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1957-05-13 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年五月十三日(月曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君    理事 松前 重義君 理事 森本  靖君       川崎末五郎君    上林山榮吉君       齋藤 憲三君    平野 三郎君       三木 武夫君    粟山  博君       井手 以誠君    佐々木更三君       杉山元治郎君    原   茂君  出席政府委員         郵政政務次官  伊東 岩男君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小松  繁君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     稲葉 駿作君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ――――――――――――― 五月十一日  委員亀山孝一君及び纐纈彌三君辞任につき、そ  の補欠として上林山榮吉君及び星島二郎君が議  長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十一日  国正部落電話架設等に関する請願田中武夫  君紹介)(第三〇三八号)  万願寺部落電話架設等に関する請願田中武  夫君紹介)(第三〇三九号)  上若井部落電話架設等に関する請願田中武  夫君紹介)(第三〇四〇号)  中富部落電話架設等に関する請願田中武夫  君紹介)(第三〇四一号)  大正町奥打井川外四地区に公衆電話架設請願  (森本靖紹介)(第三〇四二号)  奥屋内下部落公衆電話架設請願森本靖君  紹介)(第三〇四三号)  愛媛県のマイクロウエーブ及び電話網整備促進  に関する請願砂田重政紹介)(第三〇六四  号)  常六に公衆電話架設請願森本靖紹介)(  第三〇七六号)  開聞、川尻電話取扱局統合に関する請願上林  山榮吉紹介)(第三〇八九号)  八千代台町に無集配特定郵便局設置請願(臼  井莊一君紹介)(第三一四二号) の審査を本委員会に付託された。 五月十一日  NHKテレビ第二放送網設置に関する陳情書  (第一〇二四号)  マイクロ・ウエーブ施設整備促進に関する陳  情書(第一〇二九  号)  電話金融等の対策に関する陳情書  (第一〇三五号) を本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本放送協会昭和三十年度財産目録貸借対照  表及び損益計算書     ―――――――――――――
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  去る三月七日本委員会に付託せられました日本放送協会昭和三十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題として、まず政府当局より説明を求めます。伊東政府委員
  3. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、概略御説明申し上げます。  日本放送協会のこれらの書類は、放送法第四十条の規定に基きまして国会に提出いたしたものであります。協会から提出されました昭和三十年度貸借対照表の詳細は、お手元書類通りでありますが、その概要について御説明申し上げますと、昭和三十一年三月三十一日現在における資本総額は三十九億八千三百余万円であり、これに照応する資産は八十二億五千百余万円、負債は四十二億六千八百余万円となっております。資産内容を見ますと、流動資産八億九千三百余万円、固定資産六十七億五千九百余万円、特定資産五億三千七百余万円、繰延勘定六千余万円となっております。また負債内容は、流動負債四億八千三百余万円、固定負債三十七億八千四百余万円となっております。  損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が百二億三千五百余万円、テレビジョン関係が三億八千八百余万円、事業支出は、ラジオ関係が九十三億五千九百余万円、テレビジョン関係が九億四百余万円で、ラジオ関係においては当期剰余金八億七千六百余万円、テレビジョン関係においては当期欠損金五億千六百余万円となっており、協会事業収支全体から見ますと、差引当期剰余金三億六千余万円となっております。  以上で概要説明を終りますが、何とぞよろしく御審査のほどをお願いいたします。
  4. 松井政吉

    松井委員長 次に日本放送協会より説明を求めます。小松参考人
  5. 小松繁

    小松参考人 日本放送協会昭和三十年度財産目録貸借対照表及び損益計算書についてその概要を御説明申し上げます。  まずお手元にございます財産目録貸借対照表について申し上げますと、昭和三十一年三月三十一日現在における固有資本は三十二億五千百九十五万円でありまして、これに対し資産は八十二億五千百四十五万円、負債は四十二億六千八百三十六万円でございますので、資産から負債固有資本を差し引いた剰余金は七億三千百十四万円でございます。このうち当期剰余金は三億六千六十三万円となっておりますが、その内訳を申し上げますと、ラジオでは八億七千六百六十七万円の剰余金を出しましたが、他方テレビジョンでは五億千六百四万円の欠損金を見たため、差引当期剰余金は、先ほど申し上げました通り三億六千六十三万円となるわけでございます。  次に順を追って前年度との比較を御説明いたしますと、まず固有資本につきましては、十二億千九百十六万円の増で三十二億五千百九十五万円となりましたが、これは昭和二十九年度に実施しました第二次再評価の積立金固有資本に組み入れたためでございます。次に資産につきましては、昭和二十九年度末に比較しまして、六億九千三百七万円の増で、当年度末におきましては八十二億五千百四十五万円となりましたが、この内訳を申し上げますと、流動資産では二億八千八百七万円の増で、八億九千三百三十一万円でございます。次に固定資産は五億二千七十二万円の増でございますが、これは東京放送会館新館並びに名古屋放送会館建設、広島、福岡、仙台テレビジョン局建設のほか、難聴地域の解消を目標とする既設局の増力及び中継放送所建設等でふえたものでありまして、当年度末六十七億五千九百七十三万円となったものであります。次に特定資産放送法第四十二条第三項によって積み立てた放送債券償還のための資金でありますが、これは償還が順調に進んで五千九百万円の減となり、その結果五億三千七百六十万円となりました。繰延勘定は五千六百七十二万円の減で当年度末は六千八十一万円となりましたが、これは主として昭和二十九年度決算の際の減価償却不足分当年度で償却したためでございます。  以上で資産につきましての御説明を終り、次に負債について申し上げますが、これは昭和二十九年度末に比較いたしまして三億五百三十一万円の増で、当年度末におきましては四十二億六千八百三十六万円となりましたが、この内訳を申し上げますと、流動負債では九千六百六十一万円の増で四億八千三百六十六万円となりましたが、これは主として未払金の増によるものでございます。次に固定負債ではまず放送債券ラジオで三億四千六百万円の減、テレビでは一億九千八百万円の増で、当年度末の発行残高は二十億八百万円となりました。次に長期借入金は、ラジオでは前年度末の借り入れ残高九千三百三十万円を当年度で全額返済いたしましたが、他方テレビでは四億五千万円の借り入れ増がありましたので、長期借入金は十七億七千六百七十万円となり、先に御説明いたしました放送債券の二十億八百万円と合せまして、固定負債全体としては三十七億八千四百七十万円となったのでございます。  次に損益計算書について御説明申し上げますと、まずラジオにおきましては、事業収入は百二億三千五百九十一万円、事業支出は九十三億五千九百二十四万円となり、差引当期剰余金は八億七千六百六十七万円となりました。さて、収入においてこのような成果を上げ得ましたのは、受信料収入昭和二十九年度に比較し五億七千二百八十七万円の増を、また当年度予算に対しても一億三百六十五万円の増となったためでありますが、これは受信者普及地域の開発、事業の周知に努めるとともに、また受信者早期契約締結運動を積極的に推進したためであります。すなわち有料受信者数当年度内において予算六十万増に対し七十万増の実績を上げ、年度末一千二百八十万となったのであります。次に、以上申し上げました収入財源をもって事業の推進にも積極的努力を払い、このため支出におきまして、事業費昭和二十九年度に比較し五億六千三百六十万円の増を示しました。すなわちこの事業費におきましては、事業計画に基き放送番組充実ローカル放送拡充相談業務等による受信者へのサービスの向上技術研究部門の強化、放送博物館開設等を実施いたしますとともに、事業計画等承認の際、附帯決議をもって特に要請せられました国際放送拡充及び経営の合理化、能率の増進等に基く経費の節減による職員の待遇改善等につきましても、御趣旨を体して鋭意実施に当りました。  次にテレビジョンにおきましては、事業収入は三億八千八百二万円、事業支出は九億四百七万円となり、差引当期欠損金は五億千六百四万円となりました。この欠損長期採算の構想に基くテレビジョン五カ年計画の第三年度計画進行中のため生じたものであります。当協会としては、置局計画をすみやかに実施するとともに、放送番組内容充実して、一日も早くテレビジョン全国普及をはかろうとして着々その歩みを進めている過度期の現象でございまして、これらの欠損は、長期借入金五億円並びに受信料の増収によってまかなわれたわけでございます。すなわち受信料収入昭和二十九年度に比較し二億六千二百二十八万円の増、また当年度予算に対しても五千三百九十七万円の増となり、有料受信者数は、当年度内において予算七万五千増に対し十一万二千増の実績を上げ、年度末十六万五千となったのであります。さて事業支出におきまして、事業費昭和二十九年度に比較し七千八百三十五万円の増を示しましたが、この事業費におきましては、報道、教養放送充実及び健全な娯楽放送等充実をはかるとともに、他面テレビジョン実験公開等によりテレビジョン受信普及にも大いに努力いたしました。  以上で財産目録貸借対照表及び損益計算書について一応御説明申し上げましたが、最後にラジオテレビジョン部門についての資本収支事業収支並びに収支剰余金について簡単に御説明いたしたいと思います。  まずラジオ収支全般についてみますと、収入資本収入十億四千七百二十八万円、事業収入百二億三千五百九十一万円を合せて収入総額百十二億八千三百十九万円となり、また支出資本支出十八億六千百十万円、事業支出九十二億四千八百九十一万円を合せて支出総額百十一億千万円となり、差引当期収支剰余金は一億七千三百十九万円でございましたが、これに前年度からの繰越金を加えまして、四億五千八百十二万円を三十一年度に繰り越した次第でございます。  次にテレビジョン収支全般についてみますと、収入資本収入八億二千六百七十八万円、事業収入三億八千八百二万円を合せて、収入総額十二億千四百八十一万円となりました。支出資本支出三億四千二百二万円、事業支出八億六千五百六十万円を合せまして十二億七百六十二万円で、差引当期収支剰余金は七百十九万円でございましたが、これに前年度からの繰越金を加えて千七万円を三十一年度に繰り越した次第でございます。  以上をもちまして昭和三十年度決算概要説明を終りますが、協会の現在の財政状況はおおむね良好な状態で持続しておりますけれども、なおNHK公共放送としての重大使命と責任に照らし、皆様の御意向に沿い、今後とも一そう事業の運営に意を用い、国民の皆様の御期待にそむかぬよう、最善の努力をいたして参りたい所存でございます。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたす次第でございます。
  6. 松井政吉

