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1957-10-22 第26回国会 衆議院 地方行政委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十二年十月二十二日(火曜日)    午前十一時九分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 亀山 孝一君 理事 山中 貞則君    理事 中井徳次郎君       青木  正君    加藤 精三君       楠美 省吾君    纐纈 彌三君       椎熊 三郎君    中村庸一郎君       藤枝 泉介君    山本 正一君       北山 愛郎君    西村 力弥君       山田 長司君  委員外出席者         国家消防本部長 石井 榮一君         総理府事務   鈴木 琢二君         (国家消防本部         総務課長)   横山 和夫君     ————————————— 十月二十二日  委員小澤佐重喜君、川崎五郎君、櫻内義雄  君、徳田與吉郎君及び加賀田進辞任につき、  その補欠として中村庸一郎君、藤枝泉介君、山  本正一君、椎熊三郎君及び山田長司君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員椎熊三郎君、中村庸一郎君、藤枝泉介君及  び山本正一辞任につき、その補欠として徳田  與吉郎君、小澤佐重喜君、川崎五郎君及び櫻  内義雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  警察及び消防に関する件     —————————————
  2. 門司亮

    門司委員長 それではこれより会議を開きます。  この際私から御報告申し上げたいことがございます。それは本委員会理事鈴木直人君が御病気のところ、去る先月の二十日に御逝去されたのでございます。ここにつつしんで、鈴木武人君の御逝去に対しまして、当委員会を代表いたしまして深く哀悼の意を表する次第でございます。     —————————————
  3. 門司亮

    門司委員長 次に消防に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、これを許します。北山愛郎君。
  4. 北山愛郎

    北山委員 消防の問題について簡単に二、三お伺いをしたいのでありますが、これはこの前の委員会におきましても質問いたしましたが、ことしの十月十日に消防審議会消防制度改正に関する答申が出されて発表されたわけであります。その内容についていろいろお伺いしたい点がございますが、まず最初に消防本部といたしましてはこの消防審議会答申をどのように取り扱おうとするのか。特に当面臨時国会なりあるいは通常国会に対してこの審議会答申のうちで立法化あるいは予算化をするという部面がありましたならば、そのお考えを承わっておきたいと思います。
  5. 鈴木琢二

    鈴木説明員 消防審議会は去る四月九日に第一回の会合を開かれましてから小委員会開催回数まで合せますと、ちょうど二十回会合を開かれまして、結論を得て、去る十月十日に国家公安委員長に対して答申がなされたわけでございます。  その間、審議会委員の方々は関係方面から出ました意見等も十分参酌いたしまして——関係方面と申しますと市長会町村長会知事会、それから消防団関係消防協会、それから都市消防団関係意見書、これらの意見書審議会に対して提出されましたので、それらの意見も十分参酌されまして長い間討議を続けられて、十月十日に答申されたわけでございます。  その答申書はお手元にお配り申し上げてあることと存じますが、現在の消防制度各般にわたる問題でございます。単に機構の問題、権限の問題ばかりでなしに、さらに消防財政問題等についても相当突っ込んだ意見答申されておるわけでございます。これに対しまして国家消防本部といたしましては、以前から国家消防本部自体といたしましてもこの消防制度改正についてはだんだんと検討して参ったことでございますので、これにあわせましてこの答申十分参考にいたしまして、さらに制度改正消防法並びに消防組縦法改正について研究いたしまして現在作業を進めつつあるのでございます。一応従来からもやっておりました関係もございますので、次の通常国会を目標に現在作業を進めておるわけであります。  一番問題のあります点は財政問題でございますが、この答申案にも財政問題として特に三項目を掲げて答申されておるのでございますが、これらの問題は相当むずかしい問題もございまして、現在事務的には自治庁並びに大蔵省と折衝を重ね、意見調整をはかっておるのでございますが、これらの点の見通しがつきますれば、たとい全部でなくても見通しのついた部分については、何とかして次の通常国会関係法律改正までにお願いをするように取り運びたいということで、極力作業を進めておるよう状況でございます。
  6. 北山愛郎

    北山委員 問題は、審議会答申の中で、どういう問題を次の通常国会あたりに具体化しようとしておられるのか、どの点を準備しておられるのかという問題でありますが、たとえば、危険物取締りにつきましては、現在市町村がやっておりますものを、府県の方に移すという考えようでありますが、危険物取締りは、現存市町村市町村ごと条例を作るというような格好で、工合が悪いから、危険物取締法というものを立法措置を準備しているのかどうか、あるいはまた現在の市町村条例でやっているのを府県条例でやろうとするのか、それらの点をどういうふうに考えておられるか伺いたい。
  7. 鈴木琢二

    鈴木説明員 危険物その他の権限で、一部都道府県あるいは知事に移管されるよう内容のものがこの答申にあるわけでございますが、これは国家消防本部としても従来いろいろ検討を加えておった問題でございますので、ある程度の考え方は進んでおるのでございますが、問題は、都道府県なりあるいは都道府県知事権限を持って参るといたしましても、やはりこういうものは相当な人も要りますしその他費用も要りますので、全然財政措置を抜きにしては考えられない情勢でございますので、その点についてもやはり財政措置にある程度見通しをつけることが先決問題じゃないかと考えて、作業を進めておるわけでございます。全般的にそういう複雑ないろいろからんだ問題がございますので、現在どれどれを次の通常国会に提案するかということを、ここではっきりと申し上げるまでの段階にはまだ至っておりません。いずれ作業が進みまして、あるいは関係官庁との事務的折衝が進みまして、だんだんと見通しがつくようになりますれば、その際機会がありましたら御報告申し上げたいと存じます。  なお危険物取締り権限が一部知事権限に移されるようなことになりますが、これは特に私ども現在事務的に作業を進めておりますのは、危険物法などという特別な法律を作るという考え方でなしに、現在の消防法改正する方向で研究いたして参事りたいと思っております。
  8. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、特別に危険物取締法というよう特別立法はしないで消防法改正をやって、そうしてこまかい点は府県条例でやっていこう、こういう考え方ですか。
  9. 鈴木琢二

    鈴木説明員 これは、消防法の現在の危険物関係法律改正いたしまして、危険物取締りの基本的なものは政令で定めるということになると思います。  それから地方的な差異を認めなければならない問題につきまして、各府県ごとにその差異を認めるという段階のものにつきましては、都道府県条例に譲る。それから各市町村ごとに個々別々に規定を要する部類のものにつきましては、市町村条例に譲って内容をきめる、こういう段取りになろうかと存じます。
  10. 北山愛郎

    北山委員 次に答申案の中には、市町村長火災の場合に相互応援をする応援協定というものを、事前にふだんから作っておく、こういうことがありますが、これは現在でもやっておるわけであります。ところが都道府県知事応援命令を出し得る、こういうような構想もあるようでありますが、その市町村間の協定に基く応援出勤と、それから府県知事応援命令、これをどういうふうに運営されていくのか。どういう場合に応援命令が出されるのであるか。これらの点が明確でないので、その点をお伺いしておきたい。それと同時にこの前九州福岡県でございましたが、火災の際に消防が、自動車ポンプが行った。ところが、途中で引き返してしまった。何もしなかった。そこでこれはやはり市町村間の消防応援というものが不完全である。やはり府県知事の方に応援を命ずる権限考えなければならぬというようなことが、その問題と関連して論じられているので、その事実はどういうふうな事態であったのか。私の聞いているところでは、十一台ポンプが行ったのだが、実際にそれだけのポンプが行っても水利がない、水がないので役に立たないから、一部のものを残してあとのものは引き揚げたのだ、こういうふうに聞いておるわけでありますが、その福岡県ですか、その事実がどうであったか。その事実からして、どうしても知事応援命令がなければならぬのだというよう結論が出てくるものかどうか。これとも関連をして、この点を明らかにしていただきたいのであります。
  11. 鈴木琢二

    鈴木説明員 市町村相互応援協定の問題につきましては、この答申案にもいろいろと盛られてございますが、現在私ども考えております点は、現在の市町村が自発的に自主的に相談をして、応援協定を結ぶという原則はあくまでも私は保っていきたいという考えを持っております。それで隣接市町村が自発的にまず応援協定を結ぶ。ところが場合によりますると、いろいろ財政その他の関係もあったり、いろいろないきさつがあって、思うように理想的な応援協定が結べないような場合もございましょうし、それからその地方警防態勢全体から見て、必ずしも二、三カ町村相談だけでは十分なまとまりがつかないような場合もございましょうと思いますので、そういう場合には都道府県知事あっせんして最も適当な、妥当な協定を結ばせるというあっせんをする。それからその協定によりまして、事態が発生いたしました場合に、その通り実行されればもちろんおおむね問題はないわけでございますが、必ずしもそうスムーズにいかない場合もございましょうと思われますので、そういう場合には知事応援命令を出し得る。ただ知事応援命令を出すにいたしましても、ふだんから作っております隣接町村応援協定は、県の方でもわかっておりますので、この応援協定に基いてそれの実施をするように、知事命令をするということになろうかと思います。そうしますと知事命令と各市町村間で自発的に結んでおります応援協定との矛盾は出てこない。きよう方向に持っていきたい、そういうよう考えております。  それから応援協定の問題で、先般福岡市に発生しました応援が十分行われなかったという問題が、東京新聞相当書かれまして、世の注意を引いたのでございますが、これは福岡市と隣の那珂川町の問題でございます。那珂川町で火災がありましたのが、これが望楼発見だったと思いますが、福岡市の方ではっきりした火災現場がつかめずに出勤いたしたのでございます。いろいろ東京新聞に書かれておりました事情福岡及び那珂川現地の問題とは必ずしも一致しておりませんで、いろいろ食い違った点もあって、誤解に基く新聞記事もあったようでございます。簡単に申し上げますと、福岡市でも十数台のポンプを、これは消防署並びに消防団から応援に行きまして、そのうち五台ばかりがやはり火がかりをいたしまして、応援はいたしているわけでございます。その点が全く中央の新聞に報道された状況とは食い違っているのでございます。しかしいずれにしても、ああいう世間の人を騒がすよう事態になったことは、どっかにやはり欠点があったのじゃないかと思います。これはもとより応援協定が結ばれておりませんので、その後私の方でも勧奨いたしまして、至急に応援協定——どろぼうをつかまえてなわをなうような結果になったのでございますが、今までいろいろな事情があって、応援協定が結ばれないでおりました際にこういう事態が起りましたので、さっそく応援協定を結ぶように取り運んでいる次第でございます。  なおこの問題につきましては、もし御希望がございましたら、私の方で職員を派遣いたしまして現地を調査いたしましたので、その調査した者から御報告申し上げてもよろしいかと存じます。
  12. 北山愛郎

    北山委員 市町村消防応援状況は、私は全般的にいえば応援し過ぎるぐらいじゃないかと思うのです。一時ガソリンが不足の時代には、他村の火事のためにガソリンを使ってもその補給が受けられないというようなことから、ガソリンを惜しむために応援を差し控えた、そういう例が前にはあったのですが、現在は相当遠いところまで応援し過ぎるくらいで、消防ポンプが何十台も集まって実はそれだけの効果を上げておらぬというふうな場合の方が、むしろ多いかもしれぬと思うのです。ですからむしろ、応援協定を結ばせる場合におきましては、応援させるというよりも、応援を合理的にさせる、応援の区域なり、その出勤の台数なり、そういうようなものについての合理的な協定を結ばせる、そういうよう指導の力がよろしいかと思う。府県知事はあくまで市町村間の応援協定が合理的に行われるようあっせんをするという立場でやるべきであって、いざという場合に応援命令をするというよう権限知事に与えるということは、むしろ火災というものの実際にかんがみてナンセンスじゃないかと思うのです。応援命令を受けたいといって県庁に電話をかけても知事さんはおらぬ、知事の官舎に電話をかけるというと、東京に御出張中であるということでは、これは間に合わない。だれが責任者かといえば宿直員がおるだけだ。宿直員では判断がつかない。だからもしも府県知事にそういう権限を与えるとするならば、常時責任がある常備員というものを置いて、夜、夜中でも適切な指示を下せるよう態勢にしておかなければならぬので、それは非常な困難を伴うわけでありますし、また事態に合わない場合が出てくるので、むしろこれは市町村間の応援が合理的に行われるように、そういうような一般的な指導という面で知事の役目があるので、個々の火災についての指示、運営、そういうものの権限知事に与えるということは適当でない、私はそういうふうに考えますので、この点は十分御考慮いただきたいと思うのであります。  それから消防財政の問題でございますが、消防財政については、来年度において消防本部としてはどういうよう予算要求し、どういう計画を持っておるか。  それから消防税、この消防審議会の案には、固定資産税みたいなものが、土地を除く固定資産に対して別に消防税をかけるというふうになっておりますが、元来固定資産税というものはそういうものを含んでおるのではないか。固定資産を持っておる者が、その応益的な意味からして固定資産税というものを負担しておるので、その中には消防行政の利益に対しての負担というものも含んでおるのではないか。その上にさらに消防税をかけるというのはおかしいんじゃないか、こういうふうにも考えられますので、この答申案の中にある消防税については、国家消防本部としてはどういうふうにこれをお考えになっておるのか。  それから消防寄付を廃止する、こうありますが、一体消防に対する寄付金というものは大体どれくらいなのか。私はこれは相当あるんじゃないかと思うので、市町村予算の中で置かれておる消防費というものよりも実際にかかっておる消防費の方が非常に多い。その大部分は各分団の経費にしても、ポンプ購入費にしても、税金以外のその土地寄付金によってまかなわれておる、これが実態であります。ですから相当金額があるんじゃないか。これを調査したものがあれば、一体消防寄付金というものはどのくらいの金額になっておるのか、概略でいいですから御説明を願いたい。
  13. 鈴木琢二

