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1957-04-03 第26回国会 衆議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年四月三日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 松井 政吉君   理事 竹内 俊吉君 理事 橋本登美三郎君  理事 廣瀬 正雄君 理事 早稻田柳右ェ門君    理事 森本  靖君       川崎末五郎君    上林山榮吉君       齋藤 憲三君    椎熊 三郎君       濱地 文平君    粟山  博君       佐々木更三君    志村 茂治君       杉山元治郎君    原   茂君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 平井 太郎君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房文書         課長)     浅野 賢澄君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月二十九日  委員森本靖辞任につき、その補欠として下川  儀太郎君が議長指名委員に選任された。 四月三日  委員下川儀太郎辞任につき、その補欠として  森本靖君が議長指名委員に選任された。 同日  森本靖君が理事補欠当選した。     ————————————— 四月一日  山之口郵便局舎新築に関する請願伊東岩男君  紹介)(第二六三九号)  電話加入権担保制度確立に関する請願(福田  赳夫君紹介)(第二六七〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人出頭要求に関する件  電波監理及び放送に関する件     —————————————
  2. 松井政吉

    松井委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。理事森本靖君が去る三月二十九日委員辞任につき、理事が一名欠員になっておりますが、同君が本日本委員に選任されましたので、森本靖君を再び理事指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松井政吉

    松井委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 松井政吉

    松井委員長 電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。発言の申し出がありますので、順次これを許します。橋本登美三郎君。
  5. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 かねてからテレビチャンネルプランについては、なかなか世論もやかましいし、かつまたせんだって衆議院並びに参議院の文教委員会においてもこれに関する要望書が決議をせられておる。当委員会でもかねてからこの問題については重大なる関心を持って、慎重審議を進めておるわけであります。私はこれから重要な根本的な問題について二、三質疑をいたしますが、私自身もすでに委員として席を得てから十年であります。何か一部においては私の質問が他にサゼスチョンを得てやっておるような誤解があるかもしれませんが、私は私なりに個人的な研究と十年間の経験に基いて質問をするわけでありまして、その点誤解のないように……。われわれ委員会として常に正鵠なる結論を得たい、こういう建前から忌憚のない質疑をいたしたいと思うわけであります。  まず第一に、わが国におきましては現在の聴取可能区域は、ラジオの場合におきましては、これはNHKの例で申しますが、NHKの第一放送は九九・三%、第二放送は九六%という工合に、大体全国あまねく普及されております。そこでテレビをもし右のように、ラジオ普及せられたと同様に全国あまねく一ヵ所大体二波以上あるいは三波、そういうような複数をもって視聴できるようにするためには、全国テレビの局がどれくらいあれば間に合うのか、これに対する必要チャンネルはどのくらいあればよろしいのか、その点監理局長からお答えを願いたい。
  6. 濱田成徳

    濱田政府委員 先般来から御審議を願っておりますチャンネルプランをもとにいたしますと、大体総合番組をやるために全国的にNHKに五十数波、それから一般放送事業者に対して五十数波、これに教育その他の番組だけを専門にやる放送局を入れると、大体全体で百七十くらいの局が要ろうかと考えております。それに加うるにブースターサテライト等を考慮いたしますれば、そうして全国津々浦々に普及をいたしまするならば、やはり二百局ぐらいの局が要ろうかと考えております。
  7. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ただいまの局長の御答弁ですが、それはいかなる地区においてもNHK一般テレビ局並びに民間一般テレビ局、もう一つ教育専門局を合わして三局を一ヵ所に設置することを前提としての百七十局ですか、それともNHK教育専門局二つを最小限とするという計画のものですか、その点お答え願いたい。
  8. 濱田成徳

    濱田政府委員 仰せのごとく一般番組NHK全国あまねく教育放送をやりました場合における教育放送考えますならばそれと、それから民間放送のネットが一つ、そうしました場合に、一ヵ所に三局とした場合には二百局ぐらいになる、そういう考えでございます。正確なことはちょっと申し上げかねますけれども、大体そういうふうに考えております。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 局長の御答弁NHKが一局、教育専門テレビ局が一局、民放一局で、全国あまねく視聴できるためには大体二百局が必要だ、私の計算ではもう少し出ると思います。二百二、三十局ばかりでないと民放が完全に要求を満たし得ないと思いますが、これはどちらでもけっこうです。大体二百ないし二百二、三十局が全国あまねくテレビを視聴できる局数になろうと思います。そして現在電波監理局、いわゆる郵政省電波監理審議会に諮問しておるチャンネルプラン、これはVHFだけでもって諮問されておるわけでありますか、これによりますと一応一般放送テレビ局だけが中心になっておりますが、しかしながらこれだけで一般テレビ局にしても全国あまねく視聴できるとは考えられないのですが、これによってどれくらいの視聴カバレージをお考えになっておるか、何%ぐらいが視聴可能になるか、この点のお調べがあればお聞かせ願いたい。
  10. 濱田成徳

    濱田政府委員 あのチャンネルプランによりますと、指定電界による聴取可能区域は七一%、しかしそれ以下の電界でも聴取できます。いわゆる実用電界でありますが、それを考慮いたしますと八五%ぐらいになるという予想でございます。
  11. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 しかしながらチャンネルプランをごらんになってわかるように、それはNHKだけを主として、NHK中心考えれば今おっしゃるように七〇%ないし七五%の視聴カバレージができると思いますが、民放複数でやるということになるともっとパーセンテージが減ってくると思います。民放の点から考えれば、たとえばこのチャンネルプランでもNHKだけにしか許可できないというような個所が相当数あるわけでありまして、しかも東京とか大阪とかの大都市の近郊で、比較的人口の稠密した地帯NHK以外に許可できない、こういうようなチャンネル相当数あります。ここで計算してみましても七、八ヵ所ぐらいあるのであります。従ってNHKだけからいえば、なるほど七〇%ないし七五%の視聴カバレージがありますが、民放建前からいうとそれからまた一〇%ぐらい減ってくる、こういうことになろうと思うのです。なおかつテレビの場合はラジオと違いまして、必ずしも出力を大電力にしたから、そこでもってカバレージが急速に伸びるという性質のものではないのであります。従ってこれをやるために出力を増大せしめるというだけで、これをカバーせしめることは困難であろう。従って正確な数字からいえば、民放を加えての、いわゆるNHK並びに民放視聴カバレージは、おそらく六〇%前後じゃないかと思うのです。そうするとあとの四〇%というものは——これはNHKは幾分聞かれるが、民放テレビというものはあとの四〇%前後、もっともこれはNHKだけで計算いたしましても、約三〇%というものはテレビの恩恵に浴さない、こういうような結果にこのプランではなると思うが、その点に対するお考えを承わりたい。
  12. 濱田成徳

    濱田政府委員 いわゆる実用電界で八十数パーセントの区域まで聴視可能にいたし得ると思いますけれども、そのあとの一五%、あるいは橋本委員が指摘されましたように、民間放送等から考えましたならば、三〇%ないし四〇%というものについてはサテライトとかあるいはブースターというような補助的な施設を漸次増すことによりまして、これを九〇%あるいは九五%までも持っていく可能性があろうと一応今考えております。
  13. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 一応局長答弁を了承するといたしましても、どう考えてもNHKだけから考えまして、少くとも八〇%前後がこのチャンネルプラン視聴カバレージだと思うのです。しかもその上に最近問題になっておる教育テレビ専門局設置するということになりますと、当然この教育専門テレビ局というものは、憲法の示す教育機会均等という大原則からいいますれば、現在の諮問されておるチャンネルプランでやりますと、もちろんこれは教育専門テレビ全国普及は考慮しておらない。しかも諮問案の中には教育テレビを示唆するがごとき文字が掲げられております。第六項の第三号に「前二号による総合的番組放送するもののほか、学術、技芸、職能教育等もっぱら教育的効果目的とする放送を行う局の設置を必要かつ適当とする場合においては、」こういう工合一般放送局以外にこの基本方針修正は、教育専門テレビ局を置いてはどうか——というよりも置くことを希望するような強い表現のもとに、第三項は特にこの問題が提示されておる。教育専門局を作るということになれば、今申したように当然これは全国普及の大原則に立たなければならぬ。もし教育機会均等という原則を破るということになれば、これは民族の百年の将来のためにも大問題となる。しかるに政府か現在諮問されておる案——まだ決定ではありませんが、この案では教育専門テレビ局設置することを要請し、そうしてチャンネルプランが案として出されておるわけでありますが、現在VHFのみによるチャンネルプランでやりますと、たといこれは無理にやりましても教育専門局の可能な局というものは、わずか七ヶ所にしかすぎないのであります。この七ヵ所において教育専門局を無理に置こうとすれば、可能でありますけれども、一面においてこの七ヵ所に対しては民放から、民放一般局設置したいという要望が非常な熱望となっておる。その数も膨大な数に達しておる。従って政府がおそらく教育専門局を置くといたしましても、この七ヵ所全部に置くことすらも困難ではないか。だからして結局このVHFチャンネルプランによって放送局設置しようとすれば、教育放送局というものはおそらく二ヵ所あるいは三ヵ所以外にはできない。しかもそれも一般民放の希望を相当圧縮してなおかつ二、三ヵ所しかできない。こういうふうな教育機会均等民族の将来を考える点から考えて、そういう二、三ヵ所しかできないようなチャンネルプランを作るということは、私は非常に問題じゃないかと考えるわけであります。これに対してこの前の監理局長お話では、UHFというものがあるから、将来そういうものについてはUHFを利用すれば、テレビチャンネルプランについては十分要望を満たすことができる、こういうお考えのようでありますが、最近アメリカにおいてもVHFUHFを同一地区に併用するような結果になっております。アメリカとしては先にVHFをきめて、相当普及せられておる。私の資料では三千万台のVHF受信機普及せられた。その上にかねてUHFを認めた。そういうことのために相当混乱が起きておって、最近アメリカでもこの混乱を是正するために、アメリカ大陸を東と西に分けて、一方をVHF地帯、一方をUHF地帯というふうに分けるべきじゃなかろうか、アメリカの新聞を調べますとそういう傾向すらも持っておるわけであります。この問題については監理局長はどうお考えになっておるか、御意見を承わりたい。
  14. 濱田成徳

