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1957-03-28 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月二十八日(木曜日)     午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君    理事 福井 順一君 理事 保科善四郎君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       江崎 真澄君    大村 清一君       大坪 保雄君    北 れい吉君       薄田 美朝君    辻  政信君       八田 貞義君    眞崎 勝次君       粟山  博君    山本 粂吉君       飛鳥田一雄君    淡谷 悠藏君       有馬 輝武君    片島  港君       木原津與志君    下川儀太郎君       西村 力弥君    森本  靖君       横路 節雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松浦周太郎君        国 務 大 臣 大久保留次郎君  出席政府委員         人事院総裁   淺井  清君         人事院事務官         (事務総局給与         局長)     瀧本 忠雄君         人事院事務官         (事務総局給         与局次長)   慶徳 庄意君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   大山  正君         行政管理政務次         官       楠美 省吾君         総理府事務官         (行政管理庁管         理部長)    岡部 史郎君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房人事         部長)     大塚  茂君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月二十八日  委員田中龍夫君、木原津與志君下川儀太郎君  及び中村高一君辞任につき、その補欠として八  田貞義君、片島港君、森本靖君及び有馬輝武君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員八田貞義君及び森本靖辞任につき、その  補欠として田中龍夫君及び下川儀太郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十六日  恩給額調整に関する請願高橋等君外十名紹  介)(第二四二五号)  同(有田喜一紹介)(第二四二六号)  同(河野密紹介)(第二四二七号)  同(戸塚九一郎紹介)(第二四二八号)  同(原健三郎紹介)(第二四二九号)  同(菊池義郎紹介)(第二四五七号)  同外四件(竹山祐太郎紹介)(第二四五八  号)  同外二件(渡海元三郎紹介)(第二四五九  号)  同(並木芳雄紹介)(第二四六〇号)  同(渡邊良夫紹介)(第二四六一号)  同(有田喜一紹介)(第二四九六号)  同(大森玉木紹介)(第二四九七号)  同(徳田與吉郎紹介)(第二四九八号)  同(中島巖紹介)(第二四九九号)  同(南好雄紹介)(第二五〇〇号)  同(山口好一紹介)(第二五〇一号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二五〇二号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(臼  井莊一君紹介)(第二四三〇号)  同(田中彰治紹介)(第二四三一号)  同外六件(池田清志紹介)(第二四六五号)  同(松永東紹介)(第二四六六号)  傷病恩給増額に関する請願赤松勇紹介)(  第二四三二号)  同(竹山祐太郎紹介)(第二四六三号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願赤松  勇君紹介)(第二四三三号)  同(竹山祐太郎紹介)(第二四六四号)  行政機関職員定員法第二条第一項の労働省職員  の定数改正に関する請願石橋政嗣君外一名紹  介)(第二四五三号)  行政機関職員定員法第二条第一項の建設省職員  の定数改正に関する請願三鍋義三紹介)(  第二四五四号)  恩給法の一部改正に関する請願高瀬傳君紹  介)(第二四五五号)  同外一件(福永一臣紹介)(第二五〇三号)  旧軍人関係恩給増額等に関する請願並木芳  雄君紹介)(第二四五六号)  同外一件(岡崎英城紹介)(第二五〇四号)  旧海軍特務士官及び准士官恩給是正に関する  請願外一件(安藤覺紹介)(第二四六二号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八五号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第八八号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第九一号)  行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三二号)     —————————————
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 一昨日答弁が保留されました問題につきまして、お答えを願うことにいたしたいと思います。簡単にやりますので、率直なお答えを願いたいと思います。最初大臣にお尋ねいたしたいのでのりますが、頭打ちの問題が常に非常に問題になっているわけでございますが、これを根本的に解消するというようなことのために、将来におきまして国家公務員にも定年制を考えるというようなことはないか。現在地方公務員につきましてこの問題がすでに頭を出しておることは御承知の通りでありますが、この点、そういうことは全然考んでおらないかどうかということの御答弁を願いたいと思います。
  4. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 養老年金その他恩給制度というようなものを総合的に考えて今のようなことを考えなければならぬと思いますが、目下のところ定年制の問題については検討中でありまして、具体的な結論は出ておりません。しかし、お説のことに対しましては、今後、恩給及び養老年金その他すべての国民が老後において安定する生活ができるような方向に政策は持っていくべきであると思っておりますが、今のところ定年制はそういうような具体的な問題ができておりませんから、これをどうするかということを目下検討中でありまして決定いたしておりません。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、人事院総裁は来ておりませんが、人事院の方の考え方を述べていただきたいと思います。
  6. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 総裁が見えておりまんが、人事院を代表いたしましてお答え申し上げます。人事院といたしましては、現在のところ定年制については全然考えておりません。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私、きょうは持ち時間を持っておりませんので残念でございますが、その点さらにほかの委員からやってもらうことにいたしまして次に移ります。  今度の給与改善が一体どの程度のものかということが論議されているわけでありますけれども、本年度に比べまして来年度は平均六・二%上昇するということはわかるわけでございますが、四月一日現在におきましてもこの六・二%というものが大体確保されるものであるかどうか、この点政府側から御答弁を願いたい。
  8. 大山正

    大山政府委員 今回の改正案におきましては、三月三十一日現在の俸給に一号上げましたもので四月一日に切りかえる、さらにその後の切りかえ時期あるいは昇給期間等におきまして三カ月の短縮を行うというような方法によりまして、年間を通じまして六・二%程度改善を行うということになっております。その関係で四月一日に直ちに六・二%上るということにはならないわけでございますが、それでは四月一日にどの程度上るかという問題は、実は普通の定期昇給の問題がからみますので、的確に把握しがたいところでございます。一応の推定といたしましては、定期昇給要素を含みまして六%以上上るわけでございますが、これから定期昇給要素を推定して引きますと、六%を下回るということになるかと思います。ただ、御質問の御趣旨は、おそらく四月一日に上るのと実質的に同じかどうかという御質問の御趣旨かと思うのでございますが、年間を通じまして定期昇給要素を除いて六・二%上るということは、四月一日に六・二%上るということと実質的には同じである、予算上も同じであるというように考えておりますので、その点お答え申し上げておきます。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは次に移ります。  一昨日、私例をあげて申し上げたのでございますが、たとえば旧高専卒経験年数三十年、現在十一級四号、三十一年四月一日昇給病院事務長大学史料編纂所事務長、こういうような人が今度の政府案によって切りかえられる場合に、まず格づけの問題ですが、行政職第二表の四等級に格づけされますと、現行給与よりもはるかに悪くなって参るわけであります。これをカバーするためには、どうしても三等級に格づけしてもらわなくちゃならないという問題が出てくるわけであります。一般論といたしましては、大体こういうふうに不利になることが明らかなものについてはカバーするという答弁をいただいておるわけでありますが、具体的な例といたしまして、今申し上げたように、こういう場合には三等級に格づけしていただけるものかどうか、この点政府側並び人事院側から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  10. 大山正

    大山政府委員 具体的な法律の実施、格づけの問題でありますので、人事院からお答え願うのが適当かと存じます。
  11. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 ただいま御質問の問題は、実は小委員会においても目下審議途上でございますので、その実情をさらに調査いたしました上に、そういうほんとうに不利益になるようなものについてはできる限り善処いたしたいと思います。
  12. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 これなどは明らかに不利になることがわかっておるわけでございますから、完全にカバーされるという証明がない限り、われわれとしても承認できませんし、与党の諸君にいたしましても、改善をしたと称して、実はこういうふうな明らかに不利なものが出てくるということはお認めにならないものと考えますので、さらに折衝を続けていきたいと考えます。  もう一つ問題を提起いたしたわけでありますが、税務職の四等級に格づけされる人の問題を一昨日ここに持ち出したわけであります。もう一度申し上げますと、三十二年の三月三十一日現在で税務職七級六号の人、これは昇給六カ月経過者でありますが、この人が今度は四等級に格づけされるといったような場合に、二年三カ月日から二年六カ月目、この三カ月の時点をとらえて本俸額を比較いたしてみますと、現行でいった方が今度の政府案でいくよりも、本俸の絶対額が上回るという例が出てきておるわけであります。これはこの一例にとどまらず、相当あるんじゃないかと思うわけですが、まずこの点お認めになるかどうか、調査室長からお答えを願い、お認めになるとすれば、こういった面までカバーしていただけるものかどうかということについてもお答え願いたいと思うわけです。  われわれは普通月給幾らだということを言うわけでありまして、相対的な手取り云々というよりも、政府改善したと称するその案でいけば、二年三カ月目になると、今のままいった方が月給幾らですかと聞かれたときのいわゆる月給額が、明らかに高いというふうなばかげたことは、やはり改善とは言えないのじゃないかという気がするわけでございますが、この点のカバーは考えておるのかどうかということをお答え願いたいと思います。
  13. 大山正

    大山政府委員 御指摘になりました例につきまして、私ども検討いたしましたところによりますと、たまたま御指摘になりました例のところは、途中の案で十五カ月になっておりましたのが、最終的には十二カ月になりましたために、一応その部分に関する限りは問題が解消しているという問題のように思われるのであります。ただ、たまたまその例はそうでございますが、一般的にそういう例は絶対にないかというふうなお話でございますと、これはないとは申し上げかねるかと思います。と申しますのは、今回の俸給表改正がそれぞれの職務によりましてあるいは頭打ち、あるいはワク内に入って昇給率がよくなるというような点を平均化し、なめらかにしておるというような関係で、ある時点におきましては、お話のような事態が起るということは考えられると思うのであります。ただ、ある時点あるいは短期間をとりますれば、そういう現象が起り得ると思うのでありますが、さらに長い期間を考え、あるいはこれを俸給表として、制度として考えていただくならば、決して悪くはならないというように考えるのでありまして、そういう部分的な不利までもカバーしなくてはいかぬというふうには、実は私どもとしては考えておらないような次第でございます。
  14. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この点も普通常識的によくなったといわれれば、月給の絶対額というものもよくなったというのが普通なんです。ところが実際にはそういうふうにならない例が出てくるわけでありますから、この問題もさらに小委員会等でゆっくり話し合ってみたいと思います。  最後に、これは本質的な問題になるかと思いますが、いわゆる学歴差という問題であります。初任給を決定する段階におきまして学歴差認めることは、一応やむを得ないといたしましても、その後におきまして、依然として将来にわたってもこの学歴差というものがつきまとうという考え方には若干批判を持っておるわけであります。この面におきまして級別資格基準表改正して、少くとも普通定めております在級年数を同等に扱うというようなことは、将来の問題として考慮をされておるのではないかと思いますが、この点御説明を願いたいと思います。
  15. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 ただいま御指摘学歴差の問題でございますが、現行給与法におきましてはいわゆる級別資格基準表というものを用いまして、初任級の場合だけでなしに、さらに上の職務の級に昇進いたします場合、その人がどういう学歴であったかということによりまして差別が行われておるのでございます。このことは御指摘のようにまことに不合理でございます。従いましてわれわれは今後教育職を除きます一般行政職、そのほかの俸給表におきましては、そういう取扱いをしない方が適当である、このように考えておる次第であります。このことは人事院勧告並びに政府案においてそういうふうな事情が十分反映しておる、このように考えております。ただ教育職に関する限りは、これは長らく同一な勤務をいたすわけでございますので、これはやはり学歴差と申しますか、資格の差と申しますか、こういうものが給与決定基準にならざるを得ないのでございまして、この点は教育職だけはちょっと様子が違っております。
  16. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは終ります。
  17. 相川勝六

  18. 八田貞義

    八田委員 具体的な問題に入る前に一般的な問題を質問させていただきたいと思います。今 まであった職種が八つの職種に変りまして、俸給表研究、医療、技能労務の三俸給表が変って参りました。さらにまた等級は今まで十五等級があったわけでありますが、今度行政職におきましては七等級に変って参りました。またあるいは研究職とか、教育職技能職等におきましても等級が分れております。この問題についてですが、一体この等級はどういうふうに理解したらよろしいか、これを職階給と見るのかどうか、その点につきまして大臣から御答弁を願いたいと思います。
  19. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 しばしばお答えした問題でありますが、まず十五等級を七等級にしたということでありますが、現在の職務給が大体七つになっております。それが十五に分れておりましたからかえって今までのものは複雑でありますので、簡素にするという目標のためにやったのでありますが、職階制目標にしてやったものではありません。職務給生活給を調和さしたものであります。種類が五種類であったものを八種類にしたということに対しましては、人事院勧告を尊重いたしたものでございますから、人事院の方からお答えを願いたいと思っております。
  20. 淺井清

    ○淺井政府委員 最初の問題でございますが、現在はなるほど十五の階段的な職務の級を設けております。しかしこの十五の職務の級というものは、必ずしも精密な職務分析をやって十五に並べたものではないのであります。大体これくらいだろうといってこしらえて、それを今日まで運用して参ったのでありまするが、これは必ずしも官庁実態に即しておるものではない。むしろこれは七つ程度に簡素化してやった方がよろしいのではないか、これを十五に分けたために複雑になりまして、各職務級ごと俸給最高号俸に達して上にいかないものが出てくる、いわゆるワク外頭打ちという現象もございますから、そこでこれはまず七つ程度にした方がかえって官庁実態に即しているんではないかということでございますが、その点は労働大臣お答えになったと同じことでありまして、人事院もそのつもりで勧告はいたしたのでございます。  それから俸給表をふやしましたのは、従来主として一般行政職の中にありましたものを、この種の程度職種に分けていく、俸給表を別にして違った昇給曲線をとらせる方が適当であるとさように考えて勧告したのでございまして、政府においてもそのように御裁量になっている次第でございます。
  21. 八田貞義

    八田委員 そうすると等級というのは職務給生活給とを調和させたもの、こういうふうな大臣の御答弁がありましたが、そういうふうに了解してよろしいのでございますか。
  22. 淺井清

    ○淺井政府委員 これは先日もお答えを申し上げたのでございますが、どんな給与体系を見ましても、職務給的要素の入ってない給与体系というものはないと思います。これはどこの国でもそうでございますし、日本における民間の給与体系を見ましても、まず戦後で一番有名な電産の賃金体系等に始まるこの給与体系というものは、職務給的なものが必ず入っております。しかしまた同時に生活給を無視した給与というものは成り立たぬのでございますから、どんな給与体系を見ましても、職務給的なものと生活給的なものとは入っておるように思っております。ただ職務給とか生活給とか申しますのは、どつちの要素を強めるかという問題になっておるのでございまして、公務員法の建前から申しますると、最終の形は職階制による。職階制というのは最も合理的な職務給であると言い得るのでございますが、今回の勧告もしくは政府案というものは、その職階給程度には至っておりませんが、職務給的なものであるというのでございます。ただしわれわれといたしまして、日本の現状にかんがみまして職階給的な職務給をあまりに強めるということはいけない。これは生活給と調和さしてやらなくちゃいかぬ。そこでまず第一に各等級俸給を相当深くオーバーラップさしておるのでございます。もし純然たる職階給でございまするならば、課長局長にならない限り頭打ちをやってもいいわけなんでございます。しかしながらわれわれといたしましては、課長局長にならなくとも俸給はある程度上る。そこに職階給的な要素は含まれておると思っております。また最高級に達してからあともワ外昇給という制度認めて、上の等級にいかずともワク外において昇給する道を開いておる、こういう点が生活給的要素職階給と結びついておるのでございます。同時に間接的には、人事院といたしましては、標準生計費というものを調査いたしまして、これをものさしといたしまして、生活に困るような給与でないようにという配慮をいたしておる次第でございます。
  23. 八田貞義

    八田委員 そうしますと号俸はどういうふうな意味を持っているのでありますか。
  24. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 各等級におきまする号俸というものは、これは世界各国公務員制度におきましても、やはり号俸の幅というものがございます。ただいま総裁から申し上げましたように、生活給職務給の調和でございまするので、同じ職務をやっておりましても、やはり家族がふえていくとかあるいは生活範囲が広がるというようなことに即応する面もございまするし、またその職務をやっておりますると習熟するという面もございまするし、また同じ職務をやっておってもやはり給与が上るのだという励みの面もございます。そういうう面を考慮いたしまして、この俸給表の幅、すなわち号俸の数がきめてあるわけでございます。これは各国の例で見ますると、その幅は比較的短かいのでございまするが、わが国の場合におきましては、現在の諸事情を勘案いたしまして、相当この幅は伸ばしてある、このように考えております。
  25. 八田貞義

    八田委員 そうしますると、等級職階を表わすものであって職務給的な制度を持っておる。しかし号俸生活給的な意味合いを持ったものである。そうしてその中には技術職あるいは経験年数とかいったものを加味して号俸というものが組み立てられておるのである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  26. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 その通りでございます。
  27. 八田貞義

    八田委員 そうしますとこの等級号俸によって俸給ができるわけです。そうするとこの昇給期間が十二カ月になっているものあるいは十五カ月になっているものあるいは十八カ月、二十一カ月、二十四カ月というふうに分れております。これがいろいろな職種によってこの上り方がみな違うのですね。これは一体どういうふうに解釈したらいいのか。これは詳しく申し上げないとおわかり願えないと思いますが、号俸の数を多くした方がその等級に対して優遇になるのか、あるいは号俸の数を少くした方がその等級に対する優遇になって、次の等級に上ることができるという可能性が強まってくるかどうか、号俸の数と等級上り方関係、多い方が等級の上っていくのにいいのか、少い方が等級の上っていくのにいいのか、これをお教え願いたい。それからさらに昇給期間との関係です。
  28. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 号俸の数が多いのがいいか、少いのがいいかということでございますが、今回の人事院勧告並びに政府案におきましても、たとえば人事院は六カ月、九カ月という制度を採用いたしておりますし、政府案は原則として十二カ月という制度を採用されておりまするが、これは現行給与法におきまして、昇格基準表とか、いろいろな級別定数とかによって、現実の運営が行われておるのでありまして、その現実昇給率を、たとえば行政職でございますれば行政職に対して、現在の平均的な昇給率を保証しよう、また税務職であれば税務職に対して保証しよう、公安職であるならば公安職に対して保証しよう、こういうことでできておるのであります。従いまして十二カ月期間昇給率というものは、現在たとえば係長なら係長が許されまする職務の級というものの平均昇給率になっておる。政府案におきましてはさらに例外給と申しますか、特段の場合に許されまする上の級に上り得るところまでこれを合せまして平均いたしておるのであります。その後の十五カ月、十八カ月というところはむしろ現在ワク外になりまする人々というようなものを考慮するということと、また俸給表耐用年数というものを考えるということで昇給の速度というものを一応落してあるのです。   〔委員長退席大平委員長代理着席〕 で、俸給表の幅が狭い方が有利か広い方が有利かという問題でごさいまするが、これは一がいにはなかなか申しがたいと思うのであります。ただ無制限に上の等級へ上げ得るというような状況のもとにおきましては、これはむしろ俸給の幅が狭い方が有利であると言えるかもしれません。しかしながら大体におきまして行政職あたりにおきましては、ほぼ職務段階、たとえば課長でありまするとか、あるいは局長でありまするとか、または部長でありまするとか、こういうものはポストの数がほぼきまっております。またそれと同程度職務内容を持つものを評価して考えるといたしましてもその数はほぼ一定しております。そういたしまするとやはりそういう上のポストのあきがない限りは上れないということになります。そのときに俸給の幅が非常に短かい場合におきましては、もしワク外昇給がなければ昇給ストップという現象が起って参りまするし、ワク外昇給がもしございましても、それは非常に速度が落ちるということになります。そのような場合には俸給表の幅が長い方が一般的に有利であるということになるのでありまして、いろいろ状況によりまして有利、不利が出て参る、このように考えております。
  29. 八田貞義

    八田委員 教育職研究職、医療職、行政職、この四つについて見ますると、人事院勧告政府案との食い違いが非常にあります。政府案の方は教育職を六等級にし、人事院の方は五等級にいたしております。研究職政府案の方は七等級にし、人事院の案は五等級にしておる。医療職は政府案の方が五等級人事院の方が四等級行政職の方は、これは人事院政府案もともに同じでございます。この食い違いでございますね、これは大臣から御答弁を願うかあるいは局長から一つ。
  30. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 ただいまお問いの研究職、医療職、教育職等の関係は大体現行制度を見合って考えたのでございまして、決して不利になっておるとは思っておりません。人事院勧告及び政府の立案に対する詳細な内容については大山室長から一つ……。
  31. 大山正

    大山政府委員 教育職の一の俸給表につきまして勧告が五等級でありますのに、今回の改正案において六等級にいたしておりますのは、六番目の等級を下に一つ追加しておるのでございますが、これは大学等におきまする教務職員が現在教育俸給表の適用を受けておるのでございまして、勧告におきましてはこれを調整額をつけましてほかの方の俸給表に持っていくという形になっておりますが、前回に御説明ありましたように、調整額の問題を俸給表に織り込むという形の俸給表にいたしましたので、政府改正案におきましては、現行通り教務職員教育職俸給表の適用を受けさせる、そのために一等級ふやしておるのでございます。  それから研究職俸給表勧告が五等級であるのに改正案において七等級になっておりますのは、上の方に一等級をふやしております。これは研究所長のうち特に大きな所長の入る等級といたしまして、行政職等級に相応する一等級を設ける方が適当である、かように考えまして一等級を追加いたしておるのでございます。それからもう一つふえておりますのは、下の方に七等級をふやしております。これは補助研究員と申しますか、補助的な研究を行う者につきましてもやはり研究職俸給表を適用することが適当である、かように考えまして下の方に一等級ふやしておるのでございます。  医療につきましては、勧告の医療の一の等級が四等級でございますが、そのうち薬剤師の関係を別に分離いたしまして、医療職俸給表の二にいたしているのでありますが、さらに病院長及び療養所長のうち特に大きな病院、療養所の院長、所長のために、やはり先ほどの研究職で見ましたのと同じ意味の一等級を設けたということで、同じようにこれは五等級構成になっております。  行政は御指摘のありましたように、七等級構成で同様でございます。
  32. 八田貞義

    八田委員 この等級別の問題とともに号俸の差も四つの中に相当差ができております。もちろんこれはいろいろ説明がつくのでありますが、ただ私が大ざっぱに見たところでは五等級について調べてみますと、行政職は十六号に分れております。教育職は二十一号になっておる。研究職は二十四号になっておる。医療職が二十二号になっております。それを昇給期間をさらに区分いたしてみますと、行政職は五級職におきまして、号俸が上って行くのに九号までが十二ヵ月でございます。十号から十二号までが十五カ月になっておるのです。教育職の場合には六号までは十二カ月、ところが七号から十二号までは十五カ月。研究職は、十六号までは十二カ月、十七号から十八号までは十五カ月。医療職は十一号までは十二カ月、十二号から十八号までは十五カ月、こういうふうになっておりまして、これをいろいろな組み合せをやってみますと、行政職の方が早く昇進して、年若くして他に転職ができるというような、累進の道ですか、昇進の道が非常に開けているように見えるわけです。そこで大臣に一つ御答弁をお願いしたいのは、行政職俸給は、勧告案では最高六万七千円となっております。ところが政府案では、今度七万二千円としておるわけであります。行政職につきましては、先ほどいろいろな数字から申し上げましたように、優遇されてきておるのに、さらに最高俸を人事院の方から六万七千円と出しているものを、七万二千円に上げておる。こういうことを考えますると、行政職を非常に優遇しているように印象づけられるのですが、この点につきまして大臣から……。
  33. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 御指摘のように、六万七千円に人事院勧告されましたものを七万二千円にいたしましたことは、現行制度が七万二千円になっているものでありますから、この現行制度七万二千円になっているものを六万七千円にいたしましたならば、またずいぶん議論になるだろうと思いまして、現行制度をこの点は重んじたのでございます。研究の方は、やはり同じように七万二千円にいたしております。今昇級年次の各職業によって違うという御指摘がありましたが、この技術的の面に対しましては大山室長から答弁させます。
  34. 大山正

    大山政府委員 ただいまそれぞれの五等級について御比較がございましたが、実は各俸給表ごとに等級を横に比較しますことは非常にむずかしい問題でございまして、これを直接に比較するということはなかなかできにくい、また誤まりを生ずる問題ではあるまいかというように考えております。御指摘のように、行政職の五等級係長、あるいはそれと同程度職務ということでございますし、教育の五等級は助手でございますし、それから研究の五等級は一般の研究員、医療の五等級は一般の医員というようなことでございまして、現在の職務の級もそれぞれに違っておりますし、実際の昇給の仕方も現実に違っております。それを大体まとめましてこういう現在の表のような形にまとめたために、御指摘のような差異が生じた、こういうことになっておるわけでございまして、行政が短いために、果して得かどうかということは、今後の実際の昇進と申しますか、そういうものにかかる問題でございまして、むしろ短い場合に昇進がおくれれば逐次おくれる一方であるし、十二カ月の幅が長ければ、たといおくれても不利ではないという意味におきまして、どちらかといえばやはり俸給の幅が長く、十二カ月の幅が長いという方がむしろ有利というべきではなかろうか、かように考えております。
  35. 八田貞義

    八田委員 大臣から、行政職の最高俸を七万二千円にしたのは現行制度においても七万二千円があるからだ、こういう御答弁があったのですが、現行法で七万二千円の最高俸を与えられているのは教育職だけなんです。他は七万二千円の現行最高俸はございません。教育職で七万二千円の最高額をとるのは大学の総長だと思うのですが、現行法におきましても、七万二千円の最高額に進める大学総長は東大の総長だけと私は思っておりますが、この点について大臣いかがでしょうか。
  36. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 室長から答弁させます。
  37. 大山正

    大山政府委員 御指摘のように、現在七万二千円の最高額を受けておりますのは東京、京都の両大学の学長であります。なお今回俸給表を作るに当りまして、一般俸給表から分かれますのが行政職研究、医療ということでございますので、一般俸給表の最高の七万二千円の額を一応最高に押えまして、ただ実際にどの額を次官なり所長なり病院長にきめるかということは、人事院の権限ということになっておりますので、最高だけは現行を踏襲した、こういうことでございます。
  38. 八田貞義

