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1957-03-12 第26回国会 衆議院 内閣委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年三月十二日(火曜日)     午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 相川 勝六君    理事 福井 順一君 理事 保科善四郎君    理事 石橋 政嗣君 理事 受田 新吉君       江崎 真澄君    大坪 保雄君       大村 清一君    北 れい吉君       田村  元君    船田  中君       眞崎 勝次君    粟山  博君      茜ケ久保重光君    飛鳥田一雄君       淡谷 悠藏君    木原津與志君       西村 力弥君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 神田  博君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房総務         課長)     牛丸 義留君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  楠本 正康君         厚生事務官         (児童局長)  高田 浩運君  委員外出席者         厚生事務官         (社会局更生課         長)      實本 博次君         厚生事務官         (児童局養護課         長)      渥美 節夫君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月九日  委員石山權作君辞任につき、その補欠として小  松幹君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員小松幹辞任につき、その補欠として淡谷  悠藏君が議長指名委員に選任された。 三月八日  紀元節復活に関する請願外四百三件(纐纈彌三  君紹介)(第一九三二号)  同(小川半次紹介) (第一九六〇号)  同外百三十二件(前田正男紹介)(第一九六  一号)  旧軍人関係恩給加算制復元に関する請願(大  坪保雄紹介)(第一九三三号)  同(高橋禎一紹介)(第一九三四号)  同(高橋等紹介)(第一九三五号)  同(原捨思君紹介)(第一九三六号)  同(池田清志紹介)(第一九七四号)  同(小金義照紹介)(第一九七五号)  同(古井喜實紹介)(第一九七六号)  同外二件(池田清志紹介)(第二〇〇三号)  同(中馬辰猪紹介)(第二〇〇四号)  同(塚原俊郎紹介)(第二〇〇五号)  恩給額調整に関する請願長谷川四郎君外二名  紹介)(第一九三七号)  同(吉川久衛紹介)(第一九三八号)  同(唐澤俊樹紹介)(第一九六二号)  同(西村彰一紹介)(第一九六三号)  同(福田赳夫紹介)(第一九六四号)  同(松平忠久紹介)(第一九六五号)  同(大坪保雄紹介)(第二〇〇一号)  同(藤枝泉介紹介)(第二〇〇二号)  傷病恩給増額に関する請願大橋武夫紹介)  (第一九三九号)  同外一件(高橋禎一紹介)(第一九四〇号)  同(松本俊一紹介)(第一九四一号)  同(櫻内義雄紹介)(第一九七〇号)  同(高津正道紹介)(第一九七一号)  同(原健三郎紹介)(第一九七二号)  会津方部寒冷地手当引上げ等請願平田ヒ  デ君紹介)(第一九六六号)  下郷町の寒冷地手当引上げ請願八田貞義君  紹介)(第一九六七号)  天栄村湯本地区寒冷地手当引上げ請願(八  田貞義紹介)(第一九六八号)  元外地鉄道職員に関する恩給法等特例制定に  関する請願今澄勇紹介)(第一九六九号)  傷病恩給受給者家族加給に関する請願原健  三郎紹介)(第一九七三号)  同(加藤鐐五郎紹介)(第二〇〇六号)  駐留軍基地航空機等による各種騒音被害の補  償に関する請願古川丈吉紹介)(第二〇〇  七号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五九号)     —————————————
  2. 相川勝六

    相川委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますのでこれを許します。福井順一君。
  3. 福井順一

    福井(順)委員 厚生省官房長を置かなければならない理由について、具体的にこれを説明をしていただきたいと思います。  なお現在官房長を置いているところで、その機能について二、三の事例をあげて、その意義について御説明を願いたいと思います。
  4. 神田博

    神田国務大臣 詳細のことは政府委員からお答えいたさせますが、御承知のように、この厚生行政は最近非常に複雑多岐と申しましょうか、重要性を加えて参りまして、特に石橋内閣また岸内閣におきまして、福祉国家を建設しよう、それには社会保障一つ充実して、社会保障国民の末端まで十分に浸透をいたしたい、こういうような意図のもとに、本年度予算につきましても相当巨額な増額を見ておることは御承知通りでございますが、来年度以降におきましても一そう充実して参りたいということ、それから特に福祉国家建設前提といたしましては、何といいましてもこの医療保障を充実して参りたい、そのためには国民皆保険を踏み切る、あるいはまた国民病である結核対策についても三十二年度から早期発見早期治療を目途として抜本的な措置を講じようという問題、それから低額所得者なおまた要保護者等につきましても、十分な施策を立てて参りたいという問題、さらに老齢年金であるとか、母子年金というようなわが国社会保障制度としては画期的な問題を一つ取り上げて、これと取り組んで調査をやり、そうして実施機会一つすみやかに持ちたい、こういうような非常に大きな構想を持っておるのでございまして、かような仕事を有機的にしかも広範なものをまとめてやっていこうということになりますと、やはり庁内を一応機構として整備する必要があるのではないか、ことに国会等も長期にわたる関係をもちまして、厚生行政が十分な秩序を持ってさらに一そうの成果を上げるということのために、大臣官房官房長を置いて、そうして諸般の要務を十分に果す仕組みにいたしたいというのが官房長を置く理由でございまして、実はこれは厚生省といたしましては、もっと早くお願いしてかような機会を持ちたい、成果を上げたいと思っておったのでございますが、その機会に恵まれなかったのでございまして、今回ようやく、今申し上げたような厚生行政を大きく踏み出すというときに当りまして、大臣官房官房長を置こう、こういうことに御了解を得たようなわけでございまして、詳細なことは政府委員からお答えさせますが、私から以上申し上げまして御了解を得たいとお願いする次第であります。
  5. 福井順一

    福井(順)委員 了解いたしました。  次に、このろうあ者更生指導所及び国立精神薄弱児施設設置について質問いたしますが、わが国におけるろうあ者及び精神薄弱児の数並びにこれに対する医療対策の現況について、説明をしていただきたいと思います。簡略でけっこうです。
  6. 實本博次

