○粟山
委員 私戦後の国民経済ないしは国民生活、それから
文化の
進歩というようなものは、戦前、戦中、戦後と比べますと、実に悲しむべき戦争の
あとではありますけれども、世界的に見ても国内的に見ても、非常によい面に急速な発達をしていると思う。そこで今われわれが政治家として最も深刻に
考えさせられることは、いろいろたくさん問題がありますが、原爆とその平和利用の問題、それから
電波といわゆる企業ないしは国民生活、これが一番大きな問題であると思う。ことに
日本のように人口がおびただしく多くて国が小さな、馬の背中のようにきょくせきしたる地域に群集しております国民の
状態、こういう
状態からいたしますと、これが私は非常に大事な問題だと思う。そこで今原子力の問題は、国に大きな予算を組みまして、着々先進国との間に折衝を持っているが、これとても実情は新聞で御承知の通り、円滑に進んでいっているとは思えません。われわれは政治家として、
日本における大きな問題を悩みなしに解決していこうという不退転の積極的な意欲と覚悟が必要であることは、今日よりはなはだしきはないと思う。
電波の問題においても私は同様に
考えている。ところがこの
電波の問題は、私ごときに対しても大阪から東北から、いや各地からたくさん
請願、陳情というようなものやら、書類が手元に参っております。できるだけこれを拝見しておりますけれども、拝見すればするほど非常にこんとんとしている。いかにも混迷な社会
状態をこの活字において、われわれの目の前にさらされるような気がする。そこで私の願いは、今
濱田さんからもるるその深い
専門的な造詣に基く
行政官としての、またさらに洗練された御
経験からの該博な御指示がございまして、非常に私は啓発されるところがありますけれども、しかしまだ何となく私にしこりが残っているのは、これは理想的なものであるけれども、まだ早いという
一つの言葉に私は気がかりがある。かつて、今より四十数年前になりまするが、後藤新平さんというすぐれた政治家があって、台湾の開発をあのようにいたしました。国内においても、あの天才的ひらめきが
日本の産業に示唆したところ少くありません。あれだけの偉才であって総理
大臣になる
機会を失いましたけれども、東北出身の実に偉大なる人であったと思う。この人は当時
日本に広軌鉄道を用いろということを非常に主張された。丹那トンネルのごときも後藤さんの仕事です。あの当時あれだけの年月と金をかけて丹那トンネルを作るのは、とんでもない仕事だといわれたが、今日になってみたらその効用はいかがでございましょう。もし広軌鉄道にしておりましたならば、私は
日本の今日の交通運輸の上に稗益するところがどんなに多かったかということを
考えさせられるのであります。そこで、国が
一つの仕事をするときにわれわれは夢を持つ、この夢にも現実化するためには限度がありまするけれども、その夢がいわゆる
専門の科学の上に、長い将来にその実現が期待されるという結論がある限りにおきましては、私は政治家として、いかなる困難をも排除して、資金の面においては国民とともにその
要求に応じ、その
計画に従っていくべきものであろうと思う。ある段階まで進んだために、かえって第二段階、第三段階に進もうとするときに、その先はもう動きがとれぬというような場面に直面することが数多いと思う。われわれは長い間
経験しております。くどいようなことを申し上げますが、目あきとめくらの戦争
——第二次世界戦争のごときも、
日本は肉眼で見えるということを非常に自慢しておった。またいずれの国もおそれておった。ところが先様はちゃんとレーダーでキャッチしておる。目あきとめくらの戦争であります。そしてまたたく間にフィリピン海域においてはたばたと戦艦、巡洋艦等の取っておきの船体などは影もなく、商船の多くは全部あの水域においてなくなったことは御承知の通りであります。目あきとめくらがけんかしたのです。そこで後藤さんもあの当時、
日本のような国柄において人口がおよそ倍の八千万になろうとは思われなかったでございましょう。当時の政治家も今日の八千万というものを予想しておらなかったろうと思います。しかし現在は、
日本は人口が増加する国であるということはだれも知っている。そういう点から
考えまして、私は
日本の国のいわゆるポテンシャル・パワー、現実の
日本の約束された天然資源と天然の形態において十分
——専門家は
専門家として、われわれは敬意を表しておるのであるから、
濱田さんも
濱田さんのスタッフをうんとふやして、
大臣は予算を都合してあげて、十分遺憾のない研究をされて、ゆっくり
——ゆっくりと言ったってそう長くない。二年も三年もかかるわけではない。けれどもある程度余裕を置いて、
技術を尊重し、各面において限りなく成長していきます科学の総合こそ国力であり、国の
文化、国民生活、対外的の弾力性、こういうものを助長し把握する
一つの重要なものであるという観点から、私は
濱田さんの今の御説明に敬意を表しますけれども、なおもっと御研究を願いたいという感じがしたのです。これは私の直感でございます。そこで私はしろうとであって、これから政治家として知り得るだけの
専門的の知識に接触したい。また他の同僚にも勧めたい。党の幹部なんといったって何も知らないで、だれだれという著名な人、だれだれという大きな勢力のある人、いろいろな方面からいじくり回されて堂々めぐりをするようなことでは、国危うしと言わざるを得ないのである。これはどうか
一つ郵政省の幹部の方々は腹を据えて、政党人に蒙を開いてやる、天下に蒙を開いてやる、それからマス・コミュニケーションの時代であるけれども、そういう俗論を排して、百万燭光の光を照らして、真にわれわれの進んでいくべきところに標準を立ててもらいたい。そうしてわれわれは忠実に政治家としての任務をここに果したいということを念願するものであります。一言私は
濱田さんに申し上げておきたいと思うのであります。