    八田委員 そうすると、今大学の総長で東京と京都だけになっておりますが、九州とか東北とか北海道というのは、昔の帝大でございます。これらの人々が十四級に現在甘んじている。十五級になっていない。こういった差はどこから出るのか。それについてどなたでもよろしいから、お教え願いたい。
  39. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 現在大学の学長につきましては、御承知の通り十五級方式の職務給でやっておりますけれども、ほんの一部が十四級になっているだけでありまして、大部分の大学の学長は十五級になっているはずでございます。その中で、先ほど御指摘のように、東大の学長と京都の総長が最高の七万二千円で、これは現行でいいますと十五級四号でございます。それから十五級三号、二号というふうに分岐いたしておりまして、ほんの一部が現在十四級になっているだけであります。大部分の学長は十五級に指定いたしております。
  40. 八田貞義

    八田委員 実は東大と京都大学だけが、そういうふうに十五級の二号でございますか、になっておって、大阪とか九州とか北海道とか東北の学長は、現在それまで上り得ないですね。その差は一体どうして出てきているか、この点私了解しがたいのでありますが、お教え願いたいと思います
  41. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 現在東京大学と京都大学の学長は、十五級の四号の指定がしてございます。東京と京都だけをなぜ特別扱いにするかということでございますが、これは従来からの経緯ということも多少影響があろうかと思いますけれども、総合大学と申しましても、その規模から申しまして、東京と京都が非常に大きいのでございます。その意味におきまして、東京大学と京都大学の学長が十五級の四号に指定してございまして、そのあと十五級の三号、二号、一号、十四級も多少残っておりますが、そういうふうにやってありますのは、学部の数でありますとかあるいは大学院を置いているかいないかとか、そういう各種の基準によります。これは純然たる職階的とは申されませんけれども、おおむねその大学の学長の職務と責任に応じまして、現在十五級の四号、三号、二号というふうにしてあるのであります。ただ一つ申し上げたいことは、現在十五級の指定官職にいたしましても、三年経過いたしますと、十四級以下のバランスを見まして、事実上の昇給をせしめることが適当であろうというので、十五級三号の指定を受けておられる東京、京都以外の大学の学長でも、現在十五級の四号になっておられる方が二、三あるように——具体的なことはあとでまた申し上げますが、あるように心得ております。
  42. 八田貞義

    八田委員 今京都と東京は規模によってそういうふうな俸給額をもらっている、こうおっしゃいましたが、旧帝大は規模においては全く同じでございます。ただ創立年月日から見れば東京、京都は古いですけれども、九州にしましても、大阪にしましても、北海道の大学にしましても、東北にしましても、全く規模においては同じです。規模というものは、研究の内容からいうのか、教育の内容からいうのか、学生の数からいうのか、私にははっきりしませんけれども、規模と簡単におっしゃいましても、そう私は簡単には了解しがたい。自分の経験から考えてみましても、旧帝大は規模において全く同じだと思うのです。総長いわゆる学長に非常に格差があるということは、私その点了解しがたいのです。規模という点だけについて説明されましたのでは、どうも私納得しかねるのですが、その点いかがでしょう。
  43. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 私が申し上げましたのは、規模その他大学院を置いておるかどうかというようなこと、そのほか各般の情勢を考慮し、なおこの問題は教育行政と非常に密接な関係がございまするので、文部省とも十分協議の上でこういう査定がしてあるのでございます。
  44. 八田貞義

    八田委員 その点文部省との連絡が十分にとられての上であるという御答弁を願ったのですが、さらにまた私の質問を機会にいたしまして実情をよく調査されまして、差がないように一つお取扱いを願いたいと思う。  それから研究職というのがあります。この研究職というのはどういうものをつかまえて研究職として職種を分類されましたか、これを一つお知らせ願いたい。
  45. 大山正

    大山政府委員 試験所、研究所等で人事院が指定するものに勤務しまして、試験、研究、調査業務に従事する者というので、具体的には人事院規則で将来定める、こういうことになっております。
  46. 八田貞義

    八田委員 そうしますと、これはあとで人事院の方からまた御答弁願いたいのですが、研究職というのは、研究所とか試験所に勤めておる研究業務に従事しておる人を研究職というのだ、こういうような御答弁でございまするが、そうしますと、大学の付属研究機関に従事している人は、研究職に入るのでございますか。
  47. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 大学の付属研究所で研究をしておられます方々は、おおむねこれは教授が兼任されておる、教育と研究とあわせ行なっておられるというようなこともございまして、これは教育職として人事院勧告におきましても、また政府側から出ております法律案におきましても取り扱ってございます。これはやはり大学の教授、助教授がそういう業務を事実上行われて、また教育の任もやっておられるというような事実上の問題から、そういう取扱いをいたしておる次第でございます。
  48. 八田貞義

    八田委員 今の大学の付属研究機関は、兼任の教授、助教授がやっておるから教育職の方に入るのだ、研究職の方には入らない、こういうふうに私お聞きしたのでございますが、そうじやないのですか。
  49. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 教授が専任でやっておられる場合もありますけれども、これは教授としてやっておられるのでございまして、そういう意味におきまして大学の研究所におられる方もこれは教育職として取扱っておるのであります。
  50. 八田貞義

    八田委員 教授というのは、これは定義がむずかしくなってくるのですが、講座を持っておる人を教授こういうふうにお考えになっておると思うのです。ところが講座を持っておらない教授がたくさんおるのです。付属研究機関で純然たる研究をやっておるのです。講座を持っていない、しかし大学教授という肩書きを持っておる。そういう人は純然たる研究に従事しておるから当然研究職に入るのです。研究業務だけやっておる、講座を持っていないのです。それでおって大学の付属研究機関に勤めておるから、教授という名前をもらって講座を持っていないけれども研究職に入らぬ、そして教育職俸給をはめるということはちょっと矛盾しておらぬでしょうか。
  51. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 業務内容から指摘いたしますと、確かに御指摘のような点もあろうかと思うのでございますが、大学の教授はただいまも申し上げましたように、研究に専念されておられる方もございますが、やはり大学の審議会等におきまする選考を経まして教授になっておられるのでございます。こういう方はすべて教育公務員特例法を受けておられますので、われわれの方はこれを教育職として取扱っておるのであります。
  52. 八田貞義

    八田委員 だんだん話しを進めて参りますが、私は国会に出る前には、東大の伝染病研究所におりました。次いで国立公衆衛生院に移りました。次いでまた薬学を主とする。国立衛生試験所に移りました。その間においてだんだんと俸給が下ってくる。そこで私は前から研究機関におりまして非常にこの矛盾を感じておりました。教育職から研究職に入ると現在においても給料が下ってしまうのですね。これはどうしてこういうことになるのだろうということで、研究内容も全く同じであるから、同等の待遇というものを要求しておった。研究公務員は教育公務員とその職責あるいは任務というものが全く同じでございます。そこで研究公務員特例法を作ってくれということを運動して参りました。この点は人事院日本学術会議もともに助力してくれたのでありますが、今日なお実現に至っておりません。全く職責も任務も似ておる。現在研究機関に従事しておる優秀な部長の人々は、これは私立大学なんかに兼任しておる場合もある。十分に教務もやっておるわけです。ですから職務も任務も同じような研究員にも特例法を作るべきだということを盛んに主張しておったのでありますが、現在全然実現しておらぬ。しかも日本学術会議におきましては、われわれの要求を入れまして、特別に審議会を作りまして特例法の要綱もできた、こういうふうに聞いておる。ところがその前に人事院勧告というものが出て参りまして、全然研究員に対するところの特例法というものがどうなってしまったかはっきりしておらないわけであります。今まで申し上げましたように、教員と研究員との間にほとんど差のない職責、任務に当っておりながら、一方においては俸給がよくて、研究員の方はずっと下になる、こういった矛盾を何とか是正していただくような努力を今後続けられるかどうか。またあるいは研究公務員の特例法というものが一体どういうようになってしまったか、これについて人事院の方からお知らせ願いたい。
  53. 淺井清

    ○淺井政府委員 研究職の公務員の給与法を作るかどうかということは、これは政府の問題でございますが、人事院といたしましては、今回の勧告におきまして、研究職俸給表というのを別にこしらえたということは、私はその第一歩の優遇の措置だろうと考えております。その制度のことにつきましては、後刻大臣からでも一つ……。
  54. 八田貞義

    八田委員 政府側から大臣のかわりに御答弁願いたい。
  55. 大山正

    大山政府委員 今回の給与問題につきましては、人事院勧告に従いまして研究職俸給表を別に作ったのでございますが、研究公務員特例法の問題につきましては、今後さらに研究を続けたい、かように考えます。
  56. 八田貞義

    八田委員 研究されるという言葉を、私必ず実現できるという期待をもって受け取っていいかどうか、どうでしょうか。
  57. 大山正

    大山政府委員 事務当局といたしましては、そこまではっきりただいまのところ申し上げる自信はございませんですが、さらに事務的に検討を進めたいと思います。
  58. 八田貞義

    八田委員 教員と研究員との間には、ほんとうに職責においても任務においても差がないのです。どうか一つ委員長からも、特例法を作るということにつきまして、十分に強い推進力を発揮していただくことをお願いいたします。  そこで具体的な問題になりますが、先ほどお配りいたしました表をごらんになっていただきますと、今申し上げましたことがよくわかるわけであります。この表を見ていただきますと、氏名はA、B、C、Dというようにアルファベット順に分けておりますが、教育職から研究職に転任した場合のいろいろ矛盾した例を、実際例について調査したものでございます。たとえばAという人が東大の医学部を卒業しましたのが昭和二十三年九月でございます。そうして大学の五級四号につきまして、給料が一万五千六百円でございましたが厚生省の所管研究所に入って参りますと、八級四号になりまして、給料が一万四千六百円に下ってしまった。しかもこのAという人は二十九年一月一日に就任して一万五千六百円もらっておった。厚生省の方の研究所に入ったのは二十九年四月十六日でございますが、一万四千六百円に下ってしまった。こういうような例をずっとあげてあるわけでございます。さらにまた高等学校等の教育職員級別俸給表によりまして、東京都の教育職から研究職に転任した例もあげてありますように、やはり研究職の方が下ってきておるわけでございます。このようなことが現在やられておりまして、研究機閥というものが人材を確保しておくのに難渋を来たしておる状態でございます。ですから、この表から申し上げることができるのは、大学関係研究者を研究機関に迎える場合には、その給与を引き下げないと部内では不均衡を生ずるというような結果が生まれてくるわけであります。こういうことが行われますと、逆に研究所から大学に転任することが容易になってくる。大学からは研究所に入る場合には給与が下ってくる、研究所から大学の方に入る場合には給与が上ってくる、こういうことになりますとスムースな人事交流ということはできません。年とった人は仕方がないとしましても、これからどんどん勉強していかなければならぬ青年学徒が一定の職に固定されてしまう。そういうことは研究者の視野を狭くしてしまう、さらに学識経験というものを豊かにしない、こういうような状態になってくるわけでございます。私はずっと二十三年から研究機関にあってこの矛盾というものを強く体得して参りました。学者の修練を積むために交流をよくする必要を痛感して参ったのであります。現在いろいろな研究機関の部長級の人々を見ましても、当然十四級に匹敵する給与をやってもいいような学識経験を持っている人が、十三級以下に甘んじておるわけでございます。こういった矛盾がやはり新給与体系におきましも同様に出てきているわけでございます。たとえば例を申し上げますると、医師の場合には、医科大学を卒業して、インターンを終って、国家試験を終って医師という免状を受けるのでありますが、同年に卒業した医師が国立病院に行きますと一万一千八百円の初任級が受けられる。ところが研究所に奉職しますと一万一千四百円で、四百円だけ少い。そうして年々の昇給の差額の不一致によりまして、この四百円の差は数年後には千円になって参ります。このようなことでは、医学研究機関では、有為の人物に逃げられてしまうということは、火を見るよりも明らかでございます。こういった矛盾につきまして一体人事院並びに政府当局はどういうふうにお考えになっていられるか。これをやはり是正していかなければならぬ。このようなことでは、科学振興などと申しましても、学問尊重などと申しましても、とうてい行えない。研究機関を衰微させるようにしておき、人材を喪失しておいて科学振興なんかはとてもできないと思う。しかも研究職と称し、教育職と称しましても、研究という面から見るならば、職責も任務も全く同じでございます。その矛盾を今後どうして是正していかれるか、一つ政府当局並びに人事院の方から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  59. 淺井清

    ○淺井政府委員 ごもっともなお尋ねでございますが、これは非常にむずかしい問題だと思います。ただいまの御趣旨研究職職員研究の振興という見地からお述べになったのでございますが、また一方においては教育振興というような立場もございまして、最近におきまして教員の俸給表が非常によくなった。ことに最近三本建にいたしまして以来、調整号俸がこっちについている、そういうところからくるのだろうと思っております。そこでわれわれの方といたしましては、まず第一に従来一般行政職俸給表の中にありました研究職を取り出して、教育公務員におけるごとく研究公務員の俸給表をまず作った。それじゃこの研究公務員をもっと上げればいいじゃないかということに帰着するのでございますが、それはまた今度医療職とか一般職との権衡上、そう一ぺんにはなかなかできないのであります。しかし御趣旨のようなことは、ともかく今回の勧告並びに政府案におきまして、研究職俸給表を特に独立させたという点は、十分お認めを願いたいと思います。
  60. 粟山博

    ○粟山委員 関連して。私は同僚八田君の質問はまことに適切なものであり、それに対しましての人事院総裁答弁を承わっておりますと、まことに物足りない。こういうことに対しては特に人事院が中心になって、政府全体の大きな責任においてこの問題を解決するという非常な御決意があってしかるべきだと思うのであります。この機会に一言申し上げたいことは、教えることはもちろん大事である、しかし研究が世界的に見ましてもいかに重要なものになっておるかということは言を待たないのであります。たとえば原子力の研究、いろいろ各方面に近代の科学というものは非常に進歩しております。それでありますから、各方面の非常に進歩した科学研究を一人でまとめて結論を出すというようなことはあり得ない。かつての政治と今日の政治は大きく違ってきておる。そういうふうに非常に専門的に進んだものが国の力となって、大きくいえば世界の平和あるいは世界の不安をそれで結末をつけるというほど重大な結論を生み出すのに関連しておるのであります。そういう場面から考えるならば、教育はむろん大事でありまするけれども研究こそは電波といいあるいは人文科学といい、物理化学といい必要だ、すべての方面の研究にこそ今日は力を入れなければならぬものである。教育に専念する人はむろん大切です。教育に専念する人は高い教育と高い人格とを必要といたしますが、研究そのものは専門の方面においては無限大のものに拍車をかけにいくところに大きな力と価値があるのでありますから、ここにおいて私は政府当局の考え方というものは根本的に変えなければならぬときがきたと思うのです。この点について、こういう方面の研究に属する人には何がしかの特殊な便宜を与えるという覚悟がなければならぬと思うのであります。そうでなければ日本はよくなりません。日本はこの苛烈なる競争場裡において、日本という小さな島にうずくまっておる国民の力というものを発揮することはできません。この点について私は総裁に御一考願いたいと思う。私は数年前人事院というものができて総裁が選任されたときに、非常に博学にして人格の高い総裁がその任につかれたというから、これは今までのような官僚の弊害というものが避けられるぞと楽しみにしてきた。しかし今日になってみますと、まことに影が薄くなってきておる。いろいろな方面からの圧力に耐え得ないような形にあるという気がすることを率直に申し上げます。数年来そういうふうな影の薄い感じがする。その組織ができて、ポストができて、そこにりっぱな御人格の人がすわられたと思うと、実際の成績からなお影が薄くなってきておる。私は国家のために非常に心さびしく思っておったのであります。今八田君の実に均衡を得たるところの質問に対してもたよりない御返事を聞きまして、私は非常に残念に思う。ことに大学の問題などは、東京大学とかあるいは京都大学とか、何も特にこれに力こぶを入れる必要はない。ことに日本のように亜寒帯から亜熱帯にわたる帯のような国で、そしてこの小さな島に、馬の背中のようなところに大学が方々にたくさんできておる。できておるのはけっこうだから、その地方においての特色を発揮して、そこにりっぱな地についた学者が生まれてくればよろしいのである。私は寡聞でありますけれども、今いろいろ中小企業の問題なんかやかましくなっておるが、名古屋大学には中小企業を専念研究せられておる、あまり名高くないがりっぱな学者がおるはずである。また四国のある大学にはアメリカというものに対する研究に非常に広範な深い造詣を持って勉強しておられる学者がいるはずである。北海道においてしかり、九州においてしかり、地方の単科大学にもりっぱな人がおるのです。必ずしも東京大学、京都大学あるいは九州大学に限るのじゃない。ほんとうにマス・コミュニケーションに追われて、世上のうわさを気にかけて、そして座して生活の資を得ておるような、売名の徒にすぎないような学者すらある。そういう点については人事院のごとき、文部省のごときはきわめて公平に、きわめて厳格に研究をしておかなければならぬ、注意をしておかなければならぬ。これなくしては日本のほんとうの教育というものは発展しない。非常に誤まったものがここに生まれつつある。でありますから、まじめな学者、素質のいい学者、研究者に対してはいかなる方法を講じましてもこれに十分の便宜を与えるだけの考えは人事院にあってもらわなければならないし、むろん文部省においてもなければならぬと思う。むろん政府においてもこれは考えなければならぬ。こういうことにおいて、まず人事院というものは重大な権限を持つものである、職責を持つものであるという大きな自覚を持っていただきたいことを私はここに希望いたしまして、一言人事院総裁に申し上げておく次第でございます。あえて返事はいただく必要はございません。
  61. 淺井清

    ○淺井政府委員 せっかくのお伺いでありますから、私からちょっとごあいさつの意味で申し上げたいのでありますが、御趣旨はよく了解しております。私は今回の研究職俸給表を新設いたしましたことはその出発点である、かように考えておる次第でございます。なお大学総長について一、二の大学総長を非常に優遇しておるというお話でございますが、これはずっと前は十五級職の大学総長は東京と京都しかなかったのでありますが、それを人事院創設以来だんだん十五級職をふやして参りまして、ただいまでは十五級職ならざる大学総長は非常に少数になっておる。漸次これは上の方に上げておる、そういう努力はしておるつもりでございます。
  62. 八田貞義

    八田委員 ほかの職種に比べて研究員の冷遇ということは現段階においてもうはっきりしておるわけなんです。たとえば教育職とか研究職とかいうものに比べてはっきりと現在においては矛盾があるわけです。これはもうこの表でお示しした通りであります。しかも研究員は全く一生研究に没頭しておりまして、他の行政職なんかではとうてい想像できないような状態のもとに、研究に自分の全力を上げ、全知を上げて一生をそこに捧げておる。こういった篤学者が非常に多いのであります。今度の給与体系は、少くともこういった矛盾を直していこうという精神にあったものと思う。ところが現在この新給与体系を見ましても、医療職と教育職とはほぼ均等いたしまして、今まで低かった医療職が教育職に均等化されてきました。ところが研究職の方は下の方に置かれておる。これでは厚生省関係の医師、歯科医師を擁する研究機関は、今後人材を求めるのに一そう困難を感じてくるのです。先ほど粟山委員からも関連してお話がございましたが、これをこのままでいったのではわが日本の科学振興というものはできないわけですよ。ただ教育職の方にだけ給与を高くしておいて、研究職の方はぐっと下に下げておる。このために研究職は劣等感を持つのです。ああした篤学者に劣等感を与えるような地位にただ置くということは、これははなはだひどいと私は思う。この点につきまして、大した金額ではございません、これは小委員の方々にもお願いしておきたいのでございますが、この研究者の現在冷遇に甘んじておる状態をよく正視されまして、さらにまた新給与体系においても研究員というものが非常に冷遇された状態にあるということを御認識されまして、これはぜひとも是正してもらいたいと私は思うのです。こういったことは何も医師、歯科医師の場合のみではございません。他に理学士とかあるいは農学士、工学士、こういった人々の研究機関における冷遇という問題についても十分に考慮していただかなければならぬと思うのです。私は自分の体験を通じ医学研究機関だけを取り上げ、あるいは薬学研究機関だけを取り上げて申し上げましたが、他には農学士あるいは工学士等の研究機関が現存し、同じような研究職にあって、冷遇に甘んじて一生懸命に勉強し研究しておる、科学振興のために一身を捧げておるという状態を御認識願いたいと思う。  それでこの研究職等級区分のところで七等級に区分してありますが、これを政府の方から答弁願いたいのであります。一等級、二等級、三等級以下七等級まで七つに等給を区分してございまするが、これは現在この一等級に入る人は所長でしょうが、二等級、三等級、四等級は一体どういう人が入るかを一つ政府当局並びに人事院の方からお知らせを願いたいと思う。
  63. 大山正

    大山政府委員 私どもの方で俸給表を作りますときに、代表的に考えました例といたしましては、一等級は特に大きな所長、二等級が所長、三等級部長、四等級課長あるいは室長、五等級研究員、六等級は上級の補助研究員、七等級が初級の補助研究員、さらに特別研究員が二等級、三等級、四等級というように、一応代表的には考えたのでございますが、これは繰り返し申し上げますように、一応の例でございまして、具体的には人事院の分類基準によりましてどういうものが入るかということがきまることになるというように考えております。
  64. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 俸給表職務の各等級研究所のどういうものが入るかということでございますが、ただいま政府側から御説明ございましたように、研究所といえども一応やはり職務段階あるいは責任の範囲がございまするので、所長、部長課長、室長あるいは研究員、補助研究員というように等級区分を考える次第でございまするけれども研究職につきましては、これはその個人の特別の能力というものがございまするので、そういう問題につきましては特に考慮を払う必要があるというので、特別研究員という制度を設けまして、その組織の段階にかかわりませず、これを上の等級に上げることができるように措置いたしたい、この点は人事院政府側も意見が一致いたしておるのであります。詳細にわたりましては、今後十分研究いたしましてこの格づけをやって参りたい、このように考えております。
  65. 八田貞義

    八田委員 ただいまの等級のふるい分けでございますが、これを伺っておりますと、試験所、研究所ということになっておるのですから、今二等級部長であるというふうな御答弁があったのでありますが、研究所とか試験所というものを見ますると、二等級だけで部長をおさめてしまうということにはならぬと考えるのですが、これはやはり、研究所、試験所というものが研究職として一括されてありまするが、現行から見ますると、今のように所長、部長課長とか室長というふうに簡単に分けていけない。ですから、格づけというのは非常に大切な問題であります。たとえば試験所において、これをこのまま現行に対して移行させていきますると、試験所の部長は三等級になって参ります。そうしますると、これは大学でいえば助教授であります。ところが試験所の現在の部長級の人は、助教授よりずっとまさっている人がたくさんおられるわけですね。ですから、こういったことになりますると、格づけは相当幅を持たせておかなければならぬ。一等級は所長、二等級は所長、部長あるいは三等級部長課長、室長あるいは四等級課長、室長、五等級研究員、六等級、七等級は今御説明のありましたような状態でけっこうであろうと思いまするが、少くとも三等級以上は両方にまたがり得るような状態にしていただきませんと、教育職との間の俸給のアンバランスから格づけのアンバランスということになって、劣敗感と申しますか、劣等感を研究職に与えるということが非常に強くなって参ります。この点格づけにつきましては人事院におきまして十分に御検討願いたい。特に私の今申し上げましたことは十分に御参考にされるようにお願いいたしたいのであります。この点につきまして人事院総裁から伺いたいと思います。
  66. 淺井清

    ○淺井政府委員 御趣旨に従って善処するつもりでございます。ただいまのところではさように抽象的に申し上げるのでありますが、さいぜん局長から特例研究員という言葉を申しましたが、それは同じような趣旨で、上へ格づけしよう、ゆとりを持たせてやろう、こういう趣旨でございます。
  67. 八田貞義

    八田委員 それから俸給の切りかえによって起る矛盾、たとえば新たに今後入所する人よりもこれまで先に入所している熱練した経験と学識豊かな人々が、不幸なあるいは不遇な状態に追い込まれるような事態にならないように、特に考慮していただきたいと思うのであります。この点俸給切りかえの場合の起り得る矛盾に対してどういうふうに対処されるという対策をお持ちか、これを一つお知らせ願いたい。そういった俸給切りかえの場合に、あとのカリが先になるというようなことは絶対にできないようにする、その対処策としてはこういうものを持っておるということを、一つお知らせ願いたいと思います。
  68. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 この法律案が実施に移されます場合には、この法律案の附則によりまして、切りかえをいたすことになるのでございます。附則におきましては大体明確になっておりまするが、さらに多少の調整措置を残す余地がございますので、そういうところを見まして、人事院が実際にやります場合には、現在より損をするということのないような円滑なる調整措置を講じて参りたい、このように考えております。
  69. 八田貞義

    八田委員 研究職の中には、特別研究員というものを置かれるということは間違いないのでございますね。
  70. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 間違いないというより、そのつもりでこういう案になっておるわけであります。
  71. 八田貞義

    八田委員 特別研究員の格づけは、四等級以上はどういうふうになりますか。
  72. 大山正

    大山政府委員 私どもの方で立案しましたときの代表的な例といたしましては、お話のように四等級、三等級、二等級というように考えております。
  73. 八田貞義

    八田委員 一等級は入らないのですか。
  74. 大山正

    大山政府委員 一応は二等級まででございますが、これは別に制限的な意味ではもちろんございません。
  75. 八田貞義

    八田委員 その特別研究員は、何も一等職を置かぬでもいいということはないのですから、やはり特別研究員というのは、四等級から一等級に至る格づけをしておかれるのが、特別研究員を置く趣旨に沿うものであると私は考えております。ぜひともそういうふうに格づけをお願いいたしたいのでございます。  なお、いろいろ質問が残っておりますが、一応ここで私の質問を保留しておきたいと思います。
  76. 相川勝六

    相川委員長 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三分休憩      ————◇—————    午後二時十六分開議
  77. 相川勝六