    實本説明員 最初の御質問ろうあ者の数を申し上げますと、言語機能障害音声機能障害者を含めまして十三力という数が、ろうあ者の数としてあけられております。これは十八才以上の者に限られております。言語機能障害音声機能障害者を約三万、残りの十万がろうあ者、こういうことになっております。これに対する医療対策と申しますか、御質問の点は更生援護措置だろうと思いますが、これは身体障害者福祉法に基きまして、一定の障害限度に達しております者には、身体障害者手帳を交付いたします。その身体障害者手帳を持っております者に対しましては、更生医療という医療給付をやっております。これには公費負担で、能力のある者は別として、ある限度負担を持たせる。原則として公費負担でやっております。そのほかに補聴器のような補装具を支給いたすことになっております。その他、援護施設収容するというふうな建前にもなっております。大体更生援護措置ろうあ者に対しますおもなものは、そういった現状でございます。
  7. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 精神薄弱児のことについてお答え申し上げます。  第一に、精神薄弱児の数でございますけれども、これは、実はそのものの本質的な性格からいたしまして、正確に調査をするということが非常に至難なことでございます。従いまして私どもとしては、大体子供のうちどのくらい精神薄弱児が出るかという学者の説を基礎にして、一応推定をいたしております。それによりますと、精神薄弱児を大体九十万前後とにらんでおるわけでございます。そのうちには、もちろん程度の軽い者も程度の重い者もおるわけでございまして、IQ五〇以上のいわゆる程度の軽い者がほとんど大部分を占めておるのが実情でございます。これらにつきましては、文部省の特殊学級とか、そういうような措置に基きまして世話されておりますし、厚生省としてはむしろ精神薄弱児程度の重い者を世話する、そういうような役割りになっております。  これに対する対策といたしましては、第一には、収容をいたしまして世話をする。この精神薄弱児収容施設が現在八十五カ所ございまして、それの収容人員が約四千九百名ということになっております。またそのほかに、通園をさせまして、生活指導なりあるいは軽い程度職業指導なりをさせる、そういう意味精神薄弱児通園施設というものを三十一年度から計画いたしたのであります。三十一年度において六カ所、三十二年度において七カ所というような予定で進んでおります。従いまして、全体として申せばまだまだ、この精神薄弱児対策はこれからだということが言えると思います。
  8. 福井順一

    福井(順)委員 そういうものの事後措置といいますか、アフター・ケアを十分に精神薄弱児童に対してはやってもらいたいということを一つ要望します。  それから、このようなその後の収容力はどの程度の割合となっておるか、これらの完全対策厚生省はどういう案を持っておられるか、概略でけっこうですから……。
  9. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 先ほど申し上げました精神薄弱児全体のうち、IQ五〇以下のいわゆる痴愚級あるいは白痴級、それらを合せまして大体九%でありまして、全体のうち九%がそういうような程度の重いものというふうに見られております。それによりましても、やはり相当な数になるわけでございまして、今申し上げました精神薄弱児収容施設ないし通園施設というのはせいぜい四、五千という程度でございまして、従って、今後こういった施設拡充をしていかなければ、とうていこれは間に合わないわけでございます。何しろ児童行政それ自体が新しいし、その中でもこの精神薄弱児対策というものがおくれて出発いたしましたために、いわば緒についたというところで、残っておる収容児竜を何年計画で全部収容してしまうというところまでは、まだ計画が実は進んでいないのが実情でございまして、これらにつきましては今後十分努力をいたしまして、今お話の、事後の、たとえば職業指導等のことにつきましても遺憾なきを期して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  10. 福井順一

    福井(順)委員 こういう精神薄弱児犯罪との関係は、実際はどういう状態になっておりますか。それからまた、具体的な事実について統計などがとられておれば、これは御説明願えればけっこうです。
  11. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 今お話犯罪との関係は、まさしく精神薄弱児に関する社会的な問題であろうと思います。不良の児童収容しておりますところの教護院というのがございます。この教護院においていわゆる不良の児童収容いたしまして、これを改過遷善をするという措置をやっておるのでございますが、この中に入っております児童のうち、もちろんいろいろな原因がございますけれども、もともと精神薄弱児に相当するような者が相当多数を占めておることは事実でございますし、それから、法務省の所管でございます少年院等において収容されておりますいわゆる犯罪児童、この中にも精神薄弱の者が相当おることは事実でございまして、犯罪と申しますか不良と申しますか、そういったことと精神薄弱児とは、いわば切っても切れないような関係になっております。正確な統計は現在持ち合せておりませんが、後刻調べて御報告申し上げたいと思います。
  12. 福井順一

    福井(順)委員 今回の厚生省設置法改正においては、多年の問題である水道及び下水道に関する事務につきまして、建設省との事務区分を行なっているようですが、果してこれで問題が解決したかどうかは、これははなはだ疑問とするところだと思うのでありますが、まず終末処理場というのはどの範囲のものをいうのか、単に施設上の管理にとどまるのか、建設等についてもそれらの基準について定めたものがあれば資料として示していただきたい。参考として配付された書類のうち、水道行政の取扱いに関する件には工事用水道に関しては通産省所管となっているが、それらにおいて共通する事項により生ずる住民に対する補償等の問題について不統一を生ずるというような事態はないか、それについての協議等はどう行われているのか、これは考えられているかどうかということを一つ御答弁願いたい。
  13. 楠本正康

    楠本政府委員 お答えを申し上げます。第一点の終末処理場の点につきましては、これは今回厚生省所管と相なった次第でございます。これらの終末処理場につきましては、従いまして工事設計基準、あるいはその予算的処置等、すべて厚生省環境衛生観点から、また国民生活観点からこれを規制して参る所存でございます。これらの基準その他の資料につきましては、後ほどお手元に差し上げたいと存じます。  次に工業用水道の問題でございますが、これらは今回通産省所管と相なったわけでございますが、このうち一般上水道あるいは飲用水との関係におきまする問題につきましては、それぞれ両省間において協議することに相なっております。また一方工業用水一般上水道、または水道水源としても使われる場合には当然重きに従って律する立場から、これを一般上水道として規制することに相なっております。この辺の調整は十分に今後も考慮し、また現在もさよう実施しておる次第でございます。
  14. 福井順一

    福井(順)委員 厚生省はなお共管事項を多数有しておるのでありますが、これらについてどういうように整理をするか、案があったら一つ承わりたいと思います。
  15. 牛丸義留

    牛丸政府委員 水道問題そのほか特に各省との関係がございますのは、たとえば建設省関係では国立公園関係なり、あるいは住宅の関係、その他各般にわたって共管する事項がございますが、これは厚生省社会保障中核体として行政を推進していくという観点から、将来の行政機構の問題とも関連があると思いますので、その点を十分検討いたしまして事務的には調整をはかっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  16. 相川勝六

  17. 受田新吉

    受田委員 神田厚生大臣、あなたは先ほど石橋内閣及び岸内閣において福祉国家建設目標とする抱負経綸をお述べになられたのでございますが、あなたは今回改正案の骨子となっておりまする官房長設置理由が、社会保障制度複雑多岐なる事務を取り扱う上においてもぜひ必要であるというこの観点を、次の点においていかにお考えになるかお答えを願いたい。今回の改正要点は、あなたの抱いておられる福祖国家建設のための年次計画の中に、一環として取り入れられる問題を改正点として御提出になったのかどうかであります。単なる従来の事務的な段階における改正点か、石橋内閣及びこれを継承する岸内閣における福祉国家建設年次計画に基く改正点か、お答え願いたいと思います。
  18. 神田博