    松井委員長 これにて説明を終りました。  次に質疑に入ります。通告がありますので順次これを許します。橋本登美三郎君。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 まず最初委員長にお伺いいたしますが、この日本放送協会決算について会計検査院説明は、この委員会で聞ける予定になっておりますかどうか、お伺いいたします。
  8. 松井政吉

    松井委員長 必要ならばいつでも呼ぶことができますので、委員諸君が必要ならば会計検査院出席を求めて審議をしたいと考えております。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 これは私個人の希望でありますが、意見書には単に、「検査の結果記述すべき意見はない。」といっておりますが、会計検査院は詳細に調査をしておるわけでありますから、この決算書をあげるに当っては、一度会計検査院を呼んで聞く必要があろうと思いますので、私個人としては会計検査院の御出席を次の機会にお願いしたいと思います。
  10. 松井政吉

    松井委員長 承知いたしました。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいま政府並びに日本放送協会から御説明を拝聴いたしましたが、二、三の点についてお聞きいたします。大体昭和三十年度損益決算では、この結論にいうように順調な収入のもとに順調な決算ができておるようであります。そこでこの決算書を一応拝見いたしますと、三十年度損益決算では当期剰余金として三億六千六十三万円の剰余金が見積られておるようであります。しかしながらこの放送債券長期借入金との関係ですが、放送債券は大体法律では三十億を限度にしておるようでありますけれども、なおこの三十年度末の発行残高では二十億八百万円が残っておる。それに対して長期借入金が十七億七千六百七十万円、こういうことになっておりますから、従って固定負債の全体としては三十七億八千四百七十万円、放送債券ワクは越えておりますが、もちろんこれは実質が違いますから、必ずしも三十億のワクを越えていることがいけないという意味ではありませんが、長期借入金が十七億七千万円として放送債券が二十億八百万円、ほとんど同額に近い長期借入金があるわけですか、長期借入金の中には放送債券として資金網を作った方がいいものも入っておるのじゃなかろうか。もし放送債券でまかなうことが適当であるにかかわらず、長期借入金をもって行なったというものがありますれば、何か理由があるだろうと思いますが、その点についての放送協会当局の御説明をお願いしたい。
  12. 首藤憲太郎

    首藤参考人 仰せの通り放送債券につきましては三十億円のワク規定されております。三十年度におきましては二十億円の発行でございますが、三十二年度予算におきましてこれが約二十七億円になっております。放送債券長期借入金につきましては、予算総則では資金借り入れ方法として特定規定はございません。ただ私ども資金を調達いたします上におきまして、そのときの金融情勢金利情勢その他によりまして、長期借入金によってまかなう方が便利な場合が往々にしてございますわけであります。従いまして長期資金調達方法といたしましては、放送債券でやることが安定性がございますし、非常に合理的で、しかも法の趣旨にかなっておるわけでございますけれども、放送債券は数カ月前から予定いたしまして、起債市場その他のにらみ合せで相当の準備が要ると思います。従いまして金融情勢の非常に緩慢なとき、また金利が安いときに、長期借入金によって調達することも便利な場合もございますので、別段このために深い意味があるというわけではございません。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私が質問しましたことは大体意味はよくわかりました。放送法で三十億円の放送債券ワクを作ったゆえんのものは、原則として長期安定した財源を得るということと、かつまた長期的にこれを返還する場合において計画的な返還ができる。もちろんこれは長期債券でも話し合いがつきますからして、それに近いものができますが、法律で保護し法律できめておるのは、借りる場合においても金融市場に大きな影響を与えない年間計画を立てて、本年度これだけの放送債券を出す、こういうわけで、これを適当に分割して放送債券を割り当てる。こういうことのために、これは一応公共企業体——はっきりした公共企業体ではありませんが、まあ経済的に見れば準政府機関のような団体でありますから、従って年間最初予算を作り、事業計画を作って、一カ年これだけのものは必要である、こういう建前でできておりますから、放送債券発行する場合においては、年間の割当が大体においてできるわけであります。普通の会社でありますと収入において変化がある、支出においても特殊な変化がありますからして、必ずしもそういうことはできませんが、日本放送協会においては事業計画及び予算というものは国会において承認を経て、一年間の大体の大筋支出あるいは収入というものはきめられておる。従って放送債券中心にして財源を考えることが妥当である、こういうことからして放送法建前においては三十億の放送債券というものをきめたのであります。その後テレビジョン開設をされまして、それに相当多額建設資金が必要であるにもかかわらず、NHK当局はこうした建設資金が多く必要であるという計画を持っておりながら、これに対して放送債券ワク拡大ということをいまだかつて申請しておらない。それは要するに考え方としては、長期借入金相当にフルに活用していくという考え方から、こういうような措置をとっておられるのだろうと思います。しかし本年度予算を見ましても、三十億のワクの中で二十七億円以上のものが放送債券にたよらざるを得ない。たよることになって参りましたから、三十億のワクは大体一ぱいになりそうでありますが、それについてもなおかつ今回の国会にはワク拡大を申請しておらない。私がなぜこういうことをやかましく言うかといいますと、なるほど長期借入金の場合においては、金融状態が余裕がありますれば、長期借入金借入先はおそらくシンジケート、銀行だろうと思う。生命保険会社等は入っておらないだろうと思う。その点はあとで御説明願いますが、もしこれが放送債券等で行いますれば、当然これは銀行ももちろん持つ場合がありましょうが、生命保険等団体によって処理可能である。こういうことを考えますと、公共企業体もしくは公共企業体に準ずる機関というものは、なるべく民間金融情勢には左右されない、あるいは民間金融情勢を圧迫しない、常に計画的にものをきめていく、こういう建前放送債券というものをわれわれは考えておるのであります。その点私の決算書から受け取ります感じからいうと、その放送法の精神というものを果して十分に放送協会幹部諸君が了承して、こういうような金融操作をやっておるのかどうか、これについては多少の疑問なきを得ないのであります。   〔委員長退席森本委員長代理着席〕 この点について、いわゆる長期借入金の場合における金融先がどこになっておるか。またこういうような長期借入金の場合には、初年度における大体の計画をして、何月ごろには幾ら、何月ごろには幾らというようなことでやっておられるのかどうか。それとも必要に応じて突如銀行の方に交渉して話を進めるのか。この点の御説明を願いたい。
  14. 首藤憲太郎

    首藤参考人 お説の通り、われわれの事業計画を遂行いたします上におきまして、資金調達方法といたしましては債券発行による手段が最も合理的であり、かつ趣旨にかなっておる、われわれはかように考えております。ただ現行の放送法におきましては、何分にも三十億円というワクが設定されておりますので、その補助的手段といたしまして長期借入金を行なっておるのであります。ただいまお尋ねの長期借入金借入先につきましては、ほとんど全部市中金融機関でございます。具体的に申し上げますと第一銀行勧業銀行長期信用銀行等であります。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大体今の御説明によってわかりますが、今申し上げましたように答弁の方でも放送債券中心として財源を作っていく考えである、こういうようなお話でありますからして、その考え方はそうなのでありましょうが、結果に現われたところを見ますと大体半々に近い、こういう状態にありますことは、必ずしも補助機関ではないと見ざるを得ないのであります。また実際上の問題としては、放送債券としての利回りといわゆる協会支出というのから見て、借入金の方が分がいい場合もあったろうと思う。非常に金融緩慢であって比較的安く借りられるという場合もありましたろうが、そういう特殊の事情は例外的にはあったと思いますけれども、もう少し計画的に金融措置を考えてもらいたい。たとえば本年度における借入金にいたしましても、放送債券の方は大体予定はついておりましょうが、長期借入金が本年度、ちょっと私は書類を持っておりませんが相当金額に上っておると思いますが、それはどういう時期に、どういう割合でもって借りようとしておられるのか、その点の御説明を願いたい。
  16. 首藤憲太郎