    相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案及び行政機関職員法の一部を改正する法律案の四法律案一括議題として質疑を続行いたします。  国務大臣の出席の都合で定員法改正案に関する質疑を先にお願い申し上げます。飛鳥田君。
  78. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 定員法の問題について郵政省の方にお聞きいたしますが、郵政省の三十二年度における定員は千九百六十一名の増員になっておりますが、これは毎年物量の増加等が非常に著しいことを反映したものだと考えますけれども、特に郵便物取扱い関係においては四十六万通以上の増になると予想をされております。従って当初郵政省が大蔵省に予算を要求いたしました数よりも、この千九百六十一名というものは、はるかに削減せられていると考えられるのでありますが、まず最初に郵政省の大蔵省に予算要求をいたしました定員増について御説明をいただきたいと思います。
  79. 大塚茂

    ○大塚説明員 大蔵省と予算折衝の過程におきましていろいろ折衝があるわけでございますが、これは正確な数字というよりもいろいろの考慮を払って要求をするという関係もありますので、ここで申し上げるのはどうかというふうな気もいたしますけれども、せっかくの御質問でございますので、概算要求としてわれわれが一応要求いたしました数字を御参考までに申し上げますと、増員要求人員の総数は六千三百十九名でございます。そのうち郵政関係で六千十三人、電波関係で二百六十三人、電気通信管理関係で四十三人という数字を要求いたしたようなわけでございます。
  80. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 郵政省としてもこの六千三百十九名を要求されるのに、そう無責任な要求をなすったのではない、こう私たちは理解をいたします。当然事業量の増加に即応した最低限度の要求をなすったと思われるのでありますが、それが現実には六千名が千九百六十一名に落されて三分の一以下であります。一体これで郵政省の事業を滞りなくやっていけるおつもりであるかどうか、これはごく概略的なお話しでありますが、伺いたいと思います。
  81. 大塚茂

    ○大塚説明員 先ほども申し上げましたように、予算の折衝というのにはいろいろの考慮が払われるものでございまして、そういう意味で六千三百十九名という数字が必ずも最低限ぎりぎりの数字というわけにも実は参りかねる点もあるのでございます。いずれにいたしましても、事業を行う立場から申しますれば、定員は多い方がやりやすいということになるわけでございまして、多きを望むわけでございますが、折衝の過程においてきまった千九百六十一名で、何とか事業をわれわれとしては完全に支障なくやっていかなくてはならぬと考えておりますし、また何とかやれるという見通しを持っておるわけであります。
  82. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 ちょっと私からも補足して申し上げますが、郵政省のただいまの約六千人の新規増加要求ということは、これは郵政省の業務の性質にかんがみて、比較的根拠のある数字であるわけでありますが、それはいろいろな事情で約二千人に査定されたわけであります。この際御参考のために申し上げておきますと、三十二年度におきましては、内閣の方針といたしまして極力定員の抑制をはかるという趣旨に出たわけでございますが、それにもかかわらず、各省の概算の定員要求というものは六万人を突破しているというような状況でございます。それが圧縮に圧縮を重ねまして、このたび御審議をいただいておる定員法のような状態になっておるのでございます。これはひとり郵政省だけではございません。各省の定員の要求を実際実現するというところにはだいぶ差があるわけでございます。その点をあわせて一つお含みおきいただきたいと思います。
  83. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 実にばかばかしいことをおっしゃる。大蔵省に要求をするときには、削減をせられることを予想して山をかけて請求しているとしか聞えないような御答弁をなさるわけです。一体責任ある官庁として六千名要求せられる限りは、少くもそれなしではやっていけないぎりぎりの根拠を持って請求をなさるはずです。いろいろな考慮、そんなあいまいな説明で一般の職員諸公が満足できるかどうか、また事務の渋滞等によって発生するいろいろな不便について、国民の諸君が満足せられるかどうか、考えてみたら明らかじゃありませんか。六千名を要求して千九百六十一名でもどうにかやっていける、そういう弱腰だからいつでも大蔵省にやられちゃうのですよ。あなた方は御自分だけで営利事業をなさっているわけじゃないと思うのです。事は国民に関係し、数多くの公務員に関係することでありますから、もっと自信のある態度をとっていただきたい。現に岡部さんの御説明によりますと、郵政省の要求した六千名はなかなか根拠のある数字だと今ちゃんとおっしゃっておる。外部の方々が根拠のある数字だといってお認めになるものを、請求した御本尊の方がまるで山をかけたような御答弁をなさる、そんなことで一体やっていけますか。もっと自信を持った御説明を私はいただきたいと思います。  それなら伺いますが、千九百六十一名のうち、郵便関係に増員になる数は何名ですか。
  84. 大塚茂

    ○大塚説明員 郵便関係の増員は六百九十六名でございます。
  85. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 その六百九十六名というのに非常な手品がありやしませんか。この六百九十六名というのはすでに三十一年度に採用した定数、非常勤をそのまま定員に認めた数に当る、従って三十二年度には一人もふえていないということです。すでにもう定数、非常勤の方が三十一年度から六百九十六名採用されて現に働いておるわけです。それをただ定員に繰り込むだけですから、現実には一人もふえていない。ところが実際は先ほど申し上げたように、四十六万通も郵便物の物量がふえていくだろう、そうだとすれば一名も増員しない、で実際やっていくのと同じじゃございませんか。そうしたあなた方のやり方が、現実においてはこの前も私申し上げたのですが、年次有給休暇の残日数が男で五十四・五日、女で四十五・三日、最高百五十日にも及んでおるという結果をもたらしておりますし、また職員中、健康管理療養者、要注意者は総損の七・三%、健康管理者は四千百四十二名、要注意者一万四千七百二十二名にもなる、こういう結果を生んでおるんじゃないでしょうか。この六百九十六名というのは、ほんとうに新規採用されるのですか、それだけ人間がふえるのですか。
  86. 大塚茂

    ○大塚説明員 私どもの物数増加に伴います定員の増加のやり方といたしましては、特に物数のふえました局を調べましてそこでふえた物数に応じて、差しあたりはそれが恒常化するかどうかという点がはっきりいたしませんので、非常勤として賃金によって雇い入れまして、それが恒常化するという見通しが一年たちましたあと、これを定員に直すという大体のやり方をとっております。従いまして本年度の郵便関係の六百九十六名という増員につきましても、そういうふうなやり方によりまして、差しあたり非常勤を定員化するというやり方でいくわけでありますが、その分だけ予算が減るというわけじゃございませんので、また賃金ではそのふえた分についての若干の補充というものができるようになろうかというように考えております。
  87. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 郵便物の物量がふえていくのが恒常化するかどうか、その点についてはかっていく、こういう御説明でしたが、今まで終戦以来、本年に至るまで、恒常的に大体予想せられる数だけふえていくというのが実情であって、減った年はないはずです。もしそうだとすれば、郵便物の物量がふえていくのが恒常化するまで暫定的なやり方をしていく、その間定数、非常勤を雇い入れて、恒常化したところで初めて定員に繰り入れていくというようなやり方は、むしろおかしいじゃないですか。初めから郵便物の数がふえていくのですから、きちっとそれに即応した方法をとられることの方が重要ではないか、こう私は思うのでありますが、その点どうでしょうか。
  88. 大塚茂

    ○大塚説明員 大体におきましておっしゃられます通り、郵便物の増加というのは、毎年ふえるということは間違いないというふうに考えてよかろうかと思っております。ただそのふえ方等につきましては、必ずしも毎年同じ率でふえるというわけにも参りませんし、また同じ局で必ずふえるというわけでもなく、ふえる局、減る局というようなものもあり得るわけでございます。そういうふうな点も考えまして、さしあたりは非常勤でやり、あとで定員にするというやり方をとっておる次第でございます。
  89. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 六大都市中心の通常郵便物の集配度数が非常にふえております。この集配度数増に振り当てる人員は、六百九十六名のうち何名を振り当てる御予定でありましょうか。
  90. 大塚茂

    ○大塚説明員 六百九十六名のうち大部分の者が、六大都市の施設増加といいますか、サービス改善の方に回る予定でございます。
  91. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 大部分というのは、およそだけでわからないのですが、人数を一つ明確にしていただけませんか。
  92. 大塚茂

    ○大塚説明員 大体増員を予定しておりますのが百七十局でございまして、その大部分が六大都市ということになりますが、まだ定員もはっきり確定をいたしませんので、正確に何名というところまできめてはおらない状態でございます。
  93. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 少くとも法律として出している以上、そんな無責任な答えはないと思うのです。それじゃ伺いますが、集配度数は何回になるのですか。
  94. 大塚茂

    ○大塚説明員 大体東京及び横浜市におきましては、五十五区につきまして二度の配達を三度にするというふうに考えております。また名古屋市につきましては大体八区増回をいたしたい。京阪神地区につきましても、大体四十四区くらいを二度を三度にするというふうなことを考えております。
  95. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もしそれだけおわかりになっていれば、これに必要な人員というものもすでに算出をせられておる、御調査もお済みになっておるはずだと思うのですが、どうでしょう。
  96. 大塚茂

    ○大塚説明員 ただいま申し上げただけということでございますれば、約百四十三名ということになるわけでございます。
  97. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 当然施設を増しておられると思うのですが、この施設増について増員しなければならない人員は何名でしようか。
  98. 大塚茂

    ○大塚説明員 おっしゃられます施設増という意味がどういうわけか、ちょっとはっきりいたしませんが、われわれの方で施設増と考えておりますのは、こういう配達の増回とかいうようなことを考えておるわけでございます。
  99. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 特定郵便局の増置、こういうものも施設増だと思うのですが、これに対してどの程度の定員を回しておられるか、これを伺っております。
  100. 大塚茂

    ○大塚説明員 無集配特定局の設置につきましては、大体五十局を考えております。
  101. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 定員は……。
  102. 大塚茂

    ○大塚説明員 これに要します定員は、局長要員だけ五十名、今回の定員法改正の中に含まれておるわけでございます。そのほか一、二名の事務要員を要するわけでございますが、これにつきましては、差し繰りによって何とかやるというような予定にいたしております。
  103. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 差し繰るというお話ですが、人間をそう簡単に差し繰れるでしょうか。しかも無集配特定局といえば、人数は非常に少い。局長さん、及び局長さんを中心にした数人にしかすぎないはすであります。しかもその事務も、何は何、何はこういう仕事というふうに、分担が明確にきまっておらずに、兼務しておるような場合も非常に多いんじゃないか。従って、定員が一・五とか一・六とかいう奇妙な数字が出てくる実情でありますが、そういう実情の中で現実に差し繰っていけるかどうか、他の集配局あるいは特定局から二名も三名も減じて、その局が実際事務の渋滞なしに運営していけるのかどうか、こういう点も非常に問題だと思いますので、その点についてもう少しはっきり聞かしていただきたいと思います。
  104. 大塚茂

    ○大塚説明員 差し繰りと申し上げましたのは、新しい局ができますと、従来の局で取り扱っておった仕事が新しい局の方に移るというようなことにもなりますので、従来のそのもよりの局に多少の定員の余裕ができるというようなことも考えられます。また最近、集配事務の統廃合というようなことも、町村合併等に伴ってやっておりますので、そういう関係からも多少の定員を出し得るというようなことも考えられると考えております。
  105. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もしお説のようなら、なぜ大蔵省に査定を受けた後にあなた方は非常に熱心に、無集配局の増置に伴う人員についての復活要求を四十名もなすったのですか。復活要求を現に四十名もなさって、これがなければやれないのだということを再三説明せられておるはずであります。ところが現実に大蔵省の威力の前に属してしまうと、この委員会に出てきて、何とかやれる、こういうお答えになる。あなたは、そうお答えになって委員会を切り抜けてしまえば、それでいいかもしれない。だが、現実に一番しわ寄せを食うのは、ここに働く郵政省の勤労者諸君であります。この方々にみんな、無責任な答弁やいいかげんなやりくりのしりがいってしまうのであります。何とかやれるという自信がおありならば、一体なぜ大蔵省に向って、無集配局の増置に伴う復活要求を四十名なすったのか、これを伺わせていただきましょう。
  106. 大塚茂

    ○大塚説明員 予算の折衝過程におきまして、いろいろ復活要求その他のことがございましたが、四十名復活要求というのが果してどれだけ強く主張せられたかというような事柄につきましては、私必ずしも詳細に承知をいたしておらないのでございますが、とにかく差し繰るということはなかなか無理であることは無理でございますので、できるだけ円滑に新設局の運営をはかりたいという点は、われわれが従来から願望しておるところでございます。
  107. 相川勝六

  108. 森本靖

    森本委員 今の無集配局の問題で質問いたしますが、簡単に隣局から差し繰ってやるという場合、一体具体的に、その隣局から差し繰ってやるというのは、どういう事務に携わっておるものを差し繰ってやるわけですか。
  109. 大塚茂

    ○大塚説明員 それは、要するに新しい無集配局に主として移ります仕事に携わっておったような者ということになろうかと思います。
  110. 森本靖

    森本委員 具体的には、たとえば、無集配局の場合は、為替、貯金と、それから委託業務と保険の受付をやる。そうするとそのものを受け持っておるところの集配局の人員を差し繰ってやる、こういうことになるわけですね。
  111. 大塚茂

    ○大塚説明員 為替、貯金等の仕事につきましては、大体そういうふうなことになると思います。しかし、必ずしもそれを全部についてやるというのではなしに、先ほど申し上げました集配事務の統廃合、その他によって生ずる定員の差し繰りというようなことも考えられるわけでございます。
  112. 森本靖

    森本委員 それは、その局からの差し繰りでやるというのは、大体五十局のうちのどのくらいですか。
  113. 大塚茂

    ○大塚説明員 これはまだどこに五十局を設置するかというようなことを具体的にきめておりませんので、それがはっきりいたしませんと、それのお答えは困難かと考えます。
  114. 森本靖

    森本委員 どこにどうきめるということに全然きまっておらなくとも、一応無集配局を設置するというために五十名を増員するということで定員法で要求しておるわけです。そういうことになれば、その五十名について大体どういうところにこれをこしらえる、だから五十名要る。あとの百五十名というところはどういうものから差し繰るという、はっきりした積算根拠がなければ、そういう定員法の改訂というものは出せないはすだ。それがはっきりわからないという答弁じゃ納得できません。
  115. 大塚茂

    ○大塚説明員 要するに二十五万何千の総定員の中での五十名あるいは百名の操作というようなことになりますので、必ずしも具体的にどこの人をどう持っていくというところまで計画が立たなくても、多年の経験から見ましてその程度のことは差し繰れるというふうに考えておるわけでございます。
  116. 森本靖

    森本委員 それは、そういうことを漠然と考えておるということであって、それじゃ初めの答弁と違うわけです。そういうふうに郵政省全体の二十五万人の中で差し繰るということなら別だけれども、あなたの先ほどの答弁では、無集配局がふえただけの容量を、集配局の容量から、それをもって定員を差し繰る、こういう答弁をしておるから今具体的に聞いておるわけです。それじゃ初めの答弁と違って、全部の二十五万人の中で差し繰ってやるということなら、それは漠然とした答弁でも成り立つわけです。しかし、今言ったように具体的な問題として、あなたが答弁をしたから聞いておるわけです。そうすると、五十名の局長定員以外のものはやはり二十五万人の総定員の中で差し繰ってやるということですか。そういうことなら話が一応筋が通ってくるわけです。
  117. 大塚茂

    ○大塚説明員 そういうことでございます。ただその中には隣局から持ってくるものもあり、集配事務の統合によって浮いたものを持ってくる場合もある、こういうことでございます。
  118. 森本靖

    森本委員 だから隣局から持ってくるものということになると、隣局から持ってくるということはどういうことかということを聞いておる。あなたは人事部長として本省におって、具体的にそういうことを知らぬかわからぬけれども、具体的に無集配局の貯金、為替がふえても、その統合されたところの無集配局の貯金、為替の事務は減るものではない。貯金為替の事務は集配局においても一人です。その一人を半分差し繰って向うにやるなんということはできるはずがない。そういうできもしないようなことを答弁せずに、一応総定員の中において差し繰るということならそれはわかる。だから言い直して、総定員の中から差し繰るというからそれはそれとしておいて、もう一回もとへ戻ってお聞きいたしますが、郵便の施設の増でありますが、大体郵便のサービスというものは戦前に戻すことを基準として郵政省は郵便業務のサービスを考えておるわけですか。
  119. 大塚茂

    ○大塚説明員 私郵便関係の責任者でございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、大体そういう目標で郵便事業を運営いたしておるというふうに考えております。
  120. 森本靖

    森本委員 先ほどの答弁では京阪神地帯、名古屋方面は三回にしたいという答弁がありましたが、戦争前は京阪神、名古屋、東京付近、こういう大都市の郵便集配の度数は何回でしたか。
  121. 大塚茂

    ○大塚説明員 時期にもよりますが、大体四回、所によっては六回の所もあったかというふうに考えております。
  122. 森本靖

    森本委員 大都市はほとんど戦前は四回から六回であります。それを今ようやくにして三回にしよう、こういうことでありますが、その三回にするというのも五十四区、八区、四十九区、これだけですか。
  123. 大塚茂

    ○大塚説明員 さしあたり来年度において考えておりますのはそれだけでございます。
  124. 森本靖

    森本委員 これ以外の郵便関係の施設増というのはないのですか。
  125. 大塚茂

    ○大塚説明員 増回につきましては以上の通りでございますが、たとえば速達郵便のポストを増設するとか、あるいは速達についての増回というようなものが、ほんの少しではありますが考えられております。
  126. 森本靖

    森本委員 そういうところの定員の増は今回考えておりますか。
  127. 大塚茂

    ○大塚説明員 それも考えております。
  128. 森本靖

    森本委員 それは何名ですか、今の増回区の分については。
  129. 大塚茂

    ○大塚説明員 大体先ほど申し上げました百四十三名の中でやるというような予定になっております。
  130. 森本靖

    森本委員 それでは百四十三名の中で、今言った京阪地帯が何名で、あとの増回区というのは何名ですか。
  131. 大塚茂

    ○大塚説明員 そこまで資料を持って参っておりませんので、御必要でしたらいずれ後ほど資料として提出申し上げます。
  132. 森本靖

    森本委員 その問題も明らかにしてもらわぬと困ると思います。郵便施設の増はそれ以外にありませんか。
  133. 大塚茂

    ○大塚説明員 私が承知しておりますのはそれだけでございます。
  134. 森本靖

    森本委員 そうすると、郵便規則の第八十五条の適用地で、開拓地または集団地等において現在全然配達をしておらないところが、現在の交通機関等の便利によってそういうものの配達を行わなければならぬ、こういうふうに今年なっておるものがあるはずでありますが、そういうのは全然ないのですか。
  135. 大塚茂

    ○大塚説明員 私はよく存じておりません。
  136. 森本靖

    森本委員 これは存じておりませんでは答弁にならぬので、一つ委員長答弁ができる人を呼んでいただきたい。
  137. 相川勝六

    相川委員長 今事務次官を呼んでおります。
  138. 森本靖

    森本委員 それでは答弁ができる範囲内において一つお答えを願っていきたいと思います。  そうすると、この六百九十六名というのは郵便の内訳でありまして、今言ったように、いろいろな問題で郵便が増員されますが、その次の簡易保険加入者福祉施設の増置に伴う増員の七人という、この意味をちょっと説明を願いたいと思います。
  139. 大塚茂

    ○大塚説明員 簡易保険の福祉施設として老人ホームを大分に作ることにしておりますので、その要員でございます。
  140. 森本靖

    森本委員 それではそれに関連をいししまして、保険の集金事務の増加に伴う予算の要求としては、大蔵省に何人要求しましたか。
  141. 大塚茂

    ○大塚説明員 約二百三十名でございます。
  142. 森本靖

    森本委員 二百三十九名だと思いますが、二百三十九名要求して、それで何名この中に入っておりますか。
  143. 大塚茂

    ○大塚説明員 今回の増員には一名も入っておりません。
  144. 森本靖

    森本委員 簡易保険の最高額が、これは過日衆議院も参議院も今国会を通りまして、四月一日から二十万円に増額になることが法律ではっきり決定いたしましたが、そういたしますと、昨年と今年の募集目標というものはかなり違ってくるわけでありますが、二十万円が通って大体どのくらい目標額がふえると見ておるわけですか。
  145. 大塚茂

    ○大塚説明員 私そこまでどうも保険の方にタッチしておりませんので、必要でございましたら保険局長を一つ呼びたいと考えております。
  146. 森本靖

    森本委員 それではちょっとお伺いいたしますが、この郵政省の定員の増というのは郵務、保険、貯金、電波監理、すべてこれは現業官庁のことでありますので、そういう現業官庁のことがわからなければ答弁ができぬと思いますが、それでは人事部長の方ではこれの答弁ができぬわけですね。それならまた別の機会に譲りますが……。
  147. 大塚茂

    ○大塚説明員 御承知のように各事業で責任を持ってやっておりますし、所外定員等は第一次的には各事業局で必要な数をはじく、それをまとめてわれわれの方でいろいろ操作なり配置なりをやるということになっておりますので、事業に真に必要な定員がどうこうというようなこまかい話になりますと、事業局長でないと御満足のいく答弁ができないということになるのでございます。
  148. 森本靖

    森本委員 これでは先の質問が——すべて現業官庁で、たとえば今言ったように、保険の問題にしても十五万円が二十万円になる。そういたしますと、十七億の募集目標というものはかなり上回って、二億ないし三億程度ふえるだろうと思う。そうなりますと、さらに契約者貸付というものが今年度の予算でも十億ふえて、昨年の七十億が八十億になっている。そうなってくると、これか全然一名も増員になっておらぬというようなことではわれわれとしては絶対に納得ができないわけです。そういうような内容について答弁ができずに、単に各部局から持ってきたところのものをそのまま答弁するということでは、この審議が非常におかしな格好になりますが、それでは私が質問をする中で、一応そういう人々が来るまでできるだけのことをお答えを願いたいと思いますが、知らぬことはあっさり知らぬというふうに言っていただきたいと思います。  それでは次にお聞きいたしますが、今日為替貯金業務というものが非常に変りまして、現金書留が急激にふえているはずであります。そうしてその一面、為替というものが若干減っているのじゃないかと思いますが、その後の定員の配置はどうなっておりますか。
  149. 大塚茂

    ○大塚説明員 為替取扱い業務というのは、御承知のように多少減少いたしております。従ってそれにつきましては、差引で減員が行われているわけでございます。
  150. 森本靖

    森本委員 現金書留が昨年から急激にふえていると思います。だから、具体的に、それがどのくらいふえて、その反面為替がどのくらい減って、それに応じて郵便の方はどのくらいの定員になっているかという、定員法の問題をお聞きしているのでありますので、その内容をお聞きしたい。
  151. 大塚茂

    ○大塚説明員 遺憾ながら、私ではちょっとわかりかねます。
  152. 森本靖

    森本委員 それではそれもあと回しにいたしまして、次に、電話の交換施設の拡張と、農村電話の特別対策でありますが、この電話交換施設の拡張に伴う増加というものは大蔵省に大体どのくらい要求いたしましたか。
  153. 相川勝六

    相川委員長 ちょっとお断わりいたしますが、今説明員で説明ができない点は、あとでまたお答えいたしますから……。
  154. 大塚茂

    ○大塚説明員 電話の農村特別対策の実施に伴う増員としては六百十七名を一応要求したわけであります。
  155. 森本靖

    森本委員 六百十七名要求して何名許可になりましたか。
  156. 大塚茂

    ○大塚説明員 これもゼロでございます。
  157. 森本靖

    森本委員 これも要求してゼロ。  それから、これはあまり芳ばしいことではありませんが、郵政関係は犯罪がだいぶあるということで、前に、逓信委員会でありましたか、私が質問をしたときに、その方面も強化しなければならぬということでこの定員の要求をするということでありましたが、この郵政犯罪関係の問題について、何名要求して何名許可になりましたか。
  158. 大塚茂

    ○大塚説明員 郵政犯罪防止措置の強加に伴う増員要求は二百五十三名でございますが、これに対しましても増員は認められなかったように記憶いたしております。
  159. 森本靖

    森本委員 それでは次に伺いますが、郵政省は、簡保資金の百分の三を導入して、五十億円程度毎年導入して局舎建築の八カ年計画というものをやっておりますが、これに伴う増員については、何名要求して何名獲得をしましたか。おそらくこれもゼロだろうと思うが……。
  160. 大塚茂

    ○大塚説明員 二百三十名を要求しまして、仰せられる通りゼロでございます。
  161. 森本靖

    森本委員 何もかもゼロでございますが、それでは一体郵政省で今回の定員の改訂で減員になっておるところはどことどこですか。
  162. 大塚茂

    ○大塚説明員 先ほど申し上げました郵便為替取扱いの減少に伴うものと、それから保険内務事業の機械化に伴う減、それに電信電話の電電公社への移管に伴う減というものでございます。
  163. 森本靖

    森本委員 電信電話の日本電信電話公社への移管に伴う減、これは当然のことでありまして、やむを得ないわけでありますが、郵便為替取扱いの減少に伴う数というのが、今の百七十九名というのは、一体これはどういうところを減員することになりますか。現業でありますか、非現業であります。
  164. 大塚茂

    ○大塚説明員 現業でございます。
  165. 森本靖

    森本委員 現業のどういうところですか。
  166. 大塚茂

    ○大塚説明員 主として貯金局ではないかと思っておりますが、その点まだ私確信を持ちませんので、後刻貯金局長が来てお答えいたすと思います。
  167. 森本靖

    森本委員 それから保険内務事務の一部機械化に伴う数というこの二十九人というのはどこですか。
  168. 大塚茂

    ○大塚説明員 これは地方保険局でございます。
  169. 森本靖

    森本委員 これで郵政関係の全体の問題について一通り質問をいたしましたが、何一つ満足な回答がありません。そこで、それでは試みにお聞きいたしますが、現在の郵政省の総定員は一応わかりますが、現在の実在定員は何名ですか。それから現在の実在定員と常勤労務者とそれから非常勤の割合、それから欠員、その数字を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  170. 大塚茂

    ○大塚説明員 一月現在で申し上げますと、実在員が二十五万六千七十三名というふうになります。従って欠員が二千九百六十七名でございます。これが定員でございますが、非常勤につきましては、常勤労務職員というものは定数で出ておりますが、これが七百七十三名、それから常勤的な非常勤職員が大体千二百名、その他欠員補充とか、季節的な短期の欠員補充といったようなものは全部賃金でまかなわれておりますので、人数としては必ずしもはっきりいたしておりません。
  171. 森本靖

