、給与体系における複雑さを増しておると思うのです。同じ形で出発した職員に対して、ある勤務年数を経た後における俸給表の数字差というものを、同一学歴、同一年勤務年表の条件のあった場合には、同じ形で進ませるという形を希望しているということは、お互いの発言の中にしばしば出たことでございまするが、それを越えて、さらに俸給表の数字に差等をつけているという問題は、先ほど私が最初に指摘した体系を複雑化させるという一つの例証になっていると思うのでございますが、あなた方といたしましては、同じ教育職員に例をとりまするならば、教育職員の俸給表の通し号俸の統一ぐらいは何とかとれなかったものでござるか、一つお答えを願いたい。
  342. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 先ほど来いろいろ例を引いてお話になったんでありますが、同じように出発して、同じ試験を受けて、同じ学校を出て、一人は上へ上っていき一人は下に残るじゃないかという御指摘がありますが、これは社会の現在の実相がそういったものになっていると思うのです。いわゆる勤惰の問題、創意工夫の問題、それからその役職における後輩を率先して、指導的な立場に立ち得る人というような人と、おのずから人間の差が生じて参りますから、長い時間の間にはそういうことができることはやむを得ないのじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、職務によって差が違うじゃないか。特に教育と医療職のことを御指摘になりましたが、職務によって差がありますことは現在も同じでありますし、改正案においても職務によって差をつけたことは当然であります。数字的な、技術的な問題に対しましては室長から答弁させます。
  343. 大山正

    ○大山政府委員 御指摘になりました教育職の(二)と(三)の作り方の問題でありますが、お話ありましたように、現在は同じ通し号俸を使いながら、あるいは昇格でありますとかあるいは頭打ちでありますとかというふうな形によりまして若干の差を生じているわけでございますが、今回の改正案におきましては、できる限りそういう同じ職務にありながら一時期に非常に昇給がよくなる、ある時期にまた非常に昇給が落ちるということがありませんように、大体において安定したと申しますか、平均化した昇給制度というような考え方で、別の通し号俸でそれを表わすというような形になっておるわけでございます。御指摘のありました高校と中小校につきましても、そのような考え方で、俸給金額が違う形で構成しておるのでございますが、現在の差というものを、現行では非常にとらまえ方がむずかしいわけでございますが、資格基準等につきまして見ますならば、今回の改正案は大体二十年目くらいまではむしろ縮まっておるのではあるまいか、その後少々開くというような形に相なっているかと思うのであります。
  344. 受田新吉

    ○受田委員 その俸給金額の数字上の差というものを一本にして教育職員の場合お立てになるべきではなかったかということを今最後にお尋ねしていたわけです。
  345. 大山正

    ○大山政府委員 現在の三本立の建前を踏襲するために、どうしてもこういう構成をとらざるを得なかった、こういうことです。
  346. 受田新吉

    ○受田委員 大体今あなたのお説を尊重して、勤務学校差をつけるといたしましても、俸給表の俸給金額の数字というものには統一をとってもらいたい。ここで高等学校の職員の場合の俸給表でありますると、三万二千四百円が中学校で、高校は三万三千三百円という対応する俸給金額が出ていますが、そういうようにばらばらの数字を使っておるわけですね。これはあなたがおっしゃったような三本立を踏襲しようとするとそうならざるを得ぬということでございましたが、同じ教育職員である以上は、体給金額の数字だけは合わせて号俸を設定するという配慮ができなかったかどうかお答えを願いたい。
  347. 大山正

    ○大山政府委員 御指摘のありました点につきまして、大体現行五年目くらいでは五百円差に現実になるわけでございますが、これを俸給表の上で表わしましたために、御指摘になりました五百円の差が数字の上で表われたということでございます。
  348. 受田新吉

    ○受田委員 その五百円の発展をそういう方に持っていったということでございますが、同一の職務に従事しておるという教育職員という立場からは、教育職員の俸給表としての十分の配慮をして、そこに通し号俸をなるべく採用できるような努力をする道はなかったか。あなたに今お尋ねしているのは結果を申し上げておるのではない、過程において努力する道はなかったかということです。
  349. 大山正

    ○大山政府委員 私どもといたしましては、号俸構成の関係上このほか方法がなかった、こういうふうに思います。
  350. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つこれに関連する問題でございますが、学校の職員構成の上において、校長にいつなるか、これは非常にむずかしい問題でございまするが、あなた方の方で御計画されている案では、校長になる年数がどのくらいかかるという想定をもってこの表をお出しになられたか、お答え願いたい。
  351. 大山正

    ○大山政府委員 今回の改正案の教育職俸給表の(三)の一等級の初号は、大体現在の教育職俸給表の七級一号に相当するかと思うのでありますが、二等級との重なりで大体考えるというのでありますれば、短大を出ましたで場合には十四年目がこれに相当する、新大を出ました場合には十二年目に相当するというように考えております。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 学校の大きさがそれぞれ違い、また若い校長も出る、老齢な校長も出るというわけなのでございまするが、若い校長に当てはめる俸給表はこれに見つからない。予定された年限のこない校長を、学校が小さくてもこれに簡抜するという策をとる道がないということになると思うのでありますが、これはいかなる取扱いにするおつもりでございますか。
  353. 大山正

    ○大山政府委員 俸給表の構成といたしましては、校長先生はやはり非常に責任のある地位であるというふうに考えまして、今回の初号をそのような額にきめておるのでございます。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 そういたしますと、中小の場合、たとえば新大を出て二年くらいで一万円程度の教諭を校長に抜擢するとたらまち二万円になりますか。
  355. 大山正

    ○大山政府委員 そういう非常に例外的な場合といたしましては、あるいは運用の画において何らか考える余地があるかと思うのであります。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 運用の面とはどういう形でお答え願いたい。
  357. 大山正

    ○大山政府委員 ただいまのような事例につきましては、やはり地方におきましていろいろ問題が起る点がございますが、やはり運用の面において何らかお考え願うというほかないかと存じます。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 運用の面でどういう取扱いを具体的にとるかということをお尋ねしておるわけです。
  359. 大山正

    ○大山政府委員 あるいは俸給表といたしまして、そういう場合を想定してさらに下の金額の俸給表というものを作ることも考えられると思います。あるいは暫定的に従来の俸給に即した俸給を臨時的にきめるということも可能かと存じます。
  360. 受田新吉

    ○受田委員 今の具体的な事例で当然問題になるのでございますが、暫定的な俸給金額をきめるという場合が起る。しかし学校長の俸給表は、明らかに一等級として厳たる数字が出ております。この数字を無視してほかの勝手な数字を当てはめるということが、俸給体系を厳守する人事院の立場から見ても、また政府の立場から見ても妥当といえますか。
  361. 大山正

    ○大山政府委員 私が申し上げましたのは、地方等におきましてそういう場合が起る可能性がありますれば、そういう地方においてはやはり俸給表もこれに準ずるわけでございますが、また別の定め方をする場合もあるのではないか、こういう考え方であります。
  362. 受田新吉

    ○受田委員 ここに俸給表がばらばらの数字をあげているといろに、人事の交流などに非常な問題が起ってくるわけです。たとえば付属の高等学校の先生が付属の中学校の先生に転任する、あるいはその逆の場合がある。あるいは研究職に変っていくとかあるいは地方官庁の公務員になるとか、特に教育公務員の場合には、中小高、大学の間における人事の交流ということもしばしば行われるのでございますから、その三つの教育職員の俸給表の体系だけは俸給金額の数字をそろえていくようなな形に持っていかないと、今私が一例をあげたような問題が起るように、いろいろと人事交流面においても支障が起ってくるのです。そういうところを是正する道がこの俸給表では開けていない。これを何とか是正して、俸給金額の体系を一本化する努力をすべきでなかったか。これを人事交流の面と、今あげました幾つかの事例の場合における具体的例において御回答願いたいのでありまます。
  363. 大山正

    ○大山政府委員 ある等級からほかの等級へ、同じ俸給表の中でもあるいは外でも同じでございますが、その場合の取扱いにつきましては、人事院規則が定めることに相なるかと思うのでございますが、ただいま御指摘のありました俸給金額をそろえるという点は、先ほど申し上げましたように、現在の昇給速度の差を維持するために、どうしてもこういう号俸構成をとらざるを得なかったということでございます。
  364. 受田新吉

    ○受田委員 この俸給表に当てはめる講師の例をお尋ねしたいのでありますが、講師という職員が中学校にも高等学校にもおるわけです。この講師が今までは級別推定表の中に入れてあるのでございますが、今回はこれはどういう取扱いを受けるのであるか伺います。
  365. 大山正

    ○大山政府委員 講師の格づけにつきましては、具体的には人事院の分類基準によってきまることでございますが、私どもが一応立案いたしましたのは、三等級を標準というように考えております。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 三等級という立場はどうも解せないのでございますが、これは新制大学を卒業して講師になっておる場合でございますと、どういう考え方で解決すればよろしゅうございますか。
  367. 大山正