    首藤参考人 その前に、先ほどの私の説明にちょっと足りない点がございました。長期借入金の全部が建設資金ということではございませんで、御承知のテレビにつきましては、事業資金不足がございまして、この資金放送債券に仰ぐことはできませんので、これは長期借入金によらざるを得ないという実情であります。  それから長期借入金の本年度計画につきましては、金融情勢の今後の模様とあわせ考えまして、定期的に銀行とも相談いたしまして大体の計画を立てておりますが、何分にもこれはわれわれの建設計画進行とそれに金融事情とのにらみ合いがございますので、大体の相談はいたしておりますけれども、必ずしもその通りに実行することが客観情勢によって許されない場合もございます。方針といたしましてはただ漫然と借り入れることはいたしませんで、大体の大筋計画は立っているわけであります。
  17. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 その点はその程度といたします。  そこで三十年度決算を見ますと比較的順調であるようでありますが、本年度、三十二年度予算案説明に対しては、協会当局は非常に苦しい予算を本年度組まざるを得なかった、あるいは近い将来において料金改訂等をお願いしなければならぬような場合にも立ち入るであろうというような説明があったと思います。そこで三十年度決算と三十二年度予算との間に中一年を経ておりますけれども、その間において、近い将来において料金改訂を行わなければならぬような支出が増大した原因——この決算から見てでありますが、どこにそういうような近い将来において料金改訂をしなければならぬような大きな原因が起きたか、おもだった点でよろしいのですが、御説明を願いたい。
  18. 首藤憲太郎

    首藤参考人 三十年度に比べまして、三十二年度事業規模がずっとふえてきております。建設計画におきましても放送網整備がだんだんと進んで参りました。また事業施設につきましても、人件費増加その他放送番組内容向上拡大、まただんだんと機動化することになりますので、その関係の費用も増大いたしました。それに対しまして収入面は、それに対応するだけの収入増がだんだん鈍っておるという状況でございますので、大ざっぱに申し上げますと、大体これが今日の場合では苦しくなってくる原因になっております。
  19. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 抽象的にはわかりますけれども、こういう考え方協会当局にあるのじゃないですか。前に値上げをいたしましたが、それ以前からの、主として標準ラジオ関係ですが、ラジオ関係施設が全面的に相当老朽に入ってきておる、しかるに一方においては民放が新しくできて参りますから、新施設をもってこれにかえなければならぬ、こういうことで近代的なラジオといいますか、近代的な改善をするためには、従来のラジオ増加率をもって財源としてこれらを切りかえることは非常に困難である、しかも現状のままでやって参りますれば、ますますNHK標準ラジオというものは程度が低くなって、一般大衆、受信者にも相当迷惑をかける、従って急速に短期間内に、たとえば三年なり五カ年計画でもけっこうでありますが、ある程度五カ年計画をもって根本的に今の施設改善しなければならぬ羽目に陥っておることが大きな原因である、もちろんこれは増力あるいは難聴区域の解消のため、もうからぬ地域にも設備の拡充をせねばならぬということが大きな原因でもありましょうが、要するに標準ラジ施設の根本的な改善といいますか、そういうことをやらなければならぬ時期に入ってきているというようなことからして、改善を積極的にやっていくという意味で、将来できれば料金改訂によって財源をひねり出したいというところにあるのではないかと思うのですが、この点について一つ御説明を願いたい。
  20. 小松繁

    小松参考人 ただいまの御質問の一番やはり要点となります大きな理由と申しますのは、今橋本委員からも御指摘がありました通り最近の全国の放送局新設あるいは増力計画、それから第二放送施設の増設、これはいずれも直ちに実行したごとによりまして、受信者がそれによって急に増加するという見込みはほとんどない地域のものばかりでございます。もっともそれを行います目的は、あくまでも難聴地域の解消ではありますけれども、受信者増加はそれによって多くは期待できないところばかりでございます。従いましてこれらの放送施設建設は、すべて放送電波のサービスの充実という意味に使われておるわけでございます。またもう一つの大きな理由になりますところは、放送の内容充実させるあるいは向上させる意味での番組その他の経費の増、たとえばローカル放送拡充、これらはもうすべてサービスの内容向上に使われておるものでございます。従いましてこれらのサービスは、直ちに受信者の増あるいは受信料の増にはならないものが大部分であるというところが、一番やはり大きな原因だというふうに考えております。
  21. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今まで質問したことに関連いたしましてお聞きいたしますが、そこで昨年の暮れですか、日本放送協会が郵政省に向って教育テレビの要望書といいますか、要望書を出しておるようであります。今回の三十二年度予算審議するに当りましても一応抽象的にはそれらの説明がありましたが、具体的な、計画的な説明はいただいておりません。そこで第一次、第二次といいましょうか、第二チャンネルとしてのテレビ・チャンネル・プランについては一応の具体的な説明はもらっておりますが、しかしなおかつ全国普及テレビ置局の問題、それに関連する予算の問題等は具体的に伺っておらぬわけであります。ことに全国的な教育テレビ局を第二チャンネルとして行いたいというようなお考え方を持っておられるようでありますが、それに対してむしろ近い将来、たとえば本年度においてはどういう工合にしてやる。本年度を第一年度といたしますれば、五カ年計画の第一年度にはどこまでやる。そうしてまた教育テレビという以上は、全国普及が原則でなければならぬのでありますが、これをどういう工合にしてやっていくのか。それに対する予算の裏づけ、従って収入にも関係して参りますが、そういう点についての十分なる計画をわれわれは拝聴しておらないのであります。従ってNHKが果して真剣に教育専門テレビを行う意思があるのかどうかということすらも、疑わざるを得ないような説明内容ではなかったかと私は思う。これについて、今直ちにそういう具体的な案がなければ、近い将来の機会でもけっこうですが、少くとも全国的な第二チャンネルを作るということになれば、それに従っての受像機の増加というものは必ずしも多くを期待することはできない。大体第一チャンネルといいましょうか、総合番組によってのテレビジョン受像機の増加は見込めますけれども、第二チャンネル、すなわち教育チャンネルによっては必ずしも増加というものは多くを考えられない。しかしながらNHKというものが中正、中立の機関であり、かつまた公共企業体としての役割からして、教育専門のテレビをやりたいということは、まことにわれわれも賛同するものではありますけれども、それに対する具体的な計画というものをわれわれは承知しておらない。従って将来どの程度までこの放送債券ワクが広げられなければならないのか、あるいはまた何年かかって第二チャンネルを、要望書に出しておる教育専門局を全国に普及させる考え方を持っておるのか、そういう点が明らかにされておりませんと、果して全国普及というものが大きな前提となるべき教育専門局において、NHKが適当かどうかという問題にも関連してくると思うのであります。従って、かつまたそればかりではなくして、テレビジョンの料金問題にいたしましても、これらと関連して初めて料金の金額が決定を見るというわけであって、もし第一チャンネル、すなわち総合番組だけをNHK全国普及でやっていくのだ。そして教育テレビは必ずしも全国普及ではないのだ。あるいはある程度主要個所には行う考えはありましょうが、それだけでありますれば料金の問題についてもまた違った計数が出てくると思うのです。でありますからして、ああいう要望書が出されると同時に、あるいは近い機会においてその具体的な計画——もちろん国会承認を得るようなものではありませんが、NHKとして将来やっていくべきテレビ・チャンネルの全国普及、第一チャンネル、第二チャンネルでやっていくならば、こういう計数になる、こういうときにはやはり予算審議する上においても——今日は時間がなかったので、次の機会に質問をいたしますが、そういう計画がなければならぬ。そういう計画について今大体構想をお持ちならば御説明を願いたいし、もし十分なる資料がおありにならなければ、具体的な計画をお作りになって、できるだけ早い機会にお出しを願いたい、こう考えるわけです。
  22. 小松繁