    濱田政府委員 御指摘の教育機会均等ということは、最も重大視して考えなければならぬものであると思います。今度のVHFチャンネルプランの原案を作成するに当っては、もちろん考えております。仰せのごとく、たった七チャンネルぐらいでは、全国あまねく教育放送普及することの不可能であることは当然でございます。でありますから私はこの七チャンネルをもって、教育放送目的を達しようなどとは毛頭考えておりません。私の考えでは、日本でも教育放送を実施する必要は当然ある。これを実施するのにどうしたらいいかというと、いろいろな段階を経てやるべきだろうと思うのであります。アメリカの場合におきましては、先ほど仰せのごとく、VHFで始めてそれからUHFを行なった。そのために大混乱を起したというお話でございますが、教育放送につきましては、アメリカは十年くらい前から始まっておる。私の考えでは、日本でも一刻も早く教育放送という観念を国民に知らしめて、テレビジョン番組の向上をはかることが非常に大事である。できれば私は全国あまねく教育放送を実施し得るような電波を与えるようにしたいものだという念願を持っておりますけれども、今急にこれをやるということは必ずしも得策ではなかろう。そういうのが考え一つの根拠でございまして、まずこのチャンネルプランNHK総合番組として約五十数波、それから民間放送に五十数波、それから橋本委員がおっしゃいましたように残り——残りと言うと語弊がありますけれども、七つくらいのうちからそのうちの幾つかを教育専門局に充てることによって、教育放送局に対する経験を皆さんがお持ちになるように、それでもなお足りないことはもちろん明白でありますけれども、それによっていろいろな構想が生まれ、反省もし、具体的な経営形態等についてもいろいろ経験を積んで、そうして今のチャンネルプランの必要があるのだということになりましたならば、UHFというふうな豊富な電波資源を使うのがよかろう、そういう考えVHFによるチャンネルプランが作られたわけであります。そうするとUHFを使う前に現行の百十何波というものの中に教育番組等をたくさん組み入れて、そして教育放送の実際的効果を発揮できることは、これは私は確実だと思うのであります。たとえばNHKの場合におきまして現在使っております放送の時間は全体の四五%くらいでありまして、あとの五五%はあいているわけであります。そのあいている、使っていない電波をまず教育番組に使うがいい。そして一般放送番組の五十数局が全部完成しますまでには五年ないし七年くらいかかります。民間放送でもそうでしょうが、例をNHKにとりますならば五年ないし七年かかります。昭和三十七、八年でないと、この総合番組全体が全国あまねく行き渡るようにはなりません。しかしその総合番組といわれるものは、必ずしも総合番組だけに使う必要もなかろう、民間放送とのバランスを考えますならば、NHKにおいては特に教育に力を入れて、そして教育放送目的を達成する可能性は幾らでもある、そう考えたわけであります。そういう意味におきまして、七チャンネルのうちの幾つかを教育放送として専門的に使うのはいかがであろうかという考えで御提案申し上げた次第であります。
  15. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 そこも少し意見が違うのですが、二つ意見の違いがあります。一つは、七チャンネルのうちで専門教育テレビ局というものを二つなり三つなり認めるということになりますと、そのVHF地帯における他の——大体今七つと言いましたが、たとえば仮定として三つを認めて、あとの四つは教育専門局を認めない、こういうことにしますと、その残された他の四ヵ所においては将来UHFでやらなくちゃならぬということになるのです。そういうことになりましょう、チャンネルプランVHFじゃないのだからUHFでやらなくちゃならぬ。そうなりますと、同一地帯においてVHFUHF受信機二つ備えるということは、アメリカすらも相当の困難を来たしておる。大体アメリカではVHF受信機が現在三千九百万台あるにかかわらず、UHF受信機はその一〇%にすぎない約四百万台。アメリカのあれだけの経済事情をもってしても、同一地区内にVHF受信機UHF受信機を同じように持つことは不可能なんです。ましてや日本において福岡とか名古屋とか、そういう地区にもし教育専門局というものをUHFで許可するということになれば、これはもうUHF受信機が伸びていくことはあまり考えられない。そういうことになるのでありますから、いわゆる教育機会均等、どこでも教育専門局ができるという結果を招来することは不可能だということです。  もう一つは、あなたが仰せられたそういう二、三の教育専門局を置けば、他の既設あるいは将来総合局として許可せられるテレビ局教育的番組を十分組み得るようになるであろう、こういうお話でありますが、このチャンネルプラン修正計画はそういうことをいっておらないのであって、要するに一般総合テレビ局とは別個に教育放送局設置してはどうか、こういう趣旨なんです。あなたのおっしゃるように現在の一般総合局並びに将来の一般テレビ局というものを教育的に向上せしめようということであるならば、そういう趣旨がここにうたわれなくちゃならない。そうじゃなくして、別個に専門テレビ局を作ってはどうかという意見書なんです。そこの二つ食い違いを来たしておるわけであって、私はあなたの宣明せられておるところとこのチャンネルプラン修正計画とに食い違いが出ておることを一つ指摘しておきたいし、続いてそれらに関連して質問をいたします。  そこでUHFというものをなぜ郵政省当局チャンネルプランの中において考慮しなかったか、これについてお聞きをいたしたいのですが、もちろんこれはいろいろな理由がありましょうが、一部においてはUHF帯というものはまだ技術的に見て不安なところがあるというような意見が、一つの大きな意見であったろうと思うのです。しかし技術的に多少不安があるというような考え方は、現実のアメリカ状態考えて私は非常に間違いがありはしないかと思う。現在アメリカでは商業局としてVHF認可を与えた局が四百四十局、UHFとして認めたものが三百二十一局、これが現在商業局としてVHF並びにUHFの許可された総数であります。それ以外に非商業局として、いわゆる教育局といっていいでしょうが、教育テレビ局として認可をされているものがVHFテレビジョン局で二十五局、UHFでもって二十一局、大体同じような数字であります。もちろん現在運用せられている数字は違いがありますが、商業局においてはVHFテレビ局が三百七十九局、UHFはまだ九十一局しか運営されておらない。これはあとからできているからまだ活動ができていないのが一つの原因。もう一つUHFがあまりにおくれて認可になったために、その受像機分布状態が悪いということもそれであって、それがために二、三始めたけれどもやめている例もあります。けれどもこういう工合アメリカにおいてはすでに政府当局が、いわゆるVHFUHFも同じような有効なものとしてこれを認可している。従ってその受像機におきましても、数こそVHFには足りないけれども、四百万台の受信機がすでに設置をせられているわけであります。従って私は技術的に言うならば、現在のUHFを使うことが技術的に不安であるということはちっともないのではないか、私は専門家でありませんから果してそういうことが妥当かどうかは別でありますが、こういうような統計の上から見て、UHFを使用するということがちっとも困難ではない、技術的には心配ないのだ、ただ日本の場合においてはUHFというものが認可せられておりませんし、かつまたチャンネルプランすらもできておらないのでありますから、問題があるわけで、これに手をつけないのは当りまえであります。それは日本国内産業における当局の指導の方針が誤まっているからであって、もしチャンネルプランを決定して、近い将来、二年なり三年後においてはUHFを使うのだということが明確に政府当局から指示せられるならば、当然メーカーもこれに対応するだけの準備を重ねるはずであります。すでにアメリカにおいては実用になっている。しかもその受信機の値段はVHFにしても、UHFにしてもほとんど差異がない、こういう状況でありますから、これを将来日本が使うのだという建前であるならば、当然日本メーカーも勉強して、私はUHF受信機についてもそう大した金額の差も出てこないのではないか、こう考えるわけであります。しかも先ほど申しましたように、教育専門局全国あまねく普及するためには、大体二百局から二百二、三十局が必要である。そういうことになりますれば、現在のチャンネルプランというものは全く教育全国普及ということを考えておらないし、かつまたUHF帯の使用ということについても、科学的な技術奨励の上からいってもこの点に手抜かりがある。こういう意味ではこの機会にこそ、またいわゆるVHF大都市にだけ行われてほかに出ておらない現状こそ、VHF並びにUHF総合チャンネルを決定すべき時期でなかったか。もし三年なり四年なりこれが延びて、しかも政府が示すように至るところにVHFを認めるということになりますれば、UHFVHFを分けることは当然不可能になってしまって、いわゆるVHFの上にUHFをあわせて同時に併用するということ以外には道がない。今日は幸いにも日本においては大都市だけにVHFが認められておって、まだまだ中小都市には実際上の仕事が行われておらないのでありますから、今このときいわゆる総合チャンネルプランを作るならば、アメリカの踏んだ失敗をしなくても済む、こういうことになるわけなんであって、これは単なる技術の問題でなくして、テレビジョンチャンネルというものを有効に、全面的に使用するという科学文化の上から考えても、あるいはまたUHF帯をもしこの機会において使用しない、数年後において使用するという結果になると、UHF帯に対する技術進歩というものも非常におくれると私は考える。私はもちろん政府当局が一部の業者に圧迫せられて急速にこういうようなチャンネルプランを作ったとは考えません。まじめにできるだけ早く文化の恵みに浴させようという親心からきめたものとは思いますけれども、こういう点から考えても、このVHF並びにUHFチャンネルプランを決定するということは、民族百年の大計である、こういう意味において、とりあえず政府としては電波監理審議会にはVHFのみによるチャンネルプランを提出しておりますから、あらためて総合チャンネルプランを出すということになれば、これはもちろん郵政省面子にも関することではあると思います。けれどもこれは面子だけによってやるべき小問題ではなくして、面子を乗り越えた大問題じゃなかろうか。そういう意味において、政府としては大英断をもって国家百年のために、しかも電波技術百年のために、多少のあやまちがもしあったといたしますれば、この際これを省みて、そうして最善の措置をとることが、政府として、また技術家であり、行政官である電波監理局長の信念としても、この機会に断行することがほんとうじゃなかろうか、私はこういう工合考えるわけであります。もちろん大臣におきましても、この問題は単なる商業テレビとか、NHK教育テレビの問題ではない、UHFというこの重要なバンドを使用するか、使用しないか、もしこれをこの機会に決定しなければ、UHF帯におけるところの技術進歩というものは、日本では多くを望まれないのじゃなかろうか。こういうような重大なる内容を持っておるのでありますからして、すでに諮問されておりまするが、政府はこの諮問案をなおかつ固執して、これを強行するようなお考えがあるのか、それとも大臣は、これは重大な問題であるからあらためて研究し、そうして善処するお考えがあるのかどうか、この点については大臣の御答弁をわずらわしたいと考えます。
  16. 平井太郎

    ○平井国務大臣 先ほど来橋本委員からいろいろお説を拝聴し、ごもっともな貴重な御意見を私は承わったのでございます。私も橋本委員からお話しになった事柄については、同様な考えを持つものでございます。従いまして私郵政大臣を拝命いたし、電波の問題について着任早々事務当局ともいろいろ検討をいたし、また現在電波監理審議会に提出しておるテレビチャンネルプランの諮問書についても、私は十分私なりの意見を開陳いたしまして事務当局とも折衝をし、また先ほど橋本先生が御指摘になったUHF帯VHF帯のチャンネルの問題につきましてもいろいろ意見を戦わし、また私の所信を表明いたしたのでございます。そこで私の考えを、その当時申し上げたことをここで申し上げますなれば、この機会において日本テレビ問題の解決は急ぐ必要なし、根本的によく検討をして、アメリカの現在の苦しい立場を十分検討しなければならぬ。御指摘のようにアメリカVHF帯とUHF帯の問題について、今テレビ界は大混乱を来たしております。アメリカ政府当局といたしましても、現在各方面の識者の意見を聞き、これの善後策を講じておるのがアメリカの現状でございます。従いましてわが国におきましても、こうしたアメリカの轍を踏むということはとらざる態度でなければならぬと私も考えております。そこでかかる実情も事務当局とも十分折衝を重ね、最後に現在電波監理審議会にあのVHF帯による諮問書を提出いたしたような結果が生まれたのでございます。なぜそういうような結果が生まれたかと申しますれば、いろいろ学問的に技術的に事務当局意見を私が聞きましたところ、VHFUHFの性格がやはり根本的に違う。また波の質、こうした問題も相当ある。かようなことで、私が考えた常識的な判断、また学究的な判断、その他いろいろ客観情勢等を総合いたしまして、私の当初考え考え方と多少違ったような結果ではありましたが、現在のような電波監理審議会に対する諮問書と相なったのでございます。その間の事情は、電波監理局長が私に数年来いろいろ日本電波に関する歴史も話され、現在の学究的な立場での説明もるる聞かされたのでありまして、この機会が非常にいいと思いますので、一つ学者であり、権威者である電波監理局長の御意見を聞いていただき、なお先ほど橋本先生が御指摘になった点も、私のどこかの腹の中にはやはり同感の気持も存在いたしておりますし、検討すべきものは十分検討しなければ相ならぬ、かようにも存じておるので、電波監理局長からその間の事情を説明させ、また私の続いての答弁をさせていただきたいと思います。
  17. 濱田成徳

