○粟山
委員 実は大局的に御考慮願わなければならぬことは——
ラジオの歴史は
相当に古い。何年になりますか、三十年にもなりますか、今千二百八十万の聴取者を持っているわけです。ところがこれは、これから先ふやそうとしてももう限界点に近づきつつあるのじゃないか、これが多くなればなるほど経営が困難になる。ところで
テレビというものは発足して三年目で赤字である。それはもっともである。それではいつ黒字になるかといえば、それは近いうちに黒字になるでしょう。黒字にしようと思えばすぐなるでしょう。そしてまた大局的に見て
テレビというものは、非常に速いテンポで
普及されつつある。またこれを見る、聞く、感覚という角度から非常に効果があるということによって、それは躍進するに違いない。そこでそういうことを考えますと、限界点に来ている
ラジオをかかえている
NHKとしては、新たに急速に発展する予想が明確である
テレビとともに経営なさるとしたならば、もうここで根本的、革新的な経営の
考え方を持たなければならぬ。これは質問応答といったような程度よりも、もっと根本的に
政府が考えるべきことである。国家、国民があげて考えるべきときが来ている、私はこういうふうに思う。これは真剣に考えていかなければならぬ。これは単にあなた方
NHKの経営の問題ではない。
電波監理局長さんはむろんのこと、
政府として考えてもらわなければならぬ。先般来VHF、UHFの総合経営いかん——今のときにVHFをできるだけ余っている電波を利用して、そして第二段に進むということも考えられるでありましょう。これはどうしても根本的に考えなければならぬ。
私が当初申し上げましたように、今の原子力の平和利用、電波の利用というものは、文化の面とかニュース面というようなことよりも、進んでは日本の平和的国防にも貢献すべき重大なる
意味を持つものである。そしてあれは民族国家の運命を支配するほどに主要なる任務を負担する機会に到来しているのではないか、それほどに、夢にあらずして現実のものとして考えられてきているというふうに私は認識している。こういう観点からいたしまして、全面的に考え直して、根本的にやってもらいたい。今
橋本委員から、議会は済んでも臨時にも
委員会を開いてほしいという希望があったが、私もこれは賛成です。こういう重大なものは、もはや一週間足らずで議会が済んで、立法府から行
政府にまかして、どうぞよろしくというわけにいかぬ。来年の議会まで待つというわけにもいかぬほどに重要な、時期的の問題であると考える。この議会というものは、衆参両院をもって、この国家の
重大使命をにのうておる限りにおいては、もっと国民に、もっと議員に徹底するように、あなた方は
説明、
普及の機会を作りなさい。
余談でありますけれども、南極探検のごときもそうです。今日は南極観測船として七億五千万円の金を使った。
最初ある学者が国際
会議から帰りまして
予算に計上したのは、昨年の正月ごろにはわずかに八千万円です。それが出発するときまでには、ヘリコプターや随伴船なりを加えて七億五千万円となった。これは当初において七億円も八億円も考えなければならぬものです。それでその責任者自体が、立つまでに八千万円の
予算が十倍になったのだといって、みずから驚いておることが賢い感覚であるかいなかということにすら疑問を持つのである。しかし行ってくれば、八億円くらいの金をかければ、これだけの第一階段の観測船としての任務を果したのです。七億円、八億円使っても、外国のものと比べて決して恥かしくない。効果的な面から見れば安いと思う。
だからこういう問題は、国は一つ思い切って
予算を組んで根本的にすべきである。二十億円の社債の
ワクとかなんとかいうことは、実に今ではおかしな話です。こんな小さなことで済むべきことじゃないと思う。あらためて考えることこそ、国民があげて共鳴する。そうして
国会が信用を増し、日本の
政府の行政官も技術官も、世界の水準を越したところの信用をかち得るものであると思う。どうかこの点について十分再考を願いたいと思うのでございます。
今承わりますと、今までの社債は第一
銀行、
勧業銀行、長期
銀行から借りておるそうでありますが、日本
銀行が
金利を上げると、この
通り日本の浅い経済には重大なショックを与えておるのである。おそらくあなた方はこれから十分仕事をしようと思っても、高い
金利で借りなければならぬ。そうすると、聴取区域をふやそうと思えば、そこまでサービス費用がかかるというようなことで、決してこの経営は楽観すべきものじゃない。日本の経済は吹けば飛ぶような経済だ。全く輸出に依存しておる。こういう
状況から考えまして、日本経済の本体から考えて、日本の国のポテンシャル・パワーの割り出しがら考えて、根本的にあなた方にこの重要な問題を考え直してもらわなければならない。私はこのことについて
政府当局の御
意見を承わりたい。