    小松参考人 ただいま橋本委員から御指摘のありました点、まことに私どもがこれから少くとも遠い将来を考えながら仕事を進める上において、最も大切な要点を御指摘になったものと考えます。テレビジョン計画に関しましては、昭和三十二年度事業計画並びに予算を当国会におきまして審議を受けます際に、参考資料として施設建設計画については一応資料として五年先くらいまでのものはお出ししたわけでございますが、これの運営の仕方、あるいはこれに関連して、先ほど御指摘のありました資金調達方法としての放送債券ワク拡大、あるいはまた受信料の値上げの問題等、すべて総合的に考えられねばならぬ問題が非常に多いように感じます。またこれの運用の仕方といたしましての教育番組の拡充をどの程度まで行うか、またそれの対象としまして、一般受信者のほかに特定の受信施設を考えるべきか等の大きな問題がありますために、一応放送局建設計画の資料だけはお出ししたわけでございますが、そういう意味での運営の方法全般にわたっての考え方につきましては、今後当委員会等の御意見も十分に伺って、来年度予算編成には具体化させたいというふうな考え方でおりましたために、これらに関しまして十二分に説明を申し上げる段階ではないと考えておりましたし、またその資料にはそこまでは触れていなかったわけでございます。しかしただいまお話のありました通り、それらの計画を進めます上には、御指摘のいろいろの要件をそろそろ具体的、確定的にわれわれの頭に描かなければならぬ時期がもう近づいておるという感じもいたしますので、これらにつきましてはできる限り近い機会に、具体的な方法につきまして当委員会の御意見も伺いながら、われわれの考え方を固めたいと考えております。
  23. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 副会長はそろそろとだいぶゆっくりしたような話でありますが、実は教育専門局をこの機会にチャンネル・プランの上できめるかきめないかという具体的な問題は、すでに近くに迫っておるのであります。従って一部にはNHKにこれを許可しても、全国普及の目的を達成できないじゃないかというような考え方を持つ人もなきにしもあらずであります。私は必ずしもそうは考えておりませんが、そう考えておる人もあります。われわれはやはり教育というものはどうしても全国普及を原則としなければならぬ。教育の機会均等という上からどうしても全国網でなければならぬ。こういう建前から言いますと、三十二年度においては若干の局にすぎないかもしれませんが、少くとも十年、十五年あるいは二十年かかるかもしれませんが、とにかく一定の期間でもって全国網ができるという建前でないと、機会均等の原則を破ることになる。そういうことをNHKにおいては考えられておるのか、もしくは可能なのか。こういう問題がやはりチャンネル・プランを考える場合において、重要な問題としてNHK当局においても当然考えざるを得ないだろう。でありますからして、そろそろとゆっくりやっておる時期ではなくして、NHKが教育専門局をやるということであれば、それは若干の都市だけでやるのではなく、全国網でやるという建前にしなければならぬのでありますからして、全国網の計画があり、それに対しての資金的裏づけ及び将来テレビジョン増加に伴っての収入、そういうものを勘案して、やはり総合的な計画がなくてはならぬ。もちろんこれは時勢の変化によって、そのときそのときによっての訂正は必要でありますけれども、一応この全般的な計画がなくてはならぬし、あるべきはずである。こういう意味で私はかなり急速にこの問題は協会側において策定をし、そうしてまた郵政当局とも相談をして、いわゆるわれわれ民主憲法の第一条件である教育の機会均等に沿うべき計画を持つべきである、こう考えるわけであります。従って急いでそういう策定案を作られて、近い将来当委員会において、たとえば閉会中であっても、閉会中における委員会の開会があるのでありますから、その機会にでも説明ができるように急速に資料を整えてもらいたい。そうしなければ実際上の審議にも大きな影響があろうと思います。その点は、私は資料提供といいましょうか、そういう意味での提案をいたしまして、ぜひともこれが近い将来において行われるようにお願いいたしたいと思います。  なお、全体的にこの決算書類の上に現われたものは、三十年度と今日ではだいぶ情勢が変っておりますので、三十年度決算自体から言いますれば、特に取り立てて申し上げる点も私はないように思います。しかし先ほど申しました長期借入金放送債券との割合から考えましても、必ずしも長期借入金の全部が私は不要だと言っておるわけではありません。事業施設のごときものは長期借入金であることは当然わかっておりまするが、建設資金までもかなりの部分が長期借入金で行われておるという状態は、あまりにも便宜主義になっていはしないか、こういう点を指摘するわけであります。大ざっぱでありますが、本日の私の質問は以上をもってとどめておきまして、またあらためて明日にでも質問をいたしたいと考えます。
  24. 小松繁

    小松参考人 ただいまの橋本委員テレビジョン計画等に関しましては、私が御回答を申し上げる言葉の表現が少し不適当であったかと存じますので、念のためもう一ぺん申し上げますが、われわれといたしましては一応の五カ年計画相当具体的なものを持っておるわけでございますが、ただこれを公式な席上において発表いたしますことは、結局これの経済的な裏づけという意味から、受信料の問題あるいは放送債券ワクの問題等に関連いたしますので、公式な席上で発表いたすことは今までしなかったわけでございます。従いまして、当委員会に三十二年度事業計画を御審議願う際に提出いたしました資料も、放送局の建設計画だけにとどめまして、これに要します経済的な裏づけになる、われわれの一応予定しております計画内容全体をお出ししなかった意味合いでございます。従いましてわれわれといたしましては、この内容にまでわたって一応検討しました計画は持っておりますので、適当な公式な機会がございまして、これらの一連のものについて御審議を願わなければならぬ機会がありますならば、われわれとしてはそういう計画全体について御説明も申し上げ、また御意見を伺う機会もあろうかというふうに考えておる次第でございます。
  25. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 今の点ですが、なるほど三十六年度までの総合番組の計画は参考資料として拝見しておりますが、それだけでは全国網は終っておらない。ただ総合番組の点につきましても、必ずしも総体的な計画がなされておらぬようだということが一つ、もう一つは、教育テレビを制定する以上は、いわゆる全国普及を原則としての計画でなければならぬ。それを何年までにできるのか、そうして何年後には、たとえば昭和三十六年度には受像機はこれくらいの推定ができるという計画ができてくると思うのです。それに従ってやはり放送債券ワクを考えていくということになりませんと、三年後にまた放送債券ワクを広げるとすると、これは法律の改正でありますから、できれば、五年くらいは法律の改正をしなくても済むようなものをこしらえるためには、当然それらの全体的な計画ができませんと、放送債券ワクの変更についても確たるものが出てこないじゃないか、こういう意味で、それが当然実行されるというのじゃありませんが、そういう計画のもとに研究を進めてもらいたい、こういう意味でありますから、その点具体的な研究ができましたならば、あらためて当委員会へお示し願いたいと考えます。
  26. 粟山博

    ○粟山委員 関連して。ただいま貸借対照表説明を伺いましたが、大きな資本であり、かなり大きな借入金によってまかなわれておる。昨年度と今年度剰余金が千七万円になっておる。千七万円といえば決して小さな金ではないけれども、この利用される固定資本並びに流動資本で、使用額からいうと、これは大きなものとは考えられない。そこでこの程度の資本金の量からいいますれば、これは安全な経営だとは考えられない。ことに今御説明通りに、これからのラジオ普及のごときはだんだん困難なところに普及していくのであるから、サービスに骨が折れるし、金がかかることはもっとものことである。それはまた公共事業を運営するNHKとしては当然の責任である。また受聴区域がだんだん拡大されていくということについては、あなた方の方の費用が過大になることは想像にかたくないのであります。こういう観点から申しますと、どうもこのままの経営では、今は黒字であるけれども、遺憾ながら赤字に転落していく傾向をたどっていくという点において、この事業の公共的な、そうして国家的な重要な使命を持っておるという意味におけるわれわれの信頼感から申しますと、ちょっとさびしい感じがする。   〔森本委員長代理退席、委員長着席〕 あなた方はどうお考えですか。ちょっとその点をお聞きしておきたい。
  27. 小松繁

    小松参考人 ただいま御指摘のございましたように、NHKの財政の現状から見まして、今日一応のバランスがとれ、あるいはまた一応の剰余金も見得る状態でありましても、次の時期にはラジオにおいては必ず非常に苦しい状態になるということは、三十二年度予算を御審議願いましたときにも御意見がございましたし、またわれわれも実はそのことを非常に心配しておるわけでございます。具体的に申し上げまして、ラジオに関しましては、ただいま見込んでおります昭和三十二年度計画におきましての増収は四億そこそこでございますが、次年度になりますれば、おそらくこれが三億以下の増収しか見込み得ないだろうというふうに考えます。従いまして、先ほど橋本委員から御指摘のございましたように、全国百数十カ所の放送施設の設備ほとんどすべてが年とともに老朽化して参りまして、これを全部新しい施設にかえねばならぬという大きな必要性も当然今から予想されますし、同時にまた、わずかといいながらも難聴の解消区域も残っております。すべてこれらの経費を要する問題がたくさん残っておりながらも、増収が年々減っていくという実情もございます。従いまして、私どもといたしましてはできるだけ経費の合理化をはかり、また人員におきましても、わずかの人間によりまして能率を上げることを真剣に考えまして、これらの業務全体の合理化をはかりまして、経費の節減をはかることによって、何とかこの面を補っていきたいというふうに考えておりますが、良心的な仕事をする上には、先ほど橋本委員からも御指摘がございましたが、果して将来どこまでこの状態が続き得るか、そういうことを考えます際には、あるいは場合によりましては受信料金の適正なる価格の再検討ということも、近い将来には起きるのではないかというふうに考えております。しかしながら私どもの心がまえといたしましては、やはりいい放送をいたしまして国民全体の御期待に沿わなければならぬが、われわれの責任といたしましては、それを果す上にも放送協会内のすべての業務全体に十二分な合理化をはかり、節約をはかっていくという建前で、今仕事を考えている次第でございます。
  28. 粟山博