    鈴木説明員 応援協定を合理的にやるようにせよという御意見は、私どももまことにごもっともの御意見と存じます。全面的に応援協定の問題はお説の通りと存じますので、立法段階においては十分その御意見を参酌して取り運びたい、さよう考えております。  それから財政問題でございますが、本年度要求いたしております予算は、これもお手元に差し上げてあるかと思いますが——まだお配りしてないそうで大へん失礼いたしましたが、総額で申し上げますと、概算要求いたしております総額が、三十三年度が二十四億四千三百万円余りでございます。それで前年度のきまりました予算は五億五百万余りでございますので、前年度に比較いたしますと十九億三千七百万円ばかり多く要求しておるようなことになっております。その当時の状況によりまして概算要求したのでございますが、おおよそ二通りの考え方概算要求を提出したわけでございます。第一は、現行制度のもとにおいて強化すべきもの、つまり従来やっておった事業について予算増額要求をいたすべきもの、第二は、その当時消防審議会答申状況もよくわかりませんでしたので、これを一面には予想しながら、またそれと関係なくても従来からわれわれが要求して参りましたことで、現行制度のままでもぜひやりたいというものについて概算要求をいたしたのでございます。その二つの種類に分れておるのでございますが、第一の方の、従来の予算の強化を要求いたしましたのは、消防施設整備関係補助金消防団員等公務災害補償責任共済補助金それから日本消防協会補助金等でございます。第二の種類に属しますのが消防団員教養訓練に要する経費、さらにその教養訓練並びにその他の関係都道府県消防職員を増加いたしますについての職員費に対する補助金、それから国家消防本部機構が非常に小さいものでございますから、いろいろ仕事に支障を来たしております。現在国家消防本部職員本部の方だけで二十余名ばかりでございます。ですからちょっとした役所の一つの課くらいの人数しかございません。それで実は従来から仕事がこなし切れないで、一人で二人分も三人分も働くということで努力して参っておるのでございますが、これも非常にむずかしい問題でございますが、だんだん仕事もふえてきますし、それからこういった制度改正というような問題、今後の指導を強化するというような点から考えましても、もう少し陣容を整えてもらいたいということで、国家消防本部職員増員要求、これらが第二の種類に属するものでございます。それらの増額並びに新しい費目の要求で二十四億四千三百万という概算になっております。  それから答申にあります周定資産課税対象とする消防税目的税として創設するという問題でございますが、これは御指摘もありましたように、現在の固定資産税との関係相当むずかしい問題もあるのじゃないかと考えております。これは実は私ども事務的には従来あまり考えなかった問題がこの答申書に掲げられたのでございますが、現存これをどういうふうに処理をいたしたらよいか、実は事務的には自治庁と十分力合せて検討してみたいということで、現在話し合いをいたしておるような現況でございます。これも御指摘のありましたように十分いろいろな状況を研究いたしまして処置いたしたい、意見をきめたい、さよう考えております。  それから寄付金の問題でございますが、消防関係寄付金予算に現われておるものと予算に現われてないものとがあるのでございますが、予算関係に現われておりますのは、三十年度の決算見込額が四億四千四百万円となっております。それから三十一年度の当初予算に盛られておりますのが、四億六百万円になっております。これが予算に現われた数字でございます。ただ自治庁でいろいろ検討を加えました結果を聞きますと、自治庁推定では三十億をこしておるだろう、これは予算に現われない寄付金あれやこれやみんな合わせて三十億をこすだろうという推定を、自治庁ではいたしておるようでございます。
  14. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、消防税についてはまだ国家消防本部としてはやるともやらないとも考えはきまってない、こういうように了解をいたします。  最後にお伺いをいたしておきたいのは、防災機構というか、それについては御承知のよう消防団がある。それから水防団がある。ところが消防団水防団は、名前は違っておりましても大部分消防団員水防団員になっておる。こういうことで重複をしているわけです。それからまた災害救助という関係は、たしか厚生省関係災害救助法の中に、災害救助隊という有名無実機構がある。こういうようになっておりまして、実際の災害の場合におきまして、火災についても風水害についても消防団が主としてやっておるわけなんですが、機構の上ではいろいろと別な名前をつけてごちゃごちゃになっておる。消防本部としては自分の所管は火を消す方が主だか知りませんけれども水防団というものをやめて、消防団と一本のものにしてしまうというお考えはないでしょうか。
  15. 鈴木琢二

    鈴木説明員 現在の水防団ができました当時にいろいろいきさつがあったことを聞いておるのでございますが、何か水防団消防団を統合して一本にするよう方法があったらいいのじゃないかとわれわれも考えております。実際御指摘のありましたように、地方に参りますと水防団と申してもその構成人員はほとんど消防団員で、実際は名前だけが重複して、消防団水防団という名前がもう一つくっついておるというよう種類のところも数多くあるわけでございます。これを何らか統一する方法があったらと考えておりますが、現在具体的にどうしたらいいかというはつきりしたいい案を持っていない状況でございます。ただ今度の消防審議会答申にも実はその実情をどうしたらいいかということがしばしば議論に出たのでありますが、国家消防本部の任務の中に消防水防、その他防災活動に関する事務連絡調整国家消防本部がやった方がいいという意見がこの答申案にも盛られておりますので、これらを中心にいたしまして何らか事務調整方法を研究いたしたい、かよう考えております。
  16. 門司亮

  17. 加藤精三

    加藤(精)委員 消防活動近代化というか科学化というかがもっと必要ではないかということを考えておるのでございますが、過般私たちが新潟県の村上市に応援に行っておりましたときに、村上市の奥の朝日山系に属する地帯の村が非常に大きな村でございまして、平地であれば一部か二部くらいに当る村でございますが、そこの葡萄という部落でございます。七十戸くらいでございますが、その葡萄部落が全焼した。全焼したのは、その日非常にフェーン現象の日でありまして、防火宣伝のために消防自動車が村中歩いておった。山を越え、谷を越して村中終日歩いておったために、その消防自動車の行方が全然わからなくて連絡のしょうがなかった間に全戸消失してしまった。学校とか郵便局とか全部消失してしまった。今の科学技術の進んだ時代に、そういうばかげたことはあり得ないわけでございます。それから見ましても、消防活動における無電の活用がもっともっと促進されなければならないことを痛感したのでございます。その部落はきょう聞いたのでございますが、これは住宅営団でしたか何かでようやく例外的に認めてもらって、非常に多額の経費をもって復興しなければならぬのでありまして、山間の部落としてはまことに容易ならざる経費でございまして、その隣接の温海町が全部焼けたときと同じように、そういうものの災害復旧は各地方自治体において少くとも十五年くらいかかるわけでありまして、町村財政にも非常に影響があるわけであります。なお東北地方におきましては濃霧が非常にありまして、二里か三里くらいの町でありましても、中心都市から濃霧のために相当火事が見えないことがある。森かげになっているようなこともある。最近も私の郷里の中都市から三里くらいしか離れてないところで望楼から十分見えるはずだというので、そこに応援に行かなかったのが非常に遺憾であって、付近の隣接町村と非常な感情的なあつれきを生じたことがあります。これらも無電が装置してございますればきわめて迅速にいくだろうと考えております。無電の装置につきましては、同一市町村内は消防庁の御補助もありますし、設備しいいのでありますが、これは現在各市町村の間は非常に密接に関係が深くなっておりますので、こういう場合に消防審議会答申のあるよう消防通信だけについても、現在自治体がもう少し考えなければならぬ。警察通信の問題では非常に大きな経費を使っておられますが、消防の通信連絡は現在の警察制度の通信連絡ほど強化されておらね。そうしてしかも昔は消防は警察と一体になっておったのでございますが、現在は警察から離れておる。離れておる以上は、画期的に無電通信を消防活動にほんとうに本腰になって活用していただきたい。消防自動車無電を据え付けておく。また主要な分署とか部落中心無電装置をつけておくことによって、一部落全焼というような悲惨な状態を救えるじゃないかということを考えておりますが、それに対する御意見伺いたい。  それから学校火災等で、電気工事の不完全から火災になるものが相当あるということがこの前の委員会で出ておりましたが、戦前は、電灯あるいは電動力を引き入れるために建築工事の中に引込線その他の工事をいたします場合、磁気工事人とか何かそういう者の警察の認可があったような気がしております。現在調べてみたらそういう従事者への認可がないように思うのです。私の市なんかでも最近大きな高等学校が焼けましたが、生徒が先生の指導を受けながら理科の実験の一部のような気持で配線工事をやった、それが不完全であったために非常に由緒のある大きな高等学校が焼けてしまった。そういうようなことに関連しまして、電気工事従事者に対しては、国家で試験をして免許を与えるということに、さっそく改正していただきたいということを考えております。  次に財源の問題でございますが、消防審議会委員の中には相当地方財政のわかっている人が入っていると思うのです。私はそういう人たちとかねがね税制上の考えを異にしているから仕方がないのでありますが、とにかく固定資産税という税金は——また持ち出しますと悪口になりますが、これは収益があってもなくても、景気がよくても悪くても、百万円の固定資産があれば必ず一万四千円の税金を取る、そういう不合理な税金はないと私は思っておりますし、数年前もわれわれの地方行政委員会の修正によりまして、最高限の三・〇が二・五に変ったよういきさつがあるのです。これにさらに二%を加えるということは、せっかく固定資産税の税率を軽減したのをまた高めることになります。そういうことはとらないことと思いますが、それに引きかえましてわが国の火災保険というものは、あまりにも経費が少くて収益が多い、これは衆目の認めるところでございます。同じ保険業界におきましても、生命保険側等の経営の専門家連中から、その専門家としての意見をこっそり聞いてみますと、非常に収益率が多い、支出が少いということでは意見が一致しているのでございます。どういうわけで消防施設税のもとの考え方を捨てて、固定資産税目的税という安易な道についたか、事情がわかりましたらお知らせいただきたいと思います。また保険会社は、地方自治体が消防について施設を整備することによって火災の件数が少くなるわけでございますので、またさらに保険料を低下せしめ得るのでございます。そうした意味におきまして何らの痛痒を感じない。しかも大きな火災予防目的が達成せられるわけでございます。わが国の火災保険業界はそうした特別の保険料率の保護を受けておりながら、しかも外国の保険会社のごとき消防に対する予防措置に大きな貢献をしておるということは聞きません。ほんとの申しわけ的な助成は若干やっておるという程度のものでございます。こういうふうな問題に対して、すみやかに消防施設税を実現するというふうな方向に、どうして消防審議会が進まなかったかということを考えておるものでございますが、これに対する意見をお聞きしたい。  次に、第五番目に出動手当の法制化でございます。今の時代は、消防はもちろん名誉職の観念で進ませたいというほどでございまして、また事実農村その他中小都市におきましては消防団員になることを非常な名誉としておる面があるのでございます。私の市等におきましても、前科のある人は絶対消防団員に採らないというふうな風習がございます。一面名誉ではございますけれども、今の時代は経済の変転がはなはだしいのでございまして、かつて中流以上の生活をしておりました家庭におきましても今は非常に生活が困難するというような場合もございまして、そういう家庭経済が低落の傾向にある場合は、中流時代消防団としての名誉的な出費を、それでやめるわけにもいかぬで苦しんでいる場合もございます。出動手当の問題は、これは必ず出動手当を現金で支払う。きのうも賃金の問題でいろいろ問題になりましたが、かえって出動手当は必ず金銭でもってそのつど払うということに割り切った方が、消防団員になりたがらない有力な、あまり市町村内におきましては裕福な家庭でないけれども、非常に能率の上る若者たちを動員するのに都合がいいのじゃないか、こういうふうに考えます。そうした小さなことですけれども、案外国全体の消防力の強化になると思いますので、出動手当の法制化をやっていただきたい。  それから服装が非常にまちまちでございますし、またどうも火災予防に必要な——これは洋服の形がいいかあるいは日本古来の消防の服装がいいかということは別といたしまして、何らかに統一して消防活動に資するように、この服装の統一は、何か法制上かあるいは地方交付税の基準財政需要の中の単位費用か何かで特に確保するか、何かのことで服装だけは——はっぴ一つだけしか統一しないとかいうことがないように、帽子とか被服とか地下たびとかくつとかというふうに服装の統一だけはしていただきたい。これはあまりじみなことですけれども、あらゆる消防会合に行きましてもこれは全国的な大きな問題になっております。国家警察官のごときそれによって一種の誇りを持つようになっている。最近、私の県なんかは特にそうでございますが、自衛隊よりもはるかにスマートな、そうして空色の非常に感じのいい服装を警察官がするようになりましたので、警察官というものに対する社会のあこがれというか親しみというか、それが急に増してきたように思います。そういうような心理作用から見まして、消防の方も、財源の関係現行警察官のようにいかないし、また常時の任務じゃないのですけれども、何か服装の統一ということに一歩踏み出してもらいたい、こういうふうに考えております。  その次に、私は自治庁におりましてたびたび経験したことでございますけれども消防活動と上水道との関係でございます。この上水道の関係につきましては、第一に、水圧の十分なところは別でございますけれども、どういう都市も山からまっさかさまに落すような水道は少いのでありますから、水圧の問題がどうしても問題になります。それは水源地と排水のセンターと両方でございますが、そうした場合に、大火になりますのは最初の五分間くらいでございますから、その間に思い切って迅速に水の出力を増してそして圧力を増すという必要がございます。それから単に水を送り得ましても、水道の排水管の中におきまして、風の心配のない地域の水の供給を遮断しまして、そうして水を一カ所に集中する技術が消防戦術とともに大へんむずかしい技術でございます。へたに水を一局地に集中いたしますと、散発的火災の場合にはまた非常な損害を出すのであります。私の言わんとするところは簡単でございますが、この水道のポンプについて消防関係の専任の者を一人置くように、そうして平素からその人間に消防と水道との関連の操作について金をかけてもできるだけ研究させ、訓練させておくこと、その訓練は東京中心で行うというような、——そういう上水道の設備のある都市は全国ではそうたくさんないのですから、ある程度の規模の大きさの上水道のあるところには、恒常的に衛生管理者というか、そういうものを常備して配置しておりますように、これは必ずそういう専任の従事者を置くようなことにしたらどうかということを、私考えているのでございます。小さな問題でございますけれども、実際の消防に当っては大きな貢献をするだろうというふうに考えております。  なお申し上げたいことがございますけれども、時間の関係がありますので、これで終りにいたしますが、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。
  18. 鈴木琢二