    森本委員 常勤労務者が七百七十三名と、それから非常勤が一千二百名、こういうことですか。
  172. 大塚茂

    ○大塚説明員 そのほかに欠員補充等のきわめて短期な者がおるわけでございます。
  173. 森本靖

    森本委員 そのきわめて短期なのは何名ですか。
  174. 大塚茂

    ○大塚説明員 これは定数とか何かで配算しておりませんで、賃金で出ておりますので、実際の数というものはまた日によっても違いますので、はっきりつかまえておりません。
  175. 森本靖

    森本委員 それではその賃金単価は一日幾らで、年度の総額は延べ人員にして何ぼという予算ですか。
  176. 大塚茂

    ○大塚説明員 予算単価としましては、大体二百五十円から三百二、三十円ということでございます。年間の賃金予算はたしか全体で十二億くらいだったというふうに記憶いたしております。
  177. 森本靖

    森本委員 それははっきりしてもらいたいのですが、十二億程度というのは一億違ってもだいぶ違うので、その予算額はどのくらいですか。だから私が言っておるのは総延べ人員にして、たとえば予算単価が二百五十円から三百二十円ということではないと思うのだ。予算単価というものは一日何ぼの予算単価ではっきり出ておるはずだ。そうして実際に具体的に配算をする場合に、そのときそのときによって違ってくるけれども、予算単価としては一日何ぼの単価で延べ何ぼ、こういうことの積算根拠でなされておらなければならないはずですよ。だから延べにして何ぼということを聞いておるのです。これは定員に関係がありますから。
  178. 大塚茂

    ○大塚説明員 三十一年度の賃金の予算総額は十三億七千五百九十万円であります。これを延べに直しますと幾らになりますか、ちょっと今のところなんですが、計算をいたしまして後ほど……。
  179. 森本靖

    森本委員 十三億七千五百九十万円というものの積算根拠はどうなっておるかということなんです。それは二百五十円から三百二、三十円だという、そういうあいまいな積算根拠ではないはずだ。一日単価は何ぼだ、全国の平均をとって、そうしてそれによって何名足らないからどのくらいということで、積算根拠ははっきりとなっておるはずなんです。
  180. 大塚茂

    ○大塚説明員 たしかに二百五十円だったというふうに記憶いたしております。
  181. 森本靖

    森本委員 初めは二百五十円から三百二十円というふうに答弁をしておいて、今になると二百五十円だという答弁ですが、どっちですか。二百五十円という単価によってこの積算根拠はなされておるわけですか。
  182. 大塚茂

    ○大塚説明員 さようでございます。
  183. 森本靖

    森本委員 そんなら初めの答弁は間違いであったということになりますが、それはそれで深追いをいたしません。  そこでこの非常勤の常勤労務者の七百七十三名というのと、それから一般の非常勤が千二百名ということでありますが、この常勤の七百七十三名というのはどういうところに使われておりますか。この配置の内容を一つ御説明願いたいと思います。
  184. 大塚茂

    ○大塚説明員 そのうち六百名が電気通信業務の要員、すなわち交換手でございます。それから百七十三名が医療関係の要員、看護婦及び技術員です。
  185. 森本靖

    森本委員 それから千二百名の内訳を一つ御説明願いたい。
  186. 大塚茂

    ○大塚説明員 これはこまこましたものがたくさんございますが、申し上げますと郵便車の清掃手が三十二名、合宿所の寮母が百五十七名、それから厚生施設要員が二百三十四名、資材部倉庫要員が三百三名、それから被保険者福祉施設要員が四十一名、医療関係要員が四百二十三名、郵便局資材業務要員が二十五名、郵便局の構内電話交換手が二十名というような内訳になっております。
  187. 森本靖

    森本委員 ちょっとお尋ねいたしますが、福祉関係の四十一名の次の四百二十三名というのはどういう内容ですか、もう一ぺん伺います。
  188. 大塚茂

    ○大塚説明員 医療関係職員が四百二十三名、こういうことでございます。
  189. 森本靖

    森本委員 それでまず最初の非常勤労務者の七百七十三名のうちの勤続年数の一番高いのは何年ですか。
  190. 大塚茂

    ○大塚説明員 はっきり記憶いたしておりません。
  191. 森本靖

    森本委員 記憶せぬものに質問してもやむを得ぬですが、この六百名の電気通信関係というのは別として、四百二十三名の医療関係についてはかなり勤続年数の長い者がおるのじゃないですか。それはわからぬといいますからやむを得ませんが、あとで明確な答弁を願いたいと思います。これは法律を上げるには、こういうことがはっきりしないと法律を上げるわけにはいきません。それでは次の千二百名のうちの寮母の百五十七名というのはどういうところに配置をせられておるのでありますか。
  192. 大塚茂

    ○大塚説明員 合宿所、保養所というようなところでございます。
  193. 森本靖

    森本委員 合宿所、保養所というようなところで、これも勤続年数の一番長いのがどのくらいか御記憶ないですか。
  194. 大塚茂

    ○大塚説明員 記憶いたしておりません。
  195. 森本靖

    森本委員 それでは次の資材部の三百三名でありますが、これも大体十年ぐらいの者がおるはずであります。これも記憶いたしておりませんか。
  196. 大塚茂

    ○大塚説明員 これも正確には記憶いたしておりません。
  197. 森本靖

    森本委員 これはまるきり質問が珍問答になりますので、一つ郵政省の方からはっきり答弁ができる方が来られて、もう一回質問の仕直しをやります。郵政省関係質問はこれ以上やっても答弁ができませんので、あとでやることにいたします。
  198. 相川勝六

    相川委員長 政府委員の方に希望しますが、今答弁できないのは一つ速急にあとで書類でとりまとめて持ってくるようにお願いいたします。有馬輝武君。
  199. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最初に大久保国務大臣にお伺いいたしたいと思います。それは現在御承知のように、非常勤職員は大体昭和三十六年以来の行政整理の結果もありまして、本来には仕事の質も量もまた時間的にも、定員内の職員と同じような形で仕事に従事しておる者か膨大な数に上っておるはずであります。で、いわゆる常勤、非常勤といわれる職員は、御承知のように、身分的にもまた給与の面でも非常に不安定な、不均衡な形に置かれております。この問題は定員法の問題として最も現在重要な課題であろうと思いますが、この点についてまず第一点は、現在これらの者が何人くらいおるか、これに対して大臣としてはどのような処置をしようとしておるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  200. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 各省の常勤職員及び常勤的非常勤職員の問題でありますが、これはなかなか難問題の人事行政の一つと思われます。実を申せば数年来の懸案でありまして、公務員調査会ができましたときの諮問の問題でありまして、その答申に基いて、その答申を実行するためにただいま内閣に公務員調査室という室を設けて、専門にかかっております。その調査室においてまずまっ先に公務員のうちの何に取り組むかということについて研究した結果、大体まっ先に取り上げたのが給与制度であります。これはこの国会に提案してただいまこの委員会において御審議中でございますが、そのほかの公務員に関する問題は非常に多くありまして、あるいは服務のこと、任用のこと、規律のこと、恩給のこと等あげ来たればたくさんあります。これを一挙に解決することはなかなか困難と思われます。この給与問題が解決次第に公務員の本質に戻って、常勤労務者及び常勤的非常勤職員の問題に触れて解決する順序になっております。私どももこの機会に定員法を改正すべきではないかという心組みでわざわざ研究をしておる次第であります。ですからこの常勤職員及び常勤的非常勤職員の定員化の問題についてはその機会まで一つお待ちを願いたいと思っております。
  201. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 給与の問題の解決のあとで定員法に繰り入れるというお話でございますが、方向としてはこれらの諸君を全部定員法に繰り入れるという考え方に立っておられるわけでありますか。
  202. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 全部定員に繰り入れるということはなかなか困難じゃないだろうか、これは公務員制度の調査の結果、事務官の扱いあるいは雇員制度の扱い、用人の制度の扱いをどうきめるか、このきめようによってきまってくる問題であると存じまして、今直ちに全部これを定員に入れるということは困難ではないかと思っております。
  203. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 岡部さんにお伺いしたいと思いますが、今二年ぶりで岡部さんの顔を見て非常にきょうは感無量なるものがあるわけであります。と申しますのはあなたもはっきり御承知のように、川島さんのときに私は定員法の問題に関連いたしまして非常勤の問題についていろいろお伺いをいたしました。そのときにも川島さんは今大久保さんの答弁されたようなことを答弁されたのであります。大臣たるものは任期のうちにしかるべく答弁をしておけば、かわってしまえばあとは野となれ山となれで済むかもしれませんが、輔弼の任にある岡部さんはそうは参らない、その点についてあなたは現在までどのような方向でどのような努力をしてこられたか、その点をお伺いいたしたいと存じます。
  204. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まことにいい機会を与えていただきましてありがたく存ずる次第でございます。少し長くなりますが、昭和二十九年におきまして行政制度の大改革をやります場合におきまして、その一環として公務員制度をどうするかということが問題となりましたので、これはきわめて問題が重大でございますので、当時の行政改革本部で扱いかねる、それで至急別個の機関を設けてこの問題の解法に当らなければならないということで、公務員制度調査会が設けられたことは御承知の通りでございます。この公務員制度調査会がどういう仕事をしたかということにつきましては、詳しく申し上げるまでもないのでありますが、結局一昨年の十一月になりまして、政府に対しまして、現在の公務員制度を基本的の方向としてどう改めるべきかという答申を出したわけでございます。それに基きましてこれを具体化して法案に立案するように、直ちにその年その月の、すなわち一昨年の十一月から総理府に特に公務員制度調査室を設けまして、公務員制度全般の改正案の具体的な立案に当らせているわけでございます。公務員制度調査室といたしましては、いろいろな問題がありますので、今大臣から申されました通り、まず給与の問題に取り組みまして、それから機構改革案も取り上げまして、次にはいよいよこの答申に基く公務員制度の内容に入りまして具体的な作業中でございます。これは次の国会には必ずこの成案を得るという見通しのもとに目下作業中であるわけであります。その間におきまして常勤労務者が漸次ふえて参りました。これはいろいろな事情があるわけでありますが、先ほどお尋ねがございましたから申し上げますと、各省を通じまして六万六百三十一人、そういう総数になっております。これの処遇が今申し上げましたような意味におきまして、きわめて重要な問題であるわけでございます。しかもこれが昭和二十五年あるいは二十七年と申しましょうか、二十七年に発足いたしました場合と実態が違って参りましたので、これは何とかしなければならぬ問題でありますので、この昭和三十二年度からは名称も改めまして、常勤職員ということにするというような措置をとることにもいたしております。これは常勤労務者が発生以来だんだん変化してきたということもあるわけでございますが、しかしあくまでその職務内容が千差万別でありますので、そのうちで公務員制度調査会の答申の線に沿うたものは、これは当然定員法の中に入れなければならぬ、あるいは公務員制度調査会の答申からはずれるものは、また別途の処遇をするというようなことで、現在作業が進んでおりますので、できるだけ近い機会にまた御審議いただくことに相なろうかと思うのでありまして、私どもはそういう意味におきまして公務員制度改正を考えていきますと同時に、毎年の定員の適正化の問題におきまして、それぞれ各省に必要な最小限度の定員は認めていく。その定員の範囲内において、常勤労務者の中からそれぞれ資格のある者は、これをやはり定員の中に繰り入れていくということも並行してやって参っている、こういうような状態でございます。
  205. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 大久保さんのときに、今おっしゃったことが実現するとすれば、これは六万五千人の非常勤の諸君は大久保さんに感激するところ非常に大なるものがあるだろうと思うわけですが、しかし大臣からもお話のありましたように、数年来の問題をまだ検討中で、次の国会に間に合せる、非常に気長いお話で、その気長いお話の原因になるのはやはり給与問題をからませる、もちろんこれは大事な問題でありますからからませることは必要でしょうけれども、やはりそこには先後の別があってしかるべきではないかと思うのであります。まず定員法だけを考えていく。もちろんこれは予算の制約その他でやむを得ないといえばそれまでのことですけれども、何とかそういった抜本的なことをやらない限り、業種別の問題にかかずらわり、賃金の問題にかかずらわっていると、せっかくのその気持が実現できないようなことになるんじゃないかと思いますが、その点はどうですか。岡部さんでけっこうです。
  206. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 まことにごもっともでございまして、非常に気長い話だと仰せられましたが、ようやく具体化の段階になりまして、これは公務員制度というものは国家百年の制度でもあるべきものでありますので、その改正に慎重な態度を必要とするということも当然なことであろうと思いますので、次の通常国会に間に合せるということは来年度予算においてこれも同時に解決もする問題でございますので、きわめて目睫の間に迫っている、そこまでやっとこぎつけたという意味に一つ御了解いただきたいと思います。それから仕事の順序でございますが、今年は結局給与法の改正、それから人事機構の改正というような問題もからみましたので、結局この実態の問題は来年度の問題、すなわち次の通常国会の問題に移らざるを得なかった、こういうように御了解いただきたいと思います。
  207. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 重ねて質問いたしまして恐縮でありますが、今の問題と関連いたしまして、日にちは忘れましたけれども、次官会議でこの非常勤の問題を、定員法の問題を解決するのは、今度の給与体系が上ってから、いわばのませてからというような話を聞いたことがあるのです。この給与体系につきましてはあとで申し上げますが、私せんだって予算委員会でも申し上げましたように、恐怖の報酬だ、どえらい給与体系なんでして、問題があるわけですが、そんなものとひっからめて今の問題が論議されるということになると、問題はややこしくなってくるわけですが、そういったようなことがあるかどうか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  208. 楠美省吾

    楠美政府委員 ただいまおっしゃられたことは、私ら承知しておらないのでございます。
  209. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そういったことがなければけっこうでございます。次にまた大久保さんにお伺いいたしますが、今度各省それぞれ、先ほど森本君から御質問のありました郵政省関係を除きまして、ほとんど減員、総理府と法務省、文部省は増員になっておりますが、合計二千九百四十六名の増であるようであります。問題は必要であればこれを認めるというような岡部さんのお言葉でありましたが、以上の実態についてどのような基準でもって臨んでおられるか、非常に抽象的な言葉でありまするけれども大臣のこの定員に対する、各省の要求に対するところの基本的な考え方、そうしてこれらの数字を出された態度についてお伺いいたしたいと存じます。
  210. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 定員を定めるにつきましては、まずまっ先に考えなくちゃならぬのは、国の進運に伴って事務の増加の質と量であります。どういう質のものが増加した、量がどのくらいふえたかという点であります。これが第一に頭の中において判断しなければならぬと思います。そうしてできるならば定員をなるべく切り詰めて、国家財政のかからぬようにするというのが、私ども考え方であります。今年度の定員を作るにつきましても、大体その見地から考えまして大蔵省と折衝した結果、今年度はなるべく現業的の増員に重きを置こう、ただいまだいぶ郵政省の問題について論議がありましたが、郵政省は飛び抜けて成績がいいのです。ほかの方はほとんど削られているのです。郵政省においては三千人の増加のうち、二千人近く、ほとんど六割近くもとっているのですから、私はこれはとても上成績だと考えている。そういうような工合に努めて現業を主として増加する。それもなるべく切り詰める、こういう方針のもとに二千九百人を認める。あとは削りました次第であります。
  211. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私は冒頭で非常勤の問題をお尋ねいたしましたが、大臣は御承知のように、この非常勤の諸君は、先ほども申し上げましたが、ほとんど本定員の職員と同じような勤務状態にあるわけであります。これは昭和二十六年以来の、当時の吉田内閣の無謀な抜き打ち的な行政整理の結果が、やむを得ない結果となって残っておるのでありまして、やはりこの点については二千九百名の増員をする余地がある、定員をふやす余地があるとするならば、ただ単に各省の要求を一人減らし、二人ふやすというような考え方に立つのではなくして、基本的に考え直してしかるべきではないか、郵政省は千九百人ふやしたからというようなことで、えらいにこにことして大久保さん言われますけれども、問題はやはりそこら辺にあるのじょないかと思われますが、その辺どうですか。
  212. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 非常勤の職員の身分についてはほんとうに同情にたえません。その実際の仕事は事務官や雇員とほとんど同じ仕事をやっておる。勤務の状況も長い者になると数年にわたって勤務している状態です。この点はまことに気の毒だ。そこでできるだけの方法を講じたいと思うのでございましてさきに岡部部長が言われましたように、便宜の方法をとっております。かりに一つの例をあげてみますると、たとえば常勤的非常勤から常勤職員の方に何人繰り上げたかということを計算してみますと、三十一年度においては一万六千人繰り上げておる。それからもう一つ三十年度において調べてみますと常勤職員から上の級の職員に繰り上げられましたのが、はっきりした数は忘れましたが数千人あります。そういうような工合で、とにもかくにも機会あるごとに上級に繰り上げて待遇を改善していくということには努めておる次第であります。たびたび繰り返して申します通りに、公務員調査室において、そのようないい機会をつかまえて何とか解決しなければならぬ、何とかと言っては申しわけないのですがほんとうに何とか解決したい、十分にその身分には同情しております。
  213. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今度は岡部さんにお伺いしますが、あなたはいつも仕事の実態に応じて定員は考慮するということを非常に抽象的におっしゃるのですが、今度もその実態に応じた形で十分各省の意向を聞いていただきましたのですか。
  214. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 定員の査定というものはきわめてむずかしいことであります。一口に申しますると業務量を算定いたしまして、それの一人の処理能力から計算する、それを単に量でなく質でやらなければならぬ、そういうむずかしさがあるのであります。で、先ほど来森本さんからお話がございましたか、郵政省がその一例でございますが、郵政省の職員というものは比較的根拠を持ってその業務量を算定できるわけであります。また郵政省自体といたしましても、この業務量算定の専門家がおりまして、たとえば若林さん、御承知かと思いますが、三十年来いろいろ定員制度について研さんしておられる、そういう方々からも私数時間にわたりましていろいろ郵政省の職員の定員、それとの業務量をいかにマッチすべきかというようなことにつきまして、いろいろお教えも受けて打ち合せをしたというような状態でございます。また他の各省につきましても、当局のみならず各省の職員組合の幹部とも数十回にわたりまして会いまして、その実情は極力承わっておりますが、何しろこの定員の査定ということは一面的に考えてはいけないことであります。ある役所において一部分に業務量がふえますと同時に、他面におきまして重要性のなくなってくる部面もあります。それの配置転換、今度の農林省の定員をごらんいただきますと、増加した部面に対しては他の部面から極力配置転換でまかなっておりますが、その配置転換を考える、あるいはこれの施設機械化の方面でその能力を補強する、いろいろなことを考えなければならぬわけでございます。そういう複雑な要素の上に立って定員の査定ということを考えておりますが、これは現在の段階においてはまだ不十分なことは認めておりますが、今後ますますこれの科学的、合理的な査定方法というものが編み出されなければならぬ、こう考えております。
  215. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その科学的な、合理的なということをたてとして居すわり、岡部さん、あなたは二年後の今日管理部長として相変らずどっかり腰をおろしておられると思うのだが、問題は配置転換やその他で処理し得る状況にあるかどうか。これは各省をよく見ていただきたいと思います。労働組合の幹部の諸君と会っていただくのはまことにけっこうで、非常に喜ばしいことでありますが、各省の諸課長その他と話し合いをされると同時に、実態を把握されようとしておる努力についてはわかるのでありますが、今あなたは例に出されましたけれども、農林省の例であります。それは私の出身でありますから少しばかり知っておりますが、たとえば二年前にも私はサイロ問題であなたにお話しをした。横浜のサイロで腕一本とられる、労務過重のためであります。これは食糧庁の着地検査の問題にいたしましても問題であります。林野の風倒木の処理の問額にいたしましても同様であります。また統計調査事務所の被害調査を県単位郡から単位へおろした、それについてもあなた一向に見ておられない。実情に即してということを科学的、合理的にと言われるけれども、ただそれは口先だけのことであって、いかにしたらば一人もふやすまいか、ことしは三、四人減っておるようですが、これをもって能事終れりとしておるきらいがあるのじゃないかとひがみたくなる実情であります。私は今あなたが科学的に、合理的にと御答弁されたようなことを、どうしてもすなおに受け取るわけには参らないのですが、そこらのひについて農林省から要求しないわけですか。
  216. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 農林省の職員の問題につきましては、具体的に申しますと、当局のみならず職員組合の鶴園委員長以下ともずいぶん折衝をいたしまして、その際腹を打ち割って十分にお話しをしておりますので、職員の方々も十分了解しておられるのであります。農林省は現在七万七百名ばかりの定員をかかえておりますが、その中にはだいぶ苦しい仕事をしておるところもあります。農地事務局関係につきましても、この農地の土木事業についてはなかなか仕事が苦しいということもわかっております。また食糧事務所につきましても、これは現場の今の食糧管理制度が行われておる限りは、なかなか仕事が張っております。あるいは統計関係につきましても、これは決して余裕があるという見方ばかりもできないというような状態でございます。しかし現在の状態を考えましてこれは率直に申し上げますが、食糧事務所二万五千人の仕事が今張っておるからといって、食糧事務所関係の定員をふやし得る情勢であるかどうかということも十分話し合ったわけであります。これは一例でございますが、そういうように十分話し合っておりますので、その点は決してただ一人、二人のことを言っておるのじゃない、これは根本的な大きな問題もあわせて考えなければならぬ、このように考えております。
  217. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 食糧事務所の例を出されましたが、根本的な問題だということになりますと、食糧管理制度それ自体を岡部さんとここでやり合っておってもしようがないのですが、ただ問題は、少くとも職員組合もある程度納得し得るような口ぶりでもありましたけれども、たとえば本省におきましては、三十一年の四月現在で二百二十二人も長期欠勤者がある。これはだた本省に限らないで、地方の事務所へ参りますともっとのひどい状態になっております。岡部さんもよく調べて御存じだろうと思います。これはとりもなおさず低賃金と労務過重、これからきておるのは争えない事実であります。やはりそこら辺に対する親心がなければほんとうの意味で合理的な定員を作ったということは言えないと思うのですが、その点再度お伺いをしたいと思います。
  218. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 長期欠勤者が非常に多いということはいろいろな危険信号でありまして、ことに戦争直後におきましては、健康管理というものが不十分だったので、各職場におきまして非常に多かったことは事実であります。その後健康管理が進むにつれましてだいぶ減って参ったように思うのでありますが、それでも各省を通じましては、相当な数に上っていることは遺憾であります。ただ長期欠勤者が、これは全体といたしまして七、八千あるわけでございますが、これが直ちに公務員のみが特にこの率が高いというわけでもございませんので、他の民間産業に比べまして公務員だけがこの現象から、労働強化がはなはだしいということを結論づけるのはどうかと思うのであります。  ただ根本的には、私有馬さんと同じ意見でありまして、どこまでも仕事をやる以上は適正な負担量でなければならぬということは、これは当然なことなんでありますが、適正な仕事の負担をするために適正な定員を獲得する、これがきわめて困難なことなんであります。仕事も決して職員がみな余っているというようなことは、私は絶対ないと思うのでありますが、民間側あるいは広く識者側から公務員は遊んでばかりいるじゃないか、公務員は多過ぎるじゃないかという批判の強いことも考え合せまして、公務員としてはできるだけがまんして、できるだけ少い人間で能率を上げてやるというほかない、こう思っております。
  219. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 どうもここは水かけ論になりそうでありますから、私はあえてこれ以上申し上げません。ただ問題は、一般に公務員は遊んでいるじゃないかと言われておるのも事実でありますが、それを岡部さん自体から聞こうとは、私は非常に心外であります。(岡部政府委員「そういう批判があるということなんです」と呼ぶ)たまたま遊んでおる者もあるかもしれませんけれども、その遊んでおるのはひまで遊んでおるんじゃなくて——これはあとでまた私は給与体系のところで申し上げたいと思っておりますが、あなたのところでもそうだろうと思いますけれども、将来に希望がない、現実生活に追い詰められておる。その中でマージャンでもやらなければやるせないような気持になるのは、これは下級職員の心理ですよ。  これは議論が横道にそれますのであえてなんですが、そういったことじゃなくて、やはり冒頭にも申し上げましたように、これは大久保さんにもお願いしておきますが、よく実態に即応して、今岡部さんからもお話がありましたように、七、八千人にも上る長期欠勤者があるような実態、これに、あの公務員制度調査室の意向を待っておる、そのあたたかい気持は、やはりここら辺にも降り注いでいただいて、ただ合理的、科学的ということで押えることだけにその精力を費すのじゃなくて、実態に即応した業務の分量に、岡部さんの言われるところの質と量に応じたところの定員というものを、ただ現在までの行きがかりにとらわれることなく、再検討する機会をぜひ近い機会に持っていただきたい。このことを強く要望いたしまして、農林省の方来ておられないようでありますから、一応私の質問はこれで終りたいと思います。
  220. 相川勝六

    相川委員長 森本君に申し上げますが、郵政省の調査が一時間ばかりしたら来ることになっておりますから、それまで受田さんに……。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 行政機関職員定員法改正案を毎年のごとく御提出になる政府の大体今までのやり方を見ると、きわめて消極的な改正案であって、定員法の根本的な問題の解決がされていないと私は思います。   〔委員長退席、床次委員長代理着席〕  先ほど来の質議応答の内容を拝見しましても、すでは事実上の仕事の量がふえている、各省の定員に対してきわめて冷淡な態度をもってお臨みになって、現におる職員に過重労働をしいているという結論を拝見したのでございますが、一つここではなはだ奇怪な定員増加をやっている役所がある。それは三十二年度の予算を拝見し、また定員の状況を拝見して、有名無実、開店休業の状況にある憲法調査会という、政府与党の立場からは非常に尊重されている機関に対して、従来七名の定員を八名に増員しておるのでございますが、仕事も何もしないで開店されたこの憲法調査会、何ら委員の任免もされておらぬ憲法調査会になぜ一名増員されて八名にされたのか、御説明願いたいと思います。
  222. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまの御質問でありますが、憲法調査会は、御承知の通りある人は開店休業と称しております。けれどもここは内閣直属の機関です。内閣直属の機関はこの定員法にかかっておりません。調査会自身がきめることになっておりますので、この定員法とは関係がございませんからその点御了承願いたいと思います。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 定員法に関連してお尋ねしておるのです。憲法調査会の職員定数の七名を八名にしたその理由はどうかとお尋ねしておるのです。
  224. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 定員は増加せず初めから八名というように聞いております。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 予算書を拝見しますと、三十一年の定員は七名、三十二年の定員は八名となっております。これはいかがでありますか。
  226. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 念のために私からお答え申し上げますが、昭和三十一年六月十一日に公布の法律第百四十号、憲法調査会法第九条第六項——これは改正されておりませんからそのまま読んでみますと、「事務局長を除くほか、事務局に置かれる職員の定員は、七人とする。」すなわち事務局長と事務局員七人、合せて八人でございますので、これは何ら変っておりません。
  227. 受田新吉