    ○大山政府委員 説明が不十分でございましたが、上の免許状を持っている場合には二等級ということでございます。
  368. 受田新吉

    ○受田委員 もう一つここで、その初任給をどう設定するかということでございまするが、もちろん人事院規則にある初任給基準表を拝見をしましても、前歴のある方々に対しての規定をどう取り扱ったらいいかというところに非常な矛盾があるわけですが、今回はこれをどういうふうに取り扱おうと用意されておりますか。
  369. 大山正

    ○大山政府委員 これは人事院規則の問題になるかと思いますので、人事院からお答えいたします。
  370. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 教育職員の前歴の問題でございまするが、これは先般昨年の暮れの国会で通過いたしました高学歴教職員の処遇に関しまする法律がございますから、この趣旨に従いまして人事院はごく最近人事院指令を出したのでございます。この結果いわゆる高学歴者の是正につきましては、もちろん法律の趣旨に従ってやったわけでございまするけれども、高学歴者の是正ということをやったわけでございます。一般的に前歴の問題につきましては、これはあに教育職員に限りませず、あらゆる職種におきましてある問題でございまするが、人事院で現在作っておりまする前歴換算のやり方というものは、いろいろ検討いたしておるのでありますけれども、これを原則的に直ちに変える必要はないのではなかろうか、実際の運用面におきましてその基準が順守されていないような場合が往々あるかもしれませんが、そこまでは人事院は何とも立ち入って言うことができない、その結果が現われておるというような状況もあるようにわれわれ聞いておる次第でございます。
  371. 受田新吉

    ○受田委員 人事院は、今回の俸給改訂の法案が通過した場合において、従来の人事院規則で不十分であったところは、今後これを十分是正するという御意見のようでもございますが、今までの人事院規則できめられた規定が今度の法律によってある程度緩和されあるいは救済されたという場合において、新しい規則をどしどし作ってこれを救済するという用意をしておれるのかどうか。
  372. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 前歴換算の問題に関しましては、今度は法律が変るということになりますれば、現在の人事院規則では不備な点がございますので、これをもう一度やり直すということがあるかもしれませんが、大体におきまして原則は現在程度のものをさしあたりはやっていく、このように考えております。
  373. 受田新吉

    ○受田委員 いま一つ、大学院を置く大学と大学院を置かない大学との俸給表の問題でございますが、これは大学院を置いたからといって教授に違いがあるわけではないのです。この問題はどういうふうに解決していくわけでございますか。大学教職員の俸給表によって御説明願いたいと思います。
  374. 大山正

    ○大山政府委員 ただいまの点は現行法の規定を踏襲しております。
  375. 受田新吉

    ○受田委員 現行法の規定の中に、大学院を置く大学の教授と大学院を置かない大学の教授との間にわれわれは差等はないと認めざるを得ないのでございますが、これは解釈として同一の職務内容を持ち、同一の責任度を持っておるこいう立場からいったならば、大学院の設置のいかんを問わず同一体系に持っていく必要はないか、ここを一つ指摘したいのです。従来の分け方においてもあなた方矛盾を感じなかったか、お答えを願います。
  376. 大山正

    ○大山政府委員 現在の規定の趣旨をそのまま踏襲することが適当である、かように考えた次第であります。
  377. 受田新吉

    ○受田委員 私はここで、みなお疲れのようでございますから、根本的な問題に触れて質問を進めていきたいと思うのですが、政府は級別定数というものを考えて、そしてそれも予算都合で左右されるような形において公務員の採用をし、また昇給をし、昇格をするという段階を踏んでおるわけです。その基礎になる公務員の任用資格という点で、公務員試験の合格者の取扱いをまずお尋ねしたいのです。ごく最近に行われた公務員試験の六級職に例をとってお答えた願いたいのでありますが、その公務員試験の合格者とこれの採用者とを数字でお答えを願いたい。できれば三十一年ので願いたいと思います。
  378. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 私給与の方をやっておりまして、本日そういう問題が出るということを予測いたしませんでしたので、調べがつきません。あとで取り調べましてさっそくお答えをいたします。
  379. 受田新吉

    ○受田委員 これは非常に大事な問題ですね。その採用された人の進み方と採用されざる人の進み方との比較検討になるわけなんです。事実上横路君がさっき申したように、公務員試験に合格しても六級職として採用されない諸君がある。それはやっぱりそれぞれの職務における級別定数というような問題も起ってき、またそれぞれの官庁における都合もあり、また実際に採用される段階になってくると、他の会社等で有利な条件で採用しようというようなことでその方へ出かけていく等のいろいろな混乱があって、公務員試験に合格した者の進み方にはばらばらな姿が見られるわけなんです。私の方で、昭和三年にあなたの方で出された数字は見ておるのでございますが、実際に試験に合格した者が千五十一名で採用が六百六十七名、ごく最近のがあればと思ったのですが、大体約六割をちょっとこえた程度の採用しかされていないのです。この未採用の人々の進み方というものを私たちはまず考えていかなければならないのですが、その中で六級職として採用されないで五級職として採用され、あるいはその他の形で採用された職員が現実にありますかどうか。
  380. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今の問題はやはり任用の問題でございますので、取り調べましてお答えを申し上げまするが、私の関知しております限りにおきましては、六級職試験に合格いたしました者は六級一号に採用される、これは原則でございますので、そういうふうになっておると思っております。
  381. 受田新吉

    ○受田委員 従来公務員として採用されておるその人が、たまたま大学を卒業し、公務員試験にパスした、しかし合格はしておるけれども採用試験には漏れたという場合に、その人の俸給はあなたのおっしゃっているように六級一号に持っていっていただいておりますか。
  382. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 六級職試験といいますのは採用試験でございまするので、新たに六級職試験に合格いたしまして採用されます場合には六級一号でございます。現に在職いたしまする者が在職中にある試験を受けまして合格いたしました場合のことをお話しになっておると思うのでございまするが、これは事後におきましてそういうことは一応考慮に入れて現実の運営はされておる現状であります。ただこれは新規採用でございませんので、現にその人の給料はきまっておるわけでございます。従いましてもしその人がやめまして新たにもう一度六級職として採用されるという場合には、これは六級一号になるわけでございますが、現に在職してすっといっておる場合にはぽんと飛んだりすることもございますので、漸次その辺は考慮されて運営されておると考えます。
  383. 受田新吉

    ○受田委員 それは一応そこでとどめておきまして、上位へ昇格する場合にいろいろな方法があると私は思うのですが、あなた方の方では上級の職務に昇格させる場合の方法としていかなるやり方をされようとしておるのか。お答え願います。
  384. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 先ほど御指摘がございましたように、現在では級別定数というものを設定いたすことに相なっております。そのあらかじめ設定されておりますところの級別定数に欠員がありましたときに、その補充をする場合に昇格し得るという原則になっておりまして、しかも昇格し得るところのポストにその個々の人間が適格性を持っておるかどうかという一つの判定基準によりまして、その判定基準にふさわしいと認められる者については昇格し得るというのが体系でありまして、ただいま申し上げましたことが、給与法の第八条第三項が級別定数設定、改訂の規定であり、第一項が、あとで申し上げたところの基礎条項が法律に明記されておるわけです。人事院といたしましては、個々の具体的な昇格ということを一つ一つやるわけには参りませんので、いわゆる一般にいわれておりますところの昇格基準表というものを作りまして、たとえば具体的にはこれがどうなっているかということを申し上げますと、その級に一定の在級年数を持っておることを必要とする、あるいは全体の経歴として何年経過しておることを条件とする。まあ大体在級年数と経験年数との二つの要素を基礎にしてきめております。その条件に合致した者につきましては、任命権者たる各省長のお立場におきまして御運用を願って——人事院として基準を作っておりますのは以上のところまででございまして、それ以後の運営は、やはり任命権者の良識ある運営に待つという体系になっております。
  385. 受田新吉

    ○受田委員 今のようなお説の場合に当然その勤務成績を評定する基準等も任命権者が用意して、個人の能力をテストし、その成績を調べるという美名のもとに一つの独裁的な判定をするおそれがないか、これは今回のような等級差がはなはだしい職務給を御設定になるについては特に危惧される点でございますが、当局はいかなる御見解をお持ちでございますか。
  386. 慶徳庄意

    ○慶徳政府委員 ただいまの点につきましては、先ほど申し上げましたように、一定の基準は名省庁に示しておるのでございますが、各省庁が先ほど御指摘になりましたところの勤務評定制度というようなものも重要な参考資料としてお持ちになっておることは当然あろうかと思います。ただ勤務評定制度は御承知通り、年一回原則としてやることになっております。ところが今御指摘になりましたことは、欠員があった場合にその都度その都度やることになっておりますので、勤務評定制度が実施されていますところの時期と、現実に昇格が行われますところの時期とは相当食い違いがございます。従いましてその辺のところは任命権者が調整を加えまして、おのずから法における公務員の精神にのっとって成績主義というものを考慮して、良識ある運営が行われるはずであるというふうに考えておる次第であります。
  387. 受田新吉