    濱田政府委員 UHF中心考えました先ほどの橋本委員の御議論に対しましては、私衷心より敬意を表するものであります。UHF技術は、この前にもこの委員会で申し上げましたように、VHFに比べまして、全般的に申しましての話でありますが、そうむずかしい技術ではないと考えております。しかし日本の現状では、真空管の面において今すぐにアメリカと同じように使えるというふうにはなっておらぬ、それがUHFを使います場合に考えられる送信機、受信機についての技術の現状であります。それからUHFを使いますテレビジョンについて、UHFVHFに比べてどういう差があるかと申しますと、これもこの前に申し上げたかと思いますが、VHFの方が率直に申してテレビジョンには都合のいい電波なのであります。けれどもUHFも十分にテレビジョン目的に使い得る。たとえば到達距離が少いなんということは、電力を上げることによって、あるいはアンテナの高さを高くすることによって十分使える。そういう意味におきまして私はUHFVHFは、同様に使い得る大きな電波資源であると確信して疑わないのであります。ところで橋本委員が先ほど御指摘になりました今度のチャンネルプランになぜUHFを入れなかったかという話でありますが、これは当然私は考えたのであります。  それからUHFが論議に今回なりました導火線は、教育テレビの問題であります。今度のチャンネルプランには教育テレビを第一義に考えていないのであります。先ほども御質問の中に、食い違いがあるというお話でございましたが、総合番組全国あまねく普及することを第一と考え、次に第二の順位において教育テレビ考えたのでありまして、それは漸を追うて教育テレビというものを実施するのがいいのではなかろうか、そう考えたわけでありまして、今度一齊に総合番組と同じ速度をもって同時にスタートするのは、時期尚早であろうと考えたわけであります。私は教育につきましてはいささか熱意を持っているつもりでございまして、日本の今日のテレビジョン番組等から考えまして、教育番組、教養番組が一刻も早く日本に実施されなければいかぬという熱意においては、相当強いという自信を持っておるのであります。特に日本の再建に関して、科学技術普及をやるために、テレビジョンを大いに利用すべきである。こういう見地からも、うんと教育科学技術番組をやるべきであるという意見を持っておるのでありますけれども、これを放送事業の形態として一挙に始めるということについては、時期尚早であろうという考えを一方に持っております。  次にUHFをなぜ今回のチャンネルプランに入れなかったのかと申しますのに、これは先ほど橋本委員が言われましたように、UHFVHFを同時に実施して、たとえば関東地方はVHF、奥羽地方はUHF、北海道はVHFというふうにゾーン・システムと申しますか、そういうふうな置局の置き方をいたしますならば、決してアメリカに起ったような混乱は起らないで、ゾーン・システムというふうな制度をとることができたわけであります。これが理想形態であったわけであります。しかしながらわが国におきましては、大都会、重要基幹地区にはVHF帯が実施されつつあるのでありまして、それが今日では四〇%くらいのカバレージまで達しておる状況であります。UHFを今からそういうふうなゾーン・システムをとるということにつきましては、いろいろな計画を実際やってみまして、たとえば今のようにして大きなゾーンにすることは困難であるとしました場合に、残ったVHFで置局計画ができている以外のところ、中間的な重要地区UHFを割り当てる。それから実施する。あるいはいなかにやるというふうなことも考えられるわけでありますけれども、それらをやってみました結果は、必ずしもいい結果を生まないだろう。橋本委員仰せられますように、UHFというものは非常に貴重な、日本の将来の電子工業や電波産業を盛んにするのに非常に大きな資源であり、また原動力になるものであります。でありまするから、私はUHFを一刻も早く実施したいという希望におきましては、全く御同感でありますけれども、今日直ちにテレビジョンVHFが実施されつつある現段階において、UHFをゾーン・システムでやることにつきましては、非常に考慮を要するという考えを持ちまして、UHFは今回のチャンネルプランに入れない方がよかろう、こういう結論に達したわけでございます。さてアメリカ状態は大混乱だというお話でありますが、確かに連邦通信委員会でも、UHFVHFの混在を来たしたことについては間違いであったといって、率直にその反省をしていることを聞いております。しかしながら日本の情勢とアメリカの情勢とは、必ずしも同一と見ることができないのでありまして、アメリカは商業放送一点張りであります。御承知のようにNBCとCBSという二つの大きなネットがありまして、それらが放送を握っておるのであります。アメリカUHFがなぜ受けなかったかと申しますのに、同じプログラムをVHFUHF両方でやっているという場合には、その地区にはUHF普及しないのが当然でありまして、そういうふうなアメリカ放送事業のシステムがかくさせたのであろう。いろいろ原因がありますから、そればかりではありませんけれども、それも一つの原因であろうと思うのであります。日本の場合におきましては、もしUHFを実施するとすれば、やはりNHKのような公共放送を主に考えらるべき企業体がまずパイオニアになって、そしてこれを普及さすようにするのがいいだろう。それには私は、今回のチャンネルプランには盛りませんでしたけれども、天然色テレビ日本に実施せられるとき、そういうふうなときをねらいましてUHFチャンネルプラン考えるのがよかろう。この天然色テレビにつきましては、VHFでやる考えもありますし、UHFでやる考えもありますけれども、そういう機会をねらいまして、なるべく早い機会においてUHFが開設するように持っていきたい。その時分になりますと教育放送についての一般の要望等も強くなりましょうから、全国的にUHF教育放送として使うことも実現するだろう、非常に自然に実現するに至るだろう。そういう考えをもちまして、そしてUHFは急ぎたいけれども、この際においては急がない方がよかろう。実は一刻も早くUHFをやりたい。私自身は日本電波産業を盛んにするためには、どうしてもUHF全国的に使えるようにしたいという非常に強い熱望を持っているのでありますけれども、この際においてはテレビジョンについてはこれはしばらくあとにした方がよかろう、そういう考えで今回のチャンネルプランには盛らなかった次第でありまして、私はこれにつきましては、昨年このチャンネルプランを作ります前に再三再四いかがすべきかを考え、そしてやりたいけれどもこれはあとの方が実際的である、また理想へ到達するのに最も自然ないい方法であろう。こういう結論に達しまして、UHF帯チャンネルはこの際一緒に考えることをやめにした。そういういきさつでございます。
  18. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 監理局長の御意見は何としても納得ができません。たとえばあなたは今のこのチャンネルプランですと、当然VHF帯の上にUHF帯を乗せるということになるのですが、大臣がおっしゃったように、VHF帯とUHF帯テレビジョンの効果は非常に相違があります。残念ながらUHF帯の方が少し影が多いのですから、見る目には差がある。そういう多少差があるものを同一地区においてUHFを見ろと言ったところで、これは見ないのが当りまえです。たとえば百円札と五十円札を置いて、お前どっちがほしいと言ったら、百円札をとるのが当りまえです。そういう意味において、大都市においてすでにVHF帯ができておるときに、UHF帯テレビジョン普及させるということはアメリカにおいてすらも不可能だ。従ってアメリカにおいてもこれは東西に分けようという意見もある。ましてや日本で実際上できるはずがない。  もう一つ、あなたは工業用にUHF帯を使いたい、研究したいというお話でしたが、そのお気持はわれわれと同じですからけっこうですけれども、工業用に使うUHFの真空管は比較的少い。アメリカでもテレビジョンVHFの真空管が使われ、あるいはUHFの真空管が使われて初めて量産ができ、かつまた値段が下ってきておる。そういう点から見ても、工業生産を盛んならしめるためにも、UHFならUHFというものをある程度普及せしめる必要があるのですが、それには混合体ではアメリカでも困難なように、日本ではなおさら困難だ、そういうことが常識的に想像できると思う。その意味において、せっかく技術者としての監理局長が非常な熱意を持っておりながら、なお行政官としての考え方に残念ながら足らぬところがあったのじゃなかろうか。逆にこれをゾーン・システムから——もちろんこれは既設のVHFUHFに直すというわけじゃありませんが、これは既設のVHFVHFとしてこれはそのままゾーン・システムによって残せるので、残りの四〇%でも五〇%でもいいですから、これをUHF帯としてはっきりこれを明記して、メーカー並びに放送事業者がこれに対応するような態度をとれば、たとえば日本に五年後に三百万台のVHF受信機ができるとすれば、それの少くとも三分の一なり四分の一のUHF受信機というものが普及できるのじゃないか。だからこの際このときこそ私は総合的なゾーン・システムによるチャンネルプランを決定すべきときであって、もし将来三年後なり五年後にいわゆるUHFチャンネルプランを決定することになれば、絶対的に総合的ゾーン・システムをとることはできない。いわゆる混合体をとるほかはない。そういうことになれば、アメリカで悩んだように日本はそれ以上に悩まなければならぬし、あるいはVHFというものは捨てざるを得ない。結果的に政府チャンネルプランをきめてこれでおやりなさいと言ったってやれない。そうなれば少くともテレビにおけるUHFシステムというものはほとんど使用せられない状況になりはしないか。  もう一つは、カラー・テレビの問題ですが、カラー・テレビジョンというものはおそらく原則として、アメリカでも同様ですけれども、日本のような貧弱な経済においては、当然たとえば日本テレビなら日本テレビは今のVHFでもってカラーを使うと思います。というのは、十時間なら十時間というものを全部カラーで送るということは、将来天国のようになるならいざ知らず、現在の日本の経済状態においては、おそらくカラー・テレビジョンができましても、少くとも三〇%、多くて五〇%がカラー・テレビジョンであって、他は白黒テレビで送るということになると思う。従って商業放送局が白黒のVHF帯のテレビを持って、それ以外にいわゆるUHF帯によるカラー・テレビを持つということは、原則としてあり得ない。ですからこれはVHF帯のテレビによってカラー・テレビジョンが、少くともゴールデン・アワーの三時間か四時間に使われるということです。大体今後たといカラー・テレビジョンが実現しても、少くとも十年か十五年というものは、この同じ波長の上にカラー・テレビジョンを二時間か三時間とるということが商業上のシステムであり、NHKでも全放送時間をカラー・テレビにすることは不可能です。こういう点からUHF帯によってカラー・テレビが実現する際に、UHFが使用されるその機会チャンネルプラン考えられるのではないかという考え方は、これは技術者としては別でありまするが、少くとも技術者でありかつ有識の行政官としての監理局長の意向としては納得できない。そのことについての考えをあらためてお聞きいたしたい。
  19. 濱田成徳