    ○受田委員 予算書の数字に現われているものを拝見すると、三十一年と三十二年とでは一名増員されている、この理由はどうでございますか。
  228. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 予算書の問題は予算委員会でお調べいただくのが筋かと思いますが、私の推測によりますと、おそらく昨年度の予算書におきまして八人載せるところを、事務局、長を除くほか定員は七人とするとありましたので、そっちの七人を載せてしまったのではないかと思っておりますが、私、そこの部分の予算書を見ておりませんからわかりませんが、これは八人で間違いございません。これは断じて八人で増員しておらないことは事実でございます。
  229. 受田新吉

    ○受田委員 それは予算書に明瞭に出ている、ごらんいただけばわかることです。昨年より一名増員したようにして、予算も一千万円から一千十八万円に増額されている。私はそこを指摘したいのです。大久保さん、あなたは国務大臣でいらっしゃる。国務全般に関する責任もあるし、また定員法所管の国務大臣として、定員に関連するこの問題について、開店休業の憲法調査会に一名増員をするというこのやり方については、あなた御自身としてはいかがお考えになるか。特にこの憲法調査会という役所が、いまだ委員の任命もしていないということに対する政府の責任というような問題も、あわせて御答弁願いたいと思います。
  230. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 憲法調査会が延期になっておりますのは、これはいろいろな政治的の理由もあるようであります。私よりもそれは受田君の方がよく御存じかと思うのであります。それは別といたしまして、定員の一名増加したことはほんとうかどうか、私はこれは岡部君の説に賛成しておるのであります。なおあなたのせっかくのお話でありますから、調査してみたいと存じます。
  231. 受田新吉

    ○受田委員 憲法調査会が開店休業になっているにもかかわらず、依然としてその機関に職員をふやし、そして予算もふやしているという現状は、私は見のがすことのできない重大な要素が含まれておると思うのです。ことに、あなたは国務大臣として、国務全般の責任を負われる立場にあるのであって、しかも行政管理の重責にあられるあなたである。各政府機関の内部監査の重責をになわれる最高責任者でもあるはずです。内閣に直属する機関といえども、行政管理の対象にならないと断言できますか。
  232. 楠美省吾

    楠美政府委員 ちょっと受田先生、かわってお答えいたしますが、われわれは定員法のあれにかからないということは、われわれの責任じやないということは断言できないと考えております。十分責任のあることだと思いますので、将来十分研究し、また何しますが、今の一人定員を増したということは、これは千万円の金が千十八万円よりふえていない、たった十八万円でございますから、これは予算がふえたとは言えないのでありまして一人人をふやして十八万あったって、これはどうにもならないのでございまして、それはこれから研究いたしますが、ふえていない、こう解釈していただいていいと思うのでございますが、一般の関係の定員については、われわれは責任は全然ないとは断言いたしたくないので、せいぜいまた関連して研究してみたいと考えております。
  233. 受田新吉

    ○受田委員 大久保大臣、あなたは行政管理庁の長官でいらっしゃるお方であります。従って各省にまたがる行政管理事務を遂行する最高責任者として、各省庁の間における不正事項の発生を防止し、またその発生した事項に対して十分監査、管理する責任がある国務大臣でいらっしゃいます。私は昨年この委員会で一言御注意申し上げたことがある。それは行政管理庁という役所が総理府の外局でありながら、一方において、国務大臣が長官をやっている各省の行政管理事務を担当しておられる。総理府の外局の、長官が、国務大臣を長としている各省の行政管理をやるという上においては、非常にしりこそばゆいところもあると思うのでございまするが、しかしあなたの責任は、各省にまたがる行政上の大きなミスを発見し、またそれを未然に防止するという重責をになっておられることは十分御自覚でございますか、それをまずお聞き申し上げておきます。
  234. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 受田さんの言う通り、責任重大であります。
  235. 受田新吉

    ○受田委員 ところが私たちは、今あなたが長をしておられる行政管理庁のお仕事の中で、あまりにもその総理府の外局といういわば単なる一外局にすぎない役所が、一省を率いる国務大臣が長となっているその役所を行政管理する上において、そのあなたの置かれておる地位の弱さから、行政管理事務を遂行する上において迫力を欠き、また面目を立てようとしてからいばりしなければならないというような、非常にお気の毒な立場に立っているように私は思うのです。それは大臣として十分お考えになっておられると思うのでございまするが、国の行政管理事務、各省にまたがる監査事務というようなものを、あなたはこれを統一して、もっと強大な権力を持つ形で、その内部における不正を防止し、また発生した不正を十分処理するという立場において事務をまとめる必要はないかと私は思うのでございまするが、御意見はいかがでございますか。
  236. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 国家の行政についての監査事務の重要なることは、総理大臣の施政方針の中にも明記してあります。だからしてもちろん承知しております。ただいま国の監査機関を考えてみますると、各省には各省におのおの多少の形で置いております。それ以外に専門に、私の方は行管庁として、一つの官庁としていたしております。これは専門にかかっております。それから会計問題については、会計検査院が、主として会計に関する全般の事務の監査をしております。そのほかに大蔵省は大蔵省として、経理の上から、主計局が全国を歩いて監査をしております。そういうような工合にいろいろの機関があって、不統一のごとき観は呈しておりますけれども、私どもとその他の監査の機関の間には始終打ち合せがありまして統一されております。調整されております。従ってこれ以上無理に監査機関を設けるというのもいかがかという感じを持っておる次第でございます。
  237. 受田新吉

    ○受田委員 各省にばらばらにあるその監査事務を、あなたの方でまとめるというあり方をあなたはお考えになったことはないか。御承知のように、財政上の監査の機関としては会計検査院があり、また各省にそれぞれ監査機関がある。どの省にもある。しかしあなたは行政管理庁の長官として、これら各省にまたがる行政管理あるいは監査事務を一本にまとめた形にする方が都合がいいというお考えを持ったことはないかということをお尋ねしているのです。
  238. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 各省各庁にはおのおの特徴があります。従ってそのある程度まで各省庁の長官にまかしておく方が行政管理の妙味であり、あまりこれを統一していばる機関を設けるのもいかがかと思います。まあこの程度にしておきたいと思います。
  239. 受田新吉

    ○受田委員 あなたの管理事務の対象となる役所に防衛庁が入っておりますか、いかがですか。
  240. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 防衛庁は入っております。目下監査中であります。
  241. 受田新吉

    ○受田委員 行政管理事務が怠慢であって、各省の内部の特殊事情を考慮し過ぎて、思い切った手を打たぬから、防衛庁の内部が腐敗堕落しておるのです。あなたは各省の独自の立場を尊重してやるのがいいのだとおっしゃった。そして防衛庁を今監査中であるとおっしゃるけれども、防衛庁の内部のいろいろな不正行為というようなもの、そういうものをあなたは今日まで依然として放置しておる。ここに祖国の行政面における大きな欠陥が生まれてきているのです。あなたは行政管理庁長官として、各省にまたがる事務を、それぞれの役所に責任を転嫁して、自分はそれらの共管事項の一面とか、あるいはあなたの独特の権限等を行使するにとどまって、各省の内部に鋭いメスを入れる勇気を欠いておると私は思う。いかがですか。
  242. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 私どもは行政監査をなすに当ってこういうことを考えております。一つはあくまでも事務の改善を主眼として進めなければならぬ。事件を調査するについても常識の線を越えてはいかぬ、こういう考えのもとに進んでおります。といって、決して、悪いことを見のがすということはありません。そういうことはいたしません。善は善として、悪は悪として進む勇気は持っております。もしそういうことがありましたならば、決して適当な処置をとるにちゅうちょはいたしません。
  243. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは非常に温情主義で臨まれておると私は思うのです。各省の中には国民の血の税金のそれぞれの費用を、もちろん会計検査院がこれを十分検査はされますけれども、使い方においてでたらめをやっているところがたくさんあることはあなたが御承知の通りなのです。一々、そういうそれぞれの省の実例をあげるほど時間がないので遠慮しますが、一例を防衛庁にとったのでございますけれども、金の使い方があらましである、幾ら物を買っておるとかいうようなことは、これは決算委員会その他においてもしばしば摘発されたことである。またその他の省においてもたくさん事例があることはあなたの御承知の通りです。そこで総理府の外局として総理大臣の命令一下で、小さな役所の長官として動く程度のことしかできない現在の地位で、この重大な職責が果せるかという点で、あなたははなはだ心さびしい思いをされることはないかと私は思うのです。この点を一つ、機構的にあなたはこの行政管理事務についてもっと各省にまたがる政策を統一して、そして各省に、もっと勇気をもって管理事務ができるように機構改革をすべきであるというお考えがないかどうかをお尋ねしておるのです。
  244. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 さっき申したような方針でなるたけ各省庁の長官にまかせるのを原則としておりますけれども、それが是正できない点においては私どもの方においてこれを処分します。これは先ほど申した通りであります。またもう一つ考えなければならぬことは、処分の機関は私どもだけではありません。法務省もあります、裁判所もあります、警察もあります。各方面が協力して事務の改善をはかるのが妥当な方式であって、私の方だけが強化することは考えものであろう、こう思うのであります。御好意は十分ありがたく、あなたの御意思を尊重して事務処理の資に供したいと思います。
  245. 受田新吉

    ○受田委員 それはそれとして、機構上の問題になってくるから、この次にあなたに十分確かめなければならぬのですが、一つ定員法に関連する問題をお尋ねしておきます。先ほど以来われわれの同僚委員からお尋ねになった問題に関連するところの問題と、新しい問題を一つ二つ拾いますが、この定員法の中に、先ほどちょっと出た問題ですけれども、常勤的な性格を有する非常勤職員の立場が非常に微妙な立場で、これが除外されておるのでございますけれども、おととい石橋委員質問した中に、給与法審議の中で技能労務職についてお尋ねをした、ところが松浦労働大臣公務員制度の改革の前提をなすものじゃないのだ、技能労務職は公務員からはずさないのだという答弁をしておられるのです。そうしますと常勤的性格を有する臨時職員というのは、すなわち定員からいうならば非常勤になる職員は、今後どういう形でこれをあなたのお役所としては考えようとされるのか、あなたのお役所の立場から一つお答え願いたい。
  246. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 その問題は先ほども出ましたが、公務員調査会の結論が出まして、さらにその結果に基きまして内閣に公務員調査室というのを設けて、専門家がそろって研究に従事しております。そうして今年度においてはさしあたり給与の問題を解決しようというので給与法の改正案を出しておるのであります。続いてあるいは任用、試験、給与、服務その他一般の公務員に関する処理が順々に解決されて、議会に提案されることと思っておるのであります。そこで今の常勤的非常勤者の問題であります。これはさっき申しました通り、実に勤務には同情いたしております。内容においては、実質においてはほとんど事務官と同様の仕事をやっておる者もあり、また勤務の年限においても数年の長きにわたっておる者があるのです。にもかかわらず冷遇されておる点においては私は満腔の同情を表しておる次第でありますけれども、やはり今の調査会の、公務員の制度をいかにきめるべきかという原則がきまった後においてこれを適当に処置する、定員に入れるか入れないかということを研究したい、こういう心境でございます。
  247. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは、現にこの委員会に提出されている給与法の改正案の中にあるところの技能労務職というものは、このあなたの所管であるところの定員法からはずされておる非常勤職員との関連においてどういう立場にあるものであると御判定になりますか。
  248. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 御質問趣旨が少しわかりにくいので私からお答え申し上げますが、現在の常勤労務者及び常勤的非常勤職員といわれるものは、非常にその職種内容は千差万別であります。あるものはもちろん技能労務職の中に当然入るものもあろうかと思いますし、それからはずれるものもあるだろう。入るものとはずれるものとを定員法上どう扱うかということは、今の公務員制度調査室の作業と相まって解決していきたいと考えております。
  249. 受田新吉

    ○受田委員 質問趣旨がわかりにくいのによくお答えになったわけですが、私はあなたがどういうお答えをするか、あなたの御答弁に対してちょっと耳を傾けてきたのです。あなたは公務員制度調査室のやっていく作業とにらみ合せて考えていきたいという御答弁だったのです。ところが公務員制度調査室は、そういう公務員制度と直接関係のある給与制度だけを先に出したのです。この二つは相関連する問題であって、車の両輪のような形のものです。それを今ここであわてて、給与制度改正案だけをお出しになっておるという意味において、あなたが今苦しい答弁をされなければならないような結果になったことを御承知でございましょうか。   〔床次委員長代理退席、委員長着席〕
  250. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 大体見当つけてお答え申し上げたつもりでありますが、その中で常勤労務者は給与法の適用がありまするので、現在の提案になっております給与法が通れば、その中の俸給表の第八番目にあります技能労務俸給表の適用を受けると考えております。
  251. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、その技能労務職の適用を受ける職員は、当然定員法のうちの定員に入れるべき立場のものとお考えになりますか。どうです。
  252. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 お答え申し上げますが、御承知の通り、定員法第一条には、政府機関、行政機関の常勤職員の総数を規定することになっておりますが、その中で二カ月以内の期間をもって雇用された職員は除く、こういうことになっておりますから、現在の常勤労務者というものは、これは法律論を申すようで恐縮でありますが、二カ月以内の期間をもって雇用されている形式を持っておりますので、これは当然今の段階では定員法の適用がないわけなんです。従って定員法からはずれております。定員法からはずれておりますけれども給与法の適用を受けて技能労務俸給表によって格づけされる、こういうことになります。
  253. 受田新吉

    ○受田委員 給与法の適用を受ける、すなわち給与法の中の技能労務職の俸給表の適用は受ける、しかし定員法からははずされておるという職員がここに出てきたわけですね。従って今まで給与法の適用を受ける職員で、給与法の中にりっぱに書いてある俸給表の適用を受ける職員で、定員法からはずされた職員がございましたか。
  254. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 給与法の適用を受けている職員で、定員法からはずされている職員というのは、第一にこの常勤労務者、第二にはいわゆる非常勤職員、すなわち常勤的非常勤職員も含めまして数十万に上る非常勤職員は、すべて定員法の適用からはずされております。
  255. 受田新吉

    ○受田委員 現行給与法の場合の例々私はとって申し上げたのであります。
  256. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 現行給与法の例を申し上げたわけであります。
  257. 受田新吉

    ○受田委員 今の現行給与法には技能労務職という俸給表は掲げてないし、そういう職群は入れてないことを御承知でございますか。
  258. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 現行給与法では、一般職俸給表の適用を受けております。
  259. 受田新吉

    ○受田委員 従ってその一般職の中で、技能労務に従事する職員の中で、常勤的性格を有する臨時職員と、非常勤的な性格を有する臨時職員という二つのケースがある。従ってそのうちで二カ月で交代をするけれども、事実上二カ月、二カ月と通常の公務員と同じ立場に立っている公務員というものを、純粋な公務員としての立場から、長期にわたる勤務をする公務員としての立場から、これを考え直していくという方向に、あなたは定員法を改正しなきゃならぬとお考えであるかどうか。
  260. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 その点は先ほど大久保大臣から申された通りでございます。
  261. 受田新吉

    ○受田委員 しかるところ、今回出されている定員法の改正案を見ましても、三十二年度の定員のワクを二千九百四十六人しかふやしていないわけですね。ところが、ここに多数の常勤的性格を有する公務員というものの大半は——十万に近いといわれておる、その中でも特に常勤的な立場にある職員の数は六万といわれておるが、そういう人々の大半を救う措置は、とられていないのです。これを今後どういうふうにして救済していこうとするのか、その方策をお示し願いたい。
  262. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 これは大久保大臣からもお答え申し上げた通り、あるいは先刻来有馬委員に私から申し上げた通りのような推移及び方向をたどっております。
  263. 受田新吉

    ○受田委員 その中で、これらの職員は事務費とか物件費とかでまかなわれておる。大事な人間を物と同じように考えていこうという観念などが、各省によっては考えられておる。人件費として堂々と銘を打って、これを優遇するという措置をとるように、なぜ行政管理庁は十分管理しないのか。
  264. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 この点につきましては、戦前にさかのぼらなきやならぬわけであります。戦前の各省官制というものは、いわゆる官吏だけを定員にあげまして、予算上も人件費としては官吏だけを計上して、雇員、用人以下は物件費から出しておりましたので、そのようなことはおかしいじゃないか、すべて国家に勤務するものは事務官、技官、雇員、用人の区別にかかわらず、これを国家公務員として一律にやるべきであるということで、定員法もこれを全部包含したわけであります。またその人件費も、職員俸給費として全部組んだわけであります。まさに受田さんの理想を実現しよう、こう考えたわけであります。その後、しかしそれでは間に合わない、あるいは何とか役所の事務を臨時に間に合せたいというので、出て参りましたのが常勤労務者であります。これにつきましても、最初物件費から出すようなことになっておりましたので、それではおもしろくないじゃないかというので、二十七年度の予算から常勤労務者給与といって、物件費から別にいたしまして、常勤労務者給与からこれを支出しております。しかし常勤労務者というのが数がふえまして、その職種が非常に多くなりましたから、常勤労務者という名称はおかしいじゃないかということで、三十二年度の御審議いただきました予算からは、これを常勤職員という名称に改めた次第であります。従って決して物件費からは出しておりません。ただ非常勤職員に至りましては、現在各事業費の中から賃金として出している。賃金関係で雇われる職員の賃金費用は、それぞれの事業の消長に伴うものだから、普通の一般の俸給費と科目を別にいたしまして、その事業費の中から賃金として出す、こういうことになっておりますので、従来に比べれば受田さんの理想の実現に一歩近づいている、制度としてはそうなっていると御了承いただきたいと思います。
  265. 受田新吉

    ○受田委員 物件費から漸次事業費に変った。しかし事業というのは、一つの物を対象にする事業である。その物を対象にする事業の中へ大事な人間の労務に対する報酬を入れているということは、私はまだ問題がひそんでいると思う。人格を尊重する立場から、個人の神聖な労務に対する報酬を事業費の中から出すということは、本質的に誤っていると考えないですか。
  266. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 受田さんの御意見きわめて貴重な御意見だと私思っておりますが、これはもっぱら技術問題でございますので、(「技術問題じゃない、予算のきめ方だ」と呼ぶ者あり)予算のきめ方に関する技術問題、そういうふうに一つ御了承いただきたいと思います。これは大蔵省でも十分研究してもらうべき問題だろうと思いますので、これ以上お答えすることは差し控えたいと思います。
  267. 受田新吉

    ○受田委員 それではそれから先の問題は大蔵省との関係になりますので、あらためてお尋ねいたしますが、次の質問の方が控えておりますので、一言だけ役所の関係の定員についてお尋ねしておきたいと思うのです。恩給局という役所があります。これは総理府の中にある。こ恩給局という役所は、最近のいろいろな恩給事務の複雑化のために、相当の臨時職員を増置したわけです。ところがその職員の定数において、常勤的性格を有する非常勤職員の数が、現に八百名を越えている。しかしながら恩給局の事務は、今後恒久的な事務として、相当長期にわたって、山積する事務の処理以外に、恒久的事務の処理のために、相当数の常置的性格を有する職員を必要としていることをあなたは御存じであろうと思うのでございますが、この恩給局の定数について、八百名を越える臨時職員を全部定員法から抹殺して、現に存する二百名をわずかに越えるだけの職員を置いているということは、いかなる理由に基くものであるか、お答え願いたいと思います。
  268. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 恩給局の職員につきましては、私ちょっと受田さんと考えを異にするのでありますが、恩給局というものが恒常的な仕事を抱えるようになった場合にどういう程度の定員を持つかということは、今正確には申し上げられませんが、現在はきわめて臨時的な、将来すみやかになくなる仕事を大量に抱えておりますので、いわば郵政省の年末のピーク時に臨時職員をたくさん雇うのと同じことでありまして、そのピーク時の職員量をそのまま定員の中に入れるのは、私はむしろきわめて不適切なことではなかろうか、そういう臨時的な職員を除きまして恩給事務のあるべき姿に相応した恒久的な職員数というものを計上すべきものだと思っております。それが現在の二百五十四人と思っております。その二百五十四人で足りるか、あるいはこれをふやす必要があるか、もっと減らす必要があるかということは、恩給事務の今後のあり方によって影響されるところであろうと思っております。
  269. 受田新吉

    ○受田委員 あなたはそうお答えになるだろうと思ったのですが、これはあなたが恩給事務の実態をよく御存じないからそういうことになっているのです。何となれば恩給事務はこの委員会の所管事項でございますので、よく実情を知っているのでございます。  今臨時的に必要であると言われる公務扶助料の支給とか傷病年金の支給とかいう問題のほかに、基本的に長期にわたる審査事務とか整理事務とかいうものがあるのです。これは恩給局の仕事として一時的に公務扶助料の支給が山積した分を二、三年で片づけるというような問題でなくて、四年、五年という期間には片づかない、ずっと長期にわたって——すでに百九十万をこえるところの最近の戦死者の遺族に対する公務扶助料の支給事務の継続にいたしましても、たくさんの人を抱えて、事務がたくさんの対象を抱えてきたために、恒久事務も、またそれに従って長期的な性格を有する大量の事務があるわけです。これは一時的に四年、五年で片づくものではない、少くともまだ二十年や三十年、相当長期にわたって基本的な経営的な要素を持った事務が残っていく。また文官、旧軍人の恩給等の事務についても同様です。従って一年か二年で片づくごく少数の臨時事務と、その中の多数の長期的経営的事務とを区別してあなたはお考えにならなくちゃいかぬ。従って現に恩給局の定数は二百四十二名という定員法にきめられている以外に、少くとも八百二十四名の臨時職員を置かざるを得ない、しかも去年も、おととしも、ことしもまた臨時職員がそのままの形で事務をとっていこうとしているところに——その八百二十四名の中には、経営的事務の担当をする職員がその中で相当多数の位置を占めなければならぬと私は思っておるのであります。従って八百二十四名の臨時職員の事務量は全部臨時的なものとあなたは御判定になったごとに対して一つ是正を願いたいと思います。
  270. 岡部史郎

    ○岡部政府委員 先ほど申し上げた通り恩給局の仕事は急速にやらなければなりません。またお示しのように恒常的な仕事と臨時的な仕事もまじっております。あるいは臨時的といっても相当年数のかかるものもありますので、恩給局の職員の適正な規模ということにつきましては、恩給事務に支障がないように恩給当局ともしばしば打ち合せをしております。十分御意見は尊重して今後やって参りたいと思っております。
  271. 相川勝六

    相川委員長 それでは片島委員
  272. 片島港

    片島委員 大臣が見えるまで……。第一に今回の改正案等級制についてこれは政府案人事院案もすべて七等級制をとっております。これはたくさん俸給表がありますけれども行政職についてお尋ねをしたい。人事院勧告及び報告で、十五級の現在の制度職務段階実態に即応せぬから、また同一職務内容の官職が数個の職務の級にまたがるとか、同一職務の級に上下の官職が混在しているとか、こういったようなことが書いてあるのでありますが、どうして現在の制度では実態に即応せぬか、七等級制ならばその実態に即応するのかということをますお聞きしたい。
  273. 淺井清

    ○淺井政府委員 人事院の方から先にお答えをいたしますが、現在の十五級の職務の級は、決して職階的な精密な職務分析からできたものではないのでありまして、そのために官庁の内部の実情に適しない点がだんだんできて参ったということに帰するのであります。そこでまず現在の官庁内部組織から申せば、行政職に関する限り七等級くらいに区別するのがよかろう、大体こういう趣旨からきておるのでございます。
  274. 片島港

    片島委員 それでは答弁にならないじゃないですか。十五等級ではどうも工合が悪いが、七等級くらいが大体いいというのではちょっと問題にならぬのじゃないですか。あるいは八等級か十等級かあるいは七等級くらいがいいのだ——私はあなたの方の報告書、勧告書に書いてあることを読み上げたのですが、そういう理由に基くのかどうか、その点を具体的に説明をしていただきたい。
  275. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま一番趣旨とするところを申し上げたのでございまして、実際のもっと詳しいことは給与局長から説明させます。
  276. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 御承知のように、現在の給与法におきます十五の職務の級は、これはやはり職務と責任の段階に基きまして決定されるべきものであります。これにはやはり職務内容に応じまして、それぞれ各職務の級に格づけされることが基本であるはずでございます。ところが現在の実際の運用は報告書にも書いてあります通り、ただいまお読み上げになりましたように、たとえば課長でございましても十級の者もございますし、十一級、十二級、十三級の者がおるというわけでございます。それからまた課長補佐にいたしましても、現在十二級くらいの者がおる。また局長にいたしましても現在十三級、十四級、十五級にまたがっておる。一応長官、次官の職務の級とされておる十五級に局長がおるということは、職務と責任の観点から見ましてもやはり話がぼやけておるのではなかろうか。およそ課長なら課長段階、あるいは局長なら局長段階におきまして統一あるやり方がいいのではなかろうか。現にそういうふうに職務の級が入り乱れておりますので、職務と責任という点がぼやけておる、こういうことが脅えるのではなかろうかと思うのであります。現に官庁の組織におきましては、一般中央官庁でありますならば、次官、局長課長課長補佐、それから係長、平係員——平係員のところにおきましては上級係員、下級係員、この程度の区別がございます。それからわれわれがかねてから研究いたしております職階制等級段階におきましても、大体その程度段階になるのでございます。もっとも今回の改正案人事院勧告におきましては、職階制を基礎といたしておりませんから、参考にはいたしておりますけれども、やはり現在の運営の実態ということに着目いたしておるのでございますから、これを整理いたしまして、七段階にいたすことが適当であろう、このように考えております。
  277. 片島港