    ○受田委員 私は、そうした昇格の場合における取扱いに非常な心配をせざるを得ないのであって、まじめな形で働いている職員が落後して、要領のいい者がどんどん上に上っていく、そうした現象がしばしば起ってくると思うのです。そこでこの等級別の数をできるだけ少くして、そうした恩着せがましい昇格試験とか昇格手続というようなものを省いて、目標に向って努力し、希望を持っていけるような形にこういう取扱いをいたしたならば、その危惧が非常に緩和されると思うのでありますが、等級数の多いだけにその危険が多いという現象を、当局としてもお認めになりましょうか。
  388. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話でございますと、等級数が多いとそういう現象が多いだろうというお話でございます。現在も、給与法におきまして昇格ということはあるのでございます。そういう意味から申しますと、現在は十五の段階がありますので、その度合いは非常に大きいといわなければなりませんが、昇格の際には厳正なる選考によりましてこれが上るものである、またそう運営されるのが当然である、われわれはこのように考えておるのであります。今御指摘の点を引用いたしますと、数が少い方が少いということになりますれば、今回の行政職俸給表におきましては、七等級になっておりますので、その意味においては、これは現行よりもそういうことはよほど緩和されておるといえるのではなかろうかと思うのであります。
  389. 受田新吉

    ○受田委員 私が指摘しているとこりは、現行制度においては、係長において大体七級から八級、九級、十級、十一級というところまで格が分布されておる、こういうように非常に幅の広い立場に置かれているわけです。従って、その間における昇格等においては、われわれは取扱いが十分緩和された形で行われているだろうという想定をしておる、今度の場合は、明らかにそれぞれの職階的な要素を持った等級に進んでいくのでございますから、そこに厳重なワクをはめられるおそれがあるという規格論からいいましても、今回用意されている七等級制についてのきびしい批判がされなければならないと思うのです。そこを私は申し上げたのです。
  390. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これはしばしば御説明申し上げておるのでございますが、今回の人事院の勧告も、政府側から出ております法律案の俸給表も、調子は同じものであると思っておるのでありますが、現在係長では、御指摘のようにある職務の級をくくりまして、その中で任命権者が運営し得る、こういうふうにいたしております。御指摘の通りでございます。その係長というもののくくり、それから課長補佐のくくり、それから課長のくくり、ともかくこのようにくくりをずっと見て参りますと、これが大体七つの段階になるのでございます。そういう意味におきまして、今回の俸給表は、現実に給与法が運営されております実態をそれに即して分けた、このようにも見られるのであります、そういたしますれば、その点に関する限りは、現行法も今度の新しい法律案も、大差はないということがいえると思うのであります。ただ現行法におきましては、同じ係長でありましても、やはり幾つかそこに職務の級がありますので、人事院できめております昇格基準表の最低年限に達したならば全部が上るという保障はないわけでございます。現在各省の任命権者は良識をもって運営されておると思うのでありますけれども、その間にやはり遅速はある、そういうことが今度の俸給表におきましてはなくなる、この点は申し上げ得るもと思うのであります。
  391. 受田新吉

    ○受田委員 最近終戦後の大量採用者の行き詰まり的なふくらみ状況に職員の分布がなっているということは、しばしば指摘されておるのでございますが、これとあわせて考えばければならぬ問題は、そうしてだんだん上級者になってきている職員の分布状況から、ある時期になって一挙にやめていかなければならないような時代がくる。そういう現象を招こうとしているときに現在の級別定数に抑えられて、上級の地位になって、それぞれの課長あるいは局長というようなまれにしかないポストに当る人は、きわめて少いことになるわけであります。こういう人々の救済はどういう形でなされるかということにつきまして、お答えを願いたいのです。
  392. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、職務の級のくくりをいたしまして、大体係長であるとか、課長補佐であるとかいうふうに運営をしておる実情でありまするが、それが今度の俸給表におきましては、従来人事院規則あるいは指令等でやっておりましたものが、そこに明確化されたわけでございます。それで新しい制度になりましても、現行制度でも、課長のポストあるいは局長のポストというものは違わぬわけでございます。従いまして、今おっしゃるような困難は現行法においてもあるでありましょうし、新制度においてもある、こういう問題でございます。もちろんこの問題は給与関係はございまするけれども、その原因は給与以外の問題でございます。しかし、人事院の勧告におきましても、あるいは政府は多少人事院の勧告をさらに延ばされておりまするが、現在のくくりの級、それの範囲のみならず、例外と申しまするか、特に人事院の承認を受けまして、ごく少数の方が、たとえば係長でも上り得るという級があるのでありまするが、その級までこれは延ばしてございます。そういう意味におきまして、係長の俸給表としましては——課長補佐でもどこでもよろしいのでありますが、耐用年数は現在よりもよほど延びておる。その意味におきまして、従来のものよりもよほど大量の人が、長らく勤めていくということに対応し得る俸給表になっておる、このように考えております。
  393. 受田新吉

    ○受田委員 上級者のうちも課長とか局長とか、まれにしか当らないポストにつく人はとんとんで、公務員試験にパスして最短距離を歩んだ人々は若くしてやめなければならない。四十五、六くらいでもう局長になり、あるいは四十八、九で次官をやってやめなければならぬ。年令的にはまだきわめて若い働き盛りに、下からどん詰まっていって高級職員のポストを去っていく、そういう形に追い込まれる。ところがさっきの例ではありませんが、今度の新しい俸給表の等級で七等級に就任した人が、十七年たって一万五千、それからさらに二十一年たって三万二千、満十八歳で七等級に就任した人がそのままの形で進んでいって、三年先の延伸をやったとしましても、合計して三十八年であって、これは六十歳近い年令だ。一方は四十五、六で、あなた方局長さんとしてもうじきおやめになる年配にきておられると思うし、次官としても五十歳にならないうちにおやめにならなければならぬという運命にいっておるのです。こうした、これから四十の働き盛りで大いに貢献しょうという立場に立った人々、高扱者はもうやめてもらい、また下級者は三万二千までいくのには六十になるまで働かなけれ、ならぬというような、大きな開きのできている俸給表のでき工合というものをあなた方はいかがお考えになりましようか。
  394. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 これは大山室長からも御説明のあったところでございまするが、今度の法律案の——これは人事院勧告も大同小異でございまするが、大体現行の給与法におきまする状態を平均化いたしまして、各等級といたしたことに相なっておるのでございまして、従いまして、大局的に見ますると、同じようなものでございます。先ほど、現在局長になっておる者はもう四十四、五でやめなければならぬというようなお話がございましたが、これは旧時代におきましてそういう慣行があったのであります。そのなごりがあったのでございまするけれども、終戦後の状況を見ておりますると、やはり課長でも局長でもあるいは次官でも、その就任する年令、あるいは在職年数というものは漸次延びておるのでございます。このようなことを考えてみますると、何もどんどん早くやめなければならぬというわけのものでもないような感じもいたします。それからまた、どうしても職務の段階があるのでございますから、これは全部の人がみんな上にいくとは限らないのでありますけれども、ただ七等級に入られた方も刻苦精励されまして、やはり上の等級の適格者であるとするならば、全部のところをぞろぞろ歩かなくても、これは上の等級に進み得るとうりこともあるのでございまして、その辺をあわせお考えを願いたいと思います。
  395. 受田新吉

    ○受田委員 今の日本の公務員の実態というものは、とんとん進む人は、もう四十代で最高俸を受けてやめねばならぬ。下級の職員は五十を過ぎ、六十に近くなって、ようやく二万か三万か、せいぜいその程度の俸給をもらって、子供や妻を養うことさえもできない、こういう大きな矛盾がある。しかも高齢者は局長とか課長、また次官になると、たた一人というきわめて限られた級別定数の中で、長く局長にがんばっておると、あとから局長になれぬような人がある。そういうことで、上級者はその地位を利用して、天下り人事で、今度は民間会社あるいは公社、公団等の重要ポストヘついている。そうしてそこで恩給をもらって新しい収入の道を附いておる。下級者の方は、その年令においては、まだ二万円前後の四苦八苦の生活をやっている。このように、上級者と下級者の格差があまりにひどいということです。これをもう少し縮めて、下級者の待遇をもう少し引き上げて、上級者をもう少し押える。民間給与も近ごろ大体そういう方向に進んでおると聞いておりますので、そうした格差の圧縮という方向に俸給表をお作りになる御用意はなかったのか、そこまで十分お考えいただいて、現実の日本の公務員の実態というものを考えていただいて、立案をされなかったのか、御答弁を願います。
  396. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのお話でございますが、これは比較論になると思うのでありますが、人事院で勧告をいたしますときには、民間におきまする上下の格差というようなものは、十分研究いたしておるのであります。のみならず、公務員の場合におきましては、標準生計費というものを考えまして、むしろごく下の級、三級、四級あたりになって参りますると、それに該当いたします民間給与よりは、その標準生計費によりまして、かえって持ち上っておるという現状でございます。民間と申しましても、五十人以上の事業場について調べるわけでございますが、現在公務員の格差が民間より開き過ぎる、このようなことには相なっていない、このように考えます。
  397. 受田新吉