    神田国務大臣 これは受田委員のお尋ねでございますが、私の気持年次計画一つ推し進めていくには、どうしてもその前提として庁内の受け入れ体制と申しましょうか、これを拡充強化する体制を整えたい。ことに先ほどもちょっと言葉が足りなかったのでございますが、国会等に対しましても、これは省をまとめたものが出てこないと、これは御期待に沿うことがなかなか困難でございまして、官房長制度は他の省も見ておりまして、厚生省といたしましても今後の拡充実施していく、福祉国家を建設する前提として、まず庁内の整備をはかろう、こういう考えをもちましてお願いしておるわけでございます。
  19. 受田新吉

    受田委員 社会保障制度審議をするための機関が御承知のように存在しております。この社会保障制度審議会ば、従来しばしば答申案政府に出しておるのでございまするが、それに対して政府は遅々たる態度でこれをほおかむりしてきている傾向があったわけです。社会保障制度審議会が、予算的に少くとも国家財政の全般の見地から勘案しても、その国家予算のせめて一割五分から二割に近い社会保障制度のための予算要求をやってきていることに対して、福祉国家目標とされておる、石橋、岸何といいますか、延長内閣におかれましての構想として、この社会保障制度審議会の要望している諸点をいかにお考えになっておられるか、お答え願いたいと思います。
  20. 神田博

    神田国務大臣 審議会から政府に対しましてしばしば貴重な勧告をされておりますことは、今受田委員のお述べになりました通りでございまして、政府といたしましては、これを一つ十分尊重いたしまして、しかもすみやかな実施一ついたしたい。そういたしますについてもこれを厚生省が受け入れてバランスのとれた社会保障制度を推進していく、こういうことになりますと、やはり庁内の機構整備というものが必要になって参りますので、特に新しく年金等調査もございますし、また審議会の意を受けて医療小委員会等からも詳細な答申を得ておりますので、これらを十分実施して参りたい。今お述べになりました国費全体の一割五分ない二割を役人せよということも、そこまでに相当の段階はあると思いますが、しかし三十二年度にとにかく政府が意気込んだような気持をさらに一そう強めて、そして年を追うごとに充実していくということはもう約束されたことだ、要するに公約したことだ、こう考えておりますので、だんだん審議会勧告の線に沿ってこれを尊重して実施して参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 受田新吉

    受田委員 厚生大臣目標としておられるところは了解できるのでございますが、現実は厚生省要求予算が常に大幅に削られて、最終的な決定を見ているという段階である。ことに年金制度調査のための機関を設けられるという御意向のごときも、これは具体的に養老年金あるいは寡婦年金もしくは身体障害者に対する年金等が即座に実施に運ばれるための準備というような形に考えられておらないのではないかという不安も私は持っておる。たとえば昭和三十三年度からは必ずこの年金制度実施するというはっきりしたものを持っての準備であるならいいが、かけ声だけで国民を欺瞞するということがあっては許されないと思うのでありますが、大臣としては、今一例をあげたのですが、そうした具体的な問題を一歩々々建設する御用意は、はっきりお持ちでございますか。
  22. 神田博

    神田国務大臣 今度調査費をお願いしました年金制度についての御質問でございますが、私どもこの年金制度に踏み切ったということは、今まで年金制度を打ち立てること自体がまだ予定されておらなかった。そこでこの二十二年度には、年金制度を近くやりたい、そのためには十分な調査をいたしたい、これは国の財政に非常な関係を持つ。おそらく数百億この年金制度に投入する問題が出てくると思う。しかもこの年金制度をやりますのには、醵出制でいくのか、あるいは無醵出制でいくのかといういろいろな問題がございます。また内外資料整備する問題もございます。さらにまた五人委員会でまとまりました案を政府が取り入れまして、さらに社会保障制度審議会の方にこれを諮問しなければならないというような手続も必要でございます。審議会意見を聞かなければならない。審議会調査する時日もまた見込まなければなりません。非常な大事業でございまして、三十二年度の調査費をとったから三十三年度から実施できるというふうに私ども考えておりません。私は最少どんなに急いでも二カ年くらいはかかるのではないか、こういうふうに考えております。あるいは都合によっては三カ年かかるかもしれません。しかし私どもといたしましては、そういった国の制度の基本的な問題でございますから、国力なり財政なり諸般の十分な調査をして、そして十分な意見を聞いて勘策して取り入れていくわけでございますが、それならば年金制度は、それまで待って何もやらないのかというと、そういうことではないのでございまして、根本的な年金制度調査をいたして進めて参りますとともに、たとえば三十二年度におきましては、少額ではありますが、とにかく年間にいたしますれば十数億になろうという、母子年金に将来吸収されるような制度を、いわゆる母子加算として踏み切っております。それから三十三年度におきましては老齢年金にかわるようなものを暫定措置として踏み切りたい、こういうようなことで、年金制度が出るまでやらないのだというようなことではなしに、それまでにやるべきものは取り入れていく、そして今申し上げたような年金制度恒久制度でございますから、一つ十分専門家意見も聞き、また内外資料も集め、さらに保障制度審議会にも諮問いたしまして、これらの答申を十分くみ取りまして恒久的施策を打ち立てたい。これは準備ができ次第、決して政府は何か意をもって何年度でなければいけないのだというような考えを持ちませんで、これらの調査機関に十分御調査をしていただいて、そしてそれが結論を得ますればそれに乗っていく。もう踏み切りたのでございますから、諸般の情勢が熟すれば国力に相応した年金制度というものを確立いたしたい、それまでの暫定措置としては、今申し上げたようにその際吸収されるようなものを計上して参りたい、こういうような所存でございます。
  23. 受田新吉

    受田委員 今一例として、三十三年度から養老年金のはしり程度のものでも考えてみたいというような意味のことをおっしゃったのではないかと思うのであります。私は各国の制度調査したり、あるいは日本の国内の諸般の実態を調査したりするのには、時間がかかるということにも納得できないことはないのでございますが、少くとも社会保障制度確立するという政策を打ち立てて船出された以上は、何か手っとり早いところからお仕事を始めていかれるのが、国民だ公約を果されることになると思うのです。従って醵出制度にしましても、無醵出制度にしましても、根本的な調査研究には時間がかかりましょう。しかしながらさしあたりお年をとられた国民のごく一部の方に対して無醵出年金制をしくというごとき、あるいは子供をかかえてその日の生活に困り、生活保護法の適用の対象にもならないという方々に対してささやかな贈りものをするとか、身体障害身体障害者福祉法の恩典のわずかに装具等の一部を応援してもらっているにすぎない方々に対して、その片棒をかついであげるというくらいは、根本的な制度の完成を待つ以前に、暫定的な方法として当然おやりになる問題ではないかと思うのでございますが、そうした社会保障制度確立の前夜的な形における制度の一歩確立ということについては、大臣いかがお考えでございましょうか。
  24. 神田博

    神田国務大臣 受田委員の今お述べになりましたことは全く同感でございまして、そういう考えのもとに実は強く推進して参りたい、こういうふうに考えております。
  25. 受田新吉