    片島委員 それでは答えになりません。今局長とか課長とか言われましたが、そういうのは数が知れておるのであって、五級から八級くらいの職員が一番多いのです。そこでおっしゃったように、同一職務の級に上下の官職が混在するとか、数個の級にまたがるとかいうのは、現在の十五級制度が悪いとか七等級がよいというのではなくて、同一の職務の中で勤続年数が違い、学歴が違い、年令に違いがあるために、さらにはあなたの方できめておられる級別定数に縛られて上級の職務に上れないということ。それから戦前に比べて現在は非常に新陳代謝がない。御承知のように戦前は、私ちょっと給与問題をやっておりましたが、退職率が二割くらいありました。ところが現在においては四%から五%しか退職率が出ておりません。でありますからそういう俸給表を作ることによって今おっしゃったような理由が解消するのではなくて、私が指摘したように、同一職務の中で勤続年数、学歴、年令等に差異があり、級別定数に縛られて上に上れないということ、また新陳代謝が少いということが一番大きな原因じゃないかと思いますが、いかがでありますか、あなたのおっしゃったような説明では私は答えにならないと思います。
  278. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 現在の給与法におきましても、第四条に明示してあるように、給与というものは職務と責任に基きましてきめられることになるのであります。今御指摘のように一般の係員については六級、七級、八級というふうに分布しておりまして、八級のところは例外級と申しておりまして、特に承認を得て進むところでありますが、たとえば普通の係員でありますれば、上級係員は七級になりますと——例外的には八級に進んで参りますが、一般は七級の最高号俸まで参りますと、これがワク外に出ていくのが現在の実情であります。従いまして同じ職務をやっております者が、一方においては八級に進む者があり、またワク外に出る者があって、その間の昇給率に非常に違いがある。従って同じ仕事をやっておる限りにおいては大体同じ昇給率で進むというようにこれを平均化いたしますことがむしろ適当ではなかろうか、かような考えに立っておるのであります。またただいま御指摘のようにこの新陳代謝が非常に少いということがございます。従いまして人事院が上の級にどんどんやらないからこういう現象が起るのだというように、御指摘になろうかと思うのでありますが、現実の運用におきましては、われわれが報告書に述べておりまするように、頭打ちワク外が大体年々二%ないし三%ずつ累増していくというような状況でございます。これはやはり現在の職務の級における俸給の幅が非常に狭いというようなことが原因しておる。そういうところをいろいろ考えまして今回はたとえば上級係員でありますれば、その範囲におきまして十分昇給して長年月に耐え得る、しかもその中におきましてはその昇給率平均化される、しかも現在の昇給率を維持してこのような方法で改正する、これは現在の状況に非常に適しておるのではなかろうか、このように考えております。
  279. 片島港

    片島委員 それは上にだんだん上っていくのには今度五等にしても十五級にしても同じでしょう。あなたの方は今度は等級だけは七等級行政職を整理しているけれども俸給表が今まで五種類七表だったのが、今度は八種類十六表に増している。そしてこちらに都合の悪いのはこちらの別の給与俸給表に整理して、そちらの方でお前たちは上っていけ、こちらの方でお前たちは上っていけ、こういうようなことになっておりますから、六等級にしても七等級にしても、十五表にしても、むしろ号俸の数の多い方がそれを運用する上においては都合がいいのではありませんか。現在は十五級八十二号俸になっておりますが、今度は七等級の四十八号に整理されておる。そうして今あなたが言うように、今度は上の方に平均して上れるというけれども級別定数で縛っておるからやはり上れぬようになりゃしませんか。号俸は今度の方が少いでしょう。
  280. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 御指摘のように号俸は少いのであります。もっとも人事院考え方におきましては六カ月、九カ月ということを認めましたが、号俸の数は多くなっております。ただ号俸の数が少い多いだけではこの問題は一概に論じられないのではなかろうかと思います。現在六カ月昇給のところで一号と申しておりますが、法律案におきましては一号が原則的に一年になっておるのでございます。またそれより延びておるところもございまするので、号俸の数が少いだけで耐用年数が短かいということにはならないのではなかろうか、このように考えます。それから現在一般俸給表でやっておるものを俸給長の数をふやしておるのではないか、たとえば研究職技能職等俸給表を作っておるのではないか、まあ技能労務職もそうでございますが、そういうお話がございますが、なるほど俸給表の数はふえておるのであります。しかし現在の給与法の運営におきましては、一般俸給表にいろいろな職務種類が混在いたしておりますので、勢いこれは同様の処遇をすることが実際に適さない点がございますので、人事院の権限の範囲内におきましていわゆる級別資格基準表というものを設けまして、これの運用によりまして、たとえばお医者でありますとか、研究職あるいは一般の行政事務職等は、それぞれ違った上り方をするということになっておるのであります。その数は四十種類にも及んでおりますから、これは考え方によりますれば、現在は形式的には俸給表は一般俸給表というのが基本になっておりますけれども、その運用の実態から見ますと、非常に数の多い俸給表があるということになろうかと思うのであります。ところが今回の改正によりますと、そういうふうに種類の違ったものは分けて参りますので、級別資格基準表の込み入った運営をする必要がない、その意味においてはむしろ簡素化になっておりますし、また職務実態に適応しておるのではなかろうか、このように考えます。
  281. 片島港

    片島委員 あなたは非常に具体的な御答弁をされるから申し上げますが、巡査で運転ばかりしておる者は、身分は警察官ですが、今度は技能労務職に入りますか。
  282. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 今お話の巡査で自動車の運転手をやっておるという人は、これは本来の職務はやはり警察業務の一環でございまして、これは警察官の俸給表が適用になっております。
  283. 片島港

    片島委員 そういうふうで実際は運転手だけしかしておらぬのに、巡査のいわゆる警察官の俸給表の適用をしなければいかぬのですよ。そうしますと各官庁別に、技能労務職といいましても、その官庁の特殊性その性格などから見て、実は運転手ではあるが、工事のため自動車を運転している、工事をするためにはそういう運転手が必要なんです、技術も知っているような運転手が必要なんですよ。そういうような場合、どれにそういうものを適用するか。こういうことをいろいろとあわせ考えると、どうせ科学的な分類というものはできない。ここであなたたちがやっておられるのは、私はいろいろな資料を、あなたの方でマル秘になっているものまで手に入れて研究してみたんですが、目の子算で多数に分類するということになりますと、俸給表がたくさん出てきておりますが、そこのワクの中に閉じ込められてしまって、それから先は身動きができない。俸給表が少なければ少いほど、実はその範囲内における人事の交流あるいは転換というものがあって、幾らか希望を持って上り得る。今は運転手ばかりやっているけれども、しばらくしたら巡査部長にも警部補にもなるという工合でだんだんなるが、巡査の場合はあなたは警察官のを適用するといったからいいが、そうでない官庁にもそういう労務職のワクにはめられたがゆえに絶対に上ってこないというようなものがたくさんある。そういうように目の子で分類すると、そのワクの中に閉じ込めて、身分的な俸給表によって劣等感を与えてかえって事務能率を阻害する。さらに俸給表が多ければ多いほど、申し上げましたように人事の交流転換などが困難で、人事行政はかえって不円滑になるのみでなく、職員を一定の職にくぎづけをして昇進の機会を与えないというようなことにもなりますので、たくさんの俸給表を作ってそのワクに閉じ込めるというよりは、むしろ幅の広いやつを数を少くしておいて、その中において自由なる転換ができるようにした方が人事行政においては得だと思うのですが、いかがでしょう、総裁
  284. 淺井清

    ○淺井政府委員 お説はごもっともかとは存じまするけれども、現在の給与法の体系といたしましては、やはり職務と責任において給与は出さなければならない。それから現在そこに勧告いたしました程度職種というものに分ける俸給表は私は必要であろうと考えております。また御説のような御意見もございますけれども、一方からいえばこれは俸給表を別にしてくれという要求も私は多々あるように思っております。
  285. 片島港

    片島委員 たとえばこれはまた技能労務職のことになりますが、あなたの方の御説明では技能労務職を一般職と「著しく異質」と、こういう見解で別表を用いることになっている。技能労務職の(二)の方ですが、これは新制中学を卒業して新しく入ると初任給が五千百円です。そうしてその四等級の中にずっとおりますと、十五年たって八千四百円になる。十五年順調に勤続して昇給していっても八千四百円で頭打ちなんです。こういう俸給表です。今までは十五級の中で、一級で入ろうとあるいは二級で入ろうと、三級になり四級になり五級になって行政職の方に上っていくという見通しを持ってみなやっておったけれども最初は給仕ではありますけれども、それが四等にいる限りは、なるほど上の方があけば上にその技能労務職の範囲において上ってもいいが、上れない場合には満足にいった場合でも十五年たって八千四百円になるのですよ。それから先は頭打ちなんです。こういう点はいかがでございますか。
  286. 大山正

    大山政府委員 ただいま御指摘になりました技能労務俸給表の(二)の四等級は、御指摘のように給仕さん、それから昇降機手が入ることになると思われる等級でございますが、新制中学を出ました初任給は五千百円でございますが、おそらくこの等級にいる期間というものはきわめて短かいと私どもも考えているわけでございますが、必ずしもこの技能労務俸給表だけで上るというわけでもなく、ほかの俸給表職種にも当然転換するということが考えられると思うのであります。ただ八千四百円まで一応作っておりますのは、中途採用というようなことも一応考えまして作ってあるわけでございますが、五千百円から始まりましたものが十五年もここにおるということは、実はあまり予想してはおらないようなわけであります。
  287. 片島港

    片島委員 職務の転換が非常にスムーズにいく時代はよかったのですが、私の調査によりますと、最近の状況を見ますと、一年間に六カ月ないし八カ月の勤続年数が延びておるのです。そういうふうに毎年々々勤続年数が延びて、今入っておる人たちはなかなかやめない。定員制をしいても、あなたの方の資料によりますれば、大体五年ないし十年の者が非常に大勢おるのです。勤続年数が五年ないし十年たった、ちょうど二十五才から三十ちょっと過ぎたくらいの人が大きな山をなしておるのです。それが五十五なり六十という定年までにいくのには大へんな年数を今から要するのです。今あなた方の表でもわかりますように、定年退職をやってみても少ししかやめないで、実際おる人たちはたくさんある。こういうような状態の中では、なかなかあとから入った人はその職にどんどん上っていくということは困難になるために、あなたの方はこういう俸給表を作って、これを適用することによって長く耐用年数を持たしていこうというのが、今度の俸給表を作られたあなたの方の最も大きな理由なんです。今大山さんのおっしゃったように、そういうところに何年もおらぬであろうという、そういう俸給表は要らぬのです。十五年もかかって八千五百円にしかならない。三年か五年しかおらぬならば三年か五年のやつを作っておけばよいのです。この俸給表はこれが全然ない、人事の交流がないという今日においては、非常に長い期間使われるためにこれを作ったものと思うのであります。ただこういうものを作っておけば何人か、あるいは適用になるものがおるかもしれない、一%か、千人に一人か万人に一人、そういうような漠然としたことならば、あるいはそういうことになった人は上に、三等級の方に上げてやったらいいじゃないか。やはり四等級俸給を十五年間も続ける、こういうことは、その職に入った人は、おれはこの俸給表に縛られて、これから先なかなか身動きができないのだという非常な劣等感と、そこにくぎづけされる心理的影響というものが非常に大きい。だから俸給表を作るときには、私はもう少し実際に即して、今おっしゃったような、適用者があまりおらぬであろうというような説明の俸給表をここに出していただかない方がいいのではないかと思うのですがいかがですか。
  288. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 ただいま御質問がございましたように、俸給表の作り方についてはいろいろな方法があると思いますし、また給与の問題は絶対的な意見というものはおそらく成り立たないのではなかろうかと思います。そこで私ども考えておりました点は、人事院の報告にもありますように、少くとも一般俸給表の例を取りますと、頭打ちワク外が非常に多いのであります。なかんずく、この頭打ちワク外の現状をながめてみますと、職務の級の下の人が非常に多いのであります。ここにもちゃんと書いてありますように二級の方が二五・四%、三級の方が三〇・六%、四級の方が二七・三%、五級の方が二三・六%、この実態をながめてみますと、技能労の関係の方が非常に多いのであります。一体なぜこのように頭打ちワク外が多いのかということになりますと、あまりにも職務の級を細分しまして、上の級に上れないという体系になっていることに大体の原因があるだろうと思うわけです。ところが今度勧告いたしておりますところの俸給表によりますと、たとえば一般の守衛でありますれば、技能労務俸給表の二の二等級である、あるいは自動車運転手でありますれば技能労務俸給表の一の三等級であるというふうに、役付き以外のものと二段階しか分けておりませんので、先ほど申し上げた非常に細分されたたくさんの頭打ちワク外に比較いたしますと、この勧告及び提出されている法律案の方が、より合理的ではなかろうかという考えを持っているわけであります。
  289. 片島港

    片島委員 今あなたが頭打ちがそういうふうに出てくるというのは、現在の俸給表のせいじやないでしょう。級別定数をふやしたらいいじゃないですか。それが予算に関係するなら今後も同じです。あなたの方は級別定数をカッコでくくって、ここからここまでは流用してよろしいというカッコ内の級別定数まで作っているのです。級別定数をくぎづけしておいてその上をふやさなかったら、どこへ持っていっても頭打ちはできるのではないか。
  290. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 確かにその辺の級別定数をふやすことによりましてある程度の緩和をはかるということは、御指摘のようにできる面もあろうと思います。これは率直に認めなければならないと思います。しかし先ほど申し上げましたように、非常にこまかに級別が分れておりますということ、しかも分れております級別に定数をきめなければならない、これが現行法の建前であります。そうしますとこまかなワクの中で級別定数をきめるのと、大まかにきめたもので定数をきめるのと、おのずからそこに制約される度合いが非常に違ってくるのではなかろうか。もしも御指摘のように級別定数の作り方に遺憾があるといたしますと、細分されておりますならば細分された限度において定数をきめざるを得ない。これは法律的な制約を受けて、おのずからそこには限度があるというふうに考えている次第であります。
  291. 片島港

    片島委員 それはあなたの方の手続が事務的にいろいろめんどうだとかなんとかということによって、経済的にまた身分的に非常に重大なる影響を及ぼす俸給表というものを、そう簡単に考えるということは、これは遺憾であると思うのであります。特にあなたの方ではそういう隘路を打開するために、わざわざカッコ級別定数というものを作って、その中に流用ができるようにしておられる。これはどういうところにいきましても、俸給表をどういうふうに作って、等級を七等級にしても十五等級にしても、少い等級にしても、結局予算の裏打ちがなければ実は昇給昇格はできないということなんです。予算にすべて縛られているのです。その予算の範囲内においてはどういうようにでも、あなたの方で運用を今までもやっているので、今度この俸給表ができたからといって、予算の裏づけというものがなかったならばこれはやっぱりできない。それは今度一回だけは予算の裏打ちがありますが、今後の昇格昇給というのは予算にすべて制約をせられるのでありますから、あなたのただいまのような答弁では、単に等級を短縮したというだけでは、その中にどうしても予算というものと級別定数というものがある以上は、打開できない隘路は隘路として残るということになると思いますが、いかがですか。
  292. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 給与の問題は予算にある程度の制約を受けるということは、これは一つの宿命でありまして、これは率直に認めなければならないと思います。問題は、予算その他の制約を受けるにいたしましても、運用面でなし得る問題と、制度改正によって緩和する問題と、分けて考える必要があるのじゃなかろうかと思うのであります。ただいま問題になっておりますところの技能労務職の問題にしましても、現在少くとも七つあるいは八つくらいに細分化している。今回は、先ほど申し上げましたように、自動車の運転手の例をとりますと、一般の運転手さんと車庫長、それから守衛さんの例をとりますと、守衛さんと守衛長、二つしか今度の等級では分類ができないのであります。つまり制度的に従来七つも八つもこまかに分れておりましたが、ただいま例示しました点で申しますと、二つの段階に圧縮されるわけであります。そうしますと級別定数といい、あるいは等級別定数といい、御指摘のように予算上ある程度の制約を受けるにしましても、七つも八つもあった級別定数の制約より、わずか二つしかない制約の方が非常に緩和される、・これは否定することはできないであろうと考えておるわけであります。
  293. 片島港

    片島委員 それはいつまで論議しても、やはり今度の級別定数を作ってくる。あなたの方で今後制定せられるわけですが、この紋別定数の裏づけとなるものは予算でありますから、予算が伴わなかった場合に、制度だけを作ってもどこかでこれは運用が困難になってくるということは、どうしたってこの給与問題についてはやむを得ない。俸給表を非常にたくさん作るということは——私は、話が前に戻りますが、人々がその俸給表の適用を受けることによって非常に差別待遇を受けておる。特に著しい例として、一般職行政職について一と二を分けておりますが、その二の方は地方支分部局についての俸給表であります。地方支分部局といいましても中央との人事交流があることは御承知の通りで、向うに転勤したり、こちらに転勤するたびごとに号表の取りかえを発令して、地方の場合はこうだが、中央の一号表に当てはめた場合はこうだと、同じ行政職で、地方におる人間には、お前たちはこういうワクだ、中央におる人はちょっと偉いんだからこういうきれいなワクだということにしなくても、同じ俸給表をやればいいのであって、どこに地方に支分部局などと区別しなければならぬ理由があるか。これはいろいろな、たとえば教職員の問題について、高校あるいは一般中学、小学などの俸給表について論議されたことでありますが、こういう、お前たちは別の人間だというような形を示して俸給表をたくさん作れば作るほど、実際上は人事行政における運用手続がかえって複雑になると思うのですが、この点は総裁いかがでございますか。
  294. 淺井清

    ○淺井政府委員 ただいま御指摘の中央地方の行政職の区別というのは人事院勧告にございませんのです。人事院は一本でやっておりますから、その点は政府側から……。
  295. 大山正

    大山政府委員 行政職俸給表を一と二に分けました点は勧告になかったのでありますが、これの立案に当りましていろいろ検討いたしました過程で、私どもといたしましては、この方がより適当かと考えて二つに分けたわけでございます。この理由は、前会も申し上げたかと思うのでありますが、勧告のありました七等級の区分が大体中央の本省庁の組織段階に非常によく適合しているわけでございますが、地方の職務段階を考えました場合には若干差異があるのではなかろうか。行政の一と二でごらんいただきますように、七等級と六等級は全く同じでございます。一の四等級と二の三等級も同じでございます。変っておりますのは、結局一の五等級を二の四と五に、一の三等級を二の一と二に分けたという点が違っておるわけでございます。これは、地方の機関におきまして、たとえば第一線の機関の所長というような方々が本省の課長補佐、四等級のクラスに標準的に相当しているという場合が多いのでございますが、その下にまた課長係長というような段階がある場合が多いのでございまして、これを中央の一つの五等級に統合するよりは分けた方がむしろ適当であろう、あるいは行職二の一等級、二等級につきましても、工事事務所の所長でありますとか副所長というような段階から見まして、やはり分けた方が適当であろう、かように考えて一と二を分けたのでございまして、別にこれによって地方と差別する、あるいは軽視するというような意図ではございません。
  296. 片島港

    片島委員 非常に理由か薄弱じゃないですか。仕事の性質が違うといっても、実はたとえば地方の支分部局に本省から行く、また向うから、今大学を卒業した者でもあるいは地方の高校を出て非常に優秀で中央に入るというような人も非常に多いので、そういう場合に一々俸給表の切りかえをやる必要がない。特にこの号俸で、一号俸当りの俸給額が違っておるならばこれはまたその理由があるかと思うのですが、実はただ一等のところを二等に下げ、一等が二等、二等が三等といったような程度のところに、地方では給料は安いが等だけは上に上げてある。しかし、お前は地方の上位だぞといっても、地方職員として等は上の方だけども、中央にきたら低くなるのだ、俸給表は全く同じものを、同じ金額のものをそれぞれに当てはめておいて、そうしてこういう区別をするということ自体が、わざわざ差別的な感じを非常に与えたというようにしか私は考えられないのですが、やはりあなたの方では、これは絶対にこういうふうにやらなければならぬのですか。人事院勧告にもこういうことはないのです。これは大山さんが特に考えられたのだろうと思いますが、いかがでありますか。あるいは人事院のように一本にするというお考えはないのですか。
  297. 大山正

    大山政府委員 二分しないと絶対にやっていけないかという御意見でございますが、もちろん絶対にやっていけないというような性質のものではないとは思いますが、この方がより適当であろう、かように考えまして立案した次第でございます。
  298. 片島港

    片島委員 先ほど頭打ちの問題についていろいろ論議をしたわけですが、頭打ちというのは、ワク外になるというのは、結局昇給制度をどういうふうに運用していくかということになるのでありますが、昇格については、職務が上級段階に上るというので、これはわかるのでありますけれども昇給ということについては、これはどういう性格を持っているというふうにお考えになりましょうか。私が特にこの点を人事院政府当局に聞きたいのは、戦前は二割からの退職人員がありましたために、実は昇給予算というものは別に予算を取らなくても、新陳代謝によって、上級者がやめて、その分が新規採用の方に回っていくというような形で、上のやめた者の分が下の方にいき、その昇給原資が回るというような形で、昇給原資を何%というような考えは前は持っておらなかったのであります。ところが最近は四、五%くらいの退職率しかないために、やれ四%だ五%だという昇給原資を確保しなければならぬということになっているのでありますが、昇給とは一体どういう考えでやっているか。特に私が申し上げたいのは、民間の営利事業である場合にはその能率が上り収益が上るという場合にはどの程度でも上げていいが、国家公務員の場合は、一般の民間営利会社と違った考え方を持っていかなければならぬと思うのでありますが、人事院においても相当検討されただろうと思いますから、この点を一つ人事院当局からお答え願いたい。
  299. 淺井清

    ○淺井政府委員 昇格は、今度の案によりますれば、要するに上の等級へいくことでありますから、それはやはり職務と責任の違った官職につくことになろうかと思うのでありますが、しかし昇給の方はいわばこれは俸給の幅でございますから、生活給的な要素を持っており、勤続年限に応じて給与がふえていくということになろうかと用います。  なお、給与局長から補足させます。
  300. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 昇給の方は、現在の給与法によりますと、一応予算の範囲におきまして、勤務成績の良好な者が昇給するということになっておりますが、従来の給与法の運営の実態を申し上げますると、長期病欠あるいはその他の事由がない限り、普通の勤務成績で勤めておりますれば、給与法に定めておりまする期間を経過いたしましたならばこれはまず昇給する、こういうことになっております。われわれといたしましては、人事院勧告におきましても、大体従前の昇給速度というものを一応の目安にいたしまして、今後もそういうことが継続されるということを一応念頭に置きましてこの計画を作っておる次第であります。
  301. 片島港

    片島委員 昇給については大体どのくらいの——今は四%ですか、俸給総額に対して何%くらいを見込めばよいとお考えですか。
  302. 瀧本忠雄

    瀧本政府委員 現在の給与法におきましては、たとえば職務の級の低い方におきましては六カ月昇給ということになっております。現在の給与法におきまする俸給表の基礎になっております通し号俸は大体等比級数曲線になっておりますので、一号の刻みというものは、下から上まで通じまして大体三・八%くらいになっております。しかも下の方におきましては一年間に二度昇給するということになるのでありますから、その辺は三・八の二倍の七・六、大体その辺の昇給率になろうかと思うのであります。これは職員構成が俸給表のどの部分に非常に多く固まっておるかということによりまして、全体の昇給率というものがきまって参るであろうと思うのでありますが、現在の予算では、大体四%見当というところを一応俸給に関しましての昇給原資ということで見てございます。ただ事実問題としましては、ある人が欠員になりました際にその次の人を充足しますのに多少の期間があったりする。そういうようなことでいろいろ補いをつけておりまして、実際はそれより多い昇給をいたしておるのでありましょうが、予算上は大体四%見当というところがこの昇給原資の組み方になっております。
  303. 片島港

    片島委員 あなたの方でいろいろと二十九年、三十年ごろから検討せられて、戦前の一般官吏及び雇用人の昇給の状態を調査しておられるのを拝見いたしますと、戦前では判任官、雇員が大体一〇%、それも判任官でも最も数の多い七、六、五、四級というようなところの昇級率が一〇%程度であります。ところがまた高等官にしましても、最も数の多い四等、五等、六等、七等という下級の高等官の方は、これまた八%ないし九%という昇給率を示しておるのであります。たまたま今日非常に新陳代謝などがないために昇給原資に困って、非常な安いところに押えられておるのであります。しかし新陳代謝があるないというようなこと、特に人員構成は——あなたのところの言葉で言えば不適正だそうでありますが、この不適正な人員構成というものは、何も本人たち国家公務員には罪とがはないのです。これはそのときの政治情勢、経済情勢によって自然とそういうような職員構成の波が出てくるのでありまするから、これを公務員の方に押しつけて昇給制度を加減するということは、これはあってはならぬことであります。神武以来の大景気でありますから、実は戦前よりも景気がいいのに違いないのでありますが、公務員の方だけは一〇%、あるいは高等官でも下の方は、八、九%といったような程度のところを、今日四%程度に押えなければならぬという理由はどこにあるのでありますか。
  304. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 ただいまのはどの資料から御指摘になっておるのか、実は資料を拝見しておりませんのでちょっとわからないのでありますが、ただいまおっしゃいました判任官が一〇%云々というような点は、おそらく想像でありますけれども、中央官庁におきましてはあるいはそのくらいな昇給率を持っておったところがあるかもしれないと思います。ところが御承知の通り、旧官吏制度におきましては、中央と地方とにおきまして非常に大きな差別待遇をやっております。卑近な例をとりますと、中央と地方とにおきましては初任給も違っております。昇給率も違っております。また昔ありましたところのボーナスにおいても違っておるというふうに、中央と地方とにおきましては非常に大きな差別待遇を昔の制度はやっておったわけであります。従いましてこれら中央地方をひっくるめました全体の面から見ますと、どの程度昇給率であったかということになりますと、遺憾ながら私ども現在手元にはっきりした資料を持っておりませんので、ちょっとはっきりしたことは申し上げかねるのでありますけれども、要するに全体から見ると御指摘になりました昇給率は非常に下回るのではなかろうかというふうにまず第一は考えるわけです。それから現在の昇給率につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、給与法の通りに運用いたしますと大体五・五%くらいの昇給率になっております。私どもは民間の昇給率等も調査いたしておるのでありますけれども、意識的にことさらに昇給率を圧縮するというような考え方は持っていないのでありまして、今回の改正法律案におきましても、昇給率につきましては大体現状を維持するという考え方のもとに勧告はいたしておるはずであります。また民間とのバランスからいいましても、大体似たり寄ったりの昇給率が維持されるのではなかろうか。従いまして人的構成云々の問題も出ましたけれども、私どもは率直に言いますと、昔のようないわゆる定員定額ということが現在の給与法なり運用の面から見て非常に大きな困難があるから、従って御承知のように、毎年々々新規の昇給原資として四%程度計上しておるというような現状に相なっております。
  305. 片島港