    ○受田委員 それとあわせて、有資格者でどんどんと上っていく人と、しからざる人との開きも大き過ぎる。これをもう少し圧縮して、特に忠実に職務に従事しながらも、資格試験あるいは競争試験には勝てなかった人々を救う道がないか、これを十分御検討されたかどうかをお答え願いたいのです。
  398. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまお話の問題は、むしろ給与の問題よりも、これは公務員をいかに任用し、いかに昇進するかという昇進政策といいますか、任用政策の問題になると思うのでございます。従いまして、給与制度というものは、そのあとづけをしていくべきものでありまして、給与が先に立ちましてすべてを規制するというようなものでなかろう、このように考えておるわけであります。従いまして、これはやはり各省任命権者の良識ある運営を前提といたしまして作っておるのでございます。
  399. 受田新吉

    ○受田委員 そこで問題は、首脳部に移るわけです。今お尋ねしましたいろいろな問題を解決する道は、やはり政治力だと思うのです。そこで日本の公務員制度あるいは公務員給与制度というものに対して、しっかりした考えを持って、矛盾のないような形で法案をお出しになるという御努力が必要である。ところが、現実はあまりにもきびしく、下級公務員に不利な社会情勢なんです。私たちは最低賃金法を用意しておるのでございますが、それが、それも暫定的にただいま用意されておるのは、新中卒六千円という線で押えておる。これは現実に即して、きわめて遠慮した数字ですけれども、そういう形でわれわれが現実の立場を重んじながらも、なお六千円を新中卒で用意しておるという、このきびしい現実を考えられて、少くとも、ある程度の社会生活としての文化生活が営まれる形に公務員給与体系を作ろうとされるならば、初任給というものに対してもう少し手心を加えるべきではなかったか。今度出されは法案によるならば、四級職試験に合格した新高卒を大体六千円という線で押えておられるようでございます。こうした数字で、高等学校を出た公務員公務員としての体面を保ち、職務に忠実に従えるかどうかということを考えていくと、下級者においては生活給というものを特に考えて俸給表の作成に当るべきではなかったかと考えるのでありますが、松浦さん、御答弁を願いたいと思います。
  400. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 なぜ生活給に重点を置いて考えないかということでありますが、しばしば御答弁申し上げましたように、今度の改正は、職務給と生活給との調整をとりまして、一方は能率的に職務給でいく、他面は生活を安定させるために考えるというところに、ワク外昇給、頭打ちを是正したのであります。それで今御指摘になりました、なぜ初任給を上げなかったか、こういうことでありますが、先ほど別な方に——横路さんに総裁がお答えになりましたが、今度のは、ベース・アップというのではなくて、給与体系を改正するというところに重点を置いて、一年を通じて平均六・二%上げたのでありますが、ベース・アップを基準に考えなかったところに、御期待に沿わなかったところがあったかもしれないと思うのであります。
  401. 受田新吉

    ○受田委員 ベース・アップと給与改善とをあなたは比較して、初任給をいじれなかったとおっしゃったのですが、給与改善の定期昇給的な形において取り扱おうとされる精神においても、切任給をある程度引き上げる配慮をして、そうしてその手直しとして、ごく下級の職員に対しての波及を考えていくという措置は、私はとれたと思うのです。これはいかがでしょう。
  402. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 人事院の勧告が、やはり切任給は現在のままにおくという勧告なのでありますから、そういうふうに考えたのでありますが、人事院の方の考えは、先ほど申しましたように、ベース・アップでなくして、給与体系を改善するというところに重点があったかのように思っておるのであります。
  403. 受田新吉

    ○受田委員 人事院のことを私は今お尋ねしておるのじゃなくて、生活給の要素を多少でも考えられるならば、大体一人前として公務に従事する職員に対して六千円以下というような数字を掲げるということは酷だと思うのです。これは生活給本位で考えて申し上げておるわけですが、あなたとしては、その意味において、政府として初任給を、人事院勧告に対しても、ただ百円とか二百円とかいう気休めでなくて、せめて二百円ないし四百円という最低の間差のあるあたりにおいて手心を加えて、それからごく一部にその底上げが波及してもいいから、せめて最低生活をしておる公務員には、何とか恩情を施していきたいという取扱いをいたさなかったかということをお尋ねしておるのであります。
  404. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 熱心なお尋ねでありますが、民間の給与関係考えなければならない。それからまた人事院の勧告のことも考えなければならない。現在の改正案は五千八百円になっているのです。だから、御指摘の点から見れば、二百円安いのでありますが、一年の後には六千円になるのです。それで私どもは民間給与のことも考慮に入れなければならないものでありますから、それらのことをいろいろ考えますと、この辺で適当だと思っております。政治的にどう考えるかということですから……。表を作ったのは人事院の勧告によったものです。私にどう考えるかと言われるものですから、私はそういうふうに考えます。
  405. 受田新吉

    ○受田委員 私は二百円とか三百円とかいう案は、政府としてそのくらいは考えて配慮するべき問題であった。今ここで二百円、三百円のいじくりを言うわけではないのです。あなた方としては、初任給の引き上げにある程度の配慮を加えたということを、少くとも公務に従事しておる全職員と、これから国家の公務に従事し地方の公務に従事しょうという職員に希望を与える意味において、今回の給与法案に対する温情がどこかに盛られたという形において、努力すべきではなかったかということを私はお尋ねしているのです。いいですか、おわかりになりますか。
  406. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 わかっております。
  407. 受田新吉

    ○受田委員 間違いありませんね。そこで今あなたは、定期昇給的な性格を持ってきた給与改善であるので、従ってベース・アップでなかった関係で御期待に沿えなかったということでございますが、私は今人事院に対しても一つ苦言を呈したいのです。あの給与改善の勧告案を出されたときに、すでに民間給与との間における大きな開きが出ておる。一一%という開きをあなた御自身が勧告の中にも説明されておるというときに、なぜベース・アップ方式をあのときにお考えにならなかったか。しかもその後における物価の上昇等を検討して、すでに二十九年一月のときよりは二〇%以上、民間の給与とかあるいは物価の高騰とかによって当然ベース・アップすべき段階に来ておると判断されているときに、人事院としての勧告に一つの大きな欠陥を持っておったと私たちは判定しておる。それを今さらのごとくに、人事院はこの勧告の内容についての反省をお持ちではないか。その後における情勢の変化に対しての総裁としての御回答を願いたい。
  408. 淺井清