    ○粟山委員 実は大局的に御考慮願わなければならぬことは——ラジオの歴史は相当に古い。何年になりますか、三十年にもなりますか、今千二百八十万の聴取者を持っているわけです。ところがこれは、これから先ふやそうとしてももう限界点に近づきつつあるのじゃないか、これが多くなればなるほど経営が困難になる。ところでテレビというものは発足して三年目で赤字である。それはもっともである。それではいつ黒字になるかといえば、それは近いうちに黒字になるでしょう。黒字にしようと思えばすぐなるでしょう。そしてまた大局的に見てテレビというものは、非常に速いテンポで普及されつつある。またこれを見る、聞く、感覚という角度から非常に効果があるということによって、それは躍進するに違いない。そこでそういうことを考えますと、限界点に来ているラジオをかかえているNHKとしては、新たに急速に発展する予想が明確であるテレビとともに経営なさるとしたならば、もうここで根本的、革新的な経営の考え方を持たなければならぬ。これは質問応答といったような程度よりも、もっと根本的に政府が考えるべきことである。国家、国民があげて考えるべきときが来ている、私はこういうふうに思う。これは真剣に考えていかなければならぬ。これは単にあなた方NHKの経営の問題ではない。電波監理局長さんはむろんのこと、政府として考えてもらわなければならぬ。先般来VHF、UHFの総合経営いかん——今のときにVHFをできるだけ余っている電波を利用して、そして第二段に進むということも考えられるでありましょう。これはどうしても根本的に考えなければならぬ。  私が当初申し上げましたように、今の原子力の平和利用、電波の利用というものは、文化の面とかニュース面というようなことよりも、進んでは日本の平和的国防にも貢献すべき重大なる意味を持つものである。そしてあれは民族国家の運命を支配するほどに主要なる任務を負担する機会に到来しているのではないか、それほどに、夢にあらずして現実のものとして考えられてきているというふうに私は認識している。こういう観点からいたしまして、全面的に考え直して、根本的にやってもらいたい。今橋本委員から、議会は済んでも臨時にも委員会を開いてほしいという希望があったが、私もこれは賛成です。こういう重大なものは、もはや一週間足らずで議会が済んで、立法府から行政府にまかして、どうぞよろしくというわけにいかぬ。来年の議会まで待つというわけにもいかぬほどに重要な、時期的の問題であると考える。この議会というものは、衆参両院をもって、この国家の重大使命をにのうておる限りにおいては、もっと国民に、もっと議員に徹底するように、あなた方は説明普及の機会を作りなさい。  余談でありますけれども、南極探検のごときもそうです。今日は南極観測船として七億五千万円の金を使った。最初ある学者が国際会議から帰りまして予算に計上したのは、昨年の正月ごろにはわずかに八千万円です。それが出発するときまでには、ヘリコプターや随伴船なりを加えて七億五千万円となった。これは当初において七億円も八億円も考えなければならぬものです。それでその責任者自体が、立つまでに八千万円の予算が十倍になったのだといって、みずから驚いておることが賢い感覚であるかいなかということにすら疑問を持つのである。しかし行ってくれば、八億円くらいの金をかければ、これだけの第一階段の観測船としての任務を果したのです。七億円、八億円使っても、外国のものと比べて決して恥かしくない。効果的な面から見れば安いと思う。  だからこういう問題は、国は一つ思い切って予算を組んで根本的にすべきである。二十億円の社債のワクとかなんとかいうことは、実に今ではおかしな話です。こんな小さなことで済むべきことじゃないと思う。あらためて考えることこそ、国民があげて共鳴する。そうして国会が信用を増し、日本の政府の行政官も技術官も、世界の水準を越したところの信用をかち得るものであると思う。どうかこの点について十分再考を願いたいと思うのでございます。  今承わりますと、今までの社債は第一銀行勧業銀行、長期銀行から借りておるそうでありますが、日本銀行金利を上げると、この通り日本の浅い経済には重大なショックを与えておるのである。おそらくあなた方はこれから十分仕事をしようと思っても、高い金利で借りなければならぬ。そうすると、聴取区域をふやそうと思えば、そこまでサービス費用がかかるというようなことで、決してこの経営は楽観すべきものじゃない。日本の経済は吹けば飛ぶような経済だ。全く輸出に依存しておる。こういう状況から考えまして、日本経済の本体から考えて、日本の国のポテンシャル・パワーの割り出しがら考えて、根本的にあなた方にこの重要な問題を考え直してもらわなければならない。私はこのことについて政府当局の御意見を承わりたい。
  29. 伊東岩男

    伊東政府委員 ただいま日本の電波及び放送事業の将来を非常に憂慮された警告的の御質問がございました。ごもっともでございます。NHKの将来については、やはりあなたと同じような憂いをともにするものでありまするけれども、NHK公共放送としての立場から、今後は多々ますます難聴区域に対する施設の完備をはからなければならないということ、いま一つは当分もうからないテレビ網の拡充をやらなければならない。いま一つは外国向けの放送のごとき、これはやはり相当の経費をかけねばならないのでございまするから、お話のようにこの点に対しては政府がこの場合相当決意をして、来年度予算等の策定に向っては、その点に思いを向ける必要があるということは同感でございます。よってすべての将来の計画については、政府としても相当考えねばならぬということをはっきり申し上げてお答えにいたします。
  30. 粟山博

    ○粟山委員 もう一つ簡単にこの機会に……。今私の手元にはたくさんテレビに関する請願書が参っております。私はできるだけ忠実にこれを読んでおります。大てい似たようなことでありますけれども、要は許可してもらいたいということです。その許可してもらいたいということも、すでにラジオを持っているところにテレビをやることは行き過ぎである、民主主義に反するということの二つの争いによって色どられておる。それからNHKNHKの既定方針通りおやりになる。一体いつこれを整理して許可なさるのかということについて、ほんとうにおのれをむなしゅうして考えてくると、なかなかめんどうである。地方においての大新聞、それから名高い実業家、地方の有力な人々、全国的な知名な有力者の名前をほとんど羅列して、それが八重二十重に組み合わさっている。まことに乱闘の感を感ぜざるを得ないのです。この人物の組み合せからいって乱闘です。果してこれをどういうふうに処置なさるか。聞くがごとくんば、間もなく何か処置をするというように聞くが、これは容易じゃないと思う。こういうことは慎重の上に慎重を期して、将来ほんとうに情実にとらわれざるところの処置によって、そしてほんとうに国の文化の上に、国の経済の上に、国のすなおなあるがままの自然の発展に即したようなところに衆知を集めて結論を得たい。不肖粟山のごときは、びょうたる議員でありますけれども、何ものにもとらわれることなく、いかなるものをもおそれることなしに、委員としての職責を果して、ただ一人私は御協賛を申し上げたいと覚悟しておるのであります。どうか本委員の意のあるところを了とせられて、政府当局においても慎重にお考えあらんことをお願いいたします。
  31. 松井政吉

    松井委員長 竹内俊吉君。
  32. 竹内俊吉

    ○竹内委員 ただいまのNHKの三十年度の収支予算決算につきまして二、三お尋ねしたいのでございますが、概観的に感じますことは、承認予算額と決算額との間に、各項目ごとにほとんど訂正があるという点であります。もっともこれはわれわれがこの予算審議いたしました際に、予算の実施に当ってこれを合理化して、余裕があったら従業員の待遇改善にそれを使ってほしいという附帯決議をしておるのでありますが、それはそれとして、しかしながら各項目ごとにこう増減額があって、承認予算額と決算額とに非常な食い違いがあるという点については、予算の実施の面について疑問を持たざるを得ないのであります。概観的に、こういう点にNHKはどういう考えを持っておりますか、まずそれを伺いたいと思います。
  33. 首藤憲太郎

    首藤参考人 お答え申し上げます。予算の実行上は、国会で御承認になったその線に沿って実行しておるわけでございますが、予算総則の上にも規定されております、また国会でも御審議いただいております承認予算以上の増収がありました場合、またわれわれの努力によりまして節約がなされました場合に、これがそれぞれ給与、それから設備改善その他に振り当てられることになっておるわけでございますので、ここに承認予算との多少の食い違いがございますのは、みなそういう原因でございます。
  34. 竹内俊吉

    ○竹内委員 いや、それはよく承知しております。ですから前提として申し上げましたようにそれはわかる。それにしても、これほど承認予算額と決算額とが相違するということになると、われわれは予算審議して、これは修正の権限もないのでありますが、した意味がほとんどなくなる。たとえばテレビジョンについては、テレビジョンは目下普及、振興の時期でありますから、こういうふうに経費がかさむことはよくわかります。わかるならば当初からそういう予算を考えるのがほんとうであって、これはこういう普及時代だからやむを得ないのだ、ふえていったって仕方がないのだということでは、予算を組む場合の皆さんの注意というか、計画が完全でなかったということを意味すると思う。増収があった場合にそういうふうにしなさいとわれわれは附帯決議をしております、よく承知しておりますが、そうかといって、この状態でよろしいか、何らの反省の余地がないか、当りまえだというお考えがどうかということを聞きたい。
  35. 首藤憲太郎