    鈴木説明員 消防近代化、あるいは科学化という問題でございますが、これはぜひとも日本の消防近代化し、科学化しなければならないと考えております。特に御指摘になりました無線設備が非常に少いという問題でございますが、昔は——昔と申しましても戦前は消防の無線が一番発達していたと言われた時代もあったのですが、現在では自衛隊とか、あるいは警察の無線設備が相当発達したにもかかわらず、消防の無線が非常におくれているという現況で、まことに残念な次第でございます。国庫補助等にも無線に対する補助金が組まれておりますが、これがごくわずかなために十分な効果を上げ得ない状況でございます。消防はその活動を最も敏速にする意味におきましても、また十分でない消防ポンプを最も有効に活用する意味におきましても、一つ一つの消防ポンプに無線設備がしてありますれば非常に効果的な活動ができます。これは申すまでもないことでございますが、たとえば消防ポンプに一つ一つの無線がついておりますれば、火災危険の時期等には消防ポンプが自分で出かけて無線でもって予防宣伝ができる、一朝火災があった場合には、すぐそこにはせつけることができるというようなことで、一つ一つの。ポンプでも、無線設備がついておりますと非常に効果的に活躍できるということで、ぜひともこの無線設備は充実いたしたいと考えております。ところが何と申しましても財政問題でなかなかこの設備が十分徹底いたさない、現在東京消防庁のような割合に設備が充実したところでも、一つ一つの消防ポンプに無線設備がついておるというわけには参りません。大阪の消防ポンプが大部分無線を取りつけまして、今非常に効果を発揮しておるという状況でございます。これはもう議論の余地なく無線は活用しなければならないと考えております。今後消防財源関係の措置をいたすにつきましても、そういうことを十分取り入れて考えたい。なお私どもの方の消防研究所におきましても、無線設備を最も安い値段でたくさん設備できるような、また携帯が簡単なものを取りつけさせるべく、いろいろと研究を積んでおるよう状況でございます。これはお話にもありましたごとく十分努力いたしたいと考えております。  それから学校火災の原因が漏電等が非常に多い、その他におきましても漏電火災というものが相当あるわけでございますが、御指摘にもありましたように現在の電気関係取締りでは、電気工事人の認可制という戦前にありました制度は現在なくなっております。それでそういう資格試験と申しますか認定を受けるという機会がありませんので、いわばだれでも電気工事ができるという状況でございます。これは現在の電気関係取締りでは非常に大きな欠陥だと私は考えております。私ども消防研究所でもいろいろ電気火災の原因を調査いたしておりますが、この工事の粗漏ということが非常に件数としては多くなっております。それからもう一つは電気関係の器具の工業規格品が十分市場には徹底しておらないということ、規格品でないものを大部分の家庭あるいは事業場で使っております。たとえば電線その他の電気関係の器具は、むしろ工業規格品を使っている方が珍しいというくらいまでに規格品以外のものが使われておる、そういった点から見ましても電気関係取締りはその点に相当重点を置かなければならないものと考えておりまして、電気関係の主管省である通産省に対しては、われわれの意見をしょっちゅう申しておるのでございますが、今後通産省のこういう方面の法規の改正等の場合には、ぜひとも考慮してもらいたいと強くわれわれは考えております。  それから財源の問題でございますが、固定資産を対象とする消防目的税の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように十分自治庁とも連絡をとりまして、慎重に研究いたしたい、さよう考えております。  それから火災保険会社に対します従来から論議の対象になっておりました消防施設税の問題でございますが、これは現在でも自治庁では非常に熱心に研究されておりますし、またわれわれ国家消防本部といたしましても、あらゆる消防財源をほしいという考えから、この消防施設税というものに十分な関心を持ちまして、自治庁とともに研究いたしておるよう状況でございますが、消防審議会の審議の過程におきましても、火災保険会社に対する消防施設税という問題が議論として取り上げられたのでございますが、そのときの意見を私は会議に臨んでおりまして伺ったことをお伝え申し上げますと、やはり火災保険会社に対する施設税というのは、結局火災保険に加入しておる者にだけ、その消防責任を転嫁するということで非常に不公平だという意見、それから火災保険会社がもうかれば、当然に火災保険の加入者に対して割戻しする、すなわち保険料を下げるという方向へ持っていくのが保険理論からいって正しい理論だというよう意見が交わされておったようでございます。結局それらの経過を経まして、この答申案には火災保険を対象にする消防施設税というものが取り上げられなかったような次第でございます。それからそのほかの問題につきましては総務課長から御答弁申し上げたいと申います。
  19. 横山和夫

    ○横山説明員 消防団員の出場手当の法制化の問題でございますが、これは御指摘ように現在非常にまちまちであります。多いところでは二、三百円程度もありますし、少額に至りましては五十円程度に出場手当もあるというよう状況になっております。そういうよう状況にあります背後にあるものは、先ほどお話のありましたように、一つの名誉職的な考え方が支配しておる、このように思うのであります。ただそのような経過をたどっておる出場手当を、今後どうするかという点でありますが、これは実は実費弁償に値する程度の出場手当を考えて参りますと、相当多額な経費になるということは一応考えられると思うのです。しかし御指摘ように今のよう状況であることは、決して正しい方向とは考えられないのでありまして、答申にも抽象的ではありますけれども、それに意味するような問題も出ておりますので、財政問題との関連を考慮しながら十分検討さしていただきたい、このよう考えておる次第であります。  それからその次の服装の統一の問題でございますが、これは現在消防組織法におきまして消防吏員の場合は十五条、消防団員の場合はその十五条の二におきまして、それぞれ国家消防本部の定めましたところの準則に基いて——法律では準則にのっとりと書いてありますが、のっとりまして市町村が規則で定めるという建前になっております。しかしこれも御指摘ように現実は非常にばらばらであります。答申にはこの具体的な内容は出ておりませんけれども消防界においてもぜひ統一してもらいたいということは、もう圧倒的な声でありますし、答申いかんにかかわらず、今度の法律改正段階には十分に検討さしていただきまして、この問題は大した理論の問題とは存じませんので、そろった服制によって活動できるというふうにした方が効果があるのではないかというように感じておりますので、そのように準備をいたしたい、こう思っております。  それから消防活動と上水道でありますが、水圧が御指摘ように非常に低いのであります。そこで実際にはいざという場合にいわゆる緊急の増水手配をするなり、あるいはその他の地域への給水整備をするということは講じておりますけれども、御指摘のごとく非常に時間がかかっております。そこで先般二十六国会で制定になりました水道法ではその点のことも考慮されまして緊急手配をするために他の地域への給水制限を行い得るというような一般的な規定はあります。しかしそれが現実に緊急を要する火災の現場で、どう敏速にいたされるかはいろいろ問題があると思いますので、水道法のその規定との関係及び御指摘ような専任従事者ということになると相当経費関係もありますので、これは所管の厚生省の関係あるいは消防の財源関係等を十分検討しながら、この次の段階でどういう結論になりますか、十分研究させていただきたい、このよう考えております。
  20. 加藤精三

    加藤(精)委員 どうもただいま国家消防本部の御答弁を開いておりますと、通産省がきげんが悪いとなかなか実現がむずかしい、また厚生省の方がやってくれなければ実現ができないと思ってあきらめておるような気分がしてならないのでございます。それでたとえは服装関係消防服制か条例できめてあるということくらいは、幾ら何でもわれわれ代議士は知っておるわけです。ことに地方行政の委員をしておるような者は知っておる。ただ問題はそれがかゆいところに手が届かないということです。それをもう少し突っ込んで考えていただきたい。それから財源の問題は、火災保険会社の言い分のようなことを消防審議会が言っておるのはおかしいので、消防施設が充実して火災がなくなって保険金の支払いが少くなればどんどん保険料が下るのだ。下れば今まで火災保険の恩典に浴していなかった人が火災保険に入るようになるのです。入るようになることによって一般の人が救われるのです。それで保険というものはそれが普及することによって効用を発するのでありますから、そういうふうな過渡的な小さな問題は念頭に置かないで、加入者は相当力のあるものですから、加入者としてもまた施設ができれば焼けるより焼けない方がずっといいのですから、小さなことに拘泥せず、いいことはどんどんやっていくという気魄を国家消防本部はお持ちいただきたい。火災保険会社なんかいろいろなことを言うでしょうが、そんなものはどんなことでも理屈をつけて防衛しようとするのですから、特に大蔵省はもう少し、火災保険会社に対して主管であるせいか、どうも十分この問題に対する理解がないようですが、常々と一つ自治庁と共同して、消防施設税の実現に努力していただきたいと思うのでございます。  それから水道との連絡消防というのは絶対なんで、火災で焼けてしまえばあとは上水道も何もないわけですから、もうちょっと国家消防本部としては、他の省に強く切り込んでいって、消防に必要なことはさせるという意気をもってやっていただきたい。この点われらの委員会も罪があるかもしれませんので、委員長にお願いしますが、たとえば電気工事従事人の認可制度というのは通産省はなぜ危なくないものに工事をさせるという認可制度をとらないのか、委員長におかれましては、何とか委員会で決議して、危なくない規格——いろいろなあやしげな規格のものを使用しておるということになれば漏電するのはあたりまえです。これだけ漏電が多いのですからそういうことにつきましてはわれらの地方行政委員長は大いに手腕を発揮して、委員会の総意を一つ通産省やあるいは商工委員会連絡をして実現するようにしていただきたいと思うのでございます。これは政府でやることが当然なのでしょうが、社会党の中にもいろいろ派閥があるのと同じように、政府の中にもあるようですから、(笑声)どうぞ一つよろしくお願いいたします。
  21. 門司亮

    門司委員長 加藤委員の御意見はよく拝聴いたしましたから、しかるべく処置いたしたいと思います。
  22. 中井徳次郎

    ○中井委員 先ほどからいろいろ問答があったようですが、私おくれて参りましたので、はなはだ恐縮でございますが、二、三点お尋ねしたいと思うのです。消防制度改正に対する答申をずっと拝見いたしますと、ごもっともな点もあるようでありますが、消防と警察とは本質的に相当違っておるんじゃないかと私は思っておるのであります。申すまでもなく、これは当然のことでありますが、直接被害が起りましたり、事件が起りましたりした場合の指揮、命令というものを消防本部が一々いたしておったって間に合うものでもありません。でありますから、考えてみますと、消防本部というものの重点はやはり予防消防にあろうかと思います。あるいはまた啓蒙、宣伝といいましょうか、そういうものにあると思うのでありますが、消防組織法を拝見いたしますと、どうもその根本的な面が少しずれておるように思います。消防組織法をずっと読んでみましても、肝心のところがどうもあまり書いてない。そこで今度の改正につきましては、おそらくそういう点に重点を置かれるのであろうと思いますが、一体どのようなお考えでありますか、この点をまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  23. 鈴木琢二

    鈴木説明員 国が命令する必要はないというのがただいまのあなたのお話だったようでございますが、この答申案にも、消防の直接活動について国が命令を下すとか、指揮するとか、あるいは県が命令、指揮するというようなことは出ておらないと思います。また私どもも、消防というものの本来の性質から申しまして、消火活動自体について国が命令、指揮するとか、あるいは県がそういったことをするというようなことは全然考えておりません。あくまでも指導中心でございまして、結局御指摘のありましたような予防関係の部面についての国ないしは県の作用ということがやはり中心になろうかと存じております。  この消防制度改正答申案の要点と申しますか、趣旨は、その前文にも掲げられておるのでございますが、結局現存市町村の自治体消防という原則をあくまでも堅持いたして、ただ、市町村財政能力あるいは行政能力がないところ、あるいは小さな市町村でばらばらにやっておっては非常に不経済で能率が上らぬというようなものにつきましては、県あるいは国がこれを補完するという考え方、それがこの審議会答申の基本の考え方になっておるようでございます。われわれもその点については全く同感に考えておるわけでございます。  一つ一つの問題につきましてはまだいろいろ検討を要する点があろうかとも思いますが、根本の考え方の基礎はそういうところにあることは事実で、間違いないと考えております。
  24. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の御答弁に関連してですが、消防本部というものはそういう性格のものでありますし、それから先ほどからの問答を通じて、あるいはまた私ども日常体験をしておることでありますが、消防との関連を考えますと、建物ということになれば建設省、道路ということになれば建設省、水道のことになれば厚生省、あるいは今最も問題になっております経費の問題になってくると、これは自治庁でありますし、それから消防の実際の仕事をやっておるのは市町村である。それの指導、監督に当っておるのは自治庁というふうに考えて参りますと、私は消防本部というものを国家公安委員会の中に置いておくというのが実はどうも納得できない。そうしてまたそのことが、過去十二年の経験によって、国家公安委員会の中に置いてあるがゆえに、一向予算も取れない、国家公安委員が何としても警察の方に重点を置いて、その仕事に追われる、こういうことでありますので、私はどうも消防本部というものを国家公安委員会の中に置いておくということについてはわからない。現実の日本の政治のあり方から見て、やはり自治庁に一つの部を置いて、そういうところでやるのが実際問題としていいのではないかと私は思います。消防本部仕事は予防であります。宣伝あるいはそれに重要なことは、行政的な、財政的な裏づけであります。行政的な措置であります。現実にどこで火事が起った、それはこうだとあとで一々陳弁しておる程度のものであってはならぬのでありまして、そういう意味からいって、今の消防組織法の基本が少し間違っておりはしないか、私にはこういうふうに考えられてなりません。この点について鈴木君はこれまで四、五年やっておられた実際の体験でもってどちらがいいと思うか、お聞かせをいただきたいと思います。
  25. 鈴木琢二

    鈴木説明員 国家消防本部がどこに所偶したら一番適切かという問題は、かねてからいろいろ各方面からお話があるのでございますが、おそらく今日国家公安委員会に所属いたしておりますのは、戦前からのいきさつもありましょうが、一つは、消防法にもいろいろ規定があります消防関係取締り等は、法律的に言いますと、やはり消防警察行政の部類に属するものだという学者の意見等もございますし、それから実際の消火活動に当っては、どうしても現場におきましては警察と共同動作でありませんと効果が上りませんので、そういった関係からおそらく国家公安委員会に所属されたものかと私は推測いたしておるのでございます。ただ市町村の自治体消防でございますから、財政問題その他市町村全般の監督指導行政という点から申しますと、自治庁に所属した方がいいという意見も成り立つわけでございます。また道路行政、建築行政等、予防関係、あるいは広い意味での予防行政という点からいけば、建設省に所属した方がいいという意見も成り立つかと思います。いずれにしましても、消防行政というのが、御指摘のありましたごとく、建設省にも関係があり、自治庁にも、警察にもあるいは厚生省の仕事にも関係し、運輸省の仕事にも関係する、あるいは通産省の仕事にも関係する、まことに間口が広いといえば、まことに間口が広いので、関係方面が多種多様でございます。私、現在国家公安委員会の方に所属した方がいいとか、あるいは自治庁に所属した方がいいということを、はっきり自信を持って自分の意見を申し上げるだけの考え方はまとまっておりませんが、そういったまことに各方面に関係の深い消防行政でございますので、場合によりましては、もっと国家消防本部機構を大きくし、充実して、権威のある内閣の独立官庁としてそういった関係方面との連絡も緊密に効果的にできるような組織にしたらば一番いいんじゃないか、そんな考えを持っております。正直に申し上げまして、絶対にこういう組織でなければならぬというまでに確信をもって申し上げるまでには至っておりません。
  26. 中井徳次郎