    受田委員 その推進をして参る目標として、一年間準備期間があるならば、そうした第一歩的な踏み出しは私は三十三年度くらいからできると思うのです。これはあなたが今後幾年在任なさるか、果てしなく続くということも考えられなくはないのですけれども、しかし根本的に戦後十二年の空白を埋めて再建したいという大きな踏み出しをされた内閣の厚相としては、何かさしあたりの目標をお持ちにならなければ、それは百年河清を待つのそしりを後生史家が批判するおそれもあると思いますので、願わくば大臣として社会保障確立に踏み出された第一段階における第一目標としては、おおよそどの辺に何を甘くというくらいのことはお示しいただいていいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  26. 神田博

    神田国務大臣 ただいまの御質問まことにごもっともでございまして、先ほど来お答え申し上げておるようなわけで、年金制度を打ち立てる前提として、二十二年度には母子加算を取り入れる、それから三十三年度には今受田委員もお述べになられたような、老齢者に対する年金にかわる制度一つ取り上げて、将来年金制度ができたら吸収させよう、これはもちろん無醵出年金に入ると思いますが、今お尋ねになっておられることは実は私ども考えておることと同様のことでございます。ただそれにどの程度の予算を持っていくかということになりますと、これはまだそういう時期でもございませんので、ここではっきりした額のことは申し上げかねますが、そういう考えのもとに進めていく決心でございます。
  27. 受田新吉

    受田委員 今回の改正点の問題に触れて参りますが、厚生省仕事が大へん複雑多岐になって、ここに単なる大臣官房事務では事の進捗に支障が起るという意味で、官房長なる重要なポストをお置きになるようでございます。この官房長仕事というものは、従来大臣官房でやってこられた統計調査部の仕事とかあるいは国立公園部の仕事とかいうものを全部含めた、すなわち大臣官房の一般の人事、総務、会計、企画などのなした仕事のほかに、これら両部のなした仕事までも一括指揮監督をする機関としての官房長であるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  28. 神田博

    神田国務大臣 受田委員のお尋ねの通り大臣官房全部をまとめまして、それを有機的に活用したい。厚生省の参謀本部といいましょうか、また実施面の連結機関と申しましょうか、さらにまた国会その他との渉外的な重要な仕事一つあわせて行う、こういうふうなものと考えております。
  29. 受田新吉

    受田委員 従来厚生省には、外局であった引揚援護局が内局に転換をされておりまして局が七つあるわけです。ここに七つの局のほかに大臣官房官房長の任命によってまとめられるということになると、すなわち十三級以上の職員が責任あるポストにつくところが八つできることになると思うのです。この官房長に充てる職員の地位は局長級の者か、もっとそれよりも高い、ウェートのある者を充てようとしているのか、お答え願いたいと思います。
  30. 神田博

    神田国務大臣 局長クラスの者を充てたいと考えております。
  31. 受田新吉

    受田委員 最初に官房長に充てられる人はすでに予定されておりますか。
  32. 神田博

    神田国務大臣 これは人事のことになりますので、実はこの法案が通りましたあとで十分考究いたしまして、適材適所で参りたいと考えております。
  33. 受田新吉

    受田委員 この官房長の任務は、国立公園部とか統計調査部とかいうものは官房長の直系の機関として存在することになるのか、あるいはいわゆるとざま大名的な形で、官房長の指揮下に直接属するものでなくて、関係事務について指揮監督する機関として置くのか、その関係をお示し願いたい。
  34. 神田博

    神田国務大臣 今の部長は官房長の下ですべて指揮監督を受けることになると思います。これはざっくばらんに申上げますと、このごろよく言われております次官補といいましょうか、省内のほんとうのまとめ役、企画をする、渉外もやるという広範ななかなか大事な事務処理をやることになろうかと思います。大臣にとってもこれは非常な重要なポストだと考えておりますので、もちろんそういう意味でりっぱな人を配置いたしまして、厚生行政の強化といいましょうか、推進をして参りたい、こういう考えでございます。
  35. 受田新吉

    受田委員 私が今お尋ねした中の統計調査部と国立公園部は大臣直轄部であったと従来は考えておるのですが、今後は大臣、次官の次に官房長なるものが介在して、指揮命令系統が一つふえる形になるのですかどうですか。
  36. 神田博

    神田国務大臣 これは今でも次官の下になっているわけでございますが、今度はその間に官房長が介在する、こういうことになろうかと思います。
  37. 受田新吉

    受田委員 国立公園部長や統計調査部長は今までよりは格下げ的な地位に置かれることは、一つポストが上にふえたことによっても了解できるように感ずるのでございますが、私はそれはそれとして、ここにはなはだ奇妙な名称のお役人が厚生省のほとんど各局に漏れなくあるように拝見する、それは参事官という名称を有する職員です。大臣官房に参事官が四名、それから医務局にも歯科参事官、看護参事官、おもしろい名前がありますね。それから薬務局へいきますと薬事監視参事官、それから社会局へいきますと生活保護監査参事官、それからから保険局へいくと数理参事官、これは非常に微妙な名前がついているのでございますが、一体厚生省における参事官というものは、それぞれの局長の指揮監督を受ける立場の職員であるかどうか。それからその待遇は、参事官と名前がつくならば防衛庁の参事官のごときは局長の官職の区別で任命された意味の非常に重要なポストでありますが、そういう程度の、これまた局長級、十二級職以上の待遇を受けているのかどうか、これもあわせてお答え願いたいと思います。
  38. 牛丸義留

    牛丸政府委員 厚生省の参事官のうちで官署にあります参事官と各局にあります参事官は多少性質が異なるわけでございます。まず官房にあります参事官は主として企画室において社会保障の長期計画なり総合計画なり、そういうふうなものを企画立案する任務に従事する参事官でございます。これは管理職手当をもらっております十二級、十三級の職員でございます。それから医務局以下にあります歯科参事官その他の参事官は、鳩山内閣のときに行政整理がございまして課の統廃合がございましたときに、各省でこういうふうな制度ができたわけでございまして、省によりましては官房の総務課長が総務参事官という名称に変った省もあるわけでございますが、事務の内容は局長の指揮を受けて課長と同格でございまして、管理職手当もついているわけでございます。
  39. 受田新吉

    受田委員 各省を通じてこのようにたくさん参事官のある省は私はないと思うのです。しかも今お説によると鳩山内閣機構改革の際に、それぞれのポストを失った高級役人の姥捨山として新たにいすを与えるごとくに、参事官なる美名のもとに、すなわち職を失いたる官の姥捨山として設けられたポストであるというように今御答弁されたと思うのでございますが、さよう御了解申し上げてよろしゅうございますか。
  40. 牛丸義留

    牛丸政府委員 姥捨山的なポストではないのでございます。職務の性質から各局におきまして、局の分化的な仕事は局を通じた一つの、たとえば保険局に例を取りますと、保険局には従来数理課というものがございましたが、これはむしろ数理の参事官として特殊の技術的、専門的なポストを作った方が、より妥当にいくんじゃないかという考え方で、いわゆる普通の業務分担である課を廃止いたしまして、参事官という制度で、いわば仕事の横の連絡なり、横の側から見た仕事をやっていく、そういうふうな格好に変えたわけでございまして、仕事の性質なり重要度からいいまして、決して姥捨山的な存在という意味でございません。
  41. 受田新吉