    首藤参考人 われわれとして承認予算を御審議願いますときには、翌年度のわれわれの努力の最大目標を一応予想いたしまして御審議いただくわけでございますが、実際問題といたしまして、われわれの押えます数字は、いろいろのデータからわれわれの努力目標というものを一応考えておるわけでございまして、実行上はさらに客観情勢変化その他私どもの努力によって、ふえる場合が実はあるわけでございます。仰せのように当初からそれを見込むのは当然でございますけれども、何分にも一年間の予想でございますから、なかなかその辺が技術的に困難であるわけでございます。
  36. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それではこれは結局われわれ予算を一生懸命審議しても、あまり意味がないことになるのです。つまりあなた方の努力によって予算以上の増収があった場合に、それは勝手にわれわれの方であんばいしていいのだ、こういう結論と同じことになって、何らする余地はないのだ、三十年度決算においてもその通りなんだ、こういうことであるならば、われわれは今後皆さんの予算案審議する場合において、われわれの態度に多少の変化があるということを申し上げなければならぬ、こういうことなんです。  水かけ論になりますからそれはそれでいいとしまして、この説明を読んでみますと、三十年度においてテレビの方は別ですが、ラジオにおいてこれだけの収入を上げ得たのは、最初予算において六十万ふえるだろうと考えたのが七十万ふえた、これはあなたの言うNHKの独自の努力によってふえたのだ、増収になったのはわれわれが勝手に使ったのだ、こういうことだと思うのです。そこでそれが三十一年、二年になりますると、今の小松副会長の御説明にもあったように、だんだん収入が伸び悩んできた、こういうことでだいぶ状態が変ってきたということでありますが、伸び悩んできた原因はどこにあるのか。人口からいたしますと、日本は最近は人口があまりふえなくなったとは申しながら、大体一年間に二十万内外の世帯数で増加しておるのであります。にもかかわらず伸び悩んできたということは、どこに一番大きい原因があるのか、その原因に向ってそれを解消すべくNHK努力しておるのか、どういう努力をしておるのか、その点を伺っておきたい。
  37. 小松繁

    小松参考人 御承知のように昨年国勢調査がありまして、それによりましてわれわれが一応根拠にしております世帯数が非常に大きく変りました。その新しい数によりまして、私どもは全国の世帯の普及率というものを大体今計算しておるわけでございます。その数字とそれまでに使っておりました前の国勢調査によります数の上には相当開きがございましたが、その両者を検討いたしまして、その途中の年度においてはその途中の数字というふうに仮定いたしまして、大体われわれの普及のあり方、これから将来の進め方を予想しておるわけでございます。それによりますと、いまだ加入しておられない世帯の大体二五%程度のものが一年間の予想し得る数、大体そういうふうに現在は予定いたしております。もっとも国会で御審議願います予算を提出する際には、われわれとして最も確実な範囲の数字を見ておりまして、それによりまして今の数字を出しておるわけでございますが、実際には格別に全国のそれぞれ委託をしております先、また当協会の扱っておる人間を督励いたしまして、私どもとして最初に見込みました確実な数字の上に、幾らかの予定外の純増というものが見込まれた結果として出てきておるのが実情でございます。
  38. 竹内俊吉

    ○竹内委員 副会長の御説明大へん御親切でありますけれども、私そういうことをお聞きしておるのではないのです。何が一体原因なのか、つまり難聴区域の解消といっても、これ以上NHKがその区域を取消するために新しい局なんかを設けてやるということになると、どうも金をつぎ込んだ割合にそう収入増にはならない。NHKといってもある程度企業中心にやっているのだから、全然そろばんを抜きにしてもできないのだ、だからもう頭打ちに来ているのだ。方法としては金さえかければ幾らか増す分はあるだろう、それには相当大きな資本を投じなければできない、収支のバランスにおいて、今はいろいろな仕事があるからそこまで手が伸びないのだ、こういうことじゃないのかと思うからお聞きするわけですが、方法として何が一番ネックになっているのですか。
  39. 小松繁

    小松参考人 御承知のように新しい国勢調査の数字によりまして、現在の普及率は七八%近くになっております。従ってそれから先の二二%近くの数というものは、果してこれが実現し得る数であるかどうかということを、われわれとしては一応検討してみております。大体各方面の意見等も聞きまして、おそらく最高限度が九〇%であろう、あるいは九〇%以下であろう、そういうようにわれわれとしては一応見通しを立てております。そういたしますと残りますところは一〇%余りでございますが、その分につきましては開発にきわめて困難な世帯であるというふうになるわけでありまして、私どもといたしましては結局放送協会の電波のサービスにおいては、まだいささか遺憾のあることは認めておりますが、しかし全地域にわたってもうほとんど百パーセント近い状態になっておる。残っております受信状態の不良な地域は、もう現在のチャンネル・プランにおいては、あるいはまた国際的な電波の混信状態においては、解決し得ないものがあるというふうに考えておりますので、さらにその一〇%近くのものは、解決し得ないものも中には含まれておるというふうに判断しております。従って飽和点に非常に近づいておるというのが実情だというふうに考えております。
  40. 竹内俊吉

    ○竹内委員 よくわかりました。私もほぼ飽和点に達しておる、こういうことだろうと思うのです。そこでNHK収入をはかりますために、最近ポータブルの受信機に対しても何らか手を打ちたいという考えを持っておるように聞くわけでございますが、これは私は今の法規上からいっても大へんめんどうだと思いますが、たとえばポータブルの受信機から聴取料を取るような方法を考えつつありますか、ちょっとお聞きしておきたい。
  41. 小松繁

    小松参考人 御承知のように現在では自動車に設備されておるのは別口として一応対象にしておりますから、われわれとしては今後のラジオ収入をはかる合理的な方法として、一つの方法であろうということは頭に置いておりまして、それを受信者の一つの対象として考える場合の受信料の徴収の問題、あるいはまた加入契約の難易の問題等も検討いたしております。現段階では非常にむずかしい問題だというふうには考えておりますが、目下検討中でございます。
  42. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それからもう一つ伺っておきたいのですが、各地方にテレビ局をNHKが開局しておる。その映像がよく見えるところは問題ないのですが、電界強度からいってもかなり低い。しかしながら機械を買って遠距離の映像を受くべくアンテナを立てて、そしてNHKテレビを見ておる、こういう事態が相当日本全国に多かろうと思います。たとえば函館がこの三月に開局しました。青森県はその映像が不完全ではあるが、半分くらいは努力すれば見られるわけであります。これはもう相当不完全です。ところが最近NHKは料金をもうそろそろ取るのだということで御調査をされておるということでありますが、これは青森の例は別として 一般論としてどの程度のものから一体テレビジョンの聴視料を取るのか。たとえば電界強度とかそういう確たる基準によってやるか、あるいは実験の映像を見てそれによって判断をするのか、あなた方が行政的に申請しておるエリアの区域外であれば取らないのか、一体どこに基準を置いてこの問題に対処せんとしているか。三十二年、三年は非常にこういうケースが多くなると思いますが、これを一つ明らかにしておきたい。
  43. 稲葉駿作

    ○稲葉参考人 ラジオの場合でもそうでございますが、ラジオでも電界強度といたしましては、法定電界強度というのが一応ございます。ですが、ラジオが聞えまして日本の国の中にある場合には、現在のところ聴取料をいただいております。やはりわれわれといたしましても、使いものにならないものまでもテレビの場合にはいただこうと思っておりませんが、現実によく見えまして、そしてラジオの場合のように国内でよく見えて、十分実用に供し得る場合には、常識的に判断いたしましていただいております。しかし普通はなるべく法定の電界強度の点で基準をつけるようにいたしておりますが、電波の特性上、われわれの予想せぬところで、実際やってみますと見えるところもございますので、なるべくそういうふうにしていただくようにやっております。
  44. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そういうことでははなはだ不明確なんです。そうするとよく見えれば取るのですか。私のうちで今アンテナを立てて——約二万二、三千円かかりますが、それだけの施設をすれば見えますよ。見えるといっても東京ほどははっきりしないが、実用化しておるといえば実用化しておるのです。そういう施設をして受信者が金をかけて努力をして見えるものでも、これはよく見えているからといって取るということになると、隣は取られるが、隣は施設をしてないから取られないという、ある地域内において非常にむらがたくさん出てくるわけです。そういうことを基準にして聴視料を取るということになると、これは実際あなた方行う方でも大へんだろうし、受ける方も納得しません。何らかの基準をこの場合に明らかにしておくということが大切でありますから、今皆さんの中で相談がきまっていなければ、この次でよろしゅうございます。今ここで返事をしろという意味ではないが、その基準を明らかにして天下に示すということが、これはNHKのことしから来年にかけてのテレビ普及上非常に大きい問題でありますから、それを明らかにしていただきたい。
  45. 小松繁