    濱田政府委員 さっきUHFの真空管のお話をいたしましたときに、ちょっと誤解があるようですから申し上げます。工業用に使えるということを申し上げたつもりは決してないのでありまして、かようなUHF用の機器は、テレビジョンあるいは通信機の発達によって非常に促進されると思います。それ以外にないと言っていいくらいであります。その点は訂正させていただきます。  それからアメリカVHFUHFが況在し得ないように、日本でも必然的にそうなるのだというお話でありますが、私の考えでは今度のチャンネルプランでは、VHFは大部分を総合番組目的に使い、しかる後に特殊の教育放送——今日問題になっておる教育放送が主でありましょうが、教育放送UHFでやることが一つのよい方法であると考えまして、さっき申し上げますように、教育放送について日本人が非常に熱心に考えますならば、UHF受信機を買うことは決して無理でなかろう、むしろ私は必ず買うだろうとすら思うのであります。しかし教育放送の聴視者が、総合番組と同じ程度の数になろうとは決して考えておりません。アメリカの場合においては、一般の総合番組VHFで見るのでありますから、当然VHFを買うということになったでありましょう。しかし先刻も橋本委員が申されますように、UHFVHFも価格においては大差がない。将来はどうかわからぬ。日本の場合においては、アメリカもそうでありますけれども、VHF受像機VHFを見ている人が、今度新たに、たとえば教育放送UHFができた場合には、もしそれを見るという気があれば、数千円でチューナー、コンバーターをつけることによって容易に聴視できますから、まず全国的に総合番組テレビジョン普及した暁において、その上に重ねて教育番組なりその他の特殊番組放送局ができて、それを聴視者が全くないとか失敗だというふうには考えなかったのでありまして、アメリカとは非常に事情を異にする。しかもNHKのような商業放送でない事業体がこれをやる場合において、UHF普及は促進されるだろう、NHKによる教育放送だけではとうてい満足できない。民間放送もやる必要がある。民間放送という場合には、営利事業体か何かわかりませんけれども、そういうものがやる場合もある。そうして考はかような教育放送、あるいはその他の放送番組、その他いろいろな意味テレビジョンの応用が盛んになることを期待しております。これによってUHFのものは今回VHFチャンネルに盛れなかったために、大なる失敗をするようになるとは考えられないのでございます。これはやる意思があれば必ず可能である、そういう豊富な私見を持っておられますから必ずこれは可能である、そういうふうに考えまして、橋本委員が言われますことはもちろん十分に考えたあげくにおいて、今回のような原案の結論に達したわけであります。
  20. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 ほかの委員質問があるようでありますから、あまり意見になることは私も差し控えます。しかしながら濱田局長はせんだっての委員会において、こういうことを言っておられます。テレビジョンの実施を始めるときに、すでにUHFチャンネルプランについて当局考えておくべかりしものであった、今日VHFの送信機、受信機UHFのそれとは、技術的にも値段的にもそう大した区別はない、性能においても同様である、こういうことを言っておられる。要するにあなたの信念としては、当初テレビジョンを始めるとき、すでにそのときからしてVHFUHFチャンネルプランを総合的に考えるべきであったのだという意味において、UHFに対しては非常な熱意を持っておることは事実であります。それが残念ながら当時はできなかったのですが、私は今でもおそくない、今よりおそくてはいけない——あなたは今よりおそくていいと言いますが、今よりおそくては絶対にいけない、今こそあなたが最初に考えておった信念を生かす時期ではないか、こういうことを申し上げておるわけでありますからして、その点については特にお考えおきを願いたい。  それでVHFは御承知のように三十から三百メガサイクルあたりで使うのですが、UHFは三十メガサイクルから三千メガサイクルの間でありますけれども、大体最も有効な地帯放送用としては四百十ないし二十から五百、六百くらいまでが非常にいいと思います。その間だけでも二十チャンネルとれます。アメリカにおきましてもVHFチャンネルは十二チャンネルで、日本においては今度発表になったのは十一チャンネルですが、もう一つくらいはとれましょう。十二チャンネル。従ってアメリカでも日本でもVHFチャンネルに違いはないのです。大体同じようなチャンネルなんです。UHFにおいても同様であります。おそらくアメリカでも全部のUHFを使っておるのじゃなかろうと思いますが、日本で大体最も有力な放送に使えるチャンネルだけを選んでも二十チャンネルある。これを総合的にいたしますれば、最初あなたが申しましたように教育放送全国普及計画をもちましても、大体十一もしくは十二のVHFチャンネル、それから二十のUHFチャンネルをもってすれば、二百三、四十あるいは三百は十分にできるようになるわけです。そういったチャンネルプランを今こそ決定すべき時期ではないか。そうして将来の混乱を防ぐ程度においてUHFをきめることもできる。これは延ばしてしまうとできなくなる。結局混合システムをとるほか道がなくなるわけですから、あなたが技術的信念をもって、当然当初においてUHFを使うことを考えるべきであったという信念を今実現すべきときであって、今よりおそくては絶対にいけない、こういうように私は考えるわけであって、どうかこの点についても再度御研究を願いたいのであります。実はこの基本方針の問題から見ますと、先ほど来から局長お話しになったように、既設のあるいは将来の総合テレビジョン局の番組について、その方面の向上をはかることが目的であった、こういうような意味であります。私はこの点についても先ほど申し上げたのですが、そのためにはいわゆる二、三のテレビジョン専門局を作ったら、果して番組の向上がはかれるか、こういうことになると私は困難であろうと思う。そこで全国教育テレビ専門局を作るのには、もちろんNHKをしてやらしめるといたしましても十年なり十五年かかる。ラジオにしても三十年かかっておるのですから、当然十五年くらいかかるだろうと思う。でありますからその間においても、一般テレビジョン局の質的向上をはかる必要があるわけなのです。そういう意味でこの基本方針の中に教育専門テレビ局設置することもけっこうですが、同時にそれと比重を同じうし、あるいはそれ以上の比重をもって既設の、並びに将来許さるべき一般テレビ放送局番組の問題について触れておらなかったということを私は遺憾に思います。その意味で現在の一般テレビ放送局が必ずしも私は低劣とは申しませんけれども、われわれの意思を十分に体しておらないことは事実であって、より以上教育的内容を持った番組が作られる必要があると思うわけです。これは私の意見でありますが、それについて大臣はどう考えておられるかをお聞きしたいのであります。こういうようなものについては何か政府において考え一つの方法がありはしないか。すなわち今後許可せられるべきところの一般放送テレビ局にいたしましても、その放送時間の何十%、あるいは三〇%——いろいろ商業上の採算の都合もありましょうから、あまり多くを課することはどうかと思いますけれども、三〇%程度は教育的内容を持ったものを組まなければならぬ、こういう条件を付することができるかどうか。もしそれが付することができない、あるいは付しても実行しない、こういうことであるならば、あくまで電波は国民のものであり、しかも民族の教養を上げるか下げるかという重夫なる波でありまするから、必要であるならば、法律を改正してもこれをやるべきじゃないか、こう考えるのでありますが、聞くところによりますれば必ずしも法律の規制によらなくとも、民放の団体である民放連においては、そういう意図が当局及び国民において明確であるならば、三〇%程度は自主的に教育番組というものを作り、そうして教育番組審議会のようなものを民放連の中に設けて、それが認めた教育番組をもって三〇%程度はこれを補充したい、こういう考え方を持っておるやに聞いております。しかしながらまだ具体的になっておりませんが、こういう動きがあることはけっこうでありますから、これに対しまして政府は積極的に指示をしあるいは協力する態勢をとってよろしいのじゃないか。放送法によるところのいわゆる番組内容に干渉してはいけないということは、これは内容であって、教育番組を組むという考え自体について、私は放送法の違反にならぬと思う。であるからしてこういうことを懇談的に——もちろんこれは大臣命令でやるわけには参りませんから、懇談的にでも急速に、こういうような自主的な動きもあるのでありますから、この機会に積極的にこういう方向に導いていくということができますれば、いわゆる基本案の修正の中にある教育番組の問題は解決できる性質のものであろうと思う。こういうような措置についてはどういう工合大臣はお考えになっておられるか。その点についての御意見を承わりたい。
  21. 平井太郎

    ○平井国務大臣 ただいまの御質問はほんとうに心から私は共鳴申し上げます。私も実は現在の放送番組では事足りていない、また国民大衆に対する感情からいっても、もう一つおもしろくない場面があると考えております。現在の商業放送、またNHK放送においてもやや似たり寄ったりの番組をもって国民大衆にサービスをいたしておりまするが、私の考えといたしましては、もう少し社会的方向に心をくだく必要がある、かように考えております。そこで本日も午前九時に民放連の理事者全部に郵政省に寄っていただき、本日の逓信委員会に臨む私の態度といたしまして、いろいろ意見を拝聴いたしたのでございます。そこで先ほど橋本委員から御質問があり、御指摘があった番組の点でございますが、これについて私も大体同じような事柄を理事各位に話したところが、民放連の理事諸君も、全く同感だ、むしろわれわれの方から役所当局お話し申し上げようというような気持もあった、ということも言われておった方もたくさんおられました。そこでこの問題は放送法の改正というようなむずかしいことを考えず、むしろ良識的に放送業者すべてが現在の放送の姿をよく認識して、そうして放送番組がいかに国民に与える影響が大であるかということを十分検討いたしまして、御指摘のように社会教育また学術的とか技術的とか職能的とか、こういったような教育的効果をねらう番組を今後時間の余す限り入れまして、大いに国民大衆に対するサービスを考えていきたい、かように存じておりますから、御指摘の御質問とは郵政大臣としては全く同感の意を表明いたします。
  22. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 大臣が確固たる信念をもって番組の向上をはかるというお考えについては全く敬意を表します。今後とも一つお骨折りを願いたいと思います。  もう一つ最後に、教育放送の問題については、なおこまかい点について他の委員から質疑がありましょうから、この点はこれでおきまして、最後に、大きな問題ではありませんが、一応これに関連いたしますのでお聞きしますが、最近世間でテレビ鉄塔会社を作るやのうわさを聞いております。もちろんこの構想は、何本も同じようなものができることは好ましくないのであって、合同鉄塔ができることは原則としてまことにけっこうであって、都市の美観の上から考えてもまた経済的に——あまり経済にはなりますまいが、経済的の上からも多少の利益があるのでありますから、けっこうであろうと思います。ただこの構想がどういう程度か内容を承知しておりませんが、合同鉄塔会社なるものが考えておられるのは、今後許可せられるテレビ会社の鉄塔を合わして立てようという考えだろうと思うのです。しかも聞くところによりますと、内容は高さを大体二百五十メートルくらいのところを考えておるようであります。もしこれが現在既設のたとえば日本テレビとかあるいはラジオ東京テレビのアンテナを一緒に立てるということであれば別問題ですが、そうではなくして、新しくできるものを二本なり三本なり別々に立てることは全然意味がない。一本に立てようというだけで、この鉄塔会社が二百五十メートルの高さのものを作ろうということになりますと、現在の民放並びにNHKのアンテは大体百五十メートルの上に立っておりますからして、百七、八十メートルであります。そうなりますと高さの相違によって視聴エリアに食い違いがきておる。NHK民放の場合は多少の食い違いがあっても、商業上の競争がありませんから問題はありませんが、同じような商業テレビでありますと、非常に問題になると思うのです。今後複数商業テレビが許可される場合は——東京だけではありません、その他にもありますが、その場合に商業上の立場も考慮して、その電界効力を同じようにしてやるということが政府の親切心であろうと思うのです。鉄塔の高さでいくか、出力でいくかは別でありますけれども、とにかくあらゆる点から考えてそれが同じような効果を——技術的な効果は別といたしましても、同じような電界強度をもって、同じような範囲で商売ができるというような立場を考えてやることが必要だと思うのですが、監理局長は、いわゆるテレビ鉄塔会社の考えておる内容について御承知であればこれをお聞きいたしたいし、私が質問いたしましたように、一方が二百五十メートルの高さで一方が百五十メートル、こういうような場合は、そのままお認めになるか、あるいはそういう点を考慮して、申請がどうあろうとも、許可の場合は同一の立場に置くお考えか、この二点についてのお考えを承わりたい。
  23. 濱田成徳

    濱田政府委員 テレビの鉄塔会社の具体的な仕事は私は何も存じません。しかし当局といたしましては、たとえば東京に何本もの——今後許されるであろうところの幾つかのテレビジョンの会社が、現在の三つのアンテナ以外にさらに別の塔を立てることにつきましては、反対的な意見を持っておるものでございます。私どもは一つの理想の鉄塔の姿を胸に描いております。たとえば既設の会社のテレビ局アンテナも含み、今後許されるであろうところの放送会社のアンテナもすべて包含するところの、一本のテレビ局アンテナが東京に作られることを希望しております。そうしますと私の大ざっぱな考えでは、鉄塔の高さ二百五十メートルぐらいにしますと、VHFによりましてその上にたとえば五つのアンテナが乗るといたしますと、三百数十メートルになるようなアンテナを考えてしかるべきであろう。しかしこのテレビ塔は、単にテレビジョンだけではなしに、いろいろな種類の電波が発射されるようになるような、そういう総合的な電波塔であることが望ましい。そうしてさらに、話は大げさになりますけれども、電波日本の象徴になるようなものがこの東京に打ち立てられるようなことを私は要望いたすものでありまして、きわめて非公式に、技術者の会合等におきまして、私はそういうような構想を漏らしたことがあります。かようなものが望ましいのでありまして、東洋のエッフェル塔のようなものがもし東京にできるならば、これはほんとうにけっこうな次第であるということを申し上げたことがございました。そのために数人の人たちがかような計画をしておるように聞いておりますけれども、具体的には知りません。
  24. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 もう一つそれに関連して、監理局長は五本、六本というお話ですが、技術的にお考えになって、三本立てた場合、お互いに吸収し合いますから、出力は三分の一くらいに減ります。四本か五本になれば出力は二分の一あるいはそれ以下になるのじゃないかと思うのです。ラジオ東京あたりの研究によりますと、お互いに吸収し合って、十キロワットの出力が半分ぐらいに減るというふうに技術者は言っておるようですが、その点についてはどうでしょうか。
  25. 濱田成徳

    濱田政府委員 お互いに吸収するというお話でございますけれども、お互いに干渉し合わないように設計するのが技術でございまして、さようなことは起るまいと思います。  それからお答えするのを失念いたしましたが、テレビジョンの場合でありましたならば、かりに五つのアンテナがこしらえられる場合においても、どれも効果が同じように配置すべきである。たとえば波長の長いものは下の方にというふうな配慮をしてやる必要があります。従いまして、かようなテレビ塔というようなものは、あくまで中立的な考えによって計画が行われなければならない、そういう考えを持っております。
  26. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 私もその方のこまかい技術的なことになりますとよくわかりませんが、お互いに干渉し合わないために何か麻布等を利用することについて研究が進められておるということであります。なおその点については相当不完全であって、必ずしも信用はできないということを聞いておりますが、その点は直接これに関係はありませんから……。ただ私は新しく設定せられるアンテナと既設のものとの間の調整は、十分お考えになって許可をせられたい、これを念頭に置かれてやっていただきたいと思います。  他の委員質問もありますから、とりあえず私の質問はこれをもって終りますが、次の機会になおこれらに関連しての質疑を残しておきたいと思います。
  27. 松井政吉