    受田委員 この参事官の名称がそれぞれの局で違っているわけなんですが、こういう参事官という官である以上は、これは一本にしてやっておかれる必要はないですか。まことに幼稚な子供だましのような名前がついている、しかもそれがかって課長のポストにあったとかいう重要な人々がなっている。あなたが今御説明されたことを聞いて、道理は一応立つようではございますけれども、課も整理統合され、やり場がない、やめさせるのには気の毒なというので、従来なかった名称のものがここにできたわけであります。従来あった仕事なら参事官などとつけてごまかさぬでも、従来の職名でお仕事をさせればいいわけであります。わざわざ各局に色とりどりの、百花けんらんたる名称をお用いになられて、そこがごまかされているような感じがしてならない。ほかの各省にはこういうのはない。厚生省は独自の見解で省令でおきめになったのですか、あるいは閣議決定に基いて各省との連絡調整の上におやりになったことですか、お答えを願いたいと思います。
  42. 牛丸義留

    牛丸政府委員 厚生省に参事官が多うございますのは、一つ厚生行政の特殊性によりまして、非常に専門的な技術分野にわたっているという面もあるかと思います。それからこれは厚生省令という独特のものではなくて、厚生省組織令の改正をいたしまして、政令として閣議を通って出された組織令による組織の改訂であります。
  43. 受田新吉

    受田委員 これは役所の性格からいえば、各省とも複雑多岐というのはみんなどの役所もいうわけです。各省でその色彩を濃厚に別々におやりになるということになると、これは国全体の行政組織の上でまとまりがつかないことになる。厚生省組織令という政令で参事官の設定をお認めになったというのでございますが、この参事官をお置きになるときに、各省にある参事官は省令でやったのもあればあるいは法律でやったのもある、こういうふうにばらばらになっておったのでございますが、あなたのところだけが組織令という政令でおやりになったのでありますか。省令でやったところもあれば法律でやったところもある。これはまことに私には解せない機構であると思うのでございますが、いかがでございましょうか、御答弁願います。
  44. 牛丸義留

    牛丸政府委員 先ほど組織令と申し上げましたが、これは誤まりでございまして、組織規程によって省令によって改正をいたしたのでございますので訂正いたします。
  45. 受田新吉

    受田委員 省令であれば、これはさっき御指摘申し上げましたように、厚生省が勝手にやったものである。他の省との連絡調整の上にできたものじゃないわけです。  話はもとに戻るわけですが、厚生大臣、あなたの役所には他の省に見ることのできない多数の参事官がおられて、しかもその参事官の性格が違う。大臣官房におる参事官は十二級職、十三級職、それから他のところにおる参事官はもっと格式が下った参事官というような、非常に複雑多岐をきわめている機構が私はあると思う。これはさっき総務課長が申された、鳩山内閣のときの機構上の整理統合の跡始末にこうしたポストを据えたような気がしてならない。もしはっきりとそうした重要なポストが必要であるならば、今まで何をしていたかということになるわけです。そしてやるならば、それぞれの局に別に参事官というものを抜き出さなくても、各課に所属した職員としてこれを置いてもいいと私は思うのです。これがどの省にも局長、次長、参事官と分れて、課の系列のほかに締め出されておる、ここに私は厚生省機構が他省と比較してはなはだ納得できない現実であることを指摘せざるを得ないと思うのです。いかがでございましょうか、直される気持はございませんか。
  46. 神田博

    神田国務大臣 実は私も参事官のことは詳しくないのでございまして、正直なところ今質疑応容で参事官のことをちょっと聞いたくらいで、詳しいことはあまり聞いておらなかったのでございますが、今総務課長の答弁も直説法の答弁で、ほんとうの真意を尽していないのではないかという気もして聞いておったのでありますが、私の承知しておりますのは、厚生省の参事官は十人置かれておる。そこでこの十人はやはり行政管理庁並びに閣議を経て、それぞれみな必要なポストについているのだ、ただたまたまこれが置かれたときが、鳩山内閣行政改革があったときに新しい制度として生まれたわけであります。そこでたまたまこの参事官になられた方が課長から参事官になった方があったということで、だからといって別に姥捨山の仕事をしているわけでないのでありまして、それぞれみな適材適所ということで任命されているというように、私は実は了承しているのでございまして、さっきの総務課長の答弁は、行政整理で課長がなくなったから参事官に持っていったというのは、ちょっと言葉が足らなかったのではないか、こう私は考えておったわけでございます。従いまして私といたしましては、今の厚生省の参事官制度というものは恒久化された制度であって、厚生行政の所、要の成果をあげるにはやっぱり欠くべからざる職員である。それならばどういうふうに事務上の仕事をしているかといえば、今受田委員のお述べになられましたように、それぞれみんな専門の知識なりあるいはまた広範な企画等に参加しておる。それぞれ向き向きによって、厚生行政の欠くべからざるそれぞれ大事な仕事を担当している。しかも成果をあげている、こういうふうに実は私聞いておりますので、少し今質疑のやりとりに誤解があるといいましょうか、言葉が足らなかったというような気もいたしますので、私の考えておりますことを率直に申し上げまして御了承を得たいと思うのです。しかし受田委員がどうもその名称があまり直説法過ぎて、参事官の上にいろいろなものがついている。ついている方がその職務を現わすので、わかりやすいといえばわかりやすいが、しかし参事官のごときものにいろいろなことをつけない方がいいのではないかというようなことでございますならば、これは事務系統と技術系統とあるわけでございますから、その辺くらいにして、もっといい名称で上にかぶせるものがあれば考えてみたい、一つせっかくの御注意でございますから、私もすなおに将来考えまして、そしてまた何かなおこれにまさるような案がございますれば、これは政令のことでございますから、内閣と相談いたしまして、またそれぞれの名称を付するということになろうかと思いますが、今のところ受田委員からお尋ねのございましたお気持をすなおに聞きまして、私の気持を申し上げてお等えにかえる、こういう次第でございます。
  47. 受田新吉

    受田委員 大臣気持では何とか直さなければならぬというお気持もあるようであるので、これ以上その問題は遠慮しますが、今度できる官房長は現に政府がわれわれにお諮りになっておられる。またこれからも新たに諮られようとされる行政機構改革において、事務次官補としての役割を果す機関として内在的に考えておる、かように私あなたが発言されたのではないかと考えるのでございますが、官房長の任務はそうしたところに将来方向を持っていくという意味でございますか。
  48. 神田博