    ○中井委員 組織のことでありますから、百パーセントということはないだろうと思うが、私どもの過去十二年の体験によると、やはり私は常識的に、自治庁に属すべきものだと考えております。きょうはその点だけを申しておきます。  それからちょっとお尋ねするのですが、地震の対策でありますが、地震の対策について、消防本部ができてから十年たっておるが、基本的な線が出ておるかどうかというと、はなはだ私は疑問とせざるを得ないと思うのであります。地震は、ないときには一向みな平気でありますが、一度起ると大へんなことである。これに対する予防というものは、必ずしも困難ではない。私は学者の意見その他を数年前に一週間ばかり詳細に尋ねたことがありますけれども、これは一定の基準を設けてがっちりとやれば不可能な話ではないということを、その間に十分納得できるだけ私は伺った記憶がある。これの根本は日本全国の地質の関係、あるいはその上に立っておる建築物の関係、建築物の関係については、最近の鉄筋コンクリートその他は耐震耐火をうたっておりますが、いまだに木造建築などにおきましては、相当インチキなものがある。これに少し制限を設けまして、ちょっと基礎をがっちりするとか、筋かいを入れるとか、地区によって多少は違いますが、これはできるようなことを聞いておる。何百年も前に建てたものを手入れをするというようなことになりますと、これは大へんなことであろうと思うが、少くとも新築のものについてはどういう制限を設けるというよう法律措置くらいは、私は政府として当然過去においてやらるべきものであったと思うのでありますが、そういう点について消防本部は一体どんな考えをしておるのか。先ほど加藤君の質問にもありましたが、科学技術等を大いに活用しなければいかぬ、それで無線の話なんかございまして、きわめて現実的な問題でありますが、それを総括して、総合的な判断に立って、予防の立場から国家的な手を打つべき時期が十分きておると私は思う。それに対する研究も一応済んでおる。にもかかわらず——各大学の地震関係の人に伺ってみなさい。十分私はできていると確信いたしておりますが、政府はどうもそういう面について、目先のことに追われまして、手をつけておりません。これははなはだ遺憾だと思うのですが、消防本部としてはどんな考えであるか、この際ちょっと伺っておきたいと思います。
  27. 鈴木琢二

    鈴木説明員 地震対策をどんなふうに考えておるかという御質問でございますが、消防もいろいろ考えますと、地震に対する対策を立てるとか、あるいは最近は原子力の問題につきましても、原子力の実験の施設が回りの火災を受けて、それが火災になった場合に、いろいろ工合の悪いことが出てくるということを聞いておりますが、そういった対策とか、総合的に各般の問題について、消防の見地から研究をし、対策を講ずることは、これは国家としてぜひとも必要なことと存じます。現在地震については地震研究所とか気象庁で研究し、いろいろ。パンフレット等も出しておりますが、現在消防本部として地堤に対して考えますことは、以前の関東大震災のとき等も考えまして、ああいった大災害が起きた場合に、消防ポンプを走らすとか、ホースを延ばして災害を防ぐということをやりましても、いろいろ他の条件が工合悪くなりますので、思うようなことに参りません。これはまず御指摘ような、建築物を耐震的に作るということも一つの大きな問題であろうと思いますが、消防といたしまして私が地震対災として考えておりますことは、一番大事なことは人命救助にどれだけ消防が計画的に活躍するかということが、ああいう事態におきましては一番大事じゃないか、さよう考えております。高層建築物から避難させるのに、現在のよう消防はしごだけで間に合うかどうか、あるいは救命袋というものをもう少し普及しなければいかぬのじゃないかといういろいろな考えがございますが、これもそれぞれ政府で全部施設をするというわけにはなかなか参りません。それから各会社銀行等にそれぞれ第一線においては勧めてやらしておりますが、必ずしも現在十分とはいかない状況でございます。消防の点からあらゆる面を考えますと、まことに責任が重くて、なかなか手が回らなくて悩みばかりが多いわけでございますが、御指摘ように、それら一切の災害に対して国家として総合的な施策をするということは、非常に大切なことと存じます。そういったことは国家消防本部中心になってやるというわけには、なかなか参りません。現在の国家消防本部仕事は、現実の消防部隊の活動を完全に行うことだけで、ほとんど今は手いっぱいというよう状況でございまして、なかなか考えましてもそういう広範囲な災害対策というところまでには手が及ばないのでございますが、ただそういったものを政府で施策する一つのきっかけになる、あるいは連絡調整の作用をするような意味におきましても、先ほど申し上げました、国家消防本部が一つのはっきりした権威のある、内閣の一つの官庁となって、そういった方面にもいろいろと施策の推進力になれるということになれば、非常に効果が上るのじゃないか、さよう考えております。
  28. 中井徳次郎

    ○中井委員 今の御答弁はどうもはなはだ私不満足であります。地震の災害の根本は、地震が起りまして火災が起るからでございます。その火災がなぜ起るかというと、家屋の倒壊であります。地震を防ぐ根本が家屋の倒壊を防ぐということにあることは、もうはっきりしておる。こういうことについてはもう少し皆さんにおいて深く研究をされて、一定の法制的な措置をぜひお願いしたいと思う。きょうはもう時間もありませんからこの程度にしておきますが、地震の対策はそう困難ではありません。それだけははっきり申し上げて、私は皆さんの猛省を促しておきたいと思います。  それから固定資産の問題ですが、先ほど加藤さん、北山さんも指摘していましたが、あなたの答弁を聞いておりますと、火災保険会社の都合のいいことばかり、そのまま、はい、そうですがといって聞いておるような傾向であります。今消防がなかったら、保険会社はどうなるんですか。今黒字だと言っておるけれども消防が火を消しておるから、あの人たちは保険料その他の関係で黒字になっておる。彼らは保険料を下げるというようなことを言っておりますが、消防があるから経費が非常に少くて済むのであります。消防の充実に伴って、ますます少くなる。こういうことから、全国の消防団に今の火災保険会社から一定のお返しをするというのは、当然のことだと思います。そうしてわずか一七、八%しか申し込みがないから、一定の人にだけそういう税金をかけるのはいかぬ。なるほどもっともらしい理屈でありますが、保険料をかけられるものは、やはりそういう財力もあり、資力もあり、税金を負担する能力もある階級でありまして、百パーセント保険に入りたいけれども、高いから入らないのであります。これは税体系をもう少しお考えになると、そんな理屈は成り立たないと思います。経費の面からこのたての一面だけを強調されることをそのままうのみにせずに、裏からもこの事情考えてもらいたい。私どもは現在のよう固定資産税が高いのに、これ以上消防のためにまた固定資産にかけていくというふうな考え方については、とうてい賛成するわけにはいかないのでありますが、この点についてもう少し保険会社あたりの意見について、参考までに私はこの際聞かしてもらいたいと思うのです。
  29. 鈴木琢二

    鈴木説明員 消防制度審議会答申に現われました固定資産税の問題は、先ほども御答弁申し上げましたが、これは従来私ども事務的に考えておった問題ではございませんで、消防審議会で初めてこういう問題が取り上げられて答申となったのでございます。これはいろいろ問題が含まれておりますので、自治庁と共同で十分研究をいたしたい、さよう考えておるわけでございます。  それから保険会社に対する消防施設税の問題は、先ほど私御答弁申し上げましたのは、北山委員からの御質問で、消防審議会の審議の過程にどんな話が出たかということを、私がその席に列して聞いておりました状況を御説明申し上げましたので、私ども意見だとして申し上げたわけではございません。
  30. 中井徳次郎

    ○中井委員 これで終りますが、そうすると、あなた方は固定資産課税対象とすることについては、あまり賛成ではないのでございますね。そういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  31. 鈴木琢二

    鈴木説明員 だだいま申し上げましたように、現在自治庁とともに、これのいかに処置すべきかを研究いたしておる最中でございますので、賛成とか賛成でないとかいうことを、はっきり申し上げるまでの段階に至っておりません。
  32. 中井徳次郎

    ○中井委員 あまり積極的でないことは事実でしょうね。それだけ……。
  33. 門司亮

    門司委員長 答弁ありますか、ないですか。
  34. 鈴木琢二

    鈴木説明員 ……。
  35. 加藤精三

    加藤(精)委員 たった一言ですが、これは相当率直に消防本部長にお答え願いたいのです。現在、たとえばこの間の九州の水害なんかある場合に特に感ずるのですが、わが国の防災の行政機構の統一がない。それで結局各省にわたるものだから、内閣審議室でやっているのだけれども、内閣審議室にはスタッフが十分ないわけなんですね。それで私が考えておりますのは、消防水防と、それから地震と海難救助と罹災救助と、それぞれ各省にある行政ですね。それからその全体の防災の連絡と、今度は国の防災政策の研究と審議、そうしたものを一つの官庁で実施することが、災害時の能率が非常に高くなって、国内行政上非常に有利だとお考えになるかどうかということを、国家消防本部長に一つ歯に着物を着せないで答弁していただきたいということにしたいのであります。
  36. 鈴木琢二

    鈴木説明員 各般の防災事務が各省にばらばらに分散されておりますために、統一ある防災対策ができないという御意見に対しましては、私どもも全く同感でございまして、この事務が一つの官庁にまとめられて、防災関係のすべての仕事が一つところから出ていくということになれば、最も効果が上るのではないかと考えられますが、しかし防災行政——ただいまお話のありましたような各般の問題、これは仕事の分量からいいますと、一つ一つが非常に大へんな仕事でございまして、これを一つの省なり、一つの庁なりで一切の仕事をまかなう、たとえば水防関係なんかでも、さかのぼれば治水治山に至るまでもその予防の面からやるということになりますと、まことに膨大な事務内容になりますので、これを一つの省庁で取り扱うということは、言うべくしてなかなか困難な問題じゃないかと思います。そうできれば、それに越したことはないと思いますけれども、実行はなかなかむずかしい問題じゃないかと私は思っております。ただ各般の防災行政を連絡調整する機関は、これはやろうとすれば、できるのじゃないか。せめてこういう広範、各般の問題にわたる防災行政を連絡調整して、統制ある処置ができるよう連絡調整の機関を設けるということは可能であり、ぜひ必要なことと、さように私は考えております。そういった意味で、この防災行政の強力な連絡調整の機関として、国家消防本部機構が大きくなって、内閣の一つの官庁としてその任務に当るということになれば、その目的が遂げられるのじゃないか、さよう考えております。
  37. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。簡単にやりますが、私はわが国の消防行政を強力なものにして障害も整備して、ほんとうに働きのあるものにしたいと思うのですが、ことさらに国家消防本部長はほかのことをおっしゃって、どうもそれに同調されないようなんで、何のために消防行政機構がりっぱになるのを消防本部長としてあまり賛成されないのか、私は理解に苦しむのです。私の言うことをもう一回繰り返して言います。もうちょっと緻密に言わないと、ぴんとこないのかもしれません。罪は私にあるのかもしれません。内閣の国家消防本部にある消防の活動に関する業務、それから建設省の河川局にある水防、私は治山、治水を言うのじゃありません。現実に洪水が出てきたときにこれを処理する、危険個所があれば査察して、現実面を復旧するところのいわゆる水防業務、消防団員が実際やっている水防業務、それから海難救済の業務、それから地震のやつはおそらく私は現在消防の任務になっていると考えております。それから厚生省の社会局の施設課で数人の人がやっている災害救助の業務、たとえば河川局の治水課でやっている水防関係の業務、これは膨大な組織じゃないでしょう。それから厚生省の施設課がやっている災害救助職員機構というものは膨大じゃないでしょう、数人しかいない、そういうものをどうして統一できないかと私は言うのです。統一した方がよくはありませんか。それで私は最後に防災政策ということを言った。防災政策というのは各省にわたるが、それこそ一兆七千億を要するという治山治水も入るでしょう。ですけれども、そういうふうなものの中で、特に現実面の強いような危険個所の査察とか、あるいは何か防災と銘打ったような意味の公共事業なんかの政府の方針の統一化、そういうことはつけ足しに新しくできる防災月なら防災局の中に、そういうふうな調査課というようなものを設けて、そして国の防災政策の統一した政策を立てるということは私はできると思う。大部分事務、現実の防災業務、それに伴う災害復旧業務、罹災救助業務 こういうものを統一することは可能でもあろうし、また有効でもないかと思うのです。それをどういう名前にするか、とにかく防災的なあなた方の手足の消防署員とかあるいは消防団員とか、そういう人の業務が、ほんとうに胸がすっきりするほど徹底してやれることになるのだから、そういう行政を統一して、一つの省に置くことが有利じゃないかということを、重ねてもう一回お尋ねいたします。
  38. 鈴木琢二

    鈴木説明員 私の御答弁申し上げたのが、幾らか的をはずれたようなことで大へん失礼いたしました。ただ国家消防本部と申しますか、国家の消防関係機構を充実し、強化したいという私の希望は、決して人後に落ちないつもりでおりますから、その点は一つ誤解のないようにお願いいたしたいと存じます。  ただいまお話のありました防災活動面、水防活動、消防活動、それから直接の救済活動、これを統合するということはそうむずかしい問題じゃないと思います。活動面だけをつかまえてこれを統合するということは、それほどむずかしい問題ではありませんし、またやった結果は非常に効果の大きいものであろうと私は信じております。
  39. 加藤精三