    松井委員長 粟山博君。
  28. 粟山博

    ○粟山委員 私は橋本君の質問監理局長答弁を聞いておりましたが、非常にいい機会に拝聴したと思う。ぜひこの速記録は、出席議員も少いが、事専門委員会に属する限り、みなに徹底するように委員長から特に取扱いを願った方がよろしいと私は考える。われわれ党の役員といたしましては、にわかにびっくりするようなことなしに、党のそういう機関におきましても一般党員といたしましても、この重要な知識は本格的に検討しておく必要があろうと思いますから、われわれも善処するつもりでございます。  さて、時間もありませんから、私が簡単に申し上げたいのは、大臣にお伺いしますが、つまらないようなことだが、何か当局者が、ある県の知事に、どうだ、一つテレビの許可を申し入れたらと言ったことがあったとかなかったとかいうことを散見いたしましたが、私はそういうことは小さなことでもあるし、そんなことはなかったろう、何かのうわさの派生であろうと考えております。ただ大臣の今の御説明のうちに、だいぶいろいろ御研究になって腹がまえができておられるように思うが、この電波の取扱い等につきまして、この委員会において問題になっておりまする重要な問題の結論を、聞くがごとくんば、議会が済んでから片づけるというようなこともうわさされておるが、果してそういう考えがあるのかないのか、それを一つ伺いたい。
  29. 平井太郎

    ○平井国務大臣 お答え申し上げます。最近テレビチャンネルプランにつきまして世間が必要以上に関心を持ちかけまして、いろいろデマも横行いたしております。そこで第一点として御指摘になったように、某知事がテレビの申請に対して事務当局者から示唆を与えられたとかいう話、また議会が済んで、それを見計らって申請者に対する答えを出すというようなことはどうかという御質問であったと思うのでございますが、さようなことは決してございません。郵政省といたしましては、この問題につきましてはただいままじめに検討をいたしておるもので、いろいろ私の手元、また事務当局へも意見を開陳し、また種々なるデマを放送いたしておりますが、全く事務当局並びに郵政省といたしましても迷惑千万な事柄であります。そこでわれわれといたしましては、この国民の最も貴重なる電波に対しましては、公正にして厳正なる態度——すべてガラス張りという言葉がございますが、ほんとうにどこから見ても間違いのない態度で推し進め、将来指摘されるような汚点は残さないということをここではっきり言明を申し上げて、今後この電波の行政についてはあくまでもりっぱにできたという姿を作りたい、かように考えております。
  30. 粟山博

    ○粟山委員 私戦後の国民経済ないしは国民生活、それから文化進歩というようなものは、戦前、戦中、戦後と比べますと、実に悲しむべき戦争のあとではありますけれども、世界的に見ても国内的に見ても、非常によい面に急速な発達をしていると思う。そこで今われわれが政治家として最も深刻に考えさせられることは、いろいろたくさん問題がありますが、原爆とその平和利用の問題、それから電波といわゆる企業ないしは国民生活、これが一番大きな問題であると思う。ことに日本のように人口がおびただしく多くて国が小さな、馬の背中のようにきょくせきしたる地域に群集しております国民の状態、こういう状態からいたしますと、これが私は非常に大事な問題だと思う。そこで今原子力の問題は、国に大きな予算を組みまして、着々先進国との間に折衝を持っているが、これとても実情は新聞で御承知の通り、円滑に進んでいっているとは思えません。われわれは政治家として、日本における大きな問題を悩みなしに解決していこうという不退転の積極的な意欲と覚悟が必要であることは、今日よりはなはだしきはないと思う。電波の問題においても私は同様に考えている。ところがこの電波の問題は、私ごときに対しても大阪から東北から、いや各地からたくさん請願、陳情というようなものやら、書類が手元に参っております。できるだけこれを拝見しておりますけれども、拝見すればするほど非常にこんとんとしている。いかにも混迷な社会状態をこの活字において、われわれの目の前にさらされるような気がする。そこで私の願いは、今濱田さんからもるるその深い専門的な造詣に基く行政官としての、またさらに洗練された御経験からの該博な御指示がございまして、非常に私は啓発されるところがありますけれども、しかしまだ何となく私にしこりが残っているのは、これは理想的なものであるけれども、まだ早いという一つの言葉に私は気がかりがある。かつて、今より四十数年前になりまするが、後藤新平さんというすぐれた政治家があって、台湾の開発をあのようにいたしました。国内においても、あの天才的ひらめきが日本の産業に示唆したところ少くありません。あれだけの偉才であって総理大臣になる機会を失いましたけれども、東北出身の実に偉大なる人であったと思う。この人は当時日本に広軌鉄道を用いろということを非常に主張された。丹那トンネルのごときも後藤さんの仕事です。あの当時あれだけの年月と金をかけて丹那トンネルを作るのは、とんでもない仕事だといわれたが、今日になってみたらその効用はいかがでございましょう。もし広軌鉄道にしておりましたならば、私は日本の今日の交通運輸の上に稗益するところがどんなに多かったかということを考えさせられるのであります。そこで、国が一つの仕事をするときにわれわれは夢を持つ、この夢にも現実化するためには限度がありまするけれども、その夢がいわゆる専門の科学の上に、長い将来にその実現が期待されるという結論がある限りにおきましては、私は政治家として、いかなる困難をも排除して、資金の面においては国民とともにその要求に応じ、その計画に従っていくべきものであろうと思う。ある段階まで進んだために、かえって第二段階、第三段階に進もうとするときに、その先はもう動きがとれぬというような場面に直面することが数多いと思う。われわれは長い間経験しております。くどいようなことを申し上げますが、目あきとめくらの戦争——第二次世界戦争のごときも、日本は肉眼で見えるということを非常に自慢しておった。またいずれの国もおそれておった。ところが先様はちゃんとレーダーでキャッチしておる。目あきとめくらの戦争であります。そしてまたたく間にフィリピン海域においてはたばたと戦艦、巡洋艦等の取っておきの船体などは影もなく、商船の多くは全部あの水域においてなくなったことは御承知の通りであります。目あきとめくらがけんかしたのです。そこで後藤さんもあの当時、日本のような国柄において人口がおよそ倍の八千万になろうとは思われなかったでございましょう。当時の政治家も今日の八千万というものを予想しておらなかったろうと思います。しかし現在は、日本は人口が増加する国であるということはだれも知っている。そういう点から考えまして、私は日本の国のいわゆるポテンシャル・パワー、現実の日本の約束された天然資源と天然の形態において十分——専門家専門家として、われわれは敬意を表しておるのであるから、濱田さんも濱田さんのスタッフをうんとふやして、大臣は予算を都合してあげて、十分遺憾のない研究をされて、ゆっくり——ゆっくりと言ったってそう長くない。二年も三年もかかるわけではない。けれどもある程度余裕を置いて、技術を尊重し、各面において限りなく成長していきます科学の総合こそ国力であり、国の文化、国民生活、対外的の弾力性、こういうものを助長し把握する一つの重要なものであるという観点から、私は濱田さんの今の御説明に敬意を表しますけれども、なおもっと御研究を願いたいという感じがしたのです。これは私の直感でございます。そこで私はしろうとであって、これから政治家として知り得るだけの専門的の知識に接触したい。また他の同僚にも勧めたい。党の幹部なんといったって何も知らないで、だれだれという著名な人、だれだれという大きな勢力のある人、いろいろな方面からいじくり回されて堂々めぐりをするようなことでは、国危うしと言わざるを得ないのである。これはどうか一つ郵政省の幹部の方々は腹を据えて、政党人に蒙を開いてやる、天下に蒙を開いてやる、それからマス・コミュニケーションの時代であるけれども、そういう俗論を排して、百万燭光の光を照らして、真にわれわれの進んでいくべきところに標準を立ててもらいたい。そうしてわれわれは忠実に政治家としての任務をここに果したいということを念願するものであります。一言私は濱田さんに申し上げておきたいと思うのであります。
  31. 濱田成徳

    濱田政府委員 今粟山先生から、UHFに熱心でないかのようなお話がありました。私は今回のチャンネルプランには、UHFをやるようには入れてなかったというだけでありまして、決してUHFなるものの開発に不熱心であるわけではございません。これはテレビジョンとしてなるべく早い時期において実施されるように万全の措置を講じます。その他の方面におきましても、UHFの開発は日本としては非常に重大でありますので、資源としてのUHFの開発には最大の努力を払うということを申し上げまして、御安心願いたいと思います。
  32. 松井政吉

    松井委員長 竹内俊吉君。
  33. 竹内俊吉

    ○竹内委員 時間がないようですから簡単に二、三お聞きしたいのでありますが、テレビジョンチャンネルプランについて、当局は三十一年の二月十七日に根本方針をきめまして、それからことしの一月二十一日に修正をいたし、いわゆる基本修正の具体的な割当計画を発表して、これを電波監理審議会に今諮問をいたしておるわけでありますが、最初のプランが発表をせられてから相当長い時日がたっておるわけであります。その間日本テレビに対する国民的要望がますます熾烈になってきておる状態でありますが、電波監理審議会審議が、われわれの常識から考えると非常に長引いておるように感じられるわけであります。そこでどういうことが論争の中心になってかように延びておるのか、先ほど来橋本委員からきわめて重大な御発言があったVとUとの関連等が大きい論争点になっておるのか、あるいはその他の点が論争点になっておるのか、その点を一つ御説明願いたい。
  34. 濱田成徳

    濱田政府委員 電波監理審議会におきましては、このチャンネルプランに盛られました構想の中に教育テレビという問題があります。これにつきまして慎重に考慮する必要があるというので論議を重ねております。それから具体問題といたしましては、経営形態等について御批判を仰ぐということがございます通り、これにつきましても論議を継続しておる次第であります。(竹内委員教育テレビの経営形態ですか」と呼ぶ)教育テレビの経営形態につきまして、まだ本格的には入りませんなけれども、よく考えてやらなければらぬというので議論をいたしております。さらに先ほど橋本委員からのお話のUかVかということにつきましても、まだ論議が終っておりません。
  35. 竹内俊吉

    ○竹内委員 先ほど橋本委員からもお話があったように思いますが、この修正された基本方針中心をなしているものは、私四つあると思う。一つNHKテレビ全国普及するということです。それから一般放送テレビをこれに並列せしめるということが第二、第三は重要な地域については一般放送をその地域に並列せしめるということが一つ、第四に今局長お話のあった教育専門テレビ局を設ける、こういう四つの大きいものがあるわけでありますが、今のお話では、教育専門テレビ局について審議会が非常に熱心に論争され、長引いておるというお話でありますが、あなたの先ほどの御説明では、この基本方針にはこううたったけれども、教育テレビは第二義的に考えておるのだ、総合番組の局をまず普及するために、それを第一義としてこれは作られたものであって、その点は修正した基本方針にも変りがないのだ、こういう御説明があったわけでありますが、そういう御説明は審議会においてもあなたから十分なされておるわけでありますか。
  36. 濱田成徳

    濱田政府委員 その通りでございます。
  37. 竹内俊吉

    ○竹内委員 そうしますればこの教育の問題、ことに経営等の問題でそういうふうに教育テレビ問題が決定しないで、全般的な総合番組チャンネルプラン全体がおくれておるということは、私は少々遺憾だと思いますが、そこはどう考えますか。
  38. 濱田成徳

    濱田政府委員 教育テレビという問題は、先ほどから御議論がございます通り非常に重大問題でありますので、一般放送局に比べて数が少いにしろ、その考え方につきまして十分なる論議を尽すことは、非常に必要であろうと思うのであります。そういう意味におきまして、私は残念でありますけれども、一般放送局の問題についての議論とも関連して、延長されるのもやむを得ない、そう考えております。
  39. 平井太郎

    ○平井国務大臣 ちょっと今のに関連して私から……。今濱田局長の言葉が少し足りなかったのではないかと思います。現在審議会におきましては、まだ教育一つの局としてやるかやらないか、また教育放送局ができた場合のあり方、経営はいかにすべきかということについての協議の段階で、いかにも濱田局長答弁を聞いておると、もう教育というものが審議会において生まれてきて、それから先に進んだ状態にあるというように私の耳には入ったのですが、そうでございますれば、多少局長の言葉がまだ足りなかったのではないか、私はこう考えるのであります。私の聞いておる範囲内におきましては、まだ全般的な問題を十分協議をしておる。そこで教育が必要である場合はどうするかという今段階にある。私はかように考えておりますが、そこらがちょっと局長の言葉がまだ足りなかったのかと思います。
  40. 竹内俊吉