    ○淺井政府委員 その御質問のベース・アップという点に、私は問題があるように思っております。お尋ねの意味が、このベースというものが上昇するという意味ならば、人事院勧告においてもベースは結果において上昇しておるのであります。もしお尋ねの意味が、俸給表の号俸を一律に増額するという意味のベース・アップならば、勧告は確かに御指摘のようにベース・アップ方式はとっていないのであります。一体給与改善の方法はいろいろございますから、俸給表の号俸を一律に上げますか、あるいは号俸調整等によって、結果において増額を来たすようにしますか、いろいろこれは方法があるだろうと思いますが、人事院が勧告をいたしましたときには、民間においても、いわゆる御指摘のベース・アップ方式をとっているところの事業場というものは減少している形になっておって、むしろその他の方法をもって給与改善をやっている方が多かったようにあの時点においては見たのであります。そこで人事院といたしましても、結果においてはベース・アップになるけれども、いわゆるベース・アップ方式はとらなかったのでございます。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 大臣がお急ぎのようであるので、私もきょうはもう間もなくこちらを立たなければならぬ立場に立っておるので、大急ぎでごく短時間に質問を終りたいと思うのですが、今総裁の御答弁について、ここでいろいろまた数字を上げて論争をする時間がありませんので、次の機会に譲りますが、田中先生、おられますね。私最後に一つ重大な結論を生み出したいために、次のお尋ねを申し上げます。今いろいろな御意見を伺ったのでございますが、結局今回提出されたこの給与法案の中には、明らかに、いかに弁解をされようとしても、ある程度の職階的な性格を持った俸給表をお出しになった、これは否定できないと思うのです。この問題は、公務員制度調査会の答申の中にもあった、職階制の実現をはかっておる、その一翼としての考え方ではないか、お答えをいただきます。
  410. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 今回の給与ベースの改訂につきましては、公務員制度全般の改正につきまして、一応そういうものには関係がないという考え方で進んでおるわけであります。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 しかし結局、公務員制度調査会が答申している職階の中に考えられた管理職群というようなものが明瞭に生み出される段階に来ておる、これはさっき私がトップ・マネージメントでお尋ねしたように、すでにわれわれの方には、行政機構改革案の中に、事務次官補を設置したり、あるいは政務次官の複数制を置いたりする案が用意されているのでもうかがえるのでございまするが これらとの関連についてお答えを願います。
  412. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在行政機構改革案として提出しておりますものは、いわゆる政治と事務とをはっきり区分いたしまして、事務が政治に先行しないように、政治が必ず事務に先行して、政治によって事務が進められる、こういうようなトップマネージメントの関係を現わしておるのでありまして、特に国家行政の最高のところにおきまするいわゆる運営をはっきりいたしたいと、かような点から、今回そうしたものが行革案の中に織り込まれておるわけでございます。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとここで横道にそれますが、田中さん、あなたは旧官吏制度の中にも、戦後特に一級、二級、三級官としうものが設置されたことを御記憶であろうと思うのですが、この官吏の階級別観念を植えつける残滓が政務次官の上に残っておる。今でも、政務次官は一級に叙すると、はっきりとあなたの方で、総理の方で発令されておる これは一体どういう理由ですか。
  414. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在のこの一級、二級、三級の制度につきましては、もちろんこの前の制度がそのまま実は残されておるのでありまして、御案内のように、現在の一級、二級、三級の級別は、昭和二十五年、一般職については、人事院規則をもちまして一応廃止されておるのであります。ところが特別職につきましては、一級、二級、三級を廃止するというこの人事院規則が適用されておりませんので、現在は昭和二十二年の法律第百二十一号の規定によりまして、いわゆる叙級について従前の例によってなされたのでありまして、事実上一級、二級、三級の制度が残っておるのでありまして、別にこれは、これによって旧官吏制度をこのまま残しておるのだとか、そういう意味では毛頭ないのでございます。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 それは横道にそれて、一つそういう例をとってお尋ねしたのですが、その昔の官吏制度の復活を用意されている懸念が多分にあるわけなんです。先ほどあなたからの、この年内には何とか公務員制度の根本的改革案を用意したいという御答弁でも、相当時間をかけて念入りにその案を作りたいというお気持があるようですが、しからばあなたの方で今用意されておる、政府の方で用意されておる公務員制度改革の基本構想について一応御答弁して下さい。そうしないと安心できません。これは松浦国務大臣の方がいい。
  416. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在この公務員制度調査会の答申につきましては、昨年でありましたか、この内閣委員会におきまして、大体、私からも構想をお話してございまするし、大体御了承のことと存じますので、ただいま手元に資料を持っておりませんから、一つまたあらためて御説明申し上げたいと思いますが……。
  417. 受田新吉

    ○受田委員 松浦さん、あなたは給与公務員制度両方を御担当と聞いておりますが、間違いございませんか。
  418. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 公務員制度と恩給の方をやっております。
  419. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、恩給もそれに含まれるということでありますが、そこで、今政府公務員制度全般に関する問題と給与の全般の問題として、公務員がやめて後の退職年金あるいは生活の保障とかいう問題を、政府一体どう考えておるのか。人事院勧告にはすでに国家公務員退職年金法を用意されておるのでございますが、その取扱いは一体どうされておるのか、政府の取扱い方針、見解をお示し願いたい。
  420. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 退職給与金の問題に対しましては目下鋭意検討中でありますから、成案を得次第御答弁したいと思います。
  421. 受田新吉

    ○受田委員 退職年金法に対する勧告は、いつ出たか、大臣御存じでございますか。
  422. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 二十八年であります。
  423. 受田新吉

    ○受田委員 すでに四年たっておりますよ。目下鋭意検討中にしてはあまりにものどか過ぎる。目下春日遅々として夜はまさにふけなんとしている。されど、薄給に甘んじた公務員は退職後の行方もなく、その生活の補給金もなく、多くの妻子をかかえて四苦八苦しているというこの現状であるときに、公務員のやめて後の保障の道すら講じていない。恩給法で高級職員は何とか救われておる。しかし恩給法の対象とならない国家公務員共済組合法の人々は、単なる退職年金、遺族年金を支給されて、きわめて冷遇されているという実情である。この給与体系をあなた方は何とかしたいという法案を出されたこの機会に、あわせて公務員の退職後における生活を何とか守ってやろうという大きなお心がまえというものが私は必要だと思うのですが、いかですか。
  424. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 御質疑の点は全く私も同感でありますから、その実現に努力したいと思っております。
  425. 受田新吉

    ○受田委員 その実現の努力目標はいつごろまでに置いておるのですか。
  426. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 室長から答弁させます。
  427. 大山正

    ○大山政府委員 退職年金制度の問題につきましては、御指摘がありましたように、すでに相当前に人事院から勧告がありました。ただこの問題は相当大きな問題でありますために、政府といたしましても直ちにその勧告をそのまま実現するというわけにも参らなかったために、公務員制度調査会を作りました一つの契機になっていると思うのでありますが、公務員制度調査会におきましてもその答申がございまして、私ども事務当局としてこれを処理する責任を持っておるわけでございますが、公務員制度改正の一環としてこれを取り上げたい、かように考えておったわけでございます。しかし公務員制度全般の改正がいろいろの理由でおくれましたために、実は退職年金制度の実現につきましてもおくれているような次第でございまして、この点はまことに申しわけないと存じております。さらに検討を続けまして、できるだけ早い機会に何らかの見通しをつけたい、かように考えております。
  428. 受田新吉

    ○受田委員 その見通しは、秋の公務員制度の根本的な方策を立てるまでに立ちますか。
  429. 大山正

    ○大山政府委員 事務当局といたしましてはそのように努力したい、かように考えております。
  430. 受田新吉

    ○受田委員 努力を約束してくれておりまするので、その問題はおきます。いま一つ、この三十二年度予算の説明書を私一ところ読んで政府の見解をただしたいのです。この説明書の中の三十二ページ、給与改訂に関する経費の点があげられてあるのです。その経費はどういうふうにされるべきかという最後に、地域給は廃止すると書いてある。「現行の勤務地手当制度は廃止する。」その次に何と書いてあるか。「勤務地手当制度の廃止にあたっては、各職員の現行手取額が減少しないよう経過的措置を講ずる。」と書いてある。これはいかような方法ですか。
  431. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 その説明書に正誤表がついておると思います。それは大蔵省の方でそういうことを一ぺん印刷したのですが、それをあとで直しております。ついておりませんか。
  432. 受田新吉

    ○受田委員 それはない。そういう不届きな正誤表はまだついてない。
  433. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それは一応そういうふうに初め考えたけれども……。
  434. 受田新吉

    ○受田委員 正誤表のことをちょっと説明願いたい。
  435. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 それで、正誤表の問題についてはあとでお調べになればわかると思いますが、内容においては、やはり廃止する方向に考えられているのです。けれどもそれは目下検討中でありまして、これをどういうふうにするかということはここにはっきり申し上げねます。   〔委員長退席、床次委員長代理着席〕
  436. 受田新吉

    ○受田委員 正誤表、はどういう形で出されたものか、その正誤表は私のには、ここにはさんでありません。
  437. 大山正

    ○大山政府委員 正確に記憶しておりませんが、その前のページ、「改訂の要点は次のとおりである。」そこが、経費積算の基礎に当って考慮した要点は次の通りであるというように、たしか正誤になっているように記憶しております。そういうふうに前文の方が変っておりましても、ただいまお読み上げになりました内容の点は変っていない、かように考えております。ここに正誤表がありますので、もう一度申し上げますが、「改訂の要点は次のとおりである。」というのを、「この経費の積算にあたって考慮された改訂の要点は次のとおりである。」というように正誤しているのであります。
  438. 受田新吉

    ○受田委員 その考慮された点は次の通りであるにしても、ここに私が読み上げましたこの規定は、これは明らかに重大な規定である。現行手取額を減少しないよう経過的措置を講ずるというのです。これは明らかに現在もらっておる額を下げないようにして地域給を廃止するという方針だと私は見るのでございますが、方針はさようになっておりますか。
  439. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 大体考え方はそこに指摘してあるような方向であります。具体的なものは今検討中でありますから、それができ上りましたならば御協賛を得たいと思っております。
  440. 受田新吉

    ○受田委員 正誤表が出たにしても、現行手取額を減少せしめないような経過的措置を講ずるという建前からいくならば、無級地を何とか整理するというような形に必ず予算的措置が私は要ると思う。この予算説明書へ前書きをつけたにせよ、全然予算考えないで経過的措置として現行手取額を減少せしめないような廃止の方法がありますか、お教え願いたい。
  441. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 その具体的方法は今検討中でありますから、その検討の過程においてはっきりまだいたしておりませんから、ここに発表いたしかねます。
  442. 受田新吉