    加藤(精)委員 それについて先ほど中井委員からお話がございましたけれども、そういうふうな防災とか人間の生命、財産を守るというような権力を伴わない仕事は、これは内務行政をやっている自治庁が適当じゃないか。ただ従来、私も内務省に職を奉じておったことがあるのですけれども、たとえば警視庁の消防部長とか、北海道の土木部長は三等県の知事になる前提の腰かけみたいに扱われた、そんなことも派閥内務行政の時代にはあったと記憶している。そんなことのないように、人事は、ほんとうに消防行政に堪能な人を任用する。今は時代が昔の時代とは変りましたので、そういうふうなことはないであろうけれども消防審議会なんかでも、この人なら適任だという消防関係消防関係の局長さんなんかを任用し、その専門家を充実するという条件をつけるなり、またたとえば国家防災庁というような役所ができれば能率上非常にいいのじゃないかと思うのですが、そういうことに関する国家消防本部長のお考えはどうでありますか。どうも何か責任を負おせるようなことでは非常に悪いので、そんなことと離れまして、ここは内輪でございますから、一つあまり歯にきぬを着せないような御答弁を願うと大へんありがたいのであります。
  40. 鈴木琢二

    鈴木説明員 御意見は、独立した防災庁を作ることはどうかというお説と存じますが、実は国家消防本部におきましても、かつて防災庁設置案というようなものを試案として作ったこともございます。先ほどお話のありました防災活動面を、水防といわず、消防といわず全活動面を所管する、あるいは罹災救助の面も所管する、その上にさらに災害予防関係について関係各省庁の連絡調整に当るということにしますと、相当機構の防災庁が必要になり、またそういうものができれば、予防の面につきましても、また現実の防災活動につきましても、あるいは人命救助等につきましても、非常に統制ある行政が行われるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  41. 加藤精三

    加藤(精)委員 自治庁との関係
  42. 鈴木琢二

    鈴木説明員 そうなりますと、私個人の考えを率直に申し述べさしていただけば、自治庁の中に入るという考え方でなしに、独立した防災庁というようなものが必要になろうかと考えております。
  43. 門司亮

    門司委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  44. 門司亮

    門司委員長 速記を始めて。     —————————————
  45. 門司亮

    門司委員長 ではこれより警察に関する件について調査を進めることといたします。質疑の通告がございます。これを許します。亀山孝一君。
  46. 亀山孝一

    ○亀山委員 本日は交通安全週間の第一日であるそうでありまして、警察庁長官も非常にお忙しいと思いますので、簡単に交通に関する問題について質問を申し上げたいと思います。  私が申し上げるまでもなく、最近の自動車の増加及びこれに関連して運転手と免許取得者の激増は相当なものであるようでありまして、従って交通事故もわれわれの想像以上に多い。そこで警察庁としては、全国の警察組織のうちに、交通取締り、交通整理及び事故防止について、どういうような対策をとっておられますか、まずそれをお伺いしたい。
  47. 石井榮一

    ○石井説明員 ただいまお話の通り交通事故は最近非常に激増いたしております。逐年増加をいたしておるのでございまして、本年上半期の統計に見ましても、前年同期に比べまして二十数パーセントの増加を示しており、貴重な人命が失われ、またけが人が多数出る、また物的にも多額の損害を生ずるという状況を示しておりますので、この問題はきわめて重要な問題でありまして、国民の生命、身体、財産の保護に任ずることを任務といたします警察の仕事といたしまして、きわめて重要な問題として私どもこれに対処いたしておるのでございます。しかしこの問題は、ただ単に私ども警察の立場でのいわゆる交通取締りだけをもってして、この激増する傾向にある交通事故を防止し得るものではないのであります。関係者機関が協力しましていわゆる総合施策を講ずることによって目的を達成し得るものと思うのでございます。かかる見地から政府におきましては、今から申しますと一昨年になりますか、内閣に交通事故防止対策本部を設けまして、交通車牧防止対策要綱を制定をいたしたのでございます。関係各機関が相集まりまして慎重協議しましてそういう対策要綱を作りまして、それぞれの機関がそれぞれの任務に応じて、この対策要綱に盛り込まれました施策を逐次実施に移しつつあるという段階であります。従いまして、警察はその一環といたしまして交通取締りの立場に立っての施策を着々実施しつつある、こういう状況でございます。今申しました通り、ただ単に交涌事故の防止は、われわれ警察の交通取締りだけでなく、端的に申しますならば、車を運転する者も歩行者も、すべての人が交通法令を順守するといういわゆる順法精神の徹底と申しまするか、交通安全教育の徹底と申しますか、これをまず基本とし、さらに道路の整備、また交通安全施設の整備、そうしたものに加うるに警察の取締りの適正なる処置、これが相待って初めて交通事故の激増しつつあるこの傾向に対処し得るものと、かよう考えるのでありまして、第一線の都道府県におきましてもそういった観点に立って、それぞれの実情に即した具体的の取締り対策を構じつつあるよう状況でございます。
  48. 亀山孝一

    ○亀山委員 今お話しのように、交通取締りには力をお入れになっているようでありますが、私どもが見た感じを率直に申し上げますと、東京都であるとかあるいは大阪市というような大きな都会においては交通取締り相当警察官が出ておられますけれども、それ以外の中都市、小都市においてはこうした交通取締りの警察官は今少い。警察官の増員という問題についてはいろいろ問題はありましょうけれども、こういう人命に非常に影響あり、多くの損害を与えるような交通事故の取締りを厳重にするために交通整理のためには、私は相当の交通警察官の増員が望ましい。前々回でありましたか、当委員会において私は正力国務大臣にこのことを申し上げたのですが、この点はぜひ御配慮を願いたいと思います。それと同時に、今お述べのありました一般の国民に、社会道徳に兼ねて交通道徳を大いに普及するということはけっこうです。私どもが、道路上で学校の近くであのあどけない子供を誘導するために、上級生が交通整理をしているのを見ますと、非常にほほえましい感じがする。私は消防防火訓練にも、学校防火訓練というものが非常に望ましいということを申し上げたのでありますけれども、せめて子供のときからでもこういう交通道徳というような問題を指導勧奨によって少しなさってはどうか、これについての御意見をひとつお伺いしたい。と同時に、今東京の実状を見ましても、これは地方はもちろんですが、東京のごとく相当交通道徳の発達していると思われるところでありましても、自動車の路上における置場、軽自動車あるいは自転車の置き方あるいはその他の車の置き方というものが、相当交通道徳を無視していると思われるのであります。  これに関連して私はお伺いしたいのですが、先ほど申し上げましたように、自動車の増加及び運転免許の取得によりまして、自動車をみんな手に入れたがっておる若い者が相当多い。こういう人たちは、車庫のないのに自動車を買いますために、一般公衆の通る道路をまるで車庫と心得ておる者が相当あります。これはお回りになればよくおわかりになります。まずさしあたり警視庁管内で車庫なき自動車を道路上に置いておる車が何台あるか、これは一つお調べ願って——周囲の者はこれを注意するとか、あるいはいろいろなことを言うのを遠慮します。これは警察当局においてもよくこの方の指導——実は取締りとは申しません、指導を願いたい。これは相当あります。私は、例をあげれば幾らでもあげることができます。ですから、今後の自動車の許可につきましては、やはり車庫の有無、あるいは道路上に放置しないというような条件で自動車の取得を認められるよう方法がとれないものかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  49. 石井榮一

    ○石井説明員 先ほど申し上げました通り、逐年交通事故が激増いたしております関係上、警察のこの方面における事務量がきわめて増加し、負担が重くなっておりますことは申し上げるまでもないところであります。その意味におきまして、警察力の不足ということは私どもも痛感をいたしております。しかしながらかねて御承知の通り、昭和二十九年の警察制度改正以来、年々行政整理を約束いたしておったのであります。それを実は本年度から恒久的に整理をストップするという措置をお認めいただいたわけでございますが、その理由の一つには、この交通事故の激増に対処する警察力の不足を補うために、これ以上整理は不可能であるというようなことから、そういう措置をとらざるを得なくなったのでございます。従いまして、ただいまさらに増員をしたらいかがかという御意見でございましたけれども、私ども当面といたしましては、多々ますます弁ずることはもちろんでございますけれども、今までの警察官の定員のいきさつ等にかんがみまして、今直ちに交通取締りの警察官の手不足を感ずるがゆえに、たとえば来年度あたりに、その趣旨での警察官の増員を考慮するということは差し控えたい、かよう考えておるのでございまして、現在の定員のワク内におきまして、これを重点的に配置転換をしまして、各府県の実情に即して、大都市は大部市なりに、また中都市は中都市なりに、それに即応した警察力の配置によって、この問題に対処していく、こういうことにせざるを得ないか、かよう考えておるのでございます。  第二点といたしまして、子供の交通道徳の涵養の問題をお取り上げになったのでございます。全く同感でございます。今日私どもあらゆる機会に、いわゆる対面交通ということを、やかましく指導して参っておるのでございますが、そうした面は子供のうちからそういった習慣を身につけさせるということがきわめて肝要でございます。そうした意味におきまして、学校の児童生徒等には多年にわたってそうした指導をして参りました効果が着々現われて参っております。今日対面交通をちゃんと実施をしておるのはおおむね若い児童生徒、あるいは学生、こういった年令層に多いのでございます。お年寄りの方々で、多年左側通行が身についている歩行者はなかなか対面交通になれない。そのために不測の交通事故を起しておるといったような事例もままあるのでございまして、従いまして子供のときからのしつけ、教育ということは何かにつけて大事なことでございますが、この交通道徳の涵養についてもやはり同様でございます。そういう意味で、ただいまの御指摘の通り、私どもはこうした学校方面とは常に緊密なる連絡をとりまして、子供の交通道徳の涵養ということには最善を尽して参りたい、かよう考えております。  第三点として御指摘になりました車庫のないような車の持ち主がこのごろ多くて、それが道路にところかまわず放置されるというようなことで、いわゆる交通妨害となり、ひいては交通事故を惹起するような原因になっておるのではないか、特に東京においてそういう傾向が顕著のように思われるという点は、私どもも十分承知をいたしておるところであります。ただこの問題は御承知の通り、直接警察の関係でないと申しますか、車庫の設備を持っておるかどうかというようなことにつきましては、これは自動車の登録の際の問題でございまして、運輸省の所管になるのでございます。第一線におきましては、運輸省の出先機関である陸運事務所が取り扱っておるのでございます。道路運送車両法に基きまして、自動車を使用する者は登録しなければならぬ。その登録にはいろいろな事柄を記載して登録申請をするわけでございますが、その必要記載事項の一つに車庫または車の常置場所がどこであるかということを明示しなければならぬことになっておるのでございます。その登録申請書に明記された車庫または車の常置場所というものが、果してその申請の通りであるかどうか、それが実際に守られておるかどうかという点を運輸省の出先機関である陸運事務所が確認をしなければならぬはずのものでありますが、何分にも陸運事務所は手足も十分でない、またしかも車の数がますます激増しておる今日、一々それを十分に確かめ得ないという苦しい実情にあるわけでございます。そうしたところから登録申請書には一応車庫ないし車の常置場所を書いてはおりますが、実際には、そういうものはない、車庫もないという場合がかなりあるようでございます。そういうことが道路交通妨害の原因にもなる点を私どもも十分痛感しておりまして、関係当局には十分それに対処する善処方を要請しておるのでございます。同時に警察といたしましては、先ほどお話もございました通り直接の取締り権限はございませんが、いわゆる指導と申しますか、そういう意味におきまして関係者に注意を喚起して、交通事故の未然防止ということに配慮いたしておるような状態でございます。
  50. 亀山孝一

    ○亀山委員 今最後にお述べのありました問題は、お話のように運輸省陸運局の所管かもしれませんけれども、これはぜひ一つ警察庁から御連絡をとられまして善処してもらいたい。これは交通妨害だけではない。消防活動に非常に支障を来たすと思う。今度の交通安全週間を機会として、警察が協力せられましてお調べになればすぐわかる。今度のは全国的かもしれませんがも交通安全週間には、ぜひこういう点に主眼を置いていただきたいと思います。  次に御質問申し上げたいと思うことは、けさのNHKのラジオで聞きましても、タクシー、ハイヤーのスピードは、これは神風タクシーといわれるようにおそるべきものがある。外国人までが神風タクシーというくらい非常にこわい感じがします。これはあれだけスピードを出さなければ運転手の収入がないというようなけさの放送もありましたけれども、しかしその点はまだ十分指導さるべき余地があるのではないか。そこでこのスピード違反に対する制裁というようなものを十分お考え願いたいと思うし、ことに今オートバイというか、軽自動車の運転については、実際われわれ冷汗を流すことが往々ある。この問題も一つ十分お取締りを願い、それらのスピード違反に対する制裁はある程度厳重にこれを行なって改善する必要があると思うのですが、その点に対する御方策が何かあるかお伺いいたしたいと思う。  最後に御質問申し上げたいと思いますことは、定期トラックについてであります。最近は東京−大阪間、あるいは大阪−下関間というよう相当遠距離のトラックが定期に通っておる。これを許可されるに当って、あるいは陸運局かもしれませんけれども東京、大阪の道を走るようなトラックを認められる。これがいなか道に入ると、トラックが一台走りますと、面と向って行くものは至るところで立ち往生です。うまく待避所があればよいけれども、待避所がなければ立ち往生で、交通妨害ははなはだしい。おまけに荷物を欲ばって積み込んでおるために、この定期トラックの通っておる沿道の住宅は、ひさしやその他へいのこわされることは相当なものです。私の郷里では、ある家のごときは一月に平均五枚のガラス窓をこわされる。こういうことは、日本の道路の狭いこととにらみ合せて、トラックの許可についてはいま少し考えてもらいたい。また、今お声のありましたバスの問題も同様です。要するに日本の道路に相応したような自動車を考えてもらいたい。ただ許すばかりが能ではなくて、これによってこうむる迷惑、被害を考えて、一つこういう機会に、主管が運輸省であり、陸運局かもしれませんけれども、警察当局におかれましても、交通整理、交通事故防止という点から、何らかの対策、処置を作っていただきたいと思うのですが、それについての御意見をお伺いいたします。
  51. 石井榮一