    片島委員 私が一〇%ないし八、九%というのは、あなたの方で各省別——これは省が全部あがっておりませんが、あるいは大蔵省とか、あるいは逓信省とか、そういうような数個の省についてあなたの方が調査をしておられるその資料を私は実は拝見してこの数字をあげておるわけであります。ところが実は今度の昇給期間、またこの額を見ますと、必ずしも下の方に厚く上の方に薄いというようなことでなくして、むしろ上の方がよくなっておる。昇給期間が同じ一年であるのに、非常に昇給領が高いというところから見ても、上に非常に厚く下の方に薄い。ところがあなたの方が調査になっておる、これは慶徳さん知っております、あなたが作ったのですから。その資料に基きますと八%、九%、一〇%という、こういう高率のところにあるものが、今度のこの俸給の率によって七、八、九、四、五、六、七といったような、判任官でも高等官でも下の方は割によかったのです。判任官でも一級、二級、三級になったらなかなか上らない。そうすると高等官でも三等の一級、俗に三丁目一番地とかなんとかいっておりましたが、勅任官にならない人は三等の一級でとまったらとまったきりです。これは絶対にとまりっきりといってもいいくらいです。戦前でさえそういうふうに上の方に薄く下の方に厚かったのです。それをあなたの方は昇給の率は引き下げる。上の方によくして下の方に安くするということは、あなたの方は戦前の官吏制度検討せられてその結果こういう俸給表を作られた。そういうことに対して昔のいいところはとらないで七等級制にした——私は大臣に聞こうと思ったのですが、昔の旧官吏制度を復活するという、制度の復活だけは皆の制度をとったが、金目になるような、ふところに入るようなところだけは、上の方はよくして下の方は薄いという案を作られたことはけしからぬと思います。総裁は十分昔のものを検討されたかどうか御所見を伺いたい。
  306. 淺井清

    ○淺井政府委員 俸給制度が昔がいいか今がいいか、これは大問題でございますけれども公務員法の制定以来の従来の経過をたどってみますと、大体現在のような趨勢になっておるのでございます。なるべく下に厚く上に薄くということも問題になろうと思いますけれども、今度の勧告は大体戦後発達してきた給与の現状をそのまま取り入れておるのでございますから、こういうふうになっておるのであります。決して上にだけ厚くして下に薄くしようという意図は持っておりません。
  307. 片島港

    片島委員 職階制度を強くした七等級、私は特に大臣にお伺いしようと思うのでありますが、実は旧官吏制度において御承知のように、高等官、それから奏任官、判任官、雇員、用人というようなことに分れておったのですね。ところがまたおかしなことに勅任、奏任、判任、雇用人を見ても定率が二つあるのです。勅任でも定率が二つ、それから奏任にも定率が二種類ある。御承知のように書記官と事務官といったような形で二種類ある。勅任も一等と二等とある。判任でも定率が実は二つあったのです。さっき慶徳さんがおっしゃったように、地方の方に適用するもの、それから今でも警部補、警部というふうな形で、二つの定率があるのだから、ちょうどあなたの方が考えておるのは昔の官吏制度を復活したような形になっている。ところが一方においていいことはそのように改めなければならぬのですが、下っ端の方の昇給なんかを見ると、これはさっぱり昔の制度を考慮しないで、一つの看板を掲げる点だけは、昔の金筋を偉い人にだけはつけさせてやって、下の方の給料はさっぱり見ておらぬということがおかしいと私は言うのです。これはこの際下の方を少し厚くする。たとえば頭打ちになるような場合でも、二十四カ月もこれは昇給しないんですかね。下っ端の者で二十四カ月も待たなければ昇給しない。上の人は十二カ月でどんどん昇給する。もっとも下っ端でも初めのうちは昇給しますが、だんだん上が頭打ちになってくると、二十四カ月待たなければならぬ。そうすると少しこの職務がうまく上っておった、ずり上っておったやつは、ぽんぽん、ぽんぼん十二カ月で上っていく。私はもう少し昇給期間の問題、金額の問題について下級者、ことに数が非常に多く集まっておるところに優遇する俸給表を作るべきであると思うが、この点について一つ淺井さんと大山さんの見解を聞きたい。
  308. 淺井清

    ○淺井政府委員 御説はまことにごもっともでございまするけれども、今回の勧告は大体現状を基礎としてやっておるのでございまして、特に政策的な意味は設けませんでしたから、こういうことになっておるのでございます。これは午前中もなぜもっと研究職俸給表をよくしないかというわお話もございましたが、それにも同様でございます。これは現状を基礎とした現給分布で作っておりますからこうなっておるのでありまして、御説の点はこれはまた将来の問題になるだろうと思っております。
  309. 大山正

    大山政府委員 ただいま総裁から述べられましたのと同様でございます。
  310. 慶徳庄意

    慶徳政府委員 ちょっと私からも補足的に説明を許させていただきたいと思うのでありますが、先ほど総裁からお話がございましたように、今度の改正法律及び人事院勧告現行法の昇給曲線あるいは現行法の昇給率の合理化というところに、昇給率については重点を置いておるわけであります。従いましてただいま御指摘のように、なるほど金額の面から見ますると、上の等級昇給金額が多いようにできているのでございますけれども昇給率という観点からいたしますると、やはり下の等級昇給率が非常に高うございます。上の昇給率は少うございます。大ざっぱに言いますと四%から八%というような傾斜カーブをもちまして下の方の昇給率がよくできておる。現在もそうなっているわけでございまするけれども、現在のそういう昇給率を維持するという考えのもとに作ったわけであります。これは実は小委員会の方でもその点問題になっておりまするので、私どもの方から具体的な資料を差し上げまして、その資料によってさらに説明申し上げる約束になっておりまするので、本日は大まかなことだけをお答え申し上げておきます。
  311. 片島港

    片島委員 これは人事院では給与局また政府では大山さん、この方々はやはり自分で作られたんですが、この俸給表というのは大へん重大な問題で、公務員の経済的なまた社会的な地位あるいは権力をどの程度持たせるかといったような問題にまでこれはなってくるのであります。俸給表というのは非常に重要でこれは公務員制度改正するのとほとんど変らないような気がするのです。これによって公務員がほとんど再編成される。編成の仕直しをやるのでありますから、今の公務員がみんなどこかに編成がえをして入っていく。いつの場合でも選挙法を改正する場合には別表が一番問題になるのです。別表だけだったら大したことはないじゃないかというが、別表が一番が問題になる。相撲で言えば番付が一番重要な問題で番付を変えるために一生懸命やっておるのです。ほかのことはどうでもいいのです。選挙法でも別表がよくならなければ、何ぼ前の法律の文句を変えたって大したことはない。ところが俸給表というのはこれは相撲で言えば番付であり、また選挙法でいえばこれが別表なんです。でありますからこれを作ることによって、もうほとんどの人たちがみんなどっかの番付に持っていってしまわれるのです。ところが序の口からでも精進をいたしてどんどん横綱になれる、それをあなたの方はお前の方はこっちの方の番付だ、お前の方はこっちの方の番付だといって別々のところに番付を作るから、もうその人は永久に上れぬというようなことになってしまう。こういう重要な俸給表を作る場合には、やはりどうしても作る人たちは自分たちが少しでも都合がいいようにということになってくる。ですからこういう問題は私は事務当局からそれを説明するよりも、むしろ政治的な感覚、考え方から国全体の公務員の再編成をやるというような番付をこの際発表しようという、こういう重要なものについては、私は事務当局の答弁でなく、一つ労働大臣委員長の方から督促して呼んでいただきたい、予算委員会の方には用がないそうです。ここにおれば何か文句を言われるからあっちに行ってじいっとすわっている。早く労働大臣を呼んでもらいたい。そうして基本的な問題について、あの方はたしかお役人をしておられなかったから、そういう立場から大臣の見解を聞いて、それからこの問題については話を進めていきたいと思います。  実はこのたびの給与法の改正というのは、一番今国会における重要法案として一般に注目をせられておるのでありますが、その際大臣がこの委員会に出席をせられぬというのは非常に遺憾に私は考えるわけであります。今申し上げたのでありますが、ただ単に別表をたくさん作って並べておる。間隔も大体似たようなもんだというような簡単な考えで、私たちはこれを審議をするわけには参らぬのであります。特に大臣にお尋ねをしたいのは、今度の俸給表改正は、実は公務員制度改正につながるものがあるのであります。いろいろな別表を作ってまたそれに等級をつけておる。その等級に全部の公務員が編成がえを受けてみんな当てはめられるわけでありますから、これは非常に重要な要素を含むので、特に事務当局といたしましては自分たちにも直接関係をすることでありますから、非常に真剣になって考えられたのでありますがしかしこれは政治的にどうしても私は考えていかなければならぬ問題だと思う。特に七等級という等級を作ったことについて、私は大臣答弁を聞いておりましてもどうしても納得がいかない。そこで今私がまた聞いても納得がいかない、ところがこの七等級というものは、ちょうど旧憲法下における官吏制度をそのままほうふつさせるものがあるのであります。松浦さんは役人としてはたしかおいでにならなかったと思うが、しかし大体役所には非常に関係のある方でありますから御存じでしょうが、前には勅任官、奏任官、判任官、雇用人というのがあったのであります。勅任官を見ましても、一等、二等、それから奏任官も定率が違うので、同じ奏任官で定率が二種類ある。定率というのは俸給の単価です。それから判任官にもまた二種類の定率がある。勅任官に二種類、奏任官に二種類、判任官に二種類、これで六つになるのです。そうしてその下に雇員というのがあったのであります。雇員というのはそのまま長く勤めれば判任官の下級者に任官をするわけであります。用人というのはもう判任官には絶対にならない。しかも物件費で、ほんとうに物を扱うようにして使われておったものであります。今度の七等級制を見ますと、ちょうどこのようになっておる。そうして判任官には絶対に上らない用人クラスになるものは、技能労務職といってここにはお前たちは入れぬのだ、こういうきれいな家には入れぬのだ、お前たちはこういうきたない家に住まわなければならないのだという、別表を作って用人の家、それからそうでなくして、幾らか洋服を着た連中が入る家は昔と同じ官吏制度、旧憲法下における官吏制度を踏襲したものであり、これはまさに官吏制度の復活であると私は考えるのであります。これは重要な問題ですから、ここまで考えなければならぬでしょう。せっかく新しい公務員制度ができて、そういう差別をしないような新憲法における公務員を、このような旧憲法下における官吏制度の一つの規格の中にもう一回陳列し直すということは、非常に非民主的な反動的なやり方であると思うのでありますが、俸給表における金額その他については私はまだ論及はいたしておりません。金額がどうあろうとも、ちゃんとかんばんにレッテルを張るというその着せ方が、旧官吏制度を復活する最も顕著な例であり、あなたはおそらく官僚制度に対しては鋭い批判を持っておられたに違いないと思うのです。これはほんとうに重要です。この等級は右の方の等級を削ったからといって、何も俸給表が成り立たぬわけではないのですから、こういう七等級とかなんとかいう配列はやめて、通し号俸できれいにして、身分のいかない者は何も上にいかなくていいのですから打ち切ってしまう。こういう七等級なり、技能労務制度は、小委員会でこちらの方を削ってもらいたいと思うのでありますが、労働大臣はどうお考えでございましょうか。
  312. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 最初指摘になりました今国会における重要法案であるという点は、私もそう思っておりますから、一分でも長く皆さんと真剣に討議したいと思っておるのでありますが、参議院の予算委員会に呼ばれまして、今ようやくあいたのだけれども、また来てくれといっておるのです。それで予算の通過とこの問題との関係でありますが、私が行かなければ、きょう質問の終るやつが終らなくなってしまうのです。そこで向うにおったのですけれども、お手呼び立てがございましたものですからやってきたわけでございますが、決して軽視しているわけではございませんから、御了承を願いたいと思うのであります。  ただいまの御指摘でございますが、官吏制度の復活と私は思っておりません。公務員の方々の一番支持しておられる役所は人事院であります。その人事院の方からこういうふうにした方が民主主義国家においては適当である、しかももう一点は、職務給として一応十五を七つにするのが適当である、こういう答申がございましたものですから、これと生活給とを調和いたしまして、頭打ちの点あるいは横すべりの点というようなこともともに生活給として解決すると同時に、職務給として七等級にしたのでございまして、封建的な考えにあと戻りするということは全然考えておりません。
  313. 片島港

    片島委員 頭打ちワク外のことは先ほど事務当局と非常に論戦をしたので、あなたよりも実は事務当局の方が真剣に奮闘せられ、また私もそれに対して非常な反論をしておったのです。この等級というやつは頭打ちには関係がないのですよ。ここにずっと出ておりますが、俸給表における金額すなわち一から十六まで並んでおる金額については、通し号俸でもっていきましても、上の方の等級というのはなくてもこの俸給表は成り立つのです。それを特にこういうふうに七等級に分け、さらにいわゆる用人クラスだといって、技能労務職を別のところに持っていかなければならぬという理由は、どこにもそういう強い理由がないのです。人事院総裁に聞いても、いや決して七等級が絶対なものじゃないが、まあ七等級くらいがいいだろうという答弁なんです。それは絶対に科学的にこれでなければならぬというものではないのですから、わざわざそういうようなにおいをここに織り込むような俸給表を作らないで、そういうくさいところだけは削って、きれいなところだけを残すというようなお考えはないかどうかをお尋ねしておるのです。
  314. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 この点については一昨日も答えたのでありますが、私どもはいやしくも国会に案を提出するに当りましては、その法案に対する責任を持たなければなりません。でありますから、私どもは今提案して御審議願っている内容が最善のものだと思っておりますが、国会における審議の変化に対しましては私どもの力の及ばないところでございます。しかし自分の出した案はどこまでも支持したい、こういう強い考えを持っております。
  315. 片島港

    片島委員 それでは私が先ほどから指摘をいたしました問題等について、これは私は小委員会等において非常にまじめに取り上げられるだろうと思う、そしてたまたま小委員長は非常に良心的な方でありますから、おそらくこれが修正について考慮をせられるであろうと思うのでありますが、そういう修正がなされても松浦さんとしては別に御異論はないですか。
  316. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 給与担当の私どもといたしましては、提案いたしましたものが最善のものだと思っておりますから、あくまでもこれを支持します。しかし国会の審議における変化は、私どもの手の届くところではございません。
  317. 片島港

    片島委員 それではこの等級の問題等については、私はまた小委員会においてさらにお尋ねをしたいと思うのでありますが、この十五級という等級を七等級に減らすということは、いろんな人事行政をやっていく上における簡素化といいますか、そういうようなことも人事院の方ではうたわれておるのでありますけれども、一方俸給表は七表あったものを十六表作っておるのです。一方においては等級制度というものを私が申し上げたような形で当てはめておきながら、片一方においてはこの番付をたくさん並べて、お前はこうだ、お前はこうだといって格付をして、そこにくぎづけをしてしまうというような形になるのです。一方の俸給表を全体的に見るならば、十五級あったものを七等級とするというその趣旨は、むしろこちらの方の中にできるだけ整理をするというのが正しいのに、一方俸給表の方だけは今度倍以上にふやすということは、私はどうしてもあなた方の考えに不統一があると思うのでありますが、いかがでありますか。
  318. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今の問題に対しましては、技術的にわたる点が多いようでございますので、室長から答弁いたさせます。
  319. 片島港

    片島委員 それではこれは政治的な問題ですが、実は私は現在の俸給表に当てはめた場合の公務員の構成、特に新俸給に切りかえた場合の号俸別の人員をはめ込んだ資料を人事院の方にも、また調査室にも調べてもらったのですが、そういうのができておりません。、それでは予算を編成するのに非常に困難であろうというふうに私は考えましたところ、俸給額の六・二%というものを一つの基準として予算は編成されておる、こういうようなことであります。そうすると六・二%をこの俸給表に当てはめて今後いろいろ作業せられるであろうと思うのでありますが、私の手に入った限りにおける資料においていろいろとそろばんをはじいてみますと、現在の俸給表のままで六・二%ずつ全部をベース・アップする——これは原資は同じです。みんなに六・二%のベース・アップをする、そして現在の俸給表でずっといった場合には、昇給が今のままでいった方が一番構成人員の多い下級職員には実は率がいいのです。この俸給表はずいぶん手を入れましたから、率が悪くなるのです。こういうことは、現在はいいのですよ。みな一号俸ずつ上りますし、期間の問題もありますから、現在はみんないいことはさまっておるのですが、しかしあとになって悪い。ちょうど高利貸しが金を貸すときに前利を取って貸しますが、これは現在財政的に割合ゆとりがあるものでありますから、あなたの方は最初のうちはこのまま貸しておいて、今のままでいった場合には、人事院の資料によりますと、人員構成が非常に不適正である。不適正であっても仕方がないのですが、不適正なために、この波が、現在の七年から十二年くらいの勤続年数の者が、どんどん勤続年数が上っていくと、原資が非常にたくさん要るのです。だから今の神武以来の好景気のときに、あなたの方は前貸しをしておいて、そうしてあとになったらば、あと利を取ろう——前利を取った方がまだ目先がはっきりしますから、下級公務員もよくわかるのですけれども、実はあとで取ろうというのですから、六・二%を一律にかけてそのまま昇給をしていった場合には、あとでは悪くなります。これは非常に迷惑千万なことであって、非常にたちの悪い高利貸しのようなやり方である。この点について労働大臣はそういう問題を検討せられたかどうか。これはベース・アップは絶対にやらない。ベース・アップ方式によらないという人事院考え方とは根本的に変るのでありますが、労働大臣の御所見はいかがでありますか。
  320. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今の問題に対しましては、悪くしようということを前提において考えたものじゃないのです。ほんとうによくしたいということの一念に考えたものでありまして、最初はいいけれども、あとから一年、二年、三年後には非常に悪くなる。まるで高利貸しのようだなどと、そういう悪い考えを持ってやったのでは全然ございませんから、今御指摘になりましたようなこまかい点につきましては、室長から答弁させます。
  321. 大山正

    大山政府委員 現行のままで上げました場合と比較してどうなるかということでございますが、現行で上げまして、そのまま通し号俸で全部上ると仮定しますれば、あるいはそういうことも言えるのかと思うのでございますが、現在でもそういうことではございませんで、やはり一定の級までいって頭を打つ、また次の例外級に入るというようなことでございますので、そういう現行制度と比較いたしまして、決して全体として悪くなるということはないと考えております。
  322. 片島港

    片島委員 現在のままの俸給長、現在のものに全部一律に六・二%をやって、それがそのままずっと昇給をしていった場合には、あなたは今頭打ちとかなんとか言われたが、頭打ちの問題は先ほど論議したように、級別定数がふえなければ、格は上に上りはしたいのです。今の係長がいつまでもやめなければ、また課長がいつまでもやめなければ、上げようがない。係長をどんどん作り、課を勝手に作るわけにけいきませんから、やはり上の方に上るには限度がある。それは、今度の新しいものでもある。現在でも、ある。同じことです。そういう頭打ちの問題とは別に、順調にいくとすれば、かえって今のままに六%を上げて、それから年期が立った方がこういう操作をやるよりも、一番この人員構成の多いところでそれには有利になっておる。人事院慶徳さんがおられますが、慶徳さんが作っておられるのですが、こういうような三十年九月一日にその資料を発表して、現在の人員構成からいった場合には、定年制を採用してもなお職員構成が不適正であるがために、人件費は著しく増加するといってその曲率を出して、もし定年制でも作らなかったならば、十五年後には現在の俸級の二一三%までその原資がふえるのだ、こういうような資料まで作って、みずから驚いておられる。そこで人員構成が不適正なために、こういうことをやっておったのでは困るからというので、何にも罪のない公務員の編成がえをやることによって、この驚きを何とかしておさめていこうという魂胆があったということは、この資料によっても明らかであります。労働大臣はそういう悪意は決してないと言われても、実際はこれまでに行われた作業から見れば、そういうことになるのでありますから、もし、ほんとうにあなたが政治的にこれを考慮するならば、むしろ六・二%の一律ベース・アップをやって、そうして昇給表をずっといった方が今の公務員に対する親切なやり方であると思うのですが、いかがでありますか。
  323. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほどから何べんも答えておりますように、旧法から新法に変るときは、一号上げてやるということに前提を置いております。それが一年を通ずるならば、六・二%になるという総括的な考え方の上に立っておるのであります。でありますから、私どもは現在やっているのが、御指摘になりましたような悪意をもってやっているのではない、見方によっていろいろありましょうけれども、そういう考えは毛頭ありませんから、御信用していただきたいと思います。
  324. 相川勝六

    相川委員長 受田君。
  325. 受田新吉

    ○受田委員 あす、ひまがないと困るから、今ちょっと、お疲れでしょうが、大臣、あなたの御在任中の最も重要な法案でありますから、一つがまんしていただきたいと思います。私は、あなたの今回出された法案に対して本格的な質問を明日させていただく予定にしておりますが、そのはしりをちょっと……。  今、片島君からお尋ねになったことは、きわめて重要な問題なんです。なぜかというと、あなたは目下公務員制度及び給与両方を担当される国務大臣と私は一応確認しての御質問でございます。あなたは、今あなたの御担当になっているお仕事が、二十九年にできた公務員制度調査会なる機関によって答申された諸事項を実践される立場で、その一環として今回給与法案をお出しになったと認めてよろしゅうございますか。
  326. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今回の給与法は人事院勧告を基礎といたしまして、公務員制度調査会等の意見も参考として、政府の責任において技術的な面を処理したのでございます。その基礎は人事院勧告であります。
  327. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは、人事院勧告に基き、公務員制度調査会の答申を参考として政府の信念でお出しになったとおっしゃっておられる。ところが……。
  328. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 信念とも言いませんけれども政府の責任においてやりました。
  329. 受田新吉

    ○受田委員 それは同じことです。そこであなたに一つお尋ねしなくてはならぬのですが、人事院を非常に尊重されるという言質をしばしばここでお示しになっておられる。これはけっこうなことです。しかし一方において、人事院勧告した内容と、公務員制度調査室が答申している答申内容とは、似たり寄ったりなものであって、大同小異であるという形のものと私は判定するが、それに対してあなたの御見解を伺いたい。
  330. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 まあ大した矛盾はないと思いますけれども、われわれが参考といたしました点は、始終御指摘になるように、一年と六カ月の問題だけが一番問題になっているのですが、他の方面は大体において人事院の方に重点を置いております。
  331. 受田新吉

    ○受田委員 人事院勧告というものを尊重される立場に政府が立っていることは、私はこれは一応認めざるを得ないのですが、しかし人事院というものと、公務員制度調査室というものは、いわば裏面において相通じて、共謀によるところの日本公務員制度に対する新しい行き方をここで打ち立てようという魂胆のあることを、あなたは十分御承知でございますか。
  332. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 言葉づかいがどうもむずかしいので、その通りだといっていいか悪いかわからないのですよ。共謀なんというような言葉は、おかしいのですが、(受田委員「相はかるということです」と呼ぶ)そんな悪い考えじゃなしに、よくしようと思ってやっているのですから、どうもあまり勘ぐって疑わぬで下さいよ。実際同僚なんだ、昔から。そうむずかしいこと言われたって、困っちゃうんですよ。
  333. 受田新吉

    ○受田委員 私はそういう前提のもとに今から質問をさしていただきたいのです。だからお断わりしておいたのです。あなたは非常に民主的な立場で、日本公務員制度給与制度を改めたいというお気持を持つ大臣であると期待しておったのです。しかるに、はからずもあなたの今回御提出になられた案には、ある程度最高号俸の引き上げとか、あるいは初任給のごく少額の引き上げという配慮をしているのみで、実は思い切って先ほど片島君が指摘されたような、旧官僚制度の復活をあわせここにお示しになられたものと断定せざるを得ない節がある。なぜかというと、今公務員制度調査室では、公務員制度の根本的な改革に関して、この秋ごろまでに何とか成案を得たいと、今調査を進められているようでございます。従って公務員制度そのものと給与というものを一つの関連事項として、その一部ができ上ったものが、今回給与法となって現われたと私は断定せざるを得ないのでございますが、この点はあなたとしてどのような御見解を持っておられるか、お答え願いたい。
  334. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 人事院勧告によったものでありますが、これは調査会の方の意見も参考にいたしております。しかし先ほどからいろいろ御議論がありますように、旧官僚の復活のためにこういうことをやっているのではないか、そういうことが共謀されているのではないかというような、そんな勘ぐったことは一つ言わぬでもらいたいのですよ。われわれはそういう考えを持っていないのです。実際の問題としては、いろいろ勘ぐって考えれば、いろいろなことがありましょうが、この俸給表というものは一つの表なんですよ。その表は運営する人によるのです。運営する者がおっしゃるような考えであれば、今の制度だって官僚制度に引き戻せるのですよ。だから私ども行政官庁の長になる者は、御指摘になりましたようなことにならないように、民主国家完成のためにこれを運用していくように、運用の妙の発揮を考えなければいかぬと思うのですよ。でありますから、この表は公正にできているのです。ところがそれを勘ぐって、ああじゃないか、こうじゃないかと考えれば、またそうも考えられるのですが、われわれはそう考えていない。でありますから、将来官僚制度の復活になるかどうかということは、これを運用する大臣あるいは局長以下の、あるいは人事院の、今後の考え方によるものであると思うのです。私はそうあってはならないと思うのです。少くとも岸内閣においてはそれをやらさないと私は思っております。
  335. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは非常に信念を吐露されておりますが、人事院は近く廃止されようとしている。にもかかわらず、人事院に対して今非常に信頼と尊敬をされておる御発言があったが、これは過去のものとしてですか、将来のものとしてですか。
  336. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 過去におきましても現在におきましても、人事院は公正に公務員のために努力されておりますことは認めます。
  337. 受田新吉