    小松参考人 今の放送法等におきまして受信料を契約する基準というものは、非常に具体的に技術的にこまかくは規定されておりませんことは、御指摘の通りでございます。従いまして私どもといたしましては、今稲葉理事から説明いたしました考え方で一応やっておりますが、御指摘の通りきわめて不明確でございます。従いまして私どもといたしましては、今竹内委員から御示唆がございましたような方法を十分考えまして、その契約をすべき基準というものをNHKなりに明らかにしたいというふうに考えております。
  46. 竹内俊吉

    ○竹内委員 それでは明日も委員会があるようですから、あすでもその点のあなた方のお考えがまとまったら、御発表願いたい。  もう一つ、ついでと申しては恐縮だが、聞いておきたいのであります。この決算と直接関係はないといえばないのですが、三十一年度テレビ置局計画、これは事業計画をわれわれは予算とともに承認を与えたものでありますが、それが大体計画通り予定通りに工事が進行し、あるいは開局も計画通りにいっておりますか。
  47. 小松繁

    小松参考人 三十一年度に具体的に計画に載っております局のうち、岡山局は、これはいろいろの準備に手間取りまして、少しおくれておりますが、他の局につきましては一応施設は完成いたしております。ただいろいろ手続が完全に終っておらないので、まだ開局の運びになっておりませんだけでございます。
  48. 竹内俊吉

    ○竹内委員 その工事の施設が完成して、まだ行政的手続が済まないために開局を延ばしているのは、どこどこですか。
  49. 小松繁

    小松参考人 小倉、松山、静岡、それだけでございます。
  50. 竹内俊吉

    ○竹内委員 その行政的手続が済まないということは、どういうことなんですか。
  51. 小松繁

    小松参考人 郵政当局から免許をいただいておらないわけであります。
  52. 竹内俊吉

    ○竹内委員 これは国民がテレビを一日も早く見たいという要請からすれば、私はNHKがこういうことを急いでいることには賛成であります。ところが一方行政の面から見ると、この問題はけじめを明らかにしておかないと問題があろうと思う。その趣旨でお尋ねするのです。一体テレビは波の割当を受けないと、実際の施設は工事ができないと思う。何の波を使うのかでいろいろ違いがある。そのチャンネル・プランはまだ決定していない。もちろん予備免許も受けていない。にもかかわらず工事が進んで今日まできたということでありますが、これは国民側の要望からすればきわめてもっともだ。しかもわれわれは予算の場合に、資金計画とともに事業計画承認しておって、その中には置局計画があって、NHKは三十一年度にどこどこの局を作るということに対しては、われわれ国会としては承認を与えておる。しかしながら行政的にそういう面でどの波を使うということがきまらないのに、NHKがこういう工事を進めるということになると、いろいろな問題が出てきて、現に静岡等においてはチャンネル・プランの原案と違う波を引き当てにして、NHKが工事を進めておる。これを先般電波局長にお尋ねをしたら、それはNHKの危険負担において、責任においてやっていることで、私の方は相談にもあずからなかったというお答えであった。こうなってくると、筋を通さなければならない行政としてはまことにおかしいことになります。一体こういうことが行われておったために、危険負担はNHKだけでよろしいかというと、NHKだけでよろしくない現象が最近では出てきています。一般大衆は大体自分のところは何チャンネルが割当になるのだと思って、受信機を売ったり買ったりしている。宣伝もしている。ところが実際今度それの使う波の割当があった場合に、その受信機が使えないということになるのであります。これはNHKの危険負担ではなく、一般大衆の危険負担にも及ぶから、この行政とNHKの方とのギャップについてお尋ねしておかなければならぬと思うのだが、これは副会長に特にお聞きしておきますが、行政上のこういう措置に対するNHKのこういうやり方は、今までの慣行上からすればどうなっておるのですか。今回初めてのことでありますか。その点を伺っておきたい。
  53. 小松繁

    小松参考人 日本放送協会が設立されましたのは大正十五年八月でございます。その八月以来今日まで三十二年間にわたりまして、全国一局も残らず例外なく同じ方法をとっております。それで静岡、小倉、松山のテレビジョン局におきましても同じ方法をとっておりますから、今御指摘の通りで、われわれとしては慣例上やっておったことであると申し上げます。
  54. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今の副会長のお答えだと、こういうやり方は慣行だ、つまり予算国会承認し、事業計画承認して、置局計画等を含んだものが国会を通って、それは政府が提案の場合に意見書を大臣がつけて出してきておるので、公認なんだ、こういう考え方で今までやってきた。それが今日たまたまこういう問題が起きて、開局を押えられておる、こういうことに聞くわけです。電波監理局にお尋ねいたしますが、これに対しては行政的にどうけじめをつけなければならぬと考えるか。現在ここに至ったことに対する、テレビを早く見たいと非常に待っている大衆に対する行政当局の態度としてどう説明しますか。チャンネル・プランがおくれているためにこういう結果を生んだということだけでは私は済まぬと思う。その点の所信を伺っておきたい。
  55. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 NHKが始まって以来一局残さず、先ほどのお話の慣例に従ったという事実については私は存じませんが、しかしながら何局であろうとかようなやり方は適当な方法とは思っておりません。これにつきましてはいろいろ従来のやり方に不備な点もあろうと思うのでありまして、NHK事業計画の、いかにしてこれを実施するかということについての実施案につきましては、適当な方法を講じて今後かようなことがないようにしたいという所存でございます。しかしながらかようなことが行われたために、国民大衆に非常な迷惑をおかけすることも事実でありまして、これについては非常に郵政当局といたしまして責任を痛感しておるわけであります。一日も早くさようなことが起らないような適切な処置をとらなければならないと、目下いろいろと考究中でございます。
  56. 竹内俊吉

    ○竹内委員 NHKにちょっとお聞きしたいのですが、施設が完成したが開局が行政的な手続が済まないためにおくれておる、そのおくれた期間は大体どの程度ですか。
  57. 小松繁

    小松参考人 ただいま申し上げましたいずれの局も、三月末に一応完成いたしております。
  58. 原茂

    ○原(茂)委員 関連。今三カ所だけとおっしゃいましたが、あと長野にありませんか。
  59. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 長野局は一応内容はブースター局でございますが、これは実験局として大体行うことを予定いたしておりますから、全然別個のものでございます。
  60. 原茂

    ○原(茂)委員 前の委員会でもそのことを当局に聞いたのですが、監理局長からお答えがあって、今の三つの局と同じようなケースにこれも入るものだというように私は了解しておるのですが、そうじゃありませんか。手続の問題です。
  61. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 長野の問題は事業計画にははっきりとは現われていなかったものであると思いますが、多分実験研究という項目の中に隠れてと申しますか、表面に出ないで包含されて入っておったものではないかと思います。
  62. 原茂

    ○原(茂)委員 そういうことであるから別途にこれを取り扱うというのではなく、やはり今の三カ所と同じような事例によって——今までの慣例からNHKがやった。しかしながらその慣例は思わしくない。今日郵政の責任においてそういうことを改めようというお考えを監理局長は持っている。その一連のものとして長野もやはりおくれておるのだというように、この前の答弁を私は聞いたと思うのですが、そうじゃないのですか。全然別個に、これはただ単に実験局であるから、そういう慣例がいい悪いというものに含ませて考慮しないで、別途にこれは許可できるのですか。
  63. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 長野の場合と小倉、静岡の場合とは範疇が違うと思いますけれども、今日その地域の人々が当面しておる状態は同じだと思うのであります。政府といたしましてはどちらも同じように取り扱いたいという所存でございます。すなわち一日も早く実施が実現いたしますように、最善の努力をいたしたいと考えております。
  64. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今の問題は、NHKとしてはもう開局以来の慣行だ、こういうことで当りまえだということです。局長の御答弁では、そういうことは知らない。行政的に適当ではない。私はそれももっともだろうと思う。そこでこの問題の処理方法としては、今まで予備免許を経ない前にどんどん工事を進めていくということに対して行政的にどうするかということと、現在もう施設が完備しておって、その地域の人たちがテレビを一日も早く見たいと言って待っておる事態に対して免許を急ぐということと、両方から対処しなければならない問題であろうと思います。そこで特にお尋ねしたいのであるが、チャンネル・プランがきまる前に、特別なそういう開局の措置を与えることができないという点に、何か大きな理由があるのか。たとえば今チャンネル・プランの諮問をしておるのでありますが、その答申として皆さんの原案と著しく相違したものが出てきて、重大な修正が予想される、よってこれは簡単に許可できない、こういう状態であるのか。そのうち函館一局はもう開局しておるわけでありますから、電波当局のやり方も一貫はしていないのであります。網の目はもう破れておるわけであります。にもかかわらずこれを押えておるのはどういうわけか。その点の御説明を聞きたい。
  65. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 静岡、小倉それから長野もそうでありますが、それらの地区に割当されますところの波長は、最初に考えました第六チャンネル以上の電波と組み合されておるのであります。そのためにチャンネル・プランが確定いたしませんと、予備免許を与えるのに心配があるのでありまして、チャンネル・プランが確定いたしませんければ、それは正式には予備免許とはならない性質のものであります。しかしながら先ほど来竹内先生が申されますように、その地域の強い要望、また私どももそのことについてはまことに当然と思うのでありまして、もしチャンネル・プランが予想以外に延びるということでございますれば、特別な措置をとる必要があると思うのでありまして、いずれにいたせそう遠くない時期においてこの実施が実現されるものと考えております。
  66. 竹内俊吉