    ○石井説明員 スピード違反につきましては、警察庁といたしましても厳重に取り締る方針をとっておるのでございます。交通事故の原因はいろいろありますが、やはりスピードを出し過ぎるということによる事故がかなりの率を示しておるようでありますので、スピードを出し過ぎてそのために事故を起すような行為につきましては、悪質なるものとして取締りの徹底を期すと同時に、また適正なスピードで運転するように十分指導をして参りたい、かよう考えております。  次に定期トラックの問題でありますが、全くお説の通り長距離を走るトラックは、いなかの比較的道の悪いところで事故等を起して、何かの都合で立ちどまる。それが他の交通に非常な支障を来たすというようなこともございましょうし、また積荷が非常に多くて、そのために人家の軒先等を破壊するといったような事例も私ども聞いております。こういった点はやはり最初にもありました通りひとり警察の立場のみにおいての指導取締りではなくて、あらゆる関係各機関の総合施策に待たなければならぬ点が多々あるように思うのでございまして、道路の狭いところに幅員の広い自動車が通行を許されるということが、そもそも事故を起すもととなっておるのでございますので、そういった点も十分関係各方面とも緊密に連絡をとりまして、事故防止の見地から改善をはかって参りたい、かよう考えておる次第でございます。
  52. 亀山孝一

    ○亀山委員 今お伺いしましたが、一つ交通安全週間を機会として、今申し上げたようないろいろの交通整理問題というものの実例を整備されまして、その週間以後は関係各庁と協議されて、一歩々々改善をぜひお願いしたい、これを要望いたしまして私の質疑を終ります。
  53. 北山愛郎

    北山委員 時間もだいぶ経過しておりますから簡単に御質問をいたしますが、警察の綱紀の粛正の問題については、すでに当委員会においても再々問題になって、警察当局はこれに対する断固たる決意を示されておるわけであります。ところが最近においてはいろいろな問題が続発している。西村金融の問題やらあるいは富士自動車の問題等のごとき、現職の警官が金をもらって被疑者の便宜をはかっておるというような疑いのある事件も出ております。そういう問題は別として、一方において警察官としての警繁運営上人権を守るこの大事な問題を忘れて、犯罪の被疑者に対する取調べに当って暴行を加えておるというような事件も相当出ておるわけであります。私は具体的なケースを申し上げて所見を伺いたいのですが、この問題は岩手県の警察に昭和二十七年の十二月に起った事件でありまして、ある国鉄の職員が放火をしたという疑いでもって調べられて、ついに第一審、第二審が有罪、最高裁まで参ってから、本人の自白にどうも任意性が疑わしいということで、原審が破棄になって仙台の高裁に差し戻しになったわけであります。ところがそれと並行してその拷問をした菊地何がしという警官に対して、刑事訴訟法の二百六十二条によって特別公務員の暴行被疑事件として盛岡の地方裁判所に訴えられて両方の裁判が進行しておったのであります。ところが本月八日に盛岡の地方裁判所においてはこの暴行警官に対して有界の判決が出まして、懲役八カ月、執行猶予二年というような判決が出たのであります。次いで十月十四日には仙台高裁においてはその放火容疑の酒井何がしという人に対して無罪の判決が出たわけであります。すでに五年を経過しておるわけでありますが、この酒井君は、自分は決して犯罪を犯さない、何とかして自分の無実を立証したいということで、五年の間いろいろ苦心をした結果、このような結果になったわけでありますが、これも八海事件のようにはでな事件ではございませんが、私は警察官の取調べに当っての人権無視の一つのケースとして十分考えてみたいと思うのであります。  この問題は、非公式に石井長行には前にも少し申し上げて調査を依頼したこともございますが、最近裁判の結果がこのようになっておる。申し上げるまでもなく憲法第三十六条には、公務員による拷問や残虐な刑罰というものは絶対に禁ずる、こういうふうに書いてあるわけでありまして、警察の運営に当る者としてはこの点に最も心を注がなければならぬと考えるわけであります。こういう事件が出たこと自体私は非常に残念に思っておりますが、ところが問題はその拷問事件の被疑者である菊地巡査部長に対して、県の警察は組織的な応援態勢をとって、何とかしてかばおうとしてやってきておる。あるいは弁護人に対して警察の自動車を提供しておる。あるいはまた公判廷には県警の幹部が多数傍聴に出かけて、証人の陳述に対してある種の威圧を加えておることについての批判が県下に起っておるわけであります。一番問題になるのは、この菊地巡査部長が起訴されてから約一年でありますが、起訴されても現職のままでおる。現在でも現職なんです。休職になっておらない。これが私は問題だと思う。国家公務員でも地方公務員でも、起訴をされれば休職にするのが原則なんです。地方公務員法の第二十八条には、起訴されれば本人の意に反して休職することができると書いてあるし、国家公務員法にもそれと同じ規定があるわけです。休職処分にするということは、何も本人に対する懲罰を意味するのじゃない、そういうような刑事事件に関係した者が実際の職務を執行しておることは適当でないから、職務を休まして、身分だけはやはりあるのです。そういう措置であって、これは起訴になれば当然原則として休職にすべきものを、なぜ一体今まで現職のままにおいたか、これが私は問題だと思う。警察本部はあくまで菊地巡査部長を擁護しておる。最も奇怪なことは、菊地巡査部長に対する有罪の判決が出たあとで、三角岩手県警察本部長は、起訴されれば休職にするというのが常識だというけれども、それは当事者が罪を犯したと信じられる場合のことだろう、警察部内では私を初めみな菊地警官の無実を信じている、任命権者が無実と思っておるのに休職にするのはおかしい、控訴審の結果によって処置を行う、こういうことであって、この裁判所の判決によって警官が有罪だと判定をされておる、それでも判決に服しないのです。あくまで自分の部下というか菊地警官は無実であるからおれは休職処分にしないのだ、こういう態度なのですが、これが一体いいものですか悪いものですか。私は人事院についても調べた、あるいは地方公務員法の解釈について自治庁の行政局長にも聞いた。ところが、この規定はなるほど休職処分にすることができると書いてあって任命権者の裁量ではあるけれども、起訴された以上はやはり原則としては休職処分にするのがほんとうだ、これを理由なしに本人の無実を信じて休職にしないなんということは不当だ、こういう解釈なのです。事実国家公務員は毎年平均して二百五十人くらい起訴を受けておる者があるそうです。そのうちでその大部分は起訴と同時に休職になっておる。七人か八人くらいが例外的に休職処分になっておらない者がある。それはどういう者かといえば、その被疑事件、起訴された事件というものがその職務と非常に関係の遠い事件であって、私行上の問題であるとか、非常に微弱な、その人がその公務に従っても差しつかえないよう関係の薄い事件によって起訴をされた場合に例外的に休職にならぬ、これが当りまえです、人事院はそういうふうに言っておる。どうなんでしょう、警察庁長官は警察法で、警察職員の勤務や活動についての基準を定めるというか、それについては府県警察を監督指揮する権限があるのですが、一体こんなことを許していいのですか、どうですか。
  54. 石井榮一

    ○石井説明員 ただいま北山委員が具体的な問題としてお取り上げになりました件につきましてお答えいたします前に、一般論といたしまして、最近全国の警察官の中に時たま非行事件を起して世人の指弾を招くような者がありますことは、まことに申しわけないことと思っております。私どもの日ごろの指導教養のいまだ不十分である点を痛感いたしましてざんきにたえないと同時に、今後さらに一そうこの点につきましては指導教養の実をあげるように努力をいたしまして、汚名を注ぐように最善を尽したい、かよう考えております。  今特に例示されました、岩手県の当時花巻署の警察官でありました菊地巡査部長が、二十七年の暮れの放火未遂事件の取調べに関連をいたしまして、いわゆる特別公務員暴行罪に当ると申しますか、そういった事犯があったことが現在取り上げられておるというケースでございますが、経緯はただいま詳細にお話になった通りでございます。この件に関しましては先ほどお話のありました通り、たしか私の記憶では本年の六月であったかと思いますが、北山委員から、わざわざ私にこの件の実情調査についてのアドヴァイスをいただいたことも私は確かに記憶いたしております。当時私はさっそく現地の岩手県警察に、そういった事件があるが、ついてはその経過ということにつきまして報告を求めました。その報告の結果はおおむねただいまお話のあった通りの筋書きに間違いありません。そこで私は率直に申しまして、こういうふうに考えておるのでございます。今回菊地巡査部長が第一審において有罪の判決があった、それを現職のままで残しておくのはけしからぬではないか、まさにその通りでございます。私は全く同感であります。   [委員長退席、中井委員長代理着席〕 実は今までは本部長の報告によりますと、問題の放火未遂事件の被疑者とされました酒井氏が、昭和二十九年でございましたか菊地巡査部長を盛岡地検に告訴をいたしたのでございます。ところが盛岡地検におきましては、嫌疑なしという裁定を下しておるのでございます。同時に県警察本部におきましても、そのころいわゆる警察の監察調査をいたしたのでございます。その結果容疑の事実なしということであったために本部長としましては、本人をそのまま現職にとどめておった、こういう状況でございます。その後におきましていわゆる準起訴の手続がとられたのでございます。そこで本部長としましても、その結果が出るまでは、やはり今まで自分たちの手で調べたように、また盛岡地検が裁定を下したように、菊地巡査部長についてそういう事実はないという確信を持っておったために現職のままにとどめたものと、私はさように受け取りましたので、岩手県の本部長がとった措置というものも必ずしも適当でないとは言い切れない、一応そういう特殊な事情があるものであるならば、しばらく推移を見るということも一つの考え方である。御承知の通り、国家公務員、地方公務員法いずれにおきましても、刑事事件になりました場合に休職にすることができるという、先ほどお話のあった通りでありまして、休職にしなければならないという規定ではないのでありまして、そこに特殊な事情があった場合には休職にしないでそのまま推移をながめるということも許されることは、法律的には確かに間違いないのでありますが、そこで、今回の第一審の判決があった後においても依然として、控訴しておるのだからさらにその第二審の判決の模様を見るんだ、さらに場合によったら上告してその結果まで見るんだ、それまで現職にとどめるのだという考え方は、これは私は適当でない、かよう考えておりまして、実は第一線の方にもそういう私どもの見解を申し述べまして、善処を促しておる状況でございます。
  55. 北山愛郎

    北山委員 地方公務員法二十八条の、いわゆる起訴になった者は休職処分をする、それから国家公務員法のその規定も、これは私が先ほど申し上げた通りで、身分を失わせるのじゃない、懲戒とは別なんですよ。そういう被疑者で起訴されたというような者をその職務につけておくことが適当でないから、一時引っ込めるというだけの意味なんです。だから無実であるということを信じているから休職にすることができないとするならば、一体だれが、どの任命権者が休職にすることができるのですか。有罪だか無罪だかわからぬじゃないですか。有罪と信じて休職にするのですか、そういうことじゃない。一体この三角本部長が法律の解釈を間違えておる。私は、地方公務員法の二十八条なり国家公務員法のこの規定の解釈について不明な点があるならば、人事院なりあるいは自治庁なり来てもらって明らかにしてもいいと思う。それだからこそ原則としては国家公務員についても先ほど申し上げたように、大部分は起訴されたならば休職ということになっておる。この放火未遂事件の被疑者であった酒井君も国鉄の職員であって、起訴されると同時に四年数カ月の間休職処分になっておるわけなんです。今度無罪になったから復職ができるわけです。だから私は無罪、有罪だからというようなこと、任命権者がそういうことを根拠にして休職するかしないかということを決定することが適当でないと思うのだが、その点についての、長官の御意見はどうですか。
  56. 石井榮一

    ○石井説明員 私先ほどお答えしたところは、大体北山委員考え方に同感であるということでお答えしたつもりなんでありますが、あるいは言葉が不足でそういうふうにお受け取りいただけなかったかと思うのです。過去においても遺憾ながら警察官がいろいろ非行事件を起した。それがまた刑事事件に発展し、起訴され、有罪になったという実例はあります。そうした今までの取扱いの状況をながめて参りますと、いやしくも警察側において警祭官の非行を発見した場合には、刑事事件になる前におきまして、規律の問題としてこれを取り上げて懲戒処分に付しております。従いまして、すでに懲戒免職になった者が刑事事件として起訴される、これか通例であります。今回の場合は、先ほどもちょっと申しました通り、準起訴の手続がとられた。本部長としましては警察の監察においても容疑の事実がないという認定をいたし、酒井氏が盛岡地検に最初告訴されたときも、盛岡地検も嫌疑なしというような裁定を下したというようなことから、これは菊地部長本人の言っていることが真実であって、そういう疑われるようなことをしておらないものであるという確信を持ったからこそ、これはしばらく模様を見た上で身分のことは慎重に考えた方がよかろうということで現職にとどめておったもの、私はそういうふうに想像しております。しかしながら準起訴の手続がとられたときならいざ知らず、現に第一審の判決が下った今日、なおかつ現職のままとどめておくということは、確かにお説の通り私もこれは考えなければならぬ点であると考えましたので、三角本部長の方に善処方をアドバイスしたというふうに先ほどお答えをしたのであります。北山委員考え方と私の考え方は全く同じであるというふうに私は考えておるのでございます。
  57. 北山愛郎

    北山委員 そうしますと、私の意見に全面的に賛成をされて同感の意を表されて、県警に対してそういうふうに措置するよう連絡をするというように了解してよろしゅうございますか。
  58. 石井榮一

    ○石井説明員 御承知の通り、都道府県警察官の警視以下の者は都道府県警察本部長が任命権者でございます。私がそれを一々ああしろ、こうしろという権限はないわけでございますので、今申しました通り、こういう種類のものはこうするのが適当であろうという私の考え方を三角本部長に勧告と申しますか、忠告と申しますか、そういう意味においてすでに伝えてあるのでございます。おそらくそれに基きまして岩、県警察本部長たる三角君は近く善処するものと信じております。
  59. 北山愛郎