    ○竹内委員 今大臣からの御説明で、私の聞こうとしていることがわかりましたが、いずれにしても教育テレビの問題は、それを作るか作らぬかということさえまだ決定していないのだ、そこでいろいろな論議があって、審議会が延び延びになっておるのだ、こういうことだろうと思いますが、先ほど橋本委員からの御質疑にもありましたが、これは専門テレビ局をせいぜい作っても私は六局だと思います。大体三局か四局が常識だろうと思います。それでは教育機会均等という面から考えると、ますます教育施設が跛行的な状態になるから、適切でないではないかという橋本さんの先ほどのお尋ねは、私はもっともだと思います。そこでこの問題は、もちろん波と関連の非常に深いものでありますから、これをきめない以上は進まないでもろうが、審議会のことは別として、当局の腹は、たといそういう三つか四つのものでも、それを作れば全体の番組が向上するのだから、これを作るべきであるという原案を出されるときの御意図は今も変っておりませんか。そこを一つ確かめておきたい。
  41. 濱田成徳

    濱田政府委員 電波監理審議会は慎重にこれを審議中でありますが、私どもがあれを提案したときの考え方は、やはり日本の現在の情勢においては、どうしてもかような教育専門の局を置くのがいいのではなかろうか、それがNHKに対しあるいは民間放送に対する番組の面におけるところの国民の要望ではなかろうか。そう考えましてああいう構想をチャンネルプランに盛った次第でありまして、今月でもそのようにするのがいいのではなかろうかと思っておりますけれども、しかし電波監理審議会あるいは多くの方の御意見が、そういうものは時期尚早である、やる必要がないということが圧倒的でありますならば、これはまた考え直さなければならぬと考えております。
  42. 竹内俊吉

    ○竹内委員 いや、私お聞きしたいのは、考え直さなければならぬという心境もわかりますが、あの原案を出されたときのお気持と、その後国会の審議その他から考えて、専門局を作ってもそう効果がないではないか、むしろ一般番組の中に教育番組をはめ込んで、これを全国的にやらす方法——先ほど橋本委員の御質疑にあったように、たとえば民間放送連盟が自主的にそれをやろうという機運が現にあるわけであります。NHKに対してもそういうことをやればやり得ると私は思う。放送法を別に改正しなくても、やり得る機運が出てきておる。今日専門局を四つや五つ作って教育放送でござると言ってみたところで、最も教育機関に恵まれた地域にだけその電波が届くのであって、ほんとうにテレビを通して教養を高めたい、あるいは教育を聞きたい、そういう熱望のあるへんぴな土地へは電波が行かないのであります。でありますから、方法を変えて、既設の総合番組の中にはめ込んでいった方がよろしいという論が相当あるわけであります。そういう論がこれだけ強くなってきている今日、なるほどというお考えがあなた方の胸に出てこないかどうかということをお聞きしたい。
  43. 濱田成徳

    濱田政府委員 先ほど橋本委員の御質問にお答えいたしましたように、この考え方は、テレビジョン放送番組の質的の向上、低俗化に対する批判と申しましては言い過ぎかもしれませんが、批判ないし抗議であるというふうに理解していただく方がいいと思うのでありまして、目的日本テレビ放送番組の向上にあることは明瞭であるのであります。でありまするから、私どもは今日になって気がついたのでなくて、当然初めからNHK番組がよくなり、民間放送番組がよくなることを念願して、そういうことが実現するためにも、少くとも今の段階では二つ三つ教育専門放送局が作られ、そしてそれが刺激となって、先ほど竹内委員が言われましたような番組の改善が行われることにしたい、そういう念願であったのでございまするから、今日NHKのあいている電波の時間あるいは民放電波の時間について、この教育番組が織り込まれることは、ぜひそうしていただかなければならぬと考えるわけでありまして、橋本委員の御提案がございましたように、民放の諸会社が三割の放送番組を作るというようなことをみずからやられることにつきましては、全く御同感に存ずる次第でございます。そういうわけでこのことの実現のために努力したい、そういう考えでございます。
  44. 竹内俊吉

    ○竹内委員 順序を追ってその問題にもう一ぺん返っていきたいと思います。先ほど局長UHFVHFの問題について、非常に重要なことを橋本さんに答えておられる。第一に、これを今度のプランに取り入れなかったのは、技術上には何らの不安もないが、ゾーン・システムに対してはいろいろ難点があったからなんだ、こういう御説明であったが、これは非常に重要だと思うのです。しからば日本UHFに対する実験は技術上何らの不安もないというところに到達しておる実証があるのですか。なるほどNHKはカラー・テレビをやっておりますが、あの一例だけをもってして、これを行政指導の根本方針を組み入れるまでの技術的確信があなたにあるのですか。そこをお聞きしたい。
  45. 濱田成徳

    濱田政府委員 UHFを今回のチャンネルプランに取り入れなかったのは、ゾーン・システムが今の段階では困難であるということが一つの理由でありますけれども、技術的に考えUHFVHFに比べて問題がないという、このことを考慮に入れないで、ゾーン・システムだけを考えてやったということではなく、先ほど言葉が足りなかったかもしれませんが、UHFも、世界的にいうならば問題はないでしょうが、日本の場合においては真空管等にまだまだ問題があるだろう、そういう考えが、もうしばらくあとの方がよかろうという議論の根拠になったことは事実であります。
  46. 竹内俊吉

    ○竹内委員 先ほど橋本委員は、これはもうアメリカでやっているから技術に不安がないのだということでございましたが、私はなかなかそうはいかないだろうと思う。まだそう技術的に確立していない。単にNHKのカラー・テレビで実験したということだけで、そういう不確定、不安定なものを電波行政の基本方針に取り入れるということは、かえってそのために、全体に混乱が起ると思うのです。まず技術的に安定した後に考えるべきものである。ただし今のVHFの波ではテレビの需要がまかない切れないから、UHFを使うということには賛成であり、それを熱心に要望するわけだが、そうかといって今現に諮問しているVHFチャンネルプランを御破算にして、直ちに総合的な案を組むということは、行政方針としてはとるべきでなかろう、そういう意味でこれは組み入れなかったのだと解釈しておるのだが、あなたの御説明では、Uの技術はそうむずかしくない、やればやれるのたが、ゾーン・システムの点でいろいろ懸念される点があるから、一応回避したのだということなので、それが一点。もう一つ、これで将来は教育放送をやるのだ、教育放送をやればその受信機はVとは全く違うが、教育放送をやる人はそれを喜んで買うだろうという御発言だが、もしUのものをほんとうに喜んで考えるのだという見解ならば今やったっていいのですよ。そういう甘い見通しではUの問題はいけないのであって、きわめて願わしいことだが、困難な問題がたくさんある。アメリカのことはいざ知らず、日本の行政指導としてはUHFVHFを総合したチャンネルプランを作るまでは、電波当局にはまだ遺憾ながら技術的な確信がないのだ、こう私は解釈しておったのです。  そこで先ほどのお答えで非常に重要な点、これを確めておきたいのであります。UHFはこれをゾーン・システムでいくかあるいは種別的な分け方でいくかという二つの使い方があると思うが、その使い方の中で、当局は種別的な行き方——あるいは教育放送で使う、あるいは宗教放送で使う、あるいはNHKは全部UHFでやるということ、これはもちろん確定的ではないでしょうが、構想としてはその構想に片寄っているわけであります。これは将来にとって、非常に重要でありますから、もし腹がきまっているならば明らかにしてほしい。
  47. 濱田成徳

    濱田政府委員 さような議論をいたしておりますけれども、まだ最後の決定には到達しておりません。
  48. 竹内俊吉

    ○竹内委員 将来のことを今あまり詳しく論じても仕方がないと思いますが、橋本さんの御意見によると将来に持ち越すことはだめだというが、将来といってもそう遠い将来のことではないと思いますから、二、三お聞きしておきたいと思うのです。ゾーン・システムをとった場合に困難があるから云々ということを申されましたが、内容はどういうことですか、簡明に御説明願いたい。
  49. 濱田成徳

    濱田政府委員 今からゾーン・システムを採用いたしますと、そのカバレージ全国の二割かせいぜい三割くらいしか及ばないだろう。しかし大都会や人口の稠密なところには大体Vが普及して、山村あるいは漁村等割合民度の低いところにUが普及して参るという傾向になる。先ほども申し上げましたように、Uの方がVに比べまして技術的にもやや困難である。それからさっき申し上げました技術的困難というのは、送受信機の問題です。電波全般としましてもVの方がよいわけであります。そういうわけで、これはあまり好ましい結果にはならないだろう、そう考えましたのだ理由であります。
  50. 竹内俊吉

    ○竹内委員 抽象的で私のお聞きしたいことのお答えにはならないのであります。今のUを種別的な使い方をする考え方があるが、きまったわけではないということ、これはもちろん行政的に言ってきまったわけでないことはわかりますが、私はその方法を堅持すべきだと思うからお聞きするわけであります。ゾーン・システムで行きますと、Vを出している地域については使わないというのでありますから、Vの出ていないところでUを使うということになれば、その地域は不確実、不安定である。いつから使えるかわからないのに今からその波を割り当てておいても、いつテレビが行くかわからぬということになって、日本全体のテレビ普及状態から言うと、とるべきでないことは明らか言であります。そういう点から、具体的にわれわれの常識から言えば、大体技術費が倍かかる。あなたのさっきの御説明によると、これは技術的にむずかしくない、エリアを大きくするのは電力を強くしてアンテナを高くすればよいというのですが、そうすれば金がかかるでしょう。Vの施設よりUの施設の方が倍かかります。これを負担しなければならない。それから障害物に対してきわめて波が弱いから、ほんとうに使えるところはかなり限定されてくる。エリアが小さいから、局がUの場合には大きくしなければならないということ、経済的にいろいろな不利な点がありまして、アメリカにおける報告によりましても、先ほど橋本さんの仰せられたように、民間局に三百二十一局の許可がおりたが九十一局しか今開業していない。そのうち五十数局は、開業したが赤字で廃局したものであります。また最近、ここにアメリカの連邦通信委員会、FCCの報告書がありますが、これによって見ても、非常にUとVの優劣を論じておって、この転換は困難だということを明らかにしておるのであって、そういう点から考えて、私は将来このUを考えます場合には、やはり日本ではゾーン・システムでいくことは困難ではないか。種別的な分け方でこれを動員する以外に方法がないのじゃないか。しかしながらUのそういうときがくるまで、教育放送を待つわけにはいきますまい。だから、むしろ教育機会均等という意味からいって、私は各放送局番組の中に教育放送を組み入れていくということがいいのであって、専門局を設けるというよりも、その方を行政の中心方針としてとるべきじゃないか、こう考えるわけでありますが、その点、もう一ぺん御所信を伺いたい。
  51. 平井太郎

    ○平井国務大臣 竹内委員の御質問につきましては、これもほんとうにごもっともな御意見でございまして、先ほど私が答弁申し上げた通り、現在の企業体における番組は非常にみな似たり寄ったりの番組でございまして、教育効果をねらっておるというような姿は、あまり見られておりません。従いまして現在の放送局番組の編成につきましては、やはり社会教育という大きな観点から、番組の変更と申しますか、また編成上に意を注ぐ必要があると思いまして、その点にも十分重点を置いて、教育という面に考慮を願おう、かように今後は考えます。  それからUHFVHFの問題でございますが、私が大臣に就任した当時、このUHFVHFの問題で相当論議をいたしました。そのときに、事務当局考えといたしましては、まだUHFを使用する段階にはきていない、これは将来考慮すべき問題である、ただしりっぱなこうした資源があることは忘れては相ならぬ、これは大いに研究すべき問題であるという観点に立ちまして、このUHFの問題に対する態度をきめておるのでございます。従いまして、現在の段階におきましては、やはりVHFをもって日本テレビ界の解決にいたしたい、かような態度がはっきりいたしております。しかし先ほど来橋本先生の貴重なる御意見というものは、やはり今後とも十分検討の要がある、それは十分考えております。また竹内先生のおっしゃったアメリカにおけるUHFを使ったときの状況、また今日の混乱、この点はわれわれも学識者から十分承わっておりまして、現在の日本状態においてUHFを使用することは危険が伴うということも考えておるので、これは今後先生方とも十分検討をさせていただき、今日は研究課題として処理いたしたい、かように考えます。
  52. 竹内俊吉