    神田国務大臣 そこまではっきりした意味で実はお答え申し上げたわけではないのでございまして、庁内の大事なポストとしてしかも行政のバランスをとりたい。あるいはまたそのほか調査企画とか、いろいろ各局になりますと、どうしても行政の統一連絡というものが欠けることがおおむね出て参りますので、そういうことを一つ十分やらしたい。決して局の上に局を置くような気持ではないのでありまして、局間の調整と申しましょうか、女房役と申しましょうか、さらにまた厚生省としての一つのプレインと申しましようか、そういうスタッフを直接握っている、非常な何というか、枢機にも参与すれば国会の方の連絡もやるというようなことで、これは非常に大事な意味考えておるわけでございます。もとよりこれは人によってきまるわけでありまするから、将来の人事といたしましては老練達識の人を充てるか、あるいは新進気鋭の人を充てるかというようなことは考えられると思いますが、とにかく局間の調整連絡、それから省と省との関係とか、いわゆる部外、省外の方の仕事もやっていただくというような、いろいろ大小の仕事をお願いする、こういうような性格じゃなかろうかと思っております。そこで今の次官補にかえるかどうするかというようなことは、私先ほどそういう深い意味で申し上げたのではないのでありまして、さよう御了承を得たいと思っております。
  49. 受田新吉

    受田委員 大臣の下には政務的には大臣を補佐する機関として政務次官があり、事務的には省内の職員の統轄をはかる補佐官としての事務次官がある。さらに事務次官の下に事務次官補を置くという政府機構改革の構想があるようでございまするけれども、大体において、私は機構複雑多岐にさせることは、国の行政事務の能率をはばむ点においてこれは考えなければならぬと思っておるのです。いわんや、ここに今まで大臣官房で済んでいた仕事を、官房長という事務次官補にも考えたいという潜在的な意識をお持ちの大臣のお言葉をもってするならば、結果的にはやはり各局をまとめ、連絡調整とはいいましても、自然にそこにウェートが官房長に置かれるような形になられて、大臣の意思を体して各局長を索制することになると思うのです。それは現実の問題として……。そこであなたは官房長に任命される人を、まだ法律も出ないし、今から言えないと仰せられたのでありますが、今後省内のそうした高級人事をお取扱いになられるときに、鳩山内閣以来不文律として申し合されたのじゃないかと思う、政務次官と相談をして人事を決定するということを現在もやっておられることになっておるのでございますか。
  50. 神田博

    神田国務大臣 私はまだ厚生省では、今の現状で満足してみんなが努力されて成果をあげておると考えておりますので、人事のことは何も考えておりませんが、もし将来こうした機構の改革によって定員の異動をしなければならぬというような重要なことがございますれば、むろんこれは受田委員の今言われましたように、女房役の両次官は、これは一番の相談相手だ、そういうふうに私は考えております。
  51. 受田新吉

    受田委員 いま一つ大臣にお尋ねしたいことがあるのです。これは今厚生省が、その省の行政を進めていく上において大事な諸問題について答申を求め、あるいは勧告を求める機関として審議会とか、協議会とか、あるいは審査会とか、いろいろな機関があるわけです。これは民間学識経験者、その他の国会議員なども入っておるいろいろな機関があるわけでございますが、こういう機関の見解というものを大臣はよくお聞きにならないと、健康保険問題のお取扱いにおいても、また社会保障制定を進めていく問題においても、それぞれの審議会、あるいは協議会なるものの存在価値というものが、はなはだ薄くなるおそれがあるのです。これは非常に有能な人々を一応任命されておると思うので、そういう機関が公平に見た結論というものを常に尊重していくというところに厚生行政の運用のうまみがあり、また国民を納得させる線が出ると思うのです。どうも最近における健康保険事業の取扱いなどにおいても、われわれははなはだそこに納得しがたい点があるのでございまするが、それぞれの機関の、そうした大衆の声を聞き、学識経験者の声を聞く機関を尊重するという原則を、これをどうぞ一つ守り続けてもらいたい。そうしなければ、あなたの長期にわたる福祉国家建設政策というものは、途中で挫折するおそれがあると思います。国民とともにある厚生行政というところに、私はあなたの担当されるお仕事の妙味があると思うのです。御意見を伺いたいのです。
  52. 神田博

    神田国務大臣 今受田委員のお述べになりましたことは、これはもう私も全く同感でございます。今までも就任日浅いのでございますが、できるだけ尊重して参ったつもりでございます。将来も、これは厚生省には十二、三現にあるようでございますが、また年金等もできますれば、またふえる可能性もあるわけでございますが、十分一つこういった帯議会あるいは調査会等、多識練達な方々の御意見でございますから、尊重いたしていくことは当然のことと考えております。
  53. 受田新吉

    受田委員 私は改正点の第二、第三点について、時間も参ったようでありますから、ごく簡単にそこの外郭的なお尋ねだけ申し上げておきます。  この国立ろうあ者のための機関とか、あるいは国立精神薄弱児のための機関とかいうものを設けていただくことは、ほんとうにりっぱな行政であって、厚生省の本質に触れたお仕事を実行していただくという点において共鳴いたしますが、従来ここにこういうものを作ってかけ声ばかりになっているおそれがある。機関はあったけれどもそこにある職員の待遇は冷いし、そこへ収容されている該当者はごく少数であって、しかも冷遇されているいうようなことで、実際はそこでお世話になる人々に満足を与えていない機関がたくさんある。特に国立療養所のごとく、これは多くの疾病に悩む大衆を取り扱われる機関においてすら、職員が、待遇の問題その他いろいろなことがあるのでございましょうが、親切に患者を見ていない、放任しているような傾向が多分にある事例を、私は幾つも持っているのでございます。こういうものを設けると同時に、そこにおられる職員に十分安心して仕事ができるような待遇を与え、そしてそこにある程度施設も充実させて、そこでお世話になる不幸な人々に対して希望と光を与えるようなやり方を同時に考えておかれないと、これは機関倒れになると私は思うのであります。これに対する根本的な御見解をお願いします。
  54. 神田博

    神田国務大臣 今の御心配の点は、私も全く同感でございます。この更生指導所は長い間待望されておりましたのが、ようやく日の目を見て新設される、こういうことになったわけでございます。要はここに配置する人の問題で、適当な人がおるかどうかということが一番大事なことと、それから今御要望がございましたみんなが安心して働けるということが一番大事でございますので、そういうことはもう常々念頭に置いておるわけでございます。十分御期待に沿うように配置して参りたい、こう考えております。  なお結核療養所の問題も出たようでございますが、これについてはいろいろ問題もあるようでございますので、これは一つよく調査いたしまして、改める点等も多々あるようでございますから、十分また配慮していきたい、こういうように考えております。
  55. 受田新吉