    北山委員 具体的には、個々の人事についてはもちろん県警本部長に人事権はある。しかも公安委員会というものもある。しかしながら警察法第五条かに示す通りで、やはり警察職員の任免なり勤務なり活動の基準というものについては、一つの権限を警察庁長官はお持ちなんです。そういう趣旨で、一つこの問題は県警に対してそういう誤まった措置をとらないようにしてもらいたい。  なおこの事件全体をしろうとが荒筋だけ調べてみたって、これはくさい事件なんです。というのは、私も数年前に人権擁護局に行ったところが、菊地巡査部長に対する暴行、拷問の訴えがほかにも数件出ているのです。なぜ処理をしないのかと擁護局に言ったところが、どうも予算がないとか権限がないとかと言うている。それからまた検察審査会の問題にしても、あらゆる手段を尽さなければ、今の裁判なり、あるいは刑事事件簿については、一たん容疑者となった者は、自分の無実を明らかにするためにはよほどの努力をしなければ無罪というのを明らかにできないということなんで、酒井君は特別に非常な努力をしたからやっとこぎつけて、盛岡の地方裁判所にしろ、仙台の高裁にしろ、これは拷問による自白——拷問の疑いが濃厚だという事実を認めて無罪にした、あるいは有罪にしたりしたわけなんです。そういうことに対抗するような三角本部長の言葉は、私はどうも裁判所に対抗するばかりでなくて、一般の世論に対しても対抗するもので、警察に対する信頼を失わせること絶大なんです。  それから、なお先ほど起訴にならなくても、その前に懲戒処分をするのが例だと言われますが、それは警官の私行上の問題であるとか、あるいは金をもらったとかいうことは処分するが、こういうような拷問事件だとか、取調べに当った捜査上の問題の行き過ぎについては、どうやらそういう措置をしないで、むしろ警察が組織をあげて部内においてこれを隠そうとしておる。先ほど申し上げたのですが、今度の菊地という巡査部長の裁判について弁護人の自動車を警察本部が提供している。こういうことは適当ですか。
  60. 石井榮一

    ○石井説明員 警察が警察官の非行を、いわゆるくさい物にふたをするような傾向があるというふうな御指摘でございましたが、私は当委員会においてしばしばこういうお尋ねに対しましては、はっきりと私の所信をお答えしているつもりでございます。私は特に捜査に当った警察官につきましては、いわゆる捜査の合理化、適正化ということをやかましく機会あるごとに強調いたしているのでございまして、捜査のあり方としましては、申すまでもなく基本的人権を尊重する。どこまでも科学的、合理的に捜査を進めていって真実の発見に努めるというあり方でなければならない。過去の捜査のやり方はえてして本人の自白に待つ、あるいは単なる先入感にとらわれて本人に自白を強要して事件を解決するといったような傾向があったことは、私ども過去の偽らざる事実として認めなければならないのでございますが、そういう捜査のあり方は今日は許されない。そうであってはならない。どこまでも基本的人権を尊重しつつ理詰めの捜査を続け、科学的方法により合理的な納得のいく捜査方式によって真実を究明するという捜査のあり方でなければならぬということを私は機会あるごとに強調し、そういう方向に捜査に当る警察官の指導教養もして参っているつもりであります。しかしながら数多い全国の関係警察官の中で十分私の思う通りな理想の域にまで到達せしめるにはなかなか容易ではありません。現在着々そういう方向指導を加えて、成果を上げつつある努力のさなかにあるわけでございます。従いましていまだにまだそうした指導方針が十分末端に浸透しないため、旧来の捜査方式等によったために、いわゆる人権を侵害するといったような好ましくない、遺憾なるケースが間々起っておりますことは、私どもとしましても、まだ自分の指導の努力の足りない点を恐縮に思い、今後さらに努力を誓わなければならぬと思う次第であります。警察は決して部下のやった非行につきまして、くさい物にふたをするという思想をもって、警察すべてが固まっておるといったような点だけは、一つ認識を新たにしていただきたいと思うのでありまして、私どもはやはり人間でございますから、ときにあやまちを犯すことはあり得るのでございますけれども、あやまちを改めるにはばかることなく、男らしく率直にあやまちはあやまちとして反省をし、将来再びそういうあやまちを起さないように最善の努力を尽していく、この態度こそきわめて肝要であろうと思っております。私はあらゆる機会に全国の警察官にそれを指導しているような状態でございます。ただいま具体的に御指摘になりました菊地君のケースの場合にも、岩手県警察がそういう見地から考えて、もし好ましくない態度、措置をとっておるような点がありますならば、私からも十分に注意を喚起しまして、世間の誤解を受けることのないように、国民から警察が信頼を失うことのないように、十分細心の注意を払うように重ねて注意を喚起しておきたいと思っております。
  61. 北山愛郎

    北山委員 この拷問の問題は、それ以外のいろいろな警官の汚職事件なり、いろいろな問題がたくさん発生しておりますが、特に憲法でも明記して、強い言葉で絶対に禁ずると、はっきり書いてある、こういう趣旨から考えましても、また最近においていろいろ拷問の疑いのある事件が発生をし、この酒井の事件のように、はっきりと拷問警官が有罪ときまったというような事件が発生をしている。これにかんがみましても、一つこの際拷問を禁ずるということについては、国家公安委員会としても相当強い手を打たなければならぬのではないか。何かしら各府県警察の部内においても、捜査上ある程度やり過ぎがあっても、上役の方でかばってくれるんだというような気持から、ついその意識が出てくるのじゃないかと思う。そうじやなくて、警察としてはそういうことは最も悪いことなのだということを明らかにする意味において、一ぺん強い通達を各府県警察に出す必要があろうかと思うのです。長官だけでこれを決定するわけにもいかぬでしょうが、一つ国家公安委員長等ともお話をしていただいて、これはこの前にも要求をいたしたのですが、こういう事件の続発にかんがみまして、特に各都道府県警察に対する警察官の勤務の問題として、強い指示なり通達を出す必要があろうかと思うのですが、その点について長官はどういうお考えを持っておられるかお伺いしたいと思います。
  62. 石井榮一

    ○石井説明員 先ほどもお答えいたしました通り、私はこの問題につきましては、かねがねきわめて大事な問題であると考えておりましたがゆえに、あらゆる機会をとらえ、あらゆる方法を講じて、この精神の末端までの浸透をはかっておるのでございまして、一ぺんの通牒によって決して目的が達せられるものではありません。通牒も必要であります。また会合を通じ、幹部を通じて部下に浸透させることも必要であります。また各級の学校における教養においても十分これが徹底をはからなければなりません。また日常の執行務を通じて上司が部下に接触する間において、この基本的人権尊重という理念に立脚して仕事をすべき旨を十分教え込み、それを身につけさせるという努力が必要でありまして、あらゆる方法あらゆる機会をとらえて、今全国の警察はその方向に向って努力しておるさなかであるのであります。それが末端まで十分浸透していないために旧来の捜査方針による失敗が、たまたま露呈をするという遺憾な現象を示しておるのでございまして、今後とも、この点につきましてはさらに十分私ども自粛自戒と申しますか反省をいたしまして、ひとり通牒の形式といわず、あらゆる方策を講じて、本問題の末端までの浸透をはかりたい、かよう考えております。
  63. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して伺いたいのですが、北山委員考え方に全面的に同感だと言われたことは当然だと思うのでございまするが、ただ起訴をせられた場合における休職処分の問題については、準起訴であるから休職にしないことも理屈があるのだというような工合で、その点がちょっと違っておるわけなんです。    〔中井委員長代理退席、委員長着席〕 ところが準起訴をされて裁判所で調べてそれを却下するか取り上げるかということによって、準起訴が成立するかしないかということになると思うのですが、検察庁が起訴したそのことと、裁判所がそれを取り上げて準起訴が成立する、これと差異があるはずはない。むしろ裁判所がそういう場合に準起訴が成立すると取り上げたことは非常に重大ではないか、こう思うのです。しかもこの種事犯というものは相当多くあるのだが、実際はほとんど表面化しない。新聞記事なんかを見ましても、こういう暴行罪の成立したことは今まで三件ぐらいしかない。しかしそれだけには現実にはとどまっていないので、もっとたくさんあるのだろう。しかしながらいろいろな関係で取調べ当局の人を取調べ当局の人が調べるというのは、内部的な関連性なんかから、そのことが表面化しないのではないかと思う。ですから裁判所がその準起訴の成立を宣言したことは、検察庁が起訴した以上のウエートを持つものだろうと思うのです。ですから今さら休職にしろというのはできないけれども考え方としては検察庁の起訴は重大であって、準起訴の成立は重大でないというような工合にも受け取れるから、ただいまの御答弁は私たちとしては納得できないと思うわけなんです。それをお示し願いたい。
  64. 石井榮一

    ○石井説明員 私は岩手県本部長の今までとった措置の多少弁解のように聞えたかもしれませんが、先ほどお答えしました趣旨は、菊地巡査部長に対して酒井氏が盛岡地検に告訴をした、ところが盛岡地検は嫌疑なしと裁定をしたということと、同時に警察は警察独自において菊地巡査部長の行為について監察をした結果、容疑事実なしこういうことになったものであるから、本人を現職にとどめておった。従って準起訴になるまでそのまま現職にとどめておった。準起訴になってから今日の第一審の判決があっても、なおかつ現職にとどめておる。それが果して適当かどうかという点につきまして、私今までの経緯を詳しく聞きまして、本部長の立場を考えた場合に、先ほども申します通り盛岡地検において嫌疑なしと裁定をされたこと、警察の立場において監察した結果容疑の事実は浮かんでこないということによりまして、これは一応準起訴の手続もされたことであるから、その推移を見よう考えたことは、必ずしも適当ではないとは言えないのではないか。こういうふうに申し上げたので決して満点とは私は思っておらないので、準起訴の手続が開始されるときに、もう一ぺん慎重に考え直すチャンスはあったと思うのであります。そのときに、先のことはともかくとして、とりあえずこれは休職処分にしておこうという考え方をするチャンスはあったと私は思うのでありますが、しかしそれはもうすでに済んだことでございますので、本部長としてはそう考えなかった。これは休職しなければならないというのではない、休職することができるというのでありますから、そういう特殊事情に基いて休職をしなかったということは、一応法律的にも考え得ることであるから、満点であるといって推賞をするわけにはいかないかもしれぬが、必ずしも落第点ではない、一応及第であるということが言えるのではないかという意味でお答えしたつもりであります。しかし、今日、すでに第二審の判決がありました以上、それは被告としましてはさらに法律的に争う道が許されておるのでありまそから、それが最終的にきまるまでは犯罪人でも何でもないことだから、大いばりで現職にとどまっておれるんだという気持は、本人はあるいは持っておるかもしれませんけれども、現職の警察官としてそのまま身分を保持して執行に当らせることが適当であるかどうかということは確かに考えなければならぬ点であるから、第一審の判決があった今日、ここで今からでもおそくはない、本部長といたしましては、菊地巡査部長の身分をいかにすべきやということを考えるべき段階であると私は考えましたので、善処方を連絡したということでございます。
  65. 西村力弥

    ○西村(力)委員 今の御答弁を聞いておりますと、やはり岩手県警本部以下全部が菊地巡査部長をかばっているかのように思える。そういう工合に長官が部内の者をかばおうという気持は人間として当然ですけれども、そういう気持が警察の世界に全部あるんだ、長官を初め、みんなあるんだ、だからそれは岩手県にもあるんだ、こういう工合に私たちは感ずるのですが、こういう個別的な問題を除いて、それはもう準起訴の成立したということは、検察庁が起訴したという以上の重要度を占めるものだ、こういう工合に解釈するのであります。そういう個別的な問題を除いたその点だけについてのお考えはどういう工合ですか、それだけをお尋ねいたしておきます。
  66. 石井榮一

    ○石井説明員 先ほどその点をお答えしたつもりでありますが、私は満点であるとは思わない、そのときに考えるべきであるというふうに申し上げたのであります。しかし済んだことであるから、今からそれをかれこれ言っても始まらない。当時の岩手県の本部長としては、先ほど申しました通り、盛岡地検の検事がしらの裁定、あるいは自分の部下をして監察せしめた結果、容疑なしという結論が出たこと等々を思い合せて、いましばらく推移を見ようという態度に出たことは、法律的にも休職することができるという規定で、休職しなければならないという規定ではないのだから、一応許されることではないか。満点の措置とは言えないけれども、一応及第点の措置であるというふうに申し上げたのでありまして、決して起訴あるいは準起訴を厳格に分離して点数の違いを申し上げたつもりではないのでございます。
  67. 西村力弥

    ○西村(力)委員 とにかくあなたはそういう態度をとられておりますが、過ぎ去ったことはどうにもならないということで片づけることは非常に危険である。それは事実としてどうにもしようがないけれども、やはり一つの過ぎ去ったことに対する厳正なる反省というものが、今後の警察権執行の場合における誤まりを少くすることになるのですから、過ぎ去ったことだといって片づけられることのないように十分に御指導あるべきだと思う。
  68. 石井榮一

    ○石井説明員 ただいま御指摘の菊地君のケースについては、過ぎ去ったことであるから、もはや覆水盆に返らずということで申し上げておるのではないのであります。この種の事件がもし今後他の地域において起るようなことがありとするならば、その場合にはこれを貴重な、苦い体験として生かして、警察としての措置を誤まりないように十分自粛、自戒の貴重な反省材料にしたい、かように思っております。
  69. 門司亮

  70. 山田長司

    山田委員 だいぶ時間が過ぎておりますので、要点だけを簡潔に御質問申し上げますから、お聞き取り願いたいと思います。長官は、先ほどたまたま犯罪が警察官の内部に起っておるが、教育の仕方が足りぬようなことを言っております。実は栃木県の例で申し上げるのですが、氏家の事件以来、宇部宮の福田巡査部長の問題——栃木県の場合は警察権に対する信頼というものが非常になくなってきておる。ところがたまたま今度は佐野市に理解できない不可解な事件が起ってきた。それはどういうことかと言うと、佐野市の市役所の公金流用問題捜査ということに関連いたしまして、その捜査の結果、佐野警察署は白であるという意味の書類を発表した。これは前例のないことである。一体警察は、刑事訴訟法の二百四十六条に従って、特別な事情のない限りにおいては、書類及び証拠品というものを警察官に回せばよい役割だと思う。そういうことが警察官のすべきことであるにかかわらず、今度の場合においては判定を警察署が下しておるという事件が起った。一体こういうことがいいか、悪いか、長官に最初に伺いたいのです。
  71. 石井榮一

    ○石井説明員 ただいまお話にありました佐野市市役所に関する事件につきましては、私何にも報告に接しておりませんので、一応よく事実を確かめまして、その上でお答えさせていただきたいと思います。
  72. 山田長司