    ○竹内委員 どうもあまりはっきりしない御答弁でありますが、行政庁の指示を通して、NHKに今後こういうことが起らないように注意をする方法を講ずるということは、当然しなければならないことだと思います。しかし今できておるこの事態、しからば函館はどうして三月二十五日に許可を与えたのですか。あと著しい修正の可能性があるという見込みでもあれば格別ですが、そうでなければ同じケースでしょう。静岡の方だけは、これはあなたの方の原案と全然違うものをNHKがあなたの方に連絡なく勝手にやった、こういうことであれば問題だろうと思いますが、そうなると電波監理局NHKに対して監督、指導の地位におりながら、それを全然知らないでおったということも、これはあなたの方の手柄にはなりません。いずれにしてもこの問題処理のために、もう少しはっきりしたことをお聞きしておかないと、この地域の人は非常に待っておるわけです。幕を開けばよいのに幕を開かぬということは大へんなことだろうと思いますから、事情があれば、もう少しわかるようにそれを御説明願いたい。
  67. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 函館の場合は、先ほど申し上げました第六チャンネル以下の波長と組み合せがあるわけでありまして、さらにそれ以外にも、函館地区は他の地域との関連をあまり考慮しないでもいいという情勢がありますので、特に函館を先にいたしたわけであります。元来は、函館もその他の地区と同じように、チャンネル・プランが確定しなければ免許してはならないと考えておりますが、第六チャンネル以下であるということと、それから周囲との関係をあまり考慮しないでいいという見通しが立ったので、それで予備免許を与えたわけであります。しかしながら予備免許と申しましても、仮の指定ということにしてあるわけでありまして、もしチャンネル・プランが確定しまして影響があるならば、これを変更することがあるべしという前提に立っておるわけでありまして、決してこれは野放しでやったのではないのであります。次に静岡、小倉等の免許の問題であります。なるべくすみやかにと申しますのは、もしチャンネル・プランがあまり延びますならば、緊急な措置を講じてなるべく早くやりたい、その時期はそう遠くない、そういうわけでありまして、チャンネル・プランにつきましての基本方針等はもう遠からずきまりますから、少くとも基本方針が確定しましたならば、その時期等についてはっきり申し上げられると思いますので、御了承願いたいと思います。
  68. 松井政吉

  69. 森本靖

    森本委員 決算の問題でえらいところへ行きましたが、私もその問題が出ましたので一言申し上げておきたいと思います。先ほどの小松副会長の御答弁によりますと、伝統的に三十何年間をそういうことでやってきたということは、確かにそれはけっこうですけれども、今の情勢とそれから三十年前のところ、そのうちの二十年ぐらい前とはだいぶ情勢が違うわけです。それから今回のテレビの許可の問題についても、今までの情勢と民放がある今日の情勢とはかなり違ったものがあるわけです。だから、私は当委員会においてもしばしばNHK当局に対して、予算措置その他ということでなしに、具体的な計画があるならば、民放と同様に申請書等も出して——テレビというものは、NHKにも県庁所在地それぞれに対しては優先的に許可をされるものであるということは当然であっても、しかし一応表面的には民放とも同一の競争を行なっていくという建前になっておるわけです。だから、そういう面についても十分に考慮してやっていってもらいたいということを、私は当委員会を通じてしばしばNHK当局にも注意もし、また勧告もしてきた次第であります。ところが今回の静岡、小倉、松山というところになりまして、さらに岡山の問題も含めて、真相は知りませんけれども、郵政の電波監理当局とNHK当局とがあまり密接に行っておらないようにわれわれは感ずるわけであります。こういうことは国民としても非常に迷惑なことであります。NHK当局予算についても、郵政省の手を通じてこれは委員会に提案をされるのでありますから、もう少しそのときに十分打ち合せをして、将来の見通しを立ててやっていくならば、こういうことは起らぬと思う。今回のこういうことが起ったということについては、われわれとしては非常に残念に考えておるわけでありまして、今後ともNHK当局も、それから郵政省当局も十分よく話し合いをして、そうして一つ筋の立つような格好において、NHKが公共性であり優先性であるということの建前を貫いていくことについて、われわれも大いにこれを応援したいと考えておりますが、こんな妙なことで電波監理当局とNHK当局とがあまりうまく行っておらないという印象を、今回は世間に与えておるわけであります。その点はNHKもそれから電波監理当局も、十分お互いに考えてもらわなければならぬ点があるのではないかということを、私はこの際強く要望しておきたいと思う次第であります。  それからこの問題と別でありますが、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。今名古屋にテレビの集中された鉄塔が立っておりますが、あれにはNHK当局の方から資金が出ておりますか、どうなっておりますか。NHKとは全然関係がありませんか。
  70. 首藤憲太郎

    首藤参考人 これは共同建設の方式をとりまして、詳しい数字は持ち合せておりませんが、五千万円程度の出資——これは出資ではございませんで、持ち分を持つという形でやっております。
  71. 森本靖

    森本委員 あれの総額の出資がどのくらいであったか御記憶ないのですか。今わからなければけっこうですが、一応NHKからあの名古屋のテレビの鉄塔に対しては、五千万円というものが出資をされているということですね。
  72. 首藤憲太郎

    首藤参考人 出資ではございませんで、形は共同建設ということになっておりまして、NHKといたしまして、その割合に応じた所有権を持つ、こういう形になっております。
  73. 森本靖

    森本委員 そうなりますと、これはこの間の当委員会においても橋本委員の方から、東京におけるテレビの鉄塔の計画についての質問があったわけでありますが、将来東京都内におけるテレビの鉄塔が集中されてでき上るという場合については、NHKの方としてはどういうお考えですか。
  74. 小松繁

    小松参考人 この問題につきましては、計画が幾つもあったように聞いておりますが、そのうちの一つの計画を立てている関係者からNHKに、これに参画しないかという個人的、内面的な話し合いがございました。私たちといたしましては、この話は現在テレビをやっております民間局にもまた申請をされているところにも話があったやに聞いております。従いまして資金の問題で解決するならば、相当実現性があるというふうにも一応見通しを立てて現在検討いたしておりますが、御承知のように現在の場所をそちらに移すとなりますと、放送所の施設全体の移転問題もございまして、相当大きな額を必要とするということが予想されますので、果していずれを選ぶのが有利であるか、経済的の比較も現在実はいたしているところでございます。まだ協会としては、結論を出すところまでは進んでおらない状態でございます。
  75. 森本靖

    森本委員 それではなおこの問題については私は次に質問をすることにいたしまして、あした質問をいたします問題として特にあなたの方でお調べを願っておきたいと思いますことは、委託集金のNHKとの間における現金の収受、それからその運営、そういう問題について一つ詳しく御調査を願っておいてもらいたいと思います。それからもう一つちょっとお聞きしておきたいと思いますが、各放送局におきましてそれぞれ集金した金、それからそれらに対する払いというようなもので、若干各局にそれぞれ現金が残ると思いますが、その現金の保管方法、これは今どうなっておりますか。
  76. 首藤憲太郎

    首藤参考人 各地方の放送局には、方針といたしまして、ごく当座の最小限度の資金を持たせることになっております。従いまして聴取料が入りました場合には、これはすぐ東京に送ってくるというのが建前になっております。それでごくわずかな資金を保有しておりましても、これは銀行に預金させております。
  77. 森本靖

    森本委員 これは国鉄公社の経理のときにも問題になりましたが、こういうところの現金、各地方放送局それから各県庁所在地の放送局等における現金の預金の方法、たとえば郵便貯金もしくは銀行預金というふうにおそらく出納規程ではなっておると思いますが、その場合に郵便貯金はこれは問題ないと思うわけですが、銀行預金という場合に、どこそこの銀行というふうに初めから指定をしてやるのか。それとも指定せずにその当該局にまかされておるのか、そういう点をちょっとお聞きしたいと思います。
  78. 首藤憲太郎

    首藤参考人 各地の放送局に指定してございます。
  79. 森本靖

    森本委員 その各地の指定をされた銀行の一覧表というものは、資料としてお出し願えますか。——それでは一つそれを資料としてお出しを願いたいと思います。  なお時間もきましたので、私の質問は一応これで終りましてあした行うことにいたします。
  80. 松井政吉

    松井委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は明十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くことにいたします。  なお橋本君よりの御意見に基く会計検査院出席は、明十四日に求めることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十二分散会