    ○受田委員 検討の過程にしても、現行手取額を減らさないで廃止するために、予算的な措置を全然考慮しないで済むかということを私はお尋ねしておるのです。
  443. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 目下検討中であります。
  444. 受田新吉

    ○受田委員 検討ということは、予算的措置を講じない立場で検討しておるのか、予算的措置が講ぜられる場合もあり、講ぜられない場合もあるという、いろいろな場合を考えた検討か、どっちなんですか。
  445. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 三十二年度の予算においては、今提案いたしておりますので、これを補正するとかいうことは今考えておりませんから、その範囲内でやろうという考えであります。
  446. 受田新吉

    ○受田委員 その範囲内で現在の手取り額を減少せない措置がとれますか、そこをお答え願いたい。
  447. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 これは検討中でありますから、検討中と申し上げるよりほかに道はないのであります。
  448. 受田新吉

    ○受田委員 現行手取り額を減少しないで廃止するというのに……。あなた、これは実に大事な問題ですよ。国民をごまかしてはいけないんです。手取り額を減らさない、そして一方では廃止したいと言う、そういう考え方を実現するためには、どうしてもそこに無級地の措置に問題が残ってくる。そういう場合に無級地の手直しをするだけでも約十億、安く踏んでも要るということは、あなた方常識で考えられるであろうと思うのでございますが、その予算的措置を講じないで現行手取り額を減少しないで廃止するというのはどんな名案なんですか。その名案を言って下さい。検討されている名案の骨子でもいいのです。
  449. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 無級地の問題をなくする、また現在の手取りを減少しないでやるということをそこにうたってあるのですが、その方向に向って検討中であります。
  450. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことがありますか。大体現行手取り額を減少しない、しかもそれは廃止する、予算措置は講じない、それはどこからどういう知恵が出るのか、私ははなはだ了解に苦しむのでございますが、検討の結果はいつごろ現われますか。その見通しです。
  451. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 時間ははっきり言うことはできませんけれど、なるたけ早く実現したいと思っております。
  452. 受田新吉

    ○受田委員 その時間の明瞭な発表はできないが、というお言葉の中に、少くともごく近いうちという御意図があると思うのですが、今あなたが名案をお出しになると言われたその名案は、少くとも今国会で審議できるような形で出されますか、どうですか。
  453. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 大体その方向に進めたいと思って努力いたしております。
  454. 受田新吉

    ○受田委員 予算書に明らかにこういう説明を書いておきながら、ばく然として今日もまだ検討中というようなそういう形のものははなはだふまじめな態度であり、ずさんである予算説明書だと思うが、いかがですか。
  455. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 そういうことはないと思っております。重大な問題でありますから、十分時間を要することはやむを得ません。
  456. 受田新吉

    ○受田委員 しかし、ここに政府としてお出しになられたあなたの御意見は、昭和三十二年の予算に関連しておるわけでございますよ。それがあと何日あると思いますか。本年はもう二日じゃないですか。あと二日しかないときに、まだ予算書に盛られた約束を果さないということは、これははなはだずさんであり、ふまじめであると解釈せざるを得ないじゃないですか、いかがですか。
  457. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 努力いたしております。
  458. 受田新吉

    ○受田委員 では最後に、夜もふけて参りましたのでこれでおかしていただきますが、きょうは各方面の権威ある方々が全部おそろいでありまするので、全部の方に一言ずつお答え願いたいことがあります。  今回のこの法案と合せて、先ほど以来各省にまたがる政府委員の方の答弁とによって、日本の公務員制度とその中に考えられる給与制度というものの中に統一を欠き、複雑多岐にわたっているということと、ことに上級者に対する優遇措置と、下級者に対する冷遇措置とが講ぜられる危険があるということを私は指摘したいのでございます。従ってこれらの問題を根本的に解決するために、給与の全面的な統一をはかるところの措置をどういう形でおとりになるか、これをまずお答え願いたい。
  459. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 お答えいたします。現行制度においては一般の国家公務員については人事院の給与勧告の制度があり、また実施も人事院が行うことになっておりますから、これによって統一をとっていくということが一番いいのではないかと思うのであります。
  460. 受田新吉

    ○受田委員 人事院によっては統一のできない分野のあることは、先ほど来各省にまたがる御答弁ではっきりしておるわけです。すなわち法務省の職員、防衛庁の職員、その他外務公務員等の特別職の地位にある人々の問題は、一般職だけを管轄する人事院ではどうにも手のつけようがない、従ってこの各省にまたがりあらゆる分野にまたがっている公務員の制度とその給与とのまとめ方を、何らかの形で努力すべきでないか。そこを私はお尋ねしておる。
  461. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 国会であるとか裁判所であるとか防衛庁の特別職国家公務員については、一般の国家公務員と均衡をとってそれぞれ所管のところで取り扱うことになっております。これらの給与についてさらに調整をはかることは望ましいことでありますから、これについては種々の問題があるので、今後検討して御期待に沿うように努力いたしたいと思っております。
  462. 受田新吉

    ○受田委員 御期待に沿うように努力するということは非常に前進だと思うのです。そこで給与局長、総裁、いずれでもけっこうです。人事院の所管外に対する問題に触れることはあなた方は忌避されるでございましょうが、あなた方の所管内における問題は常にあなた方の努力で何とかまとめられておるけれども、個人的見解としてでもあなた方の、給与法の担当の責任者の立場から、他の特別職公務員給与体系に対して非常な混乱のあることに対してお気づきでございますかどうか。これに対する御見解をお漏らしを願いたい。
  463. 淺井清

    ○淺井政府委員 特別職と仰せられましたけれども、われわれの立場からいえば三公社五現業と一般職公務員との問題、これが最も重大であって、いつも人事院を悩ましておる問題だろうと思っております。この団交権を有するものと団交権を有しないものとの給与のアンバランスをどうやっていけばよくなるか、この問題の方が大きいと存じます。
  464. 受田新吉

    ○受田委員 その問題をお尋ねしておるのじゃないのです。その問題はしばしばお聞きしておるところです。あなたの立場から、少くとも公務員制度とその内部に含まれる給与制度というものは、一般職給与体系を十分尊重する形に各省にまたがる公務員及び地方にまたがる公務員がこれを順守すべきであるというお気持を持っていないか。現在の体系の乱れに対してどういう感じを持っておるかということをお答え願いたい。
  465. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま私がお答え申し上げましたのは、一体人事院は給与体系の乱れておることについてどう思うかと言われましたから、そういうお尋ねのように思いましたから、三公社五現業との関係を申し上げた。その次にただいまのお尋ねについてはまったく私は御同感に存じます。
  466. 受田新吉

    ○受田委員 人事院総裁は同感である。松浦さんは給与担当国務大臣として一般職のみならず、広く特別職にわたり、すべての公務員給与担当国務大臣であると私は了解しているのです。従って地方公務員の場合は自治庁長官もおられるが、それらの点に対してもあなたはやはり関連しなければならぬと思うのです。ところがここではなはだ——ちょっと待って下さい。今の私の質問に対して何か疑義があれば……。
  467. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 地方公務員国家公務員に準ずるという意味における一つの指針を持たなければならぬであろうと思うのですが、直接の関連は国家公務員の担当だと思っているのですが、間違っているでしょうか。
  468. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは給与担当国務大臣を命ぜられるときに、どういう範囲の給与を担当するというふうにお示しをお受けになりましたか、お答えを願いたい。
  469. 松浦周太郎

    ○松浦国務大臣 国家公務員であります。
  470. 受田新吉

    ○受田委員 国家公務員の問題だけ受け持つ——国家公務員だけを今ここに受け持ちになられておるのですか。一般職特別職を含んだ立場でお答えになっておられると思うのですが、田中さんの方では地方公務員も含めて広く給与体系の問題を取り扱う機関はどこなのでございますか。担当責任大臣はだれですか。
  471. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在の地方公務員関係の担当は、やはり自治庁長官がこれを担当されるものと私は心得ております。
  472. 受田新吉