    ○竹内委員 結局私のお尋ねした趣旨は、UHFの波を取り入れて今直ちにチャンネルプラン考え直すということは、UHFを採用することは、将来の非常に大きい問題であり、今日からそれはもちろん考えなければならぬが、今日ただいまとしては、チのVHFチャンネルプランをそのために御破算にするということは、当面の問題としては不可能でもあり、またやるべきでないのではないか。従ってそこから出てくる答えとして、UHFというものは地域的な使い方でなくて、種別的な使い方にいかざるを得ない。それがまた日本の場合においては、アメリカと違って可能性もあり、姿もいいのではないか。そこでVHFチャンネルプランが今つかえているのは教育放送の問題だとすれば、その教育放送の問題は、専門局を作るよりも番組作成の機関を公けのものを作って、そこを中心としてNHK民放ともに各ステーションが、今の総合番組の中に教育番組を何時間か組み入れていくということを自主的にやるように、行政指導をするということの方が効果的であり、また波を最も効率的に使うゆえんだから、そういうふうに方針をきめさえすれば、VHFチャンネルプランもすらすらといくのではないか、こういう点を考えて、その趣旨でお尋ねをしたわけであります。そして一方橋本委員UHFの方につきましては、さらに技術の安定を急ぐというところに当局は十分の力を入れていただくというのが、私の趣旨でありますが、これは大まかな点にお答え願っても仕方がありませんから、その点をもう一ぺん申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  53. 椎熊三郎

    椎熊委員 関連して。私はこの教育テレビ放送についての先般来の論議を拝聴して、非常に啓発されたのですが、しかしこの論議を通じて私が考えられることは、あなたがおっしゃるように、現在の日本テレビは低劣である、教育的要素があまりにも不足である、これはどうしても改善しなければならぬ。そういう意見当局も議員も一致している。私もそう思う。そこであなたが考えたのは、これを啓蒙していく上に、教育テレビ放送専門局を認可してやったらいいのだ、そういう考え方のようである。ところがこのことが果してあなたの理想とする、日本テレビジョンの全体のレベルを上げるということのよりよき手段であるかどうかということに、私は先刻来の論議を通じて考えて非常に疑問を抱く。あなたは三つかあるいは四つの教育専門局を置くということは一つの刺激になって、これは電波が届くところと届かぬところがあるのですから、教育の理想からいうとはなはだ縁が遠いものであるが、これは一つの刺激材料である、こうおっしゃる。私は教育そのものからいって、そういうへんぱなやり方は本質的にいけないことだということが一つ。それからこの教育放送というものの専門局をやったことにおいて、あなたの理想とする全体のテレビの質の向上ということが期待できるかどうかということに、一つの疑問を持つ。アメリカにおける状況を聞きましても、特殊の財団等の寄付金でやっておるにもかかわらず、視聴者というものは全体の二%くらいよりない。けれどもそれにもこりずに一生懸命やっておる。その熱意は大したものであるが、実質的には効果はアメリカにおいては非常に薄いということだ。薄くてもこれはやらなければならぬことです。けれども日本においてはそれとは違って、あなたがときたまそういうことを考えられたばっかりに、すでに社会には大きな反響が起って、現在テレビをやっておる商業テレビ、あるいは公共テレビにおきましても、みずから反省して、自主的に三〇%くらいは教育用を主体とした放送をしたい、その意欲が起っているだけでも、あなたの考え目的の一斑がすでに発足しておるのです。一、二の会社を許して、それにどうしても固着して、刺激のモデル・ケースを作るのだという考え方よりも、本質的に全体のレベルを上げるというあなたの理想がほんとうの目的であるならば、それに直線的に邁進する方が効果的であるとわれわれしろうとは考える。今無理をして、世間のとかくのうわさ等も私は聞いておる。そういうことを乗り切ってまで、あなたがどうしても当初の信念を貫かなければならぬというところには、何かそれ相当の重大な理由がなければいかぬと思う。私はいろいろなことを聞いておりますよ。しかしこの機会においては申し上げません。そういう世間の疑惑の的になっておるようなことを、それはあなたの学問的、信念的に考えられたことであっても、それが一たび世の中に発表せられてこれだけの反響を呼んで、これだけの効果が上ってきておる今日においては、あなたは当初の日本全体のテレビの質を向上するという唯一絶対の目的のためには、最初のモデル・ケースというようなことは、直ちにそれは考え直してしかるべき問題であって、最初に一たん信念的に考えたから、どうしてもそれを遂行せざるを得ないという概念にとらわれた、固着した考え方というものは、ともすれば偏見に陥りやすい。そういう点私はしろうとですからよくわかりませんけれども、ただいまの貴重な論争を聞いてそういう感じがするのです。ほんとうに効果が上ることなら、あえて世論に反抗して専門教育テレビを特に許可しなければならぬ理由は至って薄弱なような気がするのですが、どういうものでしょう。
  54. 濱田成徳

    濱田政府委員 私は先刻刺激とかあるいはモデル・ケースということを申し上げたと思いますけれども、その言葉は必ずしも当らないと思います。この教育放送という、教育テレビの構想は、今仰せられましたように番組の質的向上、教育的効果の普遍的になるようにということを念願してのことでありますから、その目的の到達ができれば、その手段はどうでもいいと言ってもいいくらいのものでありまして、何も世論に反対してまでもやるという必要はないと私は考えます。このチャンネルプランにつきましては、世論は果してまっこうから反対しておりますかどうかまだわかりません。電波監理審議会に現在諮問しておりますので、先ほど大臣が言われましたように、もしかような処置が必要であるならば、そういうふうに考慮したいというのが目下やっておる諮問でございまして、決してどうしてもそうでなければいかぬという何か根拠があってやっているというふうにとられては、はなはだ困る次第でございます。そういうわけでは毛頭ございませんことを申し上げておきます。
  55. 椎熊三郎

    椎熊委員 私の期待するような御答弁で私は大へん満足であります。これは世間でも非常に注視の的でございますし、委員会としても慎重に審議している問題でありますから、偏見にとらわれずに公正無私な考え方で、国家百年の大計の基礎を作るというような大きな観点から御決定を願いたい。  最後に大臣にお聞きしたいのですが、今度のチャンネルプランの決定の問題は、単に郵政当局だけの考え方、信念だけではきめられないことになっておって、閣議決定を経るということになっておることを聞いております。そういうことになっておりますか。
  56. 平井太郎

    ○平井国務大臣 電波行政は郵政省の所管でございまして、郵政大臣の責任においてこれを配分することになっております。閣議決定ということには相なっておりません。その点はっきり申し上げておきます。
  57. 椎熊三郎

    椎熊委員 私は与党ですから、責任のある人からそういうことを聞いておるのです。郵政当局の責任だけではきめられないほど大きな問題だから、最終段階では閣議で決定するという言明を実は私は受けておるのですが、ただいまのあなたのおっしゃることを私が政府部内の責任者から聞いておる話とは、やや違うのです。郵政当局だけの責任できめられるというのとはちょっと違うのですがどうですか。その通りですか。すると私は政府当局に向ってさらに問いたださなければならぬことになる。
  58. 平井太郎

    ○平井国務大臣 電波行政につきましては、これは当然郵政省の全部の責任でございます。そこで、これが重大であるということは私が申すまでもございません。しかし私の所管であり、私の責任である以上は、私はこの問題についての責めを負うわけでございます。私もこの岸内閣の国務大臣であり郵政大臣でございます。私のとった態度というものは、当然政府が責任を負うべきものと私は解釈いたしております。従いまして、私の見解においていろいろ意見をただす場合があるかもわかりません。それは私の見解においていろいろ御意見を聞くような場合が生ずることもあり得るということは申し上げておきますが、閣議の決定事項とは違うと思っております。郵政大臣の責任において当然やるべきものであり、またそうすべきが政府の態度か、かように存じます。
  59. 椎熊三郎

    椎熊委員 郵政大臣の決意のほどは尊重いたします。まことにそうなくてはならぬと思う。しかるに私の承わるところによると、単に郵政大臣の裁決だけではきめられる問題ではなくて、これは閣議決定ということが、あなたの任官の際の条件であると承わっております。これは重大なことです。そういうことであるならば、各省責任大臣の地位というものは、はなはだ私は遺憾千万だと思う。そういうことであなたは恋々と大臣に就任されたということ、そんな不徹底なことではいかぬという意味で念のために聞いておるのです。そこでこれは私は責任ある人から聞いておるのですから、別に党内において問題にいたしますが、あなたがこの権威ある委員会において責任を持って言明されたこの御発言は尊重いたします。これをもって私の質問を終ります。
  60. 松井政吉

  61. 森本靖

    森本委員 だいぶ時間がたっておりますので、私は簡単に質問をしておきたいと思いますが、今のUHFVHFの問題については、また日をあらためて別の角度から質問をしたいと思います。  そこでこの前の委員会以来、教育放送の問題が一番問題になっておりますし、また現在の審議会においても問題になっておるわけです。そういうことを私は当初から考えて、当委員会の席上において、一体郵政当局としては電波監理審議会における答申がいつ出て、実際的にどういうふうに具体的日程を立ててやっていくつもりであるかということを二回にわたって質問して、これは速記録にもはっきり載っておりますが、その日にちもあなたの方からはっきり答弁があったわけです。その前の答弁によりますと、大体三月中旬ないし下旬には答申案を出して、それに対して郵政大臣がはっきりした態度をきめる。四月上旬にはプランが決定して、それからさらに四月の中旬、下旬において調査を開始して、五月にははっきりと免許をおろすという段階である。こういう答弁を二回にわたってしております。ところが今の状況を見ておりますと、ほとんど混迷の域にあって、一体どうなるのかわからぬということがうかがえるわけであります。そこで私は特にこの際郵政省当局に御忠告を申し上げておきたいと思います。先ほどの竹内委員質問に対する局長大臣答弁でありますが、これはほかの委員会でしたらああいう答弁をすると徹底的に追及をせられると思います。われわれはこの内容を知って、専門的に今日まで討議をしておりますので、あえてああいう問題について深追いはいたしませんけれども、専門家が見ると、先ほどの局長答弁大臣答弁とははっきり食い違っておるわけです。しかも電波監理審議会における審議の内容については、見解の相違が明らかに出ておる。だからこういう委員会の席上における答弁というものは、局長大臣もその辺は十分に考え——それは人間であるから、個人的にそれぞれ意見が違う場合もあろうと思いますけれども、一応正式の委員会において答弁する場合には、その辺の意思の疎通を十分にやっておかなければならぬ。将来そういうふうな答弁をやっておると、われわれ野党としても、そういう問題については徹底的に追及せざるを得ないことになるわけです。どうひいき目に考えてみても、今のような答弁食い違いは非常に重要な問題です。ですからそういう点について私はこの際御忠告を申し上げておきたいと思います。一つ省内の意識というものを統一して、局長答弁大臣答弁あるいは事務当局答弁も、一貫した答弁をせられるように、特に問題になっておる教育放送の問題についてはそういうことを要望しておきたいと思います。  そこでUHFの問題、VHFの問題について、これが先ほど来の質疑応答では非常に困難であるというふうな答弁でありましたけれども、かりにそれを取り入れて今日のチャンネルプランを再編成するということになりますと、これはとても本年の問題ではなかろうということを当然考えるわけであります。そこでかりに今のVHFを出されておるところのチャンネルプランを、実際に答申案が出て、それから具体的にそれを決定をしていくというのは、今の段階として大体どういう目安を郵政省当局としては持っておるか、その日程について質問をしておきたいと思う。
  62. 濱田成徳