    受田委員 国立ろうあ者更生指導所国立精神薄弱児施設というものは、文部省所管のろうあ学校とか、その他者学校との関係も出てくると私は思います。この精神薄弱児施設などにおきましても、これは小中高等における生徒、児童、またろうあ者における小中高の生徒、児電導の関係は、どういう取扱いをされようとしておるのであるか、局長でけっこうですからお答え願いたい。
  56. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 国立の精神薄弱児施設に入ります児童は、精神薄弱程度の非常に重い者と申しますか、そういった者を入れる予定でございまして、これらは当然就学の猶予または免除された者が入るわけでございます。従いまして猶予または免除されない者は、当然普通の学校に入ってもらう、そういうことで学校教育との関係が混淆を来たさないようにしたいと思います。  それからもう一つろうあ者の更生指導所につきましては、これはいわばおとなが入るわけであります。そういう計画でございますので、学校との関係は旅しつかえが生ずることはないと思います。
  57. 受田新吉

    受田委員 国立ろうあ者更生指導所の方は十八才から上ということでございますね。それでろうあ学校の高等部の修学が、十八でまだ完成していない者は、これば年令的に入れることができないわけですか。
  58. 實本博次

    實本説明員 今の国立ろうあ者の更生指導所で対象にいたしておりますものは原則として十八才以上の者でございますので、御質問の場合の、現在文部省の特殊学校あるいはそこに設けられました高等部なり職業部におられる方々との競合はございません。そちらで高等部を卒業した場合になおかつ社会福祉施設の指導所に入所希望の者はそこで新しく対象にする、こういうことになっておるわけでございます。
  59. 受田新吉

    受田委員 そうした限界を一応設けておられるとすれば、その点は了解できます。しからばその名称とか位置とか内部の組織等については、省令で定めたいという御意見のようでございますが、そういう構想だけは用意しておらなければこういう法律は出せないと思うのです。そういう構想一つ二つの機関についてお述べを願いたいと思います。
  60. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 第一に国立精神薄弱児施設の場所の問題でございます。これは精神薄弱児の国立の施設としてはさしあたって唯一のものでございまして、全国の精神薄弱児施設のいわば中枢的な役割を果すべきものでございますので、職員の指導であるとか講習であるとかそういった便利等も考えまして、東京部内と考えておりましたけれども、相当な坪数を要しますので、そういった適当な土地もございませんので、東京に最も近いところに現在候補地を求めておるわけでございます。  それから内部の組織でございますが、これはもちろんその施設の長のもとに庶務的な仕事を預かります庶務課、それから各寮、これは寮舎の制度をとりまして、その寮に職員を配置いたしまして世話をし指導をするわけでございますが、それらの実体的な面を担当いたします指導課、それからなお医療的な面も考えなければなりませんので、その面も加味したもの、そういった大体の組織を考えておるわけでございます。  それから名称の問題でございますが、これはこういった施設の常としてそれぞれ明るい気持を現わした名称にした方がよいと思いますし、場所等とも関連いたしまして、一つ十分研究をいたしまして適切な名前をつけたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 實本博次

    實本説明員 国立ろうあ者更生指導所の方は内部組織といたしましては、やはり管理事務をつかさどります庶務課、それから指導職能課、医療課、こういうものを一応予定いたしております。そこで指導職能課では露語機能なり音声機能の障害者に対しまして発語訓練なり、読唇術、そういったものの訓練、それから補聴器の装用訓練、そういったものをこの課で担当させるようにいたしております。それから心理的更生指導とか言語心理的更生指導もあわせてそこで行うことを予定いたしております。職業補導、職能訓練ということもそこでと考えております。それから医療課の方は聴力検査なり内耳開窓術というような治療なり手術をいたすことを予定いたしております。  位置につきましては東京都内を予定いたしておりまして、収容人員は百人、言語機能障害とか音声機能障害者のような者は収容いたさなくても外来でトレーニングができますので、これは外来を予定いたしております。  収容者は大体一年を収容期間といたしまして、その間にさっき申し上げましたようなサービスを行うことに相なっております。
  62. 受田新吉

    受田委員 そこへ収容する生徒、児童は、あるいはおとなの場合でもですが、どういう選考基準でやろうとなさっておられるのですか。
  63. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 国立の精神薄弱児施設収容いたします児童は、第一には精神薄弱児程度の重い者、さらにこまかいことを申し上げますと、大体精神薄弱児というのを三つの段階に分けて考えておりまして、程度の軽い方から申し上げますと、大体IQ五〇以上が魯鈍級、IQ五〇から二五の者が痴愚級、二五以下が白痴級というような三段階に分けてやっておりますけれども、そのうちの第一は白痴級、それから盲またはろうあと精神薄弱児のダブルの者を考えております。抽象的に申し上げますとそうでございますけれども、このうちにもいろいろ種類があることは当然考えなくちゃならぬのでございまして、これらのうちでも生活指導なり職業指導なりの指導効果をある程度期待できるものでないといけないと考えているわけでございます。そういった点を基礎にして選択をいたす考えであります。
  64. 受田新吉

    受田委員 その選択は国が直接なさいますか、都道府県に適当に推薦をさせる方針をとられるのですか、お答えを願います。
  65. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 お答えいたします。これらの選択につきましては各府県に児童相談所という機関を置いて、児童行政の技術的な面を主として担当させ、ここでその児童の知能の程度でございますとか、性格とかいったものについてのある程度の判定を下しまして、どこそこの施設に入れるというような仕事をやっているわけでございます。その児童相談所が一つの中心の機関になりまして、そこで今申し上げましたような考え方に沿った選考をしてもらう、具体的には県の方とこの施設とよく打ち合せをして、入れる入れないを決定する仕組みにしたいと考えております。
  66. 受田新吉

    受田委員 相当念を入れて選抜するという方法をとっておられるようでございますから、その点もこれ以上はお尋ねいたしませんが、私はこうした不幸な人々の収容されているところ、国立の教護院どもそうですが、こういうところはよほどよくめんどうを見てあげないと、何か暗い影がしのぶものです。そこにおられる職員も待遇をよくしてあげて、そしてある程度の娯楽施設も特別に便宜をはかってあげる等の予算措置も十分考えてあげて、そして社会の一番不幸な運命にある、われわれの考えることのできないような暗い影を持っている人々に対して、われわれは苦しみを体験してもいいのだから、この人々には優先的に喜びを分ってあげようというような思い切った制度一つ実行してもらわぬと、その易しのぎの、一応の厚生行政の愛の片鱗を現わしたような形に見えて、実際は依然としてここに陰うつな影のしのびよる機関としてこれが生まれるおそれがあると思います。この際われわれお互に不便を忍んでもこの人々を幸福にしてあげるのだというりっぱな愛情を持ってこうした機関を育てる勇気があるかないか、大臣及び担当局長より明確なる答弁をいただいて、これができ上った後に見に行って、お約束が違えば違うでまた皆さんを責め立てることにいたします。
  67. 神田博