    ○受田委員 地方公務員だけは自治庁長官、それから国家公務員全般については松浦先生、そういうふうに職務分担がされておるのですね。そこで、田中副長官、あなたが一番えらい方のように見えますが、これはきょう先ほどまでそこにおられた方が——地方公務員給与についてたくさん用意してきておったのですが、それはおきますけれども、現在の公務員制度の上において問題点となっている自治庁長官という地位にある人が、大臣という名称を用いて看板を掲げているということが、この前私の発言で指摘されたのです。総理は善処すると言っていたが、二週間たった今日、電話してみたが依然としてまだかかっておる。(笑声)こういうことは公務員制度の上においても重大なミスだと思うのです。すなわち自治庁には長官はあって大臣はないはずなのです。防衛庁にも長官室はあるが大臣室はないのです。北海道開発庁もないのです。きょう午前中討議された行政管理庁も同じことです。こういうときに内閣の番頭としての田中さんの立場から、総理府の外局の長官の中に、公務員制度の本筋を誤まり、官と職のあり方を誤まって、自治庁大臣がいつ生まれたか知らないが、大臣室なる看板を今日依然としておろされない。こういう大臣の処置をどうされるか伺いたい。
  473. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 現在国務大臣に、総理大臣が自治庁長官を任命いたしております。そこで国務大臣たる方が自治庁長官に任命されておりますから、従って自治庁長官を自治庁大臣というふうに通俗的にいわれたのであろうと思うのであります。ただ看板といいますか標識の問題は、法律的にとやかく言う問題ではございませんで、これは御案内のように、自治庁というのは地方からたくさんの者が大ぜい押しかけて参りまして、そこで一応自治庁長官に会うときには、普通には大臣大臣と言っておりますから、そこで大臣室という看板を掲げたのでありまして、法律的にとやかくやかましく言う問題でないので、一つその辺で御了承願いたいと思います。看板を書きかえるかどうかという問題は大臣の一つのお考えによるのでございますから、これは直接田中自治庁長官のお考えを承わっていただいた方が妥当ではないかと思っております。
  474. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは内閣の番頭ではありませんか。あなたの親方の部下の大臣に選挙区から来る者のために大臣の看板を掲げるようなものがあって、自治庁をして、その本来の長官たるの職務を行わないような大臣がおることを見のがしてよろしゅうございますか。選挙民が来るために看板を掲げたということになるならば、天下の公器を私したものだと思うのです。━━━━━━━━━━━━━━━━━、またこうした法案が出されても、どこかに大きな権力行使の要素が含まれておる。時の大臣をかさに着て何ものもできないことはない。天下可ならざるはなしというような感を持たれるような総理府の外局の長官を、このまま見のがしてよろしゅうございますか。総理大臣はこの間善処すると言った。私きょうは質問の通告もしてあるのですが、この問題は単なる個人の見解ではなくして、役所の権威を保つために、国家公務員の立場とか、あるいは国務大臣の立場を明らかにするために、単なる笑いごとではない問題だと思うのです、田中副長官いかがですか。
  475. 田中榮一

    田中(榮)政府委員 一言お断わり申し上げておきますが、大臣室という標識を掲げましたのは、決して選挙民のためにやったとかいうものではないと私は思っております。これはやはり地方からも大ぜいの人が参りますから、そこで一応わかりやすい標識で大臣室という標識を掲げたのじゃないかと思っております。しかしそのことが果して妥当であるかどうかということはまた別問題でありますので、この点につきましては、自治庁長官とよく懇談いたしまして、お考えを聞いてみたい、かように私は考えております。
  476. 受田新吉

    ○受田委員 最後に、人事院は給与簿の監査という大事な仕事をお持ちになっていらっしゃいます。これは国家公務員法の二十八条です。各省の給与支払いについてでたらめがないように厳重な監査をしなければいけない。この取扱いを人事院総裁はいかがされておるか、厳重な監査をやっているかどうか、お答えをいただきたい。
  477. 淺井清

    ○淺井政府委員 公務員法の規定通りやっておると思っております。
  478. 受田新吉

    ○受田委員 その結果誤まれるものがあった場合に、いかなる措置をしておられますか。
  479. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御指摘の給与監査はやっております。これは予算の範囲もございますので、悉皆やるというわけにもいきませんが、年々変ったところをそれぞれやっておりまして、間違い、あるいは給与法の各種の規定をよく徹底いたしませんための、ミスというようなものも相当あるのでございます。現在人事院はそういう場合におきましては、これをきびしくやっつけるという観点でなしに、むしろ指導するという考え方でこの給与監査をやっております。ただし何べん注意いたしましても、なおかつ工合の悪いもの等につきましては、警告を発するなり適当な処置をとっておるのでございます。
  480. 受田新吉

    ○受田委員 適当な措置の中には、いかなる要素が入っていますか。
  481. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 われわれやってはおるのでありますが、ただいま手元にその結果を持っておりませんので、具体的なことは申し上げかねるのでありますけれども、あるいは各省庁で給与法の運営を誤まってやっておる場合に、取り消しを命じましたような事例もあるわけでございます。
  482. 受田新吉

    ○受田委員 超過勤務手当の支給されていない役所もあるし、いろいろなところで手違いの起っているところもある。またもらい過ぎたところもある。こういう問題について厳重に会計検査院に報告するとか、検察権の発動をするとかいうような形のものがとられて、当然俸給を受ける権利のある人にはそれが支給せられ、また受くべきでない人にはこれが渡されないというような厳格なものをあなたの方でやっておられますか、どうですか。
  483. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 その給与薄監査という問題は非常にむずかしいのでございます。従いまして、人事院は監査をやっておるのでありますけれども、摘発主義ということよりも、むしろ指導という点に重点を置きまして、そして各省の間違った運営等につきましては自発的に手直しをさせるとか、あるいはまた場合によっては予算の払い過ぎの戻入もさせる、また現在の給与の格づけが間違っておる場合には、自発的にこれを直させるというような措置をおおむねとっております。
  484. 受田新吉

    ○受田委員 質問を終ります。
  485. 床次徳二

    ○床次委員長代理 先ほどの受田委員の御発言の中に不穏当と思われます言葉があったかのように承わるのでございますが、かかる場合におきましては、これは委員長の方で取調べの上適当に善処いたします。(「受田委員「不穏当なことはないでしょう。」と呼ぶ。)これは取調べの上善処いたしたいと思います。  それでは有馬輝武君。
  486. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 時間も相当過ぎておりますので、最初にお伺いしたいと思いますのは、昨日大久保国務大臣に非常勤職員の問題についてお伺いしましたときに、長年の懸案であったが、これを本定員に繰り入れるという考え方の中に、現在公務員制度調査室で検討中であるというような御答弁がございました。しかし聞くところによると、国家労務職員あるいは国家臨時職員というようなものに切りかえる措置を考えておるのであって、ただ名称の変更にすぎないというような点があるわけであります。この点についてどのような考え方を持っておられるか、この点をはっきりさせておいていただきたいと存じます。
  487. 大山正

    ○大山政府委員 ただいま御指摘のありました点は、公務員制度調査会の答申の中に、国家公務員の範囲を明らかにするといいますか、現在国家公務員になっているもののうちから、ある範囲のものを国家公務員から除外して、別の規制をした方がよかろうという答申があるのでございまして、その関係かと思うのでございますが、その答申によりますと、一つは、委員、顧問、参与というような非常勤職員、これは国家公務員の範囲からはずす方がよろしかろう、第二点は、全く臨時的な仕事に従事している者、これも国家公務員の範囲からはずした方がよろしかろう、第三点といたしまして、単純な労務に従事する職員、これも別の規制にする方がよろしいということでございます。ただいま御質問のあります点は、現在のいわゆる臨時職員、たとえば常勤労務者、あるいは常勤的な非常勤、その他の非常勤職員、これを定員法の中に入れる、その範囲と、現在定員法に入っているもののうちで抜けるものがあるのではないか、そういう御質問かと思います。結局この単純な労務に従事する者というものの範囲をどの程度に考えるかという問題でございまして、この点公務員制度改正の全般の問題と関連いたしましていろいろ検討して参りましたが、まだ範囲に関する具体的な結論に到達しておりません。ただ現在の段階で申し上げ得ると思いますのは、常勤労務者あるいは常勤非常勤の名称をもちまして、実際は事務、技術に従事しており、実際は相当長期にわたって勤務するというようなものにつきましては、やはり国家公務員として将来とも扱うというのが適当ではないか、かよう考えております。
  488. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 最後のお言葉で、何だか希望を持たせるようなお話でございますけれども、最初お話がありました臨時的なもの、あるいは単純な業務に服するものということで、ただ現在の常勤非常勤の名称を変えるだけであって、少くとも非常勤職員の重要な問題として出ておるところの身分的な、あるいは給与面での不安定というものを救えるような形で考慮されておるというようには受け取れないのであります。そこで今最後におっしゃったように、やはり恒常的な業務に服しておる者については全部を救うという建前からこの問題については考慮していただきたい。このことを強く要望いたしておきたいと存じます。  次に定年制の問題についてお伺いしたいと思いますが、先ほど受田委員からも御質問がございましたけれども、この定年制について、官職別に、あるいは年令別に分けるような考え方があるということを聞いておりますが、この点はどういう工合になっておりますか。
  489. 大山正