    ○受田委員 将来……。
  338. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 将来においては、人事院を国家人事委員会改善しようとする案が今国会に出ておりまして審議中であります。私どもはこれはやはり人事院の意思と同じような意味において国家人事委員会というものが運営されていくものであると、かように思っております。
  339. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、人事院改善して国家人事委員会が誕生する、だからその精神は一貫して変るところはないとお考えでございますか。
  340. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 そういうふうに感じております。
  341. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、国家人事委員会というものは改善された人事院機構である。ところが人事院の持っている今の権限は、国家人事委員会を作ろうとされているあなた方の御意図とはおおむね逆な方向に権限を縮小されようとしておることです。これは御存じでございますか。
  342. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 室長からお答えいたします。
  343. 大山正

    大山政府委員 御指摘になりました点は、人事院が廃止された場合に、国家人事委員会ができるこれが権限が縮小されるのではないか、こういう点だと思います。御指摘のありましたように、権限の範囲が変ります。ただ今日人事院が持っておりまする勧告でありますとか、公平裁定でありますとか、試験でありますとか、そういう独立機関としてなすべき機能は国家人事委員会に残るというふうに考えております。
  344. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、それは改善という言葉で妥当かどうかということを、大臣からもう一度……。
  345. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それはあるいは改組という言葉がいいかもしれませんけれども、この内閣が、政党内閣の責任政治として、この人事の一端を担当することは必要であると私は思うのです。その点が変るだけであって、他の面においては変らないと思っております。
  346. 受田新吉

    ○受田委員 その、人事の一端を政府みずからが手中に納めようとされる、その前提として、今回の給与法の改正案が提出されたと私は認めざるを得ない。その理由は、またその理由に対する反駁は、今後の討論で明らかになるのでございますが、私は一つここで申し上げておきたい。私は、あなたが先ほど、一緒に内閣委員をやった関係もあるからと、やわらかく申された間柄ですから、別に悪意をもってなさず、善意をもってあなたにお尋ねを申し上げておる。しかも今、日本の国の公務員行政というものは戦後満十年にすぎない。国家公務員法ができて満十年、この満十年を転機として、一つの新らしい方向に転換されようとしておる。その転換のはしりがこの給与法案である。しかもその転換の方向は、過去十年間、特に下級公務員に公務執行上の希望を与え、職務執行について非常な満足を与えていたという一応の長所をもった制度でもあった。それが、この満十年の経験を何かの形で生かすとはおっしゃっておられるけれども、それを新しい反動の方向へ持っていこうという意図を私は指摘をせざるを得ない。それは先ほど片島君がちょっと触れられましたが、この給与法案の背景に公務員制度というものが必ずひそんでいるのです。公務員制度を抜きにして、この給与法を審議することは私はできないのです。この給与法は単に別表を拝見して議論をする問題でなくして、その背後に、日本の国の官吏制度というものを、強力なる権力発動の場として転換させようという意図が十分くみ取ることができると私は思います。一例を申し上げますと、この給与法の別表の中に、こまかい問題は抜きとして、中央地方を通じての行政職に対する差等がつけられておる。技能労務職という特別のきたない着物を着せるところのワクも用意されておる。お前たちはここまでしか行けないのだという、前途に希望を失わしめるところの措置を用意されておる。私は、ひとしく人間と生まれ、ひとしく国家の公務に従事する職員に、一方は一等職として、しかも中央官庁の一等職として、地方官庁の諸君をへいげいし、この高い俸給表の適用を受けるのみならず、管理職手当というものをもらって、そしてその手当の比率は依然として二五%ないし一五%、それだけの高額の手当をいただいて、そのほかには地域給とかその他のお手当もいただいて、雲の上人のごとく仕合せな御生活をされる人がおるかと思うと、一方において一番頂上でもせいぜい一万五千円ばかり、子供をかかえて四苦八苦して、真実公務に従いながらも、その最高目標があまりにも低いところに置かれた職種があるということについて、あなたはいかがお考えでございましょう。
  347. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 いろいろ御指摘がありますが、今おっしゃったようなワクがありましても、試験を受けて五級職、六級職に入れば、またその上にいけると私は思うのです。それからもう一点は、地方と中央の問題はこの間じゅうから問題になっているのですが、中央官庁と地方官庁においては組織も仕事も違うのです。だから一応分けておいても、中央官庁にまた入ってくれば中央官庁の中に入れるんですから、二つに分けておいても別に私は大した問題はないと思うのです。そんなに差別待遇をするわけじゃない。仕事の性質が違うんです。だから中央の課長は地方の部長になるというようなことが現在でも行われているのです。現在は十五の通しの中にそれがあるのですが、それをただ二つに分けただけで、別にこれが御指摘になるように官僚の陣営を強くするんだ、封建に戻るんだということにはならないと私は思っているんですよ。御指摘になるように考えればそういうふうになると思うのですが、私はこれらはすべて運用にあると思うのです。
  348. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと一口つながりで申し上げておきます。大臣、親愛なる大臣、あなたは今運用のことをおっしゃったのですが、運用の原則になる俸給表がはっきり差別待遇を受けている以上、その運用が自然に、たとい人事の交流があろうとも、交流をされざる人物に対してはもうはっきりとくぎづけされてしまうのです。しかも現在の制度においては、運用面にはなはだしく矛盾がある。同じ大学を出た者でも、東大を出た者と私立大学を出た者と、同じ大学出としての同等の待遇をしておりますか。あなたの部下である労働省の職員を見ましても、私立大学の出身者がいかに冷遇されているか御存じですか。はっきりした俸給表が、同じ大学出として昇給期間俸給額も規定されておりながらも、運用面においては非常に差別待遇をしておるじゃないですか。こういうところを考えてみたときに、現在の制度においてすら運用面に大きな矛盾が発生しているのに、さらにこの新しい、それぞれの職務を分け、等級を分け、そして一方はさっき申し上げたような高位高官に上り、下級者は最高一万五千円どまりでひや飯を終生食わなければならぬというような、こういう規則をお作りになったならば、一そうその運用面が上に厚く下に薄く、まじめに働く下級職員は冷遇されるという結果をもたらすということを御存じでございますか。
  349. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今いろいろ御指摘で、ございますが、私は私立大学、官立大学、あるいは学校に行かない、小学校だけでも、六級職や五級職の試験を受けて入れば、同等に戦えると思うのです。大学に行かなくたって、苦学してだって、五級職、六級職の試験を受けてやれるというところにこの妙味があると思うのです。それが上級の者が官学である、官学だけ引っ張るという学閥というものは、これはやはり断ち切っていかねばならぬと思うのです。それがこの一番いいところと思うのです。今の試験制度はそうなっている。しかし今後高文というか、もとの官吏制度の試験をやるというようなことは考えていないのです。今までの五級職、六級職のものでいこう、こういうことで考えているのですから、試験を受けて入るのだから、それは運用によってはどうでもできると思うのですよ。どうでもできるということは、御指摘のような差別待遇じゃないと思うのです。
  350. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは実情に通じておられない。各省の実情をごらんになられたときに、大臣のおめがねにかない、あるいはいろいろな立場で好意的に用いられる人もある。ごくまれに一部がとんとんでお上りになるだけです。あとは公務員試験に合格した職員でも、現に何人採用されておりますか。採用された職員の中でだれが優遇されておりますか。それをながめたときに、まじめに働く下級公務員に対して希望を失わしめる原因が、幾多ひそんでいるのを御存じですか。
  351. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それをどう改正したらよろしいのですか。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 だからここに公務員制度と兼ね合うようなこうした給与制度を設けて、七等級という厳重なワクをはめて、最下級に任命された人にそのワクの中でしか生活のできない立場に立たされておるというような形のものを持たないで、等級差を撤廃する、あるいは現行通し号俸等の尊重の形式をもって努力していく。能率を発揮する人に対する正当な報酬はこれを私は認めますよ。認めますが、まじめに努力しても、いろいろな立場で下積みになった人々に対して、道を開くような方向の制度をお出しになるならば、これはあなたの御心配の点が失われるのです。特にあなたはそういう意味では、かつて勤労の中からお育ちになられて、今日大臣の栄冠を得られた立志伝中の方ですから、私は願わくは、この公務員制度に対しては旧官僚制度の復活を断固排撃せられる目的をもって、この等級制の撤廃、あるいは現に軽視されておる下級公務員に対して希望あらしめる措置をとるとか、あるいは公務員試験に合格した人に対してはひとしく優遇の道をとるとか、あるいは東大とか慶大とか官私の別なく、これを人材主義で重く用いられるとかいうことになるならば、これはあなたの今の御心配は完全に救われることを私はここでお示し申し上げるわけでございます。その点において給与制度公務員制度とが一環として流れておる、相はかって提出されたこの給与法が、氷山の一角として、あなた方が今計画しておられるところの大いなる官僚制度の復活、人間に差別待遇を与えるような大構想の一端であるということを、私は指摘せざるを得ないので、今さよう申し上げたのでございます。御見解はいかがでございましょう。
  353. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それは見解の相違ですよ。あなたの方の言い方もいろいろ言い過ぎもずいぶんあるし、それは見解の相違なんですけれども、今御指摘になりましたような考え方に立っておるのです。それは悪くしょうと思っていない。特に今いろいろおっしゃったですが、私は昭和十二年から議員をやっております。当時の官僚のやり方については私は全くいけないと思っております。直したいと思っておる。それがこの案にひそんで隠れておるものがあって、それを私が看破することができなかったならば、これは自業自得でやむを得ないと思うけれども、そういうことはないと僕は信じておる。それをあなたはあるとおっしゃる。私はないと思う。だからそれはもう見解の相違ですから、どうか一つ御了承願いたい。
  354. 相川勝六

  355. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 大臣はこの前の予算委員会のときみたいに質問のポイントをはずされないように、一つはっきり答えていただきたいと思います。  まず第一に、この前も指摘いたしました現業との格差について、石橋君の質問に対しても実施面で善処したいというようなことを、言っておられるが、実施面で具体的にどうできるのか、この点をはっきりお示し願いたい。
  356. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 現行制度よりも著しい格差の起らないように、最善の努力をいたしますが、これは多数の号級、等級等のことでございますから、非常に著しい変化があるというような場合においては、その調整をするつもりであります。その調整の内容においては自治庁からどうぞ。
  357. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 ちょっと待って下さい。少くともこれは昨年の七月一日付の大蔵省の主計局の給与実態報告書を見ても大きな差がある。今度仲裁裁定が実施されるということになると、その格差はさらに拡大するであろうことは明瞭であります。それを実施面であなたは簡単に善処したいというけれども、実際できるのかどうか。その点はっきり大臣の方から御答弁願います。
  358. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今の御質問は、著しい変化のあったものを調整するというのは、どうして調整するというお問いであったのですか。
  359. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 そうではなくて、三公社五現業との……。
  360. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 三公社五現業との問題については、多少高いということは人事院も言っておられますが、この問題は今仲裁裁定の最中でありますから、この問題の比較については、今係争中の問題でありますので、ここではっきり申し上げることができないのであります。
  361. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 この前も私は予算委員会で、総理にその点をお話申し上げた。今あなたは盛んに、受田さんに対しても、片島さんに対しても、よくしたいと思って一生懸命やっているのだというようなことを言っておりながら、その口裏では今のような御答弁をされる。それは議会答弁なんだ。問題は調停のときにも言ったように、仲裁裁定が似通った形で出るであろうことははっきりしているじゃありませんか。さらにこの差が拡大されることははっきりしてわるじんありませんか。それが現在係争中だからどうだこうだ、どたんばにならなければものを言わない。当面をどうにか切り抜けていけばそれでいい、そういったことで、どうして公務員の給与改善ができるのか。いいかげんな答弁ではなくして、どうしたいということをはっきり言いなさい。そうして財源的な措置はどうするのだ、それを言わなくて、何の答弁になりますか。
  362. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、仲裁裁定は係争中でありますから、これをどういう裁定が下るかということをここで予想することはできません。それは労働省の中に仲裁裁定の委員会はありますけれども、法務省の中にある裁判所と同じであります。それを今から予想して、幾らになるからどうするということは、言う方が無理なのです。
  363. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 あなたも御承知のように、調停委員会と仲裁委員会というものは一本建になって、人的構成は一緒なんだ。そこから出てくるであろう結論というものは、当然予想できなければうそじゃないですか。この前も私は争議を長引かせた責任は政府にあるということを申し上げた。当然に予想されることに対して調停が出てからてんやわんやする。国鉄は仲裁を申請しておるのに、政府が引き延ばしてその責任を労組に転嫁して口をぬぐっておる。あなたはその事情をよく御存じじゃありませんか。いいかげんな答弁はよしなさいよ。
  364. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 それで何を聞くのですか。
  365. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 実際に出てくるであろう五現業との大きな給与上の差というものをどう処理されるかということをお伺いしておるわけです。
  366. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 私は何べんも同じことを言います。今の問題については、幾らになるかということは、仲裁裁定が決定しなければわからない。しかし仲裁裁定の決定したものは誠意をもって尊重をいたします。その結果において、差異が、また前よりも著しく違ってきたという場合においては、やはり人事院勧告その他があることだと思っております。
  367. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 その際の財源措置はどうしますか。
  368. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 今からそれを申し上げることはできません。金額はどうなるかわからないじゃありませんか。
  369. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 僕は金額のことを申し上げておるのではなくして、当然ある程度の形で引き寄せなければならないことははっきりしておると思う。で、すでに予算は通過しておる。プラス・アルファをどう処理するかという点については、今から心がけておかなくちゃ何にもできないじゃありませんか。仲裁裁定が出てからその結論に従って何とかするというけれども、そういった見通しがなくて何の答弁になりますか。いま一度御答弁願います。
  370. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 その問題ではなくて、今の御質問は現在でも差が多いじゃないか。しかしさらに調停のような金額をのめば——調停と同じようなものが出ると仮定して、それをのめばさらに差が大きくなるのじゃないか、その差をどうするかという私は御質問たと思うのでございます。だからそれはそのときになってみなければ、今から予想して御答弁申し上げることはできません。
  371. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 困ったことですが、これ以上申し上げてもしようがないので、これはよくあなたの方が考えておかないととんでもないことになりますよ。念のために申し上げておきますが、これ以上追及いたしません。そういったいいかげんな態度では、公務員の諸君は納得いたしませんよ。あとで淺井さんには今の問題で御質問いたしますが、労働大臣は急いでおられるそうですから、問題点を二、三点だけ申し上げますから、簡単に御答弁願います。  あなたはさっき受田さんの質問に対して、言わぬでもいいことを、地方と本省を分けたことについて、仕事の実体が違うからやむを得ないというような答弁をされたけれども、少くともスムーズに人事行政というものを行うためには、現在のあり方の方がずっとよろしい、仕事がどこが違いますか。皆同じような仕事をしておる、ボリュームについても同じだ、その持場々々はあるかもしれないけれども。その点についていま一度御答弁をいただきたいと思います。
  372. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 中央と地方とでは職務段階も違いますし、仕事の内容も組織も違うのです。それで地方と中央に段階をつけましたが、詳細につきましては室長から答弁させます。
  373. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 現在勤務地手当あるいは超勤手当、扶養手当、こういったものについて廃止の方向に動いておるようでありますが、そのような考え方を持っておるのかどうか、この点を簡明にお答え願います。
  374. 松浦周太郎

    松浦国務大臣 勤務地手当につきましては目下いろいろ検討中であります。大体国会に御相談願うような方向にいくだろうと思いますが、まだ各種の機関において検討中でございます。
  375. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最後に希望として申し上げておきますが、よくなれかしとあなたが一生懸命作ったというこの給与体系は、この前も私が申し上げましたように、いわゆる恐怖の報酬と同じなのでして、そこらへんについてあなたはやはり自信を持っておられるようですが、この次の機会にはあなたには質問いたしません。慶徳さんなり何なりに質問いたしますから、それをよく聞いておられて、そうしてほんとうにあなたが考えておられるようによくなっておるかどうかを見きわめた上で、真摯な態度で、国家公務員のために譲るべきものは譲るという線を出していただきたいと思います。きょうは迫水さんも来ておられることでやむを得ませんからどうぞ……。  では淺井さんにお伺いいたします。あなたは三公社五現業との給与の開きが、勧告される際にもその事実があることをお認めになっておられるのですが、今度仲裁裁定が出る、大体ただいま私が申し上げましたように、調停の線と同じようなものが出るだろうことは、常識的に予想されるわけです。そうなると、さらにその差は大きくなるのですけれども、淺井さんとしてはこれをどう処理されるつもりか、その点をお聞かせ願いたいと思います。石橋君の質問に対しては、将来勧告の際に考慮しようというような答弁を——新聞で拝見しましたので、これは間違いだろうと思いますが、もしそういう答弁だったら、淺井さんの答弁になりませんので、その点をお含みの上、御答弁をいただきたいと思います。
  376. 淺井清

    ○淺井政府委員 三公社五現業と一般公務員との給与は、三公社五現業の給与人事院が所管しておりませんために、はっきりとわかりませんけれども勧告の中に書きましたように、三公社五現業の方が全体として上回っているように思っております。それはただいまもそういうように思っております。  そこで第二の点といたしましては、三公社五現業の給与一般職給与というものが全然独立した、関係はないのかといいますと、これは国鉄法二十八条その他にも、やはり国家公務員給与を考慮し、とございますから、この間にはある程度の権衡は保たなくてはならぬ。そこで今回仲裁裁定等がどうなるか、それはただいまの段階においては労働大臣の言われる通りわからぬのでありますが、それによって給与の格差が増すかもしれません。そういう場合においては人事院としては給与の均衡を保つということに心がけなくてはならない、かように考えております。
  377. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 抽象的な御答弁でなしに、現実に当然出てくるのですから、その際にどうするかということをお聞かせ願いたいと思います。
  378. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは、最終の形におきましては、ただいま参院の予算委員会でも答えたのでございますけれども人事院勧告権しか持っていないのでありまして、それ以上の権限はございません。
  379. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 この点は少し議論の存するところであろうと思いますけれども、少くとも三公社五現業がどうなるであろうかということを予想されて、今度の勧告がなされなかったのですか。
  380. 淺井清

    ○淺井政府委員 三公社五現業の団交による調停案というものは——あの勧告は何ぶん去年の七月のことでありますから、それは予想しておりません。
  381. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 議事進行について。今までは大臣に基本的な点だけをお伺いし、淺井さんに基本的な点だけをお伺いしたのですが、委員長の議事の進め方だろうと思いますけれども、やはり今度の給与体系のあらゆる問題についてお伺いしたいと思いますので、明日やはり同じ形で続けられるのかどうか、そこら辺について若干お伺いしておきたいと思いますが。
  382. 相川勝六

    相川委員長 いずれ理事会で相談いたしまして……。
  383. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 私の方はただすべき点はただしておきたいと思いますので、理事会で与党の方もぜひ今日の形を明日も続けさせていただくことを考えまして、私の質問はここで保留いたしておきたいと思います。
  384. 受田新吉

    ○受田委員 総裁にあしたゆっくりお目にかかりますが、お疲れでございましょうが、あしたお尋ねするに当って、一、二事前にお答え願っておきたい点があるのです。  それは、あなたは最初からずっと公務員制度の担当者として、また国家公務員法の中にある人事院総裁として、終戦後の日本公務員制度を打ち立ててこられた最高の功労者でいらっしゃいますので、日本公務員制度のあり方についてはどうあるべきか、あるいは給与制度はどうすべきかということについての一つの大きな信念をお持ちだと思うのです。それが最近政治的に、あなたの良心を曲げざるを得ないような方向にいろいろな圧力が加わり、そしてあなた御自身もそれに順応せられるような悲しい羽目に陥っておられるのではないかということを、私は考えざるを得ない。何となれば、今松浦先生もおっしゃったのですが、人事院は尊重しなければならない、今後も人事院を尊重するとおっしゃっておられたのでございますが、すでに人事院を廃止する法案をお出しになっているというような現状においてあなたの御心境は、私はほんとうに御立場が苦しいのじゃないかと思うのです。そこでせっかくあなたが信念を持って、日本公務員制度を改革して、民主的な制度を打ち立てようとするその前進の過程において、すくすくと伸びる芽をつみとられるような形に、あなた御自身が考えておられないのかということを感ずるのですが、それを伺いたい。
  385. 淺井清

    ○淺井政府委員 問題が二つあると思うのであります。人事院廃止が問題になっているから、多少弱くなっているようなことはないかということでありますが、決してそんなことはありません。これはもうなれておりますから、決してさようなことはございません。しかし創立後今回までまだ廃止はされておらぬのでございますし、ただいま参議院の予算委員会におきましても、岸総理大臣人事院勧告は今後もよく尊重する、かように仰せられておりますから、決してそれがために私が弱くなっているということは全然ございませんし、私の事務当局もさようなことはございません。  第二は、何か政治的な圧迫が人事院へだんだん加わってくるんじゃないかということでございますが、これは私が一番よく知っているのです。そういうことは絶対にありません。次に人事院の生命線ともいうべき勧告の内容につきまして、政府から公けにも私にも干渉を受けたことは、人事院創設以来一ペンもないのであります。外部から新聞記事等にいろいろな話も出るようでございますが、それは話がおもしろ過ぎるのであって、決してそういうことはございませんから、どうぞ御休心を願いたいと存じます。
  386. 受田新吉

    ○受田委員 それである程度安心したのですが、お隣りに座っておられた大山先生は、わずかな職員を抱えて、今公務員制度調査室で苦労しておられる。先ほどから見ていると、頭を抱えてずいぶん御疲労の色が見えているのです。それはいかに公務員制度調査室が数十名の職員で苦労しているかの証拠であって、大へんお気の毒に思っているのです。そこで人事院は、公務員制度調査室に対して常に適当なる資料を与え、指導を加え、公務員制度調査室の事務推進の上に大いに貢献しておられると私は想像しているのでありますが、ひが目でございますか。
  387. 淺井清

    ○淺井政府委員 それは一つの大きな限界があるだろうと思います。公務員制度調査室は総理府の機関でございます。人事院は独立の機関でございますから、手助けをすると申しましても限界があるので、人事院の独立性を害せられるところまで立ち至って協力することはできないのでございます。早い話を申しますれば、今度の勧告政府案との違いなどというものは、人事院の協力があったら出なかったかもしれないのであります。たとえば行政職俸給表を二つに分ける問題は、人事院は一つ、政府は二つ、これはそういうふうな違った二つの機関として動いているからだろうと思っております。
  388. 受田新吉

    ○受田委員 勧告をされて後に、公務員制度調査室でいろいろ作業していくその過程において、人事院でこうすべきであったという、すなわち手直しの程度のいろいろな構想も自然に浮いてくるものだと思うのです。そういう人事院勧告後における人事院の新しい構想というものは、政府案をお出しになるときは、公務員制度調査室にあなたの方からお伝えになりますか。
  389. 淺井清

    ○淺井政府委員 さようなことはございません。新しい構想というものはないのであって、人事院の構想というものは、意見の申し出に終っているのでございます。それ以上は政府がやるべきことだろうと思っております。ただここで一つ非常に問題になりますのは、今度この法案が国会を通りますれば、その実施の責は人事院現行制断では持っている。そうすると、人事院は実施官庁として仕事をやる、かようになっております。
  390. 受田新吉

    ○受田委員 実施官庁としての人事院であることもよく承知しておりますが、しかし数十名のわずかな職員、厳密にいえば三十何名ですか、わずかしかいないのです。その職員で各省にまたがる大事な給与体系をまとめるということは容易でないのです。そこでお宅のように数百名をかかえた知能の巣であるといわれている人事院が、何かの形で御協力をしてあけなければ、やはりその成果はあげられない。そこで大山先生が非常な苦悩の色をお示しになっていると私は判定するわけです。これはひが目でなくして、現実の問題として、公務員制度調査室と人事院とに交流がしばしば行われ、意見の交換がしばしば行われている。それは実際やっていいと思うのです。だからそれは一つも遠慮する必要はないと思うのです。いいことはいいとしてどんどん意見を述べるということで、せめて人事院というりっぱな機関ができている以上は、その人事院の権威を守るために一つがんばって下さいよ。これが壊滅した後における日本の将来を考えたときに、私は非常に憂慮するものがあると思います。そこであなたにその点をお願いしたい。  それから明日までにお願いをしておきたいことがあるのです。それは、各国の公務員の給与制度、すなわち主要国の中における、特にあなた方が平素参考にしておられるところの高給者と下給者の給与の比較というようなものを十分お示しいただきたいと思いますので、それを御提出願いたい。  もう一つは、公務員制度調査室は給与全般の問題を担当しておるわけです。あなた方は単に一般職の公務員だけなんです。そこに非常にまた食い違いが起るわけなんです。人事院の担当している一般職だけでもせい一ぱいのところへ、他の各省にまたがる特別職やらあるいは一般の公務員制度地方公務員制度にまで検討を加えなければならぬというところに、公務員制度調査室の大きな重荷があると思うのです。そういうことについて、公務員制度調査会が答申をいたしました答申案を十分参考にして、政府は公務員制席についてもこの秋ごろには何かの答申を得たいという御意図のようでございますが、今後人事院は何かの形で協力をされますかどうか、その問題について一応お答えをいただいて、質問を終ります。
  391. 淺井清

    ○淺井政府委員 よくわかりました。第一の資料、これは公務員制度調査案にはございません。人事院しかないと思います。これはさっそくお出しをいたしますが、印刷の都合がございますから、印刷の時間をいただきたい。  第二の問題は、もし協力を求められれば、それは協力して少しも差しつかえはございません。
  392. 相川勝六

    相川委員長 次回は明二十九日金曜日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会