    神田国務大臣 今の受田委員の御要望また政府の所信はどうかという強い御熱望、これはもう私、全く同感でございます。長い間予算化ができなくて、ようやく今度こういう機会に恵まれたわけでありまして、この設立に当りましては今お述べになりましたようなこと、すべてが大事な要件でございまして、厚生省といたしましては魂を入れた、また愛情のこもった、ほんとうに不幸な方々を明るくしてそこから国の明るさが光を増してくるような愛情のある、しかもあたたかさとともに勇気と申しましょうか、けなげと申しましょうか、陰のないほんとうに明るさを持った施設にいたしたい。そのためにはこれを担当する所長あるいは職員一体となりまして、また省をあげてこの仕事の完成することを指針といたしまして、収容された不幸な児童の更生施策として長く世の中におこたえできるりっぱなものにいたしたい、かような念願でございます。これはもう私一人の気持だけではないのでございまして、厚生省といたしましてあげてこの気持に燃えていることをつけ加えましてお答えにいたす次第でございます。
  68. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 贅言を要する必要はないと思います、まことにお話の点は同感でございまして、ただいま大臣からお述べになりました趣旨を体しまして、私たち、これらの仕事の当事者としましては全力を尽したいと考えておる次第でございます。  なお事務的な点にわたりますが、国立の教護院につきましては、三十一年度から児童指導職員につきまして調整号俸をつけているわけでございます。国立の精神薄弱児施設につきましては、ことし初めての予算でございましたので、そこまで参っておりませんが、これも教護院に準じましてそういう処置をとりたいと考えております。
  69. 受田新吉

    受田委員 大臣も他の政府委員の方もよく御承知であろうと思いますが、今から七年前昭和二十五年だったと思いますが、児童憲章制定委員会によって、子供を守るための憲章が生まれました。この憲章は、当時国のすべての人々によって高らかにその成立を歓迎された、いわゆる子供のための憲法です。この憲法の実践という点において、厚生省はいかような努力をされておるか、御答弁を願いたいのであります。
  70. 高田浩運

    高田(浩)政府委員 児童憲章は、これは厚生省関係だけでなしに、児童に関する各省の担当の者が関係してくるわけでありますが、厚生省として担当いたしております児童行政につきましては、もちろんこの児童憲章の掲げるところの理想ないし趣旨に沿って、一歩でも二歩でもこれに近づきますように努力をいたしておるのでございます。もちろんこの児童行政という仕事が、いわば戦後に始まったと言ってもさしつかえないような状況でございますし、ほかの行政に比べますとなお足りない点が多々あることは、これは私ども率直に認めているところでございますが、そういったほかの行政に対するおくれというものを一日も早く取り返しますように、そしてすべての児童に福祉がそそぎますように、私たちは微力ながら努力をいたしておるのでございます。なお、これを予算的に申し上げますと、あるいは施設的に申し上げますと、この児童行政が発足しました当時に比べますと相当増加をしていることは、受田委員も御承知通りでございまして、たとえば一番問題になります保育所等について見ますと、昭和二十三年の三月には千四百七十六カ所でありましたのが、現在約八千六百カ所、それから精神薄弱児施設は、昭和二十三年の三月、十六カ所でありましたのが、先ほど申し上げましたように八十五カ所、こういうふうに、それぞれ、その数字だけから見ますと非常に進歩をしたようにも思うのでありますけれども、対象児童そのものから見ますと、まだまだ今後これを推し進めていかなければならないと思っておるのでございます。そういう意味で、三十二年度の予算編成につきましても、大臣を初め皆様方非常にお骨折りいただきまして、予算の金額としては、三十一年度約六十九億でありましたのに、約八億ふえました。そういうような状況になっておるのでございます。その辺の足りない点は、今後十分一つ努力をいたす所存でございますので、今後とも一つ御支援をいただきたいと思います。
  71. 受田新吉

    受田委員 大臣の御見解を……。
  72. 神田博

    神田国務大臣 先ほど受田委員のお尋ねもございまして、今政府委員から述べましたように、厚生省といたしましては、児童憲章を十分尊重いたしまして、その精神を生かして参りたい、実効を上げていきたいという所存でございますが、何しろ、今政府委員が述べましたように、対象人員が膨大なのと、財政上の点等ございまして、まだその児童憲章の方向に非常に遠いことを遺憾に思っております。しかし、できるだけ早い機会児童憲章とその成果が一致するような方向に向って、最善の努力を続けて参りたい、かように念願いたしておる次第でございます。
  73. 受田新吉

    受田委員 終りに臨みまして一言質問を——それは大臣だけでけっこうです。そのあとは、今外部との折衝も廊下でやっておるようでございますので、その折衝の結果次第で、またあさってにでもやることにいたします。  大臣、あなたは大臣になってすでに三カ月になんなんとする日月をけみせられたわけであります。あなたは大臣として、老病あるいは幼少の不幸な人々を収容している社会施設を、直接視察、激励においでになられたことがございましょうか。御多忙でございましょうが……。
  74. 神田博

    神田国務大臣 実は私は大臣になる前から関心を持っておりまして、そういう施設を見た方だと思っております。大臣になりましたのが十二月の二十三日の夜中であったことは御承知通りでありますが、さっそく暮れの二十八日、年末でございますものですから、都内の施設を回りまして、こういった不幸な方々と申しましょうか、大事な児童と、また養老院におられる方々を慰問、激励いたしまして、私どもの声がそうした施設におられる全国の方々に響くようにという気持でお回りをいたしました。春になりましてからも数カ所を見ておりまして、なお機会あるごとに施設ば視察をいたしまして、そうして激励すると同時に、その施設の充実をはかり、その成果を上げたい、こういう念願で、いささか努力いたしておるつもりでございます。
  75. 受田新吉

    受田委員 あなたの気持と行動はある程度うなずけます。けれども、あなたはひまがあるごとに一つ、都内に限らず、地方を旅行されたときにも、厚生大臣として、養老院あるいは育児園、保育所その他、療養所等の施設で病気の療養をしておられる不幸な方々に至るまで、あたたかい心を配ってあげるというそのお気持を、今後一そう強化していただきたいのです。私は今まで厚生省所管事務で地方の視察もしたこともありますが、そういう際に不幸な人々の姿を拝見するときに、普通の旅館にとまる気持がしなくなり、知事の車を拝借する気持もしなくなります。せめてわれわれの行動する費用の半分でもさいて、不幸な人々のために——晩のちょっとした会食の席にももう絶対に出席しないという主義で私はやってきました。それだけの重大な厚生行政を担当しておられる厚生大臣として、とにかくみずから犯した罪でなくして、やむなく不幸な運命になった人々の片棒をかつぐという意味で、今大資本家との間に汚れた金のやりとりがされて、政界が腐敗、堕落しくさっておるという非難を受けているときに、国費をそうしたきれいな方向に使っていただいて、大臣みずから陣頭に立たれて、政界の浄化、粛正をはかられて、あなたが御在任中に、厚生行政は実に画期的な躍進をしたといわれるよう、りっぱな範を示していただきたい。及ばずながらわれわれは、あなたが悲壮な決意をもってこの職務を遂行されるとするならば、与野党を越えて、国をあげてこの懸案解決のために協力するのにやぶさかでないということを申し上げておいて、私の質問を終ります。
  76. 相川勝六

    相川委員長 それでは一応休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた〕