    ○大山政府委員 定年制の問題につきましても、公務員制度調査会の答申にございまして、「職群及び特定の官職別に、適切な定年制の採用を考慮すること。」こうなっておりますので、この線に沿って検討をいたしておるのでございますが、どの職群、どういう官職には一体どういう定年制が適当かという具体的な点にまではまだ結論に到達しておりません。
  490. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 時間がございませんので、問題点だけを次々に御質問申し上げますが、超勤問題について、大臣からは現在考慮中であるというような御答弁でございましたが、この超勤についても、廃止、あるいは支給の範囲を限定するとか、あるいは業務量に従って考慮するというようなことで、基本的には廃止の方向に向いているという工合に聞いております。これについては現在どのように考えておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  491. 大山正

    ○大山政府委員 ただいまの点につきましては、答申の中に「超過勤務手当を支給すべき範囲は、時間によって業務の量を測定することができる職に限定し、かつ、確実にこれを支給するように措置する」ということになっておりますので、考え方といたしましては、時間によって業務量を測定することができるものと、そうでないもの、一般の事務的なものについては、いずれかといえば時間によって測定することが困難だというふうに考えられるのでありますが、   〔床次委員長代理退席、委員長着席〕 この点につきましても、実はやめた場合に一体どういう措置にするかという問題がまだ結論を得ませんので、方向としてはこの方向で考えておりますが、具体的な結論に達しておりません。
  492. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に給与問題について伺いたいと思います。まず研究職の俸給表についてでございますが、研究補助員と助手の人たちが、現行の級号にかかわりなく、研究職俸給表が適用されない理由についてお伺いいたしたいと存じます。
  493. 大山正

    ○大山政府委員 あるいは御質問の御趣旨を取り違えているかもしれませんが、研究職俸給表の七等級、六等級は、補助的な研究員というものが入るというように考えております。
  494. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に室長を除いた研究職員は、全員四、五等級に格づけされることになるのでありますか。
  495. 大山正

    ○大山政府委員 一般の研究員は、標準的には五等級と一応私の方で考えておりますが、具体的には、さらに人事院の分類基準によって格づけされる、さように考えております。
  496. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 それから昇給カーブについてでございますが、最初の二、三号までのところは現行より、再々御説明がありましたように、有利になっておりますが、頭打ちになってワク外昇給に入って、あとでは現行より下回るようになっておりますが、この点どうでございますか。
  497. 大山正

    ○大山政府委員 たとえて申しますならば、六等級で現在標準級が六級、七級、それから例外級として八級になりまして頭を打つわけでございますが、その頭打ち、ワク外に比べまして、今回の俸給表並びにそのワク外は是正されている、かように考えております。
  498. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 その点具体的に御説明願いたいと思います。
  499. 大山正

    ○大山政府委員 六等級に入ります一般の上級係員は、現在の級では六級、七級、それから例外級としましての八級が入るわけでございますが、八級の人が頭打ち、ワク外になった場合に比較しまして、今回の俸給表、それからそのワク外昇給というものは有利になっている、かように考えております。
  500. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に技能労務職の問題についてでございますが、職務の等級別官職を見ますと、俸給表の適用範囲が推測できるのでありますけれども、官職別に八本の俸給表を立てたと見るべきでないかと思うのであります。たとえば電話交換手は一生(一)の三等級である。こういうことで現行よりも、私は非常に希望を失なわせるような、具体的に申せば悪くなっておると断定できると思うのでありますが、その点どうでございますか。
  501. 大山正

    ○大山政府委員 御指摘がありましたように、電話交換手は原則として技能労務職俸給表の(一)の三等級を適用するわけでございまして、現在の資格基準表の上り方からいいまして決して不利になるというようには考えておりません。ただ役づきになった場合には、さらに二等級にも上り得る余地があるのではないか、かように考えておりますが、この点も具体的には人事院の分類基準できまるというように考えております。
  502. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 二等級に上り得るというような点、非常にあいまいなお答えなんですが、この点をはっきりしておいて下さい。
  503. 大山正

    ○大山政府委員 具体的な点につきましては、どうしても最終的には人事院規則の問題になりますので、私の方から明瞭なお答えはできかねるわけでございますが、二等級の代表官職例として私どもが考えましたのは、職長でありますとか、あるいは各主任というようなことも考えておりますので、そのように何らかの役づきになるというような場合には、さらに二等級にもなり得る、かように考えております。
  504. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 その点人事院どうですか。
  505. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま大山室長から御説明がございましたように、人事院といたしましても、この立案に当たられまして想定されておりまするところは、それに準じてやりたいと思います。
  506. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に、やはり同じ技能労務職で最低昇給期間は六カ月になっておりますけれども、その度合が現行のワク外よりむしろ不利になっておるというふうに考えられますが、この点はどうでございますか。
  507. 大山正

    ○大山政府委員 現在の級別資格基準表によります上り方が、御指摘のように非常にワク外頭打ちが多いのでございまして、その線に比べまして今回のはやや是正されておる、かように考えております。
  508. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 次に等級別俸給表について、これは抽象的な点でお伺いしたいと思いますが、今度のやつはとにかく格づけをはっきり行いまして、等級別にしっかり、いわば壁を作ったという工合に考えられるのであります。これは今まで再々指摘されたところでございまするけれども、四つから七つの等級でくくり直しまして、職階制を前よりも強化しておる。むしろこの壁は官僚機構を復活するたてになっておるというふうに考えられるのであります、この点はどうでございますか。
  509. 大山正

    ○大山政府委員 私どもといたしましては、この等級別の区分は職務の段階に即するものであって、別段官僚機構云々というようなことは関係がない、かように考えております。
  510. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 そうおっしゃるのですけれども、とにかく上のポストがあかないと、何年も同じ等級にいる。むしろそのために各俸給表、各等級の耐用年数を伸ばし、頭打ちのワク外をなくされようとしたのじゃないか、このように考えられるわけです。特に技能労務職においては、その点がひどいようなんですが、たとえば技能労務職の(一)の三等級、これは一般技術職員、統計とか機械操作、タイピスト、こういったものは定年まで二十八年くらいいなければならないような形になっておりますが、この点はどうでありますか。
  511. 大山正

    ○大山政府委員 御指摘のありました技能労務職員につきましては、現在一般俸給表を使っておるわけでありますが、非常に頭打ちワク外が多いのでございまして、その実態のカーブに比べまして、今回の昇給速度の方が是正されている、かように考えております。
  512. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 是正されていると考えますというようなことで、すべて是正されていると御説明ですけれども、それは具体的に現在のものよりどう是正されているのか、それを御説明願いたいと思います。
  513. 大山正

    ○大山政府委員 現在技能労務職員の三等級に入りますような職につきましては、たとえば運転手の例で申し上げますならば、現在は五級で頭打ちになりまして、数年ワク外に出まして、さらに六級になり、また数年ワク外に出まして、七級になりまして、頭打ちになるというような形で上っていく線になっているのでありますが、今回の案におきましては、三等級につきましては、大体六級までは一応通し号俸でいきましたのとそう変らない。そのあと一回頭打ちくらいをしまして七級に上るという線に大体応ずる線だ、かように考えております。
  514. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 私は身分的な職階制を保つために耐用年数の引き伸ばしを行なったという工合にしか受け取れないのでありますが、この点はどうですか。
  515. 大山正

    ○大山政府委員 身分制というような考え方ではございませんので、それぞれの職務に基いての実態に即した昇給制度というように考えております。
  516. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 ものは言いようでございまして、今の御説明では、私の質問いたしましたことに対するまともな回答にはならないと思うのですが、いま一度、御答弁をいただきたいと思います。
  517. 大山正

    ○大山政府委員 現在十五級の運用におきまして、やはりそれぞれの職種に応じての制度ができて運用されているわけでございまして、それを基本にしまして、それぞれ各等級の号俸をきめたという考え方でございまして、別に身分によってどうこう、あるいはそれによって耐用年数を伸ばしたということではございません。
  518. 有馬輝武

    ○有馬(輝)委員 今まで各委員から諸般の問題については御質問がありましたので、私の方からは二、三の問題について御質問申し上げたのでありますが、最後に希望として申し上げておきたいことは、今の御答弁で納得できがたいというような面も多々あるわけでございますから、小委員会におきましては、そういった面について具体的に修正するような方向で、いろいろ意見を出したいというふうに考えておりますので、それに対応する皆さん方の考え方をまとめておいていただきたいと存じます。これを希望いたしまして、本日の私の質問は終りたいと存じます。
  519. 相川勝六

    相川委員長 この際御報告申し上げます。科学技術振興対策特別委員会より当委員会に対し、研究技術公務員の処遇に関して申し入れがありました。その申し入れの内容は、印刷して諸君のお手元に配付いたしておきましたので、小委員会等において御検討願いたいと存じます。  次会は来たる四月二日火曜午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時五十三分散会