    山田委員 それではさきに伺いますが、最近地方の自治体というものは、経済的に非常に赤字で困っておるやさき、警察本部あるいは警察庁長官というものは、警察署、出張所の庁舎の建設に当ってはどういう立場をとっておられるか、伺いたいと思います。
  73. 石井榮一

    ○石井説明員 警察署あるいは派出所等の新築、改築、増築、こういったものは予算的に申しますと、補助金の対象になっております。従いまして国から補助金が出ますと、それと同額の県費をもちまして庁舎を建てる、こういう建前になっておるのでございます。たとえば二千万円で警察署の庁舎を建てるという場合には、国から補助金として一千万円出ます。当該都道府県はあとの一千万円を都道府県費で組む。この都道府県費で組む金は、自治庁地方財政計画で、警察費に幾らの金がかかるかという計算の中に入っておるのであります。そういう建前になっておるのであります。今のお尋ねは、具体的に何か問題があったのでございますか、その真意はわかりかねますが、一応警察庁舎を建てる予算につきましては、そういう建前になっておることをお答えしておきます。
  74. 山田長司

    山田委員 さらにほかの自動車、物品購入に当ってはどういう立場をとっておられますか。
  75. 石井榮一

    ○石井説明員 自動車は国費で支弁をすることになっております。自動車のごときものは補助金の対象になっております。そういうふうにいろいろ装備品の中でもものによりまして高額のものと申しますか、そういうものは国であてがい、軽微のものは都道府県補助金を受けて調達をする、こういうことになっておるわけでございます。
  76. 山田長司

    山田委員 警察官が家庭を訪問した場合における態度というものは、どの点までそこの家庭の内部に立ち入って捜査をしていいか、あるいは談話をしていいか、あるいはお茶その他の供応を受けてよいか、その限界を一つ聞きたい。
  77. 石井榮一

    ○石井説明員 これは警察官の円満なる社会常識に待たなければならぬところと思うのでありまして、警察官が個人的に懇意な人の家を尋ねていった場合と、そうでないところへ職務上の関係で行く場合と、いろいろの場合がありましょうし、一がいにどの点までが警察官として許され、許されぬということは、簡単には表現できないのじゃないかと思います。
  78. 山田長司

    山田委員 以上のような三つの問題について私が伺った理由というのは、やはり非常に警察の威信にかかわる問題でありますからこの三点を伺ったわけですが、この三点ともおそらく、私の郷里の佐野警察署だけの事件でなくして、これは全国的に相当こういうことが見られるんじゃないかと思われるので、私は特にこの問題を取り上げて伺うわけなんですが、庁舎の建設に当りましては、今度の公金流用捜査問題については公金だけでなくて、文書偽造という問題もあるのですが、これらの問題が取り上げられないということは、土地の人から言わせると、自治体から寄付をもらっているために自治体の不正がつけずにあるんだ——自治体からの寄付金額も明確になっております。佐野市の警察庁舎の建設に当っては、佐野市役所から二百八十万円、田沼町から六十万円、葛生町から六十万円、こういう金を警察が、協力をしてもらいたいという意味で出させておるわけです。このことが町会にかけられたり、市会にかけられたりしている関係もあると思いますが、おそらくこのことで、公金流用及び公文書問題というのは取調べをされておらぬのじゃないかと思います。こういうことが言われておったら、あにはからんや、こういう文書の発表がなされております。それから備品購入についてでありますが、これも市当局から三十万円、葛生工業協会というところから二十万円の寄付を出させて、もらっておるというようなこと、これは警察の威信にかかわると思うのです。それからなぜ警察官が親しい家とか、あるいは捜査のときとか、そういうときの各家庭への立ち入りという問題について私が伺うかというと、実は規律の上からいっても明確な線が打ち出されなければいかぬと思うのです。実は名前を言ってもいいのですが、特に名前を私は差し控えますけれども、庁舎の建設に当って、山林所有者のある未亡人のところへ署員が参りまして、しかも三回ほど行って、材木の寄付をしてもらっておる。こういう事実がございます。国費でまかなわれている分があるにかかわらず、今山林というものについての価値は相当あるにかかわらず、やはり寄付をしてもらいたいということで出向いて、しかも三回行っておる。一ぺん、二へんは断わったというのにかかわらず、どうしても出してもらいたいということを言ったので、仕方なく応じた、こういう事実があるのですが、これらの問題についてはやはり警察の威信のためにも明確に——今長官が言われたように、県費で半分、国費で半分という線が出ているということを知っております立場から、どうしてもこれは明らかにしておいてもらわなければならないし、同時にこれは一地方の警察署だけの問題ではなくして、全国的にあるんじゃないだろうかと思う。これは明らかに長官からやはり全国に指示してもらいたいと思いますが、どうです。
  79. 石井榮一

    ○石井説明員 警察が部外から寄付金を受けるということにつきましては、実は多年そうした悪い習慣があったのでございます。私が警察庁長官に就任をいたしました昭和三十年七月に、この問題をまっ先に取り上げまして、これは国会の委員の諸先生にいろいろ御指導、御鞭撻をいただきまして、私は警察が部外から寄付金をもらうことは今後禁止をするという指示を、全国の都道府県の警察にいたしたのでございます。自来その方向に私は絶えず指導して参ったつもりでありますが、数多い全国の警察の末端に、この方針に背馳する具体的な事実がいまだにあるとしますならば、これはまことに遺憾しごくに思うのでございまして、私の指導のいまだ足らざる点を反省し、今後さらにその点につきましては反復強調をいたしまして、趣旨の徹底をはかりたいと思うのでございます。私が警察が部外から各付金を受けることを禁止したゆえんのものは、警察運営のための費用は、すべて公けの費用をもってまかなうべきものである、国費をもって支弁せらるべき性質のものは国の予算をもってし、都道府県費をもって支弁せらるべき性質のものは都道府県費をもってこれを支払うというのが、本来のあるべき姿でなければならない。もしその予算が必要にして十分なものが獲得できないとするならば、それは自分たちの努力が足らない点ですから、その予算の限度内においてしんぼうしていただく、必要な予算は自分たちの勢力によってこれを確保していくというふうにしていくべきものであるということを、昭和三十年七月以来そういうふうに主張し指導して参ったつもりであります。ところが遺憾ながら、それ以前の長年の習慣で、警察が間々外部から寄付金を受けるという悪習が、いまだに完全に一掃されてない場合が、その後においてもぽつぽつあったのを私は記憶いたしておりますが、それは漸次、先ほど申しました指導方針の徹底によって改善されつつあるものと考えておるのでございます。ただいま具体的に御指摘になりました栃木県佐野警察署につきまして、私いまだ何もそうした具体的なことについて報告に接しておりません。さっそく実情を調査いたしまして、私のかねてよりの指導方針に背馳するものがありますならば、これは十分に反省をさせるようにいたして参りたいと思っております。
  80. 山田長司

    山田委員 語尾がどうもはっきりしなかったが、その事実があったらどうするというのですか。
  81. 石井榮一

    ○石井説明員 私の指導方計にそむくようなことがありましたならば、十分に反省をし、善処させたいと思っております。
  82. 山田長司

    山田委員 大体その点の長官の所信はわかったですが、知らないと言われておりまするので、これは長官に、同じものの控えがありますから、あとで私渡しておきます。全国の警察でこういう捜査結果について、問題の事実というものを——問題の事実をここまで明示した捜査上の書類という例が、今まであったかどうか。
  83. 石井榮一

    ○石井説明員 どういう書類ですか、内容を拝見しませんと何とも言えないですが、およそ捜査の内容にわたるようなものを外部に出すということはあり得ないと思うのでございます。部内の関係者に必要上配るということはありましても、部外にそうした捜査の秘密書類を出すということはあり得ないと思っております。
  84. 山田長司

    山田委員 今手元に渡しましたけれども、捜査の内容の中に明確に文書偽造があるのです。その文書偽造の、しかも領収証の変造をしたという事件がある。これはしろうとが見ても領収証の変造をしたというような場合、佐野市金屋上町、遠藤印刷所、それから金屋仲町の田尻薪炭店、伊賀町の松本書籍店、それから高砂町の内田雑貨店、数十枚に上る書類の変造があって、これらの商店は全然判に見覚えがない、こういう事実が明確になっているが、これを警察当局が白であるという意味の、こういう文書を出した理由というものが明らかにならぬわけです。実際市民としては警察は何をやっているのだ、こういう世論があるわけなんです。警察が全然刑事訴訟法を無視したような態度に出たということについて、疑義がありますから尋ねるわけですが、一体その書類は寸分間違いないですか。これは至急にお取調べ願いたいと思うのです。
  85. 石井榮一

    ○石井説明員 さっそく事実を究明いたしまして、私どもの立場におきましても、とるべき措置をとりたいと考えております。御了承願います。
  86. 西村力弥

    ○西村(力)委員 私、最後に簡単に聞きたいのですが、去る七月砂川で警察官が出動し、調達庁の土地測量を応援したあの事件、その際には都会議員や私どもも出まして、現場における紛糾をおさめて話し合いで円満に解決した。ところが二月以上もたってから逮捕、起訴、こういう工合になってきましたが、従来ですと、いろいろありますけれども、淺沼書記長の話なんかによれば、東大の学生の構内の騒擾事件、ああいう場合でも、淺沼書記長が行って話し合いをして、相当問題はあるのだけれども、その話し合いが成立したというので、あとへ尾が引かないように始末がついておるのです。今回に限ってそういうことをやるのか、こういうことを警視庁に行って尋ねておりましたが、一般の国民の世論なんかの忘れたころ、突然ああいうことをやってきたので、日本の警察はまたアメリカのお役目を承わっておるのだ、こういう感想を漏らしておるのです。あの逮捕をやる場合に、時たってからやって、また証拠も写真なんかによるというようなまことに不確実な方法で、自信なくやらざるを得なくなったというようなときに、警視庁の方から当然警察庁長官の方にお話があったことと思うのです。そういう場合の話し合い、あるいは見解の一致、そういうことはどういうことになっておったのか、お聞かせ願いたいと思います。
  87. 石井榮一

    ○石井説明員 警視庁が去る七月八日でございましたが、砂川基地内の測量の際の事件につきまして、その後二カ月有余を経た九月二十二日でしたかに関係者を検挙したという件についてのお尋ねでございますが、こうした具体的な事件の処置につきましては、これは東京都におきましては警視総監が最高の執行責任者であることは御承知の通りであります。私がかれこれこれをああすべし、こうすべしという指揮をする権限のないことは御承知の通りだと思います。従いまして私はこの事件の警視庁における取扱いについて一々の相談にはあずかっておりません。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そう言われればそれきりでありますが、これは政府部内で私たち愛知官房長官その他に会った場合に、この問題に対する警察の考え方、調達庁の考え方というものを十分に法律的にも事実的にも聞いておる、こういうことを言うておるのですから、やはりあなたの方を通して政府部内にも行くだろうし、あるいは話は当然あっただろうと思うのですが、それはそのくらいにしますけれども、ただ、今問題になっておるのは中山富夫君という教育大学の学生、それから国鉄新橋支部の五十川五郎君という青年、二人は全然現地に行っていないということを主張し、かつそれを証明しておるわけなんです。その問題については警視庁も大体誤まったのだということを自覚しておるらしい。だが、そう簡単にやったのでは、俗な言葉でいえば面子にかかわる、そういうことを考えておるかどうか、なかなかそのことを明確にしない。そのあとに、特に中山君は近く就職を前にして、そういうことにつぶされておったのでは、本人にとってもまことに迷惑しごくなわけです。この点についてやはりはっきりと、早く誤まりは誤まりとして明確にして、本人のこれに対するいろいろなかかわりを、さっぱりしてやるということがぜひ必要ではないか。それは必要だと警視庁の総監も言われるのだが、ところがなかなか仕事が進まないのです。その点を私はあなたの方に考えていただきたい、こう思うわけです。大ぜいの警察官の中で職権を上回ることをやる場合もあるし、また誤まったこともあり得るのです。ことに今回は写真を証拠にしての検挙でありますので、当然それは御自身が自信がないだろうし、誤まったことも想像される。ですから早くその結着をつけるように何とか方法がないものかどうか、一つ考えていただきたい、こう思うわけなんです。
  89. 石井榮一

    ○石井説明員 先ほど私は捜査のあり方等につきましても、いろいろ私の考え方を申し上げました。その際にも申し上げたのでございますが、われわれ警察の仕事をいたしております者すべて完全無欠な人間ではございません。凡人のあさましさと申しますか、ときに間違いをしでかすことはあるのでございますから、あやまちは改むるにはばかることなかれ、この考え方、この謙虚な反省の態度というものが必要であろうと思うのでありまして、ただいま具体的に例示されました砂川事件の関係者について、警視庁がいまだに二名の方に対して黒白いずれとも最終的な結論を出さないでおるのは迷惑しごくだ、面子にとらわれて白といわずにいつまでも引きずっておるのではないかというような御意向も漏らされましたが、そういう面子にとらわれて、結論を出さないで漫然日を送るというようなことが絶対にあってはならぬ。どこまでも警察の職責にかんがみて黒白をはっきりする。最善の努力を尽し、そうしてその結果最初の見込みと違って結論が出た場合には、率直にその自分たちの誤まりを改め、反省をする、あやまるべきものは謝罪をする、私はこういうおとなしい態度でなければならぬということを常日ごろあらゆる機会を通じて一般論的に申しております。個々の事件について一々その指揮は私の権限としてはできませんけれども、日ごろ私がそういうことを強調いたしております精神にのっとって、第一線の諸君が個々の具体的な事件を適切に処理していってくれることを、常に期待しておるのでございまして、ただいま御指摘になりました具体的な砂川関係の問題につきましては、当委員会におきましてそういう御発言のありましたことを、私は警視総監の方にも伝えまして、善処するように要望しておきます。
  90. 門司亮

    門司委員長 ちょっと私から頼んでおきますが、ただいま山田委員からお尋ねのありました、書類をお渡しになったものの返事ですが、委員会で問題になりましたので、この次の機会に委員会で一つ公けにしていただきたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。次会は公報で御通知申し上げます。     午後二時三十一分散会