    濱田政府委員 電波監理審議会審議が長引きまして、この前に御答弁申し上げました点と非常に食い違いましたことははなはだ遺憾に思います。いろいろな周囲の論議等もたくさんございますために、その御意見等をしんしゃくするためにどうもやむを得なかったのでありまして、御了承を願いたいと思うのであります。この答申の結論はおそらく遠からざるうちに、今月の下旬にならないうちに、半ば過ぎには出てくるだろうと考えております。そうしましたあとで、今度はそれによりまして、それが重大なる原案についての修正がない限り、割合に早く公聴会が開かれまして、それによって具体的の割当計画についての方針をきめるわけでございます。それが十日ないしは二週間ぐらいの後に済みますので、おそらく今月の末にはチャンネルプランが確定するものと予想しております。でありますから実際の免許についての審査等は、来月に入ったらばやれるのじゃなかろうかと大体推定しております。
  63. 森本靖

    森本委員 これは妙に言葉じりをとらえるようですが、周囲の御意見というのはどういうところの御意見ですか、妙に気にかかる答弁でありますので、特に聞いておきたいと思います。
  64. 濱田成徳

    濱田政府委員 言葉が悪かったかもしれませんが、諸方で論議が行われております。国会も含みましてでありますが、そういう意味でありまして、別に他意はないのであります。
  65. 森本靖

    森本委員 それから重大なるチャンネルプランの変更がない限りにおいては、今のような格好になるということでありましたが、それでは先ほど来論議になっておりますところの第三項の三の、教育放送の問題について、この教育放送チャンネルプランの原案というものは、これは明らかにNHKとそれから民間放送、この二つ以外に特別の教育専門局を設けるというのが、この趣旨なんだ。このチャンネルプランというものは明らかにそういう趣旨なんだ。そこで過日国会においても、衆議院、参議院の文教委員会等においても、いわゆる教育放送というものをやるならば、当然NHKにやらすべきであるという趣旨のものが可決になっておる。それから当委員会で今までいろいろの意見の中には、そういうことをやらなくても、たとえばNHKにおいても民放においても、相当教育時間をとってやるならば、このプランを実施する必要はないという御意見もあるわけです。いずれにいたしましてもそういう意見が三、四あるわけでありますが、その意見がかりに答申案にはっきり盛られるということになりますと、この三項の三という性格がまるっきり変ってくるわけであります。そうなったときにあなたが今言ったチャンネルプランの重大なる変更ということにこれが当てはまるかどうか、そのことをお聞きしておきたいと思う。それは大して重大な問題じゃない、そういうお考えか。それともそれがかりに一応どういう形においてか修正をされたということになると、これはチャンネルプランとしても重大なる郵政省原案の変更である、こう考えるかどうか。そうなって参りますとこれは当然責任問題にもかかってくるので、非常に重大な問題であります。だからチャンネルプランに重大なる変更のない限り本月中に云々、来月はおそらくこうなっていくであろう、そういう見通しでありましたが、その重大なる変更ということはどういうことをさしておるのか、その点をお聞きしたいわけであります。
  66. 濱田成徳

    濱田政府委員 このチャンネルプランの六の三項というのが、教育テレビについての考えを述べたのでありますが、それについての変更は、相当重大なる変更だろうと私は考えざるを得ないのであります。もしそれがありまするならば、やはり全体のチャンネルプランに影響が及ぶわけであります。けれども数が少いために、それによって予想せられる放送局の数は、全体で六つか七つのうちの何局かというふうなことが論議されているわけでありまして、数においてはそう大きな影響はないわけでありまするから、考えとしては重大なる変更かもしれませんけれども、量的にはまた考え方が別だろうと思うのであります。
  67. 森本靖

    森本委員 だからその重大であるかどうかということについては、たとえばこれはもうはっきりした回答になりますと、かりに先ほど来橋本委員が言ったところのUHFVHFを総合したところのチャンネルプランをこしらえるということになると、別個の形になります。これは全然違った角度になって、まるっきり郵政省原案もへったくれもなしに、一応これは吹っ飛んでしまうことになる。この問題はまたいずれ日をあらためて論ずるといたしまして、かりにこのチャンネルプランの原案というものを一応形を残して、そして今問題になっておりますところの教育放送そのものについてこれを結論をつけるというならば、この原案がそのまま生かされて、今言ったようにNHK民放と全然違う第三者的ないわゆる教育放送をこしらえたいというのがこの原案であります。それに対してそういう教育放送というものを持つならば、これは当然公共事業としてNHKにやらすべきだ、しかしその場合に全国あまねくということになってくると、これは当然できない問題である。そこで先ほど来竹内委員が言っておるように、それでは民間放送NHKにおける余裕の時間を十分に取り入れて、そこで教育放送を十分に生かしていくべきじゃないか、こういう意見が出ておるわけであります。大体この三つ意見であります。そこでこの原案にあるところの意見に対して、当委員会における今までの意見を聞いてみまするに、あまり賛成の意見は出ておらないようであります。かりにこの三項というものが修正をされたといたしましても、なるほど数の面においては今三波以上ありますのは東京、大阪、名古屋、北九州、関門、岡山、そういう六ヵ所であります。六ヵ所のうち東京、大阪、名古屋、北九州といたしましても四つであります。そうなってくると数においては確かに少いということでありましても、その影響力たるものは非常に大きいわけであります。それから今日の放送界における一番の討論の内容は、この教育放送にしぼられておるわけであります。そこでこの問題がかりにそういうことにおいて是正されるとか修正されるということになった場合には、それは一応郵政省の原案が重大なる修正、変更を受けたというふうに解釈をしないかどうか、その点を聞いておるわけです。
  68. 濱田成徳

    濱田政府委員 それは重大なる修正だと考えます。
  69. 森本靖

    森本委員 これ以上質問をいたしておりますと相当長くなりますので、私はこれ以上質問をいたしませんが、今の答弁でありますが、重大なる変更になるということになりますると、今の日程がかなり狂ってくるということになるわけであります。そうなってくると、かりにこれが修正された場合には相当日程が狂ってくる、こういうことに解釈ができるわけでありますが、そうなりますか。たとえば、よくお聞き願いたいのですが、先ほど局長答弁では重大な変更がこのチャンネルプランにあった場合には、私がただいま申し上げました日程以上に非常におくれるであろう、大体そういうような意味答弁であったわけです。今の意見によりますると、かりにこれが修正をされたということになると、一体日程はどういう方向になってくるか、そのことをお聞きしたいわけです。
  70. 濱田成徳

    濱田政府委員 先ほど来森本委員が、教育目的のために考え放送局は、NHK及び民放以外の局に考えているのがこのチャンネルプランだと言われましたけれども、そうではないのでありまして、経営形態等は全くわかっておらぬ、全く白紙であるという考えでありますから、その点を誤解がないようにお願いしたいと思っております。そういうことを論議して、いかなるものがいいのかを研究してからきめたらいいではないかというのがこの案でありますから、その点念のために申し上げておきます。
  71. 森本靖

    森本委員 それは今まで、はっきりそういうふうなことを言明をするならば問題がない。ところがこのチャンネルプランを見て、そう解釈する人はおそらくないのですよ。これははっきりこう書いてあるのです。第一号は「日本放送協会の放送全国普及する」云々、第二号は「一般放送事業者による放送を併立させる」云々、こういうことを書いている、第三号は「前二号による総合的番組放送するもののほか、学術、技芸」云々とあるわけですよ。そうなってくると、これはやはり今のNHK民放以外ということに考えざる得ないのだ。だけれどもそれはそうじゃないのだ、今これだけ論議が激しくなってきたかどうか知らぬけれども、ともかくそうではないのだ、これは一応教育放送というものを放送することを考えておって、それについてはNHKにやらすとか、あるいはまた民放にやらすとか、あるいはまたNHK民放がその一日の時間の相当の時間をさいて教育放送をやるということもこういうことの中に入るという解釈なら、それはここまで私は紛糾してこなかったと思う。ところが今までそういう答弁じゃなかったのだ。あなたがきょうになってそういう答弁なら、私はその答弁でいいと思う。それはそういうふうに大体考え方が変ってきて、今言ったように、それではこの第三号の教育放送というものはNHKとも、民放ともきめておらぬ、あるいはまたNHK民放がその総合時間のうちに、教育放送をある程度入れるということもこの中に入るという解釈なら、それでいい。しかしそういう解釈にはとれぬのですよ。
  72. 濱田成徳

    濱田政府委員 それは初めからそういう考えではないのでありまして、本日申し上げた通りなのであります。この前の委員会でも私は覚えておりますが、森本委員に対してそうお答えしたはずなのであります。経営形態はNHK民間放送か、あるいは単行法による特殊法人かわからぬ、それを十分検討してきめるのだ、そういうふうに言っているのでありまして、今日まであまりどこからもそういうことについての御疑念の質問はないのでありまして、私はこの読み方はこれでいいのじゃないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
  73. 森本靖

    森本委員 それではかりに教育放送専門ということになると、放送法の建前からいくならば、一応これはNHKにやらすのが正当である、しかし今日の波の情勢からいくならば、それをやるということになると、日本放送協会が全国にあまねく普及しなければならぬという性質からいくと、かりに東京、大阪というようなところだけをやるということになるのです。これは受信者に対して、受信料を取っておる建前からいくとおかしな格好になる。そういう場合に、それでは万やむを得ずして、今言ったように教育放送民間放送あるいはNHKの余っておる時間、あるいはまた現在の一般総合番組をより以上に教育放送の時間に使う、かりにそういうことになった場合は、このプラン修正ということになりますか、それともこのプランがそのままでもそういうことはいいということになるわけですか。
  74. 濱田成徳

    濱田政府委員 そういう場合には、修正というふうにはならないと思います。
  75. 森本靖

    森本委員 もしそういう解釈なら、これはこれほどまで放送界の混乱が起らなかったわけですよ。これは非常に重大な問題でありますので、私はもう一回はっきりした答弁を願いたいと思いますが、今言ったような答弁郵政省答弁として解釈をして、そうして郵政省としてはこのチャンネルプランについてはそういうことも一つ考えておる、そういうことで電波監理審議会に郵政当局が正式に、国会でこう言明した通りでございますということが言えるわけですね、国会でそういう言明をする以上は……。
  76. 濱田成徳

    濱田政府委員 このチャンネルプランの表現がもし適当でないならば修正したらいいと思いますけれども、こういうものを必要かつ適当と思う場合にはそういうチャンネル電波を考慮する、そういうのがこの考えでありますから、別に——別にと申しますか、ただいま申し上げたような民間放送NHKかどこかわかりませんけれども、そういうふうにしたらいいというふうになりましても、これは全体に対する重大な変更ではなかろうと思います。なお電波監理審議会では、そういうふうな経営形態等について、これは後刻検討をするということに対してどういう答申がありますか、まだわからないわけであります。
  77. 森本靖

    森本委員 どうも答弁にちぐはぐな点があって、まだ私は明確にしておきたい点が相当あるわけでありますけれども、私は本日の速記録をもう一ぺん初めから詳細に検討してみて、次の委員会ではっきりした要点をつかんでもう一回質問をしたい、こう考えまして、きょうは時間もありませんので私の質問は一応終りたいと思います。
  78. 松井政吉

    松井委員長 ちょっと委員長から濱田政府委員並びに大臣に申し上げますが、数次に行われました委員会の速記録全体を私も記憶いたしておりません。記憶いたしておりませんが、本日の濱田政府委員答弁は明らかに食い違っておると思います。速記録を調べればわかります。これが一番食い違っておると思われるところは、そのNHKのみが教育放送をやると考えたものではない、商業放送でもない、第三の道の公共企業体で教育放送をやるという意味の考慮を入れたという答弁は必ずやっておると思います。そういたしますと本日の答弁とは重大な食い違いになりますので、いやしくも国会法に基いて委員会を開いておるのでありますから、そのとき、そのときの委員会答弁が異なると、私の方は委員長ほか委員全体が非常にまずいことになりますので、これは速記録をずっと調べてこなければわかりせまんけれども、全体の速記録の上にあやまちがあれば政府部内の意見を統一して、最初からはっきりと理念を統一してもらわなければ困りますから、御忠言申し上げておきます。     —————————————
  79. 松井政吉

    松井委員長 この際お諮りをいたします。すなわちVHF及びUHFテレビジョンチャンネルについて、参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  80. 松井政吉

    松井委員長 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  また参考人の人選につきましては、後刻理事諸君と協議の上決定いたしたいと存じますので、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。  なお参考人より意見を聞く日時は、先刻の理事会で御協議を願いました結果、来たる四月九日及び十日の両日、それぞれ午前十時と決定いたしましたので、御報告いたしておきます。  次会